JP6160370B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及びトリアリールアミン化合物 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及びトリアリールアミン化合物 Download PDF

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本発明は、優れた電気特性および機械特性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作製した電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置に関する。さらに本発明は、前記電子写真感光体に有用な、トリアリールアミン化合物に関する。
電子写真技術は、即時的に高品質の画像が得られることなどから、複写機、プリンター、印刷機等に対して広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という。)については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が、広く使用されている。
近年、高画質化の要求により、トナーの小径化が進み、中でもケミカルトナーにおいては形状が球に近い形態となることが多いため、感光体上に残ったトナーをブレードによりクリーニングする際にすり抜けが発生し易く、その結果地汚れ等の画像欠陥となる可能性が高くなっている。そのため、クリーニングブレードを強い圧力で感光体に当接し、トナーのすり抜けを防止する等の対策が取られることが多くなっている。
クリーニングブレードの感光体への当接圧が大きくなると、ブレードが感光体最表面とくっつき/滑りを繰り返す、いわゆるスティック・スリップ現象によるビビリを生じ、その結果、クリーニング不良や、異音を発生するリスクが高くなる。また、トナー成分である外添剤やトナーキャリアがクリーニングブレードにニップ部を介して感光体に強く押し当てられた状態で回転することにより、感光層の摩耗の増大による感光体寿命の低下や、周方向傷の発生による画像欠陥も発生し易くなる。また、感光体表面にトナーの成分である外添剤やワックス等が固着し、除去が困難になる、いわゆるフィルミング現象も発生し易くなり、持続的な画像欠陥となるリスクも高くなってくる。
このように、感光体に対して、より厳しい使用条件下でもフィルミングに起因する画像欠陥や異音、寿命の低減を最小限にするような表面機械物性を有することが求められる。フィルミングのような表面機械物性を改良する手段としては、感光体の最表層に保護層を設けることで表面機械物性を改良する方法が検討されているものの、生産性が低下し、コスト高となるため、一部のハイエンド機用途以外は、適用が難しいケースが多い。
一方で、電子写真装置の小型化、高速化の流れによって感光体が小径化され、一層の電気的な応答性向上(露光後の感光体の表面電位の素早い低減)が求められている。それら特性を満たす電子写真感光体を提供するために、高移動度かつ露光時に十分低い残留電位を示す高機能な電荷輸送物質の開発が必要となっている。そして、それら課題を解決するためにトリフェニルアミン骨格やテトラフェニルベンジジン骨格にスチリル基等でπ電子系を拡張させた電荷輸送物質の検討が多数なされている(特許文献1〜6)。
なお、有機系材料を用いた電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂などを塗布溶剤に溶解させ、得られた塗布液を塗布、乾燥することで得られる。この電子写真感光体を製造する際に電荷輸送物質に求められる点としては、塗布液製造時に用いる塗布溶剤に対する溶解性、バインダー樹脂に対する相溶性である。当該溶解性、相溶性が低いと、塗布溶剤に所望する電荷輸送物質の量を溶解させることが出来なかったり、電荷輸送物質を溶解させ塗布液製造後に析出等の塗布液の劣化を起こし易く、また、感光層を塗布後に塗布膜中で結晶が析出する等して、塗布液・感光体の製造効率の低下を招くことがある。
一般的に分子内でπ電子系を拡張させた化合物は、分子サイズが大きくなるに従い分子間相互作用が大きくなり、溶解性が低下していく傾向にある。前述のテトラフェニルベンジジン骨格は分子サイズが大きく溶解性が低い傾向にあり、このテトラフェニルベンジジン骨格にスチリル基等を置換させ、分子内でπ電子系を拡張させると、更に分子サイズが大きくなり塗布溶剤に対しての溶解性が更に低くなる。そこで先述した報告の中には、溶解性を確保するために、幾何異性体混合物として取り扱うなどの工夫がなされている(特許文献6)。
特開平7−36203号公報 特開2006−8670号公報 特開平6−118674号公報 特許2940502号公報 特開2008−70591号公報 特開2002−80432号公報
上記のように、電荷移動度の速い公知の電荷輸送材料を使用しても、その多くは応答性に優れるものの、残留電位の低下が不十分であった。そのためバインダー樹脂に対して相対的に多くの量を使用する必要が有り、その結果、耐摩耗性の観点から劣ることが多かった。
一方、発明者らの検討によれば、例えば特許文献4に記載されているような電荷輸送材料の骨格は、残留電位が十分低かったが、高速プロセスにおいて、フィルミングや摩耗に対する耐久性等の十分な特性を有するものではなかった。更に、画像メモリー性、保存安定性に劣り、高速プロセスにおいては、結晶化や傷による微小な欠陥などが大きく影響するために残留電位、応答性が良好であっても、使用できないケースもあった。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、高速応答性と、十分低い露光部電位を示し、転写メモリーが良好で、保存安定性に優れるトリアリールアミン化合物を提供することにある。また、高速プロセスにおいても機械物性面で、フィルミングやクリーニング不良を起こし難く、耐摩耗性に優れ、かつ高い電気特性を示す電子写真感光体、電子写真カートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、高速応答性及び十分低い露光部電位を示し、転写メモリーが良好で、保存安定性に優れるトリアリールアミン化合物を見出した。また、電子写真感光体の感光層中に、前記特定構造を有する前記トリアリールアミン化合物を含有させることにより、露光時に十分低い残留電位を示しつつ、耐刷時にフィルミング又は摩耗による画像欠陥の起こりにくい機械特性面での良好な性能を発現できる電子写真感光体を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は下記の<1>〜<9>に存する。
<1>導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、式(1)で表される電荷輸送物質を含有する、電子写真感光体。
Figure 0006160370
(式(1)中、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、m及びnはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m又はnが2以上である場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
<2>前記感光層が、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも24.1°及び27.2°に回折ピークを示す結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する、前記<1>に記載の電子写真感光体。<3>前記感光層が、さらにポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>前記感光層が、電荷輸送層及び電荷発生層を有し、前記電荷輸送層が前記式(1)で表される電荷輸送物質、並びに、式(α)の構造単位を有するポリアリレート樹脂及び式(β)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の電子写真感光体。
Figure 0006160370
(式(α)中、Ar10〜Ar13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す。vは0以上2以下の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す。)
Figure 0006160370
(式(β)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、前記R及びRは結合して環を形成しても良い。R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、j及びkはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。Wは、単結合、酸素原子又は−CR1112−を表し、前記R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表す。t及びuはそれぞれ独立して0〜100の数字を表す。但し
、tとuで表されるユニットは異なる構造をとり、t=u=0になる場合はない。)
<5>前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1の装置とを備える、電子写真感光体カートリッジ。
<6>前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像する現像装置を備える、画像形成装置。
<7>式(1)で表される化合物。
Figure 0006160370
(式(1)中、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、m及びnはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m又はnが2以上である場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
<8>前記式(1)中、Arは炭素数8以下のアルコキシ基を有する、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、1,4−フェニレン基、R〜Rは水素原子、m及びnは共に1である、前記<7>に記載の化合物。
<9>前記式(1)中、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基、Ar〜Arは1,4−フェニレン基である、前記<8>に記載の化合物。
本発明は、保存安定性に優れ、電子写真感光体の電荷輸送物質として高い電気特性を示すトリアリールアミン化合物の提供を可能とする。また、フィルミングやクリーニング不良等を起こし難く、耐摩耗性に優れ、かつ電気特性面でも高速応答性、十分低い露光部電位を示し、更には転写メモリーにも優れ、保存安定性が良好な電子写真感光体、電子写真カートリッジ、画像形成装置の提供を可能とする。特に、バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂を用いた場合にフィルミングやクリーニング不良等を起こし難く、また、ポリカーボネートを用いた場合には耐摩耗性に優れた電子写真感光体等の提供を可能とする。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 図2は、実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。 図3は、製造例1で得られた電荷輸送物質CTM1のIRスペクトルである。 図4は、製造例2で得られた電荷輸送物質CTM2のIRスペクトルである。 図5は、製造例3で得られた電荷輸送物質CTM3のIRスペクトルである。 図6は、実施例の感光体の表面写真である。 図7は、比較例の感光体の表面写真である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
ここで、“重量%”、“重量部”及び“重量比”と、“質量%”、“質量部”及び“質量比”とは、それぞれ同義である。
<<電子写真感光体>>
<電荷輸送物質>
本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、下記式(1)で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 0006160370
(式(1)中、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、m及びnはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m又はnが2以上である場合、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
上記式(1)において、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表す。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。電荷輸送能力の観点から、フェニル基、ナフチル基が好ましく、原料汎用性の面から、フェニル基がより好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基;イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基;シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基;トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基等が挙げられる。
アラルキルオキシ基としてはベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
これら置換基の中でも電荷輸送能力の観点から、炭素数20以下のアルコキシ基が好ましく、原料汎用性の面から、炭素数12以下アルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体の特性の観点から、炭素数8以下のアルコキシ基が更に好ましい。
Arは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基以外にも置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的には、後述するAr〜Arが有していてもよい置換基と同じ置換基を挙げることができる。
Arが有していてもよい置換基を有する場合、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
Arは、相溶性および感光体の電気特性の観点から、窒素原子に対してオルト位またはパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、パラ位に置換基を有することがより好ましい。
Arはアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基といった酸素原子を含む置換基を有することにより、電子供与性となり、電荷が移動しやすくなる。また、極性が高くなることにより、分子同士の相互作用を適度に減らし、バインダー樹脂や塗布液との相溶性が高まることで、分散性が向上し、結晶化が抑制される。更に、隣接層との接着性にも寄与する。
上記式(1)においてAr〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表す。具体的にアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。電荷輸送能力の観点から、フェニル基、ナフチル基が好ましく、原料汎用性の面から、フェニル基がより好ましい。
Ar〜Arが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基;イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基;シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基;トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。
Ar〜Arがフェニル基である場合、電荷輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましい。
また、Ar〜Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2個以下が好ましく、より好ましくは置換基の数が1個以下である。
Ar〜Arは、相溶性及び感光体の電気特性の観点から、窒素原子に対してオルト位またはパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、パラ位に置換基を有することが好ましい。
Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。有していてもよい置換基としては、上記Ar〜Arが有していてもよい置換基と同様の置換基を挙げることができる。これらの中でも製造原料の汎用性から水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子又はメチル基がより好ましく、分子構造中にねじれが生じると、分子内でのπ共役拡張を妨げ、電子輸送能力が低下する可能性があることから、水素原子であることが更に好ましい。
上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。具体的にアルキル基としては、Ar〜Arが有していてもよいアルキル基として記載した基と同様の基が挙げられる。これらの中でも製造原料の汎用性から水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子又はメチル基がより好ましく、分子構造中にねじれが生じると、分子内でのπ共役拡張を妨げ、電子輸送能力が低下する可能性があることから、水素原子であることが更に好ましい。
m及びnはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m、nが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから、好ましくは2以下であり、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましく1である。
m及びnの少なくともいずれか一方が1の場合、エテニル基を表し、幾何異性体を有するが、電子写真感光体特性の面から、好ましくはトランス体構造が好ましい。m及びnの少なくともいずれか一方が2の場合、ブタジエニル基を表し、この場合も幾何異性体を有するが、塗布液保管安定性の面から、2種以上の幾何異性体混合物であることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、感光層に、式(1)で表される化合物を単一成分として含有するものでもよいし、式(1)で表される化合物の混合物として含有することも可能である。
前記式(1)で表される化合物の中でも、Arは炭素数8以下のアルコキシ基を有する、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、1,4−フェニレン基、R〜Rは水素原子、m及びnは共に1である化合物が製造原料の汎用性の点からより好ましい。
その中でも、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基であり、Ar〜Arは1,4−フェニレン基であることが好ましい。
また、感光体の電気特性の観点から、下記式(1a)で表される化合物が特に好ましい。式(1a)は、式(1)においてArは炭素数8以下のアルコキシ基を有する、フェニル基であり、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基であり、Ar〜Arはいずれも無置換の1,4−フェニレン基であり、R〜Rはいずれも水素原子であり、m及びnは共に1である。
Figure 0006160370
(式(1a)中、Rは炭素数8以下のアルコキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、水素原子を表す。)
以下に式(1)で表される化合物のうち、本発明の電子写真感光体における電荷輸送物質として好適な化合物の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
式中、Meはメチル基、Etはエチル基、tBuはターシャリーブチル基、nBuはノルマルブチル基をそれぞれ表す。
Figure 0006160370
Figure 0006160370
Figure 0006160370
Figure 0006160370
<本発明の電荷輸送物質の製造方法>
上記に例示した電荷輸送物質は、下記に記すスキームに従って製造することが可能である。
前記した化合物を例にすると、例えば、ホルミル基を有するトリフェニルアミン骨格を有する化合物を、トリフェニルアミン骨格を有するリン酸エステル化合物と反応させることにより製造することができる。(スキーム1)
Figure 0006160370
また、他の製造方法としては、下記のようなハロゲン原子を有するトリフェニルアミン誘導体とアニリン化合物とをカップリング反応を行うことによっても製造することが可能である。(スキーム2)
Figure 0006160370
前記化合物は、NMR、IR、マススペクトル等により同定できる。
電子写真感光体中の感光層には、通常、電荷輸送物質の他にバインダー樹脂が含まれる。感光層中のバインダー樹脂と式(1)で表される電荷輸送物質との割合は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常5質量部以上である。中でも、残留電位低減の観点から10質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から15質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐熱性の観点から90質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から80質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
<導電性支持体>
電子写真感光体を構成する導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。
導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すことが望ましい。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、または樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化
珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。
これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。また、画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<感光層>
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層は、上述した式(1)で表される電荷輸送物質を含有する層であり、その形式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料(本発明の電荷輸送物質を含む)とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散した単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送材料(本発明の電荷輸送物質を含む)がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層
を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という。)が挙げられるが、何れの形態であってもよい。
積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が好ましい。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属またはその酸化物;ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの;酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、金属フタロシアニンが好ましく、A型(別称β型)、B型(別称α型)、および粉末X線回折の回折角2θ(±0.2°)が27.2°に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、生産安定性の面から、オキシチタニウムフタロシアニンが更に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニン結晶の中でも、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が24.1°及び27.2°に主たる回折ピークを有する結晶であることが好ましい。他の回折ピークとしては26.2°付近にピークを有する結晶は分散時の結晶安定性に劣ることから、26.2°付近にはピークを有さな
いことが好ましい。なかでも、7.3°、9.6°、11.6°、14.2°、18.0°、24.1°及び27.2°、又は7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有する結晶が電子写真感光体として用いた場合の暗減衰、残留電位の観点からより好ましい。
本発明におけるCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルは以下の手法に基づき測定する。
(粉末XRD測定条件)
粉末のX線回折スペクトルを測定するための測定装置は、CuKα線を線源とした集中光学系の粉末X線回折計であるPANalytical社製のPW1700を使用した。測定条件は、X線出力40kV、30mA、走査範囲(2θ)3〜40°、スキャンステップ幅0.05°、走査速度3.0°/min、発散スリット1.0°、散乱スリット1.0°、受光スリット0.2mmとする。
また、該オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式[L]で表される塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの割合が、下記式[M]で表される無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で、0.070以下であるものである。また、好ましくはマススペクトル強度比が0.060以下であり、より好ましくは0.055以下である。製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、0.02以上が好ましく、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、0.03以下が好ましい。塩素置換量は、日本国特開2001−115054号公報の手法に基づいて測定する。
なお、式[L]及び[M]の下に記載されたm/zはマススペクトルで得られる質量、と電荷zの比を表す。
Figure 0006160370
本発明に好適なオキシチタニウムフタロシアニンであるCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有すオキシチタニウムフタロシアニンの前駆体となる低結晶性フタロシアニン、アモルファス性フタロシアニンの調製法としては、アシッドペースト法、アシッドスラリー法等の化学的処理法、粉砕、磨砕等の機械的処理法などの公知の調製法を用いることが可能である。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は、比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、或いは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物の単一ないしは結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
混晶状態を生じさせるためには、日本国特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
積層型感光層を構成する電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶媒に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調製し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒;ギ酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物;リグロイン等の鉱油;水等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。
電荷発生層の膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する虞がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招く虞がある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
[電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては、上述した式(1)で表される電荷輸送物質が好ましい。また、上述した式(1)で表される電荷輸送物質に加えて、公知の他の電荷輸送物質を併用してもよい。
他の電荷輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。
上述した式(1)で表される電荷輸送物質に加えて併用することの出来る電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0006160370
Figure 0006160370
本発明の電荷輸送物質の効果を発揮するためには、全電荷輸送物質に対する本発明の式(1)で表される電荷輸送物質の割合の下限が、通常10質量%以上であり、電子写真感光体の光減衰特性の面から、好ましくは30質量%以上であり、電子写真感光体の高速応答性の面から、より好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。上限は、通常100質量%以下であり、溶解性の面からは好ましくは90質量%以下であり、耐刷性の面からは好ましくは85質量%以下であり、フィルミング及び耐摩耗性の観点から好ましくは100質量%である。
バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。この中でも、電気特性の観点からポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点からより好ましい。すなわち、本発明における感光層がポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。
まず、ポリエステル樹脂について説明する。一般に、ポリエステル樹脂は、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合(縮合重合)させて得られる。
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、芳香族ビスフェノール等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
これらのポリエステル樹脂のうち、好ましいのは下記式(α)で示される構造単位を有する、全芳香族系のポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂)である。
Figure 0006160370
(式(α)中、Ar10〜Ar13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す。vは0以上2以下の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す)。
上記式(α)中、Ar10〜Ar13は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、好ましくは7以上であり、また、通常20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。炭素数が多すぎる場合、製造コストが高くなり、電気特性も悪化する恐れがある。
Ar10〜Ar13の具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。中でも電気特性の観点から、1,4−フェニレン基が好ましい。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、Ar10〜Ar13の有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、感光層用のバインダー樹脂とし
ての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
より詳しくは、Ar12及びAr13は、それぞれ独立して置換基の数が0以上2以下であることが好ましく、接着性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐摩耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar10及びAr11は、それぞれ独立して置換基の数が0以上2以下であることが好ましく、耐摩耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(α)において、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基である。アルキレン基としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンが好ましく、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
また、上記式(α)において、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基であって、中でも、Xは、酸素原子であることが好ましい。その際、vは0か1であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
vが1の場合に好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
vが0の場合のジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸残基、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸残基、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0006160370
次に、ポリカーボネート樹脂について説明する。一般に、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)や溶液法のような溶剤法で製造されたものや、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が、安価な製法として広く用いられている。ビスフェノール類としては、下記の化合物が好適に用いられる。なお、ポリカーボネート樹脂としては、一種のビスフェノール類からなるホモポリマーだけでなく、二種以上のビスフェノール類を共重合させて製造されるコポリマーも用いられる。
Figure 0006160370
上記のうち、好ましいのは下記式(β)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂である。
Figure 0006160370
(式(β)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アリール基又は炭素数1〜
10のアルキル基を表し、前記R及びRは結合して環を形成しても良い。R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、j及びkはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。Wは、単結合、酸素原子又は−CR1112−を表し、前記R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表す。t及びuはそれぞれ独立して0〜100の数字を表す。但し、tとuので表されるユニットは異なる構造をとり、t=u=0になる場合はない。)
〜R12が炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基の炭素数としては、好ましくは8以下であり、6以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖のアルキル基;イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基等の分岐のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基が挙げられるが、この中でも合成のしやすさの観点から、メチル基が特に好ましい。また、置換基が相互に結合して環を形成していても良い。
及びRがアリール基である場合、アリール基の炭素数としては、通常30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピレニル基等が挙げられ、合成のしやすさの観点からフェニル基又はナフチル基が好ましく、耐クラック性の観点からはナフチル基が特に好ましく、製造の容易さの観点からはフェニル基が特に好ましい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0006160370
本発明で用いられるバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、耐刷性の観点から更に好ましくは50,000以上である。また、その上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは120,000以下、塗布性の観点から、更に好ましくは100,000以下であることが望ましい。本発明の電荷輸送物質を用いる場合には、例えば70,000以上のような高い平均分子量の樹脂を用いても分散容易であり、高い電気特性が得られる。
なお、上記ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、上記したような他のバインダー樹脂を混合して使用しても良い。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を通常10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から60質量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更に好ましくは40μm以下の範囲であり、高解像度化の観点からは35μm以下が特に好適に用いられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質およびバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質およびバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となることがある。一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じることがある。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や摩耗を低減したり、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂や、これらの樹脂からなる粒子、シリカ、アルミナ等の無機化合物の粒子等を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶媒に溶解または分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒または分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類;アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせおよび種類で併用してもよい。
溶媒または分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。
また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。
また、塗布液の粘度は、使用時の温度において、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲
で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
<<画像形成装置>>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)等がよく用いられる。直接帯電装置の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電のいずれも可能である。また、帯電時に印加する電圧としては、直流電圧だけを用いることも、直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行って電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能となるように構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。
供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される
。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状や大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。
この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、電子写真感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71及び/又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。
上部及び下部の各定着部材71、72は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず電子写真感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4から選ばれる少なくとも1の装置と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成してもよい。この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」あるいは「重量部」を示す。
<式(1)で表される電荷輸送物質の製造>
(製造例1:CTM1)
下記式(CTM1)で表される構造式を有する電荷輸送物質を、下記スキームAに従って製造した。詳細条件は下記の通りである。
Figure 0006160370
キシレン100ml中に、トリフェニルアミン誘導体である化合物A 4.7gとp−フェネチジン0.69g、ナトリウムt−ブトキシド2.12g、酢酸パラジウム100mg、トリシクロヘキシルホスフィンの0.6mmol/mlトルエン溶液を4ml仕込み、還流が起こるまで昇温させた。昇温後、3時間撹拌し、反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで降温し、水50mlを添加し、30分撹拌した。撹拌後、水層を分離し、有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、目的物質である電荷輸送物質CTM1を3.2g得た(収率72.4%)。得られた化合物のIRスペクトルは図3の通りである。
(製造例2:CTM2)
製造例1で用いたp−フェネチジンを4−アニシジン0.62gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことにより、目的の電荷輸送物質である下記式(CTM2)で表される構造を有する電荷輸送物質を3.4g得た(収率78.2%)。得られた化合物のIRスペクトルは図4の通りである。
Figure 0006160370
(製造例3:CTM3)
下記式(CTM3)で表される構造を有する電荷輸送物質を、下記スキームBに従って製造した。詳細条件は下記の通りである。
Figure 0006160370
キシレン100ml中に、トリフェニルアミン誘導体である化合物B 3.0gとp−フェネチジン0.42g、ナトリウムt−ブトキシド1.3g、酢酸パラジウム100mg、トリシクロヘキシルホスフィンの0.6mmol/mlトルエン溶液を4ml仕込み、還流が起こるまで昇温させた。昇温後、4.5時間撹拌し、反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで降温し、水25mlを添加し、30分撹拌した。撹拌後、水層を分離し、有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、目的物質である電荷輸送物質CTM3を1.9g得た(収率67.9%)。得られた化合物のIRスペクトルは図5の通りである。
<電子写真感光体作製方法>
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着膜(厚み70nm)を形成した導電性支持体上を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μm以下となるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、下記式(A)で表されるε−カプロラクタム/下記式(B)で表されるビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/下記式(C)で表されるヘキサメチレンジアミン/下記式(D)で表されるデカメチレンジカルボン酸/下記式(E)で表されるオクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液を得た。
Figure 0006160370
<電荷発生層の形成>
電荷発生物質として、オキシチタニウムフタロシアニン結晶を用いた。使用したオキシチタニウムフタロシアニン結晶は、図2に示すようにCuKα特性X線に対するX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)に24.1°及び27.2°に主たる回折ピークを示す。このオキシチタニウムフタロシアニン結晶を20質量部用い、1,2−ジメトキシエタン280質量部と混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒
化分散処理を行って、微細化処理液を得た。
また、1,2−ジメトキシエタン253質量部及び4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85質量部の混合液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10質量部を溶解させて、バインダー液を調製した。
上述の微粒化分散処理により得られた微細化処理液、上述のバインダー液、及び1,2−ジメトキシエタン230質量部を混合して、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上に、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層の形成>
バインダー樹脂としては、以下に示す2,2−ビス(4―ヒドロキシ−3―メチルフェニル)プロパンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(PA)で表わされる単位)51モル%と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(PB)で表わされる単位)49モル%とからなり、p−t−ブチルフェノールに由来する末端構造を有するポリカーボネート樹脂(Mv=30,500)を用いた。そして、電荷輸送物質50質量部、バインダー樹脂100質量部、下記式(AOX1)の構造を有する酸化防止剤8質量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.03質量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(質量比8/2)混合溶媒640質量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。
Figure 0006160370
得られた電荷輸送層用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、積層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
以上の工程を得て、積層型感光層を有する電子写真感光体(感光体番号:感光体A〜I及び感光体RA〜RO)をそれぞれ製造した。各電子写真感光体に含まれる電荷輸送物質等の内訳を以下に示す。
(感光体A)
上記製造例1によって得られた下記構造式(CTM1)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体Aを上記手順に従って作製し、実施例1に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体B)
上記製造例2によって得られた下記構造式(CTM2)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体Bを上記手順に従って作製し、実施例2に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体C)
上記製造例3によって得られた下記構造式(CTM3)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体Cを上記手順に従って作製し、実施例3に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体RA)
日本国特開平9−292724号公報 実施例19で使用された、下記構造式(RCTM1)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体RAを上記手順に従って作製し、比較例1に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体RB)
日本国特開平9−292724号公報 実施例17で使用された、下記構造式(RCTM2)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体RBを上記手順に従って作製し、比較例2に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体RC)
日本国特開平9−292724号公報 実施例22に使用された、下記構造式(RCTM3)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体RCを上記手順に従って作製し、比較例3に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体RD)
日本国特開2008−70591号公報 製造例2と同様の操作で合成した下記構造式(RCTM4)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体RDを上記手順に従って作製し、比較例4に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体RE)
日本国特開2008−70591号公報 製造例1と同様の操作で合成した下記構造式(RCTM5)で表される化合物を有する電荷輸送物質を含む感光体REを上記手順に従って作製し、比較例5に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体D)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を下記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、感光体Dを製造し、実施例4に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体E)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、感光体Eを製造し、実施例5に係る電子写真感光体とした。
(感光体F)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、感光体Fを製造し、実施例6に係る電子写真感光体とした。
(感光体RF)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行うことにより、感光体RFを製造し、比較例6に係る電子写真感光体とした。
(感光体RG)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例2と同様の操作を行うことにより、感光体RGを製造し、比較例7に係る電子写真感光体とした。
(感光体RH)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行うことにより、感光体RHを製造し、比較例8に係る電子写真感光体とした。
(感光体RI)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例4と同様の操作を行うことにより、感光体RIを製造し、比較例9に係る電子写真感光体とした。
(感光体RJ)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例5と同様の操作を行うことにより、感光体RJを製造し、比較例10に係る電子写真感光体とした。
(感光体G)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を下記構造式(PD)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,200)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、感光体Gを製造し、実施例7に係る電子写真感光体とした。
Figure 0006160370
(感光体H)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PD)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,200)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、感光体Hを製造し、実施例8に係る電子写真感光体とした。
(感光体I)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PD)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,200)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、感光体Iを製造し、実施例9に係る電子写真感光体とした。
(感光体RK)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行うことにより、感光体RKを製造し、比較例11に係る電子写真感光体とした。
(感光体RL)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例2と同様の操作を行うことにより、感光体RLを製造し、比較例
12に係る電子写真感光体とした。
(感光体RM)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行うことにより、感光体RMを製造し、比較例13に係る電子写真感光体とした。
(感光体RN)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例4と同様の操作を行うことにより、感光体RNを製造し、比較例14に係る電子写真感光体とした。
(感光体RO)
前記<電子写真感光体作製方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を上記構造式(PC)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Mv=42,500)に変更した以外は、比較例5と同様の操作を行うことにより、感光体ROを製造し、比較例15に係る電子写真感光体とした。
<電子写真感光体の評価>
実施例1〜9及び比較例1〜15の電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、電気特性の評価を行なった。
温度25℃、湿度50%の条件下、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度として測定した(単位:μJ/cm)。また、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、0.6μJ/cmの照射エネルギーで露光後に測定した表面電位(単位:−V)を残留電位とした。そして、初期表面電位を−700Vにした後、暗所で5秒間放置した後の表面電位を測定し、その差を暗減衰(単位:V)とした。
測定結果を表−1〜表−3に示す。
Figure 0006160370
Figure 0006160370
Figure 0006160370
表−1〜表−3の結果から、本発明の範囲内である電荷輸送物質を用いた場合に、公知のテトラベンジジン誘導体と比較し、高感度であり、なおかつ低い残留電位を示す。また類似構造を有する公知の電荷輸送材料と比較し、電荷輸送層に用いるバインダー樹脂に依存することなく、同等もしくは、それ以上に高感度であり、なおかつ低い残留電位を示す高機能な感光体を提供することが可能であることが分かる。
前記評価にて同程度の感度・残留電位を示すことが明らかとなった電荷輸送物質である、CTM1及びCTM2とRCTM1との更なる比較を行うために、下記方法にて評価を実施した。
<摩耗試験>
上記感光体シートを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(Taber社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。測定結果を表−4に示した。
Figure 0006160370
表−4の結果から、本発明の電荷輸送物質であれば、摩耗に強く、剥がれの少なく感光層の接着性が良好な感光体が得られていることが分かる。
<溶解度試験>
得られた電荷輸送物質をテトラヒドロフラン100g中に十分な量添加し、この溶液を60℃になるまで昇温し、溶液の温度を60℃に保ち1時間攪拌しながら電荷輸送物質を溶媒中に十分溶解させた。その後25℃雰囲気に24時間放置し、溶け残りが沈殿する25℃飽和溶液を調製した。
上記操作を行った電荷輸送物質を溶解させた溶液を、JIS P3801(1995年)に規定される定量分析用5種Cの濾紙を用いて濾過した。この濾液100gを容器に取り、減圧乾燥器を使用して混合溶媒が十分揮発するまで乾燥を行った。乾燥後に残ったものの重量を測定し、最初に使用した溶液量の100gで除することにより、溶媒への溶解度(g/g)を求めた。得られた電荷輸送物質に対し、上記測定法を3回繰り返し行った時の溶解度を表−5に示す。
Figure 0006160370
表−5から、本発明の電荷輸送物質の電子写真感光体の感光層塗布溶媒として最もよく用いられるテトラヒロドフランに対して溶解性が非常に高いことがわかる。これは、構造の対称中心付近に極性の高い酸素原子を有することが寄与していると考えられる。
溶解性の結果は、特に電子写真感光体の感光層塗布液中での保存安定性を示す指標の1つであり、溶解度が高いほど結晶化せず、分散性も高く、電子写真感光体の塗布液作製−塗布液保管−感光層塗布の一連の感光体製造プロセスに対して好適であることが示唆される。
<保存安定性試験>
バインダー樹脂としては、上記構造式(PD)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,200)を用いた。そして、電荷輸送物質60質量部、バインダー樹脂100質量部、下記式(AOX2)で表される構造を有する酸化防止剤2質量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(質量比8/2)混合溶媒540質量部に溶解させて、塗布液保存安定性試験用電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた塗布液をガラス性密封瓶に入れ、−5〜0℃の条件下で、2ヶ月間保管し、保管後に塗布液に濁り等が発生していないかを確認し、塗布液保存安定性を評価した。
評価に用いた電荷輸送物質と安定性評価結果、及び塗布液安定性の基準を下記表−6に示す。
Figure 0006160370
Figure 0006160370
表−6から、本発明の電荷輸送物質は、塗布溶媒のみでなく、塗布液として用いるバインダー樹脂とも相溶性が良好で、塗布液安定性が非常に高いことがわかる。これは、構造の対称中心付近に極性の高い酸素原子を有することが寄与していると考えられる。保存安定性が高いほど、結晶析出による感光層の塗布欠陥を防止でき、分散性も高く均一な膜を作製できることが示唆される。
(実施例13)
表面が粗切削された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを陽極酸化処理し、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
続いて、電荷発生物質として、図2に示すようにCuKα特性X線に対するX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)が24.1°及び27.2°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン結晶を用いた。このオキシチタニウムフタロシアニン結晶を20質量部用い、これを1,2−ジメトキシエタン280質量部と混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行って微細化処理液を得た。また、1,2−ジメトキシエタン253質量部及び4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85質量部の混合液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製、商品名「デンカブチラール」#6000C)20質量部を溶解させて、バインダー液を調製した。
上述の微粒化分散処理により得られた微細化処理液、上述のバインダー液、及び1,2−ジメトキシエタン230質量部を混合して、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液に前記シリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、前記式(PC)で表される繰り返し構造単位からなるポリアリレート樹脂(Mv=72,000)を100質量部、前記式(CTM1)で表される構造を有する電荷輸送材料を40質量部、前記式(AOX1)で表される酸化防止剤を4質量部、下記式(AOX3)で表される化合物を0.1質量部、下記式(A1)で表される化合物を0.5質量
部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)1060質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。先に作製した電荷発生層を形成したシリンダーを、この電荷輸送層形成用塗布液に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を設けることによって感光体Jを作製した。
Figure 0006160370
(実施例14)
電荷輸送物質を前記式(CTM2)で表される化合物に変更した以外は、実施例13と同様の操作を行うことにより、感光体Kを製造した。
(比較例19)
電荷輸送物質を前記式(RCTM1)で表される化合物に変更した以外は、実施例13と同様の操作を行うことにより、感光体RPを製造した。
<耐刷評価試験>
前記実施例13、14と比較例19で得られた電子写真感光体をA4タンデム型フルカラープリンター[沖データ社製 COREFIDO C711dn(印刷速度:カラー34rpm 解像度:600dpi 露光源:LED)]のドラムカートリッジに装着し、上記プリンターにセットした。上記プリンターを低温低湿環境条件下におき、印刷の入力として、べた塗り画像と線画像から構成される印字率5%の上下左右対称なパターンをパソコンからプリンターに送り、1枚間欠モードで12,500枚印刷を行った。
前記耐刷後のドラム表面をTESA社製マニュアル式非接触画像測定器「TESA−VISIO 300」を用いて確認することにより、耐刷後のドラム表面に付着物の状態を確認した。
耐刷後のドラム表面の付着物状態の確認結果及びドラム付着量の判断基準を、表−7に示した。また、実施例13に係る感光体における耐刷後のドラム表面写真を図6に、比較例19に係る感光体における耐刷後のドラム表面写真を図7にそれぞれ示した。これらは「TESA−VISIO 300」に付属のモニターにより観測した。図6、7において、白地の部分に黒い線又は点が多いほど、フィルミング(付着物)が多いと判断できる。
Figure 0006160370
表−7の結果から、本発明の範囲内である電荷輸送物質を用いた場合に、類似構造を有する公知の電荷輸送物質と比較し、プリンターに装着し、多くの枚数プリントアウト後も感光体表面上に残存する付着物が少なく、高感度で、低い残留電位を示しながらも、かつフィルミングに対して耐性の高い高機能な感光体を提供することが可能であることが分かる。また、図6及び図7を比較すると、本発明の電荷輸送物質を用いた感光体は多くの枚数をプリントアウトした後も、明らかに感光体表面への付着物が少なく、フィルミングに対してより強い耐性を有することが分かる。
<転写メモリー評価>
[電荷輸送層形成用塗布液の製造]
バインダー樹脂としては、上記構造式(PD)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,200)を用いた。そして、電荷輸送物質50質量部、バインダー樹脂100質量部、上記式(AOX2)の構造を有する酸化防止剤2質量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(質量比8/2)混合溶媒640質量部に溶解させて、塗布液保存安定性試験用電荷輸送層用塗布液を調製した。
[感光体の製造]
実施例1で用いた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるようにワイアバーで塗布し、室温で乾燥して下引き層を設けた。続いて、実施例1で用いた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.4μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。続いて、前記のようにして得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約25μmになるようにアプリケーターで塗布し、125℃で20分間乾燥して、感光体L(実施例15)を作製した。
また電荷輸送物質を前記式(RCTM1)で表される化合物に変更した以外は感光体Lと同様にして、感光体RQ(比較例20)を作製した。
[転写メモリー試験]
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記シート状感光体を、直径80mmのアルミニウム製シリンダーに巻き付けてアースを取り、初期表面電位が約−750Vになるように帯電させた(この際の初期表面電位を「V0」と称する。)。帯電後、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とし、0.8μJ/cm露光した際の表面電位(明電位「VL」と称する。)を求めた。露光から電位測定までの時間は60msとした。前記単色光露光後は、赤色LED光によって除電を行った。測定環境は25℃、50%RHで行なった。この評価によって得られた結果を帯電−露光−転写負荷のサイクルを行う前の初期電気特性試験の結果とした。
上記の初期電気特性試験実施後、除電部を取り外し、代わりに+6.5kVを印加したコロトロンを、転写負荷をシミュレートするために設置した。この状態で帯電−露光−転写負荷のサイクルを4000回繰返した後、再度VL及びV0を測定し、初期のVL及びV0との差異ΔVL、ΔV0をそれぞれ求めた。測定環境は25℃、50%RHで行なった。感光体L及び感光体RQを用いた転写メモリー試験の結果を表−8に示す。表−8において、ΔVL、ΔV0は共に、絶対値が小さいほど、転写負荷に対して電位の変動が少なく、転写メモリーが良好であることを示す。
Figure 0006160370
上記評価結果から、本発明の電子写真感光体は、帯電−露光−転写負荷のサイクルに対して、ΔVL、ΔV0の値が小さく、転写負荷に対する耐性が高く、転写メモリーが良好な高機能な感光体を提供することが可能であることが分かる。
本発明の効果発現のメカニズムは明らかでないが、電荷輸送物質が有する置換基の構造を上記のようにすることにより、電荷輸送物質と電荷輸送層に用いるバンダー樹脂との相溶性が向上し、電子写真感光体としての基本特性である感度・残留電位の性能を損なうことなく、転写メモリーも良好で、感光体表面が高い機械特性になっているものと推測される。
1 電子写真感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、式(1)で表される電荷輸送物質を含有する、電子写真感光体。
    Figure 0006160370
    (式(1)中、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1、4−フェニレン基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、m及びnはいずれも1である。
  2. 前記感光層が、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも24.1°及び27.2°に回折ピークを示す結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層が、さらにポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層が、電荷輸送層及び電荷発生層を有し、前記電荷輸送層が前記式(1)で表される電荷輸送物質、並びに、式(α)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂及び式(β)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂の少なくともいずれか一方を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006160370
    (式(α)中、Ar10〜Ar13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す。vは0以上2以下の整数を表す。Yは単結合、酸素原子、硫黄原子又はアルキレン基を表す。)
    Figure 0006160370
    (式(β)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、前記R及びRは結合して環を形成しても良い。R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、j及びkはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。Wは、単結合、酸素原子又は−CR1112−を表し、前記R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表す。t及びuはそれぞれ独立して0〜100の数字を表す。但し、tとuで表されるユニットは異なる構造をとり、t=u=0になる場合はない。)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1の装置とを備える、電子写真感光体カートリッジ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像する現像装置を備える、画像形成装置。
  7. 式(1)で表される化合物。
    Figure 0006160370
    (式(1)中、Arは置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有する、アリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい1、4−フェニレン基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はアル
    キル基を表し、m及びnはいずれも1である。
  8. 前記式(1)中、Arは炭素数8以下のアルコキシ基を有する、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい、フェニル基、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、1、4−フェニレン基、R〜Rは水素原子、m及びnは共に1である、請求項7に記載の化合物。
  9. 前記式(1)中、Ar〜Arはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基、Ar〜Arは1、4−フェニレン基である、請求項8に記載の化合物。
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