JP4636825B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、近接放電による帯電方式を採用した画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関し、詳しくはプロセススピードが高速で、印字に要するサイクルタイムが短い小さな画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真プロセスを採用した画像形成装置においては、被帯電体(以降、感光体呼称する)の表面を帯電させる帯電手段を有している。帯電手段で用いる帯電方式の一つとして、近接放電による帯電方式がある。これは、感光体表面に帯電装置に設けられた帯電部材を接触させたり、非接触で近接させて生じる近接放電により感光体表面の帯電を行う方式である。
近年、高画質化、装置の小型化などがますます望まれる中、帯電装置も高画質化と小型化が課題となっている。このような課題に対して、帯電部材を用いて感光体に接触または近接させて放電を行う、いわゆる近接放電方式を用いた帯電装置は、大掛かりな帯電装置を必要としないため有効である。
しかし、近接放電による帯電方式は、感光体表面近傍に放電が集中するため、感光体表面を劣化させることが分かった。近接放電による感光体表面の劣化は、機械的摺擦による劣化とは違い、感光体への当接部材が無い場合においても発生する。
例えば、図1に、近接放電による感光体表面の劣化状態を調べた例を示す。この例では、感光体表面に帯電部材のみを非接触状態で近接配置して連続約150時間のランによる帯電実験を行った場合の、感光体表面の膜厚の変化、すなわち膜削れ量を測定した結果を示す。
実験に使用した感光体は電荷輸送層にポリカーボネートを用いた有機感光体であり、感光体に対して当接する部材を全て取り除き、DC バイアスにAC バイアスを重畳した電圧が印加された非接触帯電ローラを用いて帯電を行った。この結果、感光体表面の膜の削れ量がラン時間とともに次第に多くなり、感光体の膜厚が次第に減少している事実が分った。膜厚減少のメカニズムについては今のところ検討中で必ずしも明らかになってはいないが、膜厚が減少した感光体を分析したところ、感光体を構成するポリカーボネートが分解されたと考えられるカルボン酸などが検出された。このように近接放電によって感光体を構成する成分が分解されたと考えられる物質が検出されたことから、感光体の膜厚減少のメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。下記図2によって説明する。
図2は、帯電ローラ2aと感光体表面を微小ギャップで対向させて近接放電させた場合の感光体1の初期表面状態(a)と劣化後の状態(b)を説明するための模式図である。
すなわち、近接放電を行うと、感光体表面の放電領域では放電により発生した粒子(例えば、オゾン、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが感光体表面の電荷輸送層1aに照射される。このエネルギーが感光体表面を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、図2(a)に示すように、電荷輸送層1aは、樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度の低下、樹脂の蒸発等の化学的劣化を生じる。このような近接放電による感光体の化学的劣化によって、感光体表面の電荷輸送層1aは次第にその膜厚を減少させてしまうと考えられる。
このように、従来から対策が講じられてきた機械的摺擦による膜厚減少への対策とは別に、近接放電に起因する感光体表面の化学的劣化による膜厚減少への対策が必要であることが分かった。
なお、上記近接放電による感光体表面の膜厚減少は放電で生じる粒子のエネルギーによって発生すると考えられるため、例示したポリカーボネートに限らず他の材質の感光体を用いた場合においても発生すると考えられる。
これまで感光体表面の膜厚減少を防止するために採られていた対策としては、次のようなものがあった。例えば、感光体をアモルファスシリコンカーバイトで表面コートして耐磨耗性を向上させたものがある。また、例えば感光体表層の電荷輸送(CTL )層にアルミナ等の無機物を分散させて耐磨耗性を向上させた有機感光体を用いるようにしたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
しかし、このような構成では機械的磨耗に対する耐久性は向上できるが、近接放電による感光体表面の化学的劣化を防止することはできない。
感光体表面を低摩擦係数化する目的のため、感光体表面にステアリン酸亜鉛を塗布する手段を備えることが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。また、感光体表面に異物が付着しやすくなる問題を改善するため、感光体表面にステアリン酸亜鉛を塗布する手段を備えることが提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照。)。
ステアリン酸亜鉛は、一般的な効果として摩擦係数が低く、潤滑剤として用いられ、感光体ベルトの表面に塗布すると離型性がよくなり、現像の地汚れが改善され、転写効率も向上することが知られており、上記それぞれの提案において一定の効果が期待される。
しかし、いずれの提案も、本発明におけるような近接放電において問題となる感光体の膜厚減少に対処するための方策として適正化されたものではなく、特に高速プロセスや印字に要するサイクルタイムの短いプロセスに対応するには十分ではない。
さらに近年では、プロセス技術の進展、カラー機の高速化等、画像形成装置はより高速化への対応が要求され、また感光体はより高寿命化の方向へと技術は進歩している。一方、感光体が高速になる程、またサイクルタイム、いわゆる印字プロセス一周期当りの時間(秒)が短くなる程、感光体を駆動するトルク、すなわち機械的負荷が増加する。ここで、印字プロセス一周期とは、帯電−現像−転写−定着−クリーニング等の印字に要するサイクルを指す。なお、以降において、サイクルタイムが短くなることを、小サイクルタイムと略称する場合がある。
そして高温や高湿環境では、環境依存性により、特にトルクは増加して駆動モーターの電源容量の増大、あるいはクリーニング部材が当接されている場合には、摩擦力の増加による部材の破損やめくれが起こる。めくれは、主にブレード形状のものである。摩耗量が少ない高耐久ドラムになる程、その傾向はより顕著となる。
ここでいう高速とは、一連の印字プロセスのスピードが速いことを指している。なお、線速とは、一般的にはプロセススピード(紙搬送速度)を指す。
印字プロセスとは、感光体への帯電、露光による潜像の形成、潜像へのトナー像の現像、紙・中間転写体等の印字媒体へのトナー像の転写、感光体上の残留トナーのクリーニング、必要に応じて被帯電体の除電など一連の流れを指す。なお、トナーが転写された印字媒体は、トナーが定着された後、装置外へ出力される。
このような高速化への対応に対して、表面層の結着樹脂として、シロキサンユニットを含有する重合体を含むことが提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかし、発明者の実験に依ればトルク低減の効果の持続性は低く、また帯電幅と転写幅についても特定の規定を設ける等、効果・使いやすさの観点からも十分なものではない。
以上のように、帯電の均一性・安定性、高速化に対応するためには、感光体およびその感光体に対して接触または近接して設けられる交流成分を含む電圧を印加する帯電部材を具備した帯電装置を、高速/小サイクルタイムのプロセスに適応した画像形成装置において使用することが不可欠となるが、現在のところこのような要求に対して、満足できる画像形成装置は得られていないのが現状である。
特開2002−207308号公報 特開2002−229227号公報 特開2002−55580 号公報 特開2002−244487号公報 特開2002−244516号公報 特開2002−156877号公報 特開2002−229301号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、近接放電による帯電方式を採用した画像形成装置において、近接放電に起因する感光体表面の劣化を防止することができるとともに、印字プロセスおよび印字プロセス一周期当りの時間において高速/小サイクルタイムが要求されるプロセスでも耐久性が良好で、かつ、ブレード反転や異常画像の発生が無く安定した画像を形成可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
なお、本発明において用いられる被帯電体としての感光体は、導電性層や支持体も含む、通常よく用いられるものも対象としているため、次のような課題に対処する必要がある。
感光体の構成層として、通常の樹脂を感光体の表面層に使った場合には、感光体のプロセススピードアップやサイクルタイムの短縮に伴い、感光体と当接する部材との摩擦力が増加するために感光体を駆動するトルクが増加する。増加したトルクに対して駆動力が充分でなくなった場合、駆動ムラが生じ画像に異常が生じる。さらに、トルク増加が著しい場合には当接部材が破損し、画像形成装置が正常に稼動できなくなる場合もある。
転写残トナーをクリーニングする部材がクリーニングブレードである場合には、ブレードが破損、すなわち欠けが生じ、画像上でくろ筋となって現れたり、ブレードが感光体との摩擦力を支えきれない場合にはブレードがめくれ、画像形成装置として必要な動作ができなくなる。
摩擦力の増加は、プロセススピードアップやサイクルタイムの減少だけでなく、帯電によるハザードによっても生じる。このような現象は、スコロトロン帯電よりも接触帯電や近接帯電の方が顕著に起きやすく、帯電による感光体表面の劣化と関係づけることができると考えている。すなわち、帯電による表面構成物質の酸化、分解によりブレードとの摩擦力が極めて高くなることが観測されている。直流に交流を重畳させた、いわゆる交流を含む電圧を印加して帯電を行った場合、表面の劣化が一層増加し、摩擦力の増加はさらに顕著なものとなる。
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討し、まず、前記近接放電において問題となる感光体の膜厚減少を発生させないための方策として保護物質を必要量放電領域に介在させることが必要であることの知見を得、さらに、これを基盤にして、高速/小サイクルタイムのプロセスにおいて、感光体表面に保護物質を放電条件に対応した適正量を感光体表面に存在させることで、感光体を保護しつつ潤滑作用の付与も可能となり、上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
すなわち、本発明は、移動する感光体と、該感光体表面に当接移動しながら保護物質を供給する保護物質塗布装置と、前記感光体に対して接触または近接して配置され、交流成分を含む電圧の印加による放電で感光体を帯電させる帯電部材を具備した帯電装置と、該帯電した感光体表面に静電潜像を形成する露光装置と、該形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置を少なくとも備えた画像形成装置であって、
前記感光体は、表面側から順に電荷輸送層と、電荷発生層と、が積層された感光層を備え、
前記電荷輸送層は、ポリカーボネートを含み、
前記保護物質がステアリン酸亜鉛であり、前記放電される領域の感光体表面に存在する該脂肪酸金属塩のXPSにより測定される金属の元素割合(%)の量が下記式(4)により求められる量以上であり、かつ感光体の印字に要するサイクルタイムが0.60秒/周期未満であることを特徴とする画像形成装置である。
1.52×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(4)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表し、前記Vppは、2200≦Vpp≦3000を満たし、且つ、前記fは、500≦f≦4000を満たす。
ここで、Vthの値は、感光体の膜厚をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
また、上記本発明の画像形成装置において、前記放電される領域の感光体表面に存在する脂肪酸金属塩のXPSにより測定される金属の元素割合(%)の量が下記式(5)により求められる量以上であるのが好ましい。
2.22×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(5)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
ここで、Vthの値は、感光体の膜厚をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
さらに、前記本発明のいずれかの画像形成装置において、前記印字に要するサイクルタイムが0.44秒/周期未満であることが好ましい。
さらにまた、前記本発明のいずれかの画像形成装置において、前記感光体の移動線速と該感光体に当接する保護物質塗布装置の移動線速が異なることが好ましい。
本発明の近接放電による帯電方式を採用し、放電される領域の感光体表面に存在する保護物質のXPSにより測定される全元素割合(%)の量を、帯電部材に印加する交流成分の振幅、周波数、感光体表面の移動速度、放電開始電圧との関係を基にして適正とすることによって、近接放電に起因する感光体表面の劣化を防止し、高耐久で、しかもブレード反転や異常画像の発生の無い安定した画像形成を可能とする画像形成装置を提供することができるとともに、小サイクルタイムで高速プロセスの電子写真装置においても、トルクの増加が抑制されてクリーニング部材等の破損が防止され、しかも電子写真感光体の小径化、小型化、低コスト化、高耐久化が達成された電子写真装置およびプロセスカートリッジを提供することができる。特に、サイクルタイムが0.60秒/周期未満、好ましくは0.44秒/周期未満から一層上記効果が発揮される。
〔実施形態1〕
以下、本発明が適用される画像形成装置について実施形態1により説明するが、本発明の態様はこれに限られるものではない。図3に、後述する各実施例に共通した構成を有する画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置は、有機感光体からなる被帯電体としての感光体1を備えている。
図3において感光体1は、図示しない駆動装置により回転駆動され、その表面が近接帯電方式の帯電装置2に具備される回動可能なローラ状の帯電部材(以下、帯電ローラという)2aにより所定の極性に帯電される。帯電された感光体1の表面は、露光装置3によって露光され画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4から感光体1の表面に供給される現像剤としてのトナーにより現像されて、トナー像として可視像化される。
一方、図示しない給紙部からは記録媒体としての転写紙が感光体1に向けて給送される。この転写紙には、感光体1に対向配置されている転写装置5によって感光体1上のトナー像が転写紙上に転写される。トナー像が転写された転写紙は、感光体1から分離した後、転写材搬送経路10に沿って定着装置6に搬送されて、トナー像が定着される。転写紙にトナー像を転写した後の感光体1上に残留している図示しない転写残トナーは、クリーニング装置8によって感光体1上から除去される。
また、転写残トナーが除去された後の感光体表面の残留電荷は、除電装置9により除去される。このようにして、感光体1は繰り返し使用される。なお、本実施形態の画像形成装置は、保護物質塗布装置30を有しているが、これについては後ほど詳述する。
また、本実施形態の画像形成装置では、感光体1、帯電ローラ2aを具備した帯電装置2、現像装置4、保護物質塗布装置30、クリーニング装置8が一体に構成され、画像形成装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されている。かかるプロセスカートリッジは一体に交換されるので、保護物質塗布装置30に含有される保護物質の量、感光体の初期膜厚などを相互に適切な量に設定することが容易であり、本発明に適している。
なお、本実施形態の画像形成装置では上記プロセスカートリッジの構成としているが、プロセスカートリッジはこれに限定されるものではなく、画像形成装置に応じて、感光体1と、帯電ローラ2aを具備した帯電装置2、保護物質塗布装置30から選ばれる少なくともいずれか一つの装置を一体に構成したものであっても構わない。
次に、本実施形態1の画像形成装置に用いる帯電装置2について説明する。この帯電装置2は、近接放電を用いて感光体1を帯電する。近接放電を用いて感光体1を帯電する方法としては、回動可能なローラ状の帯電ローラ2aを感光体1に接触させて配置する接触帯電方式と、帯電ローラ2aを感光体1に非接触に配置する非接触帯電方式とがある。本発明は接触帯電方式にも適用できるが、本実施形態1においては、非接触帯電方式を用いている。
なお、接触帯電方式においては、感光体表面との接触性を向上させ、かつ感光体1に機械的ストレスを与えない弾性部材を用いることが好ましい。しかし、弾性部材を用いた場合には帯電ニップ幅が広くなり、これによって帯電ローラ2a側に保護物質が付着しやすくなることがある。このため、高耐久化のためには、非接触帯電方式を採用する方が有利である。
図4は、本実施形態1の画像形成装置に用いる帯電装置2の一例を説明するための概略構成図である。
本実施形態1では、図4に示すように、感光体表面における少なくとも画像形成領域11に対して所定の帯電ギャップ14 をもって対向するよう帯電ローラ2aを配置した非接触帯電方式を採用した。
帯電ローラ2aは、軸部21aとローラ部21bとからなる。ローラ部21bは軸部21aの回転によって回動可能であり、感光体1表面のうち画像が形成される画像形成領域11に対向する部分は感光体1と非接触である。帯電ローラは、その長手方向、すなわち軸方向の寸法が画像形成領域よりも少し長く設定されており、その長手方向の両端部にスペーサ22を設けている。これら2つのスペーサを感光体表面両端部の非画像形成領域12に当接させることによって、感光体1と帯電ローラとの間に微小なギャップ14を形成している。この微小なギャップ14は、帯電ローラと感光体1との最近接部における距離が5〜100μmに維持できるよう構成している。
このギャップ14のより好ましい範囲は、30〜65μmであり、本実施形態1の装置では、50μmに設定した。また、軸部21aをスプリングからなる加圧バネ15によって感光体側に加圧している。これにより、微小なギャップ14を精度よく維持することができる。また、帯電ローラはスペーサ22を介して感光体表面に連れ回って回転する。
帯電ローラ2a には帯電用の電源16を接続している。これにより、感光体表面と帯電ローラ表面との間の微小な空隙での近接放電により、感光体表面を均一に帯電する。印加電圧は、本実施形態1においては直流成分であるDC電圧に交流成分であるAC電圧を重畳した交番電圧を用いている。すなわち、交流成分を含む電圧が印加される。帯電ローラ2aに印加する印加電圧としてDC電圧にAC 電圧を重畳させた交番電圧を印加すると、微小ギャップ変動による帯電電位のばらつきなどの影響が抑制されて均一な帯電が可能となる。
帯電ローラ2aは円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、芯金の外周面上に形成された抵抗調整層を有する。帯電ローラ2aの表面は硬質であることが望ましい。ローラ部材としてはゴム部材も使用できるが、ゴム部材のように変形しやすい部材であると感光体1との微小ギャップ14の均一な維持が困難となり、作像条件によっては帯電ローラ2aの中央部のみが感光体表面に突発的に接触する可能性がある。帯電ローラ2aが感光体表面に局所的/突発的に接触することによって生じる保護物質の乱れに対応することは困難であるため、非接触帯電方式を使用する場合にはたわみが少ない硬質の部材が望ましい。
表面が硬質な帯電ローラ2aの具体例としては、例えば、高分子型イオン導電剤を分散した熱可塑性樹脂組成物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびその共重合体等)を用いて抵抗調整層を形成し、その表面を硬化剤により硬化皮膜処理したものが挙げられる。また硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行われるが、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成することにより行われてもよい。本実施形態では、帯電ローラ2aをφ10mmの直径で形成した。
本実施形態の感光体1は導電性支持体上に感光層を設けたものである。
導電性支持体としては、体積抵抗1010 Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングによって、フィルム状もしくは円筒状のプラスチックや紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、および、それらを押し出しや、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などにより表面処理した管などを使用することができる。また例えば、特開昭52−36016号公報に開示されているエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記導電性支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、あるいはアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、もしくは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明における感光体の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層と電荷輸送層で構成される場合から説明する。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒および結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていてもよい。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。電荷輸送物質には、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム、特に帯電電位等によって異なるが、5μm以上が好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
本発明は、感光層が単層構成の感光体にも適用できる。かかる感光体としては、上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、特にヒンダードフェノール化合物またはヒンダードアミン化合物を含有させることが望ましい。
結着樹脂としては先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。
感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明における下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、感光体の最表面層に保護層を設けることも可能であり、耐摩耗性を高める上で有効である。例えば、耐磨耗性を向上させるために、アモルファスシリコンで表面コートした感光体や、電荷輸送層の表面に、さらにアルミナや酸化スズ等を分散させた最表面層を設けた有機感光体、あるいはアクリルやシルセスキオキサン系の架橋型保護層を設けた感光体などを用いることもできる。
以上説明したように、本発明に用いることができる感光体1の構成は、特定の構成に限定されるものではない。導電性支持体の上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層のみを設けた1層構成や、導電性支持体の上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層された構成や、導電性支持体の上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層を設けて、さらに感光層表面に保護層を設けた構成や、導電性支持体の上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層され、さらに電荷輸送層上に保護層が設けられた構成や、導電性支持体の上に電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層とが積層され、さらに電荷発生層上に保護層が設けられた構成など、種々の層構成を有する感光体に適用可能である。
本発明者らの研究によって、帯電装置として近接放電を用いた場合、感光体表面の劣化が生じることが分かった。この劣化は、感光体表面を近接放電に直接曝すために生じるものであって、感光体表面への当接部材がない場合においても生じることが分った。
すなわち、近接放電による感光体表面劣化は、機械的摺擦とは別のメカニズムで発生するものであることが分った。そこで、本実施形態においては、その特徴として、近接放電による感光体表面劣化を防止するための放電劣化防止手段として保護物質塗布装置を設けている。以下に、その具体的な構成について詳細を説明する。
本実施形態の画像形成装置には、前記図3に示すように保護物質32を、移動する感光体表面に供給するための手段として、保護物質塗布装置30を設けている。この保護物質塗布装置30は、塗布部材としてのファーブラシ31、保護物質32、保護物質をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ33を有している。保護物質32はバー状に成型された固体保護物質である。ファーブラシ31は感光体1表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって保護物質32を掻き削りながらブラシに汲み上げ、感光体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して感光体表面に塗布し、供給する。
また、経時で保護物質32がファーブラシ31に掻き削られて減少してもファーブラシ31に接触しなくならないように、加圧バネ33によって所定の圧力で保護物質32がファーブラシ31側に押圧されている。これによって、保護物質32が微量でも常に均一にファーブラシ31に汲み上げられる。
なお、保護物質32をトナーに内添、外添するなどして感光体表面に移行させる方法もあるが、その場合には画像濃度や画像パターンによって感光体表面上の保護物質32の存在量にムラが生じやすくなり、これを補うために必要以上の保護物質を塗布する必要が生じる。本実施形態のように感光体表面に保護物質32を直接塗布、供給することにより、画像濃度や画像パターンなど種々の条件によって変化することなく、感光体表面に安定して保護物質を分布させることができる。
また、後述するように保護物質32が感光体1表面に適正量とされた状態で存在することが重要であり、保護物質32を感光体表面に供給する手段は塗布に限るものではない。
次に、感光体表面を保護するために必要とされる保護物質の適正な量について、本発明者らが検討した結果について説明する。
すなわち、以下に記載する第一〜第三の3種類の実験を行い、感光体表面の劣化状態を調べた。いずれの実験も前記図3に示した各装置のうち、感光体1、帯電ローラ2a、保護物質塗布装置30のみから構成される実験系で実施した。本発明者らの検討から、感光体表面を近接放電による劣化から保護するための条件は、帯電条件と密接な関係があることが明らかになった。以下に具体的な内容を記載する。なお、感光体としては、以下の方法で作成したものを用いた。
[感光体1]:
φ30のアルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、膜厚が、4.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、30μmの電荷輸送層をそれぞれ形成し、これを感光体1とした。
[下引き層塗工液]
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
[電荷発生層用塗工液]
Y型オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(エスレックBM−2:積水化学製) 2部
テトラヒドロフラン 50部
[電荷輸送層塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製) 10部
下記構造式(1)に示す構造の低分子電荷輸送物質 6部
テトラヒドロフラン 100部
Figure 0004636825
〔第一の実験〕:
帯電ローラ2aに印加するAC電圧のピークツーピーク電圧値、すなわち帯電部材に印加する交流成分の振幅Vppを2.2kV、2.6kV、3.0kVと変化させ、AC電圧の周波数fは1350Hzに固定し、DC電圧は−600Vとした。また感光体表面の移動速度vは113mm/sとした。帯電部材に印加するVppの変化を横軸にとり、感光体の膜厚減少量を縦軸にとって本実験の結果をプロットしたのが図5である。
図5から明らかなように、感光体膜厚の減少量はVppに比例していることが分る。また、Vppが約1.9kVのときに膜厚減少が0となっている。この点について本発明者らは次のように考えている。
AC電圧を印加した時、帯電ローラ2a(帯電部材)に印加する電圧が所定の値以上とならないと帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始されないことが知られている。本発明者らの研究によれば、非接触帯電の場合、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離をGpμmとしたときに帯電部材に印加する電圧が下記式(2)で示されるVthの値以上になると帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始されることが分った。以下、この値を放電開始電圧Vthと記す。
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
上記式(2)中、dは感光体の膜圧(μm)、εopcは感光体の比誘電率、Gpは帯電ローラ2a(帯電部材)表面と感光体表面との最近接距離(μm)、εairは感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率を表す。Vthの単位は(V)である。
AC電圧のVppが上記Vthの2倍以上となったときに帯電部材と感光体との間で双方向に放電が発生する。
本例では帯電ローラと感光体との間のギャップは50μm、感光体の比誘電率は約3、膜厚は30μm、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率は約1である。上記式に当てはめるとVth=962(V)となり、帯電部材に印加する電圧が962(V)以上になると帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始され、またVppが約1924(V)を越えるとAC電圧による放電が開始されると考えられる。放電現象として支配的なのはAC電圧によって生じる双方向放電であり、このためVppが約1.9(kV)を越えると感光体膜厚の減少が始まると考えられる。
〔第二の実験〕:
帯電ローラに印加するAC電圧の周波数fを500Hz、900Hz、1400Hz 、2000Hz 、4000Hzと変化させ、AC電圧のピークツーピーク電圧値Vppは2.2kVに固定し、DC電圧は−600Vとした。また感光体表面の移動速度vは104mm/sとした。周波数fの変化を横軸にとり、感光体の膜厚減少量を縦軸にとって本実験の結果をプロットしたのが図6である。
図6から明らかなように感光体膜厚の減少量はfに比例していることが分る。このように感光体膜厚の減少は帯電条件に依存しており、具体的にはVppとfに比例している。
そこで、本発明者らは感光体膜厚の減少が、[Vpp−(2×Vth)]に比例し、fに比例し、また感光体の移動速度が遅いと同じ帯電条件でも単位面積当りに照射される放電エネルギーが大きいと予測されることから、感光体表面の移動速度vに反比例すると予測した。
〔第三の実験〕:
上記結果と予測を踏まえて、感光体表面の放電による劣化を防止するために必要な保護物質の適正量を求めるための実験を実施した。適正量を求めるための保護物質としてステアリン酸亜鉛を用いた。
感光体表面の移動速度v、帯電部材に印加する交流成分の振幅Vpp、周波数f、保護物質の量を変えながら感光体表面の劣化の有無と、感光体表面に存在するステアリン酸亜鉛の量、すなわち放電される領域の感光体表面におけるステアリン酸亜鉛のXPSにより測定される量との関係を常温常湿下で調べた。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004636825
表1において、X=[Vpp−(2×Vth)]×(f/v)であり、ステアリン酸亜鉛の元素割合(%)は、感光体表面に存在するステアリン酸亜鉛のXPSにより測定される亜鉛(Zn)の元素割合で表されている。
感光体表面に存在する微量の保護物質の量を測定することは非常に難しいが、本発明者らは、保護物質中の特徴的な元素(例えば、ステアリン酸亜鉛の場合にはZn)を測定することによって、感光体の表面に必要とされる保護物質の存在量に関する知見を得ることに成功した。例えば、ステアリン酸亜鉛の元素割合(%)は、PHI社製Quantum2000型 走査型X線電子分光装置(XPS)を用いて、X線源AlKα、分析領域100μmφの条件で測定した。
Znの元素割合は、まず、帯電部材へ電圧を印加した状態での実験をまず実施して白濁の有無や膜厚減少量を調べ、その後、帯電部材への電圧印加をせずに5時間画像形成装置を動作させてステアリン酸亜鉛を塗布しつづけ、5時間経過した段階で感光体表面をXPSにより亜鉛の存在量を測定した場合の値である。
本実施形態で使用した感光体1の表面層、すなわち電荷輸送層には亜鉛が存在しないので、XPSにより測定されたZnは全て保護物質であるステアリン酸亜鉛に由来している。その意味で、Znは保護物質の量を表す特徴的な元素と言える。当然に、ステアリン酸亜鉛以外の保護物質を使用した場合であっても、感光体表面には存在しない特徴的な元素が保護物質中に含まれていれば保護物質の量に関する知見を得ることができる。
表1の結果から、XとZnの関係をプロットして白濁の有無の境界を表す直線を求めると、放電される領域の感光体表面におけるステアリン酸亜鉛のXPSにより測定されるZnの元素割合(%)の量として下記式(4)が得られ、感光体表面の劣化変質による白濁を防止するために必要なステアリン酸亜鉛の量は式(4)以上の値であると判断される。
1.52×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(4)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
ここで、Vthの値は、感光体の膜圧をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
さらに、表1の結果からXとZnの関係をプロットして膜厚減少の有無の境界を表す直線を求めると、放電される領域の感光体表面におけるステアリン酸亜鉛のXPSにより測定される金属の元素割合(%)の量として下記式(5)が得られ、膜厚の減少がほとんど発生しないために必要なステアリン酸亜鉛の量は式(5)以上の値であると判断される。
2.22×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(5)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
ここで、Vthの値は、感光体の膜圧をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
以上に説明したXと、Znの元素割合(%)の関係を図7に示す。
以上のようにして得られたZnの元素割合に基づいて、前記放電される領域の感光体表面に存在する保護物質の適正量を求めることができる。すなわち前記測定結果を基にして、保護物質のXPSにより測定される全元素割合(%)の量を次のように設定することができる。
ステアリン酸亜鉛の分子式が[CH3(CH216COO]2Znであることを考慮すると、1個のZnに対して、36個のC、4個のO、70個のHが存在する。このうちHはXPSでは検出されないので、XPSにより検出されるステアリン酸亜鉛の全元素割合はZnの元素割合の41倍となる。
すなわち、前述した白濁の有無の境界を表す直線において求められた金属の元素割合(%)の量を示す前記式(4)を基に、保護物質のXPSにより測定される全元素割合(%)の量を計算すると、下記式(1)が得られ、感光体表面の劣化変質による白濁を防止するために必要な保護物質の量は式(1)以上の値が適正であると設定できる。
6.23×10−3×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(1)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
ここで、Vthの値は、感光体の膜圧をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
また、前述した膜厚減少の有無の境界を表す直線において求められた金属の元素割合(%)の量を示す前記式(5)を基に、保護物質のXPSにより測定される全元素割合(%)の量を計算すると、下記式(3)が得られ、感光体表面の膜厚の減少がほとんど発生しないために必要な保護物質の量は式(3)以上の値が適正であると設定できる。
9.10×10−3×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(3)
上記式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
ここで、Vthの値は、感光体の膜圧をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
から計算される。
ステアリン酸亜鉛の存在量によって、感光体表面を近接放電による劣化から保護できたり、できなかったりする理由については、次のように考えられる。近接放電による感光体1の帯電を行う場合、感光体表面の放電領域では放電により発生した粒子(例えば、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが感光体表面層に照射される。このエネルギーが、感光体表面を構成する電荷輸送層の樹脂分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、樹脂分子鎖が切断されることによって分子量の低下、高分子鎖の絡み合い度の低下など、化学的劣化を生じて膜厚を減少させてしまうと考えられる。
一方、感光体表面に保護物質が存在すると、放電によって発生した粒子のエネルギーが直接照射されるのは保護物質であるため、感光体自身は放電によって発生した粒子の直接照射を免れることになる。従って、保護物質自身が放電により発生した粒子のエネルギーを吸収し、感光体表面の化学的劣化を緩和すると考えられる。
前記実験においても、例えば、感光体表面に保護物質がない領域(領域Bとする)では、その感光体表面は感光体を構成する分子の残骸が分析から検出されているのに対して、保護物質が存在する領域(領域Aとする)では、感光体を構成する分子の残骸が検出されおらず、保護物質の下の感光体表面は劣化していなかった。そして、この領域Aでは、保護物質として供給したステアリン酸亜鉛が化学的に変化、分解した物質が検出された。
本実施形態の画像形成装置においては、ステアリン酸亜鉛を保護物質32として用いているが、ステアリン酸亜鉛は保護物質の一例であり、各種の脂肪酸塩、ワックス、シリコンオイル等他の物質を保護物質として用いることも可能であり、上記検討により求められた保護物質の適正量を維持するようにすれば本発明の目的が達成される。
脂肪酸塩のうちでも脂肪酸金属塩は、金属元素がXPSによって測定される特徴的な元素となりやすく、塗布量などの条件を設定する上で測定が行いやすい。したがって、本実施形態のように帯電条件に応じて最適な量の保護物質を感光体表面に供給する装置を設計する上で好適である。
脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
さらに、保護物質としては、ステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶紛体を使用することが望ましい。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が低摩擦係数化に効果があり、放電からの感光体表面保護の観点から見た場合にも好都合である。例えば、せん断力を受けて均一に感光体表面を覆っていくラメラ結晶の特性は少量の保護物質によって効果的に感光体表面を覆うことができるので保護物質として望ましい。
ラメラ結晶の性質を十分に利用して放電から感光体表面を保護するためには、保護物質塗布装置30は感光体1表面との間で線速差を有するようにして、せん断力を作用させつつ保護物質を塗布、供給することが望ましい。すなわち、感光体の移動線速と、感光体に当接する保護物質塗布装置の移動線速が異なるようにして動作させることが好適である。
また、本発明のように放電による劣化から感光体表面を保護することを目的とした時には、保護物質塗布装置30はクリーニング装置8と帯電装置2との中間に設けることが望ましい。放電領域に到達する前にクリーニング装置によって保護物質が除去されてしまうことを防止するためである。
ここで本実施形態の画像形成装置では、帯電ローラ周囲の環境を検出するための図示しない温湿度検出器を有している。さらに、本実施形態の画像形成装置は、図示しないコントローラ中に、ファーブラシの回転速度と感光体表面に供給される保護物質の量とを対応させた第一のテーブルと、温湿度検出器によって検出された帯電ローラ周囲の環境と帯電条件とを対応させた第二のテーブルと、ファーブラシの回転速度を制御する塗布制御部と、帯電条件を制御する帯電制御部と、帯電条件に応じて必要な保護部材の量を算出するコンピュータを有している。
より具体的には、第一のテーブルとして、ファーブラシの回転速度と、前記XPSによる測定の結果得られるZnの元素割合とが対応させられたテーブルを有している。また第二のテーブルは、帯電ローラ周囲の環境が変化することによって放電開始電圧が変化した場合でも確実にAC電圧による放電を発生させるために、温湿度値と放電に必要なVppの値とを対応させたテーブルとなっている。
さらに、帯電条件に応じて必要な保護部材の量を算出するために、コンピュータは、帯電条件から前記式(4)または前記式(5)から必要なステアリン酸亜鉛の元素割合を算出する。
かかる構成において、本実施形態の画像形成装置は、画像形成開始指令が入力されるとまず温湿度検出器によって、環境条件である温度および湿度を検出し、検出された温度および湿度から第二のテーブルによって帯電条件のVpp値を求め、帯電条件に基づいてコンピュータにより必要なZnの元素割合を算出し、算出されたZnの元素割合に基づいて第一のテーブルからファーブラシの回転速度を求める。こうして得られた帯電条件のVpp値に応じて塗布制御部が最適な回転速度でファーブラシを回転させ、また帯電制御部は帯電部材に印加する電圧を制御しつつ帯電を開始させる。
このような制御によって、環境に応じて帯電条件が変化した場合においても、最適な保護物質を感光体表面に供給して感光体の劣化を防止させることが可能となる。
なお、前記式(4)または式(5)にしたがって、必要なステアリン酸亜鉛の元素割合を算出する場合には、感光体の膜厚が減少していることを加味してVthを算出する必要がある。そこでコントローラは、さらに累積放電時間を記憶するための記憶手段と累積放電時間から感光体の膜厚を導くための第3のテーブルを持ち、第3のテーブルによって累積放電時間に対応した感光体膜厚を導き出してVthを計算する。
以上の実施形態1で説明したように、近接放電される領域の感光体表面に存在する保護物質のXPSにより測定される全元素割合(%)の量を基に、その存在量を適正に維持することによって、感光体表面を保護して劣化を防止し、潤滑作用も好適に付与される。特に、サイクルタイムが0.60秒/周期未満、好ましくは0.44秒/周期未満から、一層効果が顕著に現れる。
目立った効果が現れる理由の詳細は不明であるが、曲率を有する感光体シリンダーの外径と当接部材との接触、およびプロセス動作による当接部材と感光体シリンダー間での共振によって生じる当接部材機能の不具合が、サイクルタイム0.60秒/周期未満、さらには0.44秒/周期未満となった場合に顕著になるためと考えられる。ここで、当接部材機能の不具合としては例えば、びびり、異音、ブレード反転などがある。本発明の構成とすることにより、これらの不具合が極めて効果的に防止できることが分った。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
前記〔実施形態1〕の図3に示した主要構成からなる画像形成装置と、前記第一〜第三の実験において説明した構成の感光体1を用い、感光体表面の移動速度、サイクルタイム、AC電圧の周波数f、保護物質塗布量をそれぞれ変化させて実験を行い、感光体のトルク、摩耗量、4万枚ラン後のクリーニングブレードエッジ状態を評価した。実験の条件を下記に示す。
<実験装置>
感光体1を電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、画像露光光源波長が780nmの半導体レーザーを搭載したリコー製デジタル複写機ImagioNeo270改造機にセットした。保護物質塗布装置を備えたプロセスカートリッジは、前記図3に示したように、保護物質塗布部材としてファーブラシをブラシ端が感光体表面に接触するように固定し、さらにステアリン酸亜鉛を感光体の長さに合うように溶融固化したバー状の保護物質固形物を、これもファーブラシのブラシ端に接触するように固定し、ファーブラシが回転することにより保護物質が感光体表面に供給されるように改造した。その際、ファーブラシと保護物質固形物との接触の有無を任意に制御できるようにし、それによって保護物質の塗布量を制御した。
<設定条件>
帯電ローラの両端には膜厚50μmのギャップテープを貼り付け、帯電ローラと感光体とが接触しないようにし、DC電圧にAC電圧を重畳させた交番電圧を印加した。帯電部材に印加する交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは2200V、周波数f、感光体の移動速度、DC電圧は−750V、現像バイアスを−500Vに設定した。レーザー光量については露光後の電位が−130Vとなるように感光体移動速度に伴い設定した。
評価における設定条件として、表2に示すように各、感光体移動速度、印字に要するサイクルタイム、AC電圧の周波数f、XPSで測定されるステアリン酸亜鉛のZnの元素割合(%)で表される保護物質塗布量をそれぞれ変化させて1〜8の条件に設定した。
Figure 0004636825
<評価実験:(実施例1〜8)>
まず、プロセスカートリッジに感光体1を装着した後、ImagioNeo270改造機で、上記設定された1〜8の条件により、30℃/85%RHの温湿度環境下で印字率5%程度の文字画像でA4紙を連続4万枚プリントした。4万枚プリント後、プロセスカートリッジから感光体を取り出して、感光体の摩耗量およびクリーニングブレードエッジの状況を確認した。なお、感光体摩耗量はフィッシャースコープ製の渦電流膜厚計にて測定した。結果を下記表3に示す。
〈表中の評価基準〉
○:異常なし、△:軽微なブレード欠けあり、×:ブレード欠けあり、××:4万枚到達前にブレードがめくれて評価中止
また、プロセスカートリッジのクリーナーユニットから、感光体を帯電させる部品である帯電ローラーを外し、感光体にクリーニングブレードが当接した状態で、このクリーナーユニットの感光体の回転トルクを測定できる装置に装着し、30℃/85%RHの環境下にて上記設定条件でドラムの回転トルクを測定した。回転トルクの測定は、初期と4万枚プリント後の感光体について行い、駆動1分後の値を測定して評価した。なお、感光体の回転軸はクリーナーユニットの感光体貫通軸と同じくシリンダーの中心を貫通する軸である。結果を下記表3に示す。
<評価実験:(比較例1〜4)>
上記実施例1、3、5、7において、設定条件として保護物質の塗布を行わないこと以外は実施例1、3、5、7と同様にして感光体のトルク、摩耗量、4万枚ラン後のクリーニングブレードエッジ状態を評価した。結果を下記表3に示す。
<評価実験:(比較例5〜8)>
前記実施例1、3、5、7において、電荷輸送層塗工液に用いたビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050:帝人化成製)10部に変えて、C型ポリアリレート樹脂(重量平均分子量Mw=11万)8部および下記構造式(2)に示すシロキサンユニットを共重合したポリカーボネート樹脂2部に変え、かつ設定条件として保護物質の塗布を行わないこと以外は実施例1、3、5、7と同様にして感光体のトルク、摩耗量、4万枚ラン後のクリーニングブレードエッジ状態を評価した。結果を下記表3に示す。
Figure 0004636825
Figure 0004636825
上記結果から明らかなように、本発明の画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジを用いた場合には、近接放電に起因する感光体表面の劣化変質が防止され、高速のプロセスおよび小サイクルタイムにおいても感光体トルクを増加させることなく、感光体摩耗量も小さく、ブレードの破損も少ない。これによって、耐久性が良好で、しかもブレード反転や異常画像の発生が無く安定した画像を形成が可能となる。
感光体表面に帯電部材を非接触状態で近接配置して連続約150時間の帯電実験を行った場合のラン時間と感光体表面の膜削れ量の関係を示すグラフである。 帯電ローラ2aと感光体表面を微小ギャップで対向させて近接放電させた場合の感光体1の初期表面状態(a)と劣化後の状態(b)を説明するための模式図である。 本発明の実施形態1および実施例において適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態1および実施例において適用される画像形成装置に用いられる帯電装置2の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態1における第一の実験から得られた帯電部材に印加するVppの変化と感光体の膜厚減少量の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1における第二の実験から得られた帯電ローラに印加するAC電圧の周波数fと感光体の膜厚減少量の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1における第三の実験から得られたXとZnの元素割合の関係をを示すグラフである。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置
2a帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
8 クリーニング装置
9 除電装置
10 転写材搬送経路
30 保護物質塗布装置
31 ファーブラシ
32 保護物質
33 加圧バネ

Claims (4)

  1. 移動する感光体と、該感光体表面に当接移動しながら保護物質を供給する保護物質塗布装置と、前記感光体に対して接触または近接して配置され、交流成分を含む電圧の印加による放電で感光体を帯電させる帯電部材を具備した帯電装置と、該帯電した感光体表面に静電潜像を形成する露光装置と、該形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置を少なくとも備えた画像形成装置であって、
    前記感光体は、表面側から順に電荷輸送層と、電荷発生層と、が積層された感光層を備え、
    前記電荷輸送層は、ポリカーボネートを含み、
    前記保護物質がステアリン酸亜鉛であり、前記放電される領域の感光体表面に存在する該脂肪酸金属塩のXPSにより測定される金属の元素割合(%)の量が下記式(4):
    1.52×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(4)
    (式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表し、前記Vppは、2200≦Vpp≦3000を満たし、且つ、前記fは、500≦f≦4000を満たす。
    ここで、Vthの値は、感光体の膜厚をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
    Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
    から計算される。)
    により求められる量以上であり、かつ感光体の印字に要するサイクルタイムが0.60秒/周期未満であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記放電される領域の感光体表面に存在する脂肪酸金属塩のXPSにより測定される金属の元素割合(%)の量が下記式(5):
    2.22×10−4×[Vpp−(2×Vth)]×(f/v) …(5)
    (式中、Vppは帯電部材に印加する交流成分の振幅(V)、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数(Hz)、vは帯電部材と対向する感光体表面の移動速度(mm/sec)、Vthは放電開始電圧(V)を表す。
    ここで、Vthの値は、感光体の膜厚をd(μm)、感光体の比誘電率をεopc、帯電部材表面と感光体表面との最近接距離(μm)をGp、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、次式(2):
    Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+(7737.6×d/εopc)1/2 …(2)
    から計算される。)
    により求められる量以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記印字に要するサイクルタイムが0.44秒/周期未満であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 前記感光体の移動線速と該感光体に当接する保護物質塗布装置の移動線速が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
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