JP2920323B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2920323B2 JP30164790A JP30164790A JP2920323B2 JP 2920323 B2 JP2920323 B2 JP 2920323B2 JP 30164790 A JP30164790 A JP 30164790A JP 30164790 A JP30164790 A JP 30164790A JP 2920323 B2 JP2920323 B2 JP 2920323B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真感光体に関し、特にプリンタ、複
写機等に使用され、特にLED光及び半導体レーザ光に対
して有効な電子写真感光体に関するものである。
〔従来技術〕
従来、可視光に光感度を有する電子写真感光体は複写
機、プリンタ等に広く使用されている。
このような電子写真感光体としては、セレン、酸化亜
鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性物質を主成分とす
る感光層を設けた無機感光体が広く使用されている。
しかしながら、このような無機感光体は複写機等の電子
写真感光体として要求される光感度、熱安定性、耐湿
性、耐久性等の特性において必ずしも満足できるもので
はない。
例えば、セレンは熱や手で触ったときの指紋の汚れ等
により結晶化するため、電子写真感光体としての上記特
性が劣化し易い。
又硫化カドミウムを用いた電子写真感光体は耐湿度
性、耐久性に劣り、又酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
は耐久性に問題がある。又、セレン、硫化カドミウムの
電子写真感光体は製造上、取扱い上の制約が大きい。
このような無機光導電性物質の問題点を改善するため
に、種々の有機の光導電性物質を電子写真感光体の感光
層に使用することが試みられ、近年活発に研究、開発が
行われている。
例えば、特公昭50-10496号には、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾールと2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンを
含有した感光層を有する有機感光体が記載されている。
しかし、この感光体も感度及び耐久性において十分でな
い。そのため、感光層を二層に分けてキャリア発生層と
キャリア輸送層を別々に構成し、それぞれにキャリア発
生物質、キャリア輸送物質を含有させた機能分離型の電
子写真感光体が開発された。
これは、キャリア発生機能とキャリア輸送機能を異な
る物質に個別に分担させることができるため、各機能を
発揮する物質を広い範囲のものから選択することができ
るので、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容
易に得られる。そのため、感度が高く、耐久性の大きい
有機感光体が得られることが期待されている。
このような機能分離型の電子写真感光体のキャリア発
生層に有効なキャリア発生物質としては、従来数多くの
物質が提案されている。
無機物質を用いる例としては、例えば特公昭43-16198
号に記載されているように無定形セレンが挙げられる。
この無定形セレンを含有するキャリア発生層は有機キャ
リア輸送物質を含有するキャリア輸送層と組合されて使
用される。しかし、この無定形セレンからなるキャリア
発生層は、上記したように熱等により結晶化してその特
性が劣化するという問題点がある。
又、有機物質を上記のキャリア発生物質として半導体
レーザを用い画像形成する場合には、感光体として750
〜850μmに高感度であることが必要である。
これらのうちで、有機系光導電材料の一つであるフタ
ロシアニン系化合物は、他のものに比べ感光域が長波長
に拡っていることが知られている。これらの光導電性を
示すフタロシアニン系化合物としては例えば特開昭61-2
39248号、同64-17066号及び特願昭63-286537号に記載さ
れているα型チタニルフタロシアニン等が挙げられる。
このα型チタニルフタロシアニンは、Cu Kα1.541Å
のX線に対するブラッグ角度は、7.5°,12.3°,16.3°,
25.3°,28.7°にピークを有する。しかし、このα型チ
タニルフタロシアニンは感度が低く、繰返し使用に対す
る電位安定性が劣っており、反転現像を用いる電子写真
プロセスではかぶりを起こし易いなどの問題がある。
更に繰返し使用した場合、感光体表面の疵の発生、オ
ゾン等による画像ぼけにより細線再現性が低下し、ドッ
ト露光によるディジタル画像では、画質(階調性、解像
力)の低下が起る。
特に400dpi以上のディジタル像露光において顕著であ
る。
一方、感光体には付着トナーの除去や除電、表面の清
浄化が施され、長期に亘って反復使用される。従って、
電子写真感光体としては、帯電特性及び感度が良好で更
に暗減衰が小さい等の電子写真特性は勿論、加えて繰返
し使用での耐刷性、耐摩耗性、耐湿性等の物理的性質
や、コロナ放電時に発生するオゾン、露光時の紫外線等
への耐性(耐環境性)においても良好であることが要求
される。
前記機能分離型の有機感光体は従来主として負帯電用
として用いられ、特開昭60-247647号に記載されるよう
に支持体上に薄いキャリア発生層を設け、この上に比較
的厚いキャリア輸送層を設ける構成がとられている。こ
のような感光体に使用されるバインダとしては、帯電特
性、感度、残留電位及び繰返し特性等の面で、下記構造
式で示されるビスフェノールA型のポリカーボネートが
良好な特性を発揮することが良く知られている。
しかし本発明者等が検討を加えた結果、上記ビスフェ
ノールA型ポリカーボネートは、高分子の結晶性が高い
ためその溶液はゲル化を起しやすく、1〜2日程度で使
用不可能となるという欠点を有している。また塗布によ
り膜形成を行うと塗膜形成時に膜表面に結晶性ポリカー
ボネートが析出して凸部が生じやすく、このために塗膜
の尾引きが生じて収率が低下したり、或は感光体として
の使用時に凸部にトナーが付着してクリーニングされず
に残り、いわゆるクリーニング不良による画像欠陥が生
じやすい。
又、上記ビスフェノールA型ポリカーボネートをバイ
ンダ樹脂として用いた電子写真感光体は、電子写真複写
機の感光体として用いると、磁気ブラシやクリーニング
ブレードで擦過され感光層表面に傷が付いたり、感光層
が次第に摩耗するという欠点を有する。
他方、高画質と順調な複写作業性は、感光体の均一な
厚みを有する滑らかで均質な表面性の良否にも依存する
ので、感光体塗布構成層面の構成層を形成する塗料組成
或は塗布、乾燥に起因する柚木肌、ピンホール、塗布
筋、亀裂(ソルベントクラック)等の膜面故障は、複写
特性上及び生産技術上大いに問題にされる所である。
又、表面性或は滑り性の改善には界面活性剤も有用で
あり、而も懸濁系の塗料に於ては懸濁質の分散及び分散
安定性向上に有効であり、溶液系塗料に於ても溶解促進
などに、また塗布性の向上等生産技術上の価値を有す
る。しかしながら、その種類の選択を誤ると、層間接着
不良、その変質による故障或は耐湿性に係る支障を往々
にして惹起す。
前記したような支障に対して、フェニレン環間の炭素
に弗素を有する置換基の導入(特開昭63-65444号)、フ
ェニレン環へのアルキル基、ハロゲン原子の置換(特開
昭63-148263号)、或は両フェニレン環にフェニル基を
又はシクロヘキシル基を置換したモノマーの共重体(特
開平1-269942号、同1-269943号)、或はキャリア輸送物
質としてジスチリルをビスフェノールZ型ポリカーボネ
ートに併用すること(特開昭64-32265号)等が提案され
ているが、未だ充分な表面強度、表面平滑性がなく、摩
耗、傷に弱く、反復使用において画質の低下が起り、ま
た摩耗による膜厚減少による感度低下等の問題点を残し
ている。
〔発明の目的〕
従って本発明の目的は、帯電性が良好で、高い感度を
有し、繰返し使用時の電位安定性が高く、かつ電子写真
感光体感光層の機械的耐久性、表面平滑性が良好であ
り、画質低下、感度減退の少い感光体の提供にある。
〔発明の構成〕
前記本発明の目的は、導電性基体上に電荷発生層及び
電荷輸送層を順次積層してなる電子写真感光体におい
て、前記キャリア発生層がCu-Kα特性X線(波長1.54
Å)に対するブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも
9.6±0.2°及び27.2±0.2°にあるチタニルフタロシア
ニン顔料を含有し、かつ前記キャリア輸送層が下記一般
式(B)で表される構造単位を主要繰返し単位として有
するポリカーボネートを含有し、かつ電子写真画像形成
においてドット露光を行い、重量平均粒径8μm以下の
トナー粒子を含む現像剤で現像処理を行うことを特徴と
する電子写真感光体によって達成される。
式中、Zは置換若しくは無置換の次記2つの基;炭素
環基、複素環基を形成するに必要な非金属原子群、R1,R
2,R3,R4及びR5,R6,R7,R8は水素原子、塩素原子、臭素原
子、メチル基を表す。但し全てが水素原子であることは
ない。
更に本発明の態様においては、前記チタニルフタロシ
アニンが、Cu-Kα線(波長1.54Å)に対するX線回折ス
ペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θの9.6±
0.2°のピーク強度が27.2±0.2°のピーク強度の40%以
上である結晶状態のチタニルフタロシアニンであること
が好ましい。
更に本発明の感光体を用いる電子写真画像形成におい
てドット露光を行う場合には、重量平均粒径8μm以下
のトナー粒子を含む現像剤で現像処理を行うことが好ま
しい。
前記チタニルフタロシアニンにおけるピークとは、ノ
イズと異なった明瞭な鋭角の突出部のことである。
本発明のチタニルフタロシアニンの基本構造は次の一
般式で表される。
但し、X1,X2,X3,X4は水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基、或はアルコキシ基を表し、n,m,l,kは0〜4の
整数を表す。
上記のX線回折スペクトルは次の条件で測定したもの
である。
X線管球 Cu 電 圧 40.0 KV 電 流 100 mA スタート角度 6.00 deg. ストップ角度 35.00 deg. ステップ角度 0.020 deg. 測定時間 0.50 sec. 又、上記のX線回折スペクトルは「JDX-8200」(日本
電子社製)を用いて測定した。
本発明に係る前記チタニルフタロシアニンの製造方法
を次に説明する。例えば、1,3−ジイミノイソインドリ
ンとスルホランを混合し、これにチタニウムテトラプロ
ポキシドを加え、窒素雰囲気下に反応させる。反応温度
は80℃〜300℃で、特に100℃〜260℃が好ましい。反応
終了後、放冷した後析出物を濾取し、チタニルフタロシ
アニンを得ることができる。
次にこれを溶媒処理することによって、第1図及び第
2図の特性を示す結晶型のチタニルフタロシアニンを得
ることができる。
この処理に用いられる装置としては一般的な撹拌装置
の他に、ホモミキサー、ディスパーザ、アジター、或は
ボールミル、サンドミル、アトライタ等を用いることが
できる。
本発明では、上記のチタニルフタロシアニンの外に他
のキャリア発生物質(以後CGMと表す)を併用してもよ
い。そのようなCGMとしては、本発明のチタニルフタロ
シアニンとは結晶型において異なる、例えばα型、β
型、α,β混合型、アモルファス型等のチタニルフタロ
シアニンをはじめ、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔
料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔
料、スクエアリウム顔料等が挙げられる。
本発明の感光体におけるキャリア輸送物質(以後CTM
と表す)としては、種々のものが使用できるが、代表的
なものとしては例えば、オキサゾール、オキサジアゾー
ル、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール等に代
表される含窒素複素環核及びその縮合環核を有する化合
物、ポリアリールアルカン系の化合物、ピラゾリン系化
合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールアミン系化合
物、スチリル系化合物、スチリルトリフェニルアミン系
化合物、α−フェニルスチリルトリフェニルアミン系化
合物、ブタジエン系化合物、ヘキサトリエン系化合物、
カルバゾール系化合物、縮合多環系化合物等が挙げられ
る。これらのCTMの具体例としては、例えば特開昭61-10
7356号に記載のCTMをはじめ、多くのものを挙げること
ができるが、特に代表的なものの構造を次に示す。
次に本発明の電子写真感光体の前記電荷輸送層(以後CT
Lと表す)に含まれるバインダ樹脂、下記一般式(B)
で示される繰返し単位を主要構造組成として含む重合体
について説明する。
式中、Zは置換若しくは無置換の次記2つの基;炭素
環基、複素環基を形成するに必要な非金属原子群、R1,R
2,R3,R4及びR5,R6,R7,R8は水素原子、塩素原子、臭素原
子、メチル基を表す。但し全てが水素原子であることは
ない。
重合度は10〜5000、好ましくは50〜1000である。
これらのカーボネート樹脂は従来用いられていたビス
フェノールA型のカーボネートの欠点を改善したもので
あって、これらのポリカーボネートの中心炭素原子に
は、Zによる環が形成されているので、ポリカーボネー
トの分子鎖が特定方向に配列することが効果的に阻止さ
れる。このためポリカーボネートが、結晶化して溶液が
ゲル化したり感光層形成時に膜表面に析出することがな
く、異常な凸部による収率の低下及びクリーニング不良
等による画像欠陥等のごとき、特性劣化を防ぐことがで
きる。
こうした顕著な効果には、前記一般式(B)のZによ
って形成される環が直接寄与している。
即ち本発明に於ては、前記一般式(B)で示されるポ
リカーボネートをバインダ樹脂として用いることにより
皮膜物性に優れ、電荷保持力、感度残留電位等の電子写
真特性に優れ、かつ繰返し使用に供した時にも疲労劣化
が少ない安定した特性を発揮する電子写真感光体を作成
することができる。
更に、感光体として用いた時、磁気ブラシやクリーニ
ングブレードで擦過されても感光層表面に傷が付きにく
く感光層の摩耗が少ない上、クリーニング不良等の特性
不良のない高耐刷性の電子写真感光体を作成することが
できる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば下記一般式
に示したフェノール系化合物を用いて常法に従い容易に
合成される。
式中、Zは置換若しくは無置換の次記2つの基;炭素
環基、複素環基を形成するに必要な非金属原子群、R1,R
2,R3,R4及びR5,R6,R7,R8は水素原子、塩素原子、臭素原
子、メチル基を表す。但し全てが水素原子であることは
ない。
本発明のポリカーボネート樹脂を製造する方法を例示
すると、具体的には塩化メチレン、1,2−ジクロルエタ
ン等の不活性溶媒存在下、前記フェノール系化合物に、
酸受容体としてアルカリ水溶液或はピリジン等を入れ、
ホスゲンを導入しながら反応させる方法が挙げられる。
酸受容体としてアルカリ水溶液を使う時は、触媒とし
てトリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミ
ン、或はテトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジル
トリブチルアンモニウムブロミド等の第4級アンモニウ
ム化合物を用いると、反応速度が増大する。
また必要に応じて分子量調節剤としてフェノール、p
−t−ブチルフェノール等1価のフェノールを共存させ
てもよい。触媒は最初から入れてもよいし、オリゴマー
を作った後に入れて高分子量化する等任意の方法がとれ
る。
また前記本発明に係るポリカーボネート樹脂には必要
に応じ、一般式(B)の繰返し単位の外に他の繰返し単
位を含有させた共縮合型のポリカーボネート、例えば4,
4'−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル−1,1−シクロ
ヘキサンに少量のビスフェノールAを混合して共縮合さ
せたポリカーボネートを用い、物理的、化学的或は電気
的特性な調整してもよい。
更に必要に応じ目的とする作用効果に支障を来さぬ範
囲で他のポリマを混合して用いることができる。この際
の混合比率は50wt/%以下が好ましい。
本発明で使用するバインダはポリカーボネート系のも
のであるからポリカーボネートが本来奏する優れた帯電
性能、繰返し特性、耐刷性等の特性を感光体に付与する
ことができる。
次に前記一般式(B)におけるR1〜R8の基は、水素原
子をはじめ、ハロゲン原子、メチル基等のアルキル基で
あってよい。
また前記一般式(B)のポリカーボネートにおいて
は、Zは、5員又は6員の炭素環、又は複素環を形成す
るものであってよく、こうした環としては、シクロヘキ
シル環、シクロペンチル環等が挙げられ、環の一部にア
セチル基、アセチルアミノ基等の置換基が導入されてい
てよい。
本発明で使用するポリカーボネートの繰返し単位とし
ては具体的には次のものが挙げられる。
例示B繰返し単位 これらの中でB-3,B-6に示した繰返し構造のポリカー
ボネートが特に優れた機械的耐久性を有する。
前記したバインダとして用いられるポリカーボネート
に併用して用いてもよいバインダとしては、例えば次の
ものを挙げることができる。
(1)ポリエステル (2)メタクリル樹脂 (3)アクリル樹脂 (4)ポリ塩化ビニル (5)ポリ塩化ビニリデン (6)ポリスチレン (7)ポリビニルアセテート (8)スチレン共重合樹脂(例えば、スチレン−ブタヂ
エン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、等) (9)アクリロニトリル系共重合体樹脂(例えば、塩化
ビニリデン−アクリトロニトリル共重合体、等) (10)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (11)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体 (12)シリコーン樹脂 (13)シリコーン−アルキッド樹脂 (14)フェノール樹脂(例えば、フェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、等) (15)スチレン−アルキッド樹脂 (16)ポリ−N−ビニルカルバゾール (17)ポリビニルブチラール (18)ポリビニルホルマール (19)ポリヒドロキシスチレン これらのバインダは、単独で或は2種以上の混合物と
して本発明に係るカーボネートに併用することができ
る。
又、本発明では、前記のドット露光後の現像におい
て、使用するトナーの粒径を重量平均粒径で8μm以下
としているので、ドット数を600dpi以上と増やしたこと
によるドット面積の縮小に対応して、静電潜像上へのト
ナーの付着が良好に実現できる。即ち、トナーの粒径が
8μmを超えると、大きくなりすぎて小さな潜像上にう
まく付着せず、トナー付着量が減少して結果的に階調
性、解像力を十分に出せないことになるが、本発明の粒
径のトナーではそのようなことはない。
尚、上記において、ドット露光時のドット数は更に60
0〜1800dpiとするのが望ましく、又現像時に使用するト
ナーの一粒径は更に8〜2μmとするのが望ましい。
本発明に用いられる有機系顔料の分散媒としては、例
えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化
水素類、メチレンクロライド、メチレンプロマイド、1,
2−ジクロルエタン、syn−テトラクロルエタン、cis−
1,2−ジクロルエチレン、1,1,2−トリクロルエタン、1,
1,1−トリクロルエタン、1,2−ジクロルプロパン、クロ
ロホルム、ブロモホルム、クロルベンゼン等のハロゲン
化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエ
ステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、エチレ
ングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
酢酸セロソルブ等のアルコール及びこの誘導体、テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、フラン、フルフラー
ル等のエーテル、アセタール類、ピリジンやブチルアミ
ン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノ
ールアミン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド
等のアミド類等の窒素化合物他に脂肪酸及びフェノール
類、二硫化炭素や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物等
が挙げられる。
本発明において感光層には感度の向上、残留電位〜反
復使用時の疲労低減等を目的として、一種又は二種以上
の電子受容性物質を含有せしめることができる。
ここに用いることのできる電子受容性物質としては、
例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マ
レイン酸、無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、
テトラブロム無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、
4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メ
リット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジ
メタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼ
ン、1,3,5−トリニトロベンゼン、パラニトロベンゾニ
トリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、ク
ロラニル、ブルマニル、ジクロルジシアノパラベンゾキ
ノン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、2,7
−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレ
ノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フル
オレニリデン[ジシアノメチレンマロノジニトリル]、
ポリニトロ−9−フルオレニリデン−[ジシアノメチレ
ンマロノジニトリル]、ピクリン酸、o−ニトロ安息香
酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペ
ンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−
ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸、その他の
電子親和力の大きい化合物を挙げることができる。又、
電子受容性物質の添加割合は、重量比で本発明に用いら
れる有機系顔料:電子受容性物質=100:0.01〜200、好
ましくは100:0.1〜100である。
かかる層への電子受容性物質の添加割合は重量比で全
CTM:電子受容性物質=100:0.01〜100、好ましくは100:
0.1〜50である。
又、本発明の感光層中にはCGMの電荷発生機能を改善
する目的で有機アミン類を添加することができ、特に2
級アミンを添加するのが好ましい。これらの化合物は特
開昭59-218447号、同62-8160号に記載されている。
又、本発明の感光体には、その他、必要により感光層
を保護する目的で紫外線吸収剤等を含有してもよく、又
感色性補正の染料を含有してもよい。
又本発明に係る保護層中には加工性及び物性の改良
(亀裂防止、柔軟性付与等)を目的として必要により熱
可塑性樹脂を50wt%未満含有せしめることができる。
又、前記中間層は接着層又はブロッキング層等として
機能するもので、上記バインダ樹脂の外に、例えばポリ
ビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、カゼイ
ン、N−アルコキシメチル化ナイロン、澱粉等が用いら
れる。
本発明の電子写真感光体の構成に用いられる導電性支
持体としては、主として下記のものが用いられるが、こ
れらにより限定されるものではない。
1)アルミニウム板、ステンレス板などの金属板。
2)紙或はプラスチックフィルムなどの支持体上に、ア
ルミニウム、パラジウム、金などの金属薄層をラミネー
トもしくは蒸着によって設けたもの。
3)紙或はプラスチックフィルムなどの支持体上に、導
電性ポリマー、酸化インジウム、酸化錫などの導電性化
合物の層を塗布もしくは蒸着によって設けたもの。
本発明の感光体は、第3図及び第4図に示すように導
電性支持体1上にCGMを主成分とするキャリア発生層
(以後CGLと表す)2とCTMを主成分として含有するCTL3
との積層体より成る感光層4を設ける。
第4図に示すようにこの感光層4は、導電性支持体1
上に設けた中間層5を介して設けてもよい。
このように感光層4を二層構成としたときに最もすぐ
れた電子写真特性を有する電子写真感光体が得られる。
更に前記感光層4の上には必要に応じ保護層を設けて
もよい。
又、二層構成の感光層4を構成するCGL2は、導電性支
持体1上に直接或は必要に応じて接着層もしくはブロッ
キング層などの中間層を設けた上に、次の方法によって
形成することができる。
(1)真空蒸着法 (2)CGMを適当な溶剤に溶解した溶液を塗布する方法 (3)CGMをボールミル、サンドグラインダ等によって
分散媒中で微細粒子状とし必要に応じて、バインダと混
合分散して得られる分散液を塗布する方法。
即ち具体的には、真空蒸着、スパッタリング、CVD等
の気相堆積法或はデイッピング、スプレィ、ブレード、
ロール法等の塗布方法が任意に用いられる。
このようにして形成されるCGL2の厚さは、0.01〜5μ
mであることが好しく、更に好しくは0.05〜3μmであ
る。
またCTL3の厚さは、必要に応じて変更し得るが通常5
〜30μmであることが好ましい。このCTL3における組成
割合は、CTM1重量部に対してバインダ0.1〜5重量部と
するのが好ましい。
またCGLをバインダ中分散型のものとして構成する場
合には、CGM1重量部に対してバインダを5重量部以下の
範囲で用いることが好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
まず、各種のチタニルフタロシアニン顔料の合成例を
述べる。
(合成例1) 1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200m
lを混合し、チタニウムテトライソプロポキシド17.0gを
加え、窒素雰囲気下に140℃で2時間反応させた。放冷
した後析出物を濾取し、クロロホルムで洗浄、2%の塩
酸水溶液で洗浄し、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の
後25.5g(88.5%)のチタニルフタロシアニンを得た。
生成物は20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の水にあ
けて析出させて、濾取した後にウェットケーキを1,2−
ジクロルエタンにて50℃で10時間加熱して第1図(a)
に示すX線回折スペクトルをもつ結晶型とした。この結
晶はブラッグ角2θの9.6°のピーク強度が27.2°のそ
れの102%であった。
(合成例2) 1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200m
lを混合し、チタニウムテトライソプロポキシド17.0gを
加え、窒素雰囲気下に140℃で2時間反応させた。放冷
した後析出物を濾取し、クロロホルムで洗浄、2%の塩
酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後
25.5g(88.5%)のチタニルアタロシアニンを得た。
生成物は20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の水にあ
けて析出させて、濾取した後にウェットケーキを1,2−
ジクロルエタンにて室温で1時間撹拌して第1図(b)
に示すX線回折スペクトルをもつ結晶型とした。この結
晶はブラッグ角2θの9.6°のピーク強度が27.2°のそ
れの75%であった。
(合成例3) フタロジニトリル25.6gとα−クロルナフタレン150ml
の混合物中に窒素気流下で6.5mlの四塩化チタンを滴下
し、200〜220℃の温度で5時間反応させた。析出物を濾
取し、α−クロルナフタレンで洗浄した後、クロロホル
ムで洗浄し、続いてメタノールで洗浄した。次いでアン
モニア水中で還流して加水分解を完結させた後、水洗、
メタノール洗浄し乾燥の後チタニルフタロシアニン21.8
g(75.6%)を獲た。
生成物は10倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の水にあ
けて析出させて、濾取した後にウェットケーキを1,2−
ジクロルエタンにて室温で1時間撹拌して得られた結晶
はブラッグ角2θの9.6°のピーク強度が27.2°のそれ
の45%であった。
(比較合成例1) フタロジニトリル25.6gとα−クロルナフタレン150ml
の混合物中に窒素気流下で6.5mlの四塩化チタンを滴下
し、200〜220℃の温度で5時間反応させた。析出物を濾
取し、α−クロルナフタレンで洗浄した後、クロロホル
ムで洗浄し、続いてメタノールで洗浄した。次いでアン
モニア水中で還流して加水分解を完結させた後、水洗、
メタノール洗浄し乾燥の後チタニルフタロシアニン21.8
g(75.6%)を得た。
生成物は10倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の水にあ
けて析出させて、濾取した後にウェットケーキをo−ジ
クルベンゼンにて室温で1時間撹拌して得た結晶はX線
回折スペクトルにおけるブラッグ角2θの9.6°のピー
ク強度が27.2°のそれの35%であった。
(比較合成例2) 合成例1のウェットケーキを乾燥後、α−クロロナフ
タレンを用いて、加熱撹拌することによって、β型のチ
タニルフタロシアニンを得た。
実施例1 共重合ポリアミド「ラッカマイド5003」(大日本イン
キ社製)3部(部は重量部を示す;以下同じ)をメタノ
ール100部に加熱溶解し、0.6μmフィルタで濾過した
後、浸漬塗布法によって、アルミニウムドラム上に塗布
し、膜厚0.5μmの下引層を形成した。
一方、合成例1において得られたX線回折パターンを
有するチタニルフタロシアニン3部、バインダ樹脂とし
てシリコーン樹脂「KR-5240、15%キシレン/ブタノー
ル溶液」(信越化学社製)固形分3部、分散媒としてメ
チルイソブチルケトン100部をサンドミルを用いて分散
した液を、先の下引層の上に、浸漬塗布法によって塗布
して、膜厚0.2μmのCGLを形成した。次いで、CTM
(1)の1部、例示樹脂「B-3」1.5部、微量のシリコー
ンオイル「KF-54」(信越化学社製)を、1,2−ジクロル
エタン10部に溶解した液を用いて浸漬塗布し乾燥の後、
膜厚25μmのCTLを形成した。このようにして得られた
感光体を試料1とする。
実施例2〜5 CGMの種類並びにCGL及びCTLの樹脂の種類を表−1に
示すものとした他は実施例1と同様にして4種類の感光
体を得、これらを試料2〜5とする。
比較例(1),(2),(3) CGMの種類並びにCGL及びCTLの樹脂の種類を表3種類
の感光体を得、これらを比較資料(1),(2),
(3)とする。
使用した樹脂は次の通りである。
・シリコーン樹脂「KR-5240」(信越化学社製) ・ポリビニルブチラール「エスレッツクBM-S」(積水化
学社製) ・ポリカーボネート「パンライトL-1250」(帝人化成社
製) (評価) 前記試料1〜6及び比較試料(1),(2)を「U-Bi
x 2025」(コニカ社製)(半導体レーザ光源搭載)改造
機に搭載し、5万回連続コピーを行った。未露光部電位
VHが−600[V]になるようにグリッド電圧VGを調節
し、0.7mWの照射時の露光部の電位VLを測定し、更にコ
ピー終了後の残留電位VRを測定した。又、現像バイアス
−560[V]で反転現像を行い、初期と5万回連続コピ
ー後の複写画像の階調性、解像度の評価を下記の通りに
行った。
画像評価機はU-Bix 2025(コニカ社製)を、反転現像
で現像が行えて半導体レーザ光源を搭載し、しかも300d
pi、400dpi、600dpiで感光体上へ書き込みが行える様に
改造したものを用い、次の評価を実施した。
(a)階調性 画像濃度が網点の面積率でそれぞれ0、0.1、0.2、0.
3、0.4、0.5、0.6、0.7、1.0、1.25の10段階の濃度を判
別できる様な画像モードを有したプリントローラを接続
し、プリント画像が何段階まで判別できるかを評価し
た。
(b)解像度 プリント画像上に1mm当たりの等間隔の縦線を2本、
3本、4本、5本、6本、7本、8本設け、縦線の判別
できるグレードを解像度として表示した。
〈評価例1〉 評価機に300dpiの光学系を搭載させ、現像剤のトナー
として重量平均粒径が8μmのトナーを用いた。
結果を下記表−2に示した。これによれば、露光ドッ
トが300dpiの場合は、初期画像において階調性、解像度
共に本発明のチタニルフタロシアニンを用いても未だ十
分には効果の差が認められない。
〈評価例2〉 評価機に400dpiの光学系を搭載させ、他は評価例1と
同様にした。結果を下記表−3に示したが、ドット露光
が400dpiになると、初期画像においては階調性、解像度
がサンプル1〜5及び比較サンプル(1)では300dpiの
場合に比べて1ランクもアップするが、比較サンプル
(2)〜(3)では300dpiと同程度に止まる。
更にサンプル1〜5では5万コピー終了後の画像にお
いても、階調性、解像度共に初期に比べ低下は見られな
かった。
〈評価例3〉 評価機に600dpiの光学系を搭載し、他は評価例1と同
様にした。結果を下記表−4に示したが、露光ドット数
が600dpiにまで細くなると、サンプル1〜5では5万コ
ピー終了後においても階調性、解像度とも従来公知の感
光体に比べて飛躍的に良好となる結果が得られた。
〔発明の効果〕 本発明は、以上説明したように上記チタニルフタロシ
アニンを用いることにより特にLED光及び半導体レーザ
光に対して有効な電子感光体を得ることができる。
更に本発明の電子写真感光体は感度、帯電能、電位安
定性、機械的耐久性に優れるという特徴を有するもので
ある。
特に繰返し使用時においても感光層表面平滑性が良好
であり、画質低下が少ないという特徴を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は感光体に用いるチタニルフタロシアニンのX線
回折スペクトル図、第2図はその分光吸収スペクトル
図、第3図、第4図は本発明の感光体の態様例の断面図
である。 1……導電性支持体、2……キャリア発生層 3……キャリア輸送層、4…感光層 5……中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に少なくともキャリア発生
    層及びキャリア輸送層をこの順に積層してなる電子写真
    感光体において、 前記キャリア発生層がCu-Kα特性X線(波長1.54Å)に
    対するブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°
    ±0.2°及び27.2°±0.2°にあるチタニルフタロシアニ
    ン顔料を含有し、 かつキャリア輸送層が下記一般式(B)で表される構造
    単位を主要繰返し単位として有するポリカーボネートを
    含有し、 かつ電子写真画像形成においてドット露光を行い、重量
    平均粒径8μm以下のトナー粒子を含む現像剤で現像処
    理を行う ことを特徴とする電子写真感光体。 〔式中、Zは置換若しくは無置換の次記2つの基;炭素
    環基、複素環基を形成するに必要な非金属原子群、R1、
    R2、R3、R4及びR5、R6、R7、R8は水素原子、塩素原子、
    臭素原子、メチル基を表す。但し全てが水素原子である
    ことはない。〕
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