JP2005208620A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ドット再現性に優れた接触帯電用電子写真感光体、ならびに、該接触帯電用電子写真感光体および接触帯電手段を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】 電界強度が15[V/μm]になるように電子写真感光体の表面を帯電して表面電位を所定の値E[V]にし、露光開始後T[ms]経過した時点の電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる露光条件で露光した場合の光減衰曲線の露光開始後T[ms]経過した時点での傾きをmとし、帯電終了後T[ms]経過した時点の表面電位が0.8E[V]になる帯電条件で電子写真感光体の表面を帯電し、その後に露光を行わない場合の暗時表面電位減衰曲線の帯電終了後T[ms]経過した時点での傾きをm’としたとき、|m−m’|≦0.030。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接触帯電手段の被帯電体として用いられる電子写真感光体、該電子写真感光体および接触帯電手段を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
従来、画像形成装置には、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式など様々な方式が採用されている。これらのうち、電子写真方式を採用した画像形成装置(電子写真装置)は、他の方式を採用した画像形成装置と比較して、高速、高画質、騒音が少ないという点で優っており、多くの複写機やプリンターなどに採用されている。
電子写真方式による画像形成は、電子写真感光体の表面を帯電し、帯電された電子写真感光体の表面に露光光を照射することによって電子写真感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー(現像剤)によって現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成し、このトナー像を電子写真感光体の表面から紙などの転写材に転写するというプロセスによって行われる。
現在、上記の露光光としては、レーザー光が広く用いられている。露光光としてレーザー光を用いた場合、電子写真感光体の表面に形成される静電潜像はデジタルな静電潜像(デジタル潜像)となる。
また、電子写真感光体の表面を帯電する方式としては、電子写真感光体の表面に接触配置される帯電部材すなわち接触帯電部材を用い、該接触帯電部材に電圧を印加することによって該電子写真感光体の表面を帯電する方式、すなわち、接触帯電方式が主流となりつつある。また、接触帯電部材には、ローラー状のものやブレード状のものなどを用いることができるが、ローラー状の帯電部材、いわゆる帯電ローラーが多用されている。
接触帯電方式は、コロナ帯電方式に比べて、窒素酸化物やオゾンの発生量が格段に少ないという利点がある。また、コロナ帯電方式は、コロナ帯電器に流す電流の80%前後がシールドに流れて浪費されてしまうが、接触帯電方式は、この浪費分がなく経済的であるという利点もある。
また、上記の電子写真感光体としては、有機の電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体(有機電子写真感光体)が広く用いられている。このような感光層としては、耐久性の観点から、支持体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の順に積層してなる積層型(順層型)の層構成を有するものが主流となっている。
さて、今日の電子写真技術の発展は著しく、電子写真感光体にも非常に高度な特性が要求されている。特に、高画質化に対応する特性が強く求められるようになってきている。
高画質化が求められる理由としては、電子写真技術がそのオンデマンド性により、従来はオフセット印刷やスクリーン印刷などの印刷技術の領域であった市場に進出していることが挙げられる。そのため、小ポイント文字の再現性や、写真画像、特にハーフトーンの再現性など、印刷技術並みの高画質が求められている。
しかしながら、オフセット印刷やスクリーン印刷などの印刷技術では、版の形状を忠実に写し取ることができるのに対して、電子写真技術では、特に露光光としてレーザー光を用いた場合には、レーザースポットと比較して電子写真感光体表面上のドット、ひいては出力画像上のドットが拡がってしまうという、いわゆるドット再現性の低下という問題がある。電子写真感光体の表面に形成された静電潜像のドットの3次元形状が浅く広くなっていると考えられる。また、この問題は、ドット同士が隣接している場合に顕著になる。
ドット再現性を向上させる技術として、例えば、特開平01−169454号公報(特許文献1)、特開平03−287171号公報(特許文献2)および特開平09−096914号公報(特許文献3)には、ある露光量に達するまでは電位が減衰せず、その露光量を越えると急峻な電位減衰が起こるインダクション感光体が開示されている。
特開平01−169454号公報 特開平03−287171号公報 特開平09−096914号公報
しかしながら、インダクション感光体は、単一ドットの再現性には優れているものの、ドットが隣接している場合には、ドットが重なった部分(ドット間の露光が重なった部分)でも急峻な電位低下が起こってしまい、その結果、ドット再現性が低下してしまう。
昨今、600dpi〜1200dpi、さらに1200dpi〜2400dpiの高解像度な製品が市販されており、今後もより一層の高解像度化が予想されている。現在、広く普及している赤外半導体レーザーを用いた電子写真装置では、レーザービームのスポット径は60〜80μm程度であるが、これに対して、600dpiでのドット間距離は42μm、1200dpiでは21μm、2400dpiでは10.5μmとなるため、ドットの重なりは顕著になる。
ドット再現性の良好な電子写真感光体であれば、解像度の向上だけでなく、パルス幅変調やディザ法を用いての階調性の向上にもつながる。
したがって、本発明の目的は、ドット再現性に優れた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、露光後一定時間経過後の電位減衰速度が、ある特定の値以下である電子写真感光体であれば、上記目的を達成できることを見いだした。
すなわち、本発明は、接触帯電手段の被帯電体として用いられ、かつ、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生物質を含有する電荷発生層、および、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体にかかる電界強度が15[V/μm]になるように該電子写真感光体の表面を帯電して該電子写真感光体の表面電位を所定の値E[V]にし、次いで、該電子写真感光体の表面を露光開始後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる露光条件で露光した場合の光減衰曲線の露光開始後T[ms]経過した時点での傾きをmとし、
帯電終了後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる帯電条件で該電子写真感光体の表面を帯電し、その後に露光を行わない場合の暗時表面電位減衰曲線の帯電終了後T[ms]経過した時点での傾きをm’としたとき、
mおよびm’が下記式(I)
|m−m’|≦0.030 ・・・(I)
を満足することを特徴とする電子写真感光体である
(ただし、T=〔{d/(μ×E)}×100〕×10−5であり、dは該電荷輸送層の膜厚[μm]であり、μは該電荷輸送層のドリフト移動度[cm/(V・s)]である。)。
また、本発明は、上記電子写真感光体および接触帯電手段を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明によれば、ドット再現性に優れ、また、それによって文字画像の先鋭性にも優れた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明をについて詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、接触帯電手段の被帯電体として用いられる電子写真感光体(接触帯電用電子写真感光体)である。
電子写真感光体が、本発明の上記規定を満足するか否かを判定する判定法(以下「本発明の判定法」ともいう。)について説明する。
本発明の判定法は、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で行われる。
本発明においては、上述のとおり、電子写真感光体にかかる電界強度が15[V/μm]になるように該電子写真感光体の表面を帯電して該電子写真感光体の表面電位を所定の値E[V]にし、次いで、該電子写真感光体の表面を露光開始後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる露光条件で露光した場合の光減衰曲線の露光開始後T[ms]経過した時点での傾きをmとし、一方、帯電終了後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる帯電条件で該電子写真感光体の表面を帯電し、その後に露光を行わない場合の暗時表面電位減衰曲線の帯電終了後T[ms]経過した時点での傾きをm’としたとき、mおよびm’が下記式(I)
|m−m’|≦0.030 ・・・(I)
を満足する電子写真感光体が用いられる。
上記「T[ms]」は、該電子写真感光体の電荷輸送層の膜厚をd[μm]とし、該電荷輸送層のドリフト移動度をμ[cm/(V・s)]としたとき、「〔{d/(μ×E)}×100〕×10−5」で定義される。d、μおよびEは定数であるから、Tも定数となる。
図1は上記「m」を説明するための図であり、図2は上記「m’」を説明するための図である。
本発明において|m−m’|は0.030以下であるが、0.020以下であることが好ましく、0.015以下であることがより好ましく、特には0.001以上0.015以下であることがより一層好ましい。
電荷発生層で発生した電荷は、電荷輸送層に注入され、電荷輸送層において電子写真感光体の表面に輸送される。短時間で電子写真感光体の表面に到達する電荷もあれば、電子写真感光体の表面に到達するまでに比較的長時間を要する電荷もある。本発明者らは、短時間で電子写真感光体の表面に到達した電荷によってドットが一旦形成された後、電子写真感光体の表面に到達するまでに比較的長時間を要した電荷(遅延電荷)がこれを乱すことによって、ドット再現性が低下しているのではないかと考えた。上記の|m−m’|は、その値が小さいほど、遅延電荷が少ないということを意味する。
図1に示される光減衰の傾きmには、支持体から電荷発生層への正孔注入など、光起因ではない電位減衰、すなわち図2に示される暗時表面電位減衰の傾きm’も加わっている。したがって、mからm’を差し引いたもの|m−m’|が、正味の光減衰の傾きとなる。
本発明において、mおよびm’の測定には、ジェンテック(株)製ドラム試験機CYNTHIA90の改造機を用いた。光源としてはLD(チップ:ソニー(株)製SLD344YT、ドライバー:(株)旭データシステムズ製ALP7204PA、パルス幅2μs)を用いた。電位データをヒューレットパッカード社製デジタルオシロスコープ54710Aを用いて電位減衰曲線を描き、mおよびm’を算出した。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生物質を含有する電荷発生層、および、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体である。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層は、正孔輸送物質を含有する正孔輸送層であってもよいし、電子輸送物質を含有する電子輸送層であってもよい。電荷発生層上に設けられる電荷輸送層が正孔輸送層の場合、電子写真感光体は負帯電型電子写真感光体となり、電子輸送層の場合、正帯電型電子写真感光体となる。電子写真特性の観点からは、電荷発生層上に設けられる電荷輸送層は正孔輸送層であることが好ましい。
以下、主として、電荷輸送層が正孔輸送層である場合を例にとって説明する。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着することによって形成された被膜からなる層を有する上記金属製支持体やプラスチック(ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂やポリイミド樹脂など)製支持体やガラス製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状などが挙げられるが、円筒状が好ましい。
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理(ホーニング処理やブラスト処理など)、アルマイト処理などを施してもよいし、アルカリリン酸塩またはリン酸またはタンニン酸を主成分とする酸性水溶液に金属塩の化合物またはフッ素化合物の金属塩を溶解してなる溶液で化学処理を施してもよい。
ホーニング処理としては、乾式ホーニング処理と湿式ホーニング処理とがある。湿式ホーニング処理は、水などの液体に粉末状の研磨剤を懸濁させ、高速度で支持体の表面に吹き付けて支持体の表面を粗面化する方法であり、表面粗さは、吹き付け圧力、速度、研磨剤の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重および懸濁温度などによって制御することができる。乾式ホーニング処理は、研磨剤をエアーによって高速度で支持体の表面に吹き付けて支持体の表面を粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。ホーニング処理に用いられる研磨剤としては、炭化ケイ素、アルミナ、鉄、ガラスビーズなどの粒子が挙げられる。
支持体と電荷発生層または後述の中間層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。好適な金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛や酸化チタンの粒子が挙げられる。また、導電性粒子として、硫酸バリウムの粒子を用いることもできる。導電性粒子には、被覆層を設けてもよい。
導電性粒子の体積抵抗率は0.1〜1000Ω・cmの範囲が好ましく、特には1〜1000Ω・cmの範囲がより好ましい(この体積抵抗率は、三菱油化(株)製の抵抗測定装置ロレスタAPを用いて測定して求めた値である。測定サンプルは49MPaの圧力で固めてコイン状としたもの。)。また、導電性粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲が好ましく、特には0.07〜0.7μmの範囲がより好ましい(この平均粒径は、遠心沈降法により測定した値である。)。導電層中の導電性粒子の割合は、導電層全質量に対して1.0〜90質量%の範囲が好ましく、特には5.0〜80質量%の範囲がより好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは単独で、または、2種以上の混合物もしくは共重合体として用いることができる。これらは、支持体に対する接着性が良好であるとともに、導電性粒子の分散性を向上させ、かつ、成膜後の耐溶剤性が良好である。これらの中でも、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂が好ましい。
導電層の膜厚は0.1〜30μmであることが好ましく、特には0.5〜20μmであることがより好ましい。
導電層の体積抵抗率は1013Ω・cm以下であることが好ましく、特には10〜1012Ω・cmの範囲であることがより好ましい(この体積抵抗率は、測定対象の導電層と同じ材料によってアルミニウム板上に被膜を形成し、この皮膜上に金の薄膜を形成して、アルミニウム板と金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定して求めた値である。)。
また、導電層には、必要に応じてフッ素あるいはアンチモンを含有させてもよいし、導電層の表面特性を高めるために、レベリング剤を添加してもよい。
また、支持体または導電層と電荷発生層との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層(下引き層、接着層とも呼ばれる)を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
中間層は、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。
中間層の膜厚は0.1〜5μmであることが好ましく、特には0.3〜2μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩、チアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記の各種電荷発生物質の中でも、高感度であるという点で、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましく、特にはフタロシアニン顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料の中でも、金属フタロシアニン顔料が好ましく、特には、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが特に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶が好ましい。
クロロガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.8°、17.3°、23.6°および26.9°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
ジクロロスズフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.3°、12.2°、13.7°、15.9°、18.9°および28.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.5、11.2°、14.5°および27.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7°、9.9°、10.9°、13.1°、15.2°、16.3°、17.4°、21.9°および25.5°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.2°、12.2°、13.4°、14.6°、17.0°および25.3°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶が好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
電荷発生物質の粒径は0.5μm以下であることが好ましく、特には0.3μm以下であることがより好ましく、さらには0.01〜0.2μmであることがより一層好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、セルロース樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルメタクリレート樹脂、ポリビニルアクリレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。特に、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独で、または、2種以上の混合物もしくは共重合体として用いることができる。
上記式(I)の規定を満足する電子写真感光体を製造する方法の1つとして、電荷発生層上に設けられる電荷輸送層が正孔輸送層の場合、電荷発生層に電子輸送物質を含有させるという方法が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば、トリニトロフルオレノンなどのフルオレノン化合物、ピロメリットイミド、ナフチルイミドなどのイミド化合物、ベンゾキノン、ジフェノキノン、ジイミノキノン、ナフトキノン、スチルベンキノン、アントラキノンなどのキノン化合物、フルオレニリデンアニリン、フルオレニリデンマロノニトリルなどのフルオレニリデン化合物、フタル酸無水物などのカルボン酸無水物、チオピランジオキシドなどの環状スルホン化合物、オキサジアゾール化合物、トリアゾール化合物などが挙げられる。これらの中でも、イミド化合物が好ましく、特には下記式(1)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物がより好ましい。
Figure 2005208620
上記式(1)中、R101およびR104は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、エーテル基で中断された置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、エーテル基で中断された置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、または、1価の置換もしくは無置換の複素環基を示す。R102およびR103は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルコキシ基を示す。
上記のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの鎖状のアルキル基や、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。上記のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。上記のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げられる。上記のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。上記の1価の複素環基としては、ヒリジル基、フラル基などが挙げられる。上記のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。上記のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのアルキル基や、ビニル基、アリル基などのアルケニル基や、ニトロ基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、パーフルオロアルキル基などのハロゲン化アルキル基や、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などのアリール基や、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。
上記式(1)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の中でも、R101およびR104の少なくとも一方が、置換もしくは無置換の直鎖のアルキル基、または、置換のアリール基であるものが好ましい。また、置換もしくは無置換の直鎖のアルキル基の中でも、ハロゲン原子置換の直鎖のアルキル基が好ましく、置換のアリール基の中でも、ハロゲン原子置換のアリール基、アルキル基置換のアリール基、または、ハロゲン化アルキル基置換のアリール基が好ましい。また、上記式(1)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物は、溶剤への溶解性の観点から、非対称形の構造であること(例えば、R101とR104とが異なる基。)、または、炭素数4以上のアルキル基などの嵩高い基が導入されていることが好ましい。
電荷発生層に含有させる電子輸送物質としては、その還元電位(飽和カロメル電極に対する還元電位)が−0.55〜−0.30Vの範囲にあるものが好ましく、−0.50〜−0.30Vの範囲にあるものがより好ましく、特には−0.50〜−0.35Vの範囲にあるものがより一層好ましい。
本発明において、還元電位の測定は、以下のように3電極式のサイクリックボルターメトリーにて行った。
測定装置:ボルタンメトリックアナライザーBAS100B(BAS製)
作用電極:グラッシーカーボン電極
対極:白金電極
参照電極:飽和カロメル電極(0.1mol/l 塩化カリウム水溶液)
測定溶液:測定対象の電子輸送物質を0.001mol、電解質として過塩素酸t−ブチルアンモニウムを0.1mol、溶剤としてアセトニトリルを1リットル用いた溶液。
測定結果の第一還元電位のピークトップをその電子輸送物質の還元電位とした。
以下に、電子輸送物質の具体例を示す。
Figure 2005208620
Figure 2005208620
Figure 2005208620
Figure 2005208620
電荷発生層中の電子輸送物質の割合は、電荷発生層中の電荷発生物質に対して10〜60質量%であることが好ましく、特には21〜40質量%であることがより好ましい。
また、電荷発生層中の電子輸送物質の電子親和力(E)と電荷発生物質の電子親和力(G)との差(E−G)は、−0.30以上であることが好ましく、−0.20以上であることがより好ましく、−0.10以上であることがより好ましく、0を超えることがより一層好ましい。一方、0.30以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。
本発明において、電子親和力は以下のように算出した。
・電荷発生物質
理研計器(株)製大気圧光電子分光法AC−2を用いて決定した仕事関数から、日本分光(株)製紫外可視分光光度計V−570を用いて決定した光学的バンドギャップ(1239.8/吸収端[nm])を差し引く。
・電子輸送物質
上記の還元電位の単位を「V」にしたときの数値と飽和カロメル電極のイオン化ポテンシャルの単位を「eV」にしたときの数値(4.53)との和が、その電子親和力の単位を「eV」としたときの数値である。
なお、電極のイオン化ポテンシャルは、本発明に記載の電荷輸送物質を用い、特開2000−019746号公報に記載の方法と同様に統計的に算出した。
電荷発生層は、電荷発生物質、および必要に応じて電子輸送物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いる方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、0.5:1〜4:1(質量比)の範囲が好ましく、1:1〜1:3(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性の観点から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜2μmであることがより好ましく、さらには0.05〜0.5μmであることがより一層好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体に用いられる正孔輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら正孔輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
正孔輸送層に含有させる正孔輸送物質としては、その酸化電位(飽和カロメル電極に対する還元電位)が0.70〜0.85Vの範囲にあるものが好ましく、0.70〜0.80Vの範囲にあるものがより好ましく、特には0.71〜0.76Vの範囲にあるものがより一層好ましい。
本発明において、酸化電位の測定は、上記の還元電位の測定と同様にして行い、測定結果の第一酸化電位のピークトップをその正孔輸送物質の酸化電位とした。
正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。これらは単独で、または、2種以上の混合物もしくは共重合体として用いることができる。
正孔輸送層は、正孔輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる正孔輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。正孔輸送物質と結着樹脂との割合は、10:5〜5:10(質量比)の範囲が好ましく、10:8〜6:10(質量比)の範囲がより好ましい。
正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
正孔輸送層の膜厚は1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることがより好ましい。
また、正孔輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
なお、正孔輸送層上には、該正孔輸送層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、結着樹脂のモノマー・オリゴマーを溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを硬化および/または乾燥させることによって保護層を形成してもよい。硬化には、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
保護層の結着樹脂としては、上記の各種樹脂を用いることができる。
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
図3に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図3において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、接触帯電部材(帯電ローラーなど)を有する接触帯電手段3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、本発明のように、帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1および接触帯電手段3を容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図3では、電子写真感光体1と、接触帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(電子写真感光体1)
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、酸化スズ(アンチモンをドープしていない酸化スズ)で被覆した硫酸バリウム粒子10部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製)5部、メトキシプロパノール5部、メタノール1部およびシリコーン化合物(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量:3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間150℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、アルコール可溶性ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)15部をメタノール150部/ブタノール250部の混合溶媒に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)(結着樹脂)1部、テトラヒドロフラン15部、ならびに、シクロヘキサノン15部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で5時間分散し、これにテトラヒドロフラン100部およびシクロヘキサノン100部を加え、これに上記式(E−1)で示される構造を有する化合物(電子輸送物質)0.6部を溶解させることによって、電荷発生層用塗布液を調製した(電荷発生物質の平均粒径は0.19μmであり、(株)堀場製作所製CAPA700を用いて遠心沈降法で測定した)。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを20分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.25μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(2)で示される構造を有する化合物(正孔輸送物質、酸化電位:0.71[V]、移動度:1.5×10−6[cm/(V・s)])5部、
Figure 2005208620
および、下記式(3)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量:110000(東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8120で測定し、ポリスチレン換算で計算した値;展開溶媒としてテトラヒドロフラン0.1重量%溶液を用い、カラムとして東ソー(株)製TSKgel Super HM−Nを用い、検出器としてRIを用い、カラムの温度を40℃とし、インジェクション量を20μlとし、流速を1.0ml/minとした);繰り返し構造単位中のテレフタル酸骨格とイソフタル酸骨格との質量比=50:50)7部
Figure 2005208620
を、モノクロロベンゼン35部/ジメトキシメタン10部の混合溶媒に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液(電荷輸送層用塗布液、以下同じ。)を調製した。
この正孔輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを60分間110℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの正孔輸送層(電荷輸送層、以下同じ)を形成した。
このようにして、支持体、ならびに、該支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および正孔輸送層をこの順に有し、該正孔輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体の上記mおよびm’を上述のとおりにして測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
(電子写真感光体2〜17)
電子写真感光体1において、電荷発生層用塗布液中の電荷発生物質の種類およびその使用量、電子輸送物質の種類およびその使用量、結着樹脂の種類およびその使用量、ならびに、電荷輸送層用塗布液中の正孔輸送物質の種類を表1に示すとおりにした以外は、電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、上記mおよびm’を測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
(電子写真感光体18〜21)
電子写真感光体1において、導電層を設けずに支持体の直上に中間層を設け、その代わりに支持体の表面を湿式ホーニング処理して粗面化し、また、電荷発生層用塗布液中の電荷発生物質の種類およびその使用量、電子輸送物質の種類およびその使用量、結着樹脂の種類およびその使用量、ならびに、電荷輸送層用塗布液中の正孔輸送物質の種類を表1に示すとおりにした以外は、電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、上記mおよびm’を測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
(電子写真感光体22〜25)
電子写真感光体1において、電荷発生層用塗布液中の電荷発生物質の種類およびその使用量、電子輸送物質の種類およびその使用量、結着樹脂の種類およびその使用量、ならびに、電荷輸送層用塗布液中の正孔輸送物質の種類を表1に示すとおりにした以外は、電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、上記mおよびm’を測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
Figure 2005208620
表1中、「HOGaPc」は、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を意味し、「TiOPc」は、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を意味し、「(4)」は、下記式(4)で示される構造を有するアゾ顔料を意味し、「(5)」は、下記式(5)で示される構造を有するアゾ顔料を意味し、「BM−S」は、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)を意味し、「BX−1」は、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)を意味し、「U−100」は、ポリアリレート樹脂(商品名:U−100、ユニチカ(株)製)を意味し、「(2)」は、上記式(2)で示される構造を有する化合物を意味し、「(6)」は、下記式(6)で示される構造を有する化合物を意味し、「(7)」は、下記式(7)で示される構造を有する化合物を意味し、「(8)」は、下記式(8)で示される構造を有する化合物を意味し、「(9)」は、下記式(9)で示される構造を有する化合物を意味し、「(10)」は、下記式(10)で示される構造を有する化合物を意味し、「(11)」は、下記式(11)で示される構造を有する化合物を意味し、「(12)」は、下記式(12)で示される構造を有する化合物を意味する。
Figure 2005208620
Figure 2005208620
Figure 2005208620
(電子写真感光体26)
電子写真感光体22において、電荷発生層塗布液中のCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を以下のとおりに合成したヒドロキシガリウムフタロシアニン2部に変更した以外は、電子写真感光体22と同様にして電子写真感光体を作製し、上記mおよびm’を測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
すなわち、o−フタロジニトリル73g、三塩化ガリウム25g、α−クロロナフタレン400mlを窒素雰囲気下200℃で4時間反応させた後、得られた生成物を130℃で濾過した。濾過後の生成物を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて1時間130℃で分散洗浄した後に濾過し、メタノールで洗浄後に乾燥させて、クロロガリウムフタロシアニンを45g得た。
このクロロガリウムフタロシアニン15gを10℃の濃硫酸450gに溶解させ、氷水2300g中に攪拌下に滴下して再析出させて濾過した。次に、2%アンモニア水で分散洗浄後、イオン交換水で十分に水洗し、濾別し、乾燥させてヒドロキシガリウムフタロシアニンを13g得た。
このヒドロキシガリウムフタロシアニン10g、N,N’−ジメチルホルムアミド300gおよび上記式(E−14)で示される構造を有する化合物(電子輸送物質)0.4gを、直径1mmのガラスビーズ450gと共に、22℃で6時間ミリング処理した。ミリング処理後、液から固形分を取り出し、メタノール、次いで水で十分に洗浄し、乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン9.2gを得た。
(電子写真感光体27)
特許文献3(特開平09−096914号公報)の実施例6の電子写真感光体の作製に関する記載を参考にし、以下のようにして電子写真感光体を作製し、上記mおよびm’を測定した。mおよびm’の値を表2に示す。
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。なお、支持体の表面は、電子写真感光体18と同様に、湿式ホーニング処理により粗面化した。
次に、ジルコニウムアルコキシド化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10部、および、シラン化合物(商品名:A1110、日本ユニカー(株)製)1部を、イソプロパノール40部/ブタノール20部の混合溶媒に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを10分間150℃で乾燥させることによって、膜厚が0.1μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶4部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)2部、および、モノクロロベンゼン100部を、ガラスビーズを用いてペイントシェーク法で2時間分散することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、六方晶セレン微結晶15部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)10部、および、酢酸イソブチル100部を、直径3mmのステンレス鋼ビーズを用いたアトライターで100時間分散することによって、S字化電荷輸送層用塗布液を調製した。
このS字化電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを10分間115℃で乾燥させることによって、膜厚が2μmのS字化電荷輸送層(第1正孔輸送層)を形成した。ここで、S字化電荷輸送層中の六方晶セレンの体積比率は30%であった。また、六方晶セレンの平均粒子径は0.1μmであった。
次に、下記式(13)で示される繰り返し構造単位を有する化合物(分子量:120000、高分子量正孔輸送物質)15部
Figure 2005208620
を、モノクロロベンゼン85部に溶解させることによって均一電荷輸送層用塗布液(第2正孔輸送層用塗布液)を調製した。
この均一電荷輸送層用塗布液(第2正孔輸送層用塗布液)をS字化電荷輸送層(第1正孔輸送層)上に浸漬塗布し、これを1時間135℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの均一電荷輸送層(第2正孔輸送層)を形成した。
このようにして、支持体、ならびに、該支持体上に電荷発生層、S字化電荷輸送層(第1正孔輸送層)および均一電荷輸送層(第2正孔輸送層)をこの順に有し、該均一電荷輸送層(第2正孔輸送層)が表面層である電子写真感光体を作製した。
Figure 2005208620
なお、以下の評価1および2のため、電子写真感光体7、8、10、18、19および25をそれぞれ2つずつ用意した。
(評価1)
(実施例1〜21および比較例1〜6)
実施例1〜21および比較例1〜6で用いた電子写真感光体は、表3に示すとおりである。
評価1の評価装置は、帯電ローラーを用いた接触帯電方式、反転現像方式および負帯電方式のレーザービームプリンター(商品名:LBP2510、キヤノン(株)製)の改造機である。この評価装置は、露光量可変に改造されたものである。また、帯電ローラーには、直流電圧−600Vのみの電圧がトレック社製高圧電源Model610によって印加される。
電子写真感光体をLBP2510のシアン色用のプロセスカートリッジに装着し、このプロセスカートリッジを評価装置に組み込み、暗部電位−600V、明部電位−200Vに設定し、23℃、15%RH環境下で画像を出力し、出力画像の評価を行った。
まず、濃度12%の画像を5000枚出力後、光量設定を変更しないで暗部電位および明部電位を測定した。電位の測定は、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック社製)を装着し、表面電位計(商品名:model344、トレック社製)を使用して行った。5000枚出力前の暗部電位(Vd=−600V)と5000枚出力後の暗部電位(Vd5000)との差、および、5000枚出力前の明部電位(Vl=−200V)と5000枚出力後の明部電位(Vl5000)との差を評価した。
その後、暗部電位−600V、明部電位−200Vになるよう再調整し、1ドット1スペース画像(図4参照)と、5ポイント文字画像の出力を行い、出力画像の評価を行った。評価結果を表3に示す。
なお、1ドット1スペース画像の評価は以下のように行った。
現像バイアスを変化させ、コントラスト電位(現像バイアスと明部電位との差の絶対値)を300Vから400Vにした際のドットの直径の変化を評価した。静電潜像のドットが浅く広くなるほど、ドットの直径の変化が大きくなる。(図5参照。図5において、(a)は比較的深く狭い場合を示し、(b)は比較的浅く広い場合を示す)評価には、王子計測機器(株)製ドットアナライザーDA−5000Sを用いた。電子写真感光体の表面のトナー像が紙にすべて転写される前に、電子写真感光体回転停止操作を行い、18時間放置後、プロセスカートリッジを取り出し、電子写真感光体長手方向中央部のドットの直径を20点測定し、平均値の差を求めた。また、文字の評価は顕微鏡を用いて目視で行った。
また、5ポイント文字画像については、実施例1の文字の線幅を1.00としたときの相対値と、そのまま目視したときの文字の状態とを評価した。
Figure 2005208620
なお、比較例6は、1ドット1スペース画像を出力しようとしたところ、ベタ黒画像となってしまい、ドットの直径の測定ができなかった。
(評価2)
(参考例1および比較例7〜11)
参考例1および比較例7〜11で用いた電子写真感光体は、表4に示すとおりである。
評価2の評価装置は、評価1で用いた評価装置において、帯電方式をコロナ帯電方式(コロナ帯電器に印加する電圧値は電子写真感光体の表面電位が−600Vになる値に調整。)に変更した以外は、評価1で用いた評価装置と同様のものである。
評価の手順は、評価1と同様である。評価結果を表4に示す。
Figure 2005208620
「m」を説明するための図である。 「m’」を説明するための図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例および比較例で用いた1ドット1スペース画像である。 コントラスト電位の変化に伴うドットの直径の変化を説明する図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光(画像露光光)
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (13)

  1. 接触帯電手段の被帯電体として用いられ、かつ、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生物質を含有する電荷発生層、および、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体にかかる電界強度が15[V/μm]になるように該電子写真感光体の表面を帯電して該電子写真感光体の表面電位を所定の値E[V]にし、次いで、該電子写真感光体の表面を露光開始後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる露光条件で露光した場合の光減衰曲線の露光開始後T[ms]経過した時点での傾きをmとし、
    帯電終了後T[ms]経過した時点の該電子写真感光体の表面電位が0.8E[V]になる帯電条件で該電子写真感光体の表面を帯電し、その後に露光を行わない場合の暗時表面電位減衰曲線の帯電終了後T[ms]経過した時点での傾きをm’としたとき、
    mおよびm’が下記式(I)
    |m−m’|≦0.030 ・・・(I)
    を満足することを特徴とする電子写真感光体
    (ただし、T=〔{d/(μ×E)}×100〕×10−5であり、dは該電荷輸送層の膜厚[μm]であり、μは該電荷輸送層のドリフト移動度[cm/(V・s)]である)。
  2. 前記mおよび前記m’が下記式(II)
    |m−m’|≦0.020 ・・・(II)
    を満足する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記mおよび前記m’が下記式(III)
    |m−m’|≦0.015 ・・・(III)
    を満足する請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷発生層が前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質とは異なる電荷輸送物質を含有し、該電荷発生層に含有される電荷輸送物質が輸送する電荷の極性と前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質が輸送する電荷の極性とが逆である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質が正孔輸送物質であり、前記電荷発生層がに含有される電荷輸送物質が電子輸送物質である請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷発生層に含有される電子輸送物質の電子親和力をEとし、前記電荷発生層に含有される電荷発生物質の電子親和力をGとしたとき、EおよびGが下記式(IV)
    −0.30≦(E−G)≦0.30 ・・・(IV)
    を満足する請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記Eおよび前記Gが下記式(V)
    −0.20≦(E−G)≦0.30 ・・・(V)
    を満足する請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記Eおよび前記Gが下記式(VI)
    0<(E−G)≦0.30 ・・・(VI)
    を満足する請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷発生層が、還元電位が−0.55〜−0.30Vの範囲にある電子輸送物質を含有する請求項5〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記電荷輸送層が、酸化電位が0.70〜0.85Vの範囲にある正孔輸送物質を含有する請求項5〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体と、接触帯電手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体、接触帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  13. 前記露光手段が前記電子写真感光体の表面にレーザー光を照射することによってデジタル潜像を形成する手段である請求項11に記載の電子写真装置。
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