JP2019197188A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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秀弥 勝原
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Takeshi Iwanaga
剛 岩永
昌記 平方
Masaki Hirakata
昌記 平方
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Masayuki Torigoe
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陽一 木越
Yoichi KIGOSHI
陽一 木越
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Abstract

【課題】無機保護層の打痕の発生が抑制される電子写真感光体を提供すること。【解決手段】導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた無機保護層と、を有し、前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、導電性基体と、導電性基体上に設けられた有機感光層と、有機感光層上に設けられた無機保護層であって、有機感光層側から、第1層、第2層、及び第3層をこの順で有し、第1層の厚さが0.1μmを超え1.0μm以下であり、且つ式(1):ρ3≦ρ1<ρ2(式(1)中、ρ1は前記第1層の体積抵抗率(Ωcm)を示す。ρ2は第2層の体積抵抗率(Ωcm)を示す。ρ3は第3層の体積抵抗率(Ωcm)を示す。)の関係を満たす無機保護層と、を備えた電子写真感光体が記載されている。
特許文献2には、導電性基体と、導電性基体上に設けられた有機感光層であって、無機保護層と接する面側の領域に少なくとも電荷輸送材料及び体積平均粒径が20nm以上200nm以下であるシリカ粒子を含む有機感光層と、有機感光層上にその表面に接して設けられた無機保護層と、を備えた電子写真感光体が記載されている。
特許第6015160号公報 特許第5994708号公報
例えば、無機保護層を備える電子写真感光体は、キャリア等の硬質物が電子写真感光体の表面に移行して、電子写真感光体と電子写真感光体に接触する部材との間に介在することで、無機保護層に打痕が生じることがある。
本発明の課題は、無機保護層を備える電子写真感光体において、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:A/B≧0.5を満たす場合に比べ、無機保護層の打痕の発生が抑制される電子写真感光体を提供することである。
ここで、無機保護層に発生する「打痕」とは、円形状又は楕円状の凹部であり、その大きさは最大径で40μm以下である。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1> 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた下引層と、
前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられた無機保護層と、
を有し、
前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、前記導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体。
<2> 前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層と最も膜弾性率の高い層との膜弾性率の差が、30GPa以上90GPa以下である<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記無機保護層に対する前記下引層の膜厚比が0.01以上40以下である<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4> 前記無機保護層に対する前記電荷輸送層の膜厚比が1以上60以下である<1>〜<3>のいずれか1に記載の電子写真感光体。
<5> 前記下引層の膜厚が0.1μm以上35μm以下であり、
前記電荷輸送層の膜厚が10μm以上60μm以下であり、
前記無機保護層の膜厚が1.0μm以上10μm以下である、<1>〜<4>のいずれか1に記載の電子写真感光体。
<6> 前記無機保護層が、第13族元素及び酸素を含む金属酸化物層からなる無機保護層である<1>〜<5>のいずれか1に記載の電子写真感光体。
<7> 前記第13族元素及び酸素を含む金属酸化物層が、酸化ガリウムを含む金属酸化物層である<6>に記載の電子写真感光体。
<8> <1>〜<7>のいずれか1に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。
<9> <1>〜<7>のいずれか1に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<1>、<3>、<4>、<5>、<6>、又は<7>に係る発明によれば、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:A/B≧0.5を満たす場合に比べ、無機保護層の打痕の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
<2>に係る発明によれば、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層と最も膜弾性率の高い層との膜弾性率の差が30GPa未満である場合に比べ、無機保護層の打痕の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
<8>又は<9>に係る発明によれば、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:A/B≧0.5を満たす場合に比べ、無機保護層の打痕の発生が抑制される電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の電子写真感光体の無機保護層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態の電子写真感光体の無機保護層の形成に用いるプラズマ発生装置の例を示す概略模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書において、「電子写真感光体」は単に「感光体」と称することがある。
[電子写真感光体]
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた下引層と、下引層上に設けられた電荷発生層と、電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、電荷輸送層上に設けられた無機保護層と、を有し、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体である。
ここで、導電性基体上に設けられた層とは、導電性基体上に設けられた、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、及び無機保護層の他、中間層などの任意の層が設けられている場合には、その任意の層をも含む全ての層をいう。つまり、膜厚Aとしては、導電性基体上に設けられた全ての層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚を指す。
また、導電性基体上に設けられた層の総膜厚Bとは、導電性基体上に設けられた、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、及び無機保護層の他、中間層などの任意の層が設けられている場合には、その任意の層を含む全ての層の膜厚の総計を指す。
ここで、従来、有機感光層上に、無機保護層を形成する技術が知られている。
有機感光層は柔軟性を有し、変形し易い傾向がある一方で、無機保護層は硬質ではあるが靭性に劣る傾向がある。そのため、無機保護層に打痕が発生することがある。
例えば、現像工程において、現像手段からキャリアが飛散し、飛散したキャリアが電子写真感光体に付着した場合、電子写真感光体に付着したままキャリアが転写位置に到達する。そして、転写位置では、キャリアが電子写真感光体と転写手段と間に挟まった状態で、押圧力を受ける。このため、例えば、電子写真感光体と転写手段との間でキャリアが無機保護層に押し付けられ、無機保護層には打痕(凹み)が生じる。
そこで、本発明者らは、無機保護層の打痕の発生を抑制することについて検討を行い、以下の構成の電子写真感光体を見出した。
即ち、導電性基体上に、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、及び無機保護層をこの順に有する電子写真感光体であって、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体である。
上記式を満たすことで、導電性基体上に設けられた層の総膜厚に占める、無機保護層の打痕の発生に影響を及ぼしている、最も膜弾性率が低い層(電荷発生層を除く)に割合が少なくなる。
その結果、導電性基体上に設けられた層全体の機械的強度が高められ、打痕の発生を抑制しうると考えられる。
なお、最も膜弾性率が低い層として電荷発生層を除くのは、比較的膜厚が小さい層であり、電荷発生層の膜弾性率が無機保護層に発生する打痕の抑制に影響を及ぼし難いためである。
以上から、本実施形態に係る電子写真感光体では、上記構成により、打痕の発生が抑制されると推測される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0.1≦A/B≦0.495を満たすことが好ましく、式:0.15≦A/B≦0.49を満たすことがより好ましい。
本実施形態に係る電子写真感光体において、電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層としては、層に求められる機能の発現の観点から、下引層又は電荷輸送層が好ましいものとして挙げられ、特に、電荷輸送層が好ましい。
ここで、各層の膜弾性率の測定方法について説明する。
各層の膜弾性率は、MTSシステムズ社製 Nano Indenter SA2を用いて、連続剛性法(CSM)(米国特許第4848141号)により深さプロファイルを得て、その押込み深さ50nmから300nmの測定値から得た平均値を用いる。下記は測定条件である。
・測定環境:23℃、55%RH
・使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(Berkovic圧子)三角錐圧子
・試験モード:CSMモード
なお、測定試料は、測定対象となる下引層、電荷輸送層、及び無機保護層の成膜時の同条件で基体上に成膜した試料であってもよい。また、測定試料は、作製後の電子写真感光体から下引層、電荷輸送層、及び無機保護層を取り出した試料であってもよい。
作製後の電子写真感光体から下引層、電荷輸送層、及び無機保護層の膜弾性率を測定する場合には、以下のようにして行う。
まず、作製後の感光体を無機保護層の膜弾性率を測定し、その後、無機保護層を化学機械研磨等によって削る。そして、露出した電荷輸送層の膜弾性率を測定し、測定後、電荷輸送層及び電荷発生層(必要に応じて中間層も)を化学機械研磨等により削る。続いて、露出した下引層の膜弾性率を測定する。
また、導電性基体上に設けられた層の総膜厚及び各層の膜厚の測定方法について説明する。
電子写真感光体について、分光干渉式膜厚測定器、渦電流式膜厚測定計等を用いて測定する。
測定対象について任意の72点の膜厚を測定し、その平均値を求め、これを膜厚とする。
なお、測定試料は、測定対象となる下引層、電荷輸送層、及び無機保護層の成膜時の同条件で基体上に成膜した試料であってもよい。
作製後の電子写真感光体から下引層、電荷輸送層、及び無機保護層の膜厚を測定する場合、例えば、分光干渉式膜厚測定器を用いればよい。
本実施形態において、導電性基体上に設けられた層のうち、電荷発生層を除き、最も膜弾性率が低い層と最も膜弾性率の高い層との膜弾性率の差が、30GPa以上90GPa以下であることが好ましく、35GPa以上80GMPa以下であることが好ましい。
差が30GPa以下であることで、導電性基体上に設けられた層全体の機械的強度がより高められ、無機保護層における打痕の発生を抑制し易くなる。
本実施形態において、無機保護層に対する下引層の膜厚比が0.01以上40以下(より好ましくは0.1以上35以下)であることが好ましい。
また、本実施形態において、無機保護層に対する電荷輸送層の膜厚比が1以上60以下(より好ましくは2以上50以下)であることが好ましい。
本実施形態に係る電子写真感光体において、電子写真感光体としての機能発現の点、無機保護層における打痕の発生の抑制の点等から、下引層の膜厚が0.1μm以上35μm以下であり、電荷輸送層の膜厚が10μm以上60μm以下であり、無機保護層の膜厚が1.0μm以上10μm以下であることが好ましい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。感光体107Aは、導電性基体104上に、下引層101が設けられ、その上に電荷発生層102、電荷輸送層103、及び無機保護層106が順次形成された構造を有する。感光体107Aは、電荷発生層102と電荷輸送層103とに機能が分離された有機感光層105を有している。
また、導電性基体104と下引層101との間には中間層を有していてもよい。
そして、本実施形態では、導電性基体104上に設けられた層のうち、電荷発生層102を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、導電性基体104上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす。
以下、電子写真感光体を構成する各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する場合がある。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これを更にアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
導電性基体の厚み(肉厚)は、感光体の強度を確保し、無機保護層の傷の発生を抑制する点で、1mm以上であることがよく、1.2mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。導電性基体の厚みの上限は特に限定されないが、例えば、無機保護層の傷の発生を抑制する点と感光体の操作性又は製造性との点から、3.5mm以下であることがよく、3mm以下としてもよく、3mm未満としてもよい。導電性基体の厚みが上記範囲であることで、導電性基体の撓みが抑制されやすくなり、無機保護層の傷の発生が抑制されやすくなる。
(下引層)
下引層としては、電子写真感光体において、導電性基体と有機感光層との間に設けられる公知の下引層が適用可能である。
公知の下引層としては、例えば、結着樹脂と無機粒子(例えば金属酸化物粒子)とを含む層、結着樹脂と樹脂粒子を含む層、硬化膜(架橋膜)で形成された層、硬化膜に種々の粒子を含む層、金属酸化物層等が挙げられる。
下引層として好ましい態様である、結着樹脂と無機粒子とを含む下引層及び金属酸化物層からなる下引層について、以下に説明する。
−結着樹脂と無機粒子とを含む下引層−
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。
無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
また、表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、結着樹脂と無機粒子とを含む下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
これらの他、下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
また、結着樹脂と無機粒子とを含む下引層は、表面粗さの調整のために、樹脂粒子を含んでいてもよい。
樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。
・結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の膜弾性率
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の膜弾性率は、1GPa以上30GPa以下が好ましく、2GPa以上25GPa以下がより好ましい。
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の膜弾性率は、無機粒子の種類、粒径、及び含有量等にて調整される。
・結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の表面粗さ
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さの調整のために、下引層は、その表面を研磨されていてもよい。
研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
・結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の膜厚
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の膜厚は、例えば、10μm以上が好ましく、より好ましくは15μm以上35μm以下の範囲内に設定される。
・結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の形成
結着樹脂と無機粒子とを含む下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
−金属酸化物層からなる下引層−
金属酸化物層からなる下引層とは、金属酸化物の層状物(例えば、金属酸化物のCVD膜、金属酸化物の蒸着膜、金属酸化物のスパッタ膜等)を指し、金属酸化物粒子の凝集体又は集合体は除かれる。
金属酸化物層からなる下引層としては、機械的強度、透光性、及び導電性に優れることから、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい。
第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
これらの中でも、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、機械的強度、透光性に優れ、特にn型導電性を有し、その導電制御性に優れるという観点から、特に酸化ガリウムが好ましい。
つまり、下引層を構成する金属酸化物層が、酸化ガリウムを含む金属酸化物層である音が好ましい。
金属酸化物層からなる下引層は、好ましくは、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素を含有する金属酸化物からなる層であればよいが、必要に応じて、水素及び炭素原子を含む層であってもよい。
金属酸化物層からなる下引層は、更に、亜鉛(Zn)を含む層であってもよい。
また、金属酸化物層からなる下引層は、導電型の制御のために、他の元素を含んでいてもよい。金属酸化物層からなる下引層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
特に、金属酸化物層からなる下引層は、第13族元素、酸素、及び水素を含有し、金属酸化物層からなる下引層を構成する全元素に対する、第13族元素、酸素、及び水素の元素構成比率の和が90原子%以上であることが好ましい。
そして、金属酸化物層からなる下引層において、酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素=O/Ga)を変えることで、膜弾性率の制御が容易に行われる。酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)において、酸素組成比が高いほど、膜弾性率は高くなる傾向にあり、例えば、1.0以上1.6以下であることが好ましい。
ここで、金属酸化物層からなる下引層における各元素の確認、元素構成比率等の測定は、後述する無機保護層に記載した方法と同様の方法が用いられるため、ここでは記載を省略する。
・金属酸化物層からなる下引層の膜弾性率
金属酸化物層からなる下引層の膜弾性率は、20GPa以上であることが好ましく、30GPa以上であることが好ましく、40GPa以上であることが好ましい。
金属酸化物層からなる下引層の膜弾性率の上限としては、100GPa以下が好ましく、90GPa以下がより好ましい。
・金属酸化物層からなる下引層の膜厚
金属酸化物層からなる下引層の膜厚としては、0.3μm以上15μm以下が好ましく、0.4μm以上12μm以下がより好ましく、0.5μm以上10μm以下が更に好ましい。
・金属酸化物層からなる下引層の形成
金属酸化物層からなる下引層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
金属酸化物層からなる下引層の形成の具体的な方法は、後述する無機保護層に記載した形成方法と同様であるため、ここでは記載を省略する。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と有機感光層(即ち、電荷発生層)との間に中間層を更に設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。
また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED、有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、有機感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、有機感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含み、必要に応じて、シリカ粒子を含む層であることが好ましい。
なお、電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層はシリカ粒子を含むことが好ましい。なお、電荷輸送層がシリカ粒子を含むと、シリカ粒子が電荷輸送層の補強材として機能し、膜弾性率を変化(特に、向上)させうる。
シリカ粒子の含有量は、無機保護層の打痕の発生を抑制する点から、シリカ粒子を含む電荷輸送層全体に対して30質量%以上70質量%以下であることがよい。同様の点で、シリカ粒子の含有量の下限は、45質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよい。また、シリカ粒子の含有量の上限は、例えば、シリカ粒子の分散性等の点から、75質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
シリカ粒子としては、例えば、乾式シリカ粒子、湿式シリカ粒子が挙げられる。
乾式シリカ粒子としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカが挙げられる。
湿式シリカ粒子としては、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ粒子(アルカリ条件で合成・凝集した沈降法シリカ、酸性条件で合成・凝集したゲル法シリカ粒子)、酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ粒子(シリカゾル粒子)、有機シラン化合物(例えばアルコキシシラン)の加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ粒子が挙げられる。
これらの中でも、シリカ粒子としては、残留電位の発生、その他電気特性の低下による画像欠陥の抑制(細線再現性の低下の抑制)の観点から、表面のシラノール基が少なく、低い空隙構造を持つ燃焼法シリカ粒子を用いることがよい。
シリカ粒子の体積平均粒径は、例えば、20nm以上200nm以下であることがよい。シリカ粒子の体積平均粒径の下限は、40nm以上であってもよく、50nm以上あってもよい。シリカ粒子の体積平均粒径の下限は、150nm以下であってもよく、120nm以下であってもよく、110nm以下であってもよい。
シリカ粒子の体積平均粒径は、層中からシリカ粒子を分離し、このシリカ粒子の一次粒子100個をSEM(Scanning Electron Microscope)装置により40000倍の倍率で観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を測定する。得られた球相当径の累積頻度における50%径(D50v)を求め、これをシリカ粒子の体積平均粒径として測定する。
シリカ粒子は、その表面が疎水化処理剤で表面処理されていることがよい。これにより、シリカ粒子の表面のシラノール基が低減し、残留電位の発生が抑制され易くなる。
疎水化処理剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等の周知のシラン化合物が挙げられる。
これらの中でも、疎水化処理剤としては、残留電位の発生を抑制し易くする観点から、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を持つシラン化合物が好ましい。つまり、シリカ粒子の表面には、トリメチルシリル基、デシルシリル基、又はフェニルシリル基を有することがよい。
トリメチルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
デシルシリル基を持つシラン化合物としては、例えば、デシルトリクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フェニル基を持つシラン化合物としては、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン等が挙げられる。
疎水化処理されたシリカ粒子の縮合率(シリカ粒子中のSiO−の結合におけるSi−O−Siの率:以下「疎水化処理剤の縮合率」とも称する)は、例えば、シリカ粒子の表面のシラノール基に対して90%以上がよく、91%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
疎水化処理剤の縮合率を上記範囲にすると、シリカ粒子のシラノール基がより低減し、残留電位の発生が抑制され易くなる。
疎水化処理剤の縮合率は、NMRで検出した縮合部のケイ素の全結合可能サイトに対して、縮合したケイ素の割合を示しており、次のようにして測定する。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。分離したシリカ粒子に対して、Bruker製AVANCEIII 400でSi CP/MAS NMR分析を行い、SiOの置換数に応じたピーク面積を求め、それぞれ、2置換(Si(OH)(0−Si)−)、3置換(Si(OH)(0−Si)−)、4置換(Si(0−Si)−)の値をQ2,Q3,Q4とし、疎水化処理剤の縮合率は式:(Q2×2+Q3×3+Q4×4)/4×(Q2+Q3+Q4)により算出する。
シリカ粒子の体積抵抗率は、例えば、1011Ωcm以上がよく、1012Ωcm以上が好ましく、1013Ωcm以上がより好ましい。
シリカ粒子の体積抵抗率を上記範囲にすると、電気特性の低下が抑制される。
シリカ粒子の体積抵抗率は、次のようにして測定する。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする。
まず、層中からシリカ粒子を分離する。そして、20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離したシリカ粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、シリカ粒子層を形成する。この上に前記同様の20cmの電極板を載せシリカ粒子層を挟み込む。シリカ粒子間の空隙をなくすため、シリカ粒子層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてからシリカ粒子層の厚み(cm)を測定する。シリカ粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が予め定められた値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、シリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)を計算する。シリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρはシリカ粒子の体積抵抗率(Ωcm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、Iは印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはシリカ粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。
・式:ρ=E×20/(I−I)/L
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、具体的には、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合型、又はその共重合型)、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
上記の結着樹脂の中でも、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合型、又はその共重合型)が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。また、同様の点で、ポリカーボネート樹脂の中でも、ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂を含むことがより好ましい。
無機保護層の打痕の発生を抑制する点から、結着樹脂は、例えば、粘度平均分子量は50000以下であることがよい。45000以下であることがよく、35000以下であってもよい。
粘度平均分子量の下限としては、結着樹脂としての特性を保持する点から、20000以上であることがよい。
ここで、結着樹脂の粘度平均分子量の測定は、以下の一点測定法が用いられる。
まず、測定対象となる感光体から、無機保護層を剥離した後、測定対象となる電荷輸送層を露出させる。そして、その電荷輸送層の一部を削り出し測定用試料を準備する。
次に、測定試料から結着樹脂を抽出する。抽出した結着樹脂1g分をメチレンクロライド100cmに溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計にて、その比粘度ηspを測定する。そして、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)を求め、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
−電荷輸送層の物性−
・電荷輸送層の表面粗さ
電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRa(算術平均表面粗さRa)は、例えば、0.06μm以下が挙げられ、好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.02μm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすると、無機保護層の平滑性が上がり、クリーニング性が向上する。
なお、表面粗さRaを上記範囲とするには、例えば、層の厚みを厚くする等の方法が挙げられる
この表面粗さRaは、次のように測定する。
まず、無機保護層を剥離した後、測定対象となる層を露出させる。そして、その層の一部をカッター等で切り出し、測定試料を取得する。
この測定試料に対して、触針式表面粗さ測定機(サーフコム1400A:東京精密社製等)を使用して測定する。その測定条件としては、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLn=4mm、基準長さL=0.8mm、カットオフ値=0.8mmとする。
・電荷輸送層の膜弾性率
電荷輸送層の膜弾性率は、例えば、5GPa以上が好ましく、6GPa以上がより好ましい。また、電荷輸送層の膜弾性率の上限としては、30GPa以下が好ましい。
電荷輸送層の弾性率を上記範囲とすると、無機保護層の打痕の発生が抑制され易くなる。
なお、電荷輸送層の弾性率を上記範囲とするには、例えば、シリカ粒子の粒径及び含有量を調整する方法、電荷輸送材料の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。
・電荷輸送層の膜厚
電荷輸送層の膜厚は、例えば、10μm以上60μm以下がよく、10μm以上50μm以下が好ましく、15μm以上35μm以下がより好ましい。
電荷輸送層の膜厚を上記範囲にすると、無機保護層の打痕の発生、及び残留電位の発生が抑制され易くなる。
−電荷輸送層の形成−
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
なお、電荷輸送層形成用塗布液中に粒子(例えばシリカ粒子やフッ素樹脂粒子)を分散させる場合、その分散方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
(無機保護層)
無機保護層は、無機材料を含む層であればよく、機械的強度の点から、金属酸化物層からなることが好ましい。
ここで、金属酸化物層からなる無機保護層とは、金属酸化物層からなる下引層と同様、金属酸化物の層状物(例えば、金属酸化物のCVD膜、金属酸化物の蒸着膜、金属酸化物のスパッタ膜等)を指し、金属酸化物粒子の凝集体又は集合体は除かれる。
−無機保護層の組成−
金属酸化物層からなる無機保護層としては、機械的強度、透光性、及び導電性に優れることから、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい。
第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
これらの中でも、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、機械的強度、透光性に優れ、特にn型導電性を有し、その導電制御性に優れるという観点から、特に酸化ガリウムが好ましい。
つまり、無機保護層は、酸化ガリウムを含む金属酸化物層からなる無機保護層であることが好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、例えば、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素を含んで構成されていればよく、必要に応じて、水素及び炭素を含んで構成されていてもよい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、水素を含むことで、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素を含んで構成された、金属酸化物層からなる無機保護層の諸物性が容易に制御され易くなる。例えば、ガリウム、酸素、及び水素を含む、金属酸化物層からなる無機保護層(例えば、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層)において、組成比[O]/[Ga]を1.0から1.5と変化させることで、10Ω・cm以上1014Ω・cmの範囲で体積抵抗率の制御が実現され易くなる。
特に、金属酸化物層からなる無機保護層は、第13族元素、酸素、及び水素を含有し、無機保護層を構成する全元素に対する、第13族元素、酸素、及び水素の元素構成比率の和が90原子%以上であることが好ましい。
また、酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)を変えることで、膜弾性率の制御が容易に行われる。酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素)において、酸素組成比が高いほど、膜弾性率は高くなる傾向にあり、例えば、1.0以上1.5未満であることが好ましく、1.03以上1.47以下がより好ましく、1.05以上1.45以下が更に好ましく、1.10以上1.40以下が特に好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層を構成する材料の元素組成比(酸素/第13族元素)が、上記範囲であると、感光体の表面における傷に起因する画像欠陥が抑制され、また感光体表面に供給された脂肪酸金属塩との親和性が向上し脂肪酸金属塩による装置内の汚染が抑制される。同様の点で、第13族元素はガリウムであることが好ましい。
また、金属酸化物層からなる無機保護層を構成する全元素に対する、第13族元素(特にガリウム)、酸素、及び水素の元素構成比率の和は、90原子%以上であることで、例えば、N,P,Asなどの第15族元素などが混入した場合、これらが第13族元素(特にガリウム)と結合する影響などが抑制され、無機保護層の硬度や電気特性を向上させ得る酸素及び第13族元素(特にガリウム)組成比(酸素/第13族元素(特にガリウム))の適正範囲を見出しやすくなる。上記元素構成比率の和は、上記の観点で、95原子%以上が好ましく、96原子%以上がより好ましく、97原子%以上が更に好ましい。
金属酸化物層からなる無機保護層には、上記した第13族元素、酸素、水素及び炭素の他、導電型の制御のために、他の元素を含んでいてもよい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
ここで、金属酸化物層からなる無機保護層が、ガリウムと酸素と必要に応じて水素とを含んで構成された場合、機械的強度、透光性、柔軟性に優れ、その導電制御性に優れるという観点から、好適な元素構成比率は以下の通りである。
ガリウムの元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、15原子%以上50原子%以下であることが好ましく、20原子%以上40原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
酸素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、30原子%以上70原子%以下であることが好ましく、40原子%以上60原子%以下であることがより好ましく、45原子%以上55原子%以下であることが更に好ましい。
水素の元素構成比率は、例えば、無機保護層の全構成元素に対して、10原子%以上40原子%以下であることが好ましく、15原子%以上35原子%以下であることがより好ましく、20原子%以上30原子%以下であることが更に好ましい。
ここで、無機保護層における各元素の確認、元素構成比率、原子数比等は、厚み方向の分布も含めてラザフォードバックスキャタリング(以下、「RBS」と称する)により求められる
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
RBS測定は、具体的には以下のように行う
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
なお、水素の元素構成比率は、ハイドロジェンフォワードスキャタリング(以下、「HFS」と称する)により求められる。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾う。この時検出器をアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことがよい。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによって行う。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用する。
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
なお、金属酸化物層からなる金属酸化物層からなる無機保護層は、目的に応じて、厚み方向に組成比に分布を有していてもよいし、多層構成からなるものであってもよい。
−無機保護層の物性−
金属酸化物層からなる無機保護層の外周面(すなわち、電子写真感光体107Aの表面)における表面粗さRa(算術平均表面粗さRa)は、例えば、5nm以下が挙げられ、好ましくは4.5nm以下、より好ましくは4nm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすることで、帯電ムラが抑制される。
なお、表面粗さRaを上記範囲とするには、例えば、電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRaを前述の範囲とする等の方法が挙げられる
また、無機保護層の外周面における表面粗さRaの測定は、無機保護層の外周面について直接測定すること以外は、前述の電荷輸送層における無機保護層側の表面の表面粗さRaの測定方法と同様である。
金属酸化物層からなる無機保護層の体積抵抗率は、5.0×10Ωcm以上1.0×1012Ωcm未満が好ましい。無機保護層の体積抵抗率は、像流れの発生をより抑制し易くし、感光体の表面における傷に起因する画像欠陥をより抑制し易くする点で、8.0×10Ωcm以上7.0×1011Ωcm以下がより好ましく、1.0×10Ωcm以上5.0×1011Ωcm以下が更に好ましく、5.0×10Ωcm以上2.0×1011Ωcm以下が特に好ましい。
この体積抵抗率は、nF社製LCRメーターZM2371を用いて、周波数1kHz、電圧1Vの条件にて測定した抵抗値から、電極面積、試料厚みに基づき算出して求められる。
なお、測定試料は、測定対象となる無機保護層の成膜時の同条件でアルミ基体上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から無機保護層を剥離し、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
金属酸化物層からなる無機保護層は、微結晶膜、多結晶膜、非晶質膜などの非単結晶膜であることが好ましい。これらの中でも、非晶質は表面の平滑性で特に好ましいが、微結晶膜は硬度の点でより好ましい。
無機保護層の成長断面は、柱状構造をとっていてもよいが、滑り性の観点からは、平坦性の高い構造が好ましく、非晶質が好ましい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
金属酸化物層からなる無機保護層の膜弾性率は、5GPa以上であることが好ましく、30GPa以上80GPa以下であることがより好ましく、40GPa以上65GPa以下であることが更に好ましい。
この弾性率を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
無機保護層の膜厚は、例えば、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上10μm以下がより好ましい。
この膜厚を上記範囲とすると、無機保護層の凹部(傷)の発生、剥れ及び割れが抑制され易くなる。
−無機保護層の形成−
保護層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
以下、無機保護層の形成について、成膜装置の一例を図面に示しつつ具体例を挙げて説明する。なお、以下の説明は、ガリウム、酸素、及び水素を含んで構成された無機保護層の形成方法について示すが、これに限られず、目的とする無機保護層の組成に応じて、周知の形成方法を適用すればよい。
図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の無機保護層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図2(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図2(B)は、図2(A)に示す成膜装置のA1−A2間における模式断面図を表す。図2中、210は成膜室、211は排気口、212は基体回転部、213は基体支持部材、214は基体、215はガス導入管、216はガス導入管215から導入したガスを噴射する開口を有するシャワーノズル、217はプラズマ拡散部、218は高周波電力供給部、219は平板電極、220はガス導入管、221は高周波放電管部である。
図2に示す成膜装置において、成膜室210の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口211が設けられており、成膜室210の排気口211が設けられた側と反対側に、高周波電力供給部218、平板電極219及び高周波放電管部221からなるプラズマ発生装置が設けられている。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、図2に示す成膜装置に設けられたプラズマ発生装置の代わりに、図3に示すプラズマ発生装置を用いてもよい。図3は、図2に示す成膜装置において利用されるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図であり、プラズマ発生装置の側面図である。図3中、222が高周波コイル、223が石英管を表し、220は、図2中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管223と、石英管223の外周面沿って設けられた高周波コイル222とからなり、石英管223の一方の端は成膜室210(図3中、不図示)と接続されている。また、石英管223のもう一方の端には、石英管223内にガスを導入するためのガス導入管220が接続されている。
図2において、平板電極219の放電面側には、放電面に沿って延びる棒状のシャワーノズル216が接続されており、シャワーノズル216の一端は、ガス導入管215と接続されており、このガス導入管215は成膜室210外に設けられた不図示の第2のガス供給源と接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体が用いられる。
無機保護層の形成は、例えば、以下のように実施する。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
次に、トリメチルガリウムガスをガス導入管215、活性化手段である平板電極219の下流側に位置するシャワーノズル216を介して成膜室210に導入することによって、基体214表面にガリウムと酸素と水素とを含む非単結晶膜を成膜する。
基体214としては、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体を用いる。
無機保護層の成膜時の基体214表面の温度は、電荷発生層及び電荷輸送層を含む有機感光層を有するため、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、30℃以上100℃以下が更に好ましい。
基体214表面の温度が成膜開始当初は150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には有機感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基体214の表面温度を制御することが好ましい。
基体214表面の温度は加熱手段及び冷却手段の少なくとも一方(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体214を加熱する場合にはヒータを基体214の外側や内側に設置してもよい。基体214を冷却する場合には基体214の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による基体214表面の温度の上昇を避けたい場合には、基体214表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
また、トリメチルガリウムガスの代わりにアルミニウムを含む有機金属化合物やジボラン等の水素化物を用いることもでき、これらを2種類以上混合してもよい。
例えば、無機保護層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することにより、基体214上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、有機感光層を劣化させる紫外線を吸収する。このため、成膜時の紫外線の発生による有機感光層へのダメージが抑制される。
また、成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としては、n型用としてはSiH,SnHを、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、などをガス状態で使用する。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用してもよい。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の無機保護層を得る。
図2及び図3を用いて説明した成膜装置では、放電エネルギーにより形成される活性窒素又は活性水素を、活性装置を複数設けて独立に制御してもよいし、NHなど、窒素原子と水素原子を同時に含むガスを用いてもよい。更にHを加えてもよい。また、有機金属化合物から活性水素が遊離生成する条件を用いてもよい。
このようにすることで、基体214表面上には、活性化された、炭素原子、ガリウム原子、窒素原子、水素原子、等が制御された状態で存在する。そして、活性化された水素原子が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。
このため、三次元的な結合を構成する硬質膜(無機保護層)が形成される。
図2及び図3に示す成膜装置のプラズマ発生手段は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いてもよいし、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でもよい。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起されるようにすることが好ましい。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けてもよい。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種類のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図2に示す成膜装置を例に上げれば、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用される。この場合、例えば、ガス導入管215を介して、シャワーノズル216に高周波電圧を印加して、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる。又は、シャワーノズル216を電極として利用する代わりに、成膜室210内の基体214と平板電極219との間に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して、成膜室210内に放電を起こさせる。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが好ましい。
無機保護層の形成は、例えば、成膜室210に、電荷輸送層まで積層された感光体製造用の積層体である基体214を設置し、各々組成の異なる混合ガスを導入して、無機保護層を形成する。
また、成膜条件としては、例えば高周波放電により放電する場合、低温で良質な成膜を行うには、周波数として10kHz以上50MHz以下の範囲とすることが好ましい。また、出力は基体214の大きさに依存するが、基体の表面積に対して0.01W/cm以上0.2W/cm以下の範囲とすることが好ましい。基体214の回転速度は0.1rpm以上500rpm以下の範囲が好ましい。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。なお、画像形成装置100において、制御装置60(制御手段の一例)は、画像形成装置100内の各装置及び各部材の動作を制御する装置であり、各装置及び各部材と接続されて配置されている。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図4には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
−制御装置−
制御装置60は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置60は、例えば、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。そして、I/Oには、電子写真感光体7(駆動モータ30を含む)、帯電装置8、露光装置9、現像装置11、転写装置40等の画像形成装置100の各部が接続されている。
なお、CPUは、例えば、ROMや不揮発性メモリに記憶されているプログラム(例えば、画像形成シーケンスや回復シーケンス等)の制御プログラム)実行し、画像形成装置100の各部の動作を制御する。RAMは、ワークメモリとして使用される。ROMや不揮発性メモリには、例えば、CPUが実行するプログラムやCPUの処理に必要なデータ等が記憶されている。なお、制御プログラムや各種データは、記憶部等の他の記憶装置に記憶されていてもよいし、通信部を介して外部から取得されてもよい。
また、制御装置60には、各種ドライブが接続されていてもよい。各種ドライブとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置が挙げられる。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体に制御プログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体7の周囲であって、転写装置40よりも電子写真感光体7の回転方向下流側でクリーニング装置13よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置13よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置8よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体7の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記構成に限られず、周知の構成、例えば、電子写真感光体7に形成したトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の画像形成装置を採用してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は質量部を意味する。
[シリカ粒子の準備]
−シリカ粒子(1)−
未処理(親水性)シリカ粒子「商品名:OX50(アエロジル社製)」100質量部に、疎水化処理剤として1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(東京化成工業社製)30質量部を添加し、24時間反応させ、その後、濾取し疎水化処理されたシリカ粒子(1)を得た。
このシリカ粒子(1)の縮合率は93%であり、表面にトリメチルシリル基を有していた。また、このシリカ粒子(1)の体積平均粒径は40nmであった。
<実施例1>
−下引層の作製−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛(シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛)110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)15質量部と、メチルエチルケトン85質量部と、を混合した混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):40質量部と、を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、下引層を得た。
−電荷発生層の作製−
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の作製−
シリカ粒子(1)50質量部に、テトラヒドロフラン250質量部を入れ、20℃の液温に保ちながら4−(2,2−ジフェニルエチル)−4’,4’’−ジメチル−トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30000)25質量部を加え、12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥して電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
以上の工程を経て、アルミニウム基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体(1)を得た。
−無機保護層の形成−
次に、有機感光体(1)の表面へ、水素を含む酸化ガリウムで構成された無機保護層を形成した。この無機保護層の形成は、図2に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、有機感光体(1)を成膜装置の成膜室210内の基体支持部材213に載せ、排気口211を介して成膜室210内を圧力が0.1Paになるまで真空排気した。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量1.6sccm)と水素ガス(流量50sccm)とを、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量1.9sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、有機感光体(1)を500rpmの速度で回転させながら成膜し、有機感光体(1)の電荷輸送層表面に無機保護層を形成した。
無機保護層の外周面における表面粗さRaは、1.9nmであった。
無機保護層における、酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム)は1.25であった。
以上の工程を経て、導電性基体上に、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、無機保護層が順次形成された、実施例1の電子写真感光体を得た。
<実施例2〜4>
電荷輸送層の膜弾性率及び膜厚と無機保護層の膜厚とを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の電子写真感光体を得た。
ここで、電荷輸送層の膜弾性率は、シリカ粒子(1)の使用量を変えて調整し、電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送層形成用塗布液の塗布量を変えて調整し、シリカ粒子(1)の使用量を変えて調整し、無機保護層の膜厚は、成膜時間を変えて調整した。以下に示す実施例及び比較例も同様の方法を用いて、電荷輸送層の膜弾性率及び膜厚と無機保護層の膜厚とを調整した。
<比較例1>
電荷輸送層の膜厚と無機保護層の膜厚とを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体を得た。
<比較例2>
電荷輸送層の膜弾性率及び膜厚と無機保護層の膜厚とを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体を得た。
<比較例3>
下引層の膜厚と電荷輸送層の膜厚と無機保護層の膜厚とを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電子写真感光体を得た。
ここで、下引層の膜厚は、下引層形成用塗布液の塗布量を変えて調整した。
(測定及び評価)
−膜弾性率及び膜厚の測定−
各例で得られた電子写真感光体における、下引層、電荷発生層、及び無機保護層の膜弾性率について既述の方法で測定した。
また、各例で得られた電子写真感光体における、下引層、電荷発生層、及び無機保護層の膜厚に加え、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、及び無機保護層の総膜厚についても既述の方法で測定した。
結果を表1に示す。
−打痕の評価−
各例で得られた電子写真感光体を、画像形成装置(富士ゼロックス社製VARSANT 2100 PRESS)に組み込み、以下の評価を行った。
温度20℃湿度40%RHの環境下で、画像濃度30%の全面ハーフトーン画像をA4用紙に連続100枚出力した後、電子写真感光体の表面(すなわち、無機保護層の表面)を光学顕微鏡(キーエンス社製、型番:VHX−1000)により、倍率450倍で10視野測定し、打痕(凹み)の数を数え、単位面積(1mm×1mm)あたりの打痕の数(以下「打痕数」ともいう)を算出した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:打痕数が10個以下
B:打痕数が10個を超え20個以下
C:打痕数が20個を超え100個以下
D:打痕数が100個を超える
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、打痕の発生が抑制されていることが分かる。
101 下引層、102 電荷発生層、103 電荷輸送層、104 導電性基体、105 有機感光層、106 無機保護層、107A,7 電子写真感光体(感光体)、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、30 駆動モータ、40 転写装置、50 中間転写体、60 制御装置、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ、210 成膜室、211 排気口、212 基体回転部、213 基体支持部材、214 基体、215、220 ガス導入管、216 シャワーノズル、217 プラズマ拡散部、218 高周波電力供給部、219 平板電極、221 高周波放電管部、222 高周波コイル、223 石英管

Claims (9)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられた下引層と、
    前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
    前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
    前記電荷輸送層上に設けられた無機保護層と、
    を有し、
    前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き最も膜弾性率が低い層の膜厚をA、前記導電性基体上に設けられた層の総膜厚をBとしたとき、式:0<A/B<0.5を満たす電子写真感光体。
  2. 前記導電性基体上に設けられた層のうち、前記電荷発生層を除き、最も膜弾性率が低い層と最も膜弾性率の高い層との膜弾性率の差が、30GPa以上90GPa以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記無機保護層に対する前記下引層の膜厚比が0.01以上40以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記無機保護層に対する前記電荷輸送層の膜厚比が1以上60以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記下引層の膜厚が、0.1μm以上35μm以下であり、
    前記電荷輸送層の膜厚が、10μm以上60μm以下であり、
    前記無機保護層の膜厚が、1.0μm以上10μm以下である、請求項3又は請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記無機保護層が、第13族元素及び酸素を含む金属酸化物層からなる無機保護層である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記第13族元素及び酸素を含む金属酸化物層が、酸化ガリウムを含む金属酸化物層である請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に脱着するプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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