以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ4と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ5と、マスクステージ4に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージ5に保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。なお、ここでいう基板は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側における露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、露光光ELの光路空間K1に対して所定位置に設けられ、光路空間K1に液体LQを供給する供給口12及び供給口12から供給された液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材10と、液体供給管13を介して供給口12に液体LQを供給する液体供給装置11と、回収口22及び液体回収管23を介して液体LQを回収する液体回収装置21とを備えている。ノズル部材10は、投影光学系PLの光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLを囲むように環状に形成されている。液浸機構1の動作は制御装置7に制御される。
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に露光している間、液浸機構1を用いて、投影光学系PLの最終光学素子FLと、投影光学系PLの像面側に配置された基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たす。露光装置EXは、投影光学系PLと光路空間K1に満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板P上に照射することによって、マスクMのパターン像を基板P上に露光する。また、本実施形態の露光装置EXは、露光光ELの光路空間K1に満たされた液体LQが、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。制御装置7は、液浸機構1を制御して、液体供給装置11による液体供給動作と液体回収装置21による液体回収動作とを並行して行うことで、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たし、基板P上の一部の領域に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
なお本実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとが対向している状態で光路空間K1に液体LQが満たされる場合を主に説明するが、基板P以外の物体(例えば基板ステージ5の上面)が投影光学系PLと対向している状態で光路空間K1に液体LQを満たす場合も同様である。
また、露光装置EXは、露光光ELの光路空間K1に対して回収口22の外側に設けられ、気体GSを吹き出す第1吹出口32を有するシール機構2を備えている。シール機構2は、第1吹出口32を有するシール部材30と、第1供給管33を介して第1吹出口32に気体GSを供給する第1気体供給装置31とを備えている。シール部材30は、ノズル部材10を囲むように環状に形成されている。シール機構2の動作は制御装置7に制御される。
また、露光装置EXは、露光光ELの光路空間K1に対して第1吹出口32の外側に設けられ、気体GSを吹き出す第2吹出口52を有するガスベアリング機構3を備えている。ガスベアリング機構3は、第2吹出口52を有するベアリング部材50と、第2供給管53を介して第2吹出口52に気体GSを供給する第2気体供給装置51とを備えている。ベアリング部材50は、シール部材30を囲むように環状に形成されている。ガスベアリング機構3の動作は制御装置7に制御される。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMのパターン像を基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向をX軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
露光装置EXは、床面上に設けられたベース部材6と、そのベース部材6上に設けられたメインコラム8とを備えている。メインコラム8には、内側に向けて突出する上側段部8A及び下側段部8Bが形成されている。照明光学系ILは、メインコラム8の上部に固定された支持フレーム9によって支持されている。
照明光学系ILは、マスクステージ4に保持されたマスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ4は、マスクMを保持した状態で、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置4Dの駆動により、マスクステージ定盤4B上で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ4の下面には非接触軸受であるガスベアリング4Gが設けられており、マスクステージ4はガスベアリング4Gによりマスクステージ定盤4Bの上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。マスクステージ4及びマスクステージ定盤4Bのそれぞれの中央部にはマスクMのパターン像を通過させる開口が形成されている。
マスクステージ4(ひいてはマスクM)の位置情報はレーザ干渉計4Lによって計測される。レーザ干渉計4Lはマスクステージ4上に設けられた移動鏡4Kを用いてマスクステージ4の位置情報を計測する。制御装置7は、レーザ干渉計4Lの計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置4Dを駆動し、マスクステージ4に保持されているマスクMの位置制御を行う。
マスクステージ定盤4Bは、メインコラム8の上側段部8Aに防振装置4Sを介して支持されている。すなわち、マスクステージ4は、防振装置4S及びマスクステージ定盤4Bを介してメインコラム8に支持された構成となっている。防振装置4Sによって、メインコラム8の振動がマスクステージ4を支持するマスクステージ定盤4Bに伝わらないように、マスクステージ定盤4Bとメインコラム8とが振動的に分離されている。
投影光学系PLは、マスクMのパターン像を所定の投影倍率で基板Pに投影するものであって、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。また本実施形態においては、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLは鏡筒PKより露出している。
投影光学系PLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジPFが設けられており、投影光学系PLはフランジPFを介して鏡筒定盤PBに支持されている。鏡筒定盤PBは、メインコラム8の下側段部8Bに防振装置PSを介して支持されている。すなわち、投影光学系PLは、防振装置PS及び鏡筒定盤PBを介してメインコラム8に支持された構成となっている。防振装置PSによって、メインコラム8の振動が投影光学系PLを支持する鏡筒定盤PBに伝わらないように、鏡筒定盤PBとメインコラム8とが振動的に分離されている。
基板ステージ5は、基板Pを保持する基板ホルダ5Hを有しており、基板ホルダ5Hに基板Pを保持した状態で、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置5Dの駆動により、基板ステージ定盤5B上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージ5の下面には非接触軸受であるガスベアリング5Gが設けられており、基板ステージ5はガスベアリング5Gにより基板ステージ定盤5Bの上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。
基板ホルダ5Hは、基板ステージ5上に設けられた凹部5Rに配置されており、基板ステージ5のうち凹部5R以外の上面5Fは、基板ホルダ5Hに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、基板ホルダ5Hに保持された基板Pの表面と基板ステージ5の上面5Fとの間に段差があってもよい。
基板ステージ5(ひいては基板P)の位置情報はレーザ干渉計5Lによって計測される。レーザ干渉計5Lは、基板ステージ5に設けられた移動鏡5Kを用いて、基板ステージ5のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ5に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、不図示のフォーカス・レベリング検出系によって検出される。制御装置7は、レーザ干渉計5Lの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置5Dを駆動し、基板ステージ5(基板ホルダ5H)に保持されている基板Pの位置制御を行う。
基板ステージ定盤5Bは、ベース部材6上に防振装置5Sを介して支持されている。防振装置5Sによって、ベース部材6(床面)やメインコラム8の振動が基板ステージ5を支持する基板ステージ定盤5Bに伝わらないように、基板ステージ定盤5Bとメインコラム8及びベース部材6(床面)とが振動的に分離されている。
液浸機構1の液体供給装置11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、供給する液体LQ中の気体成分を低減する脱気装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えており、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。本実施形態においては、液体供給装置11は、液体LQとして純水を供給する。液浸機構1の液体回収装置21は、真空ポンプ等の真空系、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えており、液体LQを回収可能である。なお、液体供給装置11や液体回収装置21の少なくとも一部を構成する機器を、露光装置EXが設置される工場等の設備で代用してもよい。
シール機構2の第1気体供給装置31は、供給する気体GSの温度を調整する温度調整装置、及びケミカルフィルタやパーティクル除去フィルタ等を含むフィルタユニット等を備えており、クリーンで温度調整された気体GSを送出可能である。第1気体供給装置31は、露光装置EXが収容されたチャンバ内部の気体とほぼ同じ気体GSを供給する。本実施形態においては、第1気体供給装置31は、空気(ドライエア)を供給する。
ガスベアリング機構3の第2気体供給装置51は、供給する気体GSの温度を調整する温度調整装置、及びケミカルフィルタやパーティクル除去フィルタ等を含むフィルタユニット等を備えており、クリーンで温度調整された気体GSを送出可能である。第2気体供給装置51は、露光装置EXが収容されたチャンバ内部の気体とほぼ同じ気体GSを供給する。本実施形態においては、第2気体供給装置51は、空気(ドライエア)を供給する。
また、露光装置EXは、ノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50を支持する支持装置80を備えている。支持装置80はメインコラム8に取り付けられている。支持装置80は、メインコラム8の下側段部8Bに接続部材84を介して接続された支持構造体85と、支持構造体85に取り付けられ、ノズル部材10を支持する第1支持機構81と、支持構造体85に取り付けられ、シール部材30を支持する第2支持機構82と、支持構造体85に取り付けられ、ベアリング部材50を揺動可能に支持する第3支持機構83とを備えている。第1支持機構81、第2支持機構82、及び第3支持機構83は別々に設けられている。したがって、本実施形態においては、ノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50のそれぞれは、支持構造体85(メインコラム8)に対して、互いに異なる支持機構で支持された構成となっている。
支持装置80が取り付けられたメインコラム8と鏡筒定盤PBとは、防振装置PSを介して振動的に分離されているので、支持装置80やその支持装置80に支持されたノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50等で発生した振動が、投影光学系PLに伝達されることは防止されている。同様に、メインコラム8と基板ステージ定盤5Bとは、防振装置5Sを介して振動的に分離されているので、支持装置80やその支持装置80に支持されたノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50等で発生した振動が、メインコラム8及びベース部材6を介して基板ステージ5に伝達されることが防止されている。また、メインコラム8とマスクステージ定盤4Bとは、防振装置4Sを介して振動的に分離されているので、支持装置80やその支持装置80に支持されたノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50等で発生した振動が、メインコラム8を介してマスクステージ4に伝達されることが防止されている。
次に、図2〜図5を参照しながら、ノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50について説明する。図2は概略斜視図の一部破断図、図3は下側から見た斜視図、図4はYZ平面と平行な側断面図、図5はXZ平面と平行な側断面図である。なお図面を見やすくするために、図2〜図5の各図において一部の部材の図示が省略されている場合がある。
ノズル部材10は、光路空間K1に液体LQを供給する供給口12及び液体LQを回収する回収口22を有しており、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLの近傍に設けられている。ノズル部材10は環状部材であって、基板P(基板ステージ5)の上方において最終光学素子FLを囲むように配置されている。ノズル部材10は、全体として平面視略円環状に形成されており、その中央部に投影光学系PL(最終光学素子FL)を配置可能な穴部を有している。
図4に示すように、投影光学系PLの最終光学素子FLは、傾斜した側面LSを有している。ノズル部材10は、最終光学素子FLの側面LSと対向し、その側面LSに沿うように形成された内側面10Tを有している。最終光学素子FLの側面LS及びノズル部材10の内側面10Tは、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜している。最終光学素子FLの側面LSとノズル部材10の内側面10Tとの間には所定のギャップG1が設けられている。
また、ノズル部材10は、最終光学素子FLの下面T1と対向する上面18Fを有する底板18を有している。底板18の一部は、Z軸方向に関して、投影光学系PLの最終光学素子FLの下面T1と基板P(基板ステージ5)との間に配置されている。また、底板18の中央部には、露光光ELが通過する開口18Kが形成されている。開口18Kは、露光光ELが照射される投影領域ARよりも大きく形成されている。これにより、投影光学系PLを通過した露光光ELは、底板18に遮られることなく、基板P上に到達できる。本実施形態においては、開口18Kは、露光光ELの断面形状(すなわち投影領域AR)に応じた平面視略矩形状に形成されている。なお、底板18の開口18Kの形状は、露光光ELを通過可能であれば、適宜変更可能である。
ノズル部材10のうち、基板ステージ5に保持された基板Pの表面と対向する下面17は、XY平面と平行な平坦面となっている。ノズル部材10の下面17とは、底板18の下面を含むものである。ここで、基板ステージ5に保持された基板Pの表面はXY平面とほぼ平行であるため、ノズル部材10の下面17は、基板ステージ5に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ基板Pの表面と略平行となるように設けられた構成となっている。以下の説明においては、ノズル部材10の下面17を適宜、ランド面17と称する。ランド面17は、ノズル部材10のうち、基板ステージ5に保持された基板Pに最も近い位置に設けられており、投影光学系PLの最終光学素子FLの下面T1と基板Pの表面との間において、投影領域ARを囲むように設けられている。
基板Pの表面と最終光学素子FLの下面T1との距離D1は、基板Pの表面とランド面17との距離D2よりも長くなっている。すなわち、最終光学素子FLの下面T1は、ランド面17より高い位置に設けられている。本実施形態においては、基板Pの表面と最終光学素子FLの下面T1との距離D1は、約3mm程度に設定されている。また、基板Pの表面とランド面17との距離D2は、約1mm程度に設定されている。そして、ランド面17には光路空間K1に満たされた液体LQが接触するようになっており、最終光学素子FLの下面T1にも光路空間K1に満たされた液体LQが接触するようになっている。すなわち、ノズル部材10のランド面17及び最終光学素子FLの下面T1は、光路空間K1に満たされた液体LQと接触する液体接触面となっている。
底板18は、最終光学素子FLの下面T1及び基板P(基板ステージ5)とは接触しないように設けられている。そして、最終光学素子FLの下面T1と底板18の上面18Fとの間には、所定のギャップを有する空間が設けられている。以下の説明においては、最終光学素子FLの下面T1と底板18の上面18Fとの間の空間を含むノズル部材10の内側の空間を適宜、内部空間K2と称する。
ノズル部材10の内部には、供給口12に接続する液体供給流路14が形成されている。液体供給流路14は、ノズル部材10を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。液体供給流路14は、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜しており、本実施形態においては、内側面10Tとほぼ平行に設けられている。また、本実施形態においては、液体供給流路14は、光路空間K1(投影領域AR)に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、液体供給流路14の上端部と液体供給装置11とが液体供給管13を介して接続されている。一方、液体供給流路14の下端部は、最終光学素子FLと底板18との間の内部空間K2に接続されており、この液体供給流路14の下端部が供給口12となっている。したがって、供給口12と液体供給装置11とは、液体供給管13及び液体供給流路14を介して接続されている。本実施形態においては、供給口12は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだY軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。液体供給管13及び液体供給流路14は、複数(2つ)の供給口12に対応するように複数設けられている。
図4に示すように、液体供給管13の途中には、液体供給装置11から送出され、供給口12に供給される液体LQの単位時間当たりの量を調整する調整装置19が設けられている。調整装置19は、例えばバルブ機構を含んで構成されている。調整装置19の動作は制御装置7により制御される。制御装置7は、調整装置19を用いて、供給口12から光路空間K1に対して供給される単位時間当たりの液体供給量を調整可能である。
また、ノズル部材10は、内部空間K2の気体を外部空間K3に排出(排気)する排出口16と、排出口16に接続する排出流路15とを備えている。一例として、本実施形態では外部空間K3を大気空間とするがこれに限定されない。排出流路15は、ノズル部材10を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。排出流路15は、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜しており、本実施形態においては、内側面10Tとほぼ平行に設けられている。また、本実施形態においては、排出流路15は、光路空間K1(投影領域AR)に対してX軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、排出流路15の上端部は外部空間(大気空間)K3に接続されており、大気開放された状態となっている。一方、排出流路15の下端部は、最終光学素子FLと底板18との間の内部空間K2に接続されており、この排出流路15の下端部が排出口16となっている。排出口16は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。排出口16は、内部空間K2の気体、すなわち投影光学系PLの像面周囲の気体と接続されている。したがって、内部空間K2の気体は、排出口16を介して、排出流路15の上端部より、外部空間K3に排出(排気)可能となっている。
ノズル部材10の内部には、回収口22に接続する液体回収流路24が形成されている。ノズル部材10には、下向きに開口する空間部が形成されており、液体回収流路24はその空間部によって構成されている。そして、回収口22は、下向きに開口する空間部の開口によって構成されている。液体回収流路24は、光路空間K1に対して液体供給流路14及び排出流路15の外側に設けられている。
回収口22は、基板ステージ5に保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する位置に設けられている。基板ステージ5に保持された基板Pの表面とノズル部材10に設けられた回収口22とは所定距離だけ離れている。回収口22は、投影光学系PLの像面側の光路空間K1に対して供給口12及び排出口16の外側に設けられており、光路空間K1(投影領域AR)、ランド面17、供給口12、及び排出口16を囲むように環状に形成されている。本実施形態においては、回収口22は平面視円環状に形成されている。そして、液体回収流路24と液体回収装置21とが液体回収管23を介して接続されている。したがって、回収口22と液体回収装置21とは、液体回収管23及び液体回収流路24を介して接続されている。
図4に示すように、液体回収管23の途中には、回収口22から回収される液体LQの単位時間当たりの量を調整する調整装置29が設けられている。調整装置29は、例えばバルブ機構を含んで構成されている。調整装置29の動作は制御装置7により制御される。制御装置7は、調整装置29を用いて、真空系を含む液体回収装置21による液体回収流路24に対する吸引力を調整することによって、回収口22を介して回収される単位時間当たりの液体回収量を調整可能である。
ノズル部材10は、回収口22を覆うように配置され、複数の孔を有する多孔部材25を備えている。多孔部材25は、例えばチタン製のメッシュ部材、あるいはセラミックス製の多孔体によって構成可能である。多孔部材25は、基板ステージ5に保持された基板Pと対向する下面25Bを有している。多孔部材25の基板Pと対向する下面25Bはほぼ平坦である。多孔部材25は、その下面25Bが基板ステージ5に保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。液体LQは、回収口22に配置された多孔部材25を介して回収される。また、回収口22は、光路空間K1を囲むように環状に形成されているため、その回収口22に配置される多孔部材25は、回収口22に対応するように、光路空間K1を囲むように環状に形成されている。
また、多孔部材25は、その下面25Bとランド面17とがZ軸方向においてほぼ同じ位置(高さ)になるように、且つ下面25Bとランド面17とが連続するように、回収口22に設けられている。すなわち、ランド面17と多孔部材25の下面25Bとはほぼ面一に設けられている。
また、本実施形態においては、液浸機構1は、多孔部材25の各孔の径、多孔部材25と液体LQとの接触角、及び液体LQの表面張力などに応じて、液体回収流路24の圧力と外部空間(大気空間)K3の圧力との差を最適化することによって、回収口22を介して液体LQのみを回収するように設けられている。具体的には、液浸機構1は、調整装置29を用いて、液体回収装置21による液体回収流路24に対する吸引力を制御して、液体回収流路24の圧力を最適化することによって、液体LQのみを回収する。これにより、液体LQと気体とを一緒に吸引することに起因する振動の発生が抑制されている。
シール機構2の一部を構成するシール部材30は、気体GSを吹き出す第1吹出口32を有している。シール部材30は、ノズル部材10とは別の部材であって、ノズル部材10の近傍に設けられ、光路空間K1に対してノズル部材10よりも外側に設けられている。シール部材30は環状部材であって、基板P(基板ステージ5)の上方において、光路空間K1及びノズル部材10を囲むように配置されている。シール部材30は、全体として平面視略円環状に形成されており、その中央部にノズル部材10を配置可能な穴部を有している。
シール部材30は、光路空間K1に向けて傾斜方向に延びる突起部35を有している。突起部35は、ノズル部材10の側面10Sと対向し、その側面10Sに沿うように形成された内側面30Tを有している。ノズル部材10の側面10S及びシール部材30の内側面30Tは、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜している。本実施形態においては、ノズル部材10の側面10S及びシール部材30の内側面30Tのそれぞれは、ノズル部材10の内側面10Tとほぼ平行に設けられている。そして、第1吹出口32は、突起部35のほぼ先端部に設けられている。
第1吹出口32は、投影光学系PLの像面側の光路空間K1に対してノズル部材10に設けられた回収口22の外側に設けられており、光路空間K1(投影領域AR)、及びノズル部材10の回収口22を囲むように環状に形成されている。本実施形態においては、第1吹出口32は平面視円環状に形成され、所定のスリット幅を有するスリット状に形成されている。
突起部35の先端部は、基板ステージ5に保持された基板Pの上方において、基板Pの表面と対向する位置に設けられている。したがって、第1吹出口32は、基板ステージ5に保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する位置に設けられている。基板ステージ5に保持された基板Pの表面とシール部材30の突起部35の先端部に設けられた第1吹出口32とは所定距離D3だけ離れている。基板Pの表面と第1吹出口32との距離D3は、基板Pの表面とランド面17との距離D2とほぼ同じか、距離D2よりも短くなっている。本実施形態においては、基板Pの表面と第1吹出口32との距離D3は、0.5〜1.0mm程度に設定されている。
ノズル部材10の側面10Sとシール部材30の内側面30Tとの間には所定のギャップG2が設けられている。また、ノズル部材10の側面10Sとシール部材30の内側面30TとのギャップG2は、例えば基板Pの表面と突起部35の先端に設けられた第1吹出口32との距離D3よりも大きく設けられている。ただし、それに限定されるものではなく、ギャップG2の間隔を距離D3よりも小さく、または等しくなるように設定してもよい。
シール部材30は、第1吹出口32に気体GSを供給する第1供給流路34を有している。第1供給流路34はシール部材30の内部に設けられており、その下端部が第1吹出口32に接続されている。第1供給流路34の上端部と第1気体供給装置31とは第1供給管33を介して接続されている。
第1供給流路34の途中にはバッファ空間37が設けられている。また、第1供給流路34は、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて、すなわち光路空間K1に近づくにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜する傾斜領域を有しており、その傾斜領域の下端部が第1吹出口32となっている。本実施形態においては、第1供給流路34の傾斜領域は、シール部材30の内側面30Tとほぼ平行に設けられている。
第1供給流路34の傾斜領域は、環状のスリット状に形成された第1吹出口32に対応するように、XY平面に沿った断面視において環状に形成されており、第1吹出口32のスリット幅とほぼ同じ幅を一様に有したスリット状の流路である。バッファ空間37は、第1供給流路34の傾斜領域や第1吹出口32のスリット幅よりも十分に大きい幅を一様に有している。そして、第1吹出口32と第1気体供給装置31とは、第1供給流路34及び第1供給管33を介して接続されている。
図4等に示すように、第1供給管33の途中には、第1気体供給装置31から送出され、第1吹出口32に供給される気体GSの単位時間当たりの量を調整する調整装置39が設けられている。調整装置39は、例えばバルブ機構を含んで構成されている。調整装置39の動作は制御装置7により制御される。制御装置7は、調整装置39を用いて、第1吹出口32から吹き出される単位時間当たりの気体吹き出し量を調整可能である。
第1気体供給装置31から送出された気体GSは、第1供給管33を介して第1供給流路34のバッファ空間37に流入した後、傾斜領域を介して第1吹出口32に供給される。第1吹出口32に供給された気体GSは、第1吹出口32よりシール部材30の外部に吹き出される。上述のように、第1供給流路34の傾斜領域は、光路空間K1に近づくにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜しており、第1供給流路34の傾斜領域の下端部に設けられた第1吹出口32は、光路空間K1に向けて基板Pに対して傾斜方向に気体GSを吹き出す。
バッファ空間37は、第1気体供給装置31から第1供給管33を介して供給された気体GSのエネルギー(圧力、流速)を分散して均一化し、バッファ空間37から傾斜領域に流入する気体GSの単位時間当たりの量(流速)を、スリット状の流路である傾斜領域の各位置において均一化する。バッファ空間37を設けたことにより、シール機構2は、バッファ空間37を含む第1供給流路34を介して第1吹出口32に供給された気体GSを、スリット状の第1吹出口32からほぼ均一に吹き出すことができる。バッファ空間37を設けて第1供給管33から供給された気体GSのエネルギーを分散して均一化することによって、第1供給流路34を介してスリット状の第1吹出口32の各位置に供給される気体GSの流量(流速)を均一化することができ、円環状のスリット状の第1吹出口32の各位置においてほぼ均一な吹き出し量で気体GSを吹き出すことができる。
ガスベアリング機構3の一部を構成するベアリング部材50は、気体GSを吹き出す第2吹出口52を有している。ベアリング部材50は、ノズル部材10及びシール部材30とは別の部材であって、シール部材30の近傍に設けられ、光路空間K1に対してノズル部材10及びシール部材30よりも外側に設けられている。ベアリング部材50は環状部材であって、基板P(基板ステージ5)の上方において、光路空間K1、ノズル部材10、及びシール部材30を囲むように配置されている。ベアリング部材50は、全体として平面視略円環状に形成されており、その中央部にシール部材30を配置可能な穴部を有している。
ベアリング部材50は、シール部材30の側面30Sと対向する内側面50Tを有している。シール部材30の側面30S及びベアリング部材50の内側面50Tのそれぞれは、光路空間K1の外側から内側に向かうにつれて基板Pとの間隔(距離)が小さくなるように傾斜している。本実施形態においては、シール部材30の側面30S及びベアリング部材50の内側面50Tのそれぞれは、ノズル部材10の内側面10Tとほぼ平行に設けられている。シール部材30の側面30Sとベアリング部材50の内側面50Tとの間には所定のギャップG3が設けられている。
ベアリング部材50は、基板ステージ5に保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する下面55を有しており、第2吹出口52は下面55に設けられている。したがって、第2吹出口52は、基板ステージ5に保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面に対向する位置に設けられた構成となっている。
第2吹出口52は、投影光学系PLの像面側の光路空間K1に対してシール部材30に設けられた第1吹出口32の外側に設けられており、光路空間K1(投影領域AR)、ノズル部材10の回収口22、及びシール部材30の第1吹出口32を囲むように環状に形成されている。
また、ベアリング部材50は、複数の孔を有する多孔部材56を備えている。多孔部材56は、第2吹出口52を覆うように配置され、例えばチタン製のメッシュ部材、あるいはセラミックス製の多孔体によって構成可能である。多孔部材56は、基板ステージ5に保持された基板Pと対向する下面56Bを有している。多孔部材56の下面56Bはほぼ平坦である。多孔部材56はベアリング部材50の下面55に設けられた凹部55Cに配置されている。多孔部材56は、その下面56Bが基板ステージ5に保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように下面55の凹部55Cに設けられている。そして、下面55の凹部55Cに設けられた多孔部材56の下面56Bと、その凹部55C以外の下面55とはZ軸方向においてほぼ同じ位置(高さ)になるように、且つ下面56Bと下面55とが連続するように設けられている。すなわち、ベアリング部材50の下面55と多孔部材56の下面56Bとはほぼ面一に設けられている。したがって、多孔部材56の下面56Bを含むベアリング部材50の下面55は、基板ステージ5に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ基板Pの表面と略平行となるように、XY平面と平行な平坦面となっている。
また、多孔部材56は、下面55に沿って略円環状に形成されている。第2吹出口52は、多孔部材56を介して、基板Pの表面に向けて気体GSを吹き出す。第2吹出口52から吹き出された気体GSによって、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55(多孔部材56の下面56Bを含む)との間でガスベアリング(本実施形態においては、空気を用いたエアベアリングを想定している)が形成される。
多孔部材56の下面56Bを含むベアリング部材50の下面55と基板ステージ5に保持された基板Pの表面とは所定距離D4だけ離れている。そして、第2吹出口52が設けられたベアリング部材50の下面55と基板ステージ5に保持された基板Pの表面との間の距離(ギャップ)D4は、シール部材30の第1吹出口32と基板Pの表面との間の距離D3よりも小さくなっている。すなわち、ベアリング部材50の下面55に設けられた第2吹出口52(多孔部材56の下面56Bを含む)は、第1吹出口32よりも、基板ステージ5に保持された基板Pの表面に近い位置に設けられている。本実施形態においては、ガスベアリングを形成する基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との間の距離(ギャップ)D4は、例えば5μm〜100μm程度に設定される。
このように、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との間でガスベアリングが形成されており、ベアリング部材50は、その下面55と基板Pの表面との間にギャップD4を形成した状態で、基板Pの表面に対して非接触支持された構成となっている。
また、シール部材30の側面30Sとベアリング部材50の内側面50TとのギャップG3は、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との間の距離(ギャップ)D4よりも大きく設けられている。
ベアリング部材50は、第2吹出口52に気体GSを供給する第2供給流路54を有している。第2供給流路54はベアリング部材50の内部に設けられており、その下端部が第2吹出口52に接続されている。第2供給流路54と第2気体供給装置51とは第2供給管53を介して接続されている。
図4等に示すように、第2供給管53の途中には、第2気体供給装置51から送出され、第2吹出口52に供給される気体GSの単位時間当たりの量を調整する調整装置59が設けられている。調整装置59は、例えばバルブ機構を含んで構成されている。調整装置59の動作は制御装置7により制御される。制御装置7は、調整装置59を用いて、第2吹出口52から吹き出される単位時間当たりの気体吹き出し量を調整可能である。
次に、支持装置80について説明する。支持装置80は、ノズル部材10を支持する第1支持機構81と、シール部材30を支持する第2支持機構82と、ベアリング部材50を支持する第3支持機構83とを備えている。第1支持機構81は、ノズル部材10を支持構造体85に対してほぼ動かないように支持する。第2支持機構82は、シール部材30を支持構造体85に対してほぼ動かないように支持する。
第3支持機構83は、ベアリング部材50を支持構造体85に対して揺動可能に支持する。第3支持機構83は、弾性部材86を備えている。弾性部材86は、気体が満たされる内部空間87を有している。本実施形態においては、弾性部材86は、ベローズ部材を含んで構成されている。図2等に示すように、第3支持機構83は、円環状に形成された第1ベローズ部材86Aと、円環状に形成され、第1ベローズ部材86Aを囲むように設けられた第2ベローズ部材86Bとを備えている。第1、第2ベローズ部材86A、86Bは、支持構造体85の下面に接続された第1板部材88と、ベアリング部材50の上面に接続された第2板部材89とを接続するように設けられている。第1、第2板部材88、89はそれぞれ円環状に形成されている。そして、第1、第2板部材88、89と、第1、第2ベローズ部材86A、86Bとで囲まれた内部空間87に気体が満たされるようになっている。
弾性部材86を含む第3支持機構83は、ベアリング部材50をZ軸、θX、及びθY方向に関して揺動可能(移動可能)に支持する。また、第3支持機構83は、ベアリング部材50をX軸、Y軸、及びθZ方向には大きく動かさないように支持する。基板Pの表面との間でガスベアリングを形成するベアリング部材50は、第3支持機構83によって揺動可能に支持されているので、基板Pと衝突することなく、ギャップD4を維持しつつ、基板Pの動きに追従することができる。したがって、基板PがZ軸、θX、及びθY方向に移動した場合でも、ガスベアリング機構3は、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55とのギャップD4を略一定に維持することができる。すなわち、ベアリング部材50を揺動可能に支持する第3支持機構83の作用(弾性部材86の弾性作用)と、ガスベアリングの作用(ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に形成された気体の層の作用)とによって、基板PがZ軸、θX、及びθY方向に移動した場合でも、基板Pとベアリング部材50との衝突を防止しつつ、微小なギャップD4を維持することができる。
また、支持装置80は、シール部材30とベアリング部材50とを離した状態で支持しているので、第3支持機構83に支持されているベアリング部材50が揺動しても、シール部材30とベアリング部材50とは衝突しないようになっている。
また、図4等に示すように、露光装置EXは、第3支持機構83の弾性部材86の内部空間87の圧力を調整する調整装置90を備えている。調整装置90は、内部空間87に気体を供給する供給口91と、内部空間87の気体を吸引する吸引口92と、供給口91と不図示の気体供給装置とを接続する供給管93の途中に設けられたバルブ機構95と、吸引口92と不図示の真空系を含む吸引装置とを接続する吸引管94の途中に設けられたバルブ機構96とを備えている。制御装置7は、気体供給装置や吸引装置、バルブ機構95、96を制御して、供給口91を介した内部空間87に対する気体の供給動作及び吸引口92を介した内部空間87の気体の吸引動作の少なくとも一方を行うことによって、弾性部材86の内部空間87の圧力を調整することができる。
そして、制御装置7は、調整装置90を用いて弾性部材86の内部空間87の圧力を調整することによって、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間で形成されるガスベアリングの特性、具体的にはガスベアリングの剛性を調整することができる。
また、制御装置7は、調整装置90を用いて弾性部材86の内部空間87の圧力を調整することによって、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面とのギャップ(距離)D4を調整することも可能である。
また、制御装置7は、第2気体供給装置51から第2吹出口52に対する単位時間当たりの気体供給量、ひいては第2吹出口52からベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に供給する気体の圧力(供給圧)を調整することによって、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間で形成されるガスベアリングの剛性を調整することができる。また、制御装置7は、第2吹出口52からベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に供給する気体の圧力(供給圧)を調整することによって、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間のギャップG4を調整することも可能である。また、制御装置7は、第3支持機構83の弾性部材86の内部空間87の圧力や、第2吹出口52からベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に供給する気体の圧力(供給圧)を調整することによって、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間で形成されるガスベアリングの減衰比を調整することも可能である。
また、露光装置EXは、回収口22と第1吹出口32との間に設けられた第1排気口42と、第1吹出口32と第2吹出口52との間に設けられた第2排気口44とを備えている。第1排気口42は、ノズル部材10とシール部材30との間のギャップG2によって形成される空間を含む流路(第1排気流路)43の下端部によって構成されている。第1排気流路43は外部空間(大気空間)K3と接続されており、第1排気口42は第1排気流路43を介して外部空間(大気空間)K3と接続されている。第2排気口44は、シール部材30とベアリング部材50との間のギャップG3によって形成される空間を含む流路(第2排気流路)45の下端部によって構成されている。第2排気流路45は外部空間(大気空間)K3と接続されており、第2排気口44は第2排気流路45を介して外部空間(大気空間)K3と接続されている。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすために、制御装置7は、液体供給装置11及び液体回収装置21のそれぞれを駆動する。制御装置7の制御のもとで液体供給装置11から送出された液体LQは、液体供給管13を流れた後、ノズル部材10の液体供給流路14を介して、供給口12より投影光学系PLの最終光学素子FLと底板18との間の内部空間K2に供給される。内部空間K2に液体LQが供給されることにより、内部空間K2に存在していた気体部分は排出口16や開口18Kを介して外部に排出される。
内部空間K2に供給された液体LQは、開口18Kを介してランド面17と基板P(基板ステージ5)との間の空間に流入し、光路空間K1を満たす。このとき、制御装置7は、液体回収装置21を用いて、単位時間当たり所定量の液体LQを回収している。ランド面17と基板Pとの間の空間の液体LQは、ノズル部材10の回収口22を介して液体回収流路24に流入し、液体回収管23を流れた後、液体回収装置21に回収される。
このように、制御装置7は、液浸機構1を用いて、光路空間K1に対して単位時間当たり所定量の液体LQを供給するとともに単位時間当たり所定量の液体LQを回収することで、投影光学系PLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たし、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。そして、制御装置7は、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たした状態で、投影光学系PLと基板Pとを相対的に移動しながらマスクMのパターン像を投影光学系PL及び光路空間K1の液体LQを介して基板P上に露光する。本実施形態の露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であるため、制御装置7は、基板ステージ5を制御して、基板Pを所定速度でY軸方向に移動しながら露光する。
このような走査型露光装置において、ノズル部材の構造によっては、例えば基板Pの移動速度(走査速度)の高速化に伴って、回収口22を介して液体LQを十分に回収することができず、光路空間K1に満たされた液体LQが基板Pとノズル部材10との間の空間(回収口22)よりも外側へ流出する可能性がある。
例えば、図6(A)の模式図に示すように、ノズル部材10の下面と基板Pの表面との間を液体LQで満たし、その液体LQの液浸領域LRに対して基板Pを走査方向(Y軸方向)に移動したとき、液浸領域LRの液体LQとその外側の空間との界面(気液界面)LGの移動距離や移動速度が大きくなり、液体LQが流出する可能性がある。すなわち、図6(A)の模式図に示すような第1状態から、液浸領域LRに対して基板Pを−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動し、図6(B)に示すような基板Pの移動中における第2状態となった場合、基板Pの移動速度(走査速度)が高速化されると、液浸領域LRの液体LQとその外側の空間との界面LGの移動距離や移動速度が大きくなり、液浸領域LRが拡大して、液浸領域LRの液体LQが回収口22の外側に流出する可能性がある。
また、図6(C)の模式図に示すように、例えば基板Pの移動速度の高速化に伴って、基板Pの移動中に、ノズル部材10の下面の一部から離れた(剥離した)液体LQが、基板P上に液体LQの膜(薄膜)を形成する可能性がある。形成された液体LQの膜は回収口22(多孔部材25)に対して離れるため、回収口22によってその液体LQの膜を回収できない状況が生じる可能性がある。すなわち、形成された液体LQの膜は回収口22に配置された多孔部材25に接触しないため、回収口22が液体LQを回収できない状況が発生する可能性がある。すると、液体LQが回収口22の外側に流出したり、あるいは、形成された液体LQの膜が基板P上でちぎれて基板P上に液滴となって液体LQが残留する等の不都合が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、液体LQの流出等の不都合の発生を抑えるために、第1吹出口32及び第2吹出口52のそれぞれから気体GSを吹き出し、光路空間K1に満たされた液体LQをシールする(封じ込める)ための気流を生成する。
図7は光路空間K1に液体LQが満たされているときに、第1吹出口32及び第2吹出口52のそれぞれから気体GSが吹き出されている状態を示す模式図である。制御装置7は、液浸機構1を用いて光路空間K1を液体LQで満たしているときに、シール機構2及びガスベアリング機構3のそれぞれを駆動し、第1吹出口32及び第2吹出口52のそれぞれより気体GSを吹き出す。制御装置7は、少なくとも液浸機構1を用いて光路空間K1に対する液体LQの供給動作及び回収動作を行って液浸領域LRを形成しているとき、シール機構2の第1気体供給装置31及びガスベアリング機構3の第2気体供給装置51の駆動を継続する。また、制御装置7は、液浸機構1による液体LQの供給動作及び回収動作を停止しているときであっても、液浸領域LRが形成されているときには、シール機構2の第1気体供給装置31及びガスベアリング機構3の第2気体供給装置51の駆動を継続する。
また、少なくとも第2吹出口52から気体GSを吹き出しているとき、制御装置7は、調整装置90を用いて第3支持機構83の弾性部材86の内部空間87の圧力を調整し、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間で形成されるガスベアリングの特性(剛性)を調整する。
制御装置7は、第1吹出口32から気体GSを吹き出すために、第1気体供給装置31を駆動する。第1気体供給装置31から送出された気体GSは、第1供給管33を介して、シール部材30の第1供給流路34に流入する。上述のように、第1供給流路34の途中にバッファ空間37が設けられていることにより、バッファ空間37を含む第1供給流路34を介してスリット状の第1吹出口32に供給された気体GSは、第1吹出口32の各位置からほぼ均一に吹き出される。また、第1吹出口32から気体GSを吹き出すとき、制御装置7は、調整装置39を使って、シール部材30に設けられた第1吹出口32より吹き出す単位時間当たりの気体吹き出し量を調整する。
第1吹出口32は、基板Pの表面と対向する位置に設けられており、光路空間K1に向けて基板Pの表面に対して傾斜方向に気体GSを吹き出す。光路空間K1に対して回収口22の外側に設けられた第1吹出口32より吹き出された気体GSの一部は、基板Pに吹き付けられた後、基板Pの表面に沿って光路空間K1に向かい、回収口22周縁近傍において光路空間K1に向かう気流を生成する。すなわち、光路空間K1に満たされた液体LQの界面LGに外側から気体GSが供給される。これにより、光路空間K1に満たされた液体LQ(液体LQの界面LG)が光路空間K1の外側に移動しようとしても、気体GSの力によってその液体LQを封じ込めることができ、液体LQの流出を防止することができる。
また、第1吹出口32から吹き出された気体GSの残りの一部は、第1排気口42を介して第1排気流路43に流入する。第1排気口42を介して第1排気流路43に流入した気体GSの一部は外部空間K3に排気される。第1吹出口32から吹き出された気体GSの一部が第1排気口42から排気されることにより、回収口22近傍において、光路空間K1に向かって乱れの少ない気流を良好に生成することができる。したがって、液体LQが光路空間K1に対して第1排気口42よりも外側に流出することを防止することができる。また、ノズル部材10の側面10Sとシール部材30の内側面30Tとの間のギャップG2は、シール部材30の先端部の第1吹出口32と基板Pの表面との間の距離D3よりも大きく設けられているため、第1吹出口32より吹き出された気体GSの一部は第1排気流路43に円滑に流れる。また、第1吹出口32はシール部材30の突起部35の先端部に設けられており、ノズル部材10の回収口22の近くに第1吹出口32を配置することができる。
また、制御装置7は、第2吹出口52から気体GSを吹き出すために、第2気体供給装置51を駆動する。第2気体供給装置51から送出された気体GSは、第2供給管53を介して、ベアリング部材50の第2供給流路54に流入する。第2吹出口52から気体GSを吹き出すとき、制御装置7は、調整装置59を使って、ベアリング部材50に設けられた第2吹出口52より吹き出す単位時間当たりの気体吹き出し量を調整する。またこのとき、制御装置7は、調整装置90を用いて第3支持機構83の弾性部材86の内部空間87の圧力を調整し、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間で形成されるガスベアリングの特性(剛性)を調整する。
第2吹出口52は、基板Pの表面と対向する位置に設けられており、多孔部材56を介して基板Pの表面に向けて気体GSを吹き出す。本実施形態においては、ガスベアリング機構3は、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間にガスベアリングを形成しており、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間には、高い圧力を有する気体の層(膜)が形成される。そのため、その高い圧力を有する気体の層によって、液体LQの流出を防止することができる。
また、ガスベアリングを形成するベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間のギャップG4は微小である。したがって、図6(C)を参照して説明したように、回収口22の外側に流出した液体LQが基板P上で膜(薄膜)を形成した場合でも、ガスベアリング機構3によって形成されるガスベアリングによって、光路空間K1に満たされた液体LQをシールすることができる。すなわち、図8に示すように、回収口22で回収しきれずにその回収口22の外側に流出した液体LQが基板P上で膜(薄膜)を形成した場合、シール機構2の第1吹出口32から気体GSを吹き出しても、液体LQの流出を防止することが困難となる状況が発生する可能性がある。本実施形態においては、ガスベアリング機構3が、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間でガスベアリングを形成しており、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間には高い圧力を有する気体の層が形成されるとともに、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間のギャップG4は微小であるため、たとえ基板P上に液体LQの薄膜が形成されても、その液体LQが光路空間K1に対して第2排気口44よりも外側に流出することを防止することができる。また、基板P上に形成された液体LQの薄膜に限らず、微量の液体(液滴)が、例えば第1排気口42よりも外側に流出(飛散)する可能性があるが、ガスベアリング機構3によって、その液体(液滴)が光路空間K1に対して第2排気口44よりも外側に流出することを防止することができる。
そして、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間のギャップG4は、調整装置90を用いて第3支持機構83の内部空間87の圧力を調整することによって調整可能である。したがって、制御装置7は、調整装置90を用いてギャップG4を調整することで、液体LQの流出を抑制することができる。
また、ギャップG4が微小であっても、ベアリング部材50を揺動可能に支持する第3支持機構83の作用(弾性部材86の弾性作用)と、ガスベアリングの作用(ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に形成された気体の層の作用)とによって、基板PがZ軸、θX、及びθY方向に移動した場合でも、基板Pの位置及び姿勢に追従するように、ベアリング部材50を動かすことができる。したがって、基板Pとベアリング部材50との衝突を防止しつつ、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との間の微小なギャップG4を略一定に維持することができる。
また、第2吹出口52より吹き出された気体GSの一部は、基板Pに吹き付けられた後、基板Pの表面に沿うように、光路空間K1に向かう気流を生成する。光路空間K1に向かう気流が生成されることにより、その気体GSの力によって、液体LQの流出を防止することができる。このように、2重に設けられた第1、第2吹出口32、52から吹き出された気体GSによって、液体LQ(液浸領域LR)を封じ込めるような気流を生成することができる。
また、第2吹出口52から吹き出された気体GSの残りの一部は、第2排気口44を介して第2排気流路45に流入する。第2排気口43を介して第2排気流路45に流入した気体の一部は外部空間K3に排気される。第2吹出口52から吹き出された気体の一部が第1排気口44より排気されることにより、光路空間K1に向かって乱れの少ない気流を良好に生成することができる。また、シール部材30の側面30Sとベアリング部材50の内側面50Tとの間のギャップG3は、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間のギャップD4よりも大きく設けられているため、第2吹出口52より吹き出された気体GSの一部は、第2排気流路45に円滑に流れる。
また、制御装置7は、調整装置90を用いて、第3支持機構83の弾性部材86の内部空間87の圧力を調整することによって、ベアリング部材50の位置を調整することができる。例えば、制御装置7は、調整装置90を用いて、弾性部材86の内部空間87を負圧にする。これにより、弾性部材86が縮むので、弾性部材86を含む第3支持機構83に支持されたベアリング部材50を上昇させることができる。例えば、図9に示すように、ベアリング部材50の下面55と対向する位置に基板Pが無い状態であっても、制御装置7は、調整装置90を用いて、弾性部材86の内部空間87を負圧にすることによって、ベアリング部材50の下面55のZ軸方向に関する位置が、シール部材30の第1吹出口32よりも上方になるように、ベアリング部材50の位置を調整することができる。例えば、基板Pの液浸露光が終了した後、基板ステージ5上の基板Pをアンロードするために、基板Pを保持した基板ステージ5を基板交換位置に移動した場合、ベアリング部材50の下面55との間でガスベアリングを形成するための基板P(あるいは基板ステージの上面などの物体)が、ベアリング部材50の下面55と対向しない位置に移動される可能性がある。ベアリング部材50の下面55と対向する位置に基板Pが無いと、ベアリング部材50が下降し(垂れ下がり)、周辺機器や部材と衝突してしまう不都合が生じる可能性がある。本実施形態においては、制御装置7は、調整装置90を用いて、弾性部材86の内部空間87を負圧にすることによって、ベアリング部材50の下面55のZ軸方向の位置を調整することができるので、ベアリング部材50が下降する(垂れ下がる)ことを防止することができる。もちろん、ベアリング部材50の下面55と対向する位置に基板Pが有る状態であっても、制御装置7は、調整装置90を用いて、弾性部材86の内部空間87を調整することによって、ベアリング部材50の下面55のZ軸方向に関する位置を調整することができる。例えば、制御装置7は、調整装置90を用いて、弾性部材86の内部空間87を負圧にすることによって、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との距離D4が、基板Pの表面とシール部材30の第1吹出口32との距離D3よりも大きくなるように、ベアリング部材50の位置を調整することができる。
以上説明したように、回収口22の外側に第1吹出口32及び第2吹出口52を設けたので、第1吹出口32及び第2吹出口52から吹き出された気体GSによって、回収口22の近傍(光路空間K1に満たされた液体LQの界面LG近傍)に、光路空間K1に満たされた液体LQをシールするための気流を生成することができる。したがって、露光光ELの光路空間K1に満たされた液体LQの流出を抑えることができ、液浸領域LRの巨大化を抑制することができる。
そして、液体LQの流出を抑えることができるので、例えば、基板ステージ5に保持されている基板Pの表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系が、光路空間K1に対して第2吹出口52よりも外側で基板Pの面位置情報を検出する構成の場合、そのフォーカス・レベリング検出系の検出精度を維持することができる。すなわち、フォーカス・レベリング検出系が、光路空間K1の液体LQを介さずに、光路空間K1に対して第2吹出口52よりも外側の基板Pの表面に基板Pの面位置情報を検出するための検出光を照射する構成の場合、液体LQの流出を防止することで、フォーカス・レベリング検出系は液体LQを介さずに基板Pの面位置情報を精度良く検出することができる。また、フォーカス・レベリング検出系に限らず、第2吹出口52の外側に設けられ、液体LQを介さずに所定面上に検出光を照射して検出処理を行う所定の検出装置、例えば、基板P上のアライメントマークや基板ステージ5上に設けられた基準マークなどを検出するオフアクシス方式のアライメント系の検出精度を維持することができる。
また、第1吹出口32及び第2吹出口52のそれぞれは、光路空間K1を囲むように環状に形成されているので、光路空間K1を囲む周方向のいずれの位置においても液体LQの流出を防止することができる。また、回収口22も光路空間K1を囲むように環状に形成されているので、液体LQを良好に回収することができ、液体LQの流出を抑制することができる。
また、第2吹出口52はベアリング部材50の下面55に設けられており、基板Pの表面に向けて気体GSを吹き出す構成である。そのため、第2吹出口52から吹き出された気体GSは、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55とにガイドされつつ、ほぼ基板Pの表面に沿って、光路空間K1に向かって流れる。光路空間K1の液体LQの流出を抑えるためには、基板Pの表面になるべく近い位置において、基板Pの表面に沿うように(XY平面に沿うように)気体を流すことが効果的であると考えられるが、気体を吹き出す吹出口を有する部材の形態によっては、その部材を光路空間から離れた位置に設ける必要が生じる。その場合、露光装置EX全体の巨大化を招く。本実施形態においては、揺動可能に支持されたベアリング部材50の下面55に第2吹出口52を設け、その第2吹出口52より基板Pの表面に向けて気体GSを吹き出すようにしているので、ベアリング部材50と基板Pとの衝突を防止しつつ、基板Pの表面になるべく近い位置において、基板Pの表面に沿うように、気体GSを流すことができる。
また、第1吹出口32や第2吹出口52から吹き出す単位時間当たりの気体吹き出し量を調整することにより、光路空間K1に満たされている液体LQ中に気泡が生成されることを防止しつつ、液体LQの流出を抑制することができる。
また、本実施形態においては、光路空間K1を含む投影光学系PLの像面側の所定空間は、第1、第2排気口42、44、及び第1、第2排気流路43、45を介して大気開放された構成となっているため、所定空間に所望の気流を生成することができる。ここで、所定空間とは、第2排気口44よりも内側の空間を含む。
また、ベアリング部材50を支持する第3支持機構83は、気体が満たされる内部空間87を有する弾性部材86を有しているので、その内部空間87の圧力を調整装置90を用いて調整することで、ガスベアリングの特性(剛性)やギャップG4を調整しつつ、基板Pを露光することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図10は第2実施形態を示す図である。本実施形態の特徴的な部分は、第1排気口42に接続され、気体GSを吸引する吸引装置を備えた点にある。図10において、露光装置EXは、第1排気口42に接続され、気体GSを吸引する吸引装置46を備えている。吸引装置46は真空系を含んで構成されており、第1排気流路43の上端部に接続されている。制御装置7は、第1、第2吹出口32、52から気体GSを吹き出すとき、吸引装置46を駆動する。すなわち、制御装置7は、第1、第2吹出口32、52からの気体吹き出し動作と並行して、吸引装置46による吸引動作を実行する。吸引装置46が第1排気流路43の気体GSを吸引することにより、換言すれば、第1排気流路43を適度に負圧にすることにより、第1排気流路43のうち第1排気口42が設けられた下端部から、吸引装置46が設けられた上端部へと向かう気流が生成される。これにより、回収口22近傍の空間の気体GSを能動的に排気して、光路空間K1に向かう所望の気流を円滑に生成することができ、液体LQの流出を防止することができる。また、第1排気口42から気体GSを排気することにより、第1吹出口32や第2吹出口52から吹き出された気体GSが過剰に光路空間K1に向かって流れることを抑制することができる。第1吹出口32等から吹き出された気体GSが光路空間K1に向かって過剰に流れた場合、光路空間K1に満たされた液体LQ中に気泡が生成されてしまったり、光路空間K1に満たされた液体LQの圧力を大きく変動させてしまう不都合が生じる可能性があるが、第1排気口42から気体GSを排気することで、上述の不都合の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、第1排気口42に吸引装置46を接続しているが、第2排気口44に吸引装置を接続してもよい。こうすることによっても、第2排気口44近傍や第2排気流路45に所望の気流を生成し、回収口22近傍及び第1吹出口32近傍の空間に所望の気流を円滑に生成することができる。また、吸引装置は、第1排気口42及び第2排気口44の両方に接続してもよいし、いずれか一方に接続するようにしてもよい。また、第1、第2排気口42、44のそれぞれに第1、第2吸引装置を接続し、光路空間K1を含む回収口22近傍の所定空間に所望の気流が生成されるように、例えば基板Pの移動や、第1、第2吹出口32、52からの気体吹き出し量などに応じて、第1吸引装置の吸引動作と第2吸引装置の吸引動作とを個別に制御するようにしてもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図11は第3実施形態を示す側断面図、図12はベアリング部材50の下面55を示す図である。本実施形態の特徴的な部分は、ベアリング部材50の下面55に、気体を吹き出す第2吹出口52と、気体を吸引する吸引口58とが設けられている点にある。
図12に示すように、ベアリング部材50の下面55には絞り溝(表面絞り)59が形成されている。そして、絞り溝59の内側の所定位置に、第2吹出口52と吸引口58とのそれぞれが設けられている。吸引口58には真空系を含む不図示の吸引装置が吸引流路58Lを介して接続されている。ガスベアリング機構3は、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面とを対向させた状態で、第2吹出口52から気体を吹き出すとともに、吸引口58を介して気体を吸引することにより、第2吹出口52からの気体の吹き出しによる反発力と吸引口58による吸引力との釣り合いにより、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面と間に所定のギャップG4を形成する。ガスベアリング機構3は、吸引口58において下面55に予圧を発生させることができる。すなわち、本実施形態のガスベアリング機構3は、第2吹出口52からの気体の吹き出しによる反発力と、吸引口58による吸引力との釣り合いとによって、ベアリング部材50と基板Pとの間に所定のギャップD4を維持する予圧型のガスベアリングを形成する。そして、制御装置7は、第2吹出口52からの単位時間当たりの気体吹き出し量と、吸引口58を介した単位時間当たりの気体吸引量とを調整することによって、ギャップG4やガスベアリングの特性(剛性、減衰比など)を調整することができる。なお、ベアリング部材50の下面55の形態としては、オリフィス絞り、自成絞り等を採用してもよい。
また、本実施形態の第3支持機構83は、バネ部材(コイルバネ部材)83Bを有しており、ベアリング部材50を揺動可能に支持する。本実施形態の第3支持機構83は、上述の第1、第2実施形態のような、内部空間87を有する弾性部材86や調整装置90を備えていない。
このように、本実施形態においては、ベアリング部材50の下面55に設けられた第2吹出口52と吸引口58とによって、ギャップG4やガスベアリングの特性を調整することができる。したがって、第3支持機構83の構成を簡易化することができる。なお、図11に示す例では、第3支持機構83はコイルバネ部材83Bを有しているが、板バネ部材等、他の弾性部材を有した構成であってもよい。また、第3支持機構83は、ベローズ部材やバネ部材などの弾性部材に限られず、例えばヒンジ機構や、ゴム等の可撓性を有する可撓性部材などを有した構成であってもよい。要は、第3支持機構83は、ベアリング部材50を揺動可能な部材あるいは機構を有していればよい。なお、第3実施形態において、第3支持機構83が、上述の第1、第2実施形態のような、内部空間87を有する弾性部材86や調整装置90を備えていてもよい。
なお、上述の第1、第2実施形態においては、ベアリング部材50の下面55には、気体を吹き出す吹出口のみが設けられている構成であって、気体を吸引する吸引口は設けられていない構成である。このような構成とすることにより、仮に液体LQがベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に浸入した場合でも、液体LQが吸引口から吸引されてしまうといった不都合を防止することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図13は第4実施形態を示す図である。上述の第1〜第3実施形態においては、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55の間にガスベアリングを形成するガスベアリング機構3と、ベアリング部材50を揺動可能に支持する第3支持機構83とを含むギャップ調整機構によって、基板Pの表面とベアリング部材50の下面55との間のギャップD4を略一定に維持しているが、本実施形態の特徴的な部分は、アクチュエータ及びセンサを含むギャップ調整機構3’によって、基板Pの表面と第2吹出口52を有する部材(第2ノズル部材)50’の下面55とのギャップD4を維持する点にある。
図13に示すように、露光装置EXは、第2ノズル部材50’と基板Pとの位置関係を検出する検出装置70を備えている。検出装置70は、支持構造体85(又はメインコラム8)と第2ノズル部材50’との位置関係を検出する第1検出装置71と、支持構造体85(又はメインコラム8)と基板ステージ4に保持されている基板Pとの位置関係を検出する第2検出装置72とを備えている。第1検出装置71は、例えばレーザ干渉計などを含んで構成されており、第2ノズル部材50’に設けられた反射面71Lを用いて、支持構造体85に対する第2ノズル部材50’の位置を光学的に検出する。第2検出装置72も、支持構造体85に対する基板Pの位置を光学的に検出する。
第1検出装置71は、第2ノズル部材50’のZ軸、θX、及びθY方向に関する位置を検出可能である。ここで、反射面71Lと第2ノズル部材50’の下面55との位置関係は、設計値等によって既知であるため、第1検出装置71は、反射面71Lを用いて、第2ノズル部材50’の下面のZ軸、θX、及びθY方向に関する位置を検出可能である。また、第2検出装置72は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面のZ軸、θX、及びθY方向に関する位置を検出可能である。第1、第2検出装置71、72の検出結果は制御装置7に出力され、制御装置7は、第1、第2検出装置71、72の検出結果に基づいて、第2ノズル部材50’の下面55と基板Pの表面とのZ軸、θX、及びθY方向に関する位置関係を求めることができる。なお、検出装置70としては、レーザ干渉計に限られず、例えば静電容量センサ、エンコーダ等、他の構成を有する検出装置を用いることも可能である。
また、第2ノズル部材50’を支持する第3支持機構83’は、第2ノズル部材50’駆動する駆動装置83Dを備えている。駆動装置83Dは、例えばローレンツ力で駆動するボイスコイルモータやリニアモータ等によって構成されており、第2ノズル部材50’を、少なくともZ軸、θX、及びθY方向に駆動可能である。また、ローレンツ力で駆動するボイスコイルモータ等はコイル部とマグネット部とを有し、それらコイル部とマグネット部とは非接触状態で駆動する。そのため、第2ノズル部材50’を駆動する駆動装置83Dを、ボイスコイルモータ等のローレンツ力で駆動する駆動装置によって構成することで、振動の発生を抑制することができる。
基板Pの走査露光中など、基板Pの位置及び姿勢が変化する場合においても、制御装置7は、検出装置70の検出結果に基づいて、基板Pの表面と第2ノズル部材50’の下面55’とのギャップG4を略一定に維持するように、駆動装置83Dを駆動する。これにより、基板Pと第2ノズル部材50’との衝突を防止しつつ、液体LQの流出を防止することができる。
なお、本実施形態の第2ノズル部材50’は、上述の第1、第2実施形態のベアリング部材50と同等の構成を有しているように説明したが、ベアリング部材50とは異なる形態であってもよい。すなわち、第2ノズル部材50’は、基板Pの表面と対向し、第2吹出口52を有する下面55を有していればよく、基板Pの表面との間でガスベアリングを形成しなくてもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。図14は第5実施形態を示す図である。本実施形態の特徴的な部分は、第1吹出口32と第2吹出口52とが同じ部材に設けられている点にある。換言すれば、第1吹出口32が、第2吹出口52を有する第2ノズル部材50’に設けられている点にある。
図14において、露光装置EXは、供給口12及び回収口22を有するノズル部材10と、光路空間K1に対してノズル部材10よりも外側に設けられた第2ノズル部材50’とを備えている。第2ノズル部材50’は、光路空間K1に対して回収口22の外側に設けられ、気体GSを吹き出す第1吹出口32と、光路空間K1に対して第1吹出口32の外側に設けられ、気体GSを吹き出す第2吹出口52とを備えている。第2ノズル部材50’は、第2吹出口52が設けられた下面55を有しており、下面55と基板Pの表面との間にガスベアリングが形成される。
第2ノズル部材50’は、支持機構83’に支持されている。支持機構83’は、円環状に形成された第1ベローズ部材86Aと、円環状に形成され、第1ベローズ部材86Aを囲むように設けられた第2ベローズ部材86Bと、円環状に形成され、第2ベローズ部材86Bを囲むように設けられた第3ベローズ部材86Cとを備えている。第1、第2、第3ベローズ部材86A、86B、86Cは、支持構造体85の下面に接続された第1板部材88と、第2ノズル部材50’の上面とを接続するように設けられている。そして、第1板部材88と、第2ノズル部材50’の上面と、第1、第2ベローズ部材86A、86Bとで囲まれた第1内部空間87Aに気体が満たされるとともに、第1板部材88と、第2ノズル部材50’の上面と、第2、第3ベローズ部材86B、86Cとで囲まれた第2内部空間87Bに気体が満たされるようになっている。
第1内部空間87Aの圧力は第1調整装置90Aによって調整され、第2内部空間87Bの圧力は第2調整装置90Bによって調整される。第1、第2調整装置90A、90Bは、上述の調整装置90とほぼ同等の構成を有している。第1調整装置90Aは、供給口91Aから第1内部空間87Aに対して気体を供給するとともに、吸引口92Aを介して第1内部空間87Aの気体を吸引することで、第1内部空間87Aの圧力を調整可能である。同様に、第2調整装置90Bは、供給口91Bから第2内部空間87Bに対して気体を供給するとともに、吸引口92Bを介して第2内部空間87Bの気体を吸引することで、第2内部空間87Bの圧力を調整可能である。
また、本実施形態においては、第1供給流路34の上端部は第1内部空間87Aに接続されており、第1吹出口32と第1内部空間87Aとが第1供給流路34を介して接続されている。また、第2供給流路54の上端部は第2内部空間87Bに接続されており、第2吹出口52と第2内部空間87Bとが第2供給流路54を介して接続されている。
そして、第1内部空間87Aの気体が第1吹出口32から吹き出され、第2内部空間87Bの気体が第2吹出口52から吹き出されるようになっている。例えば第2吹出口52から気体を吹き出す場合には、制御装置7は、第2調整装置90Bを用いて、第2内部空間87Bの圧力を陽圧にすることで、第2内部空間87Bの気体を、第2供給流路54を介して第2吹出口52に供給することができる。そして、第2内部空間87Bの圧力を調整することによって、第2吹出口52から吹き出される単位時間当たりの気体吹き出し量を調整することができ、ギャップG4を調整することができる。同様に、制御装置7は、第1調整装置90Aを用いて、第1内部空間87Aの圧力を陽圧にすることで、第1内部空間87Aの気体を、第1供給流路34を介して第1吹出口32に供給することができ、第1内部空間87Aの圧力を調整することによって、第1吹出口32から吹き出される単位時間当たりの気体吹き出し量を調整することができる。
以上説明したように、基板Pの表面との間でガスベアリングを形成する下面55を有する第2ノズル部材50’に第1吹出口32を設けることにより、第1吹出口32を有する第2ノズル部材50’を基板Pの動きに追従させることができるので、第2ノズル部材50’と基板Pとの衝突を防止しつつ、第1吹出口32を基板Pに近い位置に設けることができる。
そして、第1内部空間87Aの気体が第1吹出口32から吹き出され、第2内部空間87Bの気体が第2吹出口52から吹き出されるようにすることで、上述の第1〜第4実施形態に比べて、例えば第2供給管53を省略することができるなど、装置構成を簡略化することができる。また、第2供給管53等の各種部材を省略することができるので、それら部材に起因する振動の発生を抑制し、第2ノズル部材50’を円滑に揺動させることができる。一方、上述の第1〜第4実施形態のように、第1吹出口32を有する部材(シール部材30)と、第2吹出口52を有する部材(ベアリング部材50)とを別々に設ける場合には、ベアリング部材50をコンパクト化できるので、ベアリング部材50の制御性を向上することができる。また、第1吹出口32を有する部材(シール部材30)と、第2吹出口52を有する部材(ベアリング部材50)とを別々に設けることにより、各部材の設計の自由度や配置の自由度を向上することができる。
また、本実施形態においても、第1内部空間87Aには吸引口92Aが接続され、第2内部空間87Bには吸引口92Bが接続されているので、吸引口92A、92Bを用いた吸引動作によって、第1、第2内部空間87A、87Bを負圧にすることができる。したがって、第2ノズル部材50’を上昇させたり、第2ノズル部材50’の位置を調整することができる。
なお、第5実施形態において、第1吹出口32と第1内部空間87Aとを接続する流路の所定位置に、第1内部空間87Aから第1吹出口32に供給される気体の単位時間当たりの量を調整可能な調整装置を設け、その調整装置を用いて、第1吹出口32から吹き出される気体の量を調整するようにしてもよい。同様に、第2吹出口52と第2内部空間87Bとを接続する流路の所定位置に、第2内部空間87Bから第2吹出口52に供給される気体の単位時間当たりの量を調整可能な調整装置を設け、その調整装置を用いて、第2吹出口52から吹き出される気体の量を調整するようにしてもよい。
なお、第5実施形態においては、第1内部空間87Aと第1吹出口32とが接続され、第2内部空間87Bと第2吹出口52とが接続されているが、例えば、第1吹出口32を第1内部空間87Aと接続し、第2吹出口52を第2供給管53を介して気体供給装置に接続するようにしてもよい。あるいは、第2吹出口52を第2内部空間87Bと接続し、第1吹出口32を第1供給管33を介して気体供給装置に接続するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、第1吹出口32と第2吹出口52とは同じ部材(第2ノズル部材)50’に設けられているが、例えば上述の第1実施形態のように、第1吹出口32をシール部材30に設けるとともに第2吹出口52をベアリング部材50に設け、ベアリング部材50を支持する弾性部材56の内部空間57と第2吹出口52とを第2供給流路54を介して接続するようにしてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。図15は第6実施形態を示す図である。図15において、露光装置EXは、光路空間K1に対して所定位置に設けられ、液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材10と、光路空間K1に対して回収口22の外側に設けられ、気体を吹き出す吹出口52を有する下面55を有し、基板Pの表面との間でガスベアリングを形成するベアリング部材50と、ノズル部材10を支持する支持機構81と、支持機構81とは別に設けられ、ベアリング部材50を揺動可能に支持する支持機構83とを備えている。このように、第1吹出口32(シール部材30)を省略することも可能である。ガスベアリング機構3は、ベアリング部材50と基板Pとの衝突を防止しつつ、ベアリング部材50の下面55と基板Pの表面との間に微小のギャップD4を形成可能であるため、光路空間K1に満たされた液体LQの流出を効果的に防止することができる。
なお、上述の各実施形態において、最終光学素子FL、ノズル部材10、シール部材30、及びベアリング部材50(第2シール部材50’)の各表面の所定領域に、適宜、液体LQに対して撥液性を発現させる撥液化処理(撥水化処理)を施すようにしてもよい。撥液化処理としては、例えば、フッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を被覆する処理等が挙げられる。例えば、最終光学素子FLの側面LS及びノズル部材10の内側面10Tに撥液化処理を施すことにより、液体LQがギャップG1に浸入することを抑制することができる。また、ノズル部材10の側面10Sやシール部材30の内側面30Tに撥液化処理を施すことにより、液体LQがギャップG2に浸入することを抑制することができる。同様に、シール部材30の側面30Sや、ベアリング部材50の内側面50T、ベアリング部材50の下面55の所定領域(多孔部材26以外の領域など)に撥液化処理を施すことができる。
なお、上述の各実施形態においては、ノズル部材10に設けられた排出流路15の上端部は外部空間(大気空間)K3と接続されているが、内部空間K2に接続された排出流路15の上端部と吸引装置とを接続して、内部空間G2の気体を強制的に排出するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態において、第1気体供給装置31から供給され、第1吹出口32から吹き出される気体は、空気(ドライエア)であるが、第1気体供給装置31から供給される気体としては、窒素ガス(ドライ窒素)等であってもよい。同様に、第2気体供給装置51から供給される気体としては、空気(ドライエア)に代えて、窒素ガス(ドライ窒素)等であってもよい。また、第1気体供給装置31から供給される気体と、第2気体供給装置51から供給される気体とは同じ種類の気体であってもよいし、別の種類の気体であってもよい。また、上述の実施形態においては、第1吹出口32から吹き出される気体は第1気体供給装置31から供給されたものであり、第2気体吹出口52から吹き出される気体は第2気体供給装置51から供給されたものであるが、シール機構2とガスベアリング機構3とが同じ気体供給装置を兼用し、第1吹出口32から吹き出される気体と第2気体吹出口52から吹き出される気体とが同じ気体供給装置から供給されたものであってもよい。
また、第1気体供給装置51と第2気体供給装置52とは、共に露光装置EXが収容されたチャンバ内部の気体とほぼ同じ気体を供給するように設定されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、各供給装置51、52によって気体の状態(温度、湿度、流量、流速等)を適宜設定してもよく、また、互いに独立に設定するようにしてもよい。
また、シール機構2やガスベアリング機構3によって生成された気流に起因する基板Pの温度変化を補償するための補償機構を設けるようにしてもよい。例えば第1吹出口32や第2吹出口52から吹き出された気体によって、液体LQの一部が気化し、その液体LQが気化することによって生じる気化熱によって、基板Pの温度が変化(低下)する可能性がある。そのような基板Pの温度変化(低下)を抑制するために、例えば、第1吹出口32から吹き出される気体の温度を、供給口12から供給される液体LQの温度よりも高くする。第1吹出口32に気体を供給する第1気体供給装置31は、供給する気体の温度を調整する温度調整装置を備えており、制御装置7は、第1気体供給装置31を制御することによって、基板Pの温度変化を補償するための所望の温度を有する気体を第1吹出口32から吹き出すことができる。あるいは、制御装置7は、基板Pの温度変化を補償するために、第2吹出口52から吹き出す気体の温度を調整するようにしてもよい。あるいは、基板Pを保持する基板ホルダ5Hに、基板Pの温度を調整可能な温度調整装置を設け、この温度調整装置を用いて基板Pの温度変化(低下)を補償するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態において、ノズル部材10やシール部材30を支持構造体85(メインコラム8)に対して移動可能に設けてもよい。例えば、弾性部材を含む支持機構によって、ノズル部材10やシール部材30を揺動可能に支持するようにしてもよい。この場合、ノズル部材10やシール部材30の一部に、基板Pの表面との間でガスベアリングを形成可能な面を設けることにより、基板Pとの衝突を防止することができる。あるいは、アクチュエータを含む駆動機構を備えた支持機構によって、ノズル部材10やシール部材30を移動可能に支持するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、回収口22、第1吹出口32、第2吹出口52は、共に光路空間K1(投影領域AR)を囲むように平面視円環状に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、光路空間K1(投影領域AR)を平面視で四角枠状に囲むように構成してもよく、その形状は特に限定されるものではない。また、光路空間K1(投影領域AR)の全域を囲むように限定されるものでもない。例えば、光路空間K1(投影領域AR)のY軸方向の両側のみ、あるいはX軸方向の両側のみといったように、光路空間K1(投影領域AR)の一部を囲むように配置してもよく、液体LQの流出を防止できる条件で適宜変更することが可能である。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子FLが取り付けられており、この光学素子により投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子の物体面側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子FLを形成してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図16に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…液浸機構、2…シール機構、3…ガスベアリング機構、10…ノズル部材、12…供給口、22…回収口、30…シール部材、32…第1吹出口、42…第1排気口、44…第2排気口、46…吸引装置、50…ベアリング部材、50’…第2ノズル部材、52…第2吹出口、55…下面、80…支持装置、81…第1支持機構、82…第2支持機構、83…第3支持機構、86…弾性部材、87…内部空間、90…調整装置、EL…露光光、EX…露光装置、GS…気体、K1…光路空間、K2…内部空間、K3…外部空間(大気空間)、LQ…液体、P…基板