JP4011770B2 - 電子写真用円筒部材の表面精密加工方法、電子写真用円筒部材、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真用円筒部材の表面精密加工方法、電子写真用円筒部材、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真に用いられる電子写真用円筒部材の表面精密加工方法、電子写真用円筒部材、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、並びにこの電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、基本的には帯電及び光を用いた露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設けるための支持体からなっている。一方、電子写真感光体は、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性を備えていることが要求される。また、感光体としては、その画像に画像欠陥のないことが要求される。更に、低温低湿から高温高湿のいずれの環境においても、その特性が十分に保持され発揮されるような環境安定性を有していることが要求される。
【0003】
ここで言う画像欠陥の代表的なものとしては、画像スジ、白地部分の黒点、黒地部分の白点、白地部分の地かぶり等である。また、特にデジタル方式の複写機あるいはレーザービームプリンター等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う装置の場合には、支持体の表面形状や感光体の膜厚ムラ等の要因によって、干渉縞等が発生する。従って、感光体を作製する場合、これらの画像欠陥が発生しないように予め何らかの対策を施しておく必要がある。
【0004】
これらの画像欠陥が発生する場合に最も影響するものとして、感光体を形成する際の支持体の表面状態が挙げられる。成形後何らかの処理が施されていない支持体は、通常そのままでは必ずしも感光体として最適な表面状態を有していない。そのため表面状態に起因する問題が発生することも多い。
【0005】
感光体用の支持体は通常、特開平1−123246号公報、特開昭64−86153号公報あるいは特開平4−242742号公報、特開平4−242743号公報、特開平4−242744号公報、特開平4−242745号公報、特開平4−242746号公報、特開平4−242747号公報、特開平4−242748号公報、特開平4−242749号公報等に示されているように、アルミニウム合金の円筒を旋盤により切削加工した後に、感光層を形成するのが一般的である。
【0006】
特に、デジタル用の感光体は、支持体の表面を切削により凹凸状に切削して、これにより干渉縞を消すことが行われている。しかしながら、アルミニウム合金シリンダーをこのように切削した場合、加工方向、すなわちこの場合には周方向に連続した加工跡が残るため、中間調の画像にスジ状の画像欠陥が現れたり、また特にデジタル画像とレーザーの走査線との関係からモアレが生じ易い。
【0007】
また、前記問題を解決するために従来から、例えば、特開昭54−12733号公報及び特開昭57−62056号公報等に示されているような、アルミニウム支持体の表面にクロメート処理を行い、クロメート化成皮膜を生成させる方法や特開昭58−14841号公報及び特開昭64−29852号公報等に示されているようなアルミニウム支持体の表面にベーマイト皮膜を形成する方法、あるいは特開昭57−29051号公報に示されているような、アルミニウム支持体の表面を高温により強制的に酸化し、酸化皮膜を形成する方法等の方法が考えられてきた。
【0008】
しかしながら、例えば、クロメート処理法に関しては、ある程度の性能の支持体は得られるが、処理液がクロムを含有するため廃液の処理が非常に困難であり、また環境安全上好ましくない。また、ベーマイト処理に関しては、表面の結晶状態が必ずしも電子写真感光体の支持体として適しているとは言えず、電子写真特性に関してはある程度の効果が得られるが、画像に関しては、表面構造や形状が不適切なため十分な画質が得られない等、全ての特性を満足するようなものは得られていないのが現状である。
【0009】
これらの表面処理は、支持体表面に形成された皮膜が、支持体から感光層へ部分的に注入した電荷によって、電子写真特性や画像にムラを生じるのを防ぐことを目的としている。
【0010】
この部分的な注入を防止して画像欠陥をなくす方法として、アルミニウム支持体の表面を陽極酸化処理して酸化アルミニウムの層を設ける方法がある(特開平2−7070号公報及び特開平5−34964号公報等)。
【0011】
この方法は、上記目的を解決するためには良い方法であるが、支持体表面に膜厚ムラを生じないように均一に形成するためには、膜厚を一定以上、通常の形成条件においては5〜6μm程度以上にする必要がある。従って、実際に電荷注入防止層として必要な膜厚よりもはるかに厚く形成しなければならず、コストアップにつながっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、干渉縞、モアレ、画像スジ、ハーフトーンムラ、及び白地における黒点の発生等のない良好な画像を与える電子写真感光体用円筒部材、及びそのような円筒部材を製造するこれまでと異なった表面精密加工方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、低温低湿から高温高湿のいかなる環境においても画像欠陥が発生せず、また電位変動の少ない良好な電子写真特性を有する電子写真感光体、電子写真感光体を容易にかつ安価に安定して製造する方法、並びに電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、前記電子写真用円筒部材の外周面を研摩する電子写真用円筒部材の表面精密加工方法であって、
前記表面精密加工により得られる電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)で0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)で10〜100μmであることを特徴とする電子写真用円筒部材の表面精密加工方法が提供される。
また本発明に従って、N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、前記電子写真用円筒部材の外周面を研摩する電子写真用円筒部材の表面精密加工方法であって、
前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で3.0μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)で2.5μm以下であることを特徴とする電子写真用円筒部材の表面精密加工方法が提供される。
また本発明に従って、N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、外周面が研摩されている電子写真用円筒部材であって、
前記表面精密加工により得られた表面粗さが、最大高さ(Rmax)で0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)で0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)で10〜100μmであることを特徴とする電子写真用円筒部材提供される。
また本発明に従って、N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、外周面が研摩されている電子写真用円筒部材であって、
前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で3.0μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)で2.5μm以下であることを特徴とする電子写真用円筒部材が提供される。
【0015】
また本発明に従って、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体及び前記支持体に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、
N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する支持体を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記支持体とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記支持体とを相対移動させることにより、前記支持体の感光層を形成する側の表面が研摩されており、かつ
前記支持体の感光層側の表面がアルミニウム、酸素及びチタニウム、又はアルミニウム、酸素及びジルコニウムを含有する
ことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0016】
更に本発明に従って、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体及び前記支持体に設けられた感光層を有する電子写真感光体を製造する方法において、
N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する支持体を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記支持体とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記支持体とを相対移動させることにより、前記支持体の感光層を形成する側の表面を研摩する工程と
次いで前記支持体をチタニウムの塩又はジルコニウムの塩を含有する酸性水溶液で化成処理する工程
次いで前記支持体上に感光層を形成する工程
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0017】
尚更に本発明に従って、前記電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及び、転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される
尚更に本発明に従って、前記電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し像露光を行い電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する像露光手段、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及び、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段を有することを特徴とする電子写真装置が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる円筒シリンダーの表面加工を行う際に、加工方法として、磁性体による研摩を用いると、前記の従来法の欠点を克服することができることを見出し、本発明に至った。
【0019】
精密加工方法により得られる表面粗さが、最大高さ(Rmax)が0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)が0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)が10〜100μmであることを特徴とする加工方法を提供する。
【0020】
通常のバイト切削等の加工方法では、加工の方向がシリンダーの周方向となるために、母線方向での粗さは得られるが、周方向における表面粗さが得られない。干渉縞、モアレ等の画像欠陥を防止するためには、表面が一様に粗さが得られる方が良い。
【0021】
磁性体による研摩においては、加工後の表面状態は長さ及び大きさが多様な研摩スジが集まって重なり合ったようになっているため規則性がなく、切削加工と比較して、特にシリンダー周方向、すなわち研摩方向での粗さを大きく得ることができる。すなわち、通常の切削においては、切削方向に垂直な母線方向では粗さを得ることができるが、切削方向では粗さを得ることができない。
【0022】
また、センターレス研削においては、研摩方向においても粗さを得ることができるが、硬い砥石を用いるため円筒支持体の表面に新たな深い研摩傷を発生させてしまう。ところが、磁性体による研摩では研摩方向においても粗さを得ることができる。従って、所定の表面粗さに研摩することによって画像スジやレーザー走査線とのモアレの発生は起きず、また干渉縞も防止でき、深い傷も無いため画像欠陥が発生しない。
【0023】
次に、本発明になる磁性体による研摩方法を詳細に説明する。
【0024】
加工される円筒部材の周囲に配置されたマグネットや電磁コイルからなる磁場を印加して、磁性体を円筒部材の外周を回転させることにより円筒部材の外周面を研摩する。かかる方法になる研摩方法は、磁気ブラシによる柔軟な研摩のために、円筒部材の外周面を精密に研摩するものであり、多少の形状的な凹凸を有する表面を均一に研摩することができる。
【0025】
更に、かかる磁気ブラシによる柔軟な研摩により、新たな研摩傷を発生させることもなく、最大高さ(Rmax)が0.5〜2.0μmの範囲内で、十点平均粗さ(Rz)が0.5〜1.8μm、平均山間隔(Sm)が10〜100μmの凹凸形状が得られるものである。
【0026】
更に、詳しく説明すると、一般的に直流磁界をつくるN−S磁極間に磁性体、磁性体とは磁化される性質と研摩される作用を有する延長形状粒又は非延長形状粒、又は磁性流体にダイヤモンド粒等の砥粒を混合させたもの、あるいはアルミナ砥粒、炭化ケイ素砥粒等を混合させたもの、あるいは磁性体と研摩粒子との複合体等である。
【0027】
かかる磁性体の介在する磁界中に、加工される円筒部材を配置することにより、磁気ブラシは磁界によって加工間隙を保持しながら、円筒部材の表面を押し付ける。この時、磁極を有する工具又は加工される円筒部材のいずれか一方又は両方を、回転又は軸方向の運動を与えることにより、磁気ブラシと加工される円筒部材との間の相対運動により研摩される。
【0028】
所定の粗さを得るためには、加工間隙の調整、磁極の強さ、磁気ブラシの充填量、あるいは研摩粒子の充填量、研摩粒子の大きさ、及び磁性体の形状等を調整することにより、最適な条件が選択される。又は、粗研摩を行った後に、精研摩を行うこともできる。
【0029】
かかる加工方法において、磁性体と研摩粒子との割合は一般的には、95〜50:5〜50%の割合で調整されるが、これらに限定されるものではない。又は、アルミニウム合金等の非磁性合金の場合には、円筒部材の内部に磁性工具を配置することにより、磁気ブラシの外周面の研摩を強くすることもできる。
【0030】
かかる方法に用いられる電子写真用円筒部材は、最大高さ(Rmax)が10〜20μmの粗さを有する円筒部材を研摩することも可能であるが、加工効率からみると、最大高さ(Rmax)が3.0μm以下の引き抜き管、又は切削管が好ましい。又は電子写真用感光体に用いられている押し出し加工による円筒部材も好適に利用することができる。
【0031】
かかる研摩に用いられる加工方法において、加工される電子写真用円筒部材の最大高さ(Rmax)が3.0μm以下においては、研摩代が10μm以下により、所望の表面粗さが得られる。
【0032】
また、かかる電子写真用円筒部材料には、使用する材質としてアルミニウム合金が好適に使用されるが、このアルミニウム合金のうち、押し出しによる円筒シリンダーの製造のし易さから、JIS規格における3000系及び6000系の合金が望ましい。
【0033】
前記のアルミニウム合金は、加工時において非常に傷の付き易い合金であり、磁気ブラシによる柔軟な研摩方法は、傷の新たな発生がないために特に有効な加工方法である。更に、電子写真用円筒部材のうち、特に感光体製造に有効な加工方法である。
【0034】
本発明における研摩を行った後の支持体を洗浄する際には、研摩面の表面形状がバイト切削面等と比較して複雑になっており、洗浄が比較的に困難であること、環境への影響も考えて、ジェット水流を用いた水洗方式が適当である。水洗方式には、適当な界面活性剤や超音波を併用すれば更に効果的である。
【0035】
本発明における感光体支持体の化成処理とは、陽極酸化のように電気的外力を加えることなく、支持体を特定の溶液に接触させることにより、支持体上に特定組成の皮膜を形成する処理である。
【0036】
本発明に用い金属塩の金属は、チタニウム及びジルコニウムであり、これらとアルミニウム及び酸素が共存した本発明の化成皮膜を有するアルミニウム支持体は、電子写真感光体の支持体として極めて優れた特性を有す。添加するチタニウムの塩及びジルコニウムの塩はフッ素化合物であることが好ましい。チタニウムの塩ついてはチタニウムフッ化水素酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及び硫酸チタニウム等が挙げられ、ジルコニウムの塩としてはジルコンフッ化カリウム及びジルコニウム硫酸塩等が挙げられる。
【0037】
酸性水溶液中の金属化合物の金属塩の濃度は、金属の量で0.01g〜2g/リットルの範囲がであることが好ましい。また、酸性水溶液中のフッ素イオンの濃度は、0〜10g/リットルの範囲がであることが好ましい。この範囲では支持体表面のエッチング反応が適度に起こり、均一な皮膜が生成し易い。
【0038】
本発明の酸性水溶液のpHは、アンモニアや水酸化ナトリウム等により、1.0〜5.5の範囲に調整することが好ましい。pH1.0未満では、エッチング反応が激しく起こり、良好な皮膜を得にくく、pH5.5を超えると皮膜の生成速度が低く、薄い皮膜しか得られにくいために、本発明の顕著な効果が得られにくい。
【0039】
本発明においては、酸性水溶反応が安定に行われるという点で、液を30〜90℃に加温して用いることが好ましい。支持体を酸性水溶液に接触させる方法としては、浸漬法及びスプレーによる噴霧法等のいずれかの方法でも良いが、生産効率の点で浸漬法であることが好ましい。化成処理後の支持体は洗浄され、乾燥されてから使用される。
【0040】
本発明における支持体表面の組成は、オージェ電子線分光法によって測定して、支持体の最表面から深さ50Å(5×10-3μm)の範囲におけるものとする。本発明においては、チタニウム又はジルコニウムの含有量が、アルミニウムの含有量に対して4〜100atm%の範囲であることが好ましい。
【0041】
支持体表面に形成するチタニウム又はジルコニウムを含有する化成皮膜の総膜厚は、1μm以下であることが好ましく、更には50Å(5×10-3μm)以上であることが好ましい。膜厚が1μmを越えると電荷が逃げにくくなり過ぎ、残留電位が上昇したり、ゴーストが発生し易くなる。一方、50Å(5×10-3μm)に満たないと本発明の顕著な効果を得難くなる。
【0042】
本発明においては、耐食性や塗膜の密着性の点で、酸性水溶液が更にリン酸、リン酸塩、タンニン又はタンニン酸を含有することが好ましい。リン酸塩としては、リン酸又はそのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩を基本成分として、それらのピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸及びそれらのナトリウム塩やカリウム塩といったアルカリ金属塩の縮合リン酸塩等が挙げられる。リン酸としては、リン酸以外にフィチン酸、ニトロジエタノールエチレンホスホン酸、2−ヒドロオキシエチルメタアルキル−1−アシッドホスホン酸、2−エチルヘキシルアシッドホスホン酸及びエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸等の有機リン酸化合物を使用することもできる。
【0043】
酸性水溶液中のリン酸又はリン酸塩の濃度としては、リン酸イオンに換算して0.05〜50g/リットルの範囲がであることが好ましい。この範囲においては、特に均一で良好な化成皮膜が得られ、また処理液の安定性も特に良好である。
【0044】
タンニン又はタンニン酸としては、ケプラチョ、デプジト、支那産タンニン酸、トルコ産タンニン酸、ハマメリタンニン酸、ケプリン酸、スマックタンニン、五倍子タンニン及びエラーグ酸タンニン等が挙げられる。酸性水溶液中のタンニン又はタンニン酸の濃度は、0.1〜10g/リットルの範囲であることが好ましい。
【0045】
また、本発明においては、酸性水溶液がフッ酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸及びそれらの塩を含有することが好ましい。これらは、アルミニウム及びアルミニウム合金支持体の化成処理を行う際に、支持体表面のエッチングする機能を有するので、非常に均一な化成皮膜を得ることができる。以上のことから、本発明の化成皮膜中にはリン及びフッ素が含有されていることが好ましい。
【0046】
次に、本発明に用いる電子写真感光体の感光層について説明する。
【0047】
本発明の感光体支持体を用いて感光体を作製する場合、感光層は電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層からなる積層構造型のもの、あるいは1層の中に電荷発生材料及び電荷輸送材料の両方を同一の層に含有する単層型に大別される。
【0048】
以下、積層型の感光層を有する電子写真感光体について説明する。
【0049】
感光体の構成としては、支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層したものと、逆に電荷輸送層及び電荷発生層の順に積層したものがある。
【0050】
電荷発生材料としては、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン等を用いることができる。
【0051】
特に、デジタル感光体の場合、これらの電荷発生材料の中で、赤外レーザー、可視光レーザーへの対応において、波長への感光依存性の広さから、フタロシアニン系が優れており、更にフタロシアニン系の中でもチタニルフタロシアニンがその感度の高さから更に優れていると言える。
【0052】
電荷輸送材料としては、各種ヒドラゾン類、ピラゾリン類、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ポリアリールアルカン類等の化合物の中から選択される。
【0053】
これらの電荷発生材料や電荷輸送材料は、真空蒸着あるいは適当な結着樹脂と組み合わせて、支持体上に塗工して成膜を行うことで感光層とする。感光層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニールアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0054】
本発明の電子写真感光体においては、感光層上に感光層の表面に傷や摩耗等の機械的な損傷を防止する意味で保護層を設けても良い。保護層は、主に樹脂で構成される。
【0055】
保護層を構成する材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアクリルエーテル、ポリアセタール、ナイロン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ、ホスファゼン樹脂、アクリル変性エポキシ、アクリル変性ウレタン及びアクリル変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0056】
これらの樹脂中には、クリーニング性、耐摩耗性等の改善のために、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビリニデン、フッ素系グラフトポリマー、シリコン系グラフトポリマー、シリコン系オイル等の潤滑剤や、保護層の抵抗制御の目的で酸化スズ粉体や導電性酸化チタン等を分散させることも可能である。更に、耐候性を向上させる目的で、酸化防止剤の添加物等の添加物を加えても良い。保護層の膜厚は、好ましくは0.05μm〜15μm、より好ましくは1μm〜10μmである。
【0057】
本発明の導電性支持体と感光層の間に、バリアー機能と下引き機能を有す下引き層を設けることもできる。下引き層は、感光層の接着性改良、支持体の保護、支持体からの電荷注入性改良、感光体の電気的破壊に対する保護等のために形成することができる。
【0058】
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン、アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン等が使用される。下引層の膜厚は0.1〜3μmが好ましい。
【0059】
本発明の感光体用支持体に感光層を塗布する方法としては、浸漬塗布法、ブレードコーティング法、バーコート法等がある。
【0060】
本発明の感光体用支持体上に感光層を設ける場合に、その膜厚は単一層構造の場合、5μm〜100μmが好ましく、更には10μm〜60μmが好ましい。感光層が積層構造の場合、電荷発生層の厚さは0.001μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05μm〜2μmであり、電荷輸送層の厚さは1μm〜40μmが好ましく、より好ましくは10μm〜30μmである。
【0061】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を示す。
【0062】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に対し目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0063】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期して取り出されて給紙された転写材7に、感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段6により順次転写されていく。
【0064】
トナー画像の転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0065】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0066】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0067】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0068】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0069】
【実施例】
以下に、実施例に従って本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
【0070】
(実施例1−1)
ルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押し出し法により外径φ30.0mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押し出しして、それを長さ254mmに切断して円筒シリンダーとした。最大高さ(Rmax)が2.0μm、十点平均粗さ(Rz)は0.6μmであった。
【0071】
次に、磁性体(φ0.3mm、長さ3mm)とアルミナ砥粒(70μm径)を軽油中に60対40の割合で均一に分散させたN−S磁極間に介在させ、この磁極間に上記円筒シリンダーを配置した。磁極回転数400回転/分、円筒シリンダーと磁極との距離を2mmとし、5分間研摩した。この研摩した円筒シリンダーをジェット水流を用いた水洗浄装置にて洗浄した。その後、超音波発振機を併用し、純水にて再洗浄した。
【0072】
外径寸法の変化から測定したところ、研摩代は8μmであった。このようにして作製した円筒シリンダーの表面粗さを測定したところ、最大高さ(Rmax)1.5μm、十点平均粗さ(Rz)1.0μm、平均山間隔(Sm)20μmであった。
【0073】
次に、チタニルフタロシアニン顔料4重量部、ポリビニノレブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業製)2重量部、シクロヘキサノン34重量部からなる溶液をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を上記の研摩を行ったシリンダー支持体上に浸漬塗布し、80℃で10分間加熱乾燥することにより、電荷発生層を形成した。電荷発生層の膜厚は0.2μmであった。
【0074】
次いで、トリアリールアミン化合物50重量部と、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学製)50重量部をモノクロルベンゼン400重量部に溶解した溶液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、120℃で1時間加熱乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0075】
このようにして作製した本発明の電子写真感光体を、解像度600dpiのレーザービームプリンターに装着して、ハーフトーン画像を出して、画像評価を行った。ハーフトーン画像は、黒線1本と白線2本分が交互に連続しているものであり、縦方向、横方向それぞれ走査したものを使用した。その結果を表1に示す。
【0076】
(実施例1−2〜1−5)
支持体の材料、磁性体とアルミナ砥粒の割合、アルミナの砥粒及び磁極回転数等を表1に示す条件の様に変更した以外は、実施例1−1と同様に電子写真感光体を作製した。そして、実施例1−1と同様に評価を行い、その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004011770
【0078】
(実施例2−1)
アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押し出し法により外径φ30.0mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押し出しして、それを長さ254mmに切断して円筒シリンダーとした。最大高さ(Rmax)が2.0μm、十点平均粗さ(Rz)は0.6μmであった。
【0079】
次に、磁性体(φ0.3mm、長さ3mm)とアルミナ砥粒(平均粒径70μm)を軽油中に60対40の割合で均一に分散させた。N−S磁極間に介在させ、この磁極間に上記円筒シリンダーを配置した。ドラム回転数400回転/分、円筒シリンダーと磁極との距離を2mmとし、5分間研摩した。この研摩した円筒シリンダーをジェット水流を用いた水洗浄装置にて洗浄した。その後超音波発振機を併用し、純水にて再洗浄した。
【0080】
外径寸法の変化から測定したところ、研摩代は8μmであった。このようにして作製した円筒シリンダーの表面粗さを測定したところ、最大高さ(Rmax)1.5μm、十点平均粗さ(Rz)1.0μm、平均山間隔(Sm)20μmであった。この円筒シリンダーを、40℃の20%硫酸水溶液に3分間浸漬し、その後、純水で洗浄し、自然乾燥させた。
【0081】
有機リン酸としてフィチン酸及び金属の塩としてチタンフッ化水素酸及びチタンフッ化アンモニウム酸性水溶液(商品名:パルコート3753M、日本パーカライジング株式会社製、pH3.8)を40℃の温度に保ち、この水溶液中に上記のアルミニウムシリンダーを浸漬し、1分間化成処理を行った後、純水で洗浄し、自然乾燥させた。この化成皮膜の膜厚は200Åであった。
【0082】
次に、オキシチタニウムフタロシアニン顔料4重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業株式会社製)2重量部及びシクロヘキサノン34重量部をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を先に化成処理したアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、95℃で10分間加熱乾燥し、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0083】
次に、下記構造式で示されるトリアリールアミン化合物50重量部及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂50重量部をモノクロルベンゼン400重量部に溶解した溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0084】
【化1】
Figure 0004011770
【0085】
(実施例2−2)
支持体の材料等を表2のように代えた以外は,実施例2−1と同様に研磨した。化成処理用酸性水溶液として、有機リン酸としてフィチン酸、アンモニウム塩及び金属の塩としてジルコニウムフッ化物及びジルコニウム硫酸塩を含有する液(商品名:パルコート3756M、日本パーカライジング株式会社製、pH3.2)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、化成皮膜の膜厚は150Åであった。
【0086】
(実施例2−3)
支持体の材料等を表2のように代えた以外は,実施例2−1と同様に研磨した。化成処理酸性水溶液として、タンニン酸を含有し、金属の塩としてチタンフッ化水素酸及びチタンフッ化アンモニウムを含有する液(商品名:パルコート3753T、日本パーカライジング株式会社製、pH3.5)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、化成皮膜の膜厚は180Åであった。
【0087】
【表2】
Figure 0004011770
【0088】
(比較例2−1)
化成処理を行わなかった以外は、実施例2−1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0089】
(比較例2−2)
濃度0.3%のアンモニア水を用意し、これを95℃に加熱した。この熱したアンモニア水に実施例2−1で用いた化成処理前のアルミニウムシリンダーを5分間浸漬して表面処理を行った後、乾燥してシリンダー表面にベーマイト皮膜を形成した。このアルミニウムシリンダーを用いた以外は、実施例2−1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0090】
(比較例2−3)
本発明の酸性水溶液に代えて、チタニウム及びジルコニウムを含有しないリン酸クロム系の化成処理液(商品名:アルクロム3701、日本パーカライジング株式会社製)の液温を30℃に保った状態のものに1分間浸漬して化成処理を行い、シリンダー表面にクロメート系の化成皮膜を形成した。このアルミニウムシリンダーを用いた以外は実施例2−1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0091】
(評価)
これらの実施例2−1〜2−3及び比較例2−1〜2−3に関して、常温常湿(23℃、60%RH)、高温高湿(32.5℃、85%RH)及び低温低湿(15℃、10%RH)の各環境下に48時間放置した後、市販の反転現像方式のレーザービームプリンターに設置し、各環境下でベタ白画像を出力した。
【0092】
このベタ白画像における地カブリの状態を目視にて評価した。結果を表3に示す。同時に、各環境における暗部電位及び露光部電位の値を測定した。結果を表4に示す。
【0093】
【表3】
Figure 0004011770
【0094】
【表4】
Figure 0004011770
【0095】
以上の結果より、本発明の電子写真感光体は、画像及び電位変動に関して良好な特性を有していることが分かった。
【0096】
次に、実施例2−1〜2−3で使用した化成処理、洗浄及び乾燥後の支持体の表面を、最表面から支持体の深さ方向にアルゴンイオンエッチングを行いながら走査型オージェ電子分光分析装置を用いて元素分析を行った。その結果、主な構成元素として実施例2−1と2−3からはアルミニウム、チタニウム及び酸素が検出された。また、実施例2−2の支持体表面からはアルミニウム、ジルコニウム及び酸素が検出された。
【0097】
表5に支持体最表面及び表面から50Åの深さにおける元素の組成比をアルミニウム元素の量を100とした時の元素比率として示す。
【0098】
この結果から、支持体表面の化成皮膜は、アルミニウムの酸化皮膜中にチタニウム又はジルコニウムが取り込まれているものであることが分かる。また、分析の結果、その他の含まれる元素として窒素、フッ素及びリン等が検出された。これらの元素は、化成処理を行う際に用いた酸性水溶液中のリン酸やフッ素化合物に含まれていたものが、化成皮膜の中に取り込まれたものと考えられる。
【0099】
【表5】
Figure 0004011770
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、干渉縞、モアレ、画像スジ、ハーフトーンムラ、白地における黒点の発生等のない良好な画像を与える電子写真用感光体を得ることができる。
【0101】
また本発明によれば、いかなる環境においても画像欠陥が発生せず、また電位変動の少ない良好な電子写真特性を有する電子写真感光体、及び電子写真感光体を容易にかつ安価に安定して製造できる方法が、更には電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体を有するプロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。

Claims (27)

  1. N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、前記電子写真用円筒部材の外周面を研摩する電子写真用円筒部材の表面精密加工方法であって、
    前記表面精密加工により得られる電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)で0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)で10〜100μmであることを特徴とする電子写真用円筒部材の表面精密加工方法
  2. N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、前記電子写真用円筒部材の外周面を研摩する電子写真用円筒部材の表面精密加工方法であって、
    前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で3.0μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)で2.5μm以下であることを特徴とする電子写真用円筒部材の表面精密加工方法
  3. 前記表面精密加工の研摩代が10μm以下である請求項2に記載の電子写真用円筒部材の表面精密加工方法。
  4. 前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材が押し出し加工により得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用円筒部材の表面精密加工方法。
  5. 前記電子写真用円筒部材がアルミニウム合金であり、JIS規格の3000系又は6000系である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用円筒部材の表面精密加工方法。
  6. 前記電子写真用円筒部材が電子写真感光体用の円筒部材である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用円筒部材の表面精密加工方法。
  7. N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、外周面が研摩されている電子写真用円筒部材であって、
    前記表面精密加工により得られた表面粗さが、最大高さ(Rmax)で0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)で0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)で10〜100μmであることを特徴とする電子写真用円筒部材
  8. N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する電子写真用円筒部材を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記電子写真用円筒部材とを相対移動させることにより、外周面が研摩されている電子写真用円筒部材であって、
    前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材の表面粗さが、最大高さ(Rmax)で3.0μm以下であり、十点平均粗さ(Rz)で2.5μm以下であることを特徴とする電子写真用円筒部材
  9. 前記表面精密加工の研摩代が10μm以下である請求項8に記載の電子写真用円筒部材。
  10. 前記表面精密加工に供する電子写真用円筒部材が押し出し加工により得られたものである請求項7〜9のいずれかに記載の電子写真用円筒部材。
  11. 前記電子写真用円筒部材がアルミニウム合金であり、JIS規格の3000系又は6000系である請求項10のいずれかに記載の電子写真用円筒部材。
  12. 前記電子写真用円筒部材が電子写真感光体用の円筒部材である請求項11のいずれかに記載の電子写真用円筒部材。
  13. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体及び前記支持体に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、
    N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する支持体を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記支持体とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記支持体とを相対移動させることにより、前記支持体の感光層を形成する側の表面が研摩されており、かつ
    前記支持体の感光層側の表面がアルミニウム、酸素及びチタニウム、又はアルミニウム、酸素及びジルコニウムを含有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  14. 前記支持体の感光層側の表面の研摩後の表面粗さが、最大高さ(Rmax)0.5〜2.0μmであり、十点平均粗さ(Rz)0.5〜1.8μmであり、平均山間隔(Sm)10〜100μmである請求項13に記載の電子写真感光体。
  15. 前記支持体の感光層側の表面のチタニウム又はジルコニウムの含有量が、アルミニウムの含有量に対して4〜100atm%である請求項13又は14に記載の電子写真感光体。
  16. 前記支持体の感光層側の表面が更にリンを含有する請求項1315のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17. 前記支持体の感光層側の表面が更にフッ素を含有する請求項1316のいずれかに記載の電子写真感光体。
  18. 前記支持体の感光層側の表面が化成処理によって形成された皮膜である請求項1317のいずれかに記載の電子写真感光体。
  19. 前記皮膜の膜厚が1μm以下である請求項18に記載の電子写真感光体。
  20. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体及び前記支持体に設けられた感光層を有する電子写真感光体を製造する方法において、
    N極及びS極を有する工具が形成する磁界中に磁性体及び砥粒を存在させ、表面精密加工に供する支持体を前記磁性体及び前記砥粒が存在する領域に配置し、前記工具と前記支持体とを相対移動させて、前記工具の動きに伴い移動又は静止している前記磁性体及び前記砥粒と前記支持体とを相対移動させることにより、前記支持体の感光層を形成する側の表面を研摩する工程と
    次いで前記支持体をチタニウムの塩又はジルコニウムの塩を含有する酸性水溶液で化成処理する工程
    次いで前記支持体上に感光層を形成する工程
    を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  21. 前記チタニウムの塩又はジルコニウムの塩がフッ素化合物を含有する請求項20に記載の電子写真感光体の製造方法。
  22. 前記酸性水溶液のpHが1.0〜5.5である請求項20又は21に記載の電子写真感光体の製造方法。
  23. 前記酸性水溶液の温度が30〜90℃である請求項2022のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  24. 前記酸性水溶液が更にリン酸、リン酸塩、タンニン及びタンニン酸からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含有する請求項2023のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  25. 前記酸性水溶液が更にフッ酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含有する請求項2024のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  26. 請求項1319のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  27. 請求項1319のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し像露光を行い電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する像露光手段、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及び、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材上転写する転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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