JP2019191256A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、無機保護層に発生する「打痕」とは、円形状又は楕円状の凹部であり、その大きさは最大径で50μm以下である。
前記導電性基体上に設けられた単層型感光層と
前記単層型感光層上に設けられた無機保護層と、
を有し、
前記導電性基体及び前記無機保護層の間に介在する層の総膜厚が10μm以上25μm以下である電子写真感光体。
<3> 前記単層型感光層に対する前記シリカ粒子の含有量が40質量%以上70質量%以下である<2>に記載の電子写真感光体。
<6> 前記金属酸化物層が、酸化ガリウムを含む金属酸化物層である<5>に記載の電子写真感光体。
画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本明細書において、「電子写真感光体」は単に「感光体」と称することがある。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた単層型感光層と、単層型感光層上に設けられた無機保護層と、を有し、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層の総膜厚が10μm以上25μm以下である電子写真感光体である。
ここで、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層とは、単層型感光層の他、導電性基体及び無機保護層との間に、下引層、中間層などの任意の層が設けられている場合には、その任意の層をも含む。
また、単層型感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送能及び電子輸送能を有する、単一の層からなる感光層である。
有機感光層は柔軟性を有し、変形し易い傾向がある一方で、無機保護層は硬質ではあるが靭性に劣る傾向がある。そのため、無機保護層に打痕が発生することがある。
即ち、導電性基体上に、単層型感光層及び無機保護層をこの順に有する電子写真感光体であって、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層の総膜厚が10μm以上25μm以下である電子写真感光体である。
導電性基体及び無機保護層は、材質に由来して比較的硬度が高く(例えば、膜弾性率にて30GPa以上)、それに対して導電性基体及び無機保護層の間に介在する層は、単層型感光層を含め、有機化合物を含むために硬度が低い。
本実施形態に係る電子写真感光体では、硬度が高い導電性基体及び無機保護層に挟まれた硬度の低い層の膜厚を小さくすることで、無機保護層にキャリア等により局所的に応力が掛かった場合であっても、導電性基体の硬度にて応力を受け止め易くなり、無機保護層の打痕の発生を抑制しうるものと考えられる。
つまり、導電性基体上に設けられている層のうち、無機保護層の打痕の発生に影響を及ぼしている、単層型感光層等の硬度の低い層の割合を少なくすることで、無機保護層の打痕の発生を抑制し得る。
シリカ粒子は、単層型感光層において補強材として機能し、単層型感光層の膜弾性率を向上させうる。そして、下層である単層型感光層の硬度が高まることから、無機保護層における打痕の発生を効果的に抑制させうる。
ここで、単層型感光層に対するシリカ粒子の含有量は、40質量%以上70質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましく、50質量%以上65質量%以下が更に好ましい。
電子写真感光体の断面を切り出し、その断面を光学顕微鏡(キーエンス社製、型番:VHX100)にて撮影し、得られた断面画像から測定する。
断面画像から測定対象について任意の5点の膜厚を測定し、その平均値を求め、これを膜厚とする。
図1及び図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
図1に示す感光体7Aは、導電性基体1上に、単層型感光層3及び無機保護層4がこの順で設けられている。
また、図2に示す感光体7Bは、導電性基体1上に、下引層2、単層型感光層3、及び無機保護層4がこの順で設けられている。
なお、図1における導電性基体1と単層型感光層3との間又は図2における導電性基体1と下引層2との間には、任意の層として、中間層が設けられていてもよい。
そして、本実施形態では、図1に示す感光体7Aの場合、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層の総膜厚、即ち、単層型感光層3の膜厚が10μm以上25μm以下である。
また、図2に示す感光体7Bの場合、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層の総膜厚、即ち、下引層2と単層型感光層3との総膜厚が10μm以上25μm以下である。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
単層型感光層は、単一の層で、電荷発生能と共に、正孔輸送能及び電子輸送能を有する層であればよく、好ましくは、例えば、結着樹脂、電荷発生材料、電子輸送材料、及び正孔輸送材料を含む感光層であり、より好ましくは、結着樹脂、電荷発生材料、電子輸送材料、正孔輸送材料、及びシリカ粒子を含む感光層である。
結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
また、単層型感光層の成膜性の観点から、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、及び粘度平均分子量30000以上80000以下のポリアリレート樹脂の少なくとも1種を用いることがよい。
電荷発生材料としては、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
なお、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料を併用する場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とクロロガリウムフタロシアニン顔料との比率は、質量比で、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料:クロロガリウムフタロシアニン顔料=9:1乃至3:7(好ましくは9:1乃至6:4)であることがよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物;N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R1〜R6が示す低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−PhO:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
電子輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、9−ジシアノメチレン−9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル等のフルオレノン系化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン系化合物;3,3’−ジ−tert−ペンチル−ジナフトキノン等のジナフトキノン系化合物;3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルジフェノキノン、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン系化合物;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの電子輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(2)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
L19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R20が示すアルキル基としては、上記R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、R18が示すアリール基は、アルキル基で置換されたアルキル置換アリール基であることが、溶解性の観点で好ましい。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
L21が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
・Ph:フェニル基
なお、一般式(2)で表される電子輸送材料以外の電子輸送材料を含有させる場合の含有量としては、電子輸送材料全体に対し、10質量%以下の範囲であることが好ましい。
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が好ましく、60/40以上80/20以下がより好ましい。
シリカ粒子としては、例えば、乾式シリカ粒子、湿式シリカ粒子が挙げられる。
乾式シリカ粒子としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカが挙げられる。
湿式シリカ粒子としては、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ粒子(アルカリ条件で合成・凝集した沈降法シリカ、酸性条件で合成・凝集したゲル法シリカ粒子)、酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ粒子(シリカゾル粒子)、有機シラン化合物(例えばアルコキシシラン)の加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ粒子が挙げられる。
これらの中でも、シリカ粒子としては、残留電位の発生、その他電気特性の低下による画像欠陥の抑制(細線再現性の低下の抑制)の観点から、表面のシラノール基が少なく、低い空隙構造を持つ燃焼法シリカ粒子を用いることがよい。
疎水化処理剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等の周知のシラン化合物が挙げられる。
これらの中でも、疎水化処理剤としては、残留電位の発生を抑制し易くする観点から、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を持つシラン化合物が好ましい。つまり、シリカ粒子の表面には、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を有することがよい。
トリメチルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
デシルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、デシルトリクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フェニル基を持つシラン化合物としては、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン等が挙げられる。
疎水化処理剤の縮合率を上記範囲にすると、シリカ粒子のシラノール基がより低減し、残留電位の発生が抑制され易くなる。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。分離したシリカ粒子に対して、Bruker製AVANCEIII 400でSi CP/MAS NMR分析を行い、SiOの置換数に応じたピーク面積を求め、それぞれ、2置換(Si(OH)2(0−Si)2−)、3置換(Si(OH)(0−Si)3−)、4置換(Si(0−Si)4−)の値をQ2,Q3,Q4とし、疎水化処理剤の縮合率は式:(Q2×2+Q3×3+Q4×4)/4×(Q2+Q3+Q4)により算出する。
シリカ粒子の体積抵抗率を上記範囲にすると、電気特性の低下が抑制される。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。そして、20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離したシリカ粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、シリカ粒子層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せシリカ粒子層を挟み込む。シリカ粒子間の空隙をなくすため、シリカ粒子層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてからシリカ粒子層の厚み(cm)を測定する。シリカ粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が予め定められた値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、シリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)を計算する。シリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρはシリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはシリカ粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。
・式:ρ=E×20/(I−I0)/L
単層型感光層の全固形分に対するシリカ粒子の含有量は、前述した通りである。
単層型感光層は、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
単層型感光層の膜弾性率は、無機保護層における打痕の発生を抑制する点から、5GPa以上であることが好ましく、8GPa以上であることがより好ましい。
なお、単層型感光層の弾性率を上記範囲とするには、例えば、シリカ粒子の粒径及び含有量を調整する方法、シリカ粒子以外の各成分の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。
単層型感光層の膜弾性率の測定方法については、後述する。
単層型感光層の厚さは、好ましくは10μm以上25μm以下、より好ましくは15μm以上25μm以下、更に好ましくは20μm以上25μm以下の範囲に設定される。
単層型感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
無機保護層は、無機材料を含む層であればよく、機械的強度の点から、金属酸化物層からなることが好ましい。
ここで、金属酸化物層とは、金属酸化物の層状物(例えば、金属酸化物のCVD膜、金属酸化物の蒸着膜、金属酸化物のスパッタ膜等)を指し、金属酸化物粒子の凝集体又は集合体は除かれる。
金属酸化物層からなる無機保護層としては、機械的強度、透光性、及び導電性に優れることから、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい。
第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
これらの中でも、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、機械的強度、透光性に優れ、特にn型導電性を有し、その導電制御性に優れるという観点から、特に酸化ガリウムが好ましい。
つまり、無機保護層は、酸化ガリウムを含む金属酸化物層からなる無機保護層であることが好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、水素を含むことで、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素を含んで構成された、金属酸化物層からなる無機保護層の諸物性が容易に制御され易くなる。例えば、ガリウム、酸素、及び水素を含む、金属酸化物層からなる無機保護層(例えば、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層)において、組成比[O]/[Ga]を1.0から1.5と変化させることで、109Ω・cm以上1014Ω・cmの範囲で体積抵抗率の制御が実現され易くなる。
また、酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)を変えることで、膜弾性率の制御が容易に行われる。酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)において、酸素組成比が高いほど、膜弾性率は高くなる傾向にあり、例えば、1.0以上1.5未満であることが好ましく、1.03以上1.47以下がより好ましく、1.05以上1.45以下が更に好ましく、1.10以上1.40以下が特に好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層を構成する材料の元素組成比(酸素/第13族元素)が、上記範囲であると、感光体の表面における傷に起因する画像欠陥が抑制され、また感光体表面に供給された脂肪酸金属塩との親和性が向上し脂肪酸金属塩による装置内の汚染が抑制される。同様の点で、第13族元素はガリウムであることが好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
ガリウムの元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、15原子%以上50原子%以下であることが好ましく、20原子%以上40原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
酸素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、30原子%以上70原子%以下であることが好ましく、40原子%以上60原子%以下であることがより好ましく、45原子%以上55原子%以下であることが更に好ましい。
水素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、10原子%以上40原子%以下であることが好ましく、15原子%以上35原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
金属酸化物層からなる無機保護層の外周面(すなわち、電子写真感光体7A又は7Bの表面)における表面粗さRa(算術平均表面粗さRa)は、例えば、5nm以下が挙げられ、好ましくは4.5nm以下、より好ましくは4nm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすることで、帯電ムラが抑制される。
なお、表面粗さRaを上記範囲とするには、例えば、電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRaを前述の範囲とする等の方法が挙げられる
また、無機保護層の外周面における表面粗さRaの測定は、無機保護層の外周面について直接測定すること以外は、前述の電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRaの測定方法と同様である。
なお、測定試料は、測定対象となる無機保護層の成膜時の同条件でアルミ基体上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から無機保護層を剥離し、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
無機保護層の成長断面は、柱状構造をとっていてもよいが、滑り性の観点からは、平坦性の高い構造が好ましく、非晶質が好ましい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
この弾性率を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
金属酸化物層からなる無機保護層の膜弾性率の測定方法は、後述する。
この膜厚を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
保護層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、単層型感光層が形成された感光体製造用の積層体が用いられる。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H2)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
基体214としては、単層型感光層が形成された感光体製造用の積層体を用いる。
基体214表面の温度が成膜開始当初は150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には単層型感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基体214の表面温度を制御することが好ましい。
基体214表面の温度は加熱手段及び冷却手段の少なくとも一方(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体214を加熱する場合にはヒータを基体214の外側や内側に設置してもよい。基体214を冷却する場合には基体214の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による基体214表面の温度の上昇を避けたい場合には、基体214表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
例えば、無機保護層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することにより、基体214上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、単層型感光層を劣化させる紫外線を吸収する。このため、成膜時の紫外線の発生による単層型感光層へのダメージが抑制される。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の無機保護層を得る。
このようにすることで、基体214表面上には、活性化された、炭素原子、ガリウム原子、窒素原子、水素原子、等が制御された状態で存在する。そして、活性化された水素原子が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。
このため、三次元的な結合を構成する硬質膜(無機保護層)が形成される。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが好ましい。
下引層は、導電性基体と単層型感光層との間に設けられる層である。
下引層としては、特に限定されず、例えば、結着樹脂と電荷輸送材料(例えば上述した正孔輸送材料等)とを含む層、結着樹脂と無機粒子(例えば金属酸化物粒子)とを含む層、結着樹脂と樹脂粒子を含む層、硬化膜(架橋膜)で形成された層、硬化膜に種々の粒子を含む層等が挙げられる。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
また、下引層の膜厚としては、例えば、0.1μm以上20μm以下の範囲が挙げられる。
各層の膜弾性率は、MTSシステムズ社製 Nano Indenter SA2を用いて、連続剛性法(CSM)(米国特許第4848141号)により深さプロファイルを得て、その押込み深さ100nmから300nmの測定値から得た平均値を用いる。下記は測定条件である。
・測定環境:23℃、55%RH
・使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(Berkovic圧子)三角錐圧子
・試験モード:CSMモード
なお、測定試料は、測定対象となる単層型感光層、無機保護層、及び下引層の成膜時の同条件で基体上に成膜した試料であってもよい。
また、測定試料は、作製後の電子写真感光体から単層型感光層、無機保護層、及び下引層を取り出した試料であってもよい。
なお、作製後の電子写真感光体から単層型感光層、無機保護層、及び下引層の膜弾性率を測定する場合、以下のようにして行う。
まず、作製後の感光体を2cm角に切り出す。無機保護層の膜弾性率を測定し、その後、無機保護層をサンドペーパー等によって削る。そして、露出した単層型感光層の膜弾性率を測定し、測定後、単層型感光層(必要に応じて中間層も)をサンドペーパー等により削る。続いて、露出した下引層の膜弾性率を測定する。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図5に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。なお、画像形成装置100において、制御装置60(制御手段の一例)は、画像形成装置100内の各装置及び各部材の動作を制御する装置であり、各装置及び各部材と接続されて配置されている。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
制御装置60は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置60は、例えば、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。そして、I/Oには、電子写真感光体7(駆動モータ30を含む)、帯電装置8、露光装置9、現像装置11、転写装置40等の画像形成装置100の各部が接続されている。
図6に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−シリカ粒子(1)−
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(アエロジル社製)」100質量部に、疎水化処理剤として1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(東京化成工業社製)30質量部を添加し、24時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子(1)を得た。
このシリカ粒子(1)の縮合率は93%であり、表面にトリメチルシリル基を有していた。また、このシリカ粒子(1)の体積平均粒径は40nmであった。
−単層型感光層の形成−
電荷発生材料としてCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料:2質量部(単層型感光層に対して2質量%となる量)と、一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−2):8質量部と、構造式(HT−D)で表される正孔輸送材料:14質量部と、一般式(1)で表される正孔輸送材料の例示化合物(1−1):22質量部と、結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4.5万):54質量部と、シリカ粒子(1):100質量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン400質量部と、を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理を行い、感光層形成用塗布液を得た。
次に、有機感光体(1)の表面へ、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層を形成した。この無機保護層の形成は、図3に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量1.6sccm)と水素ガス(流量50sccm)とを、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図5中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量1.9sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、有機感光体(1)を500rpmの速度で回転させながら25時間成膜し、有機感光体(1)の電荷輸送層表面に膜厚5μmの無機保護層を形成した。
無機保護層の外周面における表面粗さRaは、1.9nmであった。
無機保護層における、酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム)は1.25であった。
成膜装置での成膜時間を20時間に変更して膜厚4μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真感光体を得た。
成膜装置での成膜時間を15時間に変更して膜厚3μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真感光体を得た。
成膜装置での成膜時間を5時間に変更して膜厚1μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電子写真感光体を得た。
実施例1における単層型感光層の形成にて、単層型感光層の膜厚を10μmにして有機感光体(2)を得た。
続いて、有機感光体(2)を用い、成膜装置での成膜時間を15時間に変更して膜厚3μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真感光体を得た。
実施例1における単層型感光層の形成において、シリカ粒子(1)を含まず、且つ、テトラヒドロフラン250質量部に変更して得られた感光層形成用塗布溶液を用い、更に、膜厚10μmの単層型感光層を形成し、有機感光体(3)を得た。
続いて、有機感光体(3)を用い、成膜装置での成膜時間を15時間に変更して膜厚3μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の電子写真感光体を得た。
−下引層の形成−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
得られた表面処理を施した酸化亜鉛(シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛)110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)15質量部と、メチルエチルケトン85質量部と、を混合した混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):40質量部と、を添加し、下引層形成用塗布液を得た。
この下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、膜厚15μmの下引層を形成した。
得られた下引層上に、膜厚を10μmにした以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層を形成し、有機感光体(4)を得た。
続いて、有機感光体(4)を用い、成膜装置での成膜時間を20時間に変更して膜厚4μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真感光体を得た。
実施例1における単層型感光層の形成にて、単層型感光層の膜厚を28μmにして有機感光体(5)を得た。
続いて、有機感光体(5)を用い、成膜装置での成膜時間を15時間に変更して膜厚3μmの無機保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体を得た。
−膜弾性率及び膜厚の測定−
各例で得られた電子写真感光体における、下引層、単層型感光層、及び無機保護層の膜弾性率について既述の方法で測定した。
また、各例で得られた電子写真感光体における、下引層、単層型感光層、及び無機保護層の膜厚についても既述の方法で測定し、導電性基体及び無機保護層の間に介在する層の総膜厚を算出した。結果を表1に示す。
各例で得られた電子写真感光体を、画像形成装置(富士ゼロックス社製 DocuCentre−V C7775)に組み込み、以下の評価を行った。
温度20℃湿度40%RHの環境下で、画像濃度30%の全面ハーフトーン画像をA4用紙に連続10000枚出力した後、電子写真感光体の表面(すなわち、無機保護層の表面)を光学顕微鏡(キーエンス社製、型番:VHX−100)により、倍率450倍で10視野測定し、打痕(凹み)の数を数え、単位面積(1mm×1mm)あたりの打痕の数(以下「打痕数」ともいう)を算出した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:打痕数が5個以下
B:打痕数が5個を超え10個以下
C:打痕数が10個を超え15個以下
D:打痕数が15個を超え20個以下
E:打痕数が20個を超える
Claims (8)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型感光層と
前記単層型感光層上に設けられた無機保護層と、
を有し、
前記導電性基体及び前記無機保護層の間に介在する層の総膜厚が10μm以上25μm以下である電子写真感光体。 - 前記単層型感光層が、結着樹脂、電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、及びシリカ粒子を含む請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記単層型感光層に対する前記シリカ粒子の含有量が40質量%以上70質量%以下である請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記無機保護層の膜厚Aと、前記導電性基体及び前記無機保護層の間に介在する層の総膜厚Bとの比(A/B)が、0.12以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記無機保護層が、第13族元素及び酸素を含む金属酸化物層からなる無機保護層である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物層が、酸化ガリウムを含む金属酸化物層である請求項5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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