JP5527076B2 - 画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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本発明は、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置、画像形成方法及プロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式によるレーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置は、画像品質やその安定性が向上し、広く普及している。これらの画像形成装置に使用される像担持体は、帯電及び露光によって表面に静電潜像を形成し、それを現像することによって可視像を形成する機能を有するものであり、電子写真感光体も像担持体に含まれる。
また、像担持体のみならず、現像剤あるいは画像形成装置本体の改良も進み、有機感光体を用いた画像形成装置の画像品質は非常に高まっており、それに伴って印刷用途も多様化している。近年では、フルカラー化や高速化が実現された結果、特に印刷分野への対応が強く求められている。印刷分野では、高速でかつ長期にわたり繰り返し印刷が行われるため、像担持体には高速対応のほか、耐摩耗性や耐傷性を高め、長寿命化を達成する必要がある。
このため、像担持体の耐摩耗性や耐傷性を高めるために、保護層を設ける技術が数多く開示されており、例えば、電荷輸送層に硬化性樹脂を用いたり(特許文献1参照)、表面層に硬化した架橋層を用いたり(特許文献2参照)、硬化した表面層中にフィラー微粒子を分散させたりすることが提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの提案では、像担持体の耐摩耗性や耐傷性を高めた結果、クリーニングブレードがめくれたり、欠けたり、摩耗が早期に生じ、その結果クリーニング不良やフィルミングなどによる画質劣化を引き起こすという問題があった。また、クリーニング不良によって像担持体に残存したトナーは、帯電ローラに付着することによって、画質劣化はさらに促進させることになる。
このような問題を解決するために、像担持体の表面を粗面化することでクリーニング性の向上を図る技術が数多く提案されており、例えば、感光層中に粗面化剤を分散させることで表面を粗面化した像担持体(特許文献4参照)、保護膜の乾燥速度を制御し粗面化することで表面を粗面化した像担持体(特許文献5参照)、フィルム状の研磨材を用いて機械的に粗面化することで表面を粗面化した像担持体(特許文献6参照)、感光体表面を球状形状のメジ又は研磨粒子あるいはサンドブラスト法を用いて機械的に粗面化することで表面を粗面化した像担持体(特許文献7参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの提案では、像担持体の表面を粗面化することによってクリーニング性の向上効果は期待できるが、繰り返し使用されることにより、像担持体の摩耗が進み、あるいは傷が形成され、像担持体の表面形状が変化することによって、その効果の持続性は充分ではないという問題があった。
また、像担持体の表面に潤滑性物質を塗布する技術が数多く提案されており、例えば、潤滑剤を塗布することで表面の摩擦係数μを0.1≦μ≦0.4とした像担持体(特許文献8参照)、表面粗さRzが0.4μm〜1.0μmの架橋層を有する像担持体に潤滑性物質を塗布する方法(特許文献9参照)などが提案されている。
しかしながら、潤滑性物質が塗布されることにより、クリーニングブレードの挙動は安定化するものの、それによってブレードのエッジ部分が常に接触するため、ブレードエッジの摩耗が促進されるという問題があった。また、画像面積が大きい画像を繰り返し印刷した場合には像担持体表面に塗布された潤滑性物質の量が減少し、その結果クリーニング不良やフィルミングを引き起こすという問題があった。さらに、これら公知の潤滑性物質は、帯電工程において像担持体近傍で行われる放電の影響により、早期にその潤滑性が失われるという問題もあった。潤滑性物質の放電による劣化物は、像担持体表面の潤滑性を低下させるだけでなく、異物付着やフィルミングなどを誘発し、あるいは高温高湿環境では画像ボケを誘発し、長期的な使用においては画質劣化を引き起こす原因となるという問題もあった。
このような問題を解決するために、例えば、脂肪酸金属塩と窒化ホウ素を配合した像担持体保護剤を表面に塗布した像担持体が提案されており(特許文献10参照)、また、疎水性有機化合物と、無機微粒子と、無機潤滑剤とを含有した像担持体保護剤を表面に塗布した像担持体が提案されている(特許文献11参照)。
しかしながら、前者の提案では、像担持体保護層に窒化ホウ素を含有させると、潤滑性は非常に高くなるが、像担持体表面に一度付着すると除去することが困難になり、フィルミングや画像ボケなどの問題が発生し、画質安定性は満足されるものでないという問題があった。
また、後者の提案では、オフィス文書ではあまり用いられないような使われ方、例えば、画像濃度の高いパターンを繰り返し印刷したり、同じパターンの画像を長期にわたり繰り返し印刷したりするような使われ方を想定すると、その効果の持続性は満足されるものではなかった。
このように、画像ボケやクリーニング不良、フィルミング等がなく、高画質でかつそれが長期的に安定に出力できる画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジの速やかな開発が強く求められているのが現状である。
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、像担持体の耐摩耗性、耐傷性、及びクリーニング性の向上、画像ボケ、フィルミングの抑制を実現し、さらに長期繰り返し使用してもそれらの効果の安定化を実現する画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面にトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記像担持体表面に像担持体保護剤を塗布又は付着させる像担持体保護剤供給手段と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記像担持体保護剤が、疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と、無機潤滑剤(C)と、を少なくとも含み、前記像担持体の最表面層が、硬化樹脂及びフィラーを少なくとも含有し、前記最表面層の表面形状が、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ、輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 疎水性有機化合物(A)が、脂肪酸金属塩である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 無機微粒子(B)が、金属酸化物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 無機潤滑剤(C)が、二次元層構造体である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 硬化樹脂が、非電荷輸送性重合性化合物と電荷輸送性重合性化合物とを硬化させた樹脂である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 非電荷輸送性重合性化合物は、官能基数が3以上であり、電荷輸送性重合性化合物は、官能基数が1である前記<5>に記載の画像形成装置である。
<7> 電荷輸送性重合性化合物及び非電荷輸送性重合性化合物の少なくともいずれかの官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<5>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> 電荷輸送性重合性化合物が、トリアリールアミン構造である前記<5>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> フィラーの平均一次粒径が、0.1μm〜1.0μmである前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> フィラーが、アルミナである前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 像担持体保護剤が、固形化されてなり、像担持体保護剤供給手段が、像担持体表面及び前記像担持体保護剤に接触し、前記像担持体保護剤を間接的に像担持体表面に塗布又は付着させる前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 現像手段と像担持体保護剤供給手段とが一体化されており、像担持体保護剤が粉末化されてなり、かつ、前記像担持体保護剤が、トナーと混合されることによって、前記像担持体保護剤を像担持体表面に塗布又は付着させる前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> 像担持体表面に塗布又は付着された像担持体保護剤を押圧し、前記像担持体表面に前記像担持体保護剤の皮膜を形成する前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<14> 像担持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段をさらに有し、前記クリーニング手段が、ブレード形状を有し、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方式で当接されている前記<1>から<13>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<15> 帯電手段に用いられる帯電部材が、ローラ方式である前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<16> ローラ方式の帯電部材が、像担持体に対して近接配置されている前記<15>に記載の画像形成装置である。
<17> ローラ方式の帯電部材に交流成分を重畳した電圧を印加して、像担持体に帯電を施す前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<18> 帯電手段に用いられる帯電部材が、像担持体に対して非接触のスコロトロン方式である前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<19> 像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段、及び像担持体保護剤供給手段を含む画像形成要素を複数配列したタンデム方式である前記<1>から<18>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<20> ブラックのトナーを用いて現像を行う画像形成要素には、スコロトロン方式の帯電部材が用いられ、その他のカラーのトナーを用いて現像を行う画像形成要素には、ローラ方式の帯電部材が用いられる前記<19>に記載の画像形成装置である。
<21> 像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段、像担持体保護剤供給手段より選択される一つ以上の手段とが一体となり、前記<1>から<20>のいずれかに記載の画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<22> 像担持体表面を帯電させる帯電工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に像担持体保護剤を塗布又は付着させる像担持体保護剤供給工程と、を少なくとも含む画像形成方法において、前記像担持体保護剤が、疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と、無機潤滑剤(C)と、を少なくとも含み、前記像担持体の最表面層が、硬化樹脂及びフィラーを少なくとも含有し、前記最表面層の表面形状が、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ、輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする画像形成方法である。
本発明によれば、従来における問題を解決することができ、像担持体の耐摩耗性、耐傷性、及びクリーニング性の向上、画像ボケ、フィルミングの抑制を実現し、さらに長期繰り返し使用してもそれらの効果の安定化を実現する画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することができる。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の画像形成装置の別形態の一例を示す概略図である。 図3は、本発明で用いる近接配置型のローラ帯電方式の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の画像形成装置の別形態の一例を示す概略図である。 図5は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 図6は、本発明で用いる像担持体の層構成の一例を示す概略図である。 図7は、本発明で用いる像担持体の層構成の別形態の一例を示す概略図である。 図8は、本発明で用いる像担持体の層構成の別形態の一例を示す概略図である。 図9は、本発明で用いる像担持体の層構成の別形態の一例を示す概略図である。 図10は、最表面層をスプレー塗工する一例を示す説明図である。 図11は、実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトルの一例を示す図であり、横軸は一秒当りのカウント数(cps:counts per second)を表し、縦軸は角度(2θ)を表す。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電手段と、現像手段と、像担持体保護剤供給手段と、を少なくとも有し、必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、現像工程と、像担持体保護剤供給工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、その他の工程を含んでなる。
前記画像形成装置は、少なくとも像担持体、帯電手段、現像手段、像担持体保護剤供給手段を有する画像形成要素を複数備えたタンデム型であることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができる。以下、本発明の画像形成装置の説明を通じて、本発明の画像形成方法の詳細についても明らかにする。
<像担持体>
前記像担持体としては、単層構造であっても積層構造であってもよいが、表面が硬化されている必要があるため、積層構造が好ましい。
前記積層構造としては、例えば、図6に一例を示すように、導電性支持体1001上に感光層1002及び最表面層(保護層)1003が順次積層された構造である。また、例えば、図7に一例を示すように、感光層1022と導電性支持体1021との間に下引き層1024を設けた構造であってもよい。また、図示しないが、下引き層は2層構成であってもよい。さらに、図8に一例を示すように、導電性支持体1011上に電荷発生層1015、電荷輸送層1016及び最表面層(保護層)1013を順次積層構造であってもよく、図9に一例を示すように、電荷発生層1035と導電性支持体1031との間に下引き層1034を設けた構造であってもよい。
<<導電性支持体>>
前記導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金、酸化スズ、酸化インジウムなどが挙げられる。
また、これらを蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状にしたもの、紙に被覆したもの、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した円筒状の管、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトなども挙げられる。ここで、アルミニウムとは、純アルミニウム系あるいはアルミニウム合金のいずれかをも含む。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金などが挙げられる。
また、前記導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を形成(塗工などを用いて形成)したものも導電性支持体として用いてもよい。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、金属酸化物粉体などが挙げられる。
前記金属酸化物粉体としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITOなどが挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層としては、前記導電性粉体と前記バインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも導電性支持体として用いることができる。
前記導電性支持体としては、像担持体の繰り返し使用における帯電低下や地汚れの抑制という点で、陽極酸化皮膜処理を行うことが好ましい。前記陽極酸化皮膜は、各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、アルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる陽極酸化被膜は、残留電位上昇が少なく、また反転現像を用いた際に発生する地汚れの防止効果が高い。
前記陽極酸化処理としては、例えば、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。これらの中でも、硫酸浴による処理が好ましい。
前記陽極酸化処理の方法としては、例えば、硫酸濃度:10%〜20%、浴温:5℃〜25℃、電流密度:1A/dm〜4A/dm、電解電圧:5V〜30V、処理時間:5分〜60分程度の範囲で処理が行われる。前記陽極酸化処理後、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが好ましい。
前記封孔処理としては、例えば、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などが挙げられる。これらの中でも、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が好ましい。前記封孔処理後、前記封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去する洗浄処理を行う。
前記洗浄処理としては、純水1回の洗浄でもよく、多段階の洗浄であってもよい。この際、最終の洗浄液が可能な限り脱イオンされたものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが好ましい。
前記陽極酸化皮膜の平均厚みとしては、5μm〜15μmが好ましく、5μm〜12μmがより好ましく、6μm〜10μmが特に好ましい。
前記平均厚みが、5μm未満であると、陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でないことがあり、15μmを超えると、電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下することがある。前記平均厚みは、例えば、表面粗さ計(東京精密社製、Surfcom1400D)で5〜10点測定した平均値である。
<<感光層>>
前記感光層としては、単層型感光層であってもよく積層型感光層であってもよい。
[積層型感光層]
前記積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層してなり、必要に応じて、その他の層が積層して構成されている。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含有し、バインダー樹脂、溶剤、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、例えば、アゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料、金属フタロシアニン、フタロシアニン系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、像担持体特性、特に感度、残留電位、帯電特性が優れるという点で、金属フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料が好ましい。
前記アゾ系顔料としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などが挙げられる。
前記金属フタロシアニンとしては、例えば、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニンなどが挙げられる。
ただし、一般式(1)中、Mは、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am、これらの酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素から選択される。
前記金属フタロシアニンの骨格を有する電荷発生物質としては、少なくとも一般的な構造式(1)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造、さらに高次の高分子構造であってもよい。また、基本骨格に様々な置換基を有していてもよい。これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等は静電特性上好ましい。また、これらフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばチタニルフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の静電特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要である。
これらの中でも、CuKαの特性X線(1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は特に高い感度を有しており、画像形成の高速化が可能となる点で好ましい。さらに、その中でも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、電荷発生効率が大きく、静電特性も良好で、地汚れが発生しにくい点でより好ましい。
前記アゾ顔料としては、下記一般式(2)で表されるアゾ系顔料が好ましい。特に、アゾ系顔料のCp1とCp2が互いに異なるものである非対称アゾ系顔料は、キャリア発生効率が大きく、高速化に対して有効であるという点で好ましい。なお、これらアゾ系顔料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、一般式(2)中、Cp1、Cp2は、カップラー残基を表す。R201、R202は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていてもよい。これらの中でも、R201、R202は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
また、Cp、Cpは、下記一般式(2a)で表され、互いに異なる構造を持たせることによって非対称アゾ顔料が得られる。
ただし、一般式(2a)中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R203は、これらの中でも、水素原子が好ましい。
204、R205、R206、R207、R208は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表す。これらの中でも、R204、R205、R206、R207、R208は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基が特に好ましい。
Zは、芳香族炭素環又は芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。芳香族炭素環又は芳香族複素環は、炭素数1〜4のアルキル基で置換していてもよく、無置換であってもよい。
前記電荷発生物質の体積平均粒径としては、0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。
前記体積平均粒径が、0.25μmを超えると、電荷発生効率が小さくなり、静電特性が劣り、地汚れが発生しやすくなることがある。前記平均粒径は、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)で測定し累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出した。
前記体積平均粒径を制御する方法としては、粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルタで濾過する方法である。前記分散液の作製としては、例えば、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することが挙げられる。この際、前記バインダー樹脂は静電特性などにより、また溶媒は顔料への濡れ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
前記方法では、目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)、残存する微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また体積平均粒径を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルタで濾過することが好ましく、3μm以下がより好ましい。
なお、濾過される分散液の体積平均粒径が大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過による粒子のロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液中の体積平均粒径が0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行うことが好ましい。前記体積平均粒径が0.3μmを超えると、濾過による粒子のロスが大きくなり、標準偏差が0.2μmを超えると、濾過時間が非常に長くなることがある。
前記電荷発生物質は、分子間水素結合力が極めて強い。このため、分散された顔料粒子の粒子間での相互作用も非常に強い。この結果、分散機などにより分散された電荷発生物質粒子が、希釈などにより凝集物が発生する可能性が非常に大きく、上述のように分散終了後、特定サイズ以下のフィルタで濾過を行うことにより、前記凝集物を取り除くことができる。この際、分散液がチキソトロピーな状態にあるため、使用するフィルタの有効孔径よりも小さなサイズの粒子まで除去される。また、構造粘性を示す液をフィルタ処理によりニュートン性に近い状態に変えることもできる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラールが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂の含有量としては、前記電荷発生物質100質量%に対して、0質量%〜500質量%が好ましく、10質量%〜300質量%がより好ましい。
前記含有量が、500質量%を超えると、残留電位が高くなったり、感度が低下したりすることがある。
前記溶剤としては、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロインなどが挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層は、前記電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、前記バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前であってもよく分散後であってもよい。前記電荷発生層の塗工液は、前記電荷発生物質及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、その他の成分として、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。また、必要に応じて後述する電荷輸送物質を添加してもよい。
前記電荷発生層としては、前記塗工液を用いて導電性支持体上あるいは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。
前記塗工の方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコートなどが挙げられる。
前記乾燥としては、オーブン等を用いて加熱乾燥される。前記乾燥の温度としては、50℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。
前記電荷発生層の平均厚みとしては、0.01μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。
前記平均厚みが、0.01μm未満であると、感度低下や残留電位上昇等を起こすことがあり、5μmを超えると、帯電低下や帯電遅れ等を起こすことがある。
前記平均厚みは、例えば、電子顕微鏡等による断面観察で3〜10点測定した平均値である。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、必要に応じてその他の成分を含んでなる。前記電荷輸送物質には、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、縮合多環キノン、ジフェノキノン、ベンゾキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、シアノ基又はニトロ基を有する芳香族環などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、ジスチリル化合物、これらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、像担持体の静電特性に優れるという点で、下記一般式(3)で表されるジスチリル化合物、下記一般式(6)で表されるα−フェニルスチルベン誘導体、及び下記一般式(8)で表される、ベンジジン誘導体及びアミノビフェニル誘導体が好ましい。
ただし、一般式(3)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基のいずれかを表す。フェニル基は無置換のものでもよいし、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していてもよい。これらの中でも、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、又は下記構造式(3a)で表される基を表す。
B及びB’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は下記一般式(3b)で表される基を表す。
ただし、一般式(3a)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表し、フェニル基の場合は無置換でもよいし、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していてもよい。これらの中でも、R、R及びRは、水素原子、アルキル基がより好ましい。
ただし、一般式(3b)中、Arは、アリーレン基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
また、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリール基を表し、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
一般式(3)で表される化合物中でも、下記一般式(4)〜一般式(5)で表されるジスチリル化合物が好ましい。
ただし、一般式(4)中、R〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。フェニル基は、アルキル基、アルコキシ基で置換していてもよく、無置換であってもよい。これらの中でも、R〜R33は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
ただし、一般式(5)中、R34〜R57は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。フェニル基は、アルキル基、アルコキシ基で置換していてもよく、無置換であってもよい。これらの中でも、R34〜R57は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
ただし、一般式(6)中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリール基を表わし、アリール基の場合は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を置換基として有していてもよい。これらの中でも、アリール基がより好ましい。
また、Arは、アリーレン基を表し、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。これらの中でも、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
nは、0又は1の整数を表す。
一般式(6)で表される化合物の中でも、下記一般式(7)で表されるα−フェニルスチルベン誘導体が好ましい。
ただし、一般式(7)中、R58〜R78は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。フェニル基は、無置換でも炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。これらの中でも、R58〜R78は、水素原子、アルキル基がより好ましい。
ただし、一般式(8)中、Ar、Ar10は、それぞれ独立に、アリール基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
また、Ar11は、アリーレン基を表し、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
Xは、置換基を有していてもよいアリール基、又は下記一般式(8a)で表される基を表す。
ただし、一般式(8a)中、Ar12、Ar13は、それぞれ独立に、アリール基を表わし、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
Ar14は、アリーレン基を表し、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を置換基として有していてもよい。
一般式(8)で表される化合物の中でも、下記一般式(9)〜一般式(10)で表されるベンジジン誘導体やアミノビフェニル誘導体が好ましい。
ただし、一般式(9)中、R79〜R100は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。フェニル基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよく、無置換であってもよい。これらの中でも、R79〜R100は、水素原子、アルキル基がより好ましい。
ただし、一般式(10)中、R101〜R116は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基を表す。フェニル基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよく、無置換であってもよい。これらの中でも、R101〜R116は、水素原子、アルキル基がより好ましい。
前記電荷輸送物質の具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート、ポリアリレートが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層としては、前記電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を併せ持つ高分子電荷輸送物質を含有させてもよい。
前記高分子電荷輸送物質としては、公知の材料を使用できるが、電荷輸送性が高いという点で、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖のいずれかに含むポリカーボネートを使用することが好ましい。これらの中でも、一般式(I)〜式(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が挙げられる。
ただし、一般式(I)中、R111、R112、R113は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子を表す。
114は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
115、R116は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
o、p、qは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは、繰り返し単位数を表し、5〜5,000の整数を表す。
Xは、脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式(I−a)で表される2価基を表す。なお、前記一般式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(I−a)中、R101、R102は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子を表す。
l、mは、0〜4の整数を表す。
Yは、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、下記一般式(I−b)で表される基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)を表す。
ただし、一般式(I−b)中、aは、1〜20の整数、bは、1〜2,000の整数を表す。
103、R104は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
ただし、一般式(II)中、R117、R118は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar101、Ar102、Ar103は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(II)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(III)中、R119、R110は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar104、Ar105、Ar106は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。これらの中でも、アリーレン基がより好ましく、アリーレン基が特に好ましい。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(III)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。

ただし、一般式(IV)中、R211、R212は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。これらの中でも、アリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。
Ar107、Ar108、Ar109は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
pは、1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(IV)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(V)中、R213、R214は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar110、Ar111、Ar112は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
11、X12は、それぞれ独立に、エチレン基、ビニレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(V)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(VI)中、R215、R216、R217、R218は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar113、Ar114、Ar115、Ar116は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
、Y、Yは、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、置換基を有していてもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(VI)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(VII)中、R219、R220は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R219とR220は環を形成していてもよい。
Ar117、Ar118、Ar119は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(VII)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(VIII)中、R221は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar120、Ar121、Ar122、Ar123は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(VIII)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(IX)中、R222、R223、R224、R225は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar124、Ar125、Ar126、Ar127、Ar128は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(IX)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
ただし、一般式(X)中、R226、R227は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar129、Ar130、Ar131は、それぞれ独立に、アリーレン基を表す。
X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。なお、一般式(X)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体であってもよい。
前記主鎖及び側鎖のいずれかにトリアリールアミン構造を有する高分子電荷輸送物質の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
前記主鎖及び側鎖のいずれかにトリアリールアミン構造を有する高分子電荷輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら前記高分子電荷輸送物質は、バインダー樹脂としての役割を持つことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、前記高分子電荷輸送物質の重量平均分子量としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量として1万〜50万が好ましく、5万〜40万がより好ましい。
また、前記高分子電荷輸送物質としては、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている高分子電荷輸送物質を使用することもできる。
前記電荷輸送物質の含有量としては、バインダー樹脂100質量%に対して、20質量%〜300重量部が好ましく、40質量%〜150重量部がより好ましい。
前記含有量が、20質量%未満であると、残留電位上昇や感度低下を起こすことがあり、300質量%を超えると、電荷輸送物質が析出したり、溶媒に溶解しなかったりすることがある。
前記電荷輸送層の塗布液として使用する溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等など挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレンが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層には、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。
−−可塑剤−−
前記可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル誘導体、オキシ酸エステル系可塑剤、エポキシ可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、含塩素可塑剤、ポリエステル系可塑剤、スルホン酸誘導体、クエン酸誘導体、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなどが挙げられる。
前記リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪酸エステル誘導体としては、例えば、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどが挙げられる。
前記オキシ酸エステル系可塑剤としては、例えば、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
前記エポキシ可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどが挙げられる。
前記二価アルコールエステル系可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどが挙げられる。
前記含塩素可塑剤としては、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどが挙げられる。
前記ポリエステル系可塑剤としては、例えば、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなどが挙げられる。
前記スルホン酸誘導体としては、例えば、p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどが挙げられる。
前記クエン酸誘導体としては、例えば、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどが挙げられる。
前記可塑剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して0質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
−−酸化防止剤−−
画像濃度変動、残像、画像ボケ、地汚れ等多くの画質劣化防止のために前記酸化防止剤を添加してもよい。前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、ヒンダードアミン類などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2、6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2、2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1、1、3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3、3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジメチル−N、N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2、6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3、3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2、4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
また、前記酸化防止剤としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
(構造式(13)中、nは12〜18の整数を表す。)
前記酸化防止剤の添加量としては、電荷輸送物質に対して0質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記添加量が20質量%を超えると、急激な残留電位上昇が見られることがある。
また、前記酸化防止剤と同様の効果を有する材料として、アルキルアミノ基を有する化合物を添加してもよい。前記アルキルアミノ基を有する化合物としては、オゾンやNOの高濃度雰囲気下で発生する画像流れや帯電低下等を抑制することから、画質安定化に対して有利である。前記アルキルアミノ基を有する化合物は、自ら電荷輸送構造を有しているため、残留電位に及ぼす影響が少なく、比較的多量の添加も可能である。
これらのアルキルアミノ基を有する化合物としては、下記一般式(16)及び一般式(17)で表される化合物が挙げられる。
ただし、一般式(16)中、Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアラルキル基を表し、前記アルキル基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。
58及びR59は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアラルキル基を表し、前記アルキル基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。
Ar及びR58、Ar及びR59は、互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。
ただし、一般式(17)中、Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
60〜R63は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアラルキル基を表し、前記アルキル基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。nは1又は2の整数を表す。
前記アルキルアミノ基を有する化合物の具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
前記アルキルアミノ基を有する化合物の添加量としては、電荷輸送物質に対して0質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましい。
前記添加量が、30質量%を超えると、残留電位上昇が見られることがある。
−−レベリング剤−−
前記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマーなどが挙げられる。
前記シリコーンオイル類としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。
前記レベリング剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して、0質量%〜1質量%が好ましく、0.01質量%〜0.5質量%がより好ましい。
前記添加量が、1質量%を超えると、感光層もしくは電荷輸送層の塗膜欠陥を防止することができず、平滑な膜を形成することができないことがある。
−−滑剤−−
前記滑剤としては、例えば、炭化水素系化合物、脂肪酸系化合物、脂肪酸アミド系化合物、エステル系化合物、アルコール系化合物、金属石けん、天然ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物などが挙げられる。
前記炭化水素系化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなどが挙げられる。
前記脂肪酸系化合物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
前記脂肪酸アミド系化合物としては、例えば、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどが挙げられる。
前記エステル系化合物としては、例えば、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが挙げられる。
前記アルコール系化合物としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどが挙げられる。
前記金属石けんとしては、例えば、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
前記天然ワックスとしては、例えば、カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどが挙げられる。
前記滑剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して、0質量%〜5質量%が好ましく、0.005質量%〜1質量%がより好ましい。
前記添加量が、5質量%を超えると、膜質が低下したり、残留電位が上昇したりすることがある。
−−紫外線吸収剤−−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、サルシレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、クエンチャー(金属錯塩系)、HALS(ヒンダードアミン)などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2、2’、4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記サルシレート系としては、例えば、フェニルサルシレート、2、4ジ−t−ブチルフェニル3、5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系としては、例えば、(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系としては、例えば、エチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどが挙げられる。
前記クエンチャー(金属錯塩系)としては、例えば、ニッケル(2、2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどが挙げられる。
前記HALS(ヒンダードアミン)としては、例えば、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2、2、6、6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル−1、3、8−トリアザスピロ〔4、5〕ウンデカン−2、4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤の添加量としては、バインダー樹脂に対して、0質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。
前記添加量が、10質量%を超えると、残留電位上昇や帯電低下を起こすことがある。
前記電荷輸送層は、前記電荷輸送物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、前記バインダー樹脂の添加は、電荷輸送物質の分散前であってもよく分散後であってもよい。前記電荷輸送層の塗工液は、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、その他の成分として、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
前記電荷輸送層の塗工方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコートなどが挙げられる。塗工した後は指触乾燥後、オーブン等で加熱乾燥させて製造される。
前記電荷輸送層の乾燥の温度としては、前記電荷輸送層の塗工液に含有される溶剤の種類によって異なるが、80℃〜150℃が好ましく、100℃〜140℃がより好ましい。
前記電荷輸送層の平均厚みとしては、10μm〜50μmが好ましく、20μm〜35μmがより好ましい。前記平均厚みは、例えば、渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、フィッシャースコープ等)で10点測定した平均値である。
[単層型感光層]
前記単層型感光層は、前記電荷発生物質、前記電荷輸送物質、前記バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗工及び乾燥することによって形成される。前記電荷発生物質及び前記電荷輸送物質(電子輸送物質及び正孔輸送物質)の詳細については、上述した通りである。また、前記バインダー樹脂の詳細についても、上述した通りである。また、前記バインダー樹脂としては、前記高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。
前記電荷発生物質の含有量としては、バインダー樹脂100質量%に対して5質量%〜40質量が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。
前記電荷輸送物質の含有量としては、バインダー樹脂100質量%に対して0質量%〜190質量%が好ましく、50質量%〜150質量%がより好ましい。
前記単層型感光層としては、前記電荷発生物質及び前記バインダー樹脂を前記電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により前述した可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。
前記単層型感光層の平均厚みとしては、5μm〜40μmが好ましく、10μm〜35μmがより好ましく、15μm〜25μmが特に好ましい。
前記平均厚みが、5μm未満であると、帯電性が極度に低下することがあり、40μmを超えると、残留電位上昇や感度低下を起こすことがある。前記平均厚みは、例えば、渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、フィッシャースコープ等)で10点測定した平均値である。
<<最表面層>>
前記最表面層(保護層)としては、フィラー及び硬化樹脂を含有し、必要に応じて、その他の成分を含有する。
また、前記最表面層の表面形状としては、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmである。
[フィラー]
前記フィラーとしては、例えば、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末などが挙げられる。
前記フッ素樹脂粉末としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、金属粉末、金属酸化物、金属フッ化物などが挙げられる。これらの中でも、フィラー硬度や光散乱性が高く、耐摩耗性や耐傷性の向上、あるいは高画質化に対し有利であり、像担持体保護剤の塗布量の安定性も高い点で、無機フィラーが好ましく、高耐久化及び高画質化という点で有利である金属酸化物がより好ましい。
前記金属粉末としては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、チタン酸カリウム、窒化硼素、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウムなどが挙げられる。
前記金属フッ化物としては、例えば、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムなどが挙げられる。
前記金属酸化物は、材質によって比抵抗が異なる。前記最表面層としては、導電性あるいは比抵抗が低い金属酸化物であっても、電気絶縁性あるいは比抵抗が高い金属酸化物であってもどちらも有効に使用することができる。
前記比抵抗が低い金属酸化物としては、例えば、酸化錫、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウムなどが挙げられる。これらは、前記最表面層への添加量が増加するに伴って電荷の横移動が起こりやすくなり、解像度低下や画像流れの発生が起こりやすくなる傾向が見られる。したがって、本発明においては、前記最表面層の硬化樹脂が後述する非電荷輸送性重合性化合物のみによって硬化されている場合に、前記比抵抗が低い金属酸化物は、フィラーとして特に有効に使用することができる。
前記比抵抗が高い金属酸化物としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカなどが挙げられる。これらは、解像度低下や画像流れの発生が起こりにくい傾向はあるが、添加量の増加に伴い残留電位上昇の問題が顕在化される。したがって、前記最表面層の硬化樹脂が後述する非電荷輸送性重合性化合物と後述する電荷輸送性重合性化合物とを硬化させている場合に、前記比抵抗が高い金属酸化物は、フィラーとして特に有効に使用することができる。
なお、前記フィラーの比抵抗の測定としては、例えば、粉体用抵抗測定装置を用いて行うことができる。具体的には、セルの中に金属酸化物粉体を入れ電極で挟み、荷重をかけて厚み約2mmになるように金属酸化物粉体量を調整し、その後電極間に電圧を印加し、その時に流れる電流を測定することによって比抵抗を求めることができる。
これら金属酸化物の中でも、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性、画像流れの抑制や耐摩耗性及び耐傷性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から六方細密構造であるα−アルミナが好ましい。
前記フィラーの分散性を高める手段としては、分散剤あるいは分散助剤を添加する方法などが挙げられる。
前記分散剤あるいは分散助剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、前記フィラーとして金属酸化物を用いた場合、ポリカルボン酸化合物などが挙げられる。ポリカルボン酸化合物の中でも、ポリカルボン酸系湿潤分散剤が好ましく、例えば、BYKケミー社製の「BYK−P104」、「BYK−P105」などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸系湿潤分散剤は、カルボキシル基を有するために高い酸価を有している。この高い酸価を有する分散剤が、親水性で電荷のトラップサイトになる金属酸化物表面に吸着することで、残留電位上昇を引き起こすトラップサイトを埋める働きが期待できる。これにより、残留電位の影響が大きい親水性のフィラーを含有させても、残留電位を大幅に低減でき、かつフィラーの分散性も向上できる相乗効果を得ることができる。なお、酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。
前記フィラーの分散性あるいは分散安定性を高める溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサノン、シクロペンタノンが好ましい。
さらに、前記フィラーとしては、少なくとも1種の表面処理剤で表面処理を施すことで分散性あるいは分散安定性向上させることができる。前記表面処理剤としては、従来公知の材料を使用することができる。
前記フィラーの平均一次粒径としては、0.1μm〜1μmが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。
前記平均一次粒径が、0.1μm未満であると、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなるだけでなく、像担持体保護剤の像担持体表面への供給安定性が低下し、フィルミングや異物付着の抑制効果やクリーニングブレードの劣化の抑制効果が低下することがあり、1μmを超えると、フィラーの沈降性が促進されたり、それに伴い分散液の寿命が大幅に低下したり、像担持体保護剤の供給安定性は高まっても全面に均一に供給できなくなることがあり、繰り返し使用によって部分的に画質劣化あるいは異常画像が発生することがある。
なお、前記フィラーの平均一次粒径とは、粒子群を代表する平均的な一次粒子の粒子径を意味し、個数平均径として表される。具体的には、直接フィラーを、もしくはフィラーが含有された最表面層を含む像担持体を切断し、その断面を電子顕微鏡等によって直接観察することにより得ることができる。
前記フィラーの添加量としては、最表面層に含まれる全固形分に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
前記添加量が、0.1質量%未満であると、像担持体保護剤の供給量が低下したり、供給安定性が低下したり、要求される耐摩耗性や耐傷性が得られず、画質劣化が早期に発生することがあり、50質量%を超えると、残留電位の増加、解像度の低下や画像流れの発生等、画質劣化の影響が増大することがあり、フィラー間の相互作用が増大し、分散性を顕著に悪化させるだけでなく、フィラーが脱離しやすくなって耐摩耗性が逆に大幅に低下することがある。
[硬化樹脂]
前記硬化樹脂は、1種又は複数の重合性材料を重合あるいは硬化させて得られる樹脂であり、バインダーとしての機能を有する。重合とは、高分子化合物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた重合の前者の重合反応形態を示し、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。前記重合性材料とは、前記反応形態が可能な官能基を有する化合物を意味する。また、硬化とは、官能基を有するモノマーやオリゴマーが、熱、可視光あるいは紫外線等の光、電子線やγ線等の放射線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
前記硬化樹脂としては、バインダー樹脂としても機能を有する。したがって、最表面層は有機溶剤に対し不溶性である。前記有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、像担持体表面に溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に像担持体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性を示す場合には、液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもりが生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化が見られる。それに対し、不溶性を示す場合には、上記のような現象が見られず、滴下前と全く変化が現れない。
前記最表面層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)最表面層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)最表面層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)最表面層の塗工方法の選択、(4)最表面層の硬化条件の制御など、これらを制御することが重要である。
前記硬化樹脂としては、熱によって重合する熱硬化性樹脂、紫外線や可視光線等の光によって重合する光硬化性樹脂、電子線によって重合する電子線硬化性樹脂等が挙げられ、必要に応じて硬化剤や触媒、重合開始剤等と組合せて用いられる。
前記硬化樹脂を得るには、重合性材料(例えば、モノマーやオリゴマー等)中に重合反応を起こす官能基を有していることが必要である。前記官能基としては、重合反応を起こす官能基であれば特に制限されないが、不飽和重合性官能基、開環重合性官能基などが挙げられる。前記不飽和重合性官能基とは、ラジカルやイオンなどによって不飽和基が重合する反応であり、例えば、C=C、C≡C、C=O、C=N、C≡Nなどが挙げられる。前記開環重合性官能基とは、炭素環やオクソ環や窒素ヘテロ環等のひずみを有する不安定な環状構造が、開環すると同時に重合を繰り返し、鎖状高分子を生成する反応であり、イオンが活性種として作用するものが大半である。前記開環重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有する基、シラノール基、環状エーテル基等の開環重合を起こす基、あるいは2種以上の分子の反応によるものなどが挙げられる。また、硬化反応において、重合性材料の1分子に有する官能基数は、より多い方が三次元網目構造はより強固になり、3官能以上が好ましい。
前記硬化樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ、これらの中でも、耐摩耗性や静電特性という点でウレタン樹脂、フェノール樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。
−−ウレタン樹脂−−
前記ウレタン樹脂は、高い耐摩耗性が得られ、かつ静電特性も良好であり、膜質も優れており、像担持体の高耐久化と高画質化という点で有利である。前記ウレタン樹脂は、一例として活性水素成分であるポリオールと、硬化剤である多価イソシアネートとを組み合わせることによって形成できる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリアルキレノオキシド等のポリエーテルポリオール、末端に水酸基を有する脂肪族ポリエステル等のポリエステルポリオール、ヒドロキシメタアクリレート共重合体等のアクリル系ポリマーポリオール、エポキシ樹脂等のエポキシポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリカーボネート骨格を有するポリカーボネートジオールなどが挙げられる。また、硬化樹脂の劣化防止や像担持体の解像度低下を抑制するヒンダードアミン骨格を有するポリオールを使用してもよい(特許第3818584号公報)。前記ヒンダードアミンは、光安定剤や酸化防止剤として知られているが、前記ヒンダードアミン骨格を有するポリオールを硬化させることにより、硬化樹脂にヒンダードアミン構造を導入することができ、これにより安定化効果を得ることができる。
前記ヒンダードアミンとしては、下記構造式で表される。
前記ポリオールとしては、2官能以上が好ましく、3官能以上がより好ましい。2官能以上とすることにより、硬化密度が向上し、三次元網目構造がより強固になり、その結果硬化性が高まり、膜強度が大きくなる。
前記ポリオールの分子量としては、100〜150が好ましく、110〜140がより好ましい。
前記分子量が、100未満であると、膜質が悪化することがあり、150を超えると、耐摩耗性が低下することがある。前記分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)等で測定することができる。
前記多価イソシアネートとしては、経時により膜が変色しなければ特に制限されず、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−イソシアネート体、HDI−ビウレット体、XDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−イソシアヌレート体、HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−ビウレット体などが挙げられる。
−−シロキサン樹脂−−
前記シロキサン樹脂とは、予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)三次元網目構造を形成し、硬化しうる樹脂である。一般的には、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物を加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させて三次元網目構造とし、シロキサン樹脂からなる硬化樹脂層を形成する。例えば、アルコキシシランからなる組成物、又はアルコキシシランとコロイダルシリカからなる組成物の縮合反応により三次元網目構造を形成する。
前記有機ケイ素化合物としては、水酸基あるいは加水分解性基を有することが好ましい。
前記加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基などが挙げられる。これらの中でも−ORで表される加水分解性基が好ましく、Rが、アルコキシ基を形成する原子団であり、炭素数が1〜6が好ましい。
−−フェノール樹脂−−
前記フェノール樹脂は、一般的にフェノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹脂である。前記フェノール樹脂には、2つのタイプがあり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾール型と、ホルムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で反応させて得られるノボラック型に分けられる。
前記レゾール型は、アルコール類及びケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで三次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、前記ノボラック型は、一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
前記フェノール樹脂としては、前記レゾール型、前記ノボラック型のいずれかを利用してもよいが、硬化剤を加えることなく硬化することや、一液性であり塗料としての操作性などからレゾール型を用いることが好ましい。
前記レゾール型は、アルコール類やケトン類の溶剤に可溶であり、加熱することで三次元的に架橋重合して硬化される。また、レゾール型とノボラック型を混合して用いることも可能である。
前記硬化樹脂としては、重合性材料が硬化することによって得られた硬化樹脂であればいずれの樹脂でも有効に使用できるが、高画質化を達成するという点で、非電荷輸送性重合性化合物と電荷輸送性重合性化合物とが硬化された樹脂を用いることがより好ましい。
−非電荷輸送性重合性化合物−
前記非電荷輸送性重合性化合物としては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性化合物、例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基又はニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送性化合物を有しておらず、且つ重合性官能基を有する化合物である。
前記重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、重合可能な基であれば何れでもよい。前記重合性官能基としては、例えば、1−置換エチレン官能基、1、1−置換エチレン官能基などが挙げられる。
前記1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式(18)で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・・一般式(18)
ただし、一般式(18)中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR228基などを表す。
228は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、S−基を表す。
前記一般式(18)としては、例えば、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
前記1、1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式(19)で表される官能基が挙げられる。
CH2=CY4−X2− ・・・・・一般式(19)
ただし、一般式(19)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基、−COOR229基を表す。
229は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、CONR230231(R230及びR231は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)を表す。
は、前記一般式(18)のXと同一の置換基及び単結合、又はアルキレン基を表す。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
前記一般式(19)としては、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、X、X、Yについては、さらに置換される置換基を有していてもよい。前記さらに置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、ベンジル基、アラルキル基などが挙げられる。これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基が好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、フェネチル基などが挙げられる。
前記非電荷輸送性重合性化合物(モノマーもしくはオリゴマー)の官能基数としては、3官能以上が好ましい。3官能以上の非電荷輸送性重合性化合物を硬化した場合、三次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な層が得られ、高い耐摩耗性及び耐傷性が達成される。
また、前記非電荷輸送性重合性化合物としては、像担持体としての機械的耐久性、画質安定性、静電安定性の両立という点で官能基数の異なる複数の非電荷輸送性重合性化合物を用いることが好ましい。
この場合、3官能以上の非電荷輸送性重合性化合物を複数用いることが好ましい。特に好ましい組合せとしては、非電荷輸送性重合性化合物の構造にもよるが、例えば3官能の非電荷輸送性重合性化合物と6官能の非電荷輸送性重合性化合物の組合せが挙げられる。前記3官能の非電荷輸送性重合性化合物と6官能の非電荷輸送性重合性化合物との比率としては、7:3〜3:7(3官能の非電荷輸送性重合性化合物:6官能の重合性材料)が好ましく、5:5がより好ましい。
前記3官能以上の非電荷輸送性重合性化合物としては、アクリロイルオキシ基を有する化合物などが挙げられる。前記アクリロイルオキシ基は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、重合性官能基を3個以上有する単量体中の重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
前記3官能以上の非電荷輸送性重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプローラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプローラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2、2、5、5、−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記非電荷輸送性重合性化合物としては、感光層中に緻密な架橋結合を形成するために、該材料中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が好ましく、230以下がより好ましく、200以下が特に好ましい。
前記割合が、250を超えると、耐摩耗性が低下することがある。
前記非電荷輸送性重合性化合物の含有量としては、最表面層全量に対し20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。
前記含有量が、20質量%未満であると、最表面層の三次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されないことがあり、80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、残留電位が顕著に上昇することがある。
−電荷輸送性重合性化合物−
前記電荷輸送性重合性化合物としては、電荷輸送性を示し、かつ前記官能基を有するものであればよく、従来公知の材料が挙げられる。電荷輸送性とは主に正孔を輸送する構造と電子を輸送する構造に大別されるが、どちらも含まれる。正孔輸送性と電子輸送性が共に含まれたバイポーラー性を有するものであってもよい。
前記正孔輸送性の前記電荷輸送性化合物としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、スチルベン、α−フェニルスチルベン、ベンジジン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、9−スチリルアントラセン、ピラゾリン、ジビニルベンゼン、ヒドラゾン、インデン、ブタジエン、ピレン、ビススチルベン、エナミンなどが挙げられる。
前記電子輸送性の前記電荷輸送性化合物としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、縮合多環キノン、ジフェノキノン、ベンゾキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、シアノ基又はニトロ基を有する芳香族環などが挙げられる。
前記重合性官能基としては、前述した重合性材料が挙げられ、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
前記電荷輸送性重合性化合物としては、官能基がいくつのものでもよいが、1官能のものが静電特性の安定性や膜質の点から好ましい。
前記電荷輸送性重合性化合物としては、例えば、下記一般式(20)、一般式(21)で表される化合物が挙げられる。
ただし、一般式(20)及び一般式(21)中、R232は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、アルコキシ基、−COOR241(R241は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアラルキル基、アリール基である。)、ハロゲン化カルボニル基、CONR242243(R242及びR243は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアラルキル基、アリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を表す。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基により置換されていてもよい。これらの中でも、水素原子、メチル基が好ましい。
Ar141、Ar142は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、置換基を有していてもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。これらの中でも単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンエーテル基がより好ましく、単結合、アルキレン基が特に好ましい。
Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、アルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。これらの中でも、アルキレン基がより好ましい。m、nは0〜3の整数を表す。
前記Ar143、Ar144としては、それぞれ独立に、アリール基、縮合多環式炭化水素基非縮合環式炭化水素基、複素環基を表わし、同一であっても異なってもよい。
前記アリール基としては、置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。)、アリールオキシ基、アルコキシ基、下記一般式(22)で表される基、メチレンジオキシ基、メチレンジチオ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンジチオ基、スチリル基、β−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基などが挙げられる。
前記直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基がさらに置換していてもよい。
前記置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
ただし、一般式(22)中、R233及びR234は、それぞれ独立に、水素原子、前記一般式(2)で定義したアルキル基、又はアリール基を表す。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらは炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R233及びR234は共同で環を形成してもよい。
前記一般式(22)で表される基としては、例えば、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基などが挙げられる。
前記縮合多環式炭化水素基非縮合環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものであれば特に限定されず、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などが挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、例えば、単環式炭化水素化合物の1価基、非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、環集合炭化水素化合物の1価基などが挙げられる。
前記単環式炭化水素化合物の1価基としては、例えば、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホンなどが挙げられる。
前記非縮合多環式炭化水素化合物の1価基としては、例えば、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1、1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケンなどが挙げられる。
前記環集合炭化水素化合物の1価基としては、例えば、9,9−ジフェニルフルオレンなどが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基などが挙げられる。
前記Ar141、Ar142で表わされるアリーレン基としては、前記Ar143、Ar144で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記Xとしては、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数5〜7シクロアルキレン基、アルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
前記炭素数1〜12のアルキレン基としては、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。前記アルキレン基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、さらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
前記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基などが挙げられる。
前記炭素数5〜7のシクロアルキレン基としては、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が置換していてもよく、例えば、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3、3−ジメチルシクロヘキシリデン基などが挙げられる。
前記アルキレンエーテル基としては、例えば、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。前記アルキレンエーテル基としては、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有していてもよい。
前記ビニレン基は、下記一般式(23)で表される。
ただし、一般式(23)中、R235は、水素、アルキル基(前記一般式(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar143、Ar144で表わされるアリール基と同じ)で表される。aは、1又は2を表す。bは、1〜3を表す。
また、前記電荷輸送性重合性化合物としては、下記一般式(24)で表される化合物が挙げられる。
ただし、一般式(24)中、o、p、qは、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。Rは、水素原子、メチル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表す。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
s、tは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
は、単結合、メチレン基、エチレン基、下記の化学式で表される基を表す。
前記一般式(20)、一般式(21)及び一般式(24)の1官能性の電荷輸送性重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれる。3官能以上の重合性材料との重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合した化合物由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有する。鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性がある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また像担持体の最表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
前記電荷輸送性重合性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性化合物及び前記ポリオールや前記イソシアネート等と硬化反応するための官能基を有するもの、同一構造中に前述した電荷輸送性化合物及びシロキサン樹脂と硬化反応するための官能基を有するもの、同一材料中に前述した電荷輸送性化合物及びフェノール樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであってもよい。電荷輸送性構造は前述のとおり正孔輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が好ましい。また、硬化反応するための官能基としては、例えば、水酸基が一般的である。水酸基は、構造中に少なくとも2個含んでいることが好ましく、これによって三次元網目構造を形成でき、本発明の効果を得る点で有利である。前記トリフェニルアミン構造を有する重合性化合物の具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、下記一般式(26)及び一般式(29)で表されるアクリル酸エステル化合物を使用することができる。
−Ar−CH=CH−Ar−B ・・・・・一般式(26)
ただし、一般式(26)中、Arは、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニルから選択される一価基、又は二価基を表す。これらは、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。前記置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、前記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していてもよい。
Arは、少なくとも1個の第三級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格からなる一価基又は二価基、もしくは少なくとも1個の第三級アミノ基を有する複素環式化合物骨格からなる一価基又は二価基を表す。前記第三級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格は下記一般式(27)で表される。
ただし、一般式(27)中、R13、R14は、アシル基、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基を表す。これらの中でも、アリール基が好ましい。これらは、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
Arは、アリール基を表す。wは、1〜3の整数を表す。
前記R13、R14のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
前記R13、R14のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、下記一般式(28)で表される基などが挙げられる。
ただし、一般式(28)中、Bは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、以下の二価基から選択される。
ただし、R21は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、R22は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基を表し、iは、1〜12の整数、jは、1〜3の整数を表す。これらは、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
前記R21のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基などが挙げられる。
前記R21のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記R21のアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基などが挙げられる。
前記Arのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基などが挙げられる。
前記Ar、R13、R14としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。
前記第三級アミノ基を有する複素環式化合物骨格としては、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジンなどが挙げられる。これらは、炭素数1〜12のアルキル基、これらは、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。
前記B、Bとしては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、ビニル基を有するメタクリロイルオキシ基などが挙げられる。これらB1、B2はどちらか一方のみが存在し、両方の存在は除外される。
ただし、一般式(29)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子を表し、Ar、Arは、アリール基、アリレン基、ベンジル基を表す。これらは、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
〜Bは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、ビニル基を有するメタクリロイルオキシ基を表す。これらB〜Bのいずれか1つのみが存在し、2つ以上の存在は除外される。uは、0〜5の整数を表し、vは、0〜4の整数を表す。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、前記一般式(28)で表される基などが挙げられる。アリレン基は、前記アリール基から誘導される二価基である。
前記アクリル酸エステル化合物は、スチルベン型共役構造を有した第三級アミン化合物であり、発達した共役系を有している。発達した共役系を有する電荷輸送性化合物を用いることで、架橋層界面部分での電荷注入性が非常に良好となり、さらに架橋結合間に固定化された場合でも、分子間相互作用が阻害されにくく、電荷移動度に関しても良好な特性を有する。また、ラジカル重合性の高いアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基を分子中に有しており、ラジカル重合時に速やかにゲル化するとともに過度な架橋歪を生じない。分子中のスチルベン構造部の二重結合が部分的に重合し、しかもアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基よりも重合性が低いために架橋反応に時間差が生じることで歪みを最大に大きくすることがなく、しかも分子中の二重結合を使用するために分子量当りの架橋反応数を上げることができる。このため、架橋密度を高めることができ、耐摩耗性のさらなる向上が実現可能となる。また、この二重結合は、架橋条件により重合度を調整することができ、容易に最適架橋膜を作製できる。
前記1官能の電荷輸送性重合性化合物の具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
前記電荷輸送性重合性化合物の含有量としては、前記最表面層に対し20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70重量%がより好ましい。
前記含有量が、20質量%未満であると、最表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの静電特性の劣化が見られることがあり、80質量%を超えると、電荷輸送性重合性化合物の含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性や耐傷性が発揮されないことがある。なお、これらの電荷輸送性重合性化合物は、硬化していることにより単離することはできないが、FT−IR等の方法を用いれば、電荷輸送性構造として定量化できるため、本発明における電荷輸送物質の濃度比として得ることができる。
前記硬化樹脂としては、3官能以上の非電荷輸送性重合性化合物と1官能の電荷輸送性重合性化合物とを硬化したものが好ましいが、1官能及び2官能の重合性モノマー、機能性モノマー及び重合性オリゴマーを用いてもよい。
前記1官能の重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
前記2官能の重合性モノマーとしては、例えば、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
前記重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などが挙げられる。
また、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために最表面層塗布液中に熱重合開始剤、光重合開始剤などを含有させてもよい。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2、5−ジメチルヘキサン−2、5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2、2−ビス(4、4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4、4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ケタール系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、エチルアントラキノン、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2、4−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9、10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。
前記アセトフェノン系、ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1、4−ベンゾイルベンゼンなどが挙げられる。
前記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジクロロチオキサントンなどが挙げられる。
また、光重合促進効果を有する化合物を単独又は前記光重合開始剤と併用して用いてもよい。
前記光重合促進効果を有する化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4、4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。これら重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の含有量としては、重合性を有する総含有物100質量%に対し、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。
前記最表面層としては、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、アルキルアミノ基を有する化合物、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの各種添加剤を含有させることができる。前記可塑剤、レベリング剤、アルキルアミノ基を有する化合物、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤の詳細については、上述した通りである。
前記可塑剤の添加量としては、塗工液の総固形分に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
前記レベリング剤の添加量としては、塗工液の総固形分に対し1質量%以下が好ましい。前記添加量が1質量%を超えると、像担持体表面の摩擦係数が低減しすぎて、潤滑性物質の供給量が不安定になることがある。
前記アルキルアミノ基を有する化合物の添加量としては、塗工液の総固形分に対し3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
前記添加量が、3質量%を超えると、硬化阻害を引き起こすことがある。
前記酸化防止剤の添加量としては、塗工液の総固形分に対し3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
前記最表面層としては、少なくとも前記フィラー及び前記非電荷輸送性重合性化合物のみ、もしくは非電荷輸送重合性化合物と電荷輸送性重合性化合物を含有する塗工液を電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。前記非電荷輸送性重合性化合物又は電荷輸送性重合性化合物が液体である場合、他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
前記溶媒としては、例えば、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、ハロゲン系、芳香族系、セロソルブ系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
前記ケトン系としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記エステル系としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル系としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ハロゲン系としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。
前記芳香族系としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記セロソルブ系としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどが挙げられる。
これらの中でも、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アルコール系の溶媒が好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
前記塗布方法としては、例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが挙げられる。
前記最表面層の塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、最表面層を形成する。前記外部エネルギーとしては、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記熱のエネルギーを与える方法としては、例えば、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。前記加熱の温度としては、100℃以上170℃以下が好ましい。前記加熱の温度が、100℃未満であると、反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがあり、170℃を超えると、硬化反応が不均一に進行し最表面層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
前記光のエネルギーを与える方法としては、例えば、紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV光源を照射することで行うことができるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
前記照射の光量としては、50mW/cm以上1,000mW/cm以下が好ましい。前記光量が、50mW/cm未満であると、硬化反応に時間を要することがあり、1,000mW/cmを超えると、反応の進行が不均一となり、最表面層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずることがある。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となることがある。
前記放射線のエネルギーを与える方法としては、例えば、電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
前記最表面層の平均厚みとしては、1μm〜8μmが好ましく、1.5μm〜5.0μmがより好ましく、2.0μm〜4.0μmが特に好ましい。
前記平均厚みが、1μm未満であると、最表面層の表面形状を得ることが困難となり、場合によっては塗膜欠陥が発生しやすくなることがある。また、表面粗さの下限領域において最表面層に充分に覆われない領域が出てくる可能性があり、8μmを超えると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなったり、残留電位上昇が顕著に発生したり、塗膜欠陥の発生により表面形状が制御しにくくなることがある。
前記平均厚みは、例えば、渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、フィッシャースコープ等)で10点測定した平均値である。
−表面形状−
前記最表面層の表面形状としては、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmである。
前記最表面層としては、フィラーを含有することで微視的な凹凸が形成されているが、前記凹凸は、表面粗さのパラメータに及ぼす影響は小さい。本発明者らは、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaとして0.05μm〜0.3μmであり、かつ輪郭曲線要素の平均長さWSmとして0.5mm〜1.5mmであることにより、巨視的な凹凸となり、顕著な効果が得られることを見出した。
本発明における算術平均うねりWa及び輪郭曲線要素の平均長さWSmとは、JIS B0601−2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面形状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」に準拠する。前記輪郭曲線とは、測定断面曲線・断面曲線・粗さ曲線・うねり曲線の総称である。前記粗さ曲線とは、うねり成分をλc輪郭曲線フィルタによって除去した曲線であり、前記うねり曲線とは、断面曲線からうねり成分より長い波長成分と短い波長成分を除去した曲線である。うねり成分より長い波長成分は、λf輪郭曲線フィルタにかけて除去し、短い波長成分はλc輪郭曲線フィルタにかけて除去する。断面曲線・粗さ曲線・うねり曲線は、通過する波長の範囲を低域(通過)フィルタと高域(通過)フィルタとの二つのフィルタのカットオフ値(フィルタで除去される波長)によって表される。
本発明においては、粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタであるλc輪郭曲線フィルタは0.25mmであり、0.25mmより短い波長成分はカットされる。なお、うねり成分とそれより長い波長成分との境界を定義するフィルタであるλf輪郭曲線フィルタは、2.5mmに設定する。
前記うねり曲線から得られる算術平均うねりWaとしては、0.05μm〜0.3μmであり、0.10μm〜0.27μmがより好ましく、0.13μm〜0.25μmが特に好ましい。
前記Waが、0.05μm未満であると、ブレードの挙動が不安定になり、トナーがクリーニングブレードをすり抜けるようになり、クリーニング不良が増加することがある。また、帯電ローラの汚染が発生したり、フィルミングの発生がおこることがあり、0.3μmを超えると、最表面層の平均厚みの差が大きくなり、画像濃度ムラやドットチリ等の画像欠陥が発生することがある。
前記算術平均うねりWaは、例えば、東京精密社製、Surfcom1400Dで測定することができる。評価長さはλfの5倍、すなわち12.5mmに設定した。測定は、像担持体の中央部、上端から中央部の中央領域、並びに下端から中央部の中央領域の計3領域について測定し、さらに1領域につき周方向に約90°ずつ回転させて計4点測定し、全体で12点の測定を行い、その平均値を採用した。
前記輪郭曲線要素の平均長さWSmとしては、0.5mm〜1.5mmが好ましく、0.6mm〜1.3mmがより好ましく、0.7mm〜1.2mmが特に好ましい。
前記WSmが、0.5mm未満であると、潤滑性物質の均一性が低下し、クリーニングブレードの摩耗が加速されたり、クリーニング性の低下やフィルミングが発生したりすることがあり、1.5mmを超えると、トナーがクリーニングブレードをすり抜け、クリーニング不良が見られたり、最表面層の平均厚みの差による画像濃度ムラやドットチリが顕在化しやすくなったりすることがある。
前記平均長さWSmは、例えば、東京精密社製、Surfcom1400Dで測定することができる。評価長さはλfの5倍、すなわち12.5mmに設定した。測定は、像担持体の中央部、上端から中央部の中央領域、並びに下端から中央部の中央領域の計3領域について測定し、さらに1領域につき周方向に約90℃ずつ回転させて計4点測定し、全体で12点の測定を行い、その平均値を採用した。
−最表面層の形成方法−
前記最表面層としては、スプレーガンなどを用いたスプレー塗工法で形成させることができる。前記うねり形状の制御は、スプレー塗工時の霧化エア圧や吐出量、スプレーガン−基体間距離、塗工回数などのスプレー塗布条件でうねりを制御することができる。また、スプレー塗工後に溶剤やエアを吹き付けることでうねりを形成することも可能である。塗工液の処方によりうねりを制御する場合は、塗工液中にレベリング剤や溶媒の種類や添加量、塗工液の固形分濃度によりうねりを制御することができる。これらの塗工液の処方とスプレー塗工法を組み合わせることでもより効果的にうねりを制御することが可能である。
前記スプレーガンとしては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレーなどが挙げられる。また、スプレーは縦型でも横型でもよい。
図10にスプレー塗工の一例を示す。基体Bは、支持体に感光層を塗工した像担持体製造段階品を示し、支持体には円筒状のものを使用している。基体Bは駆動手段により矢印方向に回転されており、スプレーガンAが基体上に表面層塗工液を霧化しながら塗布している。スプレーガンAは、基体Bの左端から矢印方向にゆっくり移動し、表面層塗工液を基体B全面に塗工する。表面層塗工液の塗工回数は任意である。
前記スプレーガンAの移動速度としては、10mm/s以下が好ましい。
前記移動速度が、10mm/sを超えると、目的とする表面形状が得られにくくなることがある。
前記基体Bの回転数としては、80rpm以上が好ましい。
前記回転数が、80rpm未満であると、目的とする表面形状が得られにくくなることがある。
前記スプレーガンAと基体Bとの距離Cとしては、20mm〜100mmが好ましく、30mm〜70mmがより好ましい。
前記距離Cが、20mm未満であると、スプレーガンAと基体Bとの距離が近すぎるため塗工ムラが発生しやすくなり、100mmを超えると、付着効率が低下することがある。またスプレーガンAと基体Bとの距離が長くなるとスプレーガンAから吐出した霧化液滴中の溶剤が蒸発しやすくなり、液滴が小さくなるためうねりが形成しにくくなることがある。距離Cは、スプレーガンAの先端部と、基体Bの塗工前の最表面との距離をいう。
前記塗工液の霧化流量(塗出量)としては、10L/min〜20L/minが好ましく、12L/min〜17L/minがより好ましい。
前記霧化流量が、10L/min未満であると、液滴が細かくなり、うねりが形成されにくくなることがある。前記霧化流量は、スプレーガンのノズル開度や、シリンジポンプの押し出し量等で制御することができる。
前記塗工液の霧化エア圧としては、1.2kg/cm以下が好ましく、1.0kg/cm以下がより好ましく、0.9kg/cm以下が特に好ましい。
前記霧化エア圧が、1.2kg/cmを超えると、目的とする最表面層の表面形状が得られにくくなることがある。
また、前記塗工液を塗膜直後のウェットな状態で溶剤やエアを吹き付けることでうねりを形成することも可能である。溶剤を吹き付ける場合、溶剤の種類は任意であるが、吹き付け後、塗膜表面に残らないようにするため沸点の低い溶剤が好ましい。
また、最表面層としては、硬化樹脂を用いるため、スプレー塗工後は塗膜を架橋させる工程が必要となる。スプレー塗工後から架橋させるまでの指触乾燥時間は10分以内が好ましい。指触乾燥時間が長い場合、塗膜がレベリングされてしまい、うねり形状が小さくなり、さらには消失してしまうことがある。
<<下引き層>>
前記下引き層としては、前記導電性支持体と前記感光層との間もしくは前記導電性支持体と前記電荷発生層との間のいずれかに設けることができる。
前記下引き層としては、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であれば特に制限されず、例えば、水溶性樹脂、アルコール可溶性樹脂、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記アルコール可溶性樹脂としては、共重合ポリアミド(共重合ナイロン)、メトキシメチル化ポリアミド(ナイロン)などが挙げられる。
前記三次元網目構造を形成する硬化型樹脂としては、例えば、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記下引き層としては、モアレ防止、残留電位の低減等のために金属酸化物を含有させることもできる。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に無機顔料を分散させることが好ましい。
前記無機顔料としては、白色の顔料が有効に使用され、例えば、金属酸化物などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化インジウムなどが挙げられる。これらの中でも、モアレ防止、残留電位上昇及び地汚れの抑制と一周目帯電低下の抑制効果の点から酸化チタンが好ましい。
なお、モアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。
前記下引き層の形成方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコートなどが挙げられる。塗工した後は指触乾燥後、オーブン等で加熱乾燥させて製造される。
前記下引き層の平均厚みとしては、0μm〜20μmが好ましく、2μm〜10μmがより好ましい。
前記平均厚みが20μmを超えると、残留電位上昇を引き起こすことがある。前記平均厚みは、例えば、表面粗さ計(東京精密社製、Surfcom1400D)等で3〜10点測定した平均値である。
前記導電性支持体と前記下引き層との間もしくは前記下引き層と前記感光層との間にさらに中間層を設けることも可能である。前記中間層は、前記導電性支持体からの正孔の注入を抑制するために加えられるもので、主目的は地汚れの抑制にある。
前記中間層としては、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記中間層の形成方法としては、例えば、上述した前記最表面層、前記電荷輸送層と同一の塗布方法、公知の塗布法などが挙げられる。
前記中間層の平均厚みとしては、0.05μm〜2μmが好ましく、0.2μm〜1.2μmがより好ましく、0.5μm〜0.9μmが特に好ましい。
前記平均厚みが2μmを超えると、残留電位上昇を引き起こすことがある。前記平均厚みは、例えば、光干渉膜厚計等で3〜10点測定した平均値である。
前記下引き層としては、必要に応じて、上述した、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの各種添加剤を添加することができる。
<像担持体保護剤供給工程及び像担持体保護剤供給手段>
前記像担持体保護剤供給工程としては、前記像担持体の表面に特定の像担持体保護剤を塗布する工程であり、前記像担持体保護剤供給手段を用いて行う。前記像担持体保護剤を前記像担持体の表面に塗布することによって、トナーの転写効率が高まり、また、クリーニング性が高まり、その結果画像ボケやクリーニング不良、フィルミングの発生を防止することができる。また、前記像担持体表面に前記像担持体保護剤が塗布されていることによって、帯電による前記像担持体表面の劣化を防止する効果も有し、その結果像担持体の耐摩耗性や耐傷性が顕著に向上し、表面の凹凸形状が安定に維持され、長期にわたって上記効果を持続させることができる。
前記像担持体保護剤の塗布方法としては、例えば、前記像担持体保護剤を固形化し、該像担持体保護剤をブラシで掻き取って前記像担持体に塗布する方法、ブレードを前記像担持体に当接させ、塗布された像担持体保護剤を像担持体表面に延展させ皮膜を形成する方法、前記像担持体保護剤を直接前記像担持体に接触させて塗布する方法、現像剤に前記像担持体保護剤を粉末状に混合し、現像の段階で前記像担持体の表面に前記像担持体保護剤を供給、塗布する方法などが挙げられる。
前記像担持体保護剤を固形化し、該像担持体保護剤をブラシで掻き取って前記像担持体に塗布する方法としては、例えば、図1に一例を示すように行う。像担持体保護剤供給手段20は、像担持体保護剤21、塗布部材としてファーブラシ22、像担持体保護剤21をファーブラシ22方向に押圧する加圧バネ23を有している。像担持体保護剤21は、バー状に成形し固形化したものであり、加圧バネ(押圧力付与機構)23に所定の圧力で押圧され、ファーブラシ22が回転することによって像担持体保護剤21が掻き取られ、像担持体1の表面に塗布される。加圧バネ23は、像担持体保護剤21が経時で減少しても、ファーブラシ22によって常に同じ量の像担持体保護剤21が掻き取られ、像担持体1の表面に供給する点で有利である。
前記ブレードを当接させ、塗布された像担持体保護剤を像担持体表面に延展させ皮膜を形成する方法としては、例えば、図2に一例を示すように行う。像担持体1に対向して配設された像担持体保護剤供給手段20は、柱状ないしバー状に形成された像担持体保護剤21、像担持体保護剤21の供給用部材22、加圧バネ(押圧力付与機構)23、及び像担持体保護剤21の皮膜形成機構24を有する。前記保護剤皮膜形成機構24は、像担持体1に接するブレード24aと、該ブレード24aを支持するブレード支持体24bと、該ブレード24aをブレード支持体24bと共に像担持体1側へ付勢する付勢手段24cを有する。像担持体保護剤21は、押圧力付与機構23からの押圧力により、例えば、回転ブラシからなる保護剤供給用部材22へ接する。保護剤供給部材22は、像担持体1と線速差をもって回転して摺擦し、この際に保護剤供給用部材22の表面に保持された像担持体保護剤21を、像担持体1の表面に供給する。像担持体1の表面に供給された像担持体保護剤21は、皮膜形成機構24により薄層化(皮膜化)される。
前記ブレード24aとしては、後述するクリーニングブレードと併用することもできるが、前記クリーニングブレードとは別に設けることが好ましい。また、この場合、前記ブレード24aは、前記像担持体1の回転方向に対し、トレーリング方向になるように当接させることがより好ましい。これにより、前記像担持体1の表面の前記像担持体保護剤21の延展性が高まり、前記像担持体保護剤21が少量でもクリーニング性を高める効果が充分に発揮される。また、前記像担持体保護剤21の過剰な付着を防止することが可能となり、高温高湿環境における画像ボケやフィルミング等の防止効果を高めることができる。なお、前記像担持体保護剤供給手段20は、クリーニング工程の後工程で、像担持体保護剤供給手段の後工程で、かつ帯電手段の前工程に行われることが好ましい。なお、押圧力付与機構23及び像担持体保護剤21の皮膜形成機構24の付勢手段としてコイルバネを例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ゴム弾性を有する部材や板バネ、その他の弾性部材でもよい。
また、前記像担持体保護剤供給手段としては、前記現像手段をはじめ、その他の如何なる手段と一体となっていてもよい。前記現像手段と前記像担持体保護剤供給手段とを一体化するとは、前記現像手段が前記像担持体保護剤供給手段を兼ねることを意味し、具体的には、トナーに像担持体保護剤を混合した現像剤を用い、現像時に像担持体の表面に像担持体保護剤を供給する方法である。像担持体の周りのスペースを確保できるため、装置の小型化や像担持体の小径化という点において有利である。
−像担持体保護剤−
前記像担持体保護剤は、疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と、無機潤滑剤(C)を含む。
前記疎水性有機化合物(A)の疎水性としては、前記疎水性有機化合物(A)を塗布した像担持体表面において、水接触角が80°以上が好ましく、90°以上がより好ましい。
前記疎水性有機化合物(A)としては、疎水性を示し、常温で固体の有機化合物であれば、特に制限がなく、例えば、脂肪酸金属塩類、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素類、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムなどが挙げられる。
前記フッ素系樹脂類としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
前記シリコーン系樹脂類としては、例えば、ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、少量の塗布で高い効果が得られ、帯電に対する像担持体表面の保護効果が高く、本発明において最も高い効果が得られるものとして、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
ここで、固体とは、固体であれば特に制限されず、例えば、粉末状、結晶状であってもよい。
前記疎水性有機化合物(A)の含有量としては、像担持体保護剤に対して50質量%〜98質量%が好ましく、70質量%〜95質量%がより好ましく、75質量%〜90質量%が特に好ましい。
前記含有量が、50質量%未満であると、クリーニング性等の本発明の効果が低下したり、像担持体の耐摩耗性が低下することがあり、98質量%を超えると、帯電ローラ汚れが悪化したり、フィルミングが増加したり、クリーニングブレードの摩耗が促進されクリーニング性が低下することがある。
前記無機微粒子(B)としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記無機微粒子(B)とは、無機化合物で粒子形状を有し、物体と物体の間に挟まることによって、物体間の摩擦を低減させる役割を果たし、その物体自身が内部滑りやへき開を起こさないものを意味する。
前記金属酸化物としては、例えば、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウムなどが挙げられる。
前記金属フッ化物としては、例えば、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、金属酸化物が有効に用いられ、特にアルミナがより好ましい。
前記無機微粒子(B)の平均一次粒子径としては、0.05μm〜1.5μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmがより好ましい。
前記平均一次粒子径が、0.05μm未満であると、フィルミングや画像ボケ等の影響が増大することがあり、1.5μmを超えると、クリーニング性や帯電ローラ汚れなどが悪化することがある。前記平均一次粒子径は、粒子群を代表する平均的な一次粒子の粒子径を意味し、個数平均径として表される。具体的には、直接微粒子を、もしくは微粒子が含有された保護剤を電子顕微鏡等によって直接観察することにより得ることができる。
前記無機微粒子(B)の含有量としては、像担持体保護剤に対して0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましく、2質量%〜10質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、フィルミングや異物付着が増加することがあり、20質量%を超えると、像担持体の耐摩耗性や耐傷性が低下することがある。
前記無機潤滑剤(C)としては、潤滑性を有する無機系の固体であれば特に制限されないが、具体的には二次元層構造を有する材料が好ましい。前記二次元層構造体とは、結晶構造単位が二次元的に連結した平板状の構造を有し、これらがファンデルワールス結合によって積み重なった層状構造を有する構造体である。前記二次元層構造体の層内は強い共有結合で結合しているのに対し、層間は弱いファンデルワールス力で繋がっているため、滑り方向に対し容易にへき開することによって潤滑性が得られる。
ここで、前記無機潤滑剤とは、無機化合物でその物質自身がへき開することにより潤滑する、または内部滑りを起こすものを意味する。
前記無機潤滑剤(C)としては、例えば、タルク、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、スメクタイト、ハイドロタルサイト化合物、フッ化カルシウム、グラファイト、板状アルミナ、セリサイト、合成マイカなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、窒化ホウ素が好ましい。
前記無機潤滑剤(C)の含有量としては、像担持体保護剤に対して1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜40質量%がより好ましく、5質量%〜30質量%が特に好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、クリーニング性を始め本発明の効果が低下することがあり、50質量%を超えると、フィルミングや異物付着、帯電ローラ汚れが増加することがある。
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程としては、前記像担持体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段を用いて行う。
前記帯電手段としては、例えば、ローラ形状の部材に高電圧を印加し、像担持体に接触させた状態で帯電を行う接触型ローラ帯電方式、ローラ形状を有し画像形成領域において100μm以下の空隙を介して帯電させる近接配置型ローラ帯電方式、コロナ放電方式、ワイヤーの代わりに絶縁板を挟む面状の電極に高周波高圧を印加する固体放電方式、ブラシ、フィルム、ブレード等を用いて像担持体に接触した状態で帯電させる接触帯電方式などが挙げられる。
前記コロナ放電方式としては、例えば、コロトロン、スコロトロンなどが挙げられる。
前記接触型ローラ帯電方式を用いる場合には、前記像担持体に機械的なストレスを与えにくい弾性部材を用いることが好ましい。
前記近接配置型ローラ帯電方式は、帯電ローラあるいは前記像担持体の非画像形成領域にギャップを設ける方法等によって近接配置させる帯電方式である。図3に一例を示したように帯電ローラ33の非画像形成領域に厚みが均一なスペーサー(ギャップ形成部材32)を設けることで、空隙保持が可能となる。像担持体1と帯電ローラとのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下が好ましく、30μm〜70μmがより好ましい。前記ギャップが、100μm未満又は70μmを超えると、繰り返し使用することによって帯電ローラがトナーや紙粉等によって汚染され、帯電低下や異常画像の発生、さらには摩耗等の発生を抑制することがある。
前記近接配置型ローラ帯電方式の場合には、ギャップの精度を維持する上で、帯電ローラ表面は硬質である方が好ましい。前記ローラ表面が硬質な帯電ローラとしては、例えば、抵抗調整層を高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化させた硬化皮膜処理されたものなどが挙げられる。
また、上記ローラ帯電方式は、ローラに帯電用の電源を接続しており、それによって像担持体表面と帯電ローラ表面との空隙で近接放電が発生し、像担持体が帯電される。このとき、印加電圧は、直流成分であるDC電圧に交流成分であるAC電圧を重畳した交番電圧を用いることも可能である。これにより、ギャップ変動による帯電電位のバラツキが抑制され、帯電の均一性が向上し、画像濃度ムラや残像の抑制につながり、高画質化において有効となる。
また、交流成分の重畳によって、像担持体表面に塗布した潤滑性物質を劣化させ、それが画像ボケ、フィルミングや異物付着を誘発することがある。本発明においては、帯電時に交流成分を重畳した電圧を印加しても、像担持体保護層に疎水性有機化合物(A)だけでなく、無機微粒子(B)及び無機潤滑剤(C)が含有されているために、劣化した保護剤の除去作用と帯電による劣化防止効果が得られ、画質への影響は最小限に抑えることができる。
前記コロナ帯電方式は、直径が40μm〜100μmのワイヤー等に高電圧を印加し、その周辺の空気をイオン化させ、それを像担持体に移動させることによって帯電させるものである。前記ワイヤーは、材質的にはタングステン、モリブデン、ステンレス鋼、チタン、その他の合金類がある。前記コロナ放電方式は、主にコロトロン及びスコロトロンに大別される。前記スコロトロンは、コロトロンにスクリーン電極(グリッド電極)を配置した構成となっており、一例としてスクリーン電極は1mm〜3mmピッチで、像担持体からは1〜2mm離れた位置に張られる。前記グリッド電極に印加された電圧によって帯電電位が規制され、表面電位が飽和する。そのため、帯電電位はグリッド電圧により制御でき、均一帯電が可能となる。前記帯電手段としては、帯電ムラが少なく、均一帯電が可能なスコロトロンの方が好ましい。また、高速化に対応させるためには、ワイヤーを2本張ったダブルワイヤー型がより好ましい。さらに、ダブルワイヤー型の中でも、2本のワイヤー間を仕切ったタイプが特に好ましい。
前記像担持体表面の摩擦係数は、オゾン等に曝されることによっても上昇するが、コロナ帯電方式はオゾンの発生量が多いため、その影響は大きい。本発明においては、像担持体表面に像担持体保護剤を塗布し、それが長期にわたり安定に供給されることによって、長期繰り返し使用においても像担持体表面の摩擦係数の上昇を抑制し、その結果クリーニングブレードの挙動が安定化され、クリーニング性に大きな効果を与えるという点で好適である。
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、前記像担持体の表面を像様に露光する工程であり、前記露光手段を用いて行う。
前記露光手段に用いられる光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯、ナトリウム灯などが挙げられる。これらの中でも、高速化や装置の小型化のという点で、発光ダイオード、半導体レーザーが好ましい。また、これら前記光源としては、所望の波長域の光を照射させるために、例えば、シャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外カットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルタなどの各種フィルタと組合せて用いることもできる。
また、前記露光手段としては、本発明の画像形成装置の高速化のために副走査方向にビーム光源を複数個並べ、主走査方向1回の走査で複数ビームの走査をするマルチビーム記録ヘッドによるマルチビーム走査露光方法が用いられている。前記マルチビーム走査露光方法では、例えばn本のビーム光源になることで1ビーム光源のみの場合に必要となる回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数が、1/nの回転数でよくなり、1ビーム光源の場合より、n倍の高速化が可能となる。また、走査速度に余裕が生じることになり、その分、走査密度を高密度にして、高速で、高精細な画像出力が可能となる。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、像担持体表面にトナーによって現像して可視像を形成する工程であり、前記現像手段を用いて行う。前記像担持体の帯電極性と同極性のトナーを用いて現像すればネガ画像(反転現像)が得られ、前記像担持体の帯電極性と異極性のトナーを用いて現像すればポジ画像が得られる。
前記現像手段としては、トナーのみで行う1成分現像方式と、トナーとキャリアを混合した状態で行う2成分現像方式があるが、いずれを使用してもよい。
また、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ね合わせてフルカラー像を現像する場合、前記像担持体に接触させて現像する方法を用いると、先に現像されていたトナー像を乱してしまうおそれがあるので、前記像担持体に対し非接触で現像が可能な、例えばジャンピング現像方式等が好ましく用いられる。
前記現像手段としては、前記像担持体保護剤供給手段と一体とし、前記像担持体保護剤供給手段を兼ねるようにしてもよい。具体的には、トナーと粉末化した像担持体保護剤を予め混合し、それらを含む現像剤を用いることにより、現像手段により前記像担持体保護剤が像担持体表面に供給される。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程であり、前記転写手段を用いて行う。前記転写手段としては、帯電器を使用することが可能であり、例えば転写チャージャー、分離チャージャーなどを併用したものが効果的である。
前記転写手段は、前記像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上を併用してもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
また、転写時は定電圧方式、定電流方式があり、いずれの方法でも使用可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式の方がより好ましい。転写電流は高い方が転写性は高くなり、特に線速が早くなると転写性は低下するため、転写電流の増加は有効となる。また、転写電流を高くすると除電の際に像担持体内に流れる電荷量が低減されるため、静電疲労の影響を低減させる上でも好ましい。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベースなどが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の手段としては、例えば、定着手段、クリーニング手段、除電手段などが挙げられる。
前記その他の工程は、例えば、定着工程、クリーニング工程、除電工程などが挙げられる。前記定着工程は、前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は、前記クリーニング手段により行うことができ、前記除電工程は、前記除電手段により行うことができる。
[定着工程及び定着手段]
前記定着工程は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧によって前記記録媒体上に固定化する工程であり、前記定着手段を用いて行う。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
[クリーニング工程及びクリーニング手段]
前記クリーニング工程は、前記像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、前記クリーニング手段を用いて行う。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、ファーブラシ、ブレード、磁気ブラシ、静電ブラシ、磁気ローラなどが挙げられる。これらの中でも、クリーニング性の向上やフィルミングの防止効果という点で、ブレードを用いることが好ましい。
前記ブレードを繰り返し使用すると、前記ブレードの挙動が不安定になり、クリーニング不良が発生して異常画像の原因となる。本発明においては、前記像担持体表面に前記像担持体保護剤が塗布され、前記像担持体表面の凹凸形状が長期的に安定に維持されるので、前記像担持体保護剤の供給量が安定化する。これにより、前記ブレードの挙動が安定化し、その結果、前記ブレードに異物が付着しにくく、あるいは除去しやすくする効果を得ることができる。さらに、前記ブレードと前記像担持体との摩擦が低減し、クリーニング不良やフィルミングなどを防止することができる。本発明は、前記像担持体表面の凹凸形状を制御することによって、上記効果を長期にわたって安定に発揮できる効果を有しており、クリーニング手段としてブレードを用いることで、より長期にわたって上記効果を安定に発揮できる。前記ブレードとしては、トナーがブレードをすり抜けることを防止するという点で、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方向に当接されていることが好ましい。
なお、前記クリーニング手段にブラシを用いる場合、前記ブラシに前記像担持体保護剤を接触させることにより、前記クリーニング手段と前記像担持体保護剤供給手段とを一体化して用いることもできる。
[除電工程及び除電手段]
前記除電工程は、に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、前記除電手段を用いて行う。
前記除電手段としては、前記像担持体に対し除電を行うことができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、半導体レーザー(LD)、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、キセノンランプ等と光学フィルターと組合せたものなどが挙げられる。
前記光学フィルターとしては、例えば、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどが挙げられる。
図1に本発明の画像形成装置の一例を示したように、画像形成装置は、像担持体1と帯電手段2と、露光手段3と、現像手段4、転写手段5、定着手段6、クリーニング手段8、及び除電手段9を有する。
前記像担持体1は、ドラム形状に限定されず、例えば、シート状、エンドレスベルト状であってもよい。
前記帯電手段2は、ローラ帯電方式に限定されず、例えば、コロナ帯電方式であってもよい。
(タンデム方式の画像形成装置)
本発明は、像担持体の耐摩耗性及び耐傷性が高く、トナーの転写性やクリーニング性の向上、フィルミングの抑制が実現されたことから、画像面積の大きい画像出力により高い効果を得ることが可能となる。その点では、文字主体ではなく画像主体の原稿、すなわちフルカラー画像の印刷に適している。特に、像担持体の耐摩耗性や耐傷性が顕著に高まったことにより、像担持体間の差が低減したことにより、複数の像担持体によってフルカラー画像出力を行うタンデム方式の画像形成装置に有効に用いられる。タンデム方式の画像形成装置は、複数色のトナーを各々独立して保持する現像部に対応してそれと同じ本数の像担持体を具備し、それによって各色の現像を各々独立に平行して処理し、その後各色のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する装置である。具体的には、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色の現像部及び像担持体が具備されており、4回のプロセスを繰り返して出力される従来のシングルドラム方式に比べて、極めて高速なフルカラー印刷を実現している。
図4は、本発明のタンデム方式によるフルカラー画像形成装置を説明するための代表的な概略図である。図4において、符号(1C、1M、1Y、1K)はドラム状の像担持体を示している。前記像担持体(1C、1M、1Y、1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段(2C、2M、2Y、2K)、現像手段(4C、4M、4Y、4K)、クリーニング手段(5C、5M、5Y、5K)が配置されている。
前記帯電手段(2C、2M、2Y、2K)と現像手段(4C、4M、4Y、4K)の間の像担持体裏面側より、図示しない露光手段からのレーザー光(3C、3M、3Y、3K)が照射され、像担持体(1C、1M、1Y、1K)に静電潜像が形成される。そして、このような像担持体(1C、1M、1Y、1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(111)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(111)は各画像形成ユニット(6C、6M、6Y、6K)の現像手段(4C、4M、4Y、4K)とクリーニング手段(5C、5M、5Y、5K)の間で像担持体(1C、1M、1Y、1K)に当接しており、転写搬送ベルト(111)の像担持体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C、11M、11Y、11K)が配置されている。各画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図4に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C、6M、6Y、6K)において、像担持体(1C、1M、1Y、1K)が矢印方向(像担持体と連れ周り方向)に回転する帯電手段(2C、2M、2Y、2K)により帯電され、次に像担持体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C、3M、3Y、3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像手段(4C、4M、4Y、4K)により静電潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段(4C、4M、4Y、4K)は、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、4つの像担持体(1C、1M、1Y、1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(112)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(113)で一旦停止し、上記像担持体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(111)に送られる。転写搬送ベルト(111)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各像担持体(1C、1M、1Y、1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
像担持体上のトナー像は、転写ブラシ(11C、11M、11Y、11K)に印加された転写バイアスと像担持体(1C、1M、1Y、1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着手段(6)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各像担持体(1C、1M、1Y、1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C、5M、5Y、5K)で回収される。
なお、図4の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図4において帯電手段は像担持体と当接しているが、図3に示したような帯電機構で、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設け近接配置型ローラ帯電方式を用いることが可能であり、有効である。帯電手段としてコロナ帯電方式を用いることも可能ではあるが、コロナ帯電方式が複数設置されると、オゾンの発生量が非常に多くなり、気流設計などに工夫が必要な場合がある。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面にトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記像担持体表面に像担持体保護剤を塗布又は付着させる像担持体保護剤供給手段と、を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、本発明の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジとしては、図5に示すように、像担持体101を内蔵し、その他として帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(不図示)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
ここで、図5に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、像担持体101は、回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による像露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(像担持体の製造例1)
−下引き層1の形成−
導電性支持体である外径60mmのアルミニウムシリンダー上に、下記の組成を示す下引き層1用塗工液を浸漬塗工法により塗布し、130℃で10分間オーブンで乾燥させることで下引き層1を形成させた。下引き層1の平均厚みは、0.6μmであった。平均厚みは、表面粗さ計(東京精密社製、Surfcom1400D)で10点測定した平均値である。
−下引き層1用塗工液の組成−
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市社製): 5質量%
メタノール: 70質量%
n−ブタノール: 30質量%
−下引き層2の形成−
下引き層1上に、下記の組成を示す下引き層2用塗工液を浸漬塗工法により塗布し、130℃で20分間オーブンで乾燥させることで下引き層2を形成させた。下引き層2の平均厚みは、2.5μmであった。平均厚みは、表面粗さ計(東京精密社製、Surfcom1400D)で10点測定した平均値である。
−下引き層2用塗工液の組成−
酸化チタン(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製):
50質量%
酸化チタン(PT−401M、平均一次粒径:約0.07μm、石原産業社製):
20質量%
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製): 14質量%
メラミン樹脂(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業社製):
8質量%
2−ブタノン: 70質量%
−電荷発生層の形成−
下引き層2上に、下記のように作製した電荷発生層用塗工液を浸漬塗工法により塗布し、90℃で20分間オーブンで乾燥させることで電荷発生層を形成させた。電荷発生層の平均厚みは、0.2μmであった。平均厚みは、電子顕微鏡よる断面観察で10点測定した平均値である。
−電荷発生層用塗工液の作製−
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学工業社製)4質量%を溶解した400質量%の2−ブタノン溶液及び図11のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン8質量%を投入し、ローター回転数1,200rpmにて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
−電荷輸送層の形成−
電荷発生層上に、下記の組成を示す電荷輸送層用塗工液を浸漬塗工法により塗布し、120℃で20分間オーブンで乾燥させることで電荷輸送層を形成させた。電荷輸送層の平均厚みは、25μmであった。平均厚みは、渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、フィッシャースコープ等)で10点測定した平均値である。
−電荷輸送層用塗工液の組成−
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製): 10質量%
上記電荷輸送物質No.14で示される化合物: 10質量%
下記構造式で示される酸化防止剤A: 0.5質量%
下記構造式で示される酸化防止剤B: 0.1質量%
下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物A: 1質量%
シリコーンオイル(1cm/s(100cSt)、信越化学社製):0.002質量%
テトラヒドロフラン: 100質量%
−最表面層の形成−
70ccのガラスポットに直径5mmのアルミナボールを入れ、さらにアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)8質量%、ポリカルボン酸化合物(低分子量不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、BYK−P104、不揮発分50%、BYKケミー社製)0.2質量%及びシクロペンタノン8質量%を入れ、ボールミルにより24時間分散(150rpm)を行った。その後、テトラヒドロフラン12質量%を添加して撹拌することによってミルベースを得た。
得られたミルベース3質量%と下記に示した材料とを混合することで最表面層用塗工液を作製した。
−最表面層用塗工液の組成−
・ミルベース 3質量%
・電荷輸送性化合物を有さないラジカル重合性材料(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99): 4質量%
・1官能の電荷輸送性化合物を有するラジカル重合性材料(例示化合物No.54):
4質量%
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製): 0.5質量%
・レベリング剤(ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン溶液、BYK−UV3510、BYKケミー社製): 0.01質量%
・テトラヒドロフラン: 50質量%
得られた最表面層用塗工液を用いて、下記塗布条件で電荷輸送層の上にスプレー塗工法により最表面層を形成した。最表面層の塗布条件を以下に示す。
スプレー距離:50mm
スプレー移動速度:6mm/s
基体回転速度:140rpm
霧化エア圧:1.0kg/cm
霧化流量(塗出量):15L/min
最表面層を塗工してから3分間自然乾燥した後、メタルハライドランプを用いて、160W/cm、照射距離:60mm、照射強度:400mW/cm、照射時間:40秒の条件で温度を約42℃に保ちながら光照射を行い、硬化させた。更に130℃で20分間乾燥を行い、平均厚みが3μmの最表面層を設け、像担持体を作製した。なお、平均厚みは、渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、フィッシャースコープ等)を用いて10点測定した平均値である。
なお、最表面層用塗工液に含まれる1官能の電荷輸送性重合化合物を有するラジカル重合性材料(例示化合物No.54)は、特許第3164426号公報に記載の方法にて合成した。具体的には、以下のように合成した。
下記構造式Aで表されるメトキシ基置換トリアリールアミン化合物113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させることで下記構造式Bで表されるヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。融点は、64.0〜66.0℃であり、元素分析値を表1に示す。
前記構造式Bで表されるヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g、水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させることで、例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。融点は、117.5〜119.0℃であり、元素分析値を表2に示す。
(像担持体の製造例2)
像担持体の製造例1において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから1.1kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例3)
像担持体の製造例1において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから0.8kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例4)
像担持体の製造例1において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから0.6kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例5)
像担持体の製造例1において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから0.5kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例6)
像担持体の製造例1において、最表面層用塗工液中のテトラヒドロフランを50質量%から20質量%に代えた以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例7)
像担持体の製造例6において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから0.9kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例6と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例8)
像担持体の製造例6において、スプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから0.7kg/cmに代えた以外は、像担持体の製造例6と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例9)
像担持体の製造例1において、最表面層用塗工液中のテトラヒドロフランを50質量%から90質量%に代え、さらにスプレー塗布条件の霧化エア圧を1.0kg/cmから1.3kg/cmに代えた以外は、像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例10)
像担持体の製造例1において、像担持体を作製した後に、像担持体100rpmで回転させながら、最表面層の表面を研磨シート(3M社製、粒度5μm)で研磨した以外は、像担持体の製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例11)
像担持体の製造例3において、ミルベース中のアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)をアルミナフィラー(スミコランダムAA−07、平均一次粒径:0.7μm、住友化学工業社製)に代えた以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例12)
像担持体の製造例3において、ミルベース中のアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)をアルミナフィラー(スミコランダムAA−15、平均一次粒径:1.5μm、住友化学工業社製)に代えた以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例13)
像担持体の製造例3において、ミルベース中のアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)をシリカフィラー(KMPX−100、平均一次粒径:0.1μm、信越化学工業社製)に代えた以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例14)
像担持体の製造例3において、ミルベース中にフィラーを添加させなかった以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例15)
像担持体の製造例3において、最表面層用塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)4質量%を2質量%とし、光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量%を光重合開始剤(2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1質量%とした以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例16)
像担持体の製造例3において、最表面層用塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を1官能性の例示化合物No.54を3質量%と下記構造式で表される2官能性化合物を1質量%とした以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例17)
像担持体の製造例3において、最表面層用塗工液を下記の組成で表される最表面層塗工液に代え、光照射による硬化処理を施さず、塗工後に150℃20分の加熱乾燥を行った以外は、像担持体製造例3と同様にして、像担持体を作製した。なお、ポリオールとイソシアネートが反応して硬化し、これが硬化樹脂に相当する。
−最表面層用塗工液−
・上記ミルベース: 3質量%
・イソシアネート:スミジュールHT(HDIアダクト)(住化バイエルン社製)
3質量%
・下記構造式で示されるポリオール1 2質量%
・ポリオール:LZR170(藤倉化成社製) 8質量%
・電荷輸送性重合性化合物A: 10質量%
・テトラヒドロフラン 100質量%
・シクロヘキサノン 30質量%
(像担持体の製造例18)
像担持体の製造例17において、ミルベース中のアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)を酸化スズフィラー(S−1、平均一次粒径:0.02μm、三菱マテリアル社製)に代え、最表面層塗工液を下記組成の塗工液に変更した以外は、像担持体の製造例17と同様にして、像担持体を作製した。なお、ポリオールとイソシアネートが反応して硬化し、これが硬化樹脂に相当する。
−最表面層用塗工液−
・上記ミルベース: 24質量%
・イソシアネート:スミジュールHT(HDIアダクト)(住化バイエルン社製)
3質量%
・上記構造式で示されるポリオール1 2質量%
・ポリオール:LZR170(藤倉化成社製) 8質量%
・テトラヒドロフラン 100質量%
・シクロヘキサノン 30質量%
(像担持体の製造例19)
像担持体の製造例3において、最表面層用塗工液を下記の組成の最表面層用塗工液に代え、光照射による硬化処理を施さず、塗工後に150℃20分の加熱乾燥を行った以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
−最表面層用塗工液−
・像担持体の製造例1で作製したミルベース: 3質量%
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製): 10質量%
・上記電荷輸送物質No.17で示される化合物: 7質量%
・上記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物(化合物A): 1質量%
・上記構造式で示される酸化防止剤B: 0.3質量%
・テトラヒドロフラン: 500質量%
・シクロヘキサノン: 150質量%
(像担持体の製造例20)
像担持体の製造例3において、電荷発生層を下記組成で示される電荷発生層用塗工液を用いて塗工し、また電荷輸送層を下記組成で示される電荷輸送層用塗工液を用いて塗工した以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
−電荷発生層用塗工液−
・下記構造式で示される非対称ビスアゾ顔料A: 5質量%
・ポリビニルブチラール(BM−S、積水化学社製): 1.5質量%
・シクロヘキサノン: 250質量%
・2−ブタノン: 100質量%
なお、上記構造式で表されるビスアゾ顔料は、特許第3026645号公報に記載の方法に準じて作製した。また、電荷発生層用塗工液は、ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解したシクロヘキサノン溶液及び下記アゾ顔料を投入し、回転数85rpmにて7日間分散を行い、その後シクロヘキサノン及び2−ブタノンで希釈、混合することにより作製した。
−電荷輸送層形成用塗工液−
・ポリカーボネート:(Zポリカ、帝人化成社製) 10質量%
・下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体: 7質量%
・シリコーンオイル:(1cm/s(100cSt)、信越化学社製)
0.002質量%
・テトラヒドロフラン: 100質量%
・上記構造式で示される酸化防止剤B: 0.03質量%
・下記構造式で示される酸化防止剤C: 0.07質量%
(像担持体の製造例21)
像担持体の製造例3において、最表面層用塗工液に含まれる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性材料を1官能性の例示化合物No.143に変更した以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例22)
像担持体の製造例3において、ミルベース中のアルミナフィラー(スミコランダムAA−03、平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)をアルミナフィラー(スミコランダムAA−02、平均一次粒径:0.2μm、住友化学工業社製)に代えた以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例23)
像担持体の製造例3において、最表面用塗工液中のミルベースの量を1質量%に変更した以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の製造例24)
像担持体の製造例3において、最表面用塗工液中のミルベースの量を4質量%に変更した以外は、像担持体の製造例3と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体の最表面層の表面形状の測定)
像担持体の製造例1〜24で製造した像担持体の算術平均うねりWa及び輪郭曲線要素の平均長さWSmの測定を行った。測定装置は、東京精密社製、Surfcom1400Dを用い、JIS B 0601:2001規格に準拠して測定を行った。測定長さは、12.5mm、輪郭曲線フィルタλc=0.25mm、輪郭曲線フィルタλf=2.5mm、測定速度は0.60mm/sで、断面曲線を測定し、傾斜補正は最小二乗直線補正を選択した。測定は、像担持体の軸方向に測定を行い、像担持体の中央部、上端から中央部の中央領域、並びに下端から中央部の中央領域の計3領域について測定し、さらに1領域につき周方向に約90度ずつ回転させて計4点測定し、全体で12点の測定を行い、その平均値を採用した。結果を表4に示す。
(実施例1)
像担持体の製造例1で製造した像担持体の評価を行うために、像担持体をプロセスカートリッジに装着し、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段、像担持体保護剤供給手段、及び除電手段を搭載したリコー製デジタルフルカラー複写機(タンデム方式)の改造機を用いた。前記帯電手段は、ブラックステーションにスコロトロンチャージャーを用い、マゼンダ、シアン、イエローの各ステーションには近接配置型の帯電ローラを用いた。帯電ローラには、直径10mmの硬質樹脂ローラを用い、像担持体とのギャップを50μmに調整した。帯電条件としては、−600VのDC成分に、AC成分としてVppが3kV、周波数が1.5kHzの正弦波を重畳した交番電界を印加した。また、前記露光手段には、波長が655nmの半導体レーザーを、現像手段に充填されるトナーは平均粒径が約6μmの重合トナーを、転写手段には中間転写ベルトを、クリーニング手段にはブレードを用い、かつブレードは像担持体の回転方向に対してカウンター方向に当接した。また、像担持体保護剤供給手段としては、像担持体保護剤をバー状に固形化したものを用い、図1の如く加圧バネ及びファーブラシを取り付け、像担持体保護剤がファーブラシで掻き取られ、像担持体表面に供給する構成とした。さらに、像担持体保護剤が像担持体表面に付着した後、像担持体保護剤が過剰に付着しないように、また像担持体表面に均一に塗布されるように皮膜形成部材として像担持体保護剤塗布ブレードを設けた。像担持体保護剤塗布ブレードは、像担持体の回転方向に対してトレーリング方向(非カウンター方向)に当接した。なお、像担持体保護剤は、以下のように作製した像担持体保護剤を使用した。
−像担持体保護剤の作製−
疎水性有機化合物(A)としてステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製)70質量%、無機微粒子(B)としてアルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)10質量%、無機潤滑剤(C)として二次元の層構造体である窒化ホウ素(水島合金社製)20質量%をワンダーブレンダー(WB−1、大阪ケミカル株式会社)を用いて、25,000rpmの回転速度で合計20秒間混合を行い、像担持体保護剤を得た。
<画像品質>
高温環境(27℃、80%RH)で行った初期画像及び60万枚繰り返し試験後の画像について、目視観察により画像品質(画像ボケ)の評価を以下の評価基準で評価した。画像は、ブラック(Bk)とマゼンダ(M)の単色でそれぞれ出力し、それぞれの色について評価した。初期の画像は、いずれも良好で問題は認められなかった。結果を表4に示す。
[評価基準]
◎:画像ボケが全く見られない。
○:拡大観察によりわずかに劣化が認められる。
△:解像度の低下が目視で認識される。
×:顕著な画像ボケが発生している。
<クリーニング不良>
低温環境(10℃、15%RH)で行った初期画像及び60万枚繰り返し試験後の画像について、通紙試験後の像担持体表面上における転写残トナーの有無を以下の評価基準で評価した。画像は、ブラック(Bk)とマゼンダ(M)の単色でそれぞれ出力し、それぞれの色について評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
◎:転写残トナーが全く見られない。
○:わずかに認められるが、問題にならないレベルである。
△:クリーニング不良が目視で認められる。
×:クリーニング不良が多発している。
<帯電ローラ汚染>
60万枚繰り返し試験後に帯電ローラを取り外し、その汚れ状態を目視にて観察し評価を行った。画像は、マゼンダ(M)の単色で出力し、それぞれの色について評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
◎:帯電ローラの汚染が見られない。
○:帯電ローラがほとんど汚染していない。
△:ローラが明らかに汚染している。
×:帯電ローラ全体が汚染している。
<耐フィルミング性>
常温環境(23℃、55%RH)で行った初期画像及び60万枚繰り返し試験後の画像について、トナーフィルミングの発生状況の有無を目視で観察し、さらに通紙試験後の像担持体についてもトナーフィルミングの発生状況の有無を目視で観察し、これらの結果から以下の評価基準に基づいて総合的に評価した。画像は、ブラック(Bk)とマゼンダ(M)の単色でそれぞれ出力し、それぞれの色について評価した。結果を表4に示す。
−評価基準−
◎:フィルミングが観られない。
○:フィルミングが数個認められるが、気がつかないレベルである。
△:斑点状欠陥が目視で認められる。
×:斑点状欠陥が多発し、目立っている。
<耐傷性>
60万枚繰り返し試験後に像担持体の表面を目視で観察し、傷の程度について評価を行った。画像は、ブラック(Bk)とマゼンダ(M)の単色でそれぞれ出力し、それぞれの色について評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
◎:傷が目視で認められない。
○:目視で傷の発生は確認できるが、問題にならないレベルである。
△:明らかに傷が認められ、表面形状が変化したレベルである。
×:傷が非常に目立っており、問題視されるレベルである。
<像担持体の摩耗量>
初期の像担持体の厚みから60万枚繰り返し試験後の像担持体の厚みを引いて求めた。像担持体の厚みは渦電流式膜厚計を用いて測定した。
(実施例2〜17、比較例1〜7)
実施例1において、表3、表4に示すように、像担持体の製造例1で製造した像担持体を像担持体の製造例2〜24で製造した像担持体に代えた以外は実施例1と同様にして、クリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表4に示す。また、像担持体の製造例1〜24で製造した像担持体の最表面層の製造条件などは表3に示す。
(比較例8)
実施例2において、前記リコー製デジタルフルカラー複写機から像担持体保護剤供給手段を除いた以外は実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
(実施例18)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 80質量%
・無機微粒子(B):酸化チタン(平均一次粒子径:0.25μm、石原産業社製)
10質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 10質量%
(実施例19)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 60質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
10質量%
・無機潤滑剤(C):板状タルク(三好化成社製) 30質量%
(実施例20)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 50質量%
・疎水性有機化合物(A):ラウリン酸亜鉛(和光純薬社製) 20質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
10質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 20質量%
(比較例9)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 80質量%
・無機微粒子(B):酸化チタン(平均一次粒子径:0.25μm、石原産業社製)
20質量%
(比較例10)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 80質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 20質量%
(比較例11)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
−像担持体保護剤の組成−
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 100質量%
(実施例21)
実施例2において、像担持体保護剤に含有されるステアリン酸亜鉛を、ラウリン酸亜鉛に変更した以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
(実施例22)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 50質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
10質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 40質量%
(実施例23)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 70質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
25質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 5質量%
(実施例24)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 90質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
9.5質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 0.5質量%
(実施例25)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 40質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製)
10質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 50質量%
(比較例12)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 70質量%
・有機微粒子(B):シリコーン樹脂微粒子(平均一次粒子径:1μm以下)
10質量%
・無機潤滑剤(C):窒化ホウ素(水島合金社製) 20質量%
(比較例13)
実施例2において、像担持体保護剤の組成を下記のように代えた以外は、実施例2と同様にしてクリーニング不良、耐フィルミング性、帯電ローラ汚染、耐傷性、耐摩耗性、画像ボケ及び摩耗量の評価を行った。結果を表6に示す。
・疎水性有機化合物(A):ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF200、株式会社日本油脂社製) 70質量%
・無機微粒子(B):アルミナ(平均一次粒子径:0.3μm、住友化学工業社製) 10質量%
・潤滑剤(C):ワックス添加剤(BYKセラ社製、CERAFLOUR996)
20質量%
以上の結果から明らかなように、最表面層に硬化樹脂及びフィラーが含有され、かつ該最表面層の表面形状が、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが0.05μm〜0.3μmであり、かつ輪郭曲線要素の平均長さWSmが0.5mm〜1.5mmであることによって、60万枚印刷後においてもクリーニング不良、フィルミング、帯電ローラ汚れ、画像ボケのいずれにおいても問題は認められず、良好な画像を得ることが可能となった。また、像担持体表面の傷や摩耗量は非常に少なく、算術平均うねりWa及び輪郭曲線要素の平均長さWSmは、通紙ラン後においても維持されていた。
一方、算術平均うねりWa及び輪郭曲線要素の平均長さWSmのどちらか、もしくは両方が範囲外になると、クリーニング不良やフィルミング、あるいは帯電ローラ汚れの問題が発生しており、得られた画像の画質は明らかに低下していた。また、表4及び表6には記載していないが、これらの評価に用いたクリーニングブレードは、評価後においてブレードの欠けや摩耗が顕著に認められ、クリーニングブレードの劣化が激しいことが確認された。また、最表面層にフィラーを無添加としたものは、クリーニング不良やフィルミング、帯電ローラ汚れが顕著に認められ、耐摩耗性や耐傷性も低下していた。さらに、フィラーは含有されていても最表面層のバインダー樹脂に熱可塑性樹脂を用いた場合には、耐傷性や耐摩耗性が充分ではなく、クリーニング不良や帯電ローラ汚れに対してもランニング経時における抑制効果の持続性は満足されるものではなかった。加えて、像担持体表面に像担持体保護剤を塗布しない場合には、初期画像は問題ないものの、60万枚印刷後には傷や摩耗が激しく、画質も著しく低下していた。特に、ローラ帯電方式の方がその影響が大きく、像担持体表面は著しく劣化していた。
また、疎水性有機化合物(A)、無機微粒子(B)、無機潤滑剤(C)のうち無機微粒子(B)を添加しない場合、フィルミング、画像ボケ、帯電ローラ汚れが悪化する傾向が見られ、無機潤滑剤(C)を添加しない場合、クリーニング不良や帯電ローラ汚れが悪化する傾向が認められた。また、無機微粒子(B)と無機潤滑剤(C)を無添加とし、疎水性有機化合物(A)のみにした場合、60万枚印刷後にはフィルミング、帯電ローラ汚れ、画像ボケが認められ、明らかな画質劣化が観察された。
1 像担持体(感光体)
2 帯電手段
2a 帯電ローラ
3 露光手段(潜像形成器)
4 現像手段
5 転写手段
6 定着手段
7 転写紙(記録媒体)
8 クリーニング手段
8a クリーニングブレード
8b クリーニング押圧機構
9 除電手段
10 転写材搬送経路
20 像担持体保護剤供給手段
21 像担持体保護剤
22 保護剤供給用部材(ファーブラシ)
23 押圧力付与機構(加圧バネ)
24 保護剤被膜形成機構
24a ブレード
24b ブレード支持体
24c 被膜形成機構の付勢手段
31 金属シャフト
32 スペーサー(ギャップ形成部材)
33 帯電ローラ
34 画像形成領域
35 非画像形成領域
1C、1M、1Y、1K 像担持体
2C、2M、2Y、2K 帯電手段
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像手段
5C、5M、5Y、5K クリーニング手段
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
101 像担持体
102 帯電手段
103 像露光
104 現像手段
105 記録媒体
106 転写手段
107 クリーニング手段
111 転写搬送ベルト
112 給紙コロ
113 レジストローラ
1001 導電性支持体
1002 感光層
1003 保護層
1011 導電性支持体
1013 保護層
1015 電荷発生層
1016 電荷輸送層
1021 導電性支持体
1022 感光層
1023 保護層
1024 下引き層
1031 導電性支持体
1033 保護層
1034 下引き層
1035 電荷発生層
1036 電荷輸送層
昭56−48637号公報 特開2004−302452号公報 特開2005−99688号公報 特公昭60−9259号公報 特開昭53−92133号公報 特開平2−139566号公報 特開平2−150850号公報 特開2002−287567号公報 特開2007−79244号公報 特開2006−350240号公報 特開2009−186610号公報

Claims (22)

  1. 像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面にトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記像担持体表面に像担持体保護剤を塗布又は付着させる像担持体保護剤供給手段と、を少なくとも有する画像形成装置において、
    前記像担持体保護剤が、疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と、無機潤滑剤(C)と、を少なくとも含み、
    前記像担持体の最表面層が、硬化樹脂及びフィラーを少なくとも含有し、
    前記最表面層の表面形状が、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ、輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 疎水性有機化合物(A)が、脂肪酸金属塩である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 無機微粒子(B)が、金属酸化物である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 無機潤滑剤(C)が、二次元層構造体である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 硬化樹脂が、非電荷輸送性重合性化合物と電荷輸送性重合性化合物とを硬化させた樹脂である請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 非電荷輸送性重合性化合物は、官能基数が3以上であり、電荷輸送性重合性化合物は、官能基数が1である請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 電荷輸送性重合性化合物及び非電荷輸送性重合性化合物の少なくともいずれかの官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項5から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 電荷輸送性重合性化合物が、トリアリールアミン構造である請求項5から7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. フィラーの平均一次粒径が、0.1μm〜1.0μmである請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. フィラーが、アルミナである請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 像担持体保護剤が、固形化されてなり、像担持体保護剤供給手段が、像担持体表面及び前記像担持体保護剤に接触し、前記像担持体保護剤を間接的に像担持体表面に塗布又は付着させる請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 現像手段と像担持体保護剤供給手段とが一体化されており、像担持体保護剤が粉末化されてなり、かつ、前記像担持体保護剤が、トナーと混合されることによって、前記像担持体保護剤を像担持体表面に塗布又は付着させる請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 像担持体表面に塗布又は付着された像担持体保護剤を押圧し、前記像担持体表面に前記像担持体保護剤の皮膜を形成する請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 像担持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段をさらに有し、前記クリーニング手段が、ブレード形状を有し、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方式で当接されている請求項1から13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 帯電手段に用いられる帯電部材が、ローラ方式である請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. ローラ方式の帯電部材が、像担持体に対して近接配置されている請求項15に記載の画像形成装置。
  17. ローラ方式の帯電部材に交流成分を重畳した電圧を印加して、像担持体に帯電を施す請求項15から16のいずれかに記載の画像形成装置。
  18. 帯電手段に用いられる帯電部材が、像担持体に対して非接触のスコロトロン方式である請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段、及び像担持体保護剤供給手段を含む画像形成要素を複数配列したタンデム方式である請求項1から18のいずれかに記載の画像形成装置。
  20. ブラックのトナーを用いて現像を行う画像形成要素には、スコロトロン方式の帯電部材が用いられ、その他のカラーのトナーを用いて現像を行う画像形成要素には、ローラ方式の帯電部材が用いられる請求項19に記載の画像形成装置。
  21. 像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段、像担持体保護剤供給手段より選択される一つ以上の手段とが一体となり、請求項1から20のいずれかに記載の画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  22. 像担持体表面を帯電させる帯電工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に像担持体保護剤を塗布又は付着させる像担持体保護剤供給工程と、を少なくとも含む画像形成方法において、
    前記像担持体保護剤が、疎水性有機化合物(A)と、無機微粒子(B)と、無機潤滑剤(C)と、を少なくとも含み、
    前記像担持体の最表面層が、硬化樹脂及びフィラーを少なくとも含有し、
    前記最表面層の表面形状が、λc輪郭曲線フィルタ0.25mmで粗さ成分を遮断し、λf輪郭曲線フィルタ2.5mmでうねりより長い波長成分を遮断したうねり曲線から得られる算術平均うねりWaが、0.05μm〜0.3μmであり、かつ、輪郭曲線要素の平均長さWSmが、0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする画像形成方法。
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