JP2023551983A - インターロイキン-22に対する抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IL22に結合し、その天然リガンドの1つ又は複数とのその相互作用を阻害する抗体に関する。そのような抗体の具体例が提供される。抗体の治療的使用及びそのような抗体を生成する方法も提供される。

Description

本発明は、抗IL22抗体に関する。本明細書で提供されるそのような抗体は、皮膚炎症、特にアトピー性皮膚炎の治療に有用である。
アトピー性皮膚炎(AD)は、アトピー性湿疹としても公知であり、表皮機能障害及び肥厚、湿疹病変及び掻痒症をもたらす炎症状態である。この状態は、全ての年齢及び民族の人々に一般的であり、障害調整生存年数によって測定される全ての皮膚疾患の中で最大の疾患負荷を有する(Laughter et al,Br.J.Dermatol.2020;Epub ahead of print)。ADは複雑な状態であり、その病態生理学は、遺伝的要因、環境的要因及び免疫学的要因等の複数の要因によって影響される。2型免疫機構はアトピー性皮膚炎の病態において重要であるが、証拠の増加はいくつかの免疫経路の役割を裏付けている。
ADに使用される治療は、シクロスポリン、メトトレキサート、ミコフェノレートモフェチル及びアザチオプリン等の全身免疫抑制剤が含まれる。抗うつ薬及びナルトレキソンを使用して掻痒を制御することができる。2016年に、局所ホスホジエステラーゼ-4阻害剤であるクリサボロールが軽度から中等度の湿疹について承認され、2017年に、IL-4Rαのモノクローナル抗体アンタゴニストであるデュピルマブが中等度から重度の湿疹を治療することについて承認された。しかしながら、現在の治療選択肢は、一時的、不完全、症候性の軽減しかもたらさない。
IL22は、環境状況に応じて、様々な炎症応答及び組織応答において複数の機能を有するIL10サイトカインファミリのメンバーである。IL22は、Tヘルパー1(Th1)細胞、Th17細胞及びTh22細胞等のリンパ系細胞、γδ T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞及び自然リンパ系細胞(ILC)3、並びに線維芽細胞、好中球、マクロファージ及び肥満細胞等の非リンパ系細胞によって主に産生される(概要については、Lanfranca MP,et al J.Mol.Med.(Berl)(2016)94(5):523-534を参照されたい)。IL22は、IL22受容体1(IL22RA1又はインターロイキン-22受容体サブユニットα-1としても知られるIL22R1)及びIL-10受容体2(IL10R2)から構成されるヘテロ二量体膜貫通受容体複合体を介してシグナル伝達し、IL-10は、IL10R1及びIL-10R2を介してシグナル伝達する。IL-10ファミリの他のメンバーと同様に、IL22は、Jak1、Tyk2及びSTAT3を含むIL22R1/IL-10R2複合体及びその後のJAK-シグナル伝達及び転写活性化因子(signal transducer and activator of transcription:STAT)シグナル伝達経路を介してその効果を媒介する。IL-10とは対照的に、IL22は、ERK1/2、JNK及びp38等の多数のMAPK経路を介してシグナル伝達することも報告されている。皮膚において、IL22は、これらの細胞上に発現したIL22R1への結合を介してケラチノサイトに作用する。
IL10サイトカインファミリの他のメンバーとは異なり、IL22は、IL22結合タンパク質(IL22RA2又はインターロイキン-22受容体サブユニットα2としても知られるIL22BP)として知られる可溶性分泌受容体を有する。IL22BPはIL22R1鎖と最も高い構造相同性を共有するが、IL22BPはIL22R1よりもIL22に対してはるかに高い親和性を示し、したがってIL22がIL22R1に結合するのを妨げる。
IL22に特異的なIL22BPは、その活性を遮断することが示されている。総IL22の阻害は、重度のアトピー性皮膚炎患者又は高いベースラインIL22発現を有する患者において有効なシグナルを示した(Guttman-Yassky E et al.J Am Acad Dermatol.2018;78(5):872-881 and Brunner PM et al,J Allergy Cin Immunol.2019;143(1):142-154)。IL22R1の阻害は、IL-20及びIL-24の効果も部分的に遮断するIL22を阻害する潜在的な治療選択肢としても提案されている。現在までのところ、IL22BPに結合していない生物学的に活性なIL22を特異的に標的とし、したがってIL22BPの正常な生物学的機能に影響を及ぼさないように設計された治療選択肢は存在しない。
Th22サイトカインIL22の発現上昇は、アトピー性皮膚炎(AD)における特徴的な所見である。しかしながら、インビボでのADの病因におけるIL22の具体的な役割は完全には理解されていない。ADの発症及び維持におけるIL22の役割は具体的には検討されていないが、皮膚バリア機能、免疫調節不全及び掻痒症を損なうことによって、IL22がADの発症において重要な役割を果たすと仮定されている。
米国特許第8906375号及び米国特許第7901684号は、IL22に結合する抗体及びADの治療におけるそのような抗体の有用性を開示している。米国特許第7737259号は、乾癬の治療に有用な特異的抗IL22抗体を開示している。
本発明は、本明細書中に記載されるような機能的特性及び構造的特性を有する抗IL-22抗体を提供することによって、アトピー性皮膚炎の新たな治療の必要性に対処する。
本発明は、ヒトインターロイキン22(IL22)に結合する単離された抗体を提供し、抗体は、IL22受容体1(IL22R1)及びIL22結合タンパク質(IL22RA2)へのIL22結合を阻害又は減弱することができる。
本発明はまた、特異的CDR配列及び/又は可変領域配列のセットによって定義されるヒトIL22に結合する単離された抗体を提供する。
本発明を、以下の図面を参照して以下に説明する。
抗体11041軽鎖のヒト化を示す図である。その鎖について生成された変異体も示されている。CDR配列には下線が引かれている。
抗体11041の重鎖のヒト化を示す図である。その鎖について生成された変異体も示されている。CDR配列には下線が引かれている。
抗体11070軽鎖のヒト化を示す図である。その鎖の変異体も示されている。CDR配列には下線が引かれている。 抗体11070重鎖のヒト化を示す図である。その鎖について生成された変異体も示されている。CDR配列には下線が引かれている。
HDX-MS実験のIL22ペプチドカバレッジマップを示す図である。
11041gL13gH14FabのHDX-MS分析の結果を示す図である。(A)抗体結合時に有意に低下した重水素取込みを示すペプチドを列挙する。抗体の存在下及び非存在下で類似の交換パターンを示すペプチドは、有意でない重水素取込みを有し、薄い灰色で示される。(B)決定された11041gL13gH14FabエピトープをIL22 3D構造上に投影し、黒色で強調する。参照のために、X線データからのIL22に対する相対的な11041gL13gH14Fab結合を表示する。
11070gL7gH16FabのHDX-MS分析の結果を示す図である。(A)抗体結合時に有意に低下した重水素取込みを示すペプチドを列挙する。抗体の存在下及び非存在下で類似の交換パターンを示すペプチドは、有意でない重水素取込みを有し、薄い灰色で示される。(B)11070gL7gH16FabエピトープがIL22 3D構造上に投影され、黒色で強調されると決定される。
IL22に結合する11041gL13gH14 FabのX線分析の結果を示す図である。(A)IL-22に結合する11041gL13gH14Fabのイラスト表示。(B)IL-22と11041gL13gH14 Fabとの間の相互作用界面に関する詳細図。
11041gL13gH14 Fab分子が、その受容体IL22R1(PDB:3DLQ)との複合体においてIL22とIL22R1受容体(A)IL-22との相互作用(表面表示)を妨げることを示す図である。 11041gL13gH14 Fab軽鎖の軽鎖は、IL22とIL22R1との間の相互作用部位を遮断する。
フェザキヌマブ及びFabフォーマットの11070gL7gH16 Fab(VR11070)と複合体を形成したIL-22のCryo-EM構造を示す図である。 フェザキヌマブ及び11041Fabとの複合体におけるIL-22のモデル(VR11041)の図である。パネル(A)のcryo-EM構造上にIL-22/11041gL13gH14 Fab結晶構造を重ねることによってモデルを作成した。これは、11070gL7gH16 Fab及び11041gL13gH14 FabがIL-22上に類似のエピトープを有することを明らかにする。
11070gL7gH16 Fab及びフェザキヌマブFabとの複合体におけるIL-22のcryo-EM構造上の、IL-22に結合したIL-22R1の結晶構造の重ね合わせを示す図である。 IL-10R2との相互作用に寄与することが知られているIL-22残基の側鎖が棒として示されている。この部位は、フェザキヌマブFab分子によって占められている。
インビトロヒト初代ケラチノサイトアッセイにおける11041gL13gH14 Fab(VR11041)活性を示す図である。(A)アッセイにおけるS100A7応答の例。ドナーロット番号438Z014、幾何平均n=3/6、刺激:100ng/mlにおけるIL-22、フェザキヌマブFab及び50nMにおける11041gL13gH14Fab;(B)アッセイにおける11041gL13gH14 FabによるS100A7の阻害率。平均±SD、n=2名のドナー、刺激:100ng/mlにおけるIL-22、統計:log(阻害剤)vs応答(3つのパラメータ)。
定義
以下の用語は、本明細書全体を通して使用される。
「受容体ヒトフレームワーク」という用語は、本明細書では、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークとして使用される。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する受容体ヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得るか、又はアミノ酸配列変化を含み得る。
「親和性」という用語は、その抗体と標的タンパク質との間の全ての非共有結合相互作用の強度を指す。別途示される場合を除き、本明細書中で使用されるとき、用語「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。その結合パートナーに対する分子の親和性は、一般に解離定数(KD)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。
抗体の文脈における「親和性成熟」という用語は、そのような変化を有さない親抗体と比較して、超可変領域に1つ又は複数の変化を有する抗体を指し、そのような変化は、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び多重特異性抗体を含むがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。本明細書で使用される抗体という用語は、全(全長)抗体(すなわち、2つの重鎖及び2つの軽鎖の要素を含む)及びその機能的に活性なフラグメント(すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む分子(抗体フラグメント又は抗原結合フラグメントとも呼ばれる))に関する。抗体に関して本明細書に記載される特徴は、文脈が特に指示しない限り、抗体フラグメントにも適用される。抗体は、2つのscFv又はdsscFvに連結されたFabを含み得、各scFv又はdsscFvは、同じ又は異なる標的(例えば、治療標的に結合する1つのscFv又はdsscFv、及び例えばアルブミンに結合することによって半減期を延長する1つのscFv又はdsscFv)に結合する。そのような抗体は、国際公開第2015/197772号に記載されている。「抗体」という用語は、一価、すなわち、ただ1つの抗原結合ドメイン(例えば、完全長重鎖と、「半抗体」とも呼ばれる相互接続された完全長軽鎖とを含む1アーム抗体)を含む抗体、及び多価抗体、すなわち2つ以上の抗原結合ドメインを含む抗体、例えば二価抗体を包含する。
「参照抗体と同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて参照抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する。
「抗体依存性細胞傷害」又は「ADCC」という用語は、抗体でコーティングされた標的細胞と、エフェクター細胞上に発現されるFcガンマ受容体(FcγR)を介したナチュラルキラー細胞、単球、マクロファージ及び好中球等の溶解活性を有するエフェクター細胞との相互作用に依存する細胞死を誘導する機構である。
用語「抗原結合フラグメント」は、本明細書中で用いる場合、機能的に活性な抗体結合フラグメントを指し、限定されないが、Fab、改変Fab、Fab’、改変Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体、scFv、Fv、二価抗体、三価抗体又は四価抗体、Bis-scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及び上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる(例えば、Holliger and Hudson,2005,Nature Biotech.23(9):1126-1136;Adair and Lawson,2005,Drug Design Reviews-Online 2(3),209-217を参照されたい)。本明細書で使用される「結合フラグメント」は、ペプチド又は抗原に特異的であるとしてフラグメントを特徴付けるのに十分な親和性で標的ペプチド又は抗原に結合することができるフラグメントを指す。
「抗体変異体」という用語は、ポリペプチド、例えば、本明細書に記載の所望の特徴を有し、参照抗体のVH及び/又はVLと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するVH及び/又はVLを含む抗体を指す。そのような抗体変異体には、例えば、1つ又は複数のアミノ酸残基がVHドメイン及び/又はVLドメインに付加されるか、又はVHドメイン及び/又はVLドメインから欠失される抗体が含まれる。通常、抗体変異体は、本明細書に記載の抗体と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。場合により、変異体抗体は、本明細書中に提供される抗体配列と比較して1個以下の保存的アミノ酸置換を有し、あるいは、本明細書中に提供される抗体配列と比較して約2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個以下の保存的アミノ酸置換のいずれかを有するであろう。実施形態では、「抗体変異体」は、VH及び/又はVLを含む抗体又はその抗原結合フラグメントを指し、抗体又はその抗原結合フラグメントの非CDR領域は、本明細書に記載の抗体と少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。
本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、標的抗原と特異的に相互作用する1つ又は複数の可変ドメインの一部又は全部、例えば一対の可変ドメインVH及びVLの一部又は全部を含む抗体の一部を指す。本発明の文脈において、この用語は、3つの異なる抗原:IL13、IL22、及びアルブミンに関連して使用される。したがって、そのような抗原結合ドメインは、「IL13結合ドメイン」、「IL22結合ドメイン」、及び「アルブミン結合ドメイン」と呼ばれる。結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含み得る。各結合ドメインは一価であり得る。各結合ドメインは、1つ以下のVH及び1つのVLを含み得る。
本明細書で使用される「二重特異性」又は「二重特異性抗体」という用語は、2つの抗原特異性を有する抗体を指す。
「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、一般に、抗体が6つのCDR:VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1,L2,L3)を含むことを指す。重鎖可変ドメインのCDRは、Kabatナンバリングシステムに従って、残基31~35(CDR-H1)、残基50~65(CDR-H2)及び残基95~102(CDR-H3)に位置する。しかしながら、Chothia(Chothia,C.and Lesk,A.M.J.Mol.Biol.,196,901-917(1987))によれば、CDR-H1と等価なループは、残基26から残基32まで延びる。したがって、特に指示しない限り、本明細書で使用される「CDR-H1」は、KabatナンバリングシステムとChothiaのトポロジカルループ定義との組合せによって記載される残基26~35を指すことが意図される。軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabatナンバリングシステムに従って、残基24~34(CDR-L1)、残基50~56(CDR-L2)及び残基89~97(CDR-L3)に位置する。別段示されない限り、可変ドメイン中のCDR残基及び他の残基(例えばFR残基)は、本明細書ではKabatに従ってナンバリングされる。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン(又はその少なくとも一部)が特定の供給源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分(すなわち、定常ドメイン)が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。(Morrison;PNAS81,6851(1984)).キメラ抗体は、例えば、非ヒト可変ドメイン及びヒト定常ドメインを含むことができる。キメラ抗体は、典型的には、組換えDNA法を用いて産生される。「キメラ抗体」のサブカテゴリは「ヒト化抗体」である。
抗体の「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に更に分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」という用語は、標的結合抗体のFcエフェクタードメインが補体成分C1qに結合してこれを活性化し、次いで補体成分C1qが補体カスケードを活性化して標的細胞死をもたらす、細胞死を誘導する機構を指す。
本明細書で使用される「定常ドメイン(複数可)」又は「定常領域」という用語は、可変領域の外側にある抗体のドメイン(複数可)を指すために交換可能に使用される。定常ドメインは、同じアイソタイプの全ての抗体において同一であるが、アイソタイプごとに異なる。典型的には、重鎖の定常領域は、N末端からC末端に向かって、3つ又は4つの定常ドメインを含むCH1-ヒンジ-CH2-CH3-場合によりCH4によって形成される。
「競合抗体」又は「交差競合抗体」という用語は、特許請求される抗体が、(i)参照抗体が結合する抗原上の同じ位置、又は(ii)抗体が抗原への参照抗体の結合を立体的に妨げる抗原上の位置のいずれかに結合することを意味すると解釈されるものとする。
本明細書で使用される用語「誘導体」は、反応性誘導体、例えば、マレイミド等のチオール選択的反応基を含むことを意図している。反応性基は、ポリマーに直接又はリンカーセグメントを介して連結されていてもよい。そのような基の残基は、場合によっては、抗体フラグメントとポリマーとの間の連結基として生成物の一部を形成することが理解されるであろう。
可変配列を生成する文脈における「由来する」という用語は、使用される配列又は使用される配列に非常に類似する配列が、抗体の軽鎖又は重鎖等の元の遺伝物質から得られたという事実を指す。
本明細書で使用される「ダイアボディ」という用語は、第1のFvのVHが第2のFvのVLに連結され、第1のFvのVLが第2のFvのVHに連結されるように、2つのFv間リンカーを有する2つのFv対、第1のVH/VL対及び更なるVH/VL対を指す。
本明細書で使用される「DiFab」という用語は、重鎖のC末端を介して連結された2つのFab分子を指す。
本明細書で使用される「DiFab’」という用語は、そのヒンジ領域内の1つ又は複数のジスルフィド結合を介して連結された2つのFab’分子を指す。
本明細書で使用される「dsscFv」又は「ジスルフィド安定化一本鎖可変フラグメント」という用語は、VH及びVL可変ドメイン間のペプチドリンカーによって安定化され、VHとVLとの間のドメイン間ジスルフィド結合も含む一本鎖可変フラグメントを指す(例えば、Weatherill et al.,Protein Engineering,Design&Selection,25(321-329),2012、国際公開第2007109254号を参照されたい)。
「DVD-Ig」(二重VドメインIgGとしても知られる)という用語は、各重鎖及び各軽鎖のN末端に1つずつ、4つの更なる可変ドメインを有する完全長抗体を指す。
「エフェクター機能」という用語は、抗体アイソタイプによって異なる、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例には、Clq結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、及びB細胞活性化が含まれる。
本明細書で使用される場合、「エフェクター分子」という用語は、例えば、抗新生物剤、薬物、毒素、生物学的に活性なタンパク質、例えば酵素、他の抗体又は抗体フラグメント、合成又は天然に存在するポリマー、核酸及びそのフラグメント、例えばDNA、RNA及びそのフラグメント、放射性核種、特に放射性ヨウ化物、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子及びレポーター基、例えば蛍光化合物又はNMR若しくはESR分光法によって検出され得る化合物を含む。
抗体の文脈における「エピトープ」又は「結合部位」という用語は、抗体のパラトープが結合又は認識する抗原上の部位(又は部分)を指す。エピトープは、連続したアミノ酸(「線状エピトープ」と呼ばれることも多い)又はタンパク質の三次折り畳みによって形成された不連続なアミノ酸(「立体構造エピトープ」と呼ばれることも多い)の両方から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒への曝露時に保持されるが、折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒での処理時に失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的配座で少なくとも3個、より一般的には少なくとも5~10個のアミノ酸を含む。エピトープは、通常、アミノ酸、糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特定の3D構造及び電荷特性を有する。
「EUインデックス」又は「KabatのようなEUインデックス」又は「EUナンバリングスキーム」は、EU抗体のナンバリングを指す(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85)。これは、一般に、抗体重鎖定常領域の残基を指す場合に使用される(例えば、Kabat et al.に報告されているように)。特に明記しない限り、EUナンバリングスキームは、本明細書に記載の抗体重鎖定常領域中の残基を指すために使用される。
本明細書で使用される「Fab」という用語は、軽鎖のVL(可変軽鎖)ドメイン及び定常ドメイン(CL)を含む軽鎖フラグメント、並びに重鎖のVH(可変重鎖)ドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体フラグメントを指す。本開示によるFab’の二量体はF(ab’)2を生成し、ここで、例えば、二量体化はヒンジを介してもよい。
本明細書で使用される「Fab’-Fv」という用語は、FabFvに類似しており、Fab部分がFab’に置き換えられている。フォーマットは、そのPEG化バージョンとして提供され得る。
本明細書で使用される「Fab’-scFv」という用語は、軽鎖又は重鎖のC末端にscFvが付加されたFab’分子である。
本明細書で使用される「Fab-dsFv」という用語は、Fv内ジスルフィド結合が添付のC末端可変領域を安定化するFabFvを指す。フォーマットは、そのPEG化バージョンとして提供され得る。
本明細書で使用される「Fab-Fv」という用語は、以下の重鎖のCH1及び軽鎖のCLのそれぞれのC末端に可変領域が付加されたFabフラグメントを指す。フォーマットは、そのPEG化バージョンとして提供され得る。
本明細書で使用される「Fab-scFv」という用語は、軽鎖又は重鎖のC末端にscFvが付加されたFab分子である。
用語「Fc」、「Fcフラグメント」、及び「Fc領域」は、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含む抗体のC末端領域を指すために互換的に使用される。したがって、Fcは、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの定常ドメイン、CH2及びCH3、又はIgE及びIgMの最後の3つの定常ドメイン、並びにこれらのドメインに対する可動性ヒンジN末端を指す。ヒトIgG1重鎖Fc領域は、本明細書において、残基C226からそのカルボキシル末端までを含むと定義され、ナンバリングはEUインデックスに従う。ヒトIgG1の文脈において、EUインデックスに従って、下側ヒンジは、位置226~236を指し、CH2ドメインは、位置237~340を指し、CH3ドメインは、位置341~447を指す。他の免疫グロブリンの対応するFc領域は、配列アラインメントによって同定することができる。
「フレームワーク」又は「FR」という用語は、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)において以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
本明細書で使用される「全長抗体」という用語は、天然の抗体構造と実質的に同様の構造を有する抗体、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域(CL)からなる。各重鎖は、Igクラスに応じて、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)と、3つの定常ドメインCH1、CH2及びCH3、又は4つの定常ドメインCH1、CH2、CH3及びCH4で構成される重鎖定常領域(CH)と、から構成される。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
用語「Fv」は、全長抗体の2つの可変ドメイン、例えば、同族対又は親和性成熟可変ドメイン、すなわちVH及びVL対等の協同可変ドメインを指す。
アミノ酸配列の文脈で使用される「非常に類似している」という用語は、その全長にわたって、96、97、98又は99%の類似等、95%以上類似しているアミノ酸配列を指すことを意図している。
「ヒト抗体」という用語は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生されるか、又はヒト抗体レパートリ若しくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」という用語は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークを指す。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループに由来する。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.のようなサブグループである。1-3.いくつかの実施形態では、VLについて、サブグループは、上記のKabat et al.のようにサブグループkappa Iである。いくつかの実施形態では、VHについて、サブグループは、のようにサブグループIIIである。いくつかの実施形態では、VHについて、サブグループは、Kabat et al.のようにサブグループIVである。
「ヒト化」抗体という用語は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含む抗体を指す。典型的には、重鎖及び/又は軽鎖は、ドナー抗体(例えば、マウス又はウサギモノクローナル抗体等の非ヒト抗体)由来の1つ又は複数のCDR(所望であれば、1つ又は複数の修飾CDRを含む)を含み、受容体抗体(ヒト抗体)の重鎖及び/又は軽鎖可変領域フレームワークにグラフトされる(例えば、Vaughan et al,Nature Biotechnology,16,535-539,1998を参照のこと)。そのようなヒト化抗体の利点は、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させることである。全CDRが移されるのではなく、本明細書中上記で記載されるCDRのいずれか1つに由来する特異性決定残基のうち1つ又は複数のみがヒト抗体フレームワークに移入され得る(例えば、Kashmirietal.,2005,Methods,36,25-34を参照)。「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変であり(「相補性決定領域」又は「CDR」)、及び/又は構造的に明確なループ(「超可変ループ」)を形成し、及び/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含む、抗体可変ドメインの各領域を指す。
本明細書で使用される「IC50」という用語は、特定の生物学的又は生化学的機能を阻害する際の抗体等の物質の有効性の尺度である最大半量阻害濃度を指す。IC50は、所与の生物学的プロセスを50%阻害するために特定の物質がどれだけ必要であるかを示す定量的尺度である。
配列中のアミノ酸間の「同一性」は、整列した配列中の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。
本明細書で使用される「IgG-scFv」という用語は、各重鎖又は各軽鎖のC末端にscFvを有する完全長抗体である。
本明細書で使用される「IgG-V」という用語は、各重鎖又は各軽鎖のC末端に可変ドメインを有する完全長抗体である。
「単離された」という用語は、本明細書を通して、場合によっては、抗体又はポリヌクレオチドが、自然界で生じ得るものとは異なる物理的環境に存在することを意味する。「単離された」核酸という用語は、その自然環境から単離されたか、又は合成的に作製された核酸分子を指す。単離された核酸は、例えば化学処理によって生成された合成DNA、cDNA、ゲノムDNA又はそれらの任意の組合せを含み得る。
「Kabat残基指定」又は「Kabat」という用語は、抗体に一般的に使用される残基番号付けスキームを指す。これは、アミノ酸残基の線形ナンバリングと常に直接対応するとは限らない。実際の線状アミノ酸配列は、基本可変ドメイン構造のフレームワーク又は相補性決定領域(CDR)にかかわらず、構造成分の短縮又は構成成分への挿入に対応する厳密なKabatナンバリングよりも少ないか、又は追加のアミノ酸を含み得る。残基の正しいKabatナンバリングは、抗体の配列における相同性の残基と「標準的な」Kabatナンバリング配列とのアラインメントによって、所与の抗体について決定され得る。詳細については、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい。別段の指示がない限り、Kabatのナンバリングは本明細書全体にわたって使用される。
本明細書で使用される「KD」という用語は、Kd対Ka(すなわち、Kd/Ka)の比から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指す。Kd及びKaは、それぞれ特定の抗原-抗体相互作用の解離速度及び会合速度を指す。抗体のKD値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。
「モノクローナル抗体」(又は「mAb」)という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、モノクローナル抗体調製物の各個体は、少量存在し得る可能性のある変異(例えば、天然に存在する突然変異)を除いて同一である。それにもかかわらず、翻訳後修飾(例えば、重鎖C末端リジンの切断、アスパラギン残基の脱アミド化及び/又はアスパルタート残基の異性化)に連結されたタンパク質配列の一定の違いは、組成物中に存在する様々な異なる抗体分子間に存在し得る。ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。
本明細書で使用される「マルチパラトピック抗体」という用語は、同じ抗原又は2つの異なる抗原のいずれかからの異なるエピトープと相互作用する2つ以上の異なるパラトープを含む本明細書に記載の抗体を指す。本明細書中に記載されるマルチパラトープ抗体は、ビパラトピック、トリパラトピック、テトラパラトピックであり得る。
本明細書で使用される「多重特異性」又は「多重特異性抗体」という用語は、少なくとも2つの結合ドメイン、すなわち2つ以上の結合ドメイン、例えば2つ又は3つの結合ドメインを有する本明細書に記載の抗体を指し、少なくとも2つの結合ドメインは、同じ抗原上の2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに独立して結合する。多重特異性抗体は、一般に、各特異性(抗原)に対して一価である。本明細書に記載される多重特異性抗体は、一価及び多価、例えば二価、三価、四価の多重特異性抗体を包含する。
抗体の文脈における「中和すること」(又は「中和する」)という用語は、その標的(標的タンパク質)の生物学的シグナル伝達活性を阻害又は減衰することができる抗体を表す。
「パラトープ」という用語は、抗原を認識し、結合する抗体の領域を指す。
ポリペプチド及び抗体配列に関する「配列同一性(又は類似性)パーセント(%)」という用語は、最大パーセント配列同一性を達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、比較されるポリペプチド中のアミノ酸残基と同一(又は類似)である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤又は保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
「ポリクローナル抗体」という用語は、抗原の2つ以上のエピトープに結合する(又は他の方法で相互作用する)異なる抗体分子の混合物を指す。
抗体の文脈における「予防する」という用語は、本明細書では「阻害する」という用語と互換的に使用され、本発明による抗体が特定の生物学的プロセス又は分子相互作用に関して有する効果を示す。
「scダイアボディ」という用語は、分子が3つのリンカーを含み、VH及びVL末端がそれぞれ更なるFv対の可変領域の1つに連結されている正常なscFvを形成するように、Fv内リンカーを含むダイアボディを指す。
本明細書で使用される「Scdiabody-CH3」という用語は、例えばヒンジを介してCH3ドメインにそれぞれ連結された2つのscダイアボディ分子を指す。
「Scダイアボディ-Fc」という用語は、本明細書で用いる場合、2つのscダイアボディであり、それぞれが、例えばヒンジを介して、定常領域フラグメント-CH2CH3のCH2ドメインのN末端に付加されている。
本明細書で使用される「一本鎖可変フラグメント」又は「scFv」という用語は、VH可変ドメインとVL可変ドメインとの間のペプチドリンカーによって安定化された一本鎖可変フラグメントを指す。
本明細書で使用される「ScFv-Fc-scFv」という用語は、4つのscFvを指し、それぞれの1つがCH2CH3フラグメントの両方の重鎖のN末端及びC末端に付加されている。
本明細書で使用される「scFv-IgG」という用語は、各重鎖又は各軽鎖のN末端にscFvを有する完全長抗体である。
本明細書で使用される用語「類似度」は、整列した配列の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で類似のタイプであることを示す。例えば、イソロイシン又はバリンの代わりにロイシンを用いてもよい。互いに置換され得る他のアミノ酸としては、限定されないが、以下が挙げられる。
-フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);
-リジン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸);
-アスパルタート及びグルタマート(酸性側鎖を有するアミノ酸);
-アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);並びに
-システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)。
本明細書で使用される「単一ドメイン抗体」という用語は、単一の単量体可変ドメインからなる抗体フラグメントを指す。単一ドメイン抗体の例としては、VH又はVL又はVHH又はV-NARが挙げられる。
抗体の文脈で本明細書で用いられる用語「特異的」とは、それが特異的である抗原のみを認識する抗体、又はそれが非特異的である抗原への結合と比較して、それが特異的である抗原に対して有意に高い結合親和性、例えば少なくとも5、6、7、8、9、10倍高い結合親和性を有する抗体を指すことを意図する。
本明細書で使用される「立体的ブロッキング」又は「立体的に防止する」という用語は、第1のタンパク質への第3のタンパク質の結合によって第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用を遮断する手段を指すことを意図している。第1のタンパク質と第3のタンパク質との間の結合は、第2のタンパク質と第3のタンパク質との間の好ましくないファンデルワールス相互作用又は静電相互作用に起因して、第2のタンパク質が第1のタンパク質に結合するのを妨げる。
治療及び診断の文脈における「対象」又は「個体」という用語は、一般に哺乳動物を指す。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、個体又は対象はヒトである。
本明細書で使用される「タンデムscFv」という用語は、単一のFv間リンカーが存在するように単一のリンカーを介して連結された少なくとも2つのscFvを指す。
本明細書で使用される「タンデムscFv-Fc」という用語は、少なくとも2つのタンデムscFvを指し、それぞれが、例えばヒンジを介して、定常領域フラグメント-CH2CH3のCH2ドメインのN末端に付加される。
本明細書で使用される「標的」又は「抗体標的」という用語は、抗体が結合する標的抗原を指す。
本明細書で使用される「テトラボディ」という用語は、4つのFv及び4つのFv間リンカーを含むダイアボディと同様のフォーマットを指す。
「治療有効量」という用語は、疾患を治療するために対象に投与された場合に、疾患のそのような治療をもたらすのに十分なその抗体の量を指す。治療有効量は、抗体、疾患及びその重症度並びに治療される対象の年齢、体重等に応じて変化する。
本明細書で使用される「トリボディ」(Fab(scFv)とも呼ばれる)という用語は、軽鎖のC末端に第1のscFvが付加され、重鎖のC末端に第2のscFvが付加されたFabフラグメントを指す。
本明細書で使用される「三重特異性又は三重特異性抗体」という用語は、3つの抗原結合特異性を有する抗体を指す。例えば、抗体は、3つの異なる抗原又は同じ抗原上の3つの異なるエピトープに独立して結合する3つの抗原結合ドメイン(三価)を有する抗体であり、すなわち、各結合ドメインは各抗原に対して一価である。三重特異性抗体フォーマットの例の1つはTrYbeである。
「予防する」又は「予防」等の用語は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防するという点で予防効果を得ることを指す。したがって、予防することは、疾患に罹りやすい可能性があるが、疾患を有するとまだ診断されていない対象において疾患が生じるのを止めることを包含する。
「治療」、「治療すること」等の用語は、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患の部分的又は完全な治癒及び/又は疾患に起因する有害作用に関して治療的であり得る。したがって、治療は、(a)疾患を阻害すること、すなわち、その発生を停止させること;(b)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退縮を引き起こすことを包含する。
本明細書で使用される「TrYbe」という用語は、本明細書で使用される2つのdsscFvs.dsFabを含むトリボディを指し、可変領域内ジスルフィド結合を有するFabを指す。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原への抗体の結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。完全長の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインは、一般に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDR及び4つのFRで構成される。CDR及びFRは共に可変領域を形成する。慣例により、抗体の重鎖可変領域中のCDRは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3と呼ばれ、軽鎖可変領域中のCDRはCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3と呼ばれる。それらは、各鎖のN末端からC末端の方向に連続して番号付けされる。CDRは、従来、Kabatによって考案されたシステムに従ってナンバリングされる。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。「ベクター」という用語は、「発現ベクター」を含む。
「VH」という用語は、重鎖の可変ドメイン(又は配列)を指す。
本明細書で使用される「V-IgG」という用語は、各重鎖又は各軽鎖のN末端に可変ドメインを有する完全長抗体である。
「VL」という用語は、軽鎖の可変ドメイン(又は配列)を指す。
インターロイキン22(IL22)
「インターロイキン-22」又は「IL22」という用語は、IL22R1(IL22RA1、IL22受容体1又はインターロイキン-22受容体サブユニットα-1としても知られている)及び/又はIL22R1とIL10RA2との受容体複合体(IL22BP、IL22結合タンパク質、又はインターロイキン-22受容体サブユニットα2としても知られている)に結合することができるクラスIIサイトカインを指す。IL22は、インターロイキン-10関連T細胞由来誘導因子(IL-TIF)としても知られている。この用語は、天然に存在するか、又は内因性の哺乳動物IL22タンパク質、及び天然に存在するか、又は内因性の対応する哺乳動物IL22タンパク質(例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質)のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。したがって、本明細書で定義される場合、この用語は、成熟IL22タンパク質、多型又は対立遺伝子変異体、及びIL22の他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシング又は他の細胞プロセスによって産生される)、並びに上記の改変形態又は非改変形態(例えば、脂質付加、グリコシル化)を含む。天然に存在する又は内因性のIL22としては、野生型タンパク質、例えば成熟IL22、多型又は対立遺伝子変異体、並びに哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類)において天然に存在する他のアイソフォーム及び変異型が挙げられる。これらのタンパク質及び天然又は内因性の対応するIL22と同じアミノ酸配列を有するこれらのタンパク質は、対応する哺乳動物の名称で呼ばれる。
成熟ヒトIL22のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸34~179に対応する。組換えヒトIL22の分析は、多くの構造ドメインを明らかにする。(Nagem et al.(2002)Structure,10:1051-62;;米国特許出願公開第2002/0187512号)。
IL22に結合する抗体
本発明は、IL22(標的ポリペプチド)に結合し、本明細書中に更に記載されるような機能的特性及び構造的特性を有する抗IL22抗体を提供する。
本開示は、IL22に結合する抗体を同定する方法を提供し、当該方法は、
a)動物にヒトIL22を免疫することと、
b)当該動物から生成された抗IL22抗体を単離することと、
c) i.ヒト及びカニクイザルIL22の両方に結合し、
ii.IL22誘導性STAT3リン酸化又はIL22依存性IL-10放出を中和し、
iii.ヒトIL22に結合し、IL22R1の結合を防止する、
抗IL22抗体を選択することと、
を含む。
マウス、ラット及びウサギを含む任意の適切な動物を抗IL22抗体の作製に使用してもよい。IL22への結合及び交差結合測定は、当業者に公知の技術を使用して実施され得る。同定された抗体の中和活性の測定には、標準的なアッセイが利用可能である。そのようなアッセイの例は、本明細書中の例において提供される。
本発明の文脈における抗体には、全抗体及び機能的に活性な抗体フラグメント(すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む分子(抗原結合フラグメントとも呼ばれる))が含まれる。本明細書中に記載される特徴は、文脈が別途指示しない限り、抗体フラグメントにも適用される。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、多価、多重特異性、二重特異性、完全ヒト、ヒト化、又はキメラであり得る(又はそれらに由来し得る)。
参照及び例示のみを目的として更に記載される抗体は、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明に従って使用される抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得、好ましくはモノクローナル抗体である。本発明に従って使用される抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体(例えば、マウス、霊長類及びヒトフレームワーク領域を含むCDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプを考慮して、任意の適切な受容体可変領域フレームワーク配列を使用することができる)、ナノボディ、ヒト又はヒト化抗体であり得る。モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の両方の産生のために、そのような抗体を産生するために使用される動物は、典型的には、ヤギ、ウサギ、ラット又はマウス等の非ヒト哺乳動物であるが、抗体はまた、他の種で産生されてもよい。
ポリクローナル抗体は、目的の抗原による適切な動物の免疫化等の日常的な方法によって産生され得る。その後、血液をそのような動物から取り出し、産生された抗体を精製することができる。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製され得る。モノクローナル抗体を作製するためのいくつかの例示的な方法が本明細書に記載される。
例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(Kohler&Milstein,1975,Nature,256:495-497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozboretal.,1983,ImmunologyToday,4:72)、及びEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,pp77-96,Alan R Liss,Inc.,1985)を使用して調製することができる。
抗体はまた、例えば国際公開第9202551号、国際公開第2004051268号及び国際公開第2004106377号に記載されている方法によって、特異的抗体の産生のために選択された単一リンパ球から生成された免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニング及び発現することによって、単一リンパ球抗体法を使用して生成され得る。
標的ポリペプチドに対して生成された抗体は、動物の免疫化が必要な場合、周知の慣習的なプロトコルを使用して動物、好ましくは非ヒト動物にポリペプチドを投与することによって得ることができる(例えば、Handbook of Experimental Immunology,D.M.Weir(ed.),Vol4,Blackwell Scientific Publishers,Oxford,England,1986)を参照)。ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ、ラクダ又はブタ等の多くの動物を免疫化することができる。しかしながら、マウス、ウサギ、ブタ及びラットが一般に使用される。
モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成することもでき、Brinkman et al.(in J.Immunol.Methods,1995,182:41-50),Ames et al.(J.Immunol.Methods,1995,184:177-186),Kettleborough et al.(Eur.J.Immunol.1994,24:952-958),Persic et al.(Gene,1997 187 9-18),Burton et al.(Advances in Immunology,1994,57:191-280)によって開示されているものが挙げられる。特定のファージディスプレイ法では、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol,12:433-455(1994).に記載されるように、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされるか、又はファージライブラリにおいて無作為に組換えられ、抗原結合ファージに対してスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとして提示する。免疫化された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J 12:725-734(1993)に記載されているように、免疫化することなく、ナイーブレパートリをクローニングして(例えば、ヒト由来)、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対する単一の抗体源を提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol,227:381-388(1992)によって記載されているように、幹細胞から再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高可変CDR3領域をコードし、インビトロで再編成を達成することによって、ナイーブライブラリを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載する特許刊行物には、例えば、米国特許第5,750,373号、及び米国特許第2005/0079574号、米国特許第2005/0119455号、米国特許第2005/0266000号、米国特許第2007/0117126号、米国特許第2007/0160598号、米国特許第2007/0237764号、米国特許第2007/0292936号、及び米国特許第2009/0002360号が含まれる。
抗体のスクリーニングは、標的ポリペプチドへの結合を測定するアッセイ及び/又は抗体が特定の相互作用を遮断する能力を測定するアッセイを使用して行うことができる。結合アッセイの例は、例えば、プレート上に固定化された標的ポリペプチドの融合タンパク質を使用し、標的に結合した抗体を検出するためにコンジュゲート化二次抗体を使用するELISAである。ブロッキングアッセイの例は、標的ポリペプチドに結合するリガンドタンパク質のブロッキングを測定するフローサイトメトリに基づくアッセイである。蛍光標識二次抗体を使用して、標的ポリペプチドに結合するそのようなリガンドタンパク質の量を検出する。
抗体は、所望の1つ又は複数の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを作製し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で公知である。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体フラグメントは、ヒト抗体又はヒト抗体フラグメントと見なされる。
抗体は完全長抗体であり得る。より具体的には、抗体はIgGアイソタイプであり得る。より具体的には、抗体はIgG1又はIgG4であり得る。
抗体の定常領域ドメインは、存在する場合、抗体分子の提案された機能、特に必要とされ得るエフェクター機能を考慮して選択され得る。例えば、定常領域ドメインは、ヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMのドメインであり得る。特に、抗体分子が治療用途を意図し、抗体エフェクター機能が必要とされる場合、ヒトIgG定常領域ドメイン、特にIgG1及びIgG3アイソタイプを使用することができる。あるいは、抗体分子が治療目的を意図しており、抗体エフェクター機能が必要とされない場合、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用してもよい。これらの定常領域ドメインの配列バリアントも使用され得ることが理解されるであろう。抗体が種々の翻訳後修飾を受け得ることも当業者に公知であろう。これらの修飾の種類及び程度は、多くの場合、抗体を発現するために使用される宿主細胞株並びに細胞培養条件に依存する。そのような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミド化のバリエーションが含まれ得る。頻繁な修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基性残基(リジン又はアルギニン等)の喪失である(Harris,RJ.Journal of Chromatography 705:129-134,1995に記載されている)。したがって、抗体重鎖のC末端リジンは存在しなくてもよい。
あるいは、抗体は抗原結合フラグメントである。
特定の抗原結合フラグメントの総説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの総説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、また国際公開第93/16185号、米国特許第5,571,894号及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2フラグメントが米国特許第5,869,046号に開示されている。
抗原結合フラグメント及びそれらを作製する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Verma et al.,1998,Journal of Immunological Methods,216,165-181;Adair and Lawson,2005.Therapeutic antibodies.Drug Design Reviews-Online 2(3):209-217.を参照されたい。Fab-Fvフォーマットは国際公開第2009/040562号に最初に開示され、そのジスルフィド安定化バージョンであるFab-dsFvは国際公開第2010/035012号に最初に開示され、TrYbeフォーマットは国際公開第2015/197772号に開示されている。
抗体フラグメントを製造するための様々な技術が開発されてきた。そのようなフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して誘導され得る(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992)and Brennan et al,Science 229:81(1985)を参照されたい)。しかしながら、抗体フラグメントはまた、組換え宿主細胞によって直接産生され得る。例えば、抗体フラグメントは、上記の抗体ファージライブラリから単離され得る。あるいは、Fab’-SHフラグメントを大腸菌(E.coli)から直接回収し、化学的に結合させてF(ab’)フラグメントを形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))。
F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)であり得る。これは国際公開第93/16185号;米国特許第5,571,894号;米国特許第5,587,458号に記載される。抗体フラグメントはまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されているように、「線状抗体」であってもよい。そのような線状抗体フラグメントは、単一特異性又は二重特異性であり得る。
抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dsFv、scFv、又はdsscFvであり得る。抗体は、単一ドメイン抗体又はナノボディ、例えばVH又はVL又はVHH又はVNARであり得る。抗体は、国際公開第2011/117648号、国際公開第2005/003169号、国際公開第2005/003170号及び国際公開第2005/003171号に記載されているFab又はFab’フラグメントであり得る。
抗体は、ジスルフィド安定化一本鎖可変フラグメント(dsscFv)であり得る。
可変ドメインVHとVLとの間のジスルフィド結合は、以下に列挙される残基のうちの2つの間であり得る。
・V37+V95、例えば、Protein Science 6,781-788 Zhu et al(1997)を参照;
・V44+V100、例えば、Weatherill et al.,Protein Engineering,Design&Selection,25(321-329),2012を参照;
・V44+V105、例えば、J Biochem.118,825-831 Luo et al(1995)を参照;
・V45+V87、例えば、Protein Science 6,781-788 Zhu et al(1997)を参照;
・V55+V101、例えばFEBS Letters 377 135-139 Young et al(1995)参照;
・V100+V50、例えば、Biochemistry 29 1362-1367 Glockshuber et al(1990)を参照;
・V100b+V49、例えば、Biochemistry 29 1362-1367 Glockshuber et al(1990)を参照;
・V98+V46については、例えば、Protein Science 6,781-788 Zhu et al(1997)を参照;
・、V101+V46、例えば、Protein Science 6,781-788 Zhu et al(1997)を参照;
・V105+V43、例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.90 pp.7538-7542 Brinkmann et al(1993);or Proteins 19,35-47 Jung et al(1994)を参照;
・V106+V57、例えばFEBS Letters 377 135-139 Young et al(1995)を参照
及び分子内に位置する可変領域対におけるそれに対応する1つ又は複数の位置。
ジスルフィド結合は、位置VH44と位置VL100との間に形成され得る。
本明細書に記載の抗原結合フラグメントは、モノクローナル、キメラ、ヒト化、完全ヒト、多重特異性、二重特異性等としても特徴付けられ得、これらの用語の議論もそのようなフラグメントに関することが当業者によって理解されるであろう。
多重特異性抗体
本発明の抗体は多重特異性抗体であり得る。
本開示との関連で使用することも企図される多重特異性抗体又はその抗原結合フラグメントの例としては、二価、三価又は四価抗体、Bis-scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、バイボディ及びトリボディ(例えば、Holliger and Hudson,2005,Nature Biotech 23(9):1126-1136;Schoonjans et al.2001,Biomolecular Engineering,17(6),193-202を参照されたい)が挙げられる。
様々な多重特異性抗体フォーマットが生成されている。様々な分類が提案されているが、多重特異性IgG抗体フォーマットは、一般に、例えばSpiess et al.,Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies.Mol Immunol.67(2015):95-106.に記載されているように、二重特異性IgG、付加IgG、多重特異性(例えば二重特異性)抗体フラグメント、多重特異性(例えば二重特異性)融合タンパク質、及び多重特異性(例えば二重特異性)抗体コンジュゲートを含む。
抗体は二重特異性抗体であり得る。一態様において、抗体は2つの抗原結合ドメインを含み、一方の結合ドメインはIL22に結合し、他方の結合ドメインは別の抗原に結合し、すなわち各結合ドメインは各抗原に対して一価である。一実施形態において、抗体は四価二重特異性抗体であり、すなわち抗体は4つの抗原結合ドメインを含み、例えば2つの結合ドメインはIL22に結合し、他の2つの結合ドメインは別の抗原に結合する。一実施形態では、抗体は三価二重特異性抗体である。
二重特異性抗体を作製するための技術としては、CrossMab technology(Klein et al.Engineering therapeutic bispecific antibodies using CrossMab technology,Methods 154(2019)21-31),Knobs-in-holes engineering(例えば、国際公開第1996027011号、国際公開第1998050431号),DuoBody technology(例えば、国際公開第2011131746号),Azymetric technology(例えば、国際公開第2012058768号)が挙げられるが、これらに限定されない。二重特異性抗体を作製するための更なる技術が、例えば、Godar et al.,2018,Therapeutic bispecific antibody formats:a patent applications review(1994-2017),Expert Opinion on Therapeutic Patents,28:3,251-276に記載されている。二重特異性抗体には、特にCrossMab抗体、DAF(ツー・イン・ワン)、DAF(フォー・イン・ワン)、DutaMab、DT-lgG、ノブス・イン・ホール共通LC、ノブス・イン・ホール(Knobs-in-holes)アセンブリ、電荷対、Fabアーム交換、SEEDbody、Triomab、LUZ-Y、Fcab、κλ-body及び直交Fabが含まれる。
抗体構築物は三重特異性抗体であり得る。
抗体は、マルチパラトピック抗体であり得る。
一実施形態において、各結合ドメインは一価である。好ましくは、各結合ドメインは、1つ以下のVH及び1つのVLを含む。
付加IgGは、古典的には、IgGの重鎖及び/又は軽鎖のN末端及び/又はC末端に追加の抗原結合ドメイン又は抗原結合フラグメントを付加することによって操作された全長IgGを含む。そのような追加の抗原結合フラグメントの例としては、sdAb抗体(例えばVH又はVL)、Fv、scFv、dsscFv、Fab、scFabが挙げられ、付加IgG抗体フォーマットとしては、特にDVD-IgG、IgG(H)-scFv、scFv-(H)lgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、lgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgC(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、lgG-2scFv、scFv4-Ig、Zybody及びDVI-IgG(フォー・イン・ワン)が挙げられ、例えば、Spiess et al.,Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies.Mol Immunol.67(2015):95-106.に記載されている。
多重特異性抗体フラグメントには、例えば、Spiess et al.,Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies.Mol Immunol.67(2015):95-106.に記載されるように、ナノボディ、ナノボディ-HSA、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scDiabody、sc-Diabody-CH3、Diabody-CH3、Triple Body、Miniantibody、ミニボディ、Tri Biミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)、F(ab’)-scFv、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scDiabody-Fc、Diabody-Fc、Tandem scFv-Fc;及びイントラボディが含まれる。
多重特異性融合タンパク質としては、Dock及びLock、ImmTAC、HSabody、scDiabody-HSA、及びTandem scFv-Toxinが挙げられる。
多重特異性抗体コンジュゲートとしては、IgG-IgG;Cov-X-ボディ;及びscFv1-PEG-scFvが挙げられる。
更なる多重特異性抗体フォーマットは、例えばBrinkmann et al,The making of bispecific antibodies,mAbs,9:2,182-212(2017)、特に図2、例えばタンデムscFv、三重体、Fab-VHH、taFv-Fc、scFv4-Ig、scFv2-Fcab、scFv4-IgGに記載されている。バイオボディ、トリボディ及びこれらを製造する方法は、例えば、国際公開第99/37791号に開示されている。
本発明で使用するための抗体は、2つのscFv又はdsscFvに連結されたFabであり得、各scFv又はdsscFvは同じ又は異なる標的に結合する(例えば、治療標的に結合する1つのscFv又はdsscFv及び1つのscFv又はdsscFvは、例えばアルブミンに結合することによって半減期を延長する)。そのような抗体フラグメントは、国際公開第2015/197772号に記載されている。本発明フラグメントに使用するための別の好ましい抗体は、例えば国際公開第2013/068571号及びDave et al.,Mabs,8(7)1319-1335(2016)に記載されているように、ただ1つのscFv又はdsscFvに連結されたFabを含む。
本発明で使用するための別の抗体は、ノブス・イン・ホール抗体(「KiH」)である。これは、ヘテロ二量体化のための重鎖ホモ二量体(例えば、二重特異性抗体、多重特異性抗体又は一腕抗体の効率的な産生のために)からなる多重特異性抗体フォーマットである。一般に、そのような技術は、第1のポリペプチド(第1の抗体重鎖中の第1のCH3ドメイン等)の界面に突起(「ノブ」)を導入し、第2のポリペプチド(第2の抗体重鎖中の第2のCH3ドメイン等)の界面に対応する空洞(「ホール」)を導入することを含み、それにより、突起は、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げるように空洞内に配置され得る。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖(第1の抗体重鎖中の第1のCH3ドメイン等)をより大きな側鎖(例えば、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって構築される。突出部と同一又は類似のサイズの代償的な空洞が、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニン、セリン、バリン、又はトレオニン)で置き換えることによって、第2のポリペプチドの境界面(第2の抗体重鎖中の第2のCH3ドメイン等)に作り出される。隆起及び空洞は、例えば部位特異的突然変異誘発又はペプチド合成によって、ポリペプチドをコードする核酸を改変することによって作製することができる。「ノブス・イン・ホール」技術に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第5,731,168号;米国特許第7,695,936号;国際公開第2009/089004号;米国特許出願公開第2009/0182127号明細書;Marvin md Z u,Acta Pharmacologica Sincia(2005)26(6):649-658;Kontermann Acta Pharmacologica Sincia(2005)26:1-9;Ridgway et al,Prot Eng 9,617-621(1996);and Carter,J Immunol Meth 248,7-15(2001).に記載される。
ヒト化抗体、ヒト抗体及びキメラ抗体並びにそのような抗体を産生する方法
本発明の抗体は、ヒト化抗体、完全ヒト抗体又はキメラ抗体であり得るが、これらに限定されない。
一実施形態では、抗体はヒト化されている。より詳細には、抗体は、キメラ、ヒト、又はヒト化抗体である。
特定の実施形態において、本明細書中に提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体の例は、例えば米国特許第4,816,567;及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが、親抗体のクラス又はサブクラスから変更された「クラス切替」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合フラグメントが含まれる。
一実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
ヒト化抗体は、任意に、CDRが由来する非ヒト種に由来する1つ又は複数のフレームワーク残基を更に含み得る。CDR全体ではなくCDRの特異性決定残基を移入するだけでよいことが理解されよう(例えば、Kashmirietal.,2005,Methods,36,25-34を参照)。
適切には、本発明によるヒト化抗体は、ヒト受容体フレームワーク領域並びに1つ又は複数のCDRを含み、任意に1つ又は複数のドナーフレームワーク残基を更に含む可変ドメインを有する。
したがって、一実施形態では、可変ドメインがヒト受容体フレームワーク領域及び非ヒトドナーCDRを含む、ヒト化抗体が提供される。
CDR又は特異性決定残基がグラフトされる場合、マウス、霊長類及びヒトフレームワーク領域を含む、CDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプを考慮して、任意の適切な受容体可変領域フレームワーク配列が使用され得る。
本発明において使用され得るヒトフレームワークの例は、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY及びPOM(Kabat et al.)である。例えば、KOL及びNEWMを重鎖に使用することができ、REIを軽鎖に使用することができ、EU、LAY及びPOMを重鎖及び軽鎖の両方に使用することができる。あるいは、ヒト生殖系列配列を使用してもよく、これらは、www.imgt.orgで入手可能である。実施形態では、受容体フレームワークがIGKV1D-13ヒト生殖系列、IGHV3-66ヒト生殖系列、IGKV1-12ヒト生殖系列及び/又はIGHV4-31ヒト生殖系列である。実施形態において、ヒトフレームワークは、1~5、1~4、1~3又は1~2個のドナー抗体アミノ酸残基を含む。
本発明のヒト化抗体において、受容体重鎖及び軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来する必要はなく、所望であれば、異なる鎖に由来するフレームワーク領域を有する複合鎖を含み得る。
特定の実施形態において、本明細書中に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生され得る。
ヒト抗体は、抗体の可変領域又は全長鎖がヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られる場合、特定の生殖系列配列の「生成物」又はそれに「由来する」重鎖若しくは軽鎖可変領域又は全長重鎖若しくは軽鎖を含む。そのようなシステムには、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを目的の抗原で免疫すること、又はファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリを目的の抗原でスクリーニングすることが含まれる。ヒト生殖系列免疫グロブリン配列の「生成物」又はそれに「由来する」ヒト抗体又はそのフラグメントは、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、ヒト抗体の配列に配列が最も近い(すなわち、最大%の同一性)ヒト生殖系列免疫グロブリン配列を選択することによって、そのように同定することができる。特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列の「生成物」又はそれに「由来する」ヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞変異又は部位特異的変異の意図的な導入に起因して、生殖系列配列と比較してアミノ酸の相違を含み得る。しかしながら、選択されたヒト抗体は、典型的には、他の種の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖系列配列)と比較した場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、ヒト抗体をヒトであると同定するアミノ酸残基を含有する。特定の場合において、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%、又は更には少なくとも96%、97%、98%、又は99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10個以下のアミノ酸差を示すであろう。特定の場合において、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列から5個以下、又は更には4個、3個、2個又は1個以下のアミノ酸差を示し得る。
抗体の構造的特徴
本発明の抗体は結合ドメインを含む。結合ドメインは、一般に、3つが重鎖由来であり、3つが軽鎖由来である、6つのCDRを含む。一実施形態では、CDRはフレームワーク内にあり、共に可変領域を形成する。したがって、抗体は、抗原に特異的な結合ドメインを有し、当該結合ドメインは、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。
一実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号5を含むCDR-L1、
配列番号6を含むCDR-L2、及び
配列番号7を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
一実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号5を含むCDR-L1、
配列番号6を含むCDR-L2、及び
配列番号7を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
一実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号8を含むCDR-H1、
配列番号9を含むCDR-H2、及び
配列番号10を含むCDR-H3
のうちの少なくとも1つを含む重鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
一実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号8を含むCDR-H1、
配列番号9を含むCDR-H2、及び
配列番号10を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
本発明の抗体分子は、それぞれ相補的軽鎖又は相補的重鎖を含み得る。
したがって、一実施形態において、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号5を含むCDR-L1、
配列番号6を含むCDR-L2、及び
配列番号7を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変領域と、
配列番号8を含むCDR-H1、
配列番号9を含むCDR-H2、及び
配列番号10を含むCDR-H3
を含む重鎖可変領域と、
を含む抗体を提供する。
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号22又は配列番号72に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号24又は配列番号74に示される配列を含む重鎖可変領域を含む。
一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号22に示される配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号24に示される配列を含む重鎖可変領域とを含む。
代替的な実施形態において、本発明の抗体は、配列番号72に示される配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号74に示される配列を含む重鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、本発明の抗体は、
配列番号5を含むCDR-L1、
配列番号6を含むCDR-L2、及び
配列番号7を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変領域と、
配列番号8を含むCDR-H1、
配列番号9を含むCDR-H2、及び
配列番号10を含むCDR-H3
を含む重鎖可変領域と、
を含む、Fabである。
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号26に示される配列を含む軽鎖と、配列番号28に示される配列を含む重鎖とを含むFabである。
別の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号26に示される配列を含む軽鎖と、配列番号30に示される配列を含む重鎖とを含むIgG1である。
別の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号26に示される配列を含む軽鎖と、配列番号32に示される配列を含む重鎖とを含むIgG4Pである。
代替的な実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号65を含むCDR-L1、
配列番号66を含むCDR-L2、及び
配列番号67を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
代替的な実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号65を含むCDR-L1、
配列番号66を含むCDR-L2、及び
配列番号67を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
代替的な実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号68を含むCDR-H1、
配列番号69を含むCDR-H2、及び
配列番号70を含むCDR-H3
のうちの少なくとも1つを含む重鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
代替的な実施形態では、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号68を含むCDR-H1、
配列番号69を含むCDR-H2、及び
配列番号70を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメインを含む、抗体を提供する。
代替的な実施形態において、本発明は、IL22に結合する抗体であって、
配列番号65を含むCDR-L1、
配列番号66を含むCDR-L2、及び
配列番号67を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変領域と、
配列番号68を含むCDR-H1、
配列番号69を含むCDR-H2、及び
配列番号70を含むCDR-H3
を含む重鎖可変領域と、
を含む抗体を提供する。
代替的な実施形態において、本発明の抗体は、
配列番号65を含むCDR-L1、
配列番号66を含むCDR-L2、及び
配列番号67を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変領域と、
配列番号68を含むCDR-H1、
配列番号69を含むCDR-H2、及び
配列番号70を含むCDR-H3
を含む重鎖可変領域と、
を含むFabである。
更に別の代替的な実施形態において、本発明の抗体は、配列番号76に示される配列を含む軽鎖と、配列番号78に示される配列を含む重鎖とを含むFabである。
別の代替的な実施形態において、本発明の抗体は、配列番号76に示される配列を含む軽鎖と、配列番号80に示される配列を含む重鎖とを含むIgG1である。
別の代替的な実施形態において、本発明の抗体は、配列番号76に示される配列を含む軽鎖と、配列番号82に示される配列を含む重鎖とを含むIgG4Pである。
実施形態では、本発明は、配列番号5又は配列番号65を含むCDR-L1、配列番号6又は配列番号66を含むCDR-L2、配列番号7又は配列番号67を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域と、配列番号8又は配列番号68を含むCDR-H1、配列番号9又は配列番号69を含むCDR-H2、及び配列番号10又は配列番号70を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域と、を含む抗体を提供する。
一実施形態では、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖はCH1ドメインを含み、軽鎖はカッパ又はラムダのいずれかのCLドメインを含む。
抗IL22抗体の機能的特性
一実施形態では、本発明の抗体は中和抗体である。好ましくは、本発明による抗体は、中和IL22活性である。特に、抗体は、IL22受容体1(IL22R1)に結合するIL22を中和することができる。本発明の抗IL22抗体はまた、IL22に結合し、IL22結合タンパク質(IL22RA2又はIL22BP)へのIL22の結合を阻害する。好ましくは、抗体は、IL22受容体1(IL22R1)及びIL22結合タンパク質(L22RA2)に結合するIL22を中和することができる。
本発明の抗IL22抗体は、IL22R1と同じIL22上の領域に結合する。特定の一実施形態では、本発明は、結合がIL22とIL22R1との間の相互作用を立体的に遮断するように、IL22上の領域に結合する抗体を提供する。特に、抗体の可変領域は、IL22とIL22R1との間の相互作用を立体的に遮断し得る。
いくつかの実施形態において、本発明による抗体は、IL22BPに結合していないIL22(「遊離IL22」)に結合する。いくつかの実施形態において、本発明による抗体は、IL22に結合し、IL22がIL22BPに結合するのを妨げる。
本発明による抗体はIL22に特異的である。一実施形態では、抗体は、IL22R1と比較してIL22に対してより強い結合親和性を有する。これは、IL22R1又はIL22BPよりもIL22の解離親和定数(KD)が少なくとも10倍高いことを特徴とする。具体的には、BIACore技術を用いて測定される。
いくつかの実施形態において、抗体は十分な親和性及び特異性でIL22に結合する。特定の実施形態では、抗体は、約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM又は0.001nM(例えば10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)のいずれか1つのKDでヒトIL22に結合し、これらの値の間の任意の範囲を含む。一実施形態では、本発明による抗体は、100pM未満のKDでヒトIL22に結合する。
特定の実施形態では、抗体は、約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM又は0.001nM(例えば10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)のいずれか1つのKDでカニクイザルIL22に結合し、これらの値の間の任意の範囲を含む。一実施形態では、本発明による抗体は、100pM未満のKDでカニクイザルIL22に結合する。
KD値は、抗体のフォーマット及び全体構造に応じて異なり得ることが当業者には理解されよう。例えば、抗体のKDは、多重特異性抗体、完全長抗体又は抗体フラグメントとの関連で異なり得る。
本発明の抗IL22抗体は、細胞からのIL22誘導性IL10放出を阻害することができる。
例によって実証されるように、本発明の抗IL22抗体は、IL22媒介ケラチノサイトの増殖及び分化を阻害することができる。
本発明の抗IL22抗体はまた、IL22誘導性抗菌ペプチド(例えば、S100A7等)の放出を阻害することができる。
抗体の親和性、並びに抗体が結合を阻害する程度は、従来の技術、例えばScatchard et al.(Ann.KY.Acad.Sci.51:660-672(1949))に記載されている技術を使用して、又はBIAcore等のシステムを使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって当業者が決定することができる。表面プラズモン共鳴の場合、標的分子を固相に固定化し、フローセルに沿って移動する移動相中のリガンドに曝露する。固定化された標的にリガンドが結合すると、局所屈折率が変化してSPR角が変化し、反射光の強度の変化を検出することによってリアルタイムで監視することができる。SPRシグナルの変化速度を分析して、結合反応の会合相及び解離相の見かけの速度定数を得ることができる。これらの値の比は、見かけの平衡定数(親和性)を与える(例えば、Wolff et al,Cancer Res.53:2560-65(1993)を参照)。
一実施形態では、本発明による抗IL22抗体は、IL22結合タンパク質に結合していないIL22(「遊離IL22」)に結合する。より具体的には、本発明による抗体はIL22に結合し、IL22がIL22結合タンパク質に結合するのを妨げる。
好ましくは、本発明による抗体はIL22に特異的である。
抗体に関する、特に結合親和性及び結合特異性、並びに活性に関する本明細書の開示は、抗原結合フラグメント及び抗体様分子にも適用可能である。
同じエピトープに結合する抗体
抗体は、IL22への結合について、軽鎖、重鎖、軽鎖可変領域(LCVR)、重鎖可変領域(HCVR)又はCDR配列に関して上で定義したエピトープと競合するか、又は同じエピトープに結合し得る。
特に、本発明は、IL22への結合について、配列番号5/6/7/8/9/10のCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列の組合せを含む抗体と競合するか、又は同じエピトープに結合する抗体を提供する。抗体は、配列番号22/24のLCVR及びHCVR配列対を含む抗体とIL22への結合について競合するか、又は同じエピトープに結合し得る。抗体は、IL22への結合について配列番号26/28に示されるLC及びHC配列対を含むFabと競合するか、又は同じエピトープに結合し得る。
あるいは、本発明は、IL22への結合について、配列番号65/66/67/68/69/70のCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列の組合せを含む抗体と競合するか、又は同じエピトープに結合する抗体を提供する。抗体は、配列番号72/74のLCVR及びHCVR配列対を含む抗体とIL22への結合について競合するか、又は同じエピトープに結合し得る。抗体は、IL22への結合について、配列番号76/78に示されるLC及びHC配列対を含むFabと競合するか、又は同じエピトープに結合し得る。
一実施形態では、本発明は、IL22上のエピトープに結合する抗IL22抗体を提供し、当該エピトープは、1つ又は複数の残基VRLIGEKLFHGVSM(配列番号1、IL22のアミノ酸配列の残基72~85)を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、ポリペプチドVRLIGEKLFHGVSM(配列番号96)に結合する抗IL22抗体を提供する。実施形態では、本発明は、配列番号1によって定義されるIL22のアミノ酸配列の残基72~85から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は全ての残基に結合する抗体を提供する。
一実施形態では、本発明は、IL22上のエピトープに結合する抗IL22抗体を提供し、当該エピトープは、4Å未満の接触距離で測定される場合、ヒトIL22(配列番号1)のGln48、Glu77、Phe80、His81、Gly82、Val83、Ser84、Met85、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Arg175、Asn176及びIle179からなるリストから選択される残基の少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、又は全てを含む。実施形態では、本発明は、IL22上のエピトープに結合する抗体を提供し、当該エピトープは、抗体とIL22との間の5Å未満の接触距離で測定される場合、ヒトIL22(配列番号1)のLys44、Phe47、Gln48、Ile75、Gly76、Glu77、Phe80、His81、Gly82、Val83、Ser84、Met85、Ser86、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Arg175、Asn176及びIle179からなるリストから選択される残基の少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、又は全てを含む。
特に、本発明は、以下の表4又は5に列挙される重鎖及び軽鎖の残基を含む抗体とIL22への結合について競合するか、又は同じエピトープに結合することができる抗体を提供する。より具体的には、本発明の抗体は、配列番号24の残基97~104、好ましくは残基99~104を含むCDR-H3配列を含み、上で定義したIL22上のエピトープに結合する。より具体的には、本発明の抗体は、表4又は表5において定義されるようなCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3残基を含み、上記で定義されるようなIL22上のエピトープに結合する。
より具体的には、本発明は、上記で定義したIL22上のエピトープに結合する抗IL22抗体を提供し、当該抗体は、IL22のIL22R1及びIL22BPへの結合を妨げる。より具体的には、抗体の軽鎖は、IL22R1のIL22への結合を立体的に妨げる。
エピトープは、本発明によって提供される抗体のいずれか1つと組み合わせて、当技術分野で公知の任意の適切な結合部位マッピング方法によって同定することができる。そのような方法の例には、本発明の抗体又はそのフラグメントに結合するための全長標的タンパク質に由来する様々な長さのペプチドをスクリーニングすること、及び抗体によって認識されるエピトープの配列を含む抗体に特異的に結合することができるフラグメントを同定すること、が含まれる。標的ペプチドは、合成的に産生され得る。抗体に結合するペプチドは、例えば、質量分析によって同定することができる。別の例では、NMR分光法又はX線結晶学を使用して、本発明の抗体が結合したエピトープを同定することができる。典型的には、エピトープ決定をX線結晶学によって行う場合、CDRから4Å以内の抗原のアミノ酸残基は、エピトープのアミノ酸残基部分であると考えられる。一旦同定されると、エピトープは、本発明の抗体に結合するフラグメントを調製するのに役立ち得、必要に応じて、同じエピトープに結合する更なる抗体を得るための免疫原として使用され得る。
一実施形態では、抗体のエピトープは、X線結晶学によって決定される。
抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するか、又は参照抗体と結合について競合するかどうかは、当技術分野で公知の日常的な方法を使用することによって容易に決定することができる。例えば、試験抗体が本発明の参照抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和条件下でタンパク質又はペプチドに結合させる。次に、タンパク質又はペプチドに結合する試験抗体の能力を評価する。試験抗体が参照抗体との飽和結合後にタンパク質又はペプチドに結合することができる場合、試験抗体は参照抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。一方、試験抗体が参照抗体との飽和結合後にタンパク質又はペプチドに結合することができない場合、試験抗体は、本発明の参照抗体によって結合されるエピトープと同じエピトープに結合し得るか、又は参照抗体は、抗原の配座変化を引き起こし、したがって試験抗体の結合を妨げる。
抗体が参照抗体との結合について競合するかどうかを決定するために、上記の結合方法論を2つの異なる実験設定で行う。第1の設定では、参照抗体を飽和条件下で抗原に結合させ、続いて試験抗体の抗原への結合を評価する。第2の設定では、試験抗体を飽和条件下で抗原に結合させ、続いて参照抗体のタンパク質/ペプチドへの結合を評価する。両方の実験設定において、第1の(飽和)抗体のみがタンパク質/ペプチドに結合することができる場合、試験抗体及び参照抗体は抗原への結合について競合すると結論付けられる。当業者には理解されるように、参照抗体と結合について競合する抗体は、必ずしも参照抗体と同一のエピトープに結合するわけではないが、重複又は隣接するエピトープに結合することによって参照抗体の結合を立体的にブロックし得るか、又は結合の欠如をもたらす配座変化を引き起こし得る。
2つの抗体は、各々が抗原への他方の結合を競合的に阻害(遮断)する場合、同じ又は重複するエピトープに結合する。あるいは、一方の抗体の結合を低減又は排除する抗原中の本質的に全てのアミノ酸変異が他方の結合を低減又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を低減又は排除するいくつかのアミノ酸変異が他方の結合を低減又は排除する場合、2つの抗体は重複エピトープを有する。
次いで、試験抗体の結合の観察された欠如が実際に参照抗体と同じ抗原の部分への結合によるものであるかどうか、又は立体的遮断(又は別の現象)が観察された結合の欠如の原因であるかどうかを確認するために、更なる日常的な実験(例えば、ペプチド突然変異及び結合分析)を行うことができる。この種の実験は、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリ、又は当技術分野で利用可能な任意の他の定量的若しくは定性的抗体結合アッセイを使用して行うことができる。
抗体変異体
特定の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異誘発のための関心部位としては、CDR及びFRが挙げられる。アミノ酸置換を目的の抗体に導入し、所望の活性、例えば、保持された/改善された抗原結合、低下した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングすることができる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗IL22抗体のアミノ酸配列変異体は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製され得る。そのような修飾としては、例えば、抗IL22抗体のアミノ酸配列内(例えば、1つ又は複数のCDR及び/又はフレームワーク配列内、あるいはVH及び/又はVLドメイン内)の残基からの欠失及び/若しくは残基への挿入及び/又は残基の置換が挙げられる。最終構築物が所望の特性を有する限り、最終構築物に到達するために、欠失、挿入、及び置換の任意の組合せを行うことができる。
本明細書で提供される変異体VH及びVL配列の特定の実施形態では、各HVRは変化していないか、又は1、2若しくは3個以下のアミノ酸置換を含む。
抗体がIL22に結合し、IL22活性を中和する能力を有意に変化させることなく、本発明によって提供されるCDRに対して1つ又は複数のアミノ酸の置換、付加及び/又は欠失が行われ得ることが理解されるであろう。任意のアミノ酸の置換、付加及び/又は欠失の影響を、例えば、本明細書中に記載される方法、特に、例において例示される方法を用いて、IL22とその受容体IL22R1及びIL22結合タンパク質との相互作用のIL22結合及び阻害を明らかにすることによって、当業者によって容易に試験することができる。
その結果、変異体VH及びVL配列の特定の実施形態では、各CDRは、1つ、2つ又は3つ以下のアミノ酸置換を含み、そのようなアミノ酸置換は保存的であり、抗体はIL22に対するその結合特性を保持し、IL22R1及びIL22結合タンパク質に対するIL22の結合を遮断する。
したがって、本発明は、CDR-L1(配列番号5を含む)、CDR-L2(配列番号6を含む)、CDR-L3(配列番号7を含む)、CDR-H1(配列番号8を含む)、CDR-H2(配列番号9を含む)及びCDR-H3(配列番号10を含む)から選択される1つ又は複数のCDRを含む抗IL22抗体を提供し、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えば、本明細書中下で定義される類似のアミノ酸で置換されている。
一実施形態では、本発明は、CDR-L1(配列番号5を含む)、CDR-L2(配列番号6を含む)、CDR-L3(配列番号7を含む)、CDR-H1(配列番号8を含む)、CDR-H2(配列番号9を含む)及びCDR-H3(配列番号10を含む)を含む抗IL22抗体を提供し、例えば、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸は、本明細書で以下に定義する類似のアミノ酸等の別のアミノ酸で置換されている。実施形態において、1つ又は複数のCDRにおける1つ又は複数のアミノ酸置換は、遊離システイン残基を置換するか、又は潜在的なアスパラギン脱アミド部位を修飾する。実施形態において、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸置換は、潜在的なアスパラギン酸異性化部位を修飾する。実施形態では、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸置換は、潜在的なDP加水分解部位を除去する。実施形態では、CDR-L3(配列番号7)に関して、置換はC91S又はC91V;N95D;S96A;又はそれらの組合せであり、CDR-H2(配列番号9)に関して、置換はD54E、G55A、又はそれらの組合せであり、CDR-H3(配列番号9)に関して、置換はD107E、又は列挙された置換の組合せである。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、3つのCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、CDR-L1の配列は、配列番号5に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、CDR-L2は、配列番号6に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、若しくは98%の同一性又は類似性を有する配列を含み、並びに/あるいはCDR-L3は、配列番号7に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、3つのCDRを含む重鎖可変ドメインを含み、CDR-H1の配列は、配列番号8に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、CDR-H2は、配列番号9に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、並びに/あるいはCDR-H3は、配列番号10に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、配列番号22に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号24に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む重鎖可変領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号22に示されるものと少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有する配列を含み、及び/又は重鎖可変領域は、配列番号24に示されるものと少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、それぞれ配列番号65/66/67/68/69/70を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の残りの部分は、それぞれ配列番号72及び74と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を有する。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、それぞれ配列番号5/6/7/8/9/10を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の残りの部分は、それぞれ配列番号22及び24と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を有する。
一実施形態において、本発明の抗IL22抗体は、配列番号26に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む軽鎖と、配列番号28に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む重鎖とを含むFabである。
一実施形態において、本発明の抗IL22抗体は、それぞれ配列番号5/6/7/8/9/10に示されるCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列を含むFabであり、軽鎖及び重鎖の残りの部分は、それぞれ配列番号26及び28と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を有する。
一実施形態では、本発明の抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号22に示される配列を含み、91、95及び/又は96の位置の一又は複数の残基は、別のアミノ酸によって置換されており、重鎖可変領域は、配列番号24に示される配列を含み、54、55及び/又は107の位置の1つ又は複数の残基は別のアミノ酸によって置換されている。
本発明は、CDR-L1(配列番号65を含む)、CDR-L2(配列番号66を含む)、CDR-L3(配列番号67を含む)、CDR-H1(配列番号68を含む)、CDR-H2(配列番号69を含む)及びCDR-H3(配列番号70を含む)から選択される1つ又は複数のCDRを含む抗IL22抗体を提供し、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えば、本明細書中下で定義される類似のアミノ酸で置換されている。
一実施形態では、本発明は、CDR-L1(配列番号65を含む)、CDR-L2(配列番号66を含む)、CDR-L3(配列番号67を含む)、CDR-H1(配列番号68を含む)、CDR-H2(配列番号69を含む)及びCDR-H3(配列番号70を含む)を含む抗IL22抗体を提供し、例えば、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸は、本明細書で以下に定義する類似のアミノ酸等の別のアミノ酸で置換されている。実施形態において、1つ又は複数のCDRにおける1つ又は複数のアミノ酸置換は、遊離システイン残基を置換するか、又は潜在的なアスパラギン脱アミド部位を修飾する。実施形態において、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸置換は、潜在的なアスパラギン酸異性化部位を修飾する。実施形態では、1つ又は複数のCDR中の1つ又は複数のアミノ酸置換は、潜在的なDP加水分解部位を除去する。実施形態では、CDR-H2(配列番号69)に関して、置換はS61Tである。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、3つのCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、CDR-L1の配列は、配列番号65に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、CDR-L2は、配列番号66に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、並びに/あるいはCDR-L3は、配列番号67に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、3つのCDRを含む重鎖可変ドメインを含み、CDR-H1の配列は、配列番号68に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、CDR-H2は、配列番号69に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含み、並びに/あるいはCDR-H3は、配列番号70に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本開示の抗IL22抗体は、配列番号72に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一実施形態では、本開示の抗体は、配列番号74に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む重鎖可変領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号72に示されるものと少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有する配列を含み、及び/又は重鎖可変領域は、配列番号74に示されるものと少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有する配列を含む。
一実施形態では、本発明の抗IL22抗体は、それぞれ配列番号65/66/67/68/69/70を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の残りの部分は、それぞれ配列番号72及び74と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を有する。
一実施形態において、本発明の抗IL22抗体は、配列番号76に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む軽鎖と、配列番号78に示される配列と少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性又は類似性を有する配列を含む重鎖とを含むFabである。
一実施形態において、本発明の抗IL22抗体は、それぞれ配列番号65/66/67/68/69/70に示されるCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3配列を含むFabであり、軽鎖及び重鎖の残りの部分は、それぞれ配列番号76及び78と少なくとも70%、80%、90%、95%、若しくは98%の同一性又は類似性を有する。
配列同一性及び類似性
配列間の同一性及び類似性の程度を容易に計算することができる。「配列同一性%」(又は「配列類似性%」)は、(1)比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列した配列を比較すること(例えば、より長いシーケンスの長さ、より短いシーケンスの長さ、指定されたウィンドウ等である)と、(2)一致した位置の数を得るために、同一の(又は類似の)アミノ酸を含む位置の数を決定すること(例えば、同一のアミノ酸が両方の配列に存在する、類似のアミノ酸が両方の配列に存在する)と、(3)一致した位置の数を比較ウィンドウ(例えば、より長いシーケンスの長さ、より短いシーケンスの長さ、指定されたウィンドウ)内の位置の総数で割ることと、(4)結果に100を掛けて、配列同一性%又は配列類似性%を得ることと、によって計算される。
比較のための配列のアラインメント方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装によって(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis)、又は手動アラインメント及び目視検査によって(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.1995 supplement)を参照されたい)行うことができる。
配列同一性パーセント及び配列類似性パーセントを決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例としては、Altschul et al.,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)及びAltschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されるBLAST及びBLAST2.0アルゴリズムを含む。ポリペプチド配列はまた、デフォルトパラメータ又は推奨パラメータを使用してFASTAを使用して比較することができる。FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)は、クエリ配列と検索配列との間の最良の重複の領域のアラインメント及びパーセント配列同一性を提供する。
特定の実施形態において、置換、挿入又は欠失は、そのような変化が抗体が標的に結合する能力を実質的に低下させない限り、1つ又は複数のCDR内で起こり得る。
例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更をCDRにおいて行うことができる。そのような改変は、CDR中の抗原接触残基の外側で行われ得る。
保存的置換を、より実質的な「例示的な置換」と共に表6に示す。
抗体変異体の生物学的特性における実質的な修飾は、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、又は側鎖のバルクの維持に対する効果が有意に異なる置換を選択することによって達成することができる。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従ってグループ化され得る(A.L.Lehninger,Biochemistry second ed.,pp.73-75,Worth Publishers,New York(1975))。
1つのタイプの置換変異体は、親抗体(ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ又は複数のCDR領域残基を置換することを含む。一般に、更なる研究のために選択された得られた変異体(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)に変化を有する、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持している。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体であり、例えばファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して簡便に生成することができる。簡潔には、1つ又は複数のCDR残基を変異させ、変異体抗体をファージ上に提示し、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
例えば、抗体親和性を改善するために、CDRに変更(例えば、置換)を行うことができる。そのような変化は、HVR「ホットスポット、」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基において行われ得、得られた変異体VH又はVLは結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及び二次ライブラリからの再選択による親和性成熟は、例えばHoogenboom et al.m Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001).)に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性は、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発)のいずれかによって成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次に、二次ライブラリが作成される。次いで、ライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定する。
突然変異誘発の標的となり得る抗体の残基又は領域の同定に使用できる方法の1つは、アラニンスキャニング突然変異誘発である(Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085)。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は多数の標的残基が同定され、アラニンで置換される。あるいは、又は更に、抗原-抗体複合体のX線構造を使用して、抗体とその抗原との間の接触点を同定することができる。変異体をスクリーニングして、所望の特性を含むかどうかを決定することができる。
定常領域変異体
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸修飾が、本明細書中に提供される抗体のFc領域に導入され得、それにより、Fc領域変異体が作製される。Fc領域変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4Fc領域)を含み得る。
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001).を参照されたい)
半減期が増加し、新生児型Fc受容体(FcRn)に対する結合が改善された抗体は、米国特許第2005/0014934号に記載されている。これらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ又は複数の置換を有するFc領域を含む。
特定の実施形態では、抗体変異体は、ADCCを改善する1つ又は複数のアミノ酸置換、例えばFc領域の298、333及び/又は334の位置の置換(残基のEUナンバリング)を有するFc領域を含む。
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基234、235、237、238、265、269、270、297、327及び329のうちの1又は複数が置換されたものが含まれる(例えば、米国特許第6、737、056号を参照されたい)。そのようなFc変異体には、アミノ酸残基がEUナンバリングシステムに従ってナンバリングされている、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体が含まれる。
CDC及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認するために、インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイを行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、おそらくADCC活性を欠く)が、FcRn結合能を保持することを確実にすることができる。ADCC、NK細胞を媒介するための初代細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球はFcRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)に要約される。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号、米国特許第5,821,337号に記載されている。代替において、又は、加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボにおいて、Clynes et al.Proc.Nat l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されるもの等、例えば、動物モデルにおいて評価され得る。抗体がClqに結合することができず、したがってCDC活性を欠くことを確認するために、Clq結合アッセイを行うこともできる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のClq及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano-Santoro et al,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al,Blood 101:1045-1052(2003);and Cragg,M.S.and M.I Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボでのクリアランス/半減期の決定もまた、当該分野で公知の方法(例えば、Petkova,S.B.et al,Int l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)を用いて行うことができる。
本発明の抗体分子の定常領域ドメインは、存在する場合、抗体分子の提案された機能、特に必要とされ得るエフェクター機能を考慮して選択され得る。例えば、定常領域ドメインは、ヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMのドメインであり得る。特に、抗体分子が治療用途を意図し、抗体エフェクター機能が必要とされる場合、ヒトIgG定常領域ドメイン、特にIgG1及びIgG3アイソタイプを使用することができる。あるいは、抗体分子が治療目的を意図しており、抗体エフェクター機能が必要とされない場合、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用してもよい。これらの定常領域ドメインの配列バリアントも使用され得ることが理解されるであろう。
グリコシル化変異体
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ又は複数のグリコシル化部位が作成又は除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって都合よく達成され得る。
ヒト化抗体、ヒト抗体及びキメラ抗体
本発明の抗体は、ヒト化抗体、完全ヒト抗体又はキメラ抗体であり得るが、これらに限定されない。
一実施形態では、抗体はヒト化されている。より具体的には、抗IL22抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
特定の実施形態において、本明細書中に提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体の例は、例えば米国特許第4,816,567;及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。別の例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが、親抗体のクラス又はサブクラスから変更された「クラス切替」抗体である。
キメラ抗体は、要素がそれが由来する種の特徴を保持するように、2つの異なる種に由来する要素から構成される。一般に、キメラ抗体は、1つの種由来の可変領域、例えばマウス、ラット、ウサギ、又はヒト等の別の種由来の類似の定常領域を含むであろう。
特定の実施形態では、キメラ抗体はヒト化抗体である。
CDR全体ではなくCDRの特異性決定残基を移入するだけでよいことが理解されよう(例えば、Kashmiri et al.,2005,Methods,36,25-34を参照)。ヒト化抗体は、任意に、CDRが由来する非ヒト種に由来する1つ又は複数のフレームワーク残基を更に含み得る。
適切には、本発明によるヒト化抗体は、ヒト受容体フレームワーク領域並びに1つ又は複数のCDRを含み、任意に1つ又は複数のドナーフレームワーク残基を更に含む可変ドメインを有する。
一実施形態では、抗体はヒト化抗体であり、可変ドメインはヒト受容体フレームワーク領域及び非ヒトドナーCDRを含む。
CDRがグラフトされる場合、マウス、霊長類及びヒトフレームワーク領域を含む、CDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプを考慮して、任意の適切な受容体可変領域フレームワーク配列が使用され得る。
本発明において使用され得るヒトフレームワークの例は、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY及びPOM(Kabat et al.)である。例えば、KOL及びNEWMを重鎖に使用することができ、REIを軽鎖に使用することができ、EU、LAY及びPOMを重鎖及び軽鎖の両方に使用することができる。あるいは、ヒト生殖系列配列を使用してもよく、これらは、www.imgt.orgで入手可能である。実施形態では、受容体フレームワークがIGKV1D-13ヒト生殖系列、IGHV3-66ヒト生殖系列、IGKV1-12ヒト生殖系列及び/又はIGHV4-31ヒト生殖系列である。実施形態において、ヒトフレームワークは、1~5、1~4、1~3又は1~2個のドナー抗体アミノ酸残基を含む。
本発明のヒト化抗体において、受容体重鎖及び軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来する必要はなく、所望であれば、異なる鎖に由来するフレームワーク領域を有する複合鎖を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生され得る。より具体的には、抗IL22抗体は、ヒト抗体重鎖定常領域及びヒト軽鎖定常領域を含む。
ヒト抗体は、抗体の可変領域又は全長鎖がヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られる場合、特定の生殖系列配列に由来する重鎖若しくは軽鎖可変領域又は全長重鎖若しくは軽鎖を含む。そのようなシステムには、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを目的の抗原で免疫すること、又はファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリを目的の抗原でスクリーニングすることが含まれる。ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来するヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、ヒト抗体の配列に配列が最も近い(すなわち、最大%の同一性)ヒト生殖系列免疫グロブリン配列を選択することによって、そのように同定することができる。特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来するヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞変異又は部位特異的変異の意図的な導入に起因して、生殖系列配列と比較してアミノ酸の相違を含み得る。しかしながら、選択されたヒト抗体は、典型的には、他の種の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖系列配列)と比較した場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、ヒト抗体をヒトであると同定するアミノ酸残基を含有する。特定の場合において、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%、又は更には少なくとも96%、97%、98%、又は99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10個以下のアミノ酸差を示すであろう。特定の場合において、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列から5個以下、又は更には4個、3個、2個又は1個以下のアミノ酸差を示し得る。
ヒト抗体は、当業者に公知の多くの方法によって産生され得る。ヒト抗体は、ヒト骨髄腫又はマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株を使用するハイブリドーマ法によって作製することができる(Kozbor,J Immunol;(1984)133:3001;Brodeur,Monoclonal Isolated Antibody Production Techniques and Applications,pp51-63,Marcel Dekker Inc,1987)。代替的な方法には、ファージライブラリ又はトランスジェニックマウスの使用が含まれ、その両方がヒト可変領域レパートリを利用する((Winter G;(1994)Annu Rev Immunol 12:433-455,Green LL,(1999)J Immunol Methods 231:1 1-23)。ヒト抗体は、例えば、マウス免疫グロブリン可変遺伝子及び場合により定常領域遺伝子が、例えば、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,661,016号及び米国特許第5,770,429号に記載されるように、それらのヒト対応物によって置き換えられているマウスによって産生され得る。
エフェクター分子
所望であれば、本発明による抗体は、1つ又は複数のエフェクター分子(複数可)にコンジュゲート化され得る。一実施形態では、抗体はエフェクター分子に結合していない。
エフェクター分子は、本発明の抗体に結合され得る単一部分を形成するように連結された単一のエフェクター分子又は2つ以上のそのような分子を含み得ることが理解されるであろう。エフェクター分子に連結された抗体フラグメントを得ることが望ましい場合、これは、抗体フラグメントが直接又はカップリング剤を介してエフェクター分子に連結される標準的な化学的又は組換えDNA手順によって調製され得る。そのようなエフェクター分子を抗体にコンジュゲートさせるための技術は、当技術分野で周知である(Hellstrom et al.,Controlled Drug Delivery,2nd Ed.,Robinson et al.,eds.,1987,pp.623-53;Thorpe et al.,1982,Immunol.Rev.,62:119-58 and Dubowchik et al.,1999,Pharmacology and Therapeutics,83,67-123を参照)。特定の化学的手順としては、例えば、国際公開第93/06231号、国際公開第92/22583号、国際公開第89/00195号、国際公開第89/01476号及び国際公開第03/031581号に記載されているものが挙げられる。あるいは、エフェクター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合、例えば国際公開第86/01533号及び欧州特許第0392745号に記載されるように、組換えDNA手順を使用して連結を達成することができる。
エフェクター分子の例としては、細胞に有害な(例えば、殺傷)任意の薬剤を含む細胞毒又は細胞傷害剤が挙げられ得る。例としては、コンブレスタチン、ドラスタチン、エポチロン、スタウロスポリン、メイタンシノイド、スポンジスタチン、リゾキシン、ハリコンドリン、ロリジン、ヘミアステリン、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン並びにそれらの類似体又はホモログが挙げられる。
エフェクター分子には、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC及びシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシン又はデュオカルマイシン)及び抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)も含まれるが、これらに限定されない。
他のエフェクター分子としては、111In及び90Y、Lu177、ビスマス213、カリフォルニウム252、イリジウム192及びタングステン188/レニウム188等のキレート化放射性核種;又は限定されないが、アルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド及びスラミン等の薬物が挙げられ得る。
他のエフェクター分子としては、タンパク質、ペプチド及び酵素が挙げられる。目的の酵素には、タンパク質分解酵素、加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。目的のタンパク質、ポリペプチド及びペプチドとしては、限定されないが、免疫グロブリン、毒素、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素又はジフテリア毒素、タンパク質、例えば、インスリン、腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子又は組織プラスミノーゲン活性化因子、血栓剤又は抗血管新生剤、例えば、アンギオスタチン又はエンドスタチン、又は生物学的応答調節剤、例えば、リンホカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、神経成長因子(NGF)あるいは他の成長因子及び免疫グロブリンが挙げられる。
他のエフェクター分子は、例えば診断に有用な検出可能な物質を含み得る。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、(陽電子放出断層撮影に使用するための)陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンが含まれる。診断薬として使用するために抗体にコンジュゲートさせることができる金属イオンについては、一般に米国特許第4,741,900号を参照されたい。適切な酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、適切な補欠分子族としては、ストレプトアビジン、アビジン及びビオチンが挙げられ、適切な蛍光材料としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル及びフィコエリトリン;適切な発光材料としては、ルミノールが挙げられ、適切な生物発光材料としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが挙げられ、適切な放射性核種としては、125I、131I、111In及び99Tcが挙げられる。
別の例では、エフェクター分子は、インビボでの抗体の半減期を増加させ、及び/又は抗体の免疫原性を低下させ、及び/又は免疫系に対する上皮バリアを横切る抗体の送達を増強し得る。このタイプの適切なエフェクター分子の例としては、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、又は国際公開第2005/117984号に記載されているもの等のアルブミン結合化合物が挙げられる。
エフェクター分子がポリマーである場合、それは一般に、合成又は天然に存在するポリマー、例えば任意に置換された直鎖若しくは分岐鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレン若しくはポリオキシアルキレンポリマー又は分岐若しくは非分岐多糖、例えばホモ又はヘテロ多糖であり得る。
上記の合成ポリマー上に存在し得る特定の任意選択の置換基としては、1つ又は複数のヒドロキシ、メチル又はメトキシ基が挙げられる。
合成ポリマーの具体例としては、置換されていてもよい直鎖又は分枝鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)又はその誘導体、特に置換されていてもよいポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体が挙げられる。
具体的な天然に存在するポリマーとしては、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はそれらの誘導体が挙げられる。
一実施形態では、ポリマーは、アルブミン又はそのフラグメント、例えばヒト血清アルブミン又はそのフラグメントである。
ポリマーのサイズは、所望に応じて変えることができるが、一般に、500Da~50000Da、例えば5000~40000Da、例えば20000~40000Daの平均分子量範囲である。ポリマーサイズは、特に、生成物の意図される用途、例えば腫瘍等の特定の組織に局在する能力又は循環半減期を延長する能力に基づいて選択され得る(総説については、Chapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews,54,531-545を参照されたい)。したがって、例えば、生成物が循環を離れ、例えば腫瘍の治療に使用するために組織に浸透することを意図している場合、例えば約5000Daの分子量を有する低分子量ポリマーを使用することが有利であり得る。生成物が循環中に留まる用途では、例えば20000Da~40000Daの範囲の分子量を有する高分子量ポリマーを使用することが有利であり得る。
適切なポリマーとしては、ポリアルキレンポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)又は特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体、特に約15000Da~約40000Daの範囲の分子量を有するものが挙げられる。
一例において、本発明による抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に結合している。特定の一実施形態では、本発明による抗原結合フラグメント及びPEG分子は、抗体フラグメント中に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシル又はカルボキシル基を介して結合され得る。そのようなアミノ酸は、抗体フラグメント中に天然に存在し得るか、又は組換えDNA法を使用してフラグメントに操作され得る(例えば、米国特許第5,219,996号;米国特許第5,667,425号;国際公開第98/25971号;国際公開第2008/038024号を参照されたい)。1つの例において、本発明の抗体分子は、改変されたFabフラグメントであり、ここで、改変は、エフェクター分子の付着を可能にするためのその重鎖のC末端への1つ又は複数のアミノ酸の付加である。適切には、追加のアミノ酸は、エフェクター分子が結合し得る1つ又は複数のシステイン残基を含む修飾ヒンジ領域を形成する。複数の部位を使用して、2つ以上のPEG分子を結合することができる。
適切には、PEG分子は、抗体フラグメントに位置する少なくとも1つのシステイン残基のチオール基を介して共有結合している。修飾抗体フラグメントに結合した各ポリマー分子は、フラグメント中に位置するシステイン残基の硫黄原子に共有結合していてもよい。共有結合は、一般にジスルフィド結合、又は特に硫黄-炭素結合である。チオール基が結合点として使用される場合、適切に活性化されたエフェクター分子、例えば、マレイミド及びシステイン誘導体等のチオール選択的誘導体を使用することができる。活性化ポリマーは、上記のポリマー修飾抗体フラグメントの調製における出発材料として使用され得る。活性化ポリマーは、α-ハロカルボン酸又はエステル、例えばヨードアセトアミド、イミド、例えばマレイミド、ビニルスルホン又はジスルフィド等のチオール反応性基を含む任意のポリマーであり得る。そのような出発材料は、商業的に得られてもよく(例えば、Nektar、以前はShearwater Polymers Inc.,Huntsville,AL,USAから)、又は従来の化学的手順を使用して商業的に入手可能な出発材料から調製されてもよい。特定のPEG分子には、20Kメトキシ-PEG-アミン(Nektar、以前はShearwater;Rapp Polymere;及びSunBioから得ることができる)及びM-PEG-SPA(Nektar、以前はShearwaterから得ることができる)が含まれる。
一実施形態では、抗体は、例えば欧州特許第0948544号又は欧州特許第1090037号[“Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications”,1992,J.Milton Harris(ed),Plenum Press,New York,“Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications”,1997,J.Milton Harris and S.Zalipsky(eds),American Chemical Society,Washington DC and “Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”,1998,M.Aslam and A.Dent,Grove Publishers,New York;Chapman,A.2002,Advanced Drug Delivery Reviews 2002,54:531-545も参照されたい]に開示されている方法に従って、PEG化されている、すなわちPEG(ポリ(エチレングリコール))がそれに共有結合している修飾Fabフラグメント、Fab’フラグメント又はdiFabである。一例では、PEGはヒンジ領域内のシステインに結合している。一例では、PEG修飾Fabフラグメントは、修飾ヒンジ領域内の単一のチオール基に共有結合したマレイミド基を有する。リジン残基は、マレイミド基に共有結合していてもよく、リジン残基上の各アミン基に、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーが結合していてもよい。したがって、Fabフラグメントに結合したPEGの総分子量は、約40,000Daであり得る。
一実施形態では、抗体は、その重鎖のC末端に、エフェクター分子が結合している少なくとも1つのシステイン残基を含む修飾ヒンジ領域を有する修飾Fab’フラグメントである。適切には、エフェクター分子はPEGであり、(国際公開第98/25971号及び国際公開第2004072116号又は国際公開第2007/003898号に記載されている方法を使用して結合される。エフェクター分子は、国際特許出願国際公開第2005/003169号、国際公開第2005/003170号及び国際公開第2005/003171号に記載されている方法を使用して抗体フラグメントに結合させることができる。
一実施形態では、抗体はエフェクター分子に結合していない。
ポリヌクレオチド及びベクター
本発明はまた、本発明による抗体又はその一部をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明による単離されたポリヌクレオチドは、例えば化学処理によって生成された合成DNA、cDNA、ゲノムDNA又はそれらの任意の組合せを含み得る。
好適な配列の例を本明細書中に提供する。したがって、一実施形態では、本発明は、配列番号23、25、27、29、31、33、73、75、77、79、81及び83に示される配列を含む、抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
一実施形態では、本発明は、それぞれ配列番号29、31、33に示される配列を含む本発明の抗体Fabフラグメント又はIgG1若しくはIgG4P抗体の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
配列番号79、81、83にそれぞれ示される配列を含む本発明の抗体Fabフラグメント又はIgG1若しくはIgG4抗体の軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドも提供される。
別の実施形態において、本発明は、本発明のFab抗体の重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供し、重鎖をコードするポリヌクレオチドは、配列番号29又は79に示される配列を含み、軽鎖をコードするポリヌクレオチドは配列番号27又は77に示される配列を含む。
本発明はまた、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヌクレオチドを含むクローニング又は発現ベクターを提供する。一例において、本発明によるクローニング又は発現ベクターは、配列番号23、25、27、29、31、33、73、75、77、79、81及び83から選択される配列を含む1つ又は複数の単離されたポリヌクレオチドを含む。
分子生物学の標準的な技術を使用して、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNA配列を調製することができる。所望のDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成技術を使用して完全に又は部分的に合成され得る。部位特異的突然変異誘発及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が必要に応じて使用され得る。
ベクターを構築することができる一般的な方法、トランスフェクション方法及び培養方法は、当業者に周知である。この点に関しては、“Current Protocols in Molecular Biology”,1999,F.M.Ausubel(ed),Wiley Interscience,New York and the Maniatis Manual produced by Cold Spring Harbor Publishingを参照されたい。
抗体及びその抗原結合フラグメントを産生するための宿主細胞
本発明による1つ又は複数の単離されたポリヌクレオチド配列、又は本発明の抗体をコードする1つ又は複数の単離されたポリヌクレオチド配列を含む1つ又は複数のクローニングベクター又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。任意の適切な宿主細胞/ベクター系を、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド配列の発現のために使用することができる。細菌、例えば大腸菌(E.coli)、及び他の微生物系を使用してもよく、又は真核生物、例えば哺乳動物、宿主細胞発現系を使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞には、CHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
更なる実施形態では、そのような核酸(複数可)又はベクター(複数可)を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態では、宿主細胞は、(1)抗IL22抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗IL22抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗IL22抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗IL22抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらによって形質転換されている)。一実施形態において、宿主細胞は真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、宿主細胞は原核細胞、例えば大腸菌(E.coli)細胞である。一実施形態では、抗IL22抗体を作製する方法が提供され、上記の抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養すること、及び場合により抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することを含む方法が提供される。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合、細菌において産生され得る。細菌における抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号及び同第5,840,523号を参照されたい。(大腸菌(E.coli)における抗体フラグメントの発現を記載している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現後、抗体は、可溶性画分で細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製され得る。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母等の真核微生物は、グリコシル化経路が部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす「ヒト化」真菌及び酵母株を含む、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
本発明での使用に適した種類のチャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)には、DHFR選択可能マーカーと共に使用され得るCHO-DG44細胞及びCHO-DXB11細胞等のdhfr-CHO細胞を含むCHO及びCHO-K1細胞、又はグルタミンシンセターゼ選択可能マーカーと共に使用され得るCHOK1-SV細胞が含まれ得る。抗体の発現に使用される他の細胞型としては、リンパ球系細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞及びSP2細胞、COS細胞が挙げられる。宿主細胞は、本発明による単離されたポリヌクレオチド配列又は発現ベクターで安定に形質転換又はトランスフェクトされ得る。
抗体の製造プロセス
本発明はまた、本発明による抗体を産生するのに適した条件下で本発明による宿主細胞を培養すること、及び抗体を単離することを含む、本発明による抗体の産生方法を提供する。
抗体は、重鎖又は軽鎖ポリペプチドのみを含み得、その場合、宿主細胞をトランスフェクトするために重鎖又は軽鎖ポリペプチドコード配列のみを使用する必要がある。重鎖及び軽鎖の両方を含む抗体又はその抗原結合フラグメントの産生のために、細胞株を、軽鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター及び重鎖ポリペプチドをコードする第2のベクターの2つのベクターでトランスフェクトすることができる。あるいは、軽鎖及び重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む単一のベクターを使用してもよい。
したがって、宿主細胞を培養し、抗体を発現させ、抗体を単離し、場合により抗体を精製して単離された抗体を提供するためのプロセスが提供される。一実施形態では、プロセスは、単離された抗体にエフェクター分子をコンジュゲートさせる工程を更に含む。
本発明はまた、本発明のベクターを含む宿主細胞を、本発明の抗体分子をコードするDNAからタンパク質の発現をもたらすのに適した条件下で培養すること、及び抗体分子を単離することを含む、本発明による抗体の製造方法を提供する。
抗体分子は、重鎖又は軽鎖ポリペプチドのみを含み得、その場合、宿主細胞をトランスフェクトするために重鎖又は軽鎖ポリペプチドコード配列のみを使用する必要がある。重鎖及び軽鎖の両方を含む生成物の製造のために、細胞株を、軽鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター及び重鎖ポリペプチドをコードする第2のベクターの2つのベクターでトランスフェクトすることができる。あるいは、軽鎖及び重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む単一のベクターを使用してもよい。
本発明による抗体は、宿主細胞から良好なレベルで発現される。したがって、抗体の特性は、商業的処理のために最適化されていると思われる。
精製抗体
一実施形態では、精製抗体、例えばヒト化抗体、特に本発明による抗体が、エンドトキシン及び/又は宿主細胞タンパク質若しくはDNAから実質的に精製されている、特にエンドトキシン及び/又は宿主細胞タンパク質若しくはDNAを含まない、又は実質的に含まないもので提供される。
エンドトキシンを実質的に含まないとは、一般に、抗体産物1mg当たり1EU又はそれ未満、例えば産物1mg当たり0.5又は0.1EUのエンドトキシン含有量を指すことを意図する。
宿主細胞タンパク質又はDNAを実質的に含まないとは、一般に、必要に応じて、宿主細胞タンパク質及び/又はDNA含有量が抗体産物1mg当たり400μg以下、例えば100μg/mg以下、特に20μg/mgを指すことを意図する。
抗体のインビトロ及びエクスビボ使用
本発明はまた、IL-22誘導性STAT3リン酸化を阻害するインビトロ又はエクスビボ方法を提供し、ケラチノサイト細胞を本発明の抗体と接触させ、インキュベートすることを含む方法を提供する。例えばHaCaT細胞を含む、任意のケラチノサイト細胞及びそれらの誘導体を使用することができる。
本発明は更に、IL-22誘導性IL-10放出を阻害するインビトロ又はエクスビボ方法を提供し、方法は、上皮細胞を本発明による抗体と接触させ、インキュベートすることを含む。より具体的には、COLO205細胞を使用することができる。
IL22誘導のs100A7放出を阻害するインビトロ又はエクスビボ方法が提供され、方法は、ケラチノサイトを本発明による抗体と接触させ、インキュベートすることを含む。
異常なケラチノサイト分化及び錯角化症に関連するIL22誘導性の表皮又は角膜の肥厚を阻害するインビトロ又はエクスビボ方法も提供され、方法は、ケラチノサイト及び真皮線維芽細胞からなる再構成上皮を本発明による抗体と接触させ、インキュベートすることを含む方法。特に、IL22によって誘導される表皮/角膜の肥厚及び錯角化症によって実証される異常なケラチノサイトの増殖及び分化が阻害される。
細胞は一般に、抗体がIL22に結合し、生物学的効果を引き起こすのに十分な時間インキュベートされる。
例は、特定の生物学的効果を達成するために使用することができる抗IL22抗体を含む方法の説明を提供する。
抗体の治療的使用
本発明の抗体、その製剤又は医薬組成物は、予防的処置及び/又は治療的処置のために投与され得る。
本発明は、医薬品として使用するための本発明の抗IL22抗体又はその医薬組成物を提供する。
予防的適用において、抗体、製剤又は組成物は、本明細書中に記載されるような障害又は状態のリスクがある対象に、その状態又はその症状の1つ若しくは複数のその後の影響を防止するか又は低下させるのに十分な量で投与される。
治療用途では、抗体は、本明細書に記載の障害又は状態に既に罹患している対象に、その状態又はその症状の1つ又は複数を治癒、緩和又は部分的に停止させるのに十分な量で投与される。そのような治療的処置は、疾患症状の重症度の低下、又は無症状期間の頻度若しくは持続期間の増加をもたらし得る。
処置される対象は動物であり得る。好ましくは、本発明による医薬組成物は、ヒト対象への投与に適合されている。
本発明は、本明細書に記載の障害又は状態を治療することを必要とする対象において本明細書に記載の障害又は状態を治療する方法を提供し、方法は、本発明による抗体を対象に投与することを含む。そのような抗体は、治療有効量で投与される。
本発明はまた、本明細書中に記載されるような障害又は状態の治療において使用するための本発明の抗体を提供する。
治療適応症
本発明の抗体は、IL22又はIL22R1活性に関連する任意の状態、例えば、IL22R1受容体を介したシグナル伝達から全体的又は部分的に生じる任意の状態の治療、予防又は改善において使用され得る。
高レベルのIL22がヒト乾癬斑において見出されており(Boniface et al.,Clin Exp Immunol.150:407-415(2007))、乾癬の病因におけるこのサイトカインの関与が皮膚炎症のマウスモデルにおいて実証されている(Van Belle et al.J Immunol.January 1;188(1):462-9(2012))。IL22R1を介してシグナルを伝達するIL22等のリガンドは、多くの疾患に関与しており、IL22R1は上皮細胞及び間質細胞で主に発現されるため、重要な疾患は、例えば皮膚の間質及び上皮に影響を及ぼす疾患である。
本発明の抗体及び組成物は、炎症性皮膚状態を治療するために使用することができる。特定の実施形態では、炎症性皮膚状態は、乾癬、乾癬性関節炎、接触性皮膚炎、慢性手湿疹又はアトピー性皮膚炎から選択される。具体的には、炎症性皮膚状態は、アトピー性皮膚炎である。
特に、本発明の抗体及び組成物は、異常なIL22媒介性ケラチノサイト増殖及び分化を減少させることによって、炎症性皮膚状態と診断された対象における異常なケラチノサイト分化及び錯角化症に関連するIL22媒介性表皮肥厚を阻害するために使用され得る。
その結果、本発明は、炎症性皮膚状態と診断された対象における皮膚のバリア機能障害、及び/又は錯角化症、並びに/あるいはサイトカイン及び/又は抗菌ペプチドの放出、例えばS100A7を減弱する方法を提供し、方法は、本発明で提供される抗体を当該対象に投与することを含む。
更に別の実施形態では、本発明は、炎症性皮膚状態と診断された対象において、皮膚のバリア機能障害、及び/又は錯角化症、並びに/あるいはサイトカイン及び/又は抗菌ペプチド、例えばS100A7の放出を減衰させるのに使用するための本発明の抗体を提供する。
更に別の実施形態では、本発明は、皮膚炎症性疾患と診断された対象における、皮膚のバリア機能障害、及び/又は錯角化症、並びに/あるいはサイトカイン及び/又は抗菌ペプチド、例えばS100A7の放出を減衰させるための医薬品を製造するための本発明の抗体の使用を提供する。
特に、皮膚の障害されたバリア機能のそのような減衰は、異常なIL-22媒介ケラチノサイト増殖及び分化を減少させることによって達成される。
本発明の抗体及び組成物は、免疫細胞又は造血細胞(例えば、骨髄系細胞、リンパ系細胞若しくは赤血球系細胞、又はそれらの前駆細胞等)の増殖、分化及び/又は生存を直接的又は間接的に阻害するために使用され得る。
本発明の抗体及び組成物は、様々な免疫障害及び過剰増殖性障害を治療するために使用することができる。
治療することができる免疫障害の例には、自己免疫障害、例えば、関節炎(関節リウマチ(RA)、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、狼瘡関連関節炎又は強直性脊椎炎を含む)、強皮症、全身性エリテマトーデス、HIV、シェーグレン症候群、血管炎、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、大腸炎、真性糖尿病(I型);例えば、皮膚(例えば、乾癬)、心血管系(例えば、アテローム性動脈硬化症)、神経系(例えば、アルツハイマー病)、肝臓(例えば、肝炎)、腎臓(例えば、腎炎)及び膵臓(例えば、膵炎)の炎症状態;心血管障害、例えば、コレステロール代謝障害、酸素フリーラジカル損傷、虚血;創傷治癒に関連する障害;呼吸器障害、例えば、喘息及びCOPD(例えば、嚢胞性線維症);急性炎症状態(例えば、エンドトキシン血症、敗血症(sepsis及びsepticaemia)、毒素性ショック症候群及び感染性疾患);移植拒絶反応及びアレルギーが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の抗体及び組成物は、IL-22関連障害、例えば、関節炎障害、例えば、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎又は強直性脊椎炎;呼吸器疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD));心血管系(例えば、アテローム性動脈硬化症)、神経系(例えば、アルツハイマー病)、肝臓(例えば、肝炎)、腎臓(例えば、腎炎)、膵臓(例えば、膵炎)及び胃腸器官、例えば大腸炎、クローン病及びIBD;急性炎症状態、例えば、内毒素血症、敗血症(sepsis及びsepticaemia)、中毒性ショック症候群及び感染症;多臓器不全;呼吸器疾患(ARD);アミロイド症;腎症、例えば、糸球体硬化症、膜性ニューロパシー、腎動脈硬化症、糸球体腎炎、腎臓の線維増殖性疾患、並びに他の腎臓機能不全及び腎腫瘍を治療するために使用することができる。
本発明の抗IL-22抗体及び組成物は、上皮癌、例えば癌腫、メラノーマ等を治療するために使用することができる。これらの疾患状態及び他の疾患状態におけるIL-22阻害は、国際公開第03/083062号に開示されている。
本発明の抗体及び組成物は、ヒトの多発性硬化症を治療するために同様に使用され得る。多発性硬化症のマウスモデル(Tuohy et al.(J.Immunol.(1988)141:1126-1130)、Sobel et al.(J.Immunol.(1984)132:2393-2401)、及びTraugott(Cell Immunol.(1989)119:114-129)では、抗IL22抗体によるマウスの処置は、疾患の発症を大いに遅延させ得る。
本発明の抗体及び組成物は、関節リウマチ(RA)又は他の関節炎疾患を治療するために使用され得る。RA滑膜生検では、IL22タンパク質はビメンチン+滑膜線維芽細胞及びいくつかのCD68+マクロファージで検出され、IL22R1が滑膜線維芽細胞で検出される。IL22の阻害剤は、関節リウマチ(国際公開第2005/000897号;米国特許第6,939,545号)の症状を改善する。
本発明の抗体及び組成物は、混合リンパ球反応(MLR)を低下させ、IL22に依存する移植拒絶及び関連疾患(例えば、移植片対宿主病)を治療するために使用され得る。MLR及び移植モデルは、Current Protocols in Immunology,Second Edition,Coligan et al.eds.,John Wiley&Sons,1994;Kasaian et al.(Immunity(2002)16:559-569))によって記載されている。
本発明の抗体及び組成物はまた、IL22応答性細胞及びIL22R1/IL10R2応答性細胞の異常な活性に関連する過剰増殖性障害を、対象におけるIL22及び/又はIL22R1及び/又はIL10R2応答性細胞の過剰増殖を阻害又は低減するのに十分な量で抗体を投与することによって治療するために使用され得る。
したがって、本発明の抗体は、新生物、例えば、扁平上皮癌、基底細胞癌、移行細胞乳頭腫及び癌腫、腺腫、腺癌、形質膜炎、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、VIP産生腫瘍、胆管癌、肝細胞癌、腺様嚢胞癌、虫垂のカルチノイド腫瘍、プロラクチノーマ、膨大細胞腫、ハースル細胞腺腫、腎細胞癌腫、グラウィッツ腫瘍、多発性内分泌腺腫、類内膜腺腫、付属器官及び皮膚付属器官新生物、粘膜類表皮新生物、嚢胞性、粘液性及び漿液性新生物、嚢胞腺腫、偽粘液腫、腹膜、管、小葉及び髄様新生物、腺細胞新生物、複合上皮新生物、ワールチン腫瘍、胸腺腫、特殊性間質新生物、性腺索腫瘍、髄膜腫、顆粒膜細胞腫瘍、男化腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、傍神経節腫、褐色細胞腫、グロムス腫瘍、色素性母斑、悪性黒色腫、黒色腫、結節性黒色腫、異形成性母斑、悪性黒子、表在拡大型黒色腫、又は末端黒子型黒色腫の進行を阻害するために使用され得る。
本発明の抗体及び組成物はまた、対象における急性期応答を低下させるために使用され得る。
本発明の抗体及び組成物はまた、シェーグレン症候群、又は肝癌、脂肪肉腫、口腔扁平上皮癌、結腸及び結腸直腸癌、膵臓癌、小細胞及び大細胞肺癌、乳癌、神経膠芽腫、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫から選択される癌を治療するために使用され得る。
抗体及びその抗原結合フラグメントの診断的使用
本発明はまた、例えば、皮膚炎症性疾患又はその重症度を診断するための診断活性薬剤としての、又は診断アッセイにおける本発明の抗体の使用を提供する。
診断は、好ましくは、生物学的試料に対して行われ得る。「生物学的試料」は、個体から得られた様々な試料タイプを包含し、診断アッセイ又はモニタリングアッセイに使用することができる。定義は、脳脊髄液、血漿及び血清等の血液、並びに尿及び唾液等の生物学的起源の他の液体試料、生検標本又は組織培養物等の固体組織試料、又はそれらに由来する細胞及びそれらの子孫を包含する。この定義はまた、例えば、試薬による処置、可溶化、又はポリヌクレオチド等の特定の成分の濃縮等によって、それらの調達後に何らかの方法で操作された試料を含む。
診断試験は、好ましくは、ヒト又は動物の身体と接触していない生物学的試料に対して行われ得る。このような診断試験は、インビトロ試験とも呼ばれる。インビトロ診断試験は、対象から得られた生物学的試料中の遊離IL22(例えば、IL22BPに結合していない)を検出するインビトロ方法に依存し得る。
医薬組成物及び診断組成物
本発明の抗体は、医薬組成物中に提供され得る。医薬組成物は通常無菌であり、薬学的に許容され得るアジュバント及び/又は担体を更に含み得る。
本発明の抗体は、本明細書中に記載されるような障害又は状態の治療、診断及び/又は予防において有用であるので、本発明はまた、本発明による抗体又はその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体、賦形剤又は希釈剤の1つ又は複数と組み合わせて含む医薬組成物又は診断組成物を提供する。
特に、抗体又はその抗原結合フラグメントは、1つ又は複数の薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物として提供される。
これらの組成物は、治療有効成分(複数可)に加えて、薬学的に許容され得る賦形剤、担体、希釈剤、緩衝剤、安定剤又は当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は非毒性であるべきであり、有効成分の有効性を妨害してはならない。
本発明の抗IL22抗体、又は本発明の抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む組成物(医薬製剤を含む)も提供される。特定の実施形態では、組成物は、本発明の1つ若しくは複数の抗体、又は本発明の1つ若しくは複数の抗体をコードする配列を含む1つ若しくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知の適切な担体、例えば薬学的に許容され得る賦形剤及び/又は緩衝剤を含むアジュバントを更に含み得る。
本発明の抗体の医薬組成物は、所望の純度を有するそのような抗体を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態の1つ又は複数の任意の薬学的に許容され得る担体と混合することによって調製される。
上記の技術及びプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition,2000,pub.Lippincott,Williams&Wilkinsに見ることができる。
薬学的に許容され得る担体は、一般に、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、限定されないが、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝液:アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体としては、間質性薬物分散剤、例えば、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)が更に挙げられる。rHuPH20を含む特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ又は複数の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
有効成分は、例えばコアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース、又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)に、又はマクロエマルジョンに封入され得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16thedition,Osol,A.Ed.(1980)に記載されている。
徐放性製剤も調製され得る。徐放性調製物の適切な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは成形物品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
in vivo投与に使用される製剤は、一般に無菌である。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
本発明の医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される塩を含み得る。
薬学的に許容され得る担体は、水性担体又は希釈剤を含む。本発明の医薬組成物に用いられ得る適切な水性担体の例としては、水、緩衝水及び生理食塩水が挙げられる。他の担体の例としては、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油等の植物油、並びにオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが望ましい。
医薬組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造物として製剤化することができる。
一実施形態では、本発明の抗体は唯一の有効成分である。別の実施形態では、本発明の抗体は、1つ又は複数の追加の活性成分と組み合わせられる。あるいは、医薬組成物は、唯一の有効成分である本発明の抗体を含み、他の薬剤、薬物又はホルモンと組み合わせて(例えば、同時に、連続的に、又は別々に)患者に個別に投与され得る。
担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば経口、静脈内、皮膚又は皮下、経鼻、筋肉内及び腹腔内の経路に依存し得る。例えば、固体経口形態は、活性物質と共に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ又はジャガイモデンプン;潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;離解剤(disaggregatingagent)、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩、並びに一般に、医薬製剤に使用される非毒性及び薬理学的に不活性な物質を含有し得る。そのような医薬製剤は、例えば、混合、造粒、打錠、糖衣又はフィルムコーティングプロセスによって公知の方法で製造することができる。
経口製剤には、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等のような通常用いられる賦形剤が含まれる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤又は粉末の形態をとり、10%~95%、好ましくは25%~70%の有効成分を含有する。医薬組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥材料は、投与前に再構成され得る(例えば、懸濁液)。再構成は、好ましくは緩衝液中で行われる。
静脈内投与又は注入のための溶液は、担体として、例えば滅菌水を含有してもよく、又は好ましくは滅菌水性等張食塩水の形態であってもよい。
好ましくは、医薬組成物又は診断組成物は、本発明によるヒト化抗体を含む。
治療有効量及び投与量の決定
本発明による抗体及び医薬組成物は、必要とされる治療有効量を特定するために患者に適切に投与され得る。任意の抗体について、治療有効量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はげっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ又は霊長類のいずれかで最初に推定することができる。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次いで、そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な投与量及び投与経路を決定することができる。
ヒト対象に対する正確な治療有効量は、疾患状態の重症度、対象の一般的な健康状態、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与の時間及び頻度、薬物の組合せ(複数可)、反応感受性及び治療に対する耐性/応答に依存するであろう。組成物は、用量当たり所定量の本開示の活性剤を含有する単位用量形態で好都合に提供され得る。本明細書中に記載される実施形態のいずれかのための用量範囲及びレジメンは、1mg~1000mg単位用量の範囲の用量が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の抗体又は医薬組成物の適切な投与量は、当業者によって決定され得る。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者にとって毒性でなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように変化し得る。選択される投与量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排泄速度、治療の期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の因子を含む様々な薬物動態学的因子に依存する。
適切な用量は、例えば、治療される患者の約0.01μg/kg~約1000mg/kg体重、典型的には約0.1μg/kg~約100mg/kg体重の範囲であり得る。
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整され得る。例えば、単回用量を投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少又は増加させてもよい。本明細書で使用される場合、投与単位形態は、治療される対象に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。
医薬組成物又は製剤の投与
本明細書中に記載される抗体又はその製剤若しくは組成物は、予防的処置及び/又は治療的処置のために投与され得る。
本発明の抗体又は医薬組成物は、当技術分野で公知の様々な方法のうち1つ又は複数を使用して、1つ又は複数の投与経路を介して投与され得る。当業者には理解されるように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化する。本発明の抗体又は医薬組成物の投与経路の例としては、例えば注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮内、眼内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。あるいは、本発明の抗体又は医薬組成物は、局所、表皮又は粘膜投与経路等の非経口経路を介して投与され得る。本発明の抗体又は医薬組成物は、経口投与用であり得る。
投与に適した形態としては、例えば注射又は注入による、例えばボーラス注射又は持続注入による、静脈内、吸入可能又は皮下形態での非経口投与に適した形態が挙げられる。製品が注射又は注入用である場合、それは油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンの形態をとることができ、懸濁剤、保存剤、安定剤及び/又は分散剤等の追加の薬剤を含有することができる。あるいは、本発明による抗体又はその抗原結合フラグメントは、使用前に適切な滅菌液で再構成するための乾燥形態であってもよい。注射前の液体ビヒクル中への溶解又は液体ビヒクル中への懸濁に適した固体形態も調製することができる。
製剤化されると、本発明の医薬組成物は対象に直接投与され得る。したがって、医薬品を製造するための本発明による抗体又はその抗原結合フラグメントの使用が本明細書で提供される。
製品及びキット
本開示はまた、本発明の抗IL22抗体と、使用説明書と、を含むキット提供する。キットは、1つ又は複数の追加の試薬、例えば上で検討される追加の治療薬又は予防薬を更に含み得る。
本発明は、医薬品を製造するための本発明による抗体又はその医薬組成物の使用を提供する。
本発明はまた、本明細書中に記載されるような障害又は状態を治療するための医薬品を製造するための本発明の抗体の使用を提供する。
特定の実施形態では、製造品又はキットは、本発明の1つ又は複数の抗体又は本明細書に記載される組成物を含有する容器を含む。特定の実施形態では、製造品又はキットは、本明細書に記載の1つ(又は複数)の抗体をコードする核酸(複数可)又は組成物を含有する容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の抗体を産生する細胞又は細胞株を含む。
特定の実施形態では、製品又はキットは、容器と、容器上の又は容器に関連するラベル又は添付文書とを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、又は治療、予防及び/又は診断に有効な別の組成物と組み合わせて組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してもよい。組成物中の少なくとも1つの薬剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が炎症性皮膚状態、より具体的にはアトピー性皮膚炎の治療に使用されることを示す。
上記の実施形態は本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計することができることに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧の間に置かれたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明に含まれる配列を表8~10に示す:










例1.治療用抗IL22抗体11041及び11070の作製及び選択
異なる種にわたる多数の動物(マウス、ラット及びウサギを含む)を、精製された自家製造ヒトIL22又は市販のヒトIL22(R&Dsystems)のいずれかで免疫した。3~5回の注射の後、動物を屠殺し、PBMC、脾臓、骨髄及びリンパ節を採取した。ELISAでヒト及びカニクイザルIL22への結合について血清を監視した。
11041の場合、メモリーB細胞培養物を準備し、TTP Labtech Mirrorballシステムでのビーズベースのアッセイにおいて、ヒト及びカニクイザルIL22に結合するそれらの能力について上清を最初にスクリーニングした。これは、Sol-Rストレプトアビジンビーズ(TTP Labtech)上にコーティングされたビオチン化ヒトIL22及びビオチン化カニクイザルIL22並びにリビール剤としてのヤギ抗ウサギFc-FITCコンジュゲートを使用した均一マルチプレックス検定であった。
合計12×(164-400)プレートB培養実験からの一次ミラーボールスクリーニングにおいて、約4500個のIL22特異的陽性ヒットが同定された。次いで、このアッセイからの陽性上清を、以下による更なる特徴付けのために進行させた:
・ELISA、ヒト及びカニクイザルIL-22への結合を確認するため、
・中和剤を同定するためのIL22依存性HACATホスホSTAT3 HTRF細胞アッセイ(CisBio)への進行、及び
・オフレートを推定し、中和の作用様式を特徴付けるためのBIAcoreにおけるプロファイリング。
中和をビン1又はビン2のいずれかに分類した。ビン1は、ヒトIL22に結合し、IL22R1の結合を妨げる抗体を表す。ビン2は、ヒトIL22に結合するがIL22R1の結合を可能にする抗体を表す。本発明者らは、ビン1を介して作用する抗体を選択していた。ホスホSTAT3 HTRFアッセイにおける中和を実証するウェル及び/又は望ましいBIAcoreプロファイルを有するウェルを、蛍光フォーカス法を使用してV領域回収のために進めた。
骨髄由来の形質細胞もまた、蛍光フォーカス法(11070に関連する)を使用してヒトIL22に結合するそれらの能力について直接スクリーニングした。ここで、IL22特異的抗体を分泌するB細胞を、ヤギ抗ラットFc-FITCコンジュゲート明らかにする試薬を使用してストレプトアビジンビーズ上に固定化されたビオチン化ヒトIL22上に集めた。約300個の直接焦点を選んだ。
選別された細胞の逆転写(RT)及びPCRに続いて、抗体のV領域をコードする「転写活性PCR」(TAP)産物を生成し、HEK-293細胞を一過性にトランスフェクトするために使用した。得られた組換え抗体を含有するTAP上清を、ヒトIL22及びカニクイザルIL22に結合し、BIAcoreにおけるIL22R1結合を遮断し、HACATホスホSTAT3 HTRF細胞アッセイにおいてIL22を中和する。
次いで、興味深いTAP産物からの重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子対をウサギ又はマウスFab抗体としてクローニングし、HEK-293一過性発現系において再発現させた。合計で131個のV領域をクローニングし、配列決定した。次いで、組換えクローン化抗体を、ヒト及びカニクイザルIL22に結合し、BIAcoreにおいてIL22R1結合を遮断し、COLO205 IL-10HTRF細胞ベースのアッセイ(CisBio)においてIL22依存性IL-10放出を中和するそれらの能力について再試験した。この特徴付けの後、2つの抗体が基準、すなわちウサギ由来11041及びラット由来11070を満たした。
中和効力、ヒトIL22及びカニクイザルIL22の両方に対する親和性、ヒト化移植片におけるドナー含量(下記参照)及び発現データに基づいて、ウサギ由来11041を更なる進行のために選択した。
例2.ヒト、カニクイザル及びマウスIL22に対するウサギ11041の結合
ヒト、カニクイザル及びマウスIL22に対する精製11041ウサギFabの親和性を、Biacore T200装置(GE Healthcare)を使用して、ウサギ11041 Fabを固定化抗ウサギIgGF(ab’)2に捕捉し、続いて各種由来のIL22の滴定を行うことによって評価した。アミンカップリング化学を介してCM5センサチップ上に約5000応答単位(RU)の捕捉レベルまでAffinipureヤギ抗ウサギIgG-F(ab’)2フラグメント特異的(Jackson ImmunoResearch)を固定化した。流速10μL/分のランニング緩衝液としてHBS-EP+緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.05%界面活性剤P20、GE Healthcare)を使用した。固定化ヤギ抗ウサギFabによる捕捉のために、0.5μg/mLの11041Fabの10μL注射を使用した。ヒトIL22、CynoIL22及びマウスIL22を、捕捉した11041Fab(0nM、0.6nM、1.8nM、5.5nM、16.6nM及び50nMで)に対して30μL/分の流速で滴定して親和性を評価した。ヒトIL22R1の遮断を、100nM IL-22を注射し(30μL/分で180秒間)、続いてヒトIL22R1を注射する(50nMで180秒間)ことによって評価した。
50mM HClの2×10μL注入によって表面を生成し、10μL/分の流量で5mMのNaOHの10μL注入によって散在させた。バックグラウンド減算結合曲線は、標準的な手順に従ってBiacore T200評価ソフトウェアを使用して分析した。速度論的パラメータをフィッティングアルゴリズムから決定した。ヒト、カニクイザル及びマウスIL22への精製11041の結合の動態パラメータを表11に示す。
表11 ヒト、カニクイザル及びマウスIL22へのウサギ11041の結合の速度論的パラメータ
例3.11041のヒト化
抗体11041を、ウサギV領域からのCDRをヒト生殖系列抗体V領域フレームワークに移植することによってヒト化した。抗体の活性を回復するために、ウサギV領域からの多数のフレームワーク残基もヒト化配列に保持した。これらの残基は、Adair et al.(1991)(国際公開第91/09967号)によって概説されたプロトコルを用いて選択した。ウサギ抗体(ドナー)V領域配列とヒト生殖系列(受容体)V領域配列とのアラインメントを、設計されたヒト化配列と共に図1及び図2に示す。ドナーから受容体配列に移植されたCDRは、Chothia/Kabatの組合せ定義が使用されるCDR-H1(Adair et al.、国際公開第91/09967号を参照されたい)を除いて、Kabat(Kabat et al.,1987)によって定義される通りである。
ヒトV領域IGKV1D-13+IGKJ4J領域(IMGT、www.imgt.org/)を、抗体11041軽鎖CDRの受容体として選択した。ヒト化グラフト変異体中の軽鎖フレームワーク残基は、いずれもヒト生殖系列遺伝子由来であるが、ドナー残基バリン(V2)及びバリン(V3)がそれぞれ保持されている残基2及び3(配列番号38 gL1を参照して)を含む群からの残基は、存在しないか、1つ又は2つである。いくつかのヒト化グラフト変異体では、CDRL3の91位の不対/遊離システイン残基をバリン(C91V)又はセリン(C91S)のいずれかへの変異によって除去した:遊離システイン残基は、システイニル化等の翻訳後修飾を受け得、共有結合性凝集及び安定性の低下に寄与し得る。この残基の突然変異は、表面プラズモン共鳴(表12、gL1(C91V)gH1(41.9pM)又はgL1(C91S)gH1(12.4pM)と比較したgL1gH1(642pM))によって測定した場合、それぞれ、結合親和性の予想外の15~50倍の増加をもたらした。いくつかのヒト化グラフト変異体では、CDRL3中の潜在的なアスパラギン脱アミド部位を、位置95のアスパラギン残基をアスパラギン酸(N95D)で置換することによって、又は位置96のセリン残基をアラニン(S96A)で置換することによって改変した。S96A変異による脱アミド部位の修飾は、脱アミドの基礎レベルを有意に低下させた。
ヒトV領域IGHV3-66+IGHJ4J領域(IMGT、www.imgt.org/)を、抗体11041の重鎖CDRの受容体として選択した。多くのウサギ抗体と同様に、抗体11041のVH遺伝子は、選択されたヒト受容体よりも短い。ヒト受容体配列と整列した場合、抗体11041のVH領域のフレームワーク1は、ヒト化抗体に保持されているN末端残基を欠く(図2)。11041ウサギVH領域のフレームワーク3はまた、ベータシート鎖DとEとの間のループに2つの残基(配列番号49 gH1を参照して、75及び76)を欠いている:ヒト化グラフト変異体では、ギャップは選択されたヒト受容体配列からの対応する残基(リジン75、K75;アスパラギン76、N76)で満たされている(図2)。ヒト化グラフト変異体中の重鎖フレームワーク残基は、それぞれドナー残基バリン(V24)、イソロイシン(I48)、グリシン(G49)、セリン(S73)及びバリン(V78)が保持されている残基24、48、49、73及び78(配列番号49 gH1を参照して)を除いて、全てヒト生殖系列遺伝子由来である。ドナー残基V24、I48、G49及びV78の保持は、表面プラズモン共鳴によって測定されるように、ヒトIL-22に対する最大親和性結合に必須であった。いくつかのヒト化グラフト変異体では、CDRH2中の潜在的なアスパラギン酸異性化部位を、位置54のアスパラギン酸残基をグルタミン酸(D54E)で置換することによって、又は位置55のグリシン残基をアラニン(G55A)で置換することによって改変した。いくつかのヒト化グラフト変異体では、CDRH3の潜在的加水分解部位を、位置107のアスパラギン酸残基をグルタミン酸(D107E)で置換することによって改変した。
例4.11070のヒト化
抗体11070を、ラットV領域からのCDRをヒト生殖系列抗体V領域フレームワークに移植することによってヒト化した。抗体の活性を回復するために、ラットV領域からの多数のフレームワーク残基もヒト化配列に保持した。これらの残基は、Adair et al.(1991)(国際公開第91/09967号)によって概説されたプロトコルを用いて選択した。ラット抗体(ドナー)V領域配列とヒト生殖系列(受容体)V領域配列とのアラインメントを、設計されたヒト化配列と共に図3A及び3Bに示す。ドナーから受容体配列に移植されたCDRは、Chothia/Kabatの組合せ定義が使用されるCDR-H1(Adair et al.、国際公開第91/09967号を参照されたい)を除いて、Kabat(Kabat et al.,1987)によって定義される通りである。
ヒトV領域IGKV1-12+IGKJ2 J領域(IMGT、www.imgt.org/)を、抗体11070軽鎖CDRの受容体として選択した。ヒト化グラフト変異体中の軽鎖フレームワーク残基は、それぞれドナー残基バリン(V3)、アスパラギン(N44)、スレオニン(T58)及びセリン(S68)が保持されている残基3、44、58及び68(配列番号88 gL1を参照して)を含む群の1つ又は複数の残基を除いて、全てヒト生殖系列遺伝子由来である。ドナー残基N44の保持は、表面プラズモン共鳴によって測定した場合、ヒトIL-22に対する最大親和性結合に必須であった(表13)。
ヒトV領域IGHV4-31+IGHJ6 J領域(IMGT、www.imgt.org/)を、抗体11070の重鎖CDRの受容体として選択した。ヒト化グラフト変異体中の重鎖フレームワーク残基は、それぞれドナー残基バリン(V37)、セリン(S41)、メチオニン(M48)、ロイシン(L67)、アルギニン(R71)、セリン(S76)及びバリン(V78)が保持されている残基37、41、48、67、71、76及び78(配列番号89 gH1を参照して)を含む群の1つ又は複数の残基を除いて、全てヒト生殖系列遺伝子由来である。ヒトフレームワークの1位のグルタミン残基をグルタミン酸(E1)で置換して、均一な生成物の発現及び精製を得た:抗体及び抗体フラグメントのN末端でのグルタミンからピログルタマートへの変換は広く報告されている。ドナー残基V37、L67、R71及びV78の保持は、表面プラズモン共鳴によって測定した場合、ヒトIL-22に対する最大親和性結合に必須であった(表13)。いくつかのヒト化グラフト変異体では、CDRH2中の潜在的なアスパラギン脱アミド部位を、位置61のセリン残基をトレオニンで置換することによって改変した(S61T)。
例5.変異体のクローニング及び作製
重鎖及び軽鎖V領域配列の異なる変異体をコードする遺伝子を設計し、ATUMによる自動合成アプローチによって構築した(Newark,CA)。重鎖V領域及び軽鎖V領域の更なる変異体は、場合によってはCDR内の突然変異を含むオリゴヌクレオチド指向突然変異誘発によってVH遺伝子及びVK遺伝子を改変することによって作製された。哺乳動物細胞における一過性発現のために、ヒト化軽鎖V領域遺伝子を、ヒトκ鎖定常領域(Km3アロタイプ)をコードするDNAを含むUCB軽鎖発現ベクターpMhCKにクローニングした。ヒト化重鎖V領域遺伝子を、ヒトγ-1CH1ヒンジドメインをコードするDNAを含むUCBヒトγ-1Fab重鎖発現ベクターpMhFabnhにクローニングした。得られた重鎖及び軽鎖ベクターをExpi293TM懸濁細胞に共トランスフェクションすると、ヒト化組換え抗体がヒトFabフォーマットで発現した。変異体ヒト化Fab抗体を、親抗体と比較したヒトIL-22に対するそれらの結合親和性、それらのインビトロアッセイにおける効力、それらの生物物理学的特性及び下流処理に対する適合性について評価した。
例6.ヒト化11041抗体の結合特性
固定化された抗ヒトIgG-F(ab’)上に試料を捕捉し、次いで捕捉された表面上のヒトIL22の滴定によって、11041個の抗体についてのヒト化試料を試験した。アッセイはBiacore8K機器(GE Healthcare)で行い、BIA(Biomolecular Interaction Analysis)はBiacore8000評価ソフトウェアを使用して行った。アミンカップリング化学を介してCM5センサチップ上に約5000応答単位(RU)の捕捉レベルまでAffinpureヤギ抗ヒトIgG-F(ab’)フラグメント特異的(Jackson ImmunoResearch)を固定化した。HBS-EP+緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.05%界面活性剤P20、GE Healthcare)を流速10μL/分のランニング緩衝液として使用した。固定化ヤギ抗ヒトFab IgGによる捕捉のために、0.5μg/mLの11041抗体のヒト化試料の10μL注入を使用した。ヒトIL22(50nM、16.7nM、5.6nM、1.9nM及び617pM)を、捕捉された11041個の抗体にわたって30μL/分の流速で滴定した。
表面は、50mM HClの2×10μL注入によって生成され、10μL/分の流量で5mM NaOHの5μL注入によって散在された。バックグラウンド減算結合曲線は、標準的な手順に従ってInsight評価ソフトウェアを使用して分析された。速度論的パラメータをフィッティングアルゴリズムから決定した。単一の実験から決定されたIL22親和性を表14に示し、100pM未満であることが示された。
例7.11041 FabによるIL22/IL22R1相互作用の遮断
交差ブロッキングアッセイをBiacore4000(GE Healthcare)で実施して、11041ウサギ抗体がIL22R1と同じ結合部位に結合するかどうかを決定した。
EDC/NHS(GE Healthcare)の混合物の7分間の注射(10μL分-1)で活性化し、続いて酢酸緩衝液pH5.0(GE Healthcare)中50μg/mlでウサギFab特異的ヤギFab’2(Jackson Immuno Research)の7分間の注射で活性化して、約5500RUの固定化レベルを達成することによって、CM5センサチップを調製した。最後に、1Mエタノールアミンヒドロクロリド-NaOH(pH8.5)の7分間の注射(10μL/分-1)を行い、表面を不活性化した。ウサギFc特異的捕捉抗体を省いて、参照表面を上記のように調製した。
交差競合は、HBS-EP+緩衝液(GE Healthcare)中25℃で行った。各分析サイクルは、ウサギFabとしてフォーマットされた可変領域の注射、続いて100nMでのヒトIL-22の注射、最後に50nMでのIL-22R1の注射を伴った。緩衝液ブランク及び捕捉対照試料なしを差し引いた後、結合応答を計算した。IL-22R1に対する陽性応答は、11041抗体がIL-22R1とは異なるエピトープに結合することを示すであろう。IL-22R1に対する応答の欠如は、IL-22上の11041抗体の結合部位がIL-22R1結合部位と重複することを示し得る。各サイクルの後、以下の注入によって表面を再生した:60秒間の50mM HCl、60秒間の5mM NaOH及び60秒間HCl、全て10μL/分-1。
表15に示すように、ヒトIL-22を11041に注射した場合、明確な結合応答が観察されたが、IL22R1注射については応答が見られなかった。これは、11041抗体及びIL-22R1が重複する結合部位を有することを実証する。
例8.IL22上のIL22BP結合部位の遮断の評価
表面プラズモン共鳴(Biacore T200)を使用して、11041gL13gH14Fab(二重特異性抗体の一部として)又はフェザキヌマブがIL22のIL22BP結合部位を遮断できるかどうかを評価した。
ヤギ抗ヒトIgG Fab特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を、アミンカップリング化学反応を介してCM5 Sensorchip上に約6000RUのレベルまで固定化した。
各分析サイクルは、11041gL13gH14Fab又はフェザキヌマブ分子を抗Fab表面に捕捉すること、20nMでのIL22の注射(自社で調製)、続いて100nMでのIL22BPの注射、それぞれ30μl/分で180秒間注射することからなっていた。各サイクルの終了時に、50mMのHClの60秒間の注射、続いて5mMのNaOHの30秒間の注射、及び50mMのHClの最終60秒間の注射を使用して、10μL/分の流量で表面を再生した。バックグラウンド結合及びドリフトを、緩衝液捕捉又は緩衝液分析物注入からなる対照サイクルを使用して差し引いた。
IL22が表面捕捉11041gL13gH14 Fabに結合した場合、IL22BPはIL22に結合することができなかった。IL22が表面捕捉フェザキヌマブに結合したとき、IL22BPは依然としてIL22に結合することができた。結論として、11041gL13gH14 Fab(二重特異性抗体の一部として)はIL22のIL22BP結合部位を遮断するが、フェザキヌマブは遮断しない。
例9.IL22の精製。
Nagem et al[Nagem et alStructure.2002 Aug;10(8):1051-62.]によって記載されているように、IL-22のHisタグ付きバージョンを大部分精製した。BL21(DE3)大腸菌(E.coli)株を、Hisタグ付きIL-22をコードする発現構築物による熱ショックによって形質転換した。
コードされるタンパク質配列は以下である。
MGSSHHHHHHSSGENLYFQGSQGGAAAPISSHCRLDKSNFQQPYITNRTFMLAKEASLADNNTDVRLIGEKLFHGVSMSERCYLMKQVLNFTLEEVLFPQSDRFQPYMQEVVPFLARLSNRLSTCHIEGDDLHIQRNVQKLKDTVKKLGESGEIKAIGELDLLFMSLRNACI(配列番号3)
TEV切断後のIL-22タンパク質配列(下記参照):
GSQGGAAAPISSHCRLDKSNFQQPYITNRTFMLAKEASLADNNTDVRLIGEKLFHGVSMSERCYLMKQVLNFTLEEVLFPQSDRFQPYMQEVVPFLARLSNRLSTCHIEGDDLHIQRNVQKLKDTVKKLGESGEIKAIGELDLLFMSLRNACI(配列番号4)
細胞を100μg/mlのアンピシリンの存在下で成長させ、細胞が1の光学密度(600nMで測定)に達したときに1mMの濃度までIPTGを添加することによってタンパク質発現を誘導した。4時間後、遠心分離により細胞を回収した。高圧細胞ホモジナイザーによる細胞溶解後、高速遠心分離によりIL-22を含む封入体を回収した。封入体を50mMのTris-HCl、100mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのDTT及び0.5%(w/v)DOC(pH8)で洗浄し、次いで、洗剤を含まない同じ緩衝液で再び洗浄した。洗浄した封入体を、50mMのMES、10mMのEDTA、1mMのDTT及び8Mの尿素を含有する緩衝液に4℃で一晩可溶化した。不溶性物質を遠心分離によって分離し、可溶性画分中のIL-22を希釈によって100mM Tris-HCl、2mM EDTA、0.5Mアルギニン、1mM還元型グルタチオン及び0.1mM酸化型グルタチオン中0.1mg/mlにリフォールディングし、最終pHは8.0であった。4℃で72時間インキュベートした後、タンパク質を濃縮し、25mMのMES pH5.4及び150mMのNaClで平衡化したHiLoad26/600 Superdex 75pgカラムでのサイズ排除クロマトグラフィによって精製した。次いで、更なる使用までタンパク質を-80℃で凍結した。
IL-22タンパク質とTEVプロテアーゼを4℃で一晩インキュベートすることによってHisタグを除去した。25mMイミダゾールを含有するPBS中でタンパク質を希釈した後、切断されたタンパク質を5mlのHisTrap(商標)High Performanceカラム(GE Healthcare)に通し、フロースルーで回収した。
例10.11041gL13gH14 Fab及び11070gL7gH16 Fabの存在下でのIL22のHDX-MS
水素重水素交換質量分析(HDX-MS)を、11041gL13gH14 Fab及び11070gL7gH16 Fabに対するIL22のエピトープマッピングに使用した。
試料調製及びデータ取得
HDX-MS分析のために、30μMのIL22(例9に記載のように調製し、90μMの11041gL13gH14 Fab又は11070gL7gH16 Fabのいずれかと複合体化した30μMのIL22を調製し、4℃で1時間インキュベートした。4μlのIL22、IL22/11041gL13gH14 Fab又はIL22/11070gL7gH16 Fab複合体を、25℃で、HO中の57μLの10mMホスファート(pH7.0)又はDO中の10mMホスファート(pD7.0)に希釈した。次いで、重水素化試料を25℃で0.5、2、15及び60分間インキュベートした。反応後、全ての試料を、1℃でクエンチ緩衝液(4Mグアニジン塩酸塩、250mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、100mMホスファート)と1:1で混合することによってクエンチした。混合溶液は最終pH2.5であった。混合物を消化のためにnanoAcquity HDXモジュール(Waters Corp.)に直ちに注入した。次いで、ペプチド消化を、水中0.2%ギ酸中、20℃及び100μL/分の流速で、Enzymaticオンライン消化カラム(Waters)を使用してオンラインで行った。全ての重水素化された時点及び重水素化されていない対照を、各データ点の間をブランクで実行しながら三連で行った。
次いで、Acquity BEH C18 1.7μM VANGUARDチルドプレカラムを3分間使用してペプチドフラグメントを捕捉した。次いで、以下の勾配を使用して、ペプチドをチルドAcquity UPLC BEH C18 1.7μM 1.0×100に溶出した:0分、5%B;6分、35%B;7分、40%B;8分、95%B、11分、5%B;12分、95%B;13分、5%B;14分、95%B;15分、5%B(A:H2O中0.2%HCOOH、B:アセトニトリル中0.2%HCOOH。ペプチドフラグメントを、Synapt G2-Si質量分析計(Waters)へのポジティブエレクトロスプレーによってイオン化した。データ取得は、MSe法(低衝突エネルギー、4V;高衝突エネルギー:18Vから40Vへのランプ)を使用して、50~2000Thのm/z範囲にわたってToFのみのモードで実行した。Glu-1-フィブリノペプチドBペプチドを内部ロックマス補正に使用した。
HDX-MSデータ処理
IL22、IL22/11041gL13gH14 Fab又はIL22/11070gL7gH16 Fab複合体の非重水素化対照試料からのMSEデータを、Waters Protein Lynx Global Server2.5.1(PLGS)を使用して配列同定に使用した。ペプチド検索を、IL22配列のみのデータベースに対して行い、500カウントの前駆体強度閾値及び割り当てに必要な3つの一致したプロダクトイオンを用いた。3つの対照試料のイオン会計ファイルを、Dynamxv3.0ソフトウェアにインポートしたペプチドリストに組み合わせた。
ペプチドをDynamXで更に濾過した。使用したフィルタリングパラメータは、それぞれ4及び25の最小及び最大ペプチド配列長、1000の最小強度、2の最小MS/MS生成物、0.2のアミノ酸当たりの最小生成物、及び10ppmの最大MH+誤差閾値であった。DynamX v3.0を使用して、各時点での各ペプチドの重水素取込みから生じる同位体エンベロープを定量した。更に、m/zピークの正確な割り当てを確実にするために全てのスペクトルを調べ、視覚的にチェックし、高いシグナル対ノイズ比を有するペプチドのみをHDX-MS分析に使用した。
Dynamxでの手動濾過の後、統計分析及び濾過を、Houde et al.,2011(www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21491437)によって公表された統計分析を使用するDeuteros(www.academic.oup.com/bioinformatics/article/35/17/3171/5288775)を使用して行った。重水素は、ペプチド長、開始残基及び終了残基、包括的カバレッジ、並びに絶対的取込み(ダルトン単位)であるy軸メトリックを表示するウッドプロットを生成する。これは、リガンド(結合)及びアポ形態の存在下での取込みの差である。ウッドプロットは、各時点において全てのペプチドに信頼度フィルタリングを最初に適用する。選択された信頼限界外の重水素化差を有するペプチドは有意ではなく、薄い灰色で示されている。有意なペプチドは、濃い灰色及び黒色として示されている。社内のアルゴリズムを使用して、結果をフィルタリングし、エピトープを同定した。提示されるデータは、0.5分間の重水素化インキュベーション後である。
IL22のカバレッジマップ
11041gL13gH14Fab及び11070gL7gH16Fabを含むIL22のHDX分析を単一の実験で行った。47個のペプチドからHDX-MS実験について合計91.3%のカバレッジが得られた。フィルタリング及び分析後のペプチドの冗長性は3.48であった。(図4)
11041gL13gH14 Fabの存在下でのIL22のHDX-MS
抗体結合時に統計的に有意な重水素取込みの減少を示す7つのペプチド(すなわち、潜在的なエピトープ)が観察され、そのうちの6つはSPEED分析と一致した(図5A、ウッドプロット上で黒色で強調表示されている):72VRLIGEKLFHGVS84、72VRLIGEKLFHGVSM85、75IGEKLFHGVS84、75IGEKLFHGVSM85、76GEKLFHGVS84及び80FHGVSM85。重水素取込み(すなわち、潜在的な配座変化)の増加が、3つのペプチド:101EEVLFPQSDRF111、103VLFPQSDRFQPYM115及び103VLFPQSDRFQPYMQE117において観察された。11041gL13gH14 FabエピトープをIL22の構造上に投射する(図5B)。配座変化による抗体結合時に保護又は脱保護された他の領域を図5Bに示し、濃い灰色で強調している。
結論として、11041gL13gH14 Fabのエピトープ領域を表す保護領域は、残基72、-85(VRLIGEKLFHGVSM)である。
11070gL7gH16 Fabの存在下でのIL22のHDX-MS
抗体結合時に統計的に有意な重水素取込みの減少を示す4つのペプチド(すなわち、潜在的なエピトープ)が観察され、そのうちの3つはSPEED分析と一致した(図6A、ウッドプロット上で黒色で強調表示されている。):72VRLIGEKLFHGVSM85、75IGEKLFHGVSM85及び80FHGVSM85.。重水素取込み(すなわち、潜在的な配座変化)の増加が、2つのペプチド:43DKSNFQQPYITNRTFM58及び105FPQSDRFQPYMQE117において観察された。11070gL7gH16 FabエピトープをIL22の構造上に投射する(図6B)。配座変化による抗体結合時に保護又は脱保護された他の領域を図6Bに示し、濃い灰色で強調している。
結論として、11070gL7gH16Fabのエピトープ領域を表す保護領域は、残基72、-85(VRLIGEKLFHGVSM)である。
例11.IL-22/11041gL13gH14複合体の精製及び構造解析
IL-22を例9に記載されるように精製した。
切断したIL-22を11041gL13gH14 Fabと混合し、10mMのTris pH7.4及び150mM NaClで平衡化したHiLoad(登録商標)26/600Superdex(登録商標)75pgカラム(GE Healthcare)でのサイズ排除クロマトグラフィによって精製した。
IL-22/11041gL13gH14 Fab複合体を10.1mg/mlに濃縮した。複合体の結晶化条件を、いくつかの市販の結晶化スクリーンを用いて特定した。これらは、Swissci96ウェル2液滴MRC結晶化プレート(Molecular Dimensions、カタログ番号MD11-00-100から供給)を使用して、シッティングドロップ形式で実施した。最初に、Microlab STAR液体処理システム(Hamilton)を使用して、リザーバをスクリーン内の各結晶化条件75μLで満たした。次いで、300nLのIL-22/Fab複合体及び300nLのリザーバ溶液を、Mosquitoリキッドハンドラ(TTP LabTech)を使用して結晶化プレートのウェルに分注した。初期結晶化条件は、0.16M酢酸カルシウム六水和物、0.08Mカコジル酸ナトリウムpH6.5、14.4%PEG8000及び20%グリセロールを含有するNextal Tubes JCSG+スクリーニング(Qiagenカタログ番号:130720)の条件59で特定された。この条件を更にJCSG+59と呼ぶ。Molecular Dimensions(カタログ番号MDSR-37-E11)から供給されたJCSG+59に、添加スクリーニング(Hampton Researchカタログ番号HR2-138)に含まれる塩化イットリウム(III)六水和物を0.01Mで添加することによって、最適化された結晶を得た。最適化された結晶を、250μLのリザーバ容量及び2μLのIL-22/Fab複合体と混合した2μLのリザーバ溶液からなる液滴を使用して、MRC Maxi 48 Well Crystallization Plates(Swissci)中で成長させた。液体窒素中でのフラッシュ凍結の前に、結晶を4μL滴の凍結防止溶液に移した。この溶液は、40μLの最適化されたリザーバ溶液を、CryoProtX(商標)キット(Molecular DimensionsMD1-61)に含まれる10μLの溶液CryoMixes(商標)7と混合することによって調製した。CryoMixes(商標)7は、12.5%v/vのジエチレングリコール、12.5%v/vのエチレングリコール、25%v/vの1,2-プロパンジオール、12.5%v/vのジメチルスルホキシド及び12.5%v/vのグリセロールを含有する。
回折データをビームラインI04(Diamond Light Source,UK)で収集した。データにインデックスを付け、XDS[Kabsch,W.Acta Cryst.D66,125-132(2010)]を使用して統合し、続いて[Evans et alActa Crystallogr D Biol Crystallogr.2013;69(Pt 7):1204-1214]を使用してスケーリングした。IL-22/Fab構造を、Phenixソフトウェア一式[Adams et alMethods.2011;55(1):94-106]においてPhaser [McCoy et alJ.Appl.Cryst.(2007).40,658-674]を使用する分子置換によって解明した。この手順では、IL-22構造1YKB[Xu et alActa Crystallogr D Biol Crystallogr.2005 Jul;61(Pt 7):942-50] and Fab structure 5BVJ [Rondeau et alMAbs.2015;7(6):1151-60]を分子置換鋳型として使用した。Coot [P.Emsley et al(2010).Acta Crystallographica.D66:486-501] and phenix.refine [P.V.Afonine et alActa Crystallogr D Biol Crystallogr 68,352-67(2012)]を、以下の手動モデル完成及び改良のサイクルで使用した。MolProbity [Williams et al.(2018)Protein Science 27:293-315]を使用して最終モデルの品質を分析した。
3IL-22/11041gL13gH14 Fab複合体が結晶非対称単位中に観察される。
図7Aは、11041gL13gH14 FabとIL-22との相互作用を、相互作用界面の詳細図(図7B)と共に示す。CCP4ソフトウェア一式におけるNCONT[Winn MD et alActa Crystallogr D Biol Crystallogr.2011 Apr;67(Pt 4):235-42]を用いて、Fab分子によって認識されるIL-22上のエピトープを決定した。IL-22アミノ酸ナンバリングは、UnitProtKBエントリQ9GZX6に基づく。
Fab分子との接触距離が4Å未満では、IL-22エピトープは、Gln48、Glu77、Phe80、His81、Gly82、Val83、Ser84、Met85、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Arg175、Asn176及びIle179の残基から構成される。
Fab分子との接触距離が5Å未満では、IL-22エピトープは、Lys44、Phe47、Gln48、Ile75、Gly76、Glu77、Phe80、His81、Gly82、Val83、Ser84、Met85、Ser86、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Arg175、Asn176及びIle179の残基から構成される。
11041gL13gH14 Fab分子は、Fab軽鎖がIL22上の同じ領域に結合するので、IL-22とIL22R1受容体との相互作用を妨げる。(図8)
例11.cryo-EMによるフェザキヌマブ及びVR11070との複合体におけるIL-22の構造決定
IL22/11041gL13gH14複合体の構造解析を行った後、cryo-EM技術を用いて、フェザキヌマブ及び11070gL7gH16 Fab(VR11070)との複合体におけるIL22の構造決定を行った。
N末端ヒトFcタグに融合したExpi293細胞を用いてIL-22を発現させた。遠心分離により細胞を除去した後、上清を5mlのHiTrap ProteinAカラム(Cytiva)にロードした。pH2.0でPBSから0.1Mクエン酸ナトリウムまでの緩衝液勾配でタンパク質を溶出した。hFcタグを、TEVプロテアーゼを使用して切断し、IL22を、4mlの充填プロテインA樹脂上での重力流による別の通過によって、切断されたタグから分離した。樹脂から溶出した後、PBS中で平衡化したHiLoad26/600Superdex75pgカラム(Cytiva)でIL-22を更に精製した。
12.1mg/mlの70マイクロリットルVR11070Fab、11.5mg/mlの153マイクロリットルのフェザキヌマブFab、及び1.36mg/mlの153マイクロリットルIL22を混合した。55マイクロリットルを、10mMのHepespH7.4及び150mMNaCl中で平衡化したSuperdex200 5/150カラムに注入した。1.7mg/mlのIL-22+VR11070+フェザキヌマブ複合体を含む画分を回収し、cryo-EMグリッドを調製するために使用した。
Quantifoil(登録商標)R1.2/1.3ホーリーカーボングリッド(SPT Labtech)を使用直前にPelco easyGlow(商標)中22mAで45秒間グロー放電した。ゲル濾過後の11070gL7gH16 Fab及びフェザキヌマブFabを有するIL22を、Vitrobot Mark IV(Thermo Fisher Scientific)中の新鮮なグロー放電グリッドに湿度100%及び4℃のチャンバ内で2秒間適用した。次いで、力7でグリッドを新しい濾紙に4秒間吸い取り、液体エタンに入れた。200keVで操作し、Falcon3カメラを装備した社内Glaciosにおいて、グリッドを最初に氷厚及び粒子分布についてスクリーニングした。次いで、データを、Falcon4を備えたCambridgeコンソーシアムのKrios2で収集し、300keVの加速電圧で操作した。5700個の動画は、EPUソフトウェアを使用して、-1から-2.5μmのデフォーカス範囲、0.67Åのピクセルサイズ、49.36e/Åの最終電子束が42個の画分にわたって分布するための12.2秒の露光でのカウントモードで自動的に収集された。その後のデータ分析は全て、Cryosparc、バージョン2.15(Structura Biotechnology Inc)で行った。動画をパッチモーションを使用して位置合わせし、コントラスト伝達関数パラメータ(CTF)をパッチCTFを使用して推定し、粒子を最初にblobピッカーでピッキングし、合計5.5Mの粒子を得た。選別された粒子は、300ピクセルのボックスサイズに2回ビニングされ、異なる特徴を有する488,000個の粒子の選択をもたらした最初の二次元分類に供された。5つの最初のモデルを作製し、そのうちの2つはIL22のグリコシル化部位で互いに異なっていた。合計24万個の粒子について、これらの2つのクラスを一緒にプールし、不均一な精密化により、ゴールドスタンダードFSC0.143基準を使用して3.4Åの分解能推定値が得られた。
UCSFキメラを使用して、2つのFab分子及びIL22構造をcryo-EM密度に適合させた[Pettersen,et alJ.Comput.Chem.25(13):1605-1612(2004).]。Coot [Emsley et al(2010)Acta Crystallographica.D66:486-501.]を使用して更に手動でモデルを構築した後、Phenix [Liebschner et al.Acta Cryst.D75,861-877(2019)]のAutosharpen [Terwilliger,.(2018).Acta Cryst.D74,545-559.]ツールを使用してマップを鮮明化し、PhenixのReal-space refinement[Afonine et al Acta Cryst.D74,531-544(2018)]ツールを使用してモデルを更に洗練した。
CCP4ソフトウェア一式[Winn et alActa Crystallogr D Biol Crystallogr.2011Apr;67(Pt4):235-42]中のNCONTを使用して、11070gL7gH16 Fab及びフェザキヌマブFab分子によって認識されるIL22上のエピトープを決定した。以下のIL22アミノ酸ナンバリングは、UnitProtKBエントリQ9GZX6に基づく。
11070gL7gH16 Fab分子との接触距離が4Å未満では、IL22エピトープは、残基:Glu77、Lys78、His81、Ser84、Met85、Ser86、Arg88、Asn176、Ala177から構成される。
11070gL7gH16 Fab分子との接触距離5Å未満では、IL22エピトープは、残基:Ile75、Gly76、Glu77、Lys78、Phe80、His81、Ser84、Met85、Ser86、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Asn176、Ala177から構成される。
フェザキヌマブFab分子との接触距離が4Å未満では、IL22エピトープは、Gln49、Tyr51、Phe105、Ser108、Asp109、Gln112、Pro113、Tyr114、Gln116、Glu117、Pro120、Ala123、Arg124の残基から構成される。
フェザキヌマブFab分子との<5Å接触距離では、IL22エピトープは、残基:Gln49、Pro50、Tyr51、Ile52、Arg55、Phe105、Pro106、Ser108、Asp109、Gln112、Pro113、Tyr114、Gln116、Glu117、Val119、Pro120、Phe121、Ala123、Arg124から構成される。
構造解析から、11070 FabはIL-22上にフェザキヌマブとは異なるエピトープを有することが明らかになる。また、11070gL7gH16 Fab(VR11070)は、IL22上の11041gL13gH14 Fab(VR11041)のエピトープと類似している。(図9A及び図9B)。11041gL13gH14Fabと同様に、11070gL7gH16 Fabは、IL-22R1受容体との相互作用を妨げることによってIL22シグナル伝達を遮断する(図10A)。対照的に、フェザキヌマブは、IL22とIL10R2との相互作用を妨げることによってIL22シグナル伝達を遮断する(図10B)。
例12.COLO205 IL-10放出アッセイ
抗体を、ヒトIL22に対する活性についてインビトロ細胞アッセイで試験した。COLO205細胞株は、ヒト結腸直腸癌上皮細胞株である。IL22は、細胞表面上のIL22R1及びIL10R2に結合して、STAT3リン酸化及び下流のサイトカイン放出を誘導する(例えばIL-10)。このアッセイでは、COLO205細胞を、抗IL-22抗体の有無にかかわらずIL22で刺激する。次いで、得られたIL-10応答を、均一な時間分解FRET(HTRF)キット(Cisbio)を使用して細胞培養上清中で測定する。
COLO205細胞を、組織培養処理した平底96ウェルプレートに25000細胞/ウェルで播種した。ヒトIL-22(最終アッセイ濃度30pM)を抗体(最終アッセイ濃度3nM~1.4pM)と37℃で1時間プレインキュベートした。次いで、抗体/サイトカイン複合体をCOLO205細胞に移し、37℃、5%COで48時間インキュベートした。次いで、無細胞細胞培養上清を回収し、-80℃で保存した。細胞培養上清を氷上で解凍し、IL-10のレベルをHTRFによって決定した。
試料は、単回又は2回のいずれかで実行した。
11041Fabの結果
結果は、11041FabがCOLO205 IL-10放出アッセイにおいてCOLO205細胞のIL-22誘導性IL-10応答を阻害することを確認する。11041 Fabは、アッセイの2回の幾何平均によって決定されるように、56.78pMのIC50を有していた(表20)。これらの測定値は、アッセイの各反復において測定されたIC50の範囲が各例において3倍未満だけ変動することが見出されたので、信頼できると考えられる。
11041 gL13gH14 Fabの結果
結果は、11041 gL13gH14 FabがCOLO205 IL-10放出アッセイにおいてCOLO205細胞のIL-22誘導性IL-10応答を阻害することを確認する。11041 gL13gH14 Fabは、アッセイの2回の幾何平均によって決定されるように、42.7pMのIC50を有していた(表21)。これらの測定値は、アッセイの各反復において測定されたIC50の範囲が各例において3倍未満だけ変動することが見出されたので、信頼できると考えられる。
例13.ヒトIL22に対する11041gL13gH14 Fabのインビトロヒト初代ケラチノサイト細胞に基づく活性
抗体分子11041gL13gH14 Fabを、ヒトIL-22(自社製造)の活性に対するインビトロセルアッセイで試験した。包皮由来の初代ヒト新生児表皮ケラチノサイト(NHEK)をドナー(Promocell、カタログ番号C-12001)から倫理的に供給し、培養で増殖させ、アッセイに使用した。NHEK細胞は、細胞上清中で検出することができるS100A7(プソリアシン)を含む可溶性分子の分泌によってIL-22刺激に応答する(図11A)。S100A7を、11041gL13gH14 Fab活性を評価するためのバイオマーカーとしてアッセイに使用した。
2継代目及び3継代目の2人のドナー由来のNHEK細胞を、細胞外マトリックス(TheromoFisher、カタログ番号R011K)で予めコーティングした48ウェルプレート(Corning、Costar(登録商標)透明TC処理プレート、カタログ番号3548)中のケラチノサイト成長キット(LGC,ca no#ATCC-PCS-200-040)を含有する真皮基本培地(LGC、カタログ番号#ATCC-PCS-200-030)に10細胞/ウェルで播種した。ケラチノサイトをコンフルエンスに達するまで標準的な条件(37℃、5%CO2、湿度100%)で培養した。3日目に、増殖培地を全てのウェルから吸引し、細胞を200μlの基底真皮培地で洗浄して、あらゆる死細胞及び増殖因子を除去した。50nM~0.01nM(2500-1ng/ml)の濃度範囲の抗IL22抗体11041gL13gH14 Fabを、100ng/mlのIL22と共に、皮膚基礎培地中、37℃で30分間プレインキュベートした。また、50nM(2500ng/ml)のFabフォーマットのフェザキヌマブ(抗IL-22抗体、自社在庫、バッチ番号#PB7490)を、100ng/mlのIL22と共に真皮基底培地中、37℃で30分間プレインキュベートした。次いで、400μl/ウェルの抗体/サイトカイン溶液を細胞に移した。48時間の刺激後、上清を回収し、ELISA(LSBio、カタログ番号LS-F50031)を用いてS100A7のレベルを測定した。
IL22刺激後にS100A7の増加を測定した(図11A)。50nMのフェザキヌマブFabは、IL22によって誘導されたS100A7シグナルを完全に阻害した。50nMの11041gL13gH14 Fabもまた、S100A7の完全な阻害を示した(図11A)。11041gL13gH14 Fabは、S100A7の濃度依存的阻害を示した(図11B)。
結論として、ヒト初代ケラチノサイトアッセイで試験した11041gL13gH14 Fabは、IL-22依存性バイオマーカーの用量依存的阻害を示した(S100A7)。
例14.IL22ホスホSTAT3方法
Hacat細胞を96ウェル平底組織培養プレートに100μlのDMEM+10%FBS+2mML-グルタミン/ウェルで150,000細胞/ウェルで添加し、37度及び5%CO2で一晩インキュベートした。抗IL22抗体を模擬上清培地で18.75nMの最終アッセイ濃度に希釈し、最小シグナル対照として60μlを96ウェルポリプロピレンV底プレートのカラム1及び12に添加した。最大シグナル対照として、60μlの模擬上清培地を96ウェルポリプロピレンV底プレートのカラム2及び11に添加した。試料を模擬上清培地中に1:3で滴定し、96ウェルポリプロピレンV底プレートのカラム3~10に60μlの最終容量を残した。30μlのIL22溶液を全てのウェルに添加して、30ng/mlのFACの最終アッセイ濃度を得た。プレートを37度で1時間プレインキュベートした。細胞培養プレートからの培養培地75μlをプレートに25μl残す。75μlの試料滴定/対照+il22を細胞プレートに移した。これらのプレートを37度で30分間インキュベートした。上清を除去した。Cisbio STAT3 PhosphoY705キットを使用して、残りの細胞を溶解し、各ウェルの溶解物からHTRFシグナルを生成した。プレートを密封し、室温でシェーカー上で一晩18時間インキュベートした。ウェル信号は、Synergy Neo2プレートリーダでHTRFプロトコルを使用して測定した。11041及び11070の抗体は、IL22誘導性STAT3リン酸化の明確な阻害を示した。
特許、特許出願、論文、教科書等を含む本明細書に引用された全ての参考文献、及びそれらに引用された参考文献は、それらがまだ存在しない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表3 <223>HisタグIL22
配列表5~21 <223>CDR配列
配列表22~23 <223>11041 gL6 C91S S96A(gL13)V領域
配列表24~25 <223>11041 gH5 D54E(gH14)V領域
配列表26~27 <223>11041gL13軽鎖
配列表28~29 <223>11041gH14 Fab重鎖
配列表30~31 <223>11041gH14重鎖(IgG1)
配列表32~33 <223>11041 gH5 D54E(gH14)重鎖(IgG4P)
配列表34~35 <223>ウサギ11041 VL領域
配列表36~37 <223>ウサギ11041 VH領域
配列表38 <223>11041 gL1 V領域
配列表39 <223>11041 gL1 C91S V領域
配列表40 <223>11041 gL1 C91V V領域(gL3)
配列表41 <223>11041gL6 V領域
配列表42 <223>11041gL7 V領域
配列表43 <223>11041 gL1 N95D V領域(gL8)
配列表44 <223>11041 gL1 S96A V領域(gL9)
配列表45 <223>11041 gL1 C91S S96A V領域(gL10)
配列表46 <223>11041 gL6 C91S V領域(gL11)
配列表47 <223>11041 gL7 C91S V領域(gL12)
配列表48 <223>11041 gL7 C91S S96A V領域(gL14)
配列表49 <223>11041gH1 V領域
配列表50 <223>11041 gH1 G55A V領域(gH2)
配列表51 <223>11041 gH1 D54E V領域(gH3)
配列表52 <223>11041 gH1 D107E V領域(gH4)
配列表53 <223>11041gH5 V領域
配列表54 <223>11041gH8 V領域
配列表55 <223>11041gH9 V領域
配列表56 <223>11041gH11 V領域
配列表57 <223>11041gH12 V領域
配列表58 <223>11041 gH8 D54E V領域(gH15)
配列表59 <223>11041 gH11 D54E V領域(gH17)
配列表60 <223>11041 gH12 D54E V領域(gH18)
配列表61~62 <223>ヒトIGKV1D-13 IGKJ4受容体フレームワーク
配列表63~64 <223>ヒトIGHV3-66 IGHJ4受容体フレームワーク
配列表71 <223>11070 CDRH2(変異なし)
配列表72~73 <223>11070gL7 V領域
配列表74~75 <223>11070gH16 V領域
配列表76~77 <223>11070gL7軽鎖
配列表78~79 <223>11070gH16 Fab重鎖
配列表80~81 <223>11070gH16 IgG1重鎖
配列表82~83 <223>11070gH16 IgG4P重鎖
配列表84~85 <223>ラットAb 11070 VL領域
配列表86~87 <223>ラットAb 11070 VH領域
配列表88 <223>11070gL1 V領域
配列表89 <223>11070gH1 V領域
配列表90 <223>11070gH13 V領域(gH1 S61T)
配列表91~92 <223>ヒトIGKV1-12 IGKJ2受容体フレームワーク
配列表93~94 <223>ヒトIGHV4-31 IGHJ6受容体フレームワーク
配列表95 <223>ペプチド72~84
配列表96 <223>IL22ペプチド72~85
配列表97 <223>IL22ペプチド75~84
配列表98 <223>IL22ペプチド75~85
配列表99 <223>IL22ペプチド76~84
配列表100 <223>IL22ペプチド80~85
配列表101 <223>IL22ペプチド126~139
配列表102 <223>IL22ペプチド101~111
配列表103 <223>IL22ペプチド103~115
配列表104 <223>IL22ペプチド103~117
配列表105 <223>IL22ペプチド43~58
配列表106 <223>IL22ペプチド105~117

Claims (36)

  1. インターロイキン22(IL22)に結合し、IL22受容体1(IL22R1)へのIL22の結合を阻害又は減弱する、単離された抗体。
  2. 前記抗体が、IL22とIL22R1との間の相互作用を立体的に遮断するようにIL22上の領域に結合する、請求項1に記載の抗体。
  3. IL22結合タンパク質(IL22RA2)へのIL22結合を阻害又は減弱する、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. ヒトIL22及び/又はカニクイザルIL22に結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 前記抗体が、ヒトIL22について100pM未満の解離平衡定数(KD)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. 配列番号1によって定義されるIL22のアミノ酸配列の残基72~85に対応するポリペプチドVRLIGEKLFHGVSM(配列番号96)に特異的に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 前記抗体がヒトIL22のエピトープに結合し、前記エピトープが、前記抗体とIL22との間の5Å未満の接触距離で決定される場合、ヒトIL22(配列番号1)のLys44、Phe47、Gln48、Ile75、Gly76、Glu77、Phe80、His81、Gly82、Val83、Ser84、Met85、Ser86、Arg88、Leu169、Met172、Ser173、Arg175、Asn176及びIle179から選択される5つ以上の残基を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. 前記結合が、X線結晶学を使用して決定される、請求項7に記載の抗体。
  9. 配列番号5を含むCDR-L1、
    配列番号6を含むCDR-L2、及び
    配列番号7を含むCDR-L3
    を含む軽鎖可変領域と、
    配列番号8を含むCDR-H1、
    配列番号9を含むCDR-H2、及び
    配列番号10を含むCDR-H3
    を含む重鎖可変領域と、
    を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. 前記軽鎖可変領域が、配列番号22に示される配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
  11. 前記重鎖可変領域が、配列番号24に示される配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
  12. 前記軽鎖可変領域が、配列番号22に示される配列、又はそれと少なくとも90%同一の配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号24に示される配列、又はそれと少なくとも90%同一の配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
  13. 前記抗体が、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、
    前記軽鎖可変領域が、配列番号22に示される配列を含み、91、95及び/又は96の位置の1つ又は複数の残基が別のアミノ酸によって置換されており、
    前記重鎖可変領域が、配列番号24に示される配列を含み、54、55及び/又は107の位置の1つ又は複数の残基が別のアミノ酸によって置換されている、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
  14. 各CDRが3つまでのアミノ酸置換を含有し、そのようなアミノ酸置換が保存的である、請求項9に記載の抗体。
  15. 前記軽鎖可変領域及び前記重鎖可変領域の残りの部分が、それぞれ配列番号22及び24と少なくとも90%の同一性を有する、請求項9に記載の抗体。
  16. 完全長抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体。
  17. 抗体フラグメントである、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体。
  18. 前記抗体フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dsFv、scFv、又はdsscFvである、請求項17に記載の抗体。
  19. 配列番号26に示される配列を含む軽鎖と配列番号28に示される配列を含む重鎖とを含むFabである、請求項18に記載の抗体。
  20. 配列番号5/6/7/8/9/10でそれぞれ示される配列を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3を含むFabであり、前記軽鎖及び重鎖の残りの部分が、それぞれ配列番号26及び28と少なくとも90%の同一性又は類似性を有する、請求項18に記載の抗体。
  21. 配列番号26に示される配列を含む軽鎖と配列番号30に示される配列を含む重鎖とを含むIgG1である、請求項16に記載の抗体。
  22. 前記抗体が、配列番号5/6/7/8/9/10でそれぞれ示される配列を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3を含むIgG1であり、前記軽鎖及び重鎖の残りの部分が、それぞれ配列番号26及び30と少なくとも90%の同一性又は類似性を有する、請求項16に記載の抗体。
  23. 配列番号26に示される配列を含む軽鎖と配列番号32に示される配列を含む重鎖とを含むIgG4Pである、請求項16に記載の抗体。
  24. 前記抗体が、配列番号5/6/7/8/9/10でそれぞれ示される配列を含むCDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3を含むIgG4Pであり、前記軽鎖及び重鎖の残りの部分が、それぞれ配列番号26及び32と少なくとも90%の同一性又は類似性を有する、請求項16に記載の抗体。
  25. 請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
  26. 請求項25に記載のポリヌクレオチドを担持する発現ベクター。
  27. 請求項26に記載のベクターを含む宿主細胞。
  28. 請求項27に記載される宿主細胞を、前記抗体の産生を可能にする条件下で培養することと、前記産生された抗体を回収することと、を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体を産生する方法。
  29. 請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容されるアジュバント又は担体とを含む医薬組成物。
  30. 治療によるヒト又は動物の身体の治療方法において使用するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 医薬品として使用するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項29に記載の医薬組成物。
  32. 医薬品を製造するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体又は請求項29に記載の医薬組成物の使用。
  33. 炎症性皮膚状態の治療に使用するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体又は請求項29に記載の医薬組成物。
  34. 治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体又は請求項29に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、炎症性皮膚状態を治療又は予防する方法。
  35. 炎症性皮膚状態を治療するための医薬品を製造するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体又は請求項29に記載の医薬組成物の使用。
  36. 前記炎症性皮膚状態が、乾癬、乾癬性関節炎、接触性皮膚炎、慢性手湿疹又はアトピー性皮膚炎である、請求項33に記載の抗体若しくは医薬組成物、請求項34に記載の方法、又は請求項35に記載の使用。
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