JP3894023B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体を備えた画像形成装置を用いた画像形成方法及びその画像形成方法に用いられる画像形成装置に関するもので、より詳しくは画像を形成する際に濃度ムラを生じない高品質の画像を形成できる画像形成方法及びその画像形成方法に用いられる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置に使用される電子写真感光体は、電子写真感光体用支持体(以下、適宜「支持体」と呼ぶ)を切削加工した後、感光層を形成するか、或いは切削加工した後に陽極酸化被膜や下引き層などを形成した上に感光層を形成することによって製造されている。通常、高解像度が要求される画像形成装置においては、該電子写真感光体にレーザー光やLED等を照射し画像を形成するといった技術が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザー光やLED等を照射し画像を形成する場合、特にハーフ画像等において濃度ムラが発生するといった問題点が生じている。該濃度ムラは、前記の様な電子写真感光体にレーザー光やLEDを照射した場合、光が支持体上で散乱せずに反射することを原因として生じると考えられる。支持体には通常アルミニウム或いはアルミニウム合金からなる金属素管を使用することが多く、前記の様に支持体は表面性状を均一に保つために切削加工が行われる。切削加工を施した後の支持体表面は規則的な凹凸が存在するため、レーザー光やLEDが支持体上で散乱しないことで濃度ムラを生じる場合、規則的な濃度ムラを生成してしまうといった問題点が生じる。
【0004】
そこで、レーザー光、LED等を使用した画像形成装置においてはこのような実状に鑑み、特許第2996742号では支持体表面の粗さを規定することにより濃度ムラを防ぐ方法が提案されているが、本特許を満たす条件でも、近年の高画質の複写機、プリンターでは濃度ムラの発生を防ぐことは難しい。
【0005】
また、特開平11−237749号公報では、解像度と切削ピッチ(切削送り速度)との関係を規定し、干渉縞対策を行っている。しかしながら、該公報の様に切削ピッチだけを規定することでは、切削加工により生じる切削ピッチより小さな周期性を持った凹凸とレーザー光との干渉による画像ムラの発生を防ぐためには不十分であった。
【0006】
また、特開2001−100446号公報では切削ピッチをある条件下に納めることで濃度ムラの発生を防ぐことが提案されているが、同じく効果としては不十分であり、かつ画質が上がる毎に有効なピッチ範囲が狭まるので、切削ピッチ幅の管理が難しくなってくる。さらに、このような高画質の感光体を管理するには今までの粗さ計のJIS規格による測定値での管理では不十分で、切削ピッチ毎、また切削ピッチ管での波形の均一な光散乱性が必要となる。
【0007】
本発明は上記の問題点を解決するべく、レーザー光、LED等を電子写真感光体に照射して画像を形成する際に、濃度ムラを発生しない画像を形成できる画像形成方法及びその画像形成方法に用いられる画像形成装置を提供し、高解像度の画像を提供することを目的とする。特に、切削ピッチより小さな周期性を持った凹凸とレーザー光との干渉による画像ムラを解決する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、係る問題点を解決すべく鋭意検討を行ったところ、支持体の表面粗さを表す関数から得られる特定の関数に着目することで、前記のような問題が解決されることがわかった。すなわち、本発明は、電子写真感光体を備え、最小記録ドットピッチがX(μm)である画像形成装置を用いて画像を形成するにおいて、電子写真感光体が、表面粗さを関数y =f (x) で表し、該関数の下記一般式(1)で表される自己相関関数φ(τ)について、p(μm/rev) を切削送り速度、iを自然数とした場合に
【数4】
かつφ(τi )≧0.5φ(p)を満たすτi (0<τi ≦p)が下記式(2)を満足する電子写真感光体用支持体上に少なくとも感光層が形成されたものであることを特徴とする画像形成方法、及びその画像形成方法に用いられる画像形成装置、に存する。
【数5】
(2T:観測時間)
【数6】
(X:画像形成装置の最小記録ドットピッチ(μm),n:0以上の整数)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる支持体は、電子写真感光体用支持体として用いられるものであれば特に限定されるものではないが具体的には、アルミニウムあるいはアルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料が使用される。好ましくはアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる支持体がよい。支持体の形状は、通常の電子写真感光体に用いられる形状であれば特に限定されるものではないが、好ましくは円筒状の形状がよい。非導電体を使用するときは、導電性粉体の配合による導電化、あるいは、金属蒸着による表面導電化が行われるのが一般的である。
【0010】
以下、支持体としてアルミニウムを用いる場合についての一般的な製法を述べれば、アルミニウムあるいはA1050、A3003、A6063等のアルミニウム合金をポートホール法、マンドレル法等により円筒状に加工した後、所定の肉厚、長さ、外径寸法の円筒とするため、引き抜き加工等の処理加工が行なわれる。その後、通常切削加工が施される。
【0011】
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体を備え、最小記録ドットピッチがX(μm)である画像形成装置を用いて画像を形成するにおいて、支持体は以下に示すような切削加工処理を施すことにより得られるものであるが、特にその方法が限定されるものではなく、本発明の特徴とする支持体であれば本発明の奏する効果を得ることができる。
【0012】
支持体の切削加工においては、まず精密旋盤を使用し、焼結ダイヤモンドバイトを研磨粗さ狙いで特定のRmax(μm)に仕上げる。切削バイトの粒径は、0.2μm以上15μm以下のものを用い、切削バイトの切削面における研磨仕上げ粗さはRmaxで0.3μm以上0.8μm以下となるように研磨することが好ましい。
【0013】
該切削バイトを用いて支持体に切削加工を施す。その際の切削送り速度は最小値として好ましくは100μm/rev以上、更に好ましくは150μm/rev以上、最大値として好ましくは600μm/rev以下、更に好ましくは450μm/rev以下の範囲で設定される。
【0014】
支持体の表面粗さは粗さ計(サーフコム:(株)ミツトヨ社製)により測定される。粗さ計に表示される最大粗さRtは最小値として0.4μm以上、好ましくは0.5μm以上、最大値として1.2μm以下、好ましくは1.0μm以下、最も好適には0.8μm以下であることが望ましい。
【0015】
粗さ計により得られた支持体の表面粗さを示す粗さ曲線を関数y=f(x)とする。該関数y=f(x)の自己相関関数φ(τ)は下記一般式(1)で示される。
【0016】
【数7】
【0017】
実際には、自己相関関数は、粗さ計により得られた粗さ曲線の離散データをFFTを用いてパワースペクトルを推定し、そのパワースペクトルを逆フーリエ変換することにより得られる。
【0018】
本発明の支持体は、電子写真感光体用支持体の表面粗さを関数 y = f (x) で表し、該関数の上記一般式(1)で表される自己相関関数φ(τ)について、p(μm/rev) を切削送り速度、i を自然数とした場合に
【0019】
【数8】
かつφ(τi )≧0.5φ(p)を満たすτi (0<τi ≦p)がすべて下記式(2)を満足するものである。
【0020】
【数9】
(X:画像形成装置の最小記録ドットピッチ(μm),n:0以上の整数)
【0021】
係る範囲は、X(n+0.3)≦τi≦X(n+0.7)であればよいが、X(n+0.4)≦τi≦X(n+0.6)であれば更に好ましい。係る範囲を満足する支持体は、切削加工により生じる、切削ピッチより小さな周期性を持つ凹凸とレーザー光との干渉による画像ムラを生じることがない。すなわち、本発明の支持体に感光層を形成した電子写真感光体を用いて画像を形成すれば、濃度ムラのない良好な画像を得ることが出来る。
【0022】
本発明の電子写真感光体は支持体を切削加工した後、そのまま感光層を形成しても良いが、陽極酸化被膜または下引き層、あるいはこれらを併用した層を形成してもよい。陽極酸化被膜は、支持体表面に陽極酸化処理により形成される。陽極酸化処理を施す前に、酸、アルカリ、有機溶剤、界面活性剤、エマルジョン、電解などの各種脱脂洗浄方法により脱脂処理されることが好ましい。陽極酸化被膜は通常の方法、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、陽極酸化処理することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2 の範囲内に設定されるのが好ましいが、これに限られるものではない。このようにして形成された陽極酸化被膜の膜厚としては、通常は20μm以下であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
【0023】
陽極酸化処理された支持体は封孔処理が行なわれる。封孔処理液としては、ニッケルイオンを含む液(例えば酢酸ニッケルを含む液、フッ化ニッケルを含む液)等、常法の封孔処理液が使用できる。
【0024】
下引き層としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層を用いることができる。なかでも、支持体との接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。下引き層中には、特にレーザー露光における干渉縞を防ぐ目的で、アルミナ、チタニア等の金属酸化物微粒子やレーザー光を吸収することができる有機または無機の色素を含有させることが効果的である。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmである。
【0025】
(削除)
【0026】
前記支持体上には感光層が形成される。感光層は電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの、逆に積層したもの、または電荷輸送媒体中に電荷発生物質粒子を分散したいわゆる単層型などいずれも用いることができるが、電荷発生層および電荷輸送層を有する積層型感光層が好ましい。感光層が単層構造の場合には、感光材料が結着材料に分散してなる公知のものが使用される。例えば、色素増感されたZnO感光層、CdS感光層、電荷発生物質を電荷輸送物質に分散させた感光層が挙げられる。
【0027】
電荷発生層には、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含む。電荷発生物質としては、電子写真感光体に用いられる物質であれば特に限定されるものではなく、具体的にはセレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、多環キノン、ペリレン、インジゴ、ベンズイミダゾールなどの有機顔料を使用することができる。特に銅、塩化インジウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウムなどの金属、またはその酸化物や塩化物の配位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン類などのフタロシアニン顔料、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ類などのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特にフタロシアニン顔料がより好ましく、特定結晶系を有するオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。これは、オキシチタニウムフタロシアニンが通常の顔料より熱による結晶変換が起きやすいためである。
【0028】
このようなオキシチタニウムフタロシアニンの例としては、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2゜)27.3゜に最大回折ピークを示すものがあげられるが、これに限定されるものではない。このオキシチタニウムフタロシアニンの結晶型は、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているものであり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図(同公報ではII型と称されている)、特開平2−8256号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されている)に示されたものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4°、9.7°、24.2°にピークを示す。
【0029】
回折ピークの強度は、結晶性、試料の配向性および測定法により変化する場合もあるが、粉末結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−ブレンターノの集中法による測定では、上記の結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法或いは平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとならない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向しているためと考えられる。
【0030】
分散媒としては、電子写真感光体の製造工程で用いられるものであれば特に限定されるものではなく種々の溶媒を用いてよい。例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。用いる分散媒の量は分散が充分行え、且つ分散液中に有効量の電荷発生物質が含まれる限りいかなる量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生物質の濃度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%程度が好ましい。
【0031】
バインダー樹脂としては、電子写真感光体に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることができる。バインダー樹脂と電荷発生物質との混合方法としては例えば、電荷発生物質を分散処理工程にバインダー樹脂を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散する方法、分散処理工程で得られた分散液をバインダー樹脂のポリマー溶液中に混合する方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
【0032】
次にここで得られた分散液は、塗布をするのに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば前記分散媒として例示した溶媒を使用することができる。電荷発生物質とバインダー樹脂との割合は特に制限はないが一般には樹脂100重量部に対して電荷発生物質が5〜500重量部の範囲より使用される。また必要に応じて電荷輸送物質を含むことができる。電荷輸送物質としては例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の有機高分子化合物、フルオレノン誘導体、テトラシアノキシジメタン、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体などの電子吸引性物質、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。電荷輸送物質とバインダー樹脂との割合はバインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が5〜500重量部の範囲により使用される。
【0033】
この様にして調製された分散液を用いて、下引き層或いは陽極酸化被膜の形成された支持体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷輸送層を積層させて感光層を形成する、或いは該支持体上に電荷輸送層を形成しその上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成し感光層を形成する、或いは該支持体上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成させ感光層とする、のいずれかの構造で感光層を形成することが出来る。電荷発生層の膜厚は電荷輸送層と積層させて感光層を形成する場合0.1〜10μmの範囲が好適であり電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好適である。単層構造で感光層を形成する場合の感光層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
【0034】
電荷輸送層は、上記電荷発生層の上に、バインダー樹脂として優れた性能を有する公知のポリマーと混合して電荷輸送物質と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を添加して得られる塗布液を塗布することにより、製造することができる。
【0035】
電荷輸送層中の電荷輸送物質としては、上記記載の電荷輸送物質を使用することができる。電荷輸送物質とともに使用されるバインダー樹脂としては種々の公知の樹脂が使用できる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂や硬化性の樹脂が使用できる。とくに摩耗、傷の発生の少ないポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、そのビスフェノール成分としてビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールP、ビスフェノールZ、あるいは、公知の種々の成分が使用出来る。また、これらの成分からなる共重合物であってもよい。電荷輸送物質とバインダー樹脂の配合比率は、バインダー樹脂100重量部に対して例えば10〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の範囲で配合される。積層型感光体の場合、電荷輸送層として上記の成分を主成分として形成される。
【0036】
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル類;メチルエチルケトン、2,4−ペンタンジオン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、蟻酸メチル、マロン酸ジメチル等のエステル類;3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素化炭化水素などが挙げられる。もちろんこれらの中から1種または2種以上選択して用いてもよい。好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2,4−ペンタンジオン、アニソール、トルエン、マロン酸ジメチル、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートの中から選択するのが好ましい。
【0037】
更に、本発明の電子写真感光体の感光層は成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。更に、感光層の上に、機械的特性の向上及びオゾン、NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を設けても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
【0038】
本発明において、前記の各層を形成するための塗布操作は、従来公知の塗布方法に従う。例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナーコーティング法、ブレードコーティング法等を採用して行うことができる。
【0039】
本発明で用いる画像形成装置としては、モノクロプリンター、複写機、カラープリンター、カラー複写機、ファクシミリなどがあげられる。特に、本発明の支持体、及び電子写真感光体は、濃度ムラの生じない高画質の画像を提供できることから、高解像度の画像形成装置に適している。特に、600dpi以上の解像度の画像を得る画像形成装置に利用することができる。
【0040】
また、本発明の支持体を用いた感光体を使用する画像形成装置においては、通常、従来公知の波長域を有するレーザー光等の光源を利用することで本発明の効果を得ることが出来るが、380nm〜600nmに波長域を有する光源を利用する該画像形成装置においても、本発明の奏する効果は達成されると考えられる。
【0041】
該画像形成装置には、感光体を一様に帯電させる帯電ユニット、次いで、感光体を像露光することにより、露光された部分の電荷を消散させて静電潜像を形成する露光ユニット、荷電させたトナーを付着させることによってその静電潜像を可視化させて現像する現像ユニット、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写せしめる転写ユニット、加熱、加圧等によってその可視像を転写材に定着させる定着ユニット、転写材へのトナー転写後に、感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニングユニットが設けられている。また、場合によりクリーニング後に感光体表面に残存する電荷を取り除く除電ユニットが設けられる。さらには、記録媒体(用紙)を搬送する搬送ユニットが設けられる。
【0042】
本発明の画像形成装置において、帯電器としては、コロトロン、スコロトロンに代表されるコロナ帯電器等の非接触帯電器;帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器等が用いられる。露光は、ハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED等の光源を用いて、通常の感光体外部からの露光方式、感光体内部からの露光方式等により行われる。又、現像は、カスケード現像、非磁性一成分トナーによる接触或いは非接触現像、磁性一成分トナーによる接触或いは非接触現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や液体トナーによる湿式現像方式等により行われる。転写は、コロナ転写、ローラー転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等により、定着は、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等により行われる。又、クリーニングは、ブラシクリーニング、磁気ブラシクリーニング、静電ブラシクリーニング、磁気ローラクリーニング、ブレードクリーニング等により行われる。
【0043】
なお、画像形成装置としては、フルカラー印刷を行う場合には、電子写真感光体上に付着したトナー等の現像剤を、一旦一つの中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルト状で各色のトナーを合わせ、カラー可視像とした後、転写手段を用いて記録媒体(用紙)にカラー画像を形成するものであってもよい。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
【0045】
(電荷発生層用塗布液の作製)
[分散液Q1]
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3°、27.1゜に主たる回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルによって粉砕、分散処理を行ない分散液Q1を作製した。
【0046】
[分散液Q2]
X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)9.7゜、24.2゜、27.3゜に主たる回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニンを用いた他は、分散液Q1と同様にして分散液Q2を作製した。
【0047】
予め作製した分散液Q1、48重量部と、分散液Q2、112重量部を混合し、得られた160重量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部に加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液である電荷発生層用塗布液を作製した。
【0048】
(電荷輸送層用塗布液の作製)
下記のN,N−ジ−p−トリルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン54重量部と
【0049】
【化1】
【0050】
下記のN−メチルカルバゾールアルデヒドジフェニルヒドラゾン6重量部、
【0051】
【化2】
【0052】
下記のシアノ化合物1重量部、
【0053】
【化3】
【0054】
3,5- ジ- t ブチル- 4- ヒドロキシトルエン(以下、BHT と略する)16部及び、特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比1:1)100部
【0055】
【化4】
【0056】
をトルエン、テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させた液を電荷輸送層塗布液とした。
【0057】
(実施例1)
精密旋盤を使用し、焼結ダイヤモンドバイト(GE:1800シリーズ、粒径7μm)を研磨粗さ狙いでRmax0.4μm〜0.7μmに仕上げ、切削送り速度325μm/revで円筒状のアルミニウム製支持体を切削し、該支持体を粗さ計(サーフコム:(株)ミツトヨ社製)にて2μmのスタイラスを用い、スタイラス速度0.1mm/sにて粗さ測定し支持体の表面粗さを示す粗さ曲線の離散データを得た。この際のRtは0.60μmであった。
【0058】
得られた粗さ曲線の離散データからデータウィンドウ長を1024,重なりの長さを512としHanning 窓を用い、実データ数の3倍の数の0データを付加しWelch's methodを用いたFFTでパワースペクトルを推定し、そのパワースペクトルより自己相関関数を求めた。この際の
【0059】
【数10】
【0060】
かつφ(τi )≧0.5φ(p)…(b)
を満たすτi は3つあり、τ1 =98、τ2 =183 、τ3 =325 であり、後述する画像形成装置の最小記録ドットピッチを考慮すると、該支持体は下記式(2)満足するものであった。
【0061】
【数11】
【0062】
該支持体に陽極酸化処理にて陽極酸化被膜(アルマイト)6μmを生成させ、上記の電荷発生層用塗布液と電荷輸送層用塗布液とを浸漬塗布法により順次に塗布し乾燥させ、電子写真感光体を作製した。
【0063】
得られた感光体を使用し、最小記録ドットピッチが42.3μmの画像形成装置(600dpi)であるデジタル複写機(CF9001:ミノルタ(株)製)にて画像を形成した。
【0064】
得られた画像の濃度ムラを以下のランク付けに従って評価し、評価結果を以下の表に示した。
○:濃度ムラの発生なし。
△:弱いレベルの濃度ムラが発生している。
×:実用上問題のある濃度ムラが発生している。
【0065】
(実施例2)
Rtが0.59μm、上記(a)かつ(b)を満たすτ i が3つあり、τ 1 = 56 、τ 2 = 225 、τ 3 = 325 である(従って、該支持体も前記式(2)を満足する。)こと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得、画像を形成し、同様にして評価した。
【0066】
(実施例3)
Rtが0.64μm、上記(a)かつ(b)を満たすτ i が5つあり、τ 1 = 29 、τ 2 = 113 、τ 3 = 198 、τ 4 = 283 、τ 5 = 325 である(従って、該支持体も前記式(2) を満足する。)こと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得、画像を形成し、同様にして評価した。
【0067】
(比較例1)
Rtが0.67μm、上記(a)かつ(b)を満たすτ i が3つあり、τ 1 = 120 、τ 2 = 266 、τ 3 = 325 であり、該支持体は前記式(2)を満足しないこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得、画像を形成し、同様にして評価した。
【0068】
(比較例2)
Rtが0.62μm、上記(a)かつ(b)を満たすτ i が5つあり、τ 1 = 40 、τ 2 = 130 、τ 3 = 210 、τ 4 = 300 、τ 5 = 325 であり、該支持体は前記式(2)を満足しないこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得、画像を形成し、同様にして評価した。
【0069】
評価結果を以下の表に示す。実施例と比較例とを比較してわかるように、切削ピッチ(切削送り速度)が同じであっても、本発明で規定する範囲を満たさない支持体は濃度ムラを発生するが、本発明で規定する範囲を満たす支持体は良好な画像を与えるものであった。
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明の支持体に感光層を形成してなる感光体を使用し画像を形成すると、濃度ムラの生じない良好な画像を提供することができる。すなわち、本発明は切削ピッチだけを規定することでは達成できない、切削加工により生じる切削ピッチより小さな周期性を持った凹凸とレーザー光との干渉による画像ムラの発生を防ぐことができる。
Claims (4)
- 電子写真感光体用支持体の最大粗さRtが0.4μm〜1.2μmである請求項1に記載の画像形成方法。
- 画像形成装置の解像度が600dpi以上である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする画像形成装置。
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