JPWO2007132862A1 - 投影光学系、露光方法、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents

投影光学系、露光方法、露光装置、及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

投影光学系は、第1面の像を液体を介して第2面に投影する。投影光学系は、第1面側が気体と接し且つ第2面側が液体と接する光学素子を備える。光学素子は、第1面に向かって凸の入射面と、射出面と、入射面の外周と射出面の外周との間の外周面と、外周面の周縁部において第2面に向かって突出するように形成された保持部とを有する。

Description

本発明は、投影光学系、露光方法、露光装置、及びデバイス製造方法に関する。
本願は、2006年5月16日に出願された特願2006−136387号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体デバイス等のマイクロデバイスの製造工程の一つであるフォトリソグラフィ工程では、マスクのパターンの像を投影光学系を介して感光性の基板に投影する露光装置が用いられる。マイクロデバイスの製造においては、デバイスの高密度化のために、基板上に形成されるパターンの微細化が要求される。この要求に応えるために、露光装置の更なる高解像度化が望まれている。その高解像度化を実現するための手段の一つとして、投影光学系の光学素子と基板との間の露光光の光路空間を液体で満たし、その液体を介して基板を露光する液浸露光装置が案出されている。下記特許文献1には、投影光学系の光学素子を保持する保持部材に関する技術の一例が開示されている。下記特許文献2には、液浸露光装置に関する技術の一例が開示されている。
特開2001−74991号公報 国際公開第99/49504号パンフレット
液浸露光装置においては、露光光の光路空間を満たす液体の屈折率が高いほど、解像度及び焦点深度を向上することができる。ところが、投影光学系の高い開口数を目指して高い屈折率を有する液体を用いる場合、例えば、像面に近い光学素子の近くに配置される部材の配置の自由度が低下したり、その部材が大型化したりする可能性がある。光学素子の周辺に配置される部材が大型化すると、露光装置全体が大型化する可能性がある。
また、露光光の光路空間を満たす液体の周囲の環境、例えばその液体と接触する気体の種類によっては、液体の物性が変化する可能性がある。液体の物性が変化した場合、基板に対する露光光の照射状態が変化し、パターンの像の投影状態が劣化する可能性がある。
本発明は、光学素子の近くに配置される部材の大型化などを抑えことができる投影光学系、及びその投影光学系を用いる露光方法、露光装置を提供することを目的とする。また、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる露光装置、及びその露光装置を用いるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明は実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様に従えば、第1面(Os)の像を液体(LQ)を介して第2面(Is)に投影する投影光学系において、第1面(Os)に向かって凸の入射面(11)と、射出面(12)と、入射面(11)の外周と射出面(12)の外周との間の外周面(13)と、外周面(13)の外周縁部において第2面(Is)に向かって突出するように形成された保持部(14)とを有し、入射面(11)が気体(G1)と接し、射出面(12)が液体(LQ)と接する光学素子(10)を備える投影光学系(PL)が提供される。
本発明の第1の態様によれば、投影光学系の光学素子の近くに配置される部材の大型化などを抑えることができる。
本発明の第2の態様に従えば、上記態様の投影光学系(PL)と基板(P)との間を液体(LQ)で満たすことと、その投影光学系(PL)と液体LQとを介して基板(P)を露光することとを含む露光方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、上述の投影光学系と液体を介して基板に露光光を良好に照射できる。
本発明の第3の態様に従えば、上記態様の投影光学系(PL)を備え、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置(EX)が提供される。
本発明の第3の態様によれば、上述の投影光学系を搭載することによって、大型化を抑えつつ、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる。
本発明の第4の態様に従えば、液体(LQ)を介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)が入射する入射面(11)と、露光光(EL)が射出される射出面(12)と、入射面(11)の外周と射出面(12)の外周との間の外周面(13)と、外周面(13)の外周縁部において基板(P)に向かって突出するように形成された保持部(14)とを有する光学素子(10)と、光学素子(10)と基板(P)の表面(Ps)との間に液浸空間(LS)を形成する液浸空間形成部材(20)と、を備え、保持部(14)と外周面(13)との間には、少なくとも光学素子(10)の光軸(AX)と垂直な方向に沿って空間(例えば17、18)が形成され、液浸空間形成部材(20)の少なくとも一部が空間(例えば17、18)に配置されている露光装置(EX)が提供される。
本発明の第4の態様によれば、大型化を抑えつつ、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる。
本発明の第5の態様に従えば、液体(LQ)を介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)が入射する入射面(11)と、露光光(EL)が射出される射出面(12)とを有する光学素子(10)と、光学素子(10)の射出面(12)と基板(P)の表面(Ps)との間に液浸空間(LS)を形成する液浸空間形成部材(20)と、光学素子(10)の入射面(11)側の所定空間(70)にガス(G1)を供給する第1ガス供給口(41)と、第1ガス供給口(41)から供給されたガス(G1)が、液浸空間(LS)の液体(LQ)と接触するように、所定空間(70)と液浸空間(LS)の周囲の気体空間(71)の少なくとも一部とを流体的につなぐガス流路(42)とを備えた露光装置(EX)が提供される。
本発明の第5の態様によれば、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる。
本発明の第6の態様に従えば、液体(LQ)を介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)が入射する入射面(11)と、露光光(EL)が射出される射出面(12)と、入射面(11)の外周と射出面(12)の外周との間の外周面(13)と、外周面(13)の外周縁部において基板(P)に向かって突出するように形成された保持部(14)とを有する光学素子(10)と、光学素子(10)と基板(P)の表面(Ps)との間に液浸空間(LS)を形成する液浸空間形成部材(20)と、を備え、光学素子(10)の光軸(AX)と保持部(14)との間には空間(例えば17、18)が形成され、液浸空間形成部材(20)の少なくとも一部が空間(例えば17、18)に配置されている露光装置(EX)が提供される。
本発明の第6の態様によれば、大型化抑えつつ、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる。
本発明の第7の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の第7の態様によれば、液体を介して基板に露光光を良好に照射できる露光装置を用いてデバイスを製造することができる。
本発明によれば、液体を介して基板を良好に露光することができ、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る光学素子を示す図であって、入射面側から見た斜視図である。 第1実施形態に係る光学素子を示す図であって、射出面側から見た斜視図である。 第1実施形態に係る露光装置の一部を示す斜視図である。 第1実施形態に係る露光装置の一部を示す側断面図である。 図3を−Z側から見た平面図である。 第1実施形態に係る露光装置の一部を示す側断面図である。 第1実施形態に係る露光装置の動作を説明するための模式図である。 第2実施形態に係る露光装置の動作を説明するための模式図である。 第3実施形態に係る露光装置の一部を示す斜視図である。 図9を−Z側から見た斜視図である。 第3実施形態に係る露光装置の一部を示す側断面図である。 第3実施形態に係る露光装置の動作を説明するための模式図である。 第4実施形態に係る露光装置の動作を説明するための模式図である。 マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
5…鏡筒、6…保持部材、7…保持機構、10…光学素子、11…入射面、12…射出面、13…外周面、14…保持部、17…第1空間、18…第2空間、20…ノズル部材、40…第1気体供給装置、41…第1気体供給口、42…気体流路、50…吸引装置、51…排気口、60…第2気体供給装置、61…第2気体供給口、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、M…マスク、Ms…パターン形成面、P…基板、PL…投影光学系、Ps…表面
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクMのパターンを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置3とを備えている。なお、ここでいう基板Pは、半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)、保護膜などの膜を塗布したものを含む。マスクMは、基板P上に縮小投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。投影光学系PLは、物体面Osに配置された物体の像を液体を介して像面Isに投影する。マスクMは、パターンが形成されたパターン形成面Msを有している。以下の説明において、パターン形成面Msが物体面Osとほぼ一致するように配置され、基板Pの表面Ps(露光面)が像面Isとほぼ一致するように配置される。なお、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
また、露光装置EXは、少なくとも、照明系IL、マスクステージ1、投影光学系PL、及び基板ステージ2を収容するチャンバ装置100を備えている。チャンバ装置100の内部の環境(温度、湿度を含む)は、空調ユニット101によって所望状態に調整される。本実施形態においては、空調ユニット101は、チャンバ装置100の内部を、クリーンな空気で満たす。
本実施形態において、露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板Pの表面Psと対向するように配置され、基板Pの表面Psとの間に液浸空間LSを形成可能なノズル部材20を備えている。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。ノズル部材20は、基板Pの表面Psとの間で液体LQを保持可能であり、基板Pの表面Psとの間で液体LQを保持して、基板Pの表面Psとの間に液体LQの液浸空間LSを形成可能である。
ノズル部材20は、投影光学系PLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間K、具体的には、投影光学系PLの複数の光学素子のうち投影光学系PLの像面に最も近い光学素子10と投影光学系PLの像面側において光学素子10と対向する位置に配置された基板Pの表面Psとの間の露光光ELの光路空間Kを液体LQで満たすように、液浸空間LSを形成する。
露光光ELの光路空間Kは、露光光ELが進行する光路を含む空間である。本実施形態においては、ノズル部材20を使って、基板Pの表面Psとそれに対向するノズル部材20および光学素子10との間に液浸空間LSを形成することによって、投影光学系PLの光学素子10と基板Pの表面Psとの間の露光光ELの光路空間Kが液体LQで満たされる。
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターンの像を基板Pに投影している間、ノズル部材20を用いて液浸空間LSを形成する。露光装置EXは、投影光学系PLと液浸空間LSの液体LQとを介して、マスクMのパターン形成面Msからの露光光ELを基板ステージ2に保持された基板Pの表面Psに照射する。これにより、マスクMのパターン形成面Msの像が基板Pの表面Psに投影され、基板Pが露光される。
また、本実施形態の露光装置EXにおいては、基板Pの露光中に、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に液浸領域が形成される。すなわち、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域が液浸空間LSの液体LQで覆われる局所液浸方式を採用している。
なお、本実施形態においては、液浸空間LSが光学素子10と基板Pの表面Psとの間に形成される場合について主に説明するが、液浸空間LSの少なくとも一部を、投影光学系PLの像面側において、光学素子10とその光学素子10に対向する位置に配置された物体の表面との間にも形成可能である。例えば、液浸空間LSの少なくとも一部、光学素子10とその光学素子10に対向する位置に配置された基板ステージ2の上面2Fとの間にも形成可能である。
本実施形態において、露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板P上に投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pのショット領域を投影光学系PLの投影領域ARに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IAに対してマスクMのパターン形成領域をY軸方向に移動しつつ、投影光学系PL及び液体LQを介して投影領域ARに露光光ELを照射する。これにより、投影領域ARに形成されるパターンの像で基板P上のショット領域が露光される。
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域IAを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ1は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置1Dの駆動により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ1は、基板Pの露光時に露光光ELを通過させるための開口1Kを有している。照明系ILからの露光光ELはマスクMのパターン形成面Msに照射される。マスクMのパターン形成面Msからの露光光ELは、マスクステージ1の開口1Kを通過した後、投影光学系PLに入射する。マスクステージ1(マスクM)の位置情報はレーザ干渉計1Lによって計測される。レーザ干渉計1Lは、マスクステージ1上に設けられた移動鏡(反射鏡)の反射面1Rを用いてマスクステージ1の位置情報を計測する。制御装置3は、レーザ干渉計1Lの計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置1Dを駆動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
なお、位置情報の計測に用いられる移動鏡(反射鏡)は平面鏡のみでなく、コーナーキューブ(レトロリフレクタ)を含むものとしてもよいし、反射鏡をマスクステージに固設する代わりに、例えばマスクステージ1の端面(側面)を鏡面加工して反射面を形成してもよい。また、マスクステージ1は、例えば特開平8−130179号公報(対応米国特許第6,721,034号)に開示される粗微動可能な構成としてもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持する基板ホルダ2Hを有しており、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置2Dの駆動により、基板ホルダ2Hに基板Pを保持した状態で、ベース部材4上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージ2の基板ホルダ2Hは、基板Pの表面PsとXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ2(基板P)の位置情報はレーザ干渉計2Lによって計測される。レーザ干渉計2Lは、基板ステージ2に設けられた反射面2Rを用いて基板ステージ2のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、露光装置EXは、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面Psの面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)を検出可能な不図示のフォーカス・レベリング検出系を備えている。制御装置3は、レーザ干渉計2Lの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置2Dを駆動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を行う。
フォーカス・レベリング検出系はその複数の計測点でそれぞれ基板のZ軸方向の位置情報を計測することで、基板のθX及びθY方向の傾斜情報(回転角)を検出するものである。さらに、例えばレーザ干渉計が基板のZ軸、θX及びθY方向の位置情報を計測可能であるときは、基板の露光動作中にそのZ軸方向の位置情報が計測可能となるようにフォーカス・レベリング検出系を設けなくてもよく、少なくとも露光動作中はレーザ干渉計の計測結果を用いてZ軸、θX及びθY方向に関する基板Pの位置制御を行うようにしてもよい。
また、本実施形態においては、基板ステージ2上には凹部2Cが設けられており、基板ホルダ2Hはその凹部2Cに配置されている。基板ステージ2の上面2Fは平坦である。基板ステージ2の上面2Fは基板ホルダ2Hの凹部2Cの周囲に、基板ホルダ2Hに保持された基板Pの表面Psとほぼ同じ高さ(面一)になるように配置されている。
次に、投影光学系PLについて説明する。投影光学系PLは、マスクMのパターン形成面Msに形成されたパターンの像を所定の投影倍率で基板Pの表面Psに投影する。本実施形態においては、投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を液浸空間LSの液体LQを介して基板Pの表面Psに投影する。投影光学系PLは、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は、鏡筒5及び保持部材6を含む保持機構7で保持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系であり、前述の照明領域と共役な投影領域にマスクパターンの縮小像を形成する。なお、投影光学系PLは縮小系、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
本実施形態においては、光学素子10を含む投影光学系PLの光軸AXは、Z軸とほぼ平行である。また、投影光学系PLの像面Isは、XY平面とほぼ平行である。制御装置3は、投影光学系PLの像面Isと基板ステージ2に保持された基板Pの表面(露光面)Psとの位置関係を調整しつつ、マスクMのパターンの像を、投影光学系PLと液浸空間LSの液体LQとを介して、基板Pの表面Psに投影する。
本実施形態においては、光学素子10の投影光学系PLの像面Is側の光路空間は液体LQで満たされ、光学素子10は、その下面(射出面12)が液浸空間LSの液体LQと接する。また、本実施形態においては、光学素子10の投影光学系PLの物体面Os側における露光光ELが進行する光路を含む空間、すなわち、鏡筒5の内部に形成された光学素子10の物体面Os側の所定空間70には液体LQが無く、所定空間70は気体G1で満たされる。すなわち、光学素子10の上面(入射面11)は、気体G1と接する。
露光装置EXは、鏡筒5の内部の所定空間70に気体G1を供給する第1気体供給装置40を備えている。第1気体供給装置40は、制御装置3に制御される。
光学素子10は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面Isに最も近い位置に配置される光学素子であって、パターン形成面Msからの露光光ELが入射する入射面11と、入射面11から入射した露光光ELが射出される射出面12とを有している。入射面11は、パターン形成面Ms(投影光学系PLの物体面Os)に凸面を向けた形状を有し、パターン形成面Msに向かって膨らむ凸状の曲面である。本実施形態においては、光学素子10の射出面12は、XY平面(投影光学系PLの像面Is)とほぼ平行な平面であり、基板Pの表面Psと対向するように配置される。また、上述のように、基板ステージ2の基板ホルダ2Hは、基板Pの表面PsとXY平面とがほぼ平行となるように基板Pを保持し、光学素子10の射出面12と基板ステージ2に保持された基板Pの表面Psとはほぼ平行である。
露光光ELの光路空間Kを、露光光ELに対する屈折率が例えば空気よりも高い液体LQで満たすことで、投影光学系PLの高い開口数NAを実現しつつ、露光光ELを基板Pの表面Ps(投影光学系PLの像面)まで到達させることができる。投影光学系PLの像面側の開口数NAは以下の式で表される。
NA=n・sinθ … (1)
(1)式において、nは液体LQの屈折率であり、θは収束半角である。また、解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k・λ/NA … (2)
δ=±k・λ/NA … (3)
(2)式、(3)式において、λは露光波長、k、kはプロセス係数である。(2)式、(3)式に示すように、高い屈折率(n)を有する液体LQによって開口数NAを約n倍にすることで、解像度及び焦点深度を大幅に向上することができる。
本実施形態においては、露光光ELの光路空間Kを満たす液体LQの露光光EL(ArFエキシマレーザ光:波長193nm)に対する屈折率は、光学素子10の露光光ELに対する屈折率よりも高い。例えば、光学素子10が石英で形成される場合には、石英の露光光ELに対する屈折率は約1.56なので、液体LQとしてはその屈折率が石英の露光光ELの屈折率よりも高い例えば1.6〜1.8程度のものが使用される。
本実施形態においては、光学素子10は、石英(SiO)で形成され、液体LQとして、デカリン(C1018)を用いる。上述のように、石英の露光光ELに対する屈折率は約1.56であり、デカリンの露光光ELに対する屈折率は、石英の露光光ELに対する屈折率よりも高い。例えば、水(純水)の露光光ELに対する屈折率は、約1.44であり、デカリンの露光光ELに対する屈折率は、水(純水)の露光光ELに対する屈折率よりも高い。また、本実施形態においては、投影光学系PLの開口数NAは、例えば約1.4であり、光学素子10の露光光ELに対する屈折率よりも小さい。
なお、光学素子10を形成する材料としては、例えば露光光ELに対する屈折率が約1.64のバリウムリチウムフロライド(BaLiF)を用いることもできる。また、光学素子10を形成する材料として、蛍石(CaF)、フッ化バリウム(BaF)、あるいは、その他のフッ化化合物の単結晶材料を用いることもできる。また、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示されているような、サファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示されているような、塩化カリウム(屈折率約1.75)等を用いることができる。
上述のように、光学素子10のマスクMのパターン形成面Ms側(図中、+Z側)の空間70は気体G1で満たされ、光学素子10の基板Pの表面Ps側(図中、−Z側)の空間は液体LQで満たされる。また、光学素子10の入射面11は、マスクMのパターン形成面Ms(+Z方向)を向くように配置され、光学素子10の射出面12は、基板Pの表面Ps(−Z方向)を向くように配置される。光学素子10の入射面11は、パターン形成面Msに凸面を向けた形状を有しているので、基板Pの表面Ps(投影光学系PLの像面Is)に結像する全ての光線がその入射面11に入射できる。また、光学素子10の射出面12も、入射面11と同様、基板Pの表面Psに結像する全ての光線が入射できる形状を有している。
図2A及び2Bは、光学素子10を示す図である。図2Aは、入射面11側から見た斜視図、図2Bは、射出面12側から見た斜視図である。図2A及び2Bにおいて、光学素子10は、+Z側に凸面を向けた形状の入射面11と、射出面12と、入射面11の外周11Eと射出面12の外周12Eとを結ぶ外周面(surrounding surface, peripheral surface)13と、外周面13の周縁部において−Z側(基板P)に向かって突出するように形成された保持部14とを有している。本実施形態において、射出面12は、−Z側から見てほぼ円形状である。外周面13は、入射面11と射出面12との間の遷移面(transition surface)を含むことができる。本実施形態において、外周面13は、−Z側から見て射出面12を囲む環状である。保持部14は、保持機構7の保持部材6で保持される部分である。保持部材6は、鏡筒5の下端に接続されている(図1参照)。なお、鏡筒5と保持部材6とは一体でもよい。
保持部14は、外周面13の周縁部の複数箇所に互いに離れて形成されている。本実施形態においては、保持部14は、外周面13の周縁部の3箇所に、外周面13(光路空間K)の周方向においてほぼ等間隔(約120度間隔)で互いに離れて形成されている。保持部14のそれぞれは、外周面13の周縁部において、基板P側(−Z側)に向かって突出するように形成された第1部分14Aと、第1部分14Aの下端に形成され、XY方向において光軸AXに対して外側に向かって突出するように形成された第2部分14Bとを含む。本実施形態においては、光学素子10が保持部材6で保持されたとき、射出面12と保持部14の下面14CとはZ軸方向においてほぼ同じ位置(高さ)になるように形成されている。
なお、射出面12と保持部14の下面14CとをZ軸方向において異なる位置(高さ)になるように形成してもよい。
光学素子10が保持部材6で保持されたとき、外周面13は、基板Pの表面Psに対して射出面12よりも離れた位置に配置されている。すなわち、外周面13と基板Pの表面Psとの距離は、射出面12と基板Pの表面Psとの距離よりも大きい。本実施形態においては、光学素子10の外周面13は、射出面12(XY平面)に対して入射面11側(+Z側)に傾斜した斜面である。すなわち、外周面13は、基板Pの表面Psとの距離が大きくなるように、射出面12に対して傾斜している。外周面13は、光学素子10の光軸AXが通る射出面12から外側に向かうにつれて基板Pの表面Psとの距離が大きくなるように傾斜している。
そして、光学素子10の光軸AX(Z軸)と垂直な方向(XY方向)において、保持部14と外周面13との間には第1空間17が形成されている。第1空間17は、光軸AXに対して射出面12の外側において保持部14の内側面14Tと外周面13との間に形成され、光軸AXに対して放射状に形成された空間である。本実施形態においては、3カ所に形成された保持部14に対応して、光軸AX周りの周方向の3箇所に第1空間17が形成される。
また、隣り合う二つの第1空間17の間には、第2空間18が形成されている。第2空間18は、光軸AXに対して射出面12の外側において光軸AXに対して放射状に形成された空間であって、隣り合う二つの保持部14の側面14S間の空間を含む。また、第2空間18は、光軸AXに対して入射面11の外周11Eの外側の外部空間に接続するように形成されている。
次に、図3〜図5を参照しながら、光学素子10を保持する保持部材6及びノズル部材20について説明する。図3は、保持部材6に保持された光学素子10の近傍を示す斜視図、図4は、保持部材6に保持された光学素子10の近傍を示す側断面図であって、図3のA−A線断面矢視図に相当する。また、図5は、図3を−Z側から見た平面図である。
保持機構7の保持部材6は、光学素子10の保持部14を保持することによって、光学素子10を保持する。保持部材6は、光軸AXに対して光学素子10の保持部14の外側に配置されている。保持部材6は、光学素子10の複数の保持部14に対応するように、光学素子10の保持部14の複数箇所(本実施形態では3箇所)に互いに離れて配置されている。保持部材6のそれぞれは、光学素子10の下端に形成された保持部14の第2部分14Bのそれぞれを挟むように保持する。
ノズル部材20は、液浸空間LSを形成するための液体LQを供給する液体供給口21と、液体LQを回収する液体回収口33とを有している。ノズル部材20は、所定の支持機構(不図示)によって支持される。また、本実施形態においては、ノズル部材20と光学素子10とは離れている。
ノズル部材20は、光学素子10の近傍において、基板Pの表面Ps(及び/又は基板ステージ2の上面2F)と対向するように配置される。そして、ノズル部材20の少なくとも一部は、第1空間17に配置される。また、ノズル部材20の少なくとも一部は、第2空間18に配置される。本実施形態においては、光学素子10の周囲には、保持部14を保持する保持部材6と、ノズル部材20の一部とが交互に配置されている。
ノズル部材20は、第1空間17及び第2空間18に配置可能な本体部分20Aと、光軸AXに対して第2空間18の外側に配置可能な流路部分20Bとを含む。本体部分20Aは、環状の部材であって、基板P(基板ステージ2)の上方において(光学素子10の−Z側において)、露光光ELの光路空間Kを囲むように配置される。液体供給口21及び液体回収口33は、本体部分20Aに形成されている。流路部分20Bは、複数(3つ)の第2空間18に対応するように、3つ設けられている。流路部分20Bの一端は、本体部分20Aに接続され、他端は、光軸AXに対して第2空間18の外側(外部空間)に配置される。
ノズル部材20の本体部分20Aは、光学素子10の外周面13と対向し、その外周面13に沿うように形成された内側面20Tを有している。光学素子10の外周面13とノズル部材20の内側面20Tとの間には、所定のギャップが形成される。また、ノズル部材20の本体部分20Aは、光学素子10の保持部14の内側面14Tと対向し、その内側面14Tに沿うように形成された側面20Sを有している。保持部14の内側面14Tとノズル部材20の側面20Sとの間には、所定のギャップが形成される。
ノズル部材20の本体部分20Aは、基板Pの表面と対向する下面30を有している。ノズル部材20の下面30は、露光光ELの光路空間Kの周囲に配置された第1面31と、露光光ELの光路空間Kに対して第1面31の外側に第1面31の周囲に配置された第2面32とを有している。ノズル部材20の下面30は、基板Pの表面との間で液体LQを保持可能であり、基板Pの表面との間に液体LQの液浸空間LSの一部を形成可能である。
第1面31は、平坦な面であって、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行となるように配置されている。第1面31の少なくとも一部は、光学素子10の射出面12と基板Pの表面Psとの間において、露光光ELの光路空間Kを囲むように配置されている。第1面31は、ノズル部材20のうち、基板ステージ2に保持された基板Pに最も近い位置に配置されており、且つ液体LQに対して親液性(液体LQの接触角60°以下)を有している。したがって、第1面31は、基板Pの表面Psとの間で液体LQを良好に保持可能である。
なお、ノズル部材20の下面30において、Z軸方向において、第1面31の位置と第2面32の位置とが異なっていてもよい。例えば、第2面32が第1面31よりも高い位置(+Z側)に配置されていてもよい。
ノズル部材20の本体部分20Aは、光学素子10の射出面12の一部の領域と対向する上面25を有する底板24を有している。底板24の一部は、Z軸方向に関して、光学素子10の射出面12と基板P(基板ステージ2)との間に配置されている。光学素子10の射出面12と底板24の上面25との間には、所定のギャップが設けられている。第1面31は、基板Pの表面Psと対向する底板24の下面を含む。
底板24の中央には、露光光ELが通過する開口26が形成されている。第1面31は、露光光ELが通過する開口26を囲むように、底板24に設けられている。本実施形態においては、−Z側から見た第1面31の外形は略円形状であり、開口26は、第1面31のほぼ中央に形成されている。本実施形態においては、像面Is近傍における露光光ELの断面形状、すなわち投影領域ARは、X軸方向を長手方向とする略矩形状(スリット状)であり、開口26は、露光光ELの断面形状に応じてXY方向において略矩形状に形成されている。
液体供給口21は、ノズル部材20の本体部分20Aにおいて、光学素子10の射出面12と底板24の上面25との間の空間に接続されており、その空間に液体LQを供給可能である。本実施形態においては、液体供給口21は、露光光ELの光路空間Kの外側において、所定の1箇所に設けられている。
第2面32(図4,図5参照)は、液体LQを回収可能な面を含む。ノズル部材20の本体部分20Aの下面30には、露光光ELの光路空間Kの周りに液体回収口33が形成されている。ノズル部材20の本体部分20Aには、下向きに開口する空間が形成されており、液体回収口33は、その開口の下端に形成されている。その液体回収口33には多孔部材34が配置されている。液体回収口33は、多孔部材34を介して液体LQを回収可能であり、第2面32は、液体回収口33に配置された多孔部材34の下面で形成されている。第2面32を形成する多孔部材34は、プレート状の部材に複数の貫通孔を形成したメッシュ部材であり、液体LQに対して親液性を有している。なお、多孔部材34は、プレート状のメッシュ部材に限られず、多孔部材34の上面と下面と流体的につなぐ複数の孔が形成された焼結部材(例えば、焼結金属)、発泡部材(例えば、発泡金属)などを用いてもよい。
液体回収口33を含む第2面32は、露光光ELの光路空間K(開口26)に対して、液体供給口21の外側に配置されている。本実施形態においては、−Z側から見た第2面32の形状は、光軸AXに関する放射方向に所定の幅を有する円環状である。第2面32は、基板Pの表面Psとの間で液体LQを保持可能であり、基板Pの表面との間に液体LQの液浸空間LSの一部を形成可能である。
本実施形態においては、第2面32(多孔部材34の下面)はほぼ平坦であり、第1面31とほぼ面一である。本実施形態においては、基板Pの表面Psと対向する保持部材6の下面と、第1面31及び第2面32を含むノズル部材20の下面30とは、Z軸方向に関してほぼ同じ位置(高さ)に配置されている。
なお、Z軸方向に関して、保持部材6の下面の位置と、ノズル部材20の下面30の位置とが異なっていてもよい。例えば、保持部材6の下面野位置をノズル部材20の下面30の位置よりも高い位置(+Z側)にしてもよい。
液体供給口21は、ノズル部材20の内部に形成された供給流路23及び供給管23Pを介して液体供給装置22に接続されている。液体供給装置22は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。供給流路23は、本体部分20Aに形成された第1部分23Aと、3つの流路部分20Bのうち1つの流路部分20Bに形成された第2部分23Bとを含む。液体供給装置22は、供給管23P、供給流路23(23A、23B)、及び液体供給口21を介して、液浸空間LSを形成するための液体LQを供給可能である。液体供給装置22の動作は、制御装置3に制御される。
液体回収口33は、ノズル部材20の内部に形成された回収流路36及び回収管36Pを介して液体回収装置37に接続されている。液体回収装置37は、真空系等を含み、液体LQを回収可能である。回収流路36は、本体部分20Aに形成された第1部分36Aと、3つの流路部分36Bのそれぞれに形成された第2部分36Bとを含む。上述したように、ノズル部材20の本体部分20Aには、下向きに開口する空間が形成されており、第1部分36Aはその空間を含む。また、複数の流路部分20Bのそれぞれに形成された第2部分36Bのそれぞれは、第1部分36Aに接続されている。液体回収装置37は、液体回収口33、回収流路36(36A、36B)、及び回収管36Pを介して、液浸空間LSの液体LQを回収可能である。液体回収装置37の動作は、制御装置3に制御される。
なお、光学素子10の射出面12と底板24の上面25との間の空間及びその近傍の気体を外部空間(大気空間を含む)に排出(排気)するための排気口をノズル部材20の所定位置に形成することができる。
図6は、投影光学系PLの部分断面図である。露光装置EXは、鏡筒5の内部に配置された光学素子10の入射面11側(パターン形成面Ms側)の所定空間70に気体G1を供給する第1気体供給口41と、第1気体供給口41から供給された気体G1が、液浸空間LSの液体LQと接触するように、所定空間70と液浸空間LSの周囲の気体空間71の少なくとも一部とを連通する気体流路42とを備えている。本実施形態においては、第1気体供給口41は、鏡筒5の内壁面の一部に形成されている。第1気体供給口41は、第1気体供給装置40と流路43を介して接続されている。第1気体供給装置40は、流路43、及び第1気体供給口41を介して、所定空間70に気体G1を供給可能である。なお、本実施形態においては、第1気体供給口41と光学素子10との間に、他の光学素子が配置されているが、光学素子10と、光学素子10と隣り合う他の光学素子との間の空間に向けて気体G1を吹き出すように第1気体供給口41を設けても良い。
第1気体供給装置40の動作は制御装置3に制御される。制御装置3は、第1気体供給装置40を制御して、第1気体供給口41を介して所定空間70に気体G1を供給して、その所定空間70を気体G1で満たす。気体G1は不活性ガスを含む。不活性ガスは窒素を含む。本実施形態においては、第1気体供給装置40は、濃度がほぼ100%の窒素ガスを供給する。これにより、所定空間70は、濃度がほぼ100%の窒素ガスで満たされる。なお、所定空間70を満たす気体(不活性ガス)G1はヘリウムでもよいし、窒素とヘリウムの混合ガスでもよいし、特開2002−110538号(対応米国特許第6,747,729号公報)に開示されている混合ガスを用いてもよい。
保持部材6は、気体流路42が形成されるように光学素子10を保持している。本実施形態においては、気体流路42は、露光光ELの光路空間Kに対して、液体回収口33の外側(液浸空間LSの外側)に設けられている。上述したように、保持部材6は、光学素子10の保持部14に対応するように、光学素子10を囲むように複数箇所(3箇所)に互いに離れて配置されている。複数の保持部材6(保持部14)とノズル部材20の複数の流路部分20Bとの間には間隙が形成されており、気体流路42は、その間隙を含む。所定空間70に供給された気体G1は、その気体流路42を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。なお、所定空間70に供給される気体G1の量は、気体空間71から所定空間70に向かって気体の流れが生じないように調整されている。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターンの像を基板Pに露光する方法について説明する。
露光光ELの光路空間Kを液体LQで満たし続けるために、制御装置3は、液体供給装置22及び液体回収装置37のそれぞれを動作させる。液体供給装置22から送出された液体LQは、ノズル部材20の供給流路23を流れた後、液体供給口21より、光学素子10の射出面12と底板24の上面25との間の空間に供給される。光学素子10の射出面12と底板24の上面25との間の空間に供給された液体LQは、開口26を介して、ノズル部材20の下面30と基板P(基板ステージ2)との間の空間に流入し、露光光ELの光路空間Kを満たすように液浸空間LSを形成する。ノズル部材20の下面30と基板Pの表面Psとの間の空間の液体LQは、ノズル部材20の液体回収口33を含む第2面32を介して回収流路36に流入し、その回収流路36を流れた後、液体回収装置37に回収される。
制御装置3は、露光光ELの光路空間Kに対して、単位時間当たり所定量の液体LQを液体供給口21より供給するとともに単位時間当たり所定量の液体LQを液体回収口33より回収することで、光学素子10と基板Pの表面Psとの間の露光光ELの光路空間Kを液体LQで満たすように液浸空間LSを形成する。そして、制御装置3は、露光光ELの光路空間Kを液体LQで満たした状態で、投影光学系PLと基板Pとを相対的に移動しながらマスクMのパターンの像を投影光学系PL及び液浸空間LSの液体LQを介して基板P上に投影する。本実施形態において、露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であり、制御装置3は、基板ステージ2を制御して、基板Pを所定速度でY軸方向に移動しながら、基板Pの各ショット領域の走査露光を実行する。
また、本実施形態においては、第1気体供給装置40によって、所定空間70は、気体(不活性ガス)G1で満たされる。図7の模式図に示すように、所定空間70の気体G1は、保持部材6(保持部14)の近傍に形成された気体流路42を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。これにより、液浸空間LSの液体LQは、所定空間70から気体流路42を介して供給された気体G1と接触する。制御装置3は、液浸空間LSの液体LQと気体G1とを接触させつつ、基板Pを露光する。
以上説明したように、本実施形態では、光学素子10の外周面13の周縁部において、基板Pの表面Ps側に向かって突出するように保持部14が形成され、その保持部14が保持部材6で保持される。また、ノズル部材20の少なくとも一部が、保持部14と外周面13との間に形成された第1空間17、及び隣り合う二つの第1空間17の間に形成された第2空間18に配置される。その結果、本実施形態では、光学素子10の周囲の空間を有効に活用することができるので、装置の大型化を抑えることができる。
例えば、光学素子の側面に、その側面から外側(XY方向)に向かって突出する保持部(フランジ)を形成し、その保持部を保持部材で保持する場合、光学素子の周辺に配置する周辺部材を大型化する必要が生じたり、保持部材及び周辺部材等の配置の自由度が低下する可能性があり、露光装置全体が大型化する可能性がある。特に、本実施形態のように、投影光学系の高い開口数を目指して高い屈折率を有する液体を用いた場合において、基板の表面に結像する全ての光線が光学素子の入射面に入射できるようにその入射面をパターン形成面に凸面を向けた形状とした場合、光線の入射を妨げないように、光学素子の保持部及びその保持部を保持する保持部材を基板Pに近い位置に配置する必要が生じる。その場合、保持部(保持部材)及びその近傍に配置されるノズル部材の構造によっては、保持部(保持部材)とノズル部材との干渉(接触)を抑えるために、ノズル部材を保持部(保持部材)の外側に配置しなければならず、ノズル部材を大型化する必要が生じる可能性がある。また、ノズル部材の大型化に伴って、露光装置全体が大型化する可能性がある。また、ノズル部材が大型化した場合、基板上に形成される液浸領域の大きくなったり、光学素子と基板の表面との間に液浸空間を円滑に形成することが困難となる可能性がある。
本実施形態においては、光学素子10の外周面13の周縁部において、基板Pの表面Ps側(−Z側)に向かって突出するように保持部14が形成され、その保持部14が保持部材6で保持される。また、ノズル部材20の少なくとも一部が、保持部14と外周面13の内側に規定された複数の第1空間17、及び隣り合う二つの第1空間17の間に形成された第2空間18に配置される。その結果、ノズル部材20等の大型化を抑えつつ、基板Pの表面に結像させる全ての光線を光学素子10の入射面11から射出面12へ導くことができ、液体LQを介して基板Pを良好に露光することができる。
また、本実施形態においては、ノズル部材20の小型化に伴い、液浸空間LSのXY方向の大きさ(基板P上に形成される液浸領域の大きさ)を小さくすることができる。したがって、基板ステージ2の小型化を図ることができる。また、液浸空間LSを小さくすることができるので、基板P上の複数のショット領域のうち、特定のショット領域を露光するためにその特定のショット領域上に液浸空間LSを形成した場合、他のショット領域が液浸空間LSの液体LQに接触する(液体LQで濡れる)のを抑制することができる。例えば、基板Pの表面Psと液体LQとの接触時間が短いほうが、基板Pの表面Psを形成する材料膜(例えば感光材の膜、またはその感光材の膜上に形成される保護膜、反射防止膜など)に与える影響を抑えることができる場合には、小さい液浸空間LSが有利である。
また、本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQは、光学素子10の入射面11側の所定空間70から気体流路42を介して供給された気体(不活性ガス)G1と接触する。本実施形態においては、気体G1は、ノズル部材20と基板Pとの間の液浸空間LSを囲むように、所定空間70から気体空間71へ流れ込む。これにより、液体LQの物性の変化を抑えつつ、その液体LQを介して基板Pを露光することができる。本実施形態においては、液体LQとしてデカリンを用い、チャンバ装置100の内部は空気で満たされている。デカリンは、比較的、空気中の酸素を吸収(溶解)し易い性質を有しているため、デカリンと空気(酸素)とが接触すると、デカリン中に酸素が溶け込み、例えばそのデカリンの露光光ELに対する屈折率が変化する可能性がある。液体LQの露光光ELに対する屈折率が変化した場合、基板Pに対する露光光ELの照射状態が変化し、パターンの像の投影状態が劣化する可能性がある。本実施形態においては、第1気体供給口41から所定空間70に供給された気体(不活性ガス)G1を、液浸空間LSの液体LQと接触するように、気体流路42を介して液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給しているので、その供給した気体(不活性ガス)G1によって、液浸空間LSの液体LQが空気と接触することを抑制することができる。デカリンは不活性ガス(窒素)を吸収しても屈折率変化が小さいので、液体(デカリン)LQの周囲に不活性ガスを供給することによって、その液体LQの物性(屈折率)の変化を抑制できる。また、気体流路42は、液浸空間LSの周囲の気体空間71、すなわち、液浸空間LSのエッジ(気液界面)から僅かに外側に離れた空間に気体G1を供給する。したがって、気体流路42からの気体G1に起因して、液浸空間LSの液体LQ中に気泡等が生成されることを抑制できる。
また、本実施形態においては、所定空間70の気体G1の一部を気体流路42を介して液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給している。これにより、装置の大型化、複雑化等を抑えることができる。液浸空間LSの周囲に気体G1(不活性ガス)を供給する装置を新たに設けたり、チャンバ装置100の内部を全て不活性ガスで満たそうとすると、装置の大型化、複雑化等を招く可能性がある。本実施形態においては、装置の大型化、複雑化等を抑えつつ、液浸空間LSの周囲の気体空間71の環境を所望状態にすることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の特徴的な部分は、液浸空間LSの周囲の気体空間71の少なくとも一部に気体を供給する第2気体供給口を設けた点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、第2実施形態に係る露光装置EXの一部を拡大した断面図である。本実施形態において、露光装置EXは、上述の第1実施形態と同様、第1気体供給口41から供給された気体G1が、液浸空間LSの液体LQと接触するように、所定空間70と液浸空間LSの周囲の気体空間71とを連通する気体流路42を備えている。本実施形態において、露光装置EXは、液浸空間LSの周囲の気体空間71の少なくとも一部に、気体G2を供給する第2気体供給口61をさらに備えている。
第2気体供給口61は、液浸空間LSを取り囲むように形成された環状の所定部材52に形成されている。所定部材52は、鏡筒5の側面の下端に接続されている。本実施形態においては、第2気体供給口61は、基板Pの表面Psと対向する所定部材52の下面に形成され、基板Pの表面Psと対向するように配置されている。第2気体供給口61は、所定部材52の下面において、液浸空間LSを取り囲むように配置されている。第2気体供給口61は、露光光ELの光路空間K(液浸空間LS)に対して、気体流路42の外側に配置されている。第2気体供給口61は、環状のスリット状に形成されている。本実施形態においては、所定部材52の下面と、保持部材6の下面と、ノズル部材20の下面30とは、Z軸方向に関してほぼ同じ位置(高さ)に配置されている。
なお、所定部材52の第2気体供給口61は、液浸空間LSを取り囲むように連続的に設けなくてもよく、液浸空間LSの周囲の少なくとも一部に配置されていればよい。
また、所定部材52を、ノズル部材20で支持するようにしてもよい。
また、Z軸方向において、所定部材52の下面の位置が、保持部材6の下面の位置、及びノズル部材20の下面30の位置の少なくとも一方と異なっていてもよい。
第2気体供給口61は、第2気体供給装置60と流路63を介して接続されている。第2気体供給装置60は、流路63、及び第2気体供給口61を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に直接気体G2を供給可能である。第2気体供給装置60の動作は制御装置3に制御される。
第2気体供給装置60は、気体G2として、不活性ガスを供給する。本実施形態においては、気体流路42を介して液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される気体G1と、第2気体供給口61を介して液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される気体G2とは、同じ気体(窒素)である。なお、気体流路42を介して供給される気体G1と第2気体供給口61を介して供給される気体G2とが異なっていてもよい。例えば、気体G1が窒素であり、気体G2がヘリウムでもよい。あるいは、気体G1と気体G2とが同じ混合ガスであってもよいし、異なる混合ガスであってもよい。
制御装置3は、少なくとも基板Pの露光中において、第1気体供給装置40及び第2気体供給装置60を駆動する。図8の模式図に示すように、第1気体供給装置40より第1気体供給口41を介して所定空間70に供給された気体G1は、液浸空間LSの液体LQと接触するように、気体流路42を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。また、第2気体供給装置60より送出された気体G2は、第2気体供給口61を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。
このように、第2気体供給口61を設け、液浸空間LSの周囲の気体空間71に気体流路42を介して気体G1を供給するとともに、第2気体供給口61を介して気体G2を供給することにより、液浸空間LSの液体LQに空気(酸素)が接触することをより一層抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の特徴的な部分は、光学素子10の入射面11側の所定空間70から、液浸空間LSの周囲の気体空間71に流入した気体を排出(吸引)するための排気口(吸引口)を設けた点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第3実施形態に係る光学素子10の近傍を示す斜視図、図10は、図9を−Z側から見た斜視図、図11は、光学素子10の近傍を示す側断面図である。図9、図10、及び図11に示すように、第3実施形態に係る露光装置EXは、上述の第1実施形態と同様、所定空間70に気体G1を供給する第1気体供給口41と、第1気体供給口41から供給された気体G1が、液浸空間LSの液体LQと接触するように、所定空間70と液浸空間LSの周囲の気体空間71の少なくとも一部とを連通する気体流路42とを備えている。そして、本実施形態において、露光装置EXは、所定空間70から液浸空間LSの周囲の気体空間71に流入した気体G1を排出するための排気口51を有する所定部材52Aを備えている。
所定部材52Aは、液浸空間LSを取り囲むように形成された環状の部材であって、本実施形態においては、ノズル部材20の流路部分20Bに支持されている。また、図11に示すように、所定部材52Aは、鏡筒5の側面の下端に接続されている。
なお、所定部材52Aは、第2実施形態と同様に、鏡筒5で支持してもよい。
排気口51は、基板Pの表面Psと対向する所定部材52Aの下面に形成され、基板Pの表面Psと対向するように配置されている。排気口51は、所定部材52Aの下面において、液浸空間LSを取り囲むように配置されている。排気口51は、露光光ELの光路空間K(液浸空間LS)に対して、気体流路42の外側に配置されている。排気口51は、環状のスリット状に形成されている。本実施形態においては、所定部材52Aの下面と、保持部材6の下面と、ノズル部材20の下面30とは、Z軸方向に関してほぼ同じ位置(高さ)に配置されている。
なお、所定部材52Aの排気口51は、液浸空間LSを取り囲むように連続的に設けなくてもよく、液浸空間LSの周囲の少なくとも一部に配置されていればよい。
また、Z軸方向において、所定部材52Aの下面の位置が、保持部材6の下面の位置、及びノズル部材20の下面30の位置の少なくとも一方と異なっていてもよい。
排気口51には、流路を介して、真空系を含む吸引装置50が接続されている。吸引装置50は、排気口51を介して気体を吸引可能である。吸引装置50の動作は、制御装置3に制御される。
制御装置3は、少なくとも基板Pの露光中において、第1気体供給装置40及び吸引装置50を駆動し、第1気体供給口41を用いた気体G1の動作、及び排気口51を用いた排気動作を行う。図12の模式図に示すように、第1気体供給口41から光学素子10の入射面11側の所定空間70に供給された気体G1は、液浸空間LSの液体LQと接触するように、気体流路42を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。露光光ELの光路空間Kに対して気体流路42の外側には排気口51が配置されており、吸引装置50の駆動によって、気体流路42からの気体G1と、空調ユニット101からの気体とが、排気口51を介して一緒に排出される。すなわち、吸引装置50は、気体流路42からの不活性ガスと空調ユニット101からの空気とを、排気口51を介して一緒に吸引する。
本実施形態においては、気体流路42から排気口51に向かう気体G1の流れが生成されるため、所定空間70から気体空間71への気体G1の供給が効率よく行われる。したがって、液浸空間LSの液体LQに空気が接触することをより一層抑制することができる。また、気体流路42からの気体G1を排気口51を介して排出することによって、その気体G1が、例えばレーザ干渉計の計測光の光路上に流れ込むことを抑制することができる。レーザ干渉計の計測光の光路を含むチャンバ装置100の内部は、空調ユニット101によって空気で満たされており、そのレーザ干渉計の計測光の光路上に、空気とは異なる気体(不活性ガス)G1が供給されると、空気と不活性ガスとの屈折率の差に起因するレーザ干渉計の計測誤差を引き起こす可能性がある。本実施形態においては、気体流路42を囲むように排気口51が配置されているので、気体流路42からの気体G1を良好に排出し、気体G1がレーザ干渉計の計測光の光路上等に流出することを抑制できる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図13は、第4実施形態に係る露光装置EXの一部を拡大した断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13に示すように、本実施形態の露光装置EXは、光学素子10の入射面11側の所定空間70と液浸空間LSの周囲の気体空間71とを連通する気体流路42と、液浸空間LSの周囲の気体空間71の少なくとも一部に気体G2を供給する第2気体供給口61と、排気口51とを備えている。第2気体供給口61は、流路63を介して第2気体供給装置60に接続されており、液浸空間LSの周囲の気体空間71に気体(不活性ガス)G2を供給可能である。排気口51は、流路を介して吸引装置50に接続されており、気体G1、G2を排気可能である。
第2気体供給口61と排気口51とは、液浸空間LSを取り囲むように形成された環状の所定部材52Bの下面に形成されている。第2気体供給口61は、露光光ELの光路空間K(液浸空間LS)に対して、気体流路42の外側に配置されている。排気口51は、露光光ELの光路空間K(液浸空間LS)に対して、第2気体供給口61の外側に配置されている。
なお、排気口51は、第2気体供給口61よりも露光光ELの光路空間Kに近い位置に配置し、第2気体供給口61から供給された気体が露光光ELの光路空間Kに向かって流れるようにしてもよい。
なお、所定部材52Bの第2気体供給口61及び排気口51の各構成は、上述の第2、第3実施形態と同様であり、詳細説明は省略する。
なお、所定部材52Bは、鏡筒5又はノズル部材20で支持することができる。
また、本実施形態においても、Z軸方向において、所定部材52Bの下面の位置が、保持部材6の下面の位置、及びノズル部材20の下面30の位置の少なくとも一方とほぼ同一であってもよいし、異なっていても良い。
制御装置3は、少なくとも基板Pの露光中において、第1気体供給装置40及び吸引装置50を駆動し、第1気体供給口41を用いた気体G1の動作、及び排気口51を用いた排気動作を行う。図13の模式図に示すように、第1気体供給口41から所定空間70に供給された気体G1は、気体流路42を介して、液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される。また、制御装置3は、少なくとも基板Pの露光中において、第2気体供給装置60を駆動し、第2気体供給口61より、液浸空間LSの周囲の気体空間71に気体G2を供給する。制御装置3は、吸引装置50を駆動して、気体流路42及び第2気体供給口61からの気体(不活性ガス)G1、G2と、空調ユニット101からの気体とを、排気口51を介して一緒に排出(吸引)する。本実施形態においても、液浸空間LSの液体LQに空気が接触することを抑制することができる。また気体G1、及び気体G2が、所定部材52Bの外側の空間へも漏れ出すも防止することができる。
なお、上述の第2、第3、第4実施形態において、第2気体供給口61、及び/又は排気口51を、気体流路42よりも露光光ELの光路空間K(液浸空間LS)に近い位置に配置してもよい。
なお、上述の第2、第3、第4実施形態においては、所定部材52(52A,52B)は、ノズル部材20及び鏡筒5の少なくとも一方に支持されているが、所定部材52とノズル部材20及び鏡筒5とが離れていてもよい。また、所定部材52の下面に、第2気体供給口61が設けられている場合には、第2気体供給口61から気体を吹き出すことによって、所定部材52の下面と基板Pの表面Psとの間にガスベアリングを形成してもよい。この場合、第4実施形態のように、第2気体供給口61と排気口51とを併用して、例えば、米国特許公開第2006/0023189A1号公報に開示されているようにガスベアリングを形成してもよい。
また、上述の第2、第4実施形態において、第2気体供給口61からの気体を使って、液体LQの漏出を防止するようにしてもよい。すなわち、第2気体供給口61からの気体を、例えば、米国特許公開第2006/0023189A1号公報に開示されているようなガスシールとして使用してもよい。この場合も、第4実施形態のように、第2気体供給口61と排気口51とを併用して、例えば、米国特許公開第2006/0023189A1号公報に開示されているようなガスシールを形成してもよい。
また、上述の第3、第4実施形態において、排気口51から液体LQを回収してもよい。すなわち、ノズル部材20の液体回収口33で回収できずに、露光光ELの光路に対して液体回収口33よりも外側へ漏出した液体LQを排気口51で回収するようにしてもよい。この場合、排気口51の外側に第2気体供給口61を設けることによって、露光光ELの光路に対して液体回収口33よりも外側へ漏出した液体LQを排気口51でより確実に回収することができる。
なお、上述の第1〜第4実施形態においては、光学素子10の保持部14及びその保持部14を保持する保持部材6は、光路空間K(光軸AX)の周方向においてほぼ等間隔で配置されているが、不等間隔で配置されていてもよい。また、光学素子10の保持部14及びその保持部14を保持する保持部材6は、光路空間K(光軸AX)の周方向における3箇所に設けられているが、2箇所でもよいし4箇所以上の任意の複数箇所でもよい。
なお、上述の各実施形態において、光学素子10の外周面13は、射出面12に対して物体面Os側(+Z側)に傾斜している。すなわち、外周面13は、射出面12よりも+Z側に設けられているが、これに限らず、例えば、外周面13が射出面12とほぼ面一であってもよい。この場合、露光光ELの射出に使用される有効領域を射出面とし、その外側の領域を外周面13と規定すればよい。また、この場合には、外周面13の周縁部において、基板P側(−Z側)に向かって突出するように形成された保持部14の下面14Cは、射出面12よりも−Z側(低い位置)に配置される。
また、上述の実施形態において、例えば図4に示すように、光軸AXを含むZ軸と平行な面内において、外周面13は一つの直線となるように形成されているが、これに限られず、光軸を含むZ軸と平行な面内において曲線となるように外周面13を形成してもよいし、光軸を含むZ軸と平行な面内において互いに角度が異なる複数の直線となるように外周面13を形成してもよい。
また、上述の実施形態においては、光軸AX(Z軸)に垂直な面内において、外周面13は円形であるが、これに限られず、光軸AX(Z軸)に垂直な面内において多角形(例えば、矩形)であってもよい。また、Z軸方向の位置によって、光軸AX(Z軸)に垂直な面内における外周面13が変化してもよい。
また、上述の各実施形態においては、像面Is側(基板P側)に突出する保持部14を有する光学素子10と、光学素子10の入射面11側の所定空間70に気体G1を供給する第1気体供給装置40(第1気体供給口41)とを併用しているが、必ずしも併用する必要はない。
例えば、像面Is(基板P)に最も近い光学素子として、国際公開第2005/122221号公報(対応米国特許出願第11/597,745号)に開示されているような光学素子と、第1気体供給装置40(第1気体供給口41)とを併用するようにしてもよい。あるいは、光学素子10の入射面11側の所定空間70に気体G1を供給する第1気体供給装置40(第1気体供給口41)を設けずに、上述した光学素子10を使用してもよい。
なお、上述の各実施形態において、液体LQとしては、デカリンに限られず、例えばイソプロパノール及びグリセロールといったC−H結合やO−H結合を持つ液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の液体(有機溶剤)でもよい。液浸空間LSの周囲の気体空間71に供給される気体G1(G2)は、使用する液体LQに応じて、その液体LQの物性(屈折率)を変化させないもの選択される。また、液体LQとしては、水(純水)でもよい。あるいは、これら所定液体のうち任意の2種類以上の液体が混合されたものであってもよいし、純水に上記所定液体が添加(混合)されたものであってもよい。あるいは、液体LQとしては、純水に、H、Cs、K、Cl、SO 2−、PO 2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものであってもよい。更には、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものであってもよい。これら液体LQは、ArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、液体LQとしては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系PL及び/又は基板Pの表面に塗布されている感光材(又は保護膜(トップコート膜)あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。
また、液体LQとして、国際公開第2005/114711号公報、国際公開第2005/117074号公報、国際公開第2005/119371号公報などに開示されているものを用いることもできる。
なお、上述の各実施形態において、光学素子10の入射面11及び射出面12の形状は、投影光学系PLが所望の性能を得られるように適宜決定することができる。例えば、入射面11は、球面状でもよいし非球面状でもよい。また、射出面12は、平面でなくてもよく、基板Pの表面Psから離れるように形成された凹面でもよい。
また、上述の各実施形態においては、光学素子10は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、像面Is(基板P)に最も近い位置に配置される光学素子であるが、入射面が気体と接触し、射出面が液体と接触する、他の位置に配置された光学素子にも本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLの終端の光学素子10の射出面12側の光路空間が液体で満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号に開示されているように、光学素子10の入射面11の光路空間も液体で満たされていてもよい。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。基板はその形状が円形に限られるものでなく、矩形など他の形状でもよい。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報、米国特許6,341,007号、米国特許6,400,441号、米国特許6,549,269号、及び米国特許6,590,634号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報、特開2000−164504号公報、米国特許6,897,963号などに開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
上記各実施形態では干渉計システムを用いてマスクステージ及び基板ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば基板ステージの上面に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り替えて用いる、あるいはその両方を用いて、基板ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いてもよい。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回のスキャン露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、法令で許容される限りにおいて、上記各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図14に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などの基板処理プロセスを含むステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。

Claims (23)

  1. 第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
    前記第1面に向かって凸の入射面と、射出面と、前記入射面の外周と前記射出面の外周との間の外周面と、前記外周面の外周縁部において前記第2面に向かって突出するように形成された保持部とを有し、前記入射面が気体と接し、前記射出面が前記液体と接する光学素子を備えた投影光学系。
  2. 前記光学素子の前記保持部は、前記外周面の外周縁部の複数箇所に互いに離れて形成されている請求項1記載の投影光学系。
  3. 前記光学素子の射出面は、前記第2面とほぼ平行であり、
    前記光学素子の外周面は、前記射出面に対して前記入射面側に傾斜した斜面を有する請求項1又は2記載の投影光学系。
  4. 前記保持部と前記外周面との間には、少なくとも前記光学素子の光軸と垂直な方向に沿って空間が形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の投影光学系。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の投影光学系と基板との間を液体で満たすことと、
    前記投影光学系と前記液体とを介して前記基板を露光することと、
    を含む露光方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の投影光学系を備え、前記投影光学系と液体とを介して基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置。
  7. 液体を介して基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記露光光が入射する入射面と、前記露光光が射出される射出面と、前記入射面の外周と前記射出面の外周との間の外周面と、前記外周面の周縁部において前記基板に向かって突出するように形成された保持部とを有する光学素子と、
    前記光学素子と前記基板の表面との間に液浸空間を形成する液浸空間形成部材とを備え、
    前記保持部と前記外周面との間には、少なくとも前記光学素子の光軸と垂直な方向に沿って空間が形成され、
    前記液浸空間形成部材の少なくとも一部が前記空間に配置されている露光装置。
  8. 前記光学素子の前記射出面は、前記基板の表面とほぼ平行であり、
    前記光学素子の前記外周面は、前記射出面に対して前記入射面側に傾斜した斜面を有する請求項7記載の露光装置。
  9. 前記光学素子の前記保持部は、前記外周面の外周縁部の複数箇所に互いに離れて形成されている請求項7又は8記載の露光装置。
  10. 前記液浸空間形成部材の少なくとも一部が前記光学素子の複数の保持部の間に配置される請求項8記載の露光装置。
  11. 前記光学素子の入射面側の所定空間にガスを供給する第1ガス供給口と、
    前記第1ガス供給口から供給されたガスが、前記液浸空間の液体と接触するように、前記所定空間と前記液浸空間の周囲の気体空間の少なくとも一部とを流体的につなぐガス流路とを備えた請求項7〜10のいずれか一項記載の露光装置。
  12. 液体を介して基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記露光光が入射する入射面と、前記露光光が射出される射出面とを有する光学素子と、
    前記光学素子と前記基板の表面との間に液浸空間を形成する液浸空間形成部材と、
    前記光学素子の入射面側の所定空間にガスを供給する第1ガス供給口と、
    前記第1ガス供給口から供給されたガスが、前記液浸空間の液体と接触するように、前記所定空間と前記液浸空間の周囲の気体空間の少なくとも一部とを流体的につなぐガス流路とを備えた露光装置。
  13. 前記ガスは不活性ガスを含む請求項11又は12記載の露光装置。
  14. 前記所定空間から前記気体空間に流入したガスを排出するための排気口をさらに備えた請求項11〜13のいずれか一項記載の露光装置。
  15. 前記排気口は、前記液浸空間を取り囲むように配置される請求項14記載の露光装置。
  16. 前記排気口は、前記基板の表面と対向するように配置される請求項14又は15記載の露光装置。
  17. 前記液浸空間の周囲の気体空間の少なくとも一部にガスを供給する第2ガス供給口をさらに備えた請求項14〜16のいずれか一項記載の露光装置。
  18. 前記第2ガス供給口は前記基板の表面と対向するように配置される請求項17記載の露光装置。
  19. 前記液浸空間の周囲の気体空間の少なくとも一部にガスを供給する第2ガス供給口をさらに備えた請求項11〜13のいずれか一項記載の露光装置。
  20. 前記光学素子を保持する保持部材を備え、
    前記保持部材は、前記ガス流路が形成されるように、前記光学素子を保持する請求項11〜19のいずれか一項記載の露光装置。
  21. 前記保持部材は、前記光学素子を含む複数の光学素子を保持する鏡筒を含み、
    前記光学素子の入射面側の所定空間は、前記鏡筒の内部に形成される請求項20記載の露光装置。
  22. 液体を介して基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記露光光が入射する入射面と、前記露光光が射出される射出面と、前記入射面の外周と前記射出面の外周との間の外周面と、前記外周面の外周縁部において前記基板に向かって突出するように形成された保持部とを有する光学素子と、
    前記光学素子と前記基板の表面との間に液浸空間を形成する液浸空間形成部材とを備え、
    前記光学素子の光軸と前記保持部との間には空間が形成され、
    前記液浸空間形成部材の少なくとも一部が前記空間に配置されている露光装置。
  23. 請求項6〜請求項22のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
    該露光された基板を現像することと、
    を含むデバイス製造方法。
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