以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置CONTとを備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面近傍における露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、光路空間K1の近傍に設けられ、液体LQを供給する供給口12及び液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材70と、供給管13、及びノズル部材70に設けられた供給口12を介して液体LQを供給する液体供給装置11と、ノズル部材70に設けられた回収口22、及び回収管23を介して液体LQを回収する液体回収装置21とを備えている。後に詳述するように、ノズル部材70の内部には、供給口12と供給管13とを接続する流路(供給流路)14が設けられているとともに、回収口22と回収管23とを接続する流路(回収流路)24が設けられている。なお図1には、供給口、回収口、供給流路、及び回収流路は図示されていない。ノズル部材70は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。
また、本実施形態の露光装置EXは、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに転写している間、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1と、投影光学系PLの像面側に配置された基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たし、投影光学系PLと光路空間K1に満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによって、マスクMのパターン像を基板Pに投影する。制御装置CONTは、液浸機構1の液体供給装置11を使って液体LQを所定量供給するとともに、液体回収装置21を使って液体LQを所定量回収することで、光路空間K1を液体LQで満たし、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
なお、以下の説明においては、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置した状態で、すなわち投影光学系PLと基板Pとが対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合について説明するが、基板P以外の物体(例えば基板ステージPSTの上面)が投影光学系PLと対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合も同様である。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向をX軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)、保護膜などの膜を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
露光装置EXは、床面上に設けられたベースBPと、そのベースBP上に設置されたメインコラム9とを備えている。メインコラム9には、内側に向けて突出する上側段部7及び下側段部8が形成されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明するものであって、メインコラム9の上部に固定された支持フレーム10により支持されている。
照明光学系ILは、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、液体LQとして純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)85が複数設けられている。マスクステージMSTは、エアベアリング85によりマスクステージ定盤2の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。マスクステージMST及びマスクステージ定盤2の中央部にはマスクMのパターン像を通過させる開口部がそれぞれ形成されている。マスクステージ定盤2は、メインコラム9の上側段部7に防振装置86を介して支持されている。すなわち、マスクステージMSTは、防振装置86及びマスクステージ定盤2を介してメインコラム9の上側段部7に支持された構成となっている。防振装置86によって、メインコラム9の振動がマスクステージMSTを支持するマスクステージ定盤2に伝わらないように、マスクステージ定盤2とメインコラム9とが振動的に分離されている。
マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、マスクステージ定盤2上において、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡81が設けられている。また、マスクステージMSTに対して所定の位置にはレーザ干渉計82が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)は、移動鏡81を用いてレーザ干渉計82によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計82の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計82の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影するものであって、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1は鏡筒PKより露出している。
投影光学系PLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジPFが設けられており、投影光学系PLはフランジPFを介して鏡筒定盤5に支持されている。鏡筒定盤5は、メインコラム9の下側段部8に防振装置87を介して支持されている。すなわち、投影光学系PLは、防振装置87及び鏡筒定盤5を介してメインコラム9の下側段部8に支持された構成となっている。また、防振装置87によって、メインコラム9の振動が投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5に伝わらないように、鏡筒定盤5とメインコラム9とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有しており、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部93が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部93に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部93以外の上面94は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、光路空間K1に液体LQを満たし続けることができるならば、基板ステージPSTの上面94と基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とに段差があってもよい。
基板ステージPSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)88が複数設けられている。基板ステージPSTは、エアベアリング88により基板ステージ定盤6の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。基板ステージ定盤6は、ベースBP上に防振装置89を介して支持されている。また、防振装置89によって、ベースBP(床面)やメインコラム9の振動が基板ステージPSTを支持する基板ステージ定盤6に伝わらないように、基板ステージ定盤6とメインコラム9及びベースBP(床面)とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、基板ステージ定盤6上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージPSTの側面には移動鏡83が設けられている。また、基板ステージPSTに対して所定の位置にはレーザ干渉計84が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角は、移動鏡83を用いてレーザ干渉計84によりリアルタイムで計測される。また、不図示ではあるが、露光装置EXは、基板ステージPSTに保持されている基板Pの表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系を備えている。
レーザ干渉計84の計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して、基板Pの表面と投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面との位置関係を調整するとともに、レーザ干渉計84の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
液浸機構1の液体供給装置11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給装置11には供給管13の一端部が接続されており、供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給装置11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体供給装置11のタンク、加圧ポンプ、温度調整機構、フィルタユニット等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
また、供給管13の途中には、液体供給装置11から送出され、投影光学系PLの像面側に供給される単位時間当たりの液体量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器19が設けられている。流量制御器19による液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号のもとで行われる。
液浸機構1の液体回収装置21は、真空ポンプ等の真空系、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収装置21には回収管23の一端部が接続されており、回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収装置21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体回収装置21の真空系、気液分離器、タンク等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
ノズル部材70は、支持機構91に支持されている。支持機構91は、メインコラム9の下側段部8に接続されている。ノズル部材70を支持機構91を介して支持しているメインコラム9と、投影光学系PLの鏡筒PKをフランジPFを介して支持している鏡筒定盤5とは、防振装置87を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動が投影光学系PLに伝達されることは防止されている。また、メインコラム9と、基板ステージPSTを支持している基板ステージ定盤6とは、防振装置89を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動が、メインコラム9及びベースBPを介して基板ステージPSTに伝達されることが防止されている。また、メインコラム9と、マスクステージMSTを支持しているマスクステージ定盤2とは、防振装置86を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動がメインコラム9を介してマスクステージMSTに伝達されることが防止されている。
次に、図2〜図5を参照しながら、ノズル部材70について説明する。図2はノズル部材70近傍を示す概略斜視図の一部破断図、図3(A)はノズル部材70を下側から見た斜視図、図3(B)はノズル部材70を下側から見た平面概念図、図4はXZ平面と平行な側断面図、図5はYZ平面と平行な側断面図である。
ノズル部材70は、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1の近傍に設けられている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において最終光学素子LS1を囲むように設けられた環状部材であって、その中央部に投影光学系PL(最終光学素子LS1)を配置可能な穴部70Hを有している。また、本実施形態においては、ノズル部材70は複数の部材を組み合わせて構成されており、ノズル部材70の外形は平面視略四角形状である。ノズル部材70の外形は、平面視四角形状に限られず、例えば、平面視円形状であってもよい。なお、ノズル部材70は一つの材料(チタンなど)で構成されていてもよいし、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、及びこれらを含む合金によって構成されていてもよい。
ノズル部材70は、側板部70Aと、傾斜板部70Bと、側板部70A及び傾斜板部70Bの上端部に設けられた天板部70Cと、基板P(基板ステージPST)と対向する底板部70Dとを有している。傾斜板部70Bはすり鉢状に形成されており、最終光学素子LS1は、傾斜板部70Bによって形成された穴部70Hの内側に配置される。傾斜板部70Bの内側面(すなわちノズル部材70の穴部70Hを規定する内側面)70Tと投影光学系PLの最終光学素子LS1の側面LTとは対向しており、傾斜板部70Bの内側面70Tと最終光学素子LS1の側面LTとの間には所定のギャップG1が設けられている。ギャップG1が設けられていることにより、ノズル部材70で発生した振動が、投影光学系PL(最終光学素子LS1)に直接的に伝達することが防止されている。また、傾斜板部70Bの内側面70Tは、液体LQに対して撥液性(撥水性)となっており、投影光学系PLの最終光学素子LS1の側面LTと傾斜板部70Bの内側面70Tとの間のギャップG1への液体LQの浸入が抑制されている。なお、傾斜板部70Bの内側面70Tを撥液性にするための撥液化処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を付着する処理等が挙げられる。
底板部70Dの一部は、Z軸方向に関して、投影光学系PLの最終光学素子LS1の下面T1と基板P(基板ステージPST)との間に設けられる(図1参照)。また、底板部70Dの中央部には、露光光ELが通過する開口部74が形成されている。開口部74には、投影光学系PLの最終光学素子(光学部材)LS1を通過した露光光ELが通過するようになっている。本実施形態においては、露光光ELが照射される投影領域ARはX軸方向(非走査方向)を長手方向とするスリット状(略矩形状)に設けられ、開口部74は、投影領域ARに応じた形状を有しており、本実施形態においてはX軸方向(非走査方向)を長手方向とするスリット状(略矩形状)に形成されている。開口部74は投影領域ARよりも大きく形成されており、投影光学系PLを通過した露光光ELは、底板部70Dに遮られることなく、基板P上に到達できる。
ノズル部材70のうち基板P(基板ステージPST)と対向する下面は、露光光ELが照射可能な位置に配置された基板Pの表面と対向する第1の領域75を有している。第1の領域75は、XY平面と平行な平坦面となっている。第1の領域75は、露光光ELの光路空間K1(この空間を通過した露光光が基板P上に投影領域ARを形成する:本明細書では「光路空間K1」は露光光が通る空間を意図しており、この実施形態及び以下の実施形態では、最終光学素子LS1と基板Pとの間における露光光が通る空間を意味している。「光路空間K1」のX方向またはY方向の位置及び/又はサイズは、例えば、第1の領域(第1ランド面)75を含むXY平面と露光光ELが交差する領域(露光光ELのXY断面領域)の位置及び/又はサイズで示すことができる)を囲むように設けられている。すなわち、第1の領域75は、底板部70Dのうち露光光ELが通過する開口部74を囲むように設けられた面である。ここで、露光光ELが照射可能な位置とは、投影光学系PLと対向する位置を含む。第1の領域75は、投影光学系PLを通過した露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられているため、制御装置CONTは、基板ステージを制御して、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置することにより、第1の領域75と基板Pの表面とを対向させることができる。
そして、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面はXY平面とほぼ平行であるため、ノズル部材70の第1の領域75は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように設けられた構成となっている。以下の説明においては、ノズル部材70のうち、基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられ、基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように形成された第1の領域(平坦面)75を適宜、「第1ランド面75」と称する。
第1ランド面75は、ノズル部材70のうち、基板ステージPSTに保持された基板Pに最も近い位置となるように設けられている。すなわち、第1ランド面75は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面とのギャップが最も小さくなる部分である。これにより、第1ランド面75と基板Pとの間で液体LQを良好に保持して液浸領域LRを形成することができる。
そして、第1ランド面75は、投影光学系PLの下面T1と基板Pとの間において、露光光ELの光路空間K1(投影領域AR)を囲むように設けられている。上述のように、第1ランド面75は、ノズル部材70(底板部70D)の下面の一部の領域に設けられたものであって、露光光ELが通過する開口部74を囲むように設けられている。第1ランド面75は、開口部74に応じた形状を有しており、本実施形態における第1ランド面75の外形は、X軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状に形成されている。
また、開口部74は、第1ランド面75のほぼ中央部に設けられている。そして、図3等に示すように、Y軸方向(走査方向)における第1ランド面75の幅D1は、Y軸方向における開口部74の幅D2よりも小さくなっている。ここで、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1とは、第1ランド面75の+Y側端部(−Y側端部)と開口部74の+Y側端部(−Y側端部)との距離である。本実施形態においては、開口部74は第1ランド面75のほぼ中央部に設けられているため、第1ランド面75の+Y側端部と開口部74の+Y側端部との距離と、第1ランド面75の−Y側端部と開口部74の−Y側端部との距離とはほぼ等しい。
また、本実施形態においては、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1は、X軸方向における第1ランド面75の幅D3よりも小さくなっている。ここで、X軸方向における第1ランド面75の幅D3とは、第1ランド面75の+X側端部(−X側端部)と開口部74の+X側端部(−X側端部)との距離である。本実施形態においては、開口部74は第1ランド面75のほぼ中央部に設けられているため、第1ランド面75の+X側端部と開口部74の+X側端部との距離と、第1ランド面75の−X側端部と開口部74の−X側端部との距離とはほぼ等しい。
基板Pの表面と最終光学素子LS1の下面T1との距離は、基板Pの表面とランド面75との距離よりも長くなっている。すなわち、最終光学素子LS1の下面T1は、第1ランド面75より高い位置に形成されている。また、底板部70Dは、最終光学素子LS1の下面T1及び基板P(基板ステージPST)とは接触しないように設けられている。そして、図5等に示すように、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間には、所定のギャップG2を有する空間が形成されている。底板部70Dの上面77は、露光光ELが通過する開口部74を囲むように設けられている。すなわち、底板部70Dの上面77は、露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられ、最終光学素子LS1との間に所定のギャップG2を介して対向した構成となっている。以下の説明においては、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の空間を含むノズル部材70の内側の空間を適宜、「内部空間G2」と称する。
また、ノズル部材70の下面は、基板ステージPSTに保持され、露光光ELが照射可能な位置に配置された基板Pの表面と対向するように、且つY軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられ、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられた第2の領域76を有している。以下の説明においては、ノズル部材70のうち、基板Pの表面と対向するように、且つY軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられ、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置(高さ方向(Z方向)において第1ランド面75とは異なる位置)に設けられた第2の領域76を適宜、「第2ランド面76」と称する。
本実施形態の第2ランド面76は、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pとの間隔が大きくなる斜面である。第2ランド面76は、第1ランド面75に対して走査方向一方側(+Y側)と他方側(−Y側)とのそれぞれに設けられている。基板ステージPSTに保持された基板Pの表面はXY平面とほぼ平行であるため、ノズル部材70の第2ランド面76は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ基板Pの表面(XY平面)に対して傾斜するように設けられた構成となっている。
第1ランド面75及び第2ランド面76の一部には液浸領域LRを形成する液体LQが接触するようになっており、最終光学素子LS1の下面T1にも光路空間K1に満たされた液体LQが接触するようになっている。すなわち、ノズル部材70の第1ランド面75、第2ランド面76、及び最終光学素子LS1の下面T1のそれぞれは、液体LQと接触する液体接触面となっている。
そして、後述するように、液体LQが基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する場合において、その基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないように、第1ランド面75と第2ランド面76とが所定の位置関係で設けられている。具体的には、光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pを移動した場合でも、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないように(剥離しないように)第2ランド面76が形成されている。
本実施形態においては、第2ランド面76は、第1ランド面75に対して連続的に設けられている。すなわち、光路空間K1に対して+Y側に設けられた第2ランド面76のうち露光光ELの光路空間K1に最も近い−Y側のエッジと、第1ランド面75の+Y側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられ、光路空間K1に対して−Y側に設けられた第2ランド面76のうち露光光ELの光路空間K1に最も近い+Y側のエッジと、第1ランド面75の−Y側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。そして、第1ランド面75と第2ランド面76とがなす角度θAは10度以下に設定されている(図5参照)。本実施形態においては、第1ランド面75(XY平面)と第2ランド面76とがなす角度θAは約4度に設定されている。
第1ランド面75及び第2ランド面76は、それぞれ液体LQに対して親液性を有している。また、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第2ランド面76と液体LQとの接触角とはほぼ等しくなっている。本実施形態においては、第1ランド面75及び第2ランド面76を形成する底板部70Dはチタンによって形成されている。なお、第1ランド面75及び第2ランド面76に、液体LQに対して親液性を付与する表面処理(親液化処理)を施してもよい。
なお、チタン材料は光触媒作用を有する不動態膜が表面に形成され、その表面の親液性(親水性)を維持することができるため、第1ランド面75における液体LQの接触角と第2ランド面76における液体LQの接触角とをほぼ同じ、例えば20°以下に維持することができる。
なお、第1ランド面75及び第2ランド面76をステンレス鋼(例えばSUS316)で形成し、その表面に液体LQへの不純物の溶出を抑えるための表面処理、あるいは親液性を高めるための表面処理を施してもよい。そのような表面処理としては、第1ランド面75及び第2ランド面76のそれぞれに酸化クロムを付着する処理が挙げられ、例えば株式会社神鋼環境ソリューションの「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。
ノズル部材70は、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを供給する供給口12と、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを回収する回収口22とを備えている。また、ノズル部材70は、供給口12に接続する供給流路14、及び回収口22に接続する回収流路24を備えている。また、図2〜図5においてはその図示を省略若しくは簡略しているが、供給流路14は供給管13の他端部と接続され、回収流路24は回収管23の他端部と接続される。
供給流路14は、図2、図5に示すように、ノズル部材70の傾斜板部70Bの内部を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。また、本実施形態においては、供給流路14は、光路空間K1(投影領域AR)に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、供給流路(貫通孔)14の上端部と供給管13の他端部とが接続され、これにより、供給流路14が供給管13を介して液体供給装置11に接続される。一方、供給流路14の下端部は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、この供給流路14の下端部が供給口12となっている。すなわち、供給口12は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。本実施形態においては、供給口12は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだY軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。
供給口12は、光路空間K1を満たすための液体LQを供給するためのものである。供給口12には液体供給装置11から液体LQが供給されるようになっており、供給口12は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間、すなわち内部空間G2に液体LQを供給可能である。供給口12から最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に液体LQを供給することによって、最終光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされる。
また、ノズル部材70は、図2、図4に示すように、内部空間G2と外部空間K3とを連通させるための排気口16を有している。排気口16には排気流路15が接続されている。排気流路15は、ノズル部材70の傾斜板部70Bの内部を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。また、本実施形態においては、排気口16及び排気流路15は、光路空間K1(投影領域AR)に対してX軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、排気流路(貫通孔)15の上端部は外部空間(大気空間)K3に接続されており、大気開放された状態となっている。一方、排気流路15の下端部は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2に接続されており、この排気流路15の下端部が排気口16となっている。すなわち、排気口16は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。本実施形態においては、排気口16は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。また、本実施形態においては、底板部70Dの上面77のうち排気口16近傍には凹部(段差部)78が設けられている。排気口16は、排気流路15を介して、内部空間G2と外部空間K3とを連通させているため、内部空間G2の気体は、排気口16を介して、排気流路15の上端部より、外部空間K3に排出(排気)可能となっている。
ノズル部材70は、側板部70Aと傾斜板部70Bとの間において下向きに開口する空間部24を有している。回収口22は、空間部24の開口部に配置されている。また、空間部24は回収流路の少なくとも一部を構成している。そして、回収流路(空間部)24の一部に回収管23の他端部が接続される。
回収口22は、光路空間K1を満たすための液体LQを回収するためのものである。回収口22は、基板ステージPSTに保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する位置に設けられている。回収口22と基板Pの表面とは所定距離だけ離れている。X軸方向(非走査方向)において、回収口22は、投影光学系PLの像面近傍の光路空間K1に対して排気口16の外側に設けられている。
回収口22は、X軸方向(非走査方向)において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられている。回収口22は、第1ランド面75に対して非走査方向一方側(+X側)と他方側(−X側)とのそれぞれに設けられている。
また、回収口22は、X軸方向(非走査方向)において第2ランド面76の両側に設けられている。すなわち、回収口22は、X軸方向(非走査方向)に関して、第2ランド面76の一方側(+X側)と他方側(−X側)とのそれぞれに設けられている。
ノズル部材70は、回収口22を覆うように配置された、複数の孔を有する多孔部材25を備えている。多孔部材25は複数の孔を有したメッシュ部材により構成可能であり、例えば略六角形状の複数の孔からなるハニカムパターンを形成されたメッシュ部材によって構成可能である。また、多孔部材25は、チタンやステンレス鋼(例えばSUS316)などからなる多孔部材の基材となる板部材に孔あけ加工を施すことで形成可能である。あるいは、多孔部材25として、セラミックス製の多孔部材を用いることも可能である。本実施形態の多孔部材25は薄板状に形成されており、例えば100μm程度の厚みを有するものである。
多孔部材25は、基板ステージPSTに保持された基板Pと対向する下面26を有している。多孔部材25の下面26は、ノズル部材70の下面の一部であり、多孔部材25の基板Pと対向する下面26はほぼ平坦である。多孔部材25は、その下面26が基板ステージPSTに保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。
回収口22に設けられた多孔部材25の下面26と、第1ランド面75とは、基板Pの表面に対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。上述のように、第1ランド面75及び多孔部材25の下面26のそれぞれは、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行であり、第1ランド面75と多孔部材25の下面26とは連続するようにほぼ面一となっている。すなわち、光路空間K1に対して+X側に設けられた多孔部材25の下面26のうち露光光ELの光路空間K1に最も近い−X側のエッジと、第1ランド面75の+X側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられ、光路空間K1に対して−X側に設けられた多孔部材25の下面26のうち露光光ELの光路空間K1に最も近い+X側のエッジと、第1ランド面75の−X側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。液体LQは、回収口22に配置された多孔部材25を介して回収されるため、回収口22は、第1ランド面75とほぼ面一な平坦面(下面)26に配置されている。
本実施形態においては、図3(A)に示すように、第2ランド面76は、平面視において、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて漸次拡がる形状(台形状)に設けられている。また、回収口22(多孔部材25)は、平面視において、露光光ELの光路空間K1からX軸方向に離れるにつれて漸次拡がる形状(台形状)に設けられている。そして、ノズル部材70の下面うち、光路空間K1の走査方向側に延在した領域、すなわち光路空間K1のY軸方向側に延在する領域には、液体LQを回収するための回収口22が無い。
図3(B)に概念的に示したように、光路空間K1(寸法的には投影領域ARに近い)の走査方向(Y方向)側に延在している延在領域EA1には回収口は設けられていない。回収口22は延在領域EA1の外側、すなわち、非走査方向(X方向)に関して、延在領域EA1の両側に設けられている。本実施形態の場合には、第1ランド面75の走査方向(Y方向)側に延在する延在領域EA2にも回収口は設けられておらず、回収口22は延在領域EA2の外側、すなわち、非走査方向(X方向)に関して、延在領域EA2の両側に設けられている。このように回収口22を延在領域EA1及びEA2に設けずに、その外側に設けたのは次のような発明者の知見による。図21には、光路空間の走査方向(Y方向)側に延在する延在領域内に回収口702が設けられているノズル部材700の一例が示されており、基板Pとノズル部材700との間に液体LQが存在している。このようなノズル部材700を用いて走査方向(+Y方向)に高速で基板Pを移動すると、回収口702と基板Pとの間において液体LQが基板P上で薄い膜となり、基板P上の液体LQが回収口702の外側(+Y側)に漏れ出すことがある。この現象は、回収口702と基板Pとの間の液体LQのうち、回収口702近傍の液体はノズル部材700に設けられた回収口702に回収されるが、基板Pの表面近傍の液体は基板Pとの表面張力などにより、回収口702から回収されずに、基板P上で薄膜となり、基板Pの移動とともに、回収口702の外側(ノズル部材700と基板Pとの間の空間の外側)へ引き出されることによって生じる。このような現象が生じると、回収口702の外側に引き出された液体が、例えば滴となって基板P上に残留し、パターン欠陥などの引き起こす原因となる。しかしながら、本実施形態では、延在領域EA1及びEA2に回収口が設けられていないので、走査方向(Y方向)に基板Pを高速で移動しても、液体LQが基板P上で薄い膜になることが抑制され、基板P上に液体LQ(滴など)が残留するなどの不都合を防止することができる。
このように、第2ランド面76はノズル部材70の下面のうち露光光ELの光路空間K1に対してY軸方向の所定領域に設けられ、回収口22はノズル部材70の下面のうち露光光ELの光路空間K1に対してX軸方向の所定領域に設けられている。回収口22は、第2ランド面76とは異なる位置に設けられている。また、回収口22(多孔部材25の下面26)は第1ランド面75とほぼ面一に設けられているものの、第1ランド面75には設けられていない。すなわち、回収口22は、光路空間K1と、Y軸方向において光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられた第2ランド面76との間以外の位置に設けられた構成となっている。換言すれば、回収口22は、光路空間K1(開口部74)に対してY軸方向に設けられた第2ランド面76には無いとともに、第1ランド面75のうち光路空間K1(開口部74)に対してY軸方向側の領域にも無い(第1ランド面75及び第2ランド面76のいずれにもない)。
また、本実施形態においては、多孔部材25はチタン材料で形成され、液体LQに対して親液性(親水性)を有している。多孔部材25をステンレス鋼(例えばSUS316)で形成し、その表面に親液性にするための親液化処理(表面処理)を施してもよい。親液化処理の一例としては、多孔部材25に酸化クロムを付着する処理が挙げられる。具体的には、上述したような「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。また、このような表面処理を施すことにより、多孔部材25から液体LQへの不純物の溶出が抑えられる。もちろん、親液性の材料で多孔部材25を形成してもよい。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすために、制御装置CONTは、液体供給装置11及び液体回収装置21のそれぞれを駆動する。制御装置CONTの制御のもとで液体供給装置11から送出された液体LQは、供給管13を流れた後、ノズル部材70の供給流路14を介して、供給口12より投影光学系PLの最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に供給される。供給口12から内部空間G2に供給された液体LQは、底板部70Dの上面77に濡れ拡がるように流れ、開口部74に達する。内部空間G2に液体LQが供給されることにより、内部空間G2に存在していた気体部分は排気口16及び/又は開口部74を介して外部空間K3に排出される。したがって、内部空間G2に対する液体LQの供給開始時に、内部空間G2に気体が留まってしまうといった不都合を防止することができ、光路空間K1の液体LQ中に気体部分(気泡)が生成される不都合を防止することができる。
また、本実施形態においては、底板部70Dの上面77の排気口16近傍には凹部78が設けられている。これにより、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間のギャップが小さくても、排気口16近傍の流路は凹部78によって広くなっているので、内部空間G2の気体部分を凹部78及び排気口16を介して外部空間K3に円滑に排出することができる。
なお、ここでは、排気流路15の上端部は大気空間(外部空間)K3に接続されており、大気開放された状態となっているが、排気流路15の上端部を真空系などの吸引装置と接続して、内部空間G2の気体を強制的に排気するようにしてもよい。
また、光路空間K1に対してX軸方向の両側に設けられた口(排気口)16から内部空間G2に対して液体LQを供給するとともに、光路空間K1に対してY軸方向の両側に設けられた口(供給口)12から内部空間G2の気体部分を外部空間K3に排出するようにしてもよい。
内部空間G2に供給された液体LQは、内部空間G2を満たした後、開口部74を介して第1ランド面75と基板P(基板ステージPST)との間の空間に流入し、露光光ELの光路空間K1を満たす。このように、最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に供給口12から液体LQを供給することによって、最終光学素子LS1(投影光学系PL)と基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされる。
このとき、制御装置CONTの制御のもとで駆動されている液体回収装置21は、単位時間当たり所定量の液体LQを回収している。真空系を含む液体回収装置21は、空間部24を負圧にすることにより、回収口22(多孔部材25)と基板Pとの間に存在する液体LQを、回収口22を介して回収することができる。露光光ELの光路空間K1に満たされている液体LQは、ノズル部材70の回収口22を介して回収流路24に流入し、回収管23を流れた後、液体回収装置21に回収される。
以上のように、制御装置CONTは、液浸機構1を使って、光路空間K1に対して単位時間当たり所定量の液体LQを供給するとともに光路空間K1の液体LQを単位時間当たり所定量で回収することで、投影光学系PLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を満たす液体LQと、ノズル部材70と基板Pとの間の液体LQとで、基板P上に液浸領域LRを局所的に形成することができる。制御装置CONTは、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たした状態で、投影光学系PLと基板Pとを相対的に移動しながらマスクMのパターン像を投影光学系PL及び光路空間K1の液体LQを介して基板P上に投影する。上述のように、本実施形態の露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であるため、制御装置CONTは、基板ステージPSTを制御して、基板Pを500〜700mm/sec.の速度でY軸方向に移動しつつ基板P上に露光光ELを照射して、基板Pを露光する。
このような走査型露光装置において、ノズル部材の構造によっては、例えば基板Pの走査速度(移動速度)の高速化に伴って、回収口22を介して液体LQを十分に回収することができず、光路空間K1に満たされた液体LQが基板Pとノズル部材70との間の空間よりも外側へ漏出する可能性がある。
例えば、図6に示すように、光路空間K1の走査方向(Y軸方向)側に延在するノズル部材70の下面の全域が基板Pの表面(XY平面)と略平行に設けられている場合、液浸領域LR(ノズル部材70)に対して基板Pを走査方向(Y軸方向)に移動すると、液浸領域LRの液体LQとその外側の空間との界面(気液界面)の移動距離及び/又は移動速度が大きくなり、液体LQが漏出する可能性がある。すなわち、図6(A)の模式図に示すような第1状態から、液浸領域LRに対して基板Pを−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動し、図6(B)に示すような基板Pの移動中における第2状態となった場合、基板Pの移動速度(走査速度)が高速化されると、液浸領域LRの液体LQとその外側の空間との界面LGの移動距離及び/又は移動速度が大きくなり、液浸領域LRが拡大して、液浸領域LRの液体LQが回収口22の外側に漏出する可能性がある。
また、図7の模式図に示すように、ノズル部材70の下面にXY平面と平行な平坦部と、この平坦部のY軸方向側に延在するとともに、XY平面に対して大きな角度(例えば50°)を有する斜面部が形成されている場合、液浸領域LRに対して基板Pを−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動すると、ノズル部材70の下面と基板Pとの間に存在する液体LQの一部がその段差部(平坦部と斜面部との境界)でノズル部材70の下面から離れ(剥離し)、基板P上に液体LQの薄膜を形成する可能性がある。その液体LQの薄膜は回収口22(多孔部材25)とは離れているため、その液体LQの薄膜部分が回収口22の直下に存在しても、回収口22によって回収できない状況が生じる可能性がある。すると、液体LQが基板Pとノズル部材70との間の空間よりも外側に漏出したり、基板P上に液体LQが残留したりする不都合が生じる可能性がある。そして、基板Pの移動速度の高速化に伴って、基板P上に液体LQの薄膜が形成される可能性が高くなるため、基板Pの移動の高速化に伴って、回収口22を介して液体LQを十分に回収することができなる可能性が高くなる。このように、光路空間K1の走査方向(Y軸方向)側に延在するノズル部材70の下面に回収口22が形成されていない場合であっても、基板Pで液体LQが薄い膜となり、基板P上に液体LQの滴などが残留する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、基板Pを移動した場合においても、液浸領域LRの拡大を抑え、且つノズル部材70の下面から液体LQが離れないように、ノズル部材70のうち基板Pと対向する下面の状態が最適化されている。具体的には、本実施形態においては、第1ランド面75と第2ランド面76との位置関係及び/又は、第1ランド面75及び第2ランド面76それぞれの表面状態が最適化されている。
上述のように、第1ランド面75は基板Pの表面とほぼ平行な平坦面であって親液性を有しており、基板Pの表面と第1ランド面75との間に存在する液体LQは第1ランド面75に密着し、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQは、基板Pの表面と第1ランド面75との間において良好に保持される。第2ランド面76は、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pとの間隔が大きくなる斜面であって親液性を有している。そして、第1ランド面75と第2ランド面76とがなす角度θAは10度以下に設定されている。また、第2ランド面76は第1ランド面75に対して連続的に設けられている。更に、回収口22は第2ランド面76には設けられておらず、第1ランド面75のうち光路空間K1に対して走査方向(Y軸方向)にも設けられていない。このような第1ランド面75と第2ランド面76との位置関係、あるいは第1ランド面75及び第2ランド面76それぞれの表面状態が最適化されたノズル部材70を用いた場合、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pを移動しても、液浸領域LRの拡大を抑え、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを第2ランド面76から離さない(剥離させない)ようにすることができる。
第1ランド面75と第2ランド面76との位置関係が最適化されていない場合、ノズル部材70の下面に液体LQを密着させることが困難となる可能性がある。また、光路空間K1(開口部74)に対してY軸方向の第1ランド面75及び/又は第2ランド面76に回収口22を設けた場合、上述したように、ノズル部材70の下面の表面状態が変わることとなり、ノズル部材70の下面から液体LQが離れてしまう可能性がある。本実施形態においては、第1ランド面75と第2ランド面76との位置関係を最適化するとともに、回収口22を光路空間K1(開口部74)の走査方向(Y軸方向)側には設けないようにしたので、第1ランド面75及び第2ランド面76によって、基板Pとの間で液体LQを良好に保持することができ、図7、図21を参照して説明したような液体LQの薄膜が形成される現象の発生を抑え、液体LQの漏出や残留を防止することができる。
そして、第2ランド面76は、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられており、ノズル部材70の下面のうち光路空間K1の走査方向(Y軸方向)側には回収口22が無いので、液浸領域LRの界面の移動距離及び移動速度を抑え、液浸領域LRの拡大(巨大化)を抑えることができる。
図8は、基板PをY軸方向に移動したときの液浸領域LRの挙動を説明するための模式図である。図8(A)に示す第1状態(第1ランド面75と基板Pとの間に液体LQが保持されている状態)から、基板Pを液浸領域LRに対して−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動した場合、図8(B)に示すような第2状態となる。第2ランド面76と基板Pとの間の距離は、第1ランド面75と基板Pとの間の距離よりも大きく、第2ランド面76と基板Pとの間の空間は、第1ランド面75と基板Pとの間の空間よりも大きいため、図8(B)に示すような基板Pの移動中の第2状態においては、液浸領域LRの液体LQには、上方に移動する成分F1と、水平方向に移動する成分F2とが生成される。成分F1は、具体的には、第2ランド面76に沿って斜め上方に移動する成分である。したがって、基板Pを移動したとき、図8(A)に示すような第1状態での界面LGと、図8(B)に示す基板Pの移動中の第2状態での界面LGとの距離を比較的小さくすることができる。そのため、液浸領域LRの拡大(巨大化)を抑制することができる。また、第1ランド面75と第2ランド面76とがなす角度θAは10度以下と小さいため、液浸領域LRに対して基板Pを高速に移動したとしても、界面LGの形状の大きな変化を抑制することができる。
そして、図6、図7、図21を参照して説明したような、液体LQの漏出の原因となる現象、すなわち液浸領域LRの界面LGの移動距離及び/又は移動速度が大きくなったり、ノズル部材70の下面から液体LQが離れたりするなどの現象は、基板Pを高速で移動する走査方向(Y軸方向)において生じやすいため、ノズル部材70の下面のうち光路空間K1のY軸方向側の領域の状態を、液体LQの漏出等を抑えることができるように最適化することで、基板PをY軸方向に移動しつつ基板Pを露光するときにおいても、液体LQの漏出を抑えることができる。
そして、基板Pの複数のショット領域の露光中、基板P(基板ステージPST)はY軸方向への移動だけでなく、X軸方向への移動も頻繁に行うので、液体LQを回収する回収口22を光路空間K1に対してX軸方向側に設けることにより、液体LQを回収することができ、液浸領域LRの拡大を抑えることができる。また、本実施形態においては、回収口22に設けられた多孔部材25の下面26は基板Pの表面とほぼ平行に設けられており、回収口22の多孔部材25の下面26と第1ランド面75とはほぼ面一なので、回収口22(多孔部材25の下面26)は基板Pに近い位置に配置された構成となっている。したがって、回収口22は液体LQを良好に効率よく回収することができる。
以上説明したように、ノズル部材70は、第1ランド面75と、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられた第2ランド面76とを有しているので、液浸領域LRの巨大化を抑制することができる。したがって、液浸領域LRの巨大化に伴うノズル部材70巨大化や基板ステージPSTの巨大化、あるいは基板ステージPSTの移動ストロークの増大を防止し、ひいては露光装置EX全体の巨大化を防止することができる。
また、図3で示したように、第2ランド面76及び第2ランド面76と露光光ELの光路空間K1との間に回収口22を設けていないので、例えば基板PをY軸方向(走査方向)に移動する場合にも、ノズル部材70の下面から液体LQが離れにくくなっている。従って、基板P上における液体LQの薄膜形成を防止することができる。すなわち、回収口22を、第2ランド面76以外の位置であって、露光光ELの光路空間K1と光路空間K1に対してY軸方向に離れた位置に設けられた第2ランド面76との間の領域以外の位置(すなわち、第1ランド面75のうち光路空間K1に対してY軸方向の所定領域以外の位置)に設けることにより、ノズル部材70の下面のY軸方向における表面状態を、液体LQを密着させるために最適な状態にすることができる。したがって、基板PをY軸方向に移動させた場合でも、液体LQをノズル部材70の下面と基板Pの表面との間で良好に保持することができる。
また、ノズル部材70は、光路空間K1の周囲に、基板Pの表面と近接して配置される第1ランド面75を有しているため、基板Pとの間で液体LQを良好に保持することができる。したがって、基板Pの露光中等においても、露光光ELの光路空間K1を液体LQで確実に満たすことができ、光路空間K1から液体LQが無くなってしまう状態(液切れ状態)、すなわち光路空間K1に気体部分が生成されてしまうといった不都合を防止することができる。
また、本実施形態においては、Y軸方向(走査方向)における第1ランド面75の幅D1は、Y軸方向における開口部74の幅D2よりも小さくなっている。また、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1は、X軸方向における第1ランド面75の幅D3よりも小さくなっている。このように、第1ランド面75のY軸方向の幅D1を第1ランド面75と基板Pとの間で液体LQを保持可能な範囲において可能な限り小さくして第1ランド面75のコンパクト化を図ることにより、その第1ランド面75に応じて形成される液浸領域LRをコンパクト化することができる。したがって、露光装置EX全体のコンパクト化を実現することができる。
また、本実施形態においては、ノズル部材70は排気口16を有しているため、光路空間K1を満たす液体LQ中に気泡が生成されてしまう不都合が抑制される。したがって、露光光ELを基板Pまで良好に到達させることができる。
なお本実施形態においては、第2ランド面76は、平面視において、光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて漸次拡がる台形状に設けられ、回収口22(多孔部材25)は、平面視において、光路空間K1からX軸方向に離れるにつれて漸次拡がる台形状に設けられているが、他の形状でもよく、例えば第2ランド面76を、光路空間K1(開口部74)のX軸方向の幅と同じ幅を有する平面視長方形状に形成してもよい。そして、ノズル部材70の下面のうち、平面視長方形状の第2ランド面76が設けられた以外の領域を回収口22とすることができる。この場合においても、回収口22は、第2ランド面76以外の(と異なる)位置であって、且つ露光光ELの光路空間K1(開口部74)と第2ランド面76との間の領域以外の位置に設けられた構成となり、光路空間K1のY軸方向側の領域(延在領域EA1)には、液体LQを回収するための回収口22が無い構成となる。このような構成であっても、基板PをY軸方向に移動しつつ露光したときの液浸領域LRの巨大化や液体LQの漏出を防止することができる。
なお本実施形態においては、第2ランド面76は平面であるが、曲面であってもよい。
あるいは、第2ランド面76は複数の平面の組み合わせであってもよい。例えば、光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に、第2ランド面76の一部として第1ランド面75と所定角度θ1を有する第1平面を形成し、更に光路空間K1に対して第1平面の外側に、第2ランド面76の一部として第1ランド面75と所定角度θ2(θ1≠θ2、例えば、θ1=4°、θ2=0°)を有する第2平面を設けるようにしてもよい。
なお本実施形態においては、回収口22(多孔部材25)は、ノズル部材70の下面のうち第1ランド面75に対してX軸方向両側のそれぞれに1つずつ設けられているが、複数に分割されていてもよい。
なお、本実施形態においては、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1は、Y軸方向における開口部74の幅D2よりも小さいが、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1を、Y軸方向における開口部74の幅D2よりも大きくしてもよい。また、本実施形態においては、第1ランド面75の外形は、X軸方向を長手方向とする矩形状(長方形状)であるが、例えば正方形状や円形状など任意の形状であってもよい。
<第2実施形態>
次に第2実施形態について図9〜図12を参照しながら説明する。以下の説明において上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は第2実施形態に係るノズル部材70近傍を示す概略斜視図の一部破断図、図10はノズル部材70を下側から見た斜視図、図11はXZ平面と平行な側断面図、図12はYZ平面と平行な側断面図である。
ノズル部材70の底板部70Dの中央部には、露光光ELが通過する開口部74が形成されている。開口部74は、投影領域ARに応じた形状を有しており、上述の第1実施形態同様、X軸方向(非走査方向)を長手方向とするスリット状(略矩形状)に形成されている。ノズル部材70の下面における開口部74の周囲には第1ランド面75が設けられている。第1ランド面75は、基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1(投影領域AR)を囲むように設けられている。第1ランド面75は、基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように設けられている。第1ランド面75は、ノズル部材70のうち、基板ステージPSTに保持された基板Pに最も近い位置に設けられている。
そして、第1ランド面75は、投影光学系PLの下面T1と基板Pとの間において、露光光ELの光路空間K1(投影領域AR)を囲むように設けられている。上述のように、第1ランド面75は、底板部70Dの下面の一部の領域に設けられたものであって、露光光ELが通過する開口部74を囲むように、開口部74の周囲に設けられた構成となっている。図10に示すように、本実施形態における第1ランド面75の外形は、略正方形状に形成されており、開口部74は、第1ランド面75のほぼ中央部に設けられている。そして、Y軸方向における第1ランド面75の幅は、Y軸方向における開口部74の幅よりも大きくなっている。なお、上述の第1実施形態同様、第1ランド面75の外形を、X軸方向を長手方向とする矩形状にしてもよい。そして、Y軸方向における第1ランド面75の幅を、Y軸方向における開口部74の幅よりも小さくしてもよい。あるいは、第1ランド面75の外形は、円形状など任意の形状であってもよい。
また、ノズル部材70の下面は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられ、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられた第2ランド面76を有している。
本実施形態の第2ランド面76は、基板Pの表面(XY平面)と略平行に、且つ基板Pの表面に対して第1ランド面よりも離れた位置に設けられている。そして、基板Pの表面と略平行に設けられた第1ランド面75と、基板Pの表面と略平行に設けられた第2ランド面76との間には段差D4が設けられている。
本実施形態においては、第2ランド面76は、Y軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられているとともに、X軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられている。すなわち、本実施形態においては、第2ランド面76は、第1ランド面75を囲むように設けられている。
そして、本実施形態においても、液体LQが基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する場合において、その基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないように、第1ランド面75と第2ランド面76とが所定の位置関係で設けられた状態となっている。具体的には、光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板PをY軸方向に移動した場合でも、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないように(剥離しないように)なっている。
そして、第1ランド面75と第2ランド面76との段差D4は1mm以下に設定されている(図12参照)。本実施形態においては、第1ランド面75と第2ランド面76との段差D4は、約0.5mmに設定されている。
第1ランド面75及び第2ランド面76は、第1実施形態と同様に、それぞれ液体LQに対して親液性を有している。また、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第2ランド面76と液体LQとの接触角とはほぼ等しくなっている。
ノズル部材70は、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを供給する供給口12と、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを回収する回収口22とを備えている。供給口12は、最終光学素子LS1と上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。また、ノズル部材70は、内部空間G2と外部空間とを連通させるための排気口16を有している。排気口16は、最終光学素子LS1と上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。なお、第1実施形態で述べたように、排気口16から強制排気するようにしてもよい。なお、上述の第1実施形態と同様に、光路空間K1に対してX軸方向の両側に設けられた口(排気口)16から内部空間G2に対して液体LQを供給するとともに、光路空間K1に対してY軸方向の両側に設けられた口(供給口)12から内部空間G2の気体部分を外部空間K3に排出するようにしてもよい。
回収口22は、基板ステージPSTに保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する位置に設けられている。回収口22と基板Pの表面とは所定距離だけ離れている。回収口22は、投影光学系PLの像面近傍の光路空間K1に対して供給口12の外側に設けられている。
本実施形態の回収口22は、ノズル部材70の下面の一部である第2ランド面76に設けられている。回収口22は、第2ランド面76の複数の所定位置のそれぞれに設けられている。そして、回収口22のそれぞれは、露光光ELの断面視における大きさ、すなわち投影領域ARの大きさよりも小さく設けられている。なお、この実施形態における「露光光ELの断面視における大きさ」とは、基板Pと最終光学素子LS1との間の光路空間K1における露光光のELの断面視における大きさであり、ほぼ投影領域ARの大きさに近似することができる。図10に示すように、本実施形態においては、回収口22のそれぞれは平面視略三角形状に設けられている。なお、回収口22の平面視における形状としては、矩形状や円形状など任意の形状であってもよい。また、回収口22は、第2ランド面76のうち、光路空間K1(開口部74)に対してY軸方向に沿った複数の所定位置、及び光路空間K1(開口部74)に対してX軸方向に沿った複数の所定位置のそれぞれに設けられている。具体的には、回収口22は、第2ランド面76のうち、第1ランド面75の+Y側端部近傍の位置と、その位置よりも光路空間K1に対して+Y方向に離れた位置とのそれぞれに設けられているとともに、第1ランド面75の−Y側端部近傍の位置と、その位置よりも光路空間K1に対して−Y方向に離れた位置とのそれぞれに設けられている。更に、回収口22は、第2ランド面76のうち、第1ランド面75の+X側端部近傍の位置と、その位置よりも光路空間K1に対して+X方向に離れた位置とのそれぞれに設けられているとともに、第1ランド面75の−X側端部近傍の位置と、その位置よりも光路空間K1に対して−X方向に離れた位置とのそれぞれに設けられている。すなわち、本実施形態においては、回収口22は8つの所定位置のそれぞれに設けられている。なお、液体LQが第2ランド面76から離れないように、液体LQを回収可能であれば、回収口22の数や配置は任意に設定可能である。また、ここでは、各回収口22の大きさや形状は互いに等しいが、異なっていてもよい。
また、第1実施形態と同様に、各回収口22のそれぞれには多孔部材25が配置されている。多孔部材25のそれぞれは、基板ステージPSTに保持された基板Pと対向する平坦な下面26を有している。多孔部材25は、その下面26が基板ステージPSTに保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。また、回収口22に設けられた多孔部材25の下面26と、第2ランド面76とは、基板Pの表面に対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。すなわち、第2ランド面76と多孔部材25の下面26とは連続するようにほぼ面一となっている。液体LQは、回収口22に配置された多孔部材25を介して回収されるため、回収口22は、第2ランド面76とほぼ面一な平坦面(下面)26に形成された構成となっている。また、多孔部材25は、第1実施形態と同様に、液体LQに対して親液性(親水性)を有している。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
上述のように、第1ランド面75は基板Pの表面とほぼ平行な平坦面であって親液性を有しており、基板Pの表面と第1ランド面75との間に存在する液体LQは第1ランド面75に密着し、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQは、基板Pの表面と第1ランド面75との間において良好に保持される。第2ランド面76は、基板Pの表面とほぼ平行に、且つ基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられており、親液性を有している。そして、第1ランド面75と第2ランド面76との段差D4は1mm以下に設定されている。更に、回収口22は、露光光ELの断面視における大きさよりも小さく設けられている。このような第1ランド面75と第2ランド面76との位置関係、あるいは第1ランド面75及び第2ランド面76それぞれの表面状態が最適化されたノズル部材70を用いた場合、光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pを移動しても、液浸領域LRの拡大を抑え、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを第2ランド面76から離さないようにすることができる。
すなわち、本実施形態においても、基板Pを移動した場合において、液浸領域LRの拡大を抑え、且つノズル部材70の下面から液体LQが離れないように、ノズル部材70のうち基板Pと対向する下面の状態が最適化されている。
図13は、基板PをY軸方向に移動したときの液浸領域LRの挙動を説明するための模式図である。図13(A)に示す第1状態(第1ランド面75と基板Pとの間に液体LQが保持されている状態)から、基板Pを液浸領域LRに対して−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動した場合、図13(B)に示すような第2状態となる。第2ランド面76と基板Pとの間の距離は、第1ランド面75と基板Pとの間の距離よりも大きく、第2ランド面76と基板Pとの間の空間は、第1ランド面75と基板Pとの間の空間よりも大きいため、図13(B)に示すような基板Pの移動中の第2状態においては、液浸領域LRの液体LQには、上方に移動する成分F1’と、水平方向に移動する成分F2とが生成される。したがって、基板Pを移動したとき、図13(A)に示すような第1状態での界面LGと、図13(B)に示す基板Pの移動中の第2状態での界面LGとの距離を比較的小さくすることができる。そのため、液浸領域LRの拡大(巨大化)を抑制することができる。また、段差D4が大きいと、液体LQが第2ランド面76から剥離する可能性があるが、段差D4が1mm以下と小さいため、液体LQが第2ランド面76から離れて基板P上に液体LQの薄膜が形成されるのを防止することができる。また、段差D4は1mm以下と小さいため、液浸領域LRに対して基板Pを高速に移動したとしても、界面LGの形状の大きな変化を抑制することができる。
そして、第2ランド面76には回収口22が設けられているものの、その大きさは第2ランド面76からの液体LQの剥離を防止するように十分に小さく形成されているため、ノズル部材70の下面のY軸方向における表面状態が、液体LQを保持するために最適な状態となっている。したがって、基板PをY軸方向に移動させた場合でも、液体LQをノズル部材70の下面と基板Pとの間で良好に保持することができる。
また、回収口22のそれぞれの大きさは小さいものの、回収口22は第2ランド面76の複数の所定位置のそれぞれに設けられているため、液体LQを良好に回収することができる。
以上説明したように、本実施形態においても、液浸領域LRの巨大化を抑制することができる。また、回収口22を、第2ランド面76に設けるとともに、その回収口22の大きさを、液体LQを回収可能な範囲で可能な限り小さくすることで、ノズル部材70の下面のY軸方向における表面状態を、液体LQを保持するために最適な状態にすることができる。したがって、基板PをY軸方向に移動させた場合でも、液体LQをノズル部材70の下面と基板Pとの間で良好に保持することができる。
なお、第2実施形態の第2ランド面76は、基板Pの表面と略平行に、且つ基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられているが、その第2ランド面76を、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面とし、その斜面からなる第2ランド面76に、投影領域ARの大きさよりも小さい回収口22を設けるようにしてもよい。
なお、上述の第1実施形態の第2ランド面76は、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面であるが、その第2ランド面76を、基板Pの表面と略平行に、且つ基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けてもよい。そして、回収口22を、第2ランド面76以外の位置であって、且つ露光光ELの光路空間K1と第2ランド面76との間以外の位置に配置すればよい。また、その回収口22の大きさを、露光光ELの断面視における大きさよりも小さくしてもよい。
なお、上述の各実施形態において、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないように、第1ランド面75と第2ランド面76とが所定の位置関係で設けられていれば、例えば第1ランド面75と第2ランド面76との間に段差が設けられ、且つ第1ランド面75に対して第2ランド面76が傾斜していてもよい。
また、上述の各実施形態においては、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第2ランド面76と液体LQとの接触角とはほぼ等しいが、異なっていてもよい。 この実施形態では、図3に示した延在領域EA1及びEA2に回収口が存在する場合を示したが、回収口の大きさが露光光の断面積より小さいために、基板P上で液体LQが薄い膜となる可能性が小さい。
<第3実施形態>
次に第3実施形態について図14〜図17を参照しながら説明する。図14は第3実施形態に係るノズル部材70近傍を示す概略斜視図の一部破断図、図15はノズル部材70を下側から見た斜視図、図16はXZ平面と平行な側断面図、図17はYZ平面と平行な側断面図である。
ノズル部材70の底板部70Dの中央部には、露光光ELが通過する開口部74が形成されている。開口部74は、投影領域ARに応じた形状を有しており、上述の第1実施形態同様、X軸方向を長手方向とするスリット状に形成されている。ノズル部材70の下面における開口部74の周囲には第1ランド面75が設けられている。第1ランド面75は、基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられている。第1ランド面75は、基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように設けられている。本実施形態の第1ランド面75の外形は、上述の第1実施形態同様、X軸方向を長手方向とする矩形状である。
また、ノズル部材70の下面は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つY軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられ、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられた第2ランド面76を有している。本実施形態の第2ランド面76は、上述の第1実施形態同様、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面である。第2ランド面76は、第1ランド面75に対して走査方向一方側(+Y側)と他方側(−Y側)とのそれぞれに設けられている。また、上述の第1実施形態同様、第2ランド面76のうち光路空間K1に最も近いエッジと第1ランド面75のエッジとが接続されており、第1ランド面75と第2ランド面76とがなす角度θAは10度以下に設定されている。第1ランド面75及び第2ランド面76は、それぞれ液体LQに対して親液性を有している。第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第2ランド面76と液体LQとの接触角とはほぼ等しくなっている。光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pを移動した場合でも、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQが第2ランド面76から離れないようになっている。
また、ノズル部材70の下面は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つX軸方向において露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に設けられ、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けられた第3ランド面80を有している。第3ランド面80は、露光光ELの光路空間K1からX軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面である。第3ランド面80は、第1ランド面75に対して走査方向と交差する方向一方側(+X側)と他方側(−X側)とのそれぞれに設けられている。第1ランド面75と第3ランド面80とがなす角度θBは、例えば40度以下に設定されている(図16参照)。
第3ランド面80は、液体LQに対して親液性を有している。また、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第3ランド面80と液体LQとの接触角とはほぼ等しくなっている。そして、液体LQが基板Pの表面と第3ランド面80との間に存在する場合において、その基板Pの表面と第3ランド面80との間に存在する液体LQが第3ランド面80から離れないように、第1ランド面75と第3ランド面80とが所定の位置関係で設けられている。具体的には、光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pを移動した場合でも、基板Pの表面と第3ランド面80との間に存在する液体LQが第3ランド面80から離れないように、第3ランド面80が形成されている。
図15に示すように、第2ランド面76は、平面視において、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて漸次拡がる形状(台形状)に設けられている。第3ランド面80は、平面視において、露光光ELの光路空間K1からX軸方向に離れるにつれて漸次拡がる形状(台形状)に設けられている。そして、第2ランド面76のエッジと第3ランド面80のエッジとが接続されている。
回収口22は、露光光ELの光路空間K1と第3ランド面80との間に設けられている。具体的には、回収口22は、第1ランド面75と第3ランド面80との間に設けられている。回収口22には多孔部材25が配置されている。本実施形態においては、回収口22は平面視矩形状に形成されている。そして、回収口22は、Y軸方向に関して第1ランド面75とほぼ同じ大きさに設けられている。
多孔部材25は、基板ステージPSTに保持された基板Pと対向する下面26を有している。多孔部材25の基板Pと対向する下面26はほぼ平坦である。多孔部材25は、その下面26が基板ステージPSTに保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。
回収口22に設けられた多孔部材25の下面26と第1ランド面75とは、基板Pの表面に対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられており、第1ランド面75と多孔部材25の下面26とは連続するようにほぼ面一となっている。また、光路空間K1に対して+X側に設けられた多孔部材25の下面26のうち露光光ELの光路空間K1に最も遠い+X側のエッジと、第3ランド面80の−X側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられ、光路空間K1に対して−X側に設けられた多孔部材25の下面26のうち露光光ELの光路空間K1に最も遠い−X側のエッジと、第3ランド面80の+X側のエッジとが基板Pに対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。
このように、本実施形態においては、上述の第1実施形態同様、光路空間K1に対して走査方向と平行な方向(Y軸方向)には、液体LQを回収するための回収口22が無い構成となっている。
また、上述の第1、第2実施形態同様、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍には、光路空間K1に液体LQを供給するための供給口12が設けられている。供給口12は、光路空間K1を挟んだY軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍には、内部空間G2と外部空間K3とを連通させるための排気口16が設けられている。排気口16は、光路空間K1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。
底板部70Dの上面77のうち供給口12近傍には第1凹部79が設けられている。また、底板部70Dの上面77のうち排気口16近傍には第2凹部78が設けられている。第1凹部79は、供給口12と開口部74とを接続するように、底板部70Dの上面77に形成されている。同様に、第2凹部78は、排気口16と開口部74とを接続するように、底板部70Dの上面77に形成されている。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすために、制御装置CONTは、液体供給装置11及び液体回収装置21のそれぞれを駆動する。制御装置CONTの制御のもとで液体供給装置11から送出された液体LQは、供給口12より内部空間G2に供給される。本実施形態においては、底板部70Dの上面77に第1凹部79が設けられているので、供給口12から供給された液体LQは、第1凹部79を含む上面77を介して開口部74まで円滑に流れる。また、内部空間G2に液体LQが供給されることにより、内部空間G2に存在していた気体部分は排気口16及び/又は開口部74を介して外部空間K3に排出される。ここで、底板部70Dの上面77の排気口16近傍には第2凹部78が設けられているため、内部空間G2の気体部分を第1凹部78及び排気口16を介して外部空間K3に円滑に排出することができる。なお、本実施形態においても、排気流路15の上端部に真空系などの吸引装置と接続して、内部空間G2の気体を強制的に排気するようにしてもよい。
また、光路空間K1に対してX軸方向に設けられた口(排気口)16から内部空間G2に対して液体LQを供給するとともに、光路空間K1に対してY軸方向に設けられた口(供給口)12から内部空間G2の気体部分を外部空間K3に排出するようにしてもよい。この場合においても、第1凹部79及び第2凹部78によって、液体LQを円滑に流すことができるとともに、内部空間G2の気体を円滑に排出することができる。
光路空間K1を液体LQで満たした後、制御装置CONTは、光路空間K1に対して基板PをY軸方向に移動しつつ、液体LQを介して基板Pに露光光ELを照射する。ノズル部材70は第2ランド面76を有しているので、基板PをY軸方向に移動しつつ基板Pを露光するときにおいても、液体LQの漏出を抑えることができる。
また、光路空間K1に対して基板PをX軸方向に移動するときにおいても、ノズル部材70は第3ランド面80を有しているので、液体LQの漏出を抑えることができる。また、第3ランド面80によって、基板Pの表面との間で液体LQを良好に保持することができ、図7を参照して説明したような液体LQの薄膜が形成される現象の発生を抑え、液体LQの漏出や残留を抑えることができる。そして、光路空間K1(第1ランド面75)と第3ランド面80との間に設けられた回収口22を介して液体LQを良好に回収することができる。回収口22の下面26は第1ランド面75とほぼ面一なので、液体LQと良好に接触することができ、回収口22を介して液体LQを良好に回収することができる。
以上説明したように、本実施形態においても、液浸領域LRの巨大化を抑制し、露光光ELの光路空間K1を液体LQで所望状態に満たすことができる。
なお、第3実施形態においては、第3ランド面80は、平面視において、光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて漸次拡がる台形状に設けられているが、例えば平面視長方形状など他の形状であってもよい。同様に、第2ランド面76も、例えば平面視長方形状など他の形状であってもよい。
なお、第3実施形態においては、第3ランド面80は平面であるが、曲面であってもよい。また、第3ランド面80は複数の平面の組み合わせであってもよい。同様に、第2ランド面76も、曲面であってもよいし、複数の平面の組み合わせであってもよい。
なお、第3実施形態においては、第2ランド面76は、露光光ELの光路空間K1からY軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面であり、第3ランド面80は、露光光ELの光路空間K1からX軸方向に離れるにつれて基板Pの表面との間隔が大きくなる斜面であるが、第2ランド面76及び第3ランド面80のいずれか一方が、第2実施形態で説明したような、第1ランド面75との間に段差を有するものであってもよい。
なお、第3実施形態においては、回収口22(多孔部材25)は、ノズル部材70の下面のうち第1ランド面75に対してX軸方向両側のそれぞれに1つずつ設けられているが、複数に分割されていてもよい。また、第2ランド面76の一部や第3ランド面80の一部に回収口22が設けられていてもよい。
なお、第3実施形態においては、第1ランド面75の外形は、X軸方向を長手方向とする矩形状であるが、例えば正方形状や円形状など任意の形状であってもよい。
また、第3実施形態においては、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第2ランド面76と液体LQとの接触角とはほぼ等しいが、異なっていてもよい。同様に、第1ランド面75と液体LQとの接触角と、第3ランド面80と液体LQとの接触角とが異なっていてもよい。
<第4実施形態>
次に第4実施形態について図18を参照しながら説明する。図18はノズル部材70と基板ステージPSTとの位置関係を模式的に示した図である。なお、本実施形態においては、ノズル部材70として、上述の第1実施形態で説明したノズル部材70を例にして説明する。
図18において、基板ステージPSTは、基板Pを保持して移動するとともに、基板Pの周囲に、第1ランド面75及び第2ランド面76との間で液体LQを保持可能な上面94を有している。上述のように、第1ランド面75、及び第2ランド面76は、基板ステージPSTの上面94及び基板Pの表面の少なくとも一方との間で液体LQを保持可能に設けられている。そして、基板ステージPSTの可動範囲は、Y軸方向(走査方向)において、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面及び基板ステージPSTの上面94の少なくとも一方に液浸領域LRを形成した状態で、基板ステージPSTの上面94の端部94Eが第2ランド面76の端部76Eよりも露光光ELの光路空K1に近い位置に移動可能に設定されている。
このように基板ステージの位置制御を設定したのは、発明者による以下のような発見に基づく。液浸領域は、基板P及び基板ステージPSTの上面94と、ノズル部材70のような部材との間に液体を供給することで形成される。ここで、図18に示すように、例えば、ノズル部材70の下面の一部が基板Pの表面、及び基板ステージPSTの上面94のいずれとも対向しないような状況になると液浸領域LRの液体が基板ステージPSTからこぼれ落ちると考えられていた。それゆえ、これまで、基板ステージPSTの上面94の端部94Eがノズル部材70の(第2ランド面76の)端部76Eよりも内側、すなわち、露光光ELの光路空K1に近い位置に位置付けられることはなかった。換言すれば、これまでは、液浸領域の液体の基板ステージPSTからの漏れを防止する観点から、基板ステージPSTは常にノズル部材70をカバーするような領域で移動制御されていた。
しかしながら、発明者の実験などによると、上述のように、第2ランド面76は、基板ステージPSTの上面94及び基板Pの表面の少なくとも一方との間で液体LQを保持可能に設けられている。図18に示すように、基板ステージPSTを+Y方向に移動する場合には、液体LQの液浸領域LRは+Y方向に拡大しようとするため、光路空間K1に対して−Y側の第2ランド面76が液体LQと接触する領域(面積)は比較的小さくなる。この場合、光路空間K1に対して−Y側の第2ランド面76の全部の領域が基板ステージPSTの上面94及び基板Pの表面の少なくとも一方と対向していなくても、第2ランド面76の一部の領域だけが、基板ステージPSTの上面94及び基板Pの表面の少なくとも一方と対向していれば、液浸領域LRの液体LQを保持することができる。したがって、基板ステージPSTを+Y方向に移動する場合、基板ステージPSTの上面94の−Y側の端部94Eが、第2ランド面76の−Y側の端部76Eよりも光路空間K1に近い位置(図18の例では、+Y側)になるまで、基板ステージPSTを移動することができる。
そして、基板ステージPSTの可動範囲を上述のように設定することで、基板Pの−Y側に設けられた基板ステージPSTの上面94を小さくしても、基板ステージPSTとノズル部材70との間で液体LQを保持し、基板Pの表面の周縁領域を円滑に液浸露光することができる。例えば、図18に示すように、基板Pの表面の−Y側の周縁領域を、基板ステージPSTを+Y方向に移動しながら液浸露光するときに、基板ステージPSTの上面94及び基板Pの表面の少なくとも一方と、ノズル部材70との間で液体LQを保持することができる。従って、基板ステージPSTを小型化することができる。
このように、基板ステージPSTの小型化を図ることもできるため、露光装置全体の巨大化を抑制することができる。また、基板ステージPSTの小型化を図ることができるため、基板ステージPSTの駆動を円滑に制御できるとともに、例えば基板ステージPSTを駆動するアクチュエータからの発熱を抑えることができる。
なおここでは、基板ステージPSTの−Y側の端部94Eと第2ランド面76の−Y側の端部76Eとの位置関係について説明したが、基板ステージPSTの+Y側の端部94Eと第2ランド面76の+Y側の端部76Eとの位置関係についても同様に設定可能である。また、基板ステージPSTのX軸方向における端部とノズル部材70の下面のX軸方向における端部との位置関係も同様に設定可能である。
なお、基板ステージPSTとノズル部材70との間で液体LQを保持できる基板ステージPSTの上面94の端部94Eと第2ランド面76の端部76Eとの位置関係、すなわち、基板ステージPSTの可動範囲は、基板ステージPSTの移動条件(移動速度、加速度など)、基板Pの表面条件(液体LQとの接触角など)などを考慮して、実験又はシミュレーションによって予め求めることができる。
なお、基板ステージPSTの上面94の端部94Eを、第2ランド面76の端部76Eよりも光路空間K1に近い位置まで移動したとき、ノズル部材70の下面のうち、第2ランド面76の一部や回収口22に配置されている多孔部材25の一部など、基板ステージPSTの上面及び基板Pの表面のいずれとも対向しない所定領域が形成される。以下の説明では、この所定領域を、適宜「オーバーハング領域」と称する。この場合、そのオーバーハング領域に、例えば露光装置EXが置かれている環境を調整するための気流と接触する可能性がある。ノズル部材70の下面(例えば、第2ランド面76)には液体LQが付着している可能性があるので、その気流との接触によって付着している液体LQの一部が気化し、その気化熱によってノズル部材70が温度変化(温度低下)する可能性がある。ノズル部材70が温度変化すると、ノズル部材70自体が熱変形したり、ノズル部材70の周囲に設けられている各種部材(例えば最終光学素子LS1)が熱変形したり、あるいはノズル部材70の周囲の空間の温度が変化する可能性がある。例えば最終光学素子LS1が熱変形したり、あるいは露光光ELの光路上の温度が変化すると、マスクMのパターン像を基板Pに投影するときの投影状態が変化する不都合が生じる可能性がある。その場合には、ノズル部材70の温度変化を抑制するための温度調整機構を設けてもよい。温度調整機構としては、例えば、ノズル部材70の内部に、供給流路14、排気流路15、回収流路24とは別の流路を設け、その流路に、ノズル部材70の温度を調整するための流体(温調用流体)を流す形態が挙げられる。なお、回収流路24の内側に温調用流体を供給するようにしてもよい。この場合、回収流路24の内側に供給された温調用流体は、光路空間K1より回収口22を介して回収された液体LQとともに液体回収装置21に回収される。あるいは、ノズル部材70の側面などに温調用流体が流れるジャケット部材を取り付けたり、あるいは、ノズル部材70近傍に熱を放射する放射装置を設け、その放射装置から放射された熱によってノズル部材70の温度調整を行うようにしてもよい。
なお、第4実施形態においては、ノズル部材70として、上述の第1実施形態で説明したノズル部材70を例にして説明したが、第2、第3実施形態で説明したノズル部材70を用いることができる。あるいは、上述の第1〜第3実施形態以外のノズル部材70を用いることもできる。例えば、オーバーハング領域を形成するという目的の達成のみを考慮する場合には、光路空間K1の+Y側と−Y側に液体の回収口を配置してもよい。また、オーバーハング領域を有するノズル部材70としては、基板ステージPSTの上面との間で液体LQを保持可能なものであればよく、供給口のみを有したもの、あるいは回収口のみを有したものであってもよい。あるいは、供給口及び回収口の両方を有していない部材であってもよい。すなわち、基板ステージPSTの上面との間で液体LQを保持可能な部材(ノズル部材)と、液体を供給する供給口及び回収口を有する部材とが別々に設けられていてもよい。要は、投影光学系PLの像面側に液浸領域LRを形成した状態で、基板ステージPSTを所定方向(図18においては+Y方向)に移動した場合に、その所定方向における液浸領域LRの一方の端部(図18においては−Y側の端部)が光路空間K1に近い位置に形成されるように設けられた下面を有し、その下面が基板ステージPSTの上面94と対向するように配置されたノズル部材を設け、基板ステージPSTの可動範囲を、所定方向において、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面及び基板ステージPSTの上面94の少なくとも一方と、ノズル部材70の下面との間で液体LQを保持した状態で、基板ステージPSTの上面94の端部がノズル部材70の下面の端部よりも露光光ELの光路空間K1に近い位置に移動可能に設定すれば、基板ステージPSTの上面94の所定方向における面積が小さくても、液浸領域LRの液体LQを維持することができる。
なお、第4実施形態において、オーバーハング領域に回収口22の少なくとも一部が含まれている場合、液体回収装置21のトラブルなどによって、回収口22から逆流した液体LQが、基板ステージ定盤6上に流出する可能性がある。したがって、そのようなトラブルが懸念される場合には、回収口22の少なくとも一部がオーバーハング領域に含まれないように、ノズル部材70の下面における回収口22の位置(領域)を設定しておくことが望ましい。例えば、図3に示されている第1実施形態のノズル部材70の回収口22を、図19に示すように変更してもよい。図19においては、ノズル部材70の回収口22’がオーバーハング領域に含まれないように、回収口22のY軸方向の長さが、図3に示したノズル部材70の回収口22よりも短くなっている。
また、上述の各実施形態においては、ノズル部材70のほぼ中心に露光光ELが通過する開口部74が形成され、XY平面内において、投影光学系PLの像面側の光軸とノズル部材70の中心とがほぼ一致するように、投影光学系PLとノズル部材70とが配置されている。しかしながら、例えば投影光学系PLとして反射屈折系を用いた場合には、投影光学系PLの像面側の光軸に対して偏心した位置に露光光ELの照射領域(投影領域AR)が設定される可能性がある。このような場合には、露光光ELがノズル部材70の開口部74を通過するように、XY平面内において、投影光学系PLの像面側における光軸AXに対してノズル部材70の中心をずらしてもよい。あるいは、XY平面内において、投影光学系PLの像面側の光軸とノズル部材70の中心とがほぼ一致するように、投影光学系PLとノズル部材70とを配置するとともに、露光光ELがノズル部材70の開口部74を通過するように、ノズル部材70の中心に対して開口部74をずらして形成してもよい。
上記実施形態においては、第1ランド面75と第2ランド面76は、離れていた(面一ではなかった)が、延在領域EA1または延在領域EA2の外側に回収口22が設けられていれば、第1ランド面75と第2ランド面76を面一にしてもよい(この場合、第1及び第2面の区別はなくなる)。すなわち、液浸領域LRの拡がりがある程度許容される場合には、延在領域EA1または延在領域EA2の外側に回収口22が設けられていれば、走査露光における液浸領域LRを所望の状態に維持することができる。
上記実施形態においては、第2ランド面76に走査方向(Y方向)に延在するフィンを設けてもよい。フィンにより走査方向に液体をより良好に維持することができる。
なお、上述の各実施形態においては、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置した状態で、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たしているが、露光光ELが照射可能な位置に、例えば基板ステージPSTの上面94や、基板ステージPSTとは別の物体を配置した状態で、露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされてもよい。
なお、上述した各実施形態において、液浸機構1は、回収口22を介して液体LQのみを回収するように設けられている。したがって、液浸機構1は、回収口22を介して空間部24に気体を流入させること無く、液体LQを良好に回収することができる。以下、図20を参照しながら、液浸機構1による液体回収動作の原理について説明する。図20は多孔部材25の一部を拡大した断面図であって、多孔部材25を介して行われる液体回収動作を説明するための模式図である。
図20において、回収口22には多孔部材25が設けられている。また、多孔部材25の下側には基板Pが設けられている。そして、多孔部材25と基板Pとの間には、気体空間及び液体空間が形成されている。より具体的には、多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間には気体空間が形成され、多孔部材25の第2孔25Hbと基板Pとの間には液体空間が形成されている。また、多孔部材25の上側には、回収流路(流路空間)24が形成されている。
多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間の空間K3の圧力(多孔部材25Hの下面での圧力)をPa、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力(多孔部材25の上面での圧力)をPc、孔25Ha、25Hbの孔径(直径)をd、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角をθ、液体LQの表面張力をγとした場合、本実施形態の液浸機構1は、
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pa−Pc) …(1)
の条件を満足するように設定されている。なお、上記(1)式においては、説明を簡単にするために多孔部材25の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。
この場合において、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θは、
θ ≦ 90° …(2)
の条件を満足する必要がある。
上記条件が成立する場合、多孔部材25の第1孔25Haの下側(基板P側)に気体空間が形成された場合でも、多孔部材25の下側の空間K3の気体が孔25Haを介して多孔部材25の上側の流路空間24に移動(侵入)することが防止される。すなわち、上記条件を満足するように、多孔部材25の孔径d、多孔部材25の液体LQとの接触角(親和性)θ、液体LQの表面張力γ、及び圧力Pa、Pcを最適化することにより、液体LQと気体との界面を多孔部材25の第1孔25Haの内側に維持することができ、第1孔25Haを介して空間K3から流路空間24へ気体が侵入することを抑えることができる。一方、多孔部材25の第2孔25Hbの下側(基板P側)には液体空間が形成されているので、第2孔25Hbを介して液体LQのみを回収することができる。
本実施形態においては、多孔部材25の下側の空間K3の圧力Pa、孔径d、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θ、液体(純水)LQの表面張力γはほぼ一定であり、液浸機構1は、液体回収装置21の吸引力を制御して、上記条件を満足するように、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力Pcを調整する。
なお、上記(1)式において、(Pa−Pc)の絶対値が大きいほど、すなわち、((4×γ×cosθ)/d)の絶対値が大きいほど、上記条件を満足するような圧力Pcの制御が容易になるので、孔径dは可能な限り小さく、多孔部材25の液体LQとの接触角θは可能な限り小さいことが望ましい。本実施形態においては、多孔部材25は液体LQに対して親液性を有しており、十分に小さい接触角θを有している。
このように、本実施形態では、多孔部材25が濡れた状態で、多孔部材25の上側の空間24と下側の空間K3との圧力差(多孔部材25の上面と下面との圧力差)を、上記条件を満足するように制御することで、多孔部材25の孔25Hから液体LQのみを回収する。これにより、液体LQと気体とを一緒に吸引することに起因する振動の発生を抑制することができる。
上記実施形態で用いたノズル部材70などの液浸機構1は、上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
また、上述の実施形態においては、ノズル部材70の一部(底板部70D)が、投影光学系PLと基板Pとの間に配置されているが、ノズル部材70の一部が投影光学系PLと基板Pとの間に配置されていなくてもよい。すなわち、投影光学系PLの最終光学素子LS1の下面T1の全体が基板Pと対向していてもよい。
また、上述の実施形態において、供給口12は内部空間G2に接続されているが、ノズル部材70の下面に供給口を設けてもよい。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水である。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子のマスク側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子LS1を形成してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上記実施形態では投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズなどの光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸領域が形成される。国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。この場合、計測ステージ上にも液浸領域LRを形成することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図22に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…液浸機構、12…供給口、16…排気口、22…回収口、70…ノズル部材、70D…底板部、74…開口部、75…第1ランド面、76…第2ランド面、76E…端部、77…上面、78…凹部、79…凹部、80…第3ランド面、94…上面、94E…端部、D4…段差、EL…露光光、EX…露光装置、G2…内部空間、K1…光路空間、K3…外部空間、LQ…液体、LR…液浸領域、LS1…最終光学素子、P…基板