JP2006332206A - 露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液浸露光装置において、露光精度の低下を許容範囲内に抑える。
【解決手段】主制御装置が、液体LQ2を交換する第2液体供給装置231と第2液体回収装置241による液体の交換を、所定の判断対象(液体の温度)が所定条件を満たした場合(所定温度以上になった場合)に実行することとしているので、液体LQ2の交換が適切なタイミングで行われる。従って、液体LQ2の温度上昇等による露光精度の低下を許容範囲内に抑えることが可能である。
【選択図】図2
【解決手段】主制御装置が、液体LQ2を交換する第2液体供給装置231と第2液体回収装置241による液体の交換を、所定の判断対象(液体の温度)が所定条件を満たした場合(所定温度以上になった場合)に実行することとしているので、液体LQ2の交換が適切なタイミングで行われる。従って、液体LQ2の温度上昇等による露光精度の低下を許容範囲内に抑えることが可能である。
【選択図】図2
Description
本発明は露光装置及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、液体を含む光学系を介して物体上にエネルギビームを照射して、物体を露光する露光装置、及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
従来より、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスク(又はレチクル)のパターンの像を投影光学系を介して、レジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の感光性の物体(以下、「ウエハ」と呼ぶ)上の複数のショット領域の各々に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
また、最近、実質的に露光波長を短くして、かつ空気中に比べて焦点深度を大きく(広く)する方法として、液浸法を利用した露光装置が、注目されるようになってきた。この液浸法を利用した露光装置として、投影光学系の下端面、すなわちウエハに対向する投影光学系の終端に位置する光学部材の下面とウエハ表面との間の空間を水又は有機溶媒等の液体で局所的に満たした状態で露光を行うものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
また、液浸法を利用した露光装置として、終端の光学部材を平行平板とし、該平行平板の下面側の空間を液体で満たすとともに、平行平板の上面側の空間も液体で満たす技術が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
このような液浸露光装置では、露光中に平行平板の上面側の空間の液体を交換しようとすると、平行平板の上面と対向する光学素子が振動し、露光精度が低下するおそれがある。
一方、液体は露光光の照射により温度が変動するため、液体を含む光学系の光学特性が変動してしまい、これにより、露光精度が低下するおそれがある。
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、前記液体を交換する交換装置と;前記交換装置による液体の交換を、所定の判断対象が所定条件を満たした場合に実行する制御装置と;を備える第1の露光装置である。
これによれば、交換装置による液体交換が適切なタイミングで行われることにより、露光精度の低下を許容範囲内に抑えることが可能となる。また、液体交換が適切なタイミングで行われることで装置のダウンタイムを低減することが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、液体を含む光学系を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、前記光学系の光学特性を計測する計測装置と;前記計測装置による計測動作を、前記液体に関する第1の判断対象が第1の条件を満たした場合に実行する制御装置と;を備える第2の露光装置である。
これによれば、計測装置による計測が適切なタイミングで行われることにより、液体の温度上昇等に起因して変化する光学系の光学特性が露光精度に影響を与えるほど悪化する前にその光学特性を計測することが可能となる。この計測結果を考慮して露光を行うことにより、露光精度を高く維持することが可能となる。また、適切なタイミングで光学系の光学特性の計測が行われることで、装置のダウンタイムを低減することが可能である。
本発明は、第3の観点からすると、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体上の複数のショット領域を順次露光する露光装置であって、前記液体を交換する交換装置と;前記交換装置による液体の交換を、前記物体上のあるショット領域の露光完了後、次のショット領域の露光を開始する前のステッピング期間に実行する制御装置と;を備える第3の露光装置である。
これによれば、液体の交換に伴って振動が発生する場合であっても、その振動の露光精度への影響を極力抑制することが可能となる。また、液体交換のために別途時間をとる必要が無いので、装置のダウンタイムの低減を図ることができる。
本発明は、第4の観点からすると、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体上の複数のショット領域を順次露光する露光装置であって、所定パターンの像を前記液体を介して前記物体上に投影するために、前記所定パターンを前記エネルギビームを使って照明する照明系と;前記液体を交換する交換装置と;前記交換装置による液体の交換を、前記所定パターンに対する照明条件の切り換え動作中に実行することを特徴とする第4の露光装置である。
これによれば、比較的長い間露光装置が停止する照明条件の切り替え動作中に液体交換をでき、別途液体交換のための時間をとる必要がない。したがって、露光装置のダウンタイムを低減することができるので、露光装置のスループットを向上することが可能となる。
また、リソグラフィ工程において、本発明の第1〜第4の露光装置を用いて物体上にデバイスパターンを転写することにより、高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することが可能である。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の第1〜第4の露光装置のいずれかを用いるリソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であるとも言える。
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る露光装置10の構成が概略的に示されている。この露光装置10は、露光光源にパルス光源としてのエキシマレーザを用いたステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャナである。
露光装置10は、光源16及び照明光学系12を含む照明系、該照明系からの露光用照明光ILにより照明されるマスクとしてのレチクルRを保持して所定の走査方向(図1においてはY軸方向とする)に移動するレチクルステージRST、レチクルRのパターンを物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持して水平面(XY平面内)を移動するウエハステージWST及び計測ステージMSTを含むステージ装置150、並びにこれらの制御系等を備えている。
光源16としては、一例として波長193nmの真空紫外域のパルス光を発するArFエキシマレーザが用いられている。
前記照明光学系12は、所定の位置関係で配置された、ビーム整形光学系18、エネルギ粗調器20、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)22、照明系開口絞り板24、ビームスプリッタ26、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を含んでいる。なお、オプティカル・インテグレータ22としては、フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、又は回折光学素子などが用いられるが、図1ではフライアイレンズを用いているので、以下では「フライアイレンズ」とも呼ぶ。
前記エネルギ粗調器20は、ビーム整形光学系18後方のレーザビームLBの光路上に配置され、回転板(レボルバ)34の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図1ではそのうちの2個のNDフィルタが示されている)を配置し、その回転板34を駆動モータ38で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ38は、主制御装置50によって制御される。
エネルギー粗調器20の後方には、円板状部材から成る照明系開口絞り板24がフライアイレンズ22を介して配置されている。この照明系開口絞り板24には、等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図1ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。
前記照明系開口絞り板24後方の照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド(固定視野絞り)30A及び可動レチクルブラインド(可動視野絞り)30Bを介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bを含むリレー光学系が配置されている。
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍に可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド30Bを用いて照明領域IARを更に制限することによって、不要な露光が防止されるようになっている。
リレー光学系の少なくとも一部を構成する第2リレーレンズ28B後方の照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過した照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーM後方の照明光ILの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
一方、ビームスプリッタ26の一方の面(表面)で反射された照明光ILは、集光レンズ44を介して光電変換素子より成るインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のホールド回路及びA/D変換器などを介して出力DS(digit/pulse)として主制御装置50に供給される。インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域や真空紫外域で感度があり、且つ光源16のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。
インテグレータセンサ46の出力DSと、後述する照射量モニタによって計測される投影光学系PLの像面上の照明光の照射領域IA(前述の照明領域IARと共役な領域)における照明光ILの単位面積当たりのパルスエネルギ(露光量)[mJ/cm2]との相関係数αは予め求められており、その相関係数αは主制御装置50に接続されたメモリ51内に格納されている。
また、ビームスプリッタ26の他方の面(裏面)で反射した光を受光するために、照明光学系12の瞳面と共役な位置に光電変換素子よりなる反射量モニタ47が配置されている。本第1の実施形態では、ウエハWで反射された照明光IL(反射光)は、投影光学系PL、コンデンサレンズ32、ミラーM、リレー光学系を介してビームスプリッタ26に戻り、ビームスプリッタ26で反射された光が反射量モニタ47で受光され、反射量モニタ47の検出信号が主制御装置50に供給されるようになっている。
従って、露光中には、インテグレータセンサ46の出力信号よりレチクルR、投影光学系PL等に入射する照明光ILの光量(第1光量とする)がモニタされ、反射量モニタ47の検出信号よりウエハWで反射されて投影光学系PL、レチクルR等を再び通過する反射光の光量(第2光量とする)がモニタできるため、その第1光量と第2光量とに基づいて、投影光学系PLを通過する光の全光量がより正確にモニタできるようになっている。
前記レチクルステージRST上には、不図示のレチクル支持機構が設けられ、該レチクル支持機構にバキュームチャック等によってレチクルRが吸着保持されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ方式のレチクルステージ駆動系48によって、水平面(XY平面)内で微小駆動(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)が可能であるとともに、走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるレチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRSTに設けられた反射面を使って外部のレチクルレーザ干渉計54Rによって計測され、このレチクルレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給される。
また、図1では不図示であるが、レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してレチクルR上の一対のレチクルアライメントマークとこれらに対応する計測ステージMST上に設けられた基準マーク領域FM(図4等参照)上の一対の基準マーク(以下、「第1基準マーク」と呼ぶ)との位置関係を露光波長の光を用いて投影光学系PLを介して検出する一対のレチクルアライメント検出系RAa,RAb(図5参照)がX軸方向に所定距離隔てて設けられている。レチクルアライメント検出系RAa,RAbとしては、例えば特開平7−176468号公報(対応する米国特許第5,646,413号)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。
図1において、前記投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒240と、該鏡筒240内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含んでいる。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから成る屈折系が用いられている。また、この投影光学系PLの投影倍率は、β(βは例えば1/4,1/5又は1/8等)である。照明光ILによりレチクルR上の照明領域IARが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンの投影光学系PLによって投影倍率βで縮小された像が、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上のスリット状の照射領域(照明領域IARに共役な領域)IAに形成される。
なお、投影光学系PLとして、上記特許文献2(国際公開第2004/019128号パンフレット)に記載されているのと同様の、ミラーとレンズとを含む反射屈折系(カタディ・オプトリック系)を用いても良い。また、投影光学系PLとして、例えば米国特許第6,636,350号公報,米国特許第6,873,476号公報,及び米国特許出願公開第2004/0160666号公報に開示されているタイプの反射屈折系を用いることもできる。
投影光学系PLの複数のレンズのうち、特定の複数のレンズは、主制御装置50からの指令に基づいて、結像特性補正コントローラ160によって制御され、投影光学系PLの光学特性(結像特性を含む)、例えば、倍率、ディストーション、コマ収差、及び像面湾曲(像面傾斜を含む)などを調整できる。
また、本第1の実施形態の露光装置10では、図2に示されるように、投影光学系PLの最も像面(ウエハW)に近いレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191、及びその下側に設けられた投影光学系PLの一部を構成する光学部材である平行平板193の近傍には、液浸装置132の一部を構成するノズル部材70が設けられている。平行平板193は、鏡筒240により不図示のシール部材等を使って保持されている。このシール部材により、平行平板の上下に独立した空間が形成され(後述する第1空間K1、第2空間K2)、両空間の間の液体の流通が阻止されている。なお、平行平板193は、鏡筒240に対して容易に取り付け・取り外しが可能されている。
前記液浸装置132は、図2に示されるように、前記ノズル部材70と、該ノズル部材70に接続された第1液体供給装置211及び第1液体回収装置221と、投影ユニットPUの鏡筒240の最下端近傍に接続された第2液体供給装置231及び第2液体回収装置241と、を少なくとも備えている。
なお、前記ノズル部材70は、投影ユニットPUを保持する不図示のメインコラムに保持されている。ノズル部材70の詳細については後に更に詳述する。
前記第1液体供給装置211は、液体LQ1を投影光学系PLの平行平板193の下面側に形成された第1空間K1に供給するためのものであり、供給管213を介してノズル部材70の一部に接続されている。この第1液体供給装置211は、液体LQ1を収容するタンク、供給する液体LQ1の温度を調整する温度調整装置、液体LQ1中の異物を除去するフィルタ装置、及び加圧ポンプ、流量制御弁等を含んで構成されている。なお、露光装置10の第1液体供給装置211に、タンク、温度調整装置、フィルタ装置、加圧ポンプ、流量制御弁などの全てを設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置10が設置される工場などの設備で代用しても良い。
前記第1液体回収装置221は、平行平板193の下面側に形成された第1空間K1に供給された液体LQ1を回収するためのものであり、回収管223を介してノズル部材70の一部に接続されている。この第1液体回収装置221は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQ1と気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQ1を収容するタンク、流量制御バルブ等を備えている。なお真空系、気液分離器、タンク、流量制御バルブなどの全てを露光装置10に設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置10が配置される工場の設備で代用しても良い。
前記第2液体供給装置231は、液体LQ2を投影光学系PLの平行平板の上面側に形成された第2空間K2に供給するためのものであり、供給管233を介して鏡筒240の一部に接続されている。第2液体供給装置231は、液体LQ2を収容するタンク、供給する液体LQ2の温度を調整する温度調整装置、液体LQ2中の異物を除去するフィルタ装置、及び加圧ポンプ等を備えている。なお、露光装置10の第2液体供給装置231に、タンク、温度調整装置、フィルタ装置、加圧ポンプの全てを設けずに、それらの少なくとも一部を露光装置10が設置される工場などの設備で代用しても良い。
前記第2液体回収装置241は、平行平板193の上面側に形成された第2空間K2に供給された液体LQ2を回収するためのものであり、回収管243を介して鏡筒240の一部に接続されている。第2液体回収装置241は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQ2と気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQ2を収容するタンク等を備えている。なお、真空系、気液分離器、タンクなどの全てを露光装置10に真空ポンプを設けずに、露光装置10が配置される工場等の設備で代用しても良い。
前記ノズル部材70は、図2及びノズル部材70を−Z側から見た状態を示す図3から分かるように、投影光学系PLの下端部の近傍に配置されており、ウエハW(ウエハステージWST)の上方において鏡筒240の周囲を取り囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70は、その中央部にZ方向に貫通した穴部70bが形成され、該穴部70bに投影ユニットPUの鏡筒240の下端部が挿入されている。
ウエハWに対向するノズル部材70の下面中央部には、X軸方向を長手方向とする凹部278が形成されており、この凹部278の一部には、第1供給口212a,212bが形成されている。これら2つの第1供給口212a,212bは、平行平板193を挟んでY軸に関し左右対称な位置に形成されている。ノズル部材70には、第1供給流路214が形成されており、第1供給口212a,212bは、第1供給流路213の一端部にそれぞれ接続されている。そして、第1供給流路214の他端部には、前述した供給管213が接続されており、第1液体供給装置211から送出された液体LQ1が、第1供給流路214を介して、各第1供給口212a,212bから、投影光学系PLの像面側に配置されたウエハW表面と略平行、すなわちXY平面と略平行に(横方向に)噴き出される。
ノズル部材70の下面には第1回収口222が形成されている。第1回収口222は、照射領域IAを囲むように環状に形成されており(図3参照)、その内部には多孔体222Pが設けられている。この第1回収口222は、ノズル部材70内部に形成された第1回収流路224の一端部に接続され、第1回収流路224の他端部には、前述した回収管223が接続されている。
第1液体供給装置211の液体供給動作及び第1液体回収装置221の液体回収動作は、主制御装置50により制御される(図5参照)。すなわち、主制御装置50は、液浸領域を形成するために、第1液体供給装置211より液体LQ1を送出し、第1液体供給装置211より送出された液体LQ1は、供給管213及び第1供給流路214を介して第1供給口212a、212bより、平行平板193とウエハWとの間の第1空間K1に供給される。また、ウエハW上の液体LQ1は、そのウエハWの上方に設けられている第1回収口222、第1回収流路224、及び回収管223を介して第1液体回収装置221に吸引回収される。
投影ユニットPUの一部を構成する鏡筒240の内部には、図2に示されるように、第2供給流路234と、第2回収流路244が形成されている。これら第2供給流路234及び第2回収流路244は、鏡筒240の外部と内部とに端部を有しており、その内部の端部が第2供給口232、第2回収口234とされている。また、その外部の端部には、前述した供給管233、回収管243の一端部がそれぞれ接続されている。
前記第2供給口232は、鏡筒240の内面の第2空間K2の近傍位置に形成されており、投影光学系PLの光軸AXに対して+Y側に位置する。この第2供給口232は、第2液体供給装置231から送出された液体LQ2を、平行平板193の上面と略平行、すなわちXY平面と略平行に(横方向に)噴き出す。
また、前記第2回収口242は、投影光学系PLの光軸AXに対して−Y側に位置し、第2供給口232に対向する位置に形成されている。
第2液体供給装置231の液体供給動作及び第2液体回収装置241の液体回収動作は、主制御装置50により制御される(図5参照)。主制御装置50が、第2液体供給装置231より液体LQ2を送出すると、その第2液体供給装置231より送出された液体LQ2は、供給管233、第2供給流路234及び第2供給口232を介して、先端レンズ191と平行平板193との間の第2空間K2に供給される。また、第2空間K2の液体LQ2は、第2回収口242、第2回収流路244及び回収管243を介して第2液体回収装置241へ吸引回収される。
なお、液浸機構132(ノズル部材70、液体供給装置211,231、液体回収装置221,241など)の構造及び配置は、上述のものに限られず、照明光ILの光路中の所定空間を液体で満たすことができれば、いろいろな形態の液浸機構を適用することができる。
更に、鏡筒240の液体LQ2と接する部分には、液体LQ2の温度を計測するための温度センサSRが設けられている。この温度センサSRの計測結果は、主制御装置50に出力される(図5参照)。
図1に戻り、投影ユニットPUの+Y側には、ウエハW上のアライメントマークなどの検出対象マークを光学的に検出するオフアクシス・アライメント系(以下、「アライメント系」と略述する)ALGが設けられている。なお、アライメント系ALGとしては、各種方式のセンサを用いることができるが、本第1の実施形態においては、画像処理方式のセンサが用いられている。なお、画像処理方式のセンサは、例えば特開平4−65603号公報に開示されており、ここでは詳細説明を省略する。アライメント系ALGからの撮像信号は、主制御装置50に供給される(図5参照)。
前記ステージ装置150は、図1に示されるように、不図示のベース盤と、該ベース盤の上方に非接触で支持されたウエハステージWST及び計測ステージMSTと、これらのステージWST、MSTの位置を計測する干渉計システム118(図5参照)と、リニアモータ等を使ってステージWST、MSTを駆動するステージ駆動系124(図5参照)と、を備えている。
また、ステージWST、MSTのそれぞれは、ステージ駆動系124(図5参照)によって、XY面内で互いに独立して駆動(θz回転を含む)される。ウエハステージWST、及び計測ステージMSTのステージ移動面(XY平面)内の位置、及び各座標軸回りの回転位置は、干渉計システム118により検出される。干渉計システム118の計測値は、主制御装置50に送られ、主制御装置50は、干渉計システム118の計測値に基づいてステージ駆動系124を介してウエハステージWST、及び計測ステージMSTの位置(及び速度)を制御する(図5参照)。
ウエハステージWST上には、不図示の真空吸着機構などを使ってウエハWが保持されている。また、計測ステージMST上にはプレート部材101が保持されている。プレート部材101は、計測ステージMSTの平面図である図4に示されるように、Y軸方向を長手方向とする長方形の開口101a、X軸方向を長手方向とする長方形の開口101bと、3つの円形開口101d,101e,101fとが形成されている。
プレート部材101の開口101aの内部には、図4に示されるように、基準マーク板FMが配置されている。基準マーク板FMの上面はプレート部材101表面とほぼ同じ高さ(面一)に設定されている。この基準マーク板FMの表面には、前述の一対のレチクルアライメント検出系RAa,RAbによって同時計測が可能な一対の第1基準マークRM11,RM12と、アライメント系ALGにより検出される第2基準マークWMとが所定の位置関係で形成されている。
プレート部材101の開口101b下方には、照度モニタ(照射量モニタ)122が配置されている。この照度モニタ122は、照射領域IAに照射された照明光ILのほぼ全部を受光できる程度の所定面積の受光面を有し、照明光ILと同じ波長域(例えば波長300nm〜100nm程度)に対して感度があり、且つ照明光ILを検出するために高い応答周波数を有する複数のシリコン・フォト・ダイオード(又はフォト・マルチプライア・チューブ)などの受光素子群を含んでいる。
本第1の実施形態の照度モニタ122は、例えば特開平6−291016号公報(対応する米国特許第5,721,608号)などに開示される照度モニタ(照射量モニタ)と同様の構成を有しており、投影光学系PLの像面上で液体LQ2,LQ1を介して照明光ILの照度を計測する。照度モニタ122の少なくとも一部を構成する光センサ128の検出信号(光電変換信号)が不図示のホールド回路、及びアナログ/デジタル(A/D)変換器などを介して主制御装置50に供給されている(図5参照)。
プレート部材101の開口101dの内部には、平面視円形のパターン板103を有する照度むら計測器104が配置されている。照度むら計測器104は、パターン板103の下方に配置された不図示の受光素子(前述のシリコン・フォト・ダイオードあるいはフォト・マルチプライア・チューブなど)などから成るセンサとを有している。パターン板103は、前述のガラス部材126と同様に石英ガラスなどから成り、その表面にクロムなどの遮光膜が成膜され、該遮光膜の中央に光透過部としてピンホール103aが形成されている。
上述の照度むら計測器104は、特開昭57−117238号公報(対応する米国特許第4,465,368号)などに開示される照度むら計測器と同様の構成を有しており、投影光学系PLの像面上で液体LQ2,LQ1を介して照明光ILの照度むらを計測する。そして、照度むら計測器の少なくとも一部を構成するセンサの検出信号(光電変換信号)が不図示のホールド回路、及びアナログ/デジタル(A/D)変換器などを介して主制御装置50に供給されている(図5参照)。
前記プレート部材101の開口101eの内部には、平面視円形のスリット板105が、その表面がプレート部材101表面とほぼ同一面(面一)となる状態で配置されている。スリット板105は、前述のパターン板103と同様に、石英ガラスと、該石英ガラスの表面に形成されたクロムなどの遮光膜とを有し、該遮光膜の所定箇所にX軸方向、Y軸方向に伸びるスリットパターンが光透過部として形成されている。このスリット板105は、投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)の光強度を計測する空間像計測器の一部を構成するものである。本第1の実施形態では、このスリット板105の下方には、投影光学系PL及び液体LQ2,LQ1を介してプレート部材101に照射される照明光ILを、前記スリットパターンを介して受光する受光系が設けられている。スリット板105及び受光系は、例えば特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)などに開示される空間像計測器と同様の空間像計測器125の少なくとも一部を構成する。
プレート部材101の開口101fの内部には、平面視円形の波面収差計測用パターン板107が、その表面がプレート部材101表面とほぼ同一面(面一)となる状態で配置されている。この波面収差計測用パターン板107は、前述のパターン板103と同様に、石英ガラスと、該石英ガラスの表面に形成されたクロムなどの遮光膜とを有し、該遮光膜の中央に円形の開口が形成されている。この波面収差計測用パターン板107の下方には、投影光学系PL及び液体LQ2,LQ1を介して照明光ILを受光する例えばマイクロレンズアレイを含む受光系が設けられている。パターン板107及び受光系は、例えば国際公開第99/60361号パンフレット(対応する欧州特許第1,079,223号明細書)などに開示される波面収差計測器127の少なくとも一部を構成する。
なお、熱の影響を抑制する観点から、上記の空間像計測器125や波面収差計測器127などでは、例えば光学系などの一部だけが計測ステージMSTに搭載されていても良い。
図5には、露光装置10の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置50を含んでいる。
上述のようにして構成された本第1の実施形態の露光装置10では、液浸法を適用しない通常のスキャニング・ステッパと同様に、レチクルアライメント検出系RAa,RAb、アライメント系ALG等を用いた、各種アライメント処理などの所定の準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われ、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。なお、これらの各動作は、前述したようにして液体LQ2を平行平板193と先端レンズ191との間(空間K2内)に保持し、かつ平行平板193とウエハWとの間の空間(K1)に液体LQ1を保持した状態で、アライメント処理の一部及び露光動作が行われる点を除き、通常のスキャニング・ステッパの場合と大きく異なる点はないので、詳細説明については省略する。なお、平行平板193の下側の第1空間K1を液体LQ1で満たしている間、主制御装置50は、第1液体供給装置211から供給しつつ、第1液体回収装置221によって回収しているので、例えば、ウエハWの露光中に、平行平板193とウエハWとの間の空間(K1)の液体は常時交換される(入れ替えられる)。なお、上述したように、照明光ILが投影光学系PL及び液体LQ1、LQ2を介してウエハWに照射されるので、以下においては、投影光学系PLと液体LQ1,LQ2とを含んで、液体を含む光学系PLLと呼ぶものとする。
液浸露光装置においては、照明光ILの照射により、光路中の液体の温度が上昇し、液体を含む光学系の光学特性(収差等)が変動する可能性がある。一方、第1実施形態においては、第2液体供給装置231と第2液体回収装置241とを動作させて、第2空間K2内の液体LQ2の交換(入れ替え)を実行すると、液体LQ2と接触する先端レンズ191が振動して、光学系PLLの光学特性に影響を及ぼす可能性がある。従って、本第1の実施形態においては、レチクルアライメント系RAa、RAbなどの検出光や照明光ILが液体LQ2を通過しない以下に説明するタイミングで液体LQ2を交換することとしている。
まず、本第1の実施形態では、液体LQ2の温度を温度センサSRにより計測し、主制御装置50に出力しているので、主制御装置50は、温度センサSRからの出力に基づいて求められる、液体の温度の初期状態からの変動量が所定の閾値を超えた段階を液体の交換タイミングとする。すなわち、液体の交換を判断する判断対象として液体の温度変化量、を採用し、所定の条件として所定の閾値を超えること、を採用する。なお、ここでの初期状態とは、液体LQ2を初めて供給した直後の状態、あるいは液体交換の直後の状態を意味するものとする。
なお、液体LQ2の温度変化量が所定の閾値を超えたときに、第2液体供給装置231と第2液体回収装置241とを動作させて、すぐに液体LQ2を交換しても良いが、液体LQ2の温度が所定の閾値を超えた後、液体LQ2を交換せずに、光学系PLLの光学特性を所定の許容範囲内に維持した状態で、実行中の露光動作などを、しばらくの間、継続できるように閾値を定めてもよい。本第1の実施形態においては、1枚のウエハに対する露光の途中で例えば、液体LQ2の温度変化量が所定の閾値を超えて、液体の交換タイミングになったとしても、露光動作を中断して液体を交換するのではなく、所定の閾値を超えたときにウエハステージWST上に載置されているウエハに対して露光動作が終了した後で、液体LQ2を交換するものとする。
上述のように液体LQ2を交換すると、液体(LQ2)の温度が変化(低下)するために、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を正確に把握できなかったり、光学系PLLの光学特性が所定状態を維持できない場合がある。従って、本実施形態では、主制御装置50は、液体LQ2を交換した後で、露光動作などを開始する前に、以下の(a)、(b)の少なくとも一方の処理を行うこととしている。
(a)光学系PLLの光学特性の計測を行う
液体LQ2の温度の変化により変化した光学特性を、空間像計測器125及び/又は波面収差計測器127を用いて計測し、該計測結果を考慮して、以降の露光動作などを行う。この場合において計測結果を考慮するとは、例えば、結像特性補正コントローラ160を用いて、投影光学系PLのレンズの位置などを調整したり、投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子の近傍にペルチェ素子やヒータ、赤外光照射装置などを設け、それらの装置により光学素子の温度分布を変更したり、照明光ILの波長を微調整することにより、光学特性を調整することなどが該当する。
(b)液体LQ2の温度を所定温度にする
液体LQ2の温度が所定の温度になった後に露光動作などを開始する。例えば、液体が所定の温度になるまで所定時間待機したり、あるいは、ウエハWが露光されない状態で照明光ILを照射し、液体の温度を上昇させる。あるいは、液体の温度を調整するためのペルチェ素子やヒータ、赤外光照射装置などを鏡筒240の下端部近傍に設け、これらにより液体の温度を所定の温度に調整する。この場合、液体LQ2の温度を計測する温度センサSRの計測結果に基づいて、液体LQ2の温度が所定の温度になったことを検知して、露光動作などを開始することができる。
液体LQ2の温度の変化により変化した光学特性を、空間像計測器125及び/又は波面収差計測器127を用いて計測し、該計測結果を考慮して、以降の露光動作などを行う。この場合において計測結果を考慮するとは、例えば、結像特性補正コントローラ160を用いて、投影光学系PLのレンズの位置などを調整したり、投影光学系PLの少なくとも1つの光学素子の近傍にペルチェ素子やヒータ、赤外光照射装置などを設け、それらの装置により光学素子の温度分布を変更したり、照明光ILの波長を微調整することにより、光学特性を調整することなどが該当する。
(b)液体LQ2の温度を所定温度にする
液体LQ2の温度が所定の温度になった後に露光動作などを開始する。例えば、液体が所定の温度になるまで所定時間待機したり、あるいは、ウエハWが露光されない状態で照明光ILを照射し、液体の温度を上昇させる。あるいは、液体の温度を調整するためのペルチェ素子やヒータ、赤外光照射装置などを鏡筒240の下端部近傍に設け、これらにより液体の温度を所定の温度に調整する。この場合、液体LQ2の温度を計測する温度センサSRの計測結果に基づいて、液体LQ2の温度が所定の温度になったことを検知して、露光動作などを開始することができる。
このようにすることにより、液体LQ2の交換に起因して液体の温度が変化した場合にも、その変化による影響を上記(a)及び/又は(b)の処理により低減した状態で、露光動作などを開始するので、高精度な露光を実現することが可能である。
なお、上述の説明においては、温度センサSRの出力が所定の閾値を超えた場合に液体LQ2を交換しているが、これに限らず、その他の液体の物性値(例えば以下に示す(1)及び(2)の実測値)に基づいて液体交換のタイミングを決定することとしても良い。
(1)温度分布
例えば、温度センサを第2空間K2内の複数箇所に設け、各温度センサの値に基づいて液体の温度分布を算出し、該温度分布が所定の状態になったときを、液体LQ2の交換タイミングとすることとしても良い。この場合、複数の温度センサの出力のうちの最高温度と最低温度との差を算出し、その温度差が所定値以上になったときを、液体LQ2の交換タイミングとすることとしても良い。
例えば、温度センサを第2空間K2内の複数箇所に設け、各温度センサの値に基づいて液体の温度分布を算出し、該温度分布が所定の状態になったときを、液体LQ2の交換タイミングとすることとしても良い。この場合、複数の温度センサの出力のうちの最高温度と最低温度との差を算出し、その温度差が所定値以上になったときを、液体LQ2の交換タイミングとすることとしても良い。
(2)液体LQ2の透過率
露光動作の合間に照度むら計測器104を使って求められる、照明光ILに対する液体LQ2を含む光学系PLLの透過率が所定状態(所定の閾値以下)となったときを液体LQ2の交換タイミングとしても良い。液体LQ2の透過率は例えば液体LQ2中の溶存酸素濃度に依存するため、液体LQ2に酸素が溶け込むことによって、液体LQ2の透過率が低下する可能性がある。
露光動作の合間に照度むら計測器104を使って求められる、照明光ILに対する液体LQ2を含む光学系PLLの透過率が所定状態(所定の閾値以下)となったときを液体LQ2の交換タイミングとしても良い。液体LQ2の透過率は例えば液体LQ2中の溶存酸素濃度に依存するため、液体LQ2に酸素が溶け込むことによって、液体LQ2の透過率が低下する可能性がある。
液体LQ2の透過率が低下すると、液体LQ2による照明光の吸収(エネルギ吸収)量の増加に伴って液体LQ2の温度が上昇し、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を劣化させる可能性がある。また、液体LQ2の透過率が低下すると、ウエハWに照射される照明光ILの光量(パルス強度)が低下するため、ウエハWの露光に要する時間が増加する可能性もある。従って、液体LQ2を含む光学系PLLの透過率の計測値に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定することで、これらの不都合を回避することができる。なお、光学系PLLに含まれる光学素子の透過率が変化する場合には、照度むら計測器104を使って計測される液体LQ2を含む光学系PLLの透過率から液体LQ2のみの透過率変化量を求めて、液体LQ2の交換タイミングを決めても良い。また、液体LQ2を含む光学系PLLの透過率計測は、照度モニタ122などの他のセンサを使って計測しても良い。
なお、上述したように、液体の透過率は液体中の溶存酸素濃度に依存するため、第2空間K2に液体LQ2の溶存酸素濃度を計測する酸素濃度計を配置して、液体LQ2の溶存酸素濃度が所定の状態(所定の閾値以上)になったときを、液体LQ2の交換タイミングとしても良い。
また、上述の実施形態においては、液体LQ2の交換直後に、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を空間像計測器125及び/又は波面収差測定器127を用いて計測し、その計測結果を考慮して、その後の露光動作などを実行するようにしているが、空間像計測器125の計測に代えて、あるいは加えて照度モニタ122、照度むら計測器104の少なくとも一つを用いた計測を実行するようにしても良い。また、その計測結果を考慮して、照明光ILの強度やウエハステージWSTの移動条件などの露光条件を調整するようにしても良い。
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態の露光装置によると、主制御装置50が第2液体供給装置231と第2液体回収装置241とによる液体LQ2の交換を、所定の判断対象(液体の温度)が所定条件を満たした場合(所定温度以上になった場合)に実行することとしているので、液体LQ2の交換が適切なタイミングで行われることにより、液体LQ2の温度上昇等による露光精度の低下を許容範囲内に抑えることが可能である。また、適切なタイミングで液体交換が行なわれるので、装置のダウンタイムを低減することも可能である。
また、本第1の実施形態では、液体LQ2の物性に基づいて、液体交換タイミングを決定しているので、液体の変化に依存して変動する露光精度の低下を確実に抑制することが可能である。
更に、本第1の実施形態では、液体LQ2の交換の際に液体の温度が変化(低下)した場合であっても、その変化による液体を含む光学系の光学特性の変化の影響を低減した状態で、露光動作を開始することとしているので、高精度な露光を実現することが可能である。
なお、上述の第1の実施形態においては、液体LQ2を交換した後に、上述の(a),(b)の少なくとも一方の動作を実行しているが、液体LQ2の交換直後であっても、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を所定の許容範囲内で確保できる場合には、上述の(a),(b)の動作の少なくとも一方を省いても良い。
なお、上述の第1実施形態においては、液体LQ2の物性として、液体LQ2の温度、温度分布、透過率を挙げているが、これに限らず、液体LQ2のTOC(Total Organic Carbon(TOC) or Total Oxidizable Carbon)や、比抵抗値などの他の物性に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しても良い。また、液体LQ2の複数の物性に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しても良い。
また、上述の第1実施形態においては、液体LQ2の物性(温度、透過率など)に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しているが、これに限らず、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性が所定状態になったときを液体LQ2の交換タイミングとして決定しても良い。例えば、照度むら計測器104、照度モニタ122、空間像計測器125、波面収差計測器127の少なくとも一つを使って、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を計測し、その計測結果に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しても良い。
また、液体LQ2の物性と光学系PLLの光学特性とに基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しても良い。
なお、上記実施形態では、液体の温度に基づいて、あるいは液体の温度分布、光学系の光学特性、光学系における照明光ILの透過率などの実測値(直接的に求められた値)に基づいて、液体LQ2の交換タイミングを決定することとしたが、これに限らず、実測値から間接的に求められる予測値に基づいて、液体LQ2の交換タイミングを決定することとしても良い。
例えば、照度むら計測器104(及びインテグレータセンサ46、反射量モニタ47)により計測される液体を含む光学系PLLにおける照明光ILの透過率に基づいて算出される制御量(例えば、ウエハW上の1ショットを露光する際のウエハWの走査速度や、照明光の強度、照明光の照射時間など)を判断対象とし、該制御量が所定量以上(または以下)になった時点を、液体LQ2の交換タイミングとすることもできる。
また、主制御装置50により、インテグレータセンサ46の計測値と反射量モニタ47の計測値とに基づいて算出される光学系PLLの収差変動量を判断対象とし、該収差変動量が所定量以上となった時点を、液体LQ2の交換タイミングとすることもできる。この場合、例えば、インテグレータセンサ46の計測値と反射量モニタ47の計測値とをパラメータとして含み、液体LQ2の照明光ILの吸収(エネルギ吸収)に起因する液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性の変動(収差変動)を予測するモデル式をメモリ51に格納しておき、そのモデル式を使って予測された液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性の変動量に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決定しても良い。
また、上述したように、第2空間K2に液体LQ2の溶存酸素濃度を計測する酸素濃度計が配置されている場合には、照明光ILに対する液体LQ2の透過率と液体LQ2の溶存酸素濃度との関係をメモリ51に格納しておき、酸素濃度計の計測値に基づいて液体LQ2の透過率を求めて、その透過率に基づいて液体LQ2の交換タイミングを決めても良い。
ただし、いずれの場合においても、上述した第1の実施形態と同様に、1枚のウエハに対する露光が途中の段階にある場合には、液体交換をすぐに行わずに、1枚のウエハに対する露光動作が終了した後に、液体交換を行うこととすることが望ましい。
更に、判断対象として所定の動作が行われるタイミングを採用することもできる。
例えば、ウエハW上のあるショット領域の露光と次のショット領域の露光との間に行われるステッピング動作を液体の交換タイミングとすることもできる。また、照明条件の切り替え動作(すなわち、例えば、照明光学系12内のエネルギ粗調器20の回転板(レボルバ)34を回転したり、あるいは、照明系開口絞り板24の開口絞りを変更したりする動作など)を液体交換タイミングとすることもできる。
前者の場合、液体の交換に伴って、例えば先端レンズ191に振動が発生しても、ステッピング期間中であるので、その振動が露光精度に影響するのを回避することができる。また後者の場合、比較的長い時間を要する照明条件の切り替え動作中に液体交換をでき、別途液体交換のための時間をとる必要がなく、露光装置のダウンタイムを低減することができる。
更には、判断対象としてウエハ交換動作や、ロット交換動作、あるいは光源のレーザガスの交換動作などのメンテナンス動作を液体交換タイミングに設定することも可能である。また、上述の各動作の少なくとも一つが所定回数以上行われたときに液体LQ2を交換するようにしても良い。
また、上述した種々の交換タイミングを決定するための判断対象は、1種類のみを採用する場合に限らず、2種類以上の判断対象を併用することも可能である。この場合、2種類以上の判断対象の少なくとも1種類が対応する条件を満たした場合に液体を交換することとしても良いし、少なくとも所定種類以上の判断対象がそれぞれに対応する条件を満たした場合に液体を交換することとしても良いし、全種類の判断対象がそれぞれに対応する条件を満たした場合に液体を交換することとしても良い。
また、第1回目の液体の交換タイミングを所定の判断対象、例えば液体の物性(液体の温度など)の実測値を用いて決定し、その交換タイミングまでに露光したウエハの枚数や、その交換タイミングまでに要した時間などをメモリ51に記憶しておき、第2回目以降は、メモリ51に記憶されている第1回目の交換タイミングまでに露光したウエハと同数のウエハを露光した時点で、または第1回目の交換タイミングまでに要した時間と同一の時間が経過した時点で、液体の交換を行うこととしても良い。要は、所定の判断対象の実測値を用いて交換タイミングを決定し、その後は、所定の判断対象がその実測値になると予想される時点で液体を交換するようにすることとしても良い。
なお、上記液体の交換は、先端レンズ191と平行平板193との間にある液体全てを一度の交換タイミングで交換しなくても良い。すなわち、1度の交換タイミングで液体の一部を交換し、複数回の交換によって液体全てを交換することとしても良い。要は、液体交換が露光装置のスループットを低下させることが無いよう、液体交換動作を複数回に分割して行なうこととしても良い。
なお、上記第1の実施形態では、平行平板193とウエハWとの間の液体LQ1は、露光動作中も常時交換することとしたが、液体LQ1を常時交換しなくても良い。この場合、液体LQ1の交換タイミングを、上記実施形態の液体LQ2と同様にして決定することとしても良い。この場合、液体LQ1の交換と液体LQ2の交換の少なくとも一部を同時に実行することが望ましいが、各液体の交換を異なるタイミングで実行しても良い。液体LQ1と液体LQ2とで、液体の交換条件が同じであっても良いし、異なっていても良い。液体LQ1と液体LQ2とで、液体の交換条件が異なる場合には、液体LQ1と液体LQ2とで、交換タイミングを判断するための判断対象が異なっていても良いし、同一の判断対象に関して異なる閾値を設定しても良い。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図6に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置では、露光装置の構成等は同様となっている。従って、以下では重複説明を避ける観点から相違点を中心として説明する。
次に、本発明の第2の実施形態について、図6に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。この第2の実施形態の露光装置では、露光装置の構成等は同様となっている。従って、以下では重複説明を避ける観点から相違点を中心として説明する。
ここで、上述した第1の実施形態では、液体LQ2の交換タイミングのみを最適化した場合について説明したが、本第2の実施形態では、液体LQ2の交換タイミングとともに、収差等の光学特性計測タイミングをも最適化している点が異なっている。
図6には、本第2の実施形態の光学特性計測及び液体交換シーケンスがフローチャートにて示されている。なお、実際には、この光学特性計測及び液体交換シーケンスとは別に、通常の露光シーケンスが並行して実行されている。
なお、本実施形態では、前提として、光学特性計測のタイミングを決定する第1の判断対象及び液体交換のタイミングを決定する第2の判断対象のいずれも、液体LQ2の初期状態からの温度変化量とされ、光学特性計測のタイミングを決定する第1の条件(液体の温度変化の第1の閾値)と液体交換のタイミングを決定する第2の条件(液体の温度変化の第2の閾値)とは、第1の閾値の方が第2の閾値よりも小さいものとする。
まず、図6のステップ501において、投影ユニットPU内に設けられた温度センサSRによって計測される液体LQ2の温度の初期状態からの変化量が、第1の閾値以上か否かが判断される。この判断がされている間も、図6のシーケンスと並行して行われている露光シーケンスにおいて露光動作が繰り返し行われている。そして、ここでの判断が否定された場合には、露光動作が継続されるとともに、所定の間隔でステップ501の動作が行われる。また、ここでの判断が肯定された段階で次のステップ503に移行する。
次のステップ503では、図6のシーケンスと並行して行われている露光シーケンスにおいて、ウエハステージWST上に載置されているウエハ上の全ショット領域に対する露光が全て終了したか否かが判断される。ここでの判断が否定された場合には、ウエハ上のショット領域に対する露光動作が続けられる。ここでの判断が肯定された段階、すなわち、露光シーケンスにおいてウエハステージWST上のウエハに対する露光が終了した段階で、次のステップ505に移行する。
次のステップ505では、液体LQ2の温度が、第2の閾値以上か否かが判断される。ここでの判断が否定されると(すなわち、第1の閾値≦液体の温度≦第2の閾値)、ステップ507に移行し、光学系の光学特性の計測動作が実行される。この場合の計測動作は、前述した第1の実施形態と同様に空間像計測器125を用いて行われる。
次いで、ステップ509では、投影光学系PLの調整が、ステップ507での計測結果に基づいて、前述した結像特性補正コントローラ160を用いて行われる。すなわち、ステップ509では、液体LQ2の初期状態からの温度変化に起因する液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性の変動が調整(補正)される。
一方、ステップ505における判断が肯定された場合(すなわち、第2の閾値≦液体の温度)には、液体LQ2の交換が第1の実施形態と同様、第2液体供給装置231、第2液体回収装置241を介して行われる。
その後、ステップ513において、図6のシーケンスと並行して行われている所定枚数のウエハに対する露光シーケンスの全ての工程が終了したか否かが判断され、ここでの判断が否定された場合にはステップ501に戻り、これまでと同様の処理・判断が繰り返し行われる。一方、判断が肯定された場合には図6のシーケンスを終了する。
以上説明したように、本第2の実施形態の露光装置によると、空間像計測器125による光学系の光学特性の計測動作が、主制御装置50により、液体に関する第1の判断対象(本実施形態では液体の温度)が第1の条件(第1の閾値以上)を満たした場合に行なわれるように制御されるので、光学特性の計測が適切なタイミングで行われ、液体の温度上昇等に起因する光学系の光学特性を、露光精度に影響を与えるほど悪化する以前に計測することが可能である。従って、この計測結果を考慮して露光を行うことにより、露光精度を精度良く維持することが可能となる。また、計測を適切なタイミングで行うことにより、装置のダウンタイムの低減を図ることが可能である。
また、上記計測動作と併せて、液体LQ2に関する第2の判断対象(本実施形態では液体の温度)が第2の条件(第2の閾値以上)を満たした場合に、主制御装置50により、液体LQ2の交換が実行されるので、液体LQ2の温度上昇などに起因して液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性が、結像特性補正コントローラ160などを用いて所望の状態に調整(補正)できないほど悪化する前に、液体LQ2の交換が行われることにより、露光精度の低下を許容範囲内に抑えることが可能である。また、適切なタイミングで液体の交換が行われることにより、装置のダウンタイムの低減を図ることができる。なお、上述の説明においては、ステップ507で空間像計測器125を用いた計測動作を実行しているが、これに限られず、照度むら計測器104、照度モニタ122、空間像計測器125、波面収差計測器127の少なくとも一つを使って、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性の計測動作を実行することができる。
なお、上記第2の実施形態では、計測動作と液体交換動作の両方を実行する場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではない。すなわち、第1の判断対象及び第1の条件のみを設定し、第1の判断対象が第1の条件を満たす場合に計測動作を実行するのみとしても良い。例えば、液体LQ2の交換は所定のタイミング(ロット交換毎、所定時間経過毎、所定枚数のウエハ処理毎など)で実行する場合、光学系PLLの光学特性の計測のタイミングを第1の判断対象及び第1の条件で決定することができる。
なお、上記第2の実施形態では、第1の判断対象と第2の判断対象を同一とする場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、第1の判断対象と第2の判断対象とが異なっていても良い。また、第1の判断対象及び第2の判断対象は、液体LQ2の温度変化量に限られず、第1実施形態で説明した液体LQ2の温度分布や溶存酸素濃度など、液体LQ2の他の物性を用いることもできる。
勿論、第1、第2の判断対象としては、第1の実施形態で説明したその他の判断対象を採用することもできる。例えば、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性を判断対象とすることもできる。この場合、ウエハ交換中などに、照度むら計測器104、照度モニタ122、空間像計測器125、波面収差計測器127の少なくとも一つを使って、液体LQ2を含む光学系PLLの光学特性の計測動作を実行し、その計測結果に基づいて、光学系PLLの光学特性の調整(補正)または液体LQ2の交換を実行しても良い。あるいは、各判断対象として、その計測結果から、主制御装置50により導き出される制御量(例えば、ウエハW上の1ショットを露光する際のウエハWの走査速度や、照明光の照射時間など)、あるいはインテグレータセンサ46の計測値と反射量モニタ47の計測値とに基づいて算出される光学系PLLの収差変動量を判断対象とすることもできる。あるいは、第1実施形態で説明したように、所定動作の実行の有無や実行の回数を判断対象とすることもできる。
また、上記第2の実施形態においては、上述した種々の判断対象を、第1の判断対象及び第2の判断対象として適宜組み合わせることが可能である。また、第1、第2の判断対象のそれぞれとして、2種以上の判断対象を採用することも可能である。
また、図6のシーケンスに代えて、第1の判断対象と第2の判断対象を同一とし、かつ第1の条件と第2の条件とを同一として、計測動作と液体交換動作が交互に行なわれるようなシーケンスを採用することも可能である。
また、第1の判断対象が第1の条件を満たした段階で行われる計測動作の結果を、第2の判断対象とし、該計測結果が所定の条件(第2の条件)を満たしたときを、液体の交換タイミングとすることとしても良い。
なお、上記実施形態では、光学系PLLの光学特性の計測動作(ステップ507)とその光学特性の調整(ステップ509)とを、一連の流れとして行わなくても良い。例えば、1枚のウエハを露光する程度では、光学系PLLの光学特性が大きく変化しない場合には、1枚のウエハに対する露光が終了した際に計測動作(ステップ507)のみを行い、次のウエハに対する露光が終了した際に必要であれば投影光学系の調整を行うこととしても良い。
なお、上記第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ステップ511の液体LQ2の交換を一度の交換タイミングで全ての液体を交換せずに、複数回の交換で、液体の全てを交換するようにしても良い。
また、ステップ509においては第1実施形態の計測動作(a)の後と同様に、光学系PLLの光学特性の調整に代えて、あるいは加えて、計測結果に応じて露光条件の変更を行っても良い。
また、上記第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、平行平板193とウエハWとの間の液体LQ1を常時交換せずに、上記交換タイミングにおいて、液体LQ1を交換することとしても良い。
なお、上記第2の実施形態においても、液体交換(ステップ511)後には、液体の温度変化に伴って、液体LQ2を含む光学系全体の光学特性が変化するので、上記第1の実施形態と同様、(a)露光動作を開始する前に光学特性の計測を行い、かつ該光学特性を考慮して露光を行うこととしたり、(b)液体LQ2の温度が所定温度になった段階で露光を開始したりすることとすることもできる。(b)において、液体の温度を所定温度にするためには、所定時間の待機や、照明光ILの所定時間の照射や、ペルチェ素子、ヒータ、赤外光照射装置等による液体の温度調整などを採用することができる。
なお、上記各実施形態においては、液体の交換を複数回行う毎に、第2液体供給装置231からの液体の供給量を多くしたり、あるいは液体の供給速度を早くしたりすることとしても良い。このようにすることで、比較的液体の交換がされにくい箇所の液体を効率的に交換することができるので、同一の液体が長時間、同一部分に滞留することがなく、これによりバクテリア等の発生を極力抑制することができる。このようにすることでバクテリアに起因する透過率変動や光学特性の変動等を抑制することができるとともに、先端レンズ191等の保持に用いられるシール部材などのゴム製品等の腐食を抑制することが可能となる。
なお、上記各実施形態では、ウエハステージWSTとは別に計測ステージMSTを備えた露光装置について説明したが、計測ステージを必ずしも設ける必要はなく、物体が載置される物体ステージ(ウエハステージWST)だけを設けて、物体ステージ上に波面収差計測器127等の各種計測器を設けても良い。
なお、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置、さらに、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、又はプロキシミティ方式の露光装置などにも、本発明は適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているようなウエハを保持するウエハステージを複数備えたマルチステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上記液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学素子(平行平板193)の光射出側の光路空間のみならず、光入射側の光路空間も液体で満たすこととしているが、これに限らず、投影光学系PLの終端光学素子(平行平板193)の光射出側の光路空間のみを液体で満たす露光装置を採用することとしても良い。
また、上記各実施形態においては、投影光学系PLとウエハWとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象のウエハなどの表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。この場合、当該液体の交換のタイミングや計測のタイミングを決定するのに本発明の一部を構成する制御装置を用いることができる。
なお、上記各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、上記各実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源や、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、上記実施形態の露光装置で、レチクルに形成されたパターンを前述の液浸露光によりウエハ等の物体上に転写するリソグラフィステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の液浸露光方法が実行され、物体上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを歩留り良く製造することができる。
以上説明したように、本発明の露光装置は、液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、物体を露光するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの製造に適している。
10…露光装置、12…照明光学系(照明系の一部)、16…光源(照明系の一部)、50…主制御装置(制御装置)、104…照度むら計測器(計測装置)、125…空間像計測器(計測装置)、127…波面収差計測器(計測装置)、160…結像特性補正コントローラ(調整装置)、211…第2液体供給装置(交換装置の一部)、221…第2液体回収装置(交換装置の一部)、IL…照明光(エネルギビーム)、LQ1,LQ2…液体、SR…温度センサ(計測装置)、W…ウエハ(物体)。
Claims (32)
- 液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、
前記液体を交換する交換装置と;
前記交換装置による液体の交換を、所定の判断対象が所定条件を満たした場合に実行する制御装置と;を備える露光装置。 - 前記所定の判断対象は、前記液体の物性を含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記液体の物性は、前記液体の温度と前記エネルギビームに関する前記液体の透過率との少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
- 前記液体の温度は、前記液体の温度分布を含むことを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
- 前記液体の温度分布は、前記液体の最高温度と最低温度との差を含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記所定の判断対象は、前記液体を含む光学系の光学特性を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記光学特性は、前記エネルギビームに関する前記液体の透過率を含むことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
- 前記所定の判断対象を直接的又は間接的に求めるための計測装置を更に備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記所定の判断対象は、所定動作の回数を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記所定動作は、前記物体のショット間ステッピング動作、及び照明条件切り替え作業の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記交換装置による液体の交換後、前記液体を含む光学系の光学特性のキャリブレーションを行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記交換装置による液体の交換後、前記液体が所定状態になった段階で前記物体を露光する動作を開始することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、一定時間の待機、及び前記物体が露光されない状態での前記エネルギビームの照射、のいずれかにより、前記液体の温度を所定範囲内にした段階で前記物体を露光する動作を開始することを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記液体の交換を、複数回に分割して行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記所定条件は、前記判断対象の初期状態からの変動量に関する条件を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記液体を含む光学系の少なくとも一部を構成する光学素子のビーム射出側に前記物体が配置され、
前記交換装置は、前記光学素子のビーム入射側のビーム路を満たす前記液体を交換することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の露光装置。 - 液体を含む光学系を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体を露光する露光装置であって、
前記光学系の光学特性を計測する計測装置と;
前記計測装置による計測動作を、前記液体に関する第1の判断対象が第1の条件を満たした場合に実行する制御装置と;を備える露光装置。 - 前記第1の判断対象は、前記液体の温度と前記エネルギビームに関する前記液体の透過率との少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項17に記載の露光装置。
- 前記液体の温度は、前記液体の温度分布を含むことを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
- 前記液体の温度分布は、前記液体の最高温度と最低温度との差を含むことを特徴とする請求項19に記載の露光装置。
- 前記液体を含む光学系の光学特性は、前記エネルギビームに関する前記液体の透過率を含むことを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記計測装置の計測結果に基づいて、前記光学系の光学特性を調整する調整装置を更に備える請求項17〜21のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記液体を交換する交換装置を更に備え、
前記制御装置は、前記液体に関する第2の判断対象が第2の条件を満たした場合に、前記交換装置による前記液体の交換を実行することを特徴とする請求項17〜22のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記第2の判断対象は、前記液体の物性を含むことを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
- 前記液体の物性は、前記液体の温度と前記エネルギビームに関する前記液体の透過率との少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項24に記載の露光装置。
- 前記第1の判断対象と前記第2の判断対象とは同一であり、前記第1の条件と前記第2の条件とは異なることを特徴とする請求項23〜25のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記第2の判断対象は、前記計測装置の計測結果を含むことを特徴とする請求項23〜25のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記第1の条件及び第2の条件は、前記判断対象の初期状態からの変動量に関する条件を含むことを特徴とする請求項23〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記光学系の少なくとも一部を構成する光学素子のビーム射出側に前記物体が配置され、
前記交換装置は、前記光学素子のビーム入射側のビーム路を満たす前記液体を交換することを特徴とする請求項23〜28のいずれか一項に記載の露光装置。 - 液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体上の複数のショット領域を順次露光する露光装置であって、
前記液体を交換する交換装置と;
前記交換装置による液体の交換を、前記物体上のあるショット領域の露光完了後、次のショット領域の露光を開始する前のステッピング期間に実行する制御装置と;を備える露光装置。 - 液体を介して物体上にエネルギビームを照射して、前記物体上の複数のショット領域を順次露光する露光装置であって、
所定パターンの像を前記液体を介して前記物体上に投影するために、前記所定パターンを前記エネルギビームを使って照明する照明系と;
前記液体を交換する交換装置と;
前記交換装置による液体の交換を、前記所定パターンに対する照明条件の切り換え動作中に実行することを特徴とする露光装置。 - 請求項1〜31のいずれか一項に記載の露光装置を用いて物体を露光し、該物体上にデバイスパターンを形成するリソグラフィ工程を含むデバイス製造方法。
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