JP2006053514A - 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】 高耐久デジタル系高速電子写真プロセスに適用でき、感光体の耐摩耗性を損なわず、フィルミングなどがきわめて少なく、小粒径、球形トナーに対してクリーニング不良を発生させない安定したクリーニング装置により優れた画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも感光体6に、帯電、画像露光、現像、転写、定着及びクリーニング処理を施して行なう画像形成方法において、クリーニング処理を施すクリーニングユニットが弾性体ブレードからなり、該弾性体ブレードは感光体当接側20と非当接側21で異なる弾性特性を有するものとし、その弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値について、感光体当接側の方が大きいものとする。
【選択図】図4

Description

本発明は、小粒径で球形のトナーに対しても良好なクリーニング特性が得られ、フィルミングを抑制することが可能で安定した画像を得ることのできる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来、カールソンプロセスや該プロセスの種々の変形プロセスを用いた電子写真方法が、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真分野にて広く使用されている。この電子写真方法に用いられる電子写真感光体としては、安価、大量生産性、無公害性等の利点から、近年、有機系の感光材料が汎用され、かつ保護層の追加等、耐久性についても種々の対策が施されるようになってきている。
また、この電子写真方法に用いられるトナーとしては、高画質化の課題に対し、帯電の安定化に加え、その小粒径化や球形化への要求が大きくなってきている。
このような電子写真サプライの機能向上に対して、それらにかかわる構成部材についても、高耐久・高画質を達成する高機能化、最適化が必要とされるようになってきた。中でも、クリーニングにかかわる技術は、電子写真プロセスの各要素との関連が深く、出力画像への影響も非常に大きいものである。
感光体の耐久性として、耐摩耗性を主とする機械的耐久性が強く要望されるようになってきたが、従来の有機系感光体(OPC)及びこれを用いる電子写真プロセスでは、有機物の耐摩耗性の低さから、充分な耐久性が得られていないのが現状であり、これに対して出力画像の高精細化のために感光層の薄膜化が必須であることが明らかとなり、摩耗に対する余裕度が厳しくなってきている。
ここで、これらの摩耗現象は、主としてクリーニングプロセスで生じているものであることから、感光体への当接部材としてのクリーニングユニットおよびクリーニングに関わるトナーが大きく影響するということであり、その高機能化、最適化が必須となる。
さらに重要なことは、使用されるトナーの小粒径化・球形化は、クリーニングの余裕度を明らかに低下させるものであり、従来のクリーニング装置での単なる設定条件の変更では対応が不可能であり、新たなクリーニング方法および装置の開発が必要となってきている。
クリーニングの課題として、クリーニングにかかわるトナーの小粒径化、低融点化に対して、高硬度の合成樹脂からなるエッジ部材と該エッジ部材を保持、圧接する弾性部材からなるクリーニングブレードが開示されている。この方法は、クリーニングブレードの当接圧の適正化と感光体表面へのトナーフィルミングを抑制するものである(特許文献1参照)。
また、一定の形状係数を特徴とする重合トナーに対するクリーニング手段として、複数の板状ブレード材料を接着層を介して貼り合わせたクリーニングブレードを用い、クリーニングブレードの像担持体に当接している側に用いられる材料の反発弾性Aと当接していない側の反発弾性Bが、0.1B<Aを満たすクリーニングブレードにより、ブレードのめくれ、トナーのすり抜け等を抑制する技術が開示されている(特許文献2参照)。
加えて、低温、高温の各種温度環境下において良好なクリーニング動作を得ることの出来るブレード構成として2層タイプのものにおいてゴム部材の弾性特性を、各々特定の範囲とする技術が開示されている(特許文献3、4参照)。
さらに、アモルファスシリコン感光体のクリーニング手段として、総厚が2乃至4mmであり、感光体に当接する部位の反発弾性が感光体に当接しない部位の反発弾性より10%以上高い構成として、クリーニングブレードの耐久性を向上させる技術が開示されている(特許文献5参照)。
特開平8−123273号公報 特開2001−242758号公報 特開2003−214989号公報 特開2002−214990号公報 特開2003−29594号公報
しかしながら、上記で説明したクリーニングブレードにかかわるクリーニング方法は、感光体およびトナーに対する最適化を目的とするものであるが、未だクリーニング性と、感光体の摩耗、フィルミング性を両立できていないのが実情であり、特にトナーの小粒径化、球形化への課題が残されている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、特に近年主流となってきているレーザ光を書き込み光源とする高耐久デジタル系高速電子写真プロセスに適用でき、感光体の耐摩耗性を損なわず、フィルミングなどの感光体劣化がきわめて少なく、しかも小粒径、球形トナーに対してクリーニング不良を発生させない安定したクリーニング装置により優れた画像を得ることのできる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、少なくとも感光体に、帯電処理、画像露光処理、現像処理、転写処理、定着処理及びクリーニング処理を施して画像形成を行う画像形成方法であって、前記クリーニング処理を施すクリーニングユニットが弾性体ブレードからなり、該弾性体ブレードは感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、その弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きいことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記弾性体ブレードは、2種類の弾性体を積層してなる積層ブレードであり、更に、感光体回転方向に対して逆方向に当接するカウンターブレードであることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記弾性体ブレードの感光体当接側弾性体の硬度が75から80(JISA/Hs)、反発弾性が20から35%であり、かつ感光体非当接側弾性体の硬度が70から75(JISA/Hs)、反発弾性が35から70%の範囲にあることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記感光体は、アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を含有する保護層を有するものであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記保護層は、電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記感光体への帯電処理が、該感光体に対し接触または近接配置されたものであることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記帯電処理の帯電部材に対し、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を付与するものであることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、少なくとも感光体への、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有し、画像形成を行う画像形成装置であって、前記クリーニング手段によってクリーニング処理を施すクリーニングユニットが弾性体ブレードからなり、該弾性体ブレードは感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、その弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きいことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、前記弾性体ブレードは、2種類の弾性体を積層してなる積層ブレードであり、更に、感光体回転方向に対して逆方向に当接するカウンターブレードであることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、前記弾性体ブレードの感光体当接側弾性体の硬度が75から80(JISA/Hs)、反発弾性が20から35%であり、かつ感光体非当接側弾性体の硬度が70から75(JISA/Hs)、反発弾性が35から70%の範囲にあることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、前記感光体は、アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を含有する保護層を有するものであることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、前記保護層は、電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、前記感光体への帯電手段が、感光体に対し接触または近接配置されたものであることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、前記帯電手段の帯電部材に対し、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を付与するものであることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項8〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、前記弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きい積層弾性体からなるクリーニングブレードと、アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を保護層に含有する感光体と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、下記の詳細且つ具体的な説明により明らかなように、近年主流となってきているレーザ光を書き込み光源とする高耐久デジタル系高速電子写真プロセスに好ましく適用でき、小粒径、球形トナーに対して良好なクリーニング性を確保でき、感光体に対しては耐摩耗性に優れ、フィルミングなどの感光体劣化がきわめて少なく、しかも高精細電子写真プロセスに対して安定かつ優れた画像を与えることのできる画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することができる。
本発明において、クリーニング不良の発生を抑制できるクリーニング方法について検討した。特に、重合トナーに代表される、小粒径、球形トナーに関し、そのクリーニングを如何に安定して行うことができるかということについて詳細に検討した。
小粒径、球形トナーを用いる場合、ブレードエッジにおいてせき止められるクリーニングトナーのすりぬけが生じ、結果的にクリーニング不良という問題を発生させる。粒径に関しては、当然のことながら、これらトナー粒子は分布を有するが、平均粒径でほぼ議論することが可能で、その形状として円形度が0.98程度の球形の場合、6μm未満では、非常にクリーニングが困難である。しかしながら、円形度が0.96以下の場合には、そのクリーニング余裕度は上昇し、5μm前後でもクリーニングは可能であり、被クリーニングトナーの特性によってそのクリーニング状態は大きく変化する。
一方、当接するブレードの弾性特性についてさらに詳細に検討したところ、感光体クリーニングと感光体摩耗の抑制を両立させるために本発明の構成が有効であることが判明した。
すなわち、通常、感光体クリーニングに対して、クリーニングブレード通過後のクリーニング残トナーの極少化および感光体フィルミングの抑制に対してクリーニングブレードエッジの当接圧を高いレベルに保つことが必要であり、当接幅を狭くすることによりさらに実効的な当接圧を高めることが可能である。これらを達成するために、ブレードの弾性特性として、硬度および反発弾性を大きくすることによりその当接圧を高く維持することができる。しかしながら、このように当接圧を高くすることは、感光体の摩耗に対して不利であり、さらにブレード自体の摩耗に対しても不利であることから、システム全体の高耐久化に対しては賢明な手段とはいえない。
さらに、トナーには、その流動性の改善や帯電性の調節のために外添剤が付加されるが、その外添剤は一部トナーより離脱し、外添剤単独でクリーニング部に突入する。この外添剤は、粒径としてトナーに比べて非常に小さく、クリーニングブレードを容易にすり抜ける。したがって、外添剤はクリーニング動作において、ブレードエッジと感光体表面の間に存在することになり、これにより感光体とクリーニングブレードの双方が摩耗作用を受けてしまうのである。しかしながら、ブレードの当接状態を適切に制御することで、この摩耗粒子としての外添剤は逆に潤滑粒子としていわゆるコロの役目を期待することができるのである。
さて、本発明ではこの脱離外添剤を有効に利用し、感光体の摩耗およびクリーニングブレードの摩耗を抑制し、かつクリーニング性を良好に保つために、ブレードの弾性特性として感光体当接側と非当接側とで異なる弾性特性にして、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が、感光体当接側の方が大きくなるようにしている。これにより、ブレードをすり抜ける外添剤がストレスなくブレードをすり抜け、かつ、感光体非当接側の弾性特性により感光体へのブレード当接が適切に維持され、外添剤による潤滑効果との相互効果からクリーニング性と耐摩耗性が両立できているものと判断される。
加えて、本発明によるクリーニング装置を具備する画像形成方法、画像形成装置では、感光体当接側と非当接側で異なる特性を示すブレードになっていることから、各々で機能分離することが可能で、特に高耐久な感光体との組み合わせにおいて、感光体の高耐久性を有効に発揮させることができる。すなわち、後述するような本発明の保護層を有する高耐久感光体の場合、表層の微小な劣化や微小な異物付着が容易に解消されず、異常画像の原因となることが多いことに対して、該表層をリフレッシュさせる微小剥離作用をクリーニング装置に機能させることが期待でき、本発明の構成において感光体当接側の微小剥離機構が適切に機能しやすいと考えられる。
本発明に用いられる感光体は、耐摩耗性を向上させるため保護層に無機微粒子が含有されているものである。その無機微粒子としては、アルミナまたは酸化チタンが用いられ、それらは表面処理により疎水化が施されることもある。疎水化処理により層中での無機微粒子のバインダー成分との接着性が向上し耐摩耗性をさらに向上させることができる。
通常有機感光体は、トナーより脱離した外添剤が表面に固着しフィルミングを生じやすいものであるが、本発明に用いる感光体の保護層はそのようなフィルミングに対する耐性が高く本発明に有効な感光体である。
本発明の画像形成装置に用いるクリーニングブレードの材質としては、汎用性のあるウレタンゴムブレードが好ましいが、場合によっては、シリコンゴム等も有効に用いることができる。
また、ブレード取り付け部に対して感光体に接触するブレードエッジ部が回転方向逆側に位置するカウンター配置とすることで、本構成によるクリーニングブレードの動作が良好に保たれ耐摩耗性を維持しながらクリーニング性の向上が達成される。
以下、本発明を図面に基づいて説明する。まず、本発明に用いられる感光体について説明する。感光体は、感光層が単層でも積層であってもよいが、機能分離型の積層タイプを例にして説明する。
図1は、本発明に用いられる積層型電子写真感光体の概略断面図である。
図2は、本発明に用いられる他の積層型電子写真感光体の概略断面図である。
本発明に用いられる電子写真感光体は、導電性支持体(導電性基体)1上に感光層2が設けられており、この感光層2は電荷発生材料を主成分とする電荷発生層3と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層4との積層で形成されている。
そして、このような電子写真感光体の表層として保護層5が形成される。この保護層5については後記する。導電性支持体1は、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板又はそれらを素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理した管等からなるものである。
電荷発生層3は電荷発生材料を主成分とする層である。電荷発生材料には、無機又は有機材料が用いられ、代表的なものとしては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、アモルファス・シリコン等が挙げられる。これら電荷発生材料は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層3は、電荷発生材料を適宜バインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、2−ブタノン、ジクロルエタン等の溶媒を用いて、ボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を塗布することにより形成することができる。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法等により行なう。
上記の適宜用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。バインダー樹脂の量は、重量基準で電荷発生材料1部に対して、0〜2部が適当である。
電荷発生層3は、公知の真空薄膜作製法によっても形成することができる。電荷発生層3の膜厚は、通常は0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層4は、電荷輸送材料及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷輸送材料のうち、低分子電荷輸送材料には、電子輸送材料と正孔輸送材料とがある。
電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送材料は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。これらの正孔輸送材料は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材料を用いる場合、適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥して電荷輸送層を形成してもよい。高分子電荷輸送材料は、上記低分子電荷輸送材料に電荷輸送性置換基を主鎖又は側鎖に有した材料であればよい。特に好ましい高分子電荷輸送材料としては、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル等であり、中でもトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートの使用が有利である。さらに必要により、高分子電荷輸送材料にバインダー樹脂、低分子電荷輸送材料、可塑剤、レベリング剤、潤滑剤等を適量添加することもできる。
電荷輸送材料と共に電荷輸送層4に使用されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
必要により電荷輸送層4に添加される可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、樹脂に汎用の可塑剤を挙げることができ、その使用量は、重量基準でバインダー樹脂に対して0〜30%程度が適当である。
必要により、電荷輸送層4に添加されるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられ、その使用量は、重量基準でバインダー樹脂に対して0〜1%程度が適当である。
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、2−ブタノン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレン等が挙げられる。
電荷輸送層4の厚さは、5〜30μmの範囲で、所望の感光体特性に応じて適宜選択すればよい。従来の技術で前述したように、高精細化の点から電荷輸送層は薄膜化が好ましく、レーザ露光を考えるとその厚さは20μm以下が好ましく、より好ましくは15〜18μmである。ここでその下限は膜の均一性、帯電性、さらには現像工程で必要とされる電界等から総合的に決定されるものである。いずれにしても薄膜化を実現するためには耐摩耗性を大きく高める必要があり、本発明のように保護層の重要性は非常に高い。
本発明においては、電荷輸送層に含有される電荷輸送材料の含有量は、電荷輸送層の40重量%以上とするのが好ましい。40重量%未満では、感光体へのレーザ書き込みにおけるパルス光露光において、高速電子写真プロセスでの充分な光減衰時間が得られず、好ましくない。
感光体における電荷輸送層移動度は、2.5×105〜5.5×105V/cmの範囲の電荷輸送層電界強度の条件下で、3×10-5cm2/V・s以上であることが好ましく、7×10-5cm2/V・s以上であることがより好ましい。この移動度は、各使用条件下でこれを達成するように構成を適宜調整することができる。この移動度は、従来公知のTime Of Flight法により求めればよい。
本発明に用いられる積層型電子写真感光体には、導電性支持体1と感光層との間に下引き層を形成することができる。この下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末を加えてもよい。この下引き層は、上記の感光層と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。さらに、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えば、ゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層を用いることも有用である。
このほかに、下引き層には、Al23を陽極酸化したものにより形成したもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法により形成したものも有効である。下引き層の膜厚は、0〜5μmが適当である。
積層型電子写真感光体には、表層として、感光層の保護及び耐久性の向上を目的に、フィラーを含有する保護層5を感光層2の上に形成するものである。この保護層5に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層5には、耐摩耗性及び耐フィルミング性を向上させる目的でフィラーが添加される。保護層5に添加されるこれらのフィラーの量は、重量基準で通常は、10〜40%、好ましくは、20〜30%である。フィラーの量が10%未満では、摩耗が大きく、耐久性に劣り、40%を越えると、露光時における明部電位の上昇が著しくなって、感度低下が無視できなくなるので望ましくない。フィラーの粒径は、平均1次粒径として0.3〜1.2μm、好ましくは、0.3〜0.7μmであり、粒径が小さい場合には耐摩耗性が充分でなく、また、粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させるため、好ましくない。
さらに保護層5には、フィラーの分散性を向上させるために分散助剤を添加することができる。添加される分散助剤は塗料等に使用されるもの(例えば、変性エポキシ樹脂縮合物、不飽和ポリカルボン酸低分子量ポリマー等)が適宜利用でき、その量は重量基準で通常は、含有するフィラーの量に対して0.5〜4%、好ましくは、1〜2%である。
また、保護層5には、上記の電荷輸送材料を添加することもきわめて有効であり、その添加量も電荷輸送層と同様でよく、残留電位の低減等、露光に対する特性を向上させることができる。電荷輸送材料の添加量としては、重量基準で低分子電荷輸送材料の場合、フィラーを除いた固形分の20〜60%が好ましく、保護層の機械的特性が損なわれない範囲で、露光特性を向上させる程度に添加する。
高分子電荷輸送材料の場合、それ自体バインダーとしての機能を有しているので、添加量をさらに高くでき、フィラーを除いた固形分の20〜95%とすることができる。一般に、バインダー樹脂に低分子電荷輸送材料が添加された膜は、その添加量にしたがって膜強度が低下することが知られている。さらに、無機微粒子が添加されるときバインダーとの接着性は良好に保つ必要があり、特に表層での無機微粒子の保持性は耐摩耗性の点から重要である。通常、無機微粒子が表面処理されたものを用いると、バインダーとの親和性が向上し、膜自体の強度を向上させることができる。さらに酸化防止剤も必要に応じて添加することができる。酸化防止剤については後記する。
保護層5の形成法としては、スプレー法等通常の塗布法が採用され、保護層5の厚さは、0.5〜10μm、好ましくは4〜6μm程度が適当である。本発明においては、感光層と保護層との間に別の中間層を形成することも可能である。 中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。
このバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。
中間層の形成法としては、上記の通常の塗布法が採用され、中間層の厚さは、0.05〜2μm程度が適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。各層に添加できる酸化防止剤としては、フェノール系化合物として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等が挙げられる。
パラフェニレンジアミン類として、N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−N,N−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
ハイドロキノン類として、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等が挙げられる。
有機硫黄化合物類として、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3−チオジプロピオネート等が挙げられる。
有機燐化合物類として、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等が挙げられる。
各層に添加できる可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤として、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル系可塑剤として、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等が挙げられる。
脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤として、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル誘導体系可塑剤として、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等が挙げられる。
オキシ酸エステル系可塑剤として、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等が挙げられる。
二価アルコールエステル系可塑剤として、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等が挙げられる。
含塩素系可塑剤として、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤として、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等が挙げられる。
スルホン酸誘導体系可塑剤として、p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等が挙げられる。
クエン酸誘導体系可塑剤として、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等が挙げられる。
その他、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等が挙げられる。
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。サルシレート系紫外線吸収剤として、フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ3−ターシャリブチル5−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤として、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレート等が挙げられる。
クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤として、ニッケル(2,2チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等が挙げられる。
HALS(ヒンダードアミン)系紫外線吸収剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
本発明は、このような導電性基体上に感光層及び保護層を形成し、所望により下引き層、中間層を形成した電子写真感光体とし、この保護層にフィラーを含有させることによって、摩耗に対する耐性を向上させ、耐久性を良好にしたものであり、かつ本感光体を用いる画像形成方法及び装置におけるクリーニングユニットに搭載するクリーニングブレードとして、感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有しその弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方を大きくしたものを採用する。
クリーニングブレードに用いるウレタンゴムとしてその配合により硬度と反発弾性を種々変化させることが可能であるが、本発明の弾性特性の異なる弾性体を積層してクリーニングブレードの形状とするために、たとえば、感光体の当接側と非当接側用として所望の硬度と反発弾性となるように配合された1mm厚のウレタンゴム板を熱可塑性接着剤により貼り合わせて積層体としたのち裁断してさらにブレードホルダに接着してクリーニングブレード部品を形成することができる。
続いて、本発明の画像形成方法及び画像形成装置を説明する。
図3は、本発明の画像形成方法及び画像形成装置を示す概略図である。
感光体6は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。感光体6の周囲には、必要に応じて、転写前チャージャ7、転写チャージャ、分離チャージャ、クリーニング前チャージャ8が配置され、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラをはじめとする公知の手段が配置される。
帯電部材9は感光体と当接していてもよいが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けた近接配置とすることにより、両者の摩耗量が低減できると共に帯電部材へのトナーフィルミングを抑制でき、好ましく使用できる。特に本発明の感光体においては50μm程度のギャップを設けることにより良好な特性を維持することができ、これは保護層の表面状態の影響を小さくできるためと考えられる。
帯電部材9に印加する電圧は、帯電の安定化と帯電ムラの抑制のために、直流成分に交流成分を重畳したものとすることが効果的である。しかしながら、帯電が安定化される反面、直流成分のみ印加した場合に比べ、プロセス中に使用した感光体の表面層が摩耗しやすいことが判っている。この場合にも、本発明の感光体では耐摩耗性の高さから全く問題なく良好な特性を維持できるものである。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図3に示されるように転写ベルト10を使用したものが有効である。また、画像露光部11、除電ランプ12等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源は、図3に示される工程のほかに、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程又は前露光等の工程に用いられ、感光体6に光が照射される。
現像ユニット13により感光体6上に現像されたトナーは、転写紙14に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体6上に残存するトナーもあり、このようなトナーは、ファーブラシ15及びクリーニングブレード16により感光体6から除去される。
クリーニングは、クリーニングブレードのみで行なわれることもあるが、ファーブラシ等のクリーニングブラシを組み合わせて用いることが多い。
本発明のクリーニングブレードに関し、感光体との当接状態について図4に示した。
図中、感光体は右から左に移動し、感光体上に残留したトナーが、カウンター方向に当接するクリーニングブレードによりかきとられる。ここで、クリーニングブレードと感光体との当接条件としては、クリーニングブレードの弾性特性によりその適正値は変化するが、通常感光体への食い込み量として、1〜2mm、クリーニングブレードカット面(ウレタンゴム板切断面)と感光体表面とのなす角度として、70〜85度が設定される。食い込み量は、大きいほど感光体との当接圧が大きくなり、クリーニングに有利であるが、過剰な場合には、感光体の摩耗を促進させたりブレードのたわみを大きくして当接角度を変位させてしまう。クリーニングブレードカット面と感光体表面とのなす角度とする当接角度はクリーニングブレードエッジ部のめくれを発生させないように設定するのが好ましく、特に高温状態でのウレタンゴムの弾性特性変化に対して、余裕を持った設定が必要である。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。この現像手段には、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が採用される。17はレジストローラ、18は分離爪である。
本発明は、このような画像形成手段に電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。上記画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態で、それら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。
ここで、プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、外に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段を含んだ1つの装置(部品)である。したがって、本発明はまた、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写、定着及びクリーニング手段を有する画像形成装置用プロセスカートリッジであって、上記電子写真感光体とクリーニングブレードを具備することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジをも提供するものである。
図5は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
感光体保護層としてアルミナ微粒子(住友化学工業製AA−03、平均粒径0.3μm)を25重量%含有する5μmの保護層を積層した感光体を使用し、クリーニング評価装置(内製)に装着した。
本クリーニング特性評価装置は、電子写真プロセスを再現するように現像やクリーニングの各ユニットをレイアウトしたものであり、特にクリーニングユニットに関してクリーニングブレードの当接条件を種々変化させることが可能となるように設計されているものである。クリーニング性の評価を実施するに当たり、評価の手順として、以下のように設定した。
感光体表面に現像バイアスの設定によりトナーを現像する。現像トナー量としては、粘着テープに現像トナーを転写させたときの光学的反射濃度として、0.2となるように設定する。
クリーニングブレードを感光体に当接させて、感光体を1回転させる。感光体線速は125mm/sとし、クリーニングブレード当接食い込み量は1.2mm、ブレードの切断面と感光体表面との為す角度は感光体回転上流方向に対する角度として75°とする。
感光体1回転後の表面残留トナーを同様にテープ転写して光学反射濃度を測定する。トナーは円形度0.98、体積平均粒径5.6μmのものを使用する。
評価用ウレタンゴムブレードとして、厚さ1mmのウレタンゴムシート2枚を熱可塑性接着剤により接着して厚さ2mmのウレタンブレードを作製した。各ウレタンゴムシートの弾性特性は、感光体当接側のものが硬度78°、反発弾性35%であり、一方感光体非当接側のものが、硬度70°、反発弾性43%である構成のブレードとした。
以上により、感光体1000回転後のクリーニング性の評価を行ったところ、クリーニング残トナー濃度として、光学的反射濃度が0.004であり、クリーニング不良は認められなかった。
〔比較例1〕
実施例1において、感光体当接側のウレタンゴムシートの弾性特性として、硬度81°、反発弾性11%とした以外は同様にしてクリーニング性の評価を行った。以上により、クリーニング性の評価を行ったところ、帯状の部分的なクリーニング不良が認められた。なお、クリーニングされている部分においてはクリーニング残トナー濃度として光学的反射濃度が0.002の良好なクリーニング性が認められた。
〔比較例2〕
比較例1において、感光体当接側と非当接側のウレタンゴムを逆にした以外は同様にしてクリーニング性の評価を行った。このとき、クリーニング残トナーは光学的反射濃度で0.03と観測された。さらにスジ状にクリーニング不良となる箇所もあり、クリーニングの均一性に劣るものであった。
〔実施例2〕
実施例1において、感光体当接側のウレタンゴムシートの厚さを0.5mmとし、感光体非当接側のウレタンゴムシートの厚さを1.5mmとした総厚2mmのウレタンブレードとした以外は同様にしてクリーニング性の評価を行った。以上により、クリーニング性の評価を行ったところ、クリーニング残トナー濃度として光学的反射濃度が0.001であり、非常に良好なクリーニング性が認められた。
〔実施例3〕
実施例2において、感光体当接側のウレタンゴムシートの弾性特性として、硬度80°、反発弾性23%とし、感光体非当接側のウレタンゴムシートの弾性特性として、硬度75°、反発弾性68%としてクリーニング性の評価を行った。以上により、クリーニング性の評価を行ったところ、わずかなすじ状のクリーニング不良が2ヶ所認められたものの、クリーニング残トナー濃度として光学的反射濃度が0.004であり、良好なクリーニング性が認められた。
〔比較例3〕
実施例1において、感光体当接側のウレタンゴムシートの弾性特性として、硬度68°、反発弾性55%とし、感光体非当接側のウレタンゴムシートの弾性特性として、硬度78°、反発弾性15%としてクリーニング性の評価を行った。
このときクリーニング残トナーは光学的反射濃度で0.05と観測され、さらにブレードの鳴きが顕著に認められるものであった。
〔実施例4〕
実施例3において、クリーニング特性評価装置は、滑剤塗布機構を付加したものとした。滑剤としてはステアリン酸亜鉛を用い、ブラシを介して感光体表面に塗布する機構をクリーニングブレードの上流側に設置した。以上により、クリーニング性の評価を行ったところ、クリーニング残トナー濃度として光学的反射濃度が0.001であり、非常に良好なクリーニング性を示した。なお、試験後の感光体表面を、株式会社キーエンス製超深度形状測定顕微鏡により観察したところ、通常生じる回転方向の微小なキズや付着物はほとんどなく、感光体表面は初期の状態を維持していることが確認された。
〔実施例5〕
実施例2におけるクリーニングブレードと同等のブレードとして、リコー製カラープリンタIPSiO Color 8000の黒色ステーションに搭載できるように調整して、実機相当のクリーニング性評価を行った。なお、トナーは本発明で使用したトナー(円形度0.98.体積平均粒径5.6μm)を使用した。
感光体の帯電方式として直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加するローラ帯電方式を採用し、本発明のブレードを用いた場合、1000枚印字後において出力画像にクリーニング不良による異常画像は認められず、帯電ローラの汚れはわずかであった。一方、比較のために従来のブレードを装着した場合、1000枚印字後にスジ状のクリーニング不良が数箇所認められ、帯電ローラはすり抜けトナーによる汚れが認められた。
本発明に用いられる積層型電子写真感光体の概略断面図である。 本発明に用いられる他の積層型電子写真感光体の概略断面図である。 本発明の画像形成方法及び画像形成装置を示す概略図である。 本発明のクリーニングブレードの感光体との当接状態を示す概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。
符号の説明
1 導電体支持体
2 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 保護層
6 感光体
7 転写前チャージャ
8 クリーニング前チャージャ
9 帯電部材
10 転写ベルト
11 画像露光部
12 除電ランプ
13 現像ユニット
14 転写紙
15 ファーブラシ
16 クリーニングブレード
17 レジストローラ
18 分離爪
19 ブレードホルダ
20 感光体当接側弾性体
21 感光体非当接側弾性体
101 感光ドラム
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングブレード
108 除電ランプ
109 定着装置

Claims (15)

  1. 少なくとも感光体に、帯電処理、画像露光処理、現像処理、転写処理、定着処理及びクリーニング処理を施して画像形成を行う画像形成方法であって、
    前記クリーニング処理を施すクリーニングユニットが弾性体ブレードからなり、
    該弾性体ブレードは感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、
    その弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きいことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記弾性体ブレードは、2種類の弾性体を積層してなる積層ブレードであり、
    更に、感光体回転方向に対して逆方向に当接するカウンターブレードであることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. 前記弾性体ブレードの感光体当接側弾性体の硬度が75から80(JISA/Hs)、反発弾性が20から35%であり、かつ感光体非当接側弾性体の硬度が70から75(JISA/Hs)、反発弾性が35から70%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記感光体は、アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を含有する保護層を有す
    るものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記保護層は、電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。
  6. 前記感光体への帯電処理が、該感光体に対し接触または近接配置されたものであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成方法。
  7. 前記帯電処理の帯電部材に対し、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を付与するものであることを特徴とする請求項6記載の画像形成方法。
  8. 少なくとも感光体への、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有し、画像形成を行う画像形成装置であって、
    前記クリーニング手段によってクリーニング処理を施すクリーニングユニットが弾性体ブレードからなり、
    該弾性体ブレードは感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、
    その弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きいことを特徴とする画像形成装置。
  9. 前記弾性体ブレードは、2種類の弾性体を積層してなる積層ブレードであり、
    更に、感光体回転方向に対して逆方向に当接するカウンターブレードであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 前記弾性体ブレードの感光体当接側弾性体の硬度が75から80(JISA/Hs)、反発弾性が20から35%であり、かつ感光体非当接側弾性体の硬度が70から75(JISA/Hs)、反発弾性が35から70%の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
  11. 前記感光体は、アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を含有する保護層を有するものであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記保護層は、電荷輸送材料を含有するものであることを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
  13. 前記感光体への帯電手段が、感光体に対し接触または近接配置されたものであることを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成装置。
  14. 前記帯電手段の帯電部材に対し、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を付与するものであることを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
  15. 請求項8〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
    感光体当接側と非当接側で異なる弾性特性を有し、
    前記弾性特性として、硬度(JISA Hs)/反発弾性(%)の値が感光体当接側の方が大きい積層弾性体からなるクリーニングブレードと、
    アルミナまたは酸化チタンからなる無機微粒子を保護層に含有する感光体と、を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。





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