JP5153292B2 - アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器 - Google Patents

アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器に関する。
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることができ、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
例えば、有機化合物を機能性材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が発光層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
このような発光素子の素子特性を向上させる上では、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
例えば、特許文献1では、緑色の発光を示すアントラセン誘導体について記載されている。しかしながら、特許文献1では、アントラセン誘導体のPLスペクトルを示しているだけであり、発光素子に適用した場合に、どのような素子特性を示すかは開示されていない。
また、特許文献2では、アントラセン誘導体を電荷輸送層として用いた発光素子について記載されている。しかしながら、特許文献2では、発光素子の寿命については、記載されていない。
商品化を踏まえれば長寿命化は重要な課題であり、また、さらにより良い特性を持つ発光素子の開発が望まれている。
米国特許出願公開第2005/0260442号明細書 特開2004−91334号公報
上記問題を鑑み、本発明は、新規なアントラセン誘導体を提供することを目的とする。
また、発光効率の高い発光素子を提供することを目的とする。また、寿命の長い発光素子を提供することを目的とする。また、これらの発光素子を用いることにより、低消費電力の発光装置および電子機器を提供することを目的とする。また、これらの発光素子を用いることにより、長寿命の発光装置および電子機器を提供することを目的とする。
本発明の一は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(4)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(5)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(6)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(7)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(8)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記構成において、B〜Bは、それぞれ、ハロゲンまたはハロアルキル基であることが好ましい。特に、フルオロ基またはトリフルオロメチル基であることが好ましい。
また、上記構成において、BとBは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
また、本発明の一は、上記アントラセン誘導体を用いた発光素子である。具体的には、一対の電極間に上述したアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上記のアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。特に、上記のアントラセン誘導体を発光物質として用いることが好ましい。つまり、上記のアントラセン誘導体が発光する構成とすることが好ましい。
一般に有機化合物を用いた発光素子の電極に電圧を印加して駆動させると、発光層では電子よりも正孔が多くなる(正孔過多状態)場合が多い。これは、通常、有機化合物層に対しては正孔注入しやすく、また、有機化合物層中では正孔が輸送されやすいためである。発光層がこのような正孔過多状態となった場合、キャリアバランスが崩れて電子と正孔の再結合確率が低下するため、高い発光効率が得られない。しかしながら本発明のアントラセン誘導体は、最低空軌道準位(LUMO準位)が低く、電子トラップ性を示すため、本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いることにより、発光層が正孔過多状態になることを抑制することができる。このため、発光層における電子と正孔の再結合確率が高くなり、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明の一は、第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、電子輸送層と正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、第1の層は、第2の層の第1の電極側に設けられており、第2の有機化合物は電子輸送性を有し、第3の有機化合物は上記のアントラセン誘導体であり、第4の有機化合物は電子輸送性を有し、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、第1の電極の方が第2の電極よりも電位が高くなるように、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子である。
上述したアントラセン誘導体は、電子吸引基を有しており、最低空軌道準位(LUMO準位)が低い。そのため、他の有機化合物に対して電子トラップ性を有するため、第2の電極から注入された電子をトラップし、キャリアバランスが改善され、発光素子の発光効率が向上する。また、キャリアバランスが改善されているため、長寿命な発光素子を得ることができる。
また、本発明の一は、第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、電子輸送層と正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、第1の層は、第2の層の第1の電極側に設けられており、第1の有機化合物は上記のアントラセン誘導体であり、第2の有機化合物は電子輸送性を有し、第3の有機化合物は電子トラップ性を有し、第4の有機化合物は電子輸送性を有し、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、第1の電極の方が第2の電極よりも電位が高くなるように、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子である。
上記構成において、第3の有機化合物は第4の有機化合物の最低空軌道準位より0.3eV以上低い最低空軌道準位を有することが好ましい。
また、本発明の一は、第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、電子輸送層と正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、第1の層は、第2の層の第1の電極側に設けられており、第1の有機化合物は上記のアントラセン誘導体であり、第2の有機化合物は電子輸送性を有し、第3の有機化合物は正孔輸送性を有し、第4の有機化合物は電子輸送性を有し、第2の層において、第3の有機化合物よりも第4の有機化合物が多く含まれており、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、第1の電極の方が第2の電極よりも電位が高くなるように、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子である。
上記構成において、第3の有機化合物の最低空軌道準位と第4の有機化合物の最低空軌道準位との差は0.3eVより小さいことが好ましい。
また、上記構成において、第1の有機化合物の発光スペクトルのピーク値と、第3の有機化合物の発光スペクトルのピーク値の差は30nm以内であることが好ましい。
また、本発明の一は、第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、電子輸送層と正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、第1の層は、第2の層の第1の電極側に設けられており、第1の有機化合物は上記のアントラセン誘導体であり、第2の有機化合物は電子輸送性を有し、第3の有機化合物は上記のアントラセン誘導体であり、第4の有機化合物は電子輸送性を有し、第1の電極の方が第2の電極よりも電位が高くなるように、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子である。
上記構成において、第1の層と第2の層は接して設けられていることが好ましい。
また、本発明の発光装置は、上述した発光素子を有していることを特徴とする。この発光素子は一対の電極間に発光物質を含む層を有し、この発光物質を含む層には前記アントラセン誘導体が含まれることを特徴とする。また、本発明の発光装置は発光素子の発光を制御する制御手段とを有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置を含む)を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光装置にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のアントラセン誘導体は、発光効率が高い。したがって、本発明のアントラセン誘導体を、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、低消費電力の発光装置および電子機器を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、長寿命の発光装置および電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体について説明する。
本発明のアントラセン誘導体は、電子吸引基、または、複素芳香環基を有するフェニル基を有するアントラセン誘導体である。具体的には、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
一般式(1)において、B〜Bで表される置換基としては、フッ素等のハロゲン、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アセチル基等のアシル基、アセトキシ基等のアシロキシ基、メトキシ基等のアルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基等が挙げられる。例えば、構造式(20−1)〜構造式(20−12)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
なお、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基の置換位置は特に限定されない。
また、一般式(1−1)において、Ar11〜Ar13で表される置換基としては、例えば、構造式(21−1)〜構造式(21−10)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
また、一般式(1−1)において、αで表される置換基としては、例えば、構造式(22−1)〜構造式(22−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
よって、一般式(1−1)で表される置換基としては、例えば、構造式(31−1)〜構造式(31−27)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
また、一般式(1−2)において、Ar21で表される置換基としては、例えば、構造式(23−1)〜構造式(23−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
また、一般式(1−2)において、R31で表される置換基としては、例えば、構造式(24−1)〜構造式(24−18)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
また、一般式(1−2)において、R32で表される置換基としては、例えば、構造式(25−1)〜構造式(25−17)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
よって、一般式(1−2)で表される置換基としては、例えば、構造式(32−1)〜構造式(32−42)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
また、一般式(1−3)において、Ar31で表される置換基としては、例えば、構造式(26−1)〜構造式(26−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
また、一般式(1−3)において、βで表される置換基としては、例えば、構造式(27−1)〜構造式(27−10)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
また、一般式(1−3)において、R41〜R42で表される置換基としては、例えば、構造式(28−1)〜構造式(28−18)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
よって、一般式(1−3)で表される置換基としては、例えば、構造式(33−1)〜構造式(33−34)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(4)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記一般式(1)〜一般式(4)において、BとBは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。同一の構造を有する置換基であることにより、合成が容易となる。
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、Aはアントラセン骨格の2位の位置に結合していることが好ましい。2位の位置で結合していることにより、Aとフェニル基間の立体障害が低減される。
つまり、一般式(5)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(6)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(7)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(8)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005153292
(式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記一般式(5)〜一般式(8)において、BとBは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。同一の構造を有する置換基であることにより、合成が容易となる。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、構造式(101)〜構造式(160)、構造式(201)〜構造式(260)、構造式(301)〜構造式(360)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
構造式(101)〜構造式(160)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−1)である場合の具体例であり、構造式(201)〜構造式(260)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−2)である場合の具体例であり、構造式(301)〜構造式(360)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−3)である場合の具体例である。
本発明のアントラセン誘導体の合成方法としては、種々の反応の適用が可能である。例えば、下記の反応スキーム(A−1)〜(A−5)および(B−1)〜(B−3)に示す合成反応を行うことによって合成することができる。
Figure 0005153292
カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物A)と、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、臭素(Br)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ素(I)等のハロゲンまたはハロゲン源とを反応させ、3−ハロゲン化カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物B)を合成した後、さらにパラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒や、銅などの金属、一価の銅などの金属化合物を用いたアリールアミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Cを得る。合成スキーム(A−1)において、ハロゲン元素(X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、R31は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 0005153292
カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物D)と芳香族化合物のジハロゲン化物とを反応させて、N−(ハロゲン化アリール)カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物E)を合成した後、さらに化合物Eをパラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒や、銅などの金属、一価の銅などの金属化合物を用いてアリールアミンとカップリング反応を行うことによって化合物Fを得る。合成スキーム(A−2)において、芳香族化合物のジハロゲン化物のハロゲン元素(X、X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、XとXとは、同じであっても異なっていてもよい。また、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
Figure 0005153292
1−アミノアントラキノンまたは2−アミノアントラキノン(化合物G)をSandmeyer反応により、アントラキノンのハロゲン化物(化合物H)を合成する。アントラキノンのハロゲン化物(化合物H)をアリールリチウムと反応させることにより、9,10−ジヒドロアントラセン誘導体のジオール体(化合物I)を合成する。9,10−ジヒドロアントラセン誘導体のジオール体(化合物I)をホスフィン酸ナトリウム・一水和物、ヨウ化カリウム、酢酸を用いて、脱OH反応を行うことにより、9,10−ジアリールハロゲン化アントラセン(化合物J)を合成する。
なお、合成スキーム(A−3)〜(A−5)において、Xはハロゲン元素を表す。また、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表す。
Figure 0005153292
合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−1)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Jとアリールアミンとを、パラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒や、銅などの金属、一価の銅などの金属化合物を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−1a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−1)において、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。なお、一般式(1−1a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−1)である場合に対応する。
Figure 0005153292
合成スキーム(A−1)で合成した化合物Cおよび合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−2)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Cと化合物Jとを、パラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒や、銅などの金属、一価の銅などの金属化合物を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−2a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−2)において、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。なお、一般式(1−2a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−2)である場合に対応する。
Figure 0005153292
合成スキーム(A−2)で合成した化合物Fおよび合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−3)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Fと化合物Jとを、パラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒や、銅などの金属、一価の銅などの金属化合物を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−3a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−3)において、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。なお、一般式(1−3a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−3)である場合に対応する。
本発明のアントラセン誘導体は、電子吸引基、または、複素芳香環基を有するフェニル基を有することにより、発光効率が高い。つまり、電子吸引基を導入することで、非常に高い効率を示す発光材料を得ることができる。また、電子吸引基としては、フッ素が高い電気陰性度を有するため好ましい。
また、本発明のアントラセン誘導体は、発光効率が高く、可視光を発光する。具体的には青緑〜黄緑色に発光する。よって、発光素子に好適に用いることができる。
上述したように、一般に有機化合物を用いた発光素子は正孔過多状態になりやすい。しかしながら本発明のアントラセン誘導体は、最低空軌道準位(LUMO準位)が低く、電子トラップ性を示すため、発光層が正孔過多状態になることを抑制することができる。本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いることにより、発光層が正孔過多状態になることを抑制することができる。このため、本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いることにより、発光層における電子と正孔の再結合確率が高くなり、発光効率の高い発光素子を得ることができる。なお、本発明のアントラセン誘導体において、B〜Bは、高い電子トラップ性を与え得るフッ素であることが好ましい。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、緑色の発光が最も多く必要であり、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、白色発光の発光装置に好適である。
また、本発明のアントラセン誘導体は、一般式(1)で表されるように、アントラセン骨格に置換基Aが1つだけ結合している。そのため、アントラセン骨格に置換基Aが2つ結合している2置換体と比較して、短波長の発光が可能である。また、2置換体は分子量が非常に大きくなるため、蒸着法により成膜することが難しくなるが、本発明のアントラセン誘導体は、蒸着法により成膜することが可能である。また、2置換体の合成は、1置換体である本発明のアントラセン誘導体よりも高いコストが要求される。
また、発光素子に適用した場合、本発明者らは、一置換体を使用するほうが二置換体を使用するよりも長寿命となることを見いだした。よって、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に適用することにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、酸化還元反応を繰り返しても安定である。よって、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
(実施の形態2)
本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第2の電極104と、第1の電極102と第2の電極との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極104は陰極として機能するものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極102の方が第2の電極104よりも電位が高くなるように、第1の電極102と第2の電極104に電圧を印加したときに、発光が得られるものとして、以下説明をする。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)膜は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
EL層103は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層と、本実施の形態で示す発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層(ホールブロッキング層)、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。本実施の形態では、EL層103は、第1の電極102の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114を有する構成について説明する。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
また、正孔注入層111として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極102として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、オリゴマー、デンドリマー、高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
発光層113は、発光性の高い物質を含む層である。本実施の形態で示す発光素子は、発光層113は実施の形態1で示した本発明のアントラセン誘導体を含む。本発明のアントラセン誘導体は、青緑色〜黄緑色の高効率な発光を示すため、発光性の高い物質として発光素子に好適に用いることができる。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極104を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)が挙げられる。ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等も好適である。しかしながら、第2の電極104と電子輸送層との間に、電子注入を促す機能を有する層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。また、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの(例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等)を用いることができる。特に、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極104からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に電圧をかけることで、発光性の高い物質を含む層である発光層113において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極104を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有する電極である場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光現象を防ぐように、第1の電極102および第2の電極104から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については上記構造に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明のアントラセン誘導体と自由に組み合わせて構成すればよい。
図2に示す発光素子は、基板301上に、陰極として機能する第1の電極302、電子輸送層311、発光層312、正孔輸送層313、正孔注入層314、陽極として機能する第2の電極304とが順に積層された構成となっている。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本発明のアントラセン誘導体は、高効率な青緑色〜黄緑色の発光を示すため、本実施の形態に示すように、他の発光性物質を加えることなく発光層として用いることが可能である。
本発明のアントラセン誘導体は発光効率が高いため、発光物質として用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いた発光素子は、発光効率が高いため、低消費電力の発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、一般に、有機化合物を用いた発光素子の多くは正孔過多の状態になりやすい。しかしながら本発明のアントラセン誘導体は、最低空軌道準位(LUMO準位)が低く、電子トラップ性を示すため、発光層が正孔過多状態になることを抑制することができる。従って本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いることにより、発光層における電子と正孔の再結合確率が高くなり、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、緑色の発光が最も多く必要であり、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本実施の形態では、図1に示す発光層113を、本発明のアントラセン誘導体を他の物質に分散させた構成とすることで、本発明のアントラセン誘導体からの発光を得ることができる。本発明のアントラセン誘導体は青緑色〜黄緑色の発光を示すため、青緑色〜黄緑色の発光を示す発光素子を得ることができる。
ここで、本発明のアントラセン誘導体を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)などが挙げられる。なお、これらを組み合わせて用いてもよい。
本発明のアントラセン誘導体は発光効率が高いため、発光物質として、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いた発光素子は、発光効率が高いため、低消費電力の発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、一般に、有機化合物を用いた発光素子の多くは正孔過多の状態になりやすい。しかしながら本発明のアントラセン誘導体は、最低空軌道準位(LUMO準位)が低く、電子トラップ性を示すため、発光層が正孔過多状態になることを抑制することができる。従って本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いることにより、発光層における電子と正孔の再結合確率が高くなり、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、緑色の発光が最も多く必要であり、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
なお、発光層113以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本実施の形態では、図1で示した発光層113を、本発明のアントラセン誘導体に発光性の物質を分散させた構成とすることで、発光性の物質からの発光を得ることができる。
本発明のアントラセン誘導体を他の発光性物質を分散させる材料として用いる場合、発光性物質に起因した発光色を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体に起因した発光色と、アントラセン誘導体中に分散されている発光性物質に起因した発光色との混色の発光色を得ることもできる。
ここで、本発明のアントラセン誘導体に分散させる発光性物質としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、ルブレンなどの蛍光を発光する蛍光発光性物質を用いることができる。また、アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)などの燐光を発光する燐光発光性物質を用いることができる。
なお、発光層113以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本発明のアントラセン誘導体は、正孔輸送性を有する。よって、陽極と発光層との間に本発明のアントラセン誘導体を含む層を用いることができる。具体的には、実施の形態2で示した正孔注入層111や正孔輸送層112に用いることができる。
また、正孔注入層111に本発明のアントラセン誘導体を用いる場合には、本発明のアントラセン誘導体と、本発明のアントラセン誘導体に対して電子受容性を示す無機化合物とを複合させることが好ましい。このような複合層を用いることで、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性が向上する。また、複合層を正孔注入層111として用いる場合、正孔注入層111は第1の電極102とオーム接触をすることが可能となり、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態4で示した構成と異なる構成の発光素子について図25を用いて説明する。
本実施の形態で示す発光素子は、実施の形態2で示した発光素子における発光層113と電子輸送層114の間に新たに機能層115を設けたものである。
また、本実施の形態において、発光層113は、第1の有機化合物と第2の有機化合物とを有する構成であることが好ましい。つまり、発光性を有する第1の有機化合物が、第2の有機化合物に分散された構成であることが好ましい。本発明のアントラセン誘導体は高い発光効率を有するため、発光性を有する第1の有機化合物として好適に用いることができる。
本発明のアントラセン誘導体を分散する第2の有機化合物としては、実施の形態3で示したように種々の材料を用いることができる。本実施の形態では、キャリアの移動速度を制御する機能層を、発光層と、陰極として機能する第2の電極との間に設けるため、発光層113は、電子輸送性であることが好ましい。つまり、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高いことが好ましい。よって、発光層113に含まれる第2の有機化合物としては、電子輸送性の有機化合物であることが好ましい。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などの縮合芳香族化合物を用いることができる。また、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス(N,N−ジフェニルアニリン)(略称:TPAQn)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン)(略称:BPAPQ)、4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアニリン}(略称:YGAPQ)などを用いることができる。
機能層115は、第3の有機化合物と第4の有機化合物とを有する。機能層115は第2の電極104から注入された電子の移動速度を制御する働きを有する。
通常、発光層が電子輸送性の場合、発光層内からの電子の突き抜けを防ぐため、電子ブロック層を発光層の陽極側に設けることが多い。しかしながら、その電子ブロック機能が経時的に劣化すると、再結合領域が電子ブロック層内(あるいは正孔輸送層内)にまで及んでしまい、電流効率の低下(すなわち輝度劣化)が顕著となる。一方、本実施の形態で示す発光素子の場合、機能層115は電子の移動速度を制御し、電子が発光層をつき抜けてしまうことを防いでいる。このため、発光領域は発光層内に維持され、正孔輸送層などの他の層へ拡大しない。その結果、たとえ発光素子を長時間にわたって駆動しても、初期状態における良好なキャリアバランスを維持することができ、駆動に伴う輝度劣化を抑制することができる。
機能層115としては複数の構成が可能である。一つめの構成としては、電子輸送性を有する第4の有機化合物に、電子をトラップする機能を有する第3の有機化合物を添加した構成とすることができる。この構成の場合、陰極として機能する第2の電極104から注入された電子は、電子輸送層などを通り、機能層115に注入される。機能層115に注入された電子は、第3の有機化合物に一時的にトラップされ、その移動が遅くなり、その結果、再結合が発光層113の中だけで完遂するように発光層113への電子注入が制御される。
この構成の場合、機能層115に含まれる第3の有機化合物は、電子をトラップする機能を有する有機化合物である。したがって、第3の有機化合物は、機能層115に含まれる第4の有機化合物の最低空軌道準位(LUMO準位)より0.3eV以上低い最低空軌道準位(LUMO準位)を有する有機化合物であることが好ましい。機能層115に第3の有機化合物が含まれる場合、機能層が第4の有機化合物のみからなる場合と比較すると、機能層115における電子の移動速度は小さくなる。つまり、第3の有機化合物を添加することにより、電子の移動速度を低下させることが可能となる。また、第3の有機化合物の濃度を制御することにより、電子の移動速度を制御することが可能となる。また、第3の有機化合物は発光してもよいが、その場合は発光素子の色純度を保つため、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は同系色の発光色であることが好ましい。
機能層115に含まれる第3の有機化合物としては、例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、9,18−ジヒドロベンゾ[h]ベンゾ[7,8]キノ[2,3−b]アクリジン−7,16−ジオン(略称:DMNQd−1)、9,18−ジヒドロ−9,18−ジメチルベンゾ[h]ベンゾ[7,8]キノ[2,3−b]アクリジン−7,16−ジオン(略称:DMNQd−2)、クマリン30、クマリン6、クマリン545T、クマリン153などの青緑色〜黄緑色の発光を示す物質を用いることができる。
機能層115に含まれる第4の有機化合物は、電子輸送性を有する有機化合物である。つまり、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い物質である。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、Almq、BeBq、BAlq、Znq、BAlq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体、PBD、OXD−7、TAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの複素環化合物、CzPA、DPCzPA、DPPA、DNA、t−BuDNA、BANT、DPNS、DPNS2、TPB3などの縮合芳香族化合物を用いることができる。中でも電子に対して安定な金属錯体であることが好ましい。また、先に述べたように、第3の有機化合物のLUMO準位は、第4の有機化合物のLUMO準位より0.3eV以上低いことが好ましい。したがって、用いる第3の有機化合物の種類に応じて、そのような条件を満たすように適宜第4の有機化合物を選択すればよい。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に与えられた電位差により電流が流れ、EL層103において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。より具体的には、EL層103中の発光層113から、発光層113と機能層115との界面にかけて発光領域が形成されるような構成となっている。この原理に関し、以下に説明する。
第1の電極102から注入された正孔は、正孔注入層111、正孔輸送層112を通り、発光層113に注入される。一方、第2の電極104から注入された電子は、電子輸送層114を通り、キャリアの移動を制御する層である機能層115に注入される。機能層115に注入された電子は、電子トラップ性を有する第3の有機化合物により、電子の移動が遅くなる。遅くなった電子は、発光層113に注入され、正孔と再結合し、発光する。
発光層113が電子輸送性を有する場合、正孔輸送層112から発光層113に注入された正孔は移動が遅くなる。また、機能層115から発光層113に注入された電子は、機能層115で移動が遅くなっているため、発光層113でも移動が遅い。よって、移動の遅い正孔と移動の遅い電子が発光層113で再結合するため、再結合確率が高くなり、発光効率が向上する。
機能層115の二つめの構成としては、機能層115は第3の有機化合物と第4の有機化合物を含む。第4の有機化合物は、第3の有機化合物よりも多く含まれており、第4の有機化合物と第3の有機化合物のキャリア輸送の極性は異なっている。本実施の形態では、キャリアの移動を制御する機能層を、発光層よりも陰極として機能する第2の電極側に設ける場合について説明する。つまり、発光層113と第2の電極104との間に設ける場合について説明する。
発光層よりも陰極として機能する第2の電極側に設ける場合、第4の有機化合物は、電子輸送性の有機化合物であり、第3の有機化合物は正孔輸送性の有機化合物であることが好ましい。つまり、第4の有機化合物は、正孔輸送性よりも電子輸送性が高い物質であり、第3の有機化合物は、電子輸送性よりも正孔輸送性が高い物質であることが好ましい。また、第4の有機化合物の最低空軌道準位(LUMO準位)と、第3の有機化合物の最低空軌道準位(LUMO準位)との差は0.3eVよりも小さいことが好ましく、より好ましくは0.2eV以下である。つまり、熱力学的には、第4の有機化合物と第3の有機化合物との間でキャリアである電子の移動が容易であることが好ましい。
この構成の場合、上述したように、第4の有機化合物は、電子輸送性の有機化合物であることが好ましい。具体的には、Alq、Almq、BeBq、BAlq、Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体、PBD、OXD−7、TAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの複素環化合物、CzPA、DPCzPA、DPPA、DNA、t−BuDNA、BANT、DPNS、DPNS2、TPB3などの縮合芳香族化合物を用いることができる。
また、第3の有機化合物としては、正孔輸送性の有機化合物であることが好ましい。具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンのような縮合芳香族炭化水素や、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物、クマリン7、クマリン30などのアミノ基を有する化合物を用いることができる。
このような組み合わせにより、第4の有機化合物から第3の有機化合物へ、あるいは第3の有機化合物から第4の有機化合物への電子移動が抑制され、機能層115の電子移動速度を抑制することができる。また、機能層115は第4の有機化合物に第3の有機化合物を分散させて構成されているため、経時的に結晶化や凝集が生じにくい。したがって、先に述べた電子移動の抑制効果も経時変化しにくくなり、その結果キャリアバランスも経時変化しにくくなる。このことが、発光素子の寿命の向上、つまり、信頼性の向上に繋がる。
なお、上述した組み合わせの中でも、第4の有機化合物として金属錯体を、第3の有機化合物として芳香族アミン化合物を組み合わせることが好ましい。金属錯体は電子輸送性が高い上に双極子モーメントが大きく、一方で芳香族アミン化合物は正孔輸送性が高い上に比較的双極子モーメントが小さい。このように、双極子モーメントが大きく異なる物質を組み合わせることで、上述した電子移動の抑制効果はより顕著となる。具体的には、第4の有機化合物の双極子モーメントをP、第3の有機化合物の双極子モーメントをPとすると、P/P≧3またはP/P≦0.33となる組み合わせが好ましい。
以上のような構成を有する本発明の発光素子においても、第1の電極102と第2の電極104との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層103において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。より具体的には、EL層103中の発光層113から、発光層113と機能層115との界面付近にかけて発光領域が形成されるような構成となっている。この原理に関し、以下に説明する。
機能層115において、電子輸送性の有機化合物である第4の有機化合物は、電子輸送性であるため、電子が注入されやすく、電子が近傍の第4の有機化合物に移動しやすい。つまり、第4の有機化合物に電子が注入される速度、および、第4の有機化合物から電子が放出される速度(v)が大きい。
一方、正孔輸送性の有機化合物である第3の有機化合物は、第4の有機化合物のLUMO準位と近いLUMO準位を有するため、熱力学的には電子が注入されうる。しかし、電子輸送性の有機化合物である第4の有機化合物から正孔輸送性の有機化合物である第3の有機化合物に電子が注入される速度(v)、もしくは、第3の有機化合物から第4の有機化合物へ電子が注入される速度(v)は、第4の有機化合物から近傍の第4の有機化合物へ電子が注入される速度(v)よりも小さい。
よって、層全体としては、第3の有機化合物が含まれることにより、第4の有機化合物のみからなる層よりも電子輸送速度が小さくなる。つまり、第3の有機化合物を添加することにより、キャリアの移動を制御することが可能となる。また、第3の有機化合物の濃度を制御することにより、キャリアの移動速度を制御することが可能となる。
もし上記どちらの構成の機能層115も設けない従来の発光素子であれば、電子の移動は遅くならないまま発光層113に注入され、発光層113と正孔輸送層112との界面付近まで達する。そのため、発光領域は正孔輸送層112と発光層113との界面近傍に形成される。その場合、電子が正孔輸送層112にまで達してしまい、正孔輸送層112を劣化させる恐れがある。また、経時的に正孔輸送層112にまで達してしまう電子の量が増えていくと、経時的に発光層内での再結合確率が低下していくことになるため、素子寿命の低下(輝度の経時劣化)に繋がってしまう。
本実施の形態で示す発光素子においては、機能層115がさらに設けられている点が特徴である。第2の電極104から注入された電子は、電子輸送層114を通り機能層115に注入される。機能層115に注入された電子は、その移動が遅くなり、発光層113への電子注入量が制御される。その結果、従来では正孔輸送層112と発光層113との界面近傍に局在化していた発光領域が、発光層113から、発光層113と機能層115との界面付近にかけて形成されることになる。したがって、電子が正孔輸送層112にまで達してしまい、正孔輸送層112を劣化させる可能性が低くなる。また正孔に関しても、発光層113における第2の有機化合物が電子輸送性であるため、正孔が電子輸送層114にまで達して電子輸送層114を劣化させる可能性は低い。
さらに、本実施の形態においては、機能層115において、単に電子移動度の遅い物質を適用するのではなく、電子輸送性を有する有機化合物に、電子をトラップする機能を有する有機化合物または正孔輸送性を有する有機化合物を添加している点が重要である。このような構成とすることで、単に発光層113への電子注入を制御するだけではなく、その制御された電子注入量が経時的に変化するのを抑制することができる。また、発光層113における第2の有機化合物が電子輸送性であり、かつ発光層113には発光物質である第1の有機化合物が添加されているため、発光層113における正孔の量に関しても経時的に変化しにくい。以上のことから本発明の発光素子は、発光素子において経時的にキャリアバランスが悪化して再結合確率が低下していく現象を防ぐことができるため、素子寿命の向上(輝度の経時劣化の抑制)に繋がる。
本実施の形態で示す発光素子は、発光層と正孔輸送層との界面または発光層と電子輸送層との界面に発光領域が局在化されているのではなく、発光層の中央付近に発光領域が形成されている。よって、正孔輸送層や電子輸送層に発光領域が近接することによる劣化の影響を受けることがない。また、キャリアバランスの経時的な変化(特に電子注入量の経時的変化)を抑制することができる。したがって、劣化が少なく、寿命の長い発光素子を得ることができる。
なお、機能層115に含まれる第3の有機化合物の発光色と、発光層113に含まれる第1の有機化合物の発光色とは、同系色の発光色であることが好ましい。具体的には、第3の有機化合物の発光スペクトルのピーク値と第1の有機化合物の発光スペクトルのピーク値との差は、30nm以内であることが好ましい。30nm以内であることにより、第3の有機化合物の発光色の発光色と第1の有機化合物の発光色は、同系色の発光色となる。よって、電圧等の変化により、第3の有機化合物が発光した場合にも、発光色の変化を抑制することができる。ただし、必ずしも第3の有機化合物が発光する必要はない。
また、機能層115の膜厚は、5nm以上20nm以下であることが好ましい。厚すぎる膜厚だと、キャリアの移動速度を低下させすぎてしまい、駆動電圧が高くなってしまう。また、薄すぎる膜厚だと、キャリアの移動を制御する機能を実現しなくなってしまう。よって、5nm以上20nm以下の膜厚であることが好ましい。
また、本実施の形態で示す発光素子は、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は同系色の発光色であるため、第1の有機化合物だけでなく、第3の有機化合物が発光しても、ほぼ同じ色の発光を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体は、青緑色〜黄緑色の発光を示すため、本実施の形態で示す素子構造は、緑色系の発光素子に対して特に有効である。緑色は、フルカラーディスプレイを作製する際には最も輝度が必要な色であるため、劣化が他の色に比して大きくなってしまう場合があるが、本発明を適用することによりそれを改善することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6で示した構成の発光素子の機能層115に本発明のアントラセン誘導体を用いた構成について説明する。
実施の形態6で示した発光素子は、発光層113と電子輸送層114の間に新たに機能層115を設けたものである。本発明のアントラセン誘導体は機能層115に好適に用いることができる。
機能層115の構成としては、電子輸送性を有する第4の有機化合物に、電子をトラップする機能を有する第3の有機化合物としてアントラセン誘導体を添加した構成とすることができる。この構成の場合、陰極として機能する第2の電極104から注入された電子は、電子輸送層などを通り、機能層115に注入される。機能層115に注入された電子は、第3の有機化合物に一時的にトラップされ、その移動が遅くなり、発光層113への電子注入が制御される。
本発明のアントラセン誘導体は電子吸引基を有しているため、低いLUMO準位を有する。よって、第3の有機化合物として好適に用いることができる。
本発明のアントラセン誘導体は高い発光効率を示すため、電圧等の変化により第3の有機化合物が発光する場合においても高い発光効率を保つことができる。よって、第3の有機化合物として好適に用いることができる。
なお、本発明のアントラセン誘導体を機能層115の第3の有機化合物としても用いる場合、発光層の第1の有機化合物は、本発明のアントラセン誘導体であってもよいし、他の物質であっても良い。特に、第1の有機化合物および第3の有機化合物として、同じ本発明のアントラセン誘導体を用いた場合、電圧等の変化による発光色の変化が生じないため、より好ましい。
発光層の第1の有機化合物として、本発明のアントラセン誘導体以外の物質を用いる場合には、種々の材料を用いることができる。なお、機能層115に含まれる第3の有機化合物の発光色と、発光層113に含まれる第1の有機化合物の発光色とは、同系色の発光色であることが好ましいため、第1の有機化合物として、緑色系(青緑色〜黄緑色)の発光材料を用いることが好ましい。
具体的には、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。
本実施の形態で示した発光素子は、発光層と正孔輸送層との界面または発光層と電子輸送層との界面に発光領域が局在化しているのではなく、発光層の中央付近に発光領域が形成されている。よって、正孔輸送層や電子輸送層に発光領域が近接することによる劣化の影響を受けることがない。また、キャリアバランスの経時的な変化(特に電子注入量の経時的変化)を抑制することができる。したがって、劣化が少なく、寿命の長い発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、青緑色〜黄緑色の発光を示すため、本実施の形態で示す素子構造は、緑色系の発光素子に対して特に有効である。緑色は、フルカラーディスプレイを作製する際には最も輝度が必要な色であるため、劣化が他の色に比して大きくなってしまう場合があるが、本発明を適用することによりそれを改善することができる。
また、本実施の形態で示す発光素子は、第1の有機化合物の発光色と第3の有機化合物の発光色は同系色の発光色であるため、第1の有機化合物だけでなく、第3の有機化合物が発光しても、ほぼ同程度の色の発光を得ることができる。また、第3の有機化合物として、実施の形態1で示したアントラセン誘導体を用いることにより、第3の有機化合物が発光しても、高い発光効率を保つ発光素子を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態は、本発明に係る発光ユニットを複数積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
図3において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2〜実施の形態7と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2または実施の形態5で示した複合材料であり、有機化合物と酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、オリゴマー、デンドリマー、高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、本発明は、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光させることができ、その結果、長寿命素子を実現できる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置について説明する。
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置について図4を用いて説明する。図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、画素部と同一の基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、良好な被覆性を得るため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型樹脂、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型樹脂のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態1で示した本発明のアントラセン誘導体を含んでいる。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、オリゴマー、デンドリマー、または高分子化合物であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようなプロセスにより、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1で示したアントラセン誘導体を用いているため、優れた特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、寿命の長い発光装置を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、発光効率が高いため、低消費電力の発光装置を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、消費電力が低く、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、高輝度の緑色発光が必要であり、従って、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
また、実施の形態6および実施の形態7で示した発光素子は、劣化が少なく、寿命の長い発光素子であるため、その発光素子を発光装置に用いることにより、より長寿命の発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。図5には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図及び断面図を示す。図5において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。パッシブマトリクス型の発光装置においても、本発明の発光素子を用いることによって、寿命の長い発光装置を得ることができる。また、低消費電力の発光装置を得ることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、実施の形態9に示す発光装置を含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示したアントラセン誘導体を含み、長寿命の表示部を有する。また、消費電力の低減された表示部を有する。
本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜実施の形態8で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するテレビ装置を得ることができる。
図6(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜実施の形態8で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するコンピュータを得ることができる。
図6(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜実施の形態8で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有する携帯電話を得ることができる。
図6(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜実施の形態8で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するカメラを得ることができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、寿命の長い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図7に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率が高く、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の発光装置は長寿命であるため、本発明の発光装置を用いた液晶表示装置も長寿命である。
図8は、本発明を適用した発光装置の例である。図8では、電気スタンドを照明装置として応用した例を示す。図8に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、発光効率が高く、長寿命であるため、電気スタンドも発光効率が高く、長寿命である。
図9は、本発明を適用した発光装置の例である。図9では、室内の照明装置3001へ応用した例を示している。本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。従って、本発明で作製される発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図6(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
本実施例では、構造式(201)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005153292
[ステップ1]2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)アントラセンの合成
(i)2−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成
2−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成スキームを(C−1)に示す。
Figure 0005153292
臭化銅(II)46g(206mmol)、アセトニトリル500mLを1L三口フラスコへ入れ、亜硝酸tert−ブチル17.3g(168mmol)を加え65℃に加熱し、2−アミノ−9,10−アントラキノン25g(111.0mmol)を加え、同温度で6時間撹拌した。反応後、反応混合物を3M−塩酸中に注ぎ、3時間撹拌し、析出物を濾過し、水、エタノールで洗浄した。濾物をトルエンに溶かしてフロリジール、セライト、アルミナを通してろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ2−ブロモ−9,10−アントラキノンのクリーム色固体を18.6g、収率58%で得た。
(ii)2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−9,10−ジヒドロー9,10−アントラセンジオールの合成
2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−9,10−ジヒドロー9,10−アントラセンジオールの合成スキームを(C−2)および(C−3)に示す。
Figure 0005153292
Figure 0005153292
4−ブロモフルオロベンゼン6.66g(38.1mmol)を200mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換し、テトラヒドロフラン(THF)50mLを加えた。この溶液を−78℃にしてから、n−ブチルリチウム(1.6mol/L ヘキサン溶液)23.8mL(38.1mmol)を滴下し、滴下後、同温度で2時間攪拌した。この反応溶液を、2−ブロモ−9,10−アントラキノン5.00g(17.3mmol)をTHF100mLに溶かした溶液に室温で滴下し、滴下終了後、反応溶液を室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、抽出液と有機層とを合わせて飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮したところ、2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−9,10−ジヒドロー9,10−アントラセンジオールを褐色油状物として得た。
(ii)2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)アントラセンの合成
2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)アントラセンの合成スキームを(C−4)に示す。
Figure 0005153292
2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−9,10−ジヒドロー9,10−アントラセンジオール8.32g(17.3mmol)、ヨウ化カリウム5.17g(31.1mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物9.90g(93.4mmol)、氷酢酸50mLを200mL三口フラスコへ入れ、この混合物を120℃で4時間還流した。その反応溶液に50%ホスフィン酸溶液20mLを加え、120℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、この抽出液と有機層とを合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をトルエンに溶かしてフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮して固体を得た。得られた固体をクロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ、2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)アントラセンを淡黄色粉末として7.2g、収率94%で得た。
[ステップ2]N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成
(i)3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成
3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(C−5)に示す。
Figure 0005153292
2Lマイヤーフラスコに、9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を入れ、氷酢酸600mLに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)を少しずつ加え、全て加えた後、室温で約12時間撹拌した。この氷酢酸懸濁液を氷水1Lに撹拌しながら滴下したところ、白色固体が析出した。この白色固体を吸引濾過により回収し、水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。この反応混合物を濾過し、得られたろ液を濃縮し、ここにメタノールを約50mLを加え、溶解させた。この溶液を静置することで白色固体が析出した。この固体を吸引濾過により回収し乾燥させることで、白色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
(ii)N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成
N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成スキームを(C−6)に示す。
Figure 0005153292
500mL三口フラスコに、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを19g(60mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を340mg(0.6mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを1.6g(3.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを13g(180mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キシレンを110mL、アニリンを7.0g(75mmol)加えた。この混合物を窒素雰囲気下にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応溶液に加熱したトルエン約500mLを加え、この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、残渣にヘキサン、酢酸エチルを加えて超音波を照射した。析出した固体を吸引濾過により回収し、得られた固体を乾燥し、淡褐色粉末のN−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)15g(収率75%)を得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物がN−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ=6.84(t、J=6.9Hz、1H)、6.97(d、J=7.8Hz、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.90(s、1H)、8.04(d、J=7.8Hz、1H)。また、H NMRチャートを図10(A)、図10(B)に示す。なお、図10(B)は、図10(A)における5.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ2]2PCAFPAの合成法
2PCAFPAの合成スキームを(C−7)に示す。
Figure 0005153292
2−ブロモ−9,10−ビス(4−フルオロフェニル)アントラセン2.0g(4.5mmol)、N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(PCA)1.7g(4.9mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.13g(0.23mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.1g(11mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.45g(0.23mmol)を加えた。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液を有機層と合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により精製し、得られた溶液を濃縮して、固体を得た。得られた固体をクロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)の黄色粉末を2.0g、収率62%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.87−7.03(m, 4H),7.13−7.30(m, 14H),7.40−7.51(m, 6H), 7.57−7.63(m, 6H), 7.89−7.97(m, 2H)。また、H NMRチャートを図11(A)、図11(B)に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2PCAFPAの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、5%重量損失温度は255.5℃であり、2PCAFPAは高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2PCAFPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図12に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図12に示した。図12において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では448nm付近に吸収が見られた。また、2PCAFPAのトルエン溶液(励起波長452nm)の発光スペクトルを図13に示す。図13において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では520nm(励起波長452nm)であった。
2PCAFPAの酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用いた。支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるようにDMFに溶解させ、電解溶液を調整した。さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように電解溶液に溶解させた。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、カウンター電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2PCAFPAの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.34Vから0.60Vまで変化させた後、0.60Vから−0.34Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。また、2PCAFPAの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.33Vから−2.40Vまで変化させた後、−2.40Vから−0.33Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図23に2PCAFPAの酸化側のCV測定結果を、図24に2PCAFPAの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図23および図24において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極とカウンター電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図23から、0.35V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示す電流が観測された。また、図24から、−2.14V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示す電流が観測された。
100サイクルもの測定を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応および還元反応において、CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化還元反応の繰り返しに対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図14を用いて説明する。実施例2〜実施例3で用いた材料の構造式を以下に示す。
Figure 0005153292
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子1)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(201)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。CzPAと2PCAFPAとの重量比は、1:0.1(=CzPA:2PCAFPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子1を作製した。
発光素子1の電流密度−輝度特性を図15に、電圧−輝度特性を図16に、輝度−電流効率特性を図17に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図18に示す。発光素子1は、輝度894cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.35、y=0.60)であり、緑色の発光であった。また、輝度894cd/mのときの電流効率は15.3cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度894cd/mのときの電圧は5.0V、電流密度は5.83mA/cm、パワー効率は9.6(lm/W)であった。また、図18に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は533nmであった。
よって、本発明を適用することにより、発光効率が高く、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図14を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子2)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(201)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。CzPAと2PCAFPAとの重量比は、1:0.1(=CzPA:2PCAFPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子2を作製した。
発光素子2の電流密度−輝度特性を図19に、電圧−輝度特性を図20に、輝度−電流効率特性を図21に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図22に示す。発光素子2は、輝度1920cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.35、y=0.60)であり、緑色の発光であった。また、輝度1920cd/mのときの電流効率は17.8cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度1920cd/mのときの電圧は3.0V、電流密度は10.8mA/cm、パワー効率は19(lm/W)であった。また、図22に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は534nmであった。
よって、本発明を適用することにより、発光効率が高く、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図26を用いて説明する。以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
(発光素子3)
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2203を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2203上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2204を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)とN−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2204上に30nmの膜厚の発光層2205を形成した。CzPAと2PCAPAとの重量比は、1:0.05(=CzPA:2PCAPA)となるように調節した。
次に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)と構造式(201)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)とを共蒸着することにより、発光層2205上に10nmの膜厚の機能層2206を形成した。Alqと2PCAFPAとの重量比は、1:0.1(=Alq:2PCAFPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、機能層2206上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2207を形成した。
さらに、電子輸送層2207上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2208を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2208上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2209を形成することで、発光素子3を作製した。
(比較発光素子4)
9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)とN−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)とを共蒸着することにより、発光層2205を40nmの膜厚で形成し、機能層2206を設けない構成とした。他の構成は発光素子3の同様である。
発光素子3の電流密度−輝度特性を図27に、電圧−輝度特性を図28に、輝度−電流効率特性を図29に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図30に示す。発光素子3は、輝度3320cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.28、y=0.63)であり、緑色の発光であった。また、輝度3320cd/mのときの電流効率は17.7cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3320cd/mのときの電圧は4.0V、電流密度は18.7mA/cm、パワー効率は14(lm/W)であった。また、図30に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は514nmであった。
また、発光素子3に関し、初期輝度を5000cd/mとして、定電流駆動による連続点灯試験を行った結果を図31に示す。縦軸は、5000cd/mを100%とした時の相対輝度(規格化輝度)である。発光素子3に関し、初期輝度を5000cd/mとして、定電流駆動による連続点灯試験を行った結果、1000時間後でも初期輝度の76%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかった。
また、比較発光素子4の電流密度−輝度特性を図32に、電圧−輝度特性を図33に、輝度−電流効率特性を図34に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図35に示す。比較発光素子4は、輝度3440cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.29、y=0.62)であり、緑色の発光であった。また、輝度3440cd/mのときの電流効率は15.5cd/Aであった。また、輝度3440cd/mのときの電圧は3.2V、電流密度は22.2mA/cm、パワー効率は16(lm/W)であった。また、図35に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は514nmであった。
また、比較発光素子4に関し、初期輝度を5000cd/mとして、定電流駆動による連続点灯試験を行った結果を図36に示す。縦軸は、5000cd/mを100%とした時の相対輝度(規格化輝度)である。比較発光素子4に関し、初期輝度を5000cd/mとして、定電流駆動による連続点灯試験を行った結果、120時間後の輝度は初期輝度の72%の輝度であった。
以上のことから、本発明を適用することにより、高い電流効率の発光素子を得ることができた。また、発光素子3と比較発光素子の連続点灯試験結果を比較すると、本発明を適用することによって長寿命の発光素子が容易に得られることが示された。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 実施例の発光素子を説明する図。 発光素子1の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子1の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子1の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子1の発光スペクトルを示す図。 発光素子2の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子2の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子2の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子2の発光スペクトルを示す図。 9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)の酸化側のCV測定結果を示す図。 9,10−ビス(4−フルオロフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAFPA)の還元側のCV測定結果を示す図。 本発明の発光素子を説明する図。 実施例の発光素子を説明する図。 発光素子3の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子3の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子3の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子3の発光スペクトルを示す図。 発光素子3の連続点灯試験を行った結果を示す図。 比較発光素子4の電流密度−輝度特性を示す図。 比較発光素子4の電圧−輝度特性を示す図。 比較発光素子4の輝度−電流効率特性を示す図。 比較発光素子4の発光スペクトルを示す図。 比較発光素子4の連続点灯試験を行った結果を示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 EL層
104 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 機能層
301 基板
302 第1の電極
303 EL層
304 第2の電極
311 電子輸送層
312 発光層
313 正孔輸送層
314 正孔注入層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 EL層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
2001 筐体
2002 光源
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
2201 ガラス基板
2202 第1の電極
2203 複合材料を含む層
2204 正孔輸送層
2205 発光層
2206 機能層
2207 電子輸送層
2208 電子注入層
2209 第2の電極
3001 照明装置
3002 テレビ装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (24)

  1. 一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  2. 一般式(2)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  3. 一般式(3)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  4. 一般式(4)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  5. 一般式(5)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  6. 一般式(6)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  7. 一般式(7)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  8. 一般式(8)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005153292
    (式中、B〜Bは、それぞれ、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、アシル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基のいずれかを表し、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、B〜Bは、それぞれ、ハロゲンまたはハロアルキル基であることを特徴とするアントラセン誘導体。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、B〜Bは、それぞれ、フルオロ基またはトリフルオロメチル基であることを特徴とするアントラセン誘導体。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、BとBは、同一の構造を有する置換基であるアントラセン誘導体。
  12. 一対の電極間に、
    請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  13. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  14. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有し、
    前記アントラセン誘導体が発光することを特徴とする発光素子。
  15. 第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、
    前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、
    前記第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、
    前記第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、
    前記第1の層は、前記第2の層の第1の電極側に設けられており、
    前記第2の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第3の有機化合物は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体であり、
    前記第4の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第1の有機化合物の発光色と前記第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、
    前記第1の電極の方が前記第2の電極よりも電位が高くなるように、前記第1の電極と前記第2の電極とに電圧を印加することにより、前記第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子。
  16. 第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、
    前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、
    前記第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、
    前記第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、
    前記第1の層は、前記第2の層の第1の電極側に設けられており、
    前記第1の有機化合物は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体であり、
    前記第2の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第3の有機化合物は電子トラップ性を有し、
    前記第4の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第1の有機化合物の発光色と前記第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、
    前記第1の電極の方が前記第2の電極よりも電位が高くなるように、前記第1の電極と前記第2の電極とに電圧を印加することにより、前記第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子。
  17. 請求項16において、
    前記第3の有機化合物は第4の有機化合物の最低空軌道準位より0.3eV以上低い最低空軌道準位を有することを特徴とする発光素子。
  18. 第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、
    前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、
    前記第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、
    前記第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、
    前記第1の層は、前記第2の層の第1の電極側に設けられており、
    前記第1の有機化合物は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体であり、
    前記第2の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第3の有機化合物は正孔輸送性を有し、
    前記第4の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第2の層において、前記第3の有機化合物よりも第4の有機化合物が多く含まれており、
    前記第1の有機化合物の発光色と前記第3の有機化合物の発光色は、同じ色系統であり、
    前記第1の電極の方が前記第2の電極よりも電位が高くなるように、前記第1の電極と前記第2の電極とに電圧を印加することにより、前記第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子。
  19. 請求項18において、
    前記第3の有機化合物の最低空軌道準位と前記第4の有機化合物の最低空軌道準位との差は0.3eVより小さいことを特徴とする発光素子。
  20. 請求項15乃至請求項19のいずれか一項において、
    前記第1の有機化合物の発光スペクトルのピーク値と、前記第3の有機化合物の発光スペクトルのピーク値の差は30nm以内であることを特徴とする発光素子。
  21. 第1の電極と第2の電極の間に、電子輸送層と正孔輸送層を有し、
    前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に、第1の層と第2の層を有し、
    前記第1の層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを有し、
    前記第2の層は、第3の有機化合物と、第4の有機化合物とを有し、
    前記第1の層は、前記第2の層の第1の電極側に設けられており、
    前記第1の有機化合物は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体であり、
    前記第2の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第3の有機化合物は請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体であり、
    前記第4の有機化合物は電子輸送性を有し、
    前記第1の電極の方が前記第2の電極よりも電位が高くなるように、前記第1の電極と前記第2の電極とに電圧を印加することにより、前記第1の有機化合物からの発光が得られることを特徴とする発光素子。
  22. 請求項15乃至請求項21のいずれか一項において、前記第1の層と前記第2の層は接して設けられていることを特徴とする発光素子。
  23. 請求項12乃至請求項22のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
  24. 表示部を有し、
    前記表示部は、請求項12乃至請求項22のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
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