JP2011233690A - クリーニング方法、露光装置、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】部材をクリーニングして露光不良の発生を抑制できるクリーニング方法を提供する。
【解決手段】第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置のクリーニング方法は、露光の前及び後の少なくとも一方において、露光において基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材の表面の、露光において露光光が照射されない所定領域に洗浄光を照射することを含む。
【選択図】図5
Description
本発明は、クリーニング方法、露光装置、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、例えば下記特許文献に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が使用される。
液浸露光装置において、露光装置の部材が汚染されると、例えば基板に形成されるパターンに欠陥が生じる等、露光不良が発生する可能性がある。その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。そのため、部材を良好にクリーニングできる技術の案出が望まれる。
本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できるクリーニング方法、及び露光装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、部材をクリーニングして露光不良の発生を抑制できるプログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置のクリーニング方法であって、露光の前及び後の少なくとも一方において、露光において基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材の表面の、露光において露光光が照射されない所定領域に洗浄光を照射することを含むクリーニング方法が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置のクリーニング方法であって、露光の少なくとも一部において、基板と基板の周囲の少なくとも一部に配置される所定部材との間隙に対する第1液体の浸入を検出することと、検出の結果に基づいて、基板の周囲に配置される所定部材の表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することと、を含むクリーニング方法が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、第1、第2の態様のクリーニング方法でクリーニングされた露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、露光において基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材と、洗浄光を射出する光学部材と、を備え、露光の前及び後の少なくとも一方において、所定部材の表面のうちの、露光において露光光が照射されない所定領域に光学部材からの洗浄光を照射する露光装置が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、第4の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、 露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、コンピュータに、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、第1液体を介して露光光で基板を露光することと、露光の前及び後の少なくとも一方において、露光において基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材の表面の、露光において露光光が照射されない所定領域に洗浄光を照射することと、を実行させるプログラムが提供される。
本発明の第7の態様に従えば、コンピュータに、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、第1液体を介して露光光で基板を露光することと、露光の少なくとも一部において、基板と基板の周囲の少なくとも一部に配置される所定部材との間隙に対する第1液体の浸入を検出することと、検出の結果に基づいて、基板の周囲に配置される所定部材の表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することと、を実行させるプログラムが提供される。
本発明の第8の態様に従えば、第6、第7の態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測部材(計測器)Cを搭載して移動可能な計測ステージ3とを備えた露光装置である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板ステージ2と、計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、計測ステージ3を移動する駆動システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8と、制御装置8に接続された記憶装置30とを備えている。記憶装置30は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含み、露光に関する各種の情報を記憶する。記憶装置30には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、計測部材Cを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。同様に、計測ステージ3を移動するための駆動システム6は、平面モータを含み、計測ステージ3に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。
本実施形態において、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置情報は、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む干渉計システム11によって計測される。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2R、及び計測ステージ3に配置された計測ミラー3Rを用いて、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置を計測可能である。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測部材C)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、射出面13から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子12と、終端光学素子12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体であり、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つを含む。
本実施形態において、液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体と対向可能な下面14を有する。液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体との間で液体LQを保持することができる。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
図2は、本実施形態に係る液浸部材7及び基板ステージ2の一例を示す側断面図である。なお、図2を用いる説明においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板P及び基板ステージ2の少なくとも一方が配置される場合を例にして説明するが、上述のように、例えば計測ステージ3等、所定の物体を配置することもできる。
本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部31と、第1保持部31の周囲の少なくとも一部に配置され、カバー部材Tをリリース可能に保持する第2保持部32とを有する。第1,第2保持部31,32は、例えばピンチャック機構を有する。なお、第1保持部31及び第2保持部32の少なくとも一方で使用される保持機構は、ピンチャック機構に限られない。基板ステージ2が移動することによって、第1保持部31に保持された基板P、及び第2保持部32に保持されたカバー部材Tは、投影領域PRに対して移動可能である。
カバー部材Tは、基板Pを配置可能な開口TKを有する。基板Pの露光において、カバー部材Tは、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。なお、カバー部材Tが、第1保持部31に保持された基板Pの周囲の一部に配置されてもよい。
なお、カバー部材Tが基板ステージ2に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第1保持部31は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持可能である。第2保持部32は、カバー部材Tの上面2UとXY平面とがほぼ平行となるように、カバー部材Tを保持可能である。すなわち、基板Pの露光の少なくとも一部において、カバー部材Tの上面2Uは、基板Pの表面の周囲において基板Pの表面とほぼ平行である。本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの表面と第2保持部32に保持されたカバー部材Tの上面2Uとは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。なお、Z軸方向に関する基板Pの表面の位置とカバー部材Tの上面2Uの位置とが異なってもよい。基板Pの表面の位置とカバー部材Tの上面2Uとが平行でなくてもよい。
カバー部材Tは、基板Pの露光において第1保持部31に保持された基板PのエッジEpに間隙Gを介して隣り合う内側エッジEtを有する。カバー部材Tの内側エッジEtは、内側面を含む。また基板PのエッジEpは側面を含む。基板Pの露光において、第1保持部31に保持された基板Pの側面の少なくとも一部と、第2保持部32に保持されたカバー部材Tの内側面(開口TKの内側面)の少なくとも一部とは、間隙Gを介して対向する。
ここで、以下の説明において、第2保持部32に保持されたカバー部材Tの上面2Uを適宜、基板ステージ2の上面2U、と称する。上面2Uは、射出面13及び下面14と対向可能である。
また、本実施形態において、基板ステージ2の少なくとも一部の温度を検出する温度センサ34が設けられている。
なお、図1に示したように、本実施形態においては、計測ステージ3も、カバー部材Bをリリース可能に保持する第3保持部33を有する。射出面13及び下面14と対向可能な計測ステージ3の上面3Uは、カバー部材Bの上面3Uを含む。カバー部材Bは、計測部材Cを配置可能な開口を有する。計測部材Cの周囲に、第3保持部33に保持されたカバー部材Bが配置される。なお、カバー部材Bが計測ステージ3に一体的に形成されていてもよい。
図2に示すように、液浸部材7は、射出面13と対向する位置に開口7Kを有する。また、液浸部材7は、開口7Kの周囲に下面22を有する。基板P(物体)は、下面22に対向可能である。射出面13から射出された露光光ELは、開口7Kを通過して、基板Pに照射可能である。
また、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、液体LQを回収可能な回収口16とを備えている。供給口15は、露光光ELの光路の近傍において、その光路に面するように配置されている。供給口15は、流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、供給する液体LQの異物を除去するためのフィルタユニット、及び供給する液体LQの温度を調整可能な温度調整装置等を有し、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路17は、液浸部材7の内部に形成された供給流路、及びその供給流路と液体供給装置18とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、流路17を介して供給口15に供給される。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口16は、下面22の周囲の少なくとも一部に配置されている。回収口16は、基板P(物体)が対向可能な液浸部材7の所定位置に配置されている。
本実施形態において、回収口16には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材19が配置されている。本実施形態において、物体上の液体LQの少なくとも一部は、多孔部材19の孔を介して回収される。なお、回収口16に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、下面22及び多孔部材19の下面19Bを含む。
回収口16は、流路20を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。流路20は、液浸部材7の内部に形成された回収流路、及びその回収流路と液体回収装置21とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口16(多孔部材19の孔)から回収された液体LQは、流路20を介して、液体回収装置21に回収される。
なお、回収口16から多孔部材19を介して液体LQを気体とともに回収するようにしてもよいし、回収口16から多孔部材19を介して実質的に液体LQのみを回収するようにしてもよい。なお、回収口16に多孔部材19が配置されていなくてもよい。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
本実施形態において、露光装置EXの動作の少なくとも一部は、予め定められている露光に関する制御情報(露光制御情報)に基づいて実行される。すなわち、本実施形態においては、基板Pの露光条件は、露光制御情報等に基づいて定められる。露光制御情報は、露光装置EXの動作を規定する制御命令群を含み、露光レシピとも呼ばれる。以下の説明において、露光に関する制御情報を適宜、露光レシピ、と称する。露光レシピは、記憶装置30に予め記憶されている。
少なくとも基板Pの露光において、露光装置EXの動作が露光レシピに基づいて制御される。本実施形態においては、少なくとも露光シーケンスにおいて、露光装置EXの動作が露光レシピに基づいて制御される。露光シーケンスは、基板Pの露光処理、露光光ELの計測処理、及び基板Pの交換処理の少なくとも一つを含む。基板Pの露光処理は、射出面13から射出される露光光ELを基板Pの少なくとも一部に照射する処理を含む。露光光ELの計測処理は、射出面13から射出される露光光ELを計測ステージ3(計測部材C)に照射する処理を含む。基板Pの交換処理は、露光前の基板Pを基板ステージ2(第1保持部31)に搬入(ロード)する処理、及び露光後の基板Pを基板ステージ2(第1保持部31)から搬出(アンロード)する処理の少なくとも一方を含む。
本実施形態においては、例えば露光前の基板Pが基板ステージ2(第1保持部31)にロードされてから、その基板Pに対する露光処理が実行され、その露光後の基板Pが基板ステージ2(第1保持部31)からアンロードされるまでの間の露光装置EXの動作が露光レシピに基づいて制御される。また、1つのロットに含まれる複数の基板Pが基板ステージ2に順次ロードされ、それら複数の基板Pが順次露光される場合、その1つのロットに含まれる複数の基板Pのうち、最初(ロット先頭)の基板Pが基板ステージ2にロードされてから最後(ロット最終)の基板Pが基板ステージ2からアンロードされるまでの間、露光装置EXの動作が露光レシピに基づいて制御される。
本実施形態において、露光条件は、基板Pの露光処理におけるマスクM(マスクステージ1)及び基板P(基板ステージ2)の移動条件を含む。基板Pの露光は、露光光ELに対して基板Pを所定の移動条件で移動しながら露光光ELを照射することを含む。基板Pの移動条件は、基板Pの移動速度、加速度(減速度)、XY平面内における基板Pの移動距離(所定の一方向に関する移動距離を含む)、及び露光光ELに対する基板Pの移動経路(移動軌跡)の少なくとも一つを含む。制御装置8は、露光レシピに基づいて、露光光ELに対して基板P(基板ステージ2)を所定の移動条件で移動しながら露光光ELを基板Pに照射する。
また、本実施形態において、露光条件は、基板P上における複数のショット領域Sの配列条件を含む。基板Pの露光は、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光することを含む。ショット領域Sの配列条件は、例えば複数のショット領域Sそれぞれの寸法、形状、及び複数のショット領域Sを露光する順序の少なくとも一つを含む。制御装置8は、露光レシピに基づいて、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光する。
すなわち、本実施形態において、露光レシピは、少なくとも基板Pの移動条件、及び基板P上における複数のショット領域Sの配列情報を含む。制御装置8は、その露光レシピに基づいて、露光シーケンスを実行する。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。
図2に示すように、本実施形態においては、露光シーケンスの少なくとも一部において、終端光学素子12及び液浸部材7と、基板P及びカバー部材Tとの間に液浸空間LSが形成される。換言すれば、露光シーケンスの少なくとも一部において、間隙G上に液浸空間LSが形成される。本実施形態においては、基板Pとカバー部材Tとの間隙Gに対する液浸空間LSの液体LQの浸入が抑制されるように、間隙Gの寸法、及び液体LQに対するカバー部材Tの表面(開口TKの内側面、及び上面2Uの少なくとも一方)の接触角が調整されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて、基板Pを露光する方法の一例について説明する。
制御装置8は、基板搬送装置(不図示)を用いて、基板Pの交換処理を実行する。制御装置8は、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)する。なお、第1保持部31に露光後の基板Pが保持されている場合、その基板Pが第1保持部31から搬出(アンロード)された後、露光前の基板Pが第1保持部31に搬入(ロード)される。
また、制御装置8は、計測ステージ3(計測部材C、計測器)を用いて、所定の計測処理を実行する。露光前の基板Pが第1保持部31にロードされ、計測ステージ3を用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を投影領域PRに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液体LQで液浸空間LSを形成する。終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液体LQで液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。
図3は、基板ステージ2に保持された基板Pの一例を示す図、図4は、図3の一部を拡大した図である。
本実施形態においては、基板P上に露光対象領域であるショット領域Sがマトリクス状に複数配置されている。制御装置8は、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光する。
基板Pのショット領域Sを露光するとき、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pとが対向され、終端光学素子12と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。例えば基板P上の第1のショット領域Sを露光するために、制御装置8は、その第1のショット領域Sを露光開始位置に移動する。制御装置8は、液浸空間LSが形成された状態で、第1のショット領域S(基板P)を投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動しながら、その第1のショット領域Sに対して露光光ELを照射する。
第1のショット領域Sの露光が終了した後、次の第2のショット領域Sを露光するために、制御装置8は、液浸空間LSが形成された状態で、基板PをX軸方向(あるいはXY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向)に移動し、第2のショット領域Sを露光開始位置に移動する。制御装置8は、第1のショット領域Sと同様に、第2のショット領域Sを露光する。
制御装置8は、投影領域PRに対してショット領域SをY軸方向に移動しながらそのショット領域Sに露光光ELを照射する動作(スキャン露光動作)と、そのショット領域Sの露光が終了した後、次のショット領域Sを露光開始位置に移動するための動作(ステッピング動作)とを繰り返しながら、基板P上の複数のショット領域Sを、投影光学系PL及び液浸空間LSの液体LQを介して順次露光する。
上述のように、露光レシピは、露光光ELに対する基板Pの移動条件、及び基板P上における複数のショット領域Sの配列情報の少なくとも一方を含み、制御装置8は、その露光レシピに基づいて、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光する。本実施形態において、制御装置8は、露光光EL(液浸部材7)に対して基板P(基板ステージ2)を、矢印R1で示す所定の移動経路で移動させながら、複数のショット領域Sを順次露光する。
本実施形態においては、基板Pの露光において、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に露光光ELが照射される。以下の説明において、基板Pの露光において露光光ELが照射されるカバー部材Tの表面の一部の領域を適宜、照射領域A1、と称する。
本実施形態においては、内側エッジEtを含むカバー部材Tの内縁領域ERの少なくとも一部に射出面13から射出された露光光ELが照射される。
本実施形態において、カバー部材Tの表面の内縁領域ERとは、内側エッジEtを含み、基板Pの露光において射出面13と対向可能なカバー部材Tの上面2Uの一部の領域(輪帯状の領域)、及び第1保持部31に保持された基板Pの側面と対向するカバー部材Tの開口TKの内側面を含む。
すなわち、照射領域A1は、カバー部材Tの表面のうち、内側エッジEtを含む輪帯状の内縁領域ERの少なくとも一部である。照射領域A1は、射出面13と対向可能なカバー部材Tの上面2U、及び第1保持部31に保持された基板Pの側面と対向するカバー部材Tの開口TKの内側面の少なくとも一方の少なくとも一部である。
本実施形態において、ショット領域Sは、ノーマルショット領域Snと、エッジショット領域Seとを含む。
ノーマルショット領域Snは、例えば製品となるデバイスを構成するチップを形成可能な領域であり、チップを形成可能な所定の大きさを有する。ノーマルショット領域Snは、基板Pの表面のエッジEp近傍の外縁領域を除く、基板Pの有効露光範囲の内側に配置される。有効露光範囲は、基板Pの表面の中央を含む、感光膜で形成された基板Pの表面の大部分の範囲である。有効露光範囲は、ノーマルショット領域Snを配置可能な範囲であり、チップパターンを所望の精度で形成可能な範囲である。本実施形態において、ノーマルショット領域Snは、基板Pの表面の有効露光範囲内に、マトリクス状に複数設定される。本実施形態においては、ノーマルショット領域Snのそれぞれは、ほぼ同じ大きさ及びほぼ同じ形状である。ノーマルショット領域Snは、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面内においてほぼ長方形であり、X軸方向に関して寸法Wxを有し、Y軸方向に関して寸法Wyを有する。
エッジショット領域Seは、チップを形成不可能な領域であり、ノーマルショット領域Snよりも小さい。また、エッジショット領域Seの形状は、ノーマルショット領域Snの形状と異なる。エッジショット領域Seは、ノーマルショット領域Snと基板PのエッジEpとの間に複数配置される。
本実施形態において、基板Pの外形は、ほぼ円形である。また、射出面13から射出される露光光ELが照射される投影領域PRの形状は、ほぼ四角形である。本実施形態において、投影領域PRの形状は、X軸方向に長いスリット状である。
本実施形態においては、例えばエッジショット領域Seを露光するときに、射出面13から射出された露光光ELがカバー部材Tの表面の少なくとも一部に照射される。例えば、エッジショット領域Seの露光開始直前及び露光終了直後の少なくとも一方において、そのエッジショット領域Seの近傍のカバー部材Tの表面の少なくとも一部に露光光ELが照射される。なお、ノーマルショット領域Snを露光するときに、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に露光光ELが照射されてもよい。例えば、ノーマルショット領域Snの露光開始前にカバー部材Tの表面の少なくとも一部に露光光ELが照射されてもよいし、露光終了後にカバー部材Tの表面の少なくとも一部に露光光ELが照射されてもよい。
また、本実施形態において、基板Pの露光において基板Pの周囲の少なくとも一部に配置されるカバー部材Tの表面は、基板Pの露光において露光光ELが照射されない非照射領域A2を含む。本実施形態において、非照射領域A2は、基板Pの露光において基板Pの周囲の少なくとも一部に位置する。
非照射領域A2は、カバー部材Tの表面のうち、内側エッジEtを含む輪帯状の内縁領域ERの少なくとも一部に配置される。内縁領域ERの非照射領域A2は、射出面13と対向可能なカバー部材Tの上面2U、及び第1保持部31に保持された基板Pの側面と対向するカバー部材Tの開口TKの内側面の少なくとも一方に配置される。本実施形態において、非照射領域A2は、その内縁領域ERにおいて、照射領域A1と隣り合う位置に配置される。
すなわち、本実施形態においては、露光シーケンスにおいて、カバー部材Tの表面の内縁領域ERの一部に露光光ELが照射され、内縁領域ERの一部に露光光ELが照射されない。露光シーケンスにおいて基板Pの周囲の少なくとも一部に位置するカバー部材Tの表面の内縁領域ERは、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射される照射領域A1と、露光光ELが照射されない非照射領域A2とを含む。例えば、非照射領域A2は、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射されない内側エッジEtの一部に隣接する領域を含む。
一例として、非照射領域A2は、2つのエッジショット領域Seの間に位置するカバー部材Tの表面の内縁領域ERの少なくとも一部に配置される。例えば図4に示すように、マトリクス状に配置された複数のショット領域Sのうち、m行n列のエッジショット領域Se1とm+1行n+1列のエッジショット領域Se2との間に非照射領域A2が配置される。なお、図3及び図4に示す非照射領域A2の位置は、一例である。カバー部材Tの内縁領域ERにおいて、非照射領域A2は複数存在する。
なお、本実施形態においては、露光シーケンスにおいて、内縁領域ERの外側のカバー部材Tの表面の外縁領域には露光光ELが照射されないが、そのカバー部材Tの外縁領域に露光光ELが照射されてもよい。
なお、一例として、内縁領域ERの幅(開口TKの中心に対する放射方向に関する寸法)は、ノーマルショット領域Snの寸法Wyとほぼ等しい。内縁領域ERにおける照射領域A1及び非照射領域A2の少なくとも一方の寸法は、寸法Wyとほぼ等しい。なお、照射領域A1及び非照射領域A2の少なくとも一方の寸法が、寸法Wyより大きくてもよいし小さくてもよい。また、内縁領域ERにおける照射領域A1及び非照射領域A2の少なくとも一方の寸法が、寸法Wxとほぼ等しくてもよいし、大きくてもよいし、小さくてもよい。
また、本実施形態においては、基板Pの露光において、液浸空間LSの液体LQがカバー部材Tの表面の少なくとも一部と接触する。例えば、ショット領域Sの露光において、液浸空間LSの液体LQは、そのショット領域Sの近傍に位置するカバー部材Tの表面の少なくとも一部に接触する。また、ステッピング動作中においても、液浸空間LSの液体LQは、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に接触する。
本実施形態においては、基板Pの露光処理において、液浸空間LSの液体LQは、カバー部材Tの表面の内縁領域ERの少なくとも一部に接触する。本実施形態においては、基板Pの露光処理において、非照射領域A2の少なくとも一部が、液浸空間LSの液体LQと接触する。また、基板Pの露光処理において、照射領域A1の少なくとも一部も、液浸空間LSの液体LQと接触する。本実施形態においては、基板Pの露光処理において、液浸空間LSの液体LQは、上面2Uにおける内縁領域ERの全部に接触する。
カバー部材Tの表面における非照射領域A2は、露光条件に応じて決定される。すなわち、非照射領域A2は、基板Pの露光における基板Pの移動条件、及び基板P上における複数のショット領域Sの配列情報の少なくとも一方に応じて決定される。上述のように、本実施形態において、基板Pの移動条件及びショット領域Sの配列情報を含む露光条件は、露光レシピによって予め定められている。すなわち、カバー部材Tの表面における非照射領域A2は、露光レシピによって予め定められており、既知の情報である。本実施形態においては、少なくともカバー部材Tにおける非照射領域A2の位置及び大きさが既知の情報である。
基板P上の複数のショット領域Sが露光レシピに基づいて順次露光され、その基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2から露光後の基板Pをアンロードし、露光前の基板Pを基板ステージ2にロードする。以下、制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
ところで、基板Pの露光中、例えば基板Pから発生(溶出)した物質(例えば感光材等の有機物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。基板Pの露光中、基板Pの表面と接触した液浸空間LSの液体LQは、カバー部材Tの表面の少なくとも一部と接触する。本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQは、少なくともカバー部材Tの表面の内縁領域ERと接触する。また、基板Pの露光中、液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7の下面14とも接触する。したがって、例えば供給口15から供給された液体LQが清浄であっても、基板Pから発生した異物、空中を浮遊する異物等が、液浸空間LSの液体LQ中に異物が混入すると、カバー部材T(基板ステージ2)の表面の少なくとも一部に異物が付着する可能性がある。また、液浸部材7の下面14に異物が付着する可能性がある。それら露光装置EXの部材の液体LQと接触する液体接触面(内縁領域ER、下面14等)に異物が付着している状態を放置しておくと、その異物が露光中に基板Pに付着したり、供給口15から供給された液体LQが汚染されたりする可能性がある。また、カバー部材Tの上面2U、及び液浸部材7の下面14の少なくとも一方が汚染されると、例えば液浸空間LSを局所的に良好に形成できなくなる可能性もある。また、カバー部材Tの表面の内縁領域ER(例えばカバー部材Tの開口TKの内側面)が汚染されると、基板Pとカバー部材Tとの間隙Gに液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部が浸入する可能性もある。間隙Gに浸入した液体LQが放置されると、例えばその液体LQの気化熱によって温度変化が発生する可能性がある。その結果、露光不良が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、所定のタイミングで、液浸部材7の下面14及びカバー部材Tの表面の少なくとも一部のクリーニングシーケンスが実行される。
以下、本実施形態に係るクリーニングシーケンスの一例について説明する。図5に示すフローチャートのように、本実施形態のクリーニングシーケンスは、基板ステージ2の第1保持部31にダミー基板DPを保持すること(ステップSA1)と、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板DPとの間に液体LQで液浸空間LSを形成し、その液浸空間LSの液体LQを用いて液浸部材7の下面14の少なくとも一部をクリーニングすること(ステップSA2)と、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に、洗浄光を照射すること(ステップSA3)と、を含む。
まず、第1保持部31にダミー基板DPが保持される(ステップSA1)。ダミー基板DPは、露光用の基板Pとは別の、異物を放出し難く、高い清浄度を有する(クリーンな)部材である。ダミー基板DPは、基板Pとほぼ同じ外形であり、第1保持部31は、ダミー基板DPを保持可能である。第1保持部31に保持されたダミー基板DPの側面と、第2保持部32に保持されているカバー部材Tの内側面との間に、所定の間隙Gbが形成される。間隙Gbの寸法は、間隙Gの寸法とほぼ等しい。なお、ダミー基板DPは、基板Pと同じ外形でなくてもよいし、基板Pより外径が小さくてもよい。
本実施形態において、液体LQに対するダミー基板DPの表面(上面)の接触角は、液体LQに対する基板Pの表面(上面)の接触角とほぼ同じである。本実施形態においては、ダミー基板DPの表面の液体LQとの接触角は、90°以上、100°以上、110°以上、120°以上、又は130°以上である。本実施形態において、ダミー基板DPの表面は、フッ素系材料の膜の表面で形成される。本実施形態において、ダミー基板DPは、感光膜を含まず、半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成されたフッ素系材料の膜とを有する。なお、ダミー基板DPにおいて、基材とフッ素系材料の膜との間にHMDS膜が配置されてもよい。なお、ダミー基板DPの表面が、HMDS膜で形成されてもよい。なお、ダミー基板DPに感光膜が形成されていてもよい。
第1保持部31にダミー基板DPが保持された後、制御装置8は、液浸部材7のクリーニングを開始する(ステップSA2)。制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と第1保持部31に保持されたダミー基板DPとを対向させた状態で、供給口15から液体LQを供給するとともに、その液体LQの供給と並行して、回収口16から液体LQを回収する。これにより、図6に示すように、液浸部材7とダミー基板DPとの間に液体LQで液浸空間LSが形成される。液浸部材7の下面14と接触した液体LQは、その下面14の少なくとも一部をクリーニングする。例えば下面14に付着していた異物は、その下面14から離れ(剥離し)、液体LQとともに回収口16から回収される。
なお、液浸部材7とダミー基板DPとの間に液体LQで液浸空間LSが形成されている状態で、ダミー基板DPがXY平面内において移動されてもよい。例えば、液浸空間LSが形成された状態で、ダミー基板DPをXY平面内における所定方向(例えばY軸方向)に関して往復移動させてもよい。また、クリーニングシーケンスにおける液浸空間LSの大きさを、露光シーケンスにおける液浸空間LSの大きさよりも大きくしてもよい。なお、液浸空間LSの大きさは、液浸部材7とその液浸部材7に対向する物体(基板P、ダミー基板DP)との間におけるXY平面内における液浸空間LSの寸法を含む。例えば、クリーニングシーケンスにおいて供給口15から供給される単位時間当たりの液体供給量を、露光シーケンスにおいて供給口15から供給される単位時間当たりの液体供給量よりも多くすることによって、液浸空間LSの大きさを大きくすることができる。また、クリーニングシーケンスにおいて回収口16から回収される単位時間当たりの液体回収量を、露光シーケンスにおいて回収口16から回収される単位時間当たりの液体回収量よりも少なくすることによって、液浸空間LSの大きさを大きくすることができる。もちろん供給口15からの液体供給量を多くするとともに、回収口16からの液体回収量を少なくしてもよい。
なお、液浸部材7のクリーニングにおいて、液浸空間LSがダミー基板DP上のみに形成されるように基板ステージ2の位置が調整されてもよいし、液浸空間LSの少なくとも一部がカバー部材T上に形成されるように基板ステージ2の位置が調整されてもよい。
なお、液体LQ(水)とは異なる液体を用いて液浸部材7がクリーニングされてもよい。例えば、アルカリ洗浄液、あるいは過酸化水素水等を用いて液浸部材7がクリーニングされてもよい。
液浸部材7のクリーニングが終了した後、制御装置8は、カバー部材Tのクリーニングを開始する(ステップSA3)。
カバー部材Tのクリーニングは、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することを含む。洗浄光は、光洗浄効果を有する光である。洗浄光として、例えば紫外光を用いることができる。本実施形態においては、洗浄光として、露光光ELを用いる。すなわち、本実施形態において、カバー部材Tを光洗浄するための洗浄光は、終端光学素子12の射出面13から射出される。
本実施形態においては、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射されないカバー部材Tの非照射領域A2に洗浄光が照射される。
露光シーケンスにおいて露光光ELが照射されるカバー部材Tの照射領域A1は、その露光光ELの照射によって光洗浄される。クリーニングシーケンスにおいては、基板Pの露光において基板Pの周囲に位置するカバー部材Tの内縁領域ERのうち、その露光において露光光ELが照射されない非照射領域A2に洗浄光が照射される。
図7は、非照射領域A2に洗浄光が照射されている状態の一例を示す模式図、図8は、側断面図である。洗浄光は、第1保持部31にダミー基板DPが保持された状態で照射される。洗浄光は、カバー部材Tの内縁領域ERの非照射領域A2の少なくとも一部に照射される。
本実施形態において、射出面13から射出される洗浄光が照射される照射領域CRは、投影光学系PLの投影領域PRである。すなわち、本実施形態において、洗浄光の照射領域CRは、X軸方向に長いスリット状である。なお、洗浄光の照射領域CRが、基板Pの露光における投影領域PRの寸法より大きくてもよいし、小さくてもよい。一例として、図7には、X軸方向に関する寸法が基板Pの露光における投影領域PRよりも大きい照射領域CRが示されている。
上述のように、非照射領域A2は、露光レシピに基づいて既知の情報である。制御装置8は、露光レシピに含まれる基板Pの移動条件に基づいて、非照射領域A2に洗浄光が照射されるように、カバー部材Tにおける洗浄光の照射位置を定めることができる。また、制御装置8は、露光レシピに含まれる基板P上における複数のショット領域Sの配列情報に基づいて、非照射領域A2に洗浄光が照射されるように、カバー部材Tにおける洗浄光の照射位置を定めることができる。制御装置8は、干渉計システム11を用いてXY平面内における基板ステージ2の位置を計測しつつ、基板ステージ2の第2保持部32に保持されているカバー部材Tの非照射領域A2に洗浄光が照射されるように、射出面13(照射領域CR)に対する基板ステージ2の位置を制御する。
本実施形態においては、カバー部材Tの内縁領域ERの非照射領域A2に洗浄光が照射される。上述のように、カバー部材Tの表面の内縁領域ERとは、基板Pの露光において射出面13と対向可能なカバー部材Tの上面2Uの一部の領域(輪帯状の領域)、及び第1保持部31に保持された基板Pの側面と対向するカバー部材Tの開口TKの内側面を含む。
図7及び図8に示すように、本実施形態においては、洗浄光の照射領域CRにカバー部材Tの内側エッジEtの一部が配置された状態で、洗浄光が照射される。これにより、カバー部材Tの表面の内縁領域ERに洗浄光が照射される。本実施形態においては、内縁領域ERの上面2Uの一部に対する洗浄光の照射と、内側面に対する洗浄光の照射とが同時に実行される。
本実施形態においては、図7に示すように、制御装置8は、基板ステージ2を制御して、内側エッジEtの複数の部分を洗浄光の照射領域CRに順次配置して、それら複数の部分のそれぞれに順次洗浄光を照射する。すなわち、内側エッジEtの第1の部分を洗浄光の照射領域CRに配置して、その照射領域CRに対して基板ステージ2をほぼ静止させた状態で洗浄光を照射する。その第1の部分を含むカバー部材Tの表面の一部に対する洗浄光の照射が終了した後、内側エッジEtの第2の部分を洗浄光の照射領域CRに配置して、その照射領域CRに対して基板ステージ2をほぼ静止させた状態で洗浄光を照射する。制御装置8は、基板ステージ2をほぼ静止させた状態で洗浄光を照射する動作と、基板ステージ2を移動する動作とを繰り返して、非照射領域A2に洗浄光を照射する。なお、投影光学系PLを調整して、洗浄光の照射領域CRを移動してもよい。
なお、制御装置8は、洗浄光の照射領域CRに対してカバー部材Tを移動しながら、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射してもよい。
なお、内縁領域ERの上面に対する洗浄光の照射と、内側面に対する洗浄光の照射とが非同時に実行されてもよい。また、洗浄光の照射領域CRに内側エッジEtを配置することなく、非照射領域A2に洗浄光を照射してもよい。
本実施形態においては、制御装置8は、カバー部材Tの表面の、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射される照射領域A1の少なくとも一部に洗浄光を照射することなしに、非照射領域A2に洗浄光を照射する。すなわち、制御装置8は、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射される照射領域A1には、クリーニングシーケンスにおいて洗浄光が照射されないようにする。これにより、カバー部材Tの表面において紫外光が過剰に照射される領域が発生することを抑制することができる。
なお、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射される照射領域A1の少なくとも一部に洗浄光が照射されてもよい。
また、例えば図9に示す模式図のように、非照射領域A2がダミー基板DP(第1保持部31)の周囲の複数の位置に存在する場合には、所定の順序で、それら複数の非照射領域A2のそれぞれに洗浄光を照射してもよい。図9に示す例では、最初に、ダミー基板DPの中心に対して+X側かつ+Y側に存在する非照射領域A2に対して洗浄光が照射され、次いで、ダミー基板DPの中心に対して+X側かつ−Y側に存在する非照射領域A2に対して洗浄光が照射され、次いで、ダミー基板DPの中心に対して−X側かつ+Y側に存在する非照射領域A2に対して洗浄光が照射され、最後に、ダミー基板DPの中心に対して−X側かつ−Y側に存在する非照射領域A2に対して洗浄光が照射される。もちろん、複数の非照射領域A2のそれぞれに対して洗浄光が照射される順序は、任意に定めることができる。
図8に示すように、本実施形態においては、終端光学素子12及び液浸部材7とカバー部材T及びダミー基板DPの少なくとも一方との間に液体LQで液浸空間LSが形成され、その液浸空間LSの液体LQを介して、終端光学素子12の射出面13から射出される洗浄光(露光光EL)がカバー部材Tの表面の少なくとも一部に照射される。供給口15から液体LQが供給されるとともに、その供給口15からの液体LQの供給と並行して回収口16から液体LQが回収されることによって液浸空間LSが形成される。
本実施形態においては、クリーニングシーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度は、露光シーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度より高い。すなわち、本実施形態においては、酸素濃度が高められた液体LQとカバー部材Tとを接触させた状態で、そのカバー部材Tに洗浄光が照射される。
本実施形態において、液体供給装置18は、供給する液体LQに含まれる酸素濃度を調整可能な調整装置を有する。調整装置は、例えば液体LQに含まれる酸素濃度を低減可能な脱気装置を含む。制御装置8は、液体供給装置18が備える調整装置を制御して、クリーニングシーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度を、露光シーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度より高くすることができる。
なお、終端光学素子12及び液浸部材7と、カバー部材T及びダミー基板DPの少なくとも一方との間に液体LQで液浸空間LSが形成された状態で、XY平面内において基板ステージ2を移動して、液浸空間LSの液体LQに含まれる酸素濃度を高めてもよい。例えば、液浸空間LSが形成された状態で、XY平面内における所定方向に関して基板ステージ2を往復移動させることによって、液浸空間LSの液体LQに含まれる酸素濃度を高めることができる。
なお、クリーニングシーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度が、露光シーケンスにおいて液浸空間LSを形成する液体LQに含まれる酸素濃度とほぼ等しくてもよいし、低くてもよい。
なお、本実施形態においては、露光用の液体LQを介して洗浄光を照射することとしたが、液体LQとは異なる液体を介して洗浄光を照射してもよい。例えばアルカリ洗浄液、あるいは過酸化水素水等を介して洗浄光が照射されてもよい。
非照射領域A2に対する洗浄光の照射が終了し、本実施形態に係るクリーニングシーケンスが終了した後、制御装置8は、例えば通常の露光シーケンスを実行することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、露光シーケンスにおいて露光光ELが照射されないカバー部材Tの非照射領域A2に、クリーニングシーケンスにおいて洗浄光を照射するようにしたので、その洗浄光が照射された領域を光洗浄することができる。したがって、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、カバー部材Tの内縁領域ERに洗浄光が照射される。基板PのエッジEpとの間で間隙Gを形成する内側エッジEtを含む内縁領域ERが汚染されている状態を放置しておくと、例えば露光シーケンスにおいて間隙Gに液体LQが浸入してしまう可能性がある。本実施形態によれば、その内縁領域ERを光洗浄することによって、間隙Gに対する液体LQの浸入を抑制することができる。
なお、クリーニングシーケンスにおいて、カバー部材Tの表面のうち、内縁領域ERに対して外側の外縁領域の少なくとも一部に洗浄光が照射されてもよい。
なお、本実施形態においては、露光シーケンスが終了した後、クリーニングシーケンスが実行されることとしたが、露光シーケンスが開始される前に、クリーニングシーケンスが実行されてもよい。上述のように、非照射領域A2は、露光レシピに基づいて既知の情報であるため、露光シーケンスが開始される前においても、非照射領域A2に洗浄光を照射することができる。もちろん、露光シーケンスが開始される前にクリーニングシーケンスを実行するとともに、露光シーケンスが終了した後にクリーニングシーケンスを実行してもよい。あるいは、露光装置EXのアイドリング中にクリーニング動作を実行してもよい。
なお、クリーニングシーケンスにおいてカバー部材T(ダミー基板DP)に照射される洗浄光(露光光EL)の照射量は、露光シーケンスにおいてカバー部材T(基板P)に照射される露光光ELの照射量よりも高くてもよいし、低くてもよいし、等しくてもよい。照射量は、照度、及び積算光量の少なくとも一方を含む。
なお、本実施形態においては、ステップSA3において第1保持部31に保持されるダミー基板DPと、ステップSA2において第1保持部31に保持されるダミー基板DPとは同じダミー基板DPであることとしたが、例えばステップSA2が終了した後、第1保持部31に保持されるダミー基板DPを新たな(クリーンな)ダミー基板DPと交換し、その交換されたダミー基板DPを第1保持部31で保持した状態で、洗浄光を照射してもよい。また、ステップSA2で使用されるダミー基板DPの表面を形成する材料と、ステップSA3で使用されるダミー基板DPの表面を形成する材料とが異なってもよい。
また、本実施形態においては、液浸部材7をクリーニングするステップSA2の後に、カバー部材TをクリーニングするステップSA3を実行しているが、ステップSA2を省略してもよい。
なお、本実施形態においては、洗浄光が照射される内縁領域ERは、露光シーケンスにおいて液体LQと接触することとしたが、露光シーケンスにおいて液体LQと接触しないカバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光が照射されもよい。
なお、本実施形態においては、液体を介して洗浄光を照射することとしたが、液体を介さずにカバー部材Tに洗浄光を照射してもよい。
なお、本実施形態においては、ステップSA3において、第1保持部31にダミー基板DPが保持された状態で洗浄光を照射することとしたが、第1保持部31にダミー基板DP等の物体が保持されない状態で洗浄光が照射されてもよい。また、第1保持部31及び/又は第2保持部32の表面の少なくとも一部に洗浄光が照射されてもよい。
なお、クリーニングシーケンスを実行するタイミングは、例えば所定時間間隔毎でもよいし、所定枚数の基板Pの露光が終了する毎でもよいし、1つのロットに含まれる複数の基板Pの露光が終了した後でもよいし、1つのロットに含まれる複数の基板Pの露光が開始される前でもよい。また、露光後の基板Pのパターン欠陥を検出し、その検出結果に基づいて、クリーニングシーケンスが実行されてもよい。例えば、検出されたパターン欠陥が許容値を超えた場合、クリーニングシーケンスが実行されてもよい。また、回収口16から回収される液体LQの汚染度(例えば液体LQに含まれる異物の数)を検出し、その検出結果に基づいて、クリーニングシーケンスが実行されてもよい。例えば、検出された液体LQの汚染度が許容値を超えた場合、クリーニングシーケンスが実行されてもよい。
また、基板Pの露光において基板Pとカバー部材Tとの間隙Gに対する液体LQの浸入を検出し、その検出結果に基づいて、洗浄光の照射を含むクリーニングシーケンスが実行されてもよい。上述のように、本実施形態においては、基板ステージ2の少なくとも一部の温度を検出可能な温度センサ34が配置されている。
図10は、温度センサ34の近傍を示す図である。温度センサ34は、第1保持部31と第2保持部32との間の基板ステージ2の所定部位の温度を検出可能である。液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部が間隙Gに浸入した場合、その間隙Gに浸入した液体LQの少なくとも一部は、第1保持部31と第2保持部32との間の基板ステージ2の所定部位に接触する。温度センサ34は、その液体LQが接触する所定部位の温度を検出する。間隙Gに液体LQが浸入し、所定部位に接触した場合、その所定部位の温度が変化する。温度センサ34は、その温度変化(液体LQが接触しない状態における所定部位の温度と液体LQが接触した状態における所定部位の温度との差)を検出可能である。制御装置8は、その温度センサ34の検出結果に基づいて、所定部位に液体LQが接触したか否か、すなわち、間隙Gに対して液体LQが浸入したか否かを検出することができる。
制御装置8は、その温度センサ34の検出結果に基づいて、洗浄光の照射を含むクリーニングシーケンスを実行するか否かを判断する。間隙Gに液体LQが浸入する状態は、カバー部材Tの内縁領域ERが汚染されている状態である可能性が高い。したがって、制御装置8は、温度センサ34を用いて間隙Gに対する液体LQの浸入を検出し、その検出結果に基づいて、洗浄光の照射を含むクリーニングシーケンスを実行する。これにより、カバー部材Tの内縁領域ERがクリーニングされる。この場合、洗浄光の照射位置を決定するために、クリーニング前の露光レシピを参照しなくてもよい。また、液体LQの浸入を検出しない場合には、温度センサ34を省略してもよい。
なお、上述の実施形態において、内縁領域ERを設定しなくてもよい。この場合、図7を参照して説明したように、内側エッジEtを含むように、洗浄光を照射するだけでもよい。
また、上述の実施形態においては、基板Pの露光処理において、露光光ELが照射されない非照射領域A2に洗浄光を照射しているが、基板Pの露光処理において、露光光ELが照射される領域を洗浄光を照射すべき領域としてもよい。例えば、基板Pの露光処理において、積算照射量(積算ドーズ)が所定量よりも少ない領域、及び/又は積算照射パルス数が所定数よりも少ない領域を、洗浄光を照射すべき領域としてもよい。
なお、上述の実施形態においては、洗浄光が終端光学素子12の射出面13から射出されることとしたが、投影光学系PLとは別の、光洗浄効果を有する洗浄光(紫外光)を射出可能な光洗浄装置を用いて、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射してもよい。
なお、上述の実施形態において、制御装置8は、CPU等を含むコンピュータシステムを含む。また、上述の実施形態において、制御装置8は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。また、上述の実施形態において、制御装置8には、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置30が接続されている。記憶装置30は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置30には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
なお、制御装置8に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。また、液晶表示ディスプレイ等の表示装置が設けられていてもよい。
記憶装置30に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)8が読み取り可能である。記憶装置30には、制御装置8に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。
記憶装置30に記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、例えば、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する処理と、露光の前及び後の少なくとも一方において、露光において基板Pの周囲の少なくとも一部に位置するカバー部材Tの表面の、露光において露光光ELが照射されない非照射領域に洗浄光を照射する処理と、を実行させてもよい。
また、記憶装置30に記憶されるプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、例えば、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する処理と、露光の少なくとも一部において、基板Pと基板Pの周囲の少なくとも一部に配置されるカバー部材Tとの間隙G1に対する液体LQの浸入を検出する処理と、その検出の結果に基づいて、基板Pの周囲に配置されるカバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射する処理と、を実行させてもよい。
なお、上述の実施形態においては、基板Pの周囲に配置される部材がカバー部材Tであり、そのカバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することとしたが、基板Pの周囲の少なくとも一部に配置される部材は、カバー部材でなくてもよい。例えば、第1保持部31に保持される基板Pの周囲に、露光光ELの計測に用いられる計測部材が配置される場合、その計測部材に洗浄光を照射してもよい。また、第1保持部31に保持される基板Pの周囲に、例えば計測部材の少なくとも一部を覆うカバー部材が配置される場合、そのカバー部材に洗浄光を照射してもよい。
なお、上述の実施形態においては、カバー部材Tに対して洗浄光を照射することとしたが、例えば計測ステージ3の表面の少なくとも一部に洗浄光を照射してもよい。例えば、計測ステージ3のカバー部材Bの表面が、計測処理において露光光ELが照射される照射領域と、露光光ELが照射されない非照射領域とを含む場合、クリーニングシーケンスにおいて、カバー部材Bの表面のうち、非照射領域に洗浄光が照射されてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクMのパターンからの露光光ELで基板Pを露光すること、及び露光された基板Pを現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。基板処理ステップは、上述の実施形態に従って、カバー部材Tの表面の少なくとも一部に洗浄光を照射するクリーニング処理を含み、そのクリーニングされた露光装置EXを用いて基板が露光光で露光される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、3…計測ステージ、7…液浸部材、8…制御装置、12…終端光学素子、13…射出面、15…供給口、16…回収口、30…記憶装置、31…第1保持部、32…第2保持部、34…温度センサ、A1…照射領域、A2…非照射領域、CR…照射領域、DP…ダミー基板、Ep…エッジ、ER…内縁領域、Et…内側エッジ、G…間隙、P…基板、S…ショット領域、Se…エッジショット領域、Sn…ノーマルショット領域、T…カバー部材、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS…液浸空間
Claims (26)
- 第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置のクリーニング方法であって、
前記露光の前及び後の少なくとも一方において、前記露光において前記基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材の表面の、前記露光において前記露光光が照射されない所定領域に洗浄光を照射することを含むクリーニング方法。 - 前記露光において、前記所定部材の表面の少なくとも一部に前記露光光が照射される請求項1記載のクリーニング方法。
- 前記所定領域は、前記露光において前記第1液体と接触する請求項1又は2記載のクリーニング方法。
- 前記露光は、前記露光光に対して前記基板を所定の移動条件で移動しながら前記露光光を照射することを含み、
前記基板の移動条件に基づいて、前記洗浄光の照射位置が定められる請求項1〜3のいずれか一項記載のクリーニング方法。 - 前記露光は、前記基板上に定められた複数のショット領域を順次露光することを含み、
前記基板上における複数の前記ショット領域の配列情報に基づいて、前記所定部材における前記洗浄光の照射位置が定められる請求項1〜4のいずれか一項記載のクリーニング方法。 - 前記基板と前記所定部材との間隙に対する前記第1液体の浸入を検出することを含み、
前記検出の結果に基づいて、前記洗浄光の照射が実行される請求項1〜5のいずれか一項記載のクリーニング方法。 - 第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置のクリーニング方法であって、
前記露光の少なくとも一部において、前記基板と前記基板の周囲の少なくとも一部に配置される所定部材との間隙に対する前記第1液体の浸入を検出することと、
前記検出の結果に基づいて、前記基板の周囲に配置される前記所定部材の表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することと、を含むクリーニング方法。 - 前記間隙に対する前記第1液体の浸入の検出は、前記浸入した前記第1液体が接触する接液部材の温度を検出することを含む請求項6又は7記載のクリーニング方法。
- 前記所定部材は、前記露光において前記基板のエッジに間隙を介して隣り合う内側エッジを有し、
前記洗浄光の照射領域に前記内側エッジの一部が配置された状態で前記洗浄光が照射される請求項1〜8のいずれか一項記載のクリーニング方法。 - 前記内側エッジの複数の部分を前記洗浄光の照射領域に順次配置して、複数の前記部分のそれぞれに順次洗浄光を照射する請求項9記載のクリーニング方法。
- 前記洗浄光が照射される所定領域は、前記露光において前記基板の表面の周囲に配置され、前記基板の表面とほぼ平行な前記所定部材の上面の少なくとも一部を含む請求項1〜10のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 前記洗浄光が照射される所定領域は、前記露光において前記基板の側面と対向する前記所定部材の内側面の少なくとも一部を含む請求項1〜11のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 前記所定部材の表面の、前記露光において前記露光光が照射される領域の少なくとも一部に前記洗浄光を照射することなしに、前記所定領域に前記洗浄光を照射する請求項1〜12のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 光学部材の射出面から前記露光光が射出され、
前記洗浄光は、前記射出面から射出される請求項1〜13のいずれか一項記載のクリーニング方法。 - 第2液体を介して前記洗浄光が照射される請求項1〜14のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 前記第2液体に含まれる酸素濃度は、前記第1液体に含まれる酸素濃度より高い請求項15記載のクリーニング方法。
- 前記洗浄光の照射領域に対して前記所定部材を移動しながら前記洗浄光を照射する請求項1〜16のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 前記基板をリリース可能に保持する第1保持部にダミー基板が保持された状態で前記洗浄光が照射される請求項1〜17のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 前記所定部材は、前記基板を保持する第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置される第2保持部にリリース可能に保持される請求項1〜17のいずれか一項記載のクリーニング方法。
- 請求項1〜19のいずれか一項記載のクリーニング方法でクリーニングされた露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。 - 第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光において前記基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材と、
洗浄光を射出する光学部材と、を備え、
前記露光の前及び後の少なくとも一方において、前記所定部材の表面のうちの、前記露光において前記露光光が照射されない所定領域に前記光学部材からの前記洗浄光を照射する露光装置。 - 前記光学部材は、前記露光において、前記露光光を前記基板に照射する請求項21記載の露光装置。
- 請求項21又は22記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。 - コンピュータに、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記第1液体を介して前記露光光で前記基板を露光することと、
前記露光の前及び後の少なくとも一方において、前記露光において前記基板の周囲の少なくとも一部に位置する所定部材の表面の、前記露光において前記露光光が照射されない所定領域に洗浄光を照射することと、を実行させるプログラム。 - コンピュータに、第1液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記第1液体を介して前記露光光で前記基板を露光することと、
前記露光の少なくとも一部において、前記基板と前記基板の周囲の少なくとも一部に配置される所定部材との間隙に対する前記第1液体の浸入を検出することと、
前記検出の結果に基づいて、前記基板の周囲に配置される前記所定部材の表面の少なくとも一部に洗浄光を照射することと、を実行させるプログラム。 - 請求項24又は25記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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