JP5866123B2 - 多構成テレプレゼンスシステムおよびその方法 - Google Patents

Description

（関連出願への相互参照）
この出願は、１９９６年１２月１２日に出願された、米国暫定特許出願番号第６０／０３３，３２１号の継続であり、かつそれからの優先権の特権を主張し、その十分な開示は、本明細書中で参考により援用される。

（発明の背景）
本発明は、ロボット支援式外科手術マニピュレータに関するものであり、より特定すると、外科手術部位に物理的に存在しているような知覚を外科医に与えながら、患者に遠隔ロボット外科手術手順を実施するシステムおよび方法に関連する。

ロボット支援式外科手術すなわち遠隔ロボット外科手術では、外科医はマスタコントローラを作動させて、患者から遠隔にある場所から（例えば、手術室の反対側で、患者とは異なる部屋で、または、異なる建物で）、外科手術部位の外科手術機器の運動を遠隔制御する。マスタコントローラは通常、サーボモータと外科手術機器を連結させて、外科手術部位で同機器を連接する、ジョイスティック、外骨格グラブなどのような１つ以上の手入力装置を含む。サーボモータは、典型例では、開放外科手術部位に直接的に、または患者腹部のような人体空洞内へ外套針スリーブを通して導入された外科手術機器を支持および制御する、電子機械装置または外科手術マニピュレータの一部である。手術中は、外科手術マニピュレータは、組織把握器、ニードル駆動装置、電子外科手術焼灼プローブなどのような、ニードルを保持または駆動し、血管を把持しまたは解剖し、組織を焼灼または凝固させる、多様な外科手術機器の機械的連接および制御を提供する。

遠隔操作を介する遠隔ロボット外科手術を実施するこの新規な方法は、もちろん、多くの新たな難題を生んだ。１つのかかる難題は、電子機械外科手術マニピュレータの一部は外科手術機器と直接接触する、または手術部位に隣接して配置されるという事実から生じる。従って、外科手術マニピュレータは、外科手術中に汚染されることがあり、各手術の合間に廃棄処理または滅菌処理されるのが典型的である。もちろん、コスト的観点から、装置を滅菌するのが好ましい。しかし、モータをロボット制御するのに必要なサーボモータ、センサー、エンコーダ、および電気接続機器は、蒸気、熱、および圧力または化学物質のような従来の方法を利用して滅菌することが不可能なのが典型的であり、というのも、滅菌処理工程中に破損または破壊されるからである。

遠隔ロボット外科手術システムに関わるまた別な難題は、処理期間中に、多数の異なる外科手術機器を採用するのが典型的であることである。機器ホルダーの数は空間的制約とコストのために制限されるので、これら外科手術機器の大半は、手術中に何度も同一機器ホルダーに装着およびそこから離脱させられる。たとえば腹腔鏡検査手順では、患者の腹部への導入ポートの数は、空間的制約のためと不必要な患者の切開を回避するのに望ましいことから、手術中に制限されるのが普通である。したがって、多数の異なる外科手術機器は、手術中に同一外套針スリーブを通して導入されるのが典型的である。同様に、開放性手術では、１個または２個を越える外科手術マニピュレータの位置決めを行うのに、外科手術部位の周囲に十分な空間が無いのが典型的であり、従って、外科医の助手はホルダーから機器を頻繁に除去すること、および機器を他の外科手術機材と交換することを強いられる。

それ故、必要とされるのは、患者の外科手術部位で外科手術機器を遠隔制御する改良型遠隔ロボットシステムおよびその方法である。これらシステムおよび方法は、構成要素が手術中に汚染された後でも再利用できるように、容易な滅菌処理のために構築されるべきである。これに加えて、これらシステムおよび方法は、外科手術手順の期間中に機器の交換時間を最小限にするように設計されるべきである。

（発明の要旨）
本発明は、外科手術部位に物理的に存在している知覚（すなわち、遠隔存在感）を外科医に与えながら、患者に遠隔ロボット支援外科手術処置手順を実施するためのシステムおよびその方法を提供する。特に、非滅菌の駆動および制御構成要素、滅菌可能端部作動体または外科手術機材、および、駆動および制御構成要素と外科手術機材を連結するための、かつ駆動構成要素から外科手術機材へ運動を伝達するための中間コネクタ構成要素を含む、３構成要素外科手術システムが提供される。駆動および制御構成要素は無菌外科手術部位から遮断され、外科手術機材は滅菌処理可能および廃棄処理可能で、中間コネクタは滅菌可能および再使用可能である。この態様で、中間コネクタは、ロボットシステムの駆動および制御構成要素内部のモータまたは電気接続機器に損傷を与えることなく、外科手術処置手順後に滅菌できる。

本発明の駆動および制御構成要素は、モータ、ギアまたはプーリなどの駆動アクチュエータ、および外科手術部位で外科手術機材を連接するのに必要な位置決め装置を含むのが一般的である。これに加えて、駆動および制御構成要素は通常は、エンコーダ、および、構成要素をサーボ機構に接続するのに必要とされる電気コネクタを含み、マスター／スレーブ式遠隔ロボット外科手術システムを形成する。本発明の特殊構成では、この構成要素は、駆動アッセンブリおよびマニピュレータアームの複数自由度を有するマニピュレータアッセンブリを備える。手術中に無菌外科手術フィールドからこれら構成要素を効果的に遮断するために、滅菌ドレープにより、アームおよび駆動アッセンブリは被覆される。このようにして、モータ、エンコーダ、および壊れやすいエレクトロニクスを含むシステムの一部は、外科手術部位を包囲する無菌フィールドから分離されるので、滅菌される必要がない。

中間コネクタは、滅菌外科手術機材をマニピュレータアームと連結するために、滅菌ドレープの開口部を通して延在する滅菌アダプタを含む。アダプタは、外科手術機材を連接するための、かつ、力およびトルクのフィードバック信号などのような電気信号を機材との間で送受するための、複数の運動および電気フィードスルーを含む。一構成例では、中間構成要素は、カメラ台およびカメラに連結された内視鏡のような画像スコープをマニピュレータアームに連結させるスコープアダプタを含む。別な構成例では、中間コネクタは、滅菌アダプタに連結される外科手術機器アッセンブリを含む。外科手術機器アッセンブリは通常は外科手術機材を含み、これは、顎挟み（ｊａｗｓ）、ハサミ、把持器、ニードルホルダー、マイクロ切開器、ステープル付与器、粘着用機材（ｔａｃｋｅｒｓ）、吸引潅注機、クリップ付与器などのような端部作動体を備えた多様な連接型機材、または、切断用刃、焼灼プローブ、潅注器、カテーテル、または吸引オリフィスのような非連接型機材を備え得る。

好ましい構成例では、外科手術機器アッセンブリは、マニピュレータアッセンブリ上のアダプタに外科手術機材を着脱自在に連結するためのリストユニットを更に備える。リストユニットは、外科手術機材に連結される遠位リストを備えた長手のシャフトを備え、遠位リストの周囲に機材の連接を提供する。外科手術処置手順の期間中は、遠隔ロボットシステムは通常は、多様な外科手術機器アッセンブリを含み、各々に異なる外科手術機材が
装着される。リストユニットは迅速かつ容易にマニピュレータアッセンブリに連結され、かつそこから連結解除され、処置手順期間中に機器の取り替えを促進する。或る具体的実施態様では、リストユニットは休止可能で、同ユニットのそれ以上の使用を阻止するように、リストユニットが使用された回数を計数する機構を含む。

マニピュレータアッセンブリは、リストを中心とした機材のピッチおよびヨー運動（ｐｉｔｃｈ ａｎｄ ｙａｗ ｍｏｖｅｍｅｎｔ）、リストシャフト軸を中心とした回転、外科手術機材上の端部作動体の軸方向運動および連接を含め、リストユニットおよび外科手術機材に多数の自由度を供与する。これに加えて、マニピュレータアッセンブリは、リストシャフトに直交する軸を中心とした、リストユニットおよび外科手術機材のピッチ運動およびヨー運動を供与するのが好ましい。駆動アッセンブリのモータは、アームおよび中間構成要素から近位端方向に配置され、これは洗浄を容易にし、同アッセンブリの製造コストを低減し、さらに、外科手術機材およびリストユニットの慣性を低減する。好ましい構成例では、平行四辺形リンケージのような遠隔芯位置決め装置（ａ ｒｅｍｏｔｅ ｃｅｎｔｅｒ ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ ｄｅｖｉｃｅ）を含み、所望の所定回転芯の周囲のリストユニットおよび／または外科手術機材の運動を抑制する。この所定回転芯は、遠位リストのリストユニットシャフトに配置され、または内視鏡処置手順では、患者体内の導入切開（ｅｎｔｒｙ ｉｎｃｉｓｉｏｎ）と一致すえばよい。

或る具体的実施態様においては、本発明の３構成要素外科手術マニピュレータは遠隔ロボットシステムの一部であり、医師が患者から遠隔にある位置から、入力制御装置を操作して、表示画像を介して手術を観る。同システムは、１つ以上のマニピュレータアッセンブリに連結されるサーボ機構を含み、外科医の入力制御装置操作に応答して、リストユニットおよび外科手術機材を制御する。位置、力、および触覚フィードバックセンサー（図示せず）は、外科医が遠隔ロボットシステムを作動させると、外科手術機材から外科医の手元まで、位置、力、および触覚感を伝送するように採用され得る。モニタは、外科手術部位の表示画像が外科医の手元に隣接して提供されるように、画像スコープに連結される。自分が手術部位を現実に直接見ていると外科医が感じるように、画像が配向されるのが好ましい。この構成は外科医に遠隔存在感、すなわち、入力制御装置が外科手術機材と統合された知覚を与える。

より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。

項目（１）無菌フィールド内で処置手順を実施するためのロボット外科手術システムであって、
外科手術機材と、
近位端部および遠位端部を有するマニピュレータアームを含むマニピュレータアッセンブリと、
上記マニピュレータアッセンブリの少なくとも上記マニピュレータアームを覆い、上記無菌フィールドから上記マニピュレータアームを遮断する無菌ドレープと、
上記マニピュレータアームの上記遠位端部を上記外科手術機材と連結させ、かつ、上記マニピュレータアッセンブリから上記機材まで、少なくとも２次の運動を伝達するためのアダプタであって、上記アダプタが上記無菌ドレープを通って延びる、アダプタとを備える、システム。

項目（２）上記外科手術機材は機器である、項目１に記載のシステム。

項目（３）上記外科手術機材は、治療部位を見るための内視鏡である、項目１に記載のシステム。

項目（４）上記アダプタは、滅菌可能であり、上記マニピュレータアームと反対側の上記ドレープの側に露出部を含み、上記アダプタは、上記露出部が無菌状態に留まるように、上記マニピュレータアームに装着される、項目１に記載のシステム。

項目（５）上記機器に連結される遠位リストと、上記アダプタに着脱自在に連結される近位端とを備えるシャフトを有するリストユニットを更に備える、項目２に記載のシステム。

項目（６）上記リストユニットシャフトおよび上記機器は、上記アダプタと相対して上記シャフトの長手方向軸を中心とした回転のために、上記アダプタに回動自在に連結される、項目５に記載のシステム。

項目（７）上記アダプタは、上記マニピュレータアッセンブリから上記機器まで運動を伝達するために、１つ以上の運動フィードスルーを含む、項目５に記載のシステム。

項目（８）上記運動フィードスルーの１つは、上記リストユニットの上記遠位リストを中心とした上記機器の回転を提供する、項目７に記載のシステム。

項目（９）上記外科手術機材は端部作動体を含み、上記フィードスルーの１つは、上記端部作動体の連接を提供する、項目７に記載のシステム。

項目（１０）上記アダプタは、上記マニピュレータアームから上記外科手術機材までと、上記外科手術機材から上記マニピュレータアームまで、電気信号を伝送するために、１つ以上の電気コネクタを含む、項目１に記載のシステム。

項目（１１）上記外科手術機材を受容し、かつ、患者体内で経皮貫入による接近を提供するための内側管腔を規定するカニューレを更に備え、また、上記ドレープを通して延び、かつ、上記カニューレを上記マニピュレータアームの上記遠位端部に連結する滅菌可能カニューレアダプタを更に備える、項目１に記載のシステム。

項目（１２）上記マニピュレータアッセンブリは、上記外科手術機材に少なくとも２自由度を提供するために、上記マニピュレータアームの上記近位端部に連結される駆動アッセンブリを更に含み、上記無菌ドレープは上記マニピュレータアームと上記駆動アッセンブリの両方を被覆して、上記無菌フィールドから上記アームおよび駆動アッセンブリを遮断する、項目１に記載のシステム。

項目（１３）上記マニピュレータアームは、上記リストユニットシャフトに沿った点における固定球状回転芯の周囲の、上記リストユニットおよび上記機器の運動を抑制するための遠隔芯位置決め器を含む、項目５に記載のシステム。

項目（１４）上記リストユニットが外科手術処置手順で使用され得る回数を制限するための手段を更に備える、項目５に記載のシステム。

項目（１５）上記制限手段は、上記リストユニットが上記アダプタに連結され、または、そこから取り外される度ごとに計数するための手段を含む、項目１４に記載のシステム。

項目（１６）上記マニピュレータアームに連結され、かつ上記無菌ドレープにより覆われる伝達ユニットを更に備え、上記伝達ユニットは、上記アダプタ、上記リストユニット、および上記機器を軸方向に往復運動させるために、上記アダプタおよび上記リストユニ
ットに連結される軸方向移動可能キャリッジを有する、項目５に記載のシステム。

項目（１７）上記伝達ユニットは、上記マニピュレータアームから上記アダプタを介して上記リストユニットおよび上記機器へ、少なくとも３次の運動を伝達し、運動の上記次数は上記アダプタに相対する上記リストユニットおよび上記機器の回転、上記リストユニットシャフトの上記遠位リストを中心とした上記機器の回転、および上記端部作動体の作動を含む、項目１６に記載のシステム。

項目（１８）無菌フィールド内の外科手術部位で外科手術機材を操作するための遠隔ロボットシステムであって、
近位端部および遠位端部を有するマニピュレータアームを含むマニピュレータアッセンブリ、
上記マニピュレータアッセンブリの少なくとも上記マニピュレータアームを覆い、上記無菌フィールドから上記マニピュレータアームを遮断する無菌ドレープと、
上記マニピュレータアームの上記遠位端部を上記外科手術機材と連結し、かつ上記マニピュレータアッセンブリから上記機材まで少なくとも２次の運動を伝達するアダプタであって、上記アダプタは上記無菌ドレープを通して延びる、アダプタと、
上記マニピュレータアッセンブリから遠隔の位置に配置されるコントローラと、
上記マニピュレータアームの遠隔制御のために、上記コントローラを上記マニピュレータアームに連結するサーボ機構とを備える、遠隔ロボットシステム。

項目（１９）上記外科手術部位を見るための画像スコープと、上記画像スコープに操作的に連結されて、上記コントローラに隣接する上記外科手術部位の画像を生成するためのビデオディスプレイとを更に備える、項目１８に記載の遠隔ロボットシステム。

項目（２０）上記外科手術機材と患者との間の接触から生じる触覚感を検知する手段と、上記外科手術機材上の上記触覚感に対応して、上記コントローラに触覚フィードバックを提供する手段とを更に備える、項目１８に記載のシステム。

項目（２１）上記アダプタは滅菌可能で、かつ上記マニピュレータアッセンブリから上記機器まで運動を伝達するために、１つ以上の運動フィードスルーを含み、上記アダプタは、上記マニピュレータアームの反対側で、上記ドレープの側に露出部を更に含み、上記アダプタは、上記露出部が無菌状態に留まるように、上記マニピュレータアームに装着される、項目１８に記載のシステム。

項目（２２）上記機器に連結する遠位リストと、上記アダプタに着脱自在に連結される近位端とを備えるシャフトを有するリストユニットを更に備え、上記リストユニットシャフトおよび上記機器は、上記アダプタと相対して、上記シャフトの長手方向軸を中心とした回転のために、上記アダプタに回転自在に連結される、項目１８に記載のシステム。

項目（２３）上記マニピュレータアッセンブリは、上記マニピュレータアームの上記近位端部および上記サーボ機構に連結され、上記外科手術機材に少なくとも２自由度を提供するための駆動アッセンブリを更に含み、上記無菌ドレープは、上記マニピュレータアームおよび上記駆動アッセンブリの両方を覆い、上記無菌フィールドから上記アームおよび上記駆動アッセンブリを遮断する、項目１に記載のシステム。

項目（２４）ロボット外科手術システムを備える無菌フィールド内で外科手術処置手順を実施するための方法であって、
マニピュレータアームの部分を無菌ドレープで覆い、上記無菌フィールドから上記アームを遮断する工程と、
上記無菌ドレープを通して無菌アダプタを上記マニピュレータアームの遠位端部に装着する工程と、
上記アダプタに無菌外科手術機材を装着する工程と、
上記マニピュレータアームを用いて、患者のターゲット部位に上記外科手術機材を導入する工程とを含む、方法。

項目（２５）上記無菌アダプタは、上記マニピュレータアームの反対側で、上記ドレープの側に露出部を含み、上記無菌アダプタは、上記露出部が無菌状態に留まるように、上記マニピュレータアームに装着される、項目２４に記載の方法。

項目（２６）上記マニピュレータアームの近位端部に連結される駆動アッセンブリと上記外科手術機材を連接し、かつ、上記無菌ドレープを用いて、上記無菌フィールドから上記駆動アッセンブリを遮断する工程を含む、項目２４に記載の方法。

項目（２７）上記アダプタを介して上記機器に、上記マニピュレータアームの運動を伝達する工程を更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（２８）上記マニピュレータアームと上記外科手術機材の間で、上記アダプタを通して、１つ以上の電気信号を伝達する工程を更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（２９）上記アダプタにリストユニットを着脱自在に連結し、かつ、上記リストユニットの遠位リストに外科手術機器を装着する工程を更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（３０）上記マニピュレータアッセンブリからの入力に応答して、上記遠位リストを中心として上記機器を旋回させる工程を更に含む、項目２９に記載の方法。

項目（３１）上記シャフト軸を中心として上記リストユニットおよび上記機器を回転させ、かつ、上記マニピュレータアッセンブリからの入力に応答して、上記機器上の端部作動体を連接する工程を更に含む、項目２９に記載の方法。

項目（３２）上記マニピュレータアームの上記遠位端部に上記無菌ドレープを介して無菌カニューレアダプタを装着する工程と、
上記カニューレアダプタにカニューレを装着する工程と、
患者の人体腔に上記カニューレを介して外科手術機器を導入する工程とを更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（３３）固定球状回転芯の周囲の上記外科手術機材の運動を抑制する工程を更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（３４）外科手術処置手順でリストユニットが使用される回数を制限する工程を更に含む、項目２９に記載の方法。

項目（３５）上記制限工程は、上記アダプタに上記リストユニットが連結される度ごとに計数する工程を含む、項目３４に記載の方法。

項目（３６）上記マニピュレータアーム上で移動可能キャリッジに上記アダプタを連結する工程であって、上記キャリッジは上記無菌ドレープにより覆われる、工程と、
上記マニピュレータアームに相対して上記外科手術機材を軸方向に移動させるように、上記キャリッジを軸方向に移動させる工程とを更に含む、項目２４に記載の方法。

項目（３７）入力装置を用いて、上記マニピュレータアームの運動を遠隔制御する工程を更に備える、項目２４に記載の方法。

項目（３８）上記ターゲット部位から遠隔に位置決めされたビデオディスプレイ上で、上記ターゲット部位の画像を見る工程を更に含む、項目３７に記載の方法。

項目（３９）ロボット外科手術システムを用いて外科手術処置手順を実施する方法であって、複数の外科手術機器アッセンブリを提供する工程であって、各アッセンブリは、近位端および遠位リストを備えるシャフトを有するリストユニットと、上記遠位リストに連結される機器とを備える、工程と、
マニピュレータアームに上記外科手術機器アッセンブリのうちの１つの上記リストユニットシャフトの上記近位端を接続する工程と、
上記マニピュレータアームを用いて、患者の治療部位に上記外科手術機器アッセンブリのうちの上記１つの機器を導入する工程とを含む、方法。

項目（４０）上記治療部位から上記外科手術機器アッセンブリのうちの上記１つの上記機器を除去し、かつ、上記マニピュレータアームから上記外科手術機器アッセンブリのうちの上記１つの上記リストユニットシャフトの上記近位端を取り外す工程を更に含む、項目３９に記載の方法。

項目（４１）上記マニピュレータアームに上記外科手術機器アッセンブリのうちの別な１つの上記リストユニットシャフトの上記近位端を接続し、かつ、上記マニピュレータアームを用いて、上記治療部位に上記外科手術機器アッセンブリのうちの上記別な１つの上記機器を導入する工程を更に含む、項目３９に記載の方法。

項目（４２）上記リストユニットシャフトの上記遠位リストを中心として、上記機器を旋回させる工程を更に含む、項目３９に記載の方法。

項目（４３）無菌ドレープで、上記治療部位から上記マニピュレータアームを遮断する工程と、
上記無菌ドレープを通して、上記マニピュレータアームに無菌アダプタを装着する工程と、
上記無菌アダプタに上記外科手術機器アッセンブリのうちの上記１つの上記リストユニットシャフトの上記近位端を装着する工程とを更に含む、項目３９に記載の方法。

図１は、本発明に従った遠隔ロボット外科手術システムおよびその方法を例示する、手術室の概略図である。 図２は、本発明に従って第１対の搭載ジョイントが手術台に連結されているのを例示する、図１の手術室の拡大図である。 図３Ａは、無菌ドレープにより部分的に覆われた、本発明に従ったロボット外科手術マニピュレータの斜視図である。 図３Ｂは、複数自由度アームが駆動アッセンブリをリストユニットおよび外科手術機材と連結しているのを例示する、無菌ドレープ無しのロボット外科手術マニピュレータの斜視図である。 図４は、外科手術部位を見るためにカメラおよび内視鏡を組み入れた、図３Ａから図３Ｂのロボット外科手術マニピュレータを例示する図である。 図５は、アームとリストユニットの間の機械的、電気的接続を例示する、図３Ａから図３Ｂのロボットマニピュレータの部分図である。 図６は、図３Ａおよび図３Ｂのマニピュレータの前方アームおよびキャリッジの部分切断断面図である。 図７は、本発明に従ったリストユニットの斜視図である。 図８は、アームおよび駆動アッセンブリを例示する、ロボットマニピュレータの一部の側部断面図である。

（好ましい実施態様の詳細な説明）
本発明は、特に、開放性外科手術処置手順（ｏｐｅｎ ｓｕｒｇｉｃａｌ ｐｒｏｃｅｄｕｒｅｓ）、定位脳手術のような神経外科手術処置手順、および、腹腔鏡検査、関節鏡検査、胸腔検査などのような内視鏡処置手順を含め、患者にロボット支援式外科手術処置手順を実施する複数構成要素システムおよびその方法を提供する。本発明のシステムおよび方法は、患者から遠隔にある位置からサーボ機構を介して外科手術機器を外科医が操作することを可能にする遠隔ロボット外科手術システムの一部として、特に有用である。そのため、本発明のマニピュレータ装置すなわちスレーブは、力反射を備えた遠隔検知システムを形成するように、運動学的に同等なマスターにより駆動されるのが普通である。好適なスレーブ／マスターシステムは、１９９５年８月２１日に出願された、同時係属特許出願番号第０８／５１７，０５３号（弁護士事件記録第２８７−００４８１０）中に見られるが、この完全な開示内容は、本明細書中に参考として援用される。

図面を詳細に参照すると、同一参照番号が同一要素を示すが、遠隔外科手術システム２が本発明に従って例示される。図１に例示されるように、遠隔ロボットシステム２は一般に、手術台Ｏに、またはその付近に搭載される１つ以上の外科手術マニピュレータアッセンブリ４、および、外科医Ｓが外科手術部位を観たり、マニピュレータアッセンブリ４を制御したりできるようにするための制御アッセンブリ６を含む。システム２はまた、１つ以上の画像スコープアッセンブリ１０、および、マニピュレータアッセンブリ４（以下に詳細に論じる）に着脱自在に連結されるのに適した、複数の外科手術機器アッセンブリ２０を含む。遠隔ロボットシステム２は通常、少なくとも２つのマニピュレータアッセンブリ、および好ましくは３つのマニピュレータアッセンブリ４を含む。もちろん、厳密な数のマニピュレータアッセンブリ４は、他の要因の中でも、手術室内での外科手術処置手順および空間的制約で決まる。以下に詳細に論じるように、アッセンブリ４のうちの１つは、外科手術部位を観るための画像スコープアッセンブリ１９（内視鏡検査法処置手順で）を作動するのが典型的であるが、他のマニピュレータアッセンブリ４は、患者Ｐに多様な処置手順を実施するための外科手術機器２０を作動させる。

手術台Ｏと同一室内に配置されるのが普通である外科医のコンソールＣに制御アッセンブリ６が配置され、外科医が自分の助手Ａに話しかけ、手術処置手順を直接モニターできるようにする。しかし、外科医Ｓは患者Ｐとは別の部屋または全く別の建物に配置され得ることが分かる。制御アッセンブリ６は一般に、支持体８、外科医Ｓに外科手術部位の画像を表示するためのモニタ１０、および、マニピュレータアッセンブリ４を制御するための１つ以上のコントローラ１２を含む。コントローラ１２は、ジョイスティック、グローブ、トリガーガン、手動操作コントローラ、音声認識装置などのような多様な入力装置を含み得る。コントローラ１２には関連する外科手術機器アッセンブリと同一自由度が供与されて、遠隔感、すなわちコントローラ１２が機器２０と統合されているという感覚を外科医に提供し、機器２０を直接制御しているという強い認識を外科医が有するようにするのが好ましい。位置、力、および触覚フィードバックセンサー（図示せず）がまた機器アッセンブリ２０に採用され得て、外科医が遠隔ロボットシステムを作動させている時に、外科医の手元に外科手術機器からの位置、力、および触覚感を逆伝送できる。操作者に遠隔存在感を供与する１つの好適なシステムおよび方法は、１９９５年８月２１日に出願された同時係属特許出願番号第０８／５１７，０５３号（弁護士事件記録第０２８７Ｓ−００４８１０号）に記載され、これは先に参考として本明細書中に援用されている。

モニター１０は、外科手術部位の画像が外科医用コンソール６に着いた外科医の手元に隣接して設けられるように、画像スコープアッセンブリ１９に好適に連結される。モニター１０は、自分が手術部位を現実に直接見下ろしていると外科医が感じるように配向された表示装置１８で、好ましくは反転画像を表示する。そのためには、観察点（すなわち、内視鏡または視覚カメラ）が画像の視点からではなくとも、外科手術機器２０の画像は、操作者の手が置かれている場所に実質的に配置されているように見える。これに加えて、リアルタイム画像は、実質的に真に存在している作業空間を観ているかのように、操作者が端部作動体および手動コントローラを操作できるように、知覚画像に変換されるのが好ましい。真の存在という用語により意味するところは、画像の提示によって、外科手術機器２０を物理的に操作している操作者の視点をシミュレートする真の知覚画像を得る、ということである。従って、コントローラ（図示せず）は、外科手術機器２０の座標を知覚された位置へ変換し、知覚画像が、カメラまたは内視鏡が外科手術機器２０の直ぐ背後に配置されているかのように見える画像になるようにする。この仮想画像を提供するための好適な座標変換システムは、１９９４年５月５日に出願された特許出願番号第０８／２３９，０８６号（弁護士事件要件第０２８７Ｓ−００３３００号）に記載され、その完全な開示内容な、本明細書中に参考として援用される。

図１に示されるように、サーボ機構１６はコントローラ１２の機械的運動をマニピュレータアッセンブリ４に転送するために設けられる。サーボ機構１６はマニピュレータアッセンブリ４から分離され、またはそれと統合され得る。サーボ機構１６は通常は、外科手術機器２０から手動作動コントローラ１２に、力およびトルクフィードバックを供与する。これに加えて、サーボ機構１６は、認知された状況（例えば、患者への過剰力の行使、マニピュレータアッセンブリ４の「逃避」など）に応答して、あらゆるロボット運動を凍結させる、または少なくとも抑止し得る、安全監視コントローラ（図示せず）を含む。サーボ機構は少なくとも１０Ｈｚの３ｄＢカットオフ周波数を備えたサーボ帯域幅を有し、同システムが外科医により使用される急速な手の運動に迅速かつ正確に応答し得るようにするのが好ましい。このシステムと共に効果的に作動するように、マニピュレータアッセンブリ４は比較的低慣性を有し、駆動モータ１７０（図８を参照のこと）は比較的低い比のギア結合またはプーリ結合を有する。どのような好適な従来型または特殊サーボ機構が本発明の実施に際して使用されてもよいが、上述の力およびトルクフィードバック処理は、組み込まれたものが同システムの遠隔検知動作に特に好ましい。

図７を参照すると、外科手術機器アッセンブリ２０は各々、リストユニット２２、およびリストユニット２２に着脱自在に装着される外科手術機材２４を含む。以下に詳細に論じるように、各リストユニット２２は一般に、基部キャップ５８、および外科手術機材２４に旋回自在に連結される遠位リスト６０を有する、長手のシャフト５６を含む。各リストユニット２２は実質的に同一であり、外科手術処置手順の要件次第で、異なるまたは同一外科手術機材２４がそこに装着される。代替例として、リストユニット１１は、個々の外科手術機材２４について設計された特殊リスト６０を有し、リストユニット２２が従来型機材２４と共に使用され得るようにする。図１に示されるように、機器アッセンブリ２０は通常は、テーブルＴまたは手術台Ｏに隣接する他の好適な支持体上に組み立てられる。本発明の方法によれば（以下に説明する）、リストユニット２２およびそれらの関連外科手術機材２４は、マニピュレータアッセンブリ４にリストユニットシャフト５６を連結し、かつそこから連結解除することにより、外科手術処置手順の期間中に迅速に交換できる。

図２を参照すると、各マニピュレータアッセンブリ４は、搭載ジョイント３０により、手術台Ｏに搭載されるのが好ましい。搭載ジョイント３０はアッセンブリ４に多自由度（少なくとも５であるのが好ましい）を提供し、アッセンブリ４が患者に相対して好適な位
置および配向で固定され得るように、制動器（図示せず）を含む。ジョイント３０は、ジョイント３０を手術台Ｏに搭載するための、かつ各マニピュレータアッセンブリ４をサーボ機構１６に接続するための受容体３２に搭載される。これに加えて、受容体３２はジョイント３０をＲＦ電源、吸引潅注システムなどのような他のシステムに接続し得る。受容体３２は、手術台Ｏの外側レール３６に沿ってスライド自在に配置される搭載アーム３４を含む。もちろん、マニピュレータアッセンブリ４は他の機構と共に、手術台Ｏ上に位置決めされればよい。例えば、同システムは、患者の上で１つ以上のマニピュレータアッセンブリ４を移動させかつ保持する、支持システム（手術室の天井または壁に連結される）を組み入れ得る。

ここで図３から図８を参照すると、マニピュレータアッセンブリ４が更に詳細に記載される。マニピュレータアッセンブリ４は、非無菌の駆動制御構成要素、滅菌可能端部作動体または外科手術機材（すなわち、外科手術機器アッセンブリ２０）、および中間コネクタ構成要素を含む、３構成要素装置である。中間コネクタは、外科手術機材２４を駆動制御構成要素と連結するための、かつ駆動構成要素から外科手術機材２４に運動を伝達するための機械的要素を含む。図３Ｂに示されるように、駆動制御構成要素は一般に、駆動アッセンブリ４０、および搭載ジョイント３０（図２）上に搭載するのに適した搭載ブラケット４４に連結される複数自由度ロボットアーム４２を含む。駆動アッセンブリ４０およびロボットアーム４２はＸ軸を中心にブラケット４４に旋回自在に連結されるのが好ましく、これは遠隔球状回転芯４５を通して延在する（図８を参照して、以下により詳細に論じる）。マニピュレータアッセンブリ４は、アーム４２の遠位端４８に固定された前方アッセンブリ４６、および、前方アームアッセンブリ４６に連結されて、マニピュレータアッセンブリ４に対してリストユニット２２および外科手術機材２４を搭載するためのリストユニットアダプタ５２を更に含む。

内視鏡処置手順については、マニピュレータアッセンブリ４は、マニピュレータアッセンブリ４に対してカニューレ６６を搭載するための、前方アーム４６の下部に装着されたカニューレアダプタ６４を追加的に含む。代替例として、カニューレ６６は、前方アームアッセンブリ４６に内蔵された（すなわち、取り外し不能）一体型カニューレ（図示せず）であればよい。カニューレ６６は、ひずみゲージまたは力検知抵抗器（ｆｏｒｃｅ−ｓｅｎｓｉｎｇ ｒｅｓｉｓｔｏｒ）のような、カニューレ６６内部の環状ベアリングに搭載された力検知要素（図示せず）を含み得る。力検知ベアリングは外科手術中は外科手術機材２４を支持し、同機材がベアリングの中央孔を通して軸方向に回転および移動できるようにする。これに加えて、ベアリングは力検知要素に対して外科手術機材２４が及ぼす横方向力を伝達するが、同力検知要素はサーボ機構１６に接続されて、これら力をコントローラ１２に伝達する。この態様で、外科手術機材２４に作用する力は、外科手術切開部を包囲する組織のような、カニューレ６６に作用する力からの妨害無しに、またはマニピュレータアッセンブリ４に作用する重力および内部力による妨害無しに、検出できる。これはロボットシステムにおけるマニピュレータアッセンブリの使用を促進するが、それは、外科手術機材２４に対して作用する力を、外科医が直接検知するからである。

図３Ａに示されるように、マニピュレータアッセンブリ４は、マニピュレータアッセンブリ４全体を実質的に覆うような寸法にされた無菌ドレープ７０を更に含む。ドレープ７０は１対の穴７２および７４を有するが、同各穴７２および７４、マニピュレータアッセンブリ４にリストユニット２２およびカニューレ６６を搭載するために、リストユニットアダプタ５２およびカニューレアダプタ６４が穴（７２，７４）を通って延在し得るような寸法および配置にされる。無菌ドレープ７０は、外科手術部位からマニピュレータアッセンブリ４を効果的に遮断するような構成にされた材料を備えるため、アッセンブリ４の構成要素の大半（すなわち、アーム４２、駆動アッセンブリ４０、および前方アームアッセンブリ４６）が、外科手術処置手順の前に、またはその後で滅菌処理される必要がない
。

図３Ａに示されるように、リストユニットアダプタ５２およびカニューレアダプタ６４はドレープ７０の穴７２および７４を通って延在し、前方アームアッセンブリ４６およびマニピュレータアッセンブリ４の残余部分が、処置手順期間中は患者から遮断された状態に留まるようにする。リストユニットアダプタ５２およびカニューレアダプタ６４は、滅菌処理される再使用可能構成要素として製造されるのが好ましく、というのも、これら構成要素は外科手術部位の無菌フィールド内に延在するからである。リストユニットおよびカニューレアダプタ５２および６４は、正規の方法、すなわち蒸気、熱および圧力、ならびに化学物質などにより滅菌されればよい。図３Ｂを再び参照すると、リストユニットアダプタ５２は、リストユニット２２のシャフト５６を受容するための開口部８０を含む。以下に詳細に論じるように、シャフト５６は、リストユニットアダプタ５２の非露出部が無菌状態に留まる（すなわち、無菌フィールドの反対側で、ドレープ７０の無菌側に留まる）ように、開口部８０を通って長手方向に付勢され、アダプタ５２内にスナップフィットする。リストユニットアダプタ５２はまたラッチ（図示せず）を含み、リストユニット２２をそこに固着させる。同様に、カニューレアダプタ６４はそこにカニューレ６６をスナップフィットさせるための開口部８２を含み、外科手術処置手順期間中にアダプタ６４の非露出部が無菌状態に留まるようにする。

図４に示されるように、リストユニットアダプタ５２はまた、外科手術部位を見るための画像スコープ１００を受容するように構成されればよい。内視鏡検査処置手順については、画像スコープ１００は従来型内視鏡であればよく、これは剛性の長手管１０２を含むのが典型的であるが、レンズシステム（図示せず）およびカメラ台１０４が管１０２の近位端に設けられる。小型ビデオカメラ１０６はカメラ台１０４に装着され、ビデオモニター１０に接続され、処置手順のビデオ画像を提供するのが好ましい。画像スコープ１００は、管１０２に相対して長手方向に見ること、または或る角度から見ることを可能にするように構成された遠位端（図示せず）を有する。画像スコープはまた、管１０２の近位端上のアクチュエータを操作することにより偏向または回転させられ得る、誘導可能先端（ａ ｇｕｉｄａｂｌｅ ｔｉｐ）を有し得る。このタイプの画像スコープは、Ｉｌｌｉｎｏｉｓ州ＤｅｅｒｆｉｅｌｄのＢａｘｔｅｒ Ｈｅａｌｔｈｃａｒｅ Ｃｏｒｐ．またはＣａｌｉｆｏｒｎｉａ州Ｍｅｎｌｏ ＰａｒｋのＯｒｉｇｉｎ Ｍｅｄｓｙｓｔｅｍｓから購入できる。

図４に示されるように、画像スコープ１００は、画像スコープ１００をリストユニットアダプタ５２に連結するためのスコープアダプタ１１０を更に含む。スコープアダプタ１１０は滅菌可能であり、ＥＴＯおよび蒸気滅菌可能（ａｕｔｏｃｌａｖａｂｌｅ）であり、駆動アッセンブリ４０から画像スコープ１００まで運動を伝達するための複数の運動フィードスルー（ｍｏｔｉｏｎ ｆｅｅｄ−ｔｈｒｏｕｇｈｓ）（図示せず）を含む。好ましい構成例では、同運動はピッチおよびヨー運動、Ｚ軸を中心とした回転、およびＺ軸に沿った移動を含む。

図５および図６をここで参照すると、前方アームアッセンブリ４６は更に詳細に説明される。図５に示されるように、前方アームアッセンブリ４６は、ハウジング１２０がアーム４２に固定され、可動キャリッジ１２２がスライド自在にハウジング１２０に連結される。キャリッジ１２２は、リストユニットアダプタ５２およびリストユニット２０をＺ方向に移動させるためのハウジング１２０にリストユニットアダプタ５２を、スライド自在に搭載する。これに加えて、キャリッジ１２２は、前方アームアッセンブリ４６からリストユニットアダプタ５２に運動および電気信号を伝達するための多数の開口部１２３を規定する。図６に示されるように、複数の回転可能シャフト１２４がハウジング１２０内部に搭載され、アーム４２から開口部１２３を通して、リストユニットアダプタ５２および
リストユニット２２に運動を伝達する。回転シャフト１２４は、リストユニット２２のリスト６０を中心とした外科手術機材６２のヨーおよびピッチ運動、Ｚ軸を中心としたリストユニット２２の回転、および機材６２の作動を含め、リストユニット２２の少なくとも４自由度を供与するのが好ましい。勿論、同システムは、望まれれば、これより多くのまたはこれより少ない自由度を提供するように構成され得る。機材６２の作動は、顎ハサミ、把持器または鋏、付与クリップまたはステープラーなどの開閉運動のような、多様な運動を含み得る。リストユニット２２および機材６２のＺ方向への運動は、前方アームハウジング１２０の両端の各回転可能プーリ１２８および１２９の間で延びる、１対のキャリッジケーブルドライブ１２６により提供される。ケーブルドライブ１２６は、前方アームハウジング１２０に相対してＺ方向にキャリッジ１２２およびリストユニット２２を移動させるように機能する。

図６に示されるように、アーム４２の遠位端４８は、アーム４２から前方アームアッセンブリ４６まで運動を伝達するための複数の運動フィードスルー１３２を有する、連結アッセンブリ１３０を含む。これに加えて、連結アッセンブリ１３０は、アーム４２からリストユニット２２まで電気信号を伝達するための多数の電気コネクタ（図示せず）を含む。同様に、リストユニットアダプタ５２は、運動を伝達するための、かつリストユニット２２へ、かつそこから電気信号を送受するための（例えば、外科手術部位からコントローラ１２へ力およびトルクフィードバック信号を送受するための）複数の運動フィードスルー（図示せず）および電気接続（図示せず）を含む。連結アッセンブリ１３０の両側の構成要素およびリストユニットアダプタ５２は、有限範囲の運動を有する。通常は、この範囲の運動は少なくとも１回転、好ましくは１回転より多い。これらの範囲の運動は、前方アームアッセンブリ４６が機械的に連結アッセンブリ１３０に連結された場合に、また、リストユニットアダプタ５２が機械的に前方アーム４６に連結された場合に、互いに整列する。

図７を参照すると、リストユニット２２はここで更に詳細に説明される。図示のように、リストユニット２２は、キャップ５８がその近位端に装着され、リスト６０がその遠位端に装着された、中空シャフト５６を含む。リスト６０は、多様な外科手術機材６２をシャフト５６に着脱自在に連結するための連結部（図示せず）を含む。シャフト５６は、シャフト５６の長手方向軸（すなわちＺ軸）を中心としたシャフト５６および機材６２の回転を提供するために、キャップ５８に回転自在に連結される。キャップ５８は、シャフト５６の内部の駆動ケーブル（図示せず）を駆動するために、リストユニットアダプタ５２から運動を伝達するための機構（図示せず）を収納する。駆動ケーブルはシャフト５６の内部でプーリを駆動するように好適に連結され、リスト６０を中心に機材６２を旋回させ、機材６２上の端部作動体１４０を作動させる。リスト６０はまた、差動ギア、プッシュロッドなどのような他の機構により作動させ得る。

機材６２はリストユニット２２のリスト６０に着脱自在に連結される。機材６２は、外科医に触覚フィードバックを提供するための触覚センサー配列（図示せず）を有する端部作動体６５を含むのが好ましい。機材６２は、顎ハサミ、鋏、把持器、ニードルホルダー、マイクロ切開用器、ステープラー付与器、粘着用機材、吸引潅注機材、クリップ付与器などのような、ワイヤリンク、電子カム、プッシュロッド、または他の機構により駆動される端部作動体を有する多様な連接型機材を含み得る。これに加えて、機材６２は、切断用刃、プローブ、潅注器、カテーテル、または吸引オリフィスのような、非連接型機器を備えていればよい。代替例として、機材６２は、組織を切除、切離、切断、または凝固させるための電子外科手術プローブを備えていればよい。後者の実施態様では、リストユニット２２は、シャフト５６を通して機材６２まで延びるリードワイヤまたはロッドに連結される基部バナナプラグのような導電素子を含む。

図４および図８を参照すると、本発明の駆動制御構成要素（すなわち、ロボットアーム４２および駆動アッセンブリ４０）の特殊構造が、更に詳細に記載される。上述のように、アーム４２および駆動アッセンブリ４０は、搭載ブラケット４４から延びる１対のピン１５０の周囲に回転自在に連結される。アーム４２は、前方アームアッセンブリ４８に連結される遠位端４８およびピッチおよびヨーまたはＸ軸およびＹ軸を中心とした回転のための駆動アッセンブリ４０およびブラケット４４（Ｙ軸はページに直交し、かつ点４５を通って延びることに留意し、図８を参照されたい）に旋回自在に連結される近位端１５４と共に、長手の、実質的に剛性の本体１５２を備えているのが好ましい。もちろん、アーム４０は、エルボーアーム（人体の腕に類似する）、角柱アーム（真っ直ぐ伸張可能）などのような他の形状を有し得る。固定ヨーモータ１５６は搭載ブラケット４４に搭載され、Ｘ軸を中心にアーム４２および駆動アッセンブリ４０を回転させる。駆動アッセンブリ４０はまた、Ｙ軸を中心としてアームを回転させるために、アーム４２に連結されるピッチモータ１５８をも含む。１対の実質的に剛性のリンケージ要素１６０および１６２はブラケット４４からロボットアーム４２まで延びて、Ｙ軸を中心として旋回自在にアーム４２をブラケット４４に連結させる。リンケージ要素１６０の１つはアーム４２に旋回自在に連結され、他方のリンケージ要素１６２は、アーム４２に平行に延びる第３のリンケージ要素１６４に旋回自在に連結される。ロボットアーム４２は、少なくとも部分的に第３の連結要素１６４を収容する、チャネル形状の剛性要素であるのが好ましい。連結要素１６０、１６２、および１６４、ならびにアーム４２は平行四辺形リンケージを形成し、そこで、各部材は、同部材により形成される平面でのみの相対運動のために、平行四辺形状に一緒に接続される。

アーム４２の遠位端４８で保持されるリストユニット２２のＺ軸は、上述の平行四辺形リンケージのＸ軸と交差する。リストユニット２２は、図８の参照番号４５により示される位置を中心とした遠隔球状回転芯を有する。したがって、リストユニット２２の遠位端は、それ自体の軸またはＸ軸およびＹ軸を中心に回転させられ得るが、回転の遠隔芯４５は同一位置に留まる。遠隔芯位置決め装置のより完全な説明は、１９９５年７月２０日に出願された、同時係属出願番号第０８／５０４，３０１号（弁護士事件要項番号２８７−００２９４０号）に見られるが、その完全な開示内容は、本明細書中に参考として援用される。アーム４２および駆動アッセンブリ４０は、立体定位方式位置決め装置、固定式ジンバルなどのような、上述の図８に示された装置以外の、広範な位置決め装置と一緒に使用され得る。

再び図８を参照すると、駆動アッセンブリ４０は、複数の駆動モータ１７０がアーム４２に連結され、ともに回転する。ピッチモータ１５６およびヨーモータ１５８は、Ｘ軸およびＹ軸を中心としたアーム４２（および駆動モータ１７０）の運動を制御し、各駆動モータ１７０は、リストユニット２２および外科手術機材２４の運動を制御する。好ましくは、少なくとも５つの駆動モータ１７０は、少なくとも５自由度をリストユニット２４に供与するために、アーム４２に連結される。駆動モータ１７０は、サーボ機構１６に応答するためのエンコーダ（図示せず）と、外科医Ｓに力およびトルクフィードバックを伝達するための力センサー（図示せず）とを含むのが好ましい。上述のように、５自由度は、Ｚ方向へのキャリッジ１２２およびリストユニット２２の移動、Ｚ軸を中心としたリストユニット２２の回転、リスト６０を中心とした外科手術機材６２のピッチおよびヨー回転、および機材６２の作動を含むのが好ましい。

図示のように、ケーブル１７２は、アーム４２内部で各モータ１７０からモータ駆動プーリ１７４およびアイドラープーリ１７６の周囲を回り、比較的大型のポットキャプスタン（ｐｏｔ ｃａｐｓｔａｎ）１７８に沿って延び、ケーブル第１７２上の摩擦トルクの影響を最小限に押さえる。ケーブル１７２の各々は、アーム４２の遠位端４８で別なアイドラープーリ１８０の周りを回って、更に連結駆動プーリ１８２の周囲を回ってモータ１
７０まで逆に延びる。ケーブル１７２はモータ駆動プーリ１７４でピンと張られ、そこで連結駆動プーリ１８２とで固定されるのが好ましい。図８に示されるように、連結駆動プーリ１８２は、連結アッセンブリ１３０の内部で複数のケーブル１８６を介して複数のより小型のプーリ１８４に接続され、モータ１７０からの運動をリストユニットアダプタ５２に伝達する。

本発明に従って患者に外科手術処置手順を実施する方法は、ここで図１から図９を参照しながら説明される。図２に示されるように、搭載ジョイント３０は受容体３２に装着されるが、これはレール３６に沿う滑り搭載アーム３４により、手術台Ｏに装着される。次に、各マニピュレータアッセンブリ４は、そのそれぞれの搭載ジョイント３０に装着され、患者Ｐと相対して適切な位置および配向に連接される。次いで、受容体３２は、サーボ機構１６と、ＲＦ電源、吸引／潅注システムなどのような、外科手術処置手順期間中に必要となる他のシステムとに連結される。患者に麻酔をかける前、その間またはその後、無菌ドレープ７０はマニピュレータアッセンブリ４を覆って設置される（図３Ａ）。外科手術処置手順に備えるために、マニピュレータアッセンブリ４は、ドレープ７０で覆う前に、化学的に洗浄されてもよいし、そうでなくてもよい。リストユニットアダプタ５２、カニューレアダプタ６４、およびスコープアダプタ１１０は、マニピュレータアッセンブリ４の前方アッセンブリ４６上にスナップされる（図３Ｂおよび図５を参照のこと）。スコープアダプタ１１０およびリストユニットアダプタ５２の数と相対位置は、勿論、個別の外科手術処置手順によって決まる（例えば、カニューレアダプタ６４は、開放性外科手術処置手順には必要ではないことがある）。

外科手術処置手順期間中は、外科手術機器アッセンブリ２０は、リストユニットアダプタ５２の開口部８０を通るそれぞれのリストユニットシャフト５６を横方向に付勢する（ｕｒｇｉｎｇ）ことにより、それぞれのマニピュレータアッセンブリ４に連結される。各リストユニット２２は好適な同定手段（図示せず）を有し、いかなるタイプの機材２４がリスト２２に接続されたかを迅速かつ容易に示す。外科医が外科手術機材２４を交換したいと希望すると、外科医は自分でコントローラ１２を操作して、キャリッジ１２２が前方アームアッセンブリ４６に沿って、頂端または基部位置まで移動するようにする（図３Ｂを参照のこと）。この位置で、外科手術機材２４はカニューレ６６の内部にあり、或いは、開放性処置手順の期間中は、外科手術部位から除去される。次に、助手Ａ（単数または複数）はリストキャップ５８を上方へ引っ張ってラッチ（図示せず）を解放し、それにより、リストユニット２２がそれより上方にスライドしてカニューレ６６から出られるようにする。次いで助手Ａ（単数または複数）はリストユニット２２を横方向に引っ張り、それをリストユニットアダプタ５２から取り外す。リストユニット２２がアダプタ５２にもはや連結されていない時は、制御機構はシステムが「機材取り替えモード」にあることを理解し、キャリッジ１２２が外科医により既にそこまで移動させられていない場合は、キャリッジ１２２を基部位置まで駆動する。

別な外科手術機器アッセンブリ２０をマニピュレータアッセンブリ４に連結するためには、助手Ａ（単数または複数）はテーブルＴから別なアッセンブリ２０を掴み、リストユニットシャフト５６をリストユニットアダプタ５２の開口部８０の中へ横方向に付勢し、次いで、リストユニット２２を下方向に移動させ、外科手術機材６２がカニューレ６６の内部に載置されるようにする（図１および図３Ｂを参照のこと）。リストユニット２２のこの下方向への移動は、リストキャップ５８およびリストユニットアダプタ５２の内部で電気的カップリングと運動フィードスルー（図示せず）とを自動的に嵌合させる。同システムは、カップリングが嵌合し、リストユニット２２がもはや下方向に移動しなくなるまで、たとえばブレーキ（図示せず）を作動させることにより、頂端または基部位置でキャリッジ１２２の移動をロックさせるように構成される制御機構を含んでいてもよい。この点で、外科医Ｓは、外科手術処置手順を継続してもよい。

本発明のシステムおよび方法は、リストユニット２２がリストユニットアダプタ５２から連結解除され、またそこに連結された回数を計数するための機構を含んでいることが好ましい。この態様でメーカーは、リストユニット２２が使用され得る回数を制限し得る。特定の構成例では、集積回路チップ（図示せず）はリストキャップ５８内部に収容される。回路チップは、２０回といったような、リストユニット２２がリストユニットアダプタ５２に連結される回数を計数し、外科医のコンソールＣ上に、警告が現れる。すると、制御システムは、それが搬送できる負荷が低減し、または目に見えるバックラッシュを増大させることになり、システムの性能が低下する。

（要約）
本発明は、患者にロボット補助外科手術手順を実施するシステムと方法を提供する。特に、非滅菌駆動および制御構成（４０）、滅菌端部作動体もしくは手術機材（２０）、および手術機材（２０）および駆動と制御構成要素（４０）を結合する機械要素を含む中間コネクタ構成要素（２４）を含み、それらの間で運動と電気信号が伝達される、３構成要素（２）が提供される。駆動および制御構成要素（４０）は、滅菌した手術部位から遮断され、手術機材（２０）は滅菌され使い捨て可能で中間コネクタ（２４）は滅菌され再使用可能である。このようにして、ロボットシステムの駆動および制御構成要素（４０）内部のモータ（１７０）または電気的接続を損傷することなく、外科手術後に中間端子コネクタ（２４）を滅菌し得る。

２ 遠隔ロボットシステム
４ マニピュレータアッセンブリ
６ 制御アッセンブリ
１０ 画像スコープアッセンブリ
２０ 外科手術器具アッセンブリ
２２ リストユニット
２４ 外科手術機材
４２ フレーム
４６ 前方アームアセンブリ
３０ 搭載ジョイント
５２ リストユニットアダプタ
６４ カニューレアダプタ
７０ 無菌ドレープ
１２０ ハウジング
１２２ キャリッジ
１２３ 開口部
１７０ 駆動モータ
Ａ 助手
Ｃ コンソール
Ｏ 手術台
Ｐ 患者
Ｓ 外科医

Claims (11)

1. ロボット駆動構成要素（４０）からロボット機材（２２）まで運動を伝えるための前方アームアッセンブリ（４６）であって、以下：
   ａ）該ロボット駆動構成要素と連結するように適合されたハウジング（１２０）と；
   ｂ）該ハウジングと連結されるキャリッジ（１２２）であって、該キャリッジは、該ロボット機材と連結するように適合されている、キャリッジと；
   ｃ）該キャリッジと該ロボット機材との間の無菌ドレープ（７０）であって、該キャリッジを該ロボット機材と連結することを可能にする穴を有する、無菌ドレープと；を備え、
   該キャリッジが複数の開口部を有し、該ハウジングが該ロボット駆動構成要素から該キャリッジの複数の開口部を通って該ロボット機材まで運動を伝えるように構成されている複数の回転可能なシャフト（１２４）を備え、そして
   該ロボット機材が、近位端、シャフトおよび遠位端を備え、該ロボット機材の遠位端が端部作動体（１４０）を備え、該端部作動体が少なくとも２つの自由度で該シャフトに対して移動可能である、前方アームアッセンブリ。
2. 前記キャリッジが前記ハウジングと、スライド自在に連結される、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。
3. 前記キャリッジが、前記ロボット駆動構成要素に対して移動可能である、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。
4. 前記複数の回転可能なシャフトが、前記外科手術機材に少なくとも４つの自由度を提供するように構成されている、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。
5. 前記複数の回転可能なシャフトが、前記機材のリストユニットのリストの周りの外科手術機材のヨー運動およびピッチ運動を提供するように構成されている、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。
6. 前記機材の作動が、顎部材の開閉、ハサミの開閉、把持器の開閉、クリップの付与、およびステープルの付与からなる群から選択される、請求項５に記載の前方アームアッセンブリ。
7. さらに、一体のカニューレ（６６）を備える、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。
8. 前記一体のカニューレが、該カニューレ内に力検知ベアリングと連結された力検知要素を備える、請求項７に記載の前方アームアッセンブリ。
9. 前記力検知要素が、ひずみゲージおよび力検知抵抗器からなる群から選択される部材を備える、請求項８に記載の前方アームアッセンブリ。
10. 前記力検知ベアリングが、手術の間に外科手術機材を支持し、そして該機材が回転し、かつ該ベアリングの中央孔を通って軸方向に移動することを可能にするように適合されている、請求項８に記載の前方アームアッセンブリ。
11. 前記ハウジングがさらに、２つ以上の回転可能なプーリ間に延びる少なくとも１つのキャリッジケーブルドライブを備え、該少なくとも１つのキャリッジケーブルドライブが、該ハウジング（１２０）の長手方向軸に沿って前記キャリッジを移動するように構成されている、請求項１に記載の前方アームアッセンブリ。