JP2008083105A - 電子写真感光体、画像形成装置用プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置用プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】正電位印加による転写を繰り返し行う場合でも、露光電位の上昇による画像不良を生じさせない電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置用プロセスカートリッジ、及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記式(1)で表される化合物を含有する(式(1)中、ArないしArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、XないしXは、それぞれ独立に、下記式(2)を表す。但し、Arは、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有する。式(2)中、RないしRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である。n1ないしn2は、0又は1の整数を表し、n3は、0ないし3の整数を表す。但し、n3が0のときは、n2は1である。)。
Figure 2008083105

【選択図】なし

Description

本発明は、複写機やプリンター等に用いられる、電子写真感光体、画像形成装置用プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
C.F.カールソンの発明による電子写真技術は、即時性に優れ、高品質かつ保存性の高い画像が得られること等から、複写機の分野にとどまらず、各種プリンターやファクシミリの分野に使用され、さらに最近はデジタル複合機としても広く普及し、大きな拡がりをみせている。電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電材料を使用した感光体が主に使用されている。中でも、電荷発生層と電荷輸送層を積層した、いわゆる積層型感光体は、より高感度な感光体が得られること、材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また、塗布の生産性が高くコスト面でも有利なこと、等から現在では感光体の主流となっており、大量に生産されている。
ところで、近年、画像形成においては、より高画質な画像を得るためや、入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、デジタル化が急速に進行している。デジタル的に画像形成するものとしては、過去においては、ワープロやパソコンの出力機器であるレーザープリンター、LEDプリンターや一部のカラーレーザーコピア等に限られていたが、最近になって、従来アナログ的な画像形成が主流であった普通の複写機の分野においてもデジタル化がほぼ完全に達成された。
このようなデジタル的な画像形成を行なう場合、感光体に対するデジタル信号の光入力用光源には、主としてレーザー光やLED光が用いられている。現在広く使用される光入力用光源の発信波長としては、780nmや660nmの近赤外光やそれに近い長波長光が広く用いられている。また、近年、青色レーザーが実用化され、400〜500nmの短波長光を光入力用光源として使用することも可能となった。デジタル的な画像形成に使用される感光体としては、これら各種の光入力用光源に対して有効な感度を持つ必要があり、これまで多種多様な材料が検討されている。また、感度が高いことの他にも、十分な帯電性を有すること、帯電後の暗減衰が小さいこと、残留電位が低いこと、及びこれら特性の繰り返し使用時の安定性がよいこと等の基本的な特性が要求される。
特に複写機やプリンターでの繰り返し使用においては、感光層が次第に劣化するという問題があるため、繰り返し使用によるダメージが少なく、電気特性も安定していることが望まれる。これらの特性は、電荷発生材料や電荷輸送材料、バインダー樹脂に大きく依存する。電荷発生材料としては、光入力用光源に対する感度を持つ必要があるため、主にフタロシアニン顔料やアゾ顔料が使われる。電荷輸送材料としては、多種のものが知られているが、アミン系化合物は、低い残留電位を示すことから広く利用されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。
特開2000−75517号公報 特開2002−40688号公報 特開平4−330042号公報 特開平9−244278号公報
これまで、電子写真感光体の開発・製造においては、帯電装置、光入力用光源、現像装置等の種々の装置条件に適合する感光体を調製するため、感光体の構成材料である電荷発生材料、電荷輸送材料、バインダー樹脂等をその都度調整する必要があった。また、初期には良好な画像を形成できる感光体を調製できたとしても、長期の繰り返し使用によってその画像が劣化する場合があり、好適な感光体を得るには多大な検証が必要であった。
例えば、感光体潜像を現像したトナーを感光体表面から被転写媒体(紙等)に転写させるために、正電位印加による転写を繰り返し行う場合があるが、上記各特許文献等に記載の従来公知のアミン系化合物を電荷輸送材料として用いた感光体は、正電位を印加すると劣化する傾向があり、そうした劣化により露光電位が上昇して画像不良を生じさせるおそれがあった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、その目的は、短波長から長波長に亘る広い波長域の光を光入力用光源とした場合でも好適な電気特性を有し、さらに正電位印加による転写を繰り返し行う場合でも、露光電位の上昇による画像不良を生じさせない電子写真感光体を提供すること、また、該電子写真感光体を用いた画像形成装置用プロセスカートリッジ、及び電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、感光層に特定の構造のアミン化合物を電荷輸送材料として含有させることにより、幅広い波長域で好適な電気特性を有すると同時に、長期間繰り返し使用したとしても良好な画像を形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
Figure 2008083105
(式(1)中、ArないしArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、XないしXは、それぞれ独立に、下記式(2)を表す。但し、Arは、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有する。
Figure 2008083105
式(2)中、RないしRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である。n1ないしn2は、0又は1の整数を表し、n3は、0ないし3の整数を表す。但し、n3が0のときは、n2は1である。)
また、本発明の第2の要旨は、前記本発明に係る電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジに存する。
また、本発明の第3の要旨は、前記本発明に係る電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置と、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置に存する。
本発明の電子写真感光体によれば、感光層が特定構造のアミン系化合物を電荷輸送材料として含有するので、トナーを感光体表面から被転写媒体に転写させるための正電位を印加した場合であっても、感光体の劣化が起き難く、さらに短波長から長波長に亘る広い波長域の光を光入力用光源とした場合でも好適な電気特性(感度等)を有するという効果を奏する。さらに、本発明の電子写真感光体によれば、使用開始時はもちろんのこと、繰り返し使用により感光体が正の転写電位を繰り返し受けた場合であっても、その正電位印加の影響による感光体の劣化が生じ難いので、露光電位の上昇が抑制されて良好な画像を形成することができる。また、前記特定構造のアミン系化合物は、感光層形成用塗布液に対する溶解性に優れるので、その塗布液で形成された感光層中に均一に分散され、その結果、局所的な画像欠陥の発生等を防ぐことができる。
本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、前記本発明に係る電子写真感光体を有するので、種々の光入力用光源を用いた場合であっても好適な露光が可能であって、長期間繰り返し使用したとしても画像欠陥のない良好な画像を形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体、画像形成装置用プロセスカートリッジ及び画像形成装置は、上記のように広い波長域で長期間安定した画像を形成できるので、近年のデジタル的な画像形成に好適に用いることができ、特に高速の複写機やカラープリンターに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜実施することができる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体(以下、単に「支持体」ともいう。)上に、本発明に係る式(1)で表される化合物を含有する感光層を設けたものであれば、その詳細な構成は特に制限されないが、電荷発生層と電荷輸送層が積層された積層型の感光体が好ましく、特には電荷輸送層が本発明に係る式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。以下、代表的な構成について順次説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、その形態としては、例えばドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。さらに、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理を施してから用いてもよい。なお、陽極酸化処理を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体の表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり研磨処理を施したりすることにより粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層であっても、複数層で構成されたものであっても構わない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中でも、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れも用いることができる。なお、酸化チタン粒子は、その結晶型が1種類のみであってもよく、2種以上の結晶型が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。
金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液(例えば下引き層形成用塗布液)の安定性の面から、平均一次粒径として通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。この平均一次粒径は、TEM写真により観察される任意の粒子100個の最大径の算術平均値から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いてもよく、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性及び塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の混合比は任意に選べるが、通常はバインダー樹脂100重量部に対して、10重量部以上500重量部以下の範囲で使用することが、塗布液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、及び繰り返し特性、並びに製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下が望ましい。
なお、下引き層には、画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させてもよい。
<感光層>
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層は、下記の式(1)で表される化合物を含有する層であり、その型式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送材料がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造のもの(以下適宜、「積層型感光層」という。)とが挙げられるが、何れの形態であってもよい。また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とが挙げられるが、どのような形態を採用することも可能である。
(式(1)で表される化合物)
本発明の電子写真感光体を構成する感光層は、下記式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 2008083105
式(1)中、ArないしArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、XないしXは、それぞれ独立に、下記式(2)を表す。但し、Arは、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有する。
Figure 2008083105
式(2)中、RないしRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である。n1ないしn2は、0又は1の整数を表し、n3は、0ないし3の整数を表す。但し、n3が0のときは、n2は1である。
感光層が複数の層で形成されている場合、式(1)で表される化合物はそれらの層のうち1の層に含まれていてもよいし、複数の層に含まれていても構わない。その場合に含まれる化合物としては、同じ化学構造の化合物であっても、式(1)で表される化合物に包含される異なる化学構造からなる化合物であってもよい。特に式(1)で表される化合物は、積層型感光層の電荷輸送層に含まれていることが好ましい。また、式(1)で表される化合物を含む層には、式(1)で表される化合物に包含される異なる化学構造からなる化合物がさらに含まれていてもよいし、式(1)で表される化合物以外の電荷輸送能を有する化合物がさらに含まれていてもよい。
また、式(1)で表される化合物が感光層を構成する複数の層のうち何れかに含まれている場合、式(1)で表される化合物を含まない別の層は、式(1)で表される化合物以外の化合物を含んでいても構わない。
式(1)中のArないしArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。芳香族基としては、芳香族性を有するものであればどのようなものでも構わないが、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられる。芳香族複素環基としては、チオフェニル基、ピロリル基等が挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素基であり、また、好ましくは、環が4以下のものであり、特に好ましくは、フェニル基である。
これら、芳香族基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;ハロゲン原子が挙げられる。好ましい置換基としては、炭素数10以下の、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基が好ましく、さらに好ましくは、炭素数4以下の、アルキル基又はアルコキシ基であり、具体的には、メチル基、メトキシ基が好ましい。また、これらの置換基は、ArないしArに独立に複数存在してもよい。
芳香族基が有していてもよい置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、上記の炭素数10以下の、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基等であり、さらに好ましくは、炭素数4以下の、アルキル基又はアルコキシ基である。
また、ArないしArは、前記した置換基又は連結基を介して縮合環を形成しても構わないし、直結して縮合環を形成しても構わない。上記連結基とは、炭素数20以下の二価の残基である。
式(1)中のArないしArのうち、Arは、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有する。Arは、アリール基であることが好ましいが、この場合、窒素原子に対して2位又は4位にアルコキシ基ないしアルキル基があることが好ましく、窒素原子に対して2位にアルキル基があり4位にアルコキシ基があることが特に好ましい。Arに置換するアルキル基としては、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Arに置換するアルコキシ基としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。すなわち、Arは、アルコキシ基とアルキル基を置換基として有するアリール基であることが好ましく、2−メチル−4メトキシフェニル基であることが特に好ましい。
また、Arについても、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有することが好ましい。また、上記のArの場合と同様、Arは、アリール基であることが好ましいが、この場合、窒素原子に対して2位又は4位にアルコキシ基ないしアルキル基があることが好ましく、窒素原子に対して2位にアルキル基があり4位にアルコキシ基があることが特に好ましい。Arに置換するアルキル基としては、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Arに置換するアルコキシ基としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。また、合成の簡便さから、このArと上記のArは同じであることが好ましい。
ないしXは、それぞれ独立に、式(2)で表される基である。式(2)中、RないしRは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である。XないしXは、それぞれ同じであっても異なっていても構わない。このアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基等が挙げられ、好ましくは芳香族環が3個以下のものであり、特に好ましくはフェニル基である。前記のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基等が挙げられるが、炭素数8以下のアルキル基が好ましく、更に好ましくは、炭素数4以下のアルキル基である。
これらRないしRが置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である場合の、その置換基としては、炭素数10以下の置換基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;ハロゲン原子が挙げられるが、これらの置換基がさらに置換基を有していてもよい。また、RないしRは、前記した置換基又は連結基を介して縮合環を形成しても構わないし、直結して縮合環を形成しても構わない。
また、式(1)中のn1ないしn2は、0又は1の整数を表し、n3は、0ないし3を表す。但し、n3が0のときは、n2は1である。n3は、電気特性を考えた場合、大きすぎない方がよく、2以下が好ましい。更に好ましくは、1以下である。総合的なパフォーマンスを考えた場合、n2は1が好ましく、n1は1が好ましい。
また、式(1)で表される化合物は、幾何異性体が混合している組成物であることが好ましい。n2が1の場合において、式(2)で表されるXとXのArないしArに最も近い二重結合の幾何異性は、シス−トランスの混合物であることが好ましい。具体的には、式(2)で表されるXとXのうち、30%以上がシス体であることが好ましく、更に好ましくは、40%以上である。また、n2が0の場合において、式(2)で表されるXとXのうち、80%以上がトランス体であることは好ましく、より好ましくは、85%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
次に、式(1)で表される化合物について、その構造の具体例を以下に例示する。下記の例示化合物は本発明の詳細な説明を行うために例示するものであり、式(1)で表される化合物は、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。なお、下記の例示化合物中の「Me」はメチル基(−CH)を表し、「Et」はエチル基(−C)を表す。
Figure 2008083105
Figure 2008083105
Figure 2008083105
Figure 2008083105
上述の例示化合物に代表される本発明に係る式(1)で表される化合物は、電荷輸送能を有する化合物であるが、感光層を構成する電荷輸送材料としては、これらの化合物に加えて他の公知の電荷輸送材料を組み合わせて用いてもよい。公知の電荷輸送材料の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性材料、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性材料等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。なお、これらの電荷輸送材料は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。本発明に係る式(1)で表される化合物以外の化合物を電荷輸送材料として併用する場合、式(1)で表される化合物以外の化合物の使用量は、本発明に係る式(1)で表される化合物の全量よりも重量(質量)換算で少ないことが好ましい。
(バインダー樹脂)
電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型感光体である積層型感光体の電荷輸送層、及び、電荷発生材料と電荷輸送材料を単一層に有する単層型感光体の感光層を形成する際は、膜強度確保のため、電荷輸送能を有する化合物を分散させるためバインダー樹脂が使用される。積層型感光体の電荷輸送層の場合には、電荷輸送材料と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができ、また、単層型感光体の場合には、電荷発生材料と電荷輸送材料と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。
積層型感光体の電荷輸送層の形成や単層型感光体の感光層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これら樹脂は珪素試薬等で修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂の中でも、下記構造のビスフェノール又はビフェノールを由来とする構造を繰り返し構造中に少なくとも1種又は2種以上有するポリカーボネート樹脂若しくはポリアリレート樹脂が感度や残留電位の点から好ましく、中でも移動度の面からはポリカーボネート樹脂がより好ましい。ポリカーボネート樹脂に好適に用いることのできるビスフェノール又はビフェノールの構造を以下に例示する。下記の例示化合物は、本発明の趣旨を明確にするために行うものであり、本発明の趣旨に反しない限り例示される構造に限定されるものではない。
Figure 2008083105
特に、本発明の効果を最大限に発揮するためには、下記構造のビスフェノールを由来とする構造を繰り返し構造中に少なくとも1種又は2種以上有するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いることが好ましい。
Figure 2008083105
また、機械特性向上のためには、ポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として使用することが好ましく、この場合は、下記構造のビスフェノールを由来とする構造を繰り返し構造中に少なくとも1種又は2種以上有するポリアリレート樹脂を構成するビスフェノール成分としては以下の構造を用いるのが好ましく、
Figure 2008083105
下記構造の酸成分を由来とする構造を繰り返し構造中に少なくとも1種又は2種以上有するポリアリレート樹脂を用いることが好ましい。
Figure 2008083105
(積層型感光層)
以下、本発明の好ましい実施様態として積層型感光層を例としてさらに詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施様態に制限されるものではない。
(電荷発生層)
積層型感光層の電荷発生層は、電荷発生材料を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生材料としては、セレン及びその合金、硫化カドミウム、その他の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料の具体例としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。上記例示の有機顔料の中でも、特にフタロシアニン顔料及びアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、波長600nm〜900nmの比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で優れており、また、アゾ顔料は、白色光及び波長300〜500nmの比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で優れている。
電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン顔料が使用される。フタロシアニン顔料は、結晶型を有するものであっても無定形のものであっても構わないが、通常、感度が高いという点で結晶型のフタロシアニン顔料が好ましく用いられる。結晶型フタロシアニン顔料の中でも、特に感度の高い、X型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のオキシチタニウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、結晶型フタロシアニン顔料の中でも、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°及び27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン(チタニルフタロシアニン)、9.2°,14.1°,15.3°,19.7°,27.1°に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°及び30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°及び28.3°に主たる回折ピークを示すヒドロキシカリウムフタロシアニン、並びに、7.4°,16.6°,25.5°及び28.3°に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの中でも、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましく、この場合、9.5°,24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンがとりわけ好ましい。
フタロシアニン顔料としては、何れか一種の化合物を単独で用いてもよいし、複数種の化合物を混合あるいは混晶状態で用いてもよい。ここでのフタロシアニン顔料ないしは結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン顔料の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報に記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に摩砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
また、アゾ顔料を併用する場合には、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記に示す。下記一般式において、Cpないし、Cpは、カップラーを表す。
Figure 2008083105
カップラーCpないしCpとしては、好ましくは、以下構造を例示する。なお、下記構造中の「※」は結合位置を表す。
Figure 2008083105
上記例示のアゾ顔料は、1種を単独で用いてもよいし2種類以上のアゾ顔料を混合して用いてもよい。2種類以上のアゾ顔料を混合して用いる場合、可視域と近赤外域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生材料を組み合わせて用いることが好ましい。また、アゾ顔料とフタロシアニン顔料を併用してもよく、中でもジスアゾ顔料又はトリスアゾ顔料と、フタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の電荷発生材料を単独で用いて、例えば蒸着等の方法により膜等に形成してもよいが、通常は電荷発生材料をバインダー樹脂で結着した形で使用する。特に、電荷発生材料として有機顔料を使用する場合、これらの有機顔料の微粒子をバインダー樹脂で結着した形で使用することが好ましい。
電荷発生層に用いられるバインダー樹脂に制限はなく、任意の樹脂を用いることができる。例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等を挙げることができる。また、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナールや、セルロースエステル、セルロースエーテル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリアミド、ケイ素樹脂等も挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電荷発生層形成用の塗布液の作製に用いられる溶剤や分散媒としては、バインダー樹脂を溶解させることができる溶媒や分散媒であれば特に制限はなく、任意の溶媒や分散媒を用いることができる。その具体例を挙げると、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の鎖状及び環状飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。中でも、下引き層を溶解しないものが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生材料との配合比(重量比)は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送材料が通常1重量部以上、好ましくは10重量部以上、より好ましくは30重量部以上、また、通常2000重量部以下、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは500重量部以下の範囲である。電荷発生材料の比率が高すぎる場合は、電荷発生材料の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがあり、一方、電荷発生材料の比率が低すぎる場合は、感光体としての感度の低下をまねくおそれがあることから、前記範囲で使用することが好ましい。なお、複数種の電荷発生材料を併用する場合には、それらの電荷発生材料の合計が上記範囲内になるようにする。
電荷発生層の膜厚は、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上であり、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。
電荷発生材料を分散媒中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、遊星ミル分散法、ロールミル分散法、超音波分散法等の公知の分散方法を任意に用いることができる。なお、分散時には、電荷発生材料の粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
(電荷輸送層)
積層型感光層を構成する電荷輸送層は、上記式(1)で表される化合物(例えば例示化合物1〜24から選ばれる1又は複数の化合物)を含むものであって、好ましくは、上記構造式で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂を含有するものである。電荷輸送層の形成方法に特に制限は無いが、式(1)で表される化合物と、上記構造式で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂とを溶媒又は分散媒に溶解又は分散して電荷輸送層形成用塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に塗布、乾燥し、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、前記のとおり、上記構造式で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂が用いられるが、電子写真感光体に使用できる従前公知の他の樹脂を併用しても構わない。但し、本発明の効果を充分に得るためには、全バインダー樹脂の重量に対する、上記構造式で表される繰り返し単位の重量比率が1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上であって、特には5重量%以上である。
併用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチルビニルエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。またこれらの樹脂は、本発明の樹脂と併用する際、単独でも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
積層型感光体の電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂と本発明に係る式(1)で表される化合物を少なくとも含む電荷輸送材料との割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送材料が20重量部以上であり、残留電位の低減化の観点からは、電荷輸送材料が30重量部以上であることが好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性や電荷移動度の観点からは、電荷輸送材料が40重量部以上であることがより好ましい。また、一方で、感光層の熱安定性の観点からは、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送材料が150重量部以下であることが好ましく、さらに電荷輸送材料とバインダー樹脂の相溶性の観点からは、電荷輸送材料が120重量部以下であることが好ましく、さらに耐刷性の観点からは、電荷輸送材料が100重量部以下であることがより好ましく、さらに耐傷性の観点からは、電荷輸送材料が80重量部以下であることがとりわけ好ましい。
順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5μm以上50μm以下の範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、10μm以上45μm以下の範囲で好ましく使用され、高解像度の観点からは、10μm以上30μm以下の範囲で好ましく使用される。
なお、電荷輸送層には、成膜性、可とう性、塗布性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等の添加物を含有させてもよい。
また、電荷輸送層には、電子吸引性化合物を含有させてもよい。電子吸引性化合物としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができるが、例えば、クロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3’,5,5’−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(単層型感光層)
単層型感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料(本発明に係る式(1)で表される化合物)に加えて、積層型感光層の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生材料、電荷輸送材料、及び各種バインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送材料及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光層の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送材料及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生材料が分散される。
電荷発生材料は、積層型感光層の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光層の場合、電荷発生材料の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
単層型感光層内に分散される電荷発生材料の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生材料との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生材料が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
(添加材)
積層型感光層、単層型感光層ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加剤を含有させてもよい。
例えば、電荷輸送層に使用される添加剤の例としては、成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために使用される周知の可塑剤や架橋剤、酸化防止剤、安定剤、増感剤、塗布性を改善するための各種レベリング剤、分散補助剤等の添加剤が挙げられる。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレン等の芳香族化合物等が挙げられ、レベリング剤としては、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また、染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコーンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
<表面層>
積層型感光層、単層型感光層ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減したりする目的で、保護層を設けてもよい。保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報や特開平10−252377号公報に記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いて形成することができる。保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報や特開平10−252377号公報に記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記バインダー樹脂の共重合体を用いることもできる。
上記の保護層は、電気抵抗が10Ω・cm以上1014Ω・cm以下の範囲となるように構成することが好ましく。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇してカブリの多い画像となってしまい、一方、電気抵抗が10Ω・cmより低くなると画像のボケや解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は、像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や摩耗を低減したり、感光体から転写ベルト又は紙へのトナーの転写効率を高めたりする等の目的で、感光体の表面層が、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる材料を溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて得られた塗布液を、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。この際用いる溶媒又は分散媒の種類や使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光層の場合、及び、積層型感光層の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
また、積層型感光層の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
さらに、塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なってもよい。
[画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、本発明の画像形成装置は、上述した本発明に係る電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置等がよく用いられる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば、波長が700nm〜850nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長300nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行なえばよい。
特に、電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を使用する電子写真感光体の場合には、波長700nm〜850nmの単色光を用いることが好ましい。一方、電荷発生材料としてアゾ顔料を用いる電子写真感光体の場合には、波長700nm以下の単色光を用いることが好ましく、さらに波長500nm以下の単色光を光入力用光源としても充分な感度を有するため、波長300nm〜500nmの単色光を光入力用光源として好ましく用いることができる。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等が公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された画像形成装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
[画像形成装置用プロセスカートリッジ]
本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジ(感光体カートリッジ又はカートリッジともいう。)は、上述した本発明に係る電子写真感光体を備えるものであり、具体的には、電子写真感光体1と帯電装置(帯電部)2の両方を備えたカートリッジとして、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計することができる。また、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを構成してもよいし、電子写真感光体1、帯電装置(帯電部)2、露光装置(露光部)3、現像装置(現像部)4、転写装置(転写部)5、クリーニング装置(クリーニング部)6及び定着装置(定着部)7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせた一体型のカートリッジを構成してもよい。こうして構成したカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、上述したトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。
以上説明したように、本発明に係る式(1)で表される特定構造のアミン系化合物を電荷輸送材料として含有するので、トナーを感光体表面から被転写媒体に転写させるための正電位を印加した場合であっても、感光体の劣化が起き難く、さらに短波長から長波長に亘る広い波長域の光を光入力用光源とした場合でも好適な電気特性(感度等)を有するという効果を奏する。さらに、本発明の電子写真感光体によれば、使用開始時はもちろんのこと、繰り返し使用により感光体が正の転写電位を繰り返し受けた場合であっても、その正電位印加の影響による感光体の劣化が生じ難いので、露光電位の上昇が抑制されて良好な画像を形成することができる。その結果、近年のデジタル的な画像形成に好適に用いることができ、特に高速の複写機やカラープリンターに好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:例示化合物1の合成)
Figure 2008083105
上記式で表される化合物10gをジメチルホルムアミド40mlに溶解させ、該溶液に40℃まで加熱したオキシ塩化リン8.9gを滴下した。反応液を70℃±5℃に保ちながら、3時間撹拌した。40℃まで放冷した後、この反応液をNaOH水溶液(水100ml、氷50g、NaOH10g)中に少しずつ放出した。この溶液を2時間撹拌した後にろ過し、得られた固体を水10mlで2回懸濁洗浄した後、メタノール30mlで懸濁洗浄し、下記構造式で表される黄色固体のビスホルミル化合物8.8gを得た。
Figure 2008083105
得られたビスホルミル化合物4gとシンナミルトリフェニルホスホニウムブロミド9.6gをテトラヒドロフラン50mlに溶解した。該溶液を20℃±5℃に保ちながら、ナトリウムメチラート1.7gを添加した。この溶液を2時間撹拌した後、反応液に水30mlを加え、該溶液を、シリカゲルを固定相としトルエンを移動相としたカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた淡黄色油状物を再結晶し、目的とする黄色固体3g(例示化合物1)を得た。
(合成例2:例示化合物7の合成)
2−メチル−4−メトキシアニリン6.5g、1−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−1,3−ブタジエン24g、ナトリウムターシャリーブトキシド11.5g及びo−キシレン100mlを、攪拌機、温度計、留出管付凝縮器を装着した200mlガラス製丸底フラスコに入れた。酢酸パラジウム0.045gとシクロヘキシルホスフィン0.224gを窒素ガス気流下で前記丸底フラスコに添加し、窒素ガス気流下で130℃に昇温し、130℃±10℃で2時間保持した。反応物をトルエン150mlで抽出した後、不溶物をろ過により分離し、得られたトルエン溶液を濃縮して褐色の油状物を得た。次いで、該褐色の油状物を、シリカゲルを固定相としトルエンを移動相としたカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた淡黄色油状物を再結晶し、目的とする黄色固体9.6g(例示化合物7)を得た。
(合成例3:例示化合物13の合成)
前記例示化合物7の合成において、2−メチル−4−メトキシアニリンを用いる代わりに、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−N−(4−メチルフェニル)アニリンを使用する以外は、例示化合物7の合成と同様にして黄色固体を得た。得られた黄色固体をトルエンに溶解させ、該溶液を活性炭と活性白土により精製処理を一回ずつ行い、得られた淡黄色油状物を再結晶し、目的とする黄色固体9.1g(例示化合物13)を得た。
(合成例4:例示化合物4の合成)
前記例示化合物1の合成において、シンナミルトリフェニルホスホニウムブロミドを用いる代わりに、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを使用する以外は、例示化合物1の合成と同様にして、目的とする黄色固体3.2g(例示化合物4)を得た。
(実施例1)
下引き層用分散液は、次のようにして作製した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 2008083105
この分散液を、外径30mm、長さ260mm、厚さ0.8mmのアルミニウム製シリンダー上に浸漬塗布方法により塗布し、乾燥後の膜厚が1μmとなるように下引き層を設けた。
次に、電荷発生材料として、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作製した。こうして得られた160重量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名:#6000C)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部に加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。この分散液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、合成例1により合成された例示化合物1を50重量部、バインダー樹脂として下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(PC−1)100重量部、
Figure 2008083105
及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒640重量部に溶解させた液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が26μmとなるように浸漬塗布し、感光体ドラムE1を得た。使用した例示化合物1において、X及びXの窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、69%がシス体であり、31%がトランス体であった。
(実施例2)
実施例1で用いた例示化合物1の代わりに、合成例2により合成された例示化合物7を使用する以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムE2を得た。使用した例示化合物7において、X及びXの窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、5%がシス体であり、95%がトランス体であった。
(実施例3)
実施例1で用いた例示化合物1の代わりに、合成例3により合成された例示化合物13を使用する以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムE3を得た。使用した例示化合物13において、Xの窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、15%がシス体であり、85%がトランス体であった。
(実施例4)
実施例1で用いた例示化合物50部の代わりに、例示化合物1を25部、及び、例示化合物7を25部使用する以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムE4を得た。使用した例示化合物1,7の異性体は、それぞれ前記と同様であった。
(実施例5)
実施例1で用いた例示化合物1の代わりに、合成例4により合成された例示化合物4を使用する以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムE5を得た。使用した例示化合物4において、X及びXの窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、8%がシス体であり、92%がトランス体であった。
(比較例1)
実施例1において用いた例示化合物1を使用することなく、下記化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムP1を得た。使用した例示化合物において、実施例1と同様に、窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、66%がシス体であり、34%がトランス体であった。
Figure 2008083105
(比較例2)
実施例1において用いた例示化合物1を使用することなく、下記化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムP2を得たが、乾燥後、感光体が白化し、固体が析出していることがわかった。使用した例示化合物において、実施例2と同様にして、窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、6%がシス体であり、94%がトランス体であった。
Figure 2008083105
(比較例3)
実施例1において用いた例示化合物1を使用することなく、下記化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムP3を得た。
Figure 2008083105
(比較例4)
実施例1において用いた例示化合物1を使用することなく、下記化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムP4を得た。使用した例示化合物において、実施例2と同様に、窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、3%がシス体であり、97%がトランス体であった。
Figure 2008083105
(比較例5)
実施例1において用いた例示化合物1を使用することなく、下記化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムP5を得ようとしたが、溶解性が悪く、感光体の製造に至らなかった。使用した例示化合物において、実施例2と同様に、窒素原子に近い二重結合部位の幾何異性体を、HPLCとH−NMRにて調べたところ、3%がシス体であり、97%がトランス体であった。
Figure 2008083105
(電気特性の評価)
作製した感光体ドラムE1〜E5及びP1〜P4を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、1996年発行、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。感光体ドラムE1〜E5及びP1〜P4の初期表面電位がマイナス700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位がマイナス350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm)。また、該露光光を1.0μJ/cmの強度で照射したときの100ms後の露光後表面電位(VL1)を測定した(−V)。
さらに、上記プロセスの電位測定と除電の間に、転写をシミュレートする目的で、プラス極性のコロトロン帯電器を装着した。1サイクル/秒のスピードでドラムを回転させ、除電光はオフとし、マイナス、プラスの帯電のサイクルを4000回繰り返した。その後、再び除電光をオンし、VL1と同様にして露光後表面電位(VL2)を測定した(−V)。ここで、マイナス帯電はスコロトロンで初期表面電位をマイナス700Vに帯電させる条件とし、プラス帯電は出力一定7kVでコロトロン帯電とした。ΔVL=VL2−VL1を計測することで、プラス帯電の繰り返しが電子写真感光体特性に与える影響の大きさを評価した。
また、得られた感光体ドラムE1〜E5及びP1〜P4を、780nmの半導体レーザーで書き込み露光される、A4毎分33枚出力のモノクロページプリンタ(ヒューレットパッカード社製「LaserJet4200」)のドラムカートリッジに搭載し、取り付けた後にハーフトーンのベタ画像をプリントアウトし、画像形成評価試験を行なった。出力画像においては、感光体に対して高い品質を要求するリサイクルトナー使用時に於いて顕著に差が見られるため、画像出力には市場から購入したリサイクルトナーを使用した。続けて、5%印字画像を10,000枚プリントアウトした後のハーフトーン画像についても評価した。以上の結果をまとめて下記表1に示す。
Figure 2008083105
これらの結果から、実施例1〜5の感光体ドラムE1〜E5は、比較例1〜4の感光体ドラムP1〜P4に比較して、プラス帯電の繰り返しの影響を受け難く、安定した特性が得られることがわかる。この結果は、本発明に係るアミン化合物を感光体用の電荷輸送材料として用いれば、静電潜像を現像したトナーを感光体表面から被転写媒体に転写させるために7kVという大きなプラス帯電を繰り返し与えた場合であっても、実施例のΔVLは比較例のΔVLに比べて大きくなく、感光体がプラス帯電の繰り返しの影響を受け難いことを示している。本発明の感光体は、繰り返し使用して転写プロセスの影響を長く受けた場合であっても、画像欠陥が発生することが無いことを示している。
また、比較例2、比較例5、実施例2を比較してもわかる通り、本発明に係る式(1)で表される化合物は、塗布液に対する溶解性に優れているので、その塗布液で形成された感光層中に均一に分散され、その結果、局所的な画像欠陥の発生等が抑制され、繰返し特性にも優れる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いられるオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
符号の説明
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置(転写部)
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置(定着部)
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2008083105
    (式(1)中、ArないしArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、XないしXは、それぞれ独立に、下記式(2)を表す。但し、Arは、少なくとも一つ以上のアルコキシ基と少なくとも一つ以上のアルキル基を置換基として有する。
    Figure 2008083105
    式(2)中、RないしRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基である。n1ないしn2は、0又は1の整数を表し、n3は、0ないし3の整数を表す。但し、n3が0のときは、n2は1である。)
  2. ArないしArが、置換基を有していてもよいベンゼン残基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. Arが、アルコキシ基とアルキル基を置換基として有するアリール基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. Arが、2−メチル−4−メトキシフェニル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置と、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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