以下、本発明に係る露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTと、制御装置CONTに接続され、露光処理に関する各種情報を記憶した記憶装置MRYを備えている。更に露光装置EXは、投影光学系PLの結像特性(光学特性)の計測に用いられる空間像計測装置70を備えている。空間像計測装置70は、投影光学系PLの像面側に配置されたスリット部71を有するスリット板75を介して投影光学系PLを通過した光(露光光EL)を受光する受光器90を備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に(局所的に)液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの先端側(像面側)の光学素子60と基板Pの表面との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して露光光ELを照射してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、光源1より射出された光束(レーザビーム)LBを露光光ELに変換し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
本実施形態における光源1は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を射出するエキシマレーザ光源であって、制御装置CONTによってそのレーザ発光のオン・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、及び繰り返し周波数等を制御される。
照明光学系ILは、ビーム整形光学系2、オプティカルインテグレータ3、照明系開口絞り板4、リレー光学系6、8、固定マスクブラインド7A、可動マスクブラインド7B、ミラー9、及びコンデンサレンズ30等を備えている。本実施形態では、オプティカルインテグレータ3としてフライアイレンズが用いられるが、ロッド型(内面反射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子等であってもよい。ビーム整形光学系2内には、光源1でパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたオプティカルインテグレータ3に効率良く入射するように整形するための、例えばシリンドリカルレンズやビームエキスパンダ等が含まれている。オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)3は、ビーム整形光学系2から射出されたレーザビームLBの光路上に配置され、マスクMを均一な照度分布で照明するために多数の点光源(光源像)からなる面光源、すなわち2次光源を形成する。
オプティカルインテグレータ3の射出側焦点面の近傍には、円板状部材からなる照明系開口絞り板4が配置されている。この照明系開口絞り板4には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口からなる開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口からなりコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置した変形開口絞り(SHRINCとも呼ばれる四重極照明絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板4は、制御装置CONTにより制御されるモータ等の駆動装置31によって回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが露光光ELの光路上に選択的に配置される。
なお、本例においては、照明系開口絞り部材4を用いて照明光学系ILの瞳面での光強度分布の調整を行っているが、米国特許6,563,567に開示されているような他の光学系を用いてもよい。
照明系開口絞り板4を通過した露光光ELの光路上に、反射率が小さく透過率が大きいビームスプリッタ5が配置され、更にこの後方の光路上に、マスクブラインド7A、7Bを介在させてリレー光学系(6、8)が配置されている。固定マスクブラインド7Aは、マスクMのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、マスクM上の照明領域IAを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定マスクブラインド7Aの近傍に走査方向(X軸方向)及びこれに直交する非走査方向(Y軸方向)にそれぞれ対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動マスクブラインド7Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動マスクブラインド7Bを介して照明領域IAを更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。また、本実施形態では、可動マスクブラインド7Bは、後述する空間像計測の際の照明領域の設定にも用いられる。一方、照明光学系IL内のビームスプリッタ5で反射された露光光ELの光路上には、集光レンズ32、及び遠紫外域で感度が良く、且つ光源1のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型フォトダイオード等の受光素子からなるインテグレータセンサ33が配置されている。
このようにして構成された照明光学系ILの作用を簡単に説明すると、光源1からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形光学系2に入射して、ここで後方のオプティカルインテグレータ3に効率良く入射するようにその断面形状が整形された後、オプティカルインテグレータ3に入射する。これにより、オプティカルインテグレータ3の射出側焦点面(照明光学系ILの瞳面)に2次光源が形成される。この2次光源から射出された露光光ELは、照明系開口絞り板4上のいずれかの開口絞りを通過した後、透過率が大きく反射率が小さいビームスプリッタ5に入射する。このビームスプリッタ5を透過した露光光ELは、第1リレーレンズ6を経て固定マスクブラインド7Aの矩形の開口部及び可動マスクブラインド7Bを通過した後、第2リレーレンズ8を通過してミラー9によって光路を垂直下方に折り曲げられる。ミラー9によって光路を折り曲げられた露光光ELは、コンデンサレンズ30を経て、マスクステージMSTに保持されたマスクM上の照明領域IAを均一な照度分布で照明する。
一方、ビームスプリッタ5で反射された露光光ELは、集光レンズ32を介してインテグレータセンサ33で受光され、インテグレータセンサ33の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を有する信号処理装置を介して制御装置CONTに供給される。本実施形態では、インテグレータセンサ33の計測値は、露光量制御に用いられる他、投影光学系PLに対する照射量の計算に用いられ、この照射量は基板反射率(これは、インテグレータセンサの出力と不図示の反射率モニタの出力とに基づいて求めることもできる)とともに、投影光学系PLの照明光吸収による結像特性の変化量の算出に用いられる。本実施形態では、所定の間隔で、制御装置CONTにより、インテグレータセンサ33の出力に基づいて照射量が計算され、その計算結果が照射履歴として、記憶装置MRYに記憶されるようになっている。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、例えばマスクMを真空吸着(又は静電吸着)により固定している。マスクステージMSTは、マスクベース55上に非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)を介して非接触支持されており、リニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDにより、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。そして、マスクステージMSTは、マスクベース55上をX軸方向に指定された走査速度で移動可能となっており、マスクMの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができるだけのX軸方向の移動ストロークを有している。
マスクステージMST上には移動鏡41が設けられている。また、移動鏡41に対向する位置にはレーザ干渉計42が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計42によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計42の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)60を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また投影光学系PLは屈折系、反射系、反射屈折系のいずれでもよい。
本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子60はレンズセル62で保持されており、その光学素子60を保持したレンズセル62と鏡筒PKの先端部とが連結機構61によって連結されている。光学素子60には液浸領域AR2の液体LQが接触する。光学素子60は螢石で形成されている。螢石は水との親和性が高いので、光学素子60の液体接触面60aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子60の液体接触面60aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子60の液体接触面60aと液体LQとの密着性が高く、光学素子60と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子60は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、光学素子60の液体接触面60aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
基板ステージPSTは、基板Pを保持して移動可能であって、XYステージ53と、XYステージ53上に搭載されたZチルトステージ52とを含んで構成されている。XYステージ53は、ステージベース54の上面の上方に不図示の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)を介して非接触支持されている。XYステージ53(基板ステージPST)はステージベース54の上面に対して非接触支持された状態で、リニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDにより、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。このXYステージ53上にZチルトステージ52が搭載され、Zチルトステージ52上に基板ホルダ51が搭載されている。この基板ホルダ51によって、基板Pが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ52は、後述するアクチュエータにより、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。上記アクチュエータを含む基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。基板ステージPSTは、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、基板ステージPST(基板ホルダ51)上には、基板Pを囲むように補助プレート57が設けられている。補助プレート57は基板ホルダ51に保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さの平面を有している。基板Pのエッジ領域を露光する場合にも、補助プレート57により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
なお、補助プレート57は、基板ホルダ51の周囲のみに形成されているが、基板ステージPSTの上面がほぼ面一となるように、空間像計測装置70の周囲や基板ホルダ51と空間像計測装置70との間にも補助プレート57を配置することもできる。このようにすることで、空間像計測装置70の上面が液浸領域AR2よりも小さくても、補助プレート57により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
基板ステージPST(Zチルトステージ52)上には移動鏡43が設けられている。また、移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計44によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計44の計測結果に基づいてリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
また、露光装置EXは、基板ステージPST(基板ホルダ51)に支持されている基板Pの表面の位置を検出するフォーカス検出系45を備えている。フォーカス検出系45は、基板P上に液体LQを介して斜め方向より検出用光束を投射する投光部45Aと、基板Pで反射した前記検出用光束の反射光を受光する受光部45Bとを備えている。フォーカス検出系45(受光部45B)の受光結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはフォーカス検出系45の検出結果に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報を検出することができる。また、投光部45Aより複数の検出用光束を投射することにより、基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。なお、フォーカス検出系45の構成としては、例えば特開平6−283403号公報等に開示されているものを用いることができる。なお、フォーカス検出系45として、液浸領域AR2の外側で液体LQを介さずに基板P表面に検出用の光束を投射し、その反射光を受光するものを用いることもできる。
制御装置CONTは、走査露光時等に、受光部45Bからの焦点ずれ信号(デフォーカス信号)、例えばSカーブ信号に基づいて焦点ずれが零となるように、後述するZ位置駆動部56A〜56Cを含む基板ステージ駆動装置PSTDを介してZチルトステージ52のZ軸方向への移動、及び2次元的に傾斜(θX、θY方向の回転)を制御する。すなわち、制御装置CONTは、多点フォーカス検出系45を用いてZチルトステージ52の移動を制御することにより、投影光学系PLの結像面と基板Pの表面とを実質的に合致させるオートフォーカス及びオートレベリングを実行する。
また、投影光学系PLの先端近傍には、基板P上のアライメントマークあるいは基板ステージPST上に設けられた不図示の基準部材上に形成された基準マークを検出するオフアクシス方式の基板アライメント系46が設けられている。また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介して前記基準部材に設けられた基準マークを検出するマスクアライメント系47が設けられている。本実施形態では、このアライメント系として、画像処理方式のアライメントセンサ、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。なお、基板アライメント系46の構成としては、例えば特開平4−65603号公報に開示されているものを用いることができ、マスクアライメント系47の構成としては、特開平7−176468号公報に開示されているものを用いることができる。
図2は、液体供給機構10、液体回収機構20、及び投影光学系PLを示す拡大図である。投影光学系PLは、鏡筒PKに保持された複数枚(ここでは10枚)の光学素子64a〜64jと、投影光学系PLの像面側(基板P側)のレンズセル62に保持された光学素子60とを備えている。投影光学系PLを構成する光学素子64a〜64jのうち、その一部、例えば光学素子64a、64bは、それぞれ複数の駆動素子(例えばピエゾ素子等)63によって光軸AX方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動可能に構成されている。また、光学素子64d、64eの間、及び光学素子64f、64gの間には、それぞれ密閉状態とされた第1、第2密閉室65A、65Bが形成されている。これら第1、第2密閉室65A、65Bには、不図示のガス供給機構から圧力調整機構66を介してクリーンな気体、例えばドライエアが供給されるようになっている。
本実施形態では、各駆動素子63に与えられる駆動電圧(駆動素子の駆動量)及び第1、第2密閉室65A、65B内部の気体の圧力(内部圧力)を調整する圧力調整機構66が、制御装置CONTからの指令に応じて結像特性制御装置67により制御され、これによって、投影光学系PLの結像特性、例えば、像面湾曲、ディストーション、倍率等が補正されるようになっている。なお、かかる結像特性を調整する結像特性調整機構は、光学素子64aのような可動光学素子のみによって構成してもよく、その可動光学素子の数も任意でよい。但し、この場合、可動光学素子の数が、フォーカスを除く、投影光学系PLの結像特性の補正可能な種類に対応するので、補正が必要な結像特性の種類に応じて可動光学素子の数を定めればよい。
Zチルトステージ52は、3つのZ位置駆動部56A、56B、56C(但し、紙面奥側のZ位置駆動部56Cは不図示)によってXYステージ53上に3点で支持されている。これらのZ位置駆動部56A〜56Cは、Zチルトステージ52下面のそれぞれの支持点を投影光学系PLの光軸方向(Z方向)に独立して駆動する3つのアクチュエータ(例えばボイスコイルモータなど)59A、59B、59C(但し、図2における紙面奥側のアクチュエータ59Cは不図示)と、Zチルトステージ52のZ位置駆動部56A、56B、56CによるZ軸方向の駆動量(基準位置からの変位)を検出するエンコーダ58A、58B、58C(但し、図2における紙面奥側のエンコーダ58Cは不図示)とを含んで構成されている。ここでエンコーダ58A〜58Cとしては、例えば光学式又は静電容量式などのリニアエンコーダが使用されている。本実施形態では、上記アクチュエータ56A、56B、56Cによって、Zチルトステージ52を光軸AX方向(Z軸方向)及び光軸に直交する面(XY面)に対する傾斜方向すなわちθX、θY方向に駆動する駆動装置が構成されている。また、エンコーダ58A〜58Cで計測されるZチルトステージ52のZ位置駆動部56A、56B、56Cによる各支持点のZ軸方向の駆動量(基準点からの変位量)は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、そのエンコーダ58A〜58Cの計測結果に基づいて、Zチルトステージ52のZ軸方向の位置及びレベリング量(θX回転量、θY回転量)を求めるようになっている。
液体供給機構10は、露光処理時を含む所定の期間において投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQを供給するものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11に供給管12を介して接続され、この液体供給部11から送出された液体LQを基板P上に供給する供給ノズル13とを備えている。供給ノズル13は基板Pの表面に近接して配置されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えており、供給管12及び供給ノズル13を介して基板P上に液体LQを供給する。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは液体供給部11による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を制御可能である。なお、液体供給機構10のタンク、加圧ポンプなどは、必ずしも露光装置EXが備えている必要はなく、それらの少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場などの設備で代用することもできる。
液体回収機構20は、露光処理時を含む所定の期間において投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQを回収するものであって、基板Pの表面に近接して配置された回収ノズル23と、回収ノズル23に回収管22を介して接続された液体回収部21とを備えている。液体回収部21は、真空ポンプを含む真空系(吸引装置)、及び回収した液体LQを収容するタンク等を含んで構成されており、その動作は制御装置CONTに制御される。液体回収部21の真空系が駆動することにより、基板P上の液体LQは回収ノズル23を介して回収される。なお真空系として、露光装置に真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。また、液体回収機構220のタンクも、必ずしも露光装置EXが備えている必要はなく、それらの少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場などの設備で代用することもできる。
なお回収管22の途中、具体的には回収ノズル23と真空系との間に、回収ノズル23から吸い込まれた液体LQと気体とを分離する気液分離器を設けることが好ましい。基板P上の液体LQを吸引回収する際、液体回収部(真空系)21では、液体LQをその周囲の気体(空気)とともに回収する状況が生じる可能性があるため、気液分離器によって回収ノズル23から回収された液体と気体とを分離することにより、真空系に液体LQが流入してその真空系が故障する等の不都合の発生を防止することができる。液体回収部21に回収された液体LQは、例えば廃棄されたり、あるいはクリーン化されて液体供給部11等に戻され再利用される。
なお、液体供給機構10及び液体回収機構20は、投影光学系PLに対して分離して支持されている。これにより、液体供給機構10及び液体回収機構20で生じた振動が投影光学系PLに伝わることがない。
図3は、液体供給機構10及び液体回収機構20と投影光学系PLの投影領域AR1との位置関係を示す平面図である。投影光学系PLの投影領域AR1はY軸方向に細長い矩形状(スリット状)となっており、その投影領域AR1をX軸方向に挟むように、+X側に3つの供給ノズル13A〜13Cが配置され、−X側に2つの回収ノズル23A、23Bが配置されている。そして、供給ノズル13A〜13Cは供給管12を介して液体供給部11に接続され、回収ノズル23A、23Bは回収管22を介して液体回収部21に接続されている。また、供給ノズル13A〜13Cと回収ノズル23A、23Bとをほぼ180°回転した位置関係で、供給ノズル16A〜16Cと、回収ノズル26A、26Bとが配置されている。供給ノズル13A〜13Cと回収ノズル26A、26BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル16A〜16Cと回収ノズル23A、23BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル16A〜16Cは供給管15を介して液体供給部11に接続され、回収ノズル26A、26Bは回収管25を介して液体回収部21に接続されている。
図4は、投影光学系PLの結像特性(光学特性)の計測に用いられる空間像計測装置70を示す概略構成図である。空間像計測装置70は、投影光学系PLの像面側に配置されたスリット部71を有するスリット板75を介して投影光学系PLを通過した光を受光する受光器90を備えている。スリット板75は、投影光学系PLの像面側のZチルトステージ52に設けられている。受光器90は、Zチルトステージ52内部においてスリット板75に近い位置に配置された光学素子76と、光学素子76を通過した光の光路を折り曲げるミラー77と、ミラー77を介した光が入射する光学素子78と、光学素子78を通過した光をZチルトステージ52外部に送る送光レンズ79と、Zチルトステージ52外部に設けられ、送光レンズ79からの光の光路を折り曲げるミラー80と、ミラー80を通過した光を受ける受光レンズ81と、受光レンズ81を介した光を受光する光電変換素子からなる光センサ(受光素子)82とを備えている。
スリット板75は、平面視長方形状のガラス板部材74と、ガラス板部材74の上面中央部に設けられたクロム等からなる遮光膜72と、その遮光膜72の周囲、すなわちガラス板部材74の上面のうち遮光膜72以外の部分に設けられたアルミニウム等からなる反射膜73と、遮光膜72の一部に形成された開口パターンであるスリット部71とを備えている。スリット部71においては透明部材であるガラス板部材74が露出しており、光はスリット部71を透過可能である。
Zチルトステージ52の上面において基板ホルダ51と隣り合う位置には凸部83が設けられており、その凸部83の上部には開口部84が設けられている。スリット板75は凸部83の開口部84に対して着脱可能となっており、その開口部84を塞ぐ状態で上方から嵌め込まれている。
ガラス板部材74の形成材料としては、ArFエキシマレーザ光あるいはKrFエキシマレーザ光に対する透過性の良い合成石英あるいは螢石などが用いられる。なお、合成石英のArFエキシマレーザ光に対する屈折率は1.56、KrFエキシマレーザ光に対する屈折率は1.51程度である。
光学素子76は、Zチルトステージ52内部においてスリット部71の下方に配置されており、保持部材85で保持されている。光学素子76を保持した保持部材85は、凸部83の内壁面83Aに取り付けられている。Zチルトステージ52内部に配置されている光学素子76を通過した光は、ミラー77でその光路を折り曲げられた後、光学素子78を通過する。光学素子78を通過した光は、Zチルトステージ52の+X側側壁に固定されている送光レンズ79によってZチルトステージ52の外部に送出される。送光レンズ79によってZチルトステージ52外部に送出された光は、ミラー80によって受光レンズ81に導かれる。受光レンズ81とその受光レンズ81の上方に配置されている光センサ82とは、所定の位置関係を保ってケース86に収納されている。ケース86は取付部材87を介してステージベース54の上面に設けられた支柱88の上端部近傍に固定されている。
なお、ミラー77、光学素子78、及び送光レンズ79等はZチルトステージ52に対して着脱可能である。また、受光レンズ81及び光センサ82を収納したケース86を支持する支柱88は、ステージベース54に対して着脱可能となっている。
光センサ82には、微弱な光を精度良く検出可能な光電変換素子(受光素子)、例えばフォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT、光電子増倍管)等が用いられる。光センサ82からの光電変換信号は、信号処理装置を介して制御装置CONTに送られるようになっている。
図5は、空間像計測装置70を使って投影光学系PLの結像特性を計測している状態を示す図である。図5に示すように、投影光学系PLの結像特性の計測中には、投影光学系PLとスリット板75とを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、投影光学系PLの先端側(像面側)の光学素子60とスリット板75との間に液体LQを流すようにする。そして、投影光学系PLの光学素子60とスリット板75との間に液体LQを満たした状態で、投影光学系PL及び液体LQを介した光(露光光EL)が空間像計測装置70を構成するスリット板75に照射される。またこのときのスリット板75の上面75Aの面位置情報は、フォーカス検出系45を使って検出可能である。
図6は、空間像計測装置70のうち、凸部83内部に配置されたスリット板75及び光学素子76近傍を示す要部拡大断面図、図7は、スリット板75を上方から見た平面図である。なお図6においては、受光器90は簡略化して図示されており、受光器90を構成する複数の光学素子及び部材のうち、光の光路上においてスリット板75に最も近い位置に配置された光学素子76、及びその光学素子76を通過した光を受光する光センサ82のみが図示されている。図6に示す空間像計測装置70において、スリット板75と受光器90との間には液体LQが満たされている。本実施形態において、液体LQは、凸部83の開口部84に嵌合されているスリット板75の下面と、受光器90の光路上に配置された複数の光学素子(光学部材)のうちスリット板75に最も近い位置に配置された光学素子76との間に満たされている。光学素子76は、スリット板75の下方位置において、凸部83の内壁面83Aに取り付けられた保持部材85に保持されており、液体LQは、スリット板75、保持部材85、及び光学素子76に囲まれた空間SPに満たされている。本実施形態において、光学素子76は平凸レンズにより構成されており、その平坦面を上方に向けて配置されている。そして、保持部材85の内底面85Aと、光学素子76の上面(平坦面)76Aとがほぼ面一となっている。また、保持部材85は断面視略上向きコ字状に形成され、その保持部材85の外側面85Bと凸部83の内壁面83Aとは密接されており、保持部材85の上端面(スリット板75との接合面)85Cとスリット板75との間にはOリングなどのシール部材91が設けられている。これにより、空間SPに満たされた液体LQが外部に漏洩する不都合が防止されている。
スリット板75及び光学素子76を保持した保持部材85は、凸部83の内壁面83Aに対して着脱可能となっている。保持部材85を取り付ける際には、凸部83の開口部84より光学素子76を保持した保持部材85を凸部83内部に挿入し(このときスリット板75は取り付けられていない)、不図示の固定部材で保持部材85と凸部83の内壁面83Aとを固定する。次いで、開口部84にスリット板75が嵌め込まれる。一方、保持部材85を外す際には、スリット板75を開口部84より取り外した後、保持部材85を
開口部84を介して引き抜けばよい。
また、露光装置EXは、スリット板75と受光器90の光学素子76との間の空間SPに液体LQを供給する液体供給装置100と、その空間SPの液体LQを回収する液体回収装置104とを備えている。凸部83及び保持部材85の+X側の壁部には空間SPに接続する供給流路102が形成され、−X側の壁部には空間SPに接続する回収流路106が形成されている。また、液体供給装置100には供給管101の一端部が接続され、供給管101の他端部は継手103を介して供給流路102に接続されている。液体回収装置104には回収管105の一端部が接続され、回収管105の他端部は継手107を介して回収流路106に接続されている。また、供給管101及び回収管105のそれぞれの途中にはその流路を開閉するバルブ101A、105Aが設けられている。液体供給装置100、液体回収装置104、及びバルブ101A、105Aの動作は制御装置CONTによって制御され、制御装置CONTは、これらを制御して空間SPに対する液体LQの供給及び回収を行うことで、空間SPを液体LQで満たす。
図7に示すように、スリット板75は、平面視長方形状のガラス板部材74の上面中央部に設けられたクロム等からなる遮光膜72と、その遮光膜72の周囲、すなわちガラス板部材74の上面のうち遮光膜72以外の部分に設けられたアルミニウム等からなる反射膜73と、遮光膜72の一部に形成された開口パターンであるスリット部71とを備えている。スリット部71においては透明部材であるガラス板部材74が露出しており、光はスリット部71を透過可能である。スリット部71はY軸方向を長手方向とする矩形状(長方形状)のスリットであって、所定幅2Dを有している。
次に、上述した空間像計測装置70を使って投影光学系PLの結像特性を計測する手順について説明する。
空間像(投影像)を計測するに際し、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動して、投影光学系PLとスリット板75とを対向させる(つまり図5に示す状態にする)。そして、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って投影光学系PLの先端部の光学素子60とスリット板75との間に液体LQを満たす。これと並行して(あるいはその前又は後に)、制御装置CONTは、液体供給装置100及び液体回収装置104を使って、受光器90の光学素子76とスリット板75との間に液体LQを満たす。ここで、以下の説明において、投影光学系PLとスリット板75との間に満たされたLQによって形成される液浸領域を「第1液浸領域LA1」と、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間に満たされた液体LQによって形成される液浸領域を「第2液浸領域LA2」と適宜称する。
空間像の計測時において、マスクステージMSTには、後述する計測マークを備えたマスクMが支持されている。制御装置CONTは、照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明する。前記計測マーク、投影光学系PL、及び第1液浸領域LA1の液体LQを介した光(露光光EL)は、スリット板75に照射される。そのスリット板75のスリット部71を通過した光は、第2液浸領域LA2の液体LQを介して光学素子76に入射する。
投影光学系PLとスリット板75との第1液浸領域LA1の液体LQによって投影光学系の開口数NAが向上するため、投影光学系PLの開口数NAに応じて、受光器90の光学素子76の開口数NAも向上させないと、光学素子76は、投影光学系PLを通過した光を良好に(全て)取り込むことができない可能性があり、光を良好に受光できなくなる。そこで、本実施形態のように、投影光学系PLとスリット板75との間に液体LQを満たすことによって投影光学系PLの開口数NAを向上させた場合には、スリット板75と受光器90の光学素子76との間にも液体LQを満たして受光器90の光学素子76の開口数NAを向上させることで、受光器90の光学素子76は投影光学系PLを介した光を良好に取り込むことができる。
光学素子76は第2液浸領域LA2を介した光を集光する。光学素子76で集光された光は、ミラー77、光学素子78、及び送光レンズ79を介して基板ステージPSTの外部に導き出される。そして、その基板ステージPSTの外部に導き出された光は、ミラー80によって光路を折り曲げられ、受光レンズ81を介して光センサ82によって受光され、その光センサ82からその受光量に応じた光電変換信号(光量信号)が信号処理装置を介して制御装置CONTに出力される。
後述するように、本実施形態では、計測マークの投影像(空間像)の計測はスリットスキャン方式により行われるので、その際には送光レンズ79が、受光レンズ81及び光センサ82に対して移動することになる。そこで、空間像計測装置70では、所定の範囲内で移動する送光レンズ79を介した光が全て受光レンズ81に入射するように、各レンズ及びミラー80の大きさが設定されている。
空間像計測装置70では、光センサ82が基板ステージPSTの外部の所定位置に設けられているため、光センサ82の発熱に起因するレーザ干渉計44の計測精度等に及ぼす影響が可能な範囲で抑制される。また、基板ステージPSTの外部と内部とをライトガイド等により接続していないので、基板ステージPSTの外部と内部とがライトガイドにより接続された場合のように基板ステージPSTの駆動精度が影響を受けることがない。もちろん、熱の影響等を無視、あるいは排除できるような場合には、光センサ82を基板ステージPSTの内部に設けてもよい。すなわち、受光器90を構成する複数の光学素子や受光素子のうち、その一部が基板ステージPSTに設けられていてもよいし、全部が基板ステージPSTに設けられていてもよい。
本実施形態において、「第1液浸領域LA1」と「第2液浸領域LA2」に用いる液体LQは、同一種の液体を用いても良く、あるいは異なる種類、特に露光光に対して屈折率の異なる液体を用いても良い。特に、「第1液浸領域LA1」に用いる液体は、投影光学系の先端に設けられた光学素子のNAまたは屈折率を考慮して選択するのが好適であり、一方、「第2液浸領域LA2」に用いる液体は、ガラス板部材74の屈折率、及び/又は光学素子76の寸法や屈折率を考慮して選択することができる。
なお、本実施形態では、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間に液体LQを満たした空間像計測装置70を、液浸露光装置に適用した例について説明したが、投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQを満たさないで露光するドライ露光装置(通常露光装置)についても、本発明に係る空間像計測装置70(受光器90)を適用することができる。ドライ露光装置において空間像を計測する際には、投影光学系PLとスリット板75とを対向させた状態で、投影光学系PLとスリット板75との間に液体LQを満たさずに、スリット板75と受光器90の光学素子76との間に液体LQを満たした状態で(第1液浸領域LA1を形成せずに第2液浸領域LA2のみを形成した状態で)、投影光学系PLを介した露光光ELがスリット板75に照射される。受光器90の光学素子76は、スリット板75と光学素子76との間に満たされた液体LQにより開口数NAを向上されるので、開口数NAの大きい(例えばNA>0.9)投影光学系を備えているドライ露光装置においても光を良好に受光できる。また、例えば受光器90の光学素子76をスリット板75に密接させても投影光学系PLを通過した光を良好に受光することができ、受光器90全体をコンパクト化できるという効果が得られる。
なお、本実施形態では、液体供給装置100及び液体回収装置104を使って液体LQの供給及び回収を行うことで、スリット板75と光学素子76との間の空間SPに液体LQを満たしているが、液体供給装置100及び液体回収装置104を使わずに、例えば露光装置EXの製造時において液体LQを空間SPに満たしておくといった構成も可能である。この場合、例えばスリット板75を凸部83(Zチルトステージ52)より外し、空間SPの液体LQを定期的に交換するようにしてもよいし、液体LQとして保存性に優れた交換不要な液体を用いてもよい。一方で、液体供給装置100及び液体回収装置104を使って液体LQの供給及び回収を行うことで、空間SPには常に新鮮な(清浄な)液体LQを満たすことが可能である。なお、空間像計測装置70の計測中、液体供給装置100及び液体回収装置104の液体供給動作及び液体回収動作を停止させてもよい。また、例えばスリット板75や光学素子76を保持した保持部材85を凸部83(Zチルトステージ52)から外す際に、液体回収装置104で空間SPの液体LQを回収した後に、スリット板75や光学素子76を保持した保持部材85を外すことにより、液体LQを漏出することなく着脱作業を行うことができる。
なお、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間に液体LQを満たさずに、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間に、液体LQと略同じ屈折率を有する光透過性部材(光学部材、ガラス部材)を配置してもよい。そのような光透過性部材としては、例えば石英や螢石が挙げられる。本実施形態における液体LQは純水であってArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率はほぼ1.44と言われている。一方、ArFエキシマレーザ光に対する石英の屈折率はほぼ1.56と言われている。したがって、液体(純水)LQによる第2液浸領域LA2を形成する代わりに、スリット板75と光学素子76との間に、石英からなる光透過部材を配置してもよい。
以下、空間像計測装置70を用いた空間像計測動作の一例について図5等を参照しながら説明する。上述したように、図5は空間像を計測している状態を示す図である。空間像計測時において、マスクMとしては、空間像計測専用のものあるいはデバイスの製造に用いられるデバイス製造用マスクに専用の計測マークを形成したものなどが用いられる。また、これらマスクの代わりに、マスクステージMSTにマスクと同材質のガラス材料からなる固定のマーク板(フィデューシャルマーク板)を設け、このマーク板に計測マークを形成したものを用いてもよい。
マスクMには、所定の位置にX軸方向に周期性を有するライン部の幅とスペース部の幅との比(デューティー比)が1:1のラインアンドスペース(L/S)マークからなる計測用マークPMxと、Y軸方向に周期性を有するデューティー比が1:1のL/Sマークからなる計測マークPMyとが相互に近接して形成されている。これら計測マークPMx、PMyは同一線幅のラインパターンからなる。また、空間像計測装置70を構成するスリット板75には、図8(a)に示すように、Y軸方向に延びる所定幅2Dのスリット部71xと、X軸方向に延びる所定幅2Dのスリット部71yとが、図8(a)に示されるような所定の位置関係で形成されている。このように、スリット板75には、実際には複数のスリット部71x、71y等が形成されているが、図1〜図7等にはこれらスリット部を代表してスリット部71として図示されている。
例えば、計測マークPMxの空間像の計測にあたり、制御装置CONTにより、図1に示される可動マスクブラインド7Bが不図示のブラインド駆動装置を介して駆動され、露光光ELの照明領域が計測マークPMx部分を含む所定領域に制限される。この状態で、制御装置CONTにより光源1の発光が開始され、露光光ELが計測マークPMxに照射されると、計測マークPMxによって回折、散乱した光(露光光EL)は、投影光学系PLにより屈折され、投影光学系PLの像面に計測マークPMxの空間像(投影像)が形成される。このとき、基板ステージPSTは、図8(a)に示すように、スリット板75上のスリット部71xの+X側(又は−X側)に計測マークPMxの空間像PMx’が形成される位置に設けられているものとする。
そして、制御装置CONTの指示のもと、基板ステージ駆動装置PSTDにより、基板ステージPSTが図8(a)中に矢印Fxで示されるように+X方向に駆動されると、スリット部71xが空間像PMx’に対してX軸方向に走査される。この走査中に、スリット部71xを通過する光(露光光EL)が基板ステージPST(Zチルトステージ52)内の受光光学系、基板ステージPST外部のミラー80及び受光レンズ81を介して光センサ82で受光され、その光電変換信号が信号処理装置に供給される。信号処理装置では、その光電変換信号に所定の処理を施して、空間像PMx’に対応する光強度信号を制御装置CONTに供給する。なおこの際、信号処理装置では、光源1からの露光光ELの発光強度のばらつきによる影響を抑えるために、図1に示されるインテグレータセンサ33の信号により光センサ82からの信号を規格化した信号を制御装置CONTに供給するようになっている。図8(b)には、上記の空間像計測の際に得られる光電変換信号(光強度信号)の一例が示されている。
なお、計測マークは、上述のマークに限らず、計測対象の結像特性や計測精度などに応じて適宜定めることができる。
計測マークPMyの空間像を計測する場合には、基板ステージPSTを、スリット板75上のスリット部71yの+Y側(又は−Y側)に計測マークPMyの空間像が形成される位置に設けて、上記と同様のスリットスキャン方式による計測を行うことにより、計測マークPMyの空間像に対応する光電変換信号(光強度信号)を得ることができる。
結像特性調整情報などを得るための計測に際しては、まず初期調整の際に、投影光学系PLの光学素子64a、64bを1つずつ駆動しながら、また第1、第2密閉室65A、65Bの圧力を1つずつ変更しながら、投影光学系PLのフォーカス、及びその他の所定の結像特性(例えば像面湾曲、倍率、ディストーション、コマ収差、球面収差などの諸収差のうちの少なくとも一つ)を、後述するようにして空間像計測装置70を用いて測定し、光学素子64a、64bの駆動量、及び第1、第2密閉室65A、65Bにおける圧力変化に対する結像特性変化量を求める。
以下、結像特性の計測動作の一例として、投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出方法について説明する。この場合、前提条件として照明系開口絞り板4の通常絞りが選択され、照明条件として通常照明条件が設定されているものとする。ベストフォーカス位置の検出には、例えば、線幅1μm、デューティー比50%のL/Sパターンからなる計測マークPMx(又はPMy)を形成されたマスクMが用いられる。まず、不図示のローダ装置によりマスクMがマスクステージMSTにロードされる。次に、制御装置CONTは、マスクM上の計測マークPMxが投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するように、マスクステージ駆動装置MSTDを介してマスクステージMSTを移動する。次に、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークPMx部分のみに照射されるように可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、マスクMに露光光ELを照射して、前述と同様にして、基板ステージPSTをX軸方向に走査しながら、空間像計測装置70を用いて計測マークPMxの空間像計測をスリットスキャン方式により行う。この際、制御装置CONTは、基板ステージ駆動装置PSTDを介してスリット板75のZ軸方向の位置(すなわち、Zチルトステージ52の位置)を所定のステップピッチで変化させつつ、計測マークPMxの空間像計測を複数回繰り返し、各回の光強度信号(光電変換信号)を記憶装置MRYに記憶する。なお、上記のスリット板75のZ軸方向の位置の変化は、Zチルトステージ52のエンコーダ58A、58B、58Cの計測値に基づき、アクチュエータ59A、59B、59Cを制御することにより行われる。そして、制御装置CONTは、前記繰り返しにより得られた複数の光強度信号(光電変換信号)をそれぞれフーリエ変換し、それぞれの1次周波数成分と0次周波数成分との振幅比であるコントラストを求める。そして、制御装置CONTは、そのコントラストが最大となる光強度信号に対応するZチルトステージ52のZ位置(すなわち、スリット板75のZ軸方向の位置)を検出し、この位置を投影光学系PLのベストフォーカス位置として決定する。コントラストはフォーカス位置(デフォーカス量)に応じて敏感に変化するので、投影光学系PLのベストフォーカス位置を精度良く且つ容易に計測(決定)することができる。制御装置CONTは、求めたベストフォーカス位置に基づいて、フォーカス検出系45の検出原点(検出基準点)の再設定(校正)であるフォーカスキャリブレーションを行う。これにより、以後、フォーカス検出系45によって基板ステージPST上の所定面(例えば、基板P表面あるいはスリット板75表面)をマスクMの基準面と光学的に共役な位置に位置決めすることができる。
なお、2次以上の高次の実数の周波数成分の振幅は一般に小さく、電気的なノイズ、光学的なノイズに対する振幅が十分に取れない場合もあるが、S/N比(シグナル/ノイズ比)の点で問題がない場合には高次の周波数成分の振幅比の変化を観測してもベストフォーカス位置を求めることができる。なお、上述したコントラストを用いる方法に限らず、光強度信号の微分値が最大となるZ位置(フォーカス位置)を検出する手法によってもベストフォーカス位置の検出が可能である。
また、ここでは投影光学系PLのベストフォーカス位置の計測をする際に、スリット部71(スリット板75)をXY平面内の所定方向にスキャンさせる方法(スリットスキャン方式)について説明したが、孤立線マークなどの計測マークの空間像を投影光学系PLの像面上に形成し、この空間像に対してスリット部71(スリット板75)を光軸AX方向(Z軸方向)に相対走査されるように、スリット板75(Zチルトステージ52)をベストフォーカス位置を中心とする所定ストローク範囲でZ軸方向に沿って走査(スキャン)してもよい。そして、そのときの光強度信号(ピーク値)に基づいてベストフォーカス位置を求める。この場合、像面上において計測マークの空間像が、スリット部71(71x又は71y)の形状とほぼ一致するような寸法、形状となる計測マークを用いることが好ましい。このような空間像計測を行えば、図9に示すような光強度信号を得ることができる。この場合、この光強度信号の信号波形のピークの位置を直接見つけることにより、その点のZ位置をベストフォーカス位置Z0としてもよく、あるいは光強度信号を所定のスライスレベルラインSLでスライスし、光強度信号とスライスレベルラインSLとの2つの交点の中点のZ位置をベストフォーカス位置Z0としてもよい。いずれにしても、この方法では、スリット板75をZ軸方向に一回走査するだけでベストフォーカス位置を検出可能であるため、スループットを向上できる。
次に、結像特性の計測動作の一例として、投影光学系PLの像面形状(像面湾曲)の検出方法について説明する。この像面湾曲の検出に際しては、一例として図10に示すような、パターン領域PA内に前記計測マークPMxと同一寸法同一周期の計測マークPM1〜PMnを形成されたマスクM1が用いられる。マスクM1がマスクステージMSTにロードされた後、制御装置CONTは、マスクM1の中央にある計測マークPMkが投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するように、マスクステージ駆動装置MSTDを介してマスクステージMSTを移動する。すなわち、マスクM1の基準点への位置決めが行われる。この基準点への位置決めが行われた場合には、計測マークPM1〜PMnの全ては投影光学系PLの視野内に位置しているものとする。次に、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークPM1部分のみに照射されるように可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、露光光ELをマスクM1に照射して、前述と同様にしてスリットスキャン方式により空間像計測装置70を用いて計測マークPM1の空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果を記憶装置MRYに記憶する。計測マークPM1を用いたベストフォーカス位置の検出が終了すると、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークPM2部分のみに照射されるように可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、上記と同様にスリットスキャン方式で計測マークPM2の空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果を記憶装置MRYに記憶する。以後、制御装置CONTは、上記と同様に、照明領域を変更しつつ計測マークPM3〜PMnについて空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出を繰り返し行う。そして、制御装置CONTは、これらにより得られた各ベストフォーカス位置Z1、Z2、…、Znに基づいて所定の統計的処理を行うことにより、投影光学系PLの像面湾曲を算出する。
また、投影光学系PLの球面収差を検出する際には、図11に示すマスクM2が用いられる。図11に示すマスクM2のパターン領域PA内のY軸方向のほぼ中央に、X軸方向に所定距離隔てて2つの計測マークPM1、PM2が形成されている。計測マークPM1は、前述した計測マークPMxと同一寸法同一周期のL/Sパターンである。また、計測マークPM2は、計測マークPMxと同一寸法のラインパターンが異なる周期(例えば、計測マークPM1の周期(マークピッチ)の1.5〜2倍程度)でX軸方向に並んだL/Sパターンである。マスクM2をマスクステージMSTにロードした後、制御装置CONTは、マスクM2上の計測マークPM1が投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するように、マスクステージ駆動装置MSTDを介してマスクステージMSTを移動する。次に、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークPM1部分のみに照射されるように、可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、露光光ELをマスクM2に照射して、前述と同様にして、スリットスキャン方式により空間像計測装置70を用いて計測マークPM1の空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果を記憶装置MRYに記憶する。計測マークPM1を用いたベストフォーカス位置の検出が終了すると、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークPM2に照射されるように、マスクステージ駆動装置MSTDを介してマスクステージMSTを−X方向に所定距離移動する。この状態で、上記と同様に、スリットスキャン方式で計測マークPM2の空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果を記憶装置MRYに記憶する。これらより得られた各ベストフォーカス位置Z1とZ2との差に基づいて、制御装置CONTは、投影光学系PLの球面収差を演算により算出する。
また、投影光学系PLの倍率及びディストーションを検出する際には、図12に示すマスクM3が用いられる。図12に示すマスクM3のパターン領域PAの中心部及び4隅の部分に、合計5つの例えば120μm角(投影倍率1/4倍でスリット板75上で30μm角)の正方形マークからなる計測マークBM1〜BM5が形成されている。マスクM3をマスクステージMSTにロードした後、制御装置CONTは、マスクM3上の中央に存在する計測マークBM1の中心が、投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するように、マスクステージ駆動装置MSTDを介してマスクステージMSTを移動する。すなわち、マスクM3の基準点への位置決めを行う。この基準点への位置決めが行われた状態では、計測マークBM1〜BM5の全ては、投影光学系PLの視野内に位置しているものとする。次に、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークBM1を含む計測マークBM1より一回り大きい矩形領域部分のみに照射されるように可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、露光光ELをマスクM3に照射する。これにより、計測マークBM1の空間像、すなわちほぼ30μm角の正方形状のマーク像が形成される。この状態で、制御装置CONTは、基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTをX軸方向に走査しながら空間像計測装置70を用いて計測マークBM1の空間像計測を行い、その計測により得られた光強度信号を記憶装置MRYに記憶する。次に、制御装置CONTは、得られた光強度信号に基づき、例えば公知の位相検出の手法あるいはエッジ検出の手法により、計測マークBM1の結像位置を求める。ここで、位相検出の手法としては、例えば、光強度信号をフーリエ変換して得られる1次周波数成分(これは、正弦波とみなせる)とこれと同一周波数の基準となる正弦波との積の例えば1周期分の和を求めるとともに、前記1次周波数成分とこれと同一周期の基準となる余弦波との積の例えば1周期分の和を求める。そして、得られた和どうしを除算して得られた商の逆正弦(アークタンジェント)を求めることにより、1次周波数成分の基準信号に対する位相差を求め、この位相差に基づいて計測マークBM1のX位置x1を求めるという一般的な方法を用いることができる。また、エッジ検出の手法としては、光強度信号と所定のスライスレベルとの交点に基づいて各光電変換信号に対応する空間像のエッジの位置をそれぞれ算出する、スライス法を用いたエッジ検出の手法を用いることができる。次に、制御装置CONTは、基板ステージPSTをY軸方向に走査しながら空間像計測装置70を用いて計測マークBM1の空間像計測を行い、その計測により得られた光強度信号を記憶装置MRYに記憶する。そして、上記と同様の位相検出等の手法により、計測マークBM1のY位置y1を求める。そして、制御装置CONTは、得られた計測マークBM1の座標位置(x1、y1)に基づいて、マスクM3の光軸中心に対する位置ずれを補正する。上記のマスクM3の位置ずれの補正が終了すると、制御装置CONTは、露光光ELが計測マークBM2を含む計測マークBM2より一回り大きい矩形領域部分のみに照射されるように可動マスクブラインド7Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、上記と同様に、スリットスキャン方式で計測マークBM2の空間像計測及びXY位置の計測を行い、その結果を記憶装置MRYに記憶する。以後、制御装置CONTは、照明領域を変更しつつ、計測マークBM3〜BM5について空間像の計測及びXY位置の計測を繰り返し行う。これにより得られた計測マークBM2〜BM5の座標値(x2、y2)、(x3、y3)、(x4、y4)、(x5、y5)に基づいて、所定の演算を行うことにより、制御装置CONTは投影光学系PLの倍率及びディストーションの少なくとも一方を算出する。
以上、一例として投影光学系PLのベストフォーカス位置、像面湾曲、球面収差、倍率、及びディストーションを空間像計測装置70を用いて計測する手順について説明した。なお、所定の計測マークを使って、空間像計測装置70は、例えばコマ収差等の他の結像特性に関しても計測可能である。
このように、投影光学系PLの結像特性をスリットスキャン方式で計測する際には、投影光学系PLを介した光(露光光EL)に対してスリット板75(スリット部71)を相対的に移動しながら、液体LQを介して受光器90(光学素子76)に光が照射される。
制御装置CONTは、上記計測した投影光学系PLの結像特性情報に基づいて、所望の結像特性を得るための補正量、具体的には投影光学系PLの光学素子64a、64bの駆動量及び第1、第2密閉室65A、65Bの内部圧力の調整量を求める。ここで、記憶装置MRYには、例えば実験あるいはシミュレーション等によって予め求められている、投影光学系PLの光学素子64a、64bの駆動量及び第1、第2密閉室65A、65Bの内部圧力の調整量と、投影光学系PLの各種結像特性の変化量(変動量)との関係(すなわち結像特性調整情報)が記憶されている。制御装置CONTは、記憶装置MRYに記憶されている上記関係を参照し、投影光学系PLの結像特性を所望状態に補正するための、投影光学系PLの光学素子64a、64bの駆動量及び第1、第2密閉室65A、65Bの内部圧力の調整量を含む補正量を求める。なお、空間像計測の詳細は、例えば特開2002−14005号公報に開示されている。
以下、露光装置EXを用いてデバイス製造用パターンを基板Pに露光する手順について説明する。
空間像計測装置70による投影光学系PL及び液体LQを介した結像特性の計測、及び前記結像特性を補正するための補正量の導出を行った後、制御装置CONTは、投影光学系PLと基板ステージPST上にロードされた基板Pとを対向させるように基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTを駆動する。なおこのとき、マスクステージMSTにはデバイス製造用パターンが形成されたマスクMがロードされている。そして、制御装置CONTは、液体供給機構10の液体供給部11を駆動し、供給管12及び供給ノズル13を介して単位時間あたり所定量の液体LQを基板P上に供給する。また、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給に伴って液体回収機構20の液体回収部(真空系)21を駆動し、回収ノズル23及び回収管22を介して単位時間あたり所定量の液体LQを回収する。これにより、投影光学系PLの先端部の光学素子60と基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が形成される。
そして、制御装置CONTは、照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターンの像を投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに投影する。ここで、基板Pに対する露光処理を行う際には、制御装置CONTは、上記求めた補正量に基づいて、投影光学系PLの光学素子64a、64bを駆動したり、第1、第2密閉室65A、65Bの内部圧力を調整し、投影光学系PL及び液体LQを介した結像特性を調整しながら露光処理を行う。
走査露光時には、投影領域AR1にマスクMの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板ステージPSTを介して基板Pが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域に対する露光処理が順次行われる。本実施形態では、基板Pの移動方向と平行に、基板Pの移動方向と同一方向に液体LQを流すように設定されている。つまり、矢印Xa(図3参照)で示す走査方向(−X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管12、供給ノズル13A〜13C、回収管22、及び回収ノズル23A、23Bを用いて、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが−X方向に移動する際には、供給ノズル13(13A〜13C)より液体LQが投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル23(23A、23B)より基板P上の液体LQが回収され、投影光学系PLの先端部の光学素子60と基板Pとの間を満たすように−X方向に液体LQが流れる。一方、矢印Xb(図3参照)で示す走査方向(+X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管15、供給ノズル16A〜16C、回収管25、及び回収ノズル26A、26Bを用いて、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが+X方向に移動する際には、供給ノズル16(16A〜16C)より液体LQが投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル26(26A、26B)より基板P上の液体LQが回収され、投影光学系PLの先端部の光学素子60と基板Pとの間を満たすように+X方向に液体LQが流れる。この場合、例えば供給ノズル13を介して供給される液体LQは基板Pの−X方向への移動に伴って光学素子60と基板Pとの間に引き込まれるようにして流れるので、液体供給機構10(液体供給部11)の供給エネルギーが小さくても液体LQを光学素子60と基板Pとの間に容易に供給できる。そして、走査方向に応じて液体LQを流す方向を切り替えることにより、+X方向、又は−X方向のどちらの方向に基板Pを走査する場合にも、光学素子60と基板Pとの間を液体LQで満たすことができ、高い解像度及び広い焦点深度を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、空間像計測装置70による計測動作中に、液体供給機構10の液体供給及び液体回収機構20による液体回収を行って、投影光学系PLの光学素子60とスリット板75との間で液体LQが流れるようにしているが、光の照射による液体LQの温度変化や液体LQの劣化が少ない場合には、計測前に液体供給機構10で液体LQを供給し、計測動作中には、液体供給機構10による液体供給及び液体回収機構20による液体回収のいずれの動作も停止し、計測動作終了後に、液体回収機構20による液体LQの回収を行うようにしてもよい。
以下、本発明の別の実施形態について説明する。以下の説明において上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図13は空間像計測装置70の別の実施形態を示す図である。図13において、空間像計測装置70の受光器90うち、光センサ82がスリット板75に最も近い位置に配置され、その光センサ82とスリット板75との間の空間SPに液体LQが満たされている。光センサ82は保持部材85で保持されている。光センサ82の受光面82Aと保持部材85の内底面85Aとは面一となっている。このような構成によっても、光センサ82は、投影光学系PL、第1液浸領域LA1、スリット板75、及び第2液浸領域LA2を通過した光を良好に受光することができる。
図14は、空間像計測装置70の別の実施形態示す。図14に示すように、光センサ82の受光面82Aは、スリット板75の下面に密接している。すなわち図14に示す例においては、第2液浸領域LA2は形成されていない。このように、受光器90の光センサ82をスリット板75に接するように配置することで、投影光学系PLとスリット板75との間に液体LQを満たして投影光学系PLの開口数NAを実質的に向上させた場合においても、受光器90(受光素子82)は投影光学系PLを介した光を良好に受光することができる。
なお、光センサ82をスリット板75に接する構成の場合、スリット板75(ガラス板部材74)は、第1液浸領域LA1の液体LQの重みで撓まない程度に極力薄いことが好ましい。更には、受光センサ82の受光面82Aをガラス板部材74より上方に露出させる構成も可能である。一方、受光面82Aを露出させずに光センサ82の受光面82Aの上にスリット板75(ガラス板部材74)を設けることにより、平坦領域が大きくなるので、第1液浸領域LA1を良好に形成することができる。
なお、光センサ82をスリット板75の下面に接合するために接着剤を用いることができる。この場合、接着剤は、露光光に対して高い透過率を有し、スリット部(光透過部)71を通過した露光光が光センサ82の受光面82Aに入射できるような屈折率を有するものが望ましい。
また、図14の実施形態においては、スリット板75の下面に光センサ82を密接させる構成となっているが、スリット板75(ガラス板部材74)の下面に受光素子をパターンニングしてもよい。
ところで、上述したように、投影光学系PLの結像特性をスリットスキャン方式で計測する際には、投影光学系PLを介した光(露光光EL)に対してスリット板75(スリット部71)を相対的に移動しながら、液体LQを介して受光器90(光学素子76)に光が照射される。この場合、スリット板75の移動によって、受光器90による受光動作中に、投影光学系PLとスリット板75との間の第1液浸領域LA1の液体LQを介して投影光学系PL(先端部の光学素子60)を振動させてしまったり、あるいはその液体LQの力によってスリット板75が撓んだり変動して空間像計測精度を低下させる不都合が生じる可能性がある。
そこで、図15に示すように、スリット板75の所定位置に貫通穴120を設けることにより、投影光学系PLに対してスリット板75が移動しても、投影光学系PLとスリット板75との間の第1液浸領域LA1の液体LQは、貫通穴120を介して空間SPに逃げることができるので、スリット板75が移動しても、投影光学系PLとスリット板75との間の第1液浸領域LA1の液体LQの圧力と、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間の第2液浸領域LA2の液体LQの圧力との差が生じず、スリット板75が撓む等の不都合は生じない。スリット板75が移動したとき、第1液浸領域LA1の液体LQは横方向(スリット板75の面方向)にも移動するが、貫通穴120を設けて上下方向にも移動可能とすることにより、スリット板75が撓む等の不都合の発生をより一層防止することができる。また、貫通穴120を介して液体LQが第1液浸領域LA1と第2液浸領域LA2との間を移動可能であるので、投影光学系PLとスリット板75との間の第1液浸領域LA1の液体LQの大きな圧力変動も生じないため、そのスリット板75の移動に伴う液体LQの圧力変動によって投影光学系PLを変動(振動)させる不都合の発生を防止することができる。
図16は、図15のスリット板75の平面図である。図16に示すように、貫通穴120は複数、本実施形態では4つ設けられている。これら複数(4つ)の貫通穴120は、スリット板75のスリット部71を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。貫通穴120は、投影光学系PLとスリット板75との間に満たされた液体LQの第1液浸領域LA1の内側に設けられている。これにより、スリット板75が移動した際にも第1液浸領域LA1の液体LQは貫通穴120を介して空間SPに逃げることができる。そして、貫通穴120は、スリット板75の略中央部に設けられたスリット部71を挟んで対向するように形成され、スリット板75の中心に対して点対称な位置にそれぞれ形成された構成となっているため、スリット板75の面精度を維持することができる。
なお、貫通穴120は4つに限らず任意の複数設けられてもよいし、1つであってもよい。また、図16に示すように本実施形態では、貫通穴120はスリット部71を囲むように等間隔に設けられているが不等間隔であってもよい。また、スリット部71(の中心)と複数の貫通穴120のそれぞれとの距離は同じであっても異なっていてもよい。
ところで、スリット板75に貫通穴120を設けた場合において、第2液浸領域LA2を形成するために空間SPに液体LQを満たす場合、図6等を参照して説明した液体供給装置100及び液体回収装置104を使う構成の他に、液体供給機構10を使って、貫通穴120を介して、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間の空間SPに液体LQを供給するようにしてもよい。また、液体回収機構20を使って、貫通穴120を介して、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間の空間SPの液体LQを回収するようにしてもよい。すなわち、露光処理時に投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQを供給可能な液体供給機構10及び投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQを回収可能な液体回収機構20を使って、スリット板75と受光器90(光学素子76)との間の第2液浸領域LA2を形成するようにしてもよい。
液体供給機構10を使って第2液浸領域LA2を形成する際、図17(a)に示すように、液体供給機構10は供給ノズル13から貫通穴120を介して空間SPに液体LQを供給する。また、スリット板75上の液体LQ(空間SPから貫通穴120を介して溢れ出た液体LQも含む)は、液体回収機構20の回収ノズル23から回収される。こうして、図17(b)に示すように、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、第1液浸領域LA1及び第2液浸領域LA2のそれぞれが形成される。
受光器90が投影光学系PLを介した光(露光光EL)を液体LQ及びスリット板75を介して受光した後、液体回収機構20はスリット板75上の第1液浸領域LA1の液体LQを回収する。その後、露光処理のために基板ステージPSTが移動し、投影光学系PLと基板Pとを対向させるが、このとき、図17(c)に示すように、スリット板75は投影光学系PLの下から退避される。そして、投影光学系PLの下から退避されたスリット板75の貫通穴120には蓋部材122が被せられる。本実施形態において、蓋部材122はスリット板75全体を覆うことで、貫通穴120を閉じる。なおこの蓋部材122は、蓋機構を構成するアーム122Aによってスリット板75上に被せられる。そして、蓋部材122で貫通穴120を閉じた状態で、基板Pに対する露光処理が行われる。基板Pに対する露光処理中においては基板ステージPSTが移動するが、その基板ステージPSTの移動に伴って、空間SPの液体LQが貫通穴120を介して外部に漏洩(飛散)する可能性がある。そこで、少なくとも基板Pに対する露光処理中には、蓋部材122で貫通穴120を塞ぐことにより、空間SPの液体LQが貫通穴120を介して外部に漏洩する不都合を防止することができる。また、空間SPの液体LQが気化して露光装置EXのおかれている環境を変化させる不都合も防止できる。なお、受光器90を使って液体LQを介して光を検出する際には、アーム122Aが蓋部材122をスリット板122上から取り外した後、図17(a)、(b)に示したように、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って第1、第2液浸領域LA1、LA2が形成される。なお、蓋機構としては上記説明した形態に限られず、例えばスリット板75あるいは凸部83の所定位置にヒンジ部を介して蓋部材を取り付け、アクチュエータを使って、受光器90による計測処理中には蓋部材を開け、基板Pに対する露光処理中には蓋部材を閉じるといった構成も可能である。
スリット板75と受光器90との間の空間SP内部と外部とを連通する穴部としては、スリット板75に設けられた貫通穴120の他に、図18に示すように、第1液浸領域LA1の外側に設けられた第2貫通穴も含まれる。図18は第2貫通穴130を設けた例を示す断面図、図19は平面図である。図18及び図19において、Zチルトステージ52の上面であって凸部83の周囲には、この凸部83を囲むように周壁部132が設けられている。また、周壁部132の上部には蓋部材134が設けられており、凸部83、周壁部132、及び蓋部材134によって、バッファ空間部136が形成されている。そして、凸部83及び保持部材85の壁部の所定位置には、空間SPとバッファ空間部136とを接続する第2貫通穴130が形成されている。本実施形態において、第2貫通穴130は図19に示すように、空間SPの周囲に所定間隔で複数(ここでは8つ)設けられている。なお、第2貫通穴130の数及び配置は任意に設定可能である。第2貫通穴130を設けたことにより、スリット板75が移動して第1液浸領域AR1の体積が変化しても、第1液浸領域LA1に貫通穴120を介して接続する第2液浸領域LA2の液体LQは、第2貫通穴130を介してバッファ空間部130に逃げることができる。したがって、第1液浸領域LA1の圧力変動等といった不都合をより一層防止することができる。
図18及び19に示した実施形態の変形例として、図20に示すように、第2貫通穴130をスリット板75に設けてもよい。第2貫通穴130は第1液浸領域LA1の外側に設けられている。図21は図20のスリット板75の平面図である。図21に示すように、第2貫通穴130は複数、本実施形態では8つ設けられている。そして、これら複数(8つ)の第2貫通穴130は、スリット板75のスリット部71を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。これにより、スリット板75が移動した際に第1液浸領域LA1の液体LQが貫通穴120を介して空間SPに逃げたとき、その空間SPの液体LQは第2貫通穴130を介して外部に逃げることができる。
スリット部75に形成された第2貫通穴130から液体LQが溢れ出たとき、その液体LQはスリット板75(凸部83)の外側に流出するが、Zチルトステージ52上においてスリット板75が設けられた凸部83の周囲には、第2貫通穴130から流出した液体LQを回収する回収機構140が設けられている。回収機構140は、Zチルトステージ52上において凸部83の周囲に設けられた溝部141と、溝部141に配置され液体LQを保持可能な多孔質セラミックスやスポンジ状部材からなる多孔質部材142と、溝部141に流路143を介して接続された液体収容部であるタンク144と、タンク144に流路146を介して接続された真空ポンプ等からなる真空系145とを備えている。また、流路146にはこの流路146を開閉するバルブ146Aが設けられており、タンク144には排出流路144Aが接続されている。第2貫通穴130から凸部83の周囲に流出した液体LQは、溝部141に配置されている多孔質部材142に保持される。回収機構140は、バルブ146Aを作動して流路146を開放した状態で真空系145を駆動することにより、溝部141(多孔質部材142)の液体LQをその周囲の気体とともに吸い込むようにして回収する。回収された液体LQはタンク144に集められる。タンク144に液体LQが溜まったとき、排出流路144Aより排出される。このとき液体LQはタンク144の下方に集められるため、真空系145には液体LQは流入しない。つまり、タンク144で、溝部141から回収された液体LQとその周囲の気体とが気液分離される。回収機構140を設けたことにより、Zチルトステージ52上に第2貫通穴130や第1液浸領域LA1から流出した液体LQが残存する不都合を防止できる。
なお、貫通穴120(あるいは第2貫通穴130)に、その貫通穴120の大きさを変える可変機構を設けてもよい。例えば、空間像計測中には、貫通穴120(あるいは第2貫通穴130)を大きくすることにより、貫通穴120を通過する際の液体LQの粘性抵抗を低下することができ、液体LQは円滑に移動できる。また、貫通穴120を大きくすることで、図17を参照して説明したように、貫通穴120を介して空間SPに液体LQを注入しやすくなる。そして、空間像計測以外の時(具体的には露光動作時)においては、可変機構で貫通穴120(あるいは第2貫通穴130)を小さくしたりあるいは塞ぐことにより、空間SPの液体LQが気化して露光装置EXのおかれている環境を変化させたり、あるいは基板ステージPSTの移動に伴って液体LQが空間SPから外部に流出する不都合の発生を防止できる。
ところで、上記各実施形態では、スリット板75上の一部の領域に局所的に第1液浸領域LA1を形成する構成であるが、図22に示すように、スリット板75全体を液体LQに浸けるようにしてもよい。図22において、Zチルトステージ52上には桶部材150が設けられており、スリット板75は、桶部材150の底部150B上に取り付けられた支持部材151で支持されている。また、スリット板75の下方(光路下流側)には保持部材85に保持された光学素子76が配置されている。保持部材85も桶部材150の底部150Bに取り付けられている。支持部材151には、スリット板75と光学素子76との間の空間SP内部と外部とを連通する第2貫通穴130が設けられている。桶部材150の開口部150A上端は、スリット板75、液体供給ノズル13の供給口13A、及び液体回収ノズル23の回収口23Aより高い位置にある。
第1液浸領域LA1及び第2液浸領域LA2を形成する際には、投影光学系PLと桶部材150内部のスリット板75とを対向させた後、液体供給機構10が駆動され、供給ノズル13から桶部材150内部に液体LQが供給される。桶部材150内部に供給された液体LQは、投影光学系PLの先端部の光学素子60とスリット板75との間に満たされて第1液浸領域LA1を形成するとともに、貫通穴120や第2貫通穴130を介してスリット板75と光学素子76との間の空間SPに満たされて第2液浸領域LA2を形成する。また、これと並行して、液体回収機構20を駆動し回収ノズル23から桶部材150内部の液体LQを回収することにより、桶部材150内部には所定量の液体LQが満たされることになる。
上記各実施形態では、光学部材(スリット板)75及び受光器90を、投影光学系PLの結像特性を計測する空間像計測装置70に適用した例について説明したが、図23に示すように、基板ステージPST上には、空間像計測装置70の他に、投影光学系PLを介した光照射量情報を計測する例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)160や、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ170等も設けられている。これら照射量センサ160や照度ムラセンサ170に対しても本発明を適用可能である。
図24は、照射量センサ160の模式図である。照射量センサ160は、投影光学系PLの像面側に照射される露光光の照射量(照度)を計測するものであって、Zチルトステージ52上に設けられた上板163と、その上板163を通過した光を受光する光センサ164とを備えている。上板163は、ガラス板部材162と、そのガラス板部材162の上面に設けられた光透過量調整膜161とを備えている。光透過量調整膜161は例えばクロム膜によって構成されており、所定の光透過率を有し、ガラス板部材162の上面全域に設けられている。光透過量調整膜161を設けて光センサ164に入射する光量を減光することにより、過剰な光量の光が照射されることに起因する光センサ164に対するダメージや飽和といった不都合を防止している。なお照射量センサ160では、例えばマスクMが交換されたとき等の所定のタイミングで計測動作が行われる。
そして、照射量センサ160で投影光学系PLを通過した露光光ELの照射量を計測する際には、上述した実施形態同様、投影光学系PLと上板163とを対向した状態で投影光学系PLと上板163との間に液体LQを供給して第1液浸領域LA1を形成するとともに、上板163と光センサ164との間に液体LQを供給して第2液浸領域LA2を形成し、投影光学系PLと第1液浸領域LA1の液体LQとを介して上板163に露光光ELを照射する。なお、上板163と光センサ164との間に光学系(光学素子)を配置してもよく、その場合、第2液浸領域LA2は上板163とその上板163に最も近い位置に配置された光学素子との間に形成される。また、上板163に光センサ164を密接してもよい。
図25は、照度ムラセンサ170の模式図である。照度ムラセンサ170は、投影光学系PLを介して像面側に照射される露光光の照度(強度)を複数の位置で計測して、投影光学系PLの像面側に照射される露光光の照度ムラ(照度分布)を計測するものであって、Zチルトステージ52上に設けられた上板174と、その上板174に設けられたビンホール部171を通過した光を受光する光センサ175とを備えている。上板174は、ガラス板部材173の表面にクロムなどの遮光性材料を含む薄膜172を設け、その薄膜172をパターニングしてその中央部にピンホール部171を設けたものである。
照度ムラセンサ170で照度分布の計測を行う場合、投影光学系PLと照度ムラセンサ170の上板174とを対向させた状態で、その投影光学系PLと上板174との間を液体LQで満たすとともに、上板174と光センサ175との間も液体LQで満たす。そして、露光光ELが照射される照射領域(投影領域)内の複数の位置で順次ピンホール部171を移動させる。なお、上板174と光センサ175との間に光学系(光学素子)を配置してもよく、その場合、第2液浸領域LA2は上板174とその上板174に最も近い位置に配置された光学素子との間に形成される。また、上板174と光センサ175とを密接してもよい。
更に本発明は、例えば特開平11−238680号公報や特開2000−97616号公報に開示されている、基板ステージPST(Zステージ51)に対して脱着可能なセンサにも適用できる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子60が取り付けられているが、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、この場合、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いればよい。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
上記各実施形態において、上述したノズルの形状は特に限定されるものでなく、例えば投影領域AR1の長辺について2対のノズルで液体LQの供給又は回収を行うようにしてもよい。なお、この場合には、+X方向、又は−X方向のどちらの方向からも液体LQの供給及び回収を行うことができるようにするため、供給ノズルと回収ノズルと上下に並べて配置してもよい。
すなわち、投影光学系PLの光学素子60と基板Pとの間を十分な液体LQで満たし続けることができる各種の形態を採用することができる。また、基板Pの移動方向に応じて液体LQの供給位置や回収位置を必ずしも変更する必要はなく、所定の位置から液体LQの供給及び回収を継続してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間を局所的に液体で満たす露光装置を採用しているが、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの光学素子60の射出側の光路空間を液体LQで満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系の光学素子60入射側の光路空間も液体LQで満たすようにしてもよい。この場合、投影光学系PLが1.0以上の大きな開口数を有していても、光学素子60として無屈折力の平行平板や屈折力の非常に小さいレンズを採用することができる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報等に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を別々に載置してXY方向に独立に移動可能な2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、上述の各実施形態で説明した複数のセンサ(計測装置)のうちの少なくとも一部を計測ステージに搭載することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスク等を製造するための露光装置等にも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、それらのステージを定盤に対して浮上させる方式としてエアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらかを用いるのが好ましい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USS/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は、温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図26に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。