次に、本発明の好適な実施例を詳細に説明するが、当該実施例は、添付図面に示されている。これら好適な実施例に関連して、本発明を説明するが、理解されたいのは、これら特定の実施例に、本発明の精神及び範囲を限定することは意図しない、ということである。
本明細書に提示する側面図において、側面図の多くの部分は、例示の明瞭化のために断面で提示している。例えば、図面の多くの場合、ワイヤステムは太線で完全に示され、一方保護膜は、本当の断面(網掛けがない場合が多い)で示される。
本明細書に提示する図において、幾つかの要素の寸法は、例示の明瞭化のために、誇張(図の他の要素と同じ状況で、縮尺があっていないように)してある場合が多い。
本明細書に提示する図において、要素は、多くの場合「接頭辞」として図面番号が付され、「接尾辞」は多くの場合、同様の要素(例えば、図1の要素108は、図2の要素208と同じく、また図8Aの要素808と同じく基板である)を参照するものである。
参照として本明細書に取り込む上述の事例1には、各種各様の電子コンポーネント上に、精密形状及び幾何配置の隆起した(突起した)復元性のある電気的な接触子を製造するための方法が開示されており、前記接触子は、物理的、冶金的及び機械的特性からなる制御された組を有して、電子的相互接続応用の各種の態様において、電気的、熱的又は幾何配置的要求を満足する。
一般に、多数ステップ工程が記載されており、そこで、(a)ワイヤステムが、1つの電子コンポーネントの端子上に作り出され、(b)ワイヤステムは、3次元空間で成形されて、復元性のある接触構造の骨格が規定され、(c)ワイヤステムは、骨格及び端子を包み込む、又はそれらに覆いを付ける(部分的に包み込む)コーティングにより、少なくとも1つの堆積工程で被覆が施される。共通のコーティングは、突出する接触構造を端子に「固定」するのに役立つだけでなく、(1)嵌合する電子コンポーネントとの係合接触の長期安定性に関する、突起接触子の特性を与え、(2)アセンブリの半田付け特性と共に、半田での接触による長期効果を決定し、(3)最終の突起接触構造の機械的特性をも決定する。
一般に、ワイヤは、最終の突起接触子(すなわち、「初期の」復元性のある接触子)の「骨格」として機能し、コーティングは、その「筋肉」として機能する。換言すると、ワイヤ(成形される)は、復元性のある接触子に対する形状を規定し、ワイヤにわたるコーティングは、求められる復元(及び、導電)特性を接触子に付与する。これに関して、コーティングは、接触子の主要な構造的要素であると見なされ、この目的のために、厚さ、降伏強度、及び弾性率の所定の組合せを有して、最終のばね接触子の所定の力対偏向特性を保証する。コーティングの重要な特徴は、それが連続であるという点にある。複数(2つ等)のワイヤステムを使用して、復元性のある接触子に対する骨格を作り出すことも記載されている。
事例1には、復元性のある接触構造を、各種の電子コンポーネントに実装する旨の開示があり、これらには、(a)セラミック、及びプラスチック半導体パッケージ、(b)積層印刷回路基板(PCB)、テフロン(登録商標)(tm)ベースの回路基板、多層セラミック基板、シリコンベースの基板、及び当業者には周知の電子システムの集積用の他の基板、(c)シリコン、及びガリウム・ヒ素素子等の半導体素子、及び (d)抵抗及びコンデンサ等の受動素子、が含まれる。すなわち、事例1は、以下のワイヤ材料及び寸法を開示している。
(a)ベリリウム、カドミウム又はマグネシウムで合金化(又は、ドーピング)された、金、アルミニウム又は銅、(b)半田、特に鉛−スズ半田ワイヤ(c)銀とプラチナの合金、(d)0.0005インチと0.0050インチの間の範囲の寸法である。
事例1は、以下のワイヤボンディング装置、及び技法を使用することを開示している。すなわち、(a)ボール及びくさび、(b)くさびとくさび、(c)ボンディングを形成するために、圧力、温度、又は超音波エネルギー、或いはそれらの組合せを印加すること、(d)ワイヤステムの形状を設定するために、毛細管の動きを制御すること、(e)ワイヤを切断するための共通のくさびボンディングステップを除外するために、ワイヤボンディング装置の制御システムのソフトウェアをプログラムすることであって、その代わり、ボールボンディングの前のボール形成に用いられる同じ電子又は水素火炎射出を使用して、ワイヤを所定の高さに切断すること、(f)毛細管を所定位置にまで上に移動した後、電子的火炎射出(EFO)電極を高電位状態にして、その結果、ワイヤステムを溶融及び切断するスパークを発生し、次のステムのボンディングステップに対して、ワイヤ(供給スプールからの)の送り端を準備することである。
本発明によれば、ワイヤステムを切断するために、任意の適切な手段を使用することができ、それには、(a)電子的火炎射出(EFO)、(b)ナイフ等の機械的手段、(c)レーザ、(d)水素トーチ、が含まれる。
事例1は、金ワイヤステム上に、第1の層としてスズを堆積し、それに続いて、金−スズ共晶体の溶融温度よりも低い温度で、金とスズを反応させることを開示している。結果として、金−スズ合金となり、これは(純粋な)金よりも大幅に強い。
事例1は、以下のコーティング材料及び寸法を開示している。すなわち、(a)ニッケル、銅、コバルト、鉄、及びそれらの合金、(b)金、銀、ロジウム、ルテニウム・銅、プラチナ群の元素、及びそれらの合金からなる群から選択された、貴又は半貴金属、(c)ロジウム、ルテニウム、又はプラチナ群の他の元素、及びそれらと金、銀、及び銅との合金、(d)タングステン、(e)0.00003インチと0.00700インチ間の厚さである。
本発明によれば、パラジウムも適したコーティング材料である。
事例1は、以下のコーティング工程を開示している。
(a)湿式電気化学法、例えば骨格の、及び端子上の材料の電解又は無電解水溶液メッキ、(b)ニッケル及びその合金からのニッケルの電気メッキ(平方インチ当たり80,000ポンドを越える引張り強度)、(c)ウェーブ半田、又は電解堆積半田、(d)物理気相成長法(PVD)及び化学気相成長法(CVD)、またガス状液体又は固体先行核の各種の分解による、導電性コーティングの堆積である。
事例1は、ワイヤステムにわたって、多層コーティングを施すことを開示している。例えば、(a)金、銀、プラチナ群の要素、及びそれらの合金等の貴又は半貴コーティング層を備えた、保護膜ニッケル(酸化する強い傾向がある)、(b)所与の用途に対して、突起接触子の性質を合わせるように、コーティングの多層を選択することである。
事例1は、ワイヤステム(骨格)に、局所的な突起を有するばねコーティングで保護膜を施すことが可能である旨を開示している。かかるコーティングは、電気メッキ堆積物の樹枝成長により、又は異質粒子を導電堆積物内に取り込むことにより、生成可能である。代替として、規則正しい一様な第1の堆積層を施すことができ、それは復元特性を与え、それに続く上部堆積層が、局所的な突起又は粒子を取り込んで、導電性の保護膜が完成する。局所的な突起は、相互接続係合時に、嵌合端子上に復元性のある突起接触子により及ぼされる局所圧力を増大させ、また係合した端子の上にある、容易に不動態化する酸素物形成の材料に接触する際に、接触抵抗を低減する。
事例1には、復元性のある接触子の機械的強度における改善は、圧縮性の内部応力を有するコーティングが堆積される際に、達成可能であり、これは、最終の突起電気接触子を変形、又は破壊するのに必要な応力レベルを効果的に増大する旨の開示がある。コーティング内の圧縮性の内部応力によって、復元性のある接触子のばね特性が改善されると共に、その強度及び延性レベルにわたった制御が与えられる。
事例1は、共平面性を達成する旨の開示があり、それは以下のことに関連する。
(a)接触子の最上部点(遠位端)が、概ね等しい(電子コンポーネント上の接触子の全てに対して)垂直(電子コンポーネントの上の)座標へと延伸するように製作可能であり、(b)接触子は、2つ以上の電子コンポーネントから開始可能であり、それらの遠位端は、他の平坦な電子コンポーネントに続いて接触させるために、共平面(全てが同じ垂直座標を有する)とすることが可能であり、(c)接触子は、電子コンポーネントの異なる段階から開始可能であり、それらの遠位端は、共平面とすることが可能であり、(d)接触子の先端(遠位端)の垂直座標は、ワイヤボンディング装置の制御システムにおいて実施されるソフトウェア・アルゴリズムにより、容易に制御される。
事例1には、ワイヤステムは、端子と犠牲層の間に渡すことが可能であり、該犠牲層は、ワイヤステムの電気メッキ等の工程のために、一時的に利用される旨の開示がある。
事例1には、制御された(例えば、高く)アスペクト比、及び形状を有する半田の支柱を形成可能である旨の開示がある。これに関連して、ワイヤステム(特に、金)と半田保護膜(特に、共晶に近い鉛−スズ等の鉛−スズ合金)の間に、100−1000マイクロインチ厚のニッケル合金の障壁層を施すことが、記載されている。かかる半田支柱は、突出しているが、復元性はない。半田支柱当たり多数(例えば、2つ)のワイヤステムを用いることが、湿潤のみ(1つのワイヤステムで)半田の橋渡しを生じさせるうえで利点があると記載されている。
事例1には、共通端子にワイヤステムの両端をボンディングするすることにより、「ループ」を形成可能であり、そのループを、半田支柱の骨格として使用可能である旨が開示されている。
事例1には、接触子の懸架(例えば、犠牲構成を用いることによる)が、結果として、試験、エージング、又はサービス時の取り外し可能な電子相互接続のために、コンポーネント又は基板上の嵌合端子との信頼性の良い係合を可能にする、制御された幾何配置のばね接触子の形成となる旨が開示されている。
事例1には、接触子が、プラスチック及びセラミックパッケージにピンを取り付けるための標準技法に対する「交換品」として使用可能である旨が開示されている。この有用性は、本発明の方法により製造されたピン形状の接触子は、パターン特定の工具又は型枠を必要としないという事実に起因する。
事例1には、骨格が、端子をフェンスボンディングし、次にボンディングされた領域内を半田で充填する際に、ループ形状のシーケンスとして形成可能である旨の開示がある。復元性はないが、これにより、ヒートシンク又は基板への熱相互接続のために、電子コンポーネント上に質量性の半田パッドが設けられる。
事例1に記載される発明は、保護膜生成されるボンディングワイヤの従来技術の技法から劇的に脱却したものであり、それは以下の点においてである。
(a)通常、従来技術の保護膜は、非導電性であり、及び/又は腐食からの保護を与えることに照準を当てたものであり、(b)本発明の復元性のある接触子は、骨格(これは、本質的に復元性が無く、実際非導電性である)を成形し、次に、ばね(復元性のある)接触構造を得るために、骨格にばねコーティング(その外層は、導電性でなければならない)で保護膜を施すというステップを有利に組み合わせる。
事例1に開示される、復元性のある接触構造の利点の中には、(a)同じ接触構造が、電子コンポーネントの取り外し可能な、又は永久的な取付けのために利用可能である点、(b)ばね(復元性のある)接触子が、基板と、端子の整合パターンを有するコンポーネントとの間の相互接続の標準手段として利用可能であり、また2つの(又は、それより多い)電子コンポーネントを相互接続するために、介在体構造として利用可能である点がある。
参照として本明細書に取り込む上述の事例2は、相互接続のための接触構造、介在体、半導体アセンブリ、それを製作する方法を開示している。一般に、この事例の開示は、復元性のある接触構造を製作する能力を問題にするかぎり、事例1の開示に「影響を及ぼさない」。
事例2には、復元性のある接触構造の多数の特定用途が開示され、こららには、各種の介在体実施例が含まれ、そこでは、(a)復元性のある接触構造が、メッキされたスルーホールにおいて、介在体基板の一方の側に実装され、復元性のある接触構造が、前記メッキされたスルーホールにおいて、介在体基板の他方の対向側に実装される。
(b)復元性のある接触構造が、メッキされたスルーホールにおいて、介在体基板の一方の側に実装され、ループ化接触構造が、前記メッキされたスルーホールにおいて、介在体基板の他方の対向側に実装される。
(c)復元性のある接触構造が、介在体基板の一方の側から上へと、メッキされたスルーホールを介して延伸する一方の部分を有し、また、介在体基板の直下へとスルーホールを介して延伸する他方の部分を有する。
(d)成型されたプラスチック介在体基板には、基板の一方の側から基板内へと延伸する一方の組の穴と、基板の対向側から基板内へと延伸する他方の組の穴が設けられる。穴の各対は、互いから僅かにオフセットされる(偏心して)。穴は導電材料でメッキされる。オフセットのために、各穴は肩部(その下部に)を有し、そこから、従順な接触構造が形成できる。このようにして、第1の組の接触構造が、介在体基板の一方の側から外に延伸し、他の組の接触構造が、介在体基板の他方の側から外に延伸して、それら接触構造は、対応するスルーホールのメッキにより、互いに電気的に接続される。
事例2は、半田ポストを形成するために、単一の接触パッド上で間隔を開け、半田で保護膜生成された複数(3つ)の骨格構造からなる接触構造を形成することを開示している。
事例2は、複数(2又は3個)の復元性のある接触構造が、単一のパッド上に実装される、複合接触構造を製造することを開示しており、更に、複数の接触構造の端部を互いに半田で固定することを記載している。
事例2は、プローブとして機能可能である接触構造を形成することを開示しており、更に、遮蔽された接触子に制御されたインピーダンスを与えるために、金属層が上に配設される誘電体材料の層を含む、プローブ当て接触子を記載している。
事例2は、プローブ接触構造の自由端において、接触パッドを形成することを開示しており、そこで、接触パッドには、複数の鋭利な点が設けられ、またプローブ接触構造の自由端には、プローブ状先端が設けられる。
事例2には、半導体素子(電子コンポーネント)上に復元性のある接触構造を配設し、接触構造の先端が2列に位置合わせされ、各列における交互接触構造の最上部の先端が、他方の接触構造の最上部の先端からオフセットされて、3次元ファンアウトを可能にする千鳥配列を与える旨の開示がある。
事例2には、幾つかは大きい方の曲げを有し、他方は小さい方の曲げを有する異なる構成を有する接触構造を、電子コンポーネント上に配設する旨の開示がある。
事例2には更に、各「型式」の接触構造を対向方向で千鳥状にする旨の記載がある。エージング試験基板上の一致接触パッドを屈折可能に係合することにより、半導体素子のエージング、及び試験を実施するためのかかる構成の実用性が記載されている。位置合わせ又は整合ピンの利用も記載されている。接触構造が上に実装される半導体素子の接触パッド上に微細ピッチを有し、また接触構造の先端用の粗いピッチを有することの可能性が記載されている。
事例2は、多数の半導体パッケージアセンブリを開示しており、復元性のある接触構造が、2つの半導体素子の場合、印刷回路基板の両方の対向面に設けられる、1つ又は2つの半導体素子上に実装される。半導体素子を印刷回路基板に固定するために、ばねクリップとして、復元性のある接触構造を利用することが記載されている。メッキされたスルーホール内に、滑り嵌め(及び、取り外し可能に)挿入すべく、復元性のある接触構造を形成することが記載されている。整合ピンの利用も、半導体パッケージアセンブリに関連して記載されている。
事例2には、半導体パッケージアセンブリにおいて、印刷回路基板の大きなメッキ済みスルーホール内に、コンデンサといった追加のコンポーネントを組み込む旨の開示がある。
事例2には、半導体パッケージアセンブリにおいて、印刷回路基板に、コンデンサといった追加のコンポーネントを実装する旨の開示がある。
事例2には、復元性のある接触構造を使用する、多数の追加アセンブリの開示がある。
以下に続く説明には、本明細書で完全な開示を与えるという目的のために、事例1の開示と事例2の開示が幾分重なる(避けられず)ことになる。直ぐ次の項には、基板にワイヤをボンディングし、「弾力のある」(ばね材料で保護膜生成した場合に、ばねとして機能するのに適した)形状を有するように構成し、ワイヤステムとなるようにワイヤを切断し、基板に十分に固定される復元性のある接触構造を形成するために、ワイヤに保護膜を施すというステップの説明がある。
基板上の領域へのワイヤのボンディング 図1は、事例1の図1に類似しており、ワイヤボンディング装置(この図には示さず、完全なワイヤボンディング装置の例示は図2を参照されたい)の毛細管104(断面で示す)を介して送られるワイヤ102を示す。ワイヤ102は、スプール106から毛細管に送られる。毛細管104は、基板108の表面108aに向けられるため、ワイヤ102の自由端102aは、基板108の表面108aに接触して、そこに、任意の適切な仕方でボンディングされる。基板の表面にワイヤの自由端をボンディングすることは、周知のところであり、更に詳細に述べる必要はない。
図1に示すように、ワイヤ102の自由端102aは、任意に規定される「接触領域」110(点線で示す)内で、基板の表面108aにボンディングされる。この接触領域110は、任意の形状(図示では矩形であるが、円形、又は他の任意の形状とすることができる)とすることができ、とりわけ、ワイヤ102の自由端102aが、基板108の表面108aにボンディングされる場所(比較的小さな領域)よりも大きく、その場所を包囲(包含)する。
以下で更に詳細に説明するが、ワイヤ102のボンディング端102aは、以下の多くの実施例の場合、最終の「ワイヤステム」の「近位端」となる。
図1Aは、ワイヤ102の自由端102aが、基板108の表面108a上の導電端子112にボンディングされる様子を示す。基板の表面上への導電端子(又は「パッド」、或いは「接着パッド」)の形成、及びそこにワイヤをボンディングすることは、周知のところである。この場合、端子112は、接触領域110(図1を参照)を構成(規定)する。図1Aにおいて、毛細管104は、点線で示され、また型式化されている。
図1Bは、ワイヤ102の自由端102aが、ホトレジスト118の上塗り層内にエッチングされた開口116を介して、(通常、非導電性又は半導体性の)基板108上の金属(導電)層114にボンディングされる様子を示す。この場合、ホトレジスト内の開口116は、接触領域110(図1を参照)を構成する。図1Bにおいて、毛細管104は、点線で示され、また型式化されている。
図1C、1D及び1Eは、基板108の表面にワイヤ102の自由端102aをボンディングするための技法を示し、これは、半導体基板(図25、及び下記を参照)にワイヤ102をボンディングするのに好適な技法である。図1Cにおいて、毛細管104は、点線で示され、また型式化されている。図1Cにおいて、導電層120が、(図1Bのように)基板108の上部表面に配設される様子が示されている。この層120は、上部金属層とすることができ、これは通常、ダイへのボンディングを意図したものであり、パッシベーション層124(通常、窒化物)内の開口122により規定される。このようにして、接着パッドが規定され、これが、パッシベーション層124内の開口122の領域に対応する領域を有することになる。通常(すなわち、従来技術によれば)、ワイヤは接着パッドにボンディングされていた。
本発明によれば、金属材料(例えば、アルミニウム)のブランケット層126が、開口内への「浸漬」、及び層120への電気的接触を含む、層124の微細構成に一致して従うようにして、パッシベーション層124にわたって堆積される。ホトレジストのパターン化層128が、その開口132をパッシベーション層124内の開口122にわたって位置合わせして、層126にわたって施される。この技法の重要な特徴は、開口132が開口122よりも大きい点にある。明らかであるが、これによって結果として、半導体ダイ(108)上に存在する他のもの(開口122により規定されるような)よりも大きな接着領域(開口132により規定される)となる。ワイヤ102の自由端102aは、開口132内で、導電層126の上部(図で見て)表面にボンディングされる。
ワイヤ102が、ある形状(図2、2A−2Hに関連して以下で説明するような)を有するように構成され、「ワイヤステム」を作り出すために切断された(図4A−4Dに関連して以下で説明するように)後、ワイヤステムに、保護膜が施される(図5、5A−5Fに関連して以下で説明するように)。(この説明の目的のために、保護膜付きワイヤステムを、「復元性のある接触構造」130と呼ぶ。)これは、概ね例示的な仕方で、図1Dに示され、ワイヤステム(すなわち、太い実線として図1D及び1Eに示される成形済みワイヤ102)に保護膜生成する材料134は、ワイヤステムを完全に包み込み、また、ホトレジスト128内の開口132により規定された領域内で、導電層126も覆う。次に、ホトレジスト128が除去され(化学エッチング、又は洗浄等により)、基板は、選択性エッチング(例えば、化学エッチング)を受けて、導電層126から、ワイヤステムに保護膜生成する材料134により覆われる層126の部分を除いて、材料の全てが除去される。これは、結果として図1Eに示す構造となり、その重要な利点は、接触構造130が、別態様では(例えば、従来技術では)接着パッド(すなわち、パッシベーション層124内の開口122)の接触領域と見なされていた領域よりも、容易に大きくすることができる領域(これは、ホトレジスト内の開口132により規定された)に、確実に固定される(コーティング材料134により)という点にある。この場合、ホトレジスト128内の開口132により規定された領域が、接触領域(110)である。
図1Fは、ワイヤ102の自由端102aが、以下で更に詳細に説明するが、犠牲基板(例えば、そこにワイヤをボンディングした後に、溶解除去される基板)とすることができる導電性(例えば、単線の網掛けで示すような、金属性)基板108にボンディングされる様子を示す。この場合、接触領域110は図示していないが、図1に示すようにして任意的に規定される。図1Fにおいて、毛細管104は、点線で示され、また型式化されている。
上記の場合の全てにおいて、限定ではなく例示を意図しているが、ワイヤ(102)の自由端(102a)が、基板上の規定領域(110)内でボンディングされる。しかし、図面から容易に明らかなように、ボンディング(ワイヤの近位端の)自体は、規定領域(110)内で、比較的小さな領域しか占有しない。例として、ボンディング自体の小さな領域は、接触領域110の全面積のたった5%から50%とすることができるが、大なり小なり、接触領域内の中央に位置決めされる。
以下で説明するが、ワイヤステムには、それに復元性を付与して、それ自体を接触領域全体に固定する材料で、保護膜が施されることになる。
ワイヤの特性 ワイヤは、ある寸法及びある材料の伸長要素であり、以下で説明するような、ある形状(すなわち、「柔軟な」)へと容易に製造される。明らかになることであるが、ワイヤが、2つの電子コンポーネント間で電気を導通可能であることは、本発明にとって特に重要というわけではない。というのは、ワイヤは、(以下で説明する実施例のほとんどで)導電材料で全体に保護膜が施されることになるためである。しかし、ワイヤが、導電性である材料から製作されるのは、確かに本発明の範囲内である。
一般に、本発明によれば、ワイヤの「既存の」性質(すなわち、その成形及び保護膜生成能力)は、その構造的又は電気的性質を覆い隠す傾向となる。更に、ワイヤステムが、復元性のある導電材料で保護膜生成されると、ワイヤステムは、大いに余計なものとなる。
ワイヤ用の代表的な材料は、金であり、丸い(断面)ワイヤの形態の場合、約0.0010インチ(1ミル)の直径(厚さ)を有する。これには、限定ではないが、0.7−2.0ミルの範囲の直径が含まれる。ワイヤは、0.0005から0.0030インチ(1/2−3ミル)の範囲であるのが好ましい。かかるワイヤは、非常に成形性が良いもの(所望の形状へと)となり、卓越した電気導体であり、非常に利用性が良く、また長期にわたって良好な腐食耐性を示す。
金ワイヤは、幾つかの供給業者から、各種の寸法及び組成のものを容易に入手可能である。例えば、・99.99%金のベリリウム添加品、・99.99%金の銅添加品、・1%シリコン/アルミニウム合金、・1%マグネシウム/アルミニウム合金がある。
銅ワイヤは、できる限り純粋なものが好ましいが、それは又容易に入手可能であり、本発明のワイヤステムとして用いるのに適している。
ワイヤに適した他の(金以外の)材料には、それに対して、同様の直径の範囲が適用可能であろうが、以下の材料が含まれる。すなわち、アルミニウムと、所望の物理的性質を得るための少量の他の材料、例えばベリリウム、カドミウム、シリコン、及びマグネシウム等で合金化された銅、鉛、スズ、インジウム、カドミウム、アンチモン、ビスマス、ベリリウム、及びマグネシウム等の材料で合金化された、金、銅、又はアルミニウムと、銀、パラジウム、プラチナと、プラチナ群からなる材料等の金属、又は合金と、鉛、スズ、インジウム、及びそれらの合金である。
一般に、ボンディング(ボンディングをもたらすために、温度、圧力、及び/又は超音波エネルギーを用いて)しやすい任意の材料のワイヤも、本発明を実施するのに適している。
好適には、ワイヤの材料は、金、アルミニウム、銅、又はそれらの合金である。例えば、1.ベリリウム(例えば、12ppmより少なく、好適には5−7ppmの)、又はカドミウムでドーピング(合金化)された金、2.シリコン又はマグネシウムで、代替として銀又は銅でドーピングされたアルミニウム、3.銅/銀と混合されたプラチナ/パラジウムがある。
以下で更に詳細に説明するが、本明細書に記載の実施例の多くにおいて、ワイヤは、遠位端及びある長さを有するように切断される。ワイヤは、任意の所望の長さを有することができるが、通常、小さな幾何形状の半導体素子及びパッケージと関連して、その使用に見合った長さを有することになり、その長さは、0.010インチから0.500インチとなる。ワイヤは、円形の断面を有する必要はないが、そのほうが好適である。ワイヤは、矩形断面を有することも、更に他の形状の断面を有することもできる。
以下で更に詳細に説明するが(図51A及び51Bを参照)、ワイヤステムは、プラスチック等の非金属性材料から形成可能であり、また結果として復元性のある接触構造となるように、保護膜を施すことができる。
伝統的なワイヤボンディング装置には、相互剥がれを回避するために、ワイヤボンディング・ループの両端に、頑強な接着をなすことが必要である。接着強度が最も重要であり、工程制約は比較的非常に厳格である。
本発明によれば、基板にワイヤをボンディングするための制約は、大いに緩和される(例えば、従来的なワイヤボンディングと同じ状況)。一般に、ワイヤステムが、成形及び保護膜生成時に適所に留まるかぎり、接着強度は「十分」である。これは又、上記の様々なワイヤ材料を考慮するものであり、材料は一般に、それにより成形されるボンディングの頑強性以外の性質に対して選定される。
ワイヤステムの形成及び成形 ワイヤ(102)の自由(近位)端(102a)の基板(108)へのボンディングが完了すると、毛細管(104)が、基板の表面から概ね上方に(z軸方向に)移動されて、通常x−yテーブル(不図示)に実装される基板が、x方向及びy方向に移動される。これにより、毛細管と基板の間の相対運動が与えられ、これは、主に以降で、毛細管が、3軸(x軸、y軸、z軸)で移動するとして説明する。毛細管が移動するにつれて、ワイヤが、毛細管の端部から「繰り出される」。
本発明によれば、毛細管と基板の間の相対運動は、制御されて、所望の形状をワイヤに付与する。
典型的なワイヤボンディング装置の動作時、ワイヤの自由端がボンディングされ(例えば、半導体ダイ上の接着パッドに)、毛細管が上昇し(基板の表面から上の規定の高さにまで)、基板が横に移動し(通常、基板と毛細管の間で、x−y平面内の相対運動を与えるために移動するのは基板である)、毛細管が降下して戻る(例えば、リードフレーム、半導体パッケージ、その他の導電トレース上のボンディング位置へと)。ワイヤは、毛細管のこの相対移動時に、毛細管から繰り出される。毛細管(従来技術の)のこの(例えば、上方/横/下方の)移動は、略弓状の「形状」をワイヤ(真っ直ぐなワイヤでさえも、「形状」を有すると見なすことができる)に付与するが、本発明の「成形」とな全く異なるものである。
全く明らかであると思われるが、ワイヤステムは、メッキ等により保護膜生成されるワイヤステムからなる接触構造が、復元性のある接触構造として機能するように成形される。このことを意に留めると、本発明による、ワイヤの「成形」という概念が、従来技術の任意の偶発的な(すなわち、結果として復元性のある接触構造を確立することを意図しない)「成形」とは全く異なることは明白である。本明細書で用いる、ワイヤの「成形」という概念は、ワイヤが成形される仕方、すなわちワイヤの成形という根底の目的の点と、ワイヤ形状の最終の幾何形状の点において、従来技術の成形とは劇的に異なる。
以下で更に詳細に説明するが、ワイヤの近位端が基板にボンディングされると、それは、注意深く(偶発的に対して)「形成」され、「仕立て」られ、又は明確な所望の幾何形態を有するように構成され、その形態は、ワイヤの形状に一致して、コーティング済みワイヤの後続の接触構造に対して復元性を付与することになる、ワイヤにわたる後続のコーティングの物理的構成を確立するために、「骨格」と親事例で呼ばれていたものとして機能することになる。(成形済みワイヤステムに復元性を付与する以外のコーティングの他の利点は、以下で説明する。)従って、「構成」、「仕立て」、「形成」、「成形」その他の用語が、本明細書で用いられるが、それらは、復元性のある接触構造(コーティング済みワイヤ)に復元性(ばね性)を付与するコーティングに対して、最終の構成を確立するためのワイヤの能力を説明する、という意味を有するものと解釈されることを特に意図した用語である。
この特許出願を読むと、本発明が最も近く属する当該技術において通常の知識を有する者であれば理解されることになるが、一旦成形及び保護膜生成されると、ワイヤステム自体は本質的に余計なものである。すなわち、保護膜材料が、最終の復元性のある接触構造の必要不可欠な導電性、及び所望の機械的特性を与える。しかし、明らかであろうが、本発明の幾つかの実施例の場合、ワイヤステムが、導電性であることが必要とされる。というのは、電気的接触が、ワイヤステムになされることになるためである。
ある意味で、本発明のワイヤステムは、「足場」、すなわち石又は煉瓦のアーチの最終形状を確立するために、建築で使用される一時的な吊り台又は土台、と類似な仕方で機能する。この類似点の当然の帰結として、保護膜は、「上部構造」として機能すると見なすことができる。
別の意味で、ワイヤステムは、「心棒」、すなわち他の材料そのまわりに成形できるコア、と類似な仕方で機能する。
更に別の意味で、ワイヤステムは、「型板」、すなわち製作又は合成しようとする物品に対するパターン、又は模型、として機能する。
ここで理解されたいのは、足場、心棒、及び型板は通常、それらの意図した目的を果たした後に除去されるという点で、上記の類似性は完全ではない。本発明のワイヤステムの場合、保護膜生成したワイヤステムを除去する必要はないが、ワイヤステムを除去する実施例も開示している。
恐らくより的確な類似点は、ワイヤステムが、本を書く前に大筋を作成し得るといったような、「大筋」として機能するという点である。大筋は、その本がどう「あろうとしている」のかを説明し、その本に含めることもでき、又はその本が書かれた後に破棄することも可能である。いずれの場合でも、大筋は、本の最終形態を確立する。
親事例の場合、成形済みワイヤステムを、「骨格」、すなわち支持構造又は足場、と呼んだ。これも、骨格は通常適所に留まるという点で、用語の有用な選定である。上にある組織の形状を決定する人間の骨格(骨の枠組み)に似て、本発明のワイヤステムは、結果としての接触構造の形状を確立する。しかし、上にある組織が、その意図した機能を実行するために適所に留まらねばならない、また、人体の「機械的」特性に大いに関与する人間の骨格と異なり、本発明のワイヤステムは、上にあるコーティング材料が、その意図した機能を実行するために適所に留まる必要はなく、また、ワイヤステムは、最終の接触構造の機械的特性にあまり関与しない。
ワイヤステムに対して、容易に変形可能で、可鍛性で、従順な材料を用いるという重要な利点の1つは、ワイヤステムが、そこに施される保護膜に対する形状を、最終の復元性のある接触構造の物理的性質(例えば、引張り強度、復元性、等)を大幅に変更することなく確立するように、容易に構成されるという点にある。ワイヤステムが、最終の接触構造を製造する工程全体の重要な第1ステップとして機能する限り、ワイヤステムは、「手始めの」接触構造として特徴付けできる。
本発明は、半導体ダイ等の電子コンポーネントを相互接続するために、多くの場合裸眼でかろうじて見える、復元性のある接触構造を製造することを主に狙ったものであるので、ワイヤステムの貢献及び構成は、可鍛ワイヤ(14ゲージ銅ワイヤ、又は匹敵するゲージの鉛−スズ半田ワイヤ等)をある長さ(例えば、6インチ長)にし、ワイヤの一方の端部を角材内の穴に実装し、本明細書で説明する弾力のある構成(例えば、図2A、2B又は2Eのそれら)のいずれかを有する自立型のワイヤステムを手動で(手により)成形することによって、更に容易に視覚化することができる。角材に向かってワイヤステムの先端において加えられる圧縮力(例えば、ユーザの指先により加えられる数オンスの)が、結果として、ワイヤステム変形となるが、ワイヤステム自体には、「ばね性」は殆ど存在しない。本発明に従って形成された保護膜付きワイヤステムと類似性が更にあるのは、半田と同様にして成形されたスチールワイヤ(洋服掛けワイヤの6インチ長といった)であろう。その場合、スチールワイヤは、そこに圧縮力が加えられた場合、顕著なばね性(スプリング・バック)を示すことになる。(理解されたいのは、スチールワイヤは、変形可能なワイヤステムにわたる「保護膜」ではない、ということである。)容易に成形されたワイヤステム(例えば、金の)上の保護膜(例えば、ニッケルの)は、洋服掛けワイヤと類似の復元性を示すことになる。
換言すると、ある場所にワイヤの一端をボンディングし、別の場所へと移動し(上方に、及び横に、その後下方に)、その後ボンディング及び切断することを伴う、従来技術のワイヤボンディングが、最終のワイヤにある「形状」を付与すると見なしうるが、(概ね弓状の)最終形状は、比較的付随のものである。これとは反対に、本発明によれば、ワイヤは、その長さに沿った本質的に全てが、特定の機能的(初期のばね)形状を有するように、注意深く(付随ではなく)「仕立て」られ、又は「構成」される。ワイヤに復元性とすべき(保護膜生成時に)形状を付与することを説明するための他の有用な専門用語は、ワイヤを「回旋」形状(又は、「構成」)へと「回旋する」ことである。
従来技術のワイヤボンディング装置が、たとえ保護膜が施された(例えば、ニッケルで)としても、一般に、復元性のある接触構造として機能できないということは、上述の洋服掛けワイヤを角材の2つの穴内に挿入して、そこに(先端ではなく、曲線の上部において)同じ圧縮力を加えることにより、実証可能である。この「粗末な」モデルの場合でも、ばね性の損失は容易に観察できる。
以下で説明する実施例の多くにおいて、ワイヤが、少なくとも2つの湾曲部を有するように仕立てられ(構成され)、またそのことにより、本発明の形状の「仕立て」(構成、成形、形成)が、従来技術の通常1つの湾曲部を有する付随的な形状と区別される。別の意味で、本発明は、ワイヤにおいてばねとして機能することになる(保護膜生成されると)形状を、注意深く「発展させる」ことを意図するものである。
以下で説明する実施例の多くにおいて、ワイヤは、ある特定の方向で(通常、基板の表面から離れて)始まり、次いで別の方向に曲がり、その後それが始まったのと(すなわち、基板の表面から離れた)同じ特定の方向で終了する形状を有するように構成される。
図2は、図1、1A、1B、1C−1E又は1Fに関連して説明した技法のいずれか(又は、以下で説明するが、他の技法)に従って、ワイヤ202(102に匹敵)の自由端202a(102aに匹敵)が、基板208(108に匹敵)の表面208a(108aに匹敵)上の規定の接触領域210(110に匹敵)内に、既にボンディングされているワイヤ202を示す。毛細管204(104に匹敵)の初期位置は、破線で示されている。毛細管204の最終位置は、実線で示されている。基板208の表面208aは、x−y平面内にある(しかし、基板の表面全体が、平面である必要はない)。図2に実線で示される毛細管204の最終位置は、正のz方向で基板の表面から変位している。ワイヤ202は、供給スプール206(106に匹敵)から毛細管204を介して送られ、以下のようにして構成される(ある形状を有するように)。
ワイヤ202の自由(近位)端202aは、初期(破線)位置における毛細管204を用いて、「a」で表記された箇所で、基板208の表面208aにボンディングされる。毛細管204は、次に、図2に「b」、「c」及び「d」で「総称的に」表記される箇所の軌道に沿って移動して、2次元又は3次元でワイヤを成形する。
以下の説明において、説明の明瞭化の目的のために、毛細管の移動を、基板と毛細管の間の相対運動を表すものとして説明する。多くの場合、x及びy方向での移動は、基板を移動すること(例えば、基板が実装されるx−yテーブル)により達成され、z方向での移動は、毛細管を移動することにより達成される。一般に、毛細管は通常、z方向に配向される。しかし、自由度の多い毛細管を使用して、ワイヤステムの形状を構成できることは、本発明の範囲内である。
一般に、毛細管204の移動は、マイクロプロセッサに基づくコントローラ(CONTROL)222の制御下で、位置決め機構(POSN)220によりもたらされ、任意の適切な連結装置224により、毛細管204に連結される。以下で更に詳細に説明するが、これによって、その軌道を記述するために、毛細管の位置にわたる逐次制御が可能となる。
また、以下で更に詳細に説明するが、軌道の行程時に、毛細管24に連結された230、又は毛細管に直接実装され、コントローラ222の制御下で動作する(例えば、オン/オフ)適切な変換器(ULTR)により、振動(例えば、超音波)エネルギーを毛細管204に供給することも可能である。
以下で更に詳細に説明するが、毛細管がその最終(実線)位置に達すると、ワイヤ202が切断される。これは、図2において、ワイヤ202(通常、毛細管204に対して固定位置における)に隣接して位置決めされる電極232で示され、電極232は、コントローラ222の制御下で動作する電子的火炎射出(EFO)回路234から、電気的エネルギーを受け取る。
また、以下で更に詳細に説明するが、ワイヤを切断するという動作(例えば、電子的火炎射出により)は、適切な光源238から切断位置(図2で「d」の位置)に向けて(例えば、レンズ236により)紫外光を与えることにより強化可能である。以下で更に詳細に説明するが、光(238)は、ワイヤ(202)上の切断位置(d)に、又は電極(232)に、或いは電極とワイヤの間に向けられる。
以下の図において、ワイヤステムに対する多数の代表的な構成が記載されている。
図2Aは、基板208の表面208a上の箇所「a」にボンディングされた自由(近位)端202aを有するワイヤ202を示す。最終位置(図2の最終位置に匹敵)で示される毛細管204が、「a」から「b」、「b」から「c」、「c」から「d」、「d」から「e」、及び「e」から「f」への箇所の軌道に沿って移動する。箇所「a」から箇所「b」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に移動する。箇所「b」から箇所「c」では、毛細管204は、y軸方向に、基板208の表面208aと平行に移動する。箇所「c」から「d」では、毛細管204は、箇所「b」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位した(高い)箇所「d」へと、垂直(z軸)方向に移動する。箇所「d」から箇所「e」では、毛細管204は、箇所「b」と箇所「c」の間で毛細管204が移動した方向とは反対のy軸方向に(すなわち、マイナス又は負のy軸方向に)、基板208の表面208aと平行に移動する。これによって、毛細管204が、その開始箇所(「a」)の直上とすることができる(又は、そうでない)箇所(「e」)へと「戻る」。箇所「e」から「f」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に再度移動する。箇所「f」は、箇所「d」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位している(高い)。以下で更に詳細に説明するが、ワイヤは、箇所「f」で切断され、その結果、自立型のワイヤステムとなり、これは、基板にボンディングされた近位端と、基板の表面から変位した遠位端を有する。
この軌道a→b→c→d→e→fに沿った、毛細管204の移動により、ワイヤ202にU字形状が付与される。もちろん、ワイヤ202は、毛細管の軌道に実質的に一致した形状(例えば、U字形状)を得るのに十分可鍛性がある(例えば、変形可能である)ことが前提である。このU字形状は、ワイヤの2次元形成の代表例と見なされる。
以下で更に詳細に説明するが、ワイヤに好適な材料は、少量であるが、見て分かる量のスプリング・バックを示すことになり、これは、所望の形状をワイヤに付与するために、毛細管204の軌道において考慮すべきである。以下で更に詳細に説明するが、毛細管204がその最終位置(「f」)に達すると、ワイヤは、毛細管204の位置で(又は、毛細管に隣接して)切断される。
図2Bは、基板208の表面208a上の箇所「a」にボンディングされた自由(近位)端202aを有するワイヤ202を示す。最終位置(図2の最終位置に匹敵)で示される毛細管204が、「a」から「b」、「b」から「c」、「c」から「d」、「d」から「e」、「e」から「f」、「f」から「g」、及び「g」から「h」への箇所の軌道に沿って移動する。箇所「a」から箇所「b」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に移動する。箇所「b」から箇所「c」では、毛細管204は、y軸方向に、基板208の表面208aと平行に移動する。箇所「c」から「d」では、毛細管204は、箇所「b」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位した(高い)箇所「d」へと、垂直(z軸)方向に移動する。箇所「d」から箇所「e」では、毛細管204は、箇所「b」と箇所「c」の間で毛細管204が移動した方向とは反対のy軸方向に(すなわち、マイナス又は負のy軸方向に)、基板208の表面208aと平行に移動する。これによって、毛細管204が、その開始箇所(「a」)の直上とすることができる(又は、そうでない)箇所(「e」)へと「戻る」。箇所「e」から「f」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に再度移動する。箇所「f」は、箇所「d」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位している(高い)。箇所「f」から箇所「g」では、毛細管204は、箇所「d」と箇所「e」の間で毛細管204が移動した方向とは反対のy軸方向に(すなわち、正のy軸方向に)、基板208の表面208aと平行に移動する。箇所「g」から「h」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に再度移動する。箇所「h」は、箇所「f」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位している(高い)。以下で更に詳細に説明するが、ワイヤは、箇所「h」で切断され、その結果、自立型のワイヤステムとなり、これは、基板にボンディングされた近位端と、基板の表面から変位した遠位端を有する。
この軌道a→b→c→d→e→f→g→hに沿った、毛細管204の移動により、ワイヤ202にS字形状が付与される。やはり、ワイヤ202は、毛細管の軌道に実質的に一致した形状(例えば、S字形状)を得るのに十分可鍛性がある(例えば、変形可能である)ことが前提であり、また以下で更に詳細に説明するが、ワイヤに好適な材料は、少量であるが、見て分かる量のスプリング・バックを示すことになり、これは、所望の形状をワイヤに付与するために、毛細管204の軌道において考慮すべきである。また、以下で更に詳細に説明するが、毛細管204がその最終位置(「h」)に達すると、ワイヤは、毛細管204の位置で(又は、毛細管に隣接して)切断される。
このワイヤ202のS字形状は、軌道に沿った毛細管の移動時にx軸変位が存在しない場合、ワイヤの2次元形成の代表例と見なされる。明らかに、毛細管は、箇所から箇所への上述の移動のいずれか(例えば、箇所「d」から箇所「e」への移動時)と関連して、x軸に移動することも可能であり、その場合、ワイヤの形状は、単純なS字形状よりも複雑になり、またワイヤの3次元形成であると見なされるであろう。
図2Cは、基板208の表面208a上の箇所「a」にボンディングされた自由(近位)端202aを有するワイヤ202を示す。最終位置(図2の最終位置に匹敵)で示される毛細管204が、「a」から「b」、「b」から「c」、「c」から「d」、「d」から「e」、及び「e」から「f」への箇所の軌道に沿って移動する。箇所「a」から箇所「b」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に移動する。箇所「b」から箇所「c」では、毛細管204は、y軸方向に、基板208の表面208aと平行に移動する。箇所「c」から「d」では、毛細管204は、箇所「c」と同じy軸及びz軸座標にある箇所「d」へとx軸方向に、基板208の表面208aと平行に移動する。箇所「d」から箇所「e」では、毛細管204は、箇所「b」と箇所「c」の間で毛細管204が移動した方向とは反対のy軸方向に(すなわち、マイナス又は負のy軸方向に)、基板208の表面208aと平行に移動する。これによって、毛細管204が、箇所「b」とほぼ同じy軸座標であるが、箇所「b」とは別の(オフセットした)x軸座標へと「戻る」。箇所「e」から「f」では、毛細管204は、垂直(z軸)方向に再度移動する。箇所「f」は、箇所「d」よりも、基板208の表面208aから更に垂直方向に変位しており(高く)、箇所「b」とほぼ同じ垂直(z軸)座標にあり、また箇所「b」又は「c」からx軸においてオフセットしている。以下で更に詳細に説明するが、ワイヤは、箇所「f」で切断され、その結果、自立型のワイヤステムとなり、これは、基板にボンディングされた近位端と、基板の表面から変位した遠位端を有する。
この軌道a→b→c→d→e→fに沿った、毛細管204の移動により、ワイヤ202に3次元形状が付与される。やはり、ワイヤ202は、毛細管の軌道に実質的に一致したかかる形状を得るのに十分可鍛性がある(例えば、変形可能である)ことが前提であり、以下で更に詳細に説明するが、ワイヤに好適な材料は、少量であるが、見て分かる量のスプリング・バックを示すことになり、これは、所望の形状をワイヤに付与するために、毛細管204の軌道において考慮(補償)すべきである。以下で更に詳細に説明するが、毛細管204がその最終位置(「f」)に達すると、ワイヤは、毛細管204の位置で(又は、毛細管に隣接して)切断される。
図2Dは、概略的に、毛細管204の最終位置が、基板208の上にある必要はなく、エッジから外れることも、基板の表面208aの下にあることも可能であることを示す。図2Dにおいて、ワイヤ202は、基板208の表面208a上の箇所「a」にボンディングされた自由端202aを有する。最終位置(図2の最終位置に匹敵)で示される毛細管204が、「a」から「b」、「b」から「c」、及び「c」から「d」への箇所の軌道に沿って移動する。以下で更に詳細に説明するが、ワイヤは、箇所「d」で切断され、その結果、自立型のワイヤステムとなり、これは、基板にボンディングされた近位端と、基板の表面から変位した遠位端を有する。この場合、箇所「d」は、基板の表面の下にある(図2A、2B及び2Cの実施例のように上ではなく)。
箇所「a」から箇所「b」では、毛細管204は、基板208の表面208aから上方へと垂直方向に(正のz軸方向に)、また箇所「a」から離れて水平方向に(正のy軸方向に)、弓状の軌道で移動する。箇所「b」は、基板208の表面208aの上での(正のz軸方向の)、毛細管204の最大垂直(z軸)変位を表す。箇所「b」から箇所「c」では、毛細管204は、基板208の表面208aに向かって垂直方向に(負のz軸方向に)、また箇所「a」から離れて更に水平方向に(正のy軸方向に)、弓状の軌道で移動する。箇所「c」は公称的に、箇所「a」と同じz軸位置にある。しかし、留意点として、箇所「c」は、基板のエッジから外れている。箇所「c」から箇所「d」では、毛細管204は、基板208の表面208aを越えて下方へと垂直方向に(負のz軸方向に)、また箇所「a」から離れて更に水平方向に(正のy軸方向に)、弓状の軌道で移動する。従って、箇所「d」は、基板208の表面208aよりも低い(z軸)位置にあり、明らかに、基板のエッジから外れている。
この軌道a→b→c→dに沿った、毛細管204の移動により、ワイヤ202に2次元形状が付与される。しかし、軌道(例えば、箇所「a」と「b」の間の)の行程時に、毛細管に幾らかのx軸移動を付与する等によって、3次元形状もワイヤ202に付与できることは、本発明の範囲内である。やはり、ワイヤ202は、毛細管の軌道に実質的に一致した形状(例えば、S字形状)を得るのに十分可鍛性がある(例えば、変形可能である)ことが前提であり、また以下で更に詳細に説明するが、ワイヤに好適な材料は、少量であるが、見て分かる量のスプリング・バックを示すことになり、これは、所望の形状をワイヤに付与するために、毛細管204の軌道において考慮すべきである。また、以下で更に詳細に説明するが、毛細管204がその最終位置(「d」)に達すると、ワイヤは、毛細管204の位置で(又は、毛細管に隣接して)切断される。
図2Dに示すように、毛細管204は、位置「a」での垂直から位置「b」でのほぼ水平へと、その配向を変化した。これは、通常固定の垂直配向に毛細管を維持して、毛細管をz軸方向にのみ移動させ、それと同時に、基板がx軸及びy軸方向に移動される、大部分のワイヤボンディング装置において、現在のところ利用可能である能力を越えるものである。以下で更に詳細に説明するが、毛細管の垂直配向を、軌道(例えば、図2A、2B及び2Cに示す軌道)の行程を通じて維持することにより、ワイヤが、毛細管から繰り出される際に「引きずられる」ことになる。この微妙な違いは、以下で説明する本発明の特徴により対処される。
本明細書で説明した軌道のいずれかにおいて意図したのは、毛細管(204)は、z軸方向にのみ移動すること、またx軸及びy軸移動は、基板が実装されるx−yテーブルにより付与されることである。これは、全く明白であるが、図2Dに関連して示すような構成動作時に、ワイヤが毛細管から繰り出される際に、ワイヤの引きずり(粘着性)を悪化させることになろう。
図2E、2F及び2Gは、ワイヤ202が構成される他の実行可能な形状を示し、そこで、ワイヤ202は、代表的な端子212にその近位端202aがボンディングされ、ワイヤの遠位端202bは、ボールの形態の増大径の領域を有する。これらの図は、限定ではなく、容易に製造可能である多数の形状の例示を意図したものである。
例えば、図2Eの場合、ワイヤは既に、S字形状を有するように構成済みである。留意点として、図2A、2B及び2Cの実施例の場合のように、最終のワイヤステムは、基板の表面から直接離れた第1の方向(すなわち、箇所「a」から箇所「b」への)に始まり、概ね同じ方向(すなわち、箇所「c」から「d」の)で終了する。
図2Fの場合、単純なループ形状が構成され、そこで、ワイヤ202の近位端202aと遠位端202bが共に、接着領域210内でボンディングされる。このようなループは、以下で詳細に説明するが、復元性のある接触構造としてではなく、バンプ接触として機能することを概ね意図したものである。
図2Gの場合、ループ型式の復元性のある接触構造が示され、そこでは、ワイヤが、箇所a→b→c→d→e→f→g間で3次元的に構成され、ワイヤの近位端(箇所「a」)と遠位端(箇所「g」)が共に、基板に実装される(図2Fの実施例と同様にして)。この場合、自立型の構造が仕立てられ、ワイヤステムの中間部(箇所「d」と「e」の間)は、他の電子コンポーネントに対して電気的接続をなすことを意図している。
図2Hは、基板208の表面208a上の箇所「a」にボンディングされた自由(近位)端202aを有するワイヤ202を示す。最終位置(図2の最終位置に匹敵)で示される毛細管204が、「a」から「b」への箇所の軌道に沿って移動する。箇所「a」から箇所「b」では、毛細管204は、垂直(正のz軸)方向の箇所「a」から変位した位置(「b」)へと直線で移動する。箇所「b」は、箇所「a」と同じy軸座標を有するように示されているが、これは必ずしも必要ではない。更に、箇所「a」から箇所「b」へのその行程時に、毛細管204は又、正又は負のx軸方向にも移動する。いずれの場合でも、箇所「a」から「b」へと延伸するワイヤ(202)が、直線となり、基板208の表面208aに対して、直角(すなわち、90度)となる、又はある角度をなす(直角でない)こともできる。
この軌道a→bに沿った、毛細管204の移動により、ワイヤ202に2次元形状が付与される。ワイヤのスプリング・バックは、このワイヤの直線形成において重大な問題ではない。やはり、以下で更に詳細に説明するが、毛細管204がその最終位置(「b」)に達すると、ワイヤは、毛細管204の位置で(又は、毛細管に隣接して)切断される。明白であるが、直線ワイヤを形成することは、成形の「些細な」場合であり、本発明によれば、ワイヤをある形状に仕立てる技法全体に含められるが、いずれにしても、上記の他のあまり「些細」でない実施例の限定を意図するものではない。明白であるが、図2Hに示すような直線ワイヤステムは、それ自体では、弾力のある形状を呈示しない。直線ワイヤステムに沿って軸方向に向けられた力が、単純に、直線ワイヤステムを座屈させることになる。復元性のある保護膜を備えると、最終の接触構造は、幾らかの復元力を示す。他方で、自立型の直線ワイヤステムは、直線ワイヤステムに軸はずれで向けられた力に応答して(ワイヤステム自体が傾斜しているか、又はその力自体が軸はずれであるかのいずれか)、「片持ち梁」として振る舞うことになる。
ここで理解されたいのは、毛細管204の代表的な軌道を、例示の明瞭化のために、人為的に少数の箇所(a、b、c、d、等)により例示及び説明したこと、また、実際には、軌道に沿った多数の箇所が、コントローラ222内にプログラムできる(すなわち、すべきである)。
また理解されたいのは、「a」から「b」へのz軸移動、及び「b」から「c」へのy軸移動(図2A、2B又は2Cのいずれかを参照)からの変化といった、毛細管204の方向の変化の度に、ワイヤの最終の曲げ部は、鋭利な直角の曲げ部ではない、ある半径を有すべきである。
図2A、2B、2C、2E及び2Gで仕立てられた形状は全て、少なくとも2つの曲げ部を含む。一般に、対向した配向(互いから)の偶数のL字又はU字形状には、それが発せられたのと同じ正のz軸方向でワイヤを終端することが必要である(例えば、図2Eのワイヤ#は、箇所「a」から「b」へのその行程を、正のz軸方向で開始し、箇所「d」から「e」へのその行程を、同じ正のz軸方向で終了する)。このことは、各形状が、少なくとも2つの曲げ部を含み、またS字形状のワイヤステムを含む、復元性のある接触子の基礎として適した形状の「分類」を作り出すと解釈できる。
図2Eに示すようなS字形状は、単に例示に過ぎず、限定としては意図していない(又は、解釈すべきでない)。ワイヤステムに対する非常に多くの形状が、本発明によれば、復元性のある接触構造の基礎として機能することになる。しかし、重要なのは、S字形状(例えば、図2Eの)は、(例えば)上述の米国特許第5,317,479 号に示されるS字形状とは対照的に、横長であるという事実である。その特許の場合、メッキされた従順なリードが、その平行な「脚部」の表面により、電子コンポーネント上のパッドに接触する。本発明の場合、好適なのは、復元性のある接触構造が、その遠位先端により、電子コンポーネント上のパッドに接触することである。(同様にして、近位端が、復元性のある接触構造の類似の先端により、接触領域にボンディングされる。)一般に、本発明によれば、復元性のある接触構造の形状は、所与の応力、間隔、コンプライアンス、及び電気的性能基準に対して、各用途に応じて成型されることになる。
一般的な提案として、ワイヤステムに対する任意の所望の形状が、ワイヤボンディング装置を用いて仕立て可能である。以下で注記するが(図51A及び51Bを参照)、非金属性ワイヤステムの場合、ワイヤボンディング装置以外の装置を適切に使用して、弾力のある形状を有するステムが形成される。
ワイヤボンディング装置の型式 本発明は、慣用的なワイヤボンディング機器(ワイヤボンディング装置)を用いて実施可能である。しかし、幾つかの「改善」が、これらの機器に対してなされ、それにより本発明の復元性のある接触構造の形成が容易になる。
本発明を実施するのに使用できる慣用的なワイヤボンディング装置には、超音波エネルギーと、熱エネルギーと、ボールボンディング、くさびボンディング、又はワイヤの自由端と基板の間の他の適切なボンディングを形成する圧縮力との任意の組合せを使用するワイヤボンディング装置が含まれ、それらには、限定ではないが、(a)超音波ワイヤボンディング装置、(b)熱音波ワイヤボンディング装置、及び(c)熱圧縮ワイヤボンディング装置が含まれる。
本発明の1つの態様によれば、慣用的なワイヤボンディング装置の機能性は、本発明の技法を実行するのに好適に増強(強化)される。そのように修正されたワイヤボンディング装置を、本明細書では「スプリンギング機器」と呼ぶ。一般に、ワイヤボンディング装置に対する所望の修正は、以下の2つの分類に入る。
ワイヤボンディング装置に対する強化の第1の分類には、a.超音波形成ハードウェア及びソフトウェアと、b.ワイヤステムの形成を制御するソフトウェア(例えば、スプリングバック等を考慮して)と、が含まれる。
強化の第2の分類には、以下で更に詳細に説明するが、a.スパーク安定化ハードウェアと、b.階層部アーキテクチャー・ソフトウェアと、c.切断シーケンス周期を制御するソフトウェアと、が含まれる。
弾力のある形状へとワイヤを構成するために、慣用的なワイヤボンディング装置に強化した機能性を設けることが好ましいことの当然の帰結として、本明細書に開示の機能性に対する強化が、弾力のある形状を有するようにワイヤを構成する必要がない状況にも適用可能であることは、本発明の範囲内である。換言すると、本発明の幾つかの技法は、「慣用的な」ワイヤボンディング用途に対し、強化として適用可能である。
一般に、ワイヤボンディング装置は周知のところである。本明細書に開示の復元性のある接触構造実施例の大部分において、ワイヤボンディング装置は「付随的」なものであり、任意の適切なワイヤボンディング装置が使用可能である。
超音波形成 上記で説明した図2は、ワイヤ(102、202)の自由端(102a、202a)をボンディングして、図2A−2Gに関連して説明した形状に代表される(限定ではないが)、各種の形状へとワイヤを形成するのに適したワイヤボンディング・システム(ワイヤボンディング装置)を示す。ワイヤボンディング装置に対する強化(ワイヤボンディング装置をスプリンギング機器にする)が、毛細管(204)を振動させるための変換器(226、図2を参照)の追加である。
本発明の1つの態様によれば、ワイヤの形成(軌道に沿って毛細管を移動させて、2次元又は3次元形状をワイヤステムに付与する)時に、超音波エネルギーが、毛細管を介して加えられる。一般に、これは、ワイヤの曲げを更に簡単にして、他の方法ではなすのが困難な3D(3次元)形状の形成を容易にする。更に、成形(形成)時に超音波エネルギーを利用することにより、慣用的なワイヤボンディングの際のループ形成の予測性が改善される。
本発明のこの態様は又、毛細管をz軸方向に移動すると共に、テーブル(相互接続すべき電子コンポーネントが実装される)が、x軸及びy軸方向に移動する、「慣用的な」ワイヤボンディング工程(例えば、接着パッドからのワイヤをリードフレーム・フィンガに接続する)にも適用可能である。この移動時、ワイヤが、毛細管上で「ハングアップ」する(又は、引っかかる)傾向になることが見られ、これによって、望ましくない度合いの不確実性が工程に導入される。本発明によれば、毛細管(及び/又はテーブル)を移動させる間、超音波エネルギーを用いることにより、ワイヤは、毛細管からより自由に送られ、上記「引っかかり」が克服される。
一般に、以下で説明するが、ワイヤステムの生成には、ワイヤの自由端をボンディングし、毛細管を上方に(z軸方向に)移動させ、テーブルをx軸又はy軸方向に移動させることが伴う。
一般に、慣用的なワイヤボンディング技法には、供給ワイヤの自由端を基板にボンディングするステップと、毛細管を上方に(z軸方向に)移動させるステップと、基板をx軸及びy軸方向に移動させる(例えば、x−yテーブル、又は他の適切な位置決め機構により)ステップと、毛細管を果報に移動させて戻すステップと、ワイヤをボンディング及び切断するステップとが伴い、その結果として、両端でボンディングされたアーチ状のワイヤとなる。
任意のワイヤボンディング動作において、特に本発明に従ってワイヤステムを成形する工程において、ワイヤが毛細管から繰り出される際に、ワイヤが呈示するどんな引っかかりも回避することが求められる(であろう)。
本発明によれば、ワイヤステム構成する工程時に、超音波エネルギーを印加することにより、ワイヤが毛細管から繰り出される際に、ワイヤが引っかかる傾向が減少する。更に、超音波エネルギーの印加により、ワイヤが「加工」される。すなわち、弾力のある形状を有するようにワイヤを仕立てる間、ワイヤ内の粒子境界が破壊される。
超音波ワイヤボンディング装置には、既に、ボンディングを実施するために超音波エネルギーを供給する変換器が装備されている。本発明によれば、同じ変換器が、ワイヤステムの構成時にオンにされて(又は、オンのまま)、所望の形状の構成が容易になる。超音波変換器のターンオン及びターンオフは、ソフトウェアで容易に実施される。
明白であるが、毛細管が、その軌道に沿った各種の位置において配向すべき状態にあり、その結果ワイヤが常に、毛細管から真っ直ぐに送られる(図2Dを参照)ならば、毛細管へのワイヤのひっかかりは、重要な問題ではないであろう。しかし、かかる手法は、既存のワイヤボンディング装置に対して、多数の、しかし実行可能である修正を要求することになろう。
ワイヤボンディング装置において超音波エネルギーを利用することは、例えば引っかかりを低減するために、周知のところである。しかし、成形及び残留スプリングバックを低減するために、ワイヤステムの構成時に超音波エネルギーを印加して、ワイヤを「軟化」させることが好ましい。より低い超音波周波数が一般に好ましい。
超音波エネルギーを利用して、ワイヤを更に加工し易くする(及び、ワイヤが毛細管から繰り出る際に引っかかりを低減する)ことの代替手法として、本発明によれば、ワイヤが毛細管から繰り出る際に、ワイヤボンディング装置内の電子的火炎射出(EFO)特徴等により、熱をワイヤに加えて(例えば、毛細管を介して)、成形ステップ時にワイヤを軟化させる(例えば、アニール)ことができる。
超音波エネルギーを利用して、ワイヤが毛細管から繰り出る際の引っかかりを克服することの代替手法は、毛細管を介して不活性ガス又は化成ガスを供給することである。これは、単独の機能として、又は上記のような超音波エネルギーの印加と関連して実施可能であり、以下で更に詳細に説明する(図52を参照)。
ワイヤのスプリングバックの補償 ワイヤボンディング装置をスプリンギング機器にする、ワイヤボンディング装置に対する他の強化は、毛細管(基板と対向して)の相対運動によりとられる軌道が、結果としてワイヤの所望の形状となるように、コントローラ(222、図2)をプログラムすることである。
上述のように、毛細管の軌道(相対運動)は、箇所から箇所に基づいて好適に制御されて、ワイヤにある形状を付与し、ワイヤのどんなスプリングバックも、結果として毛細管軌道から逸脱するワイヤの最終形状となる。図3Aは、この「問題」を示し、そこで、点線302は、経路a→b→c→d→e→fに沿った、毛細管(例えば、図2Aの204を参照)の軌道を表し、また、実線304は、経路a’→b’→c’→d’→e’→f’に沿った、ワイヤ(例えば、図2Aの203を参照)の結果としての形状を表す。明らかなことに、箇所「a’」は、箇所「a」から逸脱しない。というのは、この箇所は、ワイヤの近位端(202aに匹敵)が固定される(基板にボンディングされる)箇所であるためである。
上記「問題」は、ワイヤが切断されると、ワイヤの長さに沿った特定部分において、毛細管の軌道を「進める」か、又は毛細管の軌道を「遅らす」形状を、ワイヤが呈することになるものと見なす(概念化する)ことができる。例えば、図3Aに示すように、箇所a’からb’では、ワイヤは、毛細管の経路a→bを遅らし(図で見て、後ろあり又は左にあり)、箇所e’からf’では、ワイヤは、毛細管の経路e→fを進ませる(図で見て、前に又は右にある)。
図3Bは、図3Aに示す問題に対する「解決策」を示し、それには一般に、ワイヤに対する所望の経路(結果としてのワイヤ形状を規定するワイヤ経路314からオフセットしている(進ませ、遅らす)「仮想」経路312に沿って、毛細管を移動させることが伴う。
図3Bに示すように、毛細管は、箇所r→s→t→u→v→wの軌道(経路)312(点線で示す)に沿って移動(行き来)させられ、ワイヤステムが切断されると、ワイヤステムは、箇所r’→s’→t’→u’→v’→w’に沿った経路314(実線で示す)上にあることになる。ワイヤは、この軌道に自身を「置く」ことになり、この軌道は、ワイヤにおける復元性(固有のスプリングバック)に起因し、かかる復元性が如何に小さくできるかは問題ではなく、毛細管の軌道からオフセットしている。(一般に、本発明によれば、ワイヤ自体の復元性は、結果としての復元性のある接触構造にとって不十分である。)図3Bの例の場合、箇所r→s間の毛細管の軌道は、箇所r’とs’間のワイヤの所望の経路を進ませる(図で見て、左に)ようにして確立され、箇所v→w間の毛細管の軌道は、箇所v’とw’間のワイヤの所望の経路を遅らす(図で見て、右に)ようにして確立される。
この結果(所望のワイヤ経路から毛細管の軌道をオフセットする)は、コンピュータ上で既に実行している設計プログラムにおいて利用可能である、所望のワイヤ経路(314)を入力し(例えば、コンピュータ作業端末上で)、ワイヤの物理的特性(例えば、厚さ、降伏強度、等)を入力して、結果として、ワイヤが切断されると、所望のワイヤ経路(314)と一致する形状を有することになる、毛細管軌道(312)を計算することによって、好適に達成される。毛細管からの「前進抵抗」(毛細管から外にワイヤを送る際の引っかかり)等の因子、及びワイヤの「加工」(形成)への毛細管振動の影響(上記で説明したような)も、結果として所望のワイヤ形状となる、毛細管の軌道を決定する際に対処すべきである。
一般に、オフセットは、2つの因子に起因することになり、すなわち(i)ワイヤが毛細管から外に繰り出される際のワイヤの前進抵抗、及び(ii)ワイヤ材料の固有のスプリングバックである。所与のワイヤの経路が、所与の軌道からどのようにオフセットするかを正確に突き止めるために、複雑なアルゴリズムを作り出すことが可能であるが、一般的に好ましいのは、所望のワイヤ形状(所与のワイヤ材料からの)の各々に対して経験的な手法を利用し、それにより、結果として所望のワイヤ形状となる毛細管軌道の見積もりがなされ、結果としてのワイヤ形状が解析されて、所望のワイヤ形状が達成されるまで毛細管軌道が修正されることである。
上述のように、ワイヤが毛細管から送り出される際に、ワイヤを加熱することによって、弾力のある形状を有するワイヤステムへと、ワイヤを形成するのが更に容易になる。ワイヤが毛細管から送り出される際に、ワイヤに熱を加えることの他の利点は、ワイヤの加熱(例えば、300℃−400℃でのワイヤのアニール)によって、ワイヤがスプリングバックする(例えば、ワイヤが切断される際に)傾向が低減される点にある。
ワイヤがスプリングバックする(例えば、切断時に)傾向を、切断工程時に有利に用いることができ、これは以下で更に詳細に説明する。一般に、ワイヤが切断される際にスプリングバックする「態勢にある」ワイヤステムの先端は、毛細管から離れて(及び、EFO電極から離れて)移動することになり、そのことは、供給スプールの端部においてボールの形成を制御するのに役立つ。
複数の毛細管を同時に使用して、複数のワイヤステムを製造可能なことは、本発明に範囲内である。例えば、一度に動作する2つの毛細管(例えば、二連の)が、「単独」の毛細管よりも2倍多いワイヤステムをボンディング、及び仕立てることができる。10個の毛細管は、10分の1に製造時間を短縮する、等である。これは、直線又は矩形アレイに有用であり、そこでは、複数のワイヤステムに似たものが、電子コンポーネントの表面上に繰り返し可能なパターンで製造される必要がある。
従来技術において、スプリングバックの補償は、伝統的なワイヤボンディング・ループを成形する際に、ある行き過ぎ量が注意深く誘導されるという意味で、一般に知られている。
ワイヤの切断 上述のように、ワイヤ(202)の近位(自由)端(202a)が、基板(208)にボンディングされて、ワイヤ(202)が、所望の形状へと仕立てられると、ワイヤ(202)は切断されるが、これは、電子的火炎射出(EFO)電極(232)により発生されたアーク等による。切断されると、ワイヤは第2の(遠位)端を有することになり、ある形状へと既に仕立てられ(構成され)ていると、「ワイヤステム」であると見なされる。
本発明の1つの態様によれば、EFO電極(カソード)に光電子放出を行うことにより、アーク/プラズマ形成が安定化されて、信頼性の良い且つ予測可能なワイヤ切断挙動が生み出される。この技法は、負のEFO又は正のEFOと関連して利用でき、「光電子支援式スパーク安定化法」(PASS)と呼ばれる。
図2に示すように、光源238が、毛細管204の先端の直下といった、ワイヤ202を切断すべき位置に光を向ける。光は、ワイヤ202に合焦されるように示されているが、好適には、アノード又はカソードとすることができる電極232に合焦される。
好適には、光は184nm又は254nmの波長の紫外(UV)光であるが、切断に対する改善は、異なる波長の光によっても達成可能である。
図4A(例示の明瞭化のために、光源238は省略)に更に詳細に示すように、基板408(108に匹敵)上の端子412(112に匹敵)に既にボンディングされているワイヤ402(102に匹敵)が、毛細管404(204に匹敵)の直下に配置される電極432(232に匹敵)により切断される。この結果として、ワイヤ402が2つの部分へと切断される。すなわち、(a)基板にボンディングされる下側ワイヤステム部430、及び(b)スプール(不図示、図2の206を参照)から毛細管404を介して延伸する、上側供給部431である。
図4Bに示すように、事例1の図7bと類似であるが、この結果として、ワイヤステム430の遠位先端において、ボール(増大径の領域)が形成され、また同様のボール436が、虚旧ワイヤ431の自由端に形成される。これらのボールは、以下の理由で重要である。すなわち、(a)任意として、ボール414は、ワイヤステム430の先端に「輪郭」を与え、このことは、ワイヤステムの遠位端により、電子コンポーネントに対して相互接続をなすのに有利であり、(b)ボール436は、供給ワイヤ431の自由端と基板の間で後続のボンディングをなし、基板上に別の(後続の)ワイヤステムを形成するのに非常に適している。
毛細管から送られるワイヤの供給側へのボールの形成(直ぐ上の(b)を参照)は、ワイヤの後続のボンディングにとって本質的ではなく、またスループットに対して重大な問題を表す。慣用的なワイヤボンディング装置の場合、工程は、高度に自動化された方式で実行することを意図している。後続のボンディングをなす前にボールの存在をチェック(検査)することが知られており、ボールを有さない欠陥が、工程を遮断することになり、これには手動の介入が必要である。
本発明によれば、電子的火炎射出ワイヤ切断と共に光電子放出を利用することによって、ボール形成、及びボール寸法分布が改善され、ボール欠落の発生頻度を低減することが分かっている。かかるワイヤの光電子支援式スパーク切断は、いずれの(汎用)ワイヤボンディング動作と関連しても利点があり、更に低いピーク電圧状態の下で工程を実行するといった、各種のEFO回路修正と関連して利用可能である。
一般に、技術的な観点から、本発明の光電子支援式スパーク安定化(PASS)技法は、電界支援の光電子放出を利用して、降伏(ワイヤを切断するアーク)を更に安定化し、また切断の切断高さ(z軸座標)を更に制御可能とする。ワイヤの切断高さを正確に制御できるという上記後者の特徴の利点は、以下で更に詳細に説明する。
上述のように、光(238、図4には示さない)は、ワイヤの切断を所望する、ワイヤ上のスポットに合焦される。これは、正のEFOを用いるワイヤボンディング装置の場合に好適であり、そこでは、スパークがワイヤにおいて開始する。代替として、光は、電極を含む領域を投光照射することもできる。これは、負のEFOを用いるワイヤボンディング装置の場合に好適であり、そこでは、スパークが電極において開始する。いずれの場合でも、紫外光を用いることは、周囲のガス状成分が雪崩降伏する際に役立ち、また電子が、電極からワイヤへと(又は、その逆)進むことを「更に容易に」する。一般に、投光照射(例えば、負のEFOと関連した)は、自己選択性となり、また合焦照射(例えば、正のEFOと関連した)よりも信頼性が良くなる傾向がある。投光照射の場合、電極の鋭利な先端が、切断を生じることになる、ワイヤ上の点を「選択」する。
慣用的な連続送りボールボンディングの場合、高電圧アーク(又は、EFO)を用いて、各表面ボンディングの発生の中間で、ワイヤが切断される。連続ボールボンディングのワイヤ切断段階は通常、2次表面ボンディングを形成した後に、ワイヤをせん断することにより達成される。一般に、せん断されたワイヤの仕上げ高さは厳密でなく、従って切断されたワイヤにおいて均一な高さを生成する、EFOの能力は重要ではない。
この状況とは対照的に、ワイヤ高さの均一性は、本発明の連続送りの復元性のある接触子を形成する工程においては、非常に重要である。EFOの切断高さを直接制御可能である能力は、最終結果の品質に影響を及ぼす。というのは、接触子のアレイの均一性、及び平面性は、この能力の直接関数であるためである。
本発明によれば、紫外光を利用して、ワイヤの切断に高電圧アークを用いる場合、ワイヤ切断の均一性、及びスパーク降伏が安定化される。2つの電極間のガス内に高電圧アークを形成することは、雪崩工程であり、そこでは、絶えず増大する電子の滝によって、帯電プラズマが、放電のアノードとカソード間に形成されるまで、益々イオン化分子が生成される。通常、アークの開始には、カソード電極における電界放出が、降伏を開始するのに少数の電子を供給することが必要である。
本発明によれば、紫外(UV)ランプを利用して、EFO放電のカソード要素において、光電子の生成を刺激するために、カソード電極が照射される。これによって、印加された高電界状態の下でカソードにおける自由電子の生成を刺激する、3−5eV(電子ボルト)UV(紫外)光子を用いることにより、放出に必要な閾値電界が低下される。カソードの役割は、切断電極(好適な、負のEFO構成)か、又は連続送りワイヤ(正のEFO代替実施例)により果たすことができる。投光UV照射か、又は合焦UV照射が利用できる。正のEFOの場合のワイヤの合焦照射は、ワイヤ上の電子放出箇所を局所化することになり、切断プラズマが最初に形成される箇所を制御することにより、ワイヤ高さを制御するのに役立つ。投光照射もワイヤ高さの安定化装置として機能する。というのは、それが、カソードと電極間のアーク形成を安定化するためである。
電子的火炎射出時に紫外光を供給することに起因した、ボール形成の改善は次のことの結果である、と考えられる。慣用的なワイヤボンディング装置の場合、火炎射出電極(例えば、232)における電圧は、ある回路(例えば、234)により制御される。電極上の電圧は、増大して(例えば、ゼロから)、点火期間時に(スパークが大なり小なり短絡回路として機能する)著しく減少する。点火期間の持続時間は、制御回路(例えば、222)内の「ウォッチドッグ」型式のタイマーにより監視されて、それにより設定された所定の持続時間を越えた場合、ボールは形成されなかったと想定される。この工程は、本質的に幾分不確定なものであり、複数の「試行」が、あるピークと、そのピークからの統計的偏差を有する統計的(例えば、釣り鐘形状)曲線として、グラフ化され得る。一般的に考えられるのは、EFO時に紫外光を供給することにより、グラフの傾きがピークの「右」(時間で)へと増大し、それによって、所定の時間期間を越える発生が低減されて、規定の時間期間内でのボール形成の公算が増大される、ということである。従って、電子的火炎射出時に紫外光を供給することによって、スパークのオン設定時間が短縮されるだけでなく、ボール生成の失敗を表すタイムアウトが大幅に低減される。
電子的火炎射出(EFO)技法を用いて、毛細管の先端の直下でワイヤステムを切断することに関連して、本発明を説明したが、機械的手段等の他の装備を用いて、また毛細管内といった他の位置において、ワイヤを切断可能なことは、十分に本発明の範囲内である(例えば、ワイヤが、毛細管(ボンディング・ヘッド)内で切断される、上述の米国特許第4,955,523 号を参照)。しかし、ボール形状をワイヤステムの遠位端に付与することが所望の場合、追加のステップ(別個のボール形成)を実行することが必要であろう。
本発明の1つの態様によれば、ワイヤ溶融及びボール形成が、2つの別個の順次ステップ(1つのステップに組合せられるのではなく)で実行される。ワイヤステムが、まず溶融(切断)され、次にボールがそれらの端部(先端)に形成される。この結果として、更に緊密なワイヤ高さ分布となり、これは、複数のワイヤステムの先端の共平面性を保証するうえで重要であり、その本発明の特徴は、以下で更に詳細に説明する。
図4Cは、電極432からのアークにより既に切断されて、基板408の表面から延伸するステム部430と、送り部431を有するワイヤステムを示す。この場合、アークの強度は、大幅な寸法のボール(図4Bの434と436に匹敵)を形成せしめることなく、ワイヤの切断にだけ十分であるように制御(最小化)される。図4Bに示すボール434と436に匹敵するボールが、ボールを形成するのに適した任意の技法を用いて、後続のステップで形成可能である。ワイヤのステム部(例えば、430)の先端上にボールを形成することなく、ワイヤの供給部(例えば、431)の先端上にボールを形成することは、本発明の範囲内である。
図4Dは、ワイヤの供給部431の先端上へのボールの形成を制御する際に有利となるように、ワイヤがスプリングバックする(切断時に)傾向を使用することを示す。電極432においてスパークを発生させる前に、毛細管404が、x又はy軸方向に約0.5mm(ミリメートル)移動する。(更に正確には、x−yテーブルにより移動されるのは基板である。)EFO電極432が、毛細管404と共に移動する。この図において、毛細管及びEFOは、ワイヤのワイヤステム部430に相対して、左に移動するように示している。この毛細管/EFOの横方向変位は、ワイヤステム部430を、ワイヤの切断時に右に(図で見て)スナップさせる。これは、以下の点を含む、多くの重要な利点を有す。
(a)スパーク放電に先立って毛細管を移動させることにより、ワイヤは、予備負荷されて、最小の刺激(例えば、スパーク)で自身を切断する「態勢」となる。これは、ナイフで糸を切る前に糸をピンと延ばすことと同じである。
(b)ワイヤステム部(430)が、通常は接地への最短経路を表すが、そのワイヤステム部を、ワイヤが切断されると直ちにEFO電極から離してスナップさせることにより、結果として、供給部(431)が接地への最短経路となる。一般に、EFO電極により虚窮されるスパークは、接地への最短経路を「探し求める」ことになる。このようにして、ワイヤの供給部の先端でのボール形成が、更に容易に制御される。
上述のように、後続のボンディングのための、ワイヤの供給部の先端でのボール生成の失敗が、結果として工程の遮断となる。更に微妙な問題点は、不確定寸法のボール(例えば、436)は、ボンディングの開始には適合するが、結果として、ワイヤボンディング工程にわたって、不確定なz軸制御となる可能性がある。供給ワイヤの端部にボールがあると想定されるだけでなく、ある種の再現可能な寸法であることも予想される。本発明の技法(例えば、紫外光、ワイヤの予備負荷)は、ボール成形を保証するのに役立つだけでなく、ワイヤの切断時に形成されるボール寸法の均一性も保証する。
ワイヤステムのコーティング 本発明によれば、ワイヤが、基板にボンディングされ、ある形状を有するように仕立てられ、遠位端を有するワイヤステムとなるように切断されると、結果としてのワイヤステムは、コーティングされる。
一般に、ワイヤステムに施されるコーティングは、以下で更に詳細に説明するが、ニッケル、コバルト、銅、及びそれらの合金といった金属等の導電金属性材料である。
保護膜付きワイヤステムは、「復元性のある」及び/又は「従順な」接触構造であると見なされ、それにより一般に、その糸状(復元性のある)特性(例えば、可塑変形がないコンプライアンス)が、保護膜材料の機械的特性、及びワイヤステムの弾力のある形状から導かれる。復元性のある接触構造のばね性全体は、これらの集約して「組織化」(選択)された特徴である。
この説明を続ける前に、本明細書で用いる幾つかの用語を明瞭にしたほうが都合が良い。すなわち、・「柔軟な」とは、破壊することなく、容易に曲げ又はねじられる物の能力のことを言い、特に、本発明のワイヤステムに適用できる。
・「復元性のある」とは、圧縮又は偏向された後に、その元の形状又は位置を再開する物の能力のことを言い、特に、本発明の保護膜付き接触構造に適用できる。
・「弾性的な」とは、偏向(圧縮又は伸張)力に抵抗し、圧縮力が除去された後に、その元の形状を再開する物の能力のことを言う。一般的なばねは、弾性的な挙動を示す。「弾性的な」は、「復元性がある」と同じ意味である。
・「可塑的な」とは、破壊することなく、変形される物の能力のことを言い、「柔軟な」と同じである。
・「従順な」とは、本明細書で用いる限り、弾性及び可塑性の両方を示す物のことを言う。この意味で、「従順な」という用語は、「復元性のある」という用語よりも広義である。柔軟な(可塑的な)ワイヤステムと、復元性のある(弾性的な)保護膜を有する、本発明の接触構造は、従順であると見なすことができる。
例えば、本発明の技法に従って形成された従順な接触構造は、弾性変形(純粋な柔軟性)、及び可塑変形(純粋な柔軟性)を示し、例えば全体で10ミルの偏向に対して、弾性は3ミルで、可塑性は7ミルである。一般に、この弾性に対する可塑性の比率は、保護膜(すなわち、所与のワイヤステムに対して)の材料組成により、容易に調整される。例えば、純粋な軟質ニッケルは、弾性に比較して、相対的に大きな量の可塑性を示す。コーティング材料の関連のある機械的特性には、厚さ、降伏強度、及び弾性率が含まれる。一般に、厚さが大きくなるほど、降伏強度は高くなり、保護膜材料の弾性率は低くなって、結果としての復元性のある接触構造の復元性は大きくなる。
一般に、ワイヤステム自体は、結果としての復元性のある接触構造の機械的挙動に悪影響を与えることなく、保護膜材料に対して、「形態維持」の形状を単純に確立することを意図したものである。上述のように、これは、「足場」の目的と類似であるが、ワイヤステムは、それに保護膜が施された後、適所に留まることができる。
図5は、事例2の図5と類似であるが、基板508(108、208に匹敵)上の端子512(112に匹敵)にボンディングされた近位端502a(202aに匹敵)を既に有しており、ある形状(例示の目的だけであるが、図2Bに示す形状に類似した)を有するように既に仕立てられており、また、遠位端にボール534(434に匹敵)を有するように既に切断されている、ワイヤ502からなる代表的なワイヤステム530(202、330に匹敵)を示す。
図5に示す代表的なワイヤ形状は、復元性があり、ばねとして機能し、またワイヤステムに下方へと軸方向に(すなわち、概ねz軸方向に)向けられる力(「F」で表記)に反作用することが可能である。しかし、上述のように、ワイヤステムが復元的であるには、それ自体が、有意な含有量の復元性材料を有さねばならず、また金(半導体相互接続用途に応じた「選定材料」)には、復元性がない(それは、加えられた力に応答して、容易に可塑変形する)。更に上述のように、復元性のある接触構造を形成する能力は、広範な用途にとって望ましいことであろう(ことである)。明らかに、ワイヤに付与される特定の形状に依存して、ワイヤ自体に復元性がある(ばねとして機能可能)ならば、莫大な量の力が、ワイヤステムの近位端(ボンディング部502a)におけるボンディングに付与可能であり、その結果、電子コンポーネント間にワイヤステムによりもたらされる相互接続のボンディングの破断、及び全体的な欠陥となるであろう。本発明の鍵となる特徴は、この問題を回避することである。
本発明によれば、1つ以上の層が、ワイヤステム530上に、メッキ等によりコーティングされ、多層の場合、最外(上部)層が導電材料である。ワイヤステムをコーティングすることにより達成される主要な結果は、(a)特に、ワイヤステム自体が、本質的に復元性のない材料(例えば、金)からなる状況において、保護膜付きワイヤステムからなる接触構造に復元性を付与すること、及び(b)基板へのワイヤステムの固定を改善することである。
図5は、ワイヤ502を包み込み(の全体を覆い)、すなわちワイヤ502を覆う第1の、内部コーティング層520と、第1の層520を覆う第2の、外部(上部)コーティング層522からなる多層(2層コーティング)を有するワイヤステム530を示す。第1の層520は、ワイヤ502の近位端502aがボンディングされる端子512(112に匹敵、図1A)を覆い、そこにワイヤを固定する(すなわち、ワイヤのボンディング固定を大いに増強する)。第2の層522は、端子512の領域において、第1の層520を覆い、端子へのワイヤ502の固定を増強する。ワイヤステムに保護膜生成する2つの層520と522は同じ状況にあり、一方(又は、両方)が、(別態様では復元性のある)ワイヤステムに復元性を付与し、外部層(又は、両方の層)が導電性である。
例えば、・ワイヤ(502)は、軟質金材料からなり、0.0007−0.0020インチの直径を有し、・内部コーティング(520)は、5−10マイクロインチの厚さを有する、銅「ストライク」であり、・外部コーティング(522)は、ニッケルからなり、0.0020インチの厚さを有する。
一般に、銅等のコーティングは、2つの理由で選定される。すなわち、(i)下にあるワイヤステムのメッキ能力を強化するため(周知のように、幾つかの材料が、例えばニッケルでメッキするのに様々であるのは有名なところである)、及び/又は(ii)結果としての保護膜付きワイヤステムに対して、良好な導電特性を保証するため(銅が、電気の良導体として知られている)である。
一般に、ニッケル、又はその合金等のコーティングは、その機械的特性に対して選定され、それらの中には、印加力に弾性的に反作用可能である、その高い降伏強度、及び復元性のある接触構造を接触領域(例えば、端子)に確実に固定可能である、その能力がある。
幾つかの例では、上部(例えば、第3の)保護膜層が、半田付け性その他を与え、接触領域の材料と直流的に互換性があることが望ましいことであろう。かかる例の場合、例えば、約100マイクロインチ(0.0001ミル)の厚さを有する、薄い上部コーティング硬質金が適切であろう。
高周波用途の場合、電流が、コーティングされたワイヤステムの外部層に沿って分布する傾向がある。かかる場合には、金は、多層保護膜の外部層として良い選択である。
図5Aは、ワイヤステムに保護膜生成し、それを包み込み(完全に覆い)、基板508上の端子512を包囲する、1つの層540(図5の多層保護膜520/522に対して)のみを有するワイヤステム530を示す。図5に示す例の場合のように、ワイヤ502の近位端502aは、端子512にボンディングされて、ワイヤ502の遠位端には、ボール534が設けられる。この場合、コーティング層540は、復元性があり、且つ導電性である。
例えば、・ワイヤ(502)は、金材料からなり、0.0007−0.0020インチの直径を有し、・コーティング(540)は、ニッケル材料からなり、0.0005−0.0030インチの厚さを有する。
図5Bは、ワイヤステムに保護膜生成し、それに覆いを付け(部分的に覆い)、端子512を包囲する、1つの層544のみを有するワイヤステム530を示す。この場合(覆い付け)、保護膜層544は、ワイヤステムの近位端502aから、ワイヤステムの遠位端534に部分的にのみ向かって延伸する。好適には、及び重要なのは、保護膜544が、図示のように、ワイヤステムの曲げ部を包み込むことである。一般に、ワイヤステムの垂直(図示のような)端部は、復元性のある接触構造の全体の復元性に寄与しない。この場合、重要なのは、ワイヤステム530自体が、導電性であることである。というのは、ワイヤステムが、コーティング(544)から突き出て、電子コンポーネント(不図示)上の接触パッド(不図示)に対して電気的接触をなすためである。
例えば、・ワイヤ(502)は、金材料からなり、0.0007−0.0020インチの直径を有し、・コーティング(544)は、ニッケル材料からなり、0.0005−0.0030インチの厚さを有する。
図5Cは、図5A(540に匹敵)と同じようにして、単一の層548で保護膜生成されたワイヤステム530を示す。この場合、層548には、ワイヤステムの長さに沿って長手方向に間隔を開けた、外部表面上の超小型突起が設けられる。かかる「ギザギザの」コーティングは、「樹枝状」と言われることがある。これらの突起、又は表面不規則性は、多数の方法で、例えばメッキ槽(以下で説明する)内の処理条件を調整して、先鋭な根粒を層548内に形成せしめることにより生成できる。これは、超小型突起が設けられる多層コーティング(522に匹敵、図5)の外部導電層の代表例である。
例えば、・ワイヤ(502)は、金材料からなり、0.0007−0.0020インチの直径を有し、・コーティング(548)は、共堆積のための周知の技法を用いて、0.0005−0.0030インチの厚さにまで堆積されるニッケル材料でり、共堆積の「異質の」(ニッケルでない)粒子は、シリコンカーバイド、アルミナ、ダイアモンド又はその他(導電材料及び非導電材料が共に利用可能である)が適しており、約3μmの直径を有する。かかる共堆積の結果として、コーティングの外部表面上のギザギザのピークとなり、そのピークは、約0.0005インチの平均ピーク高さを有する。共堆積は又、溶液内の問題とする鉄と同じ材料の粒子(例えば、ニッケルメッキ槽内のニッケル粒子)で実施可能である。
「ギザギザの」コーティング(例えば、502)を形成するための別の技法(すなわち、上述の共堆積以外の)は、電気メッキに関連して、「異常に」高い電流、及びメッキ溶液無いの「異常に」低い濃度を利用することである。これは、周知のように、「超小型樹枝化」効果を生み出すことになり、そこで、根粒がメッキ内に形成される。
図5Dは、超小型突起(図5Cに関連して説明したような)が設けられる内部層552(520に匹敵、図5)からなる、多層コーティングで保護膜生成されたワイヤステム530を示す。内部層552の頂部に堆積された外部の「正常な」順応層556が、「正常な」仕方で(突起を備えさせることなく)堆積されて、内部層552の超小型突起の幾何形状に順応して、超小型突起を呈示することになる。(例えば、金のストライクを、超小型突起を有するニッケル層にわたって施すことができる。)これは明らかに、(i)多層コーティングを所望して、(ii)それが、内部層において超小型突起を形成しやすいという意味において望ましい。
図5Eは、本発明の1つの実施例を示し、そこでは、ワイヤ502が、その近位端502aにおいて、基板508上の端子512にボンディングされて、代表的な単一層導電コーティング562で保護膜生成される。この場合、端子512を包囲する領域を含む、ワイヤステム530の低い方の部分全体が、塊564内に埋設される。塊564は、銀粒子で充填されたシリコンゴム等の導電ポリマー塊が好ましく、ワイヤステムにより呈示されるどんな寄生インダクタンスをも低減するように機能する。塊564の適切な電気的特性は、10-2から10-6オーム・センチメートルの範囲内の導電率である。塊564の材料は、「漸動」しないように、すなわちワイヤステム530の移動(復元性、従順性)に重大な悪影響(制約)を与えないように選択される。
例えば、・ワイヤ(502)は、金材料からなり、0.0007−0.0020インチの直径を有し、・コーティング(562)は、ニッケル材料からなり、0.0005−0.0030インチの厚さを有し、ポリマー塊(564)は、10と60の間(30と50の間等の)のショアA硬度を有する。一般に、ポリマー塊は、それが、接触構造のコンプライアンスを重大に害さないように選定される。利用可能となるところの真性導電ポリマーが、ポリマー塊(564)に対して利用できることも、本発明の範囲内である。
エラストマー塊564の主要目的は、ワイヤステムの全長よりも短い導電経路を、ワイヤステムの遠位先端と近位端の間(又は、もっと正確には、ワイヤステムの遠位先端に最も近い、端子512上の箇所)に設けることである。2点間の最短経路は直線であり、ポリマー塊を、点線で示される領域内にのみに設けることは、本発明の範囲内である。
図5Fは、基板上の端子512(212に匹敵)から延伸する、代表的な、保護膜付き、自立型の、復元性のある接触構造530(図2Eの成形済みワイヤ202に匹敵)を示す。この例示において、接触構造530(そこに加えられる力はなく、実線で示される)の遠位端(先端)530bは、基板の表面の上の位置「A」にある。復元性のある接触構造530の遠位端を介して軸方向に(基板508に向かって)加えられる、矢印「F」で示される力は、復元性のある接触構造530を、点線で示すように偏向させるため、接触構造の先端は(そこに加えられる力により)、基板の表面の上の位置「B」になる。偏向力「F」は、それ自体電子コンポーネントとできる基板508を、別の電子コンポーネントに対して押し当てることから得られ、2つの電子コンポーネント間に、復元性のある接触構造を介して相互接続がもたらされ、又はその逆となる。
位置「B」は、位置「A」よりも基板508の表面に近い。これら2つの位置(AとB)間に、位置「C」が示されている。使用時に(例えば、2つの電子コンポーネント間の相互接続として)、力(F)が加わると、復元性のある接触構造は、まず、位置「A」から位置「C」へと可塑的に変形して、更に力(「F」)が加わると、位置「C」から位置「B」へと弾性的に(復元的に)変形することになる。
この可塑的変形と弾性的変形の組合せは、「従順性」(「復元性」に対して)により意味されるものであり、必ずしも悪くはなく、複数の接触構造の先端が、表面が完全には平坦でない、印刷回路基板(PCB)といった電子コンポーネントに、均一に接触しない場合に、接触子から接触子への均一な接触力を保証するうえで非常に好都合である。PCBの表面に最初に当たるそれらの接触構造は、PCBの表面に最後に接触するそれらの接触構造よりも、更に可塑的に変形することになるが、全ての接触構造が被る圧縮力は、かなり均一なものとなる。
代表的な復元性のある接触構造(例えば、図5Fの530)は、本発明によれば、0.0100−0.1200インチの全体高さ(すなわち、z軸での、基板の表面から接触構造の遠位端までの距離)を有し、0.1と20.0g/ミル(1インチの1000倍当たりのグラム)間、好適には0.5と5.0g/ミル間のばね定数(「k」)を恐らく(すなわち、大部分の考えられる限りの用途に対して)有することになる。
当該技術で通常の知識を有する者には明らかなように、「好適な」ばね定数を説明することは困難であり、接触構造の復元性、及び/又は従順性は、特定用途の要求事項により左右される。弾性と可塑性の実際上考えられる限りのどんな組合せも、上記の技法に従って、ワイヤステムの厚さ、形状及び材料と、保護膜の材料及び厚さを操作することにより達成可能である。しかしながら、この説明の目的のために、3.0g/ミルのばね定数(「k」)が、本発明の接触構造を用いて半導体ダイに接続する(ダイに直接実装されるか、又はプローブとして)といった電子技術用途にとって、概ね「好適」である。接触構造の全体コンプライアンスは、可塑変形(例えば、位置「A」と「B」間の距離)の最大で15ミル(0.015インチ)が適切で、弾性変形(例えば、位置「C」と「B」間の距離)の最大で3ミル(0.003インチ)が適切である。弾性と可塑性の相対的寄与は、個々の用途に対して容易に合わせられる。例えば、介在体上の接触構造は、可塑変形の5ミルと弾性変形の5ミルとして割り当てられる、全体で10ミルの変形を呈示するように製造できる。実質的に「純粋な」弾性を呈示する接触構造も、製造可能である。
コーティング技法、材料、及び厚さ メッキによりワイヤステムにコーティングを施すという可能性を上述した。本発明によれば、多数の異なる技法を用いて、結果としての復元性のある接触構造の機械的、及び化学的性質を確立するために、ワイヤに保護膜を施すことが可能である。
ワイヤステムに施されるコーティングの顕著な(例えば、重要な)特徴は、それが連続的である、換言すると、ワイヤステムの全長に沿った同質材料から形成される点にある。このように、コーティングの組成又は加工性における不連続性を注意深く回避することにより、恐らく、結果としての復元性のある接触構造を繰り返し屈曲させることから欠陥へと至る傾向がある局所応力点の発生が最小化される。
一般に、コーティングの材料は、ワイヤの材料よりも大幅に強く、結果としての接触構造に所望の「ばね性」を付与する。
コーティングは、多数の容易に利用可能な技法を用いて、施すことができ、それら技法には、限定ではないが、以下のものが含まれる。すなわち、(a)金属の電解又は無電解水溶液メッキを含む、湿式電気化学的技法と、(b)ニッケル及びその合金からのニッケルの電気メッキ、又は標準的なニッケル硫酸塩溶液からのニッケルの電気メッキ等の電気メッキであって、この方法は、200,000psiを越えるといった、平方インチ当たり80,000ポンド(80,000psi)を越える引張り強度を有するワイヤステム上に、制御された厚さのコーティングを堆積させることが可能である、電気メッキと、(c)蒸発及びスパッタを伴う任意の工程を含む、化学的蒸着法(CVD)、マイクロ波強化CVD(MECVD)、物理的蒸着法(PVD)、その他と、(d)ガス状、液体、又は固体の先行物質の分解を介して、材料(例えば、導電材料)の堆積を引き起こす、多数の工程(CVDは、かかる工程のうちの1つである)のいずれかと、(e)ワイヤステム上に半田を堆積させるための、ウェーブ半田付け、又は電解堆積の半田である。
上述の湿式電気化学的、及び電気メッキ工程は、一般に、「標準的な」手順に従って実施され、また溶融塩、イオン化溶液、その他を用いて実施可能である。
本特許出願の目的のために、上記の技法のいずれかに従ってコーティングを設ける工程は、集約して、「保護膜生成」(ワイヤステムの)と呼ぶことにする。
本発明の復元性のある接触構造を説明するうえでの有用な類似点は、事例1にて説明したが、ワイヤステムが「骨格」であると、またワイヤステム上のコーティングが「筋肉」であると構想化する点にある。というのは、結果としての接触構造の形状を規定するのが、ワイヤステムであり、またワイヤステムに顕著な機械的特性(例えば、復元性)を付与するのが、コーティングであるためである。上記で注目したように、更に有用な類似点は、成形済みワイヤが、「足場」又は「心棒」であると見なされる点にあり、これは主に、保護膜の結果としての形状を確立するように機能する。
一般に、工程にとっての保護膜生成(例えば、メッキ)の重要性は、強調不足であり得ないし、また認識不足であるべきでなく、保護膜は、結果としての接触構造において、主要な構造的要素として機能する。
過去において、メッキは一般に、下にある構造の特性を強化可能である1つの工程と見なされてきた。これには、下にある構造の腐食を回避し、下にある構造の外観を変更し、また下にある構造の表面に所望の特性(半田付け性といった)を付与するためのメッキが含まれるであろう。換言すると、メッキ自体は、一般に、それ自体及び単独で「終わり」と見なされなかった。すなわち、メッキされた構造は、下にある構造自体の性質に頼って、それらの意図した機能を実行するためである。例えば、自動車のバンパーは、メッキされなくても全く十分に機能する。すなわち、メッキは、腐食に対する保護と共に、美的外観を与えるためである。
上記等の慣用的な電子的相互接続において、例えば、上述の米国特許第5,317,479 号の場合、メッキは、下にあるリード構造の半田付け性を強化するために用いられる。リード構造が相互作用状態にないと、従順なリードの概念は崩壊する。
「心に刻まれた」慣用的なメッキとは対照的に、本発明は、所望の機能性を達成するメッキ(すなわち、保護膜材料)に頼るものであり、実際それが全てである。ワイヤステムが、実際上その完全性において、それに保護膜生成したのちに、どのようにして除去できるか、また結果が、依然として完全に機能する復元性のある接触構造となることを、以下で説明する。(しかしながら、セラミック、ワックス、プラスチックその他の心棒上へのメッキ工程は、レコードプレーヤー記録原盤制作、自動車用のラジエータ、等に使用されてきたことは認められる。)本発明による、復元性のある、及び/又は従順な電気的接触構造に関連したコーティング(例えば、メッキ)の説明に戻ると、コーティング(すなわち、ワイヤステムにわたった多層コーティング内のコーティング層のうちのいずれか1つに対する)に適した材料には、限定ではないが、以下のものが含まれる。すなわち、・ニッケル、銅(特に、金ワイヤステム等にわたった多層コーティングの中間層としての、又は導電層としての薄い「ストライク」内の)、コバルト、鉄、及びそれらの合金であって、それら合金には、コバール(tm)(例えば、29%ニッケル、17%コバルト、0.3%マンガン、残り%鉄)、「合金42」(42%ニッケル、0.1%炭素、残り%鉄)、又はFe/Ni/Co含有物(例えば、42%ニッケル、40.7%鉄、17%コバルト及び0.3%マンガン)、又は低膨張合金が含まれる。
・金(特に硬質金)及び銀であって、その両方は、卓越した導電能力を呈示する。
・プラチナ群の元素、・貴又は半貴金属、・タングステン及びモリブデン(その両方は、CVD工程により適切に堆積される)、・コバルト、・亜鉛(特に、アルミニウムのワイヤステムにわたった)、・スズ(特に、以下で説明するが、共晶体を形成するための)、・半田(主に、隆起した半田接触子を製造するための)、・プラチナ、ロジウム、ルテニウム、プラチナ群の他の元素、銅、及びそれらと金、銀、及び銅(特に、上部コーティング層のための)との合金からなるグループから選択される、半貴金属である。
上記の各種のワイヤステム材料にわたって、これらのコーティング材料を施すために選択された技法は、もちろん、用途に応じて変化することになる。例えば、金は、ワイヤステムに好適な材料のうちの1つである。しかし、その優れた電気的特性に起因して、金にわたってメッキすることは、幾分直感的に認識されない。更に、金は、メッキに対する良好な「開始体」である。従って、本発明の1つの態様によれば、金にわたってニッケルをメッキ(特に、無電解メッキ)する場合、望ましいのは、まず、金ワイヤステムにわたって、薄い銅「ストライク」を施すことである。
自立型の復元性のある接触構造の場合、ニッケルが、特に多層コーティングの内層(520に匹敵)として、適切な保護膜材料である。かかるニッケルの内層は、酸化する傾向があるが、金、銀、プラチナ群の元素、及びそれらの合金といった、貴又は半貴上部コーティング層(522に匹敵)で保護膜生成される。
接触構造が、隆起した半田接触子(以下で更に詳細に説明する)として機能するよう意図して用いられる場合、ニッケル、コバルト、及びそれらの合金が、保護膜材料に適しており、例えば、0.00003から0.00500インチ、好適には0.00005から0.00300インチの範囲の厚さを適切に有することが可能である。
通常鉛とスズ元素を含む半田が又、保護膜に適しており、慣用的なウェーブ半田付け装置により、ワイヤステムに施すことができる。半田保護膜を留要する本発明の実施例を、以下で更に詳細に説明する。ワイヤステムにわたって多層コーティングを形成することの重要な利点は、各個々のコーティング層の材料が、復元性のある接触子の物理的性質の組を、所与の用途に合わせることができる点にある。これらの物理的性質には、引張り強度、降伏強度、その他が含まれる。
ワイヤステムにわたって多層コーティングを形成することの他の利点は、ニッケルが、酸化する強い傾向を有し、従って通常、形成された酸化物を打ち破るために、大きな接触力を必要とする。(結果として、良好な電気的接続となる低い接触力が、概ね例外なく好適である。)この理由のために、ニッケルは、単一層コーティングに対する、又はワイヤステム上の多層コーティングの上部層に対する最良の選定とはならない傾向がある。
同様に、半田上部コーティングは、幾つかの用途に対して非常に望ましいが、典型的な半田にはスズが含まれ、金(すなわち、金ワイヤステム)には、スズと非常に反応性がある。かかる不要の反応を阻止するために、中間の「障壁」層を、ワイヤステムとコーティングの上部層の間に施すことができる。金ワイヤステム、及び半田(スズを有する)上部層の場合、ニッケル合金の障壁層が、金(ワイヤ)とスズ(半田保護膜)の間の反応を阻止することになる。例えば、100から1000マイクロインチの厚さを有する、ニッケル合金の第1のコーティング層を、金ワイヤと半田の上部コーティング層の間に施すことができる。
復元性のある接触構造が、「ばね」として機能することを意図する限り、内部の圧縮性応力が、ワイヤステムにコーティングを施す間に、コーティング(コーティングの少なくとも1つの層)内に誘起される場合、幾つかの利点が生じることになる(幾つかの用途において)。例えば、コーティングが、ワイヤステム上にメッキされる際に、コーティング内に内部応力を誘起させるために、幾つかの添加物をメッキ溶液に加えることができる。例えば、ニッケル硫酸塩溶液内に、以下の添加物(添加剤)をメッキ溶液に加えることができる。すなわち、サッカリン(ナトリウム塩)、チオウレア、ブチネジオール、メタベンゼン−ジスルホン酸(ナトリウム塩)、1、3、6−ナフタレン−トリスルホン酸(トリナトリウム塩)、その他である。ホウ酸を、pH制御のために、メッキ溶液(槽)に加えることもできる。メッキ内の内部応力は、メッキ槽の全体温度、メッキ速度、溶液のpH、ニッケル(例えば)濃度、及び他のメッキパラメータにより制御可能である。一般に、上述の添加剤は、圧縮応力、引張り応力、及び「シータ」(θ)応力を含む、メッキ内の応力を制御することに主に寄与する。
ワイヤステム自体が、コーティングの復元性と同じ状況で、「調整」が求められる幾らかの固有の復元性を有する場合、ステムに保護膜生成(例えば、メッキ)する間、1つの成形済みワイヤステム(又は、複数の成形済みワイヤステム)を、応力下に置く(図5Fに示すように、力「F」で予備圧縮する)ことが可能である。このような、接触構造を予備圧縮する「機械的」手段は又、幾つかの用途において望ましい。
本発明によれば、保護膜付きワイヤステムが、ばねとして機能し、そのばね定数(「k」)は、材料の既知の性質に基づいて、任意の所与の構成に対して容易に計算可能である。一般に、上記のように、保護膜は、ワイヤステムの長さに沿って、少なくとも、ワイヤステムの曲げ部に沿って、大なり小なり均一な厚さにまで施され、かかる計算が簡略化される。電気メッキ等の工程をもちいると、かっかとして、ワイヤの長さに沿った実質的に均一な厚さとなる傾向がある。
本発明の1つの態様によれば、コーティングは、ワイヤステムの長さに沿って、注意深く不均一な厚さを有するように施される。
図5Gは、基板に「局所化」熱(「H」で表記された矢印)を加えながら、保護膜568で既にメッキされたワイヤステム530を示す。これは、基板508を熱ストリップ(不図示)の頂部に配設することにより、容易に達成される。このようにして、基板及びワイヤステムは、周りのメッキ槽よりも熱くなる。
金ワイヤ(502)が、手頃に良好な熱伝導体であるという事実にもかかわらず、ワイヤステム530全体が、メッキ作業時にメッキ槽内に浸漬されるという事実により、結果として、ワイヤステムに沿って顕著な温度勾配が存在することになり、ワイヤステムの近位端502aは、ワイヤステムの遠位端502bよりも熱くなる。この結果として、コーティングは、ワイヤステムの遠位端よりも、ワイヤステムの近位端で大きな厚さを有することになる。(この厚さの偏差は、例示の明瞭化のために、図5Gの例示において誇張されている。図5Bに匹敵)ワイヤステムの自立端よりも、ワイヤステムが基板に固定されるところで、ワイヤステムを注意深く厚くせしめることにより、以下の利点が生じる。
・基板へのワイヤステムの固定が、所与の「平均」コーティング厚さに対して大きくなる。
・結果としての復元性のある接触構造のコンプライアンスが、ワイヤステムの遠位の復元的に動作する部分において大きくなり、すなわち、所与の平均コーティング厚さに対して、より少ない厚さののコーティング材料が存在する。
・従って、復元力により課せられる応力が、ワイヤステムの近位端(502a)において、良好に反作用することになり、それによって、復元性のある接触構造が基板から剥がれる、どんな傾向も低減される。
例として、基板の温度を80℃±10℃にまで上昇させる(メッキ槽の全体温度は室温である)と、別態様では、ワイヤステムの長さに沿ってそれら自体を不均一に堆積することになったコーティングが、1.5:1から5:1(厚い部分:薄い部分)の厚さ勾配を実証するように誘起可能である。本発明のこの態様は、電気メッキと無電解メッキの両方に適用可能である。
反対に、例えば熱結合デバイスによる、基板の冷却(槽に相対して)を用いて、コーティングの厚さを合わせることができる。
任意の適切な技法を用いて、メッキされる部材に温度勾配を課すことにより、メッキされる部材の厚さを合わせることができることは、本発明の範囲内である。
本発明によれば、メッキ工程時に加えられる局所化熱(すなわち、メッキ槽の全体加熱に対して)を有利に用いて、多くの状況において、コーティングの厚さを「合わせる」ことができる。それを、上記のように用いて、注意深くコーティングを、熱源に近いほど厚くすることができる。それを用いて、別態様の均一な厚さのコーティングを不均一にすることもできる。例えば、熱を加えることなく、コーティング(例えば、ニッケル)が、ワイヤステムの遠位端で厚くなる傾向があるならば、コーティングに、ワイヤステムの長さに沿って均一な厚さを呈示させるように、又は上記のように、ワイヤステムの近位端でコーティングを厚くするように、コーティングの厚さを「太らせる」ことができる。更に、平坦な基板の表面を横切って、均一な厚さのコーティングを堆積することが所望である、幾つかの用途において、熱を使用して、メッキが不均一になる(すなわち、スポットでより厚い)幾つかの固有の傾向に「反作用」させ、それによって、基板(例えば、シリコンウェーハ)の表面を横切って、均一なコーティングの厚さを保証することができる。(薄いコーティングを有する傾向がある、基板の表面上のスポット又は領域は、これらの領域におけるコーティングを厚くするように、局所的に加熱することができる。)これも又、本発明の範囲内である。
図5Hは、図5Gに関連して示したのと同様であるが、直線のワイヤステム(例えば、ピン)570のコーティングに関連して、コーティング厚さを合わせる1つの例を示す。直線のワイヤステム502が、その近位端502aにより、基板上の端子にボンディングされる。結果としての保護膜578は、ワイヤステムの近位端502aよりも、ワイヤステム502の遠位先端502bに向かって厚くなる。
本明細書に記載した実施例の多くにおいて、ニッケルが、保護膜材料(例えば、保護膜層のうちの少なくとも1つの)に非常に適しており、メッキによりワイヤステム上に堆積される。かかる工程は、一般に、十分理解され、また本発明が最も近くに属する技術における通常の知識を有する者の視野内に十分あるが、ニッケルメッキの包括的な説明は、1970年、Robert Draper Ltd.(英国)刊、Roger Brugger 著の「ニッケルメッキ法」に見出すことができ、その関連のある教示を参照として本明細書に取り込む。
接触領域の特性 基板(例えば、電子コンポーネント)上の端子(例えば、図1Aの112を参照)とすることができる、接触領域(例えば、図1の100を参照)にワイヤの自由端をボンディングすることに関連して、本発明を説明した。接触領域(110)が、金属性であり、限定ではないが、以下のものを含む金属から形成されることが、一般に要求される。すなわち、(a)金及びその合金、(b)アルミニウム及びその合金、(c)銀及びその合金、(d)銅及びその合金、(e)プラチナ群の金属である。
本明細書に呈示する例の多くにおいて、接触領域は端子(112)である。しかし、理解されるであろうが、接触領域は、端子又は接着パッドに限定されず、また複数の接触領域を有するように、ホトレジスト及びエッチング(例えば、図1Bを参照)等により、後に続いてパターン化される単一の連続した層上に、複数の接触領域が存在できる。
接触領域(端子等の)には、多数の層が含まれ、その最上部層は、金又はアルミニウム等の材料である。一般に、基板の接触領域の材料は、かかる接触領域に対して1組の既知の材料内にある。
材料の性質 多数の材料が、ワイヤ、コーティング、及びワイヤがボンディングされる規定の領域に適しているとして、上記で説明した。本発明の一部を形成しないが、多数のこれら材料の顕著な特性の簡単な説明を、本発明におけるそれらの実用性(幾つかの場合、不明瞭、又は直感的でない)に関するコメントと共に以下で行う。これらの簡単な説明は、入念であることを意図したものであり、如何様な限定と解釈されることを意図していない。金属材料、及びそれらの関連ある性質の更に包括的な「購入品目リスト」は、1994年、マグローヒル社刊、Harper及びSampson 著による「電子材料及びプロセスハンドブック」の第5章(「金属」)の5.1−5.69頁に見出すことができる。
アルミニウム−その良好な電気的、及び機械的性質のために、アルミニウムは重要な接触材料である。しかし、接触金属としては、アルミニウムは、容易に酸化するので、一般に貧弱なものである。アルミニウムが接触結合部に用いられる場合、銅、銀、又はスズでメッキ又は被覆すべきである。
ベリリウム−この材料は、密度に対する高い硬度及び強度比、高い熱伝導性、及び低い熱膨張を示す。
銅−銅は、その高い導電性と熱伝導性、低いコスト、及び製造のし易さのために、電気接触子に広く用いられる。銅接触子の主な欠点は、酸化及び腐食に対する耐性が低い点である。純銅は、比較的軟質で、低温でアニールし、また時折所望されるばね性質が欠如している。
エポキシ−エポキシは、一般に非導電性であり、室温又は温度が上昇すると硬化(堅くなる)する樹脂である。電気接続子(例えば、半田の代わりに)に用いる場合、銀又は金粒子で充填された導電性エポキシが使用される。これらの導電性エポキシは、通常、1mΩ/cm(ミリオーム/センチメートル)より小さい体積抵抗率を示すことになる。選定するのに過多のエポキシが存在し、最終的な選定は、エポキシが使用される用途に左右される。
共晶体−「共晶体」とは、構成金属のいずれよりも低い溶融温度を示す、金及びスズ等の金属の組合せのことである。例として、80%金−20%スズ(重量パーセント)、及び63%スズ−37%鉛が含まれる。溶融すると膨張するという共晶体の特性は、以下で説明する実施例の幾つかで活用される。
金−純金は、酸化及び硫化に対する抜群の耐性を有するが、低い融点、及び侵食の受け易さによって、その電気接触子での利用が、低電流用途に限定される。金は、パラジウム又はロジウムと接触すると、非常に低い接触抵抗を有する。
ニッケル−ニッケル及びその合金は、通常、良好な強度及び腐食耐性により特徴付けられる。ニッケル金属は、比較的良好な導電性を有する。
プラチナ群金属−プラチナ及びパラジウムは、プラチナ群の中で2つの最も重要な金属である。これらの金属は、変色耐性が高く、従って継電器、及び低い接触力を有する他の装置に対して、信頼性の良い接触投入をもたらす。
貴金属−以下の材料は概ね全て、良好な腐食耐性を示す(硫化物環境内の銀を除いて)。すなわち、金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、及び銀である。
銀−銀は、純粋な又は合金形態で、開閉接触子に対して広く利用される材料である。純銀の機械的性質及び硬度は、合金化により改善されるが、その熱伝導性及び導電性は悪影響を受ける。
半田−半田は、電子及び電気産業において広く利用される合金グループである。それらの組成は、主にはスズと鉛に基づき、少数として銀及びアンチモン等の合金元素がある。半田は、室温における低い強度の材料であり、電子機器が被る適度に上昇した温度でさえも、多少急速に強度が減少する。半田内のスズ:鉛の相対比は、広く範囲をとることができ、公称は50:50である。
タングステン及びモリブデン−大部分のタングステン及びモリブデン接触子は、複合形態で製作され、他の主要成分として銀又は銅がある。
自己平坦化特徴 電子コンポーネント(半導体パッケージから延伸するピン等の)の表面から延伸する接触構造を有する大部分の用途において、非常に望ましいのは、接触構造の遠位端(先端)が共平面をなすことである。平坦な表面から発する突出した接触構造(例えば、ピン)の場合、これは又、ピンが均一な高さにあることを意味する。多くの場合、電子コンポーネントの製造公差は、コンポーネントの平面性が、(例えば)熱アセンブリ又は工程ステップから生じる、反りその他に起因して、保証できないというようなものである。従って、反った基板に実装された、完全に均一な長さを有するピンの先端は、定義上、共平面とはならなくなる。
本発明によれば、ワイヤステムの先端の垂直(z軸)位置が、切断作業(上記で説明した)時に容易に制御される。これは、コーティングを複数のワイヤステムに均一に施す(ワイヤステムからワイヤステムへと)ことが比較的容易であることに関連して、複数のワイヤステムの先端の予想可能な位置(完全に共平面な)を保証する。本発明のこの特徴が特に適用可能な例は、ワイヤステムが、1つの電子コンポーネント上の異なるレベルから始まり、別の電子コンポーネントの平坦な表面(2つ以上の電子コンポーネントの共平面にある表面を含む)上に終端する、又はその逆であることを意図する場合である。関連した例は、ワイヤステムが、電子コンポーネントから、また電子コンポーネントに実装された電子素子から始まり、別の電子コンポーネントの平坦な表面上に終端する、又はその逆であることを意図する場合である。切断作業において精度を保証することは、図4A−4Dに関連して上記で説明した。
図6Aは、本発明の応用例600を示し、そこでは、第1及び第2の複数の突出した接触構造602及び604(図示では、各複数において、多くのうちの1つ)が、それぞれ、その上部(図で見て)表面上のそれぞれ2つの異なるレベル(異なるz軸座標)において、端子(例として、それのみ)を有する第1の電子コンポーネント606から延伸し(始まり)、第1の電子コンポーネント606の上部表面に実装される第2の電子コンポーネント618の上部(図で見て)から延伸する、第3の複数(図示では多くのうち2つ)の突出した接触構造を有する。この例の場合、突出した(復元性のある)接触構造は、S字形状(図5AのS字形状のワイヤステムと同様にして)として示され、保護膜は、例示の明瞭化のために省略している。
この図に示すように、第1、第2、及び第3のグループの突出した接触構造は、全て、異なるレベル(z軸座標)から始まり、全て、第3の電子コンポーネント622の下部(図で見て)の例示的に平坦な表面上に終端(それらの先端において)する。(復元性のある接触構造の先端が接触することになる、接触パッド、端子、その他は、例示の明瞭化のために省略している。)接触構造602、604、及び614が横断せねばならない(異なるレベルで始まり、互いに共平面で終端する結果として)異なる距離に起因して、各突出した接触子の一部が、「延ばされる」必要がある。これは例えば、接触構造における曲げ部を修正することなく、要求通りに、接触子の遠位部を単純に長く(又は、短く)することにより達成される。このことは、例示され、各種の接触構造が同一の復元特性を備えるように好適化されている。
本発明のこの例示的な実施例600の場合、コンポーネント606は、印刷回路基板とすることができ、コンポーネント618は、減結合コンデンサ、抵抗、その他(すなわち、受動電子コンポーネント)とすることができ、またコンポーネント622は、裸の、パッケージ未実装の半導体素子(ダイ)とすることができる。本発明は、どんな特定の電子コンポーネントにも限定されない。このようにして相互接続をなす利点の中で、コンポーネント間の寄生インダクタンスを最小化できるという特徴があり、これは、高周波数で動作する半導体素子(例えば、622)を扱う場合に、最も重要である。この例示(図6A)は、事例1の図12と類似しており、これは、パッド(92)当たり2つの直線接触構造を示す。
図6Bは、図6Aの当然の帰結(その反転状況)を示し、この応用例620において、接触構造602、604、及び614は、第3のコンポーネント622上に始まり、第1のコンポーネント606、及び第2のコンポーネント618上で終端する。
図6A及び6Bは共に、本発明に従って達成可能である、接触構造の高さにわたる制御の度合いを示す。第1の場合(図6A)、接触子は、異なるレベルから始まり、同じ(共平面)レベルで終端する。第2の場合(図6B)、接触子は、全て同じレベルから始まり、異なるレベルで終端する。例示したいずれの場合でも、復元性のある接触構造の先端の位置は、図4A−4Dと関連して上記のように、切り離し(切断)作業時に精密に制御することができる。
図6A及び6Bに示すような配列を用いて、一方のダイを他方のダイに実装及び接続できることは、本発明の範囲内である。更に、図6Aに関連して、異なるレベルから始まり、先端が全て所与の平面内にある接触構造を生成するために、本発明の技法の能力をうまく利用して、コンポーネント606の表面に窪みを設けることは、必ずしも必要でない。
図6Cは、本発明の「自己平坦化」特徴から利点がある他の構成650を示す。この例の場合、第1の代表的な接触構造652が、第1の電子コンポーネント656の上部(図で見て)表面上の端子から始まり、第2の代表的な接触構造658が、第1の電子コンポーネント656の上部表面上の端子から始まる。接触構造652及び658(例示の明瞭化のために、1つの曲げ部のみを備えて示される)は、コンポーネント656のエッジから離れた、対応する先端(遠位端)652b及び658bで終端し、他の電子コンポーネント664の表面に接触する。しかし、注目すべきは、先端652bと658bが共平面で、x−z平面(図2に匹敵)にあり、一方それらの近位端は、電子コンポーネント656の表面のx−y平面にある。これは、接触構造の近位端と遠位端が平行な平面にあること、及び接触構造が、2つ(又は、それより多い)電子コンポーネントの相対的な配向にかかわらず、及びそれらにより制限されずに、任意の組の点(平面、もしあれば、第1の電子コンポーネントの表面の平面といった)から任意の他の組の点(平面、もしあれば、第2の電子コンポーネントの表面の平面)へと延伸するように、仕立て可能であることは、必ずしも必要ではない。換言すると、「自由」(阻止されない)経路が、相互接続を所望する2つ(又は、それより多い)の電子コンポーネント間に存在する限り、2つの電子コンポーネント間で延伸することになる接触構造を仕立てることができ、また該接触構造は、本明細書に開示の利点(例えば、復元性)のいずれか、及びその全てを示すように製作することができる。
第1のグループの復元性のある接触構造が全て、1つの平面(復元性のある接触構造が始まる基板と、共平面であってもなくなもよい)上で終端し、同一の基板の同一の表面から始まる他のグループの復元性のある接触構造が全て、基板と、又は第1のグループの復元性のある接触構造が終端する平面と共平面にない、異なる平面において終端することは、本発明の範囲内である。
基板の表面から始まる復元性のある接触構造の各々が、全て、その基板のその表面の上の異なる(特異な、個々の)高さで終端することも、本発明の範囲内である。
本発明の「自己平坦化」特徴(すなわち、異なるレベルから始まる復元性のある接触構造が、全て、共通の平面において終端するように製作可能である)が、従来技術の相互接続技法によっては存在しなかった多数の機会を与える。「共通の接触先端平面」をとることができると、復元性のある接触構造を有する電子コンポーネントの直下に(又は、基板接続部上の復元性のある接触構造に)、追加のコンポーネントを組み込むことが可能になり、該追加のコンポーネントには、抵抗及びコンデンサ(例えば、減結合コンデンサ)だけでなく、機能統合を強化するために、能動素子も含まれる。これによって、非常に低いインダクタンス/容量の相互接続の望ましい実現が可能になる。
明確に示さないが、理解されたいのは、本発明の復元性のある接触構造は、ある「レベル」の端子から始まる必要はないこと、及びその端子は斜めにすることができる(基板上の他の端子に対してある角度で)ことである。一般に、これは、ワイヤステムの近位端(すなわち、端子その他に最初にボンディングされるワイヤの端部)は本質的に点であり、ワイヤステムの構成は、端子の配向に一般に敏感でない、という事実に起因する。これは、その端子が互いに共平面でない、追加のコンポーネント(例えば、図6Aに示す618)の組み込みに関連して重要であろう。これは又、他の端子に対して斜めにされる端子へのボンディングの例の場合に重要であろう。端子にワイヤをボンディングする工程は、ワイヤが、端子の表面に対して概ね垂直に(例えば、90度±20度から±30度で)ボンディングされる場合に最良に実施されるが、幾らかのスキューは吸収可能であり、スキューの度合いは、端子(すなわち、接触領域)がそのように斜めにされると、毛細管の移動と干渉することになる場合に(すなわち、毛細管のエッジが端子に当たり、それにより、ボンディング作業と機械的に干渉する場合に)のみ制限される。
電子コンポーネント 「基板」にワイヤの自由端をボンディングし、弾力のある形状を有するように従順なワイヤステムを構成し、2つ(又は、それより多い)電子コンポーネント(その1つは、復元性のある接触子が形成される「基板」である)間に相互接続をなすための復元性のある接触構造を形成するために、ばね材料でワイヤに保護膜を施すことに関連して、本発明を説明した。適切な基板には、限定ではないが、以下のものが含まれ、その多くは、以下で更に詳細に説明する。
(a)相互接続及び介在体基板、(b)シリコン(Si)又はガリウム・ヒ素化合物(GaAs)等の任意の適切な半導電材料から製作される、半導体ウェーハ及びダイ、(c)製品相互接続ソケット、(d)試験ソケット、(e)本明細書で説明される、犠牲部材、要素、及び基板、(f)本明細書で説明される、セラミックパッケージ、プラスチックパッケージ、及びチップキャリヤを含む、半導体パッケージ(「パッケージ」)、(g)コネクタである。
半導体パッケージ 本発明は、復元性のある(従順な、変形可能な、及び柔軟なを含む)接触構造を、半導体パッケージの外部表面上に設けることに十分適している。
半導体パッケージは、(1)ある種のパッケージ本体内に半導体(IC)ダイを密閉し、(2)外部システムにパッケージ済みダイを接続するための外部接続子を与えるために利用される。通常、半導体パッケージにより与えられる外部接続子は、半導体ダイへの接続子よりも、互いから広く間隔を開けられる。この意味で、半導体パッケージは、「間隔変換器」として機能する。この節では、パッケージ済みのダイから外部システムのコンポーネントへと相互接続をなすことに関連して、本発明の接触構造の適用性を説明する。
半導体素子をパッケージ実装するための多数の技法が知られており、それらには、プラスチックモールド、セラミックパッケージ実装、及び基板型式のパッケージ実装が含まれる。
一般に、従来技術のセラミックパッケージ実装には、セラミック層間に間引かれた導電トレース(導電ライン)の1つ以上の層から製作されたパッケージ本体の空洞内に、ダイを実装することが伴う。ダイは、慣用的なワイヤボンディング技法等により、空洞内に延伸する導電トレースの内部端に接続される。トレースの外部端は、セラミック内で、セラミックパッケージ本体の外部表面上の外部ピン、リード、又はパッドに接続される。
一般に、従来技術のプラスチックモールド技法には、比較的堅固なリードフレームのパドルにダイを実装することが伴い、リードフレームは、導電リード(導電ライン)のパターン化層を有する。ダイは、慣用的なワイヤボンディング技法等により、導電リードフレームのリードの内端部に接続される。ダイと、リードフレームの内部とは、プラスチックモールド配合剤により封止される。導電リードの外端部は、外部コンポーネントに接続するために、モールドされたプラスチック本体の外側に延伸する。
一般に、PCB型式のパッケージ実装技法には、導電トレースを有する印刷回路基板(PCB)にダイを実装することが伴う。ダイは、慣用的なワイヤボンディング技法等により、ダイに隣接した領域へと延伸する導電トレースの内端に接続される。一旦、トレースの内端に接続されると、ダイと、トレースの内端とが、プラスチック又は樹脂で封止される。導電トレースの外端は、PCB内で、セラミックパッケージ本体の外部表面上の外部ピン、リード、又はパッドに接続される。
図7Aは、パッケージ本体702の外部(図で見て、下部)表面に実装された、複数の復元性のある接触構造730を有するセラミックパッケージ700を示す。この例の場合の接触構造730は、S字形状(図2Eに示すような)を有する。パッケージ本体702には、その上部(図で見て)表面からパッケージ本体内へと延伸する、空洞704が設けられる。半導体ダイ706が、空洞内に配設されて、蓋708により閉じられる。半導体ダイは、ボンディングワイヤ710により、空洞704内へと延伸する導電トレース(不図示)の端部に接続される。これらのトレースは、導電バイア(不図示)、導電トレースの追加のパターン化層(不図示)、その他により、パッケージ本体704の下部表面上の導電パッド(不図示)に接続される。復元性のある接触構造702は、1つ1つ、導電パッドに実装される。かかる「上部空洞」パッケージの場合、パッケージ本体の下部表面全体には、行と列のアレイに配列された接触構造が「定置」可能である。(この図において、また本明細書に提示する幾つかの他の図において、復元性のある接触構造(例えば、730、750)は、厚い黒線で単純に示され、これらの接触構造に保護膜生成されることが理解されるであろう。)図7Bは、外部相互接続子として用いられる複数の復元性のある接触構造730a及び730b(図示では多くのうち2つ)を有する、例示的なプラスチック半導体パッケージ740を示す。この例の場合の接触構造730a及び730bは、S字形状(図2Eに示すような)を有する。導電リードフレーム要素(フィンガ)744a及び744bが、パッケージ本体742内からパッケージ本体外へと延伸する様子が示されている。復元性のある接触構造730a及び730bは、パッケージ本体外に延伸する、対応するリードフレームフィンガ744a及び744bの外側部分に実装される。同様に、半導体ダイ746が、任意として、復元性のある接触構造により、リードフレームフィンガ744の内端に接続可能である(図示のように)。
図7Bに示すように、リードフレームフィンガ744a及び744bは、交互に、半導体パッケージ本体742から2つの異なる距離に延伸できる(例えば、短−長−短−長、等)。このようにして、復元性のある接触構造730a及び730bの遠位端の実効ピッチが増大可能となる。かかる「ピッチ拡張」の更なる説明は、図15Aの説明に見出すことができる。一般に、接触構造の近位端から遠位端(先端)への実効ピッチを増大する能力により、印刷回路基板への電子コンポーネントの更に手軽な接続が可能になる。ある意味で、これは、全ての半導体パッケージについて言えることであり、半導体ダイ上の接着パッドの間隔よりも広い、外部の相互接続ピッチがもたらされる。従来技術の場合、周辺のリードパッケージが、約20ミルのリード間ピッチに制限されるが、これは、印刷回路基板へのリード付きコンポーネントの半田付けの制約に起因する。周辺リード(744a、744b)を千鳥状にすることにより、図7Bに示すように、これらの制約を維持しながら、更に高い密度が達成できる。
図7Cは、印刷回路基板(PCB)782の外部(図で見て、下部)表面に実装された、複数の復元性のある接触構造730を有するPCB型式のパッケージ780を示す。この例の場合の接触構造730は、S字形状(図2Eに示すように)を有する。半導体ダイ746が、PCB782の上部(図で見て)表面に実装されて、ボンディングワイヤ790により、PCB782の頂部の導電トレース(不図示)に接続される。接触構造730は、PCB782の下部(図で見て)表面の導電パッド(不図示)に実装される。PCB782の下部表面の導電パッドは、メッキされたスルーホール(不図示)、PCB782内の追加の配線層(不図示)を介して、PCB782の上部表面の導電トレースに接続される。ある量のエポキシ792が、ダイ786及びボンディングワイヤ790にわたって施されて、ダイ786が封止される。代替として、PCB782に、プラスチックで上モールドすることもできる。
図7Dは、他のパッケージ790を示し、ここで、半導体ダイ791が、ボンディングワイヤ792による慣用的な仕方で、リードフレームフィンガ793の内端にボンディングされる。パッシベーション層794が、ダイの上にあり、ダイへのボンディングのための開口を備える。これはかなり慣用的である。本発明によれば、ボンディング(すなわち、ボンディングワイヤ)の完全性が、リードフレームにボンディング済みのダイを適切なメッキ槽に浸漬して、ボンディングワイヤ(及び、リードフレームの内端)をメッキすることにより強化可能である。ここで、メッキ(例えば、ニッケル)は、上記で説明したようにして、ボンディングワイヤを硬化して、ダイ上の接着パッドに(及び、任意として、リードフレームフィンガの内端に)、ボンディングワイヤを確実に固定するように機能する。かかるボンディングワイヤの硬化は、ワイヤ洗浄(移動)、及びその他、ダイ上に絶縁本体795をモールドする後続の工程ステップと関連した問題(例えば、ワイヤ間の短絡)を最小限に抑えるのに役立ち、また、熱膨張に関連した問題(ボンディングへの応力)を最小限に抑えるのに役立つことになる。ボンディングワイヤに保護膜を施すことも、図示のように、ダイの背部が開放している場合に、ダイを支持するにに役立つ。
この例に示すように、ダイ(リードフレーム)は、部分的に(完全でなく)上モールドして、ダイの背部表面を露出状態に残すことが可能である。これは、ダイの背部にヒートシンク(不図示)を実装する場合、又はダイの背部に既に製造されたヒートシンク構造(例えば、図24D及び24Eに関連して、以下で説明する)に適応させる場合に有利であろう。一般に、これは、ダイの背部の中央部と位置が合った開口を有する支持層797(例えば、ポリイミド膜)の頂部に、ダイとリードフレームを実装することにより最良に達成されるであろう(ダイのエッジ部は、支持層により支持される)この例示において、パッケージへの外部接続は、図面を乱さないように省略してある。本発明の復元性のある接触構造を含む、任意の適切な外部接続子が使用可能なことは、本発明の範囲内である。
犠牲要素 本発明の1つの態様によれば、復元性のある接触構造は、犠牲要素上に、又は電子コンポーネントから犠牲要素へと形成可能である。
復元性のある接触構造の形成に関連して、犠牲要素を利用することは、事例1の図6a−6cに記載されており、これらは、本明細書の図8A−8Cと類似である。
図8Aは、基板808上の第1の端子812にボンディングされた近位端802aを有する、ワイヤ802を示し、これは、U字形状のループへと形成可能であり、ワイヤ802の遠位端802bは、切断されるのではなく、適切なくさびボンディング、その他を用いて、第2の端子820にボンディングされる。
結果としてのループ形状のワイヤステム830には、図8Bに示すように、ワイヤステム830全体、及び端子812、820を包む1層又は多層被覆840で保護膜生成される。第2の端子820は、犠牲層の頂部に適切に位置決めされ、この犠牲層は、電気メッキ工程(ワイヤステムに保護膜を施すのに、かかる工程が用いられる場合)用の電気接点として機能し、またワイヤステムの2つの端部802a及び802bに対して、異なる(より高い)z軸座標を与えるように機能する。
図8Cに示すように、ワイヤステムに保護膜を施した後、犠牲層822を除去することができ(選択性エッチング等により)、間隙824が、端部802bと基板808の表面の間に残る。端部802bの「懸架」が特に重要なのは、電子コンポーネント(半導体ダイ等)のエージング又は試験(以下で更に詳細に説明する)のために、又は電子コンポーネントに対して、取り外し可能な電気的相互接続をもたらすために、コンポーネント又は基板上の一致結合端子と復元性をもって係合可能な、制御された幾何形状のばね接触子の形成にとってである。間隙824によって、力が加えられる場合に、最終の接触構造の先端802bのz軸偏向(移動)が可能となる。
図8Cに示すように、意図するのは、接触構造830が、その遠位端(802b)ではなく、その長さに沿ったある点に接触する、ということである。これは、「C」で表記した下向き指示の矢印により示される。(同様の結果が、図16Cに示す接触構造1640及び1642に関連することになろう。)図8Dが示すのは、直ぐ上で説明した手順を、犠牲層(図8Aの822)が、ワイヤステムに保護膜を施す(例えば、図8Bを参照)前に除去可能であるように、再整理したものである。
本明細書で用いる、上記の要素822等の「犠牲要素」とは、一般に、復元性のある接触構造が実装される電子コンポーネント(808)上の要素(層等)である。
犠牲部材及びプローブ実施例 プローブ要素として有用な復元性のある接触構造の形成と関連して、犠牲部材を利用することは、事例2の図14−15に記載されており、これらは、本明細書の図9A−9Bと類似である。
図9Aは、プローブとしての用途に適した復元性のある接触構造930の形成に関連した、犠牲部材902(破線で示す)を用いる実施例900を示す。この例の場合、犠牲部材は、アルミニウムから適切に形成される。
複数(図示では多くのうち1つ)の窪み部904が、エッチング、彫刻、型押し、その他等により、犠牲部材902の上部表面902aに形成される。窪み部904の下部(図で見て)表面は、不規則な地形を有し、これは例えば、頂点で終端する反転ピラミッドのような形態をとる。金又はロジウム(代替として、半田端子等に接触させる場合には、スズ又は半田)等の導電材料からなる薄い層906が、任意の周知の仕方で、窪み内に堆積される。窪み部904は、次いで、ニッケル等の導電材料908により、任意の周知の仕方で、実質的に充填される。金等の導電材料の層910が、次に、任意の周知の仕方で、充填材料908にわたって堆積される。この金(906)、ニッケル(908)、及び金(910)というサンドイッチ構造は、プローブ要素に適切な先端構造(「接触パッド」)を形成する。
ワイヤ912が、その近位端912aにおいて、層910の表面にボンディングされ、電子コンポーネント920のエッジにわたって延伸すべく構成され、そこで、ワイヤは切断されて、その遠位端912bが、電子コンポーネント920上の端子922にボンディングされる。ワイヤの構成済みの形状は、図2Dに示す形状と同様である(すなわち、ワイヤが、コンポーネント920のエッジから離れて突出する点で)。
次に、ワイヤには、ニッケル等の導電材料914で、又は図5に関連して説明した多層コーティングで保護膜が施され、これは又、上記のようにして、電子コンポーネント上の端子922にも保護膜を施す。保護膜が、犠牲部材上の所望の領域のみを覆うのを保証するために、窪み部(904)を除く、犠牲部材の表面全体が、ホトレジスト(不図示)等の適切なマスキング材料で被覆され得る。(このマスキングは、接触パッドを製造するために、窪み部を形成及び充填する工程から「外す」こともできる。)図示のように、犠牲部材902は、単純にホトレジスト材料とすることもできる適切なスタンドオフ要素916(破線で示す)により、電子コンポーネント920に対して所定の位置に維持される。
終了すると、スタンドオフ要素916、及び犠牲部材902は除去されて、電子コンポーネント920から延伸する復元性のある接触構造930が残されるが、その各々は、端部において、制御された幾何形状の接触パッドを有する。例えば、接触パッドの反転ピラミッドの頂点は、プローブ当てに関連して、プローブ当てを所望する(例えば、エージング、試験、その他のために)別の電子コンポーネント(不図示)の端子(パッド)に対して、信頼性の良い電気的接続をもたらすのに役立つ。比較的低い全体力が伴うと、点(頂点)は、プローブ当てを行っている電子コンポーネントの端子を部分的に貫通することになる。一般に、この場合、電子コンポーネント920は、恐らく試験カード(印刷回路基板)であり、これは、プローブ当てを行う電子コンポーネントが導入される領域へと延伸する、複数のプローブ構造(930)を有する。試験カードは、リングの形態とするのが適しており、プローブ930は、リングの内部エッジからリングの下へと延伸する。
上記で説明した事象のシーケンスが、以下のように再編成されることは、本発明の範囲内である。すなわち、(a)ワイヤ912が、電子コンポーネント920の端子922に先ずボンディングされる、及び/又は、(b)犠牲部材902が除去された後、ワイヤ912に保護膜(914)が施されることである。
図9Bは、前の実施例900のプローブ930と類似しているが、以下の差異を有する、完成プローブ942の実施例940を示す。この場合、プローブ942(930に匹敵)の端部は、複数の点ではなく、単一の突出瘤946を有する接触パッド944にくさびボンディングされ、プローブ942の端部948(912bに匹敵)は、電子コンポーネント950(920に匹敵)にボールボンディングされる。
図9Cに示すように、プローブに役立つ(例えば、好ましい)接触先端が、薄いアルミニウム(箔)犠牲部材960上の犠牲部材内に(又は、それ上に)、以下のようにして形成可能である。すなわち、・箔に対して、プラスチック・シート等の一時的な裏当て962を与えて、箔の構造的な完全性を増大させ、・箔の面を、ホトレジスト964、その他の薄い(約3ミル)層でパターニングして、接触先端の形成を所望する場所に開口を残し、・ホトレジストの開口内で、箔上に硬質の金の薄い(約100μインチ)層966を堆積し(メッキ等により)、・その硬質の金の層上に、銅968の非常に薄い(約5−10μインチ)層(「ストライク」)を堆積し(メッキ等により)、(ここで理解されたいのは、かかる銅ストライクは、幾分任意なものあり、前の金層966を後続してメッキする際に、主に手助けとなるように設けられる、ということである)・銅ストライク上にニッケルの厚い(約2ミル)層970を堆積して(メッキ等により)、・ニッケル上に軟質の金の薄い(約100μインチ)層972を堆積する(メッキ等により)ものである。
これによって、4層の接触先端が形成され、これは、金ワイヤ(不図示)が容易にボンディングされ(軟質金の層に)、電子コンポーネントに接触するための硬質金の層(966)と、強度を与えるニッケル層(970)と、容易にボンディングされる軟質金の層(972)を有する。上記で説明したように、犠牲部材(960)にワイヤをボンディングした後、ワイヤはメッキされて(例えば、ニッケルで)、犠牲部材は除去される(又は、その逆)。
追加のプローブ実施例 基板上に犠牲部材を用いて(図8Aのように)、又は基板から外れた犠牲部材を用いて(図9Aのように)、復元性のある接触構造を形成する能力を、概ね上記で説明した。
上記のように、図9A及び9Bに記載の復元性のある接触構造は、エージングのために電子コンポーネントに接触し、またプローブを当てたコンポーネントの機能性を試験及び実施する、プローブとして適切に使用される。
本発明によれば、復元性のある接触構造は、チッププローブ当てカード内に組み込むことが可能である。
図10A−10Iは、犠牲部材を用いて、チッププローブ当てカードを作るための製造方法を示す。一般に、開口が、犠牲部材(例えば、アルミニウム又は銅)上のホトレジスト内に形成され、任意的な幾何形状が、レジスト開口内の犠牲部材に生成され(通常、追加のエッチングステップ、又は成形工具により)、次に少なくとも1つの導電層が、開口の内側にメッキ又は堆積され、その時点で、犠牲部材が、チッププローブ当てカードに(例えば、直下に)実装される(この実装は、実行される最初のステップとなる)。その後、ワイヤが、犠牲部材及びカードにボンディングされた、ばね材料(又は、他の任意の材料)で保護膜生成される。最後に、犠牲層が、接触子(プローブ)に影響を与えることなく除去される。
留意されたいのは、ワイヤの先端に形成され、試験(プローブ当て)しようとする素子に一時的に接続するのに好都合な幾何形状を通常有する接触パッド備えた、本明細書に記載のプローブ実施例において、成形済みワイヤをコーティングする材料は、それが求められる復元性を与える限り、導電性である必要はないということである。すなわち、多くの用途に対して、ワイヤ自体が、プローブカード(例えば)とプローブ当てを行う素子間に、必要な導電経路を与える。
犠牲部材の処理を伴う、工程流れの第1の「段階」(段階1)が、図10A−10Cに示されている。
図10Aは、最初のステップを示し、ここで、内部に規定された開口1004(図示では多くのうち1つ)を有する、ホトレジスト1002のパターン化層が、アルミニウム又は銅シートといった、犠牲金属基板1008にわたって施される。
図10Bは、次のステップを示し、ここで、開口1004内の別態様では一般に滑らかで平坦な基板材料が、微細加工又はリソグラフィ(例えば、エッチングを含む)等により、ある幾何形状を示すように「浮き出される」。これは、開口1004内で、基板の表面を下方に押して、基板2008の表面内に延伸する複数の窪み部1012を生成する、浮き出し工具1010により示される。
図10Cは、工具(1010)が取り外された(又は、基板の表面が、別態様で、例えばエッチングにより浮き出された)後に、開口(1004)内の基板の表面が、別の電子コンポーネントと接触させるのに適した、ロジウム等の材料の薄い層1020でメッキされる様子を示す。ニッケル等の材料の別の厚い層1022が、薄い層1020にわたって施される。この層1022は、浮き出しにより形成された窪み部1012を実質的に充填し、好適には、図示のように窪み部1012を過充填する。次に、接着可能な(例えば、軟質の)金の薄い層1024が、開口1004内の厚い層1022にわたって施される。開口1004における層状構造1026(図10Dを参照)は、ワイヤがボンディングされることになる、接触パッドを規定する。
図10A−10Cに示すステップの実行が完了すると、犠牲部材1008が、接触実装に対して準備される。
犠牲部材(1008)に接触子担持基板を実装し、復元性のあるプローブ接触構造を製造することを伴う、工程流れの第2の「段階」(段階2)は、図10D−10Cに示される。
図10Dは、段階1のステップで準備された犠牲基板1008が、その周辺領域において、その表面に実装されるスタンドオフ要素1030を有する様子を示す。スタンドオフ要素1030は、ホトレジスト(代替としてポリマー、代替として金属詰め)の厚い層として形成され、工程が完了すると、半導体ダイ(例えば)がプローブにより接触させるために導入されることになる(以下で説明する)領域に対応する、中央領域1032を備えたリング(例えば、正方形のリング)輪郭を有するように、パターニングされる。開放領域1032に対応し、且つそれと位置が合った中央開放領域を有する、リング形状の基板1040が、スタンドオフ要素1030の頂部に配設される。(基板1040は、例えば多層PCBである。)リング形状の基板1040の上部(図で見て)表面が、基板1040内の開口の近くに好適に規定される、複数の接触領域1042(110に匹敵、図1)を有する。基板1040は、絶縁材料と導電材料の交互層を有する多層回路基板(例えば、PCB)であるように示され、また、そこに実装される離散的な電子コンポーネント(例えば、試験回路、その他)を有することができる。
基板1040が、特異で別個のプローブカード(不図示)に、単純に挿入実装可能であることは、本発明の範囲内である。
図10Eは、ワイヤ1050が、その端部1050aと1050bの両方において(上述のループ802と同様にして)、PCB1040上の接触領域1042と、犠牲基板1008上の開口内の材料(1022)との間にボンディングされて、それらの間に電気的接続をなす様子を示す。例えば、ワイヤ1050の一方の端部1050aが、領域1012内の層1022にボールボンディングされ、他方の端部1050bが、接触領域1042にくさびボンディングされる。ワイヤ2050は、復元性のあるプローブ接触構造として機能するのに適している(以下で説明するが、保護膜生成されると)形状へと仕立てられる(上記のように)。ワイヤ1050の端部が最初にどこにボンディングされるか、またワイヤの端部が次にどこにボンディングされるかは、本質的に重要ではない。
図10Fは、ワイヤ1050が、基板1008と1040の間にボンディングされた(及び、第1のボンディングの後で、且つ第2のボンディングの前に、ある形状へと仕立てられた)後に、ワイヤ1050には、ワイヤ1050を完全に覆い、基板1040上の接触領域も覆い、また犠牲基板1008における開口1012内の領域も完全に覆う、導電材料1052で保護膜生成される様子を示す。結果としての接触(プローブ)構造に復元特性を付与することになる材料で、ワイヤに保護膜生成する方法、及び仕方は、上記の技法のうちのいずれかである。
図10Gは、ワイヤ1050に保護膜生成された後に、犠牲基板1008が、化学的エッチング等により除去可能である様子を示す。図示のように、犠牲基板の除去は、層1002の除去だけでなく、スタンドオフ要素1030の除去も含むことになる。この結果として、半導体素子1060上の対応する複数(図示では多くのうち2つ)の接触領域1062に復元性のある接触をなすために、複数(図示では多くのうち2つ)の接触領域1042からカード基板1040内の開口内、及びその下へと延伸する、複数(図示では多くのうち2つ)のプローブ接触構造1054(各々は、保護膜1052が施されるワイヤ1050からなる)を有するカード基板1040となる。これらの接触領域1062は通常、ダイ1060の周囲のまさに内側に配列される接着パッドである。
図10Gに明確に示すように、復元性のある接触プローブ1054の各々は、層1022と1020により形成され、領域1012により与えられる浮き出しパターンの「鏡像」である、先端1052bを有する。
このようにして、一時的な接続が、試験カード(1040)と被試験素子(DUT)の間になすことができ、これは、以下で更に詳細に説明するが、素子のパッケージ実装に先だって、半導体素子のエージング及び試験を行うために、又は完全に有効な素子を製造するために重要である。
図10H及び10Iは、段階2における代替として最終の、及び最終から2番目のステップを示し、ここで、犠牲基板1008(及び、スタンドオフ要素1030)は、成形済みワイヤ1050に保護膜生成する(図10I)前に除去される(図10H)。
図10J及び10Kは、本発明による、プローブとして機能する、復元性のある接触構造の代替実施例を示す。図10Jは、事例2の図11に類似したプローブの実施例を示し、図10Kは、事例2の図12に類似した実施例を示す。
図10Jは、プローブ状の接触構造の他の実施例1070を示す。以前の実施例の場合のように、ワイヤステム1072(柔軟な伸長要素)が、基板1076上の接触領域1074にボンディングされた一方の端部1072aを有する。ワイヤステムの他方の端部1072bは、任意の適切な仕方で、犠牲部材1080上に予備形成された接触先端1078にボンディングされ(くさびボンディングとして図示)、結果としてのプローブに対して、所望の偏向特性を与えるように保護膜生成される(例えば、ニッケル材料1079で)。適切なスタンドオフ要素1083(1030に匹敵)が、適切に使用される。最終的に、スタンドオフ要素1030と犠牲部材1080の両方が除去される。
図10Kは、プローブ状の接触構造の他の実施例1084を示す。以前の実施例の場合のように、ワイヤステム1086(柔軟な伸長要素)が、基板1076上の接触領域1074にボンディングされた一方の端部1086aを有する。ワイヤステムの他方の端部1086bは、任意の適切な仕方で、犠牲部材1090上に予備形成された幾何形状の接触パッド1088にボンディングされる(くさびボンディングとして図示)。ワイヤステム1086には、以下のようにして、多層コーティングが設けられる。導電材料(ニッケル等)の層1092が、ワイヤステム1086にわたって堆積されて(例えば、メッキされて)、復元性がワイヤステムに付与され、またワイヤステムが、接触パッド1092に固定される。誘電体材料(二酸化シリコン等)の層1094が、ニッケル層1092にわたって施される。誘電体材料(1094)は、接触パッド1088を包囲して(不図示)、そこにワイヤステムを固定する際に手助けする。次に、ワイヤステムが、接触パッドが取り付けられる、ワイヤステムの先端を、ホトレジスト(不図示)等の適切なマスキング材料内に浸漬する等により、マスキングされる。最後に、導電材料(金等)の別の層1096が、ワイヤステムにわたって堆積される。これは、同軸(遮蔽)導体を形成し、その外層(1096)は、任意の適切な仕方で接地されて(接地記号「G」で示すように)、プローブ構造のインピーダンスが制御される。適切なスタンドオフ要素1093(1030に匹敵)が、適切に使用される。ワイヤステムに接触パッド(1088)を取り付ける(例えば、ろう接により)前に、(上記のように)ワイヤステムに保護膜生成できることは、本発明の範囲内である。この例の場合、接触パッド1088は、「幾何形状」(図10Dの1026に匹敵)をなすように示され、その特徴は、プローブ当て、特に半田バンプにプローブを当てる(例えば、図12Eを参照)のに特に有用である。
犠牲基板上への接触子の製造 主に上記においては、ワイヤの一端を電子コンポーネントにボンディングし、弾力のある形状を有するワイヤステムとなるようにワイヤを構成し、ワイヤに復元性のある材料で保護膜を施し、任意として、ワイヤの他端を、犠牲要素又は犠牲部材にボンディングすることにより、復元性のある接触構造を製造するための技法を説明した。このようにして、復元性のある接触構造が、電子コンポーネントに実装される。
本発明によれば、複数の復元性のある接触構造が、電子コンポーネントへの後続の(復元性のある接触構造を製造した後に)実装(ろう接等により)のために、復元性のある接触構造を電子コンポーネントに実装することなく、別個の及び特異な構造として製造される。換言すると、接触構造の供給体(例えば、「バケット」)が、電子コンポーネントへの後での取付(実装)のために、製造及び保管可能である。これは、複数のピンを製造し、その後、それらをパッケージ本体にろう接する従来技術の技法と同様である。
図11Aは、離散的な復元性のある接触構造製造する際の第1ステップを示し、ここで、ホトレジスト1102のパターン化層が、犠牲基板1104の表面(図で見て、上部)に施される。ホトレジスト1102には、複数(図示では多くのうち3つ)の開口1106a、1106b、及び1106cが設けられる(例えば、慣用的な選別技法を用いて)。
図11Bは、次のステップを示し、ここで、微細構造が(任意的に)、成形(浮き出し)工具1110を用いることにより、レジスト開口内の犠牲基板1104に生成される。(工具の利用は、犠牲基板の表面に微細構造をエッチングすることの代替例である。)この図に示すように、微細構造が、開口1106a内の犠牲基板1104に既に生成されており、開口1106b内の犠牲基板1104に生成されているところであり、また更にこれから、開口1106c内の犠牲基板1104に生成される。
図11C−11Eは、複数の接触構造のうちの1つを代表例(開口1106aのうちの代表的な対応する1つ内の)として、複数の離散的な復元性のある接触構造を製造する、工程の後続ステップを示す。
図11Cは、開口1106a内の犠牲基板1104上に、第1の導電層(例えば、硬質金の)1122をメッキし、第1の層1122の頂部に第2の導電層(例えば、ニッケルの)1124をメッキし、第2の層1124の頂部に第3の導電層1126(例えば、硬質金の)をメッキすることにより、開口1106a内への接触先端1120の形成を示す。(この図の組で示す3層接触先端は、例示に過ぎず、少なくとも1つの層が必要であることを理解されたい。)一般に、下部層1122は、電子コンポーネントと接触しやすい材料とすべきで、上部層1124は、ワイヤステムにボンディングしやすい材料とすべきである。上記のように、4層構造も形成可能であり、これは、硬質金薄い層(電子コンポーネントに接触するための)と、その後に続く銅の非常に薄い層と、その後に続くニッケルの層と、その後に続く軟質金の薄い層(金ワイヤステムをボンディングするための)とからなる。薄い銅層は任意であることを理解されたい。
図11Dは、接触先端1120へのワイヤのボンディング、及び上記の任意の適切な仕方で、ワイヤステム1130にするワイヤの成形を示す(例えば、図2Aに匹敵)。
図11Eは、上記の任意の適切な仕方で、ワイヤステムにばね性のある(例えば、ニッケル)材料1132で保護膜を施す様子を示す(例えば、図5Aに匹敵)。
図11Fは、最終のステップを示し、ここで、犠牲基板1104及びホトレジスト1102が、ホトレジストの洗浄除去、及び犠牲基板の溶解等の任意の適切な工程により除去される。これによって、接触先端1120を有する復元性のある接触構造1130の製造が完了する。
このようにして、複数の個々に復元性のある接触構造が形成可能となる。例えば、図11A−11Fに示す技法により形成された接触構造は、1つ1つ個々に、半導体パッケージの外部表面上のパッドに実装できる(例えば、ろう接、半田付け、エポキシ取付、その他により)。直ぐ以下で説明するが、多数の用途において、複数の接触構造が、半導体パッケージの外部表面に1度に転移(「一括」転移)されることが好ましい。
接触子の一括転移 上記のように、図11A−11Fと関連して、複数の離散的な「未実装の」復元性のある接触構造が、電子コンポーネントへの後続の実装のために形成可能である。
本発明によれば、複数の復元性のある接触構造が、犠牲基板上に製造され(例えば、図11A−11Fのようにして)、次に、電子コンポーネントに1度に実装(一括転移)することが可能である。(一般に、これは、犠牲基板から接触構造を取り外すステップを省略し、すなわち図11Fに示すステップを省略することで達成できる。)本発明によれば、以前に形成され、犠牲キャリア(犠牲基板)に実装された複数の復元性のある接触構造が、完全アセンブル済みセラミックパッケージ等の電子コンポーネントに、単一のステップで転移(一括転移)可能である。(その外部表面に実装された複数の復元性のある接触構造は、上記で、図7Aと関連して概ね説明した。) 図12Aは、半導体素子(ダイ)1256(706に匹敵)が実装される中央の空洞1254(704に匹敵)を有するパッケージ本体1252(702に匹敵)からなる、完全アセンブル済みセラミックパッケージ1250を示す。図示のように、ダイ1256は、その前部表面の周辺領域のまわりに配設された、複数(図示では多くのうち2つ)の接着パッドを有し、パッケージ本体は、空洞の周辺のまわりに配設された、対応する複数(図示では多くのうち2つ)の端子(導電トレースの内端)を有する。ダイ1256の接着パッドは、ボンディングワイヤ1260(710に匹敵)により、慣用的な仕方で、パッケージ本体の端子に1つ1つ接続され、空洞1254は、蓋1258(708に匹敵)で密封される。これは、従来技術の「上部空洞」パッケージ実装技法の代表例であり、ここで、パッケージ本体の下部表面全体に、導電パッド1280のアレイが「完全定置」することができ、そこに、ピン、ボールバンプ、その他が、半導体パッケージと外部素子又はシステムの間に接続をもたらすために実装される。「下部空洞」パッケージ実装の場合は、蓋が、パッケージ外部の中央領域を占有し、パッド(1280)は、蓋の中央領域の外側で、パッケージ本体の表面に「部分定置」することになる。本発明は、上部空洞か、又は下部空洞パッケージ実装技法、及び完全か、又は部分定置したアレイに適用可能である。
一般に、従来技術の場合、ピン等の接触構造は、自動化機器を用いて、セラミックパッケージ等の電子コンポーネントに、個々に転移される。一般に、特別な型枠、又は設備が必要であり、それらは、所与の個々のパッケージ(及び、ピン)構成のためにしか利用できない。これは、製品開発サイクルに時間遅れを投げかける設備据え付けステップ、及び短期ロット素子の償却が困難である設備据え付けコストを意味する。更に、工程にわたる管理が不完全であり、その結果として、1つ以上のピンを、通常は手作業で除去及び交換することが必要になる。これは、高価なチップ(例えば、1000$の半導体素子)を内蔵するパッケージの例により示されるが、コスト効果がない。欠陥のあるピンを交換するためにパッケージを手直しすると、結果としてチップに損傷を与える可能性がある。
図12Aは、犠牲基板(1104に匹敵)上に既に製造された、複数の復元性のある接触構造1230(1130に匹敵)を示す。これは、以前に説明した図11Eに対応し、そこでは、ホトレジスト(1102)が犠牲基板(1104)から洗浄除去されたが、工程のこのステップでホトレジストを洗浄除去することは、絶対に必要というわけではない。この図に示すように、キャリア1204に実装された複数の接触構造1230が、パッケージ1252に実装すべき位置へともたらされ、接触構造の先端1230bが、パッケージ上のパッド1280と位置合わせされる。これは、自動化部品取扱い機器で容易に達成される。更にこの図に示すように、ある量の半田1282(代替として、ろう接材料、導電性エポキシ、その他)が、接触構造1230の導入前に、接触パッド1280の各々上に配設される。
図12Bにおいて、接触子が、それらの先端を半田1282に漬けて、対応する接触パッド1280に一度に当てがわれた様子が示されている。これは、炉(半田をリフローするための)内でこのステップを実行することにより達成される(半田を用いる場合)。この図に示すように、接触構造の先端1203bが、接触パッド1280に物理的に接触することは本質的ではない。というのは、半田は、接触構造1203の先端部の周りにリフローし、接触構造と接触パッドの間に信頼性の良い電気的接続をもたらすためである。
図12Cは、最終ステップを示し、ここで、犠牲基板1204が除去される(図11Fに匹敵)。
上述のようにして、複数の復元性のある接触構造が、予備成形され、その後に続いて(後ほど)、電子コンポーネント(例えば、パッケージ本体)の表面に実装可能となる。接触構造の予備成形が、例えば、セラミック又は黒鉛モールドを用いるモールド技法により達成可能なことは、本発明の範囲内である。更に、接触構造が、以下で説明するアセンブリ実施例の相互接続基板、又はシリコンダイ、その他といった、任意の電子コンポーネントに実装可能なことも、本発明の範囲内である。
本発明の一括転移技法の利点は、設備据え付け(及び、それに関連したコスト)が最小限に抑えられ(即ち、実際上は削除され)、任意の所与のパッケージ構成のために、復元性のある接触構造の所与のパターン(例えば、アレイ)用の「型板」(上述のように、型板として機能する成形済みワイヤステムと混同すべきでない)が、僅かな時間の問題で特定できる点にある。(一般に、所望のピンレイアウトは、CADソフトウェア上で既に入手可能であり、単純な「マクロ」が呼び出されて、キャリア上に接触領域を形成するために、アレイ箇所が、マスキングパターンに変換される。)電子コンポーネントに複数の復元性のある接触構造を一括転移する(例えば、図12A−12Cを参照)に続いて、実装された(コンポーネントに)復元性のある接触構造をメッキ、又は更にメッキ可能なことは、本発明の範囲内である。換言すると、(i)まだ保護膜生成されていない複数のワイヤステムを、電子コンポーネントに一括転移し、次いで保護膜生成することができ、又は(ii)1つ以上の保護膜層が施された複数のワイヤステムを、電子コンポーネントに一括転移し、次いで更なる材料層で保護膜生成することができる。
また、複数の復元性のある接触構造を電子コンポーネントに一括転移する技法が、パッケージピン等の復元性のない接触構造に適用可能なことも、本発明の範囲内である。かかる場合、複数のパッケージピンが、電子コンポーネントへの後続の一括転移(及び、通常はろう接)のために、犠牲基板上に製造され、又は犠牲基板に実装されることになろう。
複数の復元性のある接触構造を電子コンポーネントに一括転移する工程例は、図12A−12Cに関連して記載されている。その工程が、パッケージピン等の「規則的な」接触構造だけでなく、本発明の復元性のある接触構造にも適用可能なことは、本発明の範囲内である。しかし、一括転移工程は、以下の理由のために、本発明に関連して特に有利である。
ワイヤを端子(例えば、パッケージ上の)にボンディングし、電子的火炎射出を使用する場合(パッケージパッド上に直接、本発明の復元性のある接触構造を構築しようとする場合であるような)、パッケージ済み半導体ダイに悪影響を与えるようなスパークを発生する可能性がある。多くの場合、半導体素子は、パッケージに外部相互接続子を実装する前に、それらのパッケージ(例えば、セラミックパッケージ)内に実装される。工程におけるこの「後」段階での半導体素子への損傷は、可能であるとしても、最良に回避されるであろうが割高な事態である。本発明の一括転移技法は、この問題を好都合に解決し、歩留りを向上させる。
複数の接触構造を犠牲基板上に製造し、次いで、その構造をパッケージへと(又は、任意の電子コンポーネントへと)一括転移することによる追加の利点は、接触端部間の間隔を制御できる点にある。接触構造は、第1の間隔(ピッチ)で犠牲基板上で「始める」ことができ、それらの対向端で第2の間隔を有するように仕立てることができる。接触構造が、粗いピッチで犠牲基板上に始まることが可能で、細かいピッチでパッケージに(又は、任意の電子コンポーネントに)接続可能なこと、又はその逆が可能なことは、本発明の範囲内である。
上記の技法による他の利点は、最終的には、パッケージ「ピン」の「先端」になるもの(すなわち、パッケージ本体に、又は任意の電子コンポーネントに一括転移される接触構造)が、それらの間隔(前の段落で説明したような)だけでなく、それらの形状及び微細構造(上記で更に詳細に説明した、プローブ接触パッドを製造するような)においても、十分に制御可能な点にある。
電子コンポーネント上の接触構造の先端の間隔、及び配設を信頼性良く制御することにより、電子コンポーネントが実装されることになる、導電トレース、パッド、その他を製造するための必要条件を幾分緩和することができる。本明細書に記載の一括転移技法は、切り離されても切り離されなくても、半導体ダイに複数の接触構造を実装するのに特に有利である。ウェーハ上の切り離されていない複数の半導体ダイに、複数の接触構造をどっと一括転移するのに十分な寸法である犠牲基板上に、接触構造を製造することができることは、本発明の範囲内である。代替として、単一の切り離されていない半導体ダイの寸法である犠牲基板上に、接触構造を製造すること、また、ウェーハ上の選択された「良好な」ダイにのみ、接触構造を一括転移することが可能である。いずれの場合でも、接触構造は、切断(切り離し)の前に、ウェーハ上のダイに実装可能である。
本発明の一括転移技法の代替実施例の場合、図12Dに示すように、複数の復元性のある接触構造が、プラスチックパッケージ等のパッケージにおける穴内に挿入される。
図12Dは、接触構造1230(図示では2つ、例示の明瞭化のために犠牲基板は省略)を、プラスチックパッケージ本体といった電子コンポーネント1222の表面における窪み部1220内に一括転移する様子を示す。窪み部1220は、例えば、リフローされる半田とすることができる導電材料1224、又は導電性エポキシ材料で充填される。
接触構造が、一括転移されるのではなく、1つ1つパッケージに個々に転移されるとしても、本発明の範囲内である。
上記の一括転移技法を用いて、プローブカード、その他上に複数のプローブ構造を形成可能なことは、本発明の範囲内である。
本発明の一括転移技法の一般的な利点は、半導体パッケージ上に接触構造を実装する幾つかの従来技術の技法とは対照的であることが明白になる。これらの従来技術の技法には、パッケージを手直しし、ピンを製造し、ピンの供給体(「バケット」)から1つずつピンを送り、それらを、再加熱処理によりパッケージ本体に実装することが伴う。本発明の技法によれば、これらと同様のステップが全て、一緒にまとめられる。
図12Eは、プローブカード(ボード)1252を示し、これは、そこに好適には一括転移される複数の復元性のある接触構造1254(1230に匹敵)を既に有している。(犠牲的な一括転移基板(1204)は、例示の明瞭化のために省略している。)接触構造は、それらの形状及び保護膜材料により、過行程及び弾性の各種のレベルを可能にするように仕立て可能である。接触構造1254の先端は、電子コンポーネント1258上の半田バンプの制御された浸透を可能にするように微細構造をなし、半田バンプは、(例えば)「C−4」工程により既に形成されている。
図12Fに示すように、複数の復元性のある接触構造(1230)を製造した後、接触構造は、図5Gに関連して説明したようにして、更に保護膜が施され、その結果、コーティングの傾斜した外層1232となり、ここで外層は、接触構造の固定を増強するために、接触構造の実装(近位)端においてより厚くなる。この増強された固定特徴は、接触構造が繰り返しの屈曲を被る、プローブ実施例に関連して好ましい、 一時的/永久的方法論 集積回路(チップ)製造の中の周知の手順は、チップのエージング、及び機能試験である。これらの技法は通常、チップをパッケージ実装した後で実施される。
最近の集積回路は、一般に、幾つかの通常同一の集積回路ダイ(通常、正方形又は矩形ダイサイトとして)を、(通常丸い)半導体ウェーハ上に生成し、次に、互いからダイ(チップ)を分離する(切り離す、切断する)ために、ウェーハをけがく又はスライスすることにより製造される。「けがき線」(切り口)領域の直交格子が、隣接するダイ間に延伸し、また時折、製造工程を評価するために、試験構造を含む。これらのけがき線領域、及びそれら内に含まれた如何なるものも、ダイが、ウェーハから切り離される際に破壊されることになる。切り離された(分離された)ダイは、最終的に個々にパッケージ実装されるが、これは例えば、ダイ上の接着パッドと、パッケージ本体内の導電トレースとの間に、ワイヤボンディング接続をなすことによる(例えば、上記の図7A−7Cを参照)。
「エージング」とは、それによりチップが、単純に電源投入される(「静的な」エージング)、又は電源投入され、且つある程度チップの機能性を遂行する信号を有する(「動的な」エージング)、1つの工程である。両方の場合に、エージングは通常、上昇した温度で、且つチップに「一時的な」(又は、取り外し可能な)接続をなすことにより行われ、その目的は、チップをパッケージ実装する前に、欠陥のあるチップを識別することである。エージングは、通常、ダイがウェーハから切り離された(切断された)後に、ダイ毎に行われるが、ダイを切り離す前にエージングを行うことも知られている。典型的には、ダイへの一時的な接続は、「フライングワイヤ」の試験プローブによりなされる。
機能試験も又、ダイに一時的な接続をなすことにより達成できる。ある例では、ダイの各々には、内蔵型自己試験(自己起動、信号発生)回路が設けられ、これは、チップの機能性の幾つかを遂行する。多くの例において、試験ジグを各ダイ用に製造する必要があり、プローブピンが、試験する必要がある特定のダイ上のパッドと、精密に位置合わせされる。これらの試験ジグは、比較的高価であり、普通でない長さの製造時間を必要とする。
一般的な提案として、パッケージリードは、エージング(又は、機能試験)に対してではなく、アセンブリに対して最適化される。従来技術のボードは、コストがかかり、何千ものサイクルを被る場合が多い(すなわち、試験されるダイ当たり概ね1サイクル)。更に、異なるダイには、異なるエージングボードが必要である。エージングボードは高価であり、これは、製造コスト全体を増大させ、また、特定のダイの大量ロットにわたってしか償却できない。
もし、ダイをパッケージ実装する前に、ダイのある試験が完了しているならば、パッケージ済みダイを、外部システムコンポーネントに接続可能とするために、ダイはパッケージ実装される。上記のように、パッケージ実装には通常、ボンディングワイヤ等により、ダイにある種の「永久的な」接続をなすことが伴う。(多くの場合、かかる「永久的な」接続は、なされず、やり直されるが、これは一般的に望ましい。)明らかに、ダイのエージング及び/又はパッケージ実装前試験に必要な「一時的な」接続は、ダイをパッケージ実装するのに必要な「永久的な」接続とは異なる場合が多い。
本発明の目的は、同一の相互接続構造を用いて、半導体ダイ等の電子コンポーネントに対して、一時的、及び永久的な両方の接続をなすための技法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ウェーハからダイを切り離す前か、又はウェーハからダイを切り離した後に、ダイのエージング及び/又は試験を行うために、ダイに一時的な相互接続をなすための技法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ダイに永久的な接続をなすのに、同じ相互接続構造を用いようが用いまいが、ダイに対して、一時的な相互接続をなすための改善された技法を提供することにある。
本発明によれば、復元性のある接触構造が、半導体ダイ等の電子コンポーネントに対する一時的、及び永久的な両方の接続子として、「二重の役目」を果たすことができる。
本発明によれば、復元性のある接触構造が、半導体ダイに直接実装可能であり、その復元性のある接触構造は、多数の目的を果たすことができる。すなわち、(a)復元性のある接触構造は、試験ボードに対して、信頼性の良い一時的な接触をなすことができ、それは、普通の印刷回路基板と同程度に単純明快であり、(b)同一の復元性のある接触構造は、ばねクリップ、その他により適所に保持される際に、回路基板に対して、信頼性の良い永久的な接触をなすことができ、(c)同一の復元性のある接触構造は、半田付けにより、回路基板に対して、信頼性の良い永久的な接続をなすことができる。
図13Aは、パッケージの外部表面上に配設された複数の復元性のある接触構造1330を有する、パッケージ済み電子コンポーネントの「ソケット無し」試験及びエージングを行うための1つの技法を示す。かかるコンポーネントは、図12A−12Cに関連して説明した工程に従って製造される。
電子コンポーネント1302の試験、エージング、その他を行うために、それは、試験カード(ボード)1310上に当てがわれて、これは、その上部(図で見て)表面上にパターニングされた複数のパッド1312を有する、単純明快な(例えば、容易且つ安価に製造される)印刷回路基板(PCB)とすることができる。コンポーネント1302は、任意の適切な位置合わせ手段(例えば、図示しないが、位置決めピン等)を用いて、カード1310と位置合わせされ、その結果、復元性のある接触構造1330の各々が、対応するパッド1312に支承される。これにより、カード1310と電子コンポーネント1302の間に、復元性のある「一時的な」接続がもたらされる。カード1310には、エッジコネクタその他(不図示)、及び任意的に内蔵型試験回路(不図示)が設けられるため、コンポーネントの試験及びエージングが容易に行われる。本発明の多くの利点の中には、これらの作業を行うために、「特別な」ソケットを構成する必要がないという点がある。
図13Bは、パッケージ済み電子コンポーネントのソケット無し試験及びエージングに用いられた(図13A)のと同一の復元性のある接触構造1330を、後で有利に使用して、電子コンポーネント1302と、相互接続基板(システムボード)1320その他との間に、「永久的な」接続がもたらされる様子を示す。基板1320には、パッケージ済みコンポーネント1302上の復元性のある接触構造1330の先端と、1つ1つ位置が合った、複数の接触パッド1322が設けられる。コンポーネント1302と基板1320間の永久的な接続の達成は、(i)ばねクリップその他(不図示)を介して、コンポーネント1302に「永久的な」圧力を加えて、基板に対してコンポーネントを偏倚させることにより、又は(ii)基板1320にコンポーネント1302を半田付けすることによりなされる。
図示のように、復元性のある接触構造1330は、基板1320上のパッド1322に半田付けされる。これは、各パッドに対しある量の半田(例えば、半田ペースト)1324を準備し、基板に対してコンポーネントを押し当て、半田のリフロー(熱循環)のために、炉を介してアセンブリを流すことにより、容易に達成される。
電子コンポーネントに対して、一時的、及び永久的な両方の接続をなすために、同一の復元性のある接触構造(1330)を用いるという本発明の技法は、能動半導体素子(すなわち、裸のパッケージ未実装ダイ)に実装される復元性のある接触構造に関連して、特に有利である。(これらの場合、図13A及び13Bに示すパッケージが、復元性のある接触構造(1330)が実装された、「裸の」半導体ダイで置き換えられることになる。) 図12Fの接触先端1120等の先端構造が、復元性のある接触構造1330の先端上に使用可能なことは、本発明の範囲内である。
基板1320、及びカード1310を、別個のもの(図示及び説明したような)ではなく、1つの同じものとすることができるのは、本発明の範囲内である。
チップレベル実装工程 上述のように、半導体ダイに(上に)直接、本発明の復元性のある接触構造を実装することは、十分、本発明の範囲内である。これは、外部の相互接続構造(例えば、ピン、リード、その他)を必要とするある種のパッケージ内に配設されるダイに、ワイヤボンディングを行う従来技術の技法に対して見た場合に、特に有意なものである。一般に、半導体ダイは、パッケージにピンをろう接する際に一般に必要とされるような、大幅な熱を課すことは許容していない。というのは、大幅な量の熱は、ダイにおいて慎重にレイアウトされた拡散領域を、更に拡散させることになるためである。これは、素子の幾何形状が小型化する(例えば、サブミクロン形状に)につれて、益々問題となる。一般的な提案として、任意の製造工程(例えば、CMOS)に対し、熱「集積」が存在し、ダイが熱を被る(例えば、ガラスのリフロー)処理ステップ毎の衝撃を慎重に捉え、考慮せねばならない。
一般に、本発明は、ダイを大幅に加熱することなく、半導体ダイに直接接触構造を実装するための技法を提供する。一般に、ダイへのワイヤステムのボンディング、及び後続でのワイヤステムの保護膜生成(例えば、メッキ)は、数百セルシウス度(℃)程度の温度をダイに被らせる素子製造工程(例えば、プラズマエッチング、リフローガラス)と比較した場合、相対的に「取るに足らない」温度で実行される。例えば、金ワイヤのボンディングは、通常140−175℃で行われる。アルミニウムワイヤのボンディングは、室温といった低い温度でさえも行うことができる。メッキ温度は、工程によって決まるが、一般に、100℃を越えた温度を伴わない。
図14A−14Eは、復元性のある接触構造を、シリコンチップ上に、又はそれらが半導体ウェーハから切り離されてしまう前に、シリコンチップ(ダイ)上に置く工程を示す。この工程の重要な特徴は、短絡層を設けることであり、これは、電気メッキ(上記の)により、復元性のある接触構造の成形済みのワイヤステムに、保護膜を施すのに重要である。電気メッキが、電界の存在のもとで溶液から材料を堆積させることを伴い、電界が、敏感な半導体素子に損傷を与える可能性があるだけでなく、電気アーク(上記で説明したように、ワイヤを切断するための電子的火炎射出におけるといった)が、半導体素子に損傷を与える電位を確実に有するという事実がある限り、短絡層は、工程時に、かかる敏感な電子コンポーネントに対して、電気的な保護を与えることになる。任意として、短絡層はは接地することもできる。
図14Aは、複数(図示では多くのうち2つ)の接着パッド1404を有する半導体基板1402を示す。接着パッド1404は、パッシベーション層1406(通常、窒化シリコン)により覆われ、これは、接着パッド1404の各々にわたる開口を有する。通常、パッシベーション層1406内のこれらの開口によって、リードフレームその他に基板(例えば、ダイ)をワイヤボンディングするために、ボンディングワイヤを接着パッドにボンディングすることが可能になる。全ての意図及び目的のために、接着パッドの金属化が、パッシベーション層1406内の開口を越えて拡がる可能性がある(通常、拡がることになる)という事実にもかかわらず、パッシベーション層内の開口は、接着パッド1404の寸法(面積)を規定する。(通常、接着パッド自体は、単純に、金属化層における導体パターンにおけるある場所にある。)前述のことは、半導体製造の技術分野において周知のところであり、接着パッド(上部金属化層)と基板1402間の導電材料、絶縁材料、及び半導体材料の追加層は、例示の明瞭化のために省略している。通常は、必ずしも必要ではないが、接着パッドは全て、半導体基板(素子)上の同じレベルにあり(例えば、先行層が、平坦化されている場合)、本発明の目的にとって、接着パッドが共平面にあろうがなかろうか問題ではない。
図14Aは、接着パッド1404が、アルミニウム、Ti−W−Cu(チタン−タングステン−銅)、Cr−Cu(クロム−銅)、その他からなる導電層1410により互いに短絡され、この導電層は、接着パッド1404と電気的接触をなすように、慣用的な工程により、基板1402の表面全体に施される(パッシベーション層1406にわたって、及びパッシベーション層の開口内へと)。レジスト(ホトレジスト)1412のパターン化層が、短絡層1410にわたって施されて、接着パッド1404にわたって直に位置があった開口1414を有するようにパターニングされる。留意点として、レジスト層1412内の開口1414は、任意の寸法にすることができ、好適には、パッシベーション層1406内の開口よりも大きく、その結果、「見かけの」接着パッド(短絡層1410へとレジスト層1412を介する開口1414により規定される)は、「実際の」接着パッド1404よりも大きな面積を有する。本発明の1つの態様によれば、見かけの接着パッドの面積は、実際の接着パッド(パッシベーション層内の開口により規定される)よりも、例えば最大で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%有意に大きい。通常、接着パッド(及び、それらの開口)は、正方形(上から見て)である。しかし、接着パッドの特定の形状は、本発明にとって特に関係はなく、本発明は、矩形、丸形、又は卵形の形状、その他を有する接着パッドに適用可能である。
図14Bは、基板1402に復元性のある接触構造を実装する工程における次のステップを示す。ワイヤ1420が、それらの遠位端1420aにおいて、開口1414内の短絡層にボンディングされて、保護膜生成された際に、復元性のある接触構造として機能するのに適した形状を有するように仕立てられる。一般に、上述の技法のいずれかが、ワイヤステム形状を仕立てるために、このステップで使用できる。この例の場合、ワイヤ1420は、図2Aに記載した形状と同様の形状を有するワイヤステムへと仕立てられる。
図14Cは、基板1402に復元性のある接触構造を実装する工程における次のステップを示し、ここで、ワイヤステム(成形済みワイヤ1420)に、導電材料の1つの(又は、それより多い)層1422で保護膜が施される。(以前の例の場合のように、多層コーティングの最上部層しか、導電性である必要はない。)やはり、成形済みのワイヤステムに保護膜を施すために、上述の工程及び材料のいずれかが、このステップで使用できる。この例の場合、ワイヤ(1420)は、ニッケルで電気メッキ(保護膜生成)される。以前の例の場合のように、保護膜は、結果としての接触構造の復元性を決定し、また、基板への接触構造の固定を強化するものである。この例の場合、基板全体が、電気メッキ槽に浸漬されて、ニッケルが、ワイヤステム上、及びレジスト1412の開口1414内に、本質的に選択性メッキされる(ニッケルは、レジスト材料には電気メッキしない)。このようにして、復元性のある接触構造が与えられる。
図14Dは、基板1402に復元性のある接触構造を実装する工程における次のステップを示し、ここで、ワイヤステム(1420)には既に保護膜(1422)が施されて、復元性のある接触構造1430が形成されている。レジスト層1412は、最後の3つのステップで明らかであるが、既に除去されている。工程のこの時点で、見かけの接着パッドは、単純に、連続した短絡層1410上の接触領域(110に匹敵)である。
図14Eは、基板1402に復元性のある接触構造を実装する工程における次のステップを示す。このステップで、短絡層1410は、保護膜1422の下以外の全ての場所で除去される。容易に選択性エッチングされる(すなわち、保護膜材料1422、又はパッシベーション材料1406をエッチングすることなく)材料から形成された短絡層の場合、これは、選択性湿式エッチングにより(すなわち、適切なエッチング剤を選択することにより)達成可能である。選択性エッチングを実施するための唯一「基本的な」必要条件は、この例の場合、層1410の材料が、コーティング1422の材料と異なること、及び他方(1422)を溶解することなく、一方(1410)を溶解することになる反応剤が存在することである。これは、本発明が最も近くに属する技術分野の通常の知識を有する者の視野内に十分ある。
本発明の工程の特異な利点は、別態様では存在した(すなわち、パッシベーション層の開口内に)ものより、大きな「見かけの」接触領域が生成される点にある。保護膜1422は、ワイヤステムのベース接着を大いに増大させるこの見かけの接触領域に、ワイヤステム1420を確実に固定する。更に、ダイ基板が、正方形(又は、矩形、或いは丸形)の実際の接触パッドを有するが、本発明の工程は、見かけの接触パッド(任意の輪郭、例えば矩形、丸形、卵形、等のレジスト1412内の開口)の生成を可能にする。更に、唯一必要なのは、見かけの接触パッドが、実際の接触パッドに重なり合うことだけである。換言すると、見かけの接触パッドの中心は、実際の接触パッドの中心からオフセットすることができる。これによって、復元性のある接触子の先端(遠位端)を「千鳥状にする」ことが可能になり、この特徴により、別態様では(実際の接触パッドの直線アレイに直接ボンディングする場合)、2つの異なるワイヤ形状、又は配向を仕立てることが必要であったのが、そうではなくなる。
上述のように、基板に復元性のある接触構造(1430)を実装するこの工程は、既に切り離されたダイ上で、又はそれらが半導体ウェーハから切り離されてしまう前のダイ(ダイサイト)上で実行可能である。
上記で説明したステップは又、ウェーハからまだ切り離されていない半導体ダイ上で実行可能である。(ウェーハからダイを切り離す前に、ダイに接触構造を実装するという説明に関しては、図15を参照されたい。)直ぐ上で説明した図14F及び14Gは、図14A−14Eの工程と同様の工程を記載しているが、ここで、接触構造は、ウェーハからダイを切り離す前に、ダイに施される。
図14Fは、後仕上げステップを示し、ここで、復元性のある接触構造1430が、半導体ウェーハ上の複数(図示では多くのうち2つ)のダイサイト1402a及び1402bに、既に実装されている。適切なけがき、又は切り目付け工具1450(鋸等の)が、隣接したダイ間で、ウェーハ上に当てがわれ、その結果として、各々のダイに復元性のある接触構造が実装された、複数の切り離されたダイとなる。
図14Gは、他の任意的な後仕上げステップを示し、これは、図14Fに示す後仕上げステップの前又は後に(すなわち、それとは独立に)実施可能である。このステップにおいて、適切な気密性(例えば、ポリマー)コーティング1460が、基板の表面に施され、それにより、表面全体だけでなく、復元性のある接触構造1430の近位端1430aと共に、基板のエッジも(図示のように)覆われる。通常(すなわち、好適には)、かかるコーティングは、絶縁材料であり、また、復元性のある接触醸造1430の遠位端(先端)1430bを覆うことは、避けるべきである(図示のように)。避けられない場合、復元性のある接触構造の先端1430bを覆う絶縁材料(1460)は、除去されねばならない。更に、絶縁材料(1460)で、復元性のある接触構造の付随(非常に小さい)部分よりどんな多くも覆うことは、厳格に避けるべきである。というのは、絶縁材料は、保護膜1422により(大いに)付与された、接触構造1430の復元(ばね)特性を変化させるためである。このステップは、本発明の重要な特徴を表すが、それは、半導体ダイ、特にそのアルミニウム接着パッドが、環境(大気)から気密的に封止されるという点においてである。このようなダイの気密封止によって、気密性の少ない(また、通常あまり高価でない)パッケージの利用が可能になる。例えば、セラミックパッケージは、非常に気密性があり(耐水分)、また非常に高価である。パラスチックパッケージは、気密性があまりなく、またあまり高価でない。PCB型式のパッケージは、更に気密性がなく、コストの点ではプラスチックパッケージに匹敵する傾向がある。
復元性のある接触構造のウェーハレベル実装 上記の説明は、半導体ダイを含む離散的な基板に、本発明の復元性のある接触構造を実装することを概ね強調したものであった。本発明は、更に広義の範囲にあり、ウェーハからダイを切り離す(切断する)前に、ダイに本発明の復元性のある接触構造を実装するのに特に有利である。これによって、本発明の復元性のある相互接続技法を用いて、ウェーハからダイを切断する前の切り離されていないダイの試験、及びエージングを行う機会が与えられる。切り離されていないダイへの接触構造の実装は、図14F及び14Gに関連して、上記で簡単に説明した。
一般に、従来技術の場合、ウェーハレベルにおいて切り離されていないダイを試験することは、ある種のダイ選択技法を必要とし、それらは、電気的(例えば、ウェーハ及び/又はダイ内へと内蔵されたダイ選択機構)か、又は機械的(例えば、プローブ、フライングワイヤ、その他)のどちらかであり、その両方が、複雑であり、また製造コストに大幅な増分を加える傾向がある。本発明によれば、切り離されていないダイ上に「最終的な」接触構造を構築し、また、試験と永久的なダイの接続の両方のために、これらの接触構造を利用する機会によって、これらの中間ステップが回避され、また試験後切断の方法論よりも更に経済的である傾向となる。
更に、ウェーハ上へのダイの製造時に、ウェーハにおける不完全性が、ウェーハ処理の前に識別されることになる場合が多い。かかる不完全なダイサイトで製造されたどんなダイも、これらのダイをわざわざ試験するまでもなく、直ちに破棄されるべきである(切断後に)。
図15は、半導体ウェーハの一部1502を示し、これは、切り目(けがき)線1506の格子により画定された、複数のダイサイト1504a…1504oを示す。復元性のある接触構造1530が、ダイサイト1504a…1504d、及び1504f…1504oの各々上の接着パッド(不図示)に既に実装されている。復元性のある接触構造(1530)は、ダイサイト1504e(復元性のある接触構造を実装する前に、欠陥があると既に判定された)には実装されない。この図に示すように、切り目線1506の直ぐ上の位置を占有する、復元性のある接触構造の部分がないように、ダイサイト上の復元性のある接触構造の全てが「配向」される。
ウェーハからダイを切り離した後に、それらに、適切な絶縁材料でコーティング(又は、封止)することができ、復元性のある接触構造の先端は、ボードへの又はカードへの後続の相互接続のために、露出状態で残される。
一般に、ウェーハからダイを切り離す前に、半導体ダイ上に直接復元性のある接触構造を製造する能力は、半導体素子を製造する工程全体において多大な利点を意味する。これは、以下のことにより例示できる。
従来技術の典型的な工程流れの場合、ダイは、ウェーハ上のままでプローブ当てされ、次にウェーハから切断され、次にリードフレーム上のダイ取付パッドに実装され、次にリードフレームのフィンガにワイヤボンディングされ、次にダイとリードフレームのアセンブリが、封止のために型枠内に挿入され、そして結果としてのパッケージ化ダイが、型枠から外され、トリミング(例えば、「フラッシュ」の)されて、形成される(例えば、パッケージ本体から延伸するリードフレームフィンガの部分が、適切なガルウィング構成、その他へと形成される。)。
本発明の典型的な工程流れの場合、ダイは、ウェーハ上のままでプローブ当てされ、復元性のある接触構造が、「良好な」(合格の)ダイに実装され、ダイがウェーハから切断され、次にダイがコーティング又は封止される。一般的な提案として、好ましいのは、上記のようにしてダイにプローブを当てることが、プローブ当てすべき接着パッドが100個よりも少ない接着パッドを有する、メモリ素子といった、ダイに限定されることである。それにもかかわらず、特にエージングの目的のために、(切り離しの前に)ウェーハレベルでダイにプローブを当てることが、開示の工程により容易になる。
図15において、復元性のある接触構造1530が、ダイの2つの側に任意に配設され、ダイのいずれか一方の側の復元性のある接触構造が、全て同じに成形され、また同じ方向に配向されるものとして示されている。これによって、「ピッチ」、すなわち復元性のある接触構造間の間隔が確立され、これは、明らかであるが、復元性のある接触構造が実装される接着パッドのピッチと同じになる。
これは、本発明の1つの利点を示し、それは、印刷回路基板又はその他に直に接続するのに適した復元性のある接触構造が、半導体(例えば、シリコン)素子に直に実装されて、「チップ寸法パッケージ」を形成することが可能になる点にある。このような、復元性のある接触構造が直に実装された素子は、試験及びエージングに対する準備が整い、また例えば、図13A及び13Bに関連して上記で説明したように、カード又はボードへの相互接続に対する準備が整う。
この説明の目的のために、前提として、所与の半導体素子は、如何に近くに接着パッドが、特に接着パッドの単一の列が配設できるかに基づいて低い方の限界を有することになり、またこの低い方の限界によって、本明細書で素子の「ピンアウト」と呼ぶものに対するピッチが確立されるものとする。(ここで理解されたいのは、「ピンアウト」という用語は、通常、接着パッドの物理的間隔ではなく、接着パッドの信号割り当てを記述するために用いられる、ということである。)このピンアウト・ピッチは、印刷回路基板上で適切に達成可能なパッド間隔と比較して、相対的に微細(小型)になる傾向があり、これは特に、ピンアウト・ピッチを増幅(拡大)するために、ダイのパッケージ実装と関連して、ボンディングワイヤ、リードフレーム、その他の利用を概ね受け入れることを考慮したものである。
一般に、ボード設計上の厳密な制約は、ある場合に、導電トレースが接触パッド間を通過して、「複雑な」相互接続方式をもたらすことが可能なように、接触(半田)パッドを十分遠く離間しなければならない点にある。更に、一般的な提案として、半田パッドが大きくなるほど、更に多くの半田を「受け入れる」ことになるので、更に信頼性のある接続に良好に近づく。
本発明の1つの特徴によれば、各種の形状及び配向を有する復元性のある接触構造が、基板(例えば、半導体ダイ)に実装可能であり、これは、素子ピンアウトの実効ピッチを増大するうえで有用である。
更に、可能であるが、復元性のある接触構造を切り離されたダイに実装する場合、接触子が、ダイの周囲を越えて延伸するように、接触子を形成することは、比較的単純明快な問題である。一般に、復元性のある接触構造を電子コンポーネントに実装する場合、本発明によれば、ワイヤステム(保護膜生成されることになる)の形状及び大きさに、見かけ上制約がなく、それにより容易にファンアウトが可能になる(ダイ上といった比較的小さな間隔から、印刷回路基板上といった比較的大きな間隔へと増大される)。
しかしながら、ダイの周囲を越えて延伸する接触構造が、ウェーハ上の切り離されていないダイに実装可能なことは、本発明の範囲内である。これには、例えば、ウェーハを対向側から切ることが必要であろう。というのは、かかる接触構造は、切り目線の上に存在することになるためである。
本発明の他の利点は、ワイヤステムがメッキ(保護膜生成)される際に、相互接続をなすことを特定して意図しない、電子コンポーネントの領域において、保護膜の沈着を許可できる点にある。電子コンポーネントの面に実装されたワイヤステムをメッキする間に、電子コンポーネントのエッジをメッキすることができる。もしくは、ワイヤステムをメッキする間に、電子コンポーネントの対向側をメッキすることも可能である。一般に、マスクされていない電子コンポーネント上の任意の領域がメッキされる。(上記の実施例の多くにおいて、ワイヤステムが電子コンポーネントにボンディングされる接触領域(例えば、110)は、ホトレジストその他内の開口により規定される。)図15Aは、接触構造の配向が、それらの実効密度を増大するために千鳥状にされる、本発明の1つの実施例を示し、また事例2の図24と類似している。この図は、半導体ダイ1520を示し、その頂部に、上記の技法に従って、複数の異なる接触構造が既に実装されている。接触構造の第1の部分1522が、比較的大きなオフセット(すなわち、遠位端から近位端への)を有するように構成(成形、曲げ)される。接触構造の第2の部分1524が、比較的小さなオフセット(すなわち、遠位端から近位端への)を有するように構成(成形、曲げ)される。このようにして、図示のように、隣接した接触構造(1522及び1524)の近位端の間の間隔は、「m」であり、隣接した接触構造の遠位端の間の間隔は「n」である。ここで、n>mである。例えば、「m」は約5ミルで、「n」は5−10ミルである。この図に更に示すように、電子コンポーネント1520の表面と直角に延伸する直線接触構造1528が、電子コンポーネント上に形成可能である。これらの接触構造1528は、印刷回路基板(PCB)等の別の電子コンポーネント上の対応する位置合わせ特徴(穴等)と嵌合することになる、位置合わせピンとして機能することを意図したものである。好適には、これらの位置合わせピン1528は、復元性がないが、それらは、復元性のある接触構造1522及び1524と同じ工程ステップで、確実に製造される。
任意として、封止剤を基板の表面上に堆積可能であり、これは、接触構造の低い方の(図で見て)部分を包囲し、基板の表面への復元性のある接触構造の取付けを機械的に補強する。
本発明に従って、接触構造の先端を千鳥状にすることにより、設計者は、電子コンポーネントが実装されることになるボードに対する「根本規則」(設計規則)を緩めることが可能になり、それによって、接触(半田)パッドを更に次から次へと配設し、及び/又は個々の半田パッドを更に大きくすることが可能になる。
使用時には、一時的な接続を、接触構造(1522、1524、1526)を介して、電子コンポーネント1520に対してなすことができ、その後に続く永久的な接続を、同一の接触構造(1522、1524、1526)を介して、電子コンポーネント1520に対してなすことができ、これは、図13A及び13Bに関連して説明したようにしてなされる。これによって、所望であれば、ウェーハ状の切り離されていないダイのウェーハレベルでのエージングが容易になり、その特徴は、半導体素子(限定ではないが)に特に有利である。接触構造1522、1524、1526、及び1528が、上記のようにして、ウェーハ(又は、チップ)1520に一括転移されることは、本発明の範囲内である。一括転移技法によって、一般に、電子コンポーネント上に短絡層(126に匹敵)を形成する必要性が回避される。というのは、接触構造が、「オフライン」で(すなわち、犠牲基板上に)製造されるためである。
必要とされない短絡層 上記の実施例の多くにおいて、短絡層の利用を説明してきた(例えば、図1C−1Eの導電層126を参照)。短絡層は、電気メッキ工程によりワイヤステムに保護膜を施すことに、特に関係がある。ワイヤステムの全てが接続される導電性の犠牲構造を利用することは、複数のワイヤステムを同様に短絡する(共に電気的に接続する)ことにより、電気メッキを容易にする。
図16Aは、工程の最初のステップを示し、ここで、半導体ダイ1612に実装(ボンディング)された複数のワイヤステム1630及び1632を成形、及び保護膜生成することに関連して、犠牲構造1602が用いられる。
犠牲構造1602は、アルミニウム等の導電(及び、工程の最終ステップで、容易に除去される)材料から、かご状の構造として形成され、この犠牲構造には、ダイ1612が配設される領域を規定する外部リング1604と、リング1604(図示のような)の一方の側からリング1604の対向側(この断面斜視図では見えない)にまたがるクロスバー1606とが含まれる。この結果として、開口1608及び1610が、クロスバー1606に(及び互いに)平行に、リングの一方の側からリングの対向側にまたがることになる。
一般に、犠牲構造(かご)は、半導体ダイ1612にわたって位置決めされるため、開口1608及び1610は、ダイ1612にワイヤステム1630と1632を実装する前に、ダイ1612上の接着パッドの対応する列と位置が合わせられる。
図示のように、ダイのそれぞれの側に沿った、接着パッドの各列におけるワイヤステムは、交互に、外部リング1604と内部クロスバー1606に延伸して、例えば、それらの遠位端をくさびボンディングすることにより、犠牲構造にボンディングされる。このようにして、犠牲構造1602は、ワイヤステムの全てを互いに短絡し、ワイヤステムの後続のメッキに対して、容易に接続される(不図示)。
図16Bは、工程における次のステップを示し、ここで、ワイヤステム1630、及び1632が、上記のようにしてメッキされて、それぞれ、復元性のある接触構造1640、及び1642として機能する。
次のステップで望ましいのは、犠牲構造を除去(削除)することであり、一般に、2つの可能性が存在する。すなわち、(i)復元性のある接触構造の遠位端が、犠牲構造から切断(切る)可能であること、又は(ii)犠牲構造が、復元性のある接触構造の先端を切断することなく、溶解除去(例えば、エッチング)することが可能であることである。
図16Cは、第1の可能性を示し、ここで、犠牲構造(1602)は既に溶解除去されて、復元性のある接触構造1640及び1642が実装されたダイ1612が残っている。以前の実施例の大部分の場合に、復元性のある接触構造の最遠位端が、別の電子コンポーネントと接触するのに対して、この実施例の場合、接触構造1640、及び1642の中間部1640c、及び1642cが、それぞれ、別の電子コンポーネント(不図示)と接触する(「C」で表記した矢印で示される)ように、復元性のある接触構造1640及び1642が成形される。
一般に、接触構造1640(ダイ表面の内部の方向を指す)と1642(ダイの外部の方向を指す)の配向を変更することにより、接触構造の実効ピッチを、ダイのピンアウト・ピッチ(図15Aに匹敵)よりも大きくすることができる。内部を指す接触構造1640が同じ状況の場合、図8A−8Cに関連して図示及び説明した実施例と同様に、それらの先端1640bとダイの表面の間に間隙が存在し、これによって、先端が半導体ダイの表面に接触することなく、復元性のある接触構造の偏向が可能になる。外部を指す接触構造1642が同じ状況の場合、それらの先端1642bは、ダイ1612のエッジから外れ、かかる問題(すなわち、接触構造の先端が、接触力に応じてダイの表面に触れる)は存在しない。
図16A−16Cを通じて、ダイ1612は、上記と同様に、その上部(図で見て)表面にパッシベーション層1614を備えて示されている。
図16Dは、事象の代替シーケンスを示し、犠牲構造1602は、ワイヤステム1630及び1632に保護膜を施す前に除去される。最初のステップは、図16Aに関連して説明したのと同じままであり、結果としての構造が、図16Cに示すようになる。
図16A−16Cに関連して上記で説明した技法は、ウェーハの頂部に単に載置する(図16A−16Cに示すように、個々のダイの側部エッジの下に延伸するのではなく)更に薄い犠牲構造(1602)を単に設けることにより、ウェーハレベルで実施可能である。
電子コンポーネント(1612)が、接触構造(例えば、図16Bの)又はワイヤステム(例えば、図16Dの)を単純に切断することにより、犠牲構造(1602)から「自由に」される。犠牲構造(1602)を用いることの一般的な利点は、別態様では電子コンポーネント(1612)が、極端に高く、又損傷を与える可能性のある電圧(例えば、2000ボルト)を被ることになっていた、電子的火炎射出を必要としない点にある。
接触構造(又は、ワイヤステム)が、硬質ワックス材料等で安定化されて、電子コンポーネントの平面に平行な平面で、研ぎ(研磨)を受け、その結果として、接触部分(例えば、1642c)が、接触構造の自由端となる(例えば、接触構造又はワイヤステムを完全に通して研磨することにより)ことも、本発明の範囲内である。これは、例えば図53C及び53Dに関連して以下で説明する。
本明細書に記載の「機械的な」切断技法のいずれかを利用すると、スパーク切断の高電圧に関連した問題が回避されるだけでなく、結果としての接触構造の高さも、直接的、物理的、及び直感的な仕方で保証される。
図16E及び16Fは、頂部に次から次ぎにチップ(半導体ダイ)を積み重ねるのに適した仕方で、復元性のある接触構造を製造するための技法1650を示す。犠牲構造1652(1602に匹敵)が、第1の電子コンポーネント1662(1612に匹敵)の頂部に配設される。ワイヤ1658が、一方の端部1658aにおいて、第1の電子コンポーネント1662上のパッド1664にボンディングされ、弾力のある形状を有するように構成され(図16Aと同様にして)、ワイヤ1658の中間部1658cが、(切断することなく)犠牲構造1652にボンディングされる。図示のように、犠牲構造1652には、ワイヤの中間部がボンディングされる接触先端(図10Cの1026に匹敵)が設けられる。ワイヤは更に、弾力のある形状(例えば、図2EのS字形状に匹敵)で、犠牲構造1652から延伸するように成形されて、自由端1658bを有するように切断される。成形されたワイヤステムは、犠牲構造1652を除去する前(図16Bに匹敵)か、又は後(図16Dに匹敵)のいずれかでメッキされて、復元性のある接触構造となり、その自由端1658bに施された微細構造接触子(1026に匹敵)を有する。
犠牲構造1652が除去された後、第2の電子コンポーネント1672が、第1の電子コンポーネント1662と、復元性のある接触構造(ワイヤステムに保護膜生成された)の中間部1658cとの間に配設されて、第1の電子コンポーネント1662と、第2の電子コンポーネント1672の端子1674との間に、相互接続がもたらされる。この技法の利点は、相互接続が又、外部システム(他の電子コンポーネント)に対して接続をなすために、第2の電子コンポーネントから延伸する点にある。例として、第1の電子コンポーネント1662はマイクロプロセッサであり、第2の電子コンポーネント1672はメモリ素子である。
介在体 この応用例の図17A−17Dは、それぞれ、事例2の図6、7、13、及び22と類似であり、介在体として用いるための、印刷回路基板(PCB)に実装された接触構造を記載している。本明細書で用いる「介在体」とは、その両側に配設された接触構造を有する概ね平坦な基板のことであり、一方の側(面)の接触子は、介在体内において、他方の側(面)の接触子に電気的に接続される。かかる介在体は、相互接続を所望する2つの電子コンポーネント間に配設される。一般に、介在体は、相互接続しようとする電子コンポーネントに直に、接触構造を実装することが望ましくない場合に用いられる。
図17Aは、介在体の実施例1700を示し、ここで、複数(図示では多くのうち1つ)の仕立て済みワイヤステム1702が、印刷回路基板1704の上側(図で見て)表面1704aに配設され、複数(図示では多くのうち1つ)の仕立て済みワイヤステム1706が、印刷回路基板1704の下側(図で見て)表面1704bに配設される。更に具体的には、印刷回路基板1704には、既知の仕方で製造された、導電材料の1つ以上の層からなる、複数(図示では多くのうち1つ)のメッキされたスルーホール1708が設けられる。ワイヤステム1702は、印刷回路基板1704から上方に(図で見て)突出するように、メッキ1710に実装され(上記の任意の適切な仕方で、ボンディングされ)、ワイヤステム1706は、印刷回路基板1704から下方に(図で見て)突出するように、メッキ1710に実装される(上記の任意の適切な仕方で、ボンディングされる)。ワイヤステム1702及び1706は次に、ワイヤステムに復元性を付与することになる、導電材料の1つ以上(例示の明瞭化のために、図示では1つ)の層1712で、保護膜が施される(上記の任意の適切な仕方で)。コーティング1712は又、ワイヤステムをスルーホールメッキ1710に確実に固定して、図示のように、スルーホールメッキ1710の表面全体を覆う。電気経路が、接触構造1702から接触構造1706への保護膜1712により与えられる。このようにして、復元性のある接触構造が、介在体基板の両側に形成され、接触構造1702の上部「組」は、介在体の上に配設された第1の電子コンポーネント(不図示)上の端子、パッド、その他に接触し、接触構造1706の下部「組」は、介在体の下に配設された第2の電子コンポーネント(不図示)上の端子、パッド、その他に接触し、接触構造の両方の組は、従順な(復元性のある)仕方で、対応する電子コンポーネントに対して電気的接続をなす。
従って、図17Aにおいて、介在体には、「回路化」(金属化)された誘電体基板の両側に、弾力のある接触構造が設けられているのが見て取れる。容易に理解されるであろうが、この実施例(1700)の場合、スルーホール(1708)を含んでも含まなくても良いが、下側のばね(1706)に上側のばね(1702)を接続する任意の適切な手段が、介在体の意図した目的を完全に満たすことになる。この実施例の接触構造(1702及び1706)は、復元性がある(純粋なばね)か、従順性がある(弾性と可塑性の組合せを示す)。
従順性(復元性)のある電気的接続が、介在体の一方の側にのみ必要とされる場合、図17Bに示すような介在体実施例が、製造及び利用可能である。この実施例の場合、複数(図示では多くのうち1つ)の仕立て済みワイヤステム1722が、印刷回路基板1724の上側(図で見て)表面1724aに配設される。復元性のある導電性コーティング1732で保護膜生成されると、これらのワイヤステム1722は、介在体の上に配設された第1の電子コンポーネント(不図示)上の端子、パッド、その他と接触するための復元性のある接触構造を形成することになる。
以前の実施例(1700)の場合のように、印刷回路基板1724には、既知の仕方で製造された、導電材料1730の1つ以上の層からなる、複数(図示では多くのうち1つ)のメッキされたスルーホール1728が設けられる。ワイヤステム1722は、印刷回路基板1724から上方に(図で見て)突出するように、メッキ1730に実装される(上記の任意の適切な仕方で、ボンディングされる)。
この実施例1720の場合、復元性のない接触構造1706が、印刷回路基板1724の下側(図で見て)表面1724bに形成されるが、これは、スルーホールメッキ1730上の一方の位置に、ワイヤ1726の一方の端部1726aをボンディングし、またスルーホールメッキ1730上の他方の、好適には径対向した位置に、ワイヤ1726の他方の端部1726bをボンディングすることによりなされ、これは、伝統的なワイヤボンディング・ループ(ワイヤが、2点間の2つの端部においてボンディングされて、その2点間にアーチ状構成を有する)を形成するのと同様にしてなされる。
ワイヤステム1722及び1726は次に、スルーホールメッキ1730にワイヤステム1722及び1726を確実に固定することになり、また図示のように、スルーホールメッキ1730の表面全体を覆う、導電材料の1つ以上(例示の明瞭化のために、図示では1つ)の層1732で、(上記の任意の適切な仕方で)保護膜が施される。保護膜1732は又、ワイヤステム1722に復元性を付与することになる。電気経路が、接触構造1732から接触構造1736への保護膜1732により与えられる。このようにして、復元性のある接触構造が、介在体基板の両側に形成され、接触構造1722の上部「組」は、介在体の上に配設された第1の電子コンポーネント(不図示)上の端子、パッド、その他に接触し、接触構造1726の下部「組」は、介在体の下に配設された第2の電子コンポーネント(不図示)上の端子、パッド、その他に接触する。この場合、接触構造1722の上部組のみが、(第1の電子コンポーネントに対して)復元性のある接触をなす。この実施例1720の場合、介在体と第2の電子コンポーネント間に、復元性のある接続は必要としないことが前提であるので、接触構造1726は、自立型のピン状接触構造(上記のような)として形成可能である。
明らかに、この実施例1720の場合、上側接触構造(1722)のみが復元性(従順性)があり、下側接触構造(1726)は、堅固であり、介在体1720の下に配設された別の電子コンポーネントに半田接続をもたらすのに十分適している。
図17Cは、介在体の他の実施例1740を示す。以前に説明した実施例の場合のように、上部(図で見て)表面7144aと下部(図で見て)表面1744bを有する印刷回路基板1744には、導電材料1750の1つ以上の層でメッキされる、複数(図示では多くのうち1つ)のスルーホール1748が設けられる。この実施例は、スルーホール1748を介して毛細管(不図示)を挿入し、犠牲部材1743にワイヤ1742の自由端1742aをボンディングし、毛細管をスルーホール1748を介して上方に移動させ、印雑回路基板1704の頂部のスルーホールメッキ1710に、ワイヤ1742の中間部1742bをボンディングし、次に、印刷回路基板1744の上部表面1744aから上方に突出する、復元性のあるワイヤステム1746を仕立てることにより、適切に製造される。(上記の任意の適切な仕方で)導電材料1752で保護膜生成されると、印刷回路基板1744の上部表面1744aから上方に(図で見て)突出し、また、印刷回路基板の下部表面1744bから下方に(図で見て)突出する、復元性のある接触構造が形成される。明らかに、スルーホール1748の直径は、この技法を可能にするために、毛細管の直径よりも大きくすべきである。約0.001インチの直径を有するワイヤを送る毛細管は、約0.006インチ程度に小さい直径を有することが知られている。ゆえに、約0.010インチの直径を有するスルーホールは、毛細管がそこを横切るのに十分な公差を与えることになる。上記のように、介在体上への復元性のある接触構造の製造が完了すると、犠牲部材1743が除去される。(代替として、上記のように、ワイヤステムに保護膜を施す前に、犠牲部材を除去することも可能である。)明らかに、この実施例1740の場合、基板の両側に導電性を与える領域を有するメッキされたスルーホールが図示されているとしても、介在体基板(1744)の一方の側に、導電領域を有することが唯一必要である。更に、ワイヤステム部分(1742)が、スルーホールを介して延伸することは必ずしも必要ではない。同様の様式は、介在体基板(1744)のエッジ近くの導電パッドに、ステム部分1742及び1746をボンディングすることにより、容易にもたらすことが可能であろう。
上記の介在体実施例の場合、接触構造の「上部組」は、接触構造の「下部組」と異ならせることが可能なこと、また一方又は両方の組を復元性のある接触構造とすることが可能なことは明白である。一般に、所与の(すなわち、上部又は下部)組の接触構造の全てが、互いに同じであるのが好ましい。しかし、それらが互いに異なることは、本発明の範囲内である。
本発明に従って形成(仕立て、及び保護膜生成)された復元性のある接触構造はコンプライアンスがある。それらが意図して利用される用途に依存して、それらのコンプライアンスを制限することが望ましい場合もある。この目的のために、「ストップ」が容易に製造されて、復元性のある接触子のコンプライアンス(ばね偏向)が制限される。
図17Dは、介在体の実施例1760を示し、これは、そこに組み込まれた「ストップ」を有する。この実施例は、破線で示すように、図17Aの介在体実施例1700の基板を組み込む。この実施例1760の場合、ワイヤステム1702及び1706の仕立てに加えて、コンプライアンス制限ストップ(スタンドオフ)1779が、印刷回路基板1764のメッキされたスルーホール1778上に、単純なループ(図17Bのループ1726に匹敵)として形成される。上述のように、かかるループ1779は、保護膜が施されると、復元性がなくなる。印刷回路基板1764の上部表面の復元性のある接触子1702のコンプライアンスを制限するために、復元性のある接触構造1702の垂直方向の長さ(「A]で表記)の下、0.003インチといった任意の所望の距離において確立される、「B」で表記した位置にループは延伸する。このようにして、復元性のある接触構造の偏向(介在体を下方に支承する電子コンポーネントにより課せられる力に起因した)が制御可能となる(すなわち、制限可能となる)。
図17Dの実施例1760の顕著な特徴は、スタンドオフ要素1779が、復元性のある接触構造(1702、1706)と同じ工程で製造可能な点にある。
図17Eは、介在体の他の実施例1780を示す。この場合、介在体基板1782は、その上部(図で見て)表面からその下部(図で見て)表面へと延伸する、複数(図示では多くのうち2つ)の段差付きで、メッキされたスルーホール1784を有する。もっと具体的には、基板1782は、好適には、モールドされた熱可塑性基板であり、図示のように、その内部にモールドされたオフセット穴を備える。オフセット穴により、結果として、「段差」(又は、「水平部」)が、基板の本体内に存在することになり、これらは、金属化されると接触構造の実装に適している。複数(図示では多くのうち2つ)の復元性のある接触構造1786が、スルーホール1784内に実装されて、基板1782のの上部(図で見て)表面を越えて延伸し、また、複数(図示では多くのうち2つ)の復元性のある接触構造1788が、スルーホール1784内に実装されて、基板1782の下部(図で見て)表面を越えて延伸する。このようにして、圧縮力に応答した、復元性のある接触構造の偏向が、それ自体「ストップ」(上述の図17Dの偏向制限ストップ1779に匹敵)として機能する基板1782により、固有に制限される。このようにして完全に偏向された復元性のある接触構造(1786、1788)は、スルーホール内に完全に含まれることになる。スルーホールが、図5Eに関連して説明したように、同じ理由のために、任意的に、軟質で導電性の弾性質量体で充填されることは、本発明の範囲内である。
更なる介在体実施例 介在体に関係して本発明を利用することを、図17A−17Eに関連して簡単に説明した。
以下のことは、本発明の範囲内である。すなわち、(a)同一の復元性のある接触構造が、介在体の両側に形成可能であること、(b)異なる復元性のある接触構造が、介在体の各側に形成可能であること、(c)隣接した復元性のある接触構造の間の間隔が、介在体上の側間と異ならせることが可能であること、(d)1つより多い復元性のある接触構造が、介在体の所与の側の各「サイト」において形成可能であること、及び(e)スタンドオフ要素、及び/又は位置合わせ要素、及び/又はばねクリップ要素が、復元性のある接触構造の形成と共に、形成可能であること(例えば、図15Aの要素1528、及び図17Dの要素1780を参照)である。
図18Aは、半導体ダイ(1840)及び印刷回路基板(1850)といった、2つの電子コンポーネント(図18Bに示す1840、及び1850)の離間した対向表面間に配設するのに適した、介在体1800の実施例を示す。
介在体1800は、積層印刷回路基板等の基板1802から製作され、それを介して延伸する複数(図示では多くのうち2つ)の穴1804及び1805を有する。基板1802は、その両方の表面を覆い、スルーホール1804及び1805を介して延伸する、銅等の導体1806で被覆される。これは周知である。
レジスト1812の層が、PCB1802の上(図で見て)側に施され、スルーホール1804の近くに延伸する。レジスト1814の同様の層が、PCB1802の下(図で見て)側に施され、スルーホール1804及び1805の近くに延伸する。スルーホール1830は、ニッケルの層1808でメッキされ、これには、金の層1810で保護膜が施される。これらの層1808及び1810は、スルーホール1804及び1805内で銅1806を覆い、スルーホール1804及び1805のエッジにわたって、レジスト1812、1814で覆われない、PCB1802の表面の一部上へと延伸する。これは、本発明による復元性のある接触構造を実装するのに適した、メッキされたスルーホール(1804、1805)を与える。被覆(1806)、及び多層(例えば、ニッケル1808、金1810)コーティングされたスルーホール(1804、1805)を有する基板は、知られており、また市販品が入手可能である。
第1のワイヤステム1820が、スルーホール1804において、PCB1802の上部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。第2のワイヤステム1821が、好適にはワイヤステム1820に近い、スルーホール1804の円周位置において、スルーホール1804におけるPCB1802の上部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。ワイヤステム1820及び1821は、介在体1800の上に(図で見て)配設された第1の電子コンポーネント(不図示)の第1の端子に向かって、互いに同じ方向で、上方に(図で見て)延伸する。
第3のワイヤステム1822が、スルーホール1804において、PCB1802の下部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。第4のワイヤステム1823が、好適にはワイヤステム1822に近い、スルーホール1804の円周位置において、スルーホール1804におけるPCB1802の下部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。ワイヤステム1822及び1823は、介在体1800の上に(図で見て)配設された第2の電子コンポーネント(不図示)の第1の端子に向かって、互いに同じ方向で、下方に(図で見て)延伸する。
第5のワイヤステム1824が、スルーホール1805において、PCB1802の上部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。第6のワイヤステム1825が、好適にはワイヤステム1824に近い、スルーホール1805の円周位置において、スルーホール1805におけるPCB1802の上部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。ワイヤステム1824及び1825は、介在体1800の上に(図で見て)配設された第1の電子コンポーネント(不図示)の第2の端子に向かって、互いに同じ方向で、上方に(図で見て)延伸する。
第7のワイヤステム1826が、スルーホール1805において、PCB1802の下部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。第8のワイヤステム1827が、好適にはワイヤステム1826に近い、スルーホール1805の円周位置において、スルーホール1805におけるPCB1802の下部(図で見て)表面にボンディングされて、上記のように、骨格(保護膜生成されると、ばねとして機能するのに適した形状)へと仕立てられる。ワイヤステム1826及び1827は、介在体1800の上に(図で見て)配設された第2の電子コンポーネント(不図示)の第2の端子に向かって、互いに同じ方向で、下方に(図で見て)延伸する。
ワイヤステム(1820−1827)が、基板1802に実装され、復元性のある形状へと仕立てられると、ワイヤステムには、上記のように、ニッケル等のばね材料1830で保護膜が施される。保護膜1830は、スルーホール1804及び1805の露出した(レジスト1812又は1814により覆われていない)表面全体を覆って、ワイヤステムに対して確実な固定をもたらし、また保護膜は、ワイヤステムを包み込んで、そこに復元性を付与する。コーティング(1830)工程時に、銅層(1806)は、「短絡」層(スルーホールの全てを互いに、従ってワイヤステムの全てを互いに短絡する)として機能し、これにより電気メッキが容易になる。
ワイヤステム(1820−1827)に保護膜(1830)が施されると、レジスト(1812、1814)が除去され、スルーホール(1804、1805)間の銅被覆1806が、選択性エッチング(すなわち、ニッケル保護膜1830に対して、銅被覆1806にとって選択性である化学薬剤で)等により除去される。
この結果として、復元性のある接触構造の対が、第1の電子コンポーネント(1840)に接続するために上方に(図で見て)延伸し、復元性のある接触構造の対応する対が、第2の電子コンポーネント(1850)に接続するために下方に(図で見て)延伸することになり、2つの電子コンポーネント間の接続が1つ1つ(例えば、パッド毎に)なされる。
この実施例で明らかなように、ワイヤステムは対(例えば、1820と1821の対、1822と1823の対、1824と1825の対、及び1826と1827の対)をなして設けられる。一般に、ステムの各対(例えば、ステム1820と1821)のステムは、それらが実装される表面の上の同じ高さにまで延伸する(しかし、図示では僅かに斜めである)。ステムの各対は、対応する電子コンポーネント上の対応する端子(又はパッド、或いは導電領域)に対して接続をなす。接触構造の対1820/1821は、第1の電子コンポーネント1840(破線で示す)上の端子1842(破線で示す)に接続する。接触構造の対1822/1823は、第2の電子コンポーネント1850(破線で示す)上の端子1852(破線で示す)に接続し、介在体1800のスルーホール1804により、対1820/1821に接続される。接触構造の対1824/1825は、第1の電子コンポーネント1840(破線で示す)上の端子1844(破線で示す)に接続する。接触構造の対1826/1827は、第2の電子コンポーネント1850(破線で示す)上の端子1854(破線で示す)に接続し、介在体1800のスルーホール1805により、対1824/1825に接続される。
復元性のある接触構造の対(例えば、1820、1821)で接続をなすことの利点は、インダクタンスが低減される点にある(すなわち、接続当たり1つの復元性のある接触構造しか用いない場合に対して)。
復元性のある接触構造の対(例えば、1820、1821)で接続をなすことの他の利点は、2つの接触子の方が1つよりも良いという一般的前提の下で、冗長性が単純に与えられる点にある。
図18A及び18Bの介在体実施例1800は、各相互接続サイトで、また介在体の両側で同一の接触構造を備えて示されている。接触構造が、介在体の所与の側で同一である(例えば、ワイヤステム1824及び1825は全て、概ね同じ高さと形状で仕立てられる)ことは一般に望ましいが、介在体の他方の側の接触構造(例えば、ワイヤステム1822、1823、1826及び1827)は、介在体の対向側の接触構造とは、異なる形状及び異なる高さで仕立てることができる。
以下の介在体の説明において、メッキされたスルーホールは、例示の明瞭化のために、1つの層を有するものとして一般的に示すが、理解されたいのは、上記のような多層スルーホールの方が好ましいということである。また、例示の明瞭化のために、介在体上に形成された複数の接触構造のうちの1つだけを示す。
図19Aは、半導体ダイ(1840)及び印刷回路基板(1850)といった、2つの電子コンポーネント(図19Bに示す1940及び1950)の離間した対向表面間に配設するのに適した、介在体1900の実施例を示す。
介在体1900は、繊維含有の印刷回路基板等の基板1902から製作され、それを介して延伸する複数(図示では多くのうち1つ)の穴1904を有する。基板1902は、導体1906で被覆され、これは、周知の仕方で既にパターニングされ、またスルーホール1804が穴を介してメッキされるように、周知の仕方で既にメッキされている。(パターニングをもたらすために、レジストを施すことを伴うステップは、例示の明瞭化のために省略している。)犠牲部材1970が、基板の下部表面1902bの直下に配設されて、そこに、一般的なホトレジスト等の適切で、除去可能で、一時的な接着剤1972で接着される。犠牲部材1970には、例えば図10D及び11Dに関連して上記で説明したようにして、ある幾何形状(微細構造)の接触先端を形成するための窪み1974が設けられる。第1のワイヤステム1920の自由端1920aが、介在体1902の一方の面1902aのスルーホール導体1906にボンディングされ、その面1902aの上で上方に延伸するばね形状に仕立てられる。
第2のワイヤステム1922の自由端1922aが、幾何形状先端1976にボンディングされる。これは、穴1904を介して毛細管を果報に移動させることにより達成される。通常、毛細管の直径は、0.006インチ程度であり、穴の直径は、0.010インチ程度、又はそれより大きいため、毛細管が、穴内で移動することが可能になる。ワイヤステム1922は次に、スルーホール1904を介して上方に延伸し、ばね形状を有するように仕立てられて、その第2の端部1922bにおいて、介在体基板1902の一方の面1902aのスルーホール導体1906に、好適には第1のワイヤステム1920の接着端1920aに直ぐ隣接して、ボンディングされる。
ワイヤステム1920及び1922は次に、ニッケルの層1930等で保護膜が施されて、復元性を有する接触構造が形成される(また、ワイヤステムの接着端が固定される)。
最後に、図19Bに示すように、犠牲部材1970が除去される(それ及び接着剤1972を適切な溶剤で溶解する等により)。このようにして、第1の電子コンポーネント1940(破線で示す)上の端子1942(やはり破線で示す)と、第2の電子コンポーネント1950(破線で示す)上の端子1952(やはり破線で示す)との間に、相互接続をなすことが可能になる。
一般に、犠牲部材を使用する以前に説明した実施例の場合のように、犠牲部材(1970)は短絡部材として機能して、ワイヤステム上へのコーティング(1930)の電気メッキを容易にする。やはり、以前の実施例の場合のように、犠牲部材(1970)は、後ではなく保護膜(1930)を施す前に除去される(図示のように)。
例として、介在体1900は、パッケージ(電子コンポーネント1940)と印刷回路基板(電子コンポーネント1950)の間に配設され、その場合に有利なのは、接触先端1976が、スズ又は半田層で終端し(印刷回路基板上のパッドに接続するために)、ステム1920の先端が半田として終端する(パッケージ上のパッドに接続するために)ことである。
図18A及び18Bの介在体1800に関連して上述したように、図19A及び19Bの介在体1900の場合、介在体(1900)の一方の側(1902a)の接触構造(1920)は、介在体(1900)の他方の側(1902b)の接触構造(1922)とは、異なる形状、及び異なる高さで仕立てられる。更に、一方の側(1902a)の接触子(1920)の先端微細構造は、他方の側(1902b)の接触子(1922)の先端微細構造と異ならせることができる。更に、介在体(1900)の一方の側(1902a)のワイヤステム(1920)の材料は、介在体(1900)の他方の側(1902b)のワイヤステム(1922)の材料と異ならせることができるが、同じ材料を用いる方が好ましい。一般に、保護膜(1930)は、介在体の両側の接触構造に対して同じ(材料及び工程)である。というのは、これにより、保護膜(1930)の不連続性が回避されるためであるが、保護膜が、介在体の各側のワイヤステムに対して異なることは、本発明の範囲内である。これらの「主題に基づく変形」は、一般に、本明細書に記載の介在体実施例の全てに適用可能である。
2つのコンポーネント1940と1950間の電気的接続が、スルーホールに依存しないという事実(すなわち、図18A及び18Bの実施例の場合のように)に起因して、介在体基板1902に、図示のようなメッキされたスルーホール(1904)ではなく、上側(1902)のみのパッドが設けられるであろうことは、本発明の範囲内である。
更に、2つのワイヤステム1920と1922を1つのワイヤステムとして形成することは、本発明の範囲内であり、これは、犠牲部材1970にワイヤステム1922の端部1922aをボンディングし、スルーホール1904を介して毛細管を上方に延伸させ、(図19Aの1922bと同じ位置で)端子にワイヤ1922の中間部をボンディングし、次に毛細管を移動させ続けて、ワイヤステム1922の「連続」として、ワイヤステム1920を仕立てることにより、容易に思い浮かべられる。このようにして、スルーホール材料(1906)の導電性に頼ることなく、第1の電子コンポーネント1940の端子1942と、第2の電子コンポーネント1950の端子1952との間に、直接的な1つのワイヤ接続がなされることになる。
ワイヤステム1920及び1922を、(図示のように)2つの特異なワイヤステムとして形成することが望ましく、明らかに好ましいのは、上側のワイヤステム1920を形成する前に、まず下側のワイヤステム1922(スルーホール1904を介して延伸する)を形成することである。さもなければ、下側のワイヤステム1922を仕立てる間、ワイヤステム1920が「優位」となる傾向がある。これは、一般に、本出願に記載の実施例の全てを通じて、事象のシーケンスを特定の用途に合うように再編成することが可能である、という事実の例示である。
図20Aは、介在体2000の実施例を示し、これは、単一のワイヤで、2つの電子コンポーネント(図20Bに示す2040及び2050)間に相互接続をなすことを特定的に目指す点を除いて、図19Aの実施例1900と類似している。やはり、以前の実施例の場合のように、介在体1900は、半導体ダイ(1840)及び印刷回路基板(1850)といった、2つの電子コンポーネント(1940及び1950)の離間した対向表面間に配設することを意図したものであるが、上記2つの電子コンポーネントに限定されない。
介在体2000は、印刷回路基板等の基板2002から製作され、それを介して延伸する複数(図示では多くのうち1つ)の穴2004を有する。前の実施例(1900)の説明において示唆したように、その上部(図で見て)表面2002aに配設された、複数(図示では多くのうち1つ)のパッド2006(これは、ここでは単一層として示すが、銅、ニッケル、金と順に上に重なるといった、多層とすることもできる)を有することが、唯一必要である。
この実施例は、本明細書に記載の(すなわち、上記の、及び以下で説明する)他の介在体実施例へと組み込むことが可能である特徴を示す。すなわち、接地又は電源プレーン2060が、回路ボード型式の基板(2002)内に組み込まれる。更に、基板2002の上部(図で見て)表面には、接地又は電源プレーン2062(これは、プレーン2060が接地プレーンの場合、電源プレーンとなる)が設けられ、基板の下側(図で見て)表面には、信号プレーン2064が設けられ、又はその逆である。2002等の基板に、抵抗、コンデンサ、容量性層、平面抵抗、その他が、基板の機能性を高めるために設けられ得ることは、本発明の範囲内である。
前に説明した実施例(1900)と同様にして、犠牲部材2070が、基板の下部表面2002bの直下に配設されて、そこに、一般的なホトレジスト等の適切で、除去可能で、一時的な接着剤2072で接着される。犠牲部材2070には、例えば図10D及び11Dに関連して上記で説明したようにして、ある幾何形状の先端2076を形成するための窪み2074が設けられる。
ワイヤ2020の自由端2020aが、基板2002の面2002a上の導電パッド2006にボンディングされ、スルーホール2004を介して犠牲部材2070へと、下方に延伸するばね形状に仕立てられ、犠牲部材において、ワイヤの中間部2020cが、先端2076にボンディングされる。このように、パッド2006から先端2076へと延伸するワイヤが、成形済みワイヤステムの第1の部分2022を構成し、また、上記のようにして保護膜生成された場合に、第1の導電接触を形成するのに適した形状を有する。
ワイヤ2020の中間部2020cを先端2076にボンディングした後、ワイヤ2020は、穴を介して毛細管を上方に移動させて戻すことにより更に仕立てられて、ワイヤステムの第2の部分2024を形成し、これは、基板2002の上部表面2002aの上(図で見て)で終端し、また、上記のようにして保護膜生成された場合に、第2の導電接触を形成するのに適している。
ワイヤステム2020(すなわち、その両方の部分2022及び2024)は次に、ニッケルの層2030等で保護膜が施されて、基板2002の上部表面2002aの上に(図で見て)延伸する一端と、基板2002の下部表面2002bの下に(図で見て)延伸する一端とを有する、復元性のある接触構造が形成される。
最後に、図20Bに示すように、犠牲部材1970が除去される(例えば、それ及び接着剤(例えば、ホトレジスト)2072を、適切な溶剤で溶解することにより)。このようにして、第1の電子コンポーネント2040(破線で示す)上の端子2042(やはり破線で示す)と、第2の電子コンポーネント2050(破線で示す)上の端子2052(やはり破線で示す)との間に、相互接続をなすことが可能になる。
一般に、犠牲部材を使用する以前に説明した実施例の場合のように、犠牲部材(2070)は短絡部材として機能して、ワイヤステム部分2022及び2024上へのコーティング(2030)の電気メッキを容易にする。やはり、以前の実施例の場合のように、犠牲部材(2070)は、後ではなく保護膜(2030)を施す前に除去される(図示のように)。
図20A及び20Bに示すように、この実施例2000の場合、スペーサ2080が、基板の上部(図で見て)表面2002aに好適に設けられる。ワイヤステムの第1の部分2024は、スペーサ2080の上部(図で見て)表面の上に、例えば0.005インチだけ延伸する。本明細書に記載の他の実施例の場合のように、ワイヤステムが、任意の他の構造(すなわち、スペーサ2080等)を越えて約0.005インチ突出すること、及び「通常」荷重力に反作用する約0.003インチのコンプライアンスを有するように設計されることは、通常十分である。例えば、この実施例のワイヤステムは、ワイヤステムの下側(図で見て)部分(すなわち、その幾何形状の先端)が、基板の下側表面2002bを越えて0.005インチ延伸するように仕立てられる。
この実施例の介在体2000の1つの利点は、端子2042と端子2052間の全体のワイヤ長(電気経路)が通常、端子1942と端子1952(前の実施例1900を参照)間の全体のワイヤ長よりも短いという点にある。この場合、全体のワイヤ長は、箇所「A]と「C」間でワイヤによりとられる経路によって決定される。前の実施例(1900)の場合、全体のワイヤ長は、箇所「A」から「B」へとワイヤステム1920によりとられる経路に、箇所「B」から「C」へとワイヤステム1920によりとられる経路を加えた経路により決定される。(換言すると、AC<AB+BCである。)このより短い電気経路の方が、インダクタンスの検討事項に起因して一般に好ましい。
この実施例2000の場合、介在体基板2002が主に、ワイヤに対する支持体として機能することは明白である。しかし、上述のように、介在体基板2002には、接地、電源、及び信号プレーンを設けることができる。基板内に(基板の表面を含んで)接地と信号プレーンを備えることは、本明細書に記載の他のPCB型式基板の実施例のいずれかに適用可能であろうし、また寄生容量を低減するうえで有利である。
図21は、介在体の実施例2100を示し、これにより、「設計変更」をすること、換言すると、電子コンポーネントの特定のピン(すなわち、接触パッド)に進む信号を割り当てし直すことが可能である。多層PCB型式基板2102には、複数(図示では多くのうち2つ)のメッキされたスルーホール2104及び2106が設けられる。基板2102の上部(図で見て)表面には、パターン化された導電層2108が設けられる。基板2102の下部(図で見て)表面には、パターン化された導電層2110が設けられる。復元性のある接触構造2112及び2114が、上部導電層2108から形成された接触パッドに実装される様子が示されている。復元性のある接触構造2116及び2118が、下部導電層2110から形成された接触パッドに実装される様子が示されている。
図示のように、導電層2108及び2110のパターンは、電気的な相互接続経路が、その(2116)直ぐ上の接触構造2112へではなく、復元性のある接触構造2116と復元性のある接触構造2114の間に形成されるようなものである。この例の基板は、接地プレーン2120及び電源プレーン2122を有するように示され、これらは、多層基板内の層として形成される。
設計変更(例えば、ピンアウトの再割当て)をする能力は、図21に関連して説明したとうな介在体を備えると、多大な柔軟性を与える。というのは、介在体自体が設計変更をもたらすためである。もたらされる設計変更は単純(従って、経済的)なものであり、単に、介在体基板上の導電トレースを再経路指定することである。
図22Aは、寸法安定性を有する介在体基板に、復元性のある接触構造を形成する技法の実施例2200を示す。この場合、銅等の金属性基板(補強体)2202が使用されて、それには、誘電材料2204のコーティングが設けられる。基板2202は、基板を介して延伸する複数(図示では多くのうち1つ)の開口2206が設けられ、それらの内部に、復元性のある接触構造が形成されることになる。導電性の犠牲基板2210(図11Aの1104に匹敵)が、基板の下に(図で見て)配設され、そこから任意の適切な犠牲スペーサ2212により間隔を開けられる。ワイヤステム2220が、犠牲基板2210にボンディングされ、次に上記のようにして、復元性がある保護膜が施されて、復元性のある接触構造2230となる。次に、スルーホール2206は、任意的に、導電性エラストマー材料2208(図5Eの564に匹敵)で充填される。次に、犠牲基板2210とスペーサ2212が、上記のようにして除去される(溶解等により)。このようにして、復元性のある接触構造2230の上部(図で見て)端は、第1の電子コンポーネントに接触するのに適しており、復元性のある接触構造の下部(図で見て)は、第2の電子コンポーネントに接触するのに適し(例えば、図18Bに匹敵)、各相互接続は、介在体の両面から延伸する単一の復元性のある接触構造2230によりなされる。基板2202(及び、上記のように、それに類似したもの)が、プラスチック又は強化プラスチックから製作可能なことは、本発明の範囲内である。
図22Bに示すように、復元性のある接触構造2230は、電子コンポーネント2234上のパッド2232に半田付け可能である。
例えば、図22A及び22Bに示す基板は、それらの価値を(多大な程にまで)、相互接続構造が、エラストマーの「泡」で単純に、補強体(2202)内に緩く保持されるという事実から引き出している。
補強体(2202)が、2つのシート間にゲルを有する、2つの半堅固なシート(各シート内に穴のアレイを備えた)等の多層構造であることは、本発明の範囲内である。いずれの場合(補強体が、モノリシック又は多層のいずれかである)でも、接触構造は、補強体における開口内で緩く保持(懸架)される。これによって、接触構造が、それら自体を、互いに完全には共平面にない外部コンポーネント上の接触パッドに対して、自己整合することが可能になる。
また、圧縮状態において、エラストマー材料を「打ち抜いて」、外部コンポーネントに接触することになる接触構造を、エラストマー材料が覆うことが可能なことも、本発明の範囲内である。
エラストマー質量体は2つの目的を果たす。すなわち、(1)補強体において接触構造を緩く保持(懸架)すること、及び(2)任意として、接触構造を短絡して、その一端から他端への直接の電気経路を与えることである。
図22Cは、電子コンポーネントに接触構造を実装した後、接触構造の周りに支持構造を形成する技法の実施例2240を示す。一般に、複数(図示では多くのうち1つ)の接触構造2242が、図12A−12Cに関連して上記で説明した一括転移技法といった、任意の適切な仕方で、電子コンポーネント2246の接触パッド2244に実装される。次に、コンポーネントは反転されて、柔軟な誘電体モールド配合剤2250が、接触構造2242の周りに注がれて、接触構造の先端2248が露出して残される。
介在体が同じ状況にあると、上記に提示した説明から明らかなように、介在体の2つの側から延伸する接触構造の先端が、各種の技法に従って製造可能である。
図22D−22Fは、他の介在体実施例2250を示す。復元性のある接触構造2252が、好適には微細構造の先端2254を備えて、アルミニウム等の犠牲基板2256(図11Eに匹敵)上に製造される。ホトレジスト2258その他のスペーサが、犠牲基板2256の上部(図で見て)表面に配設される。メッキされたスルーホール2262のアレイを備えた印刷回路基板2260が、犠牲基板2256にわたって位置合わせされ、その結果、復元性のある接触構造2252が、スルーホール2262と整列する。メッキされたスルーホールは、好適には、スズ−鉛(例えば、半田)の層2233で覆われた銅の層2264を有する。
図22Eは、既に位置決めされた印刷回路基板2260を示し、これは、復元性のある接触構造2252が、各接触構造の中間部を、対応するスルーホールのスズ−鉛層と接触状態にして、また、接触構造の2つの端部2252aと2252bを、スルーホール2262から外に延伸させて、スルーホール2262内に位置決めされるようにしてなされたものである。
次に、熱が加えられてスズ−鉛(半田)層2264をリフローし、その結果、復元性のある接触構造の中間部が、印刷回路基板2260に永久的に実装される。犠牲構造2256及びスペーサ2258が、次に除去されて(図22Fに示すように)、スルーホール2262から外に延伸する、復元性のある接触構造の2つの端部2252aと2252bが残り、各端部は、対応する他の電子コンポーネントに接触するのに適している。図22Fにおいて、リフローされた半田(2266)は、黒の実線の塊で示される。
更なる半導体パッケージ実施例 「慣用的な」半導体パッケージの外部表面上に、復元性のある接触構造を用いるための多数の「単純明快な」形態を上記で説明してきた。かかる半導体パッケージは通常、層間に(すなわち、セラミックパッケージの層間に)、導電バイア等の多数の相互接続子を有する。これらの相互接続子は、パッケージの設計、レイアウト、及び実施の際にあるレベルの複雑性を示し、これは、必要とされる相互接続子に依存して、各パッケージを他とは独自のものにする傾向がある。これは、半導体パッケージにつき、追加の経費及び追加の製造時間へとつながり、それを回避することが、所望の目標となるであろう。
本発明の1つの特徴によれば、「バイア無し」パッケージが設けられ、これにより、層内相互接続に関連した問題、及びそれと更に係わる問題が回避される。
図23Aは、半導体パッケージの実施例2300を示し、これは、PCB基板等の多層基板2310に基づくものである。
多層基板2310は、2つの(2つより多くすることも可能)絶縁層2312及び2314を有するように示され、層2312は、層2314の頂部に(図で見て)配設される。層2312及び2314の下部表面には、それぞれ、既知の仕方で、パターン化導電トレース2316及び2318が設けられる。
上部(図で見て)絶縁層2312は、正方形リングとして形成され、中央開口2320を有し、また下部(図で見て)絶縁層2314も、正方形リングとして形成され、中央開口2323と位置が合った中央開口2322を有する。図示のように、上部層2312は、下部層2314の外部(図で見て、左又は右への)エッジを越えて延伸し、開口2320は、開口2322よりも小さい。このようにして、上部層2312の導電層(トレース)が露出する。
半導体素子等の電子コンポーネント2330が、ダイ取付材料2323(例えば、銀充填接着剤、又は銀−ガラス複合材料)により、プレート2324に実装される。プレートは、好適には金属プレートであり、開口2320よりも大きい。図示のように、プレート2324は、適切な接着剤(不図示)により、導電トレース2316に対向した層の側で、層2312に実装される。このようにして、半導体ダイ2330が、開口2320内に配設される。
ボンディングワイヤ2326(図示では多くのうち1つ)が、半導体ダイ2330の前(図で見て、下)面と、導電トレース2316の露出した内側部分との間に設けられる。同様に、ボンディングワイヤ2328(図示では多くのうち1つ)が、半導体ダイ2330の前面と、導電トレース2318の露出した内側部分との間に設けられる。これは、「標準的な」ワイヤボンディング装置で容易に達成される。
復元性のある接触構造2302及び2304が、導電トレース2316の露出した外側部分に実装される。同様に、復元性のある接触構造2306及び2308が、導電トレース2318の露出した外側部分に実装される。ここで理解されたいのは、各接触構造(2302、2304、2306、及び2308)は、複数の導電トレース(2316、2318)の個々の1つにボンディングされる、ということである。このようにして、導電トレースの各々が、ボンディングワイヤ(2326、2328)を介して、半導体ダイの面上の接着パッドの特定の1つに、電気的に相互接続される。
上記のようにして、接触構造2302、2304、2306、及び2308は、共通の高さにまで(図で見て、下方に)好適に延伸するが、PCB2310の異なるレベルから始まる。更に、接触構造は、復元性があるように成形(及び、保護膜生成)可能である。
上記のようにして、半導体ダイ(2330)と、マザーボード(その他)に実装するのに適した外部接続子(2302、2304、2306、2308)との間に、比較的高価な処理ステップを要するバイアの複雑なパターン(層間導電経路)を有するパッケージを必要とすることなく、複雑な相互接続をもたらすことができる。
図23Bは、パッケージアセンブリの他の実施例2350を示し、ここで、多層基板が、3つの例示的な絶縁層2351、2352、及び2353で形成され、各絶縁層は、それぞれ、それらの上部(図で見て)表面2354、2355、及び2356上に配設された導電トレースを有する。上部の2つの絶縁層2351及び2352の各々は、リング状構造であり中央開口を有する。層2351内の開口は、層2352内の開口よりも大きいため、導電トレース2355の内側部分が露出する。層2353はリング状である必要はない。導電層2353は、第2の絶縁層2352の開口内で露出することになる。
半導体ダイ等の電子コンポーネント2360が、開口の頂部に配設されて、復元性のある接触構造2361及び2362で、それぞれ、導電層2354及び2355に接続される。復元性のある接触構造2361及び2362は、好適には、導電層2354及び2355から始まり(それらに実装され)、上記のように、共通のプレーンで終端する。
減結合コンデンサ等の離散的な電子デバイス2370が、絶縁層2352の開口内で、導電層2356上の導電トレースに実装及び接続される。電子コンポーネント2360は、上記のようにして、復元性のある接触構造2363により、減結合コンデンサ2370に接続される。
パッケージへの外部接続は、前の実施例2300と同様にして与えられる。しかし、この実施例2350の場合、復元性のある接触構造2364、2365、及び2366が、それぞれ、導電層2354、2355、及び2356を接続するスルーホールにおいて、パッケージの下部表面の異なるレベルに実装される。
明らかなように、この実施例2350は、層(例えば、2351、2352、2353)間の減少した相互接続子(バイア)を示す。これらの貫通層相互接続子(例えば、バイア)は、比較的単純明快であり、その数が、典型的な従来技術の形態と比較して、幾分低減可能である。
図23Bに示す他の特徴は、接触構造(2361、2362、及び2363)が全て、異なるばね形状を有することができる点にある。このようにして、様々な用途に適合可能であり、この原理は、本明細書に記載の多数の他の実施例に及ぶものである。
図23Cは、パッケージアセンブリの他の実施例2380を示す。この場合、離散的な電子デバイス(前の実施例2350の減結合コンデンサ2370に匹敵)は、例示の明瞭化のために省略している。
この実施例2380は、前の実施例2350と概ね類似しており、同様に、多層基板2384の自立型の積層化内部層の間の相互接続を回避する。
この実施例に示すように、半導体ダイ2382が、多層基板2384上の異なるレベルから始まる、複数の復元性のある接触構造(フリップチップ接触子)2386により、多層基板2384に接続される。更に、この実施例の場合、基板2384の下部(図で見て)表面には、復元性が無く、直線で、ピン状の複数の接触構造2388が設けられ、これらは、上記の技法により形成できる。図示のピン(2388)ではなく、復元性のある又は従順な接触構造、又は半田支柱(バンプ)を含む、基板2384への外部接続子(2388)を実施するのに適した任意の形態が使用可能なことは、本発明の範囲内である。
任意として、基板2384は、エポキシ等の適切な絶縁材料2390で封止されて、環境条件(例えば、湿度)からパッケージを保護することができる。
この実施例2380は、バイアのドリル加工を必要としない、フリップチップが「容易な」PCBベースの基板の例である。
図23A、23B、及び23Cに示す実施例の一般的な利点は、それらが、「自己平坦化」で、本質的に「バイアの無い」半導体パッケージ実装技法であるという点にある。
「ループ」実施例 上記で、如何にして、ワイヤの近位端が基板にボンディングされ、そのワイヤが、復元性のある接触構造となる保護膜生成に適した形状を有する自立型ワイヤステムとなるように、構成及び切断されて、結果として復元性(及び、基板への改善された固定)を有する自立型の接触構造となるように保護膜生成されるかを説明した。
ワイヤステムの遠位端が、基板上の接触領域内でボンディング可能であることも述べた(例えば、上記の図2Fの説明を参照)。かかる手だては、事例1及び事例2に記載されるように、制御された幾何形状及び高いアスペクト比を有する半田接触子を製作するために、結果としてのループに半田で保護膜を施すのに、特に十分適合される。本発明のこれらの半田保護膜付きループの実施例は、本明細書では手短かにしか説明しない。というのは、それらは一般に、「復元性のある接触構造」とは異なる範疇に入るためである。
多くの電子応用分野において、望ましいのは、パッドの一致パターンを有する印刷回路基板(PCB)等の別の電子コンポーネントに、半田バンプ付きコンポーネントを後に続いて実装するために、電子コンポーネント上に、パターン、又はアレイといった、複数の隆起した半田接触子(「半田バンプ」とも呼ばれる)を形成することである。過去において、かかる半田バンプの実質的な高さ、又はアスペクト比(高さ:幅)を達成するために、多くの努力がなされてきた。これは、半田バンプが、溶融状態での表面張力(水の表面張力に匹敵)に起因して、その幅と同じ高さ(1:1のアスペクト比)にしかなろうとしない、本質的な傾向に由来する。一般的な提案として、高さがある方が良い。更に、半田接触子の高さ、及び形状を制御する能力は付属の問題である。
パッケージの外部表面に半田バンプを用いて接続をなすことにかけられてきた、多大な努力の代表例である製品は、Motorola's Overmolded Plastic Pad Array Carrier (OMPAC) に見出され、ここで、半導体ダイが、印刷回路基板(PCB)の前部表面上の中央領域に実装され、PCBの前部表面には、PCBの周辺近くから中央領域に延伸する、多数の導電トレースが設けられる。ダイは、慣用的なボンディングワイヤにより、トレースの内側端部に接続される。PCBの周辺近くには、PCBの背部表面から延伸して、PCBの前部表面上の対応するトレースに接続する、メッキされた(導電性の)スルーホール(バイア)が存在する。PCBの背部表面には、導電トレースが設けられ、各々が、対応するバイアに接続された一端を有する。このようにして、ダイを行き来する信号(及び、電力)が、ボンディングワイヤを介し、前部表面トレースを介し、またバイアを介して、下部表面トレースに接続される。プラスチックモールドされた本体が、ダイにわたって形成され、PCBの前部表面を部分的に覆う。下部表面トレースの各々は、PCBの背部表面上の「サイト」(特定の場所)で終端する。これらのサイトは、均等に間隔を開けた行と列の矩形アレイに配列される。各サイトには、半田バンプ(ボールバンプ)が設けられ、これは、まとまって、パッケージ(アセンブリ)用の外部接続子を構成する。このようにして、アセンブリ全体が、対応する「マザーボード」に実装され、換言すると、電子システム内にアセンブリを統合するために、他の回路要素その他を含む回路基板に実装される。この型式のパッケージは、「ボールバンプ・グリッド・アレイ」(BGA)型式パッケージと見なすことができ、これと対照的なのが、ピン・グリッド・アレイ(PGA)として知られる他のパッケージ型式、又はリード付きパッケージである。
米国特許第5,014,111 号(Tsuda その他、91年/5月、US分類357/68)、名称「ELECTRICAL CONTACT BUMP AND A PACKAGE PROVIDED WITH SAME」には、基板に導電端子を設けること、及び他の基板に電極パッドを設けることが開示されている。2段の電気的接触バンプが、電極パッド上に形成され、その各々が、第1の隆起部と、第1の隆起部上に形成された第2の隆起部からなる。
本発明の1つの目的は、改良されたバンプ・グリッド・アレイ型式のパッケージを提供することである。
本発明は、パッケージにバンプ型式の接続をなすことに限定されず、またダイ間に「フリップチップ」型式の接続をなすことにも有用である。一般に、例えば上述の米国特許第4,067,104 号に述べられているように、フリップチップ・ボンディングの技法には、相互接続する回路を備えたチップ及び適切な基板の一方の側に、金属の薄いパッド、又はバンプを配設することが伴う。チップは次に、基板の上部にわたって「裏返し」にされて、チップ及び基板上の対応するパッドが互いにボンディングされる。
本発明の1つの目的は、電子コンポーネント間に、フリップチップ型式の接続をなすための改良された技法を提供することである。
本発明によれば、幾何形状が制御され、比較的高いアスペクト比を示す半田バンプが、電子コンポーネント上に形成可能である。高いアスペクト比を有する半田バンプは、「半田支柱」と呼ばれることが多い。
図24Aは、事例2の図16と類似であり、基板2408の表面の端子2412上に形成された、隆起したバンプ型式の電気的接触子の実施例2400を示す。バンプ型式の接触子は、ワイヤ2402の第1の端部2402aを、端子2412上の第1の位置に(図示のボールボンディング等により)ボンディングし、ワイヤ2402をループへと成形し(図2Fのようにして)、第2の端部2402bを端子2412上の第2の位置に(くさびボンディング等により)ボンディングすることにより形成される。成形済み(例えば、U字形状の)ワイヤステムには、上記のようにして、ワイヤ2402の全長にわたって、また端子2412にわたって(端子のエッジにわたることを含み、ワイヤの両端におけるボンディングを覆って)堆積される導電材料2420で、保護膜が施される。このようにして、制御可能な幾何形状を有し、また比較的高いアスペクト比(高さ:幅)を有する端子の表面から突出する、比較的堅固な接触構造を設けることが可能である。保護膜材料2420は、半田が適しており、その結果として、接触構造が比較的柔軟になる。しかし、保護膜材料2420は、ニッケル等の弾力のある導電材料とすることができ、結果として、接触構造が幾らかの復元性を有する。保護膜(2420)は、図5のようにして、多層保護膜とすることもできる。
所望であれば、図24Aに関連して説明した型式の2つの(又は、それより多い)等しい接触構造が、同一の端子上に形成されて、端子(2412)上に、2つの(又は、それより多い)「冗長性のある」隆起したバンプ型式の電気的接触子を与えることができ、その各々は、包み込む保護膜(2420)を有する。
図24Bは、事例2の図17と類似であり、他の接触構造2450を示す。この例の場合、2つのワイヤステム2430及び2432が各々、接触構造2400(図24A)の用にして形成される。この場合、ワイヤステムには、金ワイヤの場合に、半田のスズ含有物との金の反応を防止する材料で、保護膜が施される(以下で説明する)。
2つの接触構造2430及び2432は、基板2458(2408に匹敵)上の端子2462(2412に匹敵)上で間隔を開けられ、図示のように、互いに平行にすることができる。互いに相対して任意の配向で、任意の数の接触構造が、基板(2458)上の端子(2462)に実装可能なことは、本発明の範囲内である。
図24Bの例示において、ワイヤステム2430及び2432には、半田2455で保護膜が施され、これは、2つの分離した接触構造2430と2432を「橋渡し」して(それらの間の間隔を充填して)、単一の「ユニット式」半田バンプを与えるように示されている。しかし、認識されたいのは、所望であれば、半田2455が2つの(又は、それより多い)接触構造間を橋渡しすることがないように、2つの接触構造2430及び2432を十分遠く離間させることができ、その結果として、端子当たり2つの(又は、それより多い)半田バンプ接触子となる、ということである。しかし、大抵の場合、望ましいのは、半田が、ワイヤと端子間の間隔を充填することである。
好適な実施例の場合、半田バンプ接触子は、体積比で、80%半田よりも多いといった、70%(70パーセント)よりも多い半田を含有し、バンプ接触子の残りは、ワイヤ自体と、金ワイヤを覆う(実質上無視できる)障壁層(例えば、ニッケル合金の)である。
熱経路実施例 熱は、半導体素子の動作時に必ず発生され、減衰せずに残ると、素子の破壊となる可能性がある。従って、かかる素子に対して、ある種のヒートシンクを設けることは一般的に周知のところである。一般に、ヒートシンクは、2つの形態のうちの一方をとる。それらは、素子パッケージと一体化することもでき、又は素子パッケージに対して外付けとすることもできる。いずれの場合でも、半導体素子に対して密接な熱伝導関係の熱量を含み、その熱量の空気対流、又は強制空冷を伴う。ダイとそのヒートシンク間に効果的な熱経路を設けることが、長期にわたる努力の目的であった。
本発明の1つの目的は、熱発生ダイと熱量(ヒートシンク)間に、効果的な熱経路を設けるための改良された技法を提供することである。
本発明によれば、熱相互接続子が、基板の端子上に形成される。一般に、熱相互接続子は、半導体ダイとすることができる基板から、熱を遠くに伝導するように機能する。一般に、熱相互接続子が形成される端子が、半導体ダイの「能動な」電気的端子である必要はないが、そうすることが可能なことは、本発明の範囲内である。更に、熱相互接続端子は、他の「能動」端子(例えば、接着パッド)と同じ、ダイの側に製造可能であり、又は接着パッドとは対向した、ダイの側に形成することも可能である。
図24Cは、基板2482上に熱相互接続子を形成するための技法の実施例2470を示す。「過大寸法」の端子2682(すなわち、電気接続端子に対して)が、基板2478の表面に形成される。ワイヤ2472が、その周辺の近くで、端子にボンディングされた自由端2472aを有する。上記の技法を用いると、図示のように、ワイヤは、ループへと成形され、切断されずに、再び端子にボンディングされ、別のループへと形成され、再び端子にボンディングされ、ボンディング及び形成が繰り返されて、端子の周辺のまわりで延伸する複数のループのフェンス構造が生成される。最終ステップで、最終のループが、最初のループの原点(2472a)に対応する位置で切断される。フェンス構造を形成する複数のループは、好適には、端子の上の共通(同一)の高さに延伸する。
図24Dは、図24Cのフェンス構造が、半田2475で(ウェーブ半田付け等の任意の適切な手段を用いて)充填されて、自立型の半田接触子、又はバンプを与えることができ、これは、ヒートシンク又は埋め金として機能可能であり、基板2478からヒートシンク(不図示)へと熱を伝導する。半田2475は、好適には、図24Bの半田(2455)のようにして、端子2482全体を包囲する。一般に、フェンスの外形は、端子の(通常は矩形の)外形と一致することになり、また半田質量体の外形は、フェンスの外形と一致することになる。
図24Eは、半導体ダイの背部を介して熱放散をもたらすことを目指した、他の実施例2450を示す。この例の場合、半導体ダイ2452は、その前部表面に実装された、複数の復元性のある接触構造2454を有する。ダイの背部は、金等の導電材料の層2456で覆われる。複数の熱放散構造2458が、ダイの背部、即ち層2456にボンディングされる。これらの熱放散構造は、ダイと他の電子コンポーネントの間に相互接続をもたらすことは意図していない(だが、それらがまとまって、接地接続をもたらし得ることは、本発明の範囲内である)。むしろ、これらの熱放散構造2458は、ダイが動作する際にダイから熱を放散することを意図している。複数の熱放散構造によって、ダイの背部の実効表面積全体が増大されて(すなわち、熱放散構造の集合表面積に、ダイの背部の面積を加えた面積)、対流式冷却が高められる。ダイの背部が、熱降下可能な構造(例えば、ハウジング、その他)に対して押し当てられる場合、熱伝導経路も、熱放散構造によりもたらされる。好適には、熱放散構造2458は、銅ワイヤステム(銅は、卓越した熱伝導体である)から製造されて、復元性のある接触構造2454(これは、例えば金ワイヤステムを有することができる)に保護膜を施すのと同じ工程ステップで、保護膜を施すことができる。
電子コンポーネントのアセンブリ (i)2つの(又は、それより多い)電子コンポーネントを、介在体構造に実装された復元性のある接触構造と接続し、また(ii)電子コンポーネントに、特にパッケージ済み電子コンポーネントに、複数の復元性のある接触構造を(例えば、個々に、又は一括転移により)実装することの趣旨を上記で説明した。以下の図においては、電子コンポーネントの例示的なアセンブリを説明する。
図25は、事例2の図25と類似であり、電子コンポーネントのアセンブリの実施例2500を示し、ここで、第1の電子コンポーネント2502には、その表面2502a上に複数の復元性のある接触構造2504及び2506が設けられる。別の電子コンポーネント2508には、その表面2508a上に複数の復元性のある接触構造2510及び2512が設けられる。2つの電子コンポーネント2502及び2508の表面2502a及び2508aは、図示のように、それぞれ離間されて、互いに面している。復元性のある接触構造2504、2506、2510、及び2512は、図1C−1Eに示す技法と同様にして、接着領域(110)にボンディングされて示されている。しかし、復元性のある接触構造を、上記の例示的な仕方のいずれかで、ボンディング(すなわち、そのワイヤステム)及び保護膜生成することができるのは、本発明の範囲内である。
両面化(「回路化」、すなわち、その2つの表面に導電トレース/パッドを有する)印刷回路基板(PCB)2520が、図示のように、2つの電子コンポーネント2502と2508の、それぞれの表面2502aと2508aの間に配設される。PCB2520の上部表面2520aには、端子、パッド、その他とすることができる、複数(図示では多くのうち2つ)の接触領域2522及び2524が設けられ、介在体構造の下部表面2520bには、端子、パッド、その他とすることができる、複数(図示では多くのうち2つ)の接触領域2526及び2528が設けられる。追加の電子デバイス(不図示)は、印刷回路基板のいずれかの実装される。
図示のように、復元性のある接触構造2504の先端は、パッド2522に接触し、復元性のある接触構造2506の先端は、パッド2524に接触し、復元性のある接触構造2510の先端は、パッド2526に接触し、復元性のある接触構造2512の先端は、パッド2528に接触する。このようにして、両方の電子コンポーネント2502及び2508が、PCB2520に電気的に接続される。
PCBは、その両側2520a及び2520bに、導電トレース(不図示)を有する。既知の仕方で、各トレースは、PCB2520のエッジ上で、エッジコネクタ端子(エッジコネクタ・パッド)に終端する。これらの端子のうちの2つ(多くのうち)2532及び2534が示されている。端子2532は、PCB2520の上(図で見て)側2520aに示され、トレースを介して端子2522(例として)に接続され、端子2534は、PCB2520の下(図で見て)側2520bに示され、トレースを介して端子2526(例として)に接続される。
電子コンポーネント2502及び2508は、それらの対応する復元性のある接触構造(2504、2506、2510、2512)が、PCB2520上の対応するパッド(2522、2534、2526、2528)に接触するように、適切なクランプその他(不図示)により、介在体基板2520に当てがわれる。好適には、接触パッド2522、2524、2526、及び2528には、半田質量体2540が設けられ、これは、アセンブリをオーブン(炉)に通す等によりリフローされて、接触パッドにより担持された半田が、対応する復元性のある接触構造2504、2506、2510、及び2512の遠位端と共に、半田連結を形成せしめられる。この例示において、半田は、リフローが完了して示されている。一般に、本明細書に記載の電子アセンブリの実施例を通じて、導電性エポキシ質量体が、半田の代わりに使用可能である。
最終ステップで、圧縮されたアセンブリが、任意的に(図示のように)、適切な絶縁材料2530で内部に封止され、これは、熱伝導粒子等の適切な粒子で充填された接着材料、又は高分子材料とすることができ、それは、アセンブリ2500の熱放散特性を高めるためである。更に、適切な粒子の充填剤が、高分子封止剤の熱膨張係数を低減するのに貢献できる。
圧縮力は、リフロー半田付けの後か、又は絶縁材料2530を施した後に除去可能である。
この構成は、例えば、複数の電子コンポーネント(裸のパッケージ未実装のメモリチップ等)を、印刷回路基板の各側に実装、及び電気的に接続するのに適している。例えば、メモリ(例えば、RAM)モジュールが、この技法により形成可能であり、図36A−Cに示すように、PCBの片側又は両側で、エッジ間で実装された多数のメモリチップを有する。このようにして製作されたSIMM(シングル・インライン・メモリ・モジュール)モジュール(ボード、カード)が、従って、同一チップを用いる「標準的な」SIMMモジュールよりも、ずっと大きな記憶容量を有することができ、しかも、PCBに半田付けにより組み立てられたパッケージ済みチップを有する低容量SIMMよりも、低いコスト(チップのコストは除外)で製造可能である。
一般に、本発明に従って、電子アセンブリを製造することにより、更に多くの半導体チップが、PCB上の「実装面積」を更に有効に利用して、所与のPCB領域に実装可能となる。更に、PCBに実装されたダイは、パッケージ実装(例えば、プラスチックパッケージ実装)されないので、そこにダイが取り付けられる、PCBの全体の厚さが、パッケージ済みダイの慣用的なアセンブリを用いるよりも小さくなる。
図25のアセンブリ、及び続いて説明する印刷回路基板への電子コンポーネント(例えば、半導体ダイ)のアセンブリは、パッケージ実装技法と考えられるが、半導体ダイは、「パッケージ実装」の慣用的な意味において、パッケージ本体内に完全には配設されない。
図25に記載の手法に対する代替の手法は、復元性のある接触構造(2504、2506、2510、及び2512)が、基板2520から(図25に示すように、電子コンポーネント2502及び2508からではなく)始まって、それ自体復元性のある接触構造を有する相互接続基板に対して、2つのシリコンダイ(2502、2508)の両面フリップチップ取付けをもたらす場合であろう。
実際には、復元性のある接触構造に、主に、復元性のある接触構造の先端にといったように、ある量の半田で保護膜が施される(予備湿潤化される)。部品を寄せ集めて加熱すると、半田はリフローして、「砂時計」結合部を形成するが、これは、半田の大部分は、復元性のある接触構造の近位端と遠位端に分布して、最小量の半田が、復元性のある接触構造の曲げ(ばねの)部分に残ることによる。これは、復元性のある接触構造が、基板(例えば、2520)に実装されるか、又は電子コンポーネント(例えば、2502、2508)自体に実装されるかに関係しない場合であろう。代替として、少量の半田ペーストをパッド(例えば、2522)に施して、そこに、(リフロー加熱により)接触構造の先端を固定することも可能である。
このアセンブリ、及び本明細書に記載の他の電子アセンブリの重要な態様は、従順な(純粋に復元性のあることも含む)接触構造(例えば、2504)が、素子に損傷を与えることなく、シリコン素子(例えば、2504)に直に実装可能な点にある。かかる接触子は、電子コンポーネントの最終的なパッケージ実装の前に、電子コンポーネントを有効にする(試験、エージング)のに極めて十分適している。更に、かかる従順な接触構造は、電子コンポーネント(例えば、2502)と、それが実装されるコンポーネント(例えば、2520)との間の熱膨張率の差を吸収し、それによって、製作される相互接続子の信頼性を増大することが可能になる(例えば、図44の説明を参照)。
従来技術を検討すると、過去において、シリコン上に直に接触構造(半田バンプ型式の接触子ではなく)を配置するために、限られた努力がなされてきたことが分かるであろう。例えば、上述の米国特許第4,955,523 号(発明者「Raychem」)では、ワイヤ(7)が、集積回路チップ等の電子コンポーネント(1)上の接触子(3)にボンディングされる。ワイヤは、共にほぼ同じ長さとなるように切断される。絶縁材料(17)が、ワイヤと接触子の間のボンディングを封止するために、1つの層としてコンポーネントの表面に施される。絶縁材料は、Raychem 特許には、部分的に結晶化しているような、比較的柔軟なポリマーであると記載されている。かかる層に必要なのは、思うに、接触子にワイヤを固定する際の手助けであり、恐らくボンディングの完全性を増強することであろう。それとは対照的に、以前に述べたように、本発明の技法によれば、保護膜は、ワイヤステムを端子に確実に固定し、結果としての接触構造に所望の復元性/コンプライアンスを付与し、また保護膜は(大部分の実施例において)、導電性の金属性材料である。保護膜の固定するという機能は、圧縮力に反作用する復元性のある(又は、従順な)接触構造に関係して、特に当を得ている。以下で述べるが、本明細書に記載の実施例の大部分において、ワイヤステム自体は、それに保護膜が施されてしまうと、本質的に不要になる。同じことは、Raichem 特許の技法が、本発明に対して呈示するようなどんな類似点にもかかわらず、Raichem 特許の技法では明確に言及できなかったはずである。
図25その他に示すような実施例に対する微妙な利点は、「カード」(「カード」は、この状況では、基板(例えば、2520)に予めアセンブリされた電子コンポーネント(例えば、2502)からなる)の「目録」を予め製造(及び、予め試験)可能であり、後ほど更に複雑なアセンブリ(以下の図37に示すような)に結合される点にある。
図25−32において、ばね(復元性のある、又は従順な)接触子が実装される電子コンポーネント(例えば、2502)のアセンブリが、相互接続基板(例えば、2520)に接続される様子が示されている。接触子が、相互接続基板から始まるために、「反転」可能なことは、本発明の範囲以内であり、その場合、相互接続基板は介在体(と呼べるもの)になるであろう。しかし、これは、好ましくなく(すなわち、相互接続基板を、接触子が実装された介在体として用いるには)、更に効果的な介在体の構成は上記で説明した(例えば、図17A−22Fを参照)。図25−32に示す電子アセンブリの実施例において、一般的に好ましいのは、電子コンポーネント(例えば、2520)が、相互接続基板(例えば、2520)上の接触パッド(2522)に半田ペーストを施して、アセンブリが組み立てられる度に、半田ペーストをリフローすることにより、相互接続基板(例えば、2520)に半田付けされることであろう。
図26は、事例2の図26と類似であり、電子コンポーネント2602及び2608のアセンブリの他の実施例2600を示し、これらの電子コンポーネントは、図25のアセンブリ2500と同様である例示的な仕方で、電子コンポーネントの表面2602a及び2608aから延伸する、復元性のある接触構造2604、2606、2610、及び2612を有する。前の実施例2500の場合、圧縮力(「F」)が、PCB(2520)に対して、電子コンポーネント(2502及び2508)を屈曲可能に押し当てるために利用され、また、電子コンポーネント(2502及び2508)が、半田自体(2540)か、又は絶縁材料(2530)により、適所に保持されたのに対して、この実施例の場合、電子コンポーネント2602及び2608は、PCB2620の表面2620a及び2620b上に配設される(に実装される)、ばねクリップとして機能する(ばねを保持する)、特別形成のワイヤステム2630、2632、2634、及び2636の手段により、PCB2620に対して適所に保持される。4つのかかるばねクリップ2630、2632、2634、及び2636が示されている。これら特別形成のワイヤステム(ばねクリップ)2630、2632、2634、及び2636は、復元性のある接触構造が、電気的接続をなすことを意図した仕方で適切に、復元性があるように保護膜生成されるが、導電性がある必要はない。
一般に、ばねクリップは、PCB上の複数の場所に配設されるため、それらは互いに協働して、対応する電子コンポーネントをPCBに固定することになる。例えば、矩形の電子コンポーネントをPCBに固定するために、4つのばねクリップが使用されて、対にある電子コンポーネントの対向側エッジに係合する。例示の明瞭化のために、電子コンポーネント当たり2つのばねクリップしか示していない。
図示のように、ばねクリップの代表例2630が、電子コンポーネント2602の復元性のある接触構造を、介在体構造2620に対して圧縮(押圧)されたままにせしめるような形状に仕立てられる。もっと具体的には、ばねクリップ2630は、PCB2620の上部(図で見て)表面2620aから上方へと概ね直線に延伸し、内方へと(ばねクリップ2632に向かって)曲げられ、更に外方へと(ばねクリップ2632から離れて)曲げられると、電子コンポーネントを、ばねクリップ2630と2632の先端間に「挿入」することが可能になる。ばねクリップ2632は、ワイヤステム2630の「鏡像」である。このようにして、電子コンポーネント2602は、破線で示す電子コンポーネント2602の初期位置で表されるように、ばねクリップ2630と2632の先端間に挿入されて、介在体構造2620に向かって押圧され(不図示の手段により)、ばねクリップ2630と2632の先端を外方に(「OUT」で表記する矢印で示すように、互いから離れて)偏向し、電子コンポーネント2603が最終位置(実線で示す)に達すると、ばねクリップ2630と2632の先端の曲げ部が、互いに向かって「スナップ」して戻り、電子コンポーネント2602の背部2602bに係合する。好適には、ワイヤステム2604と2606は、電子コンポーネント2602がばねクリップ2630と2632の先端を拡げ始めた後に、PCB2620上の対応するパッドに接触し始める(従って、圧縮し始める)。明らかに、意図しているのは、電子コンポーネントが、適所(実線で示すような)に「差し込まれる」際に、ワイヤステム2604と3606は圧縮されることになることである。ばねクリップ2634及び2636は、ワイヤステム2630及び2632と同様にして動作するように仕立てられる。電子コンポーネント2608が、電子コンポーネント2602と等しく、それらの対応する復元性のある接触構造(2604、2606、2610、2612)ステムが等しい場合、ばねクリップ2634及び2636は、ばねクリップ2630及び2632と等しい方が好ましい。ばねクリップ2630、2632、2634、及び2636が主に意図しているのは、電子コンポーネント2602及び2608を、PCB2620に対して適所に保持することであり、例えば、これらのばねクリップ(すなわち、その曲げ部)と、電子コンポーネント2602の背部表面2602b及び2608bとの間にもたらされる任意の電気的接続は、幾分付属的なものであるが、電子コンポーネントの背部への接続は、電子コンポーネントの「本体」を接地(又は、他の任意の選択された)電位に確立する際に有用となり得る。
この実施例2600において、エッジコネクタ(図25の2532及び2534に匹敵)は、あったとしても、例示の明瞭化のために省略される。前の実施例2500の場合のように、PCB接触パッドは、PCBへの挿入の前に、半田2640で予め被覆可能であり、またアセンブリが炉を通過して、復元性のある接触構造の遠位端とPCB接触パッドの間に、半田接続をもたらすことが可能である。ここで理解されたいのは、PCB接触パッド上に配設される半田の量は、復元性のある接触構造の遠位端を固定するのに十分であるように制御されることであり、半田が、復元性のある接触構造(これは、半田が、復元性のある接触構造の曲げ部上に流れる場合に恐らく生じる)の復元性を付与するであろうことには限らない。
図26のアセンブリ2600、又はばねクリップその他を伴う、本明細書に開示の他のアセンブリ実施例のいずれかと同じ状況で、電子コンポーネントがPCBに半田付けされないことは、本発明の範囲内である。これによって、例えば交換及び更新のために、電子コンポーネントを取り外すことが容易になるであろうが、これは単純に、ばねクリップの端部を外方に(「OUT」で表記した矢印を参照)手で押して、PCBとの係合から電子コンポーネントを解放することによりなされる。
また、復元性のある接触構造(2604、2606、2610、2612)が、基板(2620)上で始まることも、本発明の範囲内であり、その場合、表面上に互換性のある接触パッド(半田付け性の良い金属化)を有する半導体素子等の電子コンポーネント(2602、2608)が、単純に、適所に「差し込まれて」、それらの接触パッドが、復元性のある接触構造の先端に接触する。
明らかに、ばねクリップ(例えば、2630、2632、2634、2636)が使用される場合、半田(2640)その他(例えば、導電性エポキシ)は、本質的でなく、むしろ任意的である。これは、直ぐ下で説明する図27の実施例の場合のように、「保持手段」が使用される他の実施例についても言えることである。
図27は、事例2の図27と類似であり、印刷回路基板2720の片側にのみ、電子コンポーネント2702(図示では多くのうち1つ)を実装、及び電気的に接続する実施例2700を示し、基本的に、図26の構成2600の「半分」(すなわち、図で見て、上部)である。
前の実施例(2600)の場合のように、この実施例2700において、復元性のある接触構造2704及び2706が、任意の適切な仕方で(例えば、半田付け、ろう接)、電子コンポーネント2702の前部表面2702aに実装される。やはり理解されたいのは、この配列が反転されて、その結果接触子が、基板2702に実装(基板から延伸)できる、ということである。
電子コンポーネント(例えば、2702)が、相互接続基板(例えば、2720)に対して圧縮状態に維持されるアセンブリのいずれかにおいて、半田付け(又はその他、エポキシを施すこと等)は一般に任意なことは、本発明の範囲内である。圧縮は、信頼性の良い電気的相互接続をもたらすのに十分であり、また電子コンポーネントの交換(例えば、更新又は修理のために)は、唯一圧縮に頼ることにより、確かに幾分簡略化されるであろう。(例えば、クリップ2730及び2732を拡げ、コンポーネント2702を取り外し、別の類似のコンポーネントで置き換えるといった具合になされる。)前の実施例(2600)の場合のように、この実施例2700において、電子コンポーネント2702は、PCB2720の上部(図で見て)表面2720aに実装されたばねクリップ2730及び2732の手段により、PCB2720に機械的に実装される。
この図には、半田(2540、2640に匹敵)は示されない。これは、電子コンポーネント2702が、取り外し可能なように(ばねクリップを偏向することにより)、PCB2720に注意深く実装されることを示す。
任意の外部ばね要素、クランプ、その他が、例として示したばねクリップ(2730、2732)の代わりに使用可能なことは、本発明の範囲内である。
図25、26、及び27は全て「印刷回路基板」(2520、2620、及び2720)を参照するが、理解されたいのは、端子が形成可能であり、そこに、電子コンポーネントに実装された復元性のある接触構造が電気的に接続可能である、任意の適切な基板とすることができる、ということである。
図26の実施例2600がそうであったように、復元性のある接触構造(2704、2706)が、基板(2720)上で始まることは、本発明の範囲内であり、その場合、表面上に互換性のある接触パッドを有する電子コンポーネント(2702)が、単純に、適所に「差し込まれて」、電子コンポーネントの接触パッドが、基板の復元性のある接触構造の先端に接触する。
一般に、図25−30の実施例は全て、復元性のある接触構造を、代替例ではあるがPCBにではなく、電子コンポーネントに実装することを意図する。
図28は、事例2と類似であり、PCB2820に電子コンポーネント2802(半導体ダイ等の)のアセンブリの実施例2800を示し、これは、図27の実施例2700の場合のように、電子コンポーネント2802の取り外しを容易にすることを意図したものである。
電子コンポーネント2802は、前記の任意の適切な仕方で、その表面に実装され、またその表面から突出する、複数(図示では多くのうち2つ)の復元性のある接触構造2804及び2806を有する。序の場合、復元性のある接触構造2804及び2806は、復元性のある接触構造2804及び2806を、印刷回路基板2820の対応するメッキされたスルーホール内に滑り嵌め挿入するのが可能なる形状を有するように構成される。この構成の1つの利点は、電子コンポーネント2802が、印刷回路基板2820から容易に取り外され(切り離され)て、置き換えられる(例えば、欠陥のあるコンポーネントを交換する、又はコンポーネントを更新するために)。印刷回路基板2820の1つ以上の(すなわち、両方の)表面上の導電トレースは、例示の明瞭化のために省略している。
もっと具体的には、復元性のある接触構造2804及び2806の遠位端領域が、スルーホール2822及び2824の内径「D」よりも僅かに、例えば0.0003から0.0005インチ大きい距離「d」だけ、横方向に(図で見て、頁を横切って)延伸する曲げ部を有するように成形される。これによって、復元性のある接触構造の両端が、メッキされたスルーホール内に滑り嵌め(復元的に、僅かな締り嵌めで)することになる。このアセンブリ2800は、もちろん半田付けできるが、半田付けは、PCB(2820)からの電子コンポーネント(2802)の取り外し易さを減じることになる。
上述のように、本発明によれば、半導体コンポーネントに復元性のある接触構造を実装するための好適な実施例が存在する。図25−29だけでなく、本明細書に記載のアセンブリの後続の実施例も、図1C−1Eに記載の技法を示し、ここで、復元性のある接触構造2804及び2806(130に匹敵)が、パッシベーション層2808(124に匹敵)を貫通する導電パッド2810(132に匹敵)に固定される。
図28の実施例は、その「簡素性」ゆえに洗練されている。電気的接触構造(2804、2806)が、シリコン電子コンポーネント(2802)に容易に実装され、これが次いで、印刷回路基板(2820)の慣用的なメッキされたスルーホール内に「差し込み」可能である。このようにして、電子コンポーネント上の「ばね」(すなわち、接触構造)が、スルーホールの壁(メッキされたボア)に対してばね負荷される。電子コンポーネントは、任意として、適所に半田付け可能である(例えば、スルーホール内にある量(少量)の半田ペーストを施し、その半田ペーストをリフローするために、アセンブリを加熱することにより)。
図29は、事例2の図29と類似であり、図26の実施例2600と同様にして、印刷回路基板(PCB)2920への2つの電子コンポーネント2902及び2908のアセンブリの他の実施例2900を示す。この場合、ばねクリップ2930、2932、2934、及び2936は、PCB2920にではなく、電子コンポーネント2902及び2908自体に実装され、同様に機能して、PCB2920に対して、コンポーネント2902及び2908の機械的な結合をもたらす。2つのばねクリップ(「ラッチばね」)2930及び2932は、図示のように、電子コンポーネント2902の前部表面2902aから延伸する。2つのばねクリップ(「ラッチばね」)2934及び2936は、図示のように、電子コンポーネント2908の前部表面2908aから延伸する。
図示のように、ばねクリップの代表例2930が、電子コンポーネント2902の復元性のある接触構造を、介在体構造2920に対して圧縮(押圧)されたままにせしめるような形状に仕立てられる。もっと具体的には、ばねクリップ2930は、電子コンポーネント2902の前部表面2902aから上方へと概ね直線に延伸し、外方へと(ばねクリップ2932から離れて)曲げられ、次に内方へと(ばねクリップ2932に向かって)曲げ戻される。ばねクリップ2930の遠位部分における曲げ部は、PCB2920を介して延伸する、対応するスルーホール2922内に適合するように、寸法決め、成形、及び位置決めされる。ばねクリップ2932は、ばねクリップ2930のようにして、寸法決め、及び成形されて、PCB2920を介して延伸する、対応するスルーホール2924内に適合するように位置決めされる。これらのスルーホール2922及び2924は、メッキされないとして示されている。しかし、それらが、メッキされたスルーホールであっても可能なことは、本発明の範囲内であり、メッキされると、電気的接続が、ばねクリップ2930及び2932により、電子コンポーネント2902とPCB2920との間にもたらされ得る(図28の実施例2800と同様にして)。電子コンポーネント2902が、矢印「F」で示すように、PCB2920に対して押圧されると、ばねクリップ2930及び2932は、ホール2922及び2924に入り、偏向及びスプリングバックし、その結果、それらが、PCB2920の対向側2920bを「捕捉」する。これによって、復元性のある接触構造2904及び2906が、PCB2920の表面2920a上の対応するスルーホール2922及び2924に対して圧縮されて、電子コンポーネント2902が、PCB2902に機械的に固定される。コンポーネント2902を取り外すには、ばねクリップ2930及び2932の遠位先端を、それらが、スルーホール2922及び2924を介して引き出されるように、操作する必要がある。ばねクリップ2934及び2936は、ばねクリップ2930及び2930と同様にして作動し、これは、PCB2920内の対応するスルーホール2926及び2928に嵌合させて、PCB2920に電子コンポーネント2908を固定することによる。
一般に、電子コンポーネントとPCBの間に、取り外し可能な相互接続をもたらすために、復元性のある接触構造は、PCBに半田付けされない。しかし、復元性のある接触構造が、例えば図25の実施例2500に関連して説明したようにして、PCBに半田付け可能なことは、本発明の範囲内である。
半田が使用されず、また、コンポーネント(2902、2908)と基板(2920)間の電気的接続が、機械的な接触に唯一頼る場合、復元性のある接触構造には、超小型突起(上記のような)、幾何形状付き先端(プローブ実施例に関連して上記で説明したような)を有するように、保護膜を施すことが可能である。いずれの場合でも、電子コンポーネント(2902、2908)は、基板(2920)上の適所に「戻り止め」され、そこで、ラッチばね(2930、2932、2934、2936)により保持される。
図26の実施例2600の基本的に「半分」である、図27の実施例2700と同様にして、図29の実施例2900も、基板(2920)への1つの電子コンポーネント(例えば、2902)の実装を容易にして、例えば同様の「圧力接触」(半田を用いない場合)相互接続をもたらすために、「半分にする」ことがでる。
一般に、PCBに対して電子コンポーネントを圧縮するための手段(例えば、ばねクリップ)を有する、本明細書に開示の電子アセンブリの実施例において、復元性のある接触構造の遠位端を半田付けすることは任意であり、また、復元性を減じた接触構造(例えば、直線のピン状構造)を、半田が使用される場合に、利用することができよう。しかし、以下で更に詳細に説明するように(例えば、図44を参照)、成形済み接触構造の方が好ましい。というのは、それらによって、熱膨張、その他の影響の吸収が容易になるためである。
図30は、事例2の図30と類似であり、印刷回路基板(PCB)3020に、2つの電子コンポーネント3002及び3008を実装する他の実施例3000を示す。上記で説明したようにして(例えば、図25の実施例2500に関連して)、復元性のある接触構造3004及び3006が、電子コンポーネント3002の前部3002aから延伸して、PCB3020の表面3020a上の対応するパッド3022及び3024に接触し、また、復元性のある接触構造3010及び3012が、電子コンポーネント3008の前部3008aから延伸して、PCB3020の表面3020b上の対応するパッド3026及び3028に接触する。両方の電子コンポーネント3002及び3008は、「F」で表記した矢印で示すように、PCB3020に対して押圧され、またこの図は、PCB3020に電子コンポーネント3002及び3008を固定する、2つの技法を示す。
コンポーネント3002には、位置合わせピン3030及び3032が設けられ、これらは、図2Eに関連して、上記で説明したようにして形成される。これらの位置合わせピン3030及び3032は、復元性がある必要はなく、また導電性である必要もないが、それらは、コンポーネント3002に容易に実装され、成形(直線に)されて、コンポーネント3002の前部表面3002aから延伸する、復元性のある接触構造3004及び3006を形成するのに使用されるのと、同一の工程ステップで保護膜が施される。ピン3030及び3032は、PCB3020を介して延伸する、対応するスルーホール(2922及び2924に匹敵)に嵌合するように、寸法決め、及び位置決めされる。これらのピン3030及び3032は、PCB3020に対してコンポーネント3002の位置を単純に合わせて、PCB3020の表面3020a上の対応するパッド3022及び3024に対する、復元性のある接触構造3004及び3006の遠位端の適切な位置合わせを保証する。コンポーネント3002は、矢印「F」で示すように、PCB3020に対して圧縮されて、そこに、適切な接着剤3070(部分断面で示し、図25の2530に匹敵)で固定される。
コンポーネント3008には、初期には直線の位置合わせピン3034及び3036が設けられ、これらは、図2Eに関連して、上記で説明したようにして形成される。これらの位置合わせピン3034及び3036は、復元性がある必要はなく、また導電性である必要もないが、それらは、コンポーネント3008に容易に実装され、成形(直線に)されて、コンポーネント3008の前部表面3008aから延伸する、復元性のある接触構造3010及び3012を形成するのに使用されるのと、同一の工程ステップで保護膜が施される。ピン3034及び3036は、PCB3020を介して延伸する、対応するスルーホール(2926及び2928に匹敵)に嵌合するように、寸法決め、及び位置決めされる。これらのピン3034及び3036は、PCB3020に対してコンポーネント3008の位置を初期に合わせて、PCB3020の表面3020b上の対応するパッド3026及び3028に対する、復元性のある接触構造3010及び3012の遠位端の適切な位置合わせを保証する。コンポーネント3008がPCB3020に対して圧縮されると、そこに固定されるが、これは、図示のように、ピン3034及び3036の遠位端を曲げて、PCB3020の表面3020aに支承することによりなされる。これは、基板3020に面対向して、コンポーネント3008を適所に「ロック」する。
この実施例の場合に、留意されたいのは、ピン3030、3032、及びピン3034、3036が、(それらの近位端において)電子コンポーネント3002及び3008の表面3002a及び3008a上の、それぞれ、導電パッド3050、3052、3054、及び3056にボンディングされること、また、これらのパッド(すなわち、3050及び3052)が、パッシベーション層3060(図28の2808に匹敵)の上にあることである。これらのパッド3050及び3052は、復元性のある接触構造3004及び3006のワイヤステムがボンディングされる接着パッドを形成するのと、同じ材料から及び同じステップで適切に形成される(図1C−1Eの金属性層126、及びホトレジスト128に匹敵)。
この例の場合、復元性のある接触構造3004及び3006が、例えば図25の実施例2500の仕方で、PCB3020上の対応するパッド3022及び3024に、半田付けされる(半田3040で)ことが示されている。上述のように、導電性エポキシが、半田の代わりに利用可能である。また、復元性のある接触構造3010及び3012は、半田付けされずに、上部屈曲の位置合わせピン3034及び3036により、PCB3020上の対応するパッド3026及び3028との密接触状態に保たれる。
2つのコンポーネント3002及び3008が、2つの異なる仕方で、PCBに固定されることを例示したが、これは単なる例示に過ぎない。両方のコンポーネントを、同じ仕方でPCBに固定することも可能である(例えば、共に位置合わせピン及び接着剤により、共に半田付けして、等)。
実際には、下側の(図で見て)電子コンポーネント(3008)が、まず適所に置かれ、次にそのピン(3034、3036)の上部が曲げられ、その後、上側の電子コンポーネント(3002)が、基板上に実装されることになる。上記の実施例の場合のように、任意的なのは、半田を用いて、コンポーネント(注目すべきは、曲げ付き位置合わせピンを有するコンポーネント3008)と基板(3020)の間に、電気的接続をもたらすことであり、ユーザは好んで、電気的接続(及び、電子コンポーネントの更に簡単な取り外し)のために、復元性のある接触構造の先端が、基板上のパッドに積極的に接触するのを当てにする。しかし、少量の半田ペースト(例示の明瞭化のために、また前記半田/エポキシは任意であることを示すために、この図から省略している)が、アセンブリ工程において、パッド3026及び3028に施されて、パッド3022及び3024上の少量の半田ペーストと共にリフローされることのほうが、一般的には好ましい。一般に、ピン3034及び3036の上部の曲げは、後続の工程ステップ(例えば、他のコンポーネント3002の実装、及びアセンブリのリフロー)時に、コンポーネント3008が、基板3002から外れて落ちないように保持することを意図したものである。従来技術の場合、(下側のコンポーネント3008を基板3002に)糊付けする等の技法が使用されていた。
接着剤(例えば、2530、3070)を利用することは既に説明したが、これは、通常ロック構造(例えば、3034、3036)が存在しない場合に、基板(例えば、2520、3020)に電子コンポーネント(例えば、2502、3002)を固定すべく機能することになる。好適には、接着剤は、硬化すると縮小することになる型式である。
2つのコンポーネント(例えば、3002、3008)には、位置合わせピンが設けられて、そのピンのいずれも曲げることなく、基板(3020)に固定されることは、本発明の範囲内である。かかる場合、コンポーネントの各々と基板の間の接着剤が好適であり、この構成は、図30の上半分を鏡像化した(両側が同一の)ものの「ように見える」であろう。
電子デバイスを含むアセンブリ 図25−30は、如何にして、電子コンポーネント(例えば、2502)が、印刷回路基板型式の基板(例えば、2520)の一方の側(例えば、2502a)に固定できるのか、また如何にして、別の電子コンポーネント(例えば、2508)が、印刷回路基板型式の基板(例えば、2520)の他方の側(例えば、2502b)に固定できるのか、を記載している。
図31及び32は、以下で説明するが、事例2の図31及び32と類似であり、如何にして、減結合コンデンサ(又は抵抗、或いは他の任意の型式の電子コンポーネント)等の電子デバイスが、回路基板への電子コンポーネントのアセンブリに組み込むことができるのかを示す。
電子コンポーネントのアセンブリにおいて、減結合コンデンサを利用することは、アセンブリにおける半導体素子の性能にとって有利となるとして、一般に周知のところである。一般的な提案として、減結合コンデンサが、半導体素子に近くなるほど、その効果は大きくなる。伝統的なパッケージ実装技法は、一般的に言うと、本質的にこの目標を達成しにくい。
図31は、印刷回路基板3120の2つの側3120a及び3120bに実装された、それぞれ、2つの電子コンポーネント3102及び3108の実施例3100を示す。
大きな開口(アパーチャ)3150が、好適には電子コンポーネント(3102、3108)の直下である位置に、PCB3120を介して設けられる。アパーチャ3150は、深さ寸法を有し、PCB3120の厚さ(図で見て、垂直寸法)で始まり、円形又は矩形(又は、他の任意の形状)とすることができる領域(図で見て、頁内への)を有する。この説明の目的のために、前提として、開口3150は円形であり、直径を有するものとする。
開口3150には、メッキされたスルーホールを製作するのと幾分同様にして、メッキ材料が設けられる。この例示の場合、第1のメッキ3152が、開口3150の左(図で見て)側に配設されて、ホール3150の円周まわりで部分的にのみ(180度より少ない)延伸する。第2のメッキ3154(これはもちろん、第1のメッキ3152と同じ工程ステップで製造される)が、ホール3150の右(図で見て)側に配設されて、ホール3150の円周まわりで部分的にのみ(180度より少ない)延伸する。メッキ3154は、PCBの上側3120aのトレース3156に接続されるものとして示されている。
復元性のある接触構造3104及び3106が、電子コンポーネント3102の面(図で見て、下側表面)に実装され、復元性のある接触構造3110及び3112が、電子コンポーネント3108の面(図で見て、上側表面)に実装されるが、これは上記のようにしてなされる。
この実施例の電子アセンブリの1つの利点は、電子デバイス(3160)と電子コンポーネント(3102、3108)の間に実施可能である、極めて短い経路にある。例えば、復元性のある接触構造3106は、明らかに、電子コンポーネント3102の電源「ピンアウト」の1つ(すなわち、電源又は接地、或いはVSS又はVDD)と関連付けられる。
電子デバイス3160が、この場合コンデンサであるが、ホール3150内に配設され、そこから延伸する2つのリード(タブ又はプレートとすることもできる)3162及び3164を有する。図示のように、一方のリード3162がメッキ3152に接続され、他方のリード3164がメッキ3154に接続される。(メッキ3152及び3154は、互いに「短絡」されない。)この図に明確には示していないが、メッキ3152は、電子コンポーネント3102の復元性のある接触構造(不図示)が、そこに押圧されるパッドで終端するトレースと関連付けられる(接続される)であろう。
コンデンサ(3160のような)等のコンポーネントを、パッケージ済み半導体素子(3102がパッケージ実装されていないのを除いて、3102のような)等の他のコンポーネントの直下に、配置することは一般に知られており、これは例えば、コンポーネント(3160)を、回路基板(例えば、3120)のポケット(窪み)内に載置することによりなされる。記載の実施例3100は主に、印刷回路基板(3120)上の価値ある実装面積を「浪費」することなく、コンポーネント(3160)を他のコンポーネント(3102)の近くに配置できる能力を備えた、復元性のある接触構造、及びそれらの組合せの利点に目を向けたものである。
図32は、印刷回路基板3220の2つの側3220a及び3220bに実装された、それぞれ、2つの電子コンポーネント3202及び3208の他の実施例3200を示す。
復元性のある接触構造3204及び3206が、電子コンポーネント3202の面(図で見て、下側表面)に実装され、復元性のある接触構造3210及び3212が、電子コンポーネント3208の面(図で見て、上側表面)に実装される。
この例の場合、PCB3220の上側表面3220a、及び下側表面3220bには、導電パッド3252、3254、3256、及び3258が設けられ、これらは、トレースの配線等の任意の周知の仕方で、複数の導電パッド3222、3224、3226、及び3228のうちの選択された1つに接続される(不図示)。
2つのリード3262及び3264を有する、コンデンサ等の第1の電子デバイス3260が、PCB3220の上部表面3220aに実装されて、リード3262及び3264は、それぞれ、導電パッド3252及び3254に接続される。
2つのリード3272及び3274を有する、コンデンサ等の第2の電子デバイス3270が、PCB3220の下部表面3220bに実装されて、リード3272及び3274は、それぞれ、導電パッド3256及び3258に接続される。
図31の実施例3100に関連して、上述のように、コンポーネントの直下にコンポーネントを配置するという概念は、全く新しいものではない。しかし、この実施例3200に十分に示すように、印刷回路基板(3220)に窪みその他を設けることなく、コンポーネント(例えば、3260)を他のコンポーネント(例えば、3202)の直下に配置することを可能にする、半田バンプその他とは異なった、極めて高い(長い)接触構造を製造できる能力により、特異な利点が生じる。
復元性のある接触構造が、電子コンポーネントに実装されるアセンブリのいずれかにおいて、代替実施例が容易に思い浮かぶことは、本発明の範囲内であり、そこでは、復元性のある接触構造が、PCBに実装されて、電子コンポーネントであるが、半導体素子である電子コンポーネントに関連した電子コンポーネント上の選択された接触領域(例えば、接着パッド)に接触することになり、復元性のある接触構造が、半導体素子に直に実装されることが一般に好ましいであろう。更に、復元性のある接触構造が実装されたPCB(相互接続基板)は、一般に、介在体として(本明細書では)分類する。
一般に、半導体素子に復元性のある(又は、従順な)接触構造を実装することを、本明細書では、「ばね搭載シリコン」と呼ぶ場合がある。
キャリア・アセンブリ 図33−35は、事例2の図33−35に類似であり、電子コンポーネントのアセンブリの更なる実施例を示し、この説明の目的のために、「キャリア・アセンブリ」と名付ける。
図33は、キャリア・アセンブリの実施例3300を示す。多層基板3220が、電子コンポーネント3302に接続するために、その上(図で見て)側3320aから延伸する複数の復元性のある接触構造と、マザーボード(不図示)等の電子コンポーネントに接続するために、その下(図で見て)側3320bから延伸する複数の復元性のある接触構造とを有する。
復元性のある接触構造の第1のグループ(組)3322が、PCB3320の面3320a上の第1のレベルに実装されて、そこから、PCBの上の所与の「高さ」にまで延伸する。減結合コンデンサ等の電子デバイス3370も、PCB3320の面3320aに実装される。復元性のある接触構造の第2のグループ(組)3324が、電子デバイス3370のレベルに実装されて、そこから、復元性のある接触構造の第1のグループ3322と同じ高さにまで延伸する。このようにして、復元性のある接触構造の両方のグループ3322及び3324が、電子コンポーネント3302の平坦な平面3302aに接続可能となる。これは、図6Aに関連して上記で説明した状況と同様である。
PCBの下部表面3320bは、図示のように段差が付けられ、第1のレベルに配設される接触パッド(端子)3324、3326、及び3328と、第2のレベルに配設される接触パッド3330及び3332と、第3のレベルに配設される接触パッド3334(図示では1つ)を有する。第1のレベルは、第2のレベルより高く(前部表面3320aから遠く)、第2のレベルは、第3のレベルより高い。導体(トレース)及びバイアが、既知の仕方で、多層PCB3320内に設けられ、図示されている。セラミック(印刷回路基板材料ではなく)から製作される多層基板3320に対して、モリブデン、及びタングステン等の導電材料が知られている。基板3320の本体内でもたらされる相互接続の詳細は、例示の明瞭化のために省略する。
復元性のある接触構造の第1のグループ3380(図示では3つ)が、PCBの下部表面3320b上の第1のレベルに実装され、破線「A」で示される、同じ高さに全てがある(すなわち、それらは、PCBの下部表面から同じ距離だけ延伸する)。3つの復元性のある接触構造は、上記の任意の形状(例えば、図3Bに示す形状)に構成されて、上記の物理的特性の所望の任意の組(例えば、図5Fに関連して説明した可塑性、及び弾性)が持たされる。
復元性のある接触構造の第2のグループ3382(図示では2つ)が、PCBの下部表面3320b上の第2のレベルに実装され、同じ高さに全てがある(すなわち、それらは、PCBの下部表面から同じ距離だけ延伸する)。復元性のある接触構造の第2のグループ3382は、復元性のある接触構造の第1のグループ3380よりも長く、破線「A」で示される、PCB3320からの距離にまで延伸する。このようにして、復元性のある接触構造3382の先端(遠位端)は、復元性のある接触構造3380の先端と共平面にある。(図6A−6Cに関連して、上記の共平面性の説明に匹敵)同様にして、復元性のある接触構造の第3のグループ3384(図示では1つ)が、PCBの下部表面3320b上の第3のレベルに実装され、同じ高さに全てがある(すなわち、それらは、PCBの下部表面から同じ距離だけ延伸する)。復元性のある接触構造の第3のグループ3384は、復元性のある接触構造の第2のグループ3382よりも長く、破線「A」で示される、PCB3320からの距離にまで延伸する。このようにして、復元性のある接触構造3384の先端(遠位端)は、復元性のある接触構造3380及び3382の先端と共平面にある。
好適には、復元性のある接触構造3380、3382、及び3384の全てが、それらの全長の中間部において、同じ「曲げ部」を有するため、互いに同じ復元性を示す。追加の長さ(例えば、接触構造3380と面対向した接触構造3382の)は、接触構造の復元特性を変えることなく容易に吸収でき、これは単純に、3つの復元性のある接触構造の端(「脚」)部を適切な距離だけ延ばして、曲げ部の構成を変えることなく、必要な長さを補うことによりなされる。
上述のように、アセンブリに1つの減結合コンデンサ(又は、複数の減結合コンデンサ)を含めることができる能力は、マイクロプロセッサ等のある種の電子コンポーネントの性能輪郭に影響を与える、非常に重要な考慮事項である場合が多い。一般に(すなわち、経験則として)、半導体素子から減結合コンデンサへの経路が短くなるほど、良好になる(例えば、そのインダクタンスが低くなる)。本明細書に示すアセンブリは、非常に短い経路、従って高速マイクロプロセッサ等の電子コンポーネント(3302)と印刷回路基板(3320)との間に、低いインダクタンス結合をもたらす。更に、電子コンポーネント3302が、裸のダイ(例えば、パッケージ未実装のマイクロプロセッサ)であることは、本発明の範囲内であり、これによって、更に短い電気経路(復元性のある接触構造3324)が可能になる。
任意として、電子コンポーネント3302は、電子コンポーネントを取り囲み、基板3320の上部表面3320aに載置する蓋(カバー、部分的に示す)3390を設けることにより、「パッケージ実装」される。代替として、蓋を用いるのではなく、封止剤(例えば、エポキシ)を用いて、電子コンポーネント(3302)をパッケージ実装することが可能である。
図33に示すような構成の利点は、平坦な又は段差付き(図示のような)下部表面を有し、また任意的に、減結合コンデンサ(3370)その他を含む、セラミック又はPCB基板(3320)には、その各側に複数の復元性のある接触構造を「準備」可能であり、半導体ダイ(3302)のフリップチップ型式の相互接続に即座に対応できる。
図33(慣用的な半導体パッケージ実装技術と対向関係にある)に示すようなアセンブリの一般的な利点は、必要なバイヤの数が減少し、導体に利用可能なスペースが更に広くなり(例えば、複雑な相互接続方式をもたらすために、また基板上の導電トレースの経路指定を改善するために)、コストが削減されるという点にある。
複数の電子コンポーネント(3302)が、共通の(単一の)基板(3320)に実装可能なことは、本発明の範囲内である。また、基板に、その上部(図で見て)表面(又は、基板の高い方のレベルにより、選択された領域において、覆われていない、多層基板の低い方のレベル)から内部に延伸する窪み部を設けることが可能なことも、本発明の範囲内であり、その場合、これらの窪み部におけるパッドから始まる復元性のある接触構造が、残りの復元性のある接触構造よりも短い「脚部」を有することになり、これは、復元性のある接触構造3324を、復元性のある接触構造3322よりも短く製作するようにしてなされる。
復元性のある接触構造3380、3382、及び3384が、図28の復元性のある接触構造2804及び2806のようにして形成され、その結果、基板3320が、別の基板(基板2820に匹敵)に「差し込み」可能となることは、本発明の範囲内である。
ばね(復元性のある、又は従順な)接触子を外部相互接続子(3380、3382、3384)として用いることにより、このようにしてパッケージ実装されたコンポーネント(3302)が、容易に試験、及び/又はエージングされ、また同一の外部相互接続子が後に続いて、「差し込み可能」又は表面実装式その他で、マザーボードその他に対して接続をなすのに利用可能である。同じことが、本明細書に開示の他の実施例についても一般的に言える。
図34は、印刷回路基板3420に実装された、電子コンポーネント3402の複合アセンブリの実施例3400を示し、それらの間に減結合コンデンサ3470が配設されるため、図33に関連して説明したように、低いインダクタンス結合を示す短絡経路が与えられる。電子コンポーネント3402と、PCB3420と、減結合コンデンサ3470とのアセンブリは、複合アセンブリ3400の第1の部分アセンブリ3425を構成する。
この例において、PCB3420の下部表面3420bは、例示の明瞭化のために、段差付き(図33に匹敵)としてではなく、平坦として示している。電子コンポーネント3402と、PCB3420と、減結合コンデンサ3470とのアセンブリ全体が、マザーボード、集積基板、その他とすることができる、別の印刷回路基板3450に実装される。上記のようにして、PCB3420(3320に匹敵)の下部表面に、その下部表面3420bから延伸し、また共通の平面(図33の「A」に匹敵)へと延伸する、複数(図示では多くのうち6つ)の復元性のある接触構造3421−3426が設けられる。
マザーボード3450には、メッキされたスルーホールの都合の良い延長部(マザーボード3450上の上部表面3450aの)である、複数(図示では多くのうち6つ)の接触構造3451−3456が設けられる。復元性のある接触構造3421−3426の各々の先端は、これらの接触領域3451−3456のうちの対応するものに接触して、そこに、半田3440で示すように半田付けされる。上述のように、接触領域3451−3456に、復元性のある接触構造3421−3426の先端を半田付けすることは、アセンブリ3440が、クランプ手段(不図示)によりマザーボード3450にクランプされるとすれば、必要ではない。
理解されたいのは、半田を使用して、復元性のある接触構造の先端と、導電パッド又は領域との間に接続をもたらす、本明細書に記載の実施例のいずれかにおいて、「アセンブリ」を完成させるために、導電性エポキシが、半田の代わりに使用可能である、ということである。
また、理解されたいのは、単一の電子コンポーネントが、印刷回路基板(その他)に組み立てられる、本明細書に記載の実施例のいずれかにおいて、複数の電子コンポーネントが、同様にして、印刷回路基板に組み立て可能である、ということである。
図33の実施例3300が、図34に示すようにして(例えば、アセンブリ3425をアセンブリ3300に置き換えることにより)、図34の3450と類似のコンポーネントの頂部に実装可能なことは、本発明の範囲内である。
図35は、印刷回路基板3520に実装された、電子コンポーネント3502の複合アセンブリの他の実施例3500を示し、それらの間に減結合コンデンサ3570が配設されるため、図33に関連して説明したように、低いインダクタンス結合を示す短絡経路が与えられる。電子コンポーネント3502と、PCB3520と、減結合コンデンサ3570とのアセンブリは、複合アセンブリ3500の第1の部分アセンブリ3525(3425に匹敵)を構成する。
この例において、PCB3520の下部表面3520bは、例示の明瞭化のために、段差付き(図33に匹敵)としてではなく、平坦として示し、また複数の復元性のある接触構造(図34の3421−3426に匹敵)ではなく、複数(図示では多くのうち6つ)の接触パッド3521−3526が設けられる。
この例の場合、図14Bの介在体1720と類似の介在体基板3560が、アセンブリ3525と、マザーボード、集積基板、その他とすることができる別の印刷回路基板3550との間に配設される。複数(図示では多くのうち6つ)の復元性のある接触構造3561−3566が、介在体基板3560の上部表面3560aから上方に(図で見て)延伸して、それらの先端は、アセンブリ3525の下部表面(すなわち、PCB3520の下部表面3520b)の対応する接触パッド3521−3526に、この場合半田無しで接触する。(復元性のある接触構造3561−3566は、例示の明瞭化のために、ワイヤステムに保護膜が施されるという詳細なしに示している。)マザーボード3550には、図34のマザーボード3450の場合のように、マザーボード3550内のメッキされたスルーホールと関連付けられる、複数(図示では多くのうち6つ)の接触領域3551−3556が設けられる。
複数(図示では多くのうち6つ)のバンプ状(概ね復元性がない)接触構造3568(6つのうちの1つのみを図に表記した)が、介在体3560の下側表面3560bから延伸して、PCB3550状の接触領域3551−3556に接触するように位置決めされる。これらの接触構造3568は、接触領域3551−3556に半田付けされようと(図示のように)、されなくても(不図示)よい。
図示のように、PCB3520、介在体3560、及びPCB3550には各々、互いに位置があった状態で、複数(図示では多くのうち2つ)の穴が設けられ、それらを介して、複数(図示では多くのうち2つ)のねじ切りスタッド3530及び3532が延伸している。スタッド3530及び3532の端部のナットによって、アセンブリ3550全体が圧縮可能となり、その結果、介在体3560の上部表面3560aにおける復元性のある接触構造3561−3566が、PCB3520の下部表面3520bにおける接触パッド3521−3526に密に接触可能となる。介在体3560の下部の接触構造3568が、まず(初期に)、PCB3550上の接触領域3551−3556に半田付けされる場合には、介在体3560に穴を設ける必要はない。いずれにしても、これは、機械的な手段(例えば、上述のスタッド及びナット、代替としてナット及びボルト、カム、レバー、バンクリップ、その他)で、PCB3550にアセンブリ3525を固定するための実行可能な技法を表す。この実施例の利点は、前の実施例3400におけるPCB3420の下部表面3420bに示される、半田付け接続とは対照的に、PCB3520の下部表面3520b上のパッド(3521−3526)に接触するために、半田を用いない点にある。
ねじ切りスタッド(3530、3532)以外の手段が、クリップ、ラッチばね、その他等により、互いにアセンブリ(3520、3560、3550)を保持するために使用されることは、本発明の範囲内である。
PCB3550(及び任意として、介在体3560)が、電子コンポーネント3502上で試験及びエージングを行い、その後、アセンブリ(3525)を、ノートブック・コンピュータ内のバザーボード等の別のPCB(3550)に実装する等のために、試験ジグを構成することは、本発明の範囲内である。
介在体の別の「スタイル」(すなわち、図17Bのスタイル以外の)が、アセンブリ3500内に使用可能なことは、本発明の範囲内である。例えば、図17Aに示すスタイル(型式)の介在体を用いることも可能である。
図33の実施例3300に関連して説明したように、電子コンポーネント(例えば、3502)が基板(例えば、3502)に実装される、本明細書に記載の実施例のいずれかにおいて、電子コンポーネントを「パッケージ実装」するために、蓋(3390を参照)を設けるか、又は接着剤を設けることができる。
図36Aは、事例2の図36と類似であり、電子コンポーネントを組み立てる他の技法(実施例)3600を示し、ここで、「裸の」(パッケージ未実装の)半導体素子といった、複数(図示では多くのうち2つ)の電子コンポーネント3602及び3603が、相互接続基板3620の一方の側3620aに実装され、裸の(パッケージ未実装の)半導体素子といった、複数(図示では多くのうち2つ)の電子コンポーネント3608及び3609が、相互接続基板3620の他方の側3620bに実装されるが、これらは、概ね図25に記載の仕方で行われる。(これは、カード/ボード上へのシリコンチップの「エッジ間実装」の例示である。)すなわち、例として、電子コンポーネント3602、3603、3608、及び3609は、任意として、適切な絶縁接着剤3630(2530に匹敵)により、相互接続基板3630に固定可能である。(代替として、上記のような、ばねクリップ、その他も、相互接続基板に対して電子コンポーネントを固定するのに利用可能である。)電子コンポーネント3602、3603、3608、及び3609には各々、その面から延伸する、複数の復元性のある接触構造3610が設けられ、相互接続基板3620には、復元性のある接触構造の遠位端を受けるために、対応する複数の接触パッドが設けられる。図示のように、各接触パッドには、対応する復元性のある接触構造3610の遠位端を受けるために、少量の導電性エポキシ3612が設けられる。
このようにして、非常に多くの電子コンポーネントが、相互接続基板(例えば、PCB)に実装されるが、これには、別態様ではパッケージ実装済み(例えば、プラスチックパッケージ実装済み、リード付き)半導体素子により可能であったよりもずっと効率的に、相互接続基板上で実装可能なスペースが利用される。
図36B及び36Cは、それぞれ、図25及び36Aに示した技法の例示的な応用例を示す。
図36Bは、複数の裸の半導体素子3650a−3650rが、相互接続基板3652の表面に実装可能である様子を示し、半導体素子は、互いにエッジ同士が近接した状態で、互いにほぼ触れるように、効率的にレイアウトされる。複数のエッジコネクタ・パッド3654が、相互接続基板3652の1つのエッジに示されており、これらは、半導体素子3650a−3650rに実装された復元性のある接触構造の遠位端を受けるパッドへの導電トレース(不図示)に接続されることになる。
図36Cは、複数の裸の半導体素子3660a−3660iが、相互接続基板3662の表面に実装可能である様子を示し、半導体素子は、互いにエッジ同士が近接した状態で、互いにほぼ触れるように、効率的にレイアウトされる。複数のエッジコネクタ・パッド3664が、相互接続基板3662の1つのエッジに示されており、これらは、半導体素子3660a−3660iに実装された復元性のある接触構造の遠位端を受けるパッドへの導電トレース(不図示)に接続されることになる。
図36Aに示すように、相互接続基板3620は、電子コンポーネントに対して、「傾いて」又は「斜めになって」いる(しかし一般的には、傾かないのがこのましい)。換言すると、それは、電子コンポーネント3602、3603、3608、及び3609と平行ではない。これは、復元性のある接触構造を使用する(例えば、電子コンポーネント上に)ことの多くの利点のうちの1つを示し、すなわち、復元性のある接触構造が、平面性の小さな偏差を「補償」可能な点である。上述のように、ある量の可塑的(復元的に対して)変形が、非平面性を吸収するために、復元性のある接触構造において望ましいことが多い。一般に、復元性と可塑性の両方を示す接触構造が、「従順な」接触構造と呼ばれる。
このアセンブリ、及び本明細書に記載の他のアセンブリにおいて、完成したアセンブリは、適切な絶縁材料(滴のせエポキシ等)内で完全に封止されて、電子コンポーネントを、機械的事象(アセンブリの取扱い等)、及び環境的事象(埃、及び湿度等)を含む、環境的損傷から保護することができる。これは、「完成した」、完全にパッケージ実装されたアセンブリに役立つことになる。適切なヒートシンク(例えば、熱質量体)が、かかる完成したアセンブリ内に、任意の適切な仕方で(例えば、電子コンポーネントに密接して、上にある滴のせエポキシ内に、ヒートシンクの一端を埋設する等により)、組み込むことが可能なのは、本発明の範囲内である。
図37は、事例2の図37と類似であり、電子アセンブリの他の実施例3700を示し、ここで、各々が、図36に記載の実施例3600に匹敵する、2つのアセンブリ(両面「先行体」)3710及び3712が「積み重ね」可能である。
図示のように、アセンブリ3710の相互接続基板3720(3620に匹敵)には、その下側(図で見て)表面3720b上に、複数(図示では多くのうち1つ)の接触パッド3722が設けられる。アセンブリ3712の相互接続基板3740(3620に匹敵)には、その上側(図で見て)表面3740aから延伸する、複数(図示では多くのうち1つ)の復元性のある接触構造3742が設けられる。
適切な絶縁材料3730(2530に匹敵)で、アセンブリ3710及び3712を内部に封止する工程において、材料3730が、2つのアセンブリ3710と3712の間の間隙3732に充填せしめられる。かかる内部封止と関連して、アセンブリは、上記のようにして、互いに押圧されるため、復元性のある接触構造3742の先端が、接触パッド3722に接触する。
図26、27、29、30その他に関連して説明したような、ばねクリップその他、又は図35に関連して説明したような、「機械的手段」が、アセンブリ3710及び3712を共に保持するために、接着剤3730の代わりに使用できることは、本発明の範囲内である。
この図において、相互接続基板は、例示の明瞭化のために、「傾け」ないで示している。(図36の相互接続基板3620に匹敵する。)上記の大部分に関して、電子コンポーネント(例えば、xx02)が、「フリップチップ」方式で、相互接続基板(xx20)に組み立てられる、多数の電子アセンブリについて説明してきた。換言すると、電子コンポーネントは、相互接続基板と平行であることを意図している。(理解されたいのは、本明細書に記載の詳細な説明を通じて、「xx02」その他の符号を用いる場合、任意の適切な番号、例えば「25」が、文字(位置ホルダ)「xx」で置き換えできる。換言すると、「xx02」は、「2502」、「2602」、「2702」、等と読むことができる。
本発明の1つの態様によれば、電子コンポーネントが、エッジ方向で、相互接続基板に実装(、及び接続)可能である。
上述のように(例えば、図25に関連して)、多数のカード(3710、3712)を、後で、図37に示すような更に複雑なアセンブリへと組み立てるために、予め製造し、任意として予め試験及び詳細に調べることができる。これらの「部分アセンブリ」(すなわち、カード3710及び3712)は、図示のように、単にカード上に接触子を設け、またカード間相互接続構造(例えば、3742)を設けることにより、容易に積み重ねられる。一般的な提案として、かかる技法は、シリコン(電子コンポーネント)の個々の部品の「3D」積み重ねよりも優れており、またメモリコンポーネントの多チップモジュール、又は他の任意のコンポーネントに適用可能である。
図38は、事例2と類似であり、電子アセンブリの実施例3800を示し、ここで、複数の電子コンポーネント3802、3803、3804、3805、及び3806が、エッジ方向で、相互接続基板3820に実装される。
電子コンポーネント3802−3806の各々には、複数(図示では多くのうち1つ)の復元性のある接触構造3842−3846が設けられ、そのうちの代表的な1つ(3842)を、図38Aに更に詳細に示す。相互接続基板3820の上部(図で見て)表面3820aには、同様の複数(図示では多くのうち5個)の接触パッド3822−3826が設けられる。使用時には、復元性のある接触構造3842−3846の先端が、図38に示すようにして、接触パッド3822−3826の対応するものに接触する。
電子コンポーネント3802−3806の数より一般に1つだけ多い、複数(図示では6個)のパッド3861−3866が、相互接続基板3820の上部表面3820a上で、電子コンポーネントの間、及びそれらの「ボード外」の位置に設けられる。複数(図示では多くのうち6個)のばねクリップ3831−3836が、それぞれ、パッド3861−3866に実装されて、以下のようにして成形される。
ばねクリップの1つの代表例3832が、相互接続基板3820の上部表面3820aから上方に延伸して、左方向に(図で見て)延伸する曲げ部と、右方向に(図で見て)延伸する曲げ部を有するように構成される。ばねクリップの全てが、同じようにして好適に成形されて、対向する曲げ部を備える。ばねクリップ3832の左方向に延伸する曲げ部は、隣接した(図で見て、左に)ばねクリップ3831の右方向に延伸する曲げ部と協働して、間隙を規定し、これは、電子コンポーネント3802の厚さよりも幾分小さい。このようにして、電子コンポーネント3802は、そのいずれかの側のばねクリップ3831及び3832の間にぴったりと挿入されるため、相互接続基板3820の表面3820aに対して、エッジ方向で適所に保持可能となる。電子コンポーネント3803は、同様に、ばねクリップ3832及び3833により、相互接続基板3820に対して、エッジ方向で適所に保持される。電子コンポーネント3804は、同様に、ばねクリップ3833及び3834により、相互接続基板3820に対して、エッジ方向で適所に保持される。電子コンポーネント3805は、同様に、ばねクリップ3834及び3835により、相互接続基板3820に対して、エッジ方向で適所に保持される。電子コンポーネント3806は、同様に、ばねクリップ3835及び3836により、相互接続基板3820に対して、エッジ方向で適所に保持される。
上記のばねクリップ(例えば、2630及び2632)を用いた場合のように、ばねクリップ(3831−3836)は、復元性のある接触構造と同じようにして製造可能であり、また、ばねクリップが、相互接続基板と、ばねクリップにより適所に保持された対応する電子コンポーネントとの間に、導電経路を形成することは、任意的であり本質的ではない。
例えば、図26に関連して上述したように、パッド3822−3826は、半田で前処理可能であるため、電子コンポーネントが、適所へと押圧される(対応するばねクリップ間で)と、アセンブリ全体が炉に通されて、半田をリフローし、パッド3822−3826と、復元性のある接触構造3842−3846の対応する先端との間に、半田接続をもたらすことが可能になる。
図38Aに示すように、この実施例の復元性のある接触構造(3842)は、復元性のある接触構造(3842)が実装される電子コンポーネント(3802)の平面内(それと直角ではなく)である圧縮力(F)に反作用することを意図した形状に構成される。
復元性のある接触構造が、それらが実装される電子コンポーネントに相対して、実際上任意の角度に向けられる圧縮力に反作用するように構成される形状を有することが可能なのは、本発明の範囲内である。例えば、図9A及び9Bにより例示される「プローブ」実施例の場合、圧縮力は、復元性のある接触構造が実装される基板の直下から加えられる。幾つかの例としての形状を本明細書で説明したが、本発明の範囲は、例示の形状のいずれにも限定されないことを特に意図している。
電子コンポーネント(3802、3803、等)が、基板3620に対して直角でないことは、本発明の範囲内である。
DUT試験インターフェース構成 電子コンポーネント上で、エージング、及び機能試験を行うために、プローブカードにおいて復元性のある接触構造を利用することを、上記で、例えば図10A−10Gに関連して説明した。
幾つかの用途において、複雑な集積回路素子における欠陥を正確に特定して解析することが重要である。例えば、部分的にパッケージ実装済みの被試験デバイス(DUT)を、ソケットに差し込むことが可能であり、このソケットは、試験インターフェースボードからスペーサを介して延伸する「ポーゴ」ピン(コイルばねが関連した直線ピン)により接触される導電領域を有するPCB上にある。試験インターフェースボード、スペーサ、PCB、ソケット、及びDUTのアセンブリは、例えばEビーム・プローブ装置の真空室における開口内へと挿入され、その結果DUTを、真空環境中でEビームによりプローブ当てすることが可能である。これは、本発明のDUT試験インターフェース構成に対する用途の単なる例に過ぎない。
図39は、本発明による、試験インターフェース構成3900を示す。半導体ダイ3902が、アレイ状等でその下側(図で見て)表面に配設された、複数の半田バンプ3904を有する。「間隔変換」基板3910が、その上側(図で見て)表面に配設された、対応する複数の復元性のある接触構造3912を有する。これらの復元性のある接触構造3912の遠位端は、半田バンプ3904と同じピッチ(間隔)で配列される。間隔変換器3910は、多層PCBのようにして、絶縁材料とパターン化導電材料(例えば、箔)の交互層から形成された基板である。間隔変換器3910の下側(図で見て)表面には、複数の接触パッド3914が設けられ、これらは、復元性のある接触構造3912よりも大きな間隔(互いから遠く離れた)で配設される。間隔変換器3910は、上記のようにして(例えば、接触構造の一括転移に関連した図12Bを参照)、半導体ダイ3902を復元性のある接触構造3912に押し当て、復元性のある接触構造3912の遠位端を、半導体ダイ3902に半田付け(又、ろう接)することにより、半導体ダイ3902に組み立て可能である。
介在体基板3920には、上記の介在体基板のいずれかのようにして、その上側(図で見て)表面に、複数の復元性のある接触構造3922が設けられ、またその下側(図で見て)表面に、複数の復元性のある接触構造3924が設けられる。
プローブカード基板3930には、その上側(図で見て)表面に、複数の接触パッド3932が設けられる。プローブカード3930を間隔変換器3910に、それらの間にクランプされる介在体と共に、固定するための手段が設けられ、例えばボルト3940が、プローブカード3930内の穴を介し、任意的に介在体3920を介して、間隔変換器3910内のねじ切り穴へと延伸する。このようにして、多数の半導体アセンブリ(3902、3910)が、プローブカード3930と関連した試験回路(不図示)により試験可能となる。
本発明の技法は、「既知の良好なダイ」試験を行う従来技術の技法よりも、簡単であり且つコスト効果がある。従来技術の典型的なプローブカードには、そこに実装された接触子が含まれ、このことは、独自の被試験デバイスの各々に対して、独自の(例えば、割高な)プローブカードが必要とされることを一般に意味する。本発明のプローブカード3930は、よりいっそう「代替可能」であり、容易に且つ安価に製造された間隔変換器3910を介して、独自のデバイスに容易に適応される。
各種の追加実施例 次に提示するのは、上記の技法に対する代替例であり、本発明の範囲内にある。
非導電ステム 上述のように、ワイヤ(例えば、102)は、主に、保護膜(上部構造)が製造(例えば、メッキ)可能である媒体(足場、心棒)として機能する。従って、多くの例で、心棒が基板に実装され、成形されて、保護膜生成可能である限り、心棒が導電性であるか否かは一般に問題ではない(メッキの最外層は、一般的な提案として、導電性であることが必要である)。
このことを心に留めると、ワイヤステム(伸長柔軟要素)が、プラスチック(例えば、ナイロン)、ポリマー、その他といった、絶縁材料から形成されることは、本発明の範囲内である。かかる心棒(ニッケル等)上に導電金属材料をメッキすることは、本発明が最も近く属する技術分野の通常の知識を有する者の十分に範囲内である。例えば、絶縁材料の表面が、まずイオン受容性となるように活性化され、次に導電材料の第1の層で無電解メッキされ、次に導電材料の第2の層で電解メッキされるであろう。
様々なプラスチック(例えば、ポリマー)材料が知られており、例えばこれらは、高温で液化し、また大気圧で皮膜を形成することになる。
図40Aは、高圧力の下のポリマー材料の供給体が、ノズル4002を介して供給される技法を示す。ノズルは、電子コンポーネント4008(108に匹敵)上の端子(例えば)4012(112に匹敵)と近接させられると、液化ポリマーが、ノズルから流れ出て端子に接触することが可能になる。ノズルは次に、z軸方向、及びx軸とy軸方向のいずれかの方向に移動されて、ステム4002(102に匹敵)が仕立てられる。このようにして、所望のステムが製造されると、圧力がオフにされ、ノズルが遠くに移動して、ステムに遠位端が残されることになる。このようにして、ワイヤステムを仕立てる際のノズル4004の機能は、上記で説明した、ワイヤボンディング装置の毛細管(104、204)の機能に非常に似ている。ステムの硬化が完了すると、それには、上記のようにして、導電材料で保護膜が容易に施される。
上述のように、多数の毛細管を用いて、電子コンポーネント上に多数のワイヤステムを同時に形成することにより、幾つかの利点が生じることになる。同様にして、多数のノズル(4004)を用いて、電子コンポーネント上に、同様に多数の非導電ステムを仕立てることも可能である。
図40Bは、多数(図示では多くのうち2つ)のオリフィス4022を有するノズルヘッド4020を示し、それらのオリフィスを介して、非導電材料が、基板4028の表面に配送されて、同様に多数のステム4026が仕立てられる。(端子その他は、例示の明瞭化のために、この図から省略している。)明らかに、このようして形成されたステムの全てが、ノズルヘッドの経路により決定されるような同じ形状を有することになり、これは、矢印に終端する破線4024で示される。本質的には、ノズルヘッド4020は、穿孔付きプレートであり、矩形アレイ状といった、適切な仕方で配列された多数のオリフィス(4022)を有する。
図40A及び40Bに関連して説明した技法が「好ましい」とは、現時点では発言しない。それらは主に、成形され続いて保護膜生成されることになるステムが、導電ワイヤである必要はないという点を示すために提示したものである。しかしながら、ステムに対して、任意の適切な誘電材料を使用可能なことは、本発明の範囲内である。
ボンディングなし固定ステム 上記で詳細に説明したように、ワイヤボンディング装置が、供給ワイヤの自由端を、基板状の接触領域に実装(ボンディング)するために使用され、供給ワイヤの自由端は、(基板にボンディングされると、)結果としてのワイヤステムの近位端になる。
保護膜が主に、結果としての接触構造を基板に固定する役割を果たすことを心に留めると、ワイヤが、それ自体、基板にボンディングされるのではなく、むしろボンディングを用いない仕方で、ワイヤが基板に実装されることは、本発明の範囲内である。一般に、供給ワイヤの自由端を基板に固定するどんな技法も十分であろう。
図41Aは、毛細管型式のヘッド4104(104に匹敵)を示し、これを介して、ワイヤ4102が供給されている。この例の場合、端子4112(112に匹敵)が、基板4108(108に匹敵)の頂部に配設されて、ワイヤの先端により穴開け可能な材料4114で保護膜生成される。超音波ボンディング等のボンディングは、結果としてのワイヤステムの近位端を、電子コンポーネントに固定するには必要とされない。むしろ、ワイヤ4102は十分堅固であり、また材料4114は十分に穴開け可能(例えば、可塑変形可能)であるので、結果としてのワイヤステム(図41B参照)は、ワイヤステムに保護膜を施す工程時に、適所に残ることになる。この例の場合、ワイヤステムは、例示の明瞭化のために、直線ワイヤステムとして示すが、理解されたいのは、ワイヤステムは、上記(例えば、図2A−2Eを参照)の弾力のある形状のいずれかに形成可能である、ということである。材料4114は、半田、導電性エポキシ、又は他の任意の「穴開け可能な」材料とすることができる。
ワイヤを、電子コンポーネント状の端子(又はパッド、その他)へと挿入する(すなわち、ワイヤを端子にボンディングするのではなく)という上述の技法は、半導体パッケージ等の電子コンポーネントに、ピン状構造を実装するために使用可能である。ワイヤ材料には、ベリリウム銅、コバール(tm)、ばね鋼、その他(比較的堅い材料)が含まれるであろう。任意として、ピンを端子に確実に固定するために、結果としてのピン状構造に保護膜を施すことも可能である(例えば、金メッキにより)。
ワイヤステム4012に、上記のようにして、図41Cに示すような導電材料4116で保護膜を施すことも、本発明の範囲内である。
ワイヤ4102が、高弾性炭素繊等の塊4114(例えば、半田、又は導電性エポキシ)内に挿入するのに適した任意の材料であることも、本発明の範囲内である。
ワイヤステムの手動成形 上記のように、ワイヤステムが、基板(例えば、208)に面対向した毛細管(例えば、204)の相対運動を制御することにより、弾力のある形状を有するように仕立てられる。
ワイヤステムの成形が、増強される、又は毛細管の移動以外の外部手段により完全に実施されることは、本発明の範囲内である。
図42は、毛細管4204(204に匹敵)の端部から延伸する、供給ワイヤ4202(202に匹敵)の自由端を示す。破線で示すように、毛細管4204は、基板4208(108に匹敵)状の端子4212(112に匹敵)に、ワイヤの先端をボンディングするために、少なくとも1つの穴が設けられたプレートといった、「工具」部材4220内の開口4222を介して進む。
供給ワイヤの自由端が端子にボンディングされると、毛細管及び工具部材の運動は、結果としてのワイヤステムに対して、所望の形状を確立するように制御される。これらの運動は、同一のx及びy方向だけでなく、反対のx及びy方向での毛細管、及びブロック移動の両方を含む。(工具部材は、毛細管がそうであるように、z方向にも移動する。)工具部材が、適所に単純に保持される場合、ワイヤステムは、成形作業時に、その長さに沿った任意の位置に「手動で」保持可能となる。遠位端(先端)を有するように、ワイヤステムを切断した後、ブロックは、ワイヤステムから単純に持ち上げて外すことができる。
毛細管が、端子にワイヤをボンディングするのに、それを介して進まねばならない、対応する穴を各々が有する、2つ又はそれより多い工具部材を同じように使用して、成形工程を増強することができる。更に、工具ブロックにより、毛細管は、十分な長さのワイヤを単純に繰り出すことができ(供給ワイヤの自由端を端子にボンディングした後)、ステム成形工程全体が、2つのブロックの運動を制御することにより実行可能である。
明らかになるであろうが、ワイヤを構成するワイヤボンディング装置の外部の工具(例えば、4220)を利用することによって、厳密な曲げ部(ねじれ)を有する形状へと、ワイヤを構成することが可能になると共に、ボンディングワイヤの任意の成形と通常関連した、毛細管の行き過ぎ量を(大幅に)回避することが可能になる。
図42Aは、図42の概念を更に1ステップ踏み込んだもので、ワイヤステムのアレイが存在する状況では特に有利であり、毛細管が、隣接したワイヤステムに衝突することなく進むことは困難である。図42Aに示すように、複数(図示では多くのうち2つ)のワイヤステム4232及び4234が、それぞれ、電子コンポーネント4240の表面上の端子4236及び4238にボンディングされる。ワイヤステムは、電子コンポーネントの表面から上に真っ直ぐ突出して形成されて、切断される(例えば、図4Bを参照)。各々が一般に、複数の穴を有する堅固な平面部材として形成される、3つの外部工具4242、4244、及び4246が、突出するワイヤステムにわたって導入される。工具は、図示のように、互いから離間したワイヤステムにわたって導入される。図42Bに示すように、工具4242及び4246を静止状態に保つことにより、また工具4244を(図で見て、右に向かって)移動させることにより、ワイヤステムを「一括成形」することができる。ワイヤステムを成形した後、工具は取り外される。ある種のワイヤステム形状は、工具の取り外しと干渉することになることが認識される。この問題を避けるために、工具は、図42Cに示すように、櫛状構造として形成することが好ましい。
図42Cは、櫛状構造として形成された外部工具(図示では幾つかのうち1つ)を用いて、複数(図示では、4×4アレイ)の突出するワイヤステムを一括成形する代替実施例を示す。この例の場合、2つの櫛プレート4252及び4254が、アレイへと移動する(図の矢印を参照)と、櫛プレートの個々の歯の間の空間が、対応するワイヤステムを「捕捉」する(工具4242、4244、4246内の穴と同様にして)。垂直位置(ワイヤステムに沿った)当たり2つの櫛プレート(4252、4254)が示されているが、1つでも十分であり、例えば、櫛4252のみを用いると、ワイヤステムが右に向かって移動するのを安定化し(図示のように)、又はワイヤステムを右にねじることができる。最上部の櫛対を用いて、ワイヤステムが、それらの形状を構成した後に、全て共通の高さにセン断可能なことも、本発明の範囲内である。本明細書で説明する櫛プレートは、放電加工(EDM)工程により適切に形成され、また、シリコン、イリジウム、セラミック、金属、タングステンカーバイド、その他から製作できる。櫛プレート間の小さな間隔は、10ミル(又は、それより小さい)程度で、容易に達成される。
引っかかりの克服及びワイヤの予備清掃 上記のように、ワイヤステムの成形時に、毛細管に超音波エネルギーを加えることは、ワイヤが毛細管から繰り出される際の引っかかりを克服するうえで有用である。
超音波エネルギー以外の手段を使用して、ワイヤが毛細管から繰り出される際に、ワイヤの引っかかりを低減可能なこと、及びこれらの手段を、上述の超音波エネルギーの代わりに用いて強化可能なことは、本発明の範囲内である。
図43Aには、毛細管4304(204に匹敵)が示され、それを介して延伸する供給ワイヤ4302(202に匹敵)を有する。毛細管は、図示のように、その本体を介して軸方向に延伸するボアを有する。毛細管の後端部(図で見て、上部)は、ハウジング(カバー)4320により蓋が外され、ハウジングは、毛細管の後端部が滑り嵌めされる開口4322と、供給ワイヤがそれを介して延伸する開口4324と、ハウジングにより閉鎖される内部空洞4328と連通するオリフィス4326とを有する。不活性ガス、又は「形成」ガスが、圧力をかけて(すなわち、大気圧より上で)、供給容器4330により、オリフィス4326を経由して、空洞4328に供給される。このガスは、例えば、アルゴン、水素、二酸化炭素、又は一酸化炭素である。
ワイヤボンディング時に、ガスは、空洞4328へと流れ、そこから、矢印で示すように2つの方向に進む。ガスは、下方へと(図で見て)毛細管を介して流れて、ワイヤが毛細管から繰り出される際に、ワイヤの引っかかりを低減する。ガスは、上方へと(図で見て)流れて、ワイヤが毛細管に入る前に、いかなる異質の粒状物質(例えば、埃)も供給ワイヤから予備清掃する。
ガス送りオリフィス4336(4326に匹敵)が、毛細管自体に組み込まれ(例えば、ほぼ毛細管の中点で)、それにより別個且つ特異なハウジング(4320)の必要性を削除することは、本発明の範囲内である。しかし、毛細管の後端部における開口が通常過大である(例えば、毛細管の後端部への供給ワイヤの通しを容易にするために)限り、好適であるのは、小さな開口(ワイヤ4302の直径よりも僅かに大きい)を有するカバー4340(4320に匹敵)が、毛細管4344(4303に匹敵)の後端部にわたって配設されて、毛細管の後端部におけるガスの流出量を制御(すなわち、低減)することである。これは、図43Bに示されている。
接触構造の配向 上述のように、複数の接触構造が、例えば矩形アレイ状で、電子コンポーネントに実装可能である。
上記で説明したように、半導体素子等の電子コンポーネントが動作する際に、典型的なのは、それが、通常半導体素子の中央近傍で、半導体素子の膨張を引き起こす熱を発生することである。多くの場合、半導体素子が相互接続されるパッケージ(又はPCB、その他)が、あまり熱を被らず(というのは、それが熱を発生していないため)、また半導体素子よりは膨張の度合いがずっと少ない。このような熱膨張における差によって、相互接続の一端が、相互接続の他端よりも遠くに配置される結果として、応力が相互接続子に課せられることになる。同じ現象は、熱を発生する半導体パッケージを、印刷回路基板(PCB)に接続する際にも生じることになる。
本発明によれば、電子コンポーネントに実装された、複数の成形済み接触構造の配向が、電子コンポーネントと、該電子コンポーネントが相互接続される別の電子コンポーネントとの間の、熱膨張係数の差を吸収すべく構成される。
図44は、その表面に実装された復元性のある接触構造のアレイを有する、例としての電子コンポーネント4402を示す。各接触構造は、この図でドット(塗りつぶし円)で示される。最も角の接触構造4430a、4430b、4430c、及び4430dを全体的に見て示してある。電子コンポーネント4402の膨張は、「E」で表記した矢印で示され、これらは全て、電子コンポーネント4402の中央から離れる方向を指す。
この例の場合、復元性のある接触構造の各々は、接触構造のワイヤステムがそこで曲げられる平面として、任意的に規定可能である配向を有する。この図から明らかなように、4つの最も角の接触構造4430a、4430b、4430c、及び4430dは、熱膨張(破線)が、概ね垂直な(例えば、90度)角度で、接触構造の平面と交差するように配列される。
単純明快な手法は、電子コンポーネントの右上(図で見て)4分の1における接触構造の全てを、接触構造4430aと平行に位置合わせし、電子コンポーネントの右下(図で見て)4分の1における接触構造の全てを、接触構造4430bと平行に位置合わせし、電子コンポーネントの左下(図で見て)4分の1における接触構造の全てを、接触構造4430cと平行に位置合わせし、更に電子コンポーネントの左上(図で見て)4分の1における接触構造の全てを、接触構造4430dと平行に位置合わせすることであろう。しかし、膨張が、電子コンポーネントの中央近傍から概ね半径方向に生じるとすると、各接触構造(そのうちの4つのみを図示)は、膨張ベクトルが、個々に合った適切な角度で、接触構造の平面を通るように配列されることは、本発明の範囲内である。図44には、接触構造は、例示の明瞭化のために、「45番目に」位置合わせされて示している。
接触構造の先端「脚部」が、熱膨張の方向で、接触構造のベース「脚部」からオフセットして、熱膨張を吸収するうえで手助けすることも、本発明の範囲内である。
撓み機構 例えば図5Fに関連して上記で説明したように、本発明の復元性のある接触構造は、通常、圧縮時に圧縮力に反作用する。ばね定数(k)の範囲は既に説明した。
他の(すなわち、圧縮以外の)撓み機構を作用させて、接触構造の復元特性を強化することは、本発明の範囲内である。
図45は、図2Cに示す接触構造と類似の復元性のある接触構造4500を示す。接触構造の近位端は、箇所「a」において、基板4508(2508に匹敵)に実装され、また接触構造は、遠位先端を(「f」で表記した箇所に)有する。接触構造の上「脚部」(すなわち、箇所「f」と「e」間の接触構造の垂直部)は、接触構造の下「脚部」(すなわち、箇所「a」と「b」間の接触構造の垂直部)からオフセットされる(例えば、x方向に)。圧縮力(「F」で表記した矢印)が接触構造に課せられると、圧縮力は、「T」で表記した矢印で示すように、少なくとも部分的に捻れて反作用されることになる。撓み機構としての捻れを、有利に使用して、接触構造の復元及び/又は従順特性を合わせることができる。 好適には、接触構造は、捻れが、接触構造の「腕部」(箇所「b」と「c」間の接触構造の水平部、及び箇所「d」と「e」間の接触構造の水平部)に対して対称的に生じるように成形される。
接触構造が、圧縮、捻れ、引張、曲げ、その他を含む、任意の数の撓み機構により、圧縮力に反作用するように設計(例えば、成形)可能なことは、本発明の範囲内である。更に、追加の力(すわわち、圧縮力に加えて)が、異なる撓み機構と適応可能である。例えば、前の実施例(図44)の接触構造4430a−4430dは、主に捻れて熱膨張を吸収すると同時に、主に圧縮して圧縮力に反作用するように位置合わせ可能である。
インダクタンスの低減 例えば、図5Eに関連して上述したように、多くの例において、接触構造の比較的長い全長により課せられるインダクタンスを低減して、インダクタンスの影響を最小限に抑えることが関連する。図5Eの前に説明した実施例の場合、エラストマー塊を使用して、ワイヤステムの遠位端と、近位端(又は、もっと正確に言うと、ワイヤステムの遠位端に最も近い、端子上の箇所)との間に、ワイヤステムの全長よりも短い、導電経路を与えた。
2点間の最短経路は、ユークリッド幾何において、直線である。本発明によれば、成形済みのワイヤと関連して、別個且つ特異なワイヤが設けられて、接触構造の遠位端と、その接触構造が実装される端子(例えば)との間に、長さを最小にした導電経路が与えられる。
図46A−46Fは、図5Eのエラストマー塊564に関連して説明した技法と同様にして、相互接続すべき2点間の導電経路、ゆえにインダクタンスを最小化する技法を示す。
図46Aは、一端において、基板4808(208に匹敵)上の端子4612(212に匹敵)にボンディングされた「ジャンパ」ワイヤ4602を示す。ジャンパワイヤ4602は、前に説明したワイヤステムのようにして、ボンディングされるが、復元性があるようにして機能することは意図していないことが、これから明らかになるであろう。ワイヤ4602は、基板4608の表面からほぼ真っ直ぐ(図で見て、下方に)延伸せしめられるが、僅かによじれることが好ましい。ワイヤ4602は、非常に柔軟なワイヤであるのが好ましく、例えば0.0008インチの金ワイヤである。
図46Bは、ワイヤ4602の遠位部に施された、ホトレジスト等のマスキング層4604を示す。これは単純に、液体マスキング材料の容器(不図示)内に、基板を「漬ける」ことにより達成可能である。
図46Cは、工程の次のステップを示し、ここで、マスキング材料4604の微小部分が、ワイヤ4602の最上部から除去される。これによって、以下で説明するが、後続の保護膜生成(例えば、メッキ)のために、ワイヤ4602の材料が露出する。
図46Dは、工程の次のステップを示し、ここで、別のワイヤ4606が端子4612にボンディングされる。このワイヤ4606は、保護膜(上部構造)を支持して復元性のある接触構造を形成するための足場(すなわち、弾力のある形状)となるように、上記のようにして(例えば、図2A及び下記を参照)、成形される(例えば、曲げられる)。結果としての成形済みワイヤステムの遠位端(先端)は、注意深く、ワイヤ4602の遠位端に非常に近接、好適にはその直ぐ上に(この図で見た場合、下に)させられる。
図46Eは、工程の次のステップを示し、ここで、ワイヤ4602及び4606には、上記のようにして(例えば、図5及び下記を参照)、ワイヤ上にニッケルをメッキする等により、保護膜が施される。保護膜4608は、ワイヤステム4606を完全に覆い(包み込み)、また端子4612を覆って、そこにワイヤステム4606を確実に固定することになる。保護膜4608は又、ワイヤ4602の遠位端とワイヤ4606の遠位端を、互いに接続することになる。このようにして、ほぼ直線の経路が、端子4612と、ワイヤステム4606の遠位端との間に生成される。結果としての復元性のある接触構造4630は、接触構造の復元性のある部分(すなわち、保護膜付きのワイヤステム4606)の全長にかかわらず、このほぼ直線の経路の結果として、低いインダクタンスを示すことになる。
ジャンパワイヤ(4602)をマスキングして、それがメッキされる(従って、その柔軟性を保持する)のを防ぐことを伴う、上記の技法に対する代替手法は、ジャンパワイヤとして絶縁ワイヤを利用することである。例えば、絶縁コーティングを有する金ワイヤが、ジャンパワイヤとして利用可能である。(導電コア4652と絶縁コーティング4654を有する絶縁されたワイヤ4650を示す、図46Gを参照されたい。)かかる絶縁されたワイヤは、周知のところであり、その1つの例は、上述の米国特許第4,860,433 号に記載されている。かかる絶縁されたワイヤは、容易に入手可能であり、例えば、半導体ダイをリードフレームにボンディングして、プラスチックモールドの工程時に、ワイヤが互いに短絡するのを防止する際に用いられる。例えば、ポリマー(又は、ウレタン等のプラスチック材料)で覆われた、0.0008インチの直径を有する金ワイヤが、ジャンパワイヤとして使用可能である。一般に、かかるワイヤ上の絶縁コーティングは、ワイヤの機械的性質にはあまり寄与しない。
使用時には、絶縁されたジャンパワイヤの両端における絶縁が、供給ワイヤを切断する工程時に(すなわち、ジャンパワイヤを端子にボンディングする前で、且つ所望の長さの供給ワイヤを繰り出した後に)融除されて、下にあるワイヤが露出して残される(ボンディング、及びメッキのために)。ジャンパワイヤ4602が、コンポーネント4608から別のコンポーネント(不図示)への主要な電気経路を与える限り、ワイヤステム4606が、導電性である必要はないことは、本発明の範囲内である。
勾配付きワイヤステム 図5G及び5Hに関連して上述したように、結果としての接触構造の特性を修正するために、保護膜の厚さを「合わせる」ことが可能である。
本発明によれば、結果としての接触構造の特性を修正するために、ワイヤステムの厚さを「合わせる」ことも可能である。
図47は、その近位端により、基板(例えば、電子コンポーネント)4708上の端子4712に実装された、ワイヤステム4702を示す。ワイヤステムの材料に依存して(例えば、アルミニウム)、ワイヤステムの断面を、適切な溶剤(例えば、水酸化カリウム)で、選択的に低減することができる。この図で、ワイヤステムは、その遠位端における最小径の領域から、その近位端にあける最大径の領域へと滑らかな遷移を有するものとして示している。ワイヤステムの近位部分(例えば、図で見て、上部3分の2)のみを溶剤中に浸漬することにより、径に「段差を付ける」ことが可能なことは、本発明の範囲内である。この例のワイヤステムは、例示の明瞭化のために、直線として示している。ワイヤステムの部分を薄くする技法は、弾力のある形状を有するワイヤステムにも等しく適用可能である。
ワイヤステムの除去 上述のように、下にある足場(ワイヤステム)に保護膜が施されて、上にある上部構造(例えば、メッキされた保護膜)の形状が確立されてしまうと、下にあるワイヤステムは、結果としての接触構造の機械的(例えば、構造的)特性全体にはほとんど寄与しない。
本発明によれば、ワイヤステムは、それに保護膜が施された後に除去可能である。
図48Aは、その近位端により、基板(例えば、電子コンポーネント)上の端子4812に実装された、ワイヤステム4802を示す。ホトレジスト等のマスキング材料4810が、ワイヤステムの遠位端(先端)の微小部分にわたって施される。次に、図48Bに示すように、ワイヤステムには、上記の技法に従って、ある材料の少なくとも1つの層4820で保護膜が施される。次に、図48Cに示すように、マスキング材料4810が除去される(例えば、溶解、洗浄、その他により)。この結果として、ワイヤの遠位端が保護膜材料を介して露出した、保護膜付き接触構造となる。次に、図48Dに示すように、ワイヤステムは、接触構造を溶剤(例えば、金ワイヤステムの場合、シアン化カリウム、アルミニウム・ワイヤステムの場合、水酸化カリウム)中に浸漬する等により、少なくとも部分的に除去される。この結果として、中空の上部構造(保護膜)4820となる。工程はこの時点で終了でき、結果としての接触構造は、別の電子コンポーネント(不図示)に相互接続するのに適したものとなる。別の電子コンポーネントに、接触構造の遠位端を半田付けする場合、毛細管作用により、除去されたワイヤステムが残した空隙部内へと引き込まれて、相互接続の導電性、及び構造的完全性が強化される。
任意として、追加の保護膜層4824が、例えば硬質金の薄い層をメッキする等により施され、この層4824は、図48Eに示すように、保護膜4820内の中空の開口を充填しようとする。やはり、この例のワイヤステムは、例示の明瞭化のために、直線として示している。
共晶接触先端 一般に、上記の実施例を通じて、他の電子コンポーネントとの接触を確立するのは保護膜材料であり、ワイヤステムは、保護膜材料内に「埋設」される。ワイヤステムが、保護膜材料よりも良好な接触特性(例えば、導電性、腐食耐性、等)を有する場合、保護膜の内側にワイヤステムを「埋設」することは、やや真理に反することとであると思われる。
本発明によれば、ワイヤステムは、接触構造の遠位端において露出することが許可される。
図49Aは、以下のようにして製造された、接触構造4900を示す。ワイヤステム4902が、その近位端により、基板4908上の端子4912に実装され、金ワイヤ等の材料から形成される。スズ等の材料の薄い層4920が、金ワイヤステムにわたって施される。ホトレジスト等の少量のマスキング材料4922が、スズの保護膜付きワイヤステムの遠位端に施される。(任意として、マスキング材料は、スズの保護膜4920を施す前に、ワイヤステム4902にわたって施される。)ニッケル等のばね材料の層4924が、スズの保護膜付きワイヤステムにわたって施される。次に、マスキング材料4922が除去される。この結果として、図48Cに示す接触構造と類似した接触構造となる。
次に、接触構造全体は、金(4902)とスズ(4920)に、金−スズ共晶体を形成させるのに十分な熱を被る。共晶体を形成することが可能な、金及びスズ以外の材料、例えば鉛及びスズを使用可能なことは、本発明の範囲内である。
次に、接触構造は冷却可能となる。共晶材料の性質は、それが溶融すると膨張することである。例えば、金−スズ共晶体は、最大で4%(体積比)にまで膨張する。ばね材料(例えば、ニッケル)4924は、加熱及び冷却サイクルによって影響されない。従って、冷却されると、スズの保護膜付きワイヤステムは、膨張して、接触構造の遠位端から部分的に外れることが強制され、結果として、図49Bに示すような構成となり、ここで、接触構造4900の最端部は、別の電子コンポーネント上の接触パッドに実装するために、「ろう接が容易」な金−スズ共晶塊である。ろう接が容易な先端は、本質的に、開放終端の保護膜から「浸出」した、元のワイヤステム4902(及び、追加の層4920)の一部である。共晶ワイヤステムが冷却されると、後に空隙部が残ることになり、これは、図49Cに示す2つの空隙部4940で表される。
金の追加の外層が、接触構造の加熱/冷却の前か後に、接触構造に(例えば、ニッケル層にわたって)施されることは、本発明の範囲内である。
ワイヤステムが、その近位端において、接触領域にボンディングされ、その遠位端が露出される(別の電子コンポーネントに接続するために)限り、保護膜が、絶縁(誘電)材料から形成されることは、本発明の範囲内である。(例えば、図49B及び49Cを参照されたい。) 微細構造の接触先端 例えば、図10A−10I、及び図11A−11Fに関連して上記で説明したように、本発明の接触構造は、接触先端と共に製造可能であり、これらは、プローブとして、本発明の復元性のある接触構造を用いることに関連して特に有用である。
図50Aは、それらの近位端により、その外部表面に実装された、複数の復元性のある接触構造5030を有する、例としての半導体パッケージ5002を示す。この接触構造は、上記の技法のいずれかに従って形成される。例えば、接触構造は、金ワイヤステムとニッケル保護膜を有する。上記のように、接触構造の遠位端5030aは、共平面となるように容易に製作される。しかし、一般に滑らかとなる(例えば、単純なニッケル保護膜が、ワイヤステムに施される場合)。この図に示すように、ワイヤステム5030の遠位端5030aは、表面接地、EDM焼き付け、その他のいずれかであって、接触構造の遠位端が、平坦であり、また任意として、微細構造の(粗い、鋸歯状)表面仕上げを有することが保証される。
図50Bは、代替実施例を示し、ここで、半導体パッケージ5052が、それらの近位端により、その外部表面に実装された、複数の復元性のある接触構造5080を有する。この例の場合、予備製造された接触先端5090が、接触構造の遠位端に適用される。接触先端5090は、任意の所望の微細構造を有することができ、半田付け、ろう接、その他により、接触構造の端部に取り付けられる。
一般に、微細構造の接触先端を製作するために、各種の方法が存在し、それらには、(a)上記のように(例えば、図5C及び5Dを参照)、メッキ工程を制御する等により、先端を固有な微細構造にすること、(b)以前に製造された先端構造(例えば、図10Dの接触先端1026を参照)上に、接触構造を「構築」すること、又は(c)接触先端を別個に構築して、それらを接触構造にろう接(又は、その他)すること、が含まれる。
部分コーティング 一般に、上記の実施例を通じて、保護膜(上部構造)は、円筒形輪郭(下にあるワイヤステムを包囲する、円形断面)を既に有している。これは、図48A−48Eに関連して説明したように、ワイヤステムが除去される例であったとしてもそうである。
本発明によれば、ほぼ半円形輪郭(断面)を有する上部構造が生成可能であり、また任意として、下にある足場が除去可能である。
図51Aは、その近位端により、基板5108上の端子5112に実装された、ワイヤステム5102を示す。ホトレジスト等のマスキング材料5110の層が、ワイヤステム5102の全長にわたって施される。ホトレジストで覆われたワイヤステムは、次に、「L」で表記した矢印で示すような光(例えば、化学光線)により、側から(例えば、上からではなく)照射され、光に露出したホトレジストの一部が「現像」される。ホトレジストの残りの部分は、ワイヤステムの「影」にあり、現像されない。
次のステップで、図51Bに示すように、部分保護膜付きワイヤステムが、ニッケル等のばね材料5120の層で上メッキされる。この結果として、ワイヤステムのまわりで部分的にのみ延伸する保護膜となる(残りは、残留ホトレジストにより、保護膜生成が防止される)。ホトレジストは、次に(任意として)除去されて、工程が終了する。
代替として、図51Cに示すように、残留ホトレジストは除去されて、ワイヤステムは、それが端子5112上に塊を形成するように溶融される(接触構造に熱を加えることにより)。
金ワイヤ(5102)が、図49Aに関連して上記で説明したように、スズの薄い層で最初に被覆されるため、結果としての塊5014が共晶体となることは、本発明の範囲内である。
ワイヤステムの中央部への接触 上記図8Cの実施例に(例えば)関連して説明したように、幾つかの例において、本発明の接触構造は、接触構造の自由端ではなく、接触構造の中央部により、別の電子コンポーネントに接触する。
電気的接触が、保護膜材料により(例えば、図18Bを参照)、又はワイヤステム材料により(例えば、図49Bを参照)、別の電子コンポーネントに対してなされる例を既に説明した。
本発明によれば、第1の電子コンポーネントに実装される接触構造間の電気的接触を、保護膜材料によってではなく、既に保護膜が施されたワイヤステムの中央部により、なすことが可能である。
図52Aは、基板5208(208に匹敵)にボンディングされた一端5202aと、基板5208にボンディングされた他端5202bとを有する、ワイヤステム5202を示す。端部5202a及び5202bは共に、基板(電子コンポーネント)5208上の同一の接触領域5210(110に匹敵)にボンディングされる。
ワイヤステムの両端のボンディング(一端のみがボンディングされ、他端は自由であるのとは対照的に)が完了すると、ワイヤステムは、図2Fのループ実施例、又は図2Gのループ実施例と類似であることが分かる。
図52Bは、次のステップを示し、ここで、ワイヤステムの中間部が、ホトレジスト等でマスキングされるが、これは、図40Cの実施例において、ワイヤステム4802の先端がマスキングされたのと同様にしてなされ、すなわちその目的は、ワイヤステムのマスキングされた部分に、後続の保護膜(例えば、メッキ)が施されるのを防止するためである。
図52Cは、次のステップを示し、ここで、マスクされたワイヤステムに、ニッケル等の材料5220(4820に匹敵)で保護膜が施される。
図52Dは、次のステップを示し、ここでマスク5212が除去される。これにより、ワイヤステムの中央部5202cが、別の電子コンポーネントに接触するために、露出して残される。これに関連して、金は、その優れた導電特性に起因して、ワイヤステムに対する良好な選定であり、保護膜材料5220が導電性であることは重要ではない(それが、結果としての接触構造のばね品質を確立することだけが重要である)。
多数の自立型ワイヤステム、単一の切断ステップ 上記で提示した実施例の多くにおいて、ワイヤ(例えば、金ワイヤ)を、電子コンポーネント上の接触領域にボンディングし、成形し(直線を含む)、自立型となるように切断することが可能であることを説明した。このようにして、結果としてのワイヤステムの一方の端部が、電子コンポーネントに取り付けられ、ワイヤステムの他方の(自由な)端部が、別の電子コンポーネントに接触するのに利用可能となる。一般に、これに必要なのは、各ワイヤステムに対して、ボンディング及び切断のステップを繰り返すことにより、各自立型ワイヤステムを個々に形成することである。
本発明によれば、複数の(多数の)自立型ワイヤステムが、複数のボンディングステップと、単一の切断ステップで形成される。
この実施例は、前に説明した図52A−52Dを参照することで理解され得る。しかし、この場合、ワイヤステム5202の端部5202a及び5202bは、基板5208上の同じ接触領域(5210)に、又は2つの特異な接触領域(110、110、不図示)にボンディングされる。
この実施例の場合、金ワイヤステム(5202)には、最初に、スズの薄い層で保護膜が施され、これが最終的に、図49A及び49Bに関連して上記で説明したようにして、金−スズ共晶体を形成することが一般に好ましい。
この実施例の場合、マスク(5212)を除去した後、接触構造が、十分な温度にまで加熱され、それにより、共晶ワイヤステムがリフローされて、接触構造の2つの「脚部」の間の「橋」(中間部)が「倒壊」せしめられ、その結果として、図52Eに示すように、2つの自立型接触構造5230及び5232となり、その各々は共晶先端(図49Bに匹敵)を有し、その先端(遠位端)は、別の電子コンポーネントに接触するのに適している。
この原理を、図24Cに示すようなループのシーケンスに応用して、ワイヤステムの各々の自由端を切断する(例えば、上記のようなEFO)必要なく、多数の自立型接触構造を形成可能なことは、本発明の範囲内である。
1つ以上のループの橋を「倒壊」させて、2つ以上の(例えば、ループの数の2倍の)自立型接触構造(又は、保護膜生成前のワイヤステム)を形成するこの技法を、図2F、15C、16C、及び24Cに示すようなループ構造に適用可能なことは、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施例によれば、複数の単一ボンディングワイヤを、2つの電子コンポーネント間でループにし、次に切断して、2倍複数の自立型ワイヤステム(又は、保護膜付きワイヤステム)を形成可能である。例えば、図52Fに示すように、単一のワイヤステム5242が、第1の電子コンポーネント5244に実装された第1の端部5242aと、第2の電子コンポーネントに実装された第2の端部5242bとを有する。2つの電子コンポーネント5244及び5246は、半導体ウェーハ上で切り離されていない隣接した半導体ダイとすることができる点を示すために、図15に注目されたい。
上述のように、一般に好ましいのは、本発明によれば、切り離されていない半導体ダイに実装された接触構造が、ダイのエッジにわてって延伸しないことであり、すなわち2つの隣接したダイ間の領域は、切り目領域であり、そこで、鋸(又は、その他)が、ダイの切り離し(切断)作業を行うことになる。
図52Fに示すように、ワイヤステム5242の「橋」部分が、切り鋸5250により、ダイを切り離すのと同じ作業で単純に鋸引きされる。図14Fに匹敵する。
切断することなく、多数の自立型接触構造を製作するという概念は、一方の端子から他方の端子へと、又は一方のダイ上の端子から他方のダイ上の端子へと延伸する、単一のワイヤボンディング・ループ(図15に匹敵)も対処することができる。更に、図24Cに示すようなループのシーケンスも、このようにして扱うことができ、多数の自立型ワイヤステムが後に残され、その各々が、電子コンポーネント上の異なる端子に実装される。
また、例えば、図26Bに示すワイヤステムは、任意の適切な仕方で除去される、それらの最上部を有することができ、それによって、フレームが(例えば)溶解されるのではなく、ダイから分離されることになる。
一般に、ループを形成して(通常、端子から端子へと)、それらの中間部が、任意の適切な仕方で除去され、その結果として、ループ当たり2つの自立型ワイヤステムとなることは、本発明の範囲内である。例えば、ループを、ワックス等の材料中に封止して、互いから脚部を分離するように研磨することが可能である。これは、保護膜生成の前でも後でもなすことが可能である。保護膜生成の後になされる場合、ワイヤステムは露出することになり、図49A−49Cに関連して上記で説明した技法、及び利点が関係することになろう。
例えば、図53Aは、電子コンポーネント5314の表面上の端子5306、5308、5310、及び5312間に形成された、複数(図示では多くのうち2つ)のループ5302及び5304(図2Fのループ202に類似の)を示す。図53Bは、硬質ワックス等の犠牲材料5320内に封止された(例えば、ポット詰めされた)ループ5302及び5304を示す。このようにしてポット詰めされた後、研磨(磨き上げ)工具5322が、ポット詰めループに下方へと当てがわれて、ループが切断されるまで、ポット詰め材料5320を介して、及びループ5302及び5304の中間部を研磨する。(これは、図中の「P」で表記した破線により示される。)次に、ポット詰め材料が除去される(溶融等により)。この結果として、各ループは、2つの自立型ワイヤステム(不図示)となる。ワイヤステム(ループ)に、ポット詰めの前か、研磨した(及び、ポット詰め材料を除去した)後のいずれかで、保護膜が施されることは、本発明の範囲内である。ワイヤステムに、ポット詰めの前に保護膜が施される場合、ワイヤステムは、図49Cに関連して上記で説明したようにして、ろう接可能な先端を形成するために、露出されることになる。
ループ状ワイヤステム(例えば、5302)が、一方の電子コンポーネント上の端子から、他方の電子コンポーネント上の端子へと延伸する(2つの端子が、図示のように、同一の電子コンポーネント上にあるのではなく)ことは、本発明の範囲内である。
ループその他から多数のワイヤステムを製造することにより、ループ(及び、最終的には自立型接触構造)が実装される電子コンポーネント(例えば、半導体素子)は、電子的火炎射出技法(上記の)と関連した、損傷を与える可能性のある高電圧(例えば、放電時の数千ボルト)が加えられずに済む。
図53C及び53Dは、本発明に従って、電子的火炎射出なく、ループから自立型ワイヤステムを製作するための他の技法を示す。図示のように、電子コンポーネント5358上の端子5362から延伸するワイヤステム5352が、ループへと形成されて、その端子上に(又は、他の電子コンポーネント上の他の端子上に)戻ってボンディングされる。ループの「1つの分岐」(脚部)の実質的な部分が、ホトレジスト等のマスキング材料5354で覆われる。ループは次に、材料5358で保護膜が施され、ホトレジストが除去され、その時点で、ループの以前にマスキングされた分岐も除去でき、その結果として、図53Dに示すような、自立型で保護膜付きワイヤステムとなる。
平坦なタブ先端、及び相互接続をなす方法 上記のように、接触構造の遠位端(先端)には、幾何形状の接触パッド、その他を設けることができる。例えば、接触構造の先端に、平坦なタブ(圧力プレート)を設けることが可能なことは、本発明の範囲内である。このようにして、外部コンポーネントへの相互接続が容易になされ(半田付け、その他なく)、特に、脆弱な外部コンポーネントへの相互接続が、内部に配設された導電(例えば、金)粒子を有する既知の材料であり、また圧縮すると導電性となる、「z軸導通接着剤」と呼ばれるものの仲介によりなされる。
図54は、保護膜付きワイヤステム5402を示し、その遠位端(先端)には、図10D(要素1026を参照)に関連して上記で説明した技法と同様にして、平坦なタブ(パッド)が設けられる。電気的相互接続が、至る所に懸架された導電粒子5410を有するz軸導通接着剤5408の手段により、接触構造5402から外部の電子コンポーネント5406にもたらされる。接触構造5402への電子コンポーネント(この図では省略)が、外部コンポーネント5406に対して押圧される(矢印「C」を参照)と、接着剤5408は、圧縮されて導電性となる。
利点 上述のように、従来技術は、各種の相互接続形態で充実しているが、通常、各形態は、1つの環境にしか適用できない。
例えば、「慣用的な」ワイヤボンディングは、第1の電子コンポーネント(例えば、半導体ダイ)上の複数の箇所(例えば、接着パッド)と、第2の電子コンポーネント(半導体パッケージ要素)の対応する複数の箇所(例えば、端子)との間に、電気的な接続をなすのに効果的であり、一般に、ワイヤを第1の箇所にボンディングし、ワイヤを少し弛ませて第2の箇所に延ばし、その第2の箇所でワイヤをボンディングすることにより実施される。しかし、かかる形態は、半導体パッケージを印刷回路基板にボンディングするのに、特別価値のあるものではない。
例えば、半導体パッケージの外部表面に、パッケージと、そのパッケージが実装される印刷回路基板との間に電気的接続をなすために、ピン、リード、半田バンプ、その他のアレイを設けることが知られている。しかし、このようにして半導体ダイ等の電子コンポーネントをパッケージ実装するには、パッケージ実装を外部供給することが必要な場合が多く、それには、しばしば割高な多い半導体素子の輸送が伴う。更に、半導体素子を内部に実装すると、パッケージを回収することが困難であり、その結果、パッケージ済みの半導体素子が試験で落ちた場合、パッケージ済みの半導体素子全体が、捨てられることになる。
例えば、ソケットは、半導体パッケージと印刷回路基板の間に一時的な(取り外し可能な)接続をなす手段を与える。しかし、ソケットは一般に、裸の(パッケージ未実装の)半導体コンポーネントに接続することには全く適用できない。
例えば、制限された度合いの復元性を有する接触子が、電子コンポーネント間で接続をなすために知られている。通常、これらの接触子は、キャリアによりそこに配設(支持)され、これは、上述の米国特許第4,705,205 号に例示されている。更に、かかる接触子が、「ばね」としての機能につながる形状(例えば、S字形状)を有するとしても、これらの接触子が製作される材料は、復元性のある接触構造としてのそれらの機能にはつながらない。更に、キャリアに支持される(そこから延伸するのではなく)かかるどんな接触子も、定義上、自立型ではない。
やや直感的でない利点が生じるのは、ダイ(そこに復元性のある接触構造が実装された)から延伸する接触構造の先端(遠位端)を、印刷回路基板に半田付け(又は、エポキシ付け)する等により、復元性のない仕方で、例えば半導体ダイに実装された、成形済みの復元性のある接触構造を用いることによる(例えば、上記図36Aを参照)。本発明のかかるフリップチップ型式の用途において、ある程度の復元性を維持することができる(所望であれば)。更に、高いアスペクト比(高さ:幅)を有する接触構造の「突出した」特性に起因して、清掃性(例えば、半田フラックスの)及び検査性が、伝統的な半田バンプ型式のフリップチップ表面実装工程と比較して、増大される。
本発明の他の直感的でない特徴は、超小型電子用途に接触構造を製造するために、メッキ等の工程を利用することにある。従来技術を検分すると、メッキを通常用いて、本質的な電子コンポーネント(例えば、リードフレームのリード)にわたって、構造的ではなく、保護的なコーティングが設けられることが容易に分かるであろう。更に、金(例えば、金ワイヤステム)にわたって、何れか(例えば、ニッケル)メッキすることは、一般に真理に反することである。というのは、金は、多数の用途で相互接続をなすための選定材料として非常に広く受け入れられるためである。
各種各様の復元性のある接触構造、それらを製造する方法、及びそれらに対する応用例を上記で説明した。
電気メッキ工程が、ワイヤステムに保護膜を施すのに一般に好ましく、硬度、可鍛性、及び引張り強度等の幾つかのパラメータを最適化することが所望される。これらのパラメータを最適化する工程は、経験的となる傾向があり、それによって幾つかの汎用的な目安となり、そのことは例えば、William Safrenekによる「Properties of Electrodeposited Metals and Alloys」という学術文献に記載されている。
図面及び以上の説明において、本発明を詳細に例示及び説明してきたが、本発明は、文言における限定としてではなく、例示として見なされるべきである。すなわち、ここで理解されたいのは、好適な実施例のみを図示及び説明したということ、及び本発明の趣旨内に入る全ての変形及び修正も、望ましく保護されるということである。
例えば、復元性のある接触構造が、電子コンポーネントに適用するために、個々のユニットとして形成可能である。これは、図12Aに関連して上記で説明した一括転移実施例と類似しており、そこでは、複数の復元性のある接触構造が、電子コンポーネントへの後続の転移のために、犠牲基板上に形成される。しかし、復元性のある接触構造が、製造され、次に犠牲基板から除去されて、電子コンポーネントに対して個々に後ほど適用する(例えば、自動化設備により)ために、格納されることは、本発明の範囲内である。かかる個々の復元性のある接触構造は、2つの犠牲部材を用いて、復元性のある接触構造が製造された後に、両方の犠牲部材を除去することによっても形成可能であろう。
上記の説明に基づいて、本発明が最も近く属する技術分野の通常の知識を有する者は、如何にして本発明を実施するかを理解されるであろう。それでもやはり、電気接触子技法の基本的理解を与える有用な「手引き」となる参照は、1973年、Kenneth E. Pitney 著の「NEY Contact Manual」に見出すことができ、その関連部分を、参照として本明細書に取り込む。例えば、そこに記載されているように、「理想的な」接触子材料は、以下のことを備える。すなわち、(1)収縮抵抗及びバルク抵抗が低くなるような、高い導電率(低い抵抗率)、(2)ジュール熱(I2R)が、接触界面から素早く伝導して逃げるような、高い熱伝導率、(3)aスポットが大きくなり、それにより低い収縮抵抗をもたらす軟性、(4)低い機械的磨耗のための高い硬度、(5)低い機械的磨耗を与えるために、接触子及び片持ち式梁として機能できる能力をもたらす高い強度、(6)延長した保存期間、電気雑音、及び卓越した信頼性のための貴金属性の高い接触子、(7)摩擦ポリマーが過剰でない、極端に薄い潤滑フィルムを形成する能力、(8)低コスト、である。本発明は、これらの基準の多数に合致するが、これらの特性の全てを同時に得ることは不可能である。「NEY Contact Manual」で更に注記されるように、片持ち式梁が、接触構造において重要な役割を果たす多くの場合がある。(単純な片持ち式梁は、その支持体の上に掛かり、またその上に掛かる領域に負荷される一様な断面(その長さを通じて)の梁である。)本発明によれば、上記のように保護膜が施され、実装される基板の表面に対してある角度で(直角でない)配設される、真っ直ぐな(直線)ワイヤステムが、本質的に片持ち梁として機能することになる。本発明の範囲内には、ボンディングワイヤが、電子コンポーネントにボンディングされて、主にその構造的特性のために選定された材料で、保護膜が施される(例えば、メッキされる)どんな場合も含まれる。上記の説明に基づいて、上記の選択した実施例の幾つかの特徴が、上記の他の実施例へと「移植」可能であることを意図する旨を明確に理解すべきであり、かかることは、本発明が最も近く属する技術分野の通常の知識を有する者であれば明白である。例えば、上記の実施例のいずれかにおいて、接触構造は、実質的に純粋な弾性的(例えば、復元的)とすることができ、又は可塑性と弾性の組合せ(例えば、従順性)を示すことが可能である。「復元性のある」という用語を用いるどんな例の場合にも、「従順な」という用語で置き換えでき、それゆえに、復元性の「特別な場合」である。更に、本明細書で用いるように、従順であるどんな接触構造も復元性がある。例えば、ワイヤステムに保護膜が施された後に、ワイヤステムが露出されるのを可能にするために、ワイヤステムの先端(遠位端)をマスキングする(例えば、図48A−E、又は図49A−Cを参照)のではなく、ワイヤステムに保護膜を施すことが可能であり(マスキングすることなく)、その結果、ワイヤステムの先端は、ワイヤステムを露出するように根出しされる(研磨又は磨き上げ工具で)。例えば、図49A−49Cに示すように、ワイヤステムをリフローして膨張させる場合、モールド等の外部工具を、接触構造の遠位端(4930)に当てがって、膨張した先端に所望の形状を付与することが可能である。これには、先端がたがね(くさび)形状を有するようにせしめるモールド工具が含まれる。例えば、接触構造の遠位端が、他の電子コンポーネントに「永久的に」取り付けられるいずれの場合でも、これは任意の適切な導電性の塊、例えば半田、又は導電性エポキシで対処することができる。代替として、接触構造の遠位部は、図28に(例えば)示すように、他の電子コンポーネントのメッキされたホール内で、それ自体を偏倚するように成形可能である。例えば、接触構造が、半導体素子に実装される大抵の場合、一般に好ましいのは、少なくとも近位部、及び基板(半導体素子)の表面上の近位部を囲む領域が、例えばポリマー等の硬化材料で封止されることである。多くの場合、半導体素子全体を、このようにして封止することができる。疑うべくもなく、上記の「主題」に関する多数の他の「変形例」も、本発明の最も近くに属する、当該技術で通常の知識を有する者が想到するであろうし、また本明細書に開示されるような変形例は、本発明の範囲内にあることを意図するものである。例えば、本明細書において記載又は示唆される実施例のいずれかにおいて、マスキング材料(例えば、ホトレジスト)が、基板に施されて、マスクを通過する光への露出、及びマスキング材料の部分の化学的除去(すなわち、慣用的なホトリソグラフ技法)等によってパターニングされる場合、代替技法を使用することもでき、それには、除去しようとするマスキング材料(例えば、ブランケット硬化ホトレジスト)の部分に、適切に平行化された光ビーム(例えば、エキシマ・レーザからの)を向け、それによって、マスキング材料のこれら部分を融除すること、又は適切に平行化された光ビームで、マスキング材料の部分を直接(マスクを使用せずに)硬化し、次いで、未硬化のマスキング材料を化学的に洗浄することが含まれる。例えば、主に上記では、ワイヤステム(コア、足場)が、ワイヤであるとして提示したが、コアが、導電性リボン又はタブ等の伸長平坦要素であり得ることは、本発明の範囲内である。かかるタブは、比較的軟質の金属からなる平坦なシートから容易に打ち抜かれ、次いで、上記のようにして、所望の復元性、及び/又は従順性を示すように保護膜を施すことができる。
明確に理解されたいのは、本発明の復元性のある接触構造が、犠牲基板上に製造され、次にそこから除去されて、後に続く、電子コンポーネントへの実装に適した、複数の離散的な個々の復元性のある接触構造を与えることが可能である、ということである。
更に、明確に理解されたいのは、上部構造である保護膜により保護膜生成されたコアである足場からなる、本明細書に開示した復元性のある接触構造が、「複合相互接続要素」と考えることができる、ということである。
主に上記において、接触力(F)が、復元性のある接触構造に長手方向で加えられると説明した。換言すると、接触力は一般に、復元性のある接触構造の実装されたベースの方向に、又は(別の見方で)復元性のある接触構造が実装される端子の方向に向けられることになる。例えば、図5Fを参照されたい。明確に理解されたいのは、接触力は、復元性のある接触構造をその力に反作用せしめる任意の方向(横方向を含む)に(から)、復元性のある接触構造に加えることができる、ということである。
上記で、如何にして、複数の復元性のある接触構造が、犠牲基板上に以前に製造された複数の接触先端に基づき製造できるかという例を説明した。例えば、図10A−10Iを参照されたい。明確に理解されたいのは、図9Cに示すような複数の予備製造された先端構造が、電子コンポーネントの端子上に予備製造された、復元性のある接触構造の先端にろう接可能である、ということである。