JP2005309299A - 画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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Nozomi Tamoto
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貴彦 徳増
Kazuhiko Watanabe
一彦 渡邊
Koichi Oshima
孝一 大嶋
Noboru Chikushiyutsu
昇 築出
Nekka Matsuura
熱河 松浦
Hiroshi Ikuno
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Abstract

【課題】 長期に渡って良好な画像を維持することができる画像形成装置、プロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】 トナーと感光体表面との摩擦係数を0.7以下とすることで、トナーと感光体表面とが摺擦する摺擦力を低減することができる。よって、現像ローラ4aに担持されたトナーが感光体表面に付着した保護物質を掻き取ることが抑制され、現像装置内に保護物質が混入することが抑制される。その結果、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができ、良好な画像を維持することができる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関するものである。
従来から像担持体としての感光体表面を保護するために感光体表面に保護物質としてのステアリン酸亜鉛を塗布する手段を備えた画像形成装置が提案されている。特許文献1には、クリーニングブレードとの摩耗による感光体表面の劣化を保護するためにステアリン酸亜鉛を塗布するものが提案されている。また、特許文献2乃至3には、感光体表面へのトナー融着による感光体表面の劣化を保護するためにステアリン酸亜鉛を塗布するものが提案されている。また本出願人は、特願2003−039538号において、帯電部材の放電による感光体表面の劣化を保護するためにステアリン酸亜鉛を塗布するものを提案している。
特開2002−55580号公報 特開2002−156877号公報 特開2002−156877号公報
このように、感光体表面に保護物質を塗布した場合、トナーと感光体とが接触する現像領域で感光体表面に付着しなかったトナーが感光体表面に付着した保護物質を掻き取り、現像装置内に保護物質を混入させてしまう。特に、画像面積率の低い原稿を大量に出力した場合、大量の保護物質が現像装置内に混入してしまう。このように、現像装置内に保護物質が入り込むと、現像装置内のトナーに保護物質が付着し、トナーが摩擦帯電しにくくなる。そして、経時の使用によりトナーに付着する保護物質の量が増加し、トナーに十分な帯電量が得られなくなる場合があった。このように十分帯電されてないトナーは、地汚れなどの画像の劣化を引き起こしてしまい、経時にわたり良好な画像を維持することができないという問題が生じていた。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、長期に渡って良好な画像を維持することができる画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、静電潜像を担持する像担持体と、帯電部材に電圧を印加することで該像担持体表面を帯電させる帯電装置と、現像剤を現像剤担持体に担持し該像担持体に対向する現像領域に搬送して該像担持体上の潜像を現像してトナー像化する現像装置とを有する画像形成装置において、該像担持体表面の劣化を防止するための保護物質が該像担持体上に存在し、該トナーと該像担持体との摩擦係数が0.7以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナーの平均円形度が0.96以上であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、添加剤が上記トナー表面に付着しており、該添加剤の該トナーに対する被覆率が35%以上65%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記保護物質は脂肪酸金属塩であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記保護物質はラメラ結晶紛体であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記帯電部材と上記像担持体との最近接距離を1〜100[μm]とすることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記帯電部材の表面層を樹脂材料により構成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体表面に上記保護物質を塗布せしめる保護物質供給部材を設け、該保護物質供給部材表面と該像担持体表面とを接触せしめ、該接触部での該保護物質供給部材表面の移動速度と該像担持体表面の移動速度とが互いに異なるように各移動速度設定したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記帯電部材周囲の環境状態を検出する環境検出手段と、該環境検出手段による検出結果に基づいて上記像担持体表面に存在させる上記保護物質の量を制御する保護物質供給量制御部とを有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体と、像担持体の表面にトナー像を形成する現像装置と像担持体表面を帯電させる帯電装置のうち少なくともひとつとを一体に構成し画像形成装置本体に対して着脱可能としたプロセスカートリッジにおいて、上記画像形成装置が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置であることを特徴とするものである。
請求項1乃至11の発明によれば、像担持体とトナーとの摩擦係数を0.7以下とすることで、トナーが像担持体表面と摺擦する摺擦力を低減することができる。よって、現像剤担持体に担持されたトナーが像担持体表面を滑るように移動するようになり、トナーが像担持体表面に付着した保護物質を掻き取ることが抑制される。この結果、現像装置内に保護物質が混入することが抑制され、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができる。よって、長期に渡って地汚れなどの画像の劣化を抑制でき、良好な画像を維持することができるという効果がある。
以下、本発明を画像形成装置に適用した一の実施形態について説明する。まず、図1を用いてこの画像形成装置が備える画像形成ユニットの基本的な構成について説明する。図1において、この画像形成ユニットは、像担持体としてのドラム状の感光体1、帯電装置2、感光体1上に静電潜像を書き込むための露光装置3、現像装置4、感光体1表面の像形成物質を除去するクリーニング装置7などにより構成されている。
このような構成の画像形成装置において、感光体1は図示しない駆動装置により回転駆動され、その表面が帯電装置2により所定の極性に帯電される。次いで、外部から読み込まれた画像情報に基づいて上記露光装置3が駆動され、これによって感光体1の帯電領域(画像形成領域)に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4から供給される現像剤(トナー)によって現像されて可視像としてのトナー像となる。
一方、この感光体1上へのトナー像の形成が行われている間に、不図示の給紙部から記録媒体としての転写紙が感光体1に向けて給送される。この転写紙は、感光体1上のトナー像に重ね合わされるタイミングで感光体1と対向配置されている転写装置5に送り出され、転写ニップT1で感光体1上のトナー像が転写せしめられる。その後、感光体1から機械的に分離された後、定着装置6に搬送され、トナー像が定着される。
上記転写ニップT1を通過した後の感光体1表面に残留した残留トナーは、上記クリーニング装置8によって感光体1上から除去され回収される。そして、転写残トナーが除去された後の感光体表面の残留電荷は、除電装置9により除去される。尚、本実施形態の画像形成装置には、塗布装置30を有しているが、これについては後ほど詳述する。
次に、近接放電による感光体表面の劣化について実験例に基づき説明する。
〔実験例1〕
本出願人は、接触又は近接させて配置した帯電部材による交流印加放電では顕著となる感光体1表面の劣化状態を調べるために以下の実験を行った。機械的磨耗に起因する感光体表面の劣化を排除するために、図2(a)に示すように帯電部材2aを感光体1表面に対して非接触に配設した。また、感光体1に対して当接する部材を全て取り除いた。そして、直流(DC)バイアスに交流(AC)電圧バイアスを重畳した電圧が印加された非接触回動可能なローラ状の帯電部材2a(以下、「帯電ローラ2a」という)を用いて約150時間連続で感光体1を帯電させた。図2(a)に示すように、本実験に用いた感光体1は、基層50上に絶縁層である下引き層51が設けられている。さらに、その上に電荷発生層(CGL)52、電荷輸送層(CTL)53、表面保護層(FR)54が順に積層されている。
図3は、帯電時間に対する感光体1表面の膜厚削れ量をプロットしたものである。この図より、帯電時間の増加に伴い感光体1の膜厚が減少していることがわかる。交流印加放電では顕著となる帯電後の感光体1表面の化学的劣化が発生し、図2(b)に示すような膜厚削れが発生したものと推測される。接触又は近接させて配置した帯電部材による交流印加放電では顕著となる感光体表面の化学的劣化が起こるメカニズムの詳細は検討中であるが、実験例1による帯電後の感光体1表面を分析したところ以下の事実が判明した。電荷輸送層53、及び表面保護層54を構成する結着樹脂であるポリカーボネートの分解生成物と考えられるカルボン酸が検出された。
感光体1を構成する成分が分解されたと考えられることから、感光体1の膜厚削れのメカニズムとしては次のように考えることができる。
接触又は近接させて配置した帯電ローラ2aによる放電により発生した粒子(オゾン、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが感光体1表面の表面保護層54に照射されると、このエネルギーが感光体1表面の表面保護層54等を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収される。そして、最表面層を形成している高分子鎖の絡み合い度の低下、樹脂分子鎖の切断による分子量低下、樹脂や分解生成物の蒸発等の化学的劣化を誘発する。このような化学的劣化に伴って、感光体1表面の最表面層は次第に膜厚削れが起こるものと推測される。
なお、膜厚削れは接触又は近接させて配置した帯電ローラ2aによる放電により生じる粒子のエネルギーが原因であると考えられる。よって、実験例1において表面保護層54や電荷輸送層53を形成している物質であるポリカーボネート特有の問題ではなく、他の材質を用いた感光体1においても同様の現象が起こると考えられる。
〔実験例2〕
次に、交流印加放電では顕著となる感光体表面の化学的劣化は、感光体上に保護物質を存在させることにより抑制できることを示す実験例について説明する。
図4(a)は、感光体1上に保護物質32を存在させることによって、交流印加放電では顕著となる感光体1表面の化学的劣化が抑制されることを確かめるための実験装置の概略構成図である。保護物質32の有無による感光体表面の劣化状態を比較するために、図3(b)に示すように感光体表面上に保護物質を塗布する領域A(図中、感光体幅方向の左側半分)と塗布しない領域B(図中、感光体幅方向の右側半分)とを設けた。具体的には、保護物質塗布装置30(構成及び動作については、実施形態において説明する)を感光体1の幅方向の左側半分の表面領域にのみファーブラシ31を用いて塗布するように配設せしめ、領域Aにのみ保護物質32としてのステアリン酸亜鉛を塗布した。
機械的磨耗に起因する感光体1表面の劣化を発生させないために、予め帯電ローラ2aと保護物質塗布装置30以外の部材を全て取り払った。そして、感光体1と共に帯電装置2と保護物質塗布装置30とを連続して駆動せしめ、感光体1表面の劣化状態を調べた。実験条件は以下の通りである。
(実験条件)
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2.12[kV]
f(AC電圧の周波数)=877.2[Hz]
DC電圧値=−660[V]
感光体表面の移動速度v=125[mm/s]
ファーブラシ31の線速=216[mm/sec]
保護物質32:ステアリン酸亜鉛
図5は、帯電時間に対する感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたものである。図より、帯電時間の増加に伴い膜削れ量が増加していることがわかる。
上記実験を連続200時間行った後の感光体1の膜厚を、上記実験前の感光体1の膜厚と比較すると以下の事実が判明した。保護物質32が塗布されていない領域Bにおいては、膜厚が2.5[μm]減少したのに対し、保護物質32が塗布されている領域Aでは、領域Bの減少膜厚の1/8以下に低減した。
また、上記実験を連続200時間行った後の感光体1の表面を目視観察したところ保護物質32が塗布されていない領域Bにおいては、感光体1表面が白く変色し、変質していたのに対し、保護物質32が塗布されている領域Aでは、実験前の新品の感光体1表面と同様の鏡面が保持されていた。
これらの結果から、感光体1表面に保護物質を塗布せしめることにより、交流印加放電では顕著となる感光体表面の化学的劣化を抑制できることが明らかになった。
そこで、本実施形態においては、近接放電による感光体表面劣化を防止するために保護物質32を感光体表面に供給するための保護物質供給手段を備えている。以下に、その具体的な構成について詳細を説明する。
図1に示すように保護物質32を感光体表面に供給するための保護物質供給手段として、保護物質塗布装置30を設けている。この保護物質塗布装置30は、クリーニング装置7に対して感光体1の回転方向下流側、帯電装置2に対して感光体1の回転方向上流側に感光体1と対向するように設けられている。保護物質塗布装置30は、塗布部材としてのファーブラシ31、保護物質32、保護物質をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ33とを備えている。保護物質32はバー状に成型された固体状となっている。ファーブラシ31は感光体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって保護物質32を一端ブラシに汲み上げ、感光体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して感光体表面に塗布する。バー上に成形された個体保護物質32は、加圧バネ33によって所定の圧力で保護物質32がファーブラシ31側に押圧されている。これにより、経時的に保護物質32がファーブラシ31に掻き削られて減少した場合でも、常にファーブラシ31に対して微量の保護物質32を均一に供給することができる。
以上、保護物質塗布装置30により保護物質32を塗布する方法について説明したが、保護物質32を感光体1表面上に適切な状態で存在させることができる手段であればいかなる方法を用いてもよい。
次に本実施形態で用いられる帯電装置2について詳しく説明する。本実施形態に係る帯電装置2は非接触となるよう近接させて対向配置した帯電ローラ2aによる交流印加放電により感光体を帯電せしめている。なお、接触させて対向配置した帯電ローラ2aによる交流印加放電により感光体を帯電せしめる方法がある。この方法を適用する場合には、感光体1表面と帯電ローラ2aとの接触性を向上させ、かつ感光体1に機械的ストレスを与えない弾性部材を用いることが好ましい。ただし、弾性部材を用いると、帯電ニップ幅が広くなり、これに起因して帯電ローラ側に保護物質が付着しやすくなることがある。よって、被帯電体の高耐久化には非接触により帯電させる方が有利である。
図6は、帯電装置2と感光体1の概略説明図である。帯電装置2は、帯電部材としての帯電ローラ2a、スペーサ22、スプリング15、電源16とからなる。帯電ローラ2aには、軸部21aと帯電部としてのローラ部21bとがある。このうちローラ部21bは、感光体1に対向して感光体表面を帯電する機能を担っており、軸部21aの回転によって回動可能なように構成されている。帯電ローラ表面の帯電部21bが感光体表面に対して微小な間隙で対向配置するよう帯電ローラ2aに間隙保持部材であるスペーサ22を設けている。このスペーサ22により、感光体1表面のうち画像が形成される画像形成領域11に対向する部分は感光体1と非接触となるよう配設されている。ローラ部21bの長手方向の寸法は、感光体1の画像形成領域よりも長く設定されており、感光体1の非画像形成領域12にスペーサ22を当接せしめることにより、上記微小なギャップ14を形成している。このスペーサ22を介して帯電ローラ2aは、感光体1表面に連れまわって回転するようになっている。微小ギャップ14は、帯電ローラ部21bと感光体1との最近接部が1〜100[μm]となるように構成されている。この最近接距離は、30〜65[μm]であることがさらに好ましい。本実施形態の装置では、50[μm]となるように配設した。
軸部21aには、帯電ローラ2aを被帯電体へ向けて押圧するためのスプリング15が取り付けられている。これにより上記微小ギャップ14を精度良く維持することが可能となる。
帯電ローラ2aは、帯電用の電源16が接続されており、感光体1表面と帯電ローラ2a表面との間の微小な空隙において、交流印加放電により感光体1表面を均一に帯電せしめる。本実施形態では、直流成分であるDC電圧に交流成分であるAC電圧が重畳された交番電圧が帯電ローラ2aの帯電部へ印加されるようになっている。交番電圧を用いることにより、微小なギャップ変動に起因する帯電電位のバラツキなどの影響が抑制され、均一な帯電が可能となる。
上記帯電ローラ2aは、円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、この芯金の外周面上に形成された抵抗調整層とから構成される。本実施形態では、帯電ローラ2aの直径を10[mm]とした。
帯電ローラ2aの表面は、例えばゴム部材などの既知の材料を用いることができるが、樹脂材料で構成することがより好ましい。ゴム部材を用いると、ゴムの吸水や、たわみの発生により、感光体1との微小な間隙を維持することが困難となるからである。作像条件によっては帯電ローラ2aの中央部のみが感光体表面に突発的に接触する可能性がある。このような局所的、突発的な帯電ローラ2aの感光体1への接触による感光体表面層の乱れに対応することは困難である。従って、非接触帯電方式により感光体を帯電する場合には、帯電ローラと感光体との微小間隙を均一に維持することができる硬質の材料を用いることがより好ましい。
<帯電ローラ表層>帯電ローラ2aの表面が硬質な材料としては、例えば、以下のようなものを用いることができる。抵抗調整層として、高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びその共重合体等)により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化皮膜処理されたものなどである。硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行うことができる。あるいは、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成してもよい。
本実施形態に用いられる感光体1は負帯電性の有機感光体であり、直径30[mm]のドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。図8は、本実施形態に用いた感光体を表す断面図である。基層としての導電性支持体50上に、絶縁層である下引き層51が設けられている。そして、その上に感光層としての電荷発生層(CGL)52、電荷輸送層(CTL)53が設けられている。さらにその上に表面保護層(FR)54が積層されている。
<導電性支持体50>導電性支持体としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すものを用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層構成の場合から述べる。
<電荷発生層52>電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ、これらは有用に用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上、あるいは下引き層上に塗布し、乾燥することにより形成される。
電荷発生層には、必要に応じて結着樹脂中に上記電荷発生物質を分散させることができる。用いることができる結着樹脂の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.1〜2[μm]である。
<電荷輸送層53>電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度、応答性の点から、25[μm]以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5[μm]以上が好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
次に感光層が単層構成の場合について述べる。感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体50上ないし下引き層51上に塗布、乾燥することによって形成できる。電荷輸送物質を含有させずに、電荷発生物質と結着樹脂とから構成してもよい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに50〜150重量部であるればより好ましい。
感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25[μm]程度が適当である。
<下引き層51>本実施形態に係る感光体1においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。また、これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5[μm]が適当である。
<保護層54>感光体の最表面層に機械的磨耗を防止するために保護層54を設けることも可能である。例えば、耐磨耗性を向上させるために感光体の表面をアモルファスシリコンでコートして保護層54とする。また、電荷輸送層上にアルミナや酸化スズ、無機物粒子等を含有した保護層54を形成しても良い。
次に、本実施形態のトナーについて説明する。本実施形態のトナーは、磁性キャリアとともに現像装置4内に収容されている。図1に示すように、現像装置4内の攪拌ローラ4bによってトナーを攪拌し、トナーを摩擦帯電している。そして、この摩擦帯電したトナーとキャリアを現像ローラ4aに搬送し、現像ローラ4a上で磁気ブラシを形成し、感光体表面に磁気ブラシに付着したトナーを接触させることで感光体表面の静電潜像をトナー像化している。
本実施形態のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤からなる母体粒子と添加剤からなっている。母体樹脂は、結着樹脂、着色剤からなる混合物を熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化してこれを粉砕分級することで得ることができる。この母体樹脂にヘンシェルミキサー等で添加剤を混合付着させている。
上記結着樹脂としては、公知のトナー用結着樹脂を使用することができる。具体的には、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらは、単独であるいは2種以上混合して使用される。
また、上記着色剤としては、トナー用として公知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、メチルレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えばローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えばクロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
更に、これらのトナーは、より効率的に帯電を付与するために、少量の帯電付与剤、例えば染顔料、極性制御剤などを含有することができる。極性制御剤としては、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr又はFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム塩等がある。
また、上記添加剤としては、無機微粒子が挙げられる。無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。本実施形態においてはシリカを用いることにより、帯電安定性の優れたトナーとして機能させることができ好ましい。
以下に、各実験例に基づき、本実施形態のトナーについて説明する。
[実験例3]
まず、本実施形態のトナー添加剤の被覆率について実験例3に基づき説明する。ここで言う被覆率とは、トナー表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した実測値であり、以下の式で示される。
(式1)
添加剤被覆率 = 100×(添加剤面積の総和)/(画像処理領域の面積)
図8は、添加剤の被覆率を異ならせた場合の感光体とトナーとの間の摩擦係数を測定した結果である。なお、摩擦係数は、オイラーベルト法を用いて測定して測定値であり、ベルトとしてプリンタックテープ上にトナーを付着させたものを用いた。図8から明らかなように、図8の丸で囲った添加剤被覆率30%〜65%の範囲にあるトナーは、感光体との摩擦係数が0.7以下となった。一方、添加剤被覆率が65%を越えると急激に摩擦係数が上昇し、0.7を越えてしまった。また、添加剤被覆率が30%未満となると摩擦係数が0.7を越えてしまった。また、添加剤被覆率が30%未満となるとトナーの流動性が低下し、十分なトナー帯電量を得ることができなかった。
次に、同一粒径のトナーについて、添加剤被覆率のみを変化させてランを行った場合のトナー帯電量Q/Mの変化を調べた。尚、ここでは保護物質としてステアリン酸亜鉛を使用し、感光体表面への単位面積当たり塗布量を0.0002[mg/mm ]としている。また、トナー粒径は7μmのものを用い、添加剤としてはシリカのみを用いた。その結果を図9に示す。図9に示すように、添加剤被覆率が30〜65%のトナーは、経時にわたりトナー帯電量が安定している。一方、添加剤被覆率が70%以上のトナーは、ラン枚数が増加するにつれてトナー帯電量が低下することがわかる。
図10は、感光体表面の保護物質としてのステアリン酸亜鉛の層を一定に保つように設定し、添加剤被覆率を異ならせてラン枚数5万枚後のステアリン酸亜鉛の消費量の比を調べた結果である。なお、添加剤被覆率65%のときのステアリン酸亜鉛の消費量を1としている。図10から明らかなように、添加剤被覆率が70%以上のトナーは、65%のときのステアリン酸亜鉛の消費量に比べ約1.3倍ステアリン酸亜鉛を消費していることがわかる。
これらの結果から、添加剤被覆率35〜65%のトナーは、感光体とトナーとの摩擦係数が0.7以下となっている。この結果、現像ローラに担持されたトナーと感光体表面との摺擦力を低減できるため、感光体表面のステアリン酸亜鉛などの保護物質がトナーによって掻き取られることを抑制することができる。よって、現像装置内に保護物質が混入することが抑制されるため、図9に示すように、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができたと考えられる。また、感光体表面の保護物質がトナーによって掻き取られないので、図10に示すように、感光体表面への保護物質の塗布量を少なくすることができる。よって、保護物質を従来に比べて小さくすることができる。
[実験例4]
次に、トナーの平均円形度について実験例4に基づき説明する。トナー平均円形度は、トナー粒子と同一の投影面積を持つ真円の円周とトナー粒子の周長との比によって定義される。このトナー平均円形度は、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
図11は、トナーの平均円形度を変化させて、トナーと感光体との間の摩擦係数を測定したものである。なお、摩擦係数の測定は、実験例3同様オイラーベルト法を用いて測定して測定値である。図11に示すように、平均円形度が0.96のトナーは、粒径に係わらず摩擦係数が0.7以下であるのに対し、円形度0.92のトナーは、0.7以上の摩擦係数を示している。
図12は、同処方かつ同粒径のトナーについて、円形度のみを変化させてランを行った場合のトナー帯電量Q/Mの変化を示す図である。尚、感光体表面へ保護物質としてステアリン酸亜鉛を単位面積当たり0 .0002 [mg /mm 2 ]塗布した。また、トナー粒径は7μmのものを用いた。図12からわかるように、円形度0.96のトナーは経時にわたりトナー帯電量が安定していることがわかる。一方、円形度0.92のトナーは、ラン枚数が増加するにつれて、トナー帯電量が低下していることがわかる。
また、感光体表面の保護物質としてのステアリン酸亜鉛の層を一定に保つように設定し、添加剤被覆率を異ならせてラン枚数5万枚後のステアリン酸亜鉛の消費量を調べた。すると、円形度0.96のステアリン酸亜鉛の消費量は、円形度0.92のステアリン酸亜鉛の消費量に対し約2/3の消費量で済んだ。
以上の結果から、平均円形度が0.96以上のトナーは、感光体とトナーとの摩擦係数が0.7以下となり、実験例3と同様に、現像ローラに担持されたトナーと感光体表面との摺擦力を低減できる。このため、感光体表面のステアリン酸亜鉛などの保護物質がトナーによって掻き取られることを抑制することができ、現像装置内に保護物質が混入することが抑制される。その結果、図12に示すように、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができたと考えられる。また、感光体表面の保護物質がトナーによって掻き取られないので、円形度0.92のトナーに比べて感光体表面への保護物質の塗布量を少なくすることができたと考えられる。よって、保護物質を従来に比べて小さくすることができる。
〔実験例5〕
次に、交流印加放電では顕著となる感光体表面の膜厚削れ量がAC電圧のピークツーピーク電圧値Vpp(以下、単に「Vpp」という)、すなわち帯電部材に印加する交流成分の振幅値に比例することを実験例5に基づき説明する。
図4(a)に示すような感光体1、帯電装置2、塗布装置30から構成される装置により以下の実験を行った。機械的磨耗に起因する感光体表面の劣化を発生させないために、予め帯電ローラ2aと保護物質塗布装置30以外の感光体に当接する部材を全て取り払った。そして、Vppを変えて、連続100時間感光体1表面を交流印加放電により帯電させたときの膜厚削れ量を測定した。実験条件は以下のとおりである。
(実験条件)
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2.2、2.6、3.0[kV]
f(AC電圧の周波数)=1350[Hz]
DC電圧値=−600[V]
感光体表面の移動速度v=113[mm/s]
保護物質:ステアリン酸亜鉛
帯電時間:100時間
図13は、Vppに対する連続100時間の放電により帯電された後の感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたものである。図より、感光体表面の膜厚削れ量は、Vppに比例していることがわかる。また、Vppが約1.9[kV]のときに膜厚削れ量が0となることがわかる。
この点について、本出願人は以下のように考えている。AC電圧を印加した時、帯電部材に印加する電圧が所定の値以上とならないと帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始されない事が知られている。本出願人の研究によれば、非接触帯電の場合、帯電部材表面と被帯電表面との最近接距離をGp[μm]としたときに帯電部材に印加する電圧が式2に示す値以上となると帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始される。以下、この値を放電開始電圧Vthと記す。
(式2)
Vth=312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+√(7737.6×d/εopc
ここで、dは感光体の膜厚[μm]、εopcは感光体の比誘電率、εairは感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率である。
Vppが上記Vthの2倍以上となったときに帯電部材と感光体との間で双方向に放電が発生する。
本実験例5では帯電ローラと感光体との間のギャップは50[μm]、感光体の比誘電率は約3、感光体の膜厚は30[μm]、感光体と帯電部材の間の空間における比誘電率は約1であったので、上記式にこれらを当てはめるとVth=962[V]となる。帯電部材に印加する電圧が962[V]以上となると帯電部材表面と感光体表面との間で放電が開始され、またVppが約1924[V]を越えるとAC電圧による放電が開始されると考えられる。放電現象として支配的なのはAC電圧によって生じる双方向放電であり、このためVppが約1.9[kV]を越えると感光体の膜厚削れが始まると考えられる。
〔実験例6〕
次に、交流印加放電では顕著となる感光体表面の膜厚削れ量がAC電圧の周波数fに比例することを実験例6に基づき説明する。
本実験例に用いた装置の基本的な構成及び実験条件は、上記実験例5のものと同様であるが、帯電条件と感光体表面の移動速度が上記実験例4とは異なっている。すなわち、上記実験例5では、AC電圧の周波数fを固定してVppを変化させているが、本実験例ではVppを固定しAC電圧の周波数fを変化させている。
(実験条件)
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2.2[kV]
f(AC電圧の周波数)=500、900、1400、2000、4000[Hz]
DC電圧値=−600[V]
感光体表面の移動速度v=104[mm/s]
保護物質:ステアリン酸亜鉛
帯電時間:100時間
図14は、AC電圧の周波数fに対して上記放電により連続100時間の帯電した後の感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたものである。図より、感光体表面の膜厚削れ量は、AC電圧の周波数fに比例していることがわかる。
〔実験例7〕
次に、交流印加放電では顕著となる感光体の膜厚削れがVpp−2×Vthに比例し、AC電圧の周波数fに比例し、かつ感光体表面の移動速度vに反比例することを示す実験結果について説明する。
本実験例に用いた装置の基本的な構成及び実験条件は、上記実験例5のものと同様であるが、本実験例ではVpp,AC電圧の周波数f、感光体表面の移動速度v、保護物質の供給量を変えながら感光体表面の劣化の有無を調べた。具体的には、100時間連続で帯電部材へ電圧を印加させ、保護物質の供給量に対して感光体表面の白濁、膜厚減少の有無をしらべた。また、各条件において、保護物質が実際にどれだけ供給されているのかを知るために、帯電部材へ電圧を印加しない状態で、保護物質のみ供給したサンプルを膜厚減少量測定用とは別に作成し、XPS(X線光電子分光分析装置)により感光体表面上の亜鉛元素(Zn)の存在量(元素個数割合)を測定した。亜鉛元素(Zn)の測定値(元素個数割合)は、帯電部材への電圧印加をせずにステアリン酸亜鉛を塗布し続け、5時間経過した段階での感光体表面を測定した場合の値である。
(実験条件)
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2120、3000[V]
f(AC電圧の周波数)=877.2、1350[Hz]
DC電圧値=−600[V]
感光体表面の移動速度v=125、185[mm/s]
保護物質:ステアリン酸亜鉛
本実施形態で使用した感光体1では保護物質の直下層は機械的磨耗を防止するための保護層54であり、その下層は電荷輸送層53であるが、これらの層には亜鉛が存在しないので、測定された亜鉛元素(Zn)の元素個数割合は全て保護物質であるステアリン酸亜鉛に由来している。
表1は、X、感光体速度v、Vpp、AC電圧の周波数fの条件を変えて実験を行ったときの、感光体表面状態(白濁の有無と膜厚減少量)とXPSにより検出された亜鉛元素(Zn)の元素個数割合[%]の結果を示したものである。但しXは、式3である。
(式3)
X={Vpp−2×Vth}×f/v
Figure 2005309299
図15は、表1の実験結果に基づき、Xに対して、放電領域のXPSにより検出される感光体最表面を構成する物質の全元素の元素個数総和に対する、XPSにより検出される亜鉛元素の元素個数割合[%]をプロットしたものである。この図より、放電による感光表面の劣化(白濁)を防止するために必要な亜鉛元素(Zn)の元素個数割合は、次の式4以上存在させる必要があることがわかる。さらに、放電による感光表面の膜厚削れを防止するために必要な亜鉛元素(Zn)の元素個数割合は、次の式5以上存在させる必要があることがわかる。
(式4)
1.52×10-4×{Vpp−2×Vth}×f/v
(式5)
2.22×10-4×{Vpp−2×Vth}×f/v
こうして得られた亜鉛元素の含有割合に基づいて、感光体表面の劣化を防止するために必要なXPSにより検出されるステアリン酸亜鉛の存在量を算出すると以下のようになる。すなわち、XPSにより検出される感光体最表面を構成する物質の全元素の元素個数総和に対するXPSにより検出されるステアリン酸亜鉛の元素個数割合[%]を式6以上とすれば、感光体の劣化(白濁)が防止できる。さらに、亜鉛元素の含有割合に基づいて、XPSにより検出される感光体最表面を構成する物質の全元素の元素個数総和に対するXPSにより検出されるステアリン酸亜鉛の元素個数割合[%]を式7以上とすれば、膜厚削れもほとんど発生しない。
(式6)
6.23×10-3×{Vpp−2×Vth}×f/v
(式7)
9.10×10-3×{Vpp−2×Vth}×f/v
交流印加放電では顕著となる感光体表面の化学的劣化がステアリン酸亜鉛の塗布量によって変動する理由については、次のように考えられる。感光体表面の放電領域では放電により発生した粒子(電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが感光体表面層に照射される。このエネルギーが感光体表面を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、電荷輸送層は樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度の低下などの化学的劣化を生じ膜厚を減少させてしまうと考えられる。
一方、感光体表面に保護物質が存在すると、放電によって発生した粒子のエネルギーが直接照射されるのは保護物質であるため、感光体自身は放電によって発生した粒子の直接照射を免れることになる。従って、保護物質自身が放電により発生した粒子のエネルギーを吸収し、感光体表面の化学的劣化を緩和すると考えられる。図4に示した実験においても、感光体1の保護物質がない領域Bの感光体表面は感光体を構成する分子の残骸が分析から検出されているのに対して、保護物質のある領域Aでは感光体を構成する分子の残骸が検出されおらず、保護物質の下の感光体表面は劣化していなかった。そして領域Aでは、保護物質として供給したステアリン酸亜鉛が化学的に変化し、分解した物質が検出された。
このような検討によれば、上記保護物質32としては種々の物質を用いることが可能である。本実施形態の画像形成装置において用いられているステアリン酸亜鉛は保護物質32の一例であり、各種の脂肪酸塩、ワックス、シリコンオイル等他の物質を保護物質32として用いることが可能である。
脂肪酸塩のうちでも脂肪酸金属塩は、金属元素がXPSによって測定される特徴的な元素となりやすく、塗布量などの条件を設定する上で測定が行いやすい。したがって本実施形態のように帯電条件に応じて最適な量の保護物質を感光体表面に供給する装置を設計する上で好適である。
脂肪酸としてはウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
保護物質としてはステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶紛体を使用すると好適である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、剪断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が低摩擦係数化に効果があるのであるが、放電からの感光体表面保護の観点から見た場合にも、せん断力を受けて均一に感光体表面を覆っていくラメラ結晶の特性は少量の保護物質によって効果的に感光体表面を覆うことが出来るので保護物質として望ましい。
ラメラ結晶の性質を充分に利用して放電から感光体表面を保護するためには、保護物質塗布装置30の回転速度と感光体表面の回転速度とを異ならしめ、せん断力を作用させつつ保護物質を塗布する事が望ましい。
また本発明のように放電による劣化から感光体表面を保護する事を目的とした時には、保護物質塗布装置30はクリーニング装置と帯電装置との中間に設ける事が望ましい。放電領域に到達する前にクリーニング装置によって保護物質が除去されてしまうことを防止するためである。
以下に、感光体1表面の化学的劣化を防止することができる本実施形態にかかる具体的な手段について説明する。図16は、感光体1表面の化学的劣化を防止するための電装部を示すブロック図である。同図において、コントローラ(メイン制御部)110は、CPU、RAM、及びROMを有しており、感光体表面の化学的劣化を防止するための制御を司っている。ROMは、後述するプログラムが記録されている。CPUは、RAMを適宜利用しながらこのプログラムを実行する。コントローラ110には、ファーブラシ31の回転速度と感光体1表面に供給される保護物質32の量とを対応させた第一のテーブル101と、温湿度検出器100によって検出された帯電ローラ2a周囲の環境と帯電条件とを対応させた第二のテーブル102と、ファーブラシ31の回転速度を制御する塗布制御部103と、帯電条件を制御する帯電制御部104と、帯電条件に応じて必要な保護部材の量を算出する演算部105とを備えている。また、コントローラ110には温湿度検出器100や、帯電装置2、保護物質塗布装置30などが電気的に接続されている。第一のテーブル101や、第二のテーブル102は、ROMに構成するようにしてもよい。また、演算部105は、この演算手順のプログラムをROMに記録しておき、CPUでこのプログラムを実行することにより実現するように構成してもよい。
第一のテーブル101は、感光体1表面の化学的劣化が起きないために必要とされる感光体表面上に塗布すべきステアリン酸亜鉛を塗布するために、上記XPSによる測定の結果得られるZnの元素割合とファーブラシの回転速度とが対応させられたデーターを有している。第二のテーブル102は、帯電ローラ周囲の環境が変化する事によって放電開始電圧が変化した場合でも確実にAC電圧による放電を発生可能なように、温湿度値と放電に必要なVppの値とを対応させたデーターを有している。演算部105は、帯電条件に応じて必要な保護部材の量を算出するために上記式11又は、式12に従って必要な亜鉛の元素個数割合[%]を算出可能なように設定されている。
図17は、ブラシの回転速度と帯電条件を決めるための手順に関するフローチャートである。コントローラ110は、画像形成開始指令が入力されたことに伴って帯電を開始させるに先立ち、温湿度検出器により帯電装置周辺の温度及び湿度(環境条件)を検知する(ステップ1)。次に、ステップ1の検知結果に基づいて予め第二のテーブル102に記憶されている帯電条件(Vpp値)を選択し、帯電条件として設定する(ステップ2)。そして、ステップ2により設定された帯電条件に応じて感光体1表面の劣化が発生しないために塗布されるステアリン酸亜鉛の亜鉛の元素個数割合[%]を演算部105により算出する(ステップ3)。ステップ3により算出された亜鉛の元素個数割合[%]から、感光体表面に所望の保護物質が塗布されるように、第一のテーブル101からファーブラシの回転速度を選択し、回転速度として設定する(ステップ4)。次に、ステップ4により設定された回転速度となるように塗布制御部103においてファーブラシを回転駆動する(ステップ5)。最後に、帯電制御部において帯電部材に印加する電圧を制御しつつ帯電を開始させる。以上の手順を実行するためのプログラムが前述のようにROMに記録されている。
このような制御手段を設けることにより、環境に応じて帯電条件を変化させた場合においても、最適な保護物質を感光体表面に供給して感光体の劣化を防止させる事が可能となる。
なお上記式10に従って必要なステアリン酸亜鉛の元素割合を算出する場合には、感光体の膜厚が減少していることを加味してVthを算出する必要がある。そこでコントローラはさらに、累積放電時間を記憶するための記憶手段と累積放電時間から感光体の膜厚を導くための第3のテーブルを持ち、第3のテーブルによって累積放電時間に対応した感光体膜厚を導き出してVthを計算する。
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、トナーと感光体表面との摩擦係数を0.7以下としている。これにより、トナーが感光体表面と摺擦する摺擦力を低減することができる。よって、現像剤ローラ4aに担持されたトナーが感光体表面を滑るように移動するようになり、トナーが感光体表面に付着した保護物質を掻き取ることが抑制される。この結果、現像装置内に保護物質が混入することが抑制され、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができる。よって、長期に渡って地汚れなどの画像の劣化を抑制でき、良好な画像を維持することができる。また、感光体表面の保護物質がトナーによって掻き取られないので、感光体表面への保護物質の塗布量を少なくすることができる。よって、保護物質を従来に比べて小さくすることができる。
また、トナーの平均円形度を0.96以上とすることで、トナーと感光体表面との摩擦係数を0.7以下とすることができる。よって、現像剤ローラに担持されたトナーが感光体表面を滑るように移動するようになり、トナーが感光体表面に付着した保護物質を掻き取ることが抑制される。この結果、現像装置内に保護物質が混入することが抑制され、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができる。よって、長期に渡って良好な画像を維持することができる。
また、トナーの添加剤被覆率35〜65%とすることで、トナーと感光体表面との摩擦係数を0.7以下とすることができる。よって、現像剤ローラに担持されたトナーが感光体表面を滑るように移動するようになり、トナーが感光体表面に付着した保護物質を掻き取ることが抑制される。この結果、現像装置内に保護物質が混入することが抑制され、経時にわたり安定したトナー帯電量を得ることができる。よって、長期に渡って良好な画像を維持することができる。
また、脂肪酸金属塩は、その金属元素がXPSによって測定される特徴的な元素となりやすく、塗布量などの条件を設定する上で測定が行いやすい。よって、保護物質を脂肪酸金属塩とすることで、帯電条件に応じて感光体表面に塗布する保護物質の最適な量を容易に算出することができる。よって、塗布装置30の設計を容易に行うことができる。
また、保護物質としてラメラ結晶紛体を用いることで、剪断力を受けて層間で保護物質がへき開して感光体表面に広がるので、より均一に塗布することができる。
また、ラメラ結晶紛体であり、脂肪酸金属塩でもあるステアリン酸亜鉛を保護物質として用いることで、均一に感光体表面に保護物質を塗布することができ、かつ塗布装置30の設計を容易に行うことができる。
また、実施形態に係る画像形成装置は、帯電ローラと感光体を非接触により帯電する方式を採用している。これにより、帯電ローラへの保護物質の付着を防止して、保護物質の感光体上の存在量を安定させることができる。
また、帯電ローラの表面層を樹脂材料により構成している。これにより、帯電部材の変形が抑制され、保護物質の存在量が局所的、突発的に乱されるのを抑制することができる。
また、実施形態に係る画像形成装置は、保護物質を感光体表面に塗布するための塗布装置を有し、この感光体1と塗布装置30のブラシローラ部31との接触部における両者の回転速度を異ならしめるように設定している。これにより、保護物質としてのラメラ結晶紛体がへき開によってより広がりやすくなるので、感光体表面に保護物質をより効率的に塗布することができる。
また、帯電部材周囲の環境状態を検出する環境検出手段と、環境検出手段による検出結果に基づいて感光体への保護物質を存在させる量を制御する保護物質供給量制御部とを有している。これにより、温度や湿度が変動しても、保護物質の最適な量を感光体に供給することが可能となり、感光体の化学的劣化を防止することができる。
また、実施形態においては、帯電装置2、感光体1、塗布装置30からなるプロセスカートリッジを、画像形成装置に対して着脱可能に構成している。かかるプロセスカートリッジは一体に交換されるので、塗布装置30に含有される保護物質の量、感光体の初期膜厚などを相互に適切な量に設定する事が容易である。
実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図。 (a)は、感光体の断面図。(b)は、放電によって感光体表面が劣化する場合の感光体表面の状態を示した説明図。 従来技術の不具合発生に関する実験結果を示す図。 (a)は、本発明の効果を確かめるための実験装置の概略構成図。(b)は、感光体表面を保護層形成部と非形成部とに分けた状態の説明図。 帯電時間に対する感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたグラフ。 2通りの塗布量でステアリン酸亜鉛塗布を行ったときの、時間に対する感光体表面摩擦係数をプロットしたグラフ。 画像形成装置に用いる帯電装置の概略構成図。 感光体の断面図。 トナーの添加剤被覆率に対するトナーと感光体との間の摩擦係数をプロットしたグラフ。 各トナーの添加剤被覆率における、ラン枚数に対するトナー帯電量をプロットしたグラフ。 各トナーの添加剤被覆率における、ステアリン酸亜鉛の消費量を示す図。 各トナーの平均円形度における、トナー粒径に対するトナーと感光体との間の摩擦係数をプロットしたグラフ。 各トナーの平均円形度における、ラン枚数に対するトナー帯電量をプロットしたグラフ。 Vppに対して、感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたグラフ。 AC電圧の周波数fに対して、感光体表面の膜厚削れ量をプロットしたグラフ。 実験例6に係るXに対して、Zn元素個数割合をプロットしたグラフ。 保護物質を最適に塗布するための制御図。 帯電を開始するための手順に関するフローチャート図。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置
2a 帯電ローラ
4 現像装置
30 保護物質塗布装置
31 ファーブラシ
32 保護物質
100 温湿度検出器
103 塗布制御部
104 帯電制御部
200 プロセスカートリッジ

Claims (11)

  1. 静電潜像を担持する像担持体と、帯電部材に電圧を印加することで該像担持体表面を帯電させる帯電装置と、現像剤を現像剤担持体に担持し該像担持体に対向する現像領域に搬送して該像担持体上の潜像を現像してトナー像化する現像装置とを有する画像形成装置において、該像担持体表面の劣化を防止するための保護物質が該像担持体上に存在し、該トナーと該像担持体との摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、上記トナーの平均円形度が0.96以上であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2の画像形成装置において、添加剤が上記トナー表面に付着しており、該添加剤の該トナーに対する被覆率が35%以上65%以下であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1、2または3の画像形成装置において、上記保護物質は脂肪酸金属塩であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記保護物質はラメラ結晶紛体であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記保護物質がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記帯電部材と上記像担持体との最近接距離を1〜100[μm]とすることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、上記帯電部材の表面層を樹脂材料により構成したことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体表面に上記保護物質を塗布せしめる保護物質供給部材を設け、該保護物質供給部材表面と該像担持体表面とを接触せしめ、該接触部での該保護物質供給部材表面の移動速度と該像担持体表面の移動速度とが互いに異なるように各移動速度設定したことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記帯電部材周囲の環境状態を検出する環境検出手段と、該環境検出手段による検出結果に基づいて上記像担持体表面に存在させる上記保護物質の量を制御する保護物質供給量制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 像担持体と、像担持体の表面にトナー像を形成する現像装置と像担持体表面を帯電させる帯電装置のうち少なくともひとつとを一体に構成し画像形成装置本体に対して着脱可能としたプロセスカートリッジにおいて、上記画像形成装置が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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