JP5189082B2 - 二量体分子複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、第一および第二の融合タンパク質を含む二量体分子複合体であって、それぞれの融合タンパク質は、N末端からC末端にかけて(a)生物学的エフェクター部分、(b)その生物学的エフェクター部分と結合したIgG分子のヒンジ領域、および(c)そのヒンジ領域と共有結合したIgE分子のCH4二量体化ドメインを含み、第一の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基と第二の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基の間にジスルフィド結合を含む分子複合体を提供する。
好ましい生物学的エフェクター部分は、単鎖抗体、Fabフラグメント、I型膜受容体の細胞外ドメイン、サイトカイン、ケモカイン、酵素、毒素または検出可能マーカーである。より好ましい生物学的エフェクター部分は、単鎖抗体、Fabフラグメント、毒素または検出可能マーカーである。
一実施態様において、本発明の二量体分子複合体は2つの融合タンパク質を含み、それぞれが同一の生物学的エフェクター部分を含む。別の実施態様において、その複合体中の2つの融合タンパク質はそれぞれ異なる生物学的エフェクター部分を含む。好ましい実施態様において、それらの生物学的エフェクター部分は、同じまたは異なる結合特異性を有する抗原結合部位である。
それぞれの融合タンパク質は、配列番号25のアミノ酸残基223から243を含むヒンジ領域を含み、240-243位はテトラペプチドVFLFによって占められている。好ましい実施態様において、テトラペプチドVFLFは、DSEY、KSKY、DEEYおよびKRKYからなる群から選択されるテトラペプチドにより置換されている。最も好ましい実施態様において、テトラペプチドはDSEYまたはKSKYである。
別の局面において、本発明は、第一および第二の融合タンパク質を含む二量体分子複合体であって、それぞれの融合タンパク質がN末端からC末端にかけて、(a)M2″IgEスプライスバリアントのCH4二量体化ドメイン、(b)そのCH4二量体化ドメインと共有結合しているアミノ酸リンカーおよび(c)II型膜受容体の細胞外ドメインを含み、2つの融合タンパク質それぞれのC末端M2″IgEスプライスバリアントCH4二量体化ドメインのシステイン残基間にジスルフィド結合を含む分子複合体を提供する。好ましい実施態様において、M2″IgEスプライスバリアントは、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29または配列番号30である。一実施態様において、II型膜受容体は骨髄DAP12会合レクチン1(MDL-1)受容体である。
別の局面において、本発明は二量体分子複合体を構成する融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。一実施態様において、その核酸分子は配列番号1の融合タンパク質をコードする。
別の局面において、本発明は、本発明の二量体分子複合体を含む医薬組成物を提供する。
別の局面において、本発明は、本発明の二量体分子複合体を用いる処置法に関する。好ましい実施態様において、処置法には、化学療法薬または毒素とコンジュゲートした上記の融合タンパク質により構成される二量体分子複合体を投与することが包含される。好ましい実施態様において、2つの融合タンパク質の少なくとも1つの生物学的エフェクター部分は抗原結合部位を含む。
別の局面において、本発明は、2つの融合タンパク質により構成され、第一の融合タンパク質の生物学的エフェクター部分が抗原結合部位を含み、第二の融合タンパク質の生物学的エフェクター部分が検出可能シグナルを含む本発明の二量体分子複合体を用いて、身体の標的領域をイメージングする方法に関する。
[発明の詳細な説明]
本発明はIgE CH4ドメインの自己二量化特性を活用して、生物学的エフェクター部分を含む二量体分子複合体を提供する。「生物学的エフェクター部分」は、分子、例えば抗体、I型およびII型膜受容体、サイトカイン、酵素などの生物学的に活性な部分を含むポリペプチドである。有用な生物学的エフェクター部分には、単鎖抗体、Fabフラグメント、I型またはII型膜受容体の細胞外ドメイン、サイトカイン(ケモカインを含む)、酵素の活性部位ドメイン、タンパク質ホルモンおよびペプチドエフェクター分子などがある。
二量体分子複合体を構成する2つの融合タンパク質のそれぞれの生物学的エフェクター部分は、同一であってもよく、または2つの異なる機能を有する部分(例えば抗原結合部位と毒素)であってもよい。有用な治療的または組織特異的標的機能を有する生物学的エフェクター部分は特に有用である。
二量体分子複合体はイン・ビボにおいて安定であり、生物学的エフェクター部分が由来するネイティブ分子と同様の親和性にて目的の標的へと結合する。
本発明の二量体分子複合体は2つの融合タンパク質を含む。いくつかの実施態様において、それぞれの融合タンパク質はN末端からC末端にかけて以下の部分を含む:(a)生物学的エフェクター部分、(b)その生物学的エフェクター部分と結合したIgG分子のヒンジ領域;および(c)そのヒンジ領域と共有結合したIgE CH4二量体化ドメイン。第一および第二の融合タンパク質のCH4二量体化ドメインの二量体化は、それぞれの融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン間にジスルフィド結合が形成されることにより起こる。図1A-Dを参照のこと。
エフェクター分子はIgG1ヒンジのネイティブ配列に直接共有結合し得る。他の実施態様において、アミノ酸リンカーを採用してもよい。そのような実施態様において、エフェクター分子はリンカーと共有結合し、そのリンカーはIgG1ヒンジと共有結合する。IgGヒンジは好ましくはIgG1ヒンジであり、好ましくはヒトIgG1由来のものであるが、他種(例えば、マウス、ウサギなど)からのIgG1ヒンジ領域を用いることもできる。他の実施態様において、他のIgG類(例えば、IgG2、IgG3およびIgG4)からのヒンジ領域を用いてもよい。
本明細書において用いる場合、IgG1ヒンジは、IgG1 CH2ドメインの第一のベータストランド内からのアミノ酸残基223から243を含み、ここで番号付けはEdelman et al.(1969)Proc. Natl. Acad. Science USA, 63, pp.78-85に記載されているEu IgG1重鎖(配列番号25)の配列に基づいている。この配列は240-243位に疎水性テトラペプチドであるVFLFを含有する(配列番号3の277-280位に対応)。好ましい実施態様において、この疎水性テトラペプチドは、溶解性を増大させるために、親水性アミノ酸のテトラペプチド、Asp、Ser、GluおよびTyr(DSEY)(配列番号1のアミノ酸残基277-280)により置換されている。IgG2、IgG3またはIgG4のヒンジおよびN末端CH2配列もVFLFテトラペプチドを含有するので、これらのイムノグロブリン分子からのヒンジ領域もこれらの位置における置換を同じく行うことができる。
別の実施態様において、様々な分子が本発明の二量体分子複合体へコンジュゲートする可能性を増大させるために、ヒンジ領域に修飾を施すことができる。二量体に既に存在しているリシン残基をコンジュゲートに用いることができるが、DSEYへ置換した(結果として配列番号1となる)同じ疎水性テトラペプチド(すなわち配列番号3の277-280位のVFLF)を、例えばテトラペプチドKSKYへ改変させることにより、さらなるコンジュゲート部位を提供することができる。この置換により得られたさらなるリシン残基を用いて、二量体化した分子へポリグリコール(例えば、PEG、POG)を加え、クリアランスを改善することができる。あるいは、分子、例えば毒素、検出可能標識、放射性分子などを、これらのリシン残基を介して二量体分子複合体の融合タンパク質とコンジュゲートさせてもよい。コンジュゲートの方法は当分野においてよく知られている。
生物学的エフェクター部分として抗体を用いる二量体分子複合体
scFvおよびFab二量体
本発明の二量体分子複合体は、生物学的エフェクター部分として抗体を含む融合タンパク質を用いて形成することができる。いくつかの実施態様において、それぞれの融合タンパク質の生物学的エフェクター部分は抗原結合部位により構成される。抗原結合部位としては、例えば単鎖抗体(scFv)またはFabフラグメントを用いることができる。得られた二量体分子複合体は、同じまたは異なる特異性の2つの抗原結合部位を含み得る(すなわち、それぞれ単一特異性または二重特異性二量体分子複合体を形成している)。
両方の融合タンパク質上の生物学的エフェクター部分が単鎖抗体である単一特異性の二量体分子複合体を図1Aに模式的に示す。図1Bはそれぞれの融合タンパク質上の生物学的エフェクター部分がFabフラグメントである単一特異性の二量体分子複合体(すなわち「Fab二量体」)の模式図である。図1Cは、融合タンパク質上の生物学的エフェクター部分が異なる特異性のFabフラグメントである二重特異性の二量体分子複合体の模式図である。
本発明の抗体関連二量体分子複合体は、単量体の単鎖抗体、二重特異性抗体または完全サイズの二量体IgG類と比較して優れた薬物動力学的および体内分布特性を有する。完全なIgG抗体と比較すると、本発明の分子複合体は、イン・ビボ投与した後、より早い時点に血液における濃度に対する腫瘍における濃度の比がより高くなり、これは腫瘍内へより良好に浸透することを示している。このような複合体はまた、単量体の単鎖抗体または二重特異性抗体の両方と比較して、腫瘍においてより高濃度の蓄積を、腎臓においてより低濃度の蓄積を示す(図9を参照のこと)。
本発明の抗体関連二量体分子複合体は、診断および治療に用いることができる。例えば、二量体分子複合体は、イン・ビボにおけるイメージング、例えばPETイメージング、またはイン・ビトロにおける診断に用いることができる。治療用分子とコンジュゲートさせると、二量体分子複合体を用いてその治療用分子を特定の標的へ標的化することができる。
好ましい実施態様において、二量体複合体における2つの融合タンパク質はそれぞれ、ヒンジ領域およびヒトIgG1のCH2ドメインの第一のβシートの部分を含むN末端アミノ酸を介してIgE CH4ドメインと連結した単鎖抗体を含む。この連結の利点は、2つの融合タンパク質間のジスルフィド結合が二量体分子複合体の中央に位置し、これにより複合体が安定化することである。このような二量体分子複合体は典型的には50kDから150kDの分子量を有する。
本発明の二量体複合体に用いられるscFv含有融合タンパク質の一例は、配列番号1(図5B)であり、この例は単鎖抗体19G9scFvを含有している。
この融合タンパク質のヒンジ領域、THTCPPCPAPELLGGPSDSEY(配列番号5;配列番号1のアミノ酸残基260-280)は、アミノ酸残基277-280に、「野生型」テトラペプチド「VFLF」(配列番号3のアミノ酸残基277-280)の代わりに、親水性テトラペプチド「DSEY」を含有している。
この融合タンパク質は可溶性であり、親のイムノグロブリンと同様の親和性にて抗原と結合する。
19G9scFv融合タンパク質分子のVHとVLドメイン間のリンカーは、配列番号1のアミノ酸残基125-144:GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号8)からなる。
この融合タンパク質はまた、配列番号1のアミノ酸残基391-405にC末端エピトープタグ(GAPVPYPDPLEPRAA(配列番号23))を含む。このようなエピトープタグは発現した分子の精製を助けるためにしばしば用いられる。本発明の他の実施態様において、本発明の二量体分子複合体は、エピトープタグを含有しない融合タンパク質、または異なるエピトープタグ(例えばESSEEGGC(配列番号24))を有する融合タンパク質を用いて産生される。
本発明の二量体分子複合体は、二量体複合体を構成する融合タンパク質内の生物学的エフェクター分子として、単鎖抗体の代わりにFab重鎖フラグメントを用いて作製することもできる(実施例5-8を参照のこと)。Fabフラグメントを含む二量体分子複合体を作製する場合、正常なイムノグロブリン分子におけるように重鎖のCH1ドメインをヒンジ領域と直接連結させ、分子内の外来免疫原性配列の量をさらに減少させることができる。Fab軽鎖をFab重鎖の二量体分子複合体と結合させると、Fab二量体分子複合体が形成される。
IgGと同じ親和性を有するが分子量がより小さいFab二量体はFc領域を除去することにより構築することができる。このような二量体は分子量がより低いために、腫瘍への浸透が増大し得る。さらに、このようなFab二量体は細胞のFc受容体(FcR)と結合しないであろうから、不必要なFcR関連相互作用が減少するであろう。例えば、このようなFab二量体を用いる二量体分子複合体は、FcγRまたは新生児型Fc受容体(FcRn)を有する細胞に結合しない毒素コンジュゲートの作製に用いることができる。図8は、このようなFab含有二量体分子複合体を創出するために用いるベクターを示しており、軽鎖(配列番号19および21、それぞれアミノ酸および核酸配列)および重鎖およびIgEドメイン(配列番号20および22、それぞれアミノ酸および核酸配列)を含んでいる。このような複合体は、Fabの軽鎖と重鎖間の内部ジスルフィド結合、ならびに2つの融合タンパク質のヒンジ領域間のジスルフィド結合を有している。この分子はイン・ビボにおいて、いかなるFc受容体またはC1q媒介性活性も誘発しないあろう。
Fc結合ドメインがFc融合タンパク質に含まれる場合、創出された二量体分子複合体はFc受容体のみならず他のタンパク質(例えば、FcγIIIa、FcγIIb、C1qなど)にも結合し得、これらの分子のエフェクター機能の引き金となり得る。Fc受容体へ結合することにより、抗体毒素コンジュゲートをFc受容体を発現する細胞へ向かわせることができる。Fc受容体相互作用により媒介され得る抗体のイン・ビボ特性には、抗原依存性細胞毒性(ADCC)、食作用、補体依存性細胞毒性、増大した血清半減期、および減少したクリアランスなどが含まれる。「Fc融合タンパク質」または「Fc融合」なる用語は、IgGヒンジおよびCH2およびCH3ドメインを用いてタンパク質の二量化を行うことを言うために広く用いられる。このような「Fc融合体」はFc受容体への結合能を保持している。
Fab含有二量体分子複合体の好ましい実施態様は、ヒンジ領域内の「野生型」テトラペプチド「VFLF」がより親水性の「変異型」テトラペプチドDSEYによって、またはコンジュゲートのためのさらなるリシンを提供するテトラペプチド「KSKY」によって(それぞれ配列番号5および7を参照)置換されているヒンジ領域を含む。
scFvまたはFab含有二量体分子複合体の他の実施態様において、融合タンパク質の「野生型」二量体化ドメインに存在する疎水性テトラペプチドVFLF(配列番号3のアミノ酸残基277-280)を置換するために、上記の2配列以外のテトラペプチド配列を用いることができる。二量体コンストラクトを構成する第一および第二の融合タンパク質において、このテトラペプチドを異なるテトラペプチドによって置換することは、ヘテロ二量体形成の促進を助けるのに特に有用である。好ましい実施態様において、置換には、一方の融合タンパク質上のSESEまたはSDSDの、第二の融合タンパク質上のSKSKまたはSRSRによる置換などがある。この方法によるヘテロ二量体形成の促進に用いることができる、疎水性テトラペプチドのさらなる配列置換には、以下が含まれる:SESYもしくはSDSYの、SKSYもしくはSRSYによる置換;またはDEEY、DDDY、DDEY、DEDY、EEEY、EDDY、EDEYもしくはEEDYの、RRRY、RKRY、RRKY、RKKY、KKKY、KRRY、KRKYもしくはKKRYによる置換。ヒトIgG1構造において、Val240位から始まる疎水性テトラペプチド(V240FLF)の2つのPhe残基は内向きであり、IgG1二量体のもう一方の重鎖の対応するPhe残基へ向かっている。これらのPhe残基は、CH2に結合した炭水化物構造へと伸び、2つのCH2ドメインの間に位置している(Saphire (2002) J Mol Biol 319、pp. 9-18)。VFLFテトラペプチドのValおよびLeu残基は外向きであり、上記の炭水化物から離れ、CH2のアミノ酸残基へ向かっている。VFLFテトラペプチド内の残基を疎水性がより低い残基(Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Gly、His、Lys、Arg、CysまたはAla)により置換することは、露出した疎水性側鎖の数を減少させ、これにより二量体分子複合体の溶解性が改善される。LysまたはCysによる置換は、化学修飾のための部位も提供することとなる。ヘテロ二量体形成を促進するために、二量体分子複合体の1つの融合タンパク質内の1つまたは両方のPhe残基を、二量体分子複合体の第二の融合タンパク質に存在するものと反対の電荷を持つ残基により置換する。ヘテロ二量体を構成するそれぞれの融合タンパク質から互いに向かい合う位置に反対電荷の残基を配置することにより、ヘテロ二量体形成を促進する電荷相互作用が起こり得る。一般に、Xが非疎水性のいずれかのアミノ酸であるとすると、以下の配列の組み合わせをヘテロ二量体の2つの分子内のVFLFテトラペプチドを置換するのに用いてヘテロ二量体を形成することができる:1)XEXYもしくはXDXYの、XKXYもしくはXRXYによる置換;2)XEXE、XEXD、XDXEもしくはXDXDの、XRXR、XRXK、XKXRもしくはXKXKによる置換;または3)XRXE、XRXD、XKXEもしくはXKXDの、XEXR、XEXK、XDXKもしくはXDXRによる置換。
他の実施態様において、野生型疎水性テトラペプチド配列「VFLF」および隣接するプロリン残基(配列番号3のアミノ酸残基277-281)は、ヒトIgE配列(配列番号45)においてCH3およびCH4を連結するループからのアミノ酸配列により置換されてもよい。5アミノ酸のこのストレッチ(VFLFP)はLysThrSerGly(配列番号45のアミノ酸残基315から318)またはThrLysThrSerGly(配列番号45のアミノ酸残基314から318)により置換されてもよい。同様に、配列番号1の残基277から281(DSEYP)または配列番号20のアミノ酸残基263から267(DSEYP)を、ヒトIgGまたはIgEからのネイティブ配列から完全に構成される二量体分子複合体を創出するために、これらのIgE由来配列により置換することもできる。
典型的には、IgE CH4ドメインを本発明の融合タンパク質を二量体化するために用いる。しかしながら、ヘテロ二量体をさらに安定化するために、M2″IgE CH4スプライスバリアントを二量体分子複合体を構成する融合タンパク質のC末端に付加してもよい。1つの融合タンパク質において、酸性型のM2″IgE CH4スプライスバリアント(ESSEEGGC(配列番号26))をC末端に付加し、一方、第二の融合タンパク質においては塩基性アミノ酸を含有するM2″IgE CH4スプライスバリアント(ESSRRGGC(配列番号27)を付加する。図1Cを参照のこと。
他の生物学的エフェクター部分を用いた二量体分子複合体
抗体関連分子以外の様々な生物学的エフェクター部分を、本発明の二量体分子複合体を構成する融合タンパク質に用いることができる。このようなタンパク質において、生物学的エフェクター部分とヒンジ領域間にアミノ酸リンカーを用いることも用いないこともできる。アミノ酸リンカーを含める場合、アミノ酸リンカーは好ましくは1から10またはそれ以上のアミノ酸のポリGlyリンカーであり、Ala、Ser、ThrおよびAspなどの他のアミノ酸を含んでもよい。目的とする用途に応じて、二量体分子複合体は2つの生物学的エフェクター部分が同じまたは異なる融合タンパク質から構成され得る(すなわち、それぞれホモ二量体またはヘテロ二量体)。ヘテロ二量体は上記と同様の方法により安定化される。
A. I型膜受容体の細胞外ドメイン
生物学的エフェクター部分がI型膜受容体の細胞外ドメインである融合タンパク質により構成される二量体分子複合体を図1Dに模式的に示す。このような複合体は、生物学的エフェクターとして、またはリガンドと結合するために有用である。本発明において有用なI型膜受容体には、TNF受容体、エフリン、Eph、VEGF受容体、IGF受容体、トロンボスポンジン、トロンボモジュリン、PDGF受容体、IL-2R、TCR複合体成分、EGF受容体、TGF受容体、組織因子、増殖因子受容体、HGH受容体、IFN受容体、HER2、インスリン受容体などがある。
B. サイトカイン
いくつかの実施態様において、生物学的エフェクター部分は、細胞の生物学的反応を調節するのに有用なサイトカインである。本発明において有用なサイトカインには、リンホカイン、例えばマクロファージ活性化因子(MAF)、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)、白血球遊走阻止因子(MCF)、白血球遊走阻止因子(LMIF)、ヒスタミン放出因子(HRF)またはトランスファー因子(TF)が含まれる。腫瘍壊死因子、例えばTNF-α(カケクチン)およびTNF-β(リンホトキシン)は、生物学的エフェクター部分であり得る。インターロイキン、例えばIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14およびIL-15、IL-17は生物学的エフェクター部分であり得る。インターフェロン、例えばIFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFN-ωおよびIF-τは生物学的エフェクター部分であり得る。
他の有用なサイトカインには、コロニー刺激因子、ケモカインおよびストレスタンパク質などがある。コロニー刺激因子の例には、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)およびマルチCSF(IL-3)などがある。
α-ケモカインの例には、IL-8、NAP-2(好中球活性化タンパク質2)、PF-4(血小板第4因子)およびβTG(β-トロンボグロブリン)などがある。β-ケモカインにはMCP-1(単球走化性タンパク質1)、MCP-3、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質1α)、MIP-1βおよびRANTES(「活性化により制御され、正常T細胞から発現されおそらく分泌されるケモカイン(Regulated upon Activation Normal T Expressed and presumably Secreted chemokine)」)などがある。他の有用なケモカインには、例えば、CCLケモカイン;CXC(SCYB)ケモカインまたはCX3Cケモカイン;XCケモカイン;およびCCケモカイン、例えばCCL2、CCL7、CCL11、CCL8、CCL13、CCL1、CCL5、CCL16、CCL14、CCL15、CCL23、CCL18、CCL3およびCCL4などがある。
ストレスタンパク質には、熱ショックタンパク質(HSP)、グルコース制御タンパク質(GRP)、ユビキチンおよびスーパーオキシドジスムターゼなどがある。
C. 酵素
他の実施態様において、生物学的エフェクター部分は酵素、例えば、タンパク質分解酵素(アミノペプチダーゼ、アスパルチルプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、システイニルプロテアーゼ、ペプシン、トリプシン、トロンビン、リゾチーム、第VII因子、第X因子、第IX因子)である。他の酵素、例えばグリコシダーゼ、エステラーゼ、ヒドラーゼ、ヌクレアーゼ、シンターゼ(synthease)、イソメラーゼ、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、リダクターゼ(酸化還元酵素を含む)、トランスフェラーゼ、リガーゼ、制限酵素、アミダーゼ、ATPアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、デヒドロゲナーゼおよびオキシダーゼも用いることができる。
D. 毒素
治療上有用な毒素も、本発明の二量体分子複合体を構成する融合タンパク質の生物学的エフェクター部分として用いることができる。多くのこのような毒素の例が当業者によく知られており、例えば細菌毒素のシュードモナス外毒素Aおよびジフテリア毒素、ならびに植物毒素のリシン、アブリン、モデシン、サポリンおよびゲロニンなどがある。
E. II型膜受容体の細胞外ドメイン
生物学的エフェクター部分がII型膜受容体の細胞外ドメインである二量体分子複合体も構築することができる。しかしながら、この場合、2つの融合タンパク質のそれぞれはN末端からC末端にかけて以下を含む:(a)M2″IgE CH4スプライスバリアント(ESSRRGGC(配列番号27))により構成されるC末端伸長を有するCH4二量体化ドメイン、(b)そのCH4二量体化ドメインと共有結合するアミノ酸リンカー(好ましくは3-10残基長)、および(c)II型膜受容体の細胞外ドメイン。図2を参照のこと。いくつかの実施態様において、M2″IgEスプライスバリアントの配列を修飾し、化学修飾のためのさらなる部位を提供することができる(例えばESSKKGGC(配列番号28)、ESSCRGGC(配列番号29)またはESSRCGGC(配列番号30))。
II型膜受容体は膜貫通タンパク質類の約5%を占めるのみであるが、重要な生物学的エフェクター機能を有するメンバー、例えばヘプシンプロテアーゼ、エクトジスプラシン、コラーゲン性膜タンパク質、マクロファージスカベンジャー受容体、MARCOタンパク質、TNFリガンド様タンパク質、アシアロ糖タンパク質受容体、リンパ球IgE受容体、Kupffer細胞受容体、NKG2、NKR-P1、Ly-49、CD69、CD72、LyB-2、コレクチン、CLEC5Aなどを含む。
二量体分子複合体の産生
本発明の二量体分子複合体における融合タンパク質は、組換え技術により、または合成的に、あるいはその2つの方法を組み合わせて用いて産生することができる。組換え体の産生において、本発明は本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する(以下を参照のこと)。
本発明の融合タンパク質は、その融合タンパク質のアミノ酸配列を合成する化学的手法を用いて産生することが可能である。その方法には固相法を用いた直接的なペプチド合成が含まれる(Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85, 2149-2154, 1963;Roberge et al., Science 269, 202-204, 1995)。タンパク質合成は、手動法を用いて、または自動的に行うことができる。自動合成は、例えばApplied Biosystemsの431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いて行うことができる。要すれば、融合タンパク質のフラグメントを個別に合成し、化学的手法を用いて結合させ完全長融合タンパク質を産生することができる。国際公開第2001/098340号パンフレットを参照のこと。
核酸分子
本発明の核酸分子は、所望の融合タンパク質をコードするあらゆるヌクレオチド配列を含み得る。本発明の核酸分子は、一本鎖および二本鎖DNA(cDNAを含む)ならびにmRNAを含む。融合タンパク質を構築するための多くのキットが、Promega Corporation(Madison、WI)、Stratagene(La Jolla、CA)、CLONTECH(Mountain View、CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)、MBL International Corporation(MIC;Watertown、MA)およびQuantum Biotechnologies(Montreal、Canada;1-888-DNA-KITS)のような企業から入手可能である。
当業者によく知られている方法を用いて本発明の核酸分子を構築することができる。これらの方法はイン・ビトロ組換えDNA技術および合成技術を含む。このような技術は、例えば、Sambrookら(1989)およびAusubelら、「CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(分子生物学の最新プロトコル)」、John Wiley & Sons、New York、N.Y.、1989に記載されている。
いくつかの実施態様において、本発明の核酸分子は、融合タンパク質をコードする挿入コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含有する発現コンストラクトである。Fab二量体発現コンストラクトはC末端システインを有する軽鎖のコード配列を含み得る。発現コンストラクトは、本発明の融合タンパク質を細胞へ導入するのに適したベクター内に存在してもよい。
本発明の融合タンパク質は、様々な宿主細胞において組換え技術により発現させることができる。これらの宿主には、限定されないが、微生物、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌;酵母発現ベクターにより形質転換された酵母、ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー・モザイク・ウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたははpBR322プラスミド)により形質転換された植物細胞系、または動物細胞系、特に哺乳類系(ヒト系を含む)が含まれる。国際公開第2001/098340号パンフレットを参照のこと(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ベクター成分および適切な宿主細胞の選択は、十分に当業者の実施可能な範囲である。
本発明のいくつかの実施態様において、二量体分子複合体の両融合タンパク質は、同じ細胞において、好ましくは同じプラスミドから、例えば2シストロン性オペロンとして発現される(Skerra et al.、Protein Eng. 4、971、1991)。シグナル配列を含ませて、融合タンパク質を所望の細胞の位置に方向付けることができる。二量体分子複合体の2つの融合タンパク質を同じプラスミドから発現させると、同量の各構成要素が細胞において産生されるので、形成される二重特異性二量体の量が増加する。
要すれば、融合タンパク質は、検出または精製タグとして用いられる部分、例えば少なくとも5つのヒスチジン残基を含むペプチド、または一般に用いられるc-mycおよびFLAGタグを含むことができる。
診断方法
本発明の二量体分子複合体は診断目的にも有用であり得る。例えば、複合体は2つの融合タンパク質を含むことができ、一方のタンパク質は関心の分析物に結合するよう設計された生物学的エフェクター部分を含み、他方のタンパク質は、容易に定量化できる検出可能標識、例えば酵素、蛍光タンパク質、放射性核種などであるかまたはそれらに結合する生物学的エフェクター分子を含む。
治療方法
本発明の二量体分子複合体は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与するための医薬組成物として提供することができる。抗体フラグメント(単一または二重特異性)により構成された複合体は、腫瘍の治療に特に有用である。例えば、複合体の一方の融合タンパク質は腫瘍マーカーに結合する分子を含むことができ、他方の融合タンパク質は、T細胞エピトープ、毒素または放射性核種結合ペプチドもしくはタンパク質と結合し腫瘍細胞に接近して殺す機能をもたらす分子を含むことができる。
本発明の二量体分子複合体を含む適切な医薬組成物を調製するにあたり、当業者は既知の注射可能な生理学的に許容される滅菌溶液を用いることができる。非経口の注射または注入用の使用準備済溶液を調製するために、等張水溶液、例えば生理食塩水または対応する血漿タンパク質溶液を容易に利用することができる。医薬組成物は、滅菌条件下において使用直前に既知の注射可能溶液によってもどすことができる凍結乾燥物または乾燥調製物としておいてもよい。医薬組成物に既知の担体物質および/または添加物(例えば、血清アルブミン、デキストロース、亜硫酸水素ナトリウム、EDTAなど)を補足してもよい。
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の種々の投与経路により、特に静脈内注射または標的組織への直接注射により投与することができる。全身投与において、静脈内、脈管内、筋肉内、動脈内、腹腔内、経口またはくも膜下腔内経路を用いることができる。より局所的な投与は、皮下に、皮内に、心臓内に、肺葉内に(intralobally)、髄内に、肺内にまたは処置すべき組織(結合組織、骨組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織)内または近傍に直接的に、行うことができる。処置の望ましい持続時間および実効性に応じて、組成物は、数日間、数週間または数ヶ月間に、1回または数回、また断続的に、例えば毎日、様々な用量にて投与してもよい。
用量は、患者の年齢、症状、性別および疾患の程度に依拠し、0.1mg/kg〜200mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜100mg/kg/用量で変化してもよく、毎日1回以上、1日から数日間投与してもよい。
本明細書に引用したあらゆる特許、特許出願および参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これまでの記載は本発明を一般的に説明している。より完全な理解は下記の具体的な実施例を参照することにより得ることができ、それらは単に説明を目的として記載したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
図1A-Dは様々な二量体分子複合体の模式図である。各複合体において、ジスルフィド結合は、その複合体を構成する融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン間に形成される。図1Aは、生物学的エフェクター部分が単鎖抗体である二量体分子複合体である。 図1A-Dは様々な二量体分子複合体の模式図である。各複合体において、ジスルフィド結合は、その複合体を構成する融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン間に形成される。図1Bは、生物学的エフェクター部分がFabフラグメントである、2つの単一特異性二量体分子複合体である;これらの複合体は互いに、ヒンジ内の「野生型」テトラペプチドVFLFの置換に用いられた配列が異なっている。 図1A-Dは様々な二量体分子複合体の模式図である。各複合体において、ジスルフィド結合は、その複合体を構成する融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン間に形成される。図1Cは、生物学的エフェクター部分が2つの異なるFabフラグメントであり、それぞれの融合タンパク質がC末端に異なるM2″IgEスプライスバリアント(配列番号26および27)をさらに含む、二重特異性二量体分子複合体である。 図1A-Dは様々な二量体分子複合体の模式図である。各複合体において、ジスルフィド結合は、その複合体を構成する融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン間に形成される。図1Dは、生物学的エフェクター部分がI型膜受容体の細胞外ドメインである、二量体分子複合体である。 生物学的エフェクター部分がII型膜受容体の細胞外ドメインである、二量体分子複合体の模式図。 単鎖抗体19G9scFvの作製過程を示す模式図。VHおよびVL領域を、制限部位およびGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS リンカー(配列番号8)のオーバーラップ伸長部位を導入するプライマーを用いてPCRにより増幅した。15伸長サイクルを終えた後、scFvを、示した元来の正方向および逆方向プライマーにより35サイクルかけて増幅し、次いで制限酵素により消化してpz613細菌発現ベクターへクローニングした。VH正方向プライマー、配列番号15;VH逆方向プライマー、配列番号16;VL正方向プライマー、配列番号17;VL逆方向プライマー、配列番号18。 図4A-Bは19G9scFv単鎖抗体を含有する二量体分子複合体の作製に用いるIgE CH4二量体化ドメインコンストラクトの構築過程を示す模式図である。図4Aは、IgG1ヒンジに融合したIgE CH4二量体化ドメインの構築過程である。ATG001プライマー、配列番号9;ATG003プライマー、配列番号11;ATG004プライマー、配列番号12;ATG006プライマー、配列番号13。 図4A-Bは19G9scFv単鎖抗体を含有する二量体分子複合体の作製に用いるIgE CH4二量体化ドメインコンストラクトの構築過程を示す模式図である。図4Bは、より親水性のヒンジを創出するために4つのアミノ酸を変異させたIgGヒンジに融合したIgE CH4二量体化ドメインの構築過程(ATG019プライマー、配列番号14)。吹き出し部分は、配列番号1のアミノ酸252-281のアミノ酸配列とヌクレオチド配列(配列番号2のヌクレオチド783-869)の両方を含む、変異部位周辺の配列を示す。 図5A-Bは2つの19G9scFv融合タンパク質の配列である。図5A:「野生型」19G9scFv融合タンパク質のアミノ酸配列(下方)(配列番号3)および核酸配列(上方)(配列番号4)は、VH(太字の斜字);scFvリンカー(太字の斜字の下線);VLおよびC末端伸長(太字);IgGヒンジ(斜字)と附随する「野生型」テトラペプチド(太字の下線);IgE CH4(標準字体);C末端エピトープタグ(斜字の下線)の領域を含む。 図5A-Bは2つの19G9scFv融合タンパク質の配列である。図5B:「変異型」19G9scFv融合タンパク質のアミノ酸配列(下方)(配列番号1)および核酸配列(上方)(配列番号2)には、VH(太字の斜字);scFvリンカー(太字の斜字の下線);VLおよびC末端伸長(太字);IgGヒンジ(斜字)と附随する親水性テトラペプチド置換(太字の下線);IgE CH4(標準字体);C末端エピトープタグ(斜字の下線)の領域が含まれる。 図6A-Bは単鎖抗体を含有する2つの融合タンパク質を含む精製二量体分子複合体、19G9scFv(19G9scFv二量体分子複合体とも称する)の特徴決定を示す。図6Aは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)特性を示す。純粋タンパク質は主に二量体であることを示している(分子量標準の溶出時間に基づくと約90kDa)。 図6A-Bは単鎖抗体を含有する2つの融合タンパク質を含む精製二量体分子複合体、19G9scFv(19G9scFv二量体分子複合体とも称する)の特徴決定を示す。図6B:非還元19G9scFv融合タンパク質(レーン2および3、それぞれ2μLおよび5μLのタンパク質を含有する)および還元19G9scFv融合タンパク質(レーン5および6、それぞれ2μLおよび5μLのタンパク質を含有する)のSDS-PAGE分析は、二量体複合体(85.4kDa)および19G9scFv融合タンパク質単量体(42.7kDa)の計算分子量と一致している。レーン1および7は分子量マーカーを含有する。 BHK-RG-1タンパク質と結合している精製19G9 scFv二量体分子複合体(白抜き三角)のELISAデータを、対応する19G9二重特異性抗体の結合(黒い四角)と比較して示すグラフ。19G9二重特異性抗体配列の多くは19G9 scFv 配列(配列番号1のアミノ酸1-251)と類似している。しかしながら、二重特異性抗体のVHおよびVLドメイン間のリンカーはわずか5アミノ酸長(GGGGS)である。 図1Bに模式的に示したFab二量体複合体の発現に用いたベクターpPEP MF-J DSEY2の略図。 他の型の抗体(19G9 IgG、19G9単量体scFv単鎖抗体および19G9二重特異性抗体)と比較した、19G9scFv二量体分子複合体のイン・ビボ体内分布。Y軸は、4つの組織:血液(B)、腫瘍(T)、肝臓(L)および腎臓(K)におけるグラム重量あたりの注射用量の比率の平均(平均%ID/グラム)をプロットしている。値は、動物あたり2μCiの111In標識抗体を注射してから0.25、3、6および48時間後に収穫した組織について示している。48時間後の腫瘍サンプルについての%ID/グラムを矢印で示す。腫瘍は19G9 scFv二量体分子複合体および19G9 IgGの両方によって良好に標識されているが、二量体分子複合体とは対照的に、19G9 IgGは48時間後の血液にも高比率で残存している。scFvおよび二重特異性抗体は腫瘍はあまり標識せず、腎臓に標識が蓄積している。 実施例5に示すJ_DSEY融合タンパク質の発現に用いたpIE-J_DSEYプラスミドの作製過程を示す模式図。 抗体ABJタンパク質に対するビオチン化抗原タンパク質へのJ_DSEY二量体分子複合体の結合と、抗体ABJタンパク質のFab型の結合との比較。J_DSEY二量体分子複合体およびABJのFab型は同等の活性を有し、おおよそナノモーラー単位のEC50である。ABJの単量体Fab型および二量体IgG型を同様のアッセイにおいて比較した先の研究は、単量体および二量体抗体が同様の濃度にて結合することを示している。抗体濃度は、二量体分子複合体については125kDの分子量、Fabについては50kDの分子量、IgGについては150kDの分子量に基づいて計算した。アッセイに用いた二次抗体はHRP-抗-ヒトFab抗体(Jackson ImmunoReserch)であった。 サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析。J_DSEY二量体分子複合体ならびにJ_DSEYおよびJ_KSKYのヘテロ発現の両方において、約125kDに最大のピークが現れ、このことは二量体複合体の形成を示唆している。J_KSKY二量体分子複合体も約125kDにピークを示したが、最大のピークではない。 MALDI-TOF質量分析。J_DSEY二分子複合体(0.26mg/mL)を10mg/mLシナピン酸MALDIマトリックス/(50%アセトニトリル、0.1%TFA)と1:1から1:5の比率で混合し、1pmolの最小限のタンパク質をスポットごとに標的化した。MALDI-TOF質量分析は、Brukerのタンパク質標準II(Protein Standards II)によりリニアモードとして較正したBruker UTT装置を用いて行った。陽イオンスペクトルを100レーザーショットについて加速電位25kVにより記録し、15イベント分蓄積した。示された123,962.2 Daという分子量は、インタクトなJ_DSEY Fab二量体分子複合体について予測した分子量と一致し、SECおよび計算分子量と一致している。 両抗体AB25に対するビオチン化抗原タンパク質(上記のABJに対する抗原と同じ)への25_DSEY二量体分子複合体の結合と、AB25のFab型およびAB25のIgG型の結合との比較。二量体分子複合体(25_DSEY)の結合活性は、Fabの結合活性と比較して改善されており、IgG型により観察された結合と等しかった。二量体25_DSEY、Fab二量体およびIgGについてのEC50値はどれも、ナノモーラー以下の範囲であった。同様のアッセイにおいてAB25の単量体Fabと二量体IgG型を比較した先の研究は、二量体IgGは単量体のFabよりも高い結合活性にて結合したことを示しており、このことは本実験の結果と一致している。二量体分子複合体については125kD、Fabについては50kD、IgGについては150kDの分子量に基づいて抗体濃度を計算した。実施例6に示したものと同じHRP-抗-ヒトFab抗体を二次抗体として用いた。
scFv二量体分子複合体の産生
この実施例は図1Aに示す構造を有する2つの二量体分子複合体の産生を示す。2つのコンストラクトを調製した。両方のコンストラクトにおいて、ポリGlyリンカーを野生型IgG1ヒンジ領域のN末端に加えた。「野生型」コンストラクトにおいては、この後にヒトIgG1のCH2の第一ベータストランドのいくつかのネイティブ配列が附随した。「変異型」コンストラクトには、「野生型」ベータストランドに存在する、溶媒に曝されると溶解性を妨げる可能性がある疎水性残基を除去するための変異を導入した。IgG1の重鎖定常領域(配列番号25)内の2つの疎水性残基、Val240およびLeu 242は、IgG CH2ドメインとの疎水性相互作用を有し、2つのフェニルアラニン、Phe241およびPhe243は炭水化物基と相互作用する。配列番号25の240-243位のこれらの疎水性アミノ酸、Val、Phe、LeuおよびPheを、それぞれ親水性残基、Asp、Ser、GluおよびTyrにより置換した。ヒンジ領域の2つのシステイン基は、CH4領域の二量化の際にそれぞれの融合タンパク質間で共有結合を生じる。

単鎖抗体の作製
単鎖抗体19G9scFvを、VHおよびVL鎖から、制限部位および16アミノ酸リンカーGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号5)のオーバーラップ伸長のための部位を導入するプライマーを用いてPCRにより増幅して作製した。15伸長サイクル後、scFvを元来の正方向および逆方向プライマーにより増幅し、制限酵素により消化して細菌発現ベクターpz613へクローニングした。図3を参照のこと。
VH正方向プライマー:GCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCAGGTTCAGCTGGTGCAGTC(配列番号15);
VH逆方向プライマー:CCACCGGAGCCGCCGCCGCCAGAACCACCACCACCAGAACCACCACCACCTGAAGAGACGGTGACC(配列番号16);
VL正方向プライマー:GGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGAAATTGTGTTGACGCAGTC
(配列番号17);
VL逆方向プライマー:GCGGCCGCTTTGATCTCCACCTTGGTCC(配列番号18)。
CH4二量体化ドメインの作製
Invitrogenから購入したmRNA(クローン2132581)から、PCRプライマー「ATG001」(IgECH4_bk_a):CCGTCAGTCT TCCTCTTCCC CCCGCGTGCT GCCCCGGAAG(配列番号9)および「ATG003」(IgECH4_for_a):CGGATACGGC ACCGGCGCAC CTTTACCGGG ATTTACAGAC(配列番号11)を用いてIgEのCH4ドメインをクローニングした。IgG1ヒンジ領域およびIgG1 CH2の第一ベータストランドを、プライマー「ATG002」:TTCCTCTTCC CCCCGCGTGC TGCCCCGGAA G(配列番号10)を用いてPCRにより導入した。Not1およびSgrA1部位をそれぞれプライマーATG001およびATG003により導入した。これらの部位によって制限消化することによりIgG1ヒンジ-IgE CH4領域融合体を単鎖ベクター(「19G9」)へ直接クローニングすることが可能となった。図4を参照のこと。
「野生型」19G9scFv融合タンパク質(19G9M1とも称する)のアミノ酸配列(配列番号3)を図5Aに示す。二量体化ドメインのアミノ酸残基277-280に配列DSEYを含有する「変異型」融合タンパク質19G9M2のアミノ酸配列(配列番号1)を図5Bに示す。
scFv二量体分子複合体の発現、精製および機能
実施例1に記載の「変異型」19G9scFv二量体分子複合体コンストラクト(19G9M2;配列番号1)を哺乳類発現ベクターpPEP1polyへクローニングし、CHO細胞において発現させた。精製 はエピトープ-タグアフィニティークロマトグラフィーを用いて行い、その精製複合体を、結合、抗原特異性および親和性についてELISAを用いて試験した。図6Aを参照のこと。精製複合体の分子量(還元または非還元)をSDS-PAGE系において解析した。4%-12% SDS-PAGEを用い、MES SDSランニングバッファー、120mA、200Vにより40分行った。図6Bを参照のこと。
図7は、19G9M2二量体分子複合体のBHK-RG-1タンパク質への結合を、対応する二重特異性抗体(短くした5アミノ酸リンカーにより連結した19G9 VHおよびVLから作製した二量体の単鎖抗体)の結合と比較した結果を示す。二重特異性抗体および19G9のIgGは同等の活性を有している。EC50は大まかにナノモーラー単位である。二量体分子複合体については分子量80kDに、二重特異性抗体については50kDに基づいて抗体濃度を計算した。アッセイに用いた二次抗体はHRP-抗-Eタグ抗体であった。
ヒンジ領域におけるジスルフィド結合形成の実証
図6Bはクーマシーブルー染色したSDS-ポリアクリルアミドゲルであり、実施例1および2に記載の二量体分子複合体調製物が主にジスルフィド二量体を含み(レーン2および3)、単量体の混入は少量のみであることを示している。還元により、全てのジスルフィド二量体が崩壊し単量体となっている(レーン5および6)。この結果は、IgG1からのヒンジ領域が適切に機能していること、およびIgE CH4ドメインが二量化した後にヒンジにおいてジスルフィド結合が形成されていることを実証している。レーンは左から右へ向けて以下の通りである:1、10μLマーカー;2、2μL 19G9 M2;3、5μL 19G9 M2;4、ブランク;5、2μL還元型19G9 M2;6、5μL還元型19G9 M2;7、10μLマーカー。
19G9二量体分子複合体のイン・ビボ体内分布
放射標識およびキレーター付加の方法はNikula et al.(1995), Nucl. Med. Biol., 22、387-390に準じた。精製19G9scFv二量体分子複合体、19G9 IgG、19G9scFvおよび19G9二重特異性抗体は使用する前にSECおよびSDS-PAGEにより特徴決定した。10mM EDTA溶液により繰り返しリンスし、濾過する前にChelex処理を行うことにより金属を含まない状態にしたバッファーおよび装置において、111Inを用いて標識化を行った。キレーターp-SCN-CHX-A″-DPTAはMacrocyclics Incから購入した。コンジュゲートに用いたバッファーは、50mM炭酸塩、150mM NaClを含有し、pH 6.5であった。放射標識は50mM NaAc、150 mM NaClを含有する、pH 6.5のバッファーにおいて行った。
上記4つの抗体グループの111In-放射標識抗体溶液(PBS)を、各グループにつき8匹のLNCaP腫瘍を有するマウスに注射した(2μCi/動物)。標識抗体の注射から15分、3時間、6時間および48時間後に1グループにつき2匹の動物の体重を測定し、屠殺し、組織を収集した。腫瘍、組織または血液サンプルの重量を測定し、総放射活性を測定した。サンプルのグラムあたりのmCiを動物体重あたりの総mCiと比較し、組織のグラムあたりの注射用量の比率(%)および各グループおよび時点について計算した平均値を決定した(平均%ID/グラム)。結果を図9に示す。
Fab融合タンパク質の産生およびFab二量体分子複合体の発現
この実施例は、図1Bに示す構造を有するFab二量体分子複合体(すなわち生物学的エフェクター部分がFabフラグメントである単一特異性二量体分子複合体)の産生を示す。このコンストラクトはFabのCH1ドメインのC末端とIgG1ヒンジ領域のN末端の間にリンカー配列を有さず、この領域の配列はIgGと同じである。
IgG1ヒンジ領域において、溶解が困難になる可能性を避けるため、ヒンジ領域のC末端に位置する4つの疎水性アミノ酸、Val、Phe、LeuおよびPheを、それぞれ親水性残基Asp、Ser、GluおよびTyrにより置換した(配列番号20のアミノ酸残基263-266)。ヒンジ領域に存在する2つのシステイン基は、CH4領域の二量体化によりそれぞれの融合タンパク質間に共有結合を生じる。CH1およびCLの両方のC末端にも別のシステインが位置し、これらのドメインがジスルフィド共有結合によって連結できるようになっている。
(a)IgG1ヒンジ領域およびIgE CH4ドメインのIgG1発現ベクターへの挿入
IgG1ヒンジ領域およびIgE CH4ドメインをコードするDNAを、PciIおよびFseI制限部位を導入するプライマーを用いてPCRにより増幅し、次いでこの領域を制限酵素による消化によってクローニングベクターpCR2.1_TOPOへクローニングして、J_DSEY二量体分子複合体のFab融合タンパク質の重鎖を創出するためのpCR2.1_hinge_IgE CH4を産生した。
ATG47正方向プライマー:CTCACACATGTCCACCGTGCCCAGCACCTGAAC(配列番号31);
ATG46逆方向プライマー:TGTGGCCGGCCCTATTTACCGGGATTTACAGACACCGCT(配列番号32);
Fab抗体(ABJ)のVHおよびCHドメインをPciI制限部位を導入するプライマーを用いてPCRにより増幅し、制限酵素(EcoRVおよびPciI)による消化によってpCR2.1_hinge_IgE CH4へクローニングした。
ATG51正方向プライマー:GTTGAAATTAAACGTACGGTGGCTGC(配列番号33);
ATG56逆方向プライマー:GACATGTGTGAGTTTTATCGCAGCTTTTCGGTTCCACTTTTTTATCC(配列番号34);
完全な重鎖複合体をXma制限部位を導入するプライマーを用いてPCRにより増幅し、次いで制限酵素(BlpIおよびXmaI)による消化によってIgG1発現ベクターpIE_ABJへクローニングし、ベクターpIE-J_DSEYを産生した。図10を参照のこと。
ATG75正方向プライマー:CAGGTGCAATTGGTTCAGAGCG(配列番号35);
ATG76逆方向プライマー:CGACTCCCGGGTTACTATTTACCGGGATTTACAGACAC(配列番号36)。
(b)第二の重鎖Fab融合タンパク質の産生
異なる(より塩基性の)IgG1ヒンジドメインを有する第二のFab二量体分子コンストラクトを、StratageneのQuikChange II Site-Directed Mutagenesis Kitおよび適切なプライマーセットを用いて、J_DSEY二量体重鎖およびIgE CH4ドメイン(配列番号20)から、配列番号20の263から266位のアミノ酸Asp、Ser、GluおよびTyrを、Lys、Ser、LysおよびTyr(KSKY)により置換して作製した。
ATG85正方向プライマー:GGGGGACCGTCAAAAAGCAAATACCCGCCGCGTGC(配列番号37);
ATG86逆方向プライマー:GCACGCGGCGGGTATTTGCTTTTTGACGGTCCCCC(配列番号38);
によりベクターpIE-J_KSKYが産生される。
J_DSEYおよびJ_KSKY Fab二量体分子複合体の発現および精製
実施例5に記載のJ_DSEYおよびJ_KSKY Fab重鎖融合タンパク質コンストラクトをそれぞれ哺乳類発現ベクターpIE-ABKにクローニングし、CHO-K1細胞において発現させた。それぞれの発現産物の精製はタンパク質Lアフィニティークロマトグラフィーを用いて行い、精製された複合体を、結合、抗原特異性および親和性についてELISAを用いて試験した。精製複合体の分子量を、SDS-PAGE系において還元条件下にて分析したところ(4%-12% SDS-PAGE、ランニングバッファーMOPS SDS、120mA、200Vにて60分)、予想した分子量を有することが示された。
別の重鎖Fab融合タンパク質の産生
同じ抗原に対する抗体(AB25)を用いて別のFab二量体分子複合体を産生した。
AB25の重鎖可変領域(配列番号42)をMfeI制限部位を導入するプライマーを用いてPCRによりクローニングし、制限酵素(NotIおよびBlpI)による消化によってpIE-J_DSEY発現ベクターへ挿入した。
ATG 105正方向プライマー:
GCGCGGCCGCGCCACCATGAAACACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCAGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGGTGCAATTGGTTCAGAGCGGCGCG (配列番号39);
ATG 106逆方向プライマー:CCTTTGGTCGACGCTGAGCT(配列番号40);
AB25の軽鎖可変領域(配列番号44)を制限酵素(EcoRIおよびBsiWI)による消化によってpIE-J_DSEY発現ベクターへ挿入した。
25_DSEY Fab二量体分子複合体の発現および精製
実施例7に記載の25_DSEY Fab二量体分子複合体コンストラクトをCHO-K1細胞において発現させた。精製はタンパク質Lアフィニティークロマトグラフィーを用いて行い、精製複合体を、結合、抗原特異性および親和性についてELISAを用いて試験した。精製複合体の分子量をSDS-PAGE系において還元条件下にて分析したところ、予想した分子量を有することが示された。予測したように、二量体分子複合体(25_DSEY)の結合活性は、Fabの結合活性と比較して改善されており、IgG型において観察された結合と同等であった。二量体の25_DSEY Fab二量体およびIgGについてのEC50は両方ともナノモーラー以下の範囲であった。AB25の単量体のFabと二量体のIgG型を同様のアッセイにおいて比較した先の研究は、二量体のIgGが単量体のFabよりもより高い結合活性にて結合したことを示しており、本実施例の結果と一致している。図14を参照のこと。

Claims (30)

  1. 第一および第二の融合タンパク質を含む二量体分子複合体であって、それぞれの融合タンパク質がN末端からC末端にかけて以下を含み:
    (A)以下からなる群から選択される生物学的エフェクター部分:
    (1)単鎖抗体;
    (2)Fabフラグメント;
    (3)I型膜受容体の細胞外ドメイン;
    (4)サイトカイン;
    (5)ケモカイン;
    (6)酵素;
    (7)毒素;および
    (8)検出可能マーカー;
    (B)生物学的エフェクター部分と結合したIgG分子のヒンジ領域;および
    (C)該ヒンジ領域と共有結合したIgE分子のCH二量体化ドメイン、
    第一の融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン残基と第二の融合タンパク質のヒンジ領域のシステイン残基の間にジスルフィド結合を含む分子複合体。
  2. 第一および第二の融合タンパク質の生物学的エフェクター部分が同一である、請求項1の分子複合体。
  3. 第一および第二の融合タンパク質の生物学的エフェクター部分が異なる、請求項1に記載の分子複合体。
  4. 第一および第二の融合タンパク質の生物学的エフェクター部分がそれぞれ抗原結合部位を含む、請求項1に記載の分子複合体。
  5. 2つの抗原結合部位が同じ特異性を有する、請求項4に記載の分子複合体。
  6. 2つの抗原結合部位が異なる特異性を有する、請求項4に記載の分子複合体。
  7. 第一および第二の融合タンパク質の両方のヒンジ領域がIgG分子に由来する、請求項1に記載の分子複合体。
  8. ヒンジ領域が配列番号25のアミノ酸残基223から243を含む、請求項7に記載の分子複合体。
  9. 2つの融合タンパク質の少なくとも1つのヒンジ領域において、IgGヒンジ領域(配列番号25)の240−243位を占めるテトラペプチドVFLFが以下からなる群から選択されるテトラペプチドによって置換されている、請求項7に記載の分子複合体:DSEY、KSKY、CSEY、DSCY、DEEY、KRKY、SESE、SDSD、SKSK、SRSR、SESY、SDSY、SKSY、SRSY、DEEY、DDDY、DDEY、DEDY、EEEY、EDDY、EDEY、EEDY、RRRY、RKRY、RRKY、RKKY、KKKY、KRRY、KRKYおよびKKRY。
  10. 前記テトラペプチドがDSEY、KSKY、DEEYおよびKRKYからなる群から選択される、請求項9に記載の分子複合体。
  11. 前記テトラペプチドがDSEYである、請求項10に記載の分子複合体。
  12. 前記テトラペプチドがKSKYである、請求項10に記載の分子複合体。
  13. 第一および第二の融合タンパク質の両方のヒンジ領域内のテトラペプチドVFLFが同じテトラペプチドによって置換されている、請求項9に記載の分子複合体。
  14. 置換用テトラペプチドがDSEY、KSKY、DEEYおよびKRKYからなる群から選択される、請求項13に記載の分子複合体。
  15. 第一および第二の融合タンパク質のそれぞれのヒンジ領域内のテトラペプチドVFLFが異なるテトラペプチドによって置換されている、請求項9に記載の分子複合体。
  16. 第一の融合タンパク質のヒンジ領域内のテトラペプチドVFLFがテトラペプチドDSEYにより置換され、第二の融合タンパク質のヒンジ領域内のテトラペプチドVFLFがテトラペプチドKSKYにより置換されている、請求項15に記載の分子複合体。
  17. ヒンジ領域内のリシンに共有結合した部分をさらに含み、該部分が毒素またはポリグリコールである、請求項12に記載の分子複合体。
  18. C末端にエピトープタグをさらに含む、請求項1に記載の分子複合体。
  19. エピトープタグがGAPVPYPDPLEPRAA(配列番号23)を含む、請求項18に記載の分子複合体。
  20. 第一の融合タンパク質のC末端に配列番号26の配列からなるM2″IgEスプライスバリアントをさらに含み、第二の融合タンパク質のC末端に配列番号27の配列からなる異なるM2″IgEスプライスバリアントをさらに含む、請求項1に記載の分子複合体。
  21. 生物学的エフェクター部分とヒンジ領域の間にアミノ酸リンカーをさらに含み、該リンカーはエフェクター部分のC末端およびヒンジ領域のN末端と共有結合している、請求項1に記載の分子複合体。
  22. 第一および第二の融合タンパク質の両方が配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の分子複合体。
  23. 第一および第二の融合タンパク質の両方が配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされている、請求項5に記載の分子複合体。
  24. 配列番号1の277−281位のアミノ酸残基(DSEYP)が、アミノ酸残基KTSG(配列番号45の残基315−318)またはアミノ酸残基TKTSG(配列番号45の残基314−318)によって置換されている、請求項22に記載の分子複合体。
  25. 第一および第二の融合タンパク質の両方が配列番号22のヌクレオチド配列によってコードされている、請求項5に記載の分子複合体。
  26. 配列番号20の263−267位のアミノ酸残基が、アミノ酸残基KTSG(配列番号45の残基315−318)またはアミノ酸残基TKTSG(配列番号45の残基314−318)により置換されている、請求項25に記載の分子複合体。
  27. 患者の腫瘍を処置するための医薬組成物であって、有効量の二量体分子複合体を含み、二量体分子複合体が第一および第二の融合タンパク質を含み、それぞれの融合タンパク質がNからC末端にかけて以下を含み:
    (A)腫瘍関連抗原に対する抗原結合部位を含み、かつ以下からなる群から選択される生物学的エフェクター部分
    (1)単鎖抗体;
    (2)Fabフラグメント;
    (3)I型膜受容体の細胞外ドメイン;
    (4)サイトカイン;
    (5)ケモカイン;
    (6)酵素;
    (7)毒素;および
    (8)検出可能マーカー;
    (B)腫瘍関連抗原に共有結合したIgG分子のヒンジ領域;および
    (C)ヒンジ領域に共有結合したIgE分子のCH二量体化ドメイン、
    該分子複合体が、第一の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基と、第二の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基の間にジスルフィド結合を含む、医薬組成物。
  28. 二量体分子複合体の第一および第二の融合タンパク質の少なくとも1つが毒素にコンジュゲートしている、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 第一および第二の融合タンパク質の少なくとも1つが化学療法薬にコンジュゲートしている、請求項27に記載の医薬組成物。
  30. 患者の身体の標的領域をイメージングするための医薬組成物であって、標的領域において検出可能シグナルを提供するのに十分な量の二量体分子複合体を含み、該二量体分子複合体が第一および第二の融合タンパク質を含み、第一の融合タンパク質がN末端からC末端にかけて以下を含み:
    (A)標的特異的抗原に対する抗原結合部位を含み、かつ以下からなる群から選択される生物学的エフェクター部分
    (1)単鎖抗体;
    (2)Fabフラグメント;
    (3)I型膜受容体の細胞外ドメイン;
    (4)サイトカイン;
    (5)ケモカイン;
    (6)酵素;
    (7)毒素;および
    (8)検出可能マーカー;
    (B)生物学的エフェクター部分に結合したIgG分子のヒンジ領域;および
    (C)ヒンジ領域に共有結合したIgE分子のCH二量体化ドメイン、
    第二の融合タンパク質がN末端からC末端にかけて以下を含み:
    (A)検出可能な標識を含む生物学的エフェクター部分;
    (B)生物学的エフェクター部分に結合したIgG分子のヒンジ領域;および
    (C)ヒンジ領域に共有結合したIgE分子のCH二量体化ドメイン、
    該分子複合体が、第一の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基と、第二の融合タンパク質のヒンジ領域内のシステイン残基の間にジスルフィド結合を含む、医薬組成物。
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