JP4872916B2 - 露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2005年4月18日に出願された特願2005−120185号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体デバイス、液晶表示デバイス等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)の製造工程の一つであるフォトリソグラフィ工程では、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に投影露光する露光装置が用いられる。この露光装置は、マスクを保持して移動可能なマスクステージと、基板を保持して移動可能な基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に投影露光するものである。マイクロデバイスの製造においては、デバイスの高密度化のために、基板上に形成されるパターンの微細化が要求されている。この要求に応えるために露光装置の更なる高解像度化が望まれている。その高解像度化を実現するための手段の一つとして、下記特許文献1に開示されているような、露光光の光路空間を液体で満たし、その液体を介して基板を露光する液浸露光装置が案出されている。
国際公開第99/49504号パンフレット
液浸露光装置において、光路空間を液体で満たして液浸空間を形成する部材、例えばノズル部材の温度が変化すると、光路空間に供給される液体の温度が変化し、光路空間を所望の温度の液体で満たすことができなくなる可能性がある。また、ノズル部材の温度変化に伴って、ノズル部材近傍に配置されている各種部材が熱変形し、露光精度が劣化する可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液浸空間形成部材(例えば、ノズル部材を含む)の温度変化に起因する性能劣化を防止できる露光装置及び露光方法、並びにその露光装置又は露光方法を用いるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様に従えば、露光光(EL)の光路空間(K1)に満たされた第1液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、光路空間(K1)を液体(LQ)で満たして液浸空間(K2)を形成する液浸空間形成部材(70等)と、液浸空間(K2)の形成の解除に伴う液浸空間形成部材(70等)の温度変化を抑制する温度調整機構(60)とを備えた露光装置(EX)が提供される。
本発明の第1の態様によれば、液浸空間形成部材の温度変化を抑制するための温度調整機構を設けたので、液浸空間形成部材の温度変化に起因する露光精度の劣化を防止することができる。
本発明の第2の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、露光精度の劣化を防止された露光装置を用いてデバイスを製造することができる。
本発明の第3の態様に従えば、液体(LQ)を介して露光光(EL)で基板(P)を露光する露光方法であって、露光光(EL)の光路空間(K1)を液体(LQ)で満たして液浸空間(K2)を形成する液浸空間形成部材(70等)を用いて基板(P)を露光するとともに、液浸空間(K2)の形成の解除に伴う液浸空間形成部材(70等)の温度変化を抑制する露光方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、液浸空間形成部材の温度変化を抑制して露光精度の劣化を防止することができる。
本発明の第4の態様に従えば、上記態様の露光方法を用いるデバイス製造方法が提供される。本発明の第4の態様に従えば、露光精度の劣化を防止できる露光方法を用いてデバイスを製造することができる。
第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。 液浸機構及び温度調整機構を説明するための図である。 液浸機構による液体回収動作の原理を説明するための図である。 液浸機構による液体回収動作の原理を説明するための図である。 液浸機構及び温度調整機構を説明するための図である。 温度調整機構の動作を説明するための図である。 温度調整機構の動作を説明するための図である。 第2実施形態に係る露光装置の要部を示す拡大図である。 第3実施形態に係る露光装置の要部を示す拡大図である。 第4実施形態に係る露光装置の要部を示す拡大図である。 第5実施形態に係る露光装置の要部を示す拡大図である。 第6実施形態に係る露光装置を示す図である。 マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
1…液浸機構、11…液体供給装置、12…供給口、14…供給流路、17…温調器、21…液体回収装置、22…回収口、24…回収流路、25…多孔部材、60…温度調整機構、61…内部流路、62…ジャケット部材、63…ヒータ、64…放射部、70…ノズル部材、EL…露光光、EX…露光装置、K1…光路空間、LQ…液体、P…基板
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能な基板ステージST1と、露光処理に関する計測を行う計測装置の少なくとも一部を搭載して移動可能な計測ステージST2と、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージST1に保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。基板ステージST1及び計測ステージST2のそれぞれは、投影光学系PLの像面側で、ベース部材BP上において互いに独立して移動可能となっている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側における露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たして液浸空間を形成するための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、投影光学系PLの像面側近傍に設けられ、光路空間K1に液体LQを供給する供給口12及び光路空間K1の液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材70と、第1供給管13、及びノズル部材70に設けられた供給口12を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する液体供給装置11と、ノズル部材70に設けられた回収口22、及び回収管23を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収する液体回収装置21とを備えている。後に詳述するように、ノズル部材70の内部には、供給口12と第1供給管13とを接続する流路(供給流路)14が設けられているとともに、回収口22と回収管23とを接続する流路(回収流路)24が設けられている。なお図1には、供給口、回収口、供給流路、及び回収流路は図示されていない。ノズル部材70は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、少なくとも投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。
また、本実施形態の露光装置EXは、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに転写している間、液浸機構1を使って、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1と投影光学系PLの像面側に配置された基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たし、投影光学系PLと光路空間K1に満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによって、マスクMのパターン像を基板Pに投影露光する。制御装置CONTは、液浸機構1の液体供給装置11を使って液体LQを所定量供給するとともに、液体回収装置21を使って液体LQを所定量回収することで、光路空間K1を液体LQで満たし、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
なお、以下の説明においては、投影光学系PLと基板Pとが対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合について説明するが、基板P以外の物体(例えば基板ステージST1、及び計測ステージST2の少なくとも一部)が投影光学系PLと対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合も同様である。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向をX軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に直交する方向(本例では投影光学系PLの光軸AXと平行な方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジスト、保護膜などの膜を塗布したものを含む。「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
また、後に詳述するが、露光装置EXは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後(即ち、液浸空間の形成が解除された後)の液浸空間形成部材(本実施形態ではノズル部材70)の温度変化を抑制するための温度調整機構60を備えている。温度調整機構60は、液体供給装置11とノズル部材70に設けられた回収流路24とを接続し、液体供給装置11から送出された液体LQを回収流路24に供給する第2供給管15を備えている。
照明光学系ILは、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、液体LQとして純水が用いられている。純水は、ArFエキシマレーザ光のみならず、例えば、水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、例えば真空吸着等によりマスクMを保持する。マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MDの駆動により、マスクMを保持した状態で、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡51が設けられている。また、移動鏡51に対向する位置にはレーザ干渉計52が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計52によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計52の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計52の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
なお、レーザ干渉計52はその一部(例えば、光学系)のみ、移動鏡51に対向して設けるようにしてもよい。また、移動鏡51は平面鏡のみでなくコーナーキューブ(レトロリフレクタ)を含むものとしてもよいし、移動鏡51を固設する代わりに、例えばマスクステージMSTの端面(側面)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。さらにマスクステージMSTは、例えば特開平8−130179号公報(対応する米国特許第6,721,034号)に開示される粗微動可能な構成としてもよい。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影するものであって、複数の光学素子で構成されており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系であり、前述の照明領域と共役な投影領域ARにマスクパターンの縮小像を形成する。なお、投影光学系PLは縮小系、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1は、鏡筒PKより露出している。なお、最終光学素子LS1は、屈折力を有するレンズ素子であるが、無屈折力の平行平面板であってもよい。
基板ステージST1は、基板Pを保持する基板ホルダPHを有しており、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージST1上には凹部58が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部58に配置されている。そして、基板ステージST1のうち凹部58以外の上面57は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。これは、基板Pの露光動作時、前述の液浸領域LRの一部が基板Pの表面からはみ出して上面57に形成されるためである。なお、基板ステージST1の上面57の一部、例えば基板Pを囲む所定領域(液浸領域LRがはみ出す範囲を含む)のみ、基板Pの表面とほぼ同じ高さとしてもよい。また、投影光学系PLの像面側の光路空間K1を液体LQで満たし続けることができる(即ち、液浸領域LRを良好に保持できる)ならば、基板ステージST1の上面57と基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とに段差があってもよい。さらに、基板ホルダPHを基板ステージST1の一部と一体に形成してもよいが、本実施形態では基板ホルダPHと基板ステージST1とを別々に構成し、例えば真空吸着などによって基板ホルダPHを凹部58内に固定するものとする。
基板ステージST1は、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置SD1の駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、ベース部材BP上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ステージST1は、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージST1に保持された基板Pの表面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージST1の側面には移動鏡53が設けられている。また、移動鏡53に対向する位置にはレーザ干渉計54が設けられている。基板ステージST1上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計54によりリアルタイムで計測される。また、不図示ではあるが、露光装置EXは、基板ステージST1に保持されている基板Pの表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系を備えている。
なお、レーザ干渉計54はその一部(例えば、光学系)のみを移動鏡53に対向して設けてもよいし、基板ステージST1のZ軸方向の位置、及びθX、θY方向の回転情報をも計測可能としてよい。基板ステージST1のZ軸方向の位置を計測可能なレーザ干渉計を備えた露光装置の詳細は、例えば特表2001−510577号公報(対応国際公開第1999/28790号パンフレット)に開示されている。さらに、移動鏡53を基板ステージST1に固設する代わりに、例えば基板ステージST1の一部(側面など)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。
また、フォーカス・レベリング検出系はその複数の計測点でそれぞれ基板PのZ軸方向の位置情報を計測することで、基板PのθX及びθY方向の傾斜情報(回転角)を検出するものであるが、この複数の計測点はその少なくとも一部が液浸領域LR(又は投影領域AR)内に設定されてもよいし、あるいはその全てが液浸領域LRの外側に設定されてもよい。さらに、例えばレーザ干渉計54が基板PのZ軸、θX及びθY方向の位置情報を計測可能であるときは、基板Pの露光動作中にそのZ軸方向の位置情報が計測可能となるようにフォーカス・レベリング検出系を設けなくてもよく、少なくとも露光動作中はレーザ干渉計54の計測結果を用いてZ軸、θX及びθY方向に関する基板Pの位置制御を行うようにしてもよい。
レーザ干渉計54の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置SD1を駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して、基板Pの表面を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計54の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
計測ステージST2は、露光処理に関する計測を行う各種計測装置(計測部材を含む)を搭載しており、投影光学系PLの像面側において、ベース部材BP上で移動可能に設けられている。計測ステージST2は計測ステージ駆動装置SD2により駆動される。計測ステージ駆動装置SD2は制御装置CONTにより制御される。そして、制御装置CONTは、ステージ駆動装置SD1、SD2のそれぞれを介して、基板ステージST1及び計測ステージST2のそれぞれをベース部材BP上で互いに独立して移動可能である。計測ステージ駆動装置SD2は基板ステージ駆動装置SD1と同等の構成を有し、計測ステージST2は、計測ステージ駆動装置SD2によって、基板ステージST1と同様に、X軸、Y軸、及びZ軸方向、θX、θY、及びθZ方向のそれぞれに移動可能である。また、計測ステージST2の側面には移動鏡55が設けられており、移動鏡55に対向する位置にはレーザ干渉計56が設けられている。計測ステージST2の2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計56によりリアルタイムで計測され、制御装置CONTはレーザ干渉計56の計測結果に基づいて、計測ステージST2の位置を制御する。なお、レーザ干渉計56はその一部(例えば、光学系)のみを移動鏡55に対向して設けるようにしてもよいし、計測ステージST2のZ軸方向の位置、及びθX、θY方向の回転角をも計測可能としてよい。また、移動鏡55を計測ステージST2に固設する代わりに、例えば計測ステージST2の一部(側面など)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。
計測ステージST2に搭載されている計測装置としては、例えば特開平5−21314号公報(対応米国特許第RE36,730号)などに開示されているような、複数の基準マークが形成された基準マーク板、例えば特開昭57−117238号公報(対応米国特許第RE32,795号)に開示されているように照度ムラを計測したり、特開2001−267239号公報(対応米国特許第6,721,039号)に開示されているように投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測するためのムラセンサ、特開2002−14005号公報及び特開2002−198303号公報(対応米国公開2002/0041377A1)に開示されているような空間像計測センサ、及び特開平11−16816号公報(対応米国公開2002/0061469A1)に開示されているような照射量センサ(照度センサ)が挙げられる。あるいは、計測ステージST2に搭載される計測装置として、例えば、国際公開第99/60361号パンフレット(対応特許6,819,414号)、特開2002−71514号、US特許第6650399号などに開示されている波面収差計測装置、及び例えば特開昭62−183522号公報(対応米国特許第4,780,747号)に開示されている反射部なども挙げられる。
このように、計測ステージST2は露光処理に関する計測処理を行うための専用のステージであって、基板Pを保持しない構成となっており、基板ステージST1は、露光処理に関する計測を行う計測装置を搭載されていない構成となっている。なお、このような計測ステージを備えた露光装置については、例えば特開平11−135400号公報(対応国際公開1999/23692)、及び特開2000−164504号公報(対応米国特許第6,897,963号)等により詳細に開示されている。上述の計測装置のうち少なくとも一部を基板ステージST1に搭載してもよい。
また、計測ステージST2の上面59、及び基板Pの表面を含む基板ステージST1の上面57のそれぞれはほぼ面一に設けられており、本実施形態においては、制御装置CONTは、基板ステージST1の上面57と計測ステージST2の上面59とを、例えばそのステージST1、ST2の少なくとも一方をZ軸方向(及び/又はθX、θY方向)に駆動することにより、Z軸方向に関してほぼ同じ位置(高さ)となるように制御(調整)することができる。
また、制御装置CONTは、液浸機構1による液体LQの供給動作と回収動作とを行いつつ、基板ステージST1の上面57と計測ステージST2の上面59とを接触(又は接近)させた状態で、投影光学系PLの下で基板ステージST1と計測ステージST2とを例えばX軸方向に一緒に移動することにより、投影光学系PLの像面側に形成されている液浸領域LRを、基板ステージST1の上面57と計測ステージST2の上面59との間で移動させることができる。このとき、基板ステージST1と計測ステージST2とはその上面57、59がほぼ同じ高さ(Z位置)に設定されてその駆動が並行して行われる。
次に、液浸機構1について図2を参照しながら説明する。図2はノズル部材70近傍の側断面図である。液浸機構1の液体供給装置11は、最終光学素子LS1の光射出側の光路空間K1を液体LQで満たすために液体LQを供給するものであって、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、供給する液体LQの温度を調整する温調装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。図には一例として温調装置18が示されている。液体供給装置11には第1供給管13の一端部が接続されており、第1供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給装置11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体供給装置11のタンク、加圧ポンプ、温調装置、フィルタユニット等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
液浸機構1の液体回収装置21は、最終光学素子LS1の光射出側の光路空間K1に満たされている液体LQを回収するためのものであって、真空ポンプ等の真空系、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収装置21には回収管23の一端部が接続されており、回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収装置21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体回収装置21の真空系、気液分離器、タンク等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
ノズル部材70は、投影光学系PLの像面側に配置される少なくとも1つの光学素子(本例では、最終光学素子LS1)を囲むように設けられた環状部材であって、その中央部に最終光学素子LS1を配置可能な穴部70Hを有している。ノズル部材70は、基板ステージST1に保持された基板Pの表面と対向する底板部71と、最終光学素子LS1の側面LTと対向する傾斜板部72と、側板部73と、天板部75とを有している。傾斜板部72はすり鉢状に形成されており、最終光学素子LS1は、傾斜板部72によって形成された穴部70Hの内側に配置される。最終光学素子LS1の側面LTとノズル部材70の穴部70Hの内側面70Tとは所定のギャップを介して対向している。底板部71は、最終光学素子LS1の下面と基板Pとの間に配置される。底板部71には露光光ELを通過させるための開口部74が設けられている。底板部71の上面71Aは最終光学素子LS1の下面と所定のギャップを介して対向し、底板部71の下面71Bは基板Pの表面と所定のギャップを介して対向している。底板部71の上面71Aは、内側面70Tの下端部と接続されている。底板部71の下面71Bは平坦面となっている。
ノズル部材70は、露光光ELの光路空間K1に液体LQを供給する供給口12と、露光光ELの光路空間K1の液体LQを回収する回収口22とを備えている。また、ノズル部材70は、供給口12に接続する供給流路14、及び回収口22に接続する回収流路24を備えている。
供給口12は、光路空間K1に液体LQを供給するためのものであって、ノズル部材70の内側面70Tのうち底板部71の上面71A近傍に設けられている。供給口12は、光路空間K1の外側に設けられており、本実施形態において、供給口12は、光路空間K1に対してX軸方向両側のそれぞれに1つずつ設けられている。なお、供給口12は、光路空間K1に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられていてもよいし、光路空間K1を囲むように複数設けられていてもよい。
供給流路14は、ノズル部材70の傾斜板部72の内部を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。供給口12と第1供給管13とは供給流路14を介して接続されている。第1供給管13の他端部は供給流路14の上端部と接続され、供給口12は供給流路14の下端部と接続されている。したがって、液体供給装置11と供給口12とは第1供給管13及び供給流路14を介して接続されており、供給口12には液体供給装置11から液体LQが供給される。
供給口12から供給された液体LQは、光路空間K1を含む、投影光学系PL及びノズル部材70の下面と基板Pの表面との間の所定空間(液浸空間)K2に満たされる。液体LQは、投影光学系PL及びノズル部材70と基板Pとの間に保持される。所定空間K2に満たされた液体LQはノズル部材70の少なくとも一部と接触する。
また、第1供給管13の流路の途中には、この第1供給管13の流路を開閉可能なバルブ機構13Bが設けられている。バルブ機構13Bの動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、バルブ機構13Bを作動して第1供給管13の流路を閉じることにより、液体供給装置11から供給口12に対する液体LQの供給を停止することができる。
回収口22は、光路空間K1の液体LQを回収するためのものであって、ノズル部材70のうち、基板Pと対向する下面に設けられている。回収口22は、光路空間K1に対して供給口12及び底板部71よりも外側において、光路空間K1を囲むように環状に設けられている。
回収流路24はノズル部材70の内部に設けられている。ノズル部材70には傾斜板部72と側板部73との間において下向きに開口する空間部が形成されており、回収流路24はその空間部によって構成されている。回収口22はその空間部の下端(開口部)に配置されており、回収流路24に接続されている。そして、回収流路24の一部に回収管23の他端部が接続されている。したがって、液体回収装置21と回収口22とは回収流路24及び回収管23を介して接続されている。真空系を含む液体回収装置21は、回収流路24を負圧にすることによって、光路空間K1を含む、基板Pとノズル部材70及び投影光学系PLとの間の所定空間K2に存在する液体LQを回収口22を介して回収することができる。光路空間K1(所定空間K2)に満たされている液体LQは、ノズル部材70の回収口22を介して回収流路24に流入し、その回収流路24に流入した液体LQは、液体回収装置21に回収される。このように、液体回収装置21は、回収流路24を負圧にすることによって、回収口22を介して光路空間K1(所定空間K2)の液体LQを回収するとともに、回収流路24の液体LQを回収することができる。
ノズル部材70は、回収口22を覆うように設けられた複数の孔を有する多孔部材25を備えている。多孔部材25は、平面視において環状に形成されている。多孔部材25は、セラミックス製の多孔体などでもよいが、例えば複数の孔を有したメッシュ部材により構成可能である。多孔部材25を形成可能な材料としては、チタン、ステンレス鋼(例えばSUS316)、及びセラミックスなどが挙げられる。
本実施形態においては、多孔部材25はチタンで形成され、液体LQに対して親液性(親水性)を有している。もちろん、チタン以外の親液性の材料で多孔部材25を形成してもよい。また、多孔部材25をステンレス鋼(例えばSUS316)で形成し、その表面に親液性にするための親液化処理(表面処理)を施してもよい。親液化処理の一例としては、多孔部材25に酸化クロムを付着する処理が挙げられる。具体的には、例えば株式会社神鋼環境ソリューションの「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。また、このような表面処理を施すことにより、多孔部材25から液体LQへの不純物の溶出が抑えられる。
多孔部材25は、基板ステージST1に保持された基板Pと対向する下面26を有している。多孔部材25の下面26はほぼ平坦である。多孔部材25は、その下面26が基板ステージST1に保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。また、回収口22に設けられた多孔部材25の下面26と底板部71の下面71Bとは、基板Pの表面に対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。
ここで、図3A及び3Bを参照しながら、本実施形態における液浸機構1による液体回収動作の原理について説明する。図3Aは多孔部材25の一部を拡大した断面図であって、多孔部材25を介して行われる液体回収動作を説明するための模式図である。本実施形態において、液浸機構1は、回収口22を介して液体LQのみを回収するように設けられている。したがって、液浸機構1は、回収口22を介して回収流路24に気体を実質的に流入させること無く、液体LQを良好に回収することができる。
図3Aにおいて、回収口22には多孔部材25が設けられている。また、多孔部材25の下側には基板Pが配置されている。また、図3A及び3Bにおいては、多孔部材25と基板Pとの間には、気体空間及び液体空間が形成されている。より具体的には、多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間には気体空間が形成され、多孔部材25の第2孔25Hbと基板Pとの間には液体空間が形成されている。また、多孔部材25の上側には、回収流路(流路空間)24が形成されている。
多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間の空間の圧力(多孔部材25Hの下面での圧力)をPa、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力(多孔部材25の上面での圧力)をPc、孔25Ha、25Hbの孔径(直径)をd、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角をθ、液体LQの表面張力をγとした場合、本実施形態の液浸機構1は、
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pa−Pc) …(1)
の条件を満足するように設定されている。なお、上記(1)式においては、説明を簡単にするために多孔部材25の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。
この場合において、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θは、
θ ≦ 90° …(2)
の条件を満足する必要がある。
上記条件が成立する場合、多孔部材25の第1孔25Haの下側(基板P側)に気体空間が形成された場合でも、その気体空間の気体が孔25Haを介して多孔部材25の上側の流路空間24に移動(侵入)することが防止される。すなわち、上記条件を満足するように、多孔部材25の孔径d、多孔部材25の液体LQとの接触角(親和性)θ、液体LQの表面張力γ、及び圧力Pa、Pcを最適化することにより、液体LQと気体との界面を多孔部材25の第1孔25Haの内側に維持することができ、第1孔25Haを介して多孔部材25の下の気体空間から流路空間24へ気体が侵入することを抑えることができる。一方、多孔部材25の第2孔25Hbの下側(基板P側)には液体空間が形成されているので、第2孔25Hbを介して液体LQのみを回収することができる。
本実施形態においては、多孔部材25の下側の空間の圧力Pa、孔径d、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θ、液体(純水)LQの表面張力γはほぼ一定であり、液浸機構1は、液体回収装置21の吸引力を制御して、上記条件を満足するように、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力Pcを調整する。
なお、上記(1)式において、(Pa−Pc)の絶対値が大きいほど、すなわち、((4×γ×cosθ)/d)の絶対値が大きいほど、上記条件を満足するような圧力Pcの制御が容易になるので、孔径dは可能な限り小さく、多孔部材25の液体LQとの接触角θは可能な限り小さいことが望ましい。本実施形態においては、多孔部材25は液体LQに対して親液性を有しており、十分に小さい接触角θを有している。
また、図3Aにおいては、多孔部材25に形成されている各孔は、多孔部材25の上面側の開口径と下面側の開口径とがほぼ同一になるように形成されているが、多孔部材25の各孔の上面側の開口径と下面側の開口径とを異ならせてもよい。例えば、実験などにより、図3Bに示すように、多孔部材25の各孔の上面側の開口径を、下面側の開口径よりも小さくすると、上述の(Pa−Pc)の絶対値をより大きくすることができることが分かっている。
このように、本実施形態では、多孔部材25が濡れた状態(多孔部材25の上面が液体LQで覆われている状態)で、多孔部材25の上側の流路空間24と下側の空間との圧力差(多孔部材25の上面と下面との圧力差)を、上記条件を満足するように制御することで、多孔部材25の孔25Hから液体LQのみを回収する。これにより、液体LQと気体とを一緒に吸引することに起因する振動の発生を抑制することができる。
また、上記条件を満足するように制御することで、流路空間24内の液体LQは多孔部材25の下側の空間に移動しないようになっている。すなわち、上記条件を満足することによって、多孔部材25の上側の空間である流路空間(回収流路)24の液体LQが、多孔部材25を介して多孔部材25の下側の空間に滴り落ちないようになっている。
なお、図2においては、流路空間24の一部に気体空間が形成されているが、流路空間24の全てが液体LQで満たされている方が望ましい。
次に、温度調整機構60について説明する。温度調整機構60は、光路空間K1の液体LQが取り去られた後のノズル部材70の温度変化を抑制するためのものである。基板Pに露光光ELを照射するときなどにおいては、投影光学系PL及びノズル部材70と基板Pとの間に液体LQが保持されて、光路空間K1を含む所定空間K2に液体LQが満たされるが、その光路空間K1を含む所定空間K2の液体LQを取り去った後(液浸空間の形成の解除後)、ノズル部材70に接触している液体LQの少なくとも一部が気化する可能性がある。そして、その液体LQが気化することで生じる気化熱によって、ノズル部材70が温度変化(低下)する可能性がある。温度調整機構60は、光路空間K1を含む所定空間K2の液体LQが取り去れた後、ノズル部材70に接触している液体LQの少なくとも一部が気化することで生じる気化熱によるノズル部材70の温度低下を抑制する。
図2において、温度調整機構60は、液体供給装置11とノズル部材70に設けられた回収流路24とに接続され、液体供給装置11から送出された液体LQを回収流路24に供給する第2供給管15を備えている。すなわち、液体供給装置11は、第2供給管15を介して回収流路24に液体LQを供給可能となっている。温度調整機構60は、ノズル部材70を温度調整するための液体LQを、液体供給装置11から第2供給管15を介して回収流路24に供給する。また、液体供給装置11から送出され、供給口12より光路空間K1に対して供給される液体LQと、ノズル部材70の温度調整のために液体供給装置11から送出され、第2供給管15より回収流路24に対して供給される液体LQとは同じ液体(純水)である。
また、温度調整機構60は、第2供給管15の途中に設けられ、液体供給装置11から回収流路24に供給される単位時間当たりの液体LQの量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器16を備えている。流量制御器16の動作は制御装置CONTに制御される。
また、温度調整機構60は、第2供給管15の途中に設けられ、液体供給装置11から回収流路24に供給される液体LQの温度を調整可能な温調器17を備えている。温調器17の動作は制御装置CONTに制御される。温調器17は、液体供給装置11に設けられた温調装置18とは別の温調器であって、制御装置CONTは、温調器17及び温調装置18のそれぞれの動作を独立して制御可能である。温調器17は、温調装置18を含む液体供給装置11とノズル部材70との間に配置されており、温調装置18を介して液体供給装置11より供給された液体LQの温度を更に調整可能である。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
基板Pを液浸露光するために、制御装置CONTは、液浸機構1の液体供給装置11を駆動して、光路空間K1を含む所定空間K2に対して供給口12より単位時間当たり所定量の液体LQを供給するとともに、液体回収装置21を駆動して、回収口22を介して単位時間当たり所定量の液体LQを光路空間K1を含む所定空間K2より回収することで、光路空間K1を含む所定空間K2を液体LQで満たし、液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
制御装置CONTの制御のもとで液体供給装置11から送出された液体LQは、第1供給管13を流れた後、ノズル部材70の供給流路14を介して、供給口12より投影光学系PLの最終光学素子LS1と底板部71との間の空間に供給される。供給口12から供給された液体LQは、底板部71の上面71Aを流れた後、開口部74に達する。その後、液体LQは、開口部74を介してノズル部材70と基板Pとの間の所定空間K2に流入し、露光光ELの光路空間K1を含む所定空間K2が液体LQで満たされる。このように、液浸機構1は、供給口12から最終光学素子LS1と底板部71との間の空間に液体LQを供給することによって、最終光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たす。
制御装置CONTの制御のもとで駆動されている真空系を含む液体回収装置21は、回収流路24を負圧にすることによって、光路空間K1を含む所定空間K2に存在する液体LQを、多孔部材25が配置された回収口22を介して回収する。所定空間K2の液体LQは、ノズル部材70の回収口22を介して回収流路24に流入し、回収管23を流れた後、液体回収装置21に回収される。
また、液体回収装置21は、不図示の圧力調整機構を使って流路空間24の圧力(多孔部材25の上面の圧力(負圧))を調整して、多孔部材25を介して回収口22から液体LQのみを回収する。
制御装置CONTは、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たした状態で、投影光学系PLと基板Pとを相対的に移動しながらマスクMのパターン像を投影光学系PL及び光路空間K1の液体LQを介して基板P上に投影露光する。上述のように、本実施形態の露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であるため、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージST1を制御して、マスクMと基板PとをそれぞれY軸方向に移動しつつ基板P上に露光光ELを照射して、基板Pを露光する。基板Pに露光光ELが照射されているときには、液体LQはノズル部材70と基板Pとの間に保持され、光路空間K1を満たしている。
なお、基板Pの露光前あるいは露光後においては、計測ステージST2上に液体LQの液浸領域LRが形成され、制御装置CONTは、計測ステージST2に搭載されている計測装置を使って、露光処理に関する計測処理を必要に応じて行う。上述のように、液浸領域LRは基板ステージST1の上面57と計測ステージST2の上面59との間で移動可能であり、例えば基板ステージST1が基板Pの交換などのために、投影光学系PLの下から離れた場合であっても、基板ステージST1との交換で計測ステージST2を投影光学系PLの最終光学素子LS1の下面と対向させることにより、液浸機構1を使って、光路空間K1を液体LQで満たし続けることができる。そして、計測ステージST2が最終光学素子LS1と対向しているときに、必要に応じて、計測ステージST2に搭載されている計測装置及び/又は計測部材(例えば基準マークなど)を使って所定の計測動作が行われる。また、例えば基板Pの露光動作のために、基板ステージST1が最終光学素子LS1と対向する位置に配置されたときには、計測ステージST2は最終光学素子LS1から離れた所定位置(退避位置)に移動される。このように、本実施形態においては、投影光学系PLの下に基板ステージST1及び計測ステージST2の少なくとも一方が配置されることで、光路空間K1を液体LQで満たし続ける(即ち、最終光学素子LS1の射出側に液浸空間(液浸領域LR)を維持(保持)する)ことができる。
図5Aの模式図に示すように、基板Pの露光中などにおいては、光路空間K1を含む所定空間K2に対して供給口12より単位時間当たり所定量F1の液体LQが供給されている。以下の説明においては、供給口12より光路空間K1(所定空間K2)に対して供給される単位時間当たりの液体供給量を適宜、「第1の量F1」と称する。
液浸機構1は、回収口22を介して、光路空間K1(所定空間K2)に存在する液体LQを単位時間当たり所定量で回収する。液浸機構1は、供給口12より光路空間K1(所定空間K2)に供給される単位時間当たりの液体供給量(第1の量F1)と、回収口22を介して光路空間K1(所定空間K2)より回収される単位時間当たりの液体回収量とをほぼ同じにする。すなわち、所定空間K2から回収口22を介して回収流路24に流入する液体LQの量は、第1の量F1にほぼ等しい。これにより、光路空間K1に対する液体供給量と光路空間K1からの液体回収量とのバランスが取れ、液浸領域LRの拡大、液体LQの漏出、あるいは液体LQの枯渇(液切れ)などの不都合の発生が防止されつつ、光路空間K1が液体LQで満たされる。
また、本実施形態において、制御装置CONTは、図5Aに示すように、露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされている間、液体供給装置11より第2供給管15を介して回収流路24に単位時間当たり所定量F2の液体LQを供給し続ける。すなわち、制御装置CONTは、基板Pを液浸露光しているときにも、温度調整機構60を構成する第2供給管15を介して液体供給装置11より回収流路24に液体LQを供給し続ける。ここで、以下の説明においては、光路空間K1が液体LQで満たされている状態において、第2供給管15(温度調整機構60)から回収流路24(ノズル部材70)に対して供給される単位時間当たりの液体供給量を適宜、「第2の量F2」と称する。
したがって、基板Pを液浸露光するために光路空間K1に液体LQを満たしているときにおいては、回収流路24には第1の量F1と第2の量F2との和(F1+F2)の量の液体LQが流入することとなる。液体回収装置21は、回収流路24に流入する液体LQの量(F1+F2)に応じた吸引力W1で、回収流路24を負圧にすることによって、所定空間K2の液体LQを回収口22を介して回収流路24に流入させて回収するとともに、第2供給管15より回収流路24に流入した液体LQを回収する。
なお、図5Aに示すように、液浸領域LRが形成されている状態で、温度調整機構60の第2供給管15から回収流路24に液体LQが供給されている場合であっても、上述の(1)式を満たすように、流路空間24の圧力(多孔部材25の上面の圧力)Pcが液体回収装置21により制御される。
ここで、供給口12より光路空間K1(所定空間K2)に対して供給される液体LQの温度と、第2供給管15を介して回収流路24に供給される液体LQの温度とは異なる値に設定されるものとしてもよいが、本実施形態においてはほぼ同じ値に調整されている。
光路空間K1を液体LQで満たした状態で基板Pの露光処理など所定の処理を行った後、例えば装置のメンテナンスのために、光路空間K1を満たしている液体LQを全て取り去る場合がある。以下の説明においては、光路空間K1を含む所定空間K2を満たしている液体LQを全て取り去る(回収する)ことを適宜、「全回収」と称する。
光路空間K1の液体LQを全回収する際には、制御装置CONTは、バルブ機構13Bを制御して、第1供給管13の流路を閉じ、供給口12からの光路空間K1に対する液体LQの供給を停止する。一方、制御装置CONTは、液体回収装置21の駆動を継続する。液体回収装置21の駆動が継続されることにより、回収流路24の負圧は維持されるので、光路空間K1を含む所定空間K2の液体LQは、回収口22を介して回収され、やがて光路空間K1(所定空間K2)は液体LQが全回収された状態となる。
図4は、光路空間K1を含む所定空間K2の液体LQを全回収した後の状態を示す図である。制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQを全回収して、光路空間K1(所定空間K2)に液体LQが無い状態においても、液体供給装置11より第2供給管15を介して回収流路24(ノズル部材70)に液体LQを供給し続ける。すなわち、本実施形態においては、回収流路24(ノズル部材70)には、液体供給装置11から第2供給管15を介して液体LQが常時供給され続ける。
光路空間K1を含む所定空間K2に液体LQが満たされている場合には、その液体LQによってノズル部材70の温度が調整されるが、上述のように、光路空間K1(所定空間K2)の液体LQを取り去った場合、ノズル部材70に接触している液体LQが気化することで生じる気化熱によって、ノズル部材70の温度が低下する可能性がある。ノズル部材70の下面及び多孔部材25などが親液性である場合、ノズル部材70に液体LQが残留する可能性が高い。また、液浸機構1による液体LQの供給動作及び回収動作を停止した場合、供給流路14及び回収流路24内部にも液体LQが残留する可能性が高くなるため、その残留した液体LQの気化熱によって、ノズル部材70が冷える可能性が高くなる。ノズル部材70の温度が低下すると、供給口12より光路空間K1に対する液体LQの供給動作を再開したとき、供給される液体LQの温度が所望の温度よりも低くなり、液体LQを通過する露光光ELの光路が変動したり、あるいはその液体LQに接触する基板Pが熱変形し、液体LQを介した露光精度が劣化する可能性がある。また、ノズル部材70近傍に配置されている各種部材、例えば最終光学素子LS1が冷えて、所望の結像特性が得られなくなる可能性もある。更には、露光装置EXが置かれている環境(温度)が変化し、レーザ干渉計などの光学的な計測装置の計測精度が劣化したり、投影光学系PLを支持する支持部材(露光装置EXのボディ)が熱変形するなど、周辺機器・部材に影響を及ぼす可能性もある。
そこで、制御装置CONTは、光路空間K1に液体LQが無い間も、温度調整機構60の第2供給管15を介して、ノズル部材70の回収流路24に対して液体LQを供給し続けることにより、ノズル部材70を温度変化(低下)を抑制する。また、この場合も、上述の(1)式を満足するように、液体回収装置21により回収流路24の負圧の状態が維持されているので、液体供給装置11から第2供給管15を介して回収流路24に供給された液体LQは、多孔部材25から下側の所定空間K2に滴り落ちることなく、液体回収装置21に回収される。このように、光路空間K1の液体LQが全回収された後においても、ノズル部材70に温度調整用の液体LQが流れ続けるので、ノズル部材70の温度変化(温度低下)を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、制御装置CONTは、光路空間K1から液体LQを取り去った後に、液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの単位時間当たりの量F3を、基板Pの露光中などに液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの単位時間当たりの量(第2の量)F2よりも多くする。ここで、以下の説明においては、光路空間K1に液体LQが無い状態において、第2供給管15(温度調整機構60)から回収流路24(ノズル部材70)に対して供給される単位時間当たりの液体供給量を適宜、「第3の量F3」と称する。
具体的には、図5Bの模式図に示すように、制御装置CONTは、光路空間K1から液体LQを取り去った後に液体供給装置11より回収流路24に対して液体LQを供給するときの第3の量F3が、基板Pの露光中などに液体供給装置11より回収流路24に対して液体LQを供給するときの第2の量F2と、供給口12より光路空間K1に対して液体LQを供給するときの第1の量F1との和とほぼ等しくなるように、すなわちF3=F1+F2となるように、流量制御器16を用いて第3の量F3を調整する。液体LQの全回収後、回収流路24には、第2供給管15を介して、第3の量F3として、第1の量F1と第2の量F2との和の量(=F1+F2)の液体LQが供給される。これにより、光路空間K1に液体LQが有る状態と無い状態とで、液体回収装置21の吸引力W1を大きく変更しなくても、液体回収装置21は、上述の(1)式を満足するように、回収流路24の負圧状態を維持することができる。
光路空間K1の液体LQを全回収した状態で例えばメンテナンスなど所定の処理を行った後、再び光路空間K1を液体LQで満たす際には、制御装置CONTは、バルブ機構13Bを駆動して第1供給管13の流路を開け、供給口12より光路空間K1に対する液体LQの供給を開始する。光路空間K1には供給口12より第1の量F1で液体LQが供給される。また、制御装置CONTは、流量制御器16を制御して、第2供給管15を介して回収流路24に第2の量F2で液体LQを供給する。
以上説明したように、ノズル部材70の温度変化を抑制するための温度調整機構60を設けたので、ノズル部材70の温度変化に起因する露光精度の劣化を防止することができる。温度調整機構60は、光路空間K1の液体LQを取り去った後、その光路空間K1に液体LQが無い状態においても、ノズル部材70を温度調整するために、液体LQをノズル部材70の回収流路24に供給し続けるので、光路空間K1の液体LQを取り去った後、液体LQの気化熱によるノズル部材70の温度低下を抑制することができる。
また、光路空間K1に液体LQが無い状態においてノズル部材70を温度調整するために液体供給装置11より第2供給管15を介して回収流路24に供給する液体LQの温度と、基板Pを露光するときなどに供給口12を介して光路空間K1に対して供給される液体LQの温度とをほぼ同じにすることにより、ノズル部材70の大きな温度変化を抑制することができる。また、供給する液体LQの温度を変える場合、温調装置18の調整量(制御量)を変更することになるが、温調装置18の調整量を変更してから温調装置18から送出される液体LQの温度が所望温度に達する(安定する)までには、ある程度の時間を要するため、液体LQの温度が安定するまでの待ち時間を設ける必要が生じる可能性がある。しかしながら、ノズル部材70の温度調整のために回収流路24に供給される液体LQの温度と、光路空間K1を満たすために供給口12より光路空間K1に供給される液体LQの温度とをほぼ同じにすることにより、上述の待ち時間を設けなくてすむので、露光装置EXの稼動率を向上できる。
また、本実施形態においては、光路空間K1に液体LQが有る場合でも無い場合でも、温調装置18を含む液体供給装置11は常に駆動され続けるので、露光装置EXの稼動率を向上することができる。すなわち、液体供給装置11の動作を一旦停止した後、その動作を再開した場合、液体供給装置11から送出される液体LQの状態(温度、クリーン度など)が安定するまでの待ち時間を設ける必要が生じる可能性があるが、液体供給装置11の駆動を継続することで、例えば液体LQが無い光路空間K1に対して液体LQを供給する動作を再開するときなどにおいても、上述のような待ち時間を設けなくてすむ。
また、光路空間K1から液体LQを取り去った後に液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの第3の量F3を、基板Pの露光中に液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの第2の量F2よりも多くすることにより、光路空間K1に液体LQが無い場合において、温調装置18あるいは温調器17によって温度調整された液体LQがノズル部材70に多量に供給されることとなるので、ノズル部材70の温度変化を効果的に抑えることができる。
また、光路空間K1から液体LQを取り去った後に液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの第3の量F3を、基板Pの露光中に液体供給装置11より回収流路24に対して供給する液体LQの第1の量F1と、供給口12より光路空間K1に対して供給する液体LQの第2の量F2との和とほぼ等しくなるようにしたので、液体回収装置21の吸引力W1を、光路空間K1の液体LQを取り去る前と取り去る後とで大きく変更しなくてすむ。液体回収装置21の吸引力W1を変更した場合、その液体回収装置21の動作が安定するまでの待ち時間を設ける必要が生じるなどの不都合が生じる可能性があるが、本実施形態においては、液体回収装置21の吸引力W1を大きく変更しなくてすむので、露光装置EXの稼動率の低下を抑制できる。
ところで、本実施形態においては、第3の量F3は、第1の量F1と第2の量F2との和にほぼ等しく、これにより、液体回収装置21の吸引力W1を光路空間K1に液体LQが有る状態と無い状態とで大きく変更しなくてすむようにしている。液体LQの供給量は、これに限らず、例えば、光路空間K1を液体LQで満たすために供給口12より光路空間K1に対して第1の量F1で液体LQを供給し、そのとき、第2供給管15を介して回収流路24には液体LQを供給せず(第2の量F2=0)、光路空間K1の液体LQを取り去るために供給口12からの液体LQの供給を停止したとき(第1の量F1=0)、液体供給装置11より第2供給管15を介して回収流路24に供給する液体LQの第2の量F2を、第1の量F1とほぼ等しくしてもよい。こうすることにより、光路空間K1に液体LQが有る状態においても無い状態においても、回収流路24に流入する液体LQの量を第1の量F1とすることができる。
また、所望状態の液浸領域LRを形成しようとする場合、供給口12から光路空間K1に対して液体LQを供給するときの第1の量F1は、基板Pを露光するときの基板Pの移動速度等を含む移動条件及び/又は基板Pの表面を形成する膜の液体LQとの接触角条件等を含む基板条件などによって調整しなければならない可能性がある。第1の量F1が少ない場合、光路空間K1から液体LQを取り去った後、液体回収装置21の回収力(吸引力)W1を変更しないようにするために、回収流路24にノズル部材70の温度調整のために供給する液体LQの第3の量F3を第1の量F1に応じて少なくする必要があるため、液体LQの温度変化(温度低下)を十分に抑制できない可能性がある。そこで、上述の実施形態のように、光路空間K1に液体LQが有る場合にも、液体供給装置11より回収流路24に対してノズル部材70を温度調整するための液体LQを供給し続けることにより、仮に第1の量F1が少なくても、第2の量F2を多くすることで、液体回収装置21の回収力W1をほぼ一定にしたまま、第3の量F3を十分に多くすることができる。
なお、以上の説明においては、液体回収装置21の吸引力W1を大きく変更せずに、上述の(1)式を満たすように、液体LQの供給量(F1〜F3)を調整しているが、液体回収装置21の吸引力W1を調整してもよいし、液体回収装置21の吸引力W1と液体LQの供給量(F1〜F3)との両方を調整するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、供給口12から光路空間K1に供給される液体LQと、第2供給管15から回収流路24に供給される液体LQとは同一の液体供給装置11から送出されるため、供給口12から液体LQを供給している場合には、第2供給管15に設けられた温調器17を必ずしも駆動しなくても、温調装置18によって、供給口12から光路空間K1に供給される液体LQの温度と、第2供給管15から回収流路24に供給される液体LQの温度とをほぼ同じにすることができる。一方、光路空間K1に液体LQが無い場合において、温調器17を用いて、温調装置18を含む液体供給装置11から送出され、ノズル部材70の回収流路24に供給される液体LQの温度を更に調整するようにしてもよい。また、温調器17を省いてもよい。
なお、温度調整機構60は、光路空間K1に液体LQが無いとき、ノズル部材70の温度調整のために回収流路24に供給する液体LQの温度を、供給口12より光路空間K1に対して供給する液体LQの温度よりも高くしてもよい。例えば、気化熱によってノズル部材70の温度が著しく低下する場合には、ノズル部材70(回収流路24)に対して比較的高い温度の液体LQを供給することによって、ノズル部材70の温度変化をより抑制できる。この場合、温調装置18の制御量を変えることなく、温調器17を使って、第2供給管15を介してノズル部材70(回収流路24)に供給する液体LQの温度を高くすることができる。そして、供給口12からの液体LQの供給を再開する場合には、温調装置18で温度調整された液体LQを直ちに光路空間K1に供給することができる。
なお、ノズル部材70の温度調整のために回収流路24に供給される液体LQと、供給口12より光路空間K1に対して供給される液体LQとが異なる種類のものであってもよい。上述の実施形態においては、供給口12より光路空間K1に対して供給される液体LQは純水であるが、ノズル部材70の温度調整のために回収流路24に供給される液体LQとして、例えば純水よりも比熱が大きい液体を用いてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態について図6を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上述の第1実施形態においては、液体供給装置11は、供給口12を介して液体LQを光路空間K1に供給するとともに、第2供給管15を介して液体LQを回収流路24(多孔部材25の上面側の空間)に供給しており、液浸機構1と温度調整機構60とは、液体供給装置11を兼用している構成であるが、図6に示すように、光路空間K1を満たすための液体LQを供給する液体供給装置11に対して、ノズル部材70を温度調整するためにノズル部材70(回収流路24)に液体LQを供給する第2液体供給装置11’を別に設けてもよい。そして、液体供給装置11より光路空間K1に対して供給する液体LQの温度調整と、第2液体供給装置11’より回収流路24に対して供給する液体LQの温度調整とを独立して行うようにしてもよい。第2液体供給装置11’は、温調器17を使って、ノズル部材70の温度調整用の液体LQの温度を、供給口12より光路空間K1に対して供給される液体LQの温度と同じにしてもよいし、光路空間K1に対して供給される液体LQの温度よりも高くしてもよい。
なお、上述の第1及び第2実施形態においては、基板Pと対向するノズル部材70の下面のうち、回収口22(多孔部材25)の上面側の回収流路24に温調用の液体LQを流すようにしているが、回収口22の多孔部材25の上面側だけでなく、ノズル部材70の内部の他の空間に温調用の液体LQを流して、ノズル部材70の下面における液体LQの気化の影響を低減・防止することが望ましい。
<第3実施形態>
第3実施形態について図7を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。図7において、ノズル部材70は、光路空間K1に対して液体LQを供給するための供給口12に接続する供給流路14、及び光路空間K1の液体LQを回収するための回収口22に接続する回収流路24とは別の、ノズル部材70の温度を調整するための液体LQが流れる内部流路61を有している。図7に示す例では、ノズル部材70の傾斜板部72、側板部73、及び天板部75のそれぞれの内部に内部流路61が設けられている。内部流路61は、例えば光路空間K1を囲むように、ノズル部材70の内部において環状に形成されていてもよいし、螺旋状に形成されていてもよい。内部流路61の一部には第2供給管15に接続される導入口が設けられており、温度調整機構60を構成する液体供給装置11は、第2供給管15及び導入口を介して内部流路61に液体LQを供給する。また、内部流路61の他部には内部流路61を流れた液体LQを排出するための排出口が設けられている。そして、温度調整機構60は、内部流路61に対して導入口より液体LQを供給するとともに、排出口より液体LQを排出することにより、内部流路61に温度調整用の液体LQを流し続けることができる。
制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、内部流路61に液体LQを供給する。また、制御装置CONTは、光路空間K1に液体LQが有る状態においても、内部流路61に対して液体LQを供給する。また、制御装置CONTは、第2供給管15の途中に設けられた温調器17を使って、内部流路61に供給される液体LQの温度を調整可能である。制御装置CONTは、温調器17を使って、内部流路61に供給される液体LQの温度と、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQの温度とをほぼ同じにする。以上のような構成によってもノズル部材70の温度変化を抑制することができる。
なお、第3実施形態において、制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、内部流路61に液体LQを供給し、光路空間K1に液体LQが有る状態においては内部流路61に対する液体LQの供給を停止するようにしてもよい。
また、第3実施形態において、制御装置CONTは、第2供給管15の途中に設けられた温調器17を使って、内部流路61に供給される液体LQの温度を、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQの温度よりも高くしてもよい。
なお、第3実施形態において、第2実施形態と同様に、供給口12に液体LQを供給する液体供給装置と、内部流路61に液体LQを供給する液体供給装置とを別々に設けておよい。
なお、第3実施形態において、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQと、内部流路61に供給される液体LQとは異なる種類のものであってもよい。また、ノズル部材70の温度を調整するために、内部流路61に気体を供給するようにしてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態について図8を参照して説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。図8において、温度調整機構60は、ノズル部材70の壁面に対向し、ノズル部材70を温度調整するための液体LQが流れるジャケット部材62を有している。
ジャケット部材62は、内部流路を有するチューブ状の部材であって、ノズル部材70の側板部73に巻かれるように設けられており、ジャケット部材62とノズル部材70とは接触している。ジャケット部材62の一部には第2供給管15に接続される導入口が設けられ、他部にはジャケット部材62内部の液体LQを排出するための排出口が設けられている。液体供給装置11は、第2供給管15及び導入口を介してジャケット部材62に液体LQを供給する。制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、ジャケット部材62に液体LQを供給する。また、制御装置CONTは、光路空間K1に液体LQが有る状態においても、ジャケット部材62に対して液体LQを常時供給する。また、制御装置CONTは、第2供給管15の途中に設けられた温調器17を使って、ジャケット部材62に供給される液体LQの温度を調整可能である。制御装置CONTは、温調器17を使って、ジャケット部材62に供給される液体LQの温度と、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQの温度とをほぼ同じにする。以上のような構成によっても、ノズル部材70の温度変化を抑制することができる。
なお、第4実施形態において、制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、ジャケット部材62に液体LQを供給し、光路空間K1に液体LQが有る状態においては、ジャケット部材62に対する液体LQの供給を停止するようにしてもよい。
また、第4実施形態において、制御装置CONTは、第2供給管15の途中に設けられた温調器17を使って、ジャケット部材62に供給される液体LQの温度を、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQの温度よりも高くしてもよい。
なお、第4実施形態において、第2実施形態と同様に、供給口12に液体LQを供給する液体供給装置と、ジャケット部材62に液体LQを供給する液体供給装置とを別々に設けておよい。
なお、第4実施形態において、供給口12より光路空間K1に供給される液体LQと、ジャケット部材62に供給される液体LQとは異なる種類のものであってもよい。また、ノズル部材70の温度を調整するために、ジャケット部材62に気体を供給するようにしてもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図9を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。図9において、温度調整機構60は、ノズル部材70に取り付けられたヒータ63を有している。
ヒータ63はノズル部材70の側板部73に接触している。制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、ヒータ63を用いてノズル部材70の温度変化を抑制する。液体LQの気化による気化熱によってノズル部材70の温度が著しく低下する場合、制御装置CONTは、ヒータ63を用いてノズル部材70を暖めることで、ノズル部材70の温度低下を抑制することができる。なお、制御装置CONTは、光路空間K1に液体LQが有る状態においても、ヒータ63を用いてノズル部材70の温度調整を行うことができる。以上のような構成によっても、ノズル部材70の温度変化を抑制することができる。
なお、第5実施形態において、制御装置CONTは、光路空間K1の液体LQが取り去られた後、ヒータ63を用いてノズル部材70の温度調整を行い、光路空間K1に液体LQが有る状態においては、ヒータ63によるノズル部材70の温度調整を行わないようにしてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。図10において、温度調整機構60は、ノズル部材70に向かって熱を放射する放射部64を有している。放射部64は、計測ステージST2に設けられている。本実施形態においては、放射部64は、計測ステージST2のうち、ノズル部材70に対向可能な上面59に設けられている。
放射部64は、例えば遠赤外線セラミックヒータ等によって構成されている。ノズル部材70と対向する位置に放射部64を配置することにより、放射部64から放射された熱によってノズル部材70を暖めることができるため、液体LQの気化による気化熱によってノズル部材70の温度が著しく低下した場合であっても、放射部64を用いてノズル部材70を暖めることで、ノズル部材70の温度低下を抑制することができる。以上のような構成によっても、ノズル部材70の温度変化を抑制することができる。
なお、放射部64は基板ステージST1に設けられていてもよいし、基板ステージST1、計測ステージST2以外の所定の支持機構(可動体などを含む)に設けてもよい。
なお、上述の第1〜第6実施形態において、ノズル部材70は供給口12及び回収口22の双方を有しているが、ノズル部材70の形態は上述のものに限られず、供給口及び回収口のいずれか一方を有するノズル部材の温度変化を抑制するときに、上述の各実施形態の温度調整機構を用いることができる。
また、上述の第1〜第6実施形態では光路空間K1を液体LQで満たして液浸空間(K2)を形成する液浸空間形成部材が液浸機構1の一部、即ちノズル部材70であるものとしたが、これに限らず、例えばノズル部材70以外の部材をも含むものとしてもよいし、供給口及び回収口の少なくとも一方のみを含むものとしてもよい。さらに、上述の第1〜第6実施形態では光路空間K1から液体LQを全て取り除くこと(全回収)によって液浸空間の形成が解除されるものとしたが、これに限らず、例えば露光時に比べて液浸領域LRが縮小されるように、光路空間K1(又は所定空間K2)の液体LQの一部のみを取り除く場合も、液浸空間の形成が解除されるものとしてよい。要は、液体LQの少なくとも一部を取り除くことによって液浸空間形成部材(ノズル部材70など)の温度変化が所定の許容範囲を超えるときには液浸空間の形成が解除されたものとしてよい。
なお、上述の第1〜第6実施形態のそれぞれにおいて説明した温度調整機構60を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、第1実施形態で説明したように、ノズル部材70の回収流路24に温度調整された液体LQを供給するとともに、第3実施形態で説明したように、ノズル部材70に内部流路61を設けてそこに温度調整用の流体(液体、気体)を流すようにしてもよい。あるいは、そのノズル部材70に、第4実施形態で説明したようなジャケット部材62を取り付けたり、第5実施形態で説明したようなヒータ63を取り付けたりしてもよい。更には、第6実施形態で説明したような放熱部64を使ってノズル部材70を暖めてもよい。
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、投影光学系PLの像面側(ノズル部材70の下面側)から液体LQが取り去られたときの液体LQの気化に起因するノズル部材70の温度変化の低減・防止について主に述べているが、ノズル部材70の下面側に液体LQが保持されている状態であっても、ノズル部材70の下面の一部には、液浸領域LRの液体LQと接触した後に、液浸領域LRの界面位置の変動によって、液体LQと接触しない状態が生じ得る。このような場合にも、前述と同様に液浸空間の形成が一時的に解除されたものとし、上述の第1〜第6実施形態のようにノズル部材70の温度調整を行うことによって、ノズル部材70の少なくとも一部に生じ得る液体LQの気化に起因する温度変化を低減・防止することができる。
また、上述の第1〜第6実施形態ではノズル部材70の温度調整を行ってその温度変化を抑制するものとしたが、ノズル部材70と同様、液浸空間の形成解除に伴って液体LQの気化熱による投影光学系PLの少なくとも最終光学素子LS1の温度が変動する。この場合、その温度変動によって最終光学素子LS1の光学特性の変化あるいは破損などが生じ得るので、例えば温調用流体の供給、赤外線などの照射、または温調素子(ペルチェ素子など)によって、最終光学素子LS1の温度調整も行うこととしてもよい。
上述したように、上記各実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジスト及び光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
上記各実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板(カバープレートなど)であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、ノズル部材70を含む液浸機構1の構造は、上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
なお、上記各実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされているが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で少なくともその表面との間に液体LQを満たしてもよい。
なお、上記各実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされているが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たしてもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子(LS1)の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子の物体面側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。そして、その物体面側の光路空間を液体で満たすためのノズル部材が設けられている場合には、そのノズル部材の温度変化を抑制するようにしてもよい。
なお、上記各実施形態の液体LQは水(純水)であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはFレーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、あるいはフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PL及び基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英あるいは蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子LS1を形成してもよい。液体LQとして、種々の液体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。また、上記各実施形態では基板Pの温度とほぼ同じ温度の液体LQを供給して液浸領域LRを形成することとしてもよい。これにより、液体LQとの温度差による基板Pの熱変形などを防止することができる。
なお、上記各実施形態では干渉計システム(52、54、56)を用いてマスクステージMST、基板ステージST1、及び計測ステージST2の各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り替えて用いる、あるいはその両方を用いて、ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上記各実施形態では投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。投影光学系を用いない場合であっても、露光光はマスク又はレンズなどの光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸領域が形成される。
また、本発明は、特開平10−163099号公報及び特開平10−214783号公報(対応米国特許第6,590,634号)、特表2000−505958号公報(対応米国特許第5,969,441号)あるいは米国特許第6,208,407号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されているように、計測ステージを備えていない露光装置にも適用できる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回のスキャン露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、本国際出願で指定又は選択された国の法令で許容される限りにおいて、上記各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などの基板処理プロセスを含むステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
本発明によれば、液浸空間形成部材の温度変化に起因する露光精度の劣化を防止して、基板を良好に露光することができる。それゆえ、本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子又はディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、CCD、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、レチクル(マスク)のような広範囲な製品を製造するための露光装置及び方法に極めて有用となる。

Claims (37)

  1. 露光光の光路空間に満たされた第1液体を介して基板を露光する露光装置において、
    前記光路空間を前記第1液体で満たして液浸空間を形成する液浸空間形成部材と、
    前記液浸空間の形成の解除に伴う前記液浸空間形成部材の温度変化を抑制する温度調整機構と、を備える露光装置。
  2. 前記液浸空間の形成の解除では、前記光路空間から前記第1液体が取り去られる請求項1記載の露光装置。
  3. 前記液浸空間形成部材は、前記光路空間に前記第1液体を供給する供給口及び前記光路空間の前記第1液体を回収する回収口の少なくとも一方を有する請求項1又は2記載の露光装置。
  4. 前記液浸空間形成部材は、前記供給口及び前記回収口の少なくとも一方が設けられるノズル部材を含み、前記基板に前記露光光が照射されているときに、前記ノズル部材と前記基板との間の少なくとも一部に前記第1液体が保持される請求項3記載の露光装置。
  5. 前記露光光は、少なくとも射出側に前記液浸空間が形成される光学部材、及び前記液浸空間の第1液体を介して前記基板に照射される請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
  6. 前記光学部材は、少なくとも前記液浸空間の形成が解除されている間、その温度調整が行われる請求項5記載の露光装置。
  7. 前記温度調整機構は、前記第1液体の気化熱による前記液浸空間形成部材の温度低下を抑制する請求項1〜6のいずれか一項記載の露光装置。
  8. 前記温度調整機構は、温調用流体を用いて前記液浸空間形成部材の温度変化を抑制する請求項1〜7のいずれか一項記載の露光装置。
  9. 前記温度調整機構は、前記光路空間が前記第1液体で満たされていない間、前記温調用流体を前記液浸空間形成部材に供給する請求項8記載の露光装置。
  10. 前記温調用流体は、前記光路空間に供給される前記第1液体と同じ物質である請求項8又は9記載の露光装置。
  11. 前記温度調整機構は、前記温調用流体の温度調整を行う温調器を有する請求項8〜10のいずれか一項記載の露光装置。
  12. 前記温調用流体はその温度が前記光路空間に供給される前記第1液体の温度とほぼ同じである請求項8〜11のいずれか一項記載の露光装置。
  13. 前記温調用流体はその温度が前記光路空間に供給される前記第1液体の温度よりも高い請求項8〜11のいずれか一項記載の露光装置。
  14. 前記液浸空間形成部材は、前記光路空間の前記第1液体を回収する回収口に接続される回収流路が設けられるノズル部材を含み、
    前記温度調整機構は、前記回収流路に温調用の第2液体を供給する請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
  15. 前記光路空間に前記第1液体が有る間も、前記第2液体は前記回収流路に供給される請求項14記載の露光装置。
  16. 前記回収流路の前記第1及び第2液体を回収する液体回収装置をさらに備える請求項14又は15記載の露光装置。
  17. 前記回収口に多孔部材が配置される請求項16記載の露光装置。
  18. 前記多孔部材の各孔の一方側の開口径は、他方側の開口径と異なる請求項17記載の露光装置。
  19. 前記液体回収装置は、前記光路空間の前記第1液体が、実質的に気体の通過なく、前記多孔部材を通過するように、前記回収流路の圧力を調整する請求項17又は18記載の露光装置。
  20. 前記第1液体の供給停止と、前記第1液体の回収とによって、前記光路空間から前記第1液体が取り去られる請求項14〜19のいずれか一項記載の露光装置。
  21. 前記光路空間から前記第1液体が取り去られた後に前記回収流路に供給される前記第2液体の単位時間当たりの量は、前記基板の露光中に前記回収流路に供給される前記第2液体の単位時間当たりの量よりも多い請求項14〜20のいずれか一項記載の露光装置。
  22. 前記光路空間から前記第1液体が取り去られた後に前記回収流路に供給される前記第2液体の単位時間当たりの量は、前記基板の露光中に前記回収流路に供給される前記第2液体の単位時間当たりの量と、前記光路空間に供給される前記第1液体の単位時間当たりの量との和にほぼ等しい請求項14〜21のいずれか一項記載の露光装置。
  23. 前記液浸空間形成部材は、前記光路空間に前記第1液体を供給する供給口、及び前記光路空間の前記第1液体を回収する回収口から流体的に独立した第1温調流体流路を有する請求項1〜22のいずれか一項記載の露光装置。
  24. 前記温度調整機構は、前記液浸空間形成部材の少なくとも一部を覆う第2温調流体流路を有するジャケット部材を有する請求項1〜23のいずれか一項記載の露光装置。
  25. 前記温度調整機構は、前記液浸空間形成部材に向かって熱を放射する放射部を有する請求項1〜24のいずれか一項記載の露光装置。
  26. 前記温度調整機構は、前記液浸空間形成部材に取り付けられたヒータを有する請求項1〜25のいずれか一項記載の露光装置。
  27. 請求項1〜請求項26のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
  28. 液体を介して露光光で基板を露光する露光方法であって、
    前記露光光の光路空間を前記液体で満たして液浸空間を形成する液浸空間形成部材を用いて前記基板を露光するとともに、前記液浸空間の形成の解除に伴う前記液浸空間形成部材の温度変化を抑制する露光方法。
  29. 前記液浸空間の形成の解除では、前記光路空間から前記液体が取り去られる請求項28記載の露光方法。
  30. 前記露光光は、少なくとも射出側に前記液浸空間が形成される光学部材、及び前記液浸空間の液体を介して前記基板に照射される請求項28又は29記載の露光方法。
  31. 前記光学部材は、少なくとも前記液浸空間の形成が解除されている間、その温度調整が行われる請求項30記載の露光方法。
  32. 前記液体の気化熱による前記液浸空間形成部材の温度低下が抑制される請求項28〜31のいずれか一項記載の露光方法。
  33. 前記液浸空間形成部材は温調用流体によってその温度変化が抑制される請求項28〜32のいずれか一項記載の露光方法。
  34. 前記温調用流体は、前記光路空間に供給される前記液体と同じ物質である請求項33記載の露光方法。
  35. 前記温調用流体はその温度が前記液浸空間の液体の温度と同程度以上である請求項33又は34記載の露光方法。
  36. 前記液浸空間形成部材は熱の放射によってその温度変化が抑制される請求項28〜35のいずれか一項記載の露光方法。
  37. 請求項28〜請求項36のいずれか一項記載の露光方法を用いるデバイス製造方法。
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