JP2009186969A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 - Google Patents

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裕美 多田
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Abstract

【課題】、残留電位の低減と同時に繰り返し使用による残留電位上昇を抑制し、静電特性あるいは画像品質に副作用を及ぼさずに、一周目帯電低下を十分に抑制できる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】電荷発生層にホールがトラップされ、放置によってリリースされやすくなったホールが存在していても、それらのホールのほとんどを最初に行う帯電の初期段階で像担持体表面に到達させることができれば、その後像担持体を十分に帯電させることが可能となり、一周目帯電低下は抑制できると考えられる。したがって、帯電時に電荷発生層から電荷輸送層に注入されたほとんどすべてのホールが像担持体の表面まで到達する時間よりも帯電時間を長くすれば一周目帯電低下を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、像担持体に電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法に関する。本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジは、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
近年、電子写真方式によるレーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置は、画像品質やその安定性が向上し、広く普及している。これらの画像形成装置に使用される像担持体は、帯電及び露光によって表面に静電潜像を形成し、それを現像することによって可視像を形成する機能を有するものであり、電子写真感光体も像担持体に含まれる(以降、像担持体を電子写真感光体あるいは感光体と称する場合がある)。
電子写真感光体は、コスト、生産性、材料選択の自由度及び地球環境への影響等の理由から、主として有機材料を用いた有機感光体が広く使用されている。有機感光体は、主に感光材料を含有させた感光層からなっており、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型と、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型に大別される。
機能分離した積層型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、一様に帯電された感光体に光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質に吸収されて電荷(電荷対)を生成する。それらの一方が電荷発生層と電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面に達し、帯電により与えられた表面電荷を中和して静電潜像が形成される。これらの積層構成の有機感光体は、静電特性の安定性や耐久性の面で有利であり、電子写真感光体において現在の主流となっている。
電子写真感光体のみならず、現像材あるいは画像形成装置本体の改良も進み、有機感光体を用いた画像形成装置の画像品質は非常に高まっており、それに伴って印刷用途も多様化している。近年では特に、フルカラー化や高速化の要求度が非常に高くなっており、特に高速印刷分野への対応も求められている。また、同時に装置の小型化や操作後画像が出力されるまでの時間の短縮化などにも対応していく必要がある。
印刷速度の高速化のためには、感光体の高感度化とともに線速(プロセススピード)をより高速化しなければならず、また装置の小型化のためには、感光体の小径化を実現させる必要がある。フルカラー化に対しては、少なくとも4色のトナー像を重ね合わせて画像を形成することになるため、高速化と小型化の両方が強く求められることになる。近年では、4色の現像部に対応する4本の感光体を内包させたタンデム方式のフルカラー画像形成装置によって、フルカラー画像の高速印刷が可能となったが、4本の感光体を内包させる必要があることから、装置の小型化がより大きな課題となっている。
また、操作後画像出力されるまでの時間に対してはユーザーの不満度が高く、印刷操作後に感光体を空回りさせることなく、直ちに画像が出力されることが望ましい。そのためには、定着等の立ち上がり時間の短縮化が必要となる一方で、感光体に対しても一回転目から良好な画像が出力できることが求められている。
しかしながら、これらの課題を同時に解決することは難しく、改善可能な技術は現在も確立されていない。感光体の線速を高速化させると、帯電能や転写能が落ちることがその一因であり、感光体の小径化によっても同じ問題が生じる。さらに、感光体の小径化は、感光体周りのレイアウト上の制限が大きくなるため、予備の帯電機構あるいは転写機構を設けることは難しく、また帯電あるいは露光−現像間に十分な時間を割り当てられなくなるため、帯電時や露光時の応答性を高める必要がある。
さらに、上記問題をより深刻にしている原因は、感光体の繰り返し使用による静電特性の劣化である。感光体を繰り返し使用することによって発生する残留電位上昇や感度劣化、帯電低下等は、上記の帯電時や露光時の応答性を大幅に低減させることになる。また、帯電器より発生するオゾンやNOxガス等の酸化性ガスも、感光体の静電特性を劣化させる要因であり、解像度の低下など画質を劣化させる要因でもある。高速印刷が可能な画像形成装置は、それだけ感光体の寿命も要求されることになるため、感光体の耐摩耗性を高めるだけでなく、これらの静電疲労や酸化性ガスに対する耐性を高めていく必要がある。さらに、これらの静電特性劣化要因の中でも、近年特に重要視されている問題は、画像形成装置内で繰り返し使用し静電疲労した感光体を帯電させると、感光体の一周目において帯電低下が見られ、二周目以降には回復する現象(以降、一周目帯電低下と称する)である。この現象は、静電疲労の増加とともに増大する傾向が見られており、耐摩耗性を高めるために表面に保護層を設けた場合、一周目帯電低下量がより増大する傾向も見られている。
このように、電子写真方式の画像形成装置が様々な分野で使用されるに伴い、感光体に要求される性能や特性も多様化している中で、フルカラー画像出力の需要も急激に増加している。したがって、今後はフルカラーの高画質を安定に出力できることだけでなく、画像出力の高速化、装置の小型化がより一層要求されることになる。さらに、これらの画像形成装置の事業領域が、オフィス分野から印刷分野へと拡大されつつある今、感光体は高速プロセスの中で高画質画像を長期繰り返し使用しても安定に出力できることが求められる。このように、感光体、さらにそれを用いた画像形成装置の長寿命化を実現するためには、感光体の耐摩耗性の向上と静電特性の安定化との両立によって初めて達成されることになる。とりわけ、感光体の静電特性の向上と、繰り返し使用に対する安定性の向上を実現し、特に画像出力の高速化や装置の小型化に対し大きな障害となっている一周目帯電低下を抑制可能な技術を構築することが熱望されている。
感光体の高速化や小径化によって顕在化されてきた一周目帯電低下は、繰り返し使用によって静電疲労することで発生する現象である。感光体一周目の帯電低下量は、静電疲労時間の増加に伴って増える傾向が認められ、二周目以降に帯電性は回復しても、放置させると一周目帯電低下が再発するため、一時的な現象ではなく繰り返し発生する現象である。また、放置時間の増加に伴い、一周目の帯電低下量も増加する傾向が見られている。さらに、感光体の線速が早くなるほど、帯電能が低下するため一周目帯電低下はより顕在化しやすくなる。
感光体一周目の帯電電位が低下すると、出力1枚目には非現像領域に地汚れが発生し画像品質を低下させる不具合が生じる。また、中間転写体がトナーによって汚染され、それが紙の汚染を助長させることになる。そのため、画像出力時に感光体をその都度空回しする必要が生じ、あるいは帯電能を増加させるために予備帯電手段を別途設ける必要が生じることになる。したがって、一周目帯電低下は、画質安定性を低下させるだけでなく、画像形成装置の高速化、小型化、フルカラー化、さらに操作後画像出力されるまでの時間の短縮化を妨げる重要かつ深刻な問題であるが、従来技術においてはそれらの要因や有効な対策について十分に明らかにされていないのが実情である。
以下に、一周目帯電低下について開示されている従来技術を記載する。
例えば、特許文献1には、一周目帯電低下は電荷発生層内部に帯電プロセス前の周辺の微弱光や熱励起により発生したキャリアが、電荷輸送層内でトラップされるモデルが示されており、具体的手段としては、電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル差を小さくし、ホール移動度を高める一方、下引き層の高抵抗化によって電荷の再結合確率を高めることを狙いとしている。しかし、下引き層の高抵抗化は自身で記載しているように残留電位上昇の副作用を有しており、その場合電荷はトラップされやすくなると考えられるため、根本的な解決にはなっていない。また、電荷輸送物質の移動度は測定方法しか記載されておらず、電荷移動におけるどの段階での移動度なのかが不明瞭である。その上、移動度の向上によりホールトラップ確率が低減されるとの記載があるが、それらの関係についても明確ではない。
また、特許文献2には、プロセススピードが100mm/sec以上であり、電荷発生層よりも電荷輸送層のイオン化ポテンシャルの方が大きく、電荷輸送材料/バインダー樹脂比並びに所定の電界強度における電荷輸送層の移動度を規定した技術が開示されている。確かに、電荷発生層よりも電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを大きくした方が、電荷がトラップされやすくなるため、帯電開始時にリリースされる電荷によって生じる帯電遅れ現象は見かけ上低減される。しかし、電荷発生層よりも電荷輸送層のイオン化ポテンシャルの方が大きくなると、残留電位は増加するため静電特性の安定化に対しては好ましくない。また、前記と同様、移動度については測定方法しか記載されておらず、電荷移動におけるどの段階での移動度なのかが不明瞭であり、本発明で示される実機トランジット時間とは対応していない。
また、特許文献3には、電荷発生層の脱分極に要する活性化エネルギーが0.32eV以下とした技術が開示され、一周目帯電低下は一周目において感光層中の分子がまだ無秩序状態であるために電界による分子配向に時間を要するために発生するモデルが提案されている。電荷輸送物質としてはジスチリルベンゼン誘導体が含まれているが、感光体の評価において帯電時間に関する記載が一切なく、あくまで電荷発生層の脱分極の活性化エネルギーで規定されており、本発明とはまったく異なる技術である。
また、特許文献4には、中間層がポリアミド樹脂、特定のカルボン酸塩及び酸化チタンを含有し、電荷発生層はX型又はτ型無金属フタロシアニンを含む方法が開示されている。一周目帯電低下は、放置中のフタロシアニン化合物による暗電荷の発生が原因であると推測されており、酸化チタンとカルボン酸塩とを含有した中間層を備えることで、一回転目の回転動作から充分な帯電性が得られると記載されている。しかし、実施例によると一周目帯電低下を評価しているのは、未使用状態のものであり、繰り返し使用後においては評価されていない。本発明においては、未使用状態ではもちろん、繰り返し使用後においても一周目帯電低下を抑制できる技術として開示されたものであって、本発明とは根本的に異なるものである。
また、特許文献5には、残留電位上昇や感度低下の抑制方法として、下引き層の電子移動度を規定し、詳しくは下引き層に電子輸送物質を含有する技術が開示されている。ジスチリルベンゼン誘導体が例示化合物として記載されているが、ホール移動度や帯電時間との関係については一切触れられておらず、本発明とは目的や構成、原理ともにまったく異なる技術である。
また、特許文献6には、下引き層にバンドギャップが2.2eV以上の半導電性物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を含有する方法が開示されている。一周目帯電低下は、放置中のフタロシアニン化合物による暗電荷の発生と蓄積、または支持体及び下引き層より電荷が電荷発生層へ注入されるモデルが提案されている。しかし、実施例では比較例に比べて改善はされているが、効果としては乏しく有効な方法とは判断できない。
また、特許文献7には、感光体の帯電時間を50〜1000msecに規定した方法が開示されている。本文中に、「帯電時間が50msec以下では帯電電位が不安定であり、帯電時間として50msec以上が必要」との記述があるが、トランジット時間に関しては一切言及されておらず、本発明とは目的や構成が大きく異なっている。
また、特許文献8には、感光体の1回転目には光除電を行わずに画像形成し、2回転目以降から光除電を入れる技術が開示されている。一周目帯電低下の現象は、フタロシアニン化合物特有の問題であるとし、光除電プロセスで過剰なキャリアが生成され、電荷発生層にエレクトロントラップが存在すると先に生成したキャリアが一時的に捕獲され、次の帯電時にその一部が放出されるモデルが提案されている。一回転目に除電を入れなくても影響ないと記載されているが、地汚れやゴースト画像の発生が懸念され、特に線速が早い場合にはその影響は無視できず、根本的な解決にはなっていない。
また、特許文献9には、中間層がN型半導性微粒子を、電荷発生層がフタロシアニン顔料を含有しており、感光体上への画像形成起動時の像露光に先立ち、予備帯電工程、光除電工程、帯電工程を経るようにした技術が開示されている。予備帯電工程を備えることは帯電能を増強することになるため有効な方法ではあるが、感光体周りの部材が増えることになるため、感光体の小径化が制限される。また、酸化性ガスの発生量が増加し、感光体の静電特性の劣化を促進させる恐れがある。
特開平10−63015号公報 特開2002−162763号公報 特開2000−194145号公報 特許第3604914号公報 特開2000−321805号公報 特開平10−186703号公報 特開2001−350329号公報 特開平8−36301号公報 特開2002−268335号公報
このように、一周目帯電低下は、感光体における電荷輸送層、電荷発生層、下引き層からのアプローチだけでなく、感光体以外のプロセスからのアプローチも見られ、非常に多岐に渡っている。一周目帯電低下は、それだけ重要な問題であることが伺えるが、その一方で発生メカニズムも様々であり、これは要因が数多く存在するか、あるいはまだ十分に解明されていないことを示唆している。事実、従来技術では効果が乏しかったり、効果が見られても残留電位上昇等の副作用が見られたり、低速では有効でも高速化には対応できていなかったり、感光体周りのレイアウトが複雑化され、感光体の小径化や装置の小型化が犠牲になるなど、満足できる技術は未だ実現されていないのが実情である。
そこで、本発明は、上記従来技術が有する問題点に鑑み、残留電位の低減と同時に繰り返し使用による残留電位上昇を抑制し、静電特性あるいは画像品質に副作用を及ぼさずに、一周目帯電低下を十分に抑制できる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明によって、像担持体周りに余計な部材を追加することなく、画像出力の高速化にも対応でき、さらに長期間繰り返し使用しても一周目帯電低下の抑制効果や残留電位等の静電特性が安定に維持可能であり、画像形成装置の高速化、小型化が可能な技術が確立された。さらに、像担持体の一周目から画像形成が可能になることにより、操作後画像出力されるまでの時間の短縮化も実現され、これまで問題とされていた多くの難課題を一度に解決することが可能となった。
本発明者らは、一周目帯電低下の発生要因を絞り込み、その要因に対し抑制できる最良の方法を確立すべく鋭意検討を行った。その結果、一周目帯電低下を引き起こすホールは、静電疲労によって電荷発生層にトラップされたものであると推測された。これらのトラップされたホールは放置によって熱緩和し、リリースされやすくなってくると考えられる。そこで帯電を行うと、電荷発生層にトラップされたホールのうち、熱緩和しリリースされやすくなったものが電界によって電荷輸送層に注入され、さらに電荷輸送層を移動して表面に到達し、表面電荷を打ち消すことによって帯電低下が発生するものと考えられる。
上記モデルによると、電荷発生層にホールがトラップされ、放置によってリリースされやすくなったホールが存在していても、それらのホールのほとんどを最初に行う帯電の初期段階で像担持体表面に到達させることができれば、その後像担持体を十分に帯電させることが可能となり、一周目帯電低下は抑制できると考えられる。したがって、帯電時に電荷発生層から電荷輸送層に注入されたほとんどすべてのホールが像担持体の表面まで到達する時間よりも帯電時間を長くすれば一周目帯電低下を抑制できることを見いだした。
帯電時間を長くするためには、像担持体の線速(プロセススピード)を遅くすることで可能となる。本発明者らによっても、線速を遅くするに伴って一周目帯電低下は低減される傾向にあることが確認されており、一周目帯電低下の抑制に有効であることは明らかである。特に、像担持体の回転速度が80(rpm)以上になると顕著に発生し、その影響は非常に大きなものになる。しかし、像担持体の線速を遅くすることは、画像出力速度の高速化に対して大きな障害となる。したがって、像担持体の線速を遅くする手段は好ましくなく、少なくとも像担持体の回転速度が80(rpm)以上である画像形成装置において、一周目帯電低下を抑制できる技術が必要になる。なお、本発明においては、像担持体の線速として表記した場合、像担持体の外径によって大きく異なるため、線速(mm/min.)を像担持体の外径(mm)で除した像担持体の回転速度(rpm)として表記する。
像担持体の回転速度が少なくとも80(rpm)以上である画像形成装置において、帯電時間を長くするための方法としては、帯電器の大型化あるいは帯電器を複数設置する方法がある。具体的には、帯電器の幅が大きいものを用いたり、予備帯電器等を追加したりすれば、帯電時間をそれだけ稼ぐことが可能となり、一周目帯電低下を抑制することが可能である。しかし、これらの方法では、一周目帯電低下は抑制できても、画像形成装置の大型化は避けられない。特に、像担持体を小径化すると大型の帯電器や複数の帯電器を設置するスペースを確保できないために、小径の像担持体は採用できず、画像形成装置の大幅な大型化につながる。このことは、4本の像担持体を内包したタンデム方式のフルカラー画像形成装置においては、特に深刻な問題となる。また、帯電器を複数設置した場合には、帯電器より発生するオゾンガス等の影響による像担持体の劣化を促進させ、寿命を低下させる恐れがある。したがって、単に帯電器の大型化や複数化によって帯電時間を長くする従来の方法では、画像形成装置の高速化や小型化が犠牲となり、それらを両立することは困難である。画像形成装置の出力速度やサイズを維持しつつ、如何に一周目帯電低下を抑制するかが課題の本質である。
本発明は、画像形成装置の画像出力速度やサイズを維持した上で一周目帯電低下を抑制し、高画質化と装置の高速化あるいは小型化を同時に実現する方法について鋭意検討を行った結果、保護層を積層した像担持体において、高移動度を有し、かつ移動度の電界強度依存性が少ない電荷輸送物質を電荷輸送層に含有させ、さらに耐摩耗性並びに電荷輸送能に優れ、静電劣化の影響が少ない保護層をその上に積層することによって、少ない帯電時間でも実機トランジット時間がそれを下回るようにすることで一周目帯電低下を抑制することに成功した。これにより、画像出力速度を高速化しても、あるいは小径の像担持体を用いても、帯電器の大型化や予備の帯電器を付与、あるいは像担持体の一周目に空回しなしに一周目帯電低下が抑制され、さらに像担持体の耐摩耗性及び静電安定性が高まったことによって、長期繰り返し使用してもそれらの効果が安定に維持させることが可能となり、像担持体並びにそれを用いた画像形成装置の更なる長寿命化及び高画質化が実現された。
すなわち、以下の(1)乃至(32)の発明によって、上記課題は解決される。
(1)導電性支持体上に、少なくとも感光層及び保護層を順次積層した像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、
実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
T1≦T2………式(1)
但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………式(2))
(2)前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した積層構成であることを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
(3)前記感光層又は電荷輸送層に含有される電荷輸送物質が、下記化学式(1)で示されるジスチリル化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
[上式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基のいずれかを表し、各々同一でも異なっていても良い。フェニル基は無置換のものでも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。
Aは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1a)で表される基を表す。B及びB’は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1b)で表される基を表す。B及びB’は、同一であっても異なっていても良い。
Figure 2009186969
(上式(1a)中、R、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表し、フェニル基の場合は無置換でも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。)
Figure 2009186969
(上式(1b)中、Arはアリーレン基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。また、Ar及びArは、それぞれアリール基を表し、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。)]
(4)前記電荷輸送物質が、下記化学式(2)で表されるジスチリル化合物であることを特徴とする上記(3)に記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
(上式(2)中、R〜R33は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
(5)前記電荷輸送物質が、下記化学式(3)で表されるジスチリル化合物であることを特徴とする上記(3)に記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
(上式(3)中、R34〜R57は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
(6)前記感光層又は電荷発生層に含有される電荷発生物質のイオン化ポテンシャル(IpCGM)と前記感光層もしくは電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(IpCTM)とが、下記式(3)の関係を満たすことを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
IpCGM−IpCTM≧−0.1 (eV)………式(3)
(7)前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、バインダー樹脂としてポリカーボネート、ポリアリレートの少なくとも一種を含有することを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層が、少なくとも電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質の混合物であり、電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの差が、0.1eV以下であることを特徴とする上記(8)に記載の画像形成装置。
(10)前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、下記化学式(4)及び(5)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
(上式(4)中、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。Ar及びArは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。R58及びR59は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。また、Ar及びR58、Ar及びR59は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成しても良い。)
Figure 2009186969
(上式(5)中、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。R60〜R63は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。nは1又は2の整数を表す。)
(11)前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、下記化学式(6)〜(9)で示される酸化防止剤の少なくとも二種を含有することを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
(上式(8)中、nは12〜18の整数を表す。)
(12)前記感光層又は電荷発生層が、電荷発生物質としてチタニルフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の画像形成装置。
(13)前記チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルで、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さないことを特徴とする上記(12)に記載の画像形成装置。
(14)前記感光層又は電荷発生層が、電荷発生物質として下記化学式(10)で示される非対称ビスアゾ顔料を含有することを特徴とする上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の画像形成装置。
Figure 2009186969
(上式(10)中、R201及びR202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。Cp及びCpはカップラー残基を表し、下記式(10a)で表され、Cp及びCpは互いに異なる。
Figure 2009186969
上式(10a)中、R203は、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環又は置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)
(15)前記保護層が、フィラーを含有することを特徴とする上記(1)乃至(14)のいずれかに記載の画像形成装置。
(16)前記フィラーが、0.1〜0.9μmの平均一次粒径を有するα−アルミナであることを特徴とする上記(15)に記載の画像形成装置。
(17)前記保護層に、ポリカルボン酸化合物が含有されていることを特徴とする上記(15)又は(16)に記載の画像形成装置。
(18)前記保護層が、少なくとも電荷輸送性構造を有さない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物とを硬化することにより形成されることを特徴とする上記(1)乃至(17)のいずれかに記載の画像形成装置。
(19)前記電荷輸送性構造を有さない重合性化合物及び/又は電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記(18)に記載の画像形成装置。
(20)前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする上記(18)又は(19)に記載の画像形成装置。
(21)前記電荷輸送性構造を有さない重合性化合物の官能基数が3以上であり、電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基数が1であり、電荷輸送性構造を有しない3官能以上の重合性化合物における官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする上記(18)乃至(20)のいずれかに記載の画像形成装置。
(22)前記感光層又は電荷輸送層の膜厚と前記保護層の膜厚が、式(4)の関係を満たすことを特徴とする上記(1)乃至(21)のいずれかに記載の画像形成装置。
感光層又は電荷輸送層の膜厚(μm)≧ 保護層の膜厚×2(μm)………(4)
(23)前記導電性支持体と感光層又は電荷発生層との間に下引き層が設けられ、該下引き層に平均一次粒径が0.1μm以上の差がある2種の酸化チタン顔料が含有され、かつ前記下引き層が前記感光層又は電荷発生層と接触していることを特徴とする上記(1)乃至(22)のいずれかに記載の画像形成装置。
(24)前記導電性支持体と感光層又は電荷発生層との間に樹脂層が設けられ、該樹脂層はポリアミド樹脂の一種であり、かつ該樹脂層が前記導電性支持体と接触していることを特徴とする上記(1)乃至(23)のいずれかに記載の画像形成装置。
(25)前記帯電手段が、スコロトロンチャージャーであることを特徴とする上記(1)乃至(24)のいずれかに記載の画像形成装置。
(26)前記露光手段が、複数のビームを有する面発光レーザーであることを特徴とする上記(1)乃至(25)のいずれかに記載の画像形成装置。
(27)前記画像形成装置が、さらに像担持体表面に潤滑性物質を塗布する潤滑性物質塗布機構を有することを特徴とする上記(1)乃至(26)のいずれかに記載の画像形成装置。
(28)前記潤滑性物質が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする上記(27)に記載の画像形成装置。
(29)像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段からなる画像形成要素を複数配列したタンデム方式であることを特徴とする上記(1)乃至(28)のいずれかに記載の画像形成装置。
(30)像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする上記(1)乃至(29)のいずれかに記載の画像形成装置。
(31)上記(30)に記載の画像形成装置に着脱可能であり、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となっていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(32)導電性支持体上に、少なくとも感光層及び保護層を順次積層した像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成方法において、
実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
T1≦T2………式(1)
但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………式(2))
上記解決する手段としての画像形成装置によって、以下のような効果を奏する。
本発明(1)の画像形成装置によれば、上記式(1)の関係を満たすことで、感光層に存在する一周目帯電低下の発生原因となるホールのほとんどが所定の帯電時間内に像担持体の表面に到達させることが可能となり、画像出力速度を維持しつつ、一周目帯電低下に対し非常に高い抑制効果を得ることが可能となり、さらに耐摩耗性の向上により長期繰り返し使用してもそれらの効果を安定に持続できる画像形成装置が提供される。
本発明(2)の画像形成装置によれば、電荷発生層と電荷輸送層の積層構成とすることで、一周目帯電低下の抑制に対し有効であり、本発明の効果を発揮させる上でも適している。また、静電特性やその安定性も向上させることができ、長寿命化に対し有効である。
本発明(3)の画像形成装置によれば、電荷輸送物質として化学式(1)に示される化合物を用いることによって一周目帯電低下の抑制に対し極めて大きな効果を得ることができる。これらの電荷輸送物質を含有させた感光層又は電荷輸送層は、前記実機トランジット時間を大幅に短縮化できるため、一周目帯電低下の抑制効果が非常に高く、またそれによって帯電時間の余裕度が大きくなるため、画像形成装置の大幅な高速化が可能となる。また、像担持体の小径化にも対応できるため、画像形成装置の小型化も可能となる。化学式(1)で示される化合物が優れている理由は、一つに電荷移動度が非常に高いことが挙げられる。これについては従来の公報にも記載されているが、本発明において特に注目したのは、移動度の電界強度依存性が小さいことである。すなわち、低い電界強度でも像担持体表面まで十分に電荷を移動させることができるため、帯電に余裕度が得られる。さらに、電荷の移動度にバラツキが少ないことも重要である。一周目帯電低下は、電荷の移動が開始された時点、あるいは移動途中の段階でのトランジット時間ではなく、表面への電荷の移動がほとんど完了した時点でのトランジット時間が大きく影響する。化学式(1)に示される化合物は、例えば、タイムオブフライト(TOF)法などで測定される移動度が高いことは知られているが、移動度の電界強度依存性や電荷移動完了時点でのトランジット時間という視点では見られていなかった。本発明において高い効果が得られたのは、一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどを帯電初期段階の低い電界強度で像担持体表面にまで十分に移動させることが可能になったことによるものであり、その点で化学式(1)に示される電荷輸送物質は非常に有効な手段である。また、これらの電荷輸送物質は、保護層を設けた本発明の構成において有効であり、耐摩耗性を向上させる効果とともに長寿命化に対する相乗効果が得られる。
本発明(4)の画像形成装置によれば、化学式(2)で示されるジスチリル化合物が、化学式(1)に示された化合物の中でも一周目帯電低下の抑制効果が高く特に有効である。ジスチリル化合物が高い効果を有するのは、分子サイズが大きい上に、分子構造中にトリフェニルアミン構造及びスチリル構造を複数有し、π電子共役が分子全体に広がった特徴を有しているためと考えられる。そのため、電荷輸送層における電荷の移動において、分子間移動よりも分子内移動の割合が高くなると予想される。これにより、非常に高い移動度を有し、かつ帯電初期段階の低い電界強度でも電荷を表面まで十分に移動させることが可能となり、一周目帯電低下の抑制に特に大きな効果を得ることができたものと考えられる。本材料は最表面に保護層を設けた本発明の構成においても有効であり、耐摩耗性を向上させる効果とともに長寿命化に対する相乗効果が得られる。
本発明(5)の画像形成装置によれば、化学式(3)で示されるジスチリル化合物もまた、化学式(1)に示された化合物の中でも一周目帯電低下の抑制効果が高く特に有効である。これも上記と同様に、π電子共役が分子全体に広がった特徴を有していることが、それらの効果要因と考えられる。さらに、比較的分子サイズが大きいにもかかわらず、溶解性に優れていることもメリットとして挙げられる。
本発明(6)の画像形成装置によれば、電荷発生物質と電荷輸送物質の界面におけるホールトラップが抑制され、残留電位上昇の抑制に著効である。電荷発生物質と電荷輸送物質の界面にホールがトラップされやすくなると、表面に到達するホールの絶対量は減少するため、一周目帯電低下は見かけ上低減される傾向が見られるが、残留電位上昇の影響が増大し、画像濃度や階調性の低下等の画質劣化が促進されるため、根本的な解決には至らない。本発明においては、最表面に保護層を設けた構成においても残留電位上昇と一周目帯電低下を同時に抑制することができる。これにより高画質化並びに長寿命化を実現でき、画像形成装置の高速化及び小型化をも可能となり、その効果は非常に大きく有用である。
本発明(7)の画像形成装置によれば、感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に含有される電荷輸送物質のバインダー樹脂としてポリカーボネート、ポリアリレートの少なくとも一種を使用することによって、実機トランジット時間の短縮化に有効となる。前記の高移動度を有する電荷輸送物質を含有させてもバインダー樹脂によって十分な効果が得られなくなる場合があるため、その選択は非常に重要である。本発明においては、像担持体の最表面に保護層を設けているため、感光層又は電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂に耐摩耗性は要求されない。したがって、これら如何なるバインダー樹脂を用いても一周目帯電低下抑制効果と長寿命化の両立が実現できる。
本発明(8)の画像形成装置によれば、感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に含有されるバインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用いることによって、バインダー樹脂にも電荷輸送機能を持たせることができる。これにより、実機トランジット時間の更なる短縮化が可能となり、一周目帯電低下の抑制効果が向上し、画像形成装置の高速化や小型化に対しより高い効果を得ることができる。
本発明(9)の画像形成装置によれば、感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層が、少なくとも電荷輸送物質及び高分子電荷輸送物質の混合物であり、それらのイオン化ポテンシャル差が0.1eV以下であることによって、感光層もしくは電荷輸送層あるいは保護層の電荷トラップが抑制され、残留電位上昇や一周目帯電低下の抑制に大きな効果が得られる。
本発明(10)の画像形成装置によれば、感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に化学式(4)及び(5)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物を含有させることによって、酸化性ガス雰囲気下での帯電低下防止に有効である。化学式(1)で示される化合物を電荷輸送物質として用いた場合、一周目帯電低下や露光部電位上昇の抑制には有効であるものの、酸化性ガス雰囲気下で全体的に帯電性が低下する傾向が見られる。一周目帯電低下が抑制できても、繰り返し使用によって帯電性が全体的に低下してくると、画像濃度の安定性が低下したり、地汚れ等の画像欠陥が発生しやすくなるため好ましくない。上記アルキルアミノ基を有する化合物を含有させることによって、一周目帯電低下や露光部電位上昇の抑制と同時に、酸化性ガス雰囲気下での帯電低下を抑制することができ、静電特性の安定化が実現できる。また、化学式(1)で示され、かつイオン化ポテンシャルが非常に小さいジスチリル化合物を電荷輸送物質として含有させた場合、繰り返し使用による露光部電位上昇は抑制できる一方、逆に露光部電位が低下する傾向が見られる場合がある。この場合も、化学式(4)及び(5)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物は、それらの変動を抑制し、長期繰り返し使用においても露光部電位を安定に維持することが可能となる。さらに、化学式(1)で示される化合物の中で、特に溶解性に乏しい化合物は、使用状況によってはクラックが発生する懸念があるが、上記化学式(4)あるいは(5)のアルキルアミノ基を有する化合物を含有させることによって、クラック防止効果を得ることができる。
本発明(11)の画像形成装置によれば、感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に化学式(6)乃至(9)のいずれか二種の酸化防止剤を含有させることによって、一周目帯電低下の抑制や長期繰り返し使用による帯電性低下の抑制に非常に有効である。前記の通り、化学式(1)で示される化合物を電荷輸送物質として用いた場合、静電疲労や酸化性ガス雰囲気下で帯電性が低下する傾向が見られ、特にイオン化ポテンシャルが低い電荷輸送物質の方がその傾向が強く見られる。上記化学式(6)〜(9)に示される酸化防止剤は、残留電位や露光部電位に影響を与えずに、帯電低下の抑制に有効である。これにより、本来トレードオフの関係が見られる帯電性と残留電位との両立が可能となる。なお、これらの酸化防止剤を一種添加することでも効果は得られるが、二種以上混合して用いることにより、帯電低下の抑制と露光部電位変動の抑制の双方を同時に実現でき、またそれらの効果がより高くなるため有効である。さらに、酸化性ガスに対する耐性がさらに高くなり、しかもそれらの効果の持続性が高まるため有効である。
本発明(12)の画像形成装置によれば、電荷発生物質としてチタニルフタロシアニン顔料を含有させることにより、高感度化が実現でき、高速化に対し非常に有効である。なお、特開平8−36301号公報、特開平10−186703号公報、特開2005−134674号公報等には、一周目帯電低下はアゾ顔料では観測されず、フタロシアニン特有の問題であるとの記載もあるが、アゾ顔料においても一周目帯電低下は確認されており、必ずしもチタニルフタロシアニンが一周目帯電低下を引き起こす原因ではない。
本発明(13)の画像形成装置によれば、高感度を有し、かつ帯電性に優れ、地汚れの発生が少ない特性を有することから、画像形成装置の高速化と高画質化の両立が可能となる。また、帯電性に優れることから、一周目帯電低下も低減される効果が得られる。本発明の目的の一つは、画像形成装置の高速化や像担持体の小径化に対しても高画質を安定に出力できることにあり、そのためには高感度を有する上記電荷発生物質は必要不可欠である。
本発明(14)の画像形成装置によれば、電荷発生物質として化学式(10)に示される非対称ビスアゾ顔料を用いても、高感度化が実現でき、一周目帯電低下の抑制に効果が見られるため、本発明において有効に用いられる。また、残留電位が非常に低く、また電界強度依存性が小さいメリットを有しており、比較的低電位プロセスを用いる中速〜高速域のフルカラー画像形成装置において、特に有効に用いられる。
本発明(15)の画像形成装置によれば、保護層にフィラーを含有することによって耐摩耗性を高めることが可能となり、使用経時による膜厚変動が抑制されることによって、一周目帯電低下の抑制効果並びに静電特性の安定化を長期にわたり維持させることが可能となる。特に、バインダー樹脂に硬化性樹脂を用いた場合、一周目帯電低下の抑制効果が維持でき、静電安定化も達成され、更なる耐摩耗性や耐傷性の向上が実現できる上に、フィルミングやクリーニング不良も発生しないため、本発明においては非常に有効である。
本発明(16)の画像形成装置によれば、フィラーに0.1〜0.9μmの平均一次粒径を有するα−アルミナを用いることで、耐摩耗性が大幅に向上し、かつ酸化性ガス雰囲気下での画質安定化に有効であり、像担持体の高寿命化を達成する上で有効である。特に、フィラーの平均一次粒径が0.1〜0.9μmであることにより、トナーのクリーニング性や潤滑製物質を塗布性の効果が高まり、高画質化と高寿命化の両立を達成できる。
本発明(17)の画像形成装置によれば、フィラーとともにポリカルボン酸化合物を含有させることによって、フィラーの分散性が高まるとともに、フィラーを含有させたことに起因する顕著な残留電位上昇を抑制することができ、高画質化と高寿命化の両立を達成できる。フィラーの分散性は、像担持体の耐摩耗性、静電安定性、クリーニング性、異物付着性等に大きく影響し、また潤滑性物質を像担持体に塗布する場合には、その塗布性にも大きな影響を与えるため、分散性向上に有効なポリカルボン酸化合物は本発明において特に有用である。
本発明(18)の画像形成装置によれば、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物とを硬化することにより保護層を形成することによって、電荷を表面にまで十分に移動させることが可能となり、かつ耐摩耗性が顕著に高まり、一周目帯電低下の抑制効果並びに静電特性の安定化をさらに長期にわたって維持させることが可能となる。
本発明(19)の画像形成装置によれば、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物及び電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることによって、上記効果に加え、繰り返し使用経時の残留電位上昇を抑制する効果が高まり、長寿命化に対し多くの効果が得られる。
本発明(20)の画像形成装置によれば、電荷輸送性構造を有する重合性化合物の電荷輸送性構造がトリアリールアミン構造であることによって、感光層もしくは電荷輸送層から保護層への電荷の注入性が向上し、一周目帯電低下抑制効果が高くなる効果が得られる。
本発明(21)の画像形成装置によれば、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物の官能基数が3以上であり、電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基数が1であり、さらに電荷輸送性構造を有しない3官能以上の重合性化合物における官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることによって、保護層の耐摩耗性がさらに高められるとともに、保護層への電荷注入性や保護層の電荷輸送性が改善され、一周目帯電低下抑制効果が高くなる効果が得られる。
本発明(22)の画像形成装置によれば、感光層もしくは電荷輸送層の膜厚と保護層の膜厚が、式(4)の関係を満たすことによって、一周目帯電低下の抑制効果や静電特性の安定性が高まる効果を有する。保護層の膜厚が必要以上に厚くなると、電荷輸送能がやや低下する傾向が見られ、一周目帯電低下の抑制効果が低下してくる場合がある。
本発明(23)の画像形成装置によれば、平均一次粒径が0.1μm以上の差がある2種の酸化チタンを含有した下引き層を設けることによって、下引き層内の酸化チタンが緻密に充填され、その結果一周目帯電低下や残留電位上昇を抑制できる。また、光干渉縞が画像となって現れるモアレの防止にも効果がある。
本発明(24)の画像形成装置によれば、ポリアミド樹脂の一種からなる樹脂層を導電性支持体上に形成することによって、導電性支持体からの電荷注入が阻止され、地汚れ発生の抑制効果が得られる。特に、感光層又は電荷輸送層に式(1)で示されるジスチリル化合物を電荷輸送物質として含有させると、それらが塗工後に下引き層に染み込む場合があり、これらは電荷輸送性や電荷注入性が高いために、導電性支持体からの電荷注入を増大させ、その結果地汚れが多発する恐れがある。したがって、化学式(1)の化合物を電荷輸送物質として用いた場合には、特に有効な方法である。
本発明(25)の画像形成装置によれば、像担持体を均一に帯電させることが可能であり、また、構造上帯電時間を稼ぐのに有効であるため、線速が高速化しても一周目帯電低下の抑制効果が高く有効である。本発明によれば、帯電初期段階で一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどを像担持体表面に移動させることによって一周目帯電低下を抑制させているため、帯電時間を稼げるスコロトロンチャージャーとの組み合わせは特に有効な方法となる。また、スコロトロンは像担持体と接触していないため、像担持体に潤滑性物質を塗布した際に汚染されることがなく、画質安定化の上で有効である。
本発明(26)の画像形成装置によれば、複数のビームを有する面発光レーザーを用いることによって、ポリゴンミラーの回転数に制限されることがなくなるため、更なる高速化が可能となる。本発明の式(1)の関係を満たしていれば、更なる高速化が可能となるため、本発明においては特に有効な方法である。また、このようなマルチビーム露光により、ビームが重なり合った部分とそうでない部分で生成した電荷量が異なり、それが画像に現れる場合があるが、本発明においては、感光層内のフリーな電荷が帯電初期の段階で表面に移動しキャンセルされやすいため、マルチビーム露光を用いる場合に特に有効である。また、面発光レーザーの場合は、像担持体廻りのレイアウト上の制限が少なくなり、装置の小型化に対してメリットが得られる。
本発明(27)の画像形成装置によれば、像担持体表面に潤滑性物質を塗布することによって、像担持体の耐摩耗性や耐傷性の向上、クリーニング性の向上等に効果が得られ、高速プロセスにおいてもその効果が維持できるため、本発明においては非常に有効な方法である。特に、保護層にフィラーを含有させた像担持体は、潤滑性物質の塗布性に非常に優れており、高い効果を得ることができる。
本発明(28)の画像形成装置によれば、前記潤滑性物質にステアリン酸亜鉛を用いることによって、耐摩耗性や耐傷性、クリーニング性を高める効果が高まり、かつ蓄積性が少なく、フィルミングなどの副作用も少ないため、本発明においては特に有効に用いられる。
本発明(29)の画像形成装置によれば、タンデム方式の画像形成装置は少なくとも4色の現像部に対応した4本の像担持体を装置内に内包させる必要があるため、像担持体の小径化が必要不可欠であり、そのため予備帯電手段を付加することも制限される。また、タンデム方式の最大のメリットは、フルカラー画像の高速化にあり、今後更なる高速化が求められることが予想される。そのため、本発明の画像形成装置はタンデム方式で用いることにより、高画質化とともに像担持体の小径化や高速化が実現されるため、特に有効に用いられる。
本発明(30)の画像形成装置及び本発明(31)のプロセスカートリッジによれば、装置本体に対しプロセスカートリッジとして着脱可能であるため、メンテナンス性に優れるメリットを有する。また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジは、高速出力に対応しているため、像担持体あるいはその周辺の部材の寿命はその分早くなると予想される。この場合、プロセスカートリッジの交換だけで対応できるため、本発明において有効な方法である。
本発明(32)の画像形成方法によれば、感光層に存在する一周目帯電低下の発生原因となるホールのほとんどが所定の帯電時間内に像担持体の表面に到達させることが可能となり、画像出力速度を維持しつつ、一周目帯電低下に対し非常に高い抑制効果を得ることが可能となり、さらに耐摩耗性の向上により長期繰り返し使用してもそれらの効果を安定に持続できる画像形成方法が提供される。
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置について、実施形態により詳細に説明する。
前述の通り、画像形成装置は高画質化と平行して、フルカラー化、高速化、小型化、操作後画像出力されるまでの時間の短縮化等、様々な印刷用途に対応し、かつ省スペース化やユーザーの使い勝手を向上させることが必要となる。それらを実現する上で、一周目帯電低下の現象は高速化、像担持体の小径化、操作後画像出力されるまでの時間の短縮化のすべてを妨げる大きな問題となっている。
像担持体の線速(プロセススピード)の高速化あるいは像担持体の小径化は帯電能が低下し、一周目帯電低下の大きな原因となる。一周目帯電低下の影響を回避するために、像担持体の一周目を空回しして使用する従来の方法では、操作後画像出力されるまでに多くの時間が必要となり、画像出力毎に必要となるこれらの時間は膨大なものになる。それを改善させるために予備帯電手段等を設ける方法では、像担持体周りの部材が増加し、像担持体の小径化が制限されてしまうなど、装置の小型化に対し大きな障害となる。その上、この方法では像担持体の静電疲労が加速され、根本的な対策にはなっていない。また、フルカラーの画像出力を行うためには、少なくとも4色のトナー像を重ね合わせる必要があるため、高速化及び装置の小型化の要求はさらに大きなものとなる。特に、高速フルカラープリントを可能としたタンデム方式の画像形成装置は、4色の現像部に対応した4本の像担持体が装置に内包されるため、像担持体の小径化が必要不可欠である。したがって、一周目帯電低下を抑制することは、これらの課題を同時に解決できる重要な技術となり、その技術の確立が熱望されている所以である。
但し、一周目帯電低下が抑制されても残留電位上昇や感度低下、帯電低下等の静電特性が悪化するようでは解決されたことにはならない。これらは、画像濃度の低下や地汚れ、色再現性の低下等、多くの画像欠陥を生じさせることになり、高画質化並びに画質の安定化を妨げる大きな原因となる。また、一周目帯電低下も静電疲労の増加によって増加してくることから、一周目帯電低下を抑制させる上でも静電特性の安定化は必要である。したがって、一周目帯電低下の抑制と静電特性の向上さらにそれらの安定化を両立させることが重要となる。本発明は、一周目帯電低下と静電特性の向上と安定化を両立させることを目的として検討を行った結果、前述の通り一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどを最初に行う帯電の初期段階で像担持体表面にまで到達させることが最も有効な方法であると判断した。
一周目帯電低下は、前述の通り静電疲労によって感光層もしくは電荷発生層にトラップされ、放置によって熱緩和し、リリースされやすくなったホールが原因であると考えられる。したがって、これらのホールのほとんどを最初に行う帯電の初期段階に像担持体表面に到達させるためには、電荷輸送層の移動度を高めるか、帯電時間を長くすることが必要となる。しかし、帯電時間を長くすることは、前述の通り一周目帯電低下が抑制されたとしても、画像出力に時間がかかり、高速化には対応できない。また、像担持体の小径化によっても帯電時間は短くなることから、装置の小型化に対しても制限されてしまう。したがって、短い帯電時間でも、静電疲労によって感光層内に蓄積された一周目帯電低下の原因となるホールが、その短い帯電時間内に像担持体表面にまで到達できるだけの高い移動度を持たせることが必要と考えられる。
従来の公報においても一周目帯電低下を抑制させるための構成要件の一つとして、電荷輸送層の高移動度化を挙げている公知技術は認められる。それらのほとんどはタイムオブフライト(TOF)法で見積もられたトランジット時間より算出された結果であり、これは像担持体の設計上非常に有用でかつ一般的に用いられている方法である。トランジット時間とは、像担持体中に生成した光キャリアの多くが外部電界に沿って像担持体中を移動するのに要した時間として定義される。図1に示した光電流の時間依存性の関係から、屈曲点を導き出し、それをトランジット時間として見積もられている。但し、トランジット時間は、像担持体における感光層の膜厚の影響を受けるため、下記式(5)より求められるドリフト移動度で比較するのが一般的である。
μ=d/(Tr・V)………式(5)
(ここで、μ:ドリフト移動度(cm/V・sec)、d:感光層の膜厚(cm)、Tr:トランジット時間(sec)、V:電圧(V)を表す。)
光電流の時間依存性を示した図1及び図2において、図1は電荷の移動開始から完了までの時間が比較的短い矩形型波形を示しているのに対し、図2は移動開始から完了までの時間が長く、電荷移動にバラツキが大きい分散型波形を示している。これらの図を見てわかるように、これらの屈曲点から導き出されたトランジット時間は、像担持体中に生成された光キャリアの大多数の移動時間を示しているとは言い難い。特に、後者の分散型波形を有する場合には、この方法によって得られたトランジット時間は、電荷の大多数が表面に移動するまでに要する時間との間に大きな開きがある。本発明によると、一周目帯電低下を抑制するためには、感光層に存在する一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどすべてを、短い帯電時間の間に像担持体表面にまで素早く到達させることが必要であるため、例え屈曲点として導き出されたトランジット時間が短くても、あるいは得られた移動度が高くても、電荷移動の開始から完了までに多くの時間を要する場合には、大きな効果を得ることができないことになる。
一方、上記トランジット時間で示される光電流の1/2あるいは1/10のトランジット時間で見積もる方法や図3よりトランジット時間を見積もる方法(特開2003−195536号公報)も開示されている。この方法であれば、電荷移動がほぼ完了した時点でのトランジット時間を得ることができるため、その点においては有効な方法であると言える。しかし、この領域はノイズが非常に大きくなるため、実際のところ正確なトランジット時間を見積もることが非常に困難である。
また、帯電時間と比較するためのトランジット時間を導き出す上で、これらのTOF法を用いることによる不具合も無視できない。例えば、像担持体が装置内で使用される状況は露光により電界強度が刻々と変化しているのに対し、TOF法では電界強度を固定して測定しているため正確性に欠ける。また、TOF法で用いられる光源は、画像形成装置内で使われる露光手段とは異なる場合がほとんどであり、その場合に電荷輸送物質が光源の影響を受け、場合によっては新たなトラップサイトを形成することも懸念され、それも正確性を欠く原因となる。さらに、上記TOF法は電荷輸送層を電極間で挟んだ構成で測定されるため、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層の積層型の像担持体における電荷発生層と電荷輸送層の界面の注入挙動が電荷輸送にもたらす影響は結果に含まれないことになる。したがって、従来のTOF法は、電荷輸送物質の移動度を比較する上では有効であっても、像担持体として実機内でのトランジット時間を決める方法としては適しておらず、特に積層型の像担持体の場合には実機内のトランジット時間を正確に見積もることができない。
以上のことから、一周目帯電低下は感光層に存在する一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどすべてを、短い帯電初期段階で表面に到達させることが必要であるため、基本的に高移動度を有する電荷輸送層が有効になるが、従来公報におけるトランジット時間の測定のほとんどは、TOF法によるものであって、その方法では実際に画像形成装置内で使用される像担持体の電荷の挙動を表したものとは言えず、一周目帯電低下との関係についても明確にはできない。
本発明においては、像担持体中に含まれる一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどが像担持体表面に到達したトランジット時間を求める方法として、特開2000−275872号公報に記載されている方法を採用した。この方法は、図4に示したように、帯電装置(2)にて像担持体に帯電させ、第1の表面電位計(5)にて暗部電位を測定し、その後露光装置(3)にて露光を行い、現像部に位置する第2の表面電位計(6)にて露光部電位を測定する。このとき露光時の照射光量を変えることにより、図5に示されるような光減衰曲線を得ることができる。なお、図4において、1は感光体、4は除電装置である。
この装置は、さらに露光手段と現像手段に位置する第2の表面電位計との角度を自由に調整できるため、露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を任意に設定することが可能である。したがって、所定の光量で露光してから露光部電位を測定するまでの時間を任意に変更しながら測定を繰り返すと、図6に示される露光してから露光部電位を測定するまでの時間と露光部電位との関係図が得られる。なお、所定の光量とは、図5の光減衰曲線から図に示す屈曲点領域で決定される。図6に示されるように、露光してから露光部電位を測定するまでの時間を短くしていくに従い、露光部電位は直線的に変化するが、やがて露光部電位が立ち上がり屈曲点(図中、第1の屈曲点)を見いだすことができる。さらに、露光してから露光部電位を測定するまでの時間を短くしていくと、さらに露光部電位は上昇し、再び屈曲点(図中、第2の屈曲点)が見いだされる。
本発明は、前述の通り像担持体中に含まれる一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどが像担持体表面に到達したトランジット時間を求める必要があるため、上記の第1の屈曲点における露光してから露光部電位を測定するまでの時間が本発明におけるトランジット時間と定義される。この方法により、像担持体そのものを用いて、また像担持体が用いられる画像形成装置本体とほぼ同じ条件、同じ環境で、一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどが表面に到達したトランジット時間を容易に測定することができ、これにより精度良く、また確実に一周目帯電低下を抑制することが可能となる。本発明では、像担持体そのものを実機と同じ条件で測定して得られる上記トランジット時間を、実機トランジット時間として定義する。
以上のことから、上記の実機トランジット時間をより短縮することができれば、更なる高速化や装置の小型化に対し余裕度が得られ有効である。しかし、実機トランジット時間が十分に短くても、帯電時間がそれよりも短かったり、帯電が不均一であったりした場合は、一周目帯電低下を抑制することはできない。そのため、像担持体の実機トランジット時間以上の帯電時間を与え、かつ均一に帯電させる帯電手段が必要となる。
帯電手段としては、前述の通り実機トランジット時間以上の帯電時間を確保できる帯電手段であれば、如何なる手段を用いてもよい。例えば、コロトロン、スコロトロン等に代表されるワイヤーに高電圧を印加するコロナ放電方式、ワイヤーの代わりに絶縁板を挟む面状の電極に高周波高圧を印加する固体放電方式、ローラー形状の部材に高電圧を印加し、像担持体に接触させた状態で帯電を行う接触型ローラー帯電方式、ローラー形状を有し画像形成領域において100μm以下の空隙を介して帯電させる近接配置型ローラー帯電方式、その他ブラシ、フィルム、ブレード等を用いて像担持体に接触した状態で帯電させる接触帯電方式等、従来公知の帯電器を使用することが可能である。
これらの中でも、本発明に最も適している帯電方式は上記コロナ帯電方式が挙げられる。この帯電方式は、直径が50〜100μmのワイヤーに高電圧を印加し、その周辺の空気をイオン化させ、それを像担持体に移動させることによって帯電させるものである。コロナ放電方式は、主にコロトロン及びスコロトロンに大別される。スコロトロンは、コロトロンにスクリーン電極(グリッド)を配置した構成となっており、スクリーン電極は1〜3mmピッチで、像担持体からは1〜2mm離れた位置に張られる。これにより、帯電時間が長くなってもグリッド電極に印加された電圧によって帯電電位が規制され、表面電位が飽和する。そのため、帯電電位はグリッド電圧により制御でき、均一帯電が可能となる。本発明においては、帯電ムラが少なく、均一帯電が可能なスコロトロンの方が、一周目帯電低下の抑制効果が高く、高速化や装置の小型化に対する余裕度も向上し、また高画質化の点からも最も適した帯電手段である。
高速化に対応させるためには、ワイヤーを2本張ったダブルワイヤー型が特に有効である。また、ダブルワイヤー型の中でも、2本のワイヤー間を仕切ったタイプも有効に用いられる。但し、ワイヤー同士あるいはワイヤーとケーシング間の放電を防止するために、1kVあたり1.5mm以上の空隙を設ける必要がある。ダブルワイヤー型のスコロトロンは、帯電幅が増すため、帯電時間を稼ぐことができ、一周目帯電低下の抑制効果に更なる余裕度が得られ、更なる高速化に対して対応できる。
コロトロンの帯電幅は、ケーシングの開口部の幅と同等である。但し、コロトロンはワイヤー(704)(図7参照)の近くとそうでない領域で帯電電流分布が生じる場合がある。一方、スコロトロンはグリッドを設けていることにより均一帯電が可能であるため、コロトロンより一周目帯電低下の抑制効果が高くなる。スコロトロンの像担持体(702)への帯電幅(701)は、図7に示したようにグリッド(703)の幅で決まる。なお、ケーシング(705)の形状は箱形や円筒型等があり、如何なる形状のものでも使用可能であるが、帯電幅はあくまでケーシングの開口幅もしくはグリッド幅で決まる。本発明における帯電時間は、下記式(2)にて定義される。
帯電時間(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………式(2)
したがって、コロトロンあるいはスコロトロン帯電方式を用いた場合の帯電時間は、画像形成装置に用いられるコロトロン帯電器のケーシングにおける開口部の幅もしくはスコロトロン帯電器のグリッド幅を像担持体の線速で除した値で決まる。
一方、ローラー形状の帯電方式は、導電性ローラーに電圧を印加して、像担持体に接触させて電荷を与える方法である。コロナ帯電方式に比べて印加電圧が低いことと、装置の小型化に有利であり、オゾンの発生量が非常に少ない利点もある。但し、非常に高速で使用すると、ローラーの汚染やローラーの寿命により帯電性が低下してくる恐れがある。したがって、線速の早い装置で用いるよりは、小径の像担持体を用いた省スペース対応の画像形成装置に適している。
この帯電方式は、像担持体と帯電ローラーとの接触面積はわずかであるが、実際には微小空隙での放電による電荷移動によって帯電されるため、ローラー帯電方式における帯電幅は、図8に示したように像担持体(802)と帯電ローラー(805)の接触している部分の前後における空隙幅(806)が300μm以内の領域と見ることができる。また、DCにACを重畳させることによって、帯電の均一性を大幅に高めることが可能となるため、本発明においては一周目帯電低下の抑制、あるいは高速化や小型化に対応する上で特に有効な方法である。なお、801は帯電幅を表す。
また、ローラー形状の帯電方式でも画像形成領域において、像担持体と非接触とした近接配置方式も有効に用いられる。これにより、繰り返し使用することによって帯電ローラーが現像材や紙粉等によって汚染され、帯電低下や異常画像の発生、さらには摩耗等の発生を抑制することが可能となる。像担持体と帯電ローラーを画像形成領域において近接配置させる方法として、帯電ローラーあるいは像担持体の非画像形成領域にギャップを設ける方法が挙げられる。例えば、図9に示したように帯電ローラー(56)の非画像形成領域に厚みが均一なギャップテープ(ギャップ形成部材51)を設けることで、空隙保持が可能となる。なお、55は像担持体、52は金属シャフト、53は画像形成領域、54は非画像形成領域である。像担持体と帯電ローラーとのギャップが小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。帯電ローラーを像担持体に対して接触させない構成にしたことで、その分放電は不均一となり、像担持体の帯電が不安定になる場合がある。それに対しては、印加バイアスは直流成分(DC)に交流成分(AC)を重畳させて帯電することが好ましく、これにより帯電の安定性が著しく向上する。また、DCのみでは像担持体と帯電ローラーとの空隙で起こる放電が、像担持体が回転する入り口領域と出口領域で異なるが、AC重畳させるとその領域全体で均一に放電されるため、一周目帯電低下の抑制効果はさらに高まる。
これらのローラー帯電方式における帯電時間は、像担持体と帯電ローラーとの空隙幅が300μm以内の領域を帯電領域とし、その距離を像担持体の線速で除した値で決まる。ローラー帯電方式の帯電幅は、像担持体と帯電ローラーとの空隙幅が300μm以内の領域として算出できるし、直接計測して求めても良い。近接配置型のローラー帯電方式は、像担持体との間に既にギャップが設けられているため、接触型のローラー帯電方式に比べて帯電幅は若干縮小されるが、AC重畳することによってその影響は十分に抑制できるため、本発明において有効に用いられる。
また、これらすべての帯電手段を複数備えることも可能であり、帯電時間を大幅に増加させることが可能であることから、特に高速化に対しては有効である。複数の帯電手段を備えた場合には、それぞれの帯電手段における帯電時間の和が総帯電時間となる。しかし、帯電手段を複数備えることは高速化に対しては有効であるが、装置の小型化や像担持体の小径化に対しては好ましくない。装置によって使い分けることが必要である。
なお、前記実機トランジット時間は電界強度依存性が認められ、電界強度が高い方が早くなる。すなわち、実機トランジット時間は、像担持体の感光層膜厚が薄い方が早く、また未露光部の現像位置における表面電位が高い方が早くなる。一方、所定の帯電時間、像担持体に帯電を施す際の電界強度も一周目帯電低下に対し影響が認められる。したがって、実機トランジット時間を測定するときの電界強度は、実際に像担持体が画像形成装置内で使用される電界強度と同じにして計測する必要がある。以上のように、実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)は、上記の如く定義される。
本発明は、下記式(1)の如く、実機トランジット時間T1が帯電時間T2以下である画像形成装置である。
T1≦T2………式(1)
実機トランジット時間T1が、帯電時間T2以下でなければならない理由は既に述べた通りである。すなわち、実機トランジット時間が帯電時間を上回ると、感光層内に蓄積されたホールが所定の帯電時間内に像担持体表面にまで到達できず、感光層内に残存し、それらのホールによって帯電低下が発生してしまうことになる。したがって、実機トランジット時間は帯電時間以下であることが必要である。
単に一周目帯電低下を抑制することだけが目的であれば、帯電器を大型化したり、帯電器を複数設置したり、線速を遅くする等、従来公知の方法で抑制することは可能である。しかし、そのような方法では、画像形成装置の小型化や高速化、像担持体の小径化が実現できないことになる。本発明は、上記式(1)の関係を満たすことにより、画像出力速度や画像形成装置のサイズを犠牲にすることなく、一周目帯電低下の抑制効果が得られ有効となる。像担持体の回転速度が80(rpm)未満の場合には、一周目帯電低下の影響は低減されるが、画像出力の高速化に対しては像担持体の線速の高速化が不可欠であるため致命的となる。逆に、像担持体の回転速度が高くなればなるほど、一周目帯電低下の影響が増加し、特に像担持体の回転速度が80(rpm)以上になると顕著に増加するが、本発明においては回転速度が高速化しても一周目帯電低下の抑制効果に非常に優れているため、像担持体の回転速度が高いほどより大きな効果を得ることができる。
次に、図面に沿って本発明の画像形成装置をより詳細に説明する。
<画像形成方法及び画像形成装置について>
図10に本発明の画像形成方法及び画像形成装置を説明するための概略図を示す。これは一つの代表例であって、これに限定されるものではなく、例えば後述する変形例も本発明にすべて含まれる。図10に示される像担持体(21)は、本発明の像担持体であり、詳細は後述する。像担持体(21)は、ドラム形状を示しているが、これに限られるものではなく、例えばシート状やエンドレスベルト状のものであっても良い。なお、22は除電ランプ、23は帯電チャージャー、24は画像露光部、25は現像ユニット、26は転写前チャージャー、27はレジストローラ、28は転写紙、29は転写チャージャー、30は分離チャージャー、31は分離爪、32はクリーニング前チャージャー、33はファーブラシ、34はブレードである。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、少なくとも前述の帯電手段、露光手段、現像手段を備えたものであり、さらに転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段等を必要に応じて備えることができる。あるいは、これ以外の手段を追加することも可能である。帯電手段については前述のとおりである。以下、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段及び除電手段について説明する。
露光手段としては、それより照射された光が像担持体の電荷発生物質に吸収されるものであれば如何なる手段をも使用することができる。帯電された像担持体に露光を行い、その光が電荷発生物質に吸収されて電荷対が生成され、その一電荷が表面に移動して表面電荷を打ち消すことによって像担持体表面に静電潜像が形成される。露光手段として用いられる光源としては、上記条件を満たせば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯、ナトリウム灯等を使用することができる。これらの中でも発光ダイオードや半導体レーザーは高速化や装置の小型化の点からも有効であり、本発明の効果をより高める上で最も適している。また、これらの光源は、所望の波長域の光を照射させるために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターと組み合わせて用いることもできる。
また、露光手段として、マルチビーム露光手段、特に面発光レーザーは本発明において有効に用いられる。画像形成装置の高速対応のためには、回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数を高め、副走査方向の画像走査周波数を上げる必要がある。しかし、ポリゴンミラーの回転数にも限界がある。この場合、副走査方向にビーム光源を複数個並べ、主走査方向1回の走査で複数ビームの走査をする、マルチビーム記録ヘッドによるマルチビーム走査露光方法が用いられている。マルチビーム記録ヘッドによるこの方法では、例えばn本のビーム光源になることで1ビーム光源のみの場合に必要となる回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数が、1/nの回転数でよくなり、1ビーム光源の場合より、n倍の高速化が可能となる。又、走査速度に余裕が生じることになり、その分、走査密度を高密度にして、高速で、高精細な画像出力が可能になるなどメリットが大きい。
図11に本発明で用いるマルチビーム露光手段の一例を示す。複数の発光点(301a)を1次元又は2次元に配置した光源(301)から出た複数のレーザービームはコリメートレンズ(302)によって平行拘束あるいは略平行拘束になり、シリンドリカルレンズ(303)、アパーチャー(304)を介して回転多面鏡(ポリゴンミラー)(305)によって主走査方向に偏向させられる。回転多面鏡によって偏向されたレーザービームは走査レンズ1(306a),走査レンズ2(306b)によって収束光となり、反射鏡1、2、3(307a、307b、307c)を介して感光体表面に結像され、主走査方向に走査される。マルチビーム露光手段の光源としては、端面発光レーザー及び面発光レーザーが使用可能である。特に面発光レーザーは発光点を2次元に配列したレーザーアレイを形成することができ、画像形成装置の高速化、小型化、画像の解像度向上に有効である。なお、302、303、304の組み合わせをカップリング光学系と称する。また、(a)は光源拡大図、(b)は走査線拡大図である。
このように、マルチビーム露光手段を用いると、ポリゴンミラーの回転速度に限定されることなく、像担持体の高速化が可能である。また、複数のレーザービームの重なりに起因する影響も低減できることから、本発明はマルチビーム露光との組み合わせにおいて特に有効に用いられる。
現像工程は、前記露光手段によって形成された静電潜像をトナーによって現像し、像担持体上にトナー像を形成する工程である。像担持体の帯電極性と同極性のトナーを用いて現像すればネガ画像(反転現像)が得られ、異極性のトナーを用いて現像すればポジ画像が得られる。現像には、トナーのみで行う1成分現像方式と、トナーとキャリアを混合した状態で行う2成分現像方式があるが、本発明においてはいずれも良好に使用できる。また、像担持体上に複数色のトナー像を重ね合わせてフルカラー像を現像する場合、像担持体に接触して現像する方法を用いると、先に現像されていたトナー像を乱してしまう恐れがある。これには、像担持体に対し非接触で現像が可能な、例えばジャンピング現像方式等が好ましく用いられる。
転写工程は、像担持体上に形成されたトナー像を転写材(紙などの転写媒体)に転写する工程である。転写手段としては、帯電器を使用することが可能であり、例えば図10に示されるように転写チャージャーを使用したり、分離チャージャーを併用したものが効果的である。転写方式としては、上記転写手段を用いて像担持体からトナー像を紙などの転写媒体に直接転写する方式と、像担持体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙などの転写媒体に転写する中間転写方式があり、どちらの方式でも良好に使用することができる。後者の中間転写方式は、高画質化に対しては有効であり、フルカラー画像形成装置に対しては有効であるが、反面高速化や装置の小型化に対しては不利であり、使用目的によって使い分けることが必要である。
また、転写時は定電圧方式、定電流方式があり、いずれの方法でも使用可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式の方がより好ましい。転写電流は高い方が転写性は高くなり、特に線速が早くなると転写性は低下するため、転写電流の増加は有効となる。また、転写電流を高くすると除電の際に像担持体内に流れる電荷量が低減されるため、静電疲労の影響を低減させる上でも好ましい。しかし、転写電流が高すぎて像担持体表面がプラスに帯電してしまうと、除電工程でも電位差を消去できず、次サイクルの帯電工程に突入した際、帯電低下を引き起こす恐れがある。したがって、一周目帯電低下を抑制するためには、転写後に像担持体がプラス側に帯電しないように転写電流を設定させることが重要である。
定着工程は、紙などの転写媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧によって転写媒体上に固定化する工程である。定着させる方法としては、転写媒体にトナーが固定化することが可能であれば、如何なる方法を用いても良い。具体的には加熱及び/又は加圧する方法が挙げられ、加熱ローラーと加圧ローラーの組み合わせや、さらに無端ベルトを組み合わせる方法もある。
クリーニング工程は、現像手段によって像担持体上に現像されたトナーが、転写手段によって転写媒体に転写され、なお像担持体上に残存したトナーを除去する工程である。これらの残存トナーを像担持体上から除去することが可能であれば如何なる方法を用いても良い。具体的な手段としては、ファーブラシやブレード、あるいはそれらを組み合わせて用いることが多い。その他、磁気ブラシ、静電ブラシ、磁気ローラー等も有効に用いられる。
クリーニング工程は、像担持体上には残存トナーの他、現像材成分や紙粉、放電生成物等、多くの異物が付着することで汚染され、それが画質に大きく影響することから、それらを除去する役割をも有する。しかし、繰り返し使用されるに従い異物付着は進行すると、クリーニング不良が発生して異常画像の原因となる。そこで、クリーニング性を高める目的で、後述するように像担持体表面に潤滑性物質を含有させたり、像担持体表面にクリーニング工程後に潤滑性物質を付着/塗布し、異物を付着しにくくする方法も有効である。担持体表面に潤滑性物質が塗布されることによって、クリーニングブレードによる摩擦が低減し、ブレードの挙動が安定化してクリーニング不良を防止することができる。また、クリーニングブレードは、像担持体表面に過剰に塗布された潤滑性物質を除去する働きもあり、これによって異物付着やフィルミングを防止することができる。特に、像担持体の表面に形成される保護層にフィラーを含有した場合、潤滑性物質の塗布性あるいはその均一性が向上し、クリーニング性や像担持体の耐摩耗性あるいは耐傷性に大きな効果が得られるため、本発明において特に有用である。
除電工程では、クリーニング工程で残存トナーが除去されても、像担持体上に静電潜像コントラストが残存していた場合、次サイクルでそのコントラストが残像やゴースト画像として可視化される恐れがあるため、それらを除去する工程である。除電手段としては、そこから照射される光を電荷発生物質が吸収できれば、如何なる手段であってもよい。例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯、ナトリウム灯等が挙げられ、さらに露光手段で挙げられた光学フィルターと組み合わせて用いても良い。また、光照射方式以外に、逆バイアスを印加して除電する方法もあり、静電疲労を抑制する上では好ましい。
但し、前記の通り像担持体への除電光の照射は、静電疲労を助長することになり、また装置の小型化の面から除去されるケースもあるが、次サイクルの帯電前に静電潜像コントラストが残っていたり、転写によって一部がプラスに帯電したりした場合は、残像やゴースト画像の発生や一周目帯電低下を助長させることになるため、除電手段を有していた方がより好ましい。
本発明においては、前述のとおり像担持体表面に潤滑性物質を塗布する機構を設けてもよく、非常に有効である。像担持体表面に潤滑性物質を塗布することによって、クリーニングブレードがめくれたり、それに伴ってクリーニング不良が起こったりするのを防止することが可能である。また、像担持体表面に潤滑性物質が塗布されていることによって、帯電による像担持体表面の劣化を防止する効果も有する。すなわち、高寿命化と高画質化を両立できる有効な方法である。本発明においても、一周目帯電低下や静電安定性に影響を及ぼすことなく、像担持体の耐摩耗性や耐傷性やクリーニング性の更なる向上を実現できるため、非常に有効に用いられる。
潤滑性物質の塗布方法は、潤滑性物質を固形化し、それをブラシで掻き取って像担持体に塗布する方法、潤滑性物質を直接像担持体に接触させて塗布する方法、現像剤に潤滑性物質を粉末状に混合し、現像工程において像担持体表面に供給、塗布する方法等多くの方法が挙げられる。本発明においては、像担持体表面に潤滑性物質が塗布されれば如何なる方法でも使用可能であるが、特にブラシで掻き取って塗布する方法が最も好ましく用いられる。また、像担持体表面に均一に塗布するために、ブレードを当接させ、塗布された潤滑性物質を延展させる方法も有効であり、好ましく用いられる。この場合、ブレードはクリーニングブレードと併用しても良いし、クリーニングブレードとは別に潤滑性物質専用の塗布ブレードを別途設けても良い。潤滑性物質の塗布機構は、クリーニング手段の後工程に配置されるのが好ましい。
本発明で用いられる潤滑性物質としては、像担持体表面に均一に付着し、その結果像担持体表面に潤滑性を付与できる物質であれば、如何なる物質でも使用可能である。例えば、ワックス類や滑剤の類の材料は良好に使用できる。ワックス類としては、エステル系もしくはオレフィン系が望ましく、エステル系ワックスとは、エステル結合を有するものであり、例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス、およびモンタンワックス等が挙げられる。オレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成ワックスが挙げられる。
また、滑剤としては、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ステアリン酸亜鉛、ラウリル酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
<タンデム方式の画像形成装置について>
本発明は、一周目帯電低下の抑制効果が顕著に高く、画像形成装置の高速化、小型化、画像出力時間の短縮化等に非常に有効である。したがって、特にフルカラー画像形成装置において、高速化、小型化が強く求められているタンデム方式の画像形成装置に非常に有効に用いられる。タンデム方式の画像形成装置とは、複数色のトナーを各々独立して保持する現像部に対応してそれと同じ本数の像担持体を具備し、それによって各色の現像を各々独立に平行して処理し、その後各色のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する装置である。具体的には、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色の現像部及び像担持体が具備されており、4回のプロセスを繰り返して出力される従来のシングルドラム方式に比べて、極めて高速なフルカラー印刷を実現している。
図12は、本発明のタンデム方式によるフルカラー画像形成装置を説明するための代表的な概略図である。図12において、符号(1C、1M、1Y、1K)はドラム状の像担持体であり、本発明の像担持体が用いられる。この像担持体(1C、1M、1Y、1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段(2C、2M、2Y、2K)、現像手段(4C、4M、4Y、4K)、クリーニング手段(5C、5M、5Y、5K)が配置されている。
この帯電手段(2C、2M、2Y、2K)と現像手段(4C、4M、4Y、4K)の間の像担持体裏面側より、図示しない露光手段からのレーザー光(3C、3M、3Y、3K)が照射され、像担持体(1C、1M、1Y、1K)に静電潜像が形成される。そして、このような像担持体(1C、1M、1Y、1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C、6M、6Y、6K)の現像手段(4C、4M、4Y、4K)とクリーニング手段(5C、5M、5Y、5K)の間で像担持体(1C、1M、1Y、1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の像担持体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C、11M、11Y、11K)が配置されている。各画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図12に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)において、像担持体(1C、1M、1Y、1K)が矢印方向(像担持体と連れ周り方向)に回転する帯電手段(2C、2M、2Y、2K)により帯電され、次に像担持体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C、3M、3Y、3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像手段(4C、4M、4Y、4K)により静電潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段(4C、4M、4Y、4K)は、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、4つの像担持体(1C、1M、1Y、1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記像担持体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各像担持体(1C、1M、1Y、1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
像担持体上のトナー像は、転写ブラシ(11C、11M、11Y、11K)に印加された転写バイアスと像担持体(1C、1M、1Y、1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各像担持体(1C、1M、1Y、1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C、5M、5Y、5K)で回収される。
なお、図12の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図12において帯電手段は像担持体と当接しているが、図9に示したような帯電機構で、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、帯電手段へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
<プロセスカートリッジについて>
以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよく、また、各々の画像形成要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、像担持体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等から選択される手段の少なくとも1つを含んだ1つの装置(部品)であり、画像形成装置本体に対し着脱自在である。プロセスカートリッジの形状等は限定されるものではないが、一般的な例として、図13に示すものが挙げられる。
次に、図面に沿って本発明に用いられる像担持体について以下に説明する。
<像担持体の層構成について>
本発明における像担持体の層構成は、少なくとも感光層と保護層の複数の層からなる。以下に具体的な層構成を示す。図14は、導電性支持体(1001)上に感光層(1002)及び保護層(1003)が順次積層された像担持体である。また、図16のように感光層(1022)と導電性支持体(1021)との間に下引き層(1024)を設けても良い。また、下引き層は、下引き層と樹脂層の2層構成であってもよい。1023は保護層である。図15は、導電性支持体(1011)上に電荷発生層(1015)、電荷輸送層(1016)及び保護層(1013)を順次積層した像担持体である。また、図17のように電荷発生層(1035)と導電性支持体(1031)との間に下引き層(1034)を設けても良い。1033は保護層、1036は電荷輸送層である。また、下引き層は、下引き層と樹脂層の2層構成であってもよい。本発明においては、一周目帯電低下を抑制させる目的から、これらの層構成の中でも下引き層を形成させた方がより好ましい。また、感光層が単層の場合よりも複数積層させた方が耐久性の点からより好ましい。なお、これらの層構成は代表的なものを示したものであって、本発明はこれらの層構成に限定されるものではない。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものが挙げられ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
さらに、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を形成(塗工などを用いて形成)したものも導電性支持体として用いることができる。このような導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が良好に使用可能である。このアルミニウムとは、純アルミニウム系あるいはアルミニウム合金のいずれかをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は、各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜は、残留電位上昇が少なく、また反転現像を用いた際に発生する地汚れの防止効果が高く有効である。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれいな(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが好ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が好ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
<感光層について>
次に、感光層について説明する。
感光層は、単層もしくは積層でもよいが、はじめに積層型から説明する。積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層されることによって構成されている。
<電荷発生層について>
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料、また下記式で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。
Figure 2009186969
上式(11)中、M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。ここで挙げられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。
本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般的な化学式(11)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また、基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。また、これらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばチタニルフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要である。
これらのフタロシアニン系顔料の中でも、CuKαの特性X線(1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は特に高い感度を有しており、本発明においては画像形成の高速化が可能となるため特に有効に用いられる。さらに、その中でも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、電荷発生効率が大きく、静電特性も良好で、地汚れが発生しにくい等、本発明の電荷発生物質として極めて有効に使用できる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
本発明の像担持体に含有される上記電荷発生物質においては、粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより高くなる場合があり有効である。特に、フタロシアニン系顔料においては、平均粒子サイズは0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。以下にその作製方法を示す。感光層に含有される電荷発生物質の粒子サイズをコントロールするための方法は、電荷発生物質を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除く方法である。ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、電荷発生物質粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
次に電荷発生物質を分散した後に、粗大粒子を取り除く方法について述べる。即ち、出来る限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過する方法である。分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
この方法では、目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)、残存する微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルター、より好ましくは3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)電荷発生物質のみを含む分散液を作製することができ、これを用いることにより、感度や帯電性等の静電特性が改善され、その効果が持続し、本発明の効果を高めることができる。
この際、濾過される分散液の粒子サイズが大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過によるロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液においては、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行った方が望ましい。平均粒子サイズが0.3μm以上である場合には濾過によるロスが大きくなり、標準偏差が0.2μm以上である場合には濾過時間が非常に長くなったりする不具合点を生じる場合がある。
上記電荷発生物質は、高感度な特性を示す電荷発生物質の特徴である分子間水素結合力が極めて強い。このため、分散された顔料粒子の粒子間での相互作用も非常に強い。この結果、分散機などにより分散された電荷発生物質粒子が、希釈などにより再凝集する可能性が非常に大きく、上述のように分散終了後、特定サイズ以下のフィルターで濾過を行うことにより、このような凝集物を取り除くことができる。この際、分散液がチキソトロピーな状態にあるため、使用するフィルターの有効孔径よりも小さいなサイズの粒子まで除去される。または、構造粘性を示す液をフィルター処理によりニュートン性に近い状態に変えることもできる。このようにして、電荷発生物質の粗大粒子を取り除いてやることにより、本発明の効果をさらに向上させることができる。
また、前記アゾ顔料の中では、下記化学式(10)で表されるアゾ顔料は有効に使用される。特に、アゾ顔料のCpとCpが互いに異なるものである非対称アゾ顔料は、キャリア発生効率が大きく、高速化に対して有効であり、本発明の電荷発生物質として好ましく用いられる。
Figure 2009186969
上式(10)中、Cp、Cpはカップラー残基を表す。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp、Cpは下記化学式(10a)で表され、互いに異なる構造を持たせることによって非対称アゾ顔料が得られる。
Figure 2009186969
上式(10a)中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の炭素環式芳香族基芳香族炭素環又は置換もしくは無置換の複素環式芳香族基芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコ−ン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラ−ル、ポリビニルホルマ−ル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの中でもポリビニルブチラールが好ましく用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。場合によっては、電荷発生層に後述の電荷輸送物質を添加することも可能である。バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は上記塗工液を用いて導電性支持体上あるいは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。また塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
<電荷輸送層について>
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質は、像担持体表面まで電荷を輸送する機能を担うため、実機トランジット時間を短縮し、画像形成装置の高速化を実現する上で、本発明にとって重要な構成要件となる。
具体的な電荷輸送物質としては、電子輸送物質では、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、縮合多環キノン、ジフェノキノン、ベンゾキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、シアノ基やニトロ基を有する芳香族環等、一般に電子受容性を示す物質が挙げられる。
一方、正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
これらの電荷輸送物質の中でも、ジスチリル構造を含む化合物が有効であり、その中でも下記化学式(1)に示されるジスチリル化合物が、実機トランジット時間の短縮化に非常に有効であり、一周目帯電低下の発生を抑制できることから、高画質化、高速化、装置の小型化、画像出力時間の短縮化において極めて有効となる。
Figure 2009186969
[上式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基のいずれかを表し、各々同一でも異なっていても良い。フェニル基は無置換のものでも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。
Aは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1a)で表される基を表す。B及びB’は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1b)で表される基を表す。B及びB’は、同一であっても異なっていても良い。
Figure 2009186969
(上式(1a)中、R、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表し、フェニル基の場合は無置換でも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。)
Figure 2009186969
(上式(1b)中、Arはアリーレン基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。また、Ar及びArは、それぞれアリール基を表し、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。)]
これらの化合物の中でも、下記化学式(2)で示されるジスチリル化合物は、本発明において特に効果が高く、有効かつ有用である。
Figure 2009186969
(上式(2)中、R〜R33は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
また、下記一般式(3)で示される電荷輸送物質も、本発明において有効である。
Figure 2009186969
(上式(5)中、R34〜R57は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
これらの化合物は、高い移動度を有していることが有効である要因と考えられるが、それだけではなく、電荷の移動開始からほとんどすべての電荷の移動が完了するまでの移動時間が少なく、電荷移動においてその速度にバラツキが少ない、矩形型波形を示すことが特徴的である。本発明における効果は、単に電荷輸送物質の移動度が高いことだけではなく、像担持体に含まれる一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどすべてが、像担持体表面にまで到達する時間を短縮できたことがその要因であり、上記化学式(1)で示される化合物、とりわけ上記化学式(2)及び(3)で示されるジスチリル化合物はそれに対し非常に有効な材料であることが見いだされた。これらは、分子が比較的大きく直鎖状の分子構造を有している上に、π共役系が分子全体に広がった特徴を有しており、これにより電荷の分子間移動よりも分子内移動の割合が高まり、移動度の向上とともに移動度の電界強度依存性が低減されたものと考えられる。
本発明において電荷輸送物質として用いられるこれらの化合物の具体例を以下に示す。但し、これらは一例であって、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2009186969
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電荷発生層に含有される電荷発生物質のイオン化ポテンシャルIpCGMと電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpCTMとの間に下記式(3)の関係を満たすことが好ましく、
IpCGM−IpCTM≧−0.1(eV)………式(3)
これにより残留電位及び疲労による残留電位上昇を大幅に抑制することが可能となる。本発明で規定するイオン化ポテンシャルとは、材料の基底状態から電子一個を取り出すのに必要なエネルギー量を意味する。
電荷発生物質のイオン化ポテンシャルIpCGM及び電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpCTMは、それぞれの物質からイオン化ポテンシャルを直接測定することも可能であるが、電荷発生物質を含む電荷発生層、もしくは電荷輸送物質を含む電荷輸送層を膜のまま直接測定することによっても、それぞれのイオン化ポテンシャルIpCGM及びIpCTMを測定することができる。なお、イオン化ポテンシャルとは、基底状態にある孤立した原子から1個の電子を取り去る時に必要となるエネルギーを意味する。イオン化ポテンシャルの測定は、大気雰囲気中でサンプルにモノクロメーターで分光した紫外光をエネルギーを変化させながら照射し、光電効果により光電子が放出され始めるエネルギーを求めることでイオン化ポテンシャルを求めた。測定装置としては、理研計器社製の表面分析装置、AC−1、AC−2、AC−3等を用いて測定することができる。測定時光量は100nWに設定した。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明においては、前記実機トランジット時間を短縮させる手段として、電荷輸送物質の選択だけでなく、電荷輸送層のバインダー樹脂の選択も重要である。高移動度を有する電荷輸送物質を用いても、バインダー樹脂によっては効果が半減してしまう可能性もある。本発明においては、低誘電率のバインダー樹脂を用いることが好ましく、中でもポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレンが好ましく用いられる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を併せ持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れる上に、材料によっては一周目帯電低下の抑制に対する効果も認められる。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、式(I)〜式(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
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上式(I)中、R111、R112、R113はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R114は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R115、R116は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。
Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式(I−a)で表される2価基を表す。尚、上式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(I−a)中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)。
または、下記一般式(I−b)で表される基を表す。
Figure 2009186969
上式(I−b)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
Figure 2009186969
上式(II)中、R117、R118は置換もしくは無置換のアリール基、Ar101、Ar102、Ar103は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(II)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(III)中、R119、R110は置換もしくは無置換のアリール基、Ar104、Ar105、Ar106は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(III)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(IV)中、R211、R212は置換もしくは無置換のアリール基、Ar107、Ar108、Ar109は同一又は異なるアリーレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(IV)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(V)中、R213、R214は置換もしくは無置換のアリール基、Ar110、Ar111、Ar112は同一又は異なるアリーレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(V)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(VI)中、R215、R216、R217、R218は置換もしくは無置換のアリール基、Ar113、Ar114、Ar115、Ar116は同一又は異なるアリーレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。 X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(VI)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(VII)中、R219、R220は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R219とR220は環を形成していてもよい。Ar117、Ar118、Ar119は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(VII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(VIII)中、R221は置換もしくは無置換のアリール基、Ar120、Ar121、Ar122、Ar123は同一又は異なるアリーレン基を表す。 X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(VIII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(IX)中、R222、R223、R224、R225は置換もしくは無置換のアリール基、Ar124、Ar125、Ar126、Ar127、Ar128は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(IX)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2009186969
上式(X)中、R226、R227は置換もしくは無置換のアリール基、Ar129、Ar130、Ar131は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、上式(I)の場合と同じである。尚、上式(X)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
Figure 2009186969
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これら主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質はバインダー樹脂としての役割を持つことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
バインダー樹脂として上記高分子電荷輸送物質を用い、さらに電荷輸送物質を添加することで実機トランジット時間は大幅に短縮され、一周目帯電低下の抑制効果が高くなるため有効である。但し、高分子電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルと電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルとの差が0.1eVよりも大きくなると効果は小さくなり、残留電位上昇等の悪影響も見られる場合がある。両者のイオン化ポテンシャルの差を0.1eV以下、好ましくは0.05eV以下とすることで一周目帯電低下の抑制効果が非常に高くなり、画像形成装置の高速化や小型化に対しても有効となり、また残留電位の影響も大幅に低減できるため、高画質化に対しても有効である。
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。また、電荷輸送物質を2種以上混合したり、バインダー樹脂を2種以上混合して用いることも可能であり、材料の組み合わせによっては一周目帯電低下の抑制に一層大きな効果が得られる場合もある。
電荷輸送層の塗布液として用いられる溶剤は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が用いられる。ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤は像担持体の特性上問題はないものの、地球環境への負荷を低減させる目的で使用しないことが望ましい。これらの中でも有効に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素が好ましく用いられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
また、電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて、単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。特に、分子構造が大きく、実機トランジット時間の短縮に有効な電荷輸送物質を用いた膜は剥がれやすい、あるいはクラックが入りやすいなどの問題が生じる場合がある。特に、上記一般式(1)、(2)及び(3)で示される電荷輸送物質は、高い融点を有し、分子構造もπ電子共役系の広がった大きな構造を有することから結晶性が高く、また溶解性は低く、皮脂の付着や応力などにより膜にクラックが発生する場合がある。この場合に、可塑剤を添加することで膜剥がれやクラックを防止することができ、本発明において効果を発揮させる上で有効である。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の可塑剤が使用可能であり、有効である。添加量としては、バインダー樹脂に対して0〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
また、上記一般式(4)及び(5)で示される化合物もクラックの防止に有効である。さらに、上記一般式(4)及び(5)で示される化合物は、酸化性ガスが高濃度の雰囲気下で発生する画像流れを抑制する相乗効果を得ることができる。上記一般式(1)、(2)及び(3)で示される電荷輸送物質は、ジスチリル構造を有していることから酸化性ガスに対し安定性が低い。これらの電荷輸送物質と上記一般式(4)及び(5)で示される化合物とを混合することにより、酸化性ガス雰囲気下においても画像流れや解像度の低下を抑制することができる。また、これらの化合物は、静電疲労に対する帯電低下を抑制する効果が得られ、画質の安定化を実現する上で非常に有効な方法である。さらに、これらの化合物は、自ら電荷輸送構造を有しているため、残留電位に及ぼす影響が少なく、比較的多量の添加も可能である。
本発明において特に有効な、上記一般式(4)及び(5)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物の具体例としては、下記構造式で示される材料が挙げられる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2009186969
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上記式(4)及び(5)で示される化合物の添加量は、電荷輸送物質に対して0〜30重量%が好ましく、1.0〜15重量%がより好ましい。添加量が多すぎると残留電位上昇が見られる場合がある。また、添加量が少なすぎると、高濃度の酸化性ガス雰囲気下において解像度が低下したり、皮脂の付着によりクラックが発生したりする場合がある。
また、本発明においては、酸化防止剤も有効に使用することができる。例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、ヒンダードアミン類等の従来公知の材料が使用でき、繰り返し使用に対する静電特性の安定化に有効である。これらの中でも上記式(6)、(7)、(8)及び(9)で示される酸化防止剤が特に効果が高い。上記の通り、上記式(1)、(2)及び(3)で示される電荷輸送物質は、酸化性ガス雰囲気下において安定性が低い傾向があるが、これらの酸化防止剤を添加することによって酸化性ガス雰囲気下においても帯電低下を抑制することが可能となり、また画像流れを抑制する効果も得られ、高画質化に対し有効である。本発明においては、これらの酸化防止剤を少なくとも二種以上混合して用いることによって、より高い効果が得られ、さらにこれらの酸化防止剤と上記式(4)及び(5)で示される化合物とを混合して用いることにより、より一層高い効果が得られるため、本発明においては特に有効な方法である。それは、これらの材料は構造が異なることにより発現する効果も異なるためである。帯電器より発生するオゾンに対する酸化防止効果が高いものやNOxガスに対して有効なもの、静電疲労によって感光層内に蓄積した電荷のリリースによって起こる帯電低下の抑制に有効なもの、さらに画像流れや解像度低下、さらにゴーストの抑制に有効なものなど、材料の種類によって効果は様々である。そのため、これらを混合して用いることにより、多くの効果を得ることができ、その結果如何なる環境でも高画質画像を安定に提供することが可能となる。
酸化防止剤の添加量としては、電荷輸送物質に対して0〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。添加量が多すぎると急激な残留電位上昇が見られる場合がある。また、添加量が少なすぎると、高濃度の酸化性ガス雰囲気下において解像度が低下したり、静電疲労による帯電低下が見られる場合がある。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマー等が使用され、その使用量はバインダー樹脂に対して0〜1重量%が好ましく、0.01重量%〜0.5重量%がより好ましい。これにより、感光層もしくは電荷輸送層の塗膜欠陥を防止することができ、平滑な膜を形成することができる。
滑剤は表面の滑り性を高め、像担持体表面の異物付着防止効果を得る目的で添加されることが多い。具体的には、シリコーンオイル類、シリコーン微粒子、フッ素樹脂微粒子、ワックス類等、従来公知の材料をそのまま使用することが可能である。添加量としては、バインダー樹脂に対して0〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
電荷輸送層の塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。塗工した後は指触乾燥後、オーブン等で加熱乾燥させて製造される。電荷輸送層の乾燥温度は、電荷輸送層の塗工液に含有される溶剤の種類によって異なるが、80〜150℃であることが好ましく、100〜140℃がより好ましい。このようにして得られた電荷輸送層の膜厚は通常10〜50μmで形成される。本発明においては電荷輸送層の膜厚は実機トランジット時間に大きく影響するため、一周目帯電低下の抑制効果を高める場合には膜厚は薄い方が有利であり、電界強度も高くなることから有効である。それらを考慮すると15〜40μmが好ましく、20〜35μmがより好ましい。本発明は電荷輸送層の上に保護層が形成されるため、電荷輸送層の膜厚を薄くしても耐久性に及ぼす影響は軽減されるため有効である。
<単層感光層について>
本発明においては、感光層が単層構成であっても使用可能である。感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質(電子輸送物質及び正孔輸送物質)は、前述の電荷発生層及び電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。また、バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層で挙げた樹脂の他に、電荷発生層で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、バインダー樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。
感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層の膜厚は5〜25μm程度が適当である。単層構成の感光層は、積層構成に比べて像担持体表面までの電荷輸送距離が短くなるが、電荷発生物質が分散された構成であるが故に、電荷移動におけるバラツキは大きくなるため、一周目帯電低下に対する効果としては必ずしも高くなるわけではない。単層構成でも有効ではあるが、本発明においては積層構成の方がより効果を発揮するに適している。
<保護層について>
続いて、保護層について説明する。保護層は、感光層もしくは電荷輸送層の上に、すなわち像担持体の最表面に形成される。保護層を設ける最も大きな目的は、像担持体の繰り返し使用による摩耗量の低減にある。感光層の摩耗により静電特性は劣化し、また電界強度が増加することにより地汚れ等の画像欠陥が発生しやすくなる。したがって、像担持体は感光層の膜厚の減少によってやがて寿命を迎えることになる。像担持体の最表面に保護層を設けることによって繰り返し使用経時における摩耗量を低減できるため、像担持体の長寿命化が実現できる。
本発明においては、保護層の形成によって耐摩耗性が高まり、長期繰り返し使用によっても像担持体の膜厚変動が大幅に低減されたことによって、一周目帯電低下抑制効果や静電特性を長期にわたって安定に維持することができ、これにより画質安定性を飛躍的に向上することが可能となり、像担持体並びにそれを用いた画像形成装置の長寿命化が達成できる。
但し、保護層には耐摩耗性が不十分であったり、残留電位が上昇しやすかったり、保護層内あるいは保護層表面近傍において、電荷が横方向に拡散しやすく、画像流れが発生しやすいものは、例え耐摩耗性が高くても、感光体の高耐久化は実現されないため好ましくない。本発明においては、残留電位上昇や感度劣化、解像度低下などが発生しにくく、耐摩耗性が高い優れた保護層を用いることが、感光体の高耐久化に対して必要である。それらの保護層としては、主にフィラーを含有させたフィラー分散型、硬化性樹脂を設けた硬化型等が知られており、本発明においても有効に使用することができる。また、保護層のバインダー樹脂に電荷輸送成分とバインダー成分とを重合させた高分子電荷輸送物質を用いる方法も有効である。
以下にそれらの有効な保護層の一例について説明する。最初に、フィラー分散型保護層の一例について説明する。フィラー分散型保護層は、保護層にフィラーが分散されていることによって耐摩耗性を高める効果を得ることができる。この保護層は、フィラー及びバインダー樹脂が主成分となり、電荷輸送物質が含有されてもよい。感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加されるフィラー材料には、有機性フィラー及び無機性フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが耐摩耗性あるいは高画質化に対し有利である。さらに、金属酸化物の使用は塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。
さらに、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーの方が好ましい。導電性フィラーを感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。特に、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以上であることが解像度の点から好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。中でも、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。一方、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以下で導電性を示すフィラーもしくは比抵抗が比較的低いフィラーとしては、酸化錫、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。但し、フィラーが同じ材質であっても、フィラーの比抵抗は異なる場合があるため、フィラーの種類によって完全に分類されるものではなく、フィラーの比抵抗によって決めることが重要である。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能であり、それによって表面の抵抗を制御することも可能である。なお、フィラーの比抵抗の測定は、例えば粉体用抵抗測定装置を用いて行うことができる。具体的には、セルの中に金属酸化物粉体を入れ電極で挟み、荷重をかけて厚さ約2mmになるように金属酸化物粉体量を調整し、その後電極間に電圧を印加し、その時に流れる電流を測定することによって比抵抗を求めることができる。
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。フィラーの分散性の低下は、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下及び偏摩耗の増加をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなり、これよりも大きい場合にはフィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化あるいは異常画像が発生したりする場合もある。
また、フィラーの添加量としては、フィラーが含有される層に含まれる全固形分に対して、0.1重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜30重量%である。フィラーの添加量がこれよりも少ないと、要求される耐摩耗性が得られず、またフィラーの添加量がこれよりも多い場合には、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下等、画質劣化の影響が増大する傾向がある。さらに、フィラーの含有量が多すぎる場合には、フィラー間の相互作用が増大し分散性を悪化させる傾向が見られたり、フィラーが脱離しやすくなって耐摩耗性が逆に低下したりする場合がある。
これらのフィラーが含有されることによって、耐摩耗性は向上するが、残留電位上昇の影響が増加する。これは、フィラー表面に電荷のトラップサイトが含まれていることに起因し、特に親水性で高抵抗の金属酸化物の場合にその影響が増大する傾向が見られる。この残留電位上昇を抑制するためには、酸価を有する分散剤の添加が有効である。酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。酸価を有する分散剤は、フィラー、特に親水性を有する金属酸化物の表面に吸着し、残留電位上昇を引き起こすトラップサイトを埋める働きが期待できる。これにより、残留電位の影響が大きい親水性のフィラーを含有させても、残留電位を低減でき、かつフィラーの分散性も高まる相乗効果を得ることができる。これらの技術は、特許第3802787号公報に開示されている。
フィラー分散型保護層に含有されるバインダー樹脂には、電荷輸送層で用いられるバインダー樹脂をすべて使用することが可能であるが、バインダー樹脂によってもフィラー分散性が影響されるため、分散性に悪影響を与えないことが重要である。使用可能なバインダー樹脂の一例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスチレン、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ブタジエン−スチレン共重合体等の樹脂あるいは共重合体等が挙げられる。これらのバインダー樹脂の中でもポリカーボネート、ポリアリレートが特に有効に使用することができる。
また、フィラー分散型保護層には、バインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を併せ持った前述の高分子電荷輸送物質を用いることができる。これにより、耐摩耗性の更なる向上が実現でき、高画質化に対しても有効である。フィラー分散型保護層に用いられる高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用でき、特に前述の電荷輸送層で挙げた高分子電荷輸送物質が有効に用いられる。さらに、高分子電荷輸送物質と電荷輸送物質を混合して添加することも可能であり、一周目帯電低下の抑制や残留電位上昇の低減に対し更なる効果を得ることができる。
フィラー分散型保護層には、さらに電荷輸送物質が含有される。用いられる電荷輸送物質については、公知の電荷輸送物質が有効に用いられ、特に前述の電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能であり有用である。フィラー分散型保護層への電荷輸送物質の添加によって電荷輸送層から保護層への電荷注入性及び電荷輸送性が向上し、残留電位の上昇や感度劣化を抑制することが可能となる。また、電荷輸送層の移動度を高めても保護層の移動度が極度に低くなると、実機トランジット時間が増加するため、保護層においても高移動度の電荷輸送物質を含有させることが好ましい。
フィラー分散型保護層の膜厚は、0.1〜10μm程度が適当であり、好ましくは2〜6μmである。膜厚が極度に薄い場合には十分な耐久性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には残留電位上昇の影響が増大したり、解像度が幾分低下したりする場合がある。
本発明におけるフィラー分散型保護層には、必要に応じて可塑剤、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤等の添加物を添加することが可能である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画像安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。
ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2、2、6、6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも1−[2−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2、2、6、6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。特に、フィラー分散型保護層の場合には、像担持体の最表面にフィラーが添加されるため、オゾンあるいはNOxガス雰囲気下においては、これらの活性ガス成分がフィラーに吸着しやすくなるため、画像ボケの影響が増加する場合が見られる。この場合、ヒンダードフェノール構造及びヒンダードアミン構造の両構造を有する上記の酸化防止剤をフィラーとともに添加することによって、それによる画像ボケの影響を抑制することが可能であり有効である。
前述のフィラー材料は、少なくとも有機溶剤や必要に応じて分散剤等とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、シェイカー、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。分散液の作製に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷発生層や電荷輸送層で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、フィラーの分散時には粘度が高い溶剤の使用が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤の使用が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性やその安定性、塗膜品質等に対して非常に有効となる。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、スプレー塗工法が用いられる。それによって膜厚制御もしやすく、フィラーの凝集が少なく分散性を良好に維持することが可能となり、偏摩耗を抑制し、さらに塗膜品質についても優位性がある。
次に、硬化型保護層の場合について説明する。硬化型保護層には、耐摩耗性を維持しつつ電荷を輸送させる必要があるため、電荷輸送機能を有しない重合性化合物と電荷輸送機能を有する重合性化合物とを硬化させて用いる。重合とは、高分子化合物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた重合の前者の重合反応形態を示し、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。重合性化合物とは、上記反応形態が可能な官能基を有する化合物を意味する。また、硬化とは一般に上記の官能基を有するモノマーやオリゴマーが、熱、可視光あるいは紫外線等の光、電子線やγ線等の放射線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
硬化性樹脂としては、熱によって重合する熱硬化性樹脂、紫外線や可視光線等の光によって重合する光硬化性樹脂、電子線によって重合する電子線硬化性樹脂等があり、必要に応じて硬化剤や触媒、重合開始剤等と組み合わせて用いられる。
上記硬化性樹脂を硬化させるには、反応性化合物(例えば、モノマーやオリゴマー等)中に重合反応を起こす官能基を有していることが必要である。それらの官能基としては、重合反応を起こす官能基であればいずれのものでも使用可能であるが、一般的には不飽和重合性官能基や開環重合性官能基が知られており、本発明においても有効である。不飽和重合性官能基とは、ラジカルやイオンなどによって不飽和基が重合する反応であり、例えば、C=C、C≡C、C=O、C=N、C≡Nなどの官能基が挙げられる。開環重合性官能基とは、炭素環やオクソ環や窒素ヘテロ環等のひずみを有する不安定な環状構造が、開環すると同時に重合を繰り返し、鎖状高分子を生成する反応であり、イオンが活性種として作用するものが大半である。これらの一例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有する基、シラノール基、環状エーテル基等の開環重合を起こす基、あるいは2種以上の分子の反応によるものが挙げられる。また、硬化反応において、反応性モノマーの1分子に有する官能基数は、より多い方が3次元網目構造はより強固になり、3官能以上で特に有効である。これにより、硬化密度が高まり、高硬度で高弾性、かつ均一で平滑性も向上し、感光体の高耐久化や高画質化に有効となる。
本発明における硬化層は、電荷輸送構造を有さない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物が硬化した層であればよく、従来公知の材料を使用することができ、材料及び手段によらず高い効果を得ることができる。上記硬化性樹脂の一例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、特にウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル/メタクリル樹脂、シロキサン、エポキシ樹脂樹脂等が好適に用いられる。これらの中でもアクリル/メタクリル樹脂は、静電特性が良好で本発明の効果が得やすく、良好に使用できる。なお、これらの硬化性樹脂は3次元網目構造が形成され、有機溶剤に不溶な状態であることが特徴である。従って、本発明において硬化性樹脂が硬化した状態とは、例えば、アルコール系有機溶剤を付着させても膜が溶解しない状態であれば硬化したものと判断できる。
本発明においては、前記のように導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物とを硬化反応させ、3次元的に発達した網目構造を形成する。この場合、硬化剤や触媒、重合開始剤等を予め混合することで、硬化度をさらに高めることが可能であり、本発明においては特に有効である。これにより、硬化型保護層の耐摩耗性が一段と向上し、さらに未反応官能基も残存しにくくなるため、耐摩耗性の向上や静電特性劣化の抑制に有効である。また、反応が均一であるためにクラックや歪みが生じにくくなり、クリーニング性が改善できる等、感光体の高耐久化、高画質化に対して高い効果を得ることができる。
一方、電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、電荷輸送性を示す構造が含まれ、かつ上記硬化性樹脂と反応するための官能基を有するものであればよく、従来公知の材料を使用することができる。電荷輸送性構造とは電荷輸送物質に含まれる構造であり、それによって電荷輸送性を発現する構造をいう。電荷輸送性構造とは主にホールを輸送する構造と電子を輸送する構造に大別されるが、本発明においてはそのどちらも含まれる。
電荷輸送性構造、すなわちホール輸送性構造あるいは電子輸送性構造が化合物中に一つであっても、あるいは複数であってもよく、複数の方が電荷輸送性に優れるためより好ましい。また、電荷輸送性構造を有する反応性化合物の分子中に、ホール輸送性構造と電子輸送性構造が共に含まれたバイポーラー性を有するものであってもよい。
電荷輸送性構造のうち、ホール輸送性構造の一例としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、スチルベン、α−フェニルスチルベン、ベンジジン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、9−スチリルアントラセン、ピラゾリン、ジビニルベンゼン、ヒドラゾン、インデン、ブタジェン、ピレン、ビススチルベン、エナミン等の一般に電子供与性を示す構造が挙げられる。一方、電子輸送性構造の一例としては、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、縮合多環キノン、ジフェノキノン、ベンゾキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、シアノ基やニトロ基を有する芳香族環等、一般に電子受容性を示す構造が挙げられる。
次に、硬化性樹脂としてアクリル樹脂を例に挙げて詳細に説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送性構造を有しておらず、且つ重合性官能基を有する化合物である。この重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、重合可能な基であれば何れでもよい。これら重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1、1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の化学式(5)で表される官能基が挙げられる。
CH=CH−X−………化学式(5)
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR228基(R228は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1、1−置換エチレン官能基
1、1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の化学式(6)で表される官能基が挙げられる。
CH=CY−X− ………化学式(6)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR229基(R229は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR230231(R230及びR231は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、Xは上記化学式(5)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの重合性官能基の中では、重合性官能基として、特にアクリロイルオキシ基やメタクリロイルオキシ基が有用である。
電荷輸送性構造を有さない重合性モノマーもしくはオリゴマーの官能基数はより多官能の方が好ましく、3官能以上がより好ましい。3官能以上の重合性モノマーを硬化した場合、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐キズ性が達成される。しかし、硬化条件や用いる材料によっては硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため、体積収縮による内部応力が発生し、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる場合がある。その場合には1官能あるいは2官能の重合性モノマーを用いたり、あるいはそれらを混合して用いたりすることで改善できる場合がある。
以下、耐摩耗性の向上に有効な3官能以上の電荷輸送性構造を有さない重合性化合物について説明する。
3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、重合性官能基を3個以上有する単量体中の重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的な重合性化合物としては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2、2、5、5、−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、電荷輸送性構造を有さない重合性化合物は、感光層中に緻密な架橋結合を形成するために、該化合物中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、感光層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用するのが困難になることがある。
また、電荷輸送性構造を有しない重合性化合物の成分割合は、硬化型保護層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では硬化型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性構造を有する反応性化合物の含有量が低下し、一周目帯電低下の抑制効果が低下したり、残留電位が上昇する恐れがある。使用されるプロセスによって要求される静電特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い硬化型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
次に、電荷輸送性構造を有する重合性化合物について説明する。
本発明における電荷輸送性構造を有する重合性化合物とは、例えば前述のトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等のホール輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送性構造のいずれか、もしくは両方を有しており、かつ重合性官能基を有する化合物である。
重合性官能基としては、先の重合性化合物で示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。本発明の硬化型保護層に用いられる電荷輸送性構造を有する重合性化合物としては、官能基がいくつのものでも使用可能であるが、1官能のものが静電特性の安定性や膜質の点からより好ましい。2官能以上の場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化層構造の歪みが大きくなり、層の内部応力が高まる原因となる。また、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が発生しやすくなる恐れがある。
電荷輸送性構造を有する重合性化合物の電荷輸送性構造としては、電荷輸送機能を付与できるものであれば如何なる材料でも使用可能であるが、中でもトリアリールアミン構造が高い効果を有し有用である。例えば、下記化学式(12)又は(13)の構造で示される化合物を用いた場合、移動度を高め一周目帯電低下抑制効果が高まるだけでなく、感度や残留電位等の静電特性が改善され良好に使用できる。
Figure 2009186969
上式(12)及び(13)中、R232は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR241(R241は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR242243(R242及びR243は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar141、Ar142は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar143、Ar144は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
以下に、上記一般化学式(12)、(13)で表されるものの具体例を示す。
上記化学式(12)、(13)において、R232の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。R232の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr143、Ar144はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1、1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9、9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar143、Ar144で表わされるアリール基は、例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR233)であり、R233は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)下記の一般式(14)で表される基
Figure 2009186969
式(14)中、R233及びR234は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R233及びR234は共同で環を形成してもよい。
233及びR234として具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar141、Ar142で表わされるアリーレン基としては、前記Ar143、Ar144で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3、3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、下記化学式(15)で表される。
Figure 2009186969
(上式(15)中、R235は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar143、Ar144で表わされるアリール基と同じ)、aは1又は2、bは1〜3を表わす。)
上記化学式(12)、(13)において、Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の電荷輸送構造を有する重合性化合物として更に好ましくは、下記化学式(16)で表される構造の化合物が挙げられる。
Figure 2009186969
上式(16)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Rは水素原子、メチル基を表わし、R、Rは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。
は単結合、メチレン基、エチレン基、下記の化学式で表される基を表す。
Figure 2009186969
上記一般化学式(16)で表わされる化合物としては、R、Rの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記化学式(12)及び(13)特に(16)の1官能性の電荷輸送構造を有する重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上の重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有する重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2009186969
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また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、硬化型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は硬化型保護層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では硬化型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの静電特性の劣化が見られたり、移動度が低下し、一周目帯電低下の抑制効果が得られにくくなる場合がある。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しない重合性化合物の含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない場合がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の硬化型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
これらの電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、硬化していることにより単離することはできないが、単離できるものではなくても、FT−IR等の方法を用いれば、電荷輸送性構造として定量化できるため、本発明における電荷輸送物質の濃度比として得ることができる。すなわち、本発明の保護層に含有される電荷輸送物質は、分子分散されている場合はもちろん、硬化されていたり、高分子電荷輸送物質として含有されていても、電荷輸送性構造を有するユニットの濃度として定量化できれば、本発明の範疇に含まれる。
以上に説明したように、電荷輸送性構造を有しない3官能以上の重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有する重合性化合物を硬化したものが特に有効であるが、1官能及び2官能の重合性モノマー及び重合性オリゴマーを用いることも可能であり、材料によっては非常に有効な場合がある。これらの重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能の重合性モノマーとしては、例えば、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
また、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために硬化型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、2、5−ジメチルヘキサン−2、5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2、2−ビス(4、4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4、4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1、4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2、4−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9、10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4、4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の硬化型保護層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上を目的として添加される)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
また、本発明においては、硬化型保護層にフィラーを分散することが可能であり、有効である。フィラーを添加することによって、像担持体の更なる耐摩耗性の向上並びに耐傷性の向上が実現でき、像担持体の寿命をさらに顕著に高めることが可能となる。保護層が硬化していることによって、フィラーの脱離が少なく、熱可塑性樹脂にフィラーを分散した場合よりもより一層寿命を延ばすことができる。また、フィラーを含有することによって、像担持体表面に適度な凹凸が形成され、クリーニング不良がさらに抑制できる効果も有する。また、硬化型保護層にフィラーを添加した像担持体表面に潤滑性物質を塗布することによって、ブレードの挙動が安定化し、潤滑性物質の塗布性も向上され、より一層の高寿命化、高画質化を達成することができ、本発明においては特に有効である。
硬化型保護層に含有されるフィラーは、前述のフィラー分散型保護層の説明で挙げたフィラーを同様に使用することができる。中でも、フィラー分散型保護層の場合と同様に、α−アルミナが耐摩耗性や耐傷性、画質安定性の面で有効である。フィラーの平均一次粒径は、フィラー分散型保護層と同様に、0.1〜0.9μmが好ましいが、0.2〜0.6μmが特に好ましい。また、フィラーの添加量は、保護層の全固形分に対して、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。硬化型保護層の場合には、紫外線を照射して硬化させる必要があるため、フィラーの平均一次粒径や添加量は、必要以上に高くしない方が好ましい。
本発明の硬化型保護層は、上記の電荷輸送構造を有しない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物を含有する塗工液を後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液は重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、かかる硬化型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、硬化型保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し硬化型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、50mW/cm未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、硬化型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明の硬化型保護層の膜厚は、1μm以上、10μm以下が好ましく、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下で、この膜厚以下の硬化型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、硬化型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。硬化型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の硬化型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分できるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには硬化型保護層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
また、本発明においては、感光層又は電荷輸送層の膜厚と保護層の膜厚が、式(4)の関係を満たすことが好ましい。
感光層又は電荷輸送層の膜厚(μm)≧ 保護層の膜厚×2(μm)………(4)
感光層又は電荷輸送層には、化学式(1)、(2)又は(3)で示されるジスチリル化合物を電荷輸送物質として含有することで一周目帯電低下の抑制が可能となり、その他の静電特性も安定化することができる。しかし、保護層に上記ジスチリル化合物を電荷輸送物質として含有させると、酸化性ガス雰囲気下で帯電低下や画像欠陥(残像、地汚れ)が発生する恐れがある。それは、保護層は表面に形成されるため、酸化性ガスの影響を受けやすいことが一因と考えられる。酸化性ガス雰囲気下で前述のアルキルアミノ基を有する化合物や酸化防止剤を添加して、それらの影響を低減させることも可能であるが、保護層に含有させる電荷輸送物質は、酸化性ガスに対し耐性の高い材料を用いることが効果的である。しかし、電荷輸送性の高いπ共役が発達した電荷輸送物質は、酸化性ガスに対する耐性が一般的に低い。したがって、保護層の膜厚を必要以上に厚くすると、電荷輸送物質に注入された電荷が保護層に注入され、像担持体表面に達するまでのトランジット時間が長くなり、本発明の効果が得られにくくなるものと予想される。本発明の効果を十分に発揮させるためには、上式(4)で示されるように膜厚を制御することが好ましい。
本発明は更に電荷発生層、電荷輸送層、硬化型保護層を順次積層した構成において、最表面の硬化型保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性の感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、硬化型保護層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)硬化型保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)硬化型保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)硬化型保護層の塗工方法の選択、(4)硬化型保護層の硬化条件の制御など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
硬化型保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有する重合性化合物以外に、重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる傾向が高い。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能又は2官能の重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。
さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有する重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有する重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有する重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。
硬化型保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす場合がある。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。
また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。硬化型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、硬化型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
硬化型保護層の硬化条件としては、加熱又は光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明の構成において硬化型保護層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、硬化型保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体が得られる。
次に、硬化性樹脂としてウレタン樹脂を用いた場合について簡単に説明する。ウレタン樹脂は従来公知の材料を使用することが可能である。ウレタン樹脂もまた耐摩耗性に優れ、本発明の硬化型保護層として有効に使用できる。
ウレタン樹脂は、高い耐摩耗性が得られ、かつ静電特性も良好であり、膜質も優れており、感光体の高耐久化と高画質化に対し有効である。ウレタン樹脂は、一例として活性水素成分であるポリオールと、硬化剤である多価イソシアネートとを組み合わせることによって形成できる。ポリオールとしては、ポリアルキレノオキシド等のポリエーテルポリオール、末端に水酸基を有する脂肪族ポリエステル等のポリエステルポリオール、ヒドロキシメタアクリレート共重合体等のアクリル系ポリマーポリオール、エポキシ樹脂等のエポキシポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリカーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール等公知のものが例示できる。また、ヒンダードアミン骨格を有するポリオールにより、硬化樹脂の劣化の防止や感光体の解像度低下を抑制する技術が開示されており(特許第3818584号公報)、本発明においても良好に使用できる。ヒンダードアミンは光安定剤や酸化防止剤として知られているが、この構造を有するポリオールを硬化させることにより、硬化樹脂にヒンダードアミン構造を導入することができ、これにより安定化効果を得ることができる。また、これらは2種以上のポリオールを混合して用いることができ、有効である。ヒンダードアミン構造の例を下記構造式に示す。
Figure 2009186969
上記ポリオールは2官能以上、好ましくは3官能以上であることにより、硬化密度が向上し、3次元網目構造がより強固になり、その結果硬化性が高まり、膜強度が大きくなるため好ましい。ポリオールの分子量としては、100〜150のものが広く用いられている。しかし、硬化条件によっては体積収縮が大きくなり、膜質が低下する恐れがある。この場合、硬化時の体積収縮を緩和するために、分子量が1000以上のポリオールを別途含有させて硬化させる方法が開示されており(特許第3818585号公報等)、本発明においても良好に適用できる。
一方、硬化剤の多価イソシアネートとしては、一般的なイソシアネート材料が用いられることが可能である。しかし、感光層として用いられるために、経時により膜が変色しないものが好ましい。一例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等のイソシアネート化合物、HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−イソシアネート体、HDI−ビウレット体、XDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−イソシアヌレート体等のポリイソシアネート等公知のものが例示できる。本発明に使用するアミド結合を有するイソシアネートとしてはHDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−ビウレット体等公知のものが例示でき、単独もしくは混合して使用することができる。イソシアネートのNCO基数とポリオールのOH基数の比(NCO/OH比)は、1.0〜1.5程度が望ましい。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びポリオールやイソシアネート等と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。また、硬化反応するための官能基としては水酸基が一般的である。以下にトリフェニルアミン構造を有する反応性化合物の一例を示す。
Figure 2009186969
Figure 2009186969
次に、硬化性樹脂として硬化性シロキサン樹脂を例に挙げて簡単に説明する。シロキサン樹脂は従来公知の材料を使用することが可能である。硬化性シロキサン樹脂もまた耐摩耗性に優れ、本発明の硬化型保護層として有効に使用できる。
硬化性シロキサン樹脂とは予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)3次元網目構造を形成し、硬化しうる樹脂である。一般的には、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させて3次元網目構造とし、シロキサン樹脂からなる硬化樹脂層を形成する。例えば、アルコキシシランからなる組成物、又はアルコキシシランとコロイダルシリカからなる組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成して硬化層とする。
上記の硬化性シロキサン樹脂の原料としては、水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が一般に用いられる。
水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物における加水分解性基とは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。中でも好ましくは、−ORで表される加水分解性基がよく、Rがアルコキシ基を形成する原子団であり、炭素数が1〜6であることが好ましい。
硬化性シロキサン樹脂の原料として用いられる有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数によって反応性が異なる。加水分解性基の数が1の場合、架橋密度が小さく硬化が不十分となり、有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制されるが、2、3又は4のときは高分子化反応が起こりやすく、特に3ないしは4で高度に架橋反応を進めることが可能である。ただ、それだけでは硬度は十分でも膜は脆くなる場合がある。そのため、加水分解性基の少ない成分と多い成分を混合して用いることが好ましい。また、上記シロキサン系樹脂の原料としては上記有機ケイ素化合物を酸性条件下又は塩基性条件下で加水分解してオリゴマー化した加水分解縮合物を用いることもできる。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びシロキサン樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシシリル基が一般的に用いられる。
次に、硬化性バインダー樹脂としてフェノール樹脂(硬化性フェノール樹脂)についても簡単に説明する。硬化性フェノール樹脂は従来公知の材料を使用することが可能である。硬化性フェノール樹脂もまた耐摩耗性に優れ、本発明の硬化型保護層として有効に使用できる。
硬化性フェノール樹脂は、一般的にフェノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹脂である。フェノール樹脂には2つのタイプがあり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾール型と、ホルムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で反応させて得られるノボラック型に分けられる。
レゾール型は、アルコール類及びケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、ノボラック型は、一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
本発明におけるフェノール樹脂は、上記のレゾール型、及びノボラック型のどちらでも利用可能であるが、硬化剤を加えることなく硬化することや、一液性であり塗料としての操作性などからレゾール型を用いることが好ましい。 レゾール型は、アルコール類やケトン類の溶剤に可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化される。また、これらのフェノール樹脂を1種類又は2種類以上混合して用いることができ、またレゾール型とノボラック型を混合して用いることも可能である。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びフェノール樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基等が一般的に用いられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、含ブロムエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアシル系樹脂及び複素環式エポキシ樹脂等が知られており、本発明においてはこれらの公知のエポキシ樹脂を使用することができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば酸無水物(無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルメジック酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸)、アシル系硬化剤(脂肪族アミン、芳香族第一アミン、第三アミン系硬化剤、変性ポリアミン)、ジシアンジアミド及び有機酸ジヒドラジド等種々の物を使用することができる。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びフェノール樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
以上のように、保護層に硬化性樹脂を用いる例は多数挙げられるが、これらに限らず、本発明では従来公知の硬化性樹脂をいずれも良好に使用することが可能であり有効である。
<下引き層について>
本発明の像担持体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。これら下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であるものを使用することが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ポリアミド(共重合ナイロン)、メトキシメチル化ポリアミド(ナイロン)等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために金属酸化物を含有させることも可能であり有効である。モアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザー光をこの下引き層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に無機顔料を分散させた構成が最も有効である。使用される無機顔料としては、白色の顔料が有効に使用され、金属酸化物、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等挙げられる。
また、下引き層には、像担持体表面に帯電される電荷と同極性の電荷を、感光層から導電性支持体側へ移動できる機能を有することが残留電位の低減上好ましく、上記無機顔料はその役割をも果たしている。例えば、負帯電型の像担持体の場合、下引き層は電子伝導性を有することによって残留電位を低減できる。これらの無機顔料としては、前述の金属酸化物が有効に用いられるが、抵抗の低い無機顔料を用いたり、バインダー樹脂に対する無機顔料の添加比率を増加させたりすることによって残留電位を低減させる効果が高くなる反面、地汚れ抑制効果が低下する恐れもある。従って、感光体における下引き層の層構成や膜厚によってそれらを使い分けたり、添加量を調整したりすることによって、地汚れ抑制と残留電位低減の両立を図ることが必要である。モアレ防止、残留電位上昇及び地汚れの抑制と一周目帯電低下の抑制効果を考慮すると、上記金属酸化物の中でもとりわけ酸化チタンが最も有効に用いられる。
これらの下引き層は、バインダー樹脂、無機顔料(金属酸化物)を主成分とし、溶剤を含めた状態で湿式分散を行って塗工分散液を得ることができる。使用される溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘキサノン、ジオキサン等、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。無機顔料は、溶剤及びバインダー樹脂と共に従来公知の方法、例えばボールミル、サンドミル、アトライラー等により分散することにより塗工液を得ることができる。バインダー樹脂は分散前に添加しても分散後に樹脂溶液として添加しても良い。また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、添加剤、硬化促進剤等や無機顔料の分散性を高める目的で分散剤を加えることも可能である。これらの塗工液を用い、従来公知の方法、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビートコート、ノズルコート法などを用いて導電性基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、必要に応じて光照射等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させることにより作製できる。下引き層の膜厚は含有させる無機顔料の種類によって異なるが、0〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
また、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間にさらに中間層を設けることも可能である。中間層は、導電性支持体からのホールの注入を抑制するために加えられるもので、主目的は地汚れの抑制にある。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前記した方法、さらに公知の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。中間層と下引き層の2層構成とすることにより、地汚れ抑制効果は飛躍的に高まるが、残留電位上昇の影響が増加する傾向にある。また、特に重要なのは中間層と下引き層の積層によって一周目帯電低下の影響が増加する場合もあるため、中間層及び下引き層の組成や膜厚を十分考慮して決める必要がある。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位上昇、帯電低下等を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、単層感光層、下引き層、中間層、保護層の少なくとも1層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加することが可能であり、有効である。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2、6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2、2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1、1、3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3、3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジメチル−N、N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2、6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3、3’−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2、4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2、2’、4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2、4ジ−t−ブチルフェニル3、5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2、2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2、2、6、6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル−1、3、8−トリアザスピロ〔4、5〕ウンデカン−2、4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジンなど。
以下、本発明を、実施例によりさらに詳説するが、本発明は以下の実施例に制約されるものではない。なお、部はすべて重量部である。
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。これを顔料1とする。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図18に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧 :50kV
電流 :30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数 :2秒
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及び上記顔料を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。
(アゾ顔料の合成)
特許第3026645号公報に記載の方法に準じて作製した。
ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解したシクロヘキサノン溶液及び上記アゾ顔料を投入し、回転数85r.p.m.にて7日間分散を行い、分散液を作製した。
(電荷輸送性構造を有する重合性化合物の合成例)
本発明における電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。下記にその一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
Figure 2009186969
Figure 2009186969
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g、水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
Figure 2009186969
(像担持体製造例1)
外径30mmのアルミニウムシリンダー上に下記組成の樹脂層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を用いて、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行い、約0.7μmの樹脂層と、約3μmの下引き層と、約0.2μmの電荷発生層と、約21μmの電荷輸送層を形成した。なお、各層の乾燥条件は、樹脂層は130℃、10分、下引き層は130℃、20分、電荷発生層は90℃、20分、電荷輸送層は120℃、20分とした。
(樹脂層形成用塗工液)
N−メトキシメチル化ナイロン:5部
(FR101:鉛市社製)
メタノール:70部
n−ブタノール:30部
(下引き層用塗工液)
酸化チタンA:50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製)
酸化チタンB:20部
(PT−401M、平均一次粒径:約0.07μm、石原産業社製)
アルキッド樹脂:14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂:8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
2−ブタノン:70部
(電荷発生層用塗工液)
図18のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン:8部
(イオン化ポテンシャル 5.27eV)
ポリビニルブチラール:4部
(BX−1、積水化学工業社製)
2−ブタノン:400部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネート:10部
(Zポリカ、帝人化成社製)
上記化合物No.14で示される電荷輸送物質:12部
(イオン化ポテンシャル 5.24eV)
下記構造式で示される酸化防止剤A:0.6部
Figure 2009186969
シリコーンオイル:0.002部
(1cm/s(100cSt)、信越化学社製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式で示される酸化防止剤B:0.03部
Figure 2009186969
電荷輸送層の上にさらに下記組成の保護層用塗工液を用いて、スプレー塗工法により塗布し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行い、塗布膜を硬化させた。更に130℃で30分間乾燥を加え、厚さが約4μmの硬化型保護層を設け、本発明の像担持体を作製した。
(硬化型保護層用塗工液)
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物:10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:14部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤:1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
テトラヒドロフラン:100部
(像担持体製造例2)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.14で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.28eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例3)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.7で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.20eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例4)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.4で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.31eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例5)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.13で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.24eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例6)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.17で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例7)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.41で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.27eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例8)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.51で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.36eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例9)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例10)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.26eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例11)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.50eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例12)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるアミノビフェニル誘導体(イオン化ポテンシャル 5.38eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例13)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるベンジジン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.37eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例14)
像担持体製造例1において、電荷輸送層のバインダー樹脂にポリアリレートを使用した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
ポリアリレート:10部
(Uポリマー100、ユニチカ社製)
(像担持体製造例15)
像担持体製造例1において、電荷輸送層を下記の電荷輸送層塗工液を用いて形成した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
下記構造式で示される高分子電荷輸送物質:20部
(重量平均分子量175000、イオン化ポテンシャル 5.41eV)
Figure 2009186969
下記構造式で示される酸化防止剤:0.3部
Figure 2009186969
シリコーンオイル:0.002部
(1cm/s(100cSt)、信越化学社製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式の酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
(像担持体製造例16)
像担持体製造例1において、電荷輸送層を下記の電荷輸送層塗工液を用いて形成した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
下記構造式で示される高分子電荷輸送物質:12部
(重量平均分子量175000、イオン化ポテンシャル 5.41eV)
Figure 2009186969
化合物No.17のジスチリルベンゼン誘導体:8部
(イオン化ポテンシャル 5.38eV)
下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物:0.6部
Figure 2009186969
シリコーンオイル:0.002部
(1cm/s(100cSt)、信越化学社製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式の酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
(像担持体製造例17)
像担持体製造例1において、保護層塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物を下記の化合物に変更し、さらに光重合開始剤を下記の光重合開始剤に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物:10部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製)
分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211
光重合開始剤:1部
2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン
(イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
(像担持体製造例18)
像担持体製造例17において、保護層塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物を下記の化合物に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマー:10部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
(像担持体製造例19)
像担持体製造例1において、保護層塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を1官能性の例示化合物No.54を7部と下記構造の2官能性化合物を3部とした以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:7部
(例示化合物No.54)
下記構造式で示される2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:3部
Figure 2009186969
(像担持体製造例20)
像担持体製造例1において、保護層塗工液を下記組成の保護層塗工液に変更し、光照射による硬化処理を施さず、塗工後に150℃20分の加熱乾燥を行った以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(硬化型保護層用塗工液)
イソシアネート:スミジュールHT(HDIアダクト)(住化バイエルン社製)
下記構造式で示されるポリオール1:下記構造式
Figure 2009186969
ポリオール2:LZR170(藤倉化成社製)
電荷輸送性構造を有する反応性化合物:下記構造式
Figure 2009186969
溶剤:テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン
<混合条件(部)>
イソシアネート/ポリオール1/ポリオール2/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/2/8/10/100/30
(像担持体製造例21)
像担持体製造例1において、保護層塗工液を下記組成の保護層塗工液に変更し、光照射による硬化処理を施さず、塗工後に150℃20分の加熱乾燥を行った以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(フィラー分散型保護層用塗工液)
α−アルミナフィラー:5部
(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液:0.1部
(BYK−P104、不揮発分50%、BYKケミー社製)
ポリカーボネート:10部
(Zポリカ、帝人化成社製)
上記化合物No.17で示される電荷輸送物質:7部
下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物:1部
Figure 2009186969
テトラヒドロフラン:500部
シクロヘキサノン:150部
(像担持体製造例22)
像担持体製造例9において、電荷発生層を下記組成の電荷発生層形成用塗工液を用いて塗工し、また電荷輸送層を下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗工した以外は、すべて像担持体製造例9と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷発生層形成用塗工液)
下記構造式で示される非対称ビスアゾ顔料:5部
(イオン化ポテンシャル 5.82eV)
Figure 2009186969
ポリビニルブチラール:1.5部
(BM−S、積水化学社製)
シクロヘキサノン:250部
2−ブタノン:100部
(電荷輸送層形成用塗工液)
ポリカーボネート:10部
(Zポリカ、帝人化成社製)
下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体:7部
(イオン化ポテンシャル 5.39eV)
Figure 2009186969
シリコーンオイル:0.002部
(1cm/s(100cSt)、信越化学社製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式で示される酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
下記構造式で示される酸化防止剤:0.07部
Figure 2009186969
(像担持体製造例23)
像担持体製造例22において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.17で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例22と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例24)
像担持体製造例23において、保護層塗工液を下記組成の保護層塗工液に変更した以外は、すべて像担持体製造例23と同様にして像担持体を作製した。
(フィラー分散硬化型保護層用塗工液)
α−アルミナ:2部
(スミコランダムAA−05、平均一次粒径:0.5μm、住友化学工業社製)
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液:0.1部
(BYK−P104、不揮発分50%、BYKケミー社製)
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物:10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:14部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤:1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式で示される酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
(像担持体製造例25)
像担持体製造例1において、電荷輸送層の膜厚を17μm、保護層の膜厚を8μmにした以外はすべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例26)
像担持体製造例1において、電荷輸送層の膜厚を16μm、保護層の膜厚を9μmにした以外はすべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例27)
像担持体製造例1において、電荷輸送層に下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物を0.3部追加した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例28)
像担持体製造例1において、保護層に下記構造式で示される酸化防止剤を0.2部追加した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例29)
像担持体製造例1において、電荷輸送層の酸化防止剤Aを下記構造式で示される酸化防止剤に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例30)
像担持体製造例16において、アルキルアミノ基を有する化合物を下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物に変更した以外は、すべて像担持体製造例16と同様にして、像担持体を作製した。
Figure 2009186969
(像担持体製造例31)
像担持体製造例1において、保護層塗工液を下記組成の保護層塗工液に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(フィラー分散硬化型保護層用塗工液)
α−アルミナ:2部
(スミコランダムAA−05、平均一次粒径:0.5μm、住友化学工業社製)
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液:0.1部
(BYK−P104、不揮発分50%、BYKケミー社製)
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物:10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤:1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン:100部
下記構造式で示される酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
下記構造式で示される酸化防止剤:0.03部
Figure 2009186969
(像担持体製造例32)
像担持体製造例31において、保護層塗工液に含有されるフィラーを、下記のフィラーに変更した以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
α―アルミナ:1部
(スミコランダムAA−07、平均一次粒径:0.7μm、住友化学工業社製)
(像担持体製造例33)
像担持体製造例31において、保護層塗工液に含有されるフィラーを、下記のフィラーに変更した以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
α―アルミナ:1部
(スミコランダムAA−1.5、平均一次粒径:1.5μm、住友化学工業社製)
(像担持体製造例34)
像担持体製造例31において、保護層塗工液に含有されるフィラーの添加量を、2部から0.5部に変更した以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例35)
像担持体製造例31において、保護層塗工液に含有されるフィラーを、下記のフィラーに変更した以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
酸化チタン:1部
(CR−EL、平均一次粒径:0.25μm、石原産業社製)
(像担持体製造例36)
像担持体製造例31において、保護層塗工液に含有されるフィラーを、下記のフィラーに変更した以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
シリカ:1部
(SO−E2、平均一次粒径:0.5μm、アドマテックス社製)
(像担持体製造例37)
像担持体製造例1において、樹脂層を設けず、下引き層用塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタンA:50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製)
アルキッド樹脂:14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂:8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
2−ブタノン:60部
(像担持体製造例38)
像担持体製造例1において、下引き層用塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタンA:50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製)
酸化チタンB:20部
(PT−501R、平均一次粒径:約0.18μm、石原産業社製)
アルキッド樹脂:14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂:8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
2−ブタノン:60部
(像担持体製造例39)
像担持体製造例1において、樹脂層を設けなかった以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例40)
像担持体製造例2において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例2と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例41)
像担持体製造例3において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例3と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例42)
像担持体製造例9において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例9と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例43)
像担持体製造例25において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例25と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例44)
像担持体製造例31において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例31と同様にして像担持体を作製した。
(像担持体製造例45)
像担持体製造例34において、外径100mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、すべて像担持体製造例34と同様にして像担持体を作製した。
(実機トランジット時間の測定)
以上のようにして作製された像担持体を、図4(特開2000−275872号公報)に記載された装置にセットし、以下の手順により実機トランジット時間の測定を行った。
像担持体の線速を262(msec)、露光装置2と第2の表面電位計6との角度を155°(露光してから露光部電位が測定されるまでの時間:155(msec))に固定し、第1の表面電位計5によって未露光部電位が800(−V)になるように帯電装置2により像担持体を帯電し、その後露光装置3により所定の露光照射エネルギーで像担持体に露光し、第2の表面電位計6によって露光後の電位を計測し、その後除電装置4にて除電を行った。露光時の画素密度は400(dpi)、露光波長は655nmとした。なお、実機トランジット時間は、露光波長の影響は受けず、少なくとも780nmで露光した場合と違いがほとんどないことを確認済みである。
続けて、露光照射エネルギー強度を徐々に高くしながら、上記と同様にして帯電、露光及び除電を繰り返し、図5に示されるような光減衰曲線を得た。この光減衰曲線より図5に示されるようにして屈曲点を求め、これを露光部電位とした。
次に、露光装置2と第2の表面電位計6との角度を下記の条件に設定して帯電、露光及び除電を繰り返し、それぞれの条件で図5に示される光減衰曲線を作成し、露光手段によって露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間が20〜155msecの間で15点の露光部電位測定値を得た。
露光装置と第2の表面電位計との角度(露光してから露光部電位が測定されるまでの時間):
155°(155msec)、120°(120msec)、100°(100msec)、90°(90msec)、80°(80msec)、70°(70msec)、60°(60msec)、55°(55msec)、50°(50msec)、45°(45msec)、40°(40msec)、35°(35msec)、30°(30msec)、25°(25msec)、20°(20msec)
さらに、露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間、20〜155msecに対し、得られた露光部電位値をプロットして、図6の如く屈曲点を求め、本発明における実機トランジット時間を得た。なお、図6には屈曲点がいくつか見られる場合があるが、本発明においては、露光してから露光部電位を測定するまでの時間が短くなるに従って、最初に電位が立ち上がる点(図6中、第1の屈曲点)を実機トランジット時間とした。
像担持体製造例1〜26で得られた各像担持体について、上記の如く実機トランジット時間(実機Tr時間)を測定した。それらの結果を表3に示す。
(実施例1〜31、比較例1〜8)
以上のようにして作製された像担持体製造例1〜41の像担持体を、プロセスカートリッジに装着し、グリッドの幅が10mmのスコロトロンチャージャーを用いた帯電手段、655nmの半導体レーザーを用いた露光手段を搭載し、現像部には現像手段の代わりに、表面電位計に接続されたプローブを取り付けた現像ユニットを装着し、転写手段及びクリーニング手段を除去し、除電手段として660nmのLEDを取り付けた、リコー製デジタル複写機の改造機を用いて評価を行った。像担持体の線速は135mm/sec(像担持体の回転速度:86(rpm)、帯電時間:74.1(msec))である。また、像担持体の未露光部電位は、−800Vになるように印加電圧を設定した。
評価は、白ベタ画像(光書き込みなし)を5枚出力し、1枚目と3枚目の未露光部電位(VD)の差を測定し、これを一周目帯電低下量(ΔVD)とした。続いて、黒ベタ画像(全面光書き込み)を5枚出力し、5枚目における電位を露光部電位(VL)とした。その後、現像材が充填された現像ユニット及び転写手段やクリーニング手段をセットして、すべての像担持体について画像出力を行い評価したが、いずれも良好な画像を得た。続いて、クリーニング手段の下流側に潤滑剤塗布手段として、ステアリン酸亜鉛を固形化した固形物、それを掻き取るための潤滑性物質塗布ブラシ、像担持体に塗布された潤滑性物質を延展させるための塗布ブレードを設けて、各像担持体についてトータル10万枚の通紙ラン試験を行った。ラン終了後像担持体を暗所で10分間放置した後、上記と同様に白ベタ画像を5枚出力し、1枚目と3枚目の未露光部電位差(ΔVD)を測定し、続いて黒ベタ画像を5枚出力し、露光部電位(VL)を測定した。さらに、像担持体を再び暗所にて10分間放置し、その間に現像材が充填された現像ユニット及び転写手段やクリーニング手段をセットして、その後像担持体の一回転目において白ベタ画像を出力し、続けて黒ベタ画像及びハーフトーン画像を出力し、それらの白ベタ画像及びハーフトーン画像について評価を行った。また、通紙ラン開始前と終了後における膜厚差から摩耗量を測定した。これらの結果を表4に示す。なお、評価項目に関する説明は下記表3のとおりである。
Figure 2009186969
Figure 2009186969
Figure 2009186969
以上の結果から、実機トランジット時間が帯電時間を超えた場合には、通紙ラン後において著しい一周目帯電低下を引き起こしており、さらに通紙ラン後において出力画像一枚目に地汚れの発生が認められるが、それが帯電時間以内の場合に大幅に抑制されていることが明らかである。特に、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質に化学式(1)に示される化合物を採用することによって、実機トランジット時間が大幅に短縮されており、それに伴って一周目帯電低下が抑制されていることが確認でき、本発明において化学式(1)に示される化合物が非常に有効であることが明らかとなった。また、高分子電荷輸送物質を単独で用いた場合には効果は得られなかったが、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用い、さらに化学式(1)に示される電荷輸送物質を添加した場合は、実機トランジット時間が短縮化され、一周目帯電低下の抑制に対し効果が高まることがわかった。また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは、電荷発生物質のイオン化ポテンシャルとの間に式(3)で示される関係が満たされた場合に、通紙ラン後の露光部電位(VL)が大幅に低減され、画質安定化に有効であることが確認できた。また、保護層に電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの分子量/官能基数が250を超えた場合には、一周目帯電低下は抑制されているものの耐摩耗性が大幅に低下したため、ラン後に電界強度が増加して若干地汚れの発生が認められた。さらに、電荷発生物質にアゾ顔料を用いた場合でも、一周目帯電低下が発生することは確認されたが、本発明においては電荷発生物質にチタニルフタロシアニンを用いた場合と同様の効果が得られた。
また、化学式(4)及び(5)に示されるアルキルアミノ基を有する化合物や化学式(6)〜(9)で示される酸化防止剤を少なくとも二種混合して添加すると、帯電性が安定化され、10万枚印刷後においても良好な画像を得ることができた。また、保護層にフィラーを添加したり、あるいはバインダー樹脂を硬化した像担持体に潤滑性物質を塗布することで、像担持体の耐摩耗性が飛躍的に向上し、静電安定化も達成されたことにより、像担持体の高寿命化が実現された。さらに、硬化したバインダー樹脂にフィラーを添加することによって、像担持体はほとんど摩耗しない程度にまで耐摩耗性を高められ、しかもフィルミングや異物付着等の影響も見られず、更なる高寿命化を実現できた。また、フィラーを選択する上で、α−アルミナが耐摩耗性や画質安定性上最も優れていることがわかった。
また、保護層の膜厚の2倍が電荷輸送層の膜厚以下であれば、本発明の効果を得る上でより有効であることがわかった。さらに、下引き層もまた一周目帯電低下に影響を及ぼす重要な要件であり、下引き層に平均一次粒径が0.1μm以上異なる複数の酸化チタンを混合して用いることにより、一周目帯電低下の抑制効果が高まることがわかった。さらに、下引き層の下に樹脂層を形成しなかった場合、一周目帯電低下の抑制効果は得られているものの、全体的に地汚れが増加する傾向が認められ、樹脂層を形成したことにより一周目帯電低下に影響を与えずに、地汚れ抑制効果を高めることができた。
を上回ると、実機トランジット時間が増加して、一周目帯電低下抑制効果が低下し、実機トランジット時間と帯電時間が式(1)の関係を満たすことが重要であることがわかった。
このように、本発明によれば、保護層を設けた像担持体において、繰り返し使用経時における露光部電位上昇の影響なしに一周目帯電低下を抑制できることが明らかにされた。さらに、耐摩耗性が大幅に向上されたことにより、長期繰り返し使用されてもそれらの効果が安定に維持され、像担持体の長寿命化が実現された。
(実施例32〜34、比較例9〜11)
以上のようにして作製された像担持体製造例39〜45の像担持体を、プロセスカートリッジに装着し、グリッドの幅が33mmのスコロトロンチャージャー(ダブルワイヤー)を用いた帯電手段、780nmの半導体レーザー素子4個を副走査方向に配列したマルチビーム露光ヘッド(面発光レーザー)を用いた露光手段を搭載し、現像部には現像手段の代わりに、表面電位計に接続されたプローブを取り付けた現像ユニットを装着し、転写手段及びクリーニング手段を除去し、除電手段として780nmのLEDを取り付けた、リコー製デジタル複写機の改造機を用いて評価を行った。像担持体の線速は500mm/sec(像担持体の回転速度:95.5(rpm)、帯電時間:66.0(msec))である。また、像担持体の未露光部電位は、−800Vになるように印加電圧を設定した。
評価は、上記と同様にしてトータル100万枚の通紙ラン試験を行った。これらの結果を表5に示す。
Figure 2009186969
以上の結果から、画像形成装置に面発光レーザーを用いた高速機を用いた場合でも実機トランジット時間が帯電時間を超えなければ、静電疲労による一周目帯電低下量の増加は十分に抑制されているのに対し、帯電時間を超えた場合には一周目帯電低下量が顕著に増加することが確認された。また、100万枚に至る繰り返し使用においても、化学式(1)で示される電荷輸送物質を用いることによって、一周目帯電低下のみならず、露光部電位(VL)の上昇も抑制でき、静電安定化が飛躍的に向上されていることが確認された。さらに、硬化性樹脂にフィラーを分散させた保護層を用いることによって、像担持体の耐摩耗性及び耐傷性が顕著に向上され、この結果像担持体の静電安定性と耐摩耗性並びに耐傷性を両立することが実現された。これらの結果から、本発明は一周目帯電低下の抑制に対し非常に有効であり、さらに繰り返し使用による露光部電位の上昇や表面における摩耗及び傷の影響を抑制できることが明らかとなり、これにより画像形成装置の高画質化、高速化、小型化、長寿命化、さらにフルカラー化や操作後画像出力までの時間の短縮化が可能な画像形成方法並びに画像形成装置が提供された。
トランジットタイムを説明するための概略図(矩形型波形)である。 トランジットタイムを説明するための別の概略図(分散型波形)である。 トランジットタイムを説明するための別の概略図である。 本発明の実機トランジット時間を測定するために用いられる装置の概略図である。 本発明の実機トランジット時間を測定するために用いられる装置によって得られた光減衰曲線である。 本発明の実機トランジット時間を求める方法を示す概略図である。 スコロトロン方式の帯電手段における帯電幅の説明図である。 接触型ローラー方式の帯電手段における帯電幅の説明図である。 近接配置型ローラー方式の帯電手段の説明図である。 本発明における画像形成プロセスを説明するための概略図である。 本発明における画像形成プロセスを説明するための別の概略図である。 本発明における画像形成プロセスを説明するための別の概略図である。 本発明のプロセスカートリッジを説明するための概略図である。 本発明における像担持体の層構成を示す概略図である。 本発明における像担持体の層構成を示す別の概略図である。 本発明における像担持体の層構成を示す別の概略図である。 本発明における像担持体の層構成を示す別の概略図である。 実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトル図であり、縦軸は一秒当りのカウント数(cps:counts per second)を表し、横軸は角度(2θ)を表す。
符号の説明
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
21 像担持体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
101 ドラム
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット

Claims (32)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層及び保護層を順次積層した像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、
    実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが、下記式(1)の関係を満たす
    T1≦T2………式(1)
    (但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………式(2))
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した積層構成である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記感光層又は電荷輸送層に含有される電荷輸送物質が、下記化学式(1)で示されるジスチリル化合物である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    [上式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基のいずれかを表し、各々同一でも異なっていても良い。フェニル基は無置換のものでも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。
    Aは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1a)で表される基を表す。B及びB’は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリーレン基、または下記化学式(1b)で表される基を表す。B及びB’は、同一であっても異なっていても良い。
    Figure 2009186969
    (上式(1a)中、R、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表し、フェニル基の場合は無置換でも良いし、炭素数1〜4のアルキル基や炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していても良い。)
    Figure 2009186969
    (上式(1b)中、Arはアリーレン基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。また、Ar及びArは、それぞれアリール基を表し、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基を置換基として有していても良い。)]
  4. 前記電荷輸送物質が、下記化学式(2)で表されるジスチリル化合物である
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    (上式(2)中、R〜R33は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
  5. 前記電荷輸送物質が、下記化学式(3)で表されるジスチリル化合物である
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    (上式(3)中、R34〜R57は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
  6. 前記感光層又は電荷発生層に含有される電荷発生物質のイオン化ポテンシャル(IpCGM)と前記感光層もしくは電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(IpCTM)とが、下記式(3)の関係を満たす
    IpCGM−IpCTM≧−0.1 (eV)………式(3)
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、バインダー樹脂としてポリカーボネート、ポリアリレートの少なくとも一種を含有する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を含有する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層が、少なくとも電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質の混合物であり、電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの差が、0.1eV以下であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、下記化学式(4)及び(5)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    (上式(4)中、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。Ar及びArは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。R58及びR59は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。また、Ar及びR58、Ar及びR59は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成しても良い。)
    Figure 2009186969
    (上式(5)中、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。R60〜R63は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていても良い。nは1又は2の整数を表す。)
  11. 前記感光層、電荷輸送層及び保護層の少なくとも一層に、下記化学式(6)〜(9)で示される酸化防止剤の少なくとも二種を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    (上式(8)中、nは12〜18の整数を表す。)
  12. 前記感光層又は電荷発生層が、電荷発生物質としてチタニルフタロシアニン顔料を含有する
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記チタニルフタロシアニン顔料が、
    CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルで、
    ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、
    9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、
    7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さない
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記感光層又は電荷発生層が、電荷発生物質として下記化学式(10)で示される非対称ビスアゾ顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
    Figure 2009186969
    (上式(10)中、R201及びR202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。Cp及びCpはカップラー残基を表し、下記式(10a)で表され、Cp及びCpは互いに異なる。
    Figure 2009186969
    上式(10a)中、R203は、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環又は置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)
  15. 前記保護層が、フィラーを含有する
    ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 前記フィラーが、0.1〜0.9μmの平均一次粒径を有するα−アルミナである
    ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記保護層に、ポリカルボン酸化合物が含有されている
    ことを特徴とする請求項15又は16に記載の画像形成装置。
  18. 前記保護層が、少なくとも電荷輸送性構造を有さない重合性化合物と電荷輸送性構造を有する重合性化合物とを硬化することにより形成される
    ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 前記電荷輸送性構造を有さない重合性化合物及び/又は電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である
    ことを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
  20. 前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造である
    ことを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成装置。
  21. 前記電荷輸送性構造を有さない重合性化合物の官能基数が3以上であり、電荷輸送性構造を有する重合性化合物の官能基数が1であり、電荷輸送性構造を有しない3官能以上の重合性化合物における官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である
    ことを特徴とする請求項18乃至20のいずれかに記載の画像形成装置。
  22. 前記感光層又は電荷輸送層の膜厚と前記保護層の膜厚が、式(4)の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の画像形成装置。
    感光層又は電荷輸送層の膜厚(μm)≧ 保護層の膜厚×2(μm)………(4)
  23. 前記導電性支持体と感光層又は電荷発生層との間に下引き層が設けられ、該下引き層に平均一次粒径が0.1μm以上の差がある2種の酸化チタン顔料が含有され、かつ前記下引き層が前記感光層又は電荷発生層と接触していることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の画像形成装置。
  24. 前記導電性支持体と感光層又は電荷発生層との間に樹脂層が設けられ、該樹脂層はポリアミド樹脂の一種であり、かつ該樹脂層が前記導電性支持体と接触していることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の画像形成装置。
  25. 前記帯電手段が、スコロトロンチャージャーである
    ことを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の画像形成装置。
  26. 前記露光手段が、複数のビームを有する面発光レーザーである
    ことを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の画像形成装置。
  27. 前記画像形成装置が、さらに像担持体表面に潤滑性物質を塗布する潤滑性物質塗布機構を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の画像形成装置。
  28. 前記潤滑性物質が、ステアリン酸亜鉛である
    ことを特徴とする請求項27に記載の画像形成装置。
  29. 像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段からなる画像形成要素を複数配列したタンデム方式である
    ことを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の画像形成装置。
  30. 像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを搭載する
    ことを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の画像形成装置。
  31. 請求項30に記載の画像形成装置に着脱可能であり、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となっていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  32. 導電性支持体上に、少なくとも感光層及び保護層を順次積層した像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成方法において、
    実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが、下記式(1)の関係を満たす
    T1≦T2………式(1)
    (但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………式(2))
    ことを特徴とする画像形成方法。
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