JP2004038070A - 画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】像担持体及びクリーニングユニットにおいて優れた耐久性を有し、かつ、像担持体のフィルミングを抑制し、安定して高繊細で高品位な画像を得る。
【解決手段】感光体6が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、クリーニング処理を粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性クリーニングブレード16を用いて行いおこない、感光体上に形成されるフィルミング成分をクリーニングブレードにより研摩する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体に、潜像形成、現像及びクリーニング処理を施して画像形成をおこなう画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
像担持体に、潜像形成、現像、転写及びクリーニング処理を施して画像形成をおこなうものとして、カールソンプロセスや、このプロセスの種々の変形プロセスを用いた画像形成方法または画像形成装置が広く使用されている。このような画像形成方法または画像形成装置に用いられる像担持体としての電子写真感光体(以下、単に感光体という)として、安価、大量生産性、無公害性等の利点から、近年、有機系の感光材料が汎用されるようになってきている。
【0003】
感光体における静電潜像形成のメカニズムを説明する。感光体を帯電した後、光照射することにより、光は感光体中の電荷発生材料により吸収され、光を吸収した電荷発生材料は電荷担体を発生する。この電荷担体は感光体中の電荷輸送材料に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層ないしは感光層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成する。
【0004】
有機系の感光体としては、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂を用いたもののほか、2,4,7−トリニトロフルオレノン(TNF)−PVKに代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体等が知られており、特に、機能分離型の感光体が注目され、実用化されている。
【0005】
感光体材料としては、上記以外にも種々のものが開発されているが、これらを実用化できる優れた感光体とするには、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光特性等の電子写真特性が要求される。さらに、耐摩耗性等の機械的耐久性、熱、光、放電生成物等に対する化学的安定性等、様々な特性が要求される。とりわけ、画像形成装置の小型化が望まれるに至って、感光体は小径化を余儀なくされ、通紙枚数に応じて進行する感光体の摩耗現象に対して、その耐久性に対する要求が大きくなってきている。
【0006】
このように、耐摩耗性を主とする機械的耐久性が強く要望されるようになってきたが、従来の有機系感光体(OPC)及びこれを用いる画像形成装置では、有機物の耐摩耗性の低さから、充分な耐久性が得られていないのが現状である。
【0007】
また、近年、画像の高精細化が要求されるが、これに対して感光体の感光層の薄膜化が必須である。これは、以下の理由によると考えられている。例えば、積層型負帯電OPCの場合、露光入射光により電荷発生層で生成した正負のキャリアのうち、電子は基体に吸収されるが、ホールは電荷輸送層を移動して感光体表面の電子と再結合して消滅する。この対消滅により、ホールを感光体表面に引き上げる電界は次第に弱くなり、光の当たっていない領域に向けてホールは移動するようになる。これは、キャリアの感光体表面方向への拡散現象といわれていて、露光入射光に忠実な潜像の形成を妨げ解像度の低下という画像劣化を招く要因となる。この拡散現象において、電荷輸送層厚はその影響が大きく、その層厚を薄くすることは、解像度の維持に対して非常に効果的である。
【0008】
さらに、近年、主流となってきたレーザ露光において、その露光は従来のハロゲンランプ等の露光とは異なり、露光に関する入射フォトン流速は、ハロゲンランプの場合に比べ、約10倍大きい。そのため、生成するキャリア密度がきわめて大きくなり、電荷輸送層に流れ出た電荷により電荷発生層の電界が弱められて、キャリア移動速度に影響する。これにより、レーザビーム中心近くに生成したキャリアの感光体表面への到達が遅延することにもなる。このようにして生じる空間電荷分布は、感光体表面に平行方向のキャリアの拡散を生じやすくし、解像度低下に影響がより大きくなる。
【0009】
このように、画像の高精細化には感光層の薄膜化が必須であり、このため感光体の摩耗に対する余裕度がさらに厳しくなってきているといえる。
【0010】
これらの背景から、感光体の耐摩耗性を向上させる方法として、感光体表面に保護層を設けるものが知られている。また、特開昭57−30846号公報では、金属又は金属酸化物からなるフィラーを含有する保護層を設けるものが提案されている。これは、フィラーの平均粒径を0.3μm以下として保護層の透明性を高め、残留電位の上昇を抑制しつつ、耐磨耗性を向上させようとするものである。また、特開平8−234455号公報では、フィラーを含有する電荷輸送層において、フィラーと電荷輸送層との屈折率差が0.1以上であり、粒径1〜3μmの粒子を1mm当り1×10〜2×10個含有するものが開示されている。
【0011】
しかしながら、保護層を設けるものでは、感光体の耐摩耗性は向上できるものの、保護層にトナー成分や帯電生成物等によるフィルミング成分が付着し易く、フィルミングが悪化しやすいという欠点がある。そして、感光体上のフィルミングがあるレベル以上に悪化すると、画像ムラや画像流れという画像劣化を生じてしまう。また、感光体にフィラーを含有する保護層を設けるものでは、フィラーの保護層中での分散性が良好でないことに起因する凝集体により、クリーニングブレードの密着性が低下してクリーニング不良を生じやすいという欠点がある。さらに、感光体の静電的安定性や耐久性にも悪影響を与えやすいという欠点がある。このように、保護層を設けて耐摩耗性を向上させただけでは、最終出力品質としての画像が良好な状態を維持することはできない。
【0012】
ところで、画像形成プロセスで使用されるトナーにおいて、その流動性等の特性向上のために添加剤が付加されており、カラー画像形成プロセスでは、その添加量が多くなる傾向にある。添加剤として用いられるものはシリカや酸化チタンである。これらの添加剤は感光体の表面に付着しやすく、フィルミングとなって画像品質の劣化を引き起こす原因となるものである。さらに、画像の高精細化にともないトナーは小粒径化の傾向にあり、被覆率を同じレベルにするために添加剤はさらに増加する傾向にある。また、画質向上の点からワックスを含有させたトナーを用いる傾向にあるが、ワックスの含有量が多くなるほどフィルミングは起こり易い。これは、ワックス成分により感光体の表面にトナー成分や帯電生成物等のフィルミング成分が付着し易くなるためと考えられる。これらのことから、カラー化、高精細化に対応するトナーを用いると、感光体のフィルミングは非常に起こり易い傾向にある。
【0013】
このように、高精細な画像形成をおこなう画像形成装置、画像形成方法においては、感光体へのフィルミングは起こり易く、その抑制はきわめて重要な課題となってきている。
【0014】
感光体へのトナー成分や帯電生成物の付着やフィルミングを抑制する方法も提案されている。特開平8−240966号公報では、スポンジ層を有する接触帯電ローラとクリーニングブレードにより、現像剤中に含有させた潤滑剤を感光体上に塗布するものが提案されている。また、特開平9−230767号公報では、接触帯電装置を有する画像形成装置において、オゾン又はNOx付着物を掻き取る強制掻き取り部材を設けるものが提案されている。また、特開平10−111629号公報には、研磨剤付クリーニングローラによって感光体表面のフィルミングを除去するものが提案されている。しかしながら、装置の構成が複雑になる等の欠点がある。また、これらの方法では、上記高精細な画像形成をおこなうものに対しては、感光体のフィルミングの抑制効果は充分とはいえない。
【0015】
さらに、フィルミング等による異常画像を抑制する方法も提案されている。特開2000−132070号公報では、像担持体周囲の温湿度を検知し、それに基づいて制御することが可能な像担持体表面温度制御手段を設けるものが提案されている。また、特開2000−305433号公報では、複数種のクリーニングブレードを装着可能とし、クリーニングブレードの種類を検知する手段を有し、かつ像担持体に加熱手段を装着可能として、その装着の有無とクリーニングブレード種の検出結果に基づいて画像形成動作を制御するものが提案されている。しかしながら、これらの方法では、装置構成が非常に複雑になる等の欠点がある。
【0016】
ところで、像担持体に限らず、画像形成装置を構成するすべてのユニットにおいて、省資源、省エネルギーの観点から、その耐久性、安定性に対する要求もきわめて高くなってきている。例えば、感光体周辺部材においてクリーニングブレードの耐久性が感光体の耐久性に対して劣っている。この問題を解決するために、特開平6−308869号公報では、ブレードクリーニング装置のブレードをステンレス金属シート、精密研磨シート、セラミックス薄板等との複合により、像担持体と同等又はそれ以上の摺擦耐性を有するシートを含む多層構造とするものが開示されている。これは、クリーニングブレードの摩耗が大きく、長期間の接触によりへたりを生じやすいものを改良するものである。また、特開平9−230765号公報、特許2539317号公報、特許2587337号公報には、硬度及び反発弾性率が良好な範囲になるようにブレード用材料を調整し、クリーニングブレードの耐久性向上、感光体の摩耗とフィルミングを抑制するものが開示されている。また、特開平5−158389号公報には、クリーニングブレードを無機充填剤により強化して、クリーニングブレードの耐久性を向上させるものが提案されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、像担持体及びクリーニングユニットにおいて優れた耐久性を有し、かつ、像担持体のフィルミングを抑制し、安定して高繊細で高品位な画像を得ることのできる画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体に、潜像形成、現像、転写及びクリーニング処理を施して画像形成をおこなう画像形成方法において、上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング処理を粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体のクリーニングブレードを用いて行い、該像担持体上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成方法において、上記クリーニングブレード表面のアルミナ微粒子の露出量が、上記像担持体との接触面において1×10−10あたり20〜50個であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成方法において、上記クリーニングブレードが上記像担持体の軸方向に揺動することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成方法において、上記像担持体が感光体であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成方法において、上記保護層が電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成方法において、上記現像処理をワックス成分を含有するトナーを用いて行うことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体と、潜像形成手段と、現像装置と、クリーニング装置とを有する画像形成装置において、上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング装置が粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体からなるクリーニングブレードを備え、該像担持体の保護層上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記クリーニングブレード表面のアルミナ微粒子の露出量が、上記像担持体との接触面において1×10−10あたり20〜50個であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の画像形成装置において、上記クリーニングブレードが上記像担持体の軸方向に揺動するよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7、8または9の画像形成装置において、上記クリーニングブレードを構成する弾性体がウレタンゴムであることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7、8、9または10の画像形成装置において、上記像担持体が感光体であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記保護層が電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記潜像形成手段が帯電装置を備え、該帯電装置が上記像担持体に接触又は近接配置された帯電部材であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加して上記像担持体を帯電させることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、上記現像装置がワックス成分を含有するトナーを用いて現像を行うことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、像担持体と、現像装置と、クリーニング装置とを備え、電子写真方式の画像形成装置に一体的に脱着可能な画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング装置が粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体からなるクリーニングブレードを備え、該像担持体の保護層上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とするものである。
【0019】
これらの発明のおいては、無機微粒子を含有する保護層を有する像担持体を用い、像担持体の耐久性を向上させる。さらに、上記粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有するクリーニングブレードで像担持体の保護層表面をクリーニングする。これにより、像担持体の保護層表面を僅かずつ研磨して保護層上に形成されたフィルミング成分を除去して、像担持体へのフィルミングを抑制する。ここで、クリーニングブレードに含有するアルミナ微粒子の粒径分布は、フィルミングの形状に対して、フィルミングを効率よく除去できるよう選択されたものである。これについて、以下詳しく説明する。
まず、後述する実験により、像担持体上に形成されるフィルミングは像担持体進行方向に対して平行で、図3に示すようにその凹凸の段差が0.2〜0.5μmかつ凹凸の間隔が5〜10μm程度の筋状のものであることがわかった。フィルミングがあるレベル以上になると画像上に発生する画像むら、画像流れはこの筋によるものである。このような形状のフィルミングは、粒径0.5μmより小さいアルミナ微粒子を含むクリーニングブレードで研磨しても、アルミナ微粒子が上記凹凸の凹部に埋もれてしまい、効率よく除去することができない。粒径0.5μm以上のアルミナ微粒子を用いると、効率よく除去できる。一方、1μmより大きいアルミナ微粒子では像担持体の保護層を研磨しすぎてしまい耐久性を低下させたり、部分的に傷をつけてしまい返って画像を劣化させたりするおそれがある。これらのことからアルミナ微粒子は粒径0.5μm以上、1μm以下のものを多く含むものがが好ましいと考えられる。ところで、アルミナ微粒子を均一な粒径とすることは現実的には非常に難しく、コスト高にもなってしまう。そこで、実施できるべくアルミナ微粒子の粒径分布を、後述する実験より、粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するものとすることで像担持体の保護層の筋状のフィルミングを効率よく除去することがわかった。また、この時、像担持体の保護層も研磨されすぎることなく、耐久性も維持されることがわかった。
また、アルミナ微粒子を含有するクリーニングブレードをもちいるので、クリーニングブレードの耐久性も向上させることができる。
以上述べたように、上記条件を採用することで、像担持体及びクリーニングユニットにおいて優れた耐久性を有し、かつ、像担持体へのフィルミングを抑制することができる。よって、フィルミングによる画像ムラ、画像流れという画像劣化を防止して、長期に渡り安定して高繊細で高品位な画像を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる像担持体としての感光体について説明する。感光体は、感光層が単層でも積層であってもよいが、機能分離型の積層タイプを用いて説明する。図1は、本発明に用いられる積層型電子写真感光体の概略断面図である。図2は、本発明に用いられる他の積層型電子写真感光体の概略断面図である。本実施形態に係る感光体は、導電性支持体(導電性基体)1上に感光層2が設けられており、この感光層2は電荷発生材料を主成分とする電荷発生層3と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層4との積層で形成されている。そして、感光体の表層として保護層5が形成される。この保護層5については後で詳しく説明する。
【0021】
導電性支持体1は、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すものである。具体例としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの挙げられる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板又はそれらを素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理した管等からなるものでもよい。
【0022】
電荷発生層3は、電荷発生材料を主成分とする層である。電荷発生材料には、無機又は有機材料が用いられ、代表的なものとしては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、アモルファス・シリコン等が挙げられる。これら電荷発生材料は、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。電荷発生層3は、電荷発生材料を適宜バインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、2−ブタノン、ジクロルエタン等の溶媒を用いて、ボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を塗布することにより形成することができる。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法等により行う。
上記の適宜用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。バインダー樹脂の量は、重量基準で電荷発生材料1部に対して、0〜2部が適当である。
電荷発生層3は、公知の真空薄膜作製法によっても形成することができる。電荷発生層3の膜厚は、通常は0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0023】
電荷輸送層4は、電荷輸送材料及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。
【0024】
電荷輸送材料のうち、低分子電荷輸送材料には、電子輸送材料と正孔輸送材料とがある。
電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送材料は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。これらの正孔輸送材料は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材料を用いる場合、適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥して電荷輸送層を形成してもよい。高分子電荷輸送材料は、上記低分子電荷輸送材料に電荷輸送性置換基を主鎖又は側鎖に有した材料であればよい。特に好ましい高分子電荷輸送材料としては、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル等であり、中でもトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートの使用が有利である。さらに必要により、高分子電荷輸送材料にバインダー樹脂、低分子電荷輸送材料、可塑剤、レベリング剤、潤滑剤等を適量添加することもできる。
【0025】
電荷輸送材料と共に電荷輸送層4に使用されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。また、必要により、電荷輸送層4に添加される可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、樹脂に汎用の可塑剤を挙げることができ、その使用量は、重量基準でバインダー樹脂に対して0〜30%程度が適当である。また、必要により、電荷輸送層4に添加されるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられ、その使用量は、重量基準でバインダー樹脂に対して0〜1%程度が適当である。
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、2−ブタノン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレン等が挙げられる。
【0026】
電荷輸送層4の厚さは、5〜30μmの範囲で、所望の感光体特性に応じて適宜選択すればよい。本実施形態の感光体においては、感光層に含有される電荷輸送材料の含有量は、電荷輸送層の40重量%以上とするのが好ましい。40重量%未満では、感光体へのレーザ書き込みにおけるパルス光露光において、高速電子写真プロセスでの十分な光減衰時間が得られず、好ましくない。感光体における電荷輸送層移動度は、2.5×10〜5.5×10V/cmの範囲の電荷輸送層電界強度の条件下で、3×10−5cm/V・s以上であることが好ましく、7×10−5cm/V・s以上であることがより好ましい。この移動度は、各使用条件下でこれを達成するように構成を適宜調整することができる。移動度は、従来公知の(Time Of Flight)法により求めればよい。
【0027】
また、本実施形態の感光体には、導電性支持体1と感光層との間に下引き層を形成した。この下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末を加えてもよい。この下引き層は、上記の感光層と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。さらに、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えば、ゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層を用いることも有用である。このほかに、下引き層には、Alを陽極酸化したものにより形成したもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法により形成したものも有効である。下引き層の膜厚は、0〜5μmが適当である。
【0028】
また、本実施形態の感光体では、表層として、感光層の保護及び耐久性の向上を目的に、フィラーを含有する保護層5を感光層2の上に形成した。この保護層5に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層5には、耐摩耗性を向上させるためフィラーを添加する。このフィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂やシリコーン樹脂等の有機材料又は酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、チタン酸カリウム等の無機材料からなる微粉末が挙げられる。保護層5に添加されるフィラーの量は、重量基準で通常は、10〜40%、好ましくは、20〜30%である。フィラーの量が10%未満では、摩耗が大きく、耐久性に劣り、40%を越えると、露光時における明部電位の上昇が著しくなって、感度低下が無視できなくなるので望ましくない。フィラーの粒径は、平均1次粒径として0.3〜1.2μm、好ましくは、0.3〜0.7μmであり、粒径が小さい場合には耐摩耗性が充分でなく、また、粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させる為、好ましくない。
さらに保護層5には、フィラーの分散性を向上させるために分散助剤を添加することができる。添加される分散助剤は塗料等に使用されるもの(例えば、変性エポキシ樹脂縮合物、不飽和ポリカルボン酸低分子量ポリマー等)が適宜利用でき、その量は重量基準で通常は、含有するフィラーの量に対して0.5〜4%、好ましくは、1〜2%である。
また、保護層5には、上記の電荷輸送材料を添加することもきわめて有効であり、その添加量も同様でよく、露光に対する特性を向上させることができる。さらに酸化防止剤も必要に応じて添加することができる。酸化防止剤については後記する。
保護層5の形成法としては、スプレー法等通常の塗布法が採用され、保護層5の厚さは、0.5〜10μm、好ましくは4〜6μm程度が適当である。
【0029】
また、本実施形態の感光体では、感光層と保護層との間に別の中間層を形成することも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。このバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。中間層の形成法としては、上記の通常の塗布法が採用され、中間層の厚さは、0.05〜2μm程度が適当である。
【0030】
また、本実施形態の感光体では、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。
各層に添加できる酸化防止剤としては、フェノール系化合物として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等が挙げられる。
パラフェニレンジアミン類として、N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−N,N−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
ハイドロキノン類として、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等が挙げられる。
有機硫黄化合物類として、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3−チオジプロピオネート等が挙げられる。
有機燐化合物類として、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等が挙げられる。
【0031】
また、各層に添加できる可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤として、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル系可塑剤として、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等が挙げられる。
脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤として、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル誘導体系可塑剤として、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等が挙げられる。
オキシ酸エステル系可塑剤として、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等が挙げられる。
二価アルコールエステル系可塑剤として、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等が挙げられる。
含塩素系可塑剤として、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤として、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等が挙げられる。
スルホン酸誘導体系可塑剤として、p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等が挙げられる。
クエン酸誘導体系可塑剤として、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等が挙げられる。
その他、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等が挙げられる。
【0032】
また、各層に添加できる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
サルシレート系紫外線吸収剤として、フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ3−ターシャリブチル5−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤として、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレート等が挙げられる。
クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤として、ニッケル(2,2チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等が挙げられる。
HALS(ヒンダードアミン)系紫外線吸収剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の感光体では、このように導電性基体上に感光層及び保護層を形成し、所望により下引き層、中間層を形成した感光体を用い、この保護層にフィラーを含有させることによって、摩耗に対する耐性を向上させ、耐久性を良好にする。
【0034】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図4は、画像形成装置の概略構成図である。感光体6の周辺に、帯電装置としての帯電ローラ9と露光装置11、現像装置13、転写前チャージャ7、転写装置としての転写ベルト10、分離装置18、クリーニング前チャージャ8、クリーニング装置19が順に配設されている。また、図示しない給紙トレイより転写紙14を給紙する給紙搬送装置17と、トナー像を転写された転写紙14が感光体6から分離した後、トナーを転写紙14に定着する図示しない定着装置とを備えている。ここで、感光体6は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、転写前チャージャ7、分離装置18、クリーニング前チャージャ8は、必要に応じて配置されるものである。
【0035】
このように構成された画像形成装置では、感光体6は潜像形成手段としての帯電ローラ9と露光装置11によりその表面に静電潜像を形成する。具体的には、矢印回転する感光体6の表面は帯電ローラ9により一様に帯電された後、画像情報に基づき露光装置11より光Lを照射されて潜像形成を形成する。感光体6上に形成された静電潜像に現像装置13により帯電したトナーを付着させることでトナー像を形成する。感光体6上のトナーは転写前チャージャ7より電荷を付与される。一方、転写紙14は給紙搬送装置17により給紙トレイより給紙され、次いで感光体6と転写ベルト10とが対向する転写部に搬送される。そして転写ベルト10により、転写紙に感光体上のトナー像とは逆極性の電荷を付与することで、感光体6上に形成されたトナー像を転写紙へ転写する。次いで、転写紙14は、感光体6から分離爪18により分離され、定着装置に送られ、トナーを転写紙に定着することで画像が得られる。ここで、感光体6に正帯電を施し、画像露光を行うと、感光体6表面上には正の静電潜像が形成される。感光体6に負帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には負の静電潜像が形成される。これを、静電潜像と逆極性のトナーで現像すれば、ポジ画像が得られ、同極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0036】
上記帯電ローラ9は、感光体6と当接していてもよいが、両者の間に10〜200μm程度の適当なギャップを設けて近接配設することが望ましい。これは、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電ローラ9へのトナーフィルミングを抑制できるためである。特に、上述した本実施形態の感光体においては、両者の間に50μm程度のギャップを設けることにより良好な特性を維持することができる。これは保護層の表面状態の影響を小さくできるためと考えられる。また、帯電ローラ9に印加する電圧は、帯電の安定化と帯電ムラの抑制のために、直流成分に交流成分を重畳したものとすることが効果的である。しかしながら、交流成分を重畳したものは帯電が安定化される反面、直流成分のみ印加した場合に比べ、プロセス中に使用した感光体の表面層が摩耗しやすいことが分っている。そこで、上述した本実施形態の感光体を用いることが、耐摩耗性の点から有効である。
【0037】
また、露光装置11、除電ランプ12等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。これらの光源は、図4に示される工程の外に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程又は前露光等の工程に用いられ、感光体6に光が照射される。
【0038】
一方、感光体6上の転写残トナーは、クリーニング装置19により感光体6上から除去される。クリーニング装置19は、ブレードやブラシ等種々のものが単独又は組み合わされて用いられている。弾性体からなるクリーニングブレードは低コストであり、クリーニングブレード16のみで行なわれることもあるが、本実施例では、図4にしめすように、ファーブラシ15及びクリーニングブレード16を備えたものを用いて説明する。
【0039】
ところで、本実施形態の画像形成装置では、保護層を有する感光体6を用いるため、感光体6は摩耗しにくいが、その反面フィルミングが生じやすい。また、保護層の構成成分において無機微粒子は安定であるものの、バインダー部が帯電等により徐々に劣化していき、この表面層が更新されないと、画像流れ等を生じやすくなる。このため、フィルミング成分及び保護層表面を適宜、最低限削り取り表層を更新していくことが画像品質の維持に必要となる。また、感光体6の耐久性に対してクリーニングブレード16自体の耐久性が劣ること、感光体6表層に存在する添加微粒子により、クリーニングブレード16のエッジが損傷を受けやすいことが明らかとなった。
【0040】
さらに、この感光体6では、フィルミングの状態として感光体進行方向に対して平行に筋状にフィルミングが形成され、該方向に画像流れが生じやすいことがわかった。この筋状フィルミングは凹凸の段差が0.2〜0.5μm、かつ凹凸の間隔が5〜10μm程度であることもわかり、これらの状態に経時的に収束し、容易には除去できないものとなる。図3に、感光体6上の筋状フィルミングの一例を凹凸プロファイルとして示した。
【0041】
そこで、本実施形態のクリーニング装置19に搭載されるクリーニングブレード16は、ウレタンゴムからなる弾性体ブレードであって、アルミナ微粒子を含有するものとする。このようなクリーニングブレード16を用いた。さらに、このアルミナ微粒子はその粒径分布において、粒径0.5μm以上が40%以上であり粒径1μm以上が20%以下であるものとした。図3にしめす筋状のフィルミング物に対しては、上記アルミナ微粒子の粒径分布が有効である。すなわち、0.5μmより小さい粒子では凹凸の凹部に埋もれてしまい、また1μmより大きい粒子は、感光体6に傷がつきやすくなる。クリーニングブレード16により、画像形成動作により感光体上に形成される筋状のフィルミング物の最大厚さを0.5μm以下となるように研摩することができる。これにより、フィルミングに起因する画像ムラ、画像流れを抑制することができる。
【0042】
また、アルミナ微粒子のクリーニングブレード16における含有形態として、少なくとも感光体6に接する部分においてアルミナ微粒子が存在していれば良いのであって、構造体中に均一に含有する必要はない。特にアルミナ微粒子を含有させることでクリーニングブレード16の弾性特性を低下させる場合もあり得るので、アルミナ微粒子を偏在させることが有効である。
【0043】
さらに、弾性体であるクリーニングブレード表面のアルミナ微粒子露出量が、感光体との接触面において1×10「−10」^mあたり20〜50個(10μm平方あたり)である場合に前記の筋状フィルミング除去に対して有効であり、アルミナ微粒子が少ないときには除去性に劣り、多すぎるときには感光体の摩耗量が多すぎる。
【0044】
このように、本実施形態のクリーニングブレード16は、簡易な構成でフィルミングを抑制するという課題に対して有効なものである。
【0045】
さらに、クリーニングブレード16の端部にギヤとカム機構を設けて、クリーニングブレード16自体を感光体6の軸方向に揺動させてもよい。このようなクリーニングブレード16の軸方向の揺動をおこなうことにより、上記の筋状フィルミングを軸方向に均一に研磨するようになり、フィルミングの除去に対してさらに大きい効果を有する。
【0046】
さらに、上記画像形成装置において、感光体と、帯電装置と、現像装置と、クリーニング装置等を一体化して、本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジの形態としてもよい。図5は、プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【0047】
以下、実施例、比較例を挙げて、さらに詳細に説明する。なお、実施例及び比較例中で部とあるのはすべて重量部である。
<実施例1>
直径30mmのアルミニウム基体上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液をこの順に塗布乾燥し、3.5μmの下引き層、0.15μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層、5μmの保護層からなる感光体を作製した。保護層の塗工はスプレー法により、それ以外は浸漬塗工法により行った。
〔下引き層塗工液〕
二酸化チタン粉末                   400部
メラミン樹脂                      65部
アルキッド樹脂                    120部
2−ブタノン                     400部
〔電荷発生層塗工液〕
チタニルフタロシアニン                  7部
ポリビニルブチラール                   5部
2−ブタノン                     400部
〔電荷輸送層塗工液〕
ポリカーボネート                    10部
下記構造式(1)の電荷輸送物質              8部
テトラヒドロフラン                  200部
【化1】
Figure 2004038070
〔保護層塗工液〕
ポリカーボネート                    10部
上記構造式(1)の電荷輸送物質              7部
アルミナ微粒子                      6部
(住友化学工業製AA−03、中心粒径0.3μm)
分散助剤                      0.08部
(ビックケミージャパン製BYK−P104)
テトラヒドロフラン                  700部
シクロヘキサノン                   200部
なお、分散助剤は調合初期に添加した。
このようにして作製した感光体を使用し、図4に示した画像形成装置にてにて耐久性の評価を実施した。この時の画像形成条件を説明する。画像露光は780nmのレーザ露光とする。帯電は帯電ローラ9にAC(2kHz、1.8kVpp)+DC(−750V)を印加した。感光体6の線速は125mm/sとした。また、現像装置13に供給するトナーとして6%のカルナウバワックスを含有させた粉砕法によるトナーを用いた。クリーニング装置19には、アルミナ微粒子(住友化学工業製AA−07、中心粒径0.7μm)を8重量%添加したウレタンゴムブレードを使用した。AA−07の粒径分布を図6に示す。この粒径分布において粒径0.5μm以上が40%以上で粒径1μm以上が20%以下であることが確認された。このときクリーニングブレード16の感光体6接触面におけるフィラー露出状態を、別途作製した試料のSEM観察にて確認したところ、1×10−10あたり20〜50個であることが確認された。
この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ良好であり、5万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は2.4μmであった。
【0048】
<実施例2>
実施例1と同様の装置で、さらにクリーニングブレード16の端部にクリーニングブレード16の端部にギヤとカム機構を設けて、クリーニングブレード16自体を感光体6の軸方向に揺動するような構成とした。この装置にて、実施例1と同様の耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ変化無く良好な状態を維持した。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は2.5μmであった。
【0049】
<実施例3>
実施例1の画像形成装置において、下記の感光体を用いた。感光体の電荷輸送層及び保護層で用いた電荷輸送物質を、下記構造式(2)のものを用い、それ以外は実施例1と同様の感光体を作製した。
【化2】
Figure 2004038070
実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性を評価した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ良好であり、5万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は2.7μmであった。
【0050】
<実施例4>
実施例1の画像形成装置において、下記の感光体を用いた。感光体の電荷発生層塗工液を下記のものを用い、保護層塗工液の無機微粒子を住友化学工業製アルミナ微粒子AA−04(中心粒径0.4μm)とし、分散助剤を無添加とし、それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
〔電荷発生層塗工液〕
下記構造式(3)のビスアゾ顔料             12部
ポリビニルブチラール                   5部
2−ブタノン                     200部
シクロヘキサノン                   400部
【化3】
Figure 2004038070
なお、クリーニング装置には、実施例1と同様のものを使用し、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性について評価した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ良好であり、5万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。なお、このときの画像露光は655nmのレーザ露光とした。連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は3.1μmであった。
【0051】
<実施例5>
実施例1の画像形成装置において、クリーニングブレードとしてウレタンゴム硬化前に遠心力により、実施例1に用いたのと同様のアルミナ微粒子(住友化学工業製AA−07、中心粒径0.7μm)、7重量%を表面付近に偏在させたものを用いた。このクリーニングブレードの感光体6接触面におけるフィラー露出状態を、別途作製した試料のSEM観察にて確認したところ、1×10−10あたり20〜50個であることが確認された。なお、感光体接触面にはアルミナ微粒子の偏在状態でアルミナ微粒子の多く存在する面を使用した。クリーニングブレードの他は実施例1と同様の装置にて、同様の耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ良好であり、5万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は2.5μmであった。
【0052】
<実施例6>
実施例1の画像形成装置において、クリーニングブレードに添加する無機微粒子をアルミナ微粒子(住友化学工業製AA−04、中心粒径0.45μm)に変えたものを用いた。図7にAA−04の粒径分布を示す。この粒径分布において粒径0.5μm以上が40%以上で粒径1μm以上が20%以下であることが確認された。このときクリーニングブレード16の感光体6接触面におけるフィラー露出状態を、別途作製した試料のSEM観察にて確認したところ、1×10−10あたり20〜50個であることが確認された。クリーニングブレード以外は、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもほぼ良好であり、5万枚後においてわずかな中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は2.0μmであった。
【0053】
<比較例1>
実施例1において、クリーニングブレードに添加するアルミナ微粒子の添加量を2重量%としたものを用いた。このとき、ブレードの感光体接触面におけるフィラー存在状態を、別途作製した試料のSEM観察にて確認したところ、1×10「−10」^mあたり10個未満であった。それ以外は、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期において良好であったものの、連続通紙5万枚後にはクリーニング不良による黒スジが発生し、感光体表面に回転方向の筋状フィルミングが部分的に認められ、あわせて中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は1.2μmであった。
【0054】
<実施例7>
実施例6の画像形成装置において、帯電ローラ9の両端、非画像部に50μm厚のPETフィルムからなるギャップ材を10mm幅で設け、帯電ローラ9を感光体6に対して近接配置とした。それ以外は、実施例6と同様の画像形成装置にて耐久性について評価した。この結果、出力画像は初期及び連続通紙5万枚後においてもきわめて良好であり、5万枚後においても中間調のムラは認められなかった。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は1.8μmであった。また、帯電ローラ9の表面にはトナー成分等の付着物はほとんどなく、ほぼ初期の状態を維持しており、帯電ローラ9の耐久性について効果的であることが確認された。
【0055】
<比較例2>
実施例6の画像形成装置において、無機微粒子を添加しないクリーニングブレードを用いた。それ以外は、実施例6と同様の画像形成装置て耐久性について評価した。この結果、出力画像は初期において良好であったものの、連続通紙3万枚後にはクリーニング不良による黒スジが発生した。また、中間調にはムラが認められ、感光体表面を観察したところ、図3に示すような感光体回転方向の筋状フィルミングが認められた。連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は0.9μmであった。
【0056】
<比較例3>
実施例1において、クリーニングブレードに添加するアルミナ微粒子の添加量を20重量%としたものを用いた。ブレードの感光体接触面におけるフィラー存在状態を、別途作製した試料のSEM観察にて確認したところ、1×10「−10」^mあたり80個を超えていた。それ以外は、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性について評価した。この結果、出力画像は、初期において良好であったものの、連続通紙5万枚後には中間調のムラがはげしいものであった。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は4.0μmであった。この摩耗量は大きく、耐久性としては不充分なものである。
大きく、
【0057】
<比較例4>
実施例1の画像形成装置において、クリーニングブレードに添加する無機微粒子をアルミナ微粒子(住友化学工業製AA−03、中心粒径0.3μm)に変えたものを用いた。AA−03の粒径分布において粒径0.5μm以上のものは20%に満たないものである。クリーニングブレード以外は、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期において良好であったものの、連続通紙5万枚後にはクリーニング不良による黒スジが発生し、感光体表面に回転方向の筋状フィルミングが部分的に認められ、あわせて中間調のムラが認められた。また、連続通紙5万枚後の感光体の摩耗量は1.8μmであった。
【0058】
<比較例5>
実施例1の画像形成装置において、クリーニングブレードに添加する無機微粒子をアルミナ微粒子(住友化学工業製AA−2、中心粒径2μm)に変えたものを用いた。AA−2の粒径分布においてほぼすべてが粒径1μm以上である。クリーニングブレード以外は、実施例1と同様の画像形成装置にて耐久性の評価を実施した。この結果、出力画像は初期において良好であったものの、すぐに中間調のムラが発生した。連続通紙1万枚後の感光体の摩耗量は2.2μmであった。
また、アルミナ微粒子のクリーニングブレードにおける含有形態として、少なくとも感光体に接する部分においてアルミナ微粒子が存在していれば良いのであって、構造体中に均一に含有する必要はない。特にアルミナ微粒子を含有させることでブレードの弾性特性を低下させる場合もあり得るので、アルミナ微粒子を偏在させることが有効である。
さらに、弾性体ブレード表面のアルミナ微粒子露出量が、感光体との接触面において1×10−10あたり20〜50個(10μm平方あたり)である場合に前記の筋状フィルミング除去に対して有効であり、アルミナ微粒子が少ないときには除去性に劣り、多すぎるときには感光体の摩耗量が多すぎるものであった。
【0059】
以上述べたように、本実施形態の画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジでは、像担持体としての感光体6及びクリーニングユニットにおいて優れた耐久性を有し、かつ、感光体6のフィルミングを抑制することができる。よって、感光体のフィルミングによる画像ムラ、画像流れという画像劣化を発生させることなく、長期に渡り安定して高繊細で高品位な画像を得ることができる。
また、クリーニングブレード16表面のアルミナ微粒子の露出量が、感光体6との接触面において1×10−10あたり20〜50個とする。ここで、アルミナ微粒子のクリーニングブレード16における含有形態として、少なくとも感光体6に接する部分においてアルミナ微粒子が存在していれば良いのであって、構造体中に均一に含有する必要はない。特にアルミナ微粒子を含有させることでクリーニングブレード16の弾性特性を低下させる場合もあり得るので、アルミナ微粒子を偏在させることが有効である。さらに、アルミナ微粒子の露出量が、感光体6との接触面において上記範囲とすることで、フィルミング除去に対して有効であることが、上述の実験によりにより確認された。アルミナ微粒子の露出量がこれよりも少ないときには除去性に劣り、多すぎるときには感光体の摩耗量が多すぎる。
また、クリーニングブレード16が感光体6の軸方向に揺動する構成とする。これにより、フィルミングを軸方向に均一に研磨するようになり、より効果的にフィルミングの除去をおこなえる。
また、クリーニングブレード16を構成する弾性体をウレタンゴムとする。これにより、安価で安定した性能を有するクリーニングブレードを得ることができる。
また、感光体6の保護層が電荷輸送材料を含有するものとする。これにより、露光に対する特性を向上させることができ、より高精細で高品位な画像を得ることができる。
また、現像をワックス成分を含有するトナーを用いて行う。これにより、より高品位な画像を得ることができるが、ワックス成分により感光体6上にフィルミング成分がより付着し易くなり、フィルミングに対しては悪い傾向となる。そこで、本実施形態のクリーニングブレード16を用いることは、フィルミングの抑制に有効である。
また、感光体6の帯電を感光体6に対し接触または近接配置された帯電ローラ9を用いておこなう。これにより、帯電装置の小型化が行える。さらに、近接配置された帯電ローラ9を用いたものでは、感光体6および帯電ローラ9の摩耗量が低減できると共に、帯電ローラ9へのトナーフィルミングを抑制でき、感光体6および帯電ローラ9の耐久性を向上することができる。
また、帯電ローラ9に直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加して感光体6を帯電させる。これにより、帯電の安定化と帯電ムラの抑制でき、より高精細で高品位な画像を得ることができる。
また、感光体6、現像装置13、及び、クリーニング装置15を一体化し、画像形成装置本体に脱着可能な画像形成装置用プロセスカートリッジとしてもよい。これにより、メンテナンス時の操作性が容易になるというメリットがある。
【0060】
【発明の効果】
請求項1乃至16の発明によれば、像担持体及びクリーニングユニットにおいて優れた耐久性を有し、かつ、像担持体のフィルミングを抑制し、安定して高繊細で高品位な画像を得ることのできるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の画像形成装置に用いられる積層型感光体の概略断面図。
【図2】本実施形態の画像形成装置に用いられる他の積層型感光体の概略断面図。
【図3】感光体上の筋状フィルミングの一例を示した凹凸プロファイル図。
【図4】本実施形態の画像形成装置の概略構成図。
【図5】本実施形態の画像形成装置用プロセスカートリッジの概略構成図。
【図6】本実施形態のクリーニングブレードに用いられるアルミナ微粒子AA−07の粒径分布を示す累積分布図。
【図7】本実施形態のクリーニングブレードに用いられるアルミナ微粒子AA−04の粒径分布を示す累積分布図。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 保護層
6 感光体
7 転写前チャージャ
8 クリーニング前チャージャ
9 帯電ローラ
10 転写ベルト
11 露光装置
12 除電ランプ
13 現像装置
14 転写紙
15 ファーブラシ
16 クリーニングブレード
17 レジストローラ
18 分離爪
19 クリーニング装置
101 感光ドラム
102 帯電ローラ
103 露光装置
104 現像装置
105 転写紙
106 転写装置
107 クリーニングブレード
108 除電ランプ
109 定着装置

Claims (16)

  1. 像担持体に、潜像形成、現像、転写及びクリーニング処理を施して画像形成をおこなう画像形成方法において、
    上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング処理を粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体のクリーニングブレードを用いて行い、該像担持体上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とする画像形成方法。
  2. 請求項1の画像形成方法において、上記クリーニングブレード表面のアルミナ微粒子の露出量が、上記像担持体との接触面において1×10−10あたり20〜50個であることを特徴とする画像形成方法。
  3. 請求項1または2の画像形成方法において、上記クリーニングブレードが上記像担持体の軸方向に揺動することを特徴とする画像形成方法。
  4. 請求項1、2または3の画像形成方法において、上記像担持体が感光体であることを特徴とする画像形成方法。
  5. 請求項4の画像形成方法において、上記保護層が電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする画像形成方法。
  6. 請求項1、2、3、4または5の画像形成方法において、上記現像処理をワックス成分を含有するトナーを用いて行うことを特徴とする画像形成方法。
  7. 像担持体と、潜像形成手段と、現像装置と、クリーニング装置とを有する画像形成装置において、
    上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング装置が粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体からなるクリーニングブレードを備え、該像担持体の保護層上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、上記クリーニングブレード表面のアルミナ微粒子の露出量が、上記像担持体との接触面において1×10−10あたり20〜50個であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7または8の画像形成装置において、上記クリーニングブレードが上記像担持体の軸方向に揺動するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項7、8または9の画像形成装置において、上記クリーニングブレードを構成する弾性体がウレタンゴムであることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項7、8、9または10の画像形成装置において、上記像担持体が感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置において、上記保護層が電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記潜像形成手段が帯電装置を備え、該帯電装置が上記像担持体に接触又は近接配置された帯電部材であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項13の画像形成装置において、上記帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加して上記像担持体を帯電させることを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、上記現像装置がワックス成分を含有するトナーを用いて現像を行うことを特徴とする画像形成装置。
  16. 像担持体と、現像装置と、クリーニング装置とを備え、電子写真方式の画像形成装置に一体的に脱着可能な画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、
    上記像担持体が無機微粒子を含有する保護層を有するものであって、上記クリーニング装置が粒径0.5μm以上が40%以上、粒径1μm以上が20%以下の粒径分布を有するアルミナ微粒子を含有する弾性体からなるクリーニングブレードを備え、該像担持体の保護層上に形成されるフィルミング成分を該クリーニングブレードにより研摩することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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