本発明は、一般には、露光装置に係り、特に、投影光学系の最終面(最終レンズ)とウェハ等の被露光体の表面との間に液体を局所的に充填し、投影光学系及び液体を介して被露光体を露光する、所謂、液浸露光装置に関する。
レチクル(マスク)に描画された回路パターンを投影光学系によってウェハに露光する投影露光装置は従来から使用されており、近年では、高解像度であると共に、転写精度及びスループットに優れた露光装置が益々要求されている。高解像度の要求に応えるための一手段として液浸露光が注目されている。液浸露光は、投影光学系のウェハ側の媒質を液体にすることによって投影光学系の開口数(NA)の増加を更に進めるものである。投影光学系のNAは、媒質の屈折率をnとするとNA=n×sinθであるので、投影光学系とウェハとの間を空気の屈折率よりも高い屈折率(n>1)の媒質で満たすことでNAをnまで大きくすることができる。そして、プロセス定数k1と光源の波長λによって表される露光装置の解像度R(R=k1×(λ/NA))を小さくしようとするものである。
液浸露光においては、投影光学系の最終面とウェハとの間に液体を局所的に充填するローカルフィル方式が提案されている(例えば、特許文献1及び3参照)。ローカルフィル方式においては、投影光学系の最終面とウェハとの狭い隙間に液体を均一に流すことが重要である。例えば、液体が投影光学系の最終面(最終レンズ)に衝突し、その外周に回り込んでしまうと、液体に気泡が混入することになる。また、ウェハを高速で移動させると、液体が周囲に飛散して液体量が減少し、気泡が混入し易くなる。気泡は露光光を乱反射するため、露光量が減少し、スループットの低下を招くと共に、露光光がウェハに到達することを妨げて転写精度を悪化させる。
かかる問題を解決するために、投影光学系の最終面とウェハとの間の周囲に気体を吹き付けて液体を止めるエアカーテン方式が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第99/49504号パンフレット
特開2004−289126号公報
国際公開第2004/086470号パンフレット
特許文献2の露光装置は、液体の広がりをエアカーテンのみで拘束しようとしているが、投影光学系とウェハとの隙間が小さいため、実際には、エアカーテンによる拘束力をそれほど大きくすることができない。このため、液体の広がる力よりもエアカーテンによる拘束力が弱くなり易く、エアカーテンを越えて液体が広がり易い。この結果、エアカーテンを形成する気体を回収する気体回収口に液体が流入して目詰まりを生じ、エアカーテンを形成できなくなったり、液体に気泡が混入したりする。気泡が液体に混入すると、上述した問題を引き起こす。また、ウェハが第1の露光領域から第2の露光領域に移動する際に、エアカーテンの不十分な拘束力によって、液体がウェハの移動に完全に追従せず、液体の一部が千切れて第1の露光領域に残留してしまうという問題も生じる。
そこで、本発明は、転写精度及びスループットに優れた露光装置を提供することを例示的目的とする。
本発明の一側面としての露光装置は、投影光学系の最終レンズと被露光体との間を液体で満たし、当該被露光体を前記液体を介して露光する露光装置であって、 前記最終レンズと前記被露光体との間の前記液体が充填されるべき領域から前記液体が漏れ出すことを低減又は防止する凸部と、前記凸部よりも前記最終レンズ側に形成され、前記液体を前記領域から回収する液体回収口と、前記液体回収口と前記凸部の間の気体の圧力変動を抑制する圧力変動抑制手段と、を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、転写精度及びスループットに優れた露光装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての露光装置について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の露光装置1の構成を示す概略断面図である。
露光装置1は、投影光学系30とウェハ40との間に供給される液体(液浸液)LWを介して、レチクル20に形成された回路パターンをステップ・アンド・スキャン方式でウェハ40に露光する液浸型の投影露光装置である。露光装置1はステップ・アンド・リピート方式にも適用することができる。
露光装置1は、図1に示すように、照明装置10と、レチクル20を載置するレチクルステージ25と、投影光学系30と、ウェハ40を載置するウェハステージ45と、測距装置50と、ステージ制御部60と、その他の部材を有する。その他の部材は、媒体供給部70と、液浸制御部80と、液体回収部90と、鏡筒100を含む。
照明装置10は、転写用の回路パターンが形成されたレチクル20を照明し、光源部12と、照明光学系14とを有する。
光源部12は、本実施形態では、光源として、波長約193nmのArFエキシマレーザーを使用する。但し、光源部12は、ArFエキシマレーザーに限定されず、例えば、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約157nmのF2レーザーを使用してもよいし、水銀ランプやキセノンランプなどのランプを使用してもよい。
照明光学系14は、レチクル20を照明する光学系であり、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレーター、絞り等を含む。例えば、コンデンサーレンズ、オプティカルインテグレーター、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像光学系の順で整列する等である。
レチクル20は、図示しないレチクル搬送系により露光装置1の外部から搬送され、レチクルステージ25に支持及び駆動される。レチクル20は、例えば、石英製で、その上には転写されるべき回路パターンが形成されている。レチクル20から発せられた回折光は、投影光学系30を通り、ウェハ40上に投影される。レチクル20とウェハ40は、光学的に共役の関係に配置される。露光装置1は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル20とウェハ40を縮小倍率比の速度比で走査することにより、レチクル20のパターンをウェハ40上に転写する。なお、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置の場合は、レチクル20とウェハ40を静止させた状態で露光が行われる。
レチクルステージ25は、レチクルステージ25を固定するための定盤27に取り付けられている。レチクルステージ25は、図示しないレチクルチャックを介してレチクル20を支持し、図示しない移動機構及びステージ制御部60によって移動制御される。図示しない移動機構は、リニアモーターなどで構成され、走査方向(本実施形態では、X軸方向)にレチクルステージ25を駆動することでレチクル20を移動することができる。
投影光学系30は、レチクル20に形成されたパターンを経た回折光をウェハ40上に結像する機能を有する。投影光学系30は、複数のレンズ素子のみからなる屈折光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の凹面鏡とを有する反射屈折光学系等を使用することができる。
ウェハ40は、図示しないウェハ搬送系により露光装置1の外部から搬送され、ウェハステージ45に支持及び駆動される。ウェハ40は、被露光体であり、液晶基板、その他の被露光体を広く含む。ウェハ40には、フォトレジストが塗布されている。
同面板(液体保持部)44は、ウェハステージ45に支持されたウェハ40の表面とウェハ40の外側の領域(ウェハステージ45)とを同一面にし、液体LWを保持するための板である。同面板44は、ウェハ40の表面と同じ高さであることで、ウェハ40の外周付近のショットを露光する際に、ウェハ40の外側の領域においても液体LWを保持する(液膜を形成する)ことを可能にする。
同面板44の液体LWと接する面に対しては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コートを施すことが好ましい。また、同面板44の液体LWと接する面に対しては、PTFEとポリパーフルオロアルコキシエチレン、及びその共重合体(PFA)及びその誘導体であるフッ素系樹脂やポリパラキシリレン樹脂(パリレン)の改質層を施してもよい。PFA材料は、一般的に、100度程度の接触角を有するが、重合比の調整及び誘導体や官能基の導入等によって、接触角を改質する(向上させる)ことができる。ポリパラキシリレン樹脂(パリレン)も同様に、誘導体や官能基の導入等によって、接触角を改質する(向上させる)ことができる。また、パーフルオロアルキル基含有シラン(ヘプタデカフルオロデシルシラン)などのシランカップリング剤で表面処理をしてもよい。
更に、フッ素樹脂コート等を施した同面板44の表面に、凹凸又は針状の微細構造を設け、表面粗さを調整してもよい。同面板44の表面に微細構造(凹凸)を設けることにより、濡れ易い材料をより濡れ易く、濡れにくい材料をより濡れにくくすることができる。換言すれば、同面板44の表面に微細構造(凹凸)を設けることにより、同面板44の接触角を見掛け上大きくすることができる。
ウェハステージ45は、ウェハステージ45を固定するための定盤47に取り付けられており、図示しないウェハチャックを介してウェハ40を支持する。ウェハステージ45は、ウェハ40の上下方向(鉛直方向、即ち、Z軸方向)の位置や回転方向、傾きを調整する機能を有し、ステージ制御部60によって制御される。ウェハステージ45は、露光時において、投影光学系30の焦点面にウェハ40の表面が常に高精度に合致するように、ステージ制御部60によって制御される。
測距装置50は、レチクルステージ25の位置及びウェハステージ45の2次元的な位置を、参照ミラー52及び54、及び、レーザー干渉計56及び58を介してリアルタイムに計測する。測距装置50による測距結果は、ステージ制御部60に伝達される。ステージ制御部60は、かかる測距結果に基づいて、位置決めや同期制御のために、レチクルステージ25及びウェハステージ45を一定の速度比率で駆動する。
ステージ制御部60は、レチクルステージ25及びウェハステージ45の駆動を制御する。
媒体供給部70は、図2に示すように、投影光学系30とウェハ40との間の空間又は間隙に液体LWを供給すると共に、液体LWの周囲に気体PGを供給する機能を有する。媒体供給部70は、本実施形態では、図示しない生成装置と、脱気装置と、温度制御装置と、液体供給配管72と、気体供給配管74とを有する。換言すれば、媒体供給部70は、投影光学系30の最終面の周囲に配置された液体供給配管72(の液体供給口101)を介して液体LWを供給し、投影光学系30とウェハ40との間の空間に液体LWの液膜を形成する。また、媒体供給部70は、気体供給配管74(の気体供給口102)によって液体LWの周囲に気体PGを供給し、エアカーテンを形成し、液体LWの飛散を防止する。なお、投影光学系30とウェハ40との間の空間は、液体LWの液膜を安定に形成、且つ。除去できる程度であることが好ましく、例えば、1.0mmとするとよい。
媒体供給部70は、例えば、液体LW又は気体PGを貯めるタンク、液体LW又は気体PGを送り出す圧送装置、液体LW又は気体PGの供給流量を制御する流量制御装置を含む。
液体LWは、露光光の吸収が少ないものの中から選択され、更に、石英や蛍石などの屈折系光学素子と同程度の屈折率を有することが好ましい。具体的には、液体LWは、純水、機能水、フッ化液(例えば、フルオロカーボン)などが使用される。また、液体LWは、予め、図示しない脱気装置を用いて溶存ガスが十分に取り除かれたものが好ましい。これにより、液体LWは、気泡の発生を抑制し、また、気泡が発生しても即座に液体中に吸収できる。例えば、空気中に多く含まれる窒素及び酸素を対象とし、液体LWに溶存可能なガス量の80%を除去すれば、十分に気泡の発生を抑制することができる。勿論、図示しない脱気装置を露光装置に備えて、常に液体中の溶存ガスを取り除きながら媒体供給部70に液体LWを供給してもよい。
生成装置は、図示しない原料水供給源から供給される原料水中に含まれる金属イオン、微粒子及び有機物などの不純物を低減し、液体LWを生成する。生成装置により生成された液体LWは、脱気装置に供給される。
脱気装置は、液体LWに脱気処理を施し、液体LWの溶存酸素及び溶存窒素を低減する。脱気装置は、例えば、膜モジュールと真空ポンプによって構成される。脱気装置としては、例えば、ガス透過性の膜を隔てて、一方に液体LWを流し、他方を真空にして液体LW中の溶存ガスをその膜を介して真空中に追い出す装置が好適である。
温度制御装置は、液体LWを所定の温度に制御する機能を有する。
液体供給配管72は、図2に示すように、脱気装置及び温度制御装置によって脱気処理及び温度制御が施された液体LWを、後述する鏡筒100に形成された液体供給口101を介して投影光学系30とウェハ40との間の空間に供給する。即ち、液体供給配管72は、液体供給口101に接続されている。ここで、図2は、液体供給配管72(後述する鏡筒100)を示す概略断面図である。
液体供給配管72は、液体LWを汚染しないように、溶出物質が少ないポリテトラフルオロエチレン(ポリ四弗化エチレン)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂で構成することが好ましい。液体LWに純水以外の液体を用いる場合には、液体LWに耐性を有し、且つ、溶出物質が少ない材料で液体供給配管72を構成すればよい。
気体供給配管74は、後述する鏡筒100に形成された気体供給口102に接続され、媒体供給部70からの気体PGを液体LWの周囲を覆うように供給する。気体供給配管74は、各種樹脂やステンレスなどの金属から構成される。
気体PGは、液体LWが投影光学系30の周辺に飛散することを防止すると共に、液体LWを外部の環境から保護し、外部の気体が液体LWに溶解することを防止する。気体PGは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガス又は水素を使用する。これにより、露光への影響が大きい酸素を遮断することができる。また、気体PGが液体LWに溶解した場合でも露光への影響を少なくすることができ、露光されるパターンの劣化(露光精度の悪化)を防止することができる。
液浸制御部80は、ウェハステージ45の現在位置、速度、加速度、目標位置及び移動方向などの情報をステージ制御部60から取得し、かかる情報に基づいて、液浸露光に係る制御を行う。液浸制御部80は、液体LWの供給及び回収の切り替え、停止、供給及び回収する液体LWの量の制御等の制御指令を、媒体供給部70や媒体回収部90に与える。
媒体回収部90は、媒体供給部70によって供給された液体LW及び気体PGを回収する機能を有し、本実施形態では、液体回収配管92と、気体回収配管94とを有する。媒体回収部90は、例えば、回収した液体LW及び気体PGを一時的に貯めるタンク、液体LW及び気体PGを吸い取る吸引部、液体LW及び気体PGの回収流量を制御するための流量制御装置などから構成される。
液体回収配管92は、供給された液体LWを後述する鏡筒100に形成された液体回収口103を介して回収する。液体回収配管92は、液体LWを汚染しないように、溶出物質が少ないポリテトラフルオロエチレン(ポリ四弗化エチレン)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂で構成することが好ましい。液体LWに純水以外の液体を用いる場合には、液体LWに耐性を有し、且つ、溶出物質が少ない材料で液体回収配管92を構成すればよい。
気体回収配管94は、後述する鏡筒100に形成された気体回収口104に接続され、供給された気体PGを回収する。また、気体回収配管94は、各種樹脂やステンレスなどの金属から構成される。
鏡筒100は、投影光学系30を保持する機能を有し、図3に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103と、気体回収口104とが形成され、凸部100aを有する。ここで、図3は、鏡筒100の要部を示す部分拡大図である。
液体供給口101は、液体LWを供給するための開口であり、液体供給配管72に接続する。本実施例では液体供給口101はウェハ40に対向している。液体供給口101は、投影光学系30の近傍に形成されており、図4に示すように、同心円状の開口を有する。液体供給口101は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されてもいてもよい。ここで、図4は、鏡筒100を示す下面断面図である。
液体供給口101は、多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。多孔質部材としては、特に、繊維状や粒状(粉状)の金属材料や無機材料を焼結した多孔質体が好適である。なお、かかる多孔質体に使用される材料(少なくとも表面を構成する材料)としては、ステンレス、ニッケル、アルミナ、SiO2、SiC、熱処理によって表面のみにSiO2を有するSiCなどが好適である。
気体供給口102は、気体PGを供給するための開口であり、気体供給配管74に接続する。気体供給口102は、図2乃至図4に示すように、液体供給口101よりも外周に形成されており、同心円状の開口を有する。気体供給口102は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体供給口102は、多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。多孔質部材としては、特に、繊維状や粒状(粉状)の金属材料や無機材料を焼結した多孔質体が好適である。なお、かかる多孔質体に使用される材料(少なくとも表面を構成する材料)としては、ステンレス、ニッケル、アルミナ、SiO2、SiC、熱処理によって表面のみにSiO2を有するSiCなどが好適である。
液体回収口103は、供給した液体LWを回収するための開口であり、液体回収配管92に接続する。液体回収口103は気体を回収することもできる。本実施例では液体回収口103はウェハ40に対向している。液体回収口103は、同心円状の開口を有する。なお、液体回収口103は、スポンジなどの多孔質材料を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。多孔質部材としては、特に、繊維状や粒状(粉状)の金属材料や無機材料を焼結した多孔質体が好適である。なお、かかる多孔質体に使用される材料(少なくとも表面を構成する材料)としては、ステンレス、ニッケル、アルミナ、SiO2、SiC、熱処理によって表面のみにSiO2を有するSiCなどが好適である。液体回収口103は、図2乃至図4に示すように、液体供給口101よりも外周に形成される。液体回収口103が液体供給口101よりも外側にあることにより、液体LWが投影光学系30の周辺部に漏れだしにくくなる。液体回収口103は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
また、ウェハステージ45の高速移動に伴って液体LWが移動する際に、液体LWの界面が液体回収口103と保持部を行き来し、液体回収口103とその保持部に段差が存在すると、その段差により気泡を巻き込み、露光不良の原因となる。同様にウェハステージ45の高速移動に伴って液体LWが移動する際に、液体LWの界面が液体供給口101と保持部を行き来し、液体供給口101とその保持部に段差が存在すると、その段差により気泡を巻き込み、露光不良の原因となる。そのため、液体供給口101と液体回収口103及びそれらの保持部はウェハ40から略同じ高さに形成することが好ましい。
気体回収口104は、供給した気体PGを回収するための開口であり、気体回収配管94に接続する。気体回収口104は、同心円状の開口を有する。なお、気体回収口104は、スポンジなどの多孔質材料を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。多孔質部材としては、特に、繊維状や粒状(粉状)の金属材料や無機材料を焼結した多孔質体が好適である。なお、かかる多孔質体に使用される材料(少なくとも表面を構成する材料)としては、ステンレス、ニッケル、アルミナ、SiO2、SiC、熱処理によって表面のみにSiO2を有するSiCなどが好適である。気体回収口104は、図2乃至図4に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
また、先に述べたように、ウェハステージ45の高速移動に伴って液体LWが移動する際に、液体LWの界面が気体回収口104と保持部を行き来し、気体回収口104とその保持部に段差が存在すると、その段差により気泡を巻き込み、露光不良の原因となる。そのため、気体回収口104とその保持部はウェハ40から略同じ高さに形成することが好ましい。
更に、気体回収口104の幅W2は、気体供給口102の幅W1よりも広くなるように形成される。
凸部100aは、投影光学系30の最終面とウェハ40との間の空間の走査方向(X軸方向)を規定する。液浸露光では、ウェハ40面の移動に伴って、液体LWが凸部100aの下側まで伸びると、伸びた液体LWを避けるように伸びだす液体LWの両側で気体PGの流速が速くなり、液体LWの伸び量を完全に抑えることができない場合がある。例えば、液体LWの接する面の接触角が小さい場合には、液体LWの移動量が大きくなり、液体LWの伸び量を完全に抑えることができない。そこで、凸部100aの下端に気体供給口102を設けることで、液体LWが凸部100aの下側まで伸びた場合でも、液体LWに吹き付けられる気体PGの流量の低下を抑えることが可能となる。これにより、液体LWの伸びを抑えることができる。
液体LWとして、純水に比べて更に高い屈折率を有する材料である有機系又は無機系の物質で光路空間を満たすことにより、解像力を向上させることが可能である。しかし、これらの物質を使用した場合、蒸発した物質によって露光装置1の内外の雰囲気が汚染され、露光装置1の内部で使用される光学部品の曇りや装置を構成する部品の腐食が懸念される。そこで、本実施形態では、凸部100aを設けることによって、液体LWの界面の変形を抑え、且つ、蒸発した液体LWが凸部100aの外側へ拡散することを防止している。
露光装置1は、液体回収口103が液体供給口101よりも外側に配置されているため、液体LWを外部へと逃がしにくくすることができる。また、気体回収口104の幅W2が、気体供給口102の幅W1よりも広くなるように形成されているため、例えば、気体回収口104が液体LWを吸引しても液体LWによる目詰まりが減少する。これにより、供給された気体PGが投影光学系30の最終面とウェハ40の表面との間から逃げ出す又は液体LWに混じり込むことを防止することができる。更に、投影光学系30とウェハ40との間を凸部100aによって規定することにより、凸部100aの下端から供給される気体PGの流速を制御することができる。その結果、液体LWの飛散を防止することが可能となり、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
また、凸部100aの表面に撥液材料を塗布又は凸部100a自体を撥液材料で構成することにより、凸部100aから液体LWを漏れ出し難くすることが可能である。そのため、撥液材料未使用の場合と比べ、気体PGの供給量がより少ない場合でも、液体LWの飛散を低減することが可能である。かかる撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水である場合に、凸部100a又は凸部100aの表面の接触角を90度以上にすることができる。
図16は、凸部100aの水平方向の断面図であり、図17は、図16の配管部分の紙面垂直方向の断面図である。図16及び図17に示すように、圧力均一室105a内に多孔質部材105bを配置することによって、圧力損失の高い多孔質を使用しつつ、より多くの気体を流すことができる。
圧力均一室105a内に多孔質部材105bを配置せず、気体供給量が多い場合、気体供給口102から供給する気体の流速分布を均一にすることは難しく、配管接続部に近いほど流速が速くなる。また、気体供給口102にスポンジなどの多孔質部材を嵌め込んだ場合、均一性を出すためには圧力損失の大きい多孔質部材105bを選択する必要がある。しかし、均一性を重視すると、圧力損失が大きくなり、必要な気体供給量を得ることができない。
図16及び図17に示す構成は、気体供給口102から気体を供給する際に速く、均一な流速分布を形成することができる。かかる構成は、気体回収、液体供給、液体回収においても同様に流量を多くし、且つ、均一な流速分布を得ることができる。
以下、図5を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Aを説明する。ここで、図5は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Aを示す概略断面図である。鏡筒100Aは、投影光学系30を保持する機能を有し、図5に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103と、気体回収口104Aとが形成され、凸部100aを有する。鏡筒100Aは、図2に示す鏡筒100と比較して、気体回収口104Aのみが相違する。
気体回収口104Aは、供給した気体PGを回収するための開口であり、外部と連通する。気体回収口104Aは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。なお、気体回収口104Aは、スポンジなどの多孔質材料を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Aは、図5に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Aは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。更に、気体回収口104Aの幅は、気体供給口102の幅よりも広いことが望ましい。これにより、気体回収口104Aが液体LWを吸引した場合でも目詰まりを防止することができる。
液体供給口101からの液体供給量S101、液体回収口103からの回収量(液体と気体を含む)O103、気体供給口102からの気体供給量S102、気体回収口104Aの気体回収量O104の理想的な関係は、以下の数式で表される。
S101+S102 = O103+O104
しかし、実際にはウェハステージ45の移動に伴って、液体LWが移動するため、液体回収口103近傍での液体LWの分布が変化し、液体回収口103で回収する気体の回収量に変化が生じる。そのため、一定量の気体を気体回収口104Aで回収していたのでは、凸部100aのレンズ側(投影光学系30の光軸OA側)の空間に圧力変化を生じる。そして、凸部100aの下面を介して出入りする気体の流れにより、液体LWの界面が不安定になり、気泡が発生し易くなる。そこで、本実施例のように気体回収口104Aを外部と連通する通気口として配置することが好ましい。気体回収口104Aを通気口として使用することで、凸部100aのレンズ側の空間の圧力変動を抑制し、気泡の発生を抑えることができる。
また、不図示の気体供給回収配管を気体回収口104Aに接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成してもよい。かかる構成は、凸部100aのレンズ側の空間の圧力変化を抑え、気泡の発生を抑えることを可能にする。但し、気体供給口102からの気体の供給量は媒体供給部70内の気体供給源の圧力を上げることで、容易に数百L/min程度の気体供給量を達成することができる。しかし、気体回収口104Aに不図示の気体供給回収配管を接続した場合、最大気体回収量は配管の長さとその内径により制限されるため、数百L/minというような大きな回収量を達成することは難しい。そのため、液体LWをより外部に逃がし難くするために、より多くの気体供給量を必要とする場合には気体回収口104Aを通気口として使用することが好ましい。また、気体回収口104Aを通気口として使用することで、凸部100aのレンズ側の圧力が加圧されるのを抑制することができる。
更に、鏡筒100Aは、液体供給口101よりも外側に液体回収口103を配置されているため、液体LWを外部へ逃がしにくくすることができる。これにより、供給された気体PGが投影光学系30の最終面とウェハ40の表面との間から逃げ出す又は液体LWに混じり込むことを防止することができる。更に、投影光学系30とウェハ40との間を凸部100aによって規定することにより、凸部100aから供給される気体の流速を制御することができる。その結果、液体LWの飛散を防止することができ、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
凸部100aの表面に撥液材料を塗布又は凸部100a自体を撥液材料で構成することにより、凸部100aから液体LWが飛び出しにくくなる。このため、撥液材料未使用の場合と比べ、気体PGの供給量がより少ない場合でも、液体LWの飛散を低減することができる。また、液体回収口103の外側の壁面を同様に撥液処理することで、更に、液体LWの飛び出しを抑えることができる。かかる撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水である場合に、凸部100a又は凸部100aの表面の接触角を90度以上にすることができる。
また、液体回収口103の液体LWの回収能力が不足している場合には、液体供給口101の内側に更に図示しない液体回収口を配置することで、液体回収口103の回収能力の不足を補うことができる。
また、液体LWの飛散を防止するために供給される気体PGが水分を含まないドライエア又は不活性ガスである場合、液体LWが蒸発しやすくなり、かかる蒸発に伴う気化熱の影響でウェハ40が冷却される。これにより、ウェハ40の温度が低下し、ウェハ40の表面が変形して露光精度の悪化を招くことになる。
そこで、本実施形態では、気体供給口102から供給する気体PGに液体LWと同じ物質の蒸気又は液体LWが気化した蒸気の組成を有する蒸気を含ませる。換言すれば、気体供給口102は、液体LWの蒸気を混入させた気体PGを供給する。これにより、液体LWの蒸発を抑えることが可能となり、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。また、液体LWに高屈折材を使用した場合でも、気体供給口102から供給する気体PGに水蒸気を混入させることで、液体LWの蒸発を抑制することが可能である。なお、気体PGへの蒸気の混入は、図示しない蒸気混入装置によって行われる。蒸気混入装置は、例えば、所定の空間に蒸気を発生させ、蒸気が発生している空間に気体PGを通過させることで蒸気を混入させる。なお、蒸気混入装置が気体PGに混入する蒸気の混入量は、最大で飽和蒸気圧程度であり、混入量を調整することができる。
気体供給口102から気体PGを供給する場合、気体供給口102の内部と外部とでは、流路の圧力損失によって、気体供給口102の外部に対して内部の圧力が高くなる。また、気体供給口102から気体PGを吹き付けた際の断熱膨張によって、その温度も低下する。従って、ウェハ40を所定の温度に制御する場合は、気体供給口102から供給する気体PGの温度を、その温度よりも若干高い温度になるように制御するとよい。
気体供給口102の内部の気体PGに混入する蒸気の混入量を飽和蒸気圧に設定した場合、気体供給口102の外部に気体PGを吹き付ける際に生じる圧力低下及び温度低下によって、ウェハ40の表面に結露が発生してしまう。かかる結露は、蒸発する際に気化熱を生じるため、同様に、露光精度を悪化させる原因となる。従って、気体供給口102の外部において結露が発生しないように、気体供給口102の内部の相対湿度を設定することが好ましい。
例えば、液体LWに純水を使用した場合、一般的に、露光装置が置かれるクリーンルームの相対湿度は40%程度に制御されているため、気体供給口102の外部の相対湿度を40%以上100%以下にすることが好ましい。
気体回収口104Aに図示しない気体回収配管を接続し、気体回収口104Aと液体回収口103から回収する気体PGの回収量の和が、気体供給口102から供給する気体PGの供給量以上になるようにすることが好ましい。これにより、気体PGと共に供給した蒸気が凸部100aの外側に漏れ出すことを抑制することができる。凸部100aの外側に漏れ出す蒸気の量を減らすことで、液体LWに純水を使用した場合に限ることなく(例えば、金属に対して腐食性の高い高屈折材を液体LWに使用した場合でも)、露光装置1を構成する機械部品の腐食を抑えることができる。
また、ウェハ40を交換する時には、例えば、シングルステージの露光装置である場合、液体回収口103を介して、投影光学系30の最終面とウェハ40との間の空間から液体LWを全て回収する。この際に、投影光学系30の最終面(最終レンズ)に液体LWが残存していると、残存した液体LWが蒸発することで気化熱が発生してしまう。上述したように、かかる気化熱は、投影光学系30の最終レンズの変形を招く恐れがある。また、残存した液体LWが蒸発すると、液体LWに溶出したウェハ40面上のレジスト成分が乾燥して最終レンズに付着するため、露光精度の悪化の原因となる。そこで、ウェハ40を交換する時にも蒸気を含む気体PGを気体供給口102から供給する。これにより、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWの蒸発(即ち、最終レンズが冷却されること)を防止することができる。ツインステージの露光装置の場合には、ステージを入れ替える際に投影光学系30の最終面とウェハ40との間の空間から液体LWを全て回収するが、投影光学系30の下にステージが存在しない時も蒸気を含む気体PGを気体供給口102から供給するとよい。勿論、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保つため、また、蒸気を含む気体PGを供給した際に蒸気が投影光学系30周辺に飛散するのを抑制するために、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定してもよい。このようにウェハ40を交換することで、投影光学系30の最終レンズの下の空間を高湿度に保つことが可能となり、最終レンズから液体LWが蒸発すること防止することができる。
以下、図6を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Bを説明する。ここで、図6は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Bを示す概略断面図である。鏡筒100Bは、投影光学系30を保持する機能を有し、図6に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103と、気体回収口104Ba及び104Bbとが形成され、凸部100Baを有する。鏡筒100Bは、図2に示す鏡筒100と比較して、気体回収口104Ba及び104Bb、及び、凸部100Baが相違する。
本実施形態の凸部100Baは、液体LWの飛散を防止する機能を有する。凸部100Baには、気体供給口102、気体回収口104Ba及び104Bbが形成される。
気体回収口104Baは、ウェハステージ45が停止している場合には、周辺の雰囲気を吸引し、ウェハステージ45が移動する際に、走査方向に漏れ出す液膜(液体LW)を回収するための開口であり、気体回収配管94と接続する。気体回収口104Baは、同心円状の開口を有する。気体回収口104Baは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Baは、図6に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Baは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体回収口104Bbは、供給した気体PGを回収するための開口であり、外部と連通する。気体回収口104Bbは、図示しない気体回収配管に接続することで、供給した気体PGと共に、蒸発した液体LWを回収することができる。気体回収口104Bbは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。なお、気体回収口104Bbは、スポンジなどの多孔質材料を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Bbは、図6に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Bbは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
一般的に、気体回収口104Baから液体LWを吸引(回収)し始めると、気体回収口104Baにおける液体LWの流速が、気体PGを吸引している場合と比較して、大幅に減少する。そのため、吸引しきれない液体LWが更に外側に漏れ出そうとする。しかし、本実施形態では、気体回収口104Baの更に外側に設けた気体供給口102から気体PGを吹き付けることで、液体LW(液膜)の伸びを抑えることができる。また、気体回収口104Baと気体供給口102との間には液体LWを吸い上げない程度の断面積を有し、気体PGの流路となる気体回収口104Bbが形成されている。かかる気体回収口104Bbがない場合には、上述したように、気体回収口104Baから液体LWを吸引すると吸引口における液体LWの流速が大幅に減少し、気体回収口104Baから供給する気
体PGの大部分が外側に流れだしてしまう。その結果、ウェハステージ45の移動で漏れ出した液体LW(液膜)の伸びを抑えることができなくなる。
また、気体供給口102から気体PGを吹き付けて液体LW(液膜)の伸びを抑える際に、液体LW(液膜)が乱れ、気泡が発生することがある。この場合、発生した気泡は、伸びを抑えられた液体LW(液膜)と共に気体回収口104Baで回収される。鏡筒100Bは、液体回収口103を液体供給口101よりも外側に配置している。かかる構成は、ウェハステージ45の移動方向が逆転し、上述の理由によって発生した気泡が気体回収口104Baで回収しきれなかった場合でも有効である。なぜなら、液体供給口101の外側で発生した気泡が液体供給口101の内側に進入することを抑え、更に、液体LWを外部に逃がしにくくしているからである。
気体回収口104Baの壁面104Ba1とウェハ40表面までの距離を気体回収口104Baの壁面104Ba2とウェハ40表面までの距離よりも短くしている。壁面104Ba1は壁面104Ba2よりも投影光学系30側に配置されている。これは、気体回収口104Baの外側に伸びだす液体LWを気体供給口102から供給する気体の動圧によって抑えると共に、供給した気体と一緒に伸びだした液体LWを回収し易くするためである。また、気体回収口104Baとウェハ40の距離が数百μm以下と短い場合には、壁面104Ba1と104Ba2でウェハ40までの距離に差を持たせることで、気体回収口104Baのウェハ40表面への吸着を防止することができる。
実施例1と同様に、凸部100Baの表面に撥液材料を塗布又は凸部100Ba自体を撥液材料で構成することにより、凸部100Baからの液体LWの飛び出しを低減することができる。かかる撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水である場合に、凸部100Ba又は凸部100Baの表面の接触角を90度以上にすることができる。但し、気体回収口104Baは、伸びだした液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、気体回収口104Baと壁面104Ba2に親液材料を塗布又は気体回収口104Baと壁面104Ba2自体を親液材料で構成することが好ましい。かかる親液材料として、SiO2、SiC、ステンレスなどを用いることで、液体LWが純水である場合に、気体回収口104Baと壁面104Ba2の接触角を90度未満することができる。かかる構成により、ウェハステージ45の動作時の液体LW(液膜)の伸び量を最小限に抑え、液体LWの飛散を防止し、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
気体回収口104Baから液体LWと気体PGとを同時に吸引する際には、かなりの振動を発生する。そこで、ステップ・アンド・スキャン方式の露光の場合、移動距離の短い1ショットの露光中には液膜LWの伸びも少ない。従って、振動を投影光学系30に伝えないようにするためには、気体回収口104Baからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を停止する。一方、移動距離の長いステップ移動の際には、気体回収口104Baからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を再開すればよい。これにより、液体LWと気体PGを同時に吸い込む際に発生する振動を露光中に投影光学系30に伝えないようにすることが可能である。
気体回収口104Baによる気体PGの吸引を露光中に停止するだけでも、振動を抑えることが可能である。また、ステップ・アンド・リピート方式の場合など、ウェハ40を一括露光する場合も同様に、露光中に気体回収口104Baからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を停止する。そして、ステップ移動の際には、気体回収口104Baからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を再開する。これにより、液体LWと気体PGとを同時に吸引する際に発生する振動を露光中の投影光学系30に伝えないようにすることが可能である。
液体回収口103の液体LWの回収能力が不足している場合には、液体供給口101の内側に更に図示しない液体回収口を配置することで、液体回収口103の回収能力の不足を補うことができる。
実施例1と同様に、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102から蒸気を含む気体PGを供給することで、液体LWの蒸発を抑えることができ、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。
気体回収口104Baと気体回収口104Bbから回収する気体PGの回収量の和が、気体供給口102から供給する気体の供給量以上になるようにすることで、気体PGと共に供給した蒸気が凸部100Baの外側に漏れ出すことを抑制することができる。
実施例2では、凸部100Baで鏡筒100Bが囲まれている。
液体回収口103から回収される回収量(液体と同時に気体も回収)は液体供給口101から供給される液体の供給量よりも多い。そのため、凸部100Baのレンズ側の空間は負圧になり、凸部100Baの下面から多くの気体を吸い込むことになる。凸部100Baの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡の発生しやすい環境になる。
図18では、流量制御器MF181を気体回収配管94に接続し、流量制御器MF182を気体供給配管74に接続することで、気体供給回収配管74/94への気体の供給回収を制御する。
また、気体供給回収配管74/94は凸部100Baと液体回収口103の間に接続され、制御器180は、気体供給回収配管74/94内の圧力と圧力測定手段Pの測定結果とが一定になるように、流量制御器MF181及びMF182を制御する。制御器180は、このような構成によって、凸部100Baのレンズ側の空間を負圧にすることを抑制することができる。制御器180は、媒体供給部70及び媒体回収部90の流量制御装置と一体であってもよい。また、凸部100Baと液体回収口103との間の気体供給回収配管74/94を接続する代わりに、前記実施例同様に通気口を設けてもよい。
ウェハ40を交換する時にも、実施例1と同様に、気体供給口102を介して蒸気を含む気体PGを供給し、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWが蒸発することを防止する。ツインステージの露光装置の場合には、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定し、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保ってもよいのも同様である。
以下、図7を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Cを説明する。ここで、図7は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Cを示す概略断面図である。鏡筒100Cは、投影光学系30を保持する機能を有し、図7に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103と、気体回収口104Ca及び104Cbとが形成され、凸部110cを有する。鏡筒100Cは、図2に示す鏡筒100と比較して、気体回収口104Ca及び104Cb、及び、凸部110cが相違する。
本実施形態の凸部110cは、液体LWの飛散を防止する機能を有する。また、凸部110cは、鏡筒100Cと別体として設けられ、凸部110cには、気体供給口102、気体回収口104Ca及び104Cbが形成される。
気体回収口104Caは、ウェハステージ45が停止している場合には、周辺の雰囲気を吸引し、ウェハステージ45が移動する際に、走査方向に漏れ出す液膜(液体LW)を回収するための開口であり、気体回収配管94と接続する。気体回収口104Caは、同心円状の開口を有する。気体回収口104Caは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Caは、図7に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Caは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体回収口104Cbは、供給した気体PGを回収するための開口であり、外部と連通する。気体回収口104Cbは、図示しない気体回収配管に接続することで、供給した気体PGと共に、蒸発した液体LWを回収することができる。気体回収口104Cbは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。なお、気体回収口104Cbは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Cbは、図7に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Cbは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
実施例2と同様に、気体回収口104Caから液体LWを吸引(回収)し始めると、気体回収口104Caにおける液体LWの流速が、気体PGを吸引している場合と比較して、大幅に減少する。そのため、吸引しきれない液体LWが更に外側に漏れ出そうとする。しかし、実施例3では、気体回収口104Caの更に外側に設けた気体供給口102から気体PGを吹き付けることで、液体LW(液膜)の伸びを抑えることができる。また、気体回収口104Caと気体供給口102との間には液体LWを吸い上げない程度の断面積を有し、気体の流路となる気体回収口104Cbが形成されている。かかる気体回収口104Cbがない場合には、上述したように、気体回収口104Caから液体LWを吸引すると吸引口における液体LWの流速が大幅に減少し、気体回収口104Caから供給する気体PGの大部分が外側に流れだしてしまう。その結果、ウェハステージ45の移動で漏れ出した液体LW(液膜)の伸びを抑えることができなくなる。
気体供給口102から気体PGを吹き付けて液体LWの伸びを抑える際に、液体LWが乱れ、気泡が発生することがある。この場合、発生した気泡は、伸びを抑えられた液体LWと共に気体回収口104Caで回収される。また、上述したように、ウェハステージ45が逆転し、気泡が気体回収口104Caで回収しきれなかった場合でも、気泡が液体供給口101の内側に進入することを抑え、更に、液体LWを外部に逃がしにくくしている。
実施例1と同様に、凸部110Cの表面に撥液材料を塗布又は凸部110C自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Cから液体LWの飛散を低減することができる。但し、気体回収口104Caは伸びだした液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、気体回収口104Caとその周辺を親液性に処理することが好ましい。
このような構成にすることで、ウェハステージ45の動作時の液体LW(液膜)の伸び量を最小限に抑え、液体LWの飛散を防止し、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
気体回収口104Caから液体LWと気体PGとを同時に吸引する際には、かなりの振動を発生する。そこで、実施例3では、投影光学系30に振動を伝えないようにするために、図7に示すように、鏡筒100Cと気体回収口104Caとを別体として設けている。気体回収口104Caと投影光学系30とを別々に支持することで、液体LWと気体PGを同時に吸引する際に発生する振動を投影光学系30に伝えないようにすることができる。また、振動を更に抑える必要がある場合には、実施例2と同様に、気体回収口104Caからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を露光中に停止することが好ましい。
更に、露光中に凸部110cの振動を抑えるために気体PGの供給及び気体PGの回収を停止させると、ウェハ40の表面に塗布したレジストの接触角が低い場合、ステージの移動に伴って液体LWが伸びてしまう。従って、凸部110cとウェハ40との距離が短い(例えば、0.5mm以下)場合には、凸部110cとウェハ40との間に液体LWが入り込み、液体LWが凸部110cに接触する。かかる接触によって液体LWの形状は変化し、ウェハ40の表面にかかる圧力変動は数百Pa以上になるため、ステージの制御性能に悪影響を及ぼし、露光精度の悪化の原因となる。そこで、実施例3では、図7に示すように、凸部110cとウェハ40との距離を調整する調整機構190を設ける。調整機構190は、気体PGの供給と気体PGの回収を停止させる時において、伸びた液体LWが凸部110cに接触しない程度に凸部110cとウェハ40との距離を調整する。換言すれば、調整機構190は、気体回収口104Ca及び104Cbとウェハ40との距離を調整する機能を有する。調整機構190は、気体回収口104Ca及び104Cbが気体PGを回収する時には気体回収口104Ca及び104Cbとウェハ40との距離が短くなる方向(矢印α)に凸部110cを調整する。また、調整機構190は、気体回収口104Ca及び104Cbが気体PGを回収する時以外には気体回収口104Ca及び104Cbとウェハ40との距離が長くなる方向(矢印β)に凸部110cを調整する。これにより、液体LWと凸部110cとの接触を防止し、露光精度の悪化を防止することができる。
実施例1と同様に、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102から蒸気を含む気体PGを供給することで、液体LWの蒸発を抑えることができる。この結果、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。
また、実際には液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部110cと投影光学系30の隙間を通気口として使用しても、蒸気の外部への漏れ出しを抑えることは可能である。
実施例3では、凸部110cと投影光学系30とが別体で支持されるように構成されている。代替的に、振動を伝えにくく、且つ、柔らかい樹脂やフレキシブルな金属によって凸部110cと投影光学系30とを接続し、液体LWからの蒸気が漏れ出さないように構成してもよい。
この場合、先に述べたように、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部110Cのレンズ側の圧力が負圧になり、凸部110Cの下面から多くの気体を吸い込む。凸部110Cの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合に、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、凸部110cと投影光学系30の隙間を塞ぐ部材に、不図示の気体供給回収配管を接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成する。このような構成によって、凸部110Cのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することができる。
気体回収口104Caと気体回収口104Cbから回収する気体PGの回収量の和を、気体供給口102から供給する気体PGの供給量以上にすることで、気体PGと共に、供給した蒸気が凸部110cの外側に漏れ出すことを抑制することができる。
図7に示すように、本実施形態の気体供給口102は、ウェハ40からの高さにおいて、投影光学系30の最終レンズよりも低い位置に存在する。代替的に、図8に示すように、気体供給口102Fが、ウェハ40からの高さにおいて、投影光学系30の最終レンズよりも高い位置にあってもよい。これにより、凸部110Fとウェハ40との距離を短くした場合に、ウェハステージ45で発生するピッチングに対して、凸部110Fとウェハ40との干渉を抑制することができる。換言すれば、気体回収口104Faで構成される凸部110Fの鏡筒100F側の壁面が低い位置にあることで、気体供給口102Fから供給された気体PGによる液体LWの乱れを抑えることができる。従って、図7と同様に、ウェハステージ45の走査に伴う液体LWの漏れを抑えることができる。
実施例1と同様に、凸部110Fの表面に撥液材料を塗布又は凸部110F自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Fから液体LWの飛散を更に低減することができる。かかる撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水である場合に、凸部110F又は凸部110Fの表面の接触角を90度以上にすることができる。但し、気体回収口104Faは、伸びだした液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、気体回収口104Faとその周辺に親液材料を塗布又は気体回収口104Fa及びその周辺自体を親液材料で構成することが好ましい。かかる親液材料として、SiO2、SiC、ステンレスなどを用いることで、液体LWが純水である場合に、気体回収口104Faとその周辺の接触角を90度未満することができる。
上述したように、凸部110Fとウェハ40との距離を調整する調整機構190を設け、気体PGの供給と気体PGの回収を停止させる場合には、伸びた液体LWが凸部110Fに接触しない程度に、凸部110Fとウェハ40との距離を離すことが好ましい。
また、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102Fから蒸気を含む気体PGを供給することで、液体LWの蒸発を抑えることが可能となり、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。
液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部110Fと投影光学系30の隙間を通気口として使用しても、蒸気の外部への漏れ出しを抑えることは可能である。
本実施形態では、凸部110Fと投影光学系30とが別体で支持されるように構成されている。代替的に、振動を伝えにくく、且つ、柔らかい樹脂やフレキシブルな金属によって凸部110Fと投影光学系30とを接続し、液体LWからの蒸気が漏れ出さないように構成してもよい。
この場合、上述したように、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部110Fのレンズ側の圧力が負圧になり、凸部110Fの下面から多くの気体を吸い込む。凸部110Fの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、凸部110Fと投影光学系30の隙間を塞ぐ部材に、図示しない気体供給回収配管を接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成する。このような構成によって、凸部110Fのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することができる。
ウェハ40を交換する時にも、実施例1と同様に、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWが蒸発することを防止するために、気体供給口102を介して蒸気を含む気体PGを供給する。ツインステージの露光装置の場合には、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定し、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保ってもよいのも同様である。
図8では、気体供給口102Fからの気体PGの供給方向が、ウェハ40表面に対して約45度になるように構成されている。しかし、かかる角度をよりウェハ40表面に対して垂直に近づけることで、気体回収口104Faで構成される凸部110Fの鏡筒100F側の壁面の位置をより高い位置に設定したとしても、同様の効果を得ることができる。
また、ウェハ40(若しくは、同面板44)の接触角が高ければ、以下に説明する2種類の方法でも、液体LWの伸びを抑えることが可能である。
一つ目の方法は、図19に示すように、最終レンズとほぼ同じ高さ、若しくは、それ以上の高さの位置に気体供給口102Fと気体回収口104Fbを設け、気体回収口104Faを無くす方法である。このような構成でも、ウェハステージ45移動時の液体LWの伸びを抑えることが可能である。実施例1と同様に、凸部110Fの表面に撥液材料を塗布又は凸部110F自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Fから液体LWの飛散を更に低減することが可能である。かかる撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水である場合に、凸部110F又は凸部110Fの表面の接触角を90度以上にすることができる。
二つ目の方法は、図20に示すように、凸部110Fにおいて、気体供給口102F及び気体回収口104Fbを無くし、気体回収口104Faのみを設ける方法である。ウェハ40(若しくは、同面板44)の接触角が高ければ液膜LWの伸びる距離も短く、液体LWが伸び始めた際の液体LW(液膜)の厚みもある。従って、低い位置に気体回収口104Faを設けるだけで、伸びた液体LW(液膜)を吸引することが可能であり、ウェハステージ45移動時の液体LWの伸びを抑えることができる。
気体回収口104Faの壁面104Fa1とウェハ40表面までの距離を壁面104Fa2とウェハ40表面までの距離よりも長くしている。壁面104Fa1は壁面104Fa2よりも投影光学系30側に配置されている。これは、伸びだした液体LWを回収しやすくするためと気体回収口104Faがウェハ40表面に吸着するのを防止するためである。実施例1と同様に、凸部110Fの表面に撥液材料を塗布又は凸部110F自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Fから液体LWの飛散を更に低減することが可能である。但し、気体回収口104Faは伸びだした液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、気体回収口104Faと壁面104Fa1に関しては親液材料を塗布又は気体回収口104Fa及び壁面104Fa1自体を親液材料で構成することが好ましい。また、気体回収口104Faの外側の壁面104Fa2に関しては、撥液材料を塗布又は壁面104Fa2自体を撥液材料で構成することが好ましい。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、親液材料としては、SiO2、SiC、ステンレスなどを使用することで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度未満にすることができる。
また、気体回収口104Faを形成する壁面104Fa1と壁面104Fa2の間に、微少な穴を複数有する多孔板や多孔質体等の多孔質部材を設けることが望ましい。多孔質部材は、特に、繊維状や粒状(粉状)の金属材料や無機材料を焼結した多孔質体が好適である。また、多孔質体に使用される材料(少なくとも表面を構成する材質)としては、ステンレス、ニッケル、アルミナ、SiO2、SiC、熱処理によって表面にSiO2を有するSiCが好適である。これらの材料は、液体LWとして使用される純水やフッ化液との相性がよい。気体回収口104Faに多孔質部材を配置することで、回収量の場所ムラを低減することができる。更に、図示しない排気装置までの配管による圧力損失が大きく、十分な排気量を得ることができない場合でも、気体回収口104Faとウェハ40との間に溜まった液体LWをゆっくりと吸引することができる。
液体LWの回収をより高い位置で行う場合、速い流速で回収すると液体LWが千切れやすくなるため、遅い速度で回収する必要がある。また、より低い位置で液体LWを回収する場合には、もともと液体LWが千切れやすいため、薄く漏れ出した液体LWを気体と一緒に、速い流速で回収する必要がある。そのため、液体回収口103の平均流速に対し気体回収口104Faの平均流速を速くする。これにより、より液膜が千切れにくく、液体LWの伸びだしを抑制することが可能である。
以下、図9を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Dを説明する。ここで、図9は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Dを示す概略断面図である。鏡筒100Dは、投影光学系30を保持する機能を有し、図9に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103Dと、気体回収口104Da及び104Dbとが形成され、凸部110Dを有する。鏡筒100Dは、図2に示す鏡筒100と比較して、液体回収口103Dと、気体回収口104Da及び104Dbと、凸部110Dとが相違する。
実施例4の凸部110Dは、液体LWの飛散を防止する機能を有する。また、凸部110Dは、鏡筒100Dと別体として設けられ、凸部110Dには、気体供給口102、液体回収口103D、気体回収口104Da及び104Dbが形成される。
液体回収口103Dは、供給した液体LWを回収するための開口であり、液体回収配管92と接続する。液体回収口103Dは、同心円状の開口を有する。液体回収口103Dは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、液体回収口103Dは、図9に示すように、液体供給口101よりも外周に形成されている。液体回収口103Dを液体供給口101よりも外側に配置することにより、液体LWが投影光学系30の周辺部に漏れだしにくくなる。液体回収口103Dは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
実施例4では、液体回収口103Dも鏡筒100Dと別体として構成されているため、気体PGを吸引した際に発生する振動を、更に投影光学系30に伝えないようにすることができる。
気体回収口104Daは、ウェハステージ45が停止している場合には、周辺の雰囲気を吸引し、ウェハステージ45が移動する際に、走査方向に漏れ出す液体LW(液膜)を回収するための開口であり、気体回収配管94と接続する。気体回収口104Daは、同心円状の開口を有する。気体回収口104Daは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Daは、図9に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Daは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体回収口104Dbは、供給した気体PGを回収するための開口であり、外部と連通する。気体回収口104Dbは、図示しない気体回収配管に接続することで、供給した気体PGと共に、蒸発した液体LWを回収することができる。気体回収口104Dbは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。気体回収口104Dbは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Dbは、図9に示すように、気体供給口102よりも内側に形成されている。気体回収口104Dbは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
実施例2と同様に、気体回収口104Daから液体LWを吸引(回収)し始めると、気体回収口104Daにおける液体LWの流速が、気体PGを吸引している場合と比較して、大幅に減少する。そのため、吸引しきれない液体LWが更に外側に漏れ出そうとする。しかし、本実施形態では、気体回収口104Daの更に外側に設けた気体供給口102から気体PGを吹き付けることで、液体LW(液膜)の伸びを抑えることができる。また、気体回収口104Daと気体供給口102との間には液体LWを吸い上げない程度の断面積を有し、気体PGの流路となる気体回収口104Dbが形成されている。かかる気体回収口104Dbがない場合には、上述したように、気体回収口104Daから液体LWを吸引すると吸引口における液体LWの流速は大幅に減少し、気体回収口104Daから供給する気体PGの大部分が外側に流れだしてしまう。その結果、ウェハステージ45の移動で漏れ出した液体LW(液膜)の伸びを抑えることができなくなる。
気体供給口102から気体PGを吹き付けて液体LW(液膜)の伸びを抑える際に、液体LW(液膜)が乱れ、気泡が発生することがある。この場合、発生した気泡は、伸びを抑えられた液体LW(液膜)と共に気体回収口104Daで回収される。また、上述のように、ウェハステージ45の移動方向が逆転し、気泡が気体回収口104Daで回収しきれなかった場合でも、気泡が液体供給口101の内側に進入することを抑え、更に、液体LWを外部に逃がしにくくしている。
実施例1と同様に、凸部110Dの表面に撥液材料を塗布又は凸部110D自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Dから液体LWの飛散を更に低減することができる。但し、液体回収口103Dと気体回収口104Daは、液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、親液材料を塗布又は液体回収口103D及び気体回収口104Da自体を親液材料で構成することが好ましい。換言すれば、気体回収口104Dbよりも光軸側(内側)の部材に関しては親液材料を使用し、気体回収口104Dbよりも外側の部材に関しては撥液材料を使用することが好ましい。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、親液材料としては、SiO2、SiC、ステンレスなどを使用することで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度未満にすることが可能である。
このような構成にすることで、ウェハステージ45の動作時の液体LW(液膜)の伸び量を最小限に抑え、液体LWの飛散を防止し、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
また、液体回収口103D及び気体回収口104Daから液体LWと気体PGを同時に吸引する際には、かなりの振動を発生する。そこで、本実施形態では、投影光学系30に振動を伝えないようにするために、図9に示すように、鏡筒100Dと液体回収口103D及び気体回収口104Daとを別体として設けている。液体回収口103D及び気体回収口104Daと投影光学系30とを別々に支持することで、液体LWと気体PGを同時に吸引する際に発生する振動を投影光学系30に伝えないようにすることができる。
また、振動を更に抑える必要がある場合には、実施例2と同様に、気体回収口104Caからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を露光中に停止することが好ましい。
また、ウェハ40面上の接触角が高い場合には、ウェハステージ45の移動に伴う液体LWの伸びる量が少ないので、図9に示す気体供給口102、気体回収口104Da、気体回収口104Dbがなくても液体LW(液膜)の漏れを抑えることが可能である。従って、液体回収口103Dの回収能力を高め、鏡筒100Dに液体回収口103Dのみを配置して気体PGと液体LWを同時に回収する際の振動を投影光学系30に伝えないように構成してもよい。
実施例1と同様に、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102から蒸気を含む気体PGを供給することで、液体LWの蒸発を抑えることが可能となり、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103Dから多くの気体を回収するため、凸部110Dと投影光学系30の隙間を通気口として使用しても、蒸気の外部への漏れ出しを抑えることは可能である。
本実施形態では、凸部110Dと投影光学系30とが別体で支持されるように構成されている。代替的に、振動を伝えにくく、且つ、柔らかい樹脂やフレキシブルな金属によって凸部110Dと投影光学系30とを接続し、液体LWからの蒸気が漏れ出さないように構成してもよい。この場合、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103Dから多くの気体を回収するため、液体回収口103Dの近傍が負圧になる。
凸部110Dと投影光学系30の隙間が塞がれていない場合には、隙間を通して液体回収口103Dから気体を回収するとともに、凸部110Dの下面から気体を吸い込む。凸部110Dと投影光学系30の隙間から気体を吸い込むことで、液体LW中に気泡が発生しやすくなる。
また、凸部110Dと投影光学系30の隙間が塞がれている場合には、凸部110Dの下面から多くの気体を吸い込む。凸部110Dの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、凸部110Dと投影光学系30の隙間を塞ぐ部材に対して、不図示の気体供給回収配管を接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成する。このような構成により凸部110Dのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することが可能である。
但し、このような構成にするとやはり、凸部110Dと投影光学系30の隙間から気体を吸い込むことで、液体LW中に気泡が発生しやすくなる。この気泡が露光領域に移動しないようにするため、液体供給口101から供給する液体の量を増やすことで、発生した気泡を液体回収口103Dで回収することが可能である。また、気泡を発生しにくくするために、液体回収口103Dの回収量を減らすことが好ましい。
ウェハ40を交換する際にも、実施例1と同様に、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWが蒸発することを防止するために、気体供給口102を介して蒸気を含む気体PGを供給する。ツインステージの露光装置の場合には、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定し、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保ってもよいのも同様である。
以下、図10を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Dを説明する。ここで、図10は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Eを示す概略断面図である。鏡筒100Eは、投影光学系30を保持する機能を有し、図10に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103Eと、気体回収口104Ea及び104Ebとが形成され、凸部110Eを有する。更に、鏡筒100Eは、投影光学系30とウェハ40との間に平行平板32が配置されているため、液体供給口106と、液体回収口107とが形成されている。鏡筒100Eは、図2に示す鏡筒100と比較して、液体供給口106と、液体回収口103E及び107と、気体回収口104Ea及び104Ebと、凸部110Eとが相違する。
液体供給口106は、液体LWを供給するための開口であり、液体供給配管72と接続する。液体供給口106は、投影光学系30の近傍に形成され、同心円状の開口を有する。また、液体供給口106は、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。液体供給口106は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
液体回収口107は、供給した液体LWを回収するための開口であり、液体回収配管96と接続する。液体回収口107は、同心円状の開口を有する。液体回収口107は、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。液体回収口107は、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
液体回収口103Eは、供給した液体LWを回収するための開口であり、液体回収配管92と接続する。液体回収口103Eは、同心円状の開口を有する。液体回収口103Eは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、液体回収口103Eは、液体供給口101よりも外周に形成される。液体回収口103Eを液体供給口101よりも外側に配置することにより、液体LWが投影光学系30の周辺部に漏れだしにくくなる。液体回収口103Eは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
実施例5では、液体回収口103Eも鏡筒100Dと別体として構成されているため、気体PGを吸引した際に発生する振動を、更に投影光学系30に伝えないようにすることができる。
また、ウェハ40面上の接触角が高い場合には、図10に示す気体回収口104Ea、気体回収口104Ebがなくても液体LW(液膜)のもれを抑えることが可能である。従って、液体回収口103Eの回収能力を高め、鏡筒100Eに液体回収口103Eのみを配置して気体PGと液体LWを同時に回収する際の振動を投影光学系30に伝えないように構成してもよい。
気体回収口104Eaは、ウェハステージ45が停止している場合には、周辺の雰囲気を吸引し、ウェハステージ45が移動する際に、走査方向に漏れ出す液体LW(液膜)を回収するための開口であり、気体回収配管94と接続する。気体回収口104Eaは、同心円状の開口を有する。気体回収口104Eaは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Eaは、図10に示すように、気体供給口102よりも内側に形成されている。気体回収口104Eaは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体回収口104Ebは、供給した気体PGを回収するための開口であり、外部と連通する。気体回収口104Ebは、図示しない気体回収配管に接続することで、供給した気体PGと共に、蒸発した液体LWを回収することができる。気体回収口104Ebは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。気体回収口104Ebは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Ebは、図10に示すように、気体供給口102よりも内側に形成される。気体回収口104Ebは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
実施例5の凸部110Eは、液体LWの飛散を防止する機能を有する。また、凸部110Eは、鏡筒100Eと別体として設けられ、凸部110Eには、気体供給口102、液体回収口103E、気体回収口104Ea及び104Ebが形成される。
実施例2と同様に、気体回収口104Eaから液体LWを吸引(回収)し始めると、気体回収口104Eaにおける液体LWの流速が、気体PGを吸引している場合と比較して、大幅に減少する。そのため、吸引しきれない液体LWが更に外側に漏れ出そうとする。しかし、実施例5では、気体回収口104Eaの更に外側に設けた気体供給口102から気体PGを吹き付けることで、液体LW(液膜)の伸びを抑えることができる。また、気体回収口104Eaと気体供給口102との間には液体LWを吸い上げない程度の断面積を有し、気体PGの流路となる気体回収口104Ebが形成されている。かかる気体回収口104Ebがない場合には、上述したように、気体回収口104Eaから液体LWを吸引する吸引口における液体LWの流速は大幅に減少し、気体回収口104Eaから供給する気体PGの大部分が外側に流れだしてしまう。その結果、ウェハステージ45の移動で漏れ出した液体LW(液膜)の伸びを抑えることができなくなる。
また、気体供給口102から気体PGを吹き付けて液体LW(液膜)の伸びを抑える際に、液体LW(液膜)が乱れ、気泡が発生することがある。この場合、発生した気泡は、伸びを抑えられた液体LW(液膜)と共に気体回収口104Eaで回収される。また、上述のように、ウェハステージ45の移動方向が逆転し、気泡が気体回収口104Eaで回収しきれなかった場合でも、気泡が液体供給口101の内側に進入することを抑え、液体LWを外部に逃がしにくくしている。
実施例1と同様に、凸部110Eの表面に撥液材料を塗布又は凸部110E自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Eから液体LWの飛散を更に低減することが可能である。但し、液体回収口103Eと気体回収口104Eaは、液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、親液材料を塗布又は液体回収口103Eと気体回収口104Ea自体を親液材料で製作することが好ましい。換言すれば、気体回収口104Ebよりも光軸側(内側)の部材に関しては親液材料を使用し、気体回収口104Ebよりも外側の部材に関しては撥液材料を使用することが好ましい。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特に、PTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、親液材料としては、SiO2、SiC、ステンレスなどを使用することで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度未満にすることができる。
このような構成にすることで、ウェハステージ45の動作時の液体LW(液膜)の伸び量を最小限に抑え、液体LWの飛散を防止し、気泡による露光量の低下を防止してスループットを向上させることができる。
また、液体回収口103E及び気体回収口104Eaから液体LWと気体PGとを同時に吸引する際には、かなりの振動を発生する。従って、投影光学系30に振動を伝えないようにするために、図10に示すように、鏡筒100Eと液体回収口103E及び気体回収口104Eaとを別体として設けている。液体回収口103E及び気体回収口104Eaと投影光学系30とを別々に支持することで、液体LWと気体PGを同時に吸引する際に発生する振動を投影光学系30に伝えないようにすることができる。
振動を更に抑える必要がある場合には、実施例2と同様に、気体回収口104Eaからの吸引及び気体供給口102からの気体PGの供給を露光中に停止することが好ましい。
また、図10に示すように、平行平板32を配置することで、露光時にウェハ40面上から発生するコンタミによる投影光学系30の汚染を防ぐことができる。
実施例1と同様に、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102から蒸気を含む気体PGを供給することで、液体LWの蒸発を抑えることが可能となり、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を防止することができる。
液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103Eから多くの気体を回収するため、凸部110Eと投影光学系30の隙間を通気口として使用しても、蒸気の外部への漏れ出しを抑えることは可能である。
実施例5では、凸部110Eと投影光学系30とが別体で支持されるように構成されている。代替的に、振動を伝えにくく、且つ、柔らかい樹脂やフレキシブルな金属によって凸部110Eと投影光学系30とを接続し、液体LWからの蒸気が漏れ出さないように構成してもよい。
この場合、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103Eから多くの気体を回収するため、液体回収口103Eの近傍が負圧になる。
凸部110Eと投影光学系30の隙間が塞がれていない場合には、隙間を通して液体回収口103Eから気体を回収するとともに、凸部110Eの下面から多くの気体を吸い込む。凸部110Eと投影光学系30の隙間から気体を吸い込むことで、液体LW中に気泡が発生しやすくなる。
また、凸部110Eと投影光学系30の隙間が塞がれている場合には、凸部110Eの下面から多くの気体を吸い込む。凸部110Eの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、凸部110Eと投影光学系30の隙間を塞ぐ部材に対して、図示しない気体供給回収配管を接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成する。このような構成により凸部110Eのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することができる。但し、このような構成にすると、凸部110Eと投影光学系30の隙間から気体を吸い込むことで、液体LW中に気泡が発生しやすくなる。
この気泡が露光領域に移動しないようにするため、液体供給口101から供給する液体の量を増やすことで、発生した気泡を液体回収口103Eで回収することが可能である。また、気泡を発生しにくくするために、液体回収口103Dの回収量を減らすことが好ましい。
ウェハ40を交換する際にも、実施例1と同様に、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWが蒸発することを防止するために、気体供給口102を介して蒸気を含む気体PGを供給する。ツインステージの露光装置の場合には、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定し、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保ってもよいのも同様である。
以下、図11を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Fを説明する。ここで、図11は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Fを示す概略断面図である。鏡筒100Fは、投影光学系30を保持する機能を有し、図11に示すように、液体供給口101と、気体供給口102と、液体回収口103と、気体回収口104とが形成され、凸部100Faを有する。
本実施形態では、凸部100Faとウェハ40面との間に流れる気体PGの動圧により、液体LWの伸び量を抑えることができるため、液体LWが鏡筒100Fから飛散することを抑えることができる。この時、気体回収口104の流速が速くなりすぎると、気体PGと同時に液体LWを吸引することになるため、気体回収口104の幅を大きくし、凸部100Faとウェハ40面との間の距離を狭くするとよい。例えば、気体回収口104から液体LWを吸引せず、液体LWの伸び量を抑える程度の流速に設定することが好ましい。
実施例1と同様に、凸部100Faの表面に撥液材料を塗布又は凸部100Fa自体を撥液材料で構成することにより、凸部100Faから液体LWの飛散を更に低減することができる。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
実施例6では、投影光学系30を囲むように鏡筒100Fに気体回収口104を配置したが、連続的に配置してもよいし、断続的に配置してもよい。また、ウェハステージ45の移動方向に応じて、気体の回収量を制御してもよい。
この場合、上述したように、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部100Faのレンズ側の圧力が負圧になり、凸部100Faの下面から多くの気体を吸い込む。凸部100Faの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。
従って、図21に示すように、凸部100Faと気体回収口104の間に通気口104Fcを設けることで、凸部100Faのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することが可能である。通気口104Fcを設けた場合には、気体回収口104から回収する気体の大半は通気口104Fcを通過して流れ込む気体であるため、液体LWの回収能力が低下する。そこで、凸部100Faに撥液材料を塗布又は凸部100Fa自体を撥液材料で構成することで、ウェハステージ45の移動に伴う液体LWの伸びだしを抑えることができる。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、実施例1で示したように、凸部100Faとウェハ40との距離を調整する調整機構190を設ける。調整機構190は、ウェハ40の露光時において、伸びた液体LWが凸部100Faに接触しない程度に凸部100Faとウェハ40との距離を調整する。これにより、液体LWと凸部100Faとの接触を低減し、露光精度の悪化を低減することができる。
以下、図12を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Gを説明する。ここで、図12は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Gを示す概略断面図である。鏡筒100Gは、投影光学系30を保持する機能を有し、図12に示すように、液体供給口101と、液体回収口103と、気体回収口104とが形成され、凸部100Gaを有する。図13は、鏡筒100Gを示す下面断面図である。
実施例7では、気体供給口を形成していないが、気体回収口104から気体を吸引することで、凸部100Faとウェハ40面の間に流れる気体の動圧が生じ、液体LWの伸び量を抑えることができる。
また、凸部100Faの表面に撥液材料を塗布又は凸部100Fa自体を撥液材料で構成することによって、凸部100Faから液体LWが飛び出しにくくなるため、撥液材料未使用の場合と比べて、液体LWの飛散を抑制することができる。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
実施例7では、実施例1と同様に、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部100Gaのレンズ側の圧力が負圧になる。凸部100Gaの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、図22に示すように凸部100Gaと気体回収口104の間に通気口104Gcを設けることで、凸部100Gaのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することが可能である。
通気口104Gcを設けた場合には、気体回収口104から回収する気体の大半は通気口104Gcを通過して流れ込む気体であるため、液体LWの回収能力は低下する。そのため、凸部100Gaに撥液材料を塗布又は凸部100Ga自体を撥液材料で構成することで、ウェハステージ45の移動に伴う液体LWの伸びだしを抑えることができる。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、上述の実施例で示したように、凸部100Gaとウェハ40との距離を調整する調整機構190を設ける。調整機構190は、ウェハ40の露光時において、伸びた液体LWが凸部100Gaに接触しない程度に凸部100Gaとウェハ40との距離を調整する。これにより、液体LWと凸部100Gaとの接触を低減し、露光精度の悪化を低減することができる。
以下、図23を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100Hを説明する。ここで、図23は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Hを示す概略断面図である。鏡筒100Hは、投影光学系30を保持する機能を有し、図23に示すように、液体供給口101と、液体回収口103と、気体回収口104とが形成され、凸部100Haを有する。凸部100Haのウェハ40面側に気体回収口104を囲むように隔壁100Ha1と隔壁100Ha2を配置する。
本実施形態では、気体供給口を形成していないが、気体回収口104から気体を吸引することで、隔壁100Ha1と隔壁100Ha2で囲まれた流路を介して、伸びだしてきた液膜LWを吸い取ることができる。
隔壁100Ha1及び100Ha2の表面に撥液材料を塗布又は隔壁100Ha1及び100Ha2自体を撥液材料で構成することにより、隔壁100Ha1及び100Ha2から液体LWが飛び出しにくくなる。このため、撥液材料未使用の場合と比べて、液体LWの飛散を低減することができる。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
実施例8では、上述した実施例と同様に、液体供給口101からの供給量に対し、液体回収口103から多くの気体を回収するため、凸部100Gaのレンズ側の圧力が負圧になる。凸部100Gaの下面からウェハ40まで距離が数百μm程度と小さい場合、吸い込んだ気体の流速が数m/sec以上と速くなるため、液体LWの界面が不安定になり、泡が発生しやすい環境になる。そのため、図23に示すように凸部100Haと液体回収口103の間に通気口104Hcを設けることで、凸部100Haのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することが可能である。
また、上述した実施例と同様に、隔壁100Ha1及び100Ha2とウェハ40との距離を調整する調整機構190を設ける。調整機構190は、ウェハ40の露光時において、伸びた液体LWが隔壁100Ha1、隔壁100Ha2に接触しない程度に、隔壁100Ha1及び100Ha2をβ方向に上げ、凸部100Ha内に収納することを可能にする。
ウェハステージ45を長距離移動させる場合には、隔壁100Ha1、隔壁100Ha2をα方向に下げ、凸部100Gaとウェハ40との距離を調整し、液体LWの伸びだしを抑える。このようにして、液体LWと隔壁100Ha1、隔壁100Ha2との接触を低減し、露光精度の悪化を低減することができる。
また、図24に示すように、凸部100Haのウェハ40側に設ける隔壁を100Ha1のみ設けるように構成しても、液膜LWの伸びを抑えることは可能である。
投影光学系30からウェハ40までの距離が短い場合には、図25に示すように投影光学系30からウェハ40までの距離と同じ、もしくはそれ以上の距離に、凸部100Iaを設けることで、液膜LWの伸びを抑えることが可能である。図25の場合でも、液体供給口101からの液体供給量に対し、液体回収口103からの回収量が多いため、凸部100Iaのレンズ側の空間は負圧になる。そのため、凸部100Iaからウェハ40までの距離が数百ミクロン以下と小さい場合、凸部100Iaの下面とウェハ40の間を流れる気体の流速は数m/secを超えるため、液体LWの界面を不安定にし、泡が発生しやすい環境となる。そのため、凸部100Iaと液体回収口103の間に通気口104Icを設けることで、凸部100Iaのレンズ側の空間が負圧になるのを抑制することができる。
凸部100Iaの表面に撥液材料を塗布又は凸部100Ia自体を撥液材料で構成することにより、凸部100Iaから液体LWが飛び出しにくくなるため、液体LWの飛散を低減することができる。また、凸部100Iaに図示しない気体回収口を設けることで、液体LWの飛散を更に低減することが可能である。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
以下、図26及び27を参照して、鏡筒100の別の実施形態である鏡筒100K及び100Lを説明する。ここで、図26は、鏡筒100の別の実施形態の鏡筒100Kを示す概略断面図である。
実施例9の凸部110Kは、液体LWの飛散を低減する機能を有する。また、凸部110Kは、鏡筒100Kと別体として設けられ、凸部110Kには気体供給口102K、気体回収口104Ka及び104Kbが形成される。また、凸部110Kには液体回収口103Kと凸部110Kの上部の空間と連通する通気口104Kcと液体供給口101Kが形成される。
液体供給口101Kから液体を供給し、投影光学系30とウェハ40との間の空間に液体LWを満たす。投影光学系30とウェハ40との間の液体LWは、液体回収口103Kから回収される。
気体回収口104Kaは、ウェハステージが停止している場合には、気体供給口102Kから供給される気体を吸引し、ウェハステージが移動する際に、走査方向に漏れ出す液膜(液体LW)を回収するための開口であり、不図示の気体回収配管と接続する。気体回収口104Kaは、同心円状の開口を有する。気体回収口104Kaは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Kaは、気体供給口102Kよりも内側に形成される。気体回収口104Kaは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
気体回収口104Kbは、気体供給口102Kから供給した気体PGを回収するための開口である。気体回収口104Kbは、図示しない気体回収配管に接続することで、供給した気体PGと共に、蒸発した液体LWを回収することができる。気体回収口104Kbは、本実施形態では、同心円状の開口を有する。なお、気体回収口104Kbは、スポンジなどの多孔質部材を嵌め込んでもよいし、スリット状の開口であってもよい。また、気体回収口104Kbは、気体供給口102Kよりも外側に形成される。気体回収口104Kbは、本実施形態では、同心円状に形成されているが、それぞれが断続的に形成されていてもよい。
ウェハステージの移動開始に伴って、液体LWが移動方向に漏れだす。そのため、通気口104Kcの下を液体LWは通過し、気体回収口104Kaで回収される。また、回収し切れなかった液体LWは気体供給口102Kから供給される気体の動圧により、抑制される。このようにしてステージの移動に伴った液体LWの漏れ出しを抑えることが可能である。
また、気体供給口102Kから気体PGを吹き付けて液体LW(液膜)の伸びを抑える際に、液体LW(液膜)が乱れ、気泡が発生することがある。この場合、発生した気泡は、伸びを抑えられた液体LW(液膜)と共に気体回収口104Kaで回収される。
鏡筒100Kにおいては、液体回収口103Kが凸部110Kの端部よりも外側に配置されている。ウェハステージ45が逆転し、気泡が気体回収口104Kaで回収しきれなかった場合でも、端部から外側に設けられた液体回収口103Kに向かって液体LWが流れる。そのため、端部の外側で発生した気泡が内側に進入することを抑えることが可能である。
また、上述の実施例と同様に、凸部110Kの表面に撥液材料を塗布又は凸部110K自体を撥液材料で構成することにより、凸部110Kから液体LWが飛び出しにくくなるため、撥液材料未使用の場合と比べ、液体LWの飛散を低減することができる。但し、液体回収口103K、気体回収口104Kaは伸びだした液体LWを積極的に吸い込む必要があるため、液体回収口103Kと気体回収口104Kaとその周辺に親液材料を塗布又はその物自体を親液材料で構成することが好ましい。換言すれば、気体回収口104Kaよりも光軸側(内側)の部材に関しては親液材料を使用し、気体回収口104Kaよりも外側の部材に関しては撥液材料を使用することが好ましい。
なお、撥液材料として、フッ素系樹脂、特にPTFEやPFA、パーフルオロアルキル基含有シランを用いることで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度以上にすることができる。
また、親液材料としては、SiO2、SiC、ステンレスなどを使用することで、液体LWが純水の場合、その接触角を90度未満にすることができる。
このような構成にすることで、ウェハステージ45の動作時の液体LW(液膜)の伸び量を最小限に抑え、液体LWの飛散を低減し、気泡による露光量の低下を低減してスループットを向上させることができる。
また、液体回収口103Kと気体回収口104Kaから液体LWと気体PGとを同時に吸引する際にかなりの振動を発生する。そこで、実施例9では、投影光学系30に振動を伝えないようにするために、鏡筒100Kと凸部110Kを別体として設けている。凸部110Kと投影光学系30とを別々に支持することで、液体LWと気体PGを同時に吸引する際に発生する振動を投影光学系30に伝えないようにすることができる。また、振動を更に抑える必要がある場合には、上述の実施例と同様に、気体回収口104Kaと気体回収口104Kbからの吸引及び気体供給口102Kからの気体PGの供給を露光中に停止することが好ましい。
更に、露光中に凸部110Kの振動を抑えるために、気体PGの供給及び気体PGの回収を停止させると、ウェハ40の表面に塗布したレジストの接触角が低い場合、ステージの移動に伴って液体LWが伸びてしまう。従って、凸部110Kとウェハ40との距離が短い(例えば、0.5mm以下)場合には、凸部110Kとウェハ40との間に液体LWが入り込み、液体LWが凸部110Kに接触する。かかる接触によって液体LWの形状は変化し、ウェハ40の表面にかかる圧力変動は数百Pa以上になるため、ステージの制御性能に悪影響を及ぼし、露光精度の悪化の原因となる。そこで、本実施形態では、凸部110Kとウェハ40との距離を調整する調整機構190を設ける。調整機構190は、気体PGの供給と気体PGの回収を停止させる時において、伸びた液体LWが凸部110Kに接触しない程度に凸部110Kとウェハ40との距離を調整する。換言すれば、調整機構190は、気体回収口104Ka及び104Kbとウェハ40との距離を調整する機能を有する。調整機構190は、気体回収口104Ka及び104Kbが気体PGを回収する時には気体回収口104Ka及び104Kbとウェハ40との距離が短くなる方向(矢印α)に凸部110Kを調整する。また、調整機構190は、気体回収口104Ka及び104Kbが気体PGを回収する時以外には気体回収口104Ka及び104Kbとウェハ40との距離が長くなる方向(矢印β)に凸部110Kを調整する。これにより、液体LWと凸部110Kとの接触を低減し、露光精度の悪化を低減することができる。
また、実施例1と同様に、図示しない蒸気混入装置を介して気体PGに蒸気を混入し、気体供給口102Kから蒸気を含む気体PGを供給する。これにより、液体LWの蒸発を抑えることが可能となり、液体LWの気化熱に起因する露光精度の悪化を低減することができる。
また、実際には液体供給口101Kからの供給量に対し、液体回収口103Kから多くの気体を回収するため、凸部110Kに設けた通気口104Kcを解して投影光学系30周辺の雰囲気を吸い込む。そのため、液体LWの蒸気の外部への漏れ出しを抑えることができる。
本実施形態では、凸部110Kとに通気口104Kcを設けているが、投影光学系30との周辺に拡散により漏れ出す蒸気を更に抑えるために、通気口104Kcを塞ぎ、液体LWからの蒸気が漏れ出さないように構成してもよい。
この場合、通気口104Kcに不図示の気体供給回収配管を接続し、気体供給回収配管の圧力を測定し、その圧力を一定に保つように気体の供給回収を行うように構成する。このような構成により凸部110Kのレンズ側の圧力が負圧になるのを抑制することができる。
ウェハ40を交換する時にも、実施例1と同様に、投影光学系30の最終レンズに残存した液体LWが蒸発することを低減するために、気体供給口102を介して蒸気を含む気体PGを供給する。ツインステージの露光装置の場合には、2つのステージが途切れることなく連続的に入れ替わるように設定し、投影光学系30の最終レンズの下に液体LWを維持させた状態を保ってもよい。
また、別の実施形態を図27に示す。図26の実施形態との大きな違いは図26において、気体回収口104Kaに対応する気体回収口が図27ではないことである。
図26では、ウェハステージの移動に伴って液体LWが漏れ出すと気体回収口104Kaから液体LWを吸引(回収)し始める。気体回収口104Kaにおいて、液体LWを吸引することで、気体PGのみを吸引している場合と比較し、気体回収口104Kaの流速が大幅に減少する。そのため、気体供給口102Kから供給される気体PGが外側にのみ流れだすようになり、吸引しきれなかった液体LWが更に外側に漏れ出そうとする。
しかし、図27では、気体供給口102Lのレンズ側に設けた通気口104Lcの開口サイズを大きくとることで、ステージの移動に伴って伸びだした液膜で目詰まりすることがない。そのため、気体供給口102Lからの気体の流れを大きく変えることが無いので、液体LW(液膜)の伸びを抑えることができる。
また、気体供給口102Lからの気体の供給量は不図示の気体供給源の圧力を上げることで、容易に数百L/min程度の気体供給量を達成することができる。しかし、気体回収口104Lcに不図示の気体供給回収配管を接続した場合、最大気体回収量は配管の長さとその内径により制限されるため、数百L/minというような大きな回収量を達成することは難しい。そのため、液体LWをより外部に逃がし難くするために、より多くの気体供給量を必要とする場合には気体回収口104Lcを通気口として使用することが好ましい。また、気体回収口104Lcを通気口として使用することで、凸部110Lのレンズ側の圧力が加圧されるのを抑制することができる。
露光において、光源部12から発せられた光束は、照明光学系14によりレチクル20を、例えば、ケーラー照明する。レチクル20を通過してレチクルパターンを反映する光は、投影光学系30により、液体LWを介してウェハ40に結像される。露光装置1は、液体回収口103を液体供給口101よりも外側に配置しているため、液体LWを外部に逃がしにくくすることができる。また、液体LWを封じ込めるために供給する気体PGに蒸気を含めることによって、液体LWの蒸発を抑制することができる。露光装置1は、液体LWに気泡が入り込むこと及び液体LWが蒸発することを排除し、スループットの低下及び露光精度の悪化を防止して、デバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供する。
次に、図14及び図15を参照して、上述の露光装置1を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明する。図14は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、レチクルとウェハを用いて本発明のリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図15は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、上述の露光装置1によってレチクルの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置1を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
本発明の露光装置の構成を示す概略断面図である。
図1に示す露光装置の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の要部を示す部分拡大図である。
図2に示す鏡筒を示す下面断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図12に示す鏡筒を示す下面断面図である。
デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
図14に示すフローチャートのステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
図2に示す気体供給部に適用可能な構造の詳細を示す断面図である。
図2に示す気体供給部に適用可能な構造の詳細を示す断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
図2に示す鏡筒の別の実施形態の鏡筒を示す概略断面図である。
符号の説明
1 露光装置
20 レチクル
30 投影光学系
40 ウェハ
70 媒体供給部
101 液体供給口
102 気体供給口
103 液体回収口
104 気体回収口