JP2010109271A - 確認方法、メンテナンス方法、及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体の汚染状態を確認できる確認方法を提供する。
【解決手段】確認方法は、液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で評価部材を保持することと、液体供給装置から供給された液体を評価部材の表面の第1領域に第1時間だけ接触させることと、液体供給装置からの液体を第1領域と異なる評価部材の表面の第2領域に第1時間と異なる第2時間だけ接触させることと、第1領域及び第2領域の表面状態に基づいて、液体供給装置から供給された液体の汚染状態を確認することと、を含む。
【選択図】図5
Description
本発明は、確認方法、メンテナンス方法、及びデバイス製造方法に関する。
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、例えば下記特許文献に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が使用される。
米国特許公開第2006/0139614号明細書
米国特許第7199858号明細書
液浸露光装置において、液体が汚染されていたり、露光装置の部材、あるいは部品(コンポーネント)が汚染されていたりすると、例えば基板に形成されるパターンに欠陥が生じる等、露光不良が発生し、その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。そのため、液体及び部材、あるいは部品(コンポーネント)の汚染状態を確認でき、露光装置を効率良くメンテナンスできる技術の案出が望まれる。
本発明の態様は、液体の汚染状態を確認できる確認方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、部材、あるいは部品(コンポーネント)の汚染状態を確認できる確認方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できるメンテナンス方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で評価部材を保持することと、液体供給装置から供給された液体を評価部材の表面の第1領域に第1時間だけ接触させることと、液体供給装置からの液体を第1領域と異なる評価部材の表面の第2領域に第1時間と異なる第2時間だけ接触させることと、第1領域及び第2領域の表面状態に基づいて、液体供給装置から供給された液体の汚染状態を確認することと、を含む確認方法が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で評価部材を保持することと、露光光の光路が液体で満たされるように液浸空間を形成可能な液浸部材と評価部材との間に形成された液浸空間の液体と、評価部材の表面とを接触させた状態で、液浸部材に対して評価部材を所定の移動経路で移動することと、評価部材の表面の汚染状態と移動経路との相関関係に基づいて、液体と接触する液浸部材の液体接触面の汚染状態を確認することと、を含む確認方法が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で第1評価部材を保持することと、第1評価部材の周囲の第1部材と液体とが接触しないように第1評価部材の表面上に液浸空間を形成して、第1評価部材の表面と液体とを接触させる第1動作を実行することと、第1保持部で第2評価部材を保持することと、第2評価部材の表面上及び第1部材の表面上に液浸空間を形成して、第2評価部材の表面及び第1部材の表面と液体とを接触させる第2動作を実行することと、第1評価部材の表面状態及び第2評価部材の表面状態に基づいて、第1部材の表面の汚染状態を確認することと、を含む確認方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、第1の態様の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置における液体の汚染状態を確認することと、確認の結果に応じて、液体供給装置をメンテナンスすることと、を含むメンテナンス方法が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、第2の態様の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置の液浸部材の液体接触面の汚染状態を確認することと、確認の結果に応じて、液浸部材をクリーニングすることと、を含むメンテナンス方法が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、第3の態様の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置の第1部材の表面の汚染状態を確認することと、確認の結果に応じて、第1部材をクリーニングすることと、を含むメンテナンス方法が提供される。
本発明の第7の態様に従えば、第4,第5,第6の態様のメンテナンス方法でメンテナンスされた液浸露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の態様によれば、液体の汚染状態を確認できる。また本発明によれば、部材、あるいは部品(コンポーネント)の汚染状態を確認できる。また本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測部材(計測器)Cを搭載して移動可能な計測ステージ3とを備えた露光装置である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板ステージ2と、計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、計測ステージ3を移動する駆動システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、計測部材Cを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。同様に、計測ステージ3を移動するための駆動システム6は、平面モータを含み、計測ステージ3に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。
本実施形態において、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置情報は、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む干渉計システム11によって計測される。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置情報を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2R、及び計測ステージ3に配置された計測ミラー3Rを用いて、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置情報を計測可能である。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測部材C)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子12と、終端光学素子12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体であり、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つを含む。
本実施形態において、液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体と対向可能な下面14を有する。液浸部材7は、投影領域PRに配置される物体との間で液体LQを保持することができる。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
図2は、本実施形態に係る基板ステージ2の一例を示す側断面図である。本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部31と、第1保持部31の周囲に配置され、プレート部材Tをリリース可能に保持する第2保持部32とを有する。第1,第2保持部31,32は、ピンチャック機構を有する。プレート部材Tは、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。基板ステージ2が移動することによって、第1保持部31に保持された基板P、及び第2保持部32に保持されたプレート部材Tは、投影領域PRに移動可能である。なお、第1保持部31と第2保持部32の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、プレート部材Tは基板ステージ2に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第1保持部31は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第2保持部32は、プレート部材Tの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの表面と第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。また、第1保持部31に保持された基板Pの側面と、第2保持部32に保持されたプレート部材Tの内側面とは、所定のギャップG1を介して対向する。
ここで、以下の説明において、第2保持部32に保持されたプレート部材Tの上面を適宜、基板ステージ2の上面2U、と称する。
図3は、本実施形態に係る液浸部材7の一例を示す側断面図である。なお、図3を用いる説明においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板Pが配置される場合を例にして説明するが、上述のように、基板ステージ2(プレート部材T)、及び計測ステージ3(プレート部材S、計測部材C)を配置することもできる。
図3に示すように、液浸部材7は、射出面13と対向する位置に開口7Kを有する。射出面13から射出された露光光ELは、開口7Kを通過して、基板Pに照射可能である。
また、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、液体LQを回収可能な回収口16とを備えている。供給口15は、露光光ELの光路の近傍において、その光路に面するように配置されている。供給口15は、流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、供給する液体LQの異物を除去するためのフィルタユニット18F、及び供給する液体LQの温度を調整可能な温度調整装置18Tを有し、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路17は、液浸部材7の内部に形成された供給流路17A、及びその供給流路17Aと液体供給装置18とを接続する供給管33で形成される流路17Bを含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、流路17を介して供給口15に供給される。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口16は、露光光ELが通過する開口7Kの周囲に配置されている。回収口16は、物体の表面と対向する液浸部材7の所定位置に配置されている。回収口16には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材19が配置されている。なお、回収口16に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。また回収口16に多孔部材19が配置されていなくてもよい。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、多孔部材19の下面を含む。回収口16は、流路20を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。流路20は、液浸部材7の内部に形成された回収流路20A、及びその回収流路20Aと液体回収装置21とを接続する回収管34で形成される流路20Bを含む。回収口16から回収された液体LQは、流路20を介して、液体回収装置21に回収される。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて、基板Pを露光する方法の一例について説明する。
制御装置8は、基板搬送装置(不図示)を用いて、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)する。また、制御装置8は、計測ステージ3(計測部材C)を用いて、所定の計測処理を実行する。露光前の基板Pが第1保持部31にロードされ、計測部材Cを用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を投影領域PRに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSを形成する。終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。
図4は、基板ステージ2に保持された基板Pの一例を示す図である。本実施形態においては、基板P上に露光対象領域であるショット領域SHがマトリクス状に複数配置されている。制御装置8は、基板Pの複数のショット領域SHを順次露光する。基板Pのショット領域SHを露光するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pとを対向させ、終端光学素子12と基板Pとの間の光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pの露光時、制御装置8は、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、マスクM及び基板Pを、XY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。
例えば基板P上の第1のショット領域SHを露光するために、制御装置8は、基板P(第1のショット領域SH)を投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動して第1のショット領域SHに露光光ELを照射する。第1のショット領域SHの露光が終了した後、制御装置8は、次の第2のショット領域SHの露光を開始するために、液浸空間LSを形成した状態で、基板PをX軸方向(あるいはXY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向)に移動し、第2のショット領域SHを露光開始位置に移動する。そして、制御装置8は、第1ショット領域と同様に、第2のショット領域SHを露光する。
制御装置8は、投影領域PRに対してショット領域SHをY軸方向に移動しながらそのショット領域SHを露光する動作と、そのショット領域SHの露光が終了した後、次のショット領域SHを露光開始位置に移動するための動作とを繰り返しながら、基板P上の複数のショット領域SHを順次露光する。制御装置8は、露光光EL(液浸部材7)に対して基板ステージ2(基板P)を、矢印R1で示す所定の移動経路で移動させながら、複数のショット領域SHを順次露光する。
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2から露光後の基板Pを搬出し、露光前の基板Pを基板ステージ2に搬入する。以下、制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
ところで、基板Pの露光中、液体供給装置18から基板P上に供給された液体LQが汚染されていると、露光不良が発生する可能性がある。例えば、供給口15から供給された液体LQに異物が混入していると、その異物に起因して、露光された基板Pにパターン欠陥が発生する等、露光不良が発生する可能性がある。
また、基板Pの露光中、基板Pから発生(溶出)した物質(例えば感光材等の有機物)が、異物(汚染物、パーティクル)として液浸空間LSの液体LQ中に混入する可能性がある。また、基板Pから発生する物質のみならず、例えば空中を浮遊する異物が、液浸空間LSの液体LQに混入する可能性もある。基板Pの露光中、基板Pの表面と接触した液浸空間LSの液体LQは、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の領域と接触する。また、基板Pの露光中、液浸空間LSの液体LQは、液浸部材7の下面14とも接触する。したがって、例えば供給口15から供給された液体LQが清浄であっても、基板Pから発生した異物、空中を浮遊する異物等が、液浸空間LSの液体LQ中に異物が混入すると、基板ステージ2(プレート部材T)の上面2Uに異物が付着する可能性がある。また、液浸部材7の下面14に異物が付着する可能性がある。それら露光装置EXの部材の液体LQと接触する液体接触面(上面2U、下面14)に異物が付着している状態を放置しておくと、その異物が露光中に基板Pに付着したり、供給口15から供給された液体LQが汚染されたりする可能性がある。また、基板ステージ2の上面2U、液浸部材7の下面14が汚染されると、例えば液浸空間LSを局所的に良好に形成できなくなる可能性もある。その結果、露光不良が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、所定のタイミングで、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態を確認する確認処理が実行され、その確認の結果に応じて、液体供給装置18がメンテナンスされる。
また、本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQと接触する液浸部材7の下面14の汚染状態を確認する確認処理が実行され、その確認の結果に応じて、その液浸部材7がメンテナンスされる。
また、本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQと接触するプレート部材Tの上面2Uの汚染状態を確認する確認処理が実行され、その確認の結果に応じて、そのプレート部材Tがメンテナンスされる。
以下、本実施形態に係る確認処理、及びメンテナンスの一例について説明する。まず、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態を確認する確認処理を含むメンテナンスシーケンスについて説明する。
図5のフローチャートに示すように、本実施形態においては、メンテナンスシーケンスは、第1保持部31でダミー基板DPを保持する動作(ステップSA1)と、液体供給装置18から供給された液体LQをダミー基板DPの表面の第1領域に第1時間だけ接触させる動作(ステップSA2)と、液体供給装置18からの液体LQを第1領域と異なるダミー基板DPの表面の第2領域に第1時間と異なる第2時間だけ接触させる動作(ステップSA3)と、液体供給装置18からの液体LQを第1,第2領域と異なるダミー基板DPの表面の第3領域に第1,第2時間と異なる第3時間だけ接触させる動作(ステップSA4)と、液体供給装置18からの液体LQを第1,第2,第3領域と異なるダミー基板DPの表面の第4領域に第1,第2,第3時間と異なる第4時間だけ接触させる動作(ステップSA5)と、第1,第2,第3,第4領域の表面状態に基づいて、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態を確認する動作(ステップSA6)と、を含む。本実施形態において、確認処理は、上述のステップSA1〜SA6の動作を含む。また、本実施形態においては、その確認の結果、液体LQが汚染されていると判断された場合に、液体供給装置18をメンテナンスを実行する。
本実施形態において、上述の確認処理は、液体LQを介して露光された基板Pの状態(基板Pの表面の異物の付着状態、及び/又は基板Pに形成されたパターンの欠陥の数(量))に基づいて開始される。すなわち、本実施形態においては、確認処理を開始するタイミングは、露光後の基板Pの状態を観察した結果に基づいて決定される。
例えば、液体LQを介して露光された基板Pの状態に関する情報が、所定の観察装置で取得される。例えば、露光後の基板の表面の画像が、走査型電子顕微鏡(SEM)等で取得される。その取得された情報は、制御装置8に出力される。制御装置8は、その情報に基づいて、露光後の基板Pが許容できない状態である(基板Pの表面に異物が許容できないほど付着している、及び/又は基板Pに形成されたパターンに許容できないほど欠陥が生じている)と判断した場合、確認処理を開始する。
例えば、露光後の基板Pの状態が許容できない場合、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染されている可能性があると判断できる。したがって、制御装置8は、露光後の基板Pの状態に基づいて、確認処理を開始するか否かを判断する。
確認処理を実行するために、図6に示すように、第1保持部31にダミー基板DPが保持される(ステップSA1)。ダミー基板DPは、露光用の基板Pとは別の、異物を放出し難く、高い清浄度を有する(クリーンな)部材である。ダミー基板DPは、基板Pとほぼ同じ外形であり、第1保持部31は、ダミー基板DPを保持可能である。第1保持部31に保持されたダミー基板DPの側面と、第2保持部32に保持されているプレート部材Tの内側面との間に、所定のギャップG1bが形成される。なお、ダミー基板DPは、基板Pと同じ外形でなくてもよい。
本実施形態において、液体LQに対するダミー基板DPの表面(上面)の接触角は、液体LQに対する基板Pの表面(上面)の接触角とほぼ同じである。本実施形態において、基板Pの表面は、トップコート膜の表面で形成され、ダミー基板DPの表面も、トップコート膜で形成される。本実施形態において、ダミー基板DPは、感光膜を含まず、半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成されたトップコート膜とを有する。なお、ダミー基板DPにおいて、基材とトップコート膜との間に、HMDS膜が配置されてもよい。また、ダミー基板DPに感光膜が形成されていてもよい。
制御装置8は、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態の確認処理を実行するために、供給口15からの液体LQの供給と並行して、その供給口15から供給された液体LQを回収口16から回収することによって、ダミー基板DPの表面上の第1領域51に液浸空間LSを形成する。図6に示すように、制御装置8は、液浸空間LSの液体LQが、第1保持部31に保持されたダミー基板DPの表面の第1領域51に接触するように、液浸部材7に対する基板ステージ2の位置を調整する。
制御装置8は、その位置で第1時間t1だけ基板ステージ2の移動を停止する(位置を固定する)。これにより、ダミー基板DPの表面の第1領域51は、液体供給装置18から供給された液浸空間LSの液体LQと第1時間t1だけ接触する(ステップSA2)。
液浸空間LSの液体LQと第1領域51とを第1時間t1だけ接触させた後、制御装置8は、液浸空間LSの液体LQと第2領域52とを接触させるために、基板ステージ2をXY方向に移動する。制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給と並行して、その供給口15から供給された液体LQを回収口16から回収することによって、ダミー基板DPの表面上の第2領域52液浸空間LSを形成する。
制御装置8は、その位置で第2時間t2だけ基板ステージ2の移動を停止する(位置を固定する)。本実施形態において、第2時間t2は、第1時間t1より長い。これにより、ダミー基板DPの表面の第2領域52は、液体供給装置18から供給された液浸空間LSの液体LQと第2時間t2だけ接触する(ステップSA3)。
液浸空間LSの液体LQと第2領域52とを第2時間t2だけ接触させた後、制御装置8は、基板ステージ2の位置を調整して、液浸空間LSの液体LQと第3領域53とを接触させる。制御装置8は、基板ステージ2の移動を停止するとともに、供給口15からの液体LQの供給と並行して、回収口16からの液体LQの回収を実行して、液浸空間LSの液体LQと第3領域53とを第3時間t3だけ接触させる(ステップSA4)。本実施形態において、第3時間t3は、第1,第2時間t1,t2より長い。
液浸空間LSの液体LQと第3領域53とを第3時間t3だけ接触させた後、制御装置8は、基板ステージ2の位置を調整して、液浸空間LSの液体LQと第4領域54とを接触させる。制御装置8は、基板ステージ2の移動を停止するとともに、供給口15からの液体LQの供給と並行して、回収口16からの液体LQの回収を実行して、液浸空間LSの液体LQと第4領域54とを第4時間t4だけ接触させる(ステップSA5)。本実施形態において、第4時間t4は、第1,第2,第3時間t1,t2,t3より長い。
上述のステップSA1〜SA5の動作において、制御装置8は、プレート部材Tの上面と液体LQを接触させないように、液浸空間LSを形成する。すなわち、制御装置8は、プレート部材Tと液浸空間LSの液体LQとが接触しないように、基板ステージ2の位置を調整する。
上述のステップSA1〜SA5の動作が終了した後、ダミー基板DPの表面の観察が実行される。例えば、制御装置8は、搬送装置(不図示)を用いて、ダミー基板DPを第1保持部31からアンロードする。アンロードされたダミー基板DPは、所定の観察装置に送られる。本実施形態において、観察装置は、ダミー基板DPの表面の画像を取得可能なカメラ、あるいは走査型電子顕微鏡である。観察装置は、そのダミー基板DPの表面を観察し、そのダミー基板DPの表面の画像を取得する。これにより、そのダミー基板DPの表面の汚染状態が確認される。
本実施形態においては、ダミー基板DPの表面の第1〜第4領域51〜54の表面状態に基づいて、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態を確認する(ステップSA6)。例えば、液体供給装置18から供給された液体LQ中に異物が混入している場合、その液体LQとダミー基板DPの表面とを接触させることによって、その液体LQ中の異物がダミー基板DPの表面に付着する可能性が高い。したがって、そのダミー基板DPの表面の状態を観察装置で観察し、そのダミー基板DPの表面に異物が付着しているか否かを確認することによって、液体供給装置18から供給された液体LQ中に異物が混入しているか否かを確認することができる。
液体供給装置18から供給された液体LQとダミー基板DPの表面との接触時間に応じて、そのダミー基板DPの表面に付着する異物の量が変化する。換言すれば、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染されている場合、その液体LQとダミー基板DPの表面との接触時間が長いほど、そのダミー基板DPの表面の汚染(汚染度)が悪化する。したがって、第1領域51の汚染状態と、第2領域52の汚染状態と、第3領域53の汚染状態と、第4領域54の汚染状態とが液体LQとの接触時間に応じて異なるとき、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染していると判断することができる。すなわち、ダミー基板DPの表面の第1,第2,第3,第4領域51,52,53,54それぞれの汚染状態を観察することによって、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染されているか否かをより精確に確認することができる。
本実施形態においては、観察装置で取得された画像データが、制御装置8に出力される。制御装置8は、その画像データを処理し、ダミー基板DPの表面の第1〜第4領域51〜54の汚染状態を確認する。
図7は、取得されたダミー基板DPの表面の画像データの一例を示す模式図である。例えば、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染されていない場合、あるいは汚染度が十分に低い場合、図7(A)に示すように、ダミー基板DPの表面は、クリーンである。一方、液体供給装置18から供給された液体LQに異物が混入している場合、図7(B)の模式図に示すように、ダミー基板DPの表面には、液体LQとダミー基板DPの表面との接触時間に依存した数(量)の異物が、第1〜第4領域51〜54のそれぞれに付着する。上述のように、本実施形態においては、第1〜第4時間t1〜t4のうち、第4時間t4が最も長く、第4時間t4に次いで第3時間t3が長く、第3時間t3に次いで第2時間t2が長く、第1時間t1が最も短い。これにより、第1〜第4領域51〜54のうち、第4領域54の汚染状態が最も高く、第4領域54に次いで第3領域53の汚染状態が高く、第3領域53に次いで第2領域52の汚染状態が高く、第1領域51の汚染状態が最も低い。このように、液体供給装置18から供給された液体LQとの接触時間に応じて、各領域51〜54の汚染状態が異なるので、各領域51〜54の汚染状態が異なるとき、液体供給装置18から供給された液体LQが汚染していると判断することができる。
このように、制御装置8は、観察装置の画像データに基づいて、ダミー基板DPの表面の第1〜第4領域51〜54の汚染状態を確認することによって、液体供給装置18から供給された液体LQの汚染状態を確認することができる。
上述の確認処理において、液体供給装置18から供給されたLQの汚染が確認された場合、制御装置8は、液体供給装置18をメンテナンスする。本実施形態において、液体供給装置18のメンテナンスは、例えばフィルタユニット18Fの交換を含む。また、液体供給装置18のメンテナンスとして、流路17のクリーニング、供給管33の交換、液浸部材7の交換が実行されてもよい。
なお、液体LQの汚染状態を確認する上述シーケンスにおいては、ダミー基板DP上の4つの領域上で液浸空間LSを形成しているが、これに限定されず、ダミー基板DP上の少なくとも2つの領域上で液浸空間LSが形成されればよい。
次に、液浸部材7の汚染状態を確認する確認処理を含むメンテナンスシーケンスについて説明する。
図8のフローチャートに示すように、本実施形態においては、メンテナンスシーケンスは、第1保持部31でダミー基板DPを保持する動作(ステップSB1)と、液浸部材7とダミー基板DPとの間に液浸空間LSを形成し、液浸空間LSの液体LQとダミー基板DPの表面とを接触させた状態で、液浸部材7に対してダミー基板DPを所定の移動経路で移動する動作(ステップSB2)と、ダミー基板DPの表面の汚染状態とダミー基板DPの表面上における液浸空間LSの移動軌跡との相関関係に基づいて、液浸部材7の下面14の汚染状態を確認する動作(ステップSB3)と、を含む。本実施形態において、確認処理は、上述のステップSB1〜SB3の動作を含む。また、本実施形態においては、その確認の結果、液浸部材7の下面14が汚染されていると判断された場合に、液浸部材7のクリーニングを実行する。
確認処理を実行するために、図9に示すように、第1保持部31にダミー基板DPが保持される(ステップSB1)。
制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給と並行して、その供給口15から供給された液体LQを回収口16から回収することによって、ダミー基板DPの表面上に液浸空間LSを形成する。
次に、制御装置8は、液浸部材7とダミー基板DPとの間に形成された液浸空間LSの液体LQと、ダミー基板DPの表面とを接触させた状態で、液浸部材7に対してダミー基板DPを所定の移動経路で移動する(ステップSB2)。
本実施形態においては、制御装置8は、基板ステージ2を制御して、液浸空間LSがダミー基板DPの表面の第1位置PJ1と、第1位置PJ1と異なる第2位置PJ2との間を所定回数だけ往復するように、液浸部材7に対してダミー基板DPを移動する。
例えば、制御装置8は、ダミー基板DPの表面上で液浸空間LSが、図9中、矢印R2で示す移動軌跡に沿って移動するように、液浸部材7に対して基板ステージ2を移動する。
このとき、制御装置8は、ダミー基板DPの周囲に配置されるプレート部材Tと液浸空間LSの液体LQとが接触しないように、基板ステージ2(ダミー基板DP)を移動する。
上述のステップSB1、SB2の動作が終了した後、ダミー基板DPの表面の観察が実行される。例えば、制御装置8は、搬送装置を用いて、ダミー基板DPを第1保持部31からアンロードする。アンロードされたダミー基板DPは、所定の観察装置に送られる。観察装置は、そのダミー基板DPの表面を観察し、そのダミー基板DPの表面の画像を取得する。これにより、そのダミー基板DPの表面の汚染状態が確認される。
本実施形態においては、ダミー基板DPの表面の汚染状態と、ステップSB2におけるダミー基板DPの移動軌跡との相関関係に基づいて、液浸部材7の下面14の汚染状態を確認する(ステップSB3)。例えば、液浸部材7の下面14に異物が付着している場合、液浸空間LSの液体LQと、液浸部材7の下面14とを接触させることによって、その液浸部材7の下面14に付着している異物が、液浸空間LSの液体LQ中に混入し、その液体LQ中の異物がダミー基板DPの表面に付着する可能性が高い。したがって、そのダミー基板DPの表面の状態を観察装置で観察し、そのダミー基板DPの表面に異物が付着しているか否かを確認することによって、液浸部材7の下面14に異物が付着しているか否かを確認することができる。
また、ダミー基板DPの表面上で液浸空間LSを移動軌跡R2で移動した場合、液浸空間LSの液体LQは、移動軌跡R2に応じたダミー基板DPの一部の領域と接触する。したがって、液浸部材7の下面14に異物が付着している場合、その異物は、液浸空間LSの移動軌跡R2に沿ってダミー基板DPの表面の一部の領域に付着する。したがって、液浸空間LSの移動軌跡R2に沿ってダミー基板DPの表面の一部の領域に異物が付着している場合、液浸部材7の下面14が汚染していると判断することができる。
本実施形態においては、観察装置で取得された画像データが、制御装置8に出力される。制御装置8は、その画像データを処理し、ダミー基板DPの表面の汚染状態を確認する。
図10は、取得されたダミー基板DPの表面の画像データの一例を示す模式図である。例えば、液浸部材7の下面14が汚染されていない場合、あるいは汚染度が十分に低い場合、図10(A)に示すように、ダミー基板DPの表面は、クリーンである。一方、液浸部材7の下面14に異物が付着している場合、図10(B)の模式図に示すように、ダミー基板DPの表面には、液浸空間LSの移動軌跡に沿って異物が付着する。このように、ダミー基板DPの表面の汚染状態(汚染領域)が液浸空間LSの移動軌跡に依存している場合、液浸部材7が汚染されていると判断することができる。制御装置8は、観察装置の画像データに基づいて、ダミー基板DPの表面の汚染状態を確認することによって、液浸部材7の下面14の汚染状態を確認することができる。
上述の確認処理において、液浸部材7の下面14の汚染が許容できないと判断された場合、制御装置8は、液浸部材7をクリーニングする。
本実施形態において、クリーニングは、クリーニング液体を用いて実行される。本実施形態においては、クリーニング液体として、基板Pの露光に用いられる液体LQを用いる。
例えば、上述の確認処理において、液浸部材7の下面14の汚染が確認された場合、図11に示すように、制御装置8は、液浸部材7と、例えばダミー基板DP等、清浄な物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、液浸部材7に対して、物体をXY方向に移動する。本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行して、液浸部材7と物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成して、その液浸空間LSの液体LQと液浸部材7の下面14とを接触させた状態で、物体をXY平面内で移動させる。これにより、液浸部材7の下面14が、液体LQでクリーニングされる。
なお、液浸部材7の下面14の汚染状態を確認する上述のシーケンスにおいては、液浸空間LSの移動軌跡R2が直線状であるが、移動軌跡に曲線が含まれていてもよい。例えば、ダミー基板DPの表面上で液浸空間LSの移動軌跡が円状となるように、基板ステージ2を移動してもよよい。
次に、プレート部材Tの上面の汚染状態を確認する確認処理を含むメンテナンスシーケンスについて説明する。
図12のフローチャートに示すように、本実施形態においては、メンテナンスシーケンスは、第1保持部31で第1ダミー基板DP1を保持する動作(ステップSC1)と、第1ダミー基板DP1の周囲のプレート部材Tと液体LQとが接触しないように第1ダミー基板DP1の表面と液浸空間LSの液体LQとを接触させる動作(ステップSC2)と、第1保持部31で第2ダミー基板DP2を保持する動作(ステップSC3)第2ダミー基板DP2の表面及びプレート部材Tの表面と液浸空間LSの液体LQとを接触させる動作(ステップSC4)と、第1ダミー基板DP1の表面状態及び第2ダミー基板DP2の表面状態に基づいて、プレート部材Tの汚染状態を確認する動作(ステップSC5)とを含む。本実施形態において、確認処理は、上述のステップSC1〜SC5の動作を含む。また、本実施形態においては、その確認の結果、プレート部材Tの汚染が許容できないと判断した場合、制御装置8はプレート部材Tをクリーニングする動作を実行する。
確認処理を実行するために、図13に示すように、第1保持部31に第1ダミー基板DP1が保持される(ステップSC1)。
制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給と並行して、その供給口15から供給された液体LQを回収口16から回収することによって、第1ダミー基板DP1の表面上に液浸空間LSを形成する。
次に、制御装置8は、液浸部材7と第1ダミー基板DP1との間に形成された液浸空間LSの液体LQと、第1ダミー基板DP1の表面とを接触させた状態で、図13の矢印R1aで示す移動軌跡に沿って第1ダミー基板DP1の表面上で液浸空間LSが移動するように、液浸部材7に対して第1ダミー基板DP1を移動する(ステップSC2)。このとき、制御装置8は、プレート部材Tと液体LQとが接触しないように、基板ステージ2を移動する。
本実施形態においては、制御装置8は、基板Pの複数のショット領域SHを露光するための移動経路のうち、基板Pの中央の一部のショット領域SHを露光するような移動経路で第1ダミー基板DP1(基板ステージ2)を移動する。
第1ダミー基板DP1の表面と液浸空間LSの液体LQとを接触させる動作が終了した後、制御装置8は、第1保持部31から第1ダミー基板DP1をアンロードする。第1保持部31から第1ダミー基板DP1がアンロードされた後、制御装置8は、第1保持部31に第2ダミー基板DP2をロードする。これにより、図14に示すように、第1保持部31に第2ダミー基板DP2が保持される(ステップSC3)。
次に、制御装置8は、液浸部材7と第2ダミー基板DP2との間に液浸空間LSを形成した状態で、基板Pの露光時における露光光ELに対する基板Pの移動条件とほぼ同じ移動条件で、第2ダミー基板DP2(基板ステージ2)を移動する。制御装置8は、基板Pの露光時における露光光ELに対する基板Pの速度、加速度、及び移動軌跡R1とほぼ同じ速度、加速度、及び移動経路で基板ステージ2(第2ダミー基板DP2及びプレート部材T)を移動する。
液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの露光時と同様に井基板ステージ2を移動することによって、液浸空間LSは、第2ダミー基板DP2の表面上及びプレート部材Tの上面上の両方に形成される。すなわち、液浸空間LSの液体LQは、第2ダミー基板DP2の表面、及びプレート部材Tの上面の両方に接触する(ステップSC4)。
例えば、図14に示すように、液浸空間LSが移動軌跡R1で移動するとき、その移動軌跡R1の少なくとも一部において、液浸空間LSが、第2ダミー基板DP2とプレート部材Tとの間に形成されたギャップG1b上に配置される状況が発生する。すなわち、液浸空間LSの液体LQが、第2ダミー基板DP2の表面とプレート部材Tの上面とに同時に接触する状況が発生する。
第2ダミー基板DP2の表面及びプレート部材Tの上面と液浸空間LSの液体LQとを接触させる動作が終了した後、制御装置8は、第1保持部31から第2ダミー基板DP2をアンロードする。
上述のステップSC1〜SC4の動作が終了した後、第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面の観察が、観察装置によって実行される。観察装置は、その第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面を観察し、その第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面の画像を取得する。これにより、その第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面の汚染状態が確認される。
本実施形態においては、第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面状態に基づいて、プレート部材Tの汚染状態を確認する(ステップSC5)。例えば、プレート部材Tの表面(上面及び/又は内側面)に異物が付着している場合、ステップSC4において、そのプレート部材Tの表面と接触した液体LQと第2ダミー基板DP2の表面とが接触することによって、そのプレート部材Tの表面に付着していた異物が、液体LQを介して、第2ダミー基板DP2の表面に付着する可能性が高い。したがって、その第2ダミー基板DP2の表面の状態を観察装置で観察し、その第2ダミー基板DP2の表面への異物の付着状態を確認することによって、プレート部材Tの表面への異物の付着状態を確認することができる。
また、本実施形態においては、プレート部材Tと接触していない液浸空間LSの液体LQと接触した第1ダミー基板DP1の表面状態も観察される。本実施形態においては、第2ダミー基板DP2の表面の汚染状態を評価するとき、第1ダミー基板DP1の表面状態が参照される。本実施形態においては、第1ダミー基板DP1の表面の汚染状態が、第2ダミー基板DP2の表面の汚染状態より悪いとき、プレート部材Tが汚染していると判断される。第1,第2ダミー基板DP1,DP2それぞれの表面の汚染状態を観察することによって、プレート部材Tが汚染されているか否かをより精確に確認することができる。
観察装置で取得された画像データは、制御装置8に出力される。制御装置8は、その画像データを処理し、第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面の汚染状態を確認することによって、プレート部材Tの上面の汚染状態を判断することができる。
本実施形態によれば、ステップSC4において、基板Pの露光時とほぼ同じ移動条件で、第2ダミー基板DP2を保持した基板ステージ2が移動するので、基板Pの露光時に基板Pに生じる可能性がある汚染状態を確認することができる。
上述の確認処理において、プレート部材Tの汚染が許容できないと判断した場合、制御装置8は、プレート部材Tをクリーニングする。
本実施形態において、クリーニングは、クリーニング液体を用いて実行される。本実施形態においては、クリーニング液体として、基板Pの露光に用いられる液体LQを用いる。
例えば、上述の確認処理において、液浸部材4の下面14の汚染が確認された場合、制御装置8は、第1保持部31に、例えばダミー基板DP等、清浄な物体を保持した状態で、基板ステージ2上に液浸空間LSを形成して、液浸部材7に対して、基板ステージ2をXY方向に移動する。制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行して、液浸部材7と基板ステージ2との間に液体LQで液浸空間LSを形成して、その液浸空間LSの液体LQとプレート部材T表面とを接触させた状態で、基板ステージ2をXY平面内で移動させる。これにより、プレート部材Tの表面が、液体LQでクリーニングされる。
図15は、液浸空間LSの液体LQを用いてプレート部材Tの上面をクリーニングするときの基板ステージ2の動作の一例を示す図である。制御装置8は、プレート部材Tをクリーニングする際、例えば図15に示すように、液浸空間LSが、矢印R3で示す移動軌跡に沿って移動するように、液浸部材7に対して基板ステージ2の移動することができる。
なお、上述のステップSC2,SC4における基板ステージ2の移動経路は、基板Pの露光時における移動経路と異なってもよい。例えば、ステップSC2において、図16中、矢印R4で示す移動軌跡に沿って液浸空間LSが第1ダミー基板DP1上で移動するように液浸部材7に対して基板ステージ2(第1ダミー基板DP1)を移動してもよいし、ステップSC4において、図17中、矢印R5で示す移動軌跡に沿って液浸空間LSが第2ダミー基板DP2上で移動するように液浸部材7に対して基板ステージ2(第2ダミー基板DP2)を移動してもよい。
図16に示す例では、制御装置8は、プレート部材Tの表面と液浸空間LSの液体LQとが接触しないように、液浸空間LSを第1ダミー基板DP1の表面の第1領域61に配置した状態で、その液浸空間LSの液体LQと第1領域61とが所定時間だけ接触し続けるように、基板ステージ2(第1ダミー基板DP1)の位置をほぼ停止する(位置を固定する)。
液浸空間LSの液体LQと第1領域61とを接触させた後、制御装置8は、プレート部材Tの表面と液浸空間LSの液体LQとが接触しないように、基板ステージ2をXY方向に移動して、液浸空間LSの液体LQと第1ダミー基板DP1の表面の第2領域62とが所定時間だけ接触し続けるように、基板ステージ2(第1ダミー基板DP1)の位置をほぼ停止する(位置を固定する)。
同様に、制御装置8は、液浸空間LSを第1ダミー基板DP1の表面の第3領域63上に配置した状態で、第1ダミー基板DP1の位置をほぼ停止する動作を実行した後、第4領域64上に配置した状態で、第1ダミー基板DP1の位置をほぼ停止する動作を実行する。
また、図17に示す例では、制御装置8は、第2ダミー基板DP2の表面及びプレート部材Tの表面と液浸空間LSの液体LQとが接触するように、液浸空間LSを第2ダミー基板DP2とプレート部材Tとの間に形成されたギャップG1bの第1部分71上に配置した状態で、所定時間だけ、基板ステージ2(第2ダミー基板DP2及びプレート部材T)の位置をほぼ停止する(位置を固定する)。
液浸空間LSを第1部分71上に配置した後、制御装置8は、基板ステージ2をXY方向に移動して、液浸空間LSをギャップG1bの第2部分72上に配置した状態で、所定時間だけ、基板ステージ2(第2ダミー基板DP2及びプレート部材T)の位置をほぼ停止する。
同様に、制御装置8は、液浸空間LSをギャップG1bの第3部分73上に配置した状態で、基板ステージ2の位置をほぼ停止する動作を実行した後、第4部分74上に配置した状態で、基板ステージ2の位置をほぼ停止する動作を実行する。
そして、第1,第2ダミー基板DP1,DP2の表面の汚染状態を観察することによって、プレート部材Tの表面の汚染状態を確認することができる。図16及び図17に示す例によれば、確認処理を短時間で実行することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、液体LQの汚染状態、液浸部材7の汚染状態、及びプレート部材Tの汚染状態を確認することができる。したがって、液体供給装置18、液浸部材7、及びプレート部材Tを効率良くメンテナンスできる。なお、液体LQ、液浸部材7、プレート部材Tのすべての汚染状態を、その順で確認する必要はなく、少なくとも一つを実行するだけでもよい。
また、本実施形態においては、液体LQに対するダミー基板DPの表面の接触角と、液体LQに対する基板Pの表面の接触角とがほぼ同じなので、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板DPの表面との間に液浸空間LSを良好に形成することができる。また、液体LQに対するダミー基板DPの表面の接触角を、液体LQに対する基板Pの表面の接触角より高くすることによっても、終端光学素子12及び液浸部材7とダミー基板の表面との間に液浸空間LSを良好に形成することができる。
なお、上述の実施形態においては、第1保持部31にダミー基板DPを保持して、確認処理を実行しているが、第1保持部31に露光用の基板Pを保持して、確認処理を実行してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、基板Pの露光に用いる液体LQを用いて、液浸部材7及びプレート部材Tをクリーニングする場合を例にして説明したが、露光用の液体LQと異なる液体を用いてクリーニングしてもよい。例えば、アルカリ洗浄液を用いて、液浸部材7及びプレート部材Tをクリーニングすることができる。その場合、供給口15よりアルカリ洗浄液を供給して、液浸部材7とプレート部材Tとの間にアルカリ洗浄液で液浸空間を形成して、それら液浸部材7及びプレート部材Tをクリーニングすることができる。
また、液浸部材7と異なるクリーニング用の液浸部材を設け、例えばプレート部材Tをクリーニングする際、そのクリーニング用の液浸部材とプレート部材Tとの間に液浸空間を形成して、プレート部材Tをクリーニングしてもよい。クリーニング用の液浸部材で液浸空間を形成する場合、基板Pの露光に用いられる液体LQで液浸空間を形成してもよいし、アルカリ洗浄液等、液体LQとは異なる液体で液浸空間を形成してもよい。
また、液浸部材7、及び/又はプレート部材Tをクリーニングする際、液浸空間の液体に超音波振動を与えてもよい。
また、クリーニング対象の部材に紫外線(例えば露光光EL)を照射して、クリーニング対象部材を光洗浄してもよい。光洗浄については、例えば米国特許出願公開2007/0258072号明細書に記載されている。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EXの部材、及び/又は部品の汚染状態の確認処理が、液体LQを介して露光された基板Pの状態に基づいて開始されることとしたが、例えば所定時間間隔毎、所定枚数の基板Pを露光する毎、各ロット内の1枚目の基板Pの露光処理を開始する直前など、所定のタイミングで実行されてもよい。
なお、上述の各実施形態において、観察装置は、露光装置EXが備えていてもよいし、露光装置EXの外に配置されていてもよい。露光装置EXの外部に配置された観察装置を使用する場合には、露光装置EXから観察装置へダミー基板DPをオペレータが運んでもよいし、露光装置EXと観察装置との間に配置された搬送装置を使って、露光装置EXから観察装置へダミー基板DPを搬送してもよい。
また、上述の各実施形態においては、制御装置8が観察装置で取得された画像データに基づいて、評価対象部材の汚染状態を確認しているが、露光装置EX、または観察装置に設けられた表示装置にダミー基板DPの汚染状態を表示して、オペレータが評価対象部材の汚染状態を判断してもよい。
また、上述の実施形態においては、部材、及び/又は部品の汚染が許容できないと判断された場合に、その部材及び/または部品のクリーニングを実施しているが、クリーニングを行わずに交換してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図18に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。基板処理ステップは、上述の実施形態に従って、液体LQ、液浸部材7、及びプレート部材Tの汚染状態の確認処理、及び確認処理の結果に応じて実行されるメンテナンス処理を含み、そのメンテナンスされた露光装置EXを用いて基板が露光光で露光される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
2…基板ステージ、3…計測ステージ、7…液浸部材、8…制御装置、31…第1保持部、32…第2保持部、DP…ダミー基板、P…基板、T…プレート部材、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS…液浸空間
Claims (24)
- 液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で評価部材を保持することと、
液体供給装置から供給された液体を前記評価部材の表面の第1領域に第1時間だけ接触させることと、
前記液体供給装置からの液体を前記第1領域と異なる前記評価部材の表面の第2領域に前記第1時間と異なる第2時間だけ接触させることと、
前記第1領域及び前記第2領域の表面状態に基づいて、前記液体供給装置から供給された前記液体の汚染状態を確認することと、を含む確認方法。 - 前記第1領域の汚染状態と前記第2領域の汚染状態とが異なるとき、前記液体が汚染していると判断する請求項1記載の確認方法。
- 前記評価部材の周囲に配置される第1部材と前記液体とが接触しないように、前記液浸空間が形成される請求項1又は2記載の確認方法。
- 前記液体供給装置の供給口からの液体の供給と並行して、前記供給口から供給された前記液体を回収口から回収することによって、前記液浸空間が形成される請求項1〜3のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記評価部材は、前記液体に対する接触角が前記基板の表面とほぼ同じ、又は前記液体に対する接触角が前記基板の表面よりも大きい表面を有するダミー基板を含む請求項1〜4のいずれか一項記載の確認方法。
- 液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で評価部材を保持することと、
前記露光光の光路が液体で満たされるように液浸空間を形成可能な液浸部材と前記評価部材との間に形成された液浸空間の液体と、前記評価部材の表面とを接触させた状態で、前記液浸部材に対して前記評価部材を所定の移動経路で移動することと、
前記評価部材の表面の汚染状態と前記移動経路との相関関係に基づいて、前記液体と接触する前記液浸部材の液体接触面の汚染状態を確認することと、を含む確認方法。 - 前記液浸空間が前記評価部材の表面の第1位置と、前記第1位置と異なる第2位置との間を所定回数だけ往復するように、前記液浸部材に対して前記評価部材を移動する請求項6記載の確認方法。
- 前記評価部材の周囲に配置される第1部材と前記液体とが接触しないように、前記液浸空間が形成される請求項6又は7記載の確認方法。
- 供給口からの液体の供給と並行して、前記供給口から供給された液体を回収口から回収することによって、前記液浸空間が形成される請求項6〜8のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記評価部材は、前記液体に対する接触角が前記基板の表面とほぼ同じ、又は前記液体に対する接触角が前記基板の表面よりも大きい表面を有するダミー基板を含む請求項6〜9のいずれか一項記載の確認方法。
- 液体を介して露光光で露光される基板をリリース可能に保持する第1保持部で第1評価部材を保持することと、
前記第1評価部材の周囲の第1部材と液体とが接触しないように前記第1評価部材の表面上に液浸空間を形成して、前記第1評価部材の表面と前記液体とを接触させる第1動作を実行することと、
前記第1保持部で第2評価部材を保持することと、
前記第2評価部材の表面上及び前記第1部材の表面上に液浸空間を形成して、前記第2評価部材の表面及び前記第1部材の表面と前記液体とを接触させる第2動作を実行することと、
前記第1評価部材の表面状態及び前記第2評価部材の表面状態に基づいて、前記第1部材の表面の汚染状態を確認することと、を含む確認方法。 - 前記第1評価部材の表面の汚染状態と前記第2評価部材の表面の汚染状態とが異なるとき、前記第1部材が汚染していると判断する請求項11記載の確認方法。
- 前記第1動作と前記第2動作との間で、前記第1保持部から前記第1評価部材をアンロードすることを含む請求項11又は12記載の確認方法。
- 前記第2動作は、前記基板の露光時における前記露光光に対する前記基板の移動条件とほぼ同じ移動条件で前記第2評価部材及び前記第1部材を移動する請求項11〜13のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記第2動作の少なくとも一部において、前記液浸空間が前記第2評価部材と前記第1部材との間に形成されたギャップ上に配置される請求項11〜14のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記第2動作は、前記液浸空間が前記第2評価部材と前記第1部材との間に形成されたギャップ上に配置された状態で、前記第2評価部材及び前記第1部材の位置をほぼ停止することを含む請求項11〜15のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記第1部材は、前記第1保持部の周囲に配置された第2保持部にリリース可能に保持されるプレート部材を含む請求項11〜16のいずれか一項記載の確認方法。
- 供給口からの液体の供給と並行して、前記供給口から供給された前記液体を回収口から回収することによって、前記液浸空間が形成される請求項11〜17のいずれか一項記載の確認方法。
- 前記第1評価部材及び前記第2評価部材の少なくとも一方は、前記液体に対する接触角が前記基板の表面とほぼ同じ、又は前記液体に対する接触角が前記基板の表面より大きい表面を有するダミー基板を含む請求項11〜18のいずれか一項記載の確認方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置における前記液体の汚染状態を確認することと、
前記確認の結果に応じて、前記液体供給装置をメンテナンスすることと、を含むメンテナンス方法。 - 請求項6〜10のいずれか一項記載の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置の液浸部材の液体接触面の汚染状態を確認することと、
前記確認の結果に応じて、前記液浸部材をクリーニングすることと、を含むメンテナンス方法。 - 請求項11〜19のいずれか一項記載の確認方法を用いて、液体を介して基板を露光する液浸露光装置の第1部材の表面の汚染状態を確認することと、
前記確認の結果に応じて、前記第1部材をクリーニングすることと、を含むメンテナンス方法。 - 前記確認は、前記液体を介して露光された前記基板の表面状態、及び/又は前記液体を介して露光された前記基板のパターンの欠陥に基づいて実行される請求項23〜25のいずれか一項記載のメンテナンス方法。
- 請求項20〜23のいずれか一項記載のメンテナンス方法でメンテナンスされた液浸露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
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