JP2011165798A - 露光装置、露光装置で使用される方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、液体を介して露光光で基板を露光する。露光装置は、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、基板の露光において射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置され、基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、露光装置、露光装置で使用される方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、例えば下記特許文献に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が使用される。
液浸露光装置において、例えば液体の気化に起因して温度変化が発生する可能性がある。温度変化が発生すると、例えば検出装置の検出精度が低下したり、基板等の部材が熱変形したりする可能性がある。その結果、露光不良が発生したり、不良デバイスが発生したりする可能性がある。
本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置、及び方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できるプログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、基板の露光において射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置され、基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口と、を備える露光装置が提供される。
露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、基板の露光において射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置され、基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口と、を備える露光装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、基板の露光において射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置され、基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、基板の非露光期間において液浸部材と射出面に対向する物体との間に第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口と、を備える露光装置が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、第1、第2の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置で使用される方法であって、光学部材の射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と基板との間に第1液浸空間を形成し、第1液浸空間の液体を介して基板を露光することと、基板の露光において光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を含む方法が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光装置で使用される方法であって、光学部材の射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と基板との間に第1液浸空間を形成し、第1液浸空間の液体を介して基板を露光することと、基板の露光において光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、基板の非露光期間において液浸部材と射出面に対向する物体との間に第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに吸引口から第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を含む方法が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、第4、第5の態様の方法を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第7の態様に従えば、コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、光学部材の射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と基板との間に第1液浸空間を形成し、第1液浸空間の液体を介して基板を露光することと、基板の露光において光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を実行させるプログラムが提供される。
本発明の第8の態様に従えば、コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、光学部材の射出面から射出される露光光の光路が液体で満たされるように光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と基板との間に第1液浸空間を形成し、第1液浸空間の液体を介して基板を露光することと、基板の露光において光路に対する放射方向に関して液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、基板の非露光期間において液浸部材と射出面に対向する物体との間に第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに吸引口から第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を実行させるプログラムが提供される。
本発明の第9の態様に従えば、第7、第8の態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測部材C及び計測器を搭載して移動可能な計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、計測ステージ3を移動する駆動システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、気体を吸引可能な吸引部材70と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8と、制御装置8に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置101とを備えている。記憶装置101は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置101には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
また、露光装置EXは、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置を計測する干渉計システム11と、基板ステージ2に保持された基板Pの表面の位置を検出する検出システム100とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
また、露光装置EXは、基板Pが処理される空間102の環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度の少なくとも一つ)を調整するチャンバ装置103を備えている。基板ステージ2及び計測ステージ3は、空間102を移動する。チャンバ装置103は、空間102を形成するチャンバ部材104と、その空間102の環境を調整する空調システム105とを有する。空調システム105は、空間102に気体を供給して、その空間102の環境を調整する。本実施形態においては、少なくとも基板ステージ2、計測ステージ3、及び投影光学系PLの終端光学素子12が空間102に配置される。本実施形態においては、空間102に、基板ステージ2、計測ステージ3、及び投影光学系PLのみならず、マスクステージ1、及び照明系ILの少なくとも一部も配置される。露光光ELは、空間102の少なくとも一部を進行する。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。本実施形態において、照明系ILは、照明領域IRの大きさ及び形状を調整可能なブラインド装置30を備えている。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に移動可能である。計測ステージ3は、計測部材Cを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。基板ステージ2と計測ステージ3とは、ガイド面10G上を独立して移動可能である。
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。同様に、計測ステージ3を移動するための駆動システム6は、平面モータを含み、計測ステージ3に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。
干渉計システム11は、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rに計測光Laを照射して、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2R、及び計測ステージ3に配置された計測ミラー3Rに計測光Laを照射して、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置を計測可能である。
検出システム100は、オートフォーカス・レベリング検出システムを含み、基板Pの表面に検出光Lbを照射して、その基板Pの表面の位置を検出可能である。なお、検出システム100は、基板ステージ2に保持された基板Pの表面のみならず、基板ステージ2の上面2U、及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一方の位置も検出可能である。
基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果、及び検出システム100の検出結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測部材C)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。液浸部材7は、終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、射出面13側に液浸空間LSが形成される。射出面13から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。射出面13は、露光光ELの進行方向(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面13は、XY平面とほぼ平行な平面である。なお、射出面13がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
液浸部材7は、少なくとも一部が−Z方向を向く下面14を有する。本実施形態において、射出面13及び下面14は、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間で液体LQを保持することができる。液浸空間LSは、射出面13及び下面14の少なくとも一部と投影領域PRに配置される物体との間に保持された液体LQによって形成される。液浸空間LSは、射出面13と、投影領域PRに配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。
本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体を含む。その物体は、射出面13及び下面14の少なくとも一方と対向可能な上面(表面)を有する。物体の上面は、射出面13及び下面14の少なくとも一方との間に液浸空間LSを形成可能である。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の上面(表面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
本実施形態において、その物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つを含む。
また、本実施形態においては、物体は、基板ステージ2に保持されたダミー基板DPを含む。ダミー基板DPは、基板Pとほぼ同じ外形である。ダミー基板DPは、感光膜を含まない。ダミー基板DPは、デバイスパターンを形成不可能な基板である。ダミー基板DPは、基板Pよりも異物を放出し難い基板である。本実施形態において、ダミー基板DPの表面は、液体LQに対して撥液性である。
もちろん、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、基板ステージ2に保持されたダミー基板DP、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つに限られない。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGqの少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部31と、第1保持部31の周囲に配置され、プレート部材Tをリリース可能に保持する第2保持部32とを有する。第1,第2保持部31,32は、ピンチャック機構を有する。プレート部材Tは、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。なお、第1保持部31と第2保持部32の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、プレート部材Tは基板ステージ2に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第1保持部31は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第2保持部32は、プレート部材Tの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの表面と第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。
また、第1保持部31は、ダミー基板DPを保持可能である。第1保持部31は、ダミー基板DPの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、ダミー基板DPを保持する。
第1保持部31に保持された基板P(ダミー基板DP)、及び第2保持部32に保持されたプレート部材Tは、駆動システム5の作動により基板ステージ2が移動することによって、投影領域PRに対して移動可能である。第1保持部31に保持された基板P(ダミー基板DP)の表面は、射出面13及び下面14の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。第2保持部31に保持されたプレート部材Tの上面は、射出面13及び下面14の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。
計測ステージ3は、計測部材Cをリリース可能に保持する第3保持部33と、第3保持部33の周囲に配置され、プレート部材Sをリリース可能に保持する第4保持部34とを有する。第3,第4保持部33,34は、ピンチャック機構を有する。プレート部材Sは、第3保持部33に保持された計測部材Cの周囲に配置される。なお、第3保持部33と第4保持部34の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、計測部材C及びプレート部材Sの少なくとも一方は計測ステージ3に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第3保持部33は、計測部材Cの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、計測部材Cを保持する。第4保持部34は、プレート部材Sの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Sを保持する。本実施形態において、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面と第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。
第3保持部33に保持された計測部材C、及び第4保持部34に保持されたプレート部材Sは、駆動システム6の作動により計測ステージ3が移動することによって、投影領域PRに対して移動可能である。第3保持部33に保持された計測部材Cの上面は、射出面13及び下面14の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面は、射出面13及び下面14の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。
本実施形態において、プレート部材Tの上面は、液体LQに対して撥液性である。また、プレート部材Sの上面も、液体LQに対して撥液性である。液体LQに対するプレート部材T、Sの上面の接触角は、90度以上である。本実施形態において、液体LQに対するプレート部材T、Sの上面の接触角は、110度以上である。本実施形態において、プレート部材Tの上面及びプレート部材Sの上面の少なくとも一方は、PFAの膜の表面を含む。
また、本実施形態において、計測ステージ3は、光センサ等の計測器を搭載する。本実施形態において、計測部材Cは、例えば石英など、露光光ELを透過可能な部材を含み、計測部材Cの少なくとも一部は、露光光ELを透過可能な光透過部を含む。第3保持部33に保持された計測部材Cの上面に照射された露光光ELは、計測部材Cの光透過部を介して、計測器に照射される。計測器は、終端光学素子12より射出され、計測部材Cの光透過部を介した露光光ELを受光する。
なお、基板を保持して移動可能な基板ステージと、基板を保持せずに、露光光を計測する計測部材(計測器)を搭載して移動可能な計測ステージとを備えた露光装置の一例が、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されている。
ここで、以下の説明において、第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面を適宜、基板ステージ2の上面2U、と称し、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面及び第4保持部34に保持されたプレート部材Sの上面を合わせて適宜、計測ステージ3の上面3U、と称する。
図2は、本実施形態に係る液浸部材7及び吸引部材70の一例を示す側断面図である。なお、図2を用いる説明においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板Pが配置される場合を例にして説明するが、上述のように、基板ステージ2(プレート部材T)、及び計測ステージ3(プレート部材S、計測部材C)を配置することもできる。
図2に示すように、液浸部材7は、射出面13と対向する位置に開口7Kを有する。射出面13から射出された露光光ELは、開口7Kを通過して、基板Pに照射可能である。本実施形態において、液浸部材7の下面14は、開口7Kの周囲に配置された平坦面7Hを含む。
また、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、供給口15から供給された液体LQの少なくとも一部を回収可能な回収口16とを備えている。供給口15は、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの近傍において、その光路Kに面するように配置されている。供給口15は、流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。流路17は、液浸部材7の内部に形成された供給流路、及びその供給流路と液体供給装置18とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、流路17を介して供給口15に供給される。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する基板P(物体)上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口16は、露光光ELが通過する開口7Kの周囲に配置されている。回収口16は、物体の表面と対向する液浸部材7の所定位置に配置されている。回収口16には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材19が配置されている。なお、回収口16に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。また、回収口16に多孔部材19が配置されていなくてもよい。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、多孔部材19の下面を含む。回収口16は、流路20を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。流路20は、液浸部材7の内部に形成された回収流路、及びその回収流路と液体回収装置21とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口16から回収された液体LQは、流路20を介して、液体回収装置21に回収される。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
吸引部材70は、液浸部材7の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態において、吸引部材70は、環状の部材であり、液浸部材7の周囲に配置されている。本実施形態において、吸引部材70は、投影領域PRに配置される物体が対向可能な下面71を有する。基板Pの露光において、吸引部材70の下面71は、基板Pの表面と対向する。
吸引部材70は、露光光ELの光路Kに対する放射方向に関して液浸部材7の外側に配置された吸引口72を備えている。吸引口72は、基板P(物体)の表面と対向可能である。
本実施形態において、吸引口72は、下面71に配置されている。本実施形態において、吸引口72は、環状であり、回収口16の周囲に配置されている。なお、吸引口72が、回収口16を囲むように、所定間隔で複数配置されてもよい。
本実施形態において、吸引口72は、下面71に配置されている。本実施形態において、吸引口72は、環状であり、回収口16の周囲に配置されている。なお、吸引口72が、回収口16を囲むように、所定間隔で複数配置されてもよい。
吸引口72は、基板Pの露光時において、気体を吸引する。基板Pの露光時において、液浸空間LSの液体LQの界面LGqは、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に配置される。界面LGqが液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に配置されている通常状態において、液浸空間LSの液体LQは、吸引部材70の下面71と基板Pの表面との間の空間に流入せず、吸引口72は、液体LQを吸引しない。通常状態において、吸引口72は、液浸空間LSの周囲の気体の少なくとも一部を吸引可能である。
液浸空間LSが形成されている場合、その液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部が気化し、周囲の空間に放出される可能性がある。すなわち、液体LQの気化により、液浸空間LSの周囲の空間(界面LGqの外側の気体空間)の湿度が高くなる可能性がある。本実施形態においては、液浸空間LSの周囲の少なくとも一部に吸引口72が配置されている。制御装置7は、吸引口72を用いる吸引動作を実行することによって、液浸空間LSの周囲の高湿度の気体を吸引口72から吸引することができる。すなわち、基板Pの露光時において、液浸空間LSが形成されているときに吸引口72が気体を吸引することにより、高湿度の気体が吸引部材70と基板Pとの間の空間の外側に流出(放出)されることが抑制される。
図2に示すように、本実施形態において、検出システム100は、光路Kに対する放射方向に関して吸引口72(吸引部材70)の外側に配置されている。検出システム100は、光路Kに対する放射方向に関して吸引口72の外側において、検出光Lbを用いる基板Pの表面の位置検出処理を実行する。液浸空間LSの周囲の高湿度の気体は、吸引口72から吸引されるので、その高湿度の気体が検出システム100の検出光Lbの光路上に流入することが抑制される。検出システム100の検出光Lbの光路の環境は、チャンバ装置103によって制御される。これにより、例えば基板Pの露光時に、検出システム100の検出精度の低下が抑制される。
また、干渉計システム11は、光路Kに対する放射方向に関して吸引口72の外側において、計測光Laを用いる基板ステージ2、計測ステージ3、及びマスクステージ1の位置計測処理を実行する。液浸空間LSの周囲の高湿度の気体は、吸引口72から吸引されるので、その高湿度の気体が干渉計システム11の計測光Laの光路上に流入することが抑制される。これにより、干渉計システム11の計測精度の低下が抑制される。
なお、露光装置EXが、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているようなエンコーダシステム、あるいはアライメントシステム等を備えていてもよい。これらのシステムも、吸引口72の外側において検出光を用いる検出処理を実行する。吸引口72によって高湿度の気体が検出光の光路上に流入することを抑制することができる。
吸引口72は、流路73を介して、吸引装置74と接続されている。吸引装置74は、吸引口72を真空システムに接続可能であり、吸引口72を介して気体を吸引可能である。流路73は、吸引部材70の内部に形成された吸引流路、及びその吸引流路と吸引装置74とを接続する吸引管で形成される流路を含む。吸引口72から吸引された気体は、流路73を介して、吸引装置74に吸引される。
なお、基板Pの露光において、吸引口72が液体LQを吸引してもよい。例えば基板Pの移動条件(移動速度、加速度、及び移動距離等)、及び基板Pの表面の状態等によっては、液浸空間LSの液体LQが、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間の空間から流出してしまう可能性がある。吸引口72は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間の空間から流出し、吸引部材70の下面71と基板Pの表面との間の空間に流入した液体LQを吸引可能である。また、吸引口72は、回収口16が回収しきれず、基板P上に残留した液体LQを吸引することもできる。これにより、液体LQが漏出したり、基板P上に残留したりすることが抑制される。
なお、吸引部材70の下面71と基板Pの表面との間の空間に液体LQが流入した場合、吸引口72の吸引動作が停止されてもよい。吸引口72が液体LQを吸引することによって液体LQの気化熱が発生する場合、吸引部材70の下面71と基板Pの表面との間の空間に流入した液体LQを吸引口72で吸引しないようにすることによって、気化熱の発生、及び温度変化の発生を抑制することができる。
なお、吸引口72に多孔部材を配置し、その多孔部材の孔を介して気体を吸引してもよい。また、多孔部材の孔の内面を液体LQに対して撥液性し、その多孔部材の孔を介して気体のみが吸引されるように、基板Pの表面に面する多孔部材の下面側の圧力と、吸引部材70の内部に形成された吸引流路に面する多孔部材の上面側の圧力との差を調整してもよい。多孔部材の孔の内面を液体LQに対して撥液性にして、多孔部材の下面側と上面側との圧力差を調整することによって、吸引部材70と基板Pとの間の空間に液体LQが存在する場合でも、その液体LQを吸引せず、気体のみを吸引することができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について説明する。
制御装置8は、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)する処理を実行する。制御装置8は、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)するために、図3に示すように、液浸部材7から離れた基板ステージ2を基板交換位置CPに移動する。なお、例えば露光後の基板Pが第1保持部31に保持されている場合、その露光後の基板Pが第1保持部31から搬出(アンロード)する処理が実行された後、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)する処理が実行される。
基板交換位置CPは、基板Pの交換処理が実行可能な位置である。基板Pの交換処理は、搬送装置36を用いて、第1保持部31に保持された露光後の基板Pを第1保持部31から搬出(アンロード)する処理、及び第1保持部31に露光前の基板Pを搬入(ロード)する処理の少なくとも一方を含む。制御装置8は、液浸部材7から離れた基板交換位置CPに基板ステージ2を移動して、基板Pの交換処理を実行する。
基板ステージ2が液浸部材7から離れている期間の少なくとも一部において、制御装置8は、計測ステージ3を液浸部材7に対して所定位置に配置して、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3の上面3Uとの間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。
また、基板ステージ2が液浸部材7から離れた期間の少なくとも一部において、必要に応じて、計測部材C(計測器)を用いる計測処理が実行される。計測部材C(計測器)を用いる計測処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3とを対向させ、終端光学素子12と計測部材Cとの間の光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、投影光学系PL及び液体LQを介して計測部材Cに露光光ELを照射して、計測部材Cを用いる計測処理を実行する。その計測処理の結果は、基板Pの露光処理に反映される。
露光前の基板Pが第1保持部31にロードされ、計測部材Cを用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を投影領域PRに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSを形成する。本実施形態においては、例えば米国特許出願公開第2006/0023186号明細書、米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているように、制御装置8は、液浸空間LSが形成された状態で、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方と終端光学素子12及び液浸部材7との間に液体LQを保持可能な空間を形成し続けるように、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとを接近又は接触させた状態で、基板ステージ2の上面2U及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一方と終端光学素子12の射出面13及び液浸部材7の下面14とを対向させつつ、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に移動させることができる。これにより、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2との間に液浸空間LSが形成可能な状態、及び終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3との間に液浸空間LSが形成可能な状態の一方から他方へ変化させることができる。すなわち、制御装置8は、液体LQの漏出を抑制しつつ、液浸部材7の下面14側に形成された液浸空間LSが基板ステージ2の上面2U上と計測ステージ3の上面3U上との間を移動するように、基板ステージ2及び計測ステージ3を液浸部材7に対して移動させることができる。
以下の説明において、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとを接近又は接触させた状態で、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に同期移動させる動作を適宜、スクラム移動、と称する。
本実施形態においては、スクラム移動を実行するとき、図4に示すように、制御装置8は、基板ステージ2の+Y側の側面2Fと、その基板ステージ2と対向可能な計測ステージ3の−Y側の側面3Fとを所定のギャップを介して対向させる。そして、制御装置8は、そのギャップを維持した状態で、基板ステージ2及び計測ステージ3を同時に移動(同期移動)させる。本実施形態においては、スクラム移動を実行するとき、制御装置8は、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとで実質的に一つの連続面が形成されるように、基板ステージ2の上面2Uと計測ステージ3の上面3Uとの位置関係を調整する。
スクラム移動を実行して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。基板Pの露光処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2とを対向させ、終端光学素子12と基板Pとの間の光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。基板Pの露光において、液浸部材7は、射出面13から射出される露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように基板Pとの間に液体LQを保持して液浸空間LSを形成する。制御装置8は、照明系ILにより露光光ELで照明されたマスクMからの露光光ELを投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに照射する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。
図2に示すように、基板Pの露光において、吸引口72は、下面71と基板Pの表面との間の気体の少なくとも一部を吸引する。本実施形態おいて、吸引口72は、基板Pの露光において第1吸引力F1で気体を吸引する。吸引力は、吸引口72から吸引される単位時間当たりの気体吸引量を含む。これにより、液浸空間LSの周囲の高湿度の気体が、吸引部材70と基板Pとの間の空間の外側に流出することが抑制される。
また、図2に示すように、本実施形態においては、基板Pの露光において、液浸空間LSの大きさ(寸法)は、第1寸法W1に定められる。図2に示す第1寸法W1は、基板Pがほぼ静止している状態で液浸空間LSを形成した場合の、射出面13とほぼ平行な面内(XY平面内)における液浸空間LSの寸法である。
以下の説明においては、終端光学素子12及び液浸部材7とほぼ静止している物体との間に形成される液浸空間の大きさ(寸法)を、液浸空間の大きさ(寸法)、と称する。なお、物体が所定の移動条件(移動速度、加速度、及び移動距離等)で移動している状態で形成される液浸空間の大きさ(寸法)を、液浸空間の大きさ(寸法)としてもよい。
本実施形態においては、制御装置8は、基板Pの露光において液浸空間LSの大きさが第1寸法W1になるように、供給口15からの液体LQの供給量と、回収口16からの液体LQの回収量とを調整する。上述のように、本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、液浸空間LSを形成する。本実施形態においては、液浸空間LSが第1寸法W1になるように、供給口15から単位時間当たり第1供給量で液体LQが供給され、その液体LQの供給動作と並行して、回収口16から単位時間当たり第1回収量で液体LQが回収される。
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、スクラム移動を実行し、終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3との間に液浸空間LSを形成する。制御装置8は、基板ステージ2を基板交換位置CPに移動する。制御装置8は、基板交換位置CPに移動した基板ステージ2から露光後の基板Pを搬出し、次に露光される基板Pを基板ステージ2に搬入する。なお、基板ステージ2からアンロードされた露光後の最初の基板Pは、外部装置に供給され、例えば現像処理等、所定の処理を施される。
以下、制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
なお、本実施形態においては、基板Pの交換処理、計測ステージ3を用いる計測処理、及び基板Pの露光処理を含む露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、供給口15から露光光ELの光路K及び基板P上に液体LQが供給されるとともに、基板P上の液体LQの少なくとも一部が回収口16から回収される。また、露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、吸引口72の吸引動作が実行される。本実施形態においては、供給口15からの液体LQの供給動作及び回収口16からの液体LQの回収動作が実行されて液浸空間LSが形成されている間、吸引口72の吸引動作も継続される。露光シーケンスにおいて、吸引口72は、第1吸引力F1で気体を吸引する。吸引口72に対向する基板P上に液体LQが存在しない場合には、吸引口72は、周囲の気体を吸引する。一方、吸引口72に対向する基板P上に液体LQが存在する場合には、吸引口72から、その基板P上の液体LQを吸引してもよいし、しなくてもよい。上述のように、吸引口72から液体LQを吸引することによって、液体LQの漏出、残留等を抑制することができる。一方、吸引口72から液体LQを吸引しないことによって、液体LQの気化、及びその気化に伴う気化熱(温度変化)の発生を抑制することができる。
ところで、基板Pの露光中、基板Pから発生(溶出)した物質(例えば感光材等の有機
物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。上述したように、基板Pの交換処理、計測ステージ3を用いる計測処理、及び基板Pの露光処理を含む露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7、基板ステージ2、及び計測ステージ3の少なくとも一部と接触する。
物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。上述したように、基板Pの交換処理、計測ステージ3を用いる計測処理、及び基板Pの露光処理を含む露光シーケンスの少なくとも一部の期間において、液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7、基板ステージ2、及び計測ステージ3の少なくとも一部と接触する。
したがって、液浸空間LSの液体LQ中に異物が混入すると、液浸部材7の下面14、回収口16に配置されている多孔部材19、基板ステージ2の上面2U、及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一部に異物が付着する可能性がある。それら液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材の表面(液体接触面)に異物が付着している状態を放置しておくと、その異物が露光中に基板Pに付着したり、供給口15から供給された液体LQが汚染されたりする可能性がある。また、液浸部材7の下面14、基板ステージ2の上面2U、計測ステージ3の上面3Uが汚染されると、例えば液浸空間LSを良好に形成できなくなる可能性もある。その結果、露光不良が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、制御装置8は、所定のタイミングで、液浸空間LSの
液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材をクリーニングする処理を実行する。なお、液体LQと接触しない部材のクリーニング処理を実行してもよい。
液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材をクリーニングする処理を実行する。なお、液体LQと接触しない部材のクリーニング処理を実行してもよい。
以下、基板Pの露光において液体LQと接触する露光装置EX内の所定部材のうち、主に液浸部材7をクリーニングする場合を例にして説明する。
図5は、液浸部材7のクリーニング処理を含むクリーニングシーケンスを説明するための図である。本実施形態においては、液浸部材7のクリーニングにおいて、液浸部材7と、射出面13及び下面14に対向する物体との間に液浸空間LTが形成される。以下の説明においては、射出面13及び下面14に対向する物体が、第1基板保持部31に保持されたダミー基板DPであることとする。なお、物体が、基板ステージ2でもよいし、計測ステージ3でもよい。
本実施形態においては、液浸部材7は、液浸空間LTの液体LRによってクリーニングされる。すなわち、液浸部材7と液体LRとが接触することによって、液浸部材7がクリーニングされる。本実施形態においては、液浸部材7のクリーニングにおいて、基板Pの露光時に形成された液浸空間LSよりも大きい液浸空間LTが形成される。クリーニングにおいて形成される液浸空間LTの大きさ(寸法)は、第2寸法W2である。第2寸法W2は、第1寸法W1よりも大きい。
以下の説明において、基板Pの露光時において形成される液浸空間LSを適宜、第1液浸空間LS、と称し、液浸部材7のクリーニング時において形成される液浸空間LTを適宜、第2液浸空間LT、と称する。第2液浸空間LTの第2寸法W2は、第1液浸空間LSの第1寸法W1よりも大きい。
本実施形態において、第2液浸空間LTは、水によって形成される。すなわち、本実施形態において、第1液浸空間LSを形成する液体LQと、第2液浸空間LTを形成する液体LRとは、同じである。なお、第1液浸空間LSを形成する液体LQと、第2液浸空間LTを形成する液体LRとが異なってもよい。例えば、第2液浸空間LTを形成する液体LRが、アルカリ洗浄液を含んでもよい。例えば、液体LRが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetramethyl ammonium hydroxide)水溶液のようなアルカリ水溶液でもよい。また、液体LRが、アルコールでもよい。例えば、液体LRが、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、及びペンタノールの少なくとも一つでもよい。また、液体LRが、過酸化水素を含んでもよい。
本実施形態において、第2液浸空間LTを形成するための液体LRは、供給口15から供給される。また、第2液浸空間LTを形成する液体LRの少なくとも一部は、回収口16から回収される。制御装置8は、供給口15からの液体LRの供給動作と並行して、回収口16からの液体LRの回収動作を実行して、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板DPとの間に液体LRで第2液浸空間LTを形成する。制御装置8は、第2液浸空間LTが第1寸法W1よりも大きい第2寸法W2になるように、供給口15から単位時間当たり第2供給量で液体LRを供給し、その液体LRの供給動作と並行して、回収口16から単位時間当たり第2回収量で液体LRを回収する。
例えば、第2液浸空間LTを形成するために液体LRを供給するときの第2供給量を、第1液浸空間LSを形成するために液体LQを供給するときの第1供給量よりも多くすることによって、第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成することができる。
また、第2液浸空間LTから液体LRを回収するときの第2供給量を、第1液浸空間LSから液体LQを回収するときの第1回収量よりも少なくすることによって、第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成することもできる。
もちろん、液体LRを供給するときの第2供給量、及び液体LRを回収するときの第2回収量の両方を調整して、第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成することもできる。
液浸部材7のクリーニングにおいて第2液浸空間LTを大きくすることによって、液体LRと接触する液浸部材7の表面(下面14)の領域(面積)を大きくすることができる。これにより、液体LRで液浸部材7を良好にクリーニングできる。
図5に示すように、液浸部材7のクリーニングにおいて、吸引口72は、下面71と基板Pの表面との間の気体の少なくとも一部を吸引する。本実施形態においては、第2液浸空間LTが形成されている状態で、吸引口72は、液浸部材7のクリーニングの少なくとも一部において第1吸引力F1よりも小さい第2吸引力F2で気体を吸引する。吸引力は、吸引口72から吸引する単位時間当たりの気体吸引量を含む。すなわち、制御装置8は、基板Pの露光時よりも単位時間当たり少ない吸引量で吸引口72から気体を吸引する。
第2液浸空間LTを大きくすることによって、液浸部材7の表面の広い領域をクリーニングできる。第2液浸空間LTを大きくすることによって、第2液浸空間LTの液体LRが、回収部材70とダミー基板DPとの間の空間に流入する可能性が高くなる。回収部材70とダミー基板DPとの間の空間に液体LRが存在する状態で、大きい吸引力で吸引口72から液体LRを吸引した場合、液体LRの気化が発生しやすくなり、その気化による温度変化が大きくなってしまう可能性がある。
本実施形態においては、基板Pの非露光期間において液浸部材7とダミー基板DPとの間に第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成するための動作が実行されるときに、吸引口72からの気体の吸引力を小さくするようにしたので、液体LRの気化を抑制することができる。したがって、気化熱の発生を抑制することができ、温度変化の発生を抑制することができる。
本実施形態において、第2吸引力F2は、零を含む。すなわち、制御装置8は、第2液浸空間LTが形成されているときに、吸引口72からの気体の吸引を停止してもよい。こうすることによっても、温度変化の発生を抑制することができる。
本実施形態においては、液浸部材7のクリーニングにおいて、第2液浸空間LTを大きくする動作及び小さくする動作が実行される。本実施形態において、制御装置8は、第2液浸空間LTの大きさが、第1寸法W1よりも大きい第2寸法W2と、第1寸法W2よりも小さい第3寸法W3との一方から他方へ複数回変化するように、その第2液浸空間LTの大きさを調整する。制御装置8は、供給口15からの単位時間当たりの液体LRの供給量、及び回収口16からの単位時間当たりの液体LRの回収量の少なくとも一方を調整して、第2液浸空間LTを大きくする動作及び小さくする動作を実行する。第2液浸空間LTの大きさを変化させることによって、下面14とダミー基板DPの表面との間において第2液浸空間LTの液体LRの界面LGrの位置が光路Kに対する放射方向に関して変化し、液浸部材7のクリーニング効果をより高めることができる。
また、本実施形態においては、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板DPとの間に第2液浸空間LTが形成された状態で、ダミー基板DP(基板ステージ2)をXY平面内において移動させる。これにより、第2液浸空間LTの液体LRに流れが生じ、液浸部材7のクリーニング効果をより高めることができる。ダミー基板DPを移動することによって、下面71とダミー基板DPの表面との間に液体LRが流入する可能性が高くなるが、吸引口72の吸引力が小さいので、温度変化の発生を抑制することができる。
以上、第2液浸空間LTを形成して液浸部材7をクリーニングする場合を例にして説明した。終端光学素子12及び液浸部材7と物体の上面(ダミー基板DPの上面、基板ステージ2の上面2U、及び計測ステージ3の上面3Uの少なくとも一つ)との間に第2液浸空間LTが形成されることによって、液浸部材7のみならず、終端光学素子12、及び物体の少なくとも一方も、第2液浸空間LTの液体LRでクリーニングすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、基板Pの非露光期間において液浸部材7と物体との間に第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成するための動作が実行されるときに吸引口72の吸引力を小さくするようにしたので、液体LRを気体とともに吸引口72から吸引した場合でも、気化熱の発生、及び温度変化の発生を抑制することができる。また、吸引口72の吸引を停止することによっても、温度変化の発生を抑制することができる。したがって、検出光Lbを用いる検出処理を実行する検出システム100等の検出精度が低下したり、基板ステージ2等の部材が熱変形したりすることを抑制することができる。したがって、クリーニングシーケンス後に実行される基板Pの露光シーケンスにおいて露光不良が発生することを抑制でき、不良デバイスが発生することを抑止することができる。
なお、本実施形態において、吸引口72から第2吸引力F2で気体を吸引する動作は、クリーニングシーケンスの全部において実行されてもよいし、一部において実行されてもよい。
なお、本実施形態において、第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成する動作は、クリーニングシーケンスの全部において実行されてもよいし、一部において実行されてもよい。
なお、本実施形態においては、液浸部材7等のクリーニングシーケンスにおいて、第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成するための動作が実行されることとしたが、例えば基板Pの露光を含む露光シーケンスにおいて、液浸空間LSを大きくする可能性もある。例えば、基板Pの露光において、基板Pの移動条件に応じて液浸空間LSを大きくするための動作が実行される可能性がある。基板Pの移動条件は、基板Pの移動速度、加速度、XY平面内における所定の一方向への移動距離、及びXY平面内における終端光学素子12及び液浸部材7に対する基板Pの移動軌跡の少なくとも一つを含む。また、露光光ELの照射条件に応じて、液浸空間LSを大きくするための動作が実行される可能性もある。基板Pの移動条件及び露光光ELの照射条件を含む露光条件に応じて、液浸空間LSを第1寸法W1よりも大きくするための動作が実行されるときに、第1吸引力F1よりも小さい吸引力で吸引口72から気体を吸引することによって、基板Pの露光において温度変化の発生を抑制することができる。
なお、液浸空間LSを大きくするための動作は、供給口15からの液体供給量を多くする動作、及び回収口16からの液体回収量を少なくする動作の少なくとも一方を含む。
なお、上述の実施形態においては、基板Pの露光において液体LQを供給する供給口15が、液浸部材7のクリーニングにおいて液体LRを供給することとしたが、供給口15とは別の供給口から液体LRを供給してもよい。また、基板Pの露光において液体LQを回収する回収口16が、液浸部材7のクリーニングにおいて液体LRを回収することとしたが、回収口16とは別の回収口から液体LRを回収してもよい。
なお、上述の実施形態においては、吸引口72の吸引力を小さくする非露光期間が、液浸部材7のクリーニングシーケンスの期間であることとしたが、例えば、所定数のロットの基板Pの露光処理を含む露光シーケンスが終了し、次の指令が入力されるまでのアイドリング期間でもよい。アイドリング期間において、例えば終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージ3等の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成する場合において、そのアイドリング期間の液浸空間LSの寸法が、露光シーケンスの液浸空間LSの寸法より大きい場合、アイドリング期間における吸引口72の吸引力を、露光シーケンスにおける吸引力より小さくしてもよい。
なお、上述の実施形態において、液浸部材7の温度を調整する温度調整装置を設けることができる。例えば、吸引口72から液体LQ、LRが吸引されるときに、温度調整装置で液浸部材7の温度を調整することができる。温度調整装置は、例えば液浸部材7に接触するように配置されたヒータ機構を含む。あるいは、液浸部材7の内部に温度調整用の流体が流通可能な流路を形成し、その流路に温度調整用の流体を流して、液浸部材7の温度を調整してもよい。
なお、上述したように、制御装置8は、CPU等を含むコンピュータシステムを含む。また、制御装置8は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。記憶装置101は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置101には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
なお、制御装置8に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。また、液晶表示ディスプレイ等の表示装置が設けられていてもよい。
記憶装置101に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)8が読み取り可能である。記憶装置101には、制御装置8に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。
記憶装置101に記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、終端光学素子12の射出面13から射出される露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材7と基板Pとの間に第1液浸空間LSを形成し、第1液浸空間LSの液体LQを介して基板Pを露光する処理と、基板Pの露光において光路Kに対する放射方向に関して液浸部材7の外側に配置される吸引口72から第1吸引力F1で気体を吸引する処理と、液浸部材7のクリーニングの少なくとも一部において液浸部材7と射出面13に対向する物体との間に第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTが形成されるときに第1吸引力F1よりも小さい第2吸引力F2で気体を吸引する処理とを実行させることができる。
また、記憶装置101に記憶されているプログラムは、終端光学素子12の射出面13から射出される露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材7と基板Pとの間に第1液浸空間LSを形成し、第1液浸空間LSの液体LQを介して基板Pを露光する処理と、基板Pの露光において光路Kに対する放射方向に関して液浸部材7の外側に配置される吸引口72から第1吸引力F1で気体を吸引することと、基板Pの非露光期間において液浸部材7と射出面13に対向する物体との間に第1液浸空間LSよりも大きい第2液浸空間LTを形成するための動作が実行されるときに吸引口72から第1吸引力F1よりも小さい第2吸引力F2で気体を吸引する処理とを実行させることができる。
記憶装置101に記憶されているプログラムが制御装置8に読み込まれることにより、基板ステージ2、計測ステージ3、液浸部材7、吸引部材70、液体供給装置18、液体回収装置21、及び吸引装置74等、露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光、及びクリーニング処理等、各種の処理を実行する。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図6に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。基板処理ステップは、上述のクリーニング処理を含み、上述の実施形態に従って、吸引口72からの吸引力を調整することを含む。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、2U…上面、3…計測ステージ、3U…上面、7…液浸部材、8…制御装置、12…終端光学素子、13…射出面、14…下面、15…供給口、16…回収口、70…吸引部材、72…吸引口、101…記憶装置、DP…ダミー基板、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LR…液体、LS…液浸空間、LT…液浸空間、P…基板
Claims (23)
- 液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が射出される射出面を有する光学部材と、
前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、前記基板の露光において前記射出面から射出される前記露光光の光路が前記液体で満たされるように前記基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、
前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置され、前記基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、前記液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口と、を備える露光装置。 - 前記クリーニングの少なくとも一部において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間が形成される請求項1記載の露光装置。
- 前記クリーニングにおいて、前記第2液浸空間を大きくする動作及び小さくする動作が実行される請求項2記載の露光装置。
- 前記クリーニングにおいて、前記第2液浸空間の液体で前記液浸部材、前記光学部材、及び前記物体の少なくとも一つがクリーニングされる請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
- 液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が射出される射出面を有する光学部材と、
前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、前記基板の露光において前記射出面から射出される前記露光光の光路が前記液体で満たされるように前記基板との間に第1液浸空間を形成する液浸部材と、
前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置され、前記基板の露光において第1吸引力で気体を吸引し、前記基板の非露光期間において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引する吸引口と、を備える露光装置。 - 液体を供給する供給口と、
前記供給口から供給された液体の少なくとも一部を回収する回収口と、を備え、
前記動作は、前記第2液浸空間を形成するための液体供給量を、前記第1液浸空間を形成するための液体供給量よりも多くする動作を含む請求項5記載の露光装置。 - 液体を供給する供給口と、
前記供給口から供給された液体の少なくとも一部を回収する回収口と、を備え、
前記動作は、前記第2液浸空間からの液体回収量を、前記第1液浸空間からの液体回収量よりも少なくする動作を含む請求項5記載の露光装置。 - 前記非露光期間において、前記第2液浸空間の液体で前記液浸部材、前記光学部材、及び前記物体の少なくとも一つがクリーニングされる請求項5〜7のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記第1液浸空間を形成する液体と、前記第2液浸空間を形成する液体とは異なる請求項1〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記光路に対する放射方向に関して前記吸引口の外側において検出光を用いる検出処理を実行する検出装置を備える請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記第2液浸空間が形成された状態で前記物体が移動される請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記物体は、前記基板を保持可能である請求項11記載の露光装置。
- 前記物体は、前記露光光を計測する計測器を搭載する請求項11記載の露光装置。
- 前記基板をリリース可能に保持する基板保持部を有する基板ステージを備え、
前記物体は、前記基板保持部に保持されるダミー基板を含む請求項11記載の露光装置。 - 請求項1〜14のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。 - 液体を介して露光光で基板を露光装置で使用される方法であって、
光学部材の射出面から射出される前記露光光の光路が液体で満たされるように前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と前記基板との間に第1液浸空間を形成し、前記第1液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板の露光において前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、
前記液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を含む方法。 - 前記クリーニングの少なくとも一部において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間が形成される請求項16記載の方法。
- 液体を介して露光光で基板を露光装置で使用される方法であって、
光学部材の射出面から射出される前記露光光の光路が液体で満たされるように前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と前記基板との間に第1液浸空間を形成し、前記第1液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板の露光において前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、
前記基板の非露光期間において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに前記吸引口から前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を含む方法。 - 請求項16〜18のいずれか一項記載の方法を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。 - コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
光学部材の射出面から射出される前記露光光の光路が液体で満たされるように前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と前記基板との間に第1液浸空間を形成し、前記第1液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板の露光において前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、
前記液浸部材のクリーニングの少なくとも一部において前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を実行させるプログラム。 - 前記クリーニングの少なくとも一部において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間が形成される請求項20記載のプログラム。
- コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
光学部材の射出面から射出される前記露光光の光路が液体で満たされるように前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材と前記基板との間に第1液浸空間を形成し、前記第1液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板の露光において前記光路に対する放射方向に関して前記液浸部材の外側に配置される吸引口から第1吸引力で気体を吸引することと、
前記基板の非露光期間において前記液浸部材と前記射出面に対向する物体との間に前記第1液浸空間よりも大きい第2液浸空間を形成するための動作が実行されるときに前記吸引口から前記第1吸引力よりも小さい第2吸引力で気体を吸引することと、を実行させるプログラム。 - 請求項20〜22のいずれか一項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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