JP2008096964A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトな画像形成装置において、高速で高画質な画像を形成することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。また、繰り返し使用においても、高耐久で異常画像の少ない安定した画像出力が可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】感光体1;前記感光体を所望の電位に帯電する帯電手段2;前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光する静電潜像形成手段3;前記感光体に対向した複数の現像器を有し、前記静電潜像を現像するトナー像形成手段4;前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写手段5;前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着手段14を備え、前記感光体上における任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図9

Description

本発明は、コンパクトで高速に動作する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
近年、1200dpi以上の高画質化を前提とした画像形成装置には2つの大きな課題がある。1つは高速化への要望であり、いま1つはコンパクト化の要望である。
前者に関しては、画像形成装置における生産性を向上するために、プリント速度を向上することにある。モノクロ機においては、一般的には感光体(以下、「電子写真感光体」、「静電潜像担持体」、「像担持体」、「光導電性絶縁体」と称することがある)の高線速化と、感光体径の大口径化によって対応がなされる。フルカラー機においては、2段階の方向があって、1つ目はタンデム化(複数の画像形成要素を使用する)であり、続いて2つ目はモノクロ機と同様に、高線速化と大口径化による対応の方向である。ここで言う画像形成要素とは、少なくとも感光体、帯電部材、書き込み部材、現像部材を含む、画像形成のための最低単位の構成を示す。この他に転写部材や定着部材、クリーニング部材、除電部材等が備えられることがあるが、複数の画像形成要素を同時に使用する場合には、これらは複数存在する必要はなく、共通化して1つ存在すればよい。
一方、電子写真方式の画像形成装置において、多色画像、フルカラー画像を形成する方法としては、大別して2つの方法が一般的である。すなわち、画像形成部を色毎に備えた「タンデム方式」と「1ドラム方式」の画像形成装置である。前者の「タンデム方式」の画像形成装置は、単位時間当たりのプリント枚数は多いものの、各画像形成部毎に帯電装置やレーザスキャナユニット等の作像プロセス機器が必要なため装置の大型やコストアップという問題点を有しているが、後者に挙げた「1ドラム方式」の画像形成装置は、複数の感光ドラムを用いることによる出力画像の位置ずれが「タンデム方式」に比べて軽微であるため、「タンデム方式」ほど位置精度を高める必要がなく、4つの感光ドラムを使用することによるコストアップを最小に抑えることが可能となる。また、同時に画像形成装置のコンパクト化を実現できるという利点があり、近年注目されている。
なお、上述の「1ドラム方式」のフルカラー画像形成装置において、図9(この図9は、基本的に、本発明の画像形成装置を説明するためのものであるが、ここでは便宜上、この図を借用して従来の「1ドラム方式」のフルカラー画像形成技術を説明する)に示すように、帯電装置(2)により帯電され露光装置(3)により選択的に露光される感光ドラム(1)上に、現像装置(現像ユニット)(4)の各色現像器(4Y)、(4M)、(4C)、(4K)によって順次に形成した各色のトナー像を、逐次的に記録材(11)上に転写させずに、一旦中間転写ベルト(5)上に転写ローラ(転写部材)(10)の電界で順次に一次転写し、この中間転写ベルト(5)上に転写された4色のトナー像を一括して二次転写ローラ(6)の電界によって記録材(11)上に転写した後、未定着トナー像の定着を行う方法も、例えば、特許文献1に記載されている。なお、同図中の符号(40)は、各現像器を搭載した状態で回転する回転体、(6)は二次転写ローラ、(8)は感光ドラム(1)表面を清掃するクリーニング装置、(9)は中間転写ベルト(5)上を清掃する中間転写体クリーニング装置である。
このような中間転写ベルト(5)を使用した方法は、「1ドラム方式」で転写ドラムを用いた場合、及び「タンデム方式」の搬送ベルト上に記録材を保持、搬送し順次転写していく方法に比べて、画像形成装置内の各装置の配置の自由度が大きくなるため、画像形成装置の小型化、及び多種多様な記録材に対応可能といった観点から近年好適に使用されており、カラー画像形成装置の主流となっている。
ところで、前述の「1ドラム方式」の場合には、1つの感光ドラムを用いて4色のトナー像を形成するため、各色毎の画像の形成位置を感光ドラム上で一致させることにより、感光ドラムの回転に仮に変動があったとしても、各色のトナー像には、感光ドラムの回転変動の影響が同じように現れるため、感光ドラム上における各色の画像形成位置を一致させることにより、感光ドラムの回転変動に起因する画像濃度むらが発生しても色相の変化が生じ難いという特徴を有している。また、1つの感光ドラムの周囲のプロセス機器の中で、現像装置以外は各色に対して同じものを使用することができるので、装置の構成を簡略化することができ、装置の小型化及び低コスト化が可能であるという特徴をも有している。しかしながら、「1ドラム方式」において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色によりフルカラー画像を形成するには、通常のブラックのみ1色の画像を得る場合に比べて凡そ4倍の時間を要し、単位時間当たりのフルカラー画像の生産性(プリント速度)が低いという問題点を有している。
上述のような長所・短所を有しているため、「1ドラム方式」の画像形成方式は、白黒画像との兼用を目的としたフルカラー機に採用されているのが現状である。
しかしながら、これまでの画像形成装置においては、帯電工程と書き込み工程などの画像形成要素を構成する部材の能力が律速で、コンパクト、高速(50枚/分以上)、高解像(1200dpi以上)の設計が困難であった。
帯電工程では、高速化のために帯電能力を向上する必要がある。感光体径を小径化した場合に、帯電部材と感光体が正対できる幅(帯電ニップと称する)が非常に小さく(狭く)なる。ここまでに使用されるスコロトロン帯電器に代表されるワイヤー方式の帯電部材は、感光体表面に降り注ぐコロナ量を増やすために、ワイヤーの本数を増やすことで対応は不可能ではないが、ワイヤー間の距離が近すぎた場合には互いに干渉する、消費電力が大きくなってしまう、という問題がある。また、帯電安定化のためにグリッドが必要となるが、この大きさが帯電ニップ幅を決定する。一般的には、グリッドは導電性の金属板からなり、感光体の接線方向に配置される。このため、感光体径が小径化された場合、グリッド中心と両端では、グリッド−感光体表面距離が大きく異なり、実質的なニップ幅が非常に狭くなってしまう(感光体の移動方向に対応する先端及び後端の両端では帯電が不安定になってしまう)。これを解決するためには、感光体の曲率に合わせた平板ではないグリッドを使用することができる。しかしながら、これを配置するためには装置が若干複雑になり、また小径化に伴い帯電部材が配置できるスペースが小さくなるため、この方法は現実的ではない。
これに対して、ローラ形状の帯電部材を使用する方法がある。ローラ形状の帯電部材は、感光体表面と接触するか、あるいは両者の表面を50μm程度の空隙を介して近接配置させる方法によって用いられる。一般的には、両者の表面は等速で回転させ(つれ周りさせ)、ローラにバイアス電圧を印加することで、ローラから感光体へ放電が起こり、感光体表面に帯電が施される。この場合、ローラ径を可能な範囲で小さくすることにより、帯電部材のコンパクト化は達成される。ローラ径を小さくすると帯電可能な範囲(概ね感光体とローラ表面が50〜100μm程度離れた範囲;帯電ニップと称する)が狭くなり、帯電能力が低下する。しかしながら、前述のスコロトロン帯電ほどには低下せず、また、ローラ部材に印加するバイアス電圧を、直流(DC)成分のみでなく、交流(AC)成分を重畳することにより、帯電能力が飛躍的に向上する。このような技術を使用することにより、現在では帯電工程がプロセスの律速になることはない。しかしながら、帯電能を稼ぐためにAC重畳を施すことにより、感光体表面へのハザードが大きくなり、感光体耐久性(寿命)への影響は大きなものとなってしまう。
一方、書き込み工程に関しては、近年まで、書き込み光源としてフォトダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)が用いられてきた。LEDは感光体近傍に、感光体長手方向(ドラム状小径感光体の場合MD方向(Machine direction)でなくTD方向(traverse direction)、即ち軸方向)にアレイ状に配置することで書き込み光源として用いられる。しかしながら、その解像度は1つの素子の大きさによって決定され、また、素子間距離にも依存する。このため現時点では、1200dpi以上の光源としては最適とは言い難い。一方、LDを用いた場合には、ポリゴンミラーによって感光体の長手方向にビーム光を送引することで書き込みが行われる。感光体の小径化が実施されると、プリント速度との関係から感光体線速が大きくなり、ポリゴンミラーの回転数を大きくする必要が生じる。しかしながら、ポリゴンミラーの回転数は現在では4万回転/分程度が上限であり、シングルビームでは書き込み速度に限界を生じる。
これに対して、複数のビーム光を用いる方式が使用され始めた。1つのポリゴンミラーに複数のLD光源からビームを照射する方式や、複数のLDを1つのアレイに配置した構成等のマルチビーム露光手段が用いられている。また、最近ではマルチビーム手段として、光源が3個以上の面発光レーザが用いられ、更には光源が2次元に配置された面発光レーザが用いられている。これらの技術によって、1200dpi以上の解像度で感光体に書き込みを行うことが可能になってきた。
このように、プロセス(画像形成要素)を構成する各部材に改良あるいは新規技術によって、コンパクト、高速(50枚/分以上)、高解像(1200dpi以上)が達成できる準備は整ってきた。
一方、上述のような従来技術において、コンパクト化と高速化を同時に実現させようとした場合、感光体線速と、感光体周りの部材の大きさ、それぞれの能力の関係から、プロセス設計上、どこが律速であるかがそれほど明確ではなく、更にこれに対応した感光体技術が明確になっていないのが現実であった。
特開平3−192282号公報 特開平10−115944号公報 特開2001−312077号公報 特開2000−305289号公報 特開2000−275872号公報
従って、本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、コンパクトな画像形成装置において、高速で高画質な画像を形成することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。また、繰り返し使用においても、高耐久で異常画像の少ない安定した画像出力が可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述のコンパクト、高速(A4版50枚/分以上)、高解像(1200dpi以上)のプロセスにおける律速過程、換言すれば必要とされる「特定の感光体」と「特定のプロセス」の組合せ、を様々なシミュレーションによって求めた。その結果、幾つかのことが分かってきた。感光体の小径を維持したまま、高速化を行う場合、感光体の線速を大きくすることが必須となるが、これは設定プリント速度と紙間によって必要な線速が異なる。ここで、「紙間」を次のように定義する。仮に、給紙のサイズおよび方向をA4ヨコ(210mm×297mm)とした場合、給紙方向から見て給紙(X)枚目後端、(X+1)枚目前端間長さの、210mmに対する給紙方向の長さを「紙間」(割合で表現することもある)とする。目標とするプリント速度を一定とした場合、紙間が短いほど、感光体線速を小さく設定することができるが、紙間にも下限側での限界があり、感光体線速は下限値が自ずと設定される。
感光体の線速は、感光体周りの各画像形成要素(部材)の能力と大きさに影響を与える。先の説明のように、例えば帯電部材においては帯電能の余裕度があれば、帯電部材を小さくすることができ、その分感光体周りのレイアウト(配置)に余裕が生じる。その結果、帯電工程の前後、例えば除電部材と書き込み部材の配置をプロセス上有利な方向にずらすことが可能になる。例えば、除電による感光体の電位減衰の余裕度が小さければ、帯電部材が小さくなった分だけ、除電−帯電の間隔を大きくすることができる。あるいは、書き込み後の感光体電位減衰の余裕度が小さければ、書き込み光源の配置を帯電部材側に寄せて、書き込み−現像の間隔を大きくするなどである。
ここで、「除電による感光体の電位減衰の余裕度が小さければ、帯電部材が小さくなった分だけ、除電−帯電の間隔を大きくすることができる」、「書き込み後の感光体電位減衰の余裕度が小さければ、書き込み光源の配置を帯電部材側に寄せて、書き込み−現像の間隔を大きくする」の意味について説明する。
前者について、除電手段は感光体に光照射することにより、感光体上に残留した電位を減衰させ、書き込み光の露光部と未露光部の電位差を小さくし、次回帯電時に感光体表面電位を均一にならす働きをする。
感光体の線速が一定で、除電による感光体の電位減衰の余裕度が小さい場合(例えば、光量が小さい、感光体の応答性が悪い、感度が小さいなど)、除電部材の配置をプロセス上有利な方向にもっていく必要がある。仮に帯電能に余裕度があれば、帯電部材を小さくすることができ、除電手段から帯電手段に至るまでの間隔を大きくすることが可能になる。この結果、除電光照射時間を長くしたり、除電光照射後の時間を長くしたりすることができる。すなわち、感光体上の残留電位を減衰させ、感光体の表面電位を均一にならすための時間に余裕をもたせることができるようになる、ということである。
次に、後者の「書き込み後の感光体電位減衰の余裕度が小さければ、書き込み光源の配置を帯電部材側に寄せて、書き込み−現像の間隔を大きくする」の意味について言及する。感光体表面は、露光装置に正対した位置において、現像手段に到達するまでに十分な電位減衰がえられるような露光量(到達エネルギー)で光照射されることが望ましい。しかしながら、感光体光照射後の表面電位減衰速度が不十分な場合、光キャリアが感光体表面まで移動するのに要する時間を適当な手段により稼がなければならない。この1方法として、感光体の周囲に配置する露光装置、現像装置間の距離を長くする、ということである。
上述のようなシミュレーションを繰り返し、従来の装置と大きく異なり、画像形成において、上記高速(A4版50枚/分以上)かつ高解像(1200dpi以上)プロセス用感光体のための所要特性、該所要特性が律速になる工程を求めた。その結果、プロセス上従来と大きく異なるポイントとしては、高感度で光疲労は少なく高耐久性の感光体が必要であり、高感度であるが故の迅速暗減衰特性についてはこれをプロセス的に補償すべく、書き込み光による露光から現像までに至る時間(以降、露光−現像時間と呼ぶ)が極端に短くなってしまうという点であった。具体的には、現行の画像形成装置においては、露光−現像時間は最短でも70ms程度であった。しかしながら、我々のシミュレーションによれば、上述の条件で突き詰めていくと露光−現像時間は50msを切るような条件まで到達することが分かった。
一方、これまでこのような短い露光−現像時間で感光体が使用されたことはなく、これに対応した感光体の特性を求めるために、表面電位光減衰の時間応答性評価を行うことにした。
電子写真感光体の表面電位光減衰の時間応答性を評価する手法としては、例えば特許文献2(特開平10−115944号公報)や特許文献3(特開2001−312077号公報)に見られる電荷輸送材料またはこれとバインダー樹脂からなる樹脂膜をタイムオブフライト(TOF)法から見積ることが多い。これは感光体の処方を設計する上で、有用な方法である。しかしながら、装置内で使用される感光体の電荷輸送とTOF法による電荷輸送の条件は、前者が露光後、時々刻々と膜中の電界強度が変化していくのに対して、後者は電界強度が一定である違いが指摘される。また、積層型感光体に対しては、露光による電荷発生層からの電荷発生および電荷発生層から電荷輸送層への注入挙動が電荷輸送にもたらす影響もTOF法では計測値に反映されることは無い。
また、感光体の応答性を直接評価する手法として、例えば特許文献4(特開2000−305289号公報)に見られるパルス光照射後の感光体の表面電位変化を、高速表面電位計を用いて高速記録し、所定の電位に到達するのに要する応答時間を測定する手法が提案されている。この手法は一般にゼログラフィックタイムオブフライト(XTOF)法と称されている。この手法はTOF法の不具合を解消する評価手段として有用といえる。しかしながら、この手法では測定に用いる光源が電子写真装置に使われる露光手段と異なるケースが多く、直接的な測定方法とは言い切れない側面を有している。
これに対して、特許文献5(特開2000−275872号公報)に記載の感光体の特性評価方法及び評価装置を用いることで、感光体の露光部位(書き込み光が照射された場所)が現像手段に到達する所定の時間(以下、簡単のため、露光−現像間時間(Ted)と称す。)を設定し、LDから出力される感光体の露光量(エネルギー)に対する露光部電位(露光部の表面電位)の関係(光減衰カーブ)を把握することが可能である。
この特許文献5記載の技術は、本発明でも準用しており、かつまた、実際的な光源を用いる高速用実機に適合した感光体の特性評価手法のあり方について非常に示唆的なものでもあると思われるので、その概要を、以下に紹介しておく。
即ち、特許文献5には、つぎのような技術内容が記載されている。「複写機等で電子写真方式に使用する感光体の特性の評価方法、特に感度特性の測定は各種方法が採用されており、例えば第1の測定方法は感光体を1000r.p.mの高速で回転させた状態で感光体の表面を所定の時間あるいは所定の表面電位になるまで帯電し、その後、感光体の表面に光を照射し、所定の時間あるいは所定の表面電位になるまで露光し、この露光により感光体が所定の表面電位減衰に要した時間と照度の積、すなわち露光量を計算し、必要とされた露光量を感光体の感度とするダイナミックな測定方法があり、第2の測定方法は、電子写真学会、1992年3月31日制定の電子写真学会標準、白色光感度測定法で標準化したダイナミック測定法に示されるように、感光体を100r.p.mの低速で回転させた状態で、あらかじめ所定の表面電位になるよう調節された帯電条件で感光体の表面を帯電し、感光体表面の帯電部分が露光部を通り過ぎてゆくとき、あらかじめ決められた照度でスリット光を照射し、露光部を通り過ぎた後、所定の位置又は時間に感光体の表面電位を測定し、測定した表面電位値を感光体の感度とするように、一定の光強度の白色光で連続露光を行ったときの表面電位の変化を測定する方法があり、第3の測定方法は、電子写真学会、1992年3月31日制定の電子写真学会標準、白色光感度測定法で標準化したスタティック測定法に示されるように、感光体を100r.p.mの低速で回転させた状態で、あらかじめ所定の表面電位になるよう調節された帯電条件で感光体の表面を帯電し、感光体表面の帯電部分が露光部に来たときに感光体の回転を止め、あらかじめ決められた照度の光をあらかじめ決められた時間だけ照射し、表面電位の変化を光透過型表面電位計で測定して、所定の表面電位減衰に要した露光量を感光体の感度とするものであるが、これら各感度評価方法は、光照射用の光源にタングステンランプあるいはハロゲンランプが使用され、照射時間の制御にメカニカルシャッタあるいは電磁シャッタが使用されること、表面電位計のレスポンス等の測定システムの制約から露光時間は概ね、第1の測定方法で0.1秒以上であり、第2の測定方法では0.01秒以上、第3の測定方法では0.001秒以上であり、感光体の1点が露光される時間を短くとれないことに共通の問題があり、また、光の強度は0.1μW/cmから10μW/cmとなるが、しかしながら、最近の電子写真プロセスを用いた複写機やプリンタはレーザスキャンによるいわゆるデジタル機が主流であって、このデジタル機においては感光体上の1点が露光される時間は数10nsから100ns前後が普通であり、光の強度も数10W/cmであることが多く、従来の測定方法では実現が不可能な領域の測定条件であり、また、実際の複写機等における感光体の特性を予測評価するためには、実際の複写機等で感光体に施される条件の尺度(スケール)と同じスケールで評価する必要があり、実際に感光体を使用する複写機等で感光体の感度を測定すれば良いが、通常は、感光体の開発とこれが搭載される複写機等の開発が並行に行われ、感光体の開発中には測定器として安定して使用できる複写機等を用意できず、感光体の評価を実際に搭載する複写機等により行うことは困難な場合が多く、さらに、実際に感光体を使用する複写機等で感光体の感度を評価しようとしても、複写機等は、感光体サイズやプロセス装置の配置や線速,プロセスタイミング等の動作条件が一義的に決まっており、変更ができないため、感光体のドラム径やドラム長のサイズが変わるたびに、それに応じた複写機等を用意する必要があるという問題があり、そこで、この特許文献5記載の発明は、かかる問題を解消し、レーザスキャン光学系を持つデジタル機と同一スケールの時間で感光体の感度特性を評価でき、かつ特定のデジタル機に依存しないで自由度が高く、信頼性の高い評価を行うことができるデジタル用感光体の特性評価装置を提供することを目的とするものであって、被検査体である感光体の周囲に順に配置された帯電装置と露光装置と除電装置を有し、帯電装置と露光装置の間に第1の表面電位計が配置され、露光装置と除電装置の間に第2の表面電位計が配置され、感光体は回転自在に保持され、帯電装置と除電装置及び第1の表面電位計と第2の表面電位計は感光体の周方向と径方向と長手方向とに移動できるように共通の架台に取り付けられ、露光装置はレーザ書込装置からなり、感光体の径方向と長手方向に可動自在に設けられ、レーザ発光デバイスを連続点灯して感光体をスキャン露光し、第2の表面電位計は周方向の可動範囲に最大の自由度が与えられており、感光体の周囲に配置された装置は最大の自由度が与えられており、感光体の外径と感光体の線速,レーザスキャン副走査方向の解像度,帯電時間,露光時間及び感光体周囲に配置された装置の配置位置情報に基づきオン/オフ制御され、第1の表面電位計と第2の表面電位計が測定した感光体の露光前後の表面電位と各装置の配置位置情報から感光体の特性を評価して解析することを内容とする感光体の特性評価装置を提供するものであり、例えば、露光装置のレーザ発光デバイスとポリゴンミラーとの間に光減衰用フィルタを設け、光減衰用フィルタのレーザ光の波長に対する透過率T(%)は、レーザ発光デバイスの露光パワーの駆動電流調整範囲における最高の露光パワーをPmax,最小の露光パワーをPminとしたとき、nを正の整数として、T≧{(Pmin/Pmax)のn乗}×100(%)とすることが望ましく、この光減衰用フィルタは色ガラスを基板とすると良く、また、上記n=1の透過率Tの光減衰用フィルタを複数設けると良く、また、露光装置の露光パワーを可変しながら、露光前後の表面電位を繰返して測定した後、光減衰用フィルタを換えて同様な測定を繰返すと良く、さらに、露光装置の露光パワーを可変しながら、露光パワーに応じて光減衰用フィルタの枚数を替えて感光体の表面電位を複数回測定しても良く、この発明の感光体の特性評価装置は、具体的には、被検査体である感光体の周囲に配置された帯電装置と露光装置と除電装置を有し、帯電装置と露光装置の間に第1の表面電位計が配置され、露光装置と除電装置の間に第2の表面電位計が配置され、感光体は回転自在に保持されており、帯電装置と除電装置及び第1の表面電位計と第2の表面電位計は、感光体の周方向と径方向と長手方向とに移動できるように共通の架台に取り付けられていて、露光装置はレーザ書込装置からなり、感光体の径方向と長手方向に可動でき、感光体の径方向には感光体表面とレーザ書込系のfθレンズの焦点距離だけ間隔がとられるように位置決めされ、この状態で感光体の評価を開始すると、露光装置のポリゴンミラーを回転するとともに感光体を一定の回転速度で回転させながら、除電装置で感光体の表面を除電し、帯電装置で感光体の表面を所定の表面電位になるように帯電し、帯電した感光体に露光装置でレーザ光を照射し、この帯電したときの感光体の表面電位を第1の表面電位計で測定し、露光後の感光体の表面電位を第2の表面電位計で測定し、感光体の外径と線速,レーザスキャン副走査方向の解像度,帯電時間,露光時間と帯電装置の周方向における配置位置と測定した感光体の表面電位から電位減衰に要した露光量(到達エネルギー)を計算し、計算した露光量と測定された露光後の電位あるいは露光前後の電位変化量との関係を感光体の感度とし、この処理を感光体に照射される露光パワーを換えて所定回数繰返す」。
この特許文献5記載の技術を用いた感光体の測定結果の一例を図2に示す。図2から、露光エネルギーに対する表面電位のカーブから、露光エネルギーの増加と共に電位減衰量が大きくなる(表面電位が低くなる)光量領域と、表面電位が低くならない光量領域が表れる。両者の境目を境界点(トランジット点)として、これよりも小さい光量を用いて次の測定を行う。
図3に示すように、特許文献5に記載の装置において、露光−現像間時間を変えた場合の露光部電位の変化を計測する。続いて、図4に示すように露光−現像間時間に対する露光部電位の関係をプロットすると、屈曲点を見い出すことができる。この屈曲点における露光−現像間時間を本発明ではトランジット時間と定義する。これによれば、露光−現像間時間と露光部電位及びトランジット時間の関係、すなわち電子写真感光体の表面電位光減衰の時間応答性を正確に把握することが可能となる。尚、トランジット時間は、書き込み光照射前の感光体表面電位および感光体膜厚に依存する(言い換えると、感光体に印加される電界強度に依存する)。従って、トランジット時間の測定の際には、実際に使用する感光体と同じ組成、同じ膜厚の感光体を用い、書き込み光照射前の感光体表面電位は、感光体が使用される画像形成装置の未露光部表面電位と同一にして評価する必要がある。
本発明における「トランジット時間」について念のため、以下、さらに説明する。
特許文献5(特開2000−275872号公報)、または図14に示す感光体の特性評価装置を用いることで、LD(露光部)から出力される感光体の露光量に対する露光部電位の関係(光減衰カーブ)を把握することが可能である(図2参照)。図14の装置において、書込手段に正対する位置を(A)、現像手段に正対する位置を(B)とすると、露光時間−現像時間(Ted)は、
となる。
この様な測定において、図14に示されるように、現像部位にある表面電位計を感光体の周方向に動かすことにより、図中のLD光が照射された感光体の露光部位が、現像手段に正対する位置に到達する所定の時間(以下、簡単のため、露光−現像時間と称す。)をある範囲内で比較的自由に設定することが可能である。この装置において、露光量を固定して、露光−現像時間を変えた場合の露光部電位の変化を計測すると、露光−現像時間に対する露光部電位の関係に屈曲点を見出すことができる(図4参照)。本発明では、便宜上、この屈曲点における露光−現像時間をトランジット時間と定義している。この具体例を図15に示す。図中では、露光−現像時間をプロセス時間と表記している。
本発明における「感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光」、および、「書き込み手段に正対する位置から現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いこと」の2つの要件についてさらに説明すると、「書込手段(露光手段)に正対する位置から現像手段に正対する位置まで移動する時間が50ms未満」に、ある意味では関連している特許文献5(特開2000−275872号公報)記載のものが実マシンに即した(換算できる)測定態様である。
ここで、参考までに、前記説明に沿って当該文献記載の各条件における「露光−現像時間」を計算により求めると、
「感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光の条件」については当該公報記載のものは「ビーム露光後第2の表面電位計までの回転に要する時間が303ms{(ドラム径24mm)×(円周率3.14)×(55°/360°)/(線速38mm/s)}、[具体例2-1]については「ビーム露光後第2の表面電位計までの回転に要する時間が58ms{(ドラム径60mm)×(円周率3.14)×(20°/360°)/(線速180mm/s)}、[具体例2-2]については「ビーム露光後第2の表面電位計までの回転に要する時間が116ms{(ドラム径60mm)×(円周率3.14)×(40°/360°)/(線速180mm/s)}、[具体例3]については「ビーム露光後第2の表面電位計までの回転に要する時間が366ms{(ドラム径80mm)×(円周率3.14)×(55°/360°)/(線速105mm/s)}となる。つまり、当該公知資料には「ビーム露光後現像部位までの回転に要する時間が50ms未満」のものは存在していない。
尚、感光体のトランジット時間を制御する方法に関しては感光体の説明部分で詳細に説明するが、本発明者らは支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順に設けた一般的な負帯電型積層感光体のトランジット時間について解析を行った。その結果、トランジット時間とは、電荷発生層で生成した光キャリアの輸送特性が反映されたものであるが、結果的には電荷輸送層における正孔輸送特性が概ね反映されるものであることが分かった。従って、トランジット時間を大きく制御するには、電荷輸送層をどのように設計するかを考慮すればよいことが分かった。
ここで言う露光−現像時間とは、感光体上の任意の点が書き込み手段に正対する位置から現像手段に正対する位置までに移動する時間と定義される。より具体的には図1に示すように、感光体が図の破線矢印方向に回転し、感光体上の任意の1点が書き込み部材に正対する位置(A)から、現像部材に正対する位置(B)に移動するまでの時間である。ここで、位置(A)とは書き込み光(ビーム)の中心であり、書き込み光源から感光体中心に向けて照射される書き込み光の中心と感光体表面の交点である。位置(B)とは、現像ニップの中心とも言え、図のように棒状の現像スリーブが用いられる場合には、現像スリーブと感光体表面が最も接近する位置と言える。従って、露光−現像時間とは、位置(A)と位置(B)の円周(弧)の長さ(mm)を、感光体線速(mm/sec)で割った時間(sec)ということになる。
このような方法によって、正確に求めた感光体のトランジット時間と露光−現像時間との関係を明確にすることによって、本発明を完成するに至った。
感光体側から上述した条件下での使用状況を考えると、露光−現像時間内に感光体の光減衰が終了している必要がある。ここで言う光減衰が終了するとは、感光体に帯電を施した後、レーザ光のような短時間で書き込み光を照射した場合、感光体の表面電位は時間の経過と共に徐々に減衰し、この際、ある時間までは電位低下量(速度)が大きいが、ある時間以上経過すると電位速度が非常に小さくなる。この時点での表面電位は、かなり小さな値を示すと共に、これ以上の時間を与えても電位減衰はほとんど生じない。この時間は、感光体で生成した光キャリアの大多数が感光層を横切る時間(トランジット時間)であると考えることができる。
この時間は、感光体のキャリア発生およびキャリア輸送時間に依存する特性であると予想されるが、タンデム型フルカラー画像形成装置に用いられる場合、プロセス条件とこのトランジット時間を満足する感光体との関係は明確にされていなかった。
感光体の属性に、書き込み手段が追従できない場合、当該感光体への光照射量が低下して、ネガ・ポジ現像においては画像濃度が低下する不具合を生じ、タンデム型フルカラー機ではカラーバランスの低下に繋がる。このため、書き込み解像度を落として対応することになる。
また、感光体のトランジット時間が露光−現像時間よりも長くなった場合、感光体の露光部位は、感光層内部で生成した光キャリアが未だ輸送中に現像部位に到達することになる。このため、(i)感光体表面電位が十分に落ちきらないため、現像ポテンシャルを十分に獲得できなくなり、ネガ・ポジ現像においては画像濃度が低下する不具合を生じる、(ii)仮に現像ポテンシャルが稼げたとしても、現像部位を通過した後に未だ表面電位低下が継続し、ネガ・ポジ現像においては露光部にトナーが現像されるため(トナーの付着は静電的に行われる)、トナーとの付着力が低下し、ドットの解像度低下、あるいは転写時のチリが生じやすくなる、(iii)更には、感光体が画像形成要素を1周し、次回工程に進む際、次回帯電時に内部で遅れて生成したキャリアによって、前回の画像露光部の電位が僅かながら低下する。これにより、中間調の電位が異なり、モノクロ機ではゴースト(残像)のような異常画像が発生し、ハーフトーン画像が多いフルカラー機の場合にはカラー再現性が低下したりする。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、上記課題は、本発明の(1)「感光体;
前記感光体を所望の電位に帯電する帯電手段;
前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する書き込み手段;
前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつ収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成手段;
前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写手段;
前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着手段を備え、
前記感光体上における任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成装置」、
(2)「感光体;
前記感光体を所望の電位に帯電する複数の帯電手段;
前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する複数の書き込み手段;
前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつそれぞれに収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成手段;
前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写手段;
前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着手段を備え、
前記感光体上における任意の点が前記複数の書き込み手段に正対する位置からそれぞれ対応した前記複数の現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成装置」、
(3)「前記書き込み手段がビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする前記第1項または第(2)項に記載の画像形成装置」、
(4)「前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする前記第(3)項に記載の画像形成装置」、
(5)「前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成され、かつ、面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする前記第(4)項に記載の画像形成装置」、
(6)「前記感光体の感光層が、下記式(1)で示されるアゾ顔料を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の画像形成装置
(式中、Cp、Cpは共にカプラー残基を表し、R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、Cp、Cpは下記式(2)で示され、
式中、R203は水素原子、アルキル基、アリール基を示し、R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基または水酸基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素環式芳香族基または置換基を有してもよい複素環
式芳香族基を形成するのに必要な原子群を示す。」、
(7)「前記アゾ顔料のCpとCpとが異なることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置」、
(8)「前記像担持体の感光層が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の画像形成装置」、
(9)「前記感光体が、感光層上に保護層を有する前記第(1)項乃至第(8)項の何れか1に記載の画像形成装置」、
(10)「前記保護層が1010Ω・cm以上の比抵抗を有する無機顔料及び金属酸化物のうちの少なくともいずれかを含有することを特徴とする前記第(9)項に記載の画像形成装置」、
(11)「前記保護層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化して形成されることを特徴とする前記第(9)項に記載の画像形成装置」、
(12)「感光体と、帯電手段、書き込み手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される1つ以上の手段とが一体となり、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載している前記第(1)項乃至第(11)項の何れか1に記載の画像形成装置」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(13)「感光体;
前記感光体を所望の電位に帯電する帯電工程;
前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する書き込み工程;
前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつ収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成工程;
前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写工程;
前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着工程を備え、
前記感光体上における任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像工程に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成方法」、
(14)「感光体;
前記感光体を所望の電位に帯電する複数の帯電工程;
前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する複数の書き込み工程;
前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつそれぞれに収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成工程;
前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写工程;
前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着工程を備え、
前記感光体上における任意の点が前記複数の書き込み手段に正対する位置からそれぞれ対応した前記複数の現像工程に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成方法」、
(15)「前記書き込み手段がビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする前記第(13)項または第(14)項に記載の画像形成方法」、
(16)「前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする前記第(15)項に記載の画像形成方法」、
(17)「前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成され、且つ、面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする前記第(16)項に記載の画像形成方法」により達成される。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、従来における諸問題を解決でき、高速で高画質な画像形成を行うことのできるコンパクトな画像形成装置及び画像形成方法が提供でき、また、繰り返し使用においても、高耐久で異常画像の少ない安定した画像出力が可能な画像形成装置及び画像形成方法が提供できるという極めて優れた効果を奏するものである。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体と、帯電手段と、書き込み手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、静電潜像担持体の任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像手段に正対する位置までに移動する時間(露光−現像時間と称する)が50msよりも短く、かつ感光体のトランジット時間よりも長い構成からなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、現像剤リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、少なくとも静電潜像担持体と、帯電工程と、書き込み工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも有してなり、静電潜像担持体の任意の点が前記書き込み工程に正対する位置から前記現像工程に正対する位置までに移動する時間(露光−現像時間と称する)が50msよりも短く、かつ感光体のトランジット時間よりも長い構成からなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記書き込み工程は前記書き込み手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記除電工程は前記除電手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−静電潜像形成−
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光(書き込み)することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
−帯電手段−
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、ローラ形状の近接配置帯電器(感光体表面と帯電器との間に100μm以下の空隙を有する近接方式の非接触帯電器を含む、例えば、特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報等に記載されている)、などが挙げられる。
本発明における感光体は、当該帯電手段により、通常、−300V〜−1500V、好ましくは−500V〜−1000Vに帯電される。本発明における所望の電位に帯電するとは、このような意味である。
前記帯電器により静電潜像担持体に印加される電界強度としては、20〜60V/μmが好ましく、30〜50V/μmがより好ましい。感光体に印加される電界強度は高いほどドット再現性が良好になるが、電界強度が高すぎると感光体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着等の問題が発生する場合がある。
なお、前記電界強度は、下記数式(A)で表される。
ただし、前記数式(A)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
−書き込み手段−
前記書き込みは、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光器の種類としては、1200dpi以上の解像度を有する光源であり、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
光源としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度が確保できる光源が使用される。中でも、複数のレーザビームを用いてマルチビーム露光を行うもの、さらにマルチビーム光源に用いる光源が3個以上の面発光レーザで構成されているもの、面発光レーザが2次元的に構成されているものが好ましく、特許第3227226号公報等に記載されるLDをアレイ状に配置したマルチチャンネルレーザダイオードアレイ(LDA)、特開2004−287085号公報等に記載される2次元に発光点を配列できる面発光レーザは、高密度書き込みを行う際に非常に有利である。
使用する光源(書き込み光)の解像度により、形成される静電潜像ひいてはトナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られる。しかしながら、解像度を高くして書き込みを行うとそれだけ書き込みに時間がかかることになるため、書き込み光源が1つであると書き込みがドラム線速(プロセス速度)の律速になってしまう。従って、書き込み光源が1つの場合には2400dpi程度の解像度が上限となる。書き込み光源が複数の場合には、それぞれが書き込み領域を負担すれば良く、実質的には「2400dpi×書き込み光源個数」が上限となる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、良好に使用される。
本発明において、露光後現像部位に移動したときの表面電位は、初期の帯電電位にもよるが、通常−0V〜−200V、好ましくは−0V〜−100V、より好ましくは−0V〜−50Vである。
−現像手段−
前記現像は前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像(可視像)を形成することにより行うことができる。前記トナーは、感光体の帯電極性と同極性のトナーを用いられ、反転現像(ネガ・ポジ現像)によって、静電潜像が現像される。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2とおりの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
また、感光体上に複数色のトナー像を順次重ねるような場合、接触方式の現像手段を用いると、先に現像したトナー像を乱す可能性がある。このため、そのようなトナー像形成を行う場合には、ジャンピング現像のような非接触方式の現像手段をもちいることが望ましい。
本発明で用いられるプロセスは、前述した書き込み手段と現像手段の間を感光体表面のある点が通過する時間(露光−現像時間)が、50ms以下であることが必須条件である。
−転写手段−
前記転写手段は、前記可視像を転写材(紙などの記録媒体、以後、「転写紙」と称する場合がある)に転写する手段であるが、感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。なお、転写手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写手段の中から適宜選択することができ、例えば、記録媒体の搬送も同時に行うことのできる転写搬送ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写帯電器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。前記転写帯電器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
また、転写帯電器は転写ベルト、転写ローラを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
転写後の感光体表面電位(除電部に突入する差異の表面電位)によって、画像形成1サイクルあたりの感光体通過電荷量が大きく異なる。これが大きいほど、繰り返し使用における感光体の静電疲労に大きな影響を及ぼす。
この通過電荷量とは、感光体の膜厚方向を流れる電荷量に相当する。感光体の画像形成装置中の動作として、メイン帯電器により所望の帯電電位に帯電され(ほとんどの場合負帯電される)、原稿に応じた入力信号に基づき光書き込みが行われる。この際、書き込みが行われた部分は光キャリアが発生し、表面電荷を中和する(電位減衰する)。このとき、光キャリア発生量に依存した電荷量が感光体膜厚方向に流れる。一方、光書き込みが行われない領域(非書き込み部)は、現像工程及び転写工程を経て、除電工程に進む(必要に応じて、その前にクリーニング工程が施される)。ここで、感光体の表面電位がメイン帯電により施された電位に近い状態(暗減衰分は除く)であると、光書き込みが行われた領域とほぼ同じ量の電荷量が感光体膜厚方向に流れることになる。一般的に、現在の原稿は書き込み率が低いため、この方式であると、繰り返し使用における感光体の通過電荷量は除電工程で流れる電流がほとんどと言うことになる(書き込み率が10%であるとすると、除電工程で流れる電流は、全体の9割を占めることになる)。
この通過電荷は、感光体を構成する材料の劣化を引き起こす等、感光体静電特性に大きく影響を及ぼす。その結果、通過電荷量に依存して、特に感光体の残留電位を上昇させる。感光体の残留電位が上昇すると、本発明で使用されるネガ及びポジ現像では、画像濃度が低下することになり、大きな問題となる。従って、画像形成装置内での感光体の長寿命化(高耐久化)を狙うためには、如何に感光体の通過電荷量を小さくするかという課題が存在する。
これに対して、光除電を行わないという考え方もあるが、メイン帯電器の帯電器能力が大きくないと、帯電の安定化が図れず、残像のような問題を生じる場合がある。感光体の通過電荷は、感光体表面に帯電された電位(これにより生じた電界)により、光照射が行われることにより、発生した光キャリアが移動することにより生じる。従って、感光体表面電位を光以外の手段で減衰させることができれば、感光体1回転(画像形成1サイクル)あたりの通過電荷量を低減することができる。
このためには、転写工程において転写バイアスを調整することにより、感光体通過電荷量を調整することが有効である。即ち、メイン帯電により帯電され、書き込みが行われない非書き込み部は、暗減衰量を除き、帯電された電位に近い状態で転写工程に突入する。この際、メイン帯電器により帯電された極性側の絶対値として100V以下まで低減することにより、引き続く除電工程に突入しても光キャリア発生がほとんど行われず、通過電荷が生じない。この値は、0Vより近いほど好ましい。
更には、転写バイアスの調整により、メイン帯電により施される帯電極性とは逆極性に感光体表面電位が帯電するように転写バイアスを印加させることにより、光キャリアが絶対に発生しないため、より望ましい。但し、逆極性にまで帯電するような転写条件では、場合により転写チリを多く発生させたり、次の画像形成プロセス(サイクル)のメイン帯電が追いつかない場合が出てくる。その場合には、残像のような不具合が発生する場合があるため、逆極性の絶対値として100V以下であることが好ましい。
以上のような制御を加えることは、本発明における効果を顕著なものとして、有効に使用できるものである。
−定着手段−
前記定着は、記録媒体に転写された可視像を、定着装置を用いて定着され、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−その他−
前記除電手段としては、前記静電潜像担持体に対し除電を行うことができれば良く、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)等が好適に挙げられる。
この他に、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、キセノンランプ等と適当な光学フィルターと組み合わせたもの等を用いることができる。前記光学フィルターとは、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段は、前記クリーニング手段により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、例えば、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーケンサ、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置の一の態様について、図9を参照しながら説明する。
図9は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
同図に示す画像形成装置は、フルカラー画像を形成するフルカラー画像形成部を備えており、ドラム状の像担持体(以下「像担持体」という。)を備えている。
なお、以下では、「カラー」といった場合にはブラック(黒)を除く色のことをいい、ブラックも含める場合には「フルカラー」というものとする。これに従えば、「カラートナー」とはブラックを除く色のトナーのことをいうことになる。
フルカラー画像形成用の像担持体(1)の周囲にはその回転方向(矢印(R1)方向)に沿ってほぼ順に、帯電装置(2)、露光装置(3)、現像装置(フルカラー現像手段)(4)、中間転写担持体(5)、一次転写ローラ(10)、二次転写ローラ(6)、クリーニング装置(8)、中間転写担持体クリーニング装置(9)などが配設されている。
図9において、像担持体(1)は支持体上に少なくとも感光層が設けられてなり、トランジット時間が使用される画像形成装置の露光−現像時間よりも短い特性を有してなる。像担持体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。また、露光装置(3)と正対した像担持体表面が、現像装置(4)に正対する位置まで移動する時間が50ms以下であることを必須条件とする。
帯電装置(2)には、ワイヤー方式の帯電器やローラ形状の帯電器が用いられる。高速帯電が必要とされ帯電ニップが広めに確保できる場合にはスコロトロン方式の帯電器が良好に使用され、コンパクト化や後述の画像形成装置においては、酸性ガス(NOx、SOx等)やオゾン発生量の少ないローラ形状の帯電器が有効に使用される。この帯電器により、像担持体には帯電が施されるが、感光体に印加される電界強度は高いほどドット再現性が良好になるため、20V/μm以上の電界強度が印加されることが望ましい。しかしながら、像担持体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着の問題を生み出す可能性があり、上限値は概ね60V/μm以下、より好ましくは50V/μm以下である。
また、露光装置(3)には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度が確保できる光源が使用される。光源(書き込み光)の解像度により、形成される静電潜像ひいてはトナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られる。しかしながら、解像度を高くして書き込みを行うとそれだけ書き込みに時間がかかることになるため、書き込み光源が1つであると書き込みがドラム線速(プロセス速度)の律速になってしまう。従って、書き込み光源が1つの場合には1200dpi程度の解像度が上限となる。書き込み光源が複数の場合には、それぞれが書き込み領域を負担すれば良く、実質的には「1200dpi×書き込み光源個数」が上限となる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、良好に使用される。
中でも面発光レーザは、発光点が多く同時に書き込める点数が増えるため、本発明のように高密度書き込みを使用する装置においては非常に有利である。
現像手段である現像装置(4)は、4つの現像スリーブを有する。現像装置(4)は、矢印(R2)方向に回転するロータリ(40)と、これに搭載された4個のフルカラーの現像器(4Y)、(4M)、(4C)、(4K)とによって現像装置を構成している。
現像装置(4)は、像担持体(1)上の静電潜像の現像に供される色の現像器が、ロータリ(40)の矢印(R2)方向の回転によって像担持体(1)表面に対向する現像位置に配置されるようになっている。上述の像担持体(1)上に順次に形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の静電潜像は、上述の現像器(4Y)、(4M)、(4C)、(4K)に現像バイアス印加電源(不図示)によって現像バイアスが印加されることによって順次に各色のトナーが付着されて各色のトナー像として現像される。
現像ユニット(4)では、感光体の帯電極性と同極性のトナーが使用され、反転現像(ネガ・ポジ現像)によって、静電潜像が現像される。先の露光装置に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
例えば、2成分現像剤を使用する場合には、イエローの現像器(4Y)は非磁性のイエロートナーと磁性キャリアとを内包している。また、マゼンタの現像器(4M)は非磁性のマゼンタトナーと磁性キャリアとを内包している。さらにシアンの現像器(4C)は非磁性のシアントナーと磁性キャリアとを内包している。ブラックの現像器(4K)は非磁性のブラックトナーと磁性キャリアとを内包している。
像担持体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは像担持体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん像担持体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
ここで、中間転写担持体とは、前記現像された各色毎のトナー像を一旦担持し、これを前記転写担持体上に再転写して、複数色の重なり合う画像を形成するものである。また、転写担持体は転写ベルト、転写ローラを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。中間転写担持体(5)は、複数のローラに掛け渡されて、矢印(R3)方向に回転駆動される。中間転写担持体(5)の内側には一次転写ローラ(10)が配設されていて、中間転写担持体(5)を像担持体(1)表面に押圧している。一次転写ローラ(10)には、一次転写バイアス印加電源(不図示)から一次転写バイアスが印加され、これにより、像担持体(1)上の各色のトナー像が中間転写担持体(5)上に順次に転写されて重ね合わされる。
二次転写ローラ(6)は、中間転写担持体(5)上のフルカラートナー像を紙などの転写材(11)に転写するものであり、矢印(R4)方向に回転する。転写材(11)は給紙カセット(12)に収納されていて給搬送手段(不図示)によって所定のタイミングで、中間転写担持体(5)と二次転写ローラ(6)との間の第1の転写部(転写ニップ部)(13)に供給される。このとき二次転写ローラ(6)には、二次転写バイアス印加電源(不図示)から二次転写バイアスが印加され、これにより中間転写担持体(5)上の4色のフルカラートナー像は、転写材(11)上に一括で二次転写される。
上述のような中間転写体を使用せず、感光体から転写材へ直接トナー像を転写する場合には、像担持体上に複数色のトナー像を形成して、一括で転写材にトナー像が転写される。
なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写部材に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写部材に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、像担持体への電流値を制御する方法が好ましい。
転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引きはがし、被転写体(転写紙もしくは中間転写体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残などの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ及びポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、像担持体の静電疲労が著しいものとなる。転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写部材−像担持体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写部材−像担持体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。従って、転写電流の上限値は200μA程度である。
このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
また、前述のように転写電流を制御することで、転写後の像担持体表面電位(書き込み光の未露光部)を低下させておくことは、画像形成1サイクルあたりの像担持体通過電荷量を低減することができ、本発明においては有効に使用される。
クリーニング装置(8)は、像担持体(1)上のフルカラートナー像が中間転写担持体(5)あるいは転写材(11)に転写される際に、中間転写担持体(5)あるいは転写材(11)に転写されないで像担持体(1)上に残ったトナー(残留トナー)を除去するものである。像担持体(1)上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ及びブレードにより、像担持体(1)より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
中間転写担持体クリーニング装置(9)は、中間転写担持体(5)上のトナー像が転写材(11)に転写される際に、転写材(11)に転写されないで中間転写担持体(5)上に残ったトナー(残留トナー)を除去するものである。
こうして4色のフルカラートナー像が転写された転写材(11)は、転写搬送ベルト(7)により定着装置(14)に搬送され、ここで加熱・加圧されて表面に4色のフルカラートナー像が定着される。これにより、転写材(11)上に4色のフルカラー画像が形成される。
図示していないが、除電ランプ等の光源には、前記像担持体(1)に対し除電を行うことができれば良く、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等が好適に挙げられる。あるいは蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、キセノンランプ等と適当な光学フィルターと組み合わせたもの等を用いることができる。前記光学フィルターとは、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、図10は、本発明のもう一つのフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図10において、符号(15)はベルト状の感光体であり、支持体上に少なくとも感光層が設けられてなり、トランジット時間が使用される画像形成装置の露光−現像時間よりも短い特性を有してなる。また、露光器(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)と正対した感光体表面が、現像手段(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)に正対する位置まで移動する時間が50ms以下であることを必須条件とする。
この感光体(15)は図10中の矢印(R5)方向に回転可能であり、その周りに少なくとも回転順に帯電器(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)、1つの現像スリーブを有する現像手段(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)、クリーニング部材(19)、除電手段(20)が配置されている。帯電器(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電器である。この帯電器(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)と現像手段(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)の間の感光体表面側より、露光器(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)からレーザ光が照射され、感光体(15)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(15)を中心とした4つの画像形成要素(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)が、転写材搬送手段である中間転写担持体(22)に沿って並置されている。中間転写担持体(22)は、複数のローラに掛け渡されて、矢印(R6)方向に回転駆動される。中間転写担持体(22)の内側には一次転写ローラ(23)が配設されていて、中間転写担持体(22)を像担持体(15)表面に押圧している。一次転写ローラ(23)には、一次転写バイアス印加電源(不図示)から一次転写バイアスが印加され、これにより、像担持体(15)上の各色のトナー像が中間転写担持体(22)上に順次に転写されて重ね合わされる。
二次転写ローラ(24)は、中間転写担持体(22)上のフルカラートナー像を紙などの転写材(25)に転写するものであり、矢印(R7)方向に搬送する。転写材(25)は給紙カセット(26)に収納されていて給搬送手段(不図示)によって所定のタイミングで、中間転写担持体(22)と二次転写ローラ(24)との間の第1の転写部(転写ニップ部)(27)に供給される。このとき二次転写ローラ(24)には、二次転写バイアス印加電源(不図示)から二次転写バイアスが印加され、これにより中間転写担持体(22)上の4色のフルカラートナー像は、転写材(25)上に一括で二次転写される。
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、上述のように中間転写体を使用することもできるが、中間転写体を使用せずトナー像を直接、転写材に転写する方法もある。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
図10に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)において、感光体(15)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(15)が回転し、帯電器(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)により、感光体が帯電される。この際、高精細の潜像を形成するためには、感光体の電界強度が20V/μm以上(60Vμm以下、好ましくは50V/μm以下)になるように帯電が施される。
次に、感光体の外側に配置された露光部(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)のレーザー光により、1200dpi以上(好ましくは2400dpi以上)の解像度で書き込みが行われ、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。この書き込み光源としては前述のように、任意の感光体に適した光源が用いられる。この場合にも書き込み光源1つに対して2400dpiの書き込みが概ね上限となる。
次に、現像手段(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、感光体(15)上で作られた各色のトナー像は中間転写担持体(22)上で重ねられる。
転写材(25)は給紙コロ(図示せず)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(図示せず)で一旦停止し、上記中間転写担持体(22)上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(27)に送られる。転写搬送ベルト(27)上に保持された転写紙(25)は搬送されて、中間転写担持体(22)との当接位置(転写部)(26)で各色トナー像の転写が行われる。
感光体上のトナー像は、二次転写ローラ(24)に印加された転写バイアスと中間転写担持体(22)との電位差から形成される電界により、転写材(25)上に転写される。そして転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録材(25)は定着装置(28)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。
また、一次転写ローラ(23)で転写されずに感光体(15)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(19)で回収される。
続いて、除電部材(20)により、感光体上の余分な残留電荷が除去される。この後再び、帯電器で均一に帯電が施されて、次の画像形成が行われる。
なお、図10の例では画像形成要素は除電装置から一次転写ローラ方向に向かって、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((25Y)、(25M)、(25C))が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
また、先に述べたように転写後の感光体表面が、主帯電器により帯電させた極性側に100V以下に帯電させることが好ましく、逆極性側に帯電させることがより好ましく、逆極性側に100V以下に帯電させることが特に好ましい。これにより、感光体の繰り返し使用における残留電位の上昇を低減化することができる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
−静電潜像担持体−
前記静電潜像担持体としては、使用される画像形成装置における露光−現像時間よりも短いトランジット時間を発現するものであり、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を積層してなる感光層を有することが好ましく、その材質、形状、構造、大きさ、等について光キャリアの充分な発生、及び正孔の易動性を阻害しないものであれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記支持体としては、導電性を有する導電性支持体が好ましい。
続いて、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図5は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、支持体(31)上に、電荷発生物質として少なくとも有機電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
図6は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、支持体(31)上に、中間層(39)と、電荷発生物質として少なくとも有機電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
図7は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、支持体(31)上に、中間層(39)と電荷発生物質として少なくとも有機電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層され、更に電荷輸送層(感光層)上に保護層(41)を設けた構成をとっている。
図8は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、中間層(39)が電荷ブロッキング層(43)とモアレ防止層(45)から構成され、中間層上に電荷発生物質として少なくとも有機電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミニウム系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ及びポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれいな(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが好ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が好ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
画像形成装置のコンパクト化に対して、支持体は円筒形(ドラム状)であり、その外径が40mm以下であることが好ましい。
次に、中間層(39)について述べる。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、中間層には残留電位の低減等のために金属酸化物を含有する場合があるが、これは同時にモアレ防止の効果も併せ持つ。金属酸化物としては、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等が挙げられる。この中でも、酸化チタン、酸化スズが有効に用いられる。また、使用する金属酸化物は、必要に応じて表面処理を施してもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
中間層(39)は、書き込み時の光キャリア発生他に、感光体の帯電時に電極側に誘起される逆極性の電荷の感光層への注入を防止する機能と、レーザ光のようなコヒーレント光による書き込み時に生じるモアレを防止する機能の少なくとも2つの機能を有する。この機能を2つ以上の層に機能分離した機能分離型中間層は、本発明に用いられる感光体には有効な手段である。以下に、電荷ブロッキング層(43)とモアレ防止層(45)の機能分離型中間層について説明する。
電荷ブロッキング層(43)は、感光体帯電時に電極(導電性支持体(31))に誘起される逆極性の電荷が、支持体から感光層に注入するのを防止する機能を有する層である。負帯電の場合には正孔注入防止、正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。電荷ブロッキング層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、ポリフォスファゼンからなる層、アミノシラン反応生成物からなる層、この他には絶縁性の結着樹脂からなる層、硬化性の結着樹脂からなる層等が挙げられる。中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性の結着樹脂あるいは硬化性の結着樹脂から構成される層が良好に使用できる。電荷ブロッキング層は、その上にモアレ防止層や感光層を積層するものであるから、これらを湿式塗工法で設ける場合には、これらの塗工溶媒により塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
使用できる結着剤樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂例えば、活性水素(−OH基、−NH基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/又はエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等も使用できる。この場合活性水素を複数個含有する化合物としては、例えばポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、成膜性、環境安定性、溶剤耐性の点などから、ポリアミドが最も良好に用いられる。ポリアミドの中でも、N−メトキシメチル化ナイロンが最も適当である。N−メトキシメチル化ナイロンは、ポリアミド6を構成成分として含むポリアミドを、例えば、T.L.Cairns(J.Am.Chem.Soc.71.P651(1949))が提案する方法で変性することにより得ることができる。N−メトキシメチル化ナイロンは元のポリアミドのアミド結合の水素がメトキシメチル基によって置換されたものである。この置換率は、変性条件により広範囲で選択可能であるが、10mol%〜85mol%であることが、中間層の吸湿性をある程度抑え、アルコール親和性に優れ、環境安定性の面で好ましい。より好ましくは置換率は20mol%〜50mol%である。また、アミド置換度(N−N−メトキシメチル化度)が増加するにつれて、アルコール性溶媒親和性は増すが、主鎖周りのバルク側鎖基の影響が強くなって主鎖の弛緩状態や主鎖−主鎖間の配位状態等が変化するためか、吸湿性も増し、また結晶性が低下し、したがって融点が低下し、機械的強度、弾性率が低下するので、置換率は、85mol%以下であることが好ましい。より好ましくは置換率は70mol%以下である。さらに、検討結果によれば、ナイロンとしてはナイロン6が最も好ましく、次いでナイロン66が好ましく、逆に、例えばナイロン6/66/610のような共重合ナイロンは、特開平9−265202号公報の開示内容に反して、あまり好ましいものとはいえなかった。
また、オイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂例えば、ブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂、さらにまた、不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せ等の光硬化性樹脂も結着樹脂として使用できる。
また、整流性のある導電性高分子や、帯電極性に合わせてアクセプター(ドナー)性の樹脂・化合物などを加えて、基体からの電荷注入を制抑するなどの機能を持たせても良い。
また、電荷ブロッキング層の膜厚は0.1μm以上2.0μm未満、好ましくは0.3μm以上2.0μm未満程度が適当である。電荷ブロッキング層が厚くなると、帯電と露光の繰返しによって、特に低温低湿で残留電位の上昇が著しく、また、膜厚が薄すぎるとブロッキング性の効果が小さくなる、また電荷ブロッキング層(43)には、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進材等を加えて、常法により、ブレード塗工、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート法などにより基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、光等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させる。
モアレ防止層(45)は、レーザ光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に、感光層内部での光干渉によるモアレ像の発生を防止する機能を有する層である。中間層を機能分離型の構成とする場合には、金属酸化物をモアレ防止層に含有させ、書き込み時の光キャリア生成機能をこのモアレ防止層に持たせる。基本的には、前記書き込み光の光散乱を起こす機能を有する。このような機能を発現するために、モアレ防止層は屈折率の大きな材料を有することが有効である。
また、機能分離型中間層を有する感光体では支持体(31)からの電荷注入を電荷ブロッキング層にて防止するものであるから、モアレ防止層においては少なくとも感光体表面に帯電される電荷とは同極性の電荷を移動できる機能を有することが残留電位防止の観点から好ましい。このため、例えば負帯電型感光体の場合、モアレ防止層には電子伝導性を付与することが望ましく、使用する金属酸化物に電子伝導性を有するものを使用するか、導電性のものを使用することが望ましい。あるいは、モアレ防止層に電子伝導性の材料(例えば、アクセプター)などを使用することは本発明の効果を一層顕著なものにするものである。
バインダー樹脂としては電荷ブロッキング層と同様のものを使用できるが、モアレ防止層の上に感光層(電荷発生層(35)、電荷輸送層(37))を積層することを考慮すると、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)の塗工溶媒に侵されないことが肝要である。
バインダー樹脂としては、熱硬化型樹脂が良好に使用される。特に、アルキッド/メラミン樹脂の混合物が最も良好に使用される。この際、アルキッド/メラミン樹脂の混合比は、モアレ防止層の構造及び特性を決定する重要な因子である。両者の比(重量比)が5/5〜8/2の範囲が良好な混合比の範囲として挙げることができる。5/5よりもメラミン樹脂がリッチであると、熱硬化の際に体積収縮が大きくなり塗膜欠陥を生じやすくなったり、感光体の残留電位を大きくする方向にあり望ましくない。また、8/2よりもアルキッド樹脂がリッチであると、感光体の残留電位低減には効果があるものの、バルク抵抗が低くなりすぎて地汚れが悪くなる方向になり望ましくない。
モアレ防止層においては、金属酸化物とバインダー樹脂の容積比が重要な特性を決定する。このため、金属酸化物とバインダー樹脂の容積比が1/1乃至3/1の範囲であることが重要である。両者の容積比が1/1未満である場合には、モアレ防止能が低下するだけでなく、繰り返し使用における残留電位の上昇が大きくなる場合が存在する。一方、容積比が3/1を超える領域ではバインダー樹脂における結着能が劣るだけでなく、塗膜の表面性が悪化し、上層の感光層の成膜性に悪影響を与える場合がある。この影響は感光層が積層タイプで構成され、電荷発生層のような薄層を形成する場合に深刻な問題になり得るものである。また容積比が3/1を超える場合には、金属酸化物表面をバインダー樹脂が覆い尽くせない場合が存在し、電荷発生物質と直接接触することで、熱キャリア生成の確率が大きくなり、地汚れに対して悪影響を与える場合がある。
更に、モアレ防止層には、平均粒径の異なる2種類の金属酸化物を用いることで、導電性基体に対する隠蔽力を向上させモアレを抑制することが可能となるとともに、異常画像の原因となるピンホールをなくすことができる。このためには、用いる2種の金属酸化物の平均粒径の比が一定の範囲内(0.2<D2/D1≦0.5)にあることが重要である。本発明で規定する範囲外の粒径比の場合、すなわち平均粒径の大きな金属酸化物(T1)の平均粒径に対する他方の金属酸化物(T2)の平均粒径の比が小さすぎる場合(0.2≧D2/D1)は、金属酸化物表面での活性が増加し電子写真感光体としたときの静電的安定性が著しく損なわれるようになる。また、一方の金属酸化物(T1)の平均粒径に対する他方の金属酸化物(T2)の平均粒径の比が大きすぎる場合(D2/D1>0.5)は、導電性基体に対する隠蔽力が低下し、モアレや異常画像に対する抑制力が低下する。ここで言う平均粒径は、水系で強分散を行なったときに得られる粒度分布測定から得られる。
また、粒径の小さい方の金属酸化物(T2)の平均粒径(D2)の大きさが重要な因子であり、0.05μm<D2<0.20μmであることが重要である。0.05μm以下の場合には隠蔽力が低下し、モアレを発生させる場合がある。一方、0.20μm以上の場合には、モアレ防止層の金属酸化物の充填率を低下させ、地汚れ抑制効果が十分に発揮できない。
また、2種の金属酸化物の混合比率(重量比)も重要な因子である。T2/(T1+T2)が0.2よりも小さい場合には、金属酸化物の充填率がそれほど大きくなく、地汚れ抑制効果が十分に発揮できない。一方、0.8よりも大きな場合には、隠蔽力が低下し、モアレを発生させる場合がある。従って、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることが重要である。
また、モアレ防止層の膜厚は1〜10μm、好ましくは2〜5μmとするのが適当である。膜厚が1μm未満では効果の発現性が小さく、10μmを越えると残留電位の蓄積を生じるので望ましくない。
金属酸化物は溶剤とバインダー樹脂と共に常法により、例えばボールミル、サンドミル、アトライラー等により分散し、また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進剤等を加えて、常法により、ブレード塗工、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート法などにより基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、光等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させる。
次に、感光層について説明する。感光層は電荷発生物質として有機電荷発生物質を含有する電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)の積層構成で構成される。
電荷発生層(35)は、電荷発生物質としての有機電荷発生物質を主成分とする層である。有機電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷発生物質としては、有機電荷発生物質を用いることができる。
有機電荷発生物質としては、公知の材料を用いることができ、ジスアゾ顔料又はトリスアゾ顔料及びフタロシアニン系顔料を好ましく用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
中でも、下記式(1)で表されるアゾ顔料は有効に使用される。特に、アゾ顔料のCpとCpが互いに異なるものである非対称アゾ顔料は、キャリア発生効率が大きく、本発明の電荷発生物質として有効に使用できる。
式中、Cp,Cpはカップラー残基を表す。R201,R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp,Cpは下記式(2)で表され、
式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
また、チタニルフタロシアニンも本発明の電荷発生物質として有効に使用できる。中でも、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶、その中でも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、キャリア発生効率が大きく、本発明の電荷発生物質として有効に使用できる。
本発明の電子写真感光体に含有される有機電荷発生物質においては、電荷発生物質の粒子サイズをより細かくすることにより、その効果が発現されるものであり、平均粒子サイズは0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。以下にその作製方法を示す。感光層に含有される電荷発生物質の粒子サイズをコントロールするための方法は、電荷発生物質を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除いてしまう方法である。
ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径 (Median径)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、電荷発生物質粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
次に有機電荷発生物質を分散した後に、粗大粒子を取り除く方法について述べる。
即ち、できる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、有機電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
この方法では、残存する目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルター、より好ましくは3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行ない、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)有機電荷発生物質のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた感光体を画像形成装置に搭載使用することにより、本願の効果をより一層顕著にするものである。
この際、濾過される分散液の粒子サイズが大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過によるロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液においては、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行った方が望ましい。平均粒子サイズが0.3μm以上である場合には濾過によるロスが大きくなり、標準偏差が0.2μm以上である場合には濾過時間が非常に長くなったりする不具合点を生じる場合がある。
本発明で使用する電荷発生物質は、高感度な特性を示す電荷発生物質の特徴である分子間水素結合力が極めて強い。このため、分散された顔料粒子の粒子間での相互作用も非常に強い。この結果、分散機などにより分散された電荷発生物質粒子が、希釈などにより再凝集する可能性が非常に大きく、上述のように分散終了後、特定サイズ以下のフィルターで濾過を行うことにより、このような凝集物を取り除くことができる。この際、分散液がチキソトロピーな状態にあるため、使用するフィルターの有効孔径よりも小さいなサイズの粒子まで除去される。または、構造粘性を示す液をフィルター処理によりニュートン性に近い状態に変えることもできる。このようにして、電荷発生物質の粗大粒子を取り除いてやることにより、本発明の効果を著しく向上させるものである。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子のサイズによって異なるものであるが、本発明者等の検討によれば、600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される感光体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、有効孔径が5μm以下のフィルターを使用すべきである。より好ましくは3μm以下の有効孔径を有するフィルターを使用することである。この有効孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるものであるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切なサイズが存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。なお、ここで使用されるフィルターの材質は、当然のことながら濾過する分散液に使用される溶媒に対して耐性のあるものが使用される。
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質を主成分とする層であり、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
バインダー樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
本発明において電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
前述のように感光体のトランジット時間は、概ねこの電荷輸送層のキャリア輸送能により決定される。トランジット時間の制御法について述べる。
トランジット時間とは、電荷発生層で生成した光キャリアが電荷輸送層に注入され、電荷輸送層をキャリアが横切り、表面電荷を打ち消すまでの時間に依存する。このうち、キャリア注入過程と表面電荷を打ち消す時間は、横切る時間に比べて十分に短いものであるから無視できる。従って、大雑把に言えば、キャリアが電荷輸送層を横切る時間ということになる。
この時間を制御するということは、キャリアの移動速度と、キャリアの移動距離を制御するということになる。前者に関しては、電荷輸送層の組成、材料等に依存するものであり、後者に関しては電荷輸送層の膜厚ということになる。
電荷輸送層の組成とは、電荷輸送物質の種類、バインダー樹脂の種類、電荷輸送物質濃度、添加剤の有無、種類によって決定される。中でも、電荷輸送物質の種類、電荷輸送物質濃度、バインダー種類は大きな影響を与える。電荷輸送物質の種類に関しては、一般的に移動度の大きな材料を用いることによりトランジット時間を短くすることができる。バインダー樹脂に関しては、極性の小さなバインダー樹脂、あるいは高分子電荷輸送物質を用いることによりトランジット時間を短くすることができる。また、電荷輸送物質濃度に関しては、濃度が高いほどトランジット時間を短くすることができる。また、電荷輸送層の膜厚に関しては、膜厚が薄いほどトランジット時間を短くすることができる。
しかしながら、電荷輸送層が表面に配置されるような場合、トランジット時間の短縮だけを考慮して設計する訳にはいかない。例えば、電荷輸送物質濃度を極限まで高めた場合、トランジット時間は確かに短縮化されるが、耐摩耗性が極端に低下し、感光体の寿命が短くなってしまう。また、電荷輸送層を極端に薄膜化すると、トランジット時間が短くなるが、絶縁破壊や地汚れの発生といった副作用を生じる可能性が高くなり、単純には薄膜化をすることはできない。
従って、上述した材料を用いて電荷輸送層を構成し、特許文献5に記載のような方法によりトランジット時間を計測して、寿命との関係から最適化を図るものである。
また、電荷輸送層におけるキャリア輸送速度を最優先にして、表面層に保護層を設けることは本発明において有効な手段である。この場合には、電荷輸送層の耐摩耗性をある程度無視して、キャリア移動速度だけに注目して設計を行えば良く、上述のような方法が採用できる。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
この場合、保護層が感光体表面層として配置されるため、キャリア輸送能を考慮しないとトランジット時間に影響を与える。このため、保護層においても層構成と膜厚が重要である。前者に関しては後述するような2つのタイプが有効に使用できる。膜厚に関しては、いずれの場合にも必要以上に厚膜化しないことが重要なポイントである。
本発明に用いられる有効な保護層としては、大別すると、2つのタイプが挙げられる。1つは、バインダー樹脂中にフィラーを添加した構成である。いま1つは、架橋型バインダーを用いたものである。
先に、保護層中にフィラーを添加する構成について説明する。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、無機顔料や金属酸化物が好ましく、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−113688号公報(図1)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは一次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
また、保護層には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有する。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料や公知の電荷輸送物質を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。本発明者らの検討結果では、このような構成の保護層の場合、トランジット時間に対しては保護層中に分散されたフィラーの影響はそれほど大きくなく、バインダーマトリックスとして構成される、「バインダー樹脂+電荷輸送物質」の部分のキャリア輸送速度によってトランジット時間が決定される。このため、電荷輸送層の所に記載したような考え方を適用すればよい。
この他、保護層のバインダー樹脂としては公知の高分子電荷輸送物質も用いることができる。これを用いた場合の効果としては、耐摩耗性の向上、高速電荷輸送の効果を得ることができる。
このような保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。尚、上述した保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
次に、保護層のバインダー構成として、架橋構造からなる保護層について説明する(以下、架橋型保護層と呼ぶ)。
架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用する。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。このような構成にすることにより、キャリア輸送速度が十分に確保され、トランジット時間の短縮化が図れる。
このような網目構造を有する保護層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
架橋型保護層の中でも下記のような特定の構成からなる保護層は、特に有効に使用される。
特定の架橋型保護層とは、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成される保護層である。3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有するため3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。このように感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型保護層の膜厚が厚くなるほど増加するため保護層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、本発明の感光体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い架橋型保護層を好ましくは1μm以上、10μm以下の膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。かかる架橋型保護層の膜厚を2μm以上、8μm以下の膜厚にすることにより、さらに上記問題に対する余裕度が向上することに加え、更なる耐摩耗性向上に繋がる高架橋密度化の材料選択が可能となる。
本発明の感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、架橋型保護層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に感光層もしくは電荷輸送層を有するため表面の架橋型保護層の内部応力を緩和できることなどによる。このため架橋型保護層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、このとき生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、保護層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明の架橋型保護層においては、好ましくは10μm以下の薄膜とすることにより内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、本発明の架橋型保護層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型保護層の内部応力が高まる原因となる。
更に、本発明の感光体は良好な電気的特性を有し、このため繰り返し安定性に優れており高耐久化並びに高安定化が実現される。これは架橋型保護層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字細り等の画像として現れる。さらに、本発明の感光体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、架橋型保護層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
更に、本発明の上記架橋型保護層形成において、架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性にすることにより、特にその飛躍的な耐摩耗性が発揮される。本発明の架橋型保護層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型保護層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
次に、本発明の架橋型保護層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式10で表される官能基が挙げられる。
(ただし、式10中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式11で表される官能基が挙げられる。
(ただし、式11中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下する傾向が出てくるため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、架橋型保護層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型保護層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成にくくなる傾向がある。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋型保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。

{式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を、本発明においては該アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基を含むものであり、以下の基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
(式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
で表わされ、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋型保護層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる傾向がある。また、80重量%を超えると電荷輸送性構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮しにくい傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本発明の感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の電子写真感光体を構成する架橋型保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型保護層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下であればより好ましい。
また、本発明の架橋型保護層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の架橋型保護層形成用塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋型保護層は、少なくとも上記の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を前述の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、かかる架橋型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、架橋型保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない傾向がある。170℃を超える高温では硬化反応が不均一に進行し架橋型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光領域に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明の架橋型保護層の膜厚は、好ましくは1μm以上、10μm以下、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm未満の場合で、この膜厚以下の架橋型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生じ、特に、架橋型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の架橋型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分できるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには架橋型保護層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
本発明の電子写真感光体の電荷ブロッキング層、モアレ防止層、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)、架橋型保護層を順次積層した構成において、最表面の架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性が高い感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型保護層の塗工方法の選択、(4)架橋型保護層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
架橋型保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる傾向が高い。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。
架橋型保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約を受ける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、感光層(もしくは電荷輸送層)と架橋型保護層の間に、架橋型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
架橋型保護層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm2、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明の電子写真感光体を構成する架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋型保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、中間層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
また、以上のように記述した、フィラーを含有した保護層、架橋型保護層の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
上述のように、感光層上に保護層を形成する場合、適正な保護層を選定しないと除電光が感光層に十分に届かずに、除電作用が明確には働かない場合が存在する。また、保護層が除電光を吸収することにより、劣化しやすくなり、逆に残留電位上昇を生み出す場合が存在する。従って、上述したいずれの保護層においても、除電光に対する透過率が30%以上、好ましくは50%以上、更に望ましくは85%以上であることが望ましい。
上述したように、感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、保護層、電荷輸送層、電荷発生層、電荷ブロッキング層、モアレ防止層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端のほうに位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。尚、部はすべて質量部である。
まず、本発明に用いたアゾ顔料及びチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。以下の実施例で使用するアゾ顔料は、特公平60−29109号公報及び特許第3026645号公報に記載の方法に準じて作製したものである。また、チタニルフタロシアニン結晶は、特開2004−83859号公報に準じて作製した。
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
(合成例1)
特開2004−83859号公報、実施例1に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40gをテトラヒドロフラン200gに投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5質量部を得た。これを顔料1とする。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角 7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図11に示す。
また、合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図12に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
合成例1で作製された結晶変換前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1質量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行った。平均粒子径として、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子径とした。以上の方法により求められた合成例1における水ペースト(ウェットケーキ)中の平均粒子径は、0.06μmであった。
また、合成例1における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1質量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた平均粒子径を表1に示す。なお、合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など、但し大きさはほぼ揃っていた)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。その結果、平均粒子径は0.12μmであった。
(分散液作製例1)
合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン及び顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。これを分散液1とした。
(分散液作製例2)
下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い、電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
下記構造のアゾ顔料 5部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 2部
シクロヘキサノン 250部
2−ブタノン 100部
ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した溶媒およびアゾ顔料を全て投入し、回転数85r.p.m.にて7日間分散を行ない、分散液を作製した(分散液2とする)。
(分散液作製例3)
分散液作製例2で使用したアゾ顔料を下記構造のものに変更した以外は、分散液作製例2と同様に分散液を作製した(分散液3とする)。

以上のように作製した分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所:CAPA−700にて測定した。結果を表1に示す。
(感光体作製例1)
外径60mmのアルミドラム(JIS 1050)上に、下記組成の中間層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.5μmの電荷発生層、17μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(電子写真感光体1とする)。
◎中間層塗工液
表面未処理ルチル型酸化チタン 112部
(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm)
アルキッド樹脂 33.6部
[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、大日本インキ化学工業製]
メラミン樹脂 18.7部
[スーパーベッカミンG821−60(固形分60%)、大日本インキ化学工業製]
2−ブタノン 115部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液2を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部

塩化メチレン 80部
(感光体作製例2)
感光体作製例1において、電荷輸送層の膜厚を27μmに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(感光体2とする)。
(感光体作製例3)
感光体作製例1において、電荷輸送層の膜厚を37μmに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(感光体3とする)。
(感光体作製例4)
感光体作製例1において、電荷輸送層の膜厚を15μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層を1μm設けた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(感光体4とする)。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 10部
α−アルミナ 2部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm、
屈折率:1.28)
固有抵抗低下剤(BYK−P105、ビックケミー社製) 0.1部
シクロヘキサノン 160部
テトラヒドロフラン 570部
(感光体作製例5)
感光体作製例4において、保護層の膜厚を7μmに変更した以外は、感光体作製例4と同様に感光体を作製した(感光体5とする)。
(感光体作製例6)
感光体作製例1において、電荷輸送層の膜厚を15μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層を1μm設けた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(感光体6とする)。
◎保護層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
{トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
下記構造の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
保護層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を硬化させた。
(感光体作製例7)
感光体作製例6において、保護層の膜厚を8μmに変更した以外は、感光体作製例6と同様に感光体を作製した(感光体7とする)。
(感光体作製例8)
感光体作製例1における中間層を、電荷ブロッキング層とモアレ防止層の積層構成とした。それぞれの下記組成の電荷ブロッキング層塗工液、モアレ防止層塗工液を塗布乾燥して、1.0μmの電荷ブロッキング層、3.5μmのモアレ防止層とした以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(電子写真感光体8とする)。
◎電荷ブロッキング層塗工液
N−メトキシメチル化ナイロン(鉛市:ファインレジンFR−101) 4部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
◎モアレ防止層塗工液
表面未処理ルチル型酸化チタン 126部
(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm)
アルキッド樹脂 25.2部
[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、大日本インキ化学工業製]
メラミン樹脂 14.0部
[スーパーベッカミンG821−60(固形分60%)、大日本インキ化学工業製]
2−ブタノン 150部
(感光体作製例9)
感光体作製例1における電荷発生層塗工液を、分散液3に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(感光体9とする)。
(トランジット時間の測定)
上述のように作製した感光体1〜9のトランジット時間を以下のように求めた。
特開2000−275872号公報(図1)に記載の装置を用い、下記の条件で露光部表面電位を求めた。
感光体線速(mm/sec):262
副走査方向解像度(dpi):400
像面静止パワー(mW):0.3(露光量:0.4μJ/cm
書き込み波長(nm):655
除電装置:作動
帯電条件:書き込み前の感光体表面電位が、−800Vになるように制御
このような条件下で、図3に示すように、現像位置にセットした表面電位計の位置を感光体周方向に沿って位置を変え、露光−現像時間として20〜155msの間、10点の測定を行った。なお、本実施例中では下記のような露光−現像時間を得るために、表面電位計角度を次のように配置した。
「20ms」→10°
「25ms」→12.5°
「30ms」→15°
「35ms」→17.5°
「40ms」→20°
「50ms」→25°
「70ms」→35°
「90ms」→45°
「110ms」→55°
「130ms」→65°
「155ms」→77.5°
このようにして得られた露光部電位を、図4に示すように露光−現像時間に対してプロットし、屈曲点を求め、各感光体のトランジット時間を決定した。結果を表2に示す。
(実施例1)
上述のように作製した感光体1を図9に示すような画像形成装置に搭載した。帯電部材としてスコロトロンチャージャ(コロナ帯電方式)を用い感光体に帯電を施し、画像露光光源として655nmの半導体レーザ(4つのLDがアレイ状(1×4)に配置された4チャンネルLDA(配列は異なるが、特許第3227226号公報に記載されたような構成)、ポリゴン・ミラーによる画像書き込みが行われる)を用い解像度1200dpiで画像光書き込みを行い、平均粒径6.8μmのトナーを用いた2成分現像方式により現像し、転写部材として1次転写ベルト及び2次転写ベルトを用いて転写紙に転写を施し、クリーニングブレード方式によるクリーニングを施し、除電光源として660nmLEDを用い光除電を施した。
書き込み光が照射された、感光体上における任意の点と、現像スリーブと感光体との接点が、感光体(の回転)の中心となす角度が45°であり、感光体の線速が480mm/secであることから、書き込み光が照射された、感光体上における任意の点が現像スリーブの中心に到達するまでの時間(露光−現像時間)は、49msとなるように配置されている。
初期動作時の条件が下記になるように、プロセス条件を設定した。
感光体帯電電位(未露光部電位): −800V
現像バイアス: −550V(ネガ・ポジ現像)
露光部表面電位: −120V(ベタ書き込み部の電位)
<評価項目>
(1)表面電位測定
感光体露光部電位を以下の方法により測定した。測定方法としては、図9に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を−800Vに帯電した後、上記半導体レーザでベタ書込みを行い、現像部位における露光部電位を測定した。結果を表3に示す。
(2)地汚れ評価
上記の画像形成装置により、白ベタの画像を出力して、地汚れの評価を実施した(22℃−50%RH)。地汚れ評価は、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。ランクは、4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表3に示す。
(3)ドット再現性評価
上記の画像形成装置により、1ドット画像評価(独立ドットを書き込んだ画像を出力)を実施した。1ドット画像を光学顕微鏡で観察し、ドット輪郭の明確さをランク評価した。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表3に示す。
上述した(1)〜(3)の評価を行った後、上述のプロセス条件にて、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。連続1万枚の試験後に、再び(1)〜(3)の評価を実施した。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
実施例1と同じ条件で、上述のように作製した電子写真感光体2〜9を評価した。結果を表3に示す。表3には実施例番号に対応する使用した電子写真感光体番号も併せて記載する。
実施例中、上記のような露光−現像時間を得るために、表面電位計角度を次のように配置した。
「20ms」→10°
「25ms」→12.5°
「30ms」→15°
「35ms」→17.5°
「40ms」→20°
「50ms」→25°
「70ms」→35°
「90ms」→45°
「110ms」→55°
「130ms」→65°
「155ms」→77.5°
表3から分かるように、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例1〜6)には、初期及び繰り返し使用後にも良好な光減衰特性を示すことが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例1〜3)には、表面電位の上昇が観測され、繰り返し使用後にはこの現象は顕著である。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例1〜6)には、ドット再現性が良好であり、繰り返し使用後にも良好なドット画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例1〜3)には、繰り返し使用後にドット再現性が低下していることが分かる。
また、白ベタ画像評価から、中間層を電荷ブロッキング層とモアレ防止層の積層構成とすることにより(実施例5)、地汚れランクが向上し、繰り返し使用後にもこの効果が持続していることが分かる。
さらに、実施例1と実施例6の比較において、露光部表面電位が実施例1の方が低い。このことから、感光体1に使用したアゾ顔料の非対称化が高感度化に寄与していることが分かる。
(感光体作製例10〜17)
感光体作製例1〜8における電荷発生層塗工液を、分散液1に変更した以外は、感光体作製例1〜8と同様に感光体を作製した(順次、感光体10〜17とする)。
(トランジット時間の測定)
上述のように作製した感光体10〜17のトランジット時間を以下のように求めた。
特開2000−275872号公報(図1)に記載の装置を用い、下記の条件で露光部表面電位を求めた。
感光体線速(mm/sec):262
副走査方向解像度(dpi):400
像面静止パワー(mW):0.3(露光量:0.4μJ/cm2)
書き込み波長(nm):780
除電装置:作動
帯電条件:書き込み前の感光体表面電位が、−800Vになるように制御
このような条件下で、図3に示すように、現像位置にセットした表面電位計の位置を感光体周方向に沿って位置を変え、露光−現像時間として20〜155msの間、10点の測定を行った。なお、本実施例中では下記のような露光−現像時間を得るために、表面電位計角度を次のように配置した。
「20ms」→10°
「25ms」→12.5°
「30ms」→15°
「35ms」→17.5°
「40ms」→20°
「50ms」→25°
「70ms」→35°
「90ms」→45°
「110ms」→55°
「130ms」→65°
「155ms」→77.5°
このようにして得られた露光部電位を、図4に示すように露光−現像時間に対してプロットし、屈曲点を求め、各感光体のトランジット時間を決定した。結果を表4に示す。
(実施例7)
先に作製した電子写真感光体10を、プロセスカートリッジに装着し、図9に示すような画像形成装置に搭載した。帯電部材としてスコロトロンチャージャ(コロナ帯電方式)を用い感光体に帯電を施し、画像露光光源として特開2004−287085号公報に記載される面発光レーザアレイに準じたもの(発光点が8×4の二次元に配列、レーザビーム数が32本、780nm)を用い解像度2400dpiで画像光書き込みを行い、平均粒径6.2μmのトナー(ステーションごとに、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが用いられる)を用いた2成分現像方式により現像し、転写部材として転写ベルトを用いて転写紙に直接転写を施し、クリーニングブレード方式によるクリーニングを施し、除電光源として 655nmLEDを用い光除電を施した。
画像露光光源の照射部(感光体への書き込みが行われる中心)と現像スリーブの中心から、それぞれ感光体中心に直線引いた場合のなす角度が45°になるように配置されている。感光体の線速は480mm/secで動作させた。このため、露光−現像時間は49msとなる。
初期動作時の条件が下記になるように、プロセス条件を設定した。
感光体帯電電位(未露光部電位): −800V
現像バイアス: −550V(ネガ・ポジ現像)
露光部表面電位: −150V
<評価項目>
(1)表面電位測定
感光体露光部電位を以下の方法により測定した。測定方法としては、図9に示すマゼンタステーション現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を−800Vに帯電した後、露光光源でベタ書込みを行い、現像部位における露光部電位を測定した。結果を表5に示す。
(2)画像濃度評価
上記の画像形成装置により、感光体を−800Vに帯電した後、連続してトータル1万枚の印刷を行い、その際初期画像及び1万枚印刷後の画像についてランク評価を行った。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表5に示す。
(3)残像の評価
図13に示すA4チャート(前半2/5が斜め線画像)、後半3/5がハーフトーン画像)を用いて、モノカラーモード(黒のみ出力)にて画像出力を行った。この際、ハーフトーン部におけるネガ残像(斜め線に対応する部分が、ハーフトーン部で濃く出力される場合がある)の程度を評価した。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表5に示す。
上述した(1)〜(3)の評価を行った後、上述のプロセス条件にて、書き込み率6%のフルカラーチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の斜め線が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。連続1万枚の試験後に、再び(1)〜(3)の評価を実施した。
(実施例8〜11、比較例4〜6)
実施例7と同じ条件で、上述のように作製した電子写真感光体11〜17を評価した。結果を表5に示す。表5には実施例番号に対応する使用した電子写真感光体番号も併せて記載する。
表5から分かるように、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例7〜11)には、初期及び繰り返し使用後にも良好な光減衰特性を示すことが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例4〜6)には、表面電位の上昇が観測され、繰り返し使用後にはこの現象は顕著である。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例7〜11)には、画像濃度が良好であり、繰り返し使用後にも良好なカラー画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例4〜6)には、繰り返し使用後に画像濃度の低下が認められた。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例7〜11)には、残像ランクが良好であり、繰り返し使用後にも良好なカラー画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例4〜6)には、繰り返し使用後に残像ランクが低下していることが分かる。
(感光体作製例18〜25)
感光体作製例10〜17における導電性支持体を、外径168mmのニッケル(Ni)ベルトに変更した以外は、感光体作製例10〜17と同様に感光体を作製した(順次、感光体18〜25とする)。
(トランジット時間の測定)
上述のように作製した感光体18〜25のトランジット時間を以下のように求めた。
特開2000−275872号公報(図1)に記載の装置を用い、下記の条件で露光部表面電位を求めた。
感光体線速(mm/sec):262
副走査方向解像度(dpi):400
像面静止パワー(mW):0.3(露光量:0.4μJ/cm
書き込み波長(nm):780
除電装置:作動
帯電条件:書き込み前の感光体表面電位が、−800Vになるように制御
このような条件下で、図3に示すように、現像位置にセットした表面電位計の位置を感光体周方向に沿って位置を変え、露光−現像時間として20〜155msの間、10点の測定を行った。なお、本実施例中では下記のような露光−現像時間を得るために、表面電位計角度を次のように配置した。
「20ms」→10°
「25ms」→12.5°
「30ms」→15°
「35ms」→17.5°
「40ms」→20°
「50ms」→25°
「70ms」→35°
「90ms」→45°
「110ms」→55°
「130ms」→65°
「155ms」→77.5°
このようにして得られた露光部電位を、図4に示すように露光−現像時間に対してプロットし、屈曲点を求め、各感光体のトランジット時間を決定した。結果を表6に示す。
(実施例12)
上述のように作製した感光体18を図9に示すような画像形成装置に搭載した。帯電部材としてスコロトロン帯電器から、50μmの距離に近接配置したローラ帯電器(感光体両端の非画像形成領域のみ、感光体とローラが接触するようにローラ表面に厚み50μmのギャップ形成用テープが巻いてある)に変更し、を用い感光体に帯電を施し、画像露光光源として780nmの半導体レーザ(4つのLDがアレイ状(1×4)に配置された4チャンネルLDA(配列は異なるが、特許第3227226号公報に記載されたような構成)、ポリゴン・ミラーによる画像書き込みが行われる)を用い解像度1200dpiで画像光書き込みを行い、平均粒径6.8μmのトナーを用いた2成分現像方式により現像し、転写部材として1次転写ベルト及び2次転写ベルトを用いて転写紙に転写を施し、クリーニングブレード方式によるクリーニングを施し、除電光源として660nmLEDを用い光除電を施した。
画像露光光源の照射部(感光体への書き込みが行われる中心)と現像スリーブの中心から、それぞれ感光体中心に直線引いた場合のなす角度が45°になるように配置されている。感光体の線速は480mm/secで動作させた。このため、露光−現像時間は49msとなる。
初期動作時の条件が下記になるように、プロセス条件を設定した。
感光体帯電電位(未露光部電位): −800V
現像バイアス: −550V(ネガ・ポジ現像)
露光部表面電位: −70V(ベタ書き込み部の電位)
<評価項目>
(1)表面電位測定
感光体露光部電位を以下の方法により測定した。測定方法としては、図9に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を−800Vに帯電した後、上記半導体レーザでベタ書込みを行い、現像部位における露光部電位を測定した。結果を表7に示す。
(2)地汚れ評価
上記の画像形成装置により、白ベタの画像を出力して、地汚れの評価を実施した(22℃−50%RH)。地汚れ評価は、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。ランクは、4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表7に示す。
(3)ドット再現性評価
上記の画像形成装置により、1ドット画像評価(独立ドットを書き込んだ画像を出力)を実施した。1ドット画像を光学顕微鏡で観察し、ドット輪郭の明確さをランク評価した。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表7に示す。
上述した(1)〜(3)の評価を行った後、上述のプロセス条件にて、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。連続1万枚の試験後に、再び(1)〜(3)の評価を実施した。
(実施例13〜16、比較例7〜9)
実施例12と同じ条件で、上述のように作製した電子写真感光体19〜25を評価した。結果を表7に示す。表7には実施例番号に対応する使用した電子写真感光体番号も併せて記載する。
表7から分かるように、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例12〜16)には、初期及び繰り返し使用後にも良好な光減衰特性を示すことが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例7〜9)には、表面電位の上昇が観測され、繰り返し使用後にはこの現象は顕著である。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例12〜16)には、ドット再現性が良好であり、繰り返し使用後にも良好なドット画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例7〜9)には、繰り返し使用後にドット再現性が低下していることが分かる。
また、白ベタ画像評価から、中間層を電荷ブロッキング層とモアレ防止層の積層構成とすることにより(実施例16)、地汚れランクが向上し、繰り返し使用後にもこの効果が持続していることが分かる。
(実施例17)
先に作製した電子写真感光体18をプロセスカートリッジに装着し、図10に示すような構成からなる画像形成装置に搭載した。帯電部材として50μmの距離に近接配置したローラ帯電器(感光体両端の非画像形成領域のみ、感光体とローラが接触するようにローラ表面に厚み50μmのギャップ形成用テープが巻いてある)を用い感光体に帯電を施し(図10ではスコロトロン帯電器が記載されている)、画像露光光源として特開2004−287085号公報に記載される面発光レーザアレイに準じたもの(発光点が8×4の二次元に配列、レーザビーム数が32本、780nm)を用い解像度2400dpiで画像光書き込みを行い、平均粒径6.2μmのトナー(ステーションごとに、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが用いられる)を用いた2成分現像方式により現像し、転写部材として中間転写ベルトを用いて転写紙に転写を施し、クリーニングブレード方式によるクリーニングを施し、除電光源として655nmLEDを用い光除電を施した。
画像露光光源の照射部(感光体への書き込みが行われる中心)と現像スリーブの中心から、それぞれ感光体中心に直線引いた場合のなす角度が45°になるように配置されている。感光体の線速は480mm/secで動作させた。このため、露光−現像時間は49msとなる。
初期動作時の条件が下記になるように、プロセス条件を設定した。
感光体帯電電位(未露光部電位): −800V
現像バイアス: −550V(ネガ・ポジ現像)
露光部表面電位: −150V
<評価項目>
(1)表面電位測定
感光体露光部電位を以下の方法により測定した。測定方法としては、図10に示すマゼンタステーション現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を−800Vに帯電した後、露光光源でベタ書込みを行い、現像部位における露光部電位を測定した。結果を表8に示す。
(2)カラー再現性の評価
ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について目視にて評価した。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表8に示す。
(3)残像の評価
図13に示すA4チャート(前半2/5が斜め線画像)、後半3/5がハーフトーン画像)を用いて、モノカラーモード(黒のみ出力)にて画像出力を行った。この際、ハーフトーン部におけるネガ残像(斜め線に対応する部分が、ハーフトーン部で濃く出力される場合がある)の程度を評価した。ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。結果を表8に示す。
上述した(1)〜(3)の評価を行った後、上述のプロセス条件にて、書き込み率6%のフルカラーチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の斜め線が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。連続1万枚の試験後に、再び(1)〜(3)の評価を実施した。
(実施例18〜21、比較例10〜12)
実施例17と同じ条件で、上述のように作製した電子写真感光体19〜25を評価した。結果を表8に示す。表8には実施例番号に対応する使用した電子写真感光体番号も併せて記載する。
表8から分かるように、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例17〜21)には、初期及び繰り返し使用後にも良好な光減衰特性を示すことが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例10〜12)には、表面電位の上昇が観測され、繰り返し使用後にはこの現象は顕著である。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例17〜21)には、カラー再現性が良好であり、繰り返し使用後にも良好なカラー画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例10〜12)には、繰り返し使用後にカラー再現性が低下していることが分かる。
また、露光−現像時間よりもトランジット時間が短い場合(実施例17〜21)には、残像ランクが良好であり、繰り返し使用後にも良好なカラー画像を形成することが分かる。一方、トランジット時間の方が長い場合(比較例10〜12)には、繰り返し使用後に残像ランクが低下していることが分かる。
図1は、画像形成装置における露光−現像時間を説明するための図である。 図2は、感光体の光減衰特性を表す一例図である。 図3は、光減衰特性を評価する方法を表した概念図である。 図4は、トランジット時間を求めるための方法を表した図である。 図5は、本発明に用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図である。 図6は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の層構成を表わした図である。 図7は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の層構成を表わした図である。 図8は、本発明に用いられる電子写真感光体のまた更に別の層構成を表わした図である。 図9は、本発明の1ドラム方式電子写真プロセスおよび画像形成装置を説明するための概略図である。 図10は、本発明の1ドラム方式フルカラー画像形成装置を説明するための概略図である。 図11は、合成例1で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図12は、水ペースト(ウェットケーキ)の乾燥粉末のXDスペクトルを表わした図である。 図13は、実施例7、17で用いたテストチャートである。 図14は、本発明における感光体の特性評価装置を示した図である。 図15は、トランジット時間の具体例を示した図である。
符号の説明
1 像担持体(ドラム状感光体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
4Y 現像器
4M 現像器
4C 現像器
4K 現像器
5 中間転写担持体
6 二次転写ローラ
7 転写搬送ベルト
8 クリーニング装置
9 中間転写担持体クリーニング装置
10 一次転写ローラ
11 転写材(記録材)
12 給紙カセット
13 転写ニップ部
14 定着装置
15 像担持体
16Y、16M、16C、16K 露光器
17Y、17M、17C、17K 現像器
18Y、18M、18C、18K 帯電器
19 クリーニング部材
20 除電部材
21Y、21M、21C、21K 画像形成要素
22 中間転写担持体
23 一次転写ローラ
24 二次転写ローラ
25 転写紙
26 給紙カセット
27 転写搬送ベルト
28 定着装置
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 中間層
40 回転体(ロータリ)
41 保護層
43 電荷ブロッキング層
45 モアレ防止層
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7 回転方向

Claims (17)

  1. 感光体;
    前記感光体を所望の電位に帯電する帯電手段;
    前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する書き込み手段;
    前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつ収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成手段;
    前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写手段;
    前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着手段を備え、
    前記感光体上における任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成装置。
  2. 感光体;
    前記感光体を所望の電位に帯電する複数の帯電手段;
    前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する複数の書き込み手段;
    前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつそれぞれに収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成手段;
    前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写手段;
    前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着手段を備え、
    前記感光体上における任意の点が前記複数の書き込み手段に正対する位置からそれぞれ対応した前記複数の現像手段に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記書き込み手段がビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成され、かつ、面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記感光体の感光層が、下記式(1)で示されるアゾ顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の画像形成装置。
    (式中、Cp、Cpは共にカプラー残基を表し、R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。また、Cp、Cpは下記式(2)で示され、
    式中、R203は水素原子、アルキル基、アリール基を示し、R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基または水酸基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素環式芳香族基または置換基を有してもよい複素環式芳香族基を形成するのに必要な原子群を示す。
  7. 前記アゾ顔料のCpとCpとが異なることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記像担持体の感光層が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の画像形成装置。
  9. 前記感光体が、感光層上に保護層を有する請求項1乃至8の何れか1に記載の画像形成装置。
  10. 前記保護層が1010Ω・cm以上の比抵抗を有する無機顔料及び金属酸化物のうちの少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記保護層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化して形成されることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  12. 感光体と、帯電手段、書き込み手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選択される1つ以上の手段とが一体となり、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載している請求項1乃至11の何れか1に記載の画像形成装置。
  13. 感光体;
    前記感光体を所望の電位に帯電する帯電工程;
    前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する書き込み工程;
    前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつ収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成工程;
    前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写工程;
    前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着工程を備え、
    前記感光体上における任意の点が前記書き込み手段に正対する位置から前記現像工程に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成方法。
  14. 感光体;
    前記感光体を所望の電位に帯電する複数の帯電工程;
    前記感光体の表面を1200dpi以上の解像度で露光することで静電潜像を形成する複数の書き込み工程;
    前記感光体に対向し、複数色の現像剤を1色ずつそれぞれに収容した複数の現像器を有し、前記静電潜像をトナー現像するトナー像形成工程;
    前記感光体上のトナー像を、転写材に転写する転写工程;
    前記転写材上に転写されたトナー像を定着する定着工程を備え、
    前記感光体上における任意の点が前記複数の書き込み手段に正対する位置からそれぞれ対応した前記複数の現像工程に正対する位置まで移動する時間が50msよりも短く、かつ、前記感光体のトランジット時間よりも長いことを特徴とする画像形成方法。
  15. 前記書き込み手段がビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする請求項13または14に記載の画像形成方法。
  16. 前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
  17. 前記マルチビーム露光方式に採用される光源が3個以上の面発光レーザアレイで構成され、且つ、面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
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