JP5480880B2 - リソグラフィ投影装置 - Google Patents

Description

本発明は、
− 放射線の投影ビームを供給する放射線システムと、
− 所望するパターンに従って投影ビームをパターン化するパターニング手段を支持する支持構造と、
− 基板を保持する基板テーブルと、
− パターン化されたビームを基板の目標部分に投影する投影システムと、
− 該投影システムの最終素子と該基板間のスペースを少なくとも部分的に液体で満たす液体供給システムとから成るリソグラフィ投影装置に関する。

本明細書において使用する「パターニング手段」なる用語は、入射する放射線ビームに、基板の目標部分に作り出されるべきパターンと一致するパターン化断面を与えるために使用し得る手段に当たるものとして広義に解釈されるべきである。また、「ライトバルブ」なる用語もこうした状況において使用される。一般的に、上記のパターンは、集積回路や他のデバイス（以下を参照）であるような、デバイスにおいて目標部分に作り出される特別な機能層に相当する。そのようなパターニング手段には以下が含まれる。すなわち、
− マスク。マスクの概念はリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、様々なハイブリッドマスクタイプのみならず、バイナリマスク、レベンソンマスク、減衰位相シフトマスクといったようなマスクタイプも含まれる。放射線ビームにこのようなマスクを配置することにより、マスクに照射する放射線の、マスクパターンに従う選択的透過（透過性マスクの場合）や選択的反射（反射性マスクの場合）を可能にする。マスクの場合、その支持構造は一般的に、入射する放射線ビームの所望する位置にマスクを保持しておくことが可能であり、かつ、必要な場合、ビームに対して運動させることの可能なマスクテーブルである。
− プログラマブルミラーアレイ。このようなデバイスの一例として、粘弾性制御層および反射面を有するマトリクスアドレス可能面があげられる。こうした装置の基本的原理は、（例えば）反射面のアドレスされた領域は入射光を回折光として反射するが、アドレスされていない領域は入射光を非回折光として反射するといったことである。適切なフィルタを使用することにより、回折光のみを残して上記非回折光を反射ビームからフィルタすることが可能である。この方法において、ビームはマトリクスアドレス可能面のアドレスパターンに従ってパターン形成される。プログラマブルミラーアレイのまた別の実施形態では小さな複数のミラーのマトリクス配列を用いる。そのミラーの各々は、適した局部電界を適用することによって、もしくは圧電作動手段を用いることによって、軸を中心に個々に傾けられている。もう一度言うと、ミラーはマトリクスアドレス可能であり、それによりアドレスされたミラーはアドレスされていないミラーとは異なる方向に入射の放射線ビームを反射する。このようにして、反射されたビームはマトリクスアドレス可能ミラーのアドレスパターンに従いパターン形成される。必要とされるマトリクスアドレッシングは適切な電子手段を用いて実行される。前述の両方の状況において、パターニング手段は１つ以上のプログラマブルミラーアレイから構成可能である。ここに参照を行ったミラーアレイに関するより多くの情報は、例えば、米国特許第ＵＳ５，２９６，８９１号および同第ＵＳ５，５２３，１９３号、並びに、ＰＣＴ特許種出願第ＷＯ９８／３８５９７および同ＷＯ９８／３３０９６に開示されているので詳細は、これらの内容を参照されたい。プログラマブルミラーアレイの場合、上記支持構造は、例えばフレームもしくはテーブルとして具体化され、これは必要に応じて、固定式となるか、もしくは可動式となる。
− プログラマブルＬＣＤアレイ。このような構成の例が米国特許第ＵＳ５，２２９，８７２号に開示されているので詳細は、この内容を参照されたい。上記同様、この場合における支持構造も、例えばフレームもしくはテーブルとして具体化され、これも必要に応じて、固定式となるか、もしくは可動式となる。簡潔化の目的で、本文の残りを、特定の箇所において、マスクおよびマスクテーブルを必要とする例に限定して説明することとする。しかし、こうした例において論じられる一般的な原理は、既に述べたようなパターニング手段のより広範な状況において理解されるべきである。

リソグラフィ投影装置は例えば、集積回路（ＩＣ）の製造において使用可能である。この場合、パターニング手段はＩＣの個々の層に対応する回路パターンを生成する。そして、放射線感光原料（レジスト）の層が塗布された基板（シリコンウェハ）上の目標部分（例えば１つあるいはそれ以上のダイから成る）にこのパターンを像形成することが出来る。一般的に、シングルウェハは、投影システムを介して１つずつ順次照射される近接目標部分の全体ネットワークを含んでいる。マスクテーブル上のマスクによるパターニングを用いる現在の装置は、異なる２つのタイプのマシンに区分される。リソグラフィ投影装置の一タイプでは、全体マスクパターンを目標部分に１回の作動にて露光することによって各目標部分が照射される。こうした装置は一般的にウェハステッパと称されている。ステップアンドスキャン装置と称される別の装置では、所定の基準方向（「スキャニング」方向）にマスクパターンを投影ビームで徐々にスキャニングし、これと同時に基板テーブルをこの方向と平行に、あるいは反平行にスキャニングすることにより、各目標部分が照射される。一般的に、投影装置は倍率係数Ｍ（一般的に、＜１）を有することから、基板テーブルが走査される速度Ｖは、マスクテーブルが走査される速度の係数Ｍ倍となる。ここに記載を行ったリソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、参考までに記載を行うと、例えば、米国特許第ＵＳ６，０４６，７９２号から得ることが出来る。

リソグラフィ投影装置を使用する製造工程において、パターン（例えばマスクにおける）は少なくとも部分的に放射線感光材（レジスト）の層で覆われた基板上に像形成される。この像形成ステップに先立ち、基板は、プライミング、レジスト塗布、およびソフトベークといったような各種の工程を経る。露光後、基板は、ポストベーク（ＰＥＢ）、現像、ハードベーク、および像形成フューチャの測定／検査といったような他の工程を通る。この工程の配列は、例えばＩＣといったような素子の個々の層をパターン化するための基準として使用される。このようなパターン形成された層は、それから、全て個々の層を仕上げる目的である、エッチング、イオン注入（ドーピング）、メタライゼーション、酸化、化学機械的研磨等といった種々のプロセスを経る。数枚の層が必要とされる場合には、全体工程、もしくはその変形をそれぞれの新しい層に繰り返す必要がある。最終的に、素子のアレイが基板（ウェハ）上に形成される。次に、これらの素子はダイシングやソーイングといったような技法で相互より分離される。それから個々の素子は、キャリアに装着されたり、ピンに接続されたりし得る。こうした工程に関するさらなる情報は、１９９７年にマグローヒル出版会社より刊行された、Ｐｅｔｅｒ ｖａｎ Ｚａｎｔ著、「マイクロチップ製造：半導体処理に対する実用ガイド」という名称の書籍（“Ｍｉｃｒｏｃｈｉｐ Ｆａｂｒｉｃａｔｉｏｎ：Ａ Ｐｒａｔｉｃａｌ Ｇｕｉｄｅ ｔｏ Ｓｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ”）の第３版、ＩＳＢＮ０−０７−０６７２５０−４に記載されているので詳細はこの内容を参照されたい。

簡潔化の目的で、これより投影システムを「レンズ」と称するものとする。しかし、この用語は、例えば屈折光学システム、反射光学システム、および反射屈折光学システムを含むさまざまなタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。放射線システムはまた、放射線の投影ビームの誘導、成形、あるいは制御を行う、こうした設計タイプのいずれかに応じて稼動する構成要素も備えることが出来る。こうした構成要素もまた以降において集約的に、あるいは単独的に「レンズ」と称する。さらに、リソグラフィ装置は２つあるいはそれ以上の基板テーブル（および、あるいは２つもしくはそれ以上のマスクテーブル）を有するタイプのものである。このような「多段」デバイスにおいては、追加のテーブルが並列して使用される。もしくは、１つ以上の他のテーブルが露光に使用されている間に予備工程が１つ以上のテーブルにて実行される。例えば、参考までに、デュアルステージリソグラフィ装置について、米国特許第ＵＳ５，９６９，４４１号および国際特許出願第ＷＯ９８／４０７９１号において記載がなされている。

投影システムの最終素子と基板間のスペースを満たすように、例えば水といったような、比較的高い屈折率を有する液体にリソグラフィ投影装置における基板を浸すことが提案されている。これにおけるポイントは、露光放射線は液体においてより短い波長を有するため、より小さいフィーチャを結像可能にすることである。（液体の効果でシステムにおける有効ＮＡも増すと考えられる。）

しかし、基板テーブルを液体に浸すことは、走査露光中に加速されなくてはならない多量の液体があることを意味する。これは追加の、あるいはより強力なモータを必要とし、液体における乱流が望ましからざる、かつ予測し得ない影響をもたらす。

リソグラフィ投影装置に液体を有することに関していくつかの困難がある。例えば液体を流出させることは、干渉計により干渉することによって、かつ、リソグラフィ投影装置においてビームを真空に保つ必要がある場合、その真空を破壊することによって問題を生じる。さらには、適切な予防策がとられないままに液体はかなりの割合で使用される。

液浸リソグラフィに関連するさらなる問題に、液体の深度を一定に保つことにおける困難さや、結像位置、すなわち最終投影システム素子の下への基板の搬送、またその結像位置からの搬送における困難さが含まれる。また、液体の汚染（液体に溶解した化学物質による）、および液体の温度の上昇は達成可能な結像品質に有害な影響を及ぼす。

何らかの理由による、コンピュータの故障、電源障害、あるいは装置の制御ロスの際に、特に投影システムの光学素子を保護するための工程を実行する必要がある。また、装置の他の構成要素に液体がこぼれるのを防止する工程をもうける必要がある。

液体供給システムが、液体が自由面を有する場合において使用される場合、液体供給システムに加えられる力によりその自由面に波が発生するのを防ぐための工程を実行する必要がある。波は動作基板から投影システムに振動を伝えうる。

国際特許出願番号ＷＯ９９／４９５０４号において、液体が投影レンズとウェハ間のスペースに供給されるリソグラフィ装置が開示されている。ウェハがレンズの下でＸ方向に走査されるとき、液体はレンズの＋Ｘサイドにて供給され、−Ｘサイドで取り上げられる。

本発明は、ステージ動作の間に加速される必要のある液体の量を最小限にして、基板と投影システム間のスペースを液体で満たしたリソグラフィ投影装置を提供することを目的とする。

本目的並びに他の目的は、冒頭の段落にて特定したようなリソグラフィ投影装置において、本発明に従い達成される。ここで、上記の液体供給システムは、
− 上記投影システムの最終素子と上記基板テーブル間の上記スペースの少なくとも境界の部分に沿って伸長したシール部材と、
− 該シール部材と該基板の表面間においてガスシールを形成するガスシール手段とから構成される。

ガスシール手段はこのようにしてシール部材と基板間において非接触シールを形成することから、例えば走査露光中に、投影システムの下で基板が動作するときであっても、液体は投影システムの最終素子と基板間のスペースに封じ込まれる。

シール部材は、スペースを囲む、円形、長方形、もしくは他の形状のいずれかの閉ループ形状をなすか、あるいは、例えばＵ型の形状、またはスペースの一方サイドに沿って伸長しただけの閉じていない形状も可能である。シール部材が閉じていない場合、基板が投影システムの下で走査されるとき、シール部材は液体を閉じ込めるように配置される。

好ましくは、ガスシール手段は、該シール部材を支持するガスベアリングである。これは、液体供給システムの同一部分が、ベアリングと、そして、投影システムの最終素子と基板間のスペースにおける液体のシーリングの両方に使用可能であり、それによりシール部材の複雑さと重量を減じるという長所を有する。また、真空環境においてのガスベアリングの使用から得られた以前の経験を生かすことが出来る。

好ましくは、ガスシール手段は、上記基板に対向した該シール部材の面に形成されたガス導入口および第一ガス導出口と、該導入口に加圧下にてガスを供給する手段と、該第一ガス導出口からガスを抽出する真空手段とにより構成される。さらに望ましくは、ガス導入口は上記投影システムの光軸から該第一ガス導出口よりもさらに外側に配置される。このようにしてガスシールにおけるガスの流れは内側に向き、最も効果的に液体を封じ込める。この場合、ガスシール手段は有利に、基板に対向したシール部材の面に形成された第二ガス導出口をさらに備え、第一ガス導出口および第二ガス導出口はガス導入口の両側に形成される。第二ガス導出口は、ガス導入口からシール部材を囲む環境に抜け出すガスを最小限に抑えることを可能にする。よって、抜け出る、干渉計により干渉する、あるいはリソグラフィ装置における真空を低下させるといったガスのリスクは最小限に抑えられる。

液体供給システムは、シール部材の面と、基板および／または基板の最上面のトポロジー間の距離を測定するセンサーをも備えている。このようにして調整手段は、例えばガスシール手段をフィードフォワード方式あるいはフィードバック方式にて調整することでシール部材の面と基板間の距離を変えるために使用され得る。

該装置は、第一ガス導出口と光軸に最も近い面のエッジとで該シール部材の該面の部分のレベルを面の残り部分に対して変える手段をさらに備えている。これは、スペース内に液体を封じ込める圧力の調整が導入口の下の圧力の調整とは別になされるようにすることで、スペース内に液体を保持する力のバランスを乱すことなく基板上のシール部材の高さを調整することが可能である。これを可能にするまた別の方法は、第一ガス導出口または第二ガス導出口とガス導入口間の面の部分のレベルを面の残り部分に対して変えるための手段を使用することである。これら３つのシステムはどのような組み合わせでも使用可能である。

ガスシール手段のシーリング機能とベアリング機能を分けるまた別の方法は、第一ガス導出口よりも投影システムの光軸の近くに位置して、シール部材の面に形成されるチャネルを設けることである。このチャネルの圧力は、スペース内に液体を封じ込めるように変えることが可能である一方、ガス導入口およびガス導出口は基板上のシール部材の高さを変えるために使用可能であることから、これらはシール部材を支持するためにのみ作用し、シーリング機能は、たとえあったとしても、ほんのわずかでしかない。

さらに有利なフューチャは、ガスの流れをガス導入口の領域に均等に分配する目的でガス導入口に配置される多孔質部材である。

これは、ガス導入口およびガス導出口を形成するのに好都合であり、ガス導入口の各々は該基板に対向した該シール部材の該面における溝と、間隔をとって配置された該溝に導かれる複数の導管とから成る。

また、毛管作用でギャップ内に液体を引き込むよう、かつ／あるいはガスシール部材からのガスが該スペースに入るのを防止するよう、該シール部材と該ガスシール手段の内側にある該基板の面との間のギャップは小さいことが望ましい。シール部材の下に液体を引き込む毛管作用とそれを押し出すガスの流れとの間のバランスによってとりわけ安定したシールを形成する。

基板と投影システム間のスペースを液体で満たし、基板と投影システム間の外乱の伝わりを最小限におさえるリソグラフィ投影装置を提供することをさらなる目的とする。

本目的並びに他の目的は、冒頭の段落で特定したようなリソグラフィ装置において本発明に従って達成される。ここで、該スペースはダクトを通して液体リザーバと液体にて連結を行っており、流体の流れ方向に垂直な面における該ダクトの最小断面面積は少なくとも、

となり、△Ｖは時間ｔｍｉｎ内に該スペースから取り除かれなくてはならない液体の量であり、Ｌはダクト長であり、ηは該スペースにおける液体の粘度であり、そして△Ｐｍａｘは該最終素子にかかる最大許容圧力である。

この装置は、液体が、波の発生する大きな自由面を有さないように、完全に抑制されることができるという長所を有する。すなわち、スペースあるいはリザーバは最上部でエンクローズされ、リザーバは液体で満たされている。これは、所定の時間内（実験的に計測されたクラッシュの時間）にダクトを通して流出可能な流体の量が、装置のクラッシュの際に投影システムの最終素子への損傷が回避され得るほど十分に多いことから、スペース内の圧力が損傷を発生させるレベルに達する前にダクトを通り液体が抜け出すことが出来るからである。シール部材が最終素子に対して動作するとき、液体は抜け出さなくてはならない。そうしないと、シール部材に対する最終素子の相対動作の間に最終素子にかかる静水圧が最終素子に損傷を与えることとなる。

本発明の別の態様において、冒頭の段落において特定したようなリソグラフィ装置が提供される。ここで、液体供給システムはさらに、該液体供給システムにおける液体の最上面において、波の発生を抑える、かつ、圧力解除手段を含む抑制手段を備える。

このようにして抑制手段が液体の最上面と接触することにより波の発生が抑えられる。しかし、クラッシュの際に最終素子への損傷を回避するため、なおかつ液体はこのスペースから抜け出すことが出来る。

抑制手段を提供する一つの方法は可とう性のある膜を通すか、あるいはスペース内の液体と非混和性の高粘度の液体をスペース内の液体最上面に置くことである。これらの各場合において、抑制手段の可とう性により圧力解除機能がもたらされる。

本発明の別の態様において、
− 放射線感光材料の層により少なくとも部分的に覆われた基板を提供するステップと、
− 放射線システムを用いて放射線の投影ビームを供給するステップと、
− パターニング手段を用いて投影ビームのその断面にパターンを与えるステップと、
− 放射線感光材料の層の目標部分に放射線のパターン化されたビームを投影するステップと、
− 基板と、上記投影ステップにおいて使用される投影システムの最終素子間のスペースを満たすように液体を供給するステップとからなるデバイス製造方法が提供され、
− 該スペースの少なくとも境界の部分に沿って伸長したシール部材と該基板の表面間においてガスシールを形成するか、あるいは、
− ダクトを通して該スペースと液体にて連結する液体リザーバを提供するかのいずれかであって、
− 該ダクトは、

の液体の流れ方向に垂直な面において最小の断面面積を有しており、ここで、△Ｖは時間ｔｍｉｎ内に該スペースから取り除かれなくてはならない液体の量であり、Ｌはダクト長であり、ηは該スペースにおける液体の粘度であり、そして△Ｐｍａｘは該最終素子上の最大許容圧力であることを特徴とし、あるいは、
− 抑制手段によって該液体の波の発生を抑制し、かつ、該液体の圧力を解除させることを特徴とする。

本発明による装置の使用法に関して、本文ではＩＣの製造において詳細なる参照説明を行うものであるが、こうした装置が他の多くの用途においても使用可能であることは明確に理解されるべきである。例えば、本発明による装置は、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用され得る。こうした代替的な用途においては、本文にて使用した「レチクル」、「ウェハ」、「ダイ」といった用語は、それぞれ「マスク」、「基板」、「目標部分」といった、より一般的な用語に置き換えて使用され得ることは当該技術分野の専門家にとって明らかである。

本明細書において使用した「放射線」および「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線（例えば、３６５ｎｍ、２４８ｎｍ、１９３ｎｍ、１５７ｎｍ、あるいは１２６ｎｍの波長を有する）を含むあらゆるタイプの電磁放射線を網羅するものである。

本発明の実施例についての詳細説明を、添付の図面を参照に、例示の方法においてのみ行うものとする。全図を通して同様部品には、同様の参照番号を含むものとする。

本発明の実施例におけるリソグラフィ投影装置を示したものである。 本発明の第１実施例の液体リザーバを示したものである。 本発明の第１実施例の液体リザーバの部分の拡大図である。 本発明の第２実施例の液体リザーバを示したものである。 本発明の第２実施例の液体リザーバの部分の拡大図である。 本発明の第３実施例の液体リザーバの拡大図である。 本発明の第４実施例の液体リザーバを示したものである。 本発明の第４実施例の液体リザーバの部分の拡大図である。 本発明の第５実施例の液体リザーバを示したものである。 本発明の第６実施例の液体リザーバを示したものである。 第６実施例のシール部材の下側の平面図である。 第７実施例のシール部材の下側の平面図である。 第７実施例の液体リザーバの断面図である。 第８実施例の液体リザーバの断面図である。 第９実施例の液体リザーバの断面図である。 また別の第９実施例の変形態様の液体リザーバの断面図である。 第１０実施例の液体リザーバの断面図である。

（実施例１）
図１は、本発明の独自の実施形態に基づくリソグラフィ投影装置を示したものである。この装置は、特別な本実施形態において放射線源ＬＡも備えた、放射線の投影ビームＰＢ（例えばＤＵＶ放射線）を供給する放射線システムＥｘ、ＩＬと、マスクＭＡ（例えばレクチル）を保持するマスクホルダーｗ備え、かつ、品目ＰＬに対して正確にマスクの位置決めを行う第一位置決め手段に連結を行った第一オブジェクト・テーブル（マスクテーブル）ＭＴと、基板Ｗ（例えば、レジスト塗布シリコンウェハ）を保持する基板ホルダを備え、かつ、品目ＰＬに対して正確に基板の位置決めを行う第二位置決め手段に連結を行った第二オブジェクト・テーブル（基板テーブル）ＷＴと、マスクＭＡの照射部分を、基板Ｗの目標部分Ｃ（例えば、１つあるいはそれ以上のダイから成る）に像形成する投影システム（「レンズ」）ＰＬ（例えば反射屈折レンズシステム）とにより構成されている。ここで示しているように、この装置は透過タイプ（すなわち透過マスクを有する）である。しかし、一般的には、例えば反射マスクを有する反射タイプのものも可能である。あるいは、本装置は、上記に関連するタイプであるプログラマブルミラーアレイといったような、他の種類のパターニング手段も使用可能である。

ソースＬＡ（例えばエキシマレーザー）は放射線のビームを作り出す。このビームは、直接的に、あるいは、例えばビームエキスパンダーＥｘといったようなコンディショニング手段を横断した後に、照明システム（照明装置）ＩＬに供給される。照明装置ＩＬは、ビームにおける強度分布の外部かつ／あるいは内部放射範囲（一般的にそれぞれ、σ−ｏｕｔｅｒおよびσ−ｉｎｎｅｒに相当する）を設定する調整手段ＡＭから成る。さらに、照明装置ＩＬは一般的に積分器ＩＮおよびコンデンサＣＯといったような、他のさまざまな構成要素を備える。このようにして、マスクＭＡに照射するビームＰＢは、その断面に亘り所望する均一性と強度分布とを有する。

図１に関して、ソースＬＡはリソグラフィ装置のハウジング内にある（これは例えばソースが水銀ランプである場合に多い）が、しかし、リソグラフィ投影装置から離して配置することも可能であることを注記する。この場合、ソースＬＡが作り出す放射線ビームは（適した誘導ミラーにより）装置内に導かれる。この後者のシナリオでは、ソースＬＡがエキシマレーザーである場合が多い。本発明および請求項はこれら両方のシナリオを網羅するものである。

続いてビームＰＢはマスクテーブルＭＴ上に保持されているマスクＭＡに入射する。ビームＰＢはマスクＭＡを横断して基板Ｗの目標部分Ｃ上にビームＰＢの焦点を合わせるレンズＰＬを通過する。第二位置決め手段（および干渉計測手段ＩＦ）により、基板テーブルＷＴは、例えばビームＰＢの経路における異なる目標部分Ｃに位置を合わせるために正確に運動可能である。同様に、第一位置決め手段は、例えばマスクライブラリからマスクＭＡを機械的に検索した後に、あるいは走査運動の間に、ビームＰＢの経路に対してマスクＭＡを正確に位置決めするように使用可能である。一般的に、オブジェクト・テーブルＭＴおよびオブジェクト・テーブルＷＴの運動はロングストロークモジュール（粗動位置決め）およびショートストロークモジュール（微動位置決め）にて行われる。これについては図１に明示を行っていない。しかし、ウェハステッパの場合（ステップアンドスキャン装置とは対照的に）、マスクテーブルＭＴはショートストロークアクチュエータに連結されるだけであるか、あるいは固定される。

ここに表した装置は２つの異なるモードにて使用可能である。
− ステップモードにおいて、マスクテーブルＭＴは基本的に静止状態に保たれている。そして、マスクの像全体が１回の作動（すなわち１回の「フラッシュ」）で目標部分Ｃに投影される。次に基板テーブルＷＴがｘ方向および／あるいはｙ方向にシフトされ、異なる目標部分ＣがビームＰＢにより照射され得る。
− スキャンモードにおいて、基本的に同一シナリオが適用されるが、但し、ここでは、所定の目標部分Ｃは１回の「フラッシュ」では露光されない。代わって、マスクテーブルＭＴが、速度ｖにて所定方向（いわゆる「走査方向」、例えばｙ方向）に運動可能であり、それによってビームＰＢがマスクの像を走査する。これと同時に、基板テーブルＷＴが速度Ｖ＝Ｍｖで、同一方向あるいは反対方向に運動する。ここで、ＭはレンズＰＬの倍率（一般的にＭ＝１／４あるいは１／５）である。このように、解像度を妥協することなく、比較的大きな目標部分Ｃを露光することが可能となる。

図２は、投影システムと基板ステージ間における液体リザーバ１０を示したものである。液体リザーバ１０には、導入／導出ダクト１３を介して、例えば水であるような比較的高い屈折率を有する液体１１が満たされている。液体の効果は、投影ビームの放射線が空気や真空におけるよりも、液体にてより短い波長を有し、より小さいフィーチャの解像を可能にすることにある。投影システムの解像度限界は、とりわけ投影ビームの波長、およびシステムの開口数によって決定する。液体の存在も有効開口数を増すと考えられる。さらに、液体は固定の開口数で被写界深度を増すのに効果的である。

リザーバ１０は、投影システムのイメージフィールドのまわりに基板に対する非接触シールを形成しており、基板表面と投影システムの最終素子間のスペースをうめるように液体が閉じ込められている。リザーバは投影システムＰＬの最終素子の下で、これを囲んで配置されたシール部材１２から形成されている。液体が投影システムの下のシール部材１２内のスペースに入れられる。これでシール部材１２は投影システムの最終素子を少し超えて伸長しており、液面は最終素子まで上がって液体のバッファがもたらされる。シール部材１２は、上端部で、投影システムのステップもしくはその最終素子に、好ましくきっちりと一致する内周を有しており、そして、例えば丸くても良い。底部において、内周は、これに限るわけではないが例えば長方形のイメージフィールドの形状にきっちりと一致する。

液体は、シール部材１２の底部と基板Ｗ表面間のガスシール１６によってリザーバに閉じ込められる。ガスシールは、例えば空気や合成エアーといったようなガス、しかし好ましくはＮ２もしくは他の不活性ガスにより形成される。こうしたガスは、導入口１５を介してシール部材１２と基板間のギャップに加圧下で供給され、第一導出口１４により抽出される。ガス導入口１５への過圧、第一導出口１４の真空レベル、およびギャップのジオメトリは、液体を閉じ込める内部への高速の空気流が生じるように調整される。これを図３においてより詳細に示している。

ガスシールは２つの環状の溝１８、１９から形成されており、これらの環状の溝は、溝のまわりにスペースをとって連続した小さなコンダクト（conduct）により、それぞれ第一導入口１５と第一導出口１４に連結している。導入口１５と導出口１４は、シール部材２４の外周を囲む複数の別々のオリフィスであるか、あるいは連続した溝またはスリットである。シール部材に大きな環状のくぼみが導入口と導出口各々に設けられ、マニホールドを形成する。ガスシールはガスベアリングとして作用することにより、シール部材１２を支持することにおいても有効である。

ガス導入口１５の外側にあるギャップＧ１は、外側に向かう空気の流れに対して抵抗を与えるように小さく、かつ長いほうが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。シール部材のまわりの多数の小さな穴により形成された導入口１５の半円上端のギャップＧ２は少し大きく、シール部材のまわりのガスを確実に十分に分布させる。ギャップＧ３はシールを通るガスの流れをコントロールするように選択される。ギャップＧ４は真空の分布がうまくなされるように大きくなっている。導出口１４は、導入口１５と同様の方法にて多数の小さな穴により形成されている。ギャップＧ５は、スペース内の液体にガス／酸素が拡散するのを防ぐよう、かつ、多量の液体が入って真空を妨げるのを回避するよう、かつ、毛管現象により常にこれを確実に液体で満たすよう小さくなっている。

このように、ガスシールは、ギャップに液体を引き込む毛管力と液体を押し出す空気流間のバランスである。ギャップがＧ５からＧ４に広くなると毛管力を減じ、空気の流れが増すことによって、液体の境界線がこの領域となり、投影システムＰＬ下で基板が動くときでさえ安定する。

ギャップＧ３のサイズおよびジオメトリのみならず、Ｇ２における導入口とＧ４における導出口間の圧力差がシール１６を通るガスの流量を決定し、この圧力差は具体的な実施形態に従って決定される。一方、ギャップＧ３の長さが短く、Ｇ２における絶対圧力がＧ４における絶対圧力の２倍である場合、かなりの効果が達せられる。この場合、ガス速度はガスにおける音の速度であり、これ以上は上がらない。ゆえに安定したガスの流れを達成する。

ガス導出系は、ガス導入圧を減じて液体をギャップＧ４に入らせて、そして真空システムによって吸い出すことにより、システムから液体を完全に取り除く際にも使用され得る。これはシールを形成するために用いられるガスと同様、液体を取扱うためにも容易に調整が可能である。ガスシールの圧力調整は、基板が動作するとき摩擦によって熱せられるギャップＧ５の液体が投影システムの下のスペースの液体温度を乱さないよう、ギャップＧ５を通る液体を確実に流動させるためにも用いられる。

ガス導入口および導出口のまわりのシール部材の形状は、乱流と振動を減じるべく、出来るだけ層流をもたらすように選択されるべきである。また、ガスの流れは、液体を閉じ込める最大力をもたらすべく、液体の界面における流れ方向の変化が出来るだけ大きくなるように調整されるべきである。

液体供給システムはリザーバ１０の液体を循環させ、それにより新鮮な液体をリザーバ１０に供給する。

ガスシール１６はシール部材１２を支持するのに十分な大きさの力を作り出すことが可能である。実際に、シール部材１２により支持される有効重量をあげるために、シール部材１２を基板方向にバイアスする必要がある。シール部材１２は、いずれの場合でも、投影システムに対して、かつこの下で実質的に静止位置においてＸＹ面（光軸に垂直）に保持されるが、投影システムから切り離される。シール部材１２はＺ方向、ＲｘおよびＲｙに自由に動く。

（実施例２）
図４および図５において第２実施例を示している。第２実施例は以下に記載の内容を除いて第１実施例と同様である。

この実施例において、第一ガス導出口１４に対して、ガス導入口１５の向かい側に第二ガス導出口２１６が設けられる。この方法において、装置の光軸から外側へガス導入口１５から抜け出るガスは、真空ソースに連結した第二導出口２１６により吸い上げられる。このようにして、ガスが、例えば干渉計読取り、あるいは、投影システムおよび／または基板が収容されている真空と干渉不可能であるよう、ガスシールからガスが抜け出すのを防止する。

２つのガス導出口を使用する本実施例の他の利点は、この設計がリソグラフィ装置において以前に用いられていたエアベアリングの設計と非常に類似することである。従って、そうしたエアベアリングから得られた経験を本実施例のガスシールに直接適用することが可能である。第２実施例のガスシールはシール手段としてだけでなくガスベアリングとしての使用に特に適することから、シール部材１２の重量の支持にこれを使用することが出来る。

シール部材１２の底面と基板Ｗ間の距離を測定するため、あるいは、基板Ｗの上面のトポロジーを計測するため、有効にセンサーが設けられる。ガス導入口および導出口の１４、１５、２１６に印加される圧力を変えるために調整手段を用いることが可能であり、リザーバに液体１１を閉じ込める圧力Ｐ２と、シール部材１２を支持する圧力Ｐ１およびＰ３を変える。よって、シール部材１２と基板Ｗ間の距離Ｄが変えられるか、もしくは一定の距離に維持される。同一調整手段がシール部材１２の面を維持するのに使用され得る。同一の調整手段はフィードフォワード調整ループあるいはフィードバック調整ループのいずれかにより調整され得る。

図５は、リザーバに液体を保持する圧力Ｐ２と、シール部材１２を支持する圧力Ｐ３を別々に調整するためにガスシールがいかに調整されうるかを詳細に示したものである。この特別な調整は、稼動中の液体損失を最小限におさえる方法を提供するため、有益である。第２実施例では、圧力Ｐ２およびＰ３を別々に調節可能にして、露光中のコンディションを変えるものである。コンディションが変わることは、異なる走査速度により、あるいは、おそらく基板Ｗのエッジがシール部材１２によってオーバーラップしていることにより、単位時間ごとの液体損失が異なるレベルとなる。これは、基板Ｗに面したシール部材１２の面における個々の部分の基板Ｗに対する距離を変える手段を提供することにより達成される。こうした部分には、第一ガス導出口１４と、光軸に最も近いシール部材１２のエッジ間の部分２２０、ガス導入口１５と第一ガス導出口１４間の部分２３０、そして、第二ガス導出口２１６とガス導入口１５間の部分２４０を含む。これらの部分は、例えば圧電アクチュエータを使用して、基板Ｗ方向、かつ基板Ｗから離れる方向に動作される。つまり、シール部材１２の底面は圧電アクチュエータ（望ましくはスタック）から成る。該圧電アクチュエータは、これらを横切る電位差を与えることで拡張／収縮することが可能である。また他の機械的手段を用いることも可能である。

ガス導入口１５の下で作り出される圧力Ｐ３は、ガス導入口１５に印加されるガスの圧力Ｐ５、第一ガス導出口１４および第二ガス導出口２１６それぞれに印加されるガスの圧力Ｐ６およびＰ４、そして、基板Ｗと基板Ｗに面したシール部材１２の底面間の距離Ｄとにより決定される。また、ガス導入口とガス導出口間の水平距離も影響を与える。

シール部材１２の重さは圧力Ｐ３によって補正され、それによりシール部材１２はウェハＷからの距離Ｄを確定する。Ｄの減少はＰ３の増加となり、Ｄの増加はＰ３の減少となる。ゆえにこれは自己調整システムといえる。

圧力Ｐ３による一定の押し出し力にて、距離Ｄは、圧力Ｐ４、Ｐ５、およびＰ６によって調整のみ可能とされる。しかし、Ｐ５、Ｐ６、およびＤの組み合わせは、リザーバに液体１１を保持する圧力である圧力Ｐ２を作り出す。所定の圧力レベルで液体の容器から抜け出す液体の量は計算可能であり、液体ＰＬＩＱにおける圧力も重要である。ＰＬＩＱがＰ２よりも大きい場合、液体はリザーバから抜け出る。また、ＰＬＩＱがＰ２よりも小さい場合には好ましからざる気泡が液体に発生する。液体に気泡が確実に出来ないよう、かつ、この液体の交換が必要である際にそれほど多くの液体が抜け出ることがないよう、Ｐ２をＰＬＩＱよりもわずかに小さい値に維持していくようにすることが望ましい。好ましくは、これは全て定数Ｄによりなされる。部分２２０とウェハＷ間の距離Ｄ１を変えると、抜け出る液体の量が距離Ｄ１の２乗で変化するので、リザーバから抜け出す液体の量をかなり変えることが出来る。必要とされる距離の変動はわずか１ｍｍ程度のものであり、望ましくは１０μｍである。これは、１００Ｖ以上のオーダの稼動電圧を有する圧電スタックにより容易に可能とされる。

あるいは、部分２３０の底部に圧電素子を配置することにより、抜け出すことの出来る液体量を調整することが可能である。距離Ｄ２を変えることは圧力Ｐ２を変えるのに有効である。しかし、この解決法は、定数Ｄを維持するために、ガス導入口１５における圧力Ｐ５の調整を必要とするであろう。

当然、部分２４０の低位部分と基板Ｗ間の距離Ｄ３を同様の方法で変えることも可能であり、Ｐ２およびＰ３の個々の調整に使用することも可能である。Ｐ２およびＰ３を所望の値に変えるべく、圧力Ｐ４、Ｐ５、およびＰ６と、距離Ｄ１、Ｄ２、およびＤ３を全て別個に、あるいは組み合わせて調整することが可能であることが理解されよう。

実際に、第２実施例は、リザーバ１０の液体量のアクティブ管理における使用に特に有効である。基板Ｗの結像が行われていない投影装置のスタンバイ状態とは、リザーバ１０の液体は空であるがそれによりシール部材１２を支持するためにガスシールはアクティブであるという状態であろう。基板Ｗが配置された後、液体がリザーバ１０内に導入される。次に基板Ｗが結像される。基板Ｗを取り除く前に、リザーバからの液体を取り除くことが出来る。最終基板の露光後にリザーバ１０内の液体が取り除かれる。液体を取り除くたびに、前に液体が満たされていた領域を乾かすようにガスパージが適用されなくてはならない。上述したように定数Ｐ３を維持しながら、液体は、Ｐ２を変えることによって第２実施例に従って装置において容易に完全に取り除かれることが出来る。他の実施例において、Ｐ５およびＰ６（かつ必要な場合、あるいは適切である場合、Ｐ４も）を変えることにより、同様の効果を達成することが出来る。

（実施例３）
図６に示すように、第２実施例の代替案、あるいはさらなる展開として、第一ガス導出口１４の内側（投影システムの光軸にさらに近い）に、基板Ｗに面したシール部材１２の面にチャネル３２０が設けられる。チャネル３２０はガス導入口および導出口の１４、１５、２１６と同様の構成を有する。

チャネル３２０を用いることで、圧力Ｐ３とは別々に圧力Ｐ２を変えることが可能である。もしくは、リザーバ１０の液面より上方の周囲圧へチャネルを開口することにより、稼動中のリザーバからの液体消費がかなり減じられる。チャネル３２０は他のどのような実施例とも組み合わせることが可能であり、特に第１実施例と組み合わせて使用され得るが、本実施例を第２実施例との組み合わせにおいて説明した。さらなる長所は、ガス導入口１５および第一ガス導出口１４（またある特定の実施例においては第二ガス導出口２１６も）が乱されないことである。

さらに、ここでは３個のみの素子を示しているが、基板Ｗに面したシール部材１２の面に何個のチャネルでも取り入れることが可能である。各チャネルは、液体供給システムの剛性、液体消費、安定性、あるいは他の特性を改善するために圧力を与えられている。

（実施例４）
図７および図８に示した第４実施例は、以下に記載の内容を除いては第１実施例と同様である。しかし、第４実施例はここに記載のいずれか他の実施例とともに有効に使用することも可能である。

第４実施例において、好ましくはポーラス・カーボンや多孔質セラミック部材といった多孔質部材４１０が、ガス導入口１５に取り付けられる。ここでは、ガスはシール部材の底面から抜け出る。好ましくは、多孔質部材の底面はシール部材の底面と同一平面上にある。このポーラス・カーボン部材４１０は、（この場合基板Ｗにおける）完全に平らではない面に無関係であり、導入口１４を抜け出るガスは導入口の出口全体によく分配される。シール部材１２が基板Ｗのエッジ上に部分的に配置されるとき、このポイントにおいてガスシールが接触する面が平らでないとき、多孔質部材４１０を使用することによって得られる長所もまた明らかである。

第４実施例の別形態において、多孔質部材４１０を真空チャネル１４に配置することが可能である。望ましからざる圧力損失を回避しながら、多孔質部材４１０は、加圧状態を維持するように選択された孔を有するべきである。これは、基板Ｗのエッジを結像するときに有利であり、ガスベアリングは基板Ｗのエッジ上を動作する。なぜならば、たとえエッジ位置における予圧が損失するとしても、予圧の変動をかなり減じて、そして、ステージ上の浮上高と力の連続的な変化において、真空チャネルは多量かつ多種のガスにより汚染されないからである。

（実施例５）
上記の実施例全てにおいて一般的に、自由表面を有する、空気といったガスに露出されるリザーバ１０内に液体を有する。これは、投影システムＰＬの最終素子が、投影システムに静水力が増すことによるクラッシュの場合に破壊するのを防ぐためでる。クラッシュの間、投影システムＰＬがそれに対して作用するとき、リザーバ１０内の液体は抑制させず、液体が容易に上方にあがることを余儀なくされる。この解決法の欠点は、稼動中に自由表面で表面波が生じ、それにより基板Ｗから投影システムＰＬに好ましからざる外乱を伝えることである。

この問題を解決する一つの方法は、リザーバ１０が、特にその上面が、シール部材内に完全に含まれるようにすることである。液体は第二リザーバからダクトを通してリザーバ１０に供給される。この第二リザーバは抑制されない最上面を有することができ、クラッシュの間、液体はダクトを通して第二リザーバ内に向かうことを余儀なくされることから、投影システムにおいて第一リザーバ１０に大きな静水力が生じるのを回避する。

こうしたクローズドシステムにおいて、投影システムにおける液体の圧力の局所的増加は、リザーバに連結するダクトが、次の等式に従う半径を有するダクトに等しい断面面積を確実に有することにより回避される。

ここで、Ｒはダクト半径であり、△Ｖは時間ｔ内にリザーバ１０から取り除かれなくてはならない液体の量であり、Ｌはダクトの長さであり、ηは液体の粘度であり、そして△Ｐは第二リザーバと第一リザーバ１０間の圧力差である。基板テーブルが０．２ｍ／秒（実験により計測）の速度でクラッシュする可能性があり、かつ、△Ｐｍａｘは１０４Ｐａである（最大圧力において投影システムの最終素子はダメージが生じる前は持ちこたえることが出来る）という仮定がたてられる場合、必要パイプ半径は０．２ｍのダクト長に対して約２．５ミリメータである。望ましくは、ダクトの有効半径は式から得られる最小値の少なくとも２倍である。

投影システムＰＬがクラッシュ時になおかつ保護されるようにしながら、リザーバ１０の液体において波の形成を回避するまた別の方法は、リザーバ１０の液体の最上面における抑制膜５１０を液体の自由表面に提供することである。この解決法は、クラッシュの場合、高すぎる圧力にせずに液体を排出させるために、安全手段５１５を必要とする。その一解決法を図９において示している。抑制膜は可とう性材料から成り、これは、液体の圧力が所定の許容最大値に達する前に液体が可とう性のある抑制膜５１０を変形させることにより、液体が、投影システムＰＬと抑制膜５１０間、もしくは抑制膜とシール部材間をそれぞれ抜け出すといった方法で、シール部材１２の壁部あるいは投影システムに取り付けされる。このように、クラッシュの場合に投影システムＰＬに損傷を与えることなく、液体が安全膜を抜け出すことが可能である。この実施例に関して、リザーバ１０の少なくとも体積の抑制膜上にスペースを有することが明らかに望ましい。よって、可とう性のある膜は、リザーバ１０における液体の最上面において波の形成を回避し得るほど十分に堅いが、一旦液体が所定の静水圧に達すると、液体が抜け出るのを防止するほどには堅くない。より堅い抑制膜との組み合わせにおいて、所定圧力以上で液体の自由な流れを可能にする圧力弁５１５を使用することで同様の効果が達せられる。

抑制手段のまた別の形態では、リザーバ１０の液体の最上部の自由表面に粘度の高い液体を配置する。これは、クラッシュの場合に、投影システムＰＬを妨害せず液体を抜け出させながら表面波の形成を抑制する。当然、高粘度の液体はスペース１０において使用される液体と非混和性でなくてはならない。

それに関する液体抑制手段５１０のさらなる代替案はメッシュで構成することである。この方法において液体の最上面は各々が小さい面積の複数部分に分割される。この複数部分の表面面積はメッシュの開口に等しく、それにより大きな表面波の生成が効果的に抑えられるため、このようにして、共振により作り出され、かつ投影システムを阻害する大きな表面波の発生を回避する。また、メッシュによって、その開口を通る液体の流れを可能にすることで、クラッシュの際に投影システム保護する効果的な圧力解除メカニズムがもたらされる。

（実施例６）
図１０および図１１に示した第６実施例は、以下に記載の内容を除いて第１実施例と同様である。第６実施例は上述の実施例における提案のいくつかを使用する。

別の実施例において、投影システムの最終素子の下でこれを囲んで配置されたシール部材１２により、投影システムの下の領域に浸液１１が閉じ込められている。

シール部材１２と基板Ｗ間のガスシールは、３つのタイプの導入口および導出口から形成されている。シール部材は一般的に導出口６１４、導入口６１５、そして、さらにもう１つの導入口６１７を備えている。これらは、投影システムＰＬの最も近くに導出口６１４が、導出口６１４のすぐ外側にさらにもう１つの導入口６１７が、そして投影システムＰＬから最も遠くに導入口６１５が配置されている。導入口６１５は、環状のチャンバ６２２を介して、基板Ｗに面したシール部材１２の表面にある複数の導出ホール６２０にガス供給がなされるエアベアリングから成る。導出口６２０を抜け出す空気の力は、シール部材１２の重量の少なくとも部分を支持することと、投影システムＰＬの下の局所的な領域に閉じ込められる浸液をシールするのを助ける導出口６１４方向への空気の流れを可能にすることの両方の役割をなす。チャンバ６２２の目的は、別個のガス供給オリフィス６２５が導出ホール６２０で均一な圧力にてガスを供給するようにすることである。導出ホール６２０は直径が約０．２５ｍｍであり、約５４個の導出ホール６２０がある。導出ホール６２０とチャンバ６２２間における流量制限にあるオーダの大きさの差があり、これは、少ない数、すなわち１つだけのメイン供給オリフィス６２５であっても、導出ホール６２０全てからの均一な流出を可能にする。

導出ホール６２０を抜け出るガスは放射状に内側と外側の両方に流れる。導出口６１４から放射状に内側に流れる空気は、シール部材と基板Ｗ間のシールを形成するのに有効である。しかし、さらなる導入口６１７によりさらに空気の流れがもたらされる場合、シールを改善することが分かった。通路６３０はガスソース、例えば外気に連結している。導入口６１５からの空気の放射状の内側への流れは、さらなる導入口６１７から導出口６１４に向かってさらにガスを引き込むのに有効である。

通路６３０の端部（連続する別々の導入口ではなく）に設けられた環状の溝６３３は、溝６３３の最も内側のエッジと導出口６１４間におけるガスのシーリングフローが外周全体において確実に均一であるようにする。溝は一般に幅が２．５ｍｍであり、同様の高さを有するものである。

溝６３３の最も内側のエッジ６３５は図示するような半径がもたらされ、通路６３０を通って導出口６１４に向かうガスのスムーズな流れを可能にする。

導出口６１４はまた、高さがわずか約０．７ｍｍであるが、幅が６から７ｍｍの連続した溝６４０を有する。溝６４０の最も外側のエッジ６４２は、ほぼ９０°の鋭いエッジがもたらされ、それによってガスの流れ、特に、さらなる導入口６３０からのガスの流れはガスシールの効果を高めるように加速される。溝６４０は、環状のチャンバ６４７につながる、よって別個の導出通路６４９につながる複数の導出ホール６４５を有する。複数の導出ホール６４５は直径が約１ｍｍであり、それにより、導出ホール６４５を通過する水滴はより小さな水滴に細分される。

シール部材１２の液体除去効果を、さらなる導入口６１７に連結した調整弁６３８によって調整することが可能である。弁６３８はさらなる導入口６１７を通る流量の調整に有効であり、それにより、導出口６１４を通るガスシールの液体除去効果を変える。

シール部材の全径は１００ｍｍ程度のものである。

図１１は、図１０のシール部材の下側の平面図である。図から分かるように、導入口６１５は複数の別個の導入ホール６２０として提供されている。エアベアリングとしての溝が、このようなシステムにおいて変動が設定されるような能力（ガスの圧縮可能特性による）を有することから、これはメインの導入口６１５に溝を使用することに対して長所がある。小さい直径の導入ホール６２０はその中のガスは低量であるから、その能力によって生じる問題にあまり悩まされない。

溝６３３の形状のさらなる導入口６１７は、別個の導入ホール６２０のみを使用するときには必ずしも可能でなかった、シール部材１２の全円周において連続するガスの流れを可能にするために使用され得る。チャンバ６４７、６２２といったような有効な溝６４０を供給することにより別個の構成要素として導出口６４５を供給することは、流れを安定させるのに問題とはならない。

液体の導入口は図１０および図１１のシール部材１２において示されておらない。液体は、前述の実施例にて示された方法と同様の方法にて供給されるか、あるいは、いくらかの液体は、欧州特許申請番号０３２５６８２０．６号および同第０３２５６８０９．９号において記載されているように導出入される。

（実施例７）
第７実施例は以下に記載の内容を除いて第６実施例に類似する。図１２は、図１１と類似するシール部材１２下側の平面図である。図１２において、シール部材１２には第６実施例に示したようなさらなる導入口は設けられないが、任意に追加することも可能である。

第７実施例のシール部材１２は、導入ホール７２０により形成され、かつ、第６実施例の全体設計と同様のガスベアリング７１５から成る。導入口７１４は、それぞれガスソースと真空ソースに導く２つのみの通路７４５と７４７を有する環状の溝７４０から成る。この方法により通路７４５に連結したガスソースから、通路７４７に連結した真空ソースへの高速のガスの流れがもたらされる。この高速のガスの流れにより浸液をより効果的に排水することが可能となる。さらに、真空チャンバにおいてより大きく制限された真空の流れを作り出すことで、基板Ｗ上のシール部材１２の高さの変動による流れのばらつき、あるいは表面における他の漏れのもとは、ガスベアリングに対して予圧を与える真空チャンバの圧力に影響を与えない。

（実施例８）
第８実施例は図１４との関連において説明を行うものであり、以下に記載の内容を除いて第一実施例と同様である。

図１４において分かるように、第８実施例は、第一実施例と同様導入口８１５と導出口８１４を備えたシール部材１２を有する。しかし、導出口１４の下に、あるいはこれのわずかに放射状の外側に、基板Ｗの面上のガスの速度を増すガスジェットが作り出されるように配列されたさらにもう１つの導入口８１７が設けられており、それによって浸液はより効果的に基板Ｗの表面から取り除かれる。さらなる導入口８１７は、投影システムＰＬに放射状の内側に向かう角度で基板Ｗに向かって導かれるノズルによってもたらされる出口を有する。従い、最後の数マイクロメータの液体フィルムを水から取り除くことの出来ない、基板表面上のゼロ速度で単純な放射線状の速度分布を有する、導入口８１５と導出口８１４間の層流（レイノルズ数が約３００）が改善される。なぜならば、さらなる導入口８１７により、より高速の空気速度を有するガスが基板表面と接触するのを可能にするからである。

図１４から、さらなる導入口８１７のノズル出口が、導出口８１４の放射状の外側に、しかし、導入口８１５よりも導出口８１４の近くに設けられていることが分かる。

（実施例９）
第９実施例を図１５および図１６に示しており、これは以下に記載の内容を除いて第一実施例と同様である。

第９実施例において、基板Ｗに面するシール部材の底面における導出口９１４の口が、導出口９１４内への空気の速度を増すように修正されている。これは、導出口９１４の通路を同じサイズに保ちながら、導入口９１４の口のサイズを減じることで達せられる。これは、シール部材１２の材料を通路の中央に向かって伸長して、外側への追加部材９４０と内側への追加部材９５０を形成することにより、より小さい口を設けることで達成される。外側への追加部材９４０は内側への追加部材９５０よりも小さく、これら２つの部材９４０、９５０間のギャップは、導出口９１４の残り部分よりも約２０倍小さい。口の幅は約１００から３００μｍである。

図１６において、第９実施例のさらなる別の形態を示しており、ここでは、第８実施例における導入口８１７に類似するさらなる導入口９１７が設けられている。しかし、この場合、さらなる導入口９１７は基板Ｗの面にほぼ平行な噴流をもたらし、それにより導出口９１４の口に入るガスが加速される。

（実施例１０）
第１０実施例を図１７に示しており、本実施例は以下に記載の内容を除いて第１実施例と同様である。

第１０実施例において、第８実施例と同様の原理に従って基板Ｗの表面上のガス速度を増すことによって液体除去効率が改善される。導入口１０１５から出て、導出口１０１４に向かって放射状の内側に動くガスは、環状の溝１０１８の下を通過する。図示するように、溝の効果は、ガスがその放射状の最も外側にある溝に入り、放射状の内側面において基板Ｗの方向に角度を持って出ることである。従い、導出口１０１４への入り口で基板Ｗの表面上のガスの速度は増し、液体除去効率が改善される。

どの実施例のフューチャであっても、他の実施例のいくつかの、あるいは全部のフューチャとともに使用可能であることは明らかである。

以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく他の方法でも具体化できることは当業者にとって明らかである。本詳細説明は本発明を制限する意図ではない。

Claims (7)

1. 基板を保持するテーブルと、
   パターン化されたビームを前記基板の目標部分に投影する投影システムと、
   前記投影システムの最終素子と前記基板及び／又は前記テーブルとの間のスペースを少なくとも部分的に液体で満たす液体供給システムとを有し、
   前記液体供給システムは、
   前記スペースの少なくとも一部に沿って伸長したシール部材と、
   前記シール部材と前記基板及び／又は前記テーブルの表面との間においてガスシールを形成するガスシール手段と
   を有し、
   前記シール部材は、前記基板及び／又は前記テーブルに面した前記シール部材の面の一部の前記基板及び／又は前記テーブルに対する距離を変える調整手段を含む、
   リソグラフィ投影装置。
2. 前記ガスシール手段は、前記基板及び／又は前記テーブルに対向した前記シール部材の面に形成されたガス導入口および第一ガス導出口と、前記ガス導入口に加圧下にてガスを供給する手段と、前記第一ガス導出口からガスを抽出する真空手段とを含む請求項１に記載のリソグラフィ投影装置。
3. 前記ガスシール手段は、前記基板及び／又は前記テーブルに対向した前記シール部材の前記面に形成された第二ガス導出口をさらに備え、前記第一ガス導出口および前記第二ガス導出口は前記ガス導入口の両側に形成される請求項２に記載のリソグラフィ投影装置。
4. 前記調整手段は、前記面の残り部分に対して、前記第一ガス導出口と前記ガス導入口間における前記面の部分のレベルを変える請求項２又は３に記載のリソグラフィ投影装置。
5. 前記調整手段は、前記面の残り部分に対して、前記第一ガス導出口と光軸に最も近い面のエッジとの間における前記面の部分のレベルを変える請求項２から４のいずれか１項に記載のリソグラフィ投影装置。
6. 前記ガス導入口は、前記投影システムの光軸から、前記第一ガス導出口よりもさらに外側に配置されている請求項２から５のいずれか１項に記載のリソグラフィ投影装置。
7. 前記シール部材の前記面と、前記基板及び／又は前記基板のトポロジーとの間の距離を測定するセンサーをさらに備える請求項１から６のいずれか１項に記載のリソグラフィ投影装置。

Images