JP7249920B2 - 車両の緊急停止方法及び車両 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の緊急停止方法及び車両に関するものである。
特許文献1には、運転者が車両を操作して走行する有人運転と、運転者が乗車しないで自動走行する無人運転とを切り替える手段を備える車両において、無人運転時に車体の前後左右に設けられた非常停止スイッチが押されると車両を緊急停止させる非常停止システムが開示されている。
特開2006-44620号公報
しかし、非常停止スイッチの大きさ、数、及び車両上の配置場所には限りが有る。よって、非常停止スイッチの近傍でしか非常停止スイッチを押し下げできないため、非常停止スイッチに手などが届かない場合、車両を緊急停止させることができない。
本発明は、上記のような事情に鑑み成されたものであり、車両の外装パネルに触れることにより車外から車両の自動運転制御を緊急停止させることができる車両の緊急停止方法及び、車両の外装パネルに触れることにより車外から自動運転制御を緊急停止させることができる車両を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る車両の緊急停止方法は、センサを用いて、車両の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定し、センサで測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲に基づいて、車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する。
本発明によれば、車両の外装パネルに触れることにより車外から車両の自動運転制御を緊急停止させることができる。
図1は、実施形態に係る、緊急停止判定装置11を備える車両1の構成を示すブロック図である。 図2Aは、自動運転制御装置13が実行する車両1の制御シーンの例、及び詳細な制御手順の一例を示すフローチャートである(その1)。 図2Bは、自動運転制御装置13が実行する車両1の制御シーンの例、及び詳細な制御手順の一例を示すフローチャートである(その2)。 図3は、緊急停止判定装置11が車両1の自動運転制御を停止する緊急停止方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、図3のステップS52の詳細な手順を示すフローチャートである。 図5は、図3のステップS57の詳細な手順を示すフローチャートである。 図6は、図3のステップS61の詳細な手順を示すフローチャートである。 図7は、緊急停止判定装置11が車両1の自動運転制御を停止する緊急停止方法の他の例を示すフローチャートである。 図8は、図7のステップS305の代替例としての判定基準を示すグラフである。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
(第1実施形態)
図1を参照して、実施形態に係る、緊急停止判定装置11を備える車両1の構成を説明する。車両1は、車両1の自動運転制御を実行する自動運転制御装置13と、外装パネルセンサ12(センサの例)と、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する緊急停止判定装置11とを備える。
外装パネルセンサ12は、車両1の外装パネルのうち少なくとも車両1の側面に位置する外装パネルの全体に配置されている。本実施形態において、「外装パネル」には、ボンネット、バンパー、フェンダー、ドア、ピラー、サイドミラー、ルーフ、ガラス等、車両1の外面に表出しているあらゆる部材が含まれる。「車両1の側面に位置する外装パネル」には、フェンダー、ドア、ガラス、バンパー、ピラー、ドアミラーが含まれる。本実施形態において、外装パネルセンサ12は、車両1の外装パネルのうち、少なくとも側面に位置する部分の全体に配置されている。
外装パネルセンサ12は、外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する。よって、外装パネルセンサ12は、車両1の側面に位置する外装パネルであれば、外装パネルのどの部分であっても、当該部分に加わる力、当該部分に生じる加速度、又は当該部分に生じる変形の大きさ及び範囲を検出することができる。
具体的に、外装パネルセンサ12として、外装パネルに加わる力の強さを領域ごとに検出することができるタッチパネル又はタッチスクリーンを用いることができる。タッチパネル又はタッチスクリーンを用いることにより、外装パネルに加わる力の強さ及び範囲を求めることができる。力の範囲から、例えば人間の掌が触れたのか否かを判断できる。また、力の強さから、車両1を停めようとする人間の意図がある、あるいは意図はなく、偶然触れたのか、等を推定することができる。例えば、外装パネルのうちガラスの部分(フロントガラス、リアガラス、ドアガラス)に、透明なタッチパネル又はタッチスクリーンを張り付けることができる。
あるいは、独立した個別のタッチセンサ又は接触センサを、外装パネルに所定間隔で複数配置してもよい。この場合、人体の一部が触れる領域を識別できる程度の間隔に配置することが望ましい。例えば、人間の掌が接触したのか、肘や膝が接触したのかを識別できる程度の間隔で配置されていることが望ましい。これにより、当該人体の一部の接触が、人間が意図したものか否かを推定することができる。例えば、フェンダー、ドア、バンパー、ピラー、ドアミラーなど、透明ではない外装パネルの外面に、タッチセンサ又は接触センサを配置することができる。
外装パネルセンサ12として、1軸~3軸の方向に生じる加速度の大きさを検出する加速度センサ(Gセンサを含む)又は回転運動の加速度である角加速度を検出するジャイロセンサ(ジャイロスコープを含む)を用いることができる。個別のタッチセンサ又は接触センサと同様に、複数の加速度センサ又はジャイロセンサを外装パネルに所定間隔で複数配置すればよい。これにより、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲から、人間の掌が触れたのか否か、又は、車両1を停めようとする人間の意図があるか否かを判定することができる。例えば、フェンダー、ドア、バンパー、ピラー、ドアミラーなど、透明ではない外装パネルの内面に、加速度センサを配置することができる。
外装パネルセンサ12として、変形(ひずみを含む)の大きさを検出するひずみゲージ(ストレインゲージを含む)を用いることができる。個別のタッチセンサ又は接触センサと同様に、複数のひずみゲージを外装パネルに所定間隔で複数配置すればよい。これにより、外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲から、人間の掌が触れたのか否か、又は、車両1を停めようとする人間の意図があるか否かを判定することができる。なお、外装パネルの変形には、弾性変形及び塑性変形の両方が含まれる。ひずみゲージを用いた場合、変形の大きさから外装パネルに生じる応力の強さを推定してもよい。例えば、フェンダー、ドア、バンパー、ピラー、ドアミラーなど、透明ではない外装パネルの内面に、ひずみゲージを配置することができる。
緊急停止判定装置11は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータを緊急停止判定装置11として機能させるためのコンピュータプログラム(緊急停止判定プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、緊急停止判定装置11が備える複数の情報処理部として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって緊急停止判定装置11を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、緊急停止判定装置11を構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、緊急停止判定装置11に含まれる複数の情報処理部を個別のハードウェアにより構成してもよい。更に、緊急停止判定装置11のみならず、自動運転制御装置13も、同様にして、ソフトウェア或いは専用のハードウェアとして実現可能である。更に、緊急停止判定装置11は、車両にかかわる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用してもよい。緊急停止判定装置11及び自動運転制御装置13を同じ電子制御ユニット(ECU)で実現しても構わない。
緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12に接続されている。緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定された力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を示す信号を受信する。緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲に基づいて、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する。
緊急停止判定装置11は、車両1の自動運転制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13に対して、緊急停止信号を送信する。緊急停止判定装置11による具体的な緊急停止の判定方法は、図2~図8を参照して後述する。
緊急停止判定装置11は、自動運転制御を停止するか否かを判定する際に、通常走行時データ14、判定関数15、及び物体リスト16を使用する。通常走行時データ14は、車両1の通常走行時において、外装パネルセンサ12で測定された力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を示すデータである。
判定関数15は、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する関数であり、機械学習により学習された判定モデルが含まれる。具体的に、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定された力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を、判定関数15に入力した時の出力値から、外装パネルに触れた物体を推定する。
物体リスト16は、車両1を緊急停止する物体のリストである。緊急停止判定装置11は、判定関数15を用いて推定した物体が、物体リスト16に含まれる物体と一致した場合、車両1を緊急停止すると判定する。物体リスト16は、自動運転制御装置13が実行する様々な制御シーン毎に設定されている。具体的には、走行制御シーンにおいて走行に障害が発生する物体リスト、ドア開制御シーンにおいてドア28を開く動作に障害が発生する物体リスト、ドア閉制御シーンにおいてドア28を閉じる動作に障害が発生する物体リスト、等が予め用意されている。
自動運転制御装置13は、車両1の自動運転制御を実行する。自動運転制御には、車両1の走行制御のみならず、停車時におけるドアの開閉制御、乗員の車両1への乗車制御、及び乗員の車両1からの降車制御も含まれる。自動運転制御装置13には、車両1の自己位置情報、車両1の周囲に在る障害物(人、他車両)に関する情報、及び車両の周囲の道路に関する情報(地図データを含む)が入力される。
具体的には、車両1は、車両1の自己位置を検出する自己位置検出センサ19を備えていてもよい。例えば、車両1は、GPS(全地球測位システム)衛星からの信号を受信するGPS受信機やオドメトリなど自車両51の絶対位置を計測する自己位置検出センサ19を備える。自動運転制御装置13は、自己位置検出センサ19を用いて、自車両51の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両51の位置、姿勢及び速度を計測する。
車両1には、レーザレーダやミリ波レーダ、カメラ30など、自車両51の周囲の物体を検出する、複数の異なる種類の障害物センサ18が搭載されている。複数の障害物センサ18を用いて、車両1の周囲における物体を検出する。障害物センサ18は、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び駐車車両を含む静止物体を検出する。例えば、移動物体及び静止物体の車両1に対する位置、姿勢、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートを検出する。
自動運転制御装置13は、車両1が走行する道路の構造を示す地図データ17を取得する。車両1は、地図データ17を格納した地図データベースを備えていてもよいし、クラウドコンピューティングにより地図データ17を外部の地図データサーバから取得しても構わない。自動運転制御装置13が取得する地図データ17には、車線の絶対位置や車線の接続関係、相対位置関係などの道路構造の情報が含まれる。
自動運転制御装置13は、障害物センサ18及び自己位置検出センサ19による検出結果及び地図データ17に基づいて、他車両の動作を予測し、他車両の動作から車両1の目的地までの経路を生成し、生成した経路に従って車両1の走行を制御する。具体的には、アクチュエータ21、23、25に制御信号を送信して、ステアリング22、アクセル24、ブレーキ26を制御する。
自動運転制御装置13は、車両1の目的地に到着した後に、車両1のドア28の開閉を自動制御し、乗員の乗降に係る動作(トランクの開閉動作、利用料金の精算処理など)を自動制御する。具体的には、アクチュエータ27に制御信号を送信して、ドア28の開閉を制御する。
自動運転制御装置13は、緊急停止判定装置11から緊急停止信号を受信した場合、動作中の自動運転制御を緊急停止し、通信部29を介して、緊急停止した旨の緊急通報を発信する。
次に、図2A及び図2Bのフローチャートを参照して、自動運転制御装置13が実行する車両1の制御シーンの例、及び各制御シーンにおける詳細な制御手順の一例を説明する。ここでは、自動運転制御装置13が自動運転制御を実行する制御シーンとして、走行制御シーン、ドア開制御シーン、ドア閉制御シーンを例示する。しかし、自動運転制御装置13が扱う車両1の制御シーンは、これに限らず、例えば、乗員の乗降を補助する乗員乗降シーンなども含まれる。
まず、車両1が目的地に向けて走行する時の走行制御シーンについて説明する。ステップS01において、障害物センサ18を用いて車両周辺の障害物を検出する。ステップS02に進み、自動運転制御装置13は障害物の検出結果から安全に走行できるか否かを判断する。安全に走行できない場合(S02でNO)、ステップS03にて走行を停止し、ステップS01へ戻る。一方、安全に走行できる場合(S02でYES)ステップS04に進み、目的地に向けて走行する。具体的には、自動運転制御装置13は、アクチュエータ21、23、25に制御信号を送信して、ステアリング22、アクセル24、ブレーキ26を駆動して車両1を走行させる。ステップS05で目的地に停車したか否かを判断し、目的地に停車するまでステップS01~S04を繰り返し実施する。
次に、目的地に停車すると、走行制御シーンは終了し、乗員が乗降するためにドアを開くドア開制御シーンが開始する。まず、ステップS06において、自動運転制御装置13は、ドア28を開く前に、車両1の内外に居る人間に向けてドア28から離れるように促す。例えば、車両1の中及び車外に設置されたスピーカ又はディスプレイに、ドア28から離れることを促す音声又は映像を出力する。
ステップS07に進み、障害物センサ18を用いて、ドア28付近の障害物を検出する。ステップS08に進み、自動運転制御装置13は、障害物の検出状況に基づいて、ドア28を安全に開くことができるか否かを判断する。ドア28を安全に開くことができない場合、ステップS09に進み、ドア28を開く動作を停止し、ステップS06へ戻る。
ドア28を安全に開くことができる場合、ステップS10へ進み、自動運転制御装置13は、ドア28を開く。具体的に、自動運転制御装置13は、アクチュエータ27に制御信号を送信して、ドア28を駆動する。ステップS11に進み、ドア28を開く動作が完了したか否かを判断し、ドア28を開く動作が完了するまで、ステップS06~S10を繰り返し実施する。ステップS06~S11がドア開制御シーンに相当する。
ドア28が開くと、乗員が車両1に乗る又は乗員が車両1から降りる乗員乗降シーンとなる。自動運転制御装置13は、ステップS12において、乗員に乗降を促す。具体的には、車両1の内外に設置されスピーカ又はディスプレイに、乗員に乗降を促す音声メッセージ又は映像メッセージを出力する。ステップS13において、自動運転制御装置13は、乗員の乗降が完了したか否かを判断する。例えば、カメラ30で取得した車両周囲の映像又は車両シートに設置された圧力センサの出力から、乗員の乗降が完了したか否かを判断することができる。ステップS12及びS13が乗員乗降シーンに相当する。
乗員乗降シーンの後、ドア28を閉じるドア閉制御シーンが開始される。まず、ステップS14において、ステップS06と同様にして、自動運転制御装置13は、ドア28を閉じる前に、車両1の内外に居る人間に向けてドア28から離れるように促す。例えば、車両1の中及び車外に設置されたスピーカ又はディスプレイに、ドア28から離れることを促す音声又は映像を出力する。
ステップS15に進み、ステップS07と同様にして、障害物センサ18を用いて、ドア28付近の障害物を検出する。ステップS16に進み、自動運転制御装置13は、障害物の検出状況に基づいて、ドア28を安全に閉じることができるか否かを判断する。ドア28を安全に閉じることができない場合、ステップS18に進み、ドア28を閉じる動作を停止し、ステップS14へ戻る。
ドア28を安全に閉じることができる場合、ステップS17へ進み、自動運転制御装置13は、ドア28を閉じる。具体的に、自動運転制御装置13は、アクチュエータ27に制御信号を送信して、ドア28を駆動する。ステップS19に進み、ドア28を閉じる動作が完了したか否かを判断し、ドア28を閉じる動作が完了するまで、ステップS14~S18を繰り返し実施する。ステップS14~S19がドア閉制御シーンに相当する。
ドア閉制御シーンの後は、再び、走行制御シーン(S01~S05)が開始する。以後、これらの制御シーンが繰り返し実施される。
次に、図3のフローチャートを参照して、緊急停止判定装置11が車両1の自動運転制御を停止する緊急停止方法を説明する。緊急停止判定装置11による緊急停止処理は、図2A及び図2Bに示した自動運転制御において例外的に発生する割込み処理である。図2A及び図2Bに示した自動運転制御の実行中において、外装パネルに何らかの物体が接触した場合に、自動運転制御を中断して図3に示す緊急停止処理(例外処理ルーチン)が開始される。
図3の緊急停止処理は、緊急停止判定装置11が、外装パネルに加わる力を検出したことを示す信号を外装パネルセンサ12から受信したときに開始される。緊急停止判定装置11は、緊急停止判定処理(例外処理ルーチン)を開始する。まず、ステップS51にて、車両1が走行中であるか否か、即ち、走行制御シーンであるか否かを判断する。走行制御シーンである場合(S51でYES)、ステップS52に進み、緊急停止判定装置11は、走行制御シーンに対して定義された判定関数15(関数の一例)を読み込み、判定関数15を用いて車両1の自動運転制御(走行制御)を停止するか否かを判定する。具体的には、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲を、判定関数15に入力した時の出力値から、車両1の走行制御を停止するか否かを判定する。ステップS52の詳細は、図4を参照して後述する。
車両1の走行制御を停止する必要があると判定した場合(ステップS53でYES)、ステップS54へ進み、車両1の走行制御を停止する。具体的には、緊急停止判定装置11は、自動運転制御装置13に対して、緊急停止信号を送信する。緊急停止信号を受信した自動運転制御装置13は、車両1の走行制御を停止する。具体的に、車両1の走行を制御する制御シーンにおいて車両1の走行制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13は、車両1を安全に停車することができる場所まで移動して車両1を停車させる。
ステップS55に進み、自動運転制御装置13は、通信部29を介して、管制センターに自動運転制御(走行制御、ドア開制御、ドア閉制御を含む)の停止を連絡して、異常処理を実施する。具体的に、車両1の自動運転制御を停止すると判定した場合(S53でYES)、車両1の自動運転制御を停止した(S54)後に、車両1の制御の主導権を車両1の自動運転制御装置13から人間(管制センター)に移管する。
一方、車両1の走行制御を停止する必要がないと判定した場合(ステップS53でNO)、図3に示す緊急停止処理(例外処理ルーチン)を終了し、中断していた走行制御(図2A及び図2B)を中断した位置から再開する。
ステップS51において走行制御シーンでない場合(S51でNO)、ステップS56へ進み、車両1のドア28を開く制御の途中であるか否か、即ち、ドア開制御シーンであるか否かを判断する。ドア開制御シーンである場合(S56でYES)、ステップS57に進み、緊急停止判定装置11は、ドア開制御シーンに対して定義された判定関数15(関数の他の例)を読み込み、判定関数15を用いて車両1の自動運転制御(ドア開制御)を停止するか否かを判定する。具体的には、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲を、判定関数15に入力した時の出力値から、車両1のドア開制御を停止するか否かを判定する。ステップS57の詳細は、図5を参照して後述する。
車両1のドア開制御を停止する必要があると判定した場合(ステップS58でYES)、ステップS59へ進み、車両1のドア開制御を停止する。具体的には、緊急停止判定装置11は、自動運転制御装置13に対して、緊急停止信号を送信する。緊急停止信号を受信した自動運転制御装置13は、車両1のドア開制御を停止する。具体的に、車両1のドア28を開く動作を制御する制御シーンにおいて車両1のドア開制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13は、ドア28を開く動作を停止する。その後、ステップS55へ進む。
一方、車両1のドア開制御を停止する必要がないと判定した場合(ステップS58でNO)、図3に示す緊急停止処理(例外処理ルーチン)を終了し、中断していたドア開制御(図2A及び図2B)を中断した位置から再開する。
ステップS56においてドア開制御シーンでない場合(S56でNO)、ステップS60へ進み、車両1のドア28を閉じる制御の途中であるか否か、即ち、ドア閉制御シーンであるか否かを判断する。ドア閉制御シーンである場合(S60でYES)、ステップS61に進み、緊急停止判定装置11は、ドア閉制御シーンに対して定義された判定関数15(関数の他の例)を読み込み、判定関数15を用いて車両1の自動運転制御(ドア閉制御)を停止するか否かを判定する。具体的には、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲を、判定関数15に入力した時の出力値から、車両1のドア閉制御を停止するか否かを判定する。ステップS61の詳細は、図6を参照して後述する。
車両1のドア閉制御を停止する必要があると判定した場合(ステップS62でYES)、ステップS63へ進み、車両1のドア閉制御を停止する。具体的には、緊急停止判定装置11は、自動運転制御装置13に対して、緊急停止信号を送信する。緊急停止信号を受信した自動運転制御装置13は、車両1のドア閉制御を停止する。具体的に、車両1のドア28を閉じる動作を制御する制御シーンにおいて車両1のドア閉制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13は、ドア28を閉じる動作を停止する。その後、ステップS55へ進む。
次に、図4を参照して、図3のステップS52の詳細な手順を説明する。ステップS101において、外装パネルセンサ12が車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する。ステップS102に進み、車速センサ20が車速を検出する。
ステップS103に進み、カメラ30が車両1の周囲を撮像して、映像を取得する。ステップS104に進み、自己位置検出センサ19が車両1の現在位置を検出する。緊急停止判定装置11は、地図データ及び現在位置から、走行している場所の種別(市街地、高速道路、乗降エリアの周辺など)を特定する。
ステップS105に進み、緊急停止判定装置11は、走行制御シーンに対して予め定義された判定関数15を読み込み、判定関数15に、ステップS101で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲、ステップS102で検出した車速、ステップS103で取得した映像、ステップS104で検出した車両1の現在位置を代入する。判定関数15から、推定される物体の種類が出力される。
判定関数15は、過去の走行制御シーンにおいて、外装パネルに触れた物体の種類と、外装パネルにその物体が触れた時に取得されたデータ、具体的には、外装パネルセンサ12の測定データ、車速、映像、車両1の現在位置、走行している場所の種別とを教師データ又は訓練データとして機械学習により学習することにより生成される学習済みの判定モデルである。教師あり学習において、深層学習モデルの1つであるリカレントニューラルネットワーク(RNN)のうちのLSTMネットワーク((Long Short Term Memory)を採用して、機械学習プラットフォーム(判定関数15の一例)を構築する。
ステップS106に進み、緊急停止判定装置11は、判定関数15から出力された物体の種類が、走行制御シーンに対して予め定義された物体リスト16に含まれているか否かを判断する。物体リスト16に含まれている場合(S106でYES)、車両1を緊急停止する必要があると判定する(S107)。一方、物体リスト16に含まれていない場合(S106でNO)、車両1を緊急停止する必要はないと判定する(S108)。このように、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を、関数に入力した時の出力値から、車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する。
次に、図5を参照して、図3のステップS57の詳細な手順を説明する。ステップS101において、外装パネルセンサ12が車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する。停車中の処理のため、図4のステップS102は実行しない。
ステップS103に進み、カメラ30が車両1の周囲を撮像して、映像を取得する。ステップS104に進み、自己位置検出センサ19が車両1の現在位置を検出する。緊急停止判定装置11は、地図データ及び現在位置から、停車している場所の種別(市街地、高速道路、乗降エリアなど)を特定する。
ステップS155に進み、緊急停止判定装置11は、ドア開制御シーンに対して予め定義された判定関数15を読み込み、判定関数15に、ステップS101で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲、ステップS103で取得した映像、ステップS104で検出した車両1の現在位置を代入する。判定関数15から、推定される物体の種類が出力される。
判定関数15は、過去のドア開制御シーンにおいて、外装パネルに触れた物体の種類と、外装パネルにその物体が触れた時に取得されたデータ、具体的には、外装パネルセンサ12の測定データ、映像、車両1の現在位置、走行している場所の種別とを教師データ又は訓練データとして機械学習により学習することにより生成される学習済みの判定モデルである。
ステップS156に進み、緊急停止判定装置11は、判定関数15から出力された物体の種類が、ドア開制御シーンに対して予め定義された物体リスト16に含まれているか否かを判断する。物体リスト16に含まれている場合(S156でYES)、ドア28を開く動作を緊急停止する必要があると判定する(S157)。一方、物体リスト16に含まれていない場合(S156でNO)、ドア28を開く動作を緊急停止する必要はないと判定する(S158)。このように、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を、関数に入力した時の出力値から、車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する。
次に、図6を参照して、図3のステップS61の詳細な手順を説明する。ステップS101において、外装パネルセンサ12が車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する。停車中の処理のため、図4のステップS102は実行しない。
ステップS103に進み、カメラ30が車両1の周囲を撮像して、映像を取得する。ステップS104に進み、自己位置検出センサ19が車両1の現在位置を検出する。緊急停止判定装置11は、地図データ及び現在位置から、停車している場所の種別(市街地、高速道路、乗降エリアなど)を特定する。
ステップS205に進み、緊急停止判定装置11は、ドア閉制御シーンに対して予め定義された判定関数15を読み込み、判定関数15に、ステップS101で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲、ステップS103で取得した映像、ステップS104で検出した車両1の現在位置を代入する。判定関数15から、推定される物体の種類が出力される。
判定関数15は、過去のドア閉制御シーンにおいて、外装パネルに触れた物体の種類と、外装パネルにその物体が触れた時に取得されたデータ、具体的には、外装パネルセンサ12の測定データ、映像、車両1の現在位置、走行している場所の種別とを教師データ又は訓練データとして機械学習により学習することにより生成される学習済みの判定モデルである。
ステップS206に進み、緊急停止判定装置11は、判定関数15から出力された物体の種類が、ドア閉制御シーンに対して予め定義された物体リスト16に含まれているか否かを判断する。物体リスト16に含まれている場合(S206でYES)、ドア28を閉じる動作を緊急停止する必要があると判定する(S207)。一方、物体リスト16に含まれていない場合(S206でNO)、ドア28を閉じる動作を緊急停止する必要はないと判定する(S208)。このように、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を、関数に入力した時の出力値から、車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する。
本実施形態では、車速、映像、車両1の現在位置、走行している場所の種別を教師データ又は訓練データとして機械学習により学習する判定関数15を例示するが、車速、映像、車両1の現在位置、走行している場所の種別を学習しない判定関数15を用いることも可能である。外装パネルセンサ12の測定データのみから、外装パネルに接触した物体を推定する判定関数を用いても構わない。
本実施形態では、走行制御シーン、ドア開制御シーン、及びドア閉制御シーンの各々に特化した判定関数15を用いて、外装パネルに接触した物体を推定した。走行制御シーン、ドア開制御シーン、及びドア閉制御シーンの各々における学習データのみを学習することにより、走行制御シーン、ドア開制御シーン、及びドア閉制御シーンの各々に特化した判定関数15を生成することができる。しかし、図2A及び図2Bの全ての制御シーンに共通する判定関数15を用いても構わない。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する外装パネルセンサ12が、少なくとも車両1の側面に位置する外装パネルの全体に配置されている。緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12を用いて、力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を測定し、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲に基づいて、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する。これにより、車両1の側面に位置する外装パネルに加わる力、外装パネルに生じる加速度、又は外装パネルの変形の大きさ及び範囲に基づいて、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定することができる。このため、車両1の近くに居る人間が、車両1の側面に位置する外装パネルの何れかの部分に触れることで、車外から車両1の自動運転制御を緊急停止させることができる。よって、従来のように、非常停止ボタンの位置に依存することなく、直ちに、無人運転車両又は自動運転車両を緊急停止させることができる。
車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する判定関数15を、車両1の制御シーン毎に定義し、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲を、判定関数15に入力した時の出力値から、車両1の自動運転制御を停止するか否かを判定する。これにより、車両1の周囲にいる人間が自動運転制御を緊急停止させる意思を持って外装パネルに触れることにより、自動運転制御を緊急停止させることができる。
車両1の走行を制御する制御シーン(走行制御シーン)において車両1の自動運転制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13は、車両1を安全に停車することができる場所まで移動して車両1を停車させる。これにより、走行制御シーンにおいて自動運転制御を適切に緊急停止させることができる。
車両1が備えるドア28の開閉動作を制御する制御シーン(ドア開制御シーン及びドア閉制御シーン)において車両1の自動運転制御を停止すると判定した場合、自動運転制御装置13は、ドア28の開閉動作を停止させる。これにより、ドア開制御シーン及びドア閉制御シーンにおいて自動運転制御を適切に緊急停止させることができる。
車両1の自動運転制御を停止すると判定した場合、車両1の自動運転制御を停止した後に、車両1の制御の主導権を車両1の自動運転制御装置13から人間に移管する。これにより、自動運転制御を緊急停止させた後、適切に車両1の制御を引き継ぐことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、機械学習により生成された判定関数15を用いずに、外装パネルに入力される力、加速度、又は外装パネルの変形から自動運転制御を停止するか否かを判定する緊急停止判定装置11及び緊急停止方法を説明する。
車両1に搭載されたハードウェアの構成は、図1に示した構成と同じであり、説明を省略する。また、自動運転制御装置13が実行する車両1の制御シーンの例、及び各制御シーンにおける詳細な制御手順も、図2A及び図2Bに示したものと同じであり、説明を省略する。
第2実施形態では、緊急停止判定装置11が車両1の自動運転制御を停止する緊急停止方法が、図3に示す第1実施形態と相違している。図7を参照して、第2実施形態に係る、緊急停止判定装置11が車両1の自動運転制御を停止する緊急停止方法の一例を説明する。
図7に示す緊急停止判定装置11による緊急停止処理は、図2A及び図2Bに示した自動運転制御において例外的に発生する割込み処理である。図2A及び図2Bに示した自動運転制御の実行中において、外装パネルに何らかの物体が接触した場合に、自動運転制御を中断して図3に示す緊急停止処理(例外処理ルーチン)が開始される。
図7の緊急停止処理は、緊急停止判定装置11が、外装パネルに加わる力を検出したことを示す信号を外装パネルセンサ12から受信したときに開始される。緊急停止判定装置11は、緊急停止判定処理(例外処理ルーチン)を開始する。なお、図7は、図2A及び図2Bに示す様々な制御シーンのうち、走行制御シーンにおいて外装パネルに何らかの物体が接触した場合を例にとり、説明する。走行制御シーンに限らず、その他の制御シーン(ドア開制御シーン、ドア閉制御シーン)にも同様にして適用可能である。
まず、ステップS301において、現在の制御シーンが走行制御シーンであることを確認する。ステップS302に進み、車速センサ20が車速を検出する。ステップS303に進み、自己位置検出センサ19が車両1の現在位置を検出する。緊急停止判定装置11は、地図データ及び現在位置から、走行している場所の種別(市街地、高速道路、乗降エリアの周辺など)を特定する。ステップS304に進み、外装パネルセンサ12が車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定する。
ステップS305に進み、緊急停止判定装置11は、通常走行時から乖離した力、加速度、又は変形が、外装パネルに入力されたか否かを、判定する。
具体的には、先ず、通常走行時における、車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルの変形の大きさ及び範囲を示すデータを予めメモリに記憶しておく。本実施形態では、図1に示す通常走行時データ14がこれに相当する。通常走行時データ14は、車両1の走行速度ごと、例えば、毎時5km、10km、20km、30km、40km、・・・の各々に用意されていてもよい。さらに、走行している場所の種別(市街地、高速道路、乗降エリアの周辺)ごとに、用意されていてもよい。
緊急停止判定装置11は、メモリに記憶された通常走行時データ14、つまり、力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲と、ステップS304で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲との差異がしきい値よりも大きい場合に、車両1の自動運転制御を停止する必要があると判定する。つまり、緊急停止判定装置11は、メモリに記憶された通常走行時データ14とステップS304で測定したデータとを比較して、両者の差異を算出する。この差異を予め定めたしきい値と比較し、差異がしきい値よりも大きい場合に(S305でYES)、通常走行時から乖離した力、加速度、又は変形が、外装パネルに入力されたと判断して、ステップS306に進み、車両1の自動運転制御を停止する。
緊急停止判定装置11は、差異がしきい値以下である場合、車両1の自動運転制御を停止する必要がないと判定する(S305でNO)。車両1の自動運転制御を停止せずに、図7のフローは終了する。
ここで使用する「しきい値」は、車両1の制御シーン毎、或いは走行している場所の種別毎に、予め定められている。車両の制御シーン、又は走行している場所の種別に応じて、判定に用いるしきい値を変化させる。さらに、車速に応じて、しきい値を変化させてもよい。車速が速くなるほど、走行中の風や雨、飛び石の衝突による力が大きくなるので、これに応じて、しきい値も大きくする必要がある。
ステップS305の代替例として、緊急停止判定装置11は、外装パネルに入力される力、加速度、又は変形の各々について、その大きさと範囲とで異なるしきい値(第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2)を予め設定し、図8に示す判定基準に従って、車両の自動運転制御の停止を判定してもよい。外装パネルに入力される力の強さ及び範囲を例にとると、緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さが第1しきい値Th1よりも強く、且つ、外装パネルセンサ12で測定した力の範囲が第2しきい値Th2よりも狭い場合に、車両1の自動運転制御を停止する必要があると判断する。この場合、走行中の飛び石の衝突(第1しきい値Th1)よりも大きな力が、走行中の雨又は風により受ける力の範囲(第2しきい値Th2)よりも狭い範囲に入力されるため、人間が車両1の自動運転制御を停止する意図を持って掌を外装パネルに触れたと判断することができる。図8に示す基準を用いることにより、走行中の飛び石の衝突や走行中の雨及び風から、人間の意図を持った掌の接触を判別することができる。
緊急停止判定装置11は、外装パネルセンサ12で測定した力の強さが第1しきい値Th1以下である場合、或いは、外装パネルセンサ12で測定した力の範囲が第2しきい値Th2と同じ又はよりも広い場合、車両1の自動運転制御を停止する必要はないと判断する。
図8では外装パネルに入力される力の強さ及び範囲を例にとったが、外装パネルに生じる加速度又は変形の各々の大きさ及び範囲についても、図8と同様な判定基準を適用することができる。
走行中の強風やロードノイズ、ハーシュネスによって、第2しきい値Th2よりも広い範囲で、力が加わり、或いは加速度又は変形が発生する。よって、走行中に強風やロードノイズ、ハーシュネスが発生した場合、図8に示す基準に照合することにより、通常走行に障害が無いため、自動運転制御を停止する必要は無いと判定することができる。
走行中に外装パネルに小石又は虫が衝突した場合、第1しきい値Th1以下の大きさの、力が外装パネルに加わり、外装パネルに加速度又は変形が発生する。よって、走行中に小石又は虫が衝突した場合、図8に示す基準に照合することにより、通常走行に障害が無いため、自動運転制御を停止する必要は無いと判定することができる。
これに対して、例えば、降車後にドア28が閉まる際に乗客の衣服や持ち物がドア28に挟まれたため、乗客が車両1のドア、ガラス又はフェンダーを掌で叩いた場合、図8に示す基準に照合することにより、通常走行に障害が有るため、自動運転制御を停止する必要があると判定することができる。
本実施形態によれば、以下の作用効果を得られる。
図2A及び図2Bに示す車両1の制御シーンに応じて、車両1の自動運転制御を停止するか否かの判定に用いるしきい値、第1しきい値Th1、又は第2しきい値Th2を変化させる。例えば、走行中は飛び石又は虫の衝突時に停車中よりも強い力が加わるため、第1しきい値Th1を大きく設定する。これにより、緊急停止の誤判定を抑制できる。
車両1の走行場所の種別に応じて、車両1の自動運転制御を停止するか否かの判定に用いるしきい値を変化させる。例えば、市街地又は停車エリアの周辺では、高速道路に比べて、車両1の周囲に人間がいる可能性が高くなるため、しきい値又は第1しきい値Th1を下げて、車外から緊急停止し易くする。これにより、緊急停止の必要性を適切に判定することができる。
通常走行時における、車両1の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は外装パネルの変形の大きさ及び範囲(通常走行時データ14)がメモリに記憶されている。メモリに記憶された通常走行時データ14と、外装パネルセンサ12で測定した力の強さ及び範囲、加速度の大きさ及び範囲、又は変形の大きさ及び範囲との差異がしきい値よりも大きい場合に、車両1の自動運転制御を停止する。機械学習により学習した判定関数を用いることなく、緊急停止の必要性を適切に判定することができる。
外装パネルセンサ12で測定した力の強さが第1しきい値よりも強く、且つ、外装パネルセンサ12で測定した力の範囲が第2しきい値よりも狭い場合に、車両1の自動運転制御を停止する。例えば、走行中の飛び石の衝突(第1しきい値Th1)よりも大きな力が、走行中の雨又は風により受ける力の範囲(第2しきい値Th2)よりも狭い範囲に入力されるため、人間が車両1の自動運転制御を停止する意図を持って掌を外装パネルに触れたと判断することができる。よって、走行中の飛び石の衝突や走行中の雨及び風から、人間の意図を持った掌の接触を判別することができる。
(その他の実施形態)
緊急停止判定装置11は、車両1の自動運転制御を停止するか否かの判定を、車両1が目的地に到着してから目的地を出発して所定時間が経過するまでの期間、あるいは、車両1が目的地に到着してから目的地を出発して所定距離を走行するまでの期間において実施してもよい。上記したように、車両1の周囲に居る人間が、車両1の自動運転制御(走行制御、ドア開閉制御)を停止させる意図を持って車両1の外装パネルに触れることは、通常走行時には発生することは少なく、車両1が停車している時、例えば、車両1への乗降時、ドアの開閉時、又はその後に走行し始めてから所定時間及び所定距離に限定される。
そこで、緊急停止判定装置11は、車両1の自動運転制御を停止するか否かの判定を、車両1が目的地に到着してから目的地を出発して所定時間が経過するまでの期間、あるいは、車両1が目的地に到着してから目的地を出発して所定距離を走行するまでの期間に限定する。緊急停止判定装置11は、地図データ及び車両1の現在位置から、目的地を出発して所定距離を走行したか否かを判断することができる。これにより、車両1の近くに居る人間が外装パネルの何れかの部分に触れるタイミングを限定することができる。通常走行時に発生する走行振動、強風、ロードノイズ、ハーシュネス、飛び石、又は虫の接触などに起因して自動運転制御が停止されることを抑制できる。つまり、緊急停止の誤作動を抑制できる。
外装パネルセンサ12は、車両1の側面に位置する外装パネルの全体のみならず、及び車両1の上面に位置する外装パネルの全体に配置されていてもよい。外装パネルセンサ12が、車両1の側面のみならず、車両1の上面にも配置されている場合、車両の上方(崖)からの落石が車両1のボンネットやルーフにぶつかった場合に、乗客が車両1のドア又はフェンダーを掌で叩いた場合と同様にして、自動運転制御を停止する必要があると判定することができる。
なお、上述の実施形態は、本発明を実施する形態の例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、これ以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 車両
11 緊急停止判定装置
12 外装パネルセンサ(センサ)
13 自動運転制御装置
14 通常走行時データ
15 判定関数(関数)
28 ドア
Th1 第1しきい値
Th2 第2しきい値

Claims (12)

  1. 車両の外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、前記外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は前記外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定するセンサが、少なくとも前記車両の側面に位置する前記外装パネルの全体に配置された前記車両の緊急停止方法であって、
    前記センサを用いて、前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲を測定し、
    前記センサで測定した前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲に基づいて、前記車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する
    ことを特徴とする車両の緊急停止方法。
  2. 前記車両の自動運転制御を停止するか否かの判定は、前記車両が目的地に到着してから前記目的地を出発して所定時間が経過するまでの期間、あるいは、前記車両が前記目的地に到着してから前記目的地を出発して所定距離を走行するまでの期間において実施することを特徴とする請求項1に記載の車両の緊急停止方法。
  3. 前記車両の制御シーンに応じて、前記車両の自動運転制御を停止するか否かの判定に用いるしきい値を変化させる請求項1又は2に記載の車両の緊急停止方法。
  4. 前記車両の走行場所の種別に応じて、前記車両の自動運転制御を停止するか否かの判定に用いるしきい値を変化させる請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  5. 前記車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する関数を、前記車両の制御シーン毎に定義し、
    前記センサで測定した前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲を、前記関数に入力した時の出力値から、前記車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  6. 前記車両の走行を制御する制御シーンにおいて前記車両の自動運転制御を停止すると判定した場合、前記車両を安全に停車することができる場所まで移動して前記車両を停車させる請求項1~5のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  7. 前記車両が備えるドアの開閉動作を制御する制御シーンにおいて前記車両の自動運転制御を停止すると判定した場合、前記ドアの開閉動作を停止させる請求項1~6のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  8. 前記車両の自動運転制御を停止すると判定した場合、前記車両の自動運転制御を停止した後に、前記車両の制御の主導権を前記車両の自動運転制御装置から人間に移管する請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  9. 通常走行時における、前記外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、前記外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は前記外装パネルの変形の大きさ及び範囲をメモリに記憶し、
    前記メモリに記憶された前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲と、前記センサで測定した前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲との差異がしきい値よりも大きい場合に、前記車両の自動運転制御を停止する請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の緊急停止方法。
  10. 前記センサで測定した前記力の強さが第1しきい値よりも強く、且つ、前記センサで測定した前記力の範囲が第2しきい値よりも狭い場合に、前記車両の自動運転制御を停止する請求項1又は2に記載の車両の緊急停止方法。
  11. 車両の自動運転制御を実行する自動運転制御装置と、
    前記車両の外装パネルのうち少なくとも前記車両の側面に位置する前記外装パネルの全体に配置され、前記外装パネルに加わる力の強さ及び範囲、前記外装パネルに生じる加速度の大きさ及び範囲、又は前記外装パネルに生じる変形の大きさ及び範囲の何れかを測定するセンサと、
    前記センサで測定した前記力の強さ及び範囲、前記加速度の大きさ及び範囲、又は前記変形の大きさ及び範囲に基づいて、前記車両の自動運転制御を停止するか否かを判定する緊急停止判定装置と、
    を備えることを特徴とする車両。
  12. 前記センサは、前記車両の側面に位置する前記外装パネルの全体、及び前記車両の上面に位置する前記外装パネルの全体に配置されている請求項11に記載の車両。
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