以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、その感光層が、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂(以下、「一般式(1)の化合物」と略記することがある。)及び/又は下記一般式(3)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂(以下、「一般式(3)の化合物」と略記することがある。)と、下記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物(以下、「一般式(2)の化合物」と略記することがある。)とを含有するものである。すなわち、感光層に含まれるバインダー樹脂は、一般式(1)の化合物と一般式(3)の化合物の一方又は両方を含むものであればよい。また、本発明において、ヒドラゾン化合物は電荷輸送材料として感光層に含まれる。
(一般式(1)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは連結基を表し、m及びnは繰り返し単位を表し、0.03<n/m<0.4である。)
(一般式(3)中、Ar10〜Ar13は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Zは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環を表し、m’及びn’は繰り返し単位を表す。)
(一般式(2)中、Ar5〜Ar8はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar9は置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)
一般式(1)の化合物及び/又は一般式(3)の化合物、及び一般式(2)の化合物は、感光層が複数の層により形成されている場合には複数の層のうちどの層に含まれていてもよいし、各層がそれぞれ別個の化合物を含有していてもよいが、一般式(2)の化合物は通常電荷輸送能を有するため、これらの化合物は、通常電荷を輸送する機能が必要とされる層に含まれている。
感光層の具体的な構成としては、導電性支持体上に電荷発生材料を主成分とする電荷発生層と、電荷輸送材料及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型の感光層、及び、導電性支持体上に電荷輸送材料及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生材料を分散させた分散型(単層型)の感光層が代表例として挙げられる。本発明においては、一般式(1)の化合物及び/又は一般式(3)の化合物、及び一般式(2)の化合物が、同時に同一の層に含まれていることが好ましく、特に積層型感光層を構成する電荷輸送層に含まれていることが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明の電子写真感光体において、感光層に含まれるバインダー樹脂は、上記一般式(1)の化合物及び/又は上記一般式(3)の化合物を含んでいる。それらの化合物は、公知の方法により、例えば2種のビスフェノールを共重合させて製造することができる。
先ず、一般式(1)の化合物について説明する。一般式(1)において、Ar1〜Ar4はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。また、Xは連結基を表し、通常、二価基を表している。前記アリーレン基としては、特に限定はされないが、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基が挙げられる。中でも、製造コストの面から、フェニレン基とナフチレン基が特に好ましい。また、フェニレン基とナフチレン基を比較した場合、製造コストの面に加えて合成のし易さの面で、フェニレン基がより好ましい。
前記アリーレン基にそれぞれ独立に有していても良い置換基については特に限定されないが、例えば、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、縮合多環基、ハロゲン基を好ましく挙げることができる。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、具体的にはメチル基が最も好ましい。Ar1〜Ar4それぞれの置換基の数に特に制限は無いが、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましい。
さらに、一般式(1)中、Ar1とAr2は同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基を置換基として有するフェニレン基又は置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。また、Ar3とAr4も同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基若しくはフェニル基を置換基として有するフェニレン基又は置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。
一般式(1)中、Xは二価基等の連結基を表している。連結基としては、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキレン基、又は−CR2R3−が挙げられる。R2、R3は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、又はアルコキシ基を表す。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基として、フェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましい。また、アルキル基としては、炭素数が1〜10のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数が1〜8であり、特に好ましくは炭素数が1〜2である。ポリカーボネート樹脂を製造する際に用いるビスフェノール成分の製造の簡便性を勘案すれば、Xとして、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、シクロヘキシレンが挙げられ、好ましくは、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、シクロヘキシレンであり、特に好ましくは−C(CH3)2−、シクロヘキシレンである。
次に、一般式(3)の化合物について説明する。一般式(3)において、Ar10〜Ar13はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。また、Zは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環を表し、m’及びn’は繰り返し単位を表している。前記アリーレン基としては、上記一般式(1)の場合と同様、特に限定はされないが、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基が挙げられる。中でも、製造コストの面から、フェニレン基とナフチレン基が特に好ましい。また、フェニレン基とナフチレン基を比較した場合、製造コストの面に加えて合成のし易さの面で、フェニレン基がより好ましい。
前記アリーレン基にそれぞれ独立に有していても良い置換基についても、上記一般式(1)の場合と同様、特に限定されないが、例えば、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、縮合多環基、ハロゲン基を好ましく挙げることができる。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、具体的にはメチル基が最も好ましい。Ar10〜Ar13それぞれの置換基の数に特に制限は無いが、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましい。
さらに、一般式(3)中、Ar10とAr11は同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基を置換基として有するフェニレン基又は置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。また、Ar12とAr13も同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基若しくはフェニル基を置換基として有するフェニレン基又は置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。
一般式(3)中、Zは置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環を表している。脂肪族炭化水素環としては、5員又は6員のシクロアルキレン基、メチル基を置換基として有するシクロアルキレン基等を好ましく挙げることができる。バインダー樹脂を製造する際に用いるビスフェノール成分の製造の簡便性を勘案すれば、Zとして、5員又は6員のシクロアルキレン基が挙げられ、好ましくはシクロヘキシレンである。
次に、上記一般式(1)の化合物及び上記一般式(3)の化合物の分子量と共重合比率等について説明する。一般式(1)の化合物及び一般式(3)の化合物において、それぞれの化合物の分子量に特に制限は無いが、感光層を塗布形成するのに適するよう、粘度平均分子量が、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が10,000未満であると、バインダー樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,000を超えると、感光層を適当な膜厚に塗布形成することが困難になる。なお、本願での粘度平均分子量の測定については、まず、ポリカーボネート樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lとなる試料溶液を調製し、その後、溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で前記試料溶液の流下時間tを測定する。そして、以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
また、一般式(1)中のm及びnは繰り返し単位を表しているが、一般式(1)での共重合比率n/mは、通常0.03超、好ましくは0.05超、より好ましくは0.1超であり、通常0.4未満、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満である。また、一般式(3)中のm’及びn’も繰り返し単位を表しており、その共重合比率n’/m’は特に制限はないが、好ましくは0.05超、より好ましくは0.1超であり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3未満である。なお、本願において、共重合比率は、繰り返し構造単位を含むバインダー樹脂を公知の任意の方法によって加水分解した上で、高速クロマトグラフィ(HPLC)により、その繰り返し単位の存在モル比率を求めて上記n/m及びn’/m’を算出する。
以下に、一般式(1)又は(3)で表される繰り返し構造を含む、本発明に用いられるバインダー樹脂の構造の具体例を例示する。以下の例示化合物A〜Hは、本発明を詳細に説明するために例示するものであり、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。なお、以下の例示化合物において、繰り返し単位を表す符号は省略しているが、各繰り返し単位の共重合比率は上述の通りである。
本発明を構成するバインダー樹脂は、電子写真感光体に使用可能な他の樹脂が有する、いかなる繰り返し構造とのさらなる共重合体であっても構わない。この場合、一般式(1)又は一般式(3)で表される繰り返し構造の割合、及び分子量に特に制限は無い。上記他の樹脂が有する繰り返し構造としては、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造や、ポリエステル樹脂の繰り返し構造が挙げられる。
(ヒドラゾン化合物)
次に、本発明を構成する上記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物について説明する。一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物の製造方法は特に限定されないが、一般的な製造法としては、下記に示すように、トリアリールアミン化合物をホルミル化した後、ヒドラゾン化することによって得ることができる。
一般式(2)中、Ar5、Ar6は置換基を有していてもよいアリール基を表す。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、縮合多環等の置換基で高度に共役系が拡張すると分子同士の相互作用が強くなり、溶媒への溶解性が低下することから、フェニル基が好ましい。置換基としては、メチル基、エチル基、2−プロピル基、等の炭素数3以下の低級アルキル基が好ましい。また、これら置換基は互いに結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環等の脂環式構造を有していても良いし、それぞれAr5、Ar6内で置換基同士が結合しシクロペンチル環、シクロヘキシル環等の環構造を形成してもいても良い。中でも電荷輸送材料としての移動度の観点から、Ar5、Ar6は4−メチルフェニル基であることがより好ましい。
Ar7、Ar8は置換基を有していてもよいアリール基を表す。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、高度に共役系が拡張すると溶媒への溶解性が低下することから、フェニル基が好ましい。有していてもよい置換としては、メチル基、エチル基、2−プロピル基、等の炭素数3以下の低級アルキル基等が挙げられる。Ar7、Ar8が互いに結合し、もしくは、アルキレン基等を介して互いに結合し、環構造を形成する場合には、分子自体の平面性が高まり、分子同士の相互作用が強くることにより、ヒドラゾン化合物の溶解性が低下し、感光層を塗布後、析出する可能性が高まることから、Ar7、Ar8は互いに結合せず、又はアルキレン基等を介して環構造を形成しない。置換基を有するアリール基、無置換アリール基の中で、試薬の汎用性、電子写真感光体として用いた時の性能の面を全体に考えると、無置換のフェニル基がより好ましい。
Ar9は置換基を有していても良いアリーレン基を表す。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基等が挙げられる。有していても良い置換基としては、メチル基、エチル基、2−プロピル基、等の炭素数3以下の低級アルキル基等が挙げられ、これら置換基は互いに結合してシクロペンタン環、シクロヘキサン環等の脂環式構造を有していてもよい。前記と同様にAr9が縮合多環構造である場合は、塗布溶媒に用いる有機溶媒に対しての溶解性が低下することから、フェニレン基であることが好ましく、電荷輸送材料としての移動度の観点から無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
以下に本発明に用いることができるヒドラゾン化合物の好適な構造を例示する。以下の例示化合物a〜rは、本発明の趣旨を明確にするために行なうものであり、本発明の趣旨に反しない限りは例示される構造に限定されるものではない。
(導電性支持体)
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。さらに、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御のため及び欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合には、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体の表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法や研磨処理方法を施して粗面化したものであっても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化したものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
(下引き層)
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子や、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子は、1種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いても良い。
これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理が施されていても良い。これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。
酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。なお、酸化チタン粒子は、その結晶型が1種類のみであってもよく、2種以上の結晶型が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として、通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても良いし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性及び塗布性を示すので好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の混合比は任意に選べるが、通常はバインダー樹脂100重量部に対して、10重量部以上500重量部以下の範囲で使用することが、塗布液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、及び繰り返し特性、並びに製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下が望ましい。
なお、下引き層には、画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させてもよい。
(感光層)
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層は、上述した一般式(1)及び/又は(3)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂と、上述した一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物とを含有する層であり、その型式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料(ヒドラゾン化合物を含む)とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散した単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送材料(ヒドラゾン化合物を含む)がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造のもの(以下適宜、「積層型感光層」という。)とが挙げられるが、何れの形態であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とが挙げられるが、どのような形態を採用することも可能である。
(積層型感光層)
以下、本発明の好ましい実施様態として積層型感光層を例としてさらに詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施様態に制限されるものではない。
(電荷発生層)
積層型感光層の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生材料としては、セレン及びその合金、硫化カドミウム、その他の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料の具体例としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。上記例示の有機顔料の中でも、特にフタロシアニン顔料及びアゾ顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料は、波長600nm〜900nmの比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び波長300〜500nmの比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン顔料が使用される。フタロシアニン顔料は、結晶型を有するものであっても無定形のものであっても構わないが、通常、感度が高いという点で結晶型のフタロシアニン顔料が好ましく用いられる。結晶型フタロシアニン顔料の中でも、特に感度の高い、X型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のオキシチタニウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、結晶型フタロシアニン顔料の中でも、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°及び27.1°に主たる回折ピークを示すチタニルフタロシアニン(オキシチタニウムフタロシアニン)、9.2°,14.1°,15.3°,19.7°,27.1°に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°及び30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°及び28.3°に主たる回折ピークを示すヒドロキシカリウムフタロシアニン、並びに、7.4°,16.6°,25.5°及び28.3°に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの中でも、27.3°に主たる回折ピークを示すチタニルフタロシアニン(オキシチタニウムフタロシアニン)が特に好ましく、この場合、9.5°,24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを示すチタニルフタロシアニン(オキシチタニウムフタロシアニン)がとりわけ好ましい。
フタロシアニン顔料としては、何れか一種の化合物を単独で用いても良いし、複数種の化合物を混合あるいは混晶状態で用いても良い。ここでのフタロシアニン顔料ないしは結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン顔料の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に摩砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。アゾ顔料として好ましいものの例としては、特開昭63−259572号公報、特開平5−32905号公報、特開平9−281733号公報に記載のアゾ顔料等が挙げられるが、特開平9−281733号公報に示されるアゾ化合物が特に好ましい。
電荷発生層は、上述の電荷発生材料を単独で用いて、例えば蒸着等の方法により膜等に形成してもよいが、通常は電荷発生材料をバインダー樹脂で結着した形で使用する。特に、電荷発生材料として有機顔料を使用する場合、これらの有機顔料の微粒子をバインダー樹脂で結着した形で使用することが好ましい。ここで用いるバインダー樹脂の種類は特に制限されないが、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等が挙げられる。
積層型感光層の電荷発生層に用いられるバインダー樹脂に制限はなく、任意の樹脂を用いることができる。その具体例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等を挙げることができる。また、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナールや、セルロースエステル、セルロースエーテル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリアミド、ケイ素樹脂等も挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、バインダー樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒に特に制限はなく、任意の溶媒及び分散媒を用いることができる。その具体例を挙げると、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の鎖状及び環状飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。中でも、下引き層を溶解しないものが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
積層型感光層の電荷発生層における電荷発生材料の配合比(重量)は、バインダー樹脂100重量部に対して通常1重量部以上、好ましくは10重量部以上、より好ましくは30重量部以上、また、通常2000重量部以下、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは500重量部以下の範囲である。電荷発生材料の比率が高すぎる場合は電荷発生材料の凝集等により塗布液の安定性が低下し、一方、電荷発生材料の比率が低すぎる場合は感光体としての感度の低下をまねく虞があることから、前記範囲で使用することが好ましい。なお、複数種の電荷発生材料を併用する場合には、それらの電荷発生材料の合計が上記範囲内になるようにする。
積層型感光層の電荷発生層の膜厚は、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。
電荷発生材料を分散媒中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、遊星ミル分散法、ロールミル分散法、超音波分散法等の公知の分散方法を任意に用いることができる。なお、分散時には、電荷発生材料の粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
(電荷輸送層)
積層型感光層の電荷輸送層は、一般式(1)及び/又は(3)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂、及び一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物を含有するものである。電荷輸送層の形成方法に特に制限は無いが、通常は、少なくとも一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物を、一般式(1)及び/又は(3)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂と共に、溶媒又は分散媒に溶解又は分散して電荷輸送層を塗布形成するための塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂には、前記の通り一般式(1)及び/又は(3)で表される繰り返し構造を含むバインダー樹脂が用いられるが、電子写真感光体に使用できる従前公知の他の樹脂を併用してもかまわない。但し、本発明の効果を充分に得るためには、全バインダー樹脂の重量に対する、一般式(1)及び/又は(3)で表される繰り返し単位の重量比率が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上であって、特には99重量%以上である。
併用できるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチルビニルエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。またこれらの樹脂は、本発明の樹脂と併用する際、単独でも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上述の通り、本発明においては、電荷輸送材料としてヒドラゾン化合物が用いられるが、ヒドラゾン化合物は単独で用いても他の電荷輸送性材料と併用で使用しても良い。但し、本発明の効果を充分に得るためには、全電荷輸送材料の重量に対する、一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物の重量比率が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であって、特には99重量%以上である。併用する電荷輸送性材料としては、公知の材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性材料、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖、もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性材料等が挙げられる。これらの中で、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送材料の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して30重量部以上、好ましくは40重量部以上、また、200重量部以下、好ましくは150重量部以下の範囲で使用される。
また、電荷輸送層の膜厚は一般に5μm以上、好ましくは10μm以上、また、50μm以下、好ましくは45μm以下がよい。なお、電荷輸送層には、成膜性、可とう性、塗布性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等の添加物を含有させてもよい。
積層型又は単層型の感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減したりする目的で、保護層を設けても構わない。
また、電荷輸送層には、電子吸引性化合物を含有させても良い。電子吸引性化合物としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができるが、例えば、クロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3’,5,5’−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(単層型感光層)
単層型感光層は、電荷発生材料、電荷輸送材料(本発明に係るヒドラゾン化合物)に加えて、積層型感光層の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生材料、電荷輸送材料、及び各種バインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送材料、遮光剤及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光層の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送材料及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生材料が分散される。
電荷発生材料は、積層型感光層の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光層の場合、電荷発生材料の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生材料の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生材料との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生材料が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
(添加剤)
積層型感光層、単層型感光層ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加剤を含有させても良い。
例えば、電荷輸送層に使用される添加剤の例としては、成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために使用される周知の可塑剤や架橋剤、酸化防止剤、安定剤、増感剤、塗布性を改善するための各種レベリング剤、分散補助剤等の添加剤が挙げられる。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレン等の芳香族化合物等が挙げられ、レベリング剤としては、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
(表面層)
積層型感光層、単層型感光層ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減したりする目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号の各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報に記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
保護層の電気抵抗は、通常109Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とすることが望ましい。電気抵抗が前記範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良いし、或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
(各層の形成方法)
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて得られた塗布液を、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。この際に用いる溶媒又は分散媒の種類や使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光層、及び、積層型感光層の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
また、積層型感光層の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無い。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
さらに、塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
[画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、本発明の画像形成装置は、上述した本発明に係る電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる帯電装置(帯電部)2と、帯電した電子写真感光体1を露光させて静電潜像を形成する露光装置(露光部)3と、電子写真感光体1上に形成された前記静電潜像を現像する現像装置(現像部)4と、を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば形態等は特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置等がよく用いられる。
本発明の画像形成装置においては、帯電ローラ等の帯電装置2が、少なくとも電子写真感光体1を帯電させる際に、その電子写真感光体1に接触配置されていることが好ましく、従来の電子写真感光体を備えた画像形成装置に比して、より顕著な効果を発揮できる。ここで、「少なくとも電子写真感光体1を帯電させる際に、その電子写真感光体1に接触配置されている」とは、例えば停止時には電子写真感光体1と帯電装置2とが離れており、動作時にのみ電子写真感光体1と帯電装置2とが接触する場合等を含む。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジと言う)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
本発明の画像形成装置においては、現像ローラ44が、少なくとも電子写真感光体1に形成された潜像を現像する際に、その電子写真感光体1に接触配置されることが好ましく、従来の電子写真感光体を備えた画像形成装置に比して、より顕著な効果を発揮できる。ここで、「少なくとも電子写真感光体1に形成された潜像を現像する際に、その電子写真感光体1に接触配置される」とは、例えば停止時には電子写真感光体1と現像ローラ44とが離れており、動作時にのみ電子写真感光体1と現像ローラ44とが接触する場合等を含む。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g重/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等が公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2に接触して所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
また、本実施形態では本発明の電子写真感光体カートリッジを、電子写真感光体1及び帯電装置2を備えた感光体カートリッジを例示して説明したが、本発明の電子写真感光体カートリッジは電子写真感光体1と、帯電装置(帯電部)2、露光装置(露光部)3及び現像装置(現像部)4のうちの少なくともいずれか一つとを備えていればよい。具体的には、例えば、本発明の電子写真感光体カートリッジは、電子写真感光体1、帯電装置(帯電部)2、露光装置(露光部)3及び現像装置(現像部)4を全て備えたカートリッジとして構成してもよい。
以下、製造例・実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の製造例・実施例に限定されるものではない。
[電荷輸送材料の製造]
(製造例1:電荷輸送材料CT1の製造)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリン9.34gをN,N−ジメチルホルムアミド30ml中に溶解し、これに室温下ゆっくりオキシ塩化リン7.67gを滴下し、60〜70℃で3時間攪拌した。放冷後、トルエン100ml、水100mlを添加し、これを、水酸化ナトリウム13.8gを水100mlに溶解した溶液中に冷却しながら放出し、トルエン層を分液洗浄した後にトルエンを留去し、p−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド8.23gを得た。得られたp−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド4.12gをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、これに1,1−ジフェニルヒドラジン3.45gをメタノール10mlに溶解した溶液を室温で滴下後、50〜60℃で1時間加熱攪拌した。放冷後、メタノール85mlを加え、ろ過して得られたろ物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記化学式で表されるヒドラゾン化合物(電荷輸送材料CT1)6.37gを得た。質量分析(m/z):M+=495(理論値:495)、及び元素分析(C35H33N3):C,84.70;H,6.75;N,8.55(理論値:C,84.81;H,6.71;N,8.48)より構造を確認した。
(製造例2:電荷輸送材料CT2の製造)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリンの代わりに、N,N−ビス(4−メチルフェニル)アニリンを使用する以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で表されるヒドラゾン化合物(電荷輸送材料CT2)を得た。質量分析(m/z):M+=467(理論値:467),及び元素分析(C33H29N3):C,84.70;H,6.45;N,8.85(理論値:C,84.76;H,6.25;N,8.99)より構造を確認した。
(製造例3:電荷輸送材料CT3の製造)
1,1−ジフェニルヒドラジンの代わりに、1,1−ジ(p−トリル)ヒドラジンを使用する以外は、製造例2と同様にして、下記化学式で表されるヒドラゾン化合物(電荷輸送材料CT3)を得た。質量分析(m/z):M+=495(理論値:495),及び元素分析(C35H33N3):C,84.75;H,6.85;N,8.35(理論値:C,84.81;H,6.71;N,8.48)より構造を確認した。
(製造例4:電荷輸送材料CT4の製造)
1,1−ジフェニルヒドラジンの代わりに、1−フェニル−1−(α−ナフチル)ヒドラジンを使用する以外は、製造例2と同様にして、下記化学式で表されるヒドラゾン化合物(電荷輸送材料CT4)を得た。質量分析(m/z):M+=531(理論値:531),及び元素分析(C38H33N3):C,85.75;H,6.45;N,8.03(理論値:C, 85.84; H,6.26;N,7.90)より構造を確認した。
(製造例5:電荷発生材料CG1の製造)
特開平10−7925号公報中に記載の「粗TiOPcの製造例」、「実施例1」の順に従ってβ型オキシチタニウムフタロシアニンを調整した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン18重量部を−10℃以下に冷却した95%濃硫酸720重量部中に添加した。このとき硫酸溶液の内温が−5℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、濃硫酸溶液を−5℃以下で2時間撹拌した。撹拌後、濃硫酸溶液をガラスフィルターで濾過し、不溶分を濾別後、濃硫酸溶液を氷水10800重量部中に放出することにより、オキシチタニウムフタロシアニンを析出させ、放出後1時間撹拌した。撹拌後、溶液を濾別し、得られたウエットケーキを再度水900重量部中で1時間洗浄し、濾過を行った。この洗浄操作を濾液のイオン伝導度が0.5mS/mになるまで繰り返すことにより、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエトケーキを185重量部得た(オキシチタニウムフタロシアニン含有率9.5%)。
得られた低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキ93重量部を水190重量部中に添加し、室温で30分撹拌した。その後、o−ジクロロベンゼン39重量部を添加し、さらに室温で1時間撹拌した。撹拌後、水を分離し、メタノール134重量部を添加し、室温で1時間撹拌洗浄した。洗浄後、濾別し、再度メタノール134重量部を用いて1時間撹拌洗浄後、濾別し、真空乾燥機で加熱乾燥することにより、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを7.8量部得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニンに含まれるクロロオキシチタニウムフタロシアニンの含有量を、特開2001−115054号公報に記載の手法(マススペクトル)を用いて調べたところ、オキシチタニウムフタロシアニンに対し、強度比0.003以下であることを確認した。
(製造例6:電荷発生材料CG2の製造)
製造例5で得られた低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンのウエットケーキ50重量部をTHF500重量部中に分散し、室温で1時間攪拌する以外は、製造例1と同様に、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、9.7°、24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3量部得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニンに含まれるクロロオキシチタニウムフタロシアニンの含有量を、特開2001−115054号公報に記載の手法(マススペクトル)を用いて調べたところ、オキシチタニウムフタロシアニンに対し、強度比0.003以下であることを確認した。
(製造例7:電荷発生材料CG3の製造)
特開平2001−115054号公報、実施例1に記載の手法で作成されたβ型オキシチタニウムフタロシアニンを使用する以外は、製造例5と同様にしてCuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3量部得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニンに含まれるクロロオキシチタニウムフタロシアニンの含有量を、特開2001−115054号公報に記載の手法(マススペクトル)を用いて調べたところ、オキシチタニウムフタロシアニンに対し、強度比0.05であることを確認した。
[感光体ドラムの製造]
(実施例1)
下引き層用分散液を次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
この分散液を、外径30mm、長さ254mm、厚さ1.0mmのアルミニウム製シリンダーに浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1μmとなるように下引き層を設けた。
次に、製造例5で得られた電荷発生材料CG1(チタニルフタロシアニン)10重量部を、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 150重量部に加え、サンドグラインドミルにて1時間粉砕分散処理を行なった。
また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部を混合してバインダー溶液を作製した。
先に作製した顔料分散液160重量部に、バインダー溶液100重量部、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
この様にして得られた分散液を上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送材料として、製造例1で得られた電荷輸送材料CT1を40重量部と、バインダー樹脂として下記構造を繰り返し単位として持つ、粘度平均分子量40,000のポリカーボネート樹脂(B1)100重量部、酸化防止剤(チバガイギー製:商品名Irganox1076)8重量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(混合比80/20)640重量部に溶解させた液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように浸漬塗布し、125℃で20分乾燥した後、感光体ドラムAを得た。
(実施例2)
電荷輸送材料CT1に代えて、電荷輸送材料CT2を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムBを得た。
(実施例3)
電荷輸送材料CT1に代えて、電荷輸送材料CT3を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムCを得た。
(実施例4)
電荷輸送材料CT1に代えて、電荷輸送材料CT4を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムDを得た。
(実施例5)
電荷輸送材料CT1の40部に代えて、電荷輸送材料CT2を70部使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムEを得た。
(実施例6)
電荷輸送材料CT1の40部に代えて、電荷輸送材料CT2を25部使用し、下記電荷輸送材料CT5を15部使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムFを得た。
(実施例7)
実施例1で使用したバインダー樹脂B1の代わりに、粘度平均分子量が40,000の下記バインダー樹脂B2を使用する以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムGを得た。
(実施例8)
実施例2で使用したバインダー樹脂B1の代わりに、粘度平均分子量が40,000の下記バインダー樹脂B3を使用する以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムHを得た。
(実施例9)
実施例2で使用した、製造例5で得られた電荷発生材料CG1(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する代わりに、製造例6で得られた電荷発生材料CG2(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムIを得た。
(実施例10)
実施例8で使用した、製造例5で得られた電荷発生材料CG1(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する代わりに、製造例6で得られた電荷発生材料CG2(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する以外は、実施例8と同様にして感光体ドラムJを得た。
(実施例11)
実施例2で使用した、製造例5で得られた電荷発生材料CG1(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する代わりに、製造例7電荷発生材料CG3(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムKを得た。
(実施例12)
実施例1で使用した、製造例5で得られた電荷発生材料CG1(オキシチタニウムフタロシアニン)を使用する代わりに、特開平8−123052号公報の製造例記載の手法で得られたオキシチタニウムフタロシアニンを使用する以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムLを得た。
(比較例1)
電荷輸送材料CT1に代えて、下記の電荷輸送材料CT6を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムMを得た。
(比較例2)
電荷輸送材料CT1に代えて、実施例6中の電荷輸送材料CT5を使用した以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムNを得たが、感光層の表面に電荷輸送材料の析出が見られた。
(比較例3)
実施例2で使用したバインダー樹脂B1の代わりに、粘度平均分子量が40,000の、下記構造のみを繰り返し単位として持つバインダー樹脂B4を使用する以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムOを得た。
(比較例4)
実施例2で使用したバインダー樹脂B1の代わりに粘度平均分子量が40,000の下記バインダー樹脂B5を使用する以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムPを得た。
(感光体ドラムの電気特性の評価)
これらの感光体ドラムA〜Pについて、電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体ドラムA〜Pを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、初期表面電位を−(マイナス。以下同じ。)700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用いた。780nmの光を1.0μJ/cm2照射し、100ms後の表面電位(VL)、及び感度を表す指標として、表面電位を−350Vまで半減させるのに必要な露光量E/2(半減露光量)を測定した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行なった。感度(半減露光量)及びVLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示す。この結果を表1に示す。
(感光体ドラムの実機評価)
作製した感光体ドラムA〜Pについて、市販のレーザープリンターOptra S2450(Lexmark社製、接触帯電方式、接触現像方式)にて画像出力を行なったが、比較例2の感光体Nを除いていずれも良好な画像が得られた。続けて、感光体ドラムN以外は、1万枚の連続印字を行ない、耐刷後の出力画像を得るとともに、耐刷によって感光層膜厚がどれだけ減ったのかを計測した。
また、同様に、感光体ドラムA〜Pについて、ギアフランジ部分を長くすることで実施例及び比較例の感光体ドラムをセットできるようにし、市販のレーザープリンターLP3000C(エプソン社製、非接触帯電方式、非接触現像方式)に装着、画像出力を行なったが、比較例2の感光体ドラムNを除いていずれも良好な画像が得られた。続けて、感光体ドラムN以外は、6千枚の連続印字を行ない、耐刷後の出力画像を得るとともに、耐刷によって感光層膜厚がどれだけ減ったのかを計測した。
これらの結果を、電気特性試験の結果とともに表1に示す。
以上から、実施例及び比較例の感光体ドラムA〜Pは、いずれも初期的には良好な電気特性を示し、感光体として使用可能であることがわかる。ただし、前述のように、比較例2の感光体ドラムNに関しては、電荷輸送材料由来と思われる析出が見られ、電気特性上は良好でも、画像上は初期から問題があった。
また、実施例の感光体ドラムA〜Lは、二種類の実機耐刷試験によっても、良好な膜減り及び耐刷後画像を示した。一方で、電荷輸送材料を本発明外のものとした比較例1の感光体ドラムMは、耐刷による膜減りこそ実施例の感光体ドラムと同等であったが、耐刷後の画像で濃度低下を生じた。また、初期の電気特性も若干ながら劣る。また、バインダー樹脂を本発明外のものとした比較例3の感光体ドラムOは、非接触方式の実機では同等の膜減りを示すものの、接触方式の実機では膜減りが大きく、耐刷後の画像にカブリを生じる。また、非接触方式の実機で膜減りが同等であっても、耐刷後の画像には汚れを生じ、実使用に耐えない。
以上から、本発明のバインダー樹脂と電荷輸送材料(ヒドラゾン化合物)を含有する感光体は、初期の電気特性を損なうことなく耐刷性を向上できることがわかる。この効果は、本発明の組み合わせに於いて特異的に見られ、さらに言えば、帯電装置及び/又は現像装置が、それぞれ動作する際に電子写真感光体に接触配置されるような、画像形成装置において、よりその効果を発現することができる。