JP2006195089A - 電子写真感光体、それを用いた電子写真方法、装置、プロセスカートリッジ及び電子写真感光体製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、それを用いた電子写真方法、装置、プロセスカートリッジ及び電子写真感光体製造方法 Download PDF

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孝彰 池上
Tomoyuki Shimada
知幸 島田
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裕二 田中
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Abstract

【課題】 電子写真感光体において、高耐久性を有し、かつ残留電位上昇、あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に得られる感光体を提供することを目的とする。
【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されていると共に、導電性支持体から最も離れた層がフィラーを含有する電子写真感光体において、導電性支持体から最も離れた層が、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする電子写真感光体を主たる構成にする。
【化1】

Description

本発明は、高耐久性、高画質化を実現した電子写真感光体、特に、感光体の表面層等の材料構成と、その感光体を使用した電子写真方法、装置、プロセスカートリッジおよび電子写真感光体製造方法に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、感光体に要求される機能として、高画質化と高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。かかる有機系の電子写真感光体としては、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、さらに、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られている。
これらの各種の感光体の中でも、感度、耐久性に優れ、更に電荷発生物質、電荷輸送物質を個別に分子設計できる等の理由により機能分離型の積層感光体が現在のOPC感光体における主流の層構成となっている。
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後に光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動して感光体の表面電荷を中和することにより、静電潜像を形成するというものである。
しかしながら、有機系の感光体は、繰り返し使用による膜削れ(膜劣化)が大きく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、さらには感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強くなるという問題点があった。このように、有機感光体の耐摩耗性をより大きくすることが大きな課題として挙げられていた。
さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層に潤滑性を付与したり、保護層を硬化させたり(保護層を形成する際に架橋密度を上げるなどして保護層を強固にすること)、フィラーを含有させる方法が広く知られている。特に、保護層にフィラーを含有させる方法は、感光体の高耐久化に対して有効な方法の一つではある。
しかしながら、電気絶縁性の高いフィラーを含有させた場合には、電気抵抗が高くなり、残留電位の上昇が顕著に見られることになる。これらの残留電位上昇は、フィラーが含有されていることによって引き起こされる抵抗の増加や電荷トラップサイトの増加による影響が大きくなっていた。
一方、前記した保護層に導電性フィラーを用いた場合には、電気抵抗が低下し、残留電位の上昇の影響が比較的小さいが、画像の輪郭がぼやける、所謂画像ボケが発生し、画像品質への影響が強く現れるという問題があった。
従って、従来の技術では、絶縁性の高いフィラーは使用しにくいので、比較的残留電位の影響が少ない絶縁性の低いフィラーを用い、それによって発生する画像ボケを減少させるために、感光体を加熱するドラムヒーターを搭載する手段が用いられている。
感光体を加熱することによって画像ボケの発生は抑制できるものの、ドラムヒーターを搭載するために感光体の径を大きくしなければならないため、電子写真装置の小型化の要求に伴って、現在主流となりつつある小径感光体にはこのような方法は適用できず、小径感光体の高耐久化が困難とされてきた。
さらに、ドラムヒーターの搭載によって装置が大型にならざるを得ず、消費電力が顕著に増加する上、さらには、装置の立ち上げ時に多くの時間を要する等、多くの課題を残しているのが実状であった。
一方、絶縁性の高いフィラーを用いた場合に多く見られる残留電位の増加により、電子写真装置内では明部電位が高いことにつながり、画像濃度や階調性の低下を招くことになる。それを補うために、暗部電位を高くする必要があるが、暗部電位を高くすると電界強度が高くなり、その結果、地肌汚れ等の画像欠陥を生じさせるだけでなく、感光体の寿命をも低下させることにつながってしまうという問題点もある。
従来の技術において、残留電位上昇を抑制させる方法としては、保護層を光導電層とする方法が開示されている(例えば特許文献1〜3参照)。
しかしながら、これらの公報に開示された方法では、保護層による光の吸収によって感光層へ到達する光量が減少するため、感光体の感度が低下する問題が生じ、その効果はわずかであった。
それに対して、特許文献4に開示されているような、フィラーとして含有される金属あるいは金属酸化物の平均粒径を0.3μm以下にすることによって、保護層が実質的に透明となり、残留電位蓄積を抑制する方法も知られている。
この方法は残留電位の増加を抑制する効果は不十分であり、実質的に課題を解決するには至っていないのが実状である。
それは、フィラーを含有させた場合に引き起こされる残留電位の増加が、電荷発生効率よりもフィラーの存在による電荷トラップやフィラーの分散性に起因する可能性が高いことによる。フィラーの平均粒径が0.3μm以上であっても分散性を高めることによって透明性を得ることは可能であるし、平均粒径が0.3μm以下であってもフィラーがかなり凝集(二次凝集等)していれば膜の透明性は低下することになる。
また例えば特許文献5に開示されているように、保護層にフィラーとともに電荷輸送物質を含有させる方法により、機械的強度を備えつつ、残留電位増加を抑制させる方法が知られている。この保護層への電荷輸送物質の添加は、電荷の移動度を向上させることに効果を発揮し、残留電位を減少させるのに有効な方法ではある。
しかしながら、フィラーが含有されたことによって引き起こされた残留電位の著しい増加は、フィラーの存在に起因する抵抗の増加あるいは電荷トラップサイトの増加によると考えられ、電荷の移動度を向上させて残留電位上昇を抑制させるには限界がある。従って、保護層の膜厚や、フィラーの含有量を少なくせざるを得ず、要求される耐久性を満足させるに至っていないのが実状であった。
残留電位上昇を抑制する別の手段としては、たとえば特許文献6〜9に示されるような、保護層中にルイス酸等を添加する方法、保護層に有機プロトン酸を添加する方法、電子受容性物質を含有させる方法、酸価が5(mg−KOH/g−ワックス重量)以下のワックスを含有させる方法が知られている。
これらの方法は、保護層/電荷輸送層界面での電荷の注入性を向上させ、また保護層に低抵抗部分が形成されることにより、電荷が表面にまで到達しやすくなることに起因していると考えられている。これらの方法は、残留電位の低減効果が認められるが、その結果、画像ボケを引き起こしやすくなり、画像への影響が顕著に現れる副作用を有する。また、有機酸を添加した場合にはフィラーの分散性の低下を引き起こしやすくなるため、その効果は十分ではなく、課題を解決するに至っていないのが実状である。
高耐久化のためにフィラーを含有させた電子写真感光体において、高画質化を実現するためには、前述の画像ボケの発生や残留電位上昇を抑制させるだけでなく、電荷が保護層中のフィラーによって進行を妨げられることなく、感光体の表面まで電荷が直線的に到達することも重要である。そのためには、保護層膜中のフィラーの分散性が大きく影響する。フィラーが凝集した状態では、電荷輸送層から保護層へ注入された電荷が表面へ移動する際に、フィラーによって進行が妨げられやすくなり、結果的に、トナーにより形成されたドットが散った状態となって解像度が大きく低下する。また、保護層を設けた場合に、フィラーによって書き込み光が散乱され光透過性が低下する場合にも、同様に解像度に多大な悪影響を与えることになる。
この光透過性に与える影響も、また、フィラーの分散性と密接に関係している。さらに、フィラーの分散性は耐摩耗性に対しても大きく影響し、フィラーが強い凝集を起こしたり、分散性に乏しい状態では耐摩耗性が大きく低下することになる。
従って、高耐久化のためにフィラーを含有させた保護層を形成した電子写真感光体において、フィラーの分散性を高めると同時に、高画質化を実現するためには、画像ボケの発生や残留電位上昇を抑制させるだけでなく、保護層膜中のフィラーの分散性を高めることが重要である。
しかしながら、それらを同時に解決できる有効な手段は従来の技術では、発明者の知る限り見出されておらず、高耐久化のために感光体の最表面層にフィラーを含有させた場合、画像ボケや残留電位上昇の影響が強く現れ、高画質化に対する課題が今もなお残されているのが実状である。
さらに、それらの影響を軽減させるために、ドラムヒーターを搭載する必要があることから、最も耐久性が必要とされる小径感光体の高耐久化が実現されず、それに伴い装置の小型化や消費電力の低減に対しても大きな障害となっているのが実状であった。
特公昭44−834号公報 特公昭43−16198号公報 特公昭49−10258号公報 特開昭57−30846号公報 特開平4−281461号公報 特開昭53−133444号公報 特開昭55−157748号公報 特開平2−4275号公報 特開2000−66434号公報
本発明は、上述した問題点を考慮してなされたものであって、高耐久性を有し、かつ、残留電位上昇あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、さらに、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に得られるような電子写真感光体並びに電子写真感光体製造方法を提供することを目的とする。
また、それらの感光体を用いることにより、電子写真感光体の交換が不要となり、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに、繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られるような電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、保護層に絶縁性の高いフィラーを含有させることによって画像ボケを抑制し、それによって引き起こされた残留電位上昇に対しては、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を含有させることにより抑制できることを見出し、更に該有機化合物へのオゾンやNOxなどの酸化性ガスが吸着を特定の化合物を含有させることにより防ぐことができることを見出し本発明に到達した。
本発明によれば、以下に示す電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ、電子写真感光体製造方法が提供される。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されていると共に、導電性支持体から最も離れた層がフィラーを含有する電子写真感光体において、導電性支持体から最も離れた層が、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する電子写真感光体を特徴とする。
Figure 2006195089
(前記一般式(1)中、R1、R2 は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、これら複数のR1、R2 は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。但し、R1、R2のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基であり、R1、R2は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。R3は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子から選択される1つを表し、複数のR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜4の整数を表す。)
また、請求項2に記載の発明は、前記最離層が、感光層の表面層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記最離層が、感光層の上に形成された保護層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記最離層が含有する前記有機化合物が、ポリカルボン酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記導電性支持体から最も離れた層が含有する、ポリカルボン酸が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂のいずれか、あるいはそれらの構造式を含む共重合体、もしくはそれらの混合物である請求項4に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記最離層が含有するポリカルボン酸に、少なくとも1種の有機脂肪酸が混合されていることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記最離層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の無機顔料であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記最離層が含有する無機顔料が、金属酸化物であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記最離層が含有する無機顔料のpHが、5以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記最離層が含有する無機顔料の誘電率が、5以上であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記最離層が含有するフィラーの一次粒径が、平均で0.01μm〜0.5μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、前記最離層が、少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、前記電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、前記最離層が、ポリカーボネート樹脂及び/又はポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する際に、酸化防止剤を含有させた塗工液を用いて導電性支持体上に形成され前記導電性支持体から最も離れた層である最離層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法を特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、前記酸化防止剤が、ハイドロキノン系化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体の製造方法を特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、前記酸化防止剤が、ヒンダードアミン系化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体の製造方法を特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、請求項1から14に記載の電子写真感光体に、少なくとも帯電工程と、画像露光工程と、現像工程と、転写工程とを含むことを特徴とする電子写真方法を特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、さらに画像露光の際にLDあるいはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みを行なう工程を含む請求項18に記載のデジタル方式の電子写真方法を特徴とする。なお請求項18及び19に記載の一連の工程は、繰り返し行なうことができる。
また、請求項20に記載の発明は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置を特徴とする。
また、請求項21に記載の発明は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段にLDあるいはLEDを使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みを行なうことを特徴とするデジタル方式の電子写真装置を特徴とする。
また、請求項22に記載の発明は、少なくとも請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジを特徴とする。
本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されていると共に、導電性支持体から最も離れた層がフィラーを含有する電子写真感光体において、導電性支持体から最も離れた層が、酸価が10〜700(mg−KOH/g−有機化合物)の有機化合物の少なくとも一種と、上記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする電子写真感光体により、高耐久化のために感光体の最表面層にフィラーを含有させ、それによって発生しやすくなる画像ボケは、フィラーに絶縁性の高いフィラーを使用することによって回避することが可能となる。
前記一般式(1)中、R1、R2 は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、これら複数のR1、R2 は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。但し、R1、R2のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基であり、R1、R2は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。R3は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子から選択される1つを表し、複数のR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜4の整数を表す。
さらに、それによって顕著に起こる残留電位上昇に対しては、酸価が10〜700mg−KOH/gの有機化合物を含有させることによって、抑制することが可能となる。
酸価が10〜700mg-KOH/gの有機化合物の添加効果は、残留電位の抑制だけに留まらず、フィラーの分散性を向上させ、同時に沈降抑制効果が得られたことにより、膜の透明性が向上し画像濃度ムラのない高解像度を有する画像を得ることが可能となった。
同時に前記一般式(1)で表される化合物を含有することにより、酸化性ガスなどに対する環境耐性が大幅に向上し、さらに、耐摩耗性の向上や塗膜欠陥の抑制が実現された上、塗工液の高寿命化が実現されたことにより、高耐久性を有し、かつ高解像度の画質が得られる感光体を安定に得ることが可能となった。本発明によって、電子写真感光体の高耐久化と高画質化の両立が実現され、高画質画像が長期に渡って安定に得られる電子写真感光体を提供することが可能となる。
以下、本発明の電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ、電子写真感光体の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層が形成されていると共に、導電性支持体から最も離れた層がフィラーを含有する。このフィラーを含有する導電性支持体から最も離れた層の構成については、二つの態様がある。本発明の第一の態様においては、感光層の最表面層が導電性支持体から最も離れた層となる。又、第二の態様においては、保護層が導電性支持体から最も離れた層となる。かかる第一の態様及び第二の態様について図1〜5を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられている。かかる構成は、上記第一の態様に属するものであり、導電性支持体から最も離れた層が感光層33であって、該感光層33がフィラーを含有する。
図2は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を含む(たとえば電荷発生物質を主成分とする)電荷発生層35と、電荷輸送物質を含む(たとえばこれを主成分とする)電荷輸送層37とが、積層された第一の態様に属する構成をとっている。この第一の態様は、導電性支持体から最も離れた層が電荷輸送層37(感光層の最表面層)であって、該電荷輸送層37がフィラーを含有する。
図3は、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含む(たとえばこれを主成分とする)感光層33が設けられ、更に感光層表面に保護層39が設けられる第二の態様に属するものであり、導電性支持体から最も離れた層が保護層39であって、該保護層39がフィラーを含有する。
図4は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を含む(たとえばこれを主成分とする)電荷発生層35と、電荷輸送物質を含む(たとえばこれを主成分とする)電荷輸送層37とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層39が設けられている。この構成も第二の態様に属するものであり、導電性支持体から最も離れた層が保護層39であって、該保護層39がフィラーを含有する。
図5は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を含む(たとえばこれを主成分とする)電荷輸送層37と、電荷発生物質を含む(たとえばこれを主成分とする)電荷発生層35とが積層された構成をとっており、更に電荷発生層35上に保護層39が設けられている。この構成も第二の態様に属するものであり、導電性支持体から最も離れた層が保護層39であって、該保護層39がフィラーを含有する。
次に、本発明の感光体を構成する各層について説明する。
前記導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示す材料、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、あるいは酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチックあるいは紙に被覆した材料、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板状の材料あるいは上記した材料、これらを組み合わせた材料を、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ(鏡面加工などでの最終工程での微細研磨(電界研磨なども含む)・切削加工を含む)、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工した材料も、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO(indium tin oxide)などの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂の中の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような導電性層は、前記導電性粉体と前記結着樹脂とを分散液、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンの1種または2種以上の混合液あるいはこれらを含む分散液などに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(たとえばテフロン(登録商標))などの素材から選択される1種または2種以上と、前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けたものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。感光層は図1、図3等に示すように、単層体でも、また、図2、図4、図5等に示すように、2層以上の積層体でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層35と、電荷輸送層37の積層体として構成される場合について、最初に述べる。
感光層を構成する電荷発生層35は、電荷発生物質を含む(たとえばこれを主成分とする)層である。電荷発生層35には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、このような電荷発生物質としては、たとえば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられる。これら電荷発生物質は単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもかまわない。
電荷発生層35は、上記した電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤あるいは分散剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、たとえば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。必要に応じて用いられるこれらの結着樹脂は1種を用いてもよく、また2種以上用いることもできる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層35の形成に用いられる溶剤あるいは分散剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いてもよく、また、2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を含むが、その中に、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていても良い。
電荷発生層35を形成するための塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等を用いることができる。
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度であり、好ましくは0.1〜2μmである。
感光層を構成する電荷輸送層37は、電荷輸送物質を含む(たとえば主成分とする)層である。該電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散して、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等をそれぞれ、単独で、あるいは2種以上、添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等が挙げられ、その他の公知の材料も挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で、または2種以上混合して用いられる。
電荷輸送層37を構成する結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層37の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。また電荷輸送層の膜厚の下限値は、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、たとえば5μm以上とすることが好ましい。
電荷輸送層37の形成に用いられる溶剤または分散剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用しても良い。
更に、電荷輸送層37が感光層の最表面層であり、かつ、導電性支持体から最も離れた層(最離層)となる場合、即ち図2に示すような構成の場合には、電荷輸送層37の表面部位には、フィラーを含有させ、更に、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の少なくとも一種と、前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有させる。このような構成を採用した電子写真感光体は、耐摩耗性を向上させることができる。
次に、図2に示す構成において、電荷輸送層37に含有させるフィラー、少なくとも酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物および一般式(1)で表される化合物について順に説明する。
フィラーには、有機性フィラー材料と無機性フィラー材料とが使用できる。
有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末(アモルファス−カーボン)等が挙げられる。
また、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
図2に示す構成において、電荷輸送層37に上記フィラーを含有させると、感光体の高耐久化を実現することはできるが、従来公知の方法では、残留電位の上昇や画像ボケの発生等、画質劣化を引き起こす副作用が発生する虞があった。本発明者らは、保護層に絶縁性の高いフィラーを含有させることによって画像ボケを抑制し、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の少なくとも一種を含有させることによって残留電位上昇を抑制できることを見出した。残留電位の低減となった要因として、一つには特定の酸価を有する材料が添加されたことが挙げられる。また、他の要因として、前記酸価が特定の範囲の有機化合物の添加によって、フィラーの分散性の向上が挙げられる。また、フィラーの分散性の向上は、残留電位上昇を抑制する効果と共に、電荷輸送層37の書き込み光の透過率低下や画像濃度ムラの発生を防止することによって、より一層の高画質化が実現できた。さらに、耐摩耗性の向上や塗膜欠陥の発生を防止することが一挙に実現するという効果をも併せ持っている。
上記電気絶縁性が高いフィラーとしては、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効であり、このようなフィラーとしては、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用してもよく、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造式であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理することが可能であり、このように表面処理を施したフィラーの分散性が向上するので好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸の中から選択される1種または2種以上を組み合わせて処理したり、あるいはこれらとシランカップリング剤とをおりまぜて処理する混合処理する処理法、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等から選択される1種または2種以上、あるいは前記した処理剤とこれらの1種または2種以上との混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことにより、その影響を抑制できる場合がある。表面処理剤の量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、フィラー重量に対して3〜30wt%の範囲が好ましく、5〜20wt%がより好ましい。表面処理剤の量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
使用されるフィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが電荷輸送層37の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満の場合には、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μmを超えた場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
また、フィラーの含有量としては、5〜50wt%が好ましく、より好ましくは10〜40wt%である。
5wt%未満であると耐摩耗性はあるものの十分ではなく、50wt%を越えると、電荷輸送層37の透明性が損なわれる。
次に、図2に示す構成の電荷輸送層37に含有させる、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物について説明する。
酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を含有させると、フィラーの添加によって発生した、残留電位上昇を抑制することができる。
酸価とは、1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。これらの酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂等、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物であればすべて使用することができる。しかし、非常に低分子のマレイン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸やアクセプター等はフィラーの分散性を大幅に低下させてしまう可能性があるため、残留電位低減効果が十分に発揮されなくなる場合がある。従って、感光体の残留電位を低減させ、かつフィラーの分散性を高めるためには、低分子量ポリマーや樹脂、共重合体等、さらにはそれらを混合させて使用することが好ましい。それらの有機化合物の構造式としては、立体障害が少ないリニア(線状高分子)の構造式を有することがより好ましい。フィラーの分散性を向上させるためにはフィラーと結着樹脂との双方に親和性を持たせることが必要であり、立体障害が大きな材料は、それらの親和性が低下することにより、分散性が低下し、前述のような多くの問題を発生させることにつながる。
かかる観点から、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物としては、ポリカルボン酸が好ましい。該ポリカルボン酸は、カルボン酸をポリマーあるいはコポリマー中に含む構造式を有する化合物(すなわち−COOH基を複数有する化合物)であって、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル酸やメタクリル酸を用いた共重合体、スチレンアクリル共重合体等、カルボン酸を含む有機化合物あるいはその誘導体はすべて使用することが可能である。また、これらの材料は2種以上混合して用いることが可能であり、かつ有用である。すなわち、本発明では、上記した酸価を有している化合物であればよく、上記した樹脂は単なる例示にすぎない。これら上記した樹脂の少なくとも1つには、カルボン酸基を有しており、全体として上記した酸価の範囲にあればよい。場合によっては、これらの材料と有機脂肪酸とを混合させることによって、フィラーの分散性あるいはそれに伴う残留電位の低減効果が高まることがある。
本発明においては、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を用いるが、酸価が30〜400mgKOH/gの有機化合物を用いることが、より好ましい。酸価が必要以上に高いと抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果はこれら酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
これらの酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。例えば、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を二種類用いる場合、その一方をA、他方をBとし、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式(I)を満たすことが好ましい。特に、(I)式の範囲内で必要最小量に設定することがより好ましい。
0.1 ≦ 酸価当量(A×B/C) ≦ 20 (I)
酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の含有量を必要以上に多くすると、分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れる場合があり、含有量が少なすぎると分散不良や残留電位低減効果が不十分となる場合がある。
電荷輸送層37に含有させるフィラー材料は、少なくとも有機溶剤、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物等とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて従来公知の方法により分散することができる。この中でも、フィラーと酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルを用いた分散が、分散性の点からより好ましい。使用されるボールミルのメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等すべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点から特にアルミナを使用することがより好ましい。ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。さらに、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、ボールミルのメディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、その摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分酸性に対して悪影響が少ない。従って、分散に使用するボールミルのメディアには、アルミナを使用することがより好ましい。
また、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物は、フィラーや有機溶剤とともに分散前より添加することによって、塗工液中のフィラーの凝集、さらにはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することから、分散前から添加することが好ましい。一方、結着樹脂や電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合、分散性が若干低下する場合が見られる。従って、結着樹脂や電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解(または均一に分散)させ、この溶液を分散液と混合後に添加することが好ましい。
次に、図2に示す構成の電荷輸送層37に含有させる、前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)で表される化合物の添加は、前記酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の化合物を含有させることによる弊害を解決するためである。即ち、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の化合物は、その化学構造式に由来して、使用条件により生じるオゾンやNOxなどの酸化性ガスが吸着しやすく、場合によっては、最表面の低抵抗化を招き、画像流れ等の問題を引き起こす可能性がある。この酸化性ガスによって引き起こされる課題を解決するためには、前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有させることが効果的である。その理由については、現時点では明らかになっていないが、該化合物の構造式内に含まれる置換アミノ基が酸化性ガスに対して有効なラジカル物質生成抑制を行っているものと推測される。また、一般式(1)で表される化合物は、電荷輸送能力も有しているため、それ自身が電荷担体のトラップとして働くことがなく、添加に伴う残留電位上昇等の電気的な特性劣化は殆どみられない。
一般式(1)で表される化合物中のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。また、芳香環基としてはベンゼン基、ナフタレン基、アントラセン基、及びピレン基など芳香族炭化水素環の1価〜6価の芳香族炭化水素基、並びにピリジン基、キノリン基、チオフェン基、フラン基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、カルバゾール基など芳香族複素環の1価〜6価の芳香族複素環基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、及び芳香環基などが挙げられる。更に、R1,R2が互いに結合した窒素原子を含む複素環基の具体例としてはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリニル基等が挙げられる。その他、共同で窒素原子を含む複素環基としては、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、インドール、キノリンの芳香族複素環基などを挙げることができる。
以下に一般式(1)の好ましい例を挙げるが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物のR1、R2、R3の基を種々変更した例を下記に例示化合物1、2、3〜23等として表示する。
Figure 2006195089
Figure 2006195089
一般式(1)で表される化合物の含有量は、結着樹脂に対して0.01〜150wt%の範囲が好ましい。該化合物の含有量が少ないと酸化性ガスに対する耐性が不足し、多すぎると、膜強度が低下し、耐摩耗性が劣化する。
この一般式(1)で表される化合物と酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物とを含有する、塗工液を保存する場合には、相互作用による塩の生成を抑制するために、酸化防止剤を含有させる。この塩が生成すると、塗工液の変色を引き起こすだけではなく、製造された電子写真感光体において、残留電位の上昇等の不具合を引き起こす。この塩の生成による塗工液の経時保存の不安定の原因は、一般式(1)で表される化合物の構造式に由来するものであり、本発明者等は、後述する酸化防止剤を含有させることにより、保存安定性の問題を解決することができた。
塗工液に含有させる酸化防止剤としては、後述する一般の酸化防止剤が使用できるが、この中でも特に、後述する(c)ハイドロキノン系、及び(f)ヒンダードアミン系の化合物が効果的である。
但し、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の目的と異なり、あくまでも一般式(1)で表される化合物の塗工液中での保護のために利用される。
このため、これらの酸化防止剤は、一般式(1)で表される化合物を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましく、添加量としては、含有される酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物に対して、0.1〜200wt%の範囲で十分な塗工液の保存安定性を発揮できる。
電荷輸送層37には、電荷輸送物質としての機能と結着樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造式を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 2006195089
(式中、R1,R2,R3 はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子であり、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、R5 ,R6 は置換もしくは無置換のアリール基であり、o,p,qはそれぞれ独立して、0〜4の整数であり、k,jは、それぞれ、0.1≦k≦1 および 0≦j≦0.9 で表される組成を表し、nは、5〜5000の範囲の繰り返し単位数を表す(ただしnは整数である)。Xは脂肪族の2価基を表し、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。)
Figure 2006195089
(式(5)中、R101,R102 は各々独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数であり、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)、または、
Figure 2006195089
(式(6)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、 R101 とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 2006195089
(式(II)中、R7, R8は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar1, Ar2, Ar3は同一あるいは異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じ意味である。)
Figure 2006195089
((III)中、R9, R10は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar4 ,Ar5,Ar6 は同一あるいは異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式で用いたものと同じである。)
Figure 2006195089
(式(IV)中、R11, R12 は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7, Ar8, Ar9は同一あるいは異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。)
Figure 2006195089
(式(V)中、R13, R14は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar10, Ar11, Ar12は同一あるいは異なるアリレン基であり、 X1, X2 は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。 またX,k,jおよびnは、上記したのと同じである。)
Figure 2006195089
(式(VI)中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar13, Ar14,Ar15,Ar16は同一でも異なっていてもよいアリレン基であり、 Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し、同一であっても異なってもよい。 X,k,jおよびnは、上記と同じ意味である。)
Figure 2006195089
(式(VII)中、R19,R20 は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20で環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19 は同一あるいは異なるアリレン基を表す。 またX,k,jおよびnは、上記と同じ意味である。)
Figure 2006195089
(式(VIII)中、R21は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23 は同一あるいは異なるアリレン基を表す。またX,k,jおよびnは、上記と同じ意味である。)
Figure 2006195089
(式(IX)中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一あるいは又は異なるアリレン基を表す。またX,k,jおよびnは、上記と同じ意味である。)
Figure 2006195089
(式(X)中、R26,R27 は置換もしくは無置換のアリール基であり、Ar29,Ar30,Ar31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。またX,k,jおよびnは、上記と同じ意味である。)
図2に示す構成の電荷輸送層37を形成するための塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。感光層表面にフィラーを含有する場合には、感光層全体にフィラーを含有させることができるが、電荷輸送層37の最表面側が最もフィラー濃度が高く、支持体側が低くなるようにフィラー濃度傾斜を設けたり、電荷輸送層37を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、フィラー濃度が順次高くしたりするような構成にすることが好ましい。
次に、感光層が単層(図1、図3)の場合について述べる。該感光層33は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成することができる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。電荷発生物質としては、前述した、複層の場合の電荷発生層35に用いたものと同じものが挙げられる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対して電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を、電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
更に、感光層33が導電性支持体31から最も離れた層となる場合、即ち前記図1に示す構成の場合には、少なくとも感光層33の表面部位には、耐摩耗性を向上させる目的でフィラーを含有させ、更に、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の少なくとも一種と、前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有させる。この場合にも、前記電荷輸送層37の場合と同様に、感光層33全体にフィラーを含有させることもできるが、フィラー濃度勾配を設けるか、複数層の感光層の構成とし、フィラー濃度を順次変えた構成にすることが有効な手段である。また、フィラーの構成、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の構成、前記一般式(1)で表される化合物の構成は、前記電荷輸送層37の場合と同様である。
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を含む(たとえば主成分とする)が、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造式を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明の感光体においては、前記感光体の第二の態様として、感光層を保護するために保護層39が感光層の上に設けられていることが好ましい(具体的には、図3、図4、図5に示す構成)。この場合には、導電性支持体から最も離れた層が保護層39である。該保護層39に使用される結着樹脂としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。
尚、図4、図5に示すように、感光層を電荷発生層35と電荷輸送層37で構成する場合、電荷発生層35は前記図2に示す感光体の電荷発生層35と同様に構成することができ、電荷輸送層37は前記図2に示す感光体の電荷輸送層37と同様に構成することができる。また、図3に示すように、感光層を単層で構成する場合、感光層33は前記図1に示す感光体の感光層33と同様に構成することができる。
更に、保護層39には、耐摩耗性を向上させる目的でフィラーを含有させ、更に、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の少なくとも一種と、前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有させる。
ここで用いられるフィラーとしては、前述した図2に示す構成の電荷輸送層37に含有させるフィラーをすべて使用することができる。その中でも、無機顔料が耐摩耗性の点から好ましく、特にpHが5以上あるいは誘電率が5以上の金属酸化物は画像ボケの抑制効果が高いことからより好ましい。このような絶縁性フィラーとして、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらのpHが5以上のフィラーや誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種以上混合したりして用いることも可能である。
これらのフィラー材料の中で、特に有用に用いられるフィラーとしては、α型アルミナが挙げられる。これは、絶縁性や熱安定性が高く、硬度が高いことから耐摩耗性に優れており、さらに凝集しにくい等の理由から特に有用である。
また、これらのフィラーは少なくとも1種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。表面処理剤については、前記図2に示す構成の電荷輸送層37に適用されるものはすべて使用することが可能である。表面処理剤を単独で使用することはもちろん、2種以上混合させて処理することも可能である。表面処理剤の量については、前記電荷輸送層37で適用される量を用いることができる。
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μm以上の場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
また、フィラーの含有量としては、0.1〜50wt%の範囲、好ましくは5〜30wt%の範囲である。
0.1wt%以下であると耐摩耗性はあるものの十分ではなく、50wt%を越えると、保護層39の透明性が損なわれる。
保護層39に添加される酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物としては、前述した図2に示す構成の電荷輸送層37に含有させる化合物をすべて使用することができるが、前記電荷輸送層37の場合と同様に、ポリカルボン酸が好ましい。該ポリカルボン酸としては、少なくともカルボン酸を含有する有機化合物あるいはその誘導体はすべて使用することが可能であり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂やメタクリル樹脂を用いた共重合体、スチレンアクリル共重合体等がより有用である。これらの材料は2種以上混合して用いることが可能であり、そうすることでフィラーの分散性を高める効果が増加する場合がある。
保護層39には酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有させるが、酸価が30〜400mgKOH/gの有機化合物が好ましい。酸価が必要以上に高いと抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果はこれら酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
これらの酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。
例えば、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を二種類用いる場合、その一方をA、他方をB、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式(II)を満たすことが好ましく、(II)式の範囲内で必要最小量に設定することがより好ましい。
0.2 ≦ (A×B/C) ≦ 20 (II)
酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物の添加量を必要以上に多くすると、分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れる場合があり、添加量が少なすぎると分散不良や残留電位低減効果が不十分となる場合がある。
耐酸化性ガス向上のために含有される一般式(1)で表される化合物としては、前記図2に示す構成の電荷輸送層37に含有させるものと同様のものを用いることができる。
保護層39の形成に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤から選択される溶剤または分散剤を使用することができる。但し、分散時には粘度が高い溶剤または分散剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
また、保護層39に、前記図2に示す構成の電荷輸送層37について挙げた低分子電荷輸送物質あるいは高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
保護層39に含有させるフィラー材料は、少なくとも有機溶剤、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物等とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。この中でも、フィラーと酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等すべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点から特にアルミナを使用することがより好ましい。ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。さらに、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時に摩耗されるものの、摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分酸性に対して悪影響が少ない。従って、分散に使用するメディアにはアルミナを使用することがより好ましい。
保護層39に含有させる酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物は、フィラーや有機溶剤とともに分散前より添加することによって、塗工液中のフィラーの凝集、さらにはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することから、分散前より添加することがより好ましい。一方、結着樹脂や電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合分散性が若干低下する場合が見られる。従って、結着樹脂や電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解された状態で分散後に添加することが好ましい。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。さらに、保護層の必要膜厚を一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる。なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。本発明において、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を添加することによって、残留電位が大幅に低減させることが可能となり、それによって保護層39の膜厚を自由に設定することが可能である。しかし、保護層の膜厚が著しく増加すると、画質が若干劣化する傾向が認められるため、必要最小限度の膜厚に設定することが好ましい。
本発明の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般に結着樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
本発明の感光体を構成する各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどがある。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどがある。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどがある。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどがある。
本発明の感光体を構成する各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなどがある。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどが挙げられる。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどが挙げられる。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどが挙げられる。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどが挙げられる。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどが挙げられる。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなどが挙げられる。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどが挙げられる。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどが挙げられる。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなどが挙げられる。
本発明の感光体を構成する各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなどが挙げられる。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどが挙げられる。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが挙げられる。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどが挙げられる。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどが挙げられる。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物などが挙げられる。
本発明の感光体を構成する各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどが挙げられる。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどが挙げられる。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置について詳しく説明する。
図6は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図6において、感光体1は少なくとも感光層が設けられ、導電性支持体から最も離れた層にフィラーを含有してなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャー3、転写前チャージャー7、転写チャージャー10、分離チャージャー11、クリーニング前チャージャー13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、第6図に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14およびブレード15により、感光体から除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシなどの公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用でき、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図7には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、さらに導電性支持体から最も離れた層(最離層)にフィラーを含有しており、駆動ローラ22a、22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。第7図においては、感光体21に、支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。勿論この場合には、支持体が透光性である。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明の例示であって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図7において、支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよく、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
以上、上記した電子写真感光体は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよい。また、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置あるいは部品である。プロセスカートリッジの形状等は特に限定されないが、一般的な例として、第8図に示すものが挙げられる。感光体16は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有し、かつ導電性支持体から最も離れた層にフィラーを含有してなる。
以下、本発明を、実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により限定して解釈されずこの実施例の示す発明の範囲に制約を受けるものではない。なお、以下の実施例では、使用する「部」は、すべて重量部の意味である。
[実施例1]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した。
<下引き層塗工液>
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
<電荷発生層塗工>
下記式(16)構造式のビスアゾ顔料 12部
Figure 2006195089
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
<電荷輸送層塗工液>
ポリカーボネート(商品名Zポリカ:帝人化成株式会社製) 10部
テトラヒドロフラン 100部
下記構造式(17)の電荷輸送物質 10部
Figure 2006195089
電荷輸送層上に、さらに、下記組成の保護層塗工液を用いてスプレー塗工により約4μmの保護層を形成し、電子写真感光体1を作製した。
<保護層塗工液>
アルミナ(商品名スミコランダムAA−03 平均一次粒径0.3μm: 住友化学工業株式会社製) 2部
上記例示化合物2で表される化合物 0.5部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、固形分50%、商品名BYK−P104:BYKケミー株式会社製) 0.02部
前記式(17)構造式の電荷輸送物質 3.5部
ポリカーボネート(商品名Zポリカ:帝人化成株式会社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
[実施例2]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体2を作製した。
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(酸価365mgKOH/g、商品名BYK−P105:BYKケミー株式会社製) 0.02部
[実施例3]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体3を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価35mgKOH/g) 0.2部
[実施例4]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体4を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価50mgKOH/g) 0.2部
[実施例5]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体5を作製した。
アクリル樹脂(酸価65mgKOH/g、商品名ダイヤナールBR−605 三菱レイヨン株式会社製) 0.1部
[実施例6]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体6を作製した。
アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(酸価50mgKOH/g) 0.1部
[実施例7]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体7を作製した。
マレイン酸モノアルキル/スチレン/ブチルアクリレート(酸価50mgKOH/g):三洋化成工業株式会社製 0.1部
(なお前記マレイン酸モノアルキルのアルキルは、一般にメチル、エチル、プロピルあるいはブチルなどのC1〜C12までのアルキルを意味する。このマレイン酸モノアルキルは、これらのモノアルキルの混合体であってもよい。これらは、前記会社より入手可能である。)
[実施例8]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体8を作製した。
スチレンアクリル共重合体(酸価200mgKOH/g、商品名FB−1522 三菱レイヨン株式会社製) 0.1部
[実施例9]
実施例1において、保護層に含有されるポリカルボン酸を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体9を作製した。
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価650mgKOH/g、藤沢薬品株式会社製) 0.02部
[実施例10]
実施例2において、保護層に含有されるポリカルボン酸の添加量を下記の添加量に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体10を作製した。
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価365mgKOH/g、商品名BYK−P105:BYKケミー株式会社製) 0.001部
[実施例11]
実施例2において、保護層に含有されるポリカルボン酸の添加量を下記の添加量に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体11を作製した。
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価365mgKOH/g、商品名BYK−P105:BYKケミー株式会社製) 0.1部
[実施例12]
実施例5において、保護層に含有されるアクリル樹脂の添加量を下記の添加量に変更した以外は、すべて実施例5と同様にして、電子写真感光体12を作製した。
アクリル樹脂(酸価65mgKOH/g、商品名ダイヤナールBR−605:三菱レイヨン株式会社製) 0.5部
[実施例13]
実施例1において、保護層に含有されるフィラーを、下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体13作製した。
酸化チタン(平均一次粒径0.3μm、商品名CR−97 石原産業株式社製) 2部
[実施例14]
実施例1において、保護層に含有されるフィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体14作製した。
シランカップリング剤処理酸化チタン(平均一次粒径0.015μm、処理量20%、商品名MT100SA:テイカ製) 2部
[実施例15]
実施例1において、保護層に含有されるフィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体15を製した。
シリカ(平均粒径0.1μm、商品名KMPX100 信越シリコーン株式会製) 2部
[実施例16]
実施例1において、保護層に含有される電荷輸送物質及びバインダー樹脂を一体化して下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体16を作製した。
下記式(18)に示す構造式の高分子電荷輸送物質 20部
Figure 2006195089
[実施例17]
実施例1において、保護層に含有されるバインダー樹脂を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体17を作製した。
ポリアリレート樹脂(商品名UポリマーU6000:ユニチカ株式会製) 10部
[実施例18]
実施例1において、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体18を作製した。
<電荷発生層塗工液>
下記XDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン 8部
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 400部
<電荷輸送層塗工液>
C型ポリカーボネート 10部
トルエン 70部
下記式(19)に示す構造式の電荷輸送物質 8部
Figure 2006195089
<保護層塗工液>
アルミナ処理酸化チタン(平均一次粒径0.035μm:テイカ株式会社 製) 1.5部
前記例示化合物1−1 0.5部
メタクリル酸/メチルメタクリレート共重合体(酸価50mgKOH/g) 0.5部
C型ポリカーボネート(帝人化成株式会社製) 5.5部
前記式(19)に示す構造式の電荷輸送物質 4部
テトラヒドロフラン 250部
シクロヘキサノン 50部
[比較例1]
実施例1において、保護層形成用塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体19を作製した。
<保護層塗工液>
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm:商品名スミコランダムAA−03:住友化学工業株式会社製) 2部
例示化合物2 0.5部
前記式(17)に示す構造式の電荷輸送物質 4部
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
[比較例2]
実施例3において、保護層形成用塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて実施例3と同様にして、電子写真感光体20を作製した。
<保護層塗工液>
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、商品名スミコランダムAA−03: 住友化学工業株式会社製) 2部
例示化合物2 0.5部
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 0.2部
前記式(17)に示す構造式の電荷輸送物質 4部
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
[比較例3]
実施例1において、保護層形成用塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体21を作製した。
<保護層塗工液>
アルミナ(平均一次粒径0.3μm:住友化学工業株式会社製) 2部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g:BYKケミー株式会社製) 0.02部
前記式(17)に示す構造式の電荷輸送物質 4部
ポリカーボネート(商品名Zポリカ:帝人化成株式会社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
[実施例19〜30]
実施例1において、保護層に含有された例示化合物2で表される化合物を表1に示した例示化合物1、3、4〜21および23に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体22〜33を作製した。
[比較例4]
実施例1において、保護層に含有された例示化合物2で表わされる化合物を下記に示す式(20)の化合物に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体34を作製した。
Figure 2006195089
[比較例5]
実施例1において、保護層に含有された例示化合物2で表わされる化合物を下記に示した式(21)の化合物に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体35を作製した。
Figure 2006195089
以上のようにして作製した電子写真感光体1〜35を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を 655 nm の半導体レーザーを用いたリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位900(−V)に設定した後、連続してトータル5万枚の印刷を行い、その際初期画像及び5万枚印刷後の画像について評価を行った。また、初期及び5万枚印刷後の明部電位を測定した。さらに、初期及び5万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。
Figure 2006195089
表1の評価結果より、感光体の最表面層に酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物を添加することによって、明部電位を大幅に低減することが可能となった。さらに、5万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、一般式(1)で表される化合物を添加した感光体では高画質画像が安定に得られることが確認された。また、それと同時に摩耗量についても抑制されており、耐摩耗性が大幅に向上していることが確認された。一方、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲の有機化合物が無添加の感光体や酸価が10(mgKOH/g)以下の感光体は、明部電位が初期から非常に高く、画像濃度の低下や解像度の低下を引き起こしており、5万枚印刷後では階調性が著しく低下したことによって画像の判別が不可能であった。さらに、これらの感光体は、印刷後の摩耗量が著しく増加しており、耐摩耗性の低下が顕著に見られた。
また、表2に示す電子写真感光体についてを50ppmの窒素酸化物ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後における画像(解像度)評価を行った。
Figure 2006195089
表2の評価結果より、感光体の最表面に一般式(1)で表される化合物を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性が大幅に向上することがわかる。また、酸価当量の多い感光体において、実使用上問題ないレベルであるが、僅かながら解像度が低下する傾向がみられた。
[実施例31]
下記の組成の電子写真感光体保護層形成用塗工液2を作製した。
<保護層塗工液>
アルミナ
(平均一次粒径:0.3μm、商品名スミコランダムAA-03:住友化学工業株式会社製) 2部
例示化合物2 0.5部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、固形分50%、商品名BYK−P104:BYKケミー株式会社製) 0.02部
前記式(17)で示す構造式の電荷輸送物質 3.5部
ポリカーボネート(商品名Zポリカ:帝人化成株式会社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
下記式(22)で示す構造式のハイドロキノン系化合物 0.005部
Figure 2006195089
[実施例32]
実施例31において、電子写真感光体保護層形成用塗工液2に含まれるハイドロキノン系化合物を、下記式(23)に示す構造式のヒンダードアミン系化合物に変更した以外は、同様にして電子写真感光体保護層形成用塗工液3を作製した。
Figure 2006195089
[実施例33]
実施例31において、電子写真感光体保護層形成用塗工液2に含まれるハイドロキノン系化合物を下記式(24)に示す構造式の有機硫黄系化合物に変更した以外は同様にして、電子写真感光体保護層形成用塗工液4を作製した。
Figure 2006195089
[実施例34]
実施例31において、電子写真感光体保護層形成用塗工液2に含まれるハイドロキノン系化合物を下記式(25)に示す構造式のヒンダードフェノール系化合物に変更した以外は、同様にして電子写真感光体保護層形成用塗工液5を作製した。
Figure 2006195089
[実施例35]
実施例31において、電子写真感光体保護層形成用塗工液2に含まれるハイドロキノン系化合物を下記式(26)に示す構造式の有機燐系化合物に変更した以外は、同様にして電子写真感光体保護層形成用塗工液6を作製した。
Figure 2006195089
以上のようにして作製された実施例1(電子写真感光体保護層形成用塗工液1)、実施例37〜41における電子写真感光体保護層形成用塗工液2〜6について、室温環境下、暗所にて1週間静置保存し、塗工液の分光吸収特性変化を確認した。
Figure 2006195089
(吸光度変化率)=(保存後における塗工液の吸光度)/(塗工液作製直後の吸光度)
表3の結果により、酸化防止剤を添加することによって、塩の生成が抑制され、電子写真感光体保護層形成用塗工液の保存安定性が大幅に向上し、特にハイドロキノン系化合物、及びヒンダードアミン系化合物において、その改善効果が顕著であることがわかる。
本発明の単層型電子写真感光体の断面図である。 本発明の機能分離2層型電子写真感光体の断面図である。 本発明の保護層を有する電子写真感光体の断面図である。 本発明の保護層の有る機能分離電子写真感光体の断面図である。 本発明の表面保護層、電荷発生層の順の感光体の断面図である。 本発明の感光体を使用する電子写真装置の例の概略図である。 本発明のベルト感光体使用の電子写真装置の例の概略図である。 本発明の装置に使用するプロセスカートリッジの概略図である。
符号の説明
1 感光体1
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー3
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャー
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 感光体
21 感光体21
22a、22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 光源
25 帯電器
26 光源
27 ブラシ
28 光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層

Claims (22)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されていると共に、前記導電性支持体上に設けられた最離層が、フィラーを含有する層を有する電子写真感光体において、
    前記最離層が、酸価が10〜700mgKOH/gの範囲である有機化合物の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2006195089
    (前記一般式(1)中、R1、R2 は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、これら複数のR1、R2 は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。但し、R1、R2のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基であり、R1、R2は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。R3は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子から選択される1つを表し、複数のR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜4の整数を表す。)
  2. 前記最離層が、感光層の表面層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記最離層が、感光層の上に形成された保護層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記最離層が含有する前記有機化合物が、ポリカルボン酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記最離層が含有する、前記ポリカルボン酸が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂のいずれか、あるいはそれらの構造式を含む共重合体、もしくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記最離層が含有するポリカルボン酸に、少なくとも1種の有機脂肪酸が混合されていることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記最離層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の無機顔料であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記最離層が含有する無機顔料が、金属酸化物であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記最離層が含有する無機顔料のpHが、5以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子写真感光体。
  10. 前記最離層が含有する無機顔料の誘電率が、5以上であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  11. 前記最離層が含有するフィラーの一次粒径が、平均で0.01μm〜0.5μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記最離層が、少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 前記電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記最離層が、ポリカーボネート樹脂及び/又はポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の電子写真感光体。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する際に、酸化防止剤を含有させた塗工液を用いて導電性支持体上に形成され前記導電性支持体から最も離れた層である最離層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  16. 前記酸化防止剤が、ハイドロキノン系化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体の製造方法。
  17. 前記酸化防止剤が、ヒンダードアミン系化合物であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体の製造方法。
  18. 請求項1から14に記載の電子写真感光体に、少なくとも帯電工程と、画像露光工程と、現像工程と、転写工程とを含む工程を行なうことを特徴とする電子写真方法。
  19. さらに画像露光の際にLDあるいはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みを行なうことを特徴とする請求項18に記載のデジタル方式の電子写真方法。
  20. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置。
  21. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段にLDあるいはLEDを使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みを行なうことを特徴とするデジタル方式の電子写真装置。
  22. 少なくとも請求項1から14に記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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