JP5994708B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
近年、電子写真法を利用した画像形成装置に使用される電子写真感光体(以下、「感光体」と称す場合がある)に関し、該感光体の感光層表面に表面層(保護層)を設ける技術が検討されている。
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた有機感光層であって、下記無機保護層と接する面側の領域に少なくとも電荷輸送材料及び体積平均粒径が20nm以上200nm以下であるシリカ粒子を含む有機感光層と、
前記有機感光層上にその表面に接して設けられた無機保護層と、
を備えた電子写真感光体。
前記無機保護層が第13族元素及び酸素を含んで構成された無機保護層である請求項1に記載の電子写真感光体。
前記シリカ粒子が、疎水化処理シリカ粒子である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
前記疎水化処理シリカ粒子が、シリカ粒子の表面にトリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を有する請求項3に記載の電子写真感光体。
前記疎水化処理シリカ粒子の縮合率が90%以上である請求項3又は4に記載の電子写真感光体。
前記有機感光層が、電荷発生層と、少なくとも前記電荷輸送材料及び前記シリカ粒子を含む電荷輸送層と、を前記導電性支持体上にこの順で有する感光層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送層全体に対して、30質量%以上70質量%以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送材料の含有量よりも多い請求項6又は7に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送材料の含有量が、前記電荷輸送層の全成分の質量から前記シリカ粒子の質量を引いた質量に対して、40質量%以上60質量%以下である請求項6〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層における前記無機保護層側の表面の表面粗さRaが、0.06μm以下である請求項6〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層の弾性率が、5GPa以上である請求項6〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層の膜厚が、10μm以上40μm以下である請求項6〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記シリカ粒子の体積抵抗率が、1011Ω・cm以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。
請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
請求項10に係る発明によれば、電荷輸送層の表面粗さRaが上記範囲外の場合に比べ、クリーニング性に優れた電子写真感光体が提供される。
請求項11に係る発明によれば、電荷輸送層の弾性率が上記範囲外に比べ、無機保護層の割れを抑制する電子写真感光体が提供される。
請求項3、4に係る発明によれば、シリカ粒子が疎水化処理剤により処理されていない場合に比べ、残留電位の発生を抑制する電子写真感光体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、疎水化処理剤の縮合率が上記範囲外の場合に比べ、残留電位の発生を抑制する電子写真感光体が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた有機感光層と、有機感光層上にその表面に接して設けられた無機保護層と、を備える。
有機感光層は、無機保護層と接する面側の領域に少なくとも電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成されている。
具体的には、有機感光層が単層型の有機感光層の場合、有機感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成された有機感光層である。
一方、有機感光層が機能分離型の有機感光層の場合、有機感光層は、電荷発生層と、少なくとも電荷輸送材料及びシリカ粒子を含む電荷輸送層と、を導電性基体上にこの順で有する有機感光層である、但し、電荷輸送層が2層以上で構成される場合、無機保護層と接する面を構成する層(最上層)の電荷輸送層が少なくとも電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成され、その下層である電荷輸送層がシリカ粒子を含まず且つ少なくとも電荷輸送材料を含んで構成される。
しかしながら、有機感光層は柔軟性を有し、変形し易い傾向がある一方で、無機保護層は硬質ではあるが靭性に劣る傾向がある。このため、無機保護層の下地層となる有機感光層が変形すると、無機保護層に割れが生じることがある。電子写真感光体は、その表面に接して配される部材(例えば中間転写体)等から機械的は負荷が掛かり易いため、このような現象が生じやすくなると考えられる。
しかし、シリカ粒子は、他の無機粒子に比べ誘電率が低く、残留電位を発生させる電荷蓄積サイト(トラップサイト)となり難いと考えられる。このため、残留電位の発生も抑制されると考えられる。
また、本実施形態に係る電子写真感光体では、シリカ粒子が他の無機粒子に比べ屈折率も低いことから、有機感光層の透明性も確保され易く、シリカ粒子を配合したことによる有機感光層の透明性低下に起因する電気特性の低下も抑制され易いという利点もある。
図1は、本実施形態に係る電子写真用感光体の一例を示す模式断面図である。図2乃至図3はそれぞれ本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
そして、電荷輸送層3が、少なくとも電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成される。
そして、電荷輸送層3Aが、少なくとも電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成される。一方、電荷輸送層3Bが、シリカ粒子を含まず、少なくとも電荷輸送材料を含んで構成される。
そして、単層型有機感光層6が、少なくとも電荷発生材料、電荷輸送材料及びシリカ粒子を含んで構成される。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
なお、導電性基体は、例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満の導電性を有するものがよい。
下引層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から有機感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。なお、電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の蒸着膜で構成されていてもよい。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、例えば10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
・電荷輸送層の組成
電荷輸送層は、電荷輸送材料と、シリカ粒子と、必要に応じて結着樹脂と、を含んで構成される。
また、電荷輸送材料の含有量は、シリカ粒子よりも少ないことがよい。
電荷輸送材料の含有量を上記範囲とすると、残留電位の発生が抑制され易くなる。
乾式シリカ粒子としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカが挙げられる。
湿式シリカ粒子としては、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ粒子(アルカリ条件で合成・凝集した沈降法シリカ、酸性条件で合成・凝集したゲル法シリカ粒子)、酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ粒子(シリカゾル粒子)、有機シラン化合物(例えばアルコキシシラン)の加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ粒子が挙げられる。
これらの中でも、シリカ粒子としては、残留電位の発生、その他電気特性の悪化による画像欠陥の抑制(細線再現性の悪化の抑制)の観点から、表面のシラノール基が少なく、低い空隙構造を持つ燃焼法シリカ粒子が望ましい。
この体積平均粒径を上記範囲とすると、無機保護層の割れ、及び残留電位の発生が抑制され易くなる。
この体積平均粒径は、層中からシリカ粒子を分離し、このシリカ粒子の一次粒子100個をSEM(Scanning Electron Microscope)装置により40000倍の倍率で観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を測定する。得られた球相当径の累積頻度における50%径(D50v)を求め、これをシリカ粒子の体積平均粒径として測定する。
疎水化処理剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等の周知のシラン化合物が挙げられる。
これらの中でも、疎水化処理剤としては、残留電位の発生を抑制し易くする観点から、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を持つシラン化合物が望ましい。つまり、シリカ粒子の表面には、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を有することがよい。
トリメチルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
デシルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、デシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フェニル基を持つシラン化合物としては、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン等が挙げられる。
疎水化処理剤の縮合率を上記範囲にすると、シリカ粒子のシラノール基が低減し、残留電位の発生が抑制され易くなる。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。分離したシリカ粒子に対して、Bruker製AVANCEIII 400でSi CP/MAS NMR分析を行い、SiOの置換数に応じたピーク面積を求め、それぞれ、2置換(Si(OH)2(0−Si)2−)、3置換(Si(OH)(0−Si)3−)、4置換(Si(0−Si)4−)の値をQ2,Q3,Q4とし、疎水化処理剤の縮合率は式:(Q2×2+Q3×3+Q4×4)/4×(Q2+Q3+Q4)により算出する。
シリカ粒子の体積抵抗率を上記範囲にすると、細線再現性の悪化が抑制される。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。そして、20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離したシリカ粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、シリカ粒子層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せシリカ粒子層を挟み込む。シリカ粒子間の空隙をなくすため、シリカ粒子層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてからシリカ粒子層の厚み(cm)を測定する。疎水化処理シリカ粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が所定の値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、シリカ粒子の体積抵抗率(Ω・cm)を計算する。シリカ粒子の体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρは疎水化処理シリカ粒子の体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは疎水化処理シリカ粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。
・式:ρ=E×20/(I−I0)/L
また、シリカ粒子の含有量は、電荷輸送材料の含有量よりも多いことがよい。
シリカ粒子の含有量を上記範囲とすると、無機保護層の割れ、及び残留電位の発生が抑制され易くなる。
電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRa(算術平均表面粗さRa)は、例えば、0.06μm以下がよく、望ましくは0.03μm以下、より望ましくは0.02μm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすると、クリーニング性が向上する。
なお、表面粗さRaを上記範囲とするには、例えば、配合する層の厚みを厚くする等の方法が挙げられる
まず、無機保護層を剥離した後、測定対象となる層を露出させる。そして、その層の一部をカッター等で切り出し、測定試料を取得する。
この測定試料に対して、触針式表面粗さ測定機(サーフコム1400A:東京精密社製等)を使用して測定する。その測定条件としては、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLn=4mm、基準長さL=0.8mm、カットオフ値=0.8mmとする。
電荷輸送層の弾性率を上記範囲とすると、無機保護層の割れが抑制され易くなる。
なお、電荷輸送層の弾性率を上記範囲とするには、例えば、シリカ粒子の粒径及び含有量を調整する方法、電荷輸送材料の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。
まず、無機保護層を剥離した後、測定対象となる層を露出させる。そして、その層の一部をカッター等で切り出し、測定試料を取得する。
この測定試料に対して、MTSシステムズ社製 Nano Indenter SA2を用いて、連続剛性法(CSM)(米国特許4848141)により深さプロファイルを得て、その押込み深さ30nmから100nmの測定値から得た平均値を用いて測定する。
電荷輸送層の膜厚を上記範囲にすると、無機保護層の割れ、及び残留電位の発生が抑制され易くなる。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶媒に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
・無機保護層の組成
無機保護層は、無機材料を含んで構成された層である。
無機材料としては、保護層としての機械的強度、透光性を有するという観点から、例えば、酸化物系、窒化物系、炭素系、珪素系の無機材料が挙げられる。
酸化物系の無機材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
窒化物系の無機材料としては、例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化チタン、窒化インジウム、窒化錫、窒化ホウ素等の金属窒化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
炭素系及び珪素系の無機材料としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アモルファスカーボン(a−C)、水素化アモルファスカーボン(a−C:H)、水素・フッ素化アモルファスカーボン(a−C:H)、アモルファスシリコンカーバイト(a−SiC)、水素化アモルファスシリコンカーバイト(a−SiC:H)アモルファスシリコン(a−Si)、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)等が挙げられる。
なお、無機材料は、酸化物系及び窒化物系の無機材料の混晶であってもよい。
つまり、無機保護層は、少なくとも第13族元素(特にガリウム)及び酸素を含んで構成されることがよく、必要応じて、水素を含んで構成されていてもよい。水素を含むことで、少なくとも第13族元素(特にガリウム)及び酸素を含んで構成された無機保護層の諸物性が容易に制御され易くなる。例えば、ガリウム、酸素、及び水素を含む無機保護層(水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層)において、組成比[O]/[Ga]を1.0から1.5と変化させることで、109Ω・cm以上1014Ω・cmの範囲で体積抵抗率の制御が実現され易くなる。
ガリウムの元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、15原子%以上50原子%以下であることがよく、望ましくは20原子%以上40原子%以下、より望ましくは20原子%以上30原子%以下である。
酸素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、30原子%以上70原子%以下であることがよく、望ましくは40原子%以上60原子%以下、より望ましくは45原子%以上55原子%以下である。
水素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、10原子%以上40原子%以下であることがよく、望ましくは15原子%以上35原子%以下、より望ましくは20原子%以上30原子%以下である。
一方で、原子数比〔酸素/ガリウム〕は、1.50を超え2.20以下であることがよく、望ましくは1.6以上2.0以下である。
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
無機保護層は、目的に応じて、厚み方向に組成比に分布を有していてもよいし、多層構成からなるものであってもよい。
無機保護層の成長断面は、柱状構造をとっていてもよいが、滑り性の観点からは平坦性の高い構造が望ましく、非晶質が望ましい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
この体積抵抗率を上記範囲とすると、電荷が面内方向に流れることが抑制され、良好な静電潜像形成が実現され易くなる。
この体積抵抗率は、nF社製LCRメーターZM2371を用いて、周波数1kHz、電圧1Vの条件にて測定した抵抗値から、電極面積、試料厚みに基づき算出して求められる。
なお、測定試料は、測定対象となる無機保護層の成膜時の同条件でアルミ基材上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から無機保護層を剥離し、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
この弾性率を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(打痕状の傷)の発生、剥れや割れが抑制され易くなる。
この弾性率は、MTSシステムズ社製 Nano Indenter SA2を用いて、連続剛性法(CSM)(米国特許4848141)により深さプロファイルを得て、その押込み深さ30nmから100nmの測定値から得た平均値を用いる。下記は測定条件である。
・測定環境:23℃、55%RH
・使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(Berkovic圧子)三角錐圧子
・試験モード:CSMモード
なお、測定試料は、測定対象となる無機保護層の成膜時の同条件で基材上に成膜した試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から無機保護層を剥離し、一部エッチングした試料であってもよい。
この膜厚を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(打痕状の傷)の発生、剥れや割れが抑制され易くなる。
保護層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、例えば、予め有機感光層まで積層された感光体等が用いられる。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H2)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
基体214としては、例えば、有機感光層が形成された基体を用いる。
基体214表面の温度が成膜開始当初は150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には有機感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基体214の表面温度を制御することが望ましい。
基体214表面の温度は加熱及び/又は冷却手段(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体214を加熱する場合にはヒータを基体214の外側や内側に設置してもよい。基体214を冷却する場合には基体214の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による基体214表面の温度の上昇を避けたい場合には、基体214表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
例えば、無機保護層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することにより、基体214上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、有機感光層を劣化させる紫外線を吸収する。このため、成膜時の紫外線の発生による有機感光層へのダメージが抑制される。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の無機保護層を得る。
このようにすることで、基体214表面上には、活性化された、炭素原子、ガリウム原子、窒素原子、水素原子、等が制御された状態で存在する。そして、活性化された水素原子が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。
このため、三次元的な結合を構成する硬質膜(無機保護層)が形成される。
さらに、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が望ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
但し、電荷発生層3Aの膜厚は、1μm以上15μm以下とすることがよい。また、電荷輸送層3Bの膜厚は、15μm以上29μmとすることがよい。
但し、単層側有機感光層6中の電荷発生材料の含有量は、単層側有機感光層全体に対して、25質量%以上50質量%以下とすることがよい。
また、単層側有機感光層6の膜厚は、15μm以上30μmとすることがよい。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図6に示すように、例えば、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10(上記本実施形態に係る電子写真感光体)と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、電子写真感光体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、電子写真感光体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)とを備える。
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像容器41(現像装置本体)と、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47と、を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置される潤滑剤供給装置60と、を含んで構成されている。
なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施形態では、筐体71の端部で支持された形態を示している。
クリーニングブレード72(上記クリーニング層72A及び背面層72B)を構成する材料としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ウレタンゴムがよい。
ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー及びたとえば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものよい。
潤滑剤供給装置60は、例えば、クリーニング装置70の内部であって、クリーニングブレード72よりも電子写真感光体10の回転方向上流側に設けられている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、一次転写装置51、潤滑剤供給装置60及びクリーング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
−シリカ粒子(0)−
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(製造元 アエロジル社製)」を準備し、これをシリカ粒子(0)とした。
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(製造元 アエロジル社製)」100質量部に、疎水化処理剤としてトリメトキシシラン(「商品名:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(製造元 東京化成社製)」)30質量部を添加し、24時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子を得た。これをシリカ粒子(11)とした。
疎水化処理シリカ粒子「商品名:RX200(製造元 アエロジル社製)」を準備し、
これをシリカ粒子(12)とした。
疎水化処理シリカ粒子「商品名:X24−9163A(製造元 信越化学工業社製)」を準備し、これをシリカ粒子(13)とした。
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(製造元アエロジル社製)」100質量部に、テトラヒドロフラン200質量部、疎水化処理剤としてトリメチルシラン(1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(製造元東京化成社製)」)30質量部を添加し、12時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子を得た。これをシリカ粒子(14)とした。
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:SFP−20M(製造元 電気化学工業社製)」100質量部に、テトラヒドロフラン200質量部、疎水化処理剤としてトリメチルシラン(1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(製造元 東京化成社製)」)30質量部を添加し、12時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子を得た。これをシリカ粒子(15)とした。
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(製造元アエロジル社製)」100質量部に、テトラヒドロフラン200質量部、疎水化処理剤としてデシルシラン(デシルトリメトキシシラン「商品名:KBM−3103(製造元信越化学工業社製)」)30質量部を添加し、24時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子を得た。これをシリカ粒子(21)とした。
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(製造元 アエロジル社製)」100質量部に、テトラヒドロフラン200質量部、疎水化処理剤としてフェニルシラン(フェニルトリエトキシシラン「商品名:KBE−103(製造元信越化学工業社製)」)30質量部を添加し、24時間反応させ、疎水化処理されたシリカ粒子を得た。これをシリカ粒子(31)とした。
(実施例A1)
−下引層の作製−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン :25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製):40質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を得た。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
シリカ粒子(11)20質量部にテトラヒドロフラン95質量部を入れ、20℃の液温に保ちながら(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ジフェニル)−4,4’−ジアミン10質量部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:50,000) 10質量部、加え12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
次に、ノンコート感光体(1)の表面へ、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層を形成した。この無機保護層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量1.6sccm)、及び水素ガス(流量50sccm)を、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量1.9sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、ノンコート感光体(1)を500rpmの速度で回転させながら68分間成膜し、ノンコート感光体(1)の電荷輸送層表面に膜厚0.25μmの無機保護層を形成した。
表2に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
−特性評価A−
各例で得られた電子写真感光体について、既述の方法に従って、電荷輸送層の弾性率について調べた。
A:膜はがれなく、シリカ粒子の析出なく塗布できた。
B:膜はがれはないが、シリカ粒子の析出(表面の白濁)が確認された
C:膜はがれが発生した
各例で得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製700 Digital Color Pressに取り付けて、高温高湿環境(20℃、40%RH)下で、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を連続出力するプリントテストを行い、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。
ハーフトーン画像(画像濃度30%)を連続100枚出力した後、電子写真感光の表面(無機保護層の表面)をレーザー顕微鏡により、倍率450倍で10視野測定し、打痕状の凹み部の数をカウントし、単位面積(1mm×1mm)当たりの打痕の数を算出した。
評価基準は以下の通りである。
A:打痕数が20個以下
B:打痕数が20個超え100個以下
C:打痕数が100個超え
電気写真感光体の電気特性についてスキャナ測定で評価した。具体的には、以下の通りである。
まず、電子写真感光体に対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長:780nm、出力:5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で167rpmで回転させている電子写真感光体の表面に走査しながら照射した。その後、電子写真感光体の電位を表面電位計(モデル344、トレックジャパン社製)により測定し、電子写真感光体における電位状態(残留電位)を調べた。これを100サイクル繰り返し、100回目の残留電位を測定した。
評価基準は以下の通りである。
A:残留電位(RP)が100V以下
B:残留電位(RP)が100V超え150V以下
C:残留電位(RP)が150V超え
(実施例B1〜B5、比較例B1〜B2)
表3に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
但し、各例では、成膜時間を変更し、無機保護層の膜厚を1μmとした。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。
なお、比較例B2に対しての塗布性の評価に関してはシリカ粒子の析出ではなく電荷輸送材料の析出による白濁について調べた。
(実施例C1〜C3、比較例C1)
表4に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を20本作製し、その中から電荷輸送層の表面粗さRaの高いもの、2番目に高いもの、平均値のものの3本を選び、実施例C1〜C3の電子写真感光体として評価した。
同様に、表4に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を作製し、比較例C1の電子写真感光体として評価した。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、塗布性、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。加えて、クリーング性についても評価した。
各例で得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製700 Digital Color Pressに取り付けて、高温高湿環境(28℃、80%RH)下で、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を連続2万枚出力した後、高温高湿環境(28℃、80%RH)下で1晩放置した。その後、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を連続100枚出力し、その100枚目の画像について目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:放置前の出力画像と比較して同様な画像が出力されている
B:放置前の出力画像と比較して画像領域の50%以下の画像濃度が低下している
C:放置前の出力画像と比較して画像領域全体の画像濃度が低下している
(実施例D1〜D4)
表5に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、塗布性、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。加えて、細線再現性(解像度)について評価した。
各例で得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製700 Digital Color Pressに取り付けて、高温高湿環境(20℃、40%RH)下で、5 line pair/mm画像を出力し、画像を光学顕微鏡 50倍を用いた観察で評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:放置前の出力画像と比較して同様な画像(line pair)が出力されている
B:放置前の出力画像と比較して画像(line pair)が直線性の低下、一部つながる
C:放置前の出力画像と比較して画像(line pair)が明確ではない
(実施例E1〜E4)
表6に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、塗布性、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。
(実施例F1〜F2)
表6に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、塗布性、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。
(実施例G1〜G4)
表7に従って、電荷輸送層の組成・膜厚を変更した以外は、実施例A1と同様にして、電子写真感光体を得た。
各例で得られた電子写真感光体について、実施例Aと同様にして、塗布性、無機保護層の打痕、感光体の電気特性について評価を行った。加えて、実施例Dと同様にして、細線再現性(解像度)について評価した。
但し、表中の略記は以下の通りである。
・D50:体積平均粒径
・TMS:トリメチルシラン
・DS:デシルシラン
・FS:フェニルシラン
・シリカ粒子の縮合率;シリカ粒子の表面のシラノール基に対する疎水化処理剤の縮合率
・シリカ粒子の濃度:電荷輸送層全体に対するシリカ粒子の含有量
・電荷輸送材料の濃度:電荷輸送層の全成分の質量からシリカ粒子の質量を引いた質量する電荷輸送材料の含有量(電荷輸送材料の濃度=電荷輸送材料質量/(電荷輸送層全質量−シリカ粒子質量))
Claims (15)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた有機感光層であって、下記無機保護層と接する面側の領域に少なくとも電荷輸送材料及び体積平均粒径が20nm以上200nm以下であるシリカ粒子を含む有機感光層と、
前記有機感光層上にその表面に接して設けられた無機保護層と、
を備えた電子写真感光体。 - 前記無機保護層が第13族元素及び酸素を含んで構成された無機保護層である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子が、疎水化処理シリカ粒子である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記疎水化処理シリカ粒子が、シリカ粒子の表面にトリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を有する請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記疎水化処理シリカ粒子の縮合率が90%以上である請求項3又は4に記載の電子写真感光体。
- 前記有機感光層が、電荷発生層と、少なくとも前記電荷輸送材料及び前記シリカ粒子を含む電荷輸送層と、を前記導電性基体上にこの順で有する感光層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送層全体に対して、30質量%以上70質量%以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送材料の含有量よりも多い請求項6又は7に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送材料の含有量が、前記電荷輸送層の全成分の質量から前記シリカ粒子の質量を引いた質量に対して、40質量%以上60質量%以下である請求項6〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層における前記無機保護層側の表面の表面粗さRaが、0.06μm以下である請求項6〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の弾性率が、5GPa以上である請求項6〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の膜厚が、10μm以上40μm以下である請求項6〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子の体積抵抗率が、1011Ω・cm以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
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