JP4143238B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、基本的には帯電及び光を用いた露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設ける基体からなっている。
【0003】
一方、電子写真感光体は、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性及び光学的特性を備えていることが要求される。
【0004】
更に、低温低湿から高温高湿のいずれの環境においても、その特性が十分に発揮されるような環境安定性を有していることが要求される。
【0005】
画像欠陥の代表的なものとしては、画像スジ、白地部分の黒点、黒地部分の白点、白地部分の地カブリ、更には、デジタル複写機やレーザービームプリンター等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う装置の場合には、基体の表面形状や感光体の膜厚ムラ等の要因によって発生する干渉縞等がある。
【0006】
従って、感光体を作製する場合、これらの画像欠陥が発生しないようにあらかじめ何らかの対策を施しておく必要がある。
【0007】
上記のような画像欠陥が発生する場合に大きな影響を与える要因として、基体の表面の状態が挙げられる。
【0008】
成形後何らかの処理が施されていない基体は、通常そのままでは必ずしも感光体として最適な表面状態を有していない。そのため表面状態に起因する問題が発生することも多い。
【0009】
この問題を解決するため従来より、例えば特開平1−123246号公報及び特開昭64−86153号公報においては、アルミニウム基体の表面を旋盤により切削加工した後に、感光層を形成することが行われている。特に、デジタル用の感光体は基体の表面を適度な凹凸状に切削することにより干渉縞を防止することが提案されている。
【0010】
しかしながら、アルミニウム基体を切削した場合、周方向に連続した加工跡が残るため、中間調の画像にスジ状の画像欠陥が現れたり、また、特に、デジタル画像とレーザーの走査線との関係からモアレが生じ易かった。
【0011】
また、特開平7−43922号公報及び特開平8−1510号公報においては、基体の外周面をローラーバニッシング加工を行うことが記載されている。この方法は規則性のない凹凸面が得られるが、硬い砥石を高速で回転させて円筒表面を削るため、砥粒の脱落や、切粉の影響により、円筒表面の所々に深い傷が付き易く、その傷が感光体を製造したときに、画像欠陥の原因となることがあった。
【0012】
また、特開平6−35216号公報、特許第2668985号、特公平7−15589号公報及び特開平9−179322号公報においては、アルミニウム基体の表面を湿式ホーニングにより研磨する方法が記載されている。この方法は規則性のない凹凸面を得る方法としては有効な方法であるが、基体からの電荷の注入を防ぐものではない。
【0013】
一方、例えば特開昭54−12733号公報及び特開昭57−62056号公報等に示されているような、アルミニウム基体の表面にクロメート処理を行い、クロメート化成皮膜を生成させる方法や特開昭58−14841号公報及び特開昭64−29852号公報等に示されているような、アルミニウム基体の表面にベーマイト皮膜を形成する方法、あるいは特開昭57−29051号公報に示されているような、アルミニウム基体の表面を高温により強制的に酸化し、酸化皮膜を形成する方法等の方法が考えられてきた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばクロメート処理法に関してはある程度の性能の基体は得られるが、処理液がクロムを含有するため廃液の処理が非常に困難であり、また環境安全上好ましくない。
【0015】
ベーマイト処理に関しては、表面の結晶状態が必ずしも電子写真感光体の基体に適しているとはいえず、電子写真特性に関してはある程度の効果が得られるが、画像に関しては表面構造や形状が不適切なため十分な画質が得られない等、全ての特性を満足するようなものは得られていないのが現状である。
【0016】
これらの表面処理は、基体表面に形成された皮膜が、基体から感光層へ部分的に注入した電荷によって、電子写真特性や画像にムラを生じるのを防ぐことを目的としている。
【0017】
この部分的な注入を防止して画像欠陥をなくす方法として、アルミニウム基体の表面を陽極酸化処理して酸化アルミニウムの層を設ける方法がある(特開平2−7070号公報及び特開平5−34964号公報等)。
【0018】
この方法は、上記目的を解決するためには良い方法であるが、基体表面に膜厚ムラを生じないように均一に形成するためには、膜厚を一定以上、通常の形成条件においては5〜6μm程度以上にする必要がある。従って、実際に電荷注入防止層として必要な膜厚よりもはるかに厚く形成しなければならず、コストアップにつながっていた。
【0019】
従って、本発明の目的は、低温低湿から高温高湿のいかなる環境においても画像欠陥が発生せず、また電位変動の少ない良好な電子写真特性を有する電子写真感光体を容易に、かつ安価に安定して製造することができる方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために検討を行った結果、電子写真感光体に用いられるアルミニウム基体の表面に特定の化成処理を施す、即ち、電気的外力を用いることなく、基体と特定の金属元素を含有する酸性水溶液との化学反応によって基体上に特定の組成を有する不溶性の皮膜を形成することが、優れた特性を有する電子写真感光体を得ることができる、コスト及び環境への悪影響を極めて小さくすることができる、陽極酸化処理に比べ生産装置を簡便にすることができるという点で、非常に有効な手段であることを見い出だした。
【0021】
そして、更に、この化成処理の前工程として、酸及びアルカリの少なくとも一方を使用してアルミニウム基体のエッチングを行うことによって、より優れた性能の電子写真感光体の基体を得ることが可能となった。
【0022】
即ち、本発明は、以下のa、c及びdの工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【0023】
a.アルミニウム基体を酸及びアルカリの少なくとも一方を用いてエッチング処理する工程。
【0025】
c.上記aの工程により処理されたアルミニウム基体をチタニウムの塩またはジルコニウムの塩を含有する酸性水溶液で化成処理する工程。
【0026】
d.化成処理されたアルミニウム基体上に感光層を形成する工程。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明におけるエッチング処理は、単に基体の表面に存在する汚れや油分取り除くだけではなく、基体の表面に存在している酸化皮膜を一旦取り除き、エッチング後の化成処理による化成皮膜の生成を容易にし、その性能を更に向上させることができる。
【0028】
加えて、エッチング処理の他の効果としては、次のことが考えられる。
【0029】
即ち、アルミニウム中には、通常添加物として、あるいは不純物として種々の金属が含有されており、これがアルミニウムと金属間化合物として共晶体を作り、その微小な固まりが島状に点在している。この金属間化合物は当然のことながら基体表面にも存在しており、化成処理を行っても金属間化合物が存在する部分においては化成皮膜が十分に生成されず、皮膜の欠陥となり、画像特性に影響を与える可能性がある。
【0030】
従って、化成処理を行う前に、エッチング処理によりこの金属間化合物の晶出物を除去しておくことによって、非常に均一な欠陥のない化成処理皮膜を基体表面に形成することができ、化成処理の効果を一層顕著なものにでき、極めて優れた特性を有する電子写真感光体を得ることができるのである。
【0031】
本発明におけるエッチング処理に用いる酸としては、硫酸、硝酸、フッ酸及び塩酸等が挙げられる。これらの中では、酸化皮膜や金属間化合物を選択的に良く溶解し、アルミニウムはあまり溶解しない性質を持つ硫酸が特に好ましい。硫酸の場合、溶液の濃度は10〜30質量%であることが好ましい。
【0032】
また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム及びリン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中では、最もエッチング力が強い水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0033】
なお、アルカリでエッチングを行った場合には、基体に使用するアルミニウムの種類によってはスマットと呼ばれる粉状の残渣を発生することがあるため、この場合は更に酸に浸漬することによってこれを除去する必要がある。このスマット除去には硝酸及び硫酸等が使用される。
【0034】
エッチング処理は、上記の溶液にアルミニウム基体を浸漬する、あるいは上記の溶液をアルミニウム基体にスプレー等を用いて塗布することにより行われる。処理時間は、浸漬法の場合、用いる溶液の濃度にもよるが、30秒〜5分程度であることが好ましい。また、溶液温度は、室温〜70℃程度であることが好ましい。
【0052】
本発明における化成処理とは、陽極酸化のように電気的外力を加えることなく、基体を特定の溶液に接触させることにより、基体上に特定組成の皮膜を形成する処理である。
【0053】
本発明に用いる金属塩の金属は、チタニウム及びジルコニウムであり、これらとアルミニウム及び酸素が共存した本発明の化成皮膜を有するアルミニウム基体は、電子写真感光体用の基体として、極めて優れた特性を有する。
【0054】
添加するチタニウムの塩及びジルコニウムの塩はフッ素化合物であることが好ましい。チタニウムの塩としてはチタニウムフッ化水素酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及び硫酸チタニウム等が挙げられ、ジルコニウムの塩としてはジルコンフッ化カリウム及びジルコニウム硫酸塩等が挙げられる。
【0055】
酸性水溶液中の金属塩の濃度は、金属の量で0.01g〜2g/リットルの範囲であることが好ましい。
【0056】
また、酸性水溶液中のフッ素イオンの濃度は、0〜10g/リットルの範囲であることが好ましい。この範囲では基体表面のエッチング反応が適度に起こり、均一な皮膜が生成し易い。
【0057】
本発明の酸性水溶液のpHは、アンモニアや水酸化ナトリウム等により、1.0〜5.5の範囲に調整することが好ましい。
【0058】
pH1.0未満ではエッチング反応が激しく起こり、良好な皮膜を得にくく、pH5.5を超えると皮膜の生成速度が低く、薄い皮膜しか得られにくいために、本発明の顕著な効果が得られにくい。
【0059】
本発明においては、反応が安定に行われるという点で、酸性水溶液を30〜90℃に加温して用いることが好ましい。
【0060】
基体を酸性水溶液に接触させる方法は、浸漬法及びスプレーによる噴霧法等いずれの方法でも良いが、生産効率の点で浸漬法であることが好ましい。
【0061】
化成処理後の基体は洗浄され、乾燥されてから使用される。
【0062】
本発明における基体表面の組成は、オージェ電子線分光法によって測定し、基体の最表面から深さ5×10-3μm(50Å)の範囲におけるものとする。
【0063】
本発明においては、チタニウム元素またはジルコニウム元素の含有量が、アルミニウムの含有量に対して4〜100atm%の範囲であることが好ましい。
【0064】
基体表面に形成するチタニウム元素またはジルコニウム元素を含有する化成皮膜の総膜厚は1μm以下であることが好ましく、更には5×10-3μm(50Å)以上であることが好ましい。膜厚が1μmを超えると電荷が逃げにくくなり過ぎ、残留電位が上昇したり、ゴーストが発生し易くなる。一方、5×10-3μm(50Å)に満たないと本発明の顕著な効果を得にくくなる。
【0065】
本発明においては、耐食性や塗膜の密着性の点で、酸性水溶液が更にリン酸、リン酸塩、タンニンまたはタンニン酸を含有することが好ましい。
【0066】
リン酸及びリン酸塩としては、リン酸またはそのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩やピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸及びそれらのナトリウム塩やカリウム塩といったアルカリ金属塩の縮合リン酸塩等が挙げられる。また、フィチン酸、ニトロジエタノールエチレンホスホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリル−1−アシッドホスホン酸、2−エチルヘキシルアシッドホスホン酸及びエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸等の有機リン酸化合物を使用することもできる。
【0067】
酸性水溶液中のリン酸またはリン酸塩の濃度は、リン酸イオンに換算して0.05〜50g/リットルの範囲であることが好ましい。この範囲においては、特に均一で良好な化成皮膜が得られ、また、処理液の安定性も特に良好である。
【0068】
タンニンまたはタンニン酸としては、ケプラチョ、デプジト、支那産タンニン酸、トルコ産タンニン酸、ハマメリタンニン酸、ケプリン酸、スマックタンニン、五倍子タンニン及びエラーグ酸タンニン等が挙げられる。
【0069】
酸性水溶液中のタンニンまたはタンニン酸の濃度は、0.1〜10g/リットルの範囲であることが好ましい。
【0070】
また、本発明においては、酸性水溶液が、フッ酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸及びそれらの塩を含有することが好ましい。これらはアルミニウム基体の化成処理を行う際に、基体表面をエッチングする機能を有するので、非常に均一な化成皮膜を得ることができる。
【0071】
以上のことから、本発明の化成皮膜中にはリン元素及びフッ素元素が含有されていることが好ましい。
【0072】
アルミニウム基体は、アルミニウムであれば特に限定されるものではなく、純アルミニウム及びAl−Mn系、Al−Mg系、Al−Cu系、Al−Si系、Al−Mg−Si系及びAl−Cu−Si系等のアルミニウム合金が挙げられる。より具体的には、JIS A 6063等の6000系アルミニウム合金やJIS A 3003等の3000系アルミニウム合金等を用いることができる。形状も特に限定されないが、ドラム状であることが好ましい。また、熱間押し出し成形加工により製造された素管、熱間圧延板を圧接溶接加工した電縫管もしくは熱間圧延板をTIG溶接加工した電弧管であることが好ましく、特には、熱間押し出し成形加工により製造された素管であることが好ましい。
【0073】
また、本発明においては、湿式ホーニング処理の更に前工程として、アルミニウム基体をダイヤモンドバイトで切削処理してもよい。前処理として切削加工しておくと、表面粗さの点から従来の条件よりもゆるいエア圧力や短い時間で湿式ホーニング処理を行うことができるのである。
【0074】
本発明においては、アルミニウム素管をダイヤモンドバイトを用いて旋盤により切削するが、バイトとしてダイヤモンドバイトを複数個配列したものを用いると、非常に短時間で切削することが可能になるので好ましい。
【0075】
つまり、従来、切削旋盤のバイトの刃先は一本であり、刃先の送りピッチは切削する山の形状の関係から0.01〜0.05mmであり、ワークの回転数は、2000〜3000rpmであるので、例えば250mmの素管を1本切削するのに必要な時間は、最速でも100秒程度かかっていた。
【0076】
本発明における切削加工用のダイヤモンドバイトとしては、例えば、ダイヤモンドミラクルバイトを複数個(好ましくは3〜5個)等間隔1列に配列したものを使用することが好ましい。
【0077】
これにより1回転ピッチでなく3〜5ピッチ送ることができるようになった。そうすると従来の3〜5倍の速さで切削できるようになり、加工時間も1本あたり20〜30秒と非常に短縮される。
【0078】
次に、本発明に用いる電子写真感光体の感光層について説明する。
【0079】
本発明の感光層の構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質の両方を同一の層に含有する単層型、及び電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する積層型に大別される。
【0080】
以下、積層型の感光層を有する電子写真感光体について説明する。
【0081】
感光体の構成としては、基体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層したものと、逆に電荷輸送層及び電荷発生層の順に積層したものがある。
【0082】
電荷輸送層は、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレン等の構造を有する多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリン等の含窒素環化合物;ヒドラゾン化合物及びスチリル化合物等の電荷輸送物質を成膜性を有する樹脂に溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成する。
【0083】
成膜性を有する樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル及びポリアリレート等が挙げられる。
【0084】
電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0085】
電荷発生層は、スーダンレッド及びダイアンブルー等のアゾ顔料;ピレン、キノン及びアントアントロン等のキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インディゴ及びチオインディゴ等のインディゴ顔料及びフタロシアニン顔料等の電荷発生物質をポリビニルブチラール、ポリスチレン及びポリ酢酸ビニル及びアクリル樹脂等の樹脂に分散した分散液を塗布し、乾燥するか、前記顔料を真空蒸着することによって形成する。
【0086】
電荷発生層の膜厚は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.01〜3μmである。
【0087】
単層型の感光層は、上記電荷発生物質及び電荷輸送物質を上記樹脂に分散及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成する。
【0088】
感光層の膜厚は、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0089】
本発明においては、基体と感光層の間に、バリヤー機能と接着機能を有する下引層を設けることができる。下引層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、アルコール可溶ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等を溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成する。
【0090】
下引層の膜厚は、0.1〜3μmであることが好ましい。
【0091】
また、本発明においては、感光層上に保護層を設けても良い。
【0092】
保護層を構成する材料としては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアクリルエーテル、ポリアセタール、フェノール、アクリル、シリコーン、エポキシ、ユリア、アリル、アルキッド、ブチラール、フェノキシ、ホスファゼン、アクリル変性エポキシ、アクリル変性ウレタン及びアクリル変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0093】
保護層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましい。
【0094】
以上の各層には、クリーニング性や耐摩耗性等の改善のために、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系グラフトポリマー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系ブロックポリマー、シリコーン系ブロックポリマー及びシリコーン系オイル等の潤滑剤を含有させても良い。
【0095】
更に、耐候性を向上させる目的で、酸化防止剤等の添加物を加えても良い。
【0096】
また、保護層には、抵抗制御の目的で、導電性酸化スズ及び導電性酸化チタニウム等の導電性粉体を分散しても良い。
【0097】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0098】
図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0099】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0100】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0101】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0102】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0103】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0104】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0105】
【実施例】
実施例1
外径29.92mm、内径28.5mm、長さ254mmの円筒状アルミニウムシリンダーを用意する。
【0106】
このアルミニウムシリンダーを界面活性剤で脱脂洗浄した後、60℃に加熱した20%硫酸溶液に3分間揺動しながら浸漬することによってエッチング処理を行った。
【0107】
次に、有機リン酸としてフィチン酸及び金属の塩としてチタニウムフッ化水素酸及びチタンフッ化アンモニウムを含有する酸性水溶液(商品名:パルコート3753、日本パーカライジング(株)製、pH3.8)を40℃の温度に保ち、この水溶液中に上記のアルミニウムシリンダーを浸漬し、1分間化成処理を行った後、純水で洗浄し、自然乾燥させた。化成皮膜の膜厚は2×10-2μm(200Å)であった。
【0108】
次に、オキシチタニウムフタロシアニン顔料4重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業(株)製)2重量部及びシクロヘキサノン34重量部をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。
【0109】
この分散液を先に化成処理したアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0110】
次に、下記式で示されるトリアリールアミン化合物50重量部及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂50重量部をモノクロルベンゼン400重量部に溶解した溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0111】
【外1】
【0112】
(評価)
化成処理、洗浄及び乾燥後の基体の表面を最表面から基体の深さ方向にアルゴンイオンエッチングを行いながら走査型オージェ電子分光分析装置を用いて元素分析を行った。その結果、主な構成元素としてアルミニウム、チタニウム及び酸素が検出された。得られたグラフを図2に示す。本実施例においては、深さとスパッタ時間との関係がSiO2 換算で、1.1×10-2μm/分(110Å/分)であるが、この値は適宜変更することができる。
【0113】
表1に基体最表面及び表面から5×10-3μm(50Å)の深さにおける元素の組成比をアルミニウム元素の量を100としたときの元素比率として示す。
【0114】
この結果から、基体表面の化成皮膜は、アルミニウムの酸化皮膜中にチタニウムが取り込まれているものであることが分かる。また、分析の結果、その他の含まれる元素として窒素、フッ素及びリン等が検出された。これらの元素は化成処理を行う際に用いた酸性水溶液中のリン酸やフッ素化合物に含まれていた物が化成皮膜の中に取り込まれたものと考えられる。
【0115】
次に、得られた電子写真感光体を常温常湿(23℃、60%Rh)、高温高湿(32.5℃、85%Rh)及び低温低湿(15℃、10%Rh)の各環境に48時間放置した後、市販の反転現像方式のレーザービームプリンターに設置し、各環境下でベタ白画像を出力した。
【0116】
このベタ白画像における地カブリの状態を目視にて評価した。結果を表2に示す。
【0117】
同時に、各環境における暗部電位及び明部電位の値を測定した。結果を表2に示す。
【0118】
実施例2
エッチング処理を、40℃に加熱した3%水酸化ナトリウム溶液にアルミニウムシリンダーを20秒間浸漬した後水洗し、更に15%硝酸溶液に1分秒間浸漬した後水洗することによって行い、化成処理用酸性水溶液として、タンニン酸、アンモニウム塩及び金属の塩としてジルコニウムフッ化物及びジルコニウム硫酸塩を含有する液(商品名:パルコート3756、日本パーカライジング(株)製、pH3.2)を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1及び表2に示す。なお、化成皮膜の膜厚は1.5×10-2μm(150Å)であった。
【0119】
実施例3
エッチングに用いる硫酸溶液の濃度を60%とし、化成処理用酸性水溶液として、フィチン酸を含有し、金属の塩としてジルコンフッ化水素酸及びジルコンフッ化アンモニウムを含有する液(商品名:パルコート3753T、日本パーカライジング(株)製、pH3.5)を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1及び表2に示す。なお、化成皮膜の膜厚は1.8×10-2μm(180Å)であった。
【0120】
比較例1
エッチング処理及び化成処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0121】
比較例2
濃度0.3%のアンモニア水を用意し、これを95℃に加熱した。
【0122】
この熱したアンモニア水に実施例1で用いた化成処理前のアルミニウムシリンダーを5分間浸漬して表面処理を行った後、乾燥してシリンダー表面にベーマイト皮膜を形成した。
【0123】
本発明の化成処理済アルミニウムシリンダーに代えて、このアルミニウムシリンダーを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0124】
比較例3
本発明の酸性水溶液に代えて、チタニウム及びジルコニウムを含有しないリン酸クロム系の化成処理液(商品名:アルクロム3701、日本パーカライジング(株)製)の液温を30℃に保った状態のものに1分間浸漬して化成処理を行い、シリンダー表面にクロメート系の化成皮膜を形成した。
【0125】
本発明の化成処理済アルミニウムシリンダーに代えて、このアルミニウムシリンダーを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0126】
参考例
エッチング処理を行わず、化成処理のみを行った以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
(加工例1)
アルミニウム合金JIS規格A 3003材をポートホール押し出し法により、外径φ30.0mm、内径28.5mmのパイプ状に連続押し出しして、それを長さ254mmに切断して円筒管とした。Rmaxが1.5μm、Rzが0.6μmであった。
【0130】
液体ホーニング装置(不二精機製造所製)にて以下の条件により研磨を行った。
【0131】
研磨液濃度:水40リットルに研磨剤4リットルを入れる。
研磨剤:球状アルミナ粒子(昭和タイタニウム製、アルミナビーズCB−A20S)、累積百分率による50%径20.1μm、かさ密度2.0g/cc、顕微鏡観察による形状はほぼ球状である。
円筒管の回転速度:100rpm
ガン距離:150mm
ガン角度:下角度45°
ガンのノズル径:8mm
ガン送り速度:800mm/min
エアー圧力:10.1×10-2MPa(1.1kgf/cm2)
【0132】
上記条件にて1往復の研磨加工を行い、ジェット水流を用いた水洗装置にて洗浄した。その後、超音波発振器を併用し、純水にて再洗浄した。
【0133】
小坂研究所製、サーフコーダーSE−3300装置にて、得られたアルミニウム基体の表面粗さを測定した。Rmaxは1.7μm、Rzは1.0μmであった。一本の12箇所のRz範囲は0.95〜1.05μmで良好であった。顕微鏡観察にて、表面を観察したところなだらかな凹凸形状であった。また、顕微鏡観察にて、研磨剤の突き刺さりを見たが、突き刺さりは無かった。
【0134】
(加工例2)
アルミニウム合金JIS規格A 6063材をポートホール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.5mmのパイプ状に連続押し出しして、それを長さ255mmに切断して円筒管とした。次に、切削加工を施し、外径φ30.0mm、長さ254mmに加工した。Rmaxが1.1μm、Rzが0.4μmであった。
【0135】
液体ホーニング装置(不二精機製造所製)にて以下の条件により研磨を行った。
【0136】
研磨液濃度:水40リットルに研磨剤4リットルを入れる。
研磨剤:球状アルミナ粒子(昭和タイタニウム製、アルミナビーズCB−A20S)、累積百分率による50%径20.1μm、かさ密度2.0g/cc、顕微鏡観察による形状はほぼ球状である。
円筒管の回転速度:100rpm
ガン距離:200mm
ガン角度:下角度60°
ガンのノズル径:8mm
ガン送り速度:800mm/min
エアー圧力:10.1×10-2MPa(1.1kgf/cm2)
【0137】
上記条件にて1往復の研磨加工を行い、ジェット水流を用いた水洗装置にて洗浄した。その後、超音波発振器を併用し、純水にて再洗浄した。
【0138】
小坂研究所製、サーフコーダーSE−3300装置にて、得られたアルミニウム基体の表面粗さを測定した。Rmaxは1.5μm、Rzは1.2μmであった。一本の12箇所のRz範囲は1.1〜1.3μmで良好であった。顕微鏡観察にて、表面を観察したところなだらかな凹凸形状であった。また、顕微鏡観察にて、研磨剤の突き刺さりを見たが、突き刺さりは無かった。
【0139】
(加工例3)
加工例1の研磨剤をCB−A20SからCB−A30S(昭和タイタニウム製)に変更して、その他は同じ条件にて研磨を行った。累積百分率による50%径は30.2μmであり、かさ密度は2.1g/cc、形状もほぼ球状であった。
【0140】
その結果、Rmaxは2.0μm、Rzは1.5μmであった。一本の12箇所のRz範囲は1.4〜1.6μmで良好であった。なだらかな凹凸形状であり、研磨剤の突き刺さりも無かった。
【0141】
(加工例4)
加工例2のガン角度を45°に変更して、その他は同じ条件にて研磨を行った。
【0142】
その結果、Rmaxは1.4μm、Rzは0.9μmであった。一本の12箇所のRz範囲は0.85〜0.97μmで良好であった。なだらかな凹凸形状であり、研磨剤の突き刺さりも無かった。
【0143】
(参考加工例1)
加工例1の研磨剤をCB−A20SからトサエメリーA1200(宇治電化学工業製)に変更した。累積百分率による50%径は6.7μmであり、顕微鏡観察では多角形状であった。更に、エアー圧力を10.1×10-2MPa(1.1kgf/cm2)から29.4×10-2MPa(3.0kgf/cm2)に変更して、その他は同じ条件にて研磨を行った。
【0144】
その結果、Rmaxは3.5μm、Rzは0.7μmであった。一本の12箇所のRz範囲は0.5〜0.9μmで均一性は劣っていた。形状は鋭い山、谷の形状であった。研磨剤の突き刺さりが観察された。
【0145】
実施例4
アルミニウムシリンダーとして、加工例1で得られたアルミニウム基体を用い、20%硫酸水溶液の温度を40℃とし、電荷発生層の乾燥温度を95℃とし、評価項目として目視による干渉縞の有無の観察を追加した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0146】
その結果、実施例1と同等の結果に加え、干渉縞も生じていない優れた画像が得られた。なお、化成処理後の基体表面の構成元素は実施例1と同様であった。
【0147】
実施例5
加工例2のアルミニウムシリンダーを用い、化成処理用酸性水溶液として、タンニン酸、アンモニウム塩及び金属の塩としてジルコニウムフッ化物及びジルコニウム硫酸塩を含有する液(商品名:パルコート3756、日本パーカライジング(株)製、pH3.2)を用いた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0148】
その結果、実施例2と同等の結果に加え、干渉縞も生じていない優れた画像が得られた。なお、化成処理後の基体表面の構成元素は実施例2と同様であった。
【0149】
実施例6
加工例3のアルミニウムシリンダーを用い、化成処理用酸性水溶液として、フィチン酸を含有し、金属の塩としてジルコンフッ化水素酸及びジルコンフッ化アンモニウムを含有する液(商品名:パルコート3753T、日本パーカライジング(株)製、pH3.5)を用いた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0150】
その結果、実施例3と同等の結果に加え、干渉縞も生じていない優れた画像が得られた。なお、化成処理後の基体表面の構成元素は実施例3と同様であった。
【0151】
実施例7
加工例4のアルミニウムシリンダーを用い、化成処理用酸性水溶液として、リン酸及び金属の塩としてフッ化ジルコニウム及びジルコンフッ化水素酸ナトリウムを含有する液(商品名:アルサーフ301 N−1、日本ペイント(株)製、pH4.0)を用いた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3及び表4に示す。なお、化成皮膜の膜厚は3×10-2μm(300Å)であった。
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】
実施例8
エッチング処理を行わなかった以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0155】
その結果、干渉縞は発生せず、その他の特性は参考例と同様であった。
【0156】
実施例9
参考加工例1のアルミニウムシリンダーを用いた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価したところ、わずかに黒点が生じていた。
【0157】
比較例4
化成処理を行わなかった以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0158】
その結果、干渉縞は発生しなかったものの、その他の特性は比較例1程度であった。
【0159】
実施例10
熱間押し出しにより得たJIS A 6063の外径φ30.5mm、内径φ28.5mm、長さ250mm、振れ精度100μm、表面粗さRz10μmのアルミニウム素管2を準備した。
【0160】
切削工程の概略図を図3及び4に示す。
【0161】
上記素管14を旋盤にチャックし、ダイヤモンドバイト18を5個1列0.5mm間隔に配列したバイト13にて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面粗さRz=0.9μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数(回転方向16)は3000rpm、バイトの送り速度3(送り方向15)は、0.3mm/revで加工時間は16.7秒であった。17は切削加工跡である。
【0162】
得られたアルミニウム切削管に対して、図5に示す湿式ホーニング装置を用いて、下記条件にて湿式ホーニング処理を行った。図中、19はガン、20はエア供給管、21は研磨液循環管、22はアルミニウム基体、23は置き台、24は回転モーター、25は研磨液、26は撹拌モーター、27は撹拌プロペラ、28は研磨液回収管、29は研磨液循環ポンプ、30はガン移動方向を示す。
【0163】
(湿式ホーニング条件)
研磨剤=アルミナビーズCB−A20S(昭和タイタニウム社製)
分散媒=水、研磨剤/分散媒=1/10(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=100rpm
エア吹き付け圧力=0.1MPa、ガン移動速度=0.8m/min.
ホーニング処理時間=19sec.
ホーニング後のシリンダー表面粗さはRmax 1.5μm、Rz1.0μm、Ra0.15μm、Sm40μmであった。
【0164】
アルミニウムシリンダーとして、上記のようにして得られたアルミニウム基体を用いた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0165】
その結果、カブリ特性、電位特性及び干渉縞特性のいずれも非常に優れたものであった。
【0166】
実施例11
ダイヤモンドバイトを3個1列に配列したバイトを用い、バイトの送り速度を0.25mm/revとし、加工時間を20秒とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0167】
その結果、カブリ特性、電位特性及び干渉縞特性のいずれも非常に優れたものであった。
【0168】
実施例12
ダイヤモンドバイトを5個1列に配列したバイトを用い、主軸回転数を4000rpmとし、バイトの送り速度を0.25mm/revとし、加工時間を20秒とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0169】
その結果、カブリ特性、電位特性及び干渉縞特性のいずれも非常に優れたものであった。
【0170】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、いかなる環境においても画像欠陥が発生せず、また電位変動の少ない良好な電子写真特性を有する電子写真感光体を容易にかつ安価に安定して製造できる方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体が有するアルミニウム基体表面を構成する元素の組成比を示す図である。
【図3】本発明の切削工程の概略を示す図である。
【図4】本発明の切削工程に用いられるバイトの概略を示す図である。
【図5】本発明の湿式ホーニング処理を行う装置の概略を示す図である。
Claims (9)
- 以下のa、c及びdの工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法:
a.アルミニウム基体を酸及びアルカリの少なくとも一方を用いてエッチング処理する工程;
c.上記aの工程により処理されたアルミニウム基体をチタニウムの塩またはジルコニウムの塩を含有する酸性水溶液で化成処理する工程;
d.化成処理されたアルミニウム基体上に感光層を形成する工程。 - チタニウムの塩及びジルコニウムの塩がフッ素化合物である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 酸性水溶液の温度が30〜90℃である請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 酸性水溶液が更にリン酸、リン酸塩、タンニン及びタンニン酸からなる群より選択される少なくともひとつの化合物を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 酸性水溶液が更にフッ酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくともひとつの化合物を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- エッチング処理に酸を用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- エッチング処理に硫酸を用いる請求項1または6に記載の電子写真感光体の製造方法。
- エッチング処理にアルカリを用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- エッチング処理に水酸化ナトリウムを用いる請求項1または8に記載の電子写真感光体の製造方法。
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