JP2002351102A - 電子写真感光体とその製造方法及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体とその製造方法及び画像形成装置

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JP2002351102A JP2001163388A JP2001163388A JP2002351102A JP 2002351102 A JP2002351102 A JP 2002351102A JP 2001163388 A JP2001163388 A JP 2001163388A JP 2001163388 A JP2001163388 A JP 2001163388A JP 2002351102 A JP2002351102 A JP 2002351102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真装置の小型化、メンテナンスフリー
化、低コスト化、高性能化を支える高耐摩耗性で異常画
像の発生が極めて少ない電子写真感光体を提供するこ
と。また、該感光体の製造方法および該感光体を用いる
電子写真装置を提供すること。 【解決手段】 導電性支持体上に直接または下引き層を
介して感光層を有する電子写真感光体において、該感光
層が少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、フィラ
ー、およびポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂
材料を含有していることを特徴とする電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐久電子写真感
光体とその製造方法およびそれを用いた画像形成装置に
関し、より詳しくは、導電性支持体上に直接または下引
き層を介して感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とフ
ィラーを含有し、且つ感光層中に少なくともポリエチレ
ンテレフタレート成分を含む樹脂材料を含有することを
特徴とする電子写真感光体とその製造方法およびそれを
用いた画像形成装置に関する。本発明の電子写真感光体
およびそれを用いた電子写真装置は、複写機、ファクシ
ミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等
に応用される。
【0002】
【従来の技術】複写機、レーザープリンタなどに応用さ
れる電子写真装置で使用される感光体は、セレン、酸化
亜鉛、硫化カドミウム等の無機感光体が主流であった時
代から、現在では、低公害性、低コスト化、および設計
自由度の高さで無機感光体よりも有利な有機感光体(O
PC)が広く利用されるようになっている。この有機感
光体は層構成別に分類することができ、例えば、(1)
ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電
性樹脂やPVK−TNF(2,4,7−トリニトロフル
オレノン)に代表される電荷移動錯体を導電性支持体上
に設ける均質単層型、(2)フタロシアニンやペリレン
などの顔料を樹脂中に分散させたものを導電性支持体上
に設ける分散単層型、(3)導電性支持体上に設ける感
光層を、アゾ顔料などの電荷発生物質を含有する電荷発
生層(CGL)と、トリフェニルアミンなどの電荷輸送
物質を含有する電荷輸送層(CTL)に機能分離した積
層型に分類することができる。積層型の場合、電荷発生
層の上に電荷輸送層を設ける構造と、これと逆の構造が
あり、前者が一般的で、後者を特に逆層と呼ぶ場合があ
る。特に積層型は高感度化に有利であり、加えて、高感
度化や高耐久化に対する設計上の自由度が高いこともあ
って、現在、有機感光体の多くがこの層構成を採ってい
る。
【0003】電子写真装置で静電潜像が形成される仕組
みを先の積層型有機感光体の場合について説明すると、
感光体を帯電した後に書き込み光を照射すると、光を吸
収した電荷発生物質は電荷キャリアを発生し、この電荷
キャリアが電荷輸送層に注入される。次に、帯電によっ
て生じた電界にしたがって、電荷キャリアは電荷輸送層
中を移動し、感光体表面まで到達した電荷キャリアが帯
電電荷と中和することにより静電潜像を形成する。電子
写真装置による画像出力は、この静電潜像にトナーを接
触させることにより感光体表面にトナー画像を形成し、
これを紙に転写し、次いで、加熱などでトナーと紙を定
着することにより、画像形成を行なっている。また、次
工程に備えて、感光体表面上に残留するトナーはクリー
ニングされ、感光体の残留電荷も除電される。電子写真
プロセスの工夫により画像出力の方法が説明と異なるケ
ースもあるが、何れの場合も以上の工程に則した画像形
成が行なわれている。
【0004】近年、電子写真装置は画像形成装置の中で
も高速記録性に優れていることから、オフィスユースだ
けでなくパーソナルユースにおいても幅広く用いられは
じめている。これに伴い、装置の小型化やメンテナンス
フリー化、とりわけ、低コスト化に対する具体化が市場
から強く要求されている。また、情報技術(IT)の著
しい発達により、電子写真装置もこれに応じた進化が要
求されている。すなわち、装置のデジタル化、カラー
化、写真印刷並の高画質化、一層の高速化が喫緊の課題
となっている。
【0005】電子写真装置による画像形成では、帯電か
ら除電に至る複数のプロセス中に、多くの不安定要因が
内在し、一つでも安定性が欠如すると画像品質が確保で
きなくなる。このことは装置のカラー化を推進させた場
合、プロセスの安定性に対する画像品質の影響は一層厳
しいものとなる。現時点では装置のデジタル化が機械的
変動や材料の変動要因を制御し、安定化させているが、
装置の小型化や低コスト化を図る場合、この制御を付加
することが困難となる。このため、上記課題を解決する
には感光体の高耐久化が必須となる。
【0006】電子写真感光体の耐久性は、特開平8−2
72126号公報、特開平8−292585号公報に記
載の如く、感光体表面の摩耗や創傷などの機械的負荷に
対する耐久性と繰り返し使用による残留電位の蓄積や帯
電性低下などの静電特性上の耐久性に左右される。ま
た、これらの耐久性以外に、感光体表面上の汚染による
画像ボケの発生や感光体表面上のトナーのフィルミング
なども感光体寿命を左右する因子となる。
【0007】従来、このような因子に対する感光体の高
耐久化技術として下記の手段が提案されてきた。 (1)感光体表面層の耐摩耗性向上化技術 例えば、特開平10−288846号公報、特開平10
−239870号公報には、バインダーとしてポリアリ
レートを用いることによる感光体の耐摩耗性向上化が提
案されている。また、特開平10−239871号公
報、特開平9−160264号公報には、バインダーと
してポリカーボネート樹脂を用いることによる感光体の
耐摩耗性向上化が提案されている。更に、特開平10−
186688号公報にはターフェニル骨格を有するポリ
エステル樹脂、特開平10−186687号公報にはト
リフェニルメタン骨格を有するポリエステル樹脂、特開
平5−40358号公報にはフルオレン骨格を有するポ
リエステル樹脂をバインダーとして用いることによる感
光体の耐摩耗性向上化が提案されている。また、特開平
9−12637号公報、特開平9−235442号公報
にはスチレン系エラストマーを含有したポリマーブレン
ドを電荷輸送層のバインダーとして用いることによる感
光体の耐摩耗性向上化が提案されている。しかしなが
ら、上記の手段では、光減衰の感度の制約から感光層中
に大量の低分子電荷輸送物質を含有する必要がある。低
分子電荷輸送物質は膜の脆化を著しくもたらす材料であ
り、低分子電荷輸送物質の含有量に比例して感光層の耐
刷性は急激に劣化する。このため、低分子電荷輸送物質
に起因する感光体表面のキズの発生、および膜削れが激
しく、電荷輸送層のバインダー樹脂の種類を特定するの
みでは大きな効果を得ることができなかった。
【0008】これに対し、例えば、特開平7−3254
09号公報には、低分子電荷輸送物質の代わりに高分子
型の電荷輸送物質を用いることが提案されている。かか
る技術は感光層中の樹脂成分比を極めて大きくすること
が可能になるため、上記の技術と比較して良好な耐摩耗
性が得られることが期待される。しかしながら、単に低
分子電荷輸送物質を高分子型の電荷輸送物質に変更する
だけでは充分な耐刷性を感光体に付与できないケースが
多い。これは、電子写真プロセスにおける感光体の摩耗
が、単に機械的な負荷によってのみ引き起こされるもの
ではないことに起因する。また、かかる材料は精製が困
難であるケースが少なくなく、不純物の除去が充分に施
せない場合、残留電位の蓄積が懸念される。
【0009】これ以外のものとして、例えば、特開昭4
6−782号公報、特開昭52−2531号公報には、
感光体表面に滑性フィラーを含有させることにより、感
光体表面の滑性を向上せしめ、結果、感光体の長寿命化
を図ることが提案されている。また、特開昭54−44
526号公報、特開昭60−57346号公報には、像
保持部材の絶縁層ないし光導電層中にフィラーを含ませ
ることにより、感光体の機械的強度を向上させることが
提案されている。また、特開平1−205171号公
報、特開平7−261417号公報には、積層型電子写
真感光体における感光体表面層または電荷輸送層中にフ
ィラーを含有させることにより、感光体表面硬度の強
化、または滑性を付与することが提案されている。ま
た、特開昭61−251860号公報には、電荷輸送媒
質100重量部に対し、疎水性酸化チタン微粉末を1重
量部から30重量部含有させることにより、感光体の機
械的強度を向上させることが提案されている。しかしな
がら、これらの技術に従って、感光層や電荷輸送層中に
単にフィラーを添加した場合、感度劣化や残留電位の蓄
積が激しく、感光体としての機能を失ってしまうケース
が少なくない。このためかかる手段も実用的な技術とは
言えない。
【0010】フィラーを利用するものとして、例えば特
開昭57−30846号公報、特開昭58−12104
4号公報、特開昭59−223443号公報、特開昭5
9−223445号公報には、特定範囲の粒径および粒
径分布を有する酸化スズや酸化アンチモンなどの金属ま
たは金属酸化物を含有する保護層を設けることにより、
感光体の機械的強度を向上させることが提案されてい
る。かかる技術は、感光体表面の機械強度を比較的容易
に向上させることが可能であることから、感光体の高耐
久化に対して有用な手段であると言うことができる。し
かしながら、従来提案されてきた表面保護層を設けた場
合、解像度の低下や、感度劣化など、他の特性が犠牲に
なるケースが多く、実用的な技術としては不充分と言え
る。
【0011】以上、記載した技術は感光体表面層の膜強
度を強化するものであるが、これとは別に特開昭46−
782号公報、特開昭52−2531号公報等に記載の
如く、感光体表面層の滑性を向上させることで感光体の
長寿命化を図ることが提案されている。しかしながら、
これらの滑性材料はバインダー樹脂に対する親和性が乏
しいものが少なくない。このため、使用間もなく滑性材
料の殆どが表面に析出してしまい、感光体表面の滑性が
持続できないケースが非常に多い。他方、バインダー樹
脂との保持性が高い滑性材料を用いた場合、効果の度合
いが弱く、更には、かかる材料を添加することによる膜
の脆化が激しく、感光体の耐摩耗性を劣化させてしまう
方が多い技術と言える。
【0012】(2)静電特性上の高耐久化技術 例えば、特開昭57−122444号公報、特開昭61
−156052号公報、特開平10−90919号公報
に見られるような感光層中へ酸化防止剤を添加すること
が提案されている。また、特開平8−272126号公
報、特開平8−95278号公報に見られるような感光
層中へ可塑剤を添加することが提案されている。また、
先に挙げた特開平8−272126号公報に見られるよ
うな電荷輸送層の酸素透過係数を特定値以下とする設計
により、静電特性上の高耐久化が提案されている。ま
た、特開平9−311474号公報、特開平10−20
526号公報に見られるような感光層中へ紫外線吸収剤
を添加することが提案されている。
【0013】上記の技術は長期使用による感光層の帯電
性劣化の抑制に有効な手段であると言える。しかしなが
ら、以上の安定剤は電荷キャリアのトラップとして作用
するものが少なくなく、残留電位の蓄積を助長させるケ
ースが多い。また、バインダー樹脂に対して剛性可塑剤
(antiplasticizer)として作用するも
のが多く、感光層の脆化を伴うものが少なくない。加え
て、安定剤の添加は感光層のガラス転移温度の降下を伴
うことから、感光体表面に対するトナーの離型性を阻害
させてしまうことも懸念される。すなわち、安定剤添加
による感光体の高耐久化は、副作用として機械的強度の
劣化を伴う場合が多く、従来型の有機感光体に対して以
上の手段がトータルとしての高耐久化に寄与するかは疑
問視される。安定剤添加による機能発現を、高耐久化に
対する「効果」として享受するケースは、高耐摩耗性の
感光体やガラス転移温度が充分に高い感光体に限定され
ると言うことができる。
【0014】(3)異常画像発生の抑制化技術 例えば、特開平11−311876号公報、特開200
0−131855号公報に見られるような感光体表面層
に用いるバインダーを高分子量体と低分子量体との混合
樹脂を用いることが提案されている。これはバインダー
の内、低分子量成分を削ることで感光体表面に付着した
低抵抗物質を共に除去しようとする設計思想で、効果が
認められるものの感光体の高耐久化には限度があると容
易に推測される。また、特開平5−119488号公
報、特開平8−95278号公報、特開2000−21
4618号公報に見られるような感光体表面層、また
は、感光層中に酸化防止剤や可塑剤を添加することも異
常画像発生の抑制化技術として提案されている。また、
類似の技術として特開平10−301303号公報、特
開平2000−10323号公報に見られるような感光
層中へヒンダードアミン、ヒンダードフェノール化合物
を添加することも提案されている。
【0015】これらの技術は一部効果が認められるもの
の、残留電位の蓄積性に不利に作用するケースや膜の脆
化を促進するケースが少なくなく、これらの副作用を押
さえ込める感光体性能が別に要求される。また、特開平
11−249333号公報には電子写真感光体に用いる
電荷輸送物質をイオン化ポテンシャルが特定値範囲の電
荷輸送物質に限定することで画像ボケやトナーのフィル
ミング発生を抑制することが提案されている。ディビッ
ト エス ウエイスによる文献資料(ジャーナルオブイ
メージサイエンス,34巻,132〜135頁(199
0年))によれば、コロナ帯電によりCTL膜の電荷輸
送物質がニトロ化される知見が示されている。これよ
り、電荷輸送物質を酸化性雰囲気に対してできるだけ不
活性なものを選択することで、結果として異常画像を抑
制できると考えられる。しかしながら、電荷輸送物質の
反応性は分子内の電荷の偏りやラジカルの安定性、更に
は分子構造によっても左右されることから、電荷輸送物
質のイオン化ポテンシャルの序列が、直接、画像品質の
安定化に結びつくことは希である。上記の技術では、更
に現像剤とクリーニング手段を特定しており、これらの
複合効果により異常画像の発生を抑制したものと解釈さ
れるが、高耐久化に限度があることと汎用性が広い技術
とは言えない側面を有している。
【0016】この他に、感光体表面の汚染を予防するこ
とで課題を解決しようとするものが提案されている。例
えば、特開平7−295278号公報、特開平8−18
4976号公報に見られるような感光体表面の滑性を向
上させるものが提案されている。また、これに類似した
技術として、例えば特開平6−75386号公報に見ら
れるような感光層にシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂を
含有させることが提案されている。しかしながら、これ
らの技術の中には添加した潤滑剤が酸化されやすいもの
もあり、残留電位の蓄積性に対して不利となるケースが
少なくない。また、これらの技術は装置に工夫を加えな
いと滑性が持続できないケースも多く、プロセスに対し
て適用範囲の狭い技術と言える。また、多くの場合、滑
性成分はバインダー成分との親和性が低く、滑性成分が
膜の脆化を促進してしまうことがあり、異常画像発生の
抑制と感光体の高耐久化を両立するものとしては不充分
であると判断される。
【0017】このように、従来技術では感光体の設計の
みで異常画像発生の抑制と高耐久化を両立することは困
難であり、これらの技術について更にプロセス上の工夫
を組み込んで具体化が図られている。例えば、特開平1
1−202525号公報に見られるような感光体の帯電
方式を注入帯電方式とするものやヒーターを設けるもの
が提案され、特開平11−19087号公報では感光体
表面に潤滑剤を供給する手段を設けることによる上記の
両立化が提案されている。これらの技術は装置の小型化
や低コスト化に対して不利なものであり、昨今の市場ニ
ーズに応える技術とは言い難い。
【0018】以上に記載した如く、感光体の高耐久化に
ついて提案されてきた従来の技術は、耐摩耗性、静電特
性上の耐久性、あるいは感光体表面の汚染防止に関わる
一面を向上しようとするものであり、これらの耐久性を
同時に向上させる技術とは言い難い。加えて、一方の耐
久性向上化を試みた場合、他方の耐久性が劣化するよう
な、両者の耐久性がトレードオフの関係になるケースが
少なくない。従来提案されてきた技術は感光体の特定性
能の向上には有用であると言えるものの、直接、感光体
の長寿命化(高耐久化)を果たす技術とは言いきれな
い。実際、電子写真感光体は電子写真装置のうち、使い
捨ての消耗品としての性格が強く、長寿命な部品と言え
るものは未だ得られていないのが現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであり、電子写真装置の小型化、
メンテナンスフリー化、低コスト化、高性能化を支える
高耐摩耗性で異常画像の発生が極めて少ない電子写真感
光体の提供と該感光体の製造方法および該感光体を用い
る電子写真装置の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
対し鋭意検討を重ねた結果、感光層にフィラーと少なく
ともポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂材料を
含有することにより、上記課題が達成できることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0021】すなわち、本発明によれば、導電性支持体
上に直接または下引き層を介して感光層を有する電子写
真感光体において、該感光層が少なくとも電荷発生物質
と電荷輸送物質とフィラーを含有し、且つ感光層中に少
なくともポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂材
料が含有されることを特徴とする電子写真感光体を提供
することにより、前記課題を解決することができた。
【0022】感光体の耐久性は画像品質によって判断さ
れるが、画像品質の劣化は従来技術に取り上げた感光層
の膜削れ、反応性ガス曝露や大量印刷による感光層の低
抵抗化ないし化学変化、および感光体表面の汚染が影響
し、これにより画像コントラストの低下や地汚れ、異常
画像の発生を伴う。本発明者らは、画像品質の劣化を極
限まで防止するべく、感光体の耐摩耗性、静電特性上の
高性能化、および感光体表面の汚染物質に対する耐性を
高い次元で両立させるために、はじめに、感光体の耐摩
耗性向上化技術について、摩耗因子とその対策を検討
し、次いで、耐摩耗性向上化技術と両立可能な静電特性
面の性能向上化技術について検討し、更に異常画像発生
の伴わない材料を探求することにより本発明を完成する
に至った。
【0023】本発明における有機感光体の耐摩耗性向上
化手段について説明する。電子写真プロセスで生じる感
光体の摩耗は、主に以下に記す過程において発生または
加速されていると考えることができる。すなわち、 (1)クリーニング過程による摩耗 電子写真プロセスにおいて、感光体表面に残留するトナ
ーを除去する方法として、クリーニングブラシ方式やク
リーニングブレード方式が一般に用いられている。例え
ば、クリーニングブレード方式の場合、クリーニングブ
レードの先端部を回転する感光体表面に所定の押圧力で
物理的に食い込ませることによって、残留トナーを感光
体表面から除去している。このときのブレードの摺擦に
より、感光体表面は摩耗やキズが生じる。この摩耗は機
械的な摩耗が支配的であると考えられる。
【0024】(2)帯電過程による影響 特開平10−10767号公報に記載の如く、感光体は
帯電過程において、感光体内部の僅かな欠陥部位におい
て放電絶縁破壊が生じてしまうことがある。特に感光体
が絶縁耐圧の低い有機感光体の場合はこの絶縁破壊が著
しい。更には、放電により感光体表面層を構成する樹脂
が変性し、耐摩耗性の低下を引き起こす。これにより繰
り返し使用した際に表面層の摩耗量が増加し、感光体の
寿命を縮めてしまう。また、放電は表面層膜厚の薄い部
分ほど強くなることから、繰り返し使用において生じた
摩耗傷の部分は、帯電劣化(変性)が生じ易くなり、表
面層の凹凸をより大きくしてしまう。結果、凝着摩耗
(疲労摩耗)を促進してしまうことが考えられる。
【0025】(3)現像過程による摩耗 2成分現像法の場合、電子写真感光体はキャリアによる
表面研磨を受け、アブレッシブ摩耗を引き起こす。ま
た、トナーに含まれる流動化剤等の添加剤には、シリカ
等の硬い材料が多く、これらの添加剤が感光体に対して
研磨剤として作用することが充分に考えられる。現像過
程に伴う感光体の摩耗は微小な粒子によって連続的に行
なわれていると考えることができ、この状況は、感光体
が絶えずヤスリあるいはクレンザーで磨かれている状況
に喩えられる。また、1成分現像法の場合も含め、現像
に用いるトナーは、一度、感光体表面に付着し、次い
で、転写またはクリーニング手段によって感光体表面か
ら離れる過程を繰り返す。このときのトナー−感光体間
の付着力が無視できず、トナーが感光体表面から離れる
際に感光体表面に対して凝着摩耗を引き起こしてしまう
ことがある。逆に、トナー感光体間の付着力が極めて強
い場合、感光体表面上のトナーが堆積し、結果、フィル
ミングを生じてしまう。この場合、摩耗とは別の原因に
よって感光体寿命を縮めてしまう。
【0026】電子写真感光体の耐摩耗性を向上させるた
めには、少なくとも上記の(1)〜(3)について対策
を講じる必要がある。そこで、本発明者はこれらの摩耗
因子に対する耐久性向上化について検討したところ、従
来技術に挙げた数々の手段のなかでも、感光体の表面に
フィラーを含有させることが有効であることを見い出し
た。現時点では、この原因の詳細は不明であるが、感光
体表面層について、例えば、引張強度とひずみの積で表
わされる機械強度を向上させるだけでは、一定の静電特
性を維持しつつ電子写真プロセスにおける感光体の耐摩
耗性を向上させることには限度があること、また、感光
体表面層を有機材料のみで作製した場合、絶縁耐圧を向
上させることにも限界があること、更には、電子写真プ
ロセスで生じる感光体の摩耗は、現像過程における摩耗
が極めて激しいと言うことができる。これは感光体表面
層の硬度が現像剤に含まれる材料と比較して桁違いに低
いことに起因すると考えられる。これから、感光体の表
面にフィラーを含有させることで、このような硬い微粒
子と耐性の劣る感光体表面のバインダー樹脂との接触頻
度(または面積)が少なくなり、このため膜削れを起こ
す頻度も抑制されることや、帯電に伴う感光体表面の変
質もフィラーによって遮蔽されることが耐摩耗性向上に
結びついていると考えることができる。本発明におい
て、この構成を特徴とする感光体のなかでも、耐摩耗性
向上化に有利な設計として以下の知見を見い出した。
【0027】(1)感光体表面層に含有させるフィラー
のうち、シリカ、α−アルミナが耐摩耗性向上に有利で
ある(請求項11)。 (2)感光体の耐摩耗性はフィラーの含有量が多いもの
ほど優れた耐久性を示し、フィラーが含有される層の全
重量に対して10wt%以上のフィラーが含有される場
合、実使用上の耐久性向上が効果として享受される(請
求項12)。 (3)フィラーを結着するバインダー樹脂の分子量は
4.0×104以上(重量平均分子量)の場合、耐摩耗
性向上に有効に寄与する(請求項6)。 (4)フィラーが含有される保護層は膜厚を厚くするほ
ど、感光体の高耐久化に有利である。
【0028】従来、保護層に含有するフィラー種は極め
て多種多彩な材料が提案されてきたが、このうち、フィ
ラーが容易に削れるものは耐久性を向上させる効果が小
さい。また、フィラーに透光性がないと、電子写真装置
における書き込み光を保護層が遮蔽してしまうため、保
護層の厚膜化が困難となるケースがある。これに対し
て、シリカおよびα−アルミナは耐摩耗性と透光性を兼
ね備えたフィラーとして、本発明では有効に利用するこ
とができる。また、保護層の耐摩耗性はフィラー量が多
いほど耐摩耗性が優れることから、保護層の膜厚とフィ
ラー含有量の調整により、感光体の耐摩耗性を所望の耐
久性に調節することができる。また、フィラーを結着す
るバインダー樹脂は重量平均分子量が4.0×104
上の場合、フィラーを膜中に固定することが可能であ
り、フィラーの物性に応じた耐久性が発現される。以上
の知見を適用することにより、極めて高い耐摩耗性を感
光体に付与することが可能となる。
【0029】次に、本発明における有機感光体の静電特
性の高性能化手段について説明する。感光体の表面にフ
ィラーを含有することで感光体の耐摩耗性を向上させよ
うとする手段は、従来、種々の試みがされてきた。しか
しながら、これらの試みは露光部電位上昇による出力画
像のコントラスト低下を伴い充分な効果を得ることが困
難であった。これは従来技術ではフィラーが電荷トラッ
プとして作用してしまい、フィラー含有量の増加や保護
層膜厚の厚膜化が不可能であることに起因する。
【0030】本発明者はかかる感光体の静電特性の高性
能化について検討し、以下の知見を得るに至った。 (1)感光層にフィラーを含有した電子写真感光体にお
いて、フィラーが含有される層に電荷輸送物質ないし電
荷発生物質を高濃度に含有させることにより、露光部電
位の上昇を抑制することが可能となる。 (2)フィラーは感光層に均一に添加するよりも、感光
体表面に保護層を設け、この保護層にのみフィラーを含
有した方が露光部電位を低くできるケースが多い(請求
項2)。 (3)感光体の表面層にフィラーを含有した電子写真感
光体において、フィラーを含まない感光層または電荷輸
送層の上に、電荷輸送材料ないし電荷発生材料とフィラ
ーが含有される感光層または電荷輸送層を設ける(感光
層または電荷輸送層の機能分離化を施す)ことにより、
露光部電位の上昇を抑えつつ、フィラーが含有される層
の厚膜化とフィラー含有率の増加が可能になる。なお、
感光層を機能分離したときのフィラーを含まない感光層
をフィラー非補強感光層と称し、感光層の一部を表わす
名称として本発明において使用する。電荷輸送層につい
ても同様にフィラーを含まない電荷輸送層を本発明では
フィラー非補強電荷輸送層と称し、電荷輸送層の一部を
表わす名称として使用する。 (4)感光体の表面層にフィラーを含有した電子写真感
光体において、フィラーを含有することによる露光部電
位上昇の度合いは、含有するフィラーの種類によって大
きく異なる。フィラーのなかでも、シリカないしα−ア
ルミナを用いた場合に、露光部電位の上昇を抑えられる
(請求項11)。 (5)フィラーが含有される層に、この電気抵抗を低下
させる添加剤(以下、固有抵抗低下剤と称す。)を含有
させることにより露光部電位の上昇を抑えることができ
る。 (6)フィラーを疎水化処理することで露光部電位を低
下させることが可能となる。 (7)2種以上の電荷輸送物質を組み合わせて使用する
ことにより、露光部電位を低下させることが可能となる
ケースがある。また、静電特性に加えて耐ガス性、機械
強度の向上、クラック防止など2つ以上の要求特性を同
時に解決できるケースがある。 (8)フィラー非補強電荷輸送層またはフィラー補強電
荷輸送層に2種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、
これらのイオン化ポテンシャル差は0.15eV以下を
満たす材料を選択することで、露光部電位の上昇を抑制
することが可能となる。これと逆の場合、露光部電位が
高くなるケースが多い。 (9)フィラー非補強電荷輸送層とフィラー補強電荷輸
送層に含有される電荷輸送物質が各層で異なる場合、電
荷輸送物質のイオン化ポテンシャル差が0.15eV以
下を満たす材料選択により、露光部電位を低下させるこ
とが可能となる。これと逆の場合、露光部電位が高くな
るケースが多い。
【0031】表面保護層に電荷輸送物質や電荷発生物質
を大量添加することで、表面保護層を高い機械強度を併
せ持つ電荷輸送層へと転化し、これにより露光部電位を
低下させることが可能となる。この層を従来型の表面保
護層と解釈することは不自然であり、従来型の電荷輸送
層を2層に機能分離したと解釈する方が自然である。こ
のため、本発明ではこの層をフィラー補強電荷輸送層と
称し、この下層に当たる電荷輸送層をフィラー非補強電
荷輸送層と称する。このフィラー補強電荷輸送層に固有
抵抗低下剤を添加することで電荷キャリアの脱トラップ
を促す設計や、フィラーの表面を改質することでトラッ
プ形成を阻止する設計により、静電特性の高性能化が可
能となる。フィラー補強電荷輸送層に含有する電荷輸送
物質は高い電荷移動度を示す材料が望ましく、特に低電
界領域でも高移動度を示す材料が望ましい。また、フィ
ラー非補強電荷輸送層とフィラー補強電荷輸送層に含有
する電荷輸送物質が異なる場合、イオン化ポテンシャル
差は小さい方が好ましい。イオン化ポテンシャル差が大
きい場合、露光部電位の上昇をもたらすケースが多い。
これは、フィラー非補強電荷輸送層とフィラー補強電荷
輸送層に含有される電荷輸送物質が相互に相手の層へ拡
散し、他層から混入する電荷輸送物質が電荷トラップと
して作用してしまうことが原因として考えられる。同じ
理由により、フィラー補強電荷輸送層またはフィラー非
補強電荷輸送層に2種以上の電荷輸送物質を含有させる
場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好
ましい。以上の本発明における技術の適用により、機械
的な耐久性と静電特性に極めて優れた電子写真感光体の
提供が可能となる。
【0032】最後に、本発明における異常画像発生の抑
制化手段について説明する。機械的耐久性および静電特
性の向上により、表面層の削れ量が減少する場合、異常
画像の発生が重大な問題点としてクローズアップされ
る。異常画像の発生は、例えば、高温高湿下で吸湿した
紙を使用した場合、酸化劣化した樹脂及び表面付着物が
感光体表面から充分除去しきれなくなることで感光体表
面抵抗の低下を引き起こし、結果、出力画像が流れたよ
うになる。この他にも、石油暖房機から発生するNOx
ガスに曝されることによっても異常画像が発生するケー
スや帯電器から発生する低抵抗物質が感光体表面を汚染
することによっても異常画像が発生する。耐摩耗性の劣
る感光体では感光体表面の膜削れにより感光体表面がリ
フレッシュされ、このため異常画像の発生が伴わなかっ
たと考えられる。このことから、本来、高耐久であるは
ずの感光体が異常画像の発生により、最も低寿命な感光
体となってしまうことが極めて多い。また、これとは別
に感光体表面にトナーがフィルミングすることによって
も異常画像の発生を来すケースがある。現行の電子写真
装置では、電子写真感光体が動作時におおよそ50℃程
度まで上昇することが多い。電子写真装置の小型化と高
速化を図る場合、感光体はこれよりも高い温度で使用さ
れることが予測される。このとき、電子写真感光体のト
ナーに対する離型性が低下し、使用間もなくトナーフィ
ルミングを招いてしまう。結果、機械的強度、静電特性
の安定性に優れた感光体を用意しても使用できない事態
となる。
【0033】本発明者は上記手段による高耐摩耗性感光
体の異常画像防止について鋭意検討した結果、感光層に
ポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂材料を含有
することで、かかる問題点を解決することを見い出し、
本発明を完成するに至った。有機感光体の製造は、一般
に樹脂を有機溶剤に溶解させて支持体に塗布、乾燥して
製造している。このためポリエチレンテレフタレートを
単に感光層に含有させた場合、ポリエチレンテレフタレ
ートが有機溶剤に極めて難溶であるため、感光体表面を
粒だたせてしまう問題を招いてしまう。このため、感光
層中にポリエチレンテレフタレートを含有させる場合、
この問題を解決する必要がある。また、塗膜品質を度外
視しても市販のポリエチレンテレフタレートにはガラス
繊維やマイカ等感光体の静電特性を著しく劣化させてし
まうフィラーが配合されたものが極めて多い。このた
め、ポリエチレンテレフタレートを感光層に適用しよう
とする試みは従来、発想し難い手段であった。本発明者
はこの樹脂材料が異常画像発生の防止に極めて有用であ
ることを発見し、この樹脂材料を感光層の材料に適用す
る方法について、以下の知見を見い出すに至った。 (1)ポリエチレンテレフタレート成分は含有量が少な
いと効果が小さく、樹脂材料中10wt%以上含有され
ていることが望ましい。また、ポリエチレンテレフタレ
ート成分の含有率が高くなると、有機感光体の製造で用
いられる有機溶剤に難溶となるため、その含有率は樹脂
材料全体の30wt%以下であることが好ましい(請求
項4)。 (2)ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料の相手材としてはポリスチレン、ポリエステル、ポ
リアリレート、およびポリカーボネート等の電子写真感
光体に用いられる透明樹脂を選択することで、特性上問
題のない電子写真感光体を製造することが可能である
(請求項5)。これ以外の樹脂を用いた場合、樹脂の帯
電性に問題を抱えるケースや、フィラーの分散能が劣
り、部分的粗大凝集体により電荷のリークを招いてしま
うものがあり、実用性に欠ける。 (3)ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料はポリマーアロイの形態で使用すると、均質な膜を
形成するのに有利である。 (4)ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料は表面保護層以外にも例えば電荷輸送層のバインダ
ー樹脂としても問題なく使用することができる。現在、
広く利用されているビスフェノールZポリカーボネート
の代替材料としての使用が可能であり、この場合、感光
体の低コスト化に寄与できる。 (5)樹脂材料中にポリエチレンテレフタレート成分を
含有することにより、樹脂膜のガスバリアー性を高める
ことが可能である。 (6)ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料をガラス転移温度以上で加熱乾燥することで、下地
に対して極めて接着強度の高い膜形成ができる。 (7)高温環境下での使用に対して、感光体表面層のガ
ラス転移温度を80℃以上とする設計により、感光体表
面のトナーフィルミングを回避できるケースが極めて多
い。これは感光層に含有させるポリエチレンテレフタレ
ート成分を調節することや高いガラス転移温度を有する
樹脂との併用、または、高いガラス転移温度を有する電
荷輸送物質を選択することで可能となる。これにより異
常画像の発生を防止するのみならず、トナーの設計自由
度を広げる等の効果を享受することができる。 (8)ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料を溶剤に溶解してスプレー塗布する場合、樹脂材料
は溶融混練してペレット化した材料を使用することによ
り表面平滑な膜を形成することが可能である。
【0034】異常画像は表面層の変質が直接原因となる
ことや汚染物質の付着サイトとなることにより発生する
と考えられる。感光体表面層が受ける化学的な負荷とし
ては例えば、帯電による表面層の変質や酸化性ガス曝露
による表面層の変質を考えることができる。前者の場
合、例えばビスフェノールAポリカーボネートについ
て、コロナ帯電により分子骨格中のカルボキシル基の部
位が切断されることが一般に知られている。後者の場
合、電荷輸送物質がニトロ化される報告例があり、この
ような化学変化の進行度合いは少なからずバインダー樹
脂の性質(例えば、酸塩基性の程度や誘電率)が影響す
ると考えられる。ポリエチレンテレフタレート成分を含
有する樹脂材料を使用することにより、以上の効果が発
現される機構は現時点では不明であるが、これらの効果
はポリエチレンテレフタレートの高い耐薬品性やガスバ
リアー性、絶縁破壊強さなどの物性が機能したものと考
えられる。
【0035】以上記載した本発明における手段により、
有機感光体について極めて高い耐摩耗性を付与すること
が可能であり、この性能を維持する静電特性の高性能化
が達成される。更に、本発明により、従来より解決が困
難であった異常画像の発生を回避することが可能とな
り、これにより高耐摩耗性で異常画像の発生が極めて少
ない電子写真感光体の提供が実現される。
【0036】以下、本発明に用いられるポリエチレンテ
レフタレート成分を含有する樹脂材料について説明す
る。ポリエチレンテレフタレート成分は芳香族ジカルボ
ン酸又はそのエステルとグリコールとを主たる出発原料
として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位
の80%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは
95%以上がエチレンテレフタレート単位を有するポリ
エステルを指す。ジカルボン酸成分は、テレフタル酸以
外に、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びそ
の誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等の
オキシ酸及びその誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コ
ハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘
導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸及びその誘導体などが挙げられる。一方、グリコー
ル成分は、エチレングリコール以外に、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビス
フェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族
グリコールなどが挙げられる。
【0037】このポリエチレンテレフタレート成分は、
公知の製造方法によって製造することができる。すなわ
ち、テレフタル酸とエチレングリコールないし第三成分
を直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧
下に重縮合を行なう直接エステル化法、または、テレフ
タル酸ジメチルとエチレングリコールないし、第三成分
を反応させてメチルアルコールを留去し、エステル交換
させた後、減圧下に重縮合を行なうエステル交換法によ
り製造される。更に、アセトアルデヒド含量を低下させ
るために固相重合を行なってもよい。
【0038】本発明ではポリエチレンテレフタレート成
分を感光層中に含有するため、このポリエチレンテレフ
タレート成分は、例えばポリカーボネート等の感光層の
バインダー樹脂(以下、相手材と称す。)に対してポリ
マーブレンド、ポリマーアロイないし共重合化して用い
られる。特に、ポリマーアロイは、塗工膜の均質化に有
利であり、本発明において有用な手段となる。ポリエチ
レンテレフタレート成分の相手材となるバインダ−樹脂
は、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリ
ル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン
/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、ポリカーボ
ネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、
ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビ
ニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化
性樹脂が挙げられるが、特にポリスチレン、ポリエステ
ル、ポリアリレート、およびポリカーボネートが感光体
の性能面から有効に用いられる。
【0039】なお、本発明で用いる相手材には予め、各
種の配合剤を施していても差支えない。例えば安定剤、
離型剤、発泡剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、接着
剤、接着助剤、難燃剤、難燃助剤等が例示され、特に限
定されるものではない。
【0040】本発明のポリエチレンテレフタレート成分
を相手材と均一に混合する方法として、公知の種々の方
法を用いることができる。例えばダブルコーンブレンダ
ー、リボンブレンダー等による方法が適用できる。ま
た、このような方法で混合した両樹脂を一軸押出機、二
軸押出機、ベント式押出機等により溶融混練をすること
で造粒することができる。
【0041】以下、図面に沿って本発明で用いられる有
機系電子写真感光体を詳細に説明する。図4は本発明の
電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導
電性支持体(21)上に感光層(24)が設けられてい
る。感光層(24)は表面側ほど、フィラー濃度が高い
特徴を有する。図5は他の構成の電子写真感光体の一例
を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と
感光層(24)の間に下引き層(25)が設けられてい
る。感光層(24)は表面側ほど、フィラー濃度が高い
特徴を有する。図6は別の構成の電子写真感光体を模式
的に示す断面図であり、感光層(24)がフィラー非補
強感光層(28)とフィラー補強感光層(27)に機能
分離されている。フィラー非補強感光層は感光層にフィ
ラーが含有されていない感光層を表す。一方、フィラー
補強感光層は感光層にフィラーが含有される感光層を表
す。フィラー補強感光層(27)は感光体の最表面に設
けられている(請求項8)。図7は更に別の構成の電子
写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性
支持体(21)と感光層(24)の間に下引き層(2
5)が設けられており、感光層(24)がフィラー非補
強感光層(28)とフィラー補強感光層(27)に機能
分離されている。フィラー補強感光層(27)は感光体
の最表面に設けられている(請求項8)。図8は更に別
の構成の電子写真感光体を模式的に示す断面図であり、
導電性支持体(21)上に電荷発生層(22)と電荷輸
送層(23)との積層からなる感光層(24)が設けら
れている。電荷輸送層(23)は表面側ほど、フィラー
濃度が高い特徴を有する。図9は更に別の構成の電子写
真感光体を模式的に示す断面図であり、導電性支持体
(21)と感光層(24)の間に下引き層(25)が設
けられている。感光層(24)のうち、電荷輸送層(2
3)は表面側ほど、フィラー濃度が高い特徴を有する。
図10は更に別の構成の電子写真感光体を模式的に示す
断面図であり、電荷輸送層(23)がフィラー非補強電
荷輸送層(29)とフィラー補強電荷輸送層(26)に
機能分離されている。フィラー補強電荷輸送層(26)
は感光体の最表面に設けられている。図11は更に別の
構成の電子写真感光体を模式的に示す断面図であり、導
電性支持体(21)と電荷発生層(22)の間に下引き
層(25)が設けられ、電荷輸送層(23)がフィラー
非補強電荷輸送層(29)とフィラー補強電荷輸送層
(26)に機能分離されている。フィラー補強電荷輸送
層(26)は感光体の最表面に設けられている。
【0042】導電性支持体(21)としては、体積抵抗
1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミ
ニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白
金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸
化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状も
しくは円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、
あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、
ステンレスなどの板およびそれらをDrawing I
roning法、Impact Ironing法、E
xtruded Ironing法、Extruded
Drawing法、切削法などの工法で素管化後、切
削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用す
ることができる。
【0043】本発明における感光層(24)は電荷発生
物質を電荷輸送層に分散させた単層型でも、電荷発生層
と電荷輸送層を順次積層させた積層型を用いることがで
きる。はじめに積層型感光体について説明する。積層型
感光体における各層のうち、はじめに、図8〜11に対
応する電荷発生層(22)について説明する。電荷発生
層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて
バインダ−樹脂を用いることもある。
【0044】電荷発生物質としては、無機系材料と有機
系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セ
レン、アモルファスセレン、セレン−テルル、セレン−
テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファ
スシリコンなどが挙げられる。アモルファスシリコンに
おいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原
子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子な
どをドープしたものが良好に用いられる。
【0045】一方、有機系材料としては、公知の材料を
用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無
金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズ
レニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバ
ゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格
を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ
顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フル
オレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格
を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペ
リレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔
料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフ
ェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系
顔料、シアニン及びアゾメチン系染料、インジゴイド系
顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられ
る。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混
合物として用いることができる。
【0046】電荷発生層に必要に応じて用いられるバイ
ンダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポ
キシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポ
リスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアク
リルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂
は、単独または2種以上の混合物として用いることがで
きる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、高分
子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応
じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0047】電荷発生層に併用できる電荷輸送物質には
電子輸送物質と正孔輸送物質とがあり、これらは更に低
分子型の電荷輸送物質と高分子型の電荷輸送物質があ
る。以下、本発明では高分子型の電荷輸送物質を特に高
分子電荷輸送物質と称する。電子輸送物質としては、た
とえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチ
レン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニ
トロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニト
ロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ
キサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、
2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−
b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジ
ベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受
容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独
または2種以上の混合物として用いることができる。
【0048】正孔輸送物質としては、以下に表される電
子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダ
ゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−
ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス
−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリ
ルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラ
ゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘
導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリ
ジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール
誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの
正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用
いることができる。
【0049】また、以下に表わされる高分子電荷輸送物
質を用いることができる。たとえば、ポリ−N−ビニル
カルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開
昭57−78402号公報等に記載されるヒドラゾン構
造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等
に記載されるポリシリレン重合体、特開平8−2691
83号公報、特開平9−151248号公報、特開平9
−71642号公報、特開平9−104746号、特開
平9−328539号公報、特開平9−272735号
公報、特開平9−241369号公報、特開平11−2
9634号公報、特開平11−5836号公報、特開平
11−71453号公報、特開平9−221544号公
報、特開平9−227669号公報、特開平9−157
378号公報、特開平9−302084号公報、特開平
9−302085号公報、特開平9−268226号公
報、特開平9−235367号公報、特開平9−873
76号公報、特開平9−110976号公報、特開20
00−38442号公報等に記載される芳香族ポリカー
ボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質
は、単独または2種以上の混合物として用いることがで
きる。
【0050】電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜
作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく
挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電
分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、
反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上
述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。ま
た、キャスティング法によって電荷発生層を設けるに
は、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要
ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シク
ロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン
などの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンド
ミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布す
ることにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプ
レーコート法、ビードコート法などを用いて行なうこと
ができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜
厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは
0.05〜2μmである。
【0051】次に、図8〜11に示す電荷輸送層(2
3)について説明する。はじめに、フィラー補強電荷輸
送層(26)を設けない図8と図9の場合について説明
する。電荷輸送層が感光体の最表面層になる場合、少な
くともフィラーとポリエチレンテレフタレート成分を含
有する樹脂材料を電荷輸送層に含有させる必要がある。
電荷輸送層は、フィラーと電荷輸送物質と少なくともポ
リエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂材料を適
当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥するこ
とにより形成できる。特に、ポリエチレンテレフタレー
ト成分を含有する樹脂材料のガラス転移温度よりも高い
温度で加熱乾燥すると、下地に対して極めて接着強度の
高い膜形成が可能となる。
【0052】塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工
法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工
法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用され
る。電荷輸送層の膜厚は、15〜40μm程度が適当で
あり、好ましくは15〜35μm程度、解像力が要求さ
れる場合、27μm以下が適当である。
【0053】電荷輸送層の表面から深さ方向に向けて存
在するフィラーの厚みを「フィラー層」と定義すると、
このフィラー層の膜厚は0.5μm以上であることが好
ましく、より好ましくは2μm以上であることが好まし
い。このフィラー層の膜厚を0.5μm以下にすると、
耐久性向上効果が小さく、有用性に欠けてしまう。他
方、この層の膜厚を2μm以上にすると、装置の寿命に
匹敵する耐久性が得られることが少なくなく、極めて有
用な手段となる。上記の特徴を有する電荷輸送層の塗工
は、フィラー含有量が少ないまたは含まれない感光層塗
工液を予め塗布し、必要な場合には乾燥し、次いでフィ
ラー含有量の多い感光層塗工液を塗布、乾燥することに
より容易に形成することが可能になる。
【0054】この具体例として、例えば、上利泰幸、島
田雅之、古賀智裕、川崎吉包、ポリマープレプリンツ,
ジャパン,46巻,No.11,2689頁(1997
年)に記載の溶液拡散法を用い、予め、フィラーの含ま
ない電荷輸送層塗工液を塗布し、次いで、感光体を塗工
溶媒の沸点より高い温度で加熱した状態にてフィラーが
含まれる電荷輸送層塗工液を塗布することにより感光体
表面側にフィラーの含有率が高い電荷輸送層を形成する
ことができる。このような塗工方法では、フィラーの含
有率に濃度傾斜が生じる場合が多い。そこで、本構成の
電荷輸送層は後述のフィラーが含まれない電荷輸送層を
塗布し、乾燥工程を経た後、常温でフィラー補強電荷輸
送層を設ける場合と区別される。
【0055】本発明では、バインダー成分として、ポリ
エチレンテレフタレート成分を含有する樹脂材料を用い
ることがとりわけ重要となる。これは単独または2種以
上の混合物として用いることができる。これに併用でき
るバインダー成分としては、例えば、ポリスチレン、ス
チレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジ
エン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル
共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
アリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、
エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、
シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂な
どの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。これらの樹脂材料は単独ま
たは2種以上の混合物として、また、これらの単量体に
ついて、2種以上の共重合体として、更には、電荷輸送
物質と共重合化して用いることができる。これらの材料
のうち、ガラス転移温度が170℃以上の材料を選択す
ることにより、多くの場合、電荷輸送層のガラス転移温
度を上げることが可能で、トナーに対する離型性が有利
になる。
【0056】また、電荷輸送層の水蒸気透過度を低減さ
せることを目的として、高分子化合物を用いる場合、例
えばポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアク
リロニトリル、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエ
ン、スチレン/アクリロニトリル、エチレン/酢酸ビニ
ル等はガス透過度の低いものが多く、有効に用いること
ができる。これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂
と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は
50wt%以下とすることが好ましい。同様の理由によ
り、電荷輸送物質とガス透過度の低い繰り返し単位を共
重合させる場合、その共重合成分の割合は共重合体全体
の60wt%以下であることが好ましい。
【0057】また、2種類以上の高分子化合物の組み合
わせからなる電荷輸送層のガス透過度は個々の樹脂にお
けるガス透過度の平均値に近い値を示す場合が多い。こ
のため、電荷輸送層のガス透過度を低減化する目的で使
用する高分子化合物のガス透過度は、その高分子膜の水
蒸気透過度として、140g・m-2・24h-1(膜厚は
電荷輸送層の膜厚と同じ)未満の材料を選択すると、極
めて多種類の材料と組み合わせて使用することが可能と
なる。
【0058】電荷輸送物質として用いることのできる材
料は、上述の低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質お
よび高分子電荷輸送物質が挙げられる。低分子型の電荷
輸送物質を用いる場合、この使用量は樹脂成分100重
量部に対して40〜200重量部、好ましくは50〜1
00重量部程度が適当である。また、高分子電荷輸送物
質を用いる場合、電荷輸送成分100重量部に対して樹
脂成分が0〜200重量部、好ましくは0〜150重量
部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられ
る。
【0059】また、電荷輸送層に2種以上の電荷輸送物
質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差
は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャ
ル差が0.15eV以下とすることで、一方の電荷輸送
物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを
防止することができる。特に、高感度化が要求される場
合、電荷輸送層の電荷移動度が高く、低電界領域におけ
る電荷移動度も充分に高くすることが好ましい。具体的
には電荷輸送層の電荷移動度が電界強度4×105V/
cmの場合に1.2×10-5cm2/V・sec以上
で、且つ電荷移動度に対する電界強度依存性が以下に定
義する値として、β≦1.6×10-3を満たすことが好
ましい。
【0060】ここで、電荷移動度の電界強度依存性は次
のようにして大小を判断することができる。すなわち、
電界強度を低い値から高い値へ変えた場合の電荷移動度
の変化を、縦軸に電荷移動度(単位:cm2/V・se
c)、横軸に電界強度の平方根(単位:V1/2/c
1/2)として片対数グラフにプロットする。次に、プ
ロットを結ぶ近似直線を引く。この具体例を図12に記
す。この直線の傾きが大きくなるほど、電荷移動度の電
界強度依存性が大きいと解釈される。この大きさを定量
的に取り扱う数式として、本発明では以下の式(1)を
用いる(請求項21)。
【0061】
【数3】 β=logμ/E1/2 (1) 前式中、logは常用対数、μは電荷移動度(単位:c
2/V・sec)、Eは電界強度(単位:V/cm)
を表わす。前式(1)におけるβが大きい電荷輸送層ほ
ど、電荷移動度の電界強度依存性が大きいと解釈され
る。多くの場合、βが大きい電荷輸送層は低電界領域で
の電荷移動度が低くなる。このときの感光体の静電特性
面の影響として、残留電位の上昇や帯電電位を下げて感
光体を使用する場合、応答性が劣ってしまうケースが挙
げられる。
【0062】高感度化を満足する電荷輸送成分の成分量
として、更に具体的には樹脂成分100重量部に対して
60重量部以上含有させることが好ましい。また、電荷
輸送層のガラス転移温度を高める場合、電荷輸送層の低
分子量成分の低減化が図れる高分子電荷輸送物質を選択
することが極めて有効な手段となる。特にガラス転移温
度が80℃以上の高分子電荷輸送物質を用いることによ
り電荷輸送層のガラス転移温度を高くすることが可能で
あり、有用である(請求項26)。
【0063】本発明に用いられるフィラーとしては酸化
チタン、シリカ、シリコーンゴム、アルミナ、酸化亜
鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸
化アンチモン、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホ
ウ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
等が挙げられる。特に、シリカとα−アルミナは、静電
特性面の安定性が高く、耐久性向上効果が大きい。特
に、電子写真感光体の高耐久化を図る手段として、無機
フィラーにα−アルミナを選択することが極めて有利と
なる。これはα−アルミナがダイアモンドに次いで優れ
たモース硬度を示すことと、透光性を有することに起因
する。前者の特性は感光体の耐摩耗性向上化に対して極
めて有利に作用する。後者は静電特性のパフォーマンス
維持に有利であり、これにより、フィラーの含有量を増
加させることが可能となる。結果、感光体の耐摩耗性向
上化に結びつけることができる。
【0064】とりわけ、以下の特徴を有するα−アルミ
ナは、膜中のフィラー充填性に優れるため、フィラーの
含有量を高くしても表面平滑な膜形成が可能となる。す
なわち、フィラーとして用いるα−アルミナは、実質的
に破砕面を有さず、且つ、多面体粒子であり、且つ、α
−アルミナの六方格子面に平行な最大粒子径をD、六方
格子面に垂直な粒子径をHとした場合に、D/H比が
0.5以上5.0以下であるα−アルミナ粒子からなる
ものが望ましい。
【0065】更に、この条件を満たすα−アルミナにつ
いて、粒子の平均粒径が0.1μm以上0.7μm未満
であり、且つ、累積粒度分布の微粒側からの累積10
%、累積90%の粒径をそれぞれDa、Dbとしたとき
にDb/Daの値が5以下の粒度分布を示すα−アルミ
ナが感光体の高耐久化に対して特に有用である。ここ
で、DaとDbは例えば、図13に示す粒径として例示
することができる。
【0066】α−アルミナの破砕面は電荷トラップとし
て作用することが多く、破砕面の面積が大きいα−アル
ミナを用いることは静電特性上余り好ましくない。ま
た、ここで定義するD/H比が大きなα−アルミナは、
形状がいびつであり、所定濃度以上のα−アルミナを含
有させると、α−アルミナがバインダー樹脂から頭出
し、感光体表面の平滑性を損ねてしまうことが多い。D
/H比が0.5以上5.0以下ではこのような事態を回
避できるケースが多く、表面平滑な膜形成に対して有利
となる。
【0067】また、α−アルミナの粒度分布はシャープ
であることが好ましい。具体的には、セディグラフX線
透過式粒度分布測定を行なったときの粒度分布が、先に
定義したDb/Daの値として5以下とすることによ
り、α−アルミナの粒径を均質化でき、感光体の表面平
滑化が容易となる。
【0068】電荷輸送層のフィラー含有率は、先に説明
した電荷輸送層の表面側に含有されるフィラー層につい
て、5wt%以上が好ましく、より好ましくは10wt
%以上が好ましい。5wt%以下であると、充分な耐摩
耗性向上が得られない。フィラー含有率の上限は35w
t%程度となるケースが多い。従来、提案されてきた手
段では、感光層中のフィラーを5wt%以上に高濃度化
させてしまうと、激しい感度劣化や残留電位上昇を招
き、感光体としての機能を失ってしまうケースが多かっ
たが、本発明に基づき、感光層中のフィラーを導電性支
持体側より最も離れた表面側に含有率を多くすることに
より、静電特性上の不具合を解消することが可能とな
り、同時に充分な高耐久化が実現できる。
【0069】これらのフィラーは塗工液および塗工膜中
の分散性向上を目的として、表面処理剤によるフィラー
表面の改質が施されてもよい。一般的な表面処理剤とし
ては、シランカップリング剤、シラザン、チタネート系
カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジル
コアルミネートカップリング剤、ジルコニウム有機化合
物、脂肪酸化合物等が挙げられる。また、無機物による
表面処理として、フィラー表面のアルミナ、ジルコニ
ア、酸化スズ、シリカ処理が知られており、本発明にお
いて、これらの表面処理を適用してもよい。このうち脂
肪酸化合物とシランカップリング剤は分散性向上のみな
らず、感光体の静電特性の向上に対しても寄与すること
が多く有用である。フィラーの表面処理方法はコーティ
ングによる改質、メカノケミカル法を利用した改質、ト
ポケミカル法を利用した改質、カプセル化法を利用した
改質、高エネルギー利用の改質、沈殿反応を利用した改
質など公知の方法が用いられる。
【0070】また、感光体の残留電位や露光部電位の一
層の低減化を図る目的で、固有抵抗低下剤を電荷輸送層
中に含有することができる。また、固有抵抗低下剤はフ
ィラーの表面処理剤として使用してもよい(請求項1
6)。固有抵抗低下剤として、例えば、多価アルコール
の部分的脂肪酸エステル(ソルビタンモノ脂肪酸エステ
ル、脂肪酸ペンタエリスリトール等)、脂肪アルコール
のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサ
イド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド
付加物、多価アルコールの部分脂肪酸エステルのエチレ
ンオキサイド付加物、カルボン酸誘導体を挙げることが
できる。これらの化合物は単独でも2種以上の混合物と
しても用いることができる。固有抵抗低下剤の使用量は
フィラー100重量部に対して、0.5〜10重量部程
度が適当である。使用量が0.5重量部よりも低いと、
添加による効果が小さく実用的とは言えない。これらの
化合物を感光層に添加すると異常画像の発生防止に対し
て不利に作用するケースがある。しかしながら、本発明
においては感光層にポリエチレンテレフタレート成分を
含有する樹脂材料を用いることによりかかる不具合を招
くことが無く、固有抵抗低下剤を有効利用することが可
能となる。
【0071】電荷輸送層塗工液を調製する際に使用でき
る分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、ア
セトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチル
セロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなど
の芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハ
ロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエ
ステル類等を挙げることができる。特に、ポリエチレン
テレフタレート成分を含有する樹脂材料の溶解性を向上
させる溶媒として、テトラヒドロフラン、ハロゲン化炭
化水素、フェノール、N−メチルピロリドン、ピリジ
ン、ジメチルホルムアミドを溶剤に用いても良い。
【0072】また、必要により、電荷輸送層中に適当な
酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子
化合物およびレベリング剤を添加することもできる。こ
れらの化合物は単独または2種以上の混合物として用い
ることができる。低分子化合物の使用量は、樹脂成分1
00重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは、
0.1〜20重量部、レベリング剤の使用量は、樹脂成
分100重量部に対して0.001〜5重量部程度が適
当である。
【0073】次に、フィラー補強電荷輸送層(26)を
設ける場合の図10と図11に示す電荷輸送層(23)
について説明する。電荷輸送層(23)は表面側のフィ
ラーを含有する電荷輸送層と、フィラーが含まれない電
荷輸送層の2層に機能分離される特徴をもつ。前者をフ
ィラー補強電荷輸送層(26)と称し、後者をフィラー
非補強電荷輸送層(29)と称す。始めにフィラー非補
強電荷輸送層(29)について説明する。フィラー非補
強電荷輸送層(29)は、電荷輸送成分とバインダー成
分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に
溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形
成できる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、
リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノ
ズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0074】フィラー非補強電荷輸送層(29)の膜厚
は、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15
〜30μm程度、解像力が要求される場合、25μm以
下が適当である。フィラー非補強電荷輸送層に用いるこ
とのできる溶媒は、例えば、フィラー補強電荷輸送層を
設けない場合の電荷輸送層の説明に挙げたケトン類、エ
ーテル類、芳香族類、ハロゲン類およびエステル類等の
溶媒が挙げられる。この電荷輸送層にポリエチレンテレ
フタレート成分を含有する樹脂材料を含有させる場合、
樹脂の溶解性を向上させる溶媒として、テトラヒドロフ
ラン、ハロゲン化炭化水素、フェノール、N−メチルピ
ロリドン、ピリジン、ジメチルホルムアミドを溶剤に用
いても良い(請求項32)。フィラー非補強電荷輸送層
(29)に用いることのできる樹脂成分は、例えば、前
述の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの
高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、ま
た、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送物質として用いることのできる材料も前記の低
分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質および高分子電荷
輸送物質が挙げられる。低分子型の電荷輸送物質を用い
る場合、この使用量は樹脂成分100重量部に対して4
0〜200重量部、好ましくは50〜100重量部程度
が適当である。また、高分子電荷輸送物質を用いる場
合、電荷輸送成分100重量部に対して樹脂成分が0〜
200重量部、好ましくは0〜150重量部程度の割合
で共重合された材料が好ましく用いられる。
【0075】特に、フィラー非補強電荷輸送層とフィラ
ー補強電荷輸送層に含有する電荷輸送物質が異なる場
合、各層に含有する電荷輸送物質のイオン化ポテンシャ
ル差は小さい方が好ましい。具体的には0.15eV以
下であることが望ましい。同様に、2種以上の電荷輸送
物質を用いる場合、これらのイオン化ポテンシャル差が
0.15eV以下となる材料を選択することが好まし
い。特に、高感度化が要求される場合、電荷輸送層の電
荷移動度が高く、低電界領域における電荷移動度も充分
に高くすることが好ましい。具体的にはフィラー非補強
電荷輸送層の電荷移動度が電界強度4×105V/cm
の場合に1.2×10-5cm2/V・sec以上で、且
つ電荷移動度に対する電界強度依存性が先に定義した値
として、β≦1.6×10-3を満たすことが好ましい。
これを満たす電荷輸送成分の成分量として、樹脂成分1
00重量部に対して60重量部以上含有させることが好
ましい(請求項9)。
【0076】また、必要により適当な酸化防止剤、可塑
剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベ
リング剤を添加することもできる。これらの化合物は単
独または2種以上の混合物として用いることができる。
低分子化合物の使用量は、樹脂成分100重量部に対し
て0.1〜50重量部、好ましくは、0.1〜20重量
部、レベリング剤の使用量は、樹脂成分100重量部に
対して0.001〜5重量部程度が適当である。
【0077】次に、図10と図11に示すフィラー補強
電荷輸送層(26)について説明する。本発明における
フィラー補強電荷輸送層とは、少なくともフィラーと電
荷輸送物質とポリエチレンテレフタレート成分が含有さ
れる樹脂材料が含まれる。フィラー補強電荷輸送層は、
従来型の電荷輸送層に匹敵する高い電荷移動度を示す特
徴を有し、これは表面保護層と区別される。また、フィ
ラー補強電荷輸送層は、積層型感光体における電荷輸送
層を2層以上に機能分離した表面層として用いられる。
すなわち、この層はフィラーの含まれない電荷輸送層と
の積層で用いられ、単独で用いられる事が無い。このた
め、フィラーが添加剤として電荷輸送層中に分散された
場合の電荷輸送層の単一層と区別される。
【0078】フィラー補強電荷輸送層は、フィラーと少
なくともポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹
脂材料を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、
乾燥することにより形成できる。特に、ポリエチレンテ
レフタレート成分を含有する樹脂材料のガラス転移温度
よりも高い温度で加熱乾燥すると、下地に対して極めて
接着強度の高い膜形成が可能となる。フィラー補強電荷
輸送層の膜厚は0.5μm以上であることが好まく、よ
り好ましくは2μm以上が好ましい。このフィラー補強
電荷輸送層の膜厚を0.5μm以下にすると、耐久性向
上効果が小さく、有用性に欠けてしまう。他方、この層
の膜厚を2μm以上にすると、装置の寿命に匹敵する耐
久性が得られることが少なくなく、極めて有用な手段と
なる。かかる厚膜化は、従来技術では激しい感度劣化や
残留電位上昇を招くことが多かったが、本発明による電
荷輸送層の機能分離化により、容易に静電特性上の不具
合を回避することが可能となる。
【0079】フィラー補強電荷輸送層塗工液を調製する
際、使用できる分散溶媒は、例えば、電荷輸送層の説明
に挙げたケトン類、エーテル類、芳香族類、ハロゲン類
およびエステル類等の溶媒が挙げられる。特に、ポリエ
チレンテレフタレート成分を含有する樹脂材料の溶解性
を向上させる溶媒として、テトラヒドロフラン、ハロゲ
ン化炭化水素、フェノール、N−メチルピロリドン、ピ
リジン、ジメチルホルムアミドを溶剤に用いても良い
(請求項32)。フィラー補強電荷輸送層塗工液の塗工
方法としては、先に挙げた浸漬法、スプレー塗工法、リ
ングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズ
ルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0080】本発明ではバインダー成分として、ポリエ
チレンテレフタレート成分を含有する樹脂材料を用いる
ことがとりわけ重要となる。これは単独または2種以上
の混合物として用いることができる。これに併用できる
バインダー成分としては、フィラー補強電荷輸送層を設
けない場合の電荷輸送層で用いられる高分子化合物が挙
げられる。このうち、ガラス転移温度が170℃以上の
材料を選択することにより、多くの場合、電荷輸送層の
ガラス転移温度を上げることが可能で、トナーに対する
離型性が有利になる。
【0081】フィラー補強電荷輸送層に用いられるフィ
ラーとしてはフィラー補強電荷輸送層を設けない場合の
電荷輸送層の説明に挙げたフィラーを用いることができ
る。特に、シリカとα−アルミナは、静電特性面の安定
性が高く、耐久性向上効果が大きい。これらのフィラー
は塗工液および塗工膜中の分散性向上を目的として、前
述と同様、表面処理剤によるフィラー表面の改質が施さ
れてもよい。このうち、脂肪酸化合物とシランカップリ
ング剤は分散性向上のみならず、感光体の静電特性の向
上に対しても寄与することが多く有用である。
【0082】フィラーの粉砕(塊砕)および分散は、ボ
ールミル、振動ミル、サンドミル、KDミル、3本ロー
ルミル、圧力式ホモジナイザー、超音波分散等により行
なうことができる。フィラー補強電荷輸送層に用いられ
るフィラーの平均粒径および粒径分布は電荷輸送層の説
明に挙げた条件と全く同様にして用いられることが好ま
しい。
【0083】フィラー補強電荷輸送層のフィラー含有量
は5wt%以上が好ましく、より好ましくは10wt%
以上が好ましい。5wt%以下であると、充分な耐摩耗
性が得られない。フィラー含有率の上限は35wt%程
度となるケースが多い。従来、提案されてきた手段で
は、感光層中のフィラーを5wt%以上高濃度化させて
しまうと、激しい感度劣化や残留電位上昇を招き、感光
体としての機能を失ってしまうケースが多かったが、フ
ィラー補強電荷輸送層を設けることにより、静電特性上
の不具合を解消することが可能となる。
【0084】フィラー補強電荷輸送層に含有される電荷
輸送物質の種類、およびこれらの使用量はフィラー補強
電荷輸送層を設けない場合の電荷輸送層の説明に挙げた
材料および使用量を同様にして用いることができる。但
し、フィラー非補強電荷輸送層とフィラー補強電荷輸送
層に含有する電荷輸送物質が異なる場合、各層に含有す
る電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル差は小さい方が
好ましい。具体的には0.15eV以下であることが望
ましい(請求項23)。また、高感度化が要求される場
合、フィラー補強電荷輸送層の電荷移動度は大きくする
ことが有利で更に、低電界領域における電荷移動度も充
分に高くすることが好ましい。これを満たす条件として
は、フィラー補強電荷輸送層を設けない場合の電荷輸送
層(23)に記載した条件を踏襲することで可能とな
る。また、必要により適当な酸化防止剤、可塑剤、滑
剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング
剤を添加することもできる。これらの化合物は単独また
は2種以上の混合物として用いることができる。低分子
化合物の使用量は、樹脂成分100重量部に対して0.
1〜50重量部、好ましくは、0.1〜20重量部、レ
ベリング剤の使用量は、樹脂成分100重量部に対して
0.001〜5重量部程度が適当である。
【0085】次に、図4と図5に示す感光層(24)が
単層構成の場合について述べる。単層型の感光層は、後
述のフィラー補強感光層(27)を設ける場合も設けな
い場合も、少なくともポリエチレンテレフタレート成分
を含有する樹脂材料を用いる必要がある。この感光層
は、前出の溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥
することにより形成できる。塗工方法は電荷輸送層(2
3)の説明に記載した方法が用いられる。また、感光層
中のフィラーが導電性支持体側より最も離れた表面側に
含有率を多くする塗工方法は、前述した方法と同様の方
法により、容易に形成することが可能になる。単層型の
感光層に用いるバインダー樹脂、電荷発生物質、電荷輸
送物質ならびにフィラーは、前述の材料を用いることが
できる。
【0086】また、必要により固有抵抗低下剤、酸化防
止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤やレベリング剤を添
加することもできる。これらの化合物は単独または2種
以上の混合物として用いることができる。固有抵抗低下
剤の使用量はフィラー100重量部に対して0.5〜1
0重量部、低分子化合物の使用量は、樹脂成分100重
量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは、0.1
〜20重量部、レベリング剤の使用量は、樹脂成分10
0重量部に対して0.001〜5重量部程度が適当であ
る。特に、後述するフィラー補強感光層を設ける場合、
この下層に当たるフィラーが含まれない感光層には、よ
り多くの低分子化合物を併用することが可能になる。こ
の場合の低分子化合物の使用量は、樹脂成分100重量
部に対して0.1〜100重量部程度併用することがで
きる。感光層の膜厚は、10〜50μm程度が適当であ
り、好ましくは、10〜40μm程度、解像力が要求さ
れる場合、10〜27μm程度が適当である。感光層
中、導電性支持体側より最も離れた表面からの深さ方向
に向けて存在するフィラーの厚みを「フィラー層」と定
義すると、このフィラー層の膜厚は、0.5μm以上で
あることが好ましく、より好ましくは2μm以上である
ことが好ましい(請求項13)。
【0087】次に図6と図7に示すフィラー補強感光層
(27)について説明する。本発明におけるフィラー補
強感光層とは、少なくともバインダー樹脂成分とフィラ
ーと電荷発生物質ないし電荷輸送物質が含まれ、電荷輸
送性ないし電荷発生機能および機械的耐性を併せ持つ感
光層を指す。特に、本発明において、ポリエチレンテレ
フタレート成分を含有する樹脂材料を含めることが重要
である。フィラー補強感光層は、従来型の感光層に匹敵
する電荷移動度ないし電荷発生効率を示す特徴を有し、
これは表面保護層と区別される。また、フィラー補強感
光層は、単層型感光体における感光層を2層以上に機能
分離した表面層として用いられる。すなわち、この層は
フィラーの含まれないフィラー非補強感光層との積層で
用いられ、単独で用いられる事がない。このため、フィ
ラーが添加剤として感光層中に分散された場合の単一の
感光層と区別される。フィラー補強感光層は、必要によ
り電荷発生物質を用いる以外は前述のフィラー補強電荷
輸送層と全く同様の手段によって形成することができ
る。尚、電荷発生物質を使用する場合、電荷発生層で挙
げた前出の材料を用いることができる。また、図6、図
7に示すフィラー非補強感光層(28)はフィラー補強
感光層(27)に対してフィラーを含有しない他はフィ
ラー補強感光層(27)と同じ特徴を示す。フィラー非
補強感光層(28)は必要により電荷発生物質を用いる
以外は前述のフィラー非補強電荷輸送層と全く同様の手
段によって形成することができる。尚、電荷発生物質を
使用する場合、電荷発生層で挙げた前出の材料を用いる
ことができる。
【0088】本発明に用いられる電子写真感光体には、
導電性支持体と感光層ないし電荷発生層との間に下引き
層(25)を設けることができる。下引き層は、接着性
を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改
良する、残留電位を低減する、導電性支持体からの電荷
注入を防止するなどの目的で設けられる。下引き層は一
般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感
光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有
機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望まし
い。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、
カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹
脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロンなどの
アルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、
アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂など三次元網
目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、
酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸
化スズ、酸化インジウムなどで例示できる金属酸化物、
あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えて
もよい。これらの下引き層は、前述の感光層のごとく適
当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0089】更に本発明の下引き層として、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリン
グ剤などを使用して、例えばゾル−ゲル法などにより形
成した金属酸化物層も有用である。この他に、本発明の
下引き層にはアルミナを陽極酸化にて設けたものや、ポ
リパラキシリレン(パリレン)などの有機物や、酸化ケ
イ素、酸化スズ、酸化チタン、ITO、セリアなどの無
機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用でき
る。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0090】また、本発明においては、感光体表面層の
ガス透過度の低減および、耐環境性の改善のため、各層
に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電
荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができ
る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。各層
に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙
げられるがこれらに限定されるものではない。
【0091】(a)フェノール系酸化防止剤 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6
−トリ−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3
−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフ
ェノール)プロピオネート、スチレン化フェノール、4
−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、シクロヘ
キシルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,
2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、4,4’−i−プロピリデンビスフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−
ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ
−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メ
チルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,
3,5−トリスメチル−2,4,6−トリス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)イソシアネート、トリス[β−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オ
キシエチル]イソシアネート、4,4’−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チ
オビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)
【0092】(b)アミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチ
ルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジア
ミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジ
アミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フ
ェニレンジアミン、N−フェニレン−N’−i−プロピ
ル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチ
ルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−
1,2−ジハイドロキノリン
【0093】(c)硫黄系酸化防止剤 チオビス(β−ナフトール)、チオビス(N−フェニル
−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾ
ール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ドデシルメ
ルカプタン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、
テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチ
ルチオカルバメート、イソプロピルキサンテート、ジラ
ウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロ
ピオネート
【0094】(d)リン系酸化防止剤 トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファ
イト、フェニルイソデシルホスファイト、トリ(ノニル
フェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル
ホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトール
ジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト
【0095】各層に添加できる可塑剤として、例えば下
記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。 (a)リン酸エステル系可塑剤 リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ
オクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロ
ルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチ
ル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェ
ニルなど。
【0096】(b)フタル酸エステル系可塑剤 フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソ
ブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチ
ル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フ
タル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸
ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシク
ロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチル
ラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチル
デシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0097】(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤 トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n
−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0098】(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤 アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−
オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、ア
ジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼラ
イン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、
セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸
ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオ
クチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸
ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルな
ど。
【0099】(e)脂肪酸エステル誘導体 オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステ
ル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトー
ルエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、
トリアセチン、トリブチリンなど。
【0100】(f)オキシ酸エステル系可塑剤 アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブ
チル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルク
エン酸トリブチルなど。
【0101】(g)エポキシ可塑剤 エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステ
アリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキ
システアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジ
ル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキ
シヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0102】(h)二価アルコールエステル系可塑剤 ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレング
リコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0103】(i)含塩素可塑剤 塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メ
チル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0104】(j)ポリエステル系可塑剤 ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケー
ト、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0105】(k)スルホン酸誘導体 p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンア
ミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエ
ンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチ
ルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシル
アミドなど。
【0106】(l)クエン酸誘導体 クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、ク
エン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセ
チルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエ
ン酸−n−オクチルデシルなど。
【0107】(m)その他 ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2
−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン
酸メチルなど。
【0108】各層に添加できる滑剤としては、例えば下
記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。 (a)炭化水素系化合物 流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワック
ス、低重合ポリエチレンなど。
【0109】(b)脂肪酸系化合物 ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0110】(c)脂肪酸アミド系化合物 ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミ
ド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステア
ロアミドなど。
【0111】(d)エステル系化合物 脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコ
ールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0112】(e)アルコール系化合物 セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール
など。
【0113】(f)金属石けん ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン
酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0114】(g)天然ワックス カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボ
タロウ、モンタンロウなど。
【0115】(h)その他 シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0116】各層に添加できる紫外線吸収剤として、例
えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるもの
ではない。 (a)ベンゾフェノン系 2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾ
フェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベン
ゾフェノンなど。
【0117】(b)サルシレート系 フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル
3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンゾエートな
ど。
【0118】(c)ベンゾトリアゾール系 (2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシ
ャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾト
リアゾール
【0119】(d)シアノアクリレート系 エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレー
ト、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アク
リレートなど。
【0120】(e)クエンチャー(金属錯塩系) ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェ
ノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジ
チオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメー
ト、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートな
ど。
【0121】(f)HALS(ヒンダードアミン) ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、
8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オ
クチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデ
カン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0122】各層に添加できる低分子電荷輸送物質は、
電荷発生層(22)の説明に記載したものと同じものを
用いることができる。
【0123】次に、図面に沿って本発明で用いられる電
子写真装置を説明する。図1は、本発明の電子写真プロ
セスおよび電子写真装置を説明するための概略図であ
り、下記するような変形例も本発明の範疇に属するもの
である。図1において、感光体(11)は導電性支持体
上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とフィラ
ーを含有し、且つ感光層中に少なくともポリエチレンテ
レフタレート成分を含む樹脂材料を含有する感光層が設
けられてなる。感光体(11)はドラム状の形状を示し
ているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっ
ても良い。帯電手段(12)、は、コロトロン、スコロ
トロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ
ー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられ
る。帯電手段は、オゾン発生の低減や消費電力の低減の
観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したもの
が良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止
するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有
する感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用
される。転写手段には、一般に上記の帯電器が使用でき
るが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用した
ものが効果的である。
【0124】また、露光手段(13)、除電手段(1
A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンラ
ンプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダ
イオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレク
トロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げる
ことができる。そして、所望の波長域の光のみを照射す
るために、シャープカットフィルター、バンドパスフィ
ルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィ
ルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの
各種フィルターを用いることもできる。現像手段(1
4)により感光体上に現像されたトナー(15)は、受
像媒体(18)に転写されるが、全部が転写されるわけ
ではなく、感光体上に残存するトナーも生ずる。このよ
うなトナーは、クリーニング手段(17)により、感光
体より除去される。クリーニング手段は、ゴム製のクリ
ーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等
のブラシ等を用いることができる。
【0125】電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画
像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜
像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微
粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正
(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られ
る。かかる現像手段には、公知の方法が適用され、ま
た、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0126】図2には、本発明による電子写真プロセス
の別の例を示す。感光体(11)は導電性支持体上に、
少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とフィラーを含
有し、且つ感光層中に少なくともポリエチレンテレフタ
レート成分を含む樹脂材料を含有する感光層が設けられ
てなる。駆動手段(1C)により駆動され、帯電手段
(12)による帯電、露光手段(13)による像露光、
現像(図示せず)、転写手段(16)による転写、クリ
ーニング前露光手段によるクリーニング前露光、クリー
ニング手段(17)によるクリーニング、除電手段1A
による除電が繰返し行なわれる。図2においては、感光
体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側より
クリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0127】以上の電子写真プロセスは、本発明におけ
る実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施
形態も可能である。例えば、図2において支持体側より
クリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側
から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を
支持体側から行なってもよい。一方、光照射工程は、像
露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されている
が、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他
公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこ
ともできる。
【0128】以上に示すような画像形成手段は、複写
機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれ
ていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装
置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジと
は、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手
段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1
つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状
等は多く挙げられるが、一般的な例として、図3に示す
ものが挙げられる。この場合も、本発明における感光体
(11)は導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質
と電荷輸送物質とフィラーを含有し、且つ感光層中に少
なくともポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂材
料を含有する感光層が設けられてなる。
【0129】以下、本発明で使用する測定方法について
述べる。 (1)膜厚測定 渦電流方式膜厚測定器FISCHER SCOPE m
ms(フィッシャー社製)により、感光体ドラム長手方
向1cm間隔に膜厚を測定し、それらの平均値を感光層
膜厚とした。
【0130】(2)感光体表面電位測定 表面電位計(Trek MODEL344、トレック社
製)のプローブを取り付けた改造現像ユニットを複写機
内現像部に取り付け、感光体中央部の表面電位を測定し
た。
【0131】(3)電荷移動度測定 アルミ蒸着されたPETフィルム上に後述する処方によ
り作製した電荷輸送層の塗工液を塗布し、10μmの塗
工膜を作製設けた。塗工膜の上に厚さ200Åの金電極
を蒸着し、電荷移動度測定用の試料セルを作製した。電
荷移動度の測定はタイムオブフライト測定に基づいて行
なった。タイムオブフライト測定は、次のようにして行
なった。予め金電極側に正の電圧を印加し、窒素ガスレ
ーザー光を金電極側から試料に照射した。その際、アル
ミニウム電極とアース間に入れた挿入抵抗を光電流が流
れることによって生じる電位の時間変化をデジタルメモ
リで記録した。デジタルメモリに出力された波形につい
て前後から接線を引き、この交点からトランジットタイ
ムtが求められる。波形が分散型になる場合を想定し、
出力波形について両対数プロットをとり、この接線の交
点からトランジットタイムtを求めた。電荷移動度μの
算出は、膜厚をL、印加電圧をVとして下式(2)から
決定した。
【0132】
【数4】μ=L2/(V・t) (2) なお、測定環境は25℃50%RHの状態で行なった。
【0133】(4)イオン化ポテンシャル測定 表面平滑なAl板上に後述する処方により作製した電荷
輸送層の塗工液を塗布し、イオン化ポテンシャル測定用
のサンプルを作製した。イオン化ポテンシャルは大気雰
囲気型紫外線光電子分析装置AC−1(理研計器社製)
により測定した。
【0134】(5)ガラス転移温度測定 フィラー補強電荷輸送層および樹脂材料のガラス転移温
度は、示差走査熱量計DSC6100(セイコー電子工
業社製)により大気雰囲気下、昇温速度10℃/min
の条件にて開放型Al容器を用いて測定した。
【0135】(6)表面粗さ測定 JISB−0601に準じ、ドラム状の感光体表面を触
針式表面粗さ計Surfcom(東京精密社製)によ
り、十点平均粗さRzと最大高さRmaxを測定した。
【0136】(7)水蒸気透過度測定 表面平滑なAl板上に後述する処方により作製した感光
体表面層(電荷輸送層とフィラー補強電荷輸送層の積
層)の塗工液を塗布し、水蒸気透過度測定用の感光体表
面層を作製した。水蒸気透過度測定用の感光体表面層の
膜厚は感光体作成時の電荷輸送層およびフィラー補強電
荷輸送層と同じ膜厚になるように作成した。この表面層
をAl板より剥離し、水蒸気透過度測定装置L80−4
000(リッシー社製)により水蒸気透過度を測定し
た。
【0137】(8)重量累積粒度分布の測定 セディグラフ5000−ET(島津−マイクロメリテッ
クス社製)を使用してフィラーの粒度分布を測定した。
【0138】(9)D/H比の測定 走査電子顕微鏡T−300(SEM、日本電子社製)を
使用して粉末粒子の写真を撮影し、その写真から5個な
いし10個の粒子を選択して画像解析を行ない、その平
均値として求めた。
【0139】ポリエチレンテレフタレート成分を含有す
る樹脂材料は以下の方法で調製した。 (調製例)ポリエチレンテレフタレート(バイロペット
EMC−307、東洋紡社製)30重量部とポリアリレ
ート(UポリマーU−100、ユニチカ社)70重量部
を特開平9−314634号公報に準じて二軸押出機を
用いてペレット化した〔簡単のため、これをPAR/P
ET(30)と称す〕。同様にしてポリエチレンテレフ
タレート成分が樹脂材料全体の40wt%、20wt
%、10wt%、5wt%となる材料を調製した。これ
らを順にPAR/PET(40)、PAR/PET(2
0)、PAR/PET(10)、PAR/PET(5)
と称す。以上の樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)測定から4.2×
104から4.5×104の範囲であった。これらの樹脂
は溶剤に溶解し樹脂単独膜を形成しても光学観察からは
透明均質であり、示差走査熱量(DSC)測定を行なっ
ても単一のガラス転移温度を示し、且つポリエチレンテ
レフタレート成分量に応じた低下現象が観察されること
から、本発明において、これをポリマーアロイの状態と
した。
【0140】
【実施例】次に、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。また、本実施例中で例示するフィラーの表面処理
は以下の方法にて行なった。
【0141】処理例1 100mlナスフラスコにα−アルミナ(スミコランダ
ムAA−03、住友化学工業社製)10g、n−ヘキサ
ン40mlおよびアルミニウム系表面処理剤(プレンア
クトAL−M、味の素ファインテクノ社製)を1ml添
加した。これらの混合液を69℃にて1時間還流した。
この後、混合液をデカンテーションした後、ソックスレ
ー抽出器により固形物の洗浄を行なった。洗浄した固形
物を12時間、70℃にて真空乾燥した。この処理した
フィラーをAL−M処理AA−03と称す。
【0142】処理例2 処理例1で使用したアルミニウム系表面処理剤(プレン
アクトAL−M、味の素ファインテクノ社製)をチタネ
ート系カップリング剤(プレンアクトKR−TTS、味
の素ファインテクノ社製)に変えた以外は処理例1と同
様にして表面処理を行なった。処理したフィラーをKR
−TTS処理AA−03と称す。
【0143】処理例3 処理例1で使用したアルミニウム系表面処理剤(プレン
アクトAL−M、味の素ファインテクノ社製)をシラン
カップリング剤(SZ6072、東レシリコーン社製)
に変えた以外は処理例1と同様にして表面処理を行なっ
た。処理したフィラーをSZ6072処理AA−03と
称す。
【0144】処理例4 処理例1で使用したアルミニウム系表面処理剤(プレン
アクトAL−M、味の素ファインテクノ社製)を脂肪酸
化合物(BYK−P104、ビックケミー社製)に変え
た以外は処理例1と同様にして表面処理を行なった。処
理したフィラーをBYK−P104処理AA−03と称
す。
【0145】実施例1 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液
を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き
層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を
形成し、本発明の電子写真感光体を得た。
【0146】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部 〔電荷発生層用塗工液〕 チタニルフタロシアニン(リコー社製) 3重量部 ポリビニルアセタール 1重量部 (エスレックBM−2、積水化学工業社製) メチルエチルケトン 100重量部
【0147】 〔電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 9重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 8重量部
【0148】
【化1】 α−アルミナ 2.2重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤(BYK−P104、ビックケミー社製) 0.05重量部 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0149】比較例1 実施例1における電荷輸送層用塗工液を以下のものに変
更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製
した。 〔電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 9重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 8重量部
【0150】
【化2】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0151】以上のように作製した実施例1および比較
例1の電子写真感光体を実装用にした後、一部改造した
電子写真装置(リコー社製:imagio MF220
0)に搭載し、石油ストーブを灯火した環境下において
5万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真装置の帯電
手段は帯電ローラの方式を採った。試験環境は、40℃
/10%RHであった。また、ガステック社製のガス濃
度検知管を用いたNO 2濃度が5ppmの環境下で試験
を行なった。評価方法としては、試験終了時の感光層の
摩耗量測定、試験開始時と試験終了時の画像評価を行な
った。結果を以下の表1に記す。
【0152】
【表1】
【0153】表1の結果から明らかなように、電荷輸送
層にフィラーが含有される実施例1の感光体は、5万枚
通紙試験後においても、画像ボケやカブリが認められ
ず、耐久性に優れた感光体であると判断される。他方、
フィラーが含有されない比較例1は摩耗が激しく、更
に、5万枚試験後の画像についてはカブリが見られた。
実施例1と比較例1の試験結果を比較すると、電荷輸送
層にフィラーが含まれる実施例1は比較例1よりも高耐
久な感光体であると判断される。
【0154】実施例2 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、フィラー非補強電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.
5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μm
のフィラー非補強電荷輸送層を形成した。フィラー補強
電荷輸送層の塗工液は下記のフィラー補強電荷輸送層用
塗工液をアルミナボールを用いて24時間のボールミル
分散を施して調製した。尚、電荷輸送物質と樹脂材料は
ボールミル分散終了後に添加した。この液を電荷輸送層
の上にスプレーで塗工し、1.5μmのフィラー補強電
荷輸送層を設け本発明の電子写真感光体を得た。
【0155】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製) メラミン溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部
【0156】 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造のビスアゾ顔料 2.5重量部
【0157】
【化3】 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリアリレート樹脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製) 10重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0158】
【化4】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(5) 4重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0159】
【化5】 酸化チタン(CR−97、石原産業社製) 0.8重量部 テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0160】実施例3 実施例2におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液に
含有するポリアリレート樹脂をPAR/PET(5)に
変えた以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製し
た。
【0161】実施例4 実施例2におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液に
含有するポリアリレート樹脂をPAR/PET(30)
に変えた以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製
した。
【0162】実施例5 実施例2におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液に
含有するポリアリレート樹脂をポリカーボネート樹脂
(パンライトLV−2250Y、帝人化成社製)に変え
た以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製した。
【0163】比較例2 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層を設けなかっ
た以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し
た。
【0164】比較例3 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液のP
AR/PET(5)をポリアリレート樹脂(Uポリマー
U−100、ユニチカ社製)に変えた以外は実施例2と
同様に電子写真感光体を作製した。
【0165】以上のように作製した実施例2〜5および
比較例2、3の電子写真感光体を実装用にした後、一部
改造した電子写真装置(リコー社製:imagio M
F2200)に搭載し、石油ストーブを灯火した環境下
において5万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真装
置の帯電手段は帯電ローラの方式を採り、帯電ローラに
DC電圧として−1500Vを印加した。試験環境は、
39℃/10%RHであった。また、ガステック社製の
ガス濃度検知管を用いたNO2濃度が5ppmの環境下
で試験を行なった。評価方法としては、試験終了時の感
光層の摩耗量測定、試験開始時と試験終了時の画像評価
を行なった。結果を以下の表2に記す。
【0166】
【表2】
【0167】表2の結果から明らかなように、感光層中
にフィラーを含有し、更に、このフィラーの含有率が導
電性支持体側より最も離れた表面側に多く含有する実施
例2〜5の感光体は、5万枚通紙試験後においても、出
力画像のコントラストが明瞭でかつ、画像ボケやカブリ
も認められず、耐久性に優れた感光体であると判断され
る。また、ポリエチレンテレフタレート成分を含有する
樹脂材料をフィラー非補強電荷輸送層のバインダー樹脂
として使用しても不具合が伴わないことが確認される。
【0168】実施例6 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を以
下のものに変更した以外は、実施例2と同様に電子写真
感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 2重量部 ポリスチレン樹脂 2重量部 (デンカスチロールHRM−3、電気化学工業社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0169】
【化6】 酸化チタン(CR−97、石原産業社製) 0.8重量部 テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0170】実施例7 実施例6におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるポリスチレン樹脂をポリエステル樹脂(O−P
ET KR−01、カネボウ社製)に変えた以外は実施
例6と同様に電子写真感光体を作製した。
【0171】実施例8 実施例6におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるポリスチレン樹脂をポリアリレート樹脂(Uポ
リマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以外は実施
例6と同様に電子写真感光体を作製した。
【0172】実施例9 実施例6におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるポリスチレン樹脂をポリカーボネート樹脂(パ
ンライトLV−2250Y、帝人化成社製)に変えた以
外は実施例6と同様に電子写真感光体を作製した。
【0173】比較例4 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるPAR/PET(5)をポリスチレン樹脂(デ
ンカスチロールHRM−3、電気化学工業社製)に変え
た以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製した。
【0174】比較例5 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるPAR/PET(5)をポリエステル樹脂(O
−PET KR−01、カネボウ社製)に変えた以外は
実施例2と同様に電子写真感光体を作製した。
【0175】比較例6 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に含
有されるPAR/PET(5)をポリカーボネート樹脂
(パンライトLV−2250Y、帝人化成社製)に変え
た以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作製した。
【0176】以上のように作製した実施例6〜9と先に
挙げた比較例3、および比較例4〜6の電子写真感光体
を実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リコー
社製:imagio MF2200)に搭載し、石油ス
トーブを灯火した環境下において2万枚の通紙試験を行
なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラの方
式を採り、帯電ローラにDC電圧として−1500Vを
印加した。試験環境は、39℃/10%RHであった。
また、ガステック社製のガス濃度検知管を用いたNO2
濃度が5ppmの環境下で試験を行なった。評価方法と
しては、試験終了時の感光層の摩耗量測定、試験開始時
と試験終了時の画像評価を行なった。結果を以下の表3
に記す。
【0177】
【表3】
【0178】表3の結果から明らかなように、フィラー
補強電荷輸送層中にポリエチレンテレフタレート成分が
含有される実施例6〜9は2万枚試験後の画像が良好で
あるのに対して、比較例3〜6ではいずれも画像ボケが
観察された。これより、異常画像発生の抑制にポリエチ
レンテレフタレート成分が機能していることが理解され
る。また、実施例6〜9のフィラー補強電荷輸送にはそ
れぞれポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、
ポリカーボネートがバインダー樹脂の一部として使用さ
れており、本発明においてこれらの樹脂が使用可能であ
ることが確認される。
【0179】実施例10 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を以
下のものに変更した以外は、実施例2と同様に電子写真
感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 4重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0180】
【化7】 疎水化シリカパウダー 0.8重量部 (KMP−X100、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0181】実施例11 実施例10におけるフィラー補強電荷輸送層の膜厚を
4.5μmに変えた以外は実施例10と同様に電子写真
感光体を作製した。
【0182】実施例12 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層の膜厚を4.
5μmに変えた以外は実施例2と同様に電子写真感光体
を作製した。
【0183】比較例7 実施例11におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例11と同様に電子写真感光体を作製した。
【0184】比較例8 実施例12におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製した。
【0185】以上のように作製した実施例10〜12、
比較例7、8および先に記載した実施例2の電子写真感
光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リ
コー社製:imagio MF2200)に搭載し、石
油ストーブを灯火した環境下において5万枚の通紙試験
を行なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラ
の方式を採り、試験開始時において、感光体の暗部電位
が−850Vとなるように帯電ローラにDC電圧を印加
した。試験環境は、41℃/10%RHであった。ま
た、ガステック社製のガス濃度検知管を用いたNO2
度が5ppmの環境下で試験を行なった。評価方法とし
ては、試験終了時の感光層の摩耗量測定、試験開始時と
試験終了時の画像評価を行なった。結果を以下の表4に
記す。
【0186】
【表4】
【0187】表4の結果から明らかなように、フィラー
補強電荷輸送の膜厚は実施例2と10が1.5μm、実
施例11と12が4.5μmの膜厚差がある。フィラー
にシリカを用いた実施例10と11はフィラー補強電荷
輸送層を厚膜化しても出力画像に影響がないのに対し
て、フィラーに酸化チタンを使用する場合、厚膜化によ
り出力画像のコントラストが低下する結果が得られてい
る。これより、感光層に含有するフィラー材料としてシ
リカを選択することにより、フィラー補強電荷輸送層を
厚膜化することが可能であることが理解される。また、
この層の厚膜化により、摩耗速度を抑制できることも理
解される。また、実施例11、12では比較例7、8と
比較して、試験終了後の画像出力に対して画像ボケの発
生が防止されており、ポリエチレンテレフタレート成分
が画像ボケの発生防止に寄与していることが理解され
る。
【0188】実施例13 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を以
下のものに変更した以外は、実施例2と同様に電子写真
感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 4重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0189】
【化8】 α−アルミナ 0.8重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0190】実施例14 実施例13におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるα−アルミナ(スミコランダムAA−03、
住友化学工業社製)を酸化チタン(CR−97、石原産
業社製)に変えた以外は実施例13と同様に電子写真感
光体を作製した。
【0191】比較例9 実施例13におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例13と同様に電子写真感光体を作製した。
【0192】比較例10 実施例14におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例14と同様に電子写真感光体を作製した。
【0193】以上のように作製した実施例13、14お
よび、比較例9、10の電子写真感光体を実装用にした
後、一部改造した電子写真装置(リコー社製:imag
ioMF2200)に搭載し、石油ストーブを灯火した
環境下において5万枚の通紙試験を行なった。尚、電子
写真装置の帯電手段は帯電ローラの方式を採り、試験開
始時において、感光体の暗部電位が−850Vとなるよ
うに帯電ローラにDC電圧を印加した。試験環境は、4
1℃/10%RHであった。また、ガステック社製のガ
ス濃度検知管を用いたNO2濃度が5ppmの環境下で
試験を行なった。評価方法としては、試験終了時の感光
層の摩耗量測定、試験開始時と試験終了時の画像評価を
行なった。結果を以下の表5に記す。
【0194】
【表5】
【0195】表5の結果から明らかなように、実施例1
3と実施例14との比較から、フィラー補強電荷輸送層
に含有されたフィラーの種類によって、感光体の摩耗量
が異なることが理解される。実施例13と比較例9では
フィラー補強電荷輸送層にα−アルミナが含有されてお
り、実施例14と比較例10では酸化チタンが含有され
ている。実施例13と比較例9は実施例14と比較例1
0よりも摩耗量が少ないことから、α−アルミナは耐摩
耗性の向上化に有利なフィラーであると判断される。ま
た、実施例13と比較例9および実施例14と比較例1
0との比較から、試験終了後の画像出力について、実施
例13と14では画像ボケの発生が抑制されている。こ
れは、ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂
材料を用いた効果によるものと判断される。
【0196】実施例15 実施例2におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を以
下のものに変更した以外は、実施例2と同様に電子写真
感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.7重量部
【0197】
【化9】 疎水化シリカパウダー 1.6重量部 (KMP−X100、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0198】実施例16 実施例15におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有される疎水化シリカパウダーをα−アルミナ(スミ
コランダムAA−03、住友化学工業社製)に変えた以
外は実施例15と同様に電子写真感光体を作製した。
【0199】以上のように作製した実施例15、16お
よび先に記載した実施例10、13の電子写真感光体を
実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リコー社
製:imagio MF2200)に搭載し、石油スト
ーブを灯火した環境下において5万枚の通紙試験を行な
った。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラの方式
を採り、試験開始時において、感光体の暗部電位が−8
50Vとなるように帯電ローラにDC電圧を印加した。
試験環境は、40℃/11%RHであった。また、ガス
テック社製のガス濃度検知管を用いたNO2濃度が5p
pmの環境下で試験を行なった。評価方法としては、試
験終了時の感光層の摩耗量測定、および画像評価を行な
った。フィラー補強電荷輸送層に含有されるフィラー種
とその含有率、および試験結果を以下の表6に記す。
【0200】
【表6】
【0201】表6の結果から明らかなように、実施例1
5と実施例10および実施例16と実施例13との比較
から、フィラー補強電荷輸送に含有されるフィラーの含
有量を多くすることにより、感光体の耐摩耗性が向上す
ることがわかる。5万枚試験後の画像は画像ボケやカブ
リなどの異常画像は観察されず、感光体の高耐久化が図
られていると判断される。
【0202】実施例17 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、フィラー非補強電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.
5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μm
のフィラー非補強電荷輸送層を形成した。フィラー補強
電荷輸送層の塗工液は下記のフィラー補強電荷輸送層用
塗工液をアルミナボールを用いて24時間のボールミル
分散を施して調製した。尚、電荷輸送物質、固有抵抗低
下剤および樹脂材料はボールミル分散終了後に添加し
た。この液を電荷輸送層の上にスプレーで塗工し、4.
5μmのフィラー補強電荷輸送層を設け本発明の電子写
真感光体を得た。
【0203】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造式のビスアゾ顔料 2.5重量部
【0204】
【化10】 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量部 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0205】
【化11】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.7重量部
【0206】
【化12】 α−アルミナ 1.6重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.032重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0207】実施例18 実施例17におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例17と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.7重量部
【0208】
【化13】 α−アルミナ 1.6重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.0128重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0209】実施例19 実施例17におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例17と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.7重量部
【0210】
【化14】 α−アルミナ(AA−03、住友化学工業社製) 1.6重量部 テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0211】比較例11 実施例17におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例17と同様に電子写真感光体を作製した。
【0212】以上のように作製した実施例17〜19お
よび比較例11の電子写真感光体を実装用にした後、一
部改造した電子写真装置(リコー社製:imagio
MF2200)に搭載し、石油ストーブを灯火した環境
下において5万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真
装置の帯電手段は帯電ローラの方式を採り、試験開始時
において、感光体の暗部電位が−850Vとなるように
帯電ローラにDC電圧を印加した。試験環境は、39℃
/10%RHであった。また、ガステック社製のガス濃
度検知管を用いたNO2濃度が5ppmの環境下で試験
を行なった。評価方法としては試験終了時の画像評価と
感光体の露光部電位を測定した。フィラー補強電荷輸送
層に含有する固有抵抗低下剤のフィラーに対する含有量
と試験結果を以下の表7に記す。
【0213】
【表7】
【0214】表7の結果から明らかなように、5万枚通
紙試験後に測定した露光部電位が実施例19、18、1
7の順に高い。実施例19の高い露光部電位はフィラー
補強電荷輸送層の厚膜化とフィラーの多量添加が影響し
たと判断される。これにより出力画像の画像濃度も低く
なったものと解釈される。一方、実施例17は露光部電
位が比較的低い値が保たれており、出力画像も初期画像
に勝るとも劣らない品質が維持されている。実施例17
は実施例18に対して固有抵抗低下剤が含有されてお
り、これが静電特性上の高性能化に寄与したことが理解
される。実施例18にも固有抵抗低下剤が含有されてい
るが、実施例17と比較して含有量が少量であるため添
加による効果が小さいと解釈される。実施例17におけ
る固有抵抗低下剤の含有量はフィラーに対して0.4w
t%であり、添加による効果を獲得するためにはこれよ
りも多量添加する必要があると判断される。また、比較
例11では、5万枚試験終了時の画像評価において画像
ボケが観察されている。比較例11は実施例17と比較
して、フィラー補強電荷輸送層にポリエチレンテレフタ
レート成分が含まれていないことのみが相違点として挙
げられる。これから、実施例17、18、および19は
画像ボケ発生の回避に際して、この成分の存在が大きく
寄与していると判断される。
【0215】実施例20 フィラー補強電荷輸送層用塗工液の調製に際し、固有抵
抗低下剤(BYK−P104、ビックケミー社製)をボ
ールミル分散開始時に添加した以外は実施例17と同様
に電子写真感光体を作製した。
【0216】比較例12 実施例20におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例20と同様に電子写真感光体を作製した。
【0217】以上のように作製した実施例20、比較例
12および、先に記載した実施例17の電子写真感光体
を実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リコー
社製:imagio MF2200)に搭載し、石油ス
トーブを灯火した環境下において5万枚の通紙試験を行
なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラの方
式を採り、試験開始時において、感光体の暗部電位が−
850Vとなるように帯電ローラにDC電圧を印加し
た。試験環境は、39℃/10%RHであった。また、
ガステック社製のガス濃度検知管を用いたNO2濃度が
5ppmの環境下で試験を行なった。評価方法としては
試験終了時の画像評価と感光体の露光部電位を測定し
た。結果を以下の表8に記す。
【0218】
【表8】
【0219】表8の結果から明らかなように、実施例2
0と実施例17は試験終了後の画像評価において何れも
初期画像に匹敵する画像品質が得られた。実施例20は
露光部電位が実施例17よりも更に低減化される結果が
得られている。フィラー補強電荷輸送層用塗工液の調製
において、ボールミル終了後のミルベースを遠心分離し
てフィラー成分のみを取り出し、水に対する溶解性を評
価したところフィラーは水面を浮遊し、疎水化されてい
ることが確かめられた。実施例20のフィラー補強電荷
輸送層を溶解し、フィラー成分を分取して、同様の評価
を行なったところ、この場合もフィラーが水面を浮遊す
る現象が観察された。これから、固有抵抗低下剤による
フィラーの表面処理が露光部電位の低減化に寄与してい
ることが理解される。また、比較例12では、5万枚試
験終了時の画像評価において画像ボケが観察されてい
る。比較例12は実施例20と比較して、フィラー補強
電荷輸送層にポリエチレンテレフタレート成分が含まれ
ていないことのみが相違点として挙げられる。これか
ら、実施例20は画像ボケ発生の防止に際して、この成
分の存在が大きく寄与していることが理解される。
【0220】実施例21 実施例17におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更し、フィラー補強電荷輸送層の膜厚を
3.0μmとした以外は実施例17と同様に電子写真感
光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.7重量部
【0221】
【化15】 AL−M処理AA−03 1.6重量部 テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0222】実施例22 実施例21におけるフィラー補強電荷輸送層に含有され
るAL−M処理AA−03をKR−TTS処理AA−0
3に変えた以外は実施例21と同様に電子写真感光体を
作製した。
【0223】実施例23 実施例21におけるフィラー補強電荷輸送層に含有され
るAL−M処理AA−03をSZ6072処理AA−0
3に変えた以外は実施例21と同様に電子写真感光体を
作製した。
【0224】実施例24 実施例21におけるフィラー補強電荷輸送層に含有され
るAL−M処理AA−03をBYK−P104処理AA
−03に変えた以外は実施例21と同様に電子写真感光
体を作製した。
【0225】実施例25 実施例21におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるAL−M処理AA−03をα−アルミナ(ス
ミコランダムAA−03、住友化学工業社製)に変えた
以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0226】比較例13 実施例21におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0227】比較例14 実施例22におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例22と同様に電子写真感光体を作製した。
【0228】比較例15 実施例23におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例23と同様に電子写真感光体を作製した。
【0229】比較例16 実施例24におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例24と同様に電子写真感光体を作製した。
【0230】比較例17 実施例25におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例25と同様に電子写真感光体を作製した。
【0231】以上のように作製した実施例21〜25、
比較例13〜17の電子写真感光体を実装用にした後、
一部改造した電子写真装置(リコー社製:imagio
MF2200)に搭載し、石油ストーブを灯火した環
境下において5万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写
真装置の帯電手段は帯電ローラの方式を採り、試験開始
時において、感光体の暗部電位が−850Vとなるよう
に帯電ローラにDC電圧を印加した。試験環境は、39
℃/10%RHであった。また、ガステック社製のガス
濃度検知管を用いたNO2濃度が4ppmの環境下で試
験を行なった。評価方法としては試験終了時の画像評価
と感光体の露光部電位を測定した。以下にフィラー補強
電荷輸送層に含有されるフィラーの表面改質剤の種類お
よび試験結果を以下の表9に記す。
【0232】
【表9】
【0233】表9の結果から明らかなように、実施例2
1〜24はフィラー補強電荷輸送層に含有されるフィラ
ーが表面改質剤で表面処理されており、表面処理がされ
ていない実施例25と比較して露光部電位が低いことが
確認される。このうち、シランカップリング剤と脂肪酸
化合物で表面処理された実施例23と実施例24はとり
わけ露光部電位が低く、これらの表面処理により静電特
性上の高性能化が図られていることが理解される。ま
た、比較例13〜17では、5万枚試験終了時の画像評
価において画像ボケが観察されている。比較例13〜1
7は実施例21〜25と比較して、フィラー補強電荷輸
送層にポリエチレンテレフタレート成分が含まれていな
いことのみが相違点として挙げられる。これから、実施
例21〜25は画像ボケ発生の回避に際して、この成分
の存在が大きく寄与していることが理解される。
【0234】実施例26 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、フィラー非補強電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.
5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μm
のフィラー非補強電荷輸送層を形成した。フィラー補強
電荷輸送層の塗工液は下記のフィラー補強電荷輸送層用
塗工液をアルミナボールを用いて24時間のボールミル
分散を施して調製した。尚、固有抵抗低下剤はボールミ
ル分散開始時にフィラーの分散液に添加した。また、電
荷輸送物質と樹脂材料はボールミル分散終了後に添加し
た。この液を電荷輸送層の上にスプレーで塗工し、4.
5μmのフィラー補強電荷輸送層を設け本発明の電子写
真感光体を得た。
【0235】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造式のビスアゾ顔料 2.5重量部
【0236】
【化16】 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量部 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0237】
【化17】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0238】
【化18】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0239】実施例27 実施例26におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例26と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 9重量部
【0240】
【化19】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0241】実施例28 実施例26におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例26と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 下記構造式の高分子電荷輸送物質 15重量部
【0242】
【化20】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0243】実施例29 実施例26におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例26と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0244】
【化21】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0245】比較例18 実施例26におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0246】比較例19 実施例27におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例27と同様に電子写真感光体を作製した。
【0247】比較例20 実施例28におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例28と同様に電子写真感光体を作製した。
【0248】比較例21 実施例29におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0249】以上のように作製した実施例26〜29お
よび比較例18〜21の電子写真感光体を実装用にした
後、一部改造した電子写真装置(リコー社製:imag
ioMF2200)に搭載し、5万枚の通紙試験を行な
った。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラの方式
を採り、試験開始時において、感光体の暗部電位が−8
50Vとなるように帯電ローラにDC電圧を印加した。
試験環境は、27℃/60%RHであった。評価方法と
しては試験終了時の解像度評価を行なった。また、それ
ぞれのフィラー非補強電荷輸送層の電荷移動度μ(電界
強度4×105V/cm)および電荷移動度の電界強度
依存性の大きさβ(=logμ/E1 /2)を測定した。
結果を以下の表10に記す。
【0250】
【表10】
【0251】表10の結果から明らかなように、実施例
26〜28は実施例29と比較してフィラー非補強電荷
輸送層の電荷移動度が極めて高い感光体である測定結果
が得られている。これに応じて、画像品質について解像
度も向上される結果が得られている。これらの高速応答
性に優れる感光体は電子写真装置におけるプロセススピ
ードの向上や、感光体ドラムの小径化に役立つことが容
易に類推される。さらに電荷移動度の電界強度依存性が
小さい感光体は、残留電位の低減化に寄与するだけでな
く、感光体の帯電電位を低く設定しても、応答性の影響
が小さいという利点を持つ。これは装置の省電力化に対
応できる感光体であると期待される。また、フィラー補
強電荷輸送層にポリエチレンテレフタレート成分が含有
されない比較例18〜21は画像ボケが発生し、充分な
解像度が得られていない。これに対して実施例26〜2
9は画像ボケの発生が抑制されており、画像ボケの発生
防止に、この成分が寄与していることが理解される。
【0252】実施例30 実施例26におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例26と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0253】
【化22】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0254】比較例22 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例30と同様に電子写真感光体を作製した。
【0255】以上のように作製した実施例30、比較例
22および先に記載した実施例26電子写真感光体を実
装用にした後、一部改造した電子写真装置(リコー社
製:imagio MF2200)に搭載し、石油スト
ーブを灯火した環境下において5万枚の通紙試験を行な
った。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ローラの方式
を採り、試験開始時において、感光体の暗部電位が−8
50Vとなるように帯電ローラにDC電圧を印加した。
試験環境は、41℃/9%RHであった。また、ガステ
ック社製のガス濃度検知管を用いたNO2濃度が5pp
mの環境下で試験を行なった。評価方法としては試験終
了時の解像度評価と感光体の露光部電位を測定した。結
果を以下の表11に記す。
【0256】
【表11】
【0257】実施例30のフィラー補強電荷輸送層に含
有される電荷輸送物質は実施例26のフィラー補強電荷
輸送層に含有される電荷輸送物質よりも電荷移動度の高
い物質が含有されている。この効果として、解像度評価
では実施例30の方が実施例26よりも1ランク上の解
像度を示し、試験後の露光部電位も低くできる効果が確
認される。実施例30の感光体は装置のプロセススピー
ドの高速化や感光体ドラムの小径化に対応できる感光体
であると判断される。一方、比較例21は試験終了後の
露光部電位が極めて低いという高性能な一面を呈してい
るものの、画像ボケが発生しており、実使用に耐えられ
ない感光体であると判断される。実施例30に対して、
比較例22のフィラー補強電荷輸送層にはポリエチレン
テレフタレート成分が含有されておらず、これにより画
像ボケが回避できなかったものと判断される。
【0258】実施例31 実施例28におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例28と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 下記構造式の高分子電荷輸送物質 12重量部
【0259】
【化23】 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0260】
【化24】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0261】実施例32 実施例31におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
に含有される低分子電荷輸送物質を以下のものに変更し
た以外は実施例31と同様に電子写真感光体を作製し
た。 下記構造式の低分子電荷輸送物質 3重量部
【0262】
【化25】
【0263】比較例23 実施例31におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0264】比較例24 実施例32におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例32と同様に電子写真感光体を作製した。
【0265】以上のように作製した実施例31、32と
比較例23、24および先に記載した実施例28の電子
写真感光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装
置(リコー社製:imagio MF2200)に搭載
し、石油ストーブを灯火した環境下において5万枚の通
紙試験を行なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電
ローラの方式を採り、試験開始時において、感光体の暗
部電位が−850Vとなるように帯電ローラにDC電圧
を印加した。試験環境は、39℃/8%RHであった。
また、ガステック社製のガス濃度検知管を用いたNO2
濃度が4ppmの環境下で試験を行なった。評価方法と
しては試験終了時の画像評価および露光部電位の測定を
行なった。また、フィラー非補強電荷輸送層に含有され
る電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを測定した。結
果を以下の表12に記す。
【0266】
【表12】
【0267】表12の結果から明らかなように、フィラ
ー非補強電荷輸送層に含有される2種の電荷輸送物質の
イオン化ポテンシャル差が0.8eVの実施例31は電
荷輸送物質が単独である実施例28よりも試験後の露光
部電位が低い結果が得られている。一方、実施例32は
2種の電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル差が1.7
eVあり、これは実施例28よりも露光部電位が高い結
果が得られた。2種以上の電荷輸送物質をフィラー非補
強電荷輸送層に用いる場合、それらのイオン化ポテンシ
ャル差は小さい方が有利であることが理解される。ま
た、比較例23、24は試験終了後の露光部電位が極め
て低いという高性能な一面を呈しているものの、画像ボ
ケが発生しており、実使用に耐えられない感光体である
と判断される。実施例31、32に対して、比較例2
3、24のフィラー補強電荷輸送層にはポリエチレンテ
レフタレート成分が含有されておらず、これにより画像
ボケが回避できなかったものと判断される。
【0268】実施例33 実施例28におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例28と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0269】
【化26】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0270】実施例34 実施例33におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有される低分子電荷輸送物質を以下のものに変更した
以外は、実施例33と同様に電子写真感光体を作製し
た。 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0271】
【化27】
【0272】比較例25 実施例33におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例33と同様に電子写真感光体を作製した。
【0273】比較例26 実施例34におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例34と同様に電子写真感光体を作製した。
【0274】以上のように作製した実施例33、34と
比較例25、26および先に記載した実施例28の電子
写真感光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装
置(リコー社製:imagio MF2200)に搭載
し、石油ストーブを灯火した環境下において5万枚の通
紙試験を行なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電
ローラの方式を採り、試験開始時において、感光体の暗
部電位が−850Vとなるように帯電ローラにDC電圧
を印加した。試験環境は、41℃/9%RHであった。
また、ガステック社製のガス濃度検知管を用いたNO2
濃度が5ppmの環境下で試験を行なった。評価方法と
しては試験終了時の画像評価および露光部電位の測定を
行なった。また、フィラー補強電荷輸送層に含有される
電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを測定した。結果
を以下の表13に記す。
【0275】
【表13】
【0276】表13の結果から明らかなように、フィラ
ー非補強電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のイオン
化ポテンシャルは5.48eVと測定され、フィラー補
強電荷輸送層中に含有される電荷輸送物質との差は実施
例33が0.03eV、実施例34が0.17eV、実
施例28が0.08eVと算出される。イオン化ポテン
シャル差の大きい実施例34は試験終了時の露光部電位
が高めであり、その差が小さい実施例33と実施例28
は極めて低い露光部電位が計測されている。これから、
フィラー補強電荷輸送層中に含有する電荷輸送物質とし
てイオン化ポテンシャル差の小さい材料を選択すること
により優れた静電特性を感光体に付与することが可能で
あることが理解される。また、比較例25、26は試験
終了後の画像出力に際し、画像ボケが発生しており、実
使用に耐えられない感光体であると判断される。実施例
33、34に対して、比較例25、26のフィラー補強
電荷輸送層はポリエチレンテレフタレート成分が含有さ
れておらず、これにより画像ボケが回避できなかったも
のと判断される。
【0277】実施例35 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(10) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0278】
【化28】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0279】実施例36 実施例35におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(10)をPAR/PET
(5)に変えた以外は実施例35と同様に電子写真感光
体を作製した。
【0280】比較例27 実施例35におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液の
PAR/PET(10)をポリアリレート樹脂(Uポリ
マーU−100、ユニチカ社製)に変えた以外は実施例
35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0281】以上のように作製した実施例35、36と
比較例27および先に記載した実施例30の電子写真感
光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リ
コー社製:imagio MF2200)に搭載し、1
0万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真装置の帯電
手段は帯電ローラの方式を採り、試験開始時において、
感光体の暗部電位が−850Vとなるように帯電ローラ
にDC電圧を印加した。また、ドラムサンプルを固定す
るユニットにヒーターを取り付け、温度コントローラに
より、感光体の表面温度が常に70℃となるように制御
した。試験環境は、23℃/55%RHであった。評価
方法としては通紙1万枚目と試験終了時の画像評価を行
なった。また、フィラー補強電荷輸送層のガラス転移温
度を測定した。結果を以下の表14に記す。
【0282】
【表14】
【0283】表14の結果から明らかなように、実施例
30、35、36の順に、フィラー補強電荷輸送層の樹
脂材料に含有されるポリエチレンテレフタレート成分量
が30%、10%、5%の順に少量になっている。実施
例36は通紙1万枚目では良好な画像を出力しているも
のの、通紙試験10万枚目の画像出力では僅かに画像ボ
ケが観察されている。一方、実施例35では試験終了時
の画像評価まで異常画像の発生が伴わない良好な画像が
出力されていた。これより、極めて大量の画像を出力す
る際、異常画像の発生を抑制するためにはポリエチレン
テレフタレート成分の成分量が一定量以上必要になると
解釈される。実施例35と実施例36の比較から大量印
刷による異常画像の発生を防止するためにはポリエチレ
ンテレフタレート成分が10wt%以上含有された樹脂
材料を使用することが望ましいと判断される。また、ポ
リエチレンテレフタレート成分が多いフィラー補強電荷
輸送層ほど、そのガラス転移温度が低い結果が得られて
いる。実施例30と実施例35との比較から、高温の状
態で印刷を繰り返すと、ガラス転移温度の低いフィラー
補強電荷輸送層ほどトナーの離型性に対して不利である
と判断される。現行の電子写真装置では、電子写真感光
体が動作時におおよそ50℃程度まで上昇することが多
い。電子写真装置の小型化と高速化を図る場合、感光体
はこれよりも高い温度で使用されることが予測される。
この場合、ガラス転移温度の低いフィラー補強電荷輸送
層は実使用上不利であると判断される。実施例30と実
施例35との比較から、ポリエチレンテレフタレート成
分の含有量を調節することでこのガラス転移温度をコン
トロールすることが可能であり、トナーの離型性に対し
て不利にならない設計が可能であると判断される。ま
た、比較例27は通紙試験1万枚目の画像出力に際し、
画像ボケが発生しており、実使用に耐えられない感光体
であると判断される。実施例30に対して、比較例27
のフィラー補強電荷輸送層はポリエチレンテレフタレー
ト成分が含有されておらず、これにより画像ボケが回避
できなかったものと判断される。
【0284】実施例37 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 0.9重量部 ポリカーボネート樹脂 1.6重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0285】
【化29】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0286】実施例38 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 1.25重量部 下記構造式の高分子電荷輸送物質 1.25重量部
【0287】
【化30】 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0288】
【化31】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0289】実施例39 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 1.25重量部 下記構造式の高分子電荷輸送物質 1.25重量部
【0290】
【化32】 下記構造式の低分子電荷輸送物質 1.23重量部
【0291】
【化33】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0292】以上のように作製した実施例37〜39お
よび先に記載した実施例30の電子写真感光体を実装用
にした後、一部改造した電子写真装置(リコー社製:i
magio MF2200)に搭載し、10万枚の通紙
試験を行なった。尚、電子写真装置の帯電手段は帯電ロ
ーラの方式を採り、試験開始時において、感光体の暗部
電位が−850Vとなるように帯電ローラにDC電圧を
印加した。また、ドラムサンプルを固定するユニットに
ヒーターを取り付け、温度コントローラにより、感光体
の表面温度が常に70℃となるように制御した。試験環
境は、23℃/55%RHであった。評価方法としては
通紙1万枚目と試験終了時の画像評価を行なった。ま
た、フィラー補強電荷輸送層のガラス転移温度を測定し
た。結果を以下の表15に記す。
【0293】
【表15】
【0294】表15の結果から明らかなように、実施例
37はフィラー補強電荷輸送層のバインダー樹脂とし
て、実施例30に用いられるポリエチレンテレフタレー
ト成分を含有する樹脂材料と、ガラス転移温度が181
℃のビスフェノールZポリカーボネートを混合した材料
が用いられている。また、実施例38と39は同じく、
ポリエチレンテレフタレート成分を含有する樹脂材料
と、ガラス転移温度が170℃の高分子電荷輸送物質と
の混合材料が用いられている。このうち、実施例39は
実施例38と比較して、フィラー補強電荷輸送層の低分
子電荷輸送物質の含有量が少ない処方となっている。実
施例37〜39は試験終了後も良質な画像が得られてい
る。これより、フィラー補強電荷輸送層中にポリエチレ
ンテレフタレート成分を含有する樹脂材料とガラス転移
温度の高い樹脂材料を併用することにより、高温環境下
での使用に耐えられる感光体が作製可能であると理解さ
れる。特に高分子電荷輸送物質は低分子電荷輸送物質の
含有量を低減化することが可能であり、このケースに対
して極めて有用な材料と言える。更に、このようなポリ
マーブレンドまたはポリマーアロイによる処方は画像ボ
ケの抑制とトナーフィルミングの防止など二つ以上の要
求特性を同時に解決できる処方として、設計自由度の高
い方法であると判断される。実施例30および実施例3
7〜39はフィラー補強電荷輸送層中にポリエチレンテ
レフタレート成分が含有されているため、大量印刷後に
おいても画像ボケの発生が抑制される効果が確認されて
おり、感光体の高耐久化に有利な処方であると判断され
る。
【0295】実施例40 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(40) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0296】
【化34】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) シクロヘキサノン 80重量部 フェノール 140重量部 テトラクロロエタン 140重量部
【0297】実施例41 実施例30におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例30と同様に電子
写真感光体を作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(40) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0298】
【化35】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0299】以上のように作製した実施例40、41の
電子写真感光体を実装用にした後、一部改造した電子写
真装置(リコー社製:imagio MF2200)に
搭載し、10万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真
装置の帯電手段は帯電ローラの方式を採り、試験開始時
において、感光体の暗部電位が−850Vとなるように
帯電ローラにDC電圧を印加した。試験環境は、24℃
/59%RHであった。評価方法としては試験終了時の
画像評価を行なった。また、試験開始時に感光体の表面
粗さ(十点平均粗さRzおよび最大高さRmax)を測
定した。結果を以下の表16に記す。
【0300】
【表16】
【0301】表16の結果から明らかなように、実施例
40、41はフィラー補強電荷輸送層に含有される樹脂
材料中にポリエチレンテレフタレート成分が40wt%
混合されている。これをアノンとテトラヒドロフランの
混合溶媒で溶解すると、溶液中に微少粒子が観察され
た。これを直接塗工した実施例40は、感光体表面が多
少くすんだ感じの膜質を呈していた。一方、上記の樹脂
をテトラヒドロフランの代わりにフェノールとテトラク
ロロロエタンの混合溶媒に変えた場合、フィラー補強電
荷輸送層の塗工膜は透明平滑な膜質を呈していた。これ
らの差は樹脂の溶媒に対する溶解性の違いに起因するも
のであると考えられる。実施例40は大量印刷後も感光
体の汚染が少なく、画像ボケも画像欠陥も発生しない極
めて良質な画像が得られており、高耐久な感光体である
と判断される。
【0302】実施例42 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、フィラー非補強電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.
5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μm
のフィラー非補強電荷輸送層を形成した。フィラー補強
電荷輸送層の塗工液は下記のフィラー補強電荷輸送層用
塗工液をアルミナボールを用いて24時間のボールミル
分散を施して調製した。尚、固有抵抗低下剤はボールミ
ル分散開始時にフィラーの分散液に添加した。また、電
荷輸送物質と樹脂材料はボールミル分散終了後に添加し
た。この液を電荷輸送層の上にスプレーで塗工し、4.
5μmのフィラー補強電荷輸送層を設け本発明の電子写
真感光体を得た。 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造式のビスアゾ顔料 2.5重量部
【0303】
【化36】 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量部 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0304】
【化37】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0305】
【化38】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0306】実施例43 実施例42におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例42と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリアリレート樹脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製) 10重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0307】
【化39】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0308】実施例44 実施例42におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
を以下のものに変更した以外は、実施例42と同様に電
子写真感光体を作製した。 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリアリレート樹脂 8重量部 (UポリマーU−100、ユニチカ社製) 下記構造式の低分子電荷輸送物質 5.6重量部
【0309】
【化40】 オレイン酸ブチル(東京化成工業社製) 3.4重量部 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0310】実施例45 実施例44におけるフィラー非補強電荷輸送層用塗工液
に含有されるオレイン酸ブチルを下記構造式のポリカー
ボネートに変えた以外は実施例44と同様に電子写真感
光体を作製した。
【0311】
【化41】
【0312】比較例28 実施例43におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例43と同様に電子写真感光体を作製した。
【0313】比較例29 実施例44におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例44と同様に電子写真感光体を作製した
【0314】比較例30 実施例45におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液に
含有されるPAR/PET(30)をポリアリレート樹
脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製)に変えた以
外は実施例45と同様に電子写真感光体を作製した
【0315】以上のように作製した実施例42〜45お
よび比較例28〜30の電子写真感光体を実装用にした
後、NOガス濃度50ppm、NO2ガス濃度15pp
mの雰囲気下で4日間、ガス曝露試験に供した。この
後、これらの感光体を一部改造した電子写真装置(リコ
ー社製:imagio MF2200)に搭載し、画像
評価を行なった。尚、電子写真装置の帯電手段はスコロ
トロン方式チャージャーを用いグリッド電圧を−850
Vに設定し、試験開始時において感光体の暗部電位が−
850VとなるようにチャージワイヤにDC電圧を印加
した。また、フィラー非補強電荷輸送層とフィラー補強
電荷輸送層を合わせた電荷輸送層の水蒸気透過度を測定
した。試験結果を以下の表17に記す。
【0316】
【表17】
【0317】表17の結果から明らかなように、酸化性
ガス曝露後の実施例42〜45および比較例28〜30
の出力画像について、実施例42は良好であるのに対
し、実施例43では僅かな地汚れが観察された。実施例
42と43では感光体表面層の水蒸気透過度が大きく異
なり、これが画像品質の優劣を左右したものと考えられ
る。一方、実施例44および45は実施例43のフィラ
ー非補強電荷輸送層に可塑剤および水蒸気透過度の低い
樹脂を添加したものであり、これにより、感光体表面層
の水蒸気透過度を低減化されていることが理解される。
更に実施例44および実施例45は酸化性ガス曝露後の
画像出力について良好な画像が得られている。酸化性ガ
ス濃度が非常に高い条件下においても感光体表面層の水
蒸気透過度が高い感光体はガス曝露の影響を受けずに良
好な画像が得られることが理解される。他方、比較例2
8〜30の画像評価では画像ボケが観察されており、実
施例43〜45との比較から、画像ボケを抑制する手段
として、フィラー補強電荷輸送層にポリエチレンテレフ
タレート成分を含有させることが有効であると判断でき
る。
【0318】実施例46 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、フィラー非補強電荷
輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.
5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μm
のフィラー非補強電荷輸送層を形成した。フィラー補強
電荷輸送層の塗工液は下記のフィラー補強電荷輸送層用
塗工液をアルミナボールを用いて24時間のボールミル
分散を施して調製した。尚、固有抵抗低下剤はボールミ
ル分散開始時にフィラーの分散液に添加した。また、電
荷輸送物質と樹脂材料はボールミル分散終了後に添加し
た。この液を電荷輸送層の上にスプレーで塗工し、4.
5μmのフィラー補強電荷輸送層を設け本発明の電子写
真感光体を得た。 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造式のビスアゾ顔料 2.5重量部
【0319】
【化42】 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量部 〔フィラー非補強電荷輸送層用塗工液〕 ポリアリレート樹脂(UポリマーU−100、ユニチカ社製) 10重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 7重量部
【0320】
【化43】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.5重量部 下記構造式の低分子電荷輸送物質 2.45重量部
【0321】
【化44】 α−アルミナ 1.5重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 固有抵抗低下剤 0.030重量部 (BYK−P104、ビックケミー社製) テトラヒドロフラン 280重量部 シクロヘキサノン 80重量部
【0322】以上のように作製した実施例46の電子写
真感光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装置
(リコー社製:imagio MF2200)に搭載
し、10万枚の通紙試験を行なった。尚、電子写真装置
の帯電手段はスコロトロン方式チャージャーを用いた。
評価方法としては試験終了時の画像評価を行なった。結
果、試験終了時の画像は僅かな地汚れが認められたもの
の、実用上問題の感じられない品質の画像が得られた。
【0323】実施例47 実施例46で使用した電子写真装置の帯電手段をスコロ
トロンチャージャーから帯電ローラに変更し、帯電ロー
ラが感光体に接触するように配置した。この装置に実施
例46で作製した感光体を搭載し、下記の帯電条件で、
実施例46と同様の評価を行なった。 帯電条件: DC電圧:−1500V 初期及び5万枚目の画像はいずれも良好であったが、5
万枚後の画像には帯電ローラ汚れ(トナーフィルミン
グ)に基づく、ごく僅かな異常画像(地汚れ)が認めら
れた。しかしながら、連続プリント時のオゾン臭は実施
例45の場合に比べて、格段に少なかった。
【0324】実施例48 実施例47で使用した帯電ローラの両端部に厚さ50μ
m、幅5mmの絶縁テープを張り付け、帯電ローラ表面
と感光体表面との間に空間的なギャップ(50μm)を
有するように配置した。その他の条件は実施例47と全
く同様に評価を行なった。その結果、実施例47で認め
られた帯電ローラ汚れは、全く認められず、初期及び3
万枚目の画像はいずれも良好であった。しかしながら、
5万枚後にハーフトーン画像を出力した際、ごく僅かで
はあるが、帯電ムラに基づく画像ムラが認められた。
【0325】実施例49 実施例48において、帯電条件を以下のように変更した
以外は実施例48と同様の評価を行なった。 帯電条件: DC電圧:−850V AC電圧:1.7kV(ピーク間電圧)、周波数:2k
Hz 初期及び5万枚後の画像は良好であった。実施例46で
認められた帯電ローラー汚れ、実施例48で認められた
ハーフトーン画像ムラは、全く認められなかった。
【0326】実施例50 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液
を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き
層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層を
形成した。その上に下記の無機フィラー塗工液をジルコ
ニアビーズを用いてペイントシェーカーで2時間粉砕
(塊砕)して塗工液とした。この液をスプレーで塗工し
て1.5μmのフィラー補強電荷輸送層を設け本発明の
電子写真感光体を得た。
【0327】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部
【0328】 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造のビスアゾ顔料 1.5重量部
【0329】
【化45】 τ型無金属フタロシアニン(リコー社製) 1重量部 ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.25重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 80重量部
【0330】 〔電荷輸送層用塗工液〕 ポリカーボネート樹脂 12重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量:5万、帝人化成社製) 下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
【0331】
【化46】 テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0332】 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.7重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 2.8重量部
【0333】
【化47】 α−アルミナ 2.5重量部 (スミコランダムAA−04、住友化学工業社製) シクロヘキサノン 80重量部 テトラヒドロフラン 280重量部
【0334】実施例51 実施例50におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例50と全く同様に
作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.7重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 2.8重量部
【0335】
【化48】 α−アルミナ(AKP−30、住友化学工業社製) 2.5重量部 シクロヘキサノン 80重量部 テトラヒドロフラン 280重量部
【0336】実施例52 実施例50におけるフィラー補強電荷輸送層用塗工液を
以下のものに変更した以外は、実施例50と全く同様に
作製した。 〔フィラー補強電荷輸送層用塗工液〕 PAR/PET(30) 3.7重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 2.8重量部
【0337】
【化49】 α−アルミナ(AA−07、住友化学工業社製) 2.5重量部 シクロヘキサノン 80重量部 テトラヒドロフラン 280重量部
【0338】以上のように作製した実施例50〜52の
電子写真感光体を実装用にした後、一部改造したレーザ
ープリンタ(リコー社製:イプシオNX710)に搭載
し、15万枚の通紙試験を行なった。試験環境は、25
℃/50%RHであった。評価方法としては、試験開始
時と試験終了時の画像評価を行なった。以下に、α−ア
ルミナの平均粒径、D/H、Db/Da、および試験終
了時の画像評価結果を示す。
【0339】
【表18】
【0340】実施例50〜52の感光体は、15万枚も
の通紙試験を経ても、画像コントラストが高く、シャー
プな画像が得られていた。これより、実施例50〜52
の感光体は高耐久な感光体であると判断される。これら
の感光体のうち、実施例50の感光体は表面が平滑であ
るのに対して、実施例51と実施例52の感光体表面
は、多少、ざらつき感を呈していた。これは、実施例5
1で用いたα−アルミナが実施例50と比較してフィラ
ーの充填性に劣ることや、実施例52のα−アルミナの
平均粒径が実施例50よりも大きく、フィラーの一部が
表面へ頭出していることが原因として考えられる。この
ような感光体表面の平滑性は、出力画像に対して、多
少、影響を及ぼす結果が得られていることが、表18に
示す結果から理解することができる。
【0341】実施例53 φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き
層用塗工液、感光層用塗工液を順次、塗布乾燥すること
により、3.5μmの下引き層、30μmの感光層を形
成した。その上に、アルミナボールを用いて24時間ボ
ールミル分散した下記処方のフィラー補強感光層用塗工
液をスプレー塗工し、厚さ1.5μmのフィラー補強感
光層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
【0342】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂溶液 10重量部 (ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製) メラミン樹脂溶液 7重量部 (スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40重量部 メチルエチルケトン 200重量部
【0343】 〔フィラー非補強感光層用塗工液〕 ポリカーボネート 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量5万、帝人化成社製) 無金属フタロシアニン(リコー社製) 0.2重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 6重量部
【0344】
【化50】 下記構造の低分子電荷輸送物質(リコー社製) 4重量部
【0345】
【化51】 テトラヒドロフラン 100重量部 シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) 1%テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0346】 〔フィラー補強感光層用塗工液〕 PAR/PET(30) 9重量部 無金属フタロシアニン(リコー社製) 0.2重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 5.4重量部
【0347】
【化52】 下記構造の低分子電荷輸送物質(リコー社製) 3.6重量部
【0348】
【化53】 α−アルミナ 2重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) シクロヘキサノン 80重量部 テトラヒドロフラン 280重量部
【0349】比較例31 実施例53におけるフィラー補強感光層を設けない点以
外は、実施例53と全く同様にして電子写真感光体を作
成した。
【0350】比較例32 実施例53におけるフィラー補強感光層用塗工液を以下
の表面保護層用塗工液に変更した以外は、実施例53と
全く同様に作製した。 〔表面保護層用塗工液〕 ポリカーボネート 18.2部 (Zポリカ、粘度平均分子量5万、帝人化成社製) α−アルミナ 2重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) シクロヘキサノン 80重量部 テトラヒドロフラン 280重量部
【0351】比較例33 実施例53におけるフィラー補強感光層を設けず、か
つ、実施例53における感光層用塗工液を以下のものに
変更した以外は、実施例53と全く同様に作製した。 〔感光層用塗工液〕 ポリカーボネート 10重量部 (Zポリカ、粘度平均分子量5万、帝人化成社製) 無金属フタロシアニン(リコー社製) 0.2重量部 下記構造の低分子電荷輸送物質 5.4重量部
【0352】
【化54】 下記構造の低分子電荷輸送物質(リコー社製) 3.6重量部
【0353】
【化55】 α−アルミナ 2重量部 (スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) テトラヒドロフラン 100重量部 1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製) テトラヒドロフラン溶液 1重量部
【0354】以上のようにして作製した実施例53及び
比較例31〜33の電子写真感光体を実装用にした後、
一部改造した複写機(リコー社製:imagio、MF
2200)に搭載し、石油ストーブを灯火した環境下に
おいて5万枚の通紙試験を行なった。試験環境は、40
℃/10%RHであった。また、ガステック社製のガス
濃度検知管を用いたNO2濃度が4ppmの環境下で試
験を行なった。なお、複写機に搭載されるプロセスカー
トリッジは同梱のものをそのまま使用した。このプロセ
スカートリッジには帯電手段、現像手段、クリーニング
手段、および感光体が一体化されたもので、帯電手段と
して接触型の帯電ローラが装備されている。
【0355】評価方法としては、試験終了時の感光層の
摩耗量測定、及び試験開始時と試験終了時の画像評価を
行なった。また、前述の方法により、感光体最表面層の
水蒸気透過度を測定した。結果を表19に示す。
【0356】
【表19】
【0357】表19の結果から明らかなように、感光層
中にα−アルミナを含有し、更に、このフィラーの含有
率が導電性支持体側より最も離れた表面側に多く含有す
る実施例53の感光体は、5万枚通紙試験後において
も、出力画像のコントラストが明瞭でかつ、カブリも認
められず、耐久性に優れた感光体であるということがで
きる。他方、従来技術に基づいて作製した比較例32
(感光体表面層として表面保護層を設けたもの)は、試
験後の出力画像に画像ボケが見られたことから、実施例
53と比較して耐久性に劣ると判断される。同様に、比
較例33(感光層中に均一にフィラーが含有されたも
の)の評価では、初期画像評価の時点から画像濃度の低
下が見られており、実用性に乏しい手段であると判断さ
れる。この結果から、本発明において、フィラーの含有
率が導電性支持体側より最も離れた表面側に多くする手
段が極めて重要であると判断される。
【0358】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、本発明により、大量印刷を行なっても、異常
画像の発生が見られない、常に高品質画像が得られる実
用的価値に極めて優れた電子写真感光体とその製造方法
およびそれを用いた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子写真装置の1例を示す模式断
面図である。
【図2】本発明に係る電子写真装置の別の例を示す模式
断面図である。
【図3】本発明に係る電子写真装置の更に別の例を示す
模式断面図である。
【図4】本発明に係る電子写真感光体の層構成を示す断
面図である。
【図5】本発明に係る電子写真感光体の別の層構成を示
す断面図である。
【図6】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構成
を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構成
を示す断面図である。
【図8】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構成
を示す断面図である。
【図9】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構成
を示す断面図である。
【図10】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構
成を示す断面図である。
【図11】本発明に係る電子写真感光体の更に別の層構
成を示す断面図である。
【図12】電荷輸送層の電荷移動度に対する電界強度依
存性を表す参考図である。
【図13】フィラーの粒度分布と、累積粒度分布の微粒
側からの累積10%、累積90%の粒径をそれぞれD
a、Dbとした図である。
【符号の説明】
11 電子写真感光体 12 帯電手段 13 露光手段 14 現像手段 15 トナー 16 転写手段 17 クリーニング手段 18 受像媒体 19 定着手段 1A 除電手段 1B クリーニング前露光手段 1C 駆動手段 21 導電性支持体 22 電荷発生層 23 電荷輸送層 24 感光層 25 下引き層 26 フィラー補強電荷輸送層 27 フィラー補強感光層 28 フィラー非補強感光層 29 フィラー非補強電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/02 101 G03G 15/02 101 102 102 (72)発明者 栗本 鋭司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小島 成人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 生野 弘 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田村 宏 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴木 哲郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田元 望 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H068 AA13 AA14 AA16 AA17 AA28 AA29 AA37 AA39 BA01 BA02 BA12 BA58 BB10 BB23 BB24 BB25 BB27 BB52 BB55 CA06 CA33 EA12 EA14 FA27 2H200 FA12 GA17 GA23 HA03 HA13 HA28 HB12 HB48 NA06

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に直接または下引き層を
    介して感光層を有する電子写真感光体において、該感光
    層が少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、フィラ
    ー、およびポリエチレンテレフタレート成分を含む樹脂
    材料を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記導電性支持体側より最も離れた表面
    側の感光層のフィラー含有率が最も高いことを特徴とす
    る請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 感光層膜厚が27μm以下であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンテレフタレート成分が樹脂
    材料中10wt%以上30%以下の割合で含有されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載
    の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 ポリエチレンテレフタレート成分を含む
    樹脂材料が、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレ
    ート、およびポリカーボネートよりなる群から選ばれた
    少なくとも一種の樹脂成分とポリエチレンテレフタレー
    ト成分との樹脂組成物であることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンテレフタレート成分を含む
    樹脂材料の重量平均分子量が、4.0×104以上であ
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載
    の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記樹脂成分組成物がポリマーアロイで
    あることを特徴とする請求項第5又は6に記載の電子写
    真感光体。
  8. 【請求項8】 感光層がフィラー非補強感光層とフィラ
    ー補強感光層を積層して構成されることを特徴とする請
    求項1乃至7のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 フィラー補強感光層に少なくとも電荷発
    生物質または電荷輸送物質が樹脂100重量部に対して
    60重量部以上含有されていることを特徴とする請求項
    8に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 感光層に金属および/または金属酸化
    物のフィラーが含有されていることを特徴とする請求項
    1乃至9のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 感光層にシリカおよび/またはα−ア
    ルミナが少なくとも1種以上含有されていることを特徴
    とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の電子写真
    感光体。
  12. 【請求項12】 感光層又は電荷輸送層中に平均粒径が
    0.7μm未満のα−アルミナを含有することを特徴と
    する請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 前記α−アルミナが、実質的に破砕面
    を有さず、且つ、多面体粒子であり、且つ、α−アルミ
    ナの六方格子面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に
    垂直な粒子径をHとした場合に、D/H比が0.5以上
    5.0以下であることを特徴とする請求項12に記載の
    電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 前記α−アルミナが、粒子の平均粒径
    が0.1μm以上0.7μm未満であり、且つ、累積粒
    度分布の微粒側からの累積10%、累積90%の粒径を
    それぞれDa、Dbとしたときに、Db/Daの値が5
    以下の粒度分布を示すα−アルミナであることを特徴と
    する請求項12又は13に記載の電子写真感光体。
  15. 【請求項15】 フィラー補強感光層に含まれるフィラ
    ーの含有率が、該フィラー補強感光層の全重量に対して
    10wt%以上であることを特徴とする請求項8乃至1
    4のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 フィラー補強感光層の膜厚が2μm以
    上であることを特徴とする請求項8乃至15のいずれか
    1に記載の電子写真感光体。
  17. 【請求項17】 フィラー補強感光層中に固有抵抗低下
    剤がフィラーに対して0.5wt%以上含有されている
    ことを特徴とする請求項8乃至16のいずれか1に記載
    の電子写真感光体。
  18. 【請求項18】 固有抵抗低下剤が脂肪酸化合物である
    ことを特徴とする請求項17に記載の電子写真感光体。
  19. 【請求項19】 感光層に含まれるフィラーが固有抵抗
    低下剤で疎水化処理されていることを特徴とする請求項
    17又は18に記載の電子写真感光体。
  20. 【請求項20】 感光層に含まれるフィラーが表面処理
    剤で疎水化処理されていることを特徴とする請求項1乃
    至18のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  21. 【請求項21】 表面処理剤が脂肪酸化合物であること
    を特徴とする請求項1乃至18のいずれか1に記載の電
    子写真感光体。
  22. 【請求項22】 表面処理剤がシランカップリング剤で
    あることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1に
    記載の電子写真感光体。
  23. 【請求項23】 感光層が電荷発生層、電荷輸送層と順
    次積層されていることを特徴とする請求項1乃至22の
    いずれか1に記載の電子写真感光体。
  24. 【請求項24】 電荷輸送層の電荷移動度が電界強度4
    ×105V/cmの場合に1.2×10-5cm2/V・s
    ec以上で、且つ下記式(1)に示す電荷移動度に対す
    る電界強度依存性βが1.6×10-3以下であることを
    特徴とする請求項23に記載の電子写真感光体。 【数1】 β=logμ/E1/2 (1) (前式中、logは常用対数、μは電荷移動度(単位:
    cm2/V・sec)、Eは電界強度(単位:V/c
    m)を表わす。)
  25. 【請求項25】 電荷輸送層が2種以上の電荷輸送物質
    を含有し、且つ含有される電荷輸送物質のイオン化ポテ
    ンシャル差が0.15eV以下であることを特徴とする
    請求項23又は24に記載の電子写真感光体。
  26. 【請求項26】 フィラー非補強電荷輸送層の電荷移動
    度が電界強度4×105V/cmの場合に1.2×10
    -5cm2/V・sec以上で、且つ下記式(1)に示す
    電荷移動度に対する電界強度依存性βが1.6×10-3
    以下であることを特徴とする請求項23に記載の電子写
    真感光体。 【数2】 β=logμ/E1/2 (1) (前式中、logは常用対数、μは電荷移動度(単位:
    cm2/V・sec)、Eは電界強度(単位:V/c
    m)を表わす。)
  27. 【請求項27】 フィラー非補強電荷輸送層またはフィ
    ラー補強電荷輸送層が2種以上の電荷輸送物質を含有
    し、且つ含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャ
    ル差が0.15eV以下であることを特徴とする請求項
    23又は26に記載の電子写真感光体。
  28. 【請求項28】 フィラー補強電荷輸送層に含有される
    電荷輸送物質とフィラー非補強電荷輸送層に含有される
    電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル差が0.15eV
    以下であることを特徴とする請求項23乃至27のいず
    れか1に記載の電子写真感光体。
  29. 【請求項29】 フィラー補強感光層および/またはフ
    ィラー補強電荷輸送層のガラス転移温度が80℃以上で
    あることを特徴とする請求項8乃至28のいずれか1に
    記載の電子写真感光体。
  30. 【請求項30】 フィラー補強電荷輸送層にガラス転移
    温度が170℃以上の樹脂成分が含有されていることを
    特徴とする請求項29に記載の電子写真感光体。
  31. 【請求項31】 フィラー補強電荷輸送層にガラス転移
    温度が80℃以上の高分子電荷輸送物質が含有されてい
    ることを特徴とする請求項29に記載の電子写真感光
    体。
  32. 【請求項32】 感光体表面層の表面粗さが十点平均粗
    さRzで0.7μm以下、且つ最大高さRmaxで1.
    0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至31の
    いずれか1に記載の電子写真感光体。
  33. 【請求項33】 電荷発生層上に設けられる単層または
    積層構造の電荷輸送層の水蒸気透過度が、50g・m-2
    ・24h-1以下であることを特徴とする請求項23乃至
    32のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  34. 【請求項34】 フィラー補強電荷輸送層に分子量1.
    0×104未満の可塑剤、酸化防止剤、滑剤および紫外
    線吸収剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の
    低分子化合物が含有されていることを特徴とする請求項
    1乃至33のいずれか1に記載の電子写真感光体。
  35. 【請求項35】 電荷発生層上に設けられる単層または
    積層構造の電荷輸送層の樹脂成分が、この樹脂成分のみ
    から構成される高分子膜を該電荷輸送層と同じ膜厚にな
    るように作製したとき、その水蒸気透過度が140g・
    -2・24h -1未満を示す樹脂成分であることを特徴と
    する請求項33又は34に記載の電子写真感光体。
  36. 【請求項36】 フィラーが含まれない塗工液を予め塗
    布することで感光層もしくは電荷輸送層を形成し、次い
    でフィラーが含まれる塗工液を塗布することによって、
    請求項1乃至35のいずれか1に記載の電子写真感光体
    を製造することを特徴とする電子写真感光体の製造方
    法。
  37. 【請求項37】 ポリエチレンテレフタレート成分を含
    む樹脂材料と少なくともテトラヒドロフラン、ハロゲン
    化炭化水素、フェノール、N−メチルピロリドン、ピリ
    ジン、ジメチルホルムアミドのいずれか1種以上を含有
    する塗工液を塗布することによって、請求項1乃至35
    のいずれか1に記載の電子写真感光体を製造することを
    特徴とするの電子写真感光体の製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項1乃至35のいずれか1に記載
    の電子写真感光体を用いることを特徴とするプロセスカ
    ートリッジ。
  39. 【請求項39】 請求項1乃至35のいずれか1に記載
    の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装
    置。
  40. 【請求項40】 帯電手段として帯電ローラを用いるこ
    とを特徴とする請求項39に記載の画像形成装置。
  41. 【請求項41】 帯電手段として感光体と非接触の帯電
    ローラを用いることを特徴とする請求項39に記載の画
    像形成装置。
  42. 【請求項42】 DC電圧にAC電圧を重畳した電圧
    を、電子写真感光体に印加することにより、電子写真感
    光体を帯電させる手段を有することを特徴とする請求項
    39乃至41のいずれか1に記載の画像形成装置。
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