JP2007005571A - 露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

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泰弘 大村
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勝志 中野
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Abstract

【課題】液体を含む光学系の光学特性の劣化を抑制し高精度な露光を実現する。
【解決手段】主制御装置50が、照明光ILの照射状況に応じて複数のペルチェ素子への電流供給を制御し、液体Lq2の少なくとも一部の温度を調整(管理)するので、照射状況が変わっても液体Lq2の温度を所望の状態に維持することができる。これにより、液体Lq2の温度が変動することによる液体を含む光学系の光学特性の劣化を抑制することが可能であり、高精度な露光を行うことが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は露光装置及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、物体を露光する露光装置及び該露光装置を用いるリソグラフィ工程を含むデバイス製造方法に関する。
従来より、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスク(又はレチクル)のパターンの像を投影光学系を介して、レジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の感光性の物体(以下、「ウエハ」と呼ぶ)上の複数のショット領域の各々に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
また、最近、実質的に露光波長を短くして、かつ空気中に比べて焦点深度を大きく(広く)する方法として、液浸法を利用した露光装置が、注目されるようになってきた。この液浸法を利用した露光装置として、投影光学系の下端面、すなわちウエハに対向する投影光学系の終端に位置する光学部材の下面とウエハ表面との間の空間を水又は有機溶媒等の液体で局所的に満たした状態で露光を行うものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
また、液浸法を利用した露光装置として、終端の光学部材を平行平板とし、該平行平板の下面側の空間を液体で満たすとともに、平行平板の上面側の空間も液体で満たす技術が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
このような液浸露光装置では、露光を行うことにより、液体の温度は、照明光の照射により変動する。また、照明光の光路はレチクルや照明系の照明条件等の種々の条件に応じて変更される。したがって、レチクルや照明条件等の変更により液体の温度分布は変化するため、例えば液体全体を常時交換するなどして温度変動を抑制しようとしても、適切な温度管理を行えず、液体を含む光学系の光学特性を適切な状態に維持することができないおそれがある。
国際公開第99/49504号パンフレット 国際公開第2004/019128号パンフレット
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、液体を含む光学系を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、前記液体の少なくとも一部の温度を管理する管理装置を備え、前記管理装置は、前記エネルギビームの照射状況に応じて、前記液体の少なくとも一部の温度を管理することを特徴とする露光装置である。
これによれば、管理装置が、エネルギビームの照射状況に応じて液体の少なくとも一部の温度を管理するので、照射状況が変更した場合でも適切な液体の温度管理をすることができる。これにより、液体を含む光学系の光学特性の変動を効果的に抑制できるので、高精度な露光を実現することが可能である。
また、リソグラフィ工程において、本発明の露光装置を用いて基板上にデバイスパターンを転写することにより、高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することが可能である。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の露光装置を用いるデバイス製造方法であるとも言える。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1には、本第1の実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャナである。
露光装置100は、光源16及び照明光学系12を含む照明系、該照明系から射出される露光用のエネルギビームとしての露光用照明光ILにより照明されるレチクルRを保持して所定の走査方向(ここでは、図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に移動するレチクルステージRST、レチクルRのパターンを物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持して水平面(XY平面内)を移動するウエハステージWSTを含むステージ装置150及び液浸機構、並びにこれらを制御する制御系等を備えている。
光源16としては、一例として波長200nm〜170nmの真空紫外域の光を発するパルス光源であるArFエキシマレーザ(出力波長193nm)が用いられている。
前記照明光学系12は、所定の位置関係で配置された、ビーム整形光学系18、エネルギ粗調器20、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)22、照明系開口絞り板24、ビームスプリッタ26、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を含む。なお、オプティカル・インテグレータ22としては、フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、又は回折光学素子などが用いられるが、図1ではフライアイレンズを用いているので、以下では「フライアイレンズ」とも呼ぶ。
前記エネルギ粗調器20は、ビーム整形光学系18後方のレーザビームLBの光路上に配置され、回転板(レボルバ)34の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図1ではそのうちの2個のNDフィルタが示されている)を配置し、その回転板34を駆動モータ38で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ38は、主制御装置50によって制御される。なお、エネルギ粗調器20を、複数個のNDフィルタを備えた2段のレボルバ、又は透過率の異なる複数のメッシュフィルタ等を備えた1段若しくは複数段のフィルタ交換部材より構成しても良い。
エネルギ粗調器20の後方では、円板状部材から成る照明系開口絞り板24がフライアイレンズ22を介して配置されている。この照明系開口絞り板24には、等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図1ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。
前記照明系開口絞り板24後方の照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド(固定視野絞り)30A及び可動レチクルブラインド(可動視野絞り)30Bを介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bを含むリレー光学系が配置されている。
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍に可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド30Bを用いて照明領域IARを更に制限することによって、不要な露光が防止されるようになっている。
第2リレーレンズ28B後方の照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過した照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーMの後方の照明光ILの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
一方、ビームスプリッタ26の一方の面(表面)で反射された照明光ILは、集光レンズ44を介して光電変換素子より成るインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のホールド回路及びA/D変換器などを介して出力DS(digit/pulse)として主制御装置50に供給される。インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域や真空紫外域で感度があり、且つ光源16からのパルス光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。
また、ビームスプリッタ26の他方の面(裏面)で反射した光を受光するために、照明光学系12の瞳面と共役な位置に光電変換素子よりなる反射量モニタ47が配置されている。本実施形態では、ウエハWで反射された照明光IL(反射光)は、投影光学系PL、コンデンサレンズ32、ミラーM、リレー光学系を介してビームスプリッタ26に戻り、ビームスプリッタ26で反射された光が反射量モニタ47で受光され、反射量モニタ47の検出信号が主制御装置50に供給されるようになっている。反射量モニタ47は、後述する光学系の照明光吸収による結像特性(諸収差)の変動、いわゆる照射変動を算出するための基礎となるウエハ反射率の測定に用いられる。
従って、インテグレータセンサ46の出力信号よりレチクルRを介して投影光学系PL及び該投影光学系PLとウエハWとの間に満たされた液体Lq1を通過する照明光ILの光量(第1光量とする)がモニタされ、反射量モニタ47の検出信号よりウエハWで反射されて液体Lq1及び投影光学系PLを再び通過する反射光の光量(第2光量とする)がモニタできるため、その第1光量と第2光量とに基づいて、投影光学系PLに入射する光の全光量がそれぞれ正確にモニタできるようになっている。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLを構成する最も像面に近い光学素子とこれに隣接する光学素子との間の空間にも液体Lq2(図3参照)が満たされるようになっているが、ここでは、液体Lq2は、投影光学系PLを構成する光学素子の一部であるとみなしている。なお、本実施形態においては、第1光量と第2光量とから液体Lq2に入射する光の全光量もモニタすることができる。
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を使って吸着保持されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ方式のレチクルステージ駆動系48によって、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査される。レチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRSTの鏡面加工された側面(反射面)を使って外部のレチクルレーザ干渉計53によって計測され、このレチクルレーザ干渉計53の計測値が主制御装置50に供給される。
本実施形態では、前記投影ユニットPUは、図1に示されるようにレチクルステージRSTの下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒140と、該鏡筒140内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。また、本実施形態では、前記投影光学系PLとしては、反射屈折系(カタディ・オプトリック系)が用いられている。
本実施形態の露光装置100では、後述するように液浸法を適用した露光が行われるため、開口数NAが実質的に増大することに伴いレチクル側の開口が大きくなる。このため、レンズのみで構成する屈折光学系においては、ペッツヴァルの条件を満足することが困難となり、投影光学系が大型化する傾向にある。かかる投影光学系の大型化を避けるために、投影光学系PLとして反射屈折系を採用したものである。
図2には、投影光学系PLの構成例が、レチクルR(レチクルステージRST)及びウエハW(ウエハステージWST)とともに示されている。この投影光学系PLは、前述の鏡筒140の内部に、所定の位置関係で配置された3つの結像光学系G1、G2、G3等を含み、全体として縮小光学系(投影倍率は、例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍)である。
投影光学系PLは、レチクルRに形成されたパターンの一次像を形成する屈折型の第1結像光学系G1と、当該一次像を再結像して二次像を形成する反射屈折型の第2結像光学系G2と、当該二次像をウエハ上に再結像して最終像を形成する第3結像光学系G3とを備える。第1結像光学系G1と第2結像光学系G2との間の光路中及び第2結像光学系G2と第3結像光学系G3との間の光路中には、光路折曲げ鏡FMが配置される。第1結像光学系G1の光軸AX1と第3結像光学系G3の光軸AX3とは共軸であり、これらの光軸AX1,AX3と第2結像光学系G2の光軸AX2とは一点で交差する。この交差点には、光路折曲げ鏡FMが有する2つの反射面の仮想的な頂点(稜線)が位置する。
この投影光学系PLでは、第2結像光学系G2の一部を構成する凹面反射鏡M1が正の屈折力を持ちつつペッツヴァル和への寄与は負レンズと同様であるため、凹面反射鏡M1と正レンズとの組み合わせによりペッツヴァル和の補正が容易に可能であり、像面湾曲を良好に補正できる。これにより、大きな像側開口数NAであっても、有効結像領域(実効露光領域)の全体に亘って球面収差やコマ収差を良好に補正できる。そして、第2結像光学系G2中には1以上の負レンズが配置されており、これらの負レンズと凹面反射鏡M1との協働によって、第1結像光学系G1および第3結像光学系G3で生じる色収差を補償している。
この投影光学系PLのような反射屈折系を用いる場合には、凹面反射鏡M1に向かって進む光と凹面反射鏡M1で反射されて戻る光とを如何に分離するかが課題になる。本実施形態の投影光学系PLは、図4に示されるように光軸AX(すなわち光軸AX1,AX3)に対して−Y側に距離Aだけ偏心した実効露光領域(有効結像領域)IAを有しており、光路中に2つの中間像を形成している。そして、2つの中間像の近傍に光路分離用の平面反射鏡、すなわち光路折曲げ鏡FMの2つの反射面を配置して、凹面反射鏡M1に向かって進む光と凹面反射鏡M1で反射されて戻る光とを容易に分離している。この構成により、露光領域(すなわち実効露光領域)IAの光軸AXからの距離Aすなわち軸外し量を小さく設定できる。これは、収差補正の点で有利となるだけでなく、投影光学系PLの小型化、光学調整、機械設計、製造コストなどの点でも有利となる。そして、2つの中間像を光路折曲げ鏡FMよりも凹面反射鏡M1側に形成することにより、さらに軸はずし量を小さく設定できる。
また、レチクルR上では、上記の実効露光領域IAの偏心に対応して、光軸AXから−Y方向に軸外し量Aに対応する所定距離だけ離れた位置に形成され、実効露光領域IAに対応した大きさおよび形状を有する矩形状の照明領域(すなわち実効照明領域)IARが形成される(図2参照)。
投影光学系PLの複数の光学素子のうち、終端光学素子191を除く、最もウエハに近い位置に配置された光学素子である境界レンズ192(以下、適宜、「光学素子192」とも記述する)は、レチクル側に凸面を有する。換言すれば、境界レンズ192のレチクル側の面は、正の屈折力を有する。そして、境界レンズ192とウエハWとの間の光路中には、平行平面板から成る終端光学素子191が配置されている。さらに、境界レンズ192と終端光学素子191との間の光路および終端光学素子191とウエハWとの間の光路は、1.1よりも大きい屈折率を有する液体で満たされている。本実施形態では、いずれの光路もArFエキシマレーザ光すなわち波長193nmの照明光ILに対する屈折率が1.44の純水で満たされている。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
本実施形態では、投影光学系PLの複数のレンズのうちの特定の複数のレンズ、例えば第1結像光学系G1に含まれる複数のレンズのうちの例えば5枚のレンズ(以下、「可動レンズ」と呼ぶ)は、主制御装置50からの指令に基づいて、図1に示される結像特性補正コントローラ52によって駆動され、投影光学系PLを含む光学系の光学特性(結像特性を含む)、例えば倍率、ディストーション、コマ収差、及び像面湾曲(像面傾斜を含む)などを調整できるようになっている。
前記ステージ装置150は、図1に示されるように、不図示のベース盤と、該ベース盤の上方に非接触で支持されたウエハステージWST及び計測ステージMSTと、これらのステージWST、MSTの位置を計測する干渉計システム56(図5参照)と、リニアモータ等を使ってステージWST、MSTを駆動するステージ駆動系124(図5参照)と、を備えている。
ステージWST、MSTのそれぞれは、ステージ駆動系124(図5参照)によって、XY面内で互いに独立して駆動(θz回転を含む)され、ウエハステージWST、及び計測ステージMSTのステージ移動面(XY平面)内の位置、及び各座標軸回りの回転位置は、干渉計システム56により検出される。干渉計システム56の計測値は、主制御装置50に送られ、主制御装置50は、干渉計システム56の計測値に基づいてステージ駆動系124を介してウエハステージWST、及び計測ステージMSTの位置(及び速度)を制御する(図5参照)。
前記ウエハステージWST上には、不図示の真空吸着機構などを使ってウエハWが保持されている。
前記計測ステージMSTには、不図示ではあるが、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、特開平5−21314号公報(対応する米国特許第5,243,195号)などに開示される複数の基準マークが形成された基準マーク板や投影光学系PLを介して照明光ILを受光するセンサなどが含まれている。センサとしては、例えば特開平6−291016号公報(対応する米国特許第5,721,608号)などに開示される投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタや、特開昭57−117238号公報(対応する米国特許第4,465,368号)などに開示される投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光するピンホール状の受光部を有する照度むらセンサ、特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)などに開示される投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)の光強度を計測する空間像計測器、及び国際公開第99/60361号パンフレット(対応する欧州特許第1,079,223号明細書)などに開示される波面収差計測器127などを採用することができる。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと液体とを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、上記の照度モニタ、照度むらセンサ、空間像計測器、波面収差計測器では、投影光学系PL及び液体を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系などの一部だけが計測ステージMSTに搭載されていても良いし、センサ全体を計測ステージMSTに配置するようにしても良い。
前記投影ユニットPUの近傍(例えば+Y側)には、ウエハW上のアライメントマークなどの検出対象マークを光学的に検出するオフアクシス・アライメント系(以下、「アライメント系」と略述する)ALG(図1では不図示、図5参照)が設けられている。なお、アライメント系ALGとしては、各種方式のセンサを用いることができるが、本実施形態においては、画像処理方式のセンサが用いられている。なお、画像処理方式のセンサは、例えば特開平4−65603号公報に開示されており、ここでは詳細説明を省略する。アライメント系ALGからの撮像信号は、主制御装置50に供給される(図5参照)。
また、図1では不図示であるが、レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してレチクルR上の一対のレチクルアライメントマークとこれらに対応する前述の計測ステージMST上の基準マーク板に設けられた一対の基準マークとの位置関係を露光波長の光を用いて検出する一対のTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系RAa,RAb(図5参照)がX軸方向に所定距離隔てて設けられている。レチクルアライメント検出系RAa,RAbとしては、例えば特開平7−176468号公報(対応する米国特許第5,646,413号)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。
図1に戻り、前記液浸機構は、第1液体供給ユニット68、第2液体供給ユニット72、第1液体回収ユニット69、第2液体回収ユニット73及びノズル部材70、並びにこれら各部に接続された配管系等を備えている。
前記ノズル部材70は、ウエハW(ウエハステージWST)の上方において鏡筒140の下端部の周りを囲むように設けられた環状部材である。このノズル部材70は、投影ユニットPUを防振装置(不図示)を介して保持する不図示のメインコラムに不図示の支持部材を介して支持されている。
前記第1液体供給ユニット68は、供給管66を介してノズル部材70に接続されている。この第1液体供給ユニット68は、供給管66を介して液体Lq1を投影光学系PLの最も像面に近い終端光学素子191(図3参照)とウエハW(ウエハステージWST)との間の第1空間K1(図3参照)に供給するためのものである。この第1液体供給ユニット68は、液体Lq1を収容するタンク、供給する液体Lq1の温度を調整する温度調整装置、液体Lq1中の異物を除去するフィルタ装置、及び加圧ポンプ、並びに供給する液体Lq1の流量を制御する流量制御弁等を含む。この第1液体供給ユニット68は、主制御装置50に制御されるようなっており、ウエハW上に液浸領域AR(図3参照)を形成する際、液体Lq1をウエハW上に供給する。なお、露光装置100の第1液体供給ユニット68に、タンク、温度調整装置、フィルタ装置、加圧ポンプのすべてを設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代用しても良い。
前記第1液体回収ユニット69は、回収管67を介してノズル部材70に接続されている。この第1液体回収ユニット69は、上記第1空間K1に供給された液体Lq1を回収するためのものである。この第1液体回収ユニット69は、例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体Lq1と気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体Lq1を収容するタンク、回収される液体の流量を制御するための流量制御弁等を含んで構成されている。なお、露光装置100に真空系、気液分離器、タンク、流量制御弁の全てを設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置100が配置される工場の設備で代用しても良い。第1液体回収ユニット69は、主制御装置50に制御されるようなっており、ウエハW上に液浸領域ARを形成するために、第1液体供給ユニット68より供給されたウエハW上の液体Lq1を所定量回収する。
前記第2液体供給ユニット72は、供給管74を介してノズル部材70より僅かに上方の位置で鏡筒140の+Y側の側面に接続されている。この第2液体供給ユニット72は、液体Lq2を投影光学系PLの終端光学素子191の上面側に形成された第2空間K2(図3参照)に供給するためのものである。この第2液体供給ユニット72は、液体Lq2を収容するタンク、供給する液体Lq2の温度を調整する温度調整装置、液体Lq2中の異物を除去するフィルタ装置、及び加圧ポンプ等を備えている。なお、露光装置100の第2液体供給ユニット72に、タンク、温度調整装置、フィルタ装置、加圧ポンプのすべてを設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代用してもよい。
前記第2液体回収ユニット73は、回収管75を介してノズル部材70より僅かに上方の位置で鏡筒140の−Y側の側面に接続されている。この第2液体回収ユニット73は、上記第2空間K2に供給された液体Lq2を回収するためのものである。この第2液体回収ユニットは、例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体Lq2と気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体Lq2を収容するタンク等を備えている。なお、露光装置100に真空系、気液分離器、タンクの全てを設けずに、露光装置100が配置される工場などの設備を代用しても良い。
図3には、投影光学系PLの像面側及びノズル部材70近傍の断面図が示され、図4にはノズル部材70を下から見た図が示されている。ここで、これら図3及び図4に基づいて、ノズル部材70近傍の構成等について説明する。
図3及び図4において、終端光学素子191及びその上方に配置された境界レンズ192は、鏡筒140に支持されている。終端光学素子191は平行平面板であって、該終端光学素子191の下面191aは鏡筒140の下面140aとほぼ面一となっている。鏡筒140に支持された終端光学素子191の上面191b及び下面191aはXY平面とほぼ平行となっている。また、終端光学素子(平行平面板)191はほぼ水平に支持されており、無屈折力である。また、鏡筒140と終端光学素子191とのギャップはシールされている。すなわち、終端光学素子191の下側の第1空間K1と終端光学素子191の上側の第2空間K2とは互いに独立した空間であり、第1空間K1と第2空間K2との間での液体の流通が阻止されている。上述したように、第1空間K1は、終端光学素子191とウエハW(又はウエハステージWST)との間の空間であって、その第1空間K1の液体Lq1で液浸領域ARが形成される。一方、第2空間K2は、鏡筒140の内部空間の一部であって、終端光学素子191の上面191bとその上方に配置された境界レンズ192の下面192aとの間の空間である。
なお、図3においては、終端光学素子191の上面191bの面積は、その上面191bと対向する境界レンズ192の下面192aの面積とほぼ同一、もしくは下面192aの面積よりも小さく、第2空間K2を液体Lq2で満たした場合、終端光学素子191の上面191bのほぼ全面が液体Lq2で覆われる。しかしながら、終端光学素子191の上面191bの面積を、境界レンズ192の下面192aの面積よりも大きくしてもよい。この場合、終端光学素子191の上面191bの一部のみを液浸Lq2で覆うようにしても良い。
また、終端光学素子191は、鏡筒140に対して容易に取り付け・取り外しが可能となっている。すなわち、終端光学素子191が交換可能な構成が採用されている。
ノズル部材70は、図3に示されるように、ウエハW(ウエハステージWST)の上方で鏡筒140の下端部を囲むように配置されている。このノズル部材70は、その中央部に投影ユニットPU(鏡筒140)の下端部を所定の隙間を介して配置可能な穴部70hを有している。本実施形態では、投影光学系PLの投影領域、すなわち実効露光領域IAは、図4に示されるように、X軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状に設定されている。
ウエハWに対向するノズル部材70の下面70aには、その中央部にX軸方向を長手方向とする凹部78が形成されている。この凹部78の内部底面78aの中央部に前述の穴部70hの開口端が形成されている。凹部78の内部底面78aは、XY平面と略平行であり、ウエハステージWSTに支持されたウエハWと対向するキャビティ面とされている。また、凹部78の側壁内面78bは、XY平面に対してほぼ直交するように設けられている。
ノズル部材70の下面70aに形成された凹部78の側壁内面78bには、投影光学系PLの終端光学素子191(投影領域IA)を挟んでY軸方向の一側と他側に第1供給口80a、80bがそれぞれ形成されている。第1供給口80a,80bは、ノズル部材70の内部に形成された第1供給流路82の一端部にそれぞれ接続されている。この第1供給流路82は、複数(2つ)の第1供給口80a,80bのそれぞれにその他端部を接続可能なように途中から分岐している。また、前記第1供給流路82の他端部は、前述の供給管66の一端に接続されている。
第1液体供給ユニット68の液体供給動作は主制御装置50により制御される。液浸領域ARを形成するために、主制御装置50は、第1液体供給ユニット68より液体Lq1を送出する。第1液体供給ユニット68より送出された液体Lq1は、供給管66を流れた後、ノズル部材70の内部に形成された第1供給流路82の一端部に流入する。そして、第1供給流路82の一端部に流入した液体Lq1は途中で分岐した後、ノズル部材70に形成された複数(2つ)の第1供給口80a,80bから、終端光学素子191とウエハWとの間の第1空間K1に供給される。なお、本実施形態においては、第1供給口80a,80bから供給される液体Lq1は、ウエハW表面とほぼ平行に噴き出されているが、下向きに液体Lq1が供給されるように第1供給口を形成しても良い。
また、第1供給口を、終端光学素子191のX軸方向の両側に設けても良いし、第1供給口は1箇所であっても良い。
ノズル部材70の下面70aにおいて、投影光学系PLの投影領域IAを基準として凹部78の外側には第1回収口81が設けられている。この第1回収口81は、ウエハWに対向するノズル部材70の下面70aにおいて投影光学系PLの投影領域IAに対して第1供給口80a、80bの外側に設けられており、投影領域IA、及び第1供給口80a、80bを囲むように環状に形成されている。また、第1回収口81には多孔体81Pが設けられている。
前述の回収管67の一端部は、図3に示されるように、ノズル部材70の内部に形成された第1回収流路83の一部を構成するマニホールド流路83Mの一端部に接続されている。一方、マニホールド流路83Mの他端部は、第1回収口81に接続され、第1回収流路83の一部を構成する環状流路83Kの一部に接続されている。
第1液体回収ユニット69の液体回収動作は主制御装置50に制御される。主制御装置50は、液体Lq1を回収するために、第1液体回収ユニット69を駆動する。第1液体回収ユニット69の駆動により、ウエハW上の液体Lq1は、そのウエハWの上方に設けられている第1回収口81を介して流路83を流れる。その後、回収管67を介して第1液体回収ユニット69に吸引回収される。
鏡筒140の側壁内面140cには、第2供給口86が設けられている。第2供給口86は、第2空間K2の近傍位置に形成されており、投影光学系PLの光軸AXに対して+Y側に設けられている。この第2供給口86は、鏡筒140の側壁内部に形成された第2供給流路84の一端に接続され、第2供給流路84の他端部に前述の供給管74の一端が接続されている。
また、鏡筒140の側壁内面140cの第2供給口86にほぼ対向する位置には、第2回収口87が設けられている。第2回収口87は、第2空間K2の近傍位置に形成されており、投影光学系PLの光軸AXに対して−Y側に設けられている。この第2回収口87は、鏡筒140の側壁に形成された第2回収流路85の一端に接続され、第2回収流路85の他端部に前述の回収管75の一端が接続されている。
第2液体供給ユニット72の液体供給動作は主制御装置50により制御される。主制御装置50が、第2液体供給ユニット72より液体Lq2を送出すると、その送出された液体Lq2は、供給管74を流れた後、鏡筒140の内部に形成された第2供給流路84の一端部に流入する。そして、第2供給流路84の一端部に流入した液体Lq2は、鏡筒140の側壁内面140cに形成された第2供給口86から、光学素子192と終端光学素子191との間の第2空間K2に供給される。この場合、第2供給口86からは、終端光学素子191の上面191bと略平行、すなわちXY平面と略平行に(横方向に)液体Lq2が噴き出される。
第2液体回収ユニット73の液体回収動作は主制御装置50に制御される。主制御装置50は、液体Lq2を回収するために、第2液体回収ユニット73を駆動する。第2液体回収ユニット73の駆動により、第2空間K2の液体Lq2は、第2回収口87を介して第2回収流路85に流入し、その後、回収管75を介して第2液体回収ユニット73に吸引回収される。
なお、本実施形態では、鏡筒140の側壁の内部に流路84,85がそれぞれ形成されているが、鏡筒140の一部に貫通孔を設けておき、そこに流路となる配管を通すようにしても良い。また、本実施形態においては、供給管74及び回収管75は、ノズル部材70とは別に設けられているが、供給管74及び回収管75の代わりにノズル部材70の内部に供給路及び回収路を設けて、鏡筒140内部に形成された流路84,85のそれぞれと接続するようにしても良い。
なお、液浸機構(ノズル部材70、液体供給ユニット68,72、液体回収ユニット69,73など)の構造および配置は、上述のものに限られず、照明光ILの光路中の所定空間を液体で満たすことができれば、いろいろな形態の液浸機構を適用することができる。
境界レンズ192の下面192a及び終端光学素子191の上面191bには第2空間K2に満たされた液体Lq2が接触し、終端光学素子191の下面191aには第1空間K1の液体Lq1が接触する。本実施形態においては、少なくとも光学素子191、192は石英によって形成されている。石英は、液体Lq1、Lq2すなわち純水との親和性が高いので、液体接触面である境界レンズ192の下面192a、終端光学素子191の上面191b及び下面191aのほぼ全面に液体Lq1、Lq2を密着させることができる。したがって、光学素子192、191の液体接触面192a、191b及び191aに液体Lq2、Lq1を密着させて、光学素子192と終端光学素子191との間の光路、及び終端光学素子191とウエハWとの間の光路を液体Lq2、Lq1で確実に満たすことができる。
なお、光学素子192、191の少なくとも一方は、水との親和性が高い蛍石であっても良い。また、例えば残りの光学素子を蛍石で形成し、光学素子192、191を石英で形成しても良いし、全ての光学素子を石英(あるいは蛍石)で形成しても良い。
また、光学素子192、191の液体接触面192a、191b、191aに、親水化(親液化)処理を施して、液体Lq2、Lq1との親和性をより高めるようにしても良い。
また、本実施形態においては、鏡筒140の側壁内面140c、及び境界レンズ192の側面192bのそれぞれは、撥液化処理されて撥液性を有している。鏡筒140の側壁内面140c、及び境界レンズ192の側面192bのそれぞれを撥液性にすることで、側壁内面140cと側面192bとの間に形成される間隙に第2空間K2の液体Lq2が浸入することが防止される。
上記撥液化処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する等の処理が挙げられる。
また、鏡筒140の側壁外面140bとノズル部材70の穴部70hの側壁内面70kとのそれぞれに撥液処理を施しても良い。側壁外面140bと側壁内面70kとを撥液性にすることにより、側壁外面140bと側壁内面70kとの間に形成される間隙に第1空間K1の液体Lq1が浸入することが防止される。
また、本実施形態においては、境界レンズ192の下側、かつ終端光学素子191の上側の鏡筒140の内周面近傍には、複数のペルチェ素子269(図3では1つのペルチェ素子のみを開示)が設けられている。複数のペルチェ素子269は、鏡筒140の内周面に沿って所定間隔で設けられており、それぞれに対して個別に電流供給を行うことができる。したがって、複数のペルチェ素子269それぞれに対する電流供給を制御することで、ペルチェ素子の冷却効果によって液体Lq2の温度分布を調整することが可能となっている。
更に、本実施形態の露光装置100では、図1では不図示であるが、照射系110a及び受光系110b(図5参照)を含んで構成される、例えば特開平6−283403号公報(対応米国特許第5,448,332号)等に開示されるものと同様の斜入射方式の多点焦点位置検出系が設けられている。なお、本実施形態の多点焦点位置検出系は、ウエハW表面の位置調整を行うために、ウエハWの露光中に、ウエハW表面の位置情報の検出を行っているが、ウエハWの露光を開始する前に、ウエハW表面の位置情報を検出し、ウエハWの露光中に多点焦点位置検出を使わずにウエハW表面の位置調整を行うようにしても良い。この場合、ウエハWが投影ユニットPUの直下に配置されていない状態で、多点焦点位置検出系によるウエハW表面の位置情報の検出を行っても良い。
制御系は、図1中、主制御装置50を含み、主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)を含んで構成され、装置全体を統括的に制御する。主制御装置50には、メモリ51が接続されている。
上述のようにして構成された本第1の実施形態の露光装置10では、液浸法を適用しない通常のスキャニング・ステッパと同様に、レチクルアライメント検出系RAa,RAb、アライメント系ALG及び計測ステージMSTの各計測用部材等を用いた、各種アライメント処理などの所定の準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われ、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。なお、これらの各動作は、前述したようにして液体Lq2を終端光学素子191と境界レンズ192との間(空間K2内)に保持し、かつ終端光学素子191とウエハWとの間の空間(K1)に液体Lq1を保持した状態で、アライメント処理の一部及び露光動作が行われる点を除き、通常のスキャニング・ステッパの場合と大きく異なる点はないので、詳細説明については省略する。なお、終端光学素子191の下側の第1空間K1を液体Lq1で満たしている間、主制御装置50は、第1液体供給ユニット68から供給しつつ、第1液体回収ユニット69によって回収しているので、例えば、ウエハWの露光中に、終端光学素子191とウエハWとの間の空間(K1)の液体は常時交換される(入れ替えられる)。一方、上側の液体Lq2の交換は、所定枚数のウエハを露光する毎(例えば1ロット毎)に行われるようになっている。なお、上述したように、照明光ILが投影光学系PL及び液体Lq1、Lq2を介してウエハWに照射されるので、以下においては、投影光学系PLと液体Lq1,Lq2とを含んで、液体を含む光学系PLLと呼ぶものとする。
液浸露光装置においては、照明光ILの照射により、光路中の液体の温度が上昇し、液体を含む光学系の光学特性(収差等)が変動する可能性がある。従って、本第1の実施形態においては、以下に説明するようにして、液体の温度を管理する。
本実施形態では、上述したように、図4に示されるような光軸AXに対して偏心した実効露光領域(有効結像領域)IAを有しているため、照明光ILは、液体Lq2においてもこれに対応して光軸AXに対して偏心した光路を通過する。この場合、照明光ILの光路を中心として液体の温度が上昇する。
従って、主制御装置50は、照明条件に基づいて液体Lq2を通過する照明光ILの領域(位置、大きさ、形状など)を導き出すとともに、インテグレータセンサ46の計測値と反射量モニタ47の計測値とに基づいて照明光ILの照射量(液体Lq2への入射光量)を導き出し、これらに基づいて、ペルチェ素子269それぞれに対する電流供給を制御して、液体Lq2の温度が照明光ILの照射によって局所的に上昇するのを回避する。
具体的には、照明条件(この場合の照明条件としては、例えば可動レチクルブラインド30Bの開口状態が挙げられる)と、予めシミュレーション等により求められている照明条件と照射領域との関係と、を用いて照明光ILが液体Lq2を通過する領域が決定され、該決定された領域に応じて、いずれのペルチェ素子269に電流を供給するかを決定する(例えば、照明光ILの光路近傍に配置されているペルチェ素子を選択する)。また、照明光ILの照射量に応じて、ペルチェ素子269に対する電流供給量を決定する。
この場合、ペルチェ素子の温度(電流供給量)は、インテグレータセンサ46の計測値及び反射量モニタ47の計測値に基づいて算出される液体Lq2への照明光ILの入射量に基づいて決定することができる。
このように、照射状況(照明光ILの照射量、照明条件など)に応じて液体の温度を管理することにより、液体Lq2の適切な温度管理を行うことができるので、液体の温度上昇に起因する液体を含む光学系PLLの光学特性の変動を極力抑制することができる。
なお、照明光ILが光学系PLLに入射すると、液体Lq2の温度のみならず、レンズ等の光学素子の温度も局所的に変動するが、本実施形態では、この変動を、例えば、特開平6−291016号公報に開示されているような公知の予測制御や例えば国際公開第2005/022614号公報に開示されているような赤外線照射等を用いて抑制することとしている。
なお、液体Lq2を冷却せずに温めるようにすることも可能である。例えば、液体Lq2の温度上昇に起因する光学系PLLの収差変動が、照明光ILの照射による投影光学系PLのレンズの温度上昇に起因する光学系PLLの収差変動を打ち消すように発生する場合には、液体Lq2を温めても良い。この場合、上述したペルチェ素子269に代えて、投影ユニットPUの外部から赤外光照射用のファイバ(特に中空ガラス管の内面にアルミニウムをコートしたようなファイバ)を用いて、液体Lq2の所望部分を温めることができる。
すなわち、液体Lq2の周囲に沿って複数本の赤外光照射用のファイバの一端部を所定角度間隔で導入し、このファイバの他端部に投影ユニットPUの外部に設けられた不図示の赤外光照射源を接続する。この場合の赤外光照射源としては、例えばセレン化鉛硫黄、セレン化鉛錫、テルル化鉛錫等の化合物半導体を用いた半導体レーザを用いることができる。主制御装置50による制御の下、赤外光照射源及び赤外光照射用のファイバを介して赤外光を、例えば液体Lq2の照明光ILが通らない部分に照射することにより、照明光ILの照射による光学系PLLの光学特性の変動を所望の状態に調整することができる。
また、赤外光照射源及び赤外光照射用のファイバに代えて、ヒータを液体Lq2の周囲に沿って所定間隔で設けることとしても良い。
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態の露光装置によると、照明光ILの照射状況に応じて液体Lq2の少なくとも一部の温度を調整(管理)するので、照射状況が変わっても液体Lq2の温度を所望の状態に調整することができる。これにより、照明光ILが液体Lq2に照射されても光学系PLLの光学特性が所望の状態に管理され、高精度な露光を行うことが可能である。特に、本第1の実施形態では、液体Lq2の交換がロット毎に行なわれるので、1ロットのウエハに対する露光を行っている途中における、液体の温度変化(温度分布の変化)に起因する光学系PLLの光学特性の劣化を抑制することが可能である。
また、本第1の実施形態では、インテグレータセンサ46の計測値と反射量モニタ47の計測値とに基づいて、照明光ILの照射状況(照明光ILの液体Lq2への入射量)を判断することとしているので、照明光ILの照射量(入射量)に応じた液体Lq2の温度管理を行うことができ、高精度な露光を実現することが可能である。
また、本第1の実施形態では、照明条件等に基づいて、照明光ILの照射状況(照明光ILの照射領域など)を判断することとしているので、照明光ILの照射領域に応じた液体Lq2の温度管理を行うことができ、高精度な露光を実現することが可能である。
なお、上記実施形態では、照明条件(可動レチクルブラインド30Bの開口状態など)、及び照明光ILの照射量に応じて液体Lq2の温度を管理する場合について説明したが、これに代えて、又はこれとともに、レチクルに関する情報に基づいて照明光ILの照射状況を判断し、これに応じて液体の温度を管理することとしても良い。
例えば、レチクルに関する情報としては、レチクルRに形成されたパターンの分布情報を採用することができる。この場合、レチクルRに形成されたパターンの分布に応じて、液体Lq2を透過する照明光ILの分布が異なるので、そのパターン分布に応じて液体の温度(温度分布)を調整することができる。
また、これとは別に、又はこれとともに、レチクルRの種類に関する情報やレチクルRに形成されたパターンの種類に関する情報の少なくとも一方をレチクルに関する情報として採用することもできる。
例えば、レチクルRの種類に関する情報としては、レチクルRが位相シフトレチクルであるか否かの情報を採用することができる。また、レチクルRに形成されたパターンの種類に関する情報としては、パターンが孤立線パターンであるか、ライン・アンド・スペースパターンであるか、又はコンタクトホールであるかの情報を採用することができる。
主制御装置50では、これらの情報を加味して、照明光ILの液体Lq2における照射領域や照射量を決定し、これに基づいて液体Lq2の温度を管理することができる。また、上述の実施形態においては、インテグレータセンサ46の計測値と、反射量モニタ47の計測値に基づいて、照明光ILの照射量(液体Lq2への照明光ILの入射量)を算出しているが、反射量モニタ47の計測値を使わなくても良い。また、インテグレータセンサ46などを使わずに、ウエハWに対する目標ドーズ量に基づいて、照明光ILの照射量(液体Lq2への照明光ILの入射量)を予測して、その予測結果に基づいて液体Lq2の温度管理を行うようにしても良い。
また、液体Lq2の温度を計測するための温度センサ(不図示)を配置して、その温度センサの計測結果に基づいて液体Lq2の温度管理を行うようにしても良い。
また、計測ステージMSTに設けられた空間像計測器や波面収差計測器を用いて、光学系PLLの光学特性を計測できる場合には、その計測結果に基づいて液体Lq2の温度(温度分布)を調整するようにしても良い。
なお、上記実施形態では、ペルチェ素子やファイバを介した赤外光照射、ヒータなどを用いて液体の温度を管理することとしたが、これに代えて又はこれとともに、液体Lq2を交換する際に、次の液体交換作業まで(例えば、1ロット終了するまで)に予想される光学系PLLの光学特性の変動量を実験やシミュレーションなどを行って求め、その変動量が予め設定された所定値を超えないように、予め低温に設定された液体を供給することとしても良い。例えば、その変動量が初期状態から±5nmまでは許容できるところ、予想される変動量が+10nmである場合には、予め初期状態を−5nmとするように予め低温に設定された液体Lq2を供給することができる。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図6〜図7(C)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置では、露光装置の基本的な構成等は第1の実施形態と同様となっている。従って、以下では重複説明を避ける観点から相違点を中心として説明する。
本第2の実施形態においては、照明光ILが液体Lq2に照射されている間(例えばウエハWの露光中)にも、液体Lq2の供給と回収とが行われる点で第1の実施形態と異なる。また、上述した第1の実施形態と本第2の実施形態とでは、液体Lq2の温度を調整するための第2供給口と第2回収口の構成及び液体Lq2の温度を管理する方法が異なる。
図6には、本第2の実施形態における鏡筒140の下端部近傍(内面側)が斜視図にて示されている。この図6に示されるように、鏡筒140の内周面の+X側には第2供給口86'が所定角度間隔で複数形成されており、鏡筒140の内周面の−X側には第2回収口87'が所定角度間隔で複数形成されている。
各第2供給口86'は、鏡筒140内部に形成された複数の供給管路66'それぞれの一端部に接続され、複数の供給管路の他端部には、第2液体供給ユニット72(図5参照)がそれぞれ接続されている。供給管66'それぞれには流量調整弁(不図示)が設けられ、該流量調整弁が主制御装置50により制御されることにより、第2供給口86'から供給される液体の供給量がそれぞれ独立に調整される。
同様に、各第2回収口87'は、鏡筒140内部に形成された複数の回収管路67'それぞれの一端部に接続され、複数の供給管路の他端部には、第2液体回収ユニット73(図5参照)がそれぞれ接続されている。回収管67'それぞれには調整弁(不図示)が設けられ、該調整弁が主制御装置50により制御されることにより、第2回収口87'を介して回収される液体の回収量がそれぞれ独立に調整されるようになっている。
このような構成を採用することにより、液体Lq2の交換を液体を+X側から−X側に流すようにして行うことができる。また、液体Lq2の交換の際に、供給口それぞれからの供給量を調整するとともに、回収口それぞれからの回収量を調整することで、Y方向に関して、液体Lq2が満たされる領域のうちの所定部分に対する液体の供給を多くし、その他の部分に対する液体の供給量を少なくすることが可能となっている。
これにより、例えば、第1の実施形態と同様に、照明光ILの光路が光軸AXに対して−Y方向に偏心している場合等においては、その照明光ILの光路を+X側から−X側へ流れる液体の供給量を多くし、照明光ILの光路の外側を+X側から−X側へ流れる液体の供給量を多くすることで、照明光ILの光路を流れる液体の循環を早くすることができ、これにより、液体の一部の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。
この場合、第1の実施形態と同様に、照明光ILの通過する位置と照明光ILの照射量とに基づいて液体の供給量を決定することができる。各種の情報(例えば、第2空間K2における照明光ILが通過する領域、液体Lq2に対する照明光ILの照射量など)に基づいて、複数の第2供給口86'から液体Lq2の供給量をそれぞれ決定することで、液体Lq2の温度(温度分布)の変動を抑え、光学系PLLの光学特性を所望状態に維持することができる。
図7(A)〜図7(C)には、液体の流速とTFD(像面平坦性)との関係(シミュレーション結果)が、示されている。この場合のシミュレーションの条件として、像面側のNAが1.00、最大像高が13.4mm、投影倍率が1/4、中心波長が193.306nm、照明σが0.2で、液体Lq2の層の厚さが1mmに設定されている。
このうち、図7(A)のグラフは、液体を止めた状態での像高に対するフォーカス位置の関係をメリジオナル光線によって生じる像面とサジタル光線によって生じる像面について示したものであり、図7(B)のグラフは、液体を10ml/minの流速で流したときの像高に対するフォーカス位置の関係をメリジオナル光線によって生じる像面とサジタル光線によって生じる像面について示したものであり、図7(C)のグラフは、液体を30ml/minの流速で流したときの像高に対するフォーカス位置の関係をメリジオナル光線によって生じる像面とサジタル光線によって生じる像面について示したものである。
この場合、図7(A)に示されるように、メリジオナル光線によって生じる像面とサジタル光線によって生じる像面でのフォーカスの最大幅(すなわち像面平坦度(TFD))は、メリジオナル光線によって生じる像面で像高13.4mmのとき(フォーカス−9.9nm)とサジタル光線によって生じる像面で像高5.4nmのとき(フォーカス+9.6nm)との差の絶対値であり、19.5nmとなる。
一方、図7(B)に示されるように、液体を10ml/minで流したときのTFDは、メリジオナル光線によって生じる像面で像高0.0mmのとき(フォーカス−7.5nm)とサジタル光線によって生じる像面で像高5.4mmのとき(フォーカス7.3nm)との差の絶対値であり、14.8nmとなり、図7(A)のように液体を止めた状態に比べて、20%ほどTFDを小さくすることが可能である。
また、図7(C)に示されるように、液体を30ml/minで流したときのTFDは、メリジオナル光線によって生じる像面で像高13.4mmのとき(フォーカス−3.6nm)とサジタル光線によって生じる像面で像高5.4mmのとき(フォーカス3.5nm)との差の絶対値であり、7.1nmとなり、図7(A)のように液体を止めた状態に比べて、60%ほどTFDを小さくすることが可能である。
なお、主制御装置50は、液体Lq2の流れによって低減される光学特性の変動と、液体Lq2の流れに起因する境界レンズ192の振動によって生じる光学特性の変動とを考慮して、適切な流速で液体Lq2を供給するようにすることで、高精度な露光を実現することが可能である。
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態の露光装置によると、液体Lq2の温度(温度分布)を所望の状態に維持することができる。また、液体Lq2の供給量(流速)を部分的に調整することもできるので、照明光ILの照射状況に応じて液体Lq2の供給量(流速)を部分的に変更することとしているので、例えば液体の一部のみの温度が照明光ILによって大きく変動する場合であっても、その変動に応じて適切に液体Lq2の温度管理をすることができる。これにより、光学系PLLの光学特性の変動を効果的に抑制することができ、高精度な露光を実現することが可能である。
なお、上記実施形態では、液体の流速を部分的に変更する場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、液体Lq2の流速を全体的に変更する、すなわち、第2供給口86'から供給される液体Lq2を一律に変更しても良い。例えば、照明光ILの照射量(液体Lq2への照明光ILの入射量)に応じて、複数の第2供給口86'から供給される液体Lq2の供給量を一律に変化させても良い。
なお、上記実施形態では、投影ユニットPUの鏡筒140に複数の第2供給口、第2回収口を形成することとしたが、これに限らず、投影ユニットPUに複数の供給管、回収管を直接挿入するようにしても良い。
なお、上記第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明したペルチェ素子などの液体の温度を直接的に調整する機構を併用することとしても良い。
なお、上記第2の実施形態では、液体の流量(流速)を調整することにより液体の温度を管理することとしたが、これに限らず、複数の第2供給口86'から供給される液体Lq2の温度をそれぞれ独立に調整するようにしても良い。例えば、温度が上昇する領域には、温度が低く設定された液体を供給し、その他の領域には温度が高く設定された液体を供給することとしても良い。
なお、上記実施形態においては、第1空間K1内の液体Lq1は常時入れ替えを行っているので、液体Lq1の照明光吸収(エネルギー吸収)に起因する光学系PLLの光学特性の変動を考慮していないが、例えば、第1空間K1の液体Lq1の交換を定期的に行う場合や液体Lq1の照明光の吸収が大きい場合には、液体Lq1の供給量及び/又は温度を調整しても良い。また、液体Lq1を供給・回収するノズル部材70の第1供給口、第1回収口を複数設け、液体Lq1の流速及び/又は温度を部分的に調整することとしても良い。
また、上記各実施形態では、光学系の少なくとも一部を構成する終端光学素子191のビーム射出側にウエハWを配置し、終端光学素子のビーム入射側の第2空間K2のうち少なくとも照明光ILの光路(ビーム路)を液体Lq2で満たし、かつ終端光学素子191とウエハWとの間の第1空間K1を、液体Lq1で満たす場合について説明した。しかしながら、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、終端光学素子191とウエハWとの間の第1空間K1のみに、液体、例えば純水で満たすこととしても良い。この場合にも、第1、第2の実施形態で説明した液体の温度の管理を行うことが可能である。
なお、上記実施形態では、液体Lq1、Lq2として同じ純水を供給しているが、第1空間に供給される純水(液体Lq1)と第2空間に供給される純水(液体Lq2)との品質を異ならせても良い。純水の品質としては、例えば温度均一性、温度安定性、比抵抗値、あるいはTOC(total organic carbon)値などが挙げられる。
例えば、第2空間K2に供給される純水よりも、投影光学系PLの像面に近い第1空間K1へ供給される純水の品質を高くしても良い。また、第1空間と第2空間に互いに異なる種類の液体を供給し、第1空間K1に満たす液体Lq1と第2空間K2に満たす液体Lq2とを互いに異なる種類にしても良い。例えば、第2空間K2にフッ素系オイルをはじめとする純水以外の所定の液体を満たすことができる。オイルは、バクテリアなどの細菌の繁殖する確率が低い液体であるため、第2空間K2や液体Lq2(フッ素系オイル)の流れる流路の清浄度を維持することができる。
また、液体Lq1、Lq2の双方を水以外の液体にしても良い。例えば、照明光ILの光源がF2レーザである場合、F2レーザ光は水を透過しないので、液体Lq1、Lq2としてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であっても良い。この場合、液体Lq1、Lq2と接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体Lq1、Lq2としては、その他にも、照明光ILに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLやウエハW表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体Lq1、Lq2の極性に応じて行われる。
なお、上述したような液浸法においては、投影光学系の開口数NAが1.0よりも大きくなる。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにすると良い。
なお、上記各実施形態では、投影光学系PLとして反射屈折系を採用しているが、反射素子を含まない屈折系を採用することもできる。
なお、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置、さらに、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、又はプロキシミティ方式の露光装置などにも、本発明は適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているようなウエハを保持するウエハステージを複数備えたマルチステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上記各実施形態においては、投影光学系PLとウエハWとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象のウエハなどの表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。この場合、当該液体の交換のタイミングや計測のタイミングを決定するのに本発明の一部を構成する制御装置を用いることができる。
なお、上記各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、上記各実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源や、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、上記実施形態の露光装置で、レチクルに形成されたパターンを前述の液浸露光によりウエハ等の物体上に転写するリソグラフィステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の液浸露光方法が実行され、物体上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを歩留り良く製造することができる。
以上説明したように、本発明の露光装置は、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、物体を露光するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの製造に適している。
第1の実施形態に係る露光装置を示す概略図である。 投影光学系の構成を示す図である。 投影光学系の像面側及びノズル部材近傍を示す断面図である。 ノズル部材を下から見た図である。 図1の装置の制御系の主要部を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る投影ユニットの鏡筒の一部を示す斜視図である。 図7(A)〜図7(C)は、第2の実施形態における液体の供給速度を説明するための図である。
符号の説明
30B…可動ブラインド(ブラインド)、50…主制御装置(管理装置の一部)、72…第2液体供給ユニット(交換機構の一部、供給系の一部)、73…第2液体回収ユニット(交換機構の一部、回収系の一部)、74…供給管(交換機構の一部、供給系の一部)、75…回収管(交換機構の一部、回収系の一部)、100…露光装置、269…ペルチェ素子(管理装置の一部、温度調整機構)、R…レチクル(マスク)、Lq1,Lq2…液体、PLL…光学系、W…ウエハ(物体)、IA…実効露光領域、IL…照明光(エネルギビーム)。

Claims (19)

  1. 液体を含む光学系を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、
    前記液体の少なくとも一部の温度を管理する管理装置を備え、
    前記管理装置は、前記エネルギビームの照射状況に応じて、前記液体の少なくとも一部の温度を管理することを特徴とする露光装置。
  2. 前記管理装置は、少なくとも前記エネルギビームの照射量に基づいて、前記エネルギビームの照射状況を判断することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記管理装置は、少なくとも前記エネルギビームの照射位置に基づいて、前記エネルギビームの照射状況を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
  4. 前記管理装置は、少なくとも、前記エネルギビームを照射する照射装置の少なくとも一部を構成するブラインドの開口状態に基づいて、前記エネルギビームの照射状況を判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光装置。
  5. 前記エネルギビームによりマスクが照明されることにより、該マスクに形成されたパターンが物体に転写され、
    前記管理装置は、少なくとも前記マスクに関する情報に基づいて、前記エネルギビームの照射状況を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
  6. 前記マスクに関する情報は、前記マスクに形成されたパターンの分布情報であることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記マスクに形成されたパターンの分布情報は、マスクに形成された開口パターンの分布に関する情報であることを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
  8. 前記マスクに関する情報は、前記マスクの種類に関する情報、及び前記マスクに形成されたパターンの種類に関する情報の少なくとも一方であることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  9. 前記マスクの種類に関する情報は、位相シフトマスクか否かの情報であることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 前記マスクに形成されたパターンの種類に関する情報は、前記パターンが孤立線パターン、ライン・アンド・スペースパターン、及びコンタクトホールのいずれであるかの情報であることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  11. 前記管理装置は、前記液体の少なくとも一部の温度を直接的に調整する温度調整機構を含み、
    前記温度調整機構により、前記液体の少なくとも一部の温度を管理することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
  12. 前記液体を交換する交換機構を更に備え、
    前記交換機構は、前記温度調整機構により温調された液体に交換することを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 前記管理装置は、前記液体を供給可能な供給系と、前記液体を回収可能な回収系とを含む液体交換機構を有し、
    前記供給系による前記液体の供給状態と前記回収系による前記液体の回収状態とを調整することにより、前記液体の少なくとも一部の温度を管理することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光装置。
  14. 前記管理装置は、前記供給系により前記液体が供給される領域のうちの少なくとも一部への液体の供給量の調整を行うことにより、前記液体の少なくとも一部の温度を管理することを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
  15. 前記液体の供給量は、前記液体の層の厚さを1mmとした場合に、10ml/min〜30ml/min程度とすることを特徴とする請求項13又は14に記載の露光装置。
  16. 前記光学系は、少なくとも1つの反射光学素子と少なくとも1つの反射光学素子とを含む反射屈折系を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の露光装置。
  17. 前記反射屈折系は、その光軸に対して偏心したビーム路を有することを特徴とする請求項16に記載の露光装置。
  18. 前記管理装置は、前記エネルギビームが通る空間への液体の供給量を前記エネルギビームが通らない空間への液体の供給量よりも多くすることを特徴とする請求項17に記載の露光装置。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の露光装置を用いて物体を露光し、該物体上にデバイスパターンを形成するリソグラフィ工程を含むデバイス製造方法。
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