JP3160772B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3160772B2
JP3160772B2 JP05524492A JP5524492A JP3160772B2 JP 3160772 B2 JP3160772 B2 JP 3160772B2 JP 05524492 A JP05524492 A JP 05524492A JP 5524492 A JP5524492 A JP 5524492A JP 3160772 B2 JP3160772 B2 JP 3160772B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
特に有機光導電性電子写真感光体、更に電子写真感光体
構成層の膜物性に関する。
【0002】
【従来の技術】カールソン法の電子写真複写機において
は、感光体表面を一様に帯電させた後、露光によって画
像様に電荷を消去して静電潜像を形成し、その静電潜像
をトナーによって現像し、次いでそのトナー像を紙等に
転写、定着させる。
【0003】一方、感光体には付着トナーの除去や除
電、表面の清浄化が施され、長期に亘って反復使用され
る。
【0004】従って、電子写真感光体としては、帯電特
性および感度が良好で更に暗減衰が小さい等の電子写真
特性は勿論、加えて繰返し使用での耐刷性、耐摩耗性、
耐湿性等の物理的性質や、コロナ放電時に発生するオゾ
ン、露光時の紫外線等への耐性(耐環境性)においても
良好であることが要求される。
【0005】従来、電子写真感光体としては、セレン、
酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性物質を感光
層主成分とする無機感光体が広く用いられていた。
【0006】近年電子写真用感光体の感光層としてキャ
リア発生機能とキャリア輸送機能とを異なる物質に分担
させ、希望する特性に照して各機能を発揮する物質を広
い範囲から選択し、感度が高く耐久性の大きい有機感光
体を実用化する動向にある。
【0007】このような機能分担型の有機感光体は従来
主として負帯電用として用いられ、特開昭60-247647号
に記載されるように支持体上に薄いキャリア発生層を設
け、この上に比較的厚いキャリア輸送層を設ける構成が
とられている。
【0008】このような感光体に使用されるバインダと
しては、帯電特性、感度、残留電位及び繰返し特性等の
面で、下記構造式で示されるビスフェノールA型のポリ
カーボネートが良好な特性を発揮することが良く知られ
ている。
【0009】
【化5】
【0010】しかし本発明者等が検討を加えた結果、上
記ビスフェノールA型ポリカーボネートは、高分子の結
晶性が高いためその溶液はゲル化を起しやすく、1〜2
日程度で使用不可能となるという欠点を有している。ま
た塗布により膜形成を行なうと塗膜形成時に膜表面に結
晶性ポリカーボネートが析出して凸部が生じやすく、こ
のために塗膜の尾引きが生じて収率が低下したり、ある
いは感光体としての使用時に凸部にトナーが付着してク
リーニングされずに残り、いわゆるクリーニング不良に
よる画像欠陥が生じやすい。
【0011】また、上記ビスフェノールA型ポリカーボ
ネートをバインダ樹脂として用いた電子写真感光体は、
電子写真複写機の感光体として用いると、磁気ブラシや
クリーニングブレードで擦過され感光層表面に傷が付い
たり、感光層が次第に摩耗するという欠点を有する。
【0012】他方、高画質と順調な複写作業性は、感光
体の均一な厚みを有する滑らかで均質な表面性の良否に
も依存するので、感光体塗布構成層面の構成層を形成す
る塗料組成或は塗布、乾燥に起因する柚木肌、ピンホー
ル、塗布筋、亀裂(ソルベントクラック)等の膜面故障
は、複写特性上及び生産技術上大いに問題にされる所で
ある。
【0013】また、表面性或は滑り性の改善には界面活
性剤も有用であり、而も懸濁系の塗料に於ては懸濁質の
分散及び分散安定性向上に有効であり、溶液系塗料に於
ても溶解促進などに、また塗布性の向上等生産技術上の
価値を有する。しかしながら、その種類の選択を誤る
と、層間接着不良、その変質による故障或は耐湿性に係
る支障を往々にして惹起す。
【0014】前記したような支障に対して、フェニレン
環間の炭素にかさ高い基の導入(特特開昭60-172045
号)、弗素を有する置換基の導入(特開昭63-65444
号)、フェニレン環へのアルキル基、ハロゲン原子の置
換(特開昭63-148263号)、或は両フェニレン環にフェ
ニル基を又はシクロヘキシル基を置換したモノマーの共
重体(特開平1-269942号、 同1-269943号)、或は電荷輸
送物質としてジスチリルをビスフェノールZ型ポリカー
ボネートに併用すること(特開昭64‐32265号)等が提
案されているが、未だ充分な表面強度、表面平滑性がな
く、摩耗、耐クラック性に弱く、反復使用において画質
の低下が起り、また摩耗による膜厚減少による感度低下
等の問題点を残している。
【0015】
【発明の目的】本発明の目的は、高感度で、かつ電子写
真感光体感光層の機械的耐久性が高く、表面平滑性が良
好であり、耐クラック性、耐オゾン性が良好で、画質低
下、感度減退の少い電子写真感光体を提供することにあ
る。
【0016】
【発明の構成】前記本発明の上記目的は、導電性基体上
に電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダ樹脂を少く
とも含有する感光層を有する電子写真感光体において、
前記感光層がバインダ樹脂として下記一般式〔B1〕で
表される構造単位と下記一般式〔B2〕で表される構造
単位を主成分とする共重合体化合物と、下記一般式
〔T〕で表される電荷輸送物質を含有することを特徴と
する電子写真感光体により達成される。
【0017】
【化6】
【0018】R1,R2は水素原子、置換、無置換の炭素
数1〜6のアルキル基、置換、無置換のアリール基(例
えばフェニル基、ナフチル基等)を表す。またR1,R2
とで形成するC4〜C10の環状炭化水素残基を表す。
【0019】又、R3,R4,R5及びR6は各々水素原
子、ハロゲン原子、置換、無置換の炭素数1〜6のアル
キル基、置換、無置換のアリール基(例えばフェニル
基、ナフチル基等)を表す。
【0020】l,m,p,qは1〜4の整数である。
【0021】好ましい態様としては、前記一般式
〔B1〕,〔B2〕が下記の構造単位である、共重合体化
合物を含有する前記電子写真感光体である。
【0022】
【化7】
【0023】前記重合体又は共重合体の重合度は10〜50
00、好ましくは50〜1000である。
【0024】本発明において、主要繰返し単位として前
記一般式〔B1〕及び一般式〔B2〕を構造組成に含む共
重合体をバインダ樹脂として用いることにより皮膜物性
に優れ、電荷保持力、感度残留電位等の電子写真特性に
優れ、かつ繰返し使用に供した時にも疲労劣化が少ない
安定した特性を発揮する電子写真感光体を作成すること
ができる。
【0025】更に必要に応じ目的とする作用効果に支障
を来さぬ範囲で他のバインダを混合して用いることがで
きる。この際の混入比率は50wt/%以下が好ましい。
【0026】本発明の共重合体化合物は、下記(I)及
び(II)から選ばれるフェノール系化合物を用いて常法
に従い容易に合成される。
【0027】
【化8】
【0028】式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6
l,m,p及びqは前記一般式〔B1〕,〔B2〕で述べ
たものと同じである。
【0029】本発明の共重合体化合物を製造する方法
は、具体的には塩化メチレン、1,2-ジクロルエタン等の
不活性溶媒存在下、前記フェノール系化合物に、酸受容
体としてアルカリ水溶液或はピリジン等を入れ、ホスゲ
ンを導入しながら反応させる方法が挙げられる。
【0030】酸受容体としてアルカリ水溶液を使う時
は、触媒としてトリメチルアミン、トリエチルアミン等
の第3級アミン、あるいはテトラブチルアンモニウムク
ロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド等の
第4級アンモニウム化合物を用いると、反応速度が増大
する。
【0031】また必要に応じて分子量調節剤としてフェ
ノール、p‐t‐ブチルフェノール等1価のフェノールを
共存させてもよい。触媒は最初から入れてもよいし、オ
リゴマーを造った後に入れて高分子量化する等任意の方
法がとれる。
【0032】尚、本発明において2種以上のフェノール
系化合物を用いて共重合する方法としては、 (イ) 2種以上のフェノール系化合物を最初に同時にホ
スゲンと反応させて共重合する方法 (ロ) 一方をまずホスゲンと反応させ、ある程度反応を
行った後他方を入れて重合する方法 (ハ) 別々にホスゲンと反応させて重合する方法等の任
意の方法がとれる。
【0033】次に一般式〔B1〕,〔B2〕で示される構
造の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】前記両構造の共重合体化合物例としては下
記のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0041】
【表1】
【0042】前記表中の共重合体化合物中のx、yの比
率(共重合比)はx:y=95:5〜5:95の範囲であ
り、更に好ましくは95:5〜50:50の範囲である。
【0043】前記yの比率が50モル%以上になると、感
度低下及び機械的強度が低下する為、したがいyの比率
を50モル%以下とするのが好ましい。
【0044】前記したバインダとして用いられる本発明
の共重合体化合物に併用して用いてもよいバインダとし
ては、例えば次のものを挙げることができる。
【0045】(1) ポリエステル (2) メタクリル樹脂 (3) アクリル樹脂 (4) ポリ塩化ビニル (5) ポリ塩化ビニリデン (6) ポリスチレン (7) ポリビニルアセテート (8) スチレン共重合樹脂 (例えば、スチレン−ブタヂ
エン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、等) (9) アクリロニトリル系共重合体樹脂 (例えば、塩化
ビニリデン−アクリトロニトリル共重合体、等) (10) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (11) 塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体 (12) シリコーン樹脂 (13) シリコーン−アルキッド樹脂 (14) フェノール樹脂 (例えば、フェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、等) (15) スチレン−アルキッド樹脂 (16) ポリ-N-ビニルカルバゾール (17) ポリビニルブチラール (18) ポリビニルホルマール (19) ポリヒドロキシスチレン これらのバインダは、単独であるいは2種以上の混合物
として本発明に係る共重合体化合物に併用することがで
きる。
【0046】次に一般式〔T〕で表される電荷輸送物質
(CTM)について説明する。
【0047】
【化15】
【0048】式中、Ar1,Ar2は脂肪族基又は芳香族
基、Ar3はフェニレン基を表し、Ar1,Ar3で環を形成
してもよい。R13,R14は水素原子、アルキル基、又は
芳香族基を表し、R15はアルキル基又はアリール基を表
す。
【0049】アリール基とはフェニル基、ナフチル基、
縮合多環を表し、Ar1,Ar2,Ar3,R13,R14,R15
で述べた、脂肪族基及び芳香族基にはアルキル基、アル
コキシ基、ハロゲン原子、アミノ基等の置換基を含んで
いてもよい、Ar1,Ar2でカルバゾール環、インドリン
環等の環を形成してもよく、又R14,R15のなす環は5
〜7員の炭素環又は複素環である。 前記化合物はCT
Mとして良好な性能を有し、感度増大に好都合である。
【0050】以下一般式〔T〕で表される化合物の例を
述べるが、これに限定されるものではない。
【0051】:一般式〔T〕化合物の具体例:
【0052】
【化16】
【0053】
【化17】
【0054】
【化18】
【0055】
【化19】
【0056】
【化20】
【0057】
【化21】
【0058】本発明において併用して使用可能なCTMと
しては、特に制限はないが、例えばオキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チア
ジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール
誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、
ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾ
ン化合物、ピラゾリン誘導体、アミン誘導体、オキサゾ
ロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾ
ール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、
アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベ
ン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニル
ピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン等である。
【0059】本発明において用いられるCTMとしては光
照射時発生するホールの支持体側への輸送能力が優れて
いる外、前記本発明に用いられる有機系顔料との組合せ
に好適なものが好ましい。 本発明の電子写真感光体においては、電荷発生物質(C
GM)として次の代表例で示される様な有機顔料が用い
られる。
【0060】(1) モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリ
アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料等のアゾ顔料 (2) ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミド等のペリレ
ン顔料 (3) アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導
体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導
体、ビオラントロン誘導体及びイソビオラントロン誘導
体等多環キノン顔料 (4) インジゴ誘導体及びチオインジゴ誘導体等のイン
ジゴイド顔料 特に本発明の電子写真感光体においては、CGMとしてフ
ルオレノン系ジスアゾ顔料、フルオレニリデン系ジスア
ゾ顔料、多環キノン顔料の有機系顔料が用いられること
が好ましい。特に次に示すフルオレノン系ジスアゾ顔
、多環キノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔
料等を本発明に用いると、感度、耐久性及び画質等の点
で著しく改良された効果を示す。
【0061】本発明に用いられるフルオレノン系ジスア
ゾ顔料は、下記一般式〔F1〕で表される。
【0062】
【化22】
【0063】X1及びX2は、それぞれ、ハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒド
ロキシ基又は置換若しくは無置換のアミノ基を表す。p
及びqはそれぞれ0,1又は2の整数を表し、p及びq
が2のときは、X1及びX2はそれぞれ同一又は異なる基
であってもよい。
【0064】Aは下記一般式〔F1−1〕で表される基
を示す。
【0065】
【化23】
【0066】式中、Arは弗素化炭化水素基又は置換基
を有する芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表す。Z
は置換若しくは無置換の芳香族炭素環又は置換若しくは
無置換の芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子
群を表す。m及びnはそれぞれ0,1又は2の整数を表
す。但し、m及びnが同時に0となることはない。
【0067】下記に本発明に用いられるフルオレノン系
ジスアゾ顔料の具体例を挙げるが、これによって限定さ
れるものではない。
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
【化27】
【0072】本発明に用いられる前記一般式〔F1〕で
表されるフルオレノン系ジスアゾ顔料は、公知の方法に
より容易に合成され、例えば特願昭62-304862号等の方
法により合成される。
【0073】本発明に用いられるペリレン系顔料は下記
一般式〔P1〕,〔P2〕で表される。
【0074】
【化28】
【0075】〔一般式〔P1〕,〔P2〕中、Zは置換、
無置換の芳香環を形成するのに必要な原子群を表す。〕
前述Zの好ましいものとしては例えばベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、ピリジ
ン環、ピリミジン環、ピラゾール環、アントラキノン環
が挙げられ、特に好ましいものはベンゼン環、ナフタレ
ン環である。
【0076】Zの置換基としては、例えばアルキル、ア
ルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシールアシロ
キシ、アミノ、カルバモイル、ハロゲン、ニトロ、シア
ノ等の各基を挙げることができる。これらのペリレン化
合物はCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおい
て、ブラッグ角2θの 6.3±0.2°、12.5°±0.2°、25.4°±0.2°、27.0°±
0.2° にピークを有するものが好ましい。
【0077】以下に一般式〔P1〕及び〔P2〕で表され
る化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけでは
ない。
【0078】
【化29】
【0079】本発明に用いられる多環キノン顔料は、下
記一般式〔Q1〕〜〔Q3〕で表される。
【0080】
【化30】
【0081】各式中、Xはハロゲン原子、ニトロ基、シ
アノ基、アシル基、又はカルボキシ基を表し、nは0〜
4の整数を、mは0〜6の整数を表す。
【0082】前記一般式〔Q1〕〜〔Q3〕で示される本
発明に用いられる多環キノン顔料の具体例を下記に示す
が、これに限定されるものではない。
【0083】一般式〔Q1〕で示されるアントアントロ
ン顔料の具体的化合物例を挙げると次の通りである。
【0084】
【化31】
【0085】一般式〔Q2〕で示されるジベンズピレン
キノン顔料の具体的化合物例を挙げると次の通りであ
る。
【0086】
【化32】
【0087】
【化33】
【0088】一般式〔Q3〕で示されるピラントロン顔
料の具体的化合物例を挙げると次の通りである。
【0089】
【化34】
【0090】本発明に用いられる前記一般式〔Q1〕〜
〔Q3〕で表される多環キノン顔料は、公知の方法によ
り容易に合成できる。
【0091】本発明に使用できる無金属フタロシアニン
系顔料としては、光導電性を有する無金属フタロシアニ
ン及びその誘導体すべてが使用可能であるが、例えばα
型、β型、τ,τ′型、η,η′型、X型、及び特開昭
62-103651号で述べた結晶形及びその誘導体等を使用で
きる。特にτ,X,K/R−X型を使用することが望ま
しい。X型無金属フタロシアニンについては米国特許3,
357,989号に記載があり、τ型無金属フタロシアニンに
ついては特開昭58-182639号に記載がある。K/R−X
型は特開昭62-103651号にあるように、CuKα、1.541
ÅのX線に対するブラッグ角度(2θ±0.2度)におい
て、7.7,9.2,16.8,17.5,22.4,28.8度に主要なピー
クを有し、且つ9.2度のピーク強度に対して16.8度のピ
ーク強度比が0.8〜1.0であり、また22.4度に対する28.8
度のピーク強度比が0.4以上である事を特徴とするフタ
ロシアニンである。
【0092】本発明で用いられるオキシチタニルフタロ
シアニンは、下記一般式〔TP〕で表される。
【0093】
【化35】
【0094】〔式中、X1,X2,X3,X4は各々独立に
H,Cl又はBrを表し、n,m,l,kは各々独立に
0〜4の数字を表す。〕本発明に用いられるオキシチタ
ニルフタロシアニンのうち、特に好適なものは特開昭64
-17066号に記載のオキシチタニルフタロシアニン(Y-Ti
OPc)、オキシチタニルクロロフタロシアニン(TiOPcC
l)及びそれらの混合物である。
【0095】これらのオキシチタニルフタロシアニンと
しては以下で示す特許で公開された結晶型の異なるもの
が知られている。例えば特開昭61-239248号、同62-6709
43号、同62-272272号、同63-116158号又は同64-17066号
等が挙げられる。
【0096】本発明に用いられる有機系顔料の分散媒と
しては、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の炭化水素類、メチレンクロライド、メチレンブロ
マイド、1,2-ジクロルエタン、syn-テトラクロルエタ
ン、cis-1,2-ジクロルエチレン、1,1,2-トリクロルエタ
ン、1,1,1-トリクロルエタン、1,2-ジクロルプロパン、
クロロホルム、ブロモホルム、クロルベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、
エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、酢酸セロソルブ等のアルコール及びこの誘導体、
テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、フラン、フルフ
ラール等のエーテル、アセタール類、ピリジンやブチル
アミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロ
パノールアミン等のアミン類、N,N-ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類等の窒素化合物他に脂肪酸及びフェノー
ル類、二硫化炭素や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物
等が挙げられる。
【0097】本発明において感光層には感度の向上、残
留電位〜反復使用時の疲労低減等を目的として、一種又
は二種以上の電子受容性物質を含有せしめることができ
る。
【0098】ここに用いることのできる電子受容性物質
としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブ
ロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロル無水
フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、3-ニトロ無水フ
タル酸、4-ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、
無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノ
キノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼ
ン、1,3,5-トリニトロベンゼン、パラニトロベンゾニト
リル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロ
ラニル、ブルマニル、ジクロルジシアノパラベンゾキノ
ン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、2,7-ジ
ニトロフルオレノン、2,4,7-トリニトロフルオレノン、
2,4,5,7-テトラニトロフルオレノン、9-フルオレニリデ
ン[ジシアノメチレンマロノジニトリル]、ポリニトロ-9
-フルオレニリデン-[ジシアノメチレンマロノジニトリ
ル]、ピクリン酸、o-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香
酸、3,5-ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、
5-ニトロサリチル酸、3,5-ジニトロサリチル酸、フタル
酸、メリット酸、その他の電子親和力の大きい化合物を
挙げることができる。又、電子受容性物質の添加割合
は、重量比で本発明に用いられる有機系顔料:電子受容
性物質=100:0.01〜200、好ましくは100:0.1〜1
00である。
【0099】かかる層への電子受容性物質の添加割合は
重量比で全CTM:電子受容性物質=100:0.01〜100、好
ましくは100:0.1〜50である。
【0100】又、本発明の感光層中にはCGMの電荷発生
機能を改善する目的で有機アミン類を添加することがで
き、特に2級アミンを添加するのが好ましい。これらの
化合物は特開昭59-218447号、同62-8160号に記載されて
いる。
【0101】又、本発明の感光層においては、オゾン劣
化防止の目的で酸化防止剤を添加することができる。
【0102】かかる酸化防止剤の代表的具体例を以下に
示すが、これに限定されるものではない。
【0103】I-群;ヒンダードフェノール類、II-群;
パラフェニレンジアミン類、III-群;ハイドロキノン
類、IV-群;有機硫黄化合物類、V-群;有機燐化合物類
が挙げられる。
【0104】これらの化合物は例えば特開昭63-18354号
に開示されている。
【0105】これらの化合物はゴム、プラスチック、油
脂類等の酸化防止剤として知られており、市販品を容易
に入手できる。
【0106】酸化防止剤の添加量はCTM 100重量部に対
して0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、特に好
ましくは5〜25重量部である。
【0107】又、本発明の感光体には、その他、必要に
より感光層を保護する目的で紫外線吸収剤等を含有して
もよく、また感色性補正の染料を含有してもよい。
【0108】又、本発明の電子写真感光体には、必要に
応じて導電性基体と感光層の間に中間層を設けることが
できる。
【0109】前記中間層は接着層又はブロッキング層等
として機能するもので、前記バインダ樹脂の外に、例え
ばポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、カゼイン、N-アルコキシメチル化ナイロン、澱粉等
が用いられる。
【0110】本発明の電子写真感光体の構成に用いられ
る導電性支持体としては、主として下記のものが用いら
れるが、これらにより限定されるものではない。
【0111】1)アルミニウム板、ステンレス板などの
金属板。
【0112】2)紙あるいはプラスチックフィルムなど
の支持体上に、アルミニウム、パラジウム、金などの金
属薄層をラミネートもしくは蒸着によって設けたもの。
【0113】3)紙あるいはプラスチックフィルムなど
の支持体上に、導電性ポリマ、酸化インジウム、酸化錫
などの導電性化合物の層を塗布もしくは蒸着によって設
けたもの。
【0114】本発明の感光体は、図1(1)及び(2)
に示すように導電性支持体1上にCGMを主成分とするCGL
2と本発明に係るCTMを主成分として含有するCTL3との
積層体より成る感光層4を設ける。同図(3)及び
(4)に示すようにこの感光層4は、導電性支持体1上
に設けた中間層5を介して設けてもよい。このように感
光層4を二層構成としたときに最も優れた電子写真特性
を有する電子写真感光体が得られる。又、本発明におい
ては、同図(5)及び(6)に示すように前記CTMを主
成分とする層6中に微粒子状のCGM7を分散してなる感
光層4を導電性支持体1上に直接あるいは、中間層5を
介して設けてもよい。
【0115】更に前記感光層4の上には必要に応じ保護
層8を設けてもよい。
【0116】ここで感光層4を二層構成としたときにCG
L2とCTL3のいずれを上層とするかは、帯電極性を正、
負のいずれに選ぶかによって決定される。すなわち負帯
電型感光層とする場合は、CTL3を上層とするのが有利
であり、これは該CTL3中のCTMが、正孔に対して高い輸
送能を有する物質であるからである。
【0117】又、二層構成の感光層4を構成するCGL2
は、導電性支持体1もしくはCTL3上に直接あるいは必
要に応じて接着層もしくはブロッキング層などの中間層
を設けた上に、次の方法によって形成することができ
る。
【0118】(1) 真空蒸着法 (2) CGMを適当な溶剤に溶解した溶液を塗布する方法 (3) CGMをボールミル、サンドグラインダ等によって
分散媒中で微細粒子状とし必要に応じて、バインダと混
合分散して得られる分散液を塗布する方法。
【0119】即ち具体的には、真空蒸着、スパッタリン
グ、CVD等の気相堆積法あるいはデイッピング、スプレ
ー、ブレード、ロール法等の塗布方法が任意に用いられ
る。
【0120】このようにして形成されるCGL2の厚さは、
0.01μm〜5μmであることが好しく、更に好しくは0.05
μm〜3μmである。
【0121】またCTL3の厚さは、必要に応じて変更し
得るが通常5μm〜40μmであることが好ましい。このCT
L3における組成割合は、本発明のCTM1重量部に対して
バインダ0.1〜5重量部とするのが好ましいが、微粒子状
のCGMを分散せしめた感光層4を形成する場合は、CGM1
重量部に対してバインダを5重量部以下の範囲で用いる
ことが好ましい。
【0122】またCGL をバインダ中分散型のものとして
構成する場合には、CGM1重量部に対してバインダを5
重量部以下の範囲で用いることが好ましい。
【0123】本発明の感光体は以上のような構成であっ
て、後述するような実施例からも明らかなように帯電特
性、感度特性、画像形成特性に優れたものである。特に
反復転写式電子写真方式に供したときにも疲労劣化が少
なく耐久性が優れたものである。
【0124】
【実施例】以下本発明の実施例を具体的に説明するが、
これにより本発明の実施態様が限定されるものではな
い。
【0125】実施例1 ポリアミド樹脂CM−8000(東レ社製)30gをメタノー
ル900ml、1-ブタノール100mlの混合溶媒中に投入し、50
℃で加熱溶解した。この液を用いて外径80mm、長さ355.
5mmのアルミニウムドラム上へ浸漬塗布し、0.5μm厚の
中間層を形成した。
【0126】次に、ポリビニルブチラール樹脂エスレッ
クBX−1(積水化学社製)5gをメチルエチルケトン
700ml、シクロヘキサノン300mlの混合溶媒に溶解し、こ
れにCGMとして例示1−23、10gを混合し、サ
ンドミルを用いて10時間分散した。この液を用いて、前
記中間層上に浸漬塗布し、0.3μm厚の電荷発生層を形
成した。
【0127】次に、CTMとしてT−2200gとC
TLバインダーとしてB−1(x:y=80:20)200g
を1,2-ジクロルエタン1000mlに溶解した。この液を用い
て、前記電荷発生層上に浸漬塗布を行った後、100℃で
1時間乾燥し、20μm厚の電荷輸送層を形成した。この
ようにして、中間層、電荷発生層、電荷輸送層からなる
積層感光体を得た。
【0128】実施例2 CTMをT−1とする以外は実施例1と同様に行い積層
電子写真感光体を得た。
【0129】実施例3 CTMをT−4にする以外は実施例1と同様に行い積層
電子写真感光体を得た。
【0130】実施例4 中間層の形成は実施例1と同様に行った。
【0131】次に、ポリビニルブチラール樹脂エスレ
ックBX−110gを1,2-ジクロルエタン1000mlに溶解
し、これにCGMとしてP−150gを混合し、サン
ドミルを用いて20時間分散した。この液を用いて前記中
間層上に浸漬塗布し、1.0μm厚の電荷発生層を形成し
た。
【0132】次に、CTMをT−17に、CTLバインダ
ーをB−2(x:y=75:25)に変更した以外は実施例
1と同様に電荷輸送層を形成し、積層電子写真感光体を
得た。
【0133】実施例5 中間層の形成は実施例1と同様に行った。
【0134】次にポリカーボネート樹脂ユーピロンZ−
200(三菱ガス化学社製)10gを1,2-ジクロルエタン100
0mlに溶解し、これにCGMとして1−320gを混
合し、サンドミルを用いて24時間分散した。この液を用
いて、前記中間層上に浸漬塗布し、1.0μm厚の電荷発
生層を形成した。
【0135】次に、CTMをT−3に、CTLバインダ
ーをB−7(x:y=85:15)に変更した以外は、実施
例1と同様に電荷輸送層を形成し、積層電子写真感光体
を得た。
【0136】実施例6 中間層の形成は実施例1と同様に行った。
【0137】次にシリコーン樹脂KR−5240(固形分20
%)(信越化学社製)100gをメチルエチルケトン1000m
lに溶解し、これにY型オキシチタニウムフタロシアニ
ン(Y-TiOPc)20gを混合し、サンドミルを用いて4時間
分散した。この液を用いて前記中間層上に浸漬塗布し、
0.5μm厚の電荷発生層を形成した。
【0138】次に、CTMをT−5に、CTLバインダ
ーをB−12(x:y=70:30)に変更した以外は、実施
例1と同様に電荷輸送層を形成し、積層電子写真感光体
を得た。
【0139】実施例7 CTMとしてT−25200gとCTLバインダーとし
てB−5(x:y=80:20)200gを1,2-ジクロルエタ
ン1000mlに溶解した。この液を用いて外径80mm、長さ35
5.5mmのアルミニウムドラム上へ浸漬塗布を行った後、1
00℃で1時間乾燥し、20μm厚の電荷輸送層形成し
た。
【0140】次に、CGLバインダーとしてB−5
(x:y=80:20)200gを1,2-ジクロルエタン1000ml
に溶解し、これにCGMとして1−360gを混入
し、サンドミルを用いて24時間分散した。更にこの液に
CTMとしてT−25150gを溶解させ塗布液を得
た。この液を用いて前記電荷輸送層上にスプレー塗布を
行った後、100℃で1時間乾燥し、5μm厚の電荷発生
層を形成した。このようにして、電荷輸送層、電荷発生
層からなる積層電子写真感光体を得た。
【0141】比較例1 CTLバインダーをB1−1に変更した以外は実施例1
と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0142】比較例2 CTLバインダーをB1−7に変更した以外は実施例1
と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0143】比較例3 CTLを構造式C−1に変更した以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を作成した。
【0144】
【化36】
【0145】−感光体の評価− 実施例1〜5および比較例1〜3の感光体を「U−Bi
x3035」(コニカ社製)に搭載し、10万コピー実写テス
トを行い、実写テスト中の画像不良の有無、また実写テ
スト前後の感光体表面電位の変化、および膜厚減耗量
測定し評価を行った。
【0146】黒紙電位Vb:反射濃度1.3の原稿に対する
表面電位 白紙電位Vw:反射濃度0.0の原稿に対する表面電位 残留電位Vr:除電後の表面電位 また、実施例6の感光体を、「U−Bix3035」(コニ
(株)製)(半導体レーザ光源搭載)改造機に搭載
し、Vbが−700±10(V)になるようにリッド電圧を
調節し、0.7mWの光を照射したときの露光面の電位を
wとし、現像バイアス−600(V)で反転現像を行い、
同様の実写テストを行い、同様の評価を行った。
【0147】また、実施例7の感光体を「U−Bix30
35」(コニカ(株)製)を帯電、転写の極性を正に変え
た改造機に搭載し、同様の実写テストを行い、同様の評
価を行った。
【0148】表面の摩擦による膜厚減耗量については、
10万コピー終了後、感光体膜厚を測定し、初期と比較し
た。
【0149】クラックについては、感光体を「U−Bi
x3035」(コニカ社製)ドラムカートリッジに装着し、
クリーニングローラーを感光体に圧着させた状態のまま
50℃の恒温槽中に1000時間放置して、遂時クラックの発
生の有無を調べた。
【0150】以下結果を表2に示す。
【0151】
【表2】
【0152】上記表2の結果の如く本発明の実施例が比
較例に比して、優れていることがわかる。
【0153】
【発明の効果】本発明感光体は、優れた電子写真性能を
有し、繰返し使用によっても特性変化が少ない上に、耐
摩耗性、耐クラック性にも優れるので、極めて高い耐刷
性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成を示す断面
図。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層(CGL) 3 電荷輸送層(CTL) 4 感光層 5 中間層 6 電荷輸送物質を含有する層 7 電荷発生物質(CGM) 8 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−234880(JP,A) 特開 昭63−136051(JP,A) 特開 昭61−14642(JP,A) 特開 平4−37763(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/05,5/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送
    物質及びバインダ樹脂を少くとも含有する感光層を有
    する電子写真感光体において、前記感光層がバインダ樹
    脂として下記一般式〔B1〕で表される構造単位と下記
    一般式〔B2〕で表される構造単位を主成分とする共重
    合体化合物と、下記一般式〔T〕で表される電荷輸送物
    質を含有することを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 式中、1 2は水素原子、置換、無置換の炭素数1
    〜6のアルキル基、置換、無置換のアリール基を表す。
    また、1 2とで形成されるC4〜C10の環状炭化水
    素残基を表す。また、R3 4 5及びR6は各々水素
    原子、ハロゲン原子、置換、無置換の炭素数1〜6のア
    ルキル基、置換、無置換のアリール基を表す。l
    qは1〜4の整数である。〕 【化2】 〔式中、Ar1 Ar2はアルキル基又はアリール基、A
    3はフェニレン基を表し、Ar1 Ar3で環を形成し
    てもよい。R13 14水素原子、アルキル基、アリ
    ール基、R15は、アルキル基、アリール基を表し、
    14 15で環を形成してもよい。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式〔B2〕が 【化3】 であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 前記一般式〔B1〕が 【化4】 であることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光
    体。
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