JP6167040B2 - Fcドメイン中に突然変異を有する、安定したヘテロ二量体抗体の設計 - Google Patents

Fcドメイン中に突然変異を有する、安定したヘテロ二量体抗体の設計 Download PDF

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Description

本出願は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2010年11月5日に出願された米国仮特許出願第61/410,746号;2010年12月21日に出願された米国仮特許出願第61/425,375号;2011年2月3日に出願された米国仮特許出願第61/439,341号;2011年4月14日に出願された米国仮特許出願第61/475,614号;2011年5月31日に出願された米国仮特許出願第61/491,846号、及び2011年6月16日に出願された米国仮特許出願第61/497,861号について、米国特許法第119(e)条の下で利益を主張する。
配列表に関する説明
本出願は、2011年11月4日に作成され、15キロバイトのサイズを有するテキストファイルZymeworks V84467WO.txtとして本出願と共に提出された配列表を参照により組み込む。
本開示は、一般に、ポリペプチドヘテロ二量体、その組成物、並びにそのようなポリペプチドヘテロ二量体を作製し、且つ使用するための方法を提供する。より具体的には、本発明は、ヘテロ二量体Fcドメインを含む、熱安定性で、二重特異性を含む多重特異性の抗体に関する。
二重特異性抗体は、2つの別個の異なる抗原(又は同じ抗原の異なるエピトープ)に同時に結合することができる抗体ベースの分子である。二重特異性抗体の1つの使用は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)によってなどのように、腫瘍細胞の死滅の増強に、細胞傷害性免疫エフェクター細胞を再び方向付けるためのものであった。この状況において、二重特異性抗体の一方のアームは、腫瘍細胞上の抗原に結合し、他方は、エフェクター細胞上に発現される決定基に結合する。腫瘍細胞及びエフェクター細胞に架橋することによって、二重特異性抗体は、腫瘍細胞の近くにエフェクター細胞をもたらすだけでなく、同時に、それらの活性化を引き起こし、有効な腫瘍細胞死滅を導く。二重特異性抗体はまた、正常組織に対する有害な影響を最小限にするために、腫瘍組織中に化学療法剤又は放射線療法剤を高めるためにも使用されてきた。この状況において、二重特異性抗体の一方のアームは、破壊のために標的にされる細胞上に発現される抗原に結合し、他方のアームは、化学療法薬、放射性同位体、又は毒素を送達する。
二重特異性抗体の一般的な開発における主な障害は、臨床前及び臨床研究の両方にとって十分な品質及び量の物質を産生する難しさであった。
完全長二重特異性抗体の従来の産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの同時発現に基づき、2つの鎖は、異なる特異性を有する(Millsteinら、1983、Nature、305:537〜539)。抗体分子のFc部分が二量体化する本質的な傾向は、重鎖及び軽鎖の様々な組合せからなる、10までの異なるIgG分子の複合体混合物の形成を導き、これらのうちの1つのみが、妥当な二重特異性構造を有する。アフィニティークロマトグラフィーステップによって通常行われる、妥当な分子の精製は、やや扱いにくく、産物収率は、低い。同様の手順は、WO93/08829及びTrauneckerら、1991、EMBO J.、10:3655〜3659において開示される。したがって、従来のハイブリドーマ技術を使用して、2つの異なる標的に結合するように選択された、2つのFabアームを有する二重特異性抗体分子の産生は、興味深い[Segal DMら(2001)J Immunol Methods.248、1〜6]。三機能性抗体、Catumaxomabは、ラット/マウスクアドローマ由来の二重特異性mAbであり、この分子の精製は、プロテインAカラムベースのクロマトグラフィー分離においてpH依存性の溶出に基づいて達成される[Lindhofer H.ら(1995)J Immunol 155、219〜225]。
二重特異性抗体産生のための他の従来の方法は、異なる特異性を有する2つの抗体又はそれらの断片の化学的なコンジュゲーションである。しかしながら、この方法もまた、複雑であり、化学修飾プロセスは、抗体を不活性化し得る又は凝集を促進し得る。望ましくない産物からの精製が困難なままであるので、二重特異性抗体の結果として生じる低収率及び不十分な品質は、このプロセスを、臨床開発にとって必要な大規模生産にとって不適当なものにしてしまう。さらに、これらの分子は、従来の抗体のコンフォメーションを維持しない可能性がある。
最近、様々なヘテロ二量体化技術が、二重特異性抗体の産生を改善するために使用されてきた。しかしながら、scFvドメインへのJun/Fosコイルドコイルのような単一のヘテロ二量体化ドメインの融合は、ホモ及びヘテロ二量体の混合物を導き、リフォールディングによって構築される必要がある(de Kruif及びLogtenberg、J.Biol.Chem.271:7630〜4、1996)。抗体全体へのscFv断片の融合もまた、二量体化手段として使用されてきた(Coloma及びMorrison、Nat.Biotechnol.15:159〜63、1997)。しかしながら、そのような融合は、固形組織浸透能力が不十分な、大きな分子をもたらす。2つのscFv断片の融合もまた、二重特異性タンパク質を生成するためにともに使用されてきた(例えば、Micromet Inc.、Bethesda、MDによるBITE(登録商標)抗体、米国特許第7,635,472号)。しかしながら、そのようなタンパク質は、Fc領域を含有せず、したがって、Fc領域を介してのそれらの活性の操作を可能にしない。さらに、これらのタンパク質は、小さく(約55kDa)、したがって、血清中で比較的短い半減期を有する。
他のヘテロ二量体化技術において、二重特異性抗体は、一方のアームにおける第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖及び他方のアームにおけるハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペア(第2の結合特異性をもたらす)から構成される。二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、分離の容易な方法を提供するので、この非対称構造は、不要な免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることが分かった。このアプローチは、WO94/04690において開示される。二重特異性抗体を生成するためのさらなる詳細については、例えばSureshら、1986、Methods in Enzymology、121:210を参照されたい。
WO96/27011において記載される他のアプローチによれば、抗体分子のペアは、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大限にするために操作することができる。この方法において、第1の抗体分子のCH3境界面由来の1つ又は複数の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と交換される。大きな側鎖(単数又は複数)と同一の又は同様のサイズの代償性の「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えばアラニン又はトレオニン)と交換することによって第2の抗体分子の境界面上に生じる。これは、ホモ二量体などのような他の不要な最終産物に対してヘテロ二量体の収率を増大させるためのメカニズムをもたらす[US005731168A、US007183076B2、Ridgway JB、Presta LG、Carter P.Protein Eng 1996年7月;9(7):617〜21;Atwell S、Ridgway JB、Wells JA、Carter P.J Mol Biol 1997年7月4日;270(1):26〜35]。Gunasekaran及び共同研究者[Gunasekaran K.ら(2010)J Biol Chem.285、19637〜46]は、最近、選択的なヘテロ二量体化の目的を達成するために相補的な静電設計戦略を用いた。Davis及び共同研究者[Davis, JH.ら(2010)Prot Eng Des Sel ;23(4):195〜202]は、ヒトIgA及びIgG CH3配列の互い違いのセグメントを含む鎖交換操作ドメイン(strand exchange engineered domain)(SEED)を使用して、CH3ドメインを設計し、これらは、優先的に、ヘテロ二量体の形態で結合する。しかしながら、これらの技術はすべて、親分子又は野生型分子よりも著しく安定していないヘテロ二量体Fc領域を含む抗体をもたらす。
そのため、安定性及び純度が増大したヘテロ二量体を選択するように改変された、代替の多重特異性変異体Fcヘテロ二量体、特に変異体CH3ドメインについての当技術分野における必要性が残っている。
本発明の一態様によれば、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、ヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、ヘテロ二量体Fc領域が、Fcガンマ受容体の選択的な結合を促進する非対称性のアミノ酸改変を含む変異体CH2ドメインをさらに含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一実施形態では、変異体CH2ドメインが、野生型CH2ドメインと比較して、FcガンマIIIa受容体に選択的に結合する。一実施形態では、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する。
他の態様では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する、単離ヘテロ多量体が提供される。一実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べてCH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含まず、より具体的には、ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べてCH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含まない。代替の実施形態では、約70℃以上の融解温度(Tm)がさらなるジスルフィド結合の非存在下におけるものであることを条件として、ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べて変異体CH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含む。さらに他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べて変異体CH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含み、変異体CH3ドメインが、約77.5℃以上の融解温度(Tm)を有する。
一実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有し、且つヘテロ二量体Fc領域が、約90%を超える純度を有する又はヘテロ二量体Fc領域が、約95%以上の純度を有する又はヘテロ二量体Fc領域が、約98%以上の純度を有する、単離ヘテロ多量体が提供される。
一実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する又はTmが、約71℃以上である又はTmが、約74℃以上である、単離ヘテロ多量体も提供される。他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域が、約98%以上の純度を有し、且つTmが、約73℃である又はヘテロ二量体Fc領域が、約90%以上の純度を有し、且つTmが、約75℃である。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366A及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一態様では、第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、T411、D399、S400、F405、N390、又はK392位にさらなるアミノ酸改変を含む。T411位のアミノ酸改変は、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wから選択される。D399位のアミノ酸改変は、D399R、D399W、D399Y、又はD399Kから選択される。S400位のアミノ酸改変は、S400E、S400D、S400R、又はS400Kから選択される。F405位のアミノ酸改変は、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wから選択される。N390位のアミノ酸改変は、N390R、N390K、又はN390Dから選択される。K392位のアミノ酸改変は、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eから選択される。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366V及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変Y407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366A及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一態様では、第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらなるアミノ酸改変K392E、T411E、D399R、及びS400Rを含む。他の態様では、第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400R、及びY407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409F、K392E、及びT411Eを含む。さらなる実施形態では、変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約95%以上の純度を有する。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、L351位のアミノ酸改変及びアミノ酸改変Y407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、T366位のアミノ酸改変及びアミノ酸改変K409Fを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一態様では、L351位のアミノ酸改変が、L351Y、L351I、L351D、L351R、又はL351Fから選択される。他の態様では、Y407位のアミノ酸改変が、Y407A、Y407V、又はY407Sから選択される。さらに他の態様では、T366位のアミノ酸改変が、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wから選択される。一実施形態では、変異体CH3ドメインが、約75℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約90%以上の純度を有する。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、F405位のアミノ酸改変並びにアミノ酸改変L351Y及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一態様では、第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドは、K392、T411、T366、L368、又はS400位にアミノ酸改変を含む。F405位のアミノ酸改変は、F405A、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wである。K392位のアミノ酸改変は、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eである。T411位のアミノ酸改変は、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wである。S400位のアミノ酸改変は、S400E、S400D、S400R、又はS400Kである。T366位のアミノ酸改変は、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wである。L368位のアミノ酸改変は、L368D、L368R、L368T、L368M、L368V、L368F、L368S、及びL368Aである。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。一態様では、第2のCH3ドメインポリペプチドは、アミノ酸改変T366L又はT366Iを含む。
さらに他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M、及びT394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L及びT394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。
他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I及びT394Wを含む、単離ヘテロ多量体が提供される。
ヘテロ多量体のある実施形態では、二重特異性抗体又は多重特異性抗体が、提供される。
他の実施形態では、本発明のヘテロ多量体及び薬学的に許容される担体を含む組成物が、提供される。
他の実施形態では、本発明のヘテロ多量体をコードする核酸を含む宿主細胞が、提供される。
ある実施形態では、少なくとも1つの治療用抗体を含むヘテロ多量体が、提供される。一態様では、治療用抗体は、アバゴボマブ(abagovomab)、アダリムマブ、アレムツズマブ、アウログラブ(aurograb)、バピネオズマブ、バシリキシマブ、ベリムバブ(belimumab)、ベバシズマブ、ブリアキヌマブ(briakinumab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カツマキソマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、イピリムマブ、ルミリキシマブ、メポリズマブ、モタビズマブ(motavizumab)、ムロモナブ、ミコグラブ(mycograb)、ナタリズマブ、ニモツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、レスリズマブ(reslizumab)、リツキシマブ、テプリズマブ(teplizumab)、トシリズマブ/アトリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、Proxinium(商標)、Rencarex(商標)、ウステキヌマブ、及びザルツムマブからなる群から選択される。
本発明のヘテロ多量体の他の実施形態では、癌抗原によって特徴付けられる癌を有する患者における癌を治療する方法であって、治療有効量のヘテロ多量体を当該患者に投与することを含む、方法が提供される。
本発明のヘテロ多量体の他の実施形態では、免疫抗原によって特徴付けられる免疫障害を有する患者における免疫障害を治療する方法であって、治療有効量のヘテロ多量体を当該患者に投与することを含む、方法が提供される。
さらに他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、表1、表6、又は表7において列挙される変異体から選択される、単離ヘテロ多量体が提供される。
[本発明1001]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1002]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、ヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、ヘテロ二量体Fc領域が、Fcガンマ受容体の選択的な結合を促進する非対称性のアミノ酸改変を含む変異体CH2ドメインをさらに含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1003]
変異体CH2ドメインが、野生型CH2ドメインと比較して、FcガンマIIIa受容体に選択的に結合する、本発明1002の単離ヘテロ多量体。
[本発明1004]
変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する、本発明1002又は本発明1003の単離ヘテロ多量体。
[本発明1005]
ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べてCH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含まない、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1006]
約70℃以上の融解温度(Tm)がさらなるジスルフィド結合の非存在下におけるものであることを条件として、ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べて変異体CH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1007]
ヘテロ二量体Fc領域が、野生型Fc領域に比べて、変異体CH3ドメイン中にさらなるジスルフィド結合を含み、変異体CH3ドメインが、約77.5℃以上の融解温度(Tm)を有する、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1008]
ヘテロ二量体Fc領域が、約90%を超える純度を有する、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1009]
ヘテロ二量体Fc領域が、約95%以上の純度を有する、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1010]
ヘテロ二量体Fc領域が、約98%以上の純度を有する、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1011]
Tmが、約71℃以上である、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1012]
Tmが、約74℃以上である、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1013]
ヘテロ二量体Fc領域が、約98%以上の純度を有し、Tmが、約73℃である、本発明1001から1003までのいずれかのヘテロ多量体。
[本発明1014]
ヘテロ二量体Fc領域が、約90%以上の純度を有し、Tmが、約75℃である、本発明1001から1003までのいずれかのヘテロ多量体。
[本発明1015]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A及びK409Fを含む、本発明1001の単離ヘテロ多量体。
[本発明1016]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、T411、D399、S400、F405、N390、又はK392位にさらなるアミノ酸改変を含む、本発明1015の単離ヘテロ多量体。
[本発明1017]
T411位のアミノ酸改変が、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1018]
D399位のアミノ酸改変が、D399R、D399W、D399Y、又はD399Kから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1019]
S400位のアミノ酸改変が、S400E、S400D、S400R、又はS400Kから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1020]
F405位のアミノ酸改変が、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1021]
N390位のアミノ酸改変が、N390R、N390K、又はN390Dから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1022]
K392位のアミノ酸改変が、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eから選択される、本発明1016の単離ヘテロ多量体。
[本発明1023]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366V及びK409Fを含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1024]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A及びK409Fを含む、本発明1001のいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1025]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらなるアミノ酸改変K392E、T411E、D399R、及びS400Rを含む、本発明1024の単離ヘテロ多量体。
[本発明1026]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400R、及びY407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409F、K392E、及びT411Eを含む、本発明1024の単離ヘテロ多量体。
[本発明1027]
変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約95%以上の純度を有する、本発明1024から1026までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1028]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、L351及びY407位にアミノ酸改変を含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、T366位のアミノ酸改変及びアミノ酸改変K409Fを含む、本発明1001の単離ヘテロ多量体。
[本発明1029]
L351位のアミノ酸改変が、L351Y、L351I、L351D、L351R、又はL351Fから選択される、本発明1028の単離ヘテロ多量体。
[本発明1030]
Y407位のアミノ酸改変が、Y407A、Y407V、又はY407Sから選択される、本発明1028の単離ヘテロ多量体。
[本発明1031]
T366位のアミノ酸改変が、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wから選択される、本発明1028の単離ヘテロ多量体。
[本発明1032]
変異体CH3ドメインが、約75℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約90%以上の純度を有する、本発明1028から1031までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1033]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、F405位のアミノ酸改変並びにアミノ酸改変L351Y及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、本発明1001の単離ヘテロ多量体。
[本発明1034]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、K392、T411、T366、L368、又はS400位にアミノ酸改変を含む、本発明1033の単離ヘテロ多量体。
[本発明1035]
F405位のアミノ酸改変が、F405A、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wである、本発明1033の単離ヘテロ多量体。
[本発明1036]
K392位のアミノ酸改変が、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eである、本発明1034の単離ヘテロ多量体。
[本発明1037]
T411位のアミノ酸改変が、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wである、本発明1034の単離ヘテロ多量体。
[本発明1038]
S400位のアミノ酸改変が、S400E、S400D、S400R、又はS400Kである、本発明1034の単離ヘテロ多量体。
[本発明1039]
T366位のアミノ酸改変が、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wである、本発明1034の単離ヘテロ多量体。
[本発明1040]
L368位のアミノ酸改変が、L368D、L368R、L368T、L368M、L368V、L368F、L368S、及びL368Aである、本発明1034の単離ヘテロ多量体。
[本発明1041]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、本発明1001の単離ヘテロ多量体。
[本発明1042]
第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L又はT366Iを含む、本発明1041の単離ヘテロ多量体。
[本発明1043]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1044]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M、及びT394Wを含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1045]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L及びT394Wを含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1046]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I及びT394Wを含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1047]
変異体CH3ドメインが、表4において列挙される変異体から選択されるアミノ酸突然変異を含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1048]
変異体CH3ドメインが、表6において列挙される変異体から選択されるアミノ酸突然変異を含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1049]
変異体CH3ドメインが、表7において列挙される変異体から選択されるアミノ酸突然変異を含む、本発明1001から1003までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1050]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366A及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1051]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、T411、D399、S400、F405、N390、又はK392位にさらなるアミノ酸改変を含む、本発明1050の単離ヘテロ多量体。
[本発明1052]
T411位のアミノ酸改変が、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1053]
D399位のアミノ酸改変が、D399R、D399W、D399Y、又はD399Kから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1054]
S400位のアミノ酸改変が、S400E、S400D、S400R、又はS400Kから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1055]
F405位のアミノ酸改変が、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1056]
N390位のアミノ酸改変が、N390R、N390K、又はN390Dから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1057]
K392位のアミノ酸改変が、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eから選択される、本発明1051の単離ヘテロ多量体。
[本発明1058]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366V及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1059]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変Y407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチド並びにアミノ酸改変T366A及びK409Fを含む第2のCH3ドメインポリペプチドを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1060]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらなるアミノ酸改変K392E、T411E、D399R、及びS400Rを含む、本発明1059の単離ヘテロ多量体。
[本発明1061]
第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400R、及びY407Aを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409F、K392E、及びT411Eを含む、本発明1059の単離ヘテロ多量体。
[本発明1062]
変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約95%以上の純度を有する、本発明1059から1061までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1063]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、L351位のアミノ酸改変及びアミノ酸改変Y407Aを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、T366位のアミノ酸改変及びアミノ酸改変K409Fを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1064]
L351位のアミノ酸改変が、L351Y、L351I、L351D、L351R、又はL351Fから選択される、本発明1063の単離ヘテロ多量体。
[本発明1065]
Y407位のアミノ酸改変が、Y407A、Y407V、又はY407Sから選択される、本発明1063の単離ヘテロ多量体。
[本発明1066]
T366位のアミノ酸改変が、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wから選択される、本発明1063の単離ヘテロ多量体。
[本発明1067]
変異体CH3ドメインが、約75℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約90%以上の純度を有する、本発明1063から1066までのいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1068]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、F405位のアミノ酸改変並びにアミノ酸改変L351Y及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1069]
第1のCH3ドメインポリペプチド又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、K392、T411、T366、L368、又はS400位にアミノ酸改変を含む、本発明1068の単離ヘテロ多量体。
[本発明1070]
F405位のアミノ酸改変が、F405A、F405I、F405M、F405T、F405S、F405V、又はF405Wである、本発明1068の単離ヘテロ多量体。
[本発明1071]
K392位のアミノ酸改変が、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eである、本発明1069の単離ヘテロ多量体。
[本発明1072]
T411位のアミノ酸改変が、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wである、本発明1069の単離ヘテロ多量体。
[本発明1073]
S400位のアミノ酸改変が、S400E、S400D、S400R、又はS400Kである、本発明1069の単離ヘテロ多量体。
[本発明1074]
T366位のアミノ酸改変が、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wである、本発明1069の単離ヘテロ多量体。
[本発明1075]
L368位のアミノ酸改変が、L368D、L368R、L368T、L368M、L368V、L368F、L368S、及びL368Aである、本発明1069の単離ヘテロ多量体。
[本発明1076]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1077]
第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L又はT366Iを含む、本発明1076の単離ヘテロ多量体。
[本発明1078]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1079]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M、及びT394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1080]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L及びT394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1081]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含む第1のCH3ドメインポリペプチドを含み、第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I及びT394Wを含む、上記単離ヘテロ多量体。
[本発明1082]
二重特異性抗体である、本発明1001から1003まで、1050、1058、1059、1063、1068、1076、1078、1079、1080、又は1081のいずれかのヘテロ多量体。
[本発明1083]
多重特異性抗体である、本発明1001から1003まで、1050、1058、1059、1063、1068、1076、1078、1079、1080、又は1081のいずれかのヘテロ多量体。
[本発明1084]
本発明1001から1003まで、1050、1058、1059、1063、1068、1076、1078、1079、1080、又は1081のいずれかのヘテロ多量体並びに薬学的に許容される担体を含む組成物。
[本発明1085]
本発明1001から1003まで、1050、1058、1059、1063、1068、1076、1078、1079、1080、又は1081のいずれかのヘテロ多量体をコードする核酸を含む宿主細胞。
[本発明1086]
少なくとも1つの治療用抗体を含む、本発明1001から1003まで、1050、1058、1059、1063、1068、1076、1078、1079、1080、又は1081のいずれかの単離ヘテロ多量体。
[本発明1087]
アバゴボマブ(abagovomab)、アダリムマブ、アレムツズマブ、アウログラブ(aurograb)、バピネオズマブ、バシリキシマブ、ベリムバブ(belimumab)、ベバシズマブ、ブリアキヌマブ(briakinumab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カツマキソマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、イピリムマブ、ルミリキシマブ、メポリズマブ、モタビズマブ(motavizumab)、ムロモナブ、ミコグラブ(mycograb)、ナタリズマブ、ニモツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、レスリズマブ(reslizumab)、リツキシマブ、テプリズマブ(teplizumab)、トシリズマブ/アトリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、Proxinium(商標)、Rencarex(商標)、ウステキヌマブ、及びザルツムマブからなる群から選択される少なくとも1つの治療用抗体を含む、本発明1001の単離ヘテロ多量体。
[本発明1088]
癌抗原によって特徴付けられる癌を有する患者における癌を治療する方法であって、治療有効量の本発明1086のヘテロ多量体を前記患者に投与することを含む、上記方法。
[本発明1089]
免疫抗原によって特徴付けられる免疫障害を有する患者における免疫障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明1086のヘテロ多量体を前記患者に投与することを含む、上記方法。
[本発明1090]
ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、増加した安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、表1、表6、又は表7において列挙される変異体から選択される、上記単離ヘテロ多量体。
CH3(上)、CH2(中央)及び受容体領域を示す野生型抗体の3−D構造の図である。CH3の標的領域の2つの領域、領域1及び領域2を示す右手側は、左手側の点線の長方形を拡大したものである。 368位の野生型残基を示す3−D表示の図である。 突然変異した368位を示す領域1の3−D表示の図である。 領域2中のさらなる突然変異の3−D表示の図である。 最初の3つの変異体AZ1、AZ2及びAZ3に関するクラッシュスコア、境界面積差、パッキング差、静電エネルギー差及び全体の「親和性スコア」のコンピューター計算の表である。 変異体AZ1の「上に構築された」変異体AZ2及びAZ3を示す3−D画像を示す図である。 AZ2及びAZ3変異体の3−D表示を示す図である。 図5と同様であるが、AZ1、AZ2及びAZ3ヘテロ二量体、並びにホモ二量体に関する表である。親和性スコアはホモ二量体には適さないため、ホモ二量体のその側面について示すスコアはない。 野生型(左)及び突然変異したAZ4(右側)の3−D表示を図示したものである。 AZ4ヘテロ二量体及びホモ二量体のコンピューター計算を示す図5と同様の表である。 CH3変異体AZ5(左)及びAZ6(右)を図示したものである。 AZ4、AZ5及びAZ6に関するコンピューターによるデータを示す図5について記載された表である。 ヘテロ二量体手法を用いて受容体領域での結合特性の可能性を図示したものと共に、左側に抗体の3−D表示を図示したものである。 IgG分子の略図である。 Fcγ受容体の複数の配列アラインメントを示す図である。Genebank/Uniprot Sequence ID:FcγRIIA(sp P12318)、FcγRIIB(sp P31994)、FcγRIIC(gi 126116592)、FcγRIIIA(sp P08637)、FcγRIIIB(sp O75015)。 Fc−FcγRIIIb複合体[PDB ID:1T83、Radaev & Sun]の結晶構造の略図である。Fc及びFcγ受容体の1:1複合体が、Fcの2つの鎖とFcγRとの間の非対称的接触と共に観察される。 非対称性Fc足場に基づく選択的多機能分子:非対称性Fc足場及び非対称性Fc単量体IgGアームの略図である。 非対称性Fc足場に基づく選択的多機能分子:非対称性Fc−一特異的IgGアーム及び非対称性Fc−二特異的IgGアーム(共通の軽鎖)の略図である。 非対称性Fc足場に基づく選択的多機能分子の略図である。非対称性Fc−二特異的IgGアーム及び毒素などの機能的分子。 非対称性Fc足場に基づく選択的多機能分子:非対称性Fc−単一scFvアーム及び非対称性Fc−二特異的scFvアームの略図である。 非対称性Fc足場に基づく選択的多機能分子:非対称性Fc−三特異的scFvアーム及び非対称性Fc−四特異的scFvアームの略図である。 より良好なFcγR選択性のためのFcのある面上での突然変異の非対称的設計が、FcγR相互作用のための生産側及び野生型様相互作用に関する非生産面を導入することを示す図である。Fcの非生産面上に突然変異を導入してFcRとの相互作用を遮断し、生産面上でのみ相互作用するようにFcのバイアス極性を導入することができる。 野生型ヒトIgG1のアミノ酸配列を示す図である。 以下に詳細に記載される正及び負の設計戦略を組み合わせるFcヘテロ二量体設計の反復プロセスを示す図である。 ヘテロ二量体の純度を決定するのに用いられたin vitroアッセイを示す図である。このアッセイは、異なる分子量の2つのFc重鎖を有する完全長一特異的抗体足場に基づくものである;重鎖AはC末端のHisTag(His)を有し、重鎖BはC末端の切断可能なmRFP Tag(RFP)を有する。2つの重鎖A(His)及びB(RFP)は、固定量の軽鎖と一緒に異なる相対比で発現され、異なる分子量を有する3つの可能な二量体種:a)ホモ二量体鎖A(His)/鎖A(His)(約150kDa);b)ヘテロ二量体鎖A(His)/鎖B(RFP)(約175kDa);c)ホモ二量体鎖B(RFP)/鎖B(RFP)(約200kDa)を生じる。発現後、例2に記載のように、ヘテロ二量体と2つのホモ二量体の比率は、分子量による3つの二量体種の分離を可能にする非還元的SDS−PAGEによって決定された。SDS−PAGEゲルはクマシーブリリアントブルーで染色した。 試験した変異体はWT鎖A(His)のみ;WT鎖B(RFP)のみ;WT鎖(His)及び鎖B(RFP);95%を超える報告されたヘテロ二量体純度を有する対照1鎖A(His)及び鎖B(RFP)であった。二量体のバンドの組成を、上記で例示されたようなIgG−Fc(抗Fc)、mRFP Tag(抗mRFP)及びHisTag(抗His)に対する抗体を用いるウェスタンブロットによって検証した。SDS−PAGEは、His/Hisホモ二量体の単一のバンド、His/RFPヘテロ二量体の二重バンド及びRFPホモ二量体の多重バンドを示す。多重バンドはmRFP Tagのアーチファクトであり、Fcヘテロ二量体の物理特性に影響しないことが確認された。 ヘテロ二量体の純度を決定するのに用いられたin vitroアッセイを示す図である。このアッセイは、異なる分子量の2つのFc重鎖を有する完全長一特異的抗体足場に基づくものである;重鎖AはC末端のHisTag(His)を有し、重鎖BはC末端の切断可能なmRFP Tag(RFP)を有する。2つの重鎖A(His)及びB(RFP)は、固定量の軽鎖と一緒に異なる相対比で発現され、異なる分子量を有する3つの可能な二量体種:a)ホモ二量体鎖A(His)/鎖A(His)(約150kDa);b)ヘテロ二量体鎖A(His)/鎖B(RFP)(約175kDa);c)ホモ二量体鎖B(RFP)/鎖B(RFP)(約200kDa)を生じる。発現後、例2に記載のように、ヘテロ二量体対2つのホモ二量体の比率は、分子量による3つの二量体種の分離を可能にする非還元的SDS−PAGEによって決定された。SDS−PAGEゲルはクマシーブリリアントブルーで染色した。 SDS−PAGEアッセイを、対照として公開されたFcヘテロ二量体変異体対照1〜4を用いて検証した(表Aを参照されたい)。変異体は異なる相対比の鎖A(His)対鎖B(RFP)で発現された:具体的には、それぞれ、比1:3は、25%、10%、65%のLC、HC_His、HC_mRFP比に等しい;比1:1は25%、20%、55%及び比3:1は25%、40%、35%に等しい(鎖A(His)と鎖B(RFP)の見かけの1:1の発現はWT Fcについて20%/55%(His/RFP)に近いと決定された)。 ヘテロ二量体の純度を決定するのに用いられたin vitroアッセイを示す図である。このアッセイは、異なる分子量の2つのFc重鎖を有する完全長一特異的抗体足場に基づくものである;重鎖AはC末端のHisTag(His)を有し、重鎖BはC末端の切断可能なmRFP Tag(RFP)を有する。2つの重鎖A(His)及びB(RFP)は、固定量の軽鎖と一緒に異なる相対比で発現され、異なる分子量を有する3つの可能な二量体種:a)ホモ二量体鎖A(His)/鎖A(His)(約150kDa);b)ヘテロ二量体鎖A(His)/鎖B(RFP)(約175kDa);c)ホモ二量体鎖B(RFP)/鎖B(RFP)(約200kDa)を生じる。発現後、例2に記載のように、ヘテロ二量体対2つのホモ二量体の比率は、分子量による3つの二量体種の分離を可能にする非還元的SDS−PAGEによって決定された。SDS−PAGEゲルはクマシーブリリアントブルーで染色した。 足場1変異体のヘテロ二量体純度を決定するための非還元的SDS−PAGEアッセイを示す。Fc変異体は鎖A(His)対鎖B(RFP)の異なる相対比で発現され、図2に記載の非還元的SDS−PAGEによって分析された。具体的には、それぞれ、比1:3は25%、10%、65%のLC、HC_His、HC_mRFP比に等しい;比1:1は25%、20%、55%及び比3:1は25%、40%、35%に等しい(鎖A(His)と鎖B(RFP)の見かけの1:1の発現はWT Fcについて20%/55%(His/RFP)に近いと決定された。 特定の比の鎖A(His)対鎖B(RFP)で発現され(表2を参照されたい)、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製され、図25に記載のような非還元的SDS−PAGEにより分析されたFcヘテロ二量体変異体を示す図である。 異なる変異体をどのようにSDS−PAGEの結果の目視に基づいて純度のカテゴリーに入れたかを示す。比較のために、等量のプロテインA精製された生成物をゲル上に載せた。非還元的SDS−PAGEに基づくこの純度の定義は、選択された変異体に関するLC/MSによって確認された(図28を参照されたい)。 特定の比の鎖A(His)対鎖B(RFP)で発現され(表2を参照されたい)、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製され、図25に記載のような非還元的SDS−PAGEにより分析されたFcヘテロ二量体変異体を示す図である。 足場1及び2の選択されたプロテインA精製されたヘテロ二量体変異体(AZ94、AZ86、AZ70、AZ33及びAZ34)のSDS−PAGEの結果の例である。 2つの独立した方法を用いた、CH3−CH3ドメインの融解温度を決定するためのDSC分析を例示する図である。 サーモグラムを4つの独立した非2状態遷移に適合させ、最適化したところ、約72℃(CH2)及び約82℃(Fab)のハーセプチンに関して報告された文献の値に近いCH2及びFab遷移の値が得られた。 2つの独立した方法を用いた、CH3−CH3ドメインの融解温度を決定するためのDSC分析を例示する図である。 ヘテロ二量体変異体の正規化され、基準補正されたサーモグラムをWTから差し引いたところ、CH3遷移についてのみ正及び負のピーク差が得られた。 例2に記載された変異体例AZ70のLC/MS分析を示す図である。グリコシル化されたヘテロ二量体及びホモ二量体の予想される(計算上の平均)質量を示す。ヘテロ二量体質量と一致する領域はグリシンの喪失(−57Da)及び1個又は2個のヘキソースの付加(それぞれ+162Da及び+324Da)に対応する主要なピークを含有する。ヘテロ二量体純度は、いずれかのホモ二量体に対応する有意なピークが存在しない場合、90%を超えるものとして分類される。 WT Fc(図29A);AZ6(図29B);AZ33(図29C);AZ19(図29D)のCH3境界面を示す図である。詳細な説明の節に記載される包括的コンピューター分析、及び変異体とWTとの比較により、初期のAZ33ヘテロ二量体のWTより低い安定性の理由の1つがY407及びT366のコア相互作用/パッキングの喪失であることが示された。初期のAZ33は、図29Bに示される通りこの疎水性コアにおいて最適でないパッキングを示し、これは、この領域、特にT366での最適化がAZ33の安定性を改善することを示唆している。これはT366I及びT366Lと共に図29C及び図29Dに例示されている。実験データはこの構造分析と相関し、T366LがTmの最も大きい改善をもたらすことを示している。例5を参照されたい。 初期の足場1変異体AZ8で例示された、コンフォメーション動力学分析の有用性及び重要性を示す図である。コンピューターによる突然変異誘発後の構造(WTに近い骨格コンフォメーション)を、50ns分子動力学シミュレーション分析の代表的構造と重ね合わせる。本図面は、AZ8変異体と、同様に溶媒に対して疎水性コアを曝露させ、AZ8ヘテロ二量体の安定性の低下を引き起こすWTとのループ領域D399〜S400における大きなコンフォメーションの相違を強調する。 包括的コンピューター分析及びMDシミュレーションからの情報を、記載の正の設計戦略において用いた方法を示す図である。図30に示される通り、AZ8のWTより低い安定性の理由の1つは、ループ399〜400の409との弱くなった相互作用であり、これは主にF405パッキング相互作用の喪失に起因する(図31A(WT)と図31B(AZ8)との比較を参照されたい)。正の設計戦略の1つは、399〜400のループコンフォメーションを安定化させるための領域の疎水性パッキングの最適化であった。これは、図31Cに示されるK392M突然変異によって達成された。図31Cは、74℃のTmを有するヘテロ二量体AZ33と、68℃の初期の負の設計の変異体AZ8を表す。 分子動力学軌道の主成分分析を用いて観察されたFc分子の動力学を示す図である。図32Aは、参照としてFc構造の骨格トレースを示す。図32B及びCは、Fc構造における運動のトップ2の基本モードに沿って観察された動力学のオーバーレイを表す。鎖A及びBのCH2ドメインは、互いと比べて有意な開閉運動を示すが、CH3ドメインは比較的硬直的である。CH3境界面での突然変異は、CH2ドメインにおけるこの開閉運動の相対的可撓性及び動力学に影響する。 2つの足場2変異体とWTとの疎水性コアパッキングを示す図である。図33A(WT Fc);図33B(AZ63);及び図33C(AZ70)。初期足場2変異体の包括的コンピューター分析は、Y407−T366のコアWT相互作用の喪失が初期足場2変異体のWTより低い安定性の理由の1つであることを示唆した。Y407−T366の喪失は、突然変異K409Fによって一部相殺されるが、図33Bに示されるように、特にT366A突然変異は疎水性コア中に空洞を残し、変異体対WTを脱安定化する。図33C中のFc変異体AZ70により示されるように、さらなる突然変異T366V_L351Yによるこの疎水性コアの標的化が成功していることが分かった;AZ70は75.5℃の実験的に決定されたTmを有する。表4及び例6を参照されたい。 2つの足場2変異体とWTとのループ399〜400の相互作用を示す図である:図34A(WT Fc);図34B(AZ63);及び図34C(AZ94)。初期足場2変異体の包括的コンピューター分析は、突然変異K409Fに起因するWT塩−架橋K409−D399(図34A)の喪失及びしたがって満たされていないD399(図34B)が、399〜400ループのより「開いた」コンフォメーションを引き起こすことを示唆した。これはさらに、疎水性コアのより大きい溶媒曝露及び変異体対WTのさらなる脱安定化をもたらす。399〜400ループを安定化し、K409−D399相互作用の喪失を相殺するために用いられた戦略の1つは、変異体AZ94について図34Cに示されたさらなる塩架橋D399R−T411E及びS400R−K392Eの設計であった。実験データにより、95%を超える純度及び74℃のTmが示された。表4及び例6を参照されたい。さらに、AZ94は初期足場2変異体(純度90%未満、Tm 71℃)と比較してかなりより高い純度及び安定性を有するが、AZ94の疎水性コア突然変異は、変異体AZ70において同定された「最良の」疎水性コア突然変異よりもあまり好ましいものではない(図33)。AZ70中の疎水性コアでの突然変異(T366V_L351V)はループ399〜400でのAZ94の塩架橋突然変異から遠位であるため、AZ70アミノ酸突然変異とさらなるAZ94突然変異との組合せは、AZ70又はAZ94よりも高い融解温度を有することが予想される。この組合せは例1〜4に記載のように試験することができる。 ホモ二量体IgG1 Fc、ヘテロ二量体変異体het1(対照1):A:Y349C_T366S_L368A_Y407V/B:S354C_T366W及びhet2(対照4):6個のFcガンマ受容体に結合するA:K409D_K392D/B:D399K_D356Kの結合定数(Ka(M−1))を示す図である。ヘテロ二量体Fc変異体は、野生型IgG1 Fcと比較してわずかに変化したFcガンマ受容体への結合を示す傾向がある。例7を参照されたい。 参照としての野生型結合強度に基づく、野生型IgG1 Fc並びにIIbF、IIBY及びIIaR受容体に対するその様々なホモ二量体及び非対称突然変異形態の相対結合強度を示す図である。(ホモFc+S267D)は、ホモ二量体Fcと、両方の鎖上のS267D突然変異との結合強度を指す。(Het Fc+非対称S267D)は、ヘテロ二量体Fcと、Fc中の2つの鎖の一方に導入されたS267Dとの結合強度を指す。2つのFc鎖のいずれかに突然変異を導入することによって得られた結合強度の平均が報告される。一方の鎖上へのこの突然変異の導入は、ホモ二量体様式での同じ突然変異について観察された強度のおおよそ半分まで結合強度を低下させた。(Het Fc+非対称S267D+非対称E269K)は、ヘテロ二量体Fcと、2つのFc鎖の一方上に非対称様式で導入されたS267D及びE269K突然変異の両方との結合強度を指す。E269K突然変異は、FcgRと、Fcの表面の1つとの相互作用を遮断し、非対称S267D変異体(Het Fc+S267D)単独について観察されたもののおおよそ半分まで結合強度を低下させることができる。ここでHet Fcは、図35中の変異体het2(対照4)について示されたCH3突然変異から構成される。 様々なFc及びその変異体と、いくつかのFcgRIIa、FcgRIIb及びFcgRIIIaアロタイプとの結合定数(Ka(M−1))を示す図である。様々なFcg受容体に対する野生型IgG1 FcのKaを、水平の影付きのカラムとして表す。垂直の影付きのバー(ホモ二量体塩基2)は、ホモ二量体Fcと突然変異S239D/D265S/I332E/S298AとのKaを表す。斜線の影付きのカラムは、ヘテロ二量体Fcと、CH2ドメイン中の非対称突然変異A:S239D/D265S/I332E/E269K及びB:S239D/D265S/S298AとのKaを表す。非対称突然変異の導入は、IIIa受容体とIIa/IIb受容体との間の選択性の増加を達成することができる。ここでヘテロ二量体Fcは、図35中の変異体het2(対照4)について示されたCH3突然変異から構成される。 野生型IgG1及びFc領域のCH2ドメイン中にホモ二量体又は非対称突然変異を含む3つの他の変異体の結合定数(Ka(M−1))を示す図である。野生型FcのKaを、格子で影を付けたカラムで表す。Fcの両方の鎖上にホモ二量体様式(ホモ二量体塩基1)で導入された塩基突然変異S239D/K326E/A330L/I332E/S298Aを有するFc変異体のKaを、斜線パターンのカラムで示す。ヘテロ二量体Fc(ヘテロ塩基1)の鎖A及びB中への非対称様式での関連する突然変異の導入を水平の線で示す。垂直の影付きの線を有するカラムは、E269K突然変異(ヘテロ塩基1+PD)を含む非対称変異体を表す。ここでヘテロ二量体Fcは、図35中の変異体het2(対照4)について示されたCH3突然変異から構成される。 表6は足場1について例5に記載された第3の設計段階に基づく変異体CH3ドメインの一覧である。 表7は足場2について例6に記載された第3の設計段階に基づく変異体CH3ドメインの一覧である。
本発明は、ヘテロ二量体形成を促進する特異的なアミノ酸改変を含む改変CH3ドメインを提供する。一実施形態では、改変CH3ドメインが、ヘテロ二量体形成を促進する特異的なアミノ酸改変を含む(例えば表1を参照されたい)。他の実施形態では、改変CH3ドメインが、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進する特異的なアミノ酸改変を含む(例えば表4、表6、及び表7を参照されたい)。安定性は、CH3ドメインの融解温度(Tm)として測定され、安定性の増大は、約70℃以上のTmを指す。CH3ドメインは、ヘテロ多量体又は二重特異性抗体のFc領域の一部を形成する。したがって、一実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含むヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、ヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む改変又は変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、表1において列挙される変異体から選択される、ヘテロ多量体が、本明細書において提供される。第2の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含むヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約70℃以上の融解温度(Tm)を有する、ヘテロ多量体が提供される。
改変CH3ドメインを生成するために利用されてもよいアミノ酸改変は、アミノ酸挿入、欠失、置換、及び再配列を含むが、これらに限定されない。CH3ドメインの改変及び改変CH3ドメインは、「CH3改変」、「改変CH3ドメイン」、「変異体CH3ドメイン」、又は「CH3変異体」と本明細書においてまとめて呼ばれる。これらの改変CH3ドメインは、最適な分子の中に組み込まれてもよい。したがって、一実施形態では、改変CH3ドメインを組み込んでいるFc領域(本明細書において使用されるように、「Fc領域」及び同様の用語は、CH3ドメインの少なくとも1つの部分を含む任意の重鎖定常領域ドメインを包含する)を含む、分子、特にポリペプチド、より具体的には、免疫グロブリン(例えば抗体)、及び他の結合タンパク質が提供される。改変CH3ドメイン(例えば1つ又は複数のアミノ酸挿入、欠失、置換、又は再配列を含むCH3ドメイン)を含むFc領域を含む分子は、「Fc変異体」、「ヘテロ二量体」、又は「ヘテロ多量体」と本明細書において呼ばれる。本発明のFc変異体は、ヘテロ二量体Fc変異体又は領域を生成するように非対称的に改変されたCH3ドメインを含む。Fc領域は、2つの重鎖定常ドメインポリペプチド−A鎖及びB鎖を含み、これらは、Fc領域がそれぞれ、1つのA鎖及び1つのB鎖ポリペプチドを含むことを条件として、区別なく使用することができる。アミノ酸改変は、2つの改変CH3ドメインがFc変異体を形成する場合にヘテロ二量体をもたらす非対称性の方法においてCH3の中に導入される(例えば表1を参照されたい)。本明細書において使用されるように、非対称性のアミノ酸改変は、1つのポリペプチド(例えば「A鎖」)上の特定の位置のアミノ酸が、ヘテロ二量体又はFc変異体の同じ位置の第2のポリペプチド(例えば「B鎖」)上のアミノ酸とは異なる任意の改変である。これは、Fc変異体のA鎖及びB鎖由来の2つのアミノ酸のうちの1つのみの改変又は両方のアミノ酸の2つの異なるアミノ酸への改変の結果とすることができる。変異体CH3ドメインが1つ又は複数の非対称性のアミノ酸改変を含むことが理解される。
本発明の記載において、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、又は整数範囲は、他に示されない限り、記載される範囲内の任意の整数の値並びに適切な場合、その小数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むことを理解されたい。本明細書において使用されるように、「約」は、他に示されない限り、示される範囲、値、配列、又は構造の±10%を意味する。本明細書において使用される用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、他に示されない限り又はその文脈によって指示されない限り、「1つ又は複数の」数えられる構成成分を指すことを理解されたい。代替の(例えば「又は」)の使用は、代替物の一方、両方、又はその任意の組合せを意味することを理解されたい。本明細書において使用されるように、用語「含む(include)」及び「含む(comprise)」は、同義的に使用される。さらに、本明細書において記載される構造及び置換基(例えば変異体CH3ドメイン)の様々な組合せに由来する個々の単鎖ポリペプチド又はヘテロ二量体は、あたかも単鎖ポリペプチド又はヘテロ二量体がそれぞれ個々に記載されるのと同じ程度まで本出願によって開示されることを理解されたい。したがって、個々の単鎖ポリペプチド又はヘテロ二量体を形成するための特定の構成成分の選択は、本開示の範囲内にある。
「第1のポリペプチド」は、本明細書において「A鎖」とも呼ばれる、第2のポリペプチドと関連することとなる任意のポリペプチドである。第1及び第2のポリペプチドは、「境界面」で接触する。「第2のポリペプチド」は、本明細書において「B鎖」とも呼ばれる、「境界面」を介して第1のポリペプチドと関連することとなる任意のポリペプチドである。「境界面」は、第2のポリペプチドの境界面における1つ又は複数の「接触」アミノ酸残基と相互作用する、第1のポリペプチドにおける「接触」アミノ酸残基を含む。本明細書において使用されるように、境界面は、IgG抗体、最も好ましくはヒトIgG抗体に好ましくは由来するFc領域のCH3ドメインを含む。
本明細書において使用されるように、「単離」ヘテロ多量体は、同定され、その自然の細胞培養環境の構成成分から分離及び/又は回収されたヘテロ多量体を意味する。その自然環境の混入物の構成成分は、ヘテロ多量体についての診断上の又は治療上の使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含んでいてもよい。
変異体Fcヘテロ二量体は、実質的な均一性まで一般に精製される。語句「実質的に均一な」、「実質的に均一な形態」、及び「実質的な均一性」は、望ましくないポリペプチドの組合せ(例えばホモ二量体)に由来する副産物が産物に実質的にないことを示すために使用される。純度に関して表現されるように、実質的な均一性は、パーセンテージが重量によるものである場合、副産物の量が10%を超過しない、好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満であることを意味する。
抗体技術の当業者らによって理解される用語はそれぞれ、本明細書において明確に異なって定義されない限り、当技術分野において得られる意味が与えられる。抗体は、可変領域、ヒンジ領域、及び定常ドメインを有することが知られている。例えば、免疫グロブリン構造及び機能は、Harlowら編、Antibodies:A Laboratory Manual、Chapter14(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、1988)において概説される。
野生型ホモ二量体からの変異体Fcヘテロ二量体の設計は、安定性対特異性のバランスを保つことによる、タンパク質工学との関連における正及び負の設計の概念によって例証され、突然変異は、ポリペプチドが細胞培養条件において発現される場合に、ホモ二量体形成に対してヘテロ二量体形成を推進する目的で導入される。負の設計戦略は、一方の鎖上にかさ高い側鎖を導入し、反対の鎖上に小さな側鎖を導入すること、例えば、Genentech(Ridgway JB、Presta LG、Carter P.’Knobs−into−holes’engineering of antibody CH3 domains for heavy chain heterodimerization.Protein Eng.1996年7月;9(7):617〜21;Atwell S、Ridgway JB、Wells JA、Carter P.Stable heterodimers from remodeling the domain interface of a homodimer using a phage display library.J Mol Biol.270(1):26〜35(1997)))によって開発されたknobs−into−holes戦略によって又はホモ二量体形成の反発作用を導く静電エンジニアリング、例えば、Amgen(Gunaskekaran Kら Enhancing antibody Fc heterodimer formation through electrostatic steering effects:applications to bispecific molecules and monovalent IgG.JBC 285(25):19637〜19646(2010))によって開発された静電ステアリング戦略によって、ホモ二量体の形成にとって好ましくない相互作用を最大限にする。これらの2つの例において、負の設計による非対称性の点突然変異は、ヘテロ二量体形成を推進するために野生型CH3ドメインの中に導入された。現在までに、負の設計戦略のみが、Fcヘテロ二量体を開発するために使用されてきた。公開された結果は、負の設計アプローチのみを使用して設計されたヘテロ二量体が、>95%のヘテロ二量体を有する高度な特異性を導くが、複合体をかなり不安定にすることを示す(前掲)。これらの負の設計によるヘテロ二量体は、69℃以下の、改変CH3ドメインの融解温度を有し、野生型と比較して、さらなるジスルフィド結合がない。下記の表Aを参照されたい。
負の設計とは対照的に、タンパク質を操作するために使用される一般的な概念は、正の設計である。この場合、アミノ酸改変は、タンパク質内の又はタンパク質間の好ましい相互作用を最大限にするために、ポリペプチドの中に導入される。この戦略は、ホモ二量体に対する影響を無視して、所望のヘテロ二量体を特異的に安定化する複数の突然変異を導入する場合に、正味の効果が、ホモ二量体に対して、所望のヘテロ二量体相互作用についてより良い特異性、よって、より大きなヘテロ二量体特異性になるであろうということを想定する。タンパク質工学との関連において、正の設計戦略は、所望のタンパク質相互作用の安定性を最適化するが、>90%特異性をめったに達成しないことが理解される(Havranek JJ & Harbury PB.Automated design of specificity in molecular recognition.Nat Struct Biol.10(1):45〜52(2003);Bolon DN、Grant RA、Baker TA、Sauer RT.Specificity versus stability in computational protein design.Proc Natl Acad Sci USA.6;102(36):12724〜9(2005);Huang PS、Love JJ、Mayo SL.A de novo designed protein protein interface Protein Sci.16(12):2770〜4(2007))。また、したがって、現在までに、正の設計戦略は、特異性が治療用抗体の生産及び開発にとって安定性よりも重要であったので、Fcヘテロ二量体を設計するために使用されてこなかった。さらに、有益な正の設計による突然変異は、予測するのが困難になり得る。さらなるジスルフィド結合などのような安定性を改善するための他の方法論は、Fcヘテロ二量体における安定性を改善するために試みられてきたが、分子に対する改善の成功は限られたものであった。(表Aを参照されたい)これは、操作されたFc CH3ドメインジスルフィド結合がすべて、溶媒に曝露されているからである可能性があり、これは、ジスルフィド結合の短い寿命をもたらし、そのため、とりわけ、操作されたCH3ドメインがさらなるジスルフィド結合を伴わないで70℃未満のTmを有する場合、ヘテロ二量体の長期安定性に対して著しい影響をもたらす(ジスルフィドを伴わないで69℃のTmを有する対照4においてのように)(対照2を参照されたい)。ジスルフィド結合などのような安定性を改善するための他の方法論はまた、CH3ドメインの本質的な安定性(融解温度として測定される)が、ジスルフィド結合を伴わないで70℃以上であることを条件として、特に、CH3ドメインの本質的な安定性(融解温度として測定される)が、ジスルフィド結合を伴わないで72℃以上である場合、本発明のFc変異体でも用いることができることが企図される。
そのため、本発明者らは、本明細書において、安定しているだけでなくまた高度に特異的なヘテロ二量体形成をもたらすFcヘテロ二量体を設計するための新規な方法を開示する。この設計法は、構造及びコンピューターモデリングにより導かれるタンパク質工学技術と共に負及び正の両方の設計戦略を組み合わせる。この有力な方法は、本発明者らが、IgG1 CH3ドメインにおいて突然変異の新規な組合せを設計することを可能にし、標準的な細胞培養条件のみを使用して、ヘテロ二量体は、ホモ二量体と比較して90%を超える純度で形成され、結果として生じるヘテロ二量体は、70℃以上の融解温度を有した。例示的な実施形態では、Fc変異体ヘテロ二量体が、73℃以上の融解温度及び98%を超える純度を有する。他の例示的な実施形態では、Fc変異体ヘテロ二量体が、75℃以上の融解温度及び90%を超える純度を有する。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃以上の融解温度(Tm)を有する、単離ヘテロ多量体が提供される。本明細書において使用されるように、「安定性の増大」又は「安定したヘテロ二量体」は、約70℃以上の融解温度を有する、ヘテロ二量体形成中の変異体CH3ドメインを指す。さらに、用語「ヘテロ二量体形成を促進する」は、本明細書において、ホモ二量体形成と比較して、90%を超えるヘテロ二量体形成をもたらす、CH3ドメインにおけるアミノ酸突然変異を指すことが理解される。
さらなる実施形態では、この安定性の増大は、さらなるジスルフィド結合の非存在下におけるものである。具体的には、安定性の増大は、CH3ドメインにおけるさらなるジスルフィド結合の非存在下におけるものである。一実施形態では、変異体CH3ドメインが、野生型CH3ドメインと比較して、さらなるジスルフィド結合を含まない。代替の実施形態では、変異体CH3がジスルフィド結合の非存在下において70℃以上の融解温度を有することを条件として、変異体CH3が野生型CH3ドメインと比較して、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む。一実施形態では、変異体CH3ドメインが、野生型CH3ドメインと比較して少なくとも1つのジスルフィド結合を含み、変異体CH3ドメインが、約77.5℃以上の融解温度(Tm)を有する。一実施形態では、変異体CH3ドメインが、野生型CH3ドメインと比較して少なくとも1つのジスルフィド結合を含み、変異体CH3ドメインが、約78℃以上の融解温度(Tm)を有する。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、野生型CH3ドメインと比較して少なくとも1つのジスルフィド結合を含み、変異体CH3ドメインは、約78℃を超える又は約78.5℃を超える又は約79℃を超える又は約79.5℃を超える又は約80℃を超える又は約80.5℃を超える又は約81℃を超える融解温度(Tm)を有する。
一実施形態では、変異体CH3ドメインが、約70℃を超える又は約70.5℃を超える又は約71℃を超える又は約71.5℃を超える又は約72℃を超える又は約72.5℃を超える又は約73℃を超える又は約73.5℃を超える又は約74℃を超える又は約74.5℃を超える又は約75℃を超える又は約75.5℃を超える又は約76℃を超える又は約76.5℃を超える又は約77℃を超える又は約77.5℃を超える又は約78℃を超える又は約78.5℃を超える又は約79℃を超える又は約79.5℃を超える又は約80℃を超える又は約80.5℃を超える又は約81℃を超える融解温度を有する。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、約70℃又は約70.5℃又は約71℃又は約71.5℃又は約72℃又は約72.5℃又は約73℃又は約73.5℃又は約74℃又は約74.5℃又は約75℃又は約75.5℃又は約76℃又は約76.5℃又は約77℃又は約77.5℃又は約78℃又は約78.5℃又は約79℃又は約79.5℃又は約80℃又は約80.5℃又は約81℃の融解温度を有する。さらに他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、約70℃〜約81℃又は約70.5℃〜約81℃又は約71℃〜約81℃又は約71.5℃〜約81℃又は約72℃〜約81℃又は約72.5℃〜約81℃又は約73℃〜約81℃又は約73.5℃〜約81℃又は約74℃〜約81℃又は約74.5℃〜約81℃又は約75℃〜約81℃又は約75.5℃〜約81℃又は76℃〜約81℃又は約76.5℃〜約81℃又は約77℃〜約81℃又は約77.5℃〜約81℃又は約78℃〜約81℃又は約78.5℃〜約81℃又は約79℃〜約81℃の融解温度を有する。さらに他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、約71℃〜約76℃又は約72℃〜約76℃又は約73℃〜約76℃又は約74℃〜約76℃の融解温度を有する。
改善された安定性に加えて、ヘテロ二量体Fc領域は、ヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含む。ヘテロ二量体形成を促進するこれらのアミノ酸突然変異が、ホモ二量体形成と比較される通りであることが理解される。ホモ二量体形成と比較したこのヘテロ二量体形成は、「純度」若しくは「特異性」又は「ヘテロ二量体純度」若しくは「ヘテロ二量体特異性」として一緒に本明細書において言及される。ヘテロ二量体純度は、ヘテロ二量体種の選択的な精製の前の、標準的な細胞培養条件下で溶液中で形成されるホモ二量体種と比較した、形成される所望のヘテロ二量体のパーセンテージを指すことが理解される。例えば、90%のヘテロ二量体純度は、溶液中の二量体種の90%が所望のヘテロ二量体であることを示す。一実施形態では、Fc変異体ヘテロ二量体が、約90%を超える又は約91%を超える又は約92%を超える又は約93%を超える又は約94%を超える又は約95%を超える又は約96%を超える又は約97%を超える又は約98%を超える又は約99%を超える純度を有する。他の実施形態では、Fc変異体ヘテロ二量体が、約90%又は約91%又は約92%又は約93%又は約94%又は約95%又は約96%又は約97%又は約98%又は約99%又は約100%の純度を有する。
特定の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃以上の融解温度(Tm)を有し、結果として生じるヘテロ二量体が、90%を超える純度を有する、単離ヘテロ多量体。一態様では、結果として生じるFc変異体ヘテロ二量体が、90%を超える純度を有し、変異体CH3ドメインが、約70℃を超える又は約71℃を超える又は約72℃を超える又は約73℃を超える又は約74℃を超える又は約75℃を超える又は約76℃を超える又は約77℃を超える又は約78℃を超える又は約79℃を超える又は約80℃を超える又は約81℃を超える融解温度を有する。さらなる態様では、変異体CH3ドメインが、70℃以上の融解温度を有し、結果として生じるFc変異体ヘテロ二量体が、約90%を超える又は約91%を超える又は約92%を超える又は約93%を超える又は約94%を超える又は約95%を超える又は約96%を超える又は約97%を超える又は約98%を超える又は約99%を超える純度を有する。
改善された安定性及び純度を有するこれらのFc変異体を設計するために、本発明者らは、正及び負の設計戦略のうちで最も好結果の組合せを選択するために、コンピューター設計及び実験スクリーニングの反復プロセスを用いた(図24を参照されたい)。
具体的には、最初の設計段階では、異なる負の設計によるFc変異体ヘテロ二量体を作製し、例1〜3において記載されるように発現及び安定性について試験した。最初の設計段階は、Fc変異体ヘテロ二量体AZ1〜AZ16を含んだ(表1を参照されたい)。低い安定性(例えば71℃未満のTm)を有することが予想された、負の設計によるFc変異体ヘテロ二量体のこの最初のセットから、90%を超える純度及び約68℃以上の融解温度を有するFc変異体ヘテロ二量体をさらなる開発のために選択した。これは、Fc変異体ヘテロ二量体AZ6、AZ8、及びAZ15を含んだ。第2の設計段階では、それらの選択されたFc変異体ヘテロ二量体は、詳細なコンピューター及び構造解析後に、正の設計戦略を使用して、安定性及び純度の両方を上昇させるようにさらに改変した。選択されたFc変異体ヘテロ二量体(AZ6、AZ8、及びAZ15)はそれぞれ、これらのFc変異体がIgG1について81℃である野生型Fcホモ二量体よりも低い安定性を有する構造の理由を同定するために、コンピューターによる方法及び包括的な構造機能解析を用いて解析した。Fc変異体ヘテロ二量体及びTm値のリストについての表4を参照されたい。
ある実施形態では、変異体CH3ドメインが、AZ1又はAZ2又はAZ3又はAZ4又はAZ5又はAZ6又はAZ7又はAZ8又はAZ9又はAZ10又はAZ11又はAZ12又はAZ13又はAZ14又はAZ15又はAZ16から選択される。選択される実施形態では、変異体CH3ドメインが、AZ6又はAZ8又はAZ15である。
コンピューターツール及び構造機能解析は、分子動態解析(MD)、側鎖/主鎖再パッキング(re−packing)、ナレッジベースポテンシャル(Knowledge Base Potential)(KBP)、空洞及び(疎水性)パッキング解析(cavity and(hydrophobic)packing analysis)(LJ、CCSD、SASA、dSASA(炭素/全原子))、静電GB計算(electrostatic−GB calculation)、並びに結合解析(coupling analysis)を含んだが、これらに限定されなかった。(コンピューター戦略の概要については図24を参照されたい)
本発明者らのタンパク質工学アプローチの態様は、X線結晶解析に由来するFc IgGタンパク質の構造の情報を、CH3ドメインの野生型及び変異体形態のコンピューターモデリング及びシミュレーションと組み合わせることに依存した。これは、本発明者らが、個々のアミノ酸の可能性のある役割及びそれらの協同的な作用についての新規な構造及び物理化学的見識を得ることを可能にした。それらの安定性及び純度に関係する、結果として生じる経験的なデータと共に、複数の変異体CH3ドメインから得られた構造及び物理化学的見識は、本発明者らが、Fcホモ二量体及びシミュレートされた構造モデルと比較した、Fcヘテロ二量体の純度及び安定性の関係についての理解を進展させるのを支援した。本発明者らのシミュレーションを実行するために、本発明者らは、完全で現実的なモデルを構築し、IgG1抗体の野生型Fc構造の品質を改良することから開始した。X線結晶解析に由来するタンパク質構造は、生理的条件下の水性媒体におけるタンパク質のある特徴に関する細部を欠いており、本発明者らの改良方法により、これらの限界について検討した。これらは、タンパク質構造の欠けている領域、多くの場合、ループ及びいくつかの残基側鎖などのようなタンパク質の可動性の部分を構築すること、中性及び荷電残基のプロトン化状態並びにタンパク質と関連する可能性のある機能的に関連する水分子の配置を評価し、定めることを含む。
分子動態(MD)アルゴリズムは、水性環境におけるFcホモ二量体及び変異体CH3ドメインの本質的な動的な性質を評価するために、タンパク質構造をシミュレートすることによる、本発明者らが使用した1つのツールである。分子動態シミュレーションは、タンパク質及びその局所的な環境におけるすべての原子要素、この場合、Fc及びその周囲の水分子を構成する原子の間に作用する相互作用及び力から生じる運動に起因する分子の動的な軌道を追跡する。分子動態シミュレーションの後に、Fcホモ二量体及び変異体Fcヘテロ二量体の構造の及び動的な特徴の見識を得るために軌道の様々な側面を解析し、本発明者らは、分子の純度及び安定性の両方を改善するために、特異的なアミノ酸突然変異を同定するためにこれらを使用した。
そのため、生成されたMDの軌道は、Fc構造における運動の本質的な低頻度のモードを明らかにするために主成分分析などのような方法を使用して研究した。これは、タンパク質の可能性のあるコンフォメーションの準安定状態についての見識を提供する(図32を参照されたい)。Fc領域におけるA鎖及びB鎖の間の決定的なタンパク質間相互作用が、CH3ドメインの境界面で起こるが、本発明者らのシミュレーションは、この境界面が、互いに関してCH2ドメインのN末端の「開口」及び「閉鎖」に関係する運動においてかなめとして作用することを示した。CH2ドメインは、図16において見られるように、この末端でFcgRと相互作用する。したがって、理論によって束縛されることを望むものではないが、CH3境界面でのアミノ酸突然変異の導入は、FcのN末端での開/閉運動の大きさ及び性質、そのため、FcがFcgRと相互作用する方法に影響を与えるように思われる。例4及び表5を参照されたい。
生成されたMDの軌道はまた、それらの可動性のプロファイリング及びそれらの環境の解析に基づいて、Fc構造における特定のアミノ酸残基位置の変異性を決定するために研究した。このアルゴリズムは、本発明者らが、タンパク質構造及び機能に影響を及ぼし得る残基を同定することを可能にし、変異体CH3ドメインの続く設計段階のための残基の特徴及び変異性に対するユニークな見識を提供した。この解析はまた、本発明者らが、複数のシミュレーションを比較し、プロファイリング後の異常値に基づいて変異性を評価することを可能にした。
生成されたMDの軌道はまた、タンパク質における相互に関係する残基運動及びそれらの間の結合の結果としての残基のネットワークの形成を決定するためにも研究した。Fc構造内の残基の動的な相関及びネットワークの発見は、動的な要素としてタンパク質を理解し、遠位部位の突然変異の影響についての見識を進展させるのに決定的なステップとなる。例えば例6を参照されたい。
したがって、本発明者らは、突然変異の部位の局所的な環境に対する突然変異の影響を詳細に研究した。A鎖及びB鎖の間のCH3境界面で十分にパッキングされたコアの形成は、安定したFc構造における2つの鎖の自発的なペアリングにとって重要である。好適なパッキングは、接触する基の間の好ましい相互作用により結合する相互作用分子パートナーの間の強力な構造の相補性の結果である。好ましい相互作用は、溶媒曝露から十分に離れた埋没した疎水性接触及び/又は親水性極性基の間の相補的な静電接触の形成に起因する。これらの疎水性及び親水性接触は、CH3境界面での二量体形成の自由エネルギーに対してエントロピー及びエンタルピー寄与を有する。本発明者らは、A鎖及びB鎖の間のCH3境界面でのパッキングを正確にモデル化し、続いて、多くの関連する物理化学的特性をスコア化することによって境界面の熱力学的特性を評価するために様々なアルゴリズムを用いる。
本発明者らは、本発明者らがコンピューターによりスクリーニングした多くの変異体についてのモデル構造を最適化し、調製するために可動性の主鎖を含む多くのタンパク質パッキング法を用いた。パッキングの後に、本発明者らは、接触密度、衝突スコア、水素結合、疎水性、及び静電気を含む多くの事項を評価した。溶媒和モデルの使用は、本発明者らが、溶媒環境の影響をより正確に検討し、代替の残基タイプへのタンパク質における特定の位置の突然変異の後に自由エネルギー差異を対比するのを可能にした。接触密度及び衝突スコアは、相補性の基準、有効なタンパク質パッキングの決定的な側面を提供する。これらのスクリーニング法は、ナレッジベースポテンシャル又はペアの残基相互作用エネルギー及びエントロピー計算に依存する結合解析手法の適用に基づく。
この包括的なin silicoにおける解析は、境界面ホットスポット、非対称性の部位、空洞及びパッキングが不十分な領域、個々の部位の構造の動態、及び局所的なアンフォールディングの部位に関して、野生型と比較した、それぞれのFc変異体の差異についての詳細な理解を提供した。記載されるコンピューター解析の結果についてのこれらの組合せは、最適化されておらず、組み合わせて、より低い安定性(例えば68℃のTm)及び/又は<90%純度のより低い特異性の原因となる特定の残基、配列/構造モチーフ、及び空洞を同定した。第2の設計段階では、本発明者らは、さらなる点突然変異によって、これらの仮説について特に検討するために、標的とする正の設計を使用し、上記に記載される方法論及び解析を使用して、in silicoエンジニアリングによってこれらを試験した(図24を参照されたい)。段階2におけるそれぞれの標的とする設計について安定性及び純度を改善するために設計したFc変異体ヘテロ二量体(Fc変異体ヘテロ二量体AZ17〜AZ101)は、例1〜4において記載されるように発現及び安定性について実験的に検証した。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、AZ17、又はAZ18、又はAZ19、又はAZ20、又はAZ21、又はAZ22、又はAZ23、又はAZ24、又はAZ25、又はAZ26、又はAZ27、又はAZ28、又はAZ29、又はAZ30、又はAZ21、又はAZ32、又はAZ33、又はAZ34、又はAZ35、又はAZ36、又はAZ37、又はAZ38、又はAZ39、又はAZ40、又はAZ41、又はAZ42、又はAZ43、又はAZ44、又はAZ45、又はAZ46、又はAZ47、又はAZ48、又はAZ49、又はAZ50、又はAZ51、又はAZ52、又はAZ53、又はAZ54、又はAZ55、又はAZ56又はAZ57、又はAZ58、又はAZ59、又はAZ60、又はAZ61、又はAZ62、又はAZ63、又はAZ64、又はAZ65、又はAZ66、又はAZ67、又はAZ68、又はAZ69、又はAZ70、又はAZ71、又はAZ72、又はAZ73、又はAZ74、又はAZ75、又はAZ76、又はAZ77、又はAZ78、又はAZ79、又はAZ80、又はAZ81、又はAZ82、又はAZ83、又はAZ84、又はAZ85、又はAZ86、又はAZ87、又はAZ88、又はAZ89、又はAZ90、又はAZ91、又はAZ92、又はAZ93、又はAZ94、又はAZ95、又はAZ96、又はAZ97、又はAZ98、又はAZ99、又はAZ100又はAZ101である、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。例示的な実施形態では、変異体CH3ドメインが、AZ17、又はAZ18、又はAZ19、又はAZ20、又はAZ21、又はAZ22、又はAZ23、又はAZ24、又はAZ25、又はAZ26、又はAZ27、又はAZ28、又はAZ29、又はAZ30、又はAZ21、又はAZ32、又はAZ33、又はAZ34、又はAZ38、又はAZ42、又はAZ43、又はAZ 44、又はAZ45、又はAZ46、又はAZ47、又はAZ48、又はAZ49、又はAZ50、又はAZ52、又はAZ53、又はAZ54、又はAZ58、又はAZ59、又はAZ60、又はAZ61、又はAZ62、又はAZ63、又はAZ64、又はAZ65、又はAZ66、又はAZ67、又はAZ68、又はAZ69、又はAZ70、又はAZ71、又はAZ72、又はAZ73、又はAZ74、又はAZ75、又はAZ76、又はAZ77、又はAZ78、又はAZ79、又はAZ81、又はAZ82、又はAZ83、又はAZ84、又はAZ85、又はAZ86、又はAZ87、又はAZ88、又はAZ89、又はAZ91、又はAZ92、又はAZ93、又はAZ94、又はAZ95、又はAZ98、又はAZ99、又はAZ100又はAZ101である。特定の実施形態では、変異体CH3ドメインが、AZ33又はAZ34である。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、AZ70又はAZ90である。
例示的な実施形態では、CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む。他の実施形態では、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、S400E、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、N390R、K392M、及びT394Wを含む。
コンピューター構造機能解析、標的エンジニアリング、及び実験検証のこの反復プロセスは、続く設計段階において、表1において列挙される残りのFc変異体を設計するために使用し、90%を超える純度及び70℃を超えるCH3ドメイン融解温度を有する安定性が増大したFc変異体ヘテロ二量体がもたらされた。ある実施形態では、Fc変異体が、AZ1〜AZ136から選択されるアミノ酸突然変異を含む。さらなる実施形態では、Fc変異体が、表4において列挙されるFc変異体から選択されるアミノ酸突然変異を含む。
第1及び第2の設計段階から、2つのコア足場、足場1及び足場2が、同定され、Fc変異体ヘテロ二量体の純度及び安定性を微調整するために、さらなるアミノ酸改変をこれらの足場の中に導入した。AZ8、AZ17〜62、及び表6において列挙される変異体を含む足場1の開発の詳細な説明については、例5を参照されたい。AZ15及びAZ63〜101並びに表7において列挙される変異体を含む足場2の開発の詳細な説明については、例6を参照されたい。
足場1のコア突然変異は、L351Y_F405A_Y407V/T394Wを含む。足場1aは、アミノ酸突然変異T366I_K392M_T394W/F405A_Y407Vを含み、足場1bは、アミノ酸突然変異T366L_K392M_T394W/F405A_Y407Vを含む。例5を参照されたい。
ある実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含む。一態様では、変異体CH3ドメインが、F405及び/又はK392位に点突然変異をさらに含む。
K392位のこれらの突然変異は、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eを含むが、これらに限定されない。F405位のこれらの突然変異は、F405I、F405M、F405S、F405S、F405V、又はF405Wを含むが、これらに限定されない。他の態様では、変異体CH3ドメインが、T411及び/又はS400位に点突然変異をさらに含む。T411位のこれらの突然変異は、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wを含むが、これらに限定されない。S400位のこれらの突然変異は、S400E、S400D、S400R、又はS400Kを含むが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T394Wを含み、第1及び/又は第2のポリペプチドが、T366及び/又はL368位にさらなるアミノ酸改変を含む。T366位のこれらの突然変異は、T366A、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wを含むが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、T366位のアミノ酸突然変異が、T366Iである。他の例示的な実施形態では、T366位のアミノ酸突然変異が、T366Lである。L368位の突然変異は、L368D、L368R、L368T、L368M、L368V、L368F、L368S、及びL368Aを含むが、これらに限定されない。
ある実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366L及びT394Wを含む。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I及びT394Wを含む。
ある他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M、及びT394Wを含む。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A、及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む。
さらに他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M、及びT394Wを含む。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M、及びT394Wを含む。
ある実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366L及びT394Wを含む。他の実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変F405A及びY407Vを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366I及びT394Wを含む。
例示的な実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約98%以上の純度を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有し、変異体CH3ドメインが、表6から選択される、単離ヘテロ多量体。
足場2のコア突然変異は、L351Y_Y407A/T366A_K409Fを含む。足場2aは、アミノ酸突然変異L351Y_Y407A/T366V_K409Fを含み、足場2bは、アミノ酸突然変異Y407A/T366A_K409Fを含む。例6を参照されたい。
ある実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366A及びK409Fを含む。一態様では、変異体CH3ドメインが、T366、L351、及びY407位に点突然変異をさらに含む。T366位のこれらの突然変異は、T366I、T366L、T366M、T366Y、T366S、T366C、T366V、又はT366Wを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、T366位の突然変異が、T366Vである。L351位の突然変異は、L351I、L351D、L351R、又はL351Fを含むが、これらに限定されない。Y407位の突然変異は、Y407V又はY407Sを含むが、これらに限定されない。表1及び表4及び例6におけるCH3変異体AZ63〜AZ70を参照されたい。
例示的な実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366V及びK409Fを含む。
例示的な実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約75.5℃以上の融解温度(Tm)を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約75℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約90%以上の純度を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。
他のある実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366A及びK409Fを含み、変異体CH3ドメインが、T411、D399、S400、F405、N390、及び/又はK392位に1つ又は複数のアミノ酸改変を含む。D399位のこれらの突然変異は、D399R、D399W、D399Y、又はD399Kを含むが、これらに限定されない。T411位の突然変異は、T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E、又はT411Wを含むが、これらに限定されない。S400位の突然変異は、S400E、S400D、S400R、又はS400Kを含むが、これらに限定されない。F405位の突然変異は、F405I、F405M、F405S、F405S、F405V、又はF405Wを含むが、これらに限定されない。N390位の突然変異は、N390R、N390K、又はN390Dを含むが、これらに限定されない。K392位の突然変異は、K392V、K392M、K392R、K392L、K392F、又はK392Eを含むが、これらに限定されない。表1及び表4及び例6におけるCH3変異体AZ71〜101を参照されたい。
例示的な実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み(本明細書においてA鎖及びB鎖とも呼ばれる)、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366A及びK409Fを含む。一態様では、この変異体CH3ドメインが、アミノ酸改変K392E、T411E、D399R、及びS400Rをさらに含む。さらなる実施形態では、変異体CH3ドメインが、第1及び第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400R、及びY407Aを含み、第2のポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409F、K392E、及びT411Eを含む。
例示的な実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。他の実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、約74℃以上の融解温度(Tm)を有し、ヘテロ二量体が、約95%以上の純度を有する、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有し、変異体CH3ドメインが、表7から選択される、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。
さらに、改善された安定性及び純度を有するFc変異体ヘテロ二量体を設計するこの新しい方法は、Fc領域の他のクラス及びアイソタイプに適用することができる。ある実施形態では、Fc領域が、ヒトIgG Fc領域である。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fc領域が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域が、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリン由来のものである。いくつかの実施形態では、IgGが、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、及びIgG4からなる群から選択されるサブタイプである。











本明細書において定義されるFc領域は、CH3ドメイン又はその断片を含み、ヒンジ、CH1、又はCH2を含む、1つ又は複数の追加定常領域ドメイン又はその断片をさらに含んでいてもよい。Fcアミノ酸残基のナンバリングは、Kabatら、1991、NIH Publication 91〜3242、National Technical Information Service、Springfield、VaにあるようなEUインデックスのナンバリングであることが理解されるであろう。「Kabatにおいて記載されるEUインデックス」は、ヒトIgG1 Kabat抗体のEUインデックスナンバリングを指す。便宜上、表Bは、ヒトIgG1由来のCH2及びCH3ドメインのKabatにおいて記載されるEUインデックスに従ってナンバリングされたアミノ酸を提供する。
ある実施形態では、Fc変異体が、CH2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインが、変異体CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、変異体CH2ドメインが、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖において非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、当該ヘテロ多量体の一方の鎖がFc受容体に選択的に結合するように、CH2ドメイン中に非対称性のアミノ酸置換を含む。
ある実施形態では、ヘテロ多量体が、Fc受容体に選択的に結合する。いくつかの実施形態では、Fc受容体が、Fcγ受容体ファミリーのメンバーである。いくつかの実施形態では、受容体が、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、及びFcγRIIIbから選択される。一実施形態では、CH2ドメインが、Fcガンマ受容体への選択的な結合を促進する非対称性のアミノ酸改変を含む。
いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIIaに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S267D、K392D、及びK409Dから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIaに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S239D、K326E、A330L、及びI332Eから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIbに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S239D、D265S、E269K、及びI332Eから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIIa及びFcγRIIaに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S239D、D265S、及びS298Aから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIIa及びFcγRIIbに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S239D、S298A、K326E、A330L、及びI332Eから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、FcγRIIa及びFcγRIIbに選択的に結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ多量体が、S239D、D265S、S298A、及びI332Eから選択される非対称性のアミノ酸置換を含む。
ある実施形態では、本明細書において記載されるヘテロ多量体を含む多機能性治療薬を設計する方法がある。いくつかの実施形態では、変異体Fcヘテロ二量体を含む二機能性治療薬を設計する方法がある。いくつかの実施形態では、CH3ドメインにおける突然変異により誘導される変異体Fcヘテロ二量体のCH2ドメインにおける非対称性の突然変異の設計のための方法がある。いくつかの実施形態では、非対称性のFcにおける突然変異に基づく、異なるFcガンマ受容体についての選択性を設計するための方法がある。ある実施形態では、Fc分子の一方の面へのFcガンマ受容体の結合を偏らせる突然変異を設計するための方法がある。ある実施形態では、本明細書において記載されるヘテロ多量体の非対称性のFc足場の一方の面のみと相互作用するようにFcγ受容体を偏らせる極性ドライバー(polarity driver)を設計するための方法がある。
いくつかの実施形態では、優先的なFcガンマ受容体選択性プロファイルを導く、非対称性のFcのCH2ドメインにおける突然変異を含むポリペプチドが、提供される。いくつかの実施形態では、CH3ドメインにおける突然変異が、ヘテロ二量体Fcの優先的な形成を導く。ある実施形態では、本明細書において記載される非対称性のFcに基づいて二重特異性治療成分を設計するための方法がある。ある実施形態では、本明細書において記載される非対称性のFcに基づいて多重特異性治療成分を設計するための方法がある。
IgGなどのようなモノクローナル抗体は、2つの等価な重ポリペプチド鎖及び2つの軽ポリペプチド鎖から構成される対称な分子であり(図14)、それぞれ、複数の免疫グロブリン(Ig)構造ドメインを含む。mAbのIgGクラスは、4つのアイソフォーム、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のうちの1つで存在する。それぞれ、重鎖は、4つの(VH、CH1、CH2、及びCH3)Igドメインから構成され、軽鎖は、2つの(VL及びCL)Igドメインから構成される。重鎖のそれぞれからのVH及びCH1ドメインは、mAbの2つのFab(「抗原結合断片」)アームを形成するために、軽鎖のVL及びCLドメインと組み合わせる。2つの重鎖のCH3及びCH2ドメインは、ホモ二量体Fc(「結晶化可能な断片」)領域を形成するために、CH3ドメインにわたるタンパク質間接触及びCH2ドメインにおけるグリコシル化を介して相互作用する。抗体のCH1及びCH2ドメインの間のリンカー領域は、抗体分子のヒンジ領域を構成する。mAbのFab及びFc領域をつなぐこととは別に、ヒンジはまた、2つの重鎖にわたるジスルフィド結合を維持し、それらを一緒に保持する。ヒンジ領域におけるアミノ酸及びジスルフィド結合の数は、IgGの4つのアイソタイプの中で顕著に異なる。IgG分子におけるグリコシル化パターンは、著しく多様になり得、約30の異なる炭水化物成分が、IgG分子において観察された[Arnold J.N.;Wormald M.R.;Sim R.B.;Rudd P.M.及びDwek R.A.(2007)Annual Reviews of Immunology 25、21〜50]。
モノクローナル抗体構造の対称な性質は、同じエピトープを認識するように親和性成熟したそれらの抗原結合能力を有する両方のFabアームをもたらす。反対側で、抗体分子のFc部分は、免疫又は「エフェクター」細胞上の様々な受容体分子との相互作用に関与し、これらの相互作用のいくつかは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及び補体活性化などのようなエフェクター機能の媒介を担う。一般に、エフェクター機能は、体液性免疫系から病原体又は毒素中和及び排除、補体活性化、並びに食作用性応答を導く免疫応答に関係する。エフェクター細胞上のFcγ受容体(FcγR)分子は、エフェクター応答を媒介し、調節するために、不可欠な抗体−抗原免疫複合体に関与する、活性化IgG抗体のFcに接触する。これらのFcγ受容体へのモノクローナル抗体ベースのタンパク質治療剤の相互作用の最適化は、これらの薬剤候補の効能における改善を導くことができる。
ヒトでは、それぞれのクラス内にさらなる多型タイプを有する3つの既知のクラスのFcγRがある。IgG1分子中のFcは、ナノモル範囲の解離定数でFcγRI(CD64)に結合することが知られているが、FcγRII(CD32)及びfcγRIII(CD16)結合は、マイクロモル範囲で起こる[Bruhns P.;Iannascoli B.;England P.;Mancardi D.A.;Fernandez N.;Jorieux S.及びDaeron M.(2009)Blood 113:3716〜25]。高親和性FcγRI受容体は、単量体形態でIgGに結合することができるが、低親和性FcγRII及びFcγRIII受容体は、アビディティー効果の結果として抗原−抗体免疫複合体又はIgG集合体のみに結合することができる。異なるIgG形態は、異なるFcγRに対して様々な親和性を有する;特に、IgG1及びIgG3は、より強力な活性を示す。Fcγ受容体は、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインであり、細胞内のシグナル伝達経路の調節に関与する細胞質ドメインを有する。抗体媒介性の免疫複合体との結合の結果、免疫細胞表面上に密集すると、これらの細胞表面受容体の細胞質末端上の、FcγRに連結されたシグナル伝達ユニットの性質に応じて、これらの分子は、エフェクター応答を調節する[Nimmerjahn F.及びRavetch J.V.(2008)Nature Immu Rev 8(1):34〜47]。
ヒト染色体レベルでは、3つの遺伝子が、FcγRI(FcγRIA、FcγRIB、FcγRIC)及びFcγRII(FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIC)をコードし、2つの遺伝子が、FcγRIII(FcγRIIIA、FcγRIIIB)をコードする。IgG結合ヒトFcγ受容体の中で、FcγRIA、FcγRIC、及びFcγRIIIAタイプは、エフェクター機能の活性化を導く細胞質免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する、共通のγ−鎖シグナルアダプタータンパク質と膜結合することが示された。FcγRIIA及びFcγRIICもまた、細胞質ITAMを含むが、共通のγ−鎖シグナルアダプタータンパク質を有していない。同時に、FcγRIIBは、免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(ITIM)に連結している。ITIMリン酸化をもたらすFcγRIIBの活性化は、活性化シグナル伝達カスケードの阻害をもたらす。FcγRIIIBは、チロシンベースの免疫調整細胞質側末端のどちらかを欠くが、GPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)アンカーを有し、FcγRIIAの存在下においていくつかの顆粒球の活性化に寄与することが示された。
ITAM及びITIMモチーフ並びに関連する受容体分子の機能的な役割が知られているが、組合せにおけるシグナル伝達の調整の性質及びメカニズムは、とりわけ、シグナル伝達に関与する多数の他の免疫細胞表面受容体及びアダプター分子(例えばBCR、CD22、CD45など)の活性と組み合わせる場合、完全に理解されていない。この関連において、精巧な選択性プロファイルによりこれらのFcγ受容体と相互作用することができるFc様分子の設計は、わずかな調節活性によりそのような受容体分子の効果をデコンボリュートし(de−convolute)、調整するための任意の試みにおいて、有益な足場となる。
FcγRを区別することができる抗体分子の設計との関連において、試みは、FcγRII及びFcγRIII受容体タイプの細胞外Fc結合部が、祖先の部分的重複に少なくとも部分的に起因し得る高度な配列類似性を示す(図15)という事実によって複雑になる。2つの主なタイプのFcγRII受容体、A及びBは、69%の配列同一性を有するが、FcγRIIA及びFcγRIIIAは、約44%の配列同一性を示す。FcγRIIB及びFcγRIICは、細胞外領域において2つの残基によってしか異ならないが、それらは、細胞内領域において著しく異なる。注目すべきは、それぞれ、ITIM及びITAMモチーフの存在である。その結果として、一方の受容体に結合することが必要とされる治療用抗体分子がまた、可能性として他の受容体クラスにも結合し、おそらく意図されない治療効果をもたらすであろうということが予期され得る。
さらに面倒なことには、それぞれの受容体クラスは、複数の一塩基多型(SNP)及びコピー数多型(CNV)を示す。結果として生じる受容体多様性は、IgGに対するそれらの親和性及び作用のそのメカニズムに異なって影響を与える。これらの遺伝的変異は、Fcγ受容体に対する特定のIgGサブクラスの親和性に影響を及ぼし、下流のエフェクター事象を変化させ又は受容体発現のレベルを変化させるメカニズムに影響を与え、機能的に関連する表現型、非機能性又は機能的に未知の受容体変異体をもたらし得る(Bournazos S.;Woof J.M.;Hart S.P.及びDransfield I.(2009)Clinical and Experimental Immunology 157(2):244〜54)。それらは、可能性として複雑な影響を導き、活性化及び阻害性受容体シグナル伝達の間のバランスを変化させ、疾患感受性の表現型の生成をもたらす。
これらの対立遺伝子変異のうちのいくつかを表Cに列挙する。特に、FcγRIIaにおけるR131変異体は、IgG1と高レスポンダーであるが、代替のH131変異体は、IgG2及びIgG3とより効率的な相互作用を示す。FcγRIIIaの場合には、158位のVについてホモ接合性のドナーは、ヒトIgG1、IgG3、及びIgG4に対する前者のアロタイプのより高度な親和性により、ホモ接合性F/F158個人と比較して、増大したNK細胞活性を示す。FcγRIIIbの対立遺伝子変異体NA1及びNA2は、受容体のグリコシル化における差異をひいては導く4つのアミノ酸置換の結果である。NA1対立遺伝子は、好中球による免疫複合体の結合の増強及び食作用を示す。FcγRIIBは、2つの既知の対立遺伝子変異体、232I及び232Tを有する。232T変異体は、その負の調節活性が強く損なわれていることが知られている。FcγR多型の頻度並びに感染に対する特異な応答性又は全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、脈管炎、免疫媒介性血小板減少性紫斑病(immune−mediated thrombocytic purpura)(ITP)、重症筋無力症、多発性硬化症(MS)、及び免疫ニューロパチー(immuno neuropathy)(ギラン−バレー症候群(GBS))などのような疾患状態に対する素因に対するその関連が、報告されている。
FcγR遺伝子の、特に、FcγRIIIB、FcγRIIc、及びFcγRIIIAについての座におけるコピー数多型が、示されており、これらの受容体の細胞表面発現に対するこれらの差異のさらなる相関が注目されてきた。対照的に、FcγRIIa及びFcγRIIbは、遺伝子コピー数多型を示さない。FcγRIIIbの低コピー数は、実際に、自己免疫疾患全身性エリテマトーデス(SLE)における糸球体腎炎に関連した[Aitman TJら(2006)Nature16;439(7078):851〜5]。非シグナル伝達GPIモジュールがFcγRIIIb受容体を固定するという事実を考慮すれば、これは特に興味深い。これらのFcγRIIIb受容体の存在が他のシグナル伝達FcγRとのFc相互作用の競合的阻害剤として可能性として作用し得るということを仮定することができる。FcγRIIcにおけるコピー数多型の効果もまた、とりわけ興味深い。FcγRIIcにおける202位のC/T SNPは、グルタミン残基を終止コドンに変換し、機能性タンパク質の生成を妨げる。FcγRIIcの機能性オープンリーディングフレームは、健康な個人(白人人口)の9%において発現され、ITP集団において対立遺伝子の著しい過剰出現(19%)があり、ITPに対するこれらの表現型の素因を暗示する[Breunis WBら(2008)Blood111(3):1029〜38]。NK細胞上に機能性FcγRIIcを発現する個人において、達成されるADCCは、FcγRIIIaよりも大きな程度までこれらの受容体によって媒介されることが実証されている。これらの多型及び遺伝的変異と関連するそのような複雑性は、高度なテーラード治療を必要とする、個人化された治療戦略の必要性を強調する。
様々なエフェクター細胞は、これらのFcγ受容体の提示並びにそれらの体液及び組織分布が異なり、したがって、活性化及び作用のそれらのメカニズムにおける違いの一因となる[表D]。特異的なFcγRタイプの認識に対する治療用抗体の選択性のチューニング及びあるクラスのエフェクター細胞の影響の調整は、特定の疾患状態についてのエフェクターメカニズムの最適化を導く。これは、治療されている疾患状態に応じて、特異的なエフェクターモダリティーを選択的に活性化する又は阻害することを意味する。
さらに、FcγRはまた、濾胞樹状細胞、内皮細胞、小グリア細胞、破骨細胞、及びメサンギウム細胞によっても発現される。現在、これらの他の細胞についてのFcγR発現の機能的な有意性は、知られていない。
高親和性FcγRIは、3つのC型免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインから構成されるが、低親和性FcγRII及びFcγRIIIは、それぞれ、2つのC型IgSFドメインから構成される。FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、及びFcγRIIIb受容体タンパク質の構造は、結晶学によって解明された。これらの構造の2つのIgSFドメインは、互いに関して50〜55度で位置し、ヒンジによってつながれている。
Fc−FcγR共複合体(co−complex)の公的に入手可能な構造は、Fc−FcγRIIIb系のものであり、複合体のFcγRの形状は、タンパク質のapo状態において観察されるものに非常に近い形状に維持されている[Sondermann P.;Huber R.;Oosthuizen V.及びJacob U.(2000)Nature 406、267〜273;Radaev S.;Motyaka S.;Fridman W.;Sautes−Fridman C.及びSun P.D.(2001)J Biol Chem 276、16469〜16477;Sondermann P.ら Biochem Soc Trans.2002年8月;30(4):481〜6;Sondermann P,Oosthuizen V.Immunol Lett.2002年6月3日;82(1−2):51〜6;Radaev S、Sun P.Mol Immunol.2002年5月;38(14):1073〜83][図16]。受容体の間の有力な配列及び構造の類似性は、他の受容体に結合するFcの相対的なモデルの基礎を形成する。他方では、これらの受容体分子の間の配列及び構造の類似性はまた、受容体及びそれらの多様なアイソタイプの間の精巧な選択性を有するFcの設計を困難にもする。
結晶学に基づいたFc−FcγR複合体の構造の評価の前に、Fc分子における2倍の対称軸が、Fc−FcγR結合について2つの可能性のある結合部位及び有効な2:1化学量論を意味するかどうかという疑問があった。Fc−FcγR相互作用の核磁気共鳴(NMR)ベースの構造研究は、Fcの分子の一方の面上での1つのFcγRへの結合が、同じ抗体分子のFcに対する第2のFcγR分子の結合を防止するコンフォメーション変化を誘発することを示す[Kato K.ら(2000)J Mol Biol.295(2):213〜24]。Fc−FcγRIIIbの入手可能な共結晶複合体の形状により、1:1化学量論での非対称性の配向でのFcへのFcγRの結合が確認される。図16において示されるように、FcγRは、馬蹄形をしたFc分子の一方の末端のくぼみに結合し、両方の鎖由来のCH2ドメインに接している。
アラニンスキャニング突然変異誘発[Shields RLら(2001)JBC 276(9):6591〜604]は、多様な受容体タイプと連結し、よってFc−FcγR相互作用及び認識に関与する、Fcの残基に対する見識を提供する。従来より、治療用抗体の最適化は、活性化受容体FcγRIIIへの結合の増大[米国特許第6,737,056号]又はFcγRIIbへの親和性の減少[US2009/0010920A1]を示す突然変異に集中してきた。これらのすべての代替の変異体において、突然変異は、両方の鎖に同時に導入される。
モノクローナル抗体は、多くの場合、標的及びエフェクター免疫細胞の空間的な局在化を誘発することによってそれらの治療活性を示す。自然抗体は、そのFabドメインを使用して標的及びFcドメインを使用してエフェクター細胞と相互作用することによってこれを媒介する。それらは、細胞媒介性の応答を誘発することができるように、エフェクター細胞と向かい合って、免疫複合体を並列させる(juxtaposition)ことができる。複数の抗体分子による単一の標的のターゲティングを伴う免疫複合体の形成の際に生じるFcγRシグナル伝達に必要なアビディティー効果は、免疫作用における時空間的構成の有意な他の例である。
mAb分子のエフェクター活性の一部として誘発される細胞シグナル伝達にも時空間的側面がある。FcγR分子活性化に基づくものなどのような細胞シグナル伝達は、脂質ラフトと呼ばれる膜ドメインの領域内での関連する受容体分子の局在化を伴う。脂質ラフトは、スフィンゴ糖脂質及びコレステロール並びにSrcファミリーキナーゼを含む、いくつかのクラスの上流シグナルトランスデューサーが豊富である。細胞刺激に際して、様々なシグナル伝達分子、アダプタータンパク質、及びシグナル伝達キナーゼ並びにホスファターゼが、動員される。脂質ラフトでの分子の集合は、シグナル伝達に重要である。
より良い結合特性をもたらすために異なる抗原特異性及びアビディティーの増大を組み合わせる非自然設計戦略は、二重特異性治療薬設計の基礎である。二重特異性抗体又は二重特異性若しくは多重機能性タンパク質治療薬の他の形態は、標的及び様々なエフェクター細胞の間の相互作用を媒介するように設計される[Muller & Kontermann(2010)BioDrugs 24(2):89〜98]。多重特異性治療用分子は、特異的な標的細胞に対してヘルパーT細胞又は他の免疫エフェクター細胞を再び方向付けるように操作される。
他の実施形態では、本発明は、FcγRIIa、FcγRIIb、及び/又はFcγRIIIaに対する計算された結合親和性に基づいてin silicoにおいてFc変異体ポリペプチドを同定するための方法に関する。他の実施形態では、方法が、当該Fc変異体ポリペプチドの静電気、溶媒和、パッキング、パッキング密度、水素結合、及びエントロピー効果をin silicoにおいて計算することをさらに含む。さらに他の実施形態では、本発明の方法が、Fc変異体ポリペプチドを構築すること及び治療用抗体との関連において当該ポリペプチドを発現させること及び哺乳動物細胞において当該抗体をさらに発現させることをさらに含む。さらに他の実施形態では、本発明の方法が、部位特異的突然変異誘発、PCRベースの突然変異誘発、カセット突然変異誘発、又は新規合成によってin silicoにおいて同定されるFc変異体ポリペプチドを構築することを含む。
合成Fc足場の設計において考慮に入れられる因子は、立体反発についてのin silicoにおける計算、埋没した境界面面積の変化、相対的な接触密度、相対的な溶媒和、及び静電効果を含む。これらのマトリックスはすべて、親和性スコアになるように使用した。
一態様では、本出願は、ヘテロ二量体Fcに基づいて構築された非対称性の足場の設計を介して精巧なFcγR選択性プロファイルを達成するための分子設計を記載する。この足場は、様々な新規な選択性プロファイルを達成するためにCH2ドメインにおける非対称性の突然変異を考慮する。さらに、足場は、多機能性(二、三、四、又は五機能性)治療用分子のエンジニアリングのための本質的な特徴を有する。
非対称性の足場は、分子のより良い再利用を可能にし、その半減期及び関連する薬物動態学的特性を増強するために、新生Fc受容体(FcRn)に対するpH依存性の結合特性について最適化することができる。
非対称性の足場は、機能的に関連するFcγRI受容体アロタイプへの結合について最適化することができる。FcγRIは、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、乾癬、及び多くの肺疾患などのような慢性の炎症性障害に関与するマクロファージ上の顕著なマーカーである。
非対称性の足場は、プロテインA結合について最適化することができる。プロテインA結合は、多くの場合、抗体分子の分離及び精製のために使用される。突然変異は、保存の間の治療薬の凝集を避けるために、非対称性の足場中に導入することができる。
そのため、本発明のFc変異体は、とりわけ、血清半減期の増大、結合親和性の増大、免疫原性の低下、産生の増大、ADCC若しくはCDC活性の増強若しくは低下、グリコシル化及び/又はジスルフィド結合の変化、並びに結合特異性の改変を含むが、これらに限定されない、好ましい特徴を有する抗体をもたらす、1つ又は複数のさらなるアミノ酸残基置換、突然変異、及び/又は改変を含有していてもよいことが特に企図される。
本発明のFc変異体は、類似の分子に比べて、哺乳動物、特にヒトにおけるin vivoにおける半減期(例えば血清半減期)の増大;in vivo(例えば血清半減期)及び/若しくはin vitro(例えば有効期間)における安定性の増大、並びに/又は融解温度(Tm)の増大を含む、他の変化した特徴を有していてもよいことが企図される。一実施形態では、本発明のFc変異体が、15日を超える、20日を超える、25日を超える、30日を超える、35日を超える、40日を超える、45日を超える、2か月を超える、3か月を超える、4か月を超える、又は5か月を超える、in vivoにおける半減期を有する。他の実施形態では、本発明のFc変異体が、15日を超える、30日を超える、2か月を超える、3か月を超える、6か月を超える、又は12か月を超える、又は24か月を超える、又は36か月を超える、又は60か月を超える、in vitroにおける半減期を有する(例えば液体、又は粉末製剤)。
本発明のFc変異体は、対象に投与される場合、変化した免疫原性を有していてもよいこともまた、当業者によって十分に理解されるであろう。したがって、Fc変異体の免疫原性を最小限にする変異体CH3ドメインは、治療上の適用に一般により望ましいことが企図される。
本発明のFc変異体は、エフェクター機能を変化させる改変を含むが、これらに限定されない他のFc改変と組み合わせてもよい。本発明は、抗体又はFc融合タンパク質において付加的な、相乗的な、又は新規な特性をもたらすために、他のFc改変と本発明のFc変異体を組み合わせることを包含する。そのような改変は、ヒンジ、CH1、若しくはCH2(又は、それが、本発明の変異体CH3ドメインの安定性及び純度の特性を負に変化させないことを条件として、CH3)ドメイン又はその組合せにおけるものであってもよい。本発明のFc変異体が、それらが組み合わせられる改変の特性を増強することが企図される。例えば、本発明のFc変異体が、野生型Fc領域を含む類似の分子よりも高度な親和性でFcγRIIIAに結合することが知られている突然変異体と組み合わせる場合、本発明の突然変異体との組合せは、FcγRIIIA親和性において数倍高い増強をもたらす。
一実施形態では、本発明のFc変異体は、Duncanら、1988、Nature 332:563〜564;Lundら、1991、J Immunol 147:2657〜2662;Lundら、1992、Mol Immunol 29:53〜59;Alegreら、1994、Transplantation 57:1537〜1543;Hutchinsら、1995、Proc Natl.Acad Sci USA 92:11980〜11984;Jefferisら、1995、Immunol Lett.44:111〜117;Lundら、1995、Faseb J 9:115〜119;Jefferisら、1996、Immunol Lett 54:101〜104;Lundら、1996、Immunol 157:4963〜4969;Armourら、1999、Eur J Immunol 29:2613〜2624;Idusogieら、2000、J Immunol 164:4178〜4184;Reddyら、2000、J Immunol 164:1925〜1933;Xuら、2000、Cell Immunol 200:16〜26;Idusogieら、2001、J Immunol 166:2571〜2575;Shieldsら、2001、J Biol Chem 276:6591〜6604;Jefferisら、2002、Immunol Lett 82:57〜65;Prestaら、2002、Biochem Soc Trans 30:487〜490);米国特許第5,624,821号;第5,885,573号;第6,194,551号;米国特許出願第60/601,634号及び第60/608,852号;PCT公開WO00/42072及びWO99/58572において開示されるものなどのような他の既知のFc変異体と組み合わせてもよい。
当業者は、本発明のFc変異体が、変化したFcリガンド(例えばFcγR、C1q)結合特性(結合特性の例は、結合特異性、平衡解離定数(K)、分離及び結合速度(それぞれ、Koff及びKon)、結合親和性、並びに/又はアビディティーであるが、これらに限定されない)を有していてもよいこと並びにある種の変化が多かれ少なかれ望ましいことを理解するであろう。平衡解離定数(K)がkoff/konとして定義されることは当技術分野においてよく知られている。低Kを有する結合分子(例えば、及び抗体)が高Kを有する結合分子(例えば、及び抗体)より好ましいことは一般に理解される。しかしながら、いくつかの場合において、kon又はkoffの値は、Kの値よりも関連している可能性がある。当業者は、どの動力学的パラメーターが所定の抗体適用にとって最も重要かを決定することができる。例えば、負の制御因子FcγRIIBへのFc結合を不変のままにしながら又はさらに低下させながら、1つ又は複数の正の制御因子(例えばFcγRIIIA)へのFc結合を増強する改変CH3及び/又はCH2は、ADCC活性の増強にとってより好都合であろう。その代わりに、1つ若しくは複数の正の制御因子への結合を低下させる及び/又はFcγRIIBへの結合を増強する改変CH3及び/又はCH2は、ADCC活性を低下させるのに好都合であろう。したがって、結合親和性(例えば平衡解離定数(K))の比は、Fc変異体のADCC活性が増強される又は減少することを示すことができる。例えば、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(K)の比の減少は、ADCC活性の改善と相互に関係するであろうが、比の増大は、ADCC活性の減少と相互に関係するであろう。
Fc変異体の特徴付けの一部として、それらは、FcγRIIIA(CD16a)及びFcγRIIB(CD32b)に対する結合親和性について試験され、野生型IgG1と比較した比として報告された(例4及び表5を参照されたい)。この場合では、活性化及び阻害性Fc受容体への結合に対するCH3ドメイン突然変異の影響を評価することが可能であった。一実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有し、CD16aへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較してほぼ同じである、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。ある実施形態では、CD16aへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較して、増大する。代替の実施形態では、CD16aへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較して、低下する。
ある実施形態では、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、ヘテロ二量体Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有し、CD32bへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較してほぼ同じである、単離ヘテロ多量体が本明細書において提供される。ある実施形態では、CD32bへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較して、増大する。代替の実施形態では、CD32bへのヘテロ二量体の結合が、野生型ホモ二量体と比較して、低下する。
当業者は、野生型ホモ二量体に対するFc変異体の比として結合CD16a及びCD32bのKを報告する代わりに、CD32bへのFc変異体結合に対するCD16aへのFc変異体結合の比としてKを報告することができることを理解するであろう(データ示さず)。この比は、より詳細に下記に記載される、ADCCに対する変異体CH3ドメイン突然変異の指標、野生型と比較して不変、増大〜減少を提供するであろう。
FcγRに対する本発明のFc変異体の親和性及び結合特性は、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイ(以下の「特徴付け及び機能的アッセイ」と題する部を参照されたい)、並びに間接的結合アッセイ、競合的阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、ゲル電気泳動、及びクロマトグラフィー(例えばゲル濾過)などのような他の方法を含むが、これらに限定されない、Fc−FcγR相互作用、つまりFcγRに対するFc領域の特異的な結合を決定するための、当技術分野において既知のin vitroにおけるアッセイ(生化学又は免疫学ベースのアッセイ)を使用して、最初に決定される。これら及び他の方法は、検査されている1つ若しくは複数の構成成分上に標識を利用してもよく、且つ/又は発色性、蛍光、発光、若しくは同位体標識を含むが、これらに限定されない様々な検出方法を用いてもよい。結合親和性及び反応速度の詳細な説明は、抗体−免疫原相互作用に集中しているPaul,W.E.編、Fundamental Immunology、第4版、Lippincott−Raven、Philadelphia(1999)において見出すことができる。
本発明の分子の結合特性はまた、1つ又は複数のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を決定するためのin vitroにおける機能的アッセイによって特徴付けられることが企図される(以下の「特徴付け及び機能的アッセイ」と題する部を参照されたい)。ある実施形態では、本発明の分子が、in vitroベースのアッセイにおけるように、in vivoモデル(本明細書において記載され開示されるものなど)において同様の結合特性を有する。しかしながら、本発明は、in vitroベースのアッセイにおいて所望の表現型を示さないが、in vivoにおいて所望の表現型を示す、本発明の分子を排除しない。
本発明は、類似の分子に比べて、増大した親和性でFcγRIIIA(CD16a)に結合するFc変異体を包含する。特定の実施形態では、本発明のFc変異体は、増大した親和性でFcγRIIIAに結合し、類似の分子に比べて、不変である又は低下した結合親和性でFcγRIIB(CD32b)に結合する。さらに他の実施形態では、本発明のFc変異体が、類似の分子に比べて減少した、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(K)の比を有する。
類似の分子に比べて、減少した親和性でFcγRIIIA(CD16a)に結合するFc変異体もまた、本発明によって包含される。特定の実施形態では、本発明のFc変異体は、類似の分子に比べて、減少した親和性でFcγRIIIAに結合し、類似の分子に比べて、不変である又は増大した結合親和性でFcγRIIBに結合する。
一実施形態では、Fc変異体が、増大した親和性でFcγRIIIAに結合する。特定の実施形態では、当該Fc変異体が、類似の分子の少なくとも2倍又は少なくとも3倍又は少なくとも5倍又は少なくとも7倍又は少なくとも10倍又は少なくとも20倍又は少なくとも30倍又は少なくとも40倍又は少なくとも50倍又は少なくとも60倍又は少なくとも70倍又は少なくとも80倍又は少なくとも90倍又は少なくとも100倍又は少なくとも200倍を超える、FcγRIIIAに対する親和性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくともS0%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで増大したFcγRIIIAに対する親和性を有する。
他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて約2分の1〜10分の1又は約5分の1〜50分の1又は約25分の1〜250分の1又は約100分の1〜500分の1又は約250分の1〜1000分の1まで減少した、Fcリガンド(例えばFcγR、C1q)に対する平衡解離定数(K)を有する。
他の実施形態では、当該Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも2分の1又は少なくとも3分の1又は少なくとも5分の1又は少なくとも7分の1又は少なくとも10分の1又は少なくとも20分の1又は少なくとも30分の1又は少なくとも40分の1又は少なくとも50分の1又は少なくとも60分の1又は少なくとも70分の1又は少なくとも80分の1又は少なくとも90分の1又は少なくとも100分の1又は少なくとも200分の1又は少なくとも400分の1又は少なくとも600分の1まで低下した、FcγRIIIAに対する平衡解離定数(K)を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで低下した、FcγRIIIAに対する平衡解離定数(K)を有する。
一実施形態では、Fc変異体が、不変である又は低下した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態では、当該Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも1分の1まで若しくは少なくとも3分の1まで若しくは少なくとも5分の1まで若しくは少なくとも10分の1まで若しくは少なくとも20分の1まで若しくは少なくとも50分の1まで若しくは少なくとも100分の1まで低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも10%若しくは少なくとも20%若しくは少なくとも30%若しくは少なくとも40%若しくは少なくとも50%若しくは少なくとも60%若しくは少なくとも70%若しくは少なくとも80%若しくは少なくとも90%若しくは少なくとも100%若しくは少なくとも150%若しくは少なくとも200%まで低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。
他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも2倍若しくは少なくとも3倍若しくは少なくとも5倍若しくは少なくとも7倍若しくは少なくとも10倍若しくは少なくとも20倍若しくは少なくとも30倍若しくは少なくとも40倍若しくは少なくとも50倍若しくは少なくとも60倍若しくは少なくとも70倍若しくは少なくともS0倍若しくは少なくとも90倍若しくは少なくとも100倍若しくは少なくとも200倍まで増大したFcγRIIBに対する平衡解離定数(K)を有する。他の特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも10%若しくは少なくとも20%若しくは少なくとも30%若しくは少なくとも40%若しくは少なくとも50%若しくは少なくとも60%若しくは少なくとも70%若しくは少なくとも80%若しくは少なくとも90%若しくは少なくとも100%若しくは少なくとも150%若しくは少なくとも200%まで増大した、FcγRIIBに対する平衡解離定数(K)を有する。
さらに他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて増大した親和性でFcγRIIIAに結合し、類似の分子に比べて不変である又は低下した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも1倍まで又は少なくとも3倍まで又は少なくとも5倍まで又は少なくとも10倍まで又は少なくとも20倍まで又は少なくとも50倍まで又は少なくとも100倍まで増大したFcγRIIIAに対する親和性を有する。他の特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも2分の1若しくは少なくとも3分の1若しくは少なくとも5分の1若しくは少なくとも7分の1若しくは少なくとも10分の1若しくは少なくとも20分の1若しくは少なくとも50分の1若しくは少なくとも100分の1まで低下した、FcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで増大したFcγRIIIAに対する親和性を有し、Fc変異体が、類似の分子に比べて不変である又は少なくとも10%若しくは少なくとも20%若しくは少なくとも30%若しくは少なくとも40%若しくは少なくとも50%若しくは少なくとも60%若しくは少なくとも70%若しくは少なくとも80%若しくは少なくとも90%若しくは少なくとも100%若しくは少なくとも150%若しくは少なくとも200%まで増大したFcγRIIBに対する親和性を有する。
さらに他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて減少した、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(K)の比を有する。特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも1分の1まで又は少なくとも3分の1まで又は少なくとも5分の1まで又は少なくとも10分の1まで又は少なくとも20分の1まで又は少なくとも50分の1まで又は少なくとも100分の1まで減少した、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(K)の比を有する。他の特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで減少した、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(K)の比を有する。
他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて減少した親和性でFcγRIIIAに結合する。特定の実施形態では、当該Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも1分の1まで又は少なくとも3分の1まで又は少なくとも5分の1まで又は少なくとも10分の1まで又は少なくとも20分の1まで又は少なくとも50分の1まで又は少なくとも100分の1まで低下した、FcγRIIIAに対する親和性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで減少した、FcγRIIIAに対する親和性を有する。
さらに他の実施形態では、Fc変異体が、減少した親和性でFcγRIIIAに結合し、類似の分子に比べて不変である又は増大した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも1分の1まで又は少なくとも3分の1まで又は少なくとも5分の1まで又は少なくとも10分の1まで又は少なくとも20分の1まで又は少なくとも50分の1まで又は少なくとも100分の1まで低下したFcγRIIIAに対する親和性を有する。他の特定の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子の少なくとも2倍又は少なくとも3倍又は少なくとも5倍又は少なくとも7倍又は少なくとも10倍又は少なくとも20倍又は少なくとも50倍又は少なくとも100を超えるFcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで減少した、FcγRIIIAに対する親和性を有し、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで増大したFcγRIIBに対する親和性を有する。
さらに他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子と比較した場合、少なくとも1倍まで又は少なくとも3倍まで又は少なくとも5倍まで又は少なくとも10まで又は少なくとも20倍まで又は少なくとも50倍まで増大した、FcγRIIIAに対する平衡解離定数(K)を有する。特定の実施形態では、当該Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも2分の1に又は少なくとも3分の1に又は少なくとも5分の1に又は少なくとも7分の1に又は少なくとも10分の1に又は少なくとも20分の1に又は少なくとも50分の1に又は少なくとも100分の1まで減少した、FcγRIIBに対する平衡解離定数(K)を有する。
fcγR選択性についてのCH2変異
この複合体におけるFc−FcγRタンパク質間相互作用は、Fc分子中の2つの鎖がFcγR分子上の2つの異なる部位と相互作用することを示す。自然Fc分子では2つの重鎖において対称性があるが、一方の鎖上の残基のまわりの局所的なFcγR環境は、反対のFc鎖上の同じ残基位置を取り囲むFcγR残基とは異なる。2つの対称に関連する位置は、異なる選択のFcγR残基と相互作用する。
FcγRへのFcの結合における非対称性を考慮すれば、Fc分子のA鎖及びB鎖における同時の突然変異は、FcγRとの相互作用に対称な様式では影響を与えない。ホモ二量体Fc構造において、その局所的なFcγR環境を有するFcの一方の鎖上の相互作用を最適化するために突然変異を導入する場合、第2の鎖における対応する突然変異は、好ましい、好ましくない、又は必要とされるFcγR結合及び選択性プロファイルに寄与しない可能性がある。
構造及びコンピューターの使用により導かれるアプローチを使用して、Fcの両方の鎖上に同じ突然変異を導入する従来のFcエンジニアリング戦略のこれらの限界を克服するために、非対称性の突然変異を、Fcの2つの鎖において操作する。Fcの2つの鎖が受容体分子のそれらの対応する面に対する結合の増強のために独立して最適化される場合、受容体の間で、より良い結合選択性を達成することができる。
例えば、Fcの一方の鎖上の特定の位置の突然変異は、特定の残基に対する選択性を増強するために設計することができるが、正の設計の試み、同じ残基位置は、代替のFcγ受容体タイプにおけるその局所的な環境と不都合に相互作用するように突然変異させることができ、負の設計の試み、よって、2つの受容体の間でより良い選択性が達成される。ある実施形態では、異なるFcガンマ受容体と比較して、あるFcガンマ受容体に選択的に結合する(例えば、FcgRIIbの代わりにFcgRIIIaに選択的に結合する)、CH2ドメインにおける非対称性のアミノ酸改変を設計するための方法が、提供される。他のある実施形態では、ヘテロ二量体形成を促進するCH3ドメインにおけるアミノ酸改変を含む変異体Fcヘテロ二量体のCH2ドメインにおける非対称性のアミノ酸改変を設計するための方法が、提供される。他の実施形態では、CH2ドメインにおける非対称性のアミノ酸改変を含む変異体Fcヘテロ二量体に基づいて異なるFcガンマ受容体に対する選択性を設計するための方法が、提供される。さらに他の実施形態では、Fc分子の一方の面へのFcガンマ受容体の結合を偏らせる非対称性のアミノ酸改変を設計するための方法が、提供される。他のある実施形態では、CH2ドメインにおける非対称性のアミノ酸改変を含む変異体Fcヘテロ二量体の一方のみの面と相互作用するようにFcガンマ受容体を偏らせる極性ドライバーを設計するための方法が、提供される。
CH2ドメインにおける突然変異の非対称性の設計は、Fc分子の一方の面上でFcγRを認識するように調整することができる。これは、非対称性のFc足場の生産的な面を構成するが、反対の面は、設計された選択性プロファイルを有さない野生型様の相互作用の性質を示し、非生産的な面と見なすことができる。負の設計戦略は、非対称性のFc足場のこの側面に対するFcγR相互作用を遮断するために、非生産的な面上に突然変異を導入するために用い、それによって、Fcγ受容体への所望の相互作用傾向を強いることができる。
本発明はまた、Fc領域に融合された結合ドメインを含む融合ポリペプチドであって、Fc領域が、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有する、融合ポリペプチドにも関する。変異体CH3ドメインを含むヘテロ二量体を含む分子は、当業者によく知られている方法によって生成されてもよいことが特に企図される。手短に言えば、そのような方法は、所望の特異性を有する可変領域又は結合ドメイン(例えば、ファージディスプレイ若しくは発現ライブラリーから単離された又はヒト若しくは非ヒト抗体又は受容体の結合ドメインに由来する可変領域)を変異体Fcヘテロ二量体と組み合わせることを含むが、これらに限定されない。その代わりに、当業者は、Fc領域を含む分子(例えば抗体)のFc領域中のCH3ドメインを改変することによって、変異体Fcヘテロ二量体を生成してもよい。
一実施形態では、Fc変異体が、抗体又はFc融合タンパク質である。特定の実施形態では、本発明は、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含むFc領域を含む抗体であって、変異体CH3ドメインが、70℃を超える融解温度(Tm)を有する、抗体を提供する。そのような抗体は、Fc変異体を生成するように改変することができるCH3ドメインを含有するFc領域を天然に含むIgG分子又は変異体CH3ドメインを含むFc領域を含有するように操作された抗体誘導体を含む。本発明のFc変異体は、変異体CH3ドメインを組み込むFc領域を含む抗原に好ましくは特異的に結合する(つまり、特異的な抗原−抗体結合をアッセイするために当技術分野においてよく知られているイムノアッセイによって決定されるように非特異的結合に競合する)、任意の抗体分子を含む。そのような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、一重特異性、二重特異性、多重特異性、ヒト、ヒト化キメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv、及びVL若しくはVHドメインを含有する断片、又はさらに、ある場合には、変異体Fcヘテロ二量体を含有するように操作された若しくはそれに融合された、抗原に特異的に結合する相補性決定領域(CDR)を含むが、これらに限定されない。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した、分泌された抗体により、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原治療(antigen−healing)標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させるのを可能にする、細胞傷害の形態を指す。標的細胞の表面に対する特異的な高親和性IgG抗体は、細胞傷害性細胞を「武装させ」、そのような死滅に絶対的に必要とされる。標的細胞の溶解は、細胞外のものであり、直接的な細胞間接触を必要とし、補体を伴わない。
任意の特定の抗体がADCCによって標的細胞の溶解を媒介する能力は、アッセイすることができる。ADCC活性を評価するために、対象の抗体は、免疫エフェクター細胞と組み合わせて標的細胞に添加され、これは、抗原−抗体複合体によって活性化され、標的細胞の細胞溶解をもたらし得る。細胞溶解は、溶解した細胞からの標識(例えば放射性基質、蛍光色素、又は自然細胞内タンパク質)の放出によって一般に検出される。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。in vitroにおけるADCCアッセイの特定の例は、Wisecarverら、1985、79:277;Bruggemannら、1987、J Exp Med 166:1351;Wilkinsonら、2001、J Immunol Methods 258:183;Patelら、1995 J Immunol Methods 184:29、並びに本明細書(以下の「特徴付け及び機能的アッセイ」と題する部を参照されたい)において記載される。その代わりに又はさらに、対象の抗体のADCC活性は、in vivoにおいて、例えば、Clynesら、1998、PNAS USA 95:652において開示されるものなどのような動物モデルにおいて、評価されてもよい。
本発明のFc変異体は、1つ又は複数のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を決定するためのin vitroにおける機能的なアッセイによって特徴付けられることが企図される。特定の実施形態では、本発明の分子は、in vitroベースのアッセイにおけるものと、in vivoモデル(本明細書において記載され、開示されるものなど)において、同様の結合特性及びエフェクター細胞機能を有する。しかしながら、本発明は、in vitroベースのアッセイにおいて所望の表現型を示さないが、in vivoにおいて所望の表現型を示す、本発明の分子を排除しない。
本発明は、CDC機能が増強したFc変異体をさらに提供する。一実施形態では、Fc変異体が、増大したCDC活性を有する。一実施形態では、Fc変異体が、類似の分子の少なくとも2倍又は少なくとも3倍又は少なくとも5倍又は少なくとも10倍又は少なくとも50倍又は少なくとも100倍を超えるCDC活性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子の少なくとも2倍又は少なくとも3倍又は少なくとも5倍又は少なくとも7倍又は少なくとも10倍又は少なくとも20倍又は少なくとも50倍又は少なくとも100倍を超える親和性でC1qに結合する。さらに他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで増大したCDC活性を有する。特定の実施形態では、本発明のFc変異体が、増大した親和性でC1qに結合し、増強したCDC活性を有し、少なくとも1つの抗原に特異的に結合する。
本発明はまた、低下したCDC機能を有するFc変異体をも提供する。一実施形態では、Fc変異体が、低下したCDC活性を有する。一実施形態では、Fc変異体が、類似の分子の少なくとも2分の1又は少なくとも3分の1又は少なくとも5分の1又は少なくとも10分の1又は少なくとも50分の1又は少なくとも100分の1のCDC活性を有する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも1分の1まで又は少なくとも3分の1まで又は少なくとも5分の1まで又は少なくとも10分の1まで又は少なくとも20分の1まで又は少なくとも50倍分の1まで又は少なくとも100分の1まで低下した親和性でC1qに結合する。他の実施形態では、Fc変異体が、類似の分子に比べて少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも100%又は少なくとも150%又は少なくとも200%まで減少したCDC活性を有する。特定の実施形態では、Fc変異体は、減少した親和性でC1qに結合し、低下したCDC活性を有し、少なくとも1つの抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、Fc変異体が、1つ又は複数の操作されたグリコフォーム、つまり、Fc領域を含む分子に共有結合された炭水化物組成物を含む。操作されたグリコフォームは、エフェクター機能を増強する又は低下させることを含むが、これらに限定されない様々な目的に有用であってもよい。操作されたグリコフォームは、当業者に知られている任意の方法によって、例えば、操作された若しくは変異体発現株を使用することによって、1つ若しくは複数の酵素、例えばβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11)との同時発現によって、様々な生物若しくは様々な生物由来の細胞系においてFc領域を含む分子を発現することによって、又はFc領域を含む分子が発現された後に炭水化物(単数又は複数)を修飾することによって生成されてもよい。操作されたグリコフォームを生成するための方法は、当技術分野において知られており、Umanaら、1999、Nat.Biotechnol 17:176〜180;Daviesら、20017 Biotechnol Bioeng 74:288〜294;Shieldsら、2002、J Biol Chem 277:26733〜26740;Shinkawaら、2003、J Biol Chem 278:3466〜3473)米国特許第6,602,684号;U.S.Ser.No.10/277,370;U.S.Ser.No.10/113,929;PCT WO00/61739A1;PCT WO01/292246A1;PCT WO02/311140A1;PCT WO02/30954A1において記載されるもの;Potillegent(商標)技術(Biowa,Inc.Princeton、N.J.);GlycoMAb(商標)グリコシル化エンジニアリング技術(GLYCART biotechnology AG、Zurich、Switzerland)を含むが、これらに限定されない。例えばWO00061739;EA01229125;US20030115614;Okazakiら、2004、JMB、336:1239〜49を参照されたい。
Fc変異体は、可変領域及びヘテロ二量体Fc領域を含む抗体を含み、ヘテロ二量体Fc領域は、安定性が増大したヘテロ二量体形成を促進するアミノ酸突然変異を含む変異体CH3ドメインを含み、変異体CH3ドメインは、70℃を超える融解温度(Tm)を有することが企図される。抗体であるFc変異体は、少なくとも1つの抗原に特異的に結合する可変ドメイン又はその断片を変異体CH3ドメインを含むヘテロ二量体Fc領域と組み合わせることによって、「新規に」産生されてもよい。その代わりに、ヘテロ二量体Fc変異体は、抗原に結合する抗体を含有するFc領域のCH3ドメインを改変することによって産生されてもよい。
本発明の抗体は、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、イントラボディ、一重特異性抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、単鎖FvFc(scFvFc)、単鎖Fv(scFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体を含むが、これらに限定されない。特に、本発明の方法において使用される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含む。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子とすることができる。
本発明の抗体は、鳥及び哺乳動物(例えばヒト、マウス、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、又はニワトリ)を含む任意の動物起源からのものであってもよい。特定の実施形態では、抗体が、ヒト又はヒト化モノクローナル抗体、特に二重特異性モノクローナル抗体である。本明細書において使用されるように、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリー又はヒト遺伝子から抗体を発現するマウスから単離された抗体を含む。
抗体は、すべてのポリペプチドと同様に、ポリペプチドが正味の荷電を持たないpHとして一般に定義される等電点(pI)を有する。タンパク質溶解性は、溶液のpHがタンパク質の等電点(pI)と等しい場合、典型的に最も低いことが当技術分野において知られている。pIを調整するために、抗体中のイオン化可能な残基の数及び位置を変化させることによって、溶解性を最適化することが可能である。例えば、ポリペプチドのpIは、適切なアミノ酸置換を行うことによって動かすことができる(例えば、アラニンなどのような荷電していない残基とリシンなどのような荷電したアミノ酸を置換することによって)。あらゆる特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、当該抗体のpIの変化をもたらす、抗体のアミノ酸置換は、抗体の溶解性及び/又は安定性を改善してもよい。当業者は、どのアミノ酸置換が、所望のpIを達成するのに特定の抗体にとって最も適切であるかを理解するであろう。タンパク質のpIは、等電点電気泳動及び様々なコンピューターアルゴリズムを含むが、これらに限定されない様々な方法によって決定されてもよい(例えばBjellqvistら、1993、Electrophoresis 14:1023)。一実施形態では、本発明のFc変異体のpIが、pH6.2〜pH8.0である。他の実施形態では、本発明の抗体のpIが、pH6.8〜pH7.4である。一実施形態では、本発明のFc変異体のpIにおける変化をもたらす置換が、抗原に対するその結合親和性を著しく減少させないであろう。安定性が増大した変異体CH3ドメインはまた、pIの変化をもたらしてもよいことが企図される。一実施形態では、変異体Fcヘテロ二量体が、安定性及び純度の増大の両方並びにpIにおける任意の所望の変化を達成するために特に選ばれる。
本発明の抗体は、一重特異性、二重特異性、三重特異性であってもよい又はより大きな多重特異性を有していてもよい。多重特異性抗体は、所望の標的分子の異なるエピトープに特異的に結合してもよい又は標的分子及び異種ポリペプチド若しくは固体支持体物質などのような異種エピトープの両方に特異的に結合してもよい。例えば、国際特許出願WO94/04690;WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;及びWO92/05793;Tuttら、1991、J.Immunol.147:60〜69;米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号、及び第5,601,819号、並びにKostelnyら、1992、J.Immunol.148:1547を参照されたい)。
多機能性ターゲティング分子の様々な実施形態は、図20において示されるように、この非対称性足場に基づいて設計することができる。
多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。そのような分子は、2つの抗原のみに通常結合するであろうが(つまり二重特異性抗体、BsAb)、三重特異性抗体などのようなさらなる特異性を有する抗体は、本発明によって包含される。BsAbの例は、限定を伴うことなく腫瘍細胞抗原に対する一方のアーム及び細胞傷害性分子に対する他方のアームを有するもの又は両方のアームが2つの異なる腫瘍細胞抗原に対するもの又は両方のアームが2つの異なる可溶性リガンドに対するもの又は一方のアームが可溶性リガンドに対し、他方のアームが細胞表面受容体に対するもの又は両方のアームが2つの異なる細胞表面受容体に対するものを含む。二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野において知られている。
様々なアプローチに従って、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。融合は、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものであってもよい。軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合物の少なくとも1つにおいて存在することが企図される。免疫グロブリン重鎖融合物及び所望される場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別個の発現ベクターの中に挿入され、適した宿主生物の中にコトランスフェクトされる。これは、構築において使用される3つのポリペプチド鎖の不等な比が最適の収率をもたらす場合、実施形態において3つのポリペプチド断片の相互の割合を調整する際にすぐれた柔軟性を提供する。例1及び表2を参照されたい。しかしながら、等しい比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合又はその比が特に有意でない場合、1つの発現ベクター中に2又は3つすべてのポリペプチド鎖についてのコード配列を挿入することが可能である。
二重特異性抗体は、架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体のうちの一方は、アビジンに結合することができ、他方は、ビオチンに結合することができる。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞に不要な細胞を標的とさせること(米国特許第4,676,980号)並びにHIV感染の治療について(WO91/00360、WO92/200373、及びEP03089)提唱された。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製されてもよい。適した架橋作用物質は、当技術分野においてよく知られており、多くの架橋技術と共に、米国特許第4,676,980号において開示される。
変異体CH3ドメインを組み込む2つを超える結合価を有する抗体及び本発明の結果として生じるFcヘテロ二量体が、企図される。例えば、三重特異性抗体は、調製することができる。例えばTuttら J.Immunol.147:60(1991)を参照されたい。
本発明の抗体はまた、15日を超える、20日を超える、25日を超える、30日を超える、35日を超える、40日を超える、45日を超える、2か月を超える、3か月を超える、4か月を超える、又は5か月を超える、哺乳動物(例えばヒト)における半減期(例えば血清半減期)を有するものをも包含する。哺乳動物(例えばヒト)における本発明の抗体の半減期の増大は、哺乳動物における、当該抗体又は抗体断片のより高度な血清力価をもたらし、したがって、当該抗体若しくは抗体断片の投与の頻度を低下させる及び/又は投与されることとなる当該抗体又は抗体断片の濃度を低下させる。増大したin vitroにおける半減期を有する抗体は、当業者らに既知の技術によって生成することができる。例えば、増大したin vivoにおける半減期を有する抗体は、Fcドメイン及びFcRn受容体の間の相互作用に関与するとして同定されたアミノ酸残基を改変する(例えば置換する、欠失させる、又は追加する)ことによって生成することができる(例えば、国際特許出願公開WO97/34631;WO04/029207;米国特許第6,737,056号、及び米国特許出願公開第2003/0190311号を参照されたい)。
特定の実施形態では、変異体CH3ドメインを含む変異体Fcヘテロ二量体は、多重特異性抗体(本明細書において本発明の抗体と呼ばれる)であり、本発明の抗体は、対象の抗原に特異的に結合する。特に、本発明の抗体は、二重特異性抗体である。一実施形態では、本発明の抗体は、ポリペプチド抗原に特異的に結合する。他の実施形態では、本発明の抗体は、非ポリペプチド抗原に特異的に結合する。さらに他の実施形態では、疾患又は障害に罹患している哺乳動物への本発明の抗体の投与は、その哺乳動物において治療上の利益をもたらしてもよい。
事実上、タンパク質の以下のリスト並びにタンパク質の以下のリストに属するサブユニット、ドメイン、モチーフ、及びエピトープを含むが、これらに限定されない任意の分子が、変異体Fcヘテロ二量体タンパク質(例えば抗体、Fc融合タンパク質)によって標的にされてもよい及び/又はその中に組み込まれてもよい:レニン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ1抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VII因子、ファクターVIIIC、第IX因子、組織因子(TF)、及びフォンウィルブランド因子などのような凝固因子;プロテインCなどのような抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;ウロキナーゼ又はヒト尿若しくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)などのようなプラスミノーゲン活性化因子;ボンベシン;トロンビン;造血性増殖因子;腫瘍壊死因子アルファ及びベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化と同時に調節、正常T細胞が発現し、分泌する);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP−1−アルファ);ヒト血清アルブミンなどのような血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン(prorelaxin);マウスゴナドトロピン関連ペプチド;ベータラクタマーゼなどのような微生物タンパク質;DNアーゼ;IgE;CTLA−4などのような細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子(VEGF);例えばEGFR、VEGFRなどのようなホルモン又は増殖因子に対する受容体;アルファインターフェロン(α−IFN)、ベータインターフェロン(β−IFN)、及びガンマインターフェロン(γ−IFN)などのようなインターフェロン;プロテインA又はD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5、若しくは−6(NT−3、NT−4、NT−5、若しくはNT−6)、又は神経増殖因子などのような神経栄養因子;血小板由来増殖因子(PDGF);AFGF及びPFGFなどのような線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF−1、TGF−2、TGF−3、TGF−4、又はTGF−5を含むTGFアルファ及びTGFベータなどのような形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質;CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD34、CD40、CD40L、CD52、CD63、CD64、CD80、及びCD147などのようなCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導性因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロンアルファ、ベータ、及びガンマなどのようなインターフェロン;M−CSF、GM−CSF、及びG−CSFなどのようなコロニー刺激因子(CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL−1〜IL−13;TNFα、スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;解離促進因子;例えば、エイズエンベロープの一部、例えばgp120などのようなウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;LFA−1、Mac 1、p150.95、VLA−4、ICAM−1、ICAM−3、及びVCAM、その1つ又は複数のサブユニットを含むa4/p7インテグリン及びXv/p3インテグリンなどのような細胞接着分子、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、アルファ7、アルファ8、アルファ9、アルファD、CD11a、CD11b、CD51、CD11c、CD41、アルファIIb、アルファIELbなどのようなインテグリンアルファサブユニット;CD29、CD 18、CD61、CD104、ベータ5、ベータ6、ベータ7、及びベータ8などのようなインテグリンベータサブユニット;αVβ3、αVβ5、及びα4β7を含むが、これらに限定されないインテグリンサブユニットの組合せ;アポトーシス経路のメンバー;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mp1受容体;CTLA−4;プロテインC;EphA2、EphA4、EphB2などのようなEph受容体;HLA−DRなどのようなヒト白血球抗原(HLA);補体受容体CR1、C1Rq、並びにC3及びC5などのような他の補体因子などのような補体タンパク質;GpIbα、GPIIb/IIIa、及びCD200などのような糖タンパク質受容体;並びに上記に列挙されるポリペプチドのいずれかの断片。
ALK受容体(プレイオトロフィン受容体)、プレイオトロフィン、KS 1/4全癌腫(pan−carcinoma)抗原;卵巣癌抗原(CA125);前立腺酸性ホスフェート(prostatic acid phosphate);前立腺特異的抗原(PSA);メラノーマ関連抗原p97;メラノーマ抗原gp75;高分子量メラノーマ抗原(HMW−MAA);前立腺特異的膜抗原;癌胎児性抗原(CEA);多型上皮ムチン抗原;ヒト乳脂肪球抗原;CEA、TAG−72、CO17−1A、GICA 19−9、CTA−1、及びLEAなどのような結腸直腸腫瘍関連抗原;バーキットリンパ腫抗原−38.13;CD19;ヒトB−リンパ腫抗原CD20;CD33;ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、及びガングリオシドGM3などのようなメラノーマ特異的抗原;腫瘍特異的移植型細胞表面抗原(TSTA);T抗原、DNA腫瘍ウイルス、及びRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原を含むウイルス誘発性腫瘍抗原;結腸のCEA、5T4癌胎児性トロホブラスト糖タンパク質、及び膀胱腫瘍癌胎児性抗原などのような癌胎児性抗原アルファフェトプロテイン;ヒト肺癌抗原L6及びL20などのような分化抗原;線維肉腫の抗原;ヒト白血病T細胞抗原−Gp37;ネオ糖タンパク質;スフィンゴリピド;EGFR(上皮増殖因子受容体)などのような乳癌抗原;NY−BR−16;NY−BR−16及びHER2抗原(p185HER2);多型上皮ムチン(PEM);悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1;胎児赤血球において見つけられるI抗原などのような分化抗原;成体型赤血球において見つけられる一次内胚葉I抗原(primary endoderm I antigen);着床前胚;胃腺癌において見つけられるI(Ma);乳房上皮において見つけられるM18、M39;骨髄性細胞において見つけられるSSEA−1;VEP8;VEP9;Myl;Va4−D5;結腸直腸癌において見つけられるD56−22;TRA−1−85(血液型H);精巣及び卵巣癌において見つけられるSCP−1;結腸腺癌において見つけられるC14;肺腺癌において見つけられるF3;胃癌において見つけられるAH6;Yハプテン;胚性癌細胞において見つけられるLey;TL5(血液型A);A431細胞において見つけられるEGF受容体;膵癌において見つけられるEシリーズ(血液型B);胚性癌細胞において見つけられるFC10.2;胃腺癌抗原;腺癌において見つけられるCO−514(血液型Lea);腺癌において見つけられるNS−10;CO−43(血液型Leb);A431細胞のEGF受容体において見つけられるG49;結腸腺癌において見つけられるMH2(血液型ALeb/Ley);結腸癌において見つけられる19.9;胃癌ムチン;骨髄性細胞において見つけられるT;メラノーマにおいて見つけられるR24;胚性癌細胞において見つけられる4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2、及びM1:22:25:8並びに4〜8細胞期の胚において見つけられるSSEA−3及びSSEA−4;皮膚T細胞リンパ腫抗原;MART−1抗原;シアリルTn(STn)抗原;結腸癌抗原NY−CO−45;肺癌抗原NY−LU−12変異体A;腺癌抗原ART1;腫瘍随伴性関連脳精巣癌抗原(腫瘍ニューロン(onconeuronal)抗原MA2;腫瘍随伴性ニューロン抗原);神経腫瘍腹側抗原2(Neuro−oncological ventral antigen 2)(NOVA2);肝細胞癌抗原遺伝子520;腫瘍関連抗原CO−029;腫瘍関連抗原MAGE−C1(癌/精巣抗原CT7)、MAGE−B1(MAGE−XP抗原)、MAGE−B2(DAM6)、MAGE−2、MAGE−4−a、MAGE−4−b、及びMAGE−X2;癌精巣抗原(NY−EOS−1)、並びに上記に列挙されるポリペプチドのいずれかの断片を含むが、これらに限定されない癌抗原に特異的に結合する本発明の抗体もまた、企図される。
ある実施形態では、本明細書において記載されるヘテロ多量体は、少なくとも1つの治療用抗体を含む。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、癌標的抗原に結合する。一実施形態では、治療用抗体は、アバゴボマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アウログラブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、ベリムバブ、ベバシズマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、カツマキソマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、イピリムマブ、ルミリキシマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ムロモナブ、ミコグラブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、テプリズマブ、トシリズマブ/アトリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、Proxinium(商標)、Rencarex(商標)、ウステキヌマブ、ザルツムマブ、及び任意の他の抗体のうちの1つであってもよく、それからなる群から選択される。
本発明の抗体は、修飾された誘導体を含む(つまり、共有結合のような、任意のタイプの分子の抗体への共有結合によって)。例えば、限定としてではないが、抗体誘導体は、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基若しくは遮断基による誘導体化、タンパク分解性の切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによって修飾された抗体を含む。多数の化学修飾のいずれも、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むが、これらに限定されない既知の技術によって実行されてもよい。さらに、誘導体は、1つ又は複数の非古典的アミノ酸を含有してもよい。
in vivoにおける半減期が増大した抗体又はその断片は、抗体又は抗体断片に、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのような高分子を付加することによって生成することができる。PEGは、当該抗体若しくは抗体断片のN若しくはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションを通して又はリシン残基上に存在するイプシロンアミノ基を介して、多機能性リンカーを用いて又は用いないで、抗体又は抗体断片に付加することができる。生物学的活性の最小限の損失をもたらす、直線状又は分岐ポリマー誘導体化が、使用されるであろう。抗体へのPEG分子の適切なコンジュゲーションを確実にするために、コンジュゲーションの程度は、SDS−PAGE及び質量分析法によって厳密にモニターされるであろう。未反応のPEGは、例えばサイズ排除又はイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体−PEGコンジュゲートから分離することができる。
さらに、抗体は、抗体又は抗体断片をin vivoにおいてより安定したものにするために又はin vivoにおいてより長い半減期を有するようにアルブミンにコンジュゲートすることができる。技術は、当技術分野においてよく知られており、例えば国際特許出願公開WO93/15199、WO93/15200、及びWO01/77137;並びに欧州特許EP413,622を参照されたい。本発明は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、ミメティック作用物質、合成薬剤、無機分子、及び有機分子を含むが、これらに限定されない1つ又は複数の成分にコンジュゲートされた又は融合された抗体又はその断片の使用を包含する。
本発明は、融合タンパク質を生成するために、異種タンパク質又はポリペプチド(又はその断片)に、例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100アミノ酸のポリペプチドに、組換えで融合された又は化学的にコンジュゲートされた(共有結合及び非共有結合コンジュゲーションの両方を含む)抗体又はその断片の使用を包含する。融合は、必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を通して行われてもよい。例えば、抗体は、特定の細胞表面受容体に対して特異的な抗体に抗体を融合する又はコンジュゲートすることによって、in vitroにおいて又はin vivoにおいて、異種ポリペプチドに特定の細胞型を標的とさせるために使用されてもよい。異種ポリペプチドに融合された又はコンジュゲートされた抗体もまた、当技術分野において既知の方法を使用して、in vitroイムノアッセイ及び精製方法において使用されてもよい。例えば国際特許出願公開WO93/21232;欧州特許EP439,095;Naramuraら、1994, Immunol.Lett.39:91〜99;米国特許第5,474,981号;Gilliesら、1992、PNAS 89:1428〜1432;及びFellら、1991、J.Immunol.146:2446〜2452を参照されたい。
本発明は、抗体断片に融合された又はコンジュゲートされた異種タンパク質、ペプチド、又はポリペプチドを含む組成物をさらに含む。例えば、異種ポリペプチドは、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)断片、VHドメイン、VLドメイン、VH CDR、VL CDR、又はその断片に融合されてもよい又はコンジュゲートされてもよい。抗体部分にポリペプチドを融合する又はコンジュゲートするための方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば米国特許第5,336,603号;第5,622,929号;第5,359,046号;第5,349,053号;第5,447,851号、及び第5,112,946号;欧州特許EP307,434及びEP367,166;国際特許出願公開WO96/04388及びWO91/06570;Ashkenaziら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535〜10539;Zhengら、1995、J.Immunol.154:5590〜5600;並びにVilら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337〜11341を参照されたい。
例えば、抗原に特異的に結合する抗体(例えば前掲)のさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリング、及び/又はコドンシャフリング(まとめて「DNAシャフリング」と呼ばれる)の技術を通して生成されてもよい。DNAシャフリングは、本発明の抗体又はその断片の活性を変化させるために用いられてもよい(例えば、より高度な親和性及びより低い解離速度を有する抗体又はその断片)。一般に、米国特許第5,605,793号;第5,811,238号;第5,830,721号;第5,834,252号、及び第5,837,458号、並びにPattenら、1997、Curr.OpinionBiotechnol.8:724〜33;Harayama、1998、Trends Biotechnol.16(2):76〜82;Hanssonら、1999、J.Mol.Biol.287:265〜76;及びLorenzo及びBlasco、1998、Biotechniques 24(2):308〜313を参照されたい。抗体若しくはその断片又はコード抗体若しくはその断片は、組換えの前に、エラープローンPCRによるランダム突然変異誘発、ランダムヌクレオチド挿入、又は他の方法にかけることによって変化させてもよい。その部分が抗原に特異的に結合する抗体又は抗体断片をコードするポリヌクレオチドの1つ又は複数の部分は、1つ又は複数の異種分子の1つ又は複数の構成成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組換えてもよい。
本発明は、治療剤にコンジュゲートされた変異体Fcヘテロ二量体又はその断片の使用をさらに包含する。
抗体又はその断片は、細胞毒、例えば細胞増殖抑制若しくは細胞破壊剤、治療剤又は放射性金属イオン、例えばアルファ放射体などのような治療用成分にコンジュゲートされてもよい。細胞毒又は細胞傷害剤は、細胞に有害な任意の作用物質を含む。例として、リボヌクレアーゼ、モノメチルオーリスタチン(monomethylauristatin)E及びF、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、エピルビシン、及びシクロホスファミド並びにそのアナログ又は相同体を含む。治療剤は、代謝拮抗薬(例えばメトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、並びに有糸分裂阻害剤(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)を含むが、これらに限定されない。治療用成分のより広範囲なリストは、PCT公開WO03/075957において見つけることができる。
さらに、抗体又はその断片は、所定の生物学的応答を改変する治療剤又は薬剤成分にコンジュゲートされてもよい。治療剤又は薬剤成分は、古典的な化学的治療剤に限定されるように解釈されないものとする。例えば、薬剤成分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、Onconase(若しくは他の細胞傷害性RNアーゼ)、シュードモナス外毒素、コレラ毒素、又はジフテリア毒素などのような毒素;腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス作用物質、例えばTNF−α、TNF−β、AIM I(国際特許出願公開WO97/33899を参照されたい)、AIM II(国際特許出願公開WO97/34911を参照されたい)、Fasリガンド(Takahashiら、1994、J.Immunol.、6:1567)、及びVEGI(国際特許出願公開WO99/23105を参照されたい)、血栓症作用物質又は抗血管新生剤、例えばアンジオスタチン若しくはエンドスタチンなどのようなタンパク質;又は例えばリンホカイン(例えばインターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン2(「IL−2」)、インターロイキン6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)及び顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」))、若しくは増殖因子(例えば成長ホルモン(「GH」))などのような生物学的応答調節物質を含んでいてもよい。
さらに、抗体は、放射性金属イオンをコンジュゲートするのに有用な放射性物質又は大環状キレート剤などのような治療用成分にコンジュゲートすることができる(放射性物質の例については上記を参照されたい)。ある実施形態では、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に付加することができる1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’−四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は、当技術分野において一般的に知られており、Denardoら、1998、Clin Cancer Res.4:2483;Petersonら、1999、Bioconjug.Chem.10:553;及びZimmermanら、1999、Nucl.Med.Biol.26:943において記載される。
ポリペプチド成分に抗体を融合する又はコンジュゲートする方法は、当技術分野において知られている。例えば米国特許第5,336,603号;第5,622,929号;第5,359,046号;第5,349,053号;第5,447,851号、及び第5,112,946号;EP307,434;EP367,166;PCT公開WO96/04388及びWO91/06570;Ashkenaziら、1991、PNAS USA 88:10535;Zhengら、1995、J Immunol 154:5590;並びにVilら、1992、PNAS USA 89:11337を参照されたい。成分への抗体の融合は、必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を通して行われてもよい。そのようなリンカー分子は、当技術分野において一般的に知られており、Denardoら、1998、Clin Cancer Res 4:2483;Petersonら、1999、Bioconjug Chem 10:553;Zimmermanら、1999、Nucl Med Biol 26:943;Garnett、2002、Adv Drug Deliv Rev 53:171において記載される。
Fc変異体、その誘導体、アナログ、又は断片(例えば本発明の抗体又は融合タンパク質)の組換え発現は、Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドが一度得られたら、Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)の産生のためのベクターは、当技術分野においてよく知られている技術を使用する組換えDNA技術によって産生されてもよい。したがって、ヌクレオチド配列をコードするFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)を含有するポリヌクレオチドの発現によってタンパク質を調製するための方法は、本明細書において記載される。当業者らによく知られている方法は、Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)コード配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法は、例えばin vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換えを含む。本発明は、したがって、プロモーターに作動可能に連結された、本発明のFc変異体をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域(例えば国際特許出願公開WO86/05807;国際特許出願公開WO89/01036;及び米国特許第5,122,464号)並びに抗体の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい又はFc変異体を生成するためのポリペプチドは、完全長抗体鎖(例えば重鎖若しくは軽鎖)又は非抗体由来ポリペプチド及び少なくとも変異体CH3ドメインを組み込むFc領域の融合物を含む完全なFc変異体の発現のために、そのようなベクターの中にクローニングされてもよい。
発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移入され、トランスフェクトされた細胞は、次いで、本発明のFc変異体を産生するために、従来の技術によって培養される。したがって、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結された、本発明のFc変異体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。二重鎖抗体を含むFc変異体の発現のための特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターは、下記に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞において同時発現されてもよい。
様々な宿主発現ベクター系は、本発明のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質分子)を発現させるために利用されてもよい(例えば米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主発現系は、対象のコード配列が産生され、続いて精製されてもよいビヒクルに相当するが、また、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換された又はトランスフェクトされた場合に、in situにおいて本発明のFc変異体を発現し得る細胞にも相当する。これらは、Fc変異体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、若しくはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば大腸菌(E.coli)及び枯草菌(B.subtilis))などのような微生物;Fc変異体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えばサッカロミセス、ピキア);Fc変異体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;Fc変異体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した若しくは組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)により形質転換された植物細胞系;又は哺乳動物細胞のゲノム(例えばメタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物ウイルス(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含有する組換え発現構築物を含む哺乳動物細胞系(例えばCOS、CHO、BHK、293、NS0、及び3T3細胞)を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、大腸菌又は真核細胞などのような細菌細胞は、組換え抗体又は融合タンパク質分子であるFc変異体の発現に使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーター(major intermediate early gene promoter)エレメントなどのようなベクターと併用するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などのような哺乳動物細胞は、抗体についての有効な発現系である(Foeckingら、1986、Gene 45:101;及びCockettら、1990、Bio/Technology 8:2)。特定の実施形態では、本発明のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列の発現が、恒常的プロモーター、誘発性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって調節される。
細菌系では、多くの発現ベクターは、発現されているFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)について意図される使用に応じて、好都合に選択することができる。例えば、大量のそのようなタンパク質がFc変異体の医薬組成物の生成のために産生されることになっている場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい可能性がある。そのようなベクターは、lac Z融合タンパク質が産生されるように、Fc変異体コード配列がlac Zコード領域とインフレームでベクターの中に個々にライゲーションされてもよい大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye、1985、Nucleic Acids Res.13:3101〜3109;Van Heeke & Schuster、1989、J.Biol.Chem.24:5503〜5509)などを含むが、これらに限定されない。pGEXベクターもまた、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために使用されてもよい。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、その後に続く遊離グルタチオンの存在下における溶出によって、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST成分から放出することができるように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫系では、オウトグラファカリフォルニア核多汗症ウイルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現させるためにベクターとして使用される。ウイルスは、ヨトウガ細胞中で成長する。Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)コード配列は、ウイルスの非本質的な領域(例えばポリヘドリン遺伝子)の中に個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置されてもよい。
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系が、利用されてもよい。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、対象のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーター及び三連リーダー配列ライゲーションされてもよい。次いで、このモザイク遺伝子は、in vitro又はin vivo組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入されてもよい。ウイルスゲノムの非本質的な領域(例えば領域E1又はE3)中への挿入は、感染宿主において生存可能であり、Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)を発現することができる組換えウイルスをもたらすであろう(例えばLogan & Shenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355〜359を参照されたい)。特異的な開始シグナルもまた、挿入抗体コード配列の効率的な翻訳のために必要とされてもよい。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、全挿入物の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同調していなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、自然及び合成の両方の様々な起源のものとすることができる。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含によって増強されてもよい(例えばBittnerら、1987、Methods in Enzymol.153:516〜544を参照されたい)。
Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)の発現は、当技術分野において既知の任意のプロモーター又はエンハンサーエレメントによって制御されてもよい。Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードする遺伝子の発現を制御するために使用されてもよいプロモーターは、SV40初期プロモーター領域(Bernoist及びChambon、1981、Nature 290:304〜310)、ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列中に含有されるプロモーター(Yamamotoら、1980、Cell 22:787〜797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441〜1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982、Nature 296:39〜42)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら、1995、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 89:5547〜5551);β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Kamaroffら、1978、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727〜3731)又はtacプロモーター(DeBoerら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21〜25;Scientific American、1980、242:74〜94の「Useful proteins from recombinant bacteria」も参照されたい)などのような原核生物発現ベクター;ノパリンシンテターゼプロモーター領域を含む植物発現ベクター(Herrera−Estrellaら、Nature 303:209〜213)又はカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981、Nucl.Acids Res.9:2871)及び光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera−Estrellaら、1984、Nature 310:115〜120);Gal 4プロモーターなどのような酵母又は他の菌類由来のプロモーターエレメント、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、並びに組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されてきた以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984、Cell 38:639〜646;Ornitzら、1986、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399〜409;MacDonald、1987、Hepatology 7:425〜515);膵臓ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan、1985、Nature 315:115〜122)、リンパ様細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984、Cell 38:647〜658;Adamesら、1985、Nature 318:533〜538;Alexanderら、1987、Mol.Cell.Biol.7:1436〜1444)、睾丸、乳房、リンパ様、及び肥満細胞において活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Lederら、1986、Cell 45:485〜495)、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987、Genes and Devel.1:268〜276)、肝臓において活性なアルファフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985、Mol.Cell.Biol.5:1639〜1648;Hammerら、1987、Science 235:53〜58;肝臓において活性なアルファ1−抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987、Genes and Devel.1:161〜171)、骨髄性細胞において活性なベータグロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985、Nature 315:338〜340;Kolliasら、1986、Cell 46:89〜94;脳における乏突起膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987、Cell 48:703〜712);骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani、1985、Nature 314:283〜286);ニューロン細胞において活性なニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(Morelliら、1999、Gen.Virol.80:571〜83);ニューロン細胞において活性な脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら、1998、Biochem.Biophysic.Res.Com.253:818〜823);アストロサイトにおいて活性なグリア線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら、1999、Braz J Med Biol Res 32(5):619〜631;Morelliら、1999、Gen.Virol.80:571〜83)、及び視床下部において活性な性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986、Science 234:1372〜1378)を含むが、これらに限定されない。
本発明のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードする遺伝子の挿入物を含有する発現ベクターは、3つの一般的なアプローチによって同定することができる:(a)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在又は不在、及び(c)挿入された配列の発現。第1のアプローチでは、発現ベクターにおいてペプチド、ポリペプチド、タンパク質、又は融合タンパク質をコードする遺伝子の存在は、それぞれ、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、又は融合タンパク質をコードする挿入遺伝子に相同な配列を含むプローブを使用する核酸ハイブリダイゼーションによって検出することができる。第2のアプローチでは、組換えベクター/宿主系は、ベクターにおける抗体又は融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の挿入によって引き起こされるある種の「マーカー」遺伝子機能(例えばチミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する抵抗性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける包埋体形成など)の存在又は不在に基づいて同定し、選択することができる。例えば、Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列が、ベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入された場合、抗体又は融合タンパク質挿入物をコードする遺伝子を含有する組換え体は、マーカー遺伝子機能の不在によって同定することができる。第3のアプローチでは、組換え発現ベクターは、組換え体によって発現される遺伝子産物(例えば抗体又は融合タンパク質)をアッセイすることによって同定することができる。そのようなアッセイは、例えば、in vitroアッセイ系における融合タンパク質の物理的又は機能的特性、例えば抗生物活性分子抗体との結合に基づくものとすることができる。
さらに、所望の特異的な方法において挿入された配列の発現を調整する又は遺伝子産物を修飾し、プロセシングする宿主細胞株が、選ばれてもよい。ある種のプロモーターからの発現は、ある種の誘発因子の存在下において上昇させることができ、それによって、遺伝子操作された融合タンパク質の発現が制御されてもよい。さらに、様々な宿主細胞は、翻訳及び翻訳後プロセシング及び修飾(例えば、タンパク質のグリコシル化、リン酸化)について特徴的で特異的なメカニズムを有する。適切な細胞系又は宿主系は、発現される外来タンパク質の所望の修飾及びプロセシングを確実にするように選ぶことができる。例えば、細菌系における発現は、非グリコシル化産物を産生するであろう、また、酵母における発現は、グリコシル化産物を産生するであろう。遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシングについての細胞の機構(例えばグリコシル化及びリン酸化)を有する真核生物の宿主細胞が、使用されてもよい。そのような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、WI38、NS0、特に、例えばSK−N−AS、SK−N−FI、SK−N−DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら、1984、J.Natl.Cancer Inst.73:51〜57)、SK−N−SHヒト神経芽細胞腫(Biochim.Biophys.Acta、1982、704:450〜460)、Daoyヒト小脳髄芽腫(Heら、1992、Cancer Res.52:1144〜1148)、DBTRG−05MG 膠芽腫細胞(Kruseら、1992、In Vitro Cell.Dev.Biol.28A:609〜614)、IMR−32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res.、1970、30:2110〜2118)、1321N1ヒト星状細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1977、74:4816)、MOG−G−CCMヒト星状細胞腫(Br.J.Cancer、1984、49:269)、U87MGヒト膠芽腫星状細胞腫(Acta Pathol.Microbiol.Scand.、1968、74:465〜486)、A172ヒト膠芽腫(Olopadeら、1992、Cancer Res.52:2523〜2529)、C6ラット神経膠腫細胞(Bendaら、1968、Science 161:370〜371)、Neuro−2aマウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1970、65:129〜136)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1962、48:1184〜1190)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら、1994、J.Virol.Methods 48:211〜221)、G355−5、PG−4ネコ正常アストロサイト(Haapalaら、1985、J.Virol.53:827〜833)、Mpfシロイタチ脳(Trowbridgeら、1982、In Vitro 18:952〜960)、並びに例えばCRL7030及びHs578Bstなどのような、例えばCTX TNA2ラット正常皮質脳(Radanyら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6467〜6471)などのような正常細胞系などのようなニューロン細胞系を含むが、これらに限定されない。さらに、様々なベクター/宿主発現系は、様々な程度までプロセシング反応を達成してもよい。
組換えタンパク質の長期高収率産生のために、安定した発現は、多くの場合、好ましい。例えば、本発明のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)を安定して発現する細胞系は、操作されてもよい。ウイルス複製開始点を含有する発現ベクターを使用する代わりに、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA及び選択マーカーにより形質転換することができる。外来DNAの導入の後に、操作された細胞は、栄養強化倍地において1〜2日間、成長させ、次いで、選択培地に入れ替えられる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する抵抗性を付与し、細胞が、それらの染色体の中にプラスミドを安定して統合し、成長して、ひいてはクローニングされ、細胞系へと増殖することができるフォーカスを形成するのを可能にする。この方法は、抗原に特異的に結合するFc変異体を発現する細胞系を操作するために好都合に使用されてもよい。そのような操作された細胞系は、抗原に特異的に結合するFc変異体(例えばポリペプチド又は融合タンパク質)の活性に影響を及ぼす化合物のスクリーニング及び評価において特に有用であってもよい。
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977、Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski、1962、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980、Cell 22:817)遺伝子を含むが、これらに限定されない多くの選択系が、使用されてもよく、それぞれ、tk−、hgprt−、又はaprt−細胞において用いることができる。また、代謝拮抗薬抵抗性は、メトトレキサートに対する抵抗性を付与するdhfr(Wiglerら、1980、Natl.Acad.Sci.USA 77:3567;O’Hareら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与するgpt(Mulligan & Berg、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072);アミノグリコシドG−418に対する抵抗性を付与するneo(Colberre−Garapinら、1981、J.Mol.Biol.150:1);及びヒグロマイシンに対する抵抗性を付与するhygro(Santerreら、1984、Gene 30:147)遺伝子について選択の基準として使用することができる。
一度、本発明のFc変異体(例えば抗体、又は融合タンパク質)が組換え発現によって産生されたら、それは、タンパク質の精製について当技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、親和性、特にプロテインA後の特異的な抗原に対する親和性によって、及びサイジングカラムクロマトグラフイー)、遠心分離、溶解度差によって、又はタンパク質の精製についての任意の他の標準的な技術によって精製されてもよい。
Fc変異体は、分泌ポリペプチドとして培養培地から一般に回収されるが、それはまた、分泌シグナルなしで直接産生される場合、宿主細胞溶解産物から回収されてもよい。Fc変異体が膜結合型である場合、それは、適した界面活性剤溶液(例えばTriton−X 100)を使用して、膜から放出させることができる。
Fc変異体がヒト起源のうちの1つ以外の組換え細胞において産生される場合、それは、ヒト起源のタンパク質又はポリペプチドが完全にない。しかしながら、Fc変異体に関して実質的に均一な調製物を得るために、組換え細胞タンパク質又はポリペプチドからFc変異体を精製することが必要である。第1のステップとして、培養培地又は溶解産物は、粒状の細胞デブリを除去するために通常、遠心分離される。
抗体定常ドメインを有するFcヘテロ二量体は、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーによって好都合に精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーは、好ましい精製技術である。イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、heparin Sepharose上でのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫安塩析などのようなタンパク質精製のための他の技術もまた、回収されることとなるポリペプチドに応じて利用可能である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、使用される免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖をベースとする免疫グロブリンFc領域を精製するために使用することができる(Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62:1〜13(1983))。タンパク質Gは、すべてのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推薦される(Gussら、EMBO J.5:15671575(1986))。親和性リガンドが付加されるマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。コントロールドポアガラス(controlled pore glass)又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどのような機械的に安定したマトリックスは、アガロースにより達成することができるものよりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。イムノアドヘシンをプロテインA又はGアフィニティーカラムに結合するための条件は、Fcドメインの特徴;すなわち、その種及びアイソタイプによって全体的に決定される。一般に、適切なリガンドが選ばれる場合、効率的な結合は、無条件培養液から直接行われる。結合した変異体Fcヘテロ二量体は、酸性pH(3.0以上)で又は弱カオトロピック塩を含有する中性pHバッファーにおいて効率的に溶出することができる。このアフィニティークロマトグラフィーステップは、>95%純粋な変異体Fcヘテロ二量体調製物をもたらすことができる。
Fc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)の発現レベルは、ベクター増幅によって増大させることができる(概説については、Bebbington及びHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Vol.3.(Academic Press、New York、1987)を参照されたい)。例えば、抗体又は融合タンパク質を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養において存在する阻害剤のレベルの増大は、マーカー遺伝子のコピーの数を増大させるであろう。増幅領域が抗体遺伝子と関連するので、抗体又は融合タンパク質の産生もまた、増大するであろう(Crouseら、1983、Mol.Cell.Biol.3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクターによりコトランスフェクトされてもよい。例えば、第1のベクターは、重鎖由来のポリペプチドをコードし、第2のベクターは、軽鎖由来のポリペプチドをコードする。2つのベクターは、同一の選択マーカーを含有していてもよく、それは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする。その代わりに、融合タンパク質又は重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現することができる単一のベクターが、使用されてもよい。融合タンパク質又は重鎖及び軽鎖についてのコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含んでいてもよい。
特徴付け及び機能的なアッセイ
本発明のFc変異体(例えば抗体又は融合タンパク質)は、様々な方法において特徴付けられてもよい。一実施形態では、変異体Fcヘテロ二量体の純度が、SDS−PAGEゲル、ウェスタンブロット、濃度測定、又は質量分析法を含むが、これらに限定されない、当技術分野においてよく知られている技術を使用して評価される。タンパク質安定性は、サイズ排除クロマトグラフィー、紫外可視分光法及びCD分光法、質量分光法、示差光散乱(differential light scattering)、ベンチトップ安定性アッセイ(bench top stability assay)、他の特徴付け技術とつながれた凍結融解、示差走査熱量測定、示差走査蛍光分析(differential scanning fluorimetry)、疎水性相互作用クロマトグラフィー、等電点電気泳動、受容体結合アッセイ、又は相対的なタンパク質発現レベルに限定されない、多くの技術を使用して、特徴付けることができる。例示的な実施形態では、変異体Fcヘテロ二量体の安定性は、示差走査熱量測定又は示差走査蛍光分析などのような当技術分野においてよく知られている技術を使用して、野生型CH3ドメインと比較した、変異体CH3ドメインの融解温度によって評価される。
本発明のFc変異体はまた、リガンド(例えばFcγRIIIA、FcγRIIB、C1q)に特異的に結合する能力についてアッセイされてもよい。そのようなアッセイは、溶液において(例えばHoughten,Bio/Techniques、13:412〜421、1992)、ビーズ上で(Lam、Nature、354:82〜84、1991、チップ上で(Fodor、Nature、364:555〜556、1993)、細菌上で(米国特許第5,223,409号)、プラスミド上で(Cullら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:1865〜1869、1992)、又はファージ上で(Scott及びSmith、Science、249:386〜390、1990;Devlin、Science、249:404〜406、1990;Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6378〜6382、1990;及びFelici、J.Mol.Biol.、222:301〜310、1991)実行されてもよい。次いで、リガンド(例えばFcγRIIIA、FcγRIIB、C1q、又は抗原に)に特異的に結合することが同定された分子は、リガンドに対するそれらの親和性についてアッセイすることができる。
本発明のFc変異体は、当技術分野において既知の任意の方法によって、抗原(例えば癌抗原及び他の抗原との交差反応性)又はリガンド(例えばFcγR)などのような分子への特異的な結合についてアッセイされてもよい。特異的な結合及び交差反応性を解析するために使用することができるイムノアッセイは、ほんの少し例を挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどのような技術を使用する競合的及び非競合的アッセイ系を含むが、これらに限定されない。そのようなアッセイは、当技術分野においてルーチン的であり、よく知られている(例えばAusubelら編、1994、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley & Sons,Inc.、New Yorkを参照されたい)。
抗原又はリガンド(例えばFcγR)などのような分子への本発明のFc変異体の結合親和性及び相互作用のオフ速度は、競合的結合アッセイによって決定することができる。競合的結合アッセイの1つの例は、FcγRなどのような非標識リガンドの増大性の量の存在下における、対象の分子(例えば本発明のFc変異体)との、FcγRなどのような標識リガンドのインキュベーション(例えば3H又は125I)及び標識リガンドに結合した分子の検出を含むラジオイムノアッセイである。リガンドに対する本発明の分子の親和性及び結合オフ速度は、スキャチャード解析によって飽和データから決定することができる。
Fc変異体の動力学的パラメーターはまた、当技術分野において既知の任意の表面プラズモン共鳴(SPR)ベースのアッセイ(例えばBIAcore反応速度解析)を使用して決定されてもよい。SPRベースの技術の概説については、Mulletら、2000、Methods 22:77〜91;Dongら、2002、Review in Mol.Biotech.、82:303〜23;Fivashら、1998、Current Opinion in Biotechnology 9:97〜101;Richら、2000、Current Opinion in Biotechnology 11:54〜61を参照されたい。さらに、米国特許第6,373,577号;第6,289,286号;第5,322,798号;第5,341,215号;第6,268,125号において記載されるタンパク質間相互作用を測定するためのSPR機器及びSPRベースの方法のいずれかは、本発明の方法において企図される。
当業者らに知られている技術のいずれかを使用する蛍光活性化セルソーター(FACS)は、細胞表面上に発現される分子(例えばFcγRIIIA、FcγRIIB)へのFc変異体の結合を特徴付けるために使用することができる。フローソーターは、ライブラリー挿入物を含有する多くの個々の細胞を急速に検査することができる(例えば毎時10〜100百万個の細胞)(Shapiroら、Practical Flow,Cytometry、1995)。生物学的細胞をソートし、検査するためのフローサイトメーターは、当技術分野においてよく知られている。既知のフローサイトメーターは、例えば米国特許第4,347,935号;第5,464,581号;第5,483,469号;第5,602,039号;第5,643,796号;及び第6,211,477号において記載される。他の既知のフローサイトメーターは、Becton Dickinson and Companyによって製造されたFACS Vantage(商標)システム及びUnion Biometricaによって製造されたCOPAS(商標)システムである。
本発明のFc変異体は、FcγR媒介性のエフェクター細胞機能を媒介するそれらの能力によって特徴付けることができる。アッセイすることができるエフェクター細胞機能の例は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、オプソニン作用、オプソニン化貪食作用、C1q結合、及び補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDC)を含むが、これらに限定されない。エフェクター細胞機能活性を決定するための、当業者らに知られている任意の細胞ベースの又は無細胞アッセイを使用することができる(エフェクター細胞アッセイについては、Perussiaら、2000、Methods Mol.Biol.121:179〜92;Baggioliniら、1998 Experientia、44(10):841〜8;Lehmannら、2000 J.Immunol.Methods、243(1−2):229〜42;Brown E J.1994、Methods Cell Biol.、45:147〜64;Munnら、1990 J.Exp.Med.、172:231〜237、Abdul−Majidら、2002 Scand.J.Immunol.55:70〜81;Dingら、1998、Immunity 8:403〜411を参照されたい)。
特に、本発明のFc変異体は、当業者らに知られている標準的な方法のいずれかを使用して、エフェクター細胞(例えばナチュラルキラー細胞)におけるFcγR媒介性ADCC活性についてアッセイすることができる(例えばPerussiaら、2000、Methods Mol.Biol.121:179〜92を参照されたい)。本発明の分子のADCC活性を決定するための例示的なアッセイは、[51Cr]NaCrOによる標的細胞の標識(この細胞膜透過性分子は、ゆっくりとした反応速度で細胞から自発的に放出されるが、細胞質タンパク質に結合し、標的細胞壊死の後に大量に放出されるので、標識のために一般的に使用される);本発明のFc変異体により標的細胞をオプソニン化すること;エフェクター細胞に対する標的細胞の適切な比で、マイクロタイタープレートにおいて、エフェクター細胞とオプソニン化された放射標識標的細胞を組み合わせること;37℃で16〜18時間、細胞の混合物をインキュベートすること;上清を収集すること;及び放射活性を解析することを含む51Cr放出アッセイに基づく。次いで、本発明の分子の細胞傷害は、例えば以下の式を使用して決定することができる:溶解%=(実験cpm−標的リークcpm)/(界面活性剤溶解cpm−標的リークcpm)×100%。その代わりに、溶解%=(ADCC−AICC)/(最大放出−自発的放出)。特異的な溶解は、式:特異的溶解=本発明の分子による溶解%−本発明の分子の非存在下における溶解%を使用して計算することができる。図は、標的:エフェクター細胞比又は抗体濃度を変えることによって生成することができる。
Fc変異体がC1qに結合し、補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介する能力を特徴付けるための方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば、C1q結合を決定するために、C1q結合ELISAが、実行されてもよい。例示的なアッセイは、以下を含んでいてもよい:アッセイプレートは、コーティングバッファーにおいて4℃でポリペプチド変異体又は出発ポリペプチド(対照)により一晩コートされてもよい。次いで、プレートは、洗浄され、遮断されてもよい。洗浄の後に、ヒトC1qの一定分量は、それぞれのウェルに添加され、室温で2時間インキュベートされてもよい。さらなる洗浄の後に、100uLのヒツジ抗補体C1qペルオキシダーゼコンジュゲート抗体は、それぞれのウェルに添加され、室温で1時間インキュベートされてもよい。プレートは、洗浄バッファーにより再び洗浄されてもよく、100ulのOPD(O−フェニレンジアミン二塩酸化合物(Sigma))を含有する基質バッファーは、それぞれのウェルに添加されてもよい。黄色の色の出現によって観察される酸化反応は、30分間進行させ、100ulの4.5NH2 SO4の添加によって停止させてもよい。次いで、吸光度は、(492〜405)nmで読み取られてもよい。
補体活性化を評価するために、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイが、実行されてもよい(例えばGazzano−Santoroら、1996、J.Immunol.Methods 202:163において記載されるように)。手短に言えば、様々な濃度のFc変異体及びヒト補体は、バッファーにより希釈されてもよい。Fc変異体が結合する抗原を発現する細胞は、約1×10細胞/mlの密度まで希釈されてもよい。Fc変異体、希釈されたヒト補体、及び抗原を発現する細胞の混合物は、平底組織培養96ウェルプレートに添加され、補体媒介性細胞溶解を容易にするために、37℃及び5%CO2で2時間、インキュベートされてもよい。次いで、50uLのalamar blue(Accumed International)を、それぞれのウェルに添加し、37℃で一晩インキュベートされてもよい。吸光度は、530nmの励起及び590nmの放射で96ウェル蛍光光度計を使用して測定される。結果は、相対的蛍光単位(RFU)で表現されてもよい。試料濃度は、標準曲線から計算されてもよく、類似の分子(つまり非改変又は野生型CH3ドメインを有するFc領域を含む分子)に比べた活性パーセントは、対象のFc変異体について報告される。
補体アッセイは、モルモット、ウサギ、又はヒト血清により実行されてもよい。標的細胞の補体溶解は、Korzeniewskiら、1983、Immunol.Methods 64(3):313〜20;及びDeckerら、1988、J.Immunol Methods 115(1):61〜9において記載されるように、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)などのような細胞内酵素の放出又は標的細胞が標識されるユウロピウム、クロム51、若しくはインジウム111などのような細胞内標識の放出をモニターすることによって検出されてもよい。
方法
本発明は、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は回復させるために、動物、特に哺乳動物、具体的にはヒトに、本発明の1つ又は複数のFc変異体(例えば抗体)を投与することを包含する。本発明のFc変異体は、エフェクター細胞機能(例えばADCC、CDC)の効能の変化が所望される疾患又は障害の治療又は予防に特に有用である。Fc変異体及びその組成物は、原発性又は転移性新生物疾患(つまり癌)及び感染症の治療又は予防に特に有用である。本発明の分子は、当技術分野において知られている又は本明細書において記載される薬学的に許容される組成物中に提供されてもよい。下記に詳述されるように、本発明の分子は、癌(特に受動免疫療法において)、自己免疫疾患、炎症性障害、又は感染症を治療する又は予防するための方法において使用することができる。
本発明のFc変異体はまた、癌、自己免疫疾患、炎症性障害、又は感染症の治療又は予防のために、当技術分野において既知の他の治療剤と組み合わせて好都合に利用されてもよい。特定の実施形態では、本発明のFc変異体が、例えば、分子と相互作用するエフェクター細胞の数又は活性を増大させ、免疫応答を増大させるように働くモノクローナル若しくはキメラ抗体、リンホカイン、又は造血性増殖因子(例えばIL−2、IL−3、及びIL−7など)と組み合わせて使用されてもよい。本発明のFc変異体はまた、例えば抗癌剤、抗炎症剤、又は抗ウイルス剤などのような、疾患、障害、又は感染を治療するために使用される1つ又は複数の薬剤と組み合わせて、好都合に利用されてもよい。
したがって、本発明は、本発明の1つ又は複数のFc変異体を投与することによって、癌及び関連する状態と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は回復させるための方法を提供する。作用のいかなるメカニズムによっても拘束されるつもりはないが、類似の分子よりも高い親和性でFcγRIIIA及び/若しくはFcγRIIAに結合し、類似の分子よりも低い親和性でFcγRIIBにさらに結合する本発明のFc変異体並びに/又は当該Fc変異体は、増強したエフェクター機能、例えばADCC、CDC、食作用、オプソニン作用などを有し、癌細胞の選択的なターゲティング及び効率的な破壊をもたらすであろう。
本発明は、通例の標準的な及び実験的な化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、又は外科手術を含むが、これらに限定されない、癌の治療又は予防について当業者らに知られている他の療法と組み合わせて、本発明の1つ又は複数のFc変異体を投与することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、本発明の分子が、癌の治療及び/又は予防について当業者らに知られている、治療又は予防有効量の1つ又は複数の抗癌剤、治療用抗体、又は他の作用物質と組み合わせて投与されてもよい。本発明のFc変異体と組み合わせて使用することができる投薬レジメン及び療法の例は、当技術分野においてよく知られており、詳細に別記されている(例えばPCT公開WO02/070007及びWO03/075957を参照されたい)。
本発明の方法及び組成物によって治療することができる又は予防することができる癌及び関連する障害は、以下を含むが、これらに限定されない:白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨及び結合組織肉腫、脳腫瘍、乳癌、副腎癌、甲状腺癌、膵癌、下垂体癌、眼癌、膣癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌、肺癌、精巣癌、前立腺癌、陰茎癌(penal cancer);口腔癌、唾液腺癌、咽頭癌、皮膚癌、腎臓癌、膀胱癌(そのような障害の概説については、Fishmanら、1985、Medicine、第2版、J.B.Lippincott Co.、Philadelphia及びMurphyら、1997、Informed Decisions:The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery、Viking Penguin, Penguin Books U.S.A.,Inc.、United States of Americaを参照されたい)。
本発明は、抗体が本発明の変異体CH3ドメインを組み込むFc領域を含むように、癌及び関連する障害の治療及び/又は予防のための当技術分野において既知の抗体のいずれかを操作することをさらに企図する。
特定の実施形態では、本発明の分子(例えば変異体Fcヘテロ二量体を含む抗体)は、本発明の当該分子の非存在下における原発性腫瘍又は転移の成長に比べて、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、又は少なくとも10%まで、原発性腫瘍の成長又は癌性細胞の転移を阻害する又は低下させる。
本発明は、対象における炎症性障害と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は管理するための本発明の1つ又は複数のFc変異体の使用を包含する。作用のいかなるメカニズムによっても拘束されるつもりはないが、FcγRIIBに対する親和性が増強したFc変異体は、活性化受容体を弱め、したがって免疫応答を弱めることを導き、自己免疫障害を治療する及び/又は予防するための治療上の効能を有するであろう。さらに、炎症性障害と関連する、変異体Fcヘテロ二量体を含む二重特異性抗体などのような1つを超える標的に結合する抗体は、一価療法に対して、相乗的効果をもたらしてもよい。
本発明は、治療又は予防有効量の1つ又は複数の抗炎症剤と組み合わせて、本発明のFc変異体を投与することをさらに包含する。本発明はまた、治療又は予防有効量の1つ又は複数の免疫調節作用物質と組み合わせて、本発明のFc変異体を当該対象に投与することをさらに含む、自己免疫疾患と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は管理するための方法をも提供する。本発明のFc変異体を投与することによって治療されてもよい自己免疫障害の例は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、チャーグ−ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円盤状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛−線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン−バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少症紫斑(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエル病、混合結合組織病、多発性硬化症、1型又は免疫媒介性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多発内分泌腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、紅斑性狼瘡、高安動脈炎及び側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、疱疹状皮膚炎脈管炎などのような血管炎、尋常性白斑、並びにウェゲナー肉芽腫症を含むが、これらに限定されない。炎症性障害の例は、喘息、脳炎、炎症性腸感染、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血症性ショック、肺線維症、未分化型脊椎関節障害(undifferentiated spondyloarthropathy)、未分化型関節障害(undifferentiated arthropathy)、関節炎、炎症性骨溶解、及び慢性ウイルス又は細菌感染に起因する慢性炎を含むが、これらに限定されない。いくつかの自己免疫障害は、炎症性の状態と関連し、したがって、自己免疫障害及び炎症性障害と見なされるものの間に重複がある。そのため、いくつかの自己免疫障害は、炎症性障害とも見なされてもよい。本発明の方法に従って予防する、治療する又は管理することができる炎症性障害の例は、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血症性ショック、肺線維症、未分化型脊椎関節障害、未分化型関節障害、関節炎、炎症性骨溶解、及び慢性ウイルス又は細菌感染に起因する慢性炎を含むが、これらに限定されない。
本発明のFc変異体は、炎症性障害を有する動物、特に哺乳動物が経験する炎症を低下させるために使用することもできる。特定の実施形態では、本発明のFcは、当該分子を投与されない動物における炎症に比べて、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、又は少なくとも10%まで、動物における炎症を低下させる。
本発明は、抗体が本発明の変異体Fcヘテロ二量体を含むように、自己免疫疾患又は炎症性疾患の治療及び/又は予防のための当技術分野において既知の抗体のいずれかを操作することをさらに企図する。
本発明はまた、本発明の治療又は予防有効量の1つ又は複数のFc変異体を投与することを含む、対象における感染症を治療する又は予防するための方法を包含する。本発明のFc変異体によって治療する又は予防することができる感染症は、ウイルス、細菌、菌類、原生動物、及びウイルスを含むが、これらに限定されない感染病原体によって引き起こされる。
本発明の方法と併用して本発明のFc変異体を使用して治療する又は予防することができるウイルス性疾患は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV−I)、単純ヘルペスII型(HSV−II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、おたふくかぜウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘、エプスタインバーウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV−I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV−II)、及びウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱、又は天然痘などのようなウイルス性疾患の病原体によって引き起こされるものを含むが、これらに限定されない。
細菌によって引き起こされる、本発明の方法と併用して本発明のFc変異体を使用して治療する又は予防することができる細菌性疾患は、ミコバクテリア・リケッチア(mycobacteria rickettsia)、マイコプラズマ、ナイセリア、S.ニューモニエ、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)(ライム病)、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽病)、テタヌス、連鎖球菌、ブドウ球菌、ミコバクテリウム、テタヌス、ペルチサス(pertissus)、コレラ、ペスト、ジフテリア、クラミジア、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、及びレジオネラを含むが、これらに限定されない。原生動物によって引き起こされる、本発明の方法と併用して本発明の分子を使用して治療する又は予防することができる原虫症は、リーシュマニア、コクジジオア(kokzidioa)、トリパノソーマ、又はマラリアを含むが、これらに限定されない。寄生虫によって引き起こされる、本発明の方法と併用して本発明の分子を使用して治療する又は予防することができる寄生虫症は、クラミジア及びリケッチアを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明のFc変異体が、感染症の治療及び/又は予防のための、当業者らに知られている、治療又は予防有効量の1つ又はさらなる治療剤と組み合わせて投与されてもよい。本発明は、抗生物質、抗真菌剤、及び抗ウイルス剤を含むが、これらに限定されない、感染症の治療及び/又は予防のための、当業者らに知られている他の分子と組み合わせた、本発明の分子の使用を企図する。
本発明は、方法及び本発明のFc変異体(例えば抗体、ポリペプチド)を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、有効量の本発明の少なくとも1つのFc変異体又は本発明の少なくとも1つのFc変異体を含む医薬組成物を対象に投与することによる、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状の治療、予防、及び回復の方法を提供する。一態様では、Fc変異体が、実質的に精製される(つまり、その効果を制限する又は望ましくない副作用をもたらす物質が実質的になく、これは、ホモ二量体及び他の細胞物質を含む)。特定の実施形態では、対象が、非霊長動物(例えば雌ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)並びに霊長動物(例えば、カニクイザルなどのようなサル及びヒト)を含む哺乳動物などのような動物である。特定の実施形態では、対象が、ヒトである。さらに他の特定の実施形態では、本発明の抗体が、対象と同じ種由来のものである。
組成物の投与のルートは、治療されることとなる状態に依存する。例えば、静脈内注射は、リンパ腺癌又は転移した腫瘍などのような全身性の障害の治療に好ましいことがある。投与されることとなる組成物の投薬量は、標準的な用量−応答研究と併用して、不必要な実験作業を伴わないで、当業者によって決定することができる。それらの決定を行う際に考慮されることとなる関連する環境は、治療されることとなる状態(単数又は複数)、投与されることとなる組成物の選択、個々の患者の年齢、体重、及び応答、並びに患者の症状の重症度を含む。状態に応じて、組成物は、経口的に、非経口的に、鼻腔内に、経膣的に、直腸に、舌の方向に、舌下に、頬側に、頬内に、及び/又は経皮的に、患者に投与することができる。
したがって、経口、舌、舌下、頬側、及び頬内投与のために設計された組成物は、例えば不活性の希釈剤又は食用の担体と共に、当技術分野においてよく知られている手段によって、不必要な実験作業を伴わないで作製することができる。組成物は、ゼラチンカプセル中に封入されてもよい又は錠剤に圧縮されてもよい。経口治療の投与の目的のために、本発明の医薬組成物は、賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート、チューインガムなどの形態で使用されてもよい。
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどはまた、結合剤、レシピエント、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、及び/又は香料を含有してもよい。結合剤のいくつかの例は、結晶セルロース、トラガカントゴム、及びゼラチンを含む。賦形剤の例は、デンプン及びラクトースを含む。崩壊剤のいくつかの例は、アルギン酸、コーンスターチなどを含む。滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カリウムを含む。滑剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味料のいくつかの例は、スクロース、サッカリンなどを含む。香料の例は、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香味料などを含む。これらの様々な組成物を調製するのに使用される物質は、使用される量において薬学的に純粋であり、無毒性であるべきである。
本発明の医薬組成物は、例えば静脈内、筋肉内、鞘内、及び/又は皮下注射によってなどのように、非経口的に投与することができる。非経口投与は、水剤又は懸濁剤の中に本発明の組成物を組み込むことによって達成することができる。そのような水剤又は懸濁剤はまた、注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、及び/又は他の合成溶媒などのような滅菌希釈剤を含んでいてもよい。非経口製剤はまた、例えばベンジルアルコール及び/又はメチルパラベンなどのような抗菌剤、例えばアスコルビン酸及び/又は亜硫酸水素ナトリウムなどのような酸化防止剤、並びにEDTAなどのようなキレート化剤を含んでいてもよい。アセテート、シトレート、及びホスフェートなどのようなバッファー並びに塩化ナトリウム及びデキストロースなどのような張度の調節のための作用物質もまた、追加されてもよい。非経口調製物は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨ての注射器、及び/又は多用量バイアル中に封入することができる。直腸投与は、直腸及び/又は大腸の中に組成物を投与することを含む。これは、坐剤及び/又は浣腸剤を使用して達成することができる。坐剤製剤は、当技術分野における既知の方法によって作製することができる。経皮的投与は、皮膚を通しての組成物の経皮吸収を含む。経皮的製剤は、パッチ、軟膏剤、クリーム剤、ゲル、軟膏などを含む。本発明の組成物は、患者に経鼻的に投与することができる。本明細書において使用されるように、経鼻的に投与すること又は経鼻投与は、患者の鼻通路及び/又は鼻腔の粘膜に組成物を投与することを含む。
本発明の医薬組成物は、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は回復させるための本発明の方法に従って使用されてもよい。本発明の医薬組成物は滅菌されており、対象への投与に適した形態をしていることが企図される。
一実施形態では、本発明の組成物は、内毒素及び/又は関連する発熱性物質が実質的にない、発熱物質がない製剤である。内毒素は、微生物内に限られ、微生物が分解された又は死亡した場合に放出される毒素を含む。発熱性物質はまた、細菌及び他の微生物の外膜由来の発熱誘発性で熱安定性の物質(糖タンパク質)をも含む。これらの物質は両方とも、ヒトに投与された場合、発熱、低血圧、及びショックを引き起こし得る。可能性のある有害な影響により、静脈内投与医薬水剤から低量の内毒素でさえ除去することは好都合である。Food & Drug Administration(「FDA」)は、静脈内薬剤適用のための単一の1時間の期間において、体重1キログラム当たり1用量当たり5内毒素単位(EU)の上限を設定した(The United States Pharmacopeial Convention,Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。治療用タンパク質が、モノクローナル抗体の場合であり得るように、体重1キログラム当たり数百又は数千ミリグラムの量で投与される場合、極微量の内毒素でさえ除去することは好都合である。特定の実施形態では、組成物中の内毒素及び発熱物質のレベルは、10EU/mg未満又は5EU/mg未満又は1EU/mg未満又は0.1EU/mg未満又は0.01EU/mg未満又は0.001EU/mg未満である。
本発明は、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は回復させるための方法であって、(a)1つ又は複数のFc変異体を含む予防又は治療有効量の用量の組成物をその必要のある対象に投与すること及び(b)抗原に継続的に結合する、望ましいレベル(例えば約0.1〜約100μg/ml)にFc変異体の血漿濃度を維持するために、1つ又は複数の続く用量の当該Fc変異体を投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、Fc変異体の血漿濃度は、10μg/ml、15μg/ml、20μg/ml、25μg/ml、30μg/ml、35μg/ml、40μg/ml、45μg/ml、又は50μg/mlに維持される。特定の実施形態では、投与されることとなる当該有効量のFc変異体が、1用量当たり少なくとも1mg/kg〜8mg/kgである。他の特定の実施形態では、投与されることとなる当該有効量のFc変異体が、1用量当たり少なくとも4mg/kg〜5mg/kgである。さらに他の特定の実施形態では、投与されることとなる当該有効量のFc変異体が、1用量当たり50mg〜250mgである。さらに他の特定の実施形態では、投与されることとなる当該有効量のFc変異体が、1用量当たり100mg〜200mgである。
本発明はまた、Fc変異体が、Fc変異体及び/又は変異体融合タンパク質以外の療法(例えば予防又は治療剤)と組み合わせて使用される、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状を予防する、治療する、又は回復させるためのプロトコールをも包含する。本発明は、部分的に、本発明のFc変異体が、通例の標準的な及び実験的な化学療法を含む他の癌療法の効能を高め、それと相乗作用を示す、その効力を増強する、その耐性を改善する、及び/又はそれによって引き起こされる副作用を低下させるという認識に基づく。本発明の併用療法は、付加的な効力、付加的な治療効果、又は相乗効果を有する。本発明の併用療法は、当該対象の生活の質を改善するために及び/又は予防若しくは治療効果を達成するために、疾患、障害、若しくは感染と関連する1つ若しくは複数の症状を予防する、治療する、若しくは回復させるためにFc変異体と併用して利用される療法(例えば予防若しくは治療剤)の投薬量をより低くする及び/又は疾患、障害、若しくは感染を有する対象へのそのような予防若しくは治療剤の投与の頻度を低下させるのを可能にする。さらに、本発明の併用療法は、通例の単一作用物質による療法及び/又は既存の併用療法の投与と関連する不要な又は有害な副作用を低下させ又は回避し、これは、ひいては、治療プロトコールへの患者のコンプライアンスを改善する。本発明のFc変異体と組み合わせて利用することができる多数の分子は、当技術分野においてよく知られている。例えばPCT公開WO02/070007;WO03/075957、及び米国特許出願公開第2005/064514号を参照されたい。
本発明は、疾患、障害、又は感染と関連する1つ又は複数の症状をモニターする、診断する、予防する、治療する、又は回復させるのに使用するための、1つ又は複数の容器における、検出可能な作用物質、治療剤、又は薬剤にコンジュゲートされた又は融合された抗原に特異的に結合する、FcγR及び/又はC1qに対する変化した結合親和性並びに変化したADCC及び/又はCDC活性を有する1つ又は複数のFc変異体を含むキットを提供する。
以下の例は、本発明の実施を例示するために与えられるものである。それらは本発明の範囲全体を限定又は規定することを意図するものではない。
(例1:ヘテロ二量体Fcドメインを有する二価一特異的抗体の生成)
抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を、ヒト/哺乳動物発現のために最適化されたコドンを用いる遺伝子合成により構築した。Fab配列は公知のHer2/neu結合Abから生成され(Carter P.ら(1992)、Humanization of an anti P185 Her2 antibody for human cancer therapy、Proc Natl Acad Sci 89、4285頁)、FcはIgG1アイソタイプであった(配列番号1)。最終遺伝子産物を哺乳動物発現ベクターpTT5(NRC−BRI、Canada)(Durocher, Y.、Perret,S.& Kamen,A.、High−level and high−throughput recombinant protein production by transient trasfection of suspension−growing human HEK293−EBNA1 cells、Nucleic acids research 30、E9(2002))中にサブクローニングした。CH3ドメイン中の突然変異は、pTT5鋳型ベクターの部位特異的突然変異誘発により導入された。作製した変異体CH3ドメイン突然変異の一覧については、表1及び表6及び表7を参照されたい。
ヘテロ二量体の形成を評価し、ホモ二量体とヘテロ二量体との比率を決定するために、異なるサイズのC末端伸長部を有する2つのヘテロ二量体重鎖を設計した(特に、C末端HisTagを有する鎖A及びC末端mRFP+StrepTagIIを有する鎖B)。この分子量の差異は、図25Aに示される非還元的SDS−PAGEにおけるホモ二量体とヘテロ二量体との区別を可能にする。
細胞指数増殖期(150〜200万個の細胞/mL)のHEK293細胞に、2.5:1のPEI:DNA比で水性1mg/mLの25kDaポリエチレンイミン(PEI、Polysciences)をトランスフェクトした(Raymond C.ら、A simplified polyethylenimine−mediated transfection process for large−scale and high−throughput applications、Methods.55(1):44〜51頁(2011))。ヘテロ二量体を形成させるための最適な濃度範囲を決定するために、2つの重鎖の3つの別々の比率でDNAをトランスフェクトした。例えば、これを、2ml培養容量並びに5%GFP、45%サケ精子DNA、25%軽鎖及び25%全重鎖を含むトランスフェクションDNA中で行い、ここで65%/55%/35%又は10%/20%/40%の重鎖Aプラスミド(C末端His−Tagを含む)及び重鎖Bプラスミド(C末端StrepTagII+RFPを含む)を10%/65%;20%/55%;40%/35%の3つの異なる相対比(鎖_A(His)/鎖_B(mRFP)でサンプリングした(WT_His/WT_mRFPヘテロ二量体の見かけの1:1発現比はDNA比20%/55%に近いものであると決定された)。F17無血清培地(Gibco)中でのトランスフェクションの4〜48時間後、TN1ペプトンを0.5%の最終濃度となるように添加する。発現された抗体をSDS−PAGEにより分析して、最適なヘテロ二量体形成のための重鎖と軽鎖の最良の比率を決定した(図25B及びCを参照されたい)。
選択されたDNA比、例えば、AZ33及びAZ34の50%の軽鎖プラスミド、25%の重鎖Aプラスミド、25%の重鎖Bを、5%GFP、及び45%サケ精子DNAと共に用いて、上記のように150mLの細胞培養液をトランスフェクトした。培養培地を4000rpmでの遠心分離後に回収し、0.45μmフィルターを用いて清澄化して、トランスフェクトされた細胞を5〜6日後に収穫した。純度及び融解温度の決定などのさらなる分析のために作製されたCH3突然変異を有するそれぞれの抗体のスケールアップトランスフェクションアッセイにおいて用いた軽鎖及び重鎖A及びBプラスミドのパーセンテージの一覧については、以下の表2を参照されたい。

(例2:ヘテロ二量体Fcドメインを有する二価一特異的抗体の精製)
清澄化された培養培地を、MabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテインAカラム上に充填し、pH7.2の10倍カラム容量のPBSバッファーで洗浄した。抗体をpH3.6の10倍カラム容量のクエン酸バッファーで溶出させ、抗体を含有するプールされた画分をpH11のTRISで中和した。Econo−Pac 10DGカラム(BioRad)を用いてタンパク質を最終的に脱塩した。抗体とエンテロキナーゼ(NEB)とを1:10,000の比率で、25℃でPBS中で一晩インキュベートすることにより、重鎖B上のC末端mRFPタグを除去した。ゲル濾過により混合物から抗体を精製した。ゲル濾過のために、3.5mgの抗体混合物を1.5mLに濃縮し、1mL/minの流速でAKTA Express FPLCを介してSephadex 200 HiLoad 16/600 200pgカラム(GE Healthcare)上に充填した。pH7.4のPBSバッファーを1mL/minの流速で用いた。精製された抗体に対応する画分を回収し、約1mg/mLに濃縮し、−80℃で保存した。
ホモ二量体と比較したヘテロ二量体の形成を、非還元的SDS−PAGE及び質量分析を用いてアッセイした。プロテインAで精製された抗体を4〜12%勾配のSDS−PAGE、非還元ゲル上で泳動して、エンテロキナーゼ(EK)処理の前に形成されたヘテロ二量体のパーセンテージを決定した(図26を参照されたい)。質量分析のために、すべてのTrap LC/MS(ESI−TOF)実験を、Waters Q−TOF2質量分析計と接続されたAgilent 1100 HPLCシステム上で実施した。5μgのゲル濾過精製された抗体を、Protein MicroTrap(8.0mmにより1.0)中に注入し、1%アセトニトリルで8分間洗浄し、1〜20%勾配のアセトニトリル/0.1%ギ酸で2分間、次いで、20〜60%のアセトニトリル/0.1%ギ酸の勾配で20分間溶出させた。溶出液(30〜50μL/min)を分光計に誘導し、毎秒スペクトルを獲得した(m/z 800〜4,000)(図28を参照されたい)。それぞれ85%より多いヘテロ二量体形成を有したAZ12及びAZ14を除いて、90%より多いヘテロ二量体を有する変異体をさらなる分析のために選択した。
(例3:示差走査熱量測定(DSC)を用いるヘテロ二量体Fcドメインを有する二価一特異的抗体の安定性の決定)
すべてのDSC実験を、GE VP−Capillary装置を用いて実行した。タンパク質をPBS(pH7.4)中でバッファー交換し、0.4〜0.5mg/mLに希釈し、0.137mLを試料セル中に充填し、20〜100℃で1℃/minの走査速度で測定した。PBSバッファーのバックグラウンドを差し引いて、Originソフトウェア(GE Healthcare)を用いてデータを分析した(図27を参照されたい)。試験した変異体及び決定された融解温度の一覧については表3を参照されたい。70℃以上の融解温度を有する変異体及びそれぞれの変異体に関する特定のTmの一覧については表4を参照されたい。



(例4:表面プラズモン共鳴を用いるFcガンマR結合の評価)
すべての結合実験を、10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、及び0.05%Tween20(pH7.4)と共に25℃でBioRad ProteOn XPR36装置を用いて実行した。約3000共鳴単位(RU)が固定され、残りの活性基がクエンチされるまで、25μL/minで10mM NaOAc(pH4.5)中の4.0μg/mLを注入することにより、組換えHER−2/neu(p185、ErbB−2(eBiosciences,Inc.))を活性化GLMセンサーチップ上に捕捉した。安定なベースラインを確立するためのバッファー注入の後、25μL/minで240s注入した場合に(約500RUが得られる)Her−2/neuタンパク質に結合させることにより、変異体CH3ドメインを含む精製された抗HER−2/neu抗体40μg/mLをセンサーチップ上に間接的に捕捉した。FcガンマR(CD16a(fアロタイプ)及びCD32b)濃度(6000、2000、667、222及び74.0nM)を、60μL/minで120s注入し、180sの解離段階を行って、結合センサーグラムのセットを得た。得られたK値を、平衡適合モデルを用いて結合等温線から決定し、3回の独立した実行の平均として値を報告した。野生型IgG1 Fcドメインとの比較を行い、変異体kDに対するWT kDの比率として結合を表す(表5を参照されたい)。


(例5:Fc_CH3操作を用いるFc変異体の合理的設計−足場1(1a及び1b)並びにAZ17−62及びAZ133〜AZ2438の開発)
安定性及び純度に関する初期の負の設計のFc変異体AZ8を改善するために、上記の構造及びコンピューター戦略を用いた(図24を参照されたい)。例えば、AZ8の徹底的な構造機能分析により、野生型ヒトIgG1と比較したAZ8のそれぞれの導入された突然変異、L351Y_V397S_F405A_Y407V/K392V_T394Wに関する詳細な理解が提供され、重要なコアヘテロ二量体突然変異はL351Y_F405A_Y407V/T394Wであるが、V397S、K392Vはヘテロ二量体形成とは関連しないことが示された。このコア突然変異(L351Y_F405A_Y407V/T394W)を、本明細書では「足場1」突然変異と呼ぶ。分析はさらに、野生型(WT)ホモ二量体形成に関して失われる重要な境界面ホットスポットがWT−F405−K409、Y407−T366と、Y407−Y407及び−F405のパッキングとの相互作用であることを示した(図29を参照されたい)。これは、ループ領域D399〜S400〜D401(図30を参照されたい)及びK370で結合したβ−シートの大きいコンフォメーションの相違を示した、パッキング、空洞及びMD分析に反映された。これは鎖間相互作用K409−D399の喪失(図30を参照されたい)及びE357への強いK370水素結合の弱体化をもたらした(K370は最早S364及びE357と直接接触していないが、完全に溶媒に曝露している)。WT IgG1 CH3ドメインにおいて、これらの領域は、境界面を縁で繋ぎ、バルク溶媒競合(bulk solvent competition)からコア相互作用を保護し、好ましい疎水性van der Waals相互作用の動的発生を増加させる。その結果は、WTと比較してより少なく埋没したAZ8の表面積及び疎水性コアのより高い溶媒接近性であった。これは、WTの安定性と比較したAZ8のより低い安定性に関する最も重要な因子が、a)WT−F405−K409相互作用及びF405のパッキングの喪失、並びにb)Y407−Y407及びY407−T366の強いパッキング相互作用の喪失であることを示していた。図29を参照されたい。
結果として、本発明者らは、WTと比較してAZ8の低い安定性の原因となる鍵となる残基/配列モチーフを同定した。したがって、AZ8の安定性及びヘテロ二量体特異性を改善するために、その後の正の設計操作の努力を、より「閉じた」WT様コンフォメーション中の399〜401位のループコンフォメーションの安定化(図30を参照されたい)並びにT366及びL368位の疎水性コアの全体としてわずかに低下した(より緩い)パッキングの相殺(図29を参照されたい)に特に集中した。
399〜401位のループコンフォメーションのこの安定化を達成するために、記載されたコンピューター手法を用いて、本発明者らの異なる標的化設計アイデアを評価した。具体的には、Fc変異体AZ8に関する3つの異なる独立した選択肢を分析して、安定性を改善するための同定された鍵となる領域を最適化した。第1に、K409位及びF405A位に近い空洞を、疎水性コアを保護し、また399〜400のループコンフォメーションを安定化するためのより良好な疎水性パッキングについて評価した(図30を参照されたい)。これらのものは、F405位及びK392位にさらなる点突然変異を含んでいたが、それらに限定されるものではなかった。第2に、399〜409位の静電相互作用を改善するための選択肢を評価して、399〜400のループコンフォメーションを安定化し、疎水性コアを保護した。これは、T411位及びS400位にさらなる点突然変異を含んでいたが、それらに限定されるものではなかった。第3に、T366位、T394W位及びL368位のコアパッキングでの空洞を評価して、コア疎水性パッキングを改善した(図29を参照されたい)。これらのものは、T366位及びL368位にさらなる点突然変異を含んでいたが、それらに限定されるものではなかった。異なる独立した正の設計のアイデアをコンピューター上で試験し、コンピューターツールを用いて最良に順位付けされた変異体(AZ17〜AZ62)を、例1〜4に記載のように発現及び安定性に関して実験的に検証した。70℃以上の融解温度を有するこの設計段階からのFc変異体の一覧については表4を参照されたい。
Fc変異体AZ33は、安定性及び純度を改善するために足場1が改変されて足場1a突然変異をもたらすFc変異体の開発の一例である。このFc変異体は、疎水性コアを保護し、また399〜400のループコンフォメーションを安定化させるために392〜394〜409位及び366位の疎水性パッキングを改善する目的でAZ8に基づいて設計された。このFc変異体AZ33ヘテロ二量体は、AZ8、K392M及びT366Iのコア突然変異とは異なる2つのさらなる点突然変異を有する。突然変異T366I_K392M_T394W/F405A_Y407Vを、本明細書では「足場1a」突然変異と呼ぶ。突然変異K392Mを、K409位及びF405A位に近い空洞でのパッキングを改善して、疎水性コアを保護し、399〜400のループコンフォメーションを安定化するために設計した(図31を参照されたい)。T366Iを、コア疎水性パッキングを改善し、T394W鎖のホモ二量体の形成を排除するために設計した(図29を参照されたい)。AZ33に関する実験データは、初期の負の設計のFc変異体AZ8(Tm68℃)よりも有意に改善された安定性を示したが、AZ33は74℃のTm及び98%を超えるヘテロ二量体含量を有する(図25Cを参照されたい)。
(Fc変異体ヘテロ二量体の第3段階設計において足場1突然変異を用いるFc変異体の開発)
AZ33は初期の出発変異体AZ8よりも有意な安定性及び特異性(又は純度)の改善を提供するが、本発明者らの分析は、Fc変異体ヘテロ二量体の安定性に対するさらなる改善を、AZ33の実験データ及び上記の設計方法を用いるさらなるアミノ酸改変と共に行うことができることを示唆する。異なる設計アイデアを発現及び安定性について独立に試験したが、独立した設計アイデアは移転可能であり、最も成功したヘテロ二量体は異なる設計の組合せを含む。具体的には、AZ8の最適化のために、K409−F405A−K392に近い空洞でのパッキング突然変異を、残基L366T〜L368でのコアパッキングを最適化する突然変異から独立に評価した。これらの2つの領域366〜368及び409〜405〜392は、互いに遠位で、独立していると考えられる。例えば、Fc変異体AZ33を、366〜368ではなく409〜405〜392でパッキングのために最適化したが、これは、これらの最適化突然変異を別々に評価したためであった。366〜368突然変異の比較は、T366LがT366及びまたFc変異体AZ33の開発において用いられた点突然変異であるT366Iよりも改善された安定性を有することを示唆する。結果として、提示された実験データは、例えば、T366Iの代わりにT366Lを導入することによるAZ33のさらなる最適化を直接示唆する。したがって、CH3ドメイン中のアミノ酸突然変異T366L_K392M_T394W/F405A_Y407Vを本明細書では「足場1b」突然変異と呼ぶ。
同様の様式で、完全な実験データを分析して、現在のFc変異体ヘテロ二量体AZ33をさらに改善するために用いることができる点突然変異を同定した。これらの同定された突然変異を、上記のコンピューター手法により分析し、順位付けして、表6に示されたようなAZ33に基づくさらなるFc変異体ヘテロ二量体の一覧を得た。
(例6:Fc_CH3操作を用いるFc変異体の合理的設計−足場2(a及びb)並びにAZ63−101及びAZ2199−AZ2524の開発)
安定性及び純度に関して初期の負の設計段階のFc変異体AZ15を改善するために、上記の構造及びコンピューター戦略を用いた(図24を参照されたい)。例えば、Fc変異体AZ15の包括的構造機能分析により、野生型(WT)ヒトIgG1と比較したAZ15の導入された突然変異L351Y_Y407A/E357L_T366A_K409F_T411Nの各々に関する詳細な理解が提供され、重要なコアヘテロ二量体突然変異はL351Y_Y407A/T366A_K409Fであるが、E357L、T411Nはヘテロ二量体の形成及び安定性に関して直接関連しないことが示唆された。このコア突然変異(L351Y_Y407A/T366A_K409F)を本明細書では「足場2」突然変異と呼ぶ。分析はさらに、野生型(WT)ホモ二量体形成に関して失われる重要な境界面ホットスポットが塩架橋D399−K409、水素結合Y407−T366及びY407−Y407のパッキングであることを示した。以下に提供される本発明者らの詳細な分析は、本発明者らがどのように本発明者らの元のFc変異体AZ15の安定性を改善し、改善された安定性を有するこれらのFc変異体を達成するために位置及びアミノ酸改変を行ったかを記載する。
(足場2突然変異を用いるFc変異体の開発及び足場2a突然変異のさらなる開発)
本発明者らのコンピューター分析は、Fc変異体AZ15突然変異K409F_T366A_Y407Aの最適でないパッキング及びWT−Y407−Y407相互作用の喪失に起因する疎水性コアの全体的なパッキングの低下を示した。その後の操作段階における正の設計の努力は、初期のFc変異体AZ15中のこれらのパッキング欠損を相殺するための点突然変異に集中した。標的化された残基はT366、L351及びY407位を含んでいた。これらの異なる組合せをコンピューターにより試験し、コンピューターツールを用いて最良に順位付けされたFc変異体(AZ63〜AZ70)を、例1〜4に記載のように発現及び安定性について実験的に検証した。
Fc変異体AZ70は、安定性及び純度を改善するために足場2が改変されて足場2a突然変異をもたらすFc変異体の開発の一例である。このFc変異体は、上記のように疎水性コアでのより良いパッキングを達成する目的でAZ15に基づいて設計された。Fc変異体AZ70は、T366がT366Aの代わりにT366Vに突然変異されたことを除いて、上記と同じ足場2コア突然変異(L351Y_Y407A/T366A_K409F)を有する(図33)。L351Y突然変異は、366A_409F/407A変異体の融解温度を71.5℃から74℃に改善し、366Aから366Vへのさらなる変化はTmを75.5℃に改善する(それぞれ、71.5℃、74℃及び75.5℃のTmを有する、表4中のAZ63、AZ64及びAZ70を参照されたい)。このコア突然変異(L351Y_Y407A/T366V_K409F)を、本明細書では「足場2a」突然変異と呼ぶ。Fc変異体AZ70に関する実験データは、初期の負の設計のFc変異体AZ15(Tm71℃)よりも有意に改善された安定性を示し、ここでAZ70は75.5℃のTm及び90%を超えるヘテロ二量体含量を有する(図33及び27)。
(足場2突然変異を用いるFc変異体の開発及び足場2b突然変異のさらなる開発)
分子動力学シミュレーション(MD)及びパッキング分析により、WT塩架橋K409−D399の喪失におそらく起因するループ399〜400の好ましいより「開いた」コンフォメーションが示された。これはまた、満たされていないD399をもたらし、次いで、K392との相殺的相互作用を選択し、より「開いた」コンフォメーションのループを誘導した。このより「開いた」ループコンフォメーションは、コアCH3ドメイン境界面残基の全体として低下したパッキング及びより高い溶媒接近性をもたらし、次いで、ヘテロ二量体複合体を有意に脱安定化した。したがって、標的化された正の設計の努力の1つは、D399−K409塩架橋の喪失及びK409のパッキング相互作用の喪失を相殺するさらなる点突然変異による、より「閉じた」WT様のコンフォメーションにおけるこのループの連結であった。標的化された残基は、T411、D399、S400、F405、N390、K392位及びその組合せを含んでいた。異なるパッキング、疎水的及び静電的な正の操作戦略を、上記の位置に関してコンピューターにより試験し、コンピューターツールを用いて決定された最良に順位付けされたFc変異体(AZ71〜AZ101)を、例1〜4に記載のように発現及び安定性について実験的に検証した。
Fc変異体AZ94は、足場2が改変されて、安定性及び純度を改善するためのさらなる点突然変異と共に足場2b突然変異をもたらすFc変異体の開発の一例である。このFc変異体は、より「閉じた」WT様のコンフォメーションにおけるループ399〜400を繋ぎ、上記のようなD399−K409塩架橋の喪失を相殺する目的でAZ15に基づいて設計された。Fc変異体AZ94は、足場2に対する4個のさらなる点突然変異(L351Y_Y407A/T366A_K409F)を有し、L351Yを野生型L351に戻し、このFc変異体のためのコア突然変異として残す(Y407A/T366A_K409F)。このコア突然変異Y407A/T366A_K409Fを、本明細書では「足場2b」突然変異と呼ぶ。AZ94の4個のさらなる点突然変異は、K392E_T411E/D399R_S400Rである。突然変異T411E/D399Rを操作して、さらなる塩架橋を形成させ、K409/D399相互作用の喪失を相殺させた(図34)。さらに、両方の潜在的なホモ二量体における電荷間相互作用を疎外することによってホモ二量体形成を防止するように、この塩架橋を設計した。さらなる突然変異K392E/S400Rは、別の塩架橋を形成し、したがって、より「閉じた」WT様コンフォメーションにおいて399_400ループをさらに繋ぐように意図されたものであった(図34)。AZ94に関する実験データは、初期の負の設計のFc変異体AZ15よりも改善された安定性及び純度を示し(Tm71℃、純度>90%)、ここでFc変異体AZ94は74℃のTm及び95%を超えるヘテロ二量体含量又は純度を有する。
(Fc変異体ヘテロ二量体の第3段階設計における足場2突然変異を用いるFc変異体の開発)
Fc変異体AZ70及びAZ94は両方とも、初期の負の設計のFc変異体AZ15よりも安定性及び純度における有意な改善を提供するが、本発明者らの分析並びにAZ70及びAZ94の比較は、Fc変異体ヘテロ二量体の安定性に対するさらなる改善をさらなるアミノ酸改変と共に行うことができることを直接示唆する。例えば、Fc変異体AZ70及びAZ94は、初期変異体AZ15中の2つの異なる非最適化領域を標的化するように設計され、これは、疎水性コアでのパッキングを改善し、399〜401位のループコンフォメーションを安定化するためのさらなる塩架橋及び水素結合をもたらすコア境界面残基の外側に突然変異を作製することによって達成された。Fc変異体AZ70及びAZ94のさらなる点突然変異は互いに遠位で、したがって、独立しており、2a及び2b突然変異などの同じ足場2のコア突然変異の周囲で設計された他のFc変異体に移行可能である。具体的には、AZ70のみが最適化されたコア突然変異L351Y_Y407A/T366A_K409Fを担持するが、さらなる塩架橋を担持せず、一方、AZ94は4個のさらなる静電突然変異(K392E_T411E/D399R_S400R)を含むが、疎水性コア境界面における1つ少ない突然変異を有する(Y407A/T366A_K409F)。これらの足場2b突然変異はAZ70よりも安定性が低い(例えば、AZ94と同等のコア突然変異を有し、72℃のTmを有するAZ63を参照されたい)が、K392E_T411E/D399R_S400R突然変異の付加によって相殺される。提示される安定性及び純度に関する実験データは、疎水性コアを最適化するAZ70の突然変異と、AZ94の静電突然変異との組合せが、Fc変異体ヘテロ二量体の安定性及び純度をさらに改善するべきであることを示唆する。同様の様式で、足場2のFc変異体(AZ63〜101)に関する完全な実験データを分析して、Fc変異体ヘテロ二量体AZ70及びAZ94をさらに改善するために用いることができる点突然変異を同定した。これらの同定された突然変異を上記のコンピューター手法によってさらに分析し、順位付けして、表7に示されるようなAZ70及びAZ94に基づくさらなるFc変異体ヘテロ二量体の一覧を得た。
(例7:FcgR結合に対するヘテロ二量体CH3の効果)
FcgRを含むヘテロ二量体Fc活性の原型例として、本発明者らは、FcgR結合について例4に記載されたSPRアッセイにおいて、Her2結合Fabアームを用いて、ヘテロ二量体Fc領域A:K409D_K392D/B:D399K_D356K(対照1(図35中のhet1))及びA:Y349C_T366S_L368A_Y407V/B:S354C_T366W(対照4(図35中のhet2))を含む2つの変異体抗体を試験した。図35に示されるように、本発明者らは、両方のヘテロ二量体Fc領域は、野生型IgG1 Fc領域と同じ相対強度で異なるFcガンマ受容体に結合することを観察するが、全体として、ヘテロ二量体Fc領域は野生型抗体よりもわずかに良好にそれぞれのFcgRに結合した。これは、FcのCH3境界面での突然変異は、本発明者らの分子動力学シミュレーション及び分析において観察されたようにCH2ドメインにわたるFcガンマ受容体のFc領域の結合強度に影響し得ることを示唆する。
(例8:FcgR結合に対するヘテロ二量体FcのCH2における非対称突然変異の効果)
Fc領域のCH2ドメイン中の267位のセリンのアスパラギン酸への突然変異(S267D)は、CH2ドメインの2つの鎖中にホモ二量体様式で導入された場合、FcガンマIIbf、IIbY及びIIaR受容体への結合を増強することが知られている。この突然変異は、ヘテロ二量体Fc分子中のCH2ドメインの1つにのみ導入することができ、図36Aに提示されたデータが示す通り、ホモ二量体CH2 Fc中にこの突然変異が導入された場合と比較して結合強度のおおよそ半分の改善が得られる。他方、Fcのホモ二量体CH2ドメイン中のE269K突然変異は、FcgRへのFc領域の結合を阻害する。本発明者らは、FcのCH2ドメイン中の2つの鎖の1つへのこれらの好ましい及び好ましくない突然変異の非対称的導入によってFcg受容体に対するFc領域の結合強度の操作を増強するためのスキームを提示する。ヘテロ二量体Fc中の1つのCH2鎖への非対称様式でのE269K突然変異の導入は、それが存在する面でのFcgRの結合を遮断することによって極性ドライバーとして作用するが、Fcの他方の面は通常の様式でFcgRと相互作用させる。この実験からの結果を図36Aに提示する。独立した様式でのFcの両方の鎖を介する結合強度を選択的に変化させる機会は、FcとFcg受容体との間の結合強度及び選択性を操作する機会の増加を提供する。かくして、CH2ドメイン中の突然変異のそのような非対称設計により、特定の結合モデルを支持するか又は疎外する正及び負の設計を導入することが可能になり、選択性を導入するためのより大きな機会を提供する。
その後の実験において、本発明者らは、FcガンマIIaR、IIbF及びIIbY受容体へのより弱い結合を示し続けながら、FcガンマIIaF及びIIIaV受容体への結合強度の増加を示すベースFc突然変異体S239D_D265S_I332E_S298Aの選択性プロファイルを変化させた。これは図36B中に示される結合プロファイルに示される。鎖A中に非対称突然変異E269Kを導入し、鎖B中でのI332E突然変異を回避することにより、本発明者らはIIa及びIIb受容体結合をさらに弱め、FcをIIIa受容体結合に対してより特異的にする新規FcgR結合プロファイルを作製することができる。
図36Cに示される別の例において、CH2ドメイン中に突然変異S239D/K326E/A330L/I332E/S298Aを含むホモ二量体Fcと比較して、非対称突然変異が強調される。野生型IgG1 Fcと比較して、この変異体はIIIa受容体に対する結合の増加を示すが、野生型Fcよりもわずかに強くIIa及びIIb受容体にも結合する。IIIa結合を低下させながら、非対称様式でのこれらの突然変異A:S239D/K326E/A330L/I332E及びB:S298Aの導入は、IIa/IIb受容体結合をも増加させ、プロセスにおける選択性を緩める。このヘテロ二量体変異体中に非対称E269K突然変異、すなわち、A:S239D/K326E/A330L/I332E/E269K及びB:S298Aを導入することにより、本発明者らは、IIa/IIb結合を低下させ、野生型レベルまで戻すことができる。これは、FcのCH2ドメイン中での非対称突然変異の使用が改善されたFcガンマR選択性を設計する有意な機会を提供することができるという事実を強調する。
実験で用いた試薬は市販されているか、又は当業界で公知の市販の器具、方法若しくは試薬を用いて調製することができる。上記例は本発明の様々な態様及び本発明の方法の実施を例示するものである。例は、本発明の多くの異なる実施形態の網羅的な説明を提供することを意図されるものではない。かくして、上記発明は明確な理解のために例示及び例を用いていくらか詳細に説明されたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなくそれに対して多くの変更及び改変を加えることができることを容易に理解できる。
本明細書に記載のすべての刊行物、特許及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的且つ個別に参照により本明細書に組み込まれると指摘されたのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれるものとする。

Claims (31)

  1. ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、該ヘテロ二量体Fc領域が、それぞれが、該ヘテロ二量体Fc領域の形成を促進するアミノ酸改変を含む第一のCH3ドメインポリペプチドおよび第二のCH3ドメインポリペプチドを含む、変異体CH3ドメインを含み、該ヘテロ二量体Fc領域が、90%を超える純度を有し、該変異体CH3ドメインが、70℃以上の融解温度(Tm)を有し
    (a)第一のCH3ドメインポリペプチドが、L351、F405およびY407の位置における改変を含み、ならびに第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366およびT394の位置における改変を含み、
    該L351の位置での改変が、L351Yであり;
    該F405の位置での改変が、F405A、F405I、F405M、F405S、F405T若しくはF405Vであり;
    該Y407の位置での改変が、Y407I若しくはY407Vであり;
    該T366の位置での改変が、T366I、T366L若しくはT366Mであり;ならびに
    該T394の位置での改変が、T394Wであるか、または
    (b)第一のCH3ドメインポリペプチドが、Y407の位置における改変を含み、ならびに第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366よびK409の位置における改変含み、
    該Y407の位置での改変が、Y407A、Y407I若しくはY407Vから選択され;
    該T366の位置での改変が、T366A、T366I、T366L、T366M若しくはT366Vであり;ならびに
    該K409の位置での改変が、K409FしくはK409Wであり;
    且つ、アミノ酸残基のナンバリングが、Kabatにおいて記載されるEUインデックスに従うものである、
    上記単離ヘテロ多量体。
  2. ヘテロ二量体Fc領域が、95%以上の純度を有する、請求項1に記載の単離ヘテロ多量体。
  3. Tmが、74℃以上である、請求項1に記載の単離ヘテロ多量体。
  4. 該第一CH3ドメインポリペプチドが、L351、F405およびY407の位置におけるアミノ酸改変を含み、ならびに該第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366およびT394の位置におけるアミノ酸改変を含み、且つ
    該F405の位置での改変が、F405A、F405T、F405S若しくはF405Vであ
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体。
  5. 該第一のCH3ドメインポリペプチドが、L351、F405およびY407の位置における改変を含み、ならびに該第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366およびT394の位置における改変を含み、且つ
    第二のCH3ドメインポリペプチド、さらに、K392L、K392MよびK392Fから選択されるK392の位置におけるアミノ酸改変を含む、請求項1または4記載の単離ヘテロ多量体。
  6. 該第一のCH3ドメインポリペプチドが、Y407の位置におけるアミノ酸改変を含み、ならびに該第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366およびK409の位置におけるアミノ酸改変を含み、且つ
    該第一CH3ドメインポリペプチド、さらに、L351Y、L351IおよびL351Fから選択されるL351の位置におけるアミノ酸改変を含む、請求項1記載の単離ヘテロ多量体。
  7. 該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y及びY407Aを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K409F及び、T366A、T366V、T366IおよびT366Lから選択される1つのアミノ酸改変を含む、請求項に記載の単離ヘテロ多量体。
  8. 該第一のCH3ドメインポリペプチドが、Y407の位置におけるアミノ酸改変を含み、ならびに該第二のCH3ドメインポリペプチドが、T366およびK409の位置におけるアミノ酸改変を含み、且つ
    該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらに、D399、S400およびF405の位置から選択される1以上の位置にアミノ酸改変を含み、ならびに/又は該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにT411N390およびK392の位置から選択される1以上の位置にアミノ酸改変を含み、
    T411の位置におけるアミノ酸改変がT411RT411K、T411D若しくはT411Eあり;
    D399の位置におけるアミノ酸改変が、D399R、D399W、D399Y若しくはD399Kであり;
    S400の位置におけるアミノ酸改変が、S400E、S400D若しくはS400Rあり;
    F405の位置におけるアミノ酸改変がF405Vあり;
    N390の位置におけるアミノ酸改変が、N390R若しくはN390Kあり;ならびに
    K392の位置におけるアミノ酸改変がK392M、K392R、K392L、K392F若しくはK392Eである、
    請求項またはに記載の単離ヘテロ多量体。
  9. (a)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにD399R若しくはD399Wのいずれかのアミノ酸改変およびS400Rアミノ酸改変を含み、ならびに
    該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにK392E若しくはK392Lのいずれかのアミノ酸改変およびT411E若しくはT411Dのいずれかのアミノ酸改変を含むか、または
    (b)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにD399R若しくはD399Wのいずれかアミノ酸改変を含み、ならびに
    該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにK392E若しくはK392Lのいずれかのアミノ酸改変およびT411E若しくはT411Dのいずれかのアミノ酸改変を含む、
    請求項8記載の単離ヘテロ多量体。
  10. 該第1のCH3ドメインポリペプチドが、L351Y、F405A及びY407Vのアミノ酸改変を含み、ならびに
    該第2のCH3ドメインポリペプチドが、T366L若しくはT366Iのいずれかのアミノ酸改変、及びT394Wのアミノ酸改変を含む、
    請求項4記載の単離ヘテロ多量体。
  11. 該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにK392MまたはK392Lのいずれかのアミノ酸改変を含む、請求項10に記載の単離ヘテロ多量体。
  12. 該第1のCH3ドメインポリペプチドが、S400若しくはQ347の位置の1つにおいて、さらにアミノ酸改変を含み、および/又は第2のCH3ドメインポリペプチドが、K360若しくはN390の位置の1つにおいて、さらにアミノ酸改変を含み、
    該S400の位置におけるアミノ酸改変が、S400E若しくはS400Dあり;
    該Q347の位置におけるアミノ酸改変が、Q347R若しくはQ347Eあり;
    該K360の位置におけるアミノ酸改変が、K360D若しくはK360Eあり;および
    該N390の位置におけるアミノ酸改変が、N390R若しくはN390Kある、
    請求項4、5、10または11のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体。
  13. (a)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変S400E含み、および該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変N390R含むか;または
    (b)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変Q347Rを含み、および該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変K360Eを含むか;または
    (c)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変S400EおよびQ347Rを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変N390RおよびK360Eを含む
    請求項12に記載の単離ヘテロ多量体。
  14. 該第1のCH3ドメインポリペプチドが、L351Y、F405AおよびY407Vのアミノ酸改変を含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、T366I若しくはT366Lのいずれかのアミノ酸改変、K392L若しくはK392Mのいずれかのアミノ酸改変、およびT394Wのアミノ酸改変を含む、請求項に記載の単離ヘテロ多量体。
  15. (a)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A及びY407Vを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392M及びT394Wを含み;
    (b)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A及びY407Vを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、K392L及びT394Wを含み;
    (c)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A及びY407Vを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392M及びT394Wを含み;または
    (d)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405A及びY407Vを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392L及びT394Wを含む、
    請求項14に記載の単離ヘテロ多量体。
  16. (a)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変S400Eを含み;
    (b)該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変N390Rを含み;または
    (c)該第1のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変S400Eを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、さらにアミノ酸改変N390Rを含む、
    請求項15に記載の単離ヘテロ多量体。
  17. 該第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、S400E、F405A及びY407Vを含み、ならびに該第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366L、N390R、K392M及びT394Wを含む、請求項16に記載の単離ヘテロ多量体。
  18. ヘテロ二量体Fc領域を含む単離ヘテロ多量体であって、該ヘテロ二量体Fc領域が、該ヘテロ二量体Fc領域の形成を促進するアミノ酸改変を含む、変異体CH3ドメインを含み、
    (a)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357HおよびS364Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびK370Iを含み(変異体AZ12)、
    (b)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357HおよびS364Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびK370Fを含み(変異体AZ14)、
    (c)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357L、T366A、K409FおよびT411Nを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびY407Aを含み(変異体AZ15)、
    (d)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405AおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366IおよびT394Wを含み(変異体AZ17)、
    (e)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366LおよびT394Wを含み(変異体AZ19)、
    (f)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366MおよびT394Wを含み(変異体AZ20)、
    (g)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、L368M、V397T、F405IおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366LおよびT394Wを含み(変異体AZ21)、
    (h)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、V397T、L398D、S400E、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、N390RおよびT394Wを含み(変異体AZ25)、
    (i)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q347R、L351Y、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S354N、K360E、T366IおよびT394Wを含み(変異体AZ29)、
    (j)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T350V、L351Y、V397T、S400E、F405M、Y407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T350V、T366I、T394WおよびT411Rを含み(変異体AZ30)、
    (k)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q347R、T350V、L351Y、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T350V、K360E、T366I、T394WおよびT411Rを含み(変異体AZ32)、
    (l)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、F405AおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、K392MおよびT394Wを含み(変異体AZ33)、
    (m)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、S400E、F405AおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、N390R、K392MおよびT394Wを含み(変異体AZ34)、
    (n)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変R344H、L351Y、K370Q、G371D、S400E、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366I、N390R、T394W、K409MおよびT411Rを含み(変異体AZ42)、
    (o)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、K370T、G371D、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357Q、S364R、T394WおよびK409Iを含み(変異体AZ44)、
    (p)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変R344H、L351Y、K370T、G371D、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357Q、S364R、T366I、T394W、K409IおよびT411Rを含み(変異体AZ46)、
    (q)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、K370A、G371S、D399R、F405SおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変E357Q、Q362R、T364Y、T366I、T394WおよびK409Sを含み(変異体AZ47)、
    (r)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、V397S、D399W、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q362R、T366I、T394WおよびK409Mを含み(変異体AZ48)、
    (s)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、V397S、D399Y、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q362R、T366I、T394WおよびK409Iを含み(変異体AZ49)、
    (t)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ63)、
    (u)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびY407Aを含み(変異体AZ64)、
    (v)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351FおよびY407Aを含み(変異体AZ65)、
    (w)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366SおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ66)、
    (x)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366CおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ67)、
    (y)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366LおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ68)、
    (z)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366MおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ69)、
    (aa)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366VおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびY407Aを含み(変異体AZ70)、
    (bb)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351I、T366S、L368FおよびY407Aを含み(変異体AZ71)、
    (cc)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399WおよびY407Aを含み(変異体AZ72)、
    (dd)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399W、S400DおよびY407Aを含み(変異体AZ73)、
    (ee)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366AおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399W、S400EおよびY407Aを含み(変異体AZ74)、
    (ff)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399W、S400DおよびY407Aを含み(変異体AZ75)、
    (gg)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変G371D、D399WおよびY407Aを含み(変異体AZ76)、
    (hh)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K370Q、G371D、D399WおよびY407Aを含み(変異体AZ77)、
    (ii)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、N390RおよびK409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399Y、S400DおよびY407Aを含み(変異体AZ78)、
    (jj)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q362R、T366A、K409FおよびT411Kを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ79)、
    (kk)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Q362K、T366A、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ81)、
    (ll)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、N390K、K392R、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S400EおよびY407Aを含み(変異体AZ82)、
    (mm)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、N390K、K392R、K409FおよびT411Kを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S400EおよびY407Aを含み(変異体AZ83)、
    (nn)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、N390K、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S400DおよびY407Aを含み(変異体AZ84)、
    (oo)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392L、K409FおよびT411Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399RおよびY407Aを含み(変異体AZ85)、
    (pp)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392L、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399RおよびY407Aを含み(変異体AZ86)、
    (qq)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392L、K409FおよびT411Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399KおよびY407Aを含み(変異体AZ87)、
    (rr)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392L、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399KおよびY407Aを含み(変異体AZ88)、
    (ss)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392M、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399RおよびY407Aを含み(変異体AZ89)、
    (tt)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392F、K409FおよびT411Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、F405VおよびY407Aを含み(変異体AZ91)、
    (uu)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400EおよびY407Aを含み(変異体AZ92)、
    (vv)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400DおよびY407Aを含み(変異体AZ93)、
    (ww)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392E、K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400RおよびY407Aを含み(変異体AZ94)、
    (xx)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366A、K392E、K409FおよびT411Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変D399R、S400RおよびY407Aを含み(変異体AZ95)、
    (yy)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S364Y、T366A、K409FおよびT411Rを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y407Aを含み(変異体AZ98)、
    (zz)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366VおよびK409Wを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、L368SおよびY407Aを含み(変異体AZ100
    (aaa)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変T366VおよびK409Wを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351YおよびY407Aを含み(変異体AZ101)、
    (bbb)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S354R、D356K、E357QおよびS364Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S354E、K370FおよびK439Eを含み(変異体AZ106)、
    (ccc)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K409FおよびT411Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L368V、D399KおよびS400Dを含み(変異体AZ114)、
    (ddd)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K409Fを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L368VおよびD399Yを含み(変異体AZ115)、
    (eee)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K360E、L368DおよびK370Eを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y349R、E357RおよびT411Rを含み(変異体AZ122)、
    (fff)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K360E、K370TおよびG371Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y349R、E357QおよびS364Rを含み(変異体AZ123)、
    (ggg)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変K360E、K370TおよびG371Dを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y349R、E357QおよびS364Kを含み(変異体AZ124)、
    (hhh)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y349C、L351Y、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変S354C、T366IおよびT394Wを含み(変異体AZ129)、または
    (iii)第1のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変L351Y、S354C、V397T、F405MおよびY407Vを含み、ならびに第2のCH3ドメインポリペプチドが、アミノ酸改変Y349C、T366IおよびT394Wを含む(変異体AZ130
    上記単離ヘテロ多量体。
  19. 該ヘテロ二量体Fc領域が、IgG Fc領域である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体。
  20. 該IgG Fc領域が、IgG1 Fc領域である、請求項19に記載の単離ヘテロ多量体。
  21. 該ヘテロ多量体が、二重特異性抗体または多重特異性抗体である、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体。
  22. 該二重特異性抗体または多重特異性抗体が、少なくとも1つの癌抗原に結合する、請求項21に記載の単離ヘテロ多量体。
  23. 該ヘテロ多量体が、治療剤にコンジュゲートされている、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体。
  24. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体を発現する方法であって、前記第1及び第2のCH3ドメインポリペプチドが単一の細胞から共発現される、方法。
  25. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体を哺乳動物細胞中で発現する方法であって、
    a)請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体をコードする1又は複数のポリヌクレオチドで、少なくとも1つの哺乳動物細胞をトランスフェクトして、少なくとも1つの一過性もしくは安定的にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を作製し;そして
    b)該単離ヘテロ多量体の発現に適した条件下で、該一過性もしくは安定的にトランスフェクトされた少なくとも1つの哺乳動物細胞を培養する
    ことを含む、上記方法。
  26. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体をコードする1又は複数のポリヌクレオチド。
  27. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体をコードするポリヌクレオチドを含む1又は複数の発現ベクター。
  28. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体をコードするポリヌクレオチドを含むマルチ−シストロン発現ベクター。
  29. 請求項26に記載の1又は複数のポリヌクレオチド、請求項27に記載の1又は複数の発現ベクターあるいは請求項28に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  30. 請求項1乃至23のいずれか一項に記載の単離ヘテロ多量体と、希釈剤又は担体を含む組成物。
  31. 癌の治療のための、請求項30に記載の組成物。
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