JP4720527B2 - 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、特定の材料を組み合わせて使用する電子写真感光体に関する。更には、レーザープリンター、複写機、ファクシミリ等に使用される電子写真感光体で、LED光や半導体レーザー光、特に380〜500nmの単色光による露光に対して非常に有効で、剥離しづらく耐久性に優れた電子写真感光に関する。また、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。 電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
有機系の光導電材料を使用した感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。また、積層型感光体では電荷発生層及び電荷輸送層を導電性基体上にこの順で積層した順積層型感光体と、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した逆積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流として鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用される。感光体は繰り返し使用されることで、様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば、帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。これらの劣化を抑えるために、電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤などの検討が行われている。
また、上記電気的要因とは異なる劣化として、感光体を帯電させるために感光体に接触している帯電ローラーや帯電ブラシ、余分なトナーを除去するためのクリーニングブレード、画像を転写するための転写ローラーなどによる機械的劣化と、マシン組み立て時やメンテナンス時の接触やひっかきなどによる人為的劣化がある。これらの劣化を最小限に抑える方法として、感光体ではオーバーコート層の導入やバインダー樹脂の検討などが種種行われている。
ところで、感光体の露光(書き込み)光としてLEDやレーザー等に代表される単色光を露光光として用いる電子写真装置が知られている。このような電子写真装置では、露光光として波長が600〜800nm程度の比較的長波長のレーザーを用いるものが主流となっている。
近年、出力画像の高解像度化の要望が強くなっており、露光光波長の短波長化が検討されている。露光光の短波長化を行なえば、走査レンズの像面湾曲の影響を受けにくくなるために小径レーザースポットの均一化が比較的容易になり、高解像度化に有効である。技術の進歩とともに、400nm前後の波長を持つ光源の応用も始まっており、短波長光露光技術に対応した実用的な電子写真感光体の要望も最近とみに高まっている。この、短波
長の光源で露光する感光体に好適な種々の感光体が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
短波長光を露光光に用いる場合には、従来用いられていたような長波長の光に適合した感光体とは異なり、短波長光に対して感度に代表される電気特性が優れた感光体を用いることが必要である。長波長のレーザーを用いた電子写真装置では、電荷発生物質として主に長波長光に感度のよいフタロシアニン化合物が用いられている。しかし、フタロシアニン化合物は、380〜500nmの短波長光に対して感度を有し当該波長での露光により使用可能ではあるものの、波長の変動による感度変動が大きく使用が困難である面がある。一方で、電子写真感光体用電荷発生物質であるアゾ顔料は、380〜500nmの短波長光で露光した場合でも、波長の変動による感度変化がフタロシアニン化合物に比し小さく、好適に使用することができる。しかしながら、アゾ顔料は、アゾ顔料を含有する電荷発生層を形成してその上に電荷輸送層を形成した場合、形成した電荷輸送層が剥離しやすく、また、単層型の電荷発生物質として使用する際も、該感光層が導電性支持体や、下引き層から剥離しやすい性質を持っている。このような性質を持つ感光体を複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に内蔵すると、接触帯電ローラーの放電や磁気ブラシ、クリーニングブレードの摩擦ストレスなどで感光層膜の剥離が起こり、その結果画像欠陥が生じてしまうことになる。あるいは、マシン組み立て時のちょっとした接触などで部分的に感光層膜強度が弱くなれば、その部位から容易に感光層が剥離してしまう。
特開2000−105475号公報 特開2001−350282号公報 特開2005− 24929号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、高感度で帯電性、残留電位等のすぐれた電子写真特性を有し、機械的ストレスによる劣化が少ない強い感光体であって、しかも波長380〜500nmの光に対して高い感度を有する電子写真感光体を提供しようとするものである。また、波長が380〜500nmの光で露光する場合においても、良好な画像を形成することができる高性能な画像形成方法及び画像形成装置を提供すようとするものである
本発明者らは、上記の目的を満足しうる電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、特定の構造のポリカーボネート樹脂を含有する感光層を有する電子写真感光体が好適であることを見いだし、本発明に至った。
即ち本発明の第一の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する感光体において、該感光層がバインダー樹脂、及びアゾ顔料を含有し、該バインダー樹脂は下記式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を、該ポリカーボネート樹脂を含有する層の全バインダー樹脂に対して50重量%以上含有し、かつ波長380〜500nmの光で露光されることを特徴とする電子写真感光体に存する。
Figure 0004720527
ここで、式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRはアル
キル基を表し、m、nは1〜4の整数を表す。また、本発明の第二の要旨は、本発明に係る電子写真感光体を用いて、該感光体を波長380〜500nmの単色光で露光し形成した潜像を現像し、該像を記録紙に転写することを特徴とする、画像形成方法に存し、本発明の第三の要旨は、本発明に係る電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、および転写装置を有する画像形成装置において、該帯電装置が該電子写真感光体を帯電させる際に該電子写真感光体に接触配置されるものであって、露光光が波長380〜500nmの単色光であることを特徴とする、画像形成装置に存する。
本発明によれば、高感度で残留電位が低く電気的特性に優れ、画像形成装置内での機械的ストレスによる感光層剥離の心配がない、高性能で安定な感光体を提供することができる。また、380〜500nmの領域の感度が高く、特に該領域の単色光を発する半導体レーザーやLEDによる露光手段を用いた高性能な画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明は、特定のポリカーボネート樹脂を含有する、波長380〜500nmの光で露光用の電子写真感光体にある。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明の電子写真感光体が有する感光層は、下記式(1)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を含有する。当該ポリカーボネート樹脂は、通常、感光層を結着するために用いられる。
Figure 0004720527
ここで、式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRはアルキル基を表し、m、nは1〜4の整数を表す。
式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは水素原子または炭素数3以下のアルキル基であり、特には水素原子またはメチル基であることが好ましい。RおよびRはアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、特にはメチル基が好ましい。mおよびnは1〜4の整数を表し、好ましくは2以下、特に好ましくは1である。mおよびnが、2以上である場合、複数存在するRおよびRは、互いに異なっていてもよい。RおよびRは、式(1)中のベンゼン環に対して任意の位置に結合することが可能であるが、それぞれのベンゼン環に結合する酸素原子に対して、o−位(ortho−)に結合することが好ましく、この場合特にmおよびnがともに1であることが好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂の具体例として、下記繰り返し構造単位からなるポ
リカーボネート樹脂があげられるが、本発明に係るポリカーボネート樹脂はこれらのポリカーボネート樹脂に限るものではない。
Figure 0004720527
例えば、式(1)に於いてR、R,Rがそれぞれメチル基である、繰り返し構造単位からなる樹脂1は、特開昭63−148263号公報に記載の製造方法にて合成することができるが、この製造方法に限定されるものではない。
一般式(1)のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、低すぎると機械的強度が不足するため、通常10,000以上、好ましくは20,000以上であり、特には30,000以上である。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層形成のための塗布液の粘度が高くなり生産性が低下する場合があるため、通常150,000以下、好ましくは100,000以下であり、特には50,000以下で用いられる。この場合の粘度平均分子量は、以下のようにして測定することができる。即ち、当該ポリカーボネート樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
本発明の感光層は、式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂は、実質上式(1)で表される繰り返し構造単位からなるものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の繰り返し構造単位を有していても構わない。
また、本発明の感光層は本発明に係る式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を含有するものであるが、他のバインダー樹脂を含有していても構わない。併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などがあげられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を含有する層が、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有する場合、本発明の電子写真感光体の強度を維持するため、該層に含有される全バインダー樹脂に対して、式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂が、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であるが、特に好ましくはバインダー樹脂として式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂のみを用い、該樹脂以外のバインダー樹脂を含有しない。
<電子写真感光体>
以下、本発明の電子写真感光体について説明する。
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体があげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明の電子写真感光体で使用されるアゾ化合物および式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、アゾ化合物は通常、単層型感光層または積層型感光層の電荷発生層に、式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は通常、単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層に含有される。特に、電気特性に高い効果が得られることから、積層型感光層の各層中に含有されるのが好ましい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステ
ンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために。適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行なうことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも電気特性および下引き層形成の塗布液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダー樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<電荷発生物質>
導電性支持体上に形成された感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のものであっても、もしくは電荷発生物質がバインダー中に分散された電荷発生層と電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散され
た電荷輸送層とに機能分離された積層構造のもののいずれであってもよい。感光層が積層構造のものである場合の電荷発生層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に電荷発生物質を分散させることにより調製される塗布液を導電性支持体上、または導電性支持体上に形成された下引き層上に塗布し、電荷発生物質の微粒子と各種バインダー樹脂とを結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレンおよびその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とがあげられるが、有機系光導電材料が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等があげられる。これらの中でも、波長380〜500nmの光に対する感度が高いことから、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料としては、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが挙げられる。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンが特に好ましい。
一方で、フタロシアニン顔料は、波長380〜500nmの範囲において分光感度の変動が大きいため、例えば、露光光を発生させる装置の温度変化などの影響により露光光の波長が変動した場合に安定した画像の形成が困難になる場合があり、この点で電荷発生物質としてはアゾ顔料を用いることが好ましい。
本発明に係る感光層が含有するアゾ顔料としては、電子写真感光体に用いることができるものであればどのようなアゾ顔料も使用することが可能である。従前知られた電荷発生物質として機能するアゾ顔料としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、テトラキスアゾ顔料などがあげられる。これらの中でも、アゾ結合を複数有するものが好ましく、特には、ビスアゾ顔料、またはトリスアゾ顔料が好ましい。また、複数のアゾ結合を有するアゾ顔料の場合、カップラー成分は同じでも異なっていてもよく、より好ましくは異なるカップラーを用いる。
本発明に係るアゾ顔料としては、特に下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004720527


式(2)中、 は環にアルキル基を有していてもよい炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基を表し、Zは
Figure 0004720527
の混合物を表す。なお環Xは置換基を有していてもよい。
環Xの有していてもよい置換基としては、フッ素原子、ヨウ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。これらのなかではフッ素原子、塩素原子、メトキシ基が好ましい。しかし最も好ましいのは、Xで示されるベンゼン環に置換基が存在しないことである。
式(2)において、−O 基の結合位置は任意であるが、−CONH−基の結合する炭素原子に対して、メタ位に結合するのが好ましい。 が表すシクロアルキル基を有するアルキル基としては、アルキル基部分の炭素数が5以下、より好ましくは1〜3のものである。また、シクロアルキル基部分の炭素数が、8以下であって、より好ましくは4〜6のものである。 は、より具体的には第1表に示すものが挙げられるが、なかでもシクロアルキル基部分がシクロヘキシル基であるものが好ましく、特に好ましいのはシクロヘキシルメチル基である。
なお、ナフタレンに対する−CONH−基の結合位置は、−N=N−基の結合している環であれば任意であるが、−N=N−基の結合炭素に対してメタ位であるのが好ましい。本発明の式(2)で表される化合物の具体例を下記第1表に示す。
Figure 0004720527
Figure 0004720527
以下に本発明の電子写真感光体に好適に用いられるアゾ化合物の具体例を示すが、本発
明で用いる電荷発生物質は、以下のアゾ顔料に限定されるものではない。
Figure 0004720527
Figure 0004720527
上記アゾ化合物の中でも、特にアゾ1、アゾ2、アゾ3で表されるアゾ顔料が好ましい。
本発明に係る電荷発生物質は、1種類のみを用いても、いくつかを併用してもよい。また好ましくはフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が用いられるが、所望ならば、それら以外の電荷発生物質を併用することもできる。併用する他の電荷発生物質に特に制限はなく、本発明の電子写真感光体の特性を妨げない限り、従前公知のどのような化合物も用いることができる。また、併用する他の電荷発生物質の量に特に制限はないが、本発明の効果を充分に得るため、併用する電荷発生物質の感光層中に含まれる総重量は、フタロシアニン顔料およびアゾ顔料の重量を超えないことが好ましい。なお、フタロシアニン顔料と、アゾ顔料の併用も妨げるものではなく、感度の安定化という点においてより好ましい。
機能分離型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
結着樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられ、後述する下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、または2種以上を併用しても用いることが可能である。
機能分離型感光体の電荷発生層において、前記結着樹脂と電荷発生物質との配合比(重量)は、バインダー樹脂100重量部に対して10から1000重量部、好ましくは30から500重量部の範囲であり、その膜厚は通常0.1μmから4μm、好ましくは0.15μmから0.8μmである。電荷発生物質の比率が高すぎる場合は電荷発生物質の凝集等の問題により塗布液の安定性が低下し、一方低すぎる場合は感光体としての感度の低下をまねくことから、前記範囲で使用する事が好ましい。本発明のバインダー樹脂を電荷輸送層に用いることによる接着性向上効果は、特に、電荷発生層でのバインダー樹脂の割合が電荷発生物質のそれよりも少ない場合に顕著であり、また、電荷発生層の厚みが0.4μm以上の場合に顕著である。前記電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を用いることが出来る。この際粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送物質>
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の
電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0004720527
Figure 0004720527
Figure 0004720527
Figure 0004720527
<バインダー樹脂>
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、電荷発生物質や本発明の電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成される。本発明に係るポリカーボネート樹脂は、通常バインダー樹脂として用いられる。複数の層が積層された感光層の場合、本発明のポリカーボネート樹脂はその何れの層に用いられても構わないが、通常、積層型感光層の電荷輸送層、または単層型感光体の感光層に用いられる。バインダー樹脂は、本発明のポリカーボネートの他に、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も併用可能である。
積層型感光体の電荷輸送層、および単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下、さらに電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120重量部以下、さらに耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、さらに前記の電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下の弊害があり、例えば、好ましくは0.1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲で使用され、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μmの範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10〜45μm、高解像度の観点からは10〜30μmがより好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等のを電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。上記保護層は電気抵抗が109〜1014Ω・cmとなるように構成することが好ましく。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまい、一方109Ω・cmより低くなると画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<層形成方法>
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
層形成用の塗布液は、単層型感光体および積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5〜40重量%の範囲で用いられるが、10〜35重量%の範囲で使用するのが好ましい。また、該塗布液の粘度は、通常10〜500mPa・sの範囲で用いられるが、50〜400mPa・sの範囲とするのが好ましい。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1〜15重量%の範囲で使用されるが、1〜10%の範囲で使用することがより好ましい。塗布液の粘度は、通常0.01〜20mPa・sの範囲で使用されるが、0.1〜10mPa・sの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等があげられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時
間の間、無風、または送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラー型の帯電装置(帯電ローラー)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電ローラーに樹脂シートの等を巻き付け感光体と帯電ローラーを帯電性の安定する距離で非接触に保った状態で帯電を行なうNCローラー帯電方式をとることも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。本発明の効果である接着性の向上は、特に接触の帯電方式に於いて好ましく発現する。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。デジタル式電子写真方式としては、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。露光を行なう際の露光光は、波長380nm〜500nmであり、単色光であることが好ましく、より好ましくは、波長380nm〜430nmの単色光で露光することである。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラー43、現像ローラー44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。現像方式は、接触方式、非接触方式のいずれの方式で行なってもよい。用いるトナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状、ラグビーボール状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
供給ローラー43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラー44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラー44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラー44は、電子写真感光体1と供給ローラー43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラー43に各々当接している。供給ローラー43及び現像ローラー44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラー43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラー44に供給する。現像ローラー44は、供給ローラー43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラー44に当接し、ばね等によって現像ローラー44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラー43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラー,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。本発明は、この転写電圧が大きい場合により大きな効果を発現する。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラー)71及び下部定着部材(定着ローラー)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラー43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラー44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラー44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明の要旨に反しない限り、実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において、部は「重量部」を意味する。
実施例1
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ351mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
また、電荷発生物質として下記構造を有するアゾ化合物20部と、1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)と1,2−ジメトキシエタン253部とを、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液を調製した。
Figure 0004720527
の混合物を表す。)
この分散液に、陽極酸化処理したアルミニウムシリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.6μmとなるように電荷発生層を作製した。
次に、電荷輸送物質として下記構造を有する化合物をそれぞれ35部、合計70部と、
Figure 0004720527
バインダーとして下記構造を繰り返し構造単位として持つポリカーボネート(PC1;粘度平均分子量約30,000)100部、
Figure 0004720527
下記構造を有する酸化防止剤8部、
Figure 0004720527
およびレベリング剤としてシリコーンオイル(商品名 KF96 信越化学工業(株))0.05部を、テトラヒドロフラン/トルエン=8/2(重量比)の混合溶媒640部に溶解させた液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるように浸漬塗布することで電荷輸送層を形成し、積層型感光層を有する感光体ドラムAを得た。
実施例2
電荷輸送層のバインダー樹脂として、下記構造を繰り返し構造単位として持つポリカーボネート(PC2;粘度平均分子量約30,000)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Bを得た。
Figure 0004720527
参照例
電荷発生物質として、図2に示すように、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Cを得た。
比較例1
電荷輸送層のバインダー樹脂として、下記構造を繰り返し構造単位として持つポリカーボネート(PC3;粘度平均分子量約30,000)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Dを得た。
Figure 0004720527
比較例2
電荷輸送層のバインダー樹脂として、下記構造を繰り返し構造単位として持つポリカーボネート(PC4;粘度平均分子量約30,000)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Eを得た。
Figure 0004720527
比較例3
電荷発生物質として、図2に示すように、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、比較例1と同様にして感光体Fを得た。
比較例4
電荷発生物質として、図2に示すように、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、比較例2と同様にして感光体Gを得た。
以上で得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで400nmの単色光としたものを照射して、1.0μJ/cmで露光したときの露光後表面電位(以下、VLと呼ぶことがある)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を200msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
次に、これらのドラムを、JIS K5400に準拠して1mm角100目の碁盤目試験を実施し、感光層の接着強度を評価した。結果を0(悪い)〜3(良好)の4段階で評価した。得られた結果を第2表に示す。
Figure 0004720527
実施例および比較例のいずれのサンプルも、400nmの単色光で露光した場合に十分に低い明部電位を示したが、本発明の範囲外のバインダー樹脂を用いた比較例の感光体では、接着強度が低く、画像形成装置内の各種部材と接触することにより感光層が傷つくことが予想される。特に、電荷発生物質としてアゾ顔料を用いた電荷発生層上に電荷輸送層を形成した比較例1および2の感光体およびは、接着強度が低く、電荷発生物質としてアゾ顔料を用いた電荷発生層上に電荷輸送層を形成する場合に本発明の効果が高いことが分かった。
次に、実施例の感光体Aを、A3印刷対応である市販のタンデム型カラープリンター(沖データ社製 Microline3050c)のブラックドラムカートリッジに装着し、上記プリンターに装着した。このプリンターは近赤外LED露光であるが、感光層の剥離強度を評価する目的で、実写評価を行なった。黒色のみからなる5%印字テキスト文書を10,000枚印字した(実際には赤色露光に感度がないため印字されない)が、感光層の剥離などの問題はまったく起こらなかった。
一方、比較例の感光体ドラムDでも同様の試験を実施したところ、接触しているローラー帯電器の端部から感光層の剥離が起こり、電子写真感光体が破壊され、画像形成装置が停止した。
以上の結果から、波長380〜500nmの単色光露光用の感光体は、本発明に係る式(1)で表される繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂を用いて結着した場合に特段に優れた機械的強度を有するものとなり、特にアゾ顔料を含有する感光層を有する電子写真感光体では、その奏する効果が顕著であることが分かった。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例3で用いたオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラー)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラー
44 現像ローラー
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラー)
72 下部定着部材(定着ローラー)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する感光体において、該感光層がバインダー樹脂、及びアゾ顔料を含有し、該バインダー樹脂は下記式(1)で表される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂を、該ポリカーボネート樹脂を含有する層の全バインダー樹脂に対して50重量%以上含有し、かつ波長380〜500nmの光で露光されることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004720527
    (式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRはアルキル基を表し、m、nは1〜4の整数を表す。)
  2. 前記アゾ顔料が下記式(2)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0004720527
    (式(2)中、Rは環にアルキル基を有していてもよい炭素数4〜20のシクロアルキルアルキル基を表し、Zは
    Figure 0004720527
    の混合物を表す。なお環Xは置換基を有していてもよい。)
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体を用いて、該感光体を波長380〜500nmの単色光で露光し形成した潜像を現像し、該像を記録紙に転写することを特徴とする、画像形成方法。
  4. 請求項1または2に記載の電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、および転写装置を有する画像形成装置において、該帯電装置が該電子写真感光体を帯電させる際に該電子写真感光体に接触配置されるものであって、露光光が波長380〜500nmの単色光であることを特徴とする、画像形成装置。
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