JP5127289B2 - アントラセン誘導体および発光素子 - Google Patents

アントラセン誘導体および発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP5127289B2
JP5127289B2 JP2007115318A JP2007115318A JP5127289B2 JP 5127289 B2 JP5127289 B2 JP 5127289B2 JP 2007115318 A JP2007115318 A JP 2007115318A JP 2007115318 A JP2007115318 A JP 2007115318A JP 5127289 B2 JP5127289 B2 JP 5127289B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
light
aryl group
emitting element
shows
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007115318A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008081490A (ja
JP2008081490A5 (ja
Inventor
昌和 江川
晴恵 中島
祥子 川上
恒徳 鈴木
亮二 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2007115318A priority Critical patent/JP5127289B2/ja
Publication of JP2008081490A publication Critical patent/JP2008081490A/ja
Publication of JP2008081490A5 publication Critical patent/JP2008081490A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5127289B2 publication Critical patent/JP5127289B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器に関する。
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることができ、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
例えば、有機化合物を機能性有機材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が発光層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
このような発光素子の特性を向上させる上では、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発が行われている。
例えば、特許文献1では、緑色の発光を示すアントラセン誘導体について記載されている。しかしながら、特許文献1では、アントラセン誘導体のPLスペクトルを示しているだけであり、発光素子に適用した場合に、どのような素子特性を示すかは開示されていない。
また、特許文献2では、アントラセン誘導体を電荷輸送層として用いた発光素子について記載されている。しかしながら、特許文献2では、発光素子の寿命については、記載されていない。
商品化を踏まえれば長寿命化は重要な課題であり、また、さらにより良い特性を持つ発光素子の開発が望まれている。
米国特許出願公開第2005/0260442号明細書 特開2004−91334号公報
上記問題を鑑み、本発明は、新規なアントラセン誘導体を提供することを目的とする。
また、発光効率の高い発光素子を提供することを目的とする。また、寿命の長い発光素子を提供することを目的とする。また、これらの発光素子を用いることにより、寿命の長い発光装置および電子機器を提供することを目的とする。
本発明の一は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(4)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−1)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数1〜4のハロアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−2)または構造式(11−3)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−4)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基を表す。)
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−5)または構造式(11−6)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記構成において、ArとArは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
また、本発明の一は、一般式(5)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(6)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(7)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(8)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−1)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数1〜4のハロアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−2)または構造式(11−3)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−4)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のあリール基を表す。)
また、上記構成において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−5)または構造式(11−6)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記構成において、ArとArは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
また、本発明の一は、上記アントラセン誘導体を用いた発光素子である。具体的には、一対の電極間に上述したアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。特に、上述したアントラセン誘導体を発光物質として用いることが好ましい。つまり、上述したアントラセン誘導体が発光する構成とすることが好ましい。
また、本発明の発光装置は、上述した発光素子を有していることを特徴とする。この発光素子は一対の電極間に発光物質を含む層を有し、この発光物質を含む層には前記アントラセン誘導体が含まれることを特徴とする。また、本発明の発光装置は発光素子の発光を制御する制御手段を有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置を含む)を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光装置にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のアントラセン誘導体は、発光効率が高い。したがって、本発明のアントラセン誘導体を、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、長寿命の発光装置および電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体について説明する。
本発明のアントラセン誘導体は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
一般式(1)において、Ar〜Arで表される置換基としては、例えば、構造式(20−1)〜構造式(20−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005127289
一般式(1−1)において、Ar11〜Ar13で表される置換基としては、例えば、構造式(21−1)〜構造式(21−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005127289
また、一般式(1−1)において、αで表される置換基としては、例えば、構造式(22−1)〜構造式(22−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005127289
よって、一般式(1−1)で表される置換基としては、例えば、構造式(31−1)〜構造式(31−23)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
また、一般式(1−2)において、Ar21で表される置換基としては、例えば、構造式(23−1)〜構造式(23−9)で表される置換基が挙げられる。
Figure 0005127289
また、一般式(1−2)において、R31の具体例としては、例えば、構造式(24−1)〜構造式(24−18)が挙げられる。
Figure 0005127289
また、一般式(1−2)において、R32の具体例としては、例えば、構造式(25−1)〜構造式(25−17)が挙げられる。
Figure 0005127289
よって、一般式(1−2)の具体例としては、例えば、構造式(32−1)〜構造式(32−42)が挙げられる。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
また、一般式(1−3)において、Ar31の具体例としては、例えば、構造式(26−1)〜構造式(26−9)が挙げられる。
Figure 0005127289
また、一般式(1−3)において、βの具体例としては、例えば、構造式(27−1)〜構造式(27−9)が挙げられる。
Figure 0005127289
また、一般式(1−3)において、R41〜R42の具体例としては、例えば、構造式(28−1)〜構造式(28−18)が挙げられる。
Figure 0005127289
よって、一般式(1−3)の具体例としては、例えば、構造式(33−1)〜構造式(33−34)が挙げられる。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(4)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記一般式(1)〜一般式(4)において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−1)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数1〜4のハロアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−2)または構造式(11−3)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−4)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のあリール基を表す。)
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−5)または構造式(11−6)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、ArとArは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
また、上記一般式(1)〜一般式(4)において、Aはアントラセン骨格の2位の位置に結合していることが好ましい。2位の位置で結合していることにより、Arとの立体障害およびArとの立体障害が低減される。
つまり、一般式(5)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(6)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(7)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、一般式(8)で表されるアントラセン誘導体であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、Ar11は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R25〜R26は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、フェニル基、または、1−ナフチル基、または2−ナフチル基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記一般式(5)〜一般式(8)において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−1)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数1〜4のハロアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、上記一般式(5)〜一般式(8)において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−2)または構造式(11−3)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記一般式(5)〜一般式(8)において、Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−4)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
(式中、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のあリール基を表す。)
また、上記一般式(5)〜一般式(8)において、Ar〜Arは、それぞれ、構造式(11−5)または構造式(11−6)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 0005127289
また、上記一般式(5)〜一般式(8)において、ArとArは、同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、構造式(101)〜構造式(118)、構造式(201)〜構造式(218)、構造式(301)〜構造式(318)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
構造式(101)〜構造式(118)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−1)である場合の具体例であり、構造式(201)〜構造式(218)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−2)である場合の具体例であり、構造式(301)〜構造式(318)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Aが一般式(1−3)である場合の具体例である。
本発明のアントラセン誘導体の合成方法としては、種々の反応の適用が可能である。例えば、下記の反応スキーム(A−1)〜(A−5)および(B−1)〜(B−3)に示す合成反応を行うことによって合成することができる。
Figure 0005127289
カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物A)と、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、臭素(Br)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ素(I)等のハロゲンまたはハロゲン化物とを反応させ、3−ハロゲン化カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物B)を合成した後、さらにパラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒を用いたアリールアミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Cを得る。合成スキーム(A−1)において、ハロゲン元素(X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、R31は、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 0005127289
カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物D)と芳香族化合物のジハロゲン化物とを反応させて、N−(ハロゲン化アリール)カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物E)を合成した後、さらに化合物Eをパラジウムなどの金属触媒を用いてアリールアミンとカップリング反応を行うことによって化合物Fを得る。合成スキーム(A−2)において、芳香族化合物のジハロゲン化物のハロゲン元素(X、X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、XとXとは、同じであっても異なっていてもよい。また、R41およびR42は、それぞれ、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
1−アミノアントラキノンまたは2−アミノアントラキノン(化合物G)をSandmyer反応により、アントラキノンのハロゲン化物(化合物H)を合成する。アントラキノンのハロゲン化物(化合物H)をアリールリチウムと反応させることにより、9,10−ジヒドロアントラセン誘導体のジオール体(化合物I)を合成する。9,10−ジヒドロアントラセン誘導体のジオール体(化合物I)をホスフィン酸ナトリウム・一水和物、ヨウ化カリウム、酢酸を用いて、脱OH反応を行うことにより、9,10−ジアリールハロゲン化アントラセン(化合物J)を合成する。
なお、合成スキーム(A−3)〜(A−5)において、Xはハロゲン元素を表す。また、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 0005127289
合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−1)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Jとアリールアミン化合物とを、パラジウム触媒等の金属触媒を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−1a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−1)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。なお、一般式(1−1a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−1)である場合に対応する。
Figure 0005127289
合成スキーム(A−1)で合成した化合物Cおよび合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−2)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Cと化合物Jとを、パラジウム触媒等の金属触媒を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−2a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−2)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32は、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。なお、一般式(1−2a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−2)である場合に対応する。
Figure 0005127289
合成スキーム(A−2)で合成した化合物Fおよび合成スキーム(A−5)で合成した化合物Jを用いて、合成スキーム(B−3)に示す反応により、本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。化合物Fと化合物Jとを、パラジウム触媒等の金属触媒を用いて、カップリング反応させることにより、一般式(1−3a)で表される本発明のアントラセン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−3)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。なお、一般式(1−3a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−3)である場合に対応する。
本発明のアントラセン誘導体は、発光量子収率が高く、青緑〜黄緑色に発光する。よって、発光素子に好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、高輝度の緑色発光が必要であり、従って、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
また、本発明のアントラセン誘導体は、一般式(1)で表されるように、アントラセン骨格に置換基Aが1つだけ結合している。そのため、アントラセン骨格に置換基Aが2つ結合している2置換体と比較して、短波長の発光が可能である。また、2置換体は分子量が非常に大きくなるため、蒸着法により成膜することが難しくなるが、本発明のアントラセン誘導体は、蒸着法により成膜することが可能である。また、2置換体の合成は、1置換体である本発明のアントラセン誘導体よりも高いコストが要求される。
また、発光素子に適用した場合、本発明者らは、一置換体を使用するほうが二置換体を使用するよりも、長寿命となることを見いだした。よって、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に適用することにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、酸化還元反応を繰り返しても安定である。よって、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
(実施の形態2)
本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)膜は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等が挙げられる。
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
また、第1の層103として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の移動が生じ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
また、第1の層103として有機化合物と無機化合物とを混合して形成される複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。例えば、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
第2の層104を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層した層を用いてもよい。
第3の層105は、発光性物質を含む層である。本実施の形態では、第3の層105は実施の形態1で示した本発明のアントラセン誘導体を含む。本発明のアントラセン誘導体は、青緑色〜黄緑色の発光を示すため、発光性物質として発光素子に好適に用いることができる。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)が挙げられる。ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等も好適である。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有したITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。あるいは、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの(例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等)を用いることができる。特に、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極107からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法や、インクジェット法、スピンコート法などの種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に電圧をかけることで、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する電極である場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する電極である場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光現象を防ぐように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については上記構造に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明のアントラセン誘導体と自由に組み合わせて構成すればよい。
図2に示す発光素子は、基板301上に、陰極として機能する第1の電極302、電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本発明のアントラセン誘導体は、青緑色〜黄緑色の発光を示すため、本実施の形態に示すように、他の発光性物質を加えることなく発光層として用いることが可能である。
本発明のアントラセン誘導体は発光効率が高いため、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、高輝度の緑色発光が必要であり、従って、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本実施の形態では、図1に示す第3の層105を本発明のアントラセン誘導体を他の物質に分散させた構成とすることで、本発明のアントラセン誘導体からの発光を得ることができる。本発明のアントラセン誘導体は青緑色〜黄緑色の発光を示すため、青緑色〜黄緑色の発光を示す発光素子を得ることができる。
ここで、本発明のアントラセン誘導体を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)などが挙げられる。
本発明のアントラセン誘導体は発光効率が高いため、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、高輝度の緑色発光が必要であり、従って、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本実施の形態では、図1で示した第3の層105を本発明のアントラセン誘導体に発光性の物質を分散させた構成とすることで、発光性の物質からの発光を得ることができる。
本発明のアントラセン誘導体を他の発光性物質を分散させる材料として用いる場合、発光性物質に起因した発光色を得ることができる。また、本発明のアントラセン誘導体に起因した発光色と、アントラセン誘導体中に分散されている発光性物質に起因した発光色との混色の発光色を得ることもできる。
ここで、本発明のアントラセン誘導体に分散させる発光性物質としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、ルブレンなどの蛍光を発光する蛍光発光性物質を用いることができる。また、アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)などの燐光を発光する燐光発光性物質を用いることができる。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本発明のアントラセン誘導体は、正孔輸送性を有する。よって、陽極と発光層との間に本発明のアントラセン誘導体を含む層を用いることができる。具体的には、実施の形態1で示した第1の層103や第2の層104に用いることができる。
また、第1の層に本発明のアントラセン誘導体を用いる場合には、本発明のアントラセン誘導体と、本発明のアントラセン誘導体に対して電子受容性を示す無機化合物とを複合させることが好ましい。このような複合層を用いることで、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性が向上する。また、複合層を第1の層103として用いる場合、第1の層103は第1の電極102とオーム接触をすることが可能となり、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明に係る発光ユニットを複数積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する積層型発光素子である。各発光ユニットの構成としては、実施の形態2〜実施の形態5で示した構成と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子である。本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
図3において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2〜実施の形態5と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2または実施の形態5で示した複合材料であり、有機化合物とバナジウム酸化物やモリブデン酸化物やタングステン酸化物等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればいかなる構成でもよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、本発明は3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても適用することが可能である。一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度で発光させることができ、その結果、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合には、電極材料の抵抗による電圧降下の影響を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置について説明する。
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置について図4を用いて説明する。図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、良好な被覆性を得るため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型樹脂、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型樹脂のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した本発明のアントラセン誘導体を含んでいる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF等)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようなプロセスにより、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1で示したアントラセン誘導体を用いているため、優れた特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、寿命の長い発光装置を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、発光効率が高いため、低消費電力の発光装置を得ることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。また、消費電力が低く、長寿命の緑色発光が可能であるため、フルカラーディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明のアントラセン誘導体は、高効率の緑色の発光が可能なため、他の発光材料と組み合わせることより、白色発光を得ることも可能である。例えば、NTSC色度座標の赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を用いて白色発光を得ようとする場合、およそ赤(R):緑(G):青(B)=1:6:3の割合で各色の発光を混合しないと白色にならない。つまり、高輝度の緑色発光が必要であり、従って、高効率の緑色発光が得られる本発明のアントラセン誘導体は、発光装置に好適である。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図5には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図5において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、陰極のパターニングが可能となる。パッシブ型の発光装置においても、本発明の発光素子を用いることによって、寿命の長い発光装置を得ることができる。また、低消費電力の発光装置を得ることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置を含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示したアントラセン誘導体を含み、長寿命の表示部を有する。また、消費電力の低減された表示部を有する。
本発明のアントラセン誘導体を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するテレビ装置を得ることができる。
図6(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するコンピュータを得ることができる。
図6(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有する携帯電話を得ることができる。
図6(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、実施の形態1で示したアントラセン誘導体は、緑色発光が可能であるため、フルカラー表示可能であり、長寿命な表示部を有するカメラを得ることができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、寿命の長い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図7に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率が高く、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の発光装置は長寿命であるため、本発明の発光装置を用いた液晶表示装置も長寿命である。
図8は、本発明を適用した発光装置の例である。図8では、電気スタンドを照明装置として応用した例を示す。図8に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、発光効率が高く、長寿命であるため、電気スタンドも発光効率が高く、長寿命である。
図9は、本発明を発光装置の適用した例である。図9では、室内の照明装置3001へ応用した例を示している。本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。従って、本発明で作製される発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図6(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
本実施例では、構造式(101)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成
(i)2−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成
2−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成スキームを(C−1)に示す。
Figure 0005127289
臭化銅(II)46g(206mmol)、アセトニトリル500mLを1L三口フラスコへ入れ、亜硝酸tert−ブチル17.3g(168mmol)を加え65℃に加熱し、2−アミノ−9,10−アントラキノン25g(111.0mmol)を加え、同温度で6時間撹拌した。反応後、反応混合物を3M−塩酸中に注ぎ、3時間撹拌し、析出物を濾過し、水、エタノールで洗浄した。濾物をトルエンに溶かしてフロリジール、セライト、アルミナを通してろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ2−ブロモ−9,10−アントラキノンのクリーム色固体を18.6g、収率58%で得た。
(ii)2−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成
2−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成スキームを(C−2)に示す。
Figure 0005127289
2−ブロモ−9,10−アントラキノン4.90g(16.95mmol)を300mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、テトラヒドロフラン(THF)100mLを加え、フェニルリチウムのジブチルエーテル溶液17.76mL(37.29mmol)を滴下して加え、室温で約12時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ過、濃縮し、目的物の2−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールを得た。
(iii)2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成
2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成スキームを(C−3)に示す。
Figure 0005127289
得られた2−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール7.55g(16.95mmol)、ヨウ化カリウム5.06g(30.51mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物9.70g(91.52mmol)、氷酢酸50mLを500mL三口フラスコへ入れ、120℃で2時間撹拌した。その後、50%ホスフィン酸30mLを加え、120℃で1時間撹拌した。反応後、反応混合物を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、得られた残渣をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通してろ過した。ろ液を濃縮し、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ目的物である2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの淡黄色固体を5.1g、収率74%で得た。
[ステップ2]2DPAPAの合成法
2DPAPAの合成スキームを(C−4)に示す。
Figure 0005127289
実施例1のステップ1で合成した2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン1.8g(4.40mmol)、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(DPA)1.78g(5.28mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.126g(0.220mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.11g(21.99mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.44g(0.220mmol)を加えて80℃で6時間加熱した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、有機層をろ過、濃縮し、得られた残渣をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通してろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をクロロホルム、メタノール、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の黄色固体を2.24g、収率77%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)であることを確認した。
2DPAPAのH NMRデータを以下に示す。H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=6.90−7.14(m,15H),7.25−7.37(m,10H),7.44−7.52(m,8H),7.57−7.66(m,3H)。また、H NMRチャートを図11(A)、図11(B)に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における6.5ppm〜8.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2DPAPAの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=395.9℃であり、高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2DPAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図12に示す。また、2DPAPAの薄膜の吸収スペクトルを図13に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2DPAPAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図12および図13に示した。図12および図13において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では442nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では452nm付近に吸収が見られた。また、2DPAPAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図14に示す。また、2DPAPAの薄膜(励起波長452nm)の発光スペクトルを図15に示す。図14および図15において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では539nm(励起波長430nm)、薄膜の場合で543nm(励起波長452nm)であった。
2DPAPAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.28eVであった。図13の2DPAPAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.46eVであった。したがって、LUMO準位は−2.82eVである。
本実施例では、構造式(201)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成
(i)3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成
3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(C−5)に示す。
Figure 0005127289
2Lマイヤーフラスコに、9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を入れ、氷酢酸600mLに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)をゆっくり加え、室温で約12時間撹拌した。この氷酢酸溶液を氷水1Lに撹拌しながら滴下した。析出した白色固体を吸引濾過により回収し、水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、得られたろ液を濃縮し、残渣をメタノール約50mLに溶解させた。析出した白色固体を吸引濾過により回収し乾燥させることで、白色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
(ii)N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成
N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成スキームを(C−6)に示す。
Figure 0005127289
500mL三口フラスコに、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを19g(60mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を340mg(0.6mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを1.6g(3.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを13g(180mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キシレンを110mL、アニリンを7.0g(75mmol)加えた。この混合物を窒素雰囲気下にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応溶液に加熱したトルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、残渣にヘキサン、酢酸エチルを加えて超音波を照射した。析出した固体を吸引濾過により回収し、クリーム色粉末のN−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)15g(収率75%)を得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物がN−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):6.84(t、J=6.9Hz、1H)、6.97(d、J=7.8Hz、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.90(s、1H)、8.04(d、J=7.8Hz、1H)。また、H NMRチャートを図16(A)、図16(B)に示す。なお、図16(B)は、図16(A)における5.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ2]2PCAPAの合成法
2PCAPAの合成スキームを(C−7)に示す。
Figure 0005127289
実施例1のステップ1で合成した2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン1.8g(4.40mmol)、N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)1.76g(5.28mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.126g(0.220mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.11g(21.99mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.44g(0.220mmol)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ろ過、濃縮し得られた反応混合物をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通してろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をクロロホルム、メタノール、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の黄色固体を2.33g、収率80%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H−NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.92−6.97(m,1H),7.11−7.32(m,16H),7.39−7.66(m,15H),7.88−7.97(m,2H)。また、H NMRチャートを図17(A)、図17(B)に示す。なお、図17(B)は、図17(A)における6.5ppm〜8.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2PCAPAの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=410.1℃であり、高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2PCAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図18に示す。また、2PCAPAの薄膜の吸収スペクトルを図19に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2PCAPAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図18および図19に示した。図18および図19において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では442nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では448nm付近に吸収が見られた。また、2PCAPAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図20に示す。また、2PCAPAの薄膜(励起波長448nm)の発光スペクトルを図21に示す。図20および図21において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では508nm(励起波長430nm)、薄膜の場合で537nm(励起波長448nm)であった。
2PCAPAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.26eVであった。図19の2PCAPAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.47eVであった。したがって、LUMO準位は−2.79eVである。
2PCAPAの酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用いた。支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるようにDMFに溶解させ、電解溶液を調整した。さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように電解溶液に溶解させた。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、カウンター電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2PCAPAの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.23Vから0.60Vまで変化させた後、0.60Vから−0.23Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。また、2PCAPAの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.41Vから−2.50Vまで変化させた後、−2.50Vから−0.41Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図22に2PCAPAの酸化側のCV測定結果を、図23に2PCAPAの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図22および図23において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極とカウンター電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図22から、−0.47V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示す電流が観測された。また、図23から、−2.22V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示す電流が観測された。
100サイクルもの測定を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応および還元反応において、CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化還元反応の繰り返しに対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、構造式(115)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセンの合成
9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセンの合成スキームを(C−8)〜(C−10)に示す。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
Figure 0005127289
2−ブロモビフェニル22.84g(98.00mmol)を500mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、テトラヒドロフラン(THF)100mLを加え−78℃でn−ブチルリチウム(1.57mol/L ヘキサン溶液)68.66mL(107.80mmol)を滴下して加え、5時間攪拌した。この溶液に、2−ブロモ−9,10−アントラキノン8.5g(29.40mmol)のTHF160mL溶液を窒素下で滴下し、室温に戻しながら約12時間撹拌した。反応後、溶液に水を加え、析出物をろ過し、9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモ−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールのクリーム色固体を得た。
得られた9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモ−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール18.32g(30.66mmol)、ヨウ化カリウム9.16g(55.19mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物17.55g(165.56mmol)、氷酢酸150mLを500mL三口フラスコへ入れ、120℃で5時間撹拌した。その後、50%ホスフィン酸100mLを加え、120℃で1時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、析出物をろ過し、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセンの淡黄色固体を11.4g、収率66%で得た。
[ステップ2]2DPABPhAの合成法
2DPABPhAの合成スキームを(C−11)に示す。
Figure 0005127289
実施例3のステップ1で合成した9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセン2.0g(3.56mmol)、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(DPA)1.44g(4.27mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.102g(0.178mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.71g(17.81mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.36g(0.178mmol)を加えて80℃で7時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、得られた残渣をトルエンに溶かした。この溶液をセライト、フロリジール、アルミナを通してろ過した。ろ液を濃縮し、クロロホルム、メタノールにより再結晶したところ目的物の黄色固体を2.5g、収率87%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H−NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.78−7.08(m,24H),7.12−7.30(m,10H),7.32−7.59(m,10H)。また、H NMRチャートを図24(A)、図24(B)に示す。なお、図24(B)は、図24(A)における6.5ppm〜8.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2DPABPhAの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=419.8℃であり、高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2DPABPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図25に示す。また、2DPABPhAの薄膜の吸収スペクトルを図26に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2DPABPhAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図25および図26に示した。図25および図26において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では446nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では449nm付近に吸収が見られた。また、2DPABPhAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図27に示す。また、2DPABPhAの薄膜(励起波長449nm)の発光スペクトルを図28に示す。図27および図28において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では542nm(励起波長430nm)、薄膜の場合で548nm(励起波長449nm)であった。
2DPABPhAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.28eVであった。図26の2DPABPhAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.47eVであった。したがって、LUMO準位は−2.81eVである。
本実施例では、構造式(215)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]2PCABPhAの合成法
2PCABPhAの合成スキームを(C−12)に示す。
Figure 0005127289
実施例3のステップ1で合成した9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセン2.8g(5.0mmol)、実施例2のステップ1で合成したN−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)1.67g(5.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.14g(0.25mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.4g(25mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、トルエン20mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)1.5g(0.75mmol)を加えて80℃で4時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、得られた残渣をトルエンに溶かした。この溶液をセライト、フロリジール、アルミナを通してろ過した。ろ液を濃縮し、トルエン、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の黄色固体を3.4g、収率83%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H−NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.74−7.09(m,16H),7.14−7.29(m,8H),7.32−7.62(m,16H),7.75−7.97(m,2H)。H NMRチャートを図29(A)、図29(B)に示す。なお、図29(B)は、図29(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2PCABPhAの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=分解温度:423.7℃であり、高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2PCABPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図30に示す。また、2PCABPhAの薄膜の吸収スペクトルを図31に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2PCABPhAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図30および図31に示した。図30および図31において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では440nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では449nm付近に吸収が見られた。また、2PCABPhAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図32に示す。また、2PCABPhAの薄膜(励起波長449nm)の発光スペクトルを図33に示す。図32および図33において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では509nm(励起波長430nm)、薄膜の場合で534nm(励起波長449nm)であった。
2PCABPhAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.29eVであった。図31の2PCABPhAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.46eVであった。したがって、LUMO準位は−2.83eVである。
また、2PCABPhAの酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用いた。支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるようにDMFに溶解させ、電解溶液を調整した。さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように電解溶液に溶解させた。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、カウンター電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2PCABPhAの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.23Vから0.70Vまで変化させた後、0.70Vから−0.23Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。また、2PCABPhAの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.36Vから−2.50Vまで変化させた後、−2.50Vから−0.36Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図34に2PCABPhAの酸化側のCV測定結果を、図35に2PCABPhAの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図34および図35において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極とカウンター電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図34から、0.49V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示す電流が観測された。また、図35から、−2.20V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示す電流が観測された。
100サイクルもの測定を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応および還元反応において、CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化還元反応の繰り返しに対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、構造式(315)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)の合成
(i)N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成
N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成スキームを(C−13)に示す。
Figure 0005127289
300mLの三口フラスコに、1,4−ジブロモベンゼンを56.3g(0.24mol)、カルバゾールを31.3g(0.18mol)、よう化銅(I)を4.6g(0.024mol)、炭酸カリウムを66.3g(0.48mol)、18−クラウン−6−エーテルを2.1g(0.008mol)入れ、窒素置換し、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を8mL加え、180℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷ましてから、吸引ろ過により沈殿物を除去し、ろ液を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。乾燥後、反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して、得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製した。得られた固体を、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ、N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの淡褐色プレート状結晶を20.7g、収率35%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物がN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールであることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl):δ=8.14(d,J=7.8Hz,2H),7.73(d,J=8.7Hz,2H),7.46(d,J=8.4Hz,2H),7.42−7.26(m,6H)。
(ii)4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)の合成
4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)の合成スキームを(C−14)に示す。
Figure 0005127289
200mLの三口フラスコに、上記(i)で得たN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールを5.4g(17.0mmol)、アニリンを1.8mL(20.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を100mg(0.17mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを3.9g(40mmol)入れ、窒素置換し、トリ−tert−ブチルホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを50mL加えて、80℃、6時間撹拌した。反応混合物を、フロリジール、セライト、アルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製したところ4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)を4.1g、収率73%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d):δ=8.47(s,1H),8.22(d,J=7.8Hz,2H),7.44−7.16(m,14H),6.92−6.87(m,1H)。また、H NMRチャートを図36(A)、図36(B)に示す。なお、図36(B)は、図36(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ2]2YGABPhAの合成法
2YGABPhAの合成スキームを(C−15)に示す。
Figure 0005127289
実施例3のステップ1で合成した9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−ブロモアントラセン2.0g(3.5mmol)、実施例5のステップ1で合成した4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)597mg(3.5mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g(21mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、窒素置換した後、トルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.1mLを加えて減圧脱気した。脱気後、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)20mg(0.035mmol)を加えてから、80℃で3時間撹拌した。反応後、反応溶液を、水、飽和食塩水の順に洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。自然濾過後、ろ液を濃縮して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=6:4)により精製した。得られた固体をジクロロメタン−ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の黄色固体を2.0g、収率69%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl−d):δ=6.86−7.08(m、14H)、7.13(d、J=9.0Hz、2H)、7.21−7.24(m、3H)、7.26−7.64(m、19H)、8.15(d、J=7.8Hz,2H)。また、H NMRチャートを図37(A)、図37(B)に示す。なお、図37(B)は、図37(A)における6.5ppm〜8.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、2YGABPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図38に示す。また、2YGABPhAの薄膜の吸収スペクトルを図39に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2YGABPhAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図38および図39に示した。図38および図39において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では430nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では435nm付近に吸収が見られた。また、2YGABPhAのトルエン溶液(励起波長370nm)の発光スペクトルを図40に示す。また、2YGABPhAの薄膜(励起波長435nm)の発光スペクトルを図41に示す。図40および図41において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では491nm(励起波長370nm)、薄膜の場合で495nm(励起波長435nm)であった。
2YGABPhAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.36eVであった。図39の2YGABPhAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.56eVであった。したがって、LUMO準位は−2.80eVである。
本実施例では、本発明の発光素子について、図10を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
Figure 0005127289
本実施例で作製した発光素子の素子構成を表1に示す。表1では、混合比は全て重量比で表している。
Figure 0005127289
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と本発明のアントラセン誘導体とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。各発光素子におけるCzPAとアントラセン誘導体との重量比は、表1に示す値となるよう調整した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上に、発光素子1、発光素子3、発光素子5、発光素子7、発光素子9では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。発光素子2、発光素子4、発光素子6、発光素子8、発光素子10では、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子1〜発光素子10を作製した。
発光素子1の電流密度−輝度特性を図42に、電圧−輝度特性を図43に、輝度−電流効率特性を図44に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図45に示す。また、初期輝度を3000cd/mとしたときの発光素子1の規格化輝度時間変化を図46に、駆動電圧時間変化を図47に示す。発光素子1は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.36、y=0.60)であり、黄緑色の発光であった。輝度3000cd/mのときの電流効率は17.4cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図45に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は540nmであった。図46から、発光素子1は、600時間後でも初期輝度の84%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
発光素子2の電流密度−輝度特性を図48に、電圧−輝度特性を図49に、輝度−電流効率特性を図50に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図51に示す。発光素子2は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.33、y=0.63)であり、緑色の発光であった。輝度3000cd/mのときの電流効率は19.3cd/Aであり、高い電流効率を示した。輝度3000cd/mのときのパワー効率は17.8lm/Wであり、発光素子2は低消費電力で駆動できると言える。また、図51に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は535nmであった。
発光素子3の電流密度−輝度特性を図52に、電圧−輝度特性を図53に、輝度−電流効率特性を図54に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図55に示す。また、初期輝度を3000cd/mとしたときの発光素子3の規格化輝度時間変化を図56に、駆動電圧時間変化を図57に示す。発光素子3は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.31、y=0.63)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は14.5cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図55に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は521nmであった。また、図56から、発光素子3は、300時間後でも初期輝度の87%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
発光素子4の電流密度−輝度特性を図58に、電圧−輝度特性を図59に、輝度−電流効率特性を図60に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図61に示す。発光素子4は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.30、y=0.62)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は16.3cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3000cd/mのときのパワー効率は16.4lm/Wであり、発光素子4は低消費電力で駆動できると言える。また、図61に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は520nmであった。
発光素子5の電流密度−輝度特性を図62に、電圧−輝度特性を図63に、輝度−電流効率特性を図64に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図65に示す。また、初期輝度を3000cd/mとしたときの発光素子5の規格化輝度時間変化を図66に、駆動電圧時間変化を図67に示す。発光素子5は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.39、y=0.59)であり、黄緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は16.3cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図65に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は546nmであった。また、図66から、発光素子5は、1600時間後でも初期輝度の74%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
発光素子6の電流密度−輝度特性を図68に、電圧−輝度特性を図69に、輝度−電流効率特性を図70に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図71に示す。発光素子6は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.37、y=0.60)であり、黄緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は17.6cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3000cd/mのときのパワー効率は18.6lm/Wであり、発光素子6は低消費電力で駆動できると言える。また、図71に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は545nmであった。
発光素子7の電流密度−輝度特性を図72に、電圧−輝度特性を図73に、輝度−電流効率特性を図74に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図75に示す。また、初期輝度を3000cd/mとしたときの発光素子7の規格化輝度時間変化を図76に、駆動電圧時間変化を図77に示す。発光素子7は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.31、y=0.63)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は13.0cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図75に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は520nmであった。また、図76から、発光素子7は、1300時間後でも初期輝度の69%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
発光素子8の電流密度−輝度特性を図78に、電圧−輝度特性を図79に、輝度−電流効率特性を図80に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図81に示す。発光素子8は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.31、y=0.63)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は15.7cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3000cd/mのときのパワー効率は14.9lm/Wであり、発光素子8は低消費電力で駆動できると言える。また、図81に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は522nmであった。
発光素子9の電流密度−輝度特性を図82に、電圧−輝度特性を図83に、輝度−電流効率特性を図84に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図85に示す。発光素子9は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.21、y=0.49)であり、青緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は8.9cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図85に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は491nmであった。
発光素子10の電流密度−輝度特性を図86に、電圧−輝度特性を図87に、輝度−電流効率特性を図88に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図89に示す。発光素子10は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.21、y=0.49)であり、青緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は12.1cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3000cd/mのときのパワー効率は11.6lm/Wであり、発光素子10は低消費電力で駆動できると言える。また、図89に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は492nmであった。
本実施例では、構造式(219)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCN)の合成
N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCN)の合成スキームを(C−16)に示す。
Figure 0005127289
3−ヨード−9−フェニルカルバゾール3.7g(10mmol)、1−アミノナフタレン1.6g(5mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)60mg(0.1mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mL(0.5mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド3.0g(30mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した後、脱水キシレン12mLを加えた。この反応混合物を窒素気流下にて90℃、7時間加熱撹拌した。反応終了後、この反応混合物に加熱したトルエン約200mLを加え、この混合物をフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はトルエン:ヘキサン=1:1)にて精製した。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒により再結晶をしたところ、N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミンの淡褐色粉末を1.5g、収率79%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物がN−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCN)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ=7.13−7.71(m、15H)、7.85−7.88(m、1H)、8.03(s、1H)、8.15(d、J=7.8、1H)、8.24(s、1H)、8.36−8.39(m、1H)。
[ステップ2]2PCNPAの合成
2PCNPAの合成スキームを(C−17)に示す。
Figure 0005127289
実施例1のステップ1で合成した2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン3.5g(8.6mmol)、N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCN)3.2g(9.4mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.25g(0.43mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.1g(21mmol)を200mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、トルエン50mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.86g(0.43mmol)を加えて、この反応混合物を80℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液を有機層と合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により精製し、得られた溶液を濃縮した。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ、2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)の黄色粉末を2.6g、収率42%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.67−6.68(m,1H),7.02−7.38(m,15H),7.44−7.70(m,16H),7.88−8.01(m,4H)。また、H NMRチャートを図90(A)、図90(B)に示す。なお、図90(B)は、図90(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2PCNPAの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、5%重量損失温度は289℃であり、2PCNPAは高い熱安定性を示すことが分かった。
また、2PCNPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図91に示す。また、2PCNPAの薄膜の吸収スペクトルを図92に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2PCNPAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図91および図92に示した。図91および図92において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では438nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では442nm付近に吸収が見られた。また、2PCNPAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図93に示す。また、2PCNPAの薄膜(励起波長442nm)の発光スペクトルを図94に示す。図93および図94において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では503nm(励起波長445nm)、薄膜の場合で522nm(励起波長430nm)であった。
2PCNPAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.21eVであった。図92の2PCNPAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.48eVであった。したがって、LUMO準位は−2.73eVである。
また、2PCNPAの酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用いた。支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるようにDMFに溶解させ、電解溶液を調整した。さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように電解溶液に溶解させた。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、カウンター電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2PCNPAの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.40Vから0.60Vまで変化させた後、0.60Vから−0.40Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。また、2PCNPAの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.15Vから−2.55Vまで変化させた後、−2.55Vから−0.15Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図95に2PCNPAの酸化側のCV測定結果を、図96に2PCNPAの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図95および図96において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極とカウンター電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図95から、0.41V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示す電流が観測された。また、図96から、−2.33V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示す電流が観測された。
100サイクルもの測定を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応および還元反応において、CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化還元反応の繰り返しに対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、構造式(220)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]N,9−ジ(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:NCN)の合成
(i)9−(1−ナフチル)カルバゾールの合成
9−(1−ナフチル)カルバゾールの合成スキームを(C−18)に示す。
Figure 0005127289
1−ブロモナフタレンを21g(0.1mol)、カルバゾールを17g(0.1mol)、よう化銅(I)を950mg(5mmol)、炭酸カリウムを33g(240mmol)、18−クラウン−6−エーテルを660mg(2.5mmol)、500mLの三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を80mL加え、窒素気流下、170℃で6時間撹拌した。この反応混合物にさらに1−ブロモナフタレンを10g(50mmol)、よう化銅(I)を2.0g(10mmol)、18−クラウン−6−エーテルを2.6g(10mmol)を加え、さらに170℃で7.5時間撹拌した。この反応混合物にさらに1−ブロモナフタレンを10g(50mmol)加え、さらに180℃で6時間撹拌した。反応終了後、この反応混合物にトルエン約200mLと1mol/Lの塩酸約100mLを加え、セライトを通して濾過した。得られたろ液をフロリジール、セライトを通して濾過した。得られたろ液を有機層と水層とに分け、この有機層を1mol/Lの塩酸、水の順番で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この懸濁液をフロリジール、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物質に、ヘキサンを加えて超音波を照射したところ固体が析出した。析出した固体を吸引濾過により回収したところ、22gの白色粉末の9−(1−ナフチル)カルバゾールを得た(収率75%)。Rf値(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=10:1)は、9−(1−ナフチル)カルバゾールは0.61、1−ブロモナフタレンは0.74、カルバゾールは0.24だった。
(ii)3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールの合成
3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールの合成スキームを(C−19)に示す。
Figure 0005127289
9−(1−ナフチル)カルバゾールを5.9g(20mmol)を500mLのマイヤーフラスコにいれ、ここへ酢酸エチル50mLとトルエン50mLを加えて攪拌した。この反応溶液へN−ブロモコハク酸イミド3.6g(20mmol)をゆっくり加え、室温で約170時間(一週間)撹拌した。この反応溶液を水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮したところ、3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールの白色粉末を、7.4g得た(収率99%)。Rf値(展開溶媒はヘキサン:クロロホルム=2:1)は、3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールは0.43、9−(1−ナフチル)カルバゾールは0.35だった。
(iii)N,9−ジ(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:NCN)の合成
N,9−ジ(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:NCN)の合成スキームを(C−20)に示す。
Figure 0005127289
3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールを3.7g(10mmol)、1−ナフチルアミンを1.7g(12mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を58mg(0.1mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)を600μL(0.3mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.5g(15mmol)を100mLの三口フラスコにいれ、フラスコ内を窒素置換した後、この混合物に脱水キシレン20mLを加えた。この反応混合物を窒素気流下で110℃、7時間加熱撹拌した。反応終了後、この反応混合物にトルエン約400mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過して、得られたろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて精製したところ、淡褐色粉末を2.2g得た(収率51%)。核磁気共鳴測定(NMR)により、この淡褐色粉末が目的物のN,9−ジ(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:NCN)であることを確認した。Rf値(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=5:1)は、(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−アミンは0.46、3−ブロモ−9−(1−ナフチル)カルバゾールは0.68、1−ナフチルアミンは0.22だった。
[ステップ2]2NCNPAの合成
2NCNPAの合成スキームを(C−21)に示す。
Figure 0005127289
2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンを2.1g(5.0mmol)、NCNを2.2g(5.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を29mg(50μmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)を300μL(0.2mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.0g(10mmol)100mLの三口フラスコにいれ、フラスコ内を窒素置換した後、この混合物に脱水キシレン20mLを加えた。この反応混合物を窒素気流下で110℃、4時間加熱撹拌した。反応終了後、この反応混合物にトルエン約300mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて精製した。得られた油状物質にヘキサンを加え、超音波を照射したところ固体が析出した。この固体を吸引濾過により回収したところ、黄緑色粉末を1.1g得た(収率29%)。核磁気共鳴測定(NMR)により、この黄緑色粉末が目的物の2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=6.73(d、J=2.4Hz、1H)、6.84(d、J=8.7Hz、1H)、6.96(d、J=8.1Hz、1H)、7.04−7.70(m、29H)、7.89(d、J=7.8Hz、1H)、7.99−8.06(m、5H)。また、H NMRチャートを図97(A)、図97(B)に示す。なお、図97(B)は、図97(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、2NCNPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図98に示す。また、2NCNPAの薄膜の吸収スペクトルを図99に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板に2NCNPAを蒸着することで作成した。測定直後のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収スペクトルを図98および図99に示した。図98および図99において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では448nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では465nm付近に吸収が見られた。また、2NCNPAのトルエン溶液(励起波長300nm)の発光スペクトルを図100に示す。また、2NCNPAの薄膜(励起波長446nm)の発光スペクトルを図101に示す。図100および図101において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では505nm(励起波長300nm)、薄膜の場合で529nm(励起波長446nm)であった。
2NCNPAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.26eVであった。図99の2NCNPAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.47eVであった。したがって、LUMO準位は−2.79eVである。
2NCNPAの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、5%重量損失温度は400℃であり、2NCNPAは高い熱安定性を示すことが分かった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで300℃まで加熱して試料を溶融させた後、10℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで300℃まで昇温した。その結果、2NCNPAのガラス転移点(Tg)は174℃であり、高いガラス転移点を有することがわかった。
また、2NCNPAの酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用いた。支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるようにDMFに溶解させ、電解溶液を調整した。さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように電解溶液に溶解させた。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、カウンター電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2NCNPAの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.07Vから0.55Vまで変化させた後、0.55Vから−0.07Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。また、2PCNPAの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.32Vから−2.45Vまで変化させた後、−2.45Vから−0.32Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル行った。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図110に2NCNPAの酸化側のCV測定結果を、図111に2NCNPAの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図110および図111において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極とカウンター電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図110から、0.39V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示す電流が観測された。また、図111から、−2.32V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示す電流が観測された。
100サイクルもの測定を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応および還元反応において、CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化還元反応の繰り返しに対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図10を用いて説明する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(219)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAと2PCNPAとの重量比は、1:0.05(=CzPA:2PCNPA)となるように蒸着レートを調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子11を作製した。
発光素子11の電流密度−輝度特性を図102に、電圧−輝度特性を図103に、輝度−電流効率特性を図104に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図105に示す。発光素子11は、輝度3270cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.27、y=0.62)であり、緑色の発光であった。また、輝度3270cd/mのときの電流効率は16.1cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図105に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は518nmであった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図10を用いて説明する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(220)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAと2NCNPAとの重量比は、1:0.01(=CzPA:2NCNPA)となるように蒸着レートを調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子12を作製した。
発光素子12の電流密度−輝度特性を図106に、電圧−輝度特性を図107に、輝度−電流効率特性を図108に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図109に示す。発光素子12は、輝度3090cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.28、y=0.62)であり、緑色の発光であった。また、輝度3090cd/mのときの電流効率は14.0cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図109に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は511nmであった。
本実施例では、構造式(301)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]2YGAPAの合成法
2YGAPAの合成スキームを(C−22)に示す。
Figure 0005127289
実施例1のステップ1で合成した2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン2.0g(4.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン1.4g(4.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.1g(0.2mmolを100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10wt%ヘキサン溶液0.1mLを加えた。この混合物を80℃で5時間加熱攪拌した。反応後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。水層と有機層を分離し、有機層をフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し固体を得た。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の黄色固体を収量2.2g、収率81%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)であることを確認した。
2YGAPAのH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ=7.05−7.12(m,1H),7.13−7.74(m,31H),8.16(d,J=6.8Hz,2H)。また、H NMRチャートを図112(A)、図112(B)に示す。なお、図112(B)は、図112(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
2YGAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図113に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英セル中のサンプル溶液のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引くことで吸収スペクトルが得られ、これを図113に示した。図113において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では428nm付近に吸収が見られた。また、2YGAPAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図114に示す。図114において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では486nm(励起波長430nm)であった。
ま2YGAPAの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.47eVであった。2YGAPAの薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットで得られる吸収端から光学的エネルギーギャップを見積もったところ2.55eVであった。したがって、LUMO準位は−2.92eVである。
本実施例では、構造式(202)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]1−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成
(i)1−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成
1−ブロモ−9,10−アントラキノンの合成スキームを(C−23)に示す。
Figure 0005127289
1−アミノ−9,10−アントラキノン20.0g(88.8mmol)、臭化銅(II)36.7g(164mmol)、アセトニトリル240mLを500mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、亜硝酸tert−ブチル15.8mL(133mmol)を加えて、65℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を3mol/L塩酸約1.3L中に注ぎ、室温で3時間撹拌した。混合物中の析出物を吸引ろ過により回収し、固体を水、エタノールで洗浄した。得られた固体をトルエンとクロロホルムの混合溶媒に溶かしてフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により精製した。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ、1−ブロモ−9,10−アントラキノンの黄色粉末を9.37g、収率36%で得た。
(ii)1−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成
1−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成スキームを(C−24)に示す。
Figure 0005127289
1−ブロモアントラキノン9.37g(32.4mmol)を500mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、テトラヒドロフラン(略称:THF)150mLを加えて、フェニルリチウム(2.1mol/L ジブチルエーテル溶液)34.0mL(71.3mmol)を一気に加え、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、抽出部と有機層と合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮したところ、1−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの褐色油状物を14.4g、収率約100%で得た。
(iii)1−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成
1−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの合成スキームを(C−25)に示す。
Figure 0005127289
1−ブロモ−9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール14.4g(32.4mmol)、ヨウ化カリウム9.68g(58.3mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物18.6g(175mmol)、氷酢酸100mLを500mL三口フラスコへ入れ、120℃で5時間還流した。反応終了後、50%ホスフィン酸溶液40mLを加え、室温で18時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出し、抽出部と有機層と合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、混合物を吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をトルエンに溶かしてフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:ヘキサン=1:5)により精製した。得られた固体をメタノールで洗浄したところ、1−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンの淡黄色粉末を0.50g、収率3.8%で得た。
[ステップ2]1PCAPAの合成法
1PCAPAの合成スキームを(C−26)に示す。
Figure 0005127289
実施例12のステップ1で合成した1−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン0.50g(1.2mmol)、N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)0.45g(1.3mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.035g(0.061mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.29g(3.1mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、トルエン10mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.12g(0.061mmol)を加えて、反応混合物を80℃で18時間撹拌した。反応終了後、反応混合物にトルエンを加え、フロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:トルエン=3:2)により精製し、得られた固体をクロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の橙色粉末を0.08g、収率10%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ=6.93−6.97(m,1H),7.12−7.32(m,16H),7.39−7.41(m,2H),7.47−7.66(m,13H),7.88−7.97(m,2H)。また、H NMRチャートを図115(A)、図115(B)に示す。なお、図115(B)は、図115(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、1PCAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図116に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英セル中のサンプル溶液のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引くことで吸収スペクトルが得られ、これを図116に示した。図116において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では443nm付近に吸収が見られた。また、1PCAPAのトルエン溶液(励起波長430nm)の発光スペクトルを図117に示す。図117において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では512nm(励起波長430nm)であった。
本実施例では、構造式(207)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCADFA)の合成方法を具体的に説明する。
Figure 0005127289
[ステップ1]2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの合成
(i)2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの合成
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの合成スキームを(C−27)に示す。
Figure 0005127289
2−ブロモフルオレン12.5g(51mmol)、ヨウ化カリウム8.5g(51mmol)、水酸化カリウム14.3g(0.50mol)、ジメチルスルホキシド250mLを500mL三角フラスコに30分間撹拌した。この混合物にヨウ化メチル10mLを少量ずつ加えた。この混合物を室温で48時間撹拌した。反応後、反応溶液に400mLのクロロホルムを加えて撹拌した。この溶液を1N塩酸、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラムクロマトグラフィーはまず、ヘキサンを展開溶媒として用い、ついで酢酸エチル:ヘキサン=1:5の混合溶媒を展開溶媒として用いた。対応するフラクションを濃縮し、乾燥したところ、褐色油状物を12g、収率97%で得た。
(ii)9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモ−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成
9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモ−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成スキームを(C−28)および(C−29)に示す。
Figure 0005127289
Figure 0005127289
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン12g(46mmol)とテトラヒドロフラン(略称:THF)150mLを500mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この溶液に1.6mol/Lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液35mLを−78℃でゆっくり滴下し、1.5時間撹拌した。反応後、この反応混合物にTHF100mLに溶解した2−ブロモ−9,10−アントラキノン5.4g(19mmol)を加えた。この溶液を室温で18時間撹拌した。撹拌後、この溶液に1N塩酸を加え、30分撹拌した。この混合物を分液ロートに移し、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出液と有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過し。得られたろ液をセライト、フロリジール、アルミナを通して吸引ろ過し、得られたろ液を濃縮したところ、表記化合物を褐色油状物として得た。
(iii)9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモアントラセンの合成
9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモアントラセンの合成スキームを(C−30)に示す。
Figure 0005127289
9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモ−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール46mmol、ホスフィン酸ナトリウム一水和物24g(0.23mol)、ヨウ化カリウム15g(91mmol)の氷酢酸100mL溶液を120℃で4時間加熱撹拌した。反応後、反応混合物に50%ホスフィン酸溶液60mLを加えた後、さらに120℃で2時間加熱撹拌した。混合物に水を加えて1時間撹拌した後、混合物を吸引ろ過した。得られた固体を水で洗浄し、固体をトルエンに溶解し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過した。得られたろ液をセライト、フロリジール、アルミナを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒に溶かして、超音波を照射したところ、表記化合物を淡黄色固体として14g得た。ステップ(ii)と(iii)の2段階での全収率は47%であった。
[ステップ2]2PCADFAの合成
2PCADFAの合成スキームを(C−31)に示す。
Figure 0005127289
9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−ブロモアントラセン1.5g(2.3mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)、N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)0.78g(2.3mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.08g(0.16mmol)を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液を0.05mL加え、この混合物を80℃で5時間加熱攪拌した。撹拌後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層をフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:トルエン:ヘキサン=1:9、次いでトルエン:ヘキサン=1:5、次いでトルエン:ヘキサン=1:2)により精製し、得られた固体をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、粉末状黄色固体を収量0.70g、収率77%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCADFA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ=1.04(d,J=1.95,3H)、1.41(s,3H)、1.54−1.59(m,6H)、6.83−6.90(m、1H)、7.09−7.24(m,10H)、7.25−7.64(m,20H)、7.63−7.70(m、2H)、7.70−7.75(m,1H)、7.82(dd,J1=2.0Hz,J2=6.8Hz,1H)、7.88(s,1H)、7.92(d,J=8.3Hz,2H)。また、H NMRチャートを図118(A)、図118(B)に示す。なお、図118(B)は、図118(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られた黄色固体0.70gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして352℃で15時間行った。収量0.62gで回収率は89%であった。
また、2PCADFAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図119に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英セル中のサンプル溶液のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引くことで吸収スペクトルが得られ、これを図119に示した。図119において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では442nm付近に吸収が見られた。また、2PCADFAのトルエン溶液(励起波長439nm)の発光スペクトルを図119に示す。図119において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では516nm(励起波長439nm)であった。
本実施例では、構造式(119)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジフェニル−2−[N−(4’−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPBAPA)の合成方法を具体的に説明する。なお、構造式(119)で表される2DPBAPAは、一般式(5)において、ArおよびArが、構造式(20−1)であり、Aが構造式(31−18)である場合に対応する。
Figure 0005127289
[ステップ1]トリフェニルアミン−4−ボロン酸の合成
トリフェニルアミン−4−ボロン酸の合成スキームを(C−32)に示す。
Figure 0005127289
窒素下、10g(31mmol)の4−ブロモトリフェニルアミンのテトラヒドロフラン(THF、150mL))溶液を−80℃で20mL(32mmol)のnーブチルリチウム(1.58mol/Lヘキサン溶液)をシリンジにより滴下した。滴下終了後、溶液を同温度で1時間攪拌した。この溶液へ3.8mL(34mmol)のホウ酸トリメチルを加えてたのち、反応温度を室温に戻しながら約15時間攪拌した。この溶液に約150mLの希塩酸(1.0mol/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過、濃縮したところ、淡褐色の油状物を得た。この油状物に約20mLのクロロホルムを加えて溶かしてから、更に約50mLのヘキサンを加えて1時間放置したところ、白色固体が析出した。この固体を吸引ろ過により回収したところ、目的物の白色固体を5.2g、収率58%で得た。
[ステップ2]N,N’,N’−トリフェニルベンジジン(略称:DPBA)の合成
N,N’,N’−トリフェニルベンジジン(略称:DPBA)の合成スキームを(C−33)に示す。
Figure 0005127289
4.3g(17mmol)の4−ブロモジフェニルアミンと、5g(17mmol)のトリフェニルアミン−4−ボロン酸と、532mg(1.8mmol)のトリ(o−トリル)ホスフィンを500mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ60mLのトルエンと、40mLのエタノールと、14mLの炭酸カリウム水溶液(0.2mol/L)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、75mg(0.35mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた。この混合物を、100℃で10.5時間還流した。この混合物の水層をトルエンで抽出した。抽出溶液と有機層とを合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過、濃縮したところ、淡褐色の油状物を得た。この油状物を約50mLのトルエンに溶かしてから、セライトとアルミナとフロリジルを通して吸引ろ過した。ろ液を濃縮して得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=4:6)により精製し、得られた白色固体をクロロホルム/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の白色固体を3.5g、収率49%で得た。
[ステップ3]2DPBAPAの合成
2DPBAPAの合成スキームを(C−34)に示す。
Figure 0005127289
1.5g(3.6mmol)の2−ブロモ−9、10−ジフェニルアントラセンと、1.5g(3.6mmol)のN,N’,N’−トリフェニルベンジジン(略称:DPBA)と、1.5g(16mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、20mLのトルエンと、0.10mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、41mg(0.072mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を、100℃で3時間攪拌した。反応混合物へ約50mLのトルエンを加えてから、この混合物をセライト、フロリジル、アルミナを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して油状物を得た。この油状物へ約10mLのトルエンを加えて、約2時間放置したところ、黄色固体が析出した。この固体を吸引ろ過により回収したところ、目的物の黄色粉末を2.5g、収率91%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9,10−ジフェニル−2−[N−(4’−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPBAPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ=7.01−7.08(m、11H)、7.13−7.17(m、5H)、7.22−7.89(m、12H)、7.42−7.66(m、12H)。また、H NMRチャートを図120(A)、図120(B)に示す。なお、図120(B)は、図120(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、2DPBAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図121に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英セル中のサンプル溶液のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引くことで吸収スペクトルが得られ、これを図121に示した。図121において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では355nm付近に吸収が見られた。また、2DPBAPAのトルエン溶液(励起波長370nm)の発光スペクトルを図122に示す。図122において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では493nm(励起波長370nm)であった。
本実施例では、構造式(319)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−{N−[4’−(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGBAPA)の合成方法を具体的に説明する。なお、構造式(319)で表される2YGBAPAは、一般式(5)において、ArおよびArが、構造式(20−1)であり、Aが構造式(33−10)である場合に対応する。
Figure 0005127289
[ステップ1]9−フェニルカルバゾール−3−イルボロン酸の合成
9−フェニルカルバゾール−3−イルボロン酸の合成スキームを(C−35)に示す。
Figure 0005127289
実施例2のステップ1で合成された3−ブロモ−9−フェニルカルバゾール19.6g(60.7mmol)のTHF(100mL)溶液に、窒素下、−78℃にてn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)66.8mL(42.3mmol)を滴下し、同温度で3時間攪拌した。その後、ホウ酸トリメチル13.5mL(140mmol)を加え、室温に戻しながら24時間撹拌した。この溶液に2.0mol/L塩酸200mLを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ、9−フェニルカルバゾール−3−イルボロン酸の白色粉末を10.2g、収率58%で得た。
[ステップ2]4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジフェニルアミン(略称:YGBA)の合成
4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジフェニルアミン(略称:YGBA)の合成スキームを(C−36)に示す。
Figure 0005127289
2.2g(8.8mmol)の4−ブロモジフェニルアミンと、2.5g(8.8mmol)のトリフェニルアミン−4−ボロン酸と、398mg(1.3mmol)のトリ(o−トリル)ホスフィンを200mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ30mLのトルエンと、20mLのエタノールと、14mLの炭酸カリウム水溶液(0.2mol/L)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、59mg(0.26mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた。この混合物を、100℃で6.5時間還流した。この混合物を約15時間放冷したところ、淡黒褐色の固体が析出した。この固体を吸引ろ過により回収したところ、目的物の淡黒褐色固体を2.5g、収率70%で得た。
[ステップ4]2YGBAPAの合成
2YGBAPAの合成スキームを(C−37)に示す。
Figure 0005127289
1.2g(3.0mmol)の2−ブロモ−9、10−ジフェニルアントラセンと、1.2g(3.0mmol)のYGBAと、1.5g(16mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、15mLのトルエンと、0.20mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、86mg(0.15mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を、100℃で3時間攪拌した。攪拌後、この混合物をセライトとアルミナとフロリジルを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=7:3)により精製し、得られた黄色固体をクロロホルム/メタノールにより再結晶したところ、目的物の黄色固体を462mg、収率21%で得た。核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が2−{N−[4’−(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGBAPA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ=7.08−7.14(m,5H),7.20(dd,J=2.4,9.5Hz,1H),7.28−7.61(m,22H),7.64(d,J=7.2Hz,2H),7.70(dd,J=2.4,7.7Hz,4H)、7.91(d、J=8.4Hz、2H)、8.26(d、J=7.8Hz、2H)。また、H NMRチャートを図123(A)、図123(B)に示す。なお、図123(B)は、図123(A)における6.5ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、2YGBAPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図124に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。石英セル中のサンプル溶液のスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引くことで吸収スペクトルが得られ、これを図124に示した。図124において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では344nm付近に吸収が見られた。また、2YGBAPAのトルエン溶液(励起波長370nm)の発光スペクトルを図125に示す。図125において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では485nm(励起波長370nm)であった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図10を用いて説明する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(301)で表される本発明のアントラセン誘導体である2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAと2YGAPAとの重量比は、1:0.05(=CzPA:2YGAPA)となるように蒸着レートを調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウム(Li)とを共蒸着することにより、電子注入層2107を20nmの膜厚で形成した。ここで、AlqとLiとの重量比は、1:0.01(=Alq:Li)となるように蒸着レートを調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子13を作製した。
発光素子13の電流密度−輝度特性を図126に、電圧−輝度特性を図127に、輝度−電流効率特性を図128に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図129に示す。また、初期輝度を1000cd/mとしたときの発光素子13の規格化輝度時間変化を図130に、駆動電圧時間変化を図131に示す。発光素子13は、輝度1000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.21、y=0.51)であり、青緑色の発光であった。また、輝度1000cd/mのときの電流効率は9.6cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図129に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は489nmであった。また、図130から、発光素子13は、640時間後でも初期輝度の82%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図10を用いて説明する。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と構造式(202)で表される本発明のアントラセン誘導体である9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAと1PCAPAとの重量比は、1:0.05(=CzPA:1PCAPA)となるように蒸着レートを調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上に、発光素子14では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。また、発光素子15では、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子14〜発光素子15を作製した。
発光素子14の電流密度−輝度特性を図132に、電圧−輝度特性を図133に、輝度−電流効率特性を図134に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図135に示す。また、初期輝度を3000cd/mとしたときの発光素子14の規格化輝度時間変化を図136に、駆動電圧時間変化を図137に示す。発光素子14は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.31、y=0.61)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は13.9cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、図135に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は515nmであった。また、図136から、発光素子14は、500時間後でも初期輝度の74%の輝度を保っており、長い寿命を有することがわかる。
発光素子15の電流密度−輝度特性を図138に、電圧−輝度特性を図139に、輝度−電流効率特性を図140に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図141に示す。発光素子15は、輝度3000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.32、y=0.59)であり、緑色の発光であった。また、輝度3000cd/mのときの電流効率は15.9cd/Aであり、高い電流効率を示した。また、輝度3000cd/mのときのパワー効率は16.7lm/Wであり、素子15は低消費電力で駆動できると言える。また、図141に示すように、1mAの電流を流したときの最大発光波長は515nmであった。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 実施例の発光素子を説明する図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)のトルエン溶液の励起スペクトルと発光スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N―フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPAPA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 N−フェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)のトルエン溶液の励起スペクトルと発光スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)のCV測定結果を示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)のCV測定結果を示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPABPhA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)ンの薄膜の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ビス(2−ビフェニル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル(9H)カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)のCV測定結果を示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCABPhA)のCV測定結果を示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン(略称:YGA)のH NMRチャートを示す図 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジ(2−ビフェニリル)−2−{N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}アントラセン(略称:2YGABPhA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 発光素子1の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子1の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子1の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子1の発光スペクトルを示す図。 発光素子1の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子1の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子2の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子2の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子2の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子2の発光スペクトルを示す図。 発光素子3の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子3の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子3の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子3の発光スペクトルを示す図。 発光素子3の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子3の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子4の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子4の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子4の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子4の発光スペクトルを示す図。 発光素子5の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子5の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子5の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子5の発光スペクトルを示す図。 発光素子5の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子5の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子6の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子6の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子6の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子6の発光スペクトルを示す図。 発光素子7の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子7の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子7の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子7の発光スペクトルを示す図。 発光素子7の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子7の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子8の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子8の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子8の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子8の発光スペクトルを示す図。 発光素子9の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子9の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子9の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子9の発光スペクトルを示す図。 発光素子10の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子10の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子10の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子10の発光スペクトルを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)のH NMRチャートを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)のCV測定結果を示す図。 2−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−アミノ]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2PCNPA)のCV測定結果を示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)のH NMRチャートを示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 発光素子11の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子11の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子11の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子11の発光スペクトルを示す図。 発光素子12の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子12の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子12の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子12の発光スペクトルを示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)のCV測定結果を示す図。 2−{N−(1−ナフチル)−N−[9−(1−ナフチル)カルバゾール−3−イル]アミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2NCNPA)のCV測定結果を示す図。 2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)のH NMRチャートを示す図。 2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 2−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGAPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−1−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:1PCAPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCADFA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCADFA)のトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4’−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPBAPA)のH NMRチャートを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4’−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPBAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 9,10−ジフェニル−2−[N−(4’−ジフェニルアミノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]アントラセン(略称:2DPBAPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 2−{N−[4’−(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGBAPA)のH NMRチャートを示す図。 2−{N−[4’−(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGBAPA)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 2−{N−[4’−(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−N−フェニルアミノ}−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:2YGBAPA)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 発光素子13の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子13の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子13の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子13の発光スペクトルを示す図。 発光素子13の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子13の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子14の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子14の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子14の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子14の発光スペクトルを示す図。 発光素子14の規格化輝度時間変化を示す図。 発光素子14の駆動電圧時間変化を示す図。 発光素子15の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子15の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子15の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子15の発光スペクトルを示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
301 基板
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
2001 筐体
2002 光源
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
3001 照明装置
3002 テレビ装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (9)

  1. 一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005127289

    (式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32、炭素数6〜25のアリール基を表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。ただし、式(A−1)〜(A−9)で表される化合物を除く。
    Figure 0005127289

    Figure 0005127289
  2. 一般式(2)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005127289

    (式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。ただし、式(A−1)〜(A−9)で表される化合物を除く。
    Figure 0005127289

    Figure 0005127289
  3. 一般式(5)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005127289

    (式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、Ar11〜Ar13は、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32、炭素数6〜25のアリール基を表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。ただし、式(A−1)〜(A−9)で表される化合物を除く。
    Figure 0005127289

    Figure 0005127289
  4. 一般式(6)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005127289

    (式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、Ar11は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R11〜R24は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar21は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、Ar31は、炭素数6〜25のアリール基を表し、R41〜R42は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。ただし、式(A−1)〜(A−9)で表される化合物を除く。
    Figure 0005127289

    Figure 0005127289
  5. 請求項乃至請求項のいずれか一項において、
    Ar〜Arは、それぞれ、一般式(11−1)〜一般式(11−6)のいずれかで表される置換基であるアントラセン誘導体。
    Figure 0005127289

    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基を表す。)
  6. 請求項乃至請求項のいずれか一項において、
    ArとArは、同一の構造を有する置換基であるアントラセン誘導体。
  7. 一対の電極間に、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  8. 一対の電極間に発光層を有し、前記発光層は請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  9. 一対の電極間に発光層を有し、前記発光層は請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を有し、前記アントラセン誘導体が発光することを特徴とする発光素子。
JP2007115318A 2006-04-28 2007-04-25 アントラセン誘導体および発光素子 Active JP5127289B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007115318A JP5127289B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-25 アントラセン誘導体および発光素子

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006127118 2006-04-28
JP2006127118 2006-04-28
JP2006233244 2006-08-30
JP2006233244 2006-08-30
JP2007115318A JP5127289B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-25 アントラセン誘導体および発光素子

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008081490A JP2008081490A (ja) 2008-04-10
JP2008081490A5 JP2008081490A5 (ja) 2010-06-03
JP5127289B2 true JP5127289B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=39352690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007115318A Active JP5127289B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-25 アントラセン誘導体および発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5127289B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5153292B2 (ja) * 2006-10-24 2013-02-27 株式会社半導体エネルギー研究所 アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP5606001B2 (ja) * 2009-03-19 2014-10-15 三井化学株式会社 芳香族アミン誘導体、およびそれらを用いた有機電界発光素子
CN102596907B (zh) * 2009-11-16 2014-12-17 出光兴产株式会社 芳香族胺衍生物和使用其的有机电致发光元件
KR20120009761A (ko) * 2010-07-21 2012-02-02 롬엔드하스전자재료코리아유한회사 신규한 유기 발광 화합물 및 이를 포함하는 유기 전계 발광 소자
JP7325731B2 (ja) 2018-08-23 2023-08-15 国立大学法人九州大学 有機エレクトロルミネッセンス素子

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004091334A (ja) * 2002-08-29 2004-03-25 Mitsubishi Chemicals Corp 2,6−アリールアミノアントラセン系化合物、電荷輸送材料及び有機電界発光素子
JP2004095850A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Mitsubishi Chemicals Corp 有機トランジスタ
TWI327563B (en) * 2004-05-24 2010-07-21 Au Optronics Corp Anthracene compound and organic electroluminescent device including the anthracene compound
KR100872692B1 (ko) * 2006-03-06 2008-12-10 주식회사 엘지화학 신규한 안트라센 유도체 및 이를 이용한 유기 전자 소자

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008081490A (ja) 2008-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10079345B2 (en) Anthracene derivative, and light-emitting element, light-emitting device, electronic device using anthracene derivative
JP5499070B2 (ja) 芳香族アミン化合物
JP5629361B2 (ja) 発光素子、発光装置および電子機器
EP1918350B1 (en) Anthracene derivative, and light emitting element, light emitting device, electronic device using anthracene derivative
JP5411424B2 (ja) アントラセン誘導体、及びアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
EP2066629B1 (en) Anthracene derivative, and light emitting element, light emitting device, and electronic device using the anthracene derivative
JP5459903B2 (ja) アントラセン誘導体、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置
US8183793B2 (en) Method for synthesizing anthracene derivative and anthracene derivative, light emitting element, light emitting device, electronic device
JP4963248B2 (ja) 芳香族アミン化合物
JP5574598B2 (ja) キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP5153292B2 (ja) アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP5127289B2 (ja) アントラセン誘導体および発光素子
JP5179805B2 (ja) アントラセン誘導体、発光素子および発光装置
JP5164501B2 (ja) アントラセン誘導体、およびアントラセン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP2008088083A (ja) カルバゾール誘導体、およびカルバゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100419

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121023

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5127289

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250