以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、少なくとも投影光学系PLを収容するチャンバ装置3と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置4とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。露光装置EXは、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材5を備えている。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
本実施形態において、液浸空間LSは、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子6から射出される露光光ELの光路K1が液体LQで満たされるように形成される。終端光学素子6は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面7を有する。射出面7は、下方(−Z方向)を向く。液浸空間LSは、終端光学素子6と、その終端光学素子6の射出面7と対向する物体との間の光路K1が液体LQで満たされるように形成される。射出面7と対向する位置は、射出面7から射出される露光光ELの照射位置を含む。
液浸部材5は、露光光ELが射出される終端光学素子6の近傍に配置されている。液浸部材5は、下面8を有する。下面8は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面7と対向可能な物体は、下面8と対向可能である。物体の表面が射出面7と対向する位置に配置されたとき、下面8の少なくとも一部と物体の表面とが対向する。射出面7と物体の表面とが対向しているとき、終端光学素子6の射出面7と物体の表面との間の空間は液体LQを保持できる。また、下面8と物体の表面とが対向しているとき、液浸部材5の下面8と物体の表面との間の空間は液体LQを保持できる。一方側の射出面7及び下面8と他方側の物体の表面との間に保持された液体LQによって、液浸空間LSが形成される。
本実施形態において、射出面7及び下面8と対向可能な物体は、終端光学素子6の射出側(像面側)で移動可能な物体を含み、射出面7及び下面8と対向する位置に移動可能な物体を含む。本実施形態においては、射出面7及び下面8と対向する位置に移動可能な物体は、基板ステージ2、及びその基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。なお、以下においては、説明を簡単にするために、主に、一方側の射出面7及び下面8と他方側の基板Pとが対向している状態を例にして説明する。
本実施形態においては、射出面7及び下面8と対向する位置に配置された基板Pの表面の一部の領域(局所的な領域)が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成され、その基板Pの表面と下面8との間に液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGが形成される。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、基板Pの露光時に、投影光学系PLの投影領域PRを含む基板P上の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSを形成する局所液浸方式を採用する。
また、本実施形態の露光装置EXは、露光光ELの光路に対して液浸部材5の外側に配置された捕集部材9を備えている。捕集部材9は、下面10を有する。下面10は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面7及び下面8と対向可能な物体は、下面10と対向する位置に移動可能である。すなわち、基板ステージ2、及びその基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方は、下面10と対向する位置に移動可能である。
また、本実施形態の露光装置EXは、気体を供給する気体供給部材11を備えている。本実施形態において、気体供給部材11は、露光光ELの光路に対して液浸部材5の外側に配置されている。気体供給部材11は、下面12を有する。下面12は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面7及び下面8と対向可能な物体は、下面12と対向する位置に移動可能である。すなわち、基板ステージ2、及びその基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方は、下面12と対向する位置に移動可能である。
チャンバ装置3は、少なくとも終端光学素子6を含む投影光学系PLが配置される内部空間3Sを形成する。チャンバ装置3は、内部空間3Sの環境(温度、湿度、及びクリーン度等)を制御する環境制御装置3Cを含む。本実施形態においては、内部空間3Sには、少なくともマスクステージ1、基板ステージ2、照明系ILの少なくとも一部、投影光学系PL、液浸部材5、捕集部材9、及び気体供給部材11が配置される。
照明系ILは、所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMをリリース可能に保持するマスク保持部1Hを有する。本実施形態において、マスク保持部1Hは、マスクMのパターン形成面(下面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。マスクステージ1は、リニアモータ等のアクチュエータを含む第1駆動システム1Dの作動により、マスクMを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、マスクステージ1は、マスク保持部1HでマスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
マスクステージ1(マスクM)の位置情報は、干渉計システム15のレーザ干渉計15Aによって計測される。レーザ干渉計15Aは、マスクステージ1に設けられた反射ミラー1Rを用いて位置情報を計測する。制御装置4は、レーザ干渉計15Aの計測結果に基づいて第1駆動システム1Dを作動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒PKで保持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸とほぼ平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、ベース部材13のガイド面14上を移動可能である。本実施形態においては、ガイド面14は、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ2は、基板Pを保持して、ガイド面14に沿って、XY平面内を移動可能である。
基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部2Hを有する。本実施形態において、基板保持部2Hは、基板Pの露光面(表面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ2は、リニアモータ等のアクチュエータを含む第2駆動システム2Dの作動により、基板Pを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ2は、基板保持部2Hで基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ2は、基板保持部2Hの周囲に配置された上面2Tを有する。本実施形態において、上面2Tは、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。また、基板ステージ2は、凹部2Cを有する。基板保持部2Hは、凹部2Cの内側に配置される。本実施形態において、上面2Tと、基板保持部2Hに保持された基板Pの表面とは、ほぼ同一平面内に配置される(面一である)。
基板ステージ2(基板P)のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム15のレーザ干渉計15Bによって計測される。レーザ干渉計15Bは、基板ステージ2に設けられた反射ミラー2Rを用いて位置情報を計測する。また、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面の位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)が、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置4は、レーザ干渉計15Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて第2駆動システム2Dを作動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を行う。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pの露光時、制御装置4は、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、マスクM及び基板Pを、光軸AXと交差するXY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置4は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
次に、液浸部材5、捕集部材9、及び気体供給部材11について、図2、及び図3を参照して説明する。図2は、液浸部材5、捕集部材9、及び気体供給部材11を示すYZ平面と平行な側断面図、図3は、液浸部材5、捕集部材9、及び気体供給部材11を下側(−Z側)から見た図である。
なお、以下の説明においては、終端光学素子6の射出面7、液浸部材5の下面8、捕集部材9の下面10、及び気体供給部材11の下面12と対向する位置に基板Pが配置されている場合を例にして説明するが、上述のように、射出面7、下面8、下面10、及び下面12と対向する位置には、基板ステージ2等、基板P以外の物体も配置可能である。
なお、本実施形態においては、射出面7、下面8、下面10、及び下面12は、互いに平行であるが、互いに平行でなくてもよい。また、は、XY平面と平行であるが、射出面7、下面8、下面10、及び下面12の少なくとも一つは、XY平面と平行でなくてもよいし、曲面であってもよい。
液浸部材5は、環状の部材である。液浸部材5は、露光光ELの光路の周囲に配置されている。本実施形態において、液浸部材5の一部は、終端光学素子6の周囲に配置されている。本実施形態においては、液浸部材5は、終端光学素子6の周囲に配置される第1プレート部16と、終端光学素子6の射出面7から射出された露光光ELが通過する開口17を有し、射出面7の少なくとも一部と対向する位置に配置される第2プレート部18とを有する。
第1プレート部16は、終端光学素子6の外周面6Tと対向し、その外周面6Tに沿って形成された内周面16Tを有する。内周面16Tは、外周面6Tと所定の間隙G1を介して対向するように配置される。また、外周面6T及び内周面16Tは、光軸AX(光路K1)に対する放射方向において、基板Pの表面から除々に離れるように傾斜している。本実施形態においては、間隙G1は、液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部が流入可能な大きさを有する。
第2プレート部18の少なくとも一部は、Z軸方向に関して射出面7と基板Pの表面との間に配置される。開口17は、第2プレート部18のほぼ中央に配置されている。射出面7から射出された露光光ELは、開口17を通過可能である。例えば、基板Pの露光中、射出面7から射出された露光光ELは、開口17を通過し、液体LQを介して基板Pの表面に照射される。本実施形態においては、開口17における露光光ELの断面形状はX軸方向を長手方向とする略矩形状(スリット状)である。開口17は、露光光ELの断面形状に応じて、XY方向において略矩形状(スリット状)に形成されている。また、開口17における露光光ELの断面形状と、基板Pにおける投影光学系PLの投影領域PRの形状とはほぼ同じである。
第2プレート部18は、射出面7と対向するように+Z方向を向く上面19と、上面19と逆の−Z方向を向く下面20とを有する。上面19は、射出面7の一部と対向する。下面20は、基板Pの表面と対向可能である。上面19及び下面20のそれぞれは、開口17(光路K1)の周囲に配置されている。下面20と基板Pの表面との間の空間は液体LQを保持可能である。下面20と対向する位置に基板Pが配置されているとき、液浸部材5の下面20と基板Pの表面との間の空間は液体LQを保持できる。
本実施形態において、上面19は、平坦であり、射出面7(XY平面)とほぼ平行である。上面19は、XY平面と平行でなくてもよく、曲面であってもよいし、凹凸形状でもよい。本実施形態においては、XY平面内における下面20の外形は、矩形状である。
また、液浸部材5は、液体LQを供給する液体供給口21と、液体供給口21に接続され、液体供給口21に供給する液体LQが流れる内部流路22と、液体LQを回収する第1液体回収口23と、第1液体回収口23に接続され、第1液体回収口23から回収された液体LQが流れる内部流路24とを備えている。
液体供給口21は、終端光学素子6と基板Pとの間の光路K1が液体LQで満たされるように液体LQを供給する。液体供給口21は、光路Kの近傍に配置されており、液浸空間LSを形成するために、光路K1に液体LQを供給可能である。本実施形態において、液体供給口21は、露光光ELの光路K1の近傍において、その光路K1に面するように液浸部材5の所定位置に配置されている。本実施形態において、射出面7と上面19とは所定の間隙G2を介して対向する。液体供給口21は、射出面7と上面19との間の空間25に液体LQを供給可能である。本実施形態においては、液体供給口21は、光路K1に対してY軸方向両側のそれぞれに配置されている。
液体供給口21は、内部流路22、及び流路制御機構27が配置されたチューブ部材26Pの流路26を介して、液体供給装置29と接続されている。液体供給装置29は、温度調整装置30を含み、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。また、液体供給装置29は、マスフローコントローラと呼ばれる流量制御装置を含み、液体LQの単位時間当たりの供給量を調整可能である。液体供給装置29から送出された液体LQは、流路26、及び内部流路22を介して、液体供給口21に供給される。液体供給口21は、液浸空間LSを形成するために、液体供給装置29からの液体LQを、露光光ELの光路K1に供給する。
第1液体回収口23は、液体供給口21から供給された液体LQを回収する。第1液体回収口23は、基板Pの表面と対向する液浸部材5の所定位置に配置されている。本実施形態において、第1液体回収口23は、光路K1に対して下面20の外側に配置されている。本実施形態においては、第1液体回収口23は、下面20(光路K1)の周囲に配置されている。
第1液体回収口23は、下方(−Z方向)を向き、基板Pの表面と対向するように配置されている。本実施形態において、第1液体回収口23は、基板P上の液体LQを回収可能である。第1液体回収口23とその第1液体回収口23と対向する基板Pの表面との間の液体LQは、第1液体回収口23から回収される。
本実施形態において、第1液体回収口23には、多孔部材31が配置されている。多孔部材31は、複数の小さい孔が形成された薄いプレート部材である。多孔部材31は、薄いプレート部材を加工して、複数の孔を形成した部材であり、メッシュプレートとも呼ばれる。本実施形態において、多孔部材31は、チタンで形成されている。なお、多孔部材31が、ステンレスで形成されてもよい。
多孔部材31は、内部流路24に面するように+Z方向を向く上面31Aと、上面31Aと逆の−Z方向を向く下面31Bと、上面31Aと下面31Bとを連通する複数の孔とを有する。本実施形態において、上面31Aと下面31Bとは、ほぼ平行である。本実施形態において、上面31Aと下面31Bとは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。
本実施形態において、液浸部材5の下面8は、第2プレート部18の下面20及び多孔部材31の下面31Bを含む。下面8は、基板Pの表面との間で液体LQを保持可能である。本実施形態においては、多孔部材31の下面31Bは、第2プレート部18の下面20の+Z側に配置されている。第2プレート部18の下面20と、多孔部材31の下面31Bとの間に、段差が形成されている。
第1液体回収口23は、内部流路24、及びチューブ部材32Pの流路32を介して、第1液体回収装置33と接続されている。第1液体回収装置33は、真空システムを含む圧力調整装置を有し、流路32及び内部流路24にかかる負圧を調整可能である。第1液体回収装置33は、流路32及び内部流路24を負圧にして、上面31Aと下面31Bとの間に圧力差を発生させることによって、基板P上の液体LQの少なくとも一部を、多孔部材31の孔を介して回収する。下面31Bと接触した基板P上の液体LQは、多孔部材31の孔を介して、内部流路24に流入する。内部流路24に流入した液体LQは、流路32を介して、第1液体回収装置33に回収される。
本実施形態においては、制御装置4は、液体供給口21による液体供給動作と並行して、第1液体回収口23による液体回収動作を実行して、液浸空間LSを形成する。
捕集部材9は、環状の部材である。捕集部材9は、露光光ELの光路K1の周囲に配置されている。本実施形態において、捕集部材9は、液浸部材5の周囲に配置されている。本実施形態においては、液浸部材5の外側面5Gと捕集部材9の内側面9Gとは、所定の間隙G3を介して対向する。
間隙G3の下端には、開口46が形成される。開口46は、第1液体回収口23の(光路K1)の周囲に配置される。開口46は、外周面5Gの下端と内周面9Gの下端とで規定される。本実施形態において、開口46は、環状(矩形環状)のスリットである。
捕集部材9は、液体LQを回収するための第2液体回収口34と、第2液体回収口34に接続され、第2液体回収口34より回収された液体LQが流れる内部流路35とを備えている。
第2液体回収口34は、基板Pの表面と対向する捕集部材9の所定位置に配置されている。本実施形態において、第2液体回収口34は、光路K1に対して第1液体回収口23の外側に配置されている。本実施形態においては、第2液体回収口34は、開口46(光路K1)の周囲に配置されている。
第2液体回収口34は、下方(−Z方向)を向き、基板Pの表面と対向するように配置されている。本実施形態において、第2液体回収口34は、基板P上の液体LQを回収可能である。第2液体回収口34とその第2液体回収口34と対向する基板Pの表面との間の液体LQは、第2液体回収口34から回収される。
本実施形態において、第2液体回収口34には、多孔部材36が配置されている。多孔部材36は、メッシュプレートである。多孔部材36は、内部流路35に面するように+Z方向を向く上面36Aと、上面36Aと逆の−Z方向を向く下面36Bと、上面36Aと下面36Bとを連通する複数の孔とを有する。本実施形態において、上面36Aと下面36Bとは、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。本実施形態において、捕集部材9の下面10は、多孔部材36の下面36Bを含む。本実施形態においては、多孔部材31の下面31Bと多孔部材36の下面36Bとは、ほぼ同一平面内に配置される(面一である)。
第2液体回収口34は、内部流路35、及びチューブ部材37Pの流路37を介して、第2液体回収装置38と接続されている。第2液体回収装置38は、真空システムを含む圧力調整装置を有し、流路37及び内部流路35にかかる負圧を調整可能である。下面36Bと接触した基板P上の液体LQは、多孔部材36の孔を介して、内部流路35に流入する。内部流路35に流入した液体LQは、流路37を介して、第2液体回収装置38に回収される。
第2液体回収口34は、基板Pの露光時に、液体LQを回収可能である。第2液体回収口34は、基板Pの露光時に、例えば第1液体回収口23で回収しきれなかった液体LQを回収する。本実施形態においては、第2液体回収口34は、少なくとも基板Pの液浸露光中、第2液体回収口34の周囲の流体(液体LQ、気体を含む)を吸引し続ける。下面10と対向する位置に液体LQが存在しない場合、第2液体回収口34は、気体のみを回収(吸引)する。一方、例えば液浸空間LSから液体LQが流出し、下面10と対向する位置に配置された場合、第2液体回収口34は、その液体LQを気体とともに回収する。これにより、液浸空間LSの液体LQが、露光光ELの光路K1に対して液浸部材5の外側に流出したり、基板P上に液体LQが残留したりすることが抑制される。なお、第2液体回収口34から、液体のみを回収(吸引)するようにしてもよい。
気体供給部材11は、光路K1に対して液浸部材5の外側に配置されている。本実施形態においては、4つの気体供給部材11が、液浸部材5の周囲の一部に配置されている。本実施形態においては、気体供給部材11は、光路K1に対してY軸方向両側のそれぞれ、及びX軸方向両側のそれぞれに配置されている。本実施形態において、気体供給部材11の一部は、液浸部材5と捕集部材9との間に配置されている。
気体供給部材11は、気体GSを供給する気体供給口39と、気体供給口39に接続され、気体供給口39に供給する気体GSが流れる内部流路40とを備えている。気体供給口39は、基板Pの表面と対向する気体供給部材11の下面12に配置されている。
気体供給口39は、光路Kに対して下面20の外側に配置されている。本実施形態においては、気体供給口39は、光路Kに対して第1液体回収口23の外側に配置されている。本実施形態においては、気体供給部材11の下面12は、液浸部材5の外周面5Gと捕集部材9の内周面9Gとの間の間隙G3に配置され、気体供給口39は、第1液体回収口23と第2液体回収口34との間に配置されている。
本実施形態においては、4つの気体供給口39が、第1液体回収口23と第2液体回収口34との間に配置されている。本実施形態においては、気体供給口39は、光路K1に対してY軸方向両側のそれぞれ、及びX軸方向両側のそれぞれに配置されている。
気体供給口39は、下方(−Z方向)を向き、基板Pの表面と対向するように配置されている。本実施形態において、気体供給口39は、基板Pの表面に向けて気体GSを供給可能である。
気体供給口39は、内部流路40、及びチューブ部材41Pの流路41を介して、気体供給装置42と接続されている。気体供給装置42は、温度調整装置43を含み、清浄で温度調整された気体GSを送出可能である。また、気体供給装置42は、気体GSの単位時間当たりの供給量を調整可能である。気体供給装置42から送出された気体GSは、流路41、及び内部流路40を介して、気体供給口39に供給される。気体供給口39は、気体供給装置42からの気体GSを、間隙G3に吹き出す。
本実施形態において、流路制御機構27には、チューブ部材44Pの流路44を介して、気体吸引装置45が接続されている。液体供給口21は、内部流路22、流路26、及び流路44を介して、気体吸引装置45と接続可能である。
流路制御機構27は、例えば電磁バルブ等のバルブ機構を含み、制御装置4に制御される。制御装置4は、液体供給口21と液体供給装置29との間の流路を開けるとき、流路26と流路44との間の流路を閉じ、液体供給口21と気体吸引装置45との間の流路を開けるとき、液体供給口21と液体供給装置29との間の流路を閉じるように、流路制御機構27を制御する。
気体吸引装置45は、真空システムを含む圧力調整装置を有し、流路44と流路26との間の流路が開いているとき、内部流路22、流路26、及び流路44にかかる負圧を調整可能である。気体吸引装置45は、内部流路22、流路26、及び流路44を負圧にすることによって、液体供給口21の周囲の気体GSを吸引可能である。液体供給口21は、上面19と射出面7との間の空間25に面するように配置されており、その空間25の流体(主に気体)を吸引可能である。このように、本実施形態においては、空間25に液体LQを供給可能な開口(液体供給口)21が、空間25の流体(気体GSなど)を吸引する気体吸引口として機能する。
制御装置4は、液体供給装置29から開口(液体供給口)21に液体LQを供給して、空間25に液体LQを供給するとき、流路26と流路44との間の流路が閉じるように、流路制御機構27を制御する。一方、制御装置4は、空間25の気体を開口(気体吸引口)21から吸引するとき、液体供給装置29と開口21との間の流路が閉じるように、流路制御機構27を制御する。このように、制御装置4は、流路制御機構27を用いて、開口(液体供給口)21から液体LQを供給する液体供給動作と、開口(気体吸引口)21から気体GSを吸引する気体吸引動作とを切り替えることができる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXの動作の一例について説明する。
基板Pを露光するために、液体供給口21から液体LQが供給される。液体供給口21から液体LQが供給されるとき、射出面7及び下面8と対向する位置に、基板P(基板ステージ2)等の物体が配置される。液体供給装置29から送出された液体LQは、流路26、及び内部流路22を介して液体供給口21に供給される。液体供給口21は、射出面7と上面19との間の空間25に液体LQを供給する。液体LQは、空間25を流れ、開口17を介して、液浸部材5の下面8と基板Pの表面との間の空間に流入し、その下面8と基板Pの表面との間に保持される。これにより、終端光学素子6の射出面7と基板Pの表面との間の光路K1が液体LQで満たされる。
また、本実施形態においては、液体供給口21による液体供給動作と並行して、第1液体回収口23による液体回収動作が実行される。これにより、光路K1が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
また、制御装置4は、液浸空間LSを形成した状態において、第2液体回収口34による流体吸引動作を開始する。図2に示すように、基板Pがほぼ静止している状態においては、第2液体回収口34から液体LQが回収されない。第2液体回収口34は、その第2液体回収口34の周囲の気体を吸引する。
また、基板Pの露光が開始される前に、チャンバ装置3の内部空間3Sの環境が、環境制御装置3Cによって調整される。環境制御装置3Cを含むチャンバ装置3によって、内部空間3Sが所定温度(例えば23℃)Thに調整される。制御装置4は、少なくとも基板Pの露光中、チャンバ装置3を用いて、内部空間3Sの温度を制御する。
液浸空間LSが形成された後、制御装置4は、基板Pの露光を開始する。制御装置4は、射出面7及び下面8と基板Pの表面との間に液体LQを保持して液浸空間LSを形成した状態で、終端光学素子6及び液浸部材5に対して、基板PをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液体LQとを介して露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pは露光光ELで露光される。
本実施形態においては、少なくとも基板Pが移動しているとき、制御装置4は、第2液体回収口34を用いる流体吸引動作を継続する。第2液体回収口34は、第2液体回収口34の周囲の流体を吸引し続ける。
基板Pの露光中においては、気体供給口39による気体供給動作は実行されない。
基板Pを露光するときに液体供給口21から液体LQを供給するとき、制御装置4は、液体供給口21から所定温度Teの液体LQが単位時間当たり所定の供給量Feで供給されるように、温度調整装置30及びマスフローコントローラを含む液体供給装置29を制御する。本実施形態においては、基板Pを露光するときに液体供給口21から供給される液体LQの温度Teが、チャンバ装置3によって制御される内部空間3Sの温度Thとほぼ同じになるように、液体供給装置29が制御される。
ところで、例えば露光装置EXのメンテナンス時等、露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合、露光光ELの照射が停止され、光路K1を満たしている液浸空間LSの液体LQが取り去られる。すなわち、光路K1が気体で満たされた空間と変更するために、液浸空間LSの液体LQを取り去る。液浸空間LSの液体LQを取り去るために、制御装置4は、液体供給口21から液体LQを供給する液体供給動作を停止する。また、制御装置4は、液体供給動作を停止した状態で、第1液体回収口23から液体LQを回収する液体回収動作を所定時間継続する。これにより、液浸空間LSの液体LQの大部分が取り去られ、光路K1が液体LQで満たされていない状態となる。液体LQが取り去られた後、制御装置4は、第1液体回収口23による液体回収動作を終了する。
本実施形態においては、液体LQが取り去られた後においても、制御装置4は、チャンバ装置3を用いて、終端光学素子6が配置される内部空間3Sの温度を制御する。本実施形態においては、制御装置4は、液体LQが取り去られた後においても、チャンバ装置3を用いて、内部空間3Sの温度を、基板Pを露光するときの温度(23℃)Thに制御する。
図4は、光路K1が液体LQで満たされていない非液浸状態の一例を示す図である。図4に示すように、液体LQが取り去られ、第1液体回収口23による液体回収動作が終了した後、制御装置4は、液体供給口21による液体供給動作を停止した状態で、気体供給口39から気体GSを供給する気体供給動作を行う。
本実施形態においては、制御装置4は、気体供給口39から、チャンバ装置3によって制御される内部空間3Sの温度Thよりも高い温度Tgの気体GSが供給されるように、温度調整装置43を含む気体供給装置42を制御する。
このように、本実施形態においては、液体供給口21から液体LQを供給する液体供給動作を停止しているときに、第1液体回収口23から液体LQを回収する液体回収動作の終了後に、内部空間3Sの温度Thよりも高い温度Tgの気体GSを気体供給口39から供給する気体供給動作が行われる。
本実施形態においては、図4に示すように、終端光学素子6の射出面7と対向する位置に物体が配置された状態で、気体供給動作が実行される。なお、気体供給動作が実行されるときに終端光学素子6の射出面7と対向する位置に配置される物体は、基板Pのみならず、例えば基板ステージ2の上面2F、あるいは基板ステージ2(基板保持部2H)に保持されたダミー基板でもよい。ダミー基板は、基板Pとほぼ同じ外形で、デバイスの製造が不可能な部材である。以下の説明では、簡単のため、基板Pが配置される場合を例にして説明する。
図4に示すように、気体供給口39から供給された気体GSは、外周面5G及び内周面9Gにガイドされつつ、間隙G3を流れる。間隙G3の下端の開口46から吹き出された気体GSの少なくとも一部は、液浸部材5の下面8(下面20)側の空間に供給される。本実施形態において、開口46は、下面8の周囲に配置された環状のスリットである。したがって、開口46は、下面8の外縁のほぼ全域に向けて気体GSを供給することができる。
本実施形態においては、気体供給口39による気体供給動作と並行して、気体吸引口21から気体を吸引する気体吸引動作が実行される。上述のように、気体吸引口21は、空間25の気体GSを吸引可能である。
気体供給口39より供給され、開口46から吹き出された気体GSの少なくとも一部は、下面8側の空間、すなわち液浸部材5の下面8と基板Pの表面との間の空間を、開口17に向かって流れる。開口17に向かって流れた気体GSの少なくとも一部は、開口17を介して、終端光学素子6に供給される。また、開口17を介して終端光学素子6に供給された気体GSの少なくとも一部は、射出面7と上面19との間の空間25を流れる。このように、本実施形態においては、気体供給口39による気体供給動作により、終端光学素子6の表面(射出面7、外周面6Tを含む)に気体GSが供給される。終端光学素子6の表面に供給された気体GSの少なくとも一部は、気体吸引口21に吸引される。また、間隙G1の気体の少なくとも一部も、気体吸引口21に吸引される。
本実施形態においては、気体吸引口21による気体吸引動作が、気体供給口39(開口46)による気体供給動作の少なくとも一部と並行して行われることにより、気体供給口39(開口46)から、下面8側の空間、開口17、及び空間25を介して気体吸引口21へ向かう気体GSの流れが生成される。気体吸引口21を用いる気体吸引動作によって、気体供給口39(開口46)から供給された気体GSは、所定の流量(流速)で、下面8、上面19、及び射出面7に接触しながら、気体吸引口21に向かって流れることができる。
光路K1から液体LQを取り去る液体回収動作に起因して、終端光学素子6の温度低下が発生する可能性がある。すなわち、液体回収動作により、液体LQの気化熱による終端光学素子6の温度低下が発生する可能性が高くなる。例えば、液体供給動作を停止し、液体回収動作を実行した後、終端光学素子6の表面に液体LQが残留する可能性があり、その残留した液体LQの気化熱によって、終端光学素子6の温度低下が発生する可能性がある。終端光学素子6の温度低下を放置しておくと、例えば終端光学素子6あるいはその近傍に配置されている各種部材が熱変形する可能性がある。また、終端光学素子6の温度低下を放置しておくと、例えば基板Pの露光を実行(再開)したとき、光路K1に供給された液体LQが終端光学素子6との接触により基準温度(目標温度)に対して変動してしまい、その結果、露光不良が発生する可能性がある。温度低下した終端光学素子6が基準温度に復帰するまで、例えば温度低下した終端光学素子6の温度が内部空間3Sの温度Thに馴染むまで待ち時間を設けることが考えられるが、待ち時間が長い場合、露光装置EXの稼動率の低下を招く。
本実施形態によれば、少なくとも内部空間3Sの温度Thより高い温度Tgの気体GSを供給する気体供給動作により、液体回収動作に起因する終端光学素子6の温度低下を抑制することができる。
また、気体供給動作により、終端光学素子6の表面を乾燥することができる。液体回収動作で光路K1から液体LQが取り去られた後、終端光学素子6の表面に液体LQが残留していても、気体供給動作により、終端光学素子6の表面を乾燥することができる。液体LQの残留を放置しておくと、その液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が終端光学素子6の表面に形成される可能性がある。本実施形態によれば、気体供給動作により、終端光学素子6の表面を乾燥することによって、残留した液体LQを除去することができる。したがって、液体LQの付着跡の発生を抑制することができる。また、高い温度Tgの気体GSを用いることにより、短時間で乾燥することができる。
また、本実施形態によれば、気体供給動作により、液浸部材5の温度低下を抑制したり、液浸部材5の表面(下面8、上面19を含む)を乾燥したりすることができる。また、気体供給動作が実行されるときに射出面7と対向する位置に配置されている物体の温度低下を抑制したり、その物体の表面を乾燥したりすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、液体回収動作に起因する終端光学素子6などの温度低下を抑制することができる。したがって、例えばメンテナンス等のために露光装置EXの稼動が停止している状態から、稼動(基板Pの露光)を再開するまでの時間を短くすることができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制することができる。また、終端光学素子6などの温度低下に起因する露光不良の発生を抑制することができる。
本実施形態においては、気体供給口39から供給された気体GSは、例えば基板Pを露光するときに液体LQと接触する終端光学素子6及び液浸部材5などに供給されるので、それら終端光学素子6及び液浸部材5の温度低下を抑制できる。特に、終端光学素子6の射出面7、及び液浸部材5の下面20及び上面19は、基板Pを露光するときに常に液体LQと接触しているので、その液体LQが取り去られた後、温度低下する可能性が高くなる。本実施形態においては、気体供給口39は、光路K1に対して下面20の外側に配置されているので、下面20、上面19、及び射出面7に対して気体GSを良好に供給することができる。
また、本実施形態においては、気体供給口39は、光路K1に対して第1液体回収口23の外側に配置されているので、その第1液体回収口23(多孔部材31)の温度低下も良好に抑制することができる。
なお、上述の実施形態においては、気体供給口39が光路K1の周囲の4箇所に配置されていることとしたが、4箇所以外の複数の位置に配置されてもよい。任意の複数の位置に配置された気体供給口39から供給された気体GSは、矩形環状の開口46を介して、下面8の外縁のほぼ全域に向けて供給される。また、気体供給口39が、光路K1の周囲に配置される環状でもよい。
なお、上述の実施形態において、気体供給口39が、光路K1に対して第2液体回収口34の外側に配置されてもよい。
なお、上述の実施形態においては、気体供給口39より気体GSを供給するとき、射出面7と対向する位置に物体(基板P、基板ステージ2等)が配置されるが、物体が配置されない状態で気体を供給してもよい。こうすることによっても、気体供給口39からの気体GSの少なくとも一部が終端光学素子6に供給されることによって、その終端光学素子6の温度低下を抑制することができる。また、上述の実施形態においては、気体供給口39が、射出面7と対向する位置に配置された物体と対向可能な位置に配置されているが、例えば射出面7及び下面8の少なくとも一方と対向する位置に配置されてもよい。
なお、上述の実施形態においては、液体供給動作を停止しているときに、第1液体回収口23及び/又は第2液体回収口34を使って液体回収動作を実行し、その液体回収動作の終了後に、気体供給動作を開始する場合を例にして説明したが、光路K1の液体LQを取り去るために、液体供給動作を停止しているときに、液体回収動作を実行し、その液体回収動作が実行されているときに、気体供給動作が開始されてもよい。すなわち、液体回収動作の少なくとも一部と並行して、気体供給動作が行われてもよい。また、液体回収動作により光路K1の液体LQが取り去られた後、気体供給動作を継続しつつ、液体回収動作を停止してもよいし、気体供給動作と液体回収動作との両方を継続してもよい。
また、上述の実施形態において、液体回収動作の少なくとも一部と並行して、液体供給口21の吸引動作を開始して、液体供給口21から液体LQと気体GSを回収してもよい。
また、第1液体回収口23及び/又は第2液体回収口34を使って液体回収動作を実行するときに、終端光学素子6の射出面7と液浸部材5の上面19との距離を調整してもよい。
また、上述の実施形態においては、光路K1の液体LQが取り去られた後、気体供給動作が開始される場合を例にして説明したが、光路K1に液体LQが満たされている状態、あるいは液体供給動作の停止後、液体LQが完全に取り去られてなく、光路K1の一部に液体LQが存在する状態において、気体供給動作が開始されてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
本実施形態においては、例えばメンテナンス等のために露光装置EXの稼動が停止している状態、すなわち光路K1が液体LQで満たされていない状態から、稼動(基板Pの露光など)が再開(実行)される状態、すなわち光路K1に対する液体LQの供給が開始される状態における露光装置EXの動作の一例について説明する。
図5(A)に示すように、制御装置4は、液体LQで満たされていない光路K1が液体LQで満たされるように、液体供給口21から液体LQを供給する液体供給動作を開始する。制御装置4は、その光路K1が液体LQで満たされていないときに液体供給口21から供給される液体LQの温度Tsを、基板Pを露光するときに液体供給口21から供給される液体LQの温度Teよりも高くする。
基板Pを露光するときに液体供給口21から供給される液体LQの温度Teは、例えば23℃である。制御装置4は、温度調整装置30を含む液体供給装置29を制御して、光路K1が液体LQで満たされていないときに、液体LQを温度Teよりも高い温度Tsで液体供給口21から供給する。例えば、液体LQを温度Teより0.5〜1.0度も高い温度Tsで液体LQの供給を開始する。
本実施形態において、液体供給口21から温度Tsで液体LQの供給が開始されるときの光路K1の状態は、液体LQが全く存在しない状態のみならず、光路K1の一部だけに液体LQが存在する状態も含む。すなわち、本実施形態において、光路K1が液体LQで満たされていないときとは、光路K1に液体LQが完全に無い状態、及び光路K1の一部だけに液体LQが存在する状態の少なくとも一方を含む。
また、制御装置4は、液体供給口21による液体供給動作を並行して、第1液体回収口23による液体回収動作を行う。第1液体回収口23は、液体供給口21から供給された温度Tsの液体LQを回収する。これにより、光路K1は、温度Tsで供給された液体LQで満たされ、液浸空間LSが形成される。
上述したように、光路K1から液体LQを取り去る液体回収動作に起因して、終端光学素子6などの温度低下が発生する可能性がある。本実施形態においては、温度Tsで液体LQを供給するので、たとえ終端光学素子6の温度低下が発生した場合でも、終端光学素子6の温度を短時間で基準温度(目標温度)に調整することができる。
また、光路K1から液体LQを取り去る液体回収動作に起因して、液浸部材5の温度低下が発生する可能性があるが、液体供給口21から温度Tsで液体LQを供給するので、終端光学素子6のみならず、液浸部材5の温度を短時間で基準温度(目標温度)に調整することができる。本実施形態においては、温度Tsの液体LQは、液浸部材5の上面19、下面20、多孔部材31のみならず、内部流路22、24の内面にも接触するので、その液体LQで液浸部材5の温度を良好に調整することができる。
図5(B)に示すように、終端光学素子6と基板Pとの間の光路K1が温度Tsの液体LQで満たされた後、制御装置4は、液体供給装置29を制御して、温度Tsよりも低い温度Teで液体供給口21から液体LQを供給する。
本実施形態においては、光路K1が温度Tsの液体LQで満たされた後、所定時間、温度Tsの液体LQの供給を継続し、その後、温度Teの液体LQの供給に切り替える。例えば、温度Tsの液体LQの供給を開始してからの経過時間が予め定められた所定時間を超えたとき、温度Teで液体供給口21から液体LQを供給する動作を開始してもよい。温度Tsの液体LQの供給時間と、その供給時間に応じた終端光学素子6の温度との関係を、実験又はシミュレーション等によって予め求めることにより、その求めた関係に基づいて、終端光学素子6が基準温度に達する、温度Tsの液体LQの供給を開始してからの経過時間を決定することができる。なお、終端光学素子6の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、終端光学素子6の温度が基準温度になったと判断したとき、温度Teで液体供給口21から液体LQを供給する動作を開始してもよい。もちろん、液浸部材5が基準温度(目標温度)になるまでの時間を考慮して、温度Teで液体LQの供給を開始する時間を決めてもよい。
そして、制御装置4は、光路K1が液体供給口21から温度Teで供給された液体LQで満たされた状態で、基板Pを露光する。
以上説明したように、本実施形態によれば、終端光学素子6が温度低下した場合でも、その終端光学素子6の温度を短時間で基準温度に調整することができる。また、本実施形態によれば、液浸部材5が温度低下した場合でも、その液浸部材5の温度を短時間で基準温度に調整することができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制でき、終端光学素子6あるいは液浸部材5の温度変化に伴う露光不良の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、光路K1が温度Tsの液体LQで満たされた後、所定時間、温度Tsの液体LQの供給を継続することとしたが、光路K1が液体LQで満たされていないときに温度Tsの液体LQの供給を開始した後、その光路K1が温度Tsの液体LQで満たされたと判断された時点で、温度Teの液体LQの供給に切り替えてもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
本実施形態においても、光路K1が液体LQで満たされていない状態から、光路K1に対する液体LQの供給が開始される状態における露光装置EXの動作の一例について説明する。
制御装置4は、液体LQで満たされていない光路K1が液体LQで満たされるように、液体供給口21から液体LQを供給する液体供給動作を開始する。本実施形態においては、制御装置4は、その光路K1が液体LQで満たされていないときに液体供給口21から供給される液体LQの単位時間当たりの供給量Fsを、基板Pを露光するときに液体供給口21から供給される液体LQの単位時間当たりの供給量Feよりも多くする。
本実施形態においては、光路K1が液体LQで満たされていないときに液体供給口21から供給される液体LQの温度は、基板Pを露光するときに液体供給口21から供給される液体LQの温度Teと同じである。
制御装置4は、マスフローコントローラを含む液体供給装置29を制御して、光路K1が液体LQで満たされていないときに、基板Pを露光するときの供給量Feより多い供給量Fsで、液体LQを液体供給口21から供給する。
本実施形態においても、液体供給口21から供給量Fsで液体LQの供給が開始されるときの光路K1の状態は、液体LQが全く存在しない状態のみならず、光路K1の一部だけに液体LQが存在する状態も含む。
また、制御装置4は、液体供給口21による液体供給動作を並行して、第1液体回収口23による液体回収動作を行う。第1液体回収口23は、液体供給口21から供給された液体LQを回収する。これにより、光路K1は、液体供給口21から供給された液体LQで満たされ、液浸空間LSが形成される。
上述したように、光路K1から液体LQを取り去る液体回収動作に起因して、終端光学素子6の温度低下が発生する可能性がある。本実施形態においては、基板Pを露光するときの供給量Feより多い供給量Fsで液体LQを供給するので、終端光学素子6と液体LQとの熱交換が促進される。したがって、たとえ終端光学素子6の温度低下が発生した場合でも、終端光学素子6の温度を短時間で基準温度(目標温度)にすることができる。
また、光路K1から液体LQを取り去る液体回収動作に起因して、液浸部材5の温度低下が発生する可能性があるが、液体供給口21から供給量Fsで液体LQを供給するので、終端光学素子6のみならず、液浸部材5の温度を短時間で基準温度(目標温度)に調整することができる。
図6(B)に示すように、終端光学素子6と基板Pとの間の光路K1が温度Teの液体LQで満たされた後、制御装置4は、液体供給装置29を制御して、供給量Fsよりも少ない供給量Feで、液体供給口21から液体LQを供給する。
本実施形態においては、光路K1が温度Teの液体LQで満たされた後、所定時間、供給量Fsでの液体LQの供給を継続し、その後、供給量Feでの液体LQの供給に切り替える。なお、光路K1が液体LQで満たされていないときに供給量Fsで液体LQの供給を開始した後、その光路K1が液体LQで満たされたと判断された時点で、供給量Feでの液体LQの供給に切り替えてもよい。
そして、制御装置4は、光路K1が液体供給口21から温度Teで供給された液体LQで満たされた状態で、基板Pを露光する。制御装置4は、液体供給口21から供給量Feで液体LQを供給しながら、基板Pを露光する。
また、本実施形態においては、液体供給口21から供給される単位時間当たりの液体供給量に応じて、終端光学素子6と物体(基板P、基板ステージ2等)との距離が調整される。本実施形態においては、図6(A)に示すように、供給量Fsで液体供給口21より液体LQが供給される場合、Z軸方向における終端光学素子6の射出面7と基板Pの表面との距離が、第1距離D1に定められ、図6(B)に示すように、供給量Feで液体供給口21より液体LQが供給される場合、Z軸方向における終端光学素子6の射出面7と基板Pの表面との距離が、第1距離D1より小さい第2距離D2に定められる。第2距離D2は、投影光学系PLの像面と射出面7との距離にほぼ等しい。液体供給口21から供給される液体LQの単位時間当たりの供給量が多いときに、終端光学素子6と基板Pとの距離を大きくすることによって、終端光学素子6の射出面7及び液浸部材5の下面8と基板Pの表面との間の空間を大きくすることができる。したがって、液体LQの供給量を多くしても、例えば液浸空間LSの拡大を抑制したり、終端光学素子6及び液浸部材5と基板Pとの間の空間から液体LQが漏出したりすることを抑制することができる。なお、液浸部材5がZ方向に移動可能な場合には、終端光学素子6の射出面7と液浸部材5の上面19との距離を調整してもよい。例えば、供給量Fsで液体供給口21より液体LQを供給するときに、終端光学素子6の射出面7と液浸部材5の上面19との距離を大きくしてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、終端光学素子6が温度低下した場合でも、その終端光学素子6の温度を短時間で基準温度に調整することができる。また、本実施形態によれば、液浸部材5が温度低下した場合でも、その液浸部材5の温度を短時間で基準温度に調整することができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制でき、終端光学素子6あるいは液浸部材5の温度変化に伴う露光不良の発生を抑制することができる。
なお、上述の第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせることができる。すなわち、光路K1が液体LQで満たされていないときに液体供給口21から供給量Fsで温度Tsの液体LQを供給し、基板Pを露光するときに液体供給口21から供給量Feで温度Teの液体LQを供給してもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7は、第4実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。第4実施形態においては、露光装置EXが、例えば米国特許出願公開第2005/0248856号明細書に開示されているような、終端光学素子6の射出側(像面側)の光路K1と、入射側(物体面側)の光路K2との両方が液体LQで満たされる投影光学系PLを備える場合について説明する。
図7において、投影光学系PLは、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子6と、終端光学素子6に次いで像面に近い境界光学素子47とを有する。境界光学素子47は、投影光学系PLの物体面側(マスクM側)から供給される露光光ELが入射される入射面48と、露光光ELが射出される射出面49とを有する。射出面49は、投影光学系PLの像面(終端光学素子6)に向けて露光光ELを射出する。終端光学素子6は、境界光学素子47の射出面49から射出される露光光ELが入射する入射面50を有する。入射面50に入射した露光光ELは、終端光学素子6の射出面7より射出される。射出面49は、−Z方向を向き、入射面50は、+Z方向を向く。射出面49と入射面50とは対向する。本実施形態において、射出面49及び入射面50のそれぞれは、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。
本実施形態の露光装置EXは、境界光学素子47の射出面49と終端光学素子6の入射面50との間の露光光ELの光路K2が液体LQで満たされるように液体LQを供給する第1開口51を有する第1部材52と、第1開口51から供給された液体LQを回収する第2開口53を有する第2部材54とを備えている。第1部材52及び第2部材54のそれぞれは、鏡筒PKに支持されている。
第1開口51は、第1部材52に形成された内部流路55、及び流路制御機構56が配置されたチューブ部材57Pの流路57を介して、液体供給装置58と接続されている。液体供給装置58は、温度調整装置59、及びマスフローコントローラを含み、単位時間当たり所定の供給量で、温度調整された液体LQを送出可能である。液体供給装置58は、流路57を介して、液体LQを第1開口51に供給可能である。第1開口51は、液体供給装置58からの液体LQを光路K2に供給可能である。
また、流路制御機構56には、チューブ部材60Pの流路60を介して、気体供給装置61が接続されている。気体供給装置61は、温度調整装置62を含み、清浄で温度調整された気体GSを送出可能である。気体供給装置61は、流路60及び流路57を介して、気体GSを第1開口51に供給可能である。第1開口51は、気体供給装置61からの気体GSを射出面49と入射面50との間の空間に供給可能である。
制御装置4は、液体供給装置58から第1開口51に液体LQを供給するとき、気体供給装置61から第1開口51に気体LGが供給されないように、流路制御機構56を制御する。また、制御装置4は、気体供給装置61から第1開口51に気体GSを供給するとき、液体供給装置58から第1開口51に液体LQが供給されないように、流路制御機構56を制御する。制御装置4は、流路制御機構56を用いて、第1開口51から液体lQを供給する液体供給動作と、第1開口51から気体GSを供給する気体供給動作とを切り替えることができる。
第1開口51は、第1部材52に形成された内部流路55、及び流路制御機構56が配置されたチューブ部材57Pの流路57を介して、液体供給装置58と接続されている。液体供給装置58は、温度調整装置59、及びマスフローコントローラを含み、単位時間当たり所定の供給量で、温度調整された液体LQを送出可能である。液体供給装置58は、流路57を介して、液体LQを第1開口51に供給可能である。第1開口51は、液体供給装置58からの液体LQを光路K2に供給可能である。
また、流路制御機構56には、チューブ部材60Pの流路60を介して、気体供給装置61が接続されている。気体供給装置61は、温度調整装置62を含み、清浄で温度調整された気体GSを送出可能である。気体供給装置61は、流路60及び流路57を介して、気体GSを第1開口51に供給可能である。第1開口51は、気体供給装置61からの気体GSを射出面49と入射面50との間の空間68に供給可能である。
制御装置4は、液体供給装置58から第1開口51に液体LQを供給するとき、気体供給装置61から第1開口51に気体GSが供給されないように、流路制御機構56を制御する。また、制御装置4は、気体供給装置61から第1開口51に気体GSを供給するとき、液体供給装置58から第1開口51に液体LQが供給されないように、流路制御機構56を制御する。制御装置4は、流路制御機構56を用いて、第1開口51による液体供給動作と、気体供給動作とを切り替えることができる。
第2開口53は、第2部材54に形成された内部流路63、及びチューブ部材64Pの流路64を介して、液体回収装置65と接続されている。液体回収装置65は、第2開口53から回収された液体LQを収容するタンクを含む。また、液体回収装置65は、真空システムを含み、第2開口53を介して、気体を吸引することができる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXの動作の一例について説明する。
基板Pを露光するために、光路K1が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。また、光路K2が液体LQで満たされるように、第1開口51から液体LQが供給される。第1開口51から供給された液体LQは、射出面49及び入射面50に接触する。また、第1開口51から射出面49と入射面50との間の空間68に供給された液体LQの少なくとも一部は、第2開口52から回収される。
光路K1及び光路K2が液体LQで満たされた後、制御装置4は、基板Pの露光を開始する。制御装置4は、投影光学系PLと、光路K1、K2を満たす液体LQとを介して露光光ELで基板Pを露光する。
基板Pを露光するときに第1開口51から液体LQを供給するとき、制御装置4は、第1開口51から所定温度Teの液体LQが単位時間当たり所定の供給量Feで供給されるように、温度調整装置59及びマスフローコントローラを含む液体供給装置58を制御する。本実施形態においては、基板Pを露光するときに第1開口51から供給される液体LQが、チャンバ装置3によって制御される内部空間3Sの温度Thとほぼ同じ温度になるように、液体供給装置58が制御される。
露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合、制御装置4は、光路K2の液体LQを取り去る動作を実行する。液体LQを取り去るために、制御装置4は、第1開口51から液体LQを供給する液体供給動作を停止する。また、制御装置4は、液体供給動作を停止した状態で、第2開口53から液体LQを回収する液体回収動作を所定時間実行する。これにより、空間68の液体LQが取り去られ、光路K2が液体LQで満たされていない状態となる。光路K2を満たす液体LQが取り去られた後においても、制御装置4は、チャンバ装置3を用いて、内部空間3Sの温度を制御する。
図8は、光路K2が液体LQで満たされていない状態の一例を示す図である。図8に示すように、液体LQが取り去られ、第2開口53による液体回収動作が終了した後、制御装置4は、第1開口51から気体GSを供給する気体供給動作を行う。
制御装置4は、第1開口51から、チャンバ装置3によって制御される内部空間3Sの温度Thよりも高い温度Tgの気体GSが供給されるように、温度調整装置62を含む気体供給装置61を制御する。第1開口51は、チャンバ装置3によって制御される内部空間3Sの温度Thよりも高い温度Tgの気体GSを供給する。第1開口51から供給された気体GSは、射出面49及び入射面50に接触する。
本実施形態においては、第1開口51による気体供給動作と並行して、第2開口53から気体を吸引する気体吸引動作が実行される。液体回収装置65の真空システムの作動により、第2開口53は、空間68の気体GSを吸引可能である。第2開口53による気体吸引動作が実行されることによって、第1開口51から第2開口53へ向かう気体GSの流れが生成される。
これにより、光路K2から液体LQを取り去るための液体回収動作に起因する境界光学素子47及び終端光学素子6の温度低下を抑制することができる。また、気体供給動作により、射出面49及び入射面50の表面を乾燥することができる。
次に、液体LQで満たされていない光路K2が液体LQで満たされるように、第1開口51から液体LQを供給する液体供給動作を開始する場合について説明する。
図9に示すように、制御装置4は、光路K2が液体LQで満たされていないときに第1開口51から供給される液体LQの温度Tsを、基板Pを露光するときに第1開口51から供給される液体LQの温度Teよりも高くする。
これにより、たとえ境界光学素子47及び終端光学素子6が温度低下した場合でも、その境界光学素子47及び終端光学素子6の温度を短時間で基準温度に調整することができる。
なお、本実施形態において、光路K2が液体LQで満たされていないときとは、光路K2に液体LQが完全に無い状態、及び光路K2の一部だけに液体LQが存在する状態を含む。
境界光学素子47と終端光学素子6との間の光路K2が温度Tsの液体LQで満たされた後、制御装置4は、液体供給装置58を制御して、温度Tsよりも低い温度Teで第1開口51から液体LQを供給する。
本実施形態においては、光路K2が温度Tsの液体LQで満たされた後、所定時間、温度Tsの液体LQの供給を継続する。なお、光路K2が液体LQで満たされていないときに温度Tsの液体LQの供給を開始した後、その光路K2が温度Tsの液体LQで満たされたと判断された時点で、温度Teの液体LQの供給に切り替えてもよい。
そして、制御装置4は、光路K1が液体LQで満たされ、光路K2が第1開口51から温度Teで供給された液体LQで満たされた状態で、基板Pを露光する。
以上説明したように、本実施形態によれば、露光装置EXの稼動率の低下を抑制でき、境界光学素子47あるいは終端光学素子6の温度変化に伴う露光不良の発生を抑制することができる。
また、本実施形態において、液体LQで満たされていない光路K2が液体LQで満たされるように、第1開口51から液体LQを供給する液体供給動作を開始する場合、制御装置4は、光路K2が液体LQで満たされていないときに第1開口51から供給される液体LQの単位時間当たりの供給量Fsを、基板Pを露光するときに第1開口51から供給される液体LQの単位時間当たりの供給量Feよりも多くすることもできる。こうすることによっても、境界光学素子47及び終端光学素子6の温度を短時間で基準温度に調整することができる。
なお、上述の第1〜第4実施形態においては、液体LQとして水を用いたが、水以外の液体であってもよい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることもできる。
なお、上述の実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば対応米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。この場合、複数の基板ステージのいずれかが終端光学素子6の射出面7と対向した状態で、上述の各実施形態の動作を実行することができる。
更に、例えば米国特許第6897963号明細書等に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、基板ステージまたは計測ステージが終端光学素子6の射出面7と対向した状態で、上述の各実施形態の動作を実行することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いてマスクステージ1及び基板ステージ2の各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージ1、2に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとしてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図10に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。