JP2019167116A - 自動運転制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行に必要な各種運転制御の一部又は全てを運転者の操作を要することなく自動で実行させることが可能な車両において、自動で実行中の制御の一部又は全てを適切なタイミングで強制停止させることができるようにする。【解決手段】車両に搭載される自動運転制御装置は、運転モード設定部と、自動制御部とを備える。運転モード設定部は、車両の運転モードを高度自動化モード及び基本モードの何れか一方に設定する。自動制御部は、運転モードが高度自動化モードに設定されている場合、自動で実行するように設定されている運転動作である自動運転動作を自動で実行し、所定の要解除事象が発生した場合は、実行中の自動運転動作の少なくとも1つを停止する。【選択図】図6

Description

関連出願の相互参照
本国際出願は、2014年11月19日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2014−234665号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2014−234665号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
本開示は、運転者による各種判断や操作などの、車両を走行させるために必要な運転者の各種運転動作のうち少なくとも一部を、運転者の操作等を要することなく自動で行わせることが可能な、自動運転制御装置に関する。
車両の自動運転を実現するための技術が各種提案され、一部実用化されている。下記の特許文献1には、予め設定された走行計画に従って自動運転走行可能な自動運転車両が開示されている。
特開2012−59274号公報
自動運転技術の最終目標の1つは、目的地を設定するだけで後は乗員が何ら走行に関与することなく目的地へ到達できるようにすることであると考えられる。しかし、それを実現できるほどの信頼性の高いレベルにまではまだ至っていないのが現状である。
また、自動運転技術が高度化すればするほど、自動運転を実現するための車載コンピュータの異常に対して適切な対応をとれるようにすることが望ましい。具体的には、自動運転技術を採用する場合は、必要に応じて、自動で実行中の制御の少なくとも一部を無効としてドライバーの操作に委ねたり、車両の挙動を安全な方向へ強制的に制御したりすることができるようにすることが望ましい。
本開示の一側面においては、走行に必要な各種運転制御の少なくとも一部を運転者の操作を要することなく自動で実行させることが可能な車両において、自動で実行中の制御の少なくとも一部を適切なタイミングで強制停止させることができるようにすることが望ましい。
本開示の1つの局面における自動運転制御装置は、車両に搭載され、周囲情報取得部と、運転モード設定部と、自動制御部と、要解除事象判断部と、を備える。
周囲情報取得部は、車両の周囲の情報である周囲情報を取得する。周囲情報とは、より具体的には、車両の周囲の状態を示す情報であって、且つ、車両の走行に必要な複数種類の運転動作を運転者の操作を要することなく自動で実行させるために必要な情報である。
運転モード設定部は、車両の運転モードを、高度自動化モード及び基本モードの何れかに設定する。高度自動化モードとは、車両の走行に必要な上記複数種類の運転動作の少なくとも一部を周囲情報に基づいて自動で実行する運転モードである。基本モードとは、自動で実行する運転動作である自動運転動作の種類が高度自動化モードよりも少ないか若し
くはゼロである運転モードである。
自動制御部は、運転モード設定部により設定された運転モードに基づき、その運転モードにおいて設定されている自動運転動作を実行する。要解除事象判断部は、少なくとも運転モードが高度自動化モードである場合に、所定の要解除事象が発生したか否かを判断する。要解除事象とは、実行するように設定されている自動運転動作の少なくとも1つを解除(実行停止)すべき所定の事象である。
自動制御部は、運転モードが少なくとも高度自動化モードに設定されている場合に、要解除事象判断部により要解除事象が発生したと判断された場合は、実行するように設定されている自動運転動作の少なくとも1つについてその実行を停止する。
このように構成された自動運転制御装置によれば、運転モードが少なくとも高度自動化モードに設定されている場合(即ち少なくとも1つの自動運転動作が実行されるように設定されている場合)に、要解除事象が発生した場合は、本来実行すべき自動運転動作の少なくとも1つが実行対象から解除され、自動制御部によって実行されなくなる。
そのため、自動運転動作が正常に行われなくなる可能性があるような要解除事象が発生しても、車両の走行が意図せず不安定になるのを抑制することができる。
自動制御部は、運転モードが、実行すべき自動運転動作を少なくとも1つ有する運転モードに設定されている場合に、要解除事象判断部により要解除事象が発生したと判断された場合は、その運転モードにおいて実行すべき自動運転動作を全て停止するようにしてもよい。つまり、要解除事象が発生した場合は、自動制御部による自動運転動作を行わせないようにする。このようにすることで、自動運転動作が正常に行われなくなる可能性があるような要解除事象が発生しても、車両の走行が意図せず不安定になるのをより確実に抑制することができる。
ここで、報知部と解除許可判断部とを備えていてもよい。報知部は、要解除事象判断部により要解除事象が発生したと判断された場合に、車両の乗員に対して要解除事象が発生したことを示す報知を行う。解除許可判断部は、報知部による報知後、車両の乗員によって特定の解除許可動作が行われたか否かを判断する。自動制御部は、解除許可判断部により解除許可動作が行われたことが判断された場合に、実行を停止すべき自動運転動作についてその実行を停止するようにしてもよい。そして、自動制御部は、解除許可判断部により解除許可動作が行われたことが判断されなかった場合は、自動制御部は、車両の走行を停止させるための所定の自動停止処理を実行するようにしてもよい。
このように構成された自動運転制御装置では、要解除事象が発生した場合に、無条件に自動運転動作の実行を停止させるのではなく、予め報知を行う。そして、その報知に対して車両の乗員による意思表示が行われた場合に、自動運転動作の実行を停止させる。このようにすることで、自動運転動作の実行を停止させることによって車両の走行状態が不安定になることを抑制することができる。
図1Aは実施形態の車両の側面図、図1Bは実施形態の車両の上面図である。 第1実施形態の車両の電気的構成を示すブロック図である。 図3Aは各運転モードの自動運転レベルを示す説明図、図3Bは各自動運転レベルでの制御内容を任意に設定してもよいことを示す説明図である。 自動運転の概要を説明するための説明図である。 自動運転レベル設定処理のフローチャートである。 図5の自動運転レベル設定処理における自動運転解除確認処理の詳細を示すフローチャートである。 図6の自動運転解除確認処理におけるシステム監視処理の詳細を示すフローチャートである。 図6の自動運転解除確認処理における内外挙動監視処理の詳細を示すフローチャートである。 図6の自動運転解除確認処理における環境監視処理の詳細を示すフローチャートである。 図10Aは走行履歴記録処理のフローチャート、図10Bは、図6の自動運転解除確認処理における自己診断処理の詳細を示すフローチャートである。 第2実施形態の車両の電気的構成を示すブロック図である。 第2実施形態の制御状態監視処理のフローチャートである。
以下、本開示の例示的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
(1)車両1の構成
図1Aに本実施形態の車両1の側面図、図1Bにその車両1の上面図を示す。ただし、図1A及び図1Bは、主に車両1における各種カメラ、レーダ、センサ等の配置状態を明示することを目的として、それらの配置状態を簡潔に図示している。
図1A、図1Bに示すように、車両1は、当該車両1の内外を撮影するためのカメラとして、少なくとも、前方カメラ2、後方カメラ3、左側方カメラ4、右側方カメラ5、及び室内カメラ6を備えている。各カメラ2〜6は、いずれもカラーの画像、動画を撮影可能なカメラである。各カメラ2〜6は、単眼のカメラであってもよいし、複数のレンズを備えることにより奥行き方向の情報も取得可能なステレオカメラであってもよい。
前方カメラ2は、車室内の天井の前端側において前方を向くように設けられている。この前方カメラ2により、車両1の前方を広い範囲で撮影可能である。後方カメラ3は、車室内の天井の後端側において後方を向くように設けられている。この後方カメラ3により、車両1の後方を広い範囲で撮影可能である。
左側方カメラ4は、車両1の左側面において左側を向くように設けられている。この左側方カメラ4により、車両1の左側を広い範囲で撮影可能である。右側方カメラ5は、車両1の右側面において右側を向くように設けられている。この右側方カメラ5により、車両1の右側を広い範囲で撮影可能である。
室内カメラ6は、車室内の天井の前端側において後方(車室内)を向くように設けられている。この室内カメラ6により、車室内のうち少なくともドライバー(運転者)の上半身を撮影可能である。
また、車両1は、図1A、図1Bに示すように、前方レーダ装置11、後方レーダ装置12、左側方レーダ装置13、及び右側方レーダ装置14を備えている。各レーダ装置11〜14は、本実施形態では、ミリ波レーダである。ミリ波レーダとは、周知の通り、ミリ波の電波を送信してその反射波を複数の受信アンテナで受信することにより、送信波と各受信波との関係及び各受信波相互の関係に基づいて、車両1周囲の物標に関する物標情報を検出可能なレーダである。各レーダ装置11〜14で検出可能な物標情報としては、検出方向における物標の有無、物標までの距離、車両1を基準とした物標の方向、物標の移動速度(車両1に対する相対速度)などがある。
具体的に、前方レーダ装置11は、車両1の前端部に設けられ、車両1の前方に対する所定周波数のミリ波の送受信を行う。この前方レーダ装置11により、車両1の前方の物標に関する物標情報を取得できる。後方レーダ装置12は、車両1の後端部に設けられ、車両1の後方に対する所定周波数のミリ波の送受信を行う。この後方レーダ装置12により、車両1の後方の物標に関する物標情報を取得できる。左側方レーダ装置13は、車両1の左側面に設けられ、車両1の左側方に対する所定周波数のミリ波の送受信を行う。この左側方レーダ装置13により、車両1の左側方の物標に関する物標情報を取得できる。右側方レーダ装置14は、車両1の右側面に設けられ、車両1の右側方に対する所定周波数のミリ波の送受信を行う。この右側方レーダ装置14により、車両1の右側方の物標に関する物標情報を取得できる。
また、車両1は、図1A、図1Bに示すように、日射センサ16と、降雨センサ17とを備えている。日射センサ16は、車室内前方におけるフロントウィンドウ9の下部に設置されている。この日射センサ16は、車両1に対する日射量、ひいては車両1周囲の明るさを検出可能である。降雨センサ17は、フロントウィンドウ9における車室内側の上部に設置されている。この降雨センサ17は、降雨の有無や降雨量を検出可能である。
(2)車両1の電気的構成
車両1の電気的構成について、図2を用いて具体的に説明する。図2に示すように、車両1は、自動運転制御装置30を備えている。自動運転制御装置30は、主として、モード切替機能と、自動運転機能とを有する。モード切替機能は、車両1の運転モードを高度自動化モード及び基本モードの何れかに設定する機能である。自動運転機能は、設定されている運転モードの自動運転レベル(図3A参照。詳細は後述。)に応じた自動運転を実行する機能である。自動運転制御装置30は、後述するように、車両1の運転モードを、車両1の走行状態、車両1の周囲状況、車両1のドライバーの状態などの種々の要因に応じて適宜切り替える。
車両の自動運転の種類には、一部自動運転や、完全自動運転などがある。一部自動運転とは、車両を走行させるために必要な運転者の各種運転動作のうち一部が自動化された形態の自動運転である。なお、ここでいう自動化とは、運転者の操作等を要することなく実行可能であることを意味する。完全自動運転とは、設定された目的地まで運転者の操作等を要することなく目的地までの走行が全て自動化された形態の自動運転である。自動運転において自動化される運転動作の種類や数の度合いを示すパラメータを、以下、自動運転レベルと言う。完全自動運転は、一部自動運転よりも自動運転レベルは高い。また、一部自動運転にも、自動化される運転動作の種類や数に応じて様々なレベルがある。
本実施形態の車両1は、自動運転制御装置30により、一部自動運転が可能であることはもちろん、完全自動運転も可能に構成されている。本実施形態では、自動運転レベル、即ち、走行に必要な各種運転動作のうちどの動作を自動化させてどの動作を運転者が行うかについて、ドライバーが任意に設定変更できるように構成されている。
より具体的に、本実施形態では、完全自動運転を実現するための主な自動制御機能として、自動発進/停止制御、車線維持制御、車間距離制御、車線変更制御、右左折制御、衝突抑止制御、及び駐車制御の7種類がある。自動運転制御装置30は、これら7種類の自動制御機能を実行可能であり、これら7種類の自動制御機能を全て実行することで完全自動運転を実現できる。
逆に、上記7種類の自動制御機能のうち任意の6種類以下を実行することで、一部自動運転が実現される。本実施形態では、高度自動化モードにおいて上記7種類の自動制御機能のどれを実行させるかを任意に設定することができる。
7種類の自動制御機能の具体的な内容については、後で詳しく説明する。
自動運転レベルは、上記7種類の自動制御機能のうち実行させる機能が多いほど高いレベルとなる。具体的には、上記7種類の自動制御機能のいずれも実行されない場合の自動運転レベルはレベル0である。上記7種類の自動制御機能のうちn種類が実行される場合の自動運転レベルはレベルnである。したがって、レベル0の運転モードでは、7種類の自動制御機能に対応した制御動作をドライバー自らが判断し操作して行うことが必要となる。一方、レベル1〜レベル6の運転モードは、一部自動運転が行われる運転モードである。レベル7の運転モードは、完全自動運転が行われる運転モードである。
本実施形態において、高度自動化モードとは、レベル1以上の自動運転レベルでの自動運転が行われる運転モードである。一方、基本モードとは、高度自動化モードに対して相対的に自動運転レベルが低い運転モードである。例えば、高度自動化モードがレベルnの場合、基本モードは、レベルn−1〜レベル0の何れかに設定可能である。
本実施形態では、説明の簡素化及びわかりやすさのため、基本モードは、自動運転レベルがレベル0に設定されているものとして説明する。レベル0は、上記7種類の自動制御機能が全て実行されず、走行に必要な各種運転動作のほとんどをドライバーが行う必要があるレベルである。
自動運転制御装置30は、制御部30a及びメモリ30bを有する。メモリ30bは、詳しくは、ROM、RAM、その他の各種記憶媒体(例えばEEPROM、フラッシュメモリ)を含む。制御部30aは、メモリ30bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、上述したモード切替機能及び自動運転機能を含む各種機能を実現する。制御部30aには、少なくともCPUが含まれる。
メモリ30bに記憶されている各種プログラムには、外部からの不正操作、コンピュータウィルス、不正なソフトウェアやデータなど(以下まとめて「不正要因」と略す)を検出することが可能なプログラム(いわゆるセキュリティソフト)が含まれている。制御部30aは、起動中、このセキュリティソフトを常駐させることにより、不正要因の有無を随時監視する。そして、不正要因が発生した場合には、各種の不正対応処理を実行する。不正対応処理には、自動運転レベルを強制的にレベル0に設定して自動制御機能を一切作動させないようにする処理も含まれる。その他、不正対応処理の具体的内容は種々考えられ、例えば、ドライバーに対して音声等による警告を出力するようにしてもよいし、車両1を強制的に減速或いは停止させるようにしてもよい。また、制御部30aと各通信部31〜35との接続を物理的に遮断して、外部から自動運転制御装置30への無線通信を介したアクセスができなくなるようにしてもよい。
自動運転制御装置30には、図1A、図1Bに示した各カメラ2〜6、各レーダ装置11〜14、及び各センサ21〜23が接続されている。自動運転制御装置30の制御部30aは、各カメラ2〜6の動作を個別に制御すると共に、各カメラ2〜6から撮影結果(画像データ)を取得してメモリ30bに記憶する。画像データの取得及び記憶は所定時間毎に繰り返し行う。
制御部30aは、各カメラ2〜6の画像データに基づいて、車両内外の各種状況を認識することができる。例えば、室内カメラ6の画像データからは、乗員(主にドライバー)の動作や表情、視線、目の状態などを認識することができる。
これにより、制御部30aは、室内カメラ6の画像データに基づいて、ドライバーが異常な挙動を示しているか否かを判断できる。ここでいうドライバーの異常な挙動とは、ド
ライバー自身が車両1を正常に操作できない可能性がある状態、及び、自動運転機能が正常に作動していないことにより車両1の動作に不安を感じている状態、の何れかの状態になっていることを意味する。前者の具体例としては、脇見をしすぎていたり、居眠りしていたり、失神していたりしていることが挙げられる。後者の具体例としては、ドライバーが驚き、心配、恐怖の表情をしていることが挙げられる。
また、制御部30aは、前方カメラ2の画像データに基づいて、前方車両、対向車両、斜め前方を走行している隣接車線の車両、車線区分線、横断歩道、歩行者、交差点、交差点における交差路への他車両の進入、進行方向の道路標識や信号機、看板などの内容、降雨の状況、降雪の状況、霧の発生状況、周囲の明るさ、その他の車両周囲の物体を、各種の画像認識処理によって認識することができる。なお、認識可能な道路標識には、道路の路面上に描かれている文字やマークなども含まれる。
これにより、制御部30aは、前方カメラ2の画像データに基づいて、歩行者の挙動、歩行者の挙動や視線、対向車両からのパッシングの有無、天候状態などを認識することができる。天候状態としては、より具体的には、雨や雪が所定量以上降っていること、濃霧が発生していること、などを認識可能である。歩行者の挙動からは、歩行者が車両1に対して不安を感じているか否かを認識できる。より具体的には、歩行者が車両1を見ていて、且つその表情が驚き、心配、恐怖などの特定の感情を表している場合に、車両1に対して不安を感じていると判断できる。また、所定数以上の歩行者の視線が車両1に向けられている場合に、車両1が正常に動作していない可能性があることを認識できる。
また、制御部30aは、前方カメラ2の画像データに基づいて、前方車両との距離や相対速度を認識したり、走行路に対する自車の走行状態を認識したり、道路標識や看板の内容を認識したりすることができる。そのため、道路標識や看板の内容の認識結果に基づいて、制限速度や一時停止の要否、駐停車の可否などの各種の標識情報を認識することができる。また例えば、事故多発地帯、スクールゾーン、その他の特定の環境(例えば動物の出没頻度が高い地域)であることを認識することもできる。
また、制御部30aは、後方カメラ3の画像データに基づいて、後方車両、斜め後方を走行している隣接車線の車両、周囲の明るさ、歩行者、道路の路面上に描かれている標識情報、その他の車両周囲の物体を、各種の画像認識処理によって認識することができる。
これにより、制御部30aは、後方カメラ3の画像データに基づいて、例えば、自車と後方車両との相対距離や相対速度、後方車両からのパッシングの有無を認識することができる。また、前方カメラ2の画像データと同様、後方カメラ3の画像データによっても、歩行者の挙動、歩行者の挙動や視線、天候状態などを認識することができる。
また、制御部30aは、左側方カメラ4及び右側方カメラ5の画像データに基づいて、自車の側方の車両(左前、左後ろ、右前、右後ろの車両も含む)、自車走行路側の道路標識、車線区分線、歩行者、周囲の明るさ、その他の車両周囲の物体を、各種の画像認識処理によって認識することができる。
これにより、制御部30aは、各側方カメラ4,5の画像データに基づいて、例えば、自車と側方車両との相対距離や相対速度を認識可能である。また、前方カメラ2の画像データと同様、各側方カメラ4,5の画像データによっても、歩行者の挙動、歩行者の挙動や視線、天候状態などを認識することができる。
また、自動運転制御装置30の制御部30aは、各レーダ装置11〜14を個別に制御すると共に、各レーダ装置11〜14から物標の検出結果を取得し、メモリ30bに記憶
する。各レーダ装置11〜14からの検出結果の取得及び記憶は所定時間ごとに繰り返し行う。制御部30aは、各レーダ装置11〜14の検出結果に基づいて、物標の有無、物標までの距離、物標の方向、車両1からみた物標の相対速度などを演算して取得することができる。
なお、前方レーダ装置11の検出結果からは、主に、車両前方(左右斜め前方も含む)の物標の情報を取得できる。後方レーダ装置12の検出結果からは、主に、車両後方(左右斜め後方も含む)の物標の情報を取得できる。左側方レーダ装置13の検出結果からは、主に、車両左側(左前及び左後ろも含む)の物標の情報を取得できる。右側方レーダ装置14の検出結果からは、主に、車両右側(右前及び右後ろも含む)の物標の情報を取得できる。
また、自動運転制御装置30の制御部30aは、日射センサ16からの検出信号に基づいて、走行環境の明るさを判断し、夜間またはそれに類する状況(以下単に「夜間」という)の明るさであるか判断することができる。なお、車両1は、不図示のヘッドライトを備えている。ヘッドライトの点灯及び消灯は、ドライバーの操作によって行うことができると共に、ライトモードがオートモードに設定することで、自動で点灯及び消灯を行わせることもできる。制御部30aは、ライトモードがオートモードに設定されている場合は、日射センサ16からの検出信号に基づき、夜間と判断した場合にはヘッドライトを自動的に点灯させ、夜間ではない場合にはヘッドライトを自動的に消灯させる。また、本実施形態では、運転モードが高度自動化モードに設定されている場合は、ライトモードが強制的にオードモードに設定されるよう構成されている。
また、自動運転制御装置30の制御部30aは、降雨センサ17からの検出信号に基づいて、降雨の有無や降雨量を判断することができる。
その他、車両1は、自動運転制御装置30に接続される構成要素として、図2に示すように、車輪速センサ18、電流センサ19、操舵量センサ20、車内接触センサ21、エンジンルーム温度センサ22、エンジンルーム音センサ23、タイヤ空気圧センサ24、サスペンションセンサ25、車外音センサ26、及び衝撃センサ27を備えている。
車輪速センサ18は、車両1の前後左右の4輪にそれぞれ設けられ、対応する車輪の回転速度を示す検出信号(車輪速信号)を出力する。各車輪速センサ18からの車輪速信号はそれぞれ自動運転制御装置30に入力される。
制御部30aは、各車輪速センサ18からの車輪速信号に基づいて、各車輪の回転速度を検出できる。そして、その検出結果から、例えば、スリップが発生しているか否かを検出することができる。
電流センサ19は、車両1に設けられている多数の電気配線のうち1つ又は複数に対してそれぞれ設けられ、その電気配線を流れる電流を示す検出信号(電流検出信号)を出力する。電流センサ19からの電流検出信号は自動運転制御装置30に入力される。
制御部30aは、電流センサ19からの電流検出信号に基づいて、対応する電気配線の電流を検出できる。そして、その検出結果から、例えば、特定の電気配線において過電流が流れているか否かを検出することができる。ここでいう過電流とは、車両1が正常に動作している状態では理論上は流れることがない大きな電流であり、例えば、落雷によって生じるおそれのある大電流やサージ電流などが考えられる。
なお、電流センサ19を、車両1の車体に設け、車体を流れる電流を検出できるようにしてもよい。そのようにすることで、車両1に落雷があった場合に、車両1を通じて地面
に流れる大電流を検出することができる。電流センサ19をどこにどのように設置するかについては、車両1に落雷があったことを検出できるように適宜決めてもよい。
操舵量センサ20は、操舵輪の操舵量を直接又は間接的に検出するために設けられている。操舵量センサ20は、例えば、ハンドル10(図1A、図1B参照)と操舵機構を繋ぐコラムシャフトに設けられていてもよい。ただし、本実施形態の車両1は、操舵輪の操舵をモータにより制御可能な電動パワーステアリング装置を備えており、操舵制御のためにそのモータの回転位置(ひいては操舵状態)を検出するための回転センサを備えている。そのため、操舵量センサ20を単独で設けず、その回転センサを操舵量センサ20として用いてもよい。つまり、操舵量センサ20の具体的構成や設置場所などは、操舵量を検出できるように適宜決めてもよい。
制御部30aは、操舵量センサ20からの検出信号に基づいて、操舵輪の操舵量を検出することができる。そして、その検出結果から、例えば、操舵量の変化状態や変化率などを検出することができる。これにより、操舵が自動で行われるような運転レベルに設定されている場合(即ち車線維持制御、車線変更制御、及び右左折制御の少なくとも1つが実行されるような運転レベルに設定されている場合)に、操舵の自動制御が適切に行われているか否かを判断できる。具体的に、例えば操舵量の変化率が所定値以上の場合(つまり変化率が過大の場合)には、操舵の自動制御が正常に行われていないと判断できる。或いは、車線に沿って走行していない(例えば車線区分線をはみ出している)場合や、右折又は左折すべきところを直進してしまう場合なども、操舵の自動制御が正常に行われていないと判断できる。
車内接触センサ21は、車両1の乗員が車内の特定の部位に触れたことを検出するためのセンサであり、その特定の部位(以下「車内特定接触部位」ともいう)に設けられている。車内特定接触部位は適宜決めることができ、例えば、ドライバーの座席シートにおける特定の部位、ハンドル10又はその近傍などが考えられる。
車内接触センサ21は、後述するように、車両1の自動運転レベルがレベル1以上に設定されているときにドライバーが迅速に(緊急的に)自動運転を解除させることができるようにするために設けられている。即ち、自動運転レベルがレベル1以上のときに、何らかの事情でドライバーが自動運転を解除させたくなった場合、ドライバーが車内特定接触部位に触れれば、自動運転が強制的に解除される。そのため、車内接触センサ21の具体的構成や設置場所は、ドライバーが車内特定接触部位に触れたことを検出できるように適宜決めてもよい。
なお、自動運転について「解除」とは、本実施形態では、自動運転レベルをレベル0にすることを意味する。ただしそれはあくまでも一例である。例えば、現在実行されている自動制御機能のうち少なくとも1つを停止させることを自動運転の「解除」と定義付けてもよい。例えば、ある自動制御機能が作動中、ドライバーがその自動制御機能が正常に作動していない可能性があることを感じて車内特定接触部位を触れた場合に、少なくともその自動制御機能を含む一又は複数の自動制御機能を強制停止させることを、自動運転の「解除」と定義付けてもよい。
エンジンルーム温度センサ22は、車両1のエンジンルーム内又はエンジンルーム近傍の所定の部位に設けられ、エンジンルームの温度に応じた検出信号を出力する。制御部30aは、エンジンルーム温度センサ22からの検出信号に基づいてエンジンルームの温度を検出できる。そして、その検出したエンジンルームの温度が過大な場合(たとえば所定の温度閾値以上の場合)、エンジン或いはその周囲に何らかの異常が生じていると判断することができる。
エンジンルーム音センサ23は、主にエンジンルーム内で発生する音を検出することを目的として、車両1のエンジンルーム内又はエンジンルーム近傍の所定の部位に設けられ、その設置部位周囲の音量に応じた検出信号を出力する。制御部30aは、エンジンルーム音センサ23からの検出信号に基づいてエンジンルーム内で発生している音を検出できる。そして、その検出したエンジンルーム内の音が過大な場合(たとえば所定の音量閾値以上の場合)、エンジン或いはその周囲に何らかの異常が生じていると判断することができる。
タイヤ空気圧センサ24は、車両1の前後左右の4輪にそれぞれ設けられ、対応する車輪のタイヤの空気圧を示す検出信号(空気圧信号)を出力する。各タイヤ空気圧センサ24からの空気圧信号はそれぞれ自動運転制御装置30に入力される。
制御部30aは、各タイヤ空気圧センサ24からの空気圧信号に基づいて、各車輪のタイヤの空気圧を検出できる。そして、その検出結果から、例えば、何れかのタイヤに異常(例えばパンク)が発生しているか否かを検出することができる。
サスペンションセンサ25は、車両1が有するサスペンションの伸縮量(例えばショックアブソーバー或いはスプリングの伸縮量)を示す検出信号を出力する。制御部30aは、サスペンションセンサ25からの検出信号に基づいて、車両1の挙動(主に上下方向の挙動)を検出することができる。車両1の自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合に、実行対象の自動制御機能が正常に作動していない場合、車両1の挙動が不安定になるおそれがある。例えば、急発進や急停止、急旋回などの不安定な挙動が自動的に発生するおそれがある。このような不安定な挙動は、サスペンションの挙動として現れる。そのため、制御部30aは、サスペンションセンサ25からの検出信号に基づいて(即ちサスペンションの伸縮量そのもの或いはその変化率に基づいて)、車両1の挙動の安定性を判断でき、ひいては、自動制御機能が作動中である場合にはその自動制御機能が正常に作動しているか否かを判断することができる。
車外音センサ26は、主に車両1の周囲で発生する音を検出することを目的として設けられている。制御部30aは、車外音センサ26からの検出信号に基づいて、車両1の周囲で発生している音の種類や音量を検出できる。例えば、他車がクラクションを鳴らしている場合にはそのことを検出できる。
衝撃センサ27は、車両1の外部から車両1に対して衝撃が加わった場合にその衝撃のレベルに応じた検出信号を出力する。制御部30aは、衝撃センサ27からの検出信号に基づいて、車両1に対する外部からの衝撃の有無やレベルを検出することができる。なお、衝撃センサ27による検出対象の衝撃は、他車両や路上構造物への衝突といった比較的大きいレベルの衝撃から、車両1の外部にいる人が車両1を叩くことにより発生する衝撃といった比較的低いレベルの衝撃までの、幅広い範囲のレベルの衝撃を含む。
また、車両1は、自動運転制御装置30に接続される構成要素として、図2に示すように、GPS通信部31、車車間通信部32、路車間通信部33、歩車間通信部34、及びLTE通信部35を備えている。
GPS通信部31は、複数のGPS(Global Positioning System )衛星からの電波を受信し、それら受信電波に含まれる情報(GPS情報)を自動運転制御装置30へ出力する。自動運転制御装置30の制御部30aは、GPS通信部31で受信された情報をもとに、車両1の現在位置を演算することができる。
また、自動運転制御装置30は、自動運転機能を実現するための各種要素機能のうちの1つである経路案内機能を備えている。経路案内機能は、GPS情報に基づいて演算される車両1の現在位置と、ドライバーが設定した目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの適切なルートを演算し、車両1がそのルートに沿って目的地まで走行するように車両1を案内制御する機能である。
経路案内機能には、車両1の周囲の道路状況(例えば目的地までのルートの形状や車幅など)を認識する機能や、進行方向のインフラの有無や動作状態など(例えば進行方向の信号機の状態、交差点の有無、横断歩道の有無、制限速度や規制情報など)を認識する機能も含まれる。制御部30aは、これら各種の認識結果も用いて、上記案内制御を実現する。
経路案内機能における車両1の案内制御の内容は、自動運転レベルによって異なる。例えば、自動運転レベルが完全自動運転のレベル7に設定されている場合の案内制御は、完全自動運転を実現するための複数種類(本実施形態では既述の通り7種類)の自動制御機能に対する、その自動制御機能の実行に必要な経路情報(車両がどの方向、どのルートへ走行すればよいかに関する情報)の提供である。また例えば、自動運転レベルが完全自動運転よりもレベルの低い所定レベル1〜6(一部自動運転)に設定されている場合の案内制御は、複数種類の自動制御機能のうち一部自動運転に必要な自動制御機能に対する経路情報の提供と、必要に応じて運転者に対して走行ルートの案内(例えば音声案内)を行うことである。
自動運転レベルがレベル1〜6の何れかに設定されている場合、即ち7種類の自動制御機能のうち一種類以上が実行されるよう設定されている場合は、制御部30aは、案内制御として、少なくとも、その設定されている自動制御機能に必要な情報の提供を行う。
経路案内機能に必要な地図データやその他の各種データは、メモリ30bに記憶されている。制御部30aは、それら各種データを参照しつつ、メモリ30bに記憶されている経路案内機能用のプログラムを実行することで、経路案内機能(即ち上記案内制御)を実現する。
車車間通信部32は、自車両以外の他の車両と無線により各種データの送受を行うための通信モジュールである。自動運転制御装置30の制御部30aは、車車間通信部32を介して、周囲の他車両の情報(例えば走行方向、走行速度、位置など)を取得することができる。逆に、自車両1の情報を他車両に送信することもできる。
制御部30aは、車車間通信によって他車両の位置や走行状態を取得することで、自車両と他車量との相対関係を知ることもできる。例えば、自車両と他車両との相対距離や相対速度などを検出することもできる。
また、車車間通信により送受可能な情報として、運転モードに関する情報がある。制御部30aは、運転モードが高度自動化モード及び基本モードの何れに設定されているか、その設定されている運転モードにおける自動運転レベルはどのレベルか、という情報も送受可能である。
路車間通信部33は、路上(地上側)に設けられた路上通信機81(図4参照)から無線送信される各種情報を受信するための通信モジュールである。路車間通信部33により受信された各種情報は自動運転制御装置30に入力される。
路上通信機81は、不図示のサーバに接続され、そのサーバから各種情報を受信して周
囲の所定エリア内に無線送信する。サーバには、各種のインフラ情報(例えば信号機の情報、道路規制情報、その他の走行路に関する各種情報など)や、他の車両や歩行者等の存在情報などの、各種の道路交通情報が集約される。サーバは、集約した道路交通情報に基づいて、路上通信機81毎に、その路上通信機81に関連する個別道路情報を送信する。個別道路情報は、当該路上通信機81の通信エリア内を走行中の車両を対象とした情報であって、その通信エリア内における各種の道路交通情報や、そのエリア内よりも先(走行方向側)の各種同頃交通情報などである。各路上通信機81は、サーバから送信されてきた個別道路情報を所定の通信エリア内に無線送信する。
自動運転制御装置30の制御部30aは、路車間通信部33を介して、自車周囲及び進行方向の走行路に関する各種の道路交通情報を取得することができる。制御部30aが路車間通信部33を介して取得可能な情報には、事故多発地帯、スクールゾーン、動物が出没する地帯、などといった、運転に注意が必要な走行区間(以下「要注意区間」ともいう)に関する区間情報が含まれる。制御部30aは、取得した区間情報と経路案内機能との連係により、車両1が、区間情報が示す要注意区間を走行中か否か、また、あとどのくらい走行すると要注意区間に入るか、などといった、要注意区間と車両1との相対関係を認識することができる。区間情報として、要注意区間以外の他の区間或いは地点に関する情報を取得できるようにしてもよい。
なお、図4に例示している各路上通信機81には、カメラ82が搭載されている。各カメラ82は、それぞれ道路側を撮影してその撮影データをネットワーク経由でサーバへ送信する。
サーバは、各カメラ82から送信された撮影データから、そのカメラ周囲の道路交通情報を取得することができる。具体的には、サーバは、撮影データから、道路の形状や車線、信号機の状態を認識することができる。また、サーバは、走行中の車両の走行状態やナンバーを認識することもできる。また、サーバは、撮影データに基づいて、撮影データ中の車両が正常に走行しているかどうかを判断することもできる。例えば、信号機が赤になっているにもかかわらず停車せずに通過した場合、その車両は正常に走行していないと判断できる。
また、車両1からは、路車間通信部33を介して、車両1の状態に関する各種の情報を送信することもできる。車両1から送信された送信情報は路上通信機81で受信され、サーバに集約される。サーバは、車両1を含む複数の車両の状態を個別に認識、管理することができ、必要に応じて、特定の車両に対してその車両以外の他車両の状態を通知することもできる。そのため、例えば、自車周囲の他車両では自動運転レベルがどのレベルに設定されているのか、つまり周囲の他車両では自動制御機能がどの程度作動しているのか、といった情報を知ることもできる。
歩車間通信部34は、地上側の歩行者が所持している通信端末(例えば携帯電話やスマートフォン)と無線通信を行うための通信モジュールである。歩行者が所持している通信端末が、その通信端末の位置(即ち歩行者の位置)を示す端末位置情報を無線送信可能に構成されている場合に、その通信端末から送信される端末位置情報を歩者間通信部34が受信可能である。歩者間通信部34により受信された端末位置情報は自動運転制御装置30に入力される。なお、自動運転制御装置30は、車両1の位置情報などの各種情報を歩者間通信部34から歩行者の通信端末へ無線送信することにより、車両1の位置情報などを歩行者に知らせることもできる。
自動運転制御装置30の制御部30aは、歩車間通信部34を介して受信された端末位置情報に基づいて、歩行者の位置や動きを知ることができる。歩行者の有無や動きは、既
述の各カメラやレーダ装置によっても検出できるが、それに加えて、歩車間通信部34を介して得られる情報からも、歩行者の有無や歩行者の飛び出しなどを検出することができる。
LTE通信部35は、周知の携帯電話の通信規格であるLTEによる無線通信を実現するための通信モジュールである。制御部30aは、LTE通信部35を介して(つまりLTE無線通信により)、車両1の自動運転に必要な各種情報を取得したり、既存情報の更新(例えば地図データの更新)をしたりすることができる。なお、このような各種情報の取得や更新をLTE無線通信によって行うことは必須ではなく、他の無線通信を用いて行うようにしてもよい。
また、車両1は、自動運転制御装置30に接続される構成要素として、図2に示すように、操作部36と、表示部37と、スピーカ38と、自動運転スイッチ41と、レベル設定操作部42と、緊急停止レバー43と、解除リセットスイッチ44とを備えている。
操作部36は、ドライバーを含む車両1の乗員による、車両1に対する各種の入力操作を受け付けるための入力インタフェースである。表示部37は、ドライバーを含む車両1の乗員に対して各種情報を視覚的に提供するための出力インタフェースである。経路案内機能における地図情報を含む各種情報も、表示部37に表示される。スピーカ38は、自動運転制御装置30から出力される各種音声信号に基づく音声を出力する。
自動運転スイッチ41は、車両1の運転モードを高度自動化モードにするためのスイッチである。車両1のドライバーは、運転モードを高度自動化モードに設定して自動運転を実行させるためには、自動運転スイッチ41をオン側に切り替える必要がある。一方、自動運転スイッチ41をオフ側に切り替えると、運転モードが基本モードに設定される。
緊急停止レバー43は、車両1の自動運転レベルがレベル1以上の時に自動運転を強制的に解除させる(つまり自動運転レベルを強制的にレベル0に切り替える)ための操作手段であり、車室内の所定の部位(例えば天上)に設けられている。車両1の自動運転レベルがレベル1以上に設定されている時に緊急停止レバー43が操作されると、自動運転が強制的に解除される。コンピュータウィルスや不正操作などの不正要因が発生したことをドライバーが認識したり、自動制御機能が正常に作動していないことをドライバーが認識した場合、ドライバーは、緊急停止レバー43を操作することで、自動運転を強制的に解除して、ドライバー自らの運転操作で車両1を走行させることができる。
レベル設定操作部42は、運転者による自動運転レベルの設定(詳細は後述)の操作を受け付けるためのユーザインタフェースである。
解除リセットスイッチ44は、自動運転が強制的に解除されて自動運転レベルが強制的にレベル0に設定された後、その解除状態をリセットするためのスイッチである。本実施形態では、後述するように、自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合に、自動運転を解除すべき所定の要解除事象が発生した場合には、自動運転が強制的に解除される。具体的には、後述する自動運転解除フラグがセットされる。
自動運転が強制的に解除されると、原則としてその解除された状態が維持される(自動運転解除フラグのセット状態が維持される)が、解除リセットスイッチ44を押下することで、解除状態をリセット(自動運転解除フラグをリセット)することができる。解除状態がリセットされると、運転モードは、自動運転スイッチの操作状態に応じたモードに設定され、自動運転レベルは、設定されている運転モードに応じたレベル(レベル設定操作部42によって設定されたレベル)に設定される。
また、車両1は、自動運転制御装置30に接続される構成要素として、図2に示すように、走行駆動制御部46と、ブレーキ制御部47と、ステアリング制御部48とを備える。
走行駆動制御部46は、アクセルペダル(不図示)の踏み込み量、シフトレバー(不図示)の操作位置、車速、エンジン回転数などの各種情報に基づいて、不図示のエンジンや変速装置を制御することにより、車両1の走行を制御する。
一方、自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合、即ち上記7種類の自動制御機能の何れかが実行される場合は、自動運転制御装置30は、その実行対象の自動制御機能を実現するために必要な制御情報を走行駆動制御部46に出力する。この場合、走行駆動制御部46は、アクセルペダルが踏まれていなくても、自動運転制御装置30からの制御情報に応じてエンジンや変速装置を自動制御する。なお、本実施形態の車両1は、走行用の駆動源としてエンジンを備えているが、本開示の自動運転制御装置は、エンジン以外の走行用駆動源(例えば電動モータ)を備えた車両に対しても適用できる。その場合、図2に示した走行駆動制御部46は、その車両の走行用駆動源を制御する機能を担う。また、エンジン以外の走行用駆動源を備えている場合は、上述したエンジンルーム温度センサ22及びエンジンルーム音センサ23は、それぞれ、その走行用駆動源又はその周囲の温度及び音の検出を目的として設置するようにしてもよい。
ブレーキ制御部47は、ブレーキペダル(不図示)の踏み込み量に基づいて不図示のブレーキ装置を制御する。一方、自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合、即ち上記7種類の自動制御機能の何れかが実行される場合は、自動運転制御装置30は、その実行対象の自動制御機能を実現するために必要な制御情報を走行駆動制御部46に出力する。この場合、ブレーキ制御部47は、ブレーキペダルが踏まれていなくても、自動運転制御装置30からの制御情報に応じてブレーキ装置を自動制御する。
ステアリング制御部48は、主に2つの機能を有する。1つは、いわゆる電動パワーステアリング機能である。即ち、ドライバーによるハンドル10の操作をモータによってアシストする。もう1つは、車両1の操舵輪(例えば前輪)の操舵をドライバーの操作を要することなく自動で行う自動操舵機能である。操舵輪の操舵は、基本的には、ドライバーがハンドル10を操作することによって行われるが、上記7種類の自動制御機能のうち少なくとも、自動発進/停止制御及び車間距離制御を除く何れかが実行される場合は、ステアリング制御部48は、ドライバーがハンドル10を操作していなくても、自動運転制御装置30からの制御情報に応じて上記モータを制御することにより操舵輪の操舵を自動制御する。
(3)自動運転機能の説明
本実施形態の車両1において、自動運転制御装置30は、上述した自動運転機能を実現するために必要な各種情報を取得、検出することができる。
自動運転機能の実現に利用可能な情報として、まず、自車の位置や速度などの情報(自車情報)がある。自車位置については、GPS情報に基づいて演算により取得できる。自車速度は、車速センサ(不図示)からの車速信号、操舵量センサ20からの検出信号、ヨーレートセンサ(不図示)からのヨーレート信号などに基づいて演算により取得できる。なお、自車速度は、自車位置の変化率から演算することもできる。
また、自動運転機能の実現に利用可能な情報としては、周囲の物体に関する情報もある。具体的には、前方車両、後方車両、側方車両、対向車、進入先の交差点を交差する車両、歩行者、自転車、路上の建造物や固定設置物、障害物などの、自車周囲に存在する各種
の物体(人や動物を含む)についての、自車に対する相対的な位置、距離、速度に関する情報である。
これら周囲物体に関する情報は、各カメラ2〜5の撮影データや各レーダ装置11〜14による検出結果などに基づいて取得することができる。撮影データやレーダ装置の検出結果に基づいて周囲の物体を認識する技術は種々提案され、実用化されているため、ここではその説明を省略する。
周囲物体に関する情報は、車車間通信、路車間通信及び歩車間通信によっても取得することができる。例えば、周囲車両と車車間通信を行うことにより、自車から見える周囲車両はもちろん、自車から死角になっていて直接見えない場所に存在する周囲車両の位置や動きについても認識することができる。路車間通信では、既述の通り、周囲車両や歩行者等の存在情報を取得することができる。歩車間通信では、既述の通り、歩車間通信部34を介して受信された端末位置情報に基づいて、歩行者の位置や動きを知ることができる。
車車間通信、路車間通信、歩車間通信の何れか1つ又は複数により、例えば、対向車との正面衝突抑止のために通常走行時(特にカーブ)や右折時に対向車情報を取得したり、左折時の二輪車巻き込みを抑制するために左側方や後方の二輪車情報を取得したり、車線変更時に側方(後側方)の車両の情報を取得したり、追突防止または追突抑制のために前方車両情報を取得したり、交差点での出会い頭衝突抑止のために交差路側を走行している他車両の情報を取得したり、歩行者等との衝突抑止のために歩行者等の情報を取得したりすることができる。
また、自動運転機能の実現に利用可能な情報としては、車線区分線(駐車区分線含む)、横断歩道、一時停止線などの、路上に直接描かれた各種の路上表示に関する情報もある。路上表示に関する情報としては、その路上表示の位置や内容などが挙げられる。これら路上表示に関する情報は、各カメラ2〜6の撮影データに基づいて取得することができる。撮影データから路上表示を認識する技術は種々提案され実用化されているため、ここではその説明を省略する。
進行方向にある路上表示に関する情報は、路車間通信によっても取得することができる。なお、本実施形態の車両1は備えていないが、レーザレーダを用いて各種の路上表示に関する情報を取得することも可能である。
また、自動運転機能の実現に利用可能な情報としては、信号機、踏切、標識(看板含む)、交差点、合/分流点、歩道、障害物、危険部位、その他地上構造物などに関する情報(以下「インフラ関連情報」と総称する)もある。インフラ関連情報には、上述した各種対象物の有無や位置のほか、信号機の場合はその色の情報、踏切の場合はその動作状態、標識や看板等の場合はその表示内容、なども含まれる。インフラ関連情報も、各カメラ2〜6の撮影データに基づいて認識し取得することができ、路車間通信によって取得することもできる。また、GPS情報と地図データ等に基づく既述の経路案内機能からも、各種インフラ情報を取得することができる。
また、自動運転機能の実現に利用可能な情報としては、規制情報もある。例えば、進行方向に工事や事故、天災等による走行規制が実施されている場合に、その規制情報を路車間通信により取得することができる。
上述した周囲物体に関する情報、路上表示に関する情報、インフラ関連情報、及び規制情報などの、自動運転機能の実現(本実施形態では既述の7種類の自動制御機能の実現)に必要な各種の情報のうち特に車両1の周囲に関する情報は、本開示の周囲情報の一例に
相当する。
自動運転制御装置30は、上述した各種の情報を取得し、それら情報に基づいて走行駆動制御部46、ブレーキ制御部47、ステアリング制御部48、その他必要な車載装置等を制御することにより、自動運転を実現することができる。具体的には、既述の7種類の自動制御機能を実行することができる。本実施形態における7種類の自動制御機能は、既述の通り、自動発進/停止制御、車線維持制御、車間距離制御、車線変更制御、右左折制御、衝突抑止制御、及び駐車制御である。
自動発進/停止制御は、走行中、停止すべき条件が成立した場合に車両1を自動で停止させ、停止後、停止すべき条件が解除された場合には車両1を自動で発進させる制御である。この制御は、自車情報の他、各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる周囲物体に関する情報、路車間通信により得られるインフラ関連情報や規制情報などを用いて行われる。この自動発進/停止制御により、例えば、交差点等において信号機の色が青の場合にはそのまま走行させて赤又は黄の場合は停止させる、前方に踏切を認識して遮断機が下りていることを認識した場合には停止させる、遮断機が下りていない場合は一旦停止させた後に再び発進させる、といった制御が行われる。その他、前方に障害物等を認識した場合も自動で停止される。
車線維持制御は、自車が車線区分線を逸脱することなく車線に沿って走行するように操舵輪の操舵を自動で行うように構成された制御である。この制御は、自車情報の他、各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる路上表示(特に車両区分線)に関する情報などを用い、経路案内機能と協働しながら行われる。
車間距離制御は、自車前方を他車両が走行している場合にその他車両との車間距離を一定距離に保つように速度制御を行い、前方に他車両が存在しない場合には設定した車速で走行させる、という制御である。この制御は、自車情報の他、主に、各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる周囲物体(特に前方車両)に関する情報を用いて行われる。
車線変更制御は、車線変更(車線変更のための操舵)が必要となった場合に、変更先の隣接車線の他車両を検知し、他車両の有無や位置、速度などに応じて、他車両と衝突しないように、駆動力・制動力や操舵を制御しつつ自動で車線変更させる制御である。この制御は、自車情報の他、各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる周囲物体(特に隣接車線の他車両)に関する情報や車両区分線に関する情報、車車間通信により得られる他車両(隣接車線の走行車両)の情報などを用いて行われる。
右左折制御は、右折又は左折が必要となった場合に、対向車、交差路を走行する車両、その他自車周囲の車両、歩行者等に衝突することなく自動で右折又は左折を行わせる制御である。この制御は、自車情報の他、各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる周囲物体に関する情報、車車間通信により得られる他車両の情報、歩車間通信により得られる歩行者等の情報などを用いて行われる。
衝突抑止制御は、車両進行方向の道路上に障害物が存在している場合に、その障害物に衝突しないように車両を自動で操舵又は制動・停止等させる制御である。各カメラ2〜5や各レーダセンサ11〜14から得られる周囲物体に関する情報、路車間通信により得られるインフラ関連情報や規制情報などを用いて行われる。
駐車制御は、目的地として特定の目標駐車位置(例えば特定の駐車場の駐車区画内)が設定された場合に、目標駐車位置までの走行軌跡を演算し、その走行軌跡に沿って車両の
駆動力・制動力や操舵を制御して自動で駐車させる制御である。
上記7種類の制御機能のうちどれを実行させるか、即ち自動運転レベルについては、運転者等が任意に設定できるよう構成されている。具体的には、図3Aに示すように、高度自動化モード及び基本モードの双方とも、自動運転レベルを任意に設定できる。ただし、基本モードについては、レベル7は設定できず、レベル0〜レベル6の何れかを設定可能である。一方、高度自動化モードについては、レベル0は設定できず、レベル1〜レベル7の何れかを設定可能である。さらに、基本モードのレベルは、高度自動化モードのレベルよりも低いレベルの範囲内で設定可能である。逆に言えば、高度自動化モードのレベルは、基本モードのレベルよりも高いレベルの範囲内で設定可能である。
本実施形態では、図3Aに示すように、レベル1では制御A(例えば車線維持制御)が実行される。レベル2では制御Aに加えて制御B(例えば車間距離制御)が実行される。レベル3では制御A,Bに加えて制御C(例えば自動発進/停止制御)が実行される。レベル4では制御A,B,Cに加えて制御D(例えば衝突抑止制御)が実行される。レベル5では制御A,B,C,Dに加えて制御E(例えば車線変更制御)が実行される。レベル6では制御A,B,C,D,Eに加えて制御F(例えば右左折制御)が実行される。レベル7では制御A,B,C,D,E,Fに加えて制御G(例えば駐車制御)が実行される。つまり、レベルが高くなるほど実行される自動制御機能の種類も増えていき、レベル7では完全自動運転となる。
各運転モード毎のレベル設定は、運転モード毎に個別に、運転席近傍に設けられたレベル設定操作部42を操作することにより可能である。本実施形態では、基本モードの自動運転レベルはデフォルトではレベル0に設定されており、高度自動化モードの自動運転レベルはデフォルトではレベル1に設定されている。そして、各運転モード毎に、現在設定されている自動運転レベルを任意に設定変更することができる。例えば、基本モードがレベル0に設定されている場合、高度自動化モードは、レベル1〜7の間で任意に設定変更できる。また例えば、基本モードがレベル1に設定されている場合は、高度自動化モードは、レベル2〜7の間で任意に設定変更できる。また例えば、高度自動化モードがレベル4に設定されている場合は、基本モードは、レベル0〜レベル3の間で任意に設定変更できる。
なお、どのレベルでどの自動制御機能を実行させるかについては、図3Aに例示した内容に限定されない。例えば、レベルが1つ上がる毎に実行される自動制御機能が1つずつ増えていくことは必須ではない。どのレベルでどの自動制御機能を実行させるかについては適宜決めてもよい。
また、図3Aに示したような、レベルが1つ上がる毎に実行される自動制御機能が1つずつ増えていくことを前提としつつ、図3Bに示すように、制御A〜制御Gの内容を運転者等が任意に設定できるようにしてもよい。
本実施形態の車両1は、自動運転スイッチ41がオフされている場合は、運転モードが基本モードに設定される。一方、自動運転スイッチ41がオンされると、一定条件下で、運転モードが高度自動化モードとなる。なお、車線変更制御、右左折制御、及び駐車制御を実行するよう設定されている場合は、目的地(駐車制御の場合は目標駐車位置)を設定する必要がある。具体的には、経路案内機能を立ち上げ、タッチパネルを介して目的地を入力すればよい。目的地が設定されている場合の自動運転は、基本的には、経路案内機能との協働により、自車両の位置を確認しながら、演算された目的地までのルートに沿うように行われる。
高度自動化モードの自動運転レベルがレベル7に設定されている場合の、高度自動化モード時の各種の制御例を、図4を用いて説明する。図4に示す各車両61〜67は、いずれも、図1、図2に示した車両1と同じ構成である。路上通信機81の通信エリア内を走行する車両は、路上通信機81から個別道路情報を受信できる。図4中の各車両のうち少なくとも4つの車両61,65,66,67は、少なくともその近傍の2つの路上通信機81a,81bからの個別道路情報を受信できる。具体的には、前方の信号機71の情報や、対向車62の情報、歩行者76の情報などを取得できる。
また、少なくとも車両63は、少なくともその近傍の路上通信機81cからの個別道路情報を受信できる。具体的には、一時停止標識73があること(つまり一時停止すべきであること)、右側から他の車両64が接近していること、などの情報を取得できる。
また、少なくとも車両64は、少なくともその近傍の路上通信機81dからの個別道路情報を受信できる。具体的には、左側から他の車両63が接近していることなどの情報を取得できる。
また、少なくとも車両62は、少なくともその近傍の路上通信機81eからの個別道路情報を受信できる。具体的には、前方の信号機72の情報、右折しようとしている対向車61が存在していること、左折方向に横断歩道があること、その横断歩道に歩行者76がいること、などの情報を取得できる。
また、各車両61〜66は、自身が備えている各カメラ2〜6や各レーダ装置11〜14からも各種情報を得ることができ、車車間通信や歩車間通信によっても各種情報を得ることができる。たとえば、車両65は、カメラやレーダ装置によって前方の車両67や右側方の車両66を検出することができ、これにより、前方の車両67との車間を適切に保ちながら走行したり、車線変更が必要な場合には右側方の車両66との位置関係を考慮しながら適切なタイミングで車線変更したりすることができる。また、車両65は、カメラやレーダ装置によって、歩行者77の飛び出しを検出することもでき、その場合、後方の車両65との距離を考慮しつつ、歩行者77に衝突しないように適切な減速制御を行うことができる。
これにより、各車両61〜66は、目的地までの走行経路を、自車で得られる各種情報、及び路上側から得られる各種情報などの、種々の情報を用いながら、適切に自動走行することができる。具体的に、各車両61〜66は、主に走行駆動制御部46、ブレーキ制御部47、及びステアリング制御部48を自動制御することで、走行経路に沿わせつつ、他車や歩行者その他の路上構造物に接触しないよう、且つ信号機や交通規則などに従うように、適切に自動走行することができる。
(4)自動運転レベル設定処理
次に、自動運転制御装置30の制御部30aが実行する自動運転レベル設定処理について、図5を用いて説明する。図5の自動運転レベル設定処理は、車両1の運転モードを高度自動化モード及び基本モードの何れかに切り替えると共に、自動運転レベルがレベル1以上の場合に自動運転を解除すべきか否かを判断して解除すべきと判断した場合には自動運転レベルを強制的にレベル0に設定するための処理である。
制御部30aは、車両1の不図示の電源スイッチ(例えばイグニションスイッチ)がオンされることにより起動すると、メモリ30bから図5の自動運転レベル設定処理のプログラムを読み込み、所定の制御周期で繰り返し実行する。
制御部30aは、図5の自動運転レベル設定処理を開始すると、S10で、自動運転解
除フラグがセットされているか否か判断する。自動運転解除フラグは、自動運転を解除すべきと判断された場合にセットされるフラグであり、具体的には、後述する図6のS119でセットされる。
自動運転解除フラグがセットされている場合は(S10:YES)、S70で、自動運転レベルをレベル0に設定する。即ち、運転モードが高度自動化モード及び基本モードの何れに設定されているかにかかわらず、自動運転レベルを強制的にレベル0として、既述の7種類の自動制御機能を全て実行させないようにする。そしてS80で、所定のエラー報知を行うことで、自動運転が強制的に解除されたことを車両1の乗員に報知して、自動運転レベル設定処理を終了する。
この自動運転解除フラグがセットされている間は、7種類の自動制御機能が全て作動しないため、その7種類の自動制御機能に対応した運転操作(各自動制御機能により自動で実行させることが可能な運転操作)は全てドライバー自身が行う必要がある。なお、自動運転解除フラグは、既述の通り、解除リセットスイッチ44を押下することでリセットすることができる。
S10で、自動運転解除フラグがセットされていない場合は(S10:NO)、S20で、緊急停止フラグがセットされているか否か判断する。緊急停止フラグは、車両1を緊急的に停止させるべきと判断された場合にセットされるフラグであり、具体的には、後述する図6のS120でセットされるフラグである。
緊急停止フラグがセットされている場合は(S20:YES)、S90で、緊急停止処理を実行する。緊急停止処理は、車両1を、安全性を維持しつつ可能な限り早く停車させるための処理である。緊急停止処理の具体的な処理内容は、安全性を維持しつつ可能な限り早く停車させることができるような内容を適宜決めてもよい。例えば、車外の物体(他車両や歩行者などを含む)に接触しないように、各カメラや各レーダ装置などで監視しつつ、車両1を減速させながら路肩まで寄せていって停車させる、という処理内容が考えられる。
S20で、緊急停止フラグがセットされていない場合は(S20:NO)、S30で、自動運転スイッチ41がオンされているか否か判断する。自動運転スイッチ41がオンされている場合は(S30:YES)、S40で、運転モードを高度自動化モードに設定して、S60に進む。自動運転スイッチ41がオフされている場合は(S30:NO)、S50で、運転モードを基本モードに設定して、S60に進む。
S40で運転モードが高度自動化モードに設定された場合は、制御部30aは、S55で、高度自動化モードとして設定されている自動運転レベルに基づく自動制御機能を実行する。例えば、高度自動化モードとしてレベル6が設定されている場合は、制御A〜Fの6種類の自動制御機能(図3A参照)を実行する。また例えば、高度自動化モードとしてレベル7が設定されている場合は、制御A〜Gの7種類の自動制御機能を全て実行することで、完全自動運転を実現する。また、S55の自動制御機能の実行は、前述の周囲情報を含む各種情報を必要に応じて取得しながら、それら取得した各種情報に基づいて行われる。
S50で運転モードが基本モードに設定された場合は、制御部30aは、S50で、基本モードとして設定されている自動運転レベルに基づく自動制御機能を実行する。例えば、基本モードとしてレベル1が設定されている場合は、制御Aの自動制御機能(図3A参照)を実行する。この場合の自動制御機能の実行も、前述の周囲情報を含む各種情報を必要に応じて取得しながら、それら取得した各種情報に基づいて行われる。ただし、基本モ
ードとしてレベル0が設定されている場合は、全ての自動制御機能を実行しない。
S60では、自動運転解除確認処理を実行する。この自動運転解除確認処理の目的は主に2つある。1つは、自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合に、自動運転レベルを強制的にレベル0に設定する必要があるか否かを判断して、レベル0に強制設定する必要がある場合には自動運転解除フラグをセットすることである。もう1つの目的は、自動運転レベルがレベル1以上に設定されている場合に、車両1を緊急停止させる必要があるか否かを判断して、緊急停止させる必要があるには緊急停止フラグをセットすることである。
S60の自動運転解除確認処理の詳細は、図6に示す通りである。制御部30aは、S60の自動運転解除確認処理に進むと、図6に示すように、S111で、現在の運転モードにおいて設定されている自動運転レベルがレベル1以上であるか否か判断する。自動運転レベルがレベル1以上ではない(即ちレベル0である)場合は(S111:NO)、図6の自動運転解除確認処理を終了し、これにより図5の自動運転レベル設定処理を終了する。
現在の運転モードにおいて設定されている自動運転レベルが1以上である場合は(S111:YES)、S112で、システム監視処理を実行する。S112のシステム監視処理は、車両1の動作状態(自動制御機能の実行状態を含む)を監視して、自動運転レベルを強制的にレベル0に切り替えるべき所定の事象(要解除事象)が発生したか否かを判断するための処理である。S112のシステム監視処理の詳細は、後で図7を用いて詳述する。
S113では、内外挙動監視処理を実行する。S113の内外挙動監視処理は、車両1の車室内における車両乗員の挙動や、車両1の外部における歩行者や他車両の挙動などを監視して、自動運転レベルを強制的にレベル0に切り替えるべき要解除事象が発生したか否かを判断するための処理である。S113の内外挙動監視処理の詳細は、後で図8を用いて詳述する。
S114では、環境監視処理を実行する。S114の環境監視処理は、車両1の周囲の環境を監視して、自動運転レベルを強制的にレベル0に切り替えるべき要解除事象が発生したか否かを判断するための処理である。S114の環境監視処理の詳細は、後で図9を用いて詳述する。
S115では、自己診断処理を実行する。S115の自己診断処理は、制御部30a自身による自動制御機能の実行状態が正常であるか否かを過去の実行結果と比較することで自己診断するための処理である。S115の自己診断処理の詳細は、後で図10Bを用いて詳述する。
S116では、S112〜S115の各処理の結果、各処理のうち何れか1つでも要解除事象が発生した判断されたか否かを判断する。要解除事象が発生したとの判断が全くなされなかった場合は(S116:NO)、図6の自動運転解除確認処理を終了する。S112〜S115の各処理のうち何れか1つでも要解除事象が発生したとの判断がなされた場合は(S116:YES)、S117で、車両1の乗員に対し、自動運転解除予告報知を行う。この報知は、自動運転を解除すべき要解除事象が発生したことに基づき、自動運転を解除すべく、予めその旨を乗員に予告するための報知である。この報知は、車両1の乗員に対して要解除事象が発生して自動運転を解除すべき状態になったことを認識させることが可能な種々の方法で行ってもよい。具体的な報知方法としては、例えば、音声にて所定のメッセージを発生したり、表示部37を用いて乗員に対して視覚的にメッセージを
発信したり、シートを振動させたりする方法などを採用してもよい。
S118では、自動運転が解除可能であるか否か判断する。この判断は、言い換えれば、自動運転が解除されることによってそれまで自動で行われていた運転操作が自動で行われなくなった場合にその運転操作をドライバー自身が行うことが可能な状態であるか否かを判断する処理である。自動運転が解除可能か否かを何に基づいて判断するかについては適宜決めてもよい。例えば、ドライバーの状態や挙動に基づき、ドライバーによって特定の解除許可動作が行われているか否かに基づいて判断するようにしてもよい。解除許可動作とは、ドライバーが自身で運転操作を行うことができる状態にあることを示す動作である。解除許可動作には、ドライバーが特定の状態で静止している静止状態も含まれる。解除許可動作としては、例えば、ドライバーがハンドル10を少なくとも片方の手で握っていること、ドライバーがハンドル10を両方の手で握っていること、ドライバーの目が開いていること、ドライバーの視線が車両前方に向いていること、ドライバーの挙動が正常(例えば後述するS204の判断処理で肯定判断されるような状態)であること、などの複数の動作、状態のうち少なくとも1つを設定してもよい。制御部30aは、例えば室内カメラ6の画像データに基づいて、解除許可動作が行われているか否かを判断するようにしてもよい。
自動運転が解除可能と判断した場合は(S118:YES)、S119で、自動運転解除フラグをセットする。これにより、次に図5のS10の判断処理が実行された場合、肯定判定されてS70に進み、自動運転レベルが強制的にレベル0に設定される。
S118で、自動運転が解除可能ではないと判断した場合は(S118:NO)、S120で、緊急停止フラグをセットする。これにより、次に図5のS20の判断処理が実行された場合、肯定判定されてS90に進み、緊急停止処理が実行される。
次に、図6の自動運転解除確認処理におけるS112のシステム監視処理について、図7を用いて具体的に説明する。S112のシステム監視処理に進むと、図7に示すように、S161で、他車両との距離が正常であるか否か判断する。他車両との距離は、各カメラ2〜5や各レーダ装置11〜14による、自車両周囲の他車両の検出結果に基づいて検出することができる。また、車車間通信を介して取得した他車両の位置情報と自車位置情報とに基づいて検出することもできる。
他車両との距離が正常であるか否かの判断は、例えば、距離の閾値を設定して、他車両との距離がその閾値以上の場合に正常と判断するようにしてもよい。この場合、自車に対する他車両の位置(例えば自車の前方、後方、側方のいずれであるか)に応じて閾値を個別に設定するようにしてもよい。もちろん、上記例以外の方法で、他車両との距離が正常か否かを判断するようにしてもよい。
他車両との距離が正常ではない場合は(S161:NO)、S169に進む。他車両との距離が正常でない場合、他車両と衝突するおそれが高まる。そして、その原因としては、自動制御機能が正常に作動していない可能性が考えられる。そこで、他車両との距離が正常でない場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、他車両との距離が正常でないことは、要解除事象の1つである。
他車両との距離が正常である場合は(S161:YES)、S162で、他車両との相対速度が正常であるか否か判断する。他車両との相対速度についても、他車両との距離と同様、各カメラ2〜5や各レーダ装置11〜14による、自車両周囲の他車両の検出結果に基づいて検出することができる。
他車両との相対速度が正常であるか否かの判断は、例えば、相対速度の閾値を設定して、他車両との相対速度がその閾値以下の場合に正常と判断するようにしてもよい。この場合、自車に対する他車両の位置(例えば自車の前方、後方、側方のいずれであるか)に応じて閾値を個別に設定するようにしてもよい。もちろん、上記例以外の方法で、他車両との相対速度が正常か否かを判断するようにしてもよい。
他車両との相対速度が正常ではない場合は(S162:NO)、S169に進む。他車両との相対速度が正常でない場合、他車両と衝突する可能性がある。また、周囲の交通の流れに追従していない可能性もある。そして、その原因としては、自動制御機能が正常に作動していない可能性が考えられる。そこで、他車両との相対速度が正常でない場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、他車両との相対速度が正常でないことは、要解除事象の1つである。
他車両との相対速度が正常である場合は(S162:YES)、S163で、サスペンションの挙動が正常であるか否か判断する。サスペンションの挙動は、サスペンションセンサ25の検出結果に基づいて検出することができる。
サスペンションの挙動が正常であるか否かの判断は、例えば、サスペンションの伸縮量に対して閾値を設定し、伸縮量がその閾値以下の場合に正常と判断するようにしてもよい。また例えば、伸縮量の変化率に対して閾値を設定し、伸縮量の変化率がその閾値以下の場合に正常と判断するようにしてもよい。なお、サスペンションセンサ25が複数設けられている場合、その複数のサスペンションセンサ25からの検出結果に基づいて総合的にどのように判断するかについては、適宜決めてもよい。例えば、複数のサスペンションセンサ25のうち1つでも伸縮量が閾値を超えた場合にはサスペンションの挙動が異常であると判断するようにしてもよい。
サスペンションの挙動が正常ではない場合は(S163:NO)、S169に進む。サスペンションの挙動が正常でない場合、その原因として、自動制御機能が正常に作動していない可能性が考えられる。即ち、自動制御機能が正常に作動していない場合、急発進、急停車、急旋回などの不安定な挙動が発生して、それによってサスペンションが大きく伸縮する可能性がある。そこで、サスペンションの挙動が正常でない場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、サスペンションの挙動が正常でないことは、要解除事象の1つである。
サスペンションの挙動が正常である場合は(S163:YES)、S164で、エンジンルームが正常であるか否か判断する。具体的には、エンジンルーム内の状態が、エンジンルーム内の温度が正常であって且つ異音が発生していない状態になっているか否か判断する。エンジンルーム内の温度はエンジンルーム温度センサ22の検出結果に基づいて検出することができ、エンジンルームから発生する音はエンジンルーム音センサ23の検出結果に基づいて検出することができる。
エンジンルームが正常であるか否かの判断は、例えば、エンジンルーム内の温度に対して温度閾値を設定すると共に、エンジンルームの音に対して音量閾値を設定し、エンジンルーム内の温度が温度閾値以下であって且つエンジンルームの音が音量閾値以下である場合に正常と判断するようにしてもよい。エンジンルームの音については、その音質を解析し、異常発生時に発生する可能性のある音質と同等の音質が検出された場合にはエンジンルームが異常であると判断するようにしてもよい。
エンジンルームが正常ではない場合は(S164:NO)、S169に進む。エンジンルームが正常でない場合、その原因として、自動制御機能が正常に作動していない可能性が考えられる。即ち、自動制御機能が正常に作動しないことによって、自動運転制御装置30が走行駆動制御部46を正常に制御できなくなり、これにより走行駆動制御部46がエンジンや変速装置などを正常に制御できない状態になっている可能性が考えられる。そこで、エンジンルームが正常でない場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、エンジンルームが正常でないことは、要解除事象の1つである。
エンジンルームが正常である場合は(S164:YES)、S165で、異常電流が発生しているか否か判断する。ここでいう異常電流とは、既述の過電流(例えば落雷時に発生し得る過大な電流)を意味する。異常電流が発生しているか否かの判断は、電流センサ19の検出結果に基づいて行うことができる。例えば、検出対象の電流に対して閾値を設定し、検出された電流がその閾値以上の場合に、異常電流が発生したと判断するようにしてもよい。
異常電流が発生している場合は(S165:YES)、S169に進む。異常電流が発生している場合は、その異常電流に起因して、自動制御機能が正常に作動しなくなる可能性がある。そこで、異常電流が発生した場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、落雷等の各種要因に起因して異常電流が発生することは、要解除事象の1つである。
異常電流が発生していない場合は(S165:NO)、S166で、タイヤのパンクが発生しているか否か判断する。タイヤのパンクが発生しているか否かは、タイヤ空気圧センサ24の検出結果に基づいて検出することができる。
タイヤのパンクが発生しているか否かの判断は、例えば、空気圧に対して閾値を設定し、4輪の各タイヤのうち何れか1つでも空気圧が閾値以下の場合にパンクが発生していると判断するようにしてもよい。
パンクが発生している場合は(S166:YES)、S169に進む。パンクが発生している場合、そのパンクに起因して、自動制御機能による車両1の制御が正常に行えなくなる可能性がある。そこで、パンクが発生している場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、タイヤのパンクが発生していることは、要解除事象の1つである。
タイヤのパンクが発生していない場合は(S166:NO)、S167で、スリップが発生したか否か判断する。スリップが発生したか否かは、各輪の車輪速センサ18の検出結果に基づいて検出することができる。例えば、各車輪速センサ18の検出結果を比較して、最も大きい車輪速と最も小さい車輪速との差が所定の閾値以上の場合に、スリップが発生したと判断するようにしてもよい。
スリップが発生した場合は(S167:YES)、S169に進む。スリップが発生した場合、そのスリップに起因して、自動制御機能による車両1の制御が正常に行えなくなる可能性がある。そこで、スリップが発生した場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、スリップが発生したことは、要解除事象の1つである。
スリップが発生していない場合は(S167:NO)、S168で、操舵状態が正常か
否か判断する。操舵状態は、操舵量センサ20の検出結果に基づいて検出することができる。操舵状態が正常か否かの判断は、例えば、中立位置を基準とした操舵量に対して閾値を設定し、中立位置からの操舵量がその閾値以下の場合に正常と判断するようにしてもよい。また例えば、操舵量の変化率に対して閾値を設定し、操舵量の変化率がその閾値以下の場合に正常と判断するようにしてもよい。
操舵状態が正常ではない場合は(S163:NO)、S169に進む。操舵状態が正常でない場合、その原因として、自動制御機能が正常に作動していない可能性が考えられる。そこで、操舵状態が正常でない場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S169で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、操舵状態が正常でないことは、要解除事象の1つである。
操舵状態が正常である場合は(S168:YES)、図7のシステム監視処理(即ち図6のS112の処理)を終了する。
次に、図6の自動運転解除確認処理におけるS113の内外挙動監視処理について、図8を用いて具体的に説明する。S113の内外挙動監視処理に進むと、図8に示すように、S201で、車両1の乗員による、車内特定接触部位への接触を検知したか否かを判断する。車内特定接触部位への接触の有無は、車内接触センサ21の検出結果に基づいて判断することができる。
車内特定接触部位への接触が検出された場合は(S201:YES)、S210に進む。本実施形態の車両1は、その取扱説明書において、自動制御機能の作動状態について異常と感じたり不安感をおぼえた場合には、車内特定接触部位に触れるか或いは緊急停止レバー43を操作することで自動運転を強制解除できる、という説明がなされている。そのため、車内特定接触部位への接触が検出されたということは、車両1の乗員による、自動運転を強制的に解除させたいという意思表示がなされたと判断することができる。
そこで、車内特定接触部位への接触が検出された場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、車内特定接触部位への接触が検出されることは、要解除事象の1つである。
車内特定接触部位への接触が検出されなかった場合は(S201:NO)、S202で、緊急停止レバー43が操作されたか否か判断する。緊急停止レバー43が操作された場合は(S202:YES)、S210に進む。緊急停止レバー43が操作されたということは、車両1の乗員による、自動運転を強制的に解除させたいという意思表示がなされたと判断することができる。
そこで、緊急停止レバー43が操作された場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、緊急停止レバー43が操作されることは、要解除事象の1つである。
緊急停止レバー43が操作されていない場合は(S202:NO)、S203で、外部からの衝撃を検知したか否か判断する。ここでいう外部からの衝撃とは、既述の通り、他車両の衝突といった大きな衝撃から、歩行者等の外部の人が車両1を叩くといった小さな衝撃まで含まれる。
外部からの衝撃の有無は、衝撃センサ27の検出結果に基づいて判断することができる。外部からの衝撃を検知した場合は(S203:YES)、S210に進む。外部からの衝撃が検知されたということは、車両1に損傷が発生して車両1が正常に走行できなくな
っている可能性がある。また、車両1の自動制御機能が正常に作動しなくなって車両1が異常な挙動を起こしたり、車両1のドライバーに異変が発生したことに車外の人が気付いたりしたことによって、車外の人が車両1を叩くなどして車両1の乗員に注意喚起を行っている可能性も考えられる。
そこで、外部からの衝撃が検知された場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、外部からの衝撃が検知されることは、要解除事象の1つである。
外部からの衝撃が検知されていない場合は(S203:NO)、S204で、ドライバーの挙動が正常であるか否か判断する。ドライバーの挙動は、室内カメラ6の撮影データを解析することによって認識することができる。そして、例えば、ドライバーが一定時間以上継続して脇見をしていたり、ドライバーの目が一定時間以上閉じていたり、ドライバーが驚き、心配、恐怖の表情をしている場合に、ドライバーの挙動が異常であると判断することができる。もちろん、他の判断基準に基づいて、ドライバーの挙動が正常か否かを判断するようにしてもよい。
ドライバーの挙動が正常ではないと判断された場合は(S204:YES)、S210に進む。ドライバーの挙動が正常ではないと判断されたということは、ドライバーに異変が発生した可能性や、車両1の自動制御機能が正常に作動しなくなっている可能性などが考えられる。
そこで、ドライバーの挙動が正常ではないと判断された場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるか、あるいは車両1を緊急停止させるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、ドライバーの挙動が正常でないと判断されることは、要解除事象の1つである。
ドライバーの挙動が正常と判断された場合は(S204:NO)、S205で、自車両に対して歩行者が視線を向けているか否か判断する。歩行者から視線が向けられているか否かは、既述の通り、各カメラ2〜5の撮影データを解析することによって判断することができる。
歩行者から視線を向けられている場合は(S205:YES)、S208で、所定人数以上の歩行者の視線が自車両に向けられているか否か(即ち歩行者からの注目度が高いか否か)判断する。自車両に視線を向けている歩行者の人数が所定人数未満の場合(即ち注目度が高くない場合)は(S208:NO)、S209に進む。
S209では、自車両に視線を向けている歩行者の挙動が正常であるか否か判断する。自車両に視線を向けている歩行者の挙動が正常であるか否かの判断基準は適宜決めてもよい。例えば、その歩行者の表情が驚き、心配、恐怖などの特定の表情や行動をしている場合に、歩行者の挙動が異常と判断してもよい。
S208で所定人数以上の歩行者の視線が自車両に向けられていると判断した場合(S208:YES)、及び、S209で自車両に視線を向けている歩行者の挙動が正常ではないと判断した場合は(S209:NO)、S210に進む。
多数の歩行者の視線が自車両に集中しているということは、車両1の自動制御機能が正常に作動しなくなって車両1が異常な挙動を起こしていたり、車両1のドライバーに異変が発生している可能性が考えられる。また、自車両に視線を向けている歩行者の数が少なくても、その歩行者の挙動が異常ならば、やはり、車両1の自動制御機能が正常に作動し
なくなって車両1が異常な挙動を起こしていたり、車両1のドライバーに異変が発生している可能性が考えられる。
そこで、多数の歩行者の視線が集中している場合や、視線を向けている歩行者の挙動が異常である場合には、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるか、あるいは車両1を緊急停止させるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、多数の歩行者の視線が集中していること、及び視線を向けている歩行者の挙動が異常であることは、いずれも、要解除事象の1つである。
自車両に対して歩行者の視線が向けられていない場合(S205:NO)、及び、歩行者の視線が向けられているもののその数は少なく且つその歩行者の挙動も正常である場合は(S209:YES)、S206に進む。
S206では、他車(主に対向車両又は後方車両)からパッシングされたか否かを判断する。他車からパッシングされたか否かは、主に前方カメラ2及び後方カメラ3の撮影データを解析することによって判断することができる。他車からパッシングされた場合は(S206:YES)、S210に進む。
他車からパッシングされたということは、車両1の自動制御機能が正常に作動しなくなって車両1が異常な挙動を起こしていて、その異常な挙動に他車のドライバーが気付いて注意喚起をしてくれた可能性が考えられる。そこで、他車からパッシングされた場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるか、あるいは車両1を緊急停止させるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、他車からパッシングされることは、要解除事象の1つである。
他車からパッシングされていない場合は(S206:NO)、S207で、他車からクラクションを鳴らされたか否か判断する。他車からクラクションを鳴らされたか否かは、主に車外音センサ26の検出結果に基づいて判断することができる。他車からクラクションを鳴らされた場合は(S207:YES)、S210に進む。
他車からクラクションを鳴らされたということは、車両1の自動制御機能が正常に作動しなくなって車両1が異常な挙動を起こしていて、その異常な挙動に他車のドライバーが気付いて注意喚起をしてくれた可能性が考えられる。そこで、他車からクラクションを鳴らされた場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるか、あるいは車両1を緊急停止させるべく、S210で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、他車からクラクションを鳴らされることは、要解除事象の1つである。
次に、図6の自動運転解除確認処理におけるS114の環境監視処理について、図9を用いて具体的に説明する。S114の環境監視処理に進むと、図9に示すように、S251で、車両1の周囲の天候が大雨状態か否か判断する。大雨状態か否かの判断は、降雨センサ17からの検出信号に基づき、例えば検出量に対して閾値を設定してその閾値と比較することによって行うことができる。もちろん、他の方法で大雨状態か否かを判断するようにしてもよい。例えば、各カメラ2〜5の撮影データから雨量を解析して判断するようにしてもよい。
大雨状態と判断した場合は(S251:YES)、S256に進む。大雨状態と判断しなかった場合は(S251:NO)、S252に進む。
S252では、車両1の周囲の天候が大雪状態か否か判断する。大雪状態か否かの判断は、例えば、各カメラ2〜5の撮影データから降雪量を解析して判断するようにしてもよい。もちろん、他の方法で大雪状態か否かを判断するようにしてもよい。
大雪状態と判断した場合は(S252:YES)、S256に進む。大雪状態と判断しなかった場合は(S252:NO)、S253に進む。
S253では、車両1の周囲が、霧の濃い濃霧状態か否か判断する。濃霧状態か否かの判断は、大雪状態の判断方法と同様、例えば各カメラ2〜5の撮影データから霧の発生状態を解析して判断するようにしてもよい。もちろん、他の方法で濃霧状態か否かを判断するようにしてもよい。
濃霧状態と判断した場合は(S253:YES)、S256に進む。濃霧状態と判断しなかった場合は(S253:NO)、S254に進む。
大雨状態と判断された場合、大雪状態と判断された場合、及び濃霧状態と判断された場合は(以下まとめて「悪天候」という)、いずれも、車両前方の視界が悪く、自動制御機能が正常に作動しないおそれがある。そこで、悪天候の場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S256で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、悪天候は要解除事象の1つである。
S254では、車両1が要注意区間を走行中か否か判断する。本実施形態における要注意区間には、既述の通り、少なくとも事故多発地帯、スクールゾーン、動物が出没しやすい地帯などが含まれる。要注意区間を走行中か否かの判断は、路車間通信を介して得られる区間情報に基づいて判断することができる。或いは、前方カメラ2の撮影データに要注意区間を示す看板や道路標識が含まれている場合、それに基づいて判断することもできる。
車両1が要注意区間を走行中であると判断した場合は(S254:YES)、S256に進む。車両1が要注意区間を走行中である場合、自動制御機能に頼るよりもむしろドライバー自身が進行方向に対して注意を払いながら運転操作をした方が好ましいこともある。そこで、車両1が要注意区間を走行中の場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S256で、要解除事象が発生したと判断する。つまり、車両1が要注意区間を走行中であることは、要解除事象の1つである。
車両1が要注意区間を走行中でない場合は(S254:NO)、S255に進む。S255では、周囲の他車両の自動運転レベルの平均値(以下「周囲平均レベル」という)が所定レベル以下(例えばレベル1以下)か否か判断する。周囲平均レベルが所定レベルより高い場合は(S255:NO)、環境監視処理を終了する。一方、周囲平均レベルが所定レベル以下の場合は(S255:YES)、S256に進む。
周囲平均レベルは、自車両周囲を走行中の他車両から、それら各他車両において設定されている自動運転レベルをそれぞれ取得し、取得した各自動運転レベルの平均演算を行うことによって導出できる。自車両周囲の他車両の自動運転レベルは、車車間通信で直接取得したり、或いは路車間通信で間接的に取得したりすることができる。
周囲平均レベルが所定レベル以下の場合は、周囲の他車両の多くが自動運転レベルを低く抑えているということである。これは即ち、多くの他車両のドライバーが、自動制御機能に頼ることなく自身の運転操作にて運転を行っている可能性が高いとも言える。周囲の多くのドライバーが自動制御機能に頼らない運転を行っているということは、現在走行している地域は、何らかの理由で、自動運転よりもドライバー自らの運転操作で運転した方が好ましい地域であることが考えられる。
そこで、周囲平均レベルが所定レベル以下の場合は、自動運転を強制解除してドライバー自身に車両1の運転操作を委ねるべく、S256で、要解除事象が発生したと判断する
。つまり、周囲平均レベルが所定レベル以下であることは、要解除事象の1つである。
次に、図6の自動運転解除確認処理におけるS115の自己診断処理について説明するが、自己診断処理の説明に先立って、まず、図10Aに示す走行履歴記録処理について説明する。
図10Aの走行履歴記録処理は、車両1の走行時に行われた各種の特定制御動作(但し自動制御機能において自動で行われる制御動作)を、その特定制御動作が行われた位置と紐付けて履歴として記憶しておく処理である。履歴として記憶すべき特定制御動作の種類や数は適宜決めてもよい。例えば、走行中に一時停止する動作、前方に他車両がいないにもかかわらず減速する動作、などを、特定制御動作として決めてもよい。
自動制御機能が正常に作動していれば、一時停止の道路標識やその停止ラインがある所では、車両1が自動で停止されるはずである。また、横断歩道の手前では、前方に車両がいなくても安全のために減速するはずである。一方、自動制御機能が正常に作動しない場合、一時停止の道路標識があるにもかかわらず停止せずに素通りしてしまったり、横断歩道があっても減速することなく通過していったりする可能性がある。つまり、自動制御機能が正常に作動していない場合、以前走行したことのある場所と同じ場所を走行しても、以前とは違う走行を行うことがある。
そこで、本実施形態では、過去の走行履歴を位置と紐付けて記憶しておき、次に同じ場所を走行したときに過去の動作状態と比較して、過去と異なる走行動作をした場合(例えば過去は一時停止したのに今回は素通りした場合)は、自動制御機能が正常に作動しておらず自動運転を解除すべき状態にあると判断するようにしている。
制御部30aは、動作を開始すると、図5の自動運転レベル設定処理と並行して、図10Aの走行履歴記録処理を実行する。制御部30aは、図10Aの走行履歴記録処理を開始すると、S301で、車両1が一定距離走行したか否か判断する。一定距離走行するまではS301の判断を継続する。一定距離走行した場合は(S301:YES)、S302に進む。
S302では、当該一定距離の走行区間で行われた特定制御動作を、その特定制御動作が行われた位置情報と共に、特定制御情報として記憶する。なお既に同じ位置における特定制御動作が記憶されている場合は、その記憶内容を更新する。当該一定距離の走行区間で行われた特定制御情報を記憶した後は、S301に戻る。このように、一定距離走行する毎に、その一定距離の走行区間を対象として、特定制御情報の記憶処理を行う。
続いて、図6のS115の自己診断処理について、図10Bを用いて説明する。S115の自己診断処理に進むと、図10Bに示すように、S351で、現在の走行位置は過去に走行したことがあるか否かを判断する。この判断は、GPS情報に基づく現在位置と、メモリ30bに記憶されている特定制御情報に紐付けられている位置情報とを比較することにより行うことができる。
現在の走行位置が、メモリ30bに記憶されている各特定制御情報のいずれにも紐付けられていない場合は、現在の走行位置は過去に走行したことがないとみなして(S351:NO)、自己診断処理を終了する。現在の走行位置が、メモリ30bに記憶されている各特定制御情報のいずれかに紐付けられている位置情報と一致するか又はそれに近い場合は、現在の走行位置は過去にも走行したことがあると判断して(S351:YES)、S352に進む。
S352では、現在の走行位置に対応した過去の特定制御情報をメモリ30bから読み込む。つまり、現在走行している場所において、過去にはどのような特定制御動作が行われたか否かを確認する。S353では、現在の走行状態について、過去と異なる走行をしているか否か判断する。より具体的には、同じ場所で過去に実行された特定制御動作が今回も行われたか否か判断する。過去と異なる走行をしている場合、即ち、過去に同じ場所で行った特定制御動作を今回行わなかった場合は(S353:YES)、S354に進み、要解除事象が発生したと判断する。過去と異なる走行をしていない場合、即ち、過去に同じ場所で行った特定制御動作を今回も行った場合は(S353:NO)、自己診断処理を終了する。
(5)第1実施形態の効果
以上説明した本実施形態の車両1によれば、自動運転レベルがレベル1以上のときに(即ち自動制御機能が作動しているときに)、自動運転を解除すべき要解除事象が発生したか否か判断する(図6のS112からS115)。そして、要解除事象が発生した場合は、自動運転レベルをレベル0に強制設定する。つまり、要解除事象が発生した場合は、運転モードの設定状態にかかわらず、自動制御機能の動作を全て停止させて、車両1の運転操作をドライバーに委ねる。
そのため、要解除事象が発生した場合、ドライバー自らの運転操作によって車両1を走行させることができる。これにより、自動制御機能の誤動作等に起因する車両1の不安定な動作の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、要解除事象として考えられる多数の事象を想定して、各事象毎に逐一判断するようにしている。
具体的に、図7のS161に示すように、他車両との距離を判断し、他車両との距離が正常でない場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因して車両1が他車両と衝突しそうになっても、ドライバー自らの運転操作によってこれを回避することが可能となる。
また、図7のS162に示すように、他車両との相対速度を判断し、他車両との相対速度が正常でない場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因して車両1が他車両と衝突しそうになっても、ドライバー自らの運転操作によってこれを回避することが可能となる。また、自動制御機能の誤動作等に起因して車両1の走行速度が周囲の多くの車両の速度と異なっていて周囲の交通の流れに追従していない場合も、ドライバー自らの運転操作によってこれを回避することが可能となる。
また、図7のS163に示すように、サスペンションの挙動を判断し、挙動が正常でない場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因して車両1が異常な挙動を示すようになっても、ドライバー自らの運転操作によってこれを回避することが可能となる。
また、図7のS164に示すように、エンジンルームの状態(温度や音)を判断し、正常でない場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因してエンジンルームに異常が発生した場合、ドライバー自らの運転操作によってその影響を最小限に抑えることが可能となる。
また、図7のS165に示すように、車両1内の電気配線(ただし電流センサ19が設けられている電気配線)に異常電流が発生した場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、落雷等に起因して過大な電流が流れても、これにより自動制御機能
が誤動作して車両1の走行状態が不安定になることを抑制することが可能となる。
また、図7のS166やS167に示すように、タイヤがパンクしたりスリップが発生した場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、タイヤがパンクしたりスリップしたりすることによって自動制御機能による走行の信頼性が低下した場合、ドライバー自らの運転操作によって車両1を適切に操作する(例えばゆっくり減速しながら停車する、或いはスリップ状態からスムーズに復帰する)ことが可能となる。
また、図7のS168に示すように、操舵輪の操舵状態が正常でない場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因して車両1の操舵輪が異常な挙動を示すようになっても、ドライバー自らの運転操作によってこれを回避することが可能となる。
また、図8のS201、S202に示すように、乗員による車内特定接触部位への接触が検出された場合、及び乗員により緊急停止レバーが操作された場合には、いずれも自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、ドライバーは、例えば車両1の挙動が不安定になるなどといった、自動運転を解除させたい状況が発生した場合に、自らの意志で迅速に自動運転を解除させることができる。
また、図8のS203に示すように、外部からの衝撃が検出された場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、外部からの衝撃によって自動制御機能が正常に作動しないおそれが生じても、ドライバー自らの運転操作によって車両1を適切に動作させることができる。
また、図8のS204に示すように、ドライバーの挙動が正常でない場合(例えばドライバーが驚きや恐怖の表情をしている場合)には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作等に起因して、ドライバーが驚きや恐怖の表情を表すほどに車両1の走行状態が不安定になっても、ドライバー自らの運転操作によってこれを迅速に回避することが可能となる。
また、図8のS205,S206,S207に示すように、歩行者から視線を集めたり、自車両を見ている歩行者が異常な挙動を示していたり(例えば自車を指さして驚きの表情をしている)、他車からクラクションを鳴らされたり、他車からパッシングされたりした場合には、自動運転を強制解除させるようにしている。これは、そのように歩行者や他車から自車両に対して何らかのアクションが起こされるということは、自車両の走行状態が不安定になっている可能性があり、その原因として自動制御機能の誤動作等が考えられるからである。
また、図9のS251〜S253に示すように、大雨、大雪、濃霧などの悪天候の場合には自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、悪天候によって自動制御機能が正常に作動しなくなって車両1の走行が不安定になる可能性が生じても、自動運転が強制解除されることで、ドライバー自らの運転操作によって車両1を適切に走行させることが可能となる。
また、図9のS254に示すように、車両1が要注意区間を走行中の場合には自動運転を強制解除させるようにしている。これにより、要注意区間を、自動制御機能に頼ることなく、ドライバー自らの運転操作によって適切に走行させることが可能となる。
また、図10Bに示すように、過去に走行したことがある場所を再び走行した場合に、過去に行われた特定制御動作が今回は行われなかった場合は、自動制御機能が正常に作動
していないとみなして、自動運転を強制解除させるようにしている。そのため、自動制御機能の誤動作に起因して生じるおそれのある問題を未然に抑制することができる。
また、本実施形態では、要解除事象が発生した場合、無条件に自動運転を解除するのではなく、自動運転を解除することを乗員に報知する(図6のS117)。そして、乗員から所定の反応があるなど、自動運転の解除が可能な状態になっていることを確認できた場合に(図6のS118でYES)、自動運転を解除するようにしている。そのため、スムーズ且つ適切に自動運転を解除してドライバーによる運転操作につなげていくことができる。
一方、自動運転を解除することを乗員に報知しても、乗員から所定の反応がなかった場合には(S118でNO)、車両1を自動で緊急停止させるようにしている。そのため、例えばドライバーが居眠りしたり失神したりするなどしてドライバーによる車両1の運転が困難な状態になった場合に、車両1を迅速且つ適切に停車させて、不測の事態が発生することを抑制することができる。
なお、制御部30aは、周囲情報取得部、運転モード設定部、自動制御部、要解除事象判断部、報知部、及び解除許可判断部の一例に相当する。また、図5のS40及びS50の処理は、運転モード設定部の処理の一例に相当する。また、図5のS55の処理は、周囲情報取得部の処理の一例に相当する。また、図5のS55、及び図6のS118〜S120の処理は、自動制御部の処理の一例に相当する。また、図6のS120の処理は、自動制御部の処理のうち特に自動停止処理の一例に相当する。また、図6のS112,S113,S114及びS115の処理は、要解除事象判断部の処理の一例に相当する。また、図6のS117の処理は、報知部の処理の一例に相当し、図6のS118の処理は、解除許可判断部の処理の一例に相当する。
[第2実施形態]
第2実施形態の車両の電気的構成を、図11に示す。なお、図11において、第1実施形態の車両1と同じ構成要素については第1実施形態と同じ符号を付し、その詳細説明を省略する。
本第2実施形態の車両は、図11に示すように、自動運転制御装置101と、監視装置102とを備える。自動運転制御装置101は、監視装置102とネットワーク100を介してデータ通信を行う機能を備えていることを除き、基本的に第1実施形態の自動運転制御装置101と同じ構成であって同様に動作する。即ち、自動運転制御装置101の制御部101aは、メモリ101bに記憶されている各種プログラムに従って、第1実施形態の車両1と同様、自動運転レベル設定処理(図5参照)を実行する。また、設定されている自動運転レベルに基づく自動制御機能も実行する。
なお、図11では、図2に示した第1実施形態の車両1における、各カメラ2〜6、各レーダ装置11〜14、及び各センサ16〜27を、まとめて検知手段群111として図示している。また、図11では、図2に示した第1実施形態の車両1における各通信部31〜35をまとめて通信手段群112として図示している。
本実施形態の自動運転制御装置101は、更に、自動運転レベルに応じた自動制御機能の実行状態(制御演算の結果)を、制御情報の1つとして、ネットワーク100を介して定期的に監視装置102へ送信する。また、自動運転制御装置101は、自動運転レベル設定処理の結果、要解除事象が発生した場合には、少なくともその旨(要解除事象が発生したという事実)を、制御情報の1つとして、ネットワーク100を介して定期的に監視装置102へ送信する。
監視装置102は、自動運転制御装置101による各種制御が正常に作動しているか否かを監視するために設けられている。即ち、監視装置102は、基本的には、自動運転制御装置101と同様の構成をしており、自動運転制御装置101と同様、制御部102aが、設定されている自動運転レベルに基づく自動制御機能の制御演算を実行する。
即ち、監視装置102は、実際には自動制御機能を実行するわけではないのだが、自動制御機能の制御演算までは、自動運転制御装置101と同様に行う。つまり、自動運転制御装置101及び監視装置102のいずれも、設定されている自動運転レベルに応じた自動制御機能を実現するために必要な制御演算を実行する。
そのため、監視装置の動作が正常であるとの前提において、自動運転制御装置101が正常ならば、両者の制御演算の結果は同じになるはずである。一方、自動運転制御装置101に異常が生じて自動制御機能が正常に作動しない状態になった場合、両者の制御演算結果は異なる結果になる(自動運転制御装置101の演算結果が正常ではない結果になる)可能性がある。
そこで、監視装置102は、自身の制御演算結果と、自動運転制御装置101による制御演算結果とを比較して、両者が一致しない場合には、自動運転制御装置101による自動制御機能を強制的に解除させる。具体的に、監視装置102の制御部102aは、図12に示す制御状態監視処理を実行する。
監視装置102の制御部102aは、図12の制御状態監視処理を開始すると、S501で、設定されている自動運転レベルに対応した自動制御機能の演算処理を実行する。S502では、自動運転制御装置101から、ネットワーク100を介して、自動運転制御装置101における自動制御機能の制御演算の演算結果を取得する。
S503では、S501で演算した自身の演算結果と、S502で取得した自動運転制御装置101での演算結果とを比較して、両者が一致するか否か判断する。両者が一致しない場合は(S503:NO)、自動運転制御装置101による演算結果が正常ではないと判断し、S508で、自動運転制御装置101による自動制御機能を強制的に解除させるための強制解除処理を実行する。
S508の強制解除処理の具体的内容は種々考えられる。例えば、走行駆動制御部46、ブレーキ制御部47、及びステアリング制御部48に対し、監視装置102から、自動運転制御装置101による制御指令を無視するように指示することで、これら各制御部46〜48が、自動運転制御装置101に依存せずに動作する(つまり自動運転が解除される)ようにしてもよい。
また例えば、演算結果が一致しない旨の判定情報をネットワーク100を介して自動運転制御装置101に送信することにより、自動運転制御装置101に対して自動運転を強制解除させるようにしてもよい。
また、例えば、自動運転制御装置101と走行駆動制御部46との間、自動運転制御装置101とブレーキ制御部47との間、及び、自動運転制御装置101とステアリング制御部48との間にそれぞれ、それら両者間の電気的接続状態を導通・遮断するためのスイッチを設けるようにしてもよい。そして、各スイッチの少なくとも1つをオフする(つまり電気的接続状態を遮断する)ことで、自動運転制御装置101から制御できないようにしてもよい。
また、自動運転制御装置101による演算結果が正常ではない原因として、自動運転制御装置101が外部から不正アクセスされていることも考えられる。そのため、通信手段群112と自動運転制御装置101との間に、両者の電気的接続状態を導通・遮断するためのスイッチを設け、このスイッチをオフする(つまり電気的接続状態を遮断する)ことで、外部から物理的にアクセスできないようにしてもよい。
S503で、演算結果が一致した場合は(S503:YES)、S504で、要解除事象の発生の有無を判定する。具体的には、図6に示した第1実施形態の自動運転解除確認処理におけるS112〜S115の各処理と全く同様の処理を行うことによって、要解除事象の発生の有無を判定する。
S505では、S504の判定結果に基づき、要解除事象が発生しているか否か判断する要解除事象が発生していない場合は(S505:NO)、制御状態監視処理を終了する。要解除事象が発生している場合は(S505:YES)、S506で、自動運転制御装置101からネットワーク100を介して、自動運転制御装置101における、要解除事象の有無の判定結果を取得する。
S507では、S506の取得結果に基づき、自動運転制御装置101においても要解除事象の発生が判定されているか否か判断する。自動運転制御装置101においても要解除事象の発生が判定されている場合は、自動運転制御装置101が正常に動作していると判断して、制御状態監視処理を終了する。一方、自動運転制御装置101では要解除事象の発生が判定されていない場合は、何らかの要因で自動運転制御装置101が正常に動作していないと判断して、S508に進み、上記同様、強制解除処理を実行する。
以上説明した本第2実施形態の車両によれば、第1実施形態の効果に加え、さらに以下の効果が得られる。即ち、本第2実施形態では、自動運転制御装置101とは別に、監視装置102を設けている。そして、監視装置102においても、自動運転制御装置101とほぼ同様の制御演算を行わせ、その演算結果と自動運転制御装置101での演算結果とを比較して、両者が一致するか否かに応じて自動運転制御装置101が正常に動作しているか否かを判断するようにしている。
つまり、独立した2つのコンピュータにそれぞれ同じ制御演算を実行させ、両者の演算結果が一致するか否かをみることで、一方のコンピュータ(ここでは自動運転制御装置101)の動作が正常か否かを判断するようにしている。
そして、両者の演算結果が一致しない場合は、監視装置102が、強制解除処理(図12のS508)を実行することで、自動運転を強制解除させるようにしている。なお、要解除事象が発生した場合に自動運転制御装置101が自ら自動運転を解除することは、第1実施形態と同様である。本第2実施形態では、更に加えて、監視装置102からも、自動運転を解除させるための強制解除処理が行われる。そのため、自動運転を解除すべき状況が生じた場合に、より確実に、自動運転を解除させることができる。
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記各実施形態で示した要解除事象の具体例はあくまでも一例である。上記以外の、自動運転を解除すべきと考えられる他の事象について、その発生の有無を判断し、発生している場合には自動運転を解除するようにしてもよい。
例えば、上記第1実施形態では、ドライバーが異常な挙動をした場合に自動運転を解除させる例を示したが、ドライバー以外の他の乗員の挙動に基づいて自動運転を解除できるようにしてもよい。
また、乗員(ドライバーを含む)の挙動に限らず、乗員の話の内容に応じて、自動運転を解除すべきか否かを判断するようにしてもよい。例えば、誰かが「後ろから救急車が近付いてくる!」と発言した場合には、自動運転を解除してドライバーの運転操作に任せるようにしてもよい。つまり、特定の語句或いはセンテンスに反応して自動運転の解除が行われるようにしてもよい。
また、インフラ側で車両の走行状態を監視し、走行状態が不安定な場合(即ち自動制御機能が正常に作動していない可能性がある場合)には、その旨をその該当車両へ路車間通信などを介して通知するようにしてもよい。そして、車両側では、インフラ側から上記通知を受信した場合は、自動運転を強制解除するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、自動運転レベルがレベル1以上の時に何らかの要解除事象が生じた場合に自動運転レベルをレベル0に強制設定する構成であったが、レベル1よりもレベルの高い所定のレベルn以上の時に要解除事象が生じた場合に自動運転レベルを0にする(つまりレベルn未満の場合は無視する)ようにしてもよい。或いは、運転モードが高度自動化モードの場合に要解除事象が生じたら自動運転レベルをレベル0に強制設定するようにし、運転モードが基本モードの場合は要解除事」が生じても基本モードの設定を維持するようにしてもよい。
また、要解除事象が生じた場合に自動運転レベルをレベル0にすることは必須ではなく、少なくとも現在の自動運転レベルよりも低いレベルに下げるようにしてもよい。例えば、高度自動化モード時に要解除事象が生じたら基本モードに切り替えるようにしてもよい。
(3)自動運転を実現するために必要なカメラやレーダ装置は、車両1においてどこに設けてもよいし、いくつ設けてもよい。カメラやレーダ装置の設置場所や数は、所望の自動制御機能を実現できるように適宜決めてもよい。また、自動運転を実現するために必要な車載機器は、図1、図2に示した各種機器に限定されるものではない。
(4)その他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
[実施形態から把握される技術思想]
以上詳述した種々の実施形態から、少なくとも以下の技術思想が把握される。
(A)車両に搭載される自動運転制御装置であって、
前記車両の周囲の情報である周囲情報を取得する周囲情報取得部と、
前記車両の運転モードを、前記車両の走行に必要な複数種類の運転動作の少なくとも一部を前記周囲情報に基づいて自動で実行する高度自動化モード、及び、前記自動で実行する前記運転動作である自動運転動作の種類が前記高度自動化モードよりも少ないか若しくはゼロである基本モード、の何れかに設定する運転モード設定部と、
前記運転モード設定部により設定された前記運転モードに基づき、その運転モードにお
いて設定されている前記自動運転動作を実行する自動制御部と、
前記運転モードが、実行すべき前記自動運転動作を少なくとも1つ有する運転モードに設定されている場合に、その運転モードにおいて設定されている前記自動運転動作の少なくとも1つを解除すべき所定の要解除事象が発生したか否か判断する要解除事象判断部と、
を備え、
前記自動制御部は、前記運転モードが、実行すべき前記自動運転動作を少なくとも1つ有する運転モードに設定されている場合に、前記要解除事象判断部により前記要解除事象が発生したと判断された場合は、設定されている前記自動運転動作の少なくとも1つについてその実行を停止する、
自動運転制御装置。
上記構成の自動運転制御装置では、運転モードが高度自動化モードに設定されている場合に要解除事象判断部が要解除事象の発生有無の判断を行うのはもちろん、運転モードが基本モードに設定されている場合でも、その基本モードが、複数種類の自動運転動作のうち少なくとも1つを実行するように設定されている場合には、要解除事象判断部による要解除事象の発生有無の判断が行われる。
つまり、設定されている運転モードの種類にかかわらず、複数種類の自動運転動作のうち1つでも実行するように設定されている場合には、要解除事象判断部による要解除事象の発生有無の判断が行われる。そして、要解除事象が発生したと判断された場合は、実行対象の自動運転動作の少なくとも1つが停止される。
要解除事象は、実行中の自動運転動作が正常に実行されていないことに起因して生じる可能性のある事象、或いは、現時点では自動運転動作が正常に実行されているものの当該事象が発生すると自動運転動作の実行に支障が生じる可能性のある事象である。
要解除事象は、1つ又は複数を予め設定しておいてもよい。要解除事象が複数設定されている場合、要解除事象判断部は、その複数の要解除事象の全てについてそれぞれ発生の有無を判断するようにしてもよいし、複数の要解除事象のうち一部を対象として発生の有無を判断するようにしてもよい。後者の場合、複数の要解除事象のうちどれを判断対象とするかについては適宜決めてもよい。例えば、現在の運転モードにおいて実行するように設定されている自動運転動作に基づき、その自動運転動作が正常に実行されなくなると発生するような要解除事象、及びその自動運転動作に支障を来す可能性のある要解除事象、のうち少なくとも一方を判断対象に含めるようにしてもよい。
また、要解除事象判断部が要解除事象の発生の有無を判断するタイミング自体、上記以外にも適宜決めてもよい。例えば、現在の運転モードにおいて実行するように設定されている自動運転動作の数や種類に応じて、要解除事象判断部が要解除事象の発生有無を判断すべきか否か、また判断すべき場合には具体的にどのタイミングで判断すべきかを決定するようにしてもよい。
(B)上記(A)において、
前記要解除事象として、前記車両の動作状態が、実行対象に設定されている前記自動運転動作が正常に実行されていない可能性がある場合に発生する可能性のある少なくとも1つの動作状態、及び実行対象に設定されている前記自動運転動作が正常に実行されなくなる可能性がある少なくとも1つの動作状態、のうち少なくとも何れかの動作状態になっていることが設定されている、自動運転制御装置。
このように、自動運転動作が正常に実行されていない(或いは正常に実行されなくなる)可能性のある車両の動作状態を適宜要解除事象として設定することで、実行中の自動運
転動作を停止すべきか否かを適切に判断することができる。
(C)上記(A)又は(B)において、
前記要解除事象として、前記車両の乗員が特定の第1の挙動を示していること、前記車両の周囲の人が特定の第2の挙動を示していること、及び前記車両の周囲の他の車両が特定の第3の動作をしていること、のうち少なくとも一方が設定されている、自動運転制御装置。
実行中の自動運転動作が正常に実行されなくなると、その影響が車両の動作状態に反映され、それに対して、車両の乗員が特定の挙動(例えば驚きや不安の表情)を示したり、車両周囲の人が特定の挙動(例えば多くの人の視線が集中したり、車両に向かって指を指したりするなど)を示したり、他車が(より具体的には他車の乗員が)自車に対して特定の動作(例えばクラクション鳴動やパッシングなど)をする可能性がある。そのため、第1の挙動、第2の挙動、及び第3の挙動のうち少なくとも1つを要解除事象として設定することで、実行中の自動運転動作を停止すべきか否かを適切に判断することができる。
(D)上記(A)〜(C)の何れか1つにおいて、
前記要解除事象として、前記車両の周囲の環境が予め設定した特定の環境であること、が設定されている、自動運転制御装置。
特定の環境とは、実行中の自動運転動作が正常に実行されなくなる可能性がある環境、或いは特定の一又は複数の自動運転動作を実行させるべきではない環境、を意味し、例えば大雨や濃霧などの悪天候が考えられる。また例えば、スクールゾーンや事故多発地帯など、自動運転よりもむしろ運転者自らの運転操作に委ねた方が好ましいと考えられる区域を走行している場合などが考えられる。
そのような特定の環境下に車両が存在していることを要解除事象として設定することで、実行中の自動運転動作を停止すべきか否かを適切に判断することができる。
1…車両、2…前方カメラ、3…後方カメラ、4…左側方カメラ、5…右側方カメラ、6…室内カメラ、9…フロントウィンドウ、10…ハンドル、11…前方レーダ装置、12…後方レーダ装置、13…左側方レーダ装置、14…右側方レーダ装置、16…日射センサ、17…降雨センサ、18…車輪速センサ、19…電流センサ、20…操舵量センサ、21…車内接触センサ、22…エンジンルーム温度センサ、23…エンジンルーム音センサ、24…タイヤ空気圧センサ、25…サスペンションセンサ、26…車外音センサ、27…衝撃センサ、30,101…自動運転制御装置、30a,101a,102a…制御部、30b,101b,102b…メモリ、31…GPS通信部、32…車車間通信部、33…路車間通信部、34…歩車間通信部、35…LTE通信部、36…操作部、37…表示部、38…スピーカ、41…自動運転スイッチ、42…レベル設定操作部、43…緊急停止レバー、44…解除リセットスイッチ、46…走行駆動制御部、47…ブレーキ制御部、48…ステアリング制御部、81…路上通信機、82…カメラ、100…ネットワーク、102…監視装置、111…検知手段群、112…通信手段群。

Claims (3)

  1. 車両に搭載される自動運転制御装置であって、
    前記車両の周囲の情報である周囲情報を取得するように構成された周囲情報取得部と、
    前記車両の運転モードを、前記車両の走行に必要な複数種類の運転動作の少なくとも一部を前記周囲情報に基づいて自動で実行する高度自動化モード、及び、前記自動で実行する前記運転動作である自動運転動作の種類が前記高度自動化モードよりも少ないか若しくはゼロである基本モード、の何れかに設定するように構成された運転モード設定部と、
    前記運転モード設定部により設定された前記運転モードに基づき、その運転モードにおいて設定されている前記自動運転動作を実行するように構成された自動制御部と、
    少なくとも前記運転モードが前記高度自動化モードである場合に、その高度自動化モードにおいて設定されている前記自動運転動作の少なくとも1つを解除すべき所定の要解除事象が発生したか否か判断するように構成された要解除事象判断部と、
    を備え、
    前記自動制御部は、前記運転モードが少なくとも前記高度自動化モードに設定されている場合に、前記要解除事象判断部により前記要解除事象が発生したと判断された場合は、実行するように設定されている前記自動運転動作の少なくとも1つについてその実行を停止するように構成されている、
    自動運転制御装置。
  2. 請求項1に記載の自動運転制御装置であって、
    前記自動制御部は、前記運転モードが、実行すべき前記自動運転動作を少なくとも1つ有する運転モードに設定されている場合に、前記要解除事象判断部により前記要解除事象が発生したと判断された場合は、その運転モードにおいて実行すべき前記自動運転動作を全て停止するように構成されている、
    自動運転制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の自動運転制御装置であって、
    前記要解除事象判断部により前記要解除事象が発生したと判断された場合に、前記車両の乗員に対して前記要解除事象が発生したことを示す報知を行うように構成された報知部と、
    前記報知部による報知後、前記車両の乗員によって特定の解除許可動作が行われたか否かを判断するように構成された解除許可判断部と、
    を備え、
    前記自動制御部は、前記解除許可判断部により前記解除許可動作が行われたことが判断された場合に、実行を停止すべき前記自動運転動作についてその実行を停止し、前記解除許可判断部により前記解除許可動作が行われたことが判断されなかった場合は、前記車両の走行を停止させるための所定の自動停止処理を実行するように構成されている、
    自動運転制御装置。
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