JP5553125B2 - 電子写真感光体、該感光体を用いるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電材料を使用した感光体が主に使用されている。
一方、より高画質な画像を得るためや、入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、画像形成のためのデジタル化が急速に進行している。過去には、デジタル的に画像形成するものとしては、ワープロやパソコンの出力機器であるレーザープリンタ、LEDプリンターや一部のカラーレーザーコピア等に限られていたが、最近になって、従来アナログ的な画像形成が主流であった普通の複写機の分野でもデジタル化がほぼ完全に達成された。
上記明細書にも記されるように、これらの電子吸引性化合物、シアノビニル化合物は、主に感光体の最表面層である電荷輸送層に電荷輸送物質及びバインダ樹脂との組み合わせで添加される場合が多いが、その際には、該化合物の添加により、残留電位の上昇は抑制
されるが、蛍光灯等の外部の光に露光された直後に電特の悪化、特に帯電性が非常に悪化という問題が生じることがわかっており、早急な改良が要望されている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、好適な電気特性を有し、外部光に露光されて光疲労の直後でも良好な画像を形成することができる光疲労にも強い電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することである。
更に、本発明の第二の要旨は、前記の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジに存し、本発明の第三の要旨は、前記の電子写真感光体を用いた画像形成装置に存する。
また、従来より、電気特性の安定性に優れ、特に画質の安定性に優れた電子写真感光体を得る事ができ、これを用いた高性能の画像形成装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<式(1)で表される化合物>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層中に、下記式(1)で表される構造を有する化合物を含有する。
Xは、炭素数30以下のn1価の有機基であるが、好ましくは炭素数20以下の有機基であり、より好ましくは炭素数15以下の有機基である。
Xは、置換基を有していてもよい芳香族基、および置換基を有していてもよい縮合多環基から選ばれる少なくとも1つの基を有する有機基であることが好ましく、更には当該有機基を構成する環が4個以下であることが特に好ましい。
Xは、置換基を有していてもよい芳香族基、および置換基を有していてもよい縮合多環基から選ばれる少なくとも1つの基を有する基であるが、環構造が連結した環集合構造を有していても構わない。この場合、連結とは、環同士が単結合で直接結合している状態、または連結基を介して結合している状態を言う。連結される環構造としては、中でも芳香族基が好ましく、特にはベンゼンまたはナフタレンの二価基が挙げられる。環集合基内に用いられる連結基としては、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、ケトン基、チオケトン基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、セレニド基、セレノキシド基等が挙げられ、中でもケトン基、スルホン基が好ましい。
ることが特に好ましい。
Yは、炭素数15以下の有機基であるが、好ましくは炭素数12以下の有機基であり、より好ましくは炭素数10以下の有機基である。中でもYは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい縮合多環基であることが好ましい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ステアリル基等が挙げられる。
XおよびYの、アルキル基、芳香族基、および縮合多環基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。置換基としては、原子数20以下の置換基が好ましく、更に好ましくは原子数15以下の置換基である。置換基としては、具体的には、例えば、アルキル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ホルミル基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;メトキシスルホニル、エトキシスルホニル等のアルコキシスルホニル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、ベンゼンスルホニル基、メシル基等のアシル基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;ニトロ基;シアノ基;アゾ基;が挙げられる。
更にこれらの置換基としては、ハメット則における置換基定数σpが0以上であるものが好ましく、σpの値が0.3以上である基がより好ましく、σpの値が0.4以上である基が特に好ましい。一方、σpの値が大きすぎると、光疲労特性が悪化する場合がある
ので、0.7以下である基が好ましく、0.6以下である基が特に好ましい。該置換基はヘテロ原子を有していてもよい。
記載されており、以下に示す。
また、本発明に係る化合物には、ニトロ基、シアノ基等の置換基導入は、光疲労による電気特性の低下が起る場合があり、更には急性毒性及び変異原生等の毒性を有する化合物となる場合があるため好ましくない。
以下に本発明に係る式(1)で表される化合物の具体的な例を挙げるが、本発明に係る化合物は、以下に例示する化合物に限定されない。以下、これらの各化合物を適宜、「例示化合物1〜例示化合物90」と表記する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層中に、下記式(2)で表される構造を有する化合物を含有する。
式(2)中のXは、その価数がn1であるかn3であるかについて異なるが、式(1)におけるXと同じ有機基に由来する有機基であり、Yは、式(1)におけるYと同じ有機基である。
Zにおける炭化水素基としては、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していても構わないが、炭素数10以下の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数8以下の炭化水素基である。Zの価数はn2の値により変化するが、具体的には、例えば、メタン、エタン、プロパン、メチルプロパン、ブタン、2−メチルブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素に由来する多価基が挙げられる。
式(2)における、X、YおよびZの、炭化水素基、芳香族基、および縮合多環基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。この場合、有していても良い置換基としては、式(1)において、XおよびYの、アルキル基、芳香族基、および縮合多環基が有していてもよい置換基が挙げられ、好ましい置換基も同様である。
また、上記式(2)におけるn3は、1以上10以下の整数を表し、感光層に使用する電荷輸送物質との組合せ適合性を考えた場合、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
また、本発明に係る化合物は、感光体感度向上のため、本発明の電子写真感光体を露光する露光光の波長領域に、実質的な光吸収を有さないことが好ましい。ここで「実質的な光吸収を有さない」とは、本発明に係る化合物を含有する層の、本発明の電子写真感光体を露光する露光光に対する光透過率が90%以上であることをいう。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体に用いる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性、表面性等の制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
限定されるものではない。
有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/Lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることができる。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性やブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層であっても、複数層を設けてもかまわない。
酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。
金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。この平均一次粒径は、TEM写真から計測によって求められたもので定義される。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、及び繰り返し特性、並びに製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
導電性支持体上に形成された感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のものであっても、若しくは電荷発生物質がバインダー中に分散された電荷発生層と電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層とに機能分離された積層構造のものの何れであってもよい。本発明においては、必要に応じて、電荷発生物質、染顔料を使用することが好ましい。この具体例としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にはフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
ウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、IIS
型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニンのうち、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するものが好ましい。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5質量%以下であることが好ましい。該塩素含有量は元素分析から求められる。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンは、塩素化オキシチタニウムフタロシアニン以外に、例えば、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基を含有していても構わない。又はスルホン基等の置換基で置換された、各種オキシチタニウムフタロシアニン誘導体を含有してもよい。
に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記式(5)に示す。下記式(5)において、Cp1乃至、Cp3は、カップラーを表す。
トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、
ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等の
アルコール系溶媒、
グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、
アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、分岐及び環状ケトン系溶媒、
ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、 メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、
アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、
n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、
水等が挙げられ、後述する下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、又は2種以上を併用しても用いることが可能である。
導電性支持体上に形成された感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のものであっても、若しくは電荷発生物質がバインダー中に分散された電荷発生層と電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層とに機能分離された積層構造のものの何れであってもよいが、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。該電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける本発明は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型感光体の電荷輸送層及び単層型感光体の感光層形成の際は、膜強度確保のため、化合物を分散させるためバインダー樹脂が使用される。機能分離型感光体の電荷輸送層の場合、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散してえられる塗布液、また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は珪素試薬等で修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂に好適に用いることのできるビスフェノール、ビフェノールの構造を以下に例示する。本例示は、本発明の趣旨を明確にするために行うものであり、本発明の趣旨に反しない限りは例示される構造に限定されるものではない。
感光体が積層型感光体の場合、感光層のいずれの層に含有されても良いが、本発明に用いる化合物は、光暴露時に電荷輸送物質と相互に作用することにより効果を発現していることが推測されることから、電荷輸送層中に含有される場合、光暴露時の残留電位大きな変動の防止に最も高い効果が得られる。
ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、より更に好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは1重量部以上とする。
積層型感光体の電荷輸送層及び単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の点から、通常は150重量部以下、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の点からは好ましくは120重量部以下、耐刷性の点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の点からは80重量部以下が特に好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加剤を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
層形成用の塗布液は、単層型感光体及び積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5〜40質量%の範囲で用いられるが、10〜35質量%の範囲で使用するのが好ましい。また、該塗布液の粘度は、通常10〜500mPa・sの範囲で用いられるが、50〜400mPa・sの範囲とするのが好ましい。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1〜15質量%の範囲で使用されるが、1〜10質量%の範囲で使用することがより好ましい。塗布液の粘度は、通常0.01〜20mPa・sの範囲で使用されるが、0.1〜10mPa・sの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4及び転写装置5を備えて構成され、更に、必要に応じてクリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置等がよく用いられる。
本発明においては、前記のように、帯電手段が前記電子写真感光体に接触配置した場合に、その効果が顕著に発揮される点で、この構成が好ましい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト
上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び特開平4−31870号公報の実施例に記載された、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液Aを作製した。
ーバーで塗布し、下引き層を設けた。
次に、電荷発生物質として、図2のX線回折スペクトルで表されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液(電荷発生層用)を調製した。下引き層を設けたフィルムの上に、上記の電荷発生層塗布液を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布して乾燥し、電荷発生層を形成した。
実施例2
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物95を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E2を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物121を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E3を得た。
実施例4
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物152を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E4を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物114を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E5を得た。
参考例1
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物61を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E6を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物53を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E7を得た。
参考例3
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物35を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E8を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物27を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E9を得た。
参考例5
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物11を用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体E10を得た。
例示化合物92を使用しない以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体P1を得た。
比較例2
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、下記比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体P2を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、下記比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体P3を得た。
実施例1と同様に形成した下引き層及び電荷発生層上に、下記に示す電荷輸送層塗布液を塗布して24μmの電荷輸送層を設け、積層型感光層を有する電子写真感光体E11を得た。
電荷輸送層塗布液:電荷輸送物質として下記化合物CT−2を40部とCT−3を30部、バインダー樹脂として下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(PC−2:粘度平均分子量約40,000)100部、
実施例12
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物95を用いる以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体E12を得た。
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物121を用いる以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体E13を得た。
実施例14
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、例示化合物152を用いる以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体E14を得た。
硫黄酸誘導体構造を有する化合物として例示化合物92を使用しない以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体P5を得た。
比較例6
例示化合物92の化合物を用いる代わりに、比較例2で使用した比較化合物Aを用いる以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体P6を得た。
実施例及び比較例において作製した電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
続いて、得られた電子写真感光体に(電気特性が特に悪かったP4を除いた)、白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFK20SS・W/18)の光を、電子写真感光体表面での光強度が2000ルックス(lx)になるように調整して10分間照射した後(以下、「強光照射後」と略記する)、上記<電気特性と耐光性の評価−1>と同様にして、VL1(単位「−V」)の測定を行った。「VL1(強光照射後)−VL1(強光照射前)」の値を「ΔVL」(単位「−V」)とする。
=V0(強光照射後)−700
例えば、下記表3の実施例3の場合、強光照射後の感光体の表面電位は、−689[V]になったので、V0(強光照射後)=689[V]であるから、
ΔV0=689−700
=−11[V]
となる。
実施例15
表面を陽極酸化し、封孔処理を施した直径3cm、長さ25.4cmのアルミニウムチューブ上に実施例1と同様に作成した電荷発生層及び電荷輸送層用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布し、125゜Cで20分間乾燥させることにより、電荷発生層0.3μm、電荷輸送層25μmの電子写真感光体ドラムを作成した。この電子写真感光体ドラムに縦2cm横4cmの穴を開けた黒紙をあて、その黒紙の穴の部分の上方から白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFK20SS・W/18)の光を、電子写真感光体表面での光強度が2000ルックス(lx)になるように調整して10分間照射した。このドラムをヒューレッドパッカード社製レーザープリンタ、レーザージェット4(LJ4)のカートリッジに搭載し、ハーフトーン画像をプリントアウトすることにより画像試験を行ったところ白色蛍光灯の光暴露の影響による濃度変化等の画像欠陥は見られず、ノイズの少ない良好な画像が得られた。
実施例15中の電荷発生層および電荷輸送層用塗布液を比較実施例1中で作成したものに変更した以外は実施例15と同様に評価した。その結果、得られた画像は白色蛍光灯の光により暴露された部分でドラム周期に白抜けのある欠陥画像が得られた。
比較実施例8
実施例15中の電荷発生層および電荷輸送層用塗布液を比較実施例2中で作成したものに変更した以外は実施例15と同様に評価した。その結果、得られた画像は白色蛍光灯の光により暴露された部分でドラム周期に黒帯のある欠陥画像が得られた。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置 41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (3)
- 請求項1に記載の電子写真感光体を搭載する、プロセスカートリッジ。
- 電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光
を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置において、該感光体として請求項1に記載の感光体を用いることを特徴とする、画像形成装置。
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