以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る車両用制御装置の構成を示すブロック図である。車両用制御装置10は、通信制御部12、外部センサ14、GPS(Global Positioning System)受信部16、内部センサ18、地図データベース20、及びナビゲーションシステム22を含んで構成されている。通信制御部12、外部センサ14、GPS受信部16、内部センサ18、地図データベース20、及びナビゲーションシステム22は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク24に各々接続されている。車載ネットワーク24には、自動運転制御ECU(Electronic Control Unit)26、HMI(Human Machine Interface)28、及びアームレスト制御ECU32の各々が更に接続されている。なお、自動運転制御ECU26は運転制御部及び制御部に対応し、アームレスト制御ECU32は制御部に対応する。
通信制御部12は、車両と該車両の外部との間で車両の周辺情報等を授受する。例えば、道路側に設けられたインフラ(例えば、光ビーコン等)と通信を行い、交通情報等の周辺情報を受信する。また、通信制御部12は、クラウド等の外部のサーバなどと携帯電話通信網等のネットワークを介して通信する。通信制御部12は、取得した周辺情報等の情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。
外部センサ14は、車両の周辺情報である外部状況を検出する。外部センサ14は、カメラ、レーダー(Radar)、及びライダー(LIDER:Laser Imaging Detection and Ranging)のうち少なくとも一つを含む。カメラは、例えば、車両のフロントガラス上部の室内側に設けられ、車両の外部状況を撮影することにより撮像情報を取得する。カメラは、取得した撮像情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラの場合、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有する。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まる。レーダーは、電波(例えばミリ波)を車両の周囲に送信し、障害物で反射された電波を受信することで障害物を検出し、検出した障害物情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。ライダーは、光を車両の周囲に送信し、障害物で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測し、障害物を検出する。ライダーは、検出した障害物情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。なお、カメラ、ライダー及びレーダーは、必ずしも重複して備える必要はない。
GPS受信部16は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両の位置(例えば車両の緯度及び経度)を測位する。GPS受信部16は、測位した車両の位置情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。なお、GPS受信部16に代えて、車両の緯度及び経度が特定できる他の手段を用いてもよい。また、車両の方位を測定する機能を持たせることは、センサの測定結果と後述する地図情報との照合のために好ましい。
内部センサ18は、車両の走行時の各種物理量を検出することにより走行状態等の車両状況を検出する。内部センサ18は、例えば、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車速センサは、例えば、車両の車輪又は車輪と一体に回転するハブやロータ、ドライブシャフト等に設けられ、車輪の回転速度を検出することで車速を検出する。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。加速度センサは、車両の加減速や、旋回、衝突等によって発生する加速度を検出する。加速度センサは、例えば、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両の左右方向(車幅方向)の横加速度を検出する横加速度センサと、車両の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサと、を含む。加速度センサは、車両の加速度情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。ヨーレートセンサは、車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出したヨーレート情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。
地図データベース20は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベース20は、例えば、車両に搭載されたHDD(Hard disk drive)内に記憶される。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報が含まれる。さらに、建物や壁等の遮蔽構造物の位置情報、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を使用するために、地図情報に外部センサ14の出力信号を含ませてもよい。なお、地図データベース20は、車両と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶してもよい。
ナビゲーションシステム22は、車両の乗員としての運転者によって設定された目的地まで、車両の運転者に対して案内を行う。ナビゲーションシステム22は、GPS受信部16によって測位された車両の位置情報と地図データベース20の地図情報とに基づいて、車両の走行するルートを算出する。ルートは、複数車線の区間において好適な車線を特定したものであってもよい。ナビゲーションシステム22は、例えば、車両の位置から目的地に至るまでの目標ルートを演算し、ディスプレイへの表示及びスピーカの音声出力により目標ルートを運転者に報知する。ナビゲーションシステム22は、車両の目標ルートの情報を車載ネットワーク24に接続された機器へ送信可能とされている。なお、ナビゲーションシステム22の機能は、車両と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに格納してもよい。
自動運転制御ECU26は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータで構成されている。また、自動運転制御ECU26には、検知部としてのステアリング把持センサ33、アクチュエータ35、補助機器36、制動灯38、及びHMI28が接続されている。
自動運転制御ECU26は、ROMに予め記憶されたプログラムをRAMに展開してCPUが実行することで、アクチュエータ35、補助機器36、制動灯38、及びHMI28等の動作を制御して自動運転を行う。なお、自動運転制御ECU26は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
ステアリング把持センサ33は、ステアリングホイールへの運転者の接触を検知する。そして、自動運転制御ECU26が、ステアリング把持センサ33の検知結果に基づいて、自動運転から手動運転へ切り替える切り替え制御(詳細は後述)を行う。ステアリング把持センサ33としては、ステアリングホイール上の静電センサ、ステアリングホイール上の感圧センサ、ステアリングホイール上のスイッチなど形態を問わない。
アクチュエータ35は、車両の自動運転制御を行う場合の制御対象であり、自動運転制御ECU26がアクチュエータ35の動作を制御することにより車両の走行制御を行う。具体的には、アクチュエータ35は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。スロットルアクチュエータは、自動運転制御ECU26の指示に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両の駆動力を制御する。なお、車両がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータを含まず、動力源としてのモータに自動運転制御ECU26の指示が入力されて当該駆動力が制御される。ブレーキアクチュエータは、自動運転制御ECU26の指示に応じてブレーキシステムを制御し、車両の車輪へ付与する制動力を制御すると共に、制動灯38の点灯を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、自動運転制御ECU26の指示に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両の操舵トルクを制御する。補助機器36は、通常、車両の運転者によって操作され得る機器である。補助機器36は、アクチュエータ35に含まれない機器を総称したものである。ここでの補助機器36は、例えば、方向指示灯や、前照灯、ワイパー等を含む。
詳細には、自動運転制御ECU26は、車両位置認識部40、外部状況認識部42、走行状態認識部44、走行計画生成部46、走行制御部48、及び補助機器制御部50を含んで構成されている。自動運転制御ECU26は、上記各部により車両の周辺情報と地図情報とに基づいて予め設定された目標ルートに沿った走行計画を生成し、生成した走行計画に従って車両が自立走行するよう運転を制御する。
車両位置認識部40は、GPS受信部16で受信した車両の位置情報、及び地図データベース20の地図情報に基づいて、地図上における車両の位置(以下、「車両位置」という)を認識する。なお、車両位置認識部40は、ナビゲーションシステム22で用いられる車両位置を該ナビゲーションシステム22から取得して認識してもよい。車両位置認識部40は、道路等の外部に設置されたセンサで車両位置が測定され得る場合、このセンサから通信によって車両位置を取得してもよい。
外部状況認識部42は、通信制御部12が取得した周辺情報や外部センサ14の検出結果(例えば、カメラの撮像情報や、レーダーの障害物情報、ライダーの障害物情報等)に基づいて、車両の外部状況を認識する。外部状況は、例えば、車両に対する走行車線の白線の位置や、車線中心の位置、道路幅、道路形状、車両の周辺の障害物の状況等を含む。なお、道路形状としては、例えば、走行車線の曲率、外部センサ14の見通し推定に有効な路面の勾配変化、うねり等がある。また、車両の周辺の障害物の状況としては、例えば、固定障害物と移動障害物を区別する情報、車両に対する障害物の位置、車両に対する障害物の移動方向、車両に対する障害物の相対速度等がある。また、外部センサ14の検出結果と地図情報とを照合することにより、GPS受信部16等で取得される車両の位置及び方向の精度を補うことは好適である。
走行状態認識部44は、内部センサ18の検出結果(例えば、車速センサの車速情報、加速度センサの加速度情報、ヨーレートセンサのヨーレート情報等)に基づいて、車両の走行状態を認識する。車両の走行状態には、例えば、車速、加速度、ヨーレートが含まれる。
走行計画生成部46は、例えば、ナビゲーションシステム22で演算された目標ルート、車両位置認識部40で認識された車両位置、及び、外部状況認識部42で認識された車両の外部状況(車両位置、方位を含む)に基づいて、車両の進路を生成する。生成する進路としては、目標ルートにおいて車両が進む軌跡を生成する。走行計画生成部46は、目標ルート上において車両が安全、法令順守、走行効率等の基準に照らして好適に走行するように進路を生成する。このとき、走行計画生成部46は、車両の周辺の障害物の状況に基づき、障害物との接触を回避するように車両の進路を生成することはいうまでもない。なお、上記目標ルートには、例えば、特許5382218号公報(WO2011/158347号公報)や特開2011−162132号公報等における道なり走行のように、目的地の設定が運転者から明示的に行われていない際に、外部状況や地図情報に基づき自動的に生成される走行ルートも含まれる。走行計画生成部46は、生成した進路に応じた走行計画を生成する。すなわち、走行計画生成部46は、少なくとも車両の周辺情報である外部状況と地図データベース20の地図情報とに基づいて、予め設定された目標ルートに沿った走行計画を生成する。走行計画生成部46は、好ましくは、生成する走行計画を、車両の進路を車両に固定された座標系での目標位置pと各目標点での速度vとの二つの要素からなる組、すなわち配位座標(p、v)を複数持つものとして出力する。ここで、それぞれの目標位置pは、少なくとも車両に固定された座標系でのx座標、y座標の位置もしくはそれと等価な情報を有する。なお、走行計画は、車両の挙動を記すものであれば特に限定されるものではない。走行計画は、例えば、速度vの代わりに目標時刻tを用いてもよいし、目標時刻tとその時点での車両の方位とを付加したものでもよい。また、通常、走行計画は、概ね現在時刻から数秒先の将来のデータで充分であるが、交差点の右折、車両の追い越し等の状況によっては数十秒のデータが必要となるので、走行計画の配位座標の数は可変、且つ配位座標間の距離も可変とすることが好ましい。さらに、配位座標をつなぐ曲線をスプライン関数等で近似し、当該曲線のパラメータを走行計画としてもよい。走行計画の生成としては、車両の挙動を記すことができるものであれば、任意の公知方法を用いることができる。また、走行計画は、目標ルートに沿った進路を車両が走行する際における、車両の車速、加減速度及び操舵トルク等の推移を示すデータとしてもよい。走行計画は、車両の速度パターン、加減速度パターン及び操舵パターンを含んでいてもよい。ここでの走行計画生成部46は、旅行時間(車両が目的地に到着するまでに要される所要時間)が最も小さくなるように、走行計画を生成してもよい。ちなみに、速度パターンとは、例えば、進路上に所定間隔(例えば1m)で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標車速からなるデータである。加減速度パターンとは、例えば、進路上に所定間隔(例えば1m)で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標加減速度からなるデータである。操舵パターンとは、例えば、進路上に所定間隔(例えば1m)で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標操舵トルクからなるデータである。
走行制御部48は、走行計画生成部46で生成した走行計画に基づいて車両の走行を自動で制御する。走行制御部48は、走行計画に応じた制御信号をアクチュエータ35に出力する。これにより、走行制御部48は、走行計画に沿って車両が自立走行するように、車両の運転を制御する。また、自立走行するために、走行制御部48は、車両の走行を制御する際に、車両位置認識部40、外部状況認識部42、及び走行状態認識部44の各認識結果を監視しながら走行計画に従って車両の走行を制御するようになっている。
補助機器制御部50は、走行計画生成部46で生成した走行計画にHMI28から出力される信号を統合して補助機器36を制御する。
HMI28は、乗員への車両の状態等の各種情報の報知と、乗員からの情報の入力とを行う。HMI28は、例えば、方向指示灯、前照灯、ワイパー等を操作するためのスイッチ、自動運転に関する切り替えスイッチ、各種情報を表示するディスプレイ、操作入力を行うための操作部、及び各種情報を報知するための発光デバイスやスピーカ等を含む。なお、自動運転に関する切り替えスイッチは、自動運転と手動運転との切り替えの指示や、自動運転から手動運転への切り替えの終了の指示等が可能とされている。
自動運転による制御が車両に導入される場合、運転者による手動運転が全く不要となる完全自動運転の制御だけではなく、自動運転の継続が難しいときには運転者に手動運転の復帰を要請する制御が併せて導入されることが考えられる。
運転者に対する手動運転の復帰要請は、走行経路などから事前に予定されている場合と、周囲の環境や車両状態の変化などによって急に行われる場合がある。しかし、自動運転の継続中は、運転者の意識が運転行動から離れているため、特に、急な手動運転の復帰要請がなされた場合、運転者がすぐに手動運転に復帰することは難しい。
また、自動運転の継続中に運転者がステアリングホイールを操作すると手動運転に戻す制御が行われる場合がある。この場合、自動運転を継続させるために、自動運転中においてハンドルは触ってはいけない対象となるため、運転者の意識はステアリングホイールの操作から離れた状態で時間が経過する。そのため、運転者に対して手動運転の復帰要請が行われるとき、急に「ハンドルを握ってください」「ハンドル操作をしてください」という情報をディスプレイ表示や音、音声などで伝えても、運転者はハンドルを触って良いのかがわからず、ハンドルを把持しようとしないという懸念がある。
また、自動運転の継続中において、運転者の状態がリラックス状態である場合、運転者は身体を瞬時に動かす状態にはなっておらず、急に「ハンドルを操作してください」と指示されても、手を動かし始めることすら時間がかかる懸念がある。そのため、表示や音、音声だけでは、手動運転への復帰に対する対応が不十分な場合がある。
そこで、本実施形態では、自動運転制御ECU26が、アームレスト54の位置の移動を制御することで、運転者が手動運転可能な状態となるよう支援する制御を行う。
アームレスト制御ECU32は、自動運転制御ECU26から出力された制御信号に応じてアームレストの移動制御を行う。アームレスト制御ECU32には、アームレストの位置を移動する移動部としてのアームレスト駆動部30が接続されている。アームレスト制御ECU32が、アームレスト駆動部30の駆動を制御することで、アームレストの位置が移動される。
具体的には、アームレスト制御ECU32は、自動運転制御ECU26によって自動運転から手動運転へ切り替えられる場合に、アームレストをステアリングホイール近くの予め定めた第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御する。そして、アームレスト制御ECU32は、第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御した後、ステアリング把持センサ33によってステアリングホイールへの乗員の接触または接触しようとする動作が検知された場合に、アームレストを運転の邪魔にならない予め定めた第2位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御する。
例えば、アームレスト制御ECU32はアームレスト駆動部30を駆動させることで、車両上下方向、車両前後方向、及び車両左右方向にアームレスト54を移動させ、アームレスト54の位置を図2の二点鎖線で示す位置や実線で示す位置に移動させることができる。
なお、アームレスト54は、ステアリングホイール56の近くへ移動した第1位置とステアリングホイール56から離れて運転に邪魔にならない第2位置とに移動可能とされている。第1位置及び第2位置は予め定められた位置としてもよいが、乗員によって予め登録した位置を適用してもよい。例えば、図2の二点鎖線で示す位置を第1位置とし、実線で示す位置を第2位置とすることができる。
また、アームレスト54の設置形態は、シート52のシート座面付け、シート52のシートバック付け、フロア付け、コンソール付け、ドアトリム付けなど、どのような形態であっても良い。またアームレスト54の設置位置は、左手側のみ、右手側のみ、両手のどの場合でも良い。
本実施形態では、自動運転から手動運転への復帰が運転者に対して要請された場合に、アームレスト54をステアリングホイール56方向へ移動させることで、運転者の手がステアリングホイール56に近づくことを補助する。運転者の手がステアリングホイール56に近づくことで、ステアリングホイール56を把持することへ抵抗感が減らされるため、運転者に対する身体的かつ心理的な補助に繋がる。また、ステアリングホイール56を把持した場合、運転者の運転行動の妨げにならないように、アームレスト54をステアリングホイール56から離れる方向へ移動させる。
なお、アームレスト54を第2位置へ待避させるタイミングは、運転者のステアリングホイール56への接触若しくはステアリングホイール56に乗員が接触しようとする動作を検知した場合、自動運転から手動運転への切り替え開始から予め定めた時間が経過した場合、又は手動運転への切り替えがステアリングホイール上のスイッチにより指示された場合が適用される。なお、運転者のステアリングホイール56への接触を検知した際にアームレスト54を第2位置へ移動させる場合には、ステアリング操作の邪魔にならない位置にアームレスト54を直ぐに待避させることができる。また、自動運転から手動運転への切り替え開始から予め定めた時間が経過した際にアームレスト54を第2位置へ移動させる場合には、ステアリングホイール56に運転者が触らなかった場合でも強制的に第2位置にアームレスト54を待避できる。また、手動運転への切り替えがステアリングホイール上のスイッチにより指示された際にアームレスト54を第2位置へ移動させる場合には、運転者のタイミングで、アームレスト54を第2位置に待避できる。ここで、ステアリングホイール56に運転者が接触しようとする動作の検知は、ステアリングホイール56と運転者の手との距離が予め定めた距離になったことを検知する。例えば、ステアリング把持センサ33として静電容量式を適用した場合には、接触する前の状態(ステアリングホイール56と乗員の手との距離がセンサ感度範囲に入った状態)である所謂ホバーリング状態を検知できるので、ホバーリング状態を検知する。また、ステアリング把持センサ33ではなく、車室内(例えば、天井等)にステアリングホイール周辺を検知範囲とするカメラを設けて、カメラの撮影画像から画像処理を用いて運転者がステアリングホイール56に接触しようとしている動作を検知してもよい。カメラの撮影画像から接触しようとしている動作を検知する場合には、撮影画像からステアリングホイール56と乗員の手との距離が予め定めた距離になったと判断した場合にステアリングホイール56に接触しようとしている動作をしていると判断してもよい。また、赤外線などの近接センサを設けて、運転者がステアリングホイール56に接触しようとしている動作を検知してもよい。なお、予め定めた距離としては、スイッチ等の操作ではなくステアリングホイール56を触ろうとしている動作であると判断できる距離を設定する。
カメラや赤外線などの近接センサを用いた場合、アームレストがステアリングホイール付近から早めに離れるため、手動運転への復帰の際にアームレストが邪魔になりにくくなる。
ここで、アームレスト54及びアームレスト駆動部30の構造例を、図3及び図4に示す。図3はアームレスト54及びアームレスト駆動部30の構造例の斜視図であり、図4はアームレスト54及びアームレスト駆動部30の構造例の側面図である。
図3及び図4に示すように、アームレスト制御ECU32によってアームレスト駆動部30が制御され、アームレスト駆動部30はアームレスト制御ECU32の制御に応じてアームレスト54を移動させる。アームレスト54の移動方向は、ステアリングホイール56に対する前後方向、上下方向、及び左右方向の何れであってもよい。また、ステアリングホイール56に対する前後方向、上下方向、及び左右方向を組み合わせた方向(例えば、ステアリングホイール56に対する斜め方向)であってもよい。
なお、アームレスト駆動部30としては、例えばラックアンドピニオン、クランク機構、及び油圧シリンダ等どのような駆動機構であってもよい。
次に、上述のように構成された本実施形態に係る車両用制御装置10で行われる処理について説明する。図5は、本実施形態に係る車両用制御装置10の自動運転制御ECU26によって自動運転から手動運転へ切り替えられる場合の、アームレスト制御の一例を示すフローチャートである。
ステップS100では、自動運転制御ECU26が、アームレスト54をステアリングホイール56の近くへ移動させてステップS102へ移行する。すなわち、自動運転制御ECU26が、アームレスト制御ECU32を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56の近くの予め定めた第1位置へアームレスト54を移動させる。これにより、手が自然にステアリングホイール56の位置へ移動され、運転操作の意識付けが高まる。また、アームレスト54を移動して体性感覚に運転復帰を働きかけることで、乗員の腕を動かして覚醒させることができる。なお、アームレスト54の初期位置は、ステアリングホイール56から離れて運転に邪魔にならない第2位置であるものとする。
ステップS100では、自動運転制御ECU26が、アームレスト制御ECU32を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56の近くの予め定めた第1位置でアームレスト54を維持する。
ステップS104では、自動運転制御ECU26が、ステアリング把持センサ33によって運転者のステアリングホイール56への接触(ステアリングタッチ)を検知したか否かを判定する。ステアリングタッチの検知は、詳細にはステアリング把持センサ33によって運転者のステアリングホイール56への接触またはステアリングホイール56に乗員が接触しようとする動作(例えば、ホバーリング状態)を検知したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップS102へ移行し、肯定された場合にはステップS106へ移行する。なお、ステップS104の判定は、運転者のステアリングホイール56への接触のみを検知したか否かを判定してもよい。
ステップS106では、自動運転制御ECU26が、アームレスト54をステアリングホイール56から遠くへ移動させる。すなわち、自動運転制御ECU26が、アームレスト制御ECU32を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56から離れて運転に邪魔にならない第2位置へアームレスト54を移動させる。これにより、アームレスト54が運転者の腕から離れ、運転者はしっかりステアリングホイール56を持とうとする意識が高まる。そして、自動運転制御ECU26が、手動運転切り替えを完了させて一連の処理を終了する。
なお、手動運転切り替えの完了は、ステアリングホイール56を運転者が触ったか否かをステアリング把持センサ33によって検知してから完了してもよい。ここで、最後までステアリング把持センサ33によってステアリングホイール56への運転者の接触を検知できない場合には、自動運転制御ECU26は、路肩に停車、或いは広いスペースまで徐行して停車などを行うよう制御してもよい。
以上説明したように、第1の実施形態に係る車両用制御装置によれば、自動運転から手動運転へ切り替えられる際に、アームレストをステアリングホイール近くの予め定めた第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御し、第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御した後、ステアリング把持センサ33によってステアリングホイールへの乗員の接触または接触しようとする動作が検知された場合に、アームレストを運転の邪魔にならない予め定めた第2位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御することにより、スムーズな運転の切り替えを可能とする。
また、本実施形態では、自動運転から手動運転に切り替える際に、アームレスト54の移動を行って体性感覚に働きかけることで、乗員の体を動かして覚醒させることができる。これにより、表示や音の通知だけに頼るよりも早く運転に適した心構えにさせることができ、運転者が手動運転可能な状態となるよう支援することができるので、スムーズに運転の切り替えが可能となる。
また、本実施形態では、自動運転から手動運転に切り替える際に、アームレスト54がステアリングホイール56方向へ移動する。これにより、運転者の意思に関わらず、運転者の手がステアリングホイール56の方向へ移動し、手がステアリングホイール56へ近づく。ステアリングホイール56に運転者の手が近づくという動作があることで、ステアリングホイール56を把持するタイミングをわかりやすくし、また運転者の手がステアリングホイール56に近い状態にあることで、ステアリングホイール56を把持する抵抗感を減らすことができる。また、運転者の意思に関わらず、運転者の手をステアリングホイール56の方向へ動かすことで、運転者の手の動き出しを補助し、手の動かしやすさを向上させる。そのため、運転者に対して心理面と身体面との両側面から運転復帰の補助を行う効果がある。
また、本実施形態では、アームレスト54は運転者がステアリングホイール56を把持するまで、ステアリングホイール56付近の位置で維持される。そして、運転者がステアリングホイール56を把持した場合、アームレスト54をステアリングホイール56から離れる方向へ移動させる。これにより、手動運転へ復帰した際、アームレスト54がステアリングホイール56の操舵の邪魔にならないという効果がある。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る車両用制御装置の構成を示すブロック図である。車両用制御装置210は、通信制御部12、外部センサ14、GPS(Global Positioning System)受信部16、内部センサ18、地図データベース20、及びナビゲーションシステム22を含んで構成されている。通信制御部12、外部センサ14、GPS受信部16、内部センサ18、地図データベース20、及びナビゲーションシステム22は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク24に各々接続されている。車載ネットワーク24には、自動運転制御ECU226、HMI(Human Machine Interface)28、及びアームレスト制御ECU232の各々が更に接続されている。なお、自動運転制御ECU226は運転制御部及び制御部に対応し、アームレスト制御ECU232は制御部に対応する。
自動運転制御ECU226は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータで構成されている。また、自動運転制御ECU226には、検知部としてのステアリング把持センサ33、アームレスト検知部としてのアームレストセンサ34、アクチュエータ35、補助機器36、制動灯38、及びHMI28が接続されている。
アームレストセンサ34は、運転者の腕がアームレスト54上に存在するか否かを検知する。そして、自動運転制御ECU226は、アームレストセンサ34の検知結果に基づいて、自動運転から手動運転へ切り替える切り替え制御(詳細は後述)を行う。アームレストセンサ34としては、アームレスト54上の静電センサ、アームレスト54上の感圧センサ、アームレスト54上のスイッチ、アームレスト54周辺を検知範囲とするカメラなど形態を問わない。
アームレスト制御ECU232は、自動運転制御ECU226から出力された制御信号に応じてアームレストの移動制御を行う。具体的には、アームレスト制御ECU232は、自動運転制御ECU226によって自動運転から手動運転へ切り替えられる際に、アームレストセンサ34によって運転者の腕がアームレスト上に存在すると検知された場合に、アームレストをステアリングホイール近くの予め定めた第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御する。
そして、アームレスト制御ECU232は、アームレストを第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御した後、ステアリング把持センサ33によってステアリングホイールへの運転者の接触または接触しようとする動作が所定時間内に検知されたときに、アームレストを運転の邪魔にならない予め定めた第2位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御する。
また、アームレスト制御ECU232は、アームレストを第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部30を制御した後、ステアリング把持センサ33によってステアリングホイールへの運転者の接触または接触しようとする動作が所定時間内に検知されない場合に、アームレストが第1位置と第2位置との間を往復移動するようにアームレスト駆動部30を制御する。
例えば、アームレスト制御ECU232はアームレスト駆動部30を駆動させることで、車両上下方向、車両前後方向、及び車両左右方向にアームレスト54を移動させ、アームレスト54の位置を図7の二点鎖線で示す位置や実線で示す位置に移動させることができる。
また、アームレスト制御ECU232は、自動運転制御ECU226によって自動運転から手動運転へ切り替えられる際に、アームレストセンサ34によって運転者の腕がアームレスト54上に存在しないと検知された場合、アームレスト54を第1位置へ移動させる制御を行わない。そのため、アームレストセンサ34によって運転者の腕がアームレスト54上に存在しないと検知された場合には、アームレスト54を動かさない。
また、第2の実施形態では、アームレスト制御ECU232の制御に応じてアームレスト駆動部30によってアームレスト54をステアリングホイールに近づけた後、運転者によってステアリングホイール56が把持されない場合、アームレスト54をステアリングホイール56方向への動きと、ステアリングホイール56から遠ざかる方向への動きを繰り返すことで、ステアリングホイール56を把持することを運転者に対して喚起させる。
また、アームレスト54を第1位置へ移動させるタイミングは、アームレストセンサ34によって運転者の腕がアームレスト上に存在すると検知された場合、又は手動運転への切り替えがアームレスト上のスイッチにより指示された場合が適用される。手動運転への切り替えがアームレスト上のスイッチにより指示された際にアームレスト54を第1位置へ移動させる場合には、運転者のタイミングで、アームレスト54を第1位置に移動させることができる。ここで、アームレスト54上に運転者の腕が存在するか否かの検知は、アームレスト54と運転者の腕との距離が予め定めた距離になったことを検知してもよい。例えば、アームレスト54として静電容量式を適用した場合には、アームレスト54と運転者の腕との距離がセンサ感度範囲に入った状態であるときに、アームレスト54上に運転者の腕が存在することを検知する。また、アームレストセンサ34ではなく、車室内(例えば、天井等)にアームレスト周辺を検知範囲とするカメラを設けて、カメラの撮影画像から画像処理を用いて運転者の腕がアームレスト54上に存在しているか否かを検知してもよい。カメラの撮影画像から運転者の腕を検知する場合には、撮影画像からアームレスト54と運転者の腕との距離が予め定めた距離になったと判断した場合にアームレスト54上に運転者の腕が存在していると判断してもよい。また、赤外線などの近接センサを設けて、運転者の腕がアームレスト54上に存在していることを検知してもよい。なお、予め定めた距離としては、スイッチ等の操作ではなくアームレスト54上に運転者の腕が存在していると判断できる距離を予め設定する。
次に、上述のように構成された本実施形態に係る車両用制御装置210で行われる処理について説明する。図8は、本実施形態に係る車両用制御装置210の自動運転制御ECU226によって自動運転から手動運転へ切り替えられる場合の、アームレスト制御の一例を示すフローチャートである。
ステップS200において、自動運転制御ECU226が、アームレストセンサ34によって運転者の腕がアームレスト上に存在するか否かを検知したか否かを判定する。該判定が否定された場合には一連の処理を終了し、肯定された場合にはステップS100へ移行する。
ステップS100では、自動運転制御ECU226が、アームレスト54をステアリングホイール56の近くへ移動させてステップS102へ移行する。すなわち、自動運転制御ECU226が、アームレスト制御ECU232を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56の近くの予め定めた第1位置へアームレスト54を移動させる。
ステップS102では、自動運転制御ECU226が、アームレスト制御ECU232を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56の近くの予め定めた第1位置でアームレスト54を維持する。
ステップS104では、自動運転制御ECU226が、ステアリング把持センサ33によって運転者のステアリングホイール56への接触(ステアリングタッチ)を検知したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップS208へ移行し、肯定された場合にはステップS106へ移行する。
ステップS208において、自動運転制御ECU226が、アームレスト制御ECU232を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56から離れて運転に邪魔にならない第2位置へアームレスト54を移動させる。
ステップS210において、自動運転制御ECU226が、アームレスト制御ECU232を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56の近くの予め定めた第1位置へアームレスト54を移動させる。
上記ステップS104においてステアリングホイールへの運転者の接触または接触しようとする動作が検知されない場合に、上記ステップS208及び上記ステップS210において、アームレストが第1位置と第2位置との間を往復移動するようにアームレスト駆動部30が制御される。これにより、運転者に対してステアリングホイール56を把持する動作を喚起する。
ステップS106では、自動運転制御ECU226が、アームレスト54をステアリングホイール56から遠くへ移動させる。すなわち、自動運転制御ECU226が、アームレスト制御ECU232を介してアームレスト駆動部30を制御することで、ステアリングホイール56から離れて運転に邪魔にならない第2位置へアームレスト54を移動させる。これにより、アームレスト54が運転者の腕から離れ、運転者はしっかりステアリングホイール56を持とうとする意識が高まる。そして、自動運転制御ECU226が、手動運転切り替えを完了させて一連の処理を終了する。
なお、第2の実施の形態に係る車両用制御装置210の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施形態に係る車両用制御装置によれば、自動運転から前記手動運転へ切り替えられる際に、アームレストセンサによって運転者の腕がアームレスト上に存在すると検知された場合に、アームレストをステアリングホイール近くの予め定めた第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御する。また、第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御した後、所定時間内にステアリング把持センサによってステアリングホイールへの運転者の接触または接触しようとする動作が検知されたときに、アームレストを運転の邪魔にならない予め定めた第2位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御する。そして、第1位置へ移動するようにアームレスト駆動部を制御した後、所定時間内にステアリング把持センサによってステアリングホイールへの運転者の接触または接触しようとする動作が検知されないときに、アームレストが第1位置と第2位置との間を往復移動するようにアームレスト駆動部を制御する。これにより、運転者がステアリングホイールを把持するまで、運転者に対して運転操作に関する意識付けを行うことができる。
なお、上記の実施形態における自動運転制御ECU26又は自動運転制御ECU226で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、ハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ROMに記憶されるプログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。