JP5353083B2 - 電子写真感光体および該感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を組合せることにより高感度の感光体が得られること、材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから、感光体の主流になっている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間に様々なストレスを受け劣化する。この様な劣化としては例えば帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージや、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解する等による化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化として、クリーニングブレード、磁気ブラシ等の摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷はコピー画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
本発明は、特定の繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂を含有する感光層を有する電子写真感光体、および前記電子写真感光体を用いる画像形成装置に係るものである。
式(1)中のR1はアルキル基を表すが、アルキル基であれば特に制限は無く、直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等があげられる。中でもポリカーボネート樹脂の合成が容易である、電気特性を良好なものにする、感光層を溶媒に溶解した塗布液を塗布することにより形成する場合に塗布液の溶解性と安定性を高める等の理由により、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、特にはメチル基が好ましい。
これらの置換基の中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であって、特にはメチル基が好ましい。
式(2)中、Zは炭素数6以下の置換基を有してもよいシクロアルキリデン基を表す。シクロアルキリデン基の例としては、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデンが挙げられ、製造上の点からシクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基が好ましく、耐磨耗性の点からシクロヘキシリデン基がより好ましい。
Ar1及びAr2の有してもよい置換基の数は、それぞれ1〜4であるが、ポリカーボネート樹脂の合成が容易である、電気特性を良好なものにする、感光層の耐摩耗性を高める、感光層を溶媒に溶解した塗布液を塗布することにより形成する場合に塗布液の溶解性と安定性を高める等の理由により、置換基は2以下が好ましく、より好ましくは置換基の数は1以下である。
また実質的に本発明のポリカーボネート樹脂の特性を変えない範囲で、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリケトン、ポリビニル重合体、ポリシロキサン等の他の樹脂を混合しても良い。
他の繰り返し構造を含む場合及び他の樹脂を混合する場合は、式(1)及び(2)の繰り返し構造が主成分であることが好ましい。
具体的には、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等の不活性溶媒存在下、上記フェノール系化合物に酸受容体としてアルカリ水溶液あるいはピリジン等を加え、ホスゲンを導入しながら反応させる。
(イ)二種以上のフェノール系化合物を最初に同時にホスゲンと反応させて共重合する。(ロ)先ず一種のフェノール系化合物をホスゲンと反応させ、ある程度反応が進んでから他方のフェノール系化合物を加えて重合する。
(ハ)フェノール系化合物を別々にホスゲンと反応させてオリゴマーを製造し、それらを反応させて重合する。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の分子鎖中に取り込まれた窒素量は、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下であり、特に好ましくは20ppm以下である。窒素含量が上記範囲を超えると表面電位の上昇等電気特性が悪くなり好ましくない。樹脂中の窒素含有量は(株)三菱化学製、全窒素分析計(TN−10)により測定できる。
同様に、ポリカーボネート樹脂の末端に存在するOH基量は通常制限は無いが、好ましくは50μeq/g以下、特に好ましくは10μeq/g以下である。末端OH基量が多くなると表面電位の上昇等電気特性が悪くなる傾向が見られ好ましくない。末端OH基量は、酢酸酸性化で四塩化チタンにより発色させ、480nmの波長の吸光度を測定したのち、別途ポリカーボネート樹脂と同組成のビスフェノール化合物の粗製物の塩化メチレン溶液を用い吸光係数を求め、樹脂中のOH基量を定量することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体(基体)上に感光層を設けたものであれば、その構造は特に制限されない。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いても良い。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質を20重量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150重量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から110重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70重量部以下が最も好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、本実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置10は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が3〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト状の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置10は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体1に露光を行なうことで電子写真感光体1の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下、適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置10本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置10本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置10本体に装着することにより、画像形成装置10の保守・管理が容易となる。
以下、本実施例で用いるポリカーボネート樹脂の製造例を説明する。なお、本発明が適用される電子写真感光体に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法は、以下の製造例における製造法に限定されるものではない。
・オリゴマー1の製造
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン100部(0.373mol)、水酸化ナトリウム52.2部(1.305mol)、水848部、ハイドロサルファイトナトリウム0.4部、塩化メチレン485部(370ml)の混合物を撹拌機付き反応槽に仕込み、撹拌した。反応槽の温度を0〜10℃の間に保ち、これにホスゲン112部(1.131mol)を約6時間で吹き込み反応を行った。反応終了後ポリカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液のみを捕集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度(注1):18.8重量%
末端クロロホーメート基濃度(注2):0.470規定
末端フェノール性水酸基濃度(注3):0.009規定
(注1):溶液を蒸発乾固させて測定した。
(注2):アニリンと反応させて得られるアニリン塩酸塩を0.2規定水酸化ナ
トリウム水溶液で中和滴定した。
(注3):塩化メチレン、四塩化チタン、酢酸溶液に溶解させた時の発色を
546nmで比色定量した。
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン100部(0.413mol)、水酸化ナトリウム39.6部(0.991mol)、水568部、ハイドロサルファイトナトリウム0.284部、塩化メチレン446部(340ml)の混合物を撹拌機付き反応槽に仕込み、撹拌した。反応槽の温度を0〜10℃の間に保ち、これにホスゲン100.0部(1.01mol)を約5時間で吹き込み反応を行った。反応終了後ポリカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液のみを捕集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度:18.6重量%
末端クロロホーメート基濃度:0.610規定
末端フェノール性水酸基濃度:0.360規定
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン100部(0.345mol)、水酸化ナトリウム45.6部(1.14mol)、水668部、ハイドロサルファイトナトリウム0.335部、塩化メチレン432部(328ml)の混合物を撹拌機付き反応槽に仕込み、撹拌した。反応槽の温度を0〜10℃の間に保ち、これにホスゲン91.7部(0.926mol)を約5時間で吹き込み反応を行った。反応終了後ポリカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液のみを捕集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度:22.4重量%
末端クロロホーメート基濃度:0.322規定
末端フェノール性水酸基濃度:0.012規定
製造例1:構造式[A]で示されるポリカーボネート樹脂の製造
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.18g)を脱塩水(136.9ml)で溶解し、次いで1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン (16.66g)、及びp−ターシャリーブチルフェノール(0.60g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー1(362.80ml)、ジクロロメタン(138ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して下記構造式[A]で示されるポリカーボネート樹脂を78g得た。粘度均分子量は40,600であり、末端OH基量3.0μeq/g、末端クロロホーメート基(以下末端CF基ということがある)量0.04μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(17.31g)を脱塩水(142.2ml)で溶解し、次いでp−ターシャリーブチルフェノール(0.74g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー1(232.72ml)、オリゴマー2(216.99ml)、ジクロロメタン(67ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
4時間撹拌を続けた後、脱塩水860mlを添加、次いでジクロロメタン437mlを添加して30分撹拌を続けた後、停止した。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して下記構造式[B]で示されるポリカーボネート樹脂を80.3g得た。粘度均分子量は40,500であり、末端OH基量2.6μeq/g、末端CF基量0.003μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(11.00g)を脱塩水(138.3ml)で溶解し、次いで1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(6.62g)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(5.97g)、p−ターシャリーブチルフェノール(0.91g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー1(199.80ml)、オリゴマー2(186.30ml)、ジクロロメタン(118.7ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して目的の構造式[C]で示されるポリカーボネート樹脂を76.5g得た。粘度平均分子量は33,200であり、末端OH基量6.3μeq/g、末端CF基量0.006μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(17.37g)を脱塩水(142.26ml)で溶解し、次いでp−ターシャリーブチルフェノール(0.61g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー1(233.03ml)、オリゴマー2(217.28ml)、ジクロロメタン(66.5ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して下記構造式[D]で示されるポリカーボネート樹脂を67.4g得た。粘度平均分子量は50,100であり、末端OH基量3.7μeq/g、末端CF基量0.003μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.04g)を脱塩水(136.53ml)で溶解し、次いで1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(18.13g)、p−ターシャリーブチルフェノール(0.58g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー1(356.45ml)、ジクロロメタン(143.13ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して目的の構造式[E]で示されるポリカーボネート樹脂を78.9g得た。粘度平均分子量は40,000であり、末端OH基量3.2μeq/g、末端CF基量0.014μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(13.34g)を脱塩水(141.59ml)で溶解し、次いでp−ターシャリーブチルフェノール(0.82g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー2(454.49ml)、ジクロロメタン(62.6ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して下記構造式[F]で示されるポリカーボネート樹脂を79.1g得た。粘度平均分子量は42,700であり、末端OH基量4.9μeq/g、末端CF基量0.03μeq/gであった。
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(16.78g)を脱塩水(142.4ml)で溶解し、次いでp−ターシャリーブチルフェノール(0.87g)を添加、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したオリゴマー2(216.82ml)、オリゴマー3(186.87ml)、ジクロロメタン(111.1ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液とトリエチルアミンの2重量%溶液(5.41ml)とを順次添加し、脱塩水30mlにて洗い込みして重合反応を開始した。
攪拌停止後、30分静置してから有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(954ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(954ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(954ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層を5倍(体積)量のメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、減圧乾燥(120℃、40時間)して目的の構造式[G]で示されるポリカーボネート樹脂を75.8g得た。粘度平均分子量は40,000であり、末端OH基量7.7μeq/g、末端CF基量0.004μeq/gであった。
[感光体ドラムの作製]
オキシチタニウムフタロシアニン10部を1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を調製した。尚、このオキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すものであった。
粘度平均分子量は以下の方法により測定した。
試料を塩化メチレンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(塩化メチレン)の流下時間t0 が136.21秒のウベローデ型毛管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0 −1
b=100×ηsp/C C =6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
末端OH基量は、以下の方法で測定した。
約0.2gのポリカーボネート樹脂を精秤し塩化メチレン10mLに溶解した。これに5%酢酸/塩化メチレン溶液を5mL加え、更に四塩化チタン溶液(*1)10mLを添加して発色させたのち、全液量を25mLに調整した。この溶液の波長480nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定した(*1:塩化メチレン450mL、5%酢酸/塩化メチレン溶液5mL、四塩化チタン12.5mLの混合溶液)。更に、別途、測定しようとするポリカーボネート樹脂と同組成のビスフェノール化合物の粗製物の塩化メチレン溶液における波長480nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定して吸光係数を求め、目的とするポリカーボネート樹脂中のOH基量を定量した。
末端CF基量は、以下の方法で測定した。
約1gのポリカーボネート樹脂を精秤し、塩化メチレン20mLを加え溶解した。これに4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1重量%塩化メチレン溶液を2mL加え発色させたのち、全液量を25mLに調整した。この溶液の波長440nmに置ける吸光度を、分光光度計を用いて測定した。更に、別途、フェニルクロロホーメートの塩化メチレン溶液における波長440nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定して吸光係数を求め、目的とするポリカーボネート樹脂中のCF基量を定量した。
作製した感光体ドラムを、市販のカラーレーザプリンター(エプソン社製 LP3000C)に装着し、常温常湿環境下において、モノクロ(黒)モードで24,000枚の画像形成を行い、画像形成前の感光層の膜厚と、24,000枚画像形成後の感光層膜厚とを測定し、画像形成10,000枚あたりの膜減り量を計算した。膜減り量が少ないほど、耐刷性が良好である(単位:μm)。結果を表3に示す。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、前記構造式[B]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が40,500、末端OH基量2.6μeq/g、末端CF基量0.003μeq/gである樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、前記構造式[C]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が33,200、末端OH基量6.3μeq/g、末端CF基量0.006μeq/gである樹脂を用いた以外は実施例1と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、前記構造式[D]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が50,100、末端OH基量3.7μeq/g、末端CF基量0.003μeq/gである樹脂を用いた以外は実施例1と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、前記構造式[E]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が40,000、末端OH基量3.2μeq/g、末端CF基量0.014μeq/gである樹脂を用いた以外は実施例1と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、下記構造式[F]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が42,700、末端OH基量4.9μeq/g、末端CF基量0.03μeq/gである樹脂を用いた以外は実施例1と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
実施例1において用いた前記構造式[A]で表される粘度平均分子量40,600の樹脂の代わりに、前記構造式[G]で表され、分子量調節剤としてp−ターシャリーブチルフェノールを用いた、粘度平均分子量が40,000、末端OH基量7.7μeq/g、末端CF基量0.004μeq/gである樹脂を用いた以外は実施例1と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表3に示した。
[感光体ドラムの作製]
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン株式会社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機(株式会社カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を調製した。
表面が粗切削(Rmax=0.8μm)された外径30mm、長さ254mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。このシリンダーを先に調製した電荷発生層用分散液βに浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m2(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、実施例1で作製した電荷輸送層形成用塗布液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。
作製した感光体を市販のモノクロレーザプリンター(レックスマーク社製、Optra S2450、A4縦送りで24枚/分、DC印加のローラ帯電、ローラ転写)に装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表4に示す。
実施例5において用いた電荷輸送層形成用塗布液の代わりに、実施例2で作製した電荷輸送層形成用塗布液を用いた以外は実施例5と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表4に示す。
実施例5において用いた電荷輸送層形成用塗布液の代わりに、実施例3で作製した電荷輸送層形成用塗布液を用いた以外は実施例5と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表4に示す。
実施例5において用いた電荷輸送層形成用塗布液の代わりに、実施例4で作製した電荷輸送層形成用塗布液を用いた以外は実施例5と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表4に示す。
実施例5において用いた電荷輸送層形成用塗布液の代わりに、比較例3で作製した電荷輸送層形成用塗布液を用いた以外は実施例5と同様に感光体を製造し、耐刷試験を行い、結果を表4に示す。
Claims (3)
- 前記式(2)において、Ar1及びAr2がp−フェニレン基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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