JP2002040689A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2002040689A
JP2002040689A JP2000224240A JP2000224240A JP2002040689A JP 2002040689 A JP2002040689 A JP 2002040689A JP 2000224240 A JP2000224240 A JP 2000224240A JP 2000224240 A JP2000224240 A JP 2000224240A JP 2002040689 A JP2002040689 A JP 2002040689A
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Japan
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photosensitive layer
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Application number
JP2000224240A
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English (en)
Inventor
Eiichi Miyamoto
栄一 宮本
Yoshio Inagaki
義雄 稲垣
Hideaki Fukunaga
秀明 福永
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Kyocera Corp
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Corp
Kyocera Mita Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実使用環境下や長期の保管等によってクラッ
クや剥離を生じにくい、物理的な安定性に優れた無機の
表面保護層を有し、これまでよりも耐久性に優れた有機
の電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 有機感光層と、無機の表面保護層とをこ
の順に積層してなり、このうち有機感光層の、少なくと
も表面保護層に接する最表面部が、式(1): 【化1】 〔式中、R1〜R6はアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アラルキル基、またはハロゲン原子を示し、m、
n、p、qは0〜3の整数を示す。R3、R4は水素原子
またはアルキル基を示す。〕で表されるスチルベン誘導
体を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電式複写機、レーザープリンタ、普通
紙ファクシミリ装置などの画像形成装置に使用される電
子写真感光体としては、下記の各成分を組み合わせて形
成するいわゆる有機感光体が広く普及している。 ・光照射により電荷(正孔と電子)を発生する電荷発生
剤。 ・発生した電荷を輸送する電荷輸送剤(電荷輸送剤は、
電荷のうち正孔を輸送する正孔輸送剤と、電子を輸送す
る電子輸送剤に大別される)。 ・成膜性を有する結着樹脂。
【0003】有機感光体は、無機半導体材料を用いた無
機感光体に比べて製造が容易で、安価に製造できるとい
う利点がある。また有機感光体は、上記電荷発生剤、電
荷輸送剤、結着樹脂などの材料の選択肢が多様であり、
機能設計の自由度が大きいという利点もある。上記有機
感光体は、導電性基体上に、単層型もしくは積層型の感
光層を形成することで構成される。
【0004】このうち単層型感光層は、電荷発生剤を、
電荷輸送剤(正孔輸送剤および/または電子輸送剤)と
ともに結着樹脂中に分散することで形成される。また積
層型感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、電
荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)を含有する電
荷輸送層とを積層することで形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機感光体は、上記の
ように様々な利点を有するものの、実使用環境下での感
光層の削れ、傷などが発生しやすく、無機感光体に比べ
て耐久性が十分でないという問題がある。そこでこの問
題を解決して、有機感光体の耐久性を向上すべく、最表
層に表面保護層を積層することが検討されている。
【0006】表面保護層の、広く一般に採用されている
例としては、有機感光層との密着性、親和性、積層状態
での一体性、成膜作業の一貫性などを考慮して、例えば
成膜性を有する結着樹脂の層や、あるいは上記結着樹脂
中に、金属酸化物等の導電性微粒子を分散させた層など
の有機の層が挙げられる。しかしこの有機の層を表面保
護層として使用した電子写真感光体は、繰り返し使用時
の残留電位上昇や帯電性低下、環境(温度、湿度等)の
変化による感度特性の変動等が大きいという問題があ
る。
【0007】それゆえ近時、金属元素や炭素、あるいは
これら元素を含む無機の化合物等の、無機の材料からな
る、高硬度でかつ耐磨耗性に優れた無機の層を表面保護
層として、例えばスパッタリング法、プラズマCVD
法、光CVD法等の気相成長法などによって、有機感光
層上に積層、成膜することが検討されている。しかしな
がら無機の表面保護層は、有機の層に比べて有機感光層
との間で十分な密着性を得ることが難しい上、たとえ成
膜方法や成膜条件の調整等によって成膜初期の密着性を
確保できたとしても、実使用環境下や、あるいは長期の
保管時等に感光体に加わる様々なストレスによってクラ
ックが入ったり剥離したりしやすいという問題がある。
【0008】すなわち、互いに異質の材料からなる有機
感光層と無機の表面保護層とは、有機の層同士、あるい
は無機の層同士のような緊密な密着性、親和性、一体性
が得られず、非常に弱い結合力でもって互いに結合され
ているだけであることが多い。このため感光体が、例え
ば画像形成装置のクリーニングブレードの圧接等による
機械的ストレスや、あるいは装置運転時の加熱と停止時
の冷却の繰り返し、もしくは保管時の温度変化等による
熱的ストレスなどを受けると、互いの硬度や柔軟性、膨
張収縮特性等が大きく異なることが原因となって、前記
のように無機の表面保護層にクラックが入ったり、表面
保護層が有機感光層から剥離したりするのである。
【0009】それゆえ従来の無機の表面保護層は、有機
感光層の耐久性を向上する効果が未だ十分でないため、
実用化されるに至っていないのが現状である。本発明の
目的は、実使用環境下や長期の保管等によってクラック
や剥離を生じにくい、物理的な安定性に優れた無機の表
面保護層を有し、これまでよりも耐久性に優れた有機の
電子写真感光体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するために、発明者らは、無機の表面保護層の
成膜過程について分析、検討を行った。その結果、有機
感光層の最表面部における、表面保護層の成膜初期の状
態が、当該表面保護層の、その後の物理的な安定性に大
きく影響することを見出した。すなわち成膜初期の段階
では、表面保護層を構成する無機材料と、有機感光層の
最表面部に露出した材料の一部とが何らかの形で結合し
て膜成長の核となり、この核を中心として無機材料の膜
が成長して表面保護層が形成され、また形成された表面
保護層においては、上記核の部分が、有機感光層との結
合点として機能して、両層間の密着性を確保する働きを
する。
【0011】このため個々の結合点での、有機感光層と
無機材料との結合力の大小、並びに有機感光層と表面保
護層との界面における、結合点の、単位面積あたりの個
数、すなわち密度の高低が、表面保護層の、有機感光層
との密着性、ひいては表面保護層の物理的安定性に大き
く影響する。具体的には、個々の結合点での、有機感光
層と無機材料との結合力が大きく、また両層の界面にお
ける上記結合点の密度が高いほど、表面保護層の、有機
感光層に対する密着性が向上して、その物理的安定性が
良好になる。
【0012】通常の有機感光層は、前記のように電荷発
生剤、電荷輸送剤等の低分子の機能性材料を、層を構成
する結着樹脂中に分散した構造を有している。このた
め、上記結合点に関する知見に鑑みれば、層自体を構成
し、しかも層の大半を占める結着樹脂が、膜成長の核と
して、表面保護層を構成する無機材料と結合するのが理
想的であると考えられる。しかし実際には、分子自体の
安定性や反応性、あるいは反応部位の関係から、電荷発
生剤、電荷輸送剤等の、層中に分散した低分子の材料の
うち、有機感光層の最表面部に露出したものが膜成長の
核として機能して、表面保護層の成膜が進行することが
多い。
【0013】それゆえ上記低分子の材料の、無機材料と
の反応性の良否、および結合力の大小や、有機感光層を
構成する結着樹脂に対する相溶性、親和性の強弱、ある
いは材料自体の大きさ(分子量だけでなく、分子的、空
間的な広がりも含めた大きさ)なども、表面保護層の、
有機感光層との密着性、並びに物理的安定性に大きく影
響する。つまり低分子の材料の、無機材料との反応性が
良好で、かつ結合力が大きいほど、表面保護層の、有機
感光層との密着性、並びに物理的安定性が向上する。
【0014】また低分子の材料の、有機感光層を構成す
る結着樹脂に対する相溶性、親和性が良好で、かつ材料
自体の大きさが大きいほど、いわゆるアンカー効果(投
錨効果)によって、やはり表面保護層の、有機感光層と
の密着性、物理的安定性が向上する。また上記低分子の
材料と無機材料との結合形態としては、結合力の強弱を
考慮すると分子結合が最も好ましいが、この結合によっ
て分子構造が変化する結果、電荷のトラップが生成され
るようなことがあると、感光体の感度低下を引き起こす
おそれがある。
【0015】したがって低分子の材料は、反応によって
電気的な特性を低下させる分子状態に移行しないことも
重要である。そこで発明者らは、これらの知見を考慮し
つつ、有機感光層を構成する種々の材料について検討を
行った結果、正孔輸送剤として用いられる、式(1):
【0016】
【化2】
【0017】〔式中、R1、R2、R5およびR6は、同一
または異なってアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アラルキル基、またはハロゲン原子を示し、m、
n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示
す。R3およびR4は、同一または異なって水素原子また
はアルキル基を示す。〕で表されるスチルベン誘導体
が、これらの要求を満足する好適な材料であることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち本発明の電子写真感光体は、導電
性基体上に、有機感光層と、無機の表面保護層とをこの
順に積層したものであって、上記有機感光層の、少なく
とも表面保護層に接する最表面部が、上記式(1)で表さ
れるスチルベン誘導体を含有することを特徴としてい
る。上記式(1)で表されるスチルベン誘導体は、その分
子全体にπ電子共役系が広がっており、成膜初期の段階
で、表面保護層を構成する無機材料のうちとくに金属元
素や炭素等を引きつける機能を有しており、無機材料と
の反応性が高い。
【0019】また上記の機能により、有機感光層の最表
面部に露出したスチルベン誘導体が無機材料と結合して
膜成長の核となる率が高いため、両層の界面における結
合点の密度が高い。また膜成長の速度も速いため、有機
感光層が、気相成長法などによる表面保護層の成膜時に
受けるダメージを極力減らすこともできる。また上記ス
チルベン誘導体は、分子中の二重結合、特に分子中心の
ベンゼン環の両側に位置するエチレン結合のうちπ結合
が切れて、上記金属元素や炭素等と、分子結合によって
強固に結合される。
【0020】しかもスチルベン誘導体は、正孔輸送剤の
中では比較的分子量が大きい上、7個のベンゼン環が平
面状に拡がった分子構造を有しており、分子的、空間的
な広がりも大きく、しかも結着樹脂との相溶性、親和性
にも優れているため、結着樹脂に対して良好なアンカー
効果を示す。それゆえ有機感光層と無機材料との結合力
も大きい。したがって本発明によれば、無機の表面保護
層の、有機感光層に対する密着性を向上して、当該表面
保護層の物理的安定性を改善できるため、実使用環境下
や長期の保管等によるクラックや剥離の発生を防止し
て、これまでよりも耐久性に優れた電子写真感光体を得
ることが可能となる。
【0021】またスチルベン誘導体は、それ自体の正孔
輸送能が高い上、前記のように金属元素や炭素等と分子
結合して分子構造が変化した状態でも、深い電荷のトラ
ップを生成することがなく、しかも上記の結合は有機感
光層の最表面部に露出したごく一部のスチルベン誘導体
のみで発生し、有機感光層内部の大多数のスチルベン誘
導体は、元の、正孔輸送能に優れた状態を維持している
ため、感光体の感度低下を引き起こすおそれもない。
【0022】このため上記スチルベン誘導体が、前記の
ように結着樹脂との相溶性に優れており、有機感光層中
に、凝集等を生じることなく均一に、しかも多量に分散
できることと相まって、本発明の電子写真感光体は、感
度特性にも優れたものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。 〈スチルベン誘導体〉本発明の電子写真感光体におい
て、有機感光層の、少なくとも表面保護層に接する最表
面部に含有されるスチルベン誘導体は、前記のように式
(1):
【0024】
【化3】
【0025】〔式中、R1、R2、R5およびR6は、同一
または異なってアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アラルキル基、またはハロゲン原子を示し、m、
n、pおよびqは同一または異なって0〜3の整数を示
す。R3およびR4は、同一または異なって水素原子また
はアルキル基を示す。〕で表されるものである。上記式
(1)のスチルベン誘導体は、中心のベンゼン環に対し
て、両側の2つのエチレン結合がオルソ位(o−)、メ
タ位(m−)およびパラ位(p−)に置換した3種の化
合物に分類されるが、本発明ではこのいずれを使用する
こともできる。
【0026】式中の基R1〜R6に相当するアルキル基と
しては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t
ert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの、炭素数1
〜6のアルキル基が挙げられる。また基R1、R2、R5
およびR6に相当するアルコキシ基としては、例えばメ
トキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、
n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、te
rt−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなど
の、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
【0027】アリール基としては、例えばフェニル、ト
リル、キシリル、ビフェニリル、o−テルフェニル、ナ
フチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられ
る。アラルキル基としては、例えばベンジル、ベンズヒ
ドリル、トリチル、フェネチルなどが挙げられる。さら
にハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
などが挙げられる。
【0028】かかるスチルベン誘導体の具体例として
は、これに限定されないが例えば下記式(1-1)〜(1-31)
で表される化合物等が挙げられる。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】上記スチルベン誘導体は、それぞれ1種単
独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。 〈有機感光層〉有機感光層には、前述したように単層型
感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には、このい
ずれのものも適用可能である。このうち単層型感光層
は、正孔輸送剤としての、前記式(1)で表されるスチル
ベン誘導体と、電荷発生剤とを、結着樹脂とともに適当
な有機溶媒に溶解または分散した塗工液を、塗布などの
手段によって導電性基材上に塗布し、乾燥させることで
形成される。
【0041】かかる単層型感光層は、層構成が簡単で生
産性に優れている。また単層型感光層には、さらに電子
輸送剤を含有させても良く、両極性の電荷輸送剤を併用
した感光層は、単独の構成で正負いずれの帯電にも対応
できるという利点がある。一方、積層型感光層は、まず
導電性基体上に、塗布または蒸着などの手段によって、
電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、ついでこの
電荷発生層上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗工液
を、塗布などの手段によって塗布し、乾燥させて電荷輸
送層を形成するか、もしくは上記と逆に、導電性基体上
に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成する
ことで構成される。
【0042】また上記のうち電荷発生層には、電荷輸送
層と逆極性の電荷輸送剤を含有させることができる。積
層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸送層の形成順序
と、両層に含有させる電荷輸送剤の極性によって種々の
組み合わせが考えられるが、本発明においては、上記の
うち表面保護層と接する最表面部に位置する上側の層
が、正孔輸送剤として機能する、式(1)のスチルベン誘
導体を含有している必要がある。
【0043】したがって積層型感光層の具体例として
は、(a) 導電性基体上に、電荷発生剤と、必要に応じて
電子輸送剤とを含有する電荷発生層を形成し、その上
に、正孔輸送剤としての式(1)のスチルベン誘導体を含
有する電荷輸送層を積層した負帯電型の積層型感光層、
(b) 導電性基体上に、電子輸送剤を含有する電荷輸送層
を形成し、その上に、電荷発生剤と、正孔輸送剤として
の式(1)のスチルベン誘導体とを含有する電荷発生層を
積層した負帯電型の積層型感光層の2種が挙げられる。
【0044】但し電荷発生層は、電荷輸送層に比べて膜
厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上
に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した
上記(a)の構成がさらに好ましい。上記単層型もしくは
積層型感光層に使用される電荷発生剤としては、例えば
セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウ
ム、α−シリコンなどの無機光導電材料の粉末、式(CG-
1):
【0045】
【化15】
【0046】で表される無金属フタロシアニン、式(CG-
2):
【0047】
【化16】
【0048】で表されるチタニルフタロシアニン等のフ
タロシアニン化合物の、種々の結晶型を有する結晶から
なるフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔
料、ペリレン系顔料、アンサンスロン系顔料、インジゴ
系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、ト
ルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔
料、ジチオケトピロロピロール系顔料などの、従来公知
の種々の顔料が挙げられる。
【0049】電荷発生剤は、感光層が所望の波長域に感
度を有するように、それぞれ1種単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて使用することができる。特に半導体
レーザー等の赤外光を利用した、レーザービームプリン
タや普通紙ファクシミリ装置等のデジタル光学系の画像
形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有す
る感光体が必要となるため、電荷発生剤として、前記例
示のうちフタロシアニン系顔料が好適に使用される。
【0050】また電子輸送剤としては、従来公知の種々
の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベ
ンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフト
キノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合
物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチ
オキサントン、フルオレノン系化合物〔例えば2,4,
7−トリニトロ−9−フルオレノンなど〕、ジニトロベ
ンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、
ニトロアントラキノン、無水こはく酸、無水マレイン
酸、ジブロモ無水マレイン酸、2,4,7−トリニトロ
フルオレノンイミン系化合物、エチル化ニトロフルオレ
ノンイミン系化合物、トリプトアントリン系化合物、ト
リプトアントリンイミン系化合物、アザフルオレノン系
化合物、ジニトロピリドキナゾリン系化合物、チオキサ
ンテン系化合物、2−フェニル−1,4−ベンゾキノン
系化合物、2−フェニル−1,4−ナフトキノン系化合
物、5,12−ナフタセンキノン系化合物、α−シアノ
スチルベン系化合物、4′−ニトロスチルベン系化合
物、ならびに、ベンゾキノン系化合物の陰イオンラジカ
ルとカチオンとの塩などの電子吸引性化合物が好適に使
用される。
【0051】これらはそれぞれ単独で使用される他、2
種以上を併用することもできる。本発明においては、正
孔輸送剤である前記式(1)のスチルベン誘導体ととも
に、他の正孔輸送剤を併用しても良い。当該他の正孔輸
送剤としては、従来公知の種々の正孔輸送性化合物がい
ずれも使用可能である。特にベンジジン系化合物、フェ
ニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合
物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾ
ール系化合物〔例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフ
ェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど〕、スチ
リル系化合物〔例えば9−(4−ジエチルアミノスチリ
ル)アントラセンなど〕、カルバゾール系化合物〔例え
ば式(HT-1):
【0052】
【化17】
【0053】で表される繰り返し単位を有するポリ−N
−ビニルカルバゾールなど〕、式(HT-2):
【0054】
【化18】
【0055】〔式中、Ra、Rbは同一または異なって、
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラル
キル基を示す。〕で表される繰り返し単位を有する有機
ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物〔例えば1−フ
ェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリ
ンなど〕、ヒドラゾン系化合物〔例えば式(HT-3):
【0056】
【化19】
【0057】で表されるジエチルアミノベンズアルデヒ
ドジフェニルヒドラゾンなど〕、トリフェニルアミン系
化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、
イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チア
ジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾー
ル系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合
物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合
物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒ
ドラゾン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、
およびジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用
される。
【0058】これらはそれぞれ単独で使用される他、2
種以上を併用することもできる。結着樹脂としては、例
えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−ア
クリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
エステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホ
ン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂その他架橋性の熱硬化性樹脂、
さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリレー
トなどの光硬化性樹脂などがあげられる。
【0059】これらはそれぞれ単独で使用できるほか、
2種以上を併用することもできる。また、前記例示の正
孔輸送剤うち、ポリ−N−ビニルカルバゾールや有機ポ
リシラン化合物等の高分子の正孔輸送剤を、式(1)のス
チルベン誘導体と併用する場合は、当該化合物を結着樹
脂としても機能させて、上記例示の通常の結着樹脂を省
略することもできる。感光層には、上記各成分の他に、
例えばフルオレン系化合物、紫外線吸収剤、可塑剤、界
面活性剤、レベリング剤などの種々の添加剤を添加する
こともできる。また感光体の感度を向上させるために、
例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチ
レンなどの増感剤を添加してもよい。
【0060】単層型感光層においては、結着樹脂100
重量部に対して、電荷発生剤を0.1〜50重量部、特
に0.5〜30重量部の割合で、また正孔輸送剤を5〜
500重量部、特に25〜200重量部の割合で、それ
ぞれ含有させるのが好ましい。このうち正孔輸送剤の含
有割合は、式(1)のスチルベン誘導体を単独で用いる場
合は、当該スチルベン誘導体の含有割合であり、スチル
ベン誘導体と他の正孔輸送剤とを併用する場合は、両者
の合計の含有割合である。
【0061】またスチルベン誘導体と他の正孔輸送剤と
を併用する場合、当該他の正孔輸送剤は、前述したスチ
ルベン誘導体の効果を妨げない範囲で少量、含有させる
のが好ましい。具体的には他の正孔輸送剤を、スチルベ
ン誘導体100重量部に対して30重量部以下の割合で
配合するのが好ましい。また電子輸送剤を併用する場合
は、結着樹脂100重量部に対して、当該電子輸送剤を
5〜100重量部、特に10〜80重量部の割合で含有
させるのが好ましい。またこの際、正孔輸送剤と電子輸
送剤との総量は、結着樹脂100重量部に対して20〜
500重量部、特に30〜200重量部が好ましい。
【0062】単層型感光層の厚みは5〜100μm、特
に10〜50μm程度が好ましい。積層型感光層のうち
電荷発生層は、電荷発生剤単独で形成される場合と、結
着樹脂中に、電荷発生剤と、前記のように必要に応じて
電子輸送剤とを分散させて形成される場合とがあり、こ
のうち後者の構成では、結着樹脂100重量部に対し
て、電荷発生剤を5〜1000重量部、特に30〜50
0重量部の割合で、また電子輸送剤を1〜200重量
部、特に5〜100重量部の割合で、それぞれ含有させ
るのが好ましい。
【0063】また電荷輸送層においては、結着樹脂10
0重量部に対して、正孔輸送剤を10〜500重量部、
特に25〜200重量部の割合で含有させるのが好まし
い。正孔輸送剤の含有割合は、先の、単層型感光層の場
合と同様に、式(1)のスチルベン誘導体を単独で用いる
場合は、当該スチルベン誘導体の含有割合であり、スチ
ルベン誘導体と他の正孔輸送剤とを併用する場合は、両
者の合計の含有割合である。
【0064】またスチルベン誘導体と他の正孔輸送剤と
を併用する場合、当該他の正孔輸送剤は、前述したスチ
ルベン誘導体の効果を妨げない範囲で少量、含有させる
のが好ましい。具体的には他の正孔輸送剤を、スチルベ
ン誘導体100重量部に対して30重量部以下の割合で
配合するのが好ましい。積層型感光層の厚みは、電荷発
生層が0.01〜5μm、特に0.1〜3μm程度、電
荷輸送層が2〜100μm、特に5〜50μm程度が好
ましい。
【0065】上記単層型、または積層型の有機感光層と
導電性基体との間や、あるいは積層型感光層を構成する
電荷発生層と電荷輸送層との間には、感光体の特性を阻
害しない範囲で中間層、バリア層を形成しても良い。感
光体を構成する各層を、塗布の方法により形成する場合
には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂な
どを、前述したテトラヒドロフランなどの有機溶媒とと
もに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、
アトライタ、ペイントシェーカーあるいは超音波分散器
などを用いて分散混合して塗工液を調整し、これを公知
の手段により塗布、乾燥すればよい。
【0066】塗工液を作るための有機溶媒としては、例
えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノールなどのアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、
シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなど
のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホ
ルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシドなどの1種または2種以上があげられる。
【0067】さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするため、塗工液には界
面活性剤、レベリング剤などを添加してもよい。 〈表面保護層〉上記有機感光層の上に積層、形成される
無機の表面保護層としては金属元素〔長周期型周期表の
うちホウ素(B)とアスタチン(At)とを結ぶ線より
左側にある元素〕、および炭素からなる群より選ばれた
少なくとも1種の元素、またはこれらの元素を含む無機
の化合物からなる、従来公知の種々の表面保護層が挙げ
られる。
【0068】かかる表面保護層は、例えばプラズマCV
D法、光CVD法等の化学蒸着法、スパッタリング法、
真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法な
ど、従来公知の種々の気相成長法によって形成すること
ができる。このうちプラズマCVD法等の化学蒸着法で
は、(1) 14族元素のうち炭素(C)および/または
ケイ素(Si)からなる膜、すなわち炭素(C)の膜、
ケイ素(Si)の膜、またはケイ素−炭素(SiC)複
合膜、(2) 上記炭素(C)および/またはケイ素(S
i)と、13族元素のうちホウ素(B)、アルミニウム
(Al)、15族元素のうち窒素(N)、リン(P)、
16族元素のうち酸素(O)、イオウ(S)、17族元
素のうちフッ素(F)、塩素(Cl)、および臭素(B
r)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素との
化合物からなる膜、例えばケイ素−窒素(SiN)複合
膜、ケイ素−酸素(SiO)複合膜、炭素−フッ素(C
F)複合膜、炭素−窒素(CN)複合膜、炭素−ホウ素
(CB)複合膜、炭素−酸素(CO)複合膜等、(3)
13族元素のうちホウ素(B)および/またはアルミニ
ウム(Al)と、上述した窒素(N)、リン(P)、酸
素(O)、イオウ(S)、フッ素(F)、塩素(C
l)、および臭素(Br)からなる群より選ばれら少な
くとも1種の元素との化合物からなる膜、例えばホウ素
−窒素(BN)複合膜、アルミニウム−窒素(AlN)
複合膜等、が形成される。
【0069】またこれらの膜には、表面保護層の電気的
特性を向上するために、微量の水素(H)を含有させる
こともできる。化学蒸着法において、表面保護層の構成
元素を導入するために使用できる原料ガスとしては、各
構成元素の分子、酸化物、水素化物、窒化物、ハロゲン
化物等の、常温常圧下でガス状を呈するか、もしくは成
膜条件下で容易にガス化しうる化合物があげられる。ま
た必要に応じてこれらの化合物を、水素ガス(H2)、
ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス等のガスによ
って希釈しても良い。
【0070】原料ガスの具体例としては、例えばケイ素
導入用としてシランガス(SiH4)、ジシランガス(S
26)、炭素導入用としてメタンガス(CH4)、エ
タンガス(C26)、プロパンガス(C38)、エチレ
ンガス(C24)、フッ素導入用としてフッ素ガス(F
2)、一フッ化臭素ガス(BrF)、二フッ化塩素ガス
(ClF2)、四フッ化炭素ガス(CF4)、四フッ化ケ
イ素ガス(SiF4)、窒素導入用として窒素ガス
(N2)、アンモニアガス(NH3)、窒素酸化物ガス
(NOX)、ホウ素導入用として水素化ホウ素ガス〔ジ
ボランガス(B26)、テトラボランガス(B410
等〕などがそれぞれ挙げられる。
【0071】その他の構成元素についても同様であっ
て、常温常圧下でガス状を呈するか、もしくは膜形成条
件下で容易にガス化しうる化合物があげられる。また物
理蒸着法、特にスパッタリング法やイオンプレーティン
グ法では、前記各膜に加えて、例えば13族であればガ
リウム(Ga)、インジウム(In)等、14族であれ
ばゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、
15族であればヒ素(As)、アンチモン(Sb)等、
16族であればセレン(Se)等を含む各種金属元素の
1種または2種以上からなる膜や、あるいは上記金属元
素を含む無機の化合物からなる膜を形成することができ
る。
【0072】このうち無機の表面保護層として好適な膜
としては、例えば炭素(C)の膜やケイ素−炭素(Si
C)複合膜などが挙げられる。無機の表面保護層の厚み
は0.01〜30μm、特に0.1〜10μm程度が好
ましい。表面保護層を形成する無機の膜は非晶質、マイ
クロクリスタル、および結晶のいずれの形態の膜であっ
ても良く、非晶質と結晶とが混在した膜であっても良
い。
【0073】〈導電性基体〉上記各層が形成される導電
性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用する
ことができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白
金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウ
ム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステ
ンレス鋼、真鍮などの金属にて形成された導電性基体
や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチッ
ク材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸
化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基
体などが例示される。
【0074】要するに基体自体が導電性を有するか、あ
るいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、
導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有す
るものが好ましい。導電性基体の形状は使用する画像形
成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状などのい
ずれであってもよい。
【0075】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。 実施例1 〈単層型感光層の形成〉電荷発生剤としての、前記式(C
G-1)で表されるX型無金属フタロシアニン結晶5重量部
と、正孔輸送剤としての、前記式(1-2)で表されるスチ
ルベン誘導体100重量部と、結着樹脂としてのZ型ポ
リカーボネート(重量平均分子量20000)100重
量部とを、テトラヒドロフラン800重量部とともにボ
ールミルを用いて50時間、混合、分散させて単層型感
光層用の塗工液を作製した。
【0076】次いでこの塗工液を、導電性基材であるア
ルミニウム素管上に、ディップコート法によって塗布
し、100℃で30分間、熱風乾燥させて、膜厚25μ
mの単層型感光層を形成した。 〈表面保護層の形成〉上記のようにして単層型感光層が
形成されたアルミニウム素管をプラズマCVD装置のチ
ャンバ内にセットしたのち、到達真空度0.67Paま
で真空引きするとともに、装置のヒータを使用して素管
の温度を50℃に調整した。
【0077】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、シランガス(SiH4)および水素ガス(H2
を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47h
Paに調整した。 メタンガス:208SCCM シランガス:2.5SCCM 水素ガス:300SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力133Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.2μm/hrの成膜速度で、非晶質のケイ
素−炭素(SiC)複合膜からなる、厚み0.5μmの
表面保護層を成膜して、実施例1の電子写真感光体を製
造した。
【0078】上記表面保護層の動的押し込み硬さは36
45.6MPaであった。 実施例2〜12 正孔輸送剤として、それぞれ表1に示す式番号のスチル
ベン誘導体100重量部を使用したこと以外は実施例1
と同様にして、実施例2〜12の電子写真感光体を製造
した。 比較例1 正孔輸送剤としてのスチルベン誘導体100重量部と、
結着樹脂としてのZ型ポリカーボネート100重量部に
代えて、正孔輸送剤と結着樹脂とを兼ねる、前記式(HT-
1)で表される繰り返し単位を有するポリビニルカルバゾ
ール(数平均分子量Mn=9500)200重量部を使
用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電
子写真感光体を製造した。
【0079】比較例2 正孔輸送剤として、前記式(HT-3)で表されるジエチルア
ミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン100重量
部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例
2の電子写真感光体を製造した。 感度特性試験(1) 上記各実施例、比較例の電子写真感光体を、ジェンテッ
ク社製のドラム感度試験機を用いて、+800±20V
に帯電させた状態で、表面電位Vo(V)を測定した。
【0080】次いで試験機の露光光源であるハロゲンラ
ンプの白色光から、バンドパスフィルタを用いて波長7
80nm、半値幅20nmに単色化した光強度10μW
/cm2の単色光を、上記電子写真感光体の表面に1.
0秒間、照射した際に、上記表面電位Vo(V)が1/
2になるのに要した時間を測定して、半減露光量E1/2
(μJ/cm2)を求めた。また露光開始から0.5
秒、経過した時点での表面電位を、残留電位Vr(V)
として測定した。
【0081】耐久性試験(1) 各実施例、比較例の電子写真感光体を静電式複写機〔京
セラミタ(株)製の商品名Creage7350〕に搭載
して連続10万枚の複写を行い、途中1万枚、2万枚、
5万枚の複写後と、10万枚の複写後にそれぞれ表面保
護層を目視にて観察して、下記の基準で、電子写真感光
体の耐久性を評価した。 ○:表面保護層に、クラックや剥離などは全く見られ
ず、感光体の耐久性は良好であった。
【0082】△:表面保護層は剥離していなかったが、
その全面にクラックが入っており、感光体の耐久性はや
や不良であった。 ×:表面保護層が剥離しており、感光体の耐久性は不良
であった。 以上の結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】表より、スチルベン誘導体に代えてポリビ
ニルカルバゾールを使用した比較例1の感光体、および
ジエチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン
を使用した比較例2の感光体はいずれも、連続2万枚の
複写後に、表面保護層が剥離しているのが確認され、こ
のことからこれらの化合物では、無機の表面保護層の物
理的な安定性を向上する効果が得られないことが判っ
た。また両比較例の感光体はいずれも、露光後の残留電
位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、表面保護
層を形成した際に大きく感度低下することも判明した。
【0085】これに対し、実施例1〜12の感光体はい
ずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラッ
クや剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。また上記各
実施例の感光体はいずれも、露光後の残留電位が低く、
かつ半減露光量が小さいことから、表面保護層を形成し
た際に大きく感度低下せず、良好な感度を有することも
確認された。
【0086】実施例13〜24、比較例3、4 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質の炭素(C)からなる厚
み0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
1〜12、比較例1、2と同様にして、それぞれ実施例
13〜24、比較例3、4の電子写真感光体を製造し
た。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0087】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)と水素ガス(H2)とを、それぞれ下記の流量で供
給して真空度を0.47hPaに調整した。 メタンガス:300SCCM 水素ガス:300SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力200Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.15μm/hrの成膜速度で、非晶質の炭
素(C)からなり、前記厚みを有する表面保護層を成膜
した。
【0088】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(1)、および耐久性試
験(1)を行って、その特性を評価した。結果を表2に示
す。
【0089】
【表2】
【0090】表より、表面保護層の種類を違えても、下
地である単層型感光層の構成に基づいて、前記と同じ結
果が得られることが確認された。すなわちスチルベン誘
導体に代えてポリビニルカルバゾールを使用した比較例
3の感光体、およびジエチルアミノベンズアルデヒドジ
フェニルヒドラゾンを使用した比較例4の感光体はいず
れも、連続2万枚の複写後に、表面保護層が剥離してい
るのが確認された。また特に比較例4の感光体は、連続
1万枚の複写後に既に、表面保護層の全体にクラックが
入っているのが確認された。そしてこのことから、これ
らの化合物では、無機の表面保護層の物理的な安定性を
向上する効果が得られないことが判った。
【0091】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。これに対し、実施例13〜24の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。
【0092】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 実施例25、26、比較例5 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質のケイ素−窒素(Si
N)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜
したこと以外は実施例4、5、比較例2と同様にして、
それぞれ実施例25、26、比較例5の電子写真感光体
を製造した。
【0093】〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成
されたアルミニウム素管をプラズマCVD装置のチャン
バ内にセットしたのち、到達真空度0.67Paまで真
空引きするとともに、装置のヒータを使用して素管の温
度を50℃に調整した。次いでチャンバ内に、シランガ
ス(SiH4)、窒素ガス(N2)および水素ガス
(H2)を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を
0.47hPaに調整した。
【0094】シランガス:15SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:75SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.75μm/hrの成膜速度で、ケイ素−窒
素(SiN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保
護層を成膜した。
【0095】実施例27、28、比較例6 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質の炭素−窒素(CN)複
合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜したこ
と以外は実施例4、5、比較例2と同様にして、それぞ
れ実施例27、28、比較例6の電子写真感光体を製造
した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0096】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を、そ
れぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47hPaに
調整した。 メタンガス:100SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−窒素
(CN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護層
を成膜した。
【0097】実施例29、30、比較例7 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質の炭素−ホウ素(CB)
複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜した
こと以外は実施例4、5、比較例2と同様にして、それ
ぞれ実施例29、30、比較例7の電子写真感光体を製
造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0098】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、ジボランガス(B26)および水素ガス(H2
を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47h
Paに調整した。 メタンガス:100SCCM ジボランガス:200SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−ホウ
素(CB)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。
【0099】実施例31、32、比較例8 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質の炭素−フッ素(CF)
複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜した
こと以外は実施例4、5、比較例2と同様にして、それ
ぞれ実施例31、32、比較例8の電子写真感光体を製
造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0100】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、四フッ化炭素ガス(CF4)および水素ガス(H
2)を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.4
7hPaに調整した。 メタンガス:100SCCM 四フッ化炭素ガス:100SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−フッ
素(CF)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。
【0101】実施例33、34、比較例9 単層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、下記の工程により、非晶質のホウ素−窒素(BN)
複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜した
こと以外は実施例4、5、比較例2と同様にして、それ
ぞれ実施例33、34、比較例9の電子写真感光体を製
造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0102】次いでチャンバ内に、ジボランガス(B2
6)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を、そ
れぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47hPaに
調整した。 ジボランガス:200SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:150SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.08μm/hrの成膜速度で、ホウ素−窒
素(BN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。
【0103】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(1)、および耐久性試
験(1)を行って、その特性を評価した。結果を表3に示
す。
【0104】
【表3】
【0105】表より、表面保護層の種類をさらに違えて
も、下地である単層型感光層の構成に基づいて、前記と
同じ結果が得られることが確認された。すなわちスチル
ベン誘導体に代えてジエチルアミノベンズアルデヒドジ
フェニルヒドラゾンを使用した比較例5〜9の感光体は
いずれも、連続2万枚の複写後に、表面保護層が剥離し
ているのが確認された。また特に比較例7、8の感光体
は、連続1万枚の複写後に既に、表面保護層の全体にク
ラックが入っているのが確認された。そしてこのことか
ら、上記化合物では、無機の表面保護層の物理的な安定
性を向上する効果が得られないことが判った。
【0106】また各比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。これに対し、実施例25〜34の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。
【0107】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 実施例35 〈積層型感光層の形成〉電荷発生剤としての、前記式(C
G-1)で表されるX型無金属フタロシアニン結晶2.5重
量部と、結着樹脂としてのポリビニルブチラール1重量
部とを、テトラヒドロフラン15重量部とともにボール
ミルを用いて混合、分散させて、積層型感光層のうち電
荷発生層用の塗工液を作製した。
【0108】次いでこの塗工液を、導電性基材であるア
ルミニウム素管上に、ディップコート法によって塗布
し、110℃で30分間、熱風乾燥させて、膜厚0.5
μmの電荷発生層を形成した。次に、正孔輸送剤として
の、前記式(1-2)で表されるスチルベン誘導体1重量部
と、結着樹脂としてのZ型ポリカーボネート(重量平均
分子量20000)1重量部とを、テトラヒドロフラン
10重量部とともにボールミルを用いて混合、分散させ
て、積層型感光層のうち電荷輸送層用の塗工液を作製し
た。
【0109】そしてこの塗工液を、上記電荷発生層上
に、ディップコート法によって塗布し、110℃で30
分間、熱風乾燥させて、膜厚20μmの電荷輸送層を形
成して、負帯電型の積層型感光層を形成した。 〈表面保護層の形成〉上記のようにして形成した積層型
感光層上に、前記実施例1と同条件で、プラズマCVD
法により、非晶質のケイ素−炭素(SiC)複合膜から
なる、厚み0.5μmの表面保護層を成膜して、実施例
25の電子写真感光体を製造した。
【0110】実施例36〜46 正孔輸送剤として、それぞれ表4に示す式番号のスチル
ベン誘導体1重量部を使用したこと以外は実施例35と
同様にして、実施例36〜46の電子写真感光体を製造
した。 比較例10 正孔輸送剤としてのスチルベン誘導体1重量部と、結着
樹脂としてのZ型ポリカーボネート1重量部に代えて、
前記式(HT-1)で表される繰り返し単位を有するポリビニ
ルカルバゾール(数平均分子量Mn=9500)2重量
部を使用したこと以外は実施例35と同様にして、比較
例10の電子写真感光体を製造した。
【0111】比較例11 正孔輸送剤として、前記式(HT-3)で表されるジエチルア
ミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン1重量部を
使用したこと以外は実施例35と同様にして、比較例1
1の電子写真感光体を製造した。 感度特性試験(2) 上記各実施例、比較例の電子写真感光体を、ジェンテッ
ク社製のドラム感度試験機を用いて、−800±20V
に帯電させた状態で、表面電位Vo(V)を測定した。
【0112】次いで試験機の露光光源であるハロゲンラ
ンプの白色光から、バンドパスフィルタを用いて波長7
80nm、半値幅20nmに単色化した光強度10μW
/cm2の単色光を、上記電子写真感光体の表面に1.
0秒間、照射した際に、上記表面電位Vo(V)が1/
2になるのに要した時間を測定して、半減露光量E1/2
(μJ/cm2)を求めた。また露光開始から0.5
秒、経過した時点での表面電位を、残留電位Vr(V)
として測定した。
【0113】耐久性試験(2) 各実施例、比較例の電子写真感光体を静電式複写機〔京
セラミタ(株)製の商品名Vi7360〕に搭載して連続
10万枚の複写を行い、途中1万枚、2万枚、5万枚の
複写後と、10万枚の複写後にそれぞれ表面保護層を目
視にて観察して、下記の基準で、電子写真感光体の耐久
性を評価した。 ○:表面保護層に、クラックや剥離などは全く見られ
ず、感光体の耐久性は良好であった。
【0114】△:表面保護層は剥離していなかったが、
その全面にクラックが入っており、感光体の耐久性はや
や不良であった。 ×:表面保護層が剥離しており、感光体の耐久性は不良
であった。 以上の結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】表より、単層型感光層を積層型感光層に代
えても、その最表面部である電荷輸送層の構成に基づい
て、前記と同じ結果が得られることが確認された。すな
わちスチルベン誘導体に代えてポリビニルカルバゾール
を使用した比較例10の感光体、およびジエチルアミノ
ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを使用した比較
例11の感光体はいずれも、連続2万枚の複写後に、表
面保護層が剥離しているのが確認された。また特に比較
例11の感光体は、連続1万枚の複写後に既に、表面保
護層の全体にクラックが入っているのが確認された。そ
してこのことから、これらの化合物では、無機の表面保
護層の物理的な安定性を向上する効果が得られないこと
が判った。
【0117】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。これに対し、実施例35〜46の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。
【0118】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 実施例47〜58、比較例12、13 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例13〜24、比較例3、4と同じ工程によ
り、非晶質の炭素(C)からなる厚み0.5μmの表面
保護層を成膜したこと以外は実施例35〜46、比較例
10、11と同様にして、それぞれの電子写真感光体を
製造した。
【0119】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(2)、および耐久性試
験(2)を行って、その特性を評価した。結果を表5に示
す。
【0120】
【表5】
【0121】表より、表面保護層の種類を違えても、下
地である積層型感光層のうち電荷輸送層の構成に基づい
て、前記と同じ結果が得られることが確認された。すな
わちスチルベン誘導体に代えてポリビニルカルバゾール
を使用した比較例12の感光体、およびジエチルアミノ
ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを使用した比較
例13の感光体はいずれも、連続2万枚の複写後に、表
面保護層が剥離しているのが確認された。また特に比較
例13の感光体は、連続1万枚の複写後に既に、表面保
護層の全体にクラックが入っているのが確認された。そ
してこのことから、これらの化合物では、無機の表面保
護層の物理的な安定性を向上する効果が得られないこと
が判った。
【0122】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。これに対し、実施例47〜58の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。
【0123】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 実施例59、60、比較例14 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例25、26、比較例5と同じ工程により、非
晶質のケイ素−窒素(SiN)複合膜からなる厚み0.
5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例38、
39、比較例11と同様にして、それぞれの電子写真感
光体を製造した。
【0124】実施例61、62、比較例15 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例27、28、比較例6と同じ工程により、非
晶質の炭素−窒素(CN)複合膜からなる厚み0.5μ
mの表面保護層を成膜したこと以外は実施例38、3
9、比較例11と同様にして、それぞれの電子写真感光
体を製造した。 実施例63、64、比較例16 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例29、30、比較例7と同じ工程により、非
晶質の炭素−ホウ素(CB)複合膜からなる厚み0.5
μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例38、3
9、比較例11と同様にして、それぞれの電子写真感光
体を製造した。
【0125】実施例65、66、比較例17 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例31、32、比較例8と同じ工程により、非
晶質の炭素−フッ素(CF)複合膜からなる厚み0.5
μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例38、3
9、比較例11と同様にして、それぞれの電子写真感光
体を製造した。 実施例67、68、比較例18 積層型感光層の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代え
て、実施例33、34、比較例9と同じ工程により、非
晶質のホウ素−窒素(BN)複合膜からなる厚み0.5
μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例38、3
9、比較例11と同様にして、それぞれの電子写真感光
体を製造した。
【0126】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(2)、および耐久性試
験(2)を行って、その特性を評価した。結果を表6に示
す。
【0127】
【表6】
【0128】表より、表面保護層の種類をさらに違えて
も、下地である積層型感光層のうち電荷輸送層の構成に
基づいて、前記と同じ結果が得られることが確認され
た。すなわちスチルベン誘導体に代えてジエチルアミノ
ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを使用した比較
例14〜18の感光体はいずれも、連続2万枚の複写後
に、表面保護層が剥離しているのが確認された。また特
に比較例15〜17の感光体は、連続1万枚の複写後に
既に、表面保護層の全体にクラックが入っているのが確
認された。そしてこのことから、上記化合物では、無機
の表面保護層の物理的な安定性を向上する効果が得られ
ないことが判った。
【0129】また各比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。これに対し、実施例59〜68の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、スチルベン誘導体を使用することで、無機の表面保
護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも感光
体の耐久性を向上できることが確認された。
【0130】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 義雄 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 京セラミタ株式会社内 (72)発明者 福永 秀明 滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京セラ株式会社滋賀工場八日市ブロック 内 Fターム(参考) 2H068 AA02 AA31 AA34 AA35 BA13 EA21 FA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に、有機感光層と、無機の表
    面保護層とをこの順に積層した電子写真感光体であっ
    て、上記有機感光層の、少なくとも表面保護層に接する
    最表面部が、式(1): 【化1】 〔式中、R1、R2、R5およびR6は、同一または異なっ
    てアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル
    基、またはハロゲン原子を示し、m、n、pおよびqは
    同一または異なって0〜3の整数を示す。R3およびR4
    は、同一または異なって水素原子またはアルキル基を示
    す。〕で表されるスチルベン誘導体を含有することを特
    徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】表面保護層が、気相成長法によって成膜さ
    れた層であることを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】表面保護層が、金属元素および炭素からな
    る群より選ばれた少なくとも1種の元素、またはこれら
    の元素を含む無機の化合物からなることを特徴とする請
    求項1または2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】有機感光層が、結着樹脂中に、電荷発生剤
    と、正孔輸送剤としての式(1)で表されるスチルベン誘
    導体とを含有する単層型感光層であることを特徴とする
    請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】有機感光層が、電荷発生剤を含有する電荷
    発生層と、結着樹脂中に、正孔輸送剤としての式(1)で
    表されるスチルベン誘導体を含有する電荷輸送層とをこ
    の順に積層した積層型感光層であることを特徴とする請
    求項1記載の電子写真感光体。
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JP2009186969A (ja) * 2008-01-10 2009-08-20 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法
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