適切と見なされる場合、例証を簡単かつ明確にするために、参照番号が、対応または類似する構成要素を示すように図の間で繰り返され得ることが理解されるであろう。加えて、多数の具体的詳細が、本明細書に説明される例示的実施形態の徹底的な理解を提供するために記載される。しかしながら、本明細書に説明される例示的実施形態は、これらの具体的詳細のうちのいくつかを伴わずに実践され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、ある方法、手順、および構成要素は、本明細書に説明される例示的実施形態を曖昧にしないよう、詳細に説明されていない。
いくつかの実施形態による一側面では、表面上に導電性コーティングを堆積させるための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、光電子デバイスの製造方法との関連で行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、別のデバイスの製造方法との関連で行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、基板の第1の領域上に核形成阻害コーティングを堆積させ、パターン化された基板を生産するステップを含む。パターン化された基板は、核形成阻害コーティングによって被覆される第1の領域と、核形成阻害コーティングから露出される、または核形成阻害コーティングを実質的に含まない、もしくは実質的に核形成阻害コーティングによって被覆されていない、基板の第2の領域とを含む。本方法はまた、パターン化された基板を処理し、基板の第2の領域上に伝導性コーティングを堆積させるステップも含む。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングの材料は、マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、パターン化された基板を処理するステップは、核形成阻害コーティングが伝導性コーティングから露出されたままである、または伝導性コーティングを実質的に含まない、もしくは実質的に伝導性コーティングによって被覆されていない間に、核形成阻害コーティングおよび基板の第2の領域の両方を処理し、基板の第2の領域上に伝導性コーティングを堆積させるステップを含む。いくつかの実施形態では、パターン化された基板を処理するステップは、伝導性コーティングを形成するために使用されるソース材料の蒸発または昇華を行うステップと、核形成阻害コーティングおよび基板の第2の領域の両方を蒸発したソース材料に暴露するステップとを含む。
本明細書で使用されるように、「核形成阻害」という用語は、表面上の伝導性材料の堆積が阻害されるように、導電性材料の堆積に向けて比較的低い親和性を呈する表面を有する、材料のコーティングまたは層を指すために使用される一方で、「核形成助長」という用語は、表面上の伝導性材料の堆積が促進されるように、導電性材料の堆積に向けて比較的高い親和性を呈する表面を有する、材料のコーティングまたは層を指すために使用される。表面の核形成阻害または核形成助長性質の1つの尺度は、マグネシウム等の導電性材料の表面の初期付着確率である。例えば、マグネシウムに対する核形成阻害コーティングは、表面上のマグネシウムの堆積が阻害されるように、マグネシウム蒸気の比較的低い初期付着確率を呈する表面を有する、コーティングを指すことができる一方で、マグネシウムに対する核形成助長コーティングは、表面上のマグネシウムの堆積が促進されるように、マグネシウム蒸気の比較的高い初期付着確率を呈する表面を有する、コーティングを指すことができる。本明細書で使用されるように、「付着確率」および「付着係数」という用語は、同義的に使用されてもよい。表面の核形成阻害または核形成助長性質の別の尺度は、別の(参照)表面上の伝導性材料の初期堆積速度に対する、表面上のマグネシウム等の導電性材料の初期堆積速度であり、両方の表面は、伝導性材料の蒸発流束を受ける、またはそれに暴露される。
本明細書で使用されるように、「蒸発」および「昇華」という用語は、概して、ソース材料が、例えば、固体状態で標的表面上に堆積させられる蒸気に(例えば、加熱によって)変換される、堆積プロセスを指すために同義的に使用される。
本明細書で使用されるように、材料「を実質的に含まない」または材料「によって実質的に被覆されていない」表面(もしくは表面のある面積)は、表面(もしくは表面のある面積)上の材料の実質的欠如を指す。具体的に導電性コーティングに関して、マグネシウムを含む金属等の導電性材料が光を減衰させる、および/または吸収するため、表面上の導電性材料の量の1つの尺度は、光透過率である。故に、表面は、光透過率が電磁スペクトルの可視部分の中で90%を上回る、92%を上回る、95%を上回る、または98%を上回る場合に、導電性材料を実質的に含まないと見なされることができる。表面上の材料の量の別の尺度は、材料による被覆率が10%以内、8%以内、5%以内、3%以内、または1%以内である場合に、表面が材料を実質的に含まないと見なされることができる場合等の材料による表面の被覆率である。表面被覆は、透過電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、または走査電子顕微鏡法を使用する等の撮像技法を使用して、査定されることができる。
選択的堆積
図1は、一実施形態による、基板100の表面102上に核形成阻害コーティング140を堆積させるプロセスを図示する概略図である。図1の実施形態では、ソース材料を含むソース120は、ソース材料を蒸発または昇華させるように真空下で加熱される。ソース材料は、核形成阻害コーティング140を形成するために使用される材料を含む、または実質的にそれから成る。蒸発したソース材料は、次いで、基板100に向かって矢印122によって示される方向に進行する。開口またはスリット112を有するシャドウマスク110は、開口112を通って進行する流束の一部が、基板100の表面102の領域に選択的に入射し、それによって、その上に核形成阻害コーティング140を形成するように、蒸発したソース材料の経路の中に配置される。
図2A−2Cは、一実施形態で基板の表面上に核形成阻害コーティングを堆積させるためのミクロ接触転写印刷プロセスを図示する。シャドウマスクプロセスと同様に、ミクロ接触印刷プロセスは、基板表面の領域上に核形成阻害コーティングを選択的に堆積させるために使用されてもよい。
図2Aは、突出212を含むスタンプ210が、突出212の表面上に核形成阻害コーティング240を提供される、ミクロ接触転写印刷プロセスの第1の段階を図示する。当業者によって理解されるであろうように、核形成阻害コーティング240は、種々の好適なプロセスを使用して、突出212の表面上に堆積させられてもよい。
図2Bに図示されるように、スタンプ210は、次いで、突出212の表面上に堆積させられた核形成阻害コーティング240が、基板100の表面102に接触するように、基板100と近接させられる。核形成阻害コーティング240が表面102に接触することに応じて、核形成阻害コーティング240は、基板100の表面102に付着する。
したがって、スタンプ210が図2Cに図示されるように基板100から離されるとき、核形成阻害コーティング240は、基板100の表面102上に効果的に転写される。
いったん核形成阻害コーティングが、基板の表面の領域上に堆積させられると、伝導性コーティングが、核形成阻害コーティングが存在しない表面の残りの被覆されていない領域上に堆積させられてもよい。図3を参照すると、伝導性コーティングソース410が、基板100の表面102に向かって蒸発した伝導性材料を指向するものとして図示されている。図3に図示されるように、伝導性コーティングソース410は、表面102の被覆または処理された面積(すなわち、その上に堆積させられた核形成阻害コーティング140を伴う表面102の領域)および被覆または処理されていない面積の両方に入射するように、蒸発した伝導性材料を指向してもよい。しかしながら、核形成阻害コーティング140の表面が、基板100の被覆されていない表面102のものと比較して、比較的低い初期付着係数を呈するため、伝導性コーティング440は、核形成阻害コーティング140が存在しない表面102の面積の上に選択的に堆積する。例えば、表面102の被覆されていない面積上の蒸発した伝導性材料の初期堆積速度は、核形成阻害コーティング140の表面上の蒸発した伝導性材料の初期堆積速度の少なくとも約80倍またはそれを上回り、少なくとも約100倍またはそれを上回り、少なくとも約200倍またはそれを上回り、少なくとも約500倍またはそれを上回り、少なくとも約700倍またはそれを上回り、少なくとも約1,000倍またはそれを上回り、少なくとも約1,500倍またはそれを上回り、少なくとも約1,700倍またはそれを上回り、もしくは少なくとも約2,000倍またはそれを上回り得る。伝導性コーティング440は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。
シャドウマスクパターン化およびミクロ接触転写印刷プロセスが、上記で図示されて説明されているが、他のプロセスが、核形成阻害材料を堆積させることによって基板を選択的にパターン化するために使用され得ることが理解されるであろう。表面をパターン化する種々の加法および減法プロセスが、核形成阻害コーティングを選択的に堆積させるために使用されてもよい。そのようなプロセスの実施例は、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷およびリールツーリール印刷を含む)、有機気相堆積(OVPD)、およびレーザ誘発熱的撮像(LITI)パターン化、ならびにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
いくつかの用途では、伝導性コーティングが容易に堆積させられることができない基板表面上に、具体的材料性質を有する伝導性コーティングを堆積させることが望ましくあり得る。例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムは、典型的には、いくつかの有機表面上のマグネシウムの低い付着係数に起因して、ある有機表面上に容易に堆積させられることができない。故に、いくつかの実施形態では、基板表面はさらに、マグネシウムを含むもの等の伝導性コーティングを堆積させることに先立って、その上に核形成助長コーティングを堆積させることによって処理される。
初見および実験観察に基づいて、フラーレンならびに他の核形成助長材料は、本明細書でさらに解説されるであろうように、マグネシウムを含む伝導性コーティングの堆積のための核形成部位として作用することが仮定される。例えば、マグネシウムが、フラーレン処理表面上に蒸発プロセスを使用して堆積させられる場合において、フラーレン分子は、マグネシウム堆積のための安定した核の形成を助長する核形成部位として作用する。フラーレンまたは他の核形成助長材料の単分子未満の層が、ある場合には、マグネシウムの堆積のための核形成部位として作用するように、処理された表面上に提供されてもよい。理解されるであろうように、核形成助長材料のいくつかの単分子層を堆積させることによって表面を処理することは、より多数の核形成部位、したがって、より高い初期付着確率をもたらし得る。
また、表面上に堆積させられるフラーレンまたは他の材料の量は、1つを上回る、または1つ未満の単分子層であり得ることも理解されるであろう。例えば、表面は、核形成助長材料または核形成阻害材料の0.1の単分子層、1つの単分子層、もしくは10またはそれを上回る単分子層を堆積させることによって処理されてもよい。本明細書で使用されるように、材料の1つの単分子層を堆積させることは、材料の構成分子または原子の単一の層で表面の所望の面積を被覆する材料の量を指す。同様に、本明細書で使用されるように、材料の0.1の単分子層を堆積させることは、材料の構成分子または原子の単一の層で表面の所望の面積の10%を被覆する材料の量を指す。例えば、分子または原子の可能性として考えられる積層もしくはクラスタ化に起因して、堆積した材料の実際の厚さは、非一様であり得る。例えば、材料の1つの単分子層を堆積させることが、材料によって被覆されていない表面のいくつかの領域をもたらし得る一方で、表面の他の領域は、その上に堆積させられた複数の原子または分子層を有してもよい。
本明細書で使用されるように、「フラーレン」という用語は、炭素分子を含む材料を指す。フラーレン分子の実施例は、閉鎖シェルを形成し、形状が球形または半球形であり得る、複数の炭素原子を含む、3次元骨格を含む、炭素ケージ分子を含む。フラーレン分子は、nが、フラーレン分子の炭素骨格に含まれる炭素原子の数に対応する整数である、Cnとして指定されることができる。フラーレン分子の実施例は、nが、C60、C70、C72、C74、C76、C78、C80、C82、およびC84等の50〜250の範囲内である、Cnを含む。フラーレン分子の付加的実施例は、単一壁炭素ナノチューブおよび多重壁炭素ナノチューブ等の管または円筒形の炭素分子を含む。
図4は、核形成助長コーティング160が伝導性コーティング440の堆積に先立って堆積させられる、デバイスの実施形態を図示する。図4に図示されるように、核形成助長コーティング160は、核形成阻害コーティング140によって被覆されていない基板100の領域を覆って堆積させられる。故に、伝導性コーティング440が堆積させられるとき、伝導性コーティング440は、優先的に核形成助長コーティング160を覆って形成する。例えば、核形成助長コーティング160の表面上の伝導性コーティング440の材料の初期堆積速度は、核形成阻害コーティング140の表面上の材料の初期堆積速度の少なくとも約80倍またはそれを上回り、少なくとも約100倍またはそれを上回り、少なくとも約200倍またはそれを上回り、少なくとも約500倍またはそれを上回り、少なくとも約700倍またはそれを上回り、少なくとも約1,000倍またはそれを上回り、少なくとも約1,500倍またはそれを上回り、約1,700倍またはそれを上回り、もしくは少なくとも約2,000倍またはそれを上回り得る。一般に、核形成助長コーティング160は、核形成阻害コーティング140の堆積に先立って、またはそれに続いて、基板100上に堆積させられてもよい。蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、核形成助長コーティング160を堆積させるために使用されてもよい。
図5A−5Cは、一実施形態で基板の表面上に伝導性コーティングを堆積させるためのプロセスを図示する。
図5Aでは、基板100の表面102は、その上に核形成阻害コーティング140を堆積させることによって処理される。具体的には、図示される実施形態では、堆積は、ソース120の内側でソース材料を蒸発させ、その上に堆積させられる表面102に向かって蒸発したソース材料を指向することによって、達成される。蒸発した流束が表面102に向かって指向される、一般的方向は、矢印122によって示される。図示されるように、核形成阻害コーティング140の堆積は、核形成阻害コーティング140が処理された表面142を生成するように表面102全体を実質的に被覆するように、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに行われてもよい。代替として、核形成阻害コーティング140は、例えば、上記で説明される選択的堆積技法を使用して、表面102の領域上に選択的に堆積させられてもよい。
核形成阻害コーティング140は、蒸発によって堆積させられるものとして図示されているが、スピンコーティング、浸漬コーティング、印刷、噴霧コーティング、OVPD、LITIパターン化、物理蒸着(PVD)(スパッタリングを含む)、化学蒸着(CVD)、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、他の堆積および表面コーティング技法が使用され得ることが、理解されるであろう。
図5Bでは、シャドウマスク110は、処理された表面142上に核形成助長コーティング160を選択的に堆積させるために使用される。図示されるように、ソース120から進行する蒸発したソース材料は、マスク110を通して基板100に向かって指向される。マスク110は、マスク110に入射する蒸発したソース材料の一部が、マスク110を通り過ぎて進行しないように妨げられ、マスク110の開口112を通して指向される、蒸発したソース材料の別の部分が、処理された表面142上に選択的に堆積して核形成助長コーティング160を形成するように、開口またはスリット112を含む。故に、パターン化された表面144が、核形成助長コーティング160の堆積を完了することに応じて生成される。
図5Cは、パターン化された表面144上に伝導性コーティング440を堆積させる段階を図示する。伝導性コーティング440は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。以下でさらに解説されるであろうように、伝導性コーティング440の材料は、核形成阻害コーティング140に対する比較的低い初期付着係数と、核形成助長コーティング160に対する比較的高い初期付着係数とを呈する。故に、堆積は、核形成助長コーティング160が存在する基板100の領域上に伝導性コーティング440を選択的に堆積させるように、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに行われてもよい。図5Cに図示されるように、核形成阻害コーティング140の表面に入射する伝導性コーティング440の蒸発した材料は、核形成阻害コーティング140上に堆積させられないように、大部分が、または実質的に妨げられてもよい。
図5D−5Fは、別の実施形態における、基板の表面上に伝導性コーティングを堆積させるためのプロセスを図示する。
図5Dでは、核形成助長コーティング160は、基板100の表面102上に堆積させられる。例えば、核形成助長コーティング160は、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに、熱蒸発によって堆積させられてもよい。代替として、スピンコーティング、浸漬コーティング、印刷、噴霧コーティング、OVPD、LITIパターン化、PVD(スパッタリングを含む)、CVD、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、他の堆積および表面コーティング技法が、使用されてもよい。
図5Eでは、核形成阻害コーティング140は、シャドウマスク110を使用して、核形成助長コーティング160の領域を覆って選択的に堆積させられる。故に、パターン化された表面が、核形成阻害コーティング140の堆積を完了することに応じて生成される。次いで、図5Fでは、伝導性コーティング440は、伝導性コーティング440が核形成助長コーティング160の露出領域を覆って形成されるように、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、パターン化された表面上に堆積させられる。
前述の実施形態では、プロセスによって形成される伝導性コーティング440は、電子デバイス用の電極または伝導性構造として使用され得ることが理解されるであろう。例えば、伝導性コーティング440は、OLEDデバイスまたは有機光起電(OPV)デバイス等の有機光電子デバイスのアノードもしくはカソードであってもよい。加えて、伝導性コーティング440はまた、活性層材料として量子ドットを含む、光電子デバイス用の電極として使用されてもよい。例えば、そのようなデバイスは、量子ドットを含む活性層を伴う一対の電極の間に配置される、活性層を含んでもよい。本デバイスは、例えば、光が、電極によって提供される電流の結果として、量子ドット活性層から放射される、エレクトロルミネセント量子ドットディスプレイデバイスであってもよい。伝導性コーティング440はまた、前述のデバイスのうちのいずれかのための母線または補助電極として使用されてもよい。
故に、その上に種々のコーティングが堆積させられる基板100は、前述の実施形態で具体的には図示または説明されていない、1つもしくはそれを上回る付加的有機および/または無機層を含み得ることが理解されるであろう。例えば、OLEDデバイスの場合、基板100は、1つまたはそれを上回る電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)と、電荷注入ならびに/もしくは輸送層と、エレクトロルミネセント層とを含んでもよい。基板100はさらに、1つまたはそれを上回るトランジスタと、アクティブマトリクスもしくはパッシブマトリクスOLEDデバイスに含まれる、抵抗器およびコンデンサ等の他の電子構成要素とを含んでもよい。例えば、基板100は、1つまたはそれを上回る上面ゲート薄膜トランジスタ(TFT)、1つまたはそれを上回る底面ゲートTFT、および/もしくは他のTFT構造を含んでもよい。TFTは、n型TFTまたはp型TFTであってもよい。TFT構造の実施例は、非晶質シリコン(a−Si)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、および低温多結晶シリコン(LTPS)を含むものを含む。
基板100はまた、上記で識別された付加的有機および/または無機層を支持するためのベース基板を含んでもよい。例えば、ベース基板は、可撓性または剛性基板であってもよい。ベース基板は、例えば、シリコン、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド)、サファイア、またはベース基板として使用するために好適な他の材料を含んでもよい。
基板100の表面102は、有機表面または無機表面であってもよい。例えば、伝導性コーティング440がOLEDデバイスのカソードとして使用するためのものである場合、表面102は、1つまたはそれを上回る半導体層の表面によって提供されてもよい。例えば、表面102は、有機層のスタックの頂面であってもよい。例えば、そのような有機層は、有機半導体層(例えば、電子注入層の表面)を含んでもよい。別の実施例では、伝導性コーティング440が上面発光OLEDデバイスの補助電極として使用するためのものである場合、表面102は、電極の頂面(例えば、共通カソード)であってもよい。代替として、そのような補助電極は、有機層のスタックの上の透過型電極の直下に形成されてもよい。
図6は、一実施形態による、エレクトロルミネセント(EL)デバイス600を図示する。ELデバイス600は、例えば、OLEDデバイスまたはエレクトロルミネセント量子ドットデバイスであってもよい。一実施形態では、デバイス600は、ベース基板616と、アノード614と、有機層630と、カソード602とを含む、OLEDデバイスである。図示される実施形態では、有機層630は、正孔注入層612と、正孔輸送層610と、エレクトロルミネセント層608と、電子輸送層606と、電子注入層604とを含む。
正孔注入層612は、概して、アノード614による正孔の注入を促進する、正孔注入材料を使用して形成されてもよい。正孔輸送層610は、概して、高い正孔移動度を呈する材料である、正孔輸送材料を使用して形成されてもよい。
エレクトロルミネセント層608は、例えば、エミッタ材料でホスト材料をドープすることによって形成されてもよい。エミッタ材料は、例えば、蛍光エミッタ、燐光性エミッタ、またはTADFエミッタであってもよい。複数のエミッタ材料もまた、エレクトロルミネセント層608を形成するようにホスト材料の中へドープされてもよい。
電子輸送層606は、概して、高い電子移動度を呈する、電子輸送材料を使用して形成されてもよい。電子注入層604は、概して、カソード602による電子の注入を促進するように作用する、電子注入材料を使用して形成されてもよい。
デバイス600の構造は、1つまたはそれを上回る層を省略する、もしくは組み合わせることによって変動され得ることが理解されるであろう。具体的には、正孔注入層612、正孔輸送層610、電子輸送層606、および電子注入層604のうちの1つまたはそれを上回るものが、デバイス構造から省略されてもよい。1つまたはそれを上回る付加的層もまた、デバイス構造の中に存在してもよい。そのような付加的層は、例えば、正孔遮断層、電子遮断層、付加的電荷輸送および/または注入層を含む。各層はさらに、任意の数の副層を含んでもよく、各層および/または副層は、種々の混合物ならびに組成勾配を含んでもよい。また、デバイス600は、無機および/または有機金属材料を含有する、1つもしくはそれを上回る層を含んでもよく、有機材料だけから成るデバイスに限定されないことも理解されるであろう。例えば、デバイス600は、量子ドットを含んでもよい。
デバイス600は、電流をデバイス600に供給するための電源620に接続されてもよい。
デバイス600がEL量子ドットデバイスである、別の実施形態では、EL層608は、概して、電流が供給されるときに光を放射する、量子ドットを含む。
図7は、一実施形態による、OLEDデバイスを加工する段階を概説するフロー図である。704では、有機層が、標的表面上に堆積させられる。例えば、標的表面は、例えば、ガラス、ポリマー、および/または金属箔を含み得る、ベース基板の上に堆積させられたアノードの表面であってもよい。上記で議論されるように、有機層は、例えば、正孔注入層と、正孔輸送層と、エレクトロルミネセンス層と、電子輸送層と、電子注入層とを含んでもよい。核形成阻害コーティングが、次いで、選択的堆積またはパターン化プロセスを使用して、段階706で有機層の上に堆積させられる。段階708では、核形成助長コーティングが、パターン化された表面を生成するように、核形成阻害コーティング上に選択的に堆積させられる。例えば、核形成助長コーティングおよび核形成阻害コーティングは、マスク、ミクロ接触転写印刷プロセス、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、およびリールツーリール印刷を含む)、OVPD、またはLITIパターン化を使用して、蒸発によって選択的に堆積させられてもよい。伝導性コーティングが、次いで、段階710で開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、パターン化された表面上に堆積させられる。伝導性コーティングは、OLEDデバイスのカソードまたは別の伝導性構造としての役割を果たしてもよい。
別の実施形態では、段階706における核形成阻害コーティングの堆積は、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに行われてもよい。さらに別の実施形態では、ステップ708における核形成助長コーティングの堆積は、ステップ706における核形成阻害コーティングの堆積に先立って行われてもよい。さらに別の実施形態では、ステップ708における核形成助長コーティングの堆積は、ステップ706における核形成阻害コーティングの堆積に先立って、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに行われてもよい。
簡単かつ明確にするために、厚さ外形および縁外形を含む、堆積された材料の詳細は、プロセス図から省略されている。
上記の実施形態によると、伝導性コーティングが、核形成阻害コーティングまたは核形成阻害および核形成助長コーティングの組み合わせの使用を通して、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、標的領域上に選択的に堆積させられてもよい。
また、伝導性コーティング、核形成阻害コーティング、および核形成助長コーティングを含む、種々の層またはコーティングのうちのいずれかの堆積に使用される開放マスクが、基板のある領域上の材料の堆積を「覆い隠し」得る、または「防止」し得ることも理解されるであろう。しかしながら、約数十ミクロンまたはそれよりも小さい特徴サイズを伴う比較的小さい特徴を形成するために使用される、微細金属マスク(FMM)と異なり、開放マスクの特徴サイズは、製造されているOLEDデバイスのサイズと略同等である。例えば、開放マスクは、製造中にディスプレイデバイスの縁を覆い隠してもよく、これは、ディスプレイデバイスのサイズ(例えば、マイクロディスプレイについては約1インチ、モバイルディスプレイについては約4〜6インチ、ラップトップまたはタブレットディスプレイについては約8〜17インチ等)にほぼ対応する開口を有する、開放マスクをもたらすであろう。例えば、開放マスクの特徴サイズは、約1cmまたはそれを上回り得る。故に、開放マスクに形成される開口は、典型的には、ともにディスプレイデバイスを形成する、複数の放射領域またはピクセルを包含するように定寸される。
図8Aは、その中に形成された開口1734を有する、または画定する、開放マスク1731の実施例を図示する。図示される実施例では、マスク1731の開口1734は、マスク1731が重ね合わせられるときに、マスク1731がデバイス1721の縁を被覆するように、デバイス1721のサイズよりも小さい。具体的には、図示される実施形態では、デバイス1721の全てまたは実質的に全ての放射領域もしくはピクセル1723が、開口1734を通して露出される一方で、露出されていない領域1727が、デバイス1721および開口1734の外縁1725の間に形成される。理解されるであろうように、電気接点または他のデバイス構成要素は、これらの構成要素が開放マスク堆積プロセスを通して影響を受けていないままであるように、露出されていない領域1727中に位置してもよい。
図8Bは、重ね合わせられたときに、マスク1731がデバイス1721の少なくともいくつかの放射領域またはピクセル1723を被覆するように、マスク1731の開口1734が図8Aのものよりも小さい、開放マスク1731の別の実施例を図示する。具体的には、最外ピクセル1723’は、マスク1731の開口1734とデバイス1721の外縁1725との間に形成されたデバイス1721の露出されていない領域1727内に位置するものとして図示されている。
図8Cは、マスク1731の開口1734が、デバイス1721の他のピクセル1723を露出しながらいくつかのピクセル1723’を被覆する、パターンを画定する、開放マスク1731のさらに別の実施例を図示する。具体的には、(開口1734と外縁1725との間に形成される)デバイス1721の露出されていない領域1727内に位置するピクセル1723’は、蒸気流束が露出されていない領域1727に入射しないように阻止するために、堆積プロセス中に覆い隠される。
最外ピクセルが、図8A−8Cの実施例では覆い隠されているものとして図示されているが、開放マスクの開口は、デバイスの他の放射および非放射領域を覆い隠すように成形され得ることが理解されるであろう。さらに、開放マスクが、1つの開口を有するものとして前述の実施例で図示されているが、開放マスクはまた、基板またはデバイスの複数の領域を露出するための付加的開口を含んでもよい。
図8Dは、マスク1731が複数の開口1734a−1734dを有する、または画定する、開放マスク1731の別の実施例を図示する。開口1734a−1734dは、他の領域を覆い隠しながら、それらがデバイス1721のある領域を選択的に露出するように位置付けられる。例えば、ある放射領域またはピクセル1723が、開口1734a−dを通して露出される一方で、露出されていない領域1727内に位置する他のピクセル1723’は、覆い隠される。
本明細書に説明される種々の実施形態では、開放マスクの使用は、所望される場合、省略され得ることが理解されるであろう。具体的には、本明細書に説明される開放マスク堆積プロセスは、代替として、標的表面全体が露出されるように、マスクを使用することなく行われてもよい。
上記の実施形態のうちの少なくともいくつかは、蒸発プロセスを使用して形成されている、核形成助長コーティング、核形成阻害コーティング、および伝導性コーティングを含む、種々の層またはコーティングを参照して説明されている。理解されるであろうように、蒸発プロセスは、1つまたはそれを上回るソース材料が低圧力(例えば、真空)環境下で蒸発または昇華させられ、1つまたはそれを上回る蒸発したソース材料の凝結を通して標的表面上に堆積される、PVDプロセスのタイプである。種々の異なる蒸発ソースが、ソース材料を加熱するために使用されてもよく、したがって、ソース材料が種々の方法で加熱され得ることを理解されたい。例えば、ソース材料は、電気フィラメント、電子ビーム、誘導加熱によって、または抵抗加熱によって加熱されてもよい。加えて、そのような層またはコーティングは、フォトリソグラフィ、印刷、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、他の好適なプロセスを使用して、堆積および/またはパターン化されてもよい。これらのプロセスはまた、種々のパターンを達成するために、シャドウマスクと組み合わせて使用されてもよい。
例えば、マグネシウムは、1秒あたり約10〜30またはそれを上回る等のより早い堆積速度を達成するように、最大約600℃のソース温度で堆積されてもよい。下記の表1を参照すると、約1nmのフラーレン処理有機表面上に実質的に純粋なマグネシウムを堆積させるためにクヌーセンセルソースを使用して測定される、種々の堆積速度が、提供される。限定ではないが、ソースと基板との間の距離、基板の特性、基板上の核形成助長コーティングの存在、使用されるソースのタイプ、およびソースから蒸発される材料流束の成形を含む、他の要因も堆積速度に影響を及ぼし得ることを理解されたい。
使用される特定の処理条件は、堆積を行うために使用されている機器に応じて変動し得ることが、当業者によって理解されるであろう。また、より速い堆積速度が、概して、より高いソース温度において獲得されるが、しかしながら、例えば、堆積ソースのより近くに基板を設置することによって等、他の堆積条件も選択され得ることも理解されたい。
あるプロセスが、核形成助長材料、核形成阻害材料、およびマグネシウムを堆積させる目的のための蒸発を参照して説明されているが、種々の他のプロセスが、これらの材料を堆積させるために使用され得ることが理解されるであろう。例えば、堆積は、他のPVDプロセス(スパッタリングを含む)、CVDプロセス(プラズマ強化化学蒸着(PECVD)を含む)、またはそのような材料を堆積させるための他の好適なプロセスを使用して、行われてもよい。いくつかの実施形態では、マグネシウムは、抵抗加熱器を使用してマグネシウムソース材料を加熱することによって、堆積させられる。他の実施形態では、マグネシウムソース材料は、加熱されたるつぼ、加熱されたボート、クヌーセンセル(例えば、流出蒸発器ソース)、または任意の他のタイプの蒸発ソースの中に装填されてもよい。
伝導性コーティングを堆積させるために使用される堆積ソース材料は、混合物または化合物であってもよく、いくつかの実施形態では、混合物または化合物のうちの少なくとも1つの成分は、堆積中に基板上に堆積させられない(もしくは、例えば、マグネシウムと比較して比較的少量で堆積させられる)。いくつかの実施形態では、ソース材料は、銅・マグネシウム(Cu−Mg)混合物またはCu−Mg化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、マグネシウム堆積ソースのためのソース材料は、マグネシウムと、例えば、Cu等のマグネシウムよりも低い蒸気圧を伴う材料とを含む。他の実施形態では、マグネシウム堆積ソースのためのソース材料は、実質的に純粋なマグネシウムである。具体的には、実質的に純粋なマグネシウムは、純粋なマグネシウム(99.99%およびそれより高い純度のマグネシウム)と比較して、実質的に類似する性質(例えば、核形成阻害および助長コーティング上の初期付着確率)を呈することができる。例えば、核形成阻害コーティング上の実質的に純粋なマグネシウムの初期付着確率は、核形成阻害コーティング上の99.99%純度マグネシウムの初期付着確率の±10%以内または±5%以内であることができる。マグネシウムの純度は、約95%またはそれより高く、約98%またはそれより高く、約99%またはそれより高く、もしくは約99.9%またはそれより高くあり得る。伝導性コーティングを堆積させるために使用される堆積ソース材料は、マグネシウムの代わりに、またはそれと組み合わせて、他の金属を含んでもよい。例えば、ソース材料は、イッテルビウム(Yb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、またはそれらの任意の組み合わせ等の高い蒸気圧材料を含んでもよい。
さらに、種々の実施形態のためのプロセスは、有機光電子デバイスの電子注入層、電子輸送層、エレクトロルミネセント層、および/またはピクセル画定層(PDL)として使用される、他の種々の有機もしくは無機材料の表面上で行われ得ることが理解されるであろう。そのような材料の実施例は、PCT公開第WO2012/016074号で説明されるもの等の有機分子ならびに有機ポリマーを含む。また、種々の元素および/または無機化合物でドープされた有機材料が、依然として有機材料と見なされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、種々の有機材料が使用され得、本明細書に説明されるプロセスは、概して、そのような有機材料の範囲全体に適用可能であることが、当業者によって理解されるであろう。
また、無機基板または表面は、主に無機材料を含む、基板または表面を指し得ることも理解されるであろう。さらに明確にするために、無機材料は、概して、有機材料と見なされない任意の材料であると理解されるであろう。無機材料の実施例は、金属、ガラス、および鉱物を含む。具体的には、マグネシウムを含む伝導性コーティングが、フッ化リチウム(LiF)、ガラス、およびシリコン(Si)の表面上に、本開示によるプロセスを使用して堆積させられてもよい。本開示によるプロセスが適用され得る、他の表面は、シリコンまたはシリコーン系ポリマー、無機半導体材料、電子注入材料、塩、金属、および金属酸化物を含む。
基板は、半導体材料を含み得、故に、そのような基板の表面は、半導体表面であり得ることが理解されるであろう。半導体材料は、概して、バンドギャップを呈する材料として説明され得る。例えば、そのようなバンドギャップは、最高被占分子軌道(HOMO)と最低空分子軌道(LUMO)との間に形成されてもよい。半導体材料は、したがって、概して、伝導性材料(例えば、金属)のもの未満であるが、絶縁材料(例えば、ガラス)のものを上回る、電気伝導度を保有する。半導体材料は、有機半導体材料または無機半導体材料であり得ることが理解されるであろう。
電極の選択的堆積
図9および10は、一実施形態による、OLEDデバイス1500を図示する。具体的には、図9は、OLEDデバイス1500の上面図を示し、図10は、OLEDデバイス1500の構造の断面図を図示する。図9では、カソード1550は、カソード材料が堆積されなかったデバイス1500の領域に対応する、その中に形成された複数の開口または正孔1560を有する、もしくは画定する、単一のモノリシックまたは連続構造として図示される。これは、ベース基板1510と、アノード1520と、有機層1530と、核形成助長コーティング1540と、核形成助長コーティング1540のある領域にわたって選択的に堆積される核形成阻害コーティング1570と、核形成阻害コーティング1570が存在しない、核形成助長コーティング1540の他の領域にわたって堆積されるカソード1550とを含む、OLEDデバイス1500を示す、図10にさらに図示される。より具体的には、デバイス1500の加工中に、核形成阻害コーティング1570を選択的に堆積させ、核形成助長コーティング1540の表面のある領域を被覆することによって、カソード材料は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、核形成助長コーティング1540の表面の露出領域上に選択的に堆積される。OLEDデバイス1500の透明度または透過率は、正孔1560の平均サイズおよびカソード1550に形成された正孔1560の密度等の付与されたパターンの種々のパラメータを変更することによって、調節または修正されてもよい。故に、OLEDデバイス1500は、OLEDデバイス上に入射する外部光の少なくとも一部がそれを通して透過されることを可能にする、実質的に透明なOLEDデバイスであってもよい。例えば、OLEDデバイス1500は、実質的に透明なOLED照明パネルであってもよい。そのようなOLED照明パネルは、例えば、一方向に(例えば、ベース基板1510に向かって、またはそこから離れるようにのいずれかで)、または両方の方向に(例えば、ベース基板1510に向かって、かつそこから離れるように)発光するように構成されてもよい。
図11は、カソード1650がデバイス面積全体を実質的に被覆する、別の実施形態による、OLEDデバイス1600を図示する。具体的には、OLEDデバイス1600は、ベース基板1610と、アノード1620と、有機層1630と、核形成助長コーティング1640と、カソード1650と、カソード1650のある領域にわたって選択的に堆積される核形成阻害コーティング1660と、核形成阻害コーティング1660が存在しない、カソード1650の他の領域にわたって堆積される補助電極1670とを含む。
補助電極1670は、カソード1650に電気的に接続される。特に、上面発光構成では、カソード1650の比較的に薄い層を堆積させて、カソード1650の存在に起因する光学干渉(例えば、減衰、反射、拡散等)を低減させることが望ましい。しかしながら、カソード1650の厚さの低減は、概して、カソード1650のシート抵抗を増加させ、したがって、OLEDデバイス1600の性能および効率を低減させる。カソード1650に電気的に接続される補助電極1670を提供することによって、シート抵抗、したがって、カソード1650と関連付けられるIR降下が、減少されることができる。さらに、他の領域が被覆されていないままである間に、補助電極1670を選択的に堆積させ、デバイスのある領域を被覆することによって、補助電極1670の存在に起因する光学干渉が、制御および/または低減されてもよい。
補助電極の利点は、上面発光OLEDデバイスを参照して解説されているが、底面発光または両面発光OLEDデバイスのカソードにわたって補助電極を選択的に堆積させることも有利であり得る。例えば、カソードは、デバイスの光学特性に実質的に影響を及ぼすことなく、底面発光OLEDデバイスに比較的に厚い層として形成されてもよいが、比較的に薄いカソードを形成することが、依然として有利であり得る。例えば、透明または半透明ディスプレイデバイスでは、カソードを含む、デバイス全体の層は、実質的に透明または半透明であるように形成されることができる。故に、典型的視認距離から肉眼によって容易に検出されることができない、パターン化された補助電極を提供することが有益であり得る。また、説明されるプロセスは、OLEDデバイス以外のデバイス用の電極の抵抗を減少させるための母線または補助電極を形成するために使用され得ることも理解されたい。
図12Aは、カソード1712が、複数の離間された伸長伝導性ストリップを含む、一実施形態による、パターン化されたカソード1712を示す。例えば、カソード1712は、パッシブマトリクスOLEDデバイス(PMOLED)1715で使用されてもよい。PMOLEDデバイス1715では、放射領域またはピクセルは、概して、対電極が重複する領域において形成される。故に、図12Aの実施形態では、放射領域またはピクセル1751は、複数の離間された伸長伝導性ストリップを含む、カソード1712およびアノード1741の重複領域において形成される。非放射領域1755は、カソード1712およびアノード1741が重複しない、領域において形成される。概して、カソード1712のストリップおよびアノード1741のストリップは、図示されるようにPMOLEDデバイス1715の中で相互と実質的に垂直に配向される。カソード1712およびアノード1741は、電流を個別の電極に供給するための電源ならびに関連付けられる駆動回路に接続されてもよい。
図12Bは、図12Aの線A−Aに沿って得られた断面図を図示する。図12Bでは、例えば、透明基板であり得る、ベース基板1702が提供される。アノード1741は、図12Aに図示されるように、ストリップの形態でベース基板1702を覆って提供される。1つまたはそれを上回る有機層1761は、アノード1741を覆って堆積させられる。例えば、有機層1761は、デバイス全体を横断する共通層として提供されてもよく、正孔注入および輸送層、エレクトロルミネセンス層、ならびに電子輸送および注入層等の本明細書に説明される有機および/または無機材料の任意の数の層を含んでもよい。有機層1761の頂面のある領域は、上記で説明される堆積プロセスに従ってカソード1712を選択的にパターン化するために使用される、核形成阻害コーティング1771によって被覆されるものとして図示されている。カソード1712およびアノード1741は、ピクセル1751からの発光を制御する、それらの個別の駆動回路(図示せず)に接続されてもよい。
核形成阻害コーティング1771およびカソード1712の厚さは、所望の用途ならびに性能に応じて変動され得るが、少なくともいくつかの実施形態では、核形成阻害コーティング1771の厚さは、図12Bに図示されるように、カソード1712の厚さと同等であり得る、または実質的にそれ未満であり得る。カソードのパターン化を達成するための比較的薄い核形成阻害コーティングの使用は、その上に障壁コーティングが適用され得る、比較的平面的な表面を提供することができるため、可撓性PMOLEDデバイスのために特に有利であり得る。
図12Cは、カソード1712を覆って適用された障壁コーティング1775および核形成阻害コーティング1771を伴う図12BのPMOLEDデバイス1715を図示する。理解されるであろうように、障壁コーティング1775は、概して、有機層と、酸化する傾向があり得るカソード1712とを含む、種々のデバイス層が、湿気および周囲空気に暴露されないように阻止するために提供される。例えば、障壁コーティング1775は、印刷、CVD、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、前述の任意の組み合わせによって、または任意の他の好適な方法によって形成される、薄膜カプセル化であってもよい。障壁コーティング1775はまた、接着剤(図示せず)を使用して、デバイス1715上に事前形成された障壁膜を積層加工することによって提供されてもよい。例えば、障壁コーティング1775は、有機材料、無機材料、または両方の組み合わせを備える、多層コーティングであってもよい。障壁コーティング1775はさらに、ゲッタ材料および/または乾燥剤を備えてもよい。
比較目的のために、比較PMOLEDデバイス1719の実施例が、図12Dに図示されている。図12Dの比較実施例では、伝導性材料が、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して堆積させられるとき、伝導性材料が、カソード1712を形成するために隣接ピクセル画定構造1783の間に位置する両方の放射領域上に、ならびに伝導性ストリップ1718を形成するためにピクセル画定構造1783の上に堆積させられるように、複数のピクセル画定構造1783が、デバイス1719の非放射領域中に提供される。しかしながら、カソード1712の各区画が、伝導性ストリップ1718から電気的に単離されていることを確実にするために、ピクセル画定構造1783の厚さまたは高さは、カソード1712の厚さを上回るように形成される。ピクセル画定構造1783はまた、伝導性ストリップ1718と電気接触するカソード1712の可能性をさらに減少させるように、下を切り取った外形を有してもよい。障壁コーティング1775は、カソード1712と、ピクセル画定構造1783と、伝導性ストリップ1718とを含む、PMOLEDデバイス1719を被覆するように提供される。
図12Dに図示される比較PMOLEDデバイス1719では、その上に障壁コーティング1775が適用される表面は、ピクセル画定構造1783の存在に起因して、非一様である。これは、障壁コーティング1775の適用を困難にし、障壁コーティング1775の適用に応じてさえも、下層表面への障壁コーティング1775の付着は、比較的不良であり得る。不良な付着は、特にデバイス1719が屈曲または撓曲されるときに、デバイス1719から剥離する障壁コーティング1775の可能性を増加させる。加えて、非一様な表面に起因して、適用手順中にエアポケットが障壁コーティング1775と下層表面との間に閉じ込められる比較的高い確率がある。エアポケットの存在および/または障壁コーティング1775の剥離は、欠陥および部分的または全体的デバイス故障を引き起こし得、もしくはそれに起因し得、したがって、極めて望ましくない。これらの要因は、図17Dの実施形態では軽減または低減される。
図12Aに示されるパターン化されたカソード1712は、OLEDデバイスのカソードを形成するために使用されてもよいが、類似パターン化または選択的堆積技法が、OLEDデバイス用の補助電極を形成するために使用され得ることを理解されたい。具体的には、そのようなOLEDデバイスは、補助電極が共通カソードと電気通信するように、共通カソード、および共通カソードの上または下に堆積させられる補助電極を提供されてもよい。例えば、そのような補助電極は、補助電極が放射領域を覆わないが非放射領域を覆って形成されるように、複数の放射領域を含むOLEDデバイス(例えば、アクティブマトリクスOLEDデバイス)で実装されてもよい。別の実施例では、補助電極が、OLEDデバイスの非放射領域ならびに少なくともいくつかの放射領域を被覆するように提供されてもよい。
補助電極の選択的堆積
図13Aは、複数の放射領域1810a−1810fと、非放射領域1820とを含む、OLEDデバイス1800の一部を描写する。例えば、OLEDデバイス1800は、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)デバイスであってもよく、放射領域1810a−1810fはそれぞれ、そのようなデバイスのピクセルまたはサブピクセルに対応してもよい。簡単にするために、図13B−13Dは、OLEDデバイス1800の一部を描写する。具体的には、図13B−13Dは、2つの隣接する放射領域である、第1の放射領域1810aおよび第2の放射領域1810bを囲繞する領域を示す。明示的に図示されていないが、デバイス1800の放射領域および非放射領域の両方を実質的に被覆する、共通カソードが提供されてもよい。
図13Bでは、補助電極1830が2つの隣接する放射領域1810aと1810bとの間に配置される、一実施形態による、補助電極1830が示されている。補助電極1830は、共通カソード(図示せず)に電気的に接続される。具体的には、補助電極1830は、隣接する放射領域1810aと1810bとの間の分離距離(d)未満である幅(α)を有し、したがって、補助電極1830の各側面上に非放射間隙領域を作成するものとして図示されている。例えば、そのような配列は、デバイス1800の光学出力に干渉する補助電極1830の可能性が、非放射間隙領域を提供することによって低減されることができるため、隣接する放射領域1810aと1810bとの間の分離距離が、十分な幅の補助電極1830に適応するために十分である、デバイス1800で望ましくあり得る。さらに、そのような配列は、補助電極1830が比較的厚い(例えば、厚さ数百ナノメートルまたは約数ミクロンを上回る)場合において、特に有益であり得る。例えば、その幅に対する補助電極1830の高さまたは厚さの比(すなわち、アスペクト比)は、約0.1またはそれを上回る、約0.2またはそれを上回る、約0.5またはそれを上回る、約0.8またはそれを上回る、約1またはそれを上回る、もしくは約2またはそれを上回る等、約0.05を上回り得る。例えば、補助電極1830の高さまたは厚さは、約80nmまたはそれを上回る、約100nmまたはそれを上回る、約200nmまたはそれを上回る、約500nmまたはそれを上回る、約700nmまたはそれを上回る、約1,000nmまたはそれを上回る、約1,500nmまたはそれを上回る、約1,700nmまたはそれを上回る、もしくは約2,000nmまたはそれを上回る等、約50nmを上回り得る。
図13Cでは、別の実施形態による、補助電極1832が示されている。補助電極1832は、共通カソード(図示せず)に電気的に接続される。図示されるように、補助電極1832は、補助電極1832が隣接する放射領域1810aと1810bとの間に提供される非放射領域全体を実質的に完全に占有するように、2つの隣接する放射領域1810aと1810bとの間の分離距離と実質的に同一の幅を有する。そのような配列は、例えば、2つの隣接する放射領域1810aと1810bとの間の分離距離が、高ピクセル密度ディスプレイデバイスの中等で比較的小さい場合において、望ましくあり得る。
図13Dでは、さらに別の実施形態による、補助電極1834が図示されている。補助電極1834は、共通カソード(図示せず)に電気的に接続される。補助電極1834は、2つの隣接する放射領域1810aと1810bとの間の分離距離(d)を上回る、幅(α)を有するものとして図示されている。故に、補助電極1834の一部は、第1の放射領域1810aの一部および第2の放射領域1810bの一部に重複する。そのような配列は、例えば、隣接する放射領域1810aと1810bとの間の非放射領域が、所望の幅の補助電極1834に完全に適応するために十分ではない場合において、望ましくあり得る。補助電極1834は、第2の放射領域1810bと実質的に同一の程度に第1の放射領域1810aと重複するものとして図13Dに図示されているが、補助電極1834が隣接放射領域と重複する程度は、他の実施形態では変調されてもよい。例えば、他の実施形態では、補助電極1834は、第2の放射領域1810bよりも大きい程度に第1の放射領域1810aと重複してもよく、その逆も同様である。さらに、補助電極1834と放射領域との間の重複のプロファイルもまた、変動されることができる。例えば、補助電極1834の重複部分は、補助電極1834が、同一の放射領域の別の部分と重複するよりも大きい程度に放射領域の一部と重複し、非一様な重複領域を作成するように成形されてもよい。
図14は、補助電極2530がOLEDデバイス2500を覆ってグリッドとして形成される、実施形態を図示する。図示されるように、補助電極2530は、放射領域2510のいずれの部分も実質的に被覆しないように、デバイス2500の非放射領域2520を覆って提供される。
補助電極は、図14の実施形態では接続された連続構造として形成されるものとして図示されているが、いくつかの実施形態では、補助電極は、離散補助電極ユニットが相互に物理的に接続されない、離散補助電極ユニットの形態で提供され得ることを理解されたい。しかしながら、そのような場合でさえも、補助電極ユニットは、それでもなお、共通電極を介して相互と電気通信し得る。例えば、共通電極を介して相互に間接的に接続される、離散補助電極ユニットを提供することは、依然としてシート抵抗を実質的に低下させ、したがって、デバイスの光学特性に実質的に干渉することなく、OLEDデバイスの効率を増加させ得る。
補助電極もまた、種々のピクセルまたはサブピクセル配列とともにディスプレイデバイスで使用されてもよい。例えば、補助電極は、菱形ピクセル配列が使用される、ディスプレイデバイス上に提供されてもよい。そのようなピクセル配列の実施例が、図15−17に図示されている。
図15は、一実施形態による、菱形ピクセル配列を有する、OLEDデバイス2900の概略図である。OLEDデバイス2900は、複数のピクセル画定層(PDL)2930と、隣接するPDL2930の間に配置される放射領域2912(サブピクセル)とを含む。放射領域2912は、例えば、緑色サブピクセルに対応し得る、第1のサブピクセル2912a、例えば、青色サブピクセルに対応し得る、第2のサブピクセル2912b、および例えば、赤色サブピクセルに対応し得る、第3のサブピクセル2912cに対応するものを含む。
図16は、図15に示される線A−Aに沿って得られたOLEDデバイス2900の概略図である。図16でより明確に図示されるように。デバイス2900は、基板2903と、ベース基板2903の表面上に形成される複数のアノードユニット2921とを含む。基板2903はさらに、明確にするために図から省略されている、複数のトランジスタと、ベース基板とを含んでもよい。有機層2915が、隣接するPDL2930の間の領域中で各アノードユニット2921の上に提供され、共通カソード2942が、第1のサブピクセル2912aを形成するように、有機層2915およびPDL2930を覆って提供される。有機層2915は、複数の有機および/または無機層を含んでもよい。例えば、そのような層は、正孔輸送層、正孔注入層、エレクトロルミネセンス層、電子注入層、および/または電子輸送層を含んでもよい。核形成阻害コーティング2945は、PDL2930の実質的に平面的な領域に対応する、共通カソード2942の被覆されていない領域を覆って、補助電極2951の選択的堆積を可能にするように、第1のサブピクセル2912aに対応する共通カソード2942の領域を覆って提供される。核形成阻害コーティング2945はまた、指数合致コーティングとして作用してもよい。薄膜カプセル化層2961が、随意に、デバイス2900をカプセル化するように提供されてもよい。
図17は、図15に示される線B−Bに沿って得られたOLEDデバイス2900の概略図を示す。デバイス2900は、基板2903の表面上に形成される複数のアノードユニット2921と、隣接するPDL2930の間の領域中で各アノードユニット2921の上に提供される有機層2916または2917とを含む。共通カソード2942は、それぞれ、第2のサブピクセル2912bおよび第3のサブピクセル2912cを形成するように、有機層2916および2917ならびにPDL2930を覆って提供される。核形成阻害コーティング2945は、PDL2930の実質的に平面的な領域に対応する、共通カソード2942の被覆されていない領域を覆って、補助電極2951の選択的堆積を可能にするように、サブピクセル2912bおよび2912cに対応する共通カソード2942の領域を覆って提供される。核形成阻害コーティング2945はまた、指数合致コーティングとして作用してもよい。薄膜カプセル化層2961が、随意に、デバイス2900をカプセル化するように提供されてもよい。
いくつかの実施形態による、別の側面では、デバイスが提供される。いくつかの実施形態では、本デバイスは、光電子デバイスである。いくつかの実施形態では、本デバイスは、別の電子デバイスまたは他の製品である。いくつかの実施形態では、本デバイスは、基板と、核形成阻害コーティングと、伝導性コーティングとを含む。核形成阻害コーティングは、基板の第1の領域を被覆する。伝導性コーティングは、基板の第2の領域を被覆し、核形成阻害コーティングの少なくとも一部が、伝導性コーティングから露出される、または伝導性コーティングを実質的に含まない、もしくは実質的に伝導性コーティングによって被覆されていないように、核形成阻害コーティングに部分的に重複する。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングは、第1の部分と、第2の部分とを含み、伝導性コーティングの第1の部分は、基板の第2の領域を被覆し、伝導性コーティングの第2の部分は、核形成阻害コーティングの一部に重複する。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングの第2の部分は、間隙によって核形成阻害コーティングから離間される。いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティングは、有機材料を含む。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングの第1の部分および伝導性コーティングの第2の部分は、単一のモノリシック構造を提供するように、相互と一体的または連続的に形成される。
いくつかの実施形態による、別の側面では、デバイスが提供される。いくつかの実施形態では、本デバイスは、光電子デバイスである。いくつかの実施形態では、本デバイスは、別の電子デバイスまたは他の製品である。いくつかの実施形態では、本デバイスは、基板と、伝導性コーティングとを含む。基板は、第1の領域と、第2の領域とを含む。伝導性コーティングは、基板の第2の領域を被覆し、基板の第1の領域の少なくとも一部が、伝導性コーティングから露出される、または伝導性コーティングを実質的に含まない、もしくは実質的に伝導性コーティングによって被覆されていないように、基板の第1の領域に部分的に重複する。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングは、第1の部分と、第2の部分とを含み、伝導性コーティングの第1の部分は、基板の第2の領域を被覆し、伝導性コーティングの第2の部分は、基板の第1の領域の一部に重複する。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングの第2の部分は、間隙によって基板の第1の領域から離間される。いくつかの実施形態では、伝導性コーティングの第1の部分および伝導性コーティングの第2の部分は、相互と一体的に形成される。
図18は、一実施形態による、デバイスの一部を図示する。本デバイスは、表面3417を有する基板3410を含む。核形成阻害コーティング3420は、基板3410の表面3417の第1の領域3415を被覆し、伝導性コーティング3430は、基板3410の表面3417の第2の領域3412を被覆する。図18に図示されるように、第1の領域3415および第2の領域3412は、基板3410の表面3417の明確に異なる非重複領域である。伝導性コーティング3430は、第1の部分3432と、第2の部分3434とを含む。図に図示されるように、伝導性コーティング3430の第1の部分3432は、基板3410の第2の領域3412を被覆し、伝導性コーティング3430の第2の部分3434は、核形成阻害コーティング3420の一部に部分的に重複する。具体的には、第2の部分3434は、下層基板表面3417と垂直(法線)である方向に核形成阻害コーティング3420の一部に重複するものとして図示されている。
特に、その表面3422が、伝導性コーティング3430を形成するために使用される材料に対して比較的に低い親和性または初期付着確率を呈するように、核形成阻害コーティング3420が形成される場合において、伝導性コーティング3430の重複する第2の部分3434と核形成阻害コーティング3420の表面3422との間に形成される間隙3441がある。故に、伝導性コーティング3430の第2の部分3434は、核形成阻害コーティング3420と直接物理的に接触していないが、矢印3490によって示されるように、基板3410の表面3417と垂直な方向に沿って、間隙3441によって核形成阻害コーティング3420から離間される。それでもなお、伝導性コーティング3430の第1の部分3432は、基板3410の第1の領域3415と第2の領域3412との間の界面または境界において、核形成阻害コーティング3420と直接物理的に接触してもよい。
いくつかの実施形態では、伝導性コーティング3430の重複する第2の部分3434は、伝導性コーティング3430の厚さと同等の程度によって、核形成阻害コーティング3420を覆って側方に延在してもよい。例えば、図18を参照すると、第2の部分3434の幅w2(または基板3410の表面3417と平行な方向に沿った寸法)は、伝導性コーティング3430の第1の部分3432の厚さt1(または基板3410の表面3417と垂直な方向に沿った寸法)と同等であり得る。例えば、w2:t1の比は、約1:1〜約1:3、約1:1〜約1:1.5、または約1:1〜約1:2の範囲内であってもよい。厚さt1は、概して、伝導性コーティング3430を横断して比較的一様であろうが、第2の部分3434が核形成阻害コーティング3420と重複する程度(すなわち、w2)は、表面3417の異なる部分を横断して、ある程度変動し得る。
図19に図示される別の実施形態では、伝導性コーティング3430はさらに、第2の部分3434と核形成阻害コーティング3420との間に配置される第3の部分3436を含む。図示されるように、伝導性コーティング3430の第2の部分3434は、伝導性コーティング3430の第3の部分3436を覆って側方に延在し、そこから離間され、第3の部分3436は、核形成阻害コーティング3420の表面3422と直接物理的に接触してもよい。第3の部分3436の厚さt3は、伝導性コーティング3430の第1の部分3432の厚さt1未満、ある場合には、実質的にそれ未満であり得る。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、第3の部分3436の幅w3は、第2の部分3434の幅w2を上回り得る。故に、第3の部分3436は、第2の部分3434よりも大きい程度に核形成阻害コーティング3420と重複するように、側方に延在してもよい。例えば、w3:t1の比は、約1:2〜約3:1または約1:1.2〜約2.5:1の範囲内であってもよい。厚さt1は、概して、伝導性コーティング3430を横断して比較的一様であろうが、第3の部分3436が核形成阻害コーティング3420と重複する程度(すなわち、w3)は、表面3417の異なる部分を横断して、ある程度変動し得る。第3の部分3436の厚さt3は、第1の部分3432の厚さt1の約5%以内または未満であり得る。例えば、t3は、t1の約4%以内または未満、約3%以内または未満、約2%以内または未満、約1%以内または未満、もしくは約0.5%以内または未満であり得る。図19に示されるように薄膜として形成されている第3の部分3436の代わりに、またはそれに加えて、伝導性コーティング3430の材料は、核形成阻害コーティング3420の一部の上で島もしくは断絶したクラスタとして形成してもよい。例えば、そのような島または断絶したクラスタは、島またはクラスタが連続層として形成されないように、相互から物理的に分離される特徴を含んでもよい。
図20Aに図示される、さらに別の実施形態では、核形成助長コーティング3451が、基板3410と伝導性コーティング3430との間に配置される。具体的には、核形成助長コーティング3451は、伝導性コーティング3430の第1の部分3432と基板3410の第2の領域3412との間に配置される。核形成助長コーティング3451は、核形成阻害コーティング3420が堆積させられる、第1の領域3415の上ではなく、基板3410の第2の領域3412の上に配置されるものとして図示されている。核形成助長コーティング3451は、核形成助長コーティング3451と伝導性コーティング3430との間の界面または境界において、核形成助長コーティング3451の表面が、伝導性コーティング3430の材料の比較的に高い親和性または初期付着確率を呈するように、形成されてもよい。したがって、核形成助長コーティング3451の存在は、堆積中の伝導性コーティング3430の形成および成長を助長してもよい。伝導性コーティング3430(第1の部分3432および第2の部分3434の寸法を含む)ならびに図20Aの他のコーティングの種々の特徴は、図18−19について上記で説明されるものに類似し得、簡潔にするために繰り返されない。
図20Bに図示される、さらに別の実施形態では、核形成助長コーティング3451は、基板3410の第1の領域3415および第2の領域3412の両方の上に配置され、核形成阻害コーティング3420は、第1の領域3415上に配置される核形成助長コーティング3451の一部を被覆する。核形成助長コーティング3451の別の部分は、核形成阻害コーティング3420から露出され、または核形成阻害コーティング3420を実質的に含まず、もしくは実質的に核形成阻害コーティング3420によって被覆されておらず、伝導性コーティング3430は、核形成助長コーティング3451の露出部分を被覆する。伝導性コーティング3430および図20Bの他のコーティングの種々の特徴は、図18−19について上記で説明されるものに類似し得、簡潔にするために繰り返されない。
図21は、伝導性コーティング3430が、基板3410の第3の領域3419中で核形成阻害コーティング3420の一部に部分的に重複する、さらに別の実施形態を図示する。具体的には、第1の部分3432および第2の部分3434に加えて、伝導性コーティング3430はさらに、第3の部分3480を含む。図に図示されるように、伝導性コーティング3430の第3の部分3480は、伝導性コーティング3430の第1の部分3432と第2の部分3434との間に配置され、第3の部分3480は、核形成阻害コーティング3420の表面3422と直接物理的に接触してもよい。この点に関して、第3の領域3419中の重複は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセス中の伝導性コーティング3430の側方成長の結果として形成されてもよい。より具体的には、核形成阻害コーティング3420の表面3422は、伝導性コーティング3430の材料の比較的低い初期付着確率を呈してもよく、したがって、表面3422上で核となる材料の確率は低いが、伝導性コーティング3430が厚さを成長させると、コーティング3430はまた、側方に成長してもよく、図21に図示されるように、核形成阻害コーティング3420の一部を被覆してもよい。
デバイスおよび伝導性コーティング3430のある特徴に関する詳細は、図20A−21の実施形態のための上記の説明では省略されているが、図18および19に関して説明される、間隙3441と、伝導性コーティング3430の第2の部分3434および第3の部分3436とを含む、種々の特徴の説明は、同様に、そのような実施形態に適用されるであろうことが理解されるであろう。
図22Aは、基板3410の第1の領域3415が、核形成阻害コーティング3420でコーティングされ、第1の領域3415に隣接する第2の領域3412が、伝導性コーティング3430でコーティングされる、さらに別の実施形態を図示する。
少なくともある場合には、核形成阻害コーティング3420で部分的にコーティングされた基板表面にわたって伝導性コーティング3430の開放マスクまたはマスクを含まない堆積を行うことは、伝導性コーティング3430と核形成阻害コーティング3420との間の界面またはその近傍においてテーパ状断面外形を呈する、伝導性コーティング3430の形成をもたらし得ることが観察されている。
図22Aは、伝導性コーティング3430の厚さが、伝導性コーティング3430のテーパ状外形に起因して、伝導性コーティング3430と核形成阻害コーティング3420との間の界面において、その近傍で、またはそれに隣接して低減される、一実施形態を図示する。具体的には、界面またはその近傍における伝導性コーティング3430の厚さは、伝導性コーティング3430の平均厚さ未満である。伝導性コーティング3430のテーパ状外形は、図22Aの実施形態では、曲線状または弓形(例えば、凸形状を伴う)ものとして図示されるが、外形は、他の実施形態では、実質的に線形または非線形(例えば、凹形状を伴う)であり得る。例えば、伝導性コーティング3430の厚さは、界面の近位の領域中で、実質的に線形、指数関数、二次、または他の様式で減少し得る。
薄膜形成プロセスの核形成段階中に、気相における分子は、基板の表面上に凝縮し、核を形成する。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、これらの核の形状およびサイズ、ならびにこれらの核の島へ、次いで、薄膜への後続の成長は、蒸気、基板、および凝縮膜核の間の界面張力等のいくつかの要因に依存することが仮定される。さらに、基板の露出表面と核形成阻害コーティングとの間の界面またはその近傍における薄膜核形成および成長中に、膜の縁と基板との間の比較的に大きい接触角が、核形成阻害コーティングによる薄膜の固体表面の「ディウェッティング」に起因して観察されるであろうことが仮定される。本ディウェッティング性質は、基板、薄膜、蒸気、および核形成阻害コーティングの間の表面エネルギーの最小限化によって駆動される。故に、核形成阻害コーティングの存在および核形成阻害コーティングの性質は、核形成および伝導性コーティングの縁の成長モードに有意な影響を及ぼし得ることが仮定される。
伝導性コーティング3430と核形成阻害コーティング3420との間の界面またはその近傍における伝導性コーティング3430の接触角は、相対的親和性または初期付着確率等の核形成阻害コーティング3420の性質に応じて変動し得ることが、観察されている。さらに、核の接触角は、堆積によって形成される伝導性コーティング3430の薄膜接触角を決定付け得ることが仮定される。例えば、図22Aを参照すると、接触角θcは、伝導性コーティング3430と核形成阻害コーティング3420との間の界面またはその近傍における伝導性コーティング3430の縁の接線の傾斜を測定することによって、判定されてもよい。伝導性コーティング3430の断面テーパ外形が実質的に線形である、他の実施例では、接触角は、界面またはその近傍における伝導性コーティング3430の傾斜を測定することによって、判定されてもよい。理解されるであろうように、接触角は、概して、基板3410の下層表面の角度に対して測定される。簡単にするために、本明細書で提供される実施形態は、平面上に堆積されたコーティングを示すように図示されているが、しかしながら、コーティングは、非平面上に堆積され得ることを理解されたい。
図22Aを参照すると、伝導性コーティング3430の接触角は、約90度またはそれ未満として示される。いくつかの実施形態では、伝導性コーティング3430の接触角は、約90度を上回り得る。ここで図22Bを参照すると、伝導性コーティング3430が、核形成阻害コーティング3420と伝導性コーティング3430との間の界面を越えて延在する一部を含み、間隙3441によって核形成阻害コーティング3420から離間される、実施形態が、図示される。そのような実施形態では、例えば、接触角θcは、約90度を上回り得る。
少なくともいくつかの用途では、比較的に大きい接触角を呈する、伝導性コーティング3430を形成することが特に有利であり得る。例えば、接触角は、少なくとも約10度またはそれを上回る、少なくとも約15度またはそれを上回る、少なくとも約20度またはそれを上回る、少なくとも約25度またはそれを上回る、少なくとも約30度またはそれを上回る、少なくとも約35度またはそれを上回る、少なくとも約40度またはそれを上回る、少なくとも約50度またはそれを上回る、少なくとも約60度またはそれを上回る、少なくとも約70度またはそれを上回る、少なくとも約75度またはそれを上回る、もしくは少なくとも約80度またはそれを上回り得る。例えば、比較的に大きい接触角を有する、伝導性コーティング3430は、比較的に高いアスペクト比を維持しながら、微細にパターン化された特徴を作成するために特に有利であり得る。いくつかの用途では、約90度を上回る接触角を呈する、伝導性コーティング3430を形成することが有利であり得る。例えば、接触角は、約90度を上回る、少なくとも約95度またはそれを上回る、少なくとも約100度またはそれを上回る、少なくとも約105度またはそれを上回る、少なくとも約110度またはそれを上回る、少なくとも約120度またはそれを上回る、少なくとも約130度またはそれを上回る、少なくとも約135度またはそれを上回る、少なくとも約140度またはそれを上回る、少なくとも約145度またはそれを上回る、少なくとも約150度またはそれを上回る、もしくは少なくとも約160度またはそれを上回り得る。
上記で説明されるように、伝導性コーティングの接触角は、伝導性コーティングが形成される面積に隣接して配置される核形成阻害コーティングの性質(例えば、初期付着確率)に少なくとも部分的に基づいて、判定されることが仮定される。故に、比較的に大きい接触角を呈する伝導性コーティングの選択的堆積を可能にする、核形成阻害コーティング材料は、ある用途で特に有用であり得る。
特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、核形成および成長中に存在する種々の界面張力の間の関係は、毛管理論においてヤングの方程式とも称される、以下の方程式に従って決定付けられることが仮定される。
式中、
は、基板と蒸気との間の界面張力に対応し、
は、膜と基板との間の界面張力に対応し、
は、蒸気と膜との間の界面張力に対応し、
は、膜核接触角である。図37は、上記のヤングの方程式で表される種々のパラメータの間の関係を図示する。
ヤングの方程式に基づいて、島成長に関して、膜核接触角θがゼロを上回り、したがって、
であることが、導出され得る。
堆積された膜が基板を「湿潤する」、層成長に関して、核接触角θ=0であり、たがって、
である。
膜過成長の単位面積あたりの歪みエネルギーが、蒸気と膜との間の界面張力に対して大きい、ストランスキー・クラスタノフ(S−K)成長に関して、
である。
核形成阻害コーティングと露出基板表面との間の界面における伝導性コーティングの核形成および成長モードは、θ>0である、島成長モデルに従うことが仮定される。特に、核形成阻害コーティングが、伝導性コーティングを形成するために使用される材料に向かって比較的に低い親和性または低い初期付着確率(例えば、ディウェッティング)を呈する場合において、本低親和性は、伝導性コーティングの比較的に大きい薄膜接触角をもたらす。対照的に、伝導性コーティングが、例えば、シャドウマスクを採用することによって、核形成阻害コーティングを使用することなく表面上に選択的に堆積されるとき、伝導性コーティングの核形成および成長モードは、異なり得る。特に、シャドウマスクパターン化プロセスを使用して形成される伝導性コーティングは、少なくともある場合には、約10度未満の比較的に小さい薄膜接触角を呈し得ることが観察されている。
明示的に図示されていないが、核形成阻害コーティング3420を形成するために使用される材料もまた、伝導性コーティング3430と下層表面(例えば、核形成助長層3451または基板3410の表面)との間の界面において、ある程度存在し得ることが理解されるであろう。そのような材料は、堆積させられたパターンがマスクのパターンと同じではなく、ある蒸発した材料を、標的表面の覆い隠された部分の上に堆積させ得る、陰影効果の結果として、堆積させられてもよい。例えば、そのような材料は、島または断絶したクラスタとして、もしくは実質的に核形成阻害コーティング3420の平均厚さ未満である厚さを有する薄膜として、形成してもよい。
図22Cおよび22Dは、伝導性コーティング3430が、第1の領域3415と第2の領域3412との間に配置される第3の領域3419中の核形成阻害コーティング3420の一部に部分的に重複する、さらに他の実施形態を図示する。図に図示されるように、核形成阻害コーティング3420の一部と部分的に重複する、伝導性コーティング3430の一部は、核形成阻害コーティング3420の表面3422と直接物理的に接触し得る。この点に関して、第3の領域3419中の重複は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセス中に伝導性コーティング3430の側方成長の結果として形成されてもよい。より具体的には、核形成阻害コーティング3420の表面3422は、伝導性コーティング3430の材料に関して比較的に低い親和性または初期付着確率を呈し得、したがって、表面3422上で核形成する材料の確率は、低いが、伝導性コーティング3430がその厚さを増大させると、コーティング3430はまた、側方に成長し得、核形成阻害コーティング3420の一部を被覆し得る。
図22Cおよび22Dの場合において、伝導性コーティング3430の接触角θcは、図に図示されるように、伝導性コーティング3430と核形成阻害コーティング3420との間の界面の近傍の伝導性コーティング3430の縁において測定されてもよい。特に、図22Dを参照すると、接触角θcは、約90度を上回り得、伝導性コーティング3430の一部を間隙3441によって核形成阻害コーティング3420から離間させる。
いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティング3420は、図18−22Dの実施形態における核形成阻害コーティング3420によって被覆される下層表面の少なくとも一部が露出されるように、伝導性コーティング3430の堆積に続いて除去されてもよい。例えば、核形成阻害コーティング3420は、核形成阻害コーティング3420をエッチングすること、または溶解させることによって、もしくは伝導性コーティング3430に実質的に影響を及ぼす、またはそれを浸食することなく、プラズマもしくは溶媒処理技法を使用して、選択的に除去されてもよい。
図23Aは、基板5910と、基板5910の表面の個別の領域にわたって堆積される核形成阻害コーティング5920および伝導性コーティング5915(例えば、マグネシウムコーティング)とを含む、一実施形態によるデバイス5901を図示する。
図23Bは、伝導性コーティング5915が、基板5910上に残留し、核形成阻害コーティング5920によって被覆された基板5910の領域が、ここでは露出されている、または被覆されていないように、デバイス5901内に存在する核形成阻害コーティング5920が基板5910の表面から除去された後のデバイス5902を図示する。例えば、デバイス5901の核形成阻害コーティング5920は、伝導性コーティング5915に実質的に影響を及ぼすことなく、核形成阻害コーティング5920を優先的に反応させる、および/またはエッチングする、溶媒もしくはプラズマに基板5910を暴露することによって、除去されてもよい。
いくつかの実施形態のデバイスは、電子デバイス、より具体的には、光電子デバイスであってもよい。光電子デバイスは、概して、電気信号を光子に変換する、または逆も同様である、任意のデバイスを包含する。したがって、有機光電子デバイスは、デバイスの1つまたはそれを上回る活性層が、主に有機材料、より具体的には、有機半導体材料で形成される、任意の光電子デバイスを包含することができる。有機光電子デバイスの実施例は、OLEDデバイスおよびOPVデバイスを含むが、それらに限定されない。
また、有機光電子デバイスは、種々のタイプのベース基板上に形成され得ることも理解されるであろう。例えば、ベース基板は、可撓性または剛性基板であってもよい。ベース基板は、例えば、シリコン、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド)、サファイア、またはベース基板として使用するために好適な他の材料を含んでもよい。
また、デバイスの種々の構成要素は、蒸着、スピンコーティング、ラインコーティング、印刷、および種々の他の堆積技法を含む、多種多様な技法を使用して堆積させられ得ることも理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、有機光電子デバイスは、有機半導体層が、エレクトロルミネセント層を含む、OLEDデバイスである。いくつかの実施形態では、有機半導体層は、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、および/または正孔注入層等の付加的層を含んでもよい。例えば、OLEDデバイスは、AMOLEDデバイス、PMOLEDデバイス、またはOLED照明パネルもしくはモジュールであってもよい。さらに、光電子デバイスは、電子デバイスの一部であってもよい。例えば、光電子デバイスは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ等のコンピューティングデバイス、またはモニタもしくはテレビセット等の他の電子デバイスのOLEDディスプレイモジュールであってもよい。
図24−26は、AMOLEDディスプレイデバイスの種々の実施形態を図示する。簡単にするために、図18−22Dを参照して上記で説明される、伝導性コーティングと核形成阻害コーティングとの間の界面またはその近傍における伝導性コーティングの種々の詳細および特性は、省略されている。しかしながら、図18−22Dを参照して説明される特徴はまた、図24−26の実施形態に適用可能であり得ることも理解されるであろう。
図24は、一実施形態による、AMOLEDデバイス3802の構造を図示する概略図である。
デバイス3802は、ベース基板3810と、ベース基板3810の表面を覆って堆積させられる緩衝層3812とを含む。TFT3804が、次いで、緩衝層3812を覆って形成される。具体的には、半導体活性面積3814が、緩衝層3812の一部を覆って形成され、ゲート絶縁層3816が、半導体活性面積3814を実質的に被覆するように堆積させられる。次に、ゲート電極3818が、ゲート絶縁層3816の上に形成され、層間絶縁層3820が、堆積させられる。ソース電極3824およびドレイン電極3822が、層間絶縁層3820およびゲート絶縁層3816を通して形成される開口部を通って延在し、半導体活性層3814と接触するように、形成される。絶縁層3842が、次いで、TFT3804を覆って形成される。第1の電極3844が、次いで、絶縁層3842の一部を覆って形成される。図24に図示されるように、第1の電極3844は、ドレイン電極3822と電気通信するように、絶縁層3842の開口部を通って延在する。PDL3846が、次いで、その外縁を含む、第1の電極3844の少なくとも一部を被覆するように形成される。例えば、PDL3846は、絶縁有機または無機材料を含んでもよい。有機層3848が、次いで、特に、隣接するPDL3846の間の領域中で、第1の電極3844を覆って堆積させられる。第2の電極3850が、有機層3848およびPDL3846の両方を実質的に被覆するように堆積させられる。第2の電極3850の表面が、次いで、実質的に核形成助長コーティング3852で被覆される。例えば、核形成助長コーティング3852は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積技法を使用して、堆積させられてもよい。核形成阻害コーティング3854が、核形成助長コーティング3852の一部を覆って選択的に堆積させられる。例えば、核形成阻害コーティング3854は、シャドウマスクを使用して、選択的に堆積させられてもよい。故に、補助電極3856が、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、核形成助長コーティング3852の露出表面を覆って選択的に堆積させられる。さらに具体的にするために、開放マスクを使用して、またはマスクを用いて、補助電極3856(例えば、マグネシウムを含む)の熱的堆積を行うことによって、補助電極3856は、補助電極3856の材料を実質的に含まない核形成阻害コーティング3854の表面を残しながら、核形成助長コーティング3852の露出表面を覆って選択的に堆積させられる。
図25は、核形成助長コーティングが省略されている、別の実施形態による、AMOLEDデバイス3902の構造を図示する。例えば、核形成助長コーティングは、補助電極が堆積させられる表面が、補助電極の材料の比較的高い初期付着確率を有する場合において、省略されてもよい。換言すると、比較的高い初期付着確率を伴う表面に関して、核形成助長コーティングは、省略されてもよく、伝導性コーティングが、依然としてその上に堆積させられてもよい。簡単にするために、TFTに関するものを含むバックプレーンのある詳細は、以下の実施形態を説明する際に省略される。
図25では、有機層3948が、第1の電極3944と第2の電極3950との間に堆積させられる。有機層3948は、PDL3946の部分と部分的に重複してもよい。核形成阻害コーティング3954が、第2の電極3950の一部(例えば、放射領域に対応する)を覆って堆積させられ、それによって、補助電極3956を形成するために使用される材料の比較的低い初期付着確率(例えば、比較的低い脱着エネルギー)を伴う表面を提供する。故に、補助電極3956は、核形成阻害コーティング3954から露出される第2の電極3950の一部を覆って選択的に堆積させられる。理解されるであろうように、補助電極3956は、第2の電極3950のシート抵抗を低減させるよう、下層の第2の電極3950と電気通信する。例えば、第2の電極3950および補助電極3956は、補助電極3956の材料の高い初期付着確率を確実にするように、実質的に同一の材料を含んでもよい。具体的には、第2の電極3950は、実質的に純粋なマグネシウム(Mg)、またはマグネシウムおよび銀(Ag)等の別の金属の合金を含んでもよい。Mg:Ag合金に関して、合金組成は、体積比約1:9〜約9:1に及んでもよい。補助電極3956は、実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。
図26は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイス4002の構造を図示する。図示される実施形態では、有機層4048が、PDL4046の部分と部分的に重複するように、第1の電極4044と第2の電極4050との間に堆積させられる。核形成阻害コーティング4054が、第2の電極4050の表面を実質的に被覆するように堆積させられ、核形成助長コーティング4052が、核形成阻害コーティング4054の一部の上に選択的に堆積させられる。補助電極4056が、次いで、核形成助長コーティング4052を覆って形成される。随意に、キャッピング層4058が、核形成阻害コーティング4054および補助電極4056の露出表面を被覆するように堆積させられてもよい。
補助電極3856または4056は、図24および26の実施形態では第2の電極3850または4050と直接物理的に接触しないものとして図示されているが、補助電極3856または4056および第2の電極3850または4050は、それでもなお、電気通信し得ることが理解されるであろう。例えば、補助電極3856または4056と第2の電極3850または4050との間の核形成助長材料もしくは核形成阻害材料の比較的薄い膜(例えば、最大約100nm)の存在は、電流がそれを通って通過することを依然として十分に可能にし、したがって、第2の電極3850または4050のシート抵抗が低減されることを可能にし得る。
図27は、核形成阻害コーティング4154と補助電極4156との間の界面が、PDL4146によって作成される傾斜表面上に形成される、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイス4102の構造を図示する。デバイス4102は、第1の電極4144と第2の電極4150との間に堆積させられる有機層4148を含み、核形成阻害コーティング4154は、デバイス4102の放射領域に対応する、第2の電極4150の一部を覆って堆積させられる。補助電極4156は、核形成阻害コーティング4154から露出される第2の電極4150の部分を覆って堆積させられる。
示されていないが、図27のAMOLEDデバイス4102はさらに、補助電極4156と第2の電極4150との間に配置される核形成助長コーティングを含んでもよい。核形成助長コーティングはまた、特に、核形成助長コーティングが、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して堆積させられる場合において、核形成阻害コーティング4154と第2の電極4150との間に配置されてもよい。
図28Aは、AMOLEDデバイス4300が複数の光透過性領域を含む、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイス4300の一部を図示する。図示されるように、AMOLEDデバイス4300は、複数のピクセル4321と、隣接するピクセル4321の間に配置される補助電極4361とを含む。各ピクセル4321は、複数のサブピクセル4333、4335、4337をさらに含む、サブピクセル領域4331と、光透過性領域4351とを含む。例えば、サブピクセル4333は、赤色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4335は、緑色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4337は、青色サブピクセルに対応してもよい。解説されるであろうように、光透過性領域4351は、光がデバイス4300を通過することを可能にするように実質的に透明である。
図28Bは、図28Aに示されるような線A−Aに沿って得られたデバイス4300の断面図を図示する。簡潔には、デバイス4300は、ベース基板4310と、TFT4308と、絶縁層4342と、絶縁層4342の上に形成され、TFT4308と電気通信するアノード4344とを含む。第1のPDL4346aおよび第2のPDL4346bが、絶縁層4342を覆って形成され、アノード4344の縁を被覆する。1つまたはそれを上回る有機層4348が、アノード4344の露出領域およびPDL4346a、4346bの一部を被覆するように堆積させられる。カソード4350が、次いで、1つまたはそれを上回る有機層4348を覆って堆積させられる。次に、核形成阻害コーティング4354が、光透過性領域4351およびサブピクセル領域4331に対応するデバイス4300の部分を覆って堆積させられる。デバイス表面全体が、次いで、マグネシウム蒸気流束に暴露され、したがって、カソード4350のコーティングされていない領域を覆ってマグネシウムの選択的堆積を引き起こす。このようにして、下層カソード4350と電気接触する補助電極4361が形成される。
デバイス4300では、光透過性領域4351は、それを通る光の透過に実質的に影響を及ぼし得る、いかなる材料も実質的に含まない。具体的には、TFT4308、アノード4344、および補助電極4361は全て、これらの構成要素が光透過性領域4351を通して透過されている光を減衰または妨害しないように、サブピクセル領域4331内に位置付けられる。そのような配列は、ピクセルがオフである、または発光していないときに、典型的視認距離からデバイス4300を視認する視認者がデバイス4300を通して見ることを可能にし、したがって、透明AMOLEDディスプレイを作成する。
示されていないが、図28BのAMOLEDデバイス4300はさらに、補助電極4361とカソード4350との間に配置される核形成助長コーティングを含んでもよい。核形成助長コーティングはまた、核形成阻害コーティング4354とカソード4350との間に配置されてもよい。
他の実施形態では、有機層4348およびカソード4350を含む、種々の層またはコーティングは、そのような層またはコーティングが実質的に透明である場合、光透過性領域4351の一部を被覆してもよい。代替として、PDL4346a、4346bは、所望である場合、光透過性領域4351の中に提供されなくてもよい。
図28Aおよび28Bに図示される配列以外のピクセルおよびサブピクセル配列もまた、使用され得、補助電極4361は、ピクセルの他の領域中に提供され得ることが理解されるであろう。例えば、補助電極4361は、サブピクセル領域4331と光透過性領域4351との間の領域中に提供されてもよい、および/または所望である場合、隣接するサブピクセルの間に提供されてもよい。
図29Aは、AMOLEDデバイス4300’が複数の光透過性領域を含む、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイス4300’の一部を図示する。図示されるように、AMOLEDデバイス4300’は、複数のピクセル4321’を含む。各ピクセル4321’は、複数のサブピクセル4333’、4335’、4337’をさらに含む、サブピクセル領域4331’と、光透過性領域4351’とを含む。例えば、サブピクセル4333’は、赤色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4335’は、緑色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4337’は、青色サブピクセルに対応してもよい。解説されるであろうように、光透過性領域4351’は、光がデバイス4300’を通過することを可能にするように実質的に透明である。
図29Bは、一実施形態による、線B−Bに沿って得られたデバイス4300’の断面図を図示する。デバイス4300’は、ベース基板4310’と、TFT4308’と、絶縁層4342’と、絶縁層4342’上に形成され、TFT4308’と電気通信するアノード4344’とを含む。第1のPDL4346a’および第2のPDL4346b’が、絶縁層4342’にわたって形成され、アノード4344’の縁を被覆する。1つまたはそれを上回る有機層4348’が、アノード4344’の露出領域およびPDL4346a’、4346b’の部分を被覆するように堆積される。第1の伝導性コーティング4350’が、次いで、1つまたはそれを上回る有機層4348’にわたって堆積される。図示される実施形態では、第1の伝導性コーティング4350’は、サブピクセル領域4331’および光透過性領域4351’の両方にわたって配置される。そのような実施形態では、第1の伝導性コーティング4350’は、実質的に透明または光透過性であり得る。例えば、第1の伝導性コーティング4350’の厚さは、第1の伝導性コーティング4350’の存在が光透過性領域4351’を通した光の透過を実質的に減衰させないように、比較的に薄くあり得る。第1の伝導性コーティング4350’は、例えば、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、堆積されてもよい。次に、核形成阻害コーティング4362’が、光透過性領域4351’に対応するデバイス4300’の部分を被覆するように堆積される。デバイス表面全体が、次いで、第2の伝導性コーティング4352’を形成するための材料の蒸気流束に暴露され、したがって、第1の伝導性コーティング4350のコーティングされていない領域にわたって第2の伝導性コーティング4352’の選択的堆積を引き起こす。具体的には、第2の伝導性コーティング4352’が、サブピクセル領域4331’に対応するデバイス4300’の一部にわたって配置される。このようにして、デバイス4300’用のカソードが、第1の伝導性コーティング4350’および第2の伝導性コーティング4352’の組み合わせによって形成される。
いくつかの実施形態では、第1の伝導性コーティング4350’の厚さは、第2の伝導性コーティング4352’の厚さ未満である。このようにして、比較的に高い光透過率が、光透過性領域4351’中で維持されてもよい。例えば、第1の伝導性コーティング4350’の厚さは、最大約30nmまたはそれ未満、最大約25nmまたはそれ未満、最大約20nmまたはそれ未満、最大約15nmまたはそれ未満、最大約10nmまたはそれ未満、最大約8nmまたはそれ未満、もしくは最大約5nmまたはそれ未満であり得、第2の伝導性コーティング4352’の厚さは、最大約30nmまたはそれ未満、最大約25nmまたはそれ未満、最大約20nmまたはそれ未満、最大約15nmまたはそれ未満、最大約10nmまたはそれ未満、もしくは最大約8nmまたはそれ未満であり得る。他の実施形態では、第1の伝導性コーティング4350’の厚さは、第2の伝導性コーティング4352’の厚さを上回る。さらに別の実施形態では、第1の伝導性コーティング4350’の厚さおよび第2の伝導性コーティング4352’の厚さは、実質的に同一であり得る。
第1の伝導性コーティング4350’および第2の伝導性コーティング4352’を形成するために使用され得る材料は、上記に説明される実施形態で伝導性コーティングを形成するために使用されるものと実質的に同一であり得る。そのような材料は、他の実施形態に関して上記に説明されているが、これらの材料の説明は、簡潔にするために省略されている。
デバイス4300’では、光透過性領域4351’は、それを通した光の透過に実質的に影響を及ぼし得る、いかなる材料も実質的に含まない。特に、TFT4308’、アノード4344’、および伝導性コーティング4352’は全て、これらの構成要素が光透過性領域4351’を通して透過されている光を減衰または妨害しないように、サブピクセル領域4331内に位置付けられる。そのような配列は、ピクセルがオフである、または発光していないときに、典型的視認距離からデバイス4300’を視認する視認者がデバイス4300’を通して見ることを可能にし、したがって、透明AMOLEDディスプレイを作成する。
図29Cは、第1の伝導性コーティング4350”が、サブピクセル領域4331’中に選択的に配置され、光透過性領域4351’が、第1の伝導性コーティング4350”を形成するために使用される材料を実質的に含まない、またはそれから露出される、別の実施形態による、デバイス4300”の断面を図示する。例えば、デバイス4300”の加工中に、核形成阻害コーティング4362’は、第1の伝導性コーティング4350”を堆積させることに先立って、光透過性領域4351’中に堆積されてもよい。このようにして、第1の伝導性コーティング4350”は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、サブピクセル領域4331’中で選択的に堆積されてもよい。上記で解説されるように、第1の伝導性コーティング4350”を形成するために使用される材料は、概して、核形成阻害コーティング4362’の表面上に堆積されることに向かって比較的に不良な親和性(例えば、低い初期付着確率)を呈する。例えば、第1の伝導性コーティング4350”は、Yb、Zn、Cd、およびMg等の高蒸気圧材料から成ってもよい。いくつかの実施形態では、第1の伝導性コーティング4350”は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムから成ってもよい。第1の伝導性コーティング4350”を含まない、または実質的に含まない光透過性領域4351’を提供することによって、そのような領域中の光透過率は、ある場合には、例えば、図29Bのデバイス4300’と比較して、有利に増進され得る。
示されていないが、図29BのAMOLEDデバイス4300’および図29CのAMOLEDデバイス4300”はそれぞれ、第1の伝導性コーティング4350’または4350”と下層表面(例えば、有機層4348’)との間に配置される核形成助長コーティングをさらに含んでもよい。そのような核形成助長コーティングはまた、核形成阻害コーティング4362’と下層表面(例えば、PDL4346a’−b’)との間に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティング4362’は、有機層4348’のうちの少なくとも1つと同時に形成されてもよい。例えば、核形成阻害コーティング4362’を形成するための材料はまた、有機層4348’のうちの少なくとも1つを形成するために使用されてもよい。このようにして、デバイス4300’または4300”を加工するための段階の数は、削減されてもよい。
いくつかの実施形態では、第2の伝導性コーティング4352’および第3の伝導性コーティングを含む、付加的伝導性コーティングはまた、サブピクセル4333’、4335’、および4337’にわたって提供されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、補助電極もまた、デバイス4300’、4300”の非放射領域中に提供されてもよい。例えば、そのような補助電極は、サブピクセル領域4331’または光透過性領域4351’中の光透過率に実質的に影響を及ぼさないように、隣接するピクセル4321’の間の領域中に提供されてもよい。補助電極はまた、サブピクセル領域4331’と光透過性領域4351’との間の領域中に提供される、および/または所望される場合、隣接するピクセルの間に提供されてもよい。例えば、図29Bの実施形態を参照すると、付加的核形成阻害コーティングが、非放射領域に対応する一部を被覆されていない、または露出されたままにしながら、サブピクセル4333’領域に対応する第2の伝導性コーティング4352’の一部にわたって堆積されてもよい。このようにして、伝導性材料の開放マスクまたはマスクを含まない堆積は、補助電極をデバイス4300’の非放射領域にわたって形成させるように行われてもよい。
いくつかの実施形態では、有機層4348’を含む、種々の層またはコーティングは、そのような層またはコーティングが実質的に透明である場合に光透過性領域4351’の一部を被覆してもよい。代替として、PDL4346a’、4346b’は、所望される場合、光透過性領域4351’から省略されてもよい。
図29A、図29B、および図29Cに図示される配列以外のピクセルおよびサブピクセル配列もまた、使用され得ることを理解されたい。
前述の実施形態では、核形成阻害コーティングが、その上の伝導性材料(例えば、マグネシウム)の核形成および堆積を阻害することに加えて、デバイスからの光の脱結合を増進するように作用してもよい。具体的には、核形成阻害コーティングは、指数合致コーティングおよび/または反射防止コーティングとして作用してもよい。
障壁コーティング(図示せず)が、AMOLEDディスプレイデバイスを描写する前述の実施形態に図示されるデバイスをカプセル化するように提供されてもよい。理解されるであろうように、そのような障壁コーティングは、有機層と、酸化する傾向があり得る有機層およびカソードとを含む、種々のデバイス層が、湿気および周囲空気に暴露されないように阻止してもよい。例えば、障壁コーティングは、印刷、CVD、スパッタリング、ALD、前述の任意の組み合わせによって、または任意の他の好適な方法によって形成される、薄膜カプセル化であってもよい。障壁コーティングはまた、接着剤を使用して、デバイス上に事前形成された障壁膜を積層加工することによって提供されてもよい。例えば、障壁コーティングは、有機材料、無機材料、または両方の組み合わせを備える、多層コーティングであってもよい。障壁コーティングはさらに、いくつかの実施形態では、ゲッタ材料および/または乾燥剤を備えてもよい。
AMOLEDディスプレイデバイスの共通電極のシート抵抗仕様は、ディスプレイデバイスのサイズ(例えば、パネルサイズ)および電圧変動に対する耐性に従って変動し得る。一般に、シート抵抗仕様は、より大きいパネルサイズおよびパネルを横断する電圧変動に対するより低い耐性とともに増加する(例えば、より低いシート抵抗が規定される)。
シート抵抗仕様およびある実施形態による仕様に準拠する補助電極の関連付けられる厚さが、種々のパネルサイズについて計算された。シート抵抗および補助電極厚さは、0.1Vおよび0.2Vの電圧公差について計算された。計算の目的のために、0.64の口径比が、全てのディスプレイパネルサイズに仮定された。
例示的パネルサイズにおける補助電極の規定厚さが、以下の表2で要約される。
理解されるであろうように、TFT(例えば、図24に示されるTFT3804)を含む、バックプレーンの種々の層および部分が、種々の好適な材料ならびにプロセスを使用して加工されてもよい。例えば、TFTは、CVD、PECVD、レーザ焼鈍、およびPVD(スパッタリングを含む)等の技法を使用して、堆積および/または処理され得る、有機もしくは無機材料を使用して加工されてもよい。理解されるであろうように、そのような層は、下層デバイス層を被覆するフォトレジストの選択的部分を紫外線に暴露するためにフォトマスクを使用する、フォトリソグラフィを使用してパターン化されてもよい。使用されるフォトレジストのタイプに応じて、フォトマスクの露出部分または露出されていない部分が、次いで、下層デバイス層の所望の部分を見せるように洗い落とされてもよい。パターン化された表面が、次いで、デバイス層の露出部分を効果的に除去するように、化学的または物理的にエッチングされてもよい。
さらに、上面ゲートTFTが、上記のある実施形態で図示および説明されているが、他のTFT構造も使用され得ることが理解されるであろう。例えば、TFTは、底面ゲートTFTであってもよい。TFTは、n型TFTまたはp型TFTであってもよい。TFT構造の実施例は、a−Si、IGZO、およびLTPSを利用するものを含む。
電極と、1つまたはそれを上回る有機層と、PDLと、キャッピング層とを含む、フロントプレーンの種々の層および部分が、熱蒸発ならびに/もしくは印刷を含む、任意の好適な堆積プロセスを使用して堆積させられてもよい。例えば、シャドウマスクが、そのような材料を堆積させるときに、所望のパターンを生成するために適宜使用され得、種々のエッチングおよび選択的堆積プロセスもまた、種々の層をパターン化するために使用され得ることが理解されるであろう。そのような方法の実施例は、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷およびリールツーリール印刷を含む)、OVPD、およびLITIパターン化を含むが、それらに限定されない。
放射領域にわたる伝導性コーティングの選択的堆積
一側面では、1つまたはそれを上回る放射領域にわたって伝導性コーティングを選択的に堆積させるための方法が、提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、基板上に第1の伝導性コーティングを堆積させるステップを含む。基板は、第1の放射領域と、第2の放射領域とを含んでもよい。基板上に堆積される第1の伝導性コーティングは、基板の第1の放射領域をコーティングする第1の部分と、第2の放射領域をコーティングする第2の部分とを含んでもよい。本方法はさらに、第1の伝導性コーティングの第1の部分上に第1の核形成阻害コーティングを堆積させ、次いで、第1の伝導性コーティングの第2の部分上に第2の伝導性コーティングを堆積させるステップを含んでもよい。
図30は、一実施形態による、デバイスを製造する段階を概説する、フロー図である。図31A−31Dは、プロセスの各段階におけるデバイスを図示する概略図である。
図31Aに図示されるように、基板3102が、提供される。基板3102は、第1の放射領域3112と、第2の放射領域3114とを含む。基板3102はさらに、1つまたはそれを上回る非放射領域3121a−3121cを含んでもよい。例えば、第1の放射領域3112および第2の放射領域3114は、エレクトロルミネセントデバイスのピクセル領域またはサブピクセル領域に対応してもよい。
段階12では、第1の伝導性コーティング3131が、基板にわたって堆積される。図31Bに図示されるように、第1の伝導性コーティング3131は、第1の放射領域3112、第2の放射領域3114、および非放射領域3121a−3121cをコーティングするように堆積される。第1の伝導性コーティング3131は、第1の放射領域3112をコーティングする部分に対応する第1の部分3132と、第2の放射領域3114をコーティングする部分に対応する第2の部分3133とを含む。例えば、第1の伝導性コーティング3131は、熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む、蒸発によって堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の伝導性コーティング3131は、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに(例えば、マスクを含まない)堆積されてもよい。第1の伝導性コーティング3131は、限定ではないが、スパッタリング、化学蒸着、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびマイクロコンタクト転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、他の方法を使用して、堆積されてもよい。
段階14では、第1の核形成阻害コーティング3141が、第1の伝導性コーティング3131の一部にわたって選択的に堆積される。図31Cに図示される実施形態では、第1の核形成阻害コーティング3141は、第1の放射領域3112に対応する、第1の伝導性コーティング3131の第1の部分3132をコーティングするように堆積される。そのような実施形態では、第2の放射領域3114にわたって配置される第1の伝導性コーティング3131の第2の部分3133は、第1の核形成阻害コーティング3141を実質的に含まない、またはそれから露出される。いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング3141はまた、随意に、1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される、第1の伝導性コーティング3131の部分をコーティングしてもよい。例えば、第1の核形成阻害コーティング3141はまた、随意に、非放射領域3121aおよび/または3121b等の第1の放射領域3112に隣接する1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される、第1の伝導性コーティング3131の部分をコーティングしてもよい。限定ではないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびマイクロコンタクト転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、第1の核形成阻害コーティング3141を堆積させるために使用されてもよい。
いったん第1の核形成阻害コーティング3141が第1の伝導性コーティング3131の表面の領域上に堆積されると、第2の伝導性コーティング3151が、核形成阻害コーティング3141が存在しない、表面の残りの被覆されていない領域上に堆積されてもよい。図31Dを参照すると、段階16では、伝導性コーティングソース3105が、第1の伝導性コーティング3131および第1の核形成阻害コーティング3141の表面に向かって蒸発した伝導性材料を指向するものとして図示される。図31Dに図示されるように、伝導コーティングソース3105は、第1の伝導性コーティング3131の被覆または処理された面積(すなわち、核形成阻害コーティング3141がその上に堆積された、第1の伝導性コーティング3131の領域)および被覆されていないまたは未処理面積の両方に入射するように、蒸発した伝導性材料を指向してもよい。しかしながら、第1の核形成阻害コーティング3141の表面が、第1の伝導性コーティング3131の被覆されていない表面のものと比較して、比較的に低い初期付着係数を呈するため、第2の伝導性コーティング3151は、第1の核形成阻害コーティング3141が存在しない第1の伝導性コーティング表面の面積上に、選択的に堆積する。故に、第2の伝導性コーティング3151は、第2の放射領域3114をコーティングする第1の伝導性コーティング3131の部分に対応する、第1の伝導性コーティング3131の第2の部分3133をコーティングしてもよい。図31Dに図示されるように、第2の伝導性コーティング3151はまた、非放射領域3121a、3121b、および3121cをコーティングする部分を含む、第1の伝導性コーティング3131の他の部分または領域をコーティングしてもよい。第2の伝導性コーティング3151は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。例えば、第2の伝導性コーティング3151は、第1の伝導性コーティング3131を形成するために使用されるものと同じである材料を使用して、形成されてもよい。第2の伝導性コーティング3151は、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに(例えば、マスクを含まない堆積プロセス)堆積されてもよい。
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、段階16後に付加的段階を含んでもよい。そのような付加的段階は、例えば、1つまたはそれを上回る付加的核形成阻害コーティングを堆積させるステップ、1つまたはそれを上回る付加的伝導性コーティングを堆積させるステップ、補助電極を堆積させるステップ、脱結合コーティングを堆積させるステップ、および/またはデバイスのカプセル化を含んでもよい。
本方法は、第1および第2の放射領域を有するデバイスに関連して、上記に図示および説明されているが、これは同様に、3つまたはそれを上回る放射領域を有するデバイスに適用され得ることを理解されたい。例えば、そのような方法は、放射領域のそれぞれの発光スペクトルに従って、変動する厚さの伝導性コーティングを堆積させるために使用されてもよい。
第1の伝導性コーティング3131および第2の伝導性コーティング3151は、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部で光透過性または実質的に透明であり得る。さらに明確にするために、第1の伝導性コーティング3131および第2の伝導性コーティング3151はそれぞれ、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部で光透過性または実質的に透明であり得る。次いで、第2の伝導性コーティング3151(および任意の付加的伝導性コーティング)が、マルチコーティング電極を形成するように第1の伝導性コーティング3131の上に配置されるとき、そのような電極はまた、電磁スペクトルの可視波長部分で光透過性または実質的に透明であり得る。例えば、第1の伝導性コーティング3131、第2の伝導性コーティング3151、および/またはマルチコーティング電極の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分で、少なくとも約30%またはそれを上回る、少なくとも約40%またはそれを上回る、少なくとも約45%またはそれを上回る、少なくとも約50%またはそれを上回る、少なくとも約60%またはそれを上回る、少なくとも70%またはそれを上回る、少なくとも約75%またはそれを上回る、もしくは少なくとも約80%またはそれを上回り得る。
いくつかの実施形態では、第1の伝導性コーティング3131および第2の伝導性コーティング3151の厚さは、比較的に高い光透過率を維持するように比較的に薄く作製されてもよい。例えば、第1の伝導性コーティング3131の厚さは、約5nm〜約30nm、約8nm〜約25nm、または約10nm〜約20nmであってもよい。第2の伝導性コーティング3151の厚さは、例えば、約1nm〜約25nm、約1nm〜約20nm、約1nm〜約15nm、約1nm〜約10nm、または約3nm〜約6nmであってもよい。故に、第1の伝導性コーティング3131、第2の伝導性コーティング3151、および任意の付加的伝導性コーティングの組み合わせによって形成される、マルチコーティング電極の厚さは、例えば、約6nm〜約35nm、約10nm〜約30nm、約10nm〜約25nm、または約12nm〜約18nmであってもよい。
第1の放射領域3112および第2の放射領域3114は、いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイデバイスのサブピクセル領域に対応してもよい。故に、種々のコーティングが堆積される基板3102は、前述の実施形態で具体的に図示または説明される、1つまたはそれを上回る付加的有機および/または無機層を含み得ることを理解されたい。例えば、OLEDディスプレイデバイスは、AMOLEDディスプレイデバイスであってもよい。そのような実施形態では、基板3102は、電極と、第1の伝導性コーティング3131が少なくとも1つの有機層にわたって堆積され得るように、各放射領域(例えば、サブピクセル)中で電極にわたって堆積される少なくとも1つの有機層とを含んでもよい。例えば、電極は、アノードであってもよく、第1の伝導性コーティング3131は、単独で、または第2の伝導性コーティング3151および任意の付加的伝導性コーティングと組み合わせてのいずれかで、カソードを形成してもよい。少なくとも1つの有機層は、エミッタ層を含んでもよい。少なくとも1つの有機層はさらに、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、および/または任意の付加的層を含んでもよい。基板3102はさらに、複数のTFTを含んでもよい。デバイスの中で提供される各アノードは、少なくとも1つのTFTに電気的に接続されてもよい。例えば、基板3102は、1つまたはそれを上回る上面ゲートTFT、1つまたはそれを上回る底面ゲートTFT、および/または他のTFT構造を含んでもよい。TFTは、n型TFTまたはp型TFTであってもよい。TFT構造の実施例は、a−Si、IGZO、およびLTPSを含むものを含む。
基板3102はまた、上記で識別された付加的有機および/または無機層を支持するためのベース基板を含んでもよい。例えば、ベース基板は、可撓性または剛性基板であってもよい。ベース基板は、例えば、シリコン、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド)、サファイア、またはベース基板として使用するために好適な他の材料を含んでもよい。
第1の放射領域3112および第2の放射領域3114は、相互と異なる波長または発光スペクトルの光を放射するように構成されるサブピクセルであってもよい。第1の放射領域3112は、第1の波長または第1の発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよく、第2の放射領域3114は、第2の波長または第2の発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよい。第1の波長は、第2の波長未満である、またはそれを上回り得る。本デバイスは、任意の数の付加的放射領域、ピクセル、またはサブピクセルを含んでもよい。例えば、本デバイスは、第1の放射領域3112または第2の放射領域3114の波長もしくは放射スペクトルと異なる、第3の波長または第3の放射スペクトルを有する光を放射するように構成される、付加的放射領域を含んでもよい。本デバイスはまた、第1の放射領域3112、第2の放射領域3114、または他の付加的放射領域と実質的に同じ波長もしくは放射スペクトルを有する光を放射するように構成される、付加的放射領域を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング3141は、第1の放射領域3112の少なくとも1つの有機層を堆積させるために使用される同一のシャドウマスクを使用して、選択的に堆積されてもよい。このようにして、光学微小共振器効果が、核形成阻害コーティング3141を堆積させるための付加的マスク要件がないことに起因して、費用効率的な様式でサブピクセル毎に調整されてもよい。
図32は、AMOLEDデバイス1300の一部を図示する、概略断面図である。簡単にするために、TFT1308a、1308b、1308cに関するものを含む、バックプレーンのある詳細は、以下の実施形態を説明する際に省略される。
図32の実施形態では、デバイス1300は、第1の放射領域1331aと、第2の放射領域1331bと、第3の放射領域1331cとを含む。例えば、放射領域は、デバイス1300のサブピクセルに対応してもよい。デバイス1300では、第1の電極1344a、1344b、1344cが、それぞれ、第1の放射領域1331a、第2の放射領域1331b、および第3の放射領域1331cのそれぞれの中に形成される。図32に図示されるように、第1の電極1344a、1344b、1344cはそれぞれ、個別のTFT1308a、1308b、1308cと電気通信するように、絶縁層1342の開口部を通して延在する。PDL1346a−dが、次いで、各電極の外縁を含む、第1の電極1344a−cの少なくとも一部を被覆するように形成される。例えば、PDL1346a−dは、絶縁有機または無機材料を含んでもよい。有機層1348a、1348b、1348cが、次いで、特に、隣接するPDL1346a−dの間の領域中で、個別の第1の電極1344a、1344b、1344cにわたって堆積される。第1の伝導性コーティング1371が、有機層1348a−dおよびPDL1346a−dの両方を実質的に被覆するように堆積される。例えば、第1の伝導性コーティング1371は、共通カソードまたはその一部を形成してもよい。第1の核形成阻害コーティング1361が、第1の放射領域1331aにわたって配置される第1の伝導性コーティング1371の一部にわたって選択的に堆積される。例えば、第1の核形成阻害コーティング1361は、微細金属マスクまたはシャドウマスクを使用して、選択的に堆積されてもよい。故に、第2の伝導性コーティング1372が、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、第1の伝導性コーティング1371の露出表面にわたって選択的に堆積される。さらなる具体性のために、開放マスクを使用して、またはマスクを伴わずに、第2の伝導性コーティング1372(例えば、マグネシウムを含む)の熱堆積を行うことによって、第2の伝導性コーティング1372は、第1の核形成阻害コーティング1361の表面を第1の伝導性コーティング1372の材料を実質的に含まない状態にしながら、第1の伝導性コーティング1371の露出表面にわたって選択的に堆積される。第2の伝導性コーティング1372は、第2の放射領域1331bおよび第3の放射領域1331cにわたって配置される第1の伝導性コーティング1371の部分をコーティングするように堆積されてもよい。
図32に図示されるデバイス1300では、第1の伝導性コーティング1371および第2の伝導性コーティング1372は、集合的に共通カソード1375を形成してもよい。具体的には、共通カソード1375は、第1の伝導性コーティング1371および第2の伝導性コーティング1372の組み合わせによって形成されてもよく、第2の伝導性コーティング1372は、第1の伝導性コーティング1371の少なくとも一部に直接わたって配置される。共通カソード1375は、第1の放射領域1331a中で第1の厚さtc1と、第2の放射領域1335bおよび第3の放射領域1335c中で第2の厚さtc2とを有する。第1の厚さtc1は、第1の伝導性コーティング1371の厚さに対応してもよく、第2の厚さtc2は、第1の伝導性コーティング1371および第2の伝導性コーティング1372の組み合わせられた厚さに対応してもよい。故に、第2の厚さtc2は、第1の厚さtc1を上回る。
図33は、共通カソード1375がさらに、第3の伝導性コーティング1373を含む、デバイス1300のさらなる実施形態を図示する。具体的には、図33の実施形態では、デバイス1300は、第2の放射領域1331bにわたって提供される第2の伝導性コーティング1372の一部にわたって配置される、第2の核形成阻害コーティング1362を含む。第3の伝導性コーティング1373が、次いで、第3の放射領域1331cにわたって配置される第2の伝導性コーティング1372の部分を含む、第2の伝導性コーティング1372の露出または未処理表面にわたって堆積される。このようにして、第1の放射領域1331a中で第1の厚さtc1と、第2の放射領域1331b中で第2の厚さtc2と、第3の放射領域1331c中で第3の厚さtc3とを有する、共通カソード1375が、提供されてもよい。理解されるであろうように、第1の厚さtc1は、第1の伝導性コーティング1371の厚さに対応し、第2の厚さtc2は、第1の伝導性コーティング1371および第2の伝導性コーティング1372の組み合わせられた厚さに対応し、第3の厚さtc3は、第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、および第3の伝導性コーティング1373の組み合わせられた厚さに対応する。故に、第1の厚さtc1は、第2の厚さtc2未満であり得、第3の厚さtc3は、第2の厚さtc2を上回り得る。
図34に図示される、さらに別の実施形態では、デバイス1300はさらに、第3の放射領域1331cにわたって配置される第3の核形成阻害コーティング1363を含んでもよい。具体的には、第3の核形成阻害コーティング1363は、第3の放射領域1331cに対応するデバイス1300の一部をコーティングする、第3の伝導性コーティング1373の一部にわたって堆積されるものとして図示される。
図35に図示される、さらに別の実施形態では、デバイス1300はさらに、デバイス1300の非放射領域中に配置される補助電極1381を含む。例えば、補助電極1381は、第2の伝導性コーティング1372および/または第3の伝導性コーティング1373を堆積させるために使用されるものと実質的に同一のプロセスを使用して、形成されてもよい。補助電極1381は、デバイス1300の非放射領域に対応する、PDL1346a−1346dにわたって堆積されるものとして図示される。放射領域1331a、1331b、1331cは、補助電極1381を形成するために使用される材料を実質的に含まなくてもよい。
第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、および第3の伝導性コーティング1373は、電磁スペクトルの可視波長部分で光透過性または実質的に透明であり得る。さらに明確にするために、第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、および第3の伝導性コーティング1373はそれぞれ、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部で光透過性または実質的に透明であり得る。したがって、第2の伝導性コーティング1372および/または第3の伝導性コーティング1373が、共通カソード1375を形成するように第1の伝導性コーティング1371の上に配置されるとき、そのような電極はまた、電磁スペクトルの可視波長部分で光透過性または実質的に透明であり得る。例えば、第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、第3の伝導性コーティング1373、および/または共通カソード1375の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分で、少なくとも約30%またはそれを上回る、少なくとも約40%またはそれを上回る、少なくとも約45%またはそれを上回る、少なくとも約50%またはそれを上回る、少なくとも約60%またはそれを上回る、少なくとも70%またはそれを上回る、少なくとも約75%またはそれを上回る、もしくは少なくとも約80%またはそれを上回り得る。
いくつかの実施形態では、第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、および第3の伝導性コーティング1373の厚さは、比較的に高い光透過率を維持するように比較的に薄く作製されてもよい。例えば、第1の伝導性コーティング1371の厚さは、約5nm〜約30nm、約8nm〜約25nm、または約10nm〜約20nmであってもよい。第2の伝導性コーティング1372の厚さは、例えば、約1nm〜約25nm、約1nm〜約20nm、約1nm〜約15nm、約1nm〜約10nm、または約3nm〜約6nmであってもよい。第3の伝導性コーティング1373の厚さは、例えば、約1nm〜約25nm、約1nm〜約20nm、約1nm〜約15nm、約1nm〜約10nm、または約3nm〜約6nmであってもよい。故に、第1の伝導性コーティング1371ならびに第2の伝導性コーティング1372および/または第3の伝導性コーティング1373の組み合わせによって形成される、共通カソード1375の厚さは、例えば、約6nm〜約35nm、約10nm〜約30nm、または約10nm〜約25nm、もしくは約12nm〜約18nmであってもよい。
補助電極1381の厚さは、第1の伝導性コーティング1371、第2の伝導性コーティング1372、第3の伝導性コーティング1373、および/または共通カソード1375の厚さを上回り得る。例えば、補助電極1381の厚さは、少なくとも約50nmまたはそれを上回る、少なくとも約80nmまたはそれを上回る、少なくとも約100nmまたはそれを上回る、少なくとも約150nmまたはそれを上回る、少なくとも約200nmまたはそれを上回る、少なくとも約300nmまたはそれを上回る、少なくとも約400nmまたはそれを上回る、少なくとも約500nmまたはそれを上回る、少なくとも約700nmまたはそれを上回る、少なくとも約800nmまたはそれを上回る、少なくとも約1μmまたはそれを上回る、少なくとも約1.2μmまたはそれを上回る、少なくとも約1.5μmまたはそれを上回る、少なくとも約2μmまたはそれを上回る、少なくとも約2.5μmまたはそれを上回る、もしくは少なくとも約3μmまたはそれを上回り得る。いくつかの実施形態では、補助電極1381は、実質的に非透明または不透明であり得る。しかしながら、補助電極1381が、概して、デバイス1300の非放射領域中で提供されるため、補助電極1381は、有意な光学干渉を引き起こさない場合がある。例えば、補助電極1381の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分で、約50%未満、約70%未満、約80%未満、約85%未満、約90%未満、または約95%未満であり得る。いくつかの実施形態では、補助電極1381は、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部において光を吸収してもよい。
第1の伝導性コーティング1371は、光透過性伝導性層またはコーティングを形成するために好適に使用される種々の材料を含んでもよい。例えば、第1の伝導性コーティング1371は、TCO、金属または非金属薄膜、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。第1の伝導性コーティング1371はさらに、2つまたはそれを上回る層もしくはコーティングを含んでもよい。例えば、そのような層またはコーティングは、相互の上に配置される明確に異なる層またはコーティングであってもよい。第1の伝導性コーティング1371は、例えば、ITO、フッ素酸化スズ(FTO)、Mg、Al、Yb、Ag、Zn、Cd、および前述の材料のうちのいずれかを含有する合金を含む、それらの任意の組み合わせを含む、種々の材料を含んでもよい。例えば、第1の伝導性コーティング1371は、Mg:Ag合金、Mg:Yb合金、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。Mg:Ag合金またはMg:Yb合金に関して、合金組成は、体積比約1:9〜約9:1に及んでもよい。
第2の伝導性コーティング1372および第3の伝導性コーティング1373は、Yb、Zn、Cd、およびMg等の高蒸気圧材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の伝導性コーティング1372および第3の伝導性コーティング1373は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。
補助電極1381は、第2の伝導性コーティング1372および/または第3の伝導性コーティング1373と実質的に同一の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、補助電極1381は、マグネシウムを含んでもよい。例えば、補助電極1381は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。他の実施例では、補助電極1381は、Yb、Cd、および/またはZnを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、放射領域1331a、1331b、1331c中に配置される核形成阻害コーティング1361、1362、1363の厚さは、各放射領域によって放射される光の色または発光スペクトルに従って変動され得る。図34−35に図示されるように、第1の核形成阻害コーティング1361は、第1の核形成阻害コーティング厚さtn1を有してもよく、第2の核形成阻害コーティング1362は、第2の核形成阻害コーティング厚さtn2を有してもよく、第3の核形成阻害コーティング1363は、第3の核形成阻害コーティング厚さtn3を有してもよい。第1の核形成阻害コーティング厚さtn1、第2の核形成阻害コーティング厚さtn2、および/または第3の核形成阻害コーティング厚さtn3は、相互と実質的に同一であり得る。代替として、第1の核形成阻害コーティング厚さtn1、第2の核形成阻害コーティング厚さtn2、および/または第3の核形成阻害コーティング厚さtn3は、相互と異なり得る。
相互から独立して各放射領域またはサブピクセル中に配置される核形成阻害コーティングの厚さを変調させることによって、各放射領域またはサブピクセル中の光学微小共振器効果が、さらに制御されることができる。例えば、青色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さは、緑色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さ未満であり得、緑色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さは、赤色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さ未満であり得る。理解されるであろうように、各放射領域またはサブピクセル中の光学微小共振器効果は、他の放射領域またはサブピクセルから独立した放射領域またはサブピクセル毎に核形成阻害コーティング厚さおよび伝導性コーティング厚さの両方を変調させることによって、さらなる程度に制御されてもよい。
光学微小共振器効果は、OLED等の光電子デバイスを構築するために使用される、異なる屈折率を伴う多数の薄膜層およびコーティングによって作成される、光学界面の存在に起因して生じる。デバイスにおいて観察される光学微小共振器効果に影響を及ぼす、いくつかの要因は、全経路長(例えば、脱結合される前に、それを通してデバイスから放射される光が進行する、デバイスの全厚)、および種々の層ならびにコーティングの屈折率を含む。現在、放射領域(例えば、サブピクセル)中のカソードの厚さを変調させることによって、放射領域中の光学微小共振器効果が変動され得ることが見出されている。そのような効果は、概して、全光学経路長の変化に起因し得る。さらに、特に、薄いコーティングによって形成される光透過性カソードの場合に、カソード厚さの変化がまた、全光学経路長に加えて、カソードの屈折率も変化させ得ることが仮定される。さらに、光学経路長、したがって、光学微小共振器効果はまた、放射領域中に配置される核形成阻害コーティングの厚さを変化させることによって変調されてもよい。
光学微小共振器効果を変調させることによって影響を受け得る、デバイスの光学性質は、発光スペクトル、強度(例えば、光度)、および出力光の輝度ならびに色偏移の角度依存を含む、出力光の角度分布を含む。
種々の実施形態が、2つまたは3つの放射領域もしくはサブピクセルを用いて説明されているが、デバイスは、任意の数の放射領域またはサブピクセルを含み得ることを理解されたい。例えば、デバイスは、各ピクセルが、2つ、3つ、またはそれを上回るサブピクセルを含む、複数のピクセルを含んでもよい。さらに、他のピクセルまたはサブピクセルに対するピクセルまたはサブピクセルの具体的配列は、デバイス設計に応じて変動され得る。例えば、サブピクセルは、並んだRGB、ダイヤモンド、またはPenTile(R)等の好適な配列方式に従って配列されてもよい。
光学コーティングの選択的堆積
いくつかの実施形態による、一側面では、デバイスが提供される。本デバイスは、光電子デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、本デバイスは、基板と、核形成阻害コーティングと、光学コーティングとを含む。核形成阻害コーティングは、基板の第1の領域を被覆する。光学コーティングは、基板の第2の領域を被覆し、核形成阻害コーティングの少なくとも一部は、光学コーティングから露出される、またはそれを実質的に含まない、もしくはそれによって実質的に被覆されない。
光学コーティングは、プラズモンモードを含む、デバイスによって透過、放射、または吸収されている光の光学性質を変調させるために使用されてもよい。例えば、光学コーティングは、光学フィルタ、屈折率整合コーティング、光学脱結合コーティング、散乱層、回折格子、またはその部分として使用されてもよい。別の実施例では、光学コーティングは、例えば、全光学経路長および/または屈折率を調整することによって、光電子デバイスにおける微小共振器効果を変調させるために使用されてもよい。光学微小共振器効果を変調させることによって影響を受け得る、デバイスの光学性質は、発光スペクトル、強度(例えば、光度)、および出力光の輝度ならびに色偏移の角度依存を含む、出力光の角度分布を含む。いくつかの実施形態では、光学コーティングは、非電気的構成要素であってもよい。換言すると、光学コーティングは、そのような実施形態では、正常なデバイス動作中に電流を伝導または伝送するように構成されない場合がある。
例えば、光学コーティングは、上記に説明される伝導性コーティングを堆積させるための方法の種々の実施形態のうちのいずれかを使用して、形成されてもよい。光学コーティングは、Yb、Zn、Cd、およびMg等の高蒸気圧材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学コーティングは、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。
薄膜形成
基板の表面上の蒸着中の薄膜の形成は、核形成および成長のプロセスを伴う。膜形成の初期段階中、十分の数の蒸気単量体(例えば、原子または分子)が、典型的には、気相から凝縮し、表面上に初期核を形成する。蒸気単量体が表面に衝突し続けると、これらの初期核のサイズおよび密度が増加し、小さいクラスタまたは島を形成する。飽和島密度に到達した後、隣接する島は、典型的には、融合し始め、島密度を減少させながら、平均島サイズを増加させるであろう。隣接する島の融合は、実質的に閉鎖された膜が形成されるまで継続する。
薄膜の形成のための3つの基本成長モード、すなわち、1)島(ボルマー・ウェーバ)、2)層毎(フランク・ファンデルメルヴェ)、および3)ストランスキー・クラスタノフが存在し得る。島成長は、典型的には、単量体の安定したクラスタが表面上に核形成し、成長して離散した島を成長させるときに起こる。本成長モードは、単量体の間の相互作用が単量体と表面との間のものよりも強いときに起こる。
核形成速度は、単位時間あたりの表面上の臨界サイズ形態の核の数を表す。膜形成の初期段階中、核の密度が低く、したがって、核が表面の比較的に小さい割合を被覆する(例えば、隣接する核の間に大きい間隙/空間が存在する)ため、核が表面上の単量体の直接衝突から成長するであろう可能性は低い。したがって、臨界核が成長する速度は、典型的には、表面上の吸着された単量体(例えば、吸着原子)が移動し、近くの核に付着する速度に依存する。
表面上の吸着原子の吸着後、吸着原子は、表面から脱着してもよいか、または脱着すること、他の吸着原子と相互作用して小さいクラスタを形成すること、もしくは成長する核に付着することのいずれかの前に、表面上である距離を移動してもよいかのいずれかである。初期吸着後に吸着原子が表面上に残留する平均時間量は、以下によって求められる。
上記の方程式では、
は、表面上の吸着原子の振動周波数であり、
は、ボルツマン定数であり、
は、温度であり、
は、表面から吸着原子を脱着させるために関与するエネルギーである。本方程式から、
の値が低いほど、吸着原子が表面から脱着することがより容易であり、故に、吸着原子が表面上に残留するであろう時間がより短くなることに留意されたい。吸着原子が拡散し得る平均距離は、以下によって求められる。
式中、
は、格子定数であり、
は、表面拡散のための活性化エネルギーである。
の低い値および/または
の高い値に関して、吸着原子は、脱着する前により短い距離に拡散し、故に、成長する核に付着する、または別の吸着原子もしくは吸着原子のクラスタと相互作用する可能性が低い。
膜形成の初期段階中、吸着された吸着原子は、相互作用してクラスタを形成してもよく、単位面積あたりのクラスタの臨界濃度は、以下によって求められる。
式中、
は、
個の吸着原子を含有する臨界クラスタを別個の吸着原子に解離するために関与するエネルギーであり、
は、吸着部位の全密度であり、
は、以下によって求められる単量体密度である。
式中、
は、蒸気衝突速度である。典型的には、
は、堆積されている材料の結晶構造に依存し、安定した核を形成するための臨界クラスタサイズを判定するであろう。
クラスタを成長させるための臨界単量体供給速度は、蒸気衝突速度および脱着する前に吸着原子が拡散し得る平均面積によって求められる。
臨界核形成速度は、したがって、上記の方程式の組み合わせによって求められる。
上記の方程式から、臨界核形成速度が、吸着された吸着原子、吸着原子の拡散のための高活性化エネルギーのための低い脱着エネルギーを有し、高温である、または低い蒸気衝突速度を受ける、表面に関して抑制されるであろうことに留意されたい。
欠陥、レッジ、またはステップ縁等の基板不均質性の部位は、
を増加させ、そのような部位において観察される核のより高い密度につながり得る。また、表面上の不純物または汚染もまた、
を増加させ、核のより高い密度につながり得る。高真空条件下で行われる蒸着プロセスに関して、表面上の汚染物質のタイプおよび密度は、真空圧およびその圧力を構成する残留ガスの組成によって影響を受ける。
高真空条件下で、(cm2−secあたり)表面上に衝突する分子の流束は、以下によって求められる。
式中、
は、圧力であり、
は、分子量である。したがって、H2O等の反応性ガスのより高い分圧は、蒸着中の表面上の汚染のより高い密度につながり、
の増加、故に、核のより高い密度につながり得る。
薄膜の核形成および成長を特徴付けるための有用なパラメータは、以下によって求められる付着確率である。
式中、
は、表面上に残留する(例えば、膜に組み込まれる)吸着された単量体の数であり、
は、表面上の衝突する単量体の総数である。1に等しい付着確率は、表面に衝突する全ての単量体が吸着され、続いて、成長する膜に組み込まれることを示す。0に等しい付着確率は、表面に衝突する全ての単量体が脱着され、続いて、いかなる膜も表面上に形成されないことを示す。種々の表面上の金属の付着確率は、Walker et al., J. Phys. Chem. C 2007, 111, 765 (2006)によって説明されるような二重水晶振動子マイクロバランス(QCM)技法等の付着確率を測定する種々の技法を使用して、評価されることができる。
島の密度が増加する(例えば、平均膜厚さが増加する)と、付着確率が変化し得る。例えば、低い初期付着確率は、増加する平均膜厚さに伴って増加し得る。これは、島がない表面(裸基板)の面積と高密度の島を伴う面積との間の付着確率の差異に基づいて理解されることができる。例えば、島の表面に衝突する単量体は、1に近い付着確率を有し得る。
初期付着確率
が、したがって、任意の有意数の臨界核の形成に先立って、表面の付着確率として規定されることができる。初期付着確率の1つの測定値は、材料の堆積の初期段階中の材料に関する表面の付着確率を伴うことができ、表面を横断する堆積された材料の平均厚さは、閾値にある、またはそれを下回る。いくつかの実施形態の説明では、初期付着確率の閾値は、1nmとして規定されることができる。平均付着確率が、次いで、以下によって求められる。
式中、
は、島によって被覆される面積の付着確率であり、
は、島によって被覆される基板表面の面積の割合である。
基板表面上に吸着される吸着原子のエネルギープロファイルの実施例が、図38に図示される。具体的には、図38は、(1)局所低エネルギー部位から逃散する吸着原子、(2)表面上の吸着原子の拡散、および(3)吸着原子の脱着に対応するエネルギープロファイルを図示する。
(1)では、局所低エネルギー部位は、吸着原子がより低いエネルギーにあろう、基板表面上の任意の部位であってもよい。典型的には、核形成部位は、例えば、ステップ縁、化学不純物、結合部位、またはキンク等の表面基板上の欠陥または異常であってもよい。いったん吸着原子が局所低エネルギー部位に閉じ込められると、典型的には、表面拡散が起こり得る前に、エネルギー障壁が存在する。本エネルギー障壁は、図38の略図でΔEとして表される。局所低エネルギー部位から逃散するためのエネルギー障壁が十分に大きい場合、本部位は、核形成部位として作用してもよい。
(2)では、吸着原子は、基板表面上で拡散してもよい。例えば、局所的被吸収物質の場合、吸着原子は、最低限の表面ポテンシャル近傍で発振する傾向があり、吸着原子が脱着されるか、または吸着原子のクラスタによって形成される、成長する膜もしくは成長する島に組み込まれるかのいずれかまで、種々の隣接部位まで移動する。図38の略図では、吸着原子の表面拡散と関連付けられる活性化エネルギーは、ESとして表される。
(3)では、表面からの吸着原子の脱着と関連付けられる活性化エネルギーは、Edesとして表される。脱着されない任意の吸着原子は、基板表面上に残留するであろうことを理解されたい。例えば、そのような吸着原子は、表面上で拡散する、成長する膜もしくはコーティングの一部として組み込まれる、または表面上に島を形成する吸着原子のクラスタの一部になってもよい。
図38に示されるエネルギープロファイルに基づいて、脱着のための比較的に低い活性化エネルギー(Edes)および/または表面拡散のための比較的に高い活性化エネルギー(ES)を呈する、核形成阻害コーティング材料が、種々の用途で使用するために特に有利であり得ることが仮定されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、脱着のための活性化エネルギー(Edes)が、熱エネルギー(kBT)の約2倍未満、熱エネルギーの約1.5倍未満、熱エネルギーの約1.3倍未満、熱エネルギーの約1.2倍未満、熱エネルギーの約0.8倍未満、または熱エネルギーの約0.5倍未満であることが、特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、表面拡散のための活性化エネルギー(ES)が、熱エネルギーを上回る、熱エネルギーの約1.5倍を上回る、熱エネルギーの約1.8倍を上回る、熱エネルギーの約2倍を上回る、熱エネルギーの約3倍を上回る、熱エネルギーの約5倍を上回る、熱エネルギーの約7倍を上回る、または熱エネルギーの約10倍を上回ることが、特に有利であり得る。
ある実施形態が、伝導性コーティングを選択的に堆積させ、カソードまたは共通カソード用の補助電極を形成することに関して上記に説明されているが、類似材料およびプロセスが、他の実施形態では、アノードまたはアノード用の補助電極を形成するために使用され得ることを理解されたい。
核形成阻害コーティング
核形成阻害コーティングを形成するために使用するための好適な材料は、約0.1(または10%)と同程度またはそれ未満、もしくは約0.05と同程度またはそれ未満、より具体的には、約0.03と同程度またはそれ未満、約0.02と同程度またはそれ未満、約0.01と同程度またはそれ未満、約0.08と同程度またはそれ未満、約0.005と同程度またはそれ未満、約0.003と同程度またはそれ未満、約0.001と同程度またはそれ未満、約0.0008と同程度またはそれ未満、約0.0005と同程度またはそれ未満、もしくは約0.0001と同程度またはそれ未満の伝導性コーティングの材料に関する初期付着確率を呈する、またはそれを有するものとして特徴付けられるものを含む。核形成助長コーティングを形成するために使用するための好適な材料は、少なくとも約0.6(もしくは60%)、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75,少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約0.93、少なくとも約0.95,少なくとも約0.98、または少なくとも約0.99の伝導性コーティングの材料に関する初期付着確率を呈する、またはそれを有するものとして特徴付けられるものを含む。
少なくともいくつかの用途で使用するために好適な核形成阻害コーティングの実施例は、限定ではないが、PBD、PBD2、mCP、TAZ、β−NPB、NTAZ、tBUP−TAZ、BND、TBADN、CBP、BAlq、m−BPC、Ir(ppy)3、またはそれらの組み合わせを堆積させることによって形成されるものを含む。
好適な核形成阻害材料は、小分子有機材料および有機ポリマー等の有機材料を含む。好適な有機材料の実施例は、随意に、窒素(N)、硫黄(S)、酸素(O)、リン(P)、およびアルミニウム(Al)等の1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、有機分子を含む、多環芳香族化合物を含む。いくつかの実施形態では、多環芳香族化合物は、核部分と、核部分に結合される少なくとも1つの末端部分とをそれぞれ含む、有機分子を含む。末端部位の数は、1またはそれを上回る、2またはそれを上回る、3またはそれを上回る、もしくは4またはそれを上回り得る。2またはそれを上回る末端部位の場合、末端部位は、同一である、もしくは異なり得る、または末端部位のサブセットは、同一であるが、少なくとも1つの残りの末端部分と異なり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような化学構造(I−a)、(I−b)、および(Ic)のうちの1つによって表されるビフェニリル部分である、またはそれを含む。
式中、点線は、ビフェニリル部分と核部分との間に形成される結合を示す。一般に、(I−a)、(I−b)、および(I−c)によって表されるビフェニリル部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つまたはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基に取って代わらせることによって、置換され得る。(I−a)、(I−b)、および(I−c)によって表される部分では、RaおよびRbは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を独立して表し、Raは、一、二、三、または四置換を表し得、Rbは、一、二、三、四、または五置換を表し得る。例えば、1つまたはそれを上回る置換基RaおよびRbは、ジュウテロ、フルオロ、C1−C4アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、シリル、アリール、ヘテロアリール、フルオロアルキル、およびそれらの任意の組み合わせを含む、アルキルから独立して選択され得る。特に、1つまたはそれを上回る置換基RaおよびRbは、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニル、ビフェニリル、メチルビフェニリル、ジメチルビフェニリル、トリメチルビフェニリル、t−ブチルビフェニリル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ポリフルオロフェニル、フルオロビフェニリル、ジフルオロビフェニリル、トリフルオロビフェニリル、およびポリフルオロビフェニリルから独立して選択され得る。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、表面上の露出ビフェニリル部分の存在は、表面エネルギー(例えば、脱着エネルギー)を調節または調整し、マグネシウム等の伝導性材料の堆積に向かった表面の親和性を低下させる役割を果たしてもよい。マグネシウムの堆積を阻害するための表面エネルギーの類似調整を生じさせる、他の部分および材料が、核形成阻害コーティングを形成するために使用されてもよい。
別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような構造(I−d)によって表されるフェニル部分である、またはそれを含む。
式中、点線は、フェニリル部分と核部分との間に形成される結合を示す。一般に、(I−d)によって表されるフェニル部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つまたはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基に取って代わらせることによって、置換され得る。(I−d)によって表される部分では、Rcは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を独立して表し、Rcは、一、二、三、四、または五置換を表し得る。1つまたはそれを上回る置換基Rcは、ジュウテロ、フルオロ、C1−C4アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、シリル、アリール、ヘテロアリール、フルオロアルキル、およびそれらの任意の組み合わせを含む、アルキルから独立して選択され得る。特に、1つまたはそれを上回る置換基Rcは、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロメチル、ビフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、およびポリフルオロエチルから独立して選択され得る。
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような構造(I−e)、(I−f)、または(I−g)のうちの1つによって表されるtert−ブチルフェニル部分である、またはそれを含む。
式中、点線は、t−ブチルフェニル部分と核部分との間に形成される結合を示す。一般に、(I−e)、(I−f)、および(I−g)によって表されるt−ブチルフェニル部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つまたはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基に取って代わらせることによって、置換され得る。(I−e)、(I−f)、および(I−g)によって表される部分では、Rfは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を独立して表し、Rfは、一、二、三、または四置換を表し得る。例えば、1つまたはそれを上回る置換基Rfは、ジュウテロ、フルオロ、C1−C4アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、シリル、アリール、ヘテロアリール、フルオロアルキル、およびそれらの任意の組み合わせを含む、アルキルから独立して選択され得る。特に、1つまたはそれを上回る置換基Rfは、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニル、ビフェニリル、メチルビフェニリル、ジメチルビフェニリル、トリメチルビフェニリル、t−ブチルビフェニリル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ポリフルオロフェニル、フルオロビフェニリル、ジフルオロビフェニリル、トリフルオロビフェニリル、およびポリフルオロビフェニリルから独立して選択され得る。上記に加えて、t−ブチル基のメチル基のうちのいずれかは、随意に、重水素化メチルまたはフッ素によって置換され得る。いかなる特定の理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、上記に示されるt−ブチルフェニル部分(I−e)、(I−f)、および(I−g)の間で、構造(I−e)は、いくつかの用途において特に望ましくあり得ることが仮定される。さらに、t−ブチル基がパラ配位でフェニル部分上に置換される、構造(I−e)は、概して、合成経路中に存在し得る核および他の末端部分の存在によって引き起こされる、最小立体障害を被るt−ブチル基に起因して、構造(I−f)および(I−g)と比較してより容易に合成されることが仮定される。
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような構造(I−h)によって表される部分である、またはそれを含む。
式中、X11〜X15およびX21〜X25は、C(CHを含む)またはNから独立して選択される。いくつかの実施形態では、例えば、共有結合または配位結合を含む、結合が、X11〜X15のうちのいずれか1つと核部分との間に形成されてもよい。他の実施形態では、例えば、共有結合または配位結合を含む、結合が、X21〜X25のうちのいずれか1つと核部分との間に形成されてもよい。さらに別の実施形態では、結合が、X11〜X15のうちのいずれか1つと核部分との間に形成されてもよく、付加的結合が、X21〜X25のうちのいずれか1つと核部分との間に形成されてもよい。例えば、金属錯体等の錯体の場合、2つまたはそれを上回る結合が、部分(I−h)と核部分との間に形成されてもよい。一般に、(I−h)によって表される部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つまたはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基に取って代わらせることによって、置換され得る。(I−h)によって表される部分では、RdおよびReは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を独立して表し、Rdは、一、二、三、四、または五置換を表し得、Reは、一、二、三、四、または五置換を表し得る。例えば、1つまたはそれを上回る置換基RdおよびReは、ジュウテロ、フルオロ、C1−C4アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、シリル、アリール、ヘテロアリール、フルオロアルキル、およびそれらの任意の組み合わせを含む、アルキルから独立して選択され得る。特に、1つまたはそれを上回る置換基RdおよびReは、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニル、ビフェニリル、メチルビフェニリル、ジメチルビフェニリル、トリメチルビフェニリル、t−ブチルビフェニリル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ポリフルオロフェニル、フルオロビフェニリル、ジフルオロビフェニリル、トリフルオロビフェニリル、およびポリフルオロビフェニリルから独立して選択され得る。
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、フルオレン部分またはフェニレン部分等の縮合環構造(複数の(例えば、3つ、4つ、またはそれを上回る)縮合ベンゼン環を含有するものを含む)を含む、多環芳香族部分である、またはそれを含む。そのような部分の実施例は、スピロビフルオレン部分、トリフェニレン部分、ジフェニルフルオレン部分、ジメチルフルオレン部分、ジフルオロフルオレン部分、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、多環芳香族化合物は、以下のような化学構造(II)、(III)、および(IV)のうちの少なくとも1つによって表される有機分子を含む。
(II)、(III)、および(IV)では、Cは、核部分を表し、T1、T2、およびT3は、核部分に結合される末端部分を表す。1つ、2つ、および3つの末端部分が、(II)、(III)、および(IV)に描写されるが、3つを上回る末端部分も含まれ得ることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、Cは、実施例がトリアゾール部分である、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、アルミニウム原子、銅原子、イリジウム原子、および/または白金原子等の金属原子(遷移および遷移後原子を含む)である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、窒素原子、酸素原子、および/またはリン原子である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、芳香族であり得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、分岐または非分岐であり得る、置換または非置換アルキル、シクロアルキニル(1〜7つの炭素原子を含有するものを含む)、アルケニル、アルキニル、アリール(フェニル、ナフチル、チエニル、およびインドリルを含む)、アリールアルキル、複素環部分(モルホリノ、ピペリジノ、およびピロリジノ等の環状アミンを含む)、環状エーテル部分(テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピラン部分等)、ヘテロアリール(ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、多環式複素芳香族部分、およびジベンジルチオフェニルを含む)、フルオレン部分、シリル、およびそれらの任意の組み合わせである、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、金属配位錯体等の錯体である、またはそれを含む。そのような錯体の実施例が、下記でさらに説明される。そのような実施形態では、例えば、1つまたはそれを上回る末端部分は、錯体中心を囲繞する1つまたはそれを上回るリガンドに結合されてもよい。
(II)、(III)、および(IV)では、T1は、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む。部分T1は、核部分に直接結合されてもよい、またはリンカ部分を介して核部分に結合されてもよい。リンカ部分の実施例は、−O−(Oは、酸素原子を表す)、−S−(Sは、硫黄原子を表す)、および1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る炭素原子を含み、非置換または置換であり得、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、環状または非環状炭化水素部分を含む。核部分と1つまたはそれを上回る末端部分との間の結合は、共有結合、または特に有機金属化合物の場合に、金属元素と有機元素との間に形成される結合であってもよい。
(III)では、少なくともT1が、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む限り、T1およびT2は、同一である、または異なり得る。例えば、T1およびT2はそれぞれ、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい。別の実施例として、T1は、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む一方で、T2は、そのような部分が欠如し得る。いくつかの実施形態では、T2は、芳香族であり得る、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、非置換または置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2は、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、非置換または置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2は、非置換または置換であり得る、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。T1およびT2が異なる、いくつかの実施形態では、T2は、T1に匹敵するサイズを有する部分から選択され得る。具体的には、T2は、T1の分子量の約2倍と同程度、約1.9倍と同程度、約1.7倍と同程度、約1.5倍と同程度、約1.2倍と同程度、または約1.1倍と同程度の分子量を有する、上記に列挙される部分から選択され得る。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分と異なる、またはそれが欠如している、末端部分T2が含まれるとき、T1に対するT2の同等サイズは、分子積層、立体障害、またはそのような効果の組み合わせに起因して、T1の暴露を妨害し得る、巨大末端基と対照的に、表面上のT1の暴露を助長し得ることが仮定される。
(IV)では、少なくともT1が、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む限り、T1、T2、およびT3は、同一である、または異なり得る。例えば、T1、T2、およびT3はそれぞれ、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい。別の実施例として、T1およびT2はそれぞれ、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい一方で、T3は、そのような部分が欠如し得る。別の実施例として、T1およびT3はそれぞれ、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい一方で、T2は、そのような部分が欠如し得る。さらなる実施例として、T1は、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む一方で、T2およびT3は両方とも、そのような部分が欠如し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT3は、芳香族であり得る、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、非置換または置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT2は、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、非置換または置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT3は、非置換または置換であり得る、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。T1、T2、およびT3が異なる、いくつかの実施形態では、T2およびT3は、T1に匹敵するサイズを有する部分から選択され得る。具体的には、T2およびT3は、T1の分子量の約2倍と同程度、約1.9倍と同程度、約1.7倍と同程度、約1.5倍と同程度、約1.2倍と同程度、または約1.1倍と同程度の分子量を有する、上記に列挙される部分から選択され得る。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分と異なる、またはそれが欠如している、末端部分T2およびT3が含まれるとき、T1に対するT2およびT3の同等サイズは、分子積層、立体障害、またはそのような効果の組み合わせに起因して、T1の暴露を妨害し得る、巨大末端基と対照的に、表面上のT1の暴露を助長し得ることが仮定される。
好適な核形成阻害材料は、ポリマー材料を含む。そのようなポリマー材料の実施例は、限定ではないが、ペルフルオロ化ポリマーおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、フルオロポリマー、ポリビニルビフェニル、ポリビニルカルバゾール(PVK)、および上記で説明されるような複数の多環芳香族化合物を重合させることによって形成されるポリマーを含む。別の実施例では、ポリマー材料は、複数の単量体を重合させることによって形成されるポリマーを含み、単量体のうちの少なくとも1つは、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、または(I−h)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環芳香族部分である、またはそれを含む、末端部分を含む。
好適な核形成阻害材料はまた、有機金属錯体または金属配位錯体等の錯体も含む。そのような錯体の実施例は、金属配位中心および金属配位中心を囲繞するリガンドによって形成されるものを含む。配位中心を形成し得る、原子またはイオンの実施例は、限定ではないが、イリジウム(Ir)、Zn、ロジウム(Rh)、Al、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、ホウ素(B)、P、Cu、オスミウム(Os)、金(Au)、および白金(Pt)を含む。錯体または金属配位錯体では、配位結合が、配位中心と周辺リガンドの1つまたはそれを上回る原子との間に形成されてもよい。配位中心と周辺リガンドの1つまたはそれを上回る原子との間に形成され得る、結合の実施例は、限定ではないが、配位中心の金属原子と炭素、窒素、または酸素との間に形成されるものを含む。具体的には、そのような結合の実施例は、AlとO、AlとN、ZnとO、ZnとN、ZnとC、BeとO、BeとN、IrとN、IrとC、IrとO、CuとN、BとC、PtとN、PtとO、OsとN、RuとN、ReとN、ReとO、ReとC、CuとP、AuとN、およびOsとCとの間に形成されるものを含む。
金属配位錯体に存在し得る、リガンドの実施例は、配位中心Mに結合されるものとして下記に図示される、フェニルピリジンリガンドを含む。
例えば、Mは、Ir等の金属中心であってもよい。そのような錯体は、1つまたはそれを上回るフェニルピリジンリガンドを含み得ることを理解されたい。例えば、1つ、2つ、または3つのフェニルピリジンリガンドが、配位中心Mに結合されてもよい。他の実施例では、錯体は、1つまたはそれを上回るフェニルピリジンリガンドに加えて、他のリガンドを含んでもよい。
いくつかの実施形態の側面が、ここで、いかようにも本開示の範囲を限定することを意図していない、以下の実施例を参照して図示および説明されるであろう。
本明細書の実施例で使用されるように、材料の層厚さという言及は、層厚さを有する材料の一様に厚い層で標的表面を被覆する材料の量に対応する、標的表面(または選択的堆積の場合、表面の標的領域)上に堆積させられる材料の量を指す。一例として、10nmの層厚さを堆積させることは、厚さ10nmである材料の一様に厚い層を形成する材料の量に対応する、表面上に堆積させられる材料の量を示す。例えば、分子または原子の可能性として考えられる積層もしくはクラスタ化に起因して、堆積した材料の実際の厚さは、非一様であり得ることが理解されるであろう。例えば、10nmの層厚さを堆積させることは、10nmを上回る実際の厚さを有する堆積した材料のいくつかの部分、または10nm未満の実際の厚さを有する堆積した材料の他の部分を生じてもよい。表面上に堆積させられる材料のある層厚さは、表面を横断する堆積した材料の平均厚さに対応することができる。
例証的実施例で使用される、ある材料の分子構造が、以下で提供される。
本明細書で使用されるように、TAZは、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾールを指し、Liqは、8−ヒドロキシ−キノリナトリチウムを指し、BAlqは、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウムを指し、HT211は、N−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミンを指し、LG201は、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを指し、PBDは、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾールを指し、PBD2は、2−(4−ビフェニリル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールを指し、mCPは、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンを指し、NPBは、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを指し、NTAZは、4−(1−ナフタレニル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾールを指し、tBuP−TAZは、3,5−ビス[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾールを指し、BNDは、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾールを指し、TBADNは、2−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセンを指し、CBPは、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニルを指し、β−NPBは、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(2−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを指し、m−BPCは、9−[1,1’−ビフェニル]−3−イル−9H−カルバゾールを指し、Ir(ppy)3は、トリス[2−フェニルピリジナト−C2,N]イリジウム(III)(またはトリス[2−フェニルピリジン]イリジウム(III))を指す。
実施例1
核形成阻害コーティングを形成するための種々の材料を使用することの効果を特性評価するために、一連のサンプルが、核形成阻害コーティングを形成するための異なる材料を使用して調製された。
具体的には、サンプルは、ガラス基板にわたって種々の厚さを有する核形成阻害コーティングを堆積させ、その後に続いて、マグネシウムの開放マスク堆積を行うことによって、加工された。約2Å/秒の平均蒸発速度が、サンプル毎にマグネシウムコーティングを堆積させるために使用された。マグネシウムコーティングの堆積を行う際に、約5,000秒の堆積時間が、約1μmのマグネシウムの参照層厚さを取得するために使用された。
いったんサンプルが加工されると、光透過率測定が、核形成阻害コーティングの表面上に堆積されたマグネシウムの相対量を判定するように行われた。理解されるであろうように、例えば、10nm未満の厚さを有する、比較的に薄いマグネシウムコーティングは、実質的に透明である。しかしながら、光透過率は、マグネシウムコーティングの厚さが増加されるにつれて減少する。故に、種々の核形成阻害コーティング材料の相対性能は、マグネシウム堆積プロセスからその上に堆積されたマグネシウムコーティングの量または厚さに直接相関する、サンプルを通した光透過率を測定することによって、査定されてもよい。核形成阻害コーティングの厚さおよびサンプル毎の光透過率測定は、下記の表3に要約される。光透過率測定を計算する際に、ガラス基板および核形成阻害コーティングの存在によって引き起こされる光の任意の損失または吸収は、測定された透過率から減算された。したがって、表3の中で提供される光透過率値は、核形成阻害コーティングの表面上に存在し得る、任意のマグネシウムコーティングを通した(約550nmの波長において得られた)光の透過のみを反映する。
上記に基づいて、90%を上回る比較的に高い光透過率が、核形成阻害コーティング材料としてPBD、PBD2、mCP、TAZ、β−NPB、NTAZ、tBUP−TAZ、BND、TBADN、CBP、BAlq、m−BPC、またはIr(ppy)3を使用して加工されたサンプルに関して測定されたことが分かり得る。上記で解説されるように、高い光透過率は、該当する場合、サンプルを通して透過されている光を吸収するように核形成阻害コーティングの表面上に存在する、比較的に少量のマグネシウムコーティングに直接起因し得る。故に、これらの核形成阻害コーティング材料は、概して、マグネシウムへの比較的に低い親和性または初期付着確率を呈し、したがって、ある用途においてマグネシウムコーティングの選択的堆積およびパターン化を達成するために特に有用であり得る。
他方では、LG201、Liq、およびHT211を使用して加工されたサンプルは、比較的に低い光透過率を呈した。特に、Liqを使用して加工されたサンプルは、約25%未満の比較的に低い光透過率を呈し、LG201およびHT211を使用して加工されたサンプルは、約5%のさらに低い光透過率を呈した。これは、有意な光の吸収をもたらす、これらの材料のコーティングの表面上に堆積されている比較的に大量または厚い層のマグネシウムコーティングを示す。故に、これらの材料は、概して、比較的に高い親和性または初期付着確率を呈し、したがって、特に、数100ナノメートル、1ミクロン、またはそれを上回る比較的に厚いマグネシウムコーティングの選択的堆積を規定する用途において、マグネシウムコーティングの選択的堆積を達成する際に使用するために望ましくない場合がある。
本明細書に説明される本実施例および他の実施例で使用されるように、参照層厚さは、高い初期付着係数を呈する参照表面(例えば、約1.0またはそれに近い初期付着係数を伴う表面)上に堆積される、マグネシウムの層厚さを指す。これらの実施例に関して具体的には、参照表面は、堆積速度および参照層厚さを監視するために堆積チャンバの内側に位置付けられた水晶振動子の表面であった。換言すると、参照層厚さは、標的表面(例えば、核形成阻害コーティングの表面)上に堆積されるマグネシウムの実際の厚さを示さない。むしろ、参照層厚さは、標的表面および参照表面(例えば、晶振動子の表面)に、同一の堆積周期にわたって同じマグネシウム蒸気流束を受けさせることに応じて、参照表面上に堆積されるであろう、マグネシウムの層厚さを指す。理解されるであろうように、標的表面および参照表面が堆積中に同時に同じ蒸気流束を受けない場合において、適切なツーリング係数が、参照層厚さを判定および監視するために使用されてもよい。
実施例2
マグネシウム蒸発速度が種々の材料の核形成阻害性質に及ぼし得る影響を判定するために、一連のサンプルが、核形成阻害コーティングを形成するための異なる材料を使用して調製され、次いで、比較的に高いマグネシウム蒸気流束に暴露された。
具体的には、サンプルは、ガラス基板にわたって種々の厚さを有する核形成阻害コーティングを堆積させ、その後に続いて、核形成阻害コーティングにわたってマグネシウムの開放マスク蒸発を行うことによって、加工された。サンプルは、参照表面を使用して測定されるような約10Å/秒の平均堆積速度を有する、マグネシウム流束を受けた。マグネシウムコーティングの堆積を行う際に、約1,000秒の堆積時間が、約1μmのマグネシウムの参照層厚さを取得するために使用された。
いったんサンプルが加工されると、光透過率測定が、核形成阻害コーティングの表面上に堆積されたマグネシウムの相対量を判定するように行われた。核形成阻害コーティングの厚さおよびサンプル毎の光透過率測定は、下記の表4に要約される。光透過率測定を計算する際に、ガラス基板および核形成阻害コーティングの存在によって引き起こされる光の任意の損失または吸収は、測定された透過率から減算された。したがって、表4の中で提供される光透過率値は、核形成阻害コーティングの表面上に存在し得る、任意のマグネシウムコーティングを通した(約550nmの波長において得られた)光の透過のみを反映する。
上記に基づいて、90%を上回る比較的に高い光透過率が、核形成阻害コーティング材料としてTAZ、NTAZ、tBuP−TAZ、またはBAlqを使用して加工されたサンプルに関して測定されたことが分かり得る。上記で解説されるように、高い光透過率は、該当する場合、核形成阻害コーティングの表面上に存在する、比較的に少量のマグネシウムコーティングに直接起因し得る。故に、これらの核形成阻害コーティング材料は、ある用途においてマグネシウムコーティングの選択的堆積およびパターン化を達成するために特に有用であり得る。例えば、これらの材料は、マグネシウムコーティングの堆積速度が約2Å/秒よりも高い用途のために特に好適であり得る。
核形成阻害コーティング材料としてmCPを使用して加工されたサンプルは、約72%の光透過率を呈した。概して、マグネシウムコーティングの極めて選択的な堆積を規定する用途のために、より高い光透過率、したがって、優れた核形成阻害性質(例えば、低い初期付着確率)を呈する、材料を使用することがより有利であり得るが、mCP等の材料は、それでもなお、ある用途のために核形成阻害コーティングを形成する際に有用であり得る。
PBD、β−NPB、およびCBPを使用して加工されたサンプルは全て、比較的に低い光透過率を呈した。特に、CBPを使用して加工されたサンプルは、約20%の比較的に低い光透過率を呈し、PBDおよびβ−NPBを使用して加工されたサンプルは、それぞれ、約8%および0%のさらに低い光透過率を呈した。これは、有意な光の吸収をもたらす、核形成阻害コーティングの表面上に堆積されている比較的に大量または厚い層のマグネシウムコーティングを示す。故に、これらの材料は、特に、約2Å/秒を上回る高い堆積速度(例えば、約10Å/秒の堆積速度)における比較的に厚いマグネシウムコーティングの選択的堆積を規定する用途において、マグネシウムコーティングの選択的堆積を達成する際に使用するためにあまり望ましくない場合がある。
実施例2の結果を実施例1のものと比較することによって、若干意外にも、比較的に低い堆積速度または蒸発速度においてマグネシウム蒸気流束を受けたときに、いくつかの材料が、その上のマグネシウムの堆積を実質的に阻害するが、マグネシウムの比較的に高い堆積速度または蒸発速度が使用されるときに、マグネシウム堆積が阻害される程度は、実質的に減少されることが、判定されている。換言すると、マグネシウムコーティングの選択的堆積は、約2Å/秒の比較的に低いマグネシウム堆積速度において、ある核形成阻害コーティング材料(例えば、PBD、β−NPB、およびCBP等)を使用して、正常に達成され得ることが観察されている。しかしながら、約10Å/秒の比較的に高い堆積速度において、マグネシウムコーティングの極めて選択的な堆積は、同一の核形成阻害コーティング材料を使用して、あまり十分ではなく達成され得る。
いくつかの核形成阻害コーティング材料は、これらの実施例で使用されるマグネシウム堆積速度にかかわらず、その上のマグネシウムの堆積を阻害することに有効であると考えられることも観察されている。実験結果に基づいて、TAZ、NTAZ、tBuP−TAZ、およびBAlq等の材料が、少なくとも最大約10Å/秒またはそれを上回るマグネシウム堆積速度においてマグネシウムコーティングの極めて選択的な堆積を達成するための効果的な核形成阻害コーティングを形成するために使用されてもよい。
特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、上記で議論される核形成および成長の理論に基づいて、TAZ、NTAZ、tBuP−TAZ、およびBAlq等の材料を堆積させることによって形成される表面は、概して、吸着されたマグネシウム吸着原子のための比較的に低い脱着エネルギー
、マグネシウム吸着原子の拡散のための高い活性化エネルギー
、または両方を呈することが仮定される。このようにして、下記の方程式に従って判定される臨界核形成速度
は、マグネシウムの蒸気衝突速度
が増加されるときでさえも比較的に低いままであり、したがって、マグネシウムの堆積を実質的に阻害する。
加えて、上記の方程式に基づいて、臨界核形成速度は、より高い蒸気衝突速度において増加されることが、容易に観察されることができる。故に、実施例1の結果に基づいて、2Å/秒の比較的に低いマグネシウム堆積速度でさえも十分な選択性が欠如していることが見出された、LG201、Liq、およびHT211等の材料によって形成される核形成阻害コーティングは、より高いマグネシウム堆積速度が使用されるときに、さらに低い選択性を呈することが予期されるであろう。
基板の温度は、蒸気衝突速度(例えば、蒸発速度)が増加されるときに上昇され得ることが仮定される。例えば、蒸発ソースは、典型的には、蒸発速度が増加されるときに、より高い温度において動作される。故に、より高い蒸発速度において、基板は、基板を加熱し得る、より高いレベルの熱放射を受け得る。基板温度の上昇をもたらし得る、他の要因は、基板表面上に入射している、より多数の蒸発した分子からのエネルギー伝達によって引き起こされる基板の加熱、ならびにプロセスにおいてエネルギーを放出し、加熱を引き起こす、基板表面上の分子の凝縮または凝結速度の増加を含む。
さらに明確にするために、用語「選択性」は、核形成阻害コーティングとの関連で使用されるとき、伝導性コーティングを形成するために使用される材料の蒸気流束を受けることに応じて、核形成阻害コーティングがその上の伝導性コーティングの堆積を阻害または防止する程度を指すと理解されるはずである。例えば、マグネシウムに関して比較的に高い選択性を呈する、核形成阻害コーティングは、概して、比較的に低い選択性を有する核形成阻害コーティングと比較して、その上のマグネシウムコーティングの堆積をより良好に阻害または防止するであろう。一般に、比較的に高い選択性を呈する、核形成阻害コーティングはまた、比較的に低い初期付着確率も呈し、比較的に低い選択性を呈する、核形成阻害コーティングは、比較的に高い初期付着確率を呈するであろうことが観察されている。
実施例3
一連のサンプルが、伝導性コーティングと核形成阻害コーティングとの間の界面またはその近傍における伝導性コーティングの特徴および特性を分析するように加工された。
具体的には、各サンプルが、シリコン基板にわたって実質的に純粋な銀(Ag)の厚さ約30nmのコーティングを堆積させることによって調製された。核形成阻害コーティングが、次いで、銀でコーティングされた基板表面の一部が、露出されたままである、または核形成阻害コーティングを実質的に含まないように、銀でコーティングされた基板表面の一部にわたって堆積された。いったん核形成阻害コーティングが堆積されると、露出した銀でコーティングされた基板表面および核形成阻害コーティング表面が両方とも、開放マスク堆積中に蒸発したマグネシウム流束を受けるように、実質的に純粋なマグネシウム(約99.99%純度)が、開放マスク堆積を使用して堆積された。全ての堆積は、真空(約10−4〜約10−6Pa)下で行われた。マグネシウムコーティングは、約2Å/秒の堆積速度を使用して、蒸発によって堆積された。
図36Aは、核形成阻害コーティング材料としてCBPを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36Bは、核形成阻害コーティング材料としてmCPを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36Cは、核形成阻害コーティング材料としてTAZを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36Dは、核形成阻害コーティング材料としてBAlqを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36Eは、核形成阻害コーティング材料としてtBuP−TAZを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36Fは、核形成阻害コーティング材料としてPBDを使用して加工されたサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。
図36A−36Fのそれぞれでは、伝導性コーティング3011は、シリコンベース基板3001の一部の上に堆積される。核形成阻害コーティングを堆積させることによって処理されたシリコンベース基板3001の一部は、参照番号3021を使用して示される。
参考に、比較サンプルが、シャドウマスク技法を使用して表面上に堆積させられるマグネシウムコーティングのプロファイルを判定するように調製された。
比較サンプルは、シリコンウエハの上に銀の約30nm層厚さを堆積させ、その後に続いて、マグネシウムの約800nm層厚さのシャドウマスク堆積によって、加工された。具体的には、シャドウマスク堆積は、銀表面の他の領域を覆い隠しながら、銀表面のある領域がシャドウマスク開口を通してマグネシウム流束に暴露されることを可能にするように構成された。マグネシウムは、約2Å/秒の速度で堆積させられた。
図36Gは、比較サンプルのSEM画像の上面図である。近似界面が、図36Gで点線を使用して示されている。第1の領域5203は、覆い隠された領域に対応し、第2の領域5201は、それを覆ってマグネシウムコーティングが堆積させられた、露出した領域に対応する。
図36Hは、比較サンプルの断面SEM画像である。図36Hで見られ得るように、第2の領域5201にわたって堆積されるマグネシウムコーティングは、部分5214の厚さが徐々に減少する、比較的に長い(約6μm)「テール」部分5214を含む。テール部分5214は、図36Gおよび36Hのサンプルでは、約6μmまたはそれを上回って延在し、微細特徴または比較的に高いアスペクト比の特徴の選択的パターン化を規定する、ある用途のために望ましくない場合があることが観察される。
実施例4
一実施例では、複数の開口を有する微細メッシュマスクが、より高い分解能においてマグネシウムを含む、金属コーティングの選択的堆積を実証するために使用された。
基板が、その表面上に厚さ約20nmの銀コーティングを堆積させることによって調製された。微細メッシュマスクは、次いで、銀でコーティングされた表面の部分にわたってTAZを含む核形成阻害コーティングを選択的に堆積させるために使用された。具体的には、核形成阻害コーティングの堆積中に、微細メッシュマスクは、蒸発した核形成阻害材料流束の部分が、微細メッシュマスクの開口を通して選択的に伝送され、銀でコーティングされた表面上に堆積されるように、銀でコーティングされた表面に直接隣接して位置付けられた。このようにして、核形成阻害コーティングによって被覆された複数の領域が、銀でコーティングされた表面にわたって形成された。各領域は、幅が約7μmの正方形面積を被覆し、隣接する領域は、相互から約5.5μmの距離によって分離された。核形成阻害コーティングの厚さは、約50nmであり、約0.16オングストローム/秒において堆積された。図40Aは、核形成阻害コーティングで被覆された例示的領域を示す、SEM顕微鏡写真である。図40Bは、核形成阻害コーティングによって被覆された領域を囲繞する面積を走査することから取得された、炭素および銀に対応するスペクトルを示す、オージェ電子顕微鏡法プロットである。
核形成阻害コーティングで処理された基板は、次いで、蒸発したマグネシウムが、核形成阻害コーティングによって被覆された領域および銀でコーティングされた表面の両方の上に入射するように、開放マスクを通して蒸発したマグネシウム流束を受けた。図41Aは、マグネシウムの堆積後のサンプルの一部を示す、SEM顕微鏡写真である。マグネシウムコーティングの厚さは、約500nmであった。図41Bは、図41Aの撮像された面積を横断して線形走査を行うことから取得された、炭素およびマグネシウムに対応するスペクトルを示す、オージェ電子顕微鏡法プロットである。
図41Aおよび41Bに基づいて分かり得るように、核形成阻害コーティングによって被覆された領域の少なくとも大部分は、マグネシウムコーティングを実質的に含まない、またはそれから露出されたままであった。しかしながら、マグネシウムコーティングを実質的に含まない、またはそれから露出される面積のサイズは、少なくともある場合には、核形成阻害コーティングが提供される領域のサイズよりも小さくあり得ることが観察された。これは、特に、核形成阻害コーティングとマグネシウムコーティングとの間の界面またはその近傍において、核形成阻害コーティングに部分的に重複する、またはその上方に延在する、「オーバーハング」特徴の形成を引き起こす、マグネシウムコーティングの側方成長に起因することが、仮定される。具体的には、図41Aおよび41Bの実施例においてマグネシウムを実質的に含まない領域の近似的サイズは、幅が約5.5μmであることが観察され得る。
これはさらに、それぞれ、サンプルがマグネシウム堆積を受ける前および後の核形成阻害コーティングによってコーティングされる隣接領域の間の領域を示す、図42Aおよび43AのSEM顕微鏡写真に示される。分かり得るように、核形成阻害コーティングによってコーティングされる隣接領域の間の縁間距離が、図42Aでは約5.5μmであった一方で、図43Aにおけるマグネシウムコーティングを実質的に含まない隣接領域の間の縁間距離は、約6.4μmであることが見出された。図42Bおよび43Bは、それぞれ、図42Bおよび43Bの画像に対応する面積から得られたオージェ電子顕微鏡法プロットである。
実施例5
一連の動力学的モンテカルロ(KMC)計算が、種々の活性化エネルギーを呈する表面上の金属吸着原子の堆積をシミュレートするように行われた。具体的には、計算は、脱着(Edes)、拡散(Es)、解離(Ei)、および表面への反応(Eb)と関連付けられる、変動する活性化エネルギーレベルを有する表面に、単量体流束の一定の速度において蒸発した蒸気流束を受けさせることによって、そのような表面上のマグネシウム吸着原子等の金属吸着原子の堆積をシミュレートするように行われた。図39は、現在の実施例に関して考慮される種々の「事象」の概略図である。図39では、気相における原子5301が、表面5300に入射するものとして図示される。いったん原子5301が表面5300上に吸着されると、吸着原子5303になる。吸着原子5303は、(i)脱着された原子5311が作成される脱着、(ii)表面5300上で拡散する吸着原子5313を生じさせる拡散、(iii)臨界数の吸着原子5315がクラスタ化して核を形成する核形成、および(iv)吸着原子5317が反応させられ、表面5300に結合される、表面への反応を含む、種々の事象を受け得る。
脱着、拡散、または解離が起こる速度(R)は、下記に提供される方程式に従って、試行の頻度(ω)、個別の事象の活性化エネルギー(E)、ボルツマン定数(kB)、およびシステムの温度(T)から計算される。
上記の計算の目的のために、i、すなわち、臨界クラスタサイズ(例えば、安定した核を形成するための吸着原子の臨界数)は、2であるように選択された。吸着原子・吸着原子相互作用のための拡散の活性化エネルギーは、約0.6eVを上回るように選択され、吸着原子・吸着原子相互作用のための脱着の活性化エネルギーは、約1.5eVを上回るように選択され、吸着原子・吸着原子相互作用のための脱着の活性化エネルギーは、表面・吸着原子相互作用のための脱着の活性化エネルギーの約1.25倍を上回るように選択された。上記の値および条件は、マグネシウム・マグネシウム相互作用に関して報告される値に基づいて選択された。シミュレーションの目的のために、300Kの温度(T)が、使用された。計算は、タングステン・タングステンのもの等の他の金属吸着原子・金属吸着原子活性化相互作用に関して報告される値を使用して、繰り返された。上記で参照された値は、例えば、Neugbauer, C. A., 1964, Physics of Thin Films, 2, 1, Structural Disorder Phenomena in Thin Metal Filmsで報告されている。
シミュレーションの結果に基づいて、累積付着確率が、下記に提供される方程式に従って、シミュレートされた周期にわたって表面上に衝突した単量体の総数(Ntotal)から、表面上に残留する吸着された単量体の数(Nads)の割合を計算することによって、判定された。
シミュレーションは、約96nmを上回る参照厚さを有する膜を堆積させるための時間周期に対応した、約8分を上回る堆積周期にわたって、約2Å/秒に対応する蒸気流束速度を使用して、堆積をシミュレートするように行われた。
典型的表面に関して、脱着活性化エネルギー(Edes)は、概して、拡散活性化エネルギー(Es)を上回るまたはそれと等しい。シミュレーションに基づいて、少なくともある場合には、脱着活性化エネルギー(Edes)と拡散活性化エネルギー(Es)との間の比較的に小さい差異を呈する表面は、核形成阻害コーティングの表面として作用する際に特に有用であり得ることが、現在見出されている。いくつかの実施形態では、表面の脱着活性化エネルギーは、表面の拡散活性化エネルギーを上回るまたはそれと等しく、表面の拡散活性化エネルギーの約1.1倍未満またはそれと等しい、約1.3倍未満またはそれと等しい、約1.5倍未満またはそれと等しい、約1.6倍未満またはそれと等しい、約1.75倍未満またはそれと等しい、約1.8倍未満またはそれと等しい、約1.9倍未満またはそれと等しい、約2倍未満またはそれと等しい、もしくは約2.5倍未満またはそれと等しい。いくつかの実施形態では、脱着活性化エネルギーと拡散活性化エネルギーとの間の(例えば、絶対値の観点からの)差異は、約0.5eV未満またはそれと等しい、約0.4eV未満またはそれと等しい、約0.35eV未満またはそれと等しい、約0.3eV未満またはそれと等しい、もしくは約0.2eV未満またはそれと等しい。いくつかの実施形態では、脱着活性化エネルギーと拡散活性化エネルギーとの間の差異は、約0.05eV〜約0.4eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eVである。前述の関係を満たす好適な材料が、核形成阻害コーティングを堆積させるために識別および選択されることができる。
また、少なくともある場合には、脱着活性化エネルギー(Edes)と解離活性化エネルギー(Ei)との間の比較的に小さい差異を呈する表面は、核形成阻害コーティングの表面として作用する際に特に有用であり得ることも、現在見出されている。いくつかの実施形態では、表面の脱着活性化エネルギー(Edes)は、表面の解離活性化エネルギー(Ei)の乗数倍未満またはそれと等しい。いくつかの実施形態では、脱着活性化エネルギーは、表面の解離活性化エネルギーの約1.5倍未満またはそれと等しい、約2倍未満またはそれと等しい、約2.5倍未満またはそれと等しい、約2.8倍未満またはそれと等しい、約3倍未満またはそれと等しい、約3.2倍未満またはそれと等しい、約3.5倍未満またはそれと等しい、約4倍未満またはそれと等しい、もしくは約5倍未満またはそれと等しい。前述の関係を満たす好適な材料が、核形成阻害コーティングを堆積させるために識別および選択されることができる。
また、少なくともある場合には、拡散活性化エネルギー(Es)と解離活性化エネルギー(Ei)との間の比較的に小さい差異を呈する表面は、核形成阻害コーティングの表面として作用する際に特に有用であり得ることも、現在見出されている。いくつかの実施形態では、表面の拡散活性化エネルギー(Es)は、表面の解離活性化エネルギー(Ei)の乗数倍未満またはそれと等しい。いくつかの実施形態では、拡散活性化エネルギーは、表面の解離活性化エネルギーの約2倍未満またはそれと等しい、約2.5倍未満またはそれと等しい、約2.8倍未満またはそれと等しい、約3倍未満またはそれと等しい、約3.2倍未満またはそれと等しい、約3.5倍未満またはそれと等しい、約4倍未満またはそれと等しい、もしくは約5倍未満またはそれと等しい。前述の関係を満たす好適な材料が、核形成阻害コーティングを堆積させるために識別および選択されることができる。
いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティングの表面の脱着活性化エネルギー(Edes)、拡散活性化エネルギー(Es)、および解離活性化エネルギー(Ei)の間の関係は、以下のように表され得る。
式中、αは、約1.1〜約2.5の範囲内から選択される任意の数であってもよく、βは、約2〜約5の範囲内から選択される任意の数であってもよい。いくつかのさらなる実施形態では、αは、約1.5〜約2の範囲内から選択される任意の数であってもよく、βは、約2.5〜約3.5の範囲内から選択される任意の数であってもよい。別のさらなる実施形態では、αは、約1.75であるように選択され、βは、約3であるように選択される。前述の関係を満たす好適な材料が、核形成阻害コーティングを堆積させるために識別および選択されることができる。
以下の関係を有する表面は、少なくともある場合には、マグネシウム蒸気に関して約0.1未満の累積付着確率を呈することが、現在見出されている。
故に、上記の活性化エネルギー関係を有する表面は、いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティングの表面として使用するために特に有利であり得る。前述の関係を満たす好適な材料が、核形成阻害コーティングを堆積させるために識別および選択されることができる。
また、上記の活性化エネルギー関係に加えて、拡散活性化エネルギーと解離活性化エネルギーとの間の約0.3eV未満またはそれと等しい比較的に小さい差異を呈する表面は、約0.1未満の累積付着確率が所望される、ある用途において特に有用であり得ることも、現在見出されている。拡散活性化エネルギー(Es)と解離活性化エネルギー(Ei)との間のエネルギー差異(ΔEs−i)は、以下の方程式に従って計算され得る。
例えば、少なくともある場合には、拡散活性化エネルギーと解離活性化エネルギーとの間のエネルギー差異が約0.25eV未満またはそれと等しい、表面は、マグネシウム蒸気に関して約0.07未満またはそれと等しい累積付着確率を呈することが、現在見出されている。他の実施例では、約0.2eV未満またはそれと等しいΔEs−iは、約0.05未満またはそれと等しい累積付着確率をもたらし、約0.1eV未満またはそれと等しいΔEs−iは、約0.04未満またはそれと等しい累積付着確率をもたらし、約0.05eV未満またはそれと等しいΔEs−iは、約0.025未満またはそれと等しい累積付着確率をもたらす。
故に、いくつかの実施形態では、表面は、以下の不等式関係において、αが、約1.1〜約2.5の範囲、または例えば、約1.75等の約1.5〜約2の範囲から選択される任意の数であり、βが、約2〜約5の範囲、または例えば、約3等の約2.5〜約3.5の範囲から選択される任意の数であることによって特徴付けられる。
式中、以下の方程式に従って計算されるΔEs−iは、以下の方程式では、約0.3eV未満またはそれと等しい、約0.25eV未満またはそれと等しい、約0.2eV未満またはそれと等しい、約0.15eV未満またはそれと等しい、約0.1eV未満またはそれと等しい、もしくは約0.05eV未満またはそれと等しい。
計算の結果はまた、本実施例では、約1nmの平均厚さを有するマグネシウムコーティングを生じさせる、そのような表面上に堆積することに応じて、表面上のマグネシウムの付着確率であるように規定された、シミュレートされた初期付着確率を判定するように分析された。結果の分析に基づいて、少なくともある場合には、脱着活性化エネルギー(Edes)が拡散活性化エネルギー(Es)の約2倍未満であり、拡散活性化エネルギー(Es)が解離活性化エネルギー(Ei)の約3倍未満である、表面は、概して、約0.1未満の比較的に低い初期付着確率を呈することが、現在見出されている。
いかなる特定の理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、種々の事象の活性化エネルギーおよび上記で説明されるようなこれらの活性化エネルギーの間の個別の関係は、概して、表面への吸着原子反応の活性化エネルギー(Eb)が脱着活性化エネルギー(Edes)を上回る、表面に適用されるであろうことが仮定される。表面への吸着原子反応の活性化エネルギー(Eb)が脱着活性化エネルギー(Edes)未満である、表面に関して、そのような表面上の吸着原子の初期付着確率は、概して、約0.1を上回るであろうことが仮定される。
上記に説明される種々の活性化エネルギーは、電子ボルト(eV)等の任意のエネルギーの単位で測定される、負ではない値として扱われることを理解されたい。そのような場合において、上記で議論される活性化エネルギーに関する種々の不等式および方程式は、概して、種々のエネルギーの単位を横断して適用可能であり得る。
種々の活性化エネルギーのシミュレートされた値が上記で議論されているが、これらの活性化エネルギーはまた、実験的に測定される、および/または種々の技法を使用して導出され得ることを理解されたい。そのような目的のために使用され得る技法および器具の実施例は、限定ではないが、熱脱着分光法、電界イオン顕微鏡法(FIM)、走査型トンネル顕微鏡法(STM)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、および中性子放射化トレーサ走査(NATS)を含む。
概して、本明細書に説明される種々の活性化エネルギーは、表面および吸着原子の一般組成および構造が(例えば、実験測定および分析を通して)規定される場合に、量子化学シミュレーションを行うことによって導出され得る。シミュレーションに関して、例えば、単一エネルギー点、遷移状態、エネルギー表面走査、および局所/大域的エネルギー最小値等の方法を使用する、量子化学シミュレーションが、使用されてもよい。例えば、密度関数理論(DFT)、ハートリー・フォック(HF)、己無撞着場(SCF)、および完全構成相互作用(FCI)等の種々の理論が、そのようなシミュレーション方法と併せて使用されてもよい。理解されるであろうように、拡散、脱着、および核形成等の種々の事象は、初期状態、遷移状態、および最終状態の相対エネルギーを調査することによって、シミュレートされてもよい。例えば、遷移状態と初期状態との間の相対エネルギー差異は、概して、種々の事象と関連付けられる活性化エネルギーの比較的に正確な推定値を提供し得る。
本明細書で使用されるように、「実質的に」、「実質的な」、「およそ」、および「約」という用語は、わずかな変動を表して構成するために使用される。事象または状況と併せて使用されるとき、用語は、事象または状況が精密に起こる事例、ならびに事象または状況が密接に接近して起こる事例を指すことができる。例えば、数値と併せて使用されるとき、用語は、±5%未満またはそれと等しい、±4%未満またはそれと等しい、±3%未満またはそれと等しい、±2%未満またはそれと等しい、±1%未満またはそれと等しい、±0.5%未満またはそれと等しい、±0.1%未満またはそれと等しい、もしくは±0.05%未満またはそれと等しい等の数値の±10%未満またはそれと等しい変動の範囲を指すことができる。例えば、第1の数値は、第1の数値が、±5%未満またはそれと等しい、±4%未満またはそれと等しい、±3%,未満またはそれと等しい±2%未満またはそれと等しい、±1%未満またはそれと等しい、±0.5%未満またはそれと等しい、±0.1%未満またはそれと等しい、もしくは±0.05%未満またはそれと等しい等の第2の数値の±10%未満またはそれと等しい変動の範囲内である場合に、第2の数値と実質的に、またはほぼ同一であると見なされることができる。
いくつかの実施形態の説明では、別の構成要素の「上に」、またはそれを「覆って」提供される、もしくは別の構成要素を「被覆している」または「被覆する」構成要素は、後者の構成要素が前者の構成要素の直接上にある(例えば、物理的に接触する)場合、ならびに1つまたはそれを上回る介在構成要素が前者の構成要素と後者の構成要素との間に位置する場合を包含することができる。
加えて、量、比、および他の数値は、ある時は、本明細書では範囲形式で提示される。そのような範囲形式は、便宜上、簡潔にするために使用されることが理解され得るが、範囲の限界として明示的に規定される数値だけでなく、各数値および下位範囲が明示的に規定される場合のように、その範囲内に包含される全ての個々の数値または下位範囲も柔軟に含むことが理解されるべきである。
本開示は、ある具体的実施形態を参照して説明されているが、その種々の修正は、当業者に明白であろう。本明細書で提供される任意の実施例は、本開示のある側面を例証する目的のためのみに含まれ、いかようにも本開示を限定することを意図していない。本明細書で提供される任意の図面は、本開示のある側面を例証する目的のためのみのものであり、一定の縮尺で描かれない場合があり、いかようにも本開示を限定しない。本明細書に添付される請求項の範囲は、上記の説明に記載される具体的実施形態によって限定されるべきではないが、全体として本開示に一致する、それらの全範囲を与えられるべきである。本明細書に記載される全ての文書の開示は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。