以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は第1の実施形態に係る露光装置を示す概略構成図、図2は図1の要部拡大図である。図1及び図2において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した基板ホルダPHを移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。投影光学系PLは複数の光学素子LS1〜LS7を含み、これら複数の光学素子LS1〜LS7は鏡筒PKで支持されている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLに含まれる複数の光学素子LS1〜LS7のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1と基板Pとの間の光路空間を液体LQで満たして第1液浸領域LR1を形成する第1液浸機構1を備えている。本実施形態の露光装置EXは、投影光学系PLの投影領域AR(露光光ELが照射される領域)を含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの第1液浸領域LR1を局所的に形成する局所液浸方式を採用している。
また投影光学系PLは、後述するように、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1と、第1光学素子LS1に次いで投影光学系PLの像面に近い第2光学素子LS2との間の光路空間を液体LQで満たすように構成されており、露光装置EXは、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間を液体LQで満たして、第1光学素子LS1の上面T2に第2液浸領域LR2を形成する第2液浸機構2も備えている。
第1液浸機構1は、液体LQを供給する第1供給口12及び液体LQを回収する第1回収口22を有する第1ノズル部材71と、第1ノズル部材71に設けられた第1供給口12を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する第1液体供給機構10と、第1ノズル部材71に設けられた第1回収口22を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収する第1液体回収機構20とを備えている。第1ノズル部材71は、投影光学系PLの像面側近傍に設けられており、基板P(基板ステージPST)の上方において第1光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。ここで、本実施形態における第1光学素子LS1は鏡筒PKより露出している。第1液浸機構1の動作は制御装置CONTにより制御される。
第2液浸機構2は、液体LQを供給する第2供給口32及び液体LQを回収する第2回収口42を有する第2ノズル部材72と、第2ノズル部材72に設けられた第2供給口32を介して第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間に液体LQを供給する第2液体供給機構30と、第2ノズル部材72に設けられた第2回収口42を介して第2液体供給機構30により供給された液体LQを回収する第2液体回収機構40とを備えている。第2ノズル部材72は、第1ノズル部材71の上方に設けられており、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間を囲むように環状に形成されている。第2液浸機構2の動作は制御装置CONTにより制御される。
ここで、以下の説明においては、第1光学素子LS1と基板P(基板ステージPST)との間の光路空間を「第1空間K1」、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間を「第2空間K2」、第2空間K2を含み、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2と第2ノズル部材72とで囲まれた空間を「置換空間KS」と適宜称する。
したがって、第2液浸機構2は、第2液体供給機構30を使って置換空間KSに液体LQを供給可能であるとともに、第2液体回収機構40を使って置換空間KSの液体LQを回収可能である。また、後述するように、第2液浸機構2の第2液体供給機構30は、置換空間KSに対して、液体LQとは別の液体(機能液)LKを供給可能となっている。
また、第2ノズル部材72は第1光学素子LS1を保持する保持部材(レンズセル)としての機能も有しており、鏡筒PKの一部を構成している。すなわち、本実施形態においては、鏡筒PKは、光学素子LS2〜LS7を保持する鏡筒本体PKAと、鏡筒本体PKAの下端部に接続され、第1光学素子LS1を保持する保持部材(第2ノズル部材)72とを備えた構成となっている。なお、第2ノズル部材72は、必ずしも鏡筒PKの一部を構成する必要はなく、鏡筒PKとは完全に分離した部材であってもよい。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光材(レジスト)を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、露光光ELを射出する露光用光源、露光用光源から射出された露光光ELの照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。露光用光源から射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、第1液浸領域LR1を形成する液体LQ、及び第2液浸領域LR2を形成する液体LQには純水が用いられている。すなわち、本実施形態においては、第1液浸領域LR1を形成する液体LQと、第2液浸領域LR2を形成する液体LQとは同じ種類の液体である。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。なお、露光光ELが透過可能であれば、所望の光学特性を得るために、第1液浸領域LR1を形成する液体LQと、第2液浸領域LR2を形成する液体LQとを異なる種類の液体でもよい。また、同じ種類の液体であっても、第1液浸領域LR1を形成する液体と第2液浸領域LR2を形成する液体とで、その性質(温度、比抵抗値、TOC等)が異なっていてもよい。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡91が設けられている。また、移動鏡91に対向する位置にはレーザ干渉計92が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計92によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計92の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計92の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、本実施形態においては、その投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系であり、反射素子を含まない屈折系である。なお、投影光学系PLは、反射系または反射屈折系であってもよい。さらに、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態においては、第1光学素子LS1は露光光ELを透過可能な無屈折力の平行平面板であって、第1光学素子LS1の下面T1と上面T2とはほぼ平行である。一方、第2光学素子LS2は屈折力(レンズ作用)を有している。なお、第1光学素子LS1が屈折力(レンズ作用)を有していてもよい。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、投影光学系PLの像面側において、ベース部材BP上で移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部96が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部96に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部96以外の上面97は、基板ホルダPHに保持された基板Pの上面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、ベース部材BP上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに支持された基板Pの上面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージPSTの側面には移動鏡93が設けられている。また、移動鏡93に対向する位置にはレーザ干渉計94が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計94によりリアルタイムで計測される。また、露光装置EXは、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、基板ステージPSTに支持されている基板Pの上面の面位置情報を検出する斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系(不図示)を備えている。フォーカス・レベリング検出系は、基板Pの上面の面位置情報(Z軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報)を検出する。なお、フォーカス・レベリング検出系は、静電容量型センサを使った方式のものを採用してもよい。レーザ干渉計94の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して基板Pの上面を投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計94の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
次に、第1液浸機構1及び第2液浸機構2について説明する。第1液浸機構1の第1液体供給機構10は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と基板Pとの間の光路空間(第1空間)K1に液体LQを供給するためのものであって、液体LQを供給可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する第1供給管13とを備えている。第1供給管13の他端部は第1ノズル部材71に接続されている。また、第1供給管13の途中には、その流路を開閉するための第1バルブ13Bが設けられている。第1ノズル部材71の内部には、第1供給管13の他端部と第1供給口12とを接続する内部流路(供給流路)が形成されている。第1液浸機構1の液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給部11の供給動作や第1バルブ13Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
第1液浸機構1の第1液体回収機構20は、第1液体供給機構10で供給された液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する第1回収管23とを備えている。第1回収管23の他端部は第1ノズル部材71に接続されている。また、第1回収管23の途中には、その流路を開閉するための第2バルブ23Bが設けられている。第1ノズル部材71の内部には、第1回収管23の他端部と第1回収口22とを接続する内部流路(回収流路)が形成されている。第1液浸機構1の液体回収部21は、例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収部21の回収動作や第2バルブ23Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
液体LQを供給する第1供給口12及び液体LQを回収する第1回収口22は第1ノズル部材71の下面71Aに形成されている。第1ノズル部材71の下面71Aは、基板Pの上面及び基板ステージPSTの上面97と対向する位置に設けられている。第1供給口12は、第1ノズル部材71の下面71Aにおいて、投影光学系PLの第1光学素子LS1(投影光学系PLの光軸AX)を囲むように複数設けられている。また、第1回収口22は、第1ノズル部材71の下面71Aにおいて、第1光学素子LS1に対して第1供給口12よりも外側に離れて設けられており、第1光学素子LS1及び第1供給口12を囲むように設けられている。
第2液浸機構2の第2液体供給機構30は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間(第2空間)K2を含む置換空間KSに液体LQを供給するためのものであって、液体LQを供給可能な液体供給部31と、液体供給部31にその一端部を接続する第2供給管33とを備えている。第2供給管33の他端部は第2ノズル部材72に接続されている。また、第2供給管33の途中には、その流路を開閉するための第3バルブ33Bが設けられている。第2ノズル部材72の内部には、第2供給管33の他端部と第2供給口32とを接続する内部流路(供給流路)が形成されている。第2液浸機構2の液体供給部31は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給部31の供給動作や第3バルブ33Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
第2液浸機構2の第2液体回収機構40は、第2液体供給機構30で供給された液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部41と、液体回収部41にその一端部を接続する第2回収管43とを備えている。第2回収管43の他端部は第2ノズル部材72に接続されている。また、第2回収管43の途中には、その流路を開閉するための第4バルブ43Bが設けられている。第2ノズル部材72の内部には、第2回収管43の他端部と第2回収口42とを接続する内部流路(回収流路)が形成されている。第2液浸機構2の液体回収部41は、例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収部41の回収動作や第4バルブ43Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
液体LQを供給する第2供給口32及び液体LQを回収する第2回収口42は第2ノズル部材72の内側面に形成されており、第2供給口32及び第2回収口42のそれぞれは第2空間K2を含む置換空間KSに接続している。本実施形態においては、第2供給口32は、第2ノズル部材72の内側面のうち光軸AXに対して一方側(+X側)に設けられ、第2回収口42は、他方側(−X側)に設けられている。
なお、液体供給部11、31のタンク、加圧ポンプ、フィルタユニット等は、その全てを露光装置本体EXが備えている必要はなく、露光装置本体EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。同様に、液体回収部21、41の真空系、気液分離器、タンク等は、その全てを露光装置本体EXが備えている必要はなく、露光装置本体EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。またここでは、第1、第2液浸機構1、2のそれぞれは互いに独立した液体供給部11、31を備えているが、第1、第2液浸機構1、2が1つの液体供給部を兼用してもよい。同様に、第1、第2液浸機構1、2が1つの液体回収部を兼用してもよい。
また、第2液浸機構2の第2液体供給機構30は、所定の機能を有する機能液LKを供給可能な機能液供給部35を備えている。機能液供給部35には第3供給管37の一端部が接続されており、第3供給管37の他端部は第2供給管33の途中に接続されている。また、第3供給管37の途中には、その流路を開閉するための第5バルブ37Bが設けられている。機能液供給部35は、機能液LKを収容するタンク、加圧ポンプ、及び機能液LK中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。しかし、機能液LK用のタンク、加圧ポンプ、フィルタユニット等は、その全てを露光装置本体EXが備えている必要はなく、露光装置本体EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。機能液供給部35の供給動作は制御装置CONTにより制御される。機能液LKは、生菌の発生を抑える機能を有しており、本実施形態においては過酸化水素の水溶液である。機能液供給部35の供給動作や第5バルブ37Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
制御装置CONTは、第3バルブ33B及び第5バルブ37Bのそれぞれを駆動し、液体供給部31に接続されている第2供給管33の流路を閉じるとともに、機能液供給部35に接続されている第3供給管37の流路を開けることで、機能液供給部35から送出された機能液LKを、第3供給管37、第2供給管33、及び第2ノズル部材72の第2供給口32を介して、第2空間K2を含む置換空間KSに供給することができる。すなわち制御装置CONTは、第3、第5バルブ33B、37Bの動作を制御することで、第2供給口32を介した液体供給部31による置換空間KSに対する液体LQの供給と、機能液供給部35による置換空間KSに対する機能液LKの供給とを切り替えることができる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを使って基板Pを露光する動作について説明する。
図2に示すように、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間においては、制御装置CONTは、第1液浸機構1を使って、第1光学素子LS1とその像面側に配置された基板Pとの間の光路空間(第1空間)K1を液体LQで満たして第1液浸領域LR1を形成するとともに、第2液浸機構2を使って、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間(第2空間)K2を液体LQで満たして第2液浸領域LR2を形成する。
第1空間K1を液体LQで満たす際、制御装置CONTは、第1液浸機構1の液体供給部11及び液体回収部21のそれぞれを駆動する。また、制御装置CONTは、第1、第2バルブ13B、23Bを駆動し、液体供給部11に接続する第1供給管13の流路、及び液体回収部21に接続する第1回収管23の流路のそれぞれを開ける。制御装置CONTの制御のもとで液体供給部11から液体LQが送出されると、その液体供給部11から送出された液体LQは、第1供給管13を流れた後、第1ノズル部材71の供給流路を介して、第1供給口12より投影光学系PLの像面側に供給される。また、制御装置CONTのもとで液体回収部21が駆動されると、投影光学系PLの像面側の液体LQは第1回収口22を介して第1ノズル部材71の回収流路に流入し、第1回収管23を流れた後、液体回収部21に回収される。
制御装置CONTは、第1液体供給機構10を使って基板P上に液体LQを所定量供給するとともに、第1液体回収機構20を使って基板P上の液体LQを所定量回収することで、基板P上に液体LQの第1液浸領域LR1を局所的に形成する。制御装置CONTは、第1光学素子LS1と基板Pとの間の光路空間(第1空間)K1が液体LQで満たされるように、少なくとも基板Pに露光光ELを照射している間、第1液浸機構1による液体LQの供給動作及び回収動作を継続して行う。
また、第2空間K2を液体LQで満たす際、制御装置CONTは、第2液浸機構2の液体供給部31及び液体回収部41のそれぞれを駆動する。このとき、制御装置CONTは、第3、第5バルブ33B、37Bを駆動し、液体供給部31に接続する第2供給管33の流路を開けるとともに、機能液供給部35に接続する第3供給管37の流路を閉じる。また、制御装置CONTは、第4バルブ43Bを駆動して、液体回収部41に接続する第2回収管43の流路を開ける。制御装置CONTの制御のもとで液体供給部31から液体LQが送出されると、その液体供給部31から送出された液体LQは、第2供給管33を流れた後、第2ノズル部材72の供給流路を介して、第2供給口32より第2空間K2を含む置換空間KSに供給される。また、制御装置CONTのもとで液体回収部41が駆動されると、置換空間KSの液体LQは第2回収口42を介して第2ノズル部材72の回収流路に流入し、第2回収管43を流れた後、液体回収部41に回収される。
制御装置CONTは、第2液体供給機構30を使って第2空間K2を含む置換空間KSに対して液体LQを所定量供給するとともに、第2液体回収機構40を使って置換空間KSの液体LQを所定量回収することで、置換空間KSのうち少なくとも第2空間K2を液体LQで満たす。制御装置CONTは、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間(第2空間)K2が液体LQで満たされるように、第2液浸機構2による液体LQの供給動作及び回収動作を行う。
なお、第2液浸機構2は、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路空間(第2空間)K2を含む置換空間KSの一部のみを液体LQで満たす構成であってもよいし、置換空間KSの全てを液体LQで満たす構成であってもよい。要は、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路空間(第2空間)K2が液体LQで満たされていればよい。
また、第2液浸機構2による液体の供給量は、第1液浸機構1に比べて少なくてよく、露光光ELが投影光学系PLを通過しているときには、第2液浸機構2の液体供給動作及び液体回収動作を止め、基板Pの交換中など露光光ELが投影光学系PLを通過していないときにのみ、第2液浸機構2による液体供給動作及び液体回収動作を行うようにしてもよい。
そして、制御装置CONTは、露光光ELの光路空間である第1空間K1及び第2空間K2を液体LQで満たした状態で、第1、第2空間K1、K2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMを通過した露光光ELを基板P上に照射することによってマスクMのパターンを基板Pに投影露光する。照明光学系ILより射出された露光光ELは、投影光学系PLに物体面側より入射し、複数の光学素子LS7〜LS3のそれぞれを通過した後、第2光学素子LS2の上面T4の所定領域を通過し、下面T3の所定領域を通過した後、第2液浸領域LR2に入射する。第2液浸領域LR2を通過した露光光ELは、第1光学素子LS1の上面T2の所定領域を通過した後、下面T1の所定領域より射出され、第1液浸領域LR1に入射した後、基板P上に到達する。
本実施形態においては、第1空間K1を含む第1光学素子LS1と基板Pとの間の空間と、第2空間K2を含む置換空間KSとは独立した空間であって、第1空間K1及び第2空間K2(置換空間KS)の一方から他方への液体LQ及び機能液LKの出入りが生じないようになっている。制御装置CONTは、第1液浸機構1による第1空間K1に対する液体LQの供給動作及び回収動作と、第2液浸機構2による第2空間K2(置換空間KS)に対する液体LQの供給動作及び回収動作とを互いに独立して行うことができる。
そして、第1空間K1及び第2空間K2のそれぞれを液体LQで満たすことで、第2光学素子LS2及び第1光学素子LS1と第1空間K1及び第2空間K2の界面での屈折率の差が小さくなるために第2光学素子LS2の下面T3や第1光学素子LS1の上面T2での反射損失が低減され、大きな像側開口数を確保した状態で、基板Pを良好に露光することができる。
次に、露光装置EXのメンテナンス方法について図3を参照しながら説明する。図3(A)は、基板P上に露光光ELを照射しているときの状態を示す図である。上述のように、露光光ELを照射する時には、制御装置CONTは、第3、第5バルブ33B、37Bを制御し、液体供給部31に接続する第2供給管33の流路を開けるとともに、機能液供給部35に接続する第3供給管37の流路を閉じる。このとき、制御装置CONTは、第4バルブ43Bを制御し、液体回収部41に接続する第2回収管43の流路を開ける。こうすることにより、制御装置CONTは、基板Pに露光光ELを照射する時に、投影光学系PLに含まれる複数の光学素子LS1〜LS7のうち、特定の第1、第2光学素子LS1、LS2間の第2空間K2(置換空間KS)を液体(純水)LQで満たすことができる。
露光装置EXのメンテナンス時など、露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合には、露光光ELの照射が停止される。その露光光ELの照射の停止時には、図3(B)に示すように、制御装置CONTは、第3、第5バルブ33B、37Bを制御し、液体供給部31に接続する第2供給管33の流路を閉じるとともに、機能液供給部35に接続する第3供給管37の流路を開ける。すなわち、露光光ELの照射の停止時には、置換空間KSに対する機能液供給部35による機能液LKの供給が行われ、液体供給部31による液体LQの供給が停止される。このとき、液体回収部41に接続する第2回収管43の流路は開いており、液体回収部41(第2液体回収機構40)による回収動作は継続されている。そして、第2空間K2を含む置換空間KSに対する機能液供給部35による機能液LKの供給動作、及び液体回収部41による回収動作を所定時間行うことにより、第2空間K2を含む置換空間KSは機能液LKで置換される。このように、制御装置CONTは、第2ノズル部材72の第2供給口32を介した液体供給部31による液体LQの供給と、機能液供給部35による機能液LKの供給とを切り替える切替装置として機能する第3、第5バルブ33B、37Bの駆動を制御することで、第2空間K2を含む置換空間KSに機能液LKを供給し、この置換空間KSを機能液LKで置換することができる。
機能液供給部35による機能液LKの供給動作、及び液体回収部41による回収動作を所定時間継続し、第2空間K2を含む置換空間KSが機能液LKで置換された後、換言すれば、置換空間KSに液体(純水)LQがほぼ無くなった後、制御装置CONTは、図3(C)に示すように、第3、第5バルブ33B、37Bを制御して、第2、第3供給管33、37の流路を閉じるとともに、第4バルブ43Bを制御して、第2回収管43の流路も閉じ、第2液体回収機構40による回収動作を停止する。これにより、制御装置CONTは、第2空間K2を含む置換空間KSを機能液LKで満たした状態を維持することができる。
上述したように、機能液LKは過酸化水素水であって、生菌の発生を抑える機能を有している。純水からなる液体LQが置換空間KSに残留(滞留)した状態で、例えばメンテナンスのために露光装置EXの稼動が所定期間停止された場合、置換空間KSにバクテリア等の生菌が発生する可能性がある。置換空間KSにおいて生菌が発生した場合、第1光学素子LS1の上面T2や第2光学素子LS2の下面T3、あるいは第2ノズル部材72の内壁面が汚染する可能性がある。第1、第2光学素子LS1、LS2が汚染すると、光透過率が低下したり光透過率に分布が生じる等の不都合が生じ、投影光学系PLを介した露光精度及び計測精度の劣化を招く。また、露光装置EXの稼動を再開して置換空間KSに液体LQを供給した際、第1光学素子LS1の上面T2や第2光学素子LS2の下面T3、あるいは第2ノズル部材72の内壁面が汚染していると、清浄な液体LQを供給したにもかかわらず、汚染された第1光学素子LS1の上面T2や第2光学素子LS2の下面T3、あるいは第2ノズル部材72の内壁面によって、供給された液体LQも汚染し、液体LQの光透過率の低下等を招く。このように、液体LQを清浄な状態に維持できず、液体LQに起因して生菌が発生すると、投影光学系PLの状態が劣化し、露光精度及び計測精度を維持することが困難となる。第2液浸機構2による液体LQの供給動作及び回収動作を継続することにより、すなわち置換空間KSに液体LQを流し続けることにより、生菌の発生を抑えることができる可能性があるが、メンテナンス時など、露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合に、第2液浸機構2による液体LQの供給動作及び回収動作を継続することは困難である。また、置換空間KSは、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2と第2ノズル部材72とで囲まれた閉鎖された空間であるため、第1光学素子LS1の上面T2や第2光学素子LS2の下面T3、あるいは第2ノズル部材72の内壁面が汚染すると、それら汚染した第1、第2光学素子LS1、LS2や第2ノズル部材72を洗浄するために、投影光学系PL(鏡筒PK)を分解しなければならない等、多大な手間を要する。
そこで、露光光ELの照射の停止時においては、第2空間K2を含む置換空間KSを機能液LKで置換することで、置換空間KSに生菌が発生することを防止することができ、置換空間KSを形成する各物体(第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72等)の汚染を防止することができる。また、置換空間KSに生菌が発生した場合でも、置換空間KSを機能液LKで置換することで生菌を除去(滅亡)することができる。
上述のように、機能液LKは、純水中に所定量の過酸化水素水を混合(溶解)した水溶液(希釈液)である。過酸化水素水は、生菌の発生を十分に抑制することができ、また取り扱いも容易である。本実施形態においては、水溶液中の過酸化水素水の濃度は、10−6%以下(10ppb以下)に抑えられている。生菌の発生を抑えるためには、過酸化水素水の濃度は10−6%程度あれば十分である。過酸化水素水の濃度を10−6%以下に抑えることにより、取り扱いが容易となり、作業者や機能液LKに接触する部材(第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72、供給管33、37、回収管43など)に与える影響を抑えつつ、生菌の発生を十分に抑えることができる。もちろん、機能液LKに接触する部材の特性などに応じて、水溶液中の過酸化水素水の濃度を10−6%以上に設定してもよい。あるいは、機能液LKとして、希釈していない過酸化水素水を用いてもよい。
置換空間KSを機能液LKで置換する場合、第2液浸機構2は、置換空間KSのほぼ全てを機能液LKで満たしてもよいし、置換空間KSを形成する物体(第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72)の表面のうち、液体LQに接触した領域に機能液LKが接触するように、置換空間KSの一部に機能液LKを配置するようにしてもよい。なお、置換空間KSのほぼ全てを機能液LKで満たすことで、生菌の発生をより確実に抑えることができる。
以上説明したように、露光光ELの照射を停止した時、具体的には、露光装置EXの稼動を停止し、置換空間KSに対する液体LQの供給動作及び回収動作を停止した時には、生菌の発生を抑える機能を有する機能液LKで置換空間KSを置換することで、投影光学系PLが液体LQから受ける影響を低減することができ、露光精度及び計測精度を維持することができる。
なお、機能液LKとしては、過酸化水素水を含むものに限らず、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などを含む希釈液(水溶液)、またはアルカリ系物質を含む希釈液(水溶液)を用いることができる。あるいは、機能液LKとして、アルコール類、エーテル類、アブゾール、HFE等の有機溶媒、またはこれらの混合液を用いることができる。これらの機能液を使うことによっても生菌の発生を抑えることができる。このような種々の機能液LKに抗菌剤や防腐剤を加えてもよい。あるいは、液体LQ(純水)に抗菌剤や防腐剤を加えて機能液LKとしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るメンテナンス方法について図4を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態の特徴的な部分は、置換空間KSを機能液LKで置換した後、置換空間KSより機能液LKを除去するために、置換空間KSに気体Gを供給する点にある。
図4(A)において、第2液浸機構2は、上述の実施形態と同様、液体供給部31にその一端部を接続し、他端部を第2ノズル部材72の第2供給口32に接続する第2供給管33と、機能液供給部35にその一端部を接続し、他端部を第2供給管33の途中に接続する第3供給管37とを備えている。
本実施形態においては、機能液供給部35は、機能液LKとして、液体LQよりも揮発しやすい液体を供給する。また、機能液LKとしては、液体LQに対して可溶性(親和性)を有することが好ましい。本実施形態においては、液体LQとして純水が用いられており、機能液LKとしては純水よりも揮発しやすく、純水に対して可溶性(親和性)を有するいメタノールが用いられる。なお、機能液LKとしては、液体(純水)LQよりも揮発しやすいもの(揮発性が高いもの)であって、液体LQに対して可溶性(親和性)を有するものであればよく、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類や、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、またはこれらの混合液を用いることができる。これらの機能液は、生菌の発生を抑える機能を有するものである。
更に、露光装置EXは、置換空間KSに気体Gを供給可能な気体供給系50を備えている。気体供給系50は、所定の気体Gを供給する気体供給部51と、気体供給部51にその一端部を接続し、他端部を第2液浸機構2の第2供給管33の途中に接続した第4供給管53とを備えている。また、第4供給管53の途中には、その流路を開閉するための第6バルブ53Bが設けられている。気体供給部51は、供給する気体中の異物を取り除いて、気体を清浄にするフィルタユニット等を備えている。本実施形態においては、気体供給部51は乾燥空気(ドライエア)を供給する。なお、気体供給部51はドライ窒素等、ドライエア以外の気体を供給するようにしてもよい。気体供給部51の供給動作や第6バルブ53Bの開閉動作は制御装置CONTにより制御される。
本実施形態においては、第2供給管33に対する第3供給管37の接続部(合流部)C1と、第2供給管33に対する第4供給管53の接続部(合流部)C2とはぼぼ同じ位置に設定されている。気体供給部51から送出された気体Gは、第4供給管53を流れた後、第2供給管33のうち、第4供給管53との接続部C2と第2供給口32との間の領域Aを流れ、第2供給口32を介して置換空間KSに供給されるようになっている。すなわち、気体供給部51から送出された気体Gは、第2液浸機構2の液体供給路を形成する第2供給管33の一部の領域Aを流れた後、置換空間KSに供給されるようになっており、第2供給管33の領域Aにおいては、第2液浸機構2の液体供給路と気体供給系50の気体供給路とが兼用されている。
また、第2供給管33のうち、第3、第4供給管37、53との接続部C1、C2と第2供給口32との間の領域Aにおいては、液体供給部31から供給された液体LQ、機能液供給部35から供給された機能液LK、及び気体供給部51から供給された気体Gのそれぞれが流れるようになっている。すなわち、第2供給管33のうち、領域Aにおいては、第2液体機構2の液体供給部31及び機能液供給部35のそれぞれから供給された液体LQ及び機能液LKが流れる液体供給路と、気体供給系50の気体供給部51から供給された気体Gが流れる気体供給路とが兼用されている。
露光光ELを照射する時には、上述の実施形態同様、図4(A)に示すように、制御装置CONTは、第3、第4、第5バルブ33B、43B、37Bを制御し、液体供給部31に接続する第2供給管33の流路を開けるとともに、機能液供給部35に接続する第3供給管37の流路を閉じ、液体回収部41に接続する第2回収管43の流路を開ける。このとき、制御装置CONTは、第6バルブ53Bを制御し、気体供給部51に接続する第4供給管53の流路を閉じる。そして、制御装置CONTは、基板Pに露光光ELを照射する時に、第1、第2光学素子LS1、LS2どうしの間の第2空間K2(置換空間KS)を液体(純水)LQで満たす。その後、液体LQの流れによる振動防止のため、全てのバルブを閉じて露光光ELを照射してもよい。
露光装置EXのメンテナンス時など、露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合には、露光光ELの照射が停止される。その露光光ELの照射の停止時には、図4(B)に示すように、制御装置CONTは、第3、第5バルブ33B、37Bを制御し、液体供給部31に接続する第2供給管33の流路を閉じるとともに、機能液供給部35に接続する第3供給管37の流路を開ける。このとき、液体回収部41に接続する回収管43の流路は開いている。また、気体供給部51に接続する第4供給管53の流路は閉じている。そして、第2空間K2を含む置換空間KSに対する機能液供給部35からの機能液LKの供給動作、及び液体回収部41による回収動作を所定時間行うことにより、第2空間K2を含む置換空間KSは機能液(メタノール)LKで置換される。
機能液供給部35による機能液LKの供給動作、及び液体回収部41による回収動作を所定時間継続し、第2空間K2を含む置換空間KSが機能液LKで置換された後(置換空間KSに液体LQがほぼ無くなった後)、制御装置CONTは、図4(C)に示すように、第3、第5バルブ33B、37Bを制御して、第2、第3供給管33、37の流路を閉じるとともに、第6バルブ53Bを制御して、第4供給管53の流路を開ける。このとき、第2回収管43の流路は開いており、液体回収部41(第2液体回収機構40)による回収動作は継続している。そして、制御装置CONTは、置換空間KSより機能液LKを除去するために、気体供給系50の気体供給部51を駆動し、置換空間KSに気体Gを供給する。制御装置CONTは、気体供給系50による気体供給動作と、第2液体回収機構40による回収動作(吸引動作)とを並行して行う。制御装置CONTは、気体供給系50を使って置換空間KSに気体Gを供給することにより、その気体の流れによって、置換空間KSにある機能液LKを第2回収口42に向けて移動することができ、機能液LKの除去を促進することができる。
また、機能液LKは高い揮発性を有しているので、気体Gが供給されることにより、機能液LKの乾燥(揮発)が促進され、短時間のうちに機能液LKを除去することができる。また、機能液LKが液体LQに対して可溶性(親和性)を有しているので、置換空間KSに残留している液体LQを機能液LKと一緒に良好に除去することができる。
また、気体供給系50は、気体Gを、置換空間KSを形成する物体の表面、すなわち、第1光学素子LS1の上面T2や第2光学素子LS2の下面T3、あるいは第2ノズル部材72の内壁面などに吹き付けるようにして供給することができる。こうすることにより、置換空間KSを形成する物体の表面上に付着(残留)している機能液LKを第2回収口42に向けて円滑に移動したり、あるいは迅速に乾燥することができ、短時間のうちに機能液LKを除去することができる。上述のように、本実施形態の機能液LKには揮発性の高いものが用いられているため、第1、第2光学素子LS1、LS2の上面T2、下面T3や、第2ノズル部材72の内壁面などに気体Gを吹き付けるようにして供給することで、短時間のうちに、機能液LKを置換空間KSより除去することができる。
置換空間KSを形成する物体の表面に気体Gを吹き付ける場合には、例えば第2供給口32近傍などに気体Gの流れを制御するガイド部材(整流部材)を配置してもよい。第2供給口32を介して置換空間KSに供給された気体Gは、ガイド部材によって、置換空間KSを形成する物体の表面に吹き付けられる。あるいは、第2供給口32とは別の位置に、置換空間KSに対して気体を供給可能な気体吹出口を設け、その気体吹出口を介して置換空間KSに気体Gを供給するようにしてもよい。あるいは、その気体吹出口を介して置換空間KSを形成する物体の表面に気体Gを吹き付けるようにしてもよい。
なお気体供給系50は、置換空間KSを形成する物体の表面に気体を吹き付けなくてもよい。機能液LKは高い揮発性を有しているため、置換空間KSに気体を供給することにより、機能液LKの乾燥(揮発)を促進し、置換空間KSより機能液LKを迅速に除去することができる。
以上説明したように、第2空間K2を含む置換空間KSを機能液LKで置換した後、気体供給系50を使って置換空間KSに気体Gを供給し、置換空間KSを形成する物体の表面を十分に乾燥することで(液体成分を除去することで)、生菌の発生を抑制することができる。
また、本実施形態においては、第2液浸機構2の液体供給路と気体供給系50の気体供給路とが兼用されているため、第2供給管33の領域Aに残留している液体LQや機能液LKを、気体Gの流れによって除去することができる。なお、第2液浸機構2の液体供給路と気体供給系50の気体供給路とを兼用せずに、それぞれ独立に設けてもよい。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。上述した第2の実施形態は、露光光ELの照射の停止時には、置換空間KSを1種類の機能液(メタノール)LKで置換し、その後、その機能液LKを除去するために気体Gを供給しているが、本実施形態の特徴的な部分は、露光光ELの照射の停止時に、置換空間KSを複数種類の機能液で順次置換する点にある。
以下、置換空間KSを2種類の機能液LK1、LK2で順次置換する場合について説明する。ここで、第1機能液LK1は液体LQに対して可溶性を有し、第2機能液LK2は第1機能液LK1よりも揮発しやすい特性を有している。
置換空間KSに液体LQを満たして基板Pの露光を行った後、制御装置CONTは、置換空間KSを、液体LQに対して可溶性を有する第1機能液LK1で置換する。本実施形態においては、液体LQは純水であるため、第1機能液LK1としては、純水に対して可溶性(親和性)を有するメタノールを用いることができる。その後、制御装置CONTは、置換空間KSを、第1機能液LK1よりも揮発しやすい第2機能液LK2で置換する。第2機能液LK2としては、メタノールよりも揮発しやすいジエチルエーテル(又はジメチルエーテル)を用いることができる。置換空間KSをメタノールで置換した後、そのメタノールを除去することにより、置換空間KSに残留している純水をメタノールと一緒に良好に除去することができる。そして、揮発性が高いジエチルエーテル等で置換空間KSを置換した後、その置換空間KSに対して気体Gを供給することにより、置換空間KSから第2機能液LK2を含む液体成分を迅速に除去することができる。
ジエチルエーテル等は揮発性が非常に高いため、気体Gを供給することにより迅速に除去(乾燥)することができるが、純水に対する可溶性(親和性)がメタノールに比べて低い。そのため、置換空間KSに純水を満たして基板Pの露光を行った後、置換空間KSをジエチルエーテルで置換した場合、気体Gを供給したとき、ジエチルエーテルが除去されたにもかかわらず、純水が置換空間KSに残留する可能性が高くなる。そこで、置換空間KSに純水を満たして基板Pの露光を行った後、置換空間KSを純水との親和性が高いメタノールで置換し、その後ジエチルエーテルで置換することにより、純水の残留を防止し、置換空間KSから液体成分を迅速に除去(乾燥)することができる。
置換空間KSを2種類の機能液LK1、LK2で順次置換するには、例えば、機能液供給部35に、機能液LK1と機能液LK2を別々に収容する第1タンク及び第2タンク設置し、それらのタンクから第3供給管37にそれぞれ連結する連結管と連結部を切り換える切換弁を設ければよい。タンクの数は用いる機能液の種類に応じて増やすことができる。
また、第2機能液LK2として、フッ素系不活性液体を用いてもよい。フッ素系不活性液体としては、ハイドロフルオロカーボンエーテル(HFE)やハイドロフルオロカーボン(HFC)が挙げられ、特にハイドロフルオロカーボンを用いることが好ましい。ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「バートレルXF」が挙げられる。「バートレルXF」は、高い揮発性(速乾性)を有し、洗浄機能も有している。また、「バートレルXF」は、高い揮発性(速乾性)を有しているものの、気化熱(蒸発潜熱)が比較的小さいという特徴を有している。そのため、置換空間KSに純水を満たして基板Pの露光を行った後、置換空間KSを純水との親和性が高いメタノールで置換し、その後「バートレルXF」等で置換することにより、純水の残留を防止し、置換空間KSから液体成分を迅速に除去(乾燥)することができ、置換空間KSを形成する物体(第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72等)の汚染を防止することができる。また、第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72等の物体の気化熱に起因する温度変化を比較的小さくすることができる。
なお、本実施形態においては、置換空間KSをジエチルエーテルやハイドロフルオロカーボン(バートレルXF)等の第2機能液LK2で置換した後、気体Gを供給するように説明したが、気体Gの供給を省略してもよい。第2機能液LK2の揮発性は高いため、気体Gの供給を省略しても、置換空間KSから第2機能液LK2を迅速に除去(乾燥)することができる。
なお本実施形態においては、置換空間KSを2種類の機能液LK1、LK2で順次置換する例について説明したが、3種類以上の任意の複数種類の機能液で順次置換するようにしてもよい。
例えば、純水が満たされていた置換空間KSをメタノールで置換した後、その置換空間KSをジエチルエーテルで置換し、その後、置換空間KSをハイドロフルオロカーボン(バートレルXF)で置換するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、まず置換空間KSを、液体LQ(純水)に対して可溶性を有する第1機能液KL1で置換し、その後、揮発性が高いジエチルエーテルやハイドロフルオロカーボン(バートレルXF)で置換し、その後、気体Gを供給しているが、置換空間KSから液体LQが十分に(完全に)除去された後であれば、置換空間KSをジエチルエーテルやハイドロフルオロカーボン等の第2機能液LK2で満たした状態を維持するようにしてもよい。ジエチルエーテルやハイドロフルオロカーボン等は、バクテリア等の発生を抑制する機能を有するため、置換空間KSを第2機能液LK2で満たした状態を維持することにより、置換空間KSを形成する物体(第1、第2光学素子LS1、LS2、第2ノズル部材72等)の汚染を防止することができる。
なお、上述のように、ハイドロフルオロカーボンエーテル(HFE)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などのフッ素系不活性液体が第2機能液LK2の一例として挙げられているが、第1実施形態、第2実施形態の機能液LKとしてフッ素系不活性液体を用いてもよい。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。上述の第2、第3の実施形態のように、置換空間KSより機能液LKを除去するために、置換空間KSに気体Gを供給した際、機能液LKの気化熱によって、置換空間KSを形成する物体が温度変化(温度低下)する可能性がある。そこで本実施形態においては、置換空間KSを形成する物体の温度調整を行いつつ、置換空間KSに対する気体Gの供給動作を行う。
図5(A)において、露光装置EXは、第2、第3の実施形態同様、液体供給部31にその一端部を接続し、他端部を第2ノズル部材72の第2供給口32に接続する第2供給管33と、機能液供給部35にその一端部を接続し、他端部を第2供給管33の途中に接続する第3供給管37と、気体供給部51にその一端部を接続し、他端部を第2供給管33の途中に接続する第4供給管53とを備えている。更に露光装置EXは、置換空間KSを形成する物体である第1光学素子LS1の温度調整を行う第1温調装置61と、第2光学素子LS2の温度調整を行う第2温調装置62と、第1光学素子LS1の温度を検出する第1温度検出器81と、第2光学素子LS2の温度を検出する第2温度検出器82とを備えている。第1温調装置61及び第1温度検出器81は、第1光学素子LS1のうち、露光光ELの照射を妨げず、第1、第2液浸領域LR1、LR2の状態に影響を与えない位置に設けられている。同様に、第2温調装置62及び第2温度検出器82は、第2光学素子LS2のうち、露光光ELの照射を妨げず、第2液浸領域LR2の状態に影響を与えない位置に設けられている。
第1、第2温調装置61、62は制御装置CONTに接続され、それぞれの動作は制御装置CONTに制御されるようになっている。また、第1、第2温度検出器81、82は、制御装置CONTに接続され、それぞれの検出器の検出結果は制御装置CONTに出力されるようになっている。制御装置CONTは、第1温度検出器81の検出結果に基づいて、第1温調装置61を制御し、第1光学素子LS1の目標温度に対する温度変化量を許容範囲以内に抑える。同様に、制御装置CONTは、第2温度検出器82の検出結果に基づいて、第2温調装置62を制御し、第2光学素子LS2の目標温度に対する温度変化量を許容範囲以内に抑える。
露光光ELを照射する時には、上述の実施形態同様、図5(A)に示すように、第1、第2光学素子LS1、LS2どうしの間の第2空間K2(置換空間KS)が液体(純水)LQで満たされる。
露光装置EXのメンテナンス時など、露光光ELの照射の停止時には、図5(B)に示すように、第2空間K2を含む置換空間KSが機能液(メタノール)LKで置換される。
第2空間K2を含む置換空間KSが機能液LKで置換された後、制御装置CONTは、図5(C)に示すように、第3、第5バルブ33B、37Bを制御して、第2、第3供給管33、37の流路を閉じるとともに、第6バルブ53Bを制御して、第4供給管53の流路を開ける。このとき、第2回収管43の流路は開いており、液体回収部41(第2液体回収機構40)による回収動作は継続している。そして、制御装置CONTは、置換空間KSより機能液LKを除去するために、気体供給系50の気体供給部51を駆動し、置換空間KSに気体Gを供給する。置換空間KSに供給した気体Gによって、機能液LKの除去を促進することができる。また、機能液LKは高い揮発性を有しているので、気体Gが供給されることにより、機能液LKの乾燥(揮発)が促進される。このとき、機能液LKの気化熱によって、置換空間KSを形成する第1、第2光学素子LS1、LS2が温度変化(温度低下)する可能性がある。制御装置CONTは、置換空間KSに対して気体Gを供給するときに、第1、第2温度検出器81、82の検出結果に基づいて、第1、第2温調装置61、62を使って第1、第2光学素子LS1、LS2の温度調整を行い、第1、第2光学素子LS1、LS2の目標温度に対する温度変化量を許容範囲以内に抑える。
以上説明したように、第1、第2光学素子LS1、LS2の温度調整を行いつつ、気体Gを供給することにより、気化熱に起因する第1、第2光学素子LS1、LS2の温度変化、ひいてはその温度変化に起因する第1、第2光学素子LS1、LS2の熱変形を抑えることができる。したがって、第1、第2光学素子LS1、LS2の熱変形に起因する投影光学系PLの光学特性の変動を抑え、露光精度及び計測精度を維持することができる。
また、制御装置CONTは、第1、第2温度検出器81、82の検出結果に基づいて、気体供給系50の動作を制御するようにしてもよい。例えば、第1、第2温度検出器81、82の検出結果に基づいて、第1、第2光学素子LS1、LS2の少なくとも一方の目標温度に対する温度変化量が許容範囲以上である判断した場合には、制御装置CONTは、気体供給系50による気体Gの供給動作を停止する。こうすることにより、気化熱による第1、第2光学素子LS1、LS2の温度変化を抑えることができる。そして、第1、第2光学素子LS1、LS2の目標温度に対する温度変化量が許容範囲以内におさまるのを待った後、気体供給系50による気体Gの供給動作を再開することで、制御装置CONTは、機能液LKを良好に除去することができる。あるいは、気体供給系50に、気体Gの温度を調整可能な温度調整機構を設けておき、第1、第2光学素子LS1、LS2の温度変化を抑えるために、供給する(吹き付ける)気体Gの温度を調整するようにしてもよい。例えば、気化熱によって、第1、第2光学素子LS1、LS2の温度が低下した場合には、気体供給系50から供給する気体Gの温度を上げることにより、第1、第2光学素子LS1、LS2の温度変化を防止することができる。この場合、温度調整された気体Gが置換空間KSに供給されて、その空間を形成する物体、すなわち第1、第2光学素子LS1、LS2の温度を調整することになる。
また、制御装置CONTは、第1、第2温度検出器81、82の検出結果に基づいて、第1、第2温調装置61、62による温度調整動作と、気体供給系50の供給動作との双方を制御することもできる。
なお図5においては、温調装置や温度検出器は第1、第2光学素子LS1、LS2に設けられているが、第2ノズル部材72に温調装置及び温度検出器を設け、第2ノズル部材72の気化熱に起因する温度変化を抑制するようにしてもよい。すなわち、気化熱による温度変化の影響を受けやすい部材などに必要に応じて設けることができる。また、温度検出器は必ずしも必要ではなく、予め実験やシミュレーションなどにより物体(光学素子LS1、LS2など)の温度変化を求めておき、その結果に基づいて温調装置を作動させるようにしてもよい。
なお上述の第2〜第4の実施形態においては、置換空間KSをメタノールやジエチルエーテル等で置換している。メタノールやジエチルエーテルは、置換空間KSを形成する物体の表面に付着した有機物を除去する機能も有しているため、例えば液体供給部31等の動作異常によって置換空間KSに有機物が入り込んでも、その置換空間KSをメタノール等で置換することにより、有機物を除去することができる。
なお上述の第2〜第4の実施形態においては、置換空間KSの液体(純水)LQを十分に除去することで、置換空間KSに生菌が発生することを防止している。したがって、機能液LK(LK1、LK2)としては、液体LQを円滑に除去できるために液体LQに対して可溶性(親和性)を有していることが好ましく、生菌を除去(滅亡)する機能は無くてもよい。一方、機能液LKが生菌を除去(滅亡)する機能を有していれば、置換空間KSに生菌が発生した場合でも、その機能液LKを置換空間KSに満たすことで生菌を除去できるため好ましい。
<第5の実施形態>
第5の実施形態について図6を参照しながら説明する。上述の実施形態同様、露光光ELの照射時においては、図6(A)に示すように、置換空間KSに液体LQが満たされる。そして、メンテナンス時など、露光光ELの照射の停止時においては、図6(B)に示すように、第2液体回収機構40による回収動作と並行して、機能液LKを使うこと無しに、気体供給系50による置換空間KSに対する気体供給動作が行われる。気体供給系50による気体供給条件(供給する気体の流速、方向、温度等)や、第2液体回収機構40による液体回収条件(第2回収口42の形状、位置、数、液体回収部41の吸引力等)によっては、置換空間KSを一旦機能液LKで置換することなく、気体供給系50による気体の供給動作によって、置換空間KSの液体LQを良好に除去(乾燥)することができる。したがって、残留した液体LQに起因する生菌の発生を防止することができる。また本実施形態においても、第1、第2光学素子LS1、LS2や第2ノズル部材72に温調装置及び温度検出器を設け、第1、第2光学素子LS1、LS2及び第2ノズル部材72の気化熱に起因する温度変化を抑制するようにしてもよい。
なお上述の第2〜第5の実施形態においては、露光装置EXの停止時においては、置換空間KSはドライエア(又はドライ窒素)で満たされた状態(置換された状態)となるが、置換空間KSを形成する物体に及ぼす影響が小さい気体であれば任意の気体で置換することができる。
なお上述の第2〜第5の実施形態においては、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の置換空間KSを機能液LKで置換しているが、投影光学系PLのうち、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の空間以外の空間(例えば第3、第4光学素子どうしの間の空間)の生菌の発生を抑えるために、その空間に機能液LKを満たすようにしてもよい。
また、上述の第1〜第4の実施形態においては、第2液浸機構2は、第2供給口32及び第2回収口42を液体LQ及び機能液LKに共通に使用されているが、液体LQ用の供給口及び回収口を、機能液LK用の供給口及び回収口とは別に設けてもよい。
また、上述の第2〜第5の実施形態においては、第2液浸機構2は、液体LQ用の供給口と気体G用の供給口とが兼用されているが、別々に設けることもできる。
上記実施形態において、第1または第2液体回収機構21、41で回収された少なくとも一部の液体LQを第1または第2液体供給機構11、31に戻してもよい。あるいは、第1または第2液体回収機構21、41で回収された第1液体LQを全て廃棄して、新しい清浄な液体LQを第1または第2液体供給機構11、31から供給するようにしてもよい。機能液LKについては限外濾過や機能性フィルターで浄化すれば、再使用のために循環させることも可能である。なお、ノズル部材70などの液浸機構1の構造は、上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
<第6の実施形態>
第6の実施形態について図7を参照しながら説明する。上述の第1〜第5の実施形態においては、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の置換空間KSに対して処理を施し、置換空間KSでの生菌の発生を抑制しているが、第1光学素子LS1より下方の空間、すなわち第1空間K1(下面T1及び第1ノズル部材71の下面並びにそれらを含む空間)に対して、生菌の発生を抑えるための処理を施してもよい。本実施形態においては、図7に示すように、第1光学素子LS1の下面T1側が機能液LKに浸漬されている。こうすることにより、第1光学素子LS1の下面T1及び第1ノズル部材71の下面並びにそれらを含む空間(投影光学系PLの像面側の空間)に生菌が発生することを防止できる。図7においては、機能液LKは容器100に収容されており、第1光学素子LS1は、第1ノズル部材71とともに、容器100に収容された機能液LKに浸漬されている。ここで、第1光学素子LS1や第1ノズル部材71には基板Pから発生した異物が付着する可能性がある。基板Pから発生する異物としては例えば感光材(レジスト)を形成する有機物等が挙げられる。したがって、第1光学素子LS1の下面T1側を浸漬するための機能液LKとしては、有機物を除去可能なメタノールやジエチルエーテル等を用いることが好ましい。このような機能液LKによる浸漬は、露光装置EXによる露光動作が行われていないとき、例えば、露光装置のメンテンナンスや移動または搬送時に行うことができる。容器100は、オペレータが手動でまたは機械設備で投影光学系PLの下方に設置される。容器100は、ベース部材BP上を移動可能にしてもよい。
また、第1光学素子LS1の下面T1側を機能液LKに浸漬した後、機能液LKを回収しながら、第1光学素子LS1に気体を供給して(吹き付けて)、機能液LKの除去を促進するようにしてもよい。また、第1光学素子LS1を温調可能な温調装置及び第1光学素子LS1の温度を検出可能な温度検出器を設けておき、第1光学素子LS1の温度調整を行いつつ、気体を供給するようにしてもよい。気体を供給する場合には、例えば、第1ノズル部材71に連結されている第1供給管に、気体供給部51からの配管または第4供給管からの分離管を接続すればよい。こうすることで、投影光学系PLの像面側の空間(KS1)もまた第2〜第4実施形態と同様に、気体供給及び/または温度制御による効果が得られる。
第6実施形態における投影光学系PLの像面側の空間(KS1)の機能液による処理を、第1〜第5実施形態で説明した置換空間KSの処理と同時にまたは置換空間KSの処理の前後に行ってもよい。
なお、投影光学系PLは、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系であってもよいし、屈折素子を含まない反射系であってもよい。この場合、投影光学系PLの光通過素子(例えば屈折素子)と反射素子との間、あるいは反射素子と反射素子との間の所定空間を液体で満たすようにしてもよい。
また、上述の第1〜第6の実施形態においては、露光装置EXの稼動を所定期間停止する場合として、露光装置EXのメンテナンス時を例にして説明したが、露光装置EXを使ったデバイスの製造中に、プロセス条件に応じて置換空間KSに対する第2液浸機構2による液体LQの供給及び回収動作を停止せざるを得ない状況が発生する可能性がある。そのような場合にも、上述の第1〜第6の実施形態で説明したような処理を実行することができる。あるいは、例えば露光装置EXの稼動が停止する夜間や長期休暇などの長期停止時にも、上述の処理を実行することができる。あるいは、投影光学系PLを含む露光装置EXを製造中においても、上述の処理を実行することができる。あるいは、露光装置製造メーカーからその露光装置を使用するデバイス製造メーカー等に露光装置EX(投影光学系PL)を輸送する場合にも、上述の処理を実行することができる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水である。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされているが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たしてもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
上述の実施形態においては、光透過性の基体上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報や特開平10−303114号公報などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP5,874,820)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図8に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光工程を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、基板処理ステップ204には、露光工程に組み込まれてまたは露光工程とは別に、第1〜第6実施形態で説明したメンテナンス動作が含まれてもよい。
1…第1液浸機構、2…第2液浸機構、10…第1液体供給機構、12…第1供給口、20…第2液体回収機構、22…第1回収口、30…第2液体供給機構、31…液体供給部、32…第2供給口、35…機能液供給部、33B、37B…バルブ、40…第2液体回収機構、42…第2回収口、50…気体供給系、61、62…温調装置、71…第1ノズル部材、72…第2ノズル部材、81、82…温度検出器、EL…露光光、EX…露光装置、G…気体、K1…第1空間、K2…第2空間、KS…置換空間、LK…機能液、LQ…液体、LS1〜LS7…光学素子、LS1…第1光学素子、LS2…第2光学素子、P…基板、PL…投影光学系